(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-30
(54)【発明の名称】アミロイド前駆体タンパク質に対する阻害活性を有するペプチドおよびその用途
(51)【国際特許分類】
C07K 7/00 20060101AFI20241023BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20241023BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20241023BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20241023BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20241023BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20241023BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241023BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20241023BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241023BHJP
A61K 38/08 20190101ALI20241023BHJP
A61K 38/10 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
C07K7/00 ZNA
A61P25/02
A61P21/00
A61P25/14
A61P21/04
A61P3/00
A61P25/00
A61P25/16
A61P25/28
A61K38/08
A61K38/10
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024531474
(86)(22)【出願日】2022-11-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-24
(86)【国際出願番号】 KR2022018703
(87)【国際公開番号】W WO2023096367
(87)【国際公開日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】10-2021-0163629
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2021-0163630
(32)【優先日】2021-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524198618
【氏名又は名称】ウィングスタビオ インク
【氏名又は名称原語表記】WINGSTABIO INC.
【住所又は居所原語表記】Office Rm. 611, 155 Misagangbyeonhangang-ro Hanam-si, Gyeonggi-do 12902 (KR)
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】イ、ジュンチョル
【テーマコード(参考)】
4C084
4H045
【Fターム(参考)】
4C084AA02
4C084AA07
4C084BA01
4C084BA08
4C084BA17
4C084BA18
4C084BA23
4C084CA59
4C084NA14
4C084ZA011
4C084ZA012
4C084ZA021
4C084ZA022
4C084ZA151
4C084ZA152
4C084ZA161
4C084ZA162
4C084ZA201
4C084ZA202
4C084ZA221
4C084ZA222
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4C084ZA942
4C084ZC211
4C084ZC212
4H045AA10
4H045BA15
4H045BA16
4H045BA55
4H045EA21
4H045FA34
4H045GA25
(57)【要約】
本出願は、アミロイド前駆体タンパク質に対する阻害活性を有するペプチドおよびその用途に関し、配列番号1~配列番号8、および配列番号20~配列番号23のいずれか1つのアミノ酸配列からなるペプチド、前記ペプチドを有効成分として含む退行性神経疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1~配列番号8、および配列番号20~配列番号23のいずれか1つのアミノ酸配列からなる、ペプチド。
【請求項2】
前記ペプチドのN末端は、アセチル基(acetyl group)、フルオレニルメトキシカルボニル基(fluorenylmethoxycarbonyl group)、ホルミル基(formyl group)、パルミトイル基(palmitoyl group)、ミリスチル基(myristyl group)、ステアリル基(stearyl group)およびポリエチレングリコール(polyethylene glycol;PEG)から成る群から選択されるいずれか1つの保護基と結合したものである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項3】
前記ペプチドのC末端は、アミノ基(amino group、-NH
2)、およびアジド(azide、-NHNH
2)から成る群から選択されるいずれか1つの保護基と結合したものである、請求項1に記載のペプチド。
【請求項4】
前記ペプチドは、下記のような特性から選択されるいずれか1つ以上を示すものである、請求項1に記載のペプチド:
(a)アミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein:APP)発現阻害;
(b)ADAM10(A Disintegrin And Metalloproteinase-containing protein 10)またはADAM17(A Disintegrin And Metalloproteinase-containing protein 17)タンパク質の発現増加;
(c)IDE(insulin degrading enzyme)タンパク質の発現増加;
(d)抗炎症性サイトカインの発現増加;
(e)神経突起の成長促進;および
(f)脳由来神経栄養因子(Brain Derived Neurotrophic Factor:BDNF)の発現増加。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のペプチドを有効成分として含む退行性神経疾患の予防または治療用薬学的組成物。
【請求項6】
前記退行性神経疾患は、アルツハイマー病(Alzheimer's disease)、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症(multiplesclerosis)、軽度認知障害(mild cognitive impairment)、脳アミロイド血管症、アミロイド性脳卒中(stroke)、全身性アミロイドーシス、ダッチ(Dutch)型アミロイド症、ニーマンピック病、老人性認知症、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、脊髄小脳性運動失調症(Spinocerebellar Atrophy)、トゥレット症候群(Tourette's Syndrome)、フリードライヒ失調症(Friedreich's Ataxia)、マシャド・ジョセフ病(Machado-Joseph's disease)、レビー小体認知症(Lewy Body Dementia)、筋失調症(Dystonia)、進行性核上まひ(Progressive Supranuclear Palsy)、前頭側頭認知症(Frontotemporal Dementia)、末梢神経障害(peripheral neuropathy)、および多発性神経障害(polyneuropathy)から成る群から選択されるものである、請求項5に記載の薬学的組成物。
【請求項7】
前記退行性神経疾患は、アルツハイマー病(Alzheimer's disease)である、請求項5に記載の薬学的組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、アミロイド前駆体タンパク質に対する阻害活性を有するペプチドおよびその用途に関する。本特許出願は、2021年11月24日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0163629号、2021年11月24日に韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2021-0163630号に対して優先権を主張し、前記特許出願の開示事項は本明細書に参照として挿入される。
【背景技術】
【0002】
アルツハイマー病(Alzheimer's disease:AD)は、徐々に記憶力が減退し、認知力が失われる症状を示す病気であり、ヒトの平均寿命が長くなるにつれてその発症率も顕著に増加している。アルツハイマー病の病理学的特徴の1つは、神経細胞の外部に蓄積される老人斑(senile plaques)が挙げられ、その原因物質としては、β-アミロイド(β-amyloid,Aβ)が挙げられる。
【0003】
β-アミロイド(Aβ)は、アミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein:APP)から切られたタンパク質断片であり、β-アミロイド生成に関与する酵素のうち最も重要なものがβサイトAPP切断酵素(β-site APP-cleaving enzyme:BACE1)と命名されたβ-セクレターゼ(β-secretase)である。
β-セクレターゼ(BACE1)により切られたAPPは、90kDa内外のsAPPβと呼ばれるN末端ドメイン(N-terminal domain)とCTFβ(C99)と呼ばれる細胞質ドメイン(cytoplasmic domain)に分けられ、このように生成されたsAPPβは、細胞外に分泌され、C99は、さらにγ-セクレターゼ(γ-secretase)により切られて、4kDaのβ-アミロイドが生成される。
【0004】
アミロイド前駆体タンパク質の異常な代謝によってβ-アミロイド(Aβ)が多量生成されて脳細胞毒性を起こし、アルツハイマー病が発症する。したがって、アミロイド前駆体タンパク質の活性を抑制する物質は、β-アミロイドの生成を阻害するので、アルツハイマー病の予防または治療効果を期待することができる。
【0005】
現在市販中または開発中の薬物の大部分は、アルツハイマー患者の症状を改善させて生活の質を高める薬物であり、コリン作動性神経系の仮設に基づいて開発されたアセチルコリンエステラーゼ(acetylcholinesterase)抑制剤であるタクリン(tacrine)、ドネペジル(donepezil)、リバスティグミン(rivastigmine)、ガランタミン(galantamine)と、NMDA型グルタミン酸(NMDA-glutamate)受容体抑制機能を有しているメマンチン(memantine)などがある。しかしながら、これらの治療剤は、発症初期に一時的な臨床症状改善効果にとどまるものがほとんどであり、副作用まで現れていて、治療に困難がある(韓国登録特許第10-2085358号)。
【0006】
本発明者は、アルツハイマー病の発症原因に基づく根本的な治療に目標を置いて、β-アミロイド タンパク質の生成を抑制したり分解することができる治療剤を開発するために研究したところ、アミロイド前駆体タンパク質の発現および/または活性を抑制する物質を開発し、これに基づいて本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一態様は、配列番号1~配列番号8および配列番号20~配列番号23のいずれか1つのアミノ酸配列からなるペプチドを提供することにある。
【0008】
他の態様は、前記ペプチドを有効成分として含む退行性神経疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供することにある。
【0009】
さらに他の態様は、退行性神経疾患の予防または治療のための前記ペプチドの医薬的用途、または個体に治療学的有効量の前記ペプチドを投与する段階を含む退行性神経疾患を治療する方法を提供することにある。
【0010】
本出願の他の目的およびメリットは、添付の請求範囲および図面と共に下記の詳細な説明によってさらに明確になる。本明細書に記載されていない内容は、本出願の技術分野または類似の技術分野内熟練した者なら十分に認識し類推することができるので、その説明を省略する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本出願において開示されたそれぞれの説明および実施形態は、それぞれの他の説明および実施形態にも適用可能である。すなわち、本出願において開示された多様な要素のすべての組み合わせが本出願の範疇に属する。また、後述する具体的な記述によって本出願の範疇が制限されるといえない。
【0012】
一態様は、配列番号1~配列番号8および配列番号20~配列番号23のいずれか1つのアミノ酸配列からなるペプチドを提供する。
【0013】
本明細書において使用される用語、「ペプチド」は、ペプチド結合によってアミノ酸残基が互いに結合して形成された線形の分子を意味し得る。前記ペプチドは、当業界において公知となった化学的合成方法、特に固相合成技術または液相合成技術(US登録特許第5,516,891号)により製造することができる。本発明者らは、生物学的に有効な活性を有するペプチドを開発するために鋭意努力した結果、配列番号1~配列番号8のいずれか1つのアミノ酸配列からなるペプチドを糾明した。ここで、前記生物学的に有効な活性は、(a)アミロイド前駆体タンパク質(amyloid precursor protein:APP)発現阻害;(b)ADAM10(A Disintegrin And Metalloproteinase-containing protein 10)またはADAM17(A Disintegrin And Metalloproteinase-containing protein 17)タンパク質の発現増加;(c)IDE(insulin degrading enzyme)タンパク質の発現増加;(d)抗炎症性サイトカインの発現増加;(e)神経突起の成長促進;および(f)脳由来神経栄養因子(Brain Derived Neurotrophic Factor:BDNF)の発現増加のような特性から選択されるいずれか1つ以上を示すものであってもよい。
【0014】
したがって、前記ペプチドは、退行性神経疾患の予防または治療のための用途に活用することができる。
【0015】
前記ペプチドは、化学的安定性、強化された薬理特性(半減期、吸収性、力価、効能など)、変更された特異性(例えば、広範囲な生物学的活性スペクトル)、減少した抗原性を獲得するために、ペプチドのNまたはC末端に保護基が結合していてもよい。一具体例において、前記ペプチドのN末端は、アセチル基(acetyl group)、フルオレニルメトキシカルボニル基(fluorenylmethoxycarbonyl group)、ホルミル基(formyl group)、パルミトイル基(palmitoyl group)、ミリスチル基(myristyl group)、ステアリル基(stearyl group)およびポリエチレングリコール(polyethylene glycol;PEG)から成る群から選択されるいずれか1つの保護基と結合してもよく;および/または前記ペプチドのC末端は、アミノ基(amino group、-NH2)、およびアジド(azide、-NHNH2)から成る群から選択されるいずれか1つの保護基と結合してもよい。また、前記ペプチドは、選択的に、標的化配列、タグ(tag)、標識された残基、半減期またはペプチド安定性を増加させるための特定目的で製造されたアミノ酸配列をさらに含んでもよい。
【0016】
前記ペプチドは、人工的に合成したり(Artificially synthesized)、または非自然発生または操作(Non-naturally occurring or engineered)したものであり、前記「非自然発生または操作」は、自然状態で起こる存在そのままの状態でなく、人工的な修飾を加えて生成された状態を意味する。ここで、前記人工的な修飾は、複数個のアミノ酸構造を模倣して人工的にアミノ酸配列を合成すること、または前述したように化学的安定性、強化された薬理特性、変更された特異性、または減少した抗原性を獲得するために操作したことを含んでもよい。
【0017】
本明細書において使用される用語、「安定性」は、生体内タンパク質切断酵素の攻撃から前記ペプチドを保護する生体内安定性だけでなく、貯蔵安定性(例えば、常温貯蔵安定性)を意味し得る。
【0018】
他の態様は、配列番号1~配列番号8および配列番号20~配列番号23のいずれか1つのアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む退行性神経疾患の予防または治療用薬学的組成物を提供する。
【0019】
前記ペプチドに関する説明において言及された用語または要素のうち既に言及されたのと同じものは、前述の通りである。
【0020】
本明細書において用語、「予防」は、前記組成物の投与により病気の発症を抑制または遅延させるすべての行為を意味する。
【0021】
本明細書において用語、「治療」は、病気にかかっているかまたは病気が発症する危険がある個体に、前記個体の状態(例えば、1つ以上の症状)の改善、病気進行の遅延、症状発生の遅延または症状進行の鈍化などを含む効果を提供する任意の形態の治療を意味する。したがって、前記「治療」および「予防」は、症状の治癒または完全な除去を意味するように意図されない。
【0022】
前記「個体」は、病気の治療を必要とする対象を意味し、より具体的には、ヒトまたは非ヒトである霊長類、マウス(mouse)、イヌ、ネコ、ウマ、およびウシなどの哺乳類を意味する。
【0023】
前記薬学的組成物による予防または治療対象疾患である、「退行性神経疾患」は、神経系の神経細胞に漸進的かつ着実な死滅による退行性変化が現れ、様々な症状を引き起こす疾患を指す。前記退行性疾患としては、例えば、アルツハイマー病(Alzheimer's disease)、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症(multiple sclerosis)、軽度認知障害(mild cognitive impairment)、脳アミロイド血管症、アミロイド性脳卒中(stroke)、全身性アミロイドーシス、ダッチ(Dutch)型アミロイド症、ニーマンピック病、老人性認知症、筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis)、脊髄小脳性運動失調症(Spinocerebellar Atrophy)、トゥレット症候群(Tourette's Syndrome)、フリードライヒ失調症(Friedreich's Ataxia)、マシャド・ジョセフ病(Machado-Joseph's disease)、レビー小体認知症(Lewy Body Dementia)、筋失調症(Dystonia)、進行性核上まひ(Progressive Supranuclear Palsy)、前頭側頭認知症(Frontotemporal Dementia)、末梢神経障害(peripheral neuropathy)、および多発性神経障害(polyneuropathy)から成る群から選択されるものであってもよく、好ましくは、アルツハイマー病であってもよいが、これに制限されるものではない。
【0024】
一実施例によれば、前記ペプチド(peptide-1~peptide-8)は、アルツハイマー病など退行性神経疾患の主な原因物質であるAPPの発現を抑制すると同時に、既生成の細胞膜表面のAPPを切断してsAPPaの形態で遊離させるADAM10およびADAM17の発現、そして、既生成の老人斑を分解するIDEを増加させることができる。また、前記ペプチドは、退行性神経疾患の主な病因の1つである神経炎症反応を緩和し、損傷した神経系を再生させることができた。
【0025】
一実施例によれば、前記ペプチド(peptide-9~peptide-12)は、アルツハイマー病など退行性神経疾患の主な原因物質であるAPPの発現を抑制すると同時に、既生成の細胞膜表面のAPPを切断してsAPPaの形態で遊離させるADAM17の発現を増加させることができる。また、前記ペプチドは、退行性神経疾患の主な病因の1つである神経炎症反応を緩和し、損傷した神経系を再生させることができた。
【0026】
したがって、前記ペプチドは、退行性神経疾患の予防または治療用薬学的組成物の有効成分に活用することができる。
【0027】
前記薬学的組成物は、前記ペプチドの薬学的有効量(pharmaceutically effective amount);および/または薬学的に許容される担体を含むものであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0028】
本明細書において使用される用語「薬学的有効量」は、前記薬学的組成物の退行性神経疾患の予防または治療効能を達成するのに十分な量を意味する。
【0029】
前記薬学的に許容される担体は、製剤時に通常用いられるものであり、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアガム、リン酸カルシウム、アルギネート、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微細結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水、シロップ、メチルセルロース、メチルヒドロキシベンゾアート、プロピルヒドロキシベンゾアート、滑石、ステアリン酸マグネシウムおよびミネラルオイルなどを含むが、これに限定されるものではない。適合な薬学的に許容される担体および製剤は、Remington's Pharmaceutical Sciences(19th ed.,1995)に詳細に記載されている。
【0030】
前記薬学的組成物は、前記成分以外に潤滑剤、湿潤剤、甘味剤、香味剤、乳化剤、懸濁剤、保存剤などをさらに含んでもよいが、これに制限されるものではない。
【0031】
前記薬学的組成物は、経口または非経口、好ましくは、非経口で投与することができ、非経口投与の場合には、筋肉注入、静脈内注入、皮下注入、腹腔注入、局所投与、経皮投与などで投与することができるが、これに限定されるものではない。
【0032】
前記薬学的組成物の投与量は、1日当たり0.0001~1000ug(マイクログラム)、0.001~1000ug、0.01~1000ug、0.1~1000ug、または1.0~1000ugであってもよいが、これに制限されるものではなく、製剤化方法、投与方式、患者の年齢、体重、性別、病的状態、食物、投与時間、投与経路、排泄速度および反応感応性のような要因によって多様に処方することができる。
【0033】
前記薬学的組成物は、当該発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できる方法により、薬学的に許容される担体および/または賦形剤を用いて製剤化することによって、単位用量形態で製造したりまたは多用量容器内に内入させて製造することができる。
【0034】
前記剤形は、オイルまたは水性媒質中の溶液、懸濁液または乳化液形態であるか、エキス剤、粉末、顆粒剤、錠剤またはカプセル剤形態であってもよく、分散剤および/または安定化剤をさらに含んでもよい。
【0035】
さらに他の態様は、治療学的有効量の配列番号1~配列番号8および配列番号20~配列番号23のいずれか1つのアミノ酸配列からなるペプチドを有効成分として含む薬学的組成物を個体に投与する段階を含む、退行性神経疾患を予防または治療する方法を提供する。
【0036】
前記ペプチドまたは薬学的組成物に対する説明において言及された用語または要素のうち既に言及されたのと同じものは、前述した通りである。
【発明の効果】
【0037】
一態様によるペプチドによれば、アミロイド前駆体タンパク質の発現を阻害し、前記アミロイド前駆体タンパク質の分解と関連遺伝子であるADAM10、ADAM17およびIDEの発現を増加させることができる。
【0038】
また、一態様によるペプチドによれば、抗炎症性サイトカインの生成を増加させて神経炎症反応を緩和または改善することができ、神経突起の成長のような神経細胞再生を誘導することができる。
【0039】
したがって、一態様によるペプチドは、退行性神経疾患の予防または治療用薬学的組成物の有効成分に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現阻害を確認した結果であり、
図1のAは、Peptide-1、
図1のBは、Peptide-4、
図1のCは、Peptide-5、
図1のDは、Peptide-7、
図1のEは、Peptide-8、および
図1のFは、比較群ペプチドを添加した結果を示す図である。
【0041】
図2は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、ADAM10の発現増加を確認した結果であり、
図2のAは、Peptide-3、
図2のBは、Peptide-4、
図2のCは、Peptide-5、
図2のDは、Peptide-7、および
図2のEは、Peptide-8を添加した結果を示す図である。
【0042】
図3は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、ADAM17の発現増加を確認した結果であり、
図3のAは、Peptide-1、および
図3のBは、Peptide-4を添加した結果を示す図である。
【0043】
図4は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、sAPPaおよびADAM17の発現増加を確認した結果であり、
図4のAは、Peptide-1、
図4のBは、Peptide-4、および
図4のCは、Peptide-7を添加した結果を示す図である。
【0044】
図5は、一実施例によるペプチド添加による神経細胞膜表面のAPPの分布をフローサイトメトリー(Flow-cytometric analysis)を用いて分析した結果である。
【0045】
図6は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、IDEの発現増加を確認した結果であり、
図6のAは、Peptide-1、
図6のBは、Peptide-2、
図6のCは、Peptide-3、および
図6のDは、Peptide-4を添加した結果を示す図である。
【0046】
図7は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、IDEの発現増加を確認した結果であり、
図7のAは、Peptide-5、
図7のBは、Peptide-6、
図7のCは、Peptide-7、および
図7のDは、Peptide-8を添加した結果を示す図である。
【0047】
図8は、一実施例によるペプチドの添加による抗炎症性サイトカインの発現増加を確認した結果であり、
図8のAは、Peptide-1、
図8のBは、Peptide-3、
図8のCは、Peptide-4、および
図8のDは、Peptide-5、
図8のEは、Peptide-7を添加した結果を示す図である。
【0048】
図9は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、神経突起の成長促進効果を確認した結果であり、
図9のAは、Peptide-1、
図9のBは、Peptide-2、および
図9のCは、Peptide-6を添加した結果を示す図である。
【0049】
図10は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、ADAM17の発現増加を確認した結果であり、
図10のAは、Peptide-9、および
図10のBは、Peptide-10、
図10のCは、Peptide-11、および
図10のDは、Peptide-12を添加した結果を示す図である。
【0050】
図11は、一実施例によるペプチドをヒト神経細胞株に添加した後、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現阻害を確認した結果であり、
図11のAは、Peptide-11、
図11のBは、Peptide-12、および
図11のCは、比較群ペプチドを添加した結果を示す図である。
【0051】
図12は、一実施例によるペプチドの添加による抗炎症性サイトカインの発現増加を確認した結果であり、
図12のAは、Peptide-9、
図12のBは、Peptide-11、および
図12のCは、Peptide-12を添加した結果を示す図である。
【0052】
図13は、一実施例によるペプチドの添加による脳由来神経栄養因子の発現増加を確認した結果であり、
図13のAは、Peptide-9、および
図13のBは、Peptide-10、
図13のCは、Peptide-11、および
図13のDは、Peptide-12を添加した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明を実施例に基づいてより詳細に説明する。しかしながら、これらの実施例は、本発明を例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではない。
【0054】
1.ペプチド-1~ペプチド-8
【0055】
実施例1:ペプチドの合成
【0056】
自動ペプチド合成装置(Milligen 9050、Millipore、米国)を用いて下記表1に記載された配列番号1~配列番号8のアミノ酸配列を有するペプチドを合成し、C18逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)(Waters Associates、米国)を用いてこれらの合成されたペプチドを純粋分離した。カラムは、ACQUITY UPLC BEH300 C18(2.1mmХ100mm、1.7μm、Waters Co、米国)を用いた。
【0057】
【0058】
実施例2:アミロイド前駆体タンパク質発現阻害効果の確認
【0059】
本実施例では、ペプチドの処理によるアミロイド前駆体タンパク質の発現阻害効果を確認しようとした。このために、神経芽細胞腫(neuroblastoma)を有するヒトの骨髄から分離および増殖させて収得されたヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、下記表2のAPPプライマーを用いたreal-time qPCRを行って、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現レベルを測定した。なお、対照群としてペプチドを添加しない群、比較群として任意のペプチドを添加した群(NRP1:AFMVDNEAIYDICR(配列番号9))を使用した。
【0060】
【0061】
その結果、
図1に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-1、Peptide-4、Peptide-5、Peptide-7、またはPeptide-8)の添加によって、アルツハイマー病を含む退行性神経疾患の主な原因タンパク質であるAPPの発現が阻害された。特に、前記APPの発現阻害効果は、対照群に比べて、80~90%の低い発現レベルを示し、非常に顕著であった。
【0062】
実施例3:アミロイド前駆体タンパク質の分解と関連した遺伝子の発現増加効果の確認
【0063】
3-1.ADAM10(A Disintegrin And Metalloproteinase-containing protein 10)遺伝子の発現
【0064】
ADAM10は、APPを非毒性断片で切断してβ-アミロイド(b-amyloid、Ab1-42、1-40)の生成を抑制するα-セクレターゼである。したがって、前記ADAM10の発現増加は、退行性神経疾患の治療効果を示す指標に使用することができる。具体的には、ヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間37℃、5%CO2条件で培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、下記表3のADAM10プライマーを用いたリアルタイムqPCRを行って、ADAM10の発現レベルを測定した。なお、対照群としてペプチドを添加しない群を使用した。
【0065】
その結果、
図2に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-3、Peptide-4、Peptide-5、Peptide-7、またはPeptide-8)の添加によって、ADAM10の発現が増加した。
【0066】
【0067】
3-2.ADAM17(A Disintegrin And Metalloproteinase-containing protein 17)遺伝子の発現
【0068】
ADAM17は、APPを非毒性断片sAPPaで切断して細胞膜表面からAPPを除去する酵素である。したがって、前記ADAM17の発現増加は、退行性神経疾患の治療効果を示す指標に使用することができる。具体的には、神経細胞株であるSH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間37℃、5%CO2条件で培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、下記表4のADAM17プライマーを用いたリアルタイムqPCRを行って、ADAM10の発現レベルを測定した。また、ヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間37℃、5%CO2条件で培養した。その後、前記培養物からADAM17タンパク質の発現と前記ADAM17およびADAM10によってAPPから切断されて遊離したsAPPaの発現を各タンパク質に対する抗体を用いたウエスタンブロッティングを通じて確認した。これと共に、フローサイトメトリー(Flow-cytometric analysis)を用いて神経細胞膜表面のAPPの分布を分析しようとした。なお、対照群としてペプチドを添加しない群を使用した。
【0069】
【0070】
その結果、
図3および
図4に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-1、Peptide-4、およびPeptide-7)の添加によってsAPPaおよびADAM17の発現が増加し、
図5に示されたように、前記発現変化は、神経細胞膜の表面に存在するAPPのレベルを減少させることに寄与することが分かった。
【0071】
3-3.IDE(Insulin degrading enzyme)遺伝子の発現
【0072】
IDEは、β-アミロイド(b-amyloid、Ab1-42、1-40)により生成および凝集した老人斑(senile plaque)を分解する酵素である。したがって、前記IDEの発現増加は、退行性神経疾患の治療効果を示す指標に使用することができる。具体的には、ヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間37℃、5%CO2条件で培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、下記表5のIDEプライマーを用いたリアルタイムqPCRを行って、IDEの発現レベルを測定した。なお、対照群としてペプチドを添加しない群を使用した。
【0073】
【0074】
その結果、
図6および
図7に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-1、Peptide-2、Peptide-3、Peptide-4、Peptide-5、Peptide-6、Peptide-7、およびPeptide-8)の添加によって、IDEの発現が増加した。
【0075】
前記の実験結果を総合してみると、一実施例によるペプチドは、細胞膜表面のAPPを切断して非毒性断片sAPPaの形態で遊離させるADAM10およびADAM17の発現を増加させ、病理学的要因から起因した脳組織内老人斑を分解させるIDEの発現を減少させることによって、退行性神経疾患の発症を防止したり関連症状を改善させることができる。
【0076】
実施例4:抗炎症性サイトカインの発現増加効果の確認
【0077】
本実施例では、ペプチドの処理による退行性神経疾患において主な病因の1つである神経炎症反応の抑制効果を確認するために、抗炎症性サイトカインの1つであるIL-10発現増加効果を確認しようとした。具体的には、ヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間37℃、5%CO2条件で培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、下記表6のIL-10プライマーを用いたリアルタイムqPCRを行って、IL-10の発現レベルを測定した。なお、対照群としてペプチドを添加しない群を使用した。
【0078】
【0079】
その結果、
図8に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-1、Peptide-3、Peptide-4、Peptide-5、またはPeptide-7)の添加によって、IL-10の発現が増加した。
【0080】
実施例5:神経突起の成長促進効果の確認
【0081】
本実施例では、ペプチドの処理による神経細胞の再生を確認するために、神経突起の成長を確認しようとした。具体的には、ヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間培養した。その後、成長した神経突起を顕微鏡を通じて確認し、その長さを測定して評価した。
【0082】
その結果、
図9に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-1、Peptide-2、またはPeptide-6)の添加によって、神経突起の長さが増加した。
【0083】
前記結果を通じて、一実施例によるペプチドは、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症などを含む退行性神経疾患の発生と進行を抑制するのに寄与することができることが分かった。
【0084】
2.ペプチド-9~ペプチド-12
【0085】
実施例1:ペプチドの合成
【0086】
自動ペプチド合成装置(Milligen 9050、Millipore、米国)を用いて下記表7に記載された配列番号20~配列番号23のアミノ酸配列を有するペプチドを合成し、C18逆相高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)(Waters Associates、米国)を用いてこれらの合成されたペプチドを純粋分離した。カラムは、ACQUITY UPLC BEH300 C18(2.1mmХ100mm、1.7μm、Waters Co、米国)を用いた。
【0087】
【0088】
実施例2:アミロイド前駆体タンパク質の分解と関連した遺伝子の発現増加効果の確認
【0089】
神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間37℃、5%CO2条件で培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、前記表4のADAM17プライマーを用いたリアルタイムqPCRを行って、ADAM17の発現レベルを測定した。なお、対照群としてペプチドを添加しない群を使用した。
【0090】
その結果、
図10に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-9、Peptide-10、Peptide-11、またはPeptide-12)の添加によってADAM17の発現が増加し、このような傾向性は、濃度に依存する傾向を示した。
【0091】
前記の実験結果を総合してみると、一実施例によるペプチドは、細胞膜表面のAPPを切断して非毒性断片sAPPaの形態で遊離させるADAM17の発現を増加させることによって、退行性神経疾患の発症を防止したり関連症状を改善させることができる。
【0092】
実施例3:アミロイド前駆体タンパク質発現阻害効果の確認
【0093】
本実施例では、ペプチドの処理によるアミロイド前駆体タンパク質の発現阻害効果を確認しようとした。このために、神経芽細胞腫(neuroblastoma)を有するヒトの骨髄から分離および増殖させて収得されたヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、前記表2のAPPプライマーを用いたリアルタイムqPCRを行って、アミロイド前駆体タンパク質(APP)の発現レベルを測定した。なお、対照群としてペプチドを添加しない群、比較群として任意のペプチドを添加した群(NRP1:AFMVDNEAIYDICR(配列番号9))を使用した。
【0094】
その結果、
図11に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-11またはPeptide-12)の添加によって、アルツハイマー病を含む退行性神経疾患の主な原因タンパク質であるAPPの発現が阻害された。特に、前記APPの発現阻害効果は、対照群に比べて80~90%の低い発現レベルを示し、非常に顕著であった。
【0095】
実施例4:抗炎症性サイトカインの発現増加効果の確認
【0096】
本実施例では、ペプチドの処理による退行性神経疾患において主な病因の1つである神経炎症反応の阻害効果を確認するために、抗炎症性サイトカインの1つであるIL-10の発現増加効果を確認しようとした。具体的には、ヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間37℃、5%CO2条件で培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、前記表6のIL-10プライマーを用いたリアルタイムqPCRを行って、IL-10の発現レベルを測定した。なお、対照群としてペプチドを添加しない群を使用した。
【0097】
その結果、
図12に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-9、Peptide-11、またはPeptide-12)の添加によって、IL-10の発現が増加した。特に、このような抗炎症効果は、ペプチド-9を添加した群においてさらに顕著であった。
【0098】
前記の実験結果を総合してみると、一実施例によるペプチドは、アミロイド前駆体タンパク質の分解を抑制すると同時に、病変部位の抗炎症反応を誘導することができる。
【0099】
実施例5.脳由来神経栄養因子の発現増加効果の確認
【0100】
本実施例では、ペプチドの処理による神経系の再生を通した退行性神経疾患の改善または治療効果を確認するために、脳由来神経栄養因子(Brain Derived Neurotrophic Factor:BDNF)の発現増加効果を確認しようとした。具体的には、ヒト神経細胞株SH-SY5Yに前記製造されたペプチドを0.001、0.01、0.1、または1mMの濃度で添加し、これを24時間37℃、5%CO2条件で培養した。その後、前記培養物からトータルRNAを抽出してcDNA合成した後、下記表8のBDNFプライマーを用いたリアルタイムqPCRを行って、BDNFの発現レベルを測定した。なお、対照群としてペプチドを添加しない群を使用した。
【0101】
【0102】
その結果、
図13に示されたように、一実施例によるペプチド(Peptide-9、Peptide-10、Peptide-11、またはPeptide-12)の添加によって、BDNFの発現が増加した。特に、このような発現増大効果は、ペプチド-11またはペプチド-12を添加した群においてさらに顕著であった。
【0103】
前記結果を通じて、一実施例によるペプチドは、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、多発性硬化症などを含む退行性神経疾患の発生と進行を抑制するのに寄与することができることが分かった。
【0104】
前述した本発明の説明は、例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者は、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態で容易に変形が可能であることを理解することができる。したがって、以上で記述した実施例は、すべての面において例示的なものであり、限定的でないものと理解しなければならない。
【配列表】
【国際調査報告】