(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】厚さ補完部が適用されたスタックアンドフォールディング型電極組立体、その製造方法、およびこれを含む二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20241024BHJP
H01M 50/533 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/55 20210101ALI20241024BHJP
H01M 50/538 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H01M50/533
H01M50/55 301
H01M50/538
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523269
(86)(22)【出願日】2023-10-04
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 KR2023015233
(87)【国際公開番号】W WO2024085503
(87)【国際公開日】2024-04-25
(31)【優先権主張番号】10-2022-0136433
(32)【優先日】2022-10-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0127848
(32)【優先日】2023-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー、スン ジュン
【テーマコード(参考)】
5H028
5H043
【Fターム(参考)】
5H028AA05
5H028BB00
5H028BB04
5H028CC05
5H028CC07
5H028CC08
5H028CC10
5H028CC15
5H028EE06
5H028HH06
5H043AA01
5H043BA11
5H043CA08
5H043CA14
5H043DA02
5H043EA06
5H043JA01D
5H043JA01E
5H043JA16D
5H043JA16E
5H043LA21D
5H043LA21E
(57)【要約】
本発明の一実施形態によれば、
複数の単位セルが分離フィルムによって巻取られた構造の電極組立体であって、
前記電極組立体は両側の最外殻に位置する第1単位セルおよび第2単位セルを含み、
前記単位セルは正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、前記タブの突出方向に行くほど前記活物質層の厚さが減少する傾斜部を有し、前記第1単位セルと、前記第1単位セルと対面する最外側分離フィルムの間、および前記第2単位セルと、前記第2単位セルと対面する最外側分離フィルムの間にはそれぞれ前記平坦部と前記傾斜部の厚さ差を補償する第1厚さ補完部および第2厚さ補完部が形成されている、電極組立体、その製造方法、およびこれを含む二次電池が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位セルが分離フィルムによって巻取られた構造の電極組立体であって、
前記電極組立体は両側の最外殻に位置する第1単位セルおよび第2単位セルを含み、
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルは、それぞれ、正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、タブの突出方向に行くほど前記活物質層の厚さが減少する傾斜部を有し、前記第1単位セルと、前記第1単位セルと対面する最外側分離フィルムの間、および前記第2単位セルと、前記第2単位セルと対面する最外側分離フィルムの間にはそれぞれ前記平坦部と前記傾斜部の厚さ差を補償する第1厚さ補完部および第2厚さ補完部が形成されている、電極組立体。
【請求項2】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は、前記正極および前記負極から前記タブが突出する方向に前記傾斜部をカバーするように形成されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は、前記タブが突出する方向と垂直の方向に、前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの最外殻電極の上端長さに対応するかまたはより長い長さで形成されている、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は、前記傾斜部に対応する部位を覆うカバー部と、前記正極および前記負極から前記タブが突出する方向に前記分離フィルムよりさらに長く延長されて前記分離フィルムと前記タブの一部を覆う延長部とを含む、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部の延長部は、前記タブが位置する部位から前記分離フィルムより内側に湾入した湾入部を含む、請求項4に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は互いに直接接着されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は前記分離フィルムの外側で互いに接着されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部はそれぞれ両面テープである、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記両面テープはそれぞれ基材の両面にアクリル系接着層が形成されたアクリル系テープである、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルはそれぞれ前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部と対面する部分に前記正極が位置する形態である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項11】
請求項1に記載の電極組立体の製造方法であって、
分離フィルムにおいて前記電極組立体の最外殻に位置することになる第1単位セルおよび第2単位セルが配列される位置の端部に第1厚さ補完部および第2厚さ補完部を形成し、前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部が形成された部分に前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの上端が位置するように前記第1単位セルおよび前記第2単位セルを含んで複数の単位セルを配列した後、フォールディング、圧延する、電極組立体製造方法。
【請求項12】
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルは、それぞれ、前記単位セルの上端から突出するタブを含み、
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部はそれぞれ2つの湾入部を含み、
前記第1厚さ補完部と第2厚さ補完部は前記湾入部が前記分離フィルムの端部に向かうように形成され、前記湾入部に前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの前記タブが位置するように前記第1単位セルおよび前記第2単位セルを配列する、請求項11に記載の電極組立体製造方法。
【請求項13】
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルは、それぞれ、正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、タブの突出方向に行くほど活物質層の厚さが減少する傾斜部を有し、
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの上端が前記傾斜部に対応する、請求項11に記載の電極組立体製造方法。
【請求項14】
前記圧延によって前記第1厚さ補完部と前記第2厚さ補完部が前記分離フィルムの外側で互いに接着される、請求項11に記載の電極組立体製造方法。
【請求項15】
請求項1に記載の電極組立体および電解質を含む、二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願との相互引用]
本出願は2022年10月21日付韓国特許出願第10-2022-0136433号および2023年9月25日付韓国特許出願第10-2023-0127848号に基づいた優先権の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された全ての内容は本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、厚さ補完部が適用されたスタックアンドフォールディング型電極組立体、その製造方法、およびこれを含む二次電池に関するものである。
【背景技術】
【0003】
モバイル機器に対する技術開発と需要が増加するにつれてエネルギー源として二次電池の需要が急激に増加している。特に、二次電池は携帯電話機、デジタルカメラ、ノートパソコン、ウェアラブルデバイスなどのモバイル機器だけでなく、電気自転車、電気自動車、ハイブリッド電気自動車などの動力装置に対するエネルギー源としても多くの関心を集めている。
【0004】
二次電池は電池ケースの形状によって、電極組立体が円筒形金属缶に内蔵されている円筒型電池、電極組立体が角形の金属缶に内蔵されている角型電池、および電極組立体がアルミニウムラミネートシートのパウチ型ケースに内蔵されているパウチ型電池に分類される。
【0005】
一方、電池ケースに内蔵される前記電極組立体は正極、分離膜、負極の積層構造からなる充放電の可能な発電素子であって、ゼリーロール型、スタック型、およびスタック/フォールディング型に分類される。ゼリーロール型は活物質が塗布された長いシート型の正極と負極の間に分離膜を介して巻き取った形態であり、スタック型は所定の大きさの複数の正極と負極を分離膜が介された状態で順次に積層した形態であり、スタックアンドフォールディング型はゼリーロール型とスタック型の複合構造であって単位セルを分離フィルム上に配置しこれらを巻き取った形態である。
【0006】
最近はスタックアンドフォールディング電極組立体をパウチ型ケースに内蔵する形態の二次電池の開発が活発である。
【0007】
このような電極組立体の製造に使用される正極と負極はそれぞれ活物質、導電材、バインダーなどの素材を溶媒とミキシングしてスラリーを製造し、これを集電体に塗布する方式で製造され、このような場合、スラリーが粘度のある液状物質であるので集電体上で流れることになり、流れる部分での厚さが薄くなるスライディング現象が現れる。
【0008】
このようなスライディング現象はスラリーが塗布される塗布部とスラリーが塗布されない未塗布部の境界面で発生し、これは一般にパウチセルの上端に位置することになる。
【0009】
しかし、前記スライディング現象によって厚さが薄い部分は電極と分離膜の間の接着力が弱化するかまたは全く接着されないので、正極-分離膜-負極間の距離が増加し、これにより抵抗が増加し副反応を促進させる。したがって、結局、このような問題によって電池の性能低下が現れる。
【0010】
よって、最近は前記問題を解消するために圧延ローラーを捻って全体的に圧延されるようにするローラーチルト方法、追加ローラーを通じて上端をもう一度押すサブローラー方法、ジグフォーメーション段階で間紙にテープを付けてセル上端もセル中央部と類似の圧力を受けるようにするJFテーピング方法などが開発された。
【0011】
しかし、ローラーチルト方法は上端接着の改善は可能であるが、下端の接着力が弱化するかまたは接着されない可能性が増加する問題があり、サブローラー方法は微細調整が難しく最適条件に関するガイドがなくて過度に押されることによる副作用問題があり、JFテーピング方法はジグフォーメーション機器内でセル位置に公差が発生する場合、圧力差が発生する可能性があって、セル間性能偏差を誘発させることがある問題がある。
【0012】
したがって、電極と分離フィルムの上端接着力を向上させて上記問題を解消しながらも付加的な問題が発生しない二次電池技術の開発が必要であるのが実情である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、電極の製造過程中に発生するスライディングによって形成される活物質層の厚さが薄くなる傾斜部に対して厚さを補完することによって電極上端と分離フィルムの接着力を向上させ、これによる抵抗増加や副反応を防止して、寿命特性を向上させることができる電極組立体および二次電池を提供することにある。
【0014】
また、電極組立体構成要素の電解質濡れによる接着力弱化の問題を防止することができる電極組立体および二次電池を提供することにある。
【0015】
さらに、前記効果を発揮しながらも、追加的に電池間改善程度の差による電池性能の偏差の発生の問題がなく、下端での接着力弱化や、過度に押されることによる問題発生がない電極組立体、およびその製造方法を提供することにある。
【0016】
本発明が解決しようとする課題が上述の課題で制限されるわけではなく、言及されていない課題は本明細書および添付された図面から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるはずである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一実施形態による電極組立体は、複数の単位セルが分離フィルムによって巻取られた構造の電極組立体であって、
前記電極組立体は両側の最外殻に位置する第1単位セルおよび第2単位セルを含み、
前記単位セル(第1単位セル、第2単位セル)は正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、前記タブの突出方向に行くほど前記活物質層の厚さが減少する傾斜部を有し、
前記第1単位セルと、前記第1単位セルと対面する最外側分離フィルムの間、および前記第2単位セルと、前記第2単位セルと対面する最外側分離フィルムの間には、それぞれ前記平坦部と前記傾斜部の厚さ差を補償する第1厚さ補完部および第2厚さ補完部が形成されていることを特徴とする。
【0018】
ここで、前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は、前記正極および前記負極からタブが突出する方向に前記傾斜部をカバーするように形成されていてもよい。
【0019】
このとき、前記タブが突出する方向と垂直の方向に、前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの最外殻電極の上端長さに対応するかまたはより長い長さで形成されていてもよい。
【0020】
さらに具体的に、前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は、前記傾斜部に対応する部位を覆うカバー部と、前記正極および前記負極からタブが突出する方向に前記分離フィルムよりさらに長く延長されて前記分離フィルムと前記タブの一部を覆う延長部とを含むことができる。
【0021】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部の延長部は、さらに具体的に、前記タブが位置する部位から前記分離フィルムより内側に湾入した湾入部を含むことができる。
【0022】
さらに、本発明によれば、電解質濡れによる構成要素間接着力弱化を防止するために、前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は互いに直接接着されていてもよく、具体的には、分離フィルムの外側で互いに接着されていてもよい。このような第1厚さ補完部および第2厚さ補完部は、製造容易性のために例えば、それぞれ両面テープであってもよい。
【0023】
この時、前記両面テープはそれぞれ基材の両面にアクリル系接着層が形成されたアクリル系テープであってもよい。
【0024】
一方、前記第1単位セルおよび前記第2単位セルはそれぞれ前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部と対面する部分に正極が位置する形態の単位セルであってもよい。
【0025】
本発明のまた他の一実施形態によれば、前記電極組立体の製造方法が提供される。
【0026】
前記電極組立体は、
分離フィルムにおいて前記電極組立体の最外殻に位置することになる第1単位セルおよび第2単位セルが配列される位置の端部に第1厚さ補完部および第2厚さ補完部を形成し、前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部が形成された部分に前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの上端が位置するように前記第1単位セルおよび前記第2単位セルを含んで複数の単位セルを配列した後、フォールディング、圧延する方法で製造できる。
【0027】
一方、前記単位セル(第1単位セル、第2単位セル)は前記単位セルの上端から突出するタブを含み、前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は具体的に、それぞれ2つの湾入部を含むことができる。
【0028】
ここで、前記第1厚さ補完部と第2厚さ補完部の、前記湾入部は前記分離フィルムの端部に向かうように形成され、前記湾入部に前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの前記タブが位置するように前記第1単位セルおよび前記第2単位セルを配列することができる。
【0029】
さらに具体的に、前記単位セル(第1単位セル、第2単位セル)は正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、タブの突出方向に行くほど活物質層の厚さが減少する傾斜部を有し、
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの上端が前記傾斜部に対応するものであってもよい。
【0030】
一方、前記圧延によって前記第1厚さ補完部と前記第2厚さ補完部が前記分離フィルムの外側で互いに接着できる。
【0031】
さらに、本発明はまた、前記電極組立体および電解質を含む二次電池を提供する。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、本発明の電極組立体は、両側の最外殻に位置する第1単位セルおよび第2単位セルと、これらと対面する最外側分離フィルムの間で、傾斜部が形成される単位セルの上端部にそれぞれ第1厚さ補完部および第2厚さ補完部を形成することによって、前記傾斜部に対して厚さを補完して上端部で電極と分離フィルムの接着力を向上させ、これによる抵抗増加や副反応を防止して、寿命特性を向上させることができる。
【0033】
また、前記第1厚さ補完部および第2厚さ補完部を互いに対向する方向で直接接着されるようにすることによって、前記電極組立体の各構成要素の電解質濡れで接着力が弱化されることを防止して前記寿命特性をさらに向上させることができる。
【0034】
また、非常に簡単な方法で圧延ローラーなどの工程装備の変化なく前記効果を発揮しながらも、全ての電極組立体に同一に適用できるので、電池間改善程度の差による電池性能の偏差の発生の問題がなく、下端での接着力弱化や、過度に押されることによる問題発生も防止することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【
図1】本発明の一実施形態による電極組立体をタブの突出方向に切断した断面図である。
【
図2】本発明の一実施形態による電極組立体の巻取り前状態の上面図を示した模式図である。
【
図3】
図1の第1単位セルと第1厚さ補完部の形成部位を拡大して示した拡大図である。
【
図4】
図2の分離フィルムに第1厚さ補完部1310が形成された端部の拡大図である。
【
図5】本発明の一実施形態による電極組立体をタブの突出方向の垂直方向に切断した断面図である。
【
図6】本発明のまた他の一実施形態による電極組立体をタブの突出方向の垂直方向に切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付した図面を参照して本発明の様々な実施形態について本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施することができるように詳しく説明する。本発明は様々の異なる形態に実現でき、ここで説明する実施形態に限定されない。
【0037】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付けるようにする。
【0038】
また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図示されたところに限定されない。図面で様々の層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして図面において、説明の便宜のために、一部層および領域の厚さを誇張して示した。
【0039】
また、明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」という時、これは特に反対になる記載がない限り他の構成要素を除くのではなく他の構成要素をさらに含むことができるのを意味する。
【0040】
また、明細書全体で、「平面上」という時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」という時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0041】
本発明の一実施形態による電極組立体は、
複数の単位セルが分離フィルムによって巻取られた構造の電極組立体であって、
前記電極組立体は両側の最外殻に位置する第1単位セルおよび第2単位セルを含み、
前記単位セルは正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、前記タブの突出方向に行くほど前記活物質層の厚さが減少する傾斜部を有し、
前記第1単位セルと、前記第1単位セルと対面する最外側分離フィルムの間、前記第2単位セルと、前記第2単位セルと対面する最外側分離フィルムの間には、それぞれ前記平坦部と前記傾斜部の厚さ差を補償する第1厚さ補完部および第2厚さ補完部が形成されていることを特徴とする。
【0042】
そして、このような電極組立体の製造方法は、
分離フィルムにおいて前記電極組立体の最外殻に位置することになる第1単位セルおよび第2単位セルが配列される位置の端部に第1厚さ補完部および第2厚さ補完部を形成し、前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部が形成された部分に前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの上端が位置するように前記第1単位セルおよび前記第2単位セルを含んで複数の単位セルを配列した後、フォールディング、圧延することを特徴とする。
【0043】
このような構造の電極組立体と、その製造方法について下記で図面を参照して説明する。
【0044】
図1には本発明の一実施形態による電極組立体をタブの突出方向に切断した断面図が模式的に示されており、
図2には前記電極組立体の巻取り前状態の上面図を示した模式図が示されている。
【0045】
まず、
図1および
図2を共に参照すれば、本発明による電極組立体1000は複数の単位セル1100が分離フィルム1200によって巻取られた構造からなり、この時、複数の単位セル1100はコア部の単位セル1140から、巻き取られる方向に単位セル1130を含んで、電極組立体1000の最外殻に位置する第1単位セル1110と第2単位セル1120まで含む。
【0046】
また、第1単位セル1110と、第1単位セル1110と対面する最外側分離フィルム1210の間、および前記第2単位セル1120と第2単位セル1120と対面する最外側分離フィルム1220の間で、タブ1111、1112、1121、1122が突出する方向の端部にそれぞれ第1厚さ補完部1310および第2厚さ補完部1320が形成されている。
【0047】
具体的には、第1厚さ補完部1310はタブ1111、1112が突出する方向と垂直の方向に、第1単位セル1110の上端長さl1に対応する長さl2で、またはこれらより長い長さで形成されており、第2厚さ補完部1320もタブ1121、1122が突出する方向と垂直の方向に第2単位セル1120の最外殻電極の上端長さl3に対応する長さl4またはこれらより長い長さで形成されている。
【0048】
したがって、前記厚さ補完部1300が分離フィルム1200の巻取りの妨害にならない。即ち、第1厚さ補完部1310および第2厚さ補完部1320の形成長さl2、l4が第1単位セル1110および第2単位セル1120の最外殻電極の上端の長さl1、l3より短ければ、電極の一部においてカバーされなくて、その部分に抵抗が集中されるか、または副反応発生が深化する問題が発生する可能性がある。但し、過度に長い場合にはフォールディング過程で前記厚さ補完部が妨害になるか、または畳まれる部分でシワが生成されるなどで接着力弱化をもたらすことがあるので、隣接する単位セルに影響を与えない範囲での長さで形成されることが好ましい。一方、前述のように、本願は電極製造時スライディング現象によって電極の端部で電極と分離膜間の接着力が十分に確保されないことによって発生する問題を解消するためのものである。
【0049】
したがって、第1厚さ補完部1310と第2厚さ補完部1320は最外側単位セル(第1単位セル1110、第2単位セル1120)からタブ1111、1112、1121、1122が突出する方向の電極スライディング現象部位をカバーするように形成できる。
【0050】
これをさらに具体的に説明するために、
図3には
図1の第1単位セル1110が形成されている部位の拡大図を模式的に示した。
【0051】
図3を参照すれば、第1単位セル1110は1つの負極1113、2つの正極1114、およびこれらの間に介される分離膜1115を含む構造になっており、最外殻に位置する正極1114は活物質層の厚さが一定である平坦部1114aとタブ1111、1112の突出方向に行くほど活物質層の厚さが減少する傾斜部1114bとを有する。
【0052】
図面符号で説明していないが、負極も平坦部と傾斜部を含む構造を有することができるのはもちろんである。
【0053】
このような傾斜部1114bから分離フィルム(最外側分離フィルム1210)との距離は平坦部1114aから最外側分離フィルム1210との距離より遠いため電極組立体1000の製造過程中に同一の圧延を行えば、接着がよく行われないが、本願発明によれば、第1厚さ補完部1310が最外側に位置する正極1114の傾斜部1114bに対応する部位をカバーするように形成されるので、これら距離を減少させることができて圧延時平坦部1114aと類似の圧力で最外側分離フィルム1210と正極1114の傾斜部1114bが接着できる。
【0054】
したがって、本願発明によれば、傾斜部1114bと平坦部1114aの圧延による圧力差を減少させて本願の意図した接着力向上、寿命性能向上の効果を発揮することができる。
【0055】
また、傾斜部1114bをカバーするように形成される第1厚さ補完部1310および第2厚さ補完部1320のさらに具体的な構造を検討するために、第1厚さ補完部1310が形成された端部の拡大図を
図4に示した。
【0056】
図4を参照すれば、第1厚さ補完部1310は第1単位セル1110からタブ1111、1112が突出する方向の傾斜部1114bに対応する部位を覆うカバー部1312と、タブ1111、1112の突出方向に分離フィルム1200よりさらに長く延長されて分離フィルム1200とタブ1111、1112の一部を覆う延長部1311を含む構造になっており、延長部1311にはタブ1111、1112が位置する部位から分離フィルム1200より内側に湾入した湾入部1313を含む構造になっている。
【0057】
即ち、第1厚さ補完部1310と第2厚さ補完部1320は最外側単位セル(第1単位セル1110、第2単位セル1120)からタブ1111、1112、1121、1122が突出する方向の最外殻電極上端を覆うカバー部1312によって、単位セル110に含まれる電極のスライディング現象にもかかわらず、全体的に電極との接着力を増加させることができる。
【0058】
また、再び
図1および
図2を共に参照すれば、第1厚さ補完部1310と第2厚さ補完部1320は分離フィルム1200の外側で延長部1311が互いに接着されている構造になり得る。
【0059】
即ち、本願発明によれば、第1厚さ補完部1310と第2厚さ補完部1320は分離フィルム1200とタブ1111、1112の一部を覆う延長部1311を含むことによって、分離フィルム1200よりも外側まで形成されるので、最外側分離フィルム1210、1220が互いに接着できて、電極組立体の構成要素間にさらに堅固な接着が行われ、その後電解質濡れにも関わらずサイクル中にもこれら間隔の広がりを最少化することができる。
【0060】
これにより、従来のタブ1111、1112、1121、1122の突出方向での抵抗および副反応増加問題を解消することができる。
【0061】
さらに、第1厚さ補完部1310と第2厚さ補完部1320は湾入部1313を含むことによって、タブ1111、1112は他の単位セル1120、1130、1140のタブと共に付着、溶接されて電気的連結を成すことの妨害にならない効果も発揮することができ、同時に厚さ補完部1300の接着部位を最大限広げて電極と分離膜間の接着力を最大化させることができる。
【0062】
図4には第1厚さ補完部1310について説明したが、第2厚さ補完部1320にも同一に適用されるのはもちろんである。
【0063】
一方、再び
図3を参照すれば、
図3では第1単位セル1110の最外殻に正極が位置して第1厚さ補完部1310と対面する部位に正極が位置する構成を示したが、負極が配置されてもよく、いかなる場合も本発明に含まれる。また、これはまた他の最外殻に位置する第2単位セル1120でも同様である。
【0064】
単位セル1100も、第1単位セル1110の例として極性が同一な電極が両側に配置された構造のバイセルを示したが、単位セル1100それぞれは限定されず、極性が異なる電極が両側に配置された構造のフルセル、極性が同一な電極が両側に配置された構造のバイセル一つの電極と分離膜が積層された構造のモノセルであってもよい。
【0065】
また、厚さ補完部(第1厚さ補完部1310)の種類と素材は限定されず、一般に使用できる厚さ補完部が適用でき、特に二次電池に使用されるテープ素材がさらに好ましく使用でき、例えば、基材の両面にアクリル系接着層が形成されたアクリル系テープであってもよい。一方、本発明の一実施形態による電極組立体1000の製造方法は前記
図2および
図4を再び参照して説明する。
【0066】
図2を参照すれば、電極組立体1000は分離フィルム1200において電極組立体1000の最外殻に位置することになる第1単位セル1110および第2単位セル1120が配列される位置の端部に第1厚さ補完部1310および第2厚さ補完部1320を形成し、第1厚さ補完部1310および第2厚さ補完部1320が形成された部分に第1単位セル1110および第2単位セル1120の上端が位置するように第1単位セル1110および第2単位セル1120を含んで多数の単位セル1100を配列した後、フォールディング、圧延する方法で製造される。
【0067】
具体的には、
図2および
図4を共に参照すれば、まず、第1単位セル1110および第2単位セル1120が配列される位置の分離フィルム1200の端部に第1厚さ補完部1310および第2厚さ補完部1320に形成された湾入部1313、1323が分離フィルム1200の端部に向かうように形成した後、湾入部1313、1323に第1単位セル1110および第2単位セル1120のタブ1111、1112、1121、1122が位置するように第1単位セル1110および第2単位セル1120を配列する。
【0068】
また、前述のように、単位セル1100は正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、タブの突出方向に行くほど活物質層の厚さが減少する傾斜部を有するので、第1厚さ補完部1310および第2厚さ補完部1320が形成された部分に位置する第1単位セル1110および第2単位セル1120の上端は傾斜部に対応するものである。
【0069】
この時、単位セル1100は巻取り後積層方向に正極と負極が交互に積層されるように配列される。
【0070】
一方、単位セル1100を全て分離フィルム1200上に
図2のように配列した後、一方向にフォールディングを行うことができる。
【0071】
このようなフォールディングを行った電極組立体1000を明確に示すために、
図5には電極組立体1000をタブ1111、1112、1121、1122の突出方向と垂直の方向に切断した断面図が模式的に示されている。
【0072】
図5を参照すれば、単位セル1110、1120、1130、1140は分離フィルム1200によって一方向に巻取られた状態であり、積層方向に正極と負極が交互に配列されている。
【0073】
または、単位セルを分離フィルム上に配列した後、ジグザグに交互にフォールディングを行って電極組立体を製造することもできる。
【0074】
このようなフォールディングを行った電極組立体2000を明確に示すために、
図6には電極組立体2000をタブの突出方向と垂直の方向に切断した断面図が模式的に示されている。
【0075】
図6を参照すれば、単位セル2100は分離フィルム2200によってジグザグに交互に巻取られた状態であり、積層方向に正極と負極が交互に配列されている。
【0076】
この時、
図5および
図6は正極が両側の最外殻に位置する構成を示したが、これは限定されず、両側の最外殻に負極が配置されてもよく、または一側の最外殻には正極が、一側の最外殻には負極が配置されてもよいのはもちろんである。
【0077】
再び
図2および
図1に戻って、前記のようにフォールディングが完了すると、電極組立体1000は圧延される。
【0078】
このような圧延によって分離フィルム1200と単位セル1100は互いに接着、ラミネーションされて堅固に結合され、傾斜部に対応する部位でも厚さが補完されるので全体的に接着力が類似になり得る。
【0079】
また、この時、第1厚さ補完部1310と第2厚さ補完部1320も互いに接着できる。
【0080】
これにより、本願の一実施形態による電極組立体1000が製造され、厚さ補完部1300の適用で本願が意図したタブ1111、1112、1121、1122の突出方向での抵抗増加、副反応加速、リチウムプレーティングなどの問題を解消する効果を発揮することができる。
【0081】
一方、その他の電極組立体を構成する正極、負極、および分離膜の組成、構造などは当業界に知られているので、本明細書で詳しい説明は省略する。
【0082】
一方、本発明は電極組立体および電解質を含む二次電池を提供し、これを含む電池モジュールを提供する。
【0083】
このような二次電池および電池モジュールについても当業界に知られているので、本明細書では前記構成を除いた詳しい説明を省略する。
【0084】
以上では図面を参照して、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるのではなく、次の特許請求の範囲で定義している本発明の基本概念を用いた当業者の様々な変形および改良形態も本発明の範囲に属するのである。
【符号の説明】
【0085】
1000、2000:電極組立体
1100、2100:単位セル
1110:第1単位セル
1120:第2単位セル
1200、2200:分離フィルム
1300:厚さ補完部
1310:第1厚さ補完部
1320:第2厚さ補完部
【手続補正書】
【提出日】2024-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の単位セルが分離フィルムによって巻取られた構造の電極組立体であって、
前記電極組立体は両側の最外殻に位置する第1単位セルおよび第2単位セルを含み、
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルは、それぞれ、正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、タブの突出方向に行くほど前記活物質層の厚さが減少する傾斜部を有し、前記第1単位セルと、前記第1単位セルと対面する最外側分離フィルムの間、および前記第2単位セルと、前記第2単位セルと対面する最外側分離フィルムの間にはそれぞれ前記平坦部と前記傾斜部の厚さ差を補償する第1厚さ補完部および第2厚さ補完部が形成されている、電極組立体。
【請求項2】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は、前記正極および前記負極から前記タブが突出する方向に前記傾斜部をカバーするように形成されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項3】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は、前記タブが突出する方向と垂直の方向に、前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの最外殻電極の上端長さに対応するかまたはより長い長さで形成されている、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項4】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は、前記傾斜部に対応する部位を覆うカバー部と、前記正極および前記負極から前記タブが突出する方向に前記分離フィルムよりさらに長く延長されて前記分離フィルムと前記タブの一部を覆う延長部とを含む、請求項2に記載の電極組立体。
【請求項5】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部の延長部は、前記タブが位置する部位から前記分離フィルムより内側に湾入した湾入部を含む、請求項4に記載の電極組立体。
【請求項6】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は互いに直接接着されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項7】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部は前記分離フィルムの外側で互いに接着されている、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項8】
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部はそれぞれ両面テープである、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項9】
前記両面テープはそれぞれ基材の両面にアクリル系接着層が形成されたアクリル系テープである、請求項8に記載の電極組立体。
【請求項10】
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルはそれぞれ前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部と対面する部分に前記正極が位置する形態である、請求項1に記載の電極組立体。
【請求項11】
請求項1
から10のいずれか一項に記載の電極組立体の製造方法であって、
分離フィルムにおいて前記電極組立体の最外殻に位置することになる第1単位セルおよび第2単位セルが配列される位置の端部に第1厚さ補完部および第2厚さ補完部を形成し、前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部が形成された部分に前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの上端が位置するように前記第1単位セルおよび前記第2単位セルを含んで複数の単位セルを配列した後、フォールディング、圧延する、電極組立体製造方法。
【請求項12】
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルは、それぞれ、前記単位セルの上端から突出するタブを含み、
前記第1厚さ補完部および前記第2厚さ補完部はそれぞれ2つの湾入部を含み、
前記第1厚さ補完部と第2厚さ補完部は前記湾入部が前記分離フィルムの端部に向かうように形成され、前記湾入部に前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの前記タブが位置するように前記第1単位セルおよび前記第2単位セルを配列する、請求項11に記載の電極組立体製造方法。
【請求項13】
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルは、それぞれ、正極と負極からなる群より選択される1種以上、および分離膜を含み、前記正極と前記負極はそれぞれ活物質層の厚さが一定である平坦部と、タブの突出方向に行くほど活物質層の厚さが減少する傾斜部を有し、
前記第1単位セルおよび前記第2単位セルの上端が前記傾斜部に対応する、請求項11に記載の電極組立体製造方法。
【請求項14】
前記圧延によって前記第1厚さ補完部と前記第2厚さ補完部が前記分離フィルムの外側で互いに接着される、請求項11に記載の電極組立体製造方法。
【請求項15】
請求項1
から10のいずれか一項に記載の電極組立体および電解質を含む、二次電池。
【国際調査報告】