(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】モータ駆動システム、充電方法、および車両
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241024BHJP
B60L 53/24 20190101ALI20241024BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241024BHJP
H02P 27/06 20060101ALI20241024BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H02M7/48 E
B60L53/24
B60L50/60
H02P27/06
H02J7/00 P
H02J7/00 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523553
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 CN2022127667
(87)【国際公開番号】W WO2023072141
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】202111283782.0
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521531171
【氏名又は名称】ファーウェイ デジタル パワー テクノロジーズ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100229448
【氏名又は名称】中槇 利明
(72)【発明者】
【氏名】リー,イーン
(72)【発明者】
【氏名】シー,チャオジエ
(72)【発明者】
【氏名】フオン,ニーンボー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ジェンシーン
(72)【発明者】
【氏名】ルオ,シエン
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5H505
5H770
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA07
5G503FA06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC22
5H125BA00
5H125BB00
5H125BC21
5H125DD01
5H125DD02
5H125EE07
5H125EE52
5H125FF16
5H505AA16
5H505CC04
5H505DD03
5H505FF05
5H505HA10
5H505HB01
5H505JJ03
5H505JJ17
5H505KK06
5H505LL41
5H770BA02
5H770DA03
5H770DA41
5H770HA07Z
5H770JA17W
(57)【要約】
本出願は、車両充電プロセスにおけるモータ性能を改善するためのモータ駆動システム、車両、充電方法、制御装置、および媒体を提供する。モータ駆動システムは、複数のブリッジアーム、モータ、および制御モジュールを含み得る。モータは複数の巻線を含み、複数の巻線は複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、複数の巻線それぞれの第1端部は共通の終端点に結合され、かつ、巻線の第2端部は対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されている。複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、電源の第2電極は、パワーバッテリに結合されている。制御モジュールは、モータのロータ位置角度を取得し、かつ、ロータ位置角度に対応する制御方式で、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するように構成されており、電源がパワーバッテリを充電することを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブリッジアーム、モータ、および、制御モジュールを備える、モータ駆動システムであって、
前記複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、
前記第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、前記第1スイッチの第2端部は、前記第2スイッチの第1端部に結合され、かつ、前記第2スイッチの第2端部は、前記パワーバッテリの第2電極に結合されており、
前記モータは、複数の巻線を含み、
前記複数の巻線は、前記複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、前記複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点に結合され、かつ、前記巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されており、
前記複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、前記電源の第2電極は、前記パワーバッテリに結合されており、
前記制御モジュールは、前記モータのロータ位置角度を取得し、かつ、前記ロータ位置角度に対応する制御方式で、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するように構成されており、前記電源が前記パワーバッテリを充電することを可能にする、
モータ駆動システム。
【請求項2】
前記制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および、直列制御方式のうち1つを含み、
前記複数のブリッジアーム内の前記スイッチを制御するときに、前記制御モジュールは、具体的に、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列同相制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御し、または、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列インターリーブ制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻、及び/又は、異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御し、または、
前記ロータ位置角度に対応する前記制御方式が前記直列制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記1つのブリッジアーム以外の任意のブリッジアーム内のメインスイッチを、周期的にターンオン状態になるように制御する、
ように構成されており、
前記電源の前記第2電極が前記パワーバッテリの前記第1電極に結合されている場合に、前記メインスイッチは前記第1スイッチであり、もしくは、
前記電源の前記第2電極が前記パワーバッテリの前記第2電極に結合されている場合に、前記メインスイッチは前記第2スイッチである、
請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項3】
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列インターリーブ制御方式である場合に、前記制御モジュールは、さらに、前記2つのブリッジアームのうち少なくとも1つにおけるメインスイッチのターンオン持続時間を調整するように構成されており、前記2つのブリッジアームに別々に結合されている巻線における電流比率を変更する、
請求項2に記載のモータ駆動システム。
【請求項4】
前記ロータ位置角度に対応する前記制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、
位置角度セットと制御方式との間の前記関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、かつ、
各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含む、
請求項1乃至3いずれか一項に記載のモータ駆動システム。
【請求項5】
設定された位置角度と制御方式との間の前記関係は、
前記位置角度セット内の任意の位置角度において、前記異なる制御方式それぞれで、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを前記制御モジュールが制御するときに取得される、前記モータのトルク、または、
前記位置角度セット内の任意の位置角度において、前記異なる制御方式それぞれで、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを前記制御モジュールが制御するときに取得される、前記モータの損失、
のうち少なくとも1つに基づいて決定される、
請求項4に記載のモータ駆動システム。
【請求項6】
前記制御モジュールは、さらに、
前記モータの前記ロータ位置角度を取得する前に、前記モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあると判定する、ように構成されている、
請求項1乃至5いずれか一項に記載のモータ駆動システム。
【請求項7】
モータ駆動システムに適用される充電方法であって、
前記モータ駆動システムは、複数のブリッジアーム、および、モータを備え、
前記複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、
前記第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、前記第1スイッチの第2端部は、前記第2スイッチの第1端部に結合され、かつ、前記第2スイッチの第2端部は、前記パワーバッテリの第2電極に結合されており、
前記モータは、複数の巻線を含み、
前記複数の巻線は、前記複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、前記複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点に結合され、かつ、前記巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されており、
前記複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、前記電源の第2電極は、前記パワーバッテリに結合されており、前記方法は、
前記モータのロータ位置角度を取得するステップと、
前記ロータ位置角度に対応する制御方式で、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップであり、前記電源が前記パワーバッテリを充電することを可能にする、ステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および、直列制御方式のうち1つを含み、
前記複数のブリッジアームのうち前記1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを制御する前記ステップは、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列同相制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、または、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列インターリーブ制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻、及び/又は、異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、または、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記直列制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記1つのブリッジアーム以外の任意のブリッジアーム内のメインスイッチを、周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、
を含み、
前記電源の前記第2電極が前記パワーバッテリの前記第1電極に結合されている場合に、前記メインスイッチは前記第1スイッチであり、もしくは、
前記電源の前記第2電極が前記パワーバッテリの前記第2電極に結合されている場合に、前記メインスイッチは前記第2スイッチである、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モータの前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列インターリーブ制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻、及び/又は、異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御する前記ステップは、さらに、
前記2つのブリッジアームのうち少なくとも1つにおけるメインスイッチのターンオン持続時間を調整するステップであり、前記2つのブリッジアームに別々に結合されている巻線における電流比率を変更する、ステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ロータ位置角度に対応する前記制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、
位置角度セットと制御方式との間の前記関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、かつ、
各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含む、
請求項7乃至9いずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
位置角度セットと制御方式との間の前記関係は、
前記位置角度セット内の任意の位置角度において、前記異なる制御方式それぞれで、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御されるときに取得される、前記モータのトルク、または、
前記位置角度セット内の任意の位置角度において、前記異なる制御方式それぞれで、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御されるときに取得される、前記モータの損失、
のうち少なくとも1つに基づいて決定される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モータのロータ位置角度を取得する前記ステップの前に、前記方法は、さらに、
前記モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあると判定するステップ、を含む、
請求項7乃至11いずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
メモリおよびプロセッサを備える、制御装置であって、
前記メモリは、コンピュータ命令を保管しており、かつ、
前記プロセッサは、前記コンピュータ命令を読み出して、請求項7乃至12いずれか一項に記載の方法を実施する、
制御装置。
【請求項14】
コンピュータ命令を保管している、コンピュータ可読記憶製品であって、
前記コンピュータ命令が、制御装置によって実行されると、前記制御装置は、請求項7乃至12いずれか一項に記載の方法を実施することが可能になる、
コンピュータ可読記憶製品。
【請求項15】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の前記モータ駆動システムを備える、
電気自動車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、充電技術の分野に関する。そして、特には、モータ駆動システム、車両、充電方法、制御装置、および媒体に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月1日に中国国家知識産権局に出願された「MOTOR DRIVE SYSTEM, VEHICLE, CHARGING METHOD, CONTROL APPARATUS, AND MEDIUM」というタイトルの中国特許出願第202111283782.0号について優先権を主張するものであり、その全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
一般的に、充電パイル(charging pile)について2つの出力仕様が存在している。すなわち、200Vから500Vまで、および、200Vから750Vまで、である。電気自動車のパワーバッテリ(power battery)の電圧が充電パイルの出力電圧よりも大きい場合に、パワーバッテリは、急速充電(fast charged)されることができない。例えば、パワーバッテリの電圧が500Vから750Vまでの場合に、パワーバッテリは、出力電圧が200Vから500Vまでの充電パイルを介して、急速充電することができない。
【0004】
パワーバッテリを高速充電するために、第1ソリューションは、電気自動車にブースト回路(boost circuit)を追加して、充電パイルによって供給される電圧に対してブースト処理を実行すること、および、ブースト処理を通じて得られた電圧をパワーバッテリに供給して、パワーバッテリに対してブースト充電(boost charging)を実施することである。このことは、電気自動車のコスト、重量、およびサイズを増大させる。
【0005】
第2ソリューションは、モータを再利用することである。充電パイルによって提供される電圧に対して、モータ内のコイルを再利用することにより、ブースト処理が実行される。モータは、電気自動車において重要な装置であり、そして、モータの性能は、車両の走行状態に影響を及ぼす。現在、車両の駐車および充電プロセスにおいて、モータ性能を改善するためのソリューションが、緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、モータ駆動システム、車両、充電方法、制御装置、および媒体を提供し、車両充電プロセスにおけるモータ性能を改善する。例えば、充電の最中にモータによって生成される、ホイール端のトルクを低減し、または、熱を低減する。
【0007】
第1態様に従って、本出願は、モータ駆動システムを提供する。モータ駆動システムは、複数のブリッジアーム、モータ、および、制御モジュールを含み得る。複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、第1スイッチの第2端部は、第2スイッチの第1端部に結合され、かつ、第2スイッチの第2端部は、パワーバッテリの第2電極に結合されている。モータは、複数の巻線を含み、複数の巻線は、複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点(endpoint)に結合され、かつ、巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されている。複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、電源の第2電極は、パワーバッテリに結合されている。制御モジュールは、モータのロータ位置角度を取得し、かつ、ロータ位置角度に対応する制御方式で、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するように構成されており、電源がパワーバッテリを充電することを可能にする。
【0008】
本出願のこの実施形態において、制御モジュールは、モータに結合されたブリッジアームを制御し、モータ内の巻線を再使用することによって、パワーバッテリを充電することができる。加えて、制御モジュールは、モータのロータ位置角度に対応する制御方式でモータを制御する。このようにして、パワーバッテリを充電するプロセスにおけるモータ性能を改善することができる。例えば、モータ損失(例えば、電磁鋼板損失)が低減され、モータの熱リスクを低減し、または、モータの出力トルク(または、トルク)を低減する。モータ制御の最中に、3相座標系における1つの相の0度が一般的に基準(reference)として使用され、そして、ロータ位置角度およびステータベクトルの両方が、基準に基づいて測定される。例えば、
図1において、モータ10の巻線S1はU相巻線と表記され、巻線S2はW相巻線と表記され、そして、巻線S3は、V相巻線と表記され得る。説明を容易にするために、本願では、モータの複数の相におけるU相の0度が、ロータ位置角度およびステータ磁場ベクトル(ステータベクトルとも呼ばれる)の基準として使用され得る。
【0009】
可能な設計において、ロータ位置角度に対応する制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、位置角度セットと制御方式との間の関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、そして、各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含んでいる。
【0010】
本出願のこの実施形態において、制御モジュールは、プリセットされた位置角度セットおよび制御方式に基づいて、取得されたロータ位置角度に対応する制御方式を決定し得る。制御モジュールは、位置角度セットおよび制御方式を予め取得し、または、保管してよい。異なる位置角度セットに対応する制御方式は、同じであってよく、または、異なってもよい。各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含み得る。制御モジュールは、モータの取得されたロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式で、モータ内のブリッジアームを制御し得る。モータの異なるロータ位置角度は、異なる制御方式に対応することができ、そして、制御モジュールは、複数の制御方式で、モータに接続されたブリッジアームを制御することができることが分かる。モータの性能は、モータの制御方法によって変化する。制御モジュールは、モータ性能を改善するために、異なる制御方式でブリッジアームを制御することができる。例えば、モータの電磁鋼損失が低減され、そして、モータのトルクが低減される。
【0011】
可能な設計において、制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および直列制御方式のうち1つを含んでいる。複数のブリッジアーム内のスイッチを制御するときに、制御モジュールは、具体的に、ロータ位置角度に対応している制御方式が並列同相制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアーム内のメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻に周期的にターンオン状態になるように制御し、または、ロータ位置角度に対応している制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアーム内のメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻、及び/又は、異なるターンオン終了時刻に周期的にターンオン状態になるように制御し、または、ロータ位置角度に対応する制御方式が直列制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の任意のブリッジアーム内のメインスイッチを、周期的にターンオン状態になるように制御するように構成されている。電源の第2電極がパワーバッテリの第1電極に結合されている場合に、メインスイッチは第1スイッチであり、もしくは、電源の第2電極がパワーバッテリの第2電極に結合されている場合に、メインスイッチは第2スイッチである。
【0012】
本出願のこの実施形態において、パワーバッテリは充電され、そして、制御モジュールは、モータのロータ位置角度に対応している制御方式でモータを制御することができる。モータの異なるロータ位置角度は、異なる制御方式に対応してよく、そして、制御モジュールは、複数の制御方式で、モータに接続されたブリッジアームを制御してもよい。モータの性能は、モータの制御方法によって変化する。制御モジュールは、モータ性能を改善するために、異なる制御方式でブリッジアームを制御することができる。例えば、モータの電磁鋼損失が低減され、そして、モータのトルクが低減される。
【0013】
可能な設計において、ロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、制御モジュールは、さらに、2つのブリッジアームの少なくとも1つにおけるメインスイッチのターンオン持続時間を調整するように構成されており、2つのブリッジアームに別々に結合されている巻線における電流比率を変更する。
【0014】
本出願のこの実施形態において、制御モジュールが並列インターリーブ制御方式を使用するとき、制御モジュールは、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するだけでなく、2つのブリッジアームに接続された巻線の電流比率を変更するために、2つのブリッジアームの少なくとも1つのメインスイッチのターンオン持続時間を変更してもよい。ステータベクトルは、2つのブリッジアームに接続された巻線における電流の割合を調整することによって調整され得るので、パワーバッテリを充電するプロセスにおいて、ステータベクトル角度の変化は、ステータベクトルとロータ位置角度との間の相対角度の変化、並びに、モータの出力トルクおよびロータ位置角度の変化を引き起こし得る。従って、制御方式は、変更されたロータ位置角度に基づいて再決定されてよく、そして、制御モジュールは、モータのロータ位置角度を再取得し、モータの最後に取得されたロータ位置角度が属する位置角度セットに対応する制御方式でブリッジアームを制御してもよく、モータ性能の制御可能範囲を増加させる。
【0015】
可能な設計において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、以下の少なくとも1つに基づいて決定される。すなわち、制御モジュールが、位置角度セット内の任意の位置角度において、異なる制御方式それぞれで、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得される、モータのトルク、または、制御モジュールが、位置角度セット内の任意の位置角度において、異なる制御方式それぞれで、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得される、モータの損失である。
【0016】
本出願のこの実施形態において、モータ損失は、一般的に、電磁鋼損失、ヒステリシス損失などを含んでいる。過度に高いモータ損失は、モータの過度に高い熱リスクを引き起こし得る。位置角度セットおよび制御方式は、制御モジュールが各制御方式で、モータのブリッジアームを制御するときに取得されるロータ位置角度とモータの電磁鋼損失との間の関係に基づいて、例えば、各位置角度セット内の任意の位置角度におけるモータの損失に基づいて、決定されてよい。かつ/あるいは、ロータ位置角度とモータのトルクとの間の関係に基づいて、例えば、位置角度のうち任意の1つにおけるモータのトルクに基づいて、決定されてもよい。そうした設計に基づいて、制御モジュールは、取得されたロータ位置角度に対応する制御方式を使用することができ、その結果、モータ損失が低減される、または、モータのトルクが低減される。例えば、ロータ位置角度を取得した後で、制御モジュールは、取得されたロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式で、制御を実行してよく、その結果、モータ性能は、パワーバッテリを充電するプロセスにおいて制御可能である。
【0017】
可能な設計において、制御モジュールは、さらに、モータのロータ位置角度を取得する前に、モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあると判定し得る。本出願のこの実施形態において、パワーバッテリが充電される前に、車両が停止状態または駐車状態にあると判定され得る。車両が停止状態または駐車状態にあるとき、車両内のモータを再利用することによってパワーバッテリが充電され、その結果、モータ性能を改善することができる。
【0018】
可能な設計において、制御モジュールがロータ位置角度に対応する制御方式でブリッジアームを制御した後、すなわち、パワーバッテリの充電を開始するために、制御モジュールがモータを制御した後で、モータは、トルクを生成し、すなわち、モータの出力トルクが変化する。この場合、モータによって生成されるトルクは、モータのロータ位置角度の変化を引き起こし得る。モータのロータ位置角度は、一般的に、モータ駆動システムが属している車両のホイール端部とモータ端部との間の伝達装置、例えば、シャフトまたはギヤ、におけるギヤギヤップで変化する。制御モジュールは、モータのロータ位置角度をリアルタイムで取得し、そして、モータの最後に取得されたロータ位置角度に対応する制御方式で、ブリッジアームを制御することができ、モータ性能を改善する。
【0019】
第2態様に従って、本出願は、充電方法を提供する。本方法は、モータ駆動システムに適用され得る。モータ駆動システムは、複数のブリッジアームおよびモータを備えている。複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、第1スイッチの第2端部は、第2スイッチの第1端部に結合され、かつ、第2スイッチの第2端部は、パワーバッテリの第2電極に結合されている。モータは、複数の巻線を含み、複数の巻線は、複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点に結合され、かつ、巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されている。複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、電源の第2電極は、パワーバッテリに結合されている。本方法は、モータのロータ位置角度を取得するステップと、ロータ位置角度に対応する制御方式で、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップであり、電源がパワーバッテリを充電することを可能にするステップと、を含む。
【0020】
可能な設計において、制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および直列制御方式のうち1つを含んでいる。複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップは、ロータ位置角度に対応している制御方式が並列同相制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、または、ロータ位置角度に対応している制御方式が直列制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻及び/又は異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、を含む。電源の第2電極がパワーバッテリの第1電極に結合されている場合に、メインスイッチは第1スイッチであり、もしくは、電源の第2電極がパワーバッテリの第2電極に結合されている場合に、メインスイッチは第2スイッチである。
【0021】
可能な設計において、モータのロータ位置角度に対応している制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻及び/又は異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップは、さらに、2つのブリッジアームのうち少なくとも1つのメインスイッチのターンオン持続時間を調整するステップであり、2つのブリッジアームに別々に結合されている巻線の電流比率を変更する、ステップを含む。
【0022】
可能な設計において、ロータ位置角度に対応する制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、位置角度セットと制御方式との間の関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、かつ、各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含んでいる。
【0023】
可能な設計において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、以下のうち少なくとも1つに基づいて決定される。すなわち、位置角度セットにおける任意の位置角度において、異なる制御方式それぞれで、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御されるときに取得される、モータのトルク、または、位置角度セットにおける任意の位置角度において、異なる制御方式それぞれで、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御されるときに取得されるモータの損失、である。
【0024】
可能な設計において、モータのロータ位置角度を取得する前に、本方法は、さらに、モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあると判定するステップを含んでいる。
【0025】
可能な設計において、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップの後で、本方法は、さらに、モータのロータ位置角度を再取得するステップと、位置角度セットと制御方式との間の関係および再取得されたロータ位置角度に基づいて、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを、再取得されたロータ位置角度が属する位置角度セットに対応する制御方式で制御するステップと、を含んでいる。
【0026】
第3態様に従って、本出願は、メモリおよびプロセッサを備える制御装置を提供する。メモリは、コンピュータ命令を保管しており、かつ、プロセッサは、コンピュータ命令を読み出して、第2態様の設計のいずれか1つに従って、方法を実施する。
【0027】
第4態様に従って、本出願は、コンピュータ命令を保管している、コンピュータ可読記憶製品を提供する。コンピュータ命令が、制御装置によって実行されると、制御装置は、第2態様の設計のいずれか1つに従った、方法を実施することが可能になる。
【0028】
第5態様に従って、本出願は、第1態様の設計のうちいずれか1つに従った、モータ駆動システムを含む、電気自動車を提供する。
【0029】
第2態様から第5態様のいずれか1つの可能な設計のいずれか1つによって達成され得る技術的効果については、第1態様の可能な設計のいずれか1つによって達成され得る技術的効果を参照のこと。詳細は、本明細書では、再び説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に従った、モータ駆動システムの構成に係る概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に従った、モータ駆動システムの他の構造に係る概略図である。
【
図3】
図3は、並列同相制御方式における2つのブリッジアーム内のメインスイッチの駆動信号に係る概略図である。
【
図4】
図4は、充電プロセスにおける充電ループに係る概略図である。
【
図5】
図5は、充電プロセスにおける別の充電ループに係る概略図である。
【
図6】
図6は、並列インターリーブ制御方式における2つのブリッジアーム内のメインスイッチの駆動信号に係る概略図である。
【
図7】
図7は、直列制御方式における2つのブリッジアーム内のメインスイッチの駆動信号に係る概略図である。
【
図8】
図8は、充電プロセスにおける充電ループに係る概略図である。
【
図9】
図9は、充電プロセスにおける充電ループに係る概略図である。
【
図10】
図10は、異なる制御方式におけるモータのロータ位置角度と電磁鋼損失との間の関係に係る概略図である。
【
図11】
図11は、異なる制御方式におけるモータのロータ位置角度と電磁鋼損失との関係および電磁鋼損失閾値に係る概略図である。
【
図12】
図12は、異なる制御方式におけるモータのロータ位置角度とトルクとの関係に係る概略図である。
【
図13】
図13は、異なる制御方式におけるモータのロータ位置角度とトルクとの関係およびトルク閾値に係る概略図である。
【
図14】
図14は、本出願に従った、充電方法に係る概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の実施形態で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明することを意図したものであるが、本出願を限定するように意図されたものではない。本明細書および本出願に係る添付の請求項において使用される単数形の「1つの(one)」、「1つの(a)」、「その(the)」、「前述の(the previous)」、「この(this)」、および「その1つ(the one)」という用語は、また、文脈において明確に別段の定めがない限り、「1つ以上の(one or more)」といった表現を含むようにも意図されている。
【0032】
本明細書に記載された「一つの実施形態(“one embodiment”)」、「いくつかの実施形態(“some embodiment”)」などへの言及は、本出願の1つ以上の実施形態が、実施形態を参照して記載された特定の特徴、構造、または特性を含むことを意味している。従って、本明細書において、本明細書の異なる箇所に現れる、「一実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「いくつかの他の実施形態において」、および「他の実施形態において」といった記述は、必ずしも同じ実施形態への言及を意味するものではなく、代わりに、特に強調されない限り、「実施形態の全てではなく1つ以上」を意味する。用語「含む(“include”)」、「備える(“comprise”)」、「有する(“have”)」、および、それらの変形は、特に強調されない限り、全てが、「含むが、それに限定されない」ことを意味する。
【0033】
本出願の目的、技術的ソリューション、および利点をより明確にするために、以下は、添付の図面を参照して本出願を詳細にさらに説明している。本出願の実施形態において提供されるコネクタの理解を容易にするために、以下では、先ず、コネクタのアプリケーションシナリオを説明する。
【0034】
一般的に、充電パイルについて2つの出力仕様が存在している。すなわち、200Vから500Vまで、および、200Vから750Vまで、である。電気自動車のパワーバッテリの電圧が充電パイルの出力電圧よりも大きい場合に、パワーバッテリは、急速充電されることができない。例えば、パワーバッテリの電圧が500Vから750Vまでの場合に、パワーバッテリは、出力電圧が200Vから500Vまでの充電パイルを介して、急速充電することができない。
【0035】
パワーバッテリを高速充電するために、第1ソリューションは、電気自動車にブースト回路を追加して、充電パイルによって供給される電圧に対してブースト処理を実行すること、および、ブースト処理を通じて得られた電圧をパワーバッテリに供給して、パワーバッテリに対してブースト充電を実施することである。このことは、電気自動車のコスト、重量、およびサイズを増大させる。
【0036】
第2ソリューションは、モータを再利用することである。モータ内のコイルを再利用することによって、充電パイルによって提供される電圧に対してブースト処理が実施される。モータは、電気自動車の主な駆動部品であるため、モータの性能は、車両の走行または安全性に重要な影響を及ぼす。モータ性能は、一般的に、モータ出力トルク、モータ損失(モータの電磁鋼損失またはヒステリシス損失)などを含むことができる。モータの電磁鋼損失等は、モータの熱的リスクを引き起こす可能性がある。
【0037】
第2ソリューションは、モータを再利用することである。充電パイルによって提供される電圧に対して、モータ内のコイルを再利用することにより、ブースト処理が実行される。モータは、電気自動車において重要な装置であり、そして、モータの性能は、車両の走行状態に影響を及ぼす。モータ性能は、一般的に、モータ出力トルク、モータ損失(モータの電磁鋼損失またはヒステリシス損失)などを含み得る。モータの電磁鋼損失などは、モータの熱的リスクを引き起こす可能性がある。本出願では、説明のための一つの例として、モータの電磁鋼損失が使用されている。例えば、車両が、駐車されて、充電され、かつ、モータが、ブースト処理を実行するために再利用されるプロセスにおいて、モータの出力トルクが制御されない場合には、車両が移動することがあり、そして、高い安全性リスクが存在している。別の例について、車両が、駐車されて、充電され、かつ、モータが、ブースト処理を実行するために再利用されるプロセスにおいて、モータ損失が制御されない場合には、モータ温度が高くなり過ぎることがあり、モータ素子について損傷が生じ、または、モータのオーバーヒトや減磁、または、巻線の絶縁不良といったリスクを容易に生じさせる。
【0038】
これに鑑みて、本願は、モータ駆動システムを提供する。モータ駆動システムは、電気自動車に使用されてよく、その結果、電気自動車が、駐車または停止されて、充電されるプロセスにおいて、モータ性能を特定の範囲に維持することができ、モータ性能を改善し、かつ、モータ充電トルクおよびモータ熱リスクを低減する。
【0039】
本出願の実施形態において、電気自動車は、純粋な電力駆動車両であってよく、または、ハイブリッド電力駆動車両であってもよい。
図1に示されるように、モータ駆動システムは、複数のブリッジアームおよびモータ10を含み得る。
【0040】
説明を容易にするために、
図1は、3個のブリッジアームを示している。すなわち、ブリッジアーム11A、ブリッジアーム11B、およびブリッジアーム11Cである。モータ駆動システムにおけるブリッジアームの数は、代替的に、3個より多くてもよく、例えば、4、5、または6個であってもよい。複数のブリッジアームそれぞれは、直列に接続された第1スイッチおよび第2スイッチを含み得る。第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリ11の第1電極(例えば、パワーバッテリ11のアノード)に結合され、第1スイッチの第2端部は、第2スイッチの第1端部に結合され、そして、第2スイッチの第2端部は、パワーバッテリ11の第2電極(例えば、パワーバッテリ11のカソード)に結合されている。
【0041】
例えば、ブリッジアーム11Aは、直列に接続されたスイッチT1およびスイッチT2を含み得る。スイッチT1の第1端部は、パワーバッテリ11の第1電極に結合され、スイッチT1の第2端部は、スイッチT2の第1端部に結合され、そして、スイッチT2の第2端部は、パワーバッテリ11の第2電極に結合されている。ブリッジアーム11Bは、直列に接続されたスイッチT3およびスイッチT4を含み得る。スイッチT3の第1端部は、パワーバッテリ11の第1電極に結合され、スイッチT3の第2端部は、スイッチT4の第1端部に結合され、そして、スイッチT4の第2端部は、パワーバッテリ11の第2電極に結合されている。ブリッジアーム11Cは、直列に接続されたスイッチT5およびスイッチT6を含み得る。スイッチT5の第1端部は、パワーバッテリ11の第1電極に結合され、スイッチT5の第2端部は、スイッチT6の第1端部に結合され、そして、スイッチT6の第2端部は、パワーバッテリ11の第2電極に結合されている。各ブリッジアームにおいて、パワーバッテリ11の第1電極に結合されたスイッチは、ブリッジアーム内の第1スイッチとして示され得る。例えば、ブリッジアーム11Aの第1スイッチはスイッチT1であり、ブリッジアーム11Bの第1スイッチはスイッチT3であり、そして、ブリッジアーム11Cの第1スイッチはスイッチT5である。各ブリッジアームにおいて、パワーバッテリ11の第2電極に結合されたスイッチは、ブリッジアーム内の第2スイッチとして示され得る。例えば、ブリッジアーム11Aの第2スイッチはスイッチT2であり、ブリッジアーム11Bの第2スイッチはスイッチT4であり、そして、ブリッジアーム11Cの第2スイッチはスイッチT6である。
【0042】
本出願のこの実施形態において、各ブリッジアーム内のスイッチは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor、IGBT)およびダイオードを含んでいる。各スイッチにおいて、ダイオードは、IGBTに対して並列に接続されている。ダイオードのアノードは、IGBTの第2端部に接続され、そして、ダイオードのカソードは、IGBTの第1端部に接続されている。代替的に、各ブリッジアーム内のスイッチは、ボディダイオード(body diode)を含み得る、スイッチングトランジスタであり、例えば、炭化ケイ素(SIC)トランジスタである。
【0043】
モータ10は、複数の巻線を含んでよく、そして、複数の巻線は、複数のブリッジアームと一対一の対応関係であり得る。本願のこの実施形態において、モータは、代替的に、3相モータ、3相よりも多い多相モータであってよいことが分かる。任意的に、モータ駆動システムは、複数のモータを含み得る。パワーバッテリを充電するプロセスにおいて、複数のモータのうち1つは、モータ10として実装され得る。
【0044】
図1に示されるように、モータ10は、第1巻線S1(U相巻線としても、また、示される)、第2巻線S2(W相巻線としても、また、示される)、および、第3巻線S3(V相巻線としても、また、示される)を備え得る。モータの各巻線の第1端部は、共通の端部Pに結合され、そして、各巻線の第2端部は、対応するブリッジアームの第1スイッチの第2端部に結合されている。例えば、第1巻線S1は、ブリッジアーム11Aに対応してよく、かつ、ブリッジアーム11A内のスイッチT1の第2端部に結合されている。別の言葉で言えば、第1巻線S1の第2端部は、ブリッジアーム11Aの中間点に結合される。同様に、第2巻線S2は、ブリッジアーム11Bに対応してよく、かつ、ブリッジアーム11B内のスイッチT3の第2端部に結合されている(別の言葉で言えば、ブリッジアーム11Bの中間点に結合される)。第3巻線S3は、ブリッジアーム11Cに対応してよく、かつ、ブリッジアーム11C内のスイッチT5の第2端部に結合されている(別の言葉で言えば、ブリッジアーム11Cの中間点に結合される)。
【0045】
モータ駆動システムは、電源に結合されてよく、電源の第1電極は、第1ブリッジアームの中間点に結合され、そして、第1ブリッジアームは、中間点において複数のブリッジアームのうちいずれか1つに結合されてよい。このアプリケーションでは、パワーバッテリを充電するようにモータを制御するときに、制御モジュール12は、モータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御することができ、その結果、モータを再利用することによってパワーバッテリが充電される。説明を容易にするために、以下では、説明のために、第1ブリッジアームとしてブリッジアーム11Bを使用する。
図1に示されるように、電源の第1電極は、ブリッジアーム11B内のスイッチT3の第2端部に結合され得る。代替的に、電源の第1電極は、ブリッジアーム11A内のスイッチT1の第2端部に結合されている。代替的に、電源の第1電極は、ブリッジアーム11C内のスイッチT5の第2端部に結合されている。本出願のこの実施形態において、電源は、充電パイルまたは別の外部電源であってよい。電源によって供給される電圧は、パワーバッテリによって必要とされる充電電圧よりも低い。
【0046】
電源の第2電極は、パワーバッテリに結合され得る。一つの例では、
図1に示されるように、電源の第2電極は、パワーバッテリの第1電極(例えば、パワーバッテリ11のアノード)に結合され得る。この場合、各ブリッジアーム内の第1スイッチは、ブリッジアーム内のメインスイッチと称されてよい。別の例では、
図2に示されるように、電源の第2電極は、パワーバッテリの第2電極(例えば、パワーバッテリ11のカソード)に結合され得る。この場合、各ブリッジアーム内の第2スイッチは、ブリッジアーム内のメインスイッチと称されてよい。
【0047】
依然として、
図1を参照する。一般的に、モータ駆動システムは、スイッチK1およびスイッチK2を含み得る。各ブリッジアーム内の第1スイッチは、スイッチK1を使用することによって、パワーバッテリの第1電極に結合され得る。各ブリッジアーム内の第2スイッチは、スイッチK2を使用することによって、パワーバッテリの第2電極に結合され得る。モータ駆動システムがパワーバッテリを充電するときには、スイッチK1およびスイッチK2の両方がターンオン状態(turn-on state)になり、充電ループを形成することができる。
【0048】
モータ駆動システムは、さらに、スイッチK3およびスイッチK4を含み得る。各ブリッジアーム内の第1スイッチは、スイッチK3を使用することによって、電源に結合されている。各ブリッジアーム内の第2スイッチは、スイッチK4を使用することによって、パワーバッテリの第2電極に結合されてよい。モータ駆動システムがパワーバッテリを充電するときには、スイッチK3およびスイッチK4の両方がターンオン状態になってよく、その結果、電源によって供給される電気エネルギがモータ駆動システムに伝送される。
【0049】
モータ駆動システムは、コンデンサC1を含み得る。コンデンサC1の一端はスイッチK3に接続され、そして、他端はスイッチK4に接続されており、電源によって出力される電気エネルギをフィルタリングする。モータ駆動システムは、さらに、コンデンサC2を含み得る。コンデンサC2の一端はスイッチK1に接続され、そして、他端はスイッチK4に接続されており、モータ駆動システムによって出力される電気エネルギをフィルタリングする。
【0050】
モータ駆動システムは、制御モジュール12を含み得る。制御モジュール12は、制御装置を含んでよい。代替的に、制御モジュール12は、1つ以上のコントローラを含んでいる。制御モジュール12は、各ブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができる。電源によって供給される電圧がパワーバッテリの充電電圧よりも低いときに、制御モジュール12は、モータの巻線およびブリッジアームがブースト回路を形成するように、1つまたは2つのブリッジアームのメインスイッチを制御することができる。例えば、
図1に示されるように、電源は、複数のブリッジアームのうちブリッジアーム11Bにおける第1スイッチの第2端部に結合されており、そして、制御モジュール12は、複数のブリッジアームのうちブリッジアーム11B以外のブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11Aおよびブリッジアーム11C内のメインスイッチを制御することができ、または、ブリッジアーム11A内のメインスイッチを制御することができ、もしくは、ブリッジアーム11Cを制御することができる。
【0051】
別の例について、電源は、複数のブリッジアームのうちブリッジアーム11Aの第1スイッチの第2端部に結合されており、そして、制御モジュール12は、複数のブリッジアームのうちブリッジアーム11A以外のブリッジアームのメインスイッチを制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11Bおよびブリッジアーム11C内のメインスイッチを制御することができ、または、ブリッジアーム11B内のメインスイッチを制御することができ、もしくは、ブリッジアーム11Cを制御することができる。
【0052】
制御モジュール12は、モータ内の巻線およびブリッジアームがブースト回路を形成するように、複数のブリッジアームのうち、ブリッジアーム中間点において電源の第1電極に結合されたブリッジアーム(すなわち、第1ブリッジアーム)以外の、1つ以上のブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができることが分かる。形成されたブースト回路は、電源によって供給される電圧をブーストし、そして、パワーバッテリを充電するために、ブーストされた電気エネルギをパワーバッテリに伝送することができる。
【0053】
制御モジュール12は、各ブリッジアーム内の各スイッチを制御し、そして、各スイッチを駆動するために、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)を通じて駆動信号を生成することができる。任意のスイッチに対して、第1レベルの駆動信号が、ターンオン状態になるように、スイッチを駆動するために使用されてよく、そして、第2レベルの駆動信号が、ターンオフ状態になるように、スイッチを駆動するために使用されてよい。任意的に、第1レベルは高レベルであってよく、かつ、第2レベルは低レベルであってよい。
【0054】
制御モジュール12は、モータのロータ位置角度を取得することができる。モータ駆動システムが電気自動車について使用されるときに、制御モジュール12は、電気自動車が駐車された後のモータのロータ位置角度を取得することができる。
【0055】
一般的に、車両が停止状態または駐車状態にあるときに、車両の車両制御ユニット(vehicle control unit、VCU)は、トルク停止命令またはゼロトルク命令を配信することができる。制御モジュール12は、VCUによって配信された停止命令に従って、車両が停止状態にあると決定し得る。車両が停止状態にあるときに、VCUは、さらに、駐車命令、例えば、Pギヤロック命令、または、電気駐車ブレーキ(electric park brake、EPB)ロック命令を配信することができる。車両が走行状態にあるときに、VCUは、一般的に、制御モジュール12がモータを制御するように、制御モジュール12に対してトルク命令を送信する。
【0056】
制御モジュール12は、モータのロータ位置角度を取得し、そして、位置角度に対応する制御方式で、モータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができ、電源がパワーバッテリを充電することを可能にする。
【0057】
場合によっては、車両が駐車していると判定した後で、制御モジュール12は、モータのロータ位置角度を取得し、そして、モータのロータ位置角度に対応する制御方式でモータを制御することができる。代替的に、制御モジュール12は、電源がパワーバッテリを充電するプロセスにおいて、複数回にわたりモータのロータ位置角度を取得し、そして、モータの取得されたロータ位置角度に対応する制御方式でモータを制御することができ、制御方式間の切り替えを実行する。
【0058】
ロータ位置角度に対応する制御方式は、位置角度セットと制御方式との間の事前に設定(preset)された関係に基づいて、決定されてよい。例えば、制御モジュール12は、位置角度セットと制御方式との間の関係を事前に取得(pre-obtain)し、または、保管することができる。制御モジュール12は、位置角度セットと制御方式との間の関係(位置角度と制御方式との間の関係としても、また、称され得る)に基づいて、取得されたロータ位置角度が属する位置角度セットに対応する制御方式を、取得されたロータ位置角度に対応する制御方式として決定し得る。一般的に、各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含んでいる。
【0059】
以下では、先ず、制御モジュール12によって使用され得る制御方式を説明する。本出願の実施形態における制御プロセスの理解を容易にするために、以下では、制御モジュール12が各ブリッジアーム内のメインスイッチを制御するプロセスを説明するために、電源の第2電極がパワーバッテリの第1電極(例えば、パワーバッテリ11のアノード)に結合され得る、すなわち、各ブリッジアーム内のメインスイッチが第1スイッチである、一つの例を使用する。
【0060】
制御モジュール12は、第1ブリッジアームを除く複数のブリッジアーム内のメインスイッチを、複数の制御方式で制御することができる。例えば、制御モジュール12は、第1ブリッジアームを除く複数のブリッジアーム内のメインスイッチを、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、または、直列制御方式で制御することができる。
【0061】
一つの例において、制御モジュール12は、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の任意の2つのブリッジアーム内のメインスイッチを、並列同相制御方式で制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11AのスイッチT1、および、ブリッジアーム11CのスイッチT5を制御することができる。
【0062】
制御モジュール12は、スイッチT1およびスイッチT5を、並列同相制御方式で、周期的にターンオン状態になるように制御することができる。加えて、制御モジュール12は、スイッチT1およびスイッチT5を、同じ開始時刻(start moment)にターンオン状態になるように、そして、スイッチT1およびスイッチT5を、同じ終了時刻(end moment)にターンオン状態になるように制御することができる。
図3に示されるように、制御モジュール12は、スイッチT1の駆動信号Sg1およびスイッチT5の駆動信号Sg5を、別々に生成してよい。駆動信号Sg1のハイレベルの開始時刻、および、駆動信号Sg5のハイレベルの開始時刻は、同じである。駆動信号Sg1のハイレベルの終了時刻、および、駆動信号Sg5のハイレベルの終了時刻は、同じである。制御モジュール12は、スイッチT2およびスイッチT6をターンオフ状態に制御することができ、例えば、スイッチT2およびスイッチT6の駆動信号を生成しないか、または、スイッチT2およびスイッチT5のローレベルの駆動信号を生成することができる。
【0063】
図4を参照する。スイッチT1およびスイッチT5がターンオン状態にあるときに、電源が電気エネルギを供給するループ内の電流の方向が、
図4の破線によって示されている。ブリッジアーム11Aに対応する第1巻線S1およびブリッジアーム11Cに対応する第3巻線S3の両方は、エネルギ蓄積状態(energy storage state)にある。電源とブリッジアーム11Bとの間の電流は、I
W=I
u+I
vである。I
Wは、W相巻線(すなわち、巻線S3)の電流であり、I
uは、U相巻線(すなわち、巻線S1)の電流であり、そして、I
vは、V相巻線(すなわち、巻線S2)における電流である。スイッチT1およびスイッチT5は、同じターンオン持続時間を有しており、すなわち、スイッチT1の駆動信号Sg1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sg5のデューティサイクルと同じである。従って、I
vに対するI
uの比は、1:1であり、すなわち、I
uは、I
vに等しい。
【0064】
図5を参照する。スイッチT1およびスイッチT5がターンオフ状態にあるときに、パワーバッテリの充電ループ内の電流の方向が、
図5の破線によって示されている。第1巻線S1、第2巻線S2、および電源は、一緒にパワーバッテリを充電する。第1巻線S1に蓄積された電気エネルギは、ブリッジアーム11A内のスイッチT2のダイオードを使用することによって、リリースされ得る。第3巻線S3に蓄積された(stored)電気エネルギは、ブリッジアーム11C内のスイッチT6のダイオードを使用することによって、リリースされ得る。代替的に、制御モジュール12は、スイッチT2およびスイッチT6をターンオン状態になるように制御することができ、その結果、第1巻線S1に蓄積された電気エネルギが、スイッチT2を使用することによってリリースされ、そして、第3巻線S3に蓄積された電気エネルギが、スイッチT6を使用することによってリリースされる。
図3は、スイッチT2の駆動信号Sg2、および、スイッチT6の駆動信号Sg6を示している。スイッチT2およびスイッチT6は、同じ開始時刻および同じ終了時刻においてターンオン状態にある。各ブリッジアームにおいて、第1スイッチの駆動信号と第2スイッチの駆動信号との間には、相補的な関係が存在し得る。
【0065】
別の例において、制御モジュール12は、並列インターリーブ制御方式で、複数のブリッジアームのうち任意の2つのブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11AのスイッチT1、および、ブリッジアーム11CのスイッチT5を制御することができる。
【0066】
制御モジュール12は、並列インターリーブ制御方式で、スイッチT1およびスイッチT5を、異なるターンオン開始時刻または異なるターンオン終了時刻、もしくは、異なるターンオン開始時刻および異なるターンオン終了時刻において、周期的にターンオン状態になるように制御することができる。
【0067】
図6に示されるように、制御モジュール12は、スイッチT1の駆動信号Sh1およびスイッチT5の駆動信号Sh5を、別々に生成し得る。
図6における(a)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻とは異なり、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻と同じであってよい。
【0068】
代替的に、
図6における(b)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻と同じであってよく、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻と異なっている。
【0069】
代替的に、
図6における(c)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻と異なり、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、また、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻とも異なっている。駆動信号Sh1のハイレベルに対応する期間は、駆動信号Sh5のハイレベルに対応する期間とオーバーラップしない。
【0070】
代替的に、
図6における(d)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻と異なり、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、また、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻と異もなっている。駆動信号Sh1のハイレベルに対応する期間は、駆動信号Sh5のハイレベルに対応する期間と一部がオーバーラップしている。
【0071】
代替的に、
図6における(e)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻と異なり、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、また、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻とも異なっている。スイッチT1およびスイッチT5において、一方のスイッチの駆動信号のハイレベルに対応する期間は、他方のスイッチの駆動信号のハイレベルに対応する期間内に収まり得る。例えば、駆動信号Sh1のハイレベルに対応する期間は、駆動信号Sh5のハイレベルに対応する期間内にある。具体的には、スイッチT1がターンオン状態にあるとき、スイッチT5も、また、ターンオン状態にあるが、スイッチT1がターンオン状態からターンオフ状態に変化した後の期間に、スイッチT5は、依然として、ターンオン状態にある。
【0072】
制御モジュール12は、スイッチT1の駆動信号Sh1、とスイッチT5の駆動信号Sh5との間の位相差(差異)、および、デューティサイクルを調整することによって、スイッチT1の駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻および終了時刻、並びに、スイッチT5の駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻および終了時刻を調整することができる。
【0073】
制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式を使用し、かつ、スイッチT1およびスイッチT5の両方がターンオン状態にあるときに、電源が電気エネルギを供給するループ内の電流の方向が、
図4の破線によって示されている。ブリッジアーム11Aに対応する第1巻線S1、および、ブリッジアーム11Cに対応する第3巻線S2の両方は、エネルギ蓄積状態にある。電源とブリッジアーム11Bとの間の電流は、I
W=I
u+I
vである。I
vに対するI
uの比は、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルに対するスイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルとの比である。
【0074】
スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルに対するスイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルの比は、スイッチT5のターンオン持続時間に対するスイッチT1のターンオン持続時間の比に等しい。スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルがスイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じである場合に、スイッチT1のターンオン持続時間は、スイッチT5のターンオン持続時間と同じである。
【0075】
さらに別の例において、制御モジュール12は、複数のブリッジアームのうちいずれか1つのブリッジアーム内のメインスイッチを直列制御方式で制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11A内のスイッチT1を制御することができる。制御モジュール12は、直列制御方式で周期的にターンオン状態になるようにスイッチT1を制御し得る。代替的に、制御モジュール12は、スイッチT1とスイッチT2とが交互にオンになるように制御する。
図7に示されるように、制御モジュール12は、プリセット(preset)されたデューティサイクルに基づいて、スイッチT1の駆動信号Sk1を生成し得る。他のスイッチは全て、ターンオフ状態にある。例えば、スイッチT2の駆動信号Sk2、スイッチT3の駆動信号Sk3、スイッチT4の駆動信号Sk4、スイッチT5の駆動信号Sk5、およびスイッチT6の駆動信号Sk6は、全てローレベルである。別の例では、スイッチT2からT6までには、駆動信号が送られない。
【0076】
図8に示されるように、スイッチT1がターンオン状態にあるときに、電源が電気エネルギを供給するループ内の電流の方向が、
図7の破線によって示されている。この場合に、第1巻線S1は、エネルギ蓄積状態にあり、そして、電源とブリッジアーム11Bとの間の電流はI
W=I
uである。
図9に示されるように、スイッチT1がターンオフのオープン状態にあるときに、パワーバッテリの充電ループ内の電流が、
図10の破線によって示されている。第1巻線S1および電源は、共にパワーバッテリを充電する。
【0077】
上記の説明から、制御モジュール12は、複数の制御方式を使用することができ、モータ内の巻線を再利用することによって、電源によって供給される電圧に対してブースト処理を実行し、そして、パワーバッテリを充電するために、ブーストされた電気エネルギをパワーバッテリに供給することが分かる。
【0078】
一般的に、駐車した後、モータの異なるロータ位置角度において、制御モジュール12は、異なる制御方式でブリッジアームを制御することができ、その結果、異なるモータ性能改善(improvement)効果が達成される。
【0079】
以下では、先ず、位置角度セットと制御方式との間の前述の関係について説明する。制御モジュール12は、位置角度セットと制御方式との間の関係を予め取得し得る。代替的に、制御モジュール12は、設定された位置角度と制御方式との間の関係を保管し得る。位置角度セットと制御方式との間の関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応関係、例えば、複数の位置角度セット(位置角度セットとも称される)と、前述の少なくとも2つの制御方式との間の対応関係を含んでよく、または、複数の位置角度セットと、前述の3つの制御方式との間の対応関係を含んでよい。各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含み得る。
【0080】
本出願の説明において、「第1(“first”)」および「第2(“second”)」といった用語は、単に説明のために区別する目的で使用されているに過ぎず、そして、相対的な重要性を示し、または、暗示するものとして、もしくは、シーケンスを示し、または、暗示するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。いくつかの例において、複数の位置角度セットは、少なくとも第1位置角度セットおよび第2位置角度セットを含み得る。第1位置角度セットに対応する制御方式は、第1制御方式である。第2位置角度セットに対応する制御方式は、第2制御方式であってよい。第1制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、または、直列制御方式であり得る。第2制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、または、直列制御方式であり得る。第1制御方式と第2制御方式とは、異なる制御方式である。制御モジュール12によって取得されたロータ位置角度が異なる位置角度セットに属する場合に、ロータ位置角度は異なる制御方式に対応してよく、そして、制御モジュールは異なる制御方式でブリッジアームを制御し得ることが分かる。
【0081】
いくつかの他の例において、複数の位置角度セットは、さらに、第3位置角度セットを含んでよく、そして、第3位置角度セットに対応する制御方式は、第3制御方式である。第3制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、または、直列制御方式であり得る。制御モジュール12によって取得されたロータ位置角度が異なる位置角度セットに属する場合に、ロータ位置角度は、異なる制御方式または同じ制御方式に対応し得る。例えば、第1位置角度セットは第1制御方式に対応し、第2位置角度セットは第2制御方式に対応し、そして、第3位置角度セットは第1制御方式に対応して得る。ロータ位置角度が属するセットが第1位置角度セットまたは第3位置角度セットである場合に、ロータ位置角度に対応する全ての制御方式は、第1制御方式である。
【0082】
本出願の実施形態においては、2つ、3つ、4つ、または、それ以上の位置角度セットが存在し得る。複数の位置角度セットの数は、実際のアプリケーションシナリオに基づいて構成されてよい。
【0083】
一つの例において、位置角度セットはオーバーラップしなくてよい。別の例において、位置角度セット内のいくつかの要素は、オーバーラップしてよい。例えば、2つの位置角度セットの境界は、小規模でオーバーラップし得る。制御モジュール12は、ヒステリシス制御といった方法で、位置角度セットのオーバーラップ範囲内の位置角度に対応する制御方式を決定し得る。
【0084】
例えば、制御モジュール12によって使用され得るヒステリシス制御方式は、以下のとおりである。以下で説明されるヒステリシス制御方式は、単に説明のための例として使用されるに過ぎず、そして、制御モジュール12によって実行されるアクションに対する特定の限定とは見なされないことが留意されるべきである。このアプリケーションにおいて、制御モジュール12は、代替的に、別のヒステリシス制御方式を使用し得る。
【0085】
位置角度セットAと位置角度セットBとの境界は、小規模にオーバーラップし、そして、オーバーラップしている範囲は、セットcmとして示される。モータのロータ位置角度が、位置角度セットA内に入る(属している)ことから、位置角度セットB内に入ることへ変化するときに、制御モジュール12は、先ず、位置角度セットAに対応する制御方式で、モータ内のブリッジアームを制御し得る。ロータの取得された位置角度がセットcmに属している場合に、制御モジュール12は、位置角度セットBに対応する制御方式で、ブリッジアームを制御する。
【0086】
ロータのモータ位置角度を取得した後で、制御モジュール12は、モータの取得されたロータ位置角度が属している位置角度セット(位置角度セットmとして示される)を決定し得る。次いで、制御モジュール12は、モータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを、位置角度セットmに対応する制御方式で制御することができ、その結果、モータ性能を改善することができる。
【0087】
可能な実装において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、制御モジュール12が、各制御方式でブリッジアーム内のスイッチを制御するときに取得される、モータの損失とロータ位置角度との間の関係に基づいて決定され得る。モータの電磁鋼損失とロータ位置角度との間の関係は、制御モジュール12が、位置角度セット内の任意の位置角度において各制御方式でモータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得されるモータの損失に基づき得る。モータの損失は、モータの熱特性(thermal property)とも称される。以下では、説明のための例として、モータの電磁鋼損失を使用する。
【0088】
図10に示されるように、車両が駐車した後で、制御モジュール12が、モータの異なるロータ位置角度において、前述の3つの異なる制御方式でモータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを別々に制御するときに、モータの熱特性変化(例えば、モータの電磁鋼損失)は変化する。制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じである。この場合、モータのステータベクトル(stator vector)は240度である。制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じである。この場合、モータのステータベクトルは240度である。制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときには、ブリッジアーム11A(U相ブリッジアーム)内のメインスイッチのみが制御される。この場合、モータのステータベクトルは210度である。本明細書では、制御方法を説明するために、U相の0度に基づいて、ステータベクトルおよびロータ位置角度が記述されている。
【0089】
図10から、モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失より明らかに大きいことが分かる。モータのロータ位置角度が30度から60度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は最も大きく、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失はわずかに小さく、そして、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は最も小さい。モータのロータ位置角度が60度から150度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は最小である。モータのロータ位置角度が150度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失に近く、そして、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、より大きい。
【0090】
制御モジュール12が異なる制御方式でブリッジアームを制御するときに、モータの熱特性(電磁鋼損失)の値は、モータのロータ位置角度とともに変化することが分かる。いくつかの位置角度セットにおいて、制御モジュール12は、モータのロータ位置角度が属する位置角度セットに対応する制御方式でブリッジアームを制御してよく、その結果、モータの電磁鋼損失を低減することができる。
【0091】
一つの例において、複数の位置角度セットは、セットm1=[0、30)、セットm2=[30、70)、セットm3=[70、150)、セットm4=[150、210)、セットm5=[210、270)、および、セットm6=[270、360]であってよい。
【0092】
位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットm1に対応する制御方式は、直列制御方式または並列制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。制御モジュール12がモータの第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを直列制御方式で制御する場合に、ブリッジアーム内のスイッチ(半導体デバイス)といったパワーデバイスに高い電流圧力(current pressure)が生じる。電力デバイスの熱応力が高い場合に、セットm1は、一意に並列同相制御方式に対応し得る。モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12は、並列同相制御方式でブリッジアームを制御してよく、その結果、モータの電磁鋼損失を低減することができるだけでなく、ブリッジアーム内の電力デバイスを保護することもできる。
【0093】
位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットm2に対応する制御方式は、並列インターリーブ制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が30度から70度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。セットm3に対応する制御方式は、シリーズ制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が70度から150度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。セットm4に対応する制御方式は、並列同相制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が150度から210度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュールが並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。
【0094】
位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットm5に対応する制御方式は、直列制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が210度から270度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。セットm6に対応する制御方式は、並列同相制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が270度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。
【0095】
別の例において、モータが水冷式モータまたは油冷式モータであるときの放熱性能を考慮して、位置角度セットと制御方式との間の前述の関係は、複数の位置角度セットおよび2つの制御方式を含む。そうした設計では、制御モジュール12の処理プロシージャを簡略化することができ、そして、本出願の実施形態で提供されるモータ駆動システムをより広く適用することができる。
【0096】
任意的に、位置角度セットと制御方式との間の関係は、さらに、モータの電磁鋼損失閾値と、各制御方式で取得されるモータのロータ位置角度とモータの電磁鋼損失との間の関係とに基づいて決定され得る。
図11における太線出力は、磁性鋼損失閾値を表すことができる。
【0097】
各位置角度セットに対応する制御方式において、モータの電磁鋼損失は、電磁鋼損失閾値より小さい。例えば、複数の位置角度セットは、セットm7=[120)およびセットm8=[120、360]であってよい。磁性鋼損失閾値は、350Wであってよい。セットm7に対応する制御方式は、シリーズ制御方式である。セットm8に対応する制御方式は、直列制御方式または並列同相制御方式である。モータのロータ位置角度が120度か360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失に近い。
【0098】
制御モジュール12が直列制御方式で1つのブリッジアームを制御する場合に、ブリッジアーム内のスイッチ(半導体デバイス)といったパワーデバイスに高い電流圧力が生じる。電力デバイスの熱応力が高い場合に、セットm8は、一意に並列同相制御方式に対応し得る。モータのロータ位置角度が120度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12は、並列同相制御方式でブリッジアームを制御してよく、その結果、モータの電磁鋼損失を低減することができるだけでなく、ブリッジアーム内の電力デバイスを保護することもできる。
【0099】
いくつかのシナリオにおいて、モータの位置角度ロータが属するロータ位置角度セットが、直列制御方式または並列同相制御方式に対応する場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータ電磁鋼損失に近い。ブリッジアーム内のパワーデバイスの熱応力が高い場合に、制御モジュール12は、好ましくは、並列同相制御方式でブリッジアームを制御し得る。モータ駆動システムがより小さい出力リップル電流を必要とする場合、制御モジュール12は、好ましくは、直列制御方式でブリッジアームを制御し得る。
【0100】
複数の位置角度セットは、少なくとも第1位置角度セットおよび第2位置角度セットを含み得る。第1位置角度セットに対応する制御方式は、並列同相制御方式である。第2位置角度セットに対応する制御方式は、並列インターリーブ制御方式であってよい。任意的に、複数の位置角度セットは、さらに、第3位置角度セットを含んでよく、そして、第3位置角度セットに対応する制御方式は、直列制御方式である。
【0101】
可能な場合において、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じであってよい。この場合、IvはIuに等しく、Ivは0.5IWに等しく、Iuは0.5IWに等しく、そして、モータのステータベクトルは240度である。制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルが調整されてよく、かつ/あるいは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルが調整されてよく、その結果、IWに対するIvの比、および、IWに対するIuの比が、変更され得る。この場合に、モータのステータベクトルが変化し、240°に基づくステータベクトルの調整可能範囲は、±30度、または、ステータベクトルは、210度から270度までの範囲内の値であってよい。並列インターリーブ制御方式において、Iuは0から100%IWまでの範囲内にあり、そして、Ivは100%IWから100%IW-Iuまでの範囲内にある。並列インターリーブ制御方式では、W相電流に対するU相電流の比は、W相電流に対するV相電流の比とは異なり、そして、モータのステータベクトルが変化することが分かる。
【0102】
制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、IWに対するIvの比、および、IWに対するIuの比が変更され、そして、モータのステータベクトルが変更される。モータのトルクは、モータのステータベクトルとモータのロータ位置角度との間の相対角度とともに変化する。制御モジュール12は、モータのロータ位置角度を再取得してよく、例えば、モータのロータ位置角度を再決定し得る。次いで、モータの更新されたロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式で、モータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御される。例えば、モータの更新されたロータ位置角度が属している位置角度セットが第3位置角度セットである場合に、制御モジュール12は、第3位置角度セットに対応する制御方式、例えば、直列制御方式でブリッジアームを制御し得る。任意的に、モータの更新されたロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式が、制御モジュール12によって最後に取得されたモータのロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式と同じである場合に、制御モジュール12は、現在の制御方式を変更しなくてよく、または、現在の制御方式を維持してよい。
【0103】
別の例において、複数の位置角度セットは、セットm9=[360]、セットm10={60}、および、セットm11=(60、60]であり得る。位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットm9に対応する制御方式は、並列同相制御方式である。セットm10に対応する制御方式は、並列インターリーブ制御方式である。セットm11に対応する制御方式は、並列同相制御方式である。任意的に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルが調整されてよく、かつ/あるいは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルが調整されてよく、その結果、IWに対するIvの比、および、IWに対するIuの比が変更される。例えば、Ivは0.8IWであり、Iuは0.2IWである。代替的に、Iu=0.8IW、Iv=0.2IWである。そうした設計においては、電磁鋼損失を変化させるために、ステータとロータとの間の角度を調整することができ、その結果、電磁鋼損失が低減される。
【0104】
前述の例において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、制御モジュールが、位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得されるモータの電磁鋼損失に基づいて決定されることが分かる。そうした設計においては、制御モジュール12が、モータの取得されたロータ位置角度(例えば、モータのロータ位置角度)に対応する制御方式でブリッジアームを制御するときに、モータの電磁鋼損失を最小化(または低減)することができ、それにより、モータを再利用することによってパワーバッテリを充電するプロセスにおけるモータ性能を改善している。
【0105】
別の可能な実装において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、制御モジュール12が各位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときのモータのトルクであり得る。別の言葉で言えば、本関係は、制御モジュール12が各制御方式でブリッジアーム内のスイッチを制御するときに取得されるモータのトルクと、ロータ位置角度との間の関係に基づいて決定される。
【0106】
図12は、制御モジュール12が前述の3つの異なる制御方式でブリッジアームを別々に制御するときに得られる、モータのロータ位置角度とモータのトルク(a torque of motor)との間の関係の曲線である。制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sg1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sg5のデューティサイクルと同じである。この場合、モータのステータベクトルは240度である。制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じである。この場合、モータのステータベクトルは240度である。制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときには、ブリッジアーム11A(U相ブリッジアーム)内のメインスイッチのみが制御される。この場合、モータのステータベクトルは210度である。
【0107】
図12から、モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい、ことが分かる。モータのロータ位置角度が30度から110度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するか、または、並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。モータのロータ位置角度が110度から210度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。モータのロータ位置角度が210度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式または直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。
【0108】
一つの例において、複数の位置角度セットは、セットma=[0、30)、セットmb=[30、110)、セットmc=[110、210)、および、セットmd=[210、360]であり得る。
【0109】
位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットmaに対応している制御方式は、直列制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは最小である。
【0110】
セットmbに対応している制御方式は、並列インターリーブ制御方式または並列同相制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が30度から110度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは、小さいことがある。任意的に、この場合、制御モジュール12は、モータの電磁鋼損失を最小化することができる制御方式を使用し得る。セットmbは、一意に制御方式に対応してよく、そして、制御モジュール12は、制御方式でブリッジアームを制御し、その結果、モータのトルクが低減され、かつ、モータの電磁鋼損失が低減される。
【0111】
セットmcに対応している制御方式は、シリーズ制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が110度から210度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは最小である。
【0112】
セットmdに対応している制御方式は、並列同相制御方式または並列インターリーブ制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が210度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュールが並列同相制御方式または並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。任意的に、この場合、制御モジュール12は、モータの電磁鋼損失を最小化することができる制御方式を使用し得る。セットmdは、一意に制御方式に対応してよく、そして、制御モジュール12は、制御方式でブリッジアームを制御し、その結果、モータのトルクが低減され、かつ、モータの電磁鋼損失が低減される。
【0113】
別の例では、位置角度セットと制御方式との間の関係は、さらに、トルク閾値を参照して決定され得る。本トルク閾値は、電気自動車の制御ギヤがPギヤである場合に要求される安全トルク、及び/又は、EPBによって支援され得る安全トルクに基づいて、決定され得る。トルク閾値は、限界として示されている。
【0114】
3つの制御方式におけるモータのロータ位置角度とモータのトルク(a torque of motor)との関係の曲線において、モータのトルクの最大値はmaxと表されている。リミット(limit)がmax以上である場合に、位置角度セットと制御方式との関係は、制御モジュール12が各制御方式でブリッジアームを制御するときに取得される、モータのトルクとモータのロータ位置角度との関係のみに基づいて決定される。
【0115】
図13において、太線はmax、+limit、および、-limitを示している。limitがmaxより小さい場合に、limitは40であり、maxは80であると仮定される。ロータ位置角度が0度からL1度までのロータ位置角度範囲、L2度からL3度までのロータ位置角度範囲、または、L4度から360度までのロータ位置角度範囲に入る場合、制御モジュール12が各制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクがトルク閾値を超えることが分かる。この場合、制御モジュール12は、任意の制御方式でブリッジアームを制御してよい。
【0116】
ロータ位置角度がL1度から30度までの範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは最小である。モータのロータ位置角度が30度からL2度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さいことがある。ロータ位置角度がL3度から210度までの範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは最小である。モータのロータ位置角度が210度からL4度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュールが並列同相制御方式または並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。
【0117】
前述の例において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、制御モジュールが位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得されるモータのトルクに基づいて決定されることが分かる。そうした設計では、制御モジュール12が、モータの取得されたロータ位置角度(例えば、モータのロータ位置角度)に対応する制御方式でブリッジアームを制御するときに、モータのトルクを最小化(または、低減)することができ、それにより、モータを再利用することによって、パワーバッテリを充電するプロセスにおけるモータ性能を改善している。
【0118】
さらに別の可能な実装において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、モータの電磁鋼損失とロータ位置角度との間の関係、および、モータのトルクとロータ位置角度との間の関係に基づいて、決定され得る。そうした設計において、制御モジュール12が、モータの取得されたロータ位置角度(例えば、モータのロータ位置角度)に対応する制御方式でブリッジアームを制御するときに、モータのトルクを最小化(または、低減)することができ、かつ/あるいは、モータの電磁鋼損失を最小化(または、低減)することができ、それによって、モータ性能を改善する。
【0119】
モータ駆動システムの前述の説明に基づいて、本出願は、車両をさらに提供する。車両は、前述の実施形態において提供されるモータ駆動システムのうちいずれか1つを含み得る。
【0120】
加えて、本出願は、さらに、充電方法を提供する。本方法は、前述の実施形態において提供されるモータ駆動システムのうちいずれか1つに適用され得る。例えば、モータ駆動システムは、複数のブリッジアームおよびモータを含んでいる。複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、第1スイッチの第2端部は、第2スイッチの第1端部に結合され、そして、第2スイッチの第2端部は、パワーバッテリの第2電極に結合されている。モータは、複数の巻線を含み、複数の巻線は、複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点に結合され、そして、巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されている。複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、そして、電源の第2電極は、パワーバッテリに結合されている。
【0121】
本出願において提供される充電方法は、モータ駆動システム内の制御モジュール12によって実行され得る。
図14に示されるように、充電方法は、以下のステップを含み得る。
【0122】
ステップS101:モータのロータ位置角度を取得する。
【0123】
S102:ロータ位置角度に対応する制御方式で、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御し、電源がパワーバッテリを充電することを可能にする。
【0124】
ロータ位置角度に対応する制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、位置角度セットと制御方式との間の関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、そして、各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含んでいる。
【0125】
位置角度セットと制御方式との間の関係は、以下のうち少なくとも1つに基づいて決定される。
複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが、位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで制御されるときに取得される、モータのトルク、または、
複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが、位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで制御されるときに取得される、モータの損失、である。
【0126】
可能な実装において、制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および、直列制御方式のうち1つを含む。そして、
複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップは、以下を含む。すなわち、
ロータ位置角度に対応する制御方式が並列同相制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御すること、または、
ロータ位置角度に対応する制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻及び/又は異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御すること、または、
ロータ位置角度に対応する制御方式が直列制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の任意のブリッジアーム内のメインスイッチを周期的にターンオン状態になるように制御すること、である。ここで、
電源の2電極がパワーバッテリの第1電極に結合されている場合に、メインスイッチは第1スイッチであり、もしくは、電源の第2電極がパワーバッテリの第2電極に結合されている場合に、メインスイッチは第2スイッチである。
【0127】
本出願のこの実施形態において、制御モジュール12は、モータの取得されたロータ位置角度に基づいて、対応する制御方式でブリッジアームを制御し、その結果、モータ性能が改善される。例えば、電磁鋼板の損失が低減され、または、モータのトルクが低減される。
【0128】
可能な実施態様において、モータのロータ位置角度に対応する制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻及び/又は異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップは、さらに、2つのブリッジアームに対して別々に結合された巻線の電流比率を変更するように、2つのブリッジアームのうち少なくとも1つのメインスイッチのターンオン持続時間を調整すること、を含む。
【0129】
本出願のこの実施形態において、制御モジュール12は、2つのブリッジアームに対応する巻線内の電流比率を変更するように、2つの制御されるブリッジアーム内の各メインスイッチのターンオン持続時間を調整し、その結果、ステータ磁界の位置が変更され得る。すなわち、ステータベクトルが変更され得る。ステータベクトル変化の範囲は、±30度である。すなわち、ステータベクトルの範囲は240±30度であり得る。
【0130】
パワーバッテリを充電するために、制御モジュール12がモータを制御するプロセスにおいては、ロータ位置角度が、変更され得る。制御モジュール12は、複数回にわたりステップS101およびステップS102の動作を繰り返し得る。
【0131】
可能な実施態様においては、ステップS101を実行する前に、制御モジュール12は、さらに、モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあること決定し得る。
【0132】
本出願は、さらに、制御装置を提供する。制御装置は、メモリおよびプロセッサを含み得る。メモリは、コンピュータ命令を保管することができ。プロセッサは、メモリ内のコンピュータ命令を読み出して、前述の実施形態における制御モジュール12の動作を実行し、または、前述の実施形態において提供される充電方法を実行し得る。
【0133】
前述の実施形態の全てまたは一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、または、それらの任意の組合せによって実装され得る。ソフトウェアが実施形態を実装するために使用されるときに、実施形態の全てまたは一部は、コンピュータプログラム製品(例えば、コンピュータ可読記憶製品)の形態で実装され得る。コンピュータ可読記憶製品は、1つ以上のコンピュータ命令を含んでいる。コンピュータプログラム命令がコンピュータにロードされ、かつ、実行されると、本出願の実施形態によるプロシージャまたは機能の全部または一部が生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または、別のプログラマブル装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に保管されてよく、または、コンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信されてよい。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、または、デジタル加入者線(digital subscriber line、DSL)など)、もしくは、無線(例えば、赤外線、無線、及び/又は、マイクロ波など)方式で、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに送信されてよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、もしくは、1つ以上の使用可能な媒体を統合している、サーバまたはデータセンタといった、データ記憶デバイスであり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、または、磁気テープ)、光媒体、半導体媒体(例えば、ソリッドステートディスク(solid state disk、SSD))など、であり得る。
【0134】
本出願の一つの実施形態は、さらに、前述の実施形態で提供された方法またはアルゴリズムを保管するように構成されている、可読記憶媒体を提供する。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(read only memory、ROM)、EPROMメモリ、不揮発性読み出し専用メモリ(Electronic Programmable ROM、EPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、または、当技術分野における任意の他の形態の記憶媒体である。
【0135】
本出願の実施形態において説明される方法またはアルゴリズムのステップは、前述の制御装置または制御モジュール12の中へ直接的に組み込まれてよい。制御装置または制御モジュール12は、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、または、当技術分野における任意の他の形態の記憶媒体を含むことができ、かつ、本出願の実施形態において提供される方法またはアルゴリズムのステップを保管するように構成されている。例えば、記憶媒体は、制御装置または制御モジュール12に接続されてよく、その結果、制御装置または制御モジュール12は、記憶媒体から情報を読み取り、かつ、記憶媒体に情報を書き込むことができる。任意的に、記憶媒体は、さらに、制御モジュールおよびプロセッサ(または、コントローラ)に統合されてよい。
【0136】
コンピュータプログラム命令は、代替的に、コンピュータまたは別のプログラマブルデータ処理デバイスにロードされてよく、その結果、一連の動作およびステップが、コンピュータまたは別のプログラマブルデバイス上で実行され、コンピュータ実装処理を生成する。従って、コンピュータまたは別のプログラマブルデバイス上で実行される命令は、フローチャートにおける1つ以上のプロセス、及び/又は、ブロック図における1つ以上のブロックの特定の機能を実施するためのステップを提供する。
【0137】
本出願は、その特定の特徴および実施形態を参照して説明されているが、本出願の範囲から逸脱することなく、それらに対して様々な修正および組合せが行われ得ることは明らかである。これに対応して、明細書および添付図面は、添付の特許請求の範囲によって定義される本出願の単なる例示的な説明に過ぎず、そして、本出願の範囲を包含する、任意または全ての修正、変形、組み合わせ、もしくは均等物とみなされる。
【0138】
当業者であれば、本出願の範囲から逸脱することなく、本出願に対して様々な修正および変形を行うことができることは明らかである。このように、本出願は、本出願の特許請求の範囲、および、それらの等価な技術の範囲内にある場合に、本出願のこれらの修正および変形を包含することが意図されている。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-24
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のブリッジアーム、モータ、および、制御モジュールを備える、モータ駆動システムであって、
前記複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、
前記第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、前記第1スイッチの第2端部は、前記第2スイッチの第1端部に結合され、かつ、前記第2スイッチの第2端部は、前記パワーバッテリの第2電極に結合されており、
前記モータは、複数の巻線を含み、
前記複数の巻線は、前記複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、前記複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点に結合され、かつ、前記巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されており、
前記複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、前記電源の第2電極は、前記パワーバッテリに結合されており、
前記制御モジュールは、前記モータのロータ位置角度を取得し、かつ、前記ロータ位置角度に対応する制御方式で、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するように構成されており、前記電源が前記パワーバッテリを充電することを可能にする、
モータ駆動システム。
【請求項2】
前記制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および、直列制御方式のうち1つを含み、
前記複数のブリッジアーム内
のスイッチを制御するときに、前記制御モジュールは、具体的に、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列同相制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記
第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御し、または、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列インターリーブ制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記
第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻、及び/又は、異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御し、または、
前記ロータ位置角度に対応する前記制御方式が前記直列制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記
第1ブリッジアーム以外の任意のブリッジアーム内のメインスイッチを、周期的にターンオン状態になるように制御する、
ように構成されており、
前記電源の前記第2電極が前記パワーバッテリの前記第1電極に結合されている場合に、前記メインスイッチは前記第1スイッチであり、もしくは、
前記電源の前記第2電極が前記パワーバッテリの前記第2電極に結合されている場合に、前記メインスイッチは前記第2スイッチである、
請求項1に記載のモータ駆動システム。
【請求項3】
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列インターリーブ制御方式である場合に、前記制御モジュールは、さらに、前記2つのブリッジアームのうち少なくとも1つにおけるメインスイッチのターンオン持続時間を調整するように構成されており、前記2つのブリッジアームに別々に結合されている巻線における電流比率を変更する、
請求項2に記載のモータ駆動システム。
【請求項4】
前記ロータ位置角度に対応する前記制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、
位置角度セットと制御方式との間の前記関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、かつ、
各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含む、
請求項
1に記載のモータ駆動システム。
【請求項5】
設定された位置角度と制御方式との間の前記関係は、
前記位置角度セット内の任意の位置角度において、前記異なる制御方式それぞれで、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを前記制御モジュールが制御するときに取得される、前記モータのトルク、または、
前記位置角度セット内の任意の位置角度において、前記異なる制御方式それぞれで、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを前記制御モジュールが制御するときに取得される、前記モータの損失、
のうち少なくとも1つに基づいて決定される、
請求項4に記載のモータ駆動システム。
【請求項6】
前記制御モジュールは、さらに、
前記モータの前記ロータ位置角度を取得する前に、前記モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあると判定する、ように構成されている、
請求項
1に記載のモータ駆動システム。
【請求項7】
モータ駆動システムに適用される充電方法であって、
前記モータ駆動システムは、複数のブリッジアーム、および、モータを備え、
前記複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、
前記第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、前記第1スイッチの第2端部は、前記第2スイッチの第1端部に結合され、かつ、前記第2スイッチの第2端部は、前記パワーバッテリの第2電極に結合されており、
前記モータは、複数の巻線を含み、
前記複数の巻線は、前記複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、前記複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点に結合され、かつ、前記巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されており、
前記複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、前記電源の第2電極は、前記パワーバッテリに結合されており、前記方法は、
前記モータのロータ位置角度を取得するステップと、
前記ロータ位置角度に対応する制御方式で、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップであり、前記電源が前記パワーバッテリを充電することを可能にする、ステップと、
を含む、方法。
【請求項8】
前記制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および、直列制御方式のうち1つを含み、
前記複数のブリッジアームのうち前記
第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御する前記ステップは、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列同相制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記
第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、または、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列インターリーブ制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記
第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻、及び/又は、異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、または、
前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記直列制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記
第1ブリッジアーム以外の任意のブリッジアーム内のメインスイッチを、周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、
を含み、
前記電源の前記第2電極が前記パワーバッテリの前記第1電極に結合されている場合に、前記メインスイッチは前記第1スイッチであり、もしくは、
前記電源の前記第2電極が前記パワーバッテリの前記第2電極に結合されている場合に、前記メインスイッチは前記第2スイッチである、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記モータの前記ロータ位置角度に対応している前記制御方式が前記並列インターリーブ制御方式である場合に、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻、及び/又は、異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御する前記ステップは、さらに、
前記2つのブリッジアームのうち少なくとも1つにおけるメインスイッチのターンオン持続時間を調整するステップであり、前記2つのブリッジアームに別々に結合されている巻線における電流比率を変更する、ステップを含む、
請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ロータ位置角度に対応する前記制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、
位置角度セットと制御方式との間の前記関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、かつ、
各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含む、
請求項
7に記載の方法。
【請求項11】
位置角度セットと制御方式との間の前記関係は、
前記位置角度セット内の任意の位置角度において、前記異なる制御方式それぞれで、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御されるときに取得される、前記モータのトルク、または、
前記位置角度セット内の任意の位置角度において、前記異なる制御方式それぞれで、前記複数のブリッジアームのうち前記第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御されるときに取得される、前記モータの損失、
のうち少なくとも1つに基づいて決定される、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記モータのロータ位置角度を取得する前記ステップの前に、前記方法は、さらに、
前記モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあると判定するステップ、を含む、
請求項
7に記載の方法。
【請求項13】
請求項1乃至6いずれか一項に記載
のモータ駆動システムを備える、
電気自動車。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、充電技術の分野に関する。そして、特には、モータ駆動システム、充電方法、および車両に関する。
【0002】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年11月1日に中国国家知識産権局に出願された「MOTOR DRIVE SYSTEM, VEHICLE, CHARGING METHOD, CONTROL APPARATUS, AND MEDIUM」というタイトルの中国特許出願第202111283782.0号について優先権を主張するものであり、その全体が、参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
一般的に、充電パイル(charging pile)について2つの出力仕様が存在している。すなわち、200Vから500Vまで、および、200Vから750Vまで、である。電気自動車のパワーバッテリ(power battery)の電圧が充電パイルの出力電圧よりも大きい場合に、パワーバッテリは、急速充電(fast charged)されることができない。例えば、パワーバッテリの電圧が500Vから750Vまでの場合に、パワーバッテリは、出力電圧が200Vから500Vまでの充電パイルを介して、急速充電することができない。
【0004】
パワーバッテリを高速充電するために、第1ソリューションは、電気自動車にブースト回路(boost circuit)を追加して、充電パイルによって供給される電圧に対してブースト処理を実行すること、および、ブースト処理を通じて得られた電圧をパワーバッテリに供給して、パワーバッテリに対してブースト充電(boost charging)を実施することである。このことは、電気自動車のコスト、重量、およびサイズを増大させる。
【0005】
第2ソリューションは、モータを再利用することである。充電パイルによって提供される電圧に対して、モータ内のコイルを再利用することにより、ブースト処理が実行される。モータは、電気自動車において重要な装置であり、そして、モータの性能は、車両の走行状態に影響を及ぼす。現在、車両の駐車および充電プロセスにおいて、モータ性能を改善するためのソリューションが、緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本出願は、モータ駆動システム、車両、充電方法、制御装置、および媒体を提供し、車両充電プロセスにおけるモータ性能を改善する。例えば、充電の最中にモータによって生成される、ホイール端のトルクを低減し、または、熱を低減する。
【0007】
第1態様に従って、本出願は、モータ駆動システムを提供する。モータ駆動システムは、複数のブリッジアーム、モータ、および、制御モジュールを含み得る。複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、第1スイッチの第2端部は、第2スイッチの第1端部に結合され、かつ、第2スイッチの第2端部は、パワーバッテリの第2電極に結合されている。モータは、複数の巻線を含み、複数の巻線は、複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点(endpoint)に結合され、かつ、巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されている。複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、電源の第2電極は、パワーバッテリに結合されている。制御モジュールは、モータのロータ位置角度を取得し、かつ、ロータ位置角度に対応する制御方式で、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するように構成されており、電源がパワーバッテリを充電することを可能にする。
【0008】
本出願のこの実施形態において、制御モジュールは、モータに結合されたブリッジアームを制御し、モータ内の巻線を再使用することによって、パワーバッテリを充電することができる。加えて、制御モジュールは、モータのロータ位置角度に対応する制御方式でモータを制御する。このようにして、パワーバッテリを充電するプロセスにおけるモータ性能を改善することができる。例えば、モータ損失(例えば、電磁鋼板損失)が低減され、モータの熱リスクを低減し、または、モータの出力トル
クを低減する。モータ制御の最中に、3相座標系における1つの相の0度が一般的に基準(reference)として使用され、そして、ロータ位置角度およびステータベクトルの両方が、基準に基づいて測定される。例えば、
図1において、モータ10の巻線S1はU相巻線と表記され、巻線S2はW相巻線と表記され、そして、巻線S3は、V相巻線と表記され得る。説明を容易にするために、本願では、モータの複数の相におけるU相の0度が、ロータ位置角度およびステータ磁場ベクトル(ステータベクトルとも呼ばれる)の基準として使用され得る。
【0009】
可能な設計において、ロータ位置角度に対応する制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、位置角度セットと制御方式との間の関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、そして、各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含んでいる。
【0010】
本出願のこの実施形態において、制御モジュールは、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて、取得されたロータ位置角度に対応する制御方式を決定し得る。制御モジュールは、位置角度セットおよび制御方式を予め取得し、または、保管してよい。異なる位置角度セットに対応する制御方式は、同じであってよく、または、異なってもよい。各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含み得る。制御モジュールは、モータの取得されたロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式で、モータ内のブリッジアームを制御し得る。モータの異なるロータ位置角度は、異なる制御方式に対応することができ、そして、制御モジュールは、複数の制御方式で、モータに接続されたブリッジアームを制御することができることが分かる。モータの性能は、モータの制御方法によって変化する。制御モジュールは、モータ性能を改善するために、異なる制御方式でブリッジアームを制御することができる。例えば、モータの電磁鋼損失が低減され、そして、モータのトルクが低減される。
【0011】
可能な設計において、制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および直列制御方式のうち1つを含んでいる。複数のブリッジアーム内のスイッチを制御するときに、制御モジュールは、具体的に、ロータ位置角度に対応している制御方式が並列同相制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアーム内のメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻に周期的にターンオン状態になるように制御し、または、ロータ位置角度に対応している制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアーム内のメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻、及び/又は、異なるターンオン終了時刻に周期的にターンオン状態になるように制御し、または、ロータ位置角度に対応する制御方式が直列制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の任意のブリッジアーム内のメインスイッチを、周期的にターンオン状態になるように制御するように構成されている。電源の第2電極がパワーバッテリの第1電極に結合されている場合に、メインスイッチは第1スイッチであり、もしくは、電源の第2電極がパワーバッテリの第2電極に結合されている場合に、メインスイッチは第2スイッチである。
【0012】
本出願のこの実施形態において、パワーバッテリは充電され、そして、制御モジュールは、モータのロータ位置角度に対応している制御方式でモータを制御することができる。モータの異なるロータ位置角度は、異なる制御方式に対応してよく、そして、制御モジュールは、複数の制御方式で、モータに接続されたブリッジアームを制御してもよい。モータの性能は、モータの制御方法によって変化する。制御モジュールは、モータ性能を改善するために、異なる制御方式でブリッジアームを制御することができる。例えば、モータの電磁鋼損失が低減され、そして、モータのトルクが低減される。
【0013】
可能な設計において、ロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、制御モジュールは、さらに、2つのブリッジアームの少なくとも1つにおけるメインスイッチのターンオン持続時間を調整するように構成されており、2つのブリッジアームに別々に結合されている巻線における電流比率を変更する。
【0014】
本出願のこの実施形態において、制御モジュールが並列インターリーブ制御方式を使用するとき、制御モジュールは、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するだけでなく、2つのブリッジアームに接続された巻線の電流比率を変更するために、2つのブリッジアームの少なくとも1つのメインスイッチのターンオン持続時間を変更してもよい。ステータベクトルは、2つのブリッジアームに接続された巻線における電流の割合を調整することによって調整され得るので、パワーバッテリを充電するプロセスにおいて、ステータベクトル角度の変化は、ステータベクトルとロータ位置角度との間の相対角度の変化、並びに、モータの出力トルクおよびロータ位置角度の変化を引き起こし得る。従って、制御方式は、変更されたロータ位置角度に基づいて再決定されてよく、そして、制御モジュールは、モータのロータ位置角度を再取得し、モータの最後に取得されたロータ位置角度が属する位置角度セットに対応する制御方式でブリッジアームを制御してもよく、モータ性能の制御可能範囲を増加させる。
【0015】
可能な設計において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、以下の少なくとも1つに基づいて決定される。すなわち、制御モジュールが、位置角度セット内の任意の位置角度において、異なる制御方式それぞれで、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得される、モータのトルク、または、制御モジュールが、位置角度セット内の任意の位置角度において、異なる制御方式それぞれで、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得される、モータの損失である。
【0016】
本出願のこの実施形態において、モータ損失は、一般的に、電磁鋼損失、ヒステリシス損失などを含んでいる。過度に高いモータ損失は、モータの過度に高い熱リスクを引き起こし得る。位置角度セットおよび制御方式は、制御モジュールが各制御方式で、モータのブリッジアームを制御するときに取得されるロータ位置角度とモータの電磁鋼損失との間の関係に基づいて、例えば、各位置角度セット内の任意の位置角度におけるモータの損失に基づいて、決定されてよい。かつ/あるいは、ロータ位置角度とモータのトルクとの間の関係に基づいて、例えば、位置角度のうち任意の1つにおけるモータのトルクに基づいて、決定されてもよい。そうした設計に基づいて、制御モジュールは、取得されたロータ位置角度に対応する制御方式を使用することができ、その結果、モータ損失が低減される、または、モータのトルクが低減される。例えば、ロータ位置角度を取得した後で、制御モジュールは、取得されたロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式で、制御を実行してよく、その結果、モータ性能は、パワーバッテリを充電するプロセスにおいて制御可能である。
【0017】
可能な設計において、制御モジュールは、さらに、モータのロータ位置角度を取得する前に、モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあると判定し得る。本出願のこの実施形態において、パワーバッテリが充電される前に、車両が停止状態または駐車状態にあると判定され得る。車両が停止状態または駐車状態にあるとき、車両内のモータを再利用することによってパワーバッテリが充電され、その結果、モータ性能を改善することができる。
【0018】
可能な設計において、制御モジュールがロータ位置角度に対応する制御方式でブリッジアームを制御した後、すなわち、パワーバッテリの充電を開始するために、制御モジュールがモータを制御した後で、モータは、トルクを生成し、すなわち、モータの出力トルクが変化する。この場合、モータによって生成されるトルクは、モータのロータ位置角度の変化を引き起こし得る。モータのロータ位置角度は、一般的に、モータ駆動システムが属している車両のホイール端部とモータ端部との間の伝達装置、例えば、シャフトまたはギヤ、におけるギヤギヤップで変化する。制御モジュールは、モータのロータ位置角度をリアルタイムで取得し、そして、モータの最後に取得されたロータ位置角度に対応する制御方式で、ブリッジアームを制御することができ、モータ性能を改善する。
【0019】
第2態様に従って、本出願は、充電方法を提供する。本方法は、モータ駆動システムに適用され得る。モータ駆動システムは、複数のブリッジアームおよびモータを備えている。複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、第1スイッチの第2端部は、第2スイッチの第1端部に結合され、かつ、第2スイッチの第2端部は、パワーバッテリの第2電極に結合されている。モータは、複数の巻線を含み、複数の巻線は、複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点に結合され、かつ、巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されている。複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、かつ、電源の第2電極は、パワーバッテリに結合されている。本方法は、モータのロータ位置角度を取得するステップと、ロータ位置角度に対応する制御方式で、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップであり、電源がパワーバッテリを充電することを可能にするステップと、を含む。
【0020】
可能な設計において、制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および直列制御方式のうち1つを含んでいる。複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップは、ロータ位置角度に対応している制御方式が並列同相制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、または、ロータ位置角度に対応している制御方式が直列制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻及び/又は異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップ、を含む。電源の第2電極がパワーバッテリの第1電極に結合されている場合に、メインスイッチは第1スイッチであり、もしくは、電源の第2電極がパワーバッテリの第2電極に結合されている場合に、メインスイッチは第2スイッチである。
【0021】
可能な設計において、モータのロータ位置角度に対応している制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻及び/又は異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップは、さらに、2つのブリッジアームのうち少なくとも1つのメインスイッチのターンオン持続時間を調整するステップであり、2つのブリッジアームに別々に結合されている巻線の電流比率を変更する、ステップを含む。
【0022】
可能な設計において、ロータ位置角度に対応する制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、位置角度セットと制御方式との間の関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、かつ、各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含んでいる。
【0023】
可能な設計において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、以下のうち少なくとも1つに基づいて決定される。すなわち、位置角度セットにおける任意の位置角度において、異なる制御方式それぞれで、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御されるときに取得される、モータのトルク、または、位置角度セットにおける任意の位置角度において、異なる制御方式それぞれで、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御されるときに取得されるモータの損失、である。
【0024】
可能な設計において、モータのロータ位置角度を取得する前に、本方法は、さらに、モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあると判定するステップを含んでいる。
【0025】
可能な設計において、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップの後で、本方法は、さらに、モータのロータ位置角度を再取得するステップと、位置角度セットと制御方式との間の関係および再取得されたロータ位置角度に基づいて、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを、再取得されたロータ位置角度が属する位置角度セットに対応する制御方式で制御するステップと、を含んでいる。
【0026】
第3態様に従って、本出願は、メモリおよびプロセッサを備える制御装置を提供する。メモリは、コンピュータ命令を保管しており、かつ、プロセッサは、コンピュータ命令を読み出して、第2態様の設計のいずれか1つに従って、方法を実施する。
【0027】
第4態様に従って、本出願は、コンピュータ命令を保管している、コンピュータ可読記憶製品を提供する。コンピュータ命令が、制御装置によって実行されると、制御装置は、第2態様の設計のいずれか1つに従った、方法を実施することが可能になる。
【0028】
第5態様に従って、本出願は、第1態様の設計のうちいずれか1つに従った、モータ駆動システムを含む、電気自動車を提供する。
【0029】
第2態様から第5態様のいずれか1つの可能な設計のいずれか1つによって達成され得る技術的効果については、第1態様の可能な設計のいずれか1つによって達成され得る技術的効果を参照のこと。詳細は、本明細書では、再び説明されない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に従った、モータ駆動システムの構成に係る概略図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に従った、モータ駆動システムの他の構造に係る概略図である。
【
図3】
図3は、並列同相制御方式における2つのブリッジアーム内のメインスイッチの駆動信号に係る概略図である。
【
図4】
図4は、充電プロセスにおける充電ループに係る概略図である。
【
図5】
図5は、充電プロセスにおける別の充電ループに係る概略図である。
【
図6】
図6は、並列インターリーブ制御方式における2つのブリッジアーム内のメインスイッチの駆動信号に係る概略図である。
【
図7】
図7は、直列制御方式における2つのブリッジアーム内のメインスイッチの駆動信号に係る概略図である。
【
図8】
図8は、充電プロセスにおける充電ループに係る概略図である。
【
図9】
図9は、充電プロセスにおける充電ループに係る概略図である。
【
図10】
図10は、異なる制御方式におけるモータのロータ位置角度と電磁鋼損失との間の関係に係る概略図である。
【
図11】
図11は、異なる制御方式におけるモータのロータ位置角度と電磁鋼損失との関係および電磁鋼損失閾値に係る概略図である。
【
図12】
図12は、異なる制御方式におけるモータのロータ位置角度とトルクとの関係に係る概略図である。
【
図13】
図13は、異なる制御方式におけるモータのロータ位置角度とトルクとの関係およびトルク閾値に係る概略図である。
【
図14】
図14は、本出願に従った、充電方法に係る概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下の実施形態で使用される用語は、単に特定の実施形態を説明することを意図したものであるが、本出願を限定するように意図されたものではない。本明細書および本出願に係る添付の請求項において使用される単数形の「1つの(one)」、「1つの(a)」、「その(the)」、「前述の(the previous)」、「この(this)」、および「その1つ(the one)」という用語は、また、文脈において明確に別段の定めがない限り、「1つ以上の(one or more)」といった表現を含むようにも意図されている。
【0032】
本明細書に記載された「一つの実施形態(“one embodiment”)」、「いくつかの実施形態(“some embodiment”)」などへの言及は、本出願の1つ以上の実施形態が、実施形態を参照して記載された特定の特徴、構造、または特性を含むことを意味している。従って、本明細書において、本明細書の異なる箇所に現れる、「一実施形態において」、「いくつかの実施形態において」、「いくつかの他の実施形態において」、および「他の実施形態において」といった記述は、必ずしも同じ実施形態への言及を意味するものではなく、代わりに、特に強調されない限り、「実施形態の全てではなく1つ以上」を意味する。用語「含む(“include”)」、「備える(“comprise”)」、「有する(“have”)」、および、それらの変形は、特に強調されない限り、全てが、「含むが、それに限定されない」ことを意味する。
【0033】
本出願の目的、技術的ソリューション、および利点をより明確にするために、以下は、添付の図面を参照して本出願を詳細にさらに説明している。本出願の実施形態において提供されるコネクタの理解を容易にするために、以下では、先ず、コネクタのアプリケーションシナリオを説明する。
【0034】
一般的に、充電パイルについて2つの出力仕様が存在している。すなわち、200Vから500Vまで、および、200Vから750Vまで、である。電気自動車のパワーバッテリの電圧が充電パイルの出力電圧よりも大きい場合に、パワーバッテリは、急速充電されることができない。例えば、パワーバッテリの電圧が500Vから750Vまでの場合に、パワーバッテリは、出力電圧が200Vから500Vまでの充電パイルを介して、急速充電することができない。
【0035】
パワーバッテリを高速充電するために、第1ソリューションは、電気自動車にブースト回路を追加して、充電パイルによって供給される電圧に対してブースト処理を実行すること、および、ブースト処理を通じて得られた電圧をパワーバッテリに供給して、パワーバッテリに対してブースト充電を実施することである。このことは、電気自動車のコスト、重量、およびサイズを増大させる。
【0036】
第2ソリューションは、モータを再利用することである。モータ内のコイルを再利用することによって、充電パイルによって提供される電圧に対してブースト処理が実施される。モータは、電気自動車の主な駆動部品であるため、モータの性能は、車両の走行または安全性に重要な影響を及ぼす。モータ性能は、一般的に、モータ出力トルク、モータ損失(モータの電磁鋼損失またはヒステリシス損失)などを含むことができる。モータの電磁鋼損失等は、モータの熱的リスクを引き起こす可能性がある。
【0037】
第2ソリューションは、モータを再利用することである。充電パイルによって提供される電圧に対して、モータ内のコイルを再利用することにより、ブースト処理が実行される。モータは、電気自動車において重要な装置であり、そして、モータの性能は、車両の走行状態に影響を及ぼす。モータ性能は、一般的に、モータ出力トルク、モータ損失(モータの電磁鋼損失またはヒステリシス損失)などを含み得る。モータの電磁鋼損失などは、モータの熱的リスクを引き起こす可能性がある。本出願では、説明のための一つの例として、モータの電磁鋼損失が使用されている。例えば、車両が、駐車されて、充電され、かつ、モータが、ブースト処理を実行するために再利用されるプロセスにおいて、モータの出力トルクが制御されない場合には、車両が移動することがあり、そして、高い安全性リスクが存在している。別の例について、車両が、駐車されて、充電され、かつ、モータが、ブースト処理を実行するために再利用されるプロセスにおいて、モータ損失が制御されない場合には、モータ温度が高くなり過ぎることがあり、モータ素子について損傷が生じ、または、モータのオーバーヒトや減磁、または、巻線の絶縁不良といったリスクを容易に生じさせる。
【0038】
これに鑑みて、本願は、モータ駆動システムを提供する。モータ駆動システムは、電気自動車に使用されてよく、その結果、電気自動車が、駐車または停止されて、充電されるプロセスにおいて、モータ性能を特定の範囲に維持することができ、モータ性能を改善し、かつ、モータ充電トルクおよびモータ熱リスクを低減する。
【0039】
本出願の実施形態において、電気自動車は、純粋な電力駆動車両であってよく、または、ハイブリッド電力駆動車両であってもよい。
図1に示されるように、モータ駆動システムは、複数のブリッジアームおよびモータ10を含み得る。
【0040】
説明を容易にするために、
図1は、3個のブリッジアームを示している。すなわち、ブリッジアーム11A、ブリッジアーム11B、およびブリッジアーム11Cである。モータ駆動システムにおけるブリッジアームの数は、代替的に、3個より多くてもよく、例えば、4、5、または6個であってもよい。複数のブリッジアームそれぞれは、直列に接続された第1スイッチおよび第2スイッチを含み得る。第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリ11の第1電極(例えば、パワーバッテリ11のアノード)に結合され、第1スイッチの第2端部は、第2スイッチの第1端部に結合され、そして、第2スイッチの第2端部は、パワーバッテリ11の第2電極(例えば、パワーバッテリ11のカソード)に結合されている。
【0041】
例えば、ブリッジアーム11Aは、直列に接続されたスイッチT1およびスイッチT2を含み得る。スイッチT1の第1端部は、パワーバッテリ11の第1電極に結合され、スイッチT1の第2端部は、スイッチT2の第1端部に結合され、そして、スイッチT2の第2端部は、パワーバッテリ11の第2電極に結合されている。ブリッジアーム11Bは、直列に接続されたスイッチT3およびスイッチT4を含み得る。スイッチT3の第1端部は、パワーバッテリ11の第1電極に結合され、スイッチT3の第2端部は、スイッチT4の第1端部に結合され、そして、スイッチT4の第2端部は、パワーバッテリ11の第2電極に結合されている。ブリッジアーム11Cは、直列に接続されたスイッチT5およびスイッチT6を含み得る。スイッチT5の第1端部は、パワーバッテリ11の第1電極に結合され、スイッチT5の第2端部は、スイッチT6の第1端部に結合され、そして、スイッチT6の第2端部は、パワーバッテリ11の第2電極に結合されている。各ブリッジアームにおいて、パワーバッテリ11の第1電極に結合されたスイッチは、ブリッジアーム内の第1スイッチとして示され得る。例えば、ブリッジアーム11Aの第1スイッチはスイッチT1であり、ブリッジアーム11Bの第1スイッチはスイッチT3であり、そして、ブリッジアーム11Cの第1スイッチはスイッチT5である。各ブリッジアームにおいて、パワーバッテリ11の第2電極に結合されたスイッチは、ブリッジアーム内の第2スイッチとして示され得る。例えば、ブリッジアーム11Aの第2スイッチはスイッチT2であり、ブリッジアーム11Bの第2スイッチはスイッチT4であり、そして、ブリッジアーム11Cの第2スイッチはスイッチT6である。
【0042】
本出願のこの実施形態において、各ブリッジアーム内のスイッチは、例えば、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(insulated gate bipolar transistor、IGBT)およびダイオードを含んでいる。各スイッチにおいて、ダイオードは、IGBTに対して並列に接続されている。ダイオードのアノードは、IGBTの第2端部に接続され、そして、ダイオードのカソードは、IGBTの第1端部に接続されている。代替的に、各ブリッジアーム内のスイッチは、ボディダイオード(body diode)を含み得る、スイッチングトランジスタであり、例えば、炭化ケイ素(SIC)トランジスタである。
【0043】
モータ10は、複数の巻線を含んでよく、そして、複数の巻線は、複数のブリッジアームと一対一の対応関係であり得る。本願のこの実施形態において、モータは、代替的に、3相モータ、3相よりも多い多相モータであってよいことが分かる。任意的に、モータ駆動システムは、複数のモータを含み得る。パワーバッテリを充電するプロセスにおいて、複数のモータのうち1つは、モータ10として実装され得る。
【0044】
図1に示されるように、モータ10は、第1巻線S1(U相巻線としても、また、示される)、第2巻線S2(W相巻線としても、また、示される)、および、第3巻線S3(V相巻線としても、また、示される)を備え得る。モータの各巻線の第1端部は、共通の端部Pに結合され、そして、各巻線の第2端部は、対応するブリッジアームの第1スイッチの第2端部に結合されている。例えば、第1巻線S1は、ブリッジアーム11Aに対応してよく、かつ、ブリッジアーム11A内のスイッチT1の第2端部に結合されている。別の言葉で言えば、第1巻線S1の第2端部は、ブリッジアーム11Aの中間点に結合される。同様に、第2巻線S2は、ブリッジアーム11Bに対応してよく、かつ、ブリッジアーム11B内のスイッチT3の第2端部に結合されている(別の言葉で言えば、ブリッジアーム11Bの中間点に結合される)。第3巻線S3は、ブリッジアーム11Cに対応してよく、かつ、ブリッジアーム11C内のスイッチT5の第2端部に結合されている(別の言葉で言えば、ブリッジアーム11Cの中間点に結合される)。
【0045】
モータ駆動システムは、電源に結合されてよく、電源の第1電極は、第1ブリッジアームの中間点に結合され、そして、第1ブリッジアームは、中間点において複数のブリッジアームのうちいずれか1つに結合されてよい。このアプリケーションでは、パワーバッテリを充電するようにモータを制御するときに、制御モジュール12は、モータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御することができ、その結果、モータを再利用することによってパワーバッテリが充電される。説明を容易にするために、以下では、説明のために、第1ブリッジアームとしてブリッジアーム11Bを使用する。
図1に示されるように、電源の第1電極は、ブリッジアーム11B内のスイッチT3の第2端部に結合され得る。代替的に、電源の第1電極は、ブリッジアーム11A内のスイッチT1の第2端部に結合されている。代替的に、電源の第1電極は、ブリッジアーム11C内のスイッチT5の第2端部に結合されている。本出願のこの実施形態において、電源は、充電パイルまたは別の外部電源であってよい。電源によって供給される電圧は、パワーバッテリによって必要とされる充電電圧よりも低い。
【0046】
電源の第2電極は、パワーバッテリに結合され得る。一つの例では、
図1に示されるように、電源の第2電極は、パワーバッテリの第1電極(例えば、パワーバッテリ11のアノード)に結合され得る。この場合、各ブリッジアーム内の第1スイッチは、ブリッジアーム内のメインスイッチと称されてよい。別の例では、
図2に示されるように、電源の第2電極は、パワーバッテリの第2電極(例えば、パワーバッテリ11のカソード)に結合され得る。この場合、各ブリッジアーム内の第2スイッチは、ブリッジアーム内のメインスイッチと称されてよい。
【0047】
依然として、
図1を参照する。一般的に、モータ駆動システムは、スイッチK1およびスイッチK2を含み得る。各ブリッジアーム内の第1スイッチは、スイッチK1を使用することによって、パワーバッテリの第1電極に結合され得る。各ブリッジアーム内の第2スイッチは、スイッチK2を使用することによって、パワーバッテリの第2電極に結合され得る。モータ駆動システムがパワーバッテリを充電するときには、スイッチK1およびスイッチK2の両方がターンオン状態(turn-on state)になり、充電ループを形成することができる。
【0048】
モータ駆動システムは、さらに、スイッチK3およびスイッチK4を含み得る。各ブリッジアーム内の第1スイッチは、スイッチK3を使用することによって、電源に結合されている。各ブリッジアーム内の第2スイッチは、スイッチK4を使用することによって、パワーバッテリの第2電極に結合されてよい。モータ駆動システムがパワーバッテリを充電するときには、スイッチK3およびスイッチK4の両方がターンオン状態になってよく、その結果、電源によって供給される電気エネルギがモータ駆動システムに伝送される。
【0049】
モータ駆動システムは、コンデンサC1を含み得る。コンデンサC1の一端はスイッチK3に接続され、そして、他端はスイッチK4に接続されており、電源によって出力される電気エネルギをフィルタリングする。モータ駆動システムは、さらに、コンデンサC2を含み得る。コンデンサC2の一端はスイッチK1に接続され、そして、他端はスイッチK4に接続されており、モータ駆動システムによって出力される電気エネルギをフィルタリングする。
【0050】
モータ駆動システムは、制御モジュール12を含み得る。制御モジュール12は、制御装置を含んでよい。代替的に、制御モジュール12は、1つ以上のコントローラを含んでいる。制御モジュール12は、各ブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができる。電源によって供給される電圧がパワーバッテリの充電電圧よりも低いときに、制御モジュール12は、モータの巻線およびブリッジアームがブースト回路を形成するように、1つまたは2つのブリッジアームのメインスイッチを制御することができる。例えば、
図1に示されるように、電源は、複数のブリッジアームのうちブリッジアーム11Bにおける第1スイッチの第2端部に結合されており、そして、制御モジュール12は、複数のブリッジアームのうちブリッジアーム11B以外のブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11Aおよびブリッジアーム11C内のメインスイッチを制御することができ、または、ブリッジアーム11A内のメインスイッチを制御することができ、もしくは、ブリッジアーム11Cを制御することができる。
【0051】
別の例について、電源は、複数のブリッジアームのうちブリッジアーム11Aの第1スイッチの第2端部に結合されており、そして、制御モジュール12は、複数のブリッジアームのうちブリッジアーム11A以外のブリッジアームのメインスイッチを制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11Bおよびブリッジアーム11C内のメインスイッチを制御することができ、または、ブリッジアーム11B内のメインスイッチを制御することができ、もしくは、ブリッジアーム11C内のメインスイッチを制御することができる。
【0052】
制御モジュール12は、モータ内の巻線およびブリッジアームがブースト回路を形成するように、複数のブリッジアームのうち、ブリッジアーム中間点において電源の第1電極に結合されたブリッジアーム(すなわち、第1ブリッジアーム)以外の、1つ以上のブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができることが分かる。形成されたブースト回路は、電源によって供給される電圧をブーストし、そして、パワーバッテリを充電するために、ブーストされた電気エネルギをパワーバッテリに伝送することができる。
【0053】
制御モジュール12は、各ブリッジアーム内の各スイッチを制御し、そして、各スイッチを駆動するために、パルス幅変調(pulse width modulation、PWM)を通じて駆動信号を生成することができる。任意のスイッチに対して、第1レベルの駆動信号が、ターンオン状態になるように、スイッチを駆動するために使用されてよく、そして、第2レベルの駆動信号が、ターンオフ状態になるように、スイッチを駆動するために使用されてよい。任意的に、第1レベルは高レベルであってよく、かつ、第2レベルは低レベルであってよい。
【0054】
制御モジュール12は、モータのロータ位置角度を取得することができる。モータ駆動システムが電気自動車について使用されるときに、制御モジュール12は、電気自動車が駐車された後のモータのロータ位置角度を取得することができる。
【0055】
一般的に、車両が停止状態または駐車状態にあるときに、車両の車両制御ユニット(vehicle control unit、VCU)は、トルク停止命令またはゼロトルク命令を配信することができる。制御モジュール12は、VCUによって配信された停止命令に従って、車両が停止状態にあると決定し得る。車両が停止状態にあるときに、VCUは、さらに、駐車命令、例えば、Pギヤロック命令、または、電気駐車ブレーキ(electric park brake、EPB)ロック命令を配信することができる。車両が走行状態にあるときに、VCUは、一般的に、制御モジュール12がモータを制御するように、制御モジュール12に対してトルク命令を送信する。
【0056】
制御モジュール12は、モータのロータ位置角度を取得し、そして、位置角度に対応する制御方式で、モータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができ、電源がパワーバッテリを充電することを可能にする。
【0057】
場合によっては、車両が駐車していると判定した後で、制御モジュール12は、モータのロータ位置角度を取得し、そして、モータのロータ位置角度に対応する制御方式でモータを制御することができる。代替的に、制御モジュール12は、電源がパワーバッテリを充電するプロセスにおいて、複数回にわたりモータのロータ位置角度を取得し、そして、モータの取得されたロータ位置角度に対応する制御方式でモータを制御することができ、制御方式間の切り替えを実行する。
【0058】
ロータ位置角度に対応する制御方式は、位置角度セットと制御方式との間の事前に設定(preset)された関係に基づいて、決定されてよい。例えば、制御モジュール12は、位置角度セットと制御方式との間の関係を事前に取得(pre-obtain)し、または、保管することができる。制御モジュール12は、位置角度セットと制御方式との間の関係に基づいて、取得されたロータ位置角度が属する位置角度セットに対応する制御方式を、取得されたロータ位置角度に対応する制御方式として決定し得る。一般的に、各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含んでいる。
【0059】
以下では、先ず、制御モジュール12によって使用され得る制御方式を説明する。本出願の実施形態における制御プロセスの理解を容易にするために、以下では、制御モジュール12が各ブリッジアーム内のメインスイッチを制御するプロセスを説明するために、電源の第2電極がパワーバッテリの第1電極(例えば、パワーバッテリ11のアノード)に結合され得る、すなわち、各ブリッジアーム内のメインスイッチが第1スイッチである、一つの例を使用する。
【0060】
制御モジュール12は、第1ブリッジアームを除く複数のブリッジアーム内のメインスイッチを、複数の制御方式で制御することができる。例えば、制御モジュール12は、第1ブリッジアームを除く複数のブリッジアーム内のメインスイッチを、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、または、直列制御方式で制御することができる。
【0061】
一つの例において、制御モジュール12は、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の任意の2つのブリッジアーム内のメインスイッチを、並列同相制御方式で制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11AのスイッチT1、および、ブリッジアーム11CのスイッチT5を制御することができる。
【0062】
制御モジュール12は、スイッチT1およびスイッチT5を、並列同相制御方式で、周期的にターンオン状態になるように制御することができる。加えて、制御モジュール12は、スイッチT1およびスイッチT5を、同じ開始時刻(start moment)にターンオン状態になるように、そして、スイッチT1およびスイッチT5を、同じ終了時刻(end moment)にターンオン状態になるように制御することができる。
図3に示されるように、制御モジュール12は、スイッチT1の駆動信号Sg1およびスイッチT5の駆動信号Sg5を、別々に生成してよい。駆動信号Sg1のハイレベルの開始時刻、および、駆動信号Sg5のハイレベルの開始時刻は、同じである。駆動信号Sg1のハイレベルの終了時刻、および、駆動信号Sg5のハイレベルの終了時刻は、同じである。制御モジュール12は、スイッチT2およびスイッチT6をターンオフ状態に制御することができ、例えば、スイッチT2およびスイッチT6の駆動信号を生成しないか、または、スイッチT2およびスイッチT5のローレベルの駆動信号を生成することができる。
【0063】
図4を参照する。スイッチT1およびスイッチT5がターンオン状態にあるときに、電源が電気エネルギを供給するループ内の電流の方向が、
図4の破線によって示されている。ブリッジアーム11Aに対応する第1巻線S1およびブリッジアーム11Cに対応する第3巻線S3の両方は、エネルギ蓄積状態(energy storage state)にある。電源とブリッジアーム11Bとの間の電流は、I
W=I
u+I
vである。I
Wは、W相巻線(すなわち、巻線S3)の電流であり、I
uは、U相巻線(すなわち、巻線S1)の電流であり、そして、I
vは、V相巻線(すなわち、巻線S2)における電流である。スイッチT1およびスイッチT5は、同じターンオン持続時間を有しており、すなわち、スイッチT1の駆動信号Sg1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sg5のデューティサイクルと同じである。従って、I
vに対するI
uの比は、1:1であり、すなわち、I
uは、I
vに等しい。
【0064】
図5を参照する。スイッチT1およびスイッチT5がターンオフ状態にあるときに、パワーバッテリの充電ループ内の電流の方向が、
図5の破線によって示されている。第1巻線S1、第2巻線S2、および電源は、一緒にパワーバッテリを充電する。第1巻線S1に蓄積された電気エネルギは、ブリッジアーム11A内のスイッチT2のダイオードを使用することによって、リリースされ得る。第3巻線S3に蓄積された(stored)電気エネルギは、ブリッジアーム11C内のスイッチT6のダイオードを使用することによって、リリースされ得る。代替的に、制御モジュール12は、スイッチT2およびスイッチT6をターンオン状態になるように制御することができ、その結果、第1巻線S1に蓄積された電気エネルギが、スイッチT2を使用することによってリリースされ、そして、第3巻線S3に蓄積された電気エネルギが、スイッチT6を使用することによってリリースされる。
図3は、スイッチT2の駆動信号Sg2、および、スイッチT6の駆動信号Sg6を示している。スイッチT2およびスイッチT6は、同じ開始時刻および同じ終了時刻においてターンオン状態にある。各ブリッジアームにおいて、第1スイッチの駆動信号と第2スイッチの駆動信号との間には、相補的な関係が存在し得る。
【0065】
別の例において、制御モジュール12は、並列インターリーブ制御方式で、複数のブリッジアームのうち任意の2つのブリッジアーム内のメインスイッチを制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11AのスイッチT1、および、ブリッジアーム11CのスイッチT5を制御することができる。
【0066】
制御モジュール12は、並列インターリーブ制御方式で、スイッチT1およびスイッチT5を、異なるターンオン開始時刻または異なるターンオン終了時刻、もしくは、異なるターンオン開始時刻および異なるターンオン終了時刻において、周期的にターンオン状態になるように制御することができる。
【0067】
図6に示されるように、制御モジュール12は、スイッチT1の駆動信号Sh1およびスイッチT5の駆動信号Sh5を、別々に生成し得る。
図6における(a)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻とは異なり、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻と同じであってよい。
【0068】
代替的に、
図6における(b)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻と同じであってよく、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻と異なっている。
【0069】
代替的に、
図6における(c)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻と異なり、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、また、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻とも異なっている。駆動信号Sh1のハイレベルに対応する期間は、駆動信号Sh5のハイレベルに対応する期間とオーバーラップしない。
【0070】
代替的に、
図6における(d)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻と異なり、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、また、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻と異もなっている。駆動信号Sh1のハイレベルに対応する期間は、駆動信号Sh5のハイレベルに対応する期間と一部がオーバーラップしている。
【0071】
代替的に、
図6における(e)に示されるように、駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻は、駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻と異なり、そして、駆動信号Sh1のハイレベルの終了時刻は、また、駆動信号Sh5のハイレベルの終了時刻とも異なっている。スイッチT1およびスイッチT5において、一方のスイッチの駆動信号のハイレベルに対応する期間は、他方のスイッチの駆動信号のハイレベルに対応する期間内に収まり得る。例えば、駆動信号Sh1のハイレベルに対応する期間は、駆動信号Sh5のハイレベルに対応する期間内にある。具体的には、スイッチT1がターンオン状態にあるとき、スイッチT5も、また、ターンオン状態にあるが、スイッチT1がターンオン状態からターンオフ状態に変化した後の期間に、スイッチT5は、依然として、ターンオン状態にある。
【0072】
制御モジュール12は、スイッチT1の駆動信号Sh1、とスイッチT5の駆動信号Sh5との間の位相差(差異)、および、デューティサイクルを調整することによって、スイッチT1の駆動信号Sh1のハイレベルの開始時刻および終了時刻、並びに、スイッチT5の駆動信号Sh5のハイレベルの開始時刻および終了時刻を調整することができる。
【0073】
制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式を使用し、かつ、スイッチT1およびスイッチT5の両方がターンオン状態にあるときに、電源が電気エネルギを供給するループ内の電流の方向が、
図4の破線によって示されている。ブリッジアーム11Aに対応する第1巻線S1、および、ブリッジアーム11Cに対応する第3巻線
S3の両方は、エネルギ蓄積状態にある。電源とブリッジアーム11Bとの間の電流は、I
W=I
u+I
vである。I
vに対するI
uの比は、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルに対するスイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルとの比である。
【0074】
スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルに対するスイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルの比は、スイッチT5のターンオン持続時間に対するスイッチT1のターンオン持続時間の比に等しい。スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルがスイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じである場合に、スイッチT1のターンオン持続時間は、スイッチT5のターンオン持続時間と同じである。
【0075】
さらに別の例において、制御モジュール12は、複数のブリッジアームのうちいずれか1つのブリッジアーム内のメインスイッチを直列制御方式で制御することができる。例えば、制御モジュール12は、ブリッジアーム11A内のスイッチT1を制御することができる。制御モジュール12は、直列制御方式で周期的にターンオン状態になるようにスイッチT1を制御し得る。代替的に、制御モジュール12は、スイッチT1とスイッチT2とが交互にオンになるように制御する。
図7に示されるように、制御モジュール12は、プリセット(preset)されたデューティサイクルに基づいて、スイッチT1の駆動信号Sk1を生成し得る。他のスイッチは全て、ターンオフ状態にある。例えば、スイッチT2の駆動信号Sk2、スイッチT3の駆動信号Sk3、スイッチT4の駆動信号Sk4、スイッチT5の駆動信号Sk5、およびスイッチT6の駆動信号Sk6は、全てローレベルである。別の例では、スイッチT2からT6までには、駆動信号が送られない。
【0076】
図8に示されるように、スイッチT1がターンオン状態にあるときに、電源が電気エネルギを供給するループ内の電流の方向が、
図7の破線によって示されている。この場合に、第1巻線S1は、エネルギ蓄積状態にあり、そして、電源とブリッジアーム11Bとの間の電流はI
W=I
uである。
図9に示されるように、スイッチT1がターンオフのオープン状態にあるときに、パワーバッテリの充電ループ内の電流が、
図10の破線によって示されている。第1巻線S1および電源は、共にパワーバッテリを充電する。
【0077】
上記の説明から、制御モジュール12は、複数の制御方式を使用することができ、モータ内の巻線を再利用することによって、電源によって供給される電圧に対してブースト処理を実行し、そして、パワーバッテリを充電するために、ブーストされた電気エネルギをパワーバッテリに供給することが分かる。
【0078】
一般的に、駐車した後、モータの異なるロータ位置角度において、制御モジュール12は、異なる制御方式でブリッジアームを制御することができ、その結果、異なるモータ性能改善効果が達成される。
【0079】
以下では、先ず、位置角度セットと制御方式との間の前述の関係について説明する。制御モジュール12は、位置角度セットと制御方式との間の関係を予め取得し得る。代替的に、制御モジュール12は、設定された位置角度と制御方式との間の関係を保管し得る。位置角度セットと制御方式との間の関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応関係、例えば、複数の位置角度セットと、前述の少なくとも2つの制御方式との間の対応関係を含んでよく、または、複数の位置角度セットと、前述の3つの制御方式との間の対応関係を含んでよい。各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含み得る。
【0080】
本出願の説明において、「第1(“first”)」および「第2(“second”)」といった用語は、単に説明のために区別する目的で使用されているに過ぎず、そして、相対的な重要性を示し、または、暗示するものとして、もしくは、シーケンスを示し、または、暗示するものとして解釈されるべきではないことが理解されるべきである。いくつかの例において、複数の位置角度セットは、少なくとも第1位置角度セットおよび第2位置角度セットを含み得る。第1位置角度セットに対応する制御方式は、第1制御方式である。第2位置角度セットに対応する制御方式は、第2制御方式であってよい。第1制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、または、直列制御方式であり得る。第2制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、または、直列制御方式であり得る。第1制御方式と第2制御方式とは、異なる制御方式である。制御モジュール12によって取得されたロータ位置角度が異なる位置角度セットに属する場合に、ロータ位置角度は異なる制御方式に対応してよく、そして、制御モジュールは異なる制御方式でブリッジアームを制御し得ることが分かる。
【0081】
いくつかの他の例において、複数の位置角度セットは、さらに、第3位置角度セットを含んでよく、そして、第3位置角度セットに対応する制御方式は、第3制御方式である。第3制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、または、直列制御方式であり得る。制御モジュール12によって取得されたロータ位置角度が異なる位置角度セットに属する場合に、ロータ位置角度は、異なる制御方式または同じ制御方式に対応し得る。例えば、第1位置角度セットは第1制御方式に対応し、第2位置角度セットは第2制御方式に対応し、そして、第3位置角度セットは第1制御方式に対応して得る。ロータ位置角度が属するセットが第1位置角度セットまたは第3位置角度セットである場合に、ロータ位置角度に対応する全ての制御方式は、第1制御方式である。
【0082】
本出願の実施形態においては、2つ、3つ、4つ、または、それ以上の位置角度セットが存在し得る。複数の位置角度セットの数は、実際のアプリケーションシナリオに基づいて構成されてよい。
【0083】
一つの例において、位置角度セットはオーバーラップしなくてよい。別の例において、位置角度セット内のいくつかの要素は、オーバーラップしてよい。例えば、2つの位置角度セットの境界は、小規模でオーバーラップし得る。制御モジュール12は、ヒステリシス制御といった方法で、位置角度セットのオーバーラップ範囲内の位置角度に対応する制御方式を決定し得る。
【0084】
例えば、制御モジュール12によって使用され得るヒステリシス制御方式は、以下のとおりである。以下で説明されるヒステリシス制御方式は、単に説明のための例として使用されるに過ぎず、そして、制御モジュール12によって実行されるアクションに対する特定の限定とは見なされないことが留意されるべきである。このアプリケーションにおいて、制御モジュール12は、代替的に、別のヒステリシス制御方式を使用し得る。
【0085】
位置角度セットAと位置角度セットBとの境界は、小規模にオーバーラップし、そして、オーバーラップしている範囲は、セットcmとして示される。モータのロータ位置角度が、位置角度セットA内に入る(属している)ことから、位置角度セットB内に入ることへ変化するときに、制御モジュール12は、先ず、位置角度セットAに対応する制御方式で、モータ内のブリッジアームを制御し得る。ロータの取得された位置角度がセットcmに属している場合に、制御モジュール12は、位置角度セットBに対応する制御方式で、ブリッジアームを制御する。
【0086】
ロータのモータ位置角度を取得した後で、制御モジュール12は、モータの取得されたロータ位置角度が属している位置角度セット(位置角度セットmとして示される)を決定し得る。次いで、制御モジュール12は、モータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを、位置角度セットmに対応する制御方式で制御することができ、その結果、モータ性能を改善することができる。
【0087】
可能な実装において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、制御モジュール12が、各制御方式でブリッジアーム内のスイッチを制御するときに取得される、モータの損失とロータ位置角度との間の関係に基づいて決定され得る。モータの電磁鋼損失とロータ位置角度との間の関係は、制御モジュール12が、位置角度セット内の任意の位置角度において各制御方式でモータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得されるモータの損失に基づき得る。モータの損失は、モータの熱特性(thermal property)とも称される。以下では、説明のための例として、モータの電磁鋼損失を使用する。
【0088】
図10に示されるように、車両が駐車した後で、制御モジュール12が、モータの異なるロータ位置角度において、前述の3つの異なる制御方式でモータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを別々に制御するときに、モータの熱特性変化(例えば、モータの電磁鋼損失)は変化する。制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じである。この場合、モータのステータベクトル(stator vector)は240度である。制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じである。この場合、モータのステータベクトルは240度である。制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときには、ブリッジアーム11A(U相ブリッジアーム)内のメインスイッチのみが制御される。この場合、モータのステータベクトルは210度である。本明細書では、制御方法を説明するために、U相の0度に基づいて、ステータベクトルおよびロータ位置角度が記述されている。
【0089】
図10から、モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失より明らかに大きいことが分かる。モータのロータ位置角度が30度から60度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は最も大きく、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失はわずかに小さく、そして、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は最も小さい。モータのロータ位置角度が60度から150度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は最小である。モータのロータ位置角度が150度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失に近く、そして、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、より大きい。
【0090】
制御モジュール12が異なる制御方式でブリッジアームを制御するときに、モータの熱特性(電磁鋼損失)の値は、モータのロータ位置角度とともに変化することが分かる。いくつかの位置角度セットにおいて、制御モジュール12は、モータのロータ位置角度が属する位置角度セットに対応する制御方式でブリッジアームを制御してよく、その結果、モータの電磁鋼損失を低減することができる。
【0091】
一つの例において、複数の位置角度セットは、セットm1=[0、30)、セットm2=[30、70)、セットm3=[70、150)、セットm4=[150、210)、セットm5=[210、270)、および、セットm6=[270、360]であってよい。
【0092】
位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットm1に対応する制御方式は、直列制御方式または並列制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。制御モジュール12がモータの第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを直列制御方式で制御する場合に、ブリッジアーム内のスイッチ(半導体デバイス)といったパワーデバイスに高い電流圧力(current pressure)が生じる。電力デバイスの熱応力が高い場合に、セットm1は、一意に並列同相制御方式に対応し得る。モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12は、並列同相制御方式でブリッジアームを制御してよく、その結果、モータの電磁鋼損失を低減することができるだけでなく、ブリッジアーム内の電力デバイスを保護することもできる。
【0093】
位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットm2に対応する制御方式は、並列インターリーブ制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が30度から70度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。セットm3に対応する制御方式は、シリーズ制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が70度から150度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。セットm4に対応する制御方式は、並列同相制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が150度から210度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュールが並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。
【0094】
位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットm5に対応する制御方式は、直列制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が210度から270度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。セットm6に対応する制御方式は、並列同相制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が270度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、最小である。
【0095】
別の例において、モータが水冷式モータまたは油冷式モータであるときの放熱性能を考慮して、位置角度セットと制御方式との間の前述の関係は、複数の位置角度セットおよび2つの制御方式を含む。そうした設計では、制御モジュール12の処理プロシージャを簡略化することができ、そして、本出願の実施形態で提供されるモータ駆動システムをより広く適用することができる。
【0096】
任意的に、位置角度セットと制御方式との間の関係は、さらに、モータの電磁鋼損失閾値と、各制御方式で取得されるモータのロータ位置角度とモータの電磁鋼損失との間の関係とに基づいて決定され得る。
図11における太線出力は、磁性鋼損失閾値を表すことができる。
【0097】
各位置角度セットに対応する制御方式において、モータの電磁鋼損失は、電磁鋼損失閾値より小さい。例えば、複数の位置角度セットは、セットm7=[120)およびセットm8=[120、360]であってよい。磁性鋼損失閾値は、350Wであってよい。セットm7に対応する制御方式は、シリーズ制御方式である。セットm8に対応する制御方式は、直列制御方式または並列同相制御方式である。モータのロータ位置角度が120度か360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失に近い。
【0098】
制御モジュール12が直列制御方式で1つのブリッジアームを制御する場合に、ブリッジアーム内のスイッチ(半導体デバイス)といったパワーデバイスに高い電流圧力が生じる。電力デバイスの熱応力が高い場合に、セットm8は、一意に並列同相制御方式に対応し得る。モータのロータ位置角度が120度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12は、並列同相制御方式でブリッジアームを制御してよく、その結果、モータの電磁鋼損失を低減することができるだけでなく、ブリッジアーム内の電力デバイスを保護することもできる。
【0099】
いくつかのシナリオにおいて、モータの位置角度ロータが属するロータ位置角度セットが、直列制御方式または並列同相制御方式に対応する場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータの電磁鋼損失は、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータ電磁鋼損失に近い。ブリッジアーム内のパワーデバイスの熱応力が高い場合に、制御モジュール12は、好ましくは、並列同相制御方式でブリッジアームを制御し得る。モータ駆動システムがより小さい出力リップル電流を必要とする場合、制御モジュール12は、好ましくは、直列制御方式でブリッジアームを制御し得る。
【0100】
複数の位置角度セットは、少なくとも第1位置角度セットおよび第2位置角度セットを含み得る。第1位置角度セットに対応する制御方式は、並列同相制御方式である。第2位置角度セットに対応する制御方式は、並列インターリーブ制御方式であってよい。任意的に、複数の位置角度セットは、さらに、第3位置角度セットを含んでよく、そして、第3位置角度セットに対応する制御方式は、直列制御方式である。
【0101】
可能な場合において、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じであってよい。この場合、IvはIuに等しく、Ivは0.5IWに等しく、Iuは0.5IWに等しく、そして、モータのステータベクトルは240度である。制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルが調整されてよく、かつ/あるいは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルが調整されてよく、その結果、IWに対するIvの比、および、IWに対するIuの比が、変更され得る。この場合に、モータのステータベクトルが変化し、240°に基づくステータベクトルの調整可能範囲は、±30度、または、ステータベクトルは、210度から270度までの範囲内の値であってよい。並列インターリーブ制御方式において、Iuは0から100%IWまでの範囲内にあり、そして、Ivは100%IWから100%IW-Iuまでの範囲内にある。並列インターリーブ制御方式では、W相電流に対するU相電流の比は、W相電流に対するV相電流の比とは異なり、そして、モータのステータベクトルが変化することが分かる。
【0102】
制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、IWに対するIvの比、および、IWに対するIuの比が変更され、そして、モータのステータベクトルが変更される。モータのトルクは、モータのステータベクトルとモータのロータ位置角度との間の相対角度とともに変化する。制御モジュール12は、モータのロータ位置角度を再取得してよく、例えば、モータのロータ位置角度を再決定し得る。次いで、モータの更新されたロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式で、モータ内の第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが制御される。例えば、モータの更新されたロータ位置角度が属している位置角度セットが第3位置角度セットである場合に、制御モジュール12は、第3位置角度セットに対応する制御方式、例えば、直列制御方式でブリッジアームを制御し得る。任意的に、モータの更新されたロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式が、制御モジュール12によって最後に取得されたモータのロータ位置角度が属している位置角度セットに対応する制御方式と同じである場合に、制御モジュール12は、現在の制御方式を変更しなくてよく、または、現在の制御方式を維持してよい。
【0103】
別の例において、複数の位置角度セットは、セットm9=[360]、セットm10={60}、および、セットm11=(60、60]であり得る。位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットm9に対応する制御方式は、並列同相制御方式である。セットm10に対応する制御方式は、並列インターリーブ制御方式である。セットm11に対応する制御方式は、並列同相制御方式である。任意的に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルが調整されてよく、かつ/あるいは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルが調整されてよく、その結果、IWに対するIvの比、および、IWに対するIuの比が変更される。例えば、Ivは0.8IWであり、Iuは0.2IWである。代替的に、Iu=0.8IW、Iv=0.2IWである。そうした設計においては、電磁鋼損失を変化させるために、ステータとロータとの間の角度を調整することができ、その結果、電磁鋼損失が低減される。
【0104】
前述の例において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、制御モジュールが、位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得されるモータの電磁鋼損失に基づいて決定されることが分かる。そうした設計においては、制御モジュール12が、モータの取得されたロータ位置角度に対応する制御方式でブリッジアームを制御するときに、モータの電磁鋼損失を最小化(または低減)することができ、それにより、モータを再利用することによってパワーバッテリを充電するプロセスにおけるモータ性能を改善している。
【0105】
別の可能な実装において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、制御モジュール12が各位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときのモータのトルクであり得る。別の言葉で言えば、本関係は、制御モジュール12が各制御方式でブリッジアーム内のスイッチを制御するときに取得されるモータのトルクと、ロータ位置角度との間の関係に基づいて決定される。
【0106】
図12は、制御モジュール12が前述の3つの異なる制御方式でブリッジアームを別々に制御するときに得られる、モータのロータ位置角度とモータのトル
クとの間の関係の曲線である。制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sg1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sg5のデューティサイクルと同じである。この場合、モータのステータベクトルは240度である。制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに、スイッチT1の駆動信号Sh1のデューティサイクルは、スイッチT5の駆動信号Sh5のデューティサイクルと同じである。この場合、モータのステータベクトルは240度である。制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときには、ブリッジアーム11A(U相ブリッジアーム)内のメインスイッチのみが制御される。この場合、モータのステータベクトルは210度である。
【0107】
図12から、モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい、ことが分かる。モータのロータ位置角度が30度から110度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式でブリッジアームを制御するか、または、並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。モータのロータ位置角度が110度から210度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。モータのロータ位置角度が210度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列同相制御方式または直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。
【0108】
一つの例において、複数の位置角度セットは、セットma=[0、30)、セットmb=[30、110)、セットmc=[110、210)、および、セットmd=[210、360]であり得る。
【0109】
位置角度セットと制御方式との間の関係において、セットmaに対応している制御方式は、直列制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が0度から30度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは最小である。
【0110】
セットmbに対応している制御方式は、並列インターリーブ制御方式または並列同相制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が30度から110度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは、小さいことがある。任意的に、この場合、制御モジュール12は、モータの電磁鋼損失を最小化することができる制御方式を使用し得る。セットmbは、一意に制御方式に対応してよく、そして、制御モジュール12は、制御方式でブリッジアームを制御し、その結果、モータのトルクが低減され、かつ、モータの電磁鋼損失が低減される。
【0111】
セットmcに対応している制御方式は、シリーズ制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が110度から210度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは最小である。
【0112】
セットmdに対応している制御方式は、並列同相制御方式または並列インターリーブ制御方式であってよい。モータのロータ位置角度が210度から360度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュールが並列同相制御方式または並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。任意的に、この場合、制御モジュール12は、モータの電磁鋼損失を最小化することができる制御方式を使用し得る。セットmdは、一意に制御方式に対応してよく、そして、制御モジュール12は、制御方式でブリッジアームを制御し、その結果、モータのトルクが低減され、かつ、モータの電磁鋼損失が低減される。
【0113】
別の例では、位置角度セットと制御方式との間の関係は、さらに、トルク閾値を参照して決定され得る。本トルク閾値は、電気自動車の制御ギヤがPギヤである場合に要求される安全トルク、及び/又は、EPBによって支援され得る安全トルクに基づいて、決定され得る。トルク閾値は、限界として示されている。
【0114】
3つの制御方式におけるモータのロータ位置角度とモータのトルク(a torque of motor)との関係の曲線において、モータのトルクの最大値はmaxと表されている。リミット(limit)がmax以上である場合に、位置角度セットと制御方式との関係は、制御モジュール12が各制御方式でブリッジアームを制御するときに取得される、モータのトルクとモータのロータ位置角度との関係のみに基づいて決定される。
【0115】
図13において、太線はmax、+limit、および、-limitを示している。limitがmaxより小さい場合に、limitは40であり、maxは80であると仮定される。ロータ位置角度が0度からL1度までのロータ位置角度範囲、L2度からL3度までのロータ位置角度範囲、または、L4度から360度までのロータ位置角度範囲に入る場合、制御モジュール12が各制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクがトルク閾値を超えることが分かる。この場合、制御モジュール12は、任意の制御方式でブリッジアームを制御してよい。
【0116】
ロータ位置角度がL1度から30度までの範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは最小である。モータのロータ位置角度が30度からL2度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュール12が並列インターリーブ制御方式または並列同相制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さいことがある。ロータ位置角度がL3度から210度までの範囲内にある場合に、制御モジュール12が直列制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは最小である。モータのロータ位置角度が210度からL4度までのロータ位置角度範囲内にある場合に、制御モジュールが並列同相制御方式または並列インターリーブ制御方式でブリッジアームを制御するときに得られるモータのトルクは小さい。
【0117】
前述の例において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、制御モジュールが位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するときに取得されるモータのトルクに基づいて決定されることが分かる。そうした設計では、制御モジュール12が、モータの取得されたロータ位置角度に対応する制御方式でブリッジアームを制御するときに、モータのトルクを最小化(または、低減)することができ、それにより、モータを再利用することによって、パワーバッテリを充電するプロセスにおけるモータ性能を改善している。
【0118】
さらに別の可能な実装において、位置角度セットと制御方式との間の関係は、モータの電磁鋼損失とロータ位置角度との間の関係、および、モータのトルクとロータ位置角度との間の関係に基づいて、決定され得る。そうした設計において、制御モジュール12が、モータの取得されたロータ位置角度に対応する制御方式でブリッジアームを制御するときに、モータのトルクを最小化(または、低減)することができ、かつ/あるいは、モータの電磁鋼損失を最小化(または、低減)することができ、それによって、モータ性能を改善する。
【0119】
モータ駆動システムの前述の説明に基づいて、本出願は、車両をさらに提供する。車両は、前述の実施形態において提供されるモータ駆動システムのうちいずれか1つを含み得る。
【0120】
加えて、本出願は、さらに、充電方法を提供する。本方法は、前述の実施形態において提供されるモータ駆動システムのうちいずれか1つに適用され得る。例えば、モータ駆動システムは、複数のブリッジアームおよびモータを含んでいる。複数のブリッジアームそれぞれは、第1スイッチおよび第2スイッチを含み、第1スイッチの第1端部は、パワーバッテリの第1電極に結合され、第1スイッチの第2端部は、第2スイッチの第1端部に結合され、そして、第2スイッチの第2端部は、パワーバッテリの第2電極に結合されている。モータは、複数の巻線を含み、複数の巻線は、複数のブリッジアームと一対一の対応関係にあり、複数の巻線それぞれの第1端部は、共通の終端点に結合され、そして、巻線の第2端部は、対応するブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部に結合されている。複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム内の第1スイッチの第2端部は、電源の第1電極に結合され、そして、電源の第2電極は、パワーバッテリに結合されている。
【0121】
本出願において提供される充電方法は、モータ駆動システム内の制御モジュール12によって実行され得る。
図14に示されるように、充電方法は、以下のステップを含み得る。
【0122】
ステップS101:モータのロータ位置角度を取得する。
【0123】
S102:ロータ位置角度に対応する制御方式で、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームを制御し、電源がパワーバッテリを充電することを可能にする。
【0124】
ロータ位置角度に対応する制御方式は、位置角度セットと制御方式との間のプリセットされた関係に基づいて決定され、位置角度セットと制御方式との間の関係は、異なる位置角度セットと異なる制御方式との間の対応を含み、そして、各位置角度セットは、1つ以上の位置角度を含んでいる。
【0125】
位置角度セットと制御方式との間の関係は、以下のうち少なくとも1つに基づいて決定される。
複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが、位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで制御されるときに取得される、モータのトルク、または、
複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外のブリッジアームが、位置角度セット内の任意の位置角度において異なる制御方式それぞれで制御されるときに取得される、モータの損失、である。
【0126】
可能な実装において、制御方式は、並列同相制御方式、並列インターリーブ制御方式、および、直列制御方式のうち1つを含む。そして、
複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外のブリッジアームを制御するステップは、以下を含む。すなわち、
ロータ位置角度に対応する制御方式が並列同相制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、同じターンオン開始時刻および同じターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御すること、または、
ロータ位置角度に対応する制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻及び/又は異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御すること、または、
ロータ位置角度に対応する制御方式が直列制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち1つのブリッジアーム以外の任意のブリッジアーム内のメインスイッチを周期的にターンオン状態になるように制御すること、である。ここで、
電源の2電極がパワーバッテリの第1電極に結合されている場合に、メインスイッチは第1スイッチであり、もしくは、電源の第2電極がパワーバッテリの第2電極に結合されている場合に、メインスイッチは第2スイッチである。
【0127】
本出願のこの実施形態において、制御モジュール12は、モータの取得されたロータ位置角度に基づいて、対応する制御方式でブリッジアームを制御し、その結果、モータ性能が改善される。例えば、電磁鋼板の損失が低減され、または、モータのトルクが低減される。
【0128】
可能な実施態様において、モータのロータ位置角度に対応する制御方式が並列インターリーブ制御方式である場合に、複数のブリッジアームのうち第1ブリッジアーム以外の2つのブリッジアームのメインスイッチを、異なるターンオン開始時刻及び/又は異なるターンオン終了時刻で周期的にターンオン状態になるように制御するステップは、さらに、2つのブリッジアームに対して別々に結合された巻線の電流比率を変更するように、2つのブリッジアームのうち少なくとも1つのメインスイッチのターンオン持続時間を調整すること、を含む。
【0129】
本出願のこの実施形態において、制御モジュール12は、2つのブリッジアームに対応する巻線内の電流比率を変更するように、2つの制御されるブリッジアーム内の各メインスイッチのターンオン持続時間を調整し、その結果、ステータ磁界の位置が変更され得る。すなわち、ステータベクトルが変更され得る。ステータベクトル変化の範囲は、±30度である。すなわち、ステータベクトルの範囲は240±30度であり得る。
【0130】
パワーバッテリを充電するために、制御モジュール12がモータを制御するプロセスにおいては、ロータ位置角度が、変更され得る。制御モジュール12は、複数回にわたりステップS101およびステップS102の動作を繰り返し得る。
【0131】
可能な実施態様においては、ステップS101を実行する前に、制御モジュール12は、さらに、モータ駆動システムが属している車両が停止状態または駐車状態にあること決定し得る。
【0132】
本出願は、さらに、制御装置を提供する。制御装置は、メモリおよびプロセッサを含み得る。メモリは、コンピュータ命令を保管することができ。プロセッサは、メモリ内のコンピュータ命令を読み出して、前述の実施形態における制御モジュール12の動作を実行し、または、前述の実施形態において提供される充電方法を実行し得る。
【0133】
前述の実施形態の全てまたは一部は、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、または、それらの任意の組合せによって実装され得る。ソフトウェアが実施形態を実装するために使用されるときに、実施形態の全てまたは一部は、コンピュータプログラム製品(例えば、コンピュータ可読記憶製品)の形態で実装され得る。コンピュータ可読記憶製品は、1つ以上のコンピュータ命令を含んでいる。コンピュータプログラム命令がコンピュータにロードされ、かつ、実行されると、本出願の実施形態によるプロシージャまたは機能の全部または一部が生成される。コンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または、別のプログラマブル装置であり得る。コンピュータ命令は、コンピュータ可読記憶媒体に保管されてよく、または、コンピュータ可読記憶媒体から別のコンピュータ可読記憶媒体に送信されてよい。例えば、コンピュータ命令は、有線(例えば、同軸ケーブル、光ファイバ、または、デジタル加入者線(digital subscriber line、DSL)など)、もしくは、無線(例えば、赤外線、無線、及び/又は、マイクロ波など)方式で、ウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから、別のウェブサイト、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに送信されてよい。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータによってアクセス可能な任意の使用可能な媒体、もしくは、1つ以上の使用可能な媒体を統合している、サーバまたはデータセンタといった、データ記憶デバイスであり得る。使用可能な媒体は、磁気媒体(例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、または、磁気テープ)、光媒体、半導体媒体(例えば、ソリッドステートディスク(solid state disk、SSD))など、であり得る。
【0134】
本出願の一つの実施形態は、さらに、前述の実施形態で提供された方法またはアルゴリズムを保管するように構成されている、可読記憶媒体を提供する。例えば、メモリは、ランダムアクセスメモリ(random access memory、RAM)、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(read only memory、ROM)、EPROMメモリ、不揮発性読み出し専用メモリ(Electronic Programmable ROM、EPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、または、当技術分野における任意の他の形態の記憶媒体である。
【0135】
本出願の実施形態において説明される方法またはアルゴリズムのステップは、前述の制御装置または制御モジュール12の中へ直接的に組み込まれてよい。制御装置または制御モジュール12は、RAMメモリ、フラッシュメモリ、ROMメモリ、EPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、または、当技術分野における任意の他の形態の記憶媒体を含むことができ、かつ、本出願の実施形態において提供される方法またはアルゴリズムのステップを保管するように構成されている。例えば、記憶媒体は、制御装置または制御モジュール12に接続されてよく、その結果、制御装置または制御モジュール12は、記憶媒体から情報を読み取り、かつ、記憶媒体に情報を書き込むことができる。任意的に、記憶媒体は、さらに、制御モジュールおよびプロセッサ(または、コントローラ)に統合されてよい。
【0136】
コンピュータプログラム命令は、代替的に、コンピュータまたは別のプログラマブルデータ処理デバイスにロードされてよく、その結果、一連の動作およびステップが、コンピュータまたは別のプログラマブルデバイス上で実行され、コンピュータ実装処理を生成する。従って、コンピュータまたは別のプログラマブルデバイス上で実行される命令は、フローチャートにおける1つ以上のプロセス、及び/又は、ブロック図における1つ以上のブロックの特定の機能を実施するためのステップを提供する。
【0137】
本出願は、その特定の特徴および実施形態を参照して説明されているが、本出願の範囲から逸脱することなく、それらに対して様々な修正および組合せが行われ得ることは明らかである。これに対応して、明細書および添付図面は、添付の特許請求の範囲によって定義される本出願の単なる例示的な説明に過ぎず、そして、本出願の範囲を包含する、任意または全ての修正、変形、組み合わせ、もしくは均等物とみなされる。
【0138】
当業者であれば、本出願の範囲から逸脱することなく、本出願に対して様々な修正および変形を行うことができることは明らかである。このように、本出願は、本出願の特許請求の範囲、および、それらの等価な技術の範囲内にある場合に、本出願のこれらの修正および変形を包含することが意図されている。
【国際調査報告】