(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】炭素材料およびその調製方法、並びに燃料電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/96 20060101AFI20241024BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20241024BHJP
C01B 32/20 20170101ALI20241024BHJP
C01B 32/15 20170101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M4/96 B
H01M4/88 C
C01B32/20
C01B32/15
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023554309
(86)(22)【出願日】2023-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-09-05
(86)【国際出願番号】 CN2023090895
(87)【国際公開番号】W WO2024066333
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】202211184403.7
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523338543
【氏名又は名称】深▲せん▼市貝特瑞新能源技術研究院有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】李 中爽
(72)【発明者】
【氏名】顔 聿聡
(72)【発明者】
【氏名】李 子坤
(72)【発明者】
【氏名】任 建国
(72)【発明者】
【氏名】黄 友元
(72)【発明者】
【氏名】賀 雪琴
【テーマコード(参考)】
4G146
5H018
【Fターム(参考)】
4G146AA01
4G146AB02
4G146AC02A
4G146AC02B
4G146AC04A
4G146AC04B
4G146AC07A
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4G146AC11A
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4G146BB04
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4G146BC23
4G146BC35A
4G146BC35B
4G146CB01
5H018AA01
5H018BB01
5H018BB11
5H018BB12
5H018EE05
5H018EE06
5H018HH00
5H018HH01
5H018HH02
5H018HH03
5H018HH04
5H018HH05
5H018HH06
5H018HH08
5H018HH09
5H018HH10
(57)【要約】
本出願は、燃料電池の分野に関し、炭素材料およびその調製方法、並びに燃料電池を提供し、炭素材料は炭素粒子からなり、炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を有し、隣接する2つの炭素結晶粒子間に粒界があり、炭素粒子の表面の粒界密度はpであり、1≦p≦15、粒界密度は以下の測定方法によって求められ、20部の炭素粉末粒子をランダムに取得し、ラマン分光法により測定した結果、炭素粉末粒子の炭素特徴ピークのピーク面積I
Dと黒鉛特徴ピークのピーク面積I
Gの比I
D/I
Gの値はR
nであり、n=1、2、3…20、20部の炭素粉末粒子のI
D/I
Gの平均値はRであり、粒界密度
であり、Dは炭素粒子の平均粒子径である。本出願が提供する炭素材料およびその調製方法、ならびに燃料電池によれば、炭素粒子の表面粒界密度が小さいほど、炭素粒子の表面の腐食しやすい部位が少なくなり、耐食性が高く、炭素材料の耐用年数を効果的に向上させることができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素材料であって、前記炭素材料は炭素粒子からなり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子からなり、隣接する2つの炭素結晶粒子間に粒界があり、
前記炭素粒子の表面の粒界密度はp、1≦p≦15であり、
前記粒界密度は以下の測定方法によって求められ、
20部の炭素粉末粒子をランダムに取得し、ラマン分光法により測定した結果、炭素粉末粒子の炭素特徴ピークのピーク面積I
Dと黒鉛特徴ピークのピーク面積I
Gの比I
D/I
Gの値はR
nであり、n=1、2、3…20、20部の炭素粉末粒子のI
D/I
Gの平均値はRであり、
粒界密度
【数1】
であり、
Dは前記炭素粒子の平均粒子径である、ことを特徴とする炭素材料。
【請求項2】
前記炭素材料は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記炭素粒子は球状であるか、または球状に近似し、
(2)前記炭素粒子の平均粒子径Dは、20nm≦D≦200nmであり、
(3)前記炭素結晶粒子は炭素層の積層によって形成され、
(4)前記炭素結晶粒子の平均粒子径Laは、3nm≦La≦30nmであり、
(5)前記炭素粒子の表面の粒界密度pは、1≦p≦6.5である、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素材料。
【請求項3】
粉末X線回折試験の結果、前記炭素材料の黒鉛相{002}の結晶表層間隔はd
002nmであり、2.5kN/cm
2加圧下における前記炭素材料の粉末導電率はσS/cmであり、σ/d
002≧2*10
8S/cm
2である、ことを特徴とする請求項1に記載の炭素材料。
【請求項4】
前記炭素材料は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記炭素材料の黒鉛相{002}の結晶表層間隔はd
002nmであり、かつ0.338≦d
002≦0.345であり、
(2)2.5kN/cm
2加圧下における前記炭素材料の粉末導電率はσS/cmであり、かつσ≧7である、ことを特徴とする請求項3に記載の炭素材料。
【請求項5】
前記炭素材料は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記炭素材料の気孔率≧60%であり、
(2)前記炭素材料の粉末接触角は120°~155°であり、
(3)前記炭素材料の比表面積は30m
2/g~250m
2/gであり、
(4)前記炭素材料の吸油量は100mL/100g~450mL/100gであり、
(5)前記炭素材料の平均粒子径は0.1μm~10μmである、ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の炭素材料。
【請求項6】
炭素材料の調製方法であって、
カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理した後、整形処理を行うステップと、
変性ガスを含む雰囲気中で整形処理生成物に対して表面変性処理を行って、前記炭素材料を得るステップと、を含む、ことを特徴とする炭素材料の調製方法。
【請求項7】
前記方法は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記欠陥修復剤の沸点は50℃~400℃であり、
(2)前記欠陥修復剤は揮発性有機化合物および/または半揮発性有機化合物を含み、
(3)前記欠陥修復剤は、揮発性有機化合物を含み、前記揮発性有機化合物は、樟脳、フェノール、o-フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、p-ベンゾキノン、安息香酸、パルミトール、アミノキノリンおよびナフタリンのうちの少なくとも1つを含み、
(4)前記欠陥修復剤は半揮発性有機化合物を含み、前記半揮発性有機化合物は、ベンゼンジオール、フタル酸、イソフタルアルデヒドおよびアントラセンのうちの少なくとも1つを含み、
(5)カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理を行う前に、前記方法は、欠陥修復剤を整形処理し、整形後の修復剤とカーボンブラック材料を混合処理して混合材料を得るステップをさらに含み、
(6)前記欠陥修復剤の平均粒子径は0.1μm~1μmであり、
(7)前記カーボンブラック材料と前記欠陥修復剤の質量比は10:(0.1~2)であり、
(8)前記カーボンブラック材料の平均粒子径は20nm~200nmであり、
(9)前記カーボンブラック材料の吸油量は100mL/100g~450mL/100gであり、
(10)ラマン分光法により測定した結果、前記カーボンブラック材料は炭素特徴ピークI
Dおよび黒鉛特徴ピークI
Gを有し、I
D/I
G≦2.0であり、
(11)2.5kN/cm
2圧力における前記カーボンブラック材料の粉末導電率σ≧8S/cmである、ことを特徴とする請求項6に記載の調製方法。
【請求項8】
前記方法は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記炭化処理の時間は0.1h~3hであり、
(2)前記炭化処理の昇温速度は2℃/min~30℃/minであり、
(3)前記炭化処理は不活性ガス保護下で行われ、前記不活性ガスは、アルゴン、ネオン、ヘリウムおよびクリプトンのうちの少なくとも1つを含み、
(4)前記整形処理は、ボールミル、サンドミル、ローラーミル、攪拌ミル、ターンミルおよびプラネタリーミルのうちの少なくとも1つを含み、
(5)前記整形処理生成物に対して表面変性処理を行う前に、前記方法は、整形処理生成物をふるい分けるステップをさらに含む、ことを特徴とする請求項6に記載の調製方法。
【請求項9】
前記方法は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記変性ガスは、二酸化炭素、空気、水蒸気、酸素、窒素およびアンモニアのうちの少なくとも1つを含み、
(2)前記雰囲気は、不活性ガスをさらに含み、前記不活性ガスは、アルゴン、ネオン、ヘリウムおよびクリプトンのうちの少なくとも1つを含み、
(3)前記雰囲気中の変性ガスと前記不活性ガスの体積比は(0.5~10):10であり、
(4)前記表面変性処理の温度は400℃~1700℃であり、前記表面変性処理の温度は好ましくは500℃~1200℃であり、
(5)前記表面変性処理の昇温速度は2℃/min~30℃/minである、ことを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の調製方法。
【請求項10】
ガス拡散層を有する複数のセルユニットを含み、前記ガス拡散層は、請求項1~5のいずれか1項に記載の炭素材料または請求項6~9のいずれか1項に記載の調製方法によって調製された炭素材料を含む、燃料電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2022年9月27日に中国特許局に出願された、出願番号202211184403.7、特許名称「炭素材料およびその調製方法、並びに燃料電池」という中国特許出願の優先権を主張し、そのすべての内容は参照によって本出願に組み込まれる。
【0002】
(技術分野)
本出願は、燃料電池の技術分野に関し、具体的に、炭素材料およびその調製方法、並びに燃料電池に関する。
【背景技術】
【0003】
既存の燃料電池は、主に、ガス拡散層を有する複数のセルユニットから構成され、ガス拡散層は、微多孔層と基材とからなる。中でも、微多孔層は、主に高構造炭素材料から構成され、燃料電池におけるガス透過、排出、電子移動の役割を担っている。微多孔層の親水性・疎水性、導電性、細孔構造などの物理的・化学的特性は、セルの性能に直接影響する。微多孔層の使用環境は高電位・高湿度となり、炭素材料は電気化学的腐食現象を起こしやすい。微多孔層の炭素材料が腐食された後、材料の親水性・疎水性と細孔構造が変化し、排水と空気の移動機能が低下し、部品の界面間の接触抵抗が増加し、電池の性能低下が加速される。したがって、微多孔層に使用される炭素材料の電気化学的安定性は、電池の動作寿命をある程度左右する。
【0004】
既存の微多孔層は、主にファーネスブラック、アセチレンブラック、コーチェンブラックなどの市場で一般的な導電性カーボンブラックを主材料として使用しており、この種のカーボンブラック材料の粒子は界面の欠陥が多く、電気化学的腐食を起こしやすいため、炭素材料の劣化が加速される。
【0005】
そのため、燃料電池におけるガス移動、排水、電子移動に良好な機能性を示し、かつ電気化学的腐食に対して高い耐性を示し、電池寿命の向上を図ることができる炭素材料が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このような点を鑑み、本出願は、炭素粒子の表面腐食しやすい部位が少なくなり、耐食性が高く、炭素材料の耐用年数を効果的に向上させることができる炭素材料およびその調製方法、並びに燃料電池を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様によれば、本出願の実施例は、炭素材料を提供し、
前記炭素材料は炭素粒子からなり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、隣接する2つの炭素結晶粒子間に粒界があり、
前記炭素粒子の表面の粒界密度pは、1≦p≦15であり、
前記粒界密度は以下の測定方法によって求められ、
20部の炭素粒子をランダムに取得し、ラマン分光法により測定した結果、炭素粒子の炭素特徴ピークのピーク面積I
Dと黒鉛特徴ピークのピーク面積I
Gの比I
D/I
Gの値はRnであり、n=1、2、3…20であり、20部の炭素粒子のI
D/I
Gの平均値はRであり、
粒界密度
【数1】
であり、Dは前記炭素粒子の平均粒子径である。
【0008】
いくつかの実施形態では、前記炭素粒子は球状であるか、または球状に近似する。
【0009】
いくつかの実施形態では、前記炭素粒子の平均粒子径Dは、20nm≦D≦200nmである。
【0010】
いくつかの実施形態では、前記炭素結晶粒子は炭素層の積層によって形成される。
【0011】
いくつかの実施形態では、前記炭素結晶粒子の平均粒子径Laは、3nm≦La≦30nmである。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは、1≦p≦6.5である。
【0013】
いくつかの実施形態では、粉末X線回折試験の結果、前記炭素材料の黒鉛相{002}の結晶表層間隔はd002nmであり、2.5kN/cm2加圧下における前記炭素材料の粉末導電率はσS/cmであり、かつσ/d002≧2*108S/cm2である。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記炭素材料の黒鉛相{002}の結晶表層間隔はd002nmであり、0.338≦d002≦0.345である。
【0015】
いくつかの実施形態では、2.5kN/cm2加圧下における前記炭素材料の粉末導電率はσS/cmであり、かつσ≧7である。
【0016】
いくつかの実施形態では、前記炭素材料の気孔率≧60%である。
【0017】
いくつかの実施形態では、前記炭素材料の粉末接触角は120°~155°である。
【0018】
いくつかの実施形態では、前記炭素材料の比表面積は30m2/g~250m2/gである。
【0019】
いくつかの実施形態では、前記炭素材料の吸油量は100mL/100g~450mL/100gである。
【0020】
いくつかの実施形態では、前記炭素材料の平均粒子径は0.1μm~10μmである。
【0021】
第2態様によれば、本出願の実施例は、炭素材料の調製方法を提供し、この方法は、
カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理した後、整形処理を行うステップと、
変性ガスを含む雰囲気中で整形処理生成物に対して表面変性処理を行って、炭素材料を得るステップと、を含む。
【0022】
いくつかの実施形態では、前記欠陥修復剤の沸点は50℃~400℃である。
【0023】
いくつかの実施形態では、前記欠陥修復剤は、揮発性有機化合物および/または半揮発性有機化合物を含む。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記欠陥修復剤は、揮発性有機化合物を含み、前記揮発性有機化合物は、樟脳、フェノール、o-フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、p-ベンゾキノン、安息香酸、パルミトール、アミノキノリンおよびナフタリンのうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記欠陥修復剤は半揮発性有機化合物を含み、前記半揮発性有機化合物は、ベンゼンジオール、フタル酸、イソフタルアルデヒド和アントラセンのうちの少なくとも1つを含む。
【0026】
いくつかの実施形態では、カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理を行う前に、前記方法は、欠陥修復剤を整形処理し、整形後の修復剤とカーボンブラック材料を混合処理して混合材料を得るステップをさらに含む。
【0027】
いくつかの実施形態では、前記欠陥修復剤の平均粒子径は0.1μm~1μmである。
【0028】
いくつかの実施形態では、前記カーボンブラック材料と前記欠陥修復剤の質量比は10:(0.1~2)である。
【0029】
いくつかの実施形態では、前記カーボンブラック材料の平均粒子径は20nm~200nmである。
【0030】
いくつかの実施形態では、前記カーボンブラック材料の吸油量は100mL/100g~450mL/100gである。
【0031】
いくつかの実施形態では、ラマン分光法により測定した結果、前記カーボンブラック材料は炭素特徴ピークIDおよび黒鉛特徴ピークIGを有し、かつID/IG≦2.0である。
【0032】
いくつかの実施形態では、2.5kN/cm2加圧下における前記カーボンブラック材料の粉末導電率σ≧8S/cmである。
【0033】
いくつかの実施形態では、前記炭化処理の時間は0.1h~3hである。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記炭化処理の昇温速度は2℃/min~30℃/minである。
【0035】
いくつかの実施形態では、前記整形処理は、ボールミル、サンドミル、ローラーミル、攪拌ミル、ターンミルおよびプラネタリーミルのうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
いくつかの実施形態では、前記整形処理生成物に対して表面変性処理を行う前に、前記方法は、整形処理生成物をふるい分けるステップをさらに含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、前記変性ガスは、二酸化炭素、空気、水蒸気、酸素、窒素およびアンモニアのうちの少なくとも1つを含む。
【0038】
いくつかの実施形態では、前記雰囲気は、不活性ガスをさらに含み、前記不活性ガスは、アルゴン、ネオン、ヘリウムおよびクリプトンのうちの少なくとも1つを含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、前記雰囲気中の変性ガスと前記不活性ガスの体積比は(0.5~10):10である。
【0040】
いくつかの実施形態では、前記表面変性処理の温度は400℃~1700℃であり、前記表面変性処理の温度は好ましくは500℃~1200℃である。
【0041】
いくつかの実施形態では、前記表面変性処理の昇温速度は2℃/min~30℃/minである。
【0042】
第3態様によれば、本出願は燃料電池を提供し、前記燃料電池は、ガス拡散層を有する複数のセルユニットを含み、前記ガス拡散層は、上記の炭素材料または上記の調製方法によって調製された炭素材料を含む。
【発明の効果】
【0043】
本出願の技術的解決策は少なくとも以下の有益な効果を有する。
【0044】
まず、本出願が提供する炭素材料は、炭素材料粒子の表面の炭素結晶粒子間の粒界密度が小さいほど、炭素粒子の表面に腐食しやすい部位が少なくなり、炭素材料の耐用年数を効果的に向上させることができ、炭素粒子の表面粒界密度が小さいほど、疎水性がよくなり、反応により発生した水分が炭素材料の細孔に集まりにくく、この材料からなる微多孔層およびその気孔構造のガス伝導能力を維持し、高湿度・大電流密度の条件下での電池性能を向上させる。さらに、炭素材料は高い導電率および高い黒鉛化度を有する。炭素材料の導電率が高いほど、炭素材料の電子伝達性能が高くなり、電力損失が低くなり、炭素材料の黒鉛化度が高いほど、材料の耐食性能が高くなる。それによって、この材料からなるガス拡散層は大電流密度下で高い電気化学変換効率を有し、長い耐用年数という特徴も有する。
【0045】
次に、本出願が提供する調製方法は、カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理を行い、超高温炭化処理中、欠陥修復剤は分解して、典型的な電子不足の中性活性中間体であるカーボンラジカルまたはカルベン構造を生成することができ、炭素粒子の表面に析出して炭素粒子表面の欠陥を修復することができ、表面の粒界密度が低い炭素粒子を得、高黒鉛化、高導電性、高耐久性の炭素材料を得ることに寄与し、次いで、整形処理により、炭素材料の粒径を小さくすることができ、炭素材料の平坦な表面と均一な分布の微多孔層を有するガス拡散層の調製に寄与する。整形処理後の生成物に対して表面変性処理を行うことにより、炭素材料表面の構造秩序を改善し、化学的および電気化学的耐食性を向上させることができる。全体の調製プロセスは簡単であり、材料の高電気伝導性能および高疎水性耐久性能を向上させ、炭素材料の耐用年数を向上させ、調製コストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【
図1】本出願が提供する炭素材料中の炭素結晶粒子間の粒界状態を示す構造概略図である。
【
図2】本出願の実施例が提供する炭素材料の構造概略図である。
【
図3】本出願の実施例が提供する炭素材料調製方法の概略フローチャートである。
【
図4】本出願の実施例1、3および比較例1の炭素材料の熱重量損失図である。
【
図5】本出願の実施例1、3および比較例1の炭素材料被覆によって調製された燃料電池のガス拡散層の電気化学的定電位分極曲線図である。
【
図6】本出願の実施例1、3および比較例1の炭素材料被覆によって調製された拡散層の電気化学的定電位分極曲線図をリニアフィッティングして得られた対応の炭素材料の腐食電流成長速度を示す線形図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
以下、本出願の実施形態を説明するが、当業者にとって、本出願の実施例の原理から逸脱することなく、多くの改良および修飾を行うことができ、これらの改良および修飾は本出願の実施例の保護範囲に含まれることに留意すべきである。
【0048】
本出願は、炭素材料を提供し、
図1は本出願が提供する炭素材料中の炭素結晶粒子間の粒界状態を示す概略構造図であり、
図1に示すように、炭素材料は炭素粒子からなり、炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、隣接する2つの炭素結晶粒子間に粒界があり、
炭素粒子の表面の粒界密度pは、1≦p≦15であり、
粒界密度は以下の測定方法によって求められ、
20部の炭素粒子をランダムに取得し、ラマン分光法により測定した結果、炭素粒子の炭素特徴ピークのピーク面積I
Dと黒鉛特徴ピークのピーク面積I
Gの比I
D/I
Gの値はR
nであり、かつn=1、2、3…20であり、20部の炭素粒子のI
D/I
Gの平均値はRであり、
粒界密度
【数2】
であり、Dは炭素粒子の平均粒子径である。
【0049】
上記の解決策では、炭素材料粒子の表面の炭素結晶粒子間の粒界密度が小さいほど、炭素粒子の表面に腐食しやすい部位が少なくなり、炭素材料の耐用年数を効果的に向上させ、炭素粒子の表面粒界密度が小さいほど、疎水性がよりよくなり、反応により発生した水分が炭素材料の細孔に集まりにくく、この材料からなる微多孔層およびその気孔構造のガス伝導能力を維持し、高湿度・大電流密度の条件下での電池性能を向上させる。さらに、炭素材料は高い導電率および高い黒鉛化度を有する。炭素材料の導電率が高いほど、炭素材料の電子伝達性能が高くなり、電力損失が低くなり、炭素材料の黒鉛化度が高いほど、材料の耐食性能が高くなる。それによって、この材料からなるガス拡散層は大電流密度下で高い電気化学変換効率を有し、長い耐用年数という特徴も有する。
【0050】
理解できるように、炭素粒子は一次粒子であり、一次粒子は凝集して二次粒子を形成することが可能である。
【0051】
いくつかの実施形態では、炭素粒子の炭素特徴ピークのピーク面積IDと黒鉛特徴ピークのピーク面積IGの比は、0.15≦ID/IG≦1.5である。
【0052】
いくつかの実施形態では、粒界密度pは具体的に1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14または15などであるが、これらに限定されない。好ましくは、1≦p≦10である。理解できるように、炭素材料の腐食は通常、炭素粒子の表面の粒界位置に沿って腐食し始める。炭素粒子の表面の粒界密度が小さいほど、表面に腐食しやすい部位が少なく、炭素材料はより長い耐用年数を有する。好ましくは、粒界密度p、1≦p≦6.5である。先行技術におけるカーボンブラック材料の表面に多くの粒界があるため、完全に粒界がないフットボール状のアルケン構造状態を達成することは困難である。
【0053】
粒界密度
【数3】
であり、
具体的な進化過程は次のとおりであり、
炭素粒子の平均粒子径はDであり、炭素粒子が球状であるか、または球状に近似すると、炭素粒子の最大断面円周長はDπで、炭素粒子の外部表面積はD
2πである。
【0054】
炭素結晶粒子の平均粒子径は、ラマン分光法により測定され得、炭素粒子の炭素特徴ピークのピーク面積IDと黒鉛特徴ピークのピーク面積IGの比ID/IGの平均値R、炭素結晶粒子の平均粒子径Laは、炭素のラマンD、Gピーク強度比から算出され、La=4.4/Rである(ラマンレーザ波長λ=514nm)。
【0055】
いくつかの実施形態では、
図2に示すように、炭素結晶粒子の平均粒子径Laは、3nm≦La≦30nmであり、具体的に、3nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nmまたは30nmなどであり、列挙した値に限定されなく、この値の範囲内で他の列挙していない値も同様に適用可能である。炭素結晶粒子の平均粒子径を上記範囲内に制御することにより、炭素結晶粒子間の粒界密度を低下し、欠陥を低減し、炭素材料の耐食能力を高めることができる。好ましくは、5nm≦La≦20nmである。
【0056】
いくつかの実施形態では、炭素粒子は球状であるか、または球状に近似する。
【0057】
いくつかの実施形態では、炭素結晶粒子は炭素層の積層によって形成される。
【0058】
炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含むため、各炭素結晶粒子の表面積を加算して炭素粒子の外部表面積を得、すなわち、炭素結晶粒子の数n=炭素粒子の外部表面積/炭素結晶粒子の表面積によって算出され、その算出式は次の式で示される。
【数4】
【0059】
炭素粒子の粒界密度=(炭素結晶粒子数*平均表面結晶粒子周長/2)/平均単一粒子周長、その算出式は次の式で示される。
【数5】
【0060】
いくつかの実施形態では、炭素粒子の平均粒子径Dは、20nm≦D≦200nmであり、具体的に、20nm、50nm、60nm、80nm、90nm、100nm、120nm、150nm、180nm、190nmまたは200nmなどであり、列挙した値に限定されなく、この値の範囲内で他の列挙しない値も同様に適用可能である。炭素粒子の平均粒子径を上記範囲内に制御することにより、排水性、ガス透過性の良好な細孔構造の炭素材料を得、表面が平坦なガス拡散層を形成し、ガス拡散層と触媒層の接触抵抗を低減することに寄与する。好ましくは、30nm≦D≦100nmである。
【0061】
いくつかの実施形態では、炭素材料の粒子径D90≦200μmであり、具体的には、1μm、5μm、10μm、20μm、30μm、40μm、50μm、100μm、150μmまたは200μmであり、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。好ましくは、炭素材料の粒子径D90≦100μmである。炭素材料のD90が大すぎると、表面が平坦なガス拡散層の形成に寄与しない。適切なサイズの炭素粒子は、表面が平坦なガス拡散層を形成することができ、ガス拡散層と触媒層の接触抵抗を低減することができる。
【0062】
いくつかの実施形態では、炭素材料は、高い黒鉛相結晶化度、および高い導電特性を有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、粉末X線回折試験の結果、炭素材料の黒鉛相{002}の結晶表層間隔はd002nmであり、2.5kN/cm2加圧下における炭素材料の粉末導電率はσ(S/cm)であり、かつσ/d002≧2*108S/cm2である。粉末導電率と結晶表層間隔の比は、炭素材料の高黒鉛化度および高導電率特性を表現するために使用される。理解できるように、炭素材料の黒鉛化度が高いほど、炭素材料の耐食性能が高く、炭素材料の電気伝導性能が良好であり、炭素材料の電子伝達性能が強く、電力損失が低い。好ましくは、σ/d002≧3*108S/cm2である。したがって、本出願の炭素材料の粉末導電率と結晶表層間隔を上記範囲内に制御することにより、炭素材料は高い導電率特性およびより長い耐用年数を両立することができる。
【0064】
ここで、炭素材料の黒鉛相{002}結晶面回折ピーク角度は粉末X線回折試験によって測定され、ブラッグ方程式2dsinθ=nλにより炭素材料の{002}結晶表層間隔d002の値を算出し、
いくつかの実施形態では、炭素粒子の{002}結晶表層間隔d002は、0.338nm≦d200≦0.345nmであり、具体的には、0.338nm、0.339nm、0.340nm、0.341nm、0.342nm、0.343nm、0.344nmまたは0.345nmなどであり、列挙した値に限定されなく、この値の範囲内で他の列挙しない値も同様に適用可能である。炭素粒子の結晶表層間隔が小さいほど、炭素材料は高い結晶化度を有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、粉末導電率測定の結果、炭素材料に2.5kNの圧力を加えた状態で、炭素材料の粉末導電率σは、σ≧7S/cmであり、具体的には、7S/cm、7.5S/cm、7.9S/cm、8.5S/cm、8.9S/cm、9.5S/cm、10.0S/cmまたは11.0S/cmなどであり、列挙した値に限定されない。炭素材料の導電率が高いほど、材料の電子伝達抵抗が小さく、炭素材料からなるガス拡散層の電池性能が高くなる。
【0066】
いくつかの実施形態では、炭素材料の気孔率≧60%であり、具体的には、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%または95%などであるが、これらに限定されない。炭素材料の気孔率が高いほど、ガス拡散層での反応ガス拡散に寄与する。好ましくは、炭素材料の気孔率≧80%である。
【0067】
いくつかの実施形態では、炭素材料の粉末接触角は120°~155°であり、具体的には、120°、125°、130°、135°、140°、145°、150°または155°などであるが、これらに限定されない。炭素材料の粉末接触角を上記範囲内に制御することにより、炭素材料の疎水性能を向上させ、反応により発生した水分が炭素材料の細孔に集まりにくく、さらに炭素粒子の腐食も回避され、炭素材料の耐用年数を向上させることに寄与する。
【0068】
いくつかの実施形態では、炭素材料の比表面積は30m2/g~250m2/gであり、選択可能に、炭素材料の比表面積比は、30m2/g、40m2/g、60m2/g、80m2/g、100m2/g、120m2/g、140m2/g、160m2/g、180m2/g、200m2/gまたは250m2/gなどであるが、これらに限定されない。理解できるように、炭素材料の比表面積を上記範囲内に制御することにより、炭素材料はより優れたガス透過および排水性能を有することができる。
【0069】
いくつかの実施形態では、炭素材料の吸油量は100mL/100g~450mL/100gであり、具体的には、100mL/100g、200mL/100g、250mL/100g、300mL/100g、350mL/100g、400mL/100gまたは450mL/100gなどであるが、これらに限定されない。炭素材料吸油量が高いほど、炭素材料はより良好なガス透過および排水性能を有する。材料の物質移動性能の観点から、好ましくは、炭素材料の吸油量は250mL/100g~400mL/100gである。
【0070】
いくつかの実施形態では、炭素材料の平均粒子径は0.1μm~10μmであり、具体的には、0.1μm、0.2μm、0.4μm、0.5μm、0.8μm、1μm、2μm、3μm、5μm、8μmまたは10μmなどであるが、これらに限定されない。
【0071】
また、本出願は、炭素材料の調製方法をさらに提供し、
図3に示すように、以下のステップを含み、
ステップS1、カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理した後、整形処理を行い、
ステップS2、変性ガスを含む雰囲気中で整形処理生成物に対して表面変性処理を行って、前記炭素材料を得る。
【0072】
上記解決策では、カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理を行い、超高温炭化処理中、欠陥修復剤は分解して、典型的な電子不足の中性活性中間体であるカーボンラジカルまたはカルベン構造を生成することができ、炭素粒子の表面に析出して炭素粒子表面の欠陥を修復することができ、表面の粒界密度が低い炭素粒子を得、高黒鉛化、高導電性、高耐久性の炭素材料を得ることに寄与し、次いで、整形処理により、炭素材料の粒径を小さくすることができ、炭素材料の平坦な表面と均一な分布の微多孔層を有するガス拡散層の調製に寄与する。整形処理後の生成物に対して表面変性処理を行うことにより、炭素材料表面の構造秩序を改善し、化学的および電気化学的耐食性を向上させることができる。全体の調製プロセスは簡単であり、材料の高電気伝導性能および高疎水性耐久性能を向上させ、炭素材料の耐用年数を向上させ、調製コストを削減することができる。
【0073】
以下、本解決策を詳細に説明する。
【0074】
ステップS1の前に、本方法は、
欠陥修復剤を整形処理し、整形後の修復剤とカーボンブラック材料を混合処理して混合材料を得るステップをさらに含む。
【0075】
いくつかの実施形態では、欠陥修復剤の整形方法は研磨であり、欠陥修復剤の研磨時間は1h~6hであり、整形後の欠陥修復剤の平均粒子径が0.1μm~1μmに達する。
【0076】
いくつかの実施形態では、研磨時間は、具体的には、1h、2h、3h、4h、5hまたは6hなどであり、もちろん、上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。具体的な研磨方法は、ボールミル、機械研磨などであるが、これらに限定されない。
【0077】
いくつかの実施形態では、整形後の欠陥修復剤の平均粒子径は、具体的には、0.1μm、0.3μm、0.5μm、0.6μm、0.7μm、0.8μm、0.9μmまたは1μmなどであるが、これらに限定されない。百ナノレベルの粒子の粒子径であれば、カーボンブラック材料での欠陥修復剤の分散度を高め、欠陥修復剤をより緩やかに揮発させ、均一拡散させることができる。修復剤の粒子径が小さいと、昇温過程中速やかに揮発して修復剤の機能を失い、修復剤の粒子径が大きいと、均一に分散しにくく、修復効果が弱くなる。
【0078】
いくつかの実施形態では、欠陥修復剤の沸点は50℃~400℃であり、具体的には、50℃、80℃、100℃、120℃、150℃、180℃、200℃、250℃、260℃、280℃、320℃、380℃または400℃などであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。欠陥修復剤の沸点が低く、高温炭化過程中熱分解しやすく、炭素ラジカルおよび/またはカルベン構造は典型的な電子不足の中性活性中間体であり、炭素粒子の表面に堆積して炭素粒子表面の欠陥を修復することが可能である。
【0079】
いくつかの実施形態では、欠陥修復剤は、揮発性有機化合物(VOCs)および/または半揮発性有機化合物(SVOCs)を含む。そのうちに、揮発性有機化合物(VOCs)の沸点は50℃~260℃であり、半揮発性有機化合物(SVOCs)の沸点は240℃~400℃である。
【0080】
具体的に、揮発性有機化合物(VOCs)の沸点は、50℃、60℃、70℃、80℃、90℃、100℃、150℃、200℃、210℃、230℃、250℃または260℃などであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0081】
具体的に、半揮発性有機化合物(VOCs)の沸点は、240℃、250℃、260℃、270℃、280℃、290℃、300℃、350℃、360℃、370℃、390℃または400℃などであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0082】
いくつかの実施形態では、欠陥修復剤は揮発性有機化合物を含み、揮発性有機化合物は、樟脳、フェノール、o-フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、p-ベンゾキノン、安息香酸、パルミトール、アミノキノリンおよびナフタリンのうちの少なくとも1つを含む。
【0083】
いくつかの実施形態では、欠陥修復剤は半揮発性有機化合物を含み、半揮発性有機化合物は、ベンゼンジオール、フタル酸、イソフタルアルデヒド和アントラセンのうちの少なくとも1つを含む。
【0084】
いくつかの実施形態では、整形後の欠陥修復剤とカーボンブラック材料の混合処理方法は、機械混合、攪拌混合のうちの少なくとも1つを含む。例示的に、混合機を用いて混合して混合材料の均一性を向上させる。
【0085】
いくつかの実施形態では、混合処理の時間は0.5h~3hであり、具体的には、0.5h、1h、1.5h、2h、2.5hまたは3hなどであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0086】
ステップS1、カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理した後、整形処理を行う。
【0087】
いくつかの実施形態では、カーボンブラック材料と欠陥修復剤の質量比は10:(0.1~2)であり、具体的には、10:0.1、10:0.3、10:0.5、10:0.8、10: 1、10:1.2、10:1.5、10:1.8または10:0.2などであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。炭化処理過程中、欠陥修復剤が熱分解して形成された炭素ラジカルおよび/またはカルベン構造は炭素粒子の表面に堆積して炭素粒子表面の欠陥を修復することが可能である。
【0088】
いくつかの実施形態では、カーボンブラック材料の平均粒子径は20nm~200nmであり、具体的には、20nm、50nm、60nm、80nm、90nm、100nm、120nm、150nm、180nm、190nmまたは200nmなどであり、列挙した値に限定されなく、この値の範囲内で他の列挙しない値も同様に適用可能である。
【0089】
いくつかの実施形態では、カーボンブラック材料の吸油量は100mL/100g~450mL/100gであり、具体的には、100mL/100g、200mL/100g、250mL/100g、300mL/100g、350mL/100g、400mL/100gまたは450mL/100gなどであるが、これらに限定されない。材料の物質移動性能の観点から、好ましくは、カーボンブラック材料の吸油量は300mL/100g~450mL/100gである。
【0090】
いくつかの実施形態では、ラマン分光法により測定した結果、カーボンブラック材料は炭素特徴ピークIDおよび黒鉛特徴ピークIGを有し、ID/IG≦2.0、具体的には、2.0、1.8、1.6、1.5、1.4、1.2、1.0、0.8または0.6などであるが、これらに限定されない。
【0091】
いくつかの実施形態では、2.5kN/cm2加圧下におけるカーボンブラック材料の粉末導電率σ≧8S/cmであり、具体的には、8S/cm、9S/cm、10S/cm、11S/cm、12S/cm、13S/cm、14S/cmまたは15S/cmであるが、これらに限定されない。
【0092】
いくつかの実施形態では、炭化処理の温度は1800℃~3000℃であり、具体的には、1800℃、1900℃、2000℃、2200℃、2300℃、2350℃、2400℃、2500℃、2600℃、2700℃、2800℃または3000℃などであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。高い炭化温度は、炭素材料を高度に黒鉛化し、シート状に連結した炭素結晶粒子を形成し、炭素材料表面の粒界密度を低減させるのに寄与する。
【0093】
いくつかの実施形態では、炭化処理の時間は0.1h~12hであり、具体的には、0.1h、0.2h、0.5h、1h、2h、4h、6h、8h、10hまたは12hなどであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。十分に炭化処理して形成された炭素材料は、高結晶化度、高黒鉛化特徴を有する。
【0094】
いくつかの実施形態では、炭化処理の昇温速度は2℃/min~30℃/minであり、例えば、2℃/min、3℃/min、5℃/min、10℃/min、15℃/min、20℃/min、25℃/minまたは30℃/minなどであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。
【0095】
いくつかの実施形態では、炭化処理後の降温速度は1℃/min~20℃/minであり、具体的には、1℃/min、2℃/min、3℃/min、5℃/min、6℃/min、8℃/min、10℃/min、12℃/min、14℃/min、16℃/min、18℃/minまたは20℃/minなどであり、もちろん上記範囲内の他の値であってもよく、これらに限定されない。室温まで降温すればよい。
【0096】
いくつかの実施形態では、炭化処理は不活性ガス保護下で行われ、不活性ガスは、アルゴン、ネオン、ヘリウムおよびクリプトンのうちの少なくとも1つを含む。
【0097】
いくつかの実施形態では、整形処理は、ボールミル、サンドミル、ローラーミル、攪拌ミル、ターンミルおよびプラネタリーミルのうちの少なくとも1つを含む。好ましくは、整形処理方法は、ボールミルであり、ボールミル時間は0.5h~24hであり、具体的には、0.5h、1h、2h、3h、4h、5h、6h、8h、12h、16h、18h、20hまたは24hなどであり、列挙した値に限定されない。理解できるように、十分に整形処理することにより、炭素材料の粉末粒度を小さくすることができ、得られた炭素材料の粒度がより均一であり、表面が平坦で、微多孔層炭素材料が均一に分布しているガス拡散層を調製することができる。
【0098】
いくつかの実施形態では、整形処理生成物に対して表面変性処理を行う前に、この方法は、整形処理生成物をふるい分けるステップをさらに含む。
【0099】
いくつかの実施形態では、ふるい分け方法は、固定篩、ローラ篩、共振篩、回転軸篩、振動篩、チェーン篩のいずれか1つを含み、ふるい分けのメッシュサイズ≧400メッシュであり、具体的に、ふるい分けのメッシュサイズは、400メッシュ、350メッシュ、300メッシュ、250メッシュ、200メッシュ、150メッシュ、100メッシュ、70メッシュまたは50メッシュなどであり、材料の粒子径を上記範囲内に制御することにより、表面が平坦なガス拡散層の形成に寄与する。
【0100】
ステップS2、変性ガスを含む雰囲気で整形処理生成物に対して表面変性処理を行って炭素材料を得る。
【0101】
いくつかの実施形態では、変性ガスは、二酸化炭素、空気、水蒸気、酸素、窒素およびアンモニアのうちの少なくとも1つを含む。
【0102】
いくつかの実施形態では、雰囲気は、不活性ガスをさらに含み、不活性ガスは、アルゴン、ネオン、ヘリウムおよびクリプトンのうちの少なくとも1つを含む。
【0103】
いくつかの実施形態では、雰囲気中の変性ガスと不活性ガスの体積比は(0.5~10):10であり、具体的には、0.5:10、1:10、2:10、3:10、4:10、5:10、6:10、7:10、8:10、9:10または10:10などであるが、これらに限定されない。
【0104】
いくつかの実施形態では、表面変性処理の温度は400℃~1700℃であり、具体的には、400℃、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃、1000℃、1200℃、1400℃、1500℃、1600℃または1700℃などであるが、これらに限定されない。この温度範囲内であれば、炭化後の炭素材料の構造特性が破壊されるのを回避し、炭素材料の表面に他の非炭素元素を導入して表面変性を行い、炭素材料表面の構造秩序性を強化し、化学的電気化学的腐食に対する耐性を向上させることができる。好ましくは、表面変性処理の温度は500℃~1200℃である。
【0105】
いくつかの実施形態では、表面変性処理の時間は0.5h~3hであり、具体的には、0.5h、1h、1.5h、2h、2.5 hまたは3hなどであり、列挙した値に限定されない。
【0106】
いくつかの実施形態では、表面変性処理の昇温速度は2℃/min~30℃/minであり、具体的には、2℃/min、5℃/min、7℃/min、10℃/min、15℃/min、18℃/min、20℃/min、25℃/minまたは30℃/minなどであり、列挙した値に限定されない。
【0107】
本出願は、燃料電池を提供し、燃料電池は、ガス拡散層を有する複数のセルユニットを含み、ガス拡散層は、上記の炭素材料または上記の調製方法によって調製された炭素材料を含む。
【0108】
以下、複数の実施例に分けて本出願の実施例をより詳細に説明する。このうちに、本出願の実施例は以下の具体的な実施例に限定されない。特許請求の範囲から逸脱しない限り、適切に変更して実施することが可能である。
【0109】
[実施例1]
(1)樟脳を欠陥修復剤として選択し、樟脳をボールミル槽に入れて研磨処理を行い、ターンミルで3h研磨し、研磨後の樟脳を得、その平均粒子径は0.5μmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後の樟脳を混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料と樟脳の質量比は10:0.5であり、混合時間は1hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、1800℃まで昇温させ、1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
(4)炭化処理後の生成物を5Lのボールミル槽に移し、ターンミルで3h研磨し、凝集した大粒子炭素材料を小粒子炭素材料に破砕し、研磨後の炭素材料を100メッシュの篩でふるい分け、ふるい分けた材料を空気およびアルゴン混合雰囲気で500℃で2h熱処理し、空気とアルゴンの体積比は5:10であり、炭素材料を得る。
【0110】
本実施例で調製された炭素材料は、複数の炭素粒子からなり、炭素粒子は球状であり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは12.7である。
【0111】
[実施例2]
(1)樟脳を欠陥修復剤として選択し、樟脳をボールミル槽に入れて研磨処理を行い、ターンミルで3h研磨し、研磨後の樟脳を得、その平均粒子径は0.5μmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後の樟脳を混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料と樟脳の質量比は10:0.5であり、混合時間は1hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、2200℃に昇温させて1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
(4)炭化処理後の生成物を5Lのボールミル槽に移し、ターンミルで3h研磨し、凝集した大粒子炭素材料を小粒子炭素材料に破砕し、研磨後の炭素材料を100メッシュの篩でふるい分け、ふるい分けられた炭素材料を空気およびアルゴン混合雰囲気で500℃で2h熱処理し、空気とアルゴンの体積比は5:10であり、炭素材料を得る。
【0112】
本実施例で調製された炭素材料は複数の炭素粒子を含み、炭素粒子は球状であり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは8.7である。
【0113】
[実施例3]
(1)樟脳を欠陥修復剤として選択し、樟脳をボールミル槽に入れて研磨処理を行い、ターンミル研磨4h、研磨後の樟脳を得、その平均粒子径は1μmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後の樟脳を混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料と樟脳の質量比は10:0.5であり、混合時間は2hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、2800℃に昇温させて1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
(4)炭化処理後の生成物を5Lのボールミル槽に移し、ターンミルで3h研磨し、凝集した大粒子炭素材料を小粒子炭素材料に破砕し、研磨後の炭素材料を100メッシュの篩でふるい分け、ふるい分けられた炭素材料を空気およびアルゴン混合雰囲気で500℃で2h熱処理し、空気とアルゴンの体積比は5:10であり、炭素材料を得る。
【0114】
本実施例で調製された炭素材料は複数の炭素粒子を含み、炭素粒子は球状であり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは4.4である。
【0115】
[実施例4]
(1)キノリンを欠陥修復剤として選択し、キノリンをボールミル槽に入れて研磨処理し、ターンミルで6h研磨し、研磨後のキノリンを得、その平均粒子径は0.5μmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後のキノリンを混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料とキノリンの質量比は10:0.1であり、混合時間は2hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、3000℃に昇温させて1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
(4)炭化処理後の生成物を5Lのボールミル槽に移し、ターンミルで3h研磨し、凝集した大粒子炭素材料を小粒子炭素材料に破砕し、研磨後の炭素材料を100メッシュの篩でふるい分け、ふるい分けられた炭素材料を空気およびアルゴン混合雰囲気で、500℃で2h熱処理し、空気とアルゴンの体積比は5:10であり、炭素材料を得る。
【0116】
本実施例で調製された炭素材料は複数の炭素粒子を含み、炭素粒子は球状であり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは4.3である。
【0117】
[実施例5]
(1)スチレンを欠陥修復剤として選択し、スチレンをボールミル槽に入れて研磨処理し、ターンミルで2h研磨し、研磨後のスチレンを得、その平均粒子径は0.5μmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後のスチレンを混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料とスチレンの質量比は10:1であり、混合時間は3hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、2800℃に昇温させて1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
(4)炭化処理後の生成物をサンドミル機に移し、5hサンドミルし、凝集した大粒子炭素材料を小粒子炭素材料に破砕し、研磨後の炭素材料を100メッシュの篩でふるい分け、ふるい分けられた炭素材料を水蒸気とアルゴン混合雰囲気中で400℃で2h熱処理し、水蒸気とアルゴンの体積比は5:10であり、炭素材料を得る。
【0118】
本実施例で調製された炭素材料は複数の炭素粒子を含み、炭素粒子は球状であり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは4.8である。
【0119】
[実施例6]
(1)フェノールを欠陥修復剤として選択し、フェノールをボールミル槽に入れて研磨処理し、ターンミルで3h研磨し、研磨後のフェノールを得、その平均粒子径は0.8μmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後のフェノールを混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料とフェノールの質量比は10:2であり、混合時間は1.5hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、2800℃に昇温させて1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
(4)炭化処理後の生成物を5Lのボールミル槽に移し、ターンミルで3h研磨し、凝集した大粒子炭素材料を小粒子炭素材料に破砕し、研磨後の炭素材料を100メッシュの篩でふるい分け、ふるい分けられた材料をアンモニアとアルゴン混合雰囲気で800℃で2h熱処理し、アンモニアとアルゴンの体積比は5:10であり、炭素材料を得る。
【0120】
本実施例で調製された炭素材料は複数の炭素粒子を含み、炭素粒子は球状であり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは4.6である。
【0121】
[実施例7]
(1)樟脳を欠陥修復剤として選択し、樟脳をボールミル槽に入れて研磨処理を行い、ターンミルで4h研磨し、研磨後の樟脳を得、その平均粒子径は1μmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後の樟脳を混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料と樟脳の質量比は10:0.05であり、混合時間は2hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、2800℃に昇温させて1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
(4)炭化処理後の生成物を5Lのボールミル槽に移し、ターンミルで3h研磨し、凝集した大粒子炭素材料を小粒子炭素材料に破砕し、研磨後の炭素材料を100メッシュの篩でふるい分け、ふるい分けられた炭素材料を空気およびアルゴン混合雰囲気で500℃で2h熱処理し、空気とアルゴンの体積比は5:10であり、炭素材料を得る。
【0122】
本実施例で調製された炭素材料は二次粒子を含み、二次粒子は複数の炭素粒子を含み、炭素粒子は球状であり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは6.2である。
【0123】
[実施例8]
(1)樟脳を欠陥修復剤として選択し、樟脳をボールミル槽に入れて研磨処理を行い、4hボールミルし、研磨後の樟脳を得、その平均粒子径は50nmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後の樟脳を混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料と樟脳の質量比は10:0.5であり、混合時間は2hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、2800℃に昇温させて1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
(4)炭化処理後の生成物を5Lのボールミル槽に移し、ターンミルで3h研磨し、凝集した大粒子炭素材料を小粒子炭素材料に破砕し、研磨後の炭素材料を100メッシュの篩でふるい分け、ふるい分けられた炭素材料を空気およびアルゴン混合雰囲気で500℃で2h熱処理し、空気とアルゴンの体積比は5:10であり、炭素材料を得る。
【0124】
本実施例で調製された炭素材料は複数の炭素粒子を含み、炭素粒子は球状であり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子を含み、前記炭素粒子の表面の粒界密度pは5.7である。
【0125】
[実施例9]
実施例3とは以下の点を除いて同様であり、欠陥修復剤が添加されていない。
【0126】
[実施例10]
(1)樟脳を欠陥修復剤として選択し、樟脳をボールミル槽に入れて研磨処理を行い、ターンミルで4h研磨し、研磨後の樟脳を得、その平均粒子径は1μmであり、
(2)平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における粉末導電率σ=10.0S/cmであり、カーボンブラック材料と研磨後の樟脳を混合機に入れて混合し、カーボンブラック材料と樟脳の質量比は10:0.5であり、混合時間は2hであり、混合材料を得、
(3)混合材料を黒鉛るつぼに入れて黒鉛化炉内に配置し、アルゴン雰囲気下で、昇温速度を10℃/minに制御し、2800℃に昇温させて1h高温炭化処理し、室温まで冷却し、試料を取り出す。
【0127】
[比較例1]
平均粒子径35nm、吸油量350mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.53であり、2.5kN/cm2加圧下における炭素材料粉末導電率σ=10.0S/cmのカーボンブラック材料を炭素材料として使用する。
【0128】
[比較例2]
平均粒子径36nm、吸油量320mL/100gのカーボンブラック材料を選択し、カーボンブラック材料の炭素特徴ピークおよび黒鉛特徴ピークID/IG=1.46であり、2.5kN/cm2加圧下における炭素材料粉末導電率σ=12.9S/cmのカーボンブラック材料XC72を炭素材料として使用する。
【0129】
[比較例3]
長さ15μm、直径15nmの多層カーボンナノチューブを選択し、2.5kN/cm2加圧下における炭素材料粉末導電率σ=25.6S/cmの多層カーボンナノチューブを炭素材料として使用する。
【0130】
[比較例4]
2.5kN/cm2加圧下における炭素材料粉末導電率σ=27.8S/cmの単層のグラフェンを炭素材料として使用する。
【0131】
[測定]
1)炭素材料の粒度測定方法:
粒度測定方法はGB/T 19077-2016を参照する。英国マルバーン・インストゥルメンツのMastersizer 3000型レーザ粒度分析計などのレーザ粒度分析計を用いて簡便に測定できる。
【0132】
2)炭素材料の比表面積の測定方法:
恒温低温下で、相対圧力を変えて固体表面のガス吸着量を測定した後、基于ブラウノール・エメット・テイラー吸着理論およびその式(BET式)に基づいて試料単分子層吸着量を算出し、材料の比表面積を算出する。
【0133】
3)炭素結晶粒子の平均粒子径Laおよび粒界密度の測定方法:
20部の(10g/部)炭素粉末粒子をランダムに取得し、ラマン分光法により測定した結果(ラマンレーザ波長λ=514nm)、炭素粒子の炭素特徴ピークのピーク面積I
Dと黒鉛特徴ピークのピーク面積I
Gの比I
D/I
Gの値はR
nであり、n=1、2、3…20、20部の炭素粒子のI
D/I
Gの平均値はRであり、
炭素結晶粒子の平均粒子径La=4.4/Rであり、
粒界密度
【数6】
であり、
Dは前記炭素粒子の平均粒子径である。
【0134】
4)結晶表層間隔d002の測定方法:
XRD粉末回折により測定したC{002}結晶面回折角位置は、ブラッグ方程式(Bragg回折式)2d002Sinθ=λKによって求められ、炭素材料の{002}結晶表層間隔d002を得る。
【0135】
5)粒子形状および炭素結晶粒子形状の測定方法:
原子間力顕微鏡(AFM)および高倍率投射顕微鏡(HRTEM)により炭素粒子の外観を測定する。
【0136】
6)気孔率の測定方法:
気孔率の測定方法はGB/T 21650-2008を参照すればよく、水銀圧電計で簡便に測定できる。
【0137】
7)粉末接触角の測定方法:
粉末を粉末入り槽に放置して強く押し付け、接触角試験機で炭素粉末材料接触角を測定する。
【0138】
8)吸油量の測定方法:
一定の速度で亜麻仁穀粒油を未変性炭素材料と変性炭素材料粉末に滴下し、粉末攪拌に回転翼を使用し、亜麻仁穀粒油の量が増加すると、混合物の粘度の増加をもたらし、吸油量は、トルクによって生成された粘度変化が得られた炭素材料粉末体に添加されたトルクの70%の最大トルクに到達するときの亜麻仁穀粒油の量である。
【0139】
9)材料粉末導電率の測定方法:
抵抗率試験機(蘇州晶格電子ST-2255A)を用いて、5g粉末試料を取り、電子プレスで5000kg±2kgに定圧し、15~25s維持し、試料を試験機電極間に配置し、試料高さh(cm)とし、両端電圧U、電流I、抵抗R(KΩ)とし、粉末プレス後の面積S=3.14cm2であり、式δ=h/(S*R)/1000により、粉末導電率を算出し、単位はS/cmである。
【0140】
10)電池性能測定方法:
電池測定スタンドで炭素材料から調製されたガス拡散層を有する単電池性能を測定し、使用した膜電極の陽極触媒担持量は0.1mg・cm-2、陰極触媒担持量0.4mg・cm-2、電池動作温度80℃、湿度100RH%、電池背圧150kPa/150kPaとする。2A/cm2電流密度下における電池の電池電圧を記録する。
【0141】
11)電池内部抵抗法:
2A/cm2電流密度、5kHzの交流信号下で、電気化学インピーダンスメーターによる高周波インピーダンスで単電池内部抵抗を測定し、上記性能測定の結果は次のとおりであり。
【0142】
【0143】
実施例1~10の測定データから分かるように、上記方法で調製された炭素材料は、炭素材料粒子の表面の炭素結晶粒子間の粒界密度が小さくなると、炭素粒子の表面の腐食しやすい部位が少なく、炭素材料の耐用年数を効果的に向上させ、炭素粒子の表面粒界密度が小さいほど、疎水性が良好であり、反応により発生した水分が炭素材料の細孔に集まりにくく、この材料からなる微多孔層の気孔構造のガス伝導能力を維持し、高湿度・大電流密度の条件下での電池性能を向上させることができる。また、炭素材料は高い導電率と高い黒鉛化度を両立させることができる。類似の炭素材料の電気伝導性能が高いほど、炭素材料の電子伝達性能が強いほど、電池内部抵抗が小さく、電力損失が低く、炭素材料のσ/d002≧3*108S/cm2(0.338nm≦d002≦0.345nm)の場合、得られた電池は2A/cm2電流密度下での動作電圧が0.57Vよりも高く、他の炭素材料の電池電圧よりも30mV以上高く、対応の電池出力電力も大きくなり、炭素材料の黒鉛化度が高いほど、材料の耐食性能が高くなる。大電流密度下で、この材料からなるガス拡散層の電気化学変換効率が高く、長い耐用年数の特徴も有する。
【0144】
図4に示すように、実施例1、3および比較例1の炭素材料の熱重量損失図から分かるように、比較例1の炭素材料は600℃~700℃範囲内で急速に熱分解し、熱安定性が実施例1または3よりも著しく低い。
【0145】
図5に示すように、実施例1、3および比較例1の炭素材料被覆で調製された燃料電池のガス拡散層の電気化学的定電位分極曲線図から分かるように、燃料電池の逆極状態を模擬して炭素材料の電気化学腐食に対する耐性を測定する。2V(vs RHE)電圧下で、定電位分極測定により、実施例1、3および比較例1の炭素材料を微多孔層炭素としてそれぞれ被覆されて調製されたガス拡散層の電気化学安定性を測定する。
図5の測定結果から分かるように、高温処理した実施例1、3の電気化学安定性は比較例1よりも著しく高い。
【0146】
図6は本出願の実施例1、3および比較例1の炭素材料被覆で調製された拡散層の電気化学的定電位分極曲線図をリニアフィッティングして得られた対応の炭素材料の腐食電流成長速度線形図である。そのうちに、実施例1の腐食電流成長速度は1.52μA/(cm
2*h)であり、実施例3の腐食電流成長速度は0.68μA/(cm
2*h)であり、比較例1の腐食電流成長速度は2.55μA/(cm
2*h)であり、炭素材料の腐食電流成長速度は材料の粒界密度に比例し、材料の粒界密度が大きいほど、腐食しやすい部位が多く、炭素材料の腐食劣化程度が急激になる。好ましくは、高耐久性を有する微多孔層炭素材料は、低い粒界密度を有するべきであり、粒界密度pは1≦p≦6.5である。
【0147】
実施例3と比較すると、実施例7では、添加する欠陥修復剤の含有量が少なすぎ、炭素粒子の表面の欠陥修復が不十分であり、炭素粒子の粒界密度は実施例3よりも顕著に増加し、適切な欠陥修復剤は炭素粒子の表面欠陥を十分に修復し、粒界密度のより小さい炭素粒子を調製することができることがわかる。
【0148】
実施例3と比較すると、実施例8では、添加する欠陥修復剤の粒子径が小さすぎ、炭素粒子の表面の欠陥を効果的に修復できず、炭素粒子の粒界密度は実施例3よりも顕著に増加し、適切な欠陥修復剤の粒子径は炭素粒子の表面欠陥を効果的に修復し、粒界密度のより小さい炭素粒子を調製することができることがわかる。
【0149】
実施例3と比較すると、実施例9では、欠陥修復剤が添加されておらず、カーボンブラック材料の表面に十分に堆積して積層炭素層が形成できず、炭素粒子の表面の粒界密度は実施例3よりも顕著に増加し、電池が長期間動作すると、炭素腐食が発生しやすく、電池内部抵抗が増加し、電池の耐用年数が低下する。このことから分かるように、実施例3で用いた欠陥修復剤は、カーボンブラック材料の表面に十分に堆積して積層炭素層を形成でき、炭素粒子の表面欠陥を効果的に修復でき、粒界密度のより小さい炭素粒子を調製することができる。
【0150】
実施例3と比較すると、実施例10では、炭素材料を変性ガスで処理せず、中低温度下の酸化性ガスで炭素材料を処理することにより、修復剤およびカーボンブラック材料の高揮発性部分が高温で気化して炭素表面に堆積された非晶質炭素を排除することができる。炭素結晶粒子の粒界密度は実施例3よりも顕著に増加し、導電率が顕著に低下し、気孔率および比表面積がやや低下し、電池が長期間動作すると、炭素腐食が発生しやすく、電池の内部抵抗が増加し、電池の耐用年数が低下する。このことから分かるように、実施例3で用いた酸化性ガスは、炭素粒子の表面の非晶質構造を効果的に除去し、粒界密度のより小さく、導電性能のより高い炭素粒子を調製することができる。
【0151】
比較例1~2は既存の一般的に使用されている微多孔層炭素材料であり、燃料電池において良好な性能を示す。しかし、カーボンブラック材料の粒界密度p値が大きく、腐食部位が多く、電池が長期間動作すると、逆極および酸性高酸素などの炭素腐食が発生しやすい動作環境下で、カーボンブラック材料は急速に劣化し、全体の耐用年数が短くなる。
【0152】
比較例3は長さ15μm、直径15nmの多層カーボンナノチューブを炭素材料として使用し、多層カーボンナノチューブは、カーボンブラックよりも高い導電性および耐食能力を有し、このナノ炭素材料で被覆されて調製されたガス拡散層は、被覆の不均一につながる管状クラスターの積層構造を形成しやすく、このガス拡散層を用いて組み立てられた電池性能は小電流密度下で高い電子伝達性能を有するが、電流密度の増加に伴い、電池の内部抵抗が大きくなり、電池の物質移動性能が低下する。
【0153】
比較例4は、単層秩序性グラフェンを選択し、単層のグラフェンは結晶性の良い2次元平面構造を持ち、耐食性が高く、電子伝達性能も高い。しかし、そのラメラ構造のため、積層されたラメラが基板の細孔構造を塞いでしまい、反応における水とガスの輸送が著しく制限される。単一グラフェンを微多孔層炭素材料として調製されたガス拡散層は、その性能が出力密度の増加に伴って急速に減衰し、電池の内部抵抗が増加し、電池の物質移動性能が低下する。
【0154】
本出願は、上記のように好ましい実施例が開示されているが、特許請求の範囲を限定することを意図するものではなく、当業者であれば、本出願の思想から逸脱しない限り、様々な変更および修正を加えることができるため、本出願の保護範囲は本出願の特許請求の範囲に従うものとする。
【0155】
(付記)
(付記1)
炭素材料であって、前記炭素材料は炭素粒子からなり、前記炭素粒子の表面は連結した複数の炭素結晶粒子からなり、隣接する2つの炭素結晶粒子間に粒界があり、
前記炭素粒子の表面の粒界密度はp、1≦p≦15であり、
前記粒界密度は以下の測定方法によって求められ、
20部の炭素粉末粒子をランダムに取得し、ラマン分光法により測定した結果、炭素粉末粒子の炭素特徴ピークのピーク面積I
Dと黒鉛特徴ピークのピーク面積I
Gの比I
D/I
Gの値はR
nであり、n=1、2、3…20、20部の炭素粉末粒子のI
D/I
Gの平均値はRであり、
粒界密度
【数7】
であり、
Dは前記炭素粒子の平均粒子径である、ことを特徴とする炭素材料。
【0156】
(付記2)
前記炭素材料は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記炭素粒子は球状であるか、または球状に近似し、
(2)前記炭素粒子の平均粒子径Dは、20nm≦D≦200nmであり、
(3)前記炭素結晶粒子は炭素層の積層によって形成され、
(4)前記炭素結晶粒子の平均粒子径Laは、3nm≦La≦30nmであり、
(5)前記炭素粒子の表面の粒界密度pは、1≦p≦6.5である、ことを特徴とする付記1に記載の炭素材料。
【0157】
(付記3)
粉末X線回折試験の結果、前記炭素材料の黒鉛相{002}の結晶表層間隔はd002nmであり、2.5kN/cm2加圧下における前記炭素材料の粉末導電率はσS/cmであり、σ/d002≧2*108S/cm2である、ことを特徴とする付記1に記載の炭素材料。
【0158】
(付記4)
前記炭素材料は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記炭素材料の黒鉛相{002}の結晶表層間隔はd002nmであり、かつ0.338≦d002≦0.345であり、
(2)2.5kN/cm2加圧下における前記炭素材料の粉末導電率はσS/cmであり、かつσ≧7である、ことを特徴とする付記3に記載の炭素材料。
【0159】
(付記5)
前記炭素材料は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記炭素材料の気孔率≧60%であり、
(2)前記炭素材料の粉末接触角は120°~155°であり、
(3)前記炭素材料の比表面積は30m2/g~250m2/gであり、
(4)前記炭素材料の吸油量は100mL/100g~450mL/100gであり、
(5)前記炭素材料の平均粒子径は0.1μm~10μmである、ことを特徴とする付記1~4のいずれか1つに記載の炭素材料。
【0160】
(付記6)
炭素材料の調製方法であって、
カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理した後、整形処理を行うステップと、
変性ガスを含む雰囲気中で整形処理生成物に対して表面変性処理を行って、前記炭素材料を得るステップと、を含む、ことを特徴とする炭素材料の調製方法。
【0161】
(付記7)
前記方法は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記欠陥修復剤の沸点は50℃~400℃であり、
(2)前記欠陥修復剤は揮発性有機化合物および/または半揮発性有機化合物を含み、
(3)前記欠陥修復剤は、揮発性有機化合物を含み、前記揮発性有機化合物は、樟脳、フェノール、o-フタルアルデヒド、イソフタルアルデヒド、テレフタルアルデヒド、p-ベンゾキノン、安息香酸、パルミトール、アミノキノリンおよびナフタリンのうちの少なくとも1つを含み、
(4)前記欠陥修復剤は半揮発性有機化合物を含み、前記半揮発性有機化合物は、ベンゼンジオール、フタル酸、イソフタルアルデヒドおよびアントラセンのうちの少なくとも1つを含み、
(5)カーボンブラック材料と欠陥修復剤を含む混合材料を1800℃~3000℃で炭化処理を行う前に、前記方法は、欠陥修復剤を整形処理し、整形後の修復剤とカーボンブラック材料を混合処理して混合材料を得るステップをさらに含み、
(6)前記欠陥修復剤の平均粒子径は0.1μm~1μmであり、
(7)前記カーボンブラック材料と前記欠陥修復剤の質量比は10:(0.1~2)であり、
(8)前記カーボンブラック材料の平均粒子径は20nm~200nmであり、
(9)前記カーボンブラック材料の吸油量は100mL/100g~450mL/100gであり、
(10)ラマン分光法により測定した結果、前記カーボンブラック材料は炭素特徴ピークIDおよび黒鉛特徴ピークIGを有し、ID/IG≦2.0であり、
(11)2.5kN/cm2圧力における前記カーボンブラック材料の粉末導電率σ≧8S/cmである、ことを特徴とする付記6に記載の調製方法。
【0162】
(付記8)
前記方法は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記炭化処理の時間は0.1h~3hであり、
(2)前記炭化処理の昇温速度は2℃/min~30℃/minであり、
(3)前記炭化処理は不活性ガス保護下で行われ、前記不活性ガスは、アルゴン、ネオン、ヘリウムおよびクリプトンのうちの少なくとも1つを含み、
(4)前記整形処理は、ボールミル、サンドミル、ローラーミル、攪拌ミル、ターンミルおよびプラネタリーミルのうちの少なくとも1つを含み、
(5)前記整形処理生成物に対して表面変性処理を行う前に、前記方法は、整形処理生成物をふるい分けるステップをさらに含む、ことを特徴とする付記6に記載の調製方法。
【0163】
(付記9)
前記方法は以下の特徴の少なくとも1つを有し、
(1)前記変性ガスは、二酸化炭素、空気、水蒸気、酸素、窒素およびアンモニアのうちの少なくとも1つを含み、
(2)前記雰囲気は、不活性ガスをさらに含み、前記不活性ガスは、アルゴン、ネオン、ヘリウムおよびクリプトンのうちの少なくとも1つを含み、
(3)前記雰囲気中の変性ガスと前記不活性ガスの体積比は(0.5~10):10であり、
(4)前記表面変性処理の温度は400℃~1700℃であり、前記表面変性処理の温度は好ましくは500℃~1200℃であり、
(5)前記表面変性処理の昇温速度は2℃/min~30℃/minである、ことを特徴とする付記6~8のいずれか1つに記載の調製方法。
【0164】
(付記10)
ガス拡散層を有する複数のセルユニットを含み、前記ガス拡散層は、付記1~5のいずれか1つに記載の炭素材料または付記6~9のいずれか1つに記載の調製方法によって調製された炭素材料を含む、燃料電池。
【手続補正書】
【提出日】2023-09-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
ガス拡散層を有する複数のセルユニットを含み、前記ガス拡散層は、請求項1~
4のいずれか1項に記載の炭素材料または請求項6~
8のいずれか1項に記載の調製方法によって調製された炭素材料を含む、燃料電池。
【国際調査報告】