(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】充填材料を有する密閉アセンブリを備えた医薬品容器
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61J1/05 315A
A61J1/05 315B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522314
(86)(22)【出願日】2022-11-02
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022048668
(87)【国際公開番号】W WO2023086251
(87)【国際公開日】2023-05-19
(32)【優先日】2021-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】クリスティ,デイン アルファンソ
(72)【発明者】
【氏名】サラフィアン,アダム ロバート
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ジアンタオ
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047AA05
4C047AA27
4C047BB01
4C047BB03
4C047BB23
4C047BB26
4C047CC01
4C047DD02
4C047DD03
4C047DD04
4C047GG06
4C047GG07
(57)【要約】
密閉医薬品容器において、肩部;その肩部から延在する首部;その首部から延在するフランジであって、首部から延在する裏面と、裏面から延在する、フランジの外径を規定する外面と、その外面と密閉医薬品容器に開口を画成する内面との間に延在する上部シール面とを備えたフランジ;および密閉アセンブリであって、フランジの上部シール面の上に延在し、開口を覆うシール部分および開口中に延在し、フランジの内面と接触する挿入部分を備え、第1のCTEを有する栓と、栓の中に入れられ、第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材とを備えた密閉アセンブリを含む密閉医薬品容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
密閉医薬品容器において、
肩部、
前記肩部から延在する首部、
前記首部から延在するフランジであって、
前記首部から延在する裏面と、
前記裏面から延在する、前記フランジの外径を規定する外面と、
前記外面と前記密閉医薬品容器に開口を画成する内面との間に延在する上部シール面と、
を備えたフランジ、および
密閉アセンブリであって、
前記フランジの前記上部シール面の上に延在し、前記開口を覆うシール部分および該開口中に延在し、該フランジの内面と接触する挿入部分を備え、第1のCTEを有する栓と、
前記栓の中に入れられ、前記第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材と、を備えた密閉アセンブリ、
を含む、密閉医薬品容器。
【請求項2】
前記充填部材が第1の材料から作られ、該第1の材料が、ガラス、結晶材料、高分子、および金属の少なくとも1つを含む、請求項1記載の密閉医薬品容器。
【請求項3】
前記第1の材料が、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、およびカルコゲンの少なくとも1つを含む、請求項2記載の密閉医薬品容器。
【請求項4】
前記第1の材料が第2の材料で被覆され、その第2の材料が、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、およびポリアクリレートエラストマーの少なくとも1つを含む、請求項2記載の密閉医薬品容器。
【請求項5】
前記第2の材料が、-200℃から300℃のTgを有する、請求項4記載の密閉医薬品容器。
【請求項6】
前記充填部材が、前記密閉医薬品容器の開口の開口直径より大きい本体直径を有する充填体を含む、請求項1記載の密閉医薬品容器。
【請求項7】
前記充填体の上面および該充填体の下面を通じて延在する本体通路が形成されている、請求項6記載の密閉医薬品容器。
【請求項8】
前記充填部材が、前記医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、該医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含む、請求項7記載の密閉医薬品容器。
【請求項9】
前記充填突出部の上面および該突出部の下面を通って延在する突出部通路が形成され、前記本体と該突出部がワンピースモノリス構造を形成し、該突出部通路と前記本体通路が互いに同軸である、請求項8記載の密閉医薬品容器。
【請求項10】
前記充填部材が、前記医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、該医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含み、該充填突出部が、該密閉医薬品容器の開口の開口直径より小さい突出部直径を有する、請求項1記載の密閉医薬品容器。
【請求項11】
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-45℃以下の温度に冷却されたときに、該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10
-6cm
3/秒以下に維持する、請求項1記載の密閉医薬品容器。
【請求項12】
前記上部シール面が、前記開口の端部を通って延在する平面に対してある角度で延在する傾斜シール面であり、それによって該傾斜シール面と該平面との間の距離が、前記外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するようになっている、請求項1記載の密閉医薬品容器。
【請求項13】
前記フランジが、0×10
-7/K以上かつ70×10
-7/K以下の熱膨張係数を有する組成物から構成されている、請求項1記載の密閉医薬品容器。
【請求項14】
密閉医薬品容器において、
注射器であって、
開口端および該開口端の反対にある閉口端を有する管状筒と、
前記閉口端から延在し、前記管状筒の内壁により画成された該管状筒の内部と流体連通した針と、
を備えた注射器、および
前記管状筒の内部に移動可能に配置された密閉アセンブリであって、
内壁および前記管状筒の内壁と少なくとも部分的に接触した該内壁の反対にある外壁を有し、第1のCTEを有する栓と、
前記栓の中に少なくとも部分的に入れられ、前記第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材と、
前記栓に連結され、前記管状筒の開口端を通って延在するプランジャーと、
を備えた密閉アセンブリ、
を含む、密閉医薬品容器。
【請求項15】
前記密閉医薬品容器が、毎分5℃以下の速度で前記温度に冷却されたときに、ヘリウム漏れ速度を1.4×10
-6cm
3/秒以下に維持する、請求項14記載の密閉医薬品容器。
【請求項16】
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-20℃以下の温度に冷却されたときに、該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10
-6cm
3/秒以下に維持する、請求項14記載の密閉医薬品容器。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2021年11月9日に出願された米国仮特許出願第63/277492号の米国法典第35編第119条の優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、広く、医薬品組成物を貯蔵するための容器に関し、より詳しくは、比較的低い温度に曝されたときの密閉性を改善するために、高い熱膨張係数を有する材料および低い熱膨張係数を有する充填部材から形成された密閉アセンブリ含む容器に関する。
【背景技術】
【0003】
バイアルや注射器などの医薬品容器は、典型的に、収容材料の完全性を維持するために、栓や他の蓋で密閉される。蓋は、典型的に、合成ゴムや他のエラストマーから製造される。そのような材料は、容器の内部を密閉するために容器に挿入し易くする弾性と高い透過抵抗を有益に有する。しかしながら、典型的に使用される蓋の材料の弾性は、低温では低下することがある。例えば、蓋の材料として現在使用されている合成ゴムは、-70℃以上かつ-10℃以下の転移温度を有するであろう。そのような合成ゴムから作られた蓋は、転移温度より低いと、固体として挙動し、ガラスと、容器に蓋を固定するために使用される圧着キャップの熱膨張係数の間の比較的大きい差を補うために弾性的に膨張することができないであろう。このことを考えると、医薬品容器のための既存の密閉アセンブリは、-10℃以下の温度では機能しないであろう。
【0004】
ある生体物質(例えば、血液、血清、タンパク質、幹細胞、および他の腐りやすい生体液)は、有用な状態でいるために、従来のエラストマーのガラス転移温度より低い温度で貯蔵する必要がある。例えば、特定のRNA系ワクチンは、活性状態でいるために、ドライアイス温度(例えば、約-80℃)または液体窒素温度(例えば、約-180℃)で貯蔵する必要があるであろう。そのような低温では、閉鎖部材(例えば、ガラスまたはプラスチック容器、栓、アルミニウムキャップ)に寸法変化が生じ、シールの完全性に問題が発生し、中に貯蔵された物質が潜在的に汚染されるかもしれない。
【発明の概要】
【0005】
1つの実施の形態において、密閉医薬品容器は、肩部;その肩部から延在する首部;その首部から延在するフランジであって、首部から延在する裏面と、裏面から延在する、フランジの外径を規定する外面と、その外面と密閉医薬品容器に開口を画成する内面との間に延在する上部シール面とを備えたフランジ;および密閉アセンブリであって、フランジの上部シール面の上に延在し、開口を覆うシール部分および開口中に延在し、フランジの内面と接触する挿入部分を備え、第1のCTEを有する栓と、栓の中に入れられ、第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材とを備えた密閉アセンブリを含む。
【0006】
別の実施の形態において、密閉医薬品容器は、注射器であって、開口端および開口端の反対にある閉口端を有する管状筒と、閉口端から延在し、管状筒の内壁により画成された管状筒の内部と流体連通した針とを備えた注射器;および管状筒の内部に移動可能に配置された密閉アセンブリであって、内壁および管状筒の内壁と少なくとも部分的に接触した内壁の反対にある外壁を有し、第1のCTEを有する栓と、栓の中に少なくとも部分的に入れられ、第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材と、栓に連結され、管状筒の開口端を通って延在するプランジャーとを備えた密閉アセンブリを含む。
【0007】
さらに別の実施の形態において、医薬品容器を密閉する方法は、医薬品容器において、肩部、その肩部から延在する首部、およびその首部から延在するフランジであって、首部から延在する裏面と、その裏面から延在する、フランジの外径を規定する外面と、その外面から開口を画成する医薬品容器の内面まで延在する上部シール面とを備えたフランジを含む医薬品容器を提供する工程;その医薬品容器に医薬品組成物を入れる工程;およびフランジの上部シール面の上に延在し、開口を覆うシール部分および開口中に延在し、フランジの内面と接触する挿入部分を備え、第1のCTEを有する栓と、栓の中に入れられ、第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材とを提供する工程を含む。
【0008】
ここに記載された実施の形態により与えられるこれらと追加の特徴は、図面と共に、以下の詳細な説明を鑑みて、より十分に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図面に示された実施の形態は、実質的に、説明のためであり、例示であり、請求項に定義された主題を限定する意図はない。説明に役立つ実施の形態の以下の詳細な説明は、同様の構造が同様の参照番号で示されている、以下の図面と併せて読まれた場合に、理解することができる。
【
図1】ここに図示され記載された1つ以上の実施の形態による、医薬品容器の実施の形態の断面図
【
図2】ここに図示され記載された1つ以上の実施の形態による、医薬品容器の別の実施の形態の部分断面図
【
図3】ここに図示され記載された1つ以上の実施の形態による、医薬品容器の別の実施の形態の部分断面図
【
図4】ここに図示され記載された1つ以上の実施の形態による、医薬品容器の別の実施の形態の断面図
【
図5】ここに図示され記載された1つ以上の実施の形態による、医薬品容器の別の実施の形態の断面図
【
図6】ここに図示され記載された1つ以上の実施の形態による、医薬品容器の別の実施の形態の断面図
【
図7】ここに図示され記載された1つ以上の実施の形態による、医薬品容器の別の実施の形態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、比較的低い貯蔵温度(例えば、-30℃以下、-40℃以下、-50℃以下、-60℃以下、-70℃以下、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、-180℃以下)で容器の密閉完全性を維持する密閉アセンブリを備えた密閉医薬品容器の実施の形態を詳しく参照する。実施の形態において、ここに記載された医薬品容器の構造は、医薬品容器と、その中に挿入される密閉アセンブリとの間の界面でシールの維持を促進するために、1つ以上の態様において、既存の医薬品容器の構造と異なることがある。例えば、ここに記載された医薬品容器の実施の形態は、肩部、首部、および密閉アセンブリの栓がそれに対してキャップで押し付けられる上部シール面を含むフランジを備えたバイアル(けれども、他の容器形状も本開示の範囲に含まれる)であることがある。密閉医薬品容器がそのような低い貯蔵温度に冷却されたときに、シールの維持を促進するために、上部シール面の様々な特徴が適応されることがある。例えば、実施の形態において、上部シール面は、医薬品容器の中心軸からの半径方向距離の増加と共に降下する傾斜シール面を含むことがある。その傾斜シール面は、圧着プロセス中に栓に対して印加される初期力を増加させ、より低い温度に冷却されたときの栓の収縮の耐性を増加させるように、医薬品容器の端部に広がる平面に対して0度超(例えば、0度超かつ45度以下)の角度で降下することがある。実施の形態において、上部シール面は、上部シール面と栓との間の接触面積を最大にするために、医薬品容器の中心軸に垂直に延在する(例えば、89.5度以上かつ90度以下の角度で延在する)。実施の形態において、密閉完全性を増加させるために、上部シール面の様々な他の特徴(例えば、表面粗さ、平坦性など)が調整されることがある。
【0011】
実施の形態において、ここに記載された医薬品容器の密閉アセンブリは、低い貯蔵温度でのシール維持を促進するために、材料の様々な組合せから形成されることがある。本明細書の密閉アセンブリは、栓、栓内に入れられた充填部材、および金属含有キャップであって、その金属含有キャップで栓に印加される十分なシール力を維持するために、低い貯蔵温度での金属含有キャップに対する栓の過剰な変形を防ぐように調整された組成物から形成された金属含有キャップを含むことがある。例えば、実施の形態において、金属含有キャップは、そのCTEを既存のアルミニウム圧着キャップよりも増加させる材料から作られることがある。実施の形態において、金属含有キャップは、より高いCTEを提供するために、Alの代わりに、ZnまたはMgの少なくとも一方から作られることがある。実施の形態において、金属含有キャップは、アルミニウム含有高分子複合材料から作られる。実施の形態において、金属含有キャップは、Zn、Al、Mg、Cuの少なくとも1つを含む金属合金から作られる。栓は第1のCTEを有し、充填部材は、第1のCTEより低い第2のCTEを有する。それゆえ、充填部材は、比較的低い温度に曝されたときに、栓の収縮の量を減少させる。
【0012】
ここに用いられているように、「容器密閉完全性」という用語は、汚染物質の侵入の確率を維持する、またはガス透過率の可能性を医薬品容器内に貯蔵される物質に基づく所定の閾値より低く減少させるために、閾値サイズより大きい間隙を含まない、医薬品容器と密閉アセンブリとの間(例えば、医薬品容器の上部シール面と栓との間)の界面でのシールの維持を称する。例えば、実施の形態において、容器密閉完全性は、USP<1207>(2016)に記載されたヘリウム漏れ試験中にヘリウム漏れ速度が1.4×10-6cm3/秒以下に維持されれば、維持される。
【0013】
ここに記載された医薬品容器の実施の形態において、医薬品容器を形成するガラス組成物の構成成分(例えば、SiO2、Al2O3、B2O3など)の濃度は、特に明記のない限り、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で指定される。
【0014】
「実質的に含まない」という用語は、ガラス組成物中の特定の構成成分の濃度および/または不在を記載するために使用される場合、その構成成分がガラス組成物に意図的に加えられていないことを意味する。しかしながら、そのガラス組成物は、0.05モル%未満の量の汚染物質または混入物として微量の構成成分を含有することがある。
【0015】
ここに用いられている「CTE」という用語は、特に明記のない限り、約-200℃から約300℃の温度範囲に亘る熱膨張係数を称する。
【0016】
ここに用いられているように、「約」という用語は、量、サイズ、配合物、パラメータ、および他の数量と特徴が、正確ではなく、正確である必要はないが、公差、変換係数、四捨五入、測定誤差など、および当業者に公知の他の要因を反映して、所望に応じて、近似である、および/またはそれより大きいかまたは小さいこともあることを意味する。値または範囲の端点を記載する上で、「約」という用語が使用される場合、言及される特定値または端点は含まれる。本明細書における数値または範囲の端点に「約」が付いているか否かにかかわらず、2つの実施の形態:「約」で修飾されているもの、および「約」で修飾されていないものが記述される。範囲の各々の端点は、他方の端点と関係してと、他方の端点とは関係なくの両方で有意であることがさらに理解されよう。
【0017】
ここに用いられているような方向を表す用語-例えば、上、下、右、左、前、後、上部、底部-は、描かれている図面に関してのみ使用され、絶対的な向きを暗示する意図はない。
【0018】
ここに用いられているように、名詞は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、複数の対象を含む。それゆえ、例えば、成分に対する言及は、文脈上明白に他の意味に解釈すべき場合を除いて、そのような成分を2つ以上有する態様を含む。
【0019】
ここで
図1を参照すると、医薬製剤を貯蔵するための医薬品容器100の1つの実施の形態が、断面で概略示されている。医薬品容器100は、ガラス容器102およびガラス容器102の開口105でガラス容器102に連結された密閉アセンブリ104を備える。ここではガラス容器102と称されるが、実施の形態において、ガラス容器102は、プラスチックや、どの他の適切な材料から形成されてもよいことを認識すべきである。密閉アセンブリ104は、栓106、充填部材107、および金属含有キャップ108を備える。
図1に示された実施の形態において、栓106は、挿入部分117およびシール部分119を含む。実施の形態において、挿入部分117が提供されないことがあるのを認識すべきである。それゆえ、栓106は、ガラス容器102の開口105中に延在しないことがある。
【0020】
充填部材107が、栓106、詳しくは、栓106のシール部分119の中に入れられている。充填部材107は、上面121a、その上面121aの反対にある下面121b、および外縁121cを有する充填体121を含む。図示されていないが、充填体121は、平面図で見たときに、外縁121cで画成されるように、栓106のシール部分119の外縁の形状に対応する、円形状または楕円形状を有することがあることを認識すべきである。それゆえ、シール部分119の外縁と充填体121の外縁121cとの間の距離は、充填体121の外縁121c全体に沿って実質的に一定のままである。
図1に示されるように、充填部材107は、充填体121が栓106の挿入部分117(ガラス容器102内に形成された開口105を通じて挿入されているが示されている)と重複するように栓106内に位置付けられている。それゆえ、充填体121は、ガラス容器102の開口105の開口直径D2より大きい本体直径D1を有する。実施の形態において、本体通路121dが、充填体121内に形成されており、注射器の針などの針が、充填部材107を通じてガラス容器102中に及ぶように、充填体121の上面121aと下面121bを通って延在している。実施の形態において、本体通路121dは、開口直径D2より大きい長さを有する。
【0021】
実施の形態において、充填部材107は、例えば、ガラス、結晶材料、高分子、金属など、またはその任意の組合せなどの第1の材料から形成される。実施の形態において、第1の材料は、例えば、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、カルコゲン、またはその組合せを含むことがある。実施の形態において、充填部材107を形成する第1の材料は、第2の材料で被覆されている。第2の材料は、例えば、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、ポリアクリレートエラストマーなど、またはその任意の組合せであることがある。したがって、栓106は第1のCTEを有し、充填部材は、第1のCTEより低い第2のCTEを有する。実施の形態において、第2の材料は、-200℃から300℃のガラス転移温度(Tg)を有する。実施の形態において、栓106も、-200℃から300℃のTgを有する。
【0022】
挿入部分117は、シール部分119がガラス容器102の上部シール面110と接触するまで、ガラス容器102の開口105に挿入される。次に、シール部分119は、上部シール面110でシールを形成するために、金属含有キャップ108の圧着によって上部シール面110に対して圧縮される。ガラス容器102および密閉アセンブリ104の様々な態様は、ここに記載されているように、低い貯蔵温度でのガラス容器102の容器密閉完全性の維持を確実にするために設計されている。
【0023】
ガラス容器102は、概して、本体112を備える。本体112は、ガラス容器102の内面114と外面116の間に延在する壁厚T
Wを有し、中心軸Aを有し、概して、内部容積118を取り囲む。
図1に示されたガラス容器102の実施の形態において、本体112は、概して、壁部分120および床部分122を含む。壁部分120は、踵部分124を通じて床部分122に移行する。図示された実施の形態において、ガラス容器102の壁部分120は、フランジ126、フランジ126から延在する首部128、胴部115、および首部128と胴部115との間に延在する肩部130を画成する。床部分122は、踵部分124を通じて胴部115に結合されている。実施の形態において、ガラス容器102は、中心軸Aに対して対称であり、胴部115、首部128、およびフランジ126の各々は、実質的に円筒形である。
【0024】
実施の形態において、ガラス容器102は、USP<660>に準拠するタイプ1Bのホウケイ酸ガラス組成物などのホウケイ酸ガラス組成物を含む、USP<660>に定義されたタイプI、タイプIIまたはタイプIIIのガラスから形成されることがある。あるいは、ガラス容器102は、ここに全て引用される米国特許第8551898号明細書に開示されたものなどの、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物、またはここに全て引用される米国特許第9145329号明細書に記載されたものなどのアルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス組成物から形成されることがある。実施の形態において、ガラス容器102は、ソーダ石灰ガラス組成物から構成されることがある。実施の形態において、ガラス容器102は、0×10-7/K以上かつ100×10-7/K以下(例えば、30×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下)の熱膨張係数を有する組成物から構成される。
【0025】
ガラス容器102は、特定の形状因子(すなわち、バイアル(vial))を有するのが
図1に示されているが、本明細書により詳しく述べられるように、ガラス容器102は、制限なく、Vacutainers(登録商標)、カートリッジ、注射器、アンプル、瓶、フラスコ、バイアル(phials)、管、ビーカーなどを含む他の形状因子を有してもよいことを理解すべきである。さらに、ここに記載されたガラス容器は、制限なく、医薬品包装、飲料容器などを含む多種多様な用途に使用できることを理解すべきである。
【0026】
ここではガラス容器102と称されているが、ガラス容器102は、例えば、高分子、金属、セラミックなど、ガラス以外の材料から形成されてもよいことを認識すべきである。さらに、これらの材料の熱膨張係数は、0×10-7/K以上かつ8,000×10-7/K以下であり得る。
【0027】
ガラス容器102の壁厚TWは、実施に応じて様々であってよい。実施の形態において、ガラス容器102の壁厚TWは、6ミリメートル(mm)以下、例えば、4mm以下、2mm以下、1.5mm以下、または1mm以下であることがある。いくつかの実施の形態において、壁厚TWは、0.1mm以上かつ6mm以下、0.3mm以上かつ4mm以下、0.5mm以上かつ4mm以下、0.5mm以上かつ2mm以下、または0.5mm以上かつ1.5mm以下であることがある。実施の形態において、壁厚TWは、0.9mm以上かつ1.8mm以下であることがある。壁厚TWは、ガラス容器102内の軸方向位置に応じて、変動することがある。
【0028】
図1に示されるように、フランジ126は、裏面132、外面136、および上部シール面110を有する。外面136は、フランジ126の外径を規定することがある。実施の形態において、密閉アセンブリ104の金属含有キャップ108は、任意の適切な圧着方法(例えば、空気圧圧着装置など)によりフランジ126の周りに圧着される。密閉プロセス中、栓106が開口105に挿入され、圧着中に、金属含有キャップ108に圧縮力が印加される。例えば、
図1に示されるように、金属含有キャップ108は、フランジ126の裏面132と接触して、栓106を圧縮状態に維持し、圧着プロセス後にシールを形成する底部分109を含む。栓106を圧縮すると、金属含有キャップ108が所定の位置に圧着された後に、栓106に対する圧縮を維持する残留シール力がフランジ126内に生じる。実施の形態において、フランジ126の裏面132と直接接触する金属含有キャップ108の底部分109の長さは、-80℃以下の貯蔵温度で栓106内に残留シール力を維持するのを促進するために、1mm以上の長さ111(例えば、
図1に示されたX方向の)を有する。
【0029】
ガラス容器102が-80℃以下(例えば、-80℃以下、-100℃以下、-125℃以下、-150℃以下、-175℃以下、-180℃)の比較的低い貯蔵温度に冷却されたときに、ガラス容器102の構成成分の各々が、その成分の熱的性質に依存する体積収縮を経ることがある。
図1に示されるように、金属含有キャップ108の底部分109と上部113との間に配置される材料の体積が、栓106のシール部分119およびガラス容器102のフランジ126を取り囲む。栓106とフランジ126の組合せが、金属含有キャップ108の収縮の量よりも大きい量で収縮する場合、金属含有キャップ108により与えられる栓106の圧縮は小さくなり、上部シール面110でシールが損なわれる可能性が増すであろう。しかしながら、栓のCTEより低いCTEを有する充填部材107が、そうしなければ栓106が示すであろう収縮の量を減少させる。それゆえ、栓106の中に入れられた充填部材107を含む密閉アセンブリ104は、密閉アセンブリ104の全体のCTEを低下させ、それによって、上部シール面110でシールが損なわれる可能性を減少させる。
【0030】
例えば、
図1に示されるように、フランジ126と栓106の合計高さ138(すなわち、
図1に示されたZ方向の)は、金属含有キャップ108の上部113と底部分109との間の距離とほぼ等しい。そのような状態において、金属含有キャップ108は、シールを形成するために上部シール面110に対して栓106を圧縮することができる。しかしながら、合計高さ138が金属含有キャップ108よりも大きい程度まで収縮すると、栓106の圧縮は減少し、残留シール力が低下するであろう。栓106の圧縮を維持するために、金属含有キャップ108、栓106、およびガラス容器102の収縮ΔLは、以下の関係:
【0031】
【0032】
を満たし、式中、各成分のΔLの収縮は、
【0033】
【0034】
で近似されることがあり、式中、Liは成分の初期寸法であり、α(T)は、金属含有キャップ108、栓106、およびガラス容器102の各々を構成する材料の温度依存性CCTEである。
【0035】
実施の形態において、栓106は、高分子系材料(例えば、ブチルゴムまたは他の合成ゴム)から作られる。そのような材料は、-70℃以上かつ-10℃以下のTgを有することがある。栓106は、Tg未満では、固体のように挙動し(例えば、弾性を失い)、上部シール面110でのシール力が低下するであろう。例えば、栓106がそのTgより低く冷却された場合、栓106は、上部シール面110と金属含有キャップ108の上部113との間の間隙の全てを満たさず、シールを損なう可能性が増すことがある。すなわち、栓106は、そのガラス転移温度より低く冷却されると、2つの異なる材料として:転移温度より高い温度では弾性材料として、転移温度より低い温度では固体ガラスとして効果的に挙動する。ここで式2によれば、フランジ126と金属含有キャップ108の上部113との間に配置された栓106の収縮は、初期温度Tiから最終温度TFに冷却されたときに:
【0036】
【0037】
と近似されることがあり、式中、αガラスは、栓106のゴムがそのガラス転移温度Tgより低く変わるガラス様材料のCTEを称する。実施の形態において、シールを維持するために、金属含有キャップ108と栓106は、金属含有キャップ108の収縮がガラス容器102と栓106の合計収縮以上となるように構成されることがある。そのような関係を満たすのを促進するために、金属含有キャップ108の収縮が増することがある、栓106とフランジ126の収縮が減少することがある、またはその任意の組合せであることがある。それに加え、またはそれに代えて、ガラス容器102の構造は、栓106に与えられる初期キャッピング圧縮を増加させ、それによって、栓106の収縮の耐性を大きくするように設計されることがある。
【0038】
それに加え、栓106の圧縮を維持するために、CTEおよび充填体121の上面121aと下面121bとの間に延在する充填部材107の厚さが、以下の条件:
【0039】
【0040】
を満たすべきであり、式中、hゴムは、栓106におけるゴムコーティングの厚さを称し、αキャップは、金属含有キャップ108のCTEを称し、αカートリッジは、ガラス容器102のCTEを称し、α栓は、栓106のCTEを称し、α充填材は、充填部材107のCTEを称し、hフランジは、フランジ126の厚さまたは距離156を称し、hゴムは、栓106の厚さ(垂直方向にゴムコーティングおよび充填部材107を含む)を称する。
【0041】
実施の形態において、金属含有キャップ108は、約240×10
-7/KのCTEを有することがある、アルミニウムから作られる。栓106を作る典型的なゴム(例えば、Butyl 325、Butyl 035など)は、1,400×10
-7/K以上のCTEを有することがある。すなわち、純粋にCTEの差の観点から、金属含有キャップ108は、栓106より少なく収縮する傾向があり、より低い貯蔵温度でシール力が減少する。上述したCTEの不一致に加え、
図1に示されるように、栓106は、金属含有キャップ108よりも大きい体積百分率の密閉アセンブリ104を構成し、さらに、栓106がより大きい熱収縮を経る傾向を増すであろう。
【0042】
図1に示された実施の形態において、低い貯蔵温度での金属含有キャップ108の収縮を圧倒する栓の収縮のそのような傾向に対抗するために、ガラス容器102の構造を既存のガラス容器から逸脱するように改良して、金属含有キャップ108を圧着するプロセスの最中に栓106の圧縮をより大きくしてきた。詳しくは、実施の形態において、上部シール面110は、ここに全て引用される、米国特許出願公開第2021/0212893号明細書に開示されたものなど、傾斜シール面140を含む。傾斜シール面140は、フランジ126の外面136とガラス容器102の内面114との間に延在する。この傾斜シール面140は、開口105の端部154に広がる平面152に対してある角度150で延在する。平面152は、開口105でガラス容器102の上部にある(例えば、傾斜シール面140の頂部にある)平面であることがある。実施の形態において、平面152は、ガラス容器102の基準点(例えば、床部分122、
図1参照)から最も離れた上部シール面110の周りに延在する地点を接続する。平面152は、ガラス容器102の中心軸Aに垂直な方向(例えば、
図1に示されたX方向)にガラス容器102の上部に広がる。実施の形態において、平面152は、開口105を画成する内面114の部分に垂直に延在する。
【0043】
ここに記載された角度150は、「フランジ角度」と称されることがある。平面152に対するフランジ角度は、様々な異なるやり方で測定されることがある。例えば、実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向を判定するために、ガラス容器102の画像を取り込むことがあり、画像処理技術を使用して、傾斜シール面140の角度150(平面152に対する)を決定することがある。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、傾斜シール面140の頂部(例えば、裏面132からZ方向に最大距離を有する)と、傾斜シール面140上の第2の最高地点との間に延在する平面を見つけることによって測定される(例えば、傾斜シール面140の伸張方向は、傾斜シール面140の頂部および平面152に対して頂部より低い傾斜シール面140の別の地点にある平面により測定される)。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、内面114から外側に、外面136から内側に所定の距離(例えば、0.1mm、0.2mm、0.5mm、1.0mmなど)にある傾斜シール面140上の複数の地点を接続することによって測定される(例えば、これらの地点は、内面114と外面136との間に延在する空間地点の均一分布で解釈されることがある)。実施の形態において、傾斜シール面140の伸張方向は、傾斜シール面140の全てに亘り分布した複数の異なる地点に線形平面を曲線当てはめすることによって測定される。
【0044】
実施の形態において、角度150は、5度超かつ45度以下(例えば、5度超かつ40度以下、5度超かつ40度以下、5度超かつ30度以下、5度超かつ20度以下、5度超かつ10度以下)である。実施の形態において、角度150は、ガラス容器102の外周で実質的に均一である(例えば、複数の方位角方位で測定した場合、測定値の各々は、互いに0.5度以内にあることがある)。既存のガラス容器において、角度150は、典型的に、おおよそ3度である。それゆえ、ガラス容器102では、平面152に対する上部シール面110の傾斜は、既存のガラス容器を少なくとも50%上回って増加している。上部シール面110の傾斜の増加は、低い貯蔵温度での栓の圧縮を増加させる傾向にある。角度150は、金属含有キャップ108を圧着した結果として、栓106内に圧縮勾配を作るであろう。例えば、実施の形態において、栓106の圧縮は、栓106の圧縮が内面114に近いほど大きくなるように、外面136からの半径方向距離が増加すると共に増加することがある。内面114に近接するとそのように大きくなる圧縮により、冷却により栓106が収縮するときに、シールに間隙が形成されるのが防がれることがある。
【0045】
まだ
図1を参照すると、角度150の結果として、金属含有キャップ108の上部113と上部シール面110との間の距離156は、中心軸Aからの半径方向距離の関数として、既存のガラス容器よりも大きい程度まで変動することがある。このことを踏まえると、栓106は、フランジ126の外面136近くに配置された栓106の周囲領域よりも大きい程度まで、開口105に近接して圧縮される。そのように圧縮が大きくなると、同じ圧着プロセスを使用して、栓106の圧縮を大きくし、栓106の収縮の耐性を高くする。それに加え、傾斜シール面140は、開口105に近接すると上記式3の項L
i、栓を減少させる。これにより、収縮の量が減る。
【0046】
ここに説明されていないが、-80℃以下の貯蔵温度で容器の密閉完全性を維持しつつ、
図1に関してここに記載されたガラス容器102の代替手段を使用してよいことを理解すべきである。例えば、上部シール面110は、ガラス容器102内の開口105の端部154に広がる平面152に延在することがある。実施の形態において、上部シール面110は、ガラス容器102の中心軸Aに対して実質的に垂直(例えば、89.5度以上かつ90.5度以下)に延在する。実施の形態において、上部シール面110は、開口105を規定するガラス容器102の内面114に実質的に垂直に延在する。そのような上部シール面110は、栓106と上部シール面110との間の接触面積を効果的に増加させ、シールの完全性を維持する可能性を増すであろう。
【0047】
ここで
図2を参照すると、ガラス容器102および密閉アセンブリ202を備えた医薬品容器200のさらなる実施の形態が示されている。密閉アセンブリ202は、栓106および充填部材204を含む。ガラス容器102に形成された開口105に亘り延在する充填体121を備えた充填部材107というより、充填部材204は、開口105内に少なくとも部分的に、その中を通って延在する。しかしながら、形成する材料およびCTEなどの、充填部材107の上記特徴は、ここに述べられる充填部材204にも等しく適用できることを認識すべきである。
【0048】
充填部材204は、栓106内に、詳しくは、栓106のシール部分119内ではなく、栓106の挿入部分117内に少なくとも部分的に入れられている。より詳しくは、充填部材204は、上面206a、上面206aの反対にある下面206b、および外縁206cを有する充填突出部206を含む。実施の形態において、充填部材204は、その下面206bでは、栓106内に入れられていないことがある。他の実施の形態において、充填部材204は、栓106内に完全に入れられることがある。実施の形態において、充填突出部206の上面206aは、
図2に示されるように、栓106のシール部分119の上面121aに形成されたテーパーに適合するように半径方向外側にテーパー状になっていることがある。図示されていないが、充填突出部206は、平面図で見たときに、外縁206cで画成されるように、栓106の挿入部分117の外縁の形状に対応する、円形状または楕円形状を有することがあることを認識すべきである。それゆえ、挿入部分117の外縁と充填突出部206の外縁206cとの間の距離は、充填突出部206の外縁206cの全てに沿って実質的に一定のままである。
図2に示されるように、充填部材204は、充填突出部206が栓106の挿入部分117を通り(ガラス容器102に形成された開口105を通って挿入されているのが示されている)、ガラス容器102の内面114に平行に延在するように栓106内に位置付けられている。それゆえ、充填突出部206は、ガラス容器102の開口105の開口直径D2より小さい突出部直径D3を有する。実施の形態において、突出部通路206dが、充填突出部206内に形成され、充填突出部206の上面206aと下面206bを通って延在して、注射器の針などの針が充填部材204を通ってガラス容器102中に延在することができる。実施の形態において、突出部通路206dにシール材料206eが充填されることがある。
【0049】
ここで
図3を参照すると、ガラス容器102および密閉アセンブリ302を備えた医薬品容器300のさらなる実施の形態が示されている。密閉アセンブリ302は、栓106および充填部材304を含む。充填部材304は、ここに述べられた、充填体121と類似の充填体306、および充填突出部206と類似の充填突出部308を含む。充填体306および充填突出部308は、ワンピースのモノリス構造として形成されることがある。それゆえ、充填部材304は、上記実施の形態に記載されたように、どれか一方というより、ガラス容器102に形成された開口に亘り、またその開口105内の両方に延在する。形成する材料およびCTEなどの、充填部材107、204の上記特徴は、ここに述べられる充填部材304にも等しく適用できることを認識すべきである。
【0050】
充填部材304は、栓106内に少なくとも部分的に入れられている。詳しくは、充填体306が栓106のシール部分119内に入れられており、充填突出308が栓106の挿入部分117内に少なくとも部分的に入れられている。より詳しくは、充填体306は、上面306a、上面306aの反対にある下面306b、および外縁306cを有し、充填突出部308も、上面308a、上面308aの反対にある下面308b、および外縁308cを有する。実施の形態において、充填体306の上面306aは、
図3に示されるように、栓106のシール部分119の上面121aに形成されたテーパーに適合するように半径方向外側にテーパー状になっていることがある。図示されていないが、充填体306および充填突出部308は、平面図で見たときに、それぞれ、外縁306cおよび外縁308cで画成されるように、それぞれ、栓106のシール部分119の外縁および挿入部分117の外縁の形状に対応する、円形状または楕円形状を有することがあることを認識すべきである。それゆえ、シール部分119の外縁と充填体306の外縁306cとの間の距離は、充填体306の外縁306cの全てに沿って実質的に一定のままである。同様に、挿入部分117の外縁と充填突出部308の外縁308cとの間の距離は、充填突出部308の外縁308cの全てに沿って実質的に一定のままである。実施の形態において、本体通路121dなどの本体通路306dが充填体306内に形成されており、突出部通路206dなどの突出部通路308dが充填突出部308内に形成されている。本体通路306dおよび突出部通路308dは、充填部材304を完全に通って延在し、注射器の針などの針が充填部材304を通ってガラス容器102中に延在するように、互いに同軸であることがある。実施の形態において、本体通路306dおよび突出部通路308dにシール材料306eが充填されることがある。
【0051】
図1~3に示されるように、シール部分の外面と金属含有キャップの間、並びにフランジの外面と金属含有キャップの間に、間隙が形成されることがあることを認識すべきである。あるいは、ここに述べられるように、シール部分の外面と金属含有キャップ、並びにフランジの外面と金属含有キャップは、間隙が設けられないように、互いに接触していることがある。それに加え、実施の形態において、ここに述べられた密閉アセンブリに鋭角が設けられず、そうではなく、応力の集中を避けるために、どのような角度の付いた表面も、面取りしたり、丸めたりすべきであることに留意すべきである。
【0052】
ここで
図4~7を参照すると、注射器として示された容器、および注射器を密閉するための医薬品容器の栓内に設けられた充填部材を備えた医薬品容器の実施の形態が示されている。
図4を参照すると、ここでは注射器402として示された容器、および密閉アセンブリ404を備えた医薬品容器400が示されている。形成する材料およびCTEなどの、ガラス容器102の上記特徴は、ここに述べられた注射器402にも等しく適用できることを認識すべきである。しかしながら、実施の形態において、注射器402は、例えば、プラスチックなど、ガラス以外の材料から形成されることがある。注射器402は、開口端408および開口端408の反対にある閉口端410を有する管状筒406を含む。実施の形態において、注射器402の閉口端410はテーパー状になっている。管状筒406は、管状筒406の内壁414で画成された内部412を有する。針416が、注射器402の閉口端410に設けられ、管状筒406の内部412と流体連通して、流体を内部412から注射器402の外に向ける。
【0053】
密閉アセンブリ404は、管状筒406の内部412に移動可能に配置されており、栓418、充填部材420、およびプランジャー422を備える。栓418は、外壁418aおよび外壁418aの反対にある内壁418bを有する。栓418が管状筒406内に配置されているときに、外壁418aは管状筒406の内壁414と接触している。栓418の内壁418bは、充填部材420を受け入れる凹部418cを画成する。それゆえ、充填部材420は、栓418内に少なくとも部分的に入れられている。
【0054】
プランジャー422は、第1の端部422a、第1の端部422aの反対にある第2の端部422bを有する。プランジャー422の第1の端部422aは、栓418および充填部材420の一方または両方に、接着、超音波溶接などによって、固定されることがある。図から分かるように、プランジャー422の第1の端部422aは、充填部材420に固定され、そこから延在している。プランジャー422は、栓418および充填部材420の反対に、その第2の端部422bに形成された縁422cを含むことがある。縁422cは、注射器402の内部412に、プランジャー422、およびより詳しくは、密閉アセンブリ404を手動で配置するのを支援する。
【0055】
形成する材料およびCTEなど、栓106および充填部材107の上記特徴は、それぞれ、ここに述べられた栓418および充填部材420にも等しく適用できることを認識すべきである。それゆえ、栓418は第1のCTEを有し、充填部材420は、第1のCTEより低い第2のCTEを有する。それに加え、実施の形態において、管状筒406は、充填部材420の第2のCTEより大きい第3のCTEを有する。したがって、充填部材420は、例えば、ガラス、結晶材料、高分子、金属など、またはその任意の組合せなどの第1の材料から形成される。実施の形態において、充填部材420を形成する第1の材料は、第2の材料で被覆されている。第2の材料は、例えば、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、ポリアクリレートエラストマーなど、またはその任意の組合せであることがある。
【0056】
栓418のCTEが、管状筒406のCTEとほぼ同じか、それより低い場合、それらの間に間隙が形成される可能性が著しく減少する。充填部材420のCTEおよび厚さは、以下の式:
【0057】
【0058】
を満たすべきである。式中、α充填、αカートリッジ、およびαプランジャーは、それぞれ、充填部材420、管状筒406、および栓418のCTEであり、Δrは栓418の厚さであり、r充填は、充填部材420のサイズまたは半径である。
【0059】
管状筒406は、例えば、プラスチックなど、ガラス以外の材料から形成されることがあることを認識すべきである。しかしながら、管状筒406がガラスから形成される場合、栓418と管状筒406との間のCTEの差は、比較的大きいであろう。ガラスのCTEは既に低いので、ひいては、充填部材420のCTE要件をより容易に満たせるように、栓418の厚さを減少させるほうがよい。この場合、充填部材420のCTEは、以下の式:
【0060】
【0061】
を満たすべきである。
【0062】
ここで
図5を参照すると、注射器402および密閉アセンブリ504を備えた医薬品容器500が示されている。医薬品容器500は、
図4に示された医薬品容器400と実質的に似ており、それゆえ、同様の部品を指すために、同様の参照番号が使用されている。密閉アセンブリ540は、栓418、充填部材520、およびプランジャー522を備える。充填部材520は、空洞520aが中に形成されていることを除いて、充填部材420と同じである。それゆえ、医薬品容器500が比較的低い温度に曝されたときの栓418の収縮と変形を減少させる恩恵をまだ提供しつつ、充填部材520の全体的な質量が減少している。その結果、栓418の外壁418aと管状筒406の内壁414との間の接触により形成されるシールが維持される。
【0063】
それに加え、プランジャー522は、第1の端部522aおよび第1の端部522aの反対にある第2の端部522bを有する。フランジ522cが、プランジャー522の第1の端部522aに形成されており、充填部材520内に形成された空洞520aに亘り延在している。それゆえ、フランジ522cは、空洞520aを、管状筒406で画成された内部412をその残りから閉じさせている。フランジ522cは、少なくとも充填部材520に亘り延在し、実施の形態において、同様に栓418に亘り延在している。実施の形態において、フランジ522cは、管状筒406の内部412に亘り、それゆえ、充填部材520および栓418の両方に亘り延在する幅を有し、よって、フランジ522cの互いに反対の端部は、管状筒406の内壁414と接触している。これにより、プランジャー522、栓418、および管状筒406の間の流体密封シールが確保される。プランジャー522の第1の端部522aは、栓418および充填部材520の一方または両方に、接着、超音波溶接などによって、固定されることがある。形成する材料およびCTEなどの、充填部材107の上記特徴は、ここに述べられた充填部材520にも等しく適用できることを認識すべきである。それゆえ、充填部材520は、栓418の第1のCTEより低い第2のCTEを有する。それに加え、実施の形態において、充填部材520の第2のCTEは、管状筒406の第3のCTEより低い。
【0064】
ここで
図6を参照すると、注射器402および密閉アセンブリ604を備えた医薬品容器600が示されている。医薬品容器600は、それぞれ、
図4および5に示された医薬品容器400、500と実質的に似ており、それゆえ、同様の部品を指すために、同様の参照番号が使用されている。密閉アセンブリ604は、栓418、充填部材620、およびプランジャー622を備える。充填部材620は、空洞520aが一端で閉じているのではなく、その互いに反対の端部で開いた通路620aが中に形成されていることを除いて、充填部材520と同じである。それゆえ、充填部材620は環状である。医薬品容器600が比較的低い温度に曝されたときの栓418の収縮と変形を減少させる恩恵をまだ提供しつつ、充填部材620の全体的な質量が減少している。それに加え、充填部材620内に形成された通路620aにより、プランジャー622は、充填部材620を完全に通って延在し、その第1の端部222aで栓418と接触している。プランジャー622の第1の端部622aは、栓418に、接着、超音波溶接などによって、固定されることがある。形成する材料およびCTEなどの、充填部材107の上記特徴は、ここに述べられた充填部材620にも等しく適用できることを認識すべきである。それゆえ、充填部材620は、栓418の第1のCTEより低い第2のCTEを有する。それに加え、実施の形態において、充填部材620の第2のCTEは、管状筒406の第3のCTEより低い。
【0065】
ここで
図7を参照すると、注射器402および密閉アセンブリ704を備えた医薬品容器700が示されている。密閉アセンブリ704は、栓718、充填部材720、およびプランジャー722を備える。形成する材料およびCTEなどの、栓106および充填部材107の上記特徴は、それぞれ、ここに述べられた栓718および充填部材720にも等しく適用できることを認識すべきである。それゆえ、栓718は第1のCTEを有し、充填部材720は、第1のCTEより低い第2のCTEを有する。
【0066】
図7に示されるように、栓718は、内壁718aおよび内壁718aの反対にある外壁718bを有する。内壁718aは空洞718cを画成する。外壁718bは1つ以上のローブ718dを画成する。ローブ718dは、半径方向に延在して、管状筒406の内壁414と接触する。図から分かるように、一対のローブ718dが、隣接するローブ718dの間に1つ以上の凹部718eを画成するのが示されている。しかしながら、例えば、3つ、4つ、または5つのローブなど、3つ以上のローブ718dが設けられてもよいことを認識すべきである。栓718は、その内壁718aと外壁718bとの間に画成された一定の厚さを有する。実施の形態において、管状筒406の内部412の密閉アセンブリ704の摺動を促進するために、管状筒406の内壁414に潤滑剤が設けられることがある、内部が潤滑剤で被覆されている、および/または凹部718e内に潤滑剤が設けられていることがある。
【0067】
栓718の内壁718aで画成された空洞718c内に充填部材720が設けられている。充填部材720は、空洞718cの形状に適合して、栓718の内壁718aと接触し、それに沿って延在している。それゆえ、充填部材720は、1つ以上のローブ720aを同様に画成する。栓718が、1つ以上の凹部718eを画成する複数のローブ718dを有する実施の形態において、充填部材720は、
図7に示されるように、1つ以上の凹部720bを画成する複数のローブ720aを同様に有する。プランジャー722は、栓718および充填部材720の一方または両方に、接着、超音波溶接などによって、固定されることがある第1の端部722aを有する。図から分かるように、第1の端部722aは充填部材720に固定されている。
【0068】
上述したことに鑑みて、密閉医薬品容器が比較的低い温度に曝されたときに、容器に対する密閉アセンブリの収縮により、容器と密閉アセンブリとの間に形成されたシールに間隙が生じないように、容器のCTEより低いCTEを有する密閉アセンブリおよび容器を含む密閉医薬品容器がここに定義されていることを認識すべきである。特に、密閉アセンブリは、栓内に少なくとも部分的に入れられた充填部材を含む栓を備える。充填部材は、栓のCTEより低く、容器のCTEとほぼ同じか、またはそれより低いCTEを有する。
【0069】
ここに記載された実施の形態のさらなる態様が、以下の項目の主題により提供される。
【0070】
項目1. 密閉医薬品容器において、肩部;その肩部から延在する首部;その首部から延在するフランジであって、首部から延在する裏面と、裏面から延在する、フランジの外径を規定する外面と、その外面と密閉医薬品容器に開口を画成する内面との間に延在する上部シール面とを備えたフランジ;および密閉アセンブリであって、フランジの上部シール面の上に延在し、開口を覆うシール部分および開口中に延在し、フランジの内面と接触する挿入部分を備え、第1のCTEを有する栓と、栓の中に入れられ、第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材とを備えた密閉アセンブリを含む、密閉医薬品容器。
【0071】
項目2. 充填部材が第1の材料から作られ、その第1の材料が、ガラス、結晶材料、高分子、および金属の少なくとも1つを含む、項目1の密閉医薬品容器。
【0072】
項目3. 第1の材料が、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、およびカルコゲンの少なくとも1つを含む、項目2の密閉医薬品容器。
【0073】
項目4. 第1の材料が第2の材料で被覆され、その第2の材料が、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、およびポリアクリレートエラストマーの少なくとも1つを含む、項目2の密閉医薬品容器。
【0074】
項目5. 第2の材料が、-200℃から300℃のガラス転移温度(Tg)を有する、項目4の密閉医薬品容器。
【0075】
項目6. 充填部材が、密閉医薬品容器の開口の開口直径より大きい本体直径を有する充填体を含む、項目1~5のいずれかの密閉医薬品容器。
【0076】
項目7. 充填体の上面および充填体の下面を通じて延在する本体通路が形成されている、項目6の密閉医薬品容器。
【0077】
項目8. 充填部材が、医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含む、項目7の密閉医薬品容器。
【0078】
項目9. 充填突出部の上面およびその突出部の下面を通って延在する突出部通路が形成され、本体と突出部がワンピースモノリス構造を形成し、突出部通路と本体通路が互いに同軸である、項目8の密閉医薬品容器。
【0079】
項目10. 充填部材が、医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含み、その充填突出部が、密閉医薬品容器の開口の開口直径より小さい突出部直径を有する、項目1~9のいずれかの密閉医薬品容器。
【0080】
項目11. 密閉アセンブリが、密閉医薬品容器が-45℃以下の温度に冷却されたときに、密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、項目1~10のいずれかの密閉医薬品容器。
【0081】
項目12. 上部シール面が、開口の端部を通って延在する平面に対してある角度で延在する傾斜シール面であり、それによって傾斜シール面とその平面との間の距離が、外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するようになっている、項目1~11のいずれかの密閉医薬品容器。
【0082】
項目13. フランジが、0×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下の熱膨張係数を有する組成物から構成されている、項目1~12のいずれかの密閉医薬品容器。
【0083】
項目14. 密閉医薬品容器において、注射器であって、開口端および開口端の反対にある閉口端を有する管状筒と、閉口端から延在し、管状筒の内壁により画成された管状筒の内部と流体連通した針とを備えた注射器;および管状筒の内部に移動可能に配置された密閉アセンブリであって、内壁および管状筒の内壁と少なくとも部分的に接触した内壁の反対にある外壁を有し、第1のCTEを有する栓と、栓の中に少なくとも部分的に入れられ、第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材と、栓に連結され、管状筒の開口端を通って延在するプランジャーとを備えた密閉アセンブリを含む、密閉医薬品容器。
【0084】
項目15. 充填部材が第1の材料から作られ、その第1の材料が、ガラス、結晶材料、高分子、および金属の少なくとも1つを含む、項目14の密閉医薬品容器。
【0085】
項目16. 第1の材料が、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、およびカルコゲンの少なくとも1つを含む、項目15の密閉医薬品容器。
【0086】
項目17. 栓が第2の材料から作られ、その第2の材料が、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、およびポリアクリレートエラストマーの少なくとも1つを含む、項目15の密閉医薬品容器。
【0087】
項目18. 第2の材料が、-200℃から300℃のTgを有する、項目17の密閉医薬品容器。
【0088】
項目19. プランジャーが、管状筒の内部に設けられた第1の端部および管状筒の内部の外側に設けられた第1の端部の反対にある第2の端部を含み、プランジャーの第1の端部が充填部材に固定されている、項目14~18のいずれかの密閉医薬品容器。
【0089】
項目20. 充填部材が、その中に形成された空洞を有する、項目19の密閉医薬品容器。
【0090】
項目21. プランジャーが、充填部材内に形成された空洞に亘り延在するその第1の端部に形成されたフランジを含む、項目20の密閉医薬品容器。
【0091】
項目22. プランジャーの第1の端部が、充填部材内に形成された空洞内に受け入れられる、項目20の密閉医薬品容器。
【0092】
項目23. 栓および充填部材の各々が、1つ以上の凹部を画成するローブの対を含み、そのローブの対が管状筒の内壁と接触しており、1つ以上の凹部が、管状筒の内壁から間隔が空けられている、項目19~22のいずれかの密閉医薬品容器。
【0093】
項目24. 管状筒が、0×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下の熱膨張係数を有する組成物から構成されている、項目14~23のいずれかの密閉医薬品容器。
【0094】
項目25. 密閉医薬品容器が、毎分5℃以下の速度で前記温度に冷却されたときに、ヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、項目14~24のいずれかの密閉医薬品容器。
【0095】
項目26. 密閉アセンブリが、密閉医薬品容器が-20℃以下の温度に冷却されたときに、密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、項目14~24のいずれかの密閉医薬品容器。
【0096】
項目27. 密閉アセンブリが、密閉医薬品容器が-120℃以下の温度に冷却されたときに、密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、項目14~24のいずれかの密閉医薬品容器。
【0097】
項目28. 密閉アセンブリが、密閉医薬品容器が-180℃以下の温度に冷却されたときに、密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、項目14~24のいずれかの密閉医薬品容器。
【0098】
項目29. 医薬品容器を密閉する方法であって、医薬品容器において、肩部、その肩部から延在する首部、およびその首部から延在するフランジであって、首部から延在する裏面と、その裏面から延在する、フランジの外径を規定する外面と、その外面から開口を画成する医薬品容器の内面まで延在する上部シール面とを備えたフランジを含む医薬品容器を提供する工程;その医薬品容器に医薬品組成物を入れる工程;およびフランジの上部シール面の上に延在し、開口を覆うシール部分および開口中に延在し、フランジの内面と接触する挿入部分を備え、第1のCTEを有する栓と、栓の中に入れられ、第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材とを提供する工程を含む方法。
【0099】
項目30. 医薬品容器を-20℃以下の温度に冷却する工程をさらに含み、医薬品容器の冷却後、医薬品容器のヘリウム漏れ速度が前記温度で1.4×10-6cm3/秒以下であるように上部シール面への圧縮が維持される、項目29の方法。
【0100】
項目31. 充填部材が第1の材料から作られ、その第1の材料が、ガラス、結晶材料、高分子、および金属の少なくとも1つを含む、項目29または項目30の方法。
【0101】
項目32. 第1の材料が第2の材料で被覆され、その第2の材料が、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、およびポリアクリレートエラストマーの少なくとも1つを含む、項目31の方法。
【0102】
項目33. 第2の材料が、-200℃から300℃のTgを有する、項目32の方法。
【0103】
項目34. 充填部材が、医薬品容器の開口の開口直径以上の本体直径を有する充填体を含む、項目29~33のいずれかの方法。
【0104】
項目35. 本体の上面および本体の下面を通って延在する本体通路が形成されている、項目34の方法。
【0105】
項目36. 充填部材が、医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含む、項目35の方法。
【0106】
項目37. 突出部の上面および充填突出部の下面を通って延在する突出部通路が形成され、充填体および充填突出部がワンピースモノリス構造を形成し、突出部通路および本体通路が互いに同軸である、項目36の方法。
【0107】
項目38. 充填部材が、医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含み、充填突出部が、医薬品容器の開口の開口直径より小さい突出部直径を有する、項目29の方法。
【0108】
請求項の主題の範囲から逸脱せずに、ここに記載された実施の形態に、様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0109】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0110】
実施形態1
密閉医薬品容器において、
肩部、
前記肩部から延在する首部、
前記首部から延在するフランジであって、
前記首部から延在する裏面と、
前記裏面から延在する、前記フランジの外径を規定する外面と、
前記外面と前記密閉医薬品容器に開口を画成する内面との間に延在する上部シール面と、
を備えたフランジ、および
密閉アセンブリであって、
前記フランジの前記上部シール面の上に延在し、前記開口を覆うシール部分および該開口中に延在し、該フランジの内面と接触する挿入部分を備え、第1のCTEを有する栓と、
前記栓の中に入れられ、前記第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材と、を備えた密閉アセンブリ、
を含む、密閉医薬品容器。
【0111】
実施形態2
前記充填部材が第1の材料から作られ、該第1の材料が、ガラス、結晶材料、高分子、および金属の少なくとも1つを含む、実施形態1に記載の密閉医薬品容器。
【0112】
実施形態3
前記第1の材料が、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、およびカルコゲンの少なくとも1つを含む、実施形態2に記載の密閉医薬品容器。
【0113】
実施形態4
前記第1の材料が第2の材料で被覆され、その第2の材料が、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、およびポリアクリレートエラストマーの少なくとも1つを含む、実施形態2に記載の密閉医薬品容器。
【0114】
実施形態5
前記第2の材料が、-200℃から300℃のTgを有する、実施形態4に記載の密閉医薬品容器。
【0115】
実施形態6
前記充填部材が、前記密閉医薬品容器の開口の開口直径より大きい本体直径を有する充填体を含む、実施形態1に記載の密閉医薬品容器。
【0116】
実施形態7
前記充填体の上面および該充填体の下面を通じて延在する本体通路が形成されている、実施形態6に記載の密閉医薬品容器。
【0117】
実施形態8
前記充填部材が、前記医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、該医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含む、実施形態7に記載の密閉医薬品容器。
【0118】
実施形態9
前記充填突出部の上面および該突出部の下面を通って延在する突出部通路が形成され、前記本体と該突出部がワンピースモノリス構造を形成し、該突出部通路と前記本体通路が互いに同軸である、実施形態8に記載の密閉医薬品容器。
【0119】
実施形態10
前記充填部材が、前記医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、該医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含み、該充填突出部が、該密閉医薬品容器の開口の開口直径より小さい突出部直径を有する、実施形態1に記載の密閉医薬品容器。
【0120】
実施形態11
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-45℃以下の温度に冷却されたときに、該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、実施形態1に記載の密閉医薬品容器。
【0121】
実施形態12
前記上部シール面が、前記開口の端部を通って延在する平面に対してある角度で延在する傾斜シール面であり、それによって該傾斜シール面と該平面との間の距離が、前記外面からの半径方向距離が減少するにつれて増加するようになっている、実施形態1に記載の密閉医薬品容器。
【0122】
実施形態13
前記フランジが、0×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下の熱膨張係数を有する組成物から構成されている、実施形態1に記載の密閉医薬品容器。
【0123】
実施形態14
密閉医薬品容器において、
注射器であって、
開口端および該開口端の反対にある閉口端を有する管状筒と、
前記閉口端から延在し、前記管状筒の内壁により画成された該管状筒の内部と流体連通した針と、
を備えた注射器、および
前記管状筒の内部に移動可能に配置された密閉アセンブリであって、
内壁および前記管状筒の内壁と少なくとも部分的に接触した該内壁の反対にある外壁を有し、第1のCTEを有する栓と、
前記栓の中に少なくとも部分的に入れられ、前記第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材と、
前記栓に連結され、前記管状筒の開口端を通って延在するプランジャーと、
を備えた密閉アセンブリ、
を含む、密閉医薬品容器。
【0124】
実施形態15
前記充填部材が第1の材料から作られ、該第1の材料が、ガラス、結晶材料、高分子、および金属の少なくとも1つを含む、実施形態14に記載の密閉医薬品容器。
【0125】
実施形態16
前記第1の材料が、酸化物、ハロゲン化物、窒化物、およびカルコゲンの少なくとも1つを含む、実施形態15に記載の密閉医薬品容器。
【0126】
実施形態17
前記栓が第2の材料から作られ、該第2の材料が、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、およびポリアクリレートエラストマーの少なくとも1つを含む、実施形態15に記載の密閉医薬品容器。
【0127】
実施形態18
前記第2の材料が、-200℃から300℃のTgを有する、実施形態17に記載の密閉医薬品容器。
【0128】
実施形態19
前記プランジャーが、前記管状筒の内部に設けられた第1の端部および該管状筒の内部の外側に設けられた、該第1の端部の反対にある第2の端部を含み、該プランジャーの第1の端部が前記充填部材に固定されている、実施形態14に記載の密閉医薬品容器。
【0129】
実施形態20
前記充填部材が、その中に形成された空洞を有する、実施形態19に記載の密閉医薬品容器。
【0130】
実施形態21
前記プランジャーが、前記充填部材内に形成された前記空洞に亘り延在するその第1の端部に形成されたフランジを含む、実施形態20に記載の密閉医薬品容器。
【0131】
実施形態22
前記プランジャーの第1の端部が、前記充填部材内に形成された前記空洞内に受け入れられる、実施形態20に記載の密閉医薬品容器。
【0132】
実施形態23
前記栓および前記充填部材の各々が、1つ以上の凹部を画成するローブの対を含み、該ローブの対が前記管状筒の内壁と接触しており、該1つ以上の凹部が、該管状筒の内壁から間隔が空けられている、実施形態19に記載の密閉医薬品容器。
【0133】
実施形態24
前記管状筒が、0×10-7/K以上かつ70×10-7/K以下の熱膨張係数を有する組成物から構成されている、実施形態14に記載の密閉医薬品容器。
【0134】
実施形態25
前記密閉医薬品容器が、毎分5℃以下の速度で前記温度に冷却されたときに、ヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、実施形態14に記載の密閉医薬品容器。
【0135】
実施形態26
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-20℃以下の温度に冷却されたときに、該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、実施形態14に記載の密閉医薬品容器。
【0136】
実施形態27
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-120℃以下の温度に冷却されたときに、該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、実施形態14に記載の密閉医薬品容器。
【0137】
実施形態28
前記密閉アセンブリが、前記密閉医薬品容器が-180℃以下の温度に冷却されたときに、該密閉医薬品容器のヘリウム漏れ速度を1.4×10-6cm3/秒以下に維持する、実施形態14に記載の密閉医薬品容器。
【0138】
実施形態29
医薬品容器を密閉する方法であって、
医薬品容器において、肩部、該肩部から延在する首部、および該首部から延在するフランジであって、
前記首部から延在する裏面と、
前記裏面から延在する、前記フランジの外径を規定する外面と、
前記外面から開口を画成する前記医薬品容器の内面まで延在する上部シール面と、
を備えたフランジを含む医薬品容器を提供する工程、
前記医薬品容器に医薬品組成物を入れる工程、および
前記フランジの上部シール面の上に延在し、前記開口を覆うシール部分および該開口中に延在し、該フランジの内面と接触する挿入部分を備え、第1のCTEを有する栓と、該栓の中に入れられ、該第1のCTEより低い第2のCTEを有する充填部材とを提供する工程、
を含む方法。
【0139】
実施形態30
前記医薬品容器を-20℃以下の温度に冷却する工程をさらに含み、該医薬品容器の冷却後、該医薬品容器のヘリウム漏れ速度が前記温度で1.4×10-6cm3/秒以下であるように前記上部シール面への圧縮が維持される、実施形態29に記載の方法。
【0140】
実施形態31
前記充填部材が第1の材料から作られ、該第1の材料が、ガラス、結晶材料、高分子、および金属の少なくとも1つを含む、実施形態29に記載の方法。
【0141】
実施形態32
前記第1の材料が第2の材料で被覆され、該第2の材料が、ブチルゴム、ニトリルゴム、フルオロゴム、ブチルシリコーンゴム、およびポリアクリレートエラストマーの少なくとも1つを含む、実施形態31に記載の方法。
【0142】
実施形態33
前記第2の材料が、-200℃から300℃のTgを有する、実施形態32に記載の方法。
【0143】
実施形態34
前記充填部材が、前記医薬品容器の開口の開口直径以上の本体直径を有する充填体を含む、実施形態29に記載の方法。
【0144】
実施形態35
前記本体の上面および該本体の下面を通って延在する本体通路が形成されている、実施形態34に記載の方法。
【0145】
実施形態36
前記充填部材が、前記医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、該医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含む、実施形態35に記載の方法。
【0146】
実施形態37
前記突出部の上面および該充填突出部の下面を通って延在する突出部通路が形成され、前記充填体および該充填突出部がワンピースモノリス構造を形成し、該突出部通路および前記本体通路が互いに同軸である、実施形態36に記載の方法。
【0147】
実施形態38
前記充填部材が、前記医薬品容器の開口を少なくとも部分的に通り、該医薬品容器の内面に平行に延在する充填突出部を含み、該充填突出部が、該医薬品容器の開口の開口直径より小さい突出部直径を有する、実施形態29に記載の方法。
【符号の説明】
【0148】
100、200、300、400、500、600、700 医薬品容器
102 ガラス容器
104、202、302、404、504、604、704 密閉アセンブリ
105 開口
106、418、718 栓
107、204、304、420、520、620、720 充填部材
108 金属含有キャップ
109 底部分
110 上部シール面
112 本体
114 ガラス容器の内面
115 胴部
116 ガラス容器の外面
117 挿入部分
118 内部容積
119 シール部分
120 壁部分
121、306 充填体
122 床部分
126 フランジ
128 首部
130 肩部
136 フランジの外面
140 傾斜シール面
150 平面に対する傾斜シール面の角度
152 平面
154 開口の端部
206、308 充填突出部
306 充填体
402 注射器
406 管状筒
408 開口端
410 閉口端
414 管状筒の内壁
416 針
422、522、622、722 プランジャー
【国際調査報告】