(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】クリーンな液体燃料水素キャリアプロセス
(51)【国際特許分類】
C10G 67/02 20060101AFI20241024BHJP
C10G 45/02 20060101ALI20241024BHJP
C10G 45/44 20060101ALI20241024BHJP
C01B 3/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C10G67/02
C10G45/02
C10G45/44
C01B3/00 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024522491
(86)(22)【出願日】2022-10-06
(85)【翻訳文提出日】2024-04-15
(86)【国際出願番号】 US2022045892
(87)【国際公開番号】W WO2023076013
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、ビ - ゼン
(72)【発明者】
【氏名】ソン、スティーブン シュチー
(72)【発明者】
【氏名】オットー、トレントン
(72)【発明者】
【氏名】イー、ヤオファン
【テーマコード(参考)】
4G140
4H129
【Fターム(参考)】
4G140AA02
4G140AA27
4G140AA36
4G140AA48
4H129AA02
4H129CA07
4H129DA15
4H129DA19
4H129KA06
4H129KA10
4H129KC10Y
4H129KD25Y
4H129KD26Y
4H129MA01
4H129MA04
4H129MA13
4H129MB13C
4H129MB14A
4H129MB18B
4H129NA43
(57)【要約】
本開示は、一実施形態では、クリーンな水素燃料を製造及び輸送するためのプロセスを指す。プロセスは、液体炭化水素燃料を得るための条件下で芳香族供給原料を水素化処理すること、水素化分解すること、または水素化処理及び水素化分解することの両方を含み得る。液体炭化水素燃料は、水素ステーションにもあり得るかまたはその近くにもあり得る脱水素施設に輸送される水素が豊富な燃料を得るために水素化される。水素が豊富な燃料は、水素及び第2の液体炭化水素燃料を得るために使用される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセスであって、
約30ppm未満の硫黄及び約13.5重量%未満の水素を含む液体炭化水素燃料を得るための条件下で芳香族供給原料を水素化処理すること、水素化分解すること、または水素化処理及び水素化分解することの両方、
約5ppm未満の硫黄及び約13.5重量%超の水素を含む水素が豊富な燃料を得るための条件下で前記液体炭化水素燃料を水素化すること、
前記水素が豊富な燃料を脱水素施設に輸送すること、
水素と約5ppm未満の硫黄及び約13.5重量%未満の水素を含む第2の液体炭化水素燃料とを得るための条件下で前記水素が豊富な燃料を脱水素化すること、
を含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記芳香族供給原料が、流体触媒分解プロセスからの炭化水素を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記芳香族供給原料が、ライトサイクルオイルを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記ライトサイクルオイルが、約2,000ppm超の硫黄を含む、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】
前記ライトサイクルオイルが、約900~約960kg/m
3の密度を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記ライトサイクルオイルが、約20~約35のセタン価を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項7】
前記ライトサイクルオイルが、ASTM D-86による約400℃未満の沸点を含む、請求項4に記載のプロセス。
【請求項8】
前記水素及び前記第2の液体炭化水素燃料を分離することを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記水素を水素ステーションに輸送することを更に含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
前記第2の液体炭化水素燃料をリサイクルすることを更に含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
前記第2の液体炭化水素燃料を前記リサイクルすることが、前記第2の液体炭化水素燃料を液体炭化水素燃料と混合し、次いで、前記混合された液体炭化水素燃料を水素化することを含む、請求項10に記載のプロセス。
【請求項12】
水素化処理すること、水素化分解すること、または水素化処理及び水素化分解することの両方に用いられる前記条件が、窒素を除去するのに好適な条件を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記水素化の工程で生成された任意の熱の少なくとも一部分をリサイクルすることを更に含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
プロセスであって、
約5ppm未満の硫黄及び約13.5重量%超の水素を含む水素が豊富な燃料を得るための条件下で50ppm未満の硫黄を含む芳香族供給原料を水素化すること、
前記水素が豊富な燃料を脱水素化施設に輸送すること、
水素と約5ppm未満の硫黄及び約13.5重量%未満の水素を含む第2の液体炭化水素燃料とを得るための条件下で前記水素が豊富な燃料を脱水素化すること、
を含む、前記プロセス。
【請求項15】
前記芳香族供給原料が、流体触媒分解プロセスからの炭化水素を含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項16】
前記芳香族供給原料が、ライトサイクルオイルを含む、請求項14に記載のプロセス。
【請求項17】
前記ライトサイクルオイルが、約2,000ppm超の硫黄を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記ライトサイクルオイルが、約900~約960kg/m
3の密度を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記ライトサイクルオイルが、約20~約35のセタン価を含む、請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
前記ライトサイクルオイルが、ASTM D-86による約400℃未満の沸点を含む、請求項16に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月1日に出願された米国特許出願第17/516,049号に関し、その優先権を主張するものであり、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、クリーンな液体燃料水素キャリアプロセスに関する。
【背景技術】
【0003】
水素は、例えば、燃料電池で消費される場合、水が唯一の副産物であるため、クリーンな燃料であると広く考えられている。水素は、様々なプロセス、ならびに例えば、天然ガス、バイオマス、及び原子力を含む容易に利用可能な資源から製造され得る。したがって、水素は、自動車及び発電用途で潜在的に使用され得る。残念ながら、世界は、主にその製造場所から、例えば、水素ガソリンスタンドへの貯蔵及び輸送が非常にコストがかかるため、主に水素用途の導入が遅れている。
【0004】
必要なのは、水素を製造及び/または輸送する新しい方法である。そのような方法が費用対効果が高いものであれば有利となるであろう。また、そのような方法が、既存の精製所プロセス及び設備を使用して採用され得る場合も有利となるであろう。製造された水素が、硫黄、C1~C4炭化水素などの軽質炭化水素ガス、及び/またはCOなどの不純物の量が比較的少ない場合、更に有利となるであろう。追加的または代替的に、新しいプロセスが、例えば、水素キャリアのリサイクルを必要としなかった場合、及び/または水素を、例えば、既存の流通インフラストラクチャー(例えば、輸送船舶、トラックなど)を使用して輸送することができる場合が望ましい。
【0005】
本出願は、水素を製造及び/または輸送する新しい方法に関する。有利には、方法は、費用対効果が高くてもよく、及び/または既存の精製所プロセス及び設備を使用して採用されてもよい。更に、製造された水素は、硫黄などの比較的少ない量の不純物を有し得る。また、多くの実施形態では、プロセスは、当然のことながら、リサイクルされない場合に製品として販売され得る水素キャリアのリサイクルを必要としない。更に、本明細書に記載される方法で製造される水素は、例えば、既存の流通インフラストラクチャーを使用して輸送され得る。
【0006】
本出願は、一実施形態では、約30ppm未満の硫黄及び約13.5重量%の水素を含む液体炭化水素燃料を得るための条件下で芳香族供給原料を水素化処理すること、水素化分解すること、または水素化処理及び水素化分解することの両方を含むプロセスに関する。液体炭化水素燃料は、約5ppm未満の硫黄及び約13.5重量%超の水素を含む水素が豊富な燃料を得るための条件下で水素化される。水素が豊富な燃料は、脱水素化施設に輸送され、そこで水素と約5ppm未満の硫黄及び約13.5重量%未満の水素を含む第2の液体炭化水素燃料とを得るための条件下で脱水素化される。
【0007】
別の実施形態では、本出願は、約1ppm未満の硫黄及び約13.5重量%超の水素を含む水素が豊富な燃料を得るための条件下で50ppm未満の硫黄を含む芳香族供給原料を水素化することを含むプロセスに関する。水素が豊富な燃料は、脱水素化施設に輸送され、そこで水素と約5ppm未満の硫黄及び約13.5重量%未満の水素を含む第2の液体炭化水素燃料とを得るための条件下で脱水素化される。
【0008】
本開示の例示的な実施形態のこれら及び他の目的、特徴、及び利点は、添付の特許請求の範囲と併せたときに、本開示の例示的な実施形態の以下の詳細な説明を読むと明らかになるであろう。
【0009】
本開示の様々な実施形態は、更なる目的及び利点とともに、添付の図面と併せて以下の説明を参照することによって最もよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】水素ステーションまたは他の所望の施設への水素の代表的な製造及び送達を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施形態の以下の説明は、本発明の異なる態様の特徴及び教示を具体的に説明するための非限定的な代表的な例を提供する。記載される実施形態は、別個に、または実施形態の説明からの他の実施形態と組み合わせて実装可能であると認識されるべきである。実施形態の説明を再検討する当業者は、本発明の異なる記載された態様を学び、理解することができるべきである。実施形態の説明は、具体的にはカバーされないが、実施形態の説明を読んだ当業者の知識の範囲内で、他の実装が本発明の適用と一致すると理解されるような程度に、本発明の理解を促進するべきである。
【0012】
定義
特に明記しない限り、以下の用語、専門用語、及び定義は、本開示に適用可能である。ある用語が本開示で使用されるが、本明細書で具体的に定義されていない場合、IUPAC Compendium of Chemical Terminology,2nd ed(1997)からの定義が適用されてよいが、その定義が、本明細書で適用される任意のその他の開示もしくは定義と矛盾しない、またはその定義が適用される任意の請求項を不明確もしくは非許容としないことが条件である。参照により本明細書に援用されるいずれかの文献に示されるいずれかの定義または用法が、本明細書に示される定義または用法と矛盾する場合は、本明細書に示される定義または用法が適用されるものとする。
【0013】
「処理」、「処理された」、「アップグレード」、「アップグレードされた」、及び「アップグレードされた」は、油原料と併せて使用される場合、原料の分子量の低減、供給原料の沸点範囲の低減、アスファルテンの濃度の低減、炭化水素フリーラジカルの濃度の低減、及び/または硫黄、窒素、酸素、ハロゲン化物、及び金属などの不純物の量の低減を有する、水素化処理されているかもしくは水素化処理された供給原料、または得られた材料もしくは粗生成物を説明する。
【0014】
「水素化処理」は、炭素質原料を、望ましくない不純物を除去及び/または供給原料を所望の生成物に変換する目的で、より高い温度及び圧力で水素及び触媒と接触させるプロセスを指す。水素化処理プロセスの例としては、水素化分解、水素化処理、接触脱ろう、及び水素化仕上げが挙げられる。
【0015】
「水素化分解」とは、水素化及び脱水素化が炭化水素の分解/断片化に伴う、例えば、より重い炭化水素をより軽い炭化水素に変換するか、または芳香族化合物及び/またはシクロパラフィン(ナフテン)を非環状分岐パラフィンに変換するプロセスを指す。
【0016】
「水素化処理」とは、硫黄及び/または窒素含有炭化水素供給物を、典型的には水素化分解と併せて、硫黄及び/または窒素含有量が低減された炭化水素生成物に変換し、かつ副産物として(それぞれ)硫化水素及び/またはアンモニアを生成するプロセスを指す。水素の存在下で行われるそのようなプロセスまたは工程としては、炭化水素供給原料の成分(例えば不純物)の水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化脱金属、及び/または水素化脱芳香族、及び/または供給原料中の不飽和化合物の水素化が含まれる。水素化処理の種類及び反応条件に応じて、水素化処理プロセスの生成物では、例えば、粘度、粘度指数、飽和分含有率、低温特性、揮発性及び脱分極の改善が見られる場合がある。
【0017】
「炭化水素(hydrocarbonaceous)」、「炭化水素(hydrocarbon)」、及び同様の用語は、炭素及び水素原子のみを含有する化合物を指す。炭化水素中に特定の基が存在する場合には、他の識別語を用いてその特定の基の存在を示すことができる(例えば、ハロゲン化炭化水素とは、炭化水素中の等しい数の水素原子と置き換わっているハロゲン原子が1つ以上存在することを示す)。
【0018】
「周期表」という用語は、2007年6月22日付けの元素のIUPAC周期表のバージョンを指し、周期表グループの番号付けスキームは、Chem.Eng.News,63(5),26-27(1985)に記載されるとおりである。「第2族」とは、IUPAC第2族元素を指し、例えば、それらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおける、マグネシウム、(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)及びそれらの組み合わせを指す。「第6族」とは、IUPAC第6族元素を指し、例えば、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)及びタングステン(W)を指す。「第7族」とは、IUPAC第7族元素を指し、例えば、それらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおけるマンガン(Mn)、レニウム(Re)及びそれらの組み合わせを指す。「第8族」とは、IUPAC第8族元素を指し、例えば、それらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおける、鉄(Fe)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)及びそれらの組み合わせを指す。「第9族」とは、IUPAC第9族元素を指し、例えば、それらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおける、コバルト(Co)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)及びそれらの組み合わせを指す。「第10族」とは、IUPAC第10族元素を指し、例えば、それらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかにおける、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及びそれらの組み合わせを指す。「第14族」とは、IUPAC第14元素を指し、例えば、それらの元素、化合物、またはイオン形態のいずれかのゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、及びそれらの組み合わせを指す。「担持体」という用語は、特に「触媒担持体」という用語で使用される場合、触媒材料が付着している、典型的には高い表面積を有する固体である従来の材料を指す。担持体材料は不活性であってもよく、または触媒反応に関与してもよく、また、多孔質もしくは非多孔質であってよい。典型的な触媒担持体としては、様々な種類の炭素、アルミナ、シリカ及びシリカ-アルミナ、例えば、非晶質シリカアルミネート、ゼオライト、アルミナ-ボリア、シリカ-アルミナ-マグネシア、シリカ-アルミナ-チタニアならびに他のゼオライト及びその他の複合酸化物を添加することによって得られる材料が挙げられる。
【0019】
「モレキュラーシーブ」は、フレームワーク構造内の分子寸法の均一な細孔を有する材料を指し、モレキュラーシーブの種類に応じて、ある特定の分子のみがモレキュラーシーブの細孔構造にアクセスすることができ、他の分子は、例えば、分子サイズ及び/または反応性に起因して除外される。「モレキュラーシーブ」と「ゼオライト」という用語は同義であり、(a)中間体、及び(b)最終または目的のモレキュラーシーブならびに(1)直接合成または(2)結晶化後処理(二次変性)により製造されたモレキュラーシーブが含まれる。二次合成法は、ヘテロ原子格子置換またはその他の方法による中間体材料からの目的材料の合成を可能にする。例えば、アルミノケイ酸塩は、AlのBに対する結晶化後ヘテロ原子格子置換によって、中間体ホウケイ酸塩から合成することができる。そのような技術は、例えば、米国特許第6,790,433号に記載されているように、既知である。ゼオライト、結晶性アルミノリン酸塩、及び結晶性シリコアルミノリン酸塩は、モレキュラーシーブの代表例である。
【0020】
本開示では、組成物及び方法またはプロセスは、しばしば、様々な構成要素または工程を「含む」ということに関して説明されるが、組成物及び方法は、別段の定めがない限り、様々な構成要素または工程「から本質的になる」またはそれ「からなる」こともできる。
【0021】
用語「a」、「an」、及び「the」は、複数の代替物、例えば、少なくとも1つを含むことが意図される。例えば、「遷移金属」または「アルカリ金属」の開示は、特に断らない限り、1種の遷移金属またはアルカリ金属、または複数種の遷移金属またはアルカリ金属の混合物または組み合わせを包含することを意味する。
【0022】
本明細書の詳細な説明及び特許請求の範囲内の全ての数値は、「約」または「およそ」示された値によって修正され、当業者によって予想される実験誤差及び変形を考慮に入れる。
【0023】
一般的なプロセス
本出願のプロセスは、利用可能な供給原料、設備、及び所望の生成物に応じて変化する。多くの異なる供給原料が用いられ得るが、プロセスは、典型的には、精製所の芳香族が豊富なストリーム、すなわち、例えば、流体触媒分解プロセスストリームからのライトサイクルオイルなどの芳香族供給原料を使用する。ライトサイクルオイルなどの芳香族供給原料の特性は、ストリームの起源及びその以前の処理(存在する場合)に応じて変化し得る。他の芳香族が豊富な炭化水素は、コーカーからのディーゼル製品、残留物脱硫(RDS)などである。一実施形態では、芳香族が豊富な炭化水素供給原料は、少なくとも50%の環化合物(例えば、芳香族及びナフテン)を含有する。一実施形態では、それは、少なくとも60%の環化合物を含有する。少なくとも65%の環化合物を有することが好ましい。すなわち、ライトサイクルオイルなどの芳香族供給原料の好適な密度、硫黄含有量、セタン価、沸点、芳香族含有量、及び他の特性は、供給原料によって変化し得る。芳香族供給原料の好適な密度は変化し、ライトサイクルオイルまたは他の芳香族供給原料の場合、密度は、約900~約960kg/m3(約56~約60lbs/ft3)であり得る。芳香族供給原料の性質に応じて、それは硫黄または硫黄化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、より低い硫黄含有量が望ましい場合があるが、ライトサイクルオイルまたは他の芳香族供給原料は、約1000ppm超、または約2000ppm超、または更に約5,000ppm超を含み得る。いくつかの実施形態では、ライトサイクルオイルまたは他の芳香族供給原料は、窒素または窒素化合物を含み得る。いくつかの実施形態では、ライトサイクルオイルまたは他の芳香族供給原料は、約20超、または約25超、最大約30、または最大約35、または最大約40のセタン価を含み得る。ライトサイクルオイルまたは他の芳香族供給原料の沸点は、用いられる特定の処理に応じて変化するが、いくつかの実施形態では、沸点は、ASTM D-86による約430℃(約806°F)未満、または約400℃(約752°F)未満であってもよい。
【0024】
水素化処理/水素化分解
芳香族供給原料は、例えば、ディーゼルまたは航空燃料として使用するための仕様を満たし得る、クリーンな液体炭化水素燃料を得るための条件下で、水素化処理すること、水素化分解すること、または水素化処理及び水素化分解することの両方に供され得る。得られた液体炭化水素燃料の特性は、変化し得るが、しばしば、約60ppm未満、約50ppm未満、もしくは約40ppm未満、もしくは約30ppm未満、もしくは約20ppm未満の硫黄、及び/または約10ppm未満、もしくは約5ppm未満、もしくは10ppm未満のN、または約13.5重量%未満の水素を含む。液体炭化水素燃料は、場合によっては、
図1に示されるように、クリーンな液体HC燃料と称され得る。場合によっては、芳香族供給原料は、所望の液体炭化水素燃料に十分に類似した特性、例えば、50ppm未満の硫黄を既に含んでいるため、水素化処理及び/または水素化分解は必要でない場合がある。そのような場合、芳香族供給原料は、液体炭化水素燃料の水素化処理及び/または水素化分解なしに直接水素化されてもよい。
【0025】
典型的には、水素化処理または水素化分解のいずれかについて、反応温度は、約250℃(482°F)~約500℃(932°F)、約3.5MPa(500psi)~約24.2MPa(3,500psi)の圧力、及び約0.1~約20hr -1の供給速度(オイル体積/触媒体積hr)であり得る。水素循環速度は、一般に、約350標準リットルH2/kgオイル(2,310標準立方フィート/バレル;SCF/B)~1780標準リットルH2/kgオイル(11,750標準立方フィート/バレル)の範囲である。好ましい反応温度は、約340℃(644°F)~約455℃(851°F)の範囲であり得る。好ましい全反応圧力は、約7.0MPa(1,000psi)~約20.7MPa(3,000psi)の範囲であり得る。反応器はまた、任意の好適な触媒床配置モード、例えば、固定床、スラリー床、または沸騰(ebulating)床で操作され得るが、固定床、並流下向流がしばしば利用され得る。
【0026】
一実施形態では、プロセスは、高レベルの硫黄及び窒素を含有し得る供給原料を最初の水素化処理反応段階に導き、供給中のかなりの量の硫黄及び窒素を無機形態に変換することによって操作され、このステップの主な目的は、原料硫黄含有量の低減である。当然ながら、水素化処理が必要でない場合、供給は水素化分解または水素化処理に直接通されてもよい。
【0027】
水素化処理工程は、通常、水素及び水素化処理触媒の存在下で、1つ以上の反応ゾーン(触媒床)で実施される。使用される条件は、供給特性に応じて、水素化脱硫及び/または脱窒素に適している。水素化分解を用いる場合、生成物ストリームは、沸騰範囲変換に影響を及ぼす水素化分解段階に通される。所望である場合、水素化処理及び/または水素化分解された液体炭化水素のストリームを、水素処理ガスと硫化水素及びアンモニアを含む可能性のある他の水素化処理/水素化分解反応生成物とともに、水素、ライトエンド、ならびに無機窒素及び硫化水素が水素化分解された液体生成物ストリームから除去される、蒸留カラムなどの分離器に通してもよい。リサイクルされた水素ガスは、アンモニアを除去するために洗浄することができ、リサイクルされた水素の純度を改善し、かつ生成物の硫黄レベルを低減するために、硫化水素を除去するためにアミンスクラブに供され得る。所望である場合、バルク多金属触媒などの水素化脱硫触媒の床を、水素化の前のある時点で提供してもよい。
【0028】
水素化処理触媒
従来の水素化処理触媒は、任意の好適な触媒であってもよい。典型的な従来の水素化処理触媒には、少なくとも1つの第VIII族金属、好ましくは、Fe、Co、またはNi、より好ましくは、Co及び/またはNi、ならびに最も好ましくは、Niと、比較的高い表面積の担持体材料、好ましくはアルミナ上の少なくとも1つの第VIB族金属、好ましくは、MoまたはW、より好ましくは、Moからなる触媒が含まれる。他の好適な水素化脱硫触媒担持体としては、ゼオライト、非晶質シリカ-アルミナ、及びチタニア-アルミナが挙げられる。好ましくは、貴金属がPd及びPtから選択される場合に、貴金属触媒を使用することもできる。2種類以上の水素化脱硫触媒が、同じ反応容器内の異なる床で使用されてもよい。第VIII族金属は、典型的には、約2~約20重量%、好ましくは、約4~約12重量%の範囲の量で存在する。VIB族金属は、典型的には、約5~約50重量%、好ましくは、約10~約40重量%、及びより好ましくは、約20~約30重量%の範囲の量で存在する。全ての金属重量パーセントは、触媒の重量に基づいている。
【0029】
水素化分解触媒
使用され得る従来の水素化分解触媒の例としては、ニッケル、ニッケル-コバルト-モリブデン、ニッケル-コバルト-タングステン、ニッケル-モリブデン-タングステン、コバルト-モリブデン及びニッケル-タングステン、及び/またはニッケル-モリブデンが挙げられ、それらの後者の2つが好ましい。貴金属触媒の非限定的な例としては、白金及び/またはパラジウムに基づくものが挙げられる。貴金属触媒及び非貴金属触媒の両方に使用され得る多孔質担持体材料は、アルミナ、シリカ、アルミナ-シリカ、珪藻土(kieselguhr)、珪藻土(diatomaceous earth)、マグネシア、またはジルコニアなどの耐火酸化物材料を含み、アルミナ、シリカ、アルミナ-シリカが好ましく、最も一般的である。ゼオライト担持体、特にUSY及びベータゼオライトなどの大細孔フォージャサイトも使用され得る。
【0030】
多数の水素化分解触媒は、異なる商業的供給業者から入手可能であり、供給原料及び製品の要件に従って使用されてもよく、それらの官能性は経験的に決定されてもよい。水素化分解触媒の選択は重要ではない。従来の水素化分解触媒を含む、選択された動作条件で所望の水素化分解官能性を有する任意の触媒を使用することができる。上に記載されるように、水素化処理及び/または水素化分解は、存在する場合、例えば、約30ppm未満の硫黄及び約13.5重量%未満の水素を含み得る前述の特性を有する液体炭化水素燃料を得るのに好適な条件下で行われる。
【0031】
水素化
次いで、上に記載の特性を有する液体炭化水素燃料が水素化される。水素化条件は変化し得るが、通常、開始液体炭化水素燃料よりも多い量の水素を有する約5未満、または約2ppm未満、または約1ppm未満、または約0ppmの硫黄を含む水素が豊富な燃料を得るために選択される。水素化は、一般に、環構造を変化させないが、むしろ、芳香族化合物をナフテン化合物に変換する。得られる水素が豊富な燃料中の水素の量は、約13.5重量%超、または約13.8重量%超、または約14.0重量%超、または約14.5重量%超、または更により多くの水素であってもよい。
【0032】
水素化は、所望の水素が豊富な燃料を達成する任意の手段によって達成され得る。一実施形態では、液体炭化水素燃料は、水素化することができる条件下で、触媒と水素ガスとの反応によって水素化することができる。
【0033】
一実施形態では、水素化触媒は、担持された第7、8、9、及び10族金属を含むか、または本質的にそれからなり得る。いくつかの実施形態では、水素化触媒は、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、粘土、チタニア、ジルコニア、または混合金属酸化物担持体上で担持される、Ni、Cu、Ag、Pd、Pt、Co、Rh、Fe、Ru、Os、Cr、Sn、Mo、及びWのうちの1つ以上からなる群から選択され得る。他の実施形態では、水素化触媒は、珪藻土で担持されたニッケル、アルミナで担持された白金及び/またはパラジウム、またはアルミナで担持されたニッケル及び/または白金及び/またはパラジウム、代替的に、珪藻土で担持されたニッケル、代替的に、シリカで担持されたニッケル及び/または白金及び/またはパラジウム、あるいは代替的に、アルミナで担持されたコバルト-モリブデンであり得る。更に他の実施形態では、水素化触媒は、珪藻土、シリカ、アルミナ、粘土、またはシリカ-アルミナで担持されたニッケルからなる群のうちの1つ以上であり得る。
【0034】
一般に、水素化は、水素が豊富な燃料の所望の特性に水素化することができる任意の種類のプロセス及び/または反応器で行うことができる。一実施形態では、水素化は、バッチプロセス、連続プロセス、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的にバッチプロセス、または代替的に連続プロセスで行うことができる。いくつかの実施形態では、水素化は、スラリー反応器、連続撹拌タンク反応器、固定床反応器、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的に、スラリー反応器、代替的に、連続撹拌タンク反応器、または代替的に、固定床反応器で行うことができる。
【0035】
所望である場合、水素化された水素が豊富な燃料を濾過して、水素化触媒及び/または触媒微粒子を水素が豊富な燃料から分離することができる。更に、水素が豊富な燃料は、それを更に精製するか、または高い水素が豊富な燃料を分離するために蒸留することができる。
【0036】
利用される水素化触媒の量は、水素化触媒の同一性及び利用される特定の水素化プロセスに依存し得る。一般に、使用される水素化触媒の量は、所望の水素が豊富な燃料を製造することができる任意の量であり得る。非固定床水素化プロセス(例えば、とりわけ、スラリー反応器または連続撹拌タンク反応器)では、水素化に使用される水素化触媒の量は、0.001重量%~20重量%、0.01重量%~15重量%、0.1重量%~10重量%、または1重量%~5重量%の範囲であり得る。水素化触媒の重量%は、水素化触媒及び水素化を受けた液体炭化水素燃料の総重量に基づく。
【0037】
一般に、液体炭化水素燃料を水素化することができる条件は、水素圧力、温度、接触時間、またはそれらの任意の組み合わせ、代替的に、水素圧力及び温度、代替的に、水素圧力、温度、及び接触時間、代替的に、水素圧力、代替的に、温度、または代替的に、接触時間を含むことができる。一実施形態では、利用され得る水素化の温度は、25℃(77°F)~350℃(662°F)、50℃(122°F)~300℃(572°F)、60℃(140°F)~250℃(482°F)、または70℃(158°F)~200℃(392°F)の範囲であり得る。一実施形態では、利用され得る水素圧力は、100kPa(14psi)~30MPa(4351psi)、250kPa(36psi)~20MPa(2901psi)、500kPa(72psi)~10MPa(1450psi)、または750kPa(109psi)~5MPa(725psi)の範囲であり得る。一実施形態では、利用され得る接触時間は、1分~100時間、2分~50時間、5分~25時間、または10分~10時間の範囲であり得る。固定床プロセスでは、水素化触媒上の液体炭化水素燃料のWHSV(重量空間速度)は、0.1~20、0.5~10、または1~5の範囲であり得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、水素化工程は、標準的な水素化処理より著しく多くの熱を生成する。したがって、熱の少なくとも一部分をリサイクルし、例えば、水素化処理/水素化分解工程(複数可)で使用してもよい。
【0039】
次いで、所望である場合、水素化によって製造された水素が豊富な燃料を輸送してもよい。
【0040】
輸送
所望である場合、水素が豊富な燃料は、典型的には、任意の便利な様式で脱水素化施設に輸送される。有利には、水素が豊富な燃料は、例えば、既存の流通インフラストラクチャーを使用して輸送され得る。そのような既存の流通インフラストラクチャーには、タンカー(オイルまたは化学品)、コンテナ船、トラック、鉄道タンク車、パイプライン、及び/またはそれらの任意の組み合わせが含まれる。
【0041】
脱水素化
輸送後、水素が豊富な燃料は、水素及び第2の液体炭化水素燃料を得るために脱水素化される。典型的には、脱水素化は、水素と約5ppm未満、または約2ppm未満、または約1ppm未満、または約0ppmの硫黄及び約13.5重量%未満の水素を含む第2の液体炭化水素燃料とを得るための条件下で実施され、脱水素化を達成するためにかなりの量の熱を加える必要がある。
【0042】
水素が豊富な燃料は、典型的には、脱水素化条件で脱水素化反応器内で触媒複合体と接触させる。この接触は、固定触媒床システム、可動触媒床システム、流動床システム、またはバッチタイプの操作で達成され得る。脱水素化反応器自体は、温度が所望の変換を得るために各反応ゾーンへの入口で維持され得ることを確実にするために、それらの間に加熱手段を有する1つ以上の別個の反応器ゾーンを含み得る。水素が豊富な燃料は、上向き、下向き、または半径方向のいずれかの流れの様式で触媒複合体と接触させてもよい。水素が豊富な燃料は、触媒と接触するとき、液相、混合気相液相、または気相中にあってもよい。
【0043】
脱水素化条件は変化し、約300°F(149℃)~約1500°F(816℃)の温度、約0.1kPa(0.01psi)~約2533kPa(367psi)の圧力、及び約0.01~約50hr-1の液空間速度(LHSV)を含み得る。好ましい温度は、約350°F(177℃)~約900°F(482℃)、より好ましくは、約400°F(204℃)~約800°F(427℃)、及びより好ましくは、450°F(232℃)~700°F(371℃)であり得る。好ましい圧力は、約10kPa(1.5psi)~約507kPa(74psi)の範囲であり得る。大気圧はほとんどのプロセスに非常に好適であり、一般に、脱水素化ゾーンの圧力は、化学平衡の利点を最大化するために、設備の制限と一貫して、実行可能な限り低く維持される。好ましいLHSV値は、約0.05hr-1~約10hr-1の範囲、または更により好ましくは、約0.1~約5hr-1の範囲である。当然ながら、当業者は、利用される水素が豊富な燃料及び触媒系の特性に応じて、所望の温度、圧力、及びLHSVを選択するであろう。
【0044】
所望である場合、水素が豊富な燃料は、脱水素化ゾーンに通される前、通されている間、または通された後に希釈ガスと混合されてもよい。希釈剤材料は、水素、蒸気、メタン、二酸化炭素、窒素、アルゴンなど、またはそれらの混合物であり得る。希釈ガスが利用される場合、希釈ガスと炭化水素のモル比が約0.1~約20であることを確実にするのに十分な量であり、モル比の範囲が約1~10であるときに最良の結果が得られる。脱水素化ゾーンに通される希釈水素ストリームは、典型的には、水素分離ゾーン内の脱水素化ゾーンの流出物から水素が分離された後にリサイクルされる。
【0045】
脱水素化触媒複合体は、高い活性、高い選択性、及び良好な安定性を示し得る。脱水素化触媒は、上に記載の水素化触媒と同じであり得るか、または異なり得る。本開示の特に好ましい触媒複合体としては、第VIII族貴金属及び固体無機担体を含む複合体が挙げられる。そのような触媒複合体は、米国特許第3,531,543号、第3,631,215号、第3,864,284号、第3,584,060号、第4,191,846号、第4,716,143号、第4,786,625号、第4,827,072号、及び第4,902,849号によって表されるように、当業者に周知であり、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。特に好ましい触媒複合体は、アルミナ触媒上に白金、パラジウム、ニッケル、スズ、及びそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0046】
脱水素化された水素が豊富な燃料は、水素及び第2の液体炭化水素燃料をもたらす。所望である場合、水素及び第2の液体炭化水素燃料は、分離され得る。水素は、現場の水素ステーションで貯蔵されてもよいか、または水素ステーションに輸送されてもよい。得られた第2の液体炭化水素燃料は、任意の好都合な様式でリサイクルされ得る。一実施形態では、第2の液体炭化水素燃料をリサイクルすることは、第2の液体炭化水素燃料を液体炭化水素燃料と混合し、次いで、混合された液体炭化水素燃料を水素化することを含む。
【0047】
実施例1:LCOの特性
本研究に使用されるLCO供給原料、すなわち、ABQ3034の物理的特性を表1に示す。このLCOは、約63体積%の芳香族を含む。分子のおよそ80体積%が環構造を有する。その水素含有量は約10.7%であり、したがって、水素を貯蔵及び運搬するのに良好な供給原料である。
【表1】
【0048】
実施例2:クリーンな液体燃料CGQ7699を製造するためのLCO水素化処理及び水素化分解
表1に示されるように、LCO ABQ3034は、2000ppm超のS及び600ppm超のNを含む。窒素及び硫黄の不純物の両方が水素化処理によって除去され、クリーンな液体燃料が製造される。水素化脱窒素及び水素化脱硫は、0.88のLHSV、8000のSCF/B、1400psia(9653kPa)の水素分圧、及び675°F(357℃)の触媒平均床温度の水素化処理条件下で、変換商業用水素化分解前処理触媒ICR 514/1001及び水素化分解触媒ICR 183を含むISOCRACKING(商標)触媒系を充填した1回通過方式標準水素化処理ユニットで実施した。
【0049】
水素化処理生成物を2つの画分に蒸留した。ディーゼルレンジ製品(380°F+沸点、CGQ7699)をクリーンな液体燃料水素キャリア研究のために選択した。その物理的特性を表1に示す。表1の結果は、LCO由来の製造されたクリーンな液体燃料CGQ7699が、<0.3ppmのN及び<5ppmのSを含んでいたことを示す。その水素含有量は、約13.2重量%である。炭化水素の約75体積%は、水素を運ぶのに好適な環構造を有する分子である。
【0050】
実施例3:水素キャリアとしてのクリーンな液体燃料
【表2】
【0051】
表2の結果は、ICR 419が、クリーンな液体燃料CGQ7699中の芳香族を、≧13.9重量%の水素を含有する得られた液体燃料中の1重量%未満に更に飽和させることを示す。また、ICR 419はまた、脱水素化によって水素が豊富な液体燃料から水素を生成することができ、プロセス条件下で≦13.2重量%水素を含有する液体燃料をもたらすことを示す。
【0052】
実施例4:水素キャリアとしてのクリーンな液体燃料
【表3-1】
【表3-2】
【0053】
表3の結果は、ICR 731がクリーンな液体燃料CGQ7699中の芳香族を1重量%未満に飽和させることができることを示す。得られた液体燃料は、≧13.9重量%の水素を含んでいた。また、ICR 731はまた、≦13.0重量%の水素を含有する液体燃料をもたらすクリーンな液体燃料から水素を生成することができることを示す。
【0054】
図1は、ライトサイクルオイルが、水素が豊富なクリーンな燃料に水素化される液体炭化水素燃料に水素化処理及び/または水素化分解される、本出願の実施形態を示す。次いで、水素が豊富なクリーンな燃料は、液体有機水素キャリア(例えば、ジベンジルトルエン)のように、液体有機水素キャリアによって必要とされるリサイクルなしで輸送することができる。輸送後、水素及びクリーンな液体炭化水素燃料は、脱水素化によって生成される。
【0055】
前述の明細書では、様々な実施形態が説明されている。しかしながら、以下の特許請求の範囲に記載される本発明のより広い範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が行われてもよく、追加の実施形態が実装され得ることは明らかであろう。したがって、本明細書及び図面は、それに応じて、限定的な意味ではなく、例示的な意味でみなされるべきである。
【国際調査報告】