(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】産業廃棄物及びCa/Mg含有岩石からの電気化学的Ca(OH)2及び/またはMg(OH)2の製造
(51)【国際特許分類】
C25B 1/01 20210101AFI20241024BHJP
C25B 1/20 20060101ALI20241024BHJP
C25B 9/00 20210101ALI20241024BHJP
C25B 11/052 20210101ALI20241024BHJP
C25B 11/065 20210101ALI20241024BHJP
C25B 11/067 20210101ALI20241024BHJP
C25B 11/034 20210101ALI20241024BHJP
【FI】
C25B1/01 C
C25B1/20
C25B9/00 J
C25B11/052
C25B11/065
C25B11/067
C25B11/034
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523662
(86)(22)【出願日】2022-10-24
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022047585
(87)【国際公開番号】W WO2023069777
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506115514
【氏名又は名称】ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア
【氏名又は名称原語表記】The Regents of the University of California
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】サント, ガウラブ
(72)【発明者】
【氏名】チェン, シン
(72)【発明者】
【氏名】アーノルド, ロス アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】シモネッティ, ダンテ アダム
(72)【発明者】
【氏名】カスターノ, サラ バエホ
(72)【発明者】
【氏名】プレンティス, デール フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ジャスビー, デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】トレイナー, トーマス
【テーマコード(参考)】
4K011
4K021
【Fターム(参考)】
4K011AA69
4K011BA12
4K011DA07
4K021AB03
4K021AB19
4K021BA05
4K021DB06
4K021DB40
(57)【要約】
産業廃棄物またはアルカリ岩石から金属水酸化物を調製する方法が提供される。この方法は、溶媒と固体基質を含む混合物を刺激に供することにより、固体基質から溶媒に金属カチオンを浸出させ、それによって溶媒中に金属カチオンを含む溶液を形成すること、及び、金属カチオンを含む溶液を陰極と接触させ、それによって溶液から金属水酸化物を電解沈殿させることを含む。当該刺激は、化学的、機械的、またはその両方であり得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属水酸化物を調製する方法であって、前記方法は、
溶媒と固体基質を含む混合物を刺激に供することにより、前記固体基質から前記溶媒に金属カチオンを浸出させ、それによって前記溶媒中に前記金属カチオンを含む溶液を形成することと、
前記金属カチオンを含む前記溶液を陰極と接触させ、それによって前記溶液から前記金属水酸化物を電解沈殿させることと、を含み、
前記刺激は、化学的刺激、機械的刺激、またはその両方である、前記方法。
【請求項2】
前記化学的刺激が酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記酸が、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ホウ酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、酢酸、アセチルサリチル酸、炭酸、クエン酸、及びそれらの組み合わせ、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、塩酸、硝酸、過塩素酸、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記溶媒が、6未満のpHを有する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記溶媒が、0~約3のpHを有する、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記金属水酸化物を電解沈殿させることにより前記酸が再生される、請求項2~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記機械的刺激が、音波処理である、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記音波処理が、ホーン、プローブ、またはプレートを介して適用される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記音波処理の周波数範囲が、約2Hz~約2MHzの範囲である、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、水である、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記溶媒が、塩を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記塩が、硝酸塩、塩化物、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化物、フッ化物、ホウ酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、それらの任意の組み合わせ、好ましくは硝酸塩、塩化物、過塩素酸塩、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
沈殿した前記金属水酸化物が、二価金属水酸化物である、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
二価金属カチオンが、Ba(II)、Ca(II)、Cd(II)、Co(II)、Cu(II)、Fe(II)、Mg(II)、Mn(II)、Mo(II)、Ni(II)、Sr(II)、Zn(II)、Zr(II)、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記二価金属カチオンが、Ca(II)、Mg(II)、またはそれらの組み合わせである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記二価金属カチオンが、Ca(II)である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記金属カチオンを含む前記溶液を濃縮し、それによって前記溶液中の前記金属カチオンの濃度を高めることをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記溶液を濃縮することが、逆浸透(RO)、ナノ濾過(NF)、または電気分離を使用することによって達成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記方法が、約100℃以下の温度で実施される、請求項1~18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記固体基質が、産業廃棄物、アルカリ岩石、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記産業廃棄物が、スラグ、フライアッシュ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記陰極が、電気活性表面を含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記電気活性表面が、金属組成物、非金属組成物、またはそれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記電気活性表面が、ステンレス鋼、酸化チタン、カーボンナノチューブ、1種以上のポリマー、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記電気活性表面が、ステンレス鋼を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記電気活性表面が、約0.1nm~約10000μmの範囲の直径を有する細孔を含む電気活性メッシュを含む、請求項22~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記陰極が、回転盤型陰極である、請求項1~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記陰極の表面から1種以上の水酸化物固体を除去することをさらに含む、請求項1~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記陰極の表面から前記1種以上の水酸化物固体を除去することが、前記陰極の表面を削ることを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記陰極の表面から前記1種以上の水酸化物固体を除去することが、スクレーパーを越えて前記回転盤型陰極を回転させることを含む、請求項29に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月22日に出願された米国仮出願第63/271,059号の優先権の利益を主張するものであり、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
政府支援に関する記述
本発明は、エネルギー省から授与された認可番号DE-FE0031705に基づく政府の支援により行われた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
Ca(OH)2(ポルトランダイト)は、コンクリートの炭酸化処理における原料としてだけでなく、従来のケイ酸塩セメント製造における「CO2フリー」原料としても使用できる。しかし、ポルトランダイトの製造は、石灰岩の熱分解と水和によって工業規模で達成され、その結果、1トンのCa(OH)2あたり0.75トン超のCO2が製造される。1同様に、従来のブルーサイト(Mg(OH)2)の製造は、MgCO3をMgOとCO2に分解する必要がある。したがって、ポルトランダイトとブルーサイトの両方の製造には大量のエネルギーが必要であり、大量のCO2排出の一因となる。したがって、Ca(OH)2及びMg(OH)2などの金属水酸化物を製造するための、よりエネルギー効率の高いプロセスが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示は、産業廃棄物または岩石などの固体基質から水酸化物固体を製造する方法に関する。いくつかの実施形態では、本開示は、金属水酸化物を調製する方法を提供し、この方法は、
溶媒と固体基質を含む混合物を刺激に供することにより、固体基質から溶媒に金属カチオンを浸出させ、それによって溶媒中に金属カチオンを含む溶液を形成することと、
金属カチオンを含む溶液を陰極と接触させ、それによって溶液から金属水酸化物を電解沈殿させることと、を含み、
刺激は、化学的刺激、機械的刺激、またはその両方である。
【0005】
いくつかの実施形態では、化学的刺激は、酸である。例えば、酸は、HNO3、HCl、またはHClO4、またはそれらの組み合わせであり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は、6未満のpHを有する。好ましい実施形態では、溶媒は、約0~約3のpHを有する。いくつかの実施形態では、金属水酸化物を電解沈殿させる工程により、酸が再生される。
【0006】
いくつかの実施形態では、機械的刺激は、音波処理である。より具体的な実施形態では、音波処理は、音波ホーン、音波プローブ、または音波プレートによって適用される。音波処理の周波数は、約2Hz~約2MHzの範囲であり得る。
【0007】
好ましい実施形態では、溶媒は、水である。
【0008】
いくつかの実施形態では、溶媒は、NO3、NaCl、NaClO4、またはそれらの任意の組み合わせなどの塩を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、金属カチオンは、Ba(II)、Ca(II)、Cd(II)、Co(II)、Cu(II)、Fe(II)、Mg(II)、Mn(II)、Mo(II)、Ni(II)、Sr(II)、Zn(II)、Zr(II)、またはそれらの任意の組み合わせなどの二価金属カチオンである。より好ましい実施形態では、二価金属カチオンは、Ca(II)、Mg(II)、またはそれらの組み合わせである。好ましくは、二価金属カチオンは、Ca(II)である。
【0010】
いくつかの実施形態では、方法は、金属カチオンを含む溶液を濃縮し、それによって金属カチオンの濃度を高めることをさらに含む。いくつかの実施形態では、溶液を濃縮することは、逆浸透(RO)、ナノ濾過(NF)、電気分離、またはそれらの組み合わせを使用して達成される。
【0011】
特定の実施形態では、方法は、約100℃以下の温度で実行される。
【0012】
いくつかの実施形態では、固体基質は産業廃棄物、アルカリ岩石、またはそれらの組み合わせを含む。特定の実施形態では、産業廃棄物は、スラグ、フライアッシュ、またはそれらの組み合わせを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、表面は、金属組成物、非金属組成物、または金属組成物及び非金属組成物のハイブリッドを含む。より具体的には、電気活性表面は、ステンレス鋼、酸化チタン、カーボンナノチューブ、1種以上のポリマー、グラファイト、またはそれらの組み合わせを含む。好ましい実施形態では、メッシュ陰極はステンレス鋼を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、電気活性表面は、約0.11nm~約10000μmの範囲の直径を有する細孔を含むメッシュを含む。
【0015】
特定の実施形態では、陰極は、回転盤型陰極である。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、陰極の表面から1種以上の水酸化物固体を除去することをさらに含む。より特定の実施形態では、陰極の表面から1種以上の水酸化物固体を除去することは、陰極の表面を削ることを含む。さらにより特定の実施形態では、陰極の表面から1種以上の水酸化物固体を除去することは、スクレーパーを越えて回転盤型陰極を回転させることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】産業廃棄物及びCa含有岩石からの電解Ca(OH)
2またはMg(OH)
2の製造の概略図である。音波刺激は、酸処理の有無にかかわらず、Ca/Mg抽出に直接影響を与え、制御するために使用され、Ca(OH)
2及び/またはMg(OH)
2の沈殿は、逆浸透(RO)及び/またはナノ濾過(NF)及び電解プロセスによって達成することができる。
【
図2】水素発生過電圧に対する陰極表面pHを示すグラフであり、Ca(OH)
2及び/またはMg(OH)
2の優先的な表面沈殿が達成できることを示している。挿入図は、100mM NaNO
3+100mM Ca(NO
3)
2溶液を電解して陰極(ステンレススチールメッシュ)表面に沈殿したCa(OH)
2結晶を示している。
【
図3】
図1の提案スキームに従って金属水酸化物(例えば、Ca(OH)
2またはMg(OH)
2)を製造するための多室電解反応器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本開示は、産業廃棄物源及びアルカリ岩石から水酸化カルシウム及び水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を製造する方法を提供する。
【0019】
産業アルカリ廃棄物及び豊富な鉱物種は、アルカリ土類金属(例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム)及び/または遷移金属(例えば、コバルト、カドミウム、ニッケル、銅、白金、金、銀)などの貴重な金属元素を大量に含む前駆物質である。しかしながら、これらの前駆物質が1つの要素のみを持つことはまれである。例えば、鉄鋼スラグやフライアッシュには、カルシウム、鉄、マグネシウムが多量に含まれ得る。これらの前駆物質(例えば、鉄鋼スラグ及び/またはフライアッシュ)から浸出した水溶液には、溶液中にいくつかの金属種や半金属種が含まれ得る。それぞれの種には、様々な用途に有用な1つ以上の金属が含まれ得ることから、それぞれの種を高純度で順次除去することが望ましい。本開示は、音波刺激、酸溶解、及び必要に応じて膜濾過を組み合わせて、前駆物質固体から金属を浸出させ、その後に電解沈殿工程を行って金属水酸化物を得るシステム及びプロセスを提供する。いくつかの実施形態では、金属水酸化物は、Ba(II)、Ca(II)、Cd(II)、Co(II)、Cu(II)、Fe(II)、Mg(II)、Mn(II)、Mo(II)、Ni(II)、Sr(II)、Zn(II)、Zr(II)、またはそれらの任意の組み合わせなどの水酸化物である。より具体的な実施形態では、金属水酸化物は、Ca(II)、Mg(II)、またはその両方の水酸化物である。好ましくは、金属水酸化物は、水酸化カルシウムである。本明細書に開示された方法は、固体基質と溶媒を含む混合物の酸刺激とともに音波刺激を有利に使用して二価金属カチオンを溶液に抽出し、続いて電解して金属水酸化物を溶液から沈殿させる。
【0020】
図1は、本発明の特定の実施形態によるプロセスを示す概略図である。入口101は、刺激浸出のために溶媒及び固体前駆物質を、浸出タンク102に導入することを可能にする。音波処理は、音波処理装置105(音波処理プローブ、プレート、ホーンなど)を介して浸出タンクに適用することができる。刺激浸出タンクは、バッチ式、半バッチ式、連続撹拌タンク反応器、またはプラグフロー反応器であり得る。タンクからの浸出液は、濃縮リアクター103に導入され、得られた保持液は電解タンク104に供給され、透過液は浸出タンクに戻される。再生された酸は、電解タンクから浸出タンク102に流れ戻り得る。
【0021】
その後、Ca及び/またはMgが豊富な溶液(例えば、RO/NFプロセスからの保持液)をアルカリ化することにより、電解Ca(OH)
2及び/またはMg(OH)
2の沈殿及び製造プロセスが実現することができる。Ca(OH)
2及び/またはMg(OH)
2の沈殿の実現可能性は、陰極表面のpHのシミュレーションによって実証されている(
図2Aに表示)。地球化学シミュレーションと組み合わせた予備的な電解実験は、表面の高pH領域(すなわち、pH>12.5、
図2A及び挿入図)でCa(OH)
2及び/またはMg(OH)
2の優先的な沈殿が得られることを示している。
2
【0022】
図3に示すように、電解反応器の概略
図300は、電解プロセスにおけるCa(OH)
2及び/またはMg(OH)
2の形成を概念化するために図示されている。反応器は、アルカリと酸を製造するために、回転盤型/ドラム型陰極307(例えば、ステンレス鋼表面またはメッシュ)を有し、アノード309(例えば、Ptコーティングされたチタン、混合金属酸化物)が結合された電解反応器タンク301を含む。回転盤型陰極307は、シャフト303を中心に回転する。反応器は、陽極液を陰極液から分離するために使用される、多孔質(または半多孔質)隔壁308をさらに含む。多孔質隔壁には、アスベスト、セルロース、ポリ塩化ビニル、有機ゴム、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、イオン交換膜、濾過膜、及びその他の適切な材料、またはそれらの組み合わせが含まれ得る。多孔質隔壁は、以下の目的で陰極液と陽極液とを分離する:(1)陽極液と陰極液間の中和反応を最小限に抑え、Ca(OH)
2の沈殿に必要な安定した陰極pHをもたらす、(2)反応器のエネルギー効率を高める、及び(3)ガス流(H
2及びO
2)の回収を容易にする。H2出口314及びO
2出口313も示されている。反応器には陰極液及び陽極液が含まれており、それぞれアルカリ度と水素、酸と酸素(及び場合によっては他のガス)が製造される。陰極液は、陰極の周囲を流れるように、または陰極を通って流れるように構成された、負極を有する電解質であり得る。陽極液は、陽極の周りを流れるように、または陽極を通って流れるように構成された、正極を有する電解質であり得る。陰極は、Ca(OH)
2/Mg(OH)
2を除去するために、スクレーパー310(例えば、金属ブラシ、ブレード、または高圧ノズル)を通過するように回転する、またはそれを介して回転され得、それにより、回転盤がタンクに回転して戻る際に、その後の水酸化物製造のために陰極を再生する。他の実施形態では、水酸化物固体は、濾過によって陰極液から除去され得る。その後、陽極液は陽極液ループ315を介して浸出タンク312に循環され、製造された酸は、Ca/Mg含有アルカリ性前駆物質を溶解してpHを中性に保つために消費される。反応器300には、濃縮装置304も含まれる。陰極液は、陰極液ループ305を介して浸出液及び濃縮装置に循環される。浸出タンクからの浸出液は、浸出液出口317を介して濃縮装置に導入され、ここで透過液は、透過液出口311を介して浸出タンクに戻り、一方、残留液は、残留液出口316を介して反応タンク305に戻る。浸出タンク312には、さらに音波処理装置318(音波プローブ、音波プレート、音波ホーンなど)が含まれ得る。
【0023】
電解工程のエネルギー消費量は、79%の効率で稼働する最新の商用に近い電解装置に基づいて推定が可能することができる(つまり、化学量論的水素発生反応(HER)の熱力学的需要が39.4kWh/kgであると仮定して、1kgのH2を製造するのに50kWhの電力)。3電解工程のエネルギー需要は、電解装置への流入中の二価カチオン(複数可)の濃度、印加電位、陽極と陰極のpH差、及びファラデー効率などの要因に応じて、熱力学的最小値の1.35MWh/トン~約10MWh/トンまで変化し得る。したがって、電解工程は、プロセスの中で最もエネルギーを消費する工程である。上記の最低エネルギー強度値は、あらゆる電源(例えば、石炭、天然ガス)において、従来のCa(OH)2/Mg(OH)2製造よりも、1トンのCa(OH)2またはMg(OH)2あたりの減少したCO2を製造し、一方、最高エネルギー強度値は、再生可能電源(例えば、風力、太陽光)において、従来のCa(OH)2/Mg(OH)2製造よりも、1トンのCa(OH)2/Mg(OH)2あたりの減少したCO2を製造する。さらに、このプロセスでは製造される1トンのCa(OH)2/Mg(OH)2あたり20~40kgのH2が製造され、0.6~1.3MWhの貯蔵エネルギーを提供する。
【0024】
本発明の方法は、比較的低温で有利に実施され得る。例えば、温度は、100℃以下、例えば、約20~約100℃、約25~100℃、約30~100℃、約40~100℃、約50~100℃、約60~100℃、約70~100℃、約80~100℃、約90~100℃、またはそれらの間の任意の範囲であり得る。
【0025】
回転盤型陰極を含む実施形態では、水酸化物固体の沈殿を誘導することは、吸引を適用して、メッシュの外面上に溶液を引き込みながら、溶液中の電気活性メッシュからなる円筒を回転させることを含む。
【0026】
様々な実施形態では、刺激溶解反応器は、混合物に音波エネルギーを適用し、それによって溶解を増加させる。音波刺激は、従来の粉砕や浸出に比べて、迅速、低エネルギー、添加物を使用しない方法を提供する。様々な実施形態では、刺激溶解反応器は、超音波刺激を実行する。超音波刺激は、本明細書において、超音波処理、音波刺激、または超音波摂動とも称される。様々な実施形態では、刺激溶解反応器は、メガソニック刺激を実行する。様々な実施形態では、カルシウム及び/または他の金属は、酸性媒体中で超音波(20~500kHz)またはメガソニック(>500kHz)周波数での音波刺激を介して固体基質から抽出される。
【0027】
好ましい実施形態では、溶媒は、水である。いくつかの実施形態では、化学刺的激は、鉱酸または有機酸などの酸である。いくつかの実施形態では、酸は、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、ホウ酸、リン酸、硝酸、過塩素酸、硫酸、酢酸、アセチルサリチル酸、炭酸、クエン酸、及びそれらの組み合わせである。好ましくは、酸は、HNO3、HCl、もしくはHClO4、またはそれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、溶媒中の酸の濃度は、最大約1モル/Lである。いくつかの実施形態では、溶媒は、6未満のpHを有する。好ましい実施形態では、溶媒は、約0~約3のpHを有する。いくつかの実施形態では、金属水酸化物を電解で沈殿させる工程によって酸が再生される。
【0028】
いくつかの実施形態では、溶媒は、硝酸塩、塩化物、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化物、フッ化物、ホウ酸塩、酢酸塩、サリチル酸塩、炭酸塩、クエン酸塩、またはそれらの任意の組み合わせなどの塩を含む。好ましくは、塩は、硝酸塩、塩化物、過塩素酸塩、またはそれらの任意の組み合わせである。好ましい実施形態では、塩は、ナトリウム塩またはカリウム塩である。より好ましくは、塩は、カリウム塩である。
【0029】
いくつかの実施形態では、溶媒中の酸の濃度は、最大約1モル/Lである。様々な実施形態では、混合物のpHは、7未満、6未満、5未満、または4未満である。より具体的な実施形態では、pHは、約0~約3である。
【0030】
様々な実施形態では、超音波刺激が、刺激溶解タンクに適用される。いくつかの実施形態では、音響刺激の周波数範囲は、約10kHz~約2MHzである。様々な実施形態では、超音波周波数は、約18kHz~約2000kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約20kHz~約40kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約800kHz~約1200kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約18kHz以上である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約2000kHz以下である、様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約20kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約30kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約40kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約50kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約60kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約70kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約80kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約90kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約100kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約200kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約300kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約400kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約500kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約600kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約700kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約800kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約900kHzである。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1000kHz(1MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1100kHz(1.1MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1200kHz(1.2MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1300kHz(1.3MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1400kHz(1.4MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1500kHz(1.5MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1600kHz(1.6MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1700kHz(1.7MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1800kHz(1.8MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約1900kHz(1.9MHz)である。様々な実施形態では、超音波刺激周波数は、約2000kHz(2MHz)である。
【0031】
様々な実施形態では、超音波刺激は、溶媒-基質混合物に少なくとも部分的に浸漬された音波プローブによって提供される。様々な実施形態では、超音波刺激は、浸出タンクと接触する1つ以上の超音波プレートによって提供される。さらに別の実施形態では、超音波刺激は、音波(例えば、超音波)プローブと音波(例えば、超音波)プレートとの両方によって提供される。様々な実施形態では、音波プローブは、プローブの急速な動きにより溶媒の撹拌を引き起こす。様々な実施形態では、溶媒-基質混合物は、溶媒の完全な混合を確実にするために浸出タンク内で撹拌、混合、またはブレンドされ得る。様々な実施形態では、浸出する固体基質には溶解度の低い他の要素(例えば、非対象物質)が含まれているため、固体基質の一部は溶解せずに残り、使用済み固体として除去され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、固体基質は、一般にCa及びMgが濃縮されているその他の供給源の中で、金属処理及び燃料燃焼(例えば、石炭フライアッシュ)から得られる産業廃棄物または副産物ある。いくつかの実施形態では、特定の浸出助剤の有無にかかわらず、常温または中程度に高温、かつ周囲圧力で、水または他の水性浸出溶液に溶解または曝露することにより、スラグ、フライアッシュ、またはその他のアルカリ性固体からCa2+及びMg2+が抽出される。金属製造から生じる副産物であるスラグには、鉄製造(例えば、空冷高炉(BF)スラグ)及び鉄鋼製造(電気アーク炉(EAF)スラグ及び塩基性酸素炉(BOF)スラグ)から生じるスラグが含まれ、通常は、Ca及びMgの酸化物、ケイ酸塩、及び二酸化ケイ素から構成される。ガラス質スラグは、普通ポルトランドセメント(OPC)の代替材料として使用されているが、結晶質スラグは現在、価値の低い骨材として限られた用途で使用されている。このような結晶スラグは豊富に存在し、多量のCa及びMgを含んでいる。フライアッシュは、歴史的貯留層(例えば、埋立地及び灰池)から供給されるものも含め、高濃度のCaも含む石炭燃焼副産物である。浸出速度を高めるために、1種以上の金属浸出剤(例えば、酢酸塩、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等)及び/または1種以上の酸(例えば、酢酸、塩酸等)を、浸出溶液に加えることができる。スラグは、軽金属の抽出率を高めるために、より細かい粒子サイズに粉砕または微粉砕することもできる。
【0033】
いくつかの実施形態における固体は、フライアッシュである。フライアッシュ(煙道灰、石炭灰、微粉砕燃料灰とも称される)は、石炭焚ボイラから煙道ガスとともに排出される粒子状物質(燃焼した燃料の微粒子)を含む石炭燃焼生成物である。ボイラの燃焼室(一般に火室と呼ばれる)の底に落ちる灰は、ボトムアッシュと呼ばれる。現代の石炭火力発電所では、通常、煙道ガスが煙突に到達する前に、フライアッシュは電気集塵機またはその他の粒子ろ過装置によって捕捉される。ボイラの底から除去されるボトムアッシュと一緒に、石炭灰として知られている。
【0034】
燃焼する石炭の供給源と組成に応じてフライアッシュの成分は大幅に異なるが、すべてのフライアッシュには、石炭を含む岩石層の主な鉱物化合物である二酸化ケイ素(SiO2)(非晶質と結晶質の両方)、酸化アルミニウム(Al2O3)、及び酸化カルシウム(CaO)が相当量含まれている。
【0035】
他の実施形態では、固体は、アルカリ岩石である。アルカリ岩石は、一般的に、長石だけで収容できる量よりも多くのアルカリを含んでいると考えられている。したがって過剰のアルカリは、準長石、ナトリウム輝石/角閃石、またはその他のアルカリを多く含む相として現れる。アルカリ岩石は、NaO、K2O、及びCaOに比べて、SiO2、ネフェリン、またはアクマイト(Na単斜輝石)が極めて不飽和状態になるほどに、SiO2が不足している。
【0036】
様々な実施形態では、浸出前に、まず基質を約10mm以下、5mm以下、1mm以下、0.5mm以下、または0.1mm以下の粒径に粉砕、破砕、または微粉砕することにより、より大きな固体基質を粉砕し得る。様々な実施形態では、粒子は、約100μm以上であり得る。様々な実施形態では、粒子は、約500nm~5mm、約100μm~約5mm、約500μm~約5mm、または約500μm~約3mmの平均直径を有し得る。
【0037】
様々な実施形態では、溶解タンクは、連続フロー反応器として動作され得る。様々な実施形態では、溶解タンクは、バッチ反応器として動作され得る。
【0038】
いくつかの実施形態では、金属カチオンを含む溶液は、電解工程の前に濃縮される。様々な実施形態では、濃縮装置は、ナノ濾過及び/または逆浸透を実行する。様々な実施形態では、膜濃縮装置は、濾過を実行する。様々な実施形態では、膜濃縮装置は、所定のサイズ(例えば、直径)より大きい粒子を濾過するために濾過を実行し得る。様々な実施形態では、膜濃縮装置は、多価イオンを選択的に濾過し、一価イオンを通過させる。他の実施形態では、ナノ濾過は、イオン電荷に基づく。さらに他の実施形態では、ナノ濾過は、イオンサイズ及びイオン電荷の両方に基づく。様々な実施形態では、膜濃縮装置は、イオン種の濃縮された保持ストリーム(例えば、濃縮された二価カチオンストリーム)を出力する。
【0039】
様々な実施形態では、電解工程からの陽極液は、浸出タンクに戻される。
【0040】
電解システムでは、還元は陰極で起こり、酸化は陽極で起こる。陽極反応(2H
2O→4H++O
2)は、溶解タンク内で元素抽出に十分な酸性度を生成するという利点がある。陰極では、水の還元(2H
2O→H
2+2OH-)が起こり、アルカリが放出されてpHが上昇する。様々な実施では、pHが特定の値を超えると金属水酸化物が沈殿する。様々な実施形態では、カソード表面のpHが約12を超えると、CaOH
2が優先的に製造される(
図2参照)。
【0041】
「およそ」、「約」、「実質的に」いう用語、及び同様の用語は、当業者によって理解され、それが用いられる文脈に基づいてある程度異なるであろう。当業者にとって明白ではない用語の使用がある場合、その用語が使用される文脈を考慮して、その用語は、開示される値のプラスマイナス10%となるであろう。「およそ」、「約」、「実質的に」及び同様の用語が構造的特徴(例えば、その形状、サイズ、向き、方向等を説明するため)に適用される場合、これらの用語は、例えば、製造または組み立てプロセスから生じる可能性のある構造のわずかな変化を含むことを意味しており、本開示の主題が関係する技術分野の当業者による一般的かつ受け入れられている用法と調和した広い意味を持つことが意図される。したがって、これらの用語は、記載され請求された主題のわずかなまたは重要度の低い修正または変更は、添付の請求項に記載されている開示の範囲内にあるとみなされることを示すものとして解釈されるべきである。
【0042】
要素を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)用語「a」及び「an」及び「the」ならびに同様の指示語の使用は、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈に明らかに矛盾するものでない限り、単数及び複数の両方を網羅すると解釈されるべきである。本明細書の値の範囲の列挙は、本明細書で別様が示されない限り、単に、範囲内に収まるそれぞれの別個の値を個々に指す速記方法としての役割を果たすことが意図され、それぞれの別個の値は、本明細書に個々に列挙されるかのように、本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される全ての方法は、本明細書に別様が示されない限り、または文脈によって別様が明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実行され得る。本明細書中提示されるありとあらゆる例、または例示の言葉(例えば、「such as(例えば)」など)の使用は、特に記載がない限り、実施形態をより理解しやすくすることを意図するに過ぎず、特許請求の範囲に制限をかけることはない。本明細書中の言葉には、任意の特許請求されていない構成要素を必須であると示すものとして解釈すべきものはない。
【0043】
本明細書で使用する場合、「含む」という用語は、その化合物、組成物及び方法に、示されている要素が含まれているが、他の要素が排除されないことを意味するように意図されている。「本質的に~からなる」は、化合物、組成物及び方法を定義するために使用される場合、組み合わせに本質的に重要な他の要素を除外することを意味する。したがって、本明細書で定義される要素から本質的になる組成物は、例えば、単離及び精製方法、ならびに薬学的に許容される担体、防腐剤等からの微量汚染物質を排除しない。「からなる」とは、他の成分の微量元素以上を除外することを意味する。これらの各移行句用語によって定義される実施形態は、本技術の範囲内である。
【0044】
本明細書において例示的に記載される実施形態は、本明細書において具体的に開示されていない要素(複数可)、限定(複数可)がない場合に好適に実施される場合がある。したがって、例えば「含む(comprising)」、「含む(including)」、「含む(containing)」などの用語は、限定することなく拡大解釈されるものとする。さらに、本明細書で採用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されており、このような用語及び表現の使用には、示され説明された特徴またはその一部の等価物を排除する意図はないが、特許請求された技術の範囲内で様々な変更が可能であることが認識される。さらに、「本質的に構成される」という表現は、具体的に記載された要素、及び特許請求される技術の基本的かつ新規な特性に実質的に影響を与えない追加的な要素を含むものと理解される。「から構成される」という表現は、特定されていない任意の要素を除外するものである。
【実施例】
【0045】
実施例1:スキーム(
図1)では、添加剤(すなわち、酸及び塩基)を含まない、または添加剤を含む処理について説明しており、この処理は、前駆物質浸出プロセスに直接影響を与え、制御するために音響刺激が使用される。音響刺激は、10kHz~2MHzの刺激周波数で超音波ホーンまたは超音波プレートによって加えられ得る。音響刺激装置は、半バッチ式、連続撹拌タンク(CSTR)、またはプラグフロー(PFR)反応器で操作され得、音響刺激は、水中ソノトロードによってin situ適用されるか、外部ソノトロード(複数可)によって反応器壁(複数可)を通して適用される。このような刺激浸出プロセスの推定エネルギー要件(すなわち、
図1のW
L)は、製造される1トンのCa(OH)
2及び/またはMg(OH)
2あたり約10kWhである。浸出液の電気伝導性を高めるために、浸出プロセス中にNaNO
3、NaCl、NaClO
4などの塩を添加することができる。その後、浸出液は、Ca
2+/Mg
2+濃度を高めるために、限定されないが、逆浸透(RO)及び/またはナノ濾過(NF)を利用する濃縮リアクターに送られる。実験データでは、濃縮反応器のエネルギー消費量は、製造される1トンのCa(OH)
2/Mg(OH)
2あたり約40~80kWhであることが実証された。
【0046】
特定の実施形態が図示され説明されているが、以下の請求項で定義されるより広い側面における技術から逸脱することなく、当業者の通常の技術に従って変更及び修正が加えられる場合があることを理解されたい。
【0047】
本開示は、本出願に記載された特定の実施形態に限定されることはない。多くの修飾及び改変が、当業者に明らかであるとおり、その趣旨及び範囲から逸脱することなく行うことが可能である。本明細書中列挙されるものだけでなく、本開示の範囲内に含まれる機能的に等価な方法及び組成物が、上記の説明から当業者に明らかであるだろう。そのような修飾及び改変は、添付の特許請求の範囲内に含まれるものとする。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲によって権利が与えられる均等物の全体の範囲に加えて、添付の特許請求の範囲によりのみ限定される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物または生物学的系に限定されず、当然のことながら変化し得ることが理解されるべきである。本明細書で使用される専門用語が特定の実施形態を説明することのみを目的としており、限定するようには意図されていないことも理解されたい。
【0048】
当業者には当然のことながら、ありとあらゆる目的に関して、特に書面で説明を提供するという点で、本明細書中開示される全ての範囲は、その範囲のありとあらゆる可能なサブ範囲及びサブ範囲の組み合わせも包含する。記載されている範囲はどれも、同じ範囲を少なくとも半分、3分の1、4分の1、5分の1、10分の1などに分割できることを十分に表しており、またそれが可能であることが容易に認識うることができる。非限定的な例として、本明細書で説明する各範囲は、下3分の1、中3分の1、上3分の1等に容易に分類することができる。当業者であれば理解できるであろうように、「最大」、「少なくとも」、「より大きい」、「より小さい」などのすべての言葉は、列挙された数字を含み、その後、上で説明したようにサブ範囲に細分化できる範囲を指す。最後に、当業者には当然のことながら、範囲は、個々の構成員それぞれを含む。
参考文献
[1]Environmental Protection Agency.Technical Support Document for the Lime Manufacturing Sector;2015.
[2]Parkhurst,D.L.;Appelo,C.A.J.Description of Input and Examples for PHREEQC Version3--AComputer Program for Speciation,Batch-Reaction,One-Dimensional Transport,and Inverse Geochemical Calculations,2013.
[3]Ivy,J.Summary of Electrolytic Hydrogen Production:Milestone Completion Report;National Renewable Energy Lab.,Golden,CO(US),2004.
[4]Portland Cement Association Labor-Energy Input Survey.https://www.cement.org/docs/default-source/market-economics-pdfs/more-reports/labor-energy-sample-2.pdf(accessed2021-09-03).
【0049】
他の実施形態は、以下の請求項に記載されている。
【0050】
参照による組み込み
本明細書に記載されたすべての刊行物及び特許は、個々の刊行物または特許が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じた場合は、本明細書における定義を含め、本出願が優先する。
【国際調査報告】