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特表2024-539844オートファジー誘導因子を使用して間欠絶食を増強する組成物及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】オートファジー誘導因子を使用して間欠絶食を増強する組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20241024BHJP
   A61K 31/05 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/08 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20241024BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/16 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/10 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/50 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A23L33/105
A61K31/05
A61P9/00
A61P43/00 107
A61P3/00
A61P3/04
A61P3/08
A61P1/04
A61P29/00
A61P29/00 101
A61P19/02
A61K47/14
A61K9/08
A61K9/16
A61K9/14
A61K9/10
A61K9/06
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/50
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024519947
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-01
(86)【国際出願番号】 EP2022079998
(87)【国際公開番号】W WO2023073054
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/272,229
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【弁理士】
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100167597
【弁理士】
【氏名又は名称】福山 尚志
(72)【発明者】
【氏名】レガード (ブトリ), クレア
(72)【発明者】
【氏名】シヴィレット, ガブリエーレ
(72)【発明者】
【氏名】ガット, フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ファイギ, ジェローム
【テーマコード(参考)】
4B018
4C076
4C206
【Fターム(参考)】
4B018LB07
4B018LB08
4B018LB10
4B018MD01
4B018MD03
4B018MD05
4B018MD06
4B018MD08
4B018MD09
4B018MD10
4B018MD14
4B018MD18
4B018MD19
4B018MD20
4B018MD23
4B018MD66
4B018ME01
4B018ME03
4B018ME04
4B018ME10
4B018ME11
4C076AA06
4C076AA11
4C076AA16
4C076AA29
4C076AA36
4C076AA53
4C076AA61
4C076BB01
4C076CC04
4C076CC09
4C076CC11
4C076CC21
4C076DD46
4C206AA01
4C206AA02
4C206CA17
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA36
4C206MA55
4C206MA57
4C206MA58
4C206MA61
4C206MA63
4C206MA72
4C206NA14
4C206ZA36
4C206ZA68
4C206ZA70
4C206ZA96
4C206ZB11
4C206ZB15
4C206ZB22
4C206ZC21
4C206ZC35
(57)【要約】
組成物は、オートファジー誘導因子を含有し、間欠絶食(IF)食、好ましくは時間制限摂食(TRF)レジメン又は隔日絶食(ADF)レジメンの前、最中及び/又は後に投与される。例えば、本明細書に開示される組成物及び方法によって提供される間欠絶食の増強は、寿命、心血管代謝の健康、身体組成(例えば、脂肪量の減少)、細胞老化(例えば、炎症マーカーの減少)、細胞再生、ケトーシス、体重減量、血糖コントロール、血圧、満腹感、又は胃食道逆流症(GERD)の治療うちの少なくとも1つの改善を含み得る。別の態様は、間欠絶食(IF)食の前、最中及び/又は後にオートファジー誘導因子を投与することによって、関節リウマチ及び/又は変形性関節症などの炎症状態を治療又は予防する方法である。組成物及び方法に適したオートファジー誘導因子の例は、任意選択で中鎖トリグリセリド(MCT)と組み合わせた、チモールである。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オートファジー誘導因子を含み、間欠絶食(IF)レジメン、好ましくは時間制限摂食(TRF)レジメン又は隔日絶食(ADF)レジメンの前、最中及び/又は後に個体に投与するために配合された組成物。
【請求項2】
前記オートファジー誘導因子が、チモール、好ましくは少なくとも部分的に前記組成物中のタイム及びオレガノ精油によって提供されるチモール、又はカルバクロール、好ましくは少なくとも部分的に前記組成物中のオレガノ油によって提供されるカルバクロールのうちの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、中鎖トリグリセリド(MCT)を更に含む、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、タンパク質、ガム、ビタミン、ミネラル、ナチュラルフレーバー、及び天然色素からなる群から選択される少なくとも1つの追加原材料を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、ビタミン、好ましくはビタミンB1、ビタミンB12、又はビタミンDのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、ミネラル、好ましくは鉄、亜鉛又はマグネシウムのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記オートファジー誘導因子が、チモール、カルバクロール、カンナビジオール酸(CBDA)、スペルミジン、ウロリチン、ラパマイシン、バルプロ酸、ポリフェノール、カフェイン、メトホルミン、1-[4-(4-プロパノイルピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-9-キノリン-3-イルベンゾ[h][1,6]-ナフチリジン-2-オン、5’AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化因子、L型カルシウムチャネル阻害剤、ケトン、パルミチン酸、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボシド(AICAR)、ベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼム、ピペラジンフェノチアジン誘導体、1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
食事代替品、ダイエタリーサプリメント、完全栄養組成物、飲料、医薬品、経口栄養補助食品、医療用食品、ニュートラシューティカルズ、特別医療目的用食品(FSMP)、摂取前に水又は乳で再構成される粉末栄養製剤、食品添加物、医薬品、ドリンク、ペットフード、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される形態である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ダイエタリーサプリメントが、グレイビー、飲料水、飲料、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、噛むもの、一口で食べるもの、トリート、スナック、ペレット、ピル、カプセル、錠剤、又はマクロカプセル充填若しくはマイクロカプセル充填などの任意の他の適切な送達形態である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物の単位剤形であって、前記単位剤形が投与される個体の間欠絶食(IF)食を増強するのに有効な量の前記オートファジー誘導因子を含む、単位剤形。
【請求項11】
前記IF食に対する増強が、寿命、心血管代謝の健康、身体組成、細胞老化、細胞再生、ケトーシス、体重減量、血糖コントロール、血圧、満腹感、又は胃食道逆流症(GERD)の治療のうちの少なくとも1つの改善を含む、請求項10に記載の単位剤形。
【請求項12】
間欠絶食(IF)食を増強する方法であって、前記IF食の前、最中及び/又は後に、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与する工程を含む、方法。
【請求項13】
間欠絶食(IF)食の前、最中及び/又は後に、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物を対象に投与する工程を含む、炎症状態のリスク、発生又は重症度のうちの少なくとも1つを治療、予防及び/又は低減する方法。
【請求項14】
前記炎症状態が、関節リウマチ及び変形性関節症のうちの少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物が、少なくとも1週間、前記対象に毎日投与される、請求項12~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
オートファジー誘導因子を、中鎖トリグリセリド(MCT)、タンパク質、ガム、ビタミン、ミネラル、ナチュラルフレーバー、及び天然色素からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分に添加する工程を含む、間欠絶食(IF)食の前、最中及び/又は後に投与するための組成物を作製する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本開示は、概して、間欠絶食(IF)食、好ましくは時間制限摂食(TRF)レジメン又は隔日絶食(ADF)レジメンの前、最中及び/又は後にオートファジー誘導因子を投与することに関する。例えば、本明細書に開示される組成物及び方法によって提供される間欠絶食の増強は、寿命、心血管代謝の健康、身体組成(例えば、脂肪量の減少)、細胞老化(例えば、炎症マーカーの減少)、細胞再生、ケトーシス、体重減量、血糖コントロール、血圧、満腹感、又は胃食道逆流症(GERD)の治療のうちの少なくとも1つの改善を含み得る。
【背景技術】
【0002】
[0002]間欠絶食(IF)は、吸収されるエネルギー摂取がほとんど又は全くない期間が、摂食(フィスティング(feasting)と呼ばれることもある)期間と交互にある食事パターンを説明するための総称である。
【0003】
[0003]IFの最も一般的なスタイルの1つは、時間制限摂食(TRF)レジメンであり、このレジメンでは、食物の摂取は、1日当たりで指定された時間のみ許容され、例えば、16:8レジメンの人々は、毎日16時間絶食し、8時間摂食する。IFの別の一般的なスタイルの1つは、24時間の絶食期間が24時間の随意(ad libitum)摂取と交互にある、隔日絶食(ADF)である。ADFには3つの一般的な種類がある:(1)1日の食事と1日の絶食を交互に行う、完全隔日絶食;絶食日にはカロリーを摂取しないが、ノンカロリー飲料(例えば、水、煎じ液、茶、コーヒー)を摂取してもよい;(2)1日の摂食と1日の修正絶食(modified fast)とを交互に行い、絶食日には限られたカロリー量(例えば、≦500kcal)の食品及び飲料を摂取する、修正隔日絶食;及び(3)7日間のうち2日間絶食する5:2レジメン、このレジメンは7日間のうちの2日間に、限られたカロリー量を摂取できる修正を含む。
【0004】
[0004]動物及びヒトでの研究に基づき、IFは、概して体重減量レジメンとして使用した場合、血糖コントロール、心血管の健康、並びに関節リウマチ及び変形性関節症などの炎症状態の治療などの他の健康上の利益も有するとされている(De Cabo,R&Mattson,M.P.(2019)Effects of Intermittent Fasting on Health,Aging,and Disease.NEJM 381(26)2541-2551)。健康パラメータに対するIFの有効性は文献において非常に様々であるが、これは研究対象及び研究計画の多様性に起因する可能性が最も高い。
【発明の概要】
【0005】
[0005]絶食はオートファジーを誘導することが明らかにされている。オートファジーは、間欠絶食による長寿などの利益に関し重要なメカニズムである(Longo,V.D.&Panda,S.(2016)Fasting,circadian rhythms,and time-restricted feeding in healthy lifespan.Cell Metab.23,1048-1059)。実際に、オートファジーは、細胞再生に関与する細胞リサイクルプロセスである。
【0006】
[0006]既存の栄養解決策は、間欠絶食のために配置したMCTによるケトーシスを標的とする。しかしながら、本発明者の知る限りでは、オートファジーを標的として間欠絶食の利益を増強する解決策は存在しない。例えば、間欠絶食のための既知の組成物は、MCTなどの体重減量剤を更に含み得るが、最終的な利益は、典型的には体重減量のみに関連する。しかしながら、本開示は、オートファジー原材料誘導因子と間欠絶食レジメンとの組み合わせを提供して、寿命及び細胞再生に対する効果などの関連する利益を増強する。
【0007】
[0007]したがって、本明細書に開示される組成物及び方法は、間欠絶食(IF)の前、最中及び/又は後に、個体においてオートファジーを誘導するためにオートファジー誘導因子を使用することができる。好ましくは、オートファジー誘導因子を含む配合物は、例えば筋肉においてオートファジーを誘導するのに有効な量で個体に投与される。配合物は、タンパク質合成及び損傷した細胞材料の除去を同時に促進することができる。
【0008】
[0008]1つ以上の実施形態において、オートファジー誘導因子は、チモール、カルバクロール、カンナビジオール酸(CBDA)、スペルミジン、ウロリチン(例えば、ウロリチンA、ウロリチンB又はウロリチンD)、ラパマイシン、バルプロ酸、ポリフェノール(例えば、レスベラトロール、クルクミン)、トリン-1(1-[4-(4-プロパノイルピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-9-キノリン-3-イルベンゾ[h][1,6]-ナフチリジン-2-オン)、カフェイン、メトホルミン、5’AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化因子、L型カルシウムチャネル阻害剤、ケトン(例えば、β-ヒドロキシブチラート、ケトン塩、又はケトンエステル誘導体)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0009】
[0009]好適なオートファジー誘導因子の非限定的な例は、スペルミジン、パルミチン酸、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボシド(AICAR)、ベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼム、ピペラジンフェノチアジン誘導体(例えば、トリフルオペラジン)、ケトン(例えば、β-ヒドロキシブチラート、ケトン塩、又はケトンエステル誘導体)、及びこれらの混合物である。好適な形態のスペルミジンの非限定的な例としては、スペルミジン三塩酸塩、スペルミジンリン酸塩六水和物、スペルミジンリン酸塩六水和物、及びL-アルギニル-3,4-スペルミジンが挙げられる。
【0010】
[0010]追加的に又は代替的に、オートファジー誘導因子は、1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸、例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸(0.1~100mg)、バリン、チロシン又はこれらの前駆体、例えば、セリン(グリシンの前駆体として)、N-アセチルシステイン(0.1~100mg)、メチオニン(システインの前駆体として)、及びこれらの混合物を含むことができる。1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸に加えて、任意選択で、組成物は、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、グルタミン又はシトルリンなどの1種類以上の同化アミノ酸を更に含むことができる。組成物は、1種類以上の同化アミノ酸を、個体においてmTORを活性化するのに有効な量で含むことができる。いくつかの実施形態では、組成物は、1種類以上の同化アミノ酸によりオートファジーに対するマイナス効果があった場合でも、組成物がオートファジーに関して少なくとも中立、好ましくはオートファジーに関してプラスとなるのに有効な量で、1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸又はそれらの前駆体を含む。
【0011】
[0011]いくつかの実施形態では、チモールなどのオートファジー誘導因子は、任意選択でMCTとの組み合わせで、満腹感を促進する;これはColeman,H.,P.Quinn、及びM.E.Clegg著、「Medium chain triglycerides and conjugated linoleic acids in beverage form increase satiety and reduce food intake in humans」、Nutrition Research 36(6):526-33(2016)、並びにWymelbeke,V.V.,J.Louis-Sylvestre、及びM.Fantino著、「Substrate oxidation and control of food intake in men after a fat-substitute meal compared with meals supplemented with an isoenergetic load of carbohydrate,long-chain triacylglycerols,or medium-chain triacylglycerols」、The American Journal of Clinical Nutrition 74(5):620-30 (2001)によって裏付けられる。
【0012】
[0012]更なる特徴及び利点が本明細書において記述されており、以下の図面、及び発明を実施するための形態から明らかとなるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[0013]定義
[0014]次に、いくつかの定義を示す。しかしながら定義が以下の「実施形態」の項にある場合もあり、上記の見出し「定義」は、「実施形態」の項におけるそのような開示が定義ではないことを意味するものではない。
【0014】
[0015]本開示及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」及び「the」には、別段の指示がない限り、複数の指示対象も含まれる。したがって、例えば、「オートファジー誘導因子(an autophagy inducer又はthe autophagy inducer)への言及は、単一のオートファジー誘導因子を有する実施形態と、2種類以上のオートファジー誘導因子を有する実施形態との両方を包含する。
【0015】
[0016]用語「含む/備える(comprise)」、「含む/備える(comprises)」、及び「含んでいる/備えている(comprising)」は、排他的なものではなく、他を包含し得るものとして解釈されるべきである。同様にして、用語「含む(include)」、「含む(including)」及び「又は(or)」は全て、このような解釈が文脈から明確に妨げられない限りは他を包含し得るものであると解釈されるべきである。しかしながら、本明細書に開示されている組成物は、本明細書において具体的に開示されていない要素を含まない場合がある。したがって、「含む/備える(comprising)」という用語を用いた実施形態の開示は、特定されている構成要素「を本質的に含む/から本質的に構成される(consisting essentially of)」実施形態、及び特定されている構成要素「からなる(consisting of)」実施形態の開示を含む。
【0016】
[0017]「X又はYのうちの少なくとも1つ」及び「X及び/又はY」のそれぞれの文脈において使用される「のうちの少なくとも1つ」及び「及び/又は」という用語は、「X」若しくは「Y」又は「X及びY」として解釈されるべきである。例えば、「ビタミン又はミネラルのうちの少なくとも1つ」及び「ビタミン及び/又はミネラル」は、「ミネラルを含まないビタミン」若しくは「ビタミンを含まないミネラル」、又は「ビタミン及びミネラルの両方」として解釈されるべきである。
【0017】
[0018]本明細書において使用する場合、用語「例」及び「例えば~など(such as)」は、その後に用語の列挙が続くときは特に、単に例示的かつ説明的なものにすぎず、排他的又は包括的なものとみなされるべきではない。本明細書で使用するとき、別の状態「に関連する/伴う(associated with)」又は「と関連付けられる(linked with)」状態は、これらの状態が同時に起こることを意味し、好ましくは、これらの状態が同じ基礎症状によって生じることを意味し、最も好ましくは、特定されている状態のうちの一方が、特定されている他方の状態によって生じることを意味する。
【0018】
[0019]時間制限摂食(TRF)の種類の例には次のものがある:
[0020](1)12:12 12時間の絶食と12時間の随意摂食、
[0021](2)16:8 16時間の絶食と8時間の随意摂食、及び
[0022](3)20:4 20時間の絶食と4時間の随意摂食。
【0019】
[0023]隔日絶食(ADF)には次の種類がある。
[0024](1)1日の摂食と1日の絶食とを交互に行う、完全隔日絶食。このレジメンでは、絶食日にはカロリーを摂取しないが、ノンカロリー飲料(例えば、水、煎じ液、茶、コーヒー)を摂取してもよい。
[0025](2)1日の摂食と1日の修正絶食とを交互に行い、絶食日には限られたカロリー量(例えば、≦500kcal)の食品及び飲料を摂取する、修正隔日絶食。
[0026](3)7日間のうち2日間絶食する5:2レジメン。5:2レジメンは、7日間のうちの2日間に、限られたカロリー量を摂取できる修正も含む。
【0020】
[0027]「組成物」という用語は、食品、飲料、ダイエタリーサプリメント、完全栄養若しくは経口栄養補助食品(ONS)又は医療用食品組成物、又はこれらの混合物を意味し得る。本開示の文脈内で、「栄養素」は、生物の健康、成長、発達及び機能に必要な物質であって、主要栄養素(例えば、タンパク質、炭水化物、脂肪)及びその成分(例えば、アミノ酸、糖、デンプン、脂肪酸など);微量栄養素(例えば、ビタミン類、ミネラル類);他の食品成分(繊維、コレステロール、生物活性植物化学物質、アルコールなど);並びに食品及び飲料に含まれる水分、を含む。
【0021】
[0028]本開示の文脈において、用語「食品」、「食品製品」及び「食品組成物」は、ヒトなどの個体による摂取が意図され、エネルギー、栄養素及び水を提供するものを含む、生物に栄養サポートを提供する製品又は組成物を意味する。本明細書に記載されている多くの実施形態を含む本開示の組成物は、1種類以上のオートファジー誘導因子に加え、ヒトによる摂取に安全な、そうでなければ規定食において有用な、任意の追加の若しくは任意選択の原材料又は成分を含んでよく、これらから構成されてよく、又は本質的にこれらから構成されてよい。
【0022】
[0029]用語「特別医療目的用食品(FSMP)」とは、食物摂取制限、消化吸収障害、代謝障害又は特定の疾患に罹患している人々の栄養又は食事に関する特別なニーズを満たすために、特別に加工及び調製されたフォーミュラ食を指す。かかる食品は、医師又は臨床栄養士の指導下で、単独で又は他の食品と共に使用される。FSMPは、特別用途用の食品であって医薬品ではないが、通常、健常な人々によっては摂取されない。FSMPは、広範な医学研究による科学事実に基づいて、臨床医及び栄養士によって特別に開発されたものである。
【0023】
[0030]用語「経口栄養補助食品(ONS)」とは、主要栄養素及び微量栄養素を提供する無菌の液体、半固体又は粉末を指す。ONSは、緊急保険環境及び社会保健環境内で、経口食のみではその栄養要件を満たすことができない個体に対して広く使用されている。
【0024】
[0031]本開示の文脈において、用語「飲料」、「飲料製品」及び「飲料組成物」は、ヒトなどの個体による摂取のための持ち運び可能な液体製品又は組成物であって、水分を提供し、かつ個体のための、1種類以上の栄養素、及びヒトによる摂取に安全な他の原材料も含み得る、液体製品又は組成物を意味する。
【0025】
[0032]本開示の文脈において、「ダイエタリーサプリメント」は、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸、脂肪酸、繊維及び/又はハーブなどの1つ以上の食事原材料、並びに規定食を補うために使用される他の植物性原材料を含有する、経口摂取される製品である。ダイエタリーサプリメントは、多数の形態で提供され、錠剤、カプセル、粉末、液体として利用可能であり、「エネルギー」バーなどの特定の食品中に配合されてもよい。
【0026】
[0033]本明細書で使用するとき、「完全栄養」は、その組成物が投与される対象にとって唯一の栄養源とするのに十分な、十分な種類及びレベルの主要栄養素(タンパク質、脂質及び炭水化物)、微量栄養素、及びその他の食品成分を含有する。個体は、このような完全栄養組成物から、当該個体の栄養必要量の100%を受容可能である。
【0027】
[0034]トリグリセリド(トリアシルグリセロール又はトリアシルグリセリドとしても知られる)とは、グリセロールと3つの脂肪酸とから誘導されるエステルである。脂肪酸は、不飽和又は飽和のいずれであってもよい。他の分子に結合していない脂肪酸は、遊離脂肪酸(FFA)と呼ばれる。
【0028】
[0035]中鎖トリグリセリド(MCT)とは、分子中の3つの脂肪酸部分の全てが中鎖脂肪酸部分であるトリグリセリドである。本明細書で定義されるように、中鎖脂肪酸(MCFA)は、6~14個の炭素原子、好ましくは6~12個の炭素原子を有する脂肪酸である。8個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸は、本明細書中で、「C8脂肪酸」又は「C8」と呼ばれる場合がある。10個の炭素原子を有する中鎖脂肪酸は、本明細書中で、「C10脂肪酸」又は「C10」と呼ばれる場合がある。
【0029】
[0036]用語「脂肪酸部分」とは、グリセロールとのエステル化反応において脂肪酸に由来するMCT部分を指す。非限定的な例において、グリセロールとオクタン酸のみとの間のエステル化反応では、オクタン酸部分を含むMCTが生じる。別の非限定的な例において、グリセロールとデカン酸のみとの間のエステル化反応では、デカン酸部分を含むMCTが生じる。
【0030】
[0037]「予防」は、状態又は障害のリスク、発生率及び/又は重症度の低減を含む。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」には、予防的治療又は抑止的治療(対象とする病的状態又は障害を予防する及び/又は発症を遅らせる治療)と、治癒的治療、治療的治療、又は疾患修飾的治療との両方が含まれ、例えば、診断された病的状態又は障害の治癒、遅延、症状の軽減、及び/又は進行の停止のための治療的手段、並びに、疾患に罹患する危険性がある患者、又は疾患に罹患した疑いのある患者、及び体調不良の患者、又は疾患若しくは医学的状態に罹患していると診断された患者の治療が含まれる。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」は、対象が全快するまで治療することを必ずしも意味するものではない。「処置/治療」及び「処置/治療する」という用語はまた、疾患に罹患してはいないが不健康な状態を招きやすい可能性のある個体の健康を維持及び/又は促進することも指す。用語「処置/治療」及び「処置/治療する」はまた、1つ以上の主たる予防手段又は治療手段の相乗作用、又はそうでない場合強化を含むことも目的としている。非限定的な例として、処置/治療は、患者、介護者、医師、看護師、又は別の医療専門家によって行うことができる。
【0031】
[0038]本明細書で使用するとき、予防又は治療上の「有効量」は、個体において、欠乏を防ぐ量、疾患若しくは医学的状態を治療する量、又は、より全般的には、個体に対して、症状を低減する量、疾患の進行を管理する量、若しくは栄養学上の利益、生理学上の利益若しくは医療上の利益を提供する量である。相対的な用語「改善された」、「増加した」、「増強された」などは、オートファジー誘導因子を含まない、又はより少ないオートファジー誘導因子を含むが、その他の点では同一の組成物と比較した、オートファジー誘導因子を含む組成物の投与による間欠絶食に対する効果を指す。例えば、本明細書に開示される組成物及び方法によって提供される間欠絶食の増強は、寿命、心血管代謝の健康、身体組成、細胞老化、細胞再生、ケトーシス、体重減量、血糖コントロール、血圧、満腹感、又は胃食道逆流症(GERD)の治療のうちの少なくとも1つの改善を含み得る。
【0032】
[0039]「対象」又は「個体」は、哺乳動物、好ましくはヒトである。「対象」又は「個体」はまた、動物であってもよい。本明細書で使用するとき、「対象」及び「個体」という用語は、多くの場合、ヒトを指して使用されるが、本開示はヒトに限定されない。
【0033】
[0040]「動物」には、齧歯類、水生哺乳動物、イヌ及びネコなどの飼育動物、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマなどの家畜、並びにヒトを含むがこれらに限定されない哺乳動物が含まれるが、これらに限定されない。「動物」、「哺乳動物」、又はこれらの複数形が使用される場合、これらの用語はまた、文章の文脈によって示される、又は示すことを目的としている効果について能力を有する任意の動物、例えば、オートファジーが可能な動物にも適用される。
【0034】
[0041]本明細書で使用するとき、「単位剤形」という用語は、ヒト対象及び動物対象のための投与量単位として好適な物理的に小分けされた単位を指し、各単位は、製薬上許容可能な希釈剤、担体、又はビヒクルとともに、所望の効果をもたらすのに十分な量の、予め定められた量の、本明細書に開示される組成物を含有する。単位剤形の仕様は、使用される具体的な化合物、達成しようとする効果、及び宿主体内の各化合物に関連する薬力学によって決まる。
【0035】
[0042]実施形態
[0043]本開示の一態様は、例えば、寿命、心血管代謝の健康、身体組成、細胞老化、細胞再生、ケトーシス、体重減量、血糖コントロール、血圧、満腹感、又は胃食道逆流症(GERD)の治療のうちの少なくとも1つの改善によって、間欠絶食(IF)食の前、最中、及び/又は後に、個体においてIF食を増強する方法である。該方法は、オートファジー誘導因子(例えば、有効量のオートファジー誘導因子)を個体(例えば、それを必要とする個体)に投与する工程を含む。オートファジー誘導因子は、非経口投与、経腸投与、又は静脈内投与可能な組成物で投与できる。
【0036】
[0044]本開示の別の態様は、間欠絶食(IF)食の前、最中及び/又は後に、個体において、関節リウマチ及び変形性関節症などの炎症状態のリスク、発生又は重症度のうちの少なくとも1つを治療、予防及び/又は低減する方法である。該方法は、オートファジー誘導因子(例えば、有効量のオートファジー誘導因子)を個体(例えば、それを必要とする個体)に投与する工程を含む。オートファジー誘導因子は、非経口投与、経腸投与、又は静脈内投与可能な組成物で投与できる。
【0037】
[0045]好ましくは、オートファジー誘導因子は、飲料中で、又は食品組成物として個体に経口投与される。好適な組成物の非限定的な例としては、食品組成物、ダイエタリーサプリメント、ダイエタリーサプリメント(例えば、液体ONS)、完全栄養組成物、飲料、医薬品、経口栄養補助食品、食事代替品、医療用食品、ニュートラシューティカルズ、特別医療目的用食品(FSMP)、摂取前に水又は乳で再構成される粉末栄養製剤、食品添加物、医薬品、ドリンク、ペットフード、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0038】
[0046]一実施形態では、単位剤形は、所定量の飲料又は食品組成物(例えば、有効量のオートファジー誘導因子を含む所定量の飲料/食品組成物)である。
【0039】
[0047]更に別の実施形態は、間欠絶食(IF)食の前、最中及び/又は後に投与するための組成物を作製する方法であって、オートファジー誘導因子を少なくとも1つの他の成分に添加する工程を含む、方法である。一部の実施形態では、組成物は経口投与用に配合され、少なくとも1つの他の成分は食用である。
【0040】
[0048]いくつかの実施形態では、組成物は、容器中のレディ・トゥ・ドリンク(RTD)飲料であり得、単位剤形は、容器中に密封された所定量のRTD飲料であり、容器は経口投与のために開封される。例えば、所定量のRTD飲料は、有効量のオートファジー誘導因子を含むことができる。RTD飲料は、更なる原材料を添加せずとも経口摂取することができる液体である。
【0041】
[0049]他の実施形態では、本方法は、オートファジー誘導因子を含む粉末の単位剤形を、水又は乳などの希釈液中で再構成して、続いて(例えば、再構成後約10分以内、再構成後約5分以内、又は再構成後約1分以内に)個体に経口投与される飲料を形成することによって、飲料を形成する工程を含む。粉末の単位剤形は、小袋又は他のパッケージ中に密封することができ、これらのパッケージは再構成及びその後の経口投与のために開封することができる。
【0042】
[0050]栄養補助食品の単位剤形は、賦形剤、乳化剤、安定剤及びこれらの混合物を含有することができる。
【0043】
[0051]1つ以上の実施形態において、オートファジー誘導因子は、チモール、カルバクロール、カンナビジオール酸(CBDA)、スペルミジン、ウロリチン(例えば、ウロリチンA、ウロリチンB又はウロリチンD)、ラパマイシン、バルプロ酸、ポリフェノール(例えば、レスベラトロール、クルクミン)、トリン-1(1-[4-(4-プロパノイルピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-9-キノリン-3-イルベンゾ[h][1,6]-ナフチリジン-2-オン)、カフェイン、メトホルミン、5’AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化因子、L型カルシウムチャネル阻害剤、ケトン(例えば、β-ヒドロキシブチラート、ケトン塩、又はケトンエステル誘導体)、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0044】
[0052]いくつかの実施形態では、1日用量当たり約1mg~約1g、好ましくは約10mg~500mg、より好ましくは約20mg~200mgのチモール及び/又はカルバクロールが、1回以上に分けて個体に投与される。別の実施形態では、1日用量当たり約120mgのチモール及び/又はカルバクロールが、1回以上に分けて個体に投与される。チモール(10~64%)は、タイム(Thymus vulgaris L,Lamiaceae)の精油の主要構成成分の1つである。カルバクロールは、オレガノ(Origanum vulgare)の精油、タイム油、コショウソウから得られた油、及びヤグルマハッカ中に存在する。タイム亜種の精油は、5%~75%のカルバクロールを含有するのに対し、セイボリー(Satureja)亜種は1%~45%の含有量を有する。マジョラム(Origanum majorana)及びクレタディタニー(Dittany of Crete)はカルバクロールに富み、それぞれ50%及び60~80%である。したがって、本組成物の一部の実施形態は、組成物中のチモール及び/カルバクロールの少なくとも一部を提供する、特にタイム及びオレガノ由来の、植物及び/又は濃縮植物抽出物、精油又は画分を含む。
【0045】
[0053]好適なオートファジー誘導因子の更なる非限定的な例は、ウロリチン、スペルミジン、パルミチン酸、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボシド(AICAR)、ベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼム、ピペラジンフェノチアジン誘導体(例えば、トリフルオペラジン)、ケトン(例えば、β-ヒドロキシブチラート、ケトン塩、又はケトンエステル誘導体)、及びこれらの混合物である。好適な形態のスペルミジンの非限定的な例としては、スペルミジン三塩酸塩、スペルミジンリン酸塩六水和物、スペルミジンリン酸塩六水和物、及びL-アルギニル-3,4-スペルミジンが挙げられる。
【0046】
[0054]本方法は、体重1kg当たり0.05mg~1g、好ましくは体重1kg当たり1mg~200mg、より好ましくは体重1kg当たり5mg~150mg、更により好ましくは体重1kg当たり10mg~120mg、又は最も好ましくは体重1kg当たり40mg~80mgの重量範囲でオートファジー誘導因子(例えば、スペルミジン)を毎日投与する工程を含み得る。
【0047】
[0055]一部の実施形態では、ウロリチンは、対象の体重1キログラム(kg)当たり約0.2~150ミリグラム(mg)のウロリチンの量で投与され得る。好ましくは、ウロリチンは、対象の体重1kg当たり2~120mgのウロリチン、より好ましくは対象の体重1kg当たり4~90mgのウロリチン、最も好ましくは対象の体重1kg当たり8~30mgのウロリチンに等しいか又は相当する用量で投与される。
【0048】
[0056]追加的に又は代替的に、オートファジー誘導因子は、1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸、例えば、グリシン、システイン、プロリン、グルタミン酸、バリン、チロシン又はこれらの前駆体、例えば、セリン(グリシンの前駆体として)、N-アセチルシステイン、メチオニン(システインの前駆体として)、及びこれらの混合物を含むことができる。一実施形態では、グリシンは、対象の体重1キログラム(kg)当たり約0.1~100ミリグラム(mg)のグリシン又はその機能的誘導体の量で投与することができる。組成物の1日用量は、体重(bw)1kg当たり0.1~100mgのグリシン;体重1kg当たり5~340mgのバリン;体重1kg当たり20~126mgのチロシン;体重1kg当たり3~43mgのメチオニンのうちの1つ以上を含み得る。組成物は、1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸又はそれらの前駆体を、組成物がオートファジーに関して少なくとも中立、好ましくはオートファジーに関してプラスとなるのに有効な量で含む。
【0049】
[0057]組成物は、1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸に加えて、任意選択で、ロイシン、イソロイシン、アルギニン、グルタミン又はシトルリンなどの1種類以上の同化アミノ酸を更に含むことができる。組成物の1日用量は、体重1kg当たり0.175~142.85mgのロイシン、好ましくは体重1kg当たり0.35~71.425mgのロイシン;体重1kg当たり0.175~71.425mgのイソロイシン;体重1kg当たり20~300mgのアルギニン、好ましくは体重1kg当たり50~200mgのアルギニン、及び/又は体重1kg当たり20~300mgのシトルリン、好ましくは体重1kg当たり100~200mgのシトルリンのうちの1つ以上を含み得る。1種類以上の同化アミノ酸の1日用量は、1日当たり1回分量又は複数回分量の組成物によって提供され得る。
【0050】
[0058]組成物は、1種類以上の同化アミノ酸を、個体においてmTORを活性化するのに有効な量で含むことができる。一部の実施形態では、組成物は、1種類以上の同化アミノ酸によりオートファジーに対するマイナス効果があった場合でも、組成物がオートファジーに関して少なくとも中立、好ましくはオートファジーに関してプラスとなるのに有効な量で、1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸又はそれらの前駆体を含む。
【0051】
[0059]一部の実施形態では、本方法は、「Compositions and Methods Using a Combination of Autophagy Inducer and High Protein for Induction of Autophagy」を発明の名称とする米国特許出願公開第16/954694号、「Compositions and Methods Using One or More Autophagy-Inducing Amino Acids to Potentiate Musculoskeletal Effect of One or More Anabolic Amino Acids」を発明の名称とする国際公開第2020/245299号、又は「Compositions and Methods Using Thymol and/or Carvacrol For Induction of Autophagy」を発明の名称とする国際公開第2020/254663号のいずれかによって開示される組成物を投与することを含み、これらの文献の各々は、参照によりその全体が援用される。
【0052】
[0060]いくつかの実施形態では、組成物は、IFレジメン実施前の1カ月未満、例えば、IFレジメン実施前の1週間未満投与される。追加的に又は代替的に、組成物は、IFレジメン実施中の少なくとも大部分の日数、例えば、IFレジメン実施中に毎日投与される。追加的に又は代替的に、組成物は、IFレジメン実施後の少なくとも1週間、例えば、IFレジメン実施後の少なくとも1ヶ月間投与される。
【0053】
[0061]特定の実施形態では、本方法は、IFレジメンの前、最中、及び/又は後の対象における血漿スペルミジン濃度を、例えば、血漿1L当たり50~6000nmol、好ましくは血漿1L当たり100~6000nmolの範囲の濃度まで増加させる。本方法は、体重1kg当たり0.05mg~1g、好ましくは体重1kg当たり1mg~200mg、より好ましくは体重1kg当たり5mg~150mg、更により好ましくは体重1kg当たり10mg~120mg、又は最も好ましくは体重1kg当たり40mg~80mgの重量範囲のオートファジー誘導因子(例えば、スペルミジン)の1日用量を投与する工程を含み得る。
【0054】
[0062]典型的には、1日用量当たり50pg~10gのオートファジー誘導因子、好ましくはスペルミジン化合物が、IFレジメンの前、最中、及び/又は後に、1回以上に分けて、対象に投与される。
【0055】
[0063]小麦胚芽は、スペルミジンに富んでいる。したがって、本組成物のいくつかの実施形態は、本組成物中のオートファジー誘導因子の少なくとも一部を提供する小麦胚芽及び/又は濃縮小麦胚芽抽出物を含む。
【0056】
[0064]ホエイタンパク質は、ロイシン及びイソロイシンなどのBCAAに富んでいる。したがって、組成物のいくつかの実施形態は、組成物中の同化アミノ酸の少なくとも一部を提供するホエイタンパク質を含む。更に、加水分解コラーゲンは、グリシン及びプロリンの豊富な供給源であり、したがって、組成物のいくつかの実施形態は、組成物中のオートファジー誘導アミノ酸の少なくとも一部を提供する加水分解コラーゲンを含む。
【0057】
[0065]特定の非限定的な実施形態では、組成物は、オートファジー誘導因子(好ましくはチモール油又はオレガノ油のうちの少なくとも1つ)と、MCT(好ましくはMCT油)と、任意選択で、タンパク質(例えば、コラーゲン、エンドウマメタンパク質のうちの1つ以上)、ガム(例えば、キサンタン)、1種類以上のビタミン(例えば、ビタミンB12、ビタミンB1、又はビタミンDのうちの少なくとも1つ)、1種類以上のミネラル(例えば、鉄、亜鉛、又はマグネシウムのうちの少なくとも1つ)、ナチュラルフレーバー、天然色素、及びこれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの追加成分とを含む。
【0058】
[0066]本明細書で使用するとき、用語「タンパク質」は、遊離形態のアミノ酸、アミノ酸2~20個の分子(本明細書では「ペプチド」と称する)を含み、また、同様に、より長いアミノ酸鎖も含む。小さいペプチド、すなわち、アミノ酸2~10個の鎖は、単独で、又は他のタンパク質との組み合わせにより本組成物に好適なものである。アミノ酸の「遊離形態」は、アミノ酸のモノマー形態である。好適なアミノ酸としては、天然アミノ酸及び非天然アミノ酸の両方が挙げられる。本組成物は、1種類以上のタンパク質の混合物、例えば、1種類以上の(i)ペプチド、(ii)より長いアミノ酸鎖、又は(iii)遊離形態のアミノ酸の、混合物を含んでもよく;この混合物は、好ましくは所望のアミノ酸プロファイル/含有量が得られるように配合される。
【0059】
[0067]タンパク質の少なくとも一部は、動物に由来するもの又は植物に由来するもの、例えば、乳タンパク質(milk protein)、例えば、乳タンパク質濃縮物若しくは乳タンパク質単離物の1種以上などの乳製品タンパク質(dairy protein);カゼイン塩若しくはカゼイン、例えば、カゼインミセル濃縮物若しくはカゼインミセル単離物;又はホエイタンパク質、例えば、ホエイタンパク質濃縮物若しくはホエイタンパク質単離物とすることができる。追加的に又は代替的に、タンパク質の少なくとも一部は、大豆タンパク質又はエンドウ豆タンパク質のうちの1種類以上などの植物性タンパク質であり得る。
【0060】
[0068]これらのタンパク質の混合物、例えば、カゼインがタンパク質の大部分であるが全部ではない混合物、ホエイタンパク質がタンパク質の大部分であるが全部ではない混合物、エンドウ豆タンパク質がタンパク質の大部分であるが全部ではない混合物、及び大豆タンパク質がタンパク質の大部分であるが全部ではない混合物もまた好適である。一実施形態では、タンパク質の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%は、ホエイタンパク質である。一実施形態では、タンパク質の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%は、カゼインである。一実施形態では、タンパク質の少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、より好ましくは少なくとも30重量%は、植物性タンパク質である。
【0061】
[0069]ホエイタンパク質は、例えば、ホエイタンパク質濃縮物、ホエイタンパク質単離物、ホエイタンパク質ミセル、ホエイタンパク質加水分解物、酸性ホエイ、甘性ホエイ、変性甘性ホエイ(カゼイノグリコマクロペプチドが除去された甘性ホエイ)、ホエイタンパク質の画分、及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される任意のホエイタンパク質であり得る。
【0062】
[0070]カゼインは任意の哺乳類から得ることができるが、好ましくは牛乳から、及び好ましくはカゼインミセルとして得られる。
【0063】
[0071]タンパク質は、加水分解されていなくてもよく、部分的に加水分解されていてもよく(すなわち、分子量は3kDa~10kDaで、平均分子量は5kDa未満のペプチド)、又は広範囲に加水分解されていてもよく(すなわち、90%が3kDa未満の分子量を有するペプチド)、例えば、5%~95%の範囲が加水分解されていてもよい。いくつかの実施形態では、加水分解されたタンパク質のペプチドプロファイルは、異なる分子量の範囲内であり得る。例えば、ペプチドの大部分(50モル%超又は50重量%超)は、1~5kDa又は5~10kDa又は10~20kDa以内の分子量を有し得る。
【0064】
[0072]一実施形態では、本組成物は、炭水化物源を含む。デンプン(例えば、変性デンプン、アミロースデンプン、タピオカデンプン、トウモロコシデンプン)、スクロース、ラクトース、グルコース、フルクトース、固形コーンシロップ、マルトデキストリン、キシリトール、ソルビトール、又はこれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、任意の好適な炭水化物を本組成物に使用してもよい。
【0065】
[0073]炭水化物源は、好ましくは本組成物の50エネルギー%以下、より好ましくは本組成物の36エネルギー%以下、最も好ましくは本組成物の30エネルギー%以下である。
【0066】
[0074]一実施形態では、本組成物は、脂肪源を含む。脂肪源は、任意の好適な脂肪又は脂肪混合物を含み得る。好適な脂肪源の非限定的な例としては、植物性脂肪、例えば、オリーブ油、コーン油、ヒマワリ油、高オレイン酸ヒマワリ油、菜種油、キャノーラ油、ヘーゼルナッツ油、大豆油、パーム油、ココナッツ油、クロフサスグリ種子油、ルリヂサ油、レシチンなど、動物性脂肪、例えば乳脂肪など、又はこれらの組み合わせが挙げられる。オートファジー誘導因子(例えば、スペルミジン)を含む組成物は、間欠絶食(IF)の前、最中及び/又は後に、治療有効用量で個体に投与され得る。治療に有効な用量は当業者により決定され得るものであり、状態の重症度並びに個体の体重及び全身状態など、当業者に公知のいくつもの因子に応じて異なり得る。
【0067】
[0075]本組成物は、好ましくは少なくとも週2日、より好ましくは少なくとも週3日、最も好ましくは週7日;少なくとも1週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも2ヶ月、少なくとも3ヶ月、少なくとも6ヶ月、又は更に長い期間、個体に投与される。いくつかの実施形態では、本組成物は、例えば、少なくとも治療効果が達成されるまで、数日にわたって連続的に個体に投与される。いくつかの実施形態では、本組成物は、少なくとも30日間、60日間、又は90日間連続で個体に毎日投与することができる。
【0068】
[0076]上記の投与例は、間断のない連日投与を必要とするものではない。それよりむしろ、投与期間中の2~4日間の中断など、投与には何回かの短期間の中断があってもよい。本組成物の理想的な投与継続期間は当業者により決定され得る。
【0069】
[0077]好ましい実施形態では、本組成物は、個体に経口投与又は経腸投与(例えば経管栄養法)される。例えば、本組成物は、飲料、カプセル、錠剤、散剤又は懸濁液剤として個体に投与することができる。
【0070】
[0078]本組成物は、ヒト及び/又は動物が摂取するのに好適ないかなる種類の組成物であってもよい。例えば、本組成物は、食品組成物、ダイエタリーサプリメント、栄養組成物、ニュートラシューティカルズ、摂取前に水又は乳で再構成される粉末栄養製剤、食品添加物、医薬品、飲料及びドリンクからなる群から選択され得る。一実施形態では、本組成物は、経口栄養補助食品(ONS)、完全栄養配合物、医薬品、薬剤又は食品製品である。好ましい実施形態では、本組成物は個体に飲料として投与される。本組成物は粉末として小袋で保管され、その後使用のために水などの液体中に懸濁されてもよい。
【0071】
[0079]特定の非限定的な例では、組成物の好ましい形式は、飲料(例えば、水及び/又は別の液体を含む)、摂取前に任意の他の成分の添加を必要としないレディ・トゥ・ドリンク飲料(例えば、水及び/又はコーヒーを含む);経口栄養補助食品(ONS);又はコーヒークリーマーである。
【0072】
[0080]経口又は経腸投与が不可能である、又は推奨されない一部の場合には、本組成物はまた、非経口投与されてもよい。好ましい非経口投与は、静脈内投与である。非経口投与の特定の形態は、栄養の静脈内投与による送達である。非経口栄養は、食品が他の経路によって与えられない場合、「完全非経口栄養」である。「非経口栄養」は、好ましくは、グルコースなどの糖類を含み、脂質、アミノ酸、及びビタミンのうちの1つ以上を更に含む、等張水溶液又は高張水溶液(又は溶解される固体組成物、又は等張溶液若しくは高張溶液を得るために希釈される液体濃縮物)である。
【0073】
[0081]いくつかの実施形態では、本組成物は単回投与剤形で個体に投与され、すなわち、食事と一緒に個体に与えられる1つの製剤中に全ての化合物が存在している。他の実施形態では、本組成物は別個の剤形で同時投与され、例えば少なくとも1つの構成成分と本組成物の他の構成成分のうちの1つ以上は別個のものとして同時投与される。
【0074】
[0082]本明細書の開示を考慮して、本開示によって提供される実施形態は、組成物であって、オートファジー誘導因子を含み、かつ間欠絶食(IF)レジメン、好ましくは時間制限摂食(TRF)レジメン又は隔日絶食(ADF)レジメンの前、最中及び/又は後に個体に投与するために配合された組成物であり、当該組成物は、好ましくは、中鎖トリグリセリド(MCT)と、任意選択で、タンパク質、ガム、ビタミン、ミネラル、ナチュラルフレーバー、及び天然色素からなる群から選択される少なくとも1つの追加原材料とを更に含む。
【0075】
[0083]好ましくは、オートファジー誘導因子は、チモール、好ましくは少なくとも部分的に組成物中のタイム油若しくはオレガノ油によって提供されたチモール、又はカルバクロール、好ましくは少なくとも部分的に組成物中のオレガノ油によって提供されたカルバクロールのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、タンパク質、好ましくはコラーゲン、エンドウマメタンパク質のうちの少なくとも1つを含む)。いくつかの実施形態では、組成物は、ガム、好ましくはキサンタンを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ビタミン、好ましくはビタミンB1、ビタミンB12、又はビタミンDのうちの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、ミネラル、好ましくは鉄、亜鉛、又はマグネシウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0076】
[0084]いくつかの態様において、オートファジー誘導因子は、チモール、カルバクロール、カンナビジオール酸(CBDA)、スペルミジン、ウロリチン、ラパマイシン、バルプロ酸、ポリフェノール、カフェイン、メトホルミン、ケトン、パルミチン酸、1-[4-(4-プロパノイルピペラジン-1-イル)-3-(トリフルオロメチル)フェニル]-9-キノリン-3-イルベンゾ[h][1,6]-ナフチリジン-2-オン、5’AMP活性化タンパク質キナーゼ(AMPK)活性化因子、L型カルシウムチャネル阻害剤、5-アミノイミダゾール-4-カルボキサミドリボシド(AICAR)、ベラパミル、ニフェジピン、ジルチアゼム、ピペラジンフェノチアジン誘導体、1種類以上のオートファジー誘導アミノ酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0077】
[0085]好ましくは、組成物は、飲料、経口栄養補助食品(ONS)、及びコーヒークリーマーからなる群から選択される形態を有する。組成物はまた、動物摂取用であってもよい。
【0078】
[0086]非ヒト動物を対象とする組成物としては、動物の必要栄養量を補給する食品組成物、動物用トリート(例えば、ビスケット)、及び/又はダイエタリーサプリメントが挙げられる。組成物は、ドライ組成物(例えば、キブル)、セミモイスト組成物、ウェット組成物、又はそれらの任意の混合物であってよい。一実施形態では、組成物は、グレイビー、飲料水、飲料、ヨーグルト、粉末、顆粒、ペースト、懸濁液、噛むもの(chew)、一口で食べるもの(morsel)、トリート、スナック、ペレット、ピル、カプセル、錠剤、又は他の適切な送達形態のものなどのダイエタリーサプリメントである。一実施形態において、別の適切な送達形態としては、マクロカプセル充填又はマイクロカプセル充填による、組成物の活性原材料のうちの少なくとも1つのカプセルが挙げられる。マイクロカプセル充填は、例えば、マイクロカプセル、微粒子、マイクロスフェア、及びマイクロエマルジョンを包含する。化学的、物理化学的又は機械的方法を含むマクロカプセル充填及びマイクロカプセル充填の技術は、当技術分野で周知である。
【0079】
[0087]ダイエタリーサプリメントは、動物に投与する前に、水又は他の希釈剤と混合する必要がある場合があり、又は混合することができる。
【0080】
[0088]別の実施形態は、本明細書に開示される組成物のいずれかの単位剤形であって、当該単位剤形は、単位剤形が投与される個体の間欠絶食(IF)食を増強するのに有効な量のオートファジー誘導因子を含む。好ましくは、IF食の増強は、寿命、心血管代謝の健康、身体組成、細胞老化、細胞再生、ケトーシス、体重減量、血糖コントロール、血圧、満腹感、又は胃食道逆流症(GERD)の治療のうちの少なくとも1つの改善を含む、請求項9に記載の単位剤形である。
【0081】
[0089]別の実施形態は、間欠絶食(IF)食を増強する方法であって、IF食の前、最中及び/又は後に、本明細書に開示される組成物のいずれかを対象に投与する工程を含む、方法である。好ましくは、組成物は、少なくとも1週間、対象に毎日投与される。
【0082】
[0090]別の実施形態は、間欠絶食(IF)食の前、最中及び/又は後に投与するための組成物を作製する方法であって、オートファジー誘導因子を、中鎖トリグリセリド(MCT)、タンパク質、ガム、ビタミン、ミネラル、ナチュラルフレーバー、及び天然色素からなる群から選択される少なくとも1つの他の成分に添加する工程を含む、方法である。
【実施例
【0083】
[0091]
[0092]以下の非限定的な実施例は、本明細書に開示される1つ以上の実施形態の代表例である。
【0084】
[0093]固体寒天プレート上での蠕虫生存アッセイ
[0094]線虫(C.elegans)株を、大腸菌(E.coli)株OP50を播種した線虫増殖培地寒天プレート上で、20℃で培養した。チモールをDMSOに溶解し、プレートに注ぐ直前に、記載の濃度で添加した。蠕虫を、卵から死亡までの生涯にわたって化合物に曝露した。化合物への常時曝露を確保するために、プレートを週に2回交換した。対照集団は、対応する1%濃度のDMSOで処理した。寿命測定のために、成体期に到達し処理プレート上に産卵するまで親F0 L4蠕虫を成長させた。したがって、由来するF1蠕虫は、卵から死亡までの生涯にわたって化合物に曝露された。成体を、毎日手動で死亡又は生存としてスコア付けした。蠕虫は、自発的に動いておらず、かつ頭部への接触に応答しない場合に、死亡とみなされた。対照集団を、対応する1%濃度のDMSOで処理した。
【0085】
[0095]マイクロ流体中での蠕虫生存アッセイ
[0096]蠕虫懸濁液を、最初にマイクロ流体デバイスに注入する。試料注入のため適切な流量を単に選択することによって、成体の蠕虫のみを蠕虫培養チャンバ内に保持するように、デバイスの幾何形状を最適化する。チャンバ内の規定された蠕虫集団を単離した後、20℃の管理温度において、蠕虫を培養し、チモールでオンチップ処理する。蠕虫培養物は、大腸菌の灌流によってチャンバ内に維持される。マイクロ流体チップを、連続的にビデオを記録する(10時間毎に)カメラと組み合わせた倒立顕微鏡に組み込む。画像は、身体屈曲頻度(body bends frequency)、速度、身体の頭部、尾部、及び身体中央における運動の曲率及び振幅の読み出しなどの様々なパラメータによって縦断的に分析され、蠕虫の健康寿命(health span)及び活力に関する情報を自動的に提供する。
【0086】
[0098]本明細書で述べる現在の好ましい実施形態に対する様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなる点を理解されたい。そのような変更及び修正は、本主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、なされ得る。したがって、このような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって包含されることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0087】
図1】固体寒天プレート上での50μMの濃度のチモールによる蠕虫の処理が、寿命に対して有意な効果を有しないことを示す(n=60匹/群)。
図2】蠕虫をマイクロ流体中で処理したときに、50μMの濃度のチモールが寿命を延長させることを示す。P値は、ログランク検定を使用して計算されたビヒクルとの比較を表す。チモール単独(対照)は寿命を統計的に改善せず、寿命に対する効果は、蠕虫がIFを模倣する条件下にある場合に統計的に有意である。
図1
図2
【国際調査報告】