(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】針出力機構、注入経路モジュール及び薬剤注入システム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/06 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61M25/06 500
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023579383
(86)(22)【出願日】2022-10-14
(85)【翻訳文提出日】2024-01-23
(86)【国際出願番号】 CN2022125386
(87)【国際公開番号】W WO2024077599
(87)【国際公開日】2024-04-18
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516287911
【氏名又は名称】群康生技股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100131200
【氏名又は名称】河部 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100221512
【氏名又は名称】山中 誠司
(72)【発明者】
【氏名】葉 進民
(72)【発明者】
【氏名】王 志偉
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA02
4C267AA14
4C267BB23
4C267CC01
4C267HH22
(57)【要約】
本発明は、針出力機構、注入経路モジュール及び薬剤注入システムに関する。注入経路モジュールは、針出力機構及びアダプタ機構を含む。薬剤注入システムは、注入経路モジュールと、注入経路モジュールに着脱自在に接続される薬剤貯蔵モジュールと、駆動モジュールとを含む。針出力機構は、ケーシングと、ケーシングに取り付けられた針出力操作アセンブリ及び穿刺アセンブリとを含む。針座が回転要素によって駆動され、穿刺針と導管要素を組み合わせることによって形成される穿刺アセンブリを針出力させる動きを完了させ、その後、穿刺針が後退し、導管要素がケーシングから突出するように抑止される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングと、
前記ケーシング内に組み立てられ、針出力要素、回転要素及び針座を含む針出力操作アセンブリと、
前記ケーシング内に組み立てられ、穿刺針及び導管要素を含む穿刺アセンブリとを備え、
前記針出力要素は、前記ケーシング内に移動可能に取り付けられ;前記回転要素は、前記ケーシング内に回転可能に取り付けられ、前記針出力要素によって回転するように駆動されることが可能であり;前記針座は、前記回転要素内に移動可能に取り付けられ、前記回転要素によって第1位置と第2位置との間で移動するように駆動されることが可能であり;前記穿刺針は、前記該針座と接続され、前記該導管要素は前記穿刺針と結合可能であり、
針出力状態において、前記導管要素と前記穿刺針とを組み合わせることによって形成される前記穿刺アセンブリは、前記針出力操作アセンブリによって駆動され前記穿刺アセンブリの少なくとも一部を前記ケーシングから突出させ;針後退状態において、前記穿刺針は、前記針座とともに上方に移動し前記穿刺針を後退させることを特徴とする針出力機構。
【請求項2】
請求項1に記載の針出力機構において、
前記針出力要素は、前記ケーシング内に直線移動するように取り付けられ;前記回転要素は、前記ケーシング内に取り付けられ前記針出力要素によって正逆回転するように駆動可能であることを特徴とする針出力機構。
【請求項3】
請求項1に記載の針出力機構において、
前記針出力操作アセンブリは、針座プラグをさらに含み、前記針座プラグは、前記ケーシング内に取り付けられ;前記穿刺針は、前記針座プラグ内に突出し;前記導管要素は、前記針座プラグの内側に配置され前記穿刺針の周りにスリーブ状に設けられ;前記針座は、前記回転要素と前記針座プラグとの間を移動するように前記回転要素によって駆動可能であることを特徴とする針出力機構。
【請求項4】
請求項3に記載の針出力機構において、
前記針座プラグは、収容室と、前記収容室の下端に配置された液体注入室と、前記液体注入室の側方に配置され前記液体注入室と連通する接続口と、前記液体注入室の下端に配置され前記ケーシングの背面に露出するシール部とを有し、
前記針出力状態において、前記穿刺アセンブリは、前記針座プラグの底面の前記シール部を貫通し;前記針後退状態において、前記導管要素の一部は、前記シール部から突出することを特徴とする針出力機構。
【請求項5】
請求項1に記載の針出力機構において、
前記回転要素は、その中に形成されたねじ孔を有し;前記針座にねじ部が設けられ、前記ねじ部は前記回転要素の前記ねじ孔と係合し;前記回転要素の上端にギア部が設けられ;前記針出力要素は、細長レール溝と前記細長レール溝内に設けられた歯付き駆動部とを有し、前記細長レール溝の長さは操作ストロークとして規定され;前記歯付き駆動部は、正回転ラックセグメントと逆回転ラックセグメントとを含み;前記正回転ラックセグメント及び前記逆回転ラックセグメントは、前記細長レール溝に沿ってそれぞれ配置された2つの異なる部分であり2つの対向する側面に配置され;前記回転要素の前記ギア部は、前記細長レール溝内に配置され、
前記操作ストロークに沿った前記針出力要素の移動に伴って、前記回転要素の前記ギア部は前記正回転ラックセグメント又は前記逆回転ラックセグメントの何れかとそれぞれ噛み合うことができ、前記回転要素は正回転方向及び逆回転方向に回転するように駆動されることができることを特徴とする針出力機構。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の針出力機構において、
前記ケーシングは、ベースと前記ベースの周囲にスリーブ状に設けられた外側ケーシングとを含み;前記外側ケーシングの背面には移動ストローク内を移動可能な接触端キャップが取り付けられ;前記外側ケーシングと前記接触端キャップの間に弾力要素が配置され;前記針出力要素は、前記ベースに取り付けられて操作ストロークの距離内で移動可能であり;前記針出力要素は、前記操作ストロークの開始位置と終了位置でそれぞれ前記ベース内にロックされてロック状態になることができ;前記弾力要素の弾性力が前記接触端キャップに作用して、前記接触端キャップの一部が前記外側ケーシングの背面から突出し;前記操作ストロークの前記開始位置に位置する前記針出力要素を前記ロック状態から解放するために前記接触端キャップを強制的に前記外側ケーシング内に進入させることができることを特徴とする針出力機構。
【請求項7】
請求項6に記載の針出力機構において、
前記ベースは、前記操作ストロークの前記開始位置に配置された第1係合孔と前記操作ストロークの前記終了位置に配置された第2係合孔とを有し;前記針出力要素の後端部に係合フックが設けられて前記係合フックは前記第1係合孔又は前記第2係合孔に選択的に係合可能であり;前記接触端キャップはロック解除押圧部を有し、
前記接触端キャップが前記外側ケーシング内に強制的に進入させられると、前記ロック解除押圧部は、前記針出力要素の前記係合フックを押して前記第1係合孔から係合解除させ、ロックされている前記針出力要素を前記ロック状態から解除させることができることを特徴とする針出力機構。
【請求項8】
請求項1乃至5の何れか1つに記載の針出力機構と、
前記針出力機構の側面に組み付けられたアダプタ機構とを備え、
前記アダプタ機構は、アダプタ座、流路切替弁、ピストンバレル及びピストンロッドを含み、
前記アダプタ座は前記針出力機構に組み付けられており;前記流路切替弁及び前記ピストンバレルはいずれも前記アダプタ座に取り付けられ;前記アダプタ座は前記ピストンバレルと連通する薬液流入路及び薬液流出路を有し;前記流路切替弁は前記アダプタ座の前記薬液流出路を介して前記針出力機構の接続口と連通し;前記ピストンロッドは、前記ピストンバレルに直線的に移動可能に組み付けられていることを特徴とする注入経路モジュール。
【請求項9】
請求項8に記載の注入経路モジュールにおいて、
前記流路切替弁は、一方向入力弁部と一方向出力弁部とを含み;前記ピストンバレルの2つの端部は、それぞれ連結端部とバレル開口端部とであり;前記連結端部は前記流路切替弁に接続され、前記バレル開口端部は前記アダプタ座から突出し;前記ピストンバレルは、その中に形成されたピストン室を有し;前記連結端部は、前記ピストン室と連通する薬液流入口及び薬液流出口を有し;前記薬液流入口は前記一方向入力弁部に接続され、前記薬液流出口は前記一方向出力弁部に接続され;前記ピストンロッドは、前記ピストンバレルの前記ピストン室内を直線的に移動するように駆動され、前記薬液流入路及び前記一方向入力弁部を介して前記ピストン室内に薬液を一方向に吸引し、前記一方向出力弁部を介して前記薬液流出路に前記薬液を一方向に出力することが可能であることを特徴とする注入経路モジュール。
【請求項10】
注入経路モジュールと、薬剤貯蔵モジュールと、駆動モジュールとを備え、
前記注入経路モジュールは、請求項1乃至5の何れか1つに記載の針出力機構とアダプタ機構とを含み、前記アダプタ機構は、前記針出力機構の側面に組み付けられており、前記アダプタ機構は、アダプタ座、流路切替弁、ピストンバレル及びピストンロッドを含み;前記アダプタ座は、前記針出力機構に組み付けられ;前記流路切替弁及び前記ピストンバレルは、いずれも前記アダプタ座に取り付けられ;前記アダプタ座は、前記ピストンバレルと連通する薬液流入路及び薬液流出路を有し;前記流路切替弁は、前記アダプタ座の前記薬液流出路を介して前記針出力機構の接続口と連通し;前記ピストンロッドは、前記ピストンバレルに直線的に移動可能に組み付けられ、
前記薬剤貯蔵モジュールは、薬液貯蔵容器と外カバーとを含み;前記薬液貯蔵容器は、薬液が充填された容器本体と、前記容器本体に組み付けられた容器コネクタとを含み;前記容器コネクタは、前記注入経路モジュールの前記アダプタ機構の前記薬液流入路に接続され;前記外カバーは、前記薬液貯蔵容器の周囲にスリーブ状に設けられ、前記針出力機構の前記ケーシングと接続可能であり、
前記駆動モジュールは、前記注入経路モジュールに着脱自在に組み付けられ、前記アダプタ機構の前記ピストンロッドを駆動可能であることを特徴とする薬剤注入システム。
【請求項11】
請求項10に記載の薬剤注入システムにおいて、
前記容器コネクタは、コネクタ本体を含み;前記コネクタ本体は、容器接続端部、注入接続端部及び注入端部分を含み;前記容器コネクタの注入路は、前記容器接続端部から前記注入接続端部まで延び、前記容器接続端部を介して前記容器本体と接続され;前記注入接続端部は、前記アダプタ機構の前記薬液流入路に接続され;前記注入端部分は、前記注入路と連通する注入分岐路と、前記注入分岐路に取り付けられ、前記注入分岐路を封止する注入プラグとを有し;前記注入プラグは、前記コネクタ本体の外部に露出するプラグ端部を有し、前記プラグ端部は、前記外カバーの背面に露出することを特徴とする薬剤注入システム。
【請求項12】
請求項10に記載の薬剤注入システムにおいて、
前記針出力機構の前記ケーシングは、ベースと前記ベースの周囲にスリーブ状に設けられた外側ケーシングとを含み;前記外側ケーシングの背面には移動ストローク内を移動可能な接触端キャップが取り付けられ;前記外側ケーシングと前記接触端キャップの間に弾力要素が配置され;前記針出力要素は、前記ベースに取り付けられて操作ストロークの距離内で移動可能であり;前記針出力要素は、前記操作ストロークの開始位置と終了位置でそれぞれ前記ベース内にロックされてロック状態になることができ;前記弾力要素の弾性力が前記接触端キャップに作用して、前記接触端キャップの一部が前記外側ケーシングの背面から突出し;前記操作ストロークの前記開始位置に位置する前記針出力要素を前記ロック状態から解放するために前記接触端キャップを強制的に前記外側ケーシング内に進入させることができ、
前記流路切替弁は、一方向入力弁部と一方向出力弁部とを含み;前記ピストンバレルの2つの端部は、それぞれ連結端部とバレル開口端部とであり;前記連結端部は前記流路切替弁に接続され、前記バレル開口端部は前記アダプタ座から突出し;前記ピストンバレルは、その中に形成されたピストン室を有し;前記連結端部は、前記ピストン室と連通する薬液流入口及び薬液流出口を有し;前記薬液流入口は前記一方向入力弁部に接続され、前記薬液流出口は前記一方向出力弁部に接続され;前記ピストンロッドは、前記ピストンバレルの前記ピストン室内を直線的に移動するように駆動され、前記薬液流入路及び前記一方向入力弁部を介して前記ピストン室内に薬液を一方向に吸引し、前記一方向出力弁部を介して前記薬液流出路に前記薬液を一方向に出力することが可能であり、
前記駆動モジュールは、ハウジング、制御ユニット、中心軸を有するモータ、及び伝達アセンブリを含み;前記制御ユニット、前記モータ、及び前記伝達アセンブリは、すべて前記ハウジングに取り付けられ;前記モータは、前記制御ユニットに電気的に接続され、前記制御ユニットによって制御され;前記伝達アセンブリは、駆動輪、連結ロッド、及び駆動要素を含み;前記駆動輪は、前記モータの前記中心軸に組み付けられ、前記連結ロッドの一端は、前記駆動輪に偏心して回動可能に連結され、前記連結ロッドの他端は、前記駆動要素に連結され、前記駆動要素を介して前記ピストンロッドの先端に着脱自在に連結され;前記連結ロッド及び前記駆動要素の移動方向は、前記ピストンロッドの中心軸と平行であることを特徴とする薬剤注入システム。
【請求項13】
請求項12に記載の薬剤注入システムにおいて、
前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記ハウジング本体に取り付けられたハウジングカバーとを含み;前記ハウジング内には、電源ユニットと2つの電気コネクタとが取り付け可能であり;前記電源ユニットは、前記2つの電気コネクタを介して前記制御ユニットに電気的に接続可能であり;前記電源ユニットの端部と、その位置に対応する前記電気コネクタの一方との間には、絶縁及び分離のために絶縁シートが設けられ;前記絶縁シートは、前記ハウジングから突出していることを特徴とする薬剤注入システム。
【請求項14】
請求項12に記載の薬剤注入システムにおいて、
前記駆動モジュールは、作動スイッチ、確認スイッチ、及び計数要素を含み;前記作動スイッチ、前記確認スイッチ、及び前記計数要素はすべて、前記制御ユニットに電気的に接続され;前記作動スイッチは、前記ハウジングに取り付けられ、前記針出力要素の前記操作ストロークの前記終了位置に配置され;前記針出力要素が前記終了位置まで押されると、前記作動スイッチが作動し、
前記確認スイッチは、前記ハウジングに取り付けられ、前記接触端キャップの前記移動ストロークの終了位置に配置され;前記接触端キャップが前記終了位置まで押されると、前記確認スイッチが作動し、
前記計数要素は、前記ハウジングに取り付けられ、前記駆動要素の移動経路に配置され;前記駆動要素が移動されると、前記計数要素が作動されることを特徴とする薬剤注入システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤注入の技術分野に関し、特に、針出力機構、注入経路モジュール及び薬剤注入システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、薬液を人体の皮下に注入する薬剤注入システムは、主に、手動又は電動で操作可能な注入機構を使用しており、薬剤容器を接続し、注入機構の針セットを人体に挿入して、針セットうちの軟らかい針を人体の皮膚に刺したままにして針セットのうちの硬い針を引き抜く。そして、薬液は、人体に突き刺さった軟らかい針を通して、人体の皮下組織に手動又は電動で注入される。
【0003】
前述の注入機構は、軟らかい針と硬い針を含む複合針セットを有し、人体の皮下注入のための部品を提供する。しかし、従来の注入機構は、複雑な針出力操作機構によって操作されるため、硬い針の周囲に軟らかい針がスリーブ状に設けられた状態で針セットが人体に突き刺され、その後、硬い針が引き抜かれ、軟らかい針が人体内に残される。針セットの操作は比較的面倒である。
【0004】
また、従来の注入機構の前述の問題点を踏まえ、注入機構に組み合わされるアダプタ機構を薬剤貯蔵機構に接続した後、薬液の搬送経路も比較的複雑である。また、薬剤注入システムにおける各機構の組み合わせ構造も、理想的な注入方法を提供することが困難である。薬剤注入システムにおける針出力機構をさらに最適化する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本発明が解決しようとする技術的課題は、従来の薬剤注入システムにおける針出力機構が複雑な針出力機構を使用しており、穿刺針に導管要素をスリーブ状に設けた形態で人体に穿刺し、穿刺針を引き抜いた後に導管要素を人体に残すことによって行われる穿刺アセンブリの操作方法が面倒であるという問題を解決するための針出力機構、注入経路モジュール及び薬剤注入システムを提供することである。
【0006】
本発明が提案する技術的解決法は、針出力機構を提供することであり、針出力機構は、
ケーシングと、
前記ケーシング内に組み立てられ、針出力要素、回転要素及び針座を含む針出力操作アセンブリと、
前記ケーシング内に組み立てられ、穿刺針及び導管要素を含む穿刺アセンブリとを備え、
前記針出力要素は、前記ケーシング内に移動可能に取り付けられ;前記回転要素は、前記ケーシング内に回転可能に取り付けられ、前記針出力要素によって回転するように駆動されることが可能であり;前記針座は、前記回転要素内に移動可能に取り付けられ、前記回転要素によって第1位置と第2位置との間で移動するように駆動されることが可能であり;前記穿刺針は、前記該針座と接続され、前記該導管要素は前記穿刺針と結合可能であり、
針出力状態において、前記導管要素と前記穿刺針とを組み合わせることによって形成される前記穿刺アセンブリは、前記針出力操作アセンブリによって駆動され前記穿刺アセンブリの少なくとも一部を前記ケーシングから突出させ;針後退状態において、前記穿刺針は、前記針座とともに上方に移動し前記穿刺針を後退させる。
【0007】
前述の針出力機構では、
前記針出力要素は、前記ケーシング内に直線移動するように取り付けられ;前記回転要素は、前記ケーシング内に取り付けられ前記針出力要素によって正逆回転するように駆動可能である。
【0008】
前述の針出力機構では、
前記針出力操作アセンブリは、針座プラグをさらに含み、前記針座プラグは、前記ケーシング内に取り付けられ;前記穿刺針は、前記針座プラグ内に突出し;前記導管要素は、前記針座プラグの内側に配置され前記穿刺針の周りにスリーブ状に設けられ;前記針座は、前記回転要素と前記針座プラグとの間を移動するように前記回転要素によって駆動可能である。
【0009】
前述の針出力機構では、
前記針座プラグは、収容室と、前記収容室の下端に配置された液体注入室と、前記液体注入室の側方に配置され前記液体注入室と連通する接続口と、前記液体注入室の下端に配置され前記ケーシングの背面に露出するシール部とを有し、
前記針出力状態において、前記穿刺アセンブリは、前記針座プラグの底面の前記シール部を貫通し;前記針後退状態において、前記導管要素の一部は、前記シール部から突出する。
【0010】
前述の針出力機構では、
前記回転要素は、その中に形成されたねじ孔を有し;前記針座にねじ部が設けられ、前記ねじ部は前記回転要素の前記ねじ孔と係合し;前記回転要素の上端にギア部が設けられ;前記針出力要素は、細長レール溝と前記細長レール溝内に設けられた歯付き駆動部とを有し、前記細長レール溝の長さは操作ストロークとして規定され;前記歯付き駆動部は、正回転ラックセグメントと逆回転ラックセグメントとを含み;前記正回転ラックセグメント及び前記逆回転ラックセグメントは、細長レール溝に沿ってそれぞれ配置された2つの異なる部分であり2つの対向する側面に配置され;前記回転要素の前記ギア部は、前記細長レール溝内に配置され、
前記操作ストロークに沿った前記針出力要素の移動に伴って、前記回転要素の前記ギア部は前記正回転ラックセグメント又は前記逆回転ラックセグメントの何れかとそれぞれ噛み合うことができ、前記回転要素は正回転方向及び逆回転方向に回転するように駆動されることができる。
【0011】
前述の針出力機構では、
前記ケーシングは、ベースと前記ベースの周囲にスリーブ状に設けられた外側ケーシングとを含み;前記外側ケーシングの背面には移動ストローク内を移動可能な接触端キャップが取り付けられ;前記外側ケーシングと前記接触端キャップの間に弾力要素が配置され;前記針出力要素は、前記ベースに取り付けられて前記操作ストロークの距離内で移動可能であり;前記針出力要素は、前記操作ストロークの開始位置と終了位置でそれぞれ前記ベース内にロックされてロック状態になることができ;前記弾力要素の弾性力が前記接触端キャップに作用して、前記接触端キャップの一部が前記外側ケーシングの背面から突出し;前記操作ストロークの前記開始位置に位置する前記針出力要素を前記ロック状態から解放するために前記接触端キャップを強制的に前記外側ケーシング内に進入させることができる。
【0012】
前述の針出力機構では、
前記ベースは、前記操作ストロークの前記開始位置に配置された第1係合孔と前記操作ストロークの前記終了位置に配置された第2係合孔とを有し;前記針出力要素の後端部に係合フックが設けられて前記係合フックは前記第1係合孔又は前記第2係合孔に選択的に係合可能であり;前記接触端キャップはロック解除押圧部を有し、
前記接触端キャップが前記外側ケーシング内に強制的に進入させられると、前記ロック解除押圧部は、前記針出力要素の前記係合フックを押して前記第1係合孔から係合解除させ、ロックされている前記針出力要素を前記ロック状態から解除させることができる。
【0013】
前述の針出力機構の全体構造により、針出力機構は、主に穿刺アセンブリの針出力要素と回転要素及び針座との組み合わせ構造を使用し、針出力要素が回転要素を1回の操作ストロークで最初に正回転させ、次に逆回転させるように駆動することができる。さらに、針座セットの針座は回転要素によって駆動され、導管要素と穿刺針が組み合わされて形成される穿刺アセンブリを針出力にする。その後、穿刺針は針座とともに上方に移動して穿刺針を後退させ、導管要素はケーシングから突出したままとなり、針出力状態となる。このようにして、針を出力する際の針出力機構の操作が容易になり、製品の最適化という本発明の目的が達成される。
【0014】
本発明の針出力機構のケーシングは、ベースと、ベースの周囲にスリーブ状に設けられた外側ケーシングとをさらに含むことができる。外側ケーシングの背面側には、移動ストローク内を移動可能な接触端キャップが取り付けられている。外側ケーシングと接触端キャップとの間には、弾力要素が配置されている。針出力要素は、ベース内に取り付けられ、操作ストロークの距離内で移動可能である。針出力要素は、操作ストロークの開始位置と終了位置でそれぞれベース内にロックされ、ロック状態になることができる。弾力要素の弾性力が接触端キャップに作用し、接触端キャップの一部が外側ケーシングの背面から突出する。接触端キャップは、操作ストロークの開始位置に位置する針出力要素をロック状態から解放するために、強制的に外側ケーシング内に進入させることができる。このように、針出力機構に安全保護機構が設けられているため、針出力機構が使用されていないときに針出力要素が誤って針を出力することがない。注入後、接触端キャップは穿刺アセンブリの周りにスリーブ状に設けられ、穿刺アセンブリが露出して人を刺すのを防ぐことができる。
【0015】
本発明が提案する技術的解決法は、注入経路モジュールを提供することであり、注入経路モジュールは、
前述の針出力機構と、
前記針出力機構の側面に組み付けられたアダプタ機構とを備え、
前記アダプタ機構は、アダプタ座、流路切替弁、ピストンバレル及びピストンロッドを含み、
前記アダプタ座は前記針出力機構に組み付けられており;前記流路切替弁及び前記ピストンバレルはいずれも前記アダプタ座に取り付けられ;前記アダプタ座は前記ピストンバレルと連通する薬液流入路及び薬液流出路を有し;前記流路切替弁は前記アダプタ座の前記薬液流出路を介して前記針出力機構の接続口と連通し;前記ピストンロッドは、前記ピストンバレルに直線的に移動可能に組み付けられている。
【0016】
前述の注入経路モジュールでは、
前記流路切替弁は、一方向入力弁部と一方向出力弁部とを含み;前記ピストンバレルの2つの端部は、それぞれ連結端部とバレル開口端部とであり;前記連結端部は前記流路切替弁に接続され、前記バレル開口端部は前記アダプタ座から突出し;前記ピストンバレルは、その中に形成されたピストン室を有し;前記連結端部は、前記ピストン室と連通する薬液流入口及び薬液流出口を有し;前記薬液流入口は前記一方向入力弁部に接続され、前記薬液流出口は前記一方向出力弁部に接続され;前記ピストンロッドは、前記ピストンバレルの前記ピストン室内を直線的に移動するように駆動され、前記薬液流入路及び前記一方向入力弁部を介して前記ピストン室内に薬液を一方向に吸引し、前記一方向出力弁部を介して前記薬液流出路に前記薬液を一方向に出力することが可能である。
【0017】
前述の注入経路モジュールの全体構造により、針出力機構の針出力運動を最適化することに加えて、注入経路モジュールは、アダプタ機構を薬剤貯蔵モジュールと直接接続することもできる。従って、薬液はアダプタ機構を通して針出力機構に直接供給することができ、アダプタ機構に外部接続された駆動モジュールは注入プロセス中に注入される薬液と全く接触せず、薬液を汚染する可能性を低減することができる。
【0018】
本発明が提案する技術的解決法は、薬剤注入システムを提供することであり、薬剤注入システムは、
注入経路モジュールと、薬剤貯蔵モジュールと、駆動モジュールとを備え、
前記注入経路モジュールは、前述の針出力機構とアダプタ機構とを含み、前記アダプタ機構は、前記針出力機構の側面に組み付けられており、前記アダプタ機構は、アダプタ座、流路切替弁、ピストンバレル及びピストンロッドを含み;前記アダプタ座は、前記針出力機構に組み付けられ;前記流路切替弁及び前記ピストンバレルは、いずれも前記アダプタ座に取り付けられ;前記アダプタ座は、前記ピストンバレルと連通する薬液流入路及び薬液流出路を有し;前記流路切替弁は、前記アダプタ座の前記薬液流出路を介して前記針出力機構の接続口と連通し;前記ピストンロッドは、前記ピストンバレルに直線的に移動可能に組み付けられ、
前記薬剤貯蔵モジュールは、薬液貯蔵容器と外カバーとを含み;前記薬液貯蔵容器は、薬液が充填された容器本体と、前記容器本体に組み付けられた容器コネクタとを含み;前記容器コネクタは、前記注入経路モジュールの前記アダプタ機構の前記薬液流入路に接続され;前記外カバーは、前記薬液貯蔵容器の周囲にスリーブ状に設けられ、前記針出力機構のケーシングと接続可能であり、
前記駆動モジュールは、前記注入経路モジュールに着脱自在に組み付けられ、前記アダプタ機構の前記ピストンロッドを駆動可能である。
【0019】
前述の薬剤注入システムでは、
前記容器コネクタは、コネクタ本体を含み;前記コネクタ本体は、容器接続端部、注入接続端部及び注入端部分を含み;前記容器コネクタの注入路は、前記容器接続端部から前記注入接続端部まで延び、前記容器接続端部を介して前記容器本体と接続され;前記注入接続端部は、前記アダプタ機構の前記薬液流入路に接続され;前記注入端部分は、前記注入路と連通する注入分岐路と、前記注入分岐路に取り付けられ、前記注入分岐路を封止する注入プラグとを有し;前記注入プラグは、前記コネクタ本体の外部に露出するプラグ端部を有し、前記プラグ端部は、前記外カバーの背面に露出する。
【0020】
前述の薬剤注入システムでは、
前記針出力機構の前記ケーシングは、ベースと前記ベースの周囲にスリーブ状に設けられた外側ケーシングとを含み;前記外側ケーシングの背面には移動ストローク内を移動可能な接触端キャップが取り付けられ;前記外側ケーシングと前記接触端キャップの間に弾力要素が配置され;前記針出力要素は、前記ベースに取り付けられて操作ストロークの距離内で移動可能であり;前記針出力要素は、前記操作ストロークの開始位置と終了位置でそれぞれ前記ベース内にロックされてロック状態になることができ;前記弾力要素の弾性力が前記接触端キャップに作用して、前記接触端キャップの一部が前記外側ケーシングの背面から突出し;前記操作ストロークの前記開始位置に位置する前記針出力要素を前記ロック状態から解放するために前記接触端キャップを強制的に前記外側ケーシング内に進入させることができ、
前記流路切替弁は、一方向入力弁部と一方向出力弁部とを含み;前記ピストンバレルの2つの端部は、それぞれ連結端部とバレル開口端部とであり;前記連結端部は前記流路切替弁に接続され、前記バレル開口端部は前記アダプタ座から突出し;前記ピストンバレルは、その中に形成されたピストン室を有し;前記連結端部は、前記ピストン室と連通する薬液流入口及び薬液流出口を有し;前記薬液流入口は前記一方向入力弁部に接続され、前記薬液流出口は前記一方向出力弁部に接続され;前記ピストンロッドは、前記ピストンバレルの前記ピストン室内を直線的に移動するように駆動され、前記薬液流入路及び前記一方向入力弁部を介して前記ピストン室内に薬液を一方向に吸引し、前記一方向出力弁部を介して前記薬液流出路に前記薬液を一方向に出力することが可能であり、
前記駆動モジュールは、ハウジング、制御ユニット、中心軸を有するモータ、及び伝達アセンブリを含み;前記制御ユニット、前記モータ、及び前記伝達アセンブリは、すべて前記ハウジングに取り付けられ;前記モータは、前記制御ユニットに電気的に接続され、前記制御ユニットによって制御され;前記伝達アセンブリは、駆動輪、連結ロッド、及び駆動要素を含み;前記駆動輪は、前記モータの前記中心軸に組み付けられ、前記連結ロッドの一端は、前記駆動輪に偏心して回動可能に連結され、前記連結ロッドの他端は、前記駆動要素に連結され、前記駆動要素を介して前記ピストンロッドの先端に着脱自在に連結され;前記連結ロッド及び前記駆動要素の移動方向は、前記ピストンロッドの中心軸と平行である。
【0021】
前述の薬剤注入システムでは、
前記ハウジングは、ハウジング本体と、前記ハウジング本体に取り付けられたハウジングカバーとを含み;前記ハウジング内には、電源ユニットと2つの電気コネクタとが取り付け可能であり;前記電源ユニットは、前記2つの電気コネクタを介して前記制御ユニットに電気的に接続可能であり;前記電源ユニットの端部と、その位置に対応する前記電気コネクタの一方との間には、絶縁及び分離のために絶縁シートが設けられ;前記絶縁シートは、前記ハウジングから突出している。
【0022】
前述の薬剤注入システムでは、
前記駆動モジュールは、作動スイッチ、確認スイッチ、及び計数要素を含み;前記作動スイッチ、前記確認スイッチ、及び前記計数要素はすべて、前記制御ユニットに電気的に接続され;前記作動スイッチは、前記ハウジングに取り付けられ、前記針出力要素の前記操作ストロークの前記終了位置に配置され;前記針出力要素が前記終了位置まで押されると、前記作動スイッチが作動し、
前記確認スイッチは、前記ハウジングに取り付けられ、前記接触端キャップの前記移動ストロークの終了位置に配置され;前記接触端キャップが前記終了位置まで押されると、前記確認スイッチが作動し、
前記計数要素は、前記ハウジングに取り付けられ、前記駆動要素の移動経路に配置され;前記駆動要素が移動されると、前記計数要素が作動される。
【0023】
前述の薬剤注入システムの全体構造により、注入経路モジュールが針出力機構の針出力動作を最適化する効果を有することに加えて、薬剤容器内の薬液は、アダプタ機構内の液体流路の配置と、薬剤貯蔵モジュールの薬液貯蔵容器に着脱自在に接続されるアダプタ機構と、駆動モジュールに着脱自在に接続され駆動機構により駆動可能なアダプタ機構のピストンロッドとにより、穿孔アセンブリに送られ注入される。モジュール式組合せ構造と、使い捨て薬剤注入システムと、駆動モジュールに外部接続されたアダプタ機構の組合せ構造とにより、駆動モジュールは、注入プロセス中に薬液と接触することが防止されるため、薬剤注入システムの使用時の安全性が確保され、駆動アセンブリは、注入駆動力及び注入量を正確に制御することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明の針出力機構の一実施形態の概略斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す針出力機構の実施形態の概略分解斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示す針出力機構の実施形態の針出力要素と回転要素の組み合わせを示す概略上面図である。
【
図5】
図5は、
図1から
図3に示した針出力機構の実施形態の別の視点から見た概略断面側面図である。
【
図6】
図6は、本発明の注入経路モジュールの一実施形態の概略斜視図である。
【
図7】
図7は、
図6に示す注入経路モジュールの実施形態の概略分解視点図である。
【
図8】
図8は、
図7に示す注入経路モジュールの実施形態のアダプタ機構の概略分解透視図である。
【
図9】
図9は、
図7に示す注入経路モジュールの実施形態のアダプタ機構の別の視点からの概略分解斜視図である。
【
図10】
図10は、
図6に示す注入経路モジュールの実施形態の概略部分断面図である。
【
図11】
図11は、本発明の薬剤注入システムの一実施形態の概略斜視図である。
【
図16】
図16は、ハウジングカバーが取り外された状態の
図15に示す駆動モジュールの概略平面図である。
【
図17】
図17は、ハウジングカバー及び他の部品が取り外された状態の、
図11及び
図12に示す薬剤注入システムの実施形態の概略平面図である。
【
図18】
図18は、
図15から
図17に示すアダプタ機構のピストンロッドと接続する駆動モジュールの伝達アセンブリと組み合わせたモータの概略斜視図である。
【
図19】
図19は、
図15から
図17に示すアダプタ機構のピストンロッドと接続する駆動モジュールの伝達アセンブリと組み合わせたモータの概略動作斜視図である。
【
図20】
図20は、針出力機構が針出力動作を行う様子を示す、本発明の薬剤注入システムの実施形態の概略図(1)である。
【
図21】
図21は、針出力機構が針出力動作を行う様子を示す、本発明の薬剤注入システムの実施形態の概略図(2)である。
【
図22】
図22は、針出力機構が針出力動作を行う様子を示す、本発明の薬剤注入システムの実施形態の概略図(3)である。
【
図23】
図23は、薬液を輸送するためにピストンロッドを駆動する駆動機構を示す、本発明の薬剤注入システムの実施形態の概略図(1)である。
【
図24】
図24は、薬液を輸送するためにピストンロッドを駆動する駆動機構を示す、本発明の薬剤注入システムの実施形態の概略図(2)である。
【
図25】
図25は、針出力機構の接触端キャップが、針出力要素のロックを解除するために押されている状態を示す、本発明の薬剤注入システムの実施形態の概略図(1)である。
【
図26】
図26は、針出力機構の接触端キャップが、針出力要素のロックを解除するために押されている状態を示す、本発明の薬剤注入システムの実施形態の概略図(2)である。
【
図27】
図27は、針出力機構の針出力要素が押されている状態を示す、本発明の薬剤注入システムの実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0025】
1 注入経路モジュール;2 薬剤貯蔵モジュール;3 駆動モジュール
10 針出力機構;11 ケーシング;111 ベース;1111 第1係合孔;1112 第2係合孔;112 外側ケーシング;113 接触端キャップ;1131 ロック解除押圧部;S 移動ストローク;114 弾力要素;12 針出力操作アセンブリ;121 針出力要素;L 操作ストローク;1211 細長レール溝;1212 歯付き駆動部;12121 正回転ラックセグメント;12122 逆回転ラックセグメント;1213 係合フック;122 回転要素;1220 ねじ孔;1221 ギア部;123 針座プラグ;1231 収容室;1232 液体注入室;1233 接続口;1234 シール部;1235 停止部;124 針座;1241 ねじ部;13 穿刺アセンブリ;131 穿刺針;132 導管要素;1321 針端取付部
20 アダプタ機構;21 アダプタ座;211 薬液流入路;212 薬液流出路;22 流路切替弁;221 一方向入力弁部;222 一方向出力弁部;23 ピストンバレル;230 ピストン室;231 連結端部;2311 薬液流入口;2312 薬液流出口;232 バレル開口端部;24 ピストンロッド
30 薬液貯蔵容器;31 容器本体;32 容器コネクタ;321 コネクタ本体;3210 注入路;3211 容器接続端部;3212 注入接続端部;3213 注入端部分;32131 注入分岐路;3214 注入プラグ;32141 プラグ端部
40 外カバー
50 ハウジング;51 ハウジング本体;52 ハウジングカバー;53 電源ユニット;54 電気コネクタ;55 絶縁シート;56 当接シート
60 制御ユニット;61 スイッチ;62 作動スイッチ;63 確認スイッチ;64 計数要素;65 表示灯;66 音発生器
70 モータ
80 伝達アセンブリ;81 駆動輪;82 連結ロッド;83 駆動要素
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の図面及び実施形態を参照して、本発明の意図する目的を達するために本発明が採用した技術的手段をさらに説明する。
【0027】
先に開示した発明の内容の説明によれば、本発明は、針出力機構、注入経路モジュール、及び薬剤注入システムを備える。
図1、
図6及び
図11に示すように、注入経路モジュール1は、針出力機構10及びアダプタ機構20を含む。薬剤注入システムは、注入経路モジュール1と、薬剤貯蔵モジュール2と、駆動モジュール3とを含む。以下、本発明の針出力機構10、注入経路モジュール1、及び薬剤注入システムの具体的な構造を図面と共に説明する。
【0028】
図1から
図5に示すように、本発明の針出力機構10の一実施形態が開示されている。図面から分かるように、針出力機構10は、ケーシング11と、針出力操作アセンブリ12と、穿刺アセンブリ13とを含む。
図1から
図5に示すように、ケーシング11は組立室を有する。針出力操作アセンブリ12及び穿刺アセンブリ13は、ケーシング11の組立室で組み立てられる。本実施形態において、ケーシング11は、ベース111と、ベース111の周囲にスリーブ状に設けられた外側ケーシング112とを含む。外側ケーシング112の背面側には、移動ストロークS内を移動可能な接触端キャップ113と、外側ケーシング112と接触端キャップ113との間に配置される弾力要素114とが取り付けられている。弾力要素としては、コイルばね、板ばね、その他の弾力要素を用いることができる。本実施形態では、弾力要素114として圧縮ばねが使用されている。
【0029】
図1から
図5に示すように、針出力操作アセンブリ12は、ケーシング11に取り付けられ、穿刺アセンブリ13と連結されている。針出力操作アセンブリ12は、針出力要素121と、回転要素122と、針座124とを含む。針出力要素121は、ケーシング11内に移動可能に取り付けられている。回転要素122は、ケーシング11内に回転可能に取り付けられており、回転要素122は、針出力要素121によって回転駆動されるようになっている。針座124は、回転要素122内に移動可能に取り付けられている。針座124は、回転要素122によって駆動され、第1位置と第2位置との間を移動することができる。
【0030】
図1から
図5に示すように、本実施形態では、針出力要素121は、ケーシング11内に直線的に移動するように取り付けられている。回転要素122は、ケーシング11のベース111に取り付けられており、針出力要素121によって正逆回転駆動されるようになっている。本実施形態では、針出力要素121はボタン型部品として形成され、回転要素122はスリーブ型部品として形成されている。ただし、針出力要素121及び回転要素122の形状はこれに限定されない。
【0031】
図1から
図5に示すように、回転要素122の上端にはギア部1221が設けられ、針出力要素121内には歯付き駆動部1212が設けられている。歯付き駆動部1212は、ギア部1221と連結してもよいし、ギア部1221から切り離してもよい。針出力要素121が押されると、噛み合っている歯付き駆動部1212とギア部1221との間の伝達を介して、回転要素122は、正回転方向に回転し、次いで逆回転方向に回転するように駆動される。
【0032】
図1から
図5に示すように、本実施形態において、針出力要素121は、細長レール溝1211を有し、細長レール溝1211の長さは、操作ストロークLとして定義され、歯付き駆動部1212は、正回転ラックセグメント12121及び逆回転ラックセグメント12122を含む。正回転ラックセグメント12121及び逆回転ラックセグメント12122は、細長レール溝1211のZ軸に沿ってそれぞれ配置された2つの異なる部分であり、2つの対向する側面に配置されている。正回転ラックセグメント12121の長さ及び逆回転ラックセグメント12122の長さは、操作ストロークLの半分である。回転要素122のギア部1221は、細長レール溝1211内に配置され、操作ストロークLに沿った針出力要素121の移動に伴って、回転要素122のギア部1221は、正回転ラックセグメント12121又は逆回転ラックセグメント12122のいずれかとそれぞれ噛み合うことができ、回転要素122が正回転方向及び逆回転方向に回転するように駆動されることができる。
【0033】
図1から
図5に示すように、針出力操作アセンブリ12は、針座プラグ123をさらに含むことができる。針座プラグ123は、ゴム材料等からなる軟質部材である。針座プラグ123は、ベース111に取り付けられ、ケーシング11の背面に隣接している。針座プラグ123は、収容室1231と、収容室1231の下端に配置された液体注入室1232と、液体注入室1232の側方に配置され、液体注入室1232と連通する接続口1233と、液体注入室1232の下端に配置され、ケーシング11の背面に露出するシール部1234とを有する。収容室1231と液体注入室1232との間には、停止部1235が設けられている。針座124は、回転要素122内に移動可能に取り付けられている。針座124は、回転要素122によって回転駆動され、回転要素122と針座プラグ123との間で上下方向に移動可能となっている。
【0034】
図3及び
図25から
図27に示すように、針出力要素121は、ベース111内に取り付けられ、操作ストロークLの距離内で移動可能となる。針出力要素121は、操作ストロークLの開始位置及び終了位置でそれぞれベース111にロックされてロック状態となるようになっている。弾力要素114の弾性力が接触端キャップ113に作用し、接触端キャップ113の一部が外側ケーシング112の背面から突出する。接触端キャップ113は、操作ストロークLの開始位置に位置する針出力要素121をロック状態から解放するために、外側ケーシング112に強制的に進入させることができる。
【0035】
図25から
図27に示すように、本実施形態では、ベース111は、操作ストロークLの開始位置に配置された第1係合孔1111(115)と、操作ストロークLの終了位置に配置された第2係合孔1112(116)とを有する。針出力要素121の後端部には、係合フック1213が設けられている。係合フック1213は、第1係合孔1111又は第2係合孔1112に選択的に係合可能である。接触端キャップ113は、ロック解除押圧部1131を有する。接触端キャップ113が外側ケーシング112内に押し込まれると、ロック解除押圧部1131は、針出力要素121の係合フック1213を押して第1係合孔1111から離脱させ、ロックされている針出力要素121をロック状態から解除することができる。
【0036】
図1から
図5に示すように、穿刺アセンブリ13はケーシング11内に取り付けられ、穿刺アセンブリ13は針出力状態と針後退状態とに操作可能である。穿刺アセンブリ13は、穿刺針131と導管要素132とを含む。穿刺針131は、針出力操作アセンブリ12の針座124と接続されている。導管要素132は、穿刺針131と結合可能である。針出力状態において、導管要素132と穿刺針131とを組み合わせることによって形成される穿刺アセンブリ13は、針出力操作アセンブリ12によって駆動され、穿刺アセンブリ13の少なくとも一部をケーシング11から突出させる。針後退状態では、穿刺針131は針座124とともに上方に移動し、穿刺針131を後退させる。
【0037】
図4、
図5及び
図20から
図22に示すように、本実施形態では、穿刺アセンブリ13の穿刺針131の上側部分が針座124に連結され、穿刺針131の下側部分が針座プラグ123内に下向きに突出している。導管要素132は、針座プラグ123の内部に配置され、穿刺針131の下側部分の周りにスリーブ状に設けられている。導管要素132の上端には針端取付部1321が設けられ、針端取付部1321は針座124の下端にスリーブ状に設けられている。針出力状態において、導管要素132と穿刺針131とを組み合わせることによって形成される穿刺アセンブリ13は、針座プラグ123の底部のシール部1234を下方に貫通するように動作可能である。針後退状態では、穿刺針131は針座124とともに上方に移動して穿刺針131を後退させ、導管要素132は留まる。導管要素132の一部は、シール部1234から突出したまま、ケーシング11の外側に配置される。
【0038】
図1から
図5に示すように、本実施形態では、回転要素122と針座124とは、ねじを介して連結されている。すなわち、回転要素122は、その内部に形成されたねじ孔1220を有し、ねじ部1241は、針座124の外周側面に設けられ、回転要素122のねじ孔1220と係合し、回転要素122の正回転及び逆回転が針座124を上下に移動するように駆動することができるようになっている。本実施形態では、針出力要素121をさらに操作ストロークLに設定するために、針出力要素121は、まず、回転要素122を正回転駆動して針座124を駆動し、穿刺アセンブリ13を下方に移動させて針を出力するように押圧することができる。次に、針出力要素121は、回転要素122を逆回転するように駆動し、針座124及びこれに連結された穿刺針131を上方に移動するように駆動して針を後退させ、導管要素132の一部をケーシング11から突出させたままにすることができる。
【0039】
本実施形態において、針出力機構10は注射器に使用することができる。
図3から
図5及び
図20から
図27を参照すると、針出力機構10が使用されていないとき、針出力機構10の穿刺アセンブリ13は、ケーシング11内に隠されている。針出力の際 使用者は、針出力機構10の背面側を人体の注入予定部位に対向させ、ケーシング11に押圧力を作用させて、ケーシング11の背面側の接触端キャップ113を押圧によりケーシング11内に後退させ、接触端キャップのロック解除押圧部1131が針出力要素121の係合フック1213を第1係合孔1111から離間する方向に押圧して、操作ストロークLの開始位置に位置する針出力要素121を、ケーシング11の背面側が人体の注入予定部位に装着されるまでロック状態から解除する。
【0040】
そして、針出力要素121を押圧することにより、針出力要素121を操作ストロークLの開始位置から終了位置まで移動させると、針出力要素121は、まず、回転要素122を正回転方向に回転駆動し、針座124と、針座124に連結され、導管要素132と穿刺針131とを組み合わせることにより形成される穿刺アセンブリ13とを、針座プラグ123から押し出して人体に突き刺すように駆動する。針出力要素121がさらに操作ストロークLの終了位置まで移動すると、回転要素122がさらに逆回転方向に回転駆動され、針座124と針座124に連結される穿刺針131とが針座プラグ123内に収納される一方、導管要素132が留置される。導管要素132の一部は針座プラグ123から突出したまま、ケーシング11の外側に配置される。導管要素132は、人体に突き刺さる位置に留まる。一方、操作ストロークLの終了位置まで移動した針出力要素121の係合フック1213は、ベース111の第2係合孔116に係合して針出力要素121をロック状態に保つことができ、使用者は針出力要素121を押すことなく薬液を注入することができる。薬液の注入が完了し、針出力機構10が人体から取り外された後、接触端キャップ113は、弾力要素114の弾性力によって押し戻され、元の位置に戻り、穿刺針131の下部の周囲及び外側に取り付けられ、安全保護を提供する。
【0041】
導管要素132は、軟質針又は熱収縮性軟質チューブのような軟質チューブであってもよい。しかし、導管要素132はこれに限定されない。穿刺針131と組み合わせて人体に穿刺するのに適し、人体に留置するのに適し、液体が流路を通って人体に流入する流路を形成する要素であれば、当該要素は導管要素132として使用するのに適している。
【0042】
図6及び
図7に示すように、本発明の注入経路モジュール1の一実施形態が開示されている。図面から分かるように、注入経路モジュール1は、針出力機構10とアダプタ機構20とを含む。針出力機構10の構造は上記で開示した通りであり、以下では繰り返さない。
【0043】
図7、
図8及び
図10に示すように、アダプタ機構20は、アダプタ座21、流路切替弁22、ピストンバレル23及びピストンロッド24を含む。アダプタ座21は、ケーシング11の側面に組み付け可能である。アダプタ座21は、薬液流入路211と薬液流出路212とを有している。流路切替弁22は、アダプタ座21に取り付けられており、流路切替弁22は、一方向入力弁部221及び一方向出力弁部222を含む。ピストンバレル23の2つの端部は、それぞれ連結端部231及びバレル開口端部232である。連結端部231は、アダプタ座21内に配置され、流路切替弁22に接続される。バレル開口端部232は、アダプタ座21から突出可能である。ピストンバレル23は、その内部に形成されたピストン室230を有する。連結端部231は、ピストン室230と連通する薬液流入口2311及び薬液流出口2312を有する。薬液流入口2311は、一方向入力弁部221に接続されている。薬液流出口2312は、一方向出力弁部222に接続されている。ピストンロッド24は、ピストンバレル23のピストン室230に組み付けられ、アダプタ座21から突出している。ピストンロッド24は、ピストンバレル23のピストン室230内を直線的に移動するように駆動可能である。ピストンロッド24が後方に移動すると、薬液は薬液流入路211及び一方向入力弁部221を介してピストン室230内に一方向に引き込まれる。そして、ピストンロッド24が前進すると、ピストン室230内の薬液は、一方向出力弁部222を介して薬液流出路212に一方向に出力され、注射用薬液が注入機構10に入力される。
【0044】
図7、
図8及び
図10に示すように、注入経路モジュール1のピストンロッド24は、手動で操作してもよいし、ピストンロッド24に外部接続された手動駆動モジュール3又は電動駆動モジュール3を用いて、注入経路モジュール1を駆動して薬液を注入してもよい。注入経路モジュール1において、切替機構20を介して薬液を注入機構10に導入する注入動作は上述した通りであり、以下では繰り返さない。
【0045】
図11から
図12に示すように、本発明の薬剤注入システムの一実施形態が開示されている。この薬剤注入システムは、前記注入経路モジュール1と、薬剤貯蔵モジュール2と、駆動モジュール3とを含む。注入経路モジュール1の構造は、上記で開示した通りであり、以下では繰り返さない。
【0046】
図12から
図14に示すように、薬剤貯蔵モジュール2は、薬液貯蔵容器30と外カバー40とを含む。薬液貯蔵容器30は、容器本体31と容器コネクタ32とを含む。容器本体31は、内部に薬液を充填可能である。すなわち、容器本体31は、予め薬液を充填可能な部材である。あるいは、容器本体31は、元々薬液が充填されていない部品であり、使用前に所定の薬液が容器本体31に注入される。容器コネクタ32は、容器本体31に組み付けられている。薬液貯蔵容器30は、容器コネクタ32により注入経路モジュール1のアダプタ機構20の薬液流入路211に接続可能である。外カバー40は、薬液貯蔵容器30の周囲にスリーブ状に設けられ、針出力機構のケーシング11と接続可能である。
【0047】
図12から
図14に示すように、本実施形態では、容器本体31として、薬液を貯蔵するための袋状の部材、瓶状の部材等を用いることができる。なお、本実施形態では、容器本体31として袋状のものを用いているが、これに限定されるものではない。容器本体31には、容器コネクタ32が接続されている。容器コネクタ32は、容器本体31と連通する注入路3210を有し、注入路3210を介してアダプタ機構20の薬液流入路211に接続されている。
【0048】
図12から
図14に示すように、容器コネクタ32は、コネクタ本体321を含む。コネクタ本体321は、容器接続端部3211及び注入接続端部3212を含む。注入路3210は、容器接続端部3211から注入接続端部3212まで延びており、容器接続端部3211を介して容器本体31と接続されており、注入接続端部3212を介してアダプタ機構20の薬液流入路211と接続されている。
【0049】
図12から
図14に示すように、本実施形態では、コネクタ本体321は、さらに、注入端部分3213を含んでいてもよい。注入端部分3213は、注入路3210と連通する注入分岐路32131と、注入分岐路32131に装着された注入プラグ3214とを有し、注入プラグ3214によって注入分岐路32131を封止する。注入プラグ3214は、コネクタ本体321の外部に露出したプラグ端部32141を有する。プラグ端部32141は、外カバー40の背面に露出している。したがって、注射器でプラグ端部32141を穿刺することにより、添加する薬液が注入分岐路32131及び注入路3210を通って薬液貯蔵容器30の容器本体31内に流入することができる。
【0050】
図12及び
図15から
図17に示すように、駆動モジュール3は電動駆動モジュール3である。駆動モジュール3は、注入経路モジュール1に着脱自在に組み付けられる。駆動モジュール3は、電源ユニット53を含むか、又は外部電源に接続可能である。駆動モジュール3は、ハウジング50、制御ユニット60、モータ70、及び伝達アセンブリ80を含む。制御ユニット60、モータ70及び伝達アセンブリ80は、すべてハウジング50内に取り付けられている。モータ70は、制御ユニット60に電気的に接続され、制御ユニット60によって制御される。制御ユニット60は、ハウジング50の外部に露出したスイッチ61を有する。伝達アセンブリ80は、モータ70に接続され、アダプタ機構20のピストンロッド24に着脱自在に接続される。制御ユニット60は、予め設定された注入モードに従ってモータ70の作動タイミングを決定し、モータ70を制御下で始動させ、伝達アセンブリ80を介してピストンロッド24を駆動して作動させることができる。
【0051】
図12及び
図15から
図17に示すように、本実施形態において、ハウジング50は、ハウジング本体51と、ハウジング本体51に取り付けられたハウジングカバー52とを含む。ハウジング50には、電源ユニット53が装着可能となっている。当該電源ユニット53は、バッテリ、複数のバッテリから構成されるバッテリパック等であってもよい。ハウジング50内には、制御ユニット60と電気的に接続される2つの電気コネクタ54が取り付けられている。前記電源ユニット53の2つの電極端子は、2つの電気コネクタ54にそれぞれ接続され、2つの電気コネクタ54を介して制御ユニット60に電気的に接続され、駆動モジュール3の制御ユニット60及びモータ70に電力を供給する。駆動モジュール3が使用されないうちは、電源ユニット53の端部と、その位置に対応する電気コネクタ54の一方との間に、絶縁シート55が絶縁及び分離のために設けられている。絶縁シート55はハウジング50から突出している。使用時には、絶縁シート55を引き出して、電源ユニット53を電気コネクタ54と電気的に接続させる。
【0052】
図15から
図17及び
図18から
図19に示すように、本実施形態では、伝達アセンブリ80は、駆動輪81、連結ロッド82及び駆動要素83を含む。駆動輪81は、モータ70の中心軸に組み付けられている。連結ロッド82の一端は、駆動輪81に偏心して回動可能に連結されている。連結ロッド82の他端は駆動要素83に連結され、駆動要素83を介してピストンロッド24の先端に着脱自在に連結される。好ましくは、連結ロッド82及び駆動要素83の移動方向は、ピストンロッド24の中心軸と平行であり、それにより、伝達アセンブリ80は、ピストンロッド24を駆動して、ピストンバレル23内を直線的に滑らかに往復運動させる。
図8、
図18から
図19を参照すると、駆動要素83とピストンロッド24の先端との間の接続構造は、ピストンロッド24に形成された中間のL字形の接続溝と、駆動要素83の中央孔と、中央孔の内側側壁に配置された接続突出部であってもよい。したがって、ピストンロッド24は、駆動要素83の中央孔に軸方向に取り付けられ、接続突出部は、L字形の接続溝に沿って直線的に移動し、接続溝の先端の位置に係合するように回転さて、ピストンロッド24と駆動要素83との組立が容易になる。
【0053】
図16から
図17及び
図20から
図22に示すように、駆動モジュール3は、作動スイッチ62をさらに含む。作動スイッチ62は、ハウジング50に取り付けられ、針出力要素121の操作ストロークLの終了位置に配置される。作動スイッチ62は、制御ユニット60に電気的に接続されている。針出力要素121が終了位置まで押されると、作動スイッチ62が作動し、制御ユニット60がモータ70を駆動して液体を注入する。
【0054】
図16から
図17及び
図20から
図22に示すように、駆動モジュール3は、確認スイッチ63をさらに含む。確認スイッチ63は、制御ユニット60に電気的に接続されており、確認スイッチ63は、接触端キャップ113の移動ストロークSの終了位置に配置されている。或いは、ハウジング本体51上には、確認スイッチ63と位置的に対応する当接シート56が更に設けられている。接触端キャップ113が確かにケーシング11内に押し込まれると、確認スイッチ63が直接又は当接シートを介して作動し、人体に装着されて注入準備状態(すなわち待機モード)にあることを確認する。確認スイッチ63が作動するように接触端キャップ113がケーシング11の内側に押し込まれていなければ、アイドル状態である。
【0055】
図16から
図17及び
図18から
図19に示すように、駆動モジュール3は、計数要素64をさらに含む。計数要素64は、ハウジング50内に取り付けられ、制御ユニット60に電気的に接続されている。計数要素64は、駆動要素83の移動経路の所定の位置に配置される。駆動要素83が所定の位置に移動されると、計数要素64が作動され、計数要素64は制御ユニット60に注入信号を出力する。制御ユニット60は、注入信号を受信し、注入回数を計算し、注入量を決定する。
【0056】
図11から
図17に示すように、駆動モジュール3はさらに表示灯65を含む。表示灯65は、制御ユニット60に電気的に接続され、ハウジング50を照らすことができる。表示灯65は、オン、オフ、及び様々な状態を示す信号を生成するように制御することができる。表示灯65は、異なる色の光を発する第1発光素子及び第2発光素子を含む。例えば、第1発光素子は青色光を発光可能な青色発光素子であり、第2発光素子は赤色光を発光可能な赤色発光素子である。ただし、異なる色の光を発光する第1発光素子及び第2発光素子は、青色発光素子及び赤色発光素子に限定されない。異なる状態に応じた制御ユニット60の制御により、表示灯65の第1発光素子(青色発光素子)及び第2発光素子(赤色発光素子)がそれぞれ点灯又は消灯する。さらに、駆動モジュール3は、音発生器66をさらに含んでもよい。音発生器66は、ブザーであってもよく、制御ユニット60に電気的に接続されており、音発生器66を制御して、オン、オフ、及び様々な状態を示すための音を発生させることができる。
【0057】
本発明の薬剤注入システムでは、針出力機構10のケーシング11の背面、薬剤貯蔵モジュール2の外カバー40の背面、及び駆動モジュール3のハウジング50の背面に、粘着フィルムと、粘着フィルムの外面に配置された剥離フィルムとが設けられている。薬剤注入システムを使用する際には、まず剥離フィルムを剥がす。剥離フィルムが剥がされた後、薬剤注入システムの背面の粘着フィルムは、注入のために人体に接着することができる。好ましくは、粘着フィルムは通気性である。
【0058】
図11及び
図20から
図24に示すように、本発明の薬剤注入システムの使用方法に関して、針出力機構10及びアダプタ機構20は、注入経路モジュール1に予め組み付けられ、薬剤貯蔵モジュール2及び駆動モジュール3に接続され得る。このようにして、弾力要素114の弾性力により接触端キャップ113がケーシング11から突出し、剥離フィルム付き通気性粘着フィルムが薬剤注入システムの背面に予め貼り付けられる。前記薬剤注入システムは、滅菌された後、滅菌フィルム紙で密封された滅菌容器に予め保管することができる。
【0059】
使用時には、容器の滅菌フィルム紙を破って薬剤注入システムを取り出す。薬剤注入システムの外観が正常であることは、接触端キャップ113がケーシング11の外側に突出しているかどうかを観察し、剥離フィルムが破損又は汚染されていないかどうかを確認することにより確認される。使用前に薬剤注入システムの外観が正常であることを確認する。
【0060】
一方、使用者は、まず、薬剤注入システムの薬剤貯蔵モジュール2の容器本体31に充填された薬液が正しいかどうかを確認する必要がある。注入前に薬液が正しいことを確認する。薬剤貯蔵モジュール2の容器本体31が予め薬液が充填されていない空の容器である場合には、注入前に注射器で正しい薬液を吸引し、注射器の針で容器コネクタ32の注入端部分3213に突き刺して、注射器内の薬液を容器本体31に容器コネクタ32を介して注入する必要があり、その後に注入可能となる。
【0061】
さらに、
図15から
図17に示すように、注入前には、絶縁シート55が剥がされ、駆動モジュール3の電源ユニット53が電気コネクタ54に電気的に接触して制御ユニット60に電気的に接続されるようになっている。スイッチ61がオン状態に切り替えられると、表示灯65が点灯する。その後、薬剤注入システムの背面の剥離フィルムを剥がし、薬剤注入システムの背面を人体の注入予定部位に対向させ、接触端キャップ113を人体の注入予定部位に接触させて押圧する。接触端キャップ113が押圧されると、弾力要素114が圧縮されてケーシング11内に収納され、薬剤注入システムの背面の通気性粘着フィルムが人体に密着して位置決めされる。
図25から
図27に示すように、接触端キャップ113がケーシング11内の移動ストロークSの終了位置まで後退されるように押圧されると、接触端キャップ113のロック解除押圧部1131が針出力要素121の係合フック1213を第1係合孔1111から離隔する方向に押圧して、操作ストロークLの開始位置に位置する針出力要素121をロック状態から解除する。一方、接触端キャップ113は、当接シートを押して確認スイッチ63を作動させる。確認スイッチ63は、制御ユニット60に確認信号を送り、薬剤注入システムの制御ユニット60を注入準備状態(すなわち待機モード)に切り替える。
【0062】
そして、針出力要素121が押圧される。針出力要素121が操作ストロークLに沿って移動するように押圧されると、針出力要素121の歯付き駆動部1212は、正回転ラックセグメント12121及び逆回転ラックセグメント12122を連続して用いて回転要素122のギア部1221を駆動するので、回転要素122は、針出力要素121によって正回転方向に回転し、次いで逆回転方向に回転するように駆動される。さらに、回転要素122は、穿刺アセンブリ13に連結されている針座124を下方に、次いで上方に移動するように駆動する。針座124の下方への移動により、導管要素132と穿刺針131とを組み合わせて形成される穿刺アセンブリ13は、針出力状態にある針座プラグ123の底面のシール部1234を下方に貫通するように駆動され、人体に穿刺される。その後、針後退状態において、穿刺針131は針座124とともに上方に移動して穿刺針131を後退させ、導管要素132が留置される。導管要素132の一部は、シール部1234から突出し、ケーシング11の外側に配置される。導管要素132は人体に刺さったままである。一方、
図25から
図27及び
図22に示すように、操作ストロークLの終了位置まで移動された針出力要素121の係合フック1213は、針出力要素121を押圧することなく、ベース111の第2係合孔1112に係合して針出力要素121をロック状態に保持することができる。一方、針出力要素121が終了位置まで押圧されると、作動スイッチ62が作動して注入状態が開始される。もともと注入準備状態(すなわち待機モード)であった制御ユニット60は、作動スイッチ62からの信号を受けてモータ70を作動させ、アダプタ機構20のピストンロッド24を駆動して伝達アセンブリ80を介して所定の速度で移動させ、薬剤貯蔵モジュール2内の薬液を針座プラグ123の液体注入室1232にアダプタ機構20を介して流入させ、液体注入室1232から導管要素132を介して薬液を人体に注入する。ピストンロッド24に連結された駆動要素83が押込み注入動作を行う度に、計数要素64を作動させることができる。制御ユニット60は、計数要素64から受信した注入信号に応じて、モータ70を停止させるタイミングを決定する。制御ユニット60は、作動中の計数要素64によって生成された注入信号を受信すると、計時を開始する。所定秒間待機した後、伝達アセンブリ80は、次の注入ストロークを実行するためにアダプタ機構20のピストンロッド24を駆動する。
【0063】
以上の説明において、
図11及び
図20から
図24に示すように、駆動モジュール3によってピストンロッド24が後方に移動するように駆動されると、ピストンバレル23内のピストン室230は負圧になり、アダプタ機構20の流路切替弁22の一方向出力弁部222は閉じられ、一方向入力弁部221は開かれる。したがって、薬剤貯蔵モジュール2内の薬液は、容器コネクタ32及び薬液流入路211、アダプタ機構20の一方向入力弁部221を介してピストン室230に流入する。そして、駆動モジュール3によってピストンロッド24が前進するように駆動されると、ピストン室230内の薬液が押されて正圧状態となり、アダプタ機構20の流路切替弁22の一方向出力弁部222が開かれ、一方向入力弁部221が閉じられる。したがって、ピストン室230内の薬液は、アダプタ機構20の薬液流出路212及び一方向出力弁部222を介して針出力機構10の針座プラグ123の液体注入室1232に流入し、液体注入室1232から導管要素132を介して人体に注入される。
【0064】
図11及び
図20から
図24に示すように、制御ユニット60は、計数要素64によって送信された注入信号の数に応じて、薬剤の目標総注入量に達したと判断した後、モータ70を停止し、注入を終了する。その後、使用者は薬剤注入システムを取り外すことができる。このようにして、接触端キャップ113は、弾力要素114の弾性力によりケーシング11から突出し、確認スイッチ63から遠ざかるので、確認スイッチ63は、制御ユニット60に信号を送り、アイドル状態に切り替えられる。さらに、導管要素132は、ケーシング11から突出する接触端キャップ113に配置される。接触端キャップ113が導管要素132にスリーブ状に設けられることにより、使用中の安全性が確保される。
【0065】
また、薬剤注入システムの制御ユニット60は、以下に詳細に説明するように、確認スイッチ63、異なる色の光を発する第1発光素子(青色発光素子等)及び第2発光素子(赤色発光素子等)を含む表示灯65、及び音発生器66と協働して、内蔵する制御プログラムにより、光や音による警告機能や安全機構を提供することもできる。
【0066】
薬剤注入システムの使用状況の表示や警告のために、表示灯65は制御ユニット60の制御下にある。表示灯65は、異なる色の光を発する第1発光素子(青色発光素子等)及び第2発光素子(赤色発光素子等)を、それぞれ異なる状態に応じて発光又は消灯させることができる。
【0067】
絶縁シート55が引き出されると、電源ユニット53は、電気コネクタ54を介して駆動モジュール3の制御ユニット60に電力を供給する。制御ユニット60は、電源ユニット53の電力が所定値又は所定比率よりも大きいと判断すると、通常アイドル状態に入る。そして、表示灯65の第1発光素子(青色発光素子)及び第2発光素子(赤色発光素子)が点灯制御されるとともに、音発生器66が催促音を発するように制御される。その後、第2発光素子(赤色発光素子)が消灯制御され、第1発光素子(青色発光素子)は点灯状態を維持する。また、制御ユニット60は、電源ユニット53の電力が所定値又は所定比率未満、例えば、本来の蓄電電力の25%未満であると判断した場合、表示灯65の第2発光素子(赤色発光素子)を点灯制御して点滅サイクルに入り、音発生器66を制御して警告音を発生させる。その後、第2発光素子(赤色発光素子)が消灯制御され、薬剤注入システムは電源ユニット53の電力不足により自動的にシャットダウンしてロックされ、安全上使用できなくなる。
【0068】
薬剤注入システムが人体に装着されると、接触端キャップ113が当接シート56を押して確認スイッチ63を作動させる。確認スイッチ63は、制御ユニット60に確認信号を送り、薬剤注入システムの制御ユニット60を注入準備状態(すなわち待機モード)に切り替える。待機モードでは、装着が緩むと、接触端キャップ113は、確認スイッチ63を作動させ続けることができなくなる。そして、制御ユニット60の制御の下で、アイドル状態が再開される。接触端キャップ113が再び確認スイッチ63を作動させるための特定時間(例えば、10秒)内に薬剤注入システムが人体に再装着されれば、待機モードを再開することができる。特定の時間を超えても、接触端キャップ113が確認スイッチ63を作動させるために復帰しない場合、薬剤注入システムは、制御ユニット60の制御の下で、自動的にシャットダウンされ、ロックされる。
【0069】
薬剤注入システムが人体に正確に取り付けられ、針出力要素121が終了位置まで押されると、作動スイッチ62が作動して注入状態に入る。注入状態において、装着が緩むと、接触端キャップ113は、確認スイッチ63を作動させ続けることができなくなる。すると、制御ユニット60の制御により、表示灯65の第2発光素子(赤色発光素子)が点灯し、音発生器66が警告音を発する。そして、接触端キャップ113が再び確認スイッチ63を作動させるための特定時間(例えば:5秒)内に薬剤注入システムを人体に再装着すれば、注入状態を再開して液体の注入を継続することができる。特定時間を超えても接触端キャップ113が復帰して確認スイッチ63が作動しない場合、薬剤注入システムは制御ユニット60の制御下で自動的に停止してロックされ、安全性を考慮して使用できなくなる。
【0070】
液体の注入が正常に終了すると、薬剤注入システムはアイドル状態となる。制御ユニット60の制御により、表示灯65の第1発光素子(青色発光素子)は一定時間点灯を継続した後消灯し、薬剤注入システムはロックされる。
【0071】
以上のように、制御ユニット60に内蔵された制御プログラムと、確認スイッチ63、表示灯65及び音発生器66の系統的な組み合わせにより、本発明の薬剤注入システムは、薬剤注入システムの使用中において光と音による警告機能と安全機構とを提供し、本発明の薬剤注入システムの使用の安全性を確保する。
【0072】
本発明の多数の特徴及び利点が、本発明の構造及び特徴の詳細とともに、前述の説明に記載されているが、開示は例示に過ぎない。添付の特許請求の範囲が表現する用語の広範な一般的意味によって示される最大限の範囲まで、本発明の要旨の範囲内において細部、特に形状、サイズ、及び部品の配置に関する事項において変更を加えることができる。
【国際調査報告】