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▶ フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニムの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/40 20200101AFI20241024BHJP
   A24F 40/485 20200101ALI20241024BHJP
   A24F 40/465 20200101ALI20241024BHJP
【FI】
A24F40/40
A24F40/485
A24F40/465
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523800
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-19
(86)【国際出願番号】 EP2022079943
(87)【国際公開番号】W WO2023073026
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】21205091.8
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100128428
【弁理士】
【氏名又は名称】田巻 文孝
(72)【発明者】
【氏名】バティスタ ルイ ヌーノ ロドリゲス アルヴェス
(72)【発明者】
【氏名】カリ リカルド
(72)【発明者】
【氏名】バルデス ロハス エセキエル
【テーマコード(参考)】
4B162
【Fターム(参考)】
4B162AA03
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AB13
4B162AC04
4B162AC12
4B162AC22
4B162AC41
4B162AC42
4B162AC50
(57)【要約】
エアロゾル発生物品(7)とともに使用するためのエアロゾル発生装置(1)。エアロゾル発生装置(1)は、ハウジング(2)、加熱組立品(3)、排出器(4)を備える。ハウジングは、空洞(24)およびエアロゾル出口(231)を備える。空洞は、エアロゾル発生物品を受容するように構成される。エアロゾル発生装置は、エアロゾルが同伴された気流を搬送するために、空洞からエアロゾル出口まで下流に装置内に延びる気流経路(41)をさらに備える。排出器は、ハウジングに連結され、空洞内に受容されたエアロゾル発生物品を空洞の外へと付勢するように構成される。排出器は、気流経路(41)の少なくとも一部を画成し、気流経路に沿って同伴された気流を修正するように構成される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置であって、ハウジング、加熱組立品、および排出器を備え、
前記ハウジングが、空洞およびエアロゾル出口を備え、前記空洞が、前記エアロゾル発生物品を受容するように構成され、
前記加熱組立品が、エアロゾルを発生するように前記空洞内に受容される前記エアロゾル発生物品の前記エアロゾル形成基体を加熱するように構成され、
前記エアロゾル発生装置が、エアロゾルが同伴された気流を搬送するために、前記空洞から前記エアロゾル出口まで下流に前記装置内に延びる気流経路をさらに備え、
前記排出器が、前記ハウジングに連結され、前記空洞内に受容された前記エアロゾル発生物品を前記空洞の外へと付勢するように構成され、
前記排出器が、前記気流経路の少なくとも一部を画成し、かつ前記気流経路に沿って前記同伴された気流を修正するように構成される、エアロゾル発生装置。
【請求項2】
前記排出器が、前記気流経路に沿って前記同伴された気流の混合を促進するように構成される、請求項1に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項3】
前記排出器が、前記気流経路に沿って前記同伴された気流の速度および方向のうちの少なくとも一つを変更するように構成される、請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項4】
前記排出器がベンチュリを含み、前記ベンチュリが、前記気流経路の一部を形成するように位置付けられる、請求項1~3のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項5】
前記ハウジングが、長軸方向軸を有する細長いハウジングであり、前記空洞、排出器、およびエアロゾル出口が、前記ハウジングの遠位端と口側端との間で前記ハウジングの前記長軸方向軸に沿って連続的に配設される、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項6】
前記空洞へのアクセス開口部を覆うために前記ハウジングに連結されたカバーをさらに備え、前記カバーが、閉位置と開位置との間で前記ハウジングに対して移動可能であり、前記カバーの前記ハウジングへの前記連結が、前記カバーを前記閉位置に付勢するように構成される、請求項5に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項7】
前記排出器が、前記空洞内に受容された時に前記エアロゾル発生物品を前記空洞の外へと付勢するように、前記ハウジングに対して摺動可能に移動可能である、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項8】
前記ハウジングの外側からアクセス可能であり、前記ハウジングの表面上を摺動可能な、摺動可能なインターフェースをさらに備え、前記摺動可能なインターフェースが、前記ハウジングの前記表面上の前記インターフェースの動きが、前記空洞内に受容された時に前記エアロゾル発生物品を前記空洞の外へと付勢するように、前記ハウジングに対する前記排出器の対応する摺動動作を提供するように、前記排出器に連結される、請求項7に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項9】
前記加熱組立品が、前記空洞の長軸方向軸に沿って、かつその周りに配設される、請求項1~8のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項10】
前記加熱組立品が、前記加熱組立品を横切って前記空洞の中へと内向きに横断する気流経路を画成するように、空気透過性であるように構成される、請求項9に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項11】
前記加熱組立品が複数の加熱セグメントを備え、前記複数の加熱セグメントの各々が、前記空洞の前記長軸方向軸に沿って連続的に配設され、前記エアロゾル発生装置が、前記空洞内に受容された時に前記エアロゾル発生物品の一つ以上の対応する領域を加熱するように、前記複数の加熱セグメントのうちの一つ以上を選択的に起動するように構成された制御電子回路をさらに備える、請求項9または請求項10のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項12】
前記加熱組立品が誘導加熱組立品であり、前記複数の加熱セグメントの各々が、一つ以上のインダクタの前記空洞の周りに円周方向の配設を備える、請求項11に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項13】
前記複数の加熱セグメントの各々が、一つ以上のサセプタ素子の前記空洞の周りに円周方向の配設をさらに備え、一つ以上のサセプタ素子の前記円周方向の配設が、一つ以上のインダクタの前記対応する円周方向の配設から内向きに配置される、請求項12に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項14】
前記制御電子回路が、所定の期間にわたって前記複数の加熱セグメントの異なる一つまたはグループを逐次的に起動し、前記空洞の長さに沿って進行するように構成されている、請求項11~13のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置。
【請求項15】
エアロゾル送達システムであって、
請求項1~14のいずれか一項に記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品であって、前記エアロゾル発生装置の前記空洞内に受容されるように構成された前記エアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル送達システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置に関する。本開示はまた、エアロゾル発生装置およびエアロゾル発生物品から形成されたエアロゾル送達システムに関する。
【背景技術】
【0002】
使い捨てエアロゾル発生物品を受容するように適合され、かつ物品のエアロゾル形成基体を加熱することによって吸入可能なエアロゾルを発生するように動作可能なエアロゾル発生装置が知られている。装置または物品に適用されたユーザーの吸入に応答して、空気は装置および/または物品を通して引き出され、基体の加熱に応答してエアロゾル形成基体から発せられた揮発性化合物と混合する。空気と揮発性化合物の混合物は冷却されてエアロゾルを形成し、このエアロゾルはユーザーによって吸入される。ユーザー体験の品質は、空気および揮発性化合物が一緒に混合される度合いによって影響を受ける。空気と揮発性化合物の混合が不完全であると、ユーザー体験に悪影響を及ぼし得る。使用セッションの完了時に、使用済みのエアロゾル発生物品を装置から取り外すことにより、枯渇したエアロゾル形成基体からの残留物がユーザーの指を汚染する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本開示は、改良されたエアロゾル発生装置の提供に関する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本開示の態様によると、エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置が提供される。エアロゾル発生装置は、ハウジング、加熱組立品、および排出器を備える。ハウジングは、空洞およびエアロゾル出口を備える。空洞は、エアロゾル発生物品を受容するように構成される。加熱組立品は、空洞内に受容されたエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生するように構成される。エアロゾル発生装置は、エアロゾルが同伴された気流を搬送するために、空洞からエアロゾル出口まで下流に装置内に延びる気流経路をさらに備える。排出器は、ハウジングに連結され、空洞内に受容されたエアロゾル発生物品を空洞の外へと付勢するように構成される。排出器は、気流経路の少なくとも一部を画成し、気流経路に沿って同伴された気流を修正するように構成される。
【0005】
排出器は、気流経路に沿って改善された気流管理を提供することを容易にし、またエアロゾル発生装置からの使用済みのエアロゾル発生物品の取り外しを支援し得る。
【0006】
排出器は、囲まれたチャネルを備えてもよく、囲まれたチャネルは、気流経路の少なくとも一部を形成する。
【0007】
排出器は、気流経路に沿った同伴された気流の混合を促進するように構成されてもよいことが好ましい。混合を強化することにより、エアロゾル形成基体から放出された空気および揮発性化合物の均質な混合物を含有するエアロゾルをユーザーが吸入する可能性を増大させるため、装置のユーザー体験の向上を促進する場合がある。排出器は、気流経路に沿った同伴された気流の速度および方向のうちの少なくとも一つを変更するように構成されてもよい。速度および方向の変更することは、同伴された気流の混合を促進するのに役立ち得る。
【0008】
排出器によって画成される気流経路の一部は、同伴された気流の混合を促進する幾何学的形状または表面特徴を備えてもよい。排出器は、気流経路内に突出する一つ以上のリブを備えてもよい。リブは、同伴された気流の混合を促進し得る。
【0009】
排出器はベンチュリを備えてもよく、ベンチュリは気流経路の一部を形成するように位置付けられていることが好ましい。ベンチュリは、同伴された気流が漏斗状になる気流経路の収縮を画成し、ベンチュリ内の流路の断面積の変化は、それを通って流れる際に同伴された気流の速度に変化を与える。ベンチュリによって付与される速度の変化は、同伴された気流の混合を促進するのに役立ち得る。それによって、混合を改善することで、ユーザーはエアロゾルの構成要素が完全に混合されるエアロゾルを吸入することになる。それによって、混合を改善することで、ユーザー体験を向上させ得る。
【0010】
排出器がベンチュリを含む場合、上流均質化チャンバーは、気流経路内のベンチュリの上流に位置付けられてもよい。追加的に、または代替的に、下流均質化チャンバーは、気流経路内のベンチュリの下流に位置付けられてもよい。上流および下流均質化チャンバーのうちの一方または両方を提供することにより、同伴された気流の構成要素が混合するための体積または空間を提供する。さらに、均質化チャンバーによって提供される体積または空間はまた、同伴された気流の改善された冷却を促進し、それによって、ユーザーが過度に高い温度を有するエアロゾルを受容する可能性を低減し得る。好都合なことに、上流および下流均質化チャンバーのうちの一方または両方は、排出器の一部を形成する。一例として、排出器は、単一の均質な構成要素として形成されてもよい。別の方法として、排出器は、互いに連結された二つ以上の構成要素部分で形成されてもよい。
【0011】
エアロゾル発生装置はまた、エアロゾル出口を備えるマウスピースを備えてもよい。
【0012】
ハウジングは、長軸方向軸を有する細長いハウジングであってもよいことが好ましい。空洞、排出器、およびエアロゾル出口は、細長いハウジングの遠位端と口側端との間に細長いハウジングの長軸方向軸に沿って連続的に配設されてもよい。口側端は、ユーザーのためのマウスピースとして機能してもよい。別の方法として、マウスピースは口側端で細長いハウジングに取り付けられてもよい。好都合なことに、エアロゾル出口は口側端に位置付けられる。口側端は、気流経路の下流端を画成する。
【0013】
エアロゾル発生装置は、空洞へのアクセス開口部を覆うためにハウジングに連結されたカバーをさらに備えてもよい。カバーは、閉位置と開位置との間でハウジングに対して移動可能であってもよい。カバーのハウジングへの連結は、カバーを閉位置に付勢するように構成されてもよい。カバーを閉位置に付勢することは、エアロゾル発生物品が空洞内に存在しない時に、異物がエアロゾル発生装置の空洞に入る可能性を低減し得る。さらに、エアロゾル発生物品が空洞内に完全に受容されている場合、カバーを閉位置に付勢することはまた、エアロゾル発生装置の使用中に物品が空洞から不注意に漏れ出る可能性を低減するのに役立ち得る。付勢は、カバーをハウジングに連結する際に、ばねまたはその他の従来的な手段を使用することによって達成され得る。アクセス開口部は、ハウジングの遠位端に提供されてもよく、またカバーのハウジングへの連結は、回転可能な連結であり、カバーは閉位置と開位置の間で移動するようにハウジングに対して回転可能に移動可能であることが好ましい。しかしながら、代替的に、アクセス開口部は代わりに、遠位端と口側端との間のハウジングの側壁に提供されてもよい。
【0014】
排出器は、空洞内に受容された時にエアロゾル発生物品を空洞の外へと付勢するために、ハウジングに対して摺動可能に移動可能であってもよいことが好ましい。好都合なことに、排出器は、ハウジングの長軸方向軸に沿ってハウジングに対して摺動可能に移動可能であり、このようにして、ハウジングに対する排出器の摺動可能な動きは、ハウジングの長軸方向軸に沿った動きであってもよい。
【0015】
エアロゾル発生装置は、ハウジングの外側からアクセス可能であり、ハウジングの表面上を摺動可能な摺動可能なインターフェースをさらに備えてもよい。摺動可能なインターフェースは、ハウジングの表面上のインターフェースの動きが、空洞内に受容された時にエアロゾル発生物品を空洞の外へと付勢するために、ハウジングに対する排出器の対応する摺動動作を提供するように、排出器に連結されてもよい。摺動可能なインターフェースおよび排出器は、ハウジングの長軸方向軸に沿って摺動可能に移動可能であることが好ましい。
【0016】
摺動可能なインターフェースおよび排出器は、単一の本体として一体的に形成されてもよいことが好ましい。しかしながら、摺動可能なインターフェースおよび排出器の連結は、代わりに、摺動可能なインターフェースおよび排出器によって提供され、互いに接続された個別の構造実体として形成されてもよい。摺動可能なインターフェースと排出器の接続は、間接的(すなわち、摺動可能なインターフェースと排出器との間に一つ以上の中間部が存在する)であってもよく、または直接的(すなわち、摺動可能なインターフェースと排出器との間にこうした中間部が存在しない)であってもよい。
【0017】
加熱組立品は、空洞の長軸方向軸に沿って、またはその周りに配設されてもよい。さらに、加熱組立品は、空洞の内部に面する表面を画定してもよい。
【0018】
加熱組立品は、複数の加熱セグメントを備えてもよく、複数の加熱セグメントの各々は、空洞の長軸方向軸に沿って連続的に配設されている。エアロゾル発生装置は、空洞内に受容された時にエアロゾル発生物品の一つ以上の対応する領域を加熱するように、複数の加熱セグメントのうちの一つ以上を選択的に起動するように構成された制御電子回路をさらに備えてもよい。装置が加熱組立品と同じ方法でセグメント化されたエアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品とともに使用される場合、エアロゾル発生物品およびエアロゾル発生装置は、物品が空洞内に受容された時に、加熱組立品の各加熱セグメントがエアロゾル形成基体の対応するセグメントに隣接して位置付けられるように寸法設定されてもよい。このようにして、加熱プロセスは、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体の特定の部分(すなわち、セグメント)を選択的に枯渇させるように制御されてもよい。
【0019】
複数の加熱セグメントは、空洞の長軸方向軸に沿って相互から軸方向に離隔していてもよいことが好ましい。
【0020】
加熱組立品は、加熱組立品を横切って空洞の中へと内向きに横断する気流経路を画成するように、空気透過性であるように構成されてもよい。
【0021】
加熱組立品は誘導加熱組立品であってもよい。複数の加熱セグメントの各々は、一つ以上のインダクタの空洞の周りに円周方向の配設を備えてもよい。
【0022】
複数の加熱セグメントの各々は、一つ以上のサセプタ素子の空洞の周りに円周方向の配設をさらに備えてもよい。一つ以上のサセプタ素子の円周方向の配設は、一つ以上のインダクタの対応する円周方向の配設から内向きに配置されてもよい。
【0023】
一つ以上のサセプタ素子の円周方向の配設の各々は、一つ以上のインダクタの対応する円周方向の配設から半径方向に離間して、その間に軸方向気流経路を画成してもよい。
【0024】
エアロゾル発生装置の特徴である一つ以上のサセプタ素子を有する代わりに、一つ以上のサセプタ素子をエアロゾル発生物品の中へと統合してもよい。例として、一つ以上のサセプタ素子は、エアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体内に位置付けられてもよい。
【0025】
加熱組立品は、抵抗加熱組立品であってもよく、複数の加熱セグメントの各々は、一つ以上の抵抗発熱体の空洞の周りに円周方向の配設を備える。
【0026】
制御電子回路は、所定の期間にわたって複数の加熱セグメントの異なる一つまたはグループを逐次的に起動し、空洞の長さに沿って進行するように構成され得ることが好ましい。
【0027】
制御電子回路は、所定の期間にわたって複数の加熱セグメントを選択的に起動するように構成されてもよく、これによって所定の期間にわたる任意の時点で、複数の加熱セグメントのうちの単一の一つのみが起動される。好都合なことに、所定の期間は、使用セッションである。
【0028】
本開示の別の態様によれば、前述の可能な構成要素のいずれかに記載のエアロゾル発生装置、およびエアロゾル形成基体を含むエアロゾル送達システムが提供され、エアロゾル発生物品はエアロゾル発生装置の空洞内に受容されるように構成される。
【0029】
好ましくは、加熱組立品は複数の加熱セグメントを備えてもよい。複数の加熱セグメントの各々は、空洞の長軸方向軸に沿って連続的に配設されてもよい。エアロゾル発生装置は、複数の加熱セグメントのうちの一つ以上を選択的に起動するように構成された制御電子回路をさらに備えてもよい。エアロゾル形成基体は、複数の基体セグメントを備えてもよく、基体セグメントの各々は、エアロゾル発生物品が空洞の中に受容されている時に、基体セグメントの各々が加熱セグメントの対応する一つと軸方向に整列するように配設されている。対応する加熱セグメントおよび基体セグメントのこうした構成は、エアロゾル形成基体の特定の部分(すなわち、セグメント)を選択的に枯渇させるように加熱プロセスを制御することを容易にする。
【0030】
本明細書で使用される「エアロゾル発生装置」という用語は、エアロゾルを発生するためにエアロゾル形成基体と相互作用する装置を記述するために使用される。エアロゾル発生装置は、ユーザーの口を通してユーザーの肺の中に直接吸入可能なエアロゾルを発生するために、エアロゾル形成基体と相互作用する喫煙装置であることが好ましい。
【0031】
本明細書で使用される「エアロゾル形成基体」という用語は、エアロゾルを発生するために、加熱に伴い揮発性化合物を放出する能力を有するエアロゾル形成材料から成る、またはそれを含む基体を指す。
【0032】
エアロゾル形成基体は、固体のエアロゾル形成基体であることが好ましい。しかしながら、エアロゾル形成基体は、固体構成成分と液体構成成分との両方を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は液体エアロゾル形成基体であってもよい。
【0033】
エアロゾル形成基体はニコチンを含むことが好ましい。エアロゾル形成基体はたばこを含むことがより好ましい。別の方法として、または追加的に、エアロゾル形成基体は非たばこ含有エアロゾル形成材料を含んでもよい。
【0034】
エアロゾル形成基体が固体エアロゾル形成基体である場合、固体エアロゾル形成基体は、薬草の葉、たばこ葉、たばこの茎、膨化たばこ、および均質化したたばこのうちの一つ以上を含有する、例えば粉末、顆粒、ペレット、断片、撚糸、細片、またはシートのうちの一つ以上を含んでもよい。
【0035】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、たばこまたは非たばこ揮発性風味化合物を含有してもよく、それらは固体エアロゾル形成基体の加熱に伴い放出される。固体エアロゾル形成基体はまた、例えば追加的なたばこ揮発性風味化合物または非たばこ揮発性風味化合物を含む一つ以上のカプセルも含有してもよく、こうしたカプセルは固体エアロゾル形成基体の加熱中に溶融してもよい。
【0036】
随意に、固体エアロゾル形成基体は、熱的に安定な担体上に提供されてもよく、またはその中に包埋されてもよい。担体は、粉末、顆粒、ペレット、断片、撚糸、細片、またはシートの形態を取ってもよい。固体エアロゾル形成基体は、例えばシート、発泡体、ゲル、またはスラリーの形態で担体の表面上に堆積されてもよい。固体エアロゾル形成基体は担体の表面全体上に堆積されてもよく、または別の方法として、使用中に不均一な風味送達を提供するために、あるパターンで堆積されてもよい。
【0037】
好ましい一実施形態において、エアロゾル形成基体は均質化したたばこ材料を含む。本明細書で使用される「均質化したたばこ材料」という用語は、粒子状たばこを凝集することによって形成された材料を指す。
【0038】
エアロゾル形成基体は、均質化したたばこ材料のシートの集合体を含むことが好ましい。本明細書で使用される「シート」という用語は、その厚さよりも実質的に大きい幅および長さを有する層状要素を指す。本明細書で使用される「集合した」という用語は、エアロゾル発生物品の長軸方向軸に対して実質的に横断方向で巻き込みされ、折り畳まれ、またはその他の方法で圧縮もしくは締め付けされたシートを記述するために使用される。エアロゾル形成基体はエアロゾル形成体を含むことが好ましい。本明細書で使用する用語「エアロゾル形成体」は、使用時にエアロゾルの形成を容易にする、かつエアロゾル発生物品の動作温度にて熱分解に対して略抵抗性である、任意の好適な周知の化合物または化合物の混合物を記述するために使用される。
【0039】
好適なエアロゾル形成体は、当技術分野で公知であるが、多価アルコール(プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、グリセリンなど)、多価アルコールのエステル(グリセロールモノアセテート、ジアセテート、トリアセテートなど)、およびモノカルボン酸、ジカルボン酸またはポリカルボン酸の脂肪族エステル(ドデカン二酸ジメチル、テトラデカン二酸ジメチルなど)を含むが、これらに限定されない。好ましいエアロゾル形成体は、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブタンジオール、および最も好ましくは、グリセリン)またはその混合物である。
【0040】
エアロゾル形成基体は単一のエアロゾル形成体を含んでもよい。別の方法として、エアロゾル形成基体は、二つ以上のエアロゾル形成体の組み合わせを含んでもよい。
【0041】
本明細書で使用される「使用セッション」という用語は、ユーザーが一連の吸煙を適用して、エアロゾル形成基体からエアロゾルを抽出する期間を指す。
【0042】
本発明は特許請求の範囲に定義されている。しかしながら、以下に非限定的な実施例の非網羅的なリストを提供している。これらの実施例の特徴のうちのいずれか一つ以上は、本明細書に記載の別の実施例、実施形態、または態様のうちのいずれか一つ以上の特徴と組み合わされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、エアロゾル発生装置の断面概略図である。
図2図2は、図1の矢印「A」で示される方向のエアロゾル発生装置のカバーの端面図である。
図3図3は、図1のエアロゾル発生装置とともに使用するためのエアロゾル発生物品の斜視図である。
図4A-C】図4A~Cは、図1のエアロゾル発生装置と図3のエアロゾル発生物品との組み合わせによって形成されたエアロゾル送達システムの断面概略図である。図4Aは、エアロゾル発生装置に挿入される前のエアロゾル発生物品を示す。図4Bは、エアロゾル発生装置内に完全に受容されたエアロゾル発生物品を示す。図4Cは、エアロゾル発生装置から排出された後のエアロゾル発生物品を示す。
図5A-C】図5A~Cは、図4A~Cの各々に対応するエアロゾル送達システムの斜視概略図である。
図6A-B】図6Aおよび6Bは、使用セッションの異なる段階で使用されるエアロゾル送達システムの断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
実施例1:
エアロゾル形成基体を備えるエアロゾル発生物品とともに使用するためのエアロゾル発生装置であって、ハウジング、加熱組立品、および排出器を備え、
ハウジングが、空洞およびエアロゾル出口を備え、空洞がエアロゾル発生物品を受容するように構成され、
加熱組立品が、空洞内に受容されるエアロゾル発生物品のエアロゾル形成基体を加熱してエアロゾルを発生するように構成され、
エアロゾル発生装置が、エアロゾルが同伴された気流を搬送するために、空洞からエアロゾル出口まで下流に装置内に延びる気流経路をさらに備え、
排出器が、ハウジングに連結され、空洞内に受容されたエアロゾル発生物品を空洞の外へと付勢するように構成され、
排出器が、気流経路の少なくとも一部を画成し、かつ気流経路に沿って同伴された気流を修正するように構成される、エアロゾル発生装置。
実施例2:
排出器が、囲まれたチャネルを備え、囲まれたチャネルが、気流経路の少なくとも一部を形成する、実施例1に記載のエアロゾル発生装置。
実施例3:
排出器が、気流経路に沿った同伴された気流の混合を促進するように構成される、実施例1または2のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例4:
排出器によって画成される気流経路の一部が、同伴された気流の混合を促進する幾何学的形状または表面特徴を備える、実施例3に記載のエアロゾル発生装置。
実施例5:
排出器が、気流経路に沿った同伴された気流の速度および方向のうちの少なくとも一つを変更するように構成される、実施例1~4のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例6:
排出器がベンチュリを備え、ベンチュリが気流経路の一部を形成するように位置付けられる、実施例1~5のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例7:
上流均質化チャンバーが、気流経路においてベンチュリの上流に位置付けられる、実施例6に記載のエアロゾル発生装置。
実施例8:
下流均質化チャンバーが、気流経路においてベンチュリの下流に位置付けられる、実施例6または7のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例9:
上流および下流の均質化チャンバーのうちの一方または両方が、排出器の一部を形成する、実施例7または8のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例10:
マウスピースをさらに備え、マウスピースがエアロゾル出口を備える、実施例1~9のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例11:
ハウジングが、長軸方向軸を有する細長いハウジングであり、空洞、排出器、およびエアロゾル出口が、ハウジングの遠位端と口側端との間でハウジングの長軸方向軸に沿って連続的に配設される、実施例1~10のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例12:
エアロゾル出口が口側端に位置付けられる、実施例11に記載のエアロゾル発生装置。
実施例13:
空洞へのアクセス開口部を覆うためにハウジングに連結されたカバーをさらに備え、カバーが、閉位置と開位置との間でハウジングに対して移動可能であり、カバーのハウジングへの連結が、カバーを閉位置に付勢するように構成される、実施例11または12のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例14:
アクセス開口部がハウジングの遠位端に提供され、カバーのハウジングへの連結が、カバーがハウジングに対して回転可能な結合であり、カバーが閉位置と開位置との間で移動するように、ハウジングに対して回転可能に移動可能である、実施例13に記載のエアロゾル発生装置。
実施例15:
アクセス開口部が、遠位端と口側端との間のハウジングの側壁に提供される、実施例13に記載のエアロゾル発生装置。
実施例16:
排出器が、空洞内に受容された時にエアロゾル発生物品を空洞の外へと付勢するように、ハウジングに対して摺動可能に移動可能である、実施例1~15のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例17:
排出器が、ハウジングの長軸方向軸に沿ってハウジングに対して摺動可能に移動可能である、実施例16に記載のエアロゾル発生装置。
実施例18:
ハウジングの外側からアクセス可能であり、ハウジングの表面上を摺動可能な摺動可能なインターフェースをさらに備え、ハウジングの表面上のインターフェースの動きが、空洞内に受容された時にエアロゾル発生物品を空洞の外へと付勢するように、ハウジングに対する排出器の対応する摺動運動を提供するように、摺動可能なインターフェースが排出器に連結される、実施例16または17のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例19:
摺動可能なインターフェースおよび排出器が、ハウジングの長軸方向軸に沿って摺動可能に移動可能である、実施例18に記載のエアロゾル発生装置。
実施例20:
摺動可能なインターフェースおよび排出器が単一の本体として一体的に形成される、実施例18または19のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例21:
加熱組立品が、空洞の長軸方向軸に沿って、かつ長軸方向軸の周りに配設されている、実施例1~20のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例22:
加熱組立品が、空洞の内部に面する表面を画定する、実施例21に記載のエアロゾル発生装置。
実施例23:
加熱組立品が、加熱組立品を横切って空洞の中へと内向きに横断する気流経路を画成するように、空気透過性であるように構成されている、実施例21または22のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例24:
加熱組立品が複数の加熱セグメントを備え、複数の加熱セグメントの各々が、空洞の長軸方向軸に沿って連続的に配設され、エアロゾル発生装置が、空洞内に受容された時にエアロゾル発生物品の一つ以上の対応する領域を加熱するように、複数の加熱セグメントのうちの一つ以上を選択的に起動するように構成された制御電子回路をさらに備える、実施例21~23のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例25:
複数の加熱セグメントが、空洞の長軸方向軸に沿って互いに軸方向に離間している、実施例24に記載のエアロゾル発生装置。
実施例26:
加熱組立品が誘導加熱組立品であり、複数の加熱セグメントの各々が、一つ以上のインダクタの空洞の周りに円周方向の配設を備える、実施例24または25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例27:
複数の加熱セグメントの各々が、一つ以上のサセプタ素子の空洞の周りに円周方向の配設をさらに備え、一つ以上のサセプタ素子の円周方向の配設が、一つ以上のインダクタの対応する円周方向の配設から内向きに配置される、実施例26に記載のエアロゾル発生装置。
実施例28:
一つ以上のサセプタ素子の円周方向の配設の各々が、一つ以上のインダクタの対応する円周方向の配設から半径方向に離間して、その間に軸方向気流経路を画成する、実施例27に記載のエアロゾル発生装置。
実施例29:
加熱組立品が抵抗加熱組立品であり、複数の加熱セグメントの各々が、一つ以上の抵抗発熱体の空洞の周りに円周方向の配設を含む、実施例24または25のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例30:
制御電子回路が、所定の期間にわたって複数の加熱セグメントの異なる一つまたはグループを逐次的に起動し、空洞の長さに沿って進行するように構成されている、実施例24~29のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例31:
制御電子回路が、所定の期間にわたって複数の加熱セグメントを選択的に起動するように構成され、その結果、所定の期間にわたる任意の時点で、複数の加熱セグメントのうちの単一の一つのみが起動される、実施例24~30のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例32:
所定の期間が使用セッションである、実施例30または31のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置。
実施例33:
エアロゾル送達システムであって、
実施例1~32のいずれか一つに記載のエアロゾル発生装置と、
エアロゾル形成基体を含むエアロゾル発生物品であって、エアロゾル発生装置の空洞内に受容されるように構成されたエアロゾル発生物品と、を備える、エアロゾル送達システム。
実施例34:
加熱組立品が、複数の加熱セグメントを備え、複数の加熱セグメントの各々が、空洞の長軸方向軸に沿って連続的に配設され、エアロゾル発生装置が、複数の加熱セグメントのうちの一つ以上を選択的に起動するように構成された制御電子回路をさらに備え、
エアロゾル形成基体が複数の基体セグメントを備え、基体セグメントの各々が、エアロゾル発生物品が空洞内に受容された時に、基体セグメントの各々が加熱セグメントの対応する一つと軸方向に整列するように配設されている、実施例33に記載のエアロゾル送達システム。
【0045】
ここで、以下の図を参照しながら、実施例をさらに説明する。
【0046】
図1は、エアロゾル発生装置1の概略図である。装置1は、細長いハウジング2を有する。示され記述された例の場合、細長いハウジング2は断面が概して円筒形であり、また高分子材料で形成されている。ハウジング2は、電源21および制御電子回路22を含む。電源21は、エアロゾル発生装置1のための電力源としての役割を果たす再充電可能電池の形態をしている。エアロゾル発生装置1は、遠位端11及び口側端12を有する。ハウジング2は、口側端12でマウスピース23で終端し、マウスピース23は開口部231を有する。使用時に、マウスピース23の開口部231は、エアロゾル出口として機能する。円筒状の空洞24は、ハウジング2の内側に画成されている。空洞24は、装置の長さの一部について、遠位端11から装置1の長軸方向軸LAに沿って延びる。空洞24へのアクセス開口部241が、遠位端11に提供されている。
【0047】
加熱組立品3は、空洞24の周りに円周方向に配設されている。加熱組立品3は、空洞24の長さに沿って延び、五つの個別の加熱セグメント31a~eで形成される。加熱セグメント31a~eは、長軸方向軸LAに沿って軸方向に配設されている。加熱セグメント31a~eの各々は、対応するインダクタコイル311a~eおよび対応するサセプタ312a~eを有する。インダクタコイル311a~eの各々およびそれらのそれぞれのサセプタ312a~eは、空洞24の周りに円周方向に延びる。インダクタコイル311a~eの各々は、半径方向のギャップr31によってそれらのそれぞれのサセプタ312a~eの半径方向外向きに配置される。加熱セグメント31a~eは、軸方向ギャップa31によって互いから軸方向に離間した部分である。図には示されていないが、半径方向および軸方向のギャップr31、a31は、それを通って空洞24の中へと気流を導き得る。
【0048】
電源21、制御電子回路22、および加熱組立品3は、配線25によって相互に電気的に連結されている。図1は、制御電子回路22が、配線25の別個のセクションによって加熱組立品3の加熱セグメント31a~eのインダクタコイル311a~eの各々に独立して電気的に連結される方法を図示する。
【0049】
エアロゾル発生装置1はまた、排出器4を有する。排出器4は、ハウジング2内で長軸方向軸LAに沿って摺動可能に移動可能であるように、エアロゾル発生装置1の中へと組み込まれる。排出器4は、口側端12でマウスピース23に向かって下流の空洞24から長軸方向軸LAに沿って軸方向に延びる囲まれたチャネル41(図1の両頭破線矢印によって表される)を有する。囲まれたチャネル41は、上流チャンバー42、ベンチュリセクション43、および下流チャンバー44を画成する。上流チャンバー42、ベンチュリセクション43、および下流チャンバー44は、長軸方向軸LAに沿って連続的に配設される。ベンチュリセクション43は、囲まれたチャネル41の最小断面積に対応するスロート431を画成する。囲まれたチャネル41の断面積は、スロート431の上流および下流で増大する。排出器40の上流端には、円周リップ45が提供されている。円周リップ45は、上流チャンバー42にすぐ隣りにあり、上流チャンバーの直径よりもわずかに小さい直径を画成する。
【0050】
摺動可能なインターフェース5は、エアロゾル発生装置1上に提供されている。摺動可能なインターフェース5は、ハウジング2の外側からアクセス可能である。摺動可能なインターフェース5は、円筒形ハウジング2の曲率に従い、かつハウジングを部分的に囲む湾曲したパネルの形態を有する(図5A~Cを参照)。摺動可能なインターフェース5は、長軸方向軸LAに沿ってハウジング2の外部表面上に摺動可能である。摺動可能なインターフェース5および排出器4は、単一部品として一体的に形成される(図1、4A~Cを参照)。長軸方向軸LAに沿ったハウジング2の表面にわたる摺動可能なインターフェース5の動きは、長軸方向軸に沿った排出器4の対応する動きをもたらす。代替的な実施形態(図示せず)では、摺動可能なインターフェース5および排出器4は、代わりに、摺動可能なインターフェース5の摺動運動が依然として長軸方向軸LAに沿った排出器4の対応する摺動運動をもたらすように、互いに直接的または間接的に連結された個別の構造実体として形成されてもよい。
【0051】
カバー6は、遠位端11でハウジング2に連結されている。カバー6は、ばね式ヒンジ接続61によってハウジング2に連結されている(図1、2、4A~Cを参照)。カバー6は、閉位置と開位置との間でばね式ヒンジ接続61の周りで枢動可能に回転可能である。開位置のため、カバー6は図1で破線で示されている。閉位置において、カバー6は空洞24への開口部241を覆う。開位置では、カバー6は、ばね式ヒンジ接続61の周りを旋回して、開口部241を空洞24内に露出させる。図4A~Cおよび図5A~Cに示す通り、カバー6を開位置にすると、エアロゾル発生物品7を空洞24の中に挿入する、または空洞24から取り外すことができる。ばね式ヒンジ接続61は、カバー6を閉位置に付勢するように配設されている。空気穴62は、カバー6の中央領域に形成される(図2、5A、5Cを参照)。
【0052】
エアロゾル発生装置1は、エアロゾル発生物品7とともに使用するためのものである。図3は、例示的なエアロゾル発生物品7の斜視図を図示する。エアロゾル発生物品7は、細長いロッドの形態を有する。エアロゾル発生物品7は、エアロゾル形成基体71を含む。エアロゾル形成基体71は、五つのセグメント71a~eから成る。エアロゾル形成基体71のセグメント71a~eの各々は、たばこおよびグリセリンを含有する。セグメント71a~eは、エアロゾル発生物品7の長さに沿って連続的に配設される。セグメント71a~eの各々は、エアロゾル発生装置1の加熱組立品3の加熱セグメント31a~eの各々の軸方向長さに概して対応する軸方向長さを有する。エアロゾル形成基体のセグメント71a~eは、紙巻たばこ用紙で形成されたラッパー72内に封入されている。
【0053】
エアロゾル発生物品1およびエアロゾル発生物品7は集合的にエアロゾル送達システム100を形成する(図4A~C、5A~Cを参照)。
【0054】
使用セッションを開始する前に、ユーザーはまず、ばね式ヒンジ接続61の付勢作用を克服するために十分な力をカバーの縁に印加することによって、カバー6を開位置に移動させ、それによって空洞24のアクセス開口部241を露出させる。次に、ユーザーは、空洞の一方の端が排出器4の円周リップ45に当接するまで、エアロゾル発生物品7を空洞24に挿入する。空洞24は、エアロゾル発生物品7全体を受容するのに十分な長さを有する。図4Aおよび5Aは、エアロゾル発生装置1の空洞24内に挿入する直前のエアロゾル発生物品7を示す。図4Bは、エアロゾル発生装置1の空洞24内に挿入された後のエアロゾル発生物品7を示す。エアロゾル発生物品7が空洞24内に受容された時、エアロゾル形成基体71の各セグメント71a~eは、加熱組立品3の加熱セグメント31a~eの対応する一つに隣接して位置付けられる。エアロゾル発生物品7がエアロゾル発生装置1の空洞24内に完全に受容されると、カバー6は、図1、4B、5Bに示すように、ばね式ヒンジ接続の付勢作用の結果として、ばね式ヒンジ接続61の周りを自動的に閉位置に旋回する。カバー6は、エアロゾル発生物品7がエアロゾル発生装置1の空洞24の内側に保持されることを確実にするのに役立つことになる。
【0055】
次に、ユーザーは、装置1のハウジング2上に位置付けられた起動ボタンまたは類似の手段(図示せず)を押すことによって、使用セッションを開始する。使用セッションの開始時、制御電子回路22は、制御電子回路22のメモリモジュールに格納された命令に従って、電源21から加熱組立品3への電力の供給を制御し始める。より具体的には、制御電子回路22は、メモリモジュールに格納された命令に従って、電源21からインダクタコイル311a~eの特定のものへの電力供給を独立して制御する。インダクタコイル311a~eのうちの特定のものへの電気の供給は、それぞれのインダクタコイルによる磁場の発生をもたらす。発生した磁場は、サセプタ312a~eの対応するセグメントの中に渦電流を誘導し、加熱し、エアロゾル形成基体71の隣接する対応するセグメント71a~eを加熱するためにサセプタから熱が放射される。エアロゾル形成基体71の異なるセグメント71a~eを加熱すると、揮発性化合物がそれぞれのセグメントから蒸気として放出される。
【0056】
図6Aおよび6Bは、加熱セグメント31a~eのうちの異なる一つが、使用セッションの異なる部分でどのように起動されるかを示す。図6Aは、使用セッションの第一の部分における加熱レジームを図示する。使用セッションのこの第一の部分では、制御電子回路22は、インダクタコイル311aへの電力供給を制限し、それによって、加熱がサセプタ312aおよびエアロゾル形成基体71のセグメント71aに限定される。図6Bは、使用セッションの第二の部分における加熱レジームを図示し、第二の部分は第一の部分のすぐ後にある。使用セッションのこの第二の部分では、制御電子回路22は、インダクタコイル311bへの電力供給を制限し、それによって、加熱がサセプタ312bおよびエアロゾル形成基体71のセグメント71bに限定される。使用セッションの後続の部分では、制御電子回路22は、インダクタコイル311c、次いでインダクタコイル311d、そして最終的にインダクタコイル311eへの電力供給を徐々に制限し、結果として対応するサセプタ312c、312d、312e、およびそれによって対応するセグメント71c、71d、71eの加熱をもたらす。そのため、使用セッションの開始時、装置1の遠位端11に最も近いエアロゾル形成基体71のセグメント71aは加熱され、徐々に枯渇する。使用セッションの異なる部分における進行に伴い、加熱組立品3の加熱作用は、図6Bの矢印Bで表されるように、セグメント71b、続いてセグメント71c、続いてセグメント71d、最後にセグメント71eを加熱および枯渇させるために下流に進む。
【0057】
使用セッション中、ユーザーはマウスピース23を吸う。ユーザーの引き出し動作により、空気がカバー6の空気穴62を通して空洞24の中に引き出され、エアロゾル発生物品7の端の中に入る。エアロゾル発生物品7を通って下流に流れると、空気は、エアロゾル形成基体71のセグメントの加熱によって発生した気化された揮発性化合物と混合する。気化された揮発性化合物と空気の組み合わせは、同伴された気流を形成し、これはエアロゾル発生物品7を通って下流に流れ、次いで排出器4の囲まれたチャネル41を通ってマウスピース23の開口部231に向かって流れる。図6A~Bは、物品7および装置1を通る同伴された気流によって取られた流路を示す。上流チャンバー42は、揮発性化合物の冷却および凝縮を可能にしてエアロゾル液滴を形成する、ならびにエアロゾル液滴と同伴された気流の空気との混合を可能にする、囲まれた空間を画成する。同伴された空気がベンチュリセクション43内に下流に流れると、同伴された気流は、囲まれたチャネル41の断面積がスロート431に向かって徐々に減少するにつれて加速する。ベンチュリセクション43内の囲まれたチャネル41の狭小化およびスロート431による加速は、エアロゾル液滴と同伴された気流の空気との混合を促進するのに役立つ。下流チャンバー44は、同伴された気流のさらなる冷却、およびエアロゾル液滴と同伴された気流の空気との混合を可能にする囲まれた空間を画成する。次に、エアロゾル液滴の同伴された気流は、排出器4の囲まれたチャネル41から下流に流れて、マウスピース23の開口部231を介してエアロゾル発生装置1を出て、ユーザーによって吸入される。
【0058】
使用セッションにおける進行により、制御電子回路22は、上述のように、使用セッションの異なる部分においてエアロゾル発生物品7のセグメント71a~eの異なる一つを加熱して、エアロゾル形成基体71を徐々に枯渇させる。使用セッションの異なる部分と加熱セグメント31a~eの異なる部分の起動との間の移行は、使用セッションにわたる適用された吸煙の一つ以上の時間、累積吸煙数、および速度の関数であってもよく、メモリモジュールは、制御電子回路22がそれに応じて加熱組立品3を制御することを可能にする命令を含む。
【0059】
使用セッションの完了時に、制御電子回路22は、加熱組立品3の加熱セグメント31a~eのインダクタコイル311a~eへの電気の供給を終了する。使用済みのエアロゾル発生物品7をエアロゾル発生装置1の空洞24から取り外すために、ユーザーは、図4Cおよび5Cの矢印Cで示すように、自身の指のうちの一つ以上を摺動可能なインターフェース5と係合し、ハウジング2の上で遠位端11に向かってインターフェース5Cを摺動させる。摺動可能なインターフェース5のこの摺動動作は、遠位端11に向けたハウジング2内の排出器4の対応する摺動運動をもたらす。上述のように、エアロゾル発生物品7は、排出器4の円周リップ45に当接する。そのため、遠位端11に向かうハウジング2に対する排出器4の動きは、排出器がエアロゾル発生物品7をカバー6に押すことになる。ユーザーによって摺動可能なインターフェース5および排出器4に加えられる力は、ばね式ヒンジ接続61の付勢作用を克服するのに十分であり、それによって排出器4がエアロゾル発生物品7をカバー6に対して押し、カバーを開くことを可能にする。図4Cおよび5Cは、使用済みのエアロゾル発生物品7が空洞24から押し出された時の排出器4および摺動可能なインターフェース5の位置を示す。
【0060】
本明細書および添付の特許請求の範囲の目的において、別途示されていない限り、量(amounts)、数量(quantities)、割合などを表すすべての数字は、すべての場合において用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。従って、この文脈において、数字「A」は「A」±10%として理解される。この文脈内で、数字「A」は、数字「A」が修正する特性の測定値に対する一般的な標準誤差内にある数値を含むと考えられてもよい。数字「A」は、添付の特許請求の範囲で使用される通りの一部の場合において、「A」が逸脱する量が特許請求する本発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響を及ぼさないという条件で、上記に列挙された割合だけ逸脱してもよい。また、すべての範囲は、開示された最大点および最小点を含み、かつその中の任意の中間範囲を含み、これらは本明細書に具体的に列挙されている場合もあり、列挙されていない場合もある。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
【国際調査報告】