(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】老化の質および寿命に関係する状態の治療のためのペンタデカノイルカルニチン
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20241024BHJP
A61K 31/205 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/20 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20241024BHJP
A61P 11/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20241024BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 11/06 20060101ALI20241024BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20241024BHJP
A61P 11/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/30 20060101ALI20241024BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/36 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241024BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/16 20060101ALI20241024BHJP
A61P 13/10 20060101ALI20241024BHJP
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A61P 3/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20241024BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/20 20060101ALI20241024BHJP
A61P 19/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A23L33/10
A61K31/205
A61K31/20
A61P25/00
A61P37/08
A61P11/02
A61P25/28
A61P25/22
A61P19/02
A61P11/06
A61P9/10
A61P25/14
A61P25/18
A61P25/24
A61P11/00
A61P35/00
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A61P25/30
A61P17/00
A61P25/36
A61P1/04
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A61P13/10
A61P9/12
A61P29/00
A61P3/00
A61P25/06
A61P25/04
A61P3/04
A61P25/16
A61P25/20
A61P19/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024516465
(86)(22)【出願日】2022-08-02
(85)【翻訳文提出日】2024-05-09
(86)【国際出願番号】 US2022039166
(87)【国際公開番号】W WO2023080939
(87)【国際公開日】2023-05-11
(32)【優先日】2021-11-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520137235
【氏名又は名称】エピトラッカー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】EPITRACKER, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベン-ワトソン、ステファニー
【テーマコード(参考)】
4B018
4C206
【Fターム(参考)】
4B018MD10
4B018MD18
4B018ME04
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4B018ME14
4C206AA01
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4C206ZB11
4C206ZB13
4C206ZB26
4C206ZC21
4C206ZC39
(57)【要約】
攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安および不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患および状態、代謝障害、片頭痛、鼻および副鼻腔のうっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛および多発性硬化症の症状、神経系および神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチックおよび挙動問題の予防、管理または治療のため、ならびに食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性および代謝性、血液学、腎臓、および体重減少について支援するための、ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸の投与が提供される。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安、不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患、精神状態、代謝障害、片頭痛、鼻閉、副鼻腔うっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛、多発性硬化症の症状、神経学的障害、神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチック、トゥレット症候群に伴う挙動問題からなる群から選択される状態の治療、管理、改善、または予防法のための組成物であって、
ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む、組成物。
【請求項2】
食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性、代謝性の健康、血液学的健康、腎臓の健康、および体重減少について支援するための組成物であって、
ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む、組成物。
【請求項3】
ペンタデカノイルカルニチンを含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項4】
ペンタデカン酸を含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項5】
ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸を含む、請求項1または2記載の組成物。
【請求項6】
体重1kg当たり0.1mg~50mg、場合によって体重1kg当たり0.3mg~5mgの前記ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を、それを必要とする対象に投与するように構成されている、請求項1から5のいずれか一項記載の組成物。
【請求項7】
1日1回投与するように構成されている、請求項1から6のいずれか一項記載の組成物。
【請求項8】
0.01mg~10000mg、場合によって10mg~200mgの前記ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはエステルを含む単位剤形である、請求項1から7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項9】
食料品、栄養補助食品、単位剤形、処方せん薬、または製薬からなる群から選択される形態である、請求項1から7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項10】
栄養補助食品、医療食、食品添加物、食品強化剤、飲料添加物、飲料強化剤、強化食品、強化飲料、添加物が添加された食品、および添加物が添加された飲料からなる群から選択される形態である、請求項1から7のいずれか一項記載の組成物。
【請求項11】
ペンタデカノイルカルニチンの身体濃度1μM~20μMを達成するための医薬の製造における、請求項1から10のいずれか一項記載の組成物の使用。
【請求項12】
攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安、不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患、精神状態、代謝障害、片頭痛、鼻閉、副鼻腔うっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛、多発性硬化症の症状、神経学的障害、神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチック、トゥレット症候群に伴う挙動問題からなる群から選択される状態の治療、管理、改善、または予防の方法であって、
それを必要とする対象に、有効量のペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与することを含む、方法。
【請求項13】
食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性、代謝性の健康、血液学的健康、腎臓の健康、および体重減少について支援する方法であって、前記組成物が、
それを必要とする対象に、有効量のペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与することを含む、方法。
【請求項14】
ペンタデカノイルカルニチンの身体濃度1μM~20μMが前記対象において達成される、請求項12または13記載の方法。
【請求項15】
ペンタデカノイルカルニチンが投与される、請求項12から14のいずれか一項記載の方法。
【請求項16】
ペンタデカン酸が投与される、請求項12から14のいずれか一項記載の方法。
【請求項17】
ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸が投与される、請求項12から14のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
体重1kg当たり0.1mg~50mg、場合によって体重1kg当たり0.3mg~5mgの前記ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が投与される、請求項12から17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が1日1回投与される、請求項12から18のいずれか一項記載の方法。
【請求項20】
ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が、0.01mg~10000mg、場合によって10mg~200mgの前記ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはエステルを含む単位剤形である、請求項12から19のいずれか一項記載の方法。
【請求項21】
ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が、食料品、栄養補助食品、単位剤形、処方せん薬、または製薬からなる群から選択される形態で投与される、請求項12から20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が、栄養補助食品、医療食、食品添加物、食品強化剤、飲料添加物、飲料強化剤、強化食品、強化飲料、添加物が添加された食品、および添加物が添加された飲料からなる群から選択される形態で投与される、請求項12から20のいずれか一項記載の方法。
【請求項23】
ペンタデカノイルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む、栄養補助食品。
【請求項24】
体重1kg当たり最低0.1mg、場合によって、体重1kg当たり最低0.3mg、場合によって、体重1kg当たり最低1mgの前記ペンタデカノイルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を、それを必要とする対象に投与するよう構成されている、請求項23記載の栄養補助食品。
【請求項25】
体重1kg当たり0.1mg~50mg、場合によって、体重1kg当たり0.3mg~5mgの前記ペンタデカノイルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を、それを必要とする対象に投与するよう構成されている、請求項23または24記載の栄養補助食品。
【請求項26】
1日1回投与するように構成されている、請求項23から25のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項27】
0.01mg~10000mg、場合によって1mg~1000mg、場合によって10mg~200mgの前記ペンタデカノイルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む単位剤形である、請求項23から26のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項28】
製薬または処方せん薬の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項29】
食料品、医療食、食品添加物、食品強化剤、飲料添加物、飲料強化剤、強化食品、強化飲料、添加物が添加された食品、および添加物が添加された飲料からなる群から選択される形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項30】
食料品の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項31】
医療食の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項32】
食品添加物の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項33】
食品強化剤の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項34】
飲料添加物の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項35】
飲料強化剤の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項36】
強化食品の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項37】
強化飲料の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項38】
添加物が添加された食品の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項39】
添加物が添加された飲料の形態である、請求項23から27のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項40】
獣医学的使用のための、請求項23から39のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項41】
ヒトによる使用のための、請求項23から39のいずれか一項記載の栄養補助食品。
【請求項42】
本明細書に実質的に記載されている組成物。
【請求項43】
本明細書に実質的に記載されている方法。
【請求項44】
本明細書に実質的に記載されている使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦支援のR&Dに関する記述
米国政府は、ONR SBIR Agreement No.N00014-21-9-0002の下、本発明におけるある特定の権利を有する。
【0002】
ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸の投与が、攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安および不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患および状態、代謝障害、片頭痛、鼻および副鼻腔のうっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛および多発性硬化症の症状、神経系および神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチックおよび挙動問題の予防、管理または治療のため;ならびに食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性および代謝性、血液学、腎臓、および体重減少についての支援のために提供される。
【背景技術】
【0003】
カルニチンは、食物、主に動物源の食物に存在するアミノ酸であるが、これはまた内因性に作製され得る。Lカルニチンは生物学的に利用可能であり、生物活性のある異性体である。カルニチンは細胞内にほぼ全体的に見出され、細胞内でカルニチンは、長鎖脂肪酸を長鎖アシルカルニチンとしてミトコンドリアへ行き来させることによって、細胞活動のためにβ酸化生成されたエネルギーを可能にすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安および不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患および状態、代謝障害、片頭痛、鼻および副鼻腔のうっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛および多発性硬化症の症状、神経系および神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチックおよび挙動問題の予防、管理または治療;ならびに食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性および代謝性、血液学、腎臓、および体重減少についての支援のための組成物および方法が提供される。これらの組成物は、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩を含み、これは他の医薬と組み合わせてまたは本明細書に記載されている様々な治療レジメンの一部として投与することができる。提供される組成物は、本明細書に記載されているマーカーをモジュレートするのに有効である。組成物を投与するための方法が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
したがって、一般的に適用可能な第1の態様では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、以下を含む医薬組成物が提供される:ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸;および薬学的に許容される担体。
【0006】
第1の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、組成物は単位剤形である。
【0007】
第1の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、医薬組成物は、体重1kg当たり、2.5mg~50mgのペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩を患者に投与するように構成されている。
【0008】
第1の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、医薬組成物は1日1回投与するように構成されている。
【0009】
第1の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、医薬組成物は、0.01mg~10000mgのペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩を含む。
【0010】
一般的に適用可能な第2の態様では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、本明細書に記載されている状態の治療または予防のための医薬の製造における、第1の態様またはそのいずれかの実施形態の医薬組成物の使用が提供される。
【0011】
第2の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、使用は本明細書に記載されている状態の治療または予防法のための医薬の製造におけるものである。
【0012】
第2の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、医薬組成物は、本明細書に記載されている老化に伴う状態または本明細書に記載されている状態の症状のマーカーをモジュレートするよう構成されている。
【0013】
第2の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、本明細書の徴候に関係した状態のマーカーは、血清または血漿ペンタデカノイルカルニチン濃度、赤血球インデックス(すなわちヘモグロビン、赤血球)、血清または血漿コレステロール、トリグリセリド、インスリン、グルコース、ガンマ-グルタミルペプチド転移酵素、フェリチン、または鉄からなる群から選択される。
【0014】
一般的に適用可能な第3の態様では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、医薬組成物は、ペンタデカノイルカルニチンの血清、赤血球、または組織濃度を0.2μM~20μMの間に増加させるように構成されている。
【0015】
第3の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、ペンタデカノイルカルニチンまたはその薬学的に許容される塩は、単位剤形の医薬組成物として提供される。
【0016】
第3の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、単位剤形は0.01mg~10000mgのペンタデカノイルカルニチンを含む。
【0017】
第3の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、医薬組成物は、本明細書に記載されている複数の異なる低分子代謝産物をさらに含む。
【0018】
第3の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、体重1kg当たり、1日当たり、2.5mg~50mgのペンタデカノイルカルニチンまたはその薬学的に許容される塩が患者に投与される。
【0019】
第3の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、ペンタデカノイルカルニチンまたはその薬学的に許容される塩は患者に1日1回投与される。
【0020】
第3の態様の一実施形態では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、ペンタデカノイルカルニチンの血清、組織、または赤血球膜濃度は、患者のベースラインレベルの1.25~6倍超に増加することによって、0.5μM~20μMの間の濃度を達成する。
【0021】
一般的に適用可能な第4の態様では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、ペンタデカノイルカルニチンの身体濃度1μM~20μMを達成して、攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安および不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患および状態、代謝障害、片頭痛、鼻および副鼻腔のうっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛および多発性硬化症の症状、神経系および神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチックおよび挙動問題を予防する、管理するまたは治療するため;ならびに食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性および代謝性、血液学、腎臓、および体重減少について支援するための、ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸の使用が提供される。
【0022】
一般的に適用可能な第5の態様では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、実質的に本明細書に記載されている組成物が提供される。
【0023】
一般的に適用可能な第6の態様では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、実質的に本明細書に記載されている組成物が提供される。
【0024】
一般的に適用可能な第7の態様では(すなわち、独立して、本明細書で特定された態様または実施形態のいずれかと結合できる)、実質的に本明細書に記載されている使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1A】
図1Aは、6カ月間維持した改変された魚の食餌において、1カ月以内に血清ペンタデカン酸(C15:0)濃度が増加したことを示す図である。
【0026】
【
図1B】
図1Bは、6カ月間維持した改変された魚の食餌において、1カ月内にペンタデカノイルカルニチン濃度が増加したことを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を含む組成物、ならびに攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安および不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患および状態、代謝障害、片頭痛、鼻および副鼻腔のうっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛および多発性硬化症の症状、神経系および神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチックおよび挙動問題を含む状態の治療;ならびに食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性および代謝性、血液学、腎臓、および体重減少についての支援のための関連する方法が提供される。
【0028】
老化は、炎症誘発性サイトカイン、好中球、および次第に活性化したマクロファージの循環レベルの増加を特徴とする慢性の、低悪性度の炎症を伴う。この炎症誘発性状態は、高齢の人々にとって、罹患率と死亡率の両方に対する重大な危険因子(Franceschi C、Campisi J(2014)Chronic inflammation(inflammaging)and its potential contribution to age-associated diseases.J Gerontol Ser A69:S4~S9ページ)。少なくとも100年生きている人々は、年齢による炎症誘発性状態を発症していた可能性は低く、これは慢性の、低悪性度の炎症が生活の質および持続を障害することをさらに裏付けるものである(Vasto S、Candore G、Balistreri M、Colonna-Romano G、Grimaldi MP、Listi Fら(2007)Inflammatory networks in ageing、age-related diseases、and longevity。Mech Ageing and Dev 128:83~91ページ)。よって、老化による炎症を減少させるための治療介入により、多数の老化に伴う疾患を並行的に治療して、生活の質の改善および寿命の拡大をもたらすことが提案されている。
【0029】
人々が年を取るにつれて、貧血の有病率は劇的に増加し得る。年齢40、60、80、90および100歳の集団の比較(合計n=1,980)は以下の貧血の有病率を有した:16.1%、19.1%、41.1%、46.2%、および57.1%(Zhai Y、Yin ZX、Xu JW、Liu YZ、Shi XM(2010)Anemia status and its relevant factors among elderly people aged above 80 years old in longevity areas in China.Chinese J of Prev Med 44:115~118ページ)。貧血および低いヘモグロビン濃度の存在は、高齢の人々の中で3年死亡率の危険性を25%増加させ、寿命を低減させた(Lyu Y、Yin Z、Luo J、Shi X、Zeng Y(2015)Zhonghua Liuxingbingxue Zazhi、36:682~686ページ)。老化による貧血を予防するおよび治療するための手段は、生活の質を改善し、寿命を拡大すると予想されている。
【0030】
老化によるコレステロールの上昇は、生活の質または寿命に負の影響を及ぼす可能性がある(Kriesberg RAおよびKasim S(1987)Cholesterol metabolismand aging、Am J Med、82:54~60ページ)。上昇したコレステロール、特に上昇した低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールは、アテローム動脈硬化症を含む心血管疾患の根底にある原因または誘因と特定され、これらの心血管疾患もまた年齢と共に有病率が増加する。特に50歳より下の人々に対して、より低いコレステロールレベルは、寿命の改善を伴う(Anderson KM、Castelli WP、Levy D(1987)Cholesterol and mortality:30 years of follow-up from the Framingham Study JAMA、257:2176~2180ページ)。同様に、トリグリセリドレベルは、ヒトの寿命を予測するための主要な因子となり得、より低いトリグリセリドのレベルは、対照と比較してより長寿のファミリーに存在する(Vaarhorst AAM、Beekman M、Suchiman EHD、van Heemst DV、Houwing-Duistermaat JJ、Westerndorp RGら、(2010)Lipid metabolism in long-lived families:theLeiden Longevity Study.AGE、33巻:219~227ページ)。脂質異常症の予防および治療は、生活の質を改善し、寿命を拡大するのに重要であることが強調されている。
【0031】
高血糖およびインスリン抵抗性を含む前糖尿病状態および糖尿病性状態は、生活の質および寿命の損失をもたらす。1999年から2011年まで、糖尿病による損失年数の平均は、男性で46%および女性で44%増加した(Gregg EW、Zhuo X、Cheng YJ、Albright AL、Narayan KMV、Thompson TJ(2014)Trends in lifetime risk and years of life lost due to diabetes in the USA、1985~2011ページ:A modelling study.Lancet Diab Endocrinol 2:867~874ページ)。インスリン耐性は、年齢の進行と共に増加し、100年超生きている人々は、若い人と比較してより低いインスリン抵抗性を有する(Paolisso G、Barbieri M、Rizzo MR、Carella C、Rotondi M、Bonafe Mら(2001)Low insulin resistance and preserved β-cell function contribute to human longevity but are not associated with TH-INS genes.Exp Gerontol、37:147~156ページ)。2型糖尿病を治療するために長年使用されてきた、メトホルミンを含む治療は寿命を拡大することが実証されており(Novelle MG、Ali A,Dieguez C、Bernier M,de Cabo R(2016)Metformin:A hopeful promise in aging research.CSH Perspectives、6:a025932)、高血糖およびインスリン抵抗性を治療し、寿命を拡大する助けとなり得る他の化合物を発見するための活発な努力がなされている。
【0032】
慢性肝疾患およびそれに伴う肝硬変症および肝細胞癌の有病率は特に先進国において驚く速度で増加してきた。この増加は、肥満およびメタボリックシンドロームの世界的な上昇に伴う非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)に主に起因する(グルコース、脂質異常症、およびインスリン抵抗性の上昇を含む)。慢性肝疾患は、罹患率および死亡率の原因となり、肝不全、移植、およびがんを低減することを目標とすることによって、肝疾患に対する治療剤が生活の質を改善し、寿命を拡大することができる(Lim YS、Kim WR(2008)The global impact of hepatic fibrosis and end-stage liver disease.Clinics in Liver Dis、12:733~746ページ)。
【0033】
老化による鉄過剰および高フェリチン血症は、生活の質または寿命に負の影響を及ぼす可能性がある。鉄は年齢と共に、脳を含む組織に蓄積する(Hirose W、Ikematsu K、およびTsuda R(2003)Age-associated increases in heme oxygenase-1 and ferritin immunoreactivity in the autopsied brain.Legal Med 5:S360~366ページ)。鉄は組織に対して酸化的損傷を誘発し、加齢に伴う疾患、例えば、アルツハイマー病をもたらすため、鉄過剰および高フェリチン血症を減少させる化合物が老化に伴う疾患に対する治療ターゲットとして提案されてきた(Bartzokis G、Tishler TA、Lu PH、Villablanca P、Altshuler LL、Carter Mら(2007)Brain ferritin iron may influence age- and gender-related risks of neurodegeneration.Neurobiol Aging 28:414~423ページ)。
【0034】
皮膚の老化および弱い創傷治癒は、生活の質に負の影響を及ぼす可能性がある。皮膚の老化は、その完全性および治癒能力を妨害する構造および機能の変化を有する(Farage MA、Miller KW、Elsner P、Maiba ch HI(2013)Characteristics of the aging skin.Adv Wound Care 2:doi:10.1089)。皮膚の完全性および修復に影響する、年齢による内因性変化を予防するまたは補正する化合物は、生活の質の改善に役立つことができる。
【0035】
老化および疼痛に関して、65歳より上の人々の半分超が煩わしい疼痛を有すると報告しており、その大部分は複数の部位に疼痛を有し、少なくとも2種の慢性の医学的状態、例えば、関節炎、心血管代謝性疾患、および肥満を有する(Patel KVら(2013)Prevalence and impact of pain among older adults in the United States:Findings from the 2011 National Health and Aging Trends Study.Pain 154:2649~2657ページ)。よって、心血管代謝性疾患を減弱させる抗炎症剤、鎮痛剤、および化合物は、老化に伴う疼痛を含む疼痛を緩和する助けとなり得る。1つの例として、プロスタグランジンE2(PGE2)を減少させる化合物は、骨関節炎により引き起こされる疼痛を含む、炎症、疼痛、および発熱を減少させるに役立つことができる(Lee ASら(2013)、A current review of molecular mechanisms regarding osteoarthritis and pain.Gene 527:440~447ページ)。自己免疫疾患、例えば、関節リウマチに伴う炎症を減少させる他の化合物は、関節炎症および疼痛を減弱させることができる。1つの例として、インターロイキン-17A(IL-17a)は、多発性硬化症および関節リウマチを含む自己免疫疾患の重要な因子であり、IL-17Aを低下させる化合物は、関節リウマチによる疼痛を緩和する助けとなり得る(Iwakura Yら(2008)、The roles of IL-17A inflammatory immune responses and host defense against pathogens.Immunol Rev 226:)。さらに、老化および心血管代謝性疾患に伴う慢性全身性炎症を減少させる化合物は、これらの疾患およびこれらに伴う疼痛を減弱させることができる。
【0036】
老化およびアレルギーに関して、アレルギーは、15歳を超える人々において最も速く増大している健康問題の1つであり、アレルギーの5%~10%は、高齢者の人々に影響を与えている(Martinis MDら(2017)、Allergy and aging:an old/new emerging health issue.Aging and Dis 8:162~175ページ)。高齢者は、老化、同時発生する疾患、多種薬剤療法、ならびに皮膚、胃腸、および呼吸器系を含む系の障害による生理学的変化によりアレルギーの危険性がより上昇している可能性がある。インターロイキン-17A(IL-17a)は、全身性および皮膚過敏症およびアレルギー性気道炎症を含む、アレルギー反応に対する重要な因子である(Iwakura Yら(2008) The roles of IL-17A inflammatory immune responses and host defense against pathogens.Immunol Rev 226)。よって、IL-17Aの減少を含む、アレルギー応答を減少させる化合物は、高齢者を含む人々に対する生活の質を改善することができる。
【0037】
老化および睡眠障害に関して、高齢者集団の40%まで影響を及ぼす睡眠問題が報告されている(Vitiello MV(1997)Sleep disorders and aging:understanding the causes.J Gerontol 52A:M189~M191ページ)。この高い有病率は、部分的に、老化による生理学的変化、および慢性疾患の存在に起因する。慢性状態、例えば、疼痛の制御は、睡眠の質を改善し、不眠症を解決することが実証されている(Monjan AおよびFoley D(1996)Incidence of chronic insomnia associated with medical and psychosocial factors:an epidemiologic study among older persons.Sleep Res 25:108ページ)。特に高齢者の中で、ベンゾジアゼピンおよび他の鎮静剤の使用に対する懸念が増大しているにもかかわらず、60歳を超える人々は、40~59歳の人々と比較して、鎮静剤の処方せんを受ける可能性がより高い(Baum Cら(1986)、Drug utilization in the U.S.-1985:Seventh annual review.Rockville,MD:Food and Drug Administration、Center for Drugs and Biologies)。よって、睡眠に影響を与える根底にある医学的状態を緩和するのを助けることができる天然化合物の使用は、睡眠および生活の質を改善する第一選択の手段として使用することができる。鎮静剤の潜在的代替として、PGE2阻害剤(炎症、疼痛および発熱を減少させるために使用することができる)はまた、視床下部後部付近の覚醒中心を刺激するPGE2の役割を食い止めるのを助けることができる(Hayaishi O(1991)Molecular mechanisms of sleep-wake regulation:roles of prostaglandins D2 and E2.FASEB J 5:2575~2581ページ)。
【0038】
老化ならびに胃腸および/または消化の障害に関して、老化は正常な消化に影響を与え、感覚、炎症、弱い嚥下、不均衡な微生物群、吸収不良、および栄養不良に伴う障害をもたらす(Shamburek RDおよびFarrar JT(1990)、Disorders of the digestive system in the elderly.New Engl J Med、322:438~443ページ)。65歳を超える人々は、すべての炎症性腸疾患による入院の25%に相当し、より高齢であることは、より若い患者と比較して、死亡率の増加およびより重症の胃腸疾患に対する重大な危険因子である(Ananthakrishnan ANら(2009)、Inflammatory bowel disease in the elderly is associated with worse outcomes:a national study of hospitalizations.Inflamm Bowel Dis、15:182~289ページ)。胃腸の炎症を低下させ、バランスのとれた微生物群を復元する、および/または栄養素の適正な吸収を改善する化合物は消化障害を緩和するのに役立ち得る。インターロイキン-17A(IL-17A)は、慢性の腸炎症に対する因子であり、IL-17A分泌を低下させることは、消化の障害を緩和するのに役立ち得る(Coccia Mら(2012)、IL-1β mediates chronic intestinal inflammation by promoting the accumulation of IL-17A secreting innate lymphoid cells and CD4+ Th17 cells.J Exp Med、209:1595ページ)。
【0039】
老化および皮膚の状態ならびに/または創傷治癒に関して、高齢であることは、創傷治癒を障害し得る(Sgnoc RおよびGruber J(2013)、Age-related aspects of cutaneous wound healing:a mini review.Gerontol、59:159~164ページ)。この障害は年齢と共に現われる慢性の炎症性状態が原因である可能性があり、これには、サイトカイン、例えば、IL-6、およびケモカイン、例えば、乾癬において上昇するCXCL8(インターロイキン8(IL-8)とも呼ばれる)の増加が含まれる。胎児および高齢者における創傷治癒にはいくらかの差異が存在するが、これは有益となり得る。例えば、胎児および高齢者の創傷は、それぞれ、瘢痕なしからわずかな瘢痕を残して治癒する。この瘢痕のない修復は、胎児組織にそれぞれ観察されるより低いレベルのデコリンおよびIL-8、細胞外マトリクスプロテオグリカンならびにケモカインが原因となり得る(Beanes SRら(2001) Down-regulation of decorin、a transforming growth factor-beta modulator、is associated with scarless fetal wound healing.J Pediatr Surg、36:1666~71;Liechty KW(1997) Diminished interleukin-8(IL-8) production in the fetal wound healing response.J Surg Res、77巻:80~84ページ)。よって、より低いレベルのIL-6、IL-8、およびデコリンは、慢性の、治癒しない外傷に伴う炎症を食い止めるのを助け、最小限の瘢痕でこの治癒を引き起こすことを可能にし得る。
【0040】
カルニチンは、食物、主に動物源の食物に存在するアミノ酸であるが、カルニチンはまた内因的に作製することもできる(Kendler BS.Carnitine:an overview of its role in preventive medicine.Prev Med、15:373~390ページ(1986))。Lカルニチンは、生物学的に利用可能であり、生物活性のある異性体であり(Rebouche C J.Kinetics、pharmacokinetics,and regulation of L-carnitine and acetyl-L-carnitine metabolism.Ann NY Acad Sci、1033:30~41ページ(2004年))、Lカルニチンの補給は、神経学的障害、心血管疾患、および肥満に関係した健康上の利益を提示している(Flanagan,J.L.、Simmons,P.A.、Vehige,J.、Wilcox,M.D.P.、Garrett、Q.Role of carnitine in disease.Nutr Metabol、7:30ページ(2010)、Indiveri,C.、Iacobazzi,V.、Tonazzi,A.、Giangregorio,N.、Infantino,V.、Convertini,P.ら、The mitochondrial carnitine/acylcarnitine carrier:function、structureandphysiopathology.Mol Asp Med 32:223~233ページ(2011))。
【0041】
カルニチンは、細胞内にほぼ全体的に見出され、細胞内でカルニチンは長鎖脂肪酸を長鎖アシルカルニチンとしてミトコンドリアへ行き来させることによって、細胞活動のためにβ酸化生成されたエネルギーを可能にすることができる(Flanagan,J.L.、Simmons,P.A.、Vehige,J.、Wilcox,M.D.P.、Garrett,Q.、Role of carnitine in disease.Nutr Metabol 7:30ページ(2010))。より高い循環濃度の長鎖アシルカルニチンは、炎症、ミトコンドリア機能障害、心血管疾患、2型糖尿病、および骨関節炎を含む、加齢に伴う疾患のより高い危険性を伴う(Jarrell,Z.R.、Smith,M.R.、Hu,X.、Orr,M.、Liu,K.H.、Quyyumi,A.A.ら、Plasma acylcarnitine levels increase with healthy aging.Aging 12:13555~13570ページ(2020)、Kalim,S.、Clish,C.B.、Wenger,J.、Elmariah,S.、Yeh,R.W.ら、A plasma long-chain acylcarnitine predicts cardiovascular morality in incident dialysis patients.J Am Heart Assoc 2:e000542(2013)、Koh,A.S.、Gao,F.、Liu,J.、Fridianto,K.T.、Ching,J.、Tan,R.S.ら、Metabolomic profile of arterial stiffness in aged adults.Diab Vasc Dis Res、15:74~80ページ(2018)、Kendler BS.Carnitine:an overview of its role in preventive medicine.Prev Med、15:373~390ページ(1986)、Bouchouirabら Plasma Palmitoyl-Carnitine(AC16:0)、Is a Marker of Increased Postprandial Nonesterified Incomplete Fatty Acid Oxidation Rate in Adults With Type 2 Diabetes、Can J Diabetes、2018年8月;42(4):382~388ページ。e1.doi:10.1016/j.jcjd.2017.09.002.Epub 2017年11月9日、Tootsi,K.、Kals,J.、Zilmer,M.、Paapstel,K.、Ottas,A.、Martson,A.、Medium- and long-chain acylcarnitines are associated with osteoarthritis severity and arterial stiffness in end-stage osteoarthritis patients:a case-control study.Int J Rheum Dis、21:1211~1218ページ(2018))。
【0042】
長鎖アシルカルニチンは年齢と共に増加することが示されているが、特にC5:0、C7:0およびC9:0を含有する短鎖および奇数中鎖アシルカルニチンは年齢と共に低減する;年齢によるこの低減は奇数長鎖アシルカルニチン、例えば、C15:0およびC17:0では指摘されなかった(Jarrellら、Plasma acylcarnitine levels increase with healthy aging、Aging(Albany NY).2020年7月15日;12(13):13555~13570ページ)。
【0043】
ペンタデカン酸(C15:0)は、乳製品脂肪、ならびに一部の種類の植物および魚に微量レベルで存在する奇数長鎖飽和脂肪酸である(Jenkins,B.ら、A review of odd-chain fatty acid metabolism and the role of pentadecanoic acid(C15:0) and heptadecanoic acid(C17:0) in health and disease.Molecules、20:2425~2444ページ(2015))。ペンタデカン酸のより高い血中濃度は、2型糖尿病、心血管疾患、および心不全を含む慢性疾患を発症する危険性がより低いことに関連していることが、大規模な、有望なコホート実験により繰り返し示されている(Forouhi,N.G.ら、Differences in the prospective association between individual plasma phospholipid saturated fatty acids and incident type 2 diabetes:the EPIC-InterAct case-cohort study.Lancet Diab Endocrinol 14:70146~9(2014)、Trieu,K.ら、Biomarkers of dairy fat intake,incident cardiovascular disease,and all-cause mortality:A cohort study,systematic review,and meta-analysis.PLoS Med 18:e1003763(2021)、Djousse,L.ら、Serum individual nonesterified fatty acids and risk of heart failure in older adults.Cardiology、146:351~358ページ(2021))。ペンタデカン酸の食事摂取量および循環濃度がより高いこともまた、より低い死亡率およびより長い寿命を伴う(Zhuang,P.、Cheng,L.、Wang,J. & ZhangY.、Saturated fatty acid intake is associated with total mortality in a nationwide cohortstudy.J Nutrition、149:68~77ページ(2019)、Trieuら、2021、Biomarkers of dairy fat intake,incident cardiovascular disease,and all-cause mortality:A cohort study,systematic review,and meta-analysis、PLOS Medicine、Published:2021年9月21日、https://doi.org/10.1371/journal.pmed.1003763、Manca,C.、Carta,G、Murru,E.、AbolghasemiA,ら、Circulating fatty acids and endocannabiniodome-related mediator profiles associated to human longevity.GeroSci https://doi.org/10.1007/s11357-021-00342-0(2021))。
【0044】
ペンタデカン酸は、ミトコンドリア機能を修復し、赤血球膜の安定性を改善し、乳がん細胞の増殖を低減する能力が実証されている、二重の、部分的ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)α/δアゴニストおよびAMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性因子である(Venn-Watson,S.、Lumpkin,R.、Dennis,E.A.、Efficacy of dietary odd-chain saturated fatty acid pentadecanoic acid parallels broad associated health benefits in humans:could it be essential?Sci Rep、10:8161ページ(2020)、Fu,W.C.ら、Pentadecanoic acid promote sbasal and insulin-stimulated glucose uptake in C2C12 myotubes.Food Nutr Res 65:10.29219/fnr.65巻、4527ページ(2021)、To,N.B.、Nguyen,Y.T.、Moon,J.Y.、Ediriweera,M.K.、Cho,S.K.、Pentadecanoic acid,an odd-chain fatty acid,suppresses the stemness of MCF-7/SC human breast cancer stem-like cells through JAK2/STAT3 signaling.Nutrients 12:1663ページ(2020))。様々な病態を模倣したヒト細胞系において、ペンタデカン酸は抗炎症性と抗線維性との両方の特性を有する(Venn-Watson,S.、Lumpkin,R.、Dennis,E.A.、Efficacy of dietary odd-chain saturated fatty acid pentadecanoic acid parallels broad associated health benefits in humans:could it be essential?Sci Rep、10:8161ページ(2020))。さらに、2型糖尿病をモデリングした食餌誘発性肥満マウスに、経口ペンタデカン酸を毎日約12週間補給し、補給していない対照と比較して、より低いグルコース、コレステロール、体重増加、および炎症誘発性サイトカインを実証した(Venn-Watson,S.、Lumpkin,R.、Dennis,E.A.、Efficacy of dietary odd-chain saturated fatty acid pentadecanoic acid parallels broad associated health benefits in humans:could it be essential?Sci Rep、10:8161ページ(2020))。
【0045】
非アルコール性脂肪肝疾患のin vivoモデルにおいて、11週間にわたる毎日のペンタデカン酸の補給もまた炎症、コレステロール、およびトリグリセリドを低下させ、貧血および肝線維症を減衰させた(Venn-Watson,S.、Lumpkin,R.、Dennis,E.A.、Efficacy of dietary odd-chain saturated fatty acid pentadecanoic acid parallels broad associated health benefits in humans:could it be essential?Sci Rep 10:8161ページ(2020))。ペンタデカン酸は、1)身体で容易に生成されない、確立された食事性脂肪酸である、2)その身体レベルの低下は、心血管代謝性および肝臓の健康の悪化を繰り返し伴う、ならびに3)心血管代謝性および肝臓の健康に直接関係した有益なおよび多面的な活性を実証しているため、ペンタデカン酸は必須脂肪酸として提案されている(Venn-Watson,S.、Lumpkin,R.、Dennis,E.A.、Efficacy of dietary odd-chain saturated fatty acid pentadecanoic acid parallels broad associated health benefits in humans:could it be essential?Sci Rep 10:8161ページ(2020))。
【0046】
バンドウイルカ(Bottlenose dolphins)(Tursiops truncatus)は、メタボリックシンドローム、慢性炎症、非アルコール性脂肪肝疾患、およびアルツハイマー病を含む、ヒトと同様の、慢性の、老化に伴う状態を発症する長寿の、脳が大きい哺乳動物である(Gunn-Moore、D.、Kaidanovich-Beilin,O.、Iradi,M.C.G.、Gunn-Moore,F.、Lovestone,S.、Alzheimer’s disease in humans and other animals:A consequence of post reproductive life span and longevity rather than aging.Alz Dementia 14:195~204ページ(2018)、Venn-Watson,S.、Smith,C.R.、Gomez,F.、Jensen,E.D.、Physiology of aging among healthy、older bottlenose dolphins(Tursiops truncatus):comparisons with aging humans.J Comp Physiol 181:667~680ページ(2011)、Venn-Watson,S.、Benham,C.、Carlin,K.、DeRienzo,D.、St.Leger,J.、Hemochromatosis and fatty liver disease:building evidence for insulin resistance in bottlenose dolphins(Tursiops truncatus)。J Zoo Wildlf Med 43:10.1638ページ(2012)、Venn-Watson,S.、Smith,C.R.、Stevenson,S.、Parry,C.、Daniels,R.、Jensen,E.ら Blood-based indicators of insulin resistance and metabolic syndrome in bottlenose dolphins(Tursiops truncatus)。Front Endocrinol:10.3389ページ(2013))。ヒトと同様に、奇数鎖の飽和脂肪酸の循環濃度がより高いイルカは、メタボリックシンドロームおよび肝疾患の危険性がより低い。C15:0およびC17:0を含む、より高い奇数鎖の飽和脂肪レベルを含有する魚で改変された食餌をイルカに給餌すると、血清メタボロームのシフト、インスリンおよびコレステロールの低下、ならびに貧血の減衰をもたらした(Venn-Watson,S.、Baird,M.、Novick,B.、Parry,C.、Jensen,E.D.、Modified fish diet shifted serum metabolome and alleviated chronic anemia in bottlenose dolphins(Tursiops truncatus):Potential role of odd-chain saturated fatty acids。PLoS ONEdoi10.1371/journal.pone.0230769(2020))。
【0047】
実施形態のある特定の目的は、対象において、ペンタデカノイルカルニチン身体濃度約1μM~20μMを達成することに使用するための、ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を含む組成物を提供することである。身体濃度は、血中濃度、血漿中濃度、または他の体内流体濃度を含む、任意のin vivo濃度を含むことができるが、これらに限定されない。実施形態のある特定の目的は、攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安および不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患および状態、代謝障害、片頭痛、鼻および副鼻腔のうっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛および多発性硬化症の症状、神経系および神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチックおよび挙動問題から選択される1種または複数の状態の治療に使用するための;ならびに食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性および代謝性、血液学、腎臓、および体重減少について支援するための、ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を含む組成物を提供することである。
【0048】
実施形態のある特定の目的は、これらに限定されないが、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、炎症、貧血、高血糖、脂質異常症、高インスリン血症、肝疾患、鉄過剰、皮膚の健全性の損失、創傷治癒、瘢痕、疼痛、アレルギー、睡眠障害および問題、ならびに胃腸障害および問題、ならびに他の関連する状態を含む、本明細書に提供されている状態に対抗する保護因子および危険因子を検出するための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、これらに限定されないが、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、生活の質または寿命に影響を与える老化に伴う状態を含む状態を治療するための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、これらに限定されないが、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、生活の質または寿命に影響を与える老化に伴う状態を含む状態を検出するための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、ペンタデカノイルカルニチンの血清、血漿、または赤血球膜レベルを増加させるための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、これらに限定されないが、本明細書で開示されている状態を含む、状態を治療するまたは予防するためのペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸のサプリメントまたは治療用処方せんを提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態を検出および/または治療するための方法を提供することであり、これは対費用効果の高い方式で容易に遂行される。
【0049】
実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態のマーカーをモジュレートするための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態を検出するための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態の治療のための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態の予防のための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書に提供されているある状態の予防法のための方法を提供することである。
【0050】
実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトの血清、血漿、または赤血球膜において、ペンタデカノイルカルニチンを増加させるための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態を検出または治療するための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、他の低分子代謝産物を実質的に含まないペンタデカノイルカルニチンのサプリメントを提供することである。
【0051】
実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態を検出および治療するための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態を治療するためのペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態の予防法のための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態を検出または治療するための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、例えば、伴侶動物およびヒトにおいて、本明細書で開示されている状態を治療するためのサプリメントとしてペンタデカノイルカルニチンを提供することである。
【0052】
実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトに、生物学的に利用可能形態のペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトに、ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を、本明細書に記載されている1種または複数の他の低分子生化学物質と共に提供することである。ある特定の実施形態の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトの血清中で、小さなペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を増加させるための方法を提供することである。実施形態のある特定の目的は、哺乳動物の対象、例えば、伴侶動物およびヒトの血清、血漿、または赤血球膜において、本明細書に記載されているペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸の濃度を変えるための方法を提供することである。
【0053】
上述の目的のうちの1つまたは1つよりも多くが、本明細書に記載されている様々な組成物、方法、および使用により提供または達成される。
定義
【0054】
「アルコール」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、1つもしくは複数のヒドロキシ基を組み込んだ、または1つもしくは複数のヒドロキシ基を含むように置換もしくは官能化された、本明細書に記載されている任意の化合物を指す。
【0055】
「短鎖脂肪酸」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、2~6個の炭素原子を有する脂肪酸を指す。
【0056】
「中鎖脂肪酸」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、7~12個の炭素原子を有する脂肪酸を指す。
【0057】
「長鎖の脂肪酸」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、13~22個の炭素原子を有する脂肪酸を指す。
【0058】
「極長鎖脂肪酸」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで23個以上の炭素原子を有する脂肪酸を指す。
【0059】
「誘導体」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、1つもしくは複数の誘導体基を組み込んだ、または1つもしくは複数の誘導体基を含むように置換もしくは官能化された、本明細書に記載されている任意の化合物を指す。誘導体として、エステル、アミド、無水物、酸ハロゲン化物、チオエステル、リン酸塩、三リン酸塩、およびβスルフェニル誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0060】
「炭化水素」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、炭素および水素原子のみを含む任意の部分を指す。官能化または置換された炭化水素部分は、本明細書中の他の箇所で記載されている1つまたは複数の置換基を有する。
【0061】
「脂質」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、中でも、制限なしで、飽和および不飽和の油およびワックス、誘導体、アミド、グリセリド、低分子代謝産物、脂肪族アルコール、ステロールおよびステロール誘導体、リン脂質、セラミド、スフィンゴ脂質、トコフェロール、およびカロチノイドを指す。
【0062】
「薬学的に許容される」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、健全な医学的判断の範囲内にあり、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題のある合併症を生じることなく、危険性/メリットの妥当な比の釣り合いがとれた、ヒトおよび動物の組織に接触させるのに適した、ならびに/またはヒトおよび動物による消費に適したような化合物、材料、組成物、および/または剤形を指す。
【0063】
「薬学的に許容される塩」および「その薬学的に許容される塩」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、これらの普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、薬学的に許容される、無毒性の酸または塩基から調製される塩を指す。適切な薬学的に許容される塩として、金属の塩、例えば、アルミニウム、亜鉛の塩、アルカリ金属塩、例えば、リチウム、ナトリウム、およびカリウム塩、アルカリ土類金属塩、例えば、カルシウムおよびマグネシウム塩;有機酸塩、例えば、リシン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)、プロカイン、およびトリスの塩;遊離酸および塩基の塩;無機塩、例えば、硫酸塩、塩酸塩、および臭化水素酸塩;ならびに現在広範囲におよび薬学的に使用され、当業者に周知の出典、例えば、The Merck Indexに列挙されている他の塩が挙げられる。本明細書で論じられている治療剤の塩を作製するために、任意の適切な構成成分を選択することができるが、ただし、その構成成分は無毒性であり、所望の活性を実質的に妨げないものとする。塩に加えて、化合物の薬学的に許容される前駆体および誘導体を用いることができる。薬学的に許容されるアミド、低級アルキル誘導体、および保護された誘導体もまた、好ましい実施形態の組成物および方法における使用に適切であることができる。好ましい実施形態の化合物を薬学的に許容される塩の形態で投与することは可能であり得るが、一般的には中性の形態で化合物を投与するのが好ましい。
【0064】
「医薬組成物」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、本明細書で開示されている1種または複数の化合物と、他の化学成分、例えば、希釈剤または担体との混合物を指す。医薬組成物は、生物への化合物の投与を促進する。医薬組成物はまた、化合物を無機酸もしくは有機酸または塩基と反応させることにより得ることができる。医薬組成物は一般的に特定の意図した投与経路に合わせて作られる。
【0065】
「担体」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、細胞または組織への化合物の組込みを促進する化合物を指す。例えば、制限なしで、ジメチルスルホキシド(DMSO)は、対象の細胞または組織への多くの有機化合物の取込みを促進する一般的に利用されている担体である。水、生理食塩水、エタノール、および鉱油もまた、ある特定の医薬組成物において用いられる担体である。
【0066】
「希釈剤」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、薬理学的活性はないが、薬学的に必要なまたは望ましいものとなり得る医薬組成物中の成分を指す。例えば、希釈剤は、製造および/または投与にはその質量が小さ過ぎる強力薬物のかさを増加させるために使用することができる。希釈剤はまた、注射、摂取または吸入により投与される薬物を溶解するための液体であってもよい。当技術分野の希釈剤の一般的な形態は緩衝水溶液、例えば、制限なしで、ヒト血液の組成を模倣しているリン酸緩衝生理食塩水である。
【0067】
「賦形剤」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、塊状、粘稠度、安定性、結合能力、潤滑、崩壊能力などを組成物に提供するために医薬組成物に添加される物質を制限なしで指す。「希釈剤」とは賦形剤の1つの種類である。
【0068】
「対象」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、治療、観察または実験の対象である動物を指す。「動物」は、冷血および温血脊椎動物ならびに無脊椎動物、例えば、魚、甲殻類、爬虫類、特に、哺乳動物を含む。「哺乳動物」は、制限なしで、イルカ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ、ネコ、ヒツジ、ヤギ、雌ウシ、ウマ、霊長類、例えば、サル、チンパンジー、および類人猿、特に、ヒトを含む。一部の実施形態では、対象はヒトである。
【0069】
「治療する」、「治療」、「療法の」、または「療法」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、これらの普通のおよび慣習的な意味が付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、疾患または状態の完全な治癒または廃絶を必ずしも意味するものではない。疾患もしくは状態の任意の所望しないマーカー、疾患もしくは状態の所望しない徴候、または疾患もしくは状態の所望しない症状の任意の予防法は、任意の程度まで、治療および/または療法と考えることができる。疾患もしくは状態の任意の所望しないマーカー、疾患もしくは状態の所望しない徴候、または疾患もしくは状態の所望しない症状の任意の緩和、減少、低下、または軽減は、任意の程度まで、治療および/または療法と考えることができる。任意の所望のマーカー、所望の身体的状況、所望の身体的状態、所望の精神的状況、所望の精神状態、健康状況、または健康状態の任意の推進、支援、増強、強化、向上、または改善は、それ自体、または疾患もしくは状態に関連して、任意の程度まで、治療および/または療法と考えることができる。疾患もしくは状態の任意のマーカー、疾患もしくは状態の徴候、疾患もしくは状態の症状、身体的状況、身体的状態、精神的状況、精神状態、健康状態、健康状況、老化状態、または老化状況の任意のモジュレーションは、それ自体、または疾患もしくは状態に関連して、任意の程度まで、治療および/または療法と考えることができる。モジュレーションは、身体的、精神的、健康、もしくは老化の状況もしくは状態のマーカー、値、レベル、もしくは他の指標を、比較的健康ではない状況もしくは状態を示すものから、比較的より健康な状況もしくは状態を示すものへとシフトさせること;または身体的、精神的、もしくは健康の状態のマーカー、値、レベル、もしくは他の指標を、疾患もしくは状態のある特定の危険性を伴うものから、疾患もしくは状態の比較的より低い危険性を示すものへとシフトさせること;または身体的、精神的、健康、もしくは老化の状況もしくは状態のマーカー、値、レベル、もしくは他の指標のばらつきにおける所望の減少をもたらすことを含むことができるが、これらに限定されない。さらに、治療は、患者の全般的な幸福感または外観を悪化し得る作用を含み得る。
【0070】
「治療有効量」および「有効量」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、示された生物学的または薬の応答を導き出すような活性化合物、または医薬品の量を示すために使用される。例えば、治療有効量の化合物は、状態のマーカーもしくは症状を予防する、緩和するもしくは改善させるため、または治療を受けている対象の生存を長引かせるために必要とされる量であることができる。この応答は、組織、系、動物またはヒトにおいて生じることができ、治療を受けている疾患の徴候または症状の緩和を含む。治療有効量の決定は、本明細書に提供されている開示を考慮して、十分当業者の能力の範囲内にある。用量として必要とされる本明細書で開示されている化合物の治療有効量は、投与経路、治療を受けている動物、例えばヒトを含む動物の種類、および検討中の特定の動物の身体的特徴に依存する。用量は所望の作用を達成するように設定することができるが、体重、食事、同時に投与する薬物療法などの因子、および当業者であれば認識している他の因子に依存する。
【0071】
「溶媒」という用語は、本明細書で使用される場合、広い意味で用いられ、その普通のおよび慣習的な意味が当業者に付与されるものとし(特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されるものではない)、制限なしで、極性または非極性、直鎖または分枝の、環式または脂肪族、芳香族、ナフテン系であることができ、中でも、これらに限定されないが、アルコール、誘導体、ジエステル、ケトン、アセテート、テルペン、スルホキシド、グリコール、パラフィン、炭化水素、無水物、複素環を含む他の化合物または手段に対する溶解力のいくらかの特徴を有する化合物を指す。
【0072】
本明細書で参照されたあらゆるパーセンテージ、比率または他の量は、他に指摘されていない限り、重量ベースである。
低分子代謝産物
【0073】
ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸に加えて、他の低分子代謝産物も組成物中に存在し得るか、または対象に投与され得る。低分子代謝産物は、低分子量であり(通常900ダルトン未満であるが、時にはより高い)、体内でおよび本明細書に提供されている通り特定および測定することができる、アミノ酸、ペプチド、炭水化物、コファクターおよびビタミン、生体異物、または脂質(モノヒドロキシ脂肪酸、中鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸、極長鎖脂肪酸、ジカルボキシル脂肪酸、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、リゾリン脂質、プラスマロゲン、リゾプラスマロゲン、モノアシルグリセロール、ジアシルグリセロール、スフィンゴミエリン、またはセラミドを含む)を含むことができるが、これらに限定されない。低分子代謝産物は、食物もしくは他の経口用製品からの摂取により生じ得る、または内因的に生成され得る。低分子代謝産物は、当業者により用いられている通り、従来の命名法を使用して参照および記載される。
【0074】
特定の化合物または化合物のクラスが本明細書で参照された場合、これらの化合物または化合物のクラスは、代謝プロセスにより生成されてもよいし(例えば、プロドラッグの投与により、または内因性の産生により)、または医薬組成物の形態で患者に提供されてもよい。「代謝産物」という用語は、治療すべき患者において、代謝プロセスによる化合物の産生が必然的に必要となることを意図するわけではない。代わりに、「代謝産物」として特定された化合物は、in vivoで代謝産物として化合物を生成するプロドラッグ形態というよりはむしろ医薬組成物という形態で患者に直接投与することができる。「代謝産物」という用語は広い意味で用いられており、患者へ投与される化合物を、特定の合成方法により生成された化合物に限定することを意図するわけではない(ex vivoに対して、プロドラッグからin vivoで生成)。
【0075】
低分子代謝産物は、様々な名称で参照することができ、例えば、2-メチルセリンは2-アミノ-3-ヒドロキシ-2-メチルプロパン酸とも呼ばれ得る。
【0076】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、本明細書に提供されている、アミノ酸、ペプチド、炭水化物、コファクターおよびビタミン、生体異物、または脂質であることができる。さらなる実施形態では、1種または複数の低分子代謝産物は、本明細書に提供されている、少なくとも1種のアミノ酸、ペプチド、炭水化物、コファクターおよびビタミン、生体異物、または脂質を含むことができる。
【0077】
バイオマーカーとしても、治療剤としても理想的な候補の低分子代謝産物は、低分子量を有し(<900ダルトン)、5つのリピンスキーの法則を満たす高いナノモルまたはマイクロモルレベルで血清中に成功裏に検出される代謝産物である。本明細書に提供されているすべての代謝産物はこれらの基準を満たす。
【0078】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、これらに限定されないが、2-メチルセリン、4-ヒドロキシグルタメート、N-アセチル-アスパルチル-グルタメート、2-ピロリジノン、trans-ウロカネート、プロピオン酸イミダゾール(imidazole proprionate)、1-リボシル-イミダゾールアセテート、5-イミダゾールアセテート、N-アセチルヒスタミン、ヒダントイン5-プロピオン酸(prorionic acid)、5-ヒドロキシリシン、5-アミノバレレート、2-オキソアジペート、キサンツレネート、メチオニンスルホン、ホモシトルリン、trans-4-ヒドロキシプロリン、プロリル-ヒドロキシプロリン、またはグアニジノスクシネートを含むアミノ酸であることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0079】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、ガンマ-グルタミルグルタミン、またはガンマ-グルタミルグリシンを含むが、これらに限定されないペプチド;N6-カルボキシメチルリシンを含むが、これらに限定されない炭水化物;N1-メチル-2-ピリドン-5-カルボキサミド、N1-メチル-4-ピリドン-3-カルボキサミドを含むコファクターまたはビタミン;または2,3-ジヒドロキシイソバレレートを含むが、これらに限定されない生体異物であることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0080】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、2-ヒドロキシオクタノエート(hydroxyocatnoate)、2-ヒドロキシデカノエート、8-ヒドロキシオクタノエート、2-ヒドロキシミリステート、または16-ヒドロキシパルミテートを含むがこれらに限定されないモノヒドロキシ(monohyroxy)脂肪酸であることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0081】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、中鎖脂肪酸、例えば、以下の基を含有するものを含むが、これらに限定されない脂肪酸、例えば、ヘプタノエート(C7:0、例えば、ヘプタン酸)、カプリレート(C8:0、例えば、カプリル酸)、ペラルゴネート(C9:0、例えば、ペラルゴン酸)、ウンデカノエート(C11:0、例えば、ウンデカン酸)、または10-ウンデカノエート(C11:1n1、例えば、10-ウンデカン酸);以下を含むがこれらに限定されない長鎖脂肪酸:ペンタデカノエート(C15:0、例えば、ペンタデカン酸)、マルガレート(C17:0、例えば、マルガリン酸)、10-ヘプタデカノエート(C17:1n7、例えば、10-ヘプタデカン酸)、10-ノナデカノエート(19:1n9、例えば、10-ノナデカン酸)、C20:0脂肪酸、またはC20:2脂肪酸;以下を含むがこれらに限定されない極長鎖脂肪酸:C24:0脂肪酸またはC24:1脂肪酸;以下を含むがこれらに限定されない分枝鎖脂肪酸:15-メチルパルミテート(i17:0、例えば、メチルパルミチン酸)、17-メチルステアレート(i19:0、例えば、17-メチルステアリン酸)、または2-ヒドロキシフィタネート(例えば、2-ヒドロキシフィタン酸);または以下を含むがこれらに限定されないジカーボキシレート脂肪酸:ドデカジエノエート(C12:2、例えば、ドデカン二酸)もしくはドコサジオエート(C22-DC、例えば、ドコサ二酸)であることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0082】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、脂肪酸代謝の部分または生成物であることができ、プロピオニルグリシン、リグノセロイルカルニチン(C24)、セロトイルカルニチン(C26)、N-パルミトイルグリシン、cis-4-デセノイルカルニチン(C10:1)、ベヘノイルカルニチン(C22)、ペンタデカノイルカルニチン(C15)、またはアラキドノイルコリンを含むが、これらに限定されない。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0083】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、1-ステアロイル-2-アラキドノイル-GPC(18:0/20:4)、1-パルミトイル-2-アラキドノイル-GPC(16:0/20:4n6)、PC(18:2/22:4)、PC(20:0/14:1)、PC(20:0/20:3)、またはPC(20:0/22:4)を含むがこれらに限定されないホスファチジルコリン;1-パルミトイル-2-アラキドノイル-GPE(16:0/20:4)、1-ステアロイル-2-アラキドノイル-GPE(18:0/20:4)、またはPE(16:0/16:0)を含むが、これらに限定されないホスファチジルエタノールアミン;1-ステアロイル-2-オレオイル-GPS(18:0/18:1)を含むがこれらに限定されないホスファチジルセリン;1-アラキドノイル-GPC(20:4n6)、1-リグノセロイル-GPC(24:0)、または1-アラキドノイル-GPE(20:4n6)を含むがこれらに限定されたないリゾリン脂質であることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0084】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、1-(1-エニル-パルミトイル)-2-アラキドノイル-GPE(P-16:0/20:4)、1-(1-エニル-パルミトイル)-2-オレオイル-GPC(P-16:0/18:1)、1-(1-エニル-パルミトイル)-2-アラキドノイル-GPC(P-16:0/20:4)、または1-(1-エニル-ステアロイル)-2-アラキドノイル-GPE(P-18:0/20:4)を含むがこれらに限定されないプラスマロゲン;または1-(1-エニル-パルミトイル)-GPC(P-16:0)を含むがこれらに限定されないリゾプラスマロゲンであることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0085】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、MAG(12:0)、MAG(17:0)、MAG(20:0)、MAG(20:2)、1-アラキドニルグリセロール(20:4)または1-ヘプタデセノイルグリセロール(17:1)を含むがこれらに限定されないモノアシルグリセロール(MAG);またはDAG(14:1/18:1)、ステアロイル-アラキドノイル-グリセロール(18:0/20:4)[2]、オレオイル-アラキドノイル-グリセロール(18:1/20:4)[1]、もしくはオレオイル-アラキドノイル-グリセロール(18:1/20:4)[2]を含むがこれらに限定されないジアシルグリセロール(DAG)であることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0086】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、ステアロイルスフィンゴミエリン(d18:1/18:0)、ベヘノイルスフィンゴミエリン(d18:1/22:0)、トリコサノイルスフィンゴミエリン(d18:1/23:0)、リグノセロイルスフィンゴミエリン(d18:1/24:0)、スフィンゴミエリン(d18:2/23:1)、スフィンゴミエリン(d18:2/24:2)、スフィンゴミエリン(d17:1/14:0、d16:1/15:0)、スフィンゴミエリン(d17:1/16:0、d18:1/15:0、d16:1/17:0)、スフィンゴミエリン(d17:2/16:0、d18:2/15:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/17:0、d17:1/18:0、d19:1/16:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/19:0、d19:1/18:0)、スフィンゴミエリン(d18:1/21:0、d17:1/22:0、d16:1/23:0)、スフィンゴミエリン(d18:2/21:0、d16:2/23:0)、またはスフィンゴミエリン(d18:2/23:0、d18:1/23:1、d17:1/24:1)を含むがこれらに限定されないスフィンゴミエリンであることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0087】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は、CER(14:0)、HCER(26:1)、またはLCER(26:0)を含むがこれらに限定されないセラミドであることができる。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0088】
一部の実施形態では、低分子代謝産物の誘導体は、βスルフェニル誘導体であることができる。βスルフェニル誘導体、例えば、酸またはエステルは、体内でβ酸化に耐性があり得ると考えられている。誘導体は、公開された方法で合成することができる。
【0089】
一部の実施形態では、低分子代謝産物は生物学的に利用可能な形態で提供される。「バイオアベイラビリティー」という用語は、薬物の主要な薬物動態特性の1つである全身循環に到達する不変薬物の投与用量の割合を指す。定義により、薬物療法が静脈内投与された場合、そのバイオアベイラビリティーは100%である。本明細書中で用いる場合、「生物学的に利用可能」という用語は、静脈内以外の投与方法、例えば、経口治療剤を使用した場合、身体により成功裏に吸収される低分子代謝産物の形態を指す。一部の実施形態では、低分子代謝産物ベースの組成物は、吸収を最適化する適応を含むことができる。
【0090】
純粋なまたは精製された低分子代謝産物は様々な物理的状況において存在し得る。例えば、4-ヒドロキシグルタメートは、室温で安定した白色の粉末として存在する。この化合物は、いくつかの業者から(例えば、SIGMA-Aldrich Corp.、St.Louis、MOから)研究目的に適切な形態で少量購入することができる。他の低分子代謝産物、またはその立体異性体、もしくは溶媒和物、もしくはエステル、もしくは塩もしくは他の誘導体は、油、固体、結晶性固体、または気体として存在することができる。
【0091】
ペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、もしくは他の低分子代謝産物またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%の純度で(例えば、塊状形態での化合物、またはその薬学的に許容される塩のパーセンテージ)、または実質的に純粋な純度で提供されてもよく、実質的に純粋とは、限定されないが、不純物の存在によるいかなる生理学的作用も検出されないようなレベルで、不純物を有する生成物を含んでもよい。低分子代謝産物の混合物、例えば、アミノ酸および/もしくは脂質、またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体は、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%の純度で、または実質的に純粋な純度で、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で存在し得る。ペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、もしくはその混合物、またはその薬学的に許容される塩は、個々にまたはグループとして他の低分子代謝産物を含まなくてもよい。一部の実施形態では、本明細書に提供されているペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、またはその混合物は、本明細書に含まれていない脂質の他の種を実質的に含まなくてもよい。
【0092】
ペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、または低分子代謝産物、例えば、アミノ酸、ペプチド、炭水化物、コファクター、ビタミン、生体異物、もしくは脂質、またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体はあらゆる供給源に由来し得る。一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、またはその塩は、天然の供給源中に存在してもよいし、天然供給源から単離されてもよいし、半合成であってもよいし、合成であってもよいし、またはこれらのうちの1種または複数の混合物であってもよい。ペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、またはその塩は、実験室で生成されてもよいし、自然に生成されてもよいし、酵素的プロセスで生成されてもよいし、野生型微生物により生成されてもよいし、遺伝子改変された微生物により生成されてもよいし、動物組織から単離されてもよいし、化学合成により生成されてもよいし、または複数のこれらのプロセスにより生成されてもよい。
【0093】
ペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、または低分子代謝産物は天然供給源、例えば、魚油から誘導されてもよいし、または当技術分野で公知の方法により合成することもできる。一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、または低分子代謝産物には、精錬または精製されていない天然産物中に存在する所望しない構成要素が混入していることもある。このような状況では、公知の分離または精製技術を使用して、所望しない構成要素を除去する、または所望の構成要素の濃度を増加させることが所望され得る。
【0094】
記載されているあらゆる化合物には、すべての互変異性形態も含まれることが意図される。制限なしで、カルボキシル基のすべての互変異性体が含まれることが意図される。
【0095】
EまたはZとして定義することができる1つまたは複数の二重結合を生成する幾何異性体を有するあらゆる本明細書に記載の化合物において、各二重結合は、独立して、EもしくはZ、またはその混合物であってよい。
【0096】
本明細書で開示されている化合物が不完全な原子価を有する場合、原子価は、水素またはその同位体、例えば、水素-1(プロチウム)および水素-2(重水素)で満たされるものとする。
【0097】
ペンタデカノイルカルニチン、ペンタデカン酸、または低分子代謝産物、例えば、本明細書に記載されているアミノ酸、ペプチド、炭水化物、コファクターおよびビタミン、生体異物、または脂質などは、結晶形態(また多形としても公知であり、同じ元素組成の化合物の異なる結晶充填配置を含む)、非晶質相、塩、溶媒和物、および水和物を含む。一部の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどとの溶媒和形態で存在する。他の実施形態では、本明細書に記載されている化合物は非溶媒和形態で存在する。溶媒和物は、化学量論的または非化学量論的量の溶媒を含有し、薬学的に許容される溶媒、例えば、水、エタノールなどを用いた結晶化プロセスの間に形成されてもよい。水和物は溶媒が水の場合に形成されるか、またはアルコレートは溶媒がアルコールの場合に形成される。加えて、本明細書に提供されている化合物は非溶媒和形態および溶媒和形態で存在することができる。一般的に、溶媒和形態は、本明細書に提供されている化合物および方法の目的に対して、非溶媒和形態と同等であると考えられる。
【0098】
本明細書に記載されている化合物は、同位体的に標識することができる。一部の状況では、重水素などの同位体による置換により、より大きな代謝安定性、例えば、in vivo半減期の増加、または必要投与量の減少からもたらされる、ある特定の治療上の利点が生じ得る。同位体の置換は、例えば、化合物中の原子の最終的な結末をモニタリングするための機会を提供することによって、化合物の投与に対する対象の応答をモニタリングする上で有益となり得る。化合物構造に表される各化学元素は、前記元素のあらゆる同位体を含むことができる。例えば、化合物構造において、水素原子は明示的に開示することも、または化合物に存在すると考えることもできる。水素原子が存在し得る化合物のあらゆる位置において、水素原子は、これらに限定されないが、水素-1(プロチウム)および水素-2(重水素)を含む、水素のあらゆる同位体であることができる。よって、本明細書での化合物に対する言及は、文脈が他を明確に指示しない限り、すべての潜在的な同位体形態を包含する。
ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を含む組成物
【0099】
ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を含む製剤が提供される。実施形態の化合物を経口製剤で投与することが一般的に好ましい。しかし、他の投与経路、例えば、局所的などもまた想定される。製剤は、店頭での(OTC)製品、ならびにサプリメントおよび食料品を含めて、消費者の健康および豊かな生活のための製品として使用するのに適している。
【0100】
実施形態の組成物は化粧品、薬用化粧品および一般的なスキンケア組成物に使用されてもよいし、または医薬組成物に提供されてもよい。
【0101】
実施形態の組成物はまた粘膜、例えば、唇および経膣粘膜に関連して用いることができる。経膣粘膜に適用された場合、経膣アプリケーターは市販のもののように用いることができる。適切なアプリケーターは、予備充填したシリンジ、充填済みスクィーズリザーバーに結合したチューブ、予め選択した量の組成物を含む予め包装された棒、または穿孔を介して組成物を分配するためその長さに沿って穿孔を含む、極めて一般的な経膣アプリケーターの形態であることができる。
【0102】
ある特定の組成物は、さらなる治療剤、例えば、局在的に作用する薬物、例えば、抗菌性薬物、抗原虫性薬物、抗真菌性薬物、抗ウイルス薬、殺精子剤、プロスタグランジン、およびステロイドを含有することができる。送達に適した薬物として、ホルモン補給療法においてまたは避妊に対して使用されているブロモクリプチン、シルデナフィル、オキシトシン、カルシトニン、黄体化ホルモン放出ホルモンおよびアナログ、インスリン、ヒト成長ホルモン、オキシブチニン、ならびにステロイドが挙げられる。抗真菌性薬物として、クロトリマゾール、エコナゾール、ミコナゾール、テルビナフィン、フルコナゾール、ケトコナゾール、およびアムホテリシンが挙げられる。抗生剤として、アモキシシリン、ドキシサイクリン、セファレキシン、シプロフロキサシン、クリンダマイシン、メトロニダゾール、アジスロマイシン、スルファメトキサゾール/トリメトプリム、アモキシシリン/クラブラン酸塩、およびレボフロキサシンが挙げられる。抗生剤のクラスとして、ペニシリン、テトラサイクリン、セファロスポリン、キノロン、リンコマイシン、マクロライド、スルホンアミド、グリコペプチド、アミノグリコシド、およびカルバペネムが挙げられる。ホルモンの種類として、5-アルファ-還元酵素阻害剤、副腎皮質ステロイド、コルチコトロピン、グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド、副腎コルチコステロイド阻害剤、抗アンドロゲン、抗利尿ホルモン、抗性腺刺激剤、抗甲状腺剤、阻害剤、カルシトニン、エストロゲン受容体アンタゴニスト、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアンタゴニスト、成長ホルモン受容体遮断剤、成長ホルモン、インスリン様成長因子、上皮小体ホルモンおよびアナログ、プロゲステロン受容体モジュレーター、プロラクチン阻害剤、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、性ホルモン、アンドロゲンおよびアナボリックステロイド、避妊剤、エストロゲン、性腺刺激ホルモン放出ホルモン、性腺刺激ホルモン、プロゲスチン、性ホルモンの組合せ、ソマトスタチンおよびソマトスタチンアナログ、合成排卵刺激剤、ならびに甲状腺薬物が挙げられる。抗ウイルス剤として、アダマンタン抗ウイルス剤、抗ウイルス剤ブースター、抗ウイルス剤の組合せ、抗ウイルス性インターフェロン、ケモカイン受容体アンタゴニスト、インテグラーゼストランド移動阻害剤、様々な抗ウイルス剤、ノイラミニダーゼ阻害剤、NNRTI、NS5A阻害剤、ヌクレオシド系逆転写酵素阻害剤(NRTI)、プロテアーゼ阻害剤、およびプリンヌクレオシドが挙げられる。皮膚状態を治療するための薬物として、ざ瘡薬物(イソトレチノイン)、アトピー性皮膚炎薬物(局所的ステロイド)、帯状疱疹薬物(抗ウイルス剤、例えば、バラシクロビル)、発疹(抗ヒスタミン剤様ロラタジンまたはフェキソフェナジン、オマリズマブ)、日焼け(リドカイン)、接触性皮膚炎(抗ヒスタミン剤、局所的ステロイド)、おむつ発疹(酸化亜鉛)、酒さ(メトロニダゾール、ドキシサイクリン、アゼライン酸、イソトレチノイン、ベータ遮断剤、エストロゲン)、水虫(抗真菌剤)、および基底細胞癌(イミキモド、フルオロウラシル、ビスモデギブ)の薬物が挙げられる。
【0103】
実施形態の組成物は、少なくとも1種の賦形剤を含有する局所的製剤を含む。賦形剤は、非水性または水性担体、ならびに保湿剤、pH調整剤、防臭剤、香料、キレート剤、保存剤、乳化剤、増粘剤、可溶化剤、経皮吸収促進剤、抗刺激剤、着色剤、界面活性剤、有益な薬剤、医薬品、および皮膚の治療のための局所的製剤に関連して使用することが当技術分野で公知の他の構成要素から選択される1種または複数の薬剤を含むことができる。組成物は、保存剤を用いる必要がないように製剤化することができる。
【0104】
適用を促進させるため、組成物は、軟膏剤、油、ローション剤、ペースト剤、散剤、ゲル剤、またはクリーム剤として提供されてもよい。組成物はまた追加成分、例えば、保護剤、皮膚軟化剤、収斂剤、保湿剤、サンスクリーン剤、サンタンニング剤、UV吸収剤、抗生剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗原虫剤、抗にきび剤、麻酔剤、ステロイド系抗炎症剤、非ステロイド系抗炎症剤、鎮痒剤、追加の抗酸化剤、化学療法剤、抗ヒスタミン剤、ビタミンまたは複合ビタミン剤、ホルモン、フケ防止剤、しわ取り剤、抗皮膚萎縮剤、皮膚ホワイトニング剤、洗浄剤、およびこれらの組合せも含むことができる。さらなる実施形態では、組成物は、皮膚刺激を回避するため、動物または細胞ベースの材料を回避することもできる。組成物は、真皮、または粘膜に適用することができる。
【0105】
一部の実施形態は、ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸を局所的製剤で投与することを含む。しかし、経口投与に加えて、他の投与経路もまた想定される(例えば、粘膜、皮下、経口など)。想定される投与経路として、局所的、粘膜、および皮下が挙げられるが、これらに限定されない。適切な液体形態として、懸濁剤、乳剤、液剤、などが挙げられる。単位剤形はまた、例えば、治療前および治療後の既定のスケジュールで、身体部分へ投与するよう設計された、予め測定された量の製剤の個々のパケットを提供することもできる。1日2回または3回投与するように設計された単位剤形が特に好ましい。しかし、ある特定の実施形態では、1日1回、1日4回、またはこれよりも多くの投与に対して単位剤形を設計することが所望され得る。
【0106】
一部の実施形態では、局所製剤および他の製剤は通常、約0.001重量%以下~約50重量%以上の活性成分、例えば、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を、約0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.07、0.08、0.09、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、もしくは1重量%から、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、もしくは45重量%まで、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で含む。
【0107】
局所投与のための組成物および製剤として、経皮パッチ剤、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、ドロップ剤、スプレー剤、液体、エアロゾル剤、および散剤を挙げることができる。従来の薬学的担体、水性散剤または油性の基剤、増粘剤などを用いることができる。ある特定の適用において、指を使用して皮膚に適用することができる軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤または類似の製剤を提供することができる。このような製剤は通常、スクィーズチューブまたはビンまたはポット、またはロールオンに入れて提供され、ボールは製剤の容器の上部で固定されており、ボールはロールさせることが可能である。皮膚表面にわたりボールをローリングすることにより、容器中の液体は制御された方式で皮膚へと移動する。代替の送達機序には、押出し可能な製剤を、蓋を介して出す機序を備えた、孔開き蓋を有する容器が含まれる。別の形態では、その形状を維持するのに十分な構造的整合性を有するゲル製剤が提供される、これはチューブまで前進させて、皮膚に適用する(例えば、スティックの形態で)。スティック形態の利点は、適用プロセスにおいて、指または容器の一部分ではなく、製剤のみが皮膚に接触することである。液体またはゲル剤はまた、アプリケーター、例えば、棒、スポンジ、シリンジ、または他の適切な方法を使用して配置することもできる。
【0108】
一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、併用療法であることができ、または適切な担体、希釈剤、または賦形剤と混合することができ、所望の投与経路および調製物などに応じて、補助物質、例えば、湿潤化剤または乳化剤、pH緩衝化剤、ゲル化または粘度促進添加剤、保存剤、着臭剤、着色剤などを含有することができる。本明細書に記載されている化合物の製剤および投与のための技術は当業者に公知である。例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、Lippincott Williams & Wilkins;第20版(2003年6月1日)および「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Pub.Co.第18版および第19版(それぞれ1985年12月、および1990年6月)を参照されたい。このような調製物として、錯化剤、金属イオン、ポリマー化合物、例えば、ポリ酢酸、ポリグリコール酸、ヒドロゲル、デキストランなど、リポソーム、マイクロエマルジョン、ミセル、単層または多層ベシクル、赤血球ゴーストまたはスフェロプラスト(spheroblasts)を挙げることができる。リポソーム製剤に適した脂質として、制限なしで、モノグリセリド、ジグリセリド、スルファチド、リゾレシチン、リン脂質、サポニン、胆汁酸などが挙げられる。このような追加の構成要素の存在は、身体的状況、溶解度、安定性、放出速度、クリアランス速度、および活性成分の浸透に影響し得る。
【0109】
局所投与のための組成物は、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩および皮膚科学的に許容されるビヒクルを含む。ビヒクルは水性または非水性であってよい。局所用組成物に使用される皮膚科学的に許容されるビヒクルは、ローション剤、ゲル剤、軟膏剤、液体、クリーム剤、または乳剤の形態であってよい。ビヒクルが乳剤である場合、乳剤は連続水相と不連続非水性相もしくは油性相(水中油型乳剤)とを有してもよいし、または連続非水性相もしくは油相と不連続水相(油中水型乳剤)とを有してもよい。液体またはゲル剤形態で局所的に投与される場合、液体担体、例えば、動物または植物起源の水、石油、油、例えば、ピーナッツ油、鉱油、ダイズ油、もしくはゴマ油、または合成油を活性成分に加えることができる。生理食塩水溶液、ブドウ糖、もしくは他の糖類の溶液、またはグリコール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、またはポリエチレングリコールもまた適切な液体担体である。医薬組成物はまた、水中油型乳剤の形態であることもできる。油相は、植物油、例えば、オリーブまたは落花生油、鉱油、例えば、流動パラフィン、またはこれらの混合物であることができる。適切な乳化剤として、天然由来のガム、例えば、アラビアゴムおよびトラガカントガム、天然由来のホスファチド、例えば、ダイズレシチン、脂肪酸由来のエステルまたは部分エステル、およびヘキシトール無水物、例えば、ソルビタンモノオレエート、および酸化エチレンとのこれら部分エステルの縮合物、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートが挙げられる。乳剤はまた、着色剤および着臭剤を含有することができる。
【0110】
ある特定の実施形態では、シリコーンエラストマー(例えば、ジメチコンクロスポリマー)を用いて、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩の皮膚への送達および浸透を増加させる。組成物の局所用調製物に使用されている医薬賦形剤は、溶媒、皮膚軟化剤および/または乳化剤、油基剤、保存剤、抗酸化剤、張性調整剤、経皮吸収促進剤および可溶化剤、キレート剤、緩衝化剤、界面活性剤、1種または複数のポリマー、ならびにこれらの組合せからなる群から選択することができる。
【0111】
水性または親水性局所用製剤に適した溶媒として、水;エチルアルコール;イソプロピルアルコール;水とエチルおよび/またはイソプロピルアルコールとの混合物;グリセリン;エチレン、プロピレンまたはブチレングリコール;DMSO;およびこれらの混合物が挙げられる。疎水性局所用製剤に適した溶媒として、鉱油、植物油、およびシリコーン油が挙げられる。所望する場合、本明細書に記載されている組成物は、疎水性油相に溶解または分散されていてもよく、次いで油相を、水を含む水相に、単独でまたは低級アルコール、グリセリン、および/もしくはグリコールと組み合わせて乳化することができる。無水製剤もまた用いることができる。しかし、ある特定の実施形態では水ベースの組成物を提供すること、または限定された量の水の存在を受け入れることが許容可能であり得る。
【0112】
組成物の粘度は、薬学的に許容される増粘剤を使用して、選択されたレベルに維持することができる。水性の基剤を用いて粘性ゲル剤またはクリーム剤を調製するために使用することができる適切な粘度増強剤または増粘剤として、ポリアクリル酸ナトリウム、キサンタンガム、ポリビニルピロリドン、アクリル酸ポリマー、カラギーナン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、プロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリエトキシル化ポリアクリルアミド、ポリエトキシル化アクリレート、およびポリエトキシル化アルカンチオールが挙げられる。メチルセルロースは、容易におよび経済的に利用可能であり、取り扱いが簡単であるため、好ましい。他の適切な増粘剤として、例えば、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボマーなどが挙げられる。増粘剤の好ましい濃度は選択される増粘剤に依存する。選択された粘度を達成する量が好ましくは使用される。粘性組成物は通常、このような増粘剤を添加することにより、または許容可能なレベルの粘度を有する基剤を用いることにより、溶液から調製される。
【0113】
適切な皮膚軟化剤として、炭化水素油およびワックス、例えば、鉱油、ワセリン、パラフィン、セレシン、オゾケライト、微結晶性ワックス、ポリエチレン、スクアレン、パーヒドロスクアレン、シリコーン油、トリグリセリドエステル、アセトグリセリドエステル、例えば、アセチル化モノグリセリド;エトキシ化グリセリド、例えば、エトキシ化モノステアリン酸グリセリル;脂肪酸またはジカルボン酸のアルキルエステルとして挙げられる。
【0114】
皮膚軟化剤として使用するのに適したシリコーン油として、ジメチルポリシロキサン、メチル(フェニル)ポリシロキサン、ならびに水溶性およびアルコール溶解性シリコーングリコールコポリマーが挙げられる。皮膚軟化剤として使用するのに適したトリグリセリドエステルとして、ヒマシ油、ベニバナ油、綿実油、トウモロコシ油、オリーブ油、タラ肝油、アーモンド油、アボカド油、パーム油、ゴマ油、およびダイズ油を含む植物および動物の脂肪および油が挙げられる。
【0115】
皮膚軟化剤として使用するのに適したカルボン酸または二酸のエステルとして、脂肪酸のメチル、イソプロピル、およびブチルエステルが挙げられる。アルキルエステルの具体例として、ラウリン酸ヘキシル、ラウリン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸デシル、オレイン酸イソデシル、ステアリン酸ヘキサデシル、ステアリン酸デシル、イソステアリン酸イソプロピル、乳酸ジラウリル、乳酸ミリスチル、および乳酸セチル;および脂肪酸のアルケニルエステル、例えば、ミリスチン酸オレイル、ステアリン酸オレイル、およびオレイン酸オレイルが挙げられる。二酸のアルキルエステルの具体例として、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソヘキシル、アジピン酸ビス(ヘキシルデシル)、およびセバシン酸ジイソプロピルが挙げられる。
【0116】
局所用製剤に使用することができる他の適切なクラスの皮膚軟化剤または乳化剤として、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族アルコールエーテル、エトキシ化脂肪族アルコール、エトキシ化脂肪族アルコールの脂肪酸エステル、およびワックスが挙げられる。
【0117】
皮膚軟化剤としての使用のための脂肪酸の具体例として、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リシノール酸、アラキジン酸、ベヘン酸、およびエルカ酸が挙げられる。皮膚軟化剤としての使用のための脂肪族アルコールの具体例として、ラウリル、ミリスチル、セチル、ヘキサデシル、ステアリル、イソステアリル、ヒドロキシステアリル、オレイル、リシノレイル、ベヘニル、およびエルシルアルコール、ならびに2-オクチルドデカノールが挙げられる。
【0118】
皮膚軟化剤として使用するのに適したワックスの具体例として、ラノリン油、ラノリンワックス、ラノリンアルコール、ラノリン脂肪酸、ラノリン酸イソプロピル、エトキシ化ラノリン、エトキシ化ラノリンアルコール、エトキシ化コレステロール、プロポキシ化ラノリンアルコール、アセチル化ラノリン、アセチル化ラノリンアルコール、リノール酸ラノリンアルコール、リシノール酸(recinoleate)ラノリンアルコール、リシノール酸ラノリンアルコールの酢酸エステル、リシノール酸ラノリンアルコールの酢酸エステル、エトキシ化アルコールの酢酸エステル、ラノリンの水素化分解物、水素化ラノリン、エトキシ化水素化ラノリン、エトキシ化ソルビトールラノリン、ならびに液体および半固体のラノリンを含む、ラノリンおよびその誘導体が挙げられる。ワックスとして使用可能なものとして、炭化水素ワックス、エステルワックス、およびアミドワックスが挙げられる。有用なワックスとして、ワックスエステル、例えば、蜜ろう、鯨ろう、ミリスチン酸ミリスチルおよびステアリン酸ステアリル;蜜ろう誘導体、例えば、ポリオキシエチレンソルビトール蜜ろう;ならびにカルナバおよびキャンデリラワックスを含む植物ワックスが挙げられる。
【0119】
多価アルコールおよびポリエーテル誘導体は、局所用製剤において溶媒および/または界面活性剤として使用することができる。適切な多価アルコールおよびポリエーテルとして、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール2000および4000、ポリ(オキシエチレン-co-オキシプロピレン)グリコール、グリセロール、ソルビトール、エトキシ化ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ポリエチレングリコール200~6000、メトキシポリエチレングリコール350、550、750、2000および5000、ポリ[エチレンオキシド]ホモポリマー(100,000~5,000,000)、ポリアルキレングリコールおよび誘導体、ヘキシレングリコール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、1,3-ブチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、15~18個の炭素原子を有するビシナルグリコール、ならびにトリメチロールプロパンのポリオキシプロピレン誘導体を挙げられる。
【0120】
多価アルコールエステルは乳化剤または皮膚軟化剤として使用することができる。適切な多価アルコールエステルとして、エチレングリコールモノ-およびジ-脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ-およびジ-脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200~6000)モノ-およびジ-脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ-およびジ-脂肪酸エステル、ポリプロピレングリコール2000モノオレエート、ポリプロピレングリコール2000モノステアレート、エトキシ化プロピレングリコールモノステアレート、グリセリルモノ-およびジ-脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ-脂肪酸エステル、エトキシ化モノステアリン酸グリセリル、1,3-ブチレングリコールモノステアレート、1,3-ブチレングリコールジステアレート、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ならびにポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが挙げられる。
【0121】
局所用製剤に使用するのに適した乳化剤として、アニオン性、カチオン性、非イオン性、および両性イオン界面活性剤が挙げられる。好ましいイオン性乳化剤として、リン脂質、例えば、レシチンおよび誘導体が挙げられる。
【0122】
ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩はリポソームとして製剤化することができる。低分子代謝産物はリポソームの脂質部分の構成要素であることができ、またはリポソームの水性部分に封入することができる。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩はまた、シクロデキストリンと共配合することもできる。シクロデキストリンは、例えば、ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテルシクロデキストリンであることができる。レシチンおよび他のリン脂質を使用して、本明細書に記載されている活性成分を含有するリポソームを調製することができる。レシチンなどのリン脂質が水中に配置され、十分なエネルギーが一度供給されると、これによってそれぞれ水分子で分離された1つの二重層または一連の二重層が形成されたときに脂質ベシクルの形成が生じる。リポソームは、リン脂質を水中で超音波処理することにより生成することができる。低い剪断速度は多層状のリポソームを作り出す。継続した高剪断超音波処理は、より小さな単層のリポソームを形成する傾向にある。疎水性化学物質はリン脂質二重層膜に溶解することができる。リポソームの脂質二重層は、本明細書に記載されている組成物を送達する。
【0123】
局所用製剤は、水溶液中に分散した界面活性剤分子のミセルまたは凝集物を含有し得る。ミセルは、界面活性剤を含む水溶液中に油溶媒を分散させることにより調製することができ、その界面活性剤濃度は臨界ミセル濃度を超える。生成した製剤はミセル、すなわち、水性溶媒中に分散した、極性の界面活性剤分子の膜に取り囲まれた球状の油滴を含有する。
【0124】
例えば、コレステロールおよびコレステロール脂肪酸エステルを含むステロール、アミド、例えば、脂肪酸アミド、エトキシ化脂肪酸アミド、ならびに脂肪酸アルカノールアミドもまた皮膚軟化剤および/または経皮吸収促進剤として使用することができる。
【0125】
薬学的に許容される保存剤を用いて、組成物の貯蔵寿命を延ばすことができる。局所用製剤における使用に対する他の適切な保存剤および/または抗酸化剤として、塩化ベンズアルコニウム、ベンジルアルコール、フェノール、ウレア、パラベン、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、トコフェロール、チメロサール、クロロブタノールなど、およびこれらの混合物が挙げられ、これらを用いることができる。抗酸化剤などの保存剤が用いられる場合、濃度は通常、組成物の総重量に対して、約0.02%~約2%であるが、選択された薬剤に応じて、より多量またはより少量が所望されることもある。本明細書に記載されている還元剤を有利に使用して、製剤の良好な貯蔵寿命を維持することができる。実施形態の無水製剤は、保存剤が製剤から取り除かれてもよいように、満足できる安定性を示すことが一般的に観察されている。
【0126】
局所用製剤における使用に適したキレート剤として、エチレンジアミン四酢酸、そのアルカリ金属塩、そのアルカリ土類金属塩、そのアンモニウム塩、およびそのテトラアルキルアンモニウム塩が挙げられる。
【0127】
一部の実施形態では、担体は、約4.0~10.0の間のpHを有することができる。一部の実施形態では、担体は約6.8~約7.8の間のpHを有することができる。緩衝液または他のpH変性剤を使用してpHは制御することができる。適切なpH変性剤として、リン酸および/またはリン酸塩、クエン酸および/またはクエン酸塩、水酸化物塩(すなわち、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)およびアミン、例えば、トリエタノールアミンが挙げられる。適切な緩衝液として、5.8~8の間のpHを維持する、リン酸一カリウムおよびリン酸二カリウムの溶液を含む緩衝液;ならびに6~7.5の間のpHを維持するリン酸一ナトリウムおよびリン酸二ナトリウムの溶液を含む緩衝液が挙げられる。他の緩衝液として、クエン酸/クエン酸ナトリウム、および二塩基性リン酸ナトリウム/クエン酸が挙げられる。実施形態の組成物は、レシピエントの血液または他の体液との等張性を有することができる。組成物の等張性は、酒石酸ナトリウム、プロピレングリコールまたは他の無機もしくは有機溶質を使用して達成することができる。塩化ナトリウムが特に好ましい。例えば、酢酸および塩、クエン酸および塩、ホウ酸および塩、ならびにリン酸および塩などの緩衝化剤を用いることができる。製剤中に還元剤、例えば、ビタミンC、ビタミンE、または薬学分野で公知の他の還元剤を含むことが所望されることもある。
【0128】
界面活性剤はまた、賦形剤として、例えば、アニオン性洗剤として、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムおよびスルホン酸ジオクチルナトリウム、カチオン性洗剤として、例えば、塩化ベンズアルコニウムまたは塩化ベンゼトニウム、または非イオン性洗剤、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、モノステアリン酸グリセロール、ポリソルベート、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースを用いることができる。
【0129】
実施形態の製剤が皮下注射により投与される場合、それはパイロジェンを含まない、非経口的に許容可能な水溶液または油性懸濁液、乳剤または溶液の形態であることが好ましい。懸濁液は、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当技術分野で周知の方法に従い製剤化することができる。適切な特性、例えば、pH、等張性、安定性などを有する許容可能な水性または非水性溶液の調製は、当技術分野の技能の範囲内である。例えば、等張性ビヒクル例えば、1,3-ブタンジオール、水、等張性塩化ナトリウム溶液、リンゲル溶液、ブドウ糖溶液、ブドウ糖および塩化ナトリウム溶液、乳酸リンゲル液、または当技術分野で公知の他のビヒクルを用いることができ、または不揮発性油、例えば、合成モノまたはジグリセリド、脂肪酸などを慣例的に溶媒もしくは懸濁媒として用いることができる。製剤はまた、安定剤、保存剤、緩衝剤、抗酸化剤、または当業者に公知の他の添加剤を含有することもできる。
【0130】
ある特定の実施形態では、薬理学的活性を有する追加の薬剤を含むことが有利となり得る。抗感染剤として、駆虫剤(メベンダゾール)、抗生剤、例えば、アミノグリコシド(ゲンタマイシン、ネオマイシン、トブラマイシン)を含めたもの、抗真菌性抗生剤(アムホテリシンb、フルコナゾール、グリセオフルビン、イトラコナゾール、ケトコナゾール、ナイスタチン、ミカチン、トルナフテート)、セファロスポリン(セファクロル、セファゾリン、セフォタキシム、セフタジジム、セフトリアキソン、セフロキシム、セファレキシン)、ベータラクタム抗生剤(セフォテタン、メロペネム)、クロラムフェニコール、マクロライド(アジスロマイシン、クラリスロマイシン、エリスロマイシン)、ペニシリン(ペニシリンGナトリウム塩、アモキシシリン、アンピシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン、ピペラシリン、チカルシリン)、テトラサイクリン(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)、バシトラシン、クリンダマイシン、コリスチメタン酸ナトリウム、硫酸ポリミキシンB、バンコマイシン、抗ウイルス剤、例えば、アシクロビル、アマンタジン、ジダノシン、エファビレンツ、フォスカーネット、ガンシクロビル、インジナビル、ラミブジン、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、スタブジン、バラシクロビル、バルガンシクロビル、ジドブジン、キノロン(シプロフロキサシン、レボフロキサシン)、スルホンアミド(スルファジアジン、スルフイソキサゾール)、スルホン(ダプソン)、フラゾリドン、メトロニダゾール、ペンタミジン、スルファニルアミダムクリスタリナム、ガチフロキサシン、およびスルファメトキサゾール/トリメトプリムを含めたものが挙げられるが、これらに限定されない。麻酔剤として、エタノール、ブピバカイン、クロロプロカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、プロカイン、ロピバカイン、テトラカイン、デスフルラン、イソフルラン、ケタミン、プロポフォール、セボフルラン、コデイン、フェンタニル、ヒドロモルホン、マルカイン、メペリジン、メサドン、モルヒネ、オキシコドン、レミフェンタニル、スフェンタニル、ブトルファノール、ナルブフィン、トラマドール、ベンゾカイン、ジブカイン、塩化エチル、キシロカイン、およびフェナゾピリジンを挙げることができるが、これらに限定されない。抗炎症剤として、非ステロイド性の抗炎症薬(NSAID)例えば、アスピリン、セレコキシブ、コリンマグネシウムトリサリチレート、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラク、フェノプロフェン、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラック、メレナム酸、ナブメトン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、オキサプロジン、ピロキシカム、ロフェコキシブ、サルサレート、スリンダク、およびトルメチン;ならびにコルチコステロイド、例えば、コルチゾン、ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ベタメテゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、ブデソニド、リン酸デキサメタゾンナトリウム、フルニソリド、プロピオン酸フルチカゾン、トリアムシノロンアセトニド、ベタメタゾン、フルオシノニド、ジプロピオン酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、デソニド、デスオキシメタゾン、フルオシノロン、トリアムシノロン、プロピオン酸クロベタゾール、およびデキサメタゾンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
ある特定の実施形態では、皮膚軟化剤、乳化安定剤、保湿剤、賦形剤、および他の化合物の添加を改変して、肌触り(絹のような肌触り、軽さ、クリーミーさなど)、吸収性(製品が湿潤感を失い、もはや皮膚上で知覚されなくなるのに必要な時間)、粘稠度、固さ、展延性(例えば、粘度、流動の開始、剪断速度)、粘性、形状の完全性、光沢、親水性または疎水性、およびその他を含むがこれらに限定されない、局所用組成物の感覚特性を増強することができる。
【0132】
ある特定の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカン酸の全身投与が所望され得る。このような実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、経口投与に対して適した組成物へと製剤化されるが、他の投与経路もまた想定される。
【0133】
本明細書に記載されている組成物は、対象にそれ自体、あるいは併用療法の場合のようにこれらが他の活性剤、もしくは担体、希釈剤、賦形剤またはこれらの組合せと混合した組成物で投与することができる。製剤は選択された投与経路に依存する。本明細書に記載されている化合物の製剤および投与のための技術は当業者には公知である(例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、Lippincott Williams & Wilkins;第20版(2003年6月1日)および「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Pub.Co.第18版および第19版(それぞれ1985年12月、および1990年6月)を参照されたい)。
【0134】
本明細書で開示されている組成物は、それ自体公知のプロセス、例えば、従来の混合、溶解、造粒、糖衣錠作製、粉砕、乳化、カプセル化、封入、錠剤化、または抽出プロセスの手段により投与可能な形態へと製造することができる。本明細書で開示されている医薬的組合せに使用されている化合物の多くは、薬学的に許容される対イオンを有する塩として提供される。
【0135】
当技術分野で存在するペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を投与する複数の技術は、経口、直腸、局所的、エアロゾル、注射および非経口送達、例えば、筋肉内、皮下、静脈内、髄内注射、髄腔内、直接的側脳室内、腹腔内、鼻腔内および眼内注射を含めた注射を含むが、これらに限定されない。上述の、または当業者に公知の他の方法のあらゆる組合せが本明細書で想定される(例えば、「Remington:The Science and Practice of Pharmacy」、Lippincott Williams & Wilkins;第20版(2003年6月1日)および「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、Mack Pub.Co.第18版および第19版(それぞれ1985年12月、および1990年6月)を参照されたい)。
【0136】
実際に、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、従来の薬学的配合技術に従い、薬学的担体との密接な混和物中で活性成分として組み合わせることができる。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、患者による消費のため、例えば、ゼラチンカプセル剤またはソフトゲルカプセル剤に直接加えることができる。他の実施形態では、担体を用いることができる。担体は、投与に対して望まれる調製物の形態に応じて、多種多様な形態を取ることができる。よって、本明細書に提供されている組成物は、それぞれ既定の量の活性成分を含有する、経口投与に適した別個の単位、例えば、カプセル剤、カシェ剤または錠剤として提示することができる。さらに、組成物は、本明細書中の他の箇所で記載されている局所的製剤と類似の、ただしヒトによる消費に適した構成要素を使用して、油、散剤、顆粒剤、液剤、水性液体中懸濁液、非水性液体、水中油型乳剤、または油中水型液体乳剤として提示することができる。上記に提示された一般的な剤形に加えて、本明細書に提供されている組成物はまた制御放出性および/またはデリバリーデバイスにより投与することもできる。組成物は、薬学の方法のいずれかにより調製することができる。一般的に、このような方法は、活性成分を、1種または複数の必要成分を構成する担体と一緒にするステップを含む。一般的に、組成物は、活性成分を、液体担体もしくは微細に分割された固体担体または両方と均一におよび密に混和することにより調製される。次いで、生成物は所望の提示へと好都合に成形することができる。
【0137】
製剤はまた、例えば、組成物を、例えば、デポー剤または持続放出製剤で標的領域へ直接注射することを介して、全身方式よりむしろ局所的に投与することもできる。さらに、組成物のための標的を設定したドラッグデリバリーシステムを、例えば、組織特異的な抗体をコーティングしたリポソームにおいて使用することができる。
【0138】
組成物は、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を、所望の治療効果に対して有効な量で含有することができる。一部の実施形態では、組成物は単位剤形であり、1単位剤形当たり、約0.1mg以下~約5000mg以上のペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を含む。さらなる実施形態では、組成物は、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩の1単位剤形当たり約1~約500mg、または1単位剤形当たり約500~5000mgを含む。このような剤形は、固体、半固体、液体、乳剤であってよく、または吸入投与のためのエアロゾルなどを介した送達に適応させることもできる。
【0139】
用いる担体は、例えば、固体、液体、または気体であることができる。固体担体の例として、ラクトース、白土、スクロース、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アカシア、ステアリン酸マグネシウム、およびステアリン酸が挙げられる。液体担体の例は、糖シロップ剤、ピーナッツ油、オリーブ油、低級アルコール、および水である。気体の担体の例として二酸化炭素および窒素が挙げられる。
【0140】
本明細書に提供されている組成物は、水または非水性液体中のペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩の溶液または懸濁液として調製することができる。適切な界面活性剤は、例えばヒドロキシプロピルセルロースに含まれていてもよい。分散液もまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール中、およびこれらの油中混合物で調製することができる。さらに、保存剤が、例えば、微生物の有害な成長を防ぐため含まれていてもよい。
【0141】
注射に使用するのに適した、本明細書に提供されている組成物は滅菌水溶液または分散液を含む。さらに、組成物は、このような注射可能な滅菌溶液または分散液の即時調合のため、滅菌粉末の形態であることができる。組成物は、製造および貯蔵の条件下で安定していることができる。よって、微生物、例えば、細菌および真菌の汚染作用に対抗して保存することができる。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコールおよび液体ポリエチレングリコール)、植物油、および適切なこれらの混合物を含有する溶媒または分散媒体であることができる。
【0142】
上述の担体成分に加えて、上記に記載されている製剤は、必要に応じて、1種または複数の追加の担体成分、例えば、希釈剤、緩衝剤、香味剤、結合剤、表面活性剤、増粘剤、滑沢剤、保存剤(抗酸化剤を含む)などを含むことができる。さらに、意図されるレシピエントの血液または他の体液との等張性を製剤に付与するために他のアジュバントが含まれてもよい。本明細書に提供されている化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは誘導体を含有する組成物はまた、希釈のため散剤または液体濃縮物の形態で調製することもできる。
【0143】
少なくとも1種の追加の活性剤と組み合わせた、本明細書に記載されているペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を含む組成物が本明細書で想定される。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩および少なくとも1種の追加の活性剤は、単一の製剤もしくは一緒に提供される複数の製剤に存在してもよいし、または製剤化されていなくてもよい。一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、1種または複数の追加の薬剤と共に単一の組成物中で一緒に投与することができる。例えば、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を1つの組成物で投与し、追加の薬剤のうちの少なくとも1種を第2の組成物で投与することができる。さらなる実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩および少なくとも1種の追加の活性剤はキットとして共に包装される。例えば、薬物製造業者、薬物再販業者、医師、配合する店舗、または薬剤師は、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を、患者への送達のため、別の製品または構成要素と組み合わせて含むキットを提供することができる。このような追加の構成要素は、抗感染剤、抗炎症剤、麻酔剤などを含むことができる。
【0144】
本明細書に記載されている一部の実施形態は、治療有効量の本明細書に記載されているペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩および薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤またはこれらの組合せを含むことができる、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩の経口組成物に関する。組成物は、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を、例えば、組成物の>1%、≧2%、≧3%、≧4%、≧5%、≧6%、≧7%、≧8%、≧9%、≧10%、≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%、≧98%の量で、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で含むことができる。一部の実施形態では、医薬組成物は、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩および1種もしくは複数の他の低分子代謝産物、例えば、アミノ酸、ペプチド、炭水化物、コファクター、ビタミン、生体異物、および/もしくは本明細書に記載されている脂質、またはその塩もしくは誘導体のうちの1種もしくは複数を、例えば、組成物の>1%、≧2%、≧3%、≧4%、≧5%、≧6%、≧7%、≧8%、≧9%、≧10%、≧20%、≧30%、≧40%、≧50%、≧60%、≧70%、≧80%、≧90%、≧95%、≧98%、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で含むことができる。
食料品
【0145】
ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩を含む食料品および他の食べ物が提供され、食料品中のペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩の量は強化されている(例えば、豊富に含むまたは濃縮されている)。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩は、対象による消費のために食料品に加えられ得る。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩は、食料品の1種または複数の成分へと統合され得る。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩は成分として調製されてもよいし、または調製されなくてもよい。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、もしくはその塩、あるいはペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩を含む調製物は、調製前、調製中、または調製後に加えることができる。調製は、制限なしで、調理、混合、香味付け、味付け、ブレンド、煮沸、フライ、焙焼、または当技術分野で公知の他のプロセスを含むことができる。強化は好ましくは、本明細書の他の箇所で記載されているペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩の治療のための1日投与量を提供する、あるいは本明細書に記載されているペンタデカノイルカルニチンの身体濃度を達成するレベルである。しかし、有益な作用はこのような投与量未満の量でもまた得ることができる。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩は、栄養補助食品として単位剤形で(錠剤、カプセル剤、カプセル化丸剤、またはゲルキャップ剤丸剤)、または経口もしくは注射用の液体懸濁液もしくは溶液の分配可能な形態で(スプレー剤、エアロゾル剤、散剤、または顆粒剤)、または食べ物の物質(食物または飲料)に加える栄養補助食品、添加剤、成分、もしくは強化剤として投与することができる。ある特定の実施形態では、栄養補助食品もしくは食物/飲料成分または添加剤としてのペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩は、健康を促進もしくは支援するため、例えば、代謝性の健康を促進もしくは支援するため、心臓の健康を促進もしくは支援するため、肝臓の健康を促進もしくは支援するため、赤血球を促進もしくは支援するため、免疫の健康を促進もしくは支援するため、ならびに/または老化速度を減速させるために利用することができる。したがって、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩は、薬学的および栄養補助食品技術において公知のような形態および方法で投与するのに適しており、これには、栄養補助食品、医療食、食品添加物、食物成分、食品強化剤、飲料添加物、飲料成分、飲料強化剤、強化食品、強化飲料、添加物が添加された食品、添加物が添加された飲料、ならびに任意の形態での製薬、例えば、錠剤、カプセル化丸剤、ゲルキャップ剤丸剤、液体懸濁液、液体溶液、スプレー剤、もしくは散剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0146】
本明細書に提供されているペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、自然において公知のプロセスの働きによって、例えば、植物、動物、細菌、または菌類の代謝プロセスを改変することによって、食料品中に構成成分として存在することができる。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩の濃度を増加させるための植物、動物、細菌、または菌類の遺伝的改変が想定される。例として、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、食料品中に少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、またはそれよりも高い、例えば、1%~2%もしくは3%もしくは4%もしくは5%もしくは6%もしくは7%もしくは8%もしくは9%もしくは10%もしくは20%もしくは30%もしくは40%、50%の濃度で、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で存在することができる。ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、食料品中に自然に存在する場合、食料品に対して自然に生じる量より上の豊富に含まれる量で存在することができ、例えば、平均より10%もしくはそれよりも上の濃度、または観察された自然に生じる最も高い濃度、例えば、平均より20%もしくは30%もしくは40%もしくは50%もしくは100%もしくは200%もしくは300%もしくは400%もしくは1000%もしくは2000%もしくは5000%もしくはそれよりも上の濃度、または観察された自然に生じる最も高い濃度で存在することができる。
適応症
【0147】
攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安、不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患、精神状態、代謝障害、片頭痛、鼻閉、副鼻腔うっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛、多発性硬化症の症状、神経学的障害、神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチック、トゥレット症候群に伴う挙動問題からなる群から選択される状態の治療、対応、改善、または予防法のための組成物および方法が提供される。
【0148】
食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性、代謝性の健康、血液学的健康、腎臓の健康、および体重減少を支援するための組成物および方法が提供される。
【0149】
対象においてペンタデカノイルカルニチンの身体濃度1μM~20μMを達成するための組成物および方法が提供される。
【0150】
一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩の投与後、血清、血漿、または赤血球膜のペンタデカノイルカルニチンレベルは増加し得る。
【0151】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている組成物および方法は、攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安、不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患、精神状態、代謝障害、片頭痛、鼻閉、副鼻腔うっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛、多発性硬化症の症状、神経学的障害、神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチック、もしくはトゥレット症候群に伴う挙動問題のマーカー、または食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性、代謝性の健康、血液学的健康、腎臓の健康、もしくは体重減少に伴うマーカーをモジュレートする。ある特定の実施形態では、マーカーは、血清、血漿、または赤血球膜のペンタデカノイルカルニチンのパーセンテージ;本発明に含有されるペンタデカノイルカルニチンの血清、血漿、または赤血球膜の濃度;または血清、血漿、もしくは赤血球膜の全ペンタデカノイルカルニチンである。一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンは糖脂質の構成成分として測定される。さらなる実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンはリン脂質の構成成分として測定される。またさらなる実施形態では、マーカーは血清もしくは赤血球膜のペンタデカノイルカルニチンのパーセンテージ、ペンタデカノイルカルニチンの血清中濃度、または血清の全ペンタデカノイルカルニチンである。
【0152】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている方法は、マーカーの濃度を測定するステップを含む。当業者は、これらに限定されないが本明細書に記載されている測定するステップを含む、このような測定に適した方法を実施することができる。
【0153】
ある用量のペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を、既定の間隔で、または対象の裁量に委ねられた間隔で投与するステップを含む、治療するための方法が本明細書に提供される。
【0154】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている化合物および方法は、すべての血清、血漿、または赤血球膜の低分子代謝産物に対する、ペンタデカノイルカルニチンの閾値の血清、血漿、または赤血球膜パーセンテージを提供することができる。例えば、閾値は、約0.05%以下~90%以上の値、例えば、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0%、少なくとも約1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1.8%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%、少なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約3.0%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4.0%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、90%超の値、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲であってよい。
【0155】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている組成物および方法は、ペンタデカノイルカルニチンの血清もしくは血漿中濃度、またはペンタデカノイルカルニチンの赤血球膜濃度において、ベースライン値(例えば、治療を受けている患者における治療前の値、または特定の患者集団で観察された一般的な値)を超える増加を提供することができる。例えば、血清もしくは血漿ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカノイルカルニチンの赤血球膜の濃度は、少なくとも約1μg/ml、少なくとも約2μg/ml、少なくとも約3μg/ml、少なくとも約4μg/ml、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約7μg/ml、少なくとも約8μg/ml、少なくとも約9μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、少なくとも約50μg/ml、50μg/ml超、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で増加し得る。一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンの血清中濃度、またはペンタデカノイルカルニチンの赤血球膜濃度は、ベースライン値(例えば、治療を受けている患者における治療前の値、または特定の患者集団で観察された一般的な値)を超えて、も少なくとも約0.01×10-4M、少なくとも約0.05×10-4M、少なくとも約0.1×10-4M、少なくとも約0.2×10-4M、少なくとも約0.3×10-4M、少なくとも約0.4×10-4M、少なくとも約0.5×10-4M、少なくとも約0.6×10-4M、少なくとも約0.7×10-4M、少なくとも約0.8×10-4M、少なくとも約0.9×10-4M、少なくとも約1×10-4M、少なくとも約2×10-4M、少なくとも約3×10-4M、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で増加し得る。
【0156】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている化合物および方法は、血清もしくは血漿の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸、または赤血球膜の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸における増加を提供することができる。例えば、血清の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸、または赤血球膜の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸は、ベースライン値(例えば、治療を受けている患者における治療前の値、または特定の患者集団で観察された一般的な値)を超えて、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約7μg/ml、少なくとも約8μg/ml、少なくとも約9μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、少なくとも約50μg/ml、少なくとも約60μg/ml、少なくとも約70μg/ml、少なくとも約80μg/ml、少なくとも約90μg/ml、少なくとも約100μg/ml、少なくとも約150μg/ml、少なくとも約200μg/ml、少なくとも約250μg/ml、少なくとも約300μg/ml、少なくとも約350μg/ml、少なくとも約400μg/ml、少なくとも約450μg/ml、少なくとも約500μg/ml、または500μg/ml超増加し得る。
【0157】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている化合物および方法は、それぞれすべての血清または赤血球膜の低分子代謝産物に対して、血清、血漿、または赤血球膜のペンタデカノイルカルニチン中のベースライン値(例えば、治療を受けている患者における治療前の値、または特定の患者集団で観察された一般的な値)よりも上への増加を提供することができる。例えば、血清、血漿、または赤血球膜のペンタデカノイルカルニチンは、ベースライン値(例えば、治療を受けている患者における治療前の値、または特定の患者集団で観察された一般的な値)を超えて、少なくとも約0.01%、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1%、少なくとも約1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1.8%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%、少なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約3%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%、5%超、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲増加し得る。
【0158】
一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、血清または血漿のペンタデカノイルカルニチンの全パーセントを、既定の閾値より上に維持するために投与される。さらに変化形では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩を投与して、ペンタデカノイルカルニチンの血清リン脂質パーセントを、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1%、約1.2%、約1.4%、約1.6%、約1.8%、約2%、約2.2%、約2.4%、約2.6%以上、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲に維持するために投与される。
【0159】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている化合物および方法は、それぞれすべての血清または赤血球膜低分子代謝産物に対して、ペンタデカノイルカルニチンの閾値の血清、血漿、または赤血球膜パーセンテージを提供することができる。例えば、閾値は、約0.05%未満~90%以上の値、例えば、少なくとも約0.05%、少なくとも約0.1%、少なくとも約0.2%、少なくとも約0.3%、少なくとも約0.4%、少なくとも約0.5%、少なくとも約0.6%、少なくとも約0.7%、少なくとも約0.8%、少なくとも約0.9%、少なくとも約1.0%、少なくとも約1.1%、少なくとも約1.2%、少なくとも約1.3%、少なくとも約1.4%、少なくとも約1.5%、少なくとも約1.6%、少なくとも約1.7%、少なくとも約1.8%、少なくとも約1.9%、少なくとも約2.1%、少なくとも約2.2%、少なくとも約2.3%、少なくとも約2.4%、少なくとも約2.5%、少なくとも約2.6%、少なくとも約2.7%、少なくとも約2.8%、少なくとも約2.9%、少なくとも約3.0%、少なくとも約3.5%、少なくとも約4.0%、少なくとも約4.5%、少なくとも約5%、少なくとも約6%、少なくとも約7%、少なくとも約8%、少なくとも約9%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、90%超の値、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲であってよい。
【0160】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている化合物および方法は、ペンタデカノイルカルニチンの血清または血漿中濃度、またはペンタデカノイルカルニチンの赤血球膜濃度において、ベースライン値(例えば、治療を受けている患者における治療前の値、または特定の患者集団で観察された一般的な値)より上への増加を提供することができる。例えば、血清ペンタデカノイルカルニチンまたはペンタデカノイルカルニチンの赤血球膜濃度は、少なくとも約0.01μg/ml、少なくとも約0.05μg/ml、少なくとも約0.1μg/ml、少なくとも約0.4μg/ml、1μg/ml、少なくとも約2μg/ml、少なくとも約3μg/ml、少なくとも約4μg/ml、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約7μg/ml、少なくとも約8μg/ml、少なくとも約9μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、少なくとも約50μg/ml、50μg/ml超だけ、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で増加し得る。一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンの血清中濃度、またはペンタデカノイルカルニチンの赤血球膜濃度は、ベースライン値(例えば、治療を受けている患者における治療前の値、または特定の患者集団で観察された一般的な値)よりも少なくとも約0.001×10-4M、少なくとも約0.005×10-4M、少なくとも約0.05×10-4M、少なくとも約0.01×10-4M、少なくとも約0.05×10-4M、少なくとも約0.1×10-4M、少なくとも約0.2×10-4M、少なくとも約0.3×10-4M、少なくとも約0.4×10-4M、少なくとも約0.5×10-4M、少なくとも約0.6×10-4M、少なくとも約0.7×10-4M、少なくとも約0.8×10-4M、少なくとも約0.9×10-4M、少なくとも約1×10-4M、少なくとも約2×10-4M、少なくとも約3×10-4Mだけ上に、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で増加し得る。
【0161】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている化合物および方法は、血清または血漿の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸もしくはその塩、または赤血球膜の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸もしくはその塩における増加を提供し得る。例えば、血清の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸もしくはその塩、または赤血球膜の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸またはその塩は、ベースライン値(例えば、治療を受けている患者における治療前の値、または特定の患者集団で観察された一般的な値)よりも少なくとも約0.05μg/ml、少なくとも約0.1μg/ml、少なくとも約0.5μg/ml、少なくとも約1μg/ml、少なくとも約5μg/ml、少なくとも約6μg/ml、少なくとも約7μg/ml、少なくとも約8μg/ml、少なくとも約9μg/ml、少なくとも約10μg/ml、少なくとも約15μg/ml、少なくとも約20μg/ml、少なくとも約25μg/ml、少なくとも約30μg/ml、少なくとも約35μg/ml、少なくとも約40μg/ml、少なくとも約45μg/ml、少なくとも約50μg/ml、少なくとも約60μg/ml、少なくとも約70μg/ml、少なくとも約80μg/ml、少なくとも約90μg/ml、少なくとも約100μg/ml、少なくとも約150μg/ml、少なくとも約200μg/ml、少なくとも約250μg/ml、少なくとも約300μg/ml、少なくとも約350μg/ml、少なくとも約400μg/ml、少なくとも約450μg/ml、少なくとも約500μg/ml、500μg/ml超だけ上に、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲で増加し得る。
併用療法
【0162】
一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、1種または複数の追加の活性剤と組み合わせて使用することができる。組み合わせて使用することができる追加の活性剤の例として、低分子代謝産物、またはその塩もしくは誘導体、あるいは低分子代謝産物の化合物、またはその塩もしくは誘導体を含む組成物が挙げられ、これらには本明細書に提供されている状態を治療するために現在使用されている薬剤、およびその他医学で公知の薬剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0163】
一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、本明細書に記載されている1種、2種、3種以上の追加の活性剤と共に使用することができる。このような薬剤として、低分子代謝産物、またはその塩もしくは誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0164】
一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、本明細書に提供されている状態の治療、予防、維持、または予防法のために、別の薬剤(1種または複数)と組み合わせて使用することができる(例えば、投与または服用する)。
【0165】
さらに、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、Altoprev(ロバスタチン)、Crestor(ロスバスタチン)、Lescol(フルバスタチン)、Lipitor(アトルバスタチン)、Livalo(ピタバスタチン)、Pravachol(プラバスタチン)、Zocor(シンバスタチン)、抗血小板薬剤、ベータ遮断剤、ACE阻害剤、カルシウムチャネル遮断剤、利尿剤、抗凝血剤、アスピリン、胆汁酸封鎖剤、エゼチミベ、フィブラート、糖タンパク質IIb/IIIa受容体阻害剤、ナイアシン(ニコチン酸)、硝酸塩、血小板阻害剤、血栓溶解剤、経口リシノプリル、経口アテノロール、経口Bystolic、経口Diovan、経口ヒドロクロロチアジド、経口コハク酸メトプロロール、経口アムロジピン、経口Norvasc、経口Toprol XL、経口Benicar、経口酒石酸メトプロロール、経口ロサルタン、経口リシノプリル-ヒドロクロロチアジド、経口クロニジンHCl、経口Diovan HCT、経口Cozaar、経口プロプラノロール、経口スピロノラクトン、経口Azor、経口カルベジロール、経口Coreg、経口Benicar HCT、経口Exforge、経口Avapro、経口Lotrel、経口ベラパミル、経口フロセミド、経口Lasix、経口Hyzaar、経口Tekturna、経口マレイン酸エナラプリル、経口Micardis、経口ロサルタン-ヒドロクロロチアジド、経口ラミプリル、経口Lopressor、経口Altace、経口Micardis HCT、経口Avalide、経口ジルチアゼム、経口トリアムテレン-ヒドロクロロチアジド、経口ラベタロール、経口テラゾシン、経口アムロジピン-ベナゼプリル、経口ヒドララジン、経口Atacand、経口ベナゼプリル、経口Tribenzor、経口トリアムテレン、経口ドキサゾシン、経口ニフェジピン、経口Ziac、経口Aldacton、経口Maxzide、経口Cartia XT、経口プラゾシン、経口Cardizem CD、経口Zestril、経口Dyazide、経口フマル酸ビソプロロール、経口Tenex、経口Tenormin、経口Coreg CR、経口Prinivil、経口バルサルタン、経口アテノロール-クロルタリドン、経口Edarbyclor、経口ベナゼプリル-ヒドロクロロチアジド、経口硫酸鉄、静脈内Ferrlecit、静脈内Feraheme、経口Feosol、Infed注射、経口Integra、経口Ferrex 150 Forte、経口Tandem Dual Action、経口Ferrex 150、経口グルコン酸第一鉄、経口Corvite 150、経口Integra F、経口NovaFerrum、経口Iron(硫酸鉄)、経口Vitron-C、葉酸、コルチコステロイド、リツキシマブ、IVIG、プレドニゾン、経口メチルプレドニゾロン、Kenalog注射、経口Medrol(Pak)、経口Medrol、経口デキサメタゾン、Depo-Medrol注射、経口プレドニゾロン、経口DexPak 13 Day、静脈内Solu-Medrol、経口ヒドロコルチゾン、経口Cortef、経口Deltasone、トリアムシノロンアセトニド注射、経口コルチゾン、コリンエステラーゼ阻害剤、例えば、Donepezil(Aricept)、Rivastigmine(Exelon)、およびGalantamine(Razadyne)、Memantine、Aricept、Namenda、Namenda XR、Razadyne ER、Alpha E、ビタミンE、Hydergine、Namzaric、Dopamineアゴニスト、例えば、プラミペキソール(Mirapex)、ロピニロール(Requip)、ロチゴチン(Neuproパッチ)およびアポモルフィン(Apokyn)、抗コリン剤、例えば、ベンズトロピン(Cogentin)およびトリヘキシフェニジル、MAO-B阻害剤、例えば、(Eldepryl、Zelapar)およびラサギリン(Azilect)、COMT阻害剤、例えば、Entacapone(Comtan)、Carbidopa/Levodopa(Sinemet(登録商標))、アマンタジン、Tetrabenazine(Xenazine)、ハロペリドール(Haldol)、クロルプロマジン、リスペリドン(Risperdal)、クエチアピン(Seroquel)、オランザピン(Zyprexa)、インドメタシン、スリンダク、エトドラク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、メクロフェナメートナトリウム、フルフェナム酸、トルメチン、ケトロラック、ジクロフェナク、ジクロフェナクナトリウム、イブプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、オキサプロジンピロキシカム、メロキシカム、アンピロキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、シンノキシカム、スドキシカム、およびテノキシカムから選択される1種または複数の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0166】
さらに、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその塩は、鉄デキストラン、鉄sumalate、多糖鉄、フマル酸第一鉄(ferrus fumarate)、カルボニル鉄、アスパルトグリシン酸第一鉄から選択される1種または複数の薬剤と組み合わせて使用することができ、ヘム鉄ポリペプチドが時には示される可能性もあり、ビスグリシン酸鉄(ferrus bisglycinate)などの他の医薬、例えば、アンドロゲンホルモン、例えば、エリスロポエチン、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC、コハク酸、ナイアシン、ピリドキシン、リボフラビン、ビオチン、チアミン、ギ酸カルシウム、Aminoxin、Anadrol-50、Chromagen Forte、Epoetin alfa、Epogen、FeC Tab Plus、FeRiva、FeRivaFA、Ferocon、Ferotrin、Ferralet 90、Ferrex 28、Ferrogels Forte、FoliTab 500、Fumatinic、Hematogen Forte、Hemetab、Integra Plus、Irospan42/6、Lenalidomide、Maxaron Forte、Myferon 150 Forte、MyKidz Iron、NovaFerrum、Oxymetholone、Procrit、Proferrin-Forte、ピリドキシン、Repliva 21/7、Revlimid、およびTriconの投与であることもできる。
投薬
【0167】
当業者には容易に明らかなように、投与される有用なin vivo投与量および特定の投与モードは、年齢、体重、状態の重症度、および治療する哺乳動物の種、用いる化合物の特定の形態、ならびにこれらの化合物が用いられる具体的な使用に応じて変動する。有効な投与量レベルの決定(所望の結果を達成するために必要な投与量レベル)は、所定の方法、例えば、in vivo実験を使用して当業者により達成することができる。例えば、「Estimating the Maximum Safe Starting Dose in Initial Clinical Trials for Therapeutics in Adult Healthy Volunteers」U.S.Food and Drug Administration、2005年6月を参照することができる。
【0168】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている方法は、本明細書に提供されている組成物の治療有効量を投与するステップを含むことができる。一部の実施形態では、治療有効量は、本明細書に提供されている状態のマーカーのモジュレーションを参照して決定することができる。一部の実施形態では、治療有効量は、本明細書に提供されている状態の症状のモジュレーションを参照して決定することができる。さらなる他の実施形態では、これらに限定されないが、炎症を含む本明細書に提供されている状態の治療に対するガイドラインを含めて、本明細書に記載されている状態に対する確立したガイドラインを参照することができる。
【0169】
投与量は、所望の作用および治療の適応症、例えば、マーカー値に応じて幅広く変動し得る。代わりに、投与量は、当業者により理解されているように、患者の表面積または体重をベースとして計算することもできる。正確な投与量は症例ベースで決定されるか、または、場合によっては、対象の十分な情報に基づいた裁量に委ねられる。成人ヒト患者に対する1日投与量レジメンは、例えば、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩、あるいはペンタデカノイルカルニチンとペンタデカン酸との混合物、またはその塩、約0.01mg~約10000mg、約1mg~約5000mg、約5mg~約2000mg、約10mg~約1000mg、約50mg~約500mg、または約100mg~約200mgの経口投与であってよい。単回用量、例えば、最低用量は、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩、約0.01mg、約0.1mg、約1mg、約5mg、約10mg、約20mg、約50mg、約100mg、約200mg、約300mg、約400mg、約500mg、約600mg、約800mg、約900mg、約1000mg、約2000mg、約5000mg、またはこれよりも多い、あるいは上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲を含むことができる。投与量は対象の体質量に従い調整することができ、例えば、投与量、例えば、最低投与量は、約0.001mg/kg、約0.01mg/kg、約0.1mg/kg、0.3mg/kg、約0.5mg/kg、約1mg/kg、約2mg/kg、約3mg/kg、約4mg/kg、約5mg/kg、約6mg/kg、約7mg/kg、約8mg/kg、約9mg/kg、約10mg/kg、約15mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、もしくはこれよりも高い、または上述の値を含むおよび/もしくは上述の値に及ぶ範囲であってよい。例えば、投与量は、約0.001mg/kg~約30mg/kg、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1mg/kg~約5mg/kg、約0.3mg/kg~約3mg/kg、または約1mg/kg~約3mg/kgであってよい。投与量は、単回の投与、または個々の対象に対して適当である場合、1日もしくは複数日の間に2回もしくはより多い回数の一連の投与であってよい。一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩は、連続的療法の期間の間、例えば、約1週またはそれよりも長く(例えば、1週、2週、3週、4週、5週、6週、7週、8週、またはそれよりも長く)、数週間、約1カ月間またはそれよりも長く(例えば、1カ月、2カ月、3カ月、4カ月、5カ月、6カ月、7カ月、8カ月、9カ月、10カ月、11カ月、12カ月、またはそれよりも長く)、約1年間もしくはそれよりも長く、または複数年の間投与される。一部の実施形態では、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸、またはその塩は1日1回、1日2回、1日3回、またはそれよりも多く投与されるもしくは服用することができる。
【0170】
当業者により理解されているように、ある特定の状況において、本明細書で開示されている化合物を、上記に述べられているような、対象を効果的に治療するために好ましい投与量範囲を超えた量で投与することが必要となり得る。
【0171】
単位剤形はまた、例えば、既定のスケジュールで投与するように設計された、予め測定した量の組成物を有する個々のパッケージが提供され得る。1日1回~3回投与するように設計された単位剤形が好ましい。しかし、ある特定の実施形態では、1日3回より多く、または1日1回未満投与するための単位剤形を設計することが望ましいこともある。
【0172】
投与量および間隔は、既定のパラメーター、指標、またはマーカー値、または最小有効濃度(MEC)を維持するのに十分な活性部分の血漿レベルが得られるように個々の対象に対して調整することができる。所望の結果を達成するのに必要な投与量は、個々の特徴および投与経路に依存する。しかし、アッセイ、例えば、HPLCアッセイまたはバイオアッセイを使用して血清中濃度を決定することができる。
【0173】
一部の実施形態では、本明細書に提供されている化合物および方法は、例えば、米国特許第7,651,845号;米国特許第8,251,904号;米国特許第8,251,904号;米国特許第4,985,015号;米国特許第8,827,957号;米国特許第4,252,159号;米国特許第5,318,521号;米国特許第4,718,430号;米国特許第9,713,600号、米国特許第9,707,199号、米国特許第9,687,461号、米国特許第9,662,306、米国特許第9,561,206号、米国公開第2011/0190702号;米国公開第2017/0266144号、米国公開第2016/0324814号、米国公開第2016/0195559号、米国公開第2016/0195558号、米国公開第2016/0193172、2号、米国公開第016/0193171号、米国公開第2016/0193170号、WO2016/111843、DE2615061において提供されているようなデバイスおよびデバイスを使用する方法と併せて、ならびに例えば、米国公開第2012/0072236号に提供されているような診断用デバイスと併せて使用することができる。前述の特許文献のそれぞれの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
診断およびモニタリング
【0174】
本明細書に提供されている状態を診断およびモニタリングするための方法が本明細書に提供されている。
【0175】
一部の実施形態では、診断またはモニタリングの方法は、身体内の流体中の、本明細書に記載されているペンタデカノイルカルニチンのパーセンテージを測定するステップを含むことができる。一部の実施形態では、診断またはモニタリングの方法は、対象において本明細書に提供されている状態のマーカーを測定するステップを含むことができる。一部の実施形態では、1つのマーカーと別のマーカーとの間の相関関係が教示的であることを証明することができる。一部の実施形態では、本明細書に提供されている状態は、状態のマーカー、例えば、血清ペンタデカノイルカルニチンパーセンテージ、ペンタデカノイルカルニチンの血清中濃度、血清の全ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸、またはペンタデカノイルカルニチンとペンタデカン酸との間の比の閾値レベルを参照して診断することができる。例えば、閾値は本明細書に提供されている状態の症状またはマーカーを参照して決定することができる。
【0176】
ペンタデカノイルカルニチンのパーセンテージ、または対象における本明細書に提供されている状態マーカーは、任意の手段でモニターすることができる。分析用試料は、対象の任意の流体または組織から得ることができる。例えば、血清、血漿、赤血球膜、尿、および糞から得ることができる。
【実施例】
【0177】
実施例1
イルカにおいて、ペンタデカン酸だけでなく、慢性疾患インデックスのより低い危険性を伴う追加の血清ベースの化合物を同定するための一連の実験を行った。次いで、慢性状態を予防する、これを管理する、治療するまたは治癒させることが公知の直接的、臨床的に関連する活性に対して様々な濃度で有望な化合物を試験した。
【0178】
より高い濃度のC15:0を含有する、改変された魚の食餌を給餌したバンドウイルカの中で、下流のC15:0代謝産物が、このケースコントロールスタディにおいて観察された健康上の利益に寄与し得ると仮定した(Venn-Watson,S.、Baird,M.、Novick,B.、Parry,C.、Jensen,E.D.、Modified fish diet shifted serum metabolome and alleviated chronic anemia in bottlenose dolphins(Tursiops truncatus):Potential role of odd-chain saturated fatty acids.PLoS ONEdoi10.1371/journal.pone.0230769(2020))。この仮説を試験するため、0月、1カ月目、3カ月目および6カ月目の間、イルカ血清メタボロームにおける変化を評価し、ベースラインのイルカと、改変された魚を給餌したイルカとの間で比較した。
方法
【0179】
メタボロミクスを含む、この改変された食餌実験に対する方法は、以前に記述されたものであり(Venn-Watson,S.、Baird,M.、Novick,B.、Parry,C.、Jensen,E.D.、Modified fish diet shifted serum metabolome and alleviated chronic anemia in bottlenose dolphins(Tursiops truncatus):Potential role of odd-chain saturated fatty acids.PLoS ONEdoi10.1371/journal.pone.0230769(2020))、これには、改変された食餌とベースライン食餌とを対比して、これらの食餌を与えたイルカを最も良く予測した代謝産物を同定するためのバイオインフォマティクス、主成分分析、階層クラスタリング、およびランダムフォレスト回帰が含まれた。
バイオインフォマティクス
【0180】
インフォマティクスシステムは、4つの主な構成要素、実験室情報管理システム(Laboratory Information Management System(LIMS))、データ抽出およびピーク同定ソフトウエア、QCおよび化合物同定のためのデータ加工ツール、ならびにデータアナリストによる使用のための情報の解釈および可視化ツールの一群からなった。これらインフォマティクス構成要素のためのハードウエアおよびソフトウエアファンデーションは、LANバックボーン、およびOracle 10.2.0.1 Enterprise Editionが作動するデータベースサーバーであった。曲線下面積を使用してピークを定量化した。複数日に及ぶ実験に対して、データ正規化ステップを実施して、装置の日間のチューニング差から生じるばらつきを補正した。本質的には、各化合物を作動日ブロックにおいて、平均を1(1.00)と等しくなるように登録することによって補正し、各データ点を比例により正規化した(「ブロック補正」と呼ぶ)。1日を超える分析を必要としなかった実験に対しては、データ可視化の目的以外にはいかなる正規化も必要ではない。ある特定の事例では、生化学物質データは、各試料中に存在する材料の量の差異による、代謝産物レベルの差異の主な原因となる追加の因子(例えば、細胞数、Bradfordアッセイで決定される全タンパク質、重量オスモル濃度など)に対して正規化してもよい。実験のグループ、月、および性別を含む、Two-way ANOVAの主要作用モデルを使用して、メタボロームにおける差異の主要なドライバーを決定した。
主成分分析および階層的クラスタリング
【0181】
各主成分はすべての代謝産物の直線的な組合せであり、主な成分は相関していなかった。主成分の数は観察の回数と等しかった。直線的な組合せの分散が最大となる代謝産物の係数を決定することにより、第1の主成分を計算した。第2の成分は、第2の成分が第1の成分に対して直交しているという条件で、分散が最大となる係数を見出した。第3の成分は、最初の2つの成分に対して直交した。全分散は、各成分の予測値の分散の合計として定義され(分散は標準偏差の二乗である)、各成分に対して、全分散の割合を計算した。任意の大規模な差異を示すため、データをクラスタリングするための階層クラスタリングを教師なし学習として使用した。ユークリッド距離を使用した完全なクラスタリングを適用し、ここでは各試料はすべての代謝産物の値を有するベクターであった。
ランダムフォレスト回帰
【0182】
ランダムフォレスト、すなわち決定木のアンサンブルに基づく教師付き分類技術を使用して、改変された食餌により変化した血清生化学物質の「重要性」の等級序列を得た。真のクラスを同定する情報を有するデータのランダムなサブセットを選択して、木(「ブートストラップ試料」または「トレーニングセット」)を作り、次いで残りのデータ「アウトオブバッグ」(OOB)可変要素を木の下方に回して、各試料に対するクラスの予測を得た。このプロセスを数千回繰り返して、フォレストを生成した。フォレスト全体にわたるOOB可変要素に対して、クラス予測頻度(「投票」)を計算することにより、各試料の最終分類を決定した。各試料に対する予測は、その試料を含まない試料のサブセットから構築された木に基づくものであったので、この方法は偏りがなかった。フォレスト全体が成長したら、クラス予想を真のクラスと比較し、予測精度の尺度として「OOB誤差率」を生成した。よって、予測精度とは、新規データセットにおいて試料クラスをどれだけうまく予測できるかについての偏りのない予測であった。どの生化学物質が分類に最も大きく貢献したかを決定するため、「変数重要度」尺度を計算した。「予測精度の低下」(MDA)をこの計量として使用した。可変要素の順序をランダムに変え、観察された値を、木を介して流し、次いで予測精度を再評価することによりMDAを決定した。
結果
【0183】
改変された魚食餌(6カ月を介して持続した)を与えてから1カ月以内において、
図1Aは血清ペンタデカン酸(C15:0)の増加を示し、
図1Bはペンタデカノイルカルニチン濃度の増加を示している。ANOVAコントラストモデルを使用して、ベースライン(0カ月目)において症例と対照群の間で血清C15:0またはペンタデカノイルカルニチン濃度における重大な差異はなかったが(C15:0に対してp=0.81およびペンタデカノイルカルニチンに対してp=0.86)、血清C15:0とペンタデカノイルカルニチン濃度との両方が、対照群と比べて症例群の間で、1カ月目(C15:0に対してp<0.0001およびペンタデカノイルカルニチンに対してp<0.0001)、3カ月目(C15:0に対してp<0.0001およびペンタデカノイルカルニチンに対してp<0.0001)、および6カ月目(C15:0に対してp<0.0001およびペンタデカノイルカルニチンに対してp<0.0001)においてより高かった。表1に概説されているように、C15:0(ペンタデカン酸)とペンタデカノイルカルニチンとの両方が、1カ月目までに、改変された魚食餌を与えたイルカの上位30種の重要な生化学的予測因子内にランク付けされた。さらに実験が1カ月目から6カ月目へと進むにつれてペンタデカノイルカルニチンのランキングは増加して、改変された食餌を与えたイルカの中で最も重要な生化学物質となった。
【表1】
【0184】
実施例2
改変された魚食餌を与えたイルカの中でペンタデカノイルカルニチンの循環濃度の増加が観察されたことを考えると、より高い血清ペンタデカノイルカルニチン濃度が臨床的に関連する指標の変化と相関することが仮定された。
方法
【0185】
この相関関係実験のための方法が以前に記述されており(Venn-Watson,S.、Baird,M.、Novick,B.、Parry,C.、Jensen,E.D.、Modified fish diet shifted serum metabolome and alleviated chronic anemia in bottlenose dolphins(Tursiops truncatus):Potential role of odd-chain saturated fatty acids.PLoS ONE doi10.1371/journal.pone.0230769(2020))、これには、血清ペンタデカノイルカルニチン濃度と、ログ変換したコレステロール、グルコース、ヘモグロビン、赤血球数、および血小板における相対的変化との間の相関関係を評価するピアソンの相関関係、ならびに糸球体の濾過率およびインスリンに対するスピアマンの相関関係が含まれる。
結果
【0186】
表2は、改変された食餌実験において観察された血清ペンタデカノイルカルニチン濃度の上昇は、より低いコレステロールおよびより低いインスリンと相関することを示している。血清ペンタデカノイルカルニチン濃度の上昇は、より高いヘモグロビン、赤血球数、血小板、および糸球体の濾過率と相関した。これらのデータは、血清ペンタデカノイルカルニチン濃度の増加が、高コレステロール血症、高インスリン血症、貧血、血小板減少症、および腎疾患を含む慢性の状態を改善する役割を果たすことができることを裏付けるものである。
【表2】
【0187】
実施例3
炎症および線維症の低下を含む様々な慢性疾患状況を模倣したヒト細胞系における、C15:0の生物学的に関連する活性の本発明者らの過去の証明を考えると(Venn-Watson,S.、Lumpkin,R.、Dennis,E.A.、Efficacy of dietary odd-chain saturated fatty acid pentadecanoic acid parallels broad associated health benefits in humans:could it be essential?Sci Rep 10:8161ページ(2020))、ペンタデカノイルカルニチンは同様の生物学的に関連する活性を有することが仮定された。
方法
【0188】
このヒト初代細胞表現型プロファイリング実験に対する方法は、以前に記述された方法であった(Venn-Watson,S.、Lumpkin,R.、Dennis,E.A.、Efficacy of dietary odd-chain saturated fatty acid pentadecanoic acid parallels broad associated health benefits in humans:could it be essential?Sci Rep 10:8161ページ(2020))。ペンタデカノイルカルニチンの有意な活性は、6.7μMにおいて、0.1|log10|と等しいまたはそれよりも大きい活性であった。ペンタデカノイルカルニチンにより引き起こされた有意な変化を有するバイオマーカーを、ペンタデカン酸(C15:0)を使用して、同じ実験から得た結果と比較した。
結果
【0189】
表3は、ペンタデカノイルカルニチンとペンタデカン酸との間で初代細胞ベースの活性において明白な差異があることを実証している。ペンタデカノイルカルニチンで引き起こされた24種の特定された生物学的活性のうち、ペンタデカン酸と同じ方向に有意に変化した特異的なバイオマーカーはなかった。
【0190】
この実験は、ペンタデカノイルカルニチンが自己免疫疾患、アレルギー、喘息、慢性炎症、心血管疾患、オンコロジー、慢性閉塞性肺疾患、肺炎症、再狭窄、線維症、皮膚炎、乾癬、および創傷治癒を予防する、これを管理するまたは治療することに関連する生物学的活性を有することを裏付けるものであり、これは驚くことにペンタデカン酸とははっきりと異なる。
【表3】
【0191】
実施例4
様々な病態を模倣したヒト細胞系において生物活性のある化合物としてペンタデカノイルカルニチンが証明されたことを考えると、ペンタデカノイルカルニチンは受容体ベースの薬理学的活性を有すると仮定された。
方法
【0192】
この実験のための方法は以前に記述されている(Venn-Watson,S.、Lumpkin,R.、Dennis,E.A.、Efficacy of dietary odd-chain saturated fatty acid pentadecanoic acid parallels broad associated health benefits in humans:could it be essential?Sci Rep 10:8161ページ(2020))。ペンタデカノイルカルニチンの有意な活性は、濃度1~20μMの間において、内部対照の70%超または等しい最大薬理学的活性を有すると標識された活性であった。ペンタデカノイルカルニチンにより引き起こされた有意な薬理学的活性を、ペンタデカン酸(C15:0)を使用して同じアッセイから得た結果と比較した。
結果
【0193】
表4は、RC50濃度約3~10μMの間において、ペンタデカノイルカルニチンの複数の薬理学的活性を示しており、ポジティブコントロールの最大活性とほぼ一致している。
【0194】
ペンタデカノイルカルニチンは、約1~20μMにおいて、カンナビノイド受容体1および受容体2アゴニストであり、これは、心血管疾患、がん、炎症、関節炎および胆汁うっ滞性掻痒症を予防する、これを管理するおよび治療するその役割をさらに裏付けるものである(実施例3において、6.7μMで示されている通り)。これらの活性を有する化合物はまた、悪心、肥満、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛、疼痛、胃腸障害、アテローム動脈硬化症、多発性硬化症の症状、脊髄損傷、アルツハイマー病、および筋萎縮性側索硬化症、トゥレット症候群に伴うチックおよび挙動問題、不安障害、注意欠陥多動性障害、うつ病、脳損傷、遅発性ジスキネジー、緑内障、および咳を予防する、これを対処する、または治療するために使用されているまたは使用されるよう提案されている(Pertwee,R.G.、Emerging strategies for exploiting cannabinoid receptor agonists as medicines.BrJPharmacol 156:397~411ページ(2009)、Bryk,M.およびStarowicz,K.、Cannabinoid-based therapy as a future for joint degeneration.Focus on the role of CB2receptor in the arthritis progression and pain:an updated review.Pharmacol Rep 73:681~699ページ(2021))。
【0195】
2種の最も強力な内因性のカンナビノイド(内在性カンナビノイドとも呼ばれる)はアナンダミド(anadamide)および2-アラキドノイルグリセロール(arachidonoylglyerol)である(Battista,N.、Tommaso,M.D.、Bari,M.、Maccarrone,M.、The endocannabinoid system:概説。Front Behav Neurosci doi 10.3389/fnbeh.2012.00009(2012)。
【0196】
Bouchouriab,F.Z.、Fortin,M.、Noll,C.、Dube,J.、Carpentier,A.C.、Plasma palmitoyl-carnitine(AC16:0) is a marker of increased postprandial nonesterified incomplete fatty acid oxidation rate in adults with type 2 diabetes.Can J Diabetes 42:382~388.e1ページ(2018))。これらの化合物は、全身に見出されるカンナビノイド1(CB1)受容体とカンナビノイド2(CB2)受容体の両方、ならびにペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)と結合して活性化する。これらの機序を介して、体内で自然に生じる内在性カンナビノイドは、記憶、がん、食欲、受精率、疼痛、肥満、悪心、骨関節炎、心血管疾患、代謝障害、肝臓疾患、炎症、ならびに神経系および神経精神医学的障害をモジュレートすることに関係するものを含めて、幅広いアレイの健康上の利益を実証した(Ligresti,A.、Petrosino,S.、Di Marzo,V.、From endocannabinoid profiling to ‘endocannabinoid therapeutics’.Curr Opin Chem Biol、13:21~31ページ(2009))。
【0197】
ペンタデカノイルカルニチンは、約1~20μMにおいて、ヒスタミンH1およびH2受容体アンタゴニストであり、これは、アレルギー、喘息および皮膚炎を予防する、これを管理するおよび治療するその役割をさらに裏付けるものである(実施例3で、6.7μMにおいて示されている通り)。これらの活性を有する化合物はまた他の過敏症障害および消化性潰瘍を管理するまたはこれを治療するために使用されている。
【0198】
ペンタデカノイルカルニチンは、約1~20μMにおいて、ドーパミン受容体D1アンタゴニストである。これらの活性を有する化合物は、パーキンソン病を含む神経疾患、ならびに精神疾患、統合失調症、コカイン乱用、肥満、病的賭博、およびトゥレット症候群を予防する、これを管理する、または治療するために使用されているまたは使用されるように提案されている。
【0199】
ペンタデカノイルカルニチンは、約1~20μMにおいて、α2Aアドレナリン受容体アゴニストであり、これは、アレルギー反応、喘息、鼻および副鼻腔のうっ血、アレルギー性鼻炎および酒さに伴う顔面紅斑を予防する、これを管理するおよび治療することにおけるその役割をさらに裏付けるものである(実施例3で、6.7μMにおいて示されている通り)。これらの活性を有する化合物は、体重減少を支援するために使用されているまたは使用されるように提案されている。
【0200】
ペンタデカノイルカルニチンは、約1~20μMにおいてコリン作動性受容体ムスカリン1アンタゴニストであり、これは、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、および喘息を予防する、これを管理するおよび治療するその役割をさらに裏付けるものである(実施例3で、6.7μMにおいて示されている通り)。これらの活性を有する化合物は、パーキンソン病を含む運動障害、睡眠障害、悪心、炎症性腸症候群痙縮、精神疾患、消化性潰瘍、過活動膀胱、およびうつ病を予防する、これを管理する、または治療するために使用されているまたは使用されるように提案されている。
【0201】
ペンタデカノイルカルニチンは、約1~20μMにおいてSERT遮断剤である。これらの活性を有する化合物は、うつ病および強迫性障害を予防する、これを管理する、または治療するために使用されているまたは使用されるように提案されている。
【0202】
ペンタデカノイルカルニチンは、約1~20μMにおいて5-HT1A受容体アゴニストである。これらの活性を有する化合物は、例えば、社交性の増加、衝動性の低減、性衝動および性覚醒の促進、食物摂取の減弱、および長期レム睡眠を含めて、気分、睡眠、悪心、セクシュアリティおよび食欲を調節するために使用されているまたは使用されるように提案されている。この受容体を活性化する化合物はまた、うつ病、片頭痛、双極性障害、不安、高血圧、疼痛、統合失調症、パーキンソン病、攻撃性、薬物探索の挙動、およびオピオイド誘発性呼吸抑制を予防する、これを管理する、および治療するための手段として使用されている。
【0203】
ペンタデカノイルカルニチンは約1~20μMにおける5-HT1B受容体アゴニストである。これらの活性を有する化合物は、うつ病および不安を管理するため、ならびに攻撃性および衝動性を減少させるために使用されているまたは使用されるように提案されている。
【0204】
要約すれば、この実験は、ペンタデシルカルニチン(pentadecenoyl carnitine)を、濃度1~20μMの間において、カンナビノイド1と2受容体との両方を完全に活性化する新しく発見された内在性カンナビノイドとして特定している。
【表4】
【0205】
様々な文献参考文献は、脂肪酸の補給に関係した教示を含み、これらは、Greenberg JA、Bell SJ、Ausdal WV.Omega-3 Fatty Acid supplementation during pregnancy.Reviews in obstetrics & gynecology 2008、1:162~169ページ;Mihalik,S.J.、Goodpaster,B.H.、Kelley,D.E.、Chace,D.H.、Vockley,J.、Toledo,F.G.S.ら、Increased levels of plasma acylcarnitines in obesity and type 2 diabetes and identification of a marker of glucolipotoxicity.Obesity 18:1695~1700ページ(2010);Venn-Watson,S.、Parry,C.、Baird,M.、Stevenson,S.、Carlin,K.、Daniels,Rら、Increased dietary intake of saturated fatty acid heptadecanoic acid(C17:0)associated with decreasing ferritin and alleviated metabolic syndrome in dolphins.PLoS ONE doi10.1371(2015);Venn-Watson,S.、Smith,C.R.、Stevenson,S.、Parry,C.、Daniels,R.、Jensen,E.ら、Blood-based indicators of insulin resistance and metabolic syndrome in bottlenose dolphins(Tursiops truncatus).Front Endocrinol:10.3389(2013);Venn-Watson,S.、Benham,C.、Carlin,K.、DeRienzo,D.、St.Leger,J.、Hemochromatosis and fatty liver disease:building evidence for insulin resistance in bottlenose dolphins(Tursiops truncatus)。J Zoo Wildlf Med 43:10.1638ページ(2012);Venn-Watson,S.、Smith,C.R.、Gomez,F.、Jensen,E.D.、Physiology of aging among healthy、older bottlenose dolphins(Tursiops truncatus):comparisons with aging humans.J Comp Physiol 181:667~680ページ(2011)を含むが、これらに限定されない。
例示的組成物、使用、および方法
【0206】
組成物1:攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安、不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患、精神状態、代謝障害、片頭痛、鼻閉、副鼻腔うっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛、多発性硬化症の症状、神経学的障害、神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチック、トゥレット症候群に伴う挙動問題からなる群から選択される状態の治療、管理、改善、または予防法のための組成物であって、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む、組成物。
【0207】
組成物2:食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性、代謝性の健康、血液学的健康、腎臓の健康、および体重減少について支援するための組成物であって、ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む、組成物。
【0208】
組成物3:ペンタデカノイルカルニチンを含む、組成物1または2。
【0209】
組成物4:ペンタデカン酸を含む、組成物1または2。
【0210】
組成物5:ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸を含む、組成物1または2。
【0211】
組成物6:体重1kg当たり0.1mg~50mg、場合によって、体重1kg当たり0.3mg~5mgのペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を、それを必要とする対象に投与するように設計された、組成物1~5のいずれか1つの組成物。
【0212】
組成物7:1日1回投与するように設計された、組成物1~6のいずれか1つの組成物。
【0213】
組成物8:0.01mg~10000mg、場合によって、10mg~200mgのペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはエステルを含む単位剤形である、組成物1~7のいずれか1つの組成物。
【0214】
組成物9:食料品、栄養補助食品、単位剤形、処方せん薬、または製薬からなる群から選択される形態である、組成物1~7のいずれか1つの組成物。
【0215】
組成物10:栄養補助食品、医療食、食品添加物、食品強化剤、飲料添加物、飲料強化剤、強化食品、強化飲料、添加物が添加された食品、および添加物が添加された飲料からなる群から選択される形態である、組成物1~7のいずれか1つの組成物。
【0216】
使用11:ペンタデカノイルカルニチンの身体濃度1μM~20μMを達成するための、医薬の製造における、組成物1~10のいずれか1つの組成物の使用。
【0217】
方法12:攻撃性、アレルギー、アレルギー性鼻炎、アルツハイマー病、不安、不安障害、筋萎縮性側索硬化症、関節炎、喘息、アテローム動脈硬化症、注意欠陥多動性障害、双極性障害、脳損傷、がん、心血管疾患、胆汁うっ滞性掻痒症、うつ病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、コカイン乱用、咳、皮膚炎、うつ病、薬物探索の挙動、胃腸障害、酒さに伴う顔面紅斑、緑内障、肝臓疾患、過活動膀胱、過敏症障害、高血圧、衝動性、炎症、精神疾患、精神状態、代謝障害、片頭痛、鼻閉、副鼻腔うっ血、悪心、多発性硬化症に伴う神経障害性疼痛、多発性硬化症の症状、神経学的障害、神経精神医学的障害、肥満、強迫性障害、オピオイド誘発性呼吸抑制、骨関節炎、疼痛、パーキンソン病、病的賭博、消化性潰瘍、統合失調症、睡眠障害、脊髄損傷、遅発性ジスキネジー、トゥレット症候群に伴うチック、トゥレット症候群に伴う挙動問題からなる群から選択される状態の治療、管理、改善、または予防法の方法であって、それを必要とする対象に、有効量のペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与するステップを含む、方法。
【0218】
方法13:食欲、心血管健康、血液系健康、記憶、代謝性の健康、気分、長期レム睡眠、腎臓の健康、セクシュアリティ、社交性、代謝性の健康、血液学的健康、腎臓の健康、および体重減少について支援する方法であって、組成物が、それを必要とする対象に、有効量のペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を投与することを含む、方法。
【0219】
方法14:ペンタデカノイルカルニチンの身体濃度1μM~20μMが対象において達成される、方法12または13。
【0220】
方法15:ペンタデカノイルカルニチンが投与される、方法12~14。
【0221】
方法16:ペンタデカン酸が投与される、方法12~14。
【0222】
方法17:ペンタデカノイルカルニチンおよびペンタデカン酸が投与される、方法12~14。
【0223】
方法18:体重1kg当たり0.1mg~50mg、場合によって、体重1kg当たり0.3mg~5mgのペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が投与される、方法12~17。
【0224】
方法19:ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が1日1回投与される、方法12~18。
【0225】
方法20:ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が、0.01mg~10000mg、場合によって、10mg~200mgのペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、立体異性体、もしくはエステルを含む単位剤形である、方法12~19。
【0226】
方法21:ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が、食料品、栄養補助食品、単位剤形、処方せん薬、または製薬からなる群から選択される形態で投与される、方法12~20。
【0227】
方法22:ペンタデカノイルカルニチンもしくはペンタデカン酸またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体が、栄養補助食品、医療食、食品添加物、食品強化剤、飲料添加物、飲料強化剤、強化食品、強化飲料、添加物が添加された食品、および添加物が添加された飲料からなる群から選択される形態で投与される、方法12~20。
【0228】
栄養補助食品23:ペンタデカノイルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む、栄養補助食品。
【0229】
栄養補助食品24:体重1kg当たり最低0.1mg、場合によって、体重1kg当たり最低0.3mg、場合によって、体重1kg当たり最低1mgのペンタデカノイルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を、それを必要とする対象に投与するように構成されている、栄養補助食品23。
【0230】
栄養補助食品25:体重1kg当たり0.1mg~50mg、場合によって、体重1kg当たり0.3mg~5mgのペンタデカノイルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を、それを必要とする対象に投与するように構成されている、栄養補助食品23~24のいずれか1つの栄養補助食品。
【0231】
栄養補助食品26:1日1回投与するように構成されている、栄養補助食品23~25のいずれか1つの栄養補助食品。
【0232】
栄養補助食品27:0.01mg~10000mg、場合によって、1mg~1000mg、場合によって、10mg~200mgのペンタデカノイルカルニチン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは立体異性体を含む単位剤形である、栄養補助食品23~26のいずれか1つの栄養補助食品。
【0233】
栄養補助食品28:製薬または処方せん薬の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0234】
栄養補助食品29:食料品、医療食、食品添加物、食品強化剤、飲料添加物、飲料強化剤、強化食品、強化飲料、添加物が添加された食品、および添加物が添加された飲料からなる群から選択される形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0235】
栄養補助食品30:食料品の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0236】
栄養補助食品31:医療食の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0237】
栄養補助食品32:食品添加物の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0238】
栄養補助食品33:食品強化剤の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0239】
栄養補助食品34:飲料添加物の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0240】
栄養補助食品35:飲料強化剤の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0241】
栄養補助食品36:強化食品の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0242】
栄養補助食品37:強化飲料の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0243】
栄養補助食品38:添加物が添加された食品の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0244】
栄養補助食品39:添加物が添加された飲料の形態である、栄養補助食品23~27のいずれか1つの栄養補助食品。
【0245】
栄養補助食品40:獣医学的使用のための、栄養補助食品23~39のいずれか1つの栄養補助食品。
【0246】
栄養補助食品41:ヒトによる使用のための、栄養補助食品23~39のいずれか1つの栄養補助食品。
【0247】
組成物42:本明細書に実質的記載されている組成物。
【0248】
方法43:本明細書に実質的に記載されている方法。
【0249】
使用44:本明細書に実質的に記載されている使用。
【0250】
本開示は図面および前述の説明において詳細に図示および記載されてきたが、このような図示および説明は図示的または例示的であり、限定的ではないと考えられる。本開示は開示された実施形態に限定されない。開示された実施形態に対する変化形は、図、本開示および添付の特許請求の範囲を検討することより、特許請求された開示を実施する上で、当業者により理解および実行することができる。
【0251】
本明細書に引用されたすべての言及は、これら全体が参照により本明細書に組み込まれる。参照により組み込まれる刊行物および特許または特許出願が本明細書に含有されている開示と矛盾する範囲内に限り、明細書はあらゆるこのような矛盾する材料に取って代わるおよび/または先行することを意図する。
【0252】
他に定義されない限り、すべての用語(技術用語および科学的用語を含む)は、これらの普通のおよび慣習的意味が当業者に付与されるものとし、本明細書において明示的にそのように定義されていない限り、特別なまたはカスタマイズされた意味に限定されないものとする。本開示のある特定の特色または態様を記載する際に特定の専門用語が使用されている場合、その専門用語が、その専門用語の付随する開示の特色または態様のいずれか特定の特徴を含むことに制限されるよう本明細書で再定義されることを意味するとみなされてはならないことに注目されたい。本出願に、特に添付の特許請求の範囲に使用されている用語および句、ならびにその変化形は、他に明示的に述べられていない限り、限定とは対照的に制限のないものと解釈されるべきである。前述の例として、用語「を含む(including)」は、「制限なしで~を含む(including、without limitation)」「~を含むが、これらに限定されない(including but not limited to)」など意味すると読み取るべきである。「含む(comprising)」という用語は、本明細書で使用される場合、「を含む(including)」、「を含有する(containing)」または「を特徴とする(characterized by)」と同じ意味であり、包括的または非制限的であり、追加の、言及されていない要素または方法ステップを除外しない。「有する(having)」という用語は、「を少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきである。「含む(includes)」という用語は、「~を含むが、これらに限定されない(includes but is not limited to)」と解釈されるべきである。「例(example)」という用語は、その網羅的または限定的リストではなく、考察の項目の例示的な事例を提供するために使用される。形容詞、例えば、「公知の(known)」、「正常な(normal)」、「標準的な(standard)」、および同様の意味の用語は、所与の時間枠に対して記載されている項目または所与の時点で利用可能な項目に限定されると解釈されるべきではなく、代わりに現在、または将来のいかなる時にも利用可能もしくは公知であり得る公知の、正常な、または標準的な技術を包含すると読み取るべきである。「好ましくは(preferably)」、「好まれる(preferred)」、「所望の(desired)」、または「望ましい(desirable)」などの用語および同様の意味の単語の使用は、ある特定の特色が本発明の構造または機能に対して重大であるか、必須であるか、またはさらには重要であることを意味すると理解されるべきではなく、代わりに、本発明の特定の実施形態で利用してもしなくてもよい代替または追加の特色を強調することを単に意図するものである。同様に、接続詞「および」で結合された項目のグループは、それら項目のうちの1つ1つが集団の中に存在することを必要とすると読み取るべきではなく、むしろ他に明示的に述べられていない限り、「および/または」と読み取るべきである。同様に、接続詞「または」で結合した項目のグループは、そのグループの中で相互排他性を必要とすると読み取るべきではなく、むしろ、他に明示的に述べられていない限り、「および/または」と読み取るべきである。
【0253】
以下の特許請求の範囲および本開示全体にわたり使用されているように、「から本質的になる(consisting essentially of)」という句は、この句の後に列挙されたあらゆる要素を含むことを意味し、列挙された要素に対して本開示で特定された活性または作用を妨げないまたはこれらに貢献しない他の要素に限定される。よって、「から本質的になる(consisting essentially of)」という句は、列挙された要素は必要とされるまたは義務的ではあるが、他の要素は、任意選択であり、列挙された要素の活性または作用にこれらが影響を与えるかどうかに応じて存在してもしなくてもよいことを示唆している。
【0254】
値の範囲が提供されている場合、上限および下限、ならびに範囲の上限と下限との間に介入する各値が実施形態内に包含されると理解される。
【0255】
本明細書での実質的にあらゆる複数および/または単数の用語の使用に関して、当業者は、文脈および/または用途に適当である場合、複数から単数へ、および/または単数から複数へ翻訳することができる。様々な単数/複数の順列は、明瞭さの目的のため本発明細書に明示的に記載されていてもよい。不定冠詞「1つの(a)」または「1つの(an)」は複数を除外しない。単一の限量詞または他の単位が、特許請求の範囲に列挙された、いくつかの項目の機能を満たすことができる。ある特定の測定値が相互に異なる従属請求項で列挙されているという単なる事実は、これら測定値の組合せが利点となるように使用できないことを示唆するものではない。特許請求の範囲におけるあらゆる引用符号は、範囲を限定すると解釈されるべきではない。
【0256】
導入された請求項の特定の数の列挙が意図された場合、このような意図は、請求項の範囲において明示的に列挙され、このような列挙が存在しない場合、いかなるこのような意図も存在しないことを当業者はさらに理解している。例えば、理解を助けるため、後続の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を導入するため、「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」という導入句の使用を含有することができる。しかし、同じ請求項が「1つまたは複数の」または「少なくとも1つの」という導入句、および「a」または「an」などの不定冠詞を含んでいたとしても(例えば、「a」および/または「an」は「少なくとも1つの」または「1つまたは複数の」を意味すると通常解釈されるべきである)、このような句を使用することは、不定冠詞「a」または「an」による請求項の列挙の導入が、導入されたこのような請求項の列挙を含有するあらゆる特定の請求項を、1つのこのような列挙のみを含有する実施形態に限定することを意味すると解釈されるべきではない。同じことが、請求項の列挙を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、請求項の列挙に導入された特定の数が明示的に列挙されていたとしても、このような列挙は通常、少なくとも列挙された数を意味すると解釈されるべきであることを当業者は認識している(例えば、他の修飾語がない「2つの列挙」という最低限の列挙は通常、少なくとも2つの列挙、または2つ以上の列挙を意味する)。さらに、「A、B、およびCなどのうちの少なくとも1つ」と類似の慣例的表現が使用されているような事例では、一般的にこのような構造は、当業者が理解しているような意味の慣例的表現を意図する(例えば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/またはA、B、およびCを一緒に有するなどのシステムを含むが、これに限定されない)。「A、B、またはCなどのうちの少なくとも1つ」と類似の慣例的表現が使用されているような事例では、一般的にこのような構造は、当業者が理解しているような意味の慣例的表現を意図する(例えば、「A、B、またはCのうちの少なくとも1つを有するシステム」は、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AおよびBを一緒に、AおよびCを一緒に、BおよびCを一緒に、ならびに/またはA、B、およびCを一緒になどを有するシステムを含むが、これに限定されない)。2つ以上の代替用語を表す実質的にあらゆる離接語および/または離接句は、それが説明、特許請求の範囲、または図面であろうと、用語の1つ、用語のいずれか、または両方の用語を含む可能性を想定すると考えられるべきであることが、当業者にはさらに理解されるであろう。例えば、「AまたはB」という句は、「A」もしくは「B」または「AおよびB」の可能性を含むと理解される。
【0257】
明細書で使用されている、成分、反応条件などの量を表現するすべての数は、すべての事例において、「約」という用語で修飾されていると理解されるものとする。したがって、特にそれとは反対の指示がない限り、本明細書で記載の数値パラメーターは得ようとしている所望の特性に応じて変動し得る近似値である。少なくとも、および同等物の原則の適用を、本出願に対する優先権を特許請求するあらゆる出願のあらゆる特許請求の範囲に限定しようとする試みとしてではなく、各数値パラメーターは、有効桁数および普通の四捨五入の手法を考慮して解釈されるべきである。
【0258】
さらに、前述の記載は、明瞭さおよび理解の目的のため、図示および例によりいくらか詳細になされてきたが、ある特定の変更および修正が実施され得ることは当業者には明らかである。したがって、説明および実施例は、本発明の範囲を、本明細書に記載されている特定の実施形態および実施例に限定すると解釈されるべきではなく、本発明の真の範囲および趣旨を伴うすべての修正および代替形態を網羅すると解釈されるべきである。
【国際調査報告】