(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】通信異常状況の対応のための電池制御装置及びこれを含むエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
H02J 13/00 20060101AFI20241024BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
H02J7/00 Y
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523496
(86)(22)【出願日】2023-06-29
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 KR2023009136
(87)【国際公開番号】W WO2024071591
(87)【国際公開日】2024-04-04
(31)【優先権主張番号】10-2022-0122226
(32)【優先日】2022-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2023-0018655
(32)【優先日】2023-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ソク・パク
(72)【発明者】
【氏名】ヨンドゥ・ソン
(72)【発明者】
【氏名】ユンソン・ファン
【テーマコード(参考)】
5G064
5G503
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CA02
5G064CA03
5G064CB04
5G064CB08
5G503AA01
5G503BA02
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA11
5G503CB11
5G503EA05
5G503EA08
5G503GD02
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
(57)【要約】
本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵システムは、複数の電池にそれぞれ対応して備えられる複数のBMS、及び、上記複数のBMSから上記複数の電池に関する状態情報を収集し、収集された状態情報に基づいて上記複数の電池をモニタリングするか制御する上位制御装置、を含むことができる。ここで、上記上位制御装置は、通信異常によって、第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別し、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池にそれぞれ対応して備えられる複数のBMS、及び
前記複数のBMSから前記複数の電池に関する状態情報を収集し、収集された状態情報に基づいて前記複数の電池をモニタリングするか制御する上位制御装置、を含み、
前記上位制御装置は、
通信異常によって、第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別し、前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用する、エネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
前記上位制御装置は、
前記第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されなくても、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用して、前記複数の電池をモニタリングするか制御する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
前記上位制御装置は、
前記第1の電池の状態情報が受信されない期間の間、第2のBMSから前記第2の電池の状態情報を受信し、受信された第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として記録する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
前記上位制御装置は、
前記第1のBMSから第1の電池のSOCが受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別し、前記第2の電池のSOCを前記第1の電池のSOCとして使用する、請求項1に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
前記上位制御装置は、
電池のSOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報を用いて、前記第2の電池を選別する、請求項4に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
前記上位制御装置は、
前記第1の電池の履歴情報と、前記第1の電池を除く残りの電池の履歴情報とを比較して、第1の電池との類似度を算出し、最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する、請求項5に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
前記上位制御装置は、
前記残りの電池のうち、既設定の期間内に故障履歴が記録された電池は比較対象から除く、請求項6に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
前記上位制御装置は、
前記第2の電池が選別された後、前記第2の電池に故障が発生すれば、後順位の類似度を有する電池を第2の電池として更新する、請求項6に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
前記上位制御装置は、
前記第1の電池のSOCが受信されなければ、第1の電池又は第1の電池を除く残りの電池の最新SOCを確認し、
確認された最新SOCが、SOC推定不可区間と事前定義されるしきいSOCの範囲内にあるか否かを確認し、
確認された最新SOCが、前記しきいSOCの範囲外の場合、前記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する、請求項4に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
前記上位制御装置は、
前記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合、
前記2つ以上の電池のうち、前記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する、請求項9に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
前記上位制御装置は、
確認された最新SOCが、前記しきいSOCの範囲内にある場合、前記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する、請求項9に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
前記上位制御装置は、
前記第1の電池の累積充放電量に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定し、
最も高い類似度を有する電池が2つ以上の場合、
前記2つ以上の電池のうち、前記第1の電池の温度値に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する、請求項11に記載のエネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
複数の電池にそれぞれ対応して設けられた複数のBMSと連動する電池制御装置であって、
少なくとも一つのプロセッサ、及び
前記少なくとも一つのプロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリ、を含み、
前記少なくとも一つの命令は、
前記複数のBMSから前記複数の電池に関する状態情報を収集し、前記収集された状態情報に基づいて前記複数の電池をモニタリングするか制御する命令、
通信異常によって、第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別する命令、及び
前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用する命令を含む、電池制御装置。
【請求項14】
前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用する命令は、
前記第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されなくても、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用して、前記複数の電池をモニタリングするか制御する命令を含む、請求項13に記載の電池制御装置。
【請求項15】
前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用する命令は、
前記第1の電池の状態情報が受信されない期間の間、第2のBMSから前記第2の電池の状態情報を受信する命令、及び
受信された第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として記録する命令を含む、請求項13に記載の電池制御装置。
【請求項16】
前記第2の電池を選別する命令は、
前記第1のBMSから第1の電池のSOCが受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別する命令を含み、
前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用する命令は、
前記第2の電池のSOCを前記第1の電池のSOCとして使用する命令を含む、請求項13に記載の電池制御装置。
【請求項17】
前記第2の電池を選別する命令は、
電池のSOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報を用いて、前記第2の電池を選別する命令を含む、請求項16に記載の電池制御装置。
【請求項18】
前記第2の電池を選別する命令は、
前記第1の電池の履歴情報と、前記第1の電池を除く残りの電池の履歴情報とを比較して、第1の電池との類似度を算出する命令、及び
最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含む、請求項17に記載の電池制御装置。
【請求項19】
前記第2の電池を選別する命令は、
前記残りの電池のうち、既設定の期間内に故障履歴が記録された電池は比較対象から除く命令を含む、請求項18に記載の電池制御装置。
【請求項20】
前記少なくとも一つの命令は、
前記第2の電池が選別された後、前記第2の電池に故障が発生すれば、後順位の類似度を有する電池を第2の電池として更新する命令をさらに含む、請求項18に記載の電池制御装置。
【請求項21】
前記第2の電池を選別する命令は、
前記第1の電池のSOCが受信されなければ、第1の電池又は第1の電池を除く残りの電池の最新SOCを確認する命令、
確認された最新SOCが、SOC推定不可区間と事前定義されるしきいSOCの範囲内にあるか否かを確認する命令、及び
確認された最新SOCが、前記しきいSOCの範囲外の場合、前記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含む、請求項16に記載の電池制御装置。
【請求項22】
前記第2の電池を選別する命令は、
前記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合、
前記2つ以上の電池のうち、前記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令をさらに含む、請求項21に記載の電池制御装置。
【請求項23】
前記第2の電池を選別する命令は、
確認された最新SOCが、前記しきいSOCの範囲内にある場合、前記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含む、請求項21に記載の電池制御装置。
【請求項24】
前記第2の電池を選別する命令は、
前記第1の電池の累積充放電量に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令、及び
最も高い類似度を有する電池が2つ以上の場合、前記2つ以上の電池のうち、前記第1の電池の温度値に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含む、請求項23に記載の電池制御装置。
【請求項25】
複数の電池にそれぞれ対応して設けられた複数のBMSと連動する電池制御装置による電池制御方法であって、
前記複数のBMSから前記複数の電池に関する状態情報を収集し、前記収集された状態情報に基づいて前記複数の電池をモニタリングするか制御するステップ、
通信異常によって、第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別するステップ、及び
前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用するステップを含む電池制御方法。
【請求項26】
前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用するステップは、
前記第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されなくても、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用して、前記複数の電池をモニタリングするか制御するステップを含む、請求項25に記載の電池制御方法。
【請求項27】
前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用するステップは、
前記第1の電池の状態情報が受信されない期間の間、第2のBMSから前記第2の電池の状態情報を受信するステップ、及び
受信された第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として記録するステップを含む、請求項25に記載の電池制御方法。
【請求項28】
前記第2の電池を選別するステップは、
前記第1のBMSから第1の電池のSOCが受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別するステップを含み、
前記第2の電池の状態情報を前記第1の電池の状態情報として使用するステップは、
前記第2の電池のSOCを前記第1の電池のSOCとして使用するステップを含む、請求項25に記載の電池制御方法。
【請求項29】
前記第2の電池を選別するステップは、
電池のSOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報を用いて、前記第2の電池を選別するステップを含む、請求項28に記載の電池制御方法。
【請求項30】
前記第2の電池を選別するステップは、
前記第1の電池の履歴情報と、前記第1の電池を除く残りの電池の履歴情報とを比較して、第1の電池との類似度を算出するステップ、及び
最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップを含む、請求項29に記載の電池制御方法。
【請求項31】
前記第2の電池を選別するステップは、
前記残りの電池のうち、既設定の期間内に故障履歴が記録された電池は比較対象から除くステップを含む、請求項30に記載の電池制御方法。
【請求項32】
前記第2の電池が選別された後、前記第2の電池に故障が発生すれば、後順位の類似度を有する電池を第2の電池として更新するステップをさらに含む請求項30に記載の電池制御方法。
【請求項33】
前記第2の電池を選別するステップは、
前記第1の電池のSOCが受信されなければ、第1の電池又は第1の電池を除く残りの電池の最新SOCを確認するステップ、
確認された最新SOCが、SOC推定不可区間と事前定義されるしきいSOCの範囲内にあるか否かを確認するステップ、及び
確認された最新SOCが、前記しきいSOCの範囲外の場合、前記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップを含む、請求項28に記載の電池制御方法。
【請求項34】
前記第2の電池を選別するステップは、
前記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合、
前記2つ以上の電池のうち、前記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップをさらに含む、請求項33に記載の電池制御方法。
【請求項35】
前記第2の電池を選別するステップは、
確認された最新SOCが、前記しきいSOCの範囲内にある場合、前記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップを含む、請求項33に記載の電池制御方法。
【請求項36】
前記第2の電池を選別するステップは、
前記第1の電池の累積充放電量に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップ、及び
最も高い類似度を有する電池が2つ以上の場合、前記2つ以上の電池のうち、前記第1の電池の温度値に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップを含む、請求項35に記載の電池制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2022年9月27日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2022-0122226号及び2023年2月13日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10-2023-0018655号の出願日の利益を主張し、当該韓国特許出願の文献に開示された内容の全ては、本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、電池制御装置及びこれを含むエネルギー貯蔵システムに関し、より具体的には、通信異常状況の発生時にエネルギー貯蔵システムを安定して動作させることが可能な電池制御装置及びこれを含むエネルギー貯蔵システムに関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、放電後にも充電を通じて再使用が可能な電池であって、携帯用電話機、タブレットPC、掃除機など小型デバイスのエネルギー源として活用されることができ、自動車、スマートグリッド用ESS(Energy Storage System:エネルギー貯蔵システム)などの中型/大型デバイスのエネルギー源としても活用されている。
【0004】
二次電池は、システムの要求条件に応じて多数の電池セルが直・並列に接続された電池モジュール、又は電池モジュールが直・並列に接続された電池パックなどのアセンブリの形態でシステムに適用される。
【0005】
エネルギー貯蔵システムの統合制御装置(又は上位制御装置)は、電池アセンブリから収集されるSOC(State of Charge:充電率)などの電池状態情報に基づいて電池アセンブリをモニタリングして制御する。ここで、特定の電池アセンブリに通信異常(LOC:Loss OF Communication)が発生すれば、統合制御装置は該当電池アセンブリから電池状態情報を受信できなくなり、これによってエネルギー貯蔵システムに対する制御が不可能になる。この場合、通信異常モジュールのメンテナンス作業のために、エネルギー貯蔵システムの動作が停止されなければならない。一方、LFP(Lithium Iron Phosphate)電池(リン酸鉄リチウムイオン電池)が使用されたエネルギー貯蔵システムの場合、全体の電池アセンブリが同一のSOCであるときに相互並列接続されるように、電池アセンブリに対する完全充電又は完全放電が必要となる。
【0006】
このような従来技術の問題点を解決するために、特定の電池アセンブリに通信異常状況の発生時にエネルギー貯蔵システムを停止することなく安定して動作させることができる適切な制御技術が必要とされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような問題点を解決するための本発明の目的は、特定の電池アセンブリにおける通信異常状況の発生時にエネルギー貯蔵システムを停止することなく安定して動作させることができる電池制御装置を提供することにある。
【0008】
上記のような問題点を解決するための本発明の別の目的は、このような電池制御装置による電池制御方法を提供することにある。
【0009】
上記のような問題点を解決するための本発明のまた別の目的は、このような電池制御装置を含むエネルギー貯蔵システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明の一実施形態に係るエネルギー貯蔵システムは、複数の電池にそれぞれ対応して備えられる複数のBMS(電池管理システム)、及び、上記複数のBMSから上記複数の電池に関する状態情報を収集し、収集された状態情報に基づいて上記複数の電池をモニタリングするか制御する上位制御装置、を含むことができる。
【0011】
ここで、上記上位制御装置は、通信異常によって、第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別し、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用することができる。
【0012】
上記上位制御装置は、上記第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されなくても、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用して、上記複数の電池をモニタリングするか制御することができる。
【0013】
上記上位制御装置は、上記第1の電池の状態情報が受信されない期間の間、第2のBMSから上記第2の電池の状態情報を受信し、受信された第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として記録することができる。
【0014】
上記上位制御装置は、上記第1のBMSから第1の電池のSOC(充電率)が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別し、上記第2の電池のSOCを上記第1の電池のSOCとして使用することができる。
【0015】
上記上位制御装置は、電池のSOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報を用いて、上記第2の電池を選別することができる。
【0016】
上記上位制御装置は、上記第1の電池の履歴情報と、上記第1の電池を除く残りの電池の履歴情報とを比較して、第1の電池との類似度を算出し、最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定することができる。
【0017】
上記上位制御装置は、上記残りの電池のうち、既設定の期間内に故障履歴が記録された電池は比較対象から除くことができる。
【0018】
上記上位制御装置は、上記第2の電池が選別された後、上記第2の電池に故障が発生すれば、後順位の類似度を有する電池を第2の電池として更新することができる。
【0019】
上記上位制御装置は、上記第1の電池のSOCが受信されなければ、第1の電池又は第1の電池を除く残りの電池の最新SOCを確認し、確認された最新SOCが、SOC推定不可区間と事前定義されるしきいSOCの範囲内にあるか否かを確認することができる。ここで、上記上位制御装置は、確認された最新SOCが、上記しきいSOCの範囲外の場合、上記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定することができる。
【0020】
上記上位制御装置は、上記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合、上記2つ以上の電池のうち、上記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定することができる。
【0021】
上記上位制御装置は、確認された最新SOCが、上記しきいSOCの範囲内にある場合、上記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定することができる。
【0022】
上記上位制御装置は、上記第1の電池の累積充放電量に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定することができる。このとき、最も高い類似度を有する電池が2つ以上の場合、上記上位制御装置は、上記2つ以上の電池のうち、上記第1の電池の温度値に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定することができる。
【0023】
上記別の目的を達成するための本発明の一実施形態に係る電池制御装置は、複数の電池にそれぞれ対応して設けられた複数のBMSと連動する電池制御装置であって、少なくとも一つのプロセッサ、及び、上記少なくとも一つのプロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリ、を含むことができる。
【0024】
ここで、上記少なくとも一つの命令は、上記複数のBMSから上記複数の電池に関する状態情報を収集し、上記収集された状態情報に基づいて上記複数の電池をモニタリングするか制御する命令、通信異常によって、第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別する命令、及び、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用する命令を含むことができる。
【0025】
上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用する命令は、上記第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されなくても、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用して、上記複数の電池をモニタリングするか制御する命令を含むことができる。
【0026】
上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用する命令は、上記第1の電池の状態情報が受信されない期間の間、第2のBMSから上記第2の電池の状態情報を受信する命令、及び、受信された第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として記録する命令を含むことができる。
【0027】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1のBMSから第1の電池のSOCが受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別する命令を含むことができる。ここで、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用する命令は、上記第2の電池のSOCを上記第1の電池のSOCとして使用する命令を含むことができる。
【0028】
上記第2の電池を選別する命令は、電池のSOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報を用いて、上記第2の電池を選別する命令を含むことができる。
【0029】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1の電池の履歴情報と、上記第1の電池を除く残りの電池の履歴情報とを比較して、第1の電池との類似度を算出する命令、及び、最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含むことができる。
【0030】
上記第2の電池を選別する命令は、上記残りの電池のうち、既設定の期間内に故障履歴が記録された電池は比較対象から除く命令を含むことができる。
【0031】
上記少なくとも一つの命令は、上記第2の電池が選別された後、上記第2の電池に故障が発生すれば、後順位の類似度を有する電池を第2の電池として更新する命令をさらに含むことができる。
【0032】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1の電池のSOCが受信されなければ、第1の電池又は第1の電池を除く残りの電池の最新SOCを確認する命令、確認された最新SOCが、SOC推定不可区間と事前定義されるしきいSOCの範囲内にあるか否かを確認する命令、及び、確認された最新SOCが、上記しきいSOCの範囲外の場合、上記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含むことができる。
【0033】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合、上記2つ以上の電池のうち、上記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令をさらに含むことができる。
【0034】
上記第2の電池を選別する命令は、確認された最新SOCが、上記しきいSOCの範囲内にある場合、上記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含むことができる。
【0035】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1の電池の累積充放電量に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令、及び、最も高い類似度を有する電池が2つ以上の場合、上記2つ以上の電池のうち、上記第1の電池の温度値に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含むことができる。
【0036】
上記また別の目的を達成するための本発明の一実施形態に係る電池制御方法は、複数の電池にそれぞれ対応して設けられた複数のBMSと連動する電池制御装置による電池制御方法であって、上記複数のBMSから上記複数の電池に関する状態情報を収集し、上記収集された状態情報に基づいて上記複数の電池をモニタリングするか制御するステップ、通信異常によって、第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別するステップ、及び、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用するステップを含むことができる。
【0037】
上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用するステップは、上記第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されなくても、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用して、上記複数の電池をモニタリングするか制御するステップを含むことができる。
【0038】
上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用するステップは、上記第1の電池の状態情報が受信されない期間の間、第2のBMSから上記第2の電池の状態情報を受信するステップ、及び、受信された第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として記録するステップを含むことができる。
【0039】
上記第2の電池を選別するステップは、上記第1のBMSから第1の電池のSOCが受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別するステップを含むことができる。ここで、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用するステップは、上記第2の電池のSOCを上記第1の電池のSOCとして使用するステップを含むことができる。
【0040】
上記第2の電池を選別するステップは、電池のSOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報を用いて、上記第2の電池を選別するステップを含むことができる。
【0041】
上記第2の電池を選別するステップは、上記第1の電池の履歴情報と、上記第1の電池を除く残りの電池の履歴情報とを比較して、第1の電池との類似度を算出するステップ、及び、最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップを含むことができる。
【0042】
上記第2の電池を選別するステップは、上記残りの電池のうち、既設定の期間内に故障履歴が記録された電池は比較対象から除くステップを含むことができる。
【0043】
上記電池制御方法は、上記第2の電池が選別された後、上記第2の電池に故障が発生すれば、後順位の類似度を有する電池を第2の電池として更新するステップをさらに含むことができる。
【0044】
上記第2の電池を選別するステップは、上記第1の電池のSOCが受信されなければ、第1の電池又は第1の電池を除く残りの電池の最新SOCを確認するステップ、確認された最新SOCが、SOC推定不可区間と事前定義されるしきいSOCの範囲内にあるか否かを確認するステップ、及び、確認された最新SOCが、上記しきいSOCの範囲外の場合、上記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップを含むことができる。
【0045】
上記第2の電池を選別するステップは、上記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合、上記2つ以上の電池のうち、上記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップをさらに含むことができる。
【0046】
上記第2の電池を選別するステップは、確認された最新SOCが、上記しきいSOCの範囲内にある場合、上記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップを含むことができる。
【0047】
上記第2の電池を選別するステップは、上記第1の電池の累積充放電量に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップ、及び、最も高い類似度を有する電池が2つ以上の場合、上記2つ以上の電池のうち、上記第1の電池の温度値に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定するステップを含むことができる。
【発明の効果】
【0048】
上記のような本発明の実施形態によれば、特定の電池アセンブリに通信異常状況が発生しても、エネルギー貯蔵システムを停止することなく安定して動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】一般的なエネルギー貯蔵システムのブロック図である。
【
図3】通信異常の発生時におけるエネルギー貯蔵システムの一般的な動作方法のフロー図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るエネルギー貯蔵システムのブロック図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る電池制御装置の電池制御方法のフロー図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る参照電池選別方法のフロー図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る参照電池選別方法を説明するための参照表である。
【
図8】本発明の実施形態に係る電池制御装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
本発明は、種々の変更を加えることができ、様々な実施形態を有することができるのが、特定の実施形態を図面に例示し、詳細な説明で詳しく説明しようとする。これは、本発明を特定の実施形態に対して限定しようとするのではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるすべての変更、均等物ないし代替物を含むものと理解されたい。各図面を説明しながら類似の参照符号を類似の構成要素に対して使用している。
【0051】
第1、第2、A、Bなどの用語は、多様な構成要素を説明するのに使用され得るが、構成要素は、上記用語によって限定されてはいけない。上記用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。例えば、本発明の権利範囲を逸脱することなく、第1の構成要素は第2の構成要素と命名されることができ、同様に第2の構成要素も第1の構成要素と命名されることができる。「及び/又は」という用語は、複数の関連して記載された項目の組み合わせ又は複数の関連して記載された項目のうちのある項目を含む。
【0052】
ある構成要素が他の構成要素に「連結されて」いるとか「接続されて」いると言及されたときには、当該他の構成要素に直接的に連結されていてもよいし、又は接続されているが、中間に別の構成要素が存在してよいと理解されたい。これに対し、ある構成要素が他の構成要素に「直接連結されて」いるとか「直接接続されて」いると言及されたときには、中間に別の構成要素が存在しないと理解されたい。
【0053】
本出願で使用した用語は、単に特定の実施形態を説明するために使用されたものであって、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。本出願において、「含む」や「有する」などの用語は、明細書に記載された特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものが存在することを指定しようとするものであって、一つ又はそれ以上の他の特徴や数字、ステップ、動作、構成要素、部品又はこれらを組み合わせたものなどの存在又は付加可能性をあらかじめ排除しないと理解されたい。
【0054】
別途定義されない限り、技術的又は科学的な用語を含め、ここで使用されるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有している。一般的に使用される辞書に定義されているような用語は、関連技術の文脈上有する意味と一致する意味を有するものと解釈されるものであり、本出願において明白に定義しない限り、理想的であるか過度に形式的な意味としては解釈されるものではない。
【0055】
本明細書において使用される一部の用語を定義すれば、次の通りである。
【0056】
電池セルは、電力を貯蔵する役割を果たす最小単位であり、電池モジュールは、複数の電池セルが電気的に接続された集合体を意味する。
【0057】
電池ラック(Rack)は、電池メーカーで設定されたモジュールユニットを直/並列接続してBMS(Battery Management System:電池管理システム)を通じてモニタリングと制御が可能な最小単一構造のシステムを意味し、複数の電池モジュールと1つのBPU又は保護装置を含んで構成されることができる。
【0058】
電池バンク(Bank)は、複数の電池ラックを並列接続して構成される大きい規模の電池ラックシステムの集合群を意味することができる。電池バンク単位のBMSを通じて、電池ラック単位のラックBMS(RBMS)に対するモニタリングと制御を行うことができる。
【0059】
電池アセンブリは、電気的に接続された複数の電池セルを含んで構成され、特定のシステム又は装置に適用されて電力供給源として機能する集合体を意味する。ここで、電池アセンブリは、電池モジュール、電池パック、電池ラック又は電池バンクなどを意味することができるが、本発明の範囲がこれら態様に限定されるものではない。
【0060】
BSC(Battery System Controller:電池システム制御器)は、電池バンク(Bank)単位の電池システムを含む電池システムに対する最上位の制御を行う装置であって、複数のバンクレベル(Bank Level)構造の電池システムにおいて制御装置として使用されることもある。
【0061】
SOC(State of Charge:充電率)は、電池の現在充電された状態を割合[%]で表したものであり、SOH(State of Health:残存率)は、電池の現在の残存状態を割合[%]で表したものである。
【0062】
図1は、一般的なエネルギー貯蔵システムのブロック図である。
【0063】
エネルギー貯蔵システム(ESS)で電力を貯蔵する役割を果たす電池の最小単位は、通常、電池セル(cell)である。電池セルの直/並列組み合わせが電池モジュールを成し、多数の電池パック(Battery Pack)が電池ラック(Rack)を構成することができる。すなわち、電池ラックは、電池パックの直/並列での組み合わせであって、電池システムの最小単位になり得る。ここで、電池が使用される装置又はシステムによって、電池パックは、電池モジュールと呼ばれることもできる。
【0064】
図1を参照すれば、一つの電池ラック10は、複数の電池モジュールと1つのBPU又は保護装置を含むことができる。電池ラックは、RBMS(Rack BMS:ラックBMS)を通じてモニタリングと制御が可能である。RBMSは、自分が管掌する各電池ラックの電流、電圧及び温度をモニタリングし、モニタリングの結果に基づいて電池のSOCを算出して充放電を制御する役割を果たすことができる。
【0065】
一方、BPU(Battery Protection Unit:電池保護ユニット)は、電池ラック単位で異常電流と事故電流から電池を保護するための装置である。BPUは、メインコンタクタ(Main Contactor:MC)、ヒューズ、回路遮断器(Circuit Breaker:CB)又は断路器(Disconnect Switch:DS)などを含むことができる。BPUは、RBMSの制御によってメインコンタクタをオン/オフ制御してラック単位で電池システムを制御することができる。BPUはまた、短絡の発生時にヒューズを用いて短絡電流から電池を保護することができる。このように、従来の電池システムは、BPU、スイッチギヤのような保護装置を通じて制御されることができる。
【0066】
一方、多数の電池及び周辺回路、装置などを含んで構成された電池セクションのそれぞれには、BSC20が設けられ、電圧、電流、温度、遮断器といった制御の対象をモニタリングして制御することができる。BSCは、複数の電池ラックを含むバンク単位の電池システムを含む電池システムの最上位の制御装置であって、複数個のバンクレベル構造の電池システムにおいて制御装置として使用されることもある。
【0067】
また、電池セクション毎に設けられた電力変換システム(Power Conversion System:PCS)40は、EMS30からの充/放電指令に基づいて実質的な充放電を行う装置であって、電力変換部(DC/ACインバータ)及びコントローラを含んで構成されることができる。一方、各BPUの出力は、DCバスを介して発電装置(例:太陽光発電装置)及びPCS40と接続されることができ、PCS40はグリッドと接続されることができる。また、EMS(Energy Management System:エネルギー管理システム)30又はPMS(Power Management System:電力管理システム)は、ESSシステムを全体的に管理する。
【0068】
【0069】
リチウム二次電池の負極活物質としては、炭素材料が主に使用され、正極活物質としては、主にリチウム含有コバルト酸化物(LiCoO2)が使用され、その他にリチウム含有マンガン酸化物(LiMnO2、LiMn2O4など)と、リチウム含有ニッケル酸化物(LiNiO2)の使用も考慮されている。
【0070】
近年、リチウム二次電池の正極活物質としてリン酸鉄リチウム(LiFePO4)系化合物が使用されている。正極活物質としてリン酸鉄リチウムが使用されたLFP(Lithium Iron Phosphate)電池は、他の電池に比べて熱的安定性及び費用効率性の面で優れている。
【0071】
エネルギー貯蔵システムの動作過程で、電池のSOCに基づいてバランシング制御又は充放電制御が行われることができる。ここで、電池のSOCを算出するために、電池の開放電圧値を測定し、測定された開放電圧値に基づいて電池のSOCを推定する方式が主に使用されている。
【0072】
図2は、LFP電池の充電特性曲線であって、LFP電池の充電過程で測定された開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)とSOCとの間の対応関係を示す。
【0073】
図2を参照すれば、LFP電池の充電特性曲線は、約10%~約90%のSOC区間で電圧平坦区間(Plateau)を有する。このような平坦特性を有するLFP電池の場合、平坦区間ではSOCを正確に推定し難く、非平坦区間(例えば、SOCが90%以上の区間、又はSOCが10%以下の区間)でのみ正確な推定が可能である。すなわち、LFP電池が適用された電池システムは、非常に制限されたSOC区間でのみ正確なSOCの推定が可能である。
【0074】
図3は、通信異常の発生時にエネルギー貯蔵システムの一般的な動作方法のフロー図である。
【0075】
エネルギー貯蔵システムの上位制御装置(例えば、BSC又はEMS)は、RBMSから収集されるSOCに基づいて電池ラックをモニタリングして制御することができる。ここで、特定の電池ラックに通信異常(LOC:Loss OF Communication)が発生(S310)すれば、上位制御装置は該当電池ラック(LOC発生ラック)の RBMSからSOCを受信できなくなる。
【0076】
通信異常が発生した電池ラックのSOCが漏れることによって、エネルギー貯蔵システムの動作が不可能になって、エネルギー貯蔵システムの動作は停止され(S320)、通信異常状態の解消のために、該当電池ラックが開放されて点検及び補修作業が行われる(S330)。
【0077】
該当電池ラックの通信異常状態が解消されれば、該当電池ラックはエネルギー貯蔵システムに再接続されることができる。ここで、エネルギー貯蔵システムの安定した動作のためには、該当電池ラックと他の電池ラックとの間のSOCが非常に類似した状態であるとき、該当電池ラックがエネルギー貯蔵システムに再接続される必要がある。
【0078】
ここで、LFP電池が適用された電池ラックの場合、非平坦区間(例えば、SOCが90%以上の区間、又はSOCが10%以下の区間)でのみSOCの正確な推定ができるので、電池ラックの完全充電又は完全放電が行われなければならない(S340)。その後、電池ラックが電気的に接続されれば、エネルギー貯蔵システムが再稼動されることができる(S350)。
【0079】
すなわち、エネルギー貯蔵システムの動作過程で特定の電池ラックに通信異常が発生する場合、全体のシステムが中断され、完全充電又は完全放電過程が行われなければならないので、システムの再稼動まで相当な時間がかかる。
【0080】
本発明は、このような問題点を解決するために案出されたものであって、特定の電池アセンブリに通信異常状況が発生しても、エネルギー貯蔵システムを停止することなく安定して動作させることができる、電池制御装置及びこれを含むエネルギー貯蔵システムに関する。
【0081】
以下、本発明に係る好ましい実施形態を添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0082】
図4は、本発明の実施形態に係るエネルギー貯蔵システムのブロック図である。
【0083】
図4を参照すれば、本発明の実施形態に係るエネルギー貯蔵システムは、複数の電池100、及び、複数の電池のそれぞれと対応して備えられ、対応する電池を管理及び制御する複数のBMS(Battery Management System)200を含んで構成されることができる。
【0084】
複数の電池100は、電気的に相互並列接続されて構成されることができる。
【0085】
本発明において、電池100は、電池アセンブリを意味することができる。すなわち、本発明に係る電池100は、電池モジュール、電池パック、電池ラック又は電池バンクに該当することができる。
【0086】
実施形態において、電池100は、充電特性曲線で少なくとも一部の電圧平坦区間を有する電池セル(例えば、LFP電池セル)が一つ以上含まれた電池アセンブリに該当することができる。
【0087】
BMS200は、対応する電池100に関する状態情報を収集し、収集された状態情報に基づいて既定義の制御動作を行って、対応する電池100を管理及び制御することができる。ここで、BMS200は、電池の状態情報に基づいて、電池の充放電を制御し、電池セルの故障有無を診断することができる。
【0088】
複数のBMS200のそれぞれは、上位制御装置300とネットワークを通じて接続されて、上位制御装置300に電池のSOCなど電池状態情報を送信し、上位制御装置300から制御命令を受信して動作するように構成されることができる。
【0089】
上位制御装置300は、複数のBMS200から複数の電池に関する状態情報を収集し、収集された状態情報に基づいて複数の電池をモニタリングするか制御することができる。ここで、上位制御装置300は、BSC(Battery System Controller)、EMS(Energy Management System)、又はPMS(Power Management System)に該当することができる。
【0090】
特定の電池(第1の電池)に通信異常が発生して、上位制御装置300が該当電池と対応するBMS(第1のBMS)から状態情報を受信できない場合、上位制御装置300は、該当電池(第1の電池)と類似した状態を有するものと推定される参照電池(第2の電池)を選別し、選別された参照電池(第2の電池)の状態情報を通信異常電池(第1の電池)の状態情報として使用して、エネルギーシステムを動作するように構成されることができる。
【0091】
すなわち、上位制御装置300は、特定のBMS(第1のBMS)から状態情報が受信されなくても、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、選別された参照電池(第2の電池)の状態情報を通信異常電池(第1の電池)の状態情報として使用して、複数の電池をモニタリングするか制御するように構成されることができる。
【0092】
一方、上位制御装置300は、記憶装置310に格納された電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別することができる。例えば、上位制御装置300は、記憶装置310に格納された複数の電池に関するSOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報を用いて、第1の電池と類似した動作パターンを有する電池を選別し、選別された電池を第2の電池として決定することができる。
【0093】
図5は、本発明の実施形態に係る電池制御装置の電池制御方法のフロー図である。
【0094】
図5に示す制御方法は、複数の電池にそれぞれ対応して設けられた複数のBMSと連動する電池制御装置で行われることができる。ここで、電池制御装置は、複数のBMSに対する上位制御装置であって、例えば、BSC、EMS又はPMSに該当することができる。
【0095】
電池制御装置は、複数のBMSから複数の電池に関する状態情報を収集する(S510)。ここで、状態情報は、電池のSOC、電圧値、電流値、充放電量及び温度値のうちの一つ以上を含むことができる。
【0096】
電池制御装置は、収集された状態情報に基づいて、上記複数の電池をモニタリングするか制御することができる(S520)。例えば、電池制御装置は、収集された状態情報に基づいて、電池のそれぞれに対する充放電を制御することができる。
【0097】
電池制御装置は、複数の電池のうち特定の電池に通信異常が発生したか否かを感知することができる(S530)。ここで、電池制御装置は、特定の電池から状態情報が受信されなければ、該当電池に通信異常が発生したと判断することができる。
【0098】
特定の電池(第1の電池)に通信異常が発生して、該当電池を管理するBMS(第1のBMS)から状態情報が受信されない場合(S530のY)、電池制御装置は、通信異常電池(第1の電池)に対する参照電池(第2の電池)を決定することができる(S540)。
【0099】
電池制御装置は、記憶装置に格納された電池の履歴情報に基づいて第2の電池を選別することができる。
【0100】
電池制御装置は、既設定の期間の間の履歴情報を用いて、複数の電池のうち第2の電池を決定することができる。ここで、履歴情報は、SOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴データを含むことができる。例えば、電池制御装置は、通信異常の発生時点から3日前までのSOC、累積充放電量又は温度値に関する履歴データを用いて、第1の電池と類似した動作パターンを有する第2の電池を選別することができる。
【0101】
電池制御装置は、第1の電池の履歴情報と、第1の電池を除く残りの電池の履歴情報とを比較して、第1の電池との類似度を算出し、算出された類似度に基づいて第2の電池を決定することができる。例えば、電池制御装置は、履歴データに含まれた時間別状態値(例えば、SOC、累積充放電量又は温度値)の差値を算出し、算出された差値を累積し、累積した差値に基づいて類似度を算出することができる。ここで、類似度は、累積した差値が低いほど高い値として算出されることができる。
【0102】
実施形態において、電池制御装置は、第1の電池を除く残りの電池のうち、既設定の期間内に故障履歴が記録された電池は比較対象から除くことができる。例えば、通信異常の発生時点から3日前までの期間の間、電圧異常の発生、発火イベントの感知などの履歴が記録された電池は、第2の電池の候補から除かれることができる。
【0103】
電池制御装置は、第1の電池を除く残りの電池のうち、第1の電池との類似度が最も高い電池を第2の電池として決定することができる。
【0104】
電池制御装置は、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、選別された第2の電池の状態情報を第1の電池の状態情報として使用(S550)して、複数の電池をモニタリングするか制御することができる(S560)。例えば、電池制御装置は、第2の電池のSOCを第1の電池のSOCとして使用して、エネルギー貯蔵システムを動作することができる。
【0105】
電池制御装置は、第1の電池の状態情報が受信されない期間の間、第2のBMSから受信された第2の電池の状態情報を第1の電池の状態情報として記憶装置に記録することができる。
【0106】
実施形態において、電池制御装置は、第2の電池が選別された後、第2の電池に故障が発生すれば、後順位の類似度を有する電池を第2の電池として更新することができる。例えば、Rack #1の通信異常の発生で、Rack #1との類似度が最も高いRack #2が参照電池として選別され、Rack #2のSOCがRack #1のSOCとして活用されてエネルギー貯蔵システムが動作されることができる。エネルギー貯蔵システムの動作過程で、Rack #2に故障が発生した場合、Rack #2の次に類似度の高いRack #3が参照電池として変更されることができる。
【0107】
電池制御装置は、第1の電池に対する通信異常状態の解除有無を確認することができる。ここで、電池制御装置は、第1のBMSから状態情報が受信されれば、第1の電池に対する通信異常状態が解除されたと判断することができる。
【0108】
第1の電池に対する通信異常状態が解除される場合、電池制御装置は、第2の電池の状態情報を第1の電池の状態情報として活用せず、電池のそれぞれの状態情報を用いて電池をモニタリング及び制御することができる。
【0109】
図6は、本発明の実施形態に係る参照電池選別方法のフロー図である。
【0110】
電池制御装置は、既設定の期間の間の履歴情報を用いて、複数の電池のうち第2の電池を決定することができる。ここで、履歴情報は、SOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴データを含むことができる。
【0111】
実施形態において、電池制御装置は、通信異常発生直前のSOC、及び履歴データ項目のそれぞれに対して事前定義された所定の優先順位に基づいて、第2の電池を決定することができる。ここで、優先順位は、SOC、累積充放電量及び温度値の順に事前定義された所定のものであり得る。
【0112】
図6を参照すれば、特定の電池(第1の電池)に通信異常が発生して、該当電池を管理するBMS(第1のBMS)から状態情報が受信されない場合、電池制御装置は、第1の電池に通信異常が発生したと判断することができる。
【0113】
電池制御装置は、第1の電池、又は第1の電池を除く残りの電池の最新SOCを確認することができる(S610)。例えば、通信異常が発生すれば、電池制御装置は、記憶装置に最後に記録された電池のそれぞれのSOCを確認することができる。
【0114】
電池制御装置は、確認された最新SOCが、SOC推定不可区間と事前定義される所定のしきいSOCの範囲内にあるか否かを確認することができる(S620)。ここで、しきいSOCの範囲は、電池のSOCと電圧との間の対応曲線で、SOCの変化量に対する電圧の変化量が既定義のしきい値以下であるSOC区間と事前定義された所定のものであり得て、例えば、10超90未満と定義されることができる。
【0115】
確認された最新SOCがしきいSOCの範囲外の場合(S620のN)、電池制御装置は、第1の電池と他の電池との間のSOCに関する履歴情報を比較(S630)して、最も高い類似度を有する電池を決定することができる。例えば、第1の電池の最新SOCがしきいSOCの範囲外の場合(すなわち、第1の電池がSOC推定可能な状態で通信異常が発生した場合)であれば、電池制御装置は、第1順位の比較項目として事前定義された所定のSOCの履歴情報を比較して第2の電池を決定することができる。
【0116】
ここで、第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が1つである場合(S640のN)、該当電池が第2の電池として確定されることができる(S650)。
【0117】
一方、第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合(S640のY)、電池制御装置は、2つ以上の電池のうち、第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定することができる(S660~680)。すなわち、第1順位の比較項目と事前定義された所定のSOCの履歴を比較して、単一の参照電池が決定されない場合は、電池制御装置は、後順位の履歴項目を順次比較して単一の参照電池を決定することができる。
【0118】
例えば、第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合、電池制御装置は、第1の電池と他の電池との間の累積充放電量に関する履歴情報(第2順位)を比較(S660)して、最も高い類似度を有する電池を決定することができる。仮に、第1の電池の累積充放電量に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合(S670のY)、電池制御装置は、第1の電池と他の電池との間の温度値に関する履歴情報(第3順位)を比較(S680)して、最も高い類似度を有する電池を決定することができる。ここで、最も高い類似度を有する単一の電池が選別されれば、参照電池の選別過程は完了することができる(S650)。一方、温度値の比較を通じても単一の電池が選別されない場合は、同一の類似度を有する電池のうち第1の電池と最も近くの位置に配置された電池が第2の電池として最終選別されることができる。
【0119】
S620において、確認された最新SOCがしきいSOCの範囲内にある場合(S620のY)、電池制御装置は、第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定することができる(S660~680)。例えば、第1の電池の最新SOCがしきいSOCの範囲内にある場合(すなわち、第1の電池がSOC推定不可能な状態で通信異常が発生した場合)であれば、電池制御装置は、第1順位と事前定義された所定のSOCの履歴情報を比較せず、後順位の履歴項目を順次比較して参照電池を決定することができる。
【0120】
図7は、本発明の実施形態に係る参照電池選別方法を説明するための参照表である。
【0121】
実施形態において、参照電池選別のための、SOC推定不可区間及び履歴項目のそれぞれに対する比較優先順位が事前定義された所定のものであり得る。ここで、電池制御装置は、記憶装置に格納されたSOC推定不可区間及び比較優先順位に基づいて、通信異常電池に対する参照電池を選別することができる。
【0122】
例えば、
図7を参照すれば、SOC推定不可区間(しきいSOCの範囲)は、10超90未満と定義されることができる。
【0123】
また、比較対象となる履歴項目は、SOC、累積充放電電流量(Ah)、累積充放電エネルギー(Wh)、平均温度、最大温度及び最小温度を含むことができる。ここで、履歴項目の比較優先順位は、SOC、累積充放電電流量(Ah)、累積充放電エネルギー(Wh)、平均温度、最大温度及び最小温度の順に定義されることができる。
【0124】
図7の表のように事前定義された所定のものである場合、電池制御装置は、下記のように参照電池(第2の電池)を決定することができる。
【0125】
第1の電池の最新SOCがしきいSOCの範囲外の場合であれば、電池制御装置は、単一の参照電池が導出されるまで、SOC、累積充放電電流量(Ah)、累積充放電エネルギー(Wh)、平均温度、最大温度及び最小温度に関する履歴情報を順次比較することができる。
【0126】
第1の電池の最新SOCがしきいSOCの範囲内にある場合であれば、電池制御装置は、単一の参照電池が導出されるまで、累積充放電電流量(Ah)、累積充放電エネルギー(Wh)、平均温度、最大温度及び最小温度に関する履歴情報を順次比較することができる。
【0127】
一方、履歴項目に対する比較の結果、単一の電池が選別されない場合は、同一の類似度を有する電池のうち第1の電池と最も近くの位置に配置された電池が第2の電池として最終選別されることができる。
【0128】
図8は、本発明の実施形態に係る電池制御装置のブロック図である。
【0129】
本発明の実施形態に係る電池制御装置800は、エネルギー貯蔵システム内に位置し、複数の電池にそれぞれ対応して設けられた複数のBMSと連動する上位制御装置に該当することができる。例えば、電池制御装置800は、BSC、EMS又はPMSに該当するか、これらのうちのいずれか一つに含まれて具現化されることができる。
【0130】
電池制御装置800は、少なくとも一つのプロセッサ810、上記プロセッサを通じて実行される少なくとも一つの命令を格納するメモリ820及びネットワークと接続されて通信を行う送受信装置830を含むことができる。
【0131】
上記少なくとも一つの命令は、上記複数のBMSから上記複数の電池に関する状態情報を収集し、上記収集された状態情報に基づいて上記複数の電池をモニタリングするか制御する命令、通信異常によって、第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別する命令、及び、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用する命令を含むことができる。
【0132】
上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用する命令は、上記第1のBMSから第1の電池の状態情報が受信されなくても、エネルギー貯蔵システムの動作を停止することなく、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用して、上記複数の電池をモニタリングするか制御する命令を含むことができる。
【0133】
上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用する命令は、上記第1の電池の状態情報が受信されない期間の間、第2のBMSから上記第2の電池の状態情報を受信する命令、及び、受信された第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として記録する命令を含むことができる。
【0134】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1のBMSから第1の電池のSOC(State of Charge)が受信されない場合、既格納の電池の履歴情報に基づいて、複数の電池のうち第2の電池を選別する命令を含むことができる。ここで、上記第2の電池の状態情報を上記第1の電池の状態情報として使用する命令は、上記第2の電池のSOCを上記第1の電池のSOCとして使用する命令を含むことができる。
【0135】
上記第2の電池を選別する命令は、電池のSOC、累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報を用いて、上記第2の電池を選別する命令を含むことができる。
【0136】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1の電池の履歴情報と、上記第1の電池を除く残りの電池の履歴情報とを比較して、第1の電池との類似度を算出する命令、及び、最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含むことができる。
【0137】
上記第2の電池を選別する命令は、上記残りの電池のうち、既設定の期間内に故障履歴が記録された電池は比較対象から除く命令を含むことができる。
【0138】
上記少なくとも一つの命令は、上記第2の電池が選別された後、上記第2の電池に故障が発生すれば、後順位の類似度を有する電池を第2の電池として更新する命令をさらに含むことができる。
【0139】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1の電池のSOCが受信されなければ、第1の電池又は第1の電池を除く残りの電池の最新SOCを確認する命令、確認された最新SOCが、SOC推定不可区間と事前定義される所定のしきいSOCの範囲内にあるか否かを確認する命令、及び、確認された最新SOCが、上記しきいSOCの範囲外の場合、上記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含むことができる。
【0140】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1の電池のSOCに関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池が、2つ以上の場合、上記2つ以上の電池のうち、上記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令をさらに含むことができる。
【0141】
上記第2の電池を選別する命令は、確認された最新SOCが、上記しきいSOCの範囲内にある場合、上記第1の電池の累積充放電量及び温度値のうちの一つ以上に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含むことができる。
【0142】
上記第2の電池を選別する命令は、上記第1の電池の累積充放電量に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令、及び、最も高い類似度を有する電池が2つ以上の場合、上記2つ以上の電池のうち、上記第1の電池の温度値に関する履歴情報と最も高い類似度を有する電池を第2の電池として決定する命令を含むことができる。
【0143】
電池制御装置800はまた、入力インターフェース装置840、出力インターフェース装置850、記憶装置860などをさらに含むことができる。電池制御装置800に含まれたそれぞれの構成要素は、バス(bus)870によって接続されて互いに通信を行うことができる。
【0144】
ここで、プロセッサ810は、中央処理装置(central processing unit, CPU)、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(graphics processing unit, GPU)、又は本発明の実施形態に係る方法が行われる専用のプロセッサを意味することができる。メモリ(又は記憶装置)は、揮発性記憶媒体及び不揮発性記憶媒体のうち少なくとも一つから構成されることができる。例えば、メモリは、読み出し専用メモリ(read only memory, ROM)及びランダムアクセスメモリ(random access memory, RAM)のうち少なくとも一つから構成されることができる。
【0145】
本発明の実施形態に係る方法の動作は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体にコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードとして具現化することが可能である。コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、コンピュータシステムによって読み込まれることができるデータが保存されるすべての種類の記録装置を含む。また、コンピュータで読み取り可能な記録媒体は、ネットワークで接続されたコンピュータシステムに分散して、分散方式でコンピュータで読み取り可能なプログラム又はコードが保存されて実行されることができる。
【0146】
本発明の一部の側面は、装置の文脈で説明されたが、それは、対応する方法による説明も示すことができ、ここで、ブロック又は装置は、方法ステップ又は方法ステップの特徴に対応する。同様に、方法の文脈で説明された側面は、対応するブロック又はアイテム又は対応する装置の特徴で示すことができる。方法ステップのいくつか又は全部は、例えばマイクロプロセッサ、プログラム可能なコンピュータ又は電子回路のようなハードウェア装置によって(又は用いて)行われることができる。いくつかの実施形態において、最も重要な方法ステップの一つ以上は、このような装置によって行われることができる。
【0147】
以上、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、当該技術分野の当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正及び変更できることを理解するものである。
【符号の説明】
【0148】
100:電池
200:BMS
300:上位制御装置
310:記憶装置
800:電池制御装置
【国際調査報告】