(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】低温貯蔵タンク
(51)【国際特許分類】
F17C 3/02 20060101AFI20241024BHJP
F17C 13/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F17C3/02
F17C13/08 302A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023576052
(86)(22)【出願日】2023-11-01
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2023129120
(87)【国際公開番号】W WO2024083263
(87)【国際公開日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】202211277061.3
(32)【優先日】2022-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523265906
【氏名又は名称】南通中集能源装備有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523265917
【氏名又は名称】中国国際海運集装箱(集団)股▲フン▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】523265928
【氏名又は名称】中集安瑞科投資控股(深▲セン▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】海航
(72)【発明者】
【氏名】羅永欣
(72)【発明者】
【氏名】周小翔
(72)【発明者】
【氏名】趙林
(72)【発明者】
【氏名】蒋平安
(72)【発明者】
【氏名】沈衛東
(72)【発明者】
【氏名】張雲凱
(72)【発明者】
【氏名】朱小林
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AB01
3E172AB11
3E172AB15
3E172BA06
3E172BB05
3E172BB12
3E172BB17
3E172DA36
(57)【要約】
本発明は、低温貯蔵タンクを提供する。当該低温貯蔵タンクは、ハウジングと、ハウジング中に位置する内容器と、内容器とハウジングとの間に支持された二つの支持アッセンブリとを含む。二つの支持アッセンブリのそれぞれが内容器軸方向に対向する両端に配列される。支持アッセンブリには、それぞれ、少なくとも四つの支持部材が含まれ、且つ支持部材の数が偶数であり、各支持アッセンブリの複数の支持部材は内容器の縦方向中軸面に対して対称に設置され、且つ内容器の水平中軸面の上下両側のいずれにも支持部材が設けられ、各支持部材には、それぞれ、内端と外端が含まれ、外端はハウジングの内壁に接続され、内端は内容器の外壁に接続され、支持部材が内容器の軸線にねじれの位置にある。即ち、支持部材は、内容器が周方向に回転しようとするときに内容器が回転しないように内容器を引っ張ることができるように偏心して設計されており、低温貯蔵タンクの正常な使用を保証している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジング内に位置する内容器と、前記内容器と前記ハウジングとの間に支持された二つの支持アッセンブリと、を含む低温貯蔵タンクであって、
二つの前記支持アッセンブリのそれぞれが前記内容器の軸方向に対向する両端に配置され、
前記支持アッセンブリには、それぞれ、少なくとも四つの支持部材が含まれ、且つ前記支持部材の数が偶数であり、各前記支持アッセンブリの複数の前記支持部材は、前記内容器の縦方向中軸面に対して対称に設置され、且つ前記内容器の水平中軸面の上下両側のいずれにも前記支持部材が設けられ、
各前記支持部材には、それぞれ、内端と外端が含まれ、前記外端が前記ハウジングの内壁に接続され、前記内端が前記内容器の外壁に接続され、前記支持部材が前記内容器の軸線に面一にならない
ことを特徴とする低温貯蔵タンク。
【請求項2】
各前記支持部材の内端と外端とが前記内容器の水平中軸面の同じ側に位置する
ことを特徴とする請求項1に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項3】
少なくとも二つの前記支持部材の内端及び対応する外端のそれぞれが前記内容器の水平中軸面の両側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項4】
複数の前記支持部材の内端が異なる縦方向平面に位置することによって位置ずれして設けられる
ことを特徴とする請求項3に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項5】
少なくとも二つの前記支持部材の内端は、同じ縦方向平面に位置し、残りの支持部材の内端と異なる縦方向平面に位置する
ことを特徴とする請求項3に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項6】
前記縦方向中軸面と前記水平中軸面を境界にして、前記低温貯蔵タンク内の空間を四つの象限領域に区分して、そのうちのいずれの前記象限領域内の前記支持部材は他の前記象限領域内の支持部材にも繋がらない
ことを特徴とする請求項1~請求項5のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項7】
同じ前記象限領域内に位置する支持部材の数が複数である場合、複数の前記支持部材はいずれも繋がっていない
ことを特徴とする請求項6に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項8】
各前記支持部材と前記内容器の水平中軸面の径方向との間の角度が30°~60°である
ことを特徴とする請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項9】
各前記支持部材と前記内容器の水平中軸面の軸方向との間の角度が60°~90°である
ことを特徴とする請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項10】
各前記支持アッセンブリの複数の前記支持部材は、前記内容器の水平中軸面に対して対称に設置される
ことを特徴とする請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項11】
前記内容器の水平中軸面以上に位置する前記支持部材の偏心距離と前記内容器の水平中軸面以下に位置する前記支持部材の偏心距離とは同じであるかまたは異なっている
ことを特徴とする請求項1~請求項10のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項12】
前記外端は前記ハウジングの筒体またはヘッダに接続され、
前記内端は前記内容器のヘッダに接続されている
ことを特徴とする請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項13】
前記支持部材は、チューブ状、棒状または懸垂環式を呈し、
前記支持部材が懸垂環式を呈する場合、前記支持部材の材質が繊維強化樹脂複合材である
ことを特徴とする請求項1~請求項12のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項14】
そのうちの少なくとも一つの前記支持アッセンブリは、前記内容器の周方向に分布する少なくとも二つの径方向支持をさらに含み、前記径方向支持の数が偶数であり、各前記径方向支持が前記内容器の径方向に延び、且つ各前記径方向支持の内端は、前記内容器の軸線上に位置し、外端は前記ハウジングの内壁に接続されている
ことを特徴とする請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【請求項15】
前記支持部材の外端は外取付け座を介して前記ハウジング上に取り付けられ、前記外取付け座は前記ハウジングの内壁に固定され、
前記支持部材の内端は内取付け座を介して前記内容器上に取り付けられ、前記内取付け座は前記内容器の外壁に固定されている
ことを特徴とする請求項1~請求項14のいずれか一項に記載の低温貯蔵タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2022年10月18日に中国特許局に出願された出願番号が202211277061.3であり、申請名が「低温貯蔵タンク」である中国特許出願の優先権を主張するものであり、その全体が参照により本願に援用される。
【0002】
本願は、低温圧力容器の分野に関し、特に低温貯蔵タンクに関する。
【背景技術】
【0003】
通常低温貯蔵タンクの媒体温度は、一般的に液体窒素の-196℃以上であるが、極低温媒体温度は-253℃以下となり、ここで、液体水素、液体ヘリウム媒体は、沸点が低く、密度が小さく、気化潜熱が小さいという特徴を有し、低温貯蔵タンクの保温に対する要求が一段と厳しくなっている。
【0004】
低温貯蔵タンクは、通常、ハウジングと、内容器と、支持構造を含み、ハウジングと内容器との間は真空空間となっており、支持構造は内容器をハウジングに支持する。支持構造は、内容器自体および収容された液体媒体の重量に耐えるだけでなく、外荷重からの衝撃にも耐える必要がある。同時に、低温貯蔵タンク全体の熱漏れが断熱要求を満たすことを保証するために、支持構造による伝熱が大き過ぎることができなくなる。
【0005】
現在の支持構造は、通常、径方向支持を含むが、径方向支持は、内容器の軸線周りの回転、即ち、内容器の周方向の回転を拘束しない。内容器が周方向に回転すると、内容器とハウジングとの間の介在管路が破損または失効しやすくなり、低温貯蔵タンクが正常に使用できなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、従来技術における内容器の周方向の回転によって低温貯蔵タンクが正常に使用できなくなる問題を解決するための低温貯蔵タンクを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した技術課題を解決するために、本発明は、低温貯蔵タンクを提供し、当該低温貯蔵タンクは、ハウジングと、前記ハウジング中に位置する内容器と、前記内容器と前記ハウジングとの間に支持された二つの支持アッセンブリを含み、二つの前記支持アッセンブリのそれぞれが前記内容器の軸方向に対向する両端に配置されている。
【0008】
前記支持アッセンブリには、それぞれ、少なくとも四つの支持部材が含まれ、且つ前記支持部材の数は偶数であり、各前記支持アッセンブリの複数の前記支持部材は、前記内容器の縦方向中軸面に対して対称に設置され、且つ前記内容器の水平中軸面の上下両側のいずれにも前記支持部材が設けられている。
【0009】
各前記支持部材には、それぞれ、内端と外端が含まれ、前記外端が前記ハウジングの内壁に接続され、前記内端が前記内容器の外壁に接続され、前記支持部材が前記内容器の軸線に面一にならない。
【0010】
その一の実施形態では、各前記支持部材の内端及び外端は、前記内容器の水平中軸面の同じ側に位置する。
【0011】
その一の実施形態では、少なくとも二つの前記支持部材の内端及び対応する外端のそれぞれが前記内容器の水平中軸面の両側に配置されている。
【0012】
その一の実施形態では、複数の前記支持部材の内端は、異なる縦方向平面に位置することによって位置ずれして設けられる。
【0013】
その一の実施形態では、少なくとも二つの前記支持部材の内端は、同じ縦方向平面に位置し、且つ残りの支持部材の内端と異なる縦方向平面に位置する。
【0014】
その一の実施形態では、前記縦方向中軸面及び前記水平中軸面を境にして、前記低温貯蔵タンク内の空間を四つの象限領域を区分して、そのうちのいずれの前記象限領域内の前記支持部材は他の前記象限領域内の支持部材にも繋がらない。
【0015】
その一の実施形態では、同じ前記象限領域内に位置する支持部材の数が複数である場合、複数の前記支持部材はいずれも繋がっていない。
【0016】
その一の実施形態では、各前記支持部材と前記内容器の水平中軸面の径方向との間の角度は、30°~60°である。
【0017】
その一の実施形態では、各前記支持部材と前記内容器の水平中軸面の軸方向との間の角度は、60°~90°である。
【0018】
その一の実施形態では、各前記支持アッセンブリの複数の前記支持部材は、前記内容器の水平中軸面に対して対称に設置される。
【0019】
その一の実施形態では、前記内容器の水平中軸面の以上に位置する前記支持部材の偏心距離は、前記内容器の水平中軸面の以下に位置する前記支持部材の偏心距離と同じであるかまたは異なっている。
【0020】
その一の実施形態では、前記外端は、前記ハウジングの筒体またはヘッダに接続されている。
【0021】
前記内端は、前記内容器のヘッダに接続されている。
【0022】
その一の実施形態では、前記支持部材は、チューブ状、棒状または懸垂環式を呈する。
【0023】
前記支持部材が懸垂環式を呈する場合、前記支持部材の材質は繊維強化樹脂複合材である。
【0024】
その一の実施形態では、そのうちの少なくとも一つの前記支持アッセンブリは、前記内容器の周方向に分布する少なくとも二つの径方向支持をさらに含み、前記径方向支持の数が偶数であり、各前記径方向支持は、前記内容器の径方向に沿って延び、且つ各前記径方向支持の内端は、前記内容器の軸線上に位置し、外端は前記ハウジングの内壁に接続されている。
【0025】
その一の実施形態では、前記支持部材の外端は、外取付け座を介して前記ハウジングに取り付けられ、前記外取付け座は、前記ハウジングの内壁に固定されている。
【0026】
前記支持部材の内端は、内取付け座を介して前記内容器に取り付けられ、前記内取付け座は、前記内容器の外壁に固定されている。
【発明の効果】
【0027】
以上のような技術案からわかるように、本発明の利点と積極的な効果は以下の通りである。
【0028】
本発明の低温貯蔵タンクは、内容器と、ハウジングと支持アッセンブリとを含む。支持アッセンブリには、それぞれ、少なくとも四つの支持部材が含まれ、各支持アッセンブリの複数の支持部材は内容器の縦方向中軸面に対して対称に設置され、且つ内容器の水平中軸面の上下両側のいずれにも支持部材が設けられ、支持部材は内容器の軸線に面一にならない。すなわち、支持部材は、内容器が周方向に回転しようとするときに、内容器が回転しないように内容器を引っ張ることができるように偏心して設計され、低温貯蔵タンクの正常な使用を保証する。また、偏心した支持部材によって内容器の周方向の回転を避けることができ、内容器とハウジングとの間に偏向防止構造を追加する必要がなく、それによって熱漏れ点を減少し、内容器とハウジングの間の熱損失を低下させる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明における低温貯蔵タンクの一実施例の部分構造概略図である。
【
図2】本発明における低温貯蔵タンクがハウジングの外ヘッダを取り除いた後の側面図である。
【
図3】本発明における低温貯蔵タンクがハウジングの外ヘッダを取り除いた後の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の特徴と利点を体現する典型的な実施形態は、以下の説明において詳述される。本発明は、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な実施形態において様々な変更を行うことができ、その説明および図示は、本質的に説明のためのものであり、本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0031】
本発明の原理および構造をさらに説明するために、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0032】
本発明は、液体窒素、液体水素、液体ヘリウム等の低温液体の貯蔵及び輸送に適用される低温貯蔵タンクを提供する。
【0033】
ここで、液体窒素の温度が-196℃であり、液体水素の温度が-253℃であり、液体ヘリウムの温度が-267.8℃である。
【0034】
本発明における低温貯蔵タンク1が横型低温貯蔵タンクであり、使用過程において、低温貯蔵タンクは横に置かれ、即ち、低温貯蔵タンクの軸線は水平方向に延びている。
【0035】
図1は、低温貯蔵タンクの部分構造概略図を示し、
図2は、低温貯蔵タンクの部分構造の側面図を示し、
図3は、低温貯蔵タンクの部分構造の正面図を示し、
図1、
図2及び
図3を併用して、低温貯蔵タンク1は、ハウジング11と、ハウジング11中に位置する内容器12と、内容器12とハウジング11との間に支持された支持アッセンブリを含む。
【0036】
内容器12は、低温液体を貯蔵するためのものである。本実施例において、内容器12の材料は、S31608で構成しても良い。
【0037】
具体的には、内容器12は、内筒体と、内筒体の両端に設けられた内ヘッダとを含む。
【0038】
ハウジング11は、内容器12の外周を包むとともに、ハウジング11の内壁と内容器12の外壁との間に間隔を有している。本実施例において、ハウジング11の材料は16MnDRで構成しても良い。
【0039】
ここで、ハウジング11と内容器12とは同心に設置され、即ち、ハウジング11と内容器12の軸線は同一直線上にある。
【0040】
具体的には、ハウジング11は、外筒体と、外筒体の両端に設けられた外ヘッダとを含む。
【0041】
支持アッセンブリは、内容器12をハウジング11内に支持するようにハウジング11と内容器12との間に設けられる。具体的には、支持アッセンブリの数が二つであり、二つの支持アッセンブリのそれぞれが内容器12の軸方向に対向する両端に配置されている。
【0042】
二つの支持アッセンブリのうち、一つは固定支持であり、もう一つは可動支持である。固定支持は、内容器12とハウジング11とを相対的に固定し、内容器12が軸方向に沿って前後に移動することを防止し、内容器12が熱膨張・収縮によって移動してアクセサリーに影響を与えないようにする。可動支持は、内容器12が熱膨張・収縮によってハウジング11に対して軸方向に相対的に摺動する際に、内容器12とともに移動することができる。
【0043】
各支持アッセンブリには、それぞれ、少なくとも四つの支持部材13が含まれている。また、支持部材13の数が偶数である。本実施例において、支持アッセンブリは四つの支持部材13を含み、他の実施例において、支持アッセンブリは、六つの支持部材13、八つの支持部材13などの他の数の支持部材13をさらに含んでもよい。
【0044】
各支持アッセンブリの複数の支持部材13は、内容器12の縦方向中軸面S1に対して対称に設置され、且つ内容器12の水平中軸面S2の上下両側のいずれにも支持部材13が設けられている。具体的には、本実施例において、四つの支持部材13が縦方向中軸面S1に対して対称に設置され、即ち、縦方向中軸面S1の両側に二つの支持部材13がそれぞれ設置され、かつ水平中軸面S2の上下両側に二つの支持部材13がそれぞれ設置されている。ここで、内容器12の縦方向中軸面S1とは、内容器12の軸線を通り、縦方向に延びる平面を意味する。水平中軸面S2とは、内容器12の軸線を通り、水平に延びる平面を意味する。ハウジング11と内容器12の軸線は同一直線上にあるので、ハウジング11と内容器12の縦方向中軸面S1は同じ面であり、水平中軸面S2も同じ面である。
【0045】
縦方向中軸面S1と水平中軸面S2を境界に、内容器12の端部の端点を中心として、低温貯蔵タンク1内の空間が四つの象限領域に区分される。本実施例において、支持部材13の数は四つであるので、各象限領域内に支持部材13を一つずつ対応付けている。他の実施例において、各象限領域内の支持部材13の数は、実際の状況に応じて設定されることができる。
【0046】
具体的には、各支持部材13には、それぞれ、内端と外端とが含まれている。ここで、外端はハウジング11の内壁に接続され、内端は内容器12の外壁に接続されている。具体的には、外端はハウジング11の筒体またはヘッダに接続されている。内端は内容器12のヘッダに接続されている。
【0047】
各支持アッセンブリ中における複数の支持部材13の外端は、ハウジング11の周方向に沿って間隔で設けられ、且つ各支持アッセンブリ中における複数の支持部材13の外端は、ハウジング11の縦方向中軸面S1に対して対称に設置されている。各支持アッセンブリの複数の支持部材13の内端は、内容器12の周方向に沿って間隔で設けられ、且つ各支持アッセンブリ中における複数の支持部材13の内端は、内容器12の縦方向中軸面S1に対して対称に設置されている。これにより、複数の支持部材13は内容器12の縦方向中軸面S1に対して対称に設置されているように形成される。
【0048】
支持部材13は、内容器12の軸線に面一にならない。具体的には、支持部材13は、内容器12の軸線と共に何れかの平面内に位置しないことを意味する。
【0049】
言い換えれば、内容器の頂点から内容器の外壁上の他のいずれの点までの接続線を径方向と定義し、各支持部材の延在方向は、径方向からずれている。内容器の頂点とは、具体的にはヘッダの頂点を指す。
【0050】
即ち、支持部材13の延在方向は、内容器12の径方向ではなく、即ち、支持部材13と内容器12の径方向との間に角度を有している。したがって、本願における支持部材13は、偏心設計として定義される。
【0051】
支持部材13は、内容器12が周方向に回転しようとすると、支持部材13の内端が移動して支持部材13が引っ張られ、支持部材13が引っ張られると、当該支持部材13が引張力を提供して内容器12を引っ張り、内容器12が周方向に回転できなくなるように偏心して設計されている。また、偏心した支持部材13は、内容器12が収縮する時に支持部材13の回転によって補償されるようにして、支持部材13に応力を減少させる。
【0052】
同時に、偏心した支持部材13によって、内容器12の周方向の回転を防止することができ、内容器12とハウジング11との間に偏向防止構造を追加する必要がないので、従来技術中における偏向防止方式に比べて、本願中における低温貯蔵タンク1は、熱漏れ点を減少し、内容器12とハウジング11との間の熱損失を低下させ、低温貯蔵タンク1の信頼性が向上させる。
【0053】
具体的には、本実施例において、各支持部材13の内端と対応する外端とは、内容器12の水平中軸面S2の同じ側に位置している。即ち、水平中軸面S2の上方に位置する支持部材13の内端及び外端はいずれも上方に位置し、且つ内端と水平中軸面S2との間に間隔を有している。水平中軸面S2の下方に位置する支持部材13の内端及び外端はいずれも下方に位置し、且つ内端と水平中軸面S2との間に間隔を有している。この時、そのうちのいずれの象限領域内の支持部材13は、他の象限領域内の支持部材13にも繋がらなく、即ち、任意の二つの支持部材13の間は繋がっていない。また、複数の支持部材13の内端は、同じ縦方向平面内に位置する。
【0054】
他の実施例において、少なくとも二つの支持部材13の内端及び対応する外端のそれぞれが内容器12の水平中軸面S2の両側に配置されてもよい。支持部材13の内端及び外端のそれぞれが両側に配置されていることは、支持部材13の内端が水平中軸面S2を通ることを意味する。支持部材13が縦方向中軸面S1に対して対称に設置されるので、そのうちのいずれの支持部材13の内端と外端のそれぞれが水平中軸面S2の両側に配置されている場合には、当該支持部材13に対称に設置される支持部材13の内端と外端とも、必然的にそれぞれ水平中軸面S2の両側に配置され、即ち、二つの支持部材13の内端と外端のそれぞれが水平中軸面S2の両側に配置されてもよいし、四個、六個または他の偶数個の支持部材13の内端と外端のそれぞれが水平中軸面S2の両側に配置されてもよい。
【0055】
例示的に、水平中軸面S2の上方に位置する、縦方向中軸面S1に対して対称に設置された二つの支持部材13に関して、各支持部材13の内端がいずれも水平中軸面S2を通って水平中軸面S2の下方に位置する。この時、そのうちのいずれの象限領域内の支持部材13は、他の象限領域内の支持部材13にも繋がらなく、即ち、任意の二つの支持部材13との間は繋がっていない。また、複数の支持部材13の内端は、同じ縦方向平面内に位置する。複数の支持部材13の内端は、異なる縦方向平面に位置してもよい。
【0056】
また例えば、全ての支持部材13の内端及び対応する外端のそれぞれが内容器12の水平中軸面の両側に配置されている。即ち、各支持部材13の内端はいずれも水平中軸面S2を通っている。
【0057】
ここで、支持部材13の内端と外端のそれぞれが水平中軸面S2の両側に配置されている場合には、複数の支持部材13の内端が異なる縦方向平面に位置することによって、複数の支持部材13が互いに繋がらないように、位置ズレ設置を実現することができる。また、少なくとも二つの支持部材13の内端が同じ縦方向平面に位置し、且つ残りの支持部材13の内端と異なる縦方向平面に位置することによって、複数の支持部材13が互いに繋がらないように、位置ズレ設置を実現することができる。
【0058】
例示的に、水平中軸面S2の上方に位置する二つの支持部材13の内端は、水平中軸面S2を通り、且つ当該二つの支持部材13のそれぞれが縦方向中軸面S1の両側に配置されて対称的に設置され、上記した二つの支持部材13の内端が同じ縦方向平面内に位置し、且つ当該二つの支持部材13の内端と残りの支持部材13の内端とは、異なる縦方向平面内に位置する。
【0059】
支持部材13の内端が水平中軸面S2を通る設置は、支持部材13の長さを増加させ、熱伝導経路を延長させ、内容器12上の冷熱の伝達が支持部材13を介してハウジング11に伝達されることをよりよく回避することができる。
【0060】
実際の使用において、支持部材13の内端が水平中軸面S2を通るか否かは、具体的な状況に応じて設定される。
【0061】
ここで、支持部材13の内端と外端のそれぞれが水平中軸面S2の両側に配置される場合には、当該支持部材13の大部分が位置する象限領域を当該支持部材13が位置する象限領域と定義する。例示的に、そのうちの一つの支持部材13の大部分は、一方の象限領域、例えば第1象限領域に位置し、たとえ当該支持部材13の内端が水平中軸面S2を通って他方の象限領域内に位置したとしても、依然、当該支持部材13は第1象限領域内に位置すると定義される。
【0062】
各支持部材13と内容器12の水平中軸面S2の径方向との間の角度aは、
図2に示すように、30°~60°である。角度aが30°~60°の範囲内にあると、支持部材13が引張状態にあることをよりよく保証することができ、具体的には、受力荷重の大きさに応じて調整することができる。
【0063】
また、各支持部材13と内容器12の水平中軸面S2の軸方向との間の角度βは、
図3に示すように、60°~90°である。当該角度の設計は、軸方向の摺動距離を提供し、過大な応力を回避する。
【0064】
また、当該角度の設計により、低温貯蔵タンク1は、極低温液体媒体を充填する際に、内容器12が収縮し、可動に支持された支持部材13が回転可能であり、内容器12に追従して移動するのに特に適している。具体的な応用において、当該角度を合理的に選択することによって、支持部材13が常に引っ張られた状態にあることが保証される。ここで、通常の低温媒体の温度は、一般的に液体窒素の-196℃以上であり、極低温媒体とは、-196℃よりも低い温度の媒体を指し、例えば、液体水素と液体ヘリウムであり、液体水素の温度が-253℃であり、液体ヘリウムの温度が-267.8℃である。
支持部材13は、内容器12の周方向の回転を防止するために、常に内容器12を引っ張ることができるように常に引っ張られた状態を維持する。
【0065】
内容器12の水平中軸面S2以上に位置する支持部材13の偏心距離と内容器12の水平中軸面S2以下に位置する支持部材13の偏心距離とは同じであるかまたは異なっている。水平中軸面S2以上に位置する支持部材13を例にとると、本願中における偏心距離とは、支持部材13が水平中軸面S2までに延長された交点と軸線との間の距離を指す。
図2に示すように、水平中軸面S2以上の偏心距離をL1、水平中軸面以下の偏心距離をL2としたとき、L1とL2とは等しくてもよいし、等しくなくてもよい。
【0066】
本実施例において、支持部材13の数は四つであり、即ち、水平中軸面S2の上に二つの支持部材13が設置され、二つの支持部材13が対称に設置され、この時、各支持部材13の偏心距離はいずれもL1であり、水平中軸面S2の下に二つの支持部材13が設置され、二つの支持部材13が対称に設置され、この時、各支持部材13の偏心距離はいずれもL2である。
【0067】
L1とL2とが等しい場合には、支持アッセンブリの複数の支持部材13は水平中軸面S2に対して対称に設置される。
【0068】
他の実施例において、水平中軸面S2上の支持部材13の数が四つの場合、対称に設置された二つの支持部材13の偏心距離は同じである。この時、水平中軸面S2下の支持部材13の数は、二つでも四つでもよく、支持部材13が二つの場合、その偏心距離は、水平中軸面S2以上の任意の偏心距離とも異なっていてもよいし、水平中軸面S2以上のいずれかの偏心距離と同じであってもよい。
【0069】
水平中軸面S2下の支持部材13が四つの場合、水平中軸面S2下の偏心距離は、水平中軸面S2上の偏心距離とは全く異なるように選択することができ、即ち、支持アッセンブリ全体の偏心距離が四つの数値を有し、一方の偏心距離が水平中軸面S2以上の一方の偏心距離と等しくてもよく、即ち、支持アッセンブリ全体の偏心距離が三つの数値を有し、支持アッセンブリの複数の支持部材13もまた、水平中軸面S2に対して対称に設置されてもよく、即ち、支持アッセンブリ全体の偏心距離は、二つの数値だけである。
【0070】
具体的に、支持部材13は、チューブ状、棒状または懸垂環式を呈する。支持部材13が懸垂環式を呈する場合、支持部材13の材質が繊維強化樹脂複合材である。
【0071】
支持部材13の外端は、外取付け座14を介してハウジング11の上に取り付けられ、外取付け座14は、ハウジング11の内壁に固定されている。支持部材13の内端は、内取付け座15を介して内容器12の上に取り付けられ、内取付け座15は、内容器12の外壁に固定されている。
【0072】
ここで、支持部材13の内端が異なる縦方向平面に位置する場合には、内取付け座15の異なる仕様によって実現される。
【0073】
さらに、そのうちの少なくとも一つの支持アッセンブリは、内容器12の周方向に分布する少なくとも二つの径方向支持をさらに含む。径方向支持の数が偶数であり、各径方向支持は、内容器12の径方向に延び、且つ各径方向支持の内端は、内容器12の軸線上に位置し、外端はハウジング11の内壁に接続されている。本実施例において、複数の径方向支持は内容器12の周方向に均一に分布している。
【0074】
即ち、固定支持または可動支持は径方向支持をさらに含み、固定支持と可動支持の両方が同時に径方向支持を含むこともできる。
【0075】
固定支持の径方向支持の数と可動支持の径方向支持の数が同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0076】
以上のような技術案からわかるように、本発明の利点と積極的な効果は以下の通りである。
【0077】
本発明の低温貯蔵タンクは、内容器と、ハウジングと、支持アッセンブリとを含む。支持アッセンブリには、それぞれ、少なくとも四つの支持部材が含まれ、各支持アッセンブリの複数の支持部材は内容器の縦方向中軸面に対して対称に設置され、且つ内容器の水平中軸面の上下両側のいずれにも支持部材が設けられ、支持部材は内容器の軸線に面一にならない。すなわち、支持部材は、内容器が周方向に回転しようとするときに、内容器が回転しないように内容器を引っ張ることができるように偏心して設計され、低温貯蔵タンクの正常な使用を保証する。また、偏心した支持部材によって内容器の周方向の回転を避けることができ、内容器とハウジングとの間に偏向防止構造を追加する必要がなく、それによって熱漏れ点を減少し、内容器とハウジングの間の熱損失を低下させる。
【0078】
本発明は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明されてきたが、使用される用語は、説明かつ例示的であって、制限的なものではないことを理解されたい。本発明は、発明の精神または実質から逸脱することなく、様々な形態で具体的に実施することができるので、上述の実施形態は、前述のものに限定されるものではなく、特許請求の範囲によって定義される精神および範囲内で広く解釈されるべきであるため、特許請求の範囲またはその均等の範囲内に入るすべての変更および修正は、添付の特許請求の範囲によって網羅されるべきであることを理解されたい。
【符号の説明】
【0079】
1 低温貯蔵タンク
11 ハウジング
12 内容器
13 支持部材
14 外取付け座
15 内取付け座
【国際調査報告】