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特表2024-539816再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合性原料及びその調製方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合性原料及びその調製方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 67/03 20060101AFI20241024BHJP
   C07C 69/82 20060101ALI20241024BHJP
   C07C 67/56 20060101ALI20241024BHJP
   C07C 67/54 20060101ALI20241024BHJP
   C07B 61/00 20060101ALI20241024BHJP
   C08J 11/24 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C07C67/03
C07C69/82 B
C07C67/56
C07C67/54
C07B61/00 300
C08J11/24 ZAB
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024509428
(86)(22)【出願日】2023-09-25
(85)【翻訳文提出日】2024-04-16
(86)【国際出願番号】 KR2023014681
(87)【国際公開番号】W WO2024071915
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0125338
(32)【優先日】2022-09-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513193923
【氏名又は名称】エスケー ケミカルズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジ‐フン
(72)【発明者】
【氏名】パク, クァン‐ウー
(72)【発明者】
【氏名】イ, ソン‐キ
(72)【発明者】
【氏名】イ, ジュン キ
(72)【発明者】
【氏名】ジン, ユンテ
【テーマコード(参考)】
4F401
4H006
4H039
【Fターム(参考)】
4F401AA22
4F401AB09
4F401AB10
4F401BA06
4F401BB09
4F401CA25
4F401CA67
4F401CA68
4F401CA75
4F401CB10
4F401CB32
4F401EA60
4F401EA64
4F401EA71
4F401EA77
4H006AA01
4H006AA02
4H006AC91
4H006AD11
4H006AD15
4H006AD17
4H006BA07
4H006BA45
4H006BB14
4H006BC10
4H006BD33
4H006BD53
4H006BJ50
4H006BN10
4H006KA06
4H006KC30
4H006KE10
4H039CA66
4H039CL30
(57)【要約】
酢酸系エステル化合物及びジエチレングリコールエステル化合物の含有量が特定のレベルに調整された、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料は、純度及び品質が優れているとともに、再生モノマーからポリマーを重合した場合に耐熱特性が低下するという問題が生じない。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃ポリエステルの解重合により得られる重合原料であって、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定した場合、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分が95%以上、酢酸系エステル化合物のピーク面積部分が合計で0.001%~1.0%、ジエチレングリコールエステル化合物のピーク面積部分が合計で0.001%~2.0%である、重合原料。
【請求項2】
前記酢酸系エステル化合物が、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラートを含む、請求項1に記載の重合原料。
【請求項3】
前記ジエチレングリコールエステル化合物が、2-ヒドロキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラート及びビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシラートを含む、請求項1に記載の重合原料。
【請求項4】
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、次式:
TDI=[DEG-エステル-1]+[DEG-エステル-2]×2+exp^[HA-エステル]
で定義される3.0以下の熱的性質降下指数を有し、
DEG-エステル-1が、2-ヒドロキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラートのピーク面積部分(%)であり、DEG-エステル-2が、ビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシラートのピーク面積部分(%)であり、HA-エステルが、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分(%)であり、前記指数がこれらのパラメータの単位を除いた数値のみをとることにより計算される、請求項1に記載の重合原料。
【請求項5】
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、合計で2.0%以下の二量体以上のオリゴマーのピーク面積部分を有する、請求項1記載の重合原料。
【請求項6】
前記重合原料中の残留エチレングリコールの含有量が、0.5重量%以下である、請求項1に記載の重合原料。
【請求項7】
ジメチルホルムアミドに25重量%の濃度で溶解した溶液について測定した場合、5.0以下の黄色度指数(YID)を有する、請求項1に記載の重合原料。
【請求項8】
110℃~115℃の融点を有する、請求項1に記載の重合原料。
【請求項9】
請求項1に記載の重合原料を調製する方法であって、
(a)廃ポリエステルを解糖により解重合して、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を得るステップと;
(b)前記粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を冷却して、これを結晶化するステップと;
(c)前記結晶化生成物を、加圧濾過器を使用して固体と液体に分離するステップとを含む、方法。
【請求項10】
前記ステップ(a)の解重合が、
(1)前記廃ポリエステルに、180℃~200℃の温度で第1解糖反応による解重合を施して、第1反応物を得ることと;
(2)前記第1反応物に、150~170℃の温度で第2解糖反応による解重合を施して、第2反応物を得ることと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(c)の加圧濾過器が、ヌッチェ濾過器又は圧濾器である、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
酢酸系化合物及びジエチレングリコール系化合物が、前記ステップ(c)の加圧濾過器によって除去される、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記重合原料が、未反応グリコールを蒸留により除去するステップをさらに行うことによって調製される、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記重合原料が、減圧下での薄膜蒸留;及び水への溶解に続く吸着結晶化のうちの少なくとも1つをさらに行うことによって調製される、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃ポリエステルから再生されたビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)を含む重合原料及びその調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステルは、機械的強度、耐熱性、透明性、及びガスバリア性に優れているため、飲料充填容器、包装フィルム、オーディオフィルム、及びビデオフィルムなどの材料として広く使用されている。さらに、ポリエステルは、医療用繊維及びタイヤコードなどの産業用材料としても世界的に広く製造されている。特に、ポリエステルのシート又はプレートは、透明性が良く、機械的強度に優れており、したがって、ケース、箱、間仕切り、棚、パネル、包装材料、建築材料、内装及び外装材料などの原料として広く使用されている。
【0003】
その結果、ポリエステルなどのプラスチックの廃棄物が、毎年、世界的に管理不能なレベルで発生している。近年、世界中の国々により、廃ポリエステルを含めた廃プラスチック資源の再生利用に関する規制及び計画が作成されている。廃ポリエステルを再生利用する方法として物理的又は化学的方法が使用されているが、物理的な再生利用方法では純度が保証できないため、広く使用されてはいない。
【0004】
一方、化学的な再生利用方法では、廃ポリエステルのエステル結合を切断して、それを解重合する。詳細には、解糖、加水分解、メタノリシス、及びアミノリシスなどの反応が使用される。とりわけ、解糖とは、エチレングリコール又はジエチレングリコールなどのグリコールを高温で添加することによって廃ポリエステルを分解することである。主にビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)を含む反応生成物が得られる。反応生成物に含有されるビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートは、これを結晶化又は精製した後、不飽和ポリエステル又はエステルポリオールを調製するための原料として使用することができる。
【0005】
しかし、上記原料としてビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを使用するためには、解重合プロセス中のジエチレングリコールエステルなどの副生成物の形成を最小限に抑えることによって、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートの純度を増大させる必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国特許出願公開第2022-0068991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一般に、廃ポリエステル樹脂の解重合により再生されたビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートは、高い解重合温度で形成されるジエチレングリコール(DEG)由来の副生成物に加えて、二量体及び三量体などのオリゴマー物質を含有し、これらが製品の品質を損なう要因となっている。さらに、解糖反応の触媒として主に使用される酢酸塩は、溶媒として主に使用されるエチレングリコールと沸点が近く、したがって、エチレングリコールの回収及び再使用中に不純物として濾別することは容易ではない。その結果、プロセスが繰り返されるにつれて、それが蓄積し、副生成物を形成する。
【0008】
特に、本発明者らは、これらの副生成物の中で、酢酸系エステル化合物及びジエチレングリコールエステル化合物が、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートの純度及び品質を損ない、それによって、これからポリマーを調製する際に重合度及び耐熱特性が損なわれることに注目した。この問題を解決するために、本発明者らは、最終生成物中の酢酸系エステル化合物及びジエチレングリコールエステル化合物の含有量を、精製プロセス中にこれらの低重量の有機物を除去することによって、特定のレベルに制御することができた。その結果、ポリマーの調製において耐熱特性の低下を防止することが可能となった。
【0009】
したがって、本発明の目的は、ポリマーの調製において耐熱性を低下させない再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料及びその調製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施形態によれば、廃ポリエステルの解重合により得られる重合原料であって、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定した場合、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分が95%以上、酢酸系エステル化合物のピーク面積部分が合計で0.001%~1.0%、ジエチレングリコールエステル化合物のピーク面積部分が合計で0.001%~2.0%である、重合原料が提供される。
【0011】
本発明の別の一態様によれば、重合原料を調製する方法であって、(a)廃ポリエステルを解糖により解重合して、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を得ることと;(b)粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を冷却して、これを結晶化することと;(c)結晶化生成物を、加圧濾過器を使用して固体と液体に分離することとを含む、方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料中の酢酸系エステル化合物及びジエチレングリコールエステル化合物の含有量を特定のレベルに調整する。このようにして、再生ポリエステル樹脂の重合においてこれらの化合物による耐熱特性の低下を防止することが可能である。
【0013】
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含むこのような重合原料を調製するためには、酢酸系エステル化合物又はジエチレングリコールエステル化合物などの副生成物の含有量を効果的に抑制することができるように、精製プロセス中に酢酸を含めた低重量有機物を冷却結晶化及び加圧濾過により除去する。
【0014】
したがって、本発明は、重合原料を調製するために廃ポリエステルを解重合することができるだけではなく、これを原料として耐熱性などの品質に優れたポリエステル樹脂及び製品を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書では、各構成要素を指す用語は、それらを互いに区別するために使用するものであり、実施形態の範囲を限定することを意図するものではない。さらに、本明細書では、文脈上別段の指定がない限り、単数表現は複数も含むものとして解釈する。
【0016】
本明細書では、様々な構成要素を説明するために、第1、第2などの用語を使用する。しかし、これらの用語によって構成要素を限定すべきではない。用語は、ある要素を他の要素から区別するために使用する。
【0017】
本明細書では、用語「含む(comprising)」は、特定の特性、領域、ステップ、プロセス、要素、及び/又は構成要素を指定することを意図している。特に反対の記載がない限り、任意の他の特性、領域、ステップ、プロセス、要素及び/又は構成要素の存在又は追加を排除するものではない。
【0018】
本明細書に記載する構成要素の含有量、物理的性質などを限定する数値範囲において、上限値のみで限定した数値範囲と下限値のみで限定した数値範囲とを別々に例示した場合、これらの上限値と下限値とを組み合わせた数値範囲も本発明の例示的範囲に包含されるものと理解すべきである。
【0019】
本明細書に記載の化合物又はポリマーの分子量、例えば、数平均分子量又は重量平均分子量は、周知のように炭素12を基準とした相対質量である。単位は記載していないが、必要に応じて、同じ数値のモル質量(g/モル)として理解することができる。
【0020】
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む本発明の重合原料は、廃ポリエステルの解重合により得られ、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定した場合、酢酸系エステル化合物のピーク面積部分は合計で1.0%以下であり、ジエチレングリコールエステル化合物のピーク面積部分は合計で2.0%以下である。
【0021】
一実施形態による重合原料は、廃ポリエステルの解重合により得られ、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定した場合、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分は95%以上、酢酸系エステル化合物のピーク面積部分は合計で0.001%~1.0%、ジエチレングリコールエステル化合物のピーク面積部分は合計で0.001%~2.0%である。
【0022】
重合原料中の酢酸系エステル化合物及びジエチレングリコールエステル化合物の含有量を特定のレベルに調整するため、再生ポリエステル樹脂の重合においてこれらの化合物による耐熱特性の低下を防止することが可能である。
【0023】
以下、本発明による重合原料を詳細に説明する。
【0024】
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料
ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)は、2つのエチレングリコールと1つのテレフタル酸とのエステルである。例えば、BHETは、エチレングリコールとテレフタル酸又はそのエステルとの重合により、ポリエチレンテレフタラート(PET)などのポリエステルを調製するプロセスにおいて中間体として形成される化合物である。
【0025】
一方、廃ポリエステルの解重合により得られる再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(再生BHET)を含む重合原料は、廃ポリエステルの解重合中の様々な化学ステップで使用される試薬若しくは溶媒、又はそれらとの副反応により形成される副生成物を含有する可能性がある。したがって、上述の廃ポリエステルの解重合により得られる再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料は、2種以上の構成成分を含む1タイプの組成物として見ることができる。したがって、本発明では、再生BHETを含む重合原料を「再生BHET組成物」又は「重合原料組成物」と称することがある。
【0026】
一般的な解重合プロセスにより再生されたBHETを含む重合原料は、主な構成要素としてのBHETの他に有機及び無機不純物を含有しており、したがって、純度は高くない。しかし、本発明による再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料は、廃ポリエステルの解重合により得られるものであるにも関わらず、純度及び品質に優れている。
【0027】
再生BHETを含む重合原料の純度は、液体クロマトグラフィなどを使用して測定することができる。詳細には、再生BHETを含む重合原料の純度は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を使用して得られるスペクトルにおける全ピーク面積のうちのBHETのピーク面積の部分(%)を測定することによって計算することができる。
【0028】
重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、95%以上のビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分を有してもよい。例えば、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分は、95%以上、97%以上、98%以上、99%以上、又は99.5%以上であってもよく、且つ99.998%以下、99.99%以下、99.9%以下、又は99%以下であってもよく、詳細には、95%~99.998%、又は97%~99.998%であってもよい。一実施形態によれば、重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、95%~99.998%、詳細には、97%~99.998%、98%~99.998%、99%~99.998%、又は99.5%~99.998%のビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分を有してもよい。
【0029】
一方、重合原料は、BHET以外の化合物、詳細には、BHET類似体、BHETオリゴマー(例えば、二量体、三量体)、エステル、及び酢酸系化合物を含むことがある。
【0030】
詳細には、重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、合計で2.0%以下の二量体以上などのオリゴマーのピーク面積部分を有してもよい。より詳細には、二量体以上などのオリゴマーのピーク面積部分は、合計で1.5%以下、1.0%以下、又は0.5%以下であってもよい。一方、二量体以上などのオリゴマーのピーク面積部分の下限は、合計で0%以上、0.001%以上、0.01%以上、又は0.1%以上であってもよい。
【0031】
一般に、廃ポリエステル樹脂の解重合により再生された重合原料は、高い解重合温度で形成されるジエチレングリコール(DEG)由来の副生成物に加えて、二量体及び三量体などのオリゴマー物質を含有し、これらは製品の品質を損なう要因となっている。
【0032】
さらに、解糖反応の触媒として主に使用される酢酸塩(例えば、酢酸亜鉛)は、解重合反応中にエチレングリコールと反応して、酢酸ヒドロキシエチル(HA)に変換される。HAは、溶媒として主に使用されるエチレングリコールと沸点が近く、したがって、エチレングリコールの回収及び再使用中に不純物として濾過することは容易ではない。その結果、プロセスが繰り返されるにつれて、それが蓄積して、副生成物が形成される。
【0033】
以下の反応スキーム1に示すように、触媒として主に使用される金属酢酸塩由来の酢酸(AA)は、エチレングリコール(EG)と反応して、酢酸2-ヒドロキシエチル(HA)などの酢酸系化合物及び水(HO)を生成することがある。
【0034】
【化1】
【0035】
さらに、以下の反応スキーム2に示すように、酢酸2-ヒドロキシエチル(HA)は、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)とのエステル交換反応により、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラート(HAET)などのエステル化合物及びエチレングリコール(EG)に変換され得る。
【0036】
【化2】
【0037】
実施形態による重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、合計で1.0%以下の酢酸系エステル化合物のピーク面積部分を有する。詳細には、重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、合計で0.7%以下、0.5%以下、0.3%以下、又は0.2%以下の酢酸系エステル化合物のピーク面積部分を有してもよい。一方、酢酸系エステル化合物のピーク面積部分の下限は、合計で0.001%以上、0.01%以上、又は0.1%以上であってもよい。一実施形態によれば、重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、合計で0.001%~1.0%、詳細には、0.001%~0.7%、0.001%~0.5%、0.001%~0.3%、又は0.001%~0.2%の酢酸系エステル化合物のピーク面積部分を有してもよい。酢酸系エステル化合物は、2-ヒドロキシエチル酢酸エステル化合物であってもよい。詳細には、酢酸系エステル化合物は、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラート(HAET)、2-アセトキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラート、及び2-ヒドロキシエチル[2-[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル]テレフタラートからなる群から選択される少なくとも1種を含んでもよい。より詳細な例として、酢酸系エステル化合物は、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラートを含んでもよい。
【0038】
さらに、重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、合計で2.0%以下のジエチレングリコール(DEG)エステル化合物のピーク面積部分を有する。例えば、ジエチレングリコール(DEG)エステル化合物のピーク面積部分は、合計で1.5%以下、1%以下、又は0.5%以下であってもよい。一方、ジエチレングリコール(DEG)エステル化合物のピーク面積部分の下限は、合計で0.001%以上、0.01%以上、又は0.1%以上であってもよい。一実施形態によれば、重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、合計で0.001%~2.0%、詳細には、0.001%~1.5%、0.001%~1%、又は0.001%~0.5%のジエチレングリコール(DEG)エステル化合物のピーク面積部分を有してもよい。ジエチレングリコールエステル化合物は、2-ヒドロキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラート及びビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシラートを含んでもよい。これらはそれぞれ以下の式1及び式2で表される。
【0039】
【化3】

【化4】
【0040】
本発明では、重合原料中の酢酸系エステル化合物及びジエチレングリコールエステル化合物の含有量を特定のレベルに調整するため、再生ポリエステル樹脂の重合においてこれらの化合物による耐熱特性の低下を防止することが可能である。
【0041】
重合原料中のジエチレングリコールエステル化合物の含有量が増加するにつれて、最終ポリマー樹脂の融点などの耐熱特性が直線的に低下する。酢酸系エステル化合物は、ポリマー鎖の成長を抑制する重合停止剤として作用する。その含有量が増加すると、最終ポリマー樹脂の耐熱特性は指数関数的に低下する。これらの関係を使用して、重合原料から調製されるポリマー樹脂の耐熱特性を予測する式を導くことができる。
【0042】
例えば、重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、6.0以下、5.0以下、4.0以下、又は3.0以下の、次式で定義される熱的性質降下指数(thermal property drop index、TDI)を有してもよい。
TDI=[DEG-エステル-1]+[DEG-エステル-2]×2+exp^[HA-エステル]
【0043】
ここで、DEG-エステル-1は、2-ヒドロキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラートのピーク面積部分(%)であり、DEG-エステル-2は、ビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシラートのピーク面積部分(%)であり、HA-エステルは、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分(%)である。この式は、これらのパラメータの単位を除いた数値のみで計算される。
【0044】
詳細には、上記式で定義される熱的性質降下指数(TDI)が3.0以下である場合、再生ポリエステル樹脂の重合においてこれらの化合物による耐熱特性の低下をより効果的に防止することが可能である。より詳細には、熱的性質降下指数(TDI)は、2.5以下でも2.0以下であってもよい。或いは、熱的性質降下指数(TDI)は、0~3.0、0~2.5、0.5~3.0、1.0~3.0、又は0.5~2.5であってもよい。
【0045】
さらに、重合原料は、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、が2%以下、1.5%以下、1%以下、又は0.5%以下のモノヒドロキシエチルテレフタラート(MHET)のピーク面積部分を有してもよい。
【0046】
本発明の重合原料は、優れた結晶性を有し、それによって、融点が高く、色などの品質に優れている。
【0047】
例えば、重合原料は、が100℃以上、105℃以上、又は110℃以上、及び125℃以下、120℃以下、又は115℃以下の融点(m.p.)を有してもよい。詳細な例としては、重合原料は、110℃~115の℃融点を有してもよい。
【0048】
重合原料は、ジメチルホルムアミドに25重量%の濃度で溶解された溶液について測定した場合、5.0以下の黄色度指数(YID)を有してもよい。詳細には、黄色度指数は、5.0以下、4.5以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.0以下、1.5以下、又は1.0以下であってもよい。
【0049】
さらに、重合原料中の残留エチレングリコールの総含有量は、ガスクロマトグラフィ分析により検出される重量比を基準として、1重量%以下、0.9重量%以下、0.5重量%以下、又は0.3重量%以下であってもよい。より詳細には、重合原料中の残留エチレングリコールの含有量は、0.5重量%以下であってもよい。より詳細には、重合原料中の残留エチレングリコールの含有量は、0.2重量%以下、0.15重量%以下、又は0.1重量%以下であってもよい。
【0050】
本発明による重合原料を調製する方法は、(a)廃ポリエステルを解糖により解重合して、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を得ることと;(b)粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を冷却して、これを結晶化することと;(c)結晶化生成物を、加圧濾過器を使用して固体と液体に分離することとを含む。
【0051】
精製プロセス中に酢酸を含めた低重量有機物を冷却結晶化及び加圧濾過により除去すると、酢酸系エステル化合物又はジエチレングリコールエステル化合物などの副生成物の含有量を効果的に抑制することができる。
【0052】
以下、本発明による重合原料を調製する方法の各ステップについて詳細に説明する。
【0053】
廃ポリエステルの解重合
最初に、廃ポリエステルを解糖により解重合して、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を得る。
【0054】
廃ポリエステル原料は、使用後に廃棄されたポリエステル材料製品から得ることができる。詳細には、廃ポリエステルは、消費者が使用した後に廃棄された様々なポリエステル材料(例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)材料)を含む廃棄物、例えば、飲料ボトル、布帛、フィルム、ケース、箱、間仕切り、棚、保護パネル、包装材料、建築材料、並びに内装及び外装材料などを前処理することによって得ることができる。
【0055】
前処理は、廃棄物中に混ざっている他のプラスチック、金属、及び異物を除去し、それを洗浄し、次いで、粉砕機で粉砕することによって行うことができる。前処理の結果、廃ポリエステル原料は、フレーク形状を有してもよい。さらに、廃ポリエステル原料が、繊維のような微細構造を有してもよい。
【0056】
次いで、このようにして前処理した廃ポリエステルに、解重合プロセスを施す。解重合プロセスは、例えば、解糖反応を含んでもよい。周知のように、解糖反応は、ポリマー鎖又はその他同種のものをエチレングリコールなどのグリコールによって切断する化学反応を指す。添加するグリコールの総重量は、廃ポリエステル樹脂の重量の1倍、2倍、3倍、又はそれ以上であってもよく、且つ7倍、5倍、4倍、又はそれ以下であってもよい。例えば、添加するグリコールの重量は、廃ポリエステル樹脂の重量に対して1~7倍、詳細には2~5倍、より詳細には3~4倍であってもよい。
【0057】
解糖反応において触媒を使用することができる。触媒は、金属触媒、例えば、金属塩触媒又は金属有機触媒であってもよい。詳細には、触媒は、金属の酢酸塩、炭酸塩、酸化物、又は水酸化物であってもよく、金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又は遷移金属であってもよい。詳細な例として、触媒は、金属酢酸塩、又はその無水物若しくは水素化物を含む。より詳細には、それは、酢酸亜鉛、酢酸ナトリウム、酢酸コバルト、及び酢酸マンガンからなる群から選択される少なくとも1種、又はそれらの水和物若しくは無水物の形態であってもよい。さらに、添加する触媒の重量は、廃ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.01重量部以上、0.1重量部以上、0.2重量部以上、又は0.3重量部以上であってもよく、且つ5重量部以下、1重量部以下、0.7重量部以下、0.5重量部以下、又は0.4重量部以下であってもよい。例えば、添加する触媒の重量は、廃ポリエステル樹脂100重量部に対して0.1重量部~1重量部、詳細には0.2重量部~0.7重量部であってもよい。より詳細には、触媒は、廃ポリエステル100重量部に対して0.2重量部~0.4重量部の量で使用してもよい。
【0058】
詳細な例として、ステップ(a)の解糖は、酢酸系触媒の存在下での廃ポリエステルとエチレングリコールとの反応を含むことができる。
【0059】
解重合は、例えば、低温での多段階解重合反応を含んでもよい。一実施形態によれば、解重合は、廃ポリエステルに高温で第1解糖反応による解重合を施し;その生成物に低温で第2解糖反応による解重合を施すことを含む。
【0060】
第1解糖反応中の温度は、170℃以上、180℃以上、又は190℃以上であってもよく、且つ205℃以下、200℃以下、195℃以下、又は190℃以下であってもよい。例えば、第1解糖反応中の温度は、180℃~200℃、詳細には180℃~195℃、より詳細には180℃~190℃であってもよい。
【0061】
さらに、第2解糖反応中の温度は、140℃以上、150℃以上、又は160℃以上であってもよく、且つ170℃以下又は160℃以下であってもよい。例えば、第2解糖反応中の温度は、150℃~170℃、詳細には150℃~160℃、より詳細には150℃~155℃であってもよい。
【0062】
詳細な例として、解重合は、(1)廃ポリエステルに、180~200℃の温度で第1解糖反応による解重合を施して、第1反応物を得ることと;(2)第1反応物に、150~170℃の温度で第2解糖反応による解重合を施して、第2反応物を得ることとを含んでもよい。
【0063】
第1及び第2解糖反応に必要な期間は、適温に達した時点から、1時間以上又は2時間以上であってもよく、且つ4時間以下又は3時間以下であってもよい。例えば、第1及び第2解糖反応に必要な期間は、適温に達した時点から1時間~4時間、詳細には1時間~3時間、より詳細には1時間~2時間であってもよい。
【0064】
より詳細な例として、第1解糖反応は、180℃~190℃の温度で1時間~3時間行うことができる。さらに、第2解糖反応は、150℃~160℃の温度で1時間~3時間行うことができる。
【0065】
一例として、第1解糖反応は、酢酸亜鉛無水物触媒の存在下で行うことができる。詳細な例として、第1解糖反応は、酢酸亜鉛無水物触媒の存在下、180℃~200℃の温度で1時間~3時間行うことができる。酢酸亜鉛無水物は、廃ポリエステル100重量部に対して0.2重量部~0.4重量部の量で使用してもよい。さらに、第2解糖反応は、触媒を添加せずに、エチレングリコールをさらに添加した後、140℃~160℃の温度で1時間~3時間行うことができる。
【0066】
冷却及び濾過
次いで、解重合により得られた粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を冷却することができる。冷却温度は、例えば、150℃以下、140℃以下、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下であってもよく、且つ50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、又は90℃以上であってもよい。
【0067】
一例として、冷却は、減圧フラッシュプロセスによって行うことができる。詳細には、減圧フラッシュプロセスにより真空にしてエチレングリコールを蒸発させることによって、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液の温度を低下させることができる。例えば、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液に、後続ステップに先立ち、減圧フラッシュにより120℃以下に冷却するステップをさらに施すことができる。より詳細には、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液の温度を、減圧フラッシュプロセスにより110℃以下又は100℃以下に低下させることができる。減圧フラッシュプロセスの圧力条件は、例えば、200Torr以下、100Torr以下、又は50Torr以下、詳細には、10Torr~200Torr、10Torr~100Torr、又は10Torr~50Torrであってもよい。
【0068】
その後、濾過により、冷却した粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液から不溶性異物を除去することができる。詳細な例としては、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を120℃以下に冷却し、濾過助剤を添加してそれを濾過するステップをさらに行うことができる。その結果、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液中に存在する微粒子及び不溶性有機物を固-液分離により濾過することができる。
【0069】
濾過助剤としては、珪藻土、パーライト、及びアスベスト粉などの既知の成分を使用することができる。例えば、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液100重量部に対して、0.1重量部~2.0重量部の濾過助剤を添加されてもよい。
【0070】
解重合反応により得られるビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート(BHET)又はオリゴマーは、室温において固体形状で存在するため、室温での異物の分離は困難である。したがって、90℃~150℃、より詳細には110℃~150℃の温度条件でそれらを分離することが好ましい。さらに、上記の温度範囲を維持した場合、流動性が良好となるため、不溶性異物の除去が容易になる可能性がある。
【0071】
固-液分離による不溶性異物の除去には、様々な方法及び装置を使用することができる。例えば、加圧濾過器、遠心分離機、圧濾器、ベルトプレスなどの装置を使用することができる。しかし、異物の分離に使用できる方法であれば、これらに限らない。
【0072】
一実施形態によれば、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液に、その中に含有される低重量有機物質を濾別することによる固-液分離ステップを施すため、ほとんどの酢酸系エステル化合物及びジエチレングリコールエステル化合物を液体形状で排出することができる。
【0073】
一実施形態によるプロセスは、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を冷却して、それを結晶化させることと;結晶化生成物を、加圧濾過器を使用して固体と液体に分離することとを含む。
【0074】
冷却結晶化の温度は、例えば、70℃以下、60℃以下、50℃以下、40℃以下、30℃以下、又は25℃以下であってもよく、且つ0℃以上、5℃以上、10℃以上、5℃以上、又は20℃以上であってもよい。詳細な例としては、室温であってもよい。
【0075】
酢酸系化合物及びジエチレングリコール系化合物は、冷却結晶化によって除去することができる。
【0076】
加圧濾過器の操作圧力は、0.1bar~21bar、より詳細には1bar~5barであってもよい。さらに、加圧濾過器の操作温度は、5℃~35℃、より詳細には15℃~25℃であってもよい。
【0077】
加圧濾過器は、ヌッチェ濾過器又は圧濾器であってもよい。
【0078】
ヌッチェ濾過器を使用する前に、容器内を窒素パージなどによって不活性化することが望ましい。最初に、混合物をヌッチェ濾過器に入れ、窒素などの不活性ガスを注入し、加圧して、溶媒と濾過ケーキを分離する。その後、ヌッチェ濾過器に水を注入して、濾過ケーキに残っている残留溶媒を洗い流し、不活性ガスを注入し、加圧して、濾過ケーキと水を分離する。得られた濾過ケーキを乾燥させ、冷却してもよい。
【0079】
圧濾器は、濾面を有する濾板、濾布、及び蓋で濾過室を形成し、反応物を濾布と蓋の間に高圧で圧入して固体と液体を分離する装置である。圧濾器は、真空濾過器に比べて固-液分離面としての濾材の前後の圧力差が大きくなるため、より効果的な固-液分離が可能である。
【0080】
酢酸系化合物及びジエチレングリコール系化合物は、加圧濾過器によって除去されてもよい。
【0081】
イオン交換
さらに、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液に、イオン交換樹脂によりイオン交換をさらに施すことができる。イオン交換を施すと、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液中に存在するイオン性不純物、詳細には、触媒及び異物を除去することができる。
【0082】
周知のように、イオン交換樹脂は、イオン交換の媒体として働く樹脂又はポリマーを指す。イオン交換樹脂は、陽イオン交換樹脂、陰イオン交換樹脂、両性イオン交換樹脂、キレート樹脂などを含んでもよい。
【0083】
陽イオン交換樹脂は、スルホン酸基(SOH)を有する強酸性陽イオン交換樹脂、及びカルボキシル基(-COOH)を有する弱酸性陽イオン交換樹脂を含んでもよい。陰イオン交換樹脂は、第四級アンモニウム塩の形態の強塩基性陰イオン交換樹脂、及び第一級~第三級アミノ基を有する弱塩基性陰イオン交換樹脂を含んでもよい。
【0084】
詳細な例として、イオン交換樹脂は、強酸性陽イオン交換樹脂、弱酸性陽イオン交換樹脂、及びキレート樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含むことができる。
【0085】
一実施形態によれば、イオン交換は、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液にイオン交換樹脂を添加することによって行われる。
【0086】
添加するイオン交換樹脂の重量は、解重合反応において添加する触媒の重量の1倍、3倍、又は5倍、又はそれ以上であってもよく、且つ20倍、15倍、10倍、8倍、又はそれ以下であってもよい。例えば、添加するイオン交換樹脂の重量は、解重合反応において添加する触媒の重量に対して1~20倍、詳細には3~15倍、より詳細には5~8倍であってもよい。
【0087】
さらに、添加するイオン交換樹脂の重量は、解重合反応で用いる廃ポリエステル樹脂100重量部に対して、1重量部以上、3重量部以上、又は5重量部以上であってもよく、且つ50重量部以下、20重量部以下、15重量部以下、10重量部以下、又は7重量部以下であってもよい。
【0088】
詳細な例として、イオン交換樹脂は、廃ポリエステル100重量部に対して1重量部~20重量部の量で使用することができる。
【0089】
別の一実施形態によれば、イオン交換は、イオン交換樹脂が入っているカラムを使用することによって行われる。
【0090】
詳細には、カラムにイオン交換樹脂の粒子を充填し、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液がカラムを通過する間にイオン交換を行うことができる。
【0091】
イオン交換樹脂粒子の粒子直径は、例えば、0.3mm~1.5mm、より詳細には0.6mm~0.9mmであってもよい。
【0092】
イオン交換の温度は、例えば、140℃以下、130℃以下、120℃以下、110℃以下、100℃以下であってもよく、且つ50℃以上、60℃以上、70℃以上、80℃以上、又は90℃以上であってもよい。
【0093】
さらなる精製ステップ
上述の再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料には、必要に応じて精製ステップをさらに施すことができる。一例によれば、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料は、未反応グリコールを蒸留により除去するステップをさらに行うことにより調製されてもよい。
【0094】
前のステップで濾過した後の解重合生成物には未反応グリコールが残っているため、次のステップの前に生成物からグリコールを除去する必要がある。
【0095】
さらに、経済的な解重合プロセスを行うためには、未反応グリコールを回収するステップを実施する必要がある。即ち、前に解重合で用いたエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールなどのグリコールのうち、解糖反応に関与せずに残ったグリコールを回収し、再使用することが可能である。
【0096】
未反応グリコールを除去するための蒸留は、例えば減圧蒸留によって行うことができる。この目的のために、ガラス蒸留装置又はロータリー蒸発器を使用してもよい。
【0097】
未反応グリコールを除去する減圧蒸留を150℃以下の温度で行うと、ジエチレングリコール及びそれに由来する不純物の形成がさらに低減されて、BHETの純度を向上させることができる。例えば、未反応グリコールを除去する減圧蒸留は、150℃以下、130℃以下、又は120℃以下、及び80℃以上、90℃以上、100℃以上、又は110℃以上の温度で行うことができる。詳細には、未反応グリコールを除去する蒸留中の温度は、80℃~190℃又は90℃~150℃であってもよい。より詳細な例としては、未反応グリコールを除去する蒸留は、100℃~130℃の温度で行ってもよい。
【0098】
未反応グリコールを除去する減圧蒸留中の圧力は、例えば、0.1Torr~760Torr、0.1Torr~200Torr、又は0.5Torr~30Torrであってもよい。より詳細には、減圧蒸留は、760Torrから0.8Torrまで段階的に減圧条件下で行うことができる。
【0099】
別の一例によれば、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料は、減圧下での薄膜蒸留;及び水への溶解に続く吸着結晶化のうちの少なくとも1つをさらに行うことによって調製することができる。
【0100】
薄膜蒸留は、熱源と接触する表面積を増大させるために、分離する混合物を薄膜にする蒸留方法である。詳細には、薄膜蒸発器の蒸発器に供給された混合物は、ワイパーロータによって薄膜蒸発器の内壁に薄膜を形成する。次いで、加熱による適切な温度条件下で蒸留を行う。さらに、薄膜蒸発器の内部に蒸発物を回収するための凝縮器を設けてもよい。
【0101】
薄膜蒸発は、ショートパス蒸発によって行うことができる。このようなショートパス及び薄膜蒸発は滞留時間が短く、高真空を使用する減圧蒸留が可能であるため、熱による反応物の変化を最小限に抑えながら、他の蒸留方法では分離が困難な高沸点材料又は高分子量材料を分離することが可能である。さらに、薄膜蒸発器内の圧力を低下させた場合、材料の蒸気圧が低下し、本来の沸点よりも低い温度で蒸発させることができるという利点がある。
【0102】
詳細な例としては、解重合生成物をショートパス及び薄膜蒸発器に供給し、薄膜形成用ワイパーを300rpm以上で回転させる。その結果、気化した材料と気化しなかった材料とを互いに分離することができる。薄膜蒸発中の上部薄膜蒸発装置の内部薄膜温度は、例えば、150℃~250℃、190℃~250℃、又は180℃~220℃であってもよい。さらに、薄膜蒸発中の上部薄膜蒸発装置の内部圧力は、例えば、0.005Torr~5.0Torr、0.05Torr~5.0Torr、0.05Torr~1.5Torr、又は0.05Torr~1Torrであってもよい。
【0103】
吸着結晶化は、例えば、溶媒として水を使用して吸着剤を添加し、濾過し、結晶化させることにより行うことができる。
【0104】
様々な溶媒を吸着結晶化に使用することができるが、溶媒として、好ましくは、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを溶解できる溶媒を使用する。詳細な例としては、最終反応物を得るために、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料に溶媒として水を添加し、加熱により溶解し、これに吸着剤を添加し、続いて、濾過により得られた溶液を結晶化させ、最後に濾過する。その結果、純度の高い重合原料を得ることができる。
【0105】
水は、重合原料100重量部に対して、100重量部~500重量部、詳細には200重量部~400重量部、より詳細には300重量部~350重量部の量で添加されてもよい。
【0106】
さらに、溶解温度は、50℃~95℃、詳細には60℃~85℃、より詳細には70℃~75℃であってもよい。
【0107】
添加する吸着剤は、他の異物を吸着し、除去する働きをすることができる。それは、重合原料100重量部に対して0.1重量部~3重量部の量で添加されてもよい。吸着剤のタイプ及び形態は、特に限定されない。例えば、活性炭を使用してもよい。
【0108】
[発明の形態]
以下、本発明の理解のために好ましい実施形態を示す。しかし、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために提供するものであり、本発明の範囲はこれによって限定されるものではない。
【0109】
実施例1
ステンレス鋼(SUS)製の第1反応器に、廃ポリエステル樹脂1,000g、エチレングリコール2,000g、及び酢酸亜鉛無水物5.0gを装入した。反応器内の温度を180℃に上げ、解重合(第1解糖反応)を2時間行った。こうして得られた反応物(第1反応物)を第2反応器に移し、150℃に冷却した。それにエチレングリコール2,000gをさらに添加し、反応器温度を150℃に維持しながら解重合(第2解糖反応)を2時間行った。
【0110】
このようにして得られた反応物(第2反応物)を減圧フラッシュにより120℃に冷却し、それに濾過助剤(Celite(商標)545)16gを添加し、続いて、加圧濾過して固-液分離を行った。分離した液体反応物を、イオン交換樹脂(BonliteのBC107(H))を充填したカラムに通してイオン性不純物を除去して、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート及びエチレングリコールを含有する混合物(第3反応物)を得た。
【0111】
この混合物(第3反応物)を、冷却水循環ジャケットを備えた10リットル容の結晶化装置において100rpmで撹拌しながら2時間かけて室温に冷却した。得られた結晶化生成物を3barの圧力下で加圧ヌッチェ濾過器(ジャケットタイプ、濾過面積0.2m)を使用して固体と液体を分離して、BHETケーキ(第4反応物)を得た。
【0112】
BHETケーキを10リットル容の蒸留装置に移し、再度130℃に加熱した。760Torrから0.8Torrまで段階的に減圧条件下で減圧蒸留を行って、未反応エチレングリコールを回収した。エチレングリコールが除去された反応物(第5反応物)に、薄膜蒸発器(VTAのVKL70-4S)において220℃及び0.08Torrで薄膜蒸発を施して、二量体以上のオリゴマーが除去された生成物1,040gを得た。その後、吸着結晶化のため、上記生成物1,040g及び蒸留水3,120gを10リットル容のガラス製反応器に装入し、70℃の温度で溶解し、次いで、それに活性炭5.2gを添加し、続いて、30分間撹拌し、それを濾過した。濾液を結晶化させるために室温に冷却し、濾過し、真空オーブンで乾燥させた。その結果、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含有する重合原料1,980gを得た。
【0113】
実施例2
第1解糖反応の反応時間を1時間に調整した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料を得た。
【0114】
実施例3
濾過を加圧ヌッチェ濾過器の代わりに18barの圧力下で圧濾器(濾過面積0.4m、濾過板4ea)を使用して実施した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料を得た。
【0115】
実施例4
廃ポリエステル樹脂として廃ポリエステル繊維を使用した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料を得た。
【0116】
実施例5
薄膜蒸留後に吸着結晶化を実施しなかった以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料を得た。
【0117】
比較例1
第1解糖反応の温度を210℃に調整し、第2解糖反応の温度を250℃に調整した以外は、実施例1と同様の操作を繰り返して、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料を得た。
【0118】
比較例2
冷却結晶化及び加圧ヌッチェ濾過器ステップを省略した以外は、実施例1と同様の手順を繰り返して、再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料を得た。
【0119】
試験例
実施例及び比較例の再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む重合原料を、それぞれ以下の通りに試験した。
【0120】
(1)高速液体クロマトグラフィ(HPLC)
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む各重合原料約0.01gをメタノール約20mlで希釈し、それを高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で分析した(モデル:Waters e2695、カラム:C18(4.6×250mm)、5μm、UV検出器:242nm、注入量:10μl、溶離液(勾配)A:HO+HPO、B:アセトニトリル)。その後、HPLCの全ピーク面積のうち、下記成分のピーク面積部分(%)が得られた。
MHET:モノヒドロキシエチルテレフタラート
BHET:ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート
DEG-エステル-1:2-ヒドロキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラート
DEG-エステル-2:ビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシラート
HA-エステル:2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラート
二量体:BHET二量体
三量体:BHET三量体
【0121】
(2)ガスクロマトグラフィ(GC)
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む各重合原料0.1gをCHCl10mlに溶解し、0.45μmのフィルタで処理し、GCで測定した。
モデル:Agilent 7890B
カラム:DB-624(30m×0.25mm×1.4μm)
オーブン温度:60℃(2分)-10℃/分-200℃(0分)-20℃/分-260℃(5分)
注入器温度:250℃
検出器温度:250℃
流量:1.5ml/分(N)、スプリット比:1/50
【0122】
(3)TDI
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む各重合原料を、上記のセクション(1)と同じ方式でHPLC分析にかけた。次いで、次式で定義される熱的性質降下指数(TDI)を計算した。
TDI=[DEG-エステル-1]+[DEG-エステル-2]×2+exp^[HA-エステル]
ここで、DEG-エステル-1は、2-ヒドロキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラートのピーク面積部分(%)であり、DEG-エステル-2は、ビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシラートのピーク面積部分(%)であり、HA-エステルは、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分(%)であった。この指数は、これらのパラメータの単位を除いた数値のみをとることにより計算された。
【0123】
(4)示差走査熱量測定(DSC)
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む各重合原料について、示差走査熱量計(DSC、TA Instruments Q20)を使用して、20℃/分の速度で30℃から280℃まで加熱しながら融点(m.p.)を測定した。
【0124】
(5)誘導結合プラズマ原子発光分析(ICP-AES)
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む各重合原料0.3gを超音波処理し、超純水で希釈した。無機物の含有量(ppm)を、ICP-AES(AgilentのModel 5100)(検出限界5ppm)を使用して測定した。
【0125】
(6)黄色度指数(YID)
再生ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートを含む各重合原料を25重量%の濃度でジメチルホルムアミドに室温で溶解し、30分後に黄色度指数を測定した。透過データは、HunterlabのColor Flex EZを使用して、D65光源を用いて観察者角度2°で得た。黄色度指数(YID)値は、ソフトウェアのカラーアナライザを使用して計算した。
【0126】
試験例の結果を以下の表に示す。
【0127】
【表1】
【0128】
上記の表から分かるように、実施例1~5で得られた再生BHETを含む重合原料は、合計で2.0%以下のジエチレングリコールエステル化合物(DEG-エステル-1、DEG-エステル-2)のHPLCピーク面積部分、1.0%以下の酢酸系エステル化合物(HA-エステル)のHPLCピーク面積部分が合計を有したが、その他の不純物(MHET、二量体、三量体)又は残留EGの含有量、融点(m.p.)、無機物含有量、黄色度指数(YID)において優れていた。特に、実施例1~5で得られた再生BHETを含む重合原料は、3.0以下の熱的性質降下指数(TDI)を有した。したがって、これから再生ポリエステル樹脂を重合した場合、耐熱特性に優れることが期待される。
【0129】
対照的に、比較例1及び2で得られた再生BHETを含む重合原料は、合計で2.0%超のジエチレングリコールエステル化合物(DEG-エステル-1、DEG-エステル-2)のHPLCピーク面積部分、合計で1.0%超の酢酸系エステル化合物(HA-エステル)のHPLCピーク面積部分を有したが、その他の不純物(MHET、二量体、三量体)又は残留EGの含有量、融点(m.p.)、無機物含有量、黄色度指数(YID)において劣っていた。特に、比較例1及び2で得られた再生BHETを含む重合原料は、熱的性質降下指数(TDI)が最大で9.23に達した。したがって、これから再生ポリエステル樹脂を重合した場合、耐熱特性が劣ることが予想される。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃ポリエステルの解重合により得られる重合原料であって、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定した場合、ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分が95%以上、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラートを含む酢酸系エステル化合物のピーク面積部分が合計で0.001%~1.0%、ジエチレングリコールエステル化合物のピーク面積部分が合計で0.001%~2.0%であり、
ジメチルホルムアミドに25重量%の濃度で溶解した溶液について測定した場合、5.0以下の黄色度指数(YID)を有する、重合原料。
【請求項2】
前記ジエチレングリコールエステル化合物が、2-ヒドロキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラート及びビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシラートを含む、請求項1に記載の重合原料。
【請求項3】
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、次式:
TDI=[DEG-エステル-1]+[DEG-エステル-2]×2+exp^[HA-エステル]
で定義される3.0以下の熱的性質降下指数を有し、
DEG-エステル-1が、2-ヒドロキシエチル[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]テレフタラートのピーク面積部分(%)であり、DEG-エステル-2が、ビス[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エチル]ベンゼン-1,4-ジカルボキシラートのピーク面積部分(%)であり、HA-エステルが、2-ヒドロキシエチル(2-アセトキシエチル)テレフタラートのピーク面積部分(%)であり、前記指数がこれらのパラメータの単位を除いた数値のみをとることにより計算される、請求項1に記載の重合原料。
【請求項4】
高速液体クロマトグラフィ(HPLC)で測定された場合、合計で2.0%以下の二量体以上のオリゴマーのピーク面積部分を有する、請求項1記載の重合原料。
【請求項5】
前記重合原料中の残留エチレングリコールの含有量が、0.5重量%以下である、請求項1に記載の重合原料。
【請求項6】
110℃~115℃の融点を有する、請求項1に記載の重合原料。
【請求項7】
請求項1に記載の重合原料を調製する方法であって、
(a)廃ポリエステルを解糖により解重合して、粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を得るステップと;
(b)前記粗ビス(2-ヒドロキシエチル)テレフタラート溶液を冷却して、これを結晶化するステップと;
(c)前記結晶化生成物を、加圧濾過器を使用して固体と液体に分離するステップとを含み、
前記ステップ(a)の解重合が、
(1)前記廃ポリエステルに、180℃~200℃の温度で第1解糖反応による解重合を施して、第1反応物を得ることと;
(2)前記第1反応物に、150~170℃の温度で第2解糖反応による解重合を施して、第2反応物を得ることと
を含む、方法。
【請求項8】
前記ステップ(c)の加圧濾過器が、ヌッチェ濾過器又は圧濾器である、請求項に記載の方法。
【請求項9】
酢酸系化合物及びジエチレングリコール系化合物が、前記ステップ(c)の加圧濾過器によって除去される、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記重合原料が、未反応グリコールを蒸留により除去するステップをさらに行うことによって調製される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記重合原料が、減圧下での薄膜蒸留;及び水への溶解に続く吸着結晶化のうちの少なくとも1つをさらに行うことによって調製される、請求項に記載の方法。
【国際調査報告】