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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】二次電池及び電池パック
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/133 20100101AFI20241024BHJP
   H01M 10/0567 20100101ALI20241024BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M4/133
H01M10/0567
H01M10/052
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519894
(86)(22)【出願日】2022-12-22
(85)【翻訳文提出日】2024-04-11
(86)【国際出願番号】 CN2022141180
(87)【国際公開番号】W WO2024066086
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】202211179117.1
(32)【優先日】2022-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520434178
【氏名又は名称】欣旺達動力科技股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Sunwoda Mobility Energy Technology Co., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100166729
【弁理士】
【氏名又は名称】武田 幸子
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユン
(72)【発明者】
【氏名】リー マン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ ペン
(72)【発明者】
【氏名】チュー チュンボー
【テーマコード(参考)】
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H029AJ02
5H029AJ05
5H029AJ06
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL08
5H029AM03
5H029AM05
5H029AM07
5H029HJ00
5H029HJ01
5H029HJ02
5H029HJ08
5H029HJ09
5H029HJ19
5H029HJ20
5H050AA02
5H050AA07
5H050AA12
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050CB07
5H050CB08
5H050CB09
5H050DA03
5H050HA00
5H050HA01
5H050HA02
5H050HA09
5H050HA17
5H050HA19
(57)【要約】
本願は、二次電池及び電池パックを開示し、前記二次電池では、負極シートの集電体に負極活物質層を配置し、負極活物質層は負極活物質を含み、負極シートの非ファラデー比容量を50nF/g~250nF/gとすることによって、負極シートの表面における電気化学的活性点の数量を確保し、負極シートと電解液との接触に有利であり、イオン電子伝導の速度を加速し、電荷転送の抵抗を低減し、二次電池の充電倍率性能を効果的に向上させることができとともに、負極シートの電流密度を向上させることができ、二次電池のエネルギー密度を向上させることで、二次電池に優れた動力学性能及びサイクル性能を持たせた。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シートと電解液とセパレータとを含む二次電池において、
負極シートをさらに含み、前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも1つの表面に配置された負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は黒鉛を含み、
ここで、前記負極シートの非ファラデー比容量はCdl nF/gであり、50≦Cdl≦250とする、
二次電池。
【請求項2】
前記負極活物質層の抵抗はR mΩであり、4≦0.1×Cdl-R≦24とする、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
Rの数値範囲は1≦R≦15である、
請求項1~2のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項4】
前記負極シートの孔隙率Pは20%~40%である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記負極活物質層の、前記負極集電体の1つの表面におけるコーティング重量は、CW mg/cmであり、7≦CW≦12とする、
請求項1~4のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項6】
前記負極活物質のかさ密度は、1g/cm~2.5g/cmである、
請求項1~5のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項7】
前記負極活物質の顆粒分散度は1.5~5である、
請求項1~6のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項8】
前記電解質は硫黄含有添加剤を含み、前記硫黄含有添加剤は式(1)~式(5)のうち少なくとも一方を含む、
【化1】
請求項1~7のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項9】
前記硫黄含有添加剤の含有量は、前記電解液の質量を基準として、A%であり、0.05≦Cdl×A%≦12.5とする、
請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
前記硫黄含有添加剤の含有量は、前記電解液の質量を基準として、A%であり、0.01≦A≦5とする、
請求項8~9のいずれか一項に記載の二次電池。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の二次電池を含む、
電池パック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は2022年09月26日に中国専利局に提出された出願番号が202211179117.1、発明の名称が「二次電池及び電池パック」である中国特許出願の優先権を主張し、当該出願のすべての内容は引用により本願に組み込まれる。
【0002】
本願は、電池技術分野に関し、具体的に二次電池及び電池パックに関する。
【背景技術】
【0003】
電気自動車及びデジタル電子製品の急速な発展に伴い、より高い電力密度、エネルギー密度を有し、且つ急速充放電に適した二次電池が電気自動車及びその電子製品分野に応用されることを求める。電気自動車にとって、二次電池、例えば、リチウムイオン電池のエネルギー密度と充電時間は2つの重要な技術指標であり、高容量電池を採用すると最大走行距離に達することができるが、高速充電性能に大きな影響を与える。
【0004】
従って、二次電池のエネルギー密度と高速充電性能とを両立させることができる二次電池を提供する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願は二次電池及び電池パックを提供し、負極シートの非ファラデー比容量(faradayian specific capacitance)を50nF/g~250nF/gとすることによって、負極シートの表面における電気化学的活性点の数量を確保し、負極シートと電解液との接触に有利であり、イオン電子伝導の速度を加速し、電荷転送の抵抗を低減し、二次電池の充電倍率性能を効果的に向上させることができとともに、負極シートの電流密度を向上させることができ、二次電池のエネルギー密度を向上させることで、二次電池に優れた動力学性能及びサイクル性能を持たせ、良好な応用見通しを有する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願の第1方面は二次電池を提供し、この二次電池は、正極シートと電解液とセパレータとを含み、負極シートをさらに含み、前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも1つの表面に配置された負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は黒鉛を含み、ここで、前記負極シートの非ファラデー比容量はCdl nF/gであり、50≦Cdl≦250とする。
【0007】
一部の実施例では、前記負極活物質層の抵抗はR mΩであり、4≦0.1×Cdl-R≦24とする。
【0008】
一部の実施例では、Rの数値範囲は1≦R≦15である。
【0009】
一部の実施例では、前記負極シートの孔隙率Pは20%~40%である。
【0010】
一部の実施例では、前記負極活物質層の、前記負極集電体の1つの表面におけるコーティング重量は、CW mg/cmであり、7≦CW≦12とする。
【0011】
一部の実施例では、前記負極活物質のかさ密度は、1g/cm~2.5g/cmである。
【0012】
一部の実施例では、前記負極活物質の顆粒分散度は1.5~5である。
【0013】
一部の実施例では、前記電解質は硫黄含有添加剤を含み、前記硫黄含有添加剤は式(1)~式(5)のうち少なくとも一方を含む。
【化1】
【0014】
一部の実施例では、前記硫黄含有添加剤は、前記電解液の質量を基準として、A%であり、0.05≦Cdl×A%≦12.5とする。
【0015】
一部の実施例では、前記硫黄含有添加剤は、前記電解液の質量を基準として、A%であり、0.01≦A≦5とする。
【0016】
また、本願の第2方面は電池パックをさらに提供し、この電池パックは上記の二次電池を含む。
【発明の効果】
【0017】
二次電池及び電池パックを提供し、前記二次電池では、負極シートの集電体に負極活物質層を配置し、負極活物質層は負極活物質を含み、負極シートの非ファラデー比容量を50nF/g~250nF/gとすることによって、負極シートの表面における電気化学的活性点の数量を確保し、負極シートと電解液との接触に有利であり、イオン電子伝導の速度を加速し、電荷転送の抵抗を低減し、二次電池の充電倍率性能を効果的に向上させることができとともに、負極シートの電流密度を向上させることができ、二次電池のエネルギー密度を向上させることで、二次電池に優れた動力学性能及びサイクル性能を持たせ、良好な応用見通しを有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本願の実施例1が製造した負極シートの、走査速度0.1mv/sでのサイクリックボルタンモグラムである。
図2】本願の実施例1が製造した負極シートの、電位範囲2.6V~2.7V、走査速度0.1mv/sでの線形走査ボルタモグラムである。
図3】本願の実施例1が製造した負極シートの、走査速度-電流密度の散布図を示すフィッティング曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願は、二次電池及び電池パックを提供し、本願の目的、技術的思想及び効果をより明瞭且つ明確にするために、以下、図面を参照しながら実施例を挙げて本願をさらに詳細に説明する。なお、本明細書に記載された具体的な実施例は、単に本願を説明するためのものであり、本願を限定することを意図するものではないことを理解されるべきである。
【0020】
本願の一例では、二次電池を提供し、前記二次電池は、正極シートと、負極シートと、セパレータと、電解液と、ハウジングとを含む。
【0021】
I、負極シート
【0022】
負極シートは、負極集電体と、負極集電体の少なくとも1つの表面に配置された負極活物質層とを含み、負極活物質層は負極活物質を含み、負極活物質は黒鉛を含む。
【0023】
負極シートは、片面シート又は両面シートであり、負極シートが片面シートである場合、負極活物質層は負極集電体の1つの表面に配置され、負極シートが両面シートである場合、負極活物質層は負極集電体の2つの表面に配置される。負極シートには、片面負極シート領域と両面負極シート領域を同時に有することができる。
【0024】
負極シートの非ファラデー比容量Cdlは、以下の通りである。
【0025】
負極シートの非ファラデー比容量はCdl nF/gであり、Cdlの数値範囲は50≦Cdl≦250であり、具体的には、Cdlは50、70、80、140、160、180、200、205、210、250のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。電池におけるファラデー反応とは、活物質の酸化状態が変化し、電荷が二重電荷層を通過して電極界面を通って活物質の内部に移動する過程である。非ファラデー反応とは、電極界面を通過する電荷移動を起こさず、イオンが電極表面で物理的に吸着離脱されることにより電荷を蓄積放出する反応である。非ファラデー比容量値Cdl nF/gは、負極シートにおける電気化学的活性点の数量を示した。特定の範囲内において、Cdlを増加させると、電気化学的活性点の数量が増えるため、負極活物質と電解液との接触に有利であり、イオン電子伝導の速度を加速し、電荷転送の抵抗を低減し、二次電池の充電倍率性能を効果的に向上させることに有利である。一部の実施例では、80≦Cdl≦250であり、負極シートの非ファラデー比容量値が上記の範囲にある場合、二次電池の総合性能がさらに向上する。
【0026】
一部の実施例では、80≦Cdl≦200であり、負極シートの非ファラデー比容量値が上記の範囲にある場合、二次電池の総合性能のバランスがよくなり、二次電池の全体性能がより良好となる。
【0027】
負極活物質層の抵抗Rは、以下の通りである。
【0028】
一部の実施例では、RとCdlの関係は、4≦0.1×Cdl-R≦24である。負極シートが上記の関係を満たすと、負極シートのイオン輸送経路がより短く、電気化学反応が促進されることで、大倍率の放電性能を実現することができる。また、負極シートが上記の関係を満たすと、負極シートの電解液濡れ、表面の抵抗、大倍率の充放電性能がいずれも適切な状態となり、負極シートのサイクル過程における膨張も低減することができる。
【0029】
一部の実施例では、RとCdlの関係は、4≦0.1×Cdl-R≦14である。負極シートが上記の関係を満たす場合、負極シートの内部構造をさらに最適化することができ、二次電池の全体性能をより良好にすることができる。
【0030】
一部の実施例では、負極活物質層の抵抗はR mΩであり、Rの数値範囲は1≦R≦15であり、具体的には、Rは、1、3、4、6、8、10、12、15のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。電子の伝導特性は主に二次電池の倍率性能に影響し、二次電池の負極シートにおいて導電率を影響する重要な要素は、負極集電体及び負極活物質層の界面状況、導電剤の分布状態、顆粒間の接触状態等を含み、負極シートのシート抵抗(負極活物質層の抵抗)を調整することによって負極シートの材料性能を最適な状態にすることができる。
【0031】
一部の実施例では、Rの数値範囲は、2≦R≦11である。Rの数値がこの範囲内にあれば、負極シート内部の導電ネットワークがより完備され、二次電池の総合性能がより優れる。また、二次電池の高速充電を実現するには、二次電池がより大きな充電電流を受け入れられるようにすることが重要な技術のひとつであり、そのためには電池自体の分極抵抗を十分に小さくする必要がある。本願では、負極シートの負極活物質層の抵抗Rを1mΩ≦R≦15mΩに限定し、且つ4≦0.1×Cdl-R≦24とし、即ち、シート抵抗を十分に小さくすることによって、二次電池自体の分極抵抗が十分に小さくなり、且つ電気化学反応の活性点の数量が好ましい範囲にあることで、二次電池の総合性能がより優れた。
【0032】
本願の実施例では、前記負極活物質層の抵抗Rの試験方法は、以下の通りである。
【0033】
負極シートを面積が1540.25mmの円シートに切断し、切断された負極シートをシート抵抗測定器のプローブの中央に置く、その後シート抵抗測定器を用いて負極シートに対し試験を行い、測定された負極シートの負極活物質層の抵抗を得る。選択された10つの負極シートのサンプルを、それぞれシート抵抗測定器で測定した後、得られた10つの測定された負極シートの、負極活物質層の抵抗の平均値を計算して負極活物質層の抵抗を得る。
【0034】
負極シートの孔隙率Pは、以下の通りである。
【0035】
一部の実施例では、負極シートの孔隙率Pは、20%~40%であり、具体的には、Pは、20%、25%、28%、30%、35%、40%のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。負極シートの孔隙率が上記の範囲内にあり、孔道構造が多ければ多いほど、電極と電解液の接触面積を向上させただけでなく、リチウムイオンの輸送経路を短縮することができ、電解液の迅速な湿潤を実現し、固液界面に円滑な電荷輸送経路を提供し、拡散障壁を低減し、リチウムイオンを負極材料表面に迅速に吸蔵及び放出することができ、反応動力学を加速させ、負極表面の分極を減少し、電流分布をより均一にし、大倍率で高速充電する時より多くの負極活物質が同時にLiの受け入れに参与し、負極表面のリチウム析出を効果的に回避し、同時に、電気化学過程において十分な電気化学反応の活性点を提供することができ、負極の非ファラデー反応過程を加速し、電子とイオンの固相と液相との間の伝達に有利であり、電気化学反応の動力学を向上させ、最終的に材料の倍率性能を向上させた。
【0036】
負極シートの孔隙率は、P=(V-V)/V×100%であり、ここで、Vはサンプルの見かけの体積であり、Vはサンプルの実際の体積である。試験方法は、GB/T33052-2016孔隙率の測定方法を参考にすることができる。
【0037】
負極活物質層のコーティング重量CWは、以下の通りである。
【0038】
一部の実施例では、前記負極活物質層の、前記負極集電体の1つの表面におけるコーティング重量は、CW mg/cmであり、7≦CW≦12とし、具体的には、CWは、7、9、9.5、10、11、12のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。負極シートの非ファラデー比容量値Cdlが50~250nF/gであり、且つ負極活物質層のコーティング重量が上記の範囲にある場合、負極のエネルギー密度を確保しつつ、電解液が負極シートに十分に拡散できることを確保し、それにより、過度な電解液を消費して成膜に用い、リチウムイオンの過度な消耗を減少するとともに、負極シートの厚さ方向に分極が軽減され、高速充電する時負極表面のリチウム析出を回避し、二次電池のサイクル寿命及び初効を確保する。負極活物質層のコーティング重量が7mg/cm~12mg/cmの範囲内にある場合、リチウムイオンが負極シート内の遷移距離が比較的に短く、電荷移動抵抗の低下を示し、電池の電力性能を向上させることに有利であり、同時にシートの電流密度を向上させ、電池のエネルギー密度を向上させる。
【0039】
また、コーティング重量の変化により、負極活物質層における顆粒同士の間の物理的な接触が変化し、負極活物質層における顆粒同士の間の孔隙が変化し、非ファラデー反応は、イオンが電極表面で物理的に吸着離脱され、電荷を放出させる反応であるため、負極活物質層における顆粒同士の間の孔隙が変化して、非ファラデー比容量Cdlの大きさに影響を与える。
【0040】
負極活物質層のコーティング重量=(負極シートの重量-負極集電体の重量)/負極シートの面積とする。試験された負極シートが両面コーティングされている場合、負極シートの面積はサンプルの面積の2倍である。
【0041】
負極活物質のかさ密度は、以下の通りである。
【0042】
一部の実施例では、負極活物質層における負極活物質のかさ密度は、1g/cm~2.5g/cmであり、具体的には、1、1.5、1.8、2.0、2.2、2.5のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。かさ密度は、顆粒内外孔と顆粒同士の間の空隙とを含むばらの顆粒の積層体の平均密度を表すことができ、粉体質量を当該粉体が占める容器の体積で割った密度を意味する。かさ密度を、原材料の粒径、焼成条件等に応じて所定範囲に調整することができる。かさ密度値は、負極活物質顆粒の均一性を示す。負極活物質顆粒が均一になればなるほど、負極シートの孔隙率が増大し、それにより、リチウムイオンの液相拡散能力を向上させることができ、電池における非ファラデー反応の進行に有利であり、負極シートの非ファラデー比容量Cdlを増加させると、電気化学的活性点の数量が増えるため、負極活物質と電解液との接触に有利であり、イオン電子伝導の速度を加速し、電荷転送の抵抗を低減し、二次電池の充電倍率性能を効果的に向上させることに有利である。
【0043】
負極活物質のかさ密度試験は、GB/T31057.1-2014顆粒材料の物理特性試験の第1部のかさ密度測定を参照することができる。
【0044】
負極活物質の顆粒分散度は、以下の通りである。
【0045】
一部の実施例では、負極活物質の顆粒分散度は、1.5~5であり、具体的には、1.5、1.8、2.0、2.2、2.5、2.7、3.0、3.2、3.5、3.8、4.0、4.2、4.5、4.8、5のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。顆粒分散度は各種の粒径成分含有量の分散程度を表すことができ、分散度は撹拌過程における粉末材料の分散効果に影響し、得られたスラリーの均一性及び安定性に優れ、沈降しにくく、負極シートのコーティング重量の均一程度を効果的に調整することができ、負極シートの安定性を強化し、さらに非ファラデー過程を調整することができ、リチウムイオンの正負極間の伝送効率を向上させ、二次電池の倍率性能を向上させる。
【0046】
一部の実施例では、負極活物質の顆粒分散度は1.5~3.5である。負極活物質の顆粒分散度がこの範囲にあると、負極スラリーの均一性がさらによくなり、形成された負極シートの見かけ性能がさらに優れ、二次電池の総合性能がさらに良好となる。
【0047】
負極活物質の顆粒分散度は、レーザー粒径分析装置を用いて測定することができ、負極活物質の顆粒分散度=(Dv99-Dv10)/Dv50とする。
【0048】
非ファラデー比容量値Cdlの試験方法は、以下の通りである。
【0049】
一部の実施例では、図1図3を参照すると、負極シートの非ファラデー比容量値Cdlの試験方法は、以下のステップを含む。
【0050】
S1、非ファラデー電位範囲確認ステップでは、負極シートを半電池(ボタン電池と略称する)に組み立ててサイクリックボルタモ法(CV)の試験を行い、ここで、電圧範囲は0.005~3.0Vであり、走査速度は0.1~1mV/sであり、図1は負極シートの、走査速度0.1mv/sでのサイクリックボルタンモグラムを示し、図1を参照すると、サイクリックボルタモグラムは2本の曲線を含み、2本の曲線はただ同じ走査速度で2回走査したことを表し、初サイクルは不可逆的であるため、2つのサイクルのピーク位置は異なる一方、非ファラデー電位範囲は曲線の平直段であり、即ち1.5V~3V範囲にある。
【0051】
S2、非ファラデー区間カソード走査ステップでは、ステップS1で確認された電位範囲1.5V~3Vから一段の電位範囲を選んで線形走査ボルタモグラム(LSV)試験を行い、走査方向は高電位から低電位まで、電圧電流曲線を採集し、ここで、選択された電位範囲は2.6~2.7Vであり、走査速度は0.05-5mV/sであり、図2は走査速度0.1mv/sでの線形走査ボルタモグラムを示す。
【0052】
さらに、走査速度0.1mv/sで電位範囲2.6~2.7Vの中央値UVを選択し、U=2.65、対応する電流値を取得し、対応する活物質質量に応じて電流密度値J1を算出し、単位はA/gであり、走査速度範囲0.05~5mV/s内に、それぞれ異なる走査速度での中央値Uに対応する電流値を選択し、異なる電流密度値を算出し、走査速度-電流密度の散布図を取得する。
【0053】
S3、非ファラデー比容量値計算ステップでは、ステップS2で採集された走査速度-電流密度の散布図に基づいて、フィッティングして線形関数を得、該線形関数の勾配Kは該負極シートのカソード走査方向の非ファラデー比容量値Cdlである。
【0054】
ボタン電池の組み立て方法は以下の通りである。得られた負極シートを乾燥して小さい円シートに裁断して秤量した後真空オーブンに移し、100℃で8h乾燥し、再びアルゴンガスで満たしたグローブボックスに移して半電池の組み立てを行う。組み立て方式は、当技術分野において通常の組み立て方式である。サイクリックボルタモ法の曲線を用いて非ファラデー電位範囲を確認し、電位範囲において線形走査ボルタモ法の曲線を用いて電流値を測定し、非ファラデー比容量値Cdlを算出した。
【0055】
負極集電体は、以下の通りである。
【0056】
一部の実施例では、負極集電体は、金属箔、金属円筒、金属テープロール、金属板、金属薄膜、金属板メッシュ、スタンピング金属、発泡金属等を含むが、これらに限らない。一部の実施例では、負極集電体は金属箔である。一部の実施例では、負極集電体は、アルミニウム箔又は銅箔である。本明細書で使用する場合、用語「銅箔」は、銅合金箔を含む。
【0057】
一部の実施例では、負極集電体は導電性樹脂である。一部の実施例では、導電性樹脂は、ポリプロピレン膜に銅を蒸着して得られた膜を含む。
【0058】
負極活物質層は、以下の通りである。
【0059】
負極活物質層は、単層又は多層であってもよく、多層の負極活物質層のそれぞれは、同一又は異なる負極活物質を含んでもよい。負極活物質は、リチウムイオン等の金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出することが可能な任意の物質である。一部の実施例では、充電中に負極シートにリチウム金属が析出されることを防止するために、負極活物質の充電可能容量は正極活物質の放電容量よりも大きい。
【0060】
一部の実施例では、負極活物質層の厚さは、負極集電体の片側にコーティングされた負極活物質層の厚さを指す。一部の実施例では、片面の負極活物質層の厚さは15μm以上である。一部の実施例では、片面の負極活物質層の厚さは20μm以上である。一部の実施例では、片面の負極活物質層の厚さは、30μm以上である。一部の実施例では、片面の負極活物質層の厚さは、150μm以下である。一部の実施例では、片面の負極活物質層の厚さは、120μm以下である。一部の実施例では、片面の負極活物質層の厚さは、100μm以下である。一部の実施例では、負極活物質層の厚さは、上記のうちいずれか2つの数からなる範囲内にある。負極活物質層の厚さが上記の範囲内にある場合、電解液が負極集電体の界面近傍まで浸透することができ、二次電池の高電流密度における充放電特性を向上させる。同時に、負極活物質に対する負極集電体の体積比を適当な範囲とすることにより、二次電池の容量を確保することができる。
【0061】
一部の実施例では、負極活物質層は、負極活物質と、導電剤と、粘着剤と、分散剤とを含む。
【0062】
負極活物質は、以下の通りである。
【0063】
一部の実施例では、負極活物質は、人造黒鉛、天然黒鉛、軟質炭素、硬質炭素、アモルファスカーボン、カーボンナノチューブ、メソカーボンマイクロスフェアのうち1つ以上を含む。
【0064】
導電剤は、以下の通りである。
【0065】
一部の実施例では、導電剤は、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、又はグラフェンの1つ以上を含み、好ましくはカーボンブラックである。
【0066】
粘着剤は、以下の通りである。
【0067】
粘着剤は、負極活物質間の粘着性を向上させる。粘着剤の種類は特に制限されず、電解液や電極の製造時に用いられる溶剤に対して安定な材料であればよい。一部の実施例では、粘着剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウムとスチレンブタジエンゴムとを含む。
【0068】
分散剤は、以下の通りである。
【0069】
一部の実施例では、分散剤はジエチルヘキサノールを含み、ジエチルヘキサノールは環境に優しい有機化合物であり、価格が低く、供給源が広く、その表面張力が低く、液体表面に吸着し広げやすく、材料は機械力のせん断と摩擦を受けるとともに、顆粒同士の間にも内部摩擦があり、各力の作用で、原料の顆粒間に高度に分散する傾向があり、スラリーをより均一にし、分散効果がよく、製造された乾シートの厚さが均一で、皺等の問題を回避して電気性能の発揮に影響し、シートの安定性を強化し、リチウムイオンの正負極間の伝送効率を向上させ、電気化学の分極を低下させ、非ファラデー反応過程を加速し、動力電池の倍率性能とサイクル寿命の要件を満たす。
【0070】
II、電解液
【0071】
一部の実施例では、電解質は硫黄含有添加剤を含み、硫黄含有添加剤は式(1)~式(5)のうち少なくとも一方を含む。
【化2】
【0072】
前記硫黄含有添加剤の含量は、電解液の質量を基準として、A%、0.05≦Cdl×A%≦12.5であり、好ましくは0.01≦A≦5であり、具体的には、Aは、0.1、0.5、0.7、1、1.5、1.8、2.2、2.7、3、4のいずれか、又はそのうちいずれか2つの数からなる範囲としてもよい。負極シートの非ファラデー比容量が50nF/g~250nF/gであり、且つ電解液が硫黄含有添加剤を含む場合、硫黄含有添加剤の安定性が高く、イオン伝導率が高く、それが参与して形成した界面膜は主に有機硫化物で構成されるため、インピーダンスが低く、リチウムイオン伝導能力を向上させ、ひいては二次電池の寿命を延長し、電解液成分自身の副反応、及び電解液と負極材料との間の反応を低減し、リチウムイオンの移動速度を向上させ、SEI膜の抵抗を低減し、ひいては二次電池の抵抗を低減し、分極現象を低減し、充放電効率を向上させるとともに、負極シートのリチウム析出による二次電池の内部短絡を回避する。負極シート及び電解液の共同作用は、電池のサイクル性能を改善することに有利である。適当な含有量の硫黄含有添加剤は、リチウムイオンの伝導効率を向上させ、非ファラデー反応過程を加速させ、大倍率で高速充電する能力を向上させる。本願の一部の実施例では、0.1≦A≦4とする。本願の一部の実施例では、0.5≦A≦3とする。硫黄含有添加剤の質量百分率が上記の範囲にある場合、且つ負極シートの非ファラデー比容量が50nF/g~250nF/gである場合、両者の間に電気化学反応が行われ、形成された保護膜が完全で且つ膜の緻密性が適切で、分極現象を低減し、二次電池のサイクル性能を改善した。
【0073】
リチウム塩は、以下の通りである。
【0074】
一部の実施例では、リチウム塩は、ヘキサフルオロリン酸リチウム、有機ホウ酸リチウム、過塩素酸リチウム、スルホンイミドタイプのリチウム塩のうち少なくとも1つを含む。リチウム塩の含有量は、本願の効果を損なわない限り特に限らない。
【0075】
III、正極シート
【0076】
正極シートは、正極集電体と、正極集電体に配置された正極活物質層とを含む。
【0077】
正極活物質層は、以下の通りである。
【0078】
正極活物質層は、単層又は多層であってもよく、多層の負極活物質層のそれぞれは、同一又は異なる正極活物質を含んでもよい。正極活物質は、リチウムイオン等の金属イオンを可逆的に吸蔵及び放出することが可能な任意の物質である。
【0079】
一部の実施例では、正極活物質は、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウム(LFP)、及び三元系材料のうち1つ又は複数を含む。
【0080】
一部の実施例では、正極活物質は三元系材料を含み、三元系材料はリチウムニッケルコバルトマンガン酸化物及び/又はリチウムニッケルコバルトアルミニウム酸化物を含むことができる。
【0081】
一部の実施例では、正極活物質材料は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物を含み、ニッケル元素とコバルト元素とマンガン元素のモル比を1:1:1とし、そのうち、ニッケル元素の含有量は0.5以上である。
【0082】
一部の実施例では、正極活物質材料は、リチウムニッケルコバルトマンガン酸化物を含み、ニッケル元素とコバルト元素とマンガン元素のモル比を1:1:1とし、そのうち、ニッケル元素の含有量は0.85以下である。
【0083】
一部の実施例では、正極活物質材料は、ドーピング元素及び/又はコーティング元素を含み、正極活物質材料がより安定になる限り、ドーピング元素及び/又はコーティング元素に特別な要求はない。
【0084】
また、正極活物質は、正極導電剤と、正極粘着剤と、溶剤とをさらに含む。
【0085】
正極導電剤は、以下の通りである。
【0086】
正極導電剤の種類は特に制限されず、公知の導電剤をいずれも用いることができる。正極導電剤は、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック等のカーボンブラック、針状コークス等のアモルファスカーボンの炭素材料、カーボンナノチューブ、グラフェン等を含むが、これらに限らない。上記の正極導電剤は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0087】
正極粘着剤は、以下の通りである。
【0088】
正極活物質層の製造において用いられる正極粘着剤の種類は、特に制限されず、コーティング法の場合、電極の製造時に用いられる液媒体に溶解又は分散可能な材料であればよい。正極粘着剤の例としては、以下のうち1つ以上を含むことができるが、これらに限らない。ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、芳香族ポリアミド、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ニトリルゴム(NBR)、フッ素ゴム、イソプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム等のゴム状高分子、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体もしくはその水素化物、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレン・エチレン・ブタジエン・エチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体もしくはその水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子、シンジオタクチック-1、2-ポリブタジエン、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α-オレフィン共重合体等の軟質樹脂状高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン・エチレン共重合体等のフッ素系高分子、アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物等。上記の正極粘着剤は単独で用いられてもよく、任意の組み合わせで用いられてもよい。
【0089】
溶剤は、以下の通りである。
【0090】
正極スラリーを形成するための溶剤の種類は制限されず、正極活物質、正極導電剤、正極粘着剤を溶解又は分散できる溶剤であればよい。正極スラリーを形成するための溶剤の例としては、水系溶剤及び有機系溶剤のいずれを用いてもよい。水系媒体の例としては、水、アルコールと水との混合媒体等を含むが、これらに限らない。有機系媒体の例としては、ジエチレントリアミン、N,N-ジメチルアミノプロピルアミン、ジエチルエーテル、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド等の溶剤を含むが、これらに限らない。
【0091】
正極集電体は、以下の通りである。
【0092】
正極集電体の種類は特に制限されず、正極集電体として好適である公知の材質であればよい。正極集電体の例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料、炭素布、炭素紙等の炭素材料、ポリマー及び金属層からなる複合材料を含むが、これらに限らない。一部の実施例では、正極集電体は金属材料である。一部の実施例では、正極集電体はアルミニウムである。
【0093】
正極集電体の形態は特に制限されない。正極集電体が金属材料である場合、正極集電体の形態は、金属箔、金属円筒、金属テープロール、金属板、金属薄膜、金属板メッシュ、スタンピング金属、発泡金属等を含むが、これらに限らない。正極集電体が炭素材料である場合、正極集電体の形態は、炭素板、炭素薄膜、炭素円筒を含むが、これらに限らない。一部の実施例では、正極集電体は金属箔である。一部の実施例では、金属箔は網状である。金属箔の厚さは特に制限されない。一部の実施例では、金属箔の厚さは、1μm以上、3μm以上、又は5μm以上である。一部の実施例では、金属箔の厚さは、1mm以下、50μm以下、又は20μm以下である。一部の実施例では、金属箔の厚さは、上記のうちいずれか2つの数からなる範囲にある。
【0094】
IV、セパレータ
【0095】
短絡を防止するために、正極と負極との間には、通常にセパレータが配置されている。この場合、本願の電解液は、通常にこのセパレータに染み込んで用いられる。
【0096】
V、応用
【0097】
また、本願の実施例は電池パックをさらに提供し、この電池パックは二次電池を含む。代表的な応用として、前記電池パックは、電動玩具、電動工具、バッテリー車、電気自動車、エネルギー貯蔵装置、船舶、宇宙船等に用いられることができるが、これらに限らない。
【0098】
以下、本発明が提供する二次電池の製造方法について、具体的な実施例に基づいて説明する。
【0099】
実施例1
【0100】
正極シートの製造は、以下の通りである。
【0101】
正極活物質、正極導電剤、正極粘着剤と溶剤を調合によって正極スラリーを製造し、正極活物質NCM811と正極導電剤カーボンブラックと正極粘着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)との質量百分率比を、96:2:2とし、溶剤はN-メチルピロリドン(NMP)である。得られた正極スラリーを正極集電体(アルミニウム箔)の両面に均一にコーティングし、その後120℃で乾燥して正極シートを得、ロールプレスによって正極シートの厚さを調整し、その圧密密度を3.5g/cmに調整する。
【0102】
負極シートの製造は、以下の通りである。
【0103】
最初に負極スラリーを製造し、負極スラリーにおける負極活物質は、人造黒鉛と、導電剤カーボンブラックと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、スチレンブタジエンゴムと、ジエチルヘキサノールとを含み、人造黒鉛と、導電剤カーボンブラックと、カルボキシメチルセルロースナトリウムと、スチレンブタジエンゴムと、ジエチルヘキサノールとの質量比を、96.5:1.2:1.2:1.0:0.1とし、ここで、人造黒鉛のかさ密度は1.5g/cm、分散度は2.0である。
【0104】
負極スラリーの具体的な製造方法は、以下の通りである。ダブルプラネタリーミキサー(double planetary mixer)に順次に50%人造黒鉛、導電剤カーボンブラック、50%人造黒鉛と70%カルボキシメチルセルロースナトリウムを添加し、撹拌タンクの公転回転速度を20r/minとし、自転回転速度を800r/minとし、30min低速撹拌して均一に混合し、一部の脱イオン水を添加して1h撹拌して第1混合粉末材料を形成する。スクレイピングを行い、底部回転を行い、前記第1混合粉末材料に残りの30%カルボキシメチルセルロースナトリウム及び脱イオン水を添加し、公転回転速度を25r/minとし、自転回転速度を2500r/minとし、90min高速撹拌し、この過程に対し真空度-0.085MPaに調整し、スラリーを分散して第2混合溶液を形成する。スクレイピング、底部回転を行い、前記第2混合溶液に粘着剤スチレンブタジエンゴム及び50%ジエチルヘキサノールを添加し、公転回転速度を20r/minとし、自転回転速度を500r/minとし、30minで低速撹拌し、この過程に対し真空度-0.085MPaに調整し、第3混合溶液を形成する。前記第3混合溶液に最後に50%ジエチルヘキサノールを添加し、公転回転速度を10r/minとし、自転回転速度を100r/minとし、30minで撹拌し、この過程に対し真空度-0.085MPaに調整し、第4混合溶液を形成する。最後に脱イオン水を添加してスラリーに対しさらに粘度を調節し、公転回転速度を25r/minとし、自転回転速度を300r/minとし、30minで撹拌し、スラリーの均一分散にさらに有利であり、この過程に対し真空度-0.085MPaに調整し、スラリーの粘度が2000mPa・s~3500mPa・sにある時、スラリーは合格し、スラリーに対し自転回転速度200r/minで消泡処理を行った後保存し、200目の篩で出料し、負極のスラリーを製造する。製造された負極スラリーを負極集電体の銅箔の片側又は両側に均一にコーティングし、コーティング面の密度を9.5mg/cmに調整し、焼成乾燥した後に、ロールカットして負極シートを得、焼成温度を90℃~110℃とし、乾燥時間を24hとし、ロールプレスされた後の負極シートの孔隙率Pは30%になる。
【0105】
ここで、負極スラリーの製造は主に活物質材料と非活性成分とを十分に混合し、電気シートのスラリーの均一性を含む電気化学的性能を十分に発揮し、凝集及び沈降を回避し、シートの調整可能なコーティング重量、及び活物質材料と非活性成分との整合性を確保し、リチウムイオン電池が正極と負極の両極間の移動を確保し、電池全体の電気化学性能を向上させた。
【0106】
電解液の製造は、以下の通りである。
【0107】
エチレンカーボネート(EC)と、メチルエチルカーボネート(EMC)と、ジエチルカーボネート(EDC)との体積比を、1:1:1で混合し、その後1mol/LのLiPFを添加して均一に混合し、電解液に調製する。
【0108】
二次電池の製造は、以下の通りである。
【0109】
上記のステップを用いて製造された負極シート、正極シートは乾燥した後、セパレータと一緒に巻き機を用いて巻き電気コアを製造し、正極アルミニウムタブと負極銅ニッケルメッキタブを電気コアに溶接し、且つ溶接済みの電気コアをパウチ形成済みのアルミニウムプラスチックフィルムに入れてパッケージし、前記セパレータはPPフィルムを用い、注液、化成定容を経て二次電池が製造される。
【0110】
負極シートの非ファラデー比容量値Cdl試験は、以下の通りである。
【0111】
ステップ1、二次電池をグローブボックス内で分解し、負極突出(overhang)領域のシートを得て、ジメチルカーボネート(DMC)溶液で浸漬し、切断した後金属リチウムシートとボタン式半電池を組み立て、又は電池に組み立てられていない負極シートを切断した後、金属リチウム片とボタン式半電池を組み立てる。
【0112】
ステップ2、ボタン式半電池を電圧範囲0.005V~3.0VでCV試験を行い、走査速度は0.1mV/sで、非ファラデー電位範囲が2.6V~2.7Vであることを確保する。
【0113】
ステップ3、次に、2.7Vから2.6VまでLSV試験を行い、走査速度はそれぞれ0.1mV/s、0.2mV/s、0.5mV/s、1mV/s、2mV/sとし、電位範囲の中央値2.65Vを選択して、対応する電流値-4.32E-07A、-5.50E-07A、-1.15E-06A、-2.08E-06A、-3.80E-06Aを取得し、活物質の対応する質量0.02175gに基づいて、電流密度値-1.25E-05A/g、-2.08E-05A/g、-4.75E-05A/g、-8.87E-05A/g、-1.64E-04A/gを算出した。
【0114】
ステップ4、ステップ3で得られた走査速度と電流密度値に基づいて走査速度-電流密度の散布図を作り、フィッティングして線形関数を得、該線形関数の勾配は-8E-05であり、即ち、該負極シートのカソード走査方向の非ファラデー比容量Cdlは80nF/gである。
【0115】
ここで、負極シートoverhang領域とは、負極シートの長さ及び幅方向が正極シートからはみ出している部分を意味する。
【0116】
実施例2
【0117】
実施例2は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0118】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを7mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを25%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを3mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを140nF/gとする。
【0119】
実施例3
【0120】
実施例3は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0121】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを12mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを25%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを15mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを200nF/gとする。
【0122】
実施例4
【0123】
実施例4は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0124】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを20%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを1mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを250nF/gとする。
【0125】
実施例5
【0126】
実施例5は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0127】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを40%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを8mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを50nF/gとする。
【0128】
実施例6
【0129】
実施例6は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0130】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを12mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを25%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを15mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを200nF/gとする。
【0131】
実施例7
【0132】
実施例7は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0133】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを10.5mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを26%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを12mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを230nF/gとする。
【0134】
実施例8
【0135】
実施例8は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0136】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを20%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを2mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを250nF/gとする。
【0137】
実施例9
【0138】
実施例9は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0139】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを10mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを40%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを2mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを50nF/gとする。
【0140】
実施例10
【0141】
実施例10は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0142】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを9.2mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを30%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを2.5mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを65nF/gとする。
【0143】
実施例11
【0144】
実施例11は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0145】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを9.1mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを25%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを6.3mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを150nF/gとする。
【0146】
実施例12
【0147】
実施例12は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0148】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを9.6mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを30%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを9.5mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを150nF/gとする。
【0149】
実施例13
【0150】
実施例13は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0151】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを10mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを22%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを11mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを150nF/gとする。
【0152】
比較例1
【0153】
比較例1は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0154】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを5mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを42%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを10mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを260nF/gとする。
【0155】
比較例2
【0156】
比較例2は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0157】
負極シートのコーティング時のコーティング重量CW mg/cmを14mg/cmとし、負極シートの孔隙率Pを18%とし、負極活物質層の抵抗R mΩを12mΩとし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gを45nF/gとする。
【0158】
本願の実施例に係る二次電池の性能試験過程及び試験結果は、以下の通りである。
【0159】
(1)動力学性能試験
【0160】
二次電池に対し、25℃で30minで静置、xCで満充電、1Cで満放電を10回繰り返し、再びxCで満充電した後、負極シートを分解し、負極シート表面のリチウム析出の状況を観察する。負極表面にリチウムが析出していなければ、負極表面にリチウムが析出するまで充電倍率xCを0.1Cずつ増加させて再度試験を行い、この時の充電倍率xCから0.1Cを引いたものが電池の最大充電倍率となる。
【0161】
(2)エネルギー密度試験
【0162】
二次電池に対し、25℃で30minで静置し、1Cで満充電し、1C満放電し、実際の放電エネルギーを記録する。電子天秤でリチウムイオン電池を秤量し、重量に対する1Cの実際の放電エネルギーの比が二次電池の実際のエネルギー密度である。ここで、実際のエネルギー密度が目標エネルギー密度の80%以下である場合、二次電池の実際のエネルギー密度は非常に低いと考えられる。実際のエネルギー密度が目標エネルギー密度の80%以上且つ95%以下である場合、二次電池の実際のエネルギー密度が低いと考えられる。実際のエネルギー密度が目標エネルギー密度の95%以上且つ105%以下である場合、二次電池の実際のエネルギー密度が適当であると考えられる。実際のエネルギー密度が目標エネルギー密度の105%以上且つ120%以下である場合、二次電池の実際のエネルギー密度が高いと考えられる。実際のエネルギー密度が目標エネルギー密度の120%に達する場合、二次電池の実際のエネルギー密度が非常に高いと考えられる。
【0163】
(3)サイクル性能試験
【0164】
二次電池に対し、25℃で30minで静置、定電流1Cで放電、10min静置、定電流定電圧1Cで充電、10min静置の満充電と満放電のサイクル試験を行い、1000サイクルを循環した容量保持率を記録する。
【0165】
実施例1~13に係る二次電池の性能試験結果、比較例1及び比較例2に係る二次電池の性能試験結果を表1に示す。
【0166】
【表1】
【0167】
表1を参考すると、実施例1~13に係る二次電池は、動力学性能が優れ、エネルギー密度が高く又は非常に高く、サイクル性能の容量保持率が91%~96%に達し、それにより、本願の実施例に係る二次電池は、大倍率で高速充電を行いつつ、二次電池に高い又は非常に高いエネルギー密度を有し、且つ優れたサイクル性能(サイクル性能の容量保持率が91~96%に達する)を有する。
【0168】
一方、比較例1の負極活物質層のコーティング量は5mg/cmであり、負極シートの孔隙率Pは42%であり、負極シートの非ファラデー比容量値Cdlは260nF/gに達するため、比較例1に係る二次電池の動力学性能が低下になり、エネルギー密度が非常に低く、サイクル性能試験後の容量保持率が85%にしかならなかった。比較例2の負極活物質層のコーティング量は14mg/cmであり、負極シートの孔隙率Pは18%であり、負極シートの非ファラデー比容量値Cdlは260であり、比較例2に係る二次電池は、高いエネルギー密度を有するが、サイクル性能試験後の容量保持率がわずか86%であるため、動力学性能が低下になった。
【0169】
従って、比較例1及び比較例2に係る二次電池は、いずれも大倍率で高速充電を行いつつ、高いエネルギー密度及び優れたサイクル性能を維持することが困難である。
【0170】
実施例14
【0171】
実施例14は、実施例1の方法による二次電池を作製し、負極活物質層のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、孔隙率Pを35%とするが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0172】
負極活物質のかさ密度を1.5g/cmとし、負極活物質の顆粒分散度を2とし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gは200nF/gとする。
【0173】
実施例15
【0174】
実施例15は、実施例1の方法による二次電池を作製し、負極活物質層のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、孔隙率Pを35%とするが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0175】
負極活物質のかさ密度を1g/cmとし、負極活物質の顆粒分散度を1.5とし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gは240nF/gとする。
【0176】
実施例16
【0177】
実施例16は、実施例1の方法による二次電池を作製し、負極活物質層のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、孔隙率Pを35%とするが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0178】
負極活物質のかさ密度を1.8g/cmとし、負極活物質の顆粒分散度を2.5とし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gは180nF/gとする。
【0179】
実施例17
【0180】
実施例17は、実施例1の方法による二次電池を作製し、負極活物質層のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、孔隙率Pを35%とするが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0181】
負極活物質のかさ密度を2g/cmとし、負極活物質の顆粒分散度を3とし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gは150nF/gとする。
【0182】
実施例18
【0183】
実施例18は、実施例1の方法による二次電池を作製し、負極活物質層のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、孔隙率Pを35%とするが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0184】
負極活物質のかさ密度を2.2g/cmとし、負極活物質の顆粒分散度を4とし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gは100nF/gとする。
【0185】
実施例19
【0186】
実施例19は、実施例1の方法による二次電池を作製し、負極活物質層のコーティング重量CW mg/cmを9mg/cmとし、孔隙率Pを35%とするが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0187】
負極活物質のかさ密度を2.5g/cmとし、負極活物質の顆粒分散度を5とし、負極シートの非ファラデー比容量Cdl nF/gは60nF/gとする。
【0188】
実施例14~19に係る二次電池の性能試験結果を表2に示す。
【0189】
【表2】
【0190】
表2を参考すると、実施例14~19に係る二次電池は、動力学性能が2C~4Cに達し、それにより、実施例14~19に係る二次電池は、大倍率で高速充電を行いつつ、二次電池に高い又は非常に高いエネルギー密度を有し、且つ優れたサイクル性能を有する。
【0191】
実施例20
【0192】
実施例20は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0193】
式(4)に示す硫黄含有添加剤を選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液における硫黄含有添加剤の含有量を0.05%とする。
【0194】
実施例21
【0195】
実施例21は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0196】
式(4)に示す硫黄含有添加剤を選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液における硫黄含有添加剤の含有量を0.1%とする。
【0197】
実施例22
【0198】
実施例22は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0199】
式(4)に示す硫黄含有添加剤を選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液における硫黄含有添加剤の含有量を0.5%とする。
【0200】
実施例23
【0201】
実施例23は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0202】
式(4)に示す硫黄含有添加剤を選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液における硫黄含有添加剤の含有量を1%とする。
【0203】
実施例24
【0204】
実施例24は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0205】
式(4)に示す硫黄含有添加剤を選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液における硫黄含有添加剤の含有量を2%とする。
【0206】
実施例25
【0207】
実施例25は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0208】
式(4)に示す硫黄含有添加剤を選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液における硫黄含有添加剤の含有量を5%とする。
【0209】
実施例26
【0210】
実施例26は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0211】
式(3)に示す硫黄含有添加剤を選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液における硫黄含有添加剤の含有量を0.1%とする。
【0212】
実施例27
【0213】
実施例27は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0214】
式(3)に示す硫黄含有添加剤を選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液における硫黄含有添加剤の含有量を1%とする。
【0215】
実施例28
【0216】
実施例28は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0217】
式(3)と式(4)の組み合わせを選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液において式(3)が示す硫黄含有添加剤の含有量は0.5%とし、式(4)が示す硫黄含有添加剤の含有量を0.5%とする。
【0218】
実施例29
【0219】
実施例29は、実施例1の方法による二次電池を作製するが、以下の相違点を除き、他の部分が実施例1と同じである。
【0220】
式(1)と式(3)の組み合わせを選択して電解液における硫黄含有添加剤とし、電解液において式(1)が示す硫黄含有添加剤の含有量は0.3%とし、式(3)が示す硫黄含有添加剤の含有量を0.5%とする。
【0221】
実施例14~19に係る二次電池の性能試験結果を表3に示す。
【0222】
【表3】
【0223】
表3を参考すると、実施例20~29に係る二次電池は、動力学性能が2.6C~4Cに達し、それにより、実施例20~29に係る二次電池は、大倍率で高速充電を行いつつ、二次電池に高い又は非常に高いエネルギー密度を有し、且つ優れたサイクル性能(サイクル性能の容量保持率が94~96%に達する)を有する。
【0224】
以上、本願の実施例に係る二次電池及び電池パックについて詳しく説明したが、本願では具体的な例を用いて本願の原理及び実施形態について説明したが、以上の実施例の説明は本願の技術的解決手段及びその核心思想の理解を助けるためのものである。当業者であれば、上記の実施例に記載された技術的特徴の一部に変形を加えてもよいし、均等物に置き換えることもでき、これらの変形や置換は、対応する技術的解決手段の本質を本願の各実施例の技術的解決手段の範囲から逸脱させるものではないことを理解すべきである。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-04-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
正極シートと電解液とセパレータとを含む二次電池において、
負極シートをさらに含み、前記負極シートは、負極集電体と、前記負極集電体の少なくとも1つの表面に配置された負極活物質層とを含み、前記負極活物質層は負極活物質を含み、前記負極活物質は黒鉛を含み、
ここで、前記負極シートの非ファラデー比容量はCdl nF/gであり、50≦Cdl≦250とする、
二次電池。
【請求項2】
前記負極活物質層の抵抗はR mΩであり、4≦0.1×Cdl-R≦24とする、
請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
Rの数値範囲は1≦R≦15である、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記負極シートの孔隙率Pは20%~40%である、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項5】
前記負極活物質層の、前記負極集電体の1つの表面におけるコーティング重量は、CW mg/cmであり、7≦CW≦12とする、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項6】
前記負極活物質のかさ密度は、1g/cm~2.5g/cmである、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項7】
前記負極活物質の顆粒分散度は1.5~5である、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項8】
解質は硫黄含有添加剤を含み、前記硫黄含有添加剤は式(1)~式(5)のうち少なくとも一方を含む、
【化1】

請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項9】
前記硫黄含有添加剤の含有量は、前記電解液の質量を基準として、A%であり、0.05≦Cdl×A%≦12.5とする、
請求項8に記載の二次電池。
【請求項10】
黄含有添加剤の含有量は、前記電解液の質量を基準として、A%であり、0.01≦A≦5とする、
請求項1又は2に記載の二次電池。
【請求項11】
請求項1又は2に記載の二次電池を含む、
電池パック。
【国際調査報告】