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特表2024-539869逆浸透を使用してリチウム化合物を生成するためのプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】逆浸透を使用してリチウム化合物を生成するためのプロセス
(51)【国際特許分類】
   C22B 26/12 20060101AFI20241024BHJP
   C22B 3/44 20060101ALI20241024BHJP
   C22B 3/22 20060101ALI20241024BHJP
   C22B 3/24 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 20/34 20060101ALI20241024BHJP
   B01D 15/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C22B26/12
C22B3/44 101Z
C22B3/22
C22B3/24
B01J20/34 G
B01D15/00 P
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522227
(86)(22)【出願日】2021-10-12
(85)【翻訳文提出日】2024-06-07
(86)【国際出願番号】 US2021054546
(87)【国際公開番号】W WO2023063928
(87)【国際公開日】2023-04-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523411547
【氏名又は名称】テラリチウム エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100196597
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 晃一
(72)【発明者】
【氏名】ハリスン,スティーヴン
(72)【発明者】
【氏名】ドハティ,ブライアン・ジェイ
【テーマコード(参考)】
4D017
4G066
4K001
【Fターム(参考)】
4D017AA01
4D017BA12
4D017CA04
4D017CA14
4D017DA01
4D017DB01
4D017EA05
4G066AA13B
4G066AA20B
4G066AA27B
4G066AA50B
4G066CA45
4G066DA07
4G066GA11
4K001AA34
4K001BA24
4K001DB16
4K001DB22
4K001DB36
(57)【要約】
リチウム含有溶液からリチウムを抽出する方法、ならびに得られた組成物を提供する。方法は、リチウム含有溶液をリチウム捕捉ステップに供給することを含み、リチウム捕捉ステップは、リチウム塩含有溶液からリチウムを捕捉するように作動可能である。方法は、リチウム捕捉ステップからリチウムを回収して、リチウムリッチ流を生成することを更に含む。特に好ましい方法では、リチウム捕捉ステップを実施して、リチウム対ナトリウム比を少なくとも1:1超に増加させる。任意選択的に、リチウムリッチ流は、精製されて、二価イオン及びボレートイオンを除去することができる。次いで、リチウムリッチ流は、リチウムリッチ流を逆浸透ステップに供給することによって濃縮されて、濃縮されたリチウムリッチ流を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リチウム含有溶液からリチウムを抽出する方法であって、
リチウム含有溶液を吸着剤材料と接触させて、リチウムを捕捉し、前記吸着剤の溶出液を生成することによって、リチウム捕捉ステップにおいて前記リチウム含有溶液を処理することと、
前記リチウム捕捉ステップにおいて前記溶出液からリチウムを回収して、リチウムリッチ流を生成することと、
逆浸透ステップにおいて前記リチウムリッチ流を処理することによって前記リチウムリッチ流を濃縮して、濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、
前記溶出液の少なくとも一部分を前記吸着剤に戻してリサイクルすることであって、前記溶出液の前記一部分が、ピークリチウム濃度の領域からの画分を含む、前記リサイクルすることと、を含む、前記方法。
【請求項2】
前記リチウムリッチ流が、二価イオン及びボレートイオンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記リチウムリッチ流を精製して、二価イオン及びボレートイオンを除去することを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記リチウム含有溶液を、前記リチウム含有溶液からシリカを除去し、かつシリカリーンリチウム溶液を生成するためのシリカ管理ステップにおいて処理し、その後前記シリカリーンリチウム溶液を前記リチウム捕捉ステップに供給することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記溶出液の前記一部分が、前記リチウム含有溶液と比較して、より高いリチウム対ナトリウム比を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
ピークリチウム濃度を有する前記領域が、最高濃度のリチウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記逆浸透ステップが、カスケード逆浸透システムである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記リチウム捕捉ステップの後に、前記リチウムリッチ流中のカルシウム、マグネシウム、マンガン、または亜鉛のうちの少なくとも1つの濃度を低下させるための精製ステップを更に含み、前記精製ステップが、
前記カルシウム、マグネシウム、マンガン、または亜鉛の少なくとも一部分が固体炭酸塩として沈殿するように、前記リチウムリッチ流を塩基またはカーボネートと接触させることと、
前記固体炭酸塩を精製されたリチウムリッチ流から分離することであって、前記精製されたリチウムリッチ流が、カルシウム、マグネシウム、マンガン、または亜鉛のうちの少なくとも1つのより低い濃度を有する、前記分離することと、を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記リチウム捕捉ステップの後に、前記リチウムリッチ流中のカルシウム、マグネシウム、マンガン、または亜鉛のうちの少なくとも1つの濃度を低下させるための精製ステップを更に含み、前記精製ステップが、
前記リチウムリッチ流を塩基及び/またはカーボネートと接触させることであって、前記カルシウム、マグネシウム、マンガン、または亜鉛の少なくとも一部分が、固体炭酸塩として沈殿する、前記接触させることと、
前記固体炭酸塩を精製されたリチウムリッチ流から分離することと、
得られた前記リチウム含有溶液をイオン選択媒体で処理して、微量濃度の二価イオン及びホウ素を更に除去することと、を含み、
前記精製されたリチウムリッチ流が、カルシウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、またはホウ素のうちの少なくとも1つのより低い濃度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記リチウム捕捉ステップが、リチウムを選択的に単離し、前記リチウム含有溶液中に存在する他のカチオンが共抽出されないことを実質的に可能にする、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記リチウム捕捉ステップが、リチウムの前記捕捉のためのリチウム吸着剤材料がリチウムで飽和するまで、前記リチウム含有溶液を、前記リチウム吸着剤材料と接触させて、飽和リチウム吸着剤材料を生成するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
リチウムを回収する前記ステップが、前記飽和したリチウム吸着剤材料を水でストリッピングして、前記リチウムリッチ流を生成することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記リチウム吸着剤材料が、インターカレーションされたリチウム吸着剤である、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記リチウム吸着剤材料と前記リチウム含有溶液とを接触させる前記ステップの間、温度が、約70℃を上回って維持される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記リチウム含有溶液を、シリカを除去し、かつシリカリーンリチウム溶液を生成するためのシリカ管理ステップにおいて処理し、その後前記シリカリーンリチウム溶液を前記リチウム捕捉ステップに供給することであって、前記リチウム捕捉ステップが前記シリカリーンリチウム含有溶液から前記リチウムを捕捉するように作動可能である、前記供給することと、
前記リチウム捕捉ステップからリチウムを回収して、リチウムリッチ流を生成することと、
逆浸透ステップを使用して、前記リチウムリッチ流を濃縮することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
リチウム含有溶液からリチウムを抽出する方法であって、
二価イオン及びボレートイオンを含む、リチウム含有溶液を提供することと、
前記リチウム含有溶液をリチウム捕捉ステップにおいて処理することであって、前記リチウム捕捉ステップが、前記リチウム含有溶液を吸着剤材料と接触させて、リチウムを捕捉することを含む、前記処理することと、
前記リチウム捕捉ステップからリチウムを回収して、リチウムリッチ流を生成することと、
前記リチウムリッチ流を精製して、二価イオン及びボレートイオンを除去することと、
逆浸透ステップにおいて前記リチウムリッチ流を処理することによって前記リチウムリッチ流を濃縮して、濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、
ナトリウム及びカリウムイオンを除去することによって、前記濃縮されたリチウムリッチ流を精製して、低減したナトリウム及びカリウムイオン濃度を有する濃縮されたリチウムリッチ溶液を生成し、前記吸着剤の溶出液の少なくとも一部分を前記吸着剤に戻してリサイクルすることと、を含む、前記方法。
【請求項17】
溶媒抽出による前記濃縮されたリチウムリッチ流の更なる濃縮を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
蒸発による前記濃縮されたリチウムリッチ流の更なる濃縮を更に含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記溶出液の前記一部分が、前記リチウム含有溶液と比較して、より高いリチウム対ナトリウム比を有する、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
リチウム含有溶液からリチウムを抽出する方法であって、
シリカ、二価イオン、及びボレートイオンを含むリチウム含有溶液を提供することと、
シリカ管理プロセスにおいて前記リチウム含有溶液を処理して、シリカリーンリチウム含有溶液を生成することと、
リチウム捕捉ステップにおいて前記シリカリーンリチウム含有溶液を処理することであって、前記リチウム捕捉ステップが、前記シリカリーンリチウム含有溶液を吸着剤と接触させることによって、前記シリカリーンリチウム含有溶液からリチウムを捕捉し、前記リチウム捕捉ステップにおいて前記吸着剤から得られた溶出液の少なくとも一部分が、前記吸着剤にリサイクルされて、リチウムリッチ流中のリチウム対ナトリウムの比を増加させる、前記処理することと、
前記リチウム捕捉ステップからリチウムを回収して、前記リチウムリッチ流を生成することと、
前記リチウムリッチ流を精製して、二価イオン及びボレートイオンを除去することと、
前記リチウムリッチ流を逆浸透ステップに供給することによって前記リチウムリッチ流を濃縮して、濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、
前記濃縮されたリチウムリッチ流を更に濃縮して、2倍濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、
ナトリウム及びカリウムイオンを除去することによって前記2倍濃縮されたリチウムリッチ流を精製して、低減したナトリウム及びカリウムイオン濃度を有する濃縮されたリチウムリッチ溶液を生成することと、を含む、前記方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、リチウム含有溶液からリチウムを回収する分野に関する。より詳細には、本開示は、様々なリチウム化合物の調製に関し、特に、逆浸透を使用する濃縮されたリチウム溶液の調製に関する。
【背景技術】
【0002】
ブラインは、ブラインの供給源に応じて、様々な金属イオン、特に、アルカリ金属及びアルカリ土類金属を様々な濃度で含むことができる。地熱ブラインは、様々な理由で特に関心が高い。まず、高温の地熱プールは高圧力で地下に貯蔵されるため、地熱ブラインは、エネルギー源を提供することができる。高温の地熱プールが大気圧に放出されるとき、フラッシュ蒸気を提供することができる。フラッシュ蒸気は、例えば、発電所を稼働させるために使用され得る。追加的に、地熱ブラインは、典型的には、リチウム、鉛、銀、及び亜鉛などの様々な有用な金属を含有し、これらの各々は、更なる使用のためにブラインから回収することができる。
【0003】
また、これらのブラインは、例えば、カルシウム及び塩化マグネシウムなどの臭素及び塩を抽出するために使用されるため、スマックオーバーブラインも関心の対象である。ブラインはまた、特定のウェルにおいて、例えば、最大100~400mg/kgの著しい濃度のリチウムを有する。ウェルは臭素生成に使用されるため、有用な化学物質は、以前に「採掘された」ブラインから抽出することができる。鉱石は硫酸で焼成され、生成物は水で浸出される可能性があるため、リチウムは鉱石から回収され得る。
【0004】
典型的には、天然の、主に塩化物の、ブライン(組成が大きく異なる場合がある)からのリチウムの経済的回収は、全体的なリチウム含有量だけでなく、干渉イオン、特に、カルシウム及びマグネシウムの濃度にも依存し、リチウム回収の性能及び経済性に大きな影響を与える可能性がある。マグネシウムは、溶液中のリチウムと化学的に類似しているため、除去が困難な場合がある。概して、低濃度では、マグネシウムは、炭酸マグネシウムとして石灰とともに沈殿させることによって除去され得る。しかしながら、より高いマグネシウム濃度では、石灰での除去は実現不可能である。
【0005】
鉱石及びブラインの従来の処理は、干渉イオンのいくつかの部分を除去することを可能にするが、炭酸リチウム及び他のリチウム化合物の生成のために、ブラインからの干渉イオンの簡素化された除去の必要性が残る。
【発明の概要】
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、様々な供給源からのリチウムの単離及び濃縮のためのシステム、デバイス、及び方法に関する。いくつかの実施形態では、リチウム含有溶液(例えば、地熱ブライン由来)は、シリカを低減するかまたは除去するために前処理され、次いで、逆浸透によって溶液を濃縮するのに好適なものにするために更に処理される。他の実施形態では、処理は、リチウムに優先的に結合するリチウム特異の吸着剤を利用し、他のイオン(例えば、ナトリウム、カルシウム、マンガン等)よりもリチウムイオンを著しくかつ特異的に濃縮するために、特定の充填、リサイクル、及び溶出プロファイルが用いられる。得られた溶液における浸透圧は、ほぼ完全にリチウムイオン濃度の関数であり、リチウムは、様々な様式で水酸化リチウムまたは炭酸リチウムに更に処理することができる。
【0007】
他の実施形態では、リチウム含有溶液からリチウムを抽出する方法は、リチウム含有溶液をリチウム捕捉ステップに供給することであって、リチウム捕捉ステップがリチウム塩含有溶液からリチウムを捕捉するように作動可能である、供給することと、リチウム捕捉ステップからリチウムを回収して、リチウムリッチ流を生成することと、任意選択的に、リチウムリッチ流を精製して、二価イオン及びボレートイオンを除去することと、リチウムリッチ流を逆浸透ステップに供給することによってリチウムリッチ流を濃縮して、濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、を含む。
【0008】
更に別の実施形態では、リチウム含有溶液からリチウムを抽出する方法は、リチウム含有溶液をリチウム捕捉ステップに供給することであって、リチウム捕捉ステップが、リチウム塩含有溶液からリチウムを捕捉するように作動可能である、供給することと、リチウム捕捉ステップからリチウムを回収して、リチウムリッチ流を生成することと、リチウムリッチ流を精製して、二価イオン及びボレートイオンを除去することと、リチウムリッチ流を逆浸透ステップに供給することによってリチウムリッチ流を濃縮して、濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、ナトリウム及びカリウムイオンを除去することによって濃縮されたリチウムリッチ流を精製して、低減されたナトリウム及びカリウムイオン濃度を有する濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、リチウム含有溶液からリチウムを抽出する方法は、リチウム及びシリカ含有溶液をシリカ管理プロセスに供給して、シリカリーンリチウム含有溶液を生成することと、シリカリーンリチウム含有溶液をリチウム捕捉ステップに供給することであって、リチウム捕捉ステップが、リチウム塩含有溶液からリチウムを捕捉するように作動可能であり、リチウム捕捉ステップにおいて吸着剤から得られた溶出液の少なくとも一部分が、吸着剤にリサイクルされて、リチウムリッチ流中のリチウム対ナトリウムの比を増加させる、供給することと、リチウム捕捉ステップからリチウムを回収して、リチウムリッチ流を生成することと、リチウムリッチ流を精製して、二価イオン及びボレートイオンを除去することと、リチウムリッチ流を逆浸透ステップに供給することによって、リチウムリッチ流を濃縮して、濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、濃縮されたリチウムリッチ流を更に濃縮して、2倍濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、ナトリウム及びカリウムイオンを除去することによって2倍濃縮されたリチウムリッチ流を精製して、低減されたナトリウム及びカリウムイオン濃度を有する濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、リチウム含有溶液からリチウムを抽出する方法は、リチウム含有溶液を吸着剤材料と接触させてリチウムを捕捉し、吸着剤の溶出液を生成することによって、リチウム含有溶液をリチウム捕捉ステップにおいて処理することと、リチウム捕捉ステップにおいて溶出液からリチウムを回収して、リチウムリッチ流を生成することと、リチウムリッチ流を逆浸透ステップにおいて処理することによってリチウムリッチ流を濃縮して、濃縮されたリチウムリッチ流を生成することと、溶出液の少なくとも一部分を吸着剤に戻してリサイクルすることであって、溶出液の一部分が、ピークリチウム濃度の領域からの画分を含む、リサイクルすることと、を含む。いくつかの態様では、濃縮されたリチウムリッチ流は、溶媒抽出によって更に濃縮される。
【0011】
特許または出願ファイルは、少なくとも1つのカラーで実行された図面を含む。カラー図面(複数可)を含む本特許または特許出願公開の複写は、要請かつ必要な料金の支払により特許庁より提供される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態による、地熱ブラインから水酸化リチウムを生成するための方法のフローチャートである。
図2】一実施形態による、地熱ブラインから炭酸リチウムを生成するための方法のフローチャートである。
図3】一実施形態による、水酸化リチウムを生成するプロセスにおけるリチウム捕捉ステップからの流れを濃縮するための方法のフローチャートである。
図4】一実施形態による、炭酸リチウムを生成するプロセスにおいて、逆浸透を使用して、リチウム捕捉ステップからの流れを濃縮する方法のフローチャートである。
図5】一実施形態による、地熱ブラインから炭酸リチウムを生成するためのシステムの概略図である。
図6】一実施形態による、地熱ブラインから炭酸リチウムを生成するためのシステムの第1の実施形態の概略図である。
図7】一実施形態による、地熱ブラインから炭酸リチウムを生成するためのシステムの第2の実施形態の概略図である。
図8】一実施形態による、地熱ブラインから炭酸リチウムを生成するためのシステムの第3の実施形態の概略図である。
図9】一実施形態による、吸着剤からのリチウムに関する例示的な一連の溶出プロファイルを示す。
図10】充填、洗浄、及びストリップサイクル中の吸着剤からのリチウム及び他のイオンに関する例示的な一連の溶出プロファイルを示す。
図11図10の一部分の分解図を示す。
図12】一実施形態による、充填、洗浄、及びストリップサイクル中の吸着剤からのリチウム及び他のイオンに関する例示的な一連の溶出プロファイルを示す。
図13図12の一部分の分解図を示す。
図14】一実施形態によるカラム中のリチウムを抽出するためのシステムを示す。
図15】一実施形態によるカラム中のリチウムを抽出するためのシステムを示す。
図16】一実施形態による、枯渇ブライン及びラグブラインにおけるリチウム及び他のイオンの例示的な濃度を示す。
図17】一実施形態による、リサイクル充填、リサイクルカット、生成物カット、及びリサイクルストリップにおけるリチウム及び他のイオンの例示的な一連の溶出プロファイルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概して、本開示は、リチウム塩含有ブラインから水酸化リチウム及び炭酸リチウムを生成するためのプロセスに関する。いくつかの実施形態では、プロセスは、選択的リチウム保持及び回収を可能にする吸着剤を介してリチウム(Li)を濃縮するステップ、ならびに逆浸透を介して回収されたリチウム生成物を濃縮する更なるステップを含む。
【0014】
本明細書において使用される際、ブラインという用語は、水中のアルカリ及び/またはアルカリ土類金属塩(複数可)の溶液を指し、塩の濃度は、微量から飽和点まで変化し得る。概して、本明細書に記載の方法に好適なブラインは、アルカリ金属またはアルカリ土類塩化物、臭化物、硫酸塩、水酸化物、硝酸塩など、ならびに天然ブラインを含み得る水溶液であり得る。ブラインは、天然源、例えば、チリブラインまたはソルトン湖地熱資源ブライン、地熱ブライン、海水、鉱物ブライン(例えば、塩化リチウムまたは塩化カリウムブライン)、アルカリ金属塩ブライン、及び工業用ブライン、例えば、鉱石浸出、選鉱などから回収された工業用ブラインから得ることができる。本方法は、人工的に調製されたリチウム塩溶液に等しく適用可能である。
【0015】
本開示を通して開示される方法ステップは、任意の特定の順序で提供されず、別途指定されない限り、交換可能に使用され得る。
【0016】
したがって、いくつかの実施形態では、本方法は、リチウムに加えて、他の様々な一価、二価、及び多価のカチオン(例えば、カリウム(K)、ナトリウム(Na)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)等)、ならびに様々な一価、二価、及び多価のアニオン(例えば、硫酸塩、塩化物、硝酸塩等)を含む溶液からの炭酸リチウムの調製及び回収を含む。
【0017】
ある特定の実施形態では、シリカは、リチウム塩含有溶液または地熱ブライン中に存在し得、本明細書に記載の方法で使用する前に、様々な既知の方法(例えば、米国特許第4,016,075号)によって除去され得る。このため、ある特定の実施形態では、本明細書に記載の炭酸リチウムの調製方法は、シリカ管理ステップを含み得る。
【0018】
以下の方法及び方法ステップは、特定の順序ではなく、連続していなくてもよい。
【0019】
図1は、一実施形態による、地熱ブラインから水酸化リチウムを生成するための方法のフローチャートを示す。方法100は、概して、以下のステップ:シリカ管理ステップ110、リチウム捕捉ステップ120(リチウム塩抽出ステップ)、任意選択的なリチウム含有溶液の濃縮ステップ130、水酸化リチウムの電気化学的生成ステップ140、蒸発/結晶化ステップ150、ならびに水酸化リチウムの単離及び乾燥ステップ160における、例えば、地熱ブラインなどのブラインを含有するリチウム塩を処理することを含む。本明細書において使用される際、「リチウム」という用語は、リチウムのイオン形態を指し、そのようなものとして、例えば、ハロゲン化リチウム、硫酸リチウム、及び硝酸リチウムなどのリチウム塩、またはそれらのいくつかの組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、リチウム塩は、塩化リチウムである。
【0020】
図2は、一実施形態による、地熱ブラインから炭酸リチウムを生成するための方法のフローチャートを示す。炭酸リチウムを生成するための方法200は、概して、以下のステップ:シリカ管理ステップ210、リチウム捕捉ステップ220(リチウム塩抽出ステップ)、水酸化リチウムの電気化学的生成ステップ240、水酸化リチウムの炭酸化ステップ250、及び炭酸リチウムの単離ステップ260において、例えば、地熱ブラインなどのブラインを含有するリチウム塩を処理するステップを含む。この方法200では、水酸化リチウムは、炭酸リチウムに変換される。
【0021】
いくつかの実施形態では、リチウム捕捉ステップ220の後、方法は、任意選択的に、リチウム含有溶液の濃縮ステップ230を含むことができる。方法200のいくつかのバージョンでは、任意選択的なステップ230の後で、リチウム含有溶液は、炭酸ナトリウムと反応して、炭酸リチウムを生成し得る。
【0022】
図3を参照すると、別の実施形態による、ブラインまたは他のリチウム含有溶液からのリチウムイオンの単離及び濃縮、ならびにそこからの任意選択的な炭酸リチウムの後続の生成のための方法300が提供される。ブラインは、シリカ管理ステップ310に供給され、ここでシリカは、ブラインから除去されて、シリカフリーブラインまたはリチウム含有溶液を生成する。シリカ管理ステップ310の後、リチウムイオンは、リチウム捕捉ステップ320においてシリカフリーブラインまたはリチウム含有溶液から除去されて、リチウムイオン含有溶液を形成する。リチウム捕捉ステップ320から生成されたリチウムイオン含有溶液は、逆浸透ステップ330を介して濃縮されて、濃縮されたリチウムイオン含有溶液を生成する。逆浸透ステップ330の後、リチウム含有溶液の任意選択的な更なる濃縮が存在し得、溶液が水酸化リチウムの電気化学的生成ステップ340に供給される前に、ナトリウム及びカリウムを除去する任意選択的な精製ステップが続く。
【0023】
塩化リチウム溶液からナトリウム及びカリウムを除去する方法は周知であり、米国特許第4,920,588号、Nakajima,Yasushi et al,“Sodium Selective Ion-Exchange Properties of Zirconium Phosphate,HZr(PO,and Its Application for the Removal of Sodium Ions,”Analytical Sciences Vol.12,December 1996,pp.935-940、及びSun,Jian-Zhi,“Synthesis and Absorption Properties of Novel Na Specific Sorbent,”Journal of Chilean Chemical Society v.53(4),2008 pp.1682-1683に記載されるものを含む。追加的に、水酸化リチウム一水和物の純度の向上は、吸着剤を用いてカリウム及びナトリウムの不純物を除去することによって行われ得る。
【0024】
任意選択的に、逆浸透ステップ330からの濃縮されたリチウムイオン含有溶液は、次いで追加のプロセスステップを通して供給されて、水酸化リチウムを生成することができる。この任意選択的なプロセスでは、逆浸透ステップ330からの濃縮されたリチウムイオン含有溶液は、水酸化リチウムの電気化学的生成ステップ340に供給されて、水酸化リチウム含有溶液を生成する。水酸化リチウム含有溶液は、任意選択的に、水酸化リチウム含有溶液から水を除去して、水酸化リチウムの少なくとも一部分を結晶化するための蒸発/結晶化ステップ350において処理することができる。任意選択的な水酸化リチウムの単離及び乾燥ステップ360において、水酸化リチウムは、単離され、回収され、及び乾燥される。
【0025】
任意選択的に、リチウム捕捉ステップ320からのリチウムイオン含有溶液はまた、逆浸透ステップ330の前にリチウムイオン含有溶液の精製ステップに供給され得るか、またはリチウムイオン含有溶液の精製は、逆浸透ステップ330の後に生じる可能性もある。この任意選択的なリチウムイオン含有溶液の精製は、二価イオン不純物の除去を含むことができる。リチウムイオン含有溶液の精製は、リチウム捕捉ステップ320からのリチウムイオン濃度に依存するため、任意選択である。リチウム捕捉ステップ320からのリチウムイオン含有溶液が逆浸透ステップ330に送るのに十分に純粋である場合、任意選択的な精製は、必ずしも必要ではない。
【0026】
図4を参照すると、別の実施形態による、ブラインまたは他のリチウム含有溶液からのリチウムイオンの単離及びそれからの炭酸リチウムの後続の生成のための方法400が提供される。ブラインは、シリカ管理ステップ410に供給され、ここでシリカは、ブラインから除去されて、シリカフリーブラインまたはリチウム含有溶液を生成する。次いで、シリカフリーブラインまたはリチウム含有溶液は、リチウム捕捉ステップ420において処理される。リチウム捕捉ステップ420において、リチウムイオンが、シリカフリーのブラインまたはリチウム含有溶液から除去されて、リチウムイオン含有溶液を得る。
【0027】
リチウム捕捉ステップ420から得られたリチウムイオン含有溶液は、炭酸リチウムを得るために更に任意選択的な処理を経ることができる。任意選択的な逆浸透ステップ430において、リチウムイオン含有溶液は、逆浸透を介して、濃縮されて、濃縮されたリチウムイオン含有溶液を生成することができる。任意選択的な水酸化リチウムの電気化学的生成ステップ440において、濃縮されたリチウムイオン含有溶液が、電気化学セルに供給されて、水酸化リチウムを生成する。次いで、水酸化リチウムは、水酸化リチウムの炭酸化ステップ450に供給され得、ここで水酸化リチウムは、炭酸リチウムに変換される。最後に、炭酸リチウム単離ステップ460において、炭酸リチウムは、単離され、回収される。
【0028】
図5を参照すると、一実施形態による、ブラインまたは他のリチウム含有溶液からのリチウムイオンの単離及び濃縮のための多段階プロセスが提供される。ブラインは、シリカ管理ステップ(図示せず)に供給され、ここでシリカは、ブラインから除去されて、シリカフリーブラインまたはリチウム含有溶液500を生成する。次いで、シリカフリーブラインまたはリチウム含有溶液500は、リチウム捕捉ステップ510に供給される。リチウム捕捉ステップ510において、リチウムイオンは、シリカフリーブラインまたはリチウム含有溶液500から除去されて、リチウムイオン含有溶液520を形成する。次いで、リチウム捕捉ステップ510からのリチウムイオン含有溶液520は、逆浸透ステップ530において濃縮されて、濃縮されたリチウムイオン含有溶液540を生成する。本質的に水を含む、逆浸透透過物(ライン505)は、水の蒸発に起因する塩化リチウムの濃縮によって生成される凝縮物流(ライン590)としてリチウム抽出に戻ってリサイクルされる。ライン600は、濃縮された塩化リチウム流を表す。
【0029】
濃縮されたリチウムイオン含有溶液540は、任意選択的に、更なる処理を経ることができる。任意選択的な水酸化リチウムの電気化学的生成ステップにおいて、濃縮されたリチウムイオン含有溶液540が、電気化学セルに供給されて、水酸化リチウムを生成する。水酸化リチウムは、任意選択的な水酸化リチウムの炭酸化ステップに供給され得、ここで水酸化リチウムは、炭酸リチウムに変換される。任意選択的なリチウム炭酸化単離ステップにおいて、炭酸リチウムは、単離され、回収される。リチウム捕捉ステップからのリチウムイオン含有溶液はまた、逆浸透ステップ530(図示せず)の前に、任意選択的なリチウムイオン含有溶液の精製ステップに供給することもでき、またはリチウムイオン含有溶液の精製ステップ550は、逆浸透ステップ530の後に生じる可能性もある。
【0030】
この任意選択的なリチウムイオン含有溶液の精製ステップ550は、二価イオン不純物580の除去を含むことができる。リチウムイオン含有溶液の精製は、リチウム捕捉ステップ510からのリチウムイオン濃度に依存するため、任意選択である。リチウム捕捉ステップ510からのリチウムイオン含有溶液520が、逆浸透ステップ530に送るのに十分に純粋である場合、任意選択的な精製ステップ550は、必ずしも必要ではない。任意選択的な精製ステップ550の後、精製されたリチウムイオン含有溶液560は、任意選択的な更なるリチウム含有溶液の濃縮570を経ることができ、溶液が水酸化リチウムの電気化学的生成に供給される前に、ナトリウム及びカリウムを除去する任意選択的な精製ステップが続く。
【0031】
図6を参照すると、本方法の一実施形態では、リチウム塩含有溶液610が提供される。上述のように、リチウム塩含有溶液610は、地熱ブラインを含む様々な供給源から得ることができる。リチウム塩含有溶液は、リチウム塩含有溶液610中に存在し得るシリカの量を著しく低減させるように作動し、そのためシリケート沈殿物616及びシリカリーンリチウム塩含有溶液614が生成される、シリカ管理プロセス612に供給される。好ましくは、シリカ管理プロセス612の後、シリカリーンリチウム塩含有溶液614中のシリカ濃度は、約150ppm未満であり、より好ましくは、濃度は、約100ppm未満であり、更により好ましくは、濃度は、約50ppm未満であり、更により好ましくは、濃度は、約25ppm未満である。ある特定の実施形態では、シリカリーンリチウム塩含有溶液614中のシリカの濃度は、約20ppm未満、約10ppm未満、または更に約5ppm未満である。シリカ管理プロセス612は、シリカを含まないブライン、または実質的に低い初期シリカ濃度を有するブラインに関して、プロセスから省略されるかまたは置き換えられ得ることを理解されたい。
【0032】
ある特定の実施形態では、シリカ管理プロセス612は、リチウム塩含有溶液610を活性アルミナと接触させて、存在するシリカの少なくとも一部分を除去するステップを含むことができる。結合したシリカを含むアルミナは、アルミナを水酸化ナトリウムと接触させることによって再生することができる。代替的に、リチウム塩含有溶液は、ブラインと接触させると水酸化アルミニウムに変換される、塩化アルミニウムと接触させることができ、リチウム塩含有流中に存在するシリカを沈殿させるために使用することができる。更なる実施形態では、特定のリチウム含有ブライン中に存在し得る鉄(II)は、空気、次亜塩素酸塩、過酸化水素、酸素、オゾン、または同様の酸化剤などの酸化剤で酸化して、塩化鉄(III)を生成することができ、塩化鉄(III)は、pHを約2.5~3.5の初期pHから約5を上回るような調節後、水酸化鉄を沈殿させる。水酸化鉄は、リチウム含有ブラインからシリカを吸着することができる。好ましい実施形態では、pHは、シリカ及び鉄の沈殿を誘導するために、約5~6に調節される。代替的な実施形態では、pHは、シリカ及び鉄の沈殿を誘導するために、少なくとも約4.5を上回るように調節される。ある特定の実施形態では、リチウム含有ブライン中に存在する他のイオン種の沈殿を防止するために、pHが約6を上回って増加しないことが好ましい。更に別の実施形態では、鉄(II)は、塩化リチウム含有溶液に添加され、既知の手段によって、例えば、鉄(II)を空気、酸素、オゾン、次亜塩素酸塩、過酸化水素、または他の好適な酸化剤などの酸化剤と接触させることによって、鉄(III)に酸化させることができる。塩化リチウム含有溶液中に存在するシリカを鉄(III)化合物と接触させることは、石灰または同様の塩基の添加で、pHが約4.5~6に調節されるとき、沈殿物を形成する。好ましい実施形態では、pHは、約5~約6に調節される。代替的な実施形態では、シリカ及び鉄が沈殿するために、pHは、少なくとも約4.5を上回るように調節される必要がある。ある特定の実施形態では、他のイオン種の沈殿を防止するために、pHが約6を上回って増加しないことが好ましい。
【0033】
加えて、シリカ管理プロセス612は、リチウムの初期濃度を同時に維持しながら、搬送流中に存在するシリカの一部分を除去するための任意の既知の手段を含むことができる。一実施形態では、塩化リチウム含有溶液610は、塩化アルミニウム、塩化鉄、水酸化アルミニウムなどと接触させて、二酸化ケイ素を有する沈殿物を形成することができる。接触は、混合デバイスなどの既知の手段によって促進され得る。塩化リチウム含有溶液610から除去された固体シリカ沈殿物616は、収集され、スクリーニングまたは濾過などの既知の手段によって、混合デバイス(または他のデバイス)から除去されて、シリカを実質的に含まない塩化リチウム含有流614を産生することができる。
【0034】
様々な膜が、リチウム含有溶液614から特定の望ましくないイオンを選択的に除去するために使用され得る。
【0035】
(SiOとして測定される)シリカを実質的に含まないシリカリーン塩化リチウム含有流614は、リチウム捕捉(またはリチウム抽出)ステップ618に供給され得る。ある特定の実施形態では、シリカリーン塩化リチウム含有流614は、選択的な分子篩、膜、または他の同様の材料の使用を通じて、カルシウム、マグネシウム、及び/またはナトリウムなどの他のイオンが廃水流622とともに通過することを同時に可能にしながら、シリカリーン塩化リチウム含有溶液から塩化リチウムを吸収し、かつ単離するように構成され得る、少なくとも1つのインターカレーションされたリチウム吸着剤カラムを含むリチウム捕捉プロセス618に供給され得る。2つ以上のインターカレーションされたリチウム吸着剤カラムを含む実施形態では、リチウムの大半は、第1のインターカレーションされたリチウム吸着剤カラムにおいて除去され、任意の後続の「研磨する」インターカレーションされたリチウム吸着剤カラムを使用して、回収プロセス中の全体的なリチウム損失を最小限に抑えることができる。
【0036】
ある特定の実施形態では、インターカレーションされたリチウム吸着剤カラムは、以下のように作動し得る。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、800μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、700μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、600μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、500μm未満の平均直径を有する。400μm未満の平均直径を有するリチウムアルミナインターカレート粒子。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、300μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、200μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、100μm未満の平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約100~150μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約150~200μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約200~250μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約250~300μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約300~350μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約350~400μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約400~450μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約450~500μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約500~550μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約550~600μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約600~650μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約650~700μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約700~750μmの平均直径を有する。いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約750~800μmの平均直径を有する。ある特定の実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約200~800μmの平均直径を有する。代替的に、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約300~500μm、代替的に、約400~700μm、代替的に、約350~650μmの平均直径を有する。
【0037】
いくつかの実施形態では、リチウムアルミナインターカレート粒子は、約400ミクロン未満の粒径を有するカラムに添加することができる。カラムは、被覆され、断熱され得るか、またはカラムに加熱もしくは冷却を提供する手段を含み得る。カラムは、抽出媒体のための液体及び支持体を分配する方法を含み得、およそ25~50μmの孔径を有するフリット端部を含み得るが、グラスウールまたは穿孔プレートの支持体、及びフラクタル流体分配器などの他の同様の手段もまた、フリット端部の代わりに使用することができる。いくつかの実施形態では、カラムの作動温度は、室温(20℃)より高い温度で維持することができ、好ましくは、約70℃を上回る温度、より好ましくは、約95℃~約110℃の温度で維持される。
【0038】
カラムは、およそ1000ppmの塩化リチウム(または他のリチウム塩)を含む、少なくとも約1ベッド体積、好ましくは、約2ベッド体積の脱イオンされたストリップ水20を、およそ1~4ベッド体積/時、好ましくは、約1.5~2.5ベッド体積/時の流量で循環させることによって、最初の使用前に湿潤状態に維持され、取り外される。次いで、カラムを、およそ200ppmの塩化リチウムを含有するおよそ1ベッド体積の飽和した塩化ナトリウム溶液と接触させ、次いで作動させる。
【0039】
いくつかの実施形態では、カラムの充填中(すなわち、所望のリチウム塩を捕捉するステップ中)、塩化リチウム(または他のリチウム塩)を含有する高イオン強度溶液614が、リチウム捕捉プロセス618に供給され、廃水流622における流出物のリチウム濃度が測定されて、カラムが塩化リチウムで飽和するポイントが判定される。リチウムイオン捕捉ステップ中、廃水流622におけるリチウム濃度は、例えば、およそ0~100ppmと、かなり一定であり、相対的に低いままである。この時点で、リチウム捕捉プロセス618は、リチウムイオンで飽和点に達するか、または飽和点に近づくが、しかしながら、流出物中のリチウムの濃度が増加し、このためカラムが追加のリチウムイオンに対する容量をほとんどまたは全く有しないことを示す。この飽和点に達すると、塩化リチウムを含む溶液のリチウム捕捉プロセス618への流れが停止され、カラムは、約1~5ベッド体積の脱イオン水、好ましくは、約1~2.5ベッド体積、最も好ましくは、約1~1.5ベッド体積で面一となり、塩化リチウムリッチ流624を生成する。装置は、カラムへのリチウム含有溶液またはストリップ溶液の流れを制御するための様々なバルブ及び制御デバイスを含むことができることを理解されたい。
【0040】
ある特定の実施形態では、カラムの充填後、捕捉された塩化リチウム(または他のリチウム塩)の収集の前に、カラムは、約200ppmの塩化リチウムを含む、約1ベッド体積の26%飽和した塩化ナトリウム溶液で面一となり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、塩化リチウムを単離する、リチウム捕捉プロセス618中に、リチウム含有搬送流から塩化リチウム(または他のリチウム塩)を除去した後、インターカレーションされたリチウム吸着剤カラムが、再生され、そこから塩化リチウムを回収することができる。具体的には、少なくとも約0.5当量のストリップ水620が、リチウム捕捉プロセス618において使用されるカラム(複数可)に供給されて、吸収された塩化リチウムを除去し、塩化リチウムリッチ溶液624を生成し得る。ある特定の実施形態では、約1~2当量のストリップ水620、またはそれ以上の当量が、カラムの再生中に使用されてもよい。好ましい実施形態では、ストリップ水は、カラムの再生のためのリチウムイオンを含み得る。任意選択的に、アルコール及び水/アルコール混合物などの低イオン強度液体が、カラムを再生するために使用され得る。概して、カラムからの塩化リチウム回収から利用される水の量は、抽出媒体の容量に影響を与えることなく、リチウム含有量を最大化するために生成物流をリサイクルすることによって最小限に抑えられる。この関連において、カラムを出る(典型的には、リチウムで濃縮された)ストリップ溶液はまた、本明細書において溶出液とも称されることに留意されたい。
【0042】
塩化リチウムリッチ流624は、塩化リチウムリッチ流624の総重量に基づいて、約1重量%~6重量%、好ましくは、約1重量%超、より好ましくは、約3重量%超のリチウム濃度を有し得る。代替的な実施形態では、塩化リチウムリッチ流624は、約0.5重量%超のリチウム濃度を有し得る。塩化リチウムリッチ流624は、蒸発、逆浸透、溶媒抽出、またはこれらのプロセスの組み合わせを含む様々な手段によるリチウム濃縮626を経て、濃縮された塩化リチウム流630の総重量に基づいて、10重量%~42重量%の範囲内にあるリチウムを有する濃縮された塩化リチウム流630を生成することができる。好ましい実施形態では、濃縮された塩化リチウム流630は、濃縮された塩化リチウム流630の総重量に基づいて、少なくとも20重量%、より好ましくは、30重量%、更により好ましくは、42重量%のリチウム濃度を有する。ほとんどの場合、濃縮された塩化リチウム流630中のナトリウム及びカリウムの濃度は、流れ630の1重量%未満である。
【0043】
ある特定の実施形態では、塩化リチウムリッチ流624及び/または濃縮された塩化リチウム流630は、電気分解プロセス632に提供される前に、任意選択的に、精製または濃縮ステップを経ることができる。任意選択的に、精製ステップは、塩化リチウム(または他のリチウム塩)リッチ流624及び/または濃縮された塩化リチウム流630内に存在し得る、カルシウム、マグネシウム、または亜鉛及びマンガンなどの他の二価イオンを除去するために用いられ得る。カルシウム、マグネシウム、及び/または他のアルカリ土類金属の除去は、pHを増加させ、イオン交換で溶液を処理することによって、好ましくは、選択的キレート化イオン交換樹脂を使用することによって、または石灰、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの塩基の添加によって、及び/またはマグネシウム及び水酸化鉄、ならびに炭酸カルシウムを沈殿させることができる炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、もしくは他の好適なカーボネートの添加によって、などの既知の手段によって達成することができる。代替的な実施形態では、イオン交換手段を用いて、カルシウム、マグネシウム、及び/または他のアルカリ土類金属の除去を促進することができる。水酸化ナトリウム及びアルカリ金属の他の水酸化物などの他の塩基もまた使用することができる。ある特定のブラインでは、この時点で、沈殿、溶媒抽出、またはイオン交換によるなどの既知の手段によって生成物流からホウ素を除去することが有益であり得る。地熱ブラインを含むブラインからの塩化リチウム(または他のリチウム塩)の単離及び精製のための方法は、例えば、米国特許第9,012,357号、同第8,901,032号、同第8,753,594号、同第8,637,428号、同第6,280,693号、同第4,348,295号、及び同第4,461,714号、ならびに米国特許出願公開第2014/0239224号及び同第2018/0056283号に記載されるように、当該技術分野で既知であり、これらは各々、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。マグネシウムイオンの除去に焦点を当てたものなどのいくつかの実施形態では、二価イオンの除去ステップは、塩化リチウムリッチ流624で生じるはずである。
【0044】
リチウム抽出のための代替的な吸着剤材料はまた、リチウム回収の性能を高めるために逆浸透と組み合わせることができる。いくつかの実施形態では、吸着剤材料は、酸化リチウム、コバルト酸リチウム、リン酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リチウムフルオロホスフェート、リチウムバナジウムフルオロホスフェート、リチウムマンガンコバルトニッケル酸化物、リチウムアルミナ、活性アルミナ、ベーマイト、コバルトニッケル酸化物、チタン酸リチウム、リチウムマンガン酸化物、またはそれらの混合物を含み得る。吸着剤材料は、様々な形態(例えば、粉末)で提供され得る。いくつかの実施形態では、吸着剤組成物(例えば、活性アルミナリチウムインターカレート吸着剤)に基づくマトリックスは、吸着剤材料をポリマー、プラスチック、または他の有機もしくは無機結合剤材料と混合することによって調製することができる。
【0045】
この任意選択的な精製塩化リチウムリッチ流624及び/または濃縮された塩化リチウム流630は、濃縮された塩化リチウム流630が電気化学セル632に供給される前のナトリウム及びカリウムの除去を含むことができる。
【0046】
ある特定の実施形態では、プロセスは、任意選択的に、濃縮された塩化リチウム溶液630またはブラインを電気化学セル632に供給するステップの前に、1つ以上のフィルタまたは分離精製ステップ(複数可)を含むことができる。
【0047】
任意選択的に、プロセスは、塩化リチウム流の濃度を増加させるためのステップを含むことができる。具体的には、リチウム濃縮ステップ626は、例えば、蒸発によって、塩化リチウム流中の水の一部分を除去するために利用され得、それによって、より濃縮された塩化リチウム(または他のリチウム塩)溶液630を生成する。例示的な濃縮方法は、溶媒抽出、電気透析、蒸気蒸発、または太陽蒸発を含むことができる。更なる実施形態では、リチウム濃度は、逆浸透によるものである。かかる方法では、逆浸透装置は、塩化リチウムリッチ流624を供給される。いくつかの実施形態では、逆浸透装置に供給される塩化リチウムリッチ流は、少なくとも1重量%の塩化リチウムを有する。いくつかの実施形態では、逆浸透装置に供給される塩化リチウムリッチ流は、少なくとも2重量%の塩化リチウムを有する。更なる実施形態では、塩化リチウムリッチ流は、1000mg/kg以下の塩化ナトリウムを有する。更なる実施形態では、塩化リチウムリッチ流は、100mg/kg以下のカルシウム当量を有する。カルシウム当量には、カルシウム、マンガン、マグネシウム、ストロンチウム、及びバリウムなどの二価カチオンが含まれる。ナトリウム当量には、ナトリウム及びカリウムが含まれる。当量を計算するために、成分の分子量を算定した。例えば、マンガンのカルシウム当量を計算するために、マンガンの濃度を、マンガンの分子量で除算した後、カルシウムの分子量で乗算した。
【0048】
更なる実施形態では、塩化リチウムリッチ流は、30mg/kg以下のホウ素を有する。更なる実施形態では、逆浸透装置はまた、リチウム吸着剤カラムからのストリップ水流、または枯渇ブラインからのストリップ水流のいずれかからのリサイクル流を供給される。
【0049】
更なる実施形態では、リチウム捕捉プロセスは、リチウム吸着剤材料がリチウムで飽和するまで、リチウムの捕捉のためのリチウム吸着剤材料にシリカリーン塩化リチウムを供給して、飽和したリチウム吸着剤材料を生成するステップを含む。いくつかの実施形態では、リチウム吸着剤材料は、インターカレーションされたリチウム吸着剤である。更なる実施形態では、回収リチウム塩ステップは、飽和したリチウム吸着剤材料を水でストリッピングして、リチウムリッチ流を生成することを含む。いくつかの実施形態では、飽和したリチウム吸着剤材料は、約1~4ベッド体積の水でストリッピングされる。いくつかの実施形態では、飽和したリチウム吸着剤材料は、約1~3ベッド体積の水でストリッピングされる。いくつかの実施形態では、飽和したリチウム吸着剤材料は、約1~2ベッド体積の水でストリッピングされる。いくつかの実施形態では、水は、精製水である。いくつかの実施形態では、水は、脱イオン水である。いくつかの実施形態では、水は、塩化リチウム濃縮ステップなどの下流プロセスからリサイクルされる。
【0050】
いくつかの実施形態では、塩化リチウム溶液から除去された水628は、例えば、蒸発及び後続の濃縮によって回収され、リチウム捕捉ステップ618のインターカレーションされたリチウム吸着剤カラム(複数可)に再供給され得るか、または水の供給を必要とするこのプロセスもしくは関連するプロセスにおける任意の他のステップに供給され得る。代替的に、水628は、地熱ウェルに供給され得る。濃縮ステップを用いる実施形態では、濃縮された塩化リチウムリッチ溶液630の全体的な濃度は、25重量%超の塩化リチウム、好ましくは、最大約40重量%の塩化リチウムに増加させることができる。
【0051】
濃縮された塩化リチウムリッチ溶液630は、水酸化リチウムの電気化学的調製のために、少なくとも1つのアノード、1つのカソード、及び透過性膜を含む電気化学的セル632に供給され得る。大規模生成に好適な電気化学セルは、2~3例を挙げると、Ineos、DeNora、Chlorine Engineers、及びAsahi Glassなどの企業から市販されている。具体的には、塩化物イオンは、アノードで塩素(Cl)に酸化され、水は、カソードで水酸化物イオン及び水素ガスに還元される。好ましくは、濃縮された塩化リチウムリッチ溶液630は、他のイオン、特に電気化学反応を妨げる可能性のあるイオンを実質的に含まない。任意選択的に、塩化リチウムリッチ流は、塩化リチウムリッチ流が非リチウムイオン、特に、電気化学反応を妨害し得る非リチウムイオン、例えば、シリカ、カルシウム、及びマグネシウムを実質的に含まないことを条件に、シリカ管理及びリチウムイオン隔離ステップに最初に供されることなく、電気化学反応に直接供給され得る。ある特定の実施形態では、濃縮された塩化リチウムリッチ溶液630中のナトリウム及び/またはカリウムイオンの濃度は、約5重量%未満、好ましくは、約3重量%未満、更により好ましくは、1%未満である。カルシウム、マグネシウムなどのカチオンは、全てが存在する場合、好ましくは、約20重量ppb未満、より好ましくは、約10重量ppb未満、更により好ましくは、約5重量ppb未満の総濃度を有する。より高い干渉イオンの濃度が、必ずしも電気化学セルの作動を妨げるわけではなく、代わりに、セル成分、特に膜の全体的な寿命、及び/または水酸化リチウム溶液の生成の全体的な有効性を低減させる可能性がある。
【0052】
非リチウム干渉カチオンの存在に関して上述したものと同様に、電気化学セル632は、好ましくは、約5重量%未満、好ましくは、約3重量%未満、更により好ましくは、約1重量%未満の総非塩化物アニオン含有量を有する。
【0053】
電気化学セル632のカソードは、ニッケル、触媒ニッケル、ステンレス鋼、コーティングされたステンレス鋼、軟鋼などを含む任意の好適な材料であり得る。他の例示的な触媒としては、混合されたルテニウム及びニッケル化合物、白金、ならびに潜在的に低い水素を有する他の同様の化合物を挙げることができる。カソードの総面積は、反応器のサイズ及び所望の生産量に基づいて、調節することができる。電気化学セル632に搬送されるカソード液は、電流を運ぶのに十分なイオンを有する任意の好適な材料であり得る。水が用いられてもよく、ある特定の実施形態では、水への炭酸リチウムまたは水酸化リチウムの添加は、セルの作動に有益であり得る。
【0054】
電気化学セル632のアノードは、酸化ルテニウムでコーティングされたチタンメッシュ、白金、炭素などでコーティングされたチタンメッシュなどの任意の好適な材料であり得る。好ましくは、アノードは、寸法安定性アノードであり、電力消費の低減を可能にする。チタンまたは同様の耐食性金属アノード上の寸法安定性ルテニウム-イリジウム酸化物は、チタン基板が耐食性であるため、塩素環境に特に適している。いくつかの実施形態では、アノードは、酸化ルテニウム、白金、または炭素で多くコーティングされたものから選択される寸法安定性アノードである。アノードの総面積は、反応器のサイズ及び所望の生産量に基づいて、調節することができる。電気化学セル632のアノード液は、約1重量%~飽和、好ましくは、5重量%~40重量%、より好ましくは、約10重量%~35重量%、最も好ましくは、15重量%~25重量%の濃度を有する塩化リチウム溶液を含む、任意の好適な材料であり得る。
【0055】
電気化学セル632の構築のための材料は、塩素、活性塩素、酸素化塩素種、ならびにアノード液側のブライン溶液及びカソード側の水酸化リチウムに存在し得る他の溶解種に対して化学的に耐性のある任意の材料であり得る。電気化学セル632の構築のための例示的な材料としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、HALAR(エチレン及びクロロトリフルオロエチレン(CTFE)の交互のコポリマー)、ならびに他のフッ素化または部分的にフッ素化された材料が挙げられる。
【0056】
電気化学セル632の膜は、カチオンを選択的に通過させ、アニオンの通過を阻害する任意の好適な半透過性カチオン選択膜であり得る。かかる膜は、当該技術分野において既知である。1つの例示的な膜は、Nafion(登録商標)(E.I.DuPont de Nemours&Co.(登録商標))、特にNafion(登録商標)300、400、及び900/9000シリーズの材料である。他の好適な膜は、Flemion(登録商標)によって供給され得るが、任意の好適な膜材料は、その材料が塩素及び水酸化リチウムの両方に化学的に耐性である場合に使用され得る。膜は、電気分解されるアノード液とカソード液との間に配置され得る。
【0057】
電気化学セル632の作動中、約500~10,000A/mの電流密度は、約1.5~5ボルトの電圧で印加され得る。いくつかの実施形態では、約2000~7000A/mの電流密度が適用される。更なる実施形態では、約2000~4000A/mの電流密度が適用される。
【0058】
電気化学セル632は、約60℃~100℃、好ましくは、約70℃~95℃、より好ましくは、約80℃~90℃の温度で作動し得る。セル632は、大気圧で、または大気圧をわずかに上回って作動させることができる。
【0059】
電気化学セル632の作動は、溶液中で水酸化リチウムを生成し、また、それぞれ、ライン634及び636を介して電気化学セルから除去することができる塩素及び水素ガスを生成物ごとに放出する。
【0060】
電気化学セル632の電流効率は、いくつかの方法で説明することができ、水酸化リチウムの生成のために、少なくとも約60%、好ましくは、少なくとも約70%、より好ましくは、少なくとも約80%、より好ましくは、少なくとも約90%、より好ましくは、少なくとも約95%、更により好ましくは、最大約99.9%である。電気分解は、水酸化リチウム含有量が約17重量%に達するまで連続的に作動され得、そのとき、水酸化リチウム溶液は、除去され、炭酸化反応器に供給され得る。約17重量%超の水酸化リチウム濃度では、溶液中の水酸化リチウム一水和物が沈殿し始めることができる。電気化学セル632はまた、より低い濃度の水酸化リチウム溶液を生成するように設計された条件下で作動することができ、より低い濃度の水酸化リチウム溶液は、炭酸化反応器との間でリサイクルされ得る。ある特定の実施形態では、電気化学セル632はまた、水、低濃度水酸化リチウム、低濃度炭酸リチウム、またはそれらの組み合わせをセルに供給するための搬送ライン(図示せず)を含むことができる。作動条件の好ましい範囲は、水酸化リチウムとして2~1重量%、及び最も好ましくは、3~8重量%の範囲内にある。
【0061】
塩化リチウムリッチ流624及び/または濃縮された塩化リチウム流630が電気化学セル632内で処理された後、水酸化リチウム溶液636は、電気化学セル632から炭酸化反応器/吸収器638に供給され、例えば、上向きに、二酸化炭素ガス644と接触させることができる。炭酸化反応器/吸収器638は、水酸化リチウム636が反応器の頂部に供給され、反応器を通って下向きに流れ、それによって、炭酸化反応器/吸収器638の底部付近に導入され得る、上向きの二酸化炭素ガス644に接触することを可能にするように設計された一連のトレイまたは他の同様の手段を含むことができる。代替的な実施形態では、炭酸化反応器/吸収器638は、液体及びガスの効率的な混合を促進するように設計された様々な混合手段を含むことができる。任意選択的に、炭酸化反応器/吸収器638は、サーモスタット加熱を有するジャケット付きバッチ反応器であり得る。この反応は、炭酸リチウムの固体を生成する。炭酸リチウムスラリーの濃度は、好ましくは、少なくとも約1.5重量%の炭酸リチウム、より好ましくは、少なくとも約6重量%の炭酸リチウムである。二酸化炭素は、捕捉され、ライン642を介して炭酸化反応器/吸収器638にリサイクルすることができる。
【0062】
ある特定の実施形態では、炭酸リチウムは、塩化リチウムと水中の炭酸ナトリウムとの反応によって生成することができ、混合物は、撹拌しながら、好ましくは、約90℃~95℃の温度まで加熱される。この反応は、固体炭酸リチウム及び塩化ナトリウム溶液を生成し、塩化ナトリウム溶液は、所望の炭酸リチウムの固体から濾過することによって分離することができる。
【0063】
ある特定の実施形態では、プロセスの生成物は、塩化リチウムの濃縮された溶液であり、これは、シリカ管理プロセス612、リチウム捕捉プロセス618、及びリチウム濃縮626に従って生成される。生成される溶液は、30重量%~42重量%、好ましくは、約36重量%の塩化リチウムの濃度を有することが好ましい。この塩化リチウムは、更に濃縮されて、当該技術分野で既知の蒸発プロセスによって結晶性塩化リチウムを生成することができる。
【0064】
炭酸リチウム含有スラリー640は、フィルタ646に供給することができ、フィルタ646は、炭酸リチウム含有スラリー640を、任意選択的にフィルタ646に再供給され得る水流652、及び固体炭酸リチウム生成物650に分離するように作動可能である。フィルタ646は、例えば、一連のスクリーンまたはフィルタ及び水供給648を含むことができる。任意選択的に、水は、ライン652を介してプロセスにリサイクルされ得る。任意選択的に、炭酸リチウムは、遠心分離またはデカンテーション増粘によって、炭酸リチウム含有スラリー640から濃縮することができる。フィルタ646を介した炭酸リチウム含有スラリー640からの固体の分離中に収集された水は、電気化学セル632に供給され得るか、任意選択的な精製ステップにリサイクルされ得るか、または更にpHを増加させるための塩基としてシリカ管理612に戻って添加され得る。ある特定の実施形態では、炭酸リチウムの固体は、バンドまたはベルトフィルタ上に保持され、洗浄ステップに供給されてもよく、好ましくは、約90℃~95℃の温度を有する高温水を使用して、固体を洗浄する。ある特定の実施形態では、フィルタ646を介して収集された水溶液は、約9超のpHを有し得、おそらく約10~12のpHを有する。代替的に、十分な酸は、水溶液に添加されて、約5~8.5のpHを達成することができ、酸性化された水は、次いで、インターカレーションされたリチウム吸着剤カラム(複数可)に供給することができる。代替的に、溶液は、事前に中和することなく、電解セルのカソード側に直接戻すことができる。なお更なるリサイクルの可能性は、イオン交換プロセスの再生においてストリップ水を使用して、塩化リチウム流を精製することを含む。
【0065】
いくつかの実施形態では、固体炭酸リチウム650は、任意選択的に、加熱手段、ならびに窒素または他の不活性ガスを乾燥機に供給するためのラインを含むことができる乾燥ステーション654に供給される。次いで、乾燥した炭酸リチウム生成物656が回収され、包装され、更なる使用のために輸送され得る。
【0066】
ここで図7を参照すると、炭酸リチウムの生成のための別の実施形態が提供される。いくつかの実施形態では、塩化リチウム流730は、上で説明されたプロセスによって、及び図6に示されるように提供される。他の実施形態では、塩化ナトリウム流760は、上で説明されたように電気化学セル732に提供される。次いで、塩化ナトリウム流760は、電気分解に供されて、水酸化ナトリウム流762、及び塩素ガス流764、及び水素ガス流765を生成する。塩化ナトリウムの電気分解による水酸化ナトリウムの生成のための反応条件は、当該技術分野で既知である。
【0067】
ある特定の実施形態では、塩化ナトリウムの電気分解による水酸化ナトリウムの生成の効率は、少なくとも約70%、代替的に、少なくとも約80%、代替的に、少なくとも約90%、または代替的に、少なくとも約95%である。ある特定の実施形態では、水酸化ナトリウム溶液762は、少なくとも約10重量%、より好ましくは、少なくとも約30重量%、及び最も好ましくは、約32~35重量%の濃度で生成される。
【0068】
電気化学セル732からの塩素ガス流764及び水素ガス流765を燃焼させ、水で洗浄して、塩酸を生成することができ、塩酸は、プロセス内で使用され得るか、または代替的に、精製され、圧縮され、及び市販され得る。
【0069】
水酸化ナトリウム流762は、炭酸化反応器/吸収器738に供給され、水酸化ナトリウム流762は、例えば、上向きに二酸化炭素蒸気744と接触する。炭酸化反応器/吸収器738は、水酸化ナトリウム流762が反応器の上部に供給され、反応器を通って下向きに流れることを可能にするように設計された一連のトレイを含むことができ、それによって、反応器の底部付近に導入され得る、上向きに流れる二酸化炭素ガス744に接触して、炭酸ナトリウム溶液またはスラリー766を生成する。代替的な実施形態では、炭酸化反応器/吸収器738は、液体及びガスの混合を促進するように設計された様々な混合手段を含むことができる。溶液の濃度は、好ましくは、少なくとも15重量%の炭酸ナトリウム、より好ましくは、少なくとも25重量%の炭酸ナトリウムである。二酸化炭素は、捕捉され、ライン742を介して炭酸化反応器/吸収器738にリサイクルすることができる。
【0070】
炭酸ナトリウム溶液またはスラリー766が反応器768に供給され、溶液が塩化リチウム溶液730と接触して、炭酸リチウム及び塩化ナトリウム溶液を含むスラリー770を生成する。反応容器中の炭酸ナトリウム溶液766及び塩化リチウム溶液730を接触させるステップは、約60℃超、好ましくは、約80℃超、更により好ましくは、約90℃~95℃の温度において可能である。ある特定の実施形態では、反応容器768は、撹拌タンク反応器であり得る。代替的に、反応容器768は、標準的な結晶器であり得る。いくつかの実施形態では、炭酸リチウムは、沈殿物として存在するが、塩化ナトリウムは、水溶液中に残る。
【0071】
固体炭酸リチウム及び塩化ナトリウム水溶液を含むスラリー770は、分離器772に供給され、分離器772は、例えば、遠心分離機、沈降タンク、フィルタ、スクリーンなどを含む液体から固体を分離して、炭酸リチウム生成物流774及び塩化ナトリウムブライン溶液776を生成するための様々な手段を含み得る。改善された生成物品質を達成するために、炭酸リチウムは、水、好ましくは、温水、または同様の手段で洗浄することによって、炭酸リチウム沈殿物の間質空間に閉じ込められたナトリウム、カリウム、及び/または塩化物イオンを除去するように処理することができる。ある特定の実施形態では、分離器772は、バンドフィルタまたは回転ドラムであり得、任意選択的に、残留塩化ナトリウムを除去するための対向電流洗浄システムを通して供給され得る。分離器772はまた、分離された固体炭酸リチウムの洗浄のための水を提供するために、水入口778を含むことができる。分離器772はまた、例えば、遠心分離機、ヒータ、送風機、プレスなどを含む、固体炭酸リチウムから水を乾燥及び/または除去するための手段を含むことができる。分離器772は、水を除去するための真空フィルタを含むことができる。ある特定の実施形態では、洗浄に使用される水の量を最小限に抑えながら、炭酸リチウムの純度を最大化するために、洗浄ステップを最適化することが望ましい。塩化ナトリウム溶液776は、電気分解のために電気化学セル732にリサイクルされ得る。炭酸リチウム生成物774は、約5重量%未満、好ましくは、約2重量%未満、更により好ましくは、約0.5重量%未満の水分含有量を有することができる。
【0072】
分離器772からのブライン溶液776は、塩化ナトリウム及び炭酸リチウムを含むことができる。概して、プロセス及び洗浄プロセス中に使用される水の量に応じて、塩化ナトリウム対炭酸リチウムの比は、少なくとも約20:1、より好ましくは、少なくとも約25:1、更により好ましくは、少なくとも30:1である。ある特定の実施形態では、ブライン溶液中の塩化ナトリウム対炭酸リチウムの比は、約35:1であってもよい。
【0073】
ある特定の実施形態では、ブライン溶液776は、塩酸(図示せず)で約4未満、好ましくは、約3のpHに酸性化され、電気化学セル732にリサイクルされ得る。塩酸は、電気化学セル732から供給することができる。かかる炭酸リチウムの生成方法は、プロセスが廃棄物の生成を排除する、またはほぼ排除するため、有利である。具体的には、ある特定の実施形態では、未使用の金属塩、例えば、塩化ナトリウム、及び二酸化炭素のリサイクル、全収率は、定量的またはほぼ定量的であり得る。ブライン溶液776は、必要とされる場合、電気化学セル732への塩化ナトリウムアノード液搬送のための所望の仕様を達成するために精製に供され得る。図6において上で詳細に説明されたプロセスと同様に、ある特定の実施形態では、塩化リチウムリッチ流724及び/または濃縮された塩化リチウム流30は、電気化学セル732に提供される前に、任意選択的に精製または濃縮ステップを経ることができる。
【0074】
ここで図8を参照すると、炭酸リチウムの生成のための別の代替的な実施形態が提供される。この方法は、単一のステッププロセスであり、炭酸ナトリウムが生成され、回収された塩化リチウムと反応するが、追加の入力を必要とし得、そこに含まれる少量の炭酸リチウムを含み得る廃塩化リチウム流を生成する。
【0075】
塩化リチウム流は、上で説明されたように提供される。いくつかの実施形態では、塩化ナトリウム流860は、電気化学セル832に提供される。塩化ナトリウム流860は、電気分解に供されて、それぞれ、水酸化ナトリウム流862、塩素ガス流864、及び水素ガス流865を生成する。
【0076】
水酸化ナトリウム流862は、ミキサ880に供給され、水酸化ナトリウム流は、混合され、塩化リチウム流830と混合される。水酸化ナトリウム流862と塩化リチウム流830の混合は、撹拌器またはミキサによって、超音波を用いて、または同様のことによってなどの、既知の手段によって行うことができる。ミキサ880は、水溶液中の水酸化ナトリウム及び塩化リチウムを含む、混合された流れ882を生成する。ある特定の実施形態では、塩化リチウム流830は、少なくとも約20重量%、より好ましくは、少なくとも約28重量%、更により好ましくは、約42重量%の塩化リチウムの濃度を有することが好ましい場合がある。同様に、ある特定の実施形態では、水酸化ナトリウム流862は、少なくとも約15重量%、より好ましくは、少なくとも約25重量%、更により好ましくは、約35重量%の水酸化ナトリウムの濃度を有することが好ましい場合がある。
【0077】
次いで、混合された流れ882は、炭酸化反応器/吸収器884に供給され、これは、塩化リチウム及び水酸化ナトリウムを含む混合された流れが反応器の上部に供給され、反応器を通って下向きに流れることを可能にするように設計された一連のトレイを含むことができ、それによって混合された流れが、上向きに流れる二酸化炭素ガス844に十分に接触して、反応器の底部付近に導入されて、炭酸リチウムスラリー890を生成することを可能にする。好ましくは、炭酸化反応器/吸収器884は、約90℃~100℃の温度に維持される。代替的な実施形態では、炭酸化反応器/吸収器884は、液体及び気体の混合を促進するように設計された様々な混合手段を含むことができる。例えば、流れ890における炭酸リチウムの濃度は、好ましくは、少なくとも4重量%、より好ましくは、少なくとも8重量%の炭酸リチウムである。二酸化炭素は、ライン842を介して炭酸化反応器/吸収器884にリサイクルされ得る。
【0078】
炭酸リチウム溶液890は、分離器892に供給され、ここで固体炭酸リチウムは、ライン894を介して決まる。塩化ナトリウム及び場合により少量の炭酸リチウムを含む溶液は、流れ896として生成される。固体炭酸リチウム及び塩化ナトリウム水溶液を含む炭酸ナトリウム溶液890は、分離器手段892に供給され、これは、例えば、遠心分離機、沈降タンク、フィルタ、スクリーンなどを含む液体から固体を分離するための様々な手段を含み得る。分離器手段892はまた、分離された固体炭酸リチウムの洗浄のための水入口及び水出口(図示せず)を含むことができる。分離器892はまた、例えば、遠心分離機、ヒータ、送風機、プレスなどを含む、固体炭酸リチウムから水を乾燥及び/または除去するための手段を含むことができる。固体炭酸ナトリウム生成物は、ライン894を介して回収され得る。任意選択的に、塩化ナトリウム流896の一部分は、電気化学セル832にリサイクルされ得る。任意選択的に、塩化ナトリウム溶液は、リチウム抽出媒体の洗浄ステップにリサイクルされ得る。ある特定の実施形態では、プロセスに必要な塩化ナトリウムは、地熱、スマックオーバー、または他のブラインからの塩化ナトリウムの選択的結晶化によって生成することができる。
【0079】
ある特定の実施形態では、企図されるプロセスは、有効量の塩酸または同様の酸を添加することによって溶液を中和することによるなどの、塩化ナトリウム溶液中に含まれる任意の炭酸リチウムを中和するための手段を含み得る。炭酸リチウムが効果的に除去され得る実施形態では、溶液は、電気化学セルにリサイクルされ得るが、内部に含まれる任意の炭酸リチウムは、電気化学セルの性能に問題を引き起こし得る。
【0080】
例示的な逆浸透システムのための更なる実施形態では、リチウム捕捉プロセスからのリチウム含有溶液は、ポンプを使用して逆浸透システムに搬送される。逆浸透システムから、水が透過物に搬送される。濃縮されたリチウム含有流は、濃縮物に搬送される。次いで、透過物は、ポンプを使用して逆浸透システムに戻って搬送され得る。追加的に、濃縮されたリチウム含有流は、リチウム捕捉プロセスを通して、及び逆浸透システムを使用して更なる処理に戻って搬送され得る。逆浸透システムがカスケードシステムを含む場合、リチウム捕捉プロセスからのリチウム含有溶液は、第1のポンプを使用して第1の逆浸透システムに搬送される。第1の逆浸透システムから、第1の水流が透過物に搬送され、第2のポンプを使用して第1の濃縮されたリチウム含有流が第2の逆浸透システムに搬送される。第2の逆浸透システムから、第2の水流が透過物に搬送され、第2の濃縮されたリチウム含有流が第3のポンプを使用して第3の浸透システムに搬送される。第3の逆浸透システムから、第3の水流が透過物に搬送され、第3の濃縮されたリチウム含有流が濃縮物に搬送される。本発明の様々な実施形態は、カスケード機能の任意の数の逆浸透システムを含むことができる。いくつかの実施形態では、カスケードにおいて3つの逆浸透システムが存在する。いくつかの実施形態では、カスケードにおいて4つの逆浸透システムが存在する。いくつかの実施形態では、カスケードにおいて5つの逆浸透システムが存在する。いくつかの実施形態では、カスケードにおいて6つの逆浸透システムが存在する。いくつかの実施形態では、カスケードにおいて7つの逆浸透システムが存在する。いくつかの実施形態では、カスケードにおいて8つの逆浸透システムが存在する。いくつかの実施形態では、カスケードにおいて9つの逆浸透システムが存在する。いくつかの実施形態では、カスケードにおいて10の逆浸透システムが存在する。
【0081】
当業者であれば、本発明で使用するための適切な逆浸透膜を選択する方法を理解するであろう。逆浸透膜は、Dow Chemical(Filmtec)、Hydranautics、Osmonics(Desal)及びTorayによって供給されるものを含むことができる。好適な逆浸透膜には、典型的には、渦巻き型である膜が含まれる。好適な逆浸透膜はまた、表1において説明される。表1に提供されるリストは、例として提供され、本発明の実施形態において使用される逆浸透膜を限定することを意図するものではない。膜の説明とともに潜在的な供給業者を以下の表1に示す。あまり好ましくない膜は、低フラックスのためにセルローストリアセテートで作製される。
【表1-1】
【表1-2】
【0082】
更なる実施形態では、リチウム捕捉プロセスは、リチウム捕捉プロセスと関連付けられる一連のリサイクルステップによって最適化される。例えば、ストリップの一部分をリサイクルすることができる。追加的に、充填の一部分をリサイクルすることができる。リサイクルの目的は、生成物の塩化リチウムの純度を改善し、精製または濃縮ステップの前にその濃度を最大化することである。
【実施例
【0083】
実施例1:水酸化ナトリウムの炭酸化
水酸化ナトリウムの炭酸化を、(Syrris Reactor Systems、UKによって製造された)加熱システムを備えた3リットルのジャケット付き反応器を使用して実行した。1リットルの9.5Mの水酸化ナトリウム溶液(27.5%固体)を使用して、約95℃の温度で反応を実行した。二酸化炭素を、3L/分の速度で約1時間供給し、(合計およそ8モル、およそ1.7モル当量)、水酸化ナトリウムの完全な変換を確実にした。水酸化ナトリウム溶液の炭酸化の終わりに、炭酸ナトリウムの透明な溶液が得られ、その時点で炭酸化反応を停止し、炭酸ナトリウム溶液の加熱を数分間継続した。透明な溶液に、炭酸リチウムシードを添加してから、塩化リチウム溶液(1000mL中404gの塩化リチウム)と反応させた。実験収率は、95%であった。収率は、実験条件に応じて他の同様の反応について変化し、いくつかの場合では約100%と高かった。単離した炭酸リチウムの純度は、洗浄前におよそ96.6%であった。
【0084】
生成物流の最初の洗浄の前に、炭酸リチウムは、以下の不純物を有した:約78.4%の純度に対して、Na(71mg/kg)、Ca(2.8mg/kg)、Mg(2.1mg/kg)、Fe(0.3mg/kg)、Ba(0.1mg/kg)、Mn(0.08mg/kg)、及びSr(0.03mg/kg)。およそ2~3体積当量の水で洗浄した後、ナトリウム濃度は、検出できないレベルまで低減し、炭酸リチウムは以下の不純物を有した:99%超の純度に対して、Mg(5.9mg/kg)、Ca(2.9mg/kg)、Ba(0.4mg/kg)、Fe(0.4mg/kg)、Mn(0.07mg/kg)、及びSr(0.07mg/kg)。洗浄条件は、炭酸リチウム生成物中に含まれる炭酸ナトリウム/塩化物の量に影響を与える可能性がある。
【0085】
実施例2:電気化学セル効率
電気分解プロセスは、精製された、濃縮された塩化リチウム溶液を、濃縮された水酸化リチウム溶液に変換し、その後重炭酸リチウムに変換する。電気化学セルの効率を判定する制限要因は、膜を横切る水酸化物の逆移動に起因する、カソード液中の水酸化リチウムの濃度である。したがって、実験は、電気化学セルを4つの異なる水酸化物濃度で作動させて、水酸化リチウム濃縮の効果をマッピングし、調製可能な最大濃度を判定するように設計された。実験は、水酸化物濃度の関数として、透析プロセスの電流効率及びエネルギー利用を測定するように設計された。電気化学セル内では、適用されたフィールドの下で、リチウムカチオンは、アノード液からカソード液に移動し、存在する水は、カソードでH及びOHに電気分解される。理論的には、外部回路に通過する各電子は、カソード液中の1つの水酸化リチウム分子の増加に対応し、時間の経過とともに水酸化リチウムの濃度の増加につながる。プロセスにおける主な非効率性、カソード液からアノード液へのOHイオンの逆移動は、カソード液のOH濃度に依存する。したがって、ここで報告された実験は、既知の速度で水を添加することによってカソード液のOH濃度を一定に維持することを意図して実施された。反応の効率を、水の添加の実際の速度を理論的な添加と比較することによって測定した。
【0086】
実施例3.塩化リチウムからの水酸化リチウムの電気分解生成。
実験準備。電気分解システムは、アノード液及びカソード液の流れ系を有する電解セルからなる。塩化リチウム溶液の電気分解を、ICIによって製造されたFM01電解槽(塩素-アルカリ産業において市販されているFM21電解槽のスケールモデル)を使用して実行した。電解槽は、ランタンブレードスタイルの電極(アノード:酸化ルテニウムコーティングされたチタン、及びカソード:ニッケル)、及びNafion(登録商標)982膜を含んだ。各電極の活性表面積は、約64cm(4×16cm)であり、セルギャップ(測定されたアノードからカソードへの距離)は、約12~13mmであった。FM01電解槽は、電極から放出された塩素及び水素ガスの管理を改善したため、(作動することが意図されているため、4cm寸法に平行な流れ方向と比較して)16cm方向に平行な流れで作動させた。加えて、アノード液及びカソード液の流れは、通常、セルの反対側から搬送されるが、本実験では、アノード液及びカソード液は、電気化学セルの同じ側から搬送された。
【0087】
アノード液フローシステムには、搬送タンク、ポンプ、脱気タンク、塩素スクラバ、及び収集タンクが含まれていた。約21重量%の濃度を有する塩化リチウム溶液を、アノード液搬送タンク内に設置し、約90℃に加熱した。加熱された溶液を、約0.13cm/秒の面速度に対応する約20cm/分の流量でシングルパスモードにおいてセルのアノードチャンバにポンプ圧送した。セルを出ると、塩化リチウム溶液及び(アノードで生成された)付着した塩素ガスを、塩素スクラバを装備した脱気タンクに通過させて、塩素を除去した。次いで、塩化リチウム溶液を、貯蔵のために収集タンクにポンプ圧送した。
【0088】
カソード液フローシステムには、搬送タンク、ポンプ、及び水搬送システムが含まれていた。水酸化リチウムを、搬送タンク内に設置し、約95℃に加熱し、約0.33cm/秒の面速度に対応する、約50mL/分の流量において再循環モードで電気化学セルのカソードチャンバに搬送した。一定の水酸化リチウム濃度を維持するために、ぜん動ポンプを使用して、水をシステムに連続的に添加した。添加速度を、水タンクの重量損失によって監視した。窒素をカソード液再循環タンクに吹き付けて、空気中の水酸化リチウム及び二酸化炭素の反応を最小限に抑えた。
【0089】
表2は、カソード液の濃縮の効果を判定するための試験において使用される実験条件をまとめたものである。
【表2】
【0090】
電気化学セルの作動中、試料をカソード液入口及び出口、ならびにアノード液出口ポートで30分ごとに収集した。セル電圧は、手持ち式マルチメータを使用してセル端子において監視した。入口及び出口カソード液水酸化物濃度とセル電圧との間の差を使用して、セルの効率及びエネルギー消費を計算した。カソード液の濃縮の結果は、表3にまとめられる。セル電圧を、全ての実験走行に関しておよそ4.3~4.4Vに維持した。電流効率は、水酸化リチウム濃度の増加に伴って低下することが観察された。いずれか1つの理論に拘束されることを望むものではないが、この電流効率における低下は、水酸化リチウム濃度が増加するにつれて、カソード液からアノード液への膜を横切る水酸化物アニオンの逆移動が増加することに起因する可能性があると考えられる。これはまた、全ての実験が同じ電流密度で実施され、セル電圧が本質的に一定であったため、エネルギー消費における増加をもたらす。実験は、電気化学セル中の水酸化リチウムの好ましい濃度が、約1~2モルであり得ることを示唆している。
【0091】
表3は、試験結果をまとめたものである。示されるように、水酸化リチウムの生成効率は、水酸化リチウム濃度が低下するにつれて増加し、約1モル(2.4重量%)の濃度を有する水酸化リチウム溶液に対して最大約80~88%の効率を有する。セル電圧は、水酸化リチウム濃度から相対的に独立しているため、効率はまた、約1モルの濃度で生成された約5kWh/kgの水酸化リチウムに減少するエネルギー要求量を駆動する。水酸化リチウムの生成速度は、水酸化リチウムの初期濃度が低いほど大きくなる。
【表3】
【0092】
実施例4:炭酸化
化学反応器。pH、温度、試薬添加、及び試料抽出を感知するための対照を有する、3LのSyrris自動バッチ反応器システム(Syrris Ltd.27 Jarman Way、UK)を使用して、水酸化リチウムを炭酸化した。上で詳述された電気分解研究は、塩化リチウムの電気分解が、せいぜい1モルまたは2.4重量%の水酸化リチウム溶液しか発生させないことを示唆している。実際に、この濃度は、私たちの実験条件下で目詰まりの問題なく炭酸化研究を行うのに理想的であることが見出されている。
【0093】
炭酸化反応動態。水酸化リチウムの炭酸化反応動態を、反応が進行するにつれて、(原子吸収を使用して)溶液中のpH及び金属イオン濃度を監視することによって判定した。およそ84gの水酸化リチウム一水和物を、2000mLの水に溶解させて、約1モル(約2.4重量%)の濃度を有する溶液を調製した。反応器ジャケットを、30:70の水-グリコール混合物を使用して加熱し、水酸化リチウム溶液の温度を、約95℃に維持した。この溶液を、炭酸化の間、機械的撹拌器で絶えず250RPMで撹拌した。炭酸化ガスチューブを、初めに苛性溶液中で少なくとも6cmの深さで維持して、流量計(Matheson Tri-Gas、USA)を使用してガス流量を連続的に監視した。炭酸化が進行するにつれて、溶液のpHはわずかに増加し、反応器への二酸化炭素の流れが停止した直後に、溶液のpHの突然の低下によって反応の完了が判定された。pHの低下は、温度が高いほど不安定な重炭酸リチウムの形成と一致する。したがって、溶液を加熱して/溶液の撹拌を継続して、炭酸リチウムに形成された重炭酸リチウムを分解した。重炭酸リチウムの分解は、経時的に安定したpHの増加をもたらす。リチウムイオン濃度を、反応中に監視し、溶液の過剰な炭酸化がビカーボネートの形成につながる可能性があることを示した。
【0094】
炭酸化中、水酸化リチウム溶液への二酸化炭素の混合不良に対処するために、わずかにモル過剰の二酸化炭素を水酸化リチウム溶液に添加した。炭酸化反応完了後、水中の炭酸リチウム溶解度が温度の増加で低下するため、溶液を熱濾過した。濾過した固体を、最初に約60℃で約18時間乾燥させ、次いで約120℃で約24時間乾燥させて、固体中に存在し得る任意の残留重炭酸リチウムが炭酸リチウムに戻る変換を確実にした。炭酸化反応を、わずかに異なる実験条件下で、1モルの水酸化リチウム溶液で、炭酸リチウムシード有り、または無しで、数回繰り返した。これらの結果を、表4に示す。炭酸リチウム結晶による水酸化リチウム溶液のシーディングは、収率を改善させた。より高い二酸化炭素流量(例えば、3L/分以上)では、炭酸化反応の収率は高いままであった。表3に示されるように、二酸化炭素搬送は、約2L/分で維持されたが、添加された二酸化炭素の総量は、約1.25~2.5モル(すなわち、約0.625~1.25モル当量)で変化した。表3の実験1は、炭酸化容器への窒素ガスの添加を含んだ。表3の実験3~5は、約0.6重量%~1.2重量%の水酸化リチウムシードの添加を含んだ。結果は、増加した反応速度が、反応器サイズの低減を可能にし、それに関連する全体的なコストの低減を可能にし得ることを示す。
【表4】
【0095】
実施例5:逆浸透を使用する塩化リチウムの濃縮
合成塩化リチウム含有溶液を、72~80°Fで逆浸透させた。
【0096】
試験1:第1のパスでは、塩化リチウム含有溶液(LiCl 16,000ppm、KCl 500ppm、NaCl 1000ppm、Ca 3ppm、及びB 1ppm)を、72°Fで600psiの圧力下でライン1を介して搬送タンクから逆浸透システムにポンプ圧送した。搬送ポンプ速度は、およそ4gpmであった。透過物(逆浸透精製水)を収集し、透過物タンクに搬送した。透過物の重量は、逆浸透ユニットを通過する各パスの終わりに測定した。Li、Na、K、Ca、Mn及びClイオンなど(濃縮物)の99%を含有する残留溶液を、濃縮物タンク内に回収した。濃縮物タンク内の濃縮物溶液の重量は、試験終了時に測定した。各パスでは、最大圧力(1200psig)または最大回収率(15%)のいずれかが達成されるまで圧力が増加した。
【0097】
試験2:第2の試験では、試験1からの濃縮物を、搬送タンクに移し、前の試験からの任意の残りの未使用の搬送物と混合した。第2のパスは、温度が77°Fであり、印加された圧力が約740psiであったことを除いて、同じ様式で行われた。再び、濃縮物を濃縮物タンクから回収し、透過物を透過物タンクに搬送した。試験3~7を、搬送物及び濃縮物溶液がリチウム及び他の塩においてより濃縮されるにつれて圧力が徐々に増加したことを除いて、試験2と同様の様式で繰り返した(表5)。
【0098】
逆浸透実験を行って、搬送濃度の関数としてのフラックス及び特定の流量を判定した。リチウム捕捉ステップからの塩化リチウムリッチ流のものを模倣する合成ブラインを、逆浸透プロセスに供給した。各パスの開始時と終了時に試料を採取した。パスからの濃縮物は、その後のパスのための搬送物であった。パス1のための開始人工ブラインは、LiCl 16,000ppm、KCl 500ppm、NaCl 1000ppm、Ca 3ppm、B 1ppmを含有した。フラックス(F)を、ガロン/平方フィート/日(gfd)で測定した。比流量(gfd/psi)は、搬送濃度の関数である。ポンプ流量は、4gpmであった。表4に示されるように、達成され得る塩化リチウム濃度を、所与の温度で最大1200psiの逆浸透搬送圧力で測定した。流束は、所与の圧力において汚れまたは塩の通過の問題がないことを示す一定のままであった。データは、表5に示される。
【表5】
【0099】
このことから、理論的な逆浸透圧力を判定した。
【0100】
実施例6:逆浸透への搬送のための塩化リチウム捕捉ステップの更なる最適化
以下の実験は、リチウム捕捉ステップのための最適なプロセスを判定し、その後の逆浸透プロセスのための搬送物を提供するために行われた。
【0101】
2.6cm×53cmを測定する標準的なラボカラムを、米国特許第8,901,032号に記載されるように作製された吸着剤を用いて調製した。得られた吸着剤を、約300~500ミクロンの平均粒径までスクリーニングし、次いで脱イオン水でスラリー化し、カラムに注ぎ、飽和した塩溶液で逆洗して微粒子を除去した。カラムは、地熱ブラインからのLiを充填した。
【0102】
地熱ブラインは、シリカ管理プロセスに供されたHudson Ranchの地熱ブラインであった。シリカ管理プロセスは、シリカの管理のための継続的なプロセスであった。シリカ管理システムは、直列に提供された3つの撹拌反応容器を含んだ。第1の反応容器に、約6gpmの速度で地熱ブラインを提供した。およそ30cfmの空気が各反応器に供給され、地熱ブラインを通して分散された。第1の反応容器への空気の添加後、pHは、約2.3~3.5に降下した。3つの反応器の各々に供給されるブラインは、約95℃の温度に維持される。
【0103】
第1の反応器からの地熱ブラインもまた、第2の反応器に供給された。約15~25重量%の水酸化カルシウムを含む水酸化カルシウム水性スラリーを、約0.5lb/分の湿潤ベースの速度で第2の反応器に供給した。これにより、第2の反応器におけるpHが約4.8~6.5に上昇した。水酸化カルシウムスラリーと接触した第2の容器内のブラインを、再び空気と接触させた。水酸化カルシウムスラリーの添加は、水酸化鉄(III)及びケイ酸鉄の沈殿を開始する。次いで、ブラインを第2の容器から第3の反応容器に供給し、そこで再び空気と接触させた。全ての容器への空気は、約30cfmの一定の速度で供給された。3つの反応器の各々は、ブライン、塩基、及び空気酸化剤の十分な混合を確実とするために撹拌するための手段を含んだ。反応容器への空気及び塩基の連続的な添加は、地熱ブライン中の鉄及びシリカの濃度に応じて、最大約0.5lb/分の速度で鉄及びシリカの沈殿をもたらす。
【0104】
次いで、水酸化鉄(III)及びケイ酸鉄の沈殿物を含む地熱ブラインを、第3の反応容器から浄化器に供給した。水を浄化器に添加した。約0.025重量%などの、約0.005重量%~1重量%の濃度のMagnafloc351の凝集剤水溶液を、約0.01gpmの速度で浄化容器に供給した。
【0105】
浄化器から2つの流れを生成した。第1の浄化器生成物流は、低減された濃度のシリカ及び鉄を有する地熱ブラインを含み、次いでリチウム捕捉ステップに搬送された。第2の浄化器生成物流は、固体シリカ-鉄廃棄物、ならびにいくつかの地熱ブラインを含んだ。
【0106】
図14は、3つの再生溶液を有する吸着剤からカラム内のリチウムを抽出するためのシステム1400の一実施形態を示す。システム1400は、カラム1410、充填タンク1420、枯渇ブラインタンク1425、リサイクルカットタンク1430、生成物カットタンク1440、及びストリップタンク1460を含む。充填(ライン1)、例えば、リチウム含有ブライン溶液をカラム1410に送った。カラム1410からのリチウム含有ブライン溶液を置き換えるために使用されるリサイクルカット(ライン2)から始まり、カラムのストリッピングを開始するために使用されるリサイクルストリップ(ライン5及びライン6)が続き、最後にカラム1410からのLiの溶出を完了するために、500mg/kgのLiを添加したDI水から新しく調製されたストリップ溶液(ライン7)が続く、3つの再生溶液で連続的にカラム140を処理することによって、リチウムを、カラム1410内の充填(ライン1)からストリッピングした。各サイクルは、リチウム含有ブライン溶液(ライン1)、リサイクルカット(ライン2)、リサイクルストリップ(ライン5及び6)、ならびにストリップ溶液(ライン7)を含む。これらの搬送物及び流量は、表8にされる。これを少なくとも50サイクルにわたって繰り返した。
【0107】
カラム1410からのリサイクルカット(ライン2)は、充填タンク1420にリサイクルされる。表8に示されるリサイクルカット(ライン3)は、ストリップのピーク領域として定義され、リチウムが最高濃度であるが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン及びホウ素などの不純物もまた最高濃度である。これは、リサイクルされ、充填ステップの直後にカラム1410に搬送される。カラム1410から出る枯渇ブライン(ライン3)は、枯渇ブラインタンク1425に送ることができる。
【0108】
カラム1410からの生成物カット(ライン4)は、更なる処理(例えば、逆浸透システム)のために生成物カットタンク1440に送られる。表8に示されるような生成物カット(ライン4)は、逆浸透システムによる処理のために(例えば、生成物カットタンク1440内に)保持されるストリップの部分である。いくつかの態様では、生成物カット(ライン4)は、1600mg/kg超のLi(約1%)、1000mg/kg未満のNa、Caとして表される500mg/kg未満の二価イオン、及び100mg/kg未満、好ましくは、50mg/kg未満のBの平均濃度を有するべきである。
【0109】
カラム1410からのリサイクルストリップ(ライン5)は、リサイクルストリップタンク1430に送られ、次いで、リサイクルストリップ(ライン6)としてカラム1410に送られ得る。いくつかの実施形態では、リサイクルストリップ(ライン5)は、リサイクルストリップタンク1430内で処理され、次いで、修正されたリサイクルストリップ(ライン6)としてカラム1410に送られる。表8に示されるようなリサイクルストリップ(ライン5及び6)は、生成物カット(ライン4)に続くLiストリップの部分として定義され、これは、700~1500mg/kgの範囲内にあるリチウム濃度を有し、生成物カットタンク1440または逆浸透システムに転送されるには低すぎる。このリサイクルストリップ(ライン5及び6)は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン、ホウ素などの不純物が最も低い際の生成物カットを生成するための搬送物になるようにリサイクルされる。
【0110】
ストリップ溶液(ライン7)は、ストリップタンク1460からカラム1410に供給され得る。ストリップ溶液(ライン7)は、充填(ライン1)、リサイクルストリップ(ライン(6))に添加され得るか、または独立してカラム1410に搬送され得る。ストリップ溶液(ライン7)は、カラム1410からのLiの溶出を完了するために添加された500mg/kgのLiを有するDI水から調製されたばかりのものを含み得る。
【0111】
表8に示されるように、充填リサイクル(図14に示されない)は、200から最大約4000mg/kgの濃度でLiを含有するLi充填及びストリップ曲線の部分として定義され、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン及びホウ素などの不純物は、搬送ブライン中のそれらの濃度の約30%から最大でそれらの搬送ブライン濃度までの濃度であり、これは、搬送タンクに戻ってリサイクルされ、地熱ブラインと混合され、後続の充填ステップ中にカラムに搬送される。
【0112】
図15は、再生溶液を有する吸着剤からカラム中のブラインからのリチウムを抽出するためのシステム1500の一実施形態を示す。この実施形態では、システム1500は、リードカラム1505(例えば、リチウム抽出カラム)及びラグカラム1510を含む。いくつかの実施形態では、リードカラム1505及びラグカラム1510は、両方ともリチウム抽出カラムである。例えば、リードカラム1505及びラグカラム1510の各々は、ブライン溶液からリチウムを抽出するための吸着剤を含み得る。いくつかの実施形態では、リードカラム1505及びラグカラム1510は、直列に配置される。
【0113】
カラムの充填中(すなわち、リチウムを捕捉するステップ中)、塩化リチウム(または他のリチウム塩)を含有するブライン溶液が、リードカラム1505に供給される。ブライン溶液は、ブラインタンク1520からリードカラム1505に供給され得る。リードカラム1505は、カラムがリチウムで飽和するまで(例えば、リードカラムが充填されるまで)、ブライン溶液1520からリチウムを抽出する。いくつかの実施形態では、ブライン溶液がリードカラム1505内で処理された後、処理されたブライン溶液(例えば、リチウムがほとんどまたは全くないブライン)は、枯渇ブラインタンク1530に送られる。いくつかの実施形態では、処理されたブライン溶液は、ブラインが閾値量よりも低いリチウム濃度を有するときに、枯渇ブラインタンク1530に送られる。例えば、処理されたブライン溶液中のリチウムの濃度が30mg/kg未満であるとき、処理されたブライン溶液は、ラグカラムに送られて、追加のリチウムを抽出する。当初、リチウムは、本明細書に記載のグラフの充填曲線内に例示されるように、リードカラム1505内にほぼ完全に捕捉される。例えば、充填中、リチウム濃度は、およそ15~20mg/kgである。リードカラム1505内の吸着剤がリチウムで飽和する際、リードカラム1505がリチウムで完全に充填されるまでリチウム濃度が増加し、吸着剤内のリチウムにアクセス可能な部位がなくなる。最終的に、リチウム濃度は、ブレークスルーと呼ばれる搬送物内のLiに等しくなる。ブレークスルーが起こると、ブライン溶液は、ラグカラム1510における更なる処理のために、ラグ搬送タンク1535に送ることができる。
【0114】
図16は、枯渇ブライン及びラグブライン内のリチウム及び他の元素の濃度を示す。枯渇ブライン中のリチウム濃度が抽出後に閾値量に達すると、ラグカラムに送られるラグブラインとみなされる。例えば、処理されたブライン溶液中のリチウムの濃度が30mg/kg超であるとき、ブライン溶液は、ラグカラムに送られて、追加のリチウムを抽出する。
【0115】
いくつかの実施形態では、リサイクルカットタンク1550からの溶液が、リードカラム1505に搬送されて、リードカラム1505を通してブライン溶液を押し出す。いくつかの実施形態では、リードカラム1505内のブライン溶液は、リサイクルカットタンク1550からの溶液でカラムを通って押し出される。リサイクルカットは、ブラインを置き換え、ブラインがカラムを離れると、リチウム濃度が低く、不純物が高い混合相を生成し、これをリサイクル充填/カットとして使用することができる。いくつかの実施形態では、リサイクル充填/カットは、搬送ブラインタンク1520に送られて、搬送ブラインと混合されるか、またはストリップ溶液1540と組み合わせるか、もしくは混合することができるストリップメイクアップ1560に送ることができる。
【0116】
リサイクルカット1550がリードカラム1505を通して送られた後、トリップ溶液1540によって交換される。例えば、リードカラム1505にブライン溶液が充填され、リサイクルカット1550がカラムを通してブラインを押し出した後、ストリップ溶液1540が、リードカラム1505に添加される。ストリップ溶液1540は、ストリップ溶液タンクからリードカラム1505に提供され得る。いくつかの実施形態では、ストリップ溶液1540は、リードカラム1505内の吸着剤からリチウムを抽出する。リードカラム1505の出口において、リサイクルカット1550が生成され、これは、Liが高い(ピーク)が、ナトリウム及びカリウムもまた高い。リサイクルカット1550は、リサイクルカットタンクに送られるが、ストリップ溶液1540がリードカラム1505を通って来ると、より低いナトリウム、カリウム、及びカルシウム含有量を有し、相対的に高いLi含有量を含む溶液を生成し、これは、生成物1545としてカラムから除去される。例えば、ストリップ溶液1540が、生成物1545に関する仕様を満たすのに十分なリチウムを抽出する場合、生成物カットは、生成物タンクに提供することができる。ストリップ溶液1540がリードカラム1505を通って継続するにつれて、Li含有量は低くなり、不純物は低減される。この溶液は、ストリップリサイクル1555として使用することができ、リサイクルストリップタンクに送ることができる。ストリップリサイクル1555は、リードカラム1505に直接リサイクルすることができるか、またはリードカラム1505に搬送される他の溶液と混合することができる。リードカラム1505内のリチウム及び不純物の濃度は、図17に示される。いくつかの実施形態では、これが、充填サイクルの終わりである。次いで、ブラインは再びリードカラム1505に搬送され、ブラインはストリップ溶液1540をストリップリサイクルタンクに押し出す。ブラインは、最終的にリードカラム1505の出口に到達し、最初にリサイクル充填/カット1550であるストリップとブラインとの混合相があり、ブライン搬送物(図面には示されていない)と混合されるように搬送タンクに送られる。図15は、カラムの基部に進む矢印を示すが、いくつかの実施形態では、リードカラム1505は、上部から搬送される。矢印は、リードカラム1505を通る流れの搬送場所または方向を示すものではない。いくつかの実施形態では、ブライン及びストリップは、充填とストリップとの両方について下向きに流れるが、充填とストリップとの両方が上向きに流れること、ならびに実際に充填については下向き及びストリップについては上向きに流れること、またはその逆が完全に実行可能である。
【表6】
【0117】
表9は、各サイクルの開始前の地熱ブライン中の選択された成分の濃度を示す。このブラインは、リチウム抽出の前にサンプリングした。
【表7】
【0118】
図9は、様々なサイクルに関する例示的なリチウム充填曲線を示す。リチウム濃度が約500~800mg/kgの範囲内にある場合、それは尾部画分であると考えられる。尾部画分は、生成物カットのための搬送物としてリサイクルすることができる。生成物カットは、逆浸透システムによる処理のために保持されるストリップの一部分である。約1600mg/kgのLi、約1000mg/kg未満のNa、約500mg/kg未満であり、好ましくは、200未満のカルシウム当量として表される二価イオン及びホウ素が約100mg/kg未満、好ましくは、約50mg/kg未満程度の平均濃度を有する。リサイクルカットは、ストリップのピーク領域であり、リチウムが最高濃度であるが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン及びホウ素などの不純物もまた最高濃度である。これはリサイクルされ、上記の例で説明された洗浄ステップの代わりにカラムに搬送される。
【0119】
表10は、サイクル52~63のリチウム抽出後の塩化リチウム生成物カット中の濃度を示す。この生成物カットは、逆浸透プロセス、または精製プロセス、次いで逆浸透プロセスに直接搬送される。
【表8】
【0120】
実施例7:逆浸透への搬送のための塩化リチウム捕捉ステップの最適化のための追加の例
従来/比較:カラムは、米国特許第8,901,032B1号に記載されている方法によって生成された吸着剤を48cmの深さに充填され、カラム直径は、2.64cmであった。リチウムを抽出し、以下の順序に従って地熱ブラインから回収した。地熱ブラインの流量、(充填量)は、60ml/分であり、5.065リットルの地熱ブラインをカラムに通過させた。この後、0.3リットルの溶液が通過するまで62mol/分の塩化ナトリウム(洗浄)溶液が続き、最終的に0.9lの溶液がカラムを通過するまで、500mg/kgを含有する水のストリップ溶液が12ml/分の速度でカラムを通過した。カラムへの入力データは、表11、出力データは、表12、図10(出口におけるLi濃度は、Li、Mn、Zn、Ba及びZnに関しては一次Y軸を読み取り、Na、K及びCaを読むには、二次Y軸を読み取る)及び図11に示される。
【0121】
図11は、ピークリチウム濃度の領域が吸着剤から抽出される最も濃縮されたリチウム溶液を含む一実施形態を例解する。しかしながら、いくつかの実施形態では、ピークリチウム濃度の領域はまた、不純物を含む可能性がある。例えば、ピークリチウム濃度の領域は、大量のナトリウム及び潜在的に他の不純物(例えば、カルシウム及びカリウム)を含み得る。ピークリチウム濃度の領域は、最も高いリチウムの濃度を有する可能性があるが、またナトリウム、カリウム、カルシウム、マンガン、及びホウ素などの不純物もこの領域で最も高い。
【0122】
いくつかの実施形態では、プロセスは、これらの不純物を除去して、より純粋なリチウム溶液を生成するために、ピークリチウム濃度の領域からのカット(本明細書において「リサイクルカット」とも称される)をリサイクルすることを含み得る。リサイクルは、ストリッピングプロセス中の領域ピークリチウム濃度から取得することができる。ピークリチウム濃度溶液の1つ以上のリサイクルを用いることによって、ピークリチウム濃度は、ストリップサイクルの後の時間にシフトすることができる。したがって、このプロセスは、逆浸透ユニットに搬送され得るより純粋な濃縮されたリチウム流(例えば、図13「生成物カット」を参照されたい)を生成することができる。
【0123】
例えば、図11図13と比較すると、リチウム濃度は、図13においてベッド体積(BV)13~14で著しく高く、図11の同様の位置(大体BV19.5~20.5)では、リチウムの濃度が低く、ナトリウムの濃度が著しく高い。高いナトリウム含有量は、逆浸透が約1000~2000psiの作動圧力に制限を有するため、これらの溶液での逆浸透の使用を防止する。高いナトリウム含有量は、逆浸透が任意の実用性を有するために克服しなければならないより高い浸透圧をもたらす。このため、高濃縮されたリチウム溶液の1つ以上のリサイクルカットをストリッピングプロセスの一部として利用すること(例えば、吸着剤からリチウムをストリッピングすること)によって、ピークリチウム濃度の領域を、ストリップサイクル内でシフトさせて、ここで逆浸透ユニットに搬送され得る不純物が少ない状態のより純粋なリチウム溶液を生成することができる。
【表9】
【表10-1】
【表10-2】
【0124】
逆浸透との組み合わせに好適な本発明の方法:カラムは、米国特許第8,901,032B1号に記載されている方法によって生成された吸着剤を19.3インチの深さに充填され、カラム直径は1インチであった。リチウムを抽出し、以下の順序に従って地熱ブラインから回収した。地熱ブラインの流量(充填量)は、50ml/分であり、3.058リットルの地熱ブラインをカラムに通過させた。続いて、図5のフロー図に従って、同じ流量で合計0.1リットルのリサイクルカットをカラムに搬送した。続いて、リサイクルストリップを、11ml/分で合計0.26lカラムに搬送し、最終的に搬送ストリップ溶液を、カラムに搬送した。抽出及び得られたストリップ手順の結果は、図12(出口におけるLi濃度は、Li、Mn、Zn、Ba及びZnに関しては一次Y軸を読み取り、Na、K及びCaを読むには二次Y軸を読み取る)及び表13とともに図13に示される。
【表11】
【0125】
塩化ナトリウム洗浄の使用は経済的ではなく、ナトリウム含有量が高すぎる溶液をもたらすことに注意されたい。洗浄なしでは、塩化リチウム流は、平均濃度が高すぎるNa、Ca及びKで汚染される。実際、ナトリウムイオンの非常に重要な低減が観察される一方で、Mn及びCaなどのイオンは、濃度が類似していることを理解されたい(これは、水酸化リチウム及びカーボネートによるpH調節、ならびに不純物を除去するためのイオン交換などの既知の化学的手段によって精製され得る)。比較例では、ナトリウムイオン濃度は16g/kgまたは0.7Molalであり、Li濃度は、0.36Molalに相当する2.6g/kgである。これらの条件下では浸透圧が高くなり、高いナトリウム含有量は、逆浸透によって満足のいく濃縮を妨げることが示される。更に、塩の洗浄方法論において、塩の著しい消費が存在する。対照的に、本発明の方法では、生成物カット中のナトリウムの量は、0.46g/kg 0.02Molalであるが、Liについては1.8g/kgであり、これは0.25Molalである。したがって、浸透圧は、ほぼ完全にLi含有量の関数であり、ナトリウム含有量の関数ではなく、したがって、LiClを0.5重量%~およそ5重量%のLiClに濃縮することが経済的に実現可能である。表14は、比較方法(実施例101)及び本発明の方法(実施例102)の典型的な生成物組成を提供する。
【表12】
【0126】
したがって、他の利点の中でも、特に得られるリチウム溶液が下流の逆浸透濃縮ステップに供される場合、上で説明されたようなリチウムリッチ画分のリサイクルが多くの利点を有することを理解されたい。とりわけ、図11に例解されるように、リチウムピーク領域(及びピークの後ろの領域さえも)を利用する従来の溶出方法は、必然的にナトリウムにおいてもリッチとなるであろう。したがって、高リチウム回収は、高ナトリウム濃度と関連する。残念ながら、かかる高ナトリウム濃度は、ナトリウムが浸透圧に実質的に寄与するため、逆浸透に悪影響を及ぼす。上の表から見ることができるように、ナトリウムイオンは、従来の溶出を使用するリチウムイオンよりも6倍過剰である。対照的に、生成物(または生成物カットと少なくとも部分的に重複する画分)が吸着剤にリサイクルされるとき、イオン強度は、大部分がナトリウムに対するリチウム濃度の上昇による、吸着剤上のリチウムを維持する(更には追加的に結合する)のに十分である。別の観点から見ると、イオン強度は、ナトリウムの減少に付随するリチウムの増加によって得られ、これは、ナトリウムが低いかまたは枯渇した好適な溶出液で溶出すると、生成物組成に好ましく影響する。上記の表からも得ることができるように、リチウム濃度は、現在、ナトリウム濃度のおよそ4倍である。したがって、上記のような部分的リサイクルは、全体的なリチウム回収を維持しながら、リチウムと望ましくない他のカチオン(特にナトリウム)との間の比の増加を可能にする。
【0127】
本明細書に記載の方法は、多価イオンを含む、他のイオンの著しい濃度を含む、ブラインまたは溶液に加えて、低または高リチウム濃度を有するブラインまたは溶液からのリチウムの回収に好適である。
【0128】
当該技術分野で理解されるように、全ての機器または装置が図面に示されているわけではない。例えば、当業者は、様々な保持タンク及び/またはポンプが本方法で用いられ得ることを認識するであろう。
【0129】
文脈が明らかにそうでないことを指示しない限り、単数形「a」、「an」、及び「the」は、複数の指示対象を含む。
【0130】
任意選択の、または任意選択的には、続いて記載された事象または状況が起こっても起こらなくてもよいことを意味する。説明は、事象または状況が起こる場合の例と、それが起こらない場合の例を含む。
【0131】
範囲は、本明細書において、約1つの特定の値から、及び/または約別の特定の値までとして表され得る。かかる範囲が表されるとき、別の実施形態は、上記範囲内の全ての組み合わせとともに、1つの特定の値から及び/または他の特定の値までであることを理解されたい。
【0132】
本出願を通して、特許または刊行物が参照される場合、本明細書でなされる記載と矛盾する場合を除き、本発明が関連する最新技術をより完全に記載するために、これらの参考文献の開示は、参照により本出願に組み込まれることが意図される。
【0133】
本明細書で使用される場合、値の範囲に関する、約及びおよそという用語の列挙は、列挙された範囲の上端及び下端の両方を含むと解釈されるべきである。
【0134】
本発明は詳細に記載されているが、本発明の原理及び範囲から逸脱することなく、本明細書には様々な変更、置換、及び修正がなされ得ることを理解されたい。したがって、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲及びそれらの適切な法的等価物によって判定されるべきである。
図1
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【国際調査報告】