(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】負極材料及びその製造方法、並びに二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 4/38 20060101AFI20241024BHJP
H01M 4/48 20100101ALI20241024BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M4/38 Z
H01M4/48
H01M4/36 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023570326
(86)(22)【出願日】2023-06-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-13
(86)【国際出願番号】 CN2023099090
(87)【国際公開番号】W WO2024066462
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】202211199579.X
(32)【優先日】2022-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520417045
【氏名又は名称】貝特瑞新材料集団股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BTR NEW MATERIAL GROUP CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Building 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7A, 7B, and 8, High-Tech Industrial Park, Xitian Community, Gongming Office, Guangming New District Shenzhen, Guangdong 518106 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】肖 称茂
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】郭 ▲鍔▼明
(72)【発明者】
【氏名】任 建国
(72)【発明者】
【氏名】▲賀▼ 雪琴
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA07
5H050AA08
5H050BA15
5H050BA16
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB02
5H050CB11
5H050CB12
5H050DA03
5H050FA18
5H050GA02
5H050GA05
5H050GA06
5H050GA10
5H050GA27
5H050HA02
5H050HA04
5H050HA05
5H050HA07
5H050HA08
5H050HA09
5H050HA14
5H050HA20
(57)【要約】
【課題】本出願は負極材料およびその製造方法、並びに二次電池に関する。
【解決手段】前記負極材料は二次粒子を含み、前記二次粒子は凝集した一次粒子を含み、前記一次粒子と二次粒子とが10≦D2
50/D1
max≦40(I)D2
min/D2
50≧0.08(II)D2
50/D2
max≧0.24(III)の関係を満たし、式(I)、(II)及び(III)において、D1
maxは一次粒子の最大粒径であり、D2
50は二次粒子のメジアン径であり、D2
minは二次粒子の最小粒径であり、D2
maxは二次粒子の最大粒径である。本出願は、一次粒子と二次粒子の粒径の大小関係及び二次粒子の粒径分布を限定することにより、一次粒子と二次粒子が良好な整合性を有し、負極材料のサイクル安定性を向上させるとともに、負極材料の体積膨張効果を低減させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極材料であって、前記負極材料は二次粒子を含み、前記二次粒子は凝集した一次粒子を含み、前記一次粒子と前記二次粒子とは以下の関係を満たすことを特徴とする負極材料。
10≦D2
50/D1
max≦40 (I)
D2
min/D2
50≧0.08 (II)
D2
50/D2
max≧0.24 (III)
(式(I)、(II)及び(III)において、D1
maxは一次粒子の最大粒径であり、D2
50は二次粒子のメジアン径であり、D2
minは二次粒子の最小粒径であり、D2
maxは二次粒子の最大粒径である。)
【請求項2】
以下の特徴(1)~(7)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
(1)前記一次粒子は、Li、Na、SiOx(0<x<2)、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうちの少なくとも1つを含むこと、
(2)前記一次粒子の嵩密度が0.7g/cm
3以下であること、
(3)前記一次粒子のメジアン径D1
50が0.2μm以下であること、
(4)前記二次粒子のメジアン径D2
50の範囲は、0.5μm~20μmであること、
(5)前記一次粒子の最大粒径D1
maxの範囲は、0.1μm~0.4μmであること、
(6)前記二次粒子の最小粒径D2
minの範囲は、0.5μm~4μmであること、
(7)前記二次粒子の最大粒径D2
maxの範囲は、6μm~20μmであること。
【請求項3】
前記負極材料は、以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
(1)前記負極材料の比表面積は、10m
2/g以下であること、
(2)前記負極材料の空孔率は10%以下であること、
(3)前記負極材料の真球度は、0.7以上であること。
【請求項4】
前記一次粒子および/または前記二次粒子の表面の少なくとも一部に存在する被覆層をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
【請求項5】
前記被覆層は、以下の(1)~(2)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項4に記載の負極材料。
(1)前記被覆層は、炭素材料、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含むこと、
(2)前記被覆層は、炭素材料を含み、前記炭素材料は、ソフトカーボン、ハードカーボン、結晶性炭素及び非晶質炭素のうちの少なくとも1つを含むこと、
(3)前記被覆層は、金属酸化物を含み、前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含むこと、
(4)前記被覆層は、窒化物を含み、前記窒化物は、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含むこと、
(5)前記被覆層の厚さは、1nm~500nmであること。
【請求項6】
一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒して前駆体を得るステップと、
前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させて、熱処理生成物を得るステップと、
前記熱処理生成物を粉砕、分級処理して、前記一次粒子と以下の関係を満たす二次粒子を得、これにより負極材料を得るステップとを含む負極材料の製造方法。
10≦D2
50/D1
max≦40 (I)
D2
min/D2
50≧0.08 (II)
D2
50/D2
max≧0.24 (III)
(式(I)、(II)及び(III)において、D1
maxは一次粒子の最大粒径であり、D2
50は二次粒子のメジアン径であり、D2
minは二次粒子の最小粒径であり、D2
maxは二次粒子の最大粒径である。)
【請求項7】
以下の特徴(1)~(15)のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記一次粒子のメジアン径が0.2μm以下であること、
(2)前記一次粒子は、Li、SiOx(0<x<2)、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうちの少なくとも1つを含むこと、
(3)前記接着剤は、デンプン、セルロース、タンニン、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、セルロースエステル、エン系重合体、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂及びポリイミドのうちの少なくとも1つを含むこと、
(4)前記一次粒子と前記接着剤との質量比は、100:(5~55)であること、
(5)前記一次粒子と接着剤との混合材料は、溶媒をさらに含むこと、
(6)前記一次粒子と接着剤との混合材料は、溶媒をさらに含み、前記溶媒は、フェノール、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒及びアルカン系溶媒のうちの少なくとも1つを含むこと、
(7)前記一次粒子と接着剤との混合材料は、溶媒をさらに含み、前記溶媒と前記一次粒子との質量比は100:(5~40)であること、
(8)一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒するステップの前に、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を分散処理することをさらに含むこと、
(9)一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒するステップの前に、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を分散処理することをさらに含み、前記分散処理は磁気撹拌、機械的撹拌、研磨分散及び超音波分散のうちの少なくとも1つを含むこと、
(10)前記熱処理の温度は500℃~1000℃であること、
(11)前記熱処理の保温時間は30min~900minであること、
(12)前記熱処理は、保護雰囲気で行い、前記保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、及びヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含むこと、
(13)前記粉砕して得られた材料のメジアン径は0.5μm~15μmであること、
(14)前記粉砕して得られた材料の最大粒径は5μm~45μmであること、
(15)前記分級処理の後に、分級処理により得られた材料から粒径が0.5μm以下の粒子を除去することをさらに含むこと。
【請求項8】
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体を予備粉砕、予備分級することをさらに含むこと、
(2)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体に対して予備粉砕、予備分級することをさらに含み、前記予備粉砕は、機械的粉砕、気流粉砕、超微粉粉砕、湿式粉砕、押出し粉砕及び割裂粉砕のうちの少なくとも1つを含むこと、
(3)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体に対して予備粉砕、予備分級することをさらに含み、前記予備粉砕で得られた材料のメジアン径が0.5μm~20μmであること、
(4)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体に対して予備粉砕、予備分級することをさらに含み、前記予備粉砕で得られた材料の最大粒径が5μm~45μmであること、
(5)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体に対して予備粉砕、予備分級することをさらに含み、前記予備分級で得られた材料の粒径が0.5μmを超えること。
【請求項9】
以下の特徴(1)~(4)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含むこと、
(2)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記被覆材料は、炭素源、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含むこと、
(3)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と前記被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記被覆材料は炭素源を含み、前記炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1つを含むこと、
(4)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記被覆材料は金属酸化物を含み、前記金属酸化物は酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含むこと、
(5)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記被覆材料は窒化物を含み、前記窒化物は窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含むこと、
(6)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記融合処理の装置は、機械融合機、融合撹拌機及び対流融合機のうちの少なくとも1つを含むこと、
(7)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記融合処理の時間は30min~150minであること。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の負極材料又は請求項6~9のいずれか一項に記載の方法で製造された負極材料を含む、ことを特徴とする二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年9月29日付で中国国家知識産権局に提出した、出願番号が202211199579X、出願の名称が「負極材料及びその製造方法、並びに二次電池」である中国特許出願に基づく優先権を主張し、その全ての内容を本明細書に援用する。
【0002】
本出願は、負極材料の技術分野に関し、特に負極材料及びその製造方法、並びに二次電池に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、市場の発展に伴い、高エネルギー密度の負極材料、特に電気自動車の分野に対する需要が高まっている。現在、商業化された負極材料はグラファイトであり、その容量は既に理論上限に近く、さらに向上する幅は限られており、新世代の高エネルギー密度の負極材料の発展が切望されている。
【0004】
ケイ素負極は、次世代の負極材料であり、容量が高く、由来が豊富であり、比較的安全であるなどの優位性を備えている。しかし、ケイ素負極材料は、サイクル過程において急激な体積膨張効果が存在するため、材料の粉化・破砕を招き、電池のサイクル減衰が速い。この問題に対して、現在、シリコンに対して構造設計を行い、ナノ化、多孔質化、複合被覆などの方式を採用して改善することを含む多種解決手段があるが、従来の体積膨張を抑制する構造及びプロセスは、いずれも複雑であり、また、容量の増大に伴って体積膨張を抑制する効果は限られている。
【0005】
そのため、負極材料の体積膨張効果をさらに低減する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願の目的は、容量、サイクル安定性を向上させるとともに体積膨張を抑制することができる負極材料及びその製造方法、二次電池を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現するために、第1態様において、本出願は、負極材料を提供し、前記負極材料は二次粒子を含み、前記二次粒子は凝集した一次粒子を含み、前記一次粒子と前記二次粒子と以下の関係を満たす
10≦D250/D1max≦40 (I)
D2min/D250≧0.08 (II)
D250/D2max≧0.24 (III)
(式(I)、(II)及び(III)において、D1maxは一次粒子の最大粒径であり、D250は二次粒子のメジアン径であり、D2minは二次粒子の最小粒径であり、D2maxは二次粒子の最大粒径である。)
【0008】
一つの可能な実施形態において、前記一次粒子は、Li、SiOx、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうちの少なくとも1つを含み、そのうち、0<x<2である。
【0009】
一つの可能な実施形態において、前記一次粒子の嵩密度は、0.7g/cm3以下である。
【0010】
一つの可能な実施形態において、前記一次粒子のメジアン径D150は、0.2μm以下である。
【0011】
一つの可能な実施形態において、前記二次粒子のメジアン径D250の範囲は、0.5μm~20μmである。
【0012】
一つの可能な実施形態において、前記一次粒子の最大粒径D1maxの範囲は、0.1μm~0.4μmである。
【0013】
一つの可能な実施形態において、前記二次粒子の最小粒径D2minの範囲は、0.5μm~4μmである。
【0014】
一つの可能な実施形態において、前記二次粒子の最大粒径D2maxの範囲は、6μm~20μmである。
【0015】
一つの可能な実施形態において、負極材料の比表面積は、10m2/g以下である。
【0016】
一つの可能な実施形態において、前記負極材料は、空孔率が10%以下である。
【0017】
一つの可能な実施形態において、前記負極材料は、真球度が0.7以上である。
【0018】
一つの可能な実施形態において、前記負極材料は、前記一次粒子および/または前記二次粒子の表面の少なくとも一部に存在する被覆層をさらに含む。
【0019】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層は、炭素材料、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含む。
【0020】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層は、炭素材料を含み、前記炭素材料は、ソフトカーボン、ハードカーボン、結晶性炭素及び非晶質炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0021】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層は、金属酸化物を含み、前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0022】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層は、窒化物を含み、前記窒化物は、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層は、厚さが1nm~500nmである。
【0024】
第2態様において、本出願の実施例は、負極材料の製造方法を提供し、
一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒して前駆体を得るステップと、
前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させて、熱処理生成物を得るステップと、
前記熱処理生成物を粉砕、分級処理して、前記一次粒子と以下の関係を満たす二次粒子を得、これにより負極材料を得るステップとを含む。
10≦D250/D1max≦40 (I)
D2min/D250≧0.08 (II)
D250/D2max≧0.24 (III)
(式(I)、(II)及び(III)において、D1maxは一次粒子の最大粒径であり、D250は二次粒子のメジアン径であり、D2minは二次粒子の最小粒径であり、D2maxは二次粒子の最大粒径である。)
【0025】
一つの可能な実施形態において、前記一次粒子のメジアン径は、0.2μm以下である。
【0026】
一つの可能な実施形態において、前記一次粒子は、Li、SiOx、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうちの少なくとも1つを含み、そのうち、0<x<2である。
【0027】
一つの可能な実施形態において、前記接着剤は、デンプン、セルロース、タンニン、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、セルロースエステル、エン系重合体、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂及びポリイミドのうちの少なくとも1つを含む。
【0028】
一つの可能な実施形態において、前記一次粒子と前記接着剤との質量比は、100:(5~55)である。
【0029】
一つの可能な実施形態において、前記一次粒子と接着剤との混合材料は、溶媒をさらに含む。
【0030】
一つの可能な実施形態において、前記溶媒は、フェノール、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒及びアルカン系溶媒のうちの少なくとも1つを含む。
【0031】
一つの可能な実施形態において、前記溶剤と前記一次粒子との質量比は、100:(5~40)である。
【0032】
一つの可能な実施形態において、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒するステップの前に、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を分散処理することをさらに含む。
【0033】
一つの可能な実施形態において、前記分散処理は、磁気撹拌、機械攪拌、研磨分散及び超音波分散からなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
【0034】
一つの可能な実施形態において、前記熱処理の温度は、500℃~1000℃である。
【0035】
一つの可能な実施形態において、前記熱処理の保温時間は、30min~900minである。
【0036】
一つの可能な実施形態において、前記熱処理は、保護雰囲気で行い、前記保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、及びヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含む。
【0037】
一つの可能な実施形態において、前記粉砕して得られた材料のメジアン径は、0.5μm~15μmである。
【0038】
一つの可能な実施形態において、前記粉砕して得られた材料の最大粒径は、5μm~45μmである。
【0039】
一つの可能な実施形態において、前記分級処理後は、分級処理により得られた材料から粒径が0.5μm以下の粒子を除去することをさらに含む。
【0040】
一つの可能な実施形態において、前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体を予備粉砕、予備分級することをさらに含む。
【0041】
一つの可能な実施形態において、前記予備粉砕は、機械的粉砕、気流粉砕、超微粉粉砕、湿式粉砕、押出し粉砕及び割裂粉砕のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0042】
一つの可能な実施形態において、前記予備粉砕で得られた材料のメジアン径は、0.5μm~20μmである。
【0043】
一つの可能な実施形態において、前記予備粉砕で得られた材料の最大粒径は、5μm~45μmである。
【0044】
一つの可能な実施形態において、前記予備分級で得られた材料の粒径は、0.5μmを超える。
【0045】
一つの可能な実施形態において、前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理を行うことをさらに含む。
【0046】
一つの可能な実施形態において、前記被覆材料は、炭素源、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含む。
【0047】
一つの可能な実施形態において、前記被覆材料は、炭素源を含み、前記炭素源は、ソフトカーボン、ハードカーボン、結晶性炭素及び非晶質炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0048】
一つの可能な実施形態において、前記被覆材料は、金属酸化物を含み、前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0049】
一つの可能な実施形態において、前記被覆材料は、窒化物を含み、前記窒化物は、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0050】
一つの可能な実施形態において、前記融合処理の装置は、機械融合機、融合撹拌機及び対流融合機のうちの少なくとも1つを含む。
【0051】
一つの可能な実施形態において、前記融合処理の時間は、30min~150minである。
【0052】
第3態様において、本出願は、二次電池を提供し、前記二次電池は、第1態様に記載の負極材料又は第2態様に記載の方法で製造された負極材料を含む。
【発明の効果】
【0053】
本出願は、従来の技術に比べて、以下の有益な効果を奏しうる。
【0054】
本出願で提供される負極材料は、一次粒子と二次粒子との間の粒径関係を限定することにより、二次粒子における一次粒子同士の積層方式を比較的緊密にし、一次粒子の粒径が大きすぎることによる一次粒子同士の付着作用が小さく、凝集して形成された二次粒子が充放電過程において破裂粉化現象を減少させることができ、同時に、一次粒子の粒径が小さすぎることによる一次粒子が過度に凝集してサイズが大きすぎる二次粒子を形成することを回避することができ、一次粒子と二次粒子との間の粒径関係を制御することにより、負極材料の構造安定性を向上させ、且つ小サイズ及び大サイズの二次粒子の存在を効果的に減少させ、二次粒子の粒度分布を比較的集中させ、負極材料のサイクル安定性及び容量を向上させることができるとともに、負極材料の体積膨張効果を低減させる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
本出願の実施例又は従来の技術の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下に実施例又は従来の技術の説明に必要な図面を簡単に紹介し、明らかに、以下に説明する図面は本出願のいくつかの実施例にすぎず、当業者にとって、創造的な労力を要することなく、これらの図面に基づいて他の図面を取得することができる。
【
図1】本出願に係る負極材料の製造フローチャートである。
【
図2】本出願実施例1で製造された負極材料の走査型電子顕微鏡(SEM)チャートである。
【
図3】本出願実施例1で製造された負極材料のXRDチャートである。
【
図4】本出願実施例1で製造された負極材料の初回充放電曲線図である。
【
図5】本出願実施例1で製造された負極材料のサイクル特性曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
本出願の技術案をよりよく理解するために、以下は、添付の図面を参照して本出願の実施例を詳細に説明する。
【0057】
説明される実施例は、本出願の一部の実施例にすぎず、全ての実施例ではないことを明確にすべきである。本出願の実施例に基づいて、創造的な作業なしに当業者によって得られる他のすべての実施例は、本出願の保護範囲に含まれる。
【0058】
また、用語「第1」、「第2」は、単に目的を説明するために用いられ、相対的な重要性を指示するか又は暗示する或いは指示された技術的特徴の数を暗黙的に指摘すると理解してはいけない。これにより、「第1」、「第2」によって限定される特徴は、1つ以上の該特徴を明示的又は暗黙的に含むことができる。
【0059】
本出願を理解しやすくするために、本出願において特定用語は適切に定義される。本出願において、別途定義されない限り、本出願に使用される科学的用語及び技術用語は、本出願の当業者が一般的に理解する意味を有する。
【0060】
本明細書において用いられる用語「一次粒子」とは、凝集していない単粒子または二次粒子を形成する粒子単位をいう。
【0061】
本出願は負極材料を提供し、二次粒子を含み、二次粒子は凝集した一次粒子を含み、一次粒子と二次粒子とが以下の関係を満たし:
10≦D250/D1max≦40 (I)
D2min/D250≧0.08 (II)
D250/D2max≧0.24 (III)
式(I)、(II)及び(III)において、D1maxは一次粒子の最大粒径であり、D250は二次粒子のメジアン径であり、D2minは二次粒子の最小粒径であり、D2maxは二次粒子の最大粒径である負極材料である。
【0062】
一般的に、一次粒子は自発的に凝集して二次粒子を形成しやすいために、二次粒子の粒度分布の範囲が広く、構造が緩くなる。本出願で提供される負極材料は、一次粒子と二次粒子との間の粒径関係を限定することにより、二次粒子における一次粒子同士の積層方式を比較的緊密にさせ、一次粒子の粒径が大きすぎることによる一次粒子同士の付着作用が小さく、凝集して形成された二次粒子が充放電過程において破裂粉化現象を減少させることができ、同時に、一次粒子の粒径が小さすぎることによる一次粒子が過度に凝集してサイズが大きすぎる二次粒子を形成することを回避することができ、一次粒子と二次粒子との間の粒径関係を制御することにより、負極材料の構造安定性を向上させ、且つ小サイズ及び大サイズの二次粒子の存在を効果的に減少させ、二次粒子の粒度分布を比較的集中させ、負極材料のサイクル安定性及び容量を向上させることができるとともに、負極材料の体積膨張効果を低減させる。
【0063】
本出願では、10≦D250/D1max≦40であり、具体的には、D250/D1maxは、10、15、20、25、30、35及び40などであってもよく、当然のことながら上記の範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。上記範囲内において、一次粒子と二次粒子の粒径が適切であり、一次粒子と二次粒子の整合度が高く、二次粒子における一次粒子が密に積み重ねられることにより、負極材料における粒子が粉化しにくくなり、充放電過程において膨張による応力を良好に解放することができ、材料のサイクル性能を向上させ、膨張を抑制することができる。一次粒子の最大値D1maxが大きすぎると、粒子間の粘着作用が小さく、粉化が生じやすくなり、サイクル性能が低下し、一次粒子の最大値D1maxが小さすぎると、粒子間の作用力が強くなり、粒子間の粘着作用が強くなり、サイズが大きすぎる二次粒子が形成されやすくなり、大きすぎるサイズの二次粒子は充放電過程において膨張による応力を解放しにくくなり、二次粒子が集電体から脱落したり、集電体が破壊されたりして、材料の性能が低下する。
【0064】
D2min/D250≧0.08であり、具体的には、D2min/D250は、0.08、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6及び0.7などであってもよく、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。上記の限定される範囲において、二次粒子における微粉の数が少なく、材料における活性成分の含有量の分布が比較的均一であり、二次粒子の粒度分布が集中し、二次粒子間の膨張差を小さくすることができ、材料の構造安定性を向上させる。
【0065】
D250/D2max≧0.24であり、具体的には、D250/D2maxは、0.24、0.28、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7及び0.8などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。上記の限定された範囲において、二次粒子の粒度分布が集中し、大粒径の二次粒子が少ないため、材料の体積膨張を効果的に低減し、材料のサイクル性能を向上させることができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、一次粒子は、Li、SiOx(0<x<2)、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうちの少なくとも1つを含む。
【0067】
いくつかの実施形態では、一次粒子は、SiOx(0<x<2)を含み、具体的には、SiO0.1、SiO0.3、SiO0.5、SiO0.7、SiO0.8、SiO1、SiO1.2、SiO1.5、SiO1.8又はSiO1.9などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の粒子であってもよく、ここでは限定しない。
【0068】
いくつかの実施形態では、一次粒子の球形度>0.7であり、好ましくは、一次粒子の球形度>0.9である。
【0069】
いくつかの実施形態では、一次粒子の嵩密度は、0.7g/cm3以下であり、一次粒子の嵩密度は、具体的には、0.7g/cm3、0.6g/cm3、0.5g/cm3、0.4g/cm3、0.3g/cm3、0.2g/cm3、0.1g/cm3等であってもよいし、上記範囲内の他の値であってもよいが、これらに限定されない。一次粒子の嵩密度は、0.4g/cm3以下であることが好ましく、0.2g/cm3以下であることがさらに好ましい。
【0070】
いくつかの実施形態では、一次粒子のメジアン径は、0.2μm以下であり、具体的には、1nm、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、60nm、80nm、100nm、130nm、150nm及び200nmなどであってもよく、上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。一次粒子のメジアン径は5nm~200nmであることが好ましく、10nm~200nmであることがさらに好ましい。
【0071】
いくつかの実施形態では、一次粒子の最大粒径D1maxの範囲は、0.1μm~0.4μmであり、具体的には、D1maxは、具体的に、0.1μm、0.20μm、0.3μm及び0.4μmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。一次粒子の最大粒径D1maxを上記範囲内に制御することは、本出願の一次粒子の粒子サイズが小さく、粒子が粉化しにくく、負極材料の安定性を向上できることを示す。
【0072】
いくつかの実施形態では、二次粒子の最小粒径D2minの範囲は、0.5μm~4μmであり、具体的には、D2minは、0.5μm、1μm、2μm、3μm及び4μmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。D2minを上記範囲内に制御することは、負極材料における微粉数が比較的に少ないことを示し、負極材料が長サイクルの優位性を得ることに寄与する。
【0073】
いくつかの実施形態では、二次粒子の最大粒径D2maxの範囲は6μm~20μmであり、具体的には、D2maxは6μm、8μm、10μm、12μm、15μm、18μm及び20μmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここでは限定しない。D2maxを上記範囲内に制御することにより、材料の膨張を比較的よく抑制することができ、材料の性能向上に寄与する。
【0074】
いくつかの実施形態では、D250の範囲は、0.5μm~20μmであり、具体的には、D250は、0.5μm、1μm、3μm、5μm、8μm、10μm、13μm、17μm、19μm及び20μmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここでは限定しない。D250を上記範囲内に制御することにより、得られる負極材料全体の粒子の平均サイズが小さくなり、負極材料の体積膨張の低減に寄与する。D250は0.8μm~12μmであることが好ましく、1μm~8μmであることがさらに好ましい。
【0075】
いくつかの実施形態では、負極材料の比表面積は、10m2/g以下であり、負極材料の比表面積は、具体的には、10m2/g、9m2/g、8m2/g、7m2/g、6m2/g、5m2/g、3m2/gなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここでは限定しない。
【0076】
いくつかの実施形態では、負極材料の空孔率は、10%以下であり、具体的には、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、2.5%、2%及び1%などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。負極材料の空孔率を上記範囲内に制御することは、電解液が材料の内部に浸透しにくく、負極材料の安定性の向上に寄与することを示す。負極材料の空隙率は5%以下であることが好ましく、負極材料の空隙率は2.5%以下であることがさらに好ましい。
【0077】
いくつかの実施形態では、負極材料の真球度は0.7以上であり、具体的には、負極材料の真球度は0.7、0.8及び0.9などであってもよく、上記範囲内の真球度は、材料の加工性能の向上に寄与する。
【0078】
いくつかの実施形態において、負極材料はさらに一次粒子および/または二次粒子の少なくとも一部の表面の被覆層を含む。好ましくは、一次粒子の表面に被覆層が存在し、二次粒子の表面にも被覆層が存在し、2つの被覆層の材質は同じであっても異なっていてもよい。
【0079】
いくつかの実施形態において、前記被覆層は、炭素材料、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含む。
【0080】
いくつかの実施形態において、前記被覆層の材料が炭素材料である場合、前記二次粒子は前記炭素材料に分散して嵌設されてもよい。即ち、二次粒子が炭素材料に分散してケイ素炭素複合材を形成し、炭素材料が二次粒子に導電ネットワークを構築し、負極材料の容量の発揮に有利であり、且つ炭素材料の存在が粒子の体積膨張を緩衝し、サイクル安定性を向上させる。
【0081】
いくつかの実施形態において、一次粒子の表面に炭素被覆層が形成され、炭素被覆層を有する一次粒子が凝集して二次粒子を形成し、負極材料のサイクル安定性の向上に寄与する。
【0082】
いくつかの実施形態において、前記炭素材料は、ソフトカーボン、ハードカーボン、結晶性炭素及び非晶質炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0083】
一つの可能な実施形態において、前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0084】
一つの可能な実施形態において、前記窒化物は、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0085】
いくつかの実施形態において、被覆層の厚さは、1nm~500nmであり、具体的には、被覆層の厚さは、1nm、5nm、10nm、30nm、50nm、80nm、100nm、200nm、300nm、400nm及び500nmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここでは限定されない。
【0086】
本出願は、上記負極材料の製造方法をさらに提供し、
図1に示すように、
一次粒子と接着剤とを含む混合材料を研磨して前駆体を得るステップと、
前駆体を熱処理して接着剤を炭化させて、熱処理生成物を得るステップと、
熱処理生成物を粉砕、分級処理して、一次粒子と以下の関係を満たす二次粒子を得、これにより負極材料を得るステップとを含み、
10≦D2
50/D1
max≦40 (I)
D2
min/D2
50≧0.08 (II)
D2
50/D2
max≧0.24 (III)
式(I)、(II)及び(III)において、D1
maxは一次粒子の最大粒径であり、D2
50は二次粒子のメジアン径であり、D2
minは二次粒子の最小粒径であり、D2
maxは二次粒子の最大粒径である。
【0087】
上記技術案において、本出願は、一次粒子と接着剤との混合材料を原料として二次粒子を製造し、熱処理、粉砕及び分級処理により、二次粒子の粒径分布を比較的集中させ、且つ粒径の大きさを適切にすることで、本出願における一次粒子と二次粒子とが良好な整合性を有するようにし、負極材料の体積膨張を低減し、負極材料の構造安定性及びサイクル性能を向上させる。
【0088】
以下、本出願の製造方法を具体的に説明する。
【0089】
ステップ100において、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒して前駆体を得る。
【0090】
いくつかの実施形態では、一次粒子のメジアン径は、0.2μm以下であり、具体的には、1nm、5nm、10nm、20nm、30nm、40nm、60nm、80nm、100nm、130nm、150nm及び200nmなどであってもよく、当然ことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。一次粒子のメジアン径は5nm~200nmであることが好ましく、10nm~200nmであることがさらに好ましい。現在、二次電池の負極材料のほとんどは、一次粒子が特定の手段、方法によって二次粒子として組み立て/構築されたものであり、この過程において、一次粒子と二次粒子の形態パラメータとサイズは非常に重要であり、材料の基本的性能を決定する。本出願は、適切なサイズの一次粒子を選別し、具体的にメジアン径が0.2μm未満の原料を選択することにより、原料の粒径の寸法が近くなり、さらに粒径の寸法が近い一次粒子を用いて二次粒子を構築し、それにより一次粒子と二次粒子が良好な整合性を有し、負極材料の電気化学性能を向上させる。製造された二次粒子の粒径が大きすぎると、材料が緩くなり、構造が不安定になり、崩壊しやすく、膨張しやすく、製造された二次粒子の粒径が小さすぎると、材料のタップ密度が低下し、材料のエネルギー密度の向上に不利であり、また、粒径が小さすぎると、材料の比表面積が増加し、材料の初回効率が低下する。
【0091】
いくつかの実施形態において、一次粒子と接着剤との混合材料は溶媒をさらに含み、溶媒はフェノール、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒およびアルカン系溶媒のうちの少なくとも1つを含み、アルコール系溶媒は、例えば、エタノール、エチレングリコールおよびグリセリンなどであってもよく、エーテル系溶媒は、例えば、エチルエーテルであってもよく、アルカン系溶媒は、例えば、n-ヘキサン、トルエンおよびキシレンなどであってもよい。
【0092】
いくつかの実施形態において、溶媒と一次粒子との質量比は、100:(5~40)であり、具体的には、溶媒と一次粒子との質量比は、100:0.5、100:10、100:20、100:30及び100:40などであり、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0093】
いくつかの実施形態において、一次粒子は、Li、SiOx(0<x<2)、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうちの少なくとも1つを含む。
【0094】
いくつかの実施形態では、一次粒子は、SiOx(0<x<2)を含み、具体的には、SiO0.1、SiO0.3、SiO0.5、SiO0.7、SiO0.8、SiO1、SiO1.2、SiO1.5、SiO1.8又はSiO1.9などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の粒子であってもよく、ここでは限定しない。
【0095】
いくつかの実施形態では、一次粒子の真球度>0.7であり、好ましくは、一次粒子の真球度>0.9である。一次粒子の真球度がより高く、サイクル過程において構造がより安定しているため、SEI膜の繰り返し生成によって引き起こされる材料粒子の破砕の問題を回避できる。
【0096】
いくつかの実施形態において、接着剤は、デンプン、セルロース、タンニン、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、セルロースエステル、エン系重合体、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂及びポリイミドのうちの少なくとも1つを含む。
【0097】
いくつかの実施形態において、一次粒子と接着剤との質量比は、100:(5~55)であり、具体的には、一次粒子と接着剤との質量比は、具体的には、100:5、100:10、100:20、100:30、100:40及び100:55などであり、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。
【0098】
いくつかの実施形態において、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒するステップの前に、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を分散処理するステップをさらに含む。一次粒子と接着剤とを分散処理により、材料中の活物質を分散させ、活物質が凝集することを回避し、かつ活物質を比較的な小さなナノ粒子に分散させることができる。
【0099】
いくつかの実施形態において、分散処理は、磁気撹拌、機械攪拌、研磨分散及び超音波分散のうちの少なくとも1つを含む。
【0100】
ステップS200:前駆体を熱処理して接着剤を炭化させて、熱処理生成物を得る。
【0101】
いくつかの実施形態において、前駆体を熱処理して接着剤を炭化させるステップの前に、前駆体を予備粉砕、予備分級するステップをさらに含む。
【0102】
いくつかの実施形態において、予備粉砕の前に、後続の粉砕処理を容易にするために、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を乾燥処理する必要がある。
【0103】
いくつかの実施形態において、予備粉砕は、機械粉砕、気流粉砕、超微粉粉砕、湿式粉砕、押出し粉砕及び割裂粉砕のうちの少なくとも1つを含む。
【0104】
いくつかの実施形態において、予備粉砕後に得られる材料のメジアン径は、0.5μm~20μmであり、具体的には0.5μm、1μm、2μm、5μm、8μm、10μm、12μm、15μmおよび20μmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。予備粉砕後に得られる材料のメジアン径は1μm~15μmであることが好ましく、2μm~8μmであることがさらに好ましい。
【0105】
いくつかの実施形態において、予備粉砕後に得られる材料の最大粒径は、5μm~45μmであり、具体的には5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μmおよび45μmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。予備粉砕後に得られる材料の最大粒径は5μm~35μmであることが好ましく、6μm~30μmであることがさらに好ましい。
【0106】
本出願は、予備粉砕後の粒子のメジアン径及び最大粒径を制限することにより、粉砕後の粒子の粒度を比較的均一にする。
【0107】
いくつかの実施形態において、予備分級によって得られる材料の粒径は0.5μmより大きく、すなわち、分級処理によって粒径が0.5μm以下である粒子を除去して、材料中の活物質の粒径分布の均一性を向上させる。
【0108】
いくつかの実施形態において、前駆体を熱処理して接着剤を炭化させるステップの前に、前駆体と被覆材料とを融合処理するステップをさらに含む。融合処理は、予備粉砕、予備分級処理の後に行われることに理解される。
【0109】
いくつかの実施形態において、被覆材料は、炭素源、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含む。
【0110】
いくつかの実施形態において、炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1つを含む。
【0111】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層は、金属酸化物を含み、前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0112】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層は、窒化物を含み、前記窒化物は、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【0113】
いくつかの実施形態において、融合処理の装置は、機械融合機、融合撹拌機及び対流融合機のうちの少なくとも1つを含む。
【0114】
いくつかの実施形態において、融合処理の時間は、30min~150minであり、具体的には、融合処理の時間は、30min、50min、70min、90min、100min、110min、130min及び150minなどであってもよいが、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0115】
いくつかの実施形態において、融合処理のカッター隙間は、0.1cm~0.5cmであり、具体的には、融合処理のカッター隙間は、0.1cm、0.2cm、0.3cm、0.4cm及び0.5cmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0116】
いくつかの実施形態において、熱処理の温度は、500℃~1000℃であり、具体的には、熱処理の温度は、500℃、600℃、700℃、800℃、900℃及び1000℃などであってもよく、当然のことながら、上記範囲内の他の値であってもよく、ここでは限定されない。
【0117】
いくつかの実施形態において、熱処理の保温時間は、30min~900minであり、具体的には、熱処理の保温時間は、30min、60min、120min、360min、480min、720min、800min及び900minなどであってもよいが、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。
【0118】
いくつかの実施形態において、熱処理は、保護雰囲気で行い、保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス及びヘリウムガスのいずれかを含む。
【0119】
ステップS300:熱処理生成物を粉砕、分級処理して、前記一次粒子と以下の関係を満たす二次粒子を得、これにより負極材料を得る。
10≦D250/D1max≦40 (I)
D2min/D250≧0.08 (II)
D250/D2max≧0.24 (III)
【0120】
いくつかの実施形態において、粉砕は、機械粉砕、気流粉砕、超微粉粉砕、湿式粉砕、押出し粉砕及び割裂粉砕のうちの少なくとも1つを含む。
【0121】
いくつかの実施形態において、粉砕で得られる材料のメジアン径は、0.5μm~15μmであり、具体的には、0.5μm、1μm、2μm、5μm、8μm、10μm、12μm及び15μmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。粉砕で得られる材料のメジアン径は1μm~13μmであることが好ましく、2μm~10μmであることがさらに好ましい。
【0122】
いくつかの実施形態において、粉砕で得られる材料の最大粒径は、5μm~45μmであり、具体的には5μm、10μm、15μm、20μm、25μm、30μm、35μm、40μmおよび45μmなどであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。粉砕で得られる材料の最大粒径は5μm~40μmであることが好ましく、6μm~30μmであることがさらに好ましい。
【0123】
いくつかの実施形態において、分級処理の後に、分級処理により得られる材料から粒径が0.5μm以下の粒子を除去することをさらに含み、粒径が0.5μm以下の材料は微粉粒子であり、微粉粒子を除去することにより、材料における異なる粒子の膨張差を低減し、複合材料が二次電池に応用する安定性を向上させることが理解される。
【0124】
いくつかの実施形態において、10≦D250/D1max≦40であり、具体的には、D250/D1maxは、10、15、20、25、30、35及び40などであってもよく、当然のことながら上記の範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。上記範囲内において、一次粒子と二次粒子の粒径が適切であり、一次粒子と二次粒子の整合度が高く、二次粒子における一次粒子が密に積み重ねられることにより、負極材料における粒子が粉化しにくくなり、充放電過程において膨張による応力を良好に解放することができ、材料のサイクル性能を向上させ、膨張を抑制することができる。一次粒子の最大値D1maxが大きすぎると、粒子間の粘着作用が小さく、粉化が生じやすくなり、サイクル性能が低下し、一次粒子の最大値D1maxが小さすぎると、粒子間の作用力が強くなり、粒子間の粘着作用が強くなり、サイズが大きすぎる二次粒子が形成されやすくなり、大きすぎるサイズの二次粒子は充放電過程において膨張による応力を解放しにくくなり、二次粒子が集電体から脱落したり、集電体が破壊されたりして、負極材料の性能が低下することを招く。
【0125】
いくつかの実施形態において、D2min/D250≧0.08であり、具体的には、D2min/D250は、0.08、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6及び0.7などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定されない。上記の限定される範囲において、二次粒子における微粉の数が少なく、材料における活性成分の含有量の分布が比較的均一であり、二次粒子間の膨張差を小さくすることができ、材料の構造安定性を向上させる。
【0126】
いくつかの実施形態において、D250/D2max≧0.24であり、具体的には、D250/D2maxは、0.24、0.28、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7及び0.8などであってもよく、当然のことながら上記範囲内の他の値であってもよく、ここで限定しない。上記の限定された範囲において、二次粒子の粒度分布が集中し、大粒径の二次粒子が少ないため、材料の体積膨張を効果的に低減し、材料のサイクル性能を向上させることができる。
【0127】
本出願の実施例は、本出願に記載の負極材料又は本出願に記載の方法で製造された負極材料を含む二次電池をさらに開示する。
【実施例】
【0128】
以下に複数の実施例を分けて本出願の実施例をさらに説明する。但し、本出願は、以下の具体的な実施例に限定されない。主請求項の範囲を変更せずに、適宜変更してもよい。
【0129】
実施例1
【0130】
(1)ナノシリコン粒子を嵩密度試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が50nm、D1max=155nm、体積密度が0.29g/cm3のナノシリコンを得る。
【0131】
(2)ステップ(1)で得られたナノシリコンとポリビニルアルコールとを質量比100:28によってフェノールに入れてから、遊星ボールミルにおいて2時間ボールミリングを行い、120℃で回転蒸発乾燥させて第1前駆体を得る。
【0132】
(3)第2前駆体は、第1前駆体を予備粉砕、予備分級することによって得られて、メジアン径が7.1μmであり、最大粒径が23.8μmである。
【0133】
(4)第2前駆体とフェノール樹脂とを質量比50:35によって混合した後、融合処理を行い、融合時間は40minであり、カッター隙間は0.1cmであり、その後、融合後の材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、820℃の条件で熱処理し、4時間保温する。
【0134】
(5)ステップ(4)で得られた材料を粉砕、分級処理して、負極材料を得る。
【0135】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、3.6μmであり、最小粒径D2minは、0.6μmであり、最大粒径D2maxは、10.8μmであり、負極材料の真球度は、0.89である。
【0136】
図2に示すように、本出願の実施例1で製造された負極材料のSEMチャートであり、二次粒子のサイズ分布は比較的均一であることが明らかに示される。
【0137】
図3に示すように、本出願の実施例1で製造された負極材料のXRDチャートであり、生成物にシリコンピーク位置が含まれることが明らかに示される。
【0138】
図4に示すように、本出願の実施例1で製造された負極材料の初回充放電曲線であり、当該負極材料の初回充放電容量が高く、初回効率も高いことが明らかに示される。
【0139】
図5に示すように、本出願の実施例1で製造された負極材料のサイクル性能曲線であり、当該負極材料は優れるサイクル性能を有し、100サイクルの容量維持率は93.1%であることが明らかに示される。
【0140】
実施例2
【0141】
(1)ナノシリコン粒子をBET試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が20nm、D1max=103nm、体積密度が0.39g/cm3であるナノシリコンを得る。
【0142】
(2)ステップ(1)で得られたナノシリコンと果糖とを質量比100:48によってエチレングリコールに入れてから、遊星ボールミルにおいて62時間ボールミリングを行い、150℃で回転蒸発乾燥させて第1前駆体を得る。
【0143】
(3)第2前駆体は、第1前駆体を予備粉砕、予備分級することによって得られて、メジアン径が3.5μmであり、最大粒径が10.8μmである。
【0144】
(4)第2前駆体とグルコースとを質量比50:35によって混合した後、融合処理を行い、融合時間は30minであり、カッター隙間は0.15cmである。その後、混合した材料を高温箱形炉に入れ、窒素ガスを導入し、820℃の条件で熱処理し、4時間保温する。
【0145】
(4)得られたサンプルを粉砕、分級して負極材料を得る。
【0146】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、1.8μmであり、最小粒径D2minは、0.32μmであり、最大粒径D2maxは、5.8μmであり、負極材料の真球度は、0.83である。
【0147】
実施例3
【0148】
(1)ナノシリコン粒子をBET試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が20nm、D1max=111nm、体積密度が0.14g/cm3であるナノシリコンを得る。
【0149】
(2)ステップ(1)で得られたナノシリコンと果糖とを質量比100:58によってエチレングリコールに入れてから、遊星ボールミルにおいて9時間ボールミリングし、150℃で第1前駆体を回転蒸発乾燥する。
【0150】
(3)第2前駆体は、第1前駆体を予備粉砕、予備分級することによって得られて、メジアン径が8.3μmであり、最大粒径が16.8μmである。
【0151】
(4)第2前駆体とアスファルトとを質量比45:35によって混合した後、融合処理を行い、融合時間は60minであり、カッター隙間は0.15cmである。その後、混合した材料を高温箱形炉に入れ、窒素ガスを導入し、920℃の条件で熱処理し、4時間保温する。
【0152】
(5)ステップ(4)で得られた材料に対して粉砕、分級処理を行い、負極材料を得る。
【0153】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、4.3μmであり、最小粒径D2minは、0.78μmであり、最大粒径D2maxは、14.5μmであり、負極材料の真球度は、0.92である。
【0154】
実施例4
【0155】
(1)ナノシリコン粒子をBET試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が100nm、D1max=249nm、体積密度が0.59g/cm3であるナノシリコンを得る。
【0156】
(2)ステップ(1)で得られたナノシリコンとアスファルトとを質量比90:48によってブタノールに入れてから、遊星ボールミルにおいて4時間ボールミリングし、150℃で回転蒸発乾燥させて第1前駆体を得る。
【0157】
(3)第2前駆体は、第1前駆体を予備粉砕、予備分級することによって得られて、メジアン径が11.3μmであり、最大粒径が20.7μmである。
【0158】
(4)第2前駆体とグラフェンとを質量比40:25で混合した後、融合処理を行い、融合時間は20minであり、カッター隙間は0.25cmである。その後、混合した材料を高温箱形炉に入れ、窒素ガスを導入し、950℃の条件で熱処理し、6時間保温する。
【0159】
(5)ステップ(4)で得られた材料に対して粉砕、分級処理を行い、負極材料を得る。
【0160】
本実施例で製造された負極材料は、二次粒子及び二次粒子の表面に位置するグラフェン層を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、8.2μmであり、最小粒径D2minは、1.08μmであり、最大粒径D2maxは、16.5μmであり、負極材料の真球度は、0.95である。
【0161】
実施例5
【0162】
(1)ナノシリコン粒子をBET試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が30nm、D1max=115nm、体積密度が0.25g/cm3であるナノシリコンを得る。
【0163】
(2)ステップ(1)で得られたナノシリコンとアスファルトとを質量比90:48によってイソプロパノールに入れてから、遊星ボールミルにおいて4時間ボールミリングし、-40℃で凍結乾燥して第1前駆体を得る。
【0164】
(3)第2前駆体は、第1前駆体を予備粉砕、予備分級することによって得られて、メジアン径が5.9μmであり、最大粒径が15μmである。
【0165】
(4)第2前駆体とポリエチレングリコールとを質量比40:25によって混合した後、融合処理を行い、融合時間は50minであり、カッター隙間は0.15cmである。その後、混合した材料を高温箱形炉に入れ、窒素ガスを導入し、950℃の条件で熱処理し、4時間保温する。
【0166】
(5)ステップ(4)で得られた材料に対して粉砕、分級処理を行い、負極材料を得る。
【0167】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、4.2μmであり、最小粒径D2minは、0.68μmであり、最大粒径D2maxは、10.5μmであり、負極材料の真球度は、0.86である。
【0168】
実施例6
【0169】
(1)ナノシリコン粒子をBET試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が150nm、D1max=314nm、体積密度が0.68g/cm3であるナノシリコンを得る。
【0170】
(2)ステップ(1)で得られたナノシリコンとグルコースとを質量比80:68によってプロパノールに入れてから、遊星ボールミルにおいて4時間ボールミリングし、150℃で回転蒸発乾燥させて第1前駆体を得る。
【0171】
(3)第2前駆体は、第1前駆体を予備粉砕、予備分級することによって得られて、メジアン径が5.8μmであり、最大粒径が9.8μmである。
【0172】
(4)第2前駆体と窒化チタンとを質量比60:55によって混合した後、融合処理を行い、融合時間は40minであり、カッター隙間は0.1cmである。その後、混合した材料を高温箱形炉に入れ、窒素ガスを導入し、750℃の条件で熱処理し、4時間保温する。
【0173】
(5)ステップ(4)で得られた材料に対して粉砕、分級処理を行い、負極材料を得る。
【0174】
本実施例で製造された負極材料は、二次粒子及び二次粒子の表面に位置する窒化チタン層を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、3.2μmであり、最小粒径D2minは、0.57μmであり、最大粒径D2maxは、8.9μmであり、負極材料の真球度は、0.78である。
【0175】
実施例7
【0176】
(1)ナノシリコン粒子をBET試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が180nm、D1max=478nm、体積密度が0.70g/cm3であるナノシリコンを得る。
【0177】
(2)ステップ(1)で得られたナノシリコンとグルコースとを質量比60:48によってプロパノールに入れてから、遊星ボールミルにおいて4時間ボールミリングし、150℃で回転蒸発乾燥させて第1駆体を得る。
【0178】
(3)第2前駆体は、第1前駆体を予備粉砕、予備分級することによって得られて、メジアン径が12.1μmであり、最大粒径が20.8μmである。
【0179】
(4)第2前駆体と炭化シリコンとを質量比65:35によって混合した後、融合処理を行い、融合時間は80minであり、カッター隙間は0.15cmである。その後、混合した材料を高温箱形炉に入れ、窒素ガスを導入し、850℃の条件で熱処理し、4時間保温する。
【0180】
(5)ステップ(4)で得られた材料に対して粉砕、分級処理を行い、負極材料を得る。
【0181】
本実施例で製造された負極材料は、二次粒子及び二次粒子の表面に位置する炭化シリコン層を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、9.0μmであり、最小粒径D2minは、1.57μmであり、最大粒径D2maxは、17.8μmであり、負極材料の真球度は、0.76である。
【0182】
実施例8
【0183】
実施例1との相違点は、ステップ(4)である。第2前駆体とフェノール樹脂を質量比50:35によって混合し、その後、得られた材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、820℃の条件で熱処理し、4時間保温する。
【0184】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、4.9μmであり、最小粒径D2minは、0.39μmであり、最大粒径D2maxは、18.4μmであり、負極材料の真球度は、0.94である。
【0185】
実施例9
【0186】
実施例1と異なるところは、ナノシリコン粒子をナノゲルマニウム粒子に置き換えることであり、そのうち、ナノゲルマニウム粒子のD150が30nm、D1max=220nm、嵩密度が0.26g/cm3である。
【0187】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノゲルマニウム粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、3.5μmであり、最小粒径D2minは、0.3μmであり、最大粒径D2maxは、12.5μmであり、負極材料の真球度は、0.88である。
【0188】
実施例10
【0189】
実施例1と異なるところは、ナノシリコン粒子をナノスズ粒子に置き換えることであり、そのうち、ナノスズ粒子のD150が28nm、D1max=185nm、嵩密度が0.25g/cm3である。
【0190】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノスズ粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、3.6μmであり、最小粒径D2minは、0.4μmであり、最大粒径D2maxは、10.9μmであり、負極材料の真球度は、0.89である。
【0191】
実施例11
【0192】
実施例1と異なるところは、ステップ(4)におけるフェノール樹脂を窒化ケイ素に置き換えることである。
【0193】
本実施例で製造された負極材料は二次粒子を含み、二次粒子の表面に窒化ケイ素被覆層を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、3.4μmであり、最小粒径D2minは、0.5μmであり、最大粒径D2maxは、11.7μmであり、負極材料の真球度は、0.91である。
【0194】
実施例12
【0195】
実施例1と異なるところは、ステップ(2)である。ステップ(2)は、ステップ(1)で得られたナノシリコンとポリビニルアルコールを質量比100:28でフェノールに入れて、120℃で回転蒸発乾燥させて第1前駆体を得る。
【0196】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、6.0μmであり、最小粒径D2minは、0.82μmであり、最大粒径D2maxは、22.2μmであり、負極材料の真球度は、0.52である。
【0197】
実施例13
【0198】
実施例1と異なるところは、ナノシリコン粒子をナノSiO粒子に置き換えることであり、そのうち、ナノSiO粒子のD150が80nm、D1max=320nm、嵩密度が0.36g/cm3である。
【0199】
本実施例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノSiO粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、4.5μmであり、最小粒径D2minは、0.4μmであり、最大粒径D2maxは、13.5μmであり、負極材料の真球度は、0.93である。
【0200】
比較例1
【0201】
(1)ナノシリコン粒子を篩分することにより、メジアン径D150が300nmのナノシリコンを得る。
【0202】
(2)ステップ(1)で得られたナノシリコンとポリビニルアルコールを質量比100:28でフェノールに入れてから、遊星ボールミルにおいて2時間ボールミリングし、120℃で回転蒸発乾燥させて第1前駆体を得る。
【0203】
(3)第2前駆体は、第1前駆体を予備粉砕、予備分級することによって得られて、メジアン径が7.1μmであり、最大粒径が23.8μmである。
【0204】
(4)第2前駆体とフェノール樹脂を質量比50:35で混合した後、融合処理を行い、融合時間は40minであり、カッター隙間は0.1cmであり、その後、融合後の材料を高温箱型炉に入れ、窒素ガスを導入し、820℃の条件で熱処理し、4時間保温する。
【0205】
(5)ステップ(4)で得られた材料に対して粉砕、分級処理を行い、負極材料を得る。
【0206】
本比較例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、7.2μmであり、最小粒径D2minは、0.42μmであり、最大粒径D2maxは、33.8μmであり、負極材料の真球度は、0.89である。
【0207】
比較例2
【0208】
実施例1と異なるところは、粉砕及び分級処理を行わなかったことである。
【0209】
本比較例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のメジアン径D250は、5.2μmであり、最小粒径D2minは、0.31μmであり、最大粒径D2maxは、33.8μmであり、負極材料の真球度は、0.67である。
【0210】
比較例3
【0211】
実施例1と異なるところは、使用した一次粒子D1maxが0.3μmであることである。
【0212】
本比較例で製造された負極材料は、炭素材料及び炭素材料に分散された二次粒子を含み、二次粒子は、凝集する一次粒子を含み、一次粒子の表面に炭素材料被覆層を有し、一次粒子は、ナノシリコン粒子を含み、負極材料のD250=2μm、D2min=0.3μm、D2max=15μmであり、負極材料の真球度は、0.67である。
【0213】
試験方法:
1、マルバーン粒度測定装置を用いて材料のメジアン径、最小粒径及び最大粒径を測定し、測定基準はISO13320:2009である。
2、BET測定を用いて材料の嵩密度を測定し、測定基準はGB/T11107-2018である。
3、比表面積試験機を用いて材料の比表面積を測定する。
4、静的容量法又は水銀圧入法を用いて材料の空孔率を測定する。
5、粒子真球度分析装置を用いて材料の真球度を測定する。
6、以下の方法で電気化学的サイクル性能を測定する。
【0214】
負極材料、導電剤及び接着剤を質量百分率94:1:5で水に溶解して混合し、固形分を50%に制御し、銅箔集電体に塗布し、真空乾燥させ、負極シートを製造し、その後、従来の成熟したプロセスで製造された三元系正極シート(リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物NCM523)、1 mol/Lの六フッ化リン酸リチウムLiPF6/(エチレンカーボネートEC+ジメチルカーボネートDMC+エチルメチルカーボネートEMC)(v/v=1:1:1)の電解液と、Celgard2400セパレータと、シェルとを通常の生産プロセスで18650円筒形電池セルを組み立てる。円筒形電池の充放電試験は、Wuhan Jinnuo electronics Co.,Ltd.のLAND電池用テスト用機器で、常温条件で、0.2Cで定電流充放電し、充放電電圧を2.75~4.2Vに制限し、該電池の初回可逆比容量と初回クーロン効率(ICE)を得る。1Cの電流密度で、0.01V~5Vの充放電区間で電池に対して100回繰り返した充放電テストを行い、電池の50サイクル後の容量保持率及び極片の厚さ膨張率を得る。
【0215】
試験結果を表1及び表2に示す。
【0216】
【0217】
【0218】
上記表1及び表2のデータに示すように、本出願の実施例1~12で製造された負極材料、一次粒子及び二次粒子が、10≦D250/D1max≦40、D2min/D250≧0.08、及びD250/D2max≧0.24の関係を満たして、一次粒子と二次粒子とが良好な整合性を有し、最終的に負極材料中の微粉が減少し、二次粒子の粒度が集中し、負極材料のサイクル安定性が向上するとともに、負極材料の体積膨張効果が低下する。
【0219】
比較例1で製造された負極材料は、ナノシリコン粒子のサイズが大きすぎるため、一次粒子間の付着作用が低下し、負極材料の体積膨張が大きく、二次粒子の充放電過程における破裂率が増加し、サイクル容量維持率が小さい。
【0220】
比較例2で製造された負極材料は、粉砕及び分級処理を行わないため、負極材料の粒径分布が広く、且つ一定の微粉が存在し、材料の体積膨張が大きい。
【0221】
比較例3で製造された負極材料は、D250、D1max、D2max及びD2minの単一パラメータがいずれも好ましい範囲内にあるが、10≦D250/D1max≦40、D250/D2max≧0.24の関係式を満たさず、負極材料の体積膨張が大きい。
【0222】
上記は、本出願の好ましい実施例にすぎず、本出願を限定することを意図するものではなく、当業者にとって、本出願は、様々な修正および変更を有し得る。本出願の精神と原則内で、行われたいかなる修正、同等置換、改善などは、いずれも本出願の保護範囲内に含まれるべきである。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
負極材料であって、前記負極材料は二次粒子を含み、前記二次粒子は凝集した一次粒子を含み、前記一次粒子と前記二次粒子とは以下の関係を満たすことを特徴とする負極材料。
10≦D2
50/D1
max≦40 (I)
D2
min/D2
50≧0.08 (II)
D2
50/D2
max≧0.24 (III)
(式(I)、(II)及び(III)において、D1
maxは一次粒子の最大粒径であり、D2
50は二次粒子のメジアン径であり、D2
minは二次粒子の最小粒径であり、D2
maxは二次粒子の最大粒径である。)
【請求項2】
以下の特徴(1)~(7)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
(1)前記一次粒子は、Li、Na、SiOx(0<x<2)、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうちの少なくとも1つを含むこと、
(2)前記一次粒子の嵩密度が0.7g/cm
3以下であること、
(3)前記一次粒子のメジアン径D1
50が0.2μm以下であること、
(4)前記二次粒子のメジアン径D2
50の範囲は、0.5μm~20μmであること、
(5)前記一次粒子の最大粒径D1
maxの範囲は、0.1μm~0.4μmであること、
(6)前記二次粒子の最小粒径D2
minの範囲は、0.5μm~4μmであること、
(7)前記二次粒子の最大粒径D2
maxの範囲は、6μm~20μmであること。
【請求項3】
前記負極材料は、以下の特徴(1)~(3)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
(1)前記負極材料の比表面積は、10m
2/g以下であること、
(2)前記負極材料の空孔率は10%以下であること、
(3)前記負極材料の真球度は、0.7以上であること。
【請求項4】
前記一次粒子および/または前記二次粒子の表面の少なくとも一部に存在する被覆層をさらに含む、ことを特徴とする請求項1に記載の負極材料。
【請求項5】
前記被覆層は、以下の(1)~(
5)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項4に記載の負極材料。
(1)前記被覆層
の材料は、炭素材料、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含むこと、
(2)前記被覆層
の材料は、炭素材料を含み、前記炭素材料は、ソフトカーボン、ハードカーボン、結晶性炭素及び非晶質炭素のうちの少なくとも1つを含むこと、
(3)前記被覆層
の材料は、金属酸化物を含み、前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含むこと、
(4)前記被覆層
の材料は、窒化物を含み、前記窒化物は、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含むこと、
(5)前記被覆層の厚さは、1nm~500nmであること。
【請求項6】
一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒して前駆体を得るステップと、
前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させて、熱処理生成物を得るステップと、
前記熱処理生成物を粉砕、分級処理して、前記一次粒子と以下の関係を満たす二次粒子を得、これにより負極材料を得るステップとを含む負極材料の製造方法。
10≦D2
50/D1
max≦40 (I)
D2
min/D2
50≧0.08 (II)
D2
50/D2
max≧0.24 (III)
(式(I)、(II)及び(III)において、D1
maxは一次粒子の最大粒径であり、D2
50は二次粒子のメジアン径であり、D2
minは二次粒子の最小粒径であり、D2
maxは二次粒子の最大粒径である。)
【請求項7】
以下の特徴(1)~(15)のうちの少なくとも1つを含む、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記一次粒子のメジアン径が0.2μm以下であること、
(2)前記一次粒子は、Li、SiOx(0<x<2)、Na、K、Sn、Ge、Si、Fe、Mg、Ti、Zn、Al、P及びCuのうちの少なくとも1つを含むこと、
(3)前記接着剤は、デンプン、セルロース、タンニン、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、スチレンブタジエンゴム、ブチルゴム、セルロースエステル、エン系重合体、ポリアミド、ポリアクリル酸エステル、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、アクリル樹脂及びポリイミドのうちの少なくとも1つを含むこと、
(4)前記一次粒子と前記接着剤との質量比は、100:(5~55)であること、
(5)前記一次粒子と接着剤との混合材料は、溶媒をさらに含むこと、
(6)前記一次粒子と接着剤との混合材料は、溶媒をさらに含み、前記溶媒は、フェノール、アルコール系溶媒、エーテル系溶媒及びアルカン系溶媒のうちの少なくとも1つを含むこと、
(7)前記一次粒子と接着剤との混合材料は、溶媒をさらに含み、前記溶媒と前記一次粒子との質量比は100:(5~40)であること、
(8)一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒するステップの前に、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を分散処理することをさらに含むこと、
(9)一次粒子と接着剤とを含む混合材料を造粒するステップの前に、一次粒子と接着剤とを含む混合材料を分散処理することをさらに含み、前記分散処理は磁気撹拌、機械的撹拌、研磨分散及び超音波分散のうちの少なくとも1つを含むこと、
(10)前記熱処理の温度は500℃~1000℃であること、
(11)前記熱処理の保温時間は30min~900minであること、
(12)前記熱処理は、保護雰囲気で行い、前記保護雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガス、及びヘリウムガスのうちの少なくとも1つを含むこと、
(13)前記粉砕して得られた材料のメジアン径は0.5μm~15μmであること、
(14)前記粉砕して得られた材料の最大粒径は5μm~45μmであること、
(15)前記分級処理の後に、分級処理により得られた材料から粒径が0.5μm以下の粒子を除去することをさらに含むこと。
【請求項8】
以下の特徴(1)~(5)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体を予備粉砕、予備分級することをさらに含むこと、
(2)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体に対して予備粉砕、予備分級することをさらに含み、前記予備粉砕は、機械的粉砕、気流粉砕、超微粉粉砕、湿式粉砕、押出し粉砕及び割裂粉砕のうちの少なくとも1つを含むこと、
(3)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体に対して予備粉砕、予備分級することをさらに含み、前記予備粉砕で得られた材料のメジアン径が0.5μm~20μmであること、
(4)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体に対して予備粉砕、予備分級することをさらに含み、前記予備粉砕で得られた材料の最大粒径が5μm~45μmであること、
(5)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体に対して予備粉砕、予備分級することをさらに含み、前記予備分級で得られた材料の粒径が0.5μmを超えること。
【請求項9】
以下の特徴(1)~(
7)のうちの少なくとも1つを満たす、ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
(1)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含むこと、
(2)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記被覆材料は、炭素源、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含むこと、
(3)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と前記被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記被覆材料は炭素源を含み、前記炭素源は、スクロース、グルコース、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリアニリン、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フルフラール樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル及びアスファルトのうちの少なくとも1つを含むこと、
(4)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記被覆材料は金属酸化物を含み、前記金属酸化物は酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含むこと、
(5)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記被覆材料は窒化物を含み、前記窒化物は窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含むこと、
(6)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記融合処理の装置は、機械融合機、融合撹拌機及び対流融合機のうちの少なくとも1つを含むこと、
(7)前記前駆体を熱処理して前記接着剤を炭化させるステップの前に、前記前駆体と被覆材料とを融合処理することをさらに含み、前記融合処理の時間は30min~150minであること。
【請求項10】
請求項1~5のいずれか一項に記載の負極材料又は請求項6~9のいずれか一項に記載の方法で製造された負極材料を含む、ことを特徴とする二次電池。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層の材料は、炭素材料、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含む。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0020
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0020】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層の材料は、炭素材料を含み、前記炭素材料は、ソフトカーボン、ハードカーボン、結晶性炭素及び非晶質炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0021
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0021】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層の材料は、金属酸化物を含み、前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含む。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層の材料は、窒化物を含み、前記窒化物は、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0079
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0079】
いくつかの実施形態において、前記被覆層の材料は、炭素材料、グラフェン、炭化シリコン、金属酸化物及び窒化物のうちの少なくとも1つを含む。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0086
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0086】
本出願は、上記負極材料の製造方法をさらに提供し、
図1に示すように、
一次粒子と接着剤とを含む混合材料を
造粒して前駆体を得るステップと、
前駆体を熱処理して接着剤を炭化させて、熱処理生成物を得るステップと、
熱処理生成物を粉砕、分級処理して、一次粒子と以下の関係を満たす二次粒子を得、これにより負極材料を得るステップとを含み、
10≦D2
50/D1
max≦40 (I)
D2
min/D2
50≧0.08 (II)
D2
50/D2
max≧0.24 (III)
式(I)、(II)及び(III)において、D1
maxは一次粒子の最大粒径であり、D2
50は二次粒子のメジアン径であり、D2
minは二次粒子の最小粒径であり、D2
maxは二次粒子の最大粒径である。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0111
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0111】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層の材料は、金属酸化物を含み、前記金属酸化物は、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化リチウム、酸化コバルト及び酸化バナジウムのうちの少なくとも1つを含む。
【手続補正9】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0112
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0112】
一つの可能な実施形態において、前記被覆層の材料は、窒化物を含み、前記窒化物は、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化コバルト、窒化ニッケル及び窒化炭素のうちの少なくとも1つを含む。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0141
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0141】
(1)ナノシリコン粒子を嵩密度試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が20nm、D1max=103nm、体積密度が0.39g/cm3であるナノシリコンを得る。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0148
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0148】
(1)ナノシリコン粒子を嵩密度試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が20nm、D1max=111nm、体積密度が0.14g/cm3であるナノシリコンを得る。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0155
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0155】
(1)ナノシリコン粒子を嵩密度試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が100nm、D1max=249nm、体積密度が0.59g/cm3であるナノシリコンを得る。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0162
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0162】
(1)ナノシリコン粒子を嵩密度試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が30nm、D1max=115nm、体積密度が0.25g/cm3であるナノシリコンを得る。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0169
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0169】
(1)ナノシリコン粒子を嵩密度試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が150nm、D1max=314nm、体積密度が0.68g/cm3であるナノシリコンを得る。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0176
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0176】
(1)ナノシリコン粒子を嵩密度試験機によって測定し、及びマルバーン(MALVERN)粒度測定装置によって篩分し、メジアン径D150が180nm、D1max=478nm、体積密度が0.70g/cm3であるナノシリコンを得る。
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0213
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0213】
試験方法:
1、マルバーン粒度測定装置を用いて材料のメジアン径、最小粒径及び最大粒径を測定し、測定基準はISO13320:2009である。
2、嵩密度試験機を用いて材料の嵩密度を測定する。
3、比表面積試験機を用いて材料の比表面積を測定する。
4、静的容量法又は水銀圧入法を用いて材料の空孔率を測定する。
5、粒子真球度分析装置を用いて材料の真球度を測定する。
6、以下の方法で電気化学的サイクル性能を測定する。
【国際調査報告】