(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両用制御システム
(51)【国際特許分類】
B60R 99/00 20090101AFI20241024BHJP
B60W 30/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60R99/00 360
B60W30/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523823
(86)(22)【出願日】2022-10-10
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 EP2022078134
(87)【国際公開番号】W WO2023066705
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】513208973
【氏名又は名称】ジャガー・ランド・ローバー・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JAGUAR LAND ROVER LIMITED
【住所又は居所原語表記】Abbey Road,Whitley,Coventry,Warwickshire CV3 4LF GB
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジテシュ・パテル
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ウーリスクロフト
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ペッティンガー
(72)【発明者】
【氏名】デビッド・ワデル
(72)【発明者】
【氏名】ハワード・シスウィック
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム・オノレ
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA21
(57)【要約】
本発明は、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するための、車両用の制御システム(100)に関する。この制御システムは、範囲要求信号を受信するための信号入力部(106)と、スキャン信号の発信をトリガするためのスキャン出力(110)と、スキャン信号に応答して携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号を受信するためのスキャン入力(112)と、電子制御装置にデータを送信するための信号出力部(108)とを備え、範囲要求信号の受信に応じて、スキャン信号が送信され、スキャン応答信号に応じて、車両から携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データが決定され、範囲データが出力される。この制御システムは、アクセス制御システムのキーフォブが携帯型制御装置として動作するように、既存のアクセス制御システムと共に動作することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律車両操縦を実行する際に車両から前記車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するように構成される、車両用の制御システムであって、前記制御システムは1つ以上のコントローラを備え、前記制御システムは、
前記車両の電子制御装置から範囲要求信号を受信するように構成された信号入力部と、
前記車両からのスキャン信号の発信をトリガするための命令信号を送信するように構成されたスキャン出力と、
前記スキャン信号に応答して前記携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号に由来するスキャン入力信号を受信するように構成されたスキャン入力と、
前記電子制御装置にデータを送信するための信号出力部と、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、プロセッサが、
範囲要求信号の受信に応じて、前記スキャン信号をポーリングレートで繰り返し発信させるようにスキャン出力に命令信号を送信させ、
前記スキャン応答信号に応じて、前記車両から前記携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データを決定し、及び、
前記信号出力部に範囲データを電子制御装置に出力させる、
コンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリと、を備え、
前記ポーリングレートは、自律車両操縦の状態に応じて変動する、
制御システム。
【請求項2】
前記ポーリングレートは、前記車両が静止しているときよりも、前記車両が動いているときの方が高い、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記車両が動いている間の前記ポーリングレートが150ms~350msの間、任意に250msであり、及び/又は前記車両が静止している間の前記ポーリングレートが400ms~1500ms、任意に500ms又は1000msである、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記自律操縦が待機状態、起動状態、操縦状態、中断状態、及び終了状態の5つの潜在的な状態を有する、請求項1~3のいずれかに記載の制御システム。
【請求項5】
前記待機状態では、前記携帯型制御装置までの範囲の決定に関連する動作は行われない、請求項4に記載の制御システム。
【請求項6】
前記スキャン信号は、前記起動状態において第1の速度で発信され、前記第1の速度は400ms~1500msの間であり、任意に1000msである、請求項5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記起動状態において、前記スキャン信号は、前記スキャン信号の範囲内に前記携帯型制御装置があることをスキャン応答信号が示すとすぐに停止される、請求項6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記操縦状態において、前記車両は自律操縦を実施しており、前記スキャン信号は、前記起動状態で使用される前記第1の速度よりも速い第2の速度で発信され、前記第2の速度は、150ms~350msの間、任意に250msであり、前記電子制御装置が所望の範囲外にあるか、又は前記車両内にあると制御システムが決定した場合に、前記操縦が停止される、請求項6又は7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記中断状態では、前記自律運転は完了前に停止され、前記スキャン信号は、予め定義された期間にわたって第3の速度で発信され、その後停止され、前記第3の速度は、前記第2の速度よりも遅く、任意に前記第1の速度と同じである、請求項8に記載の制御システム。
【請求項10】
前記車両が自律的に駐車場から出るパークアウト操縦に適用される終了状態では、前記制御システムは、前記第1の速度又は前記第3の速度のスキャン信号を使用して、前記携帯型制御装置が前記車両内に位置していることを決定する、請求項9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記範囲要求信号が前記スキャン信号を構成するための構成データを含み、前記構成データが前記スキャン信号の前記ポーリングレートについての速度データを含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項12】
自律車両操縦を実行する際に車両から前記車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定する方法であって、
前記車両の電子制御装置から範囲要求信号を受信し、
前記範囲要求信号の受信時に、スキャン信号の繰り返し発信をトリガするための命令信号をポーリングレートで送信し、
前記スキャン信号に応答して前記携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号を受信し、
前記スキャン応答信号に応じて、前記車両から前記携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データを決定し、及び
前記範囲データを前記電子制御装置に出力し、
前記ポーリングレートは、自律車両操縦の状態に応じて変動する、前記方法。
【請求項13】
車両を制御するように構成される車両用の電子制御装置であって、前記電子制御装置は、1つ以上のコントローラを備え、かつ、
車両状態データを受信するための状態入力と、
範囲データを要求及び受信するための測距通信チャネルであって、前記範囲データが前記車両から前記車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を示す、測距通信チャネルと、
前記範囲データに応じて、前記車両の別の制御システムに車両制御信号を送信するための出力と、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、
車両が静止していることを示す車両状態データに応じて、第1の速度で前記範囲データを受信するよう要求し、及び
前記車両が移動していることを示す車両状態データに応じて、第1の速度よりも大きい第2の速度で前記範囲データを受信するよう要求する
コンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリと
を備える電子制御装置。
【請求項14】
前記範囲データは、携帯型制御装置が車両の外側であってその所定の範囲内にあること、所定の範囲外にあること、又は車両の内側にあることを示すことができる、請求項13に記載の電子制御装置。
【請求項15】
請求項1~11のいずれかに記載の制御システム、又は請求項13~14のいずれかに記載の電子制御システムを備える車両。
【請求項16】
コンピュータによって実行されるときに、請求項12に記載の方法を実行するように配置されたコンピュータ可読命令。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用制御システムに関する。本発明の態様は、特に、制御システム、車両から携帯型アクセスデバイスまでの範囲を決定する方法、測距システム、車両用電子制御装置、及び車両に関するものであるが、これらに限定されない。
【背景技術】
【0002】
所定の自律運転又は操縦を行うことができる車両を提供することが知られている。これらの自律運転は、パークアウト操縦や遠隔パーキング操縦などの運転を含むことができる。このような運転は、運転者が個人用通信機器上のモバイルアプリケーションを介して実施できる。しかし、自律運転に関する規制には、一定の要件が定められている場合がある。例えば、偶発的な事故が発生した場合、運転者は、車両を制御できるように車両の近くにいなければならず、又は、運転者は、車両が見える範囲内にいなければならない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、従来技術に伴うこれらの欠点の一つ以上に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発明の概要
本発明の態様及び実施形態は、特許請求の範囲に記載の制御システム、車両から携帯型制御装置までの範囲を決定する方法、測距システム、車両用電子制御装置、及び車両を提供する。
【0005】
本発明の一態様によれば、車両用制御システムが提供され、この制御システムは、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するように構成され、この制御システムは、範囲要求信号を受信するための信号入力部と、スキャン信号の発信をトリガするためのスキャン出力と、スキャン信号に応答して携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号を受信するためのスキャン入力と、電子制御装置にデータを送信するための信号出力部と、プロセッサと、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサに、範囲要求信号の受信に応じて、スキャン信号を送信し、スキャン応答信号に応じて、車両から携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データを決定し、信号出力部に範囲データを出力させる、コンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリと、を備える。このようにして、車両に対する運転者の位置を決定することができる。
【0006】
本発明の別の態様によれば、車両用制御システムが提供され、この制御システムは、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するように構成され、制御システムは、1以上のコントローラを含み、制御システムは、車両の電子制御装置から範囲要求信号を受信するように構成された信号入力と、車両からのスキャン信号の発信をトリガするための命令信号を送信するように構成されたスキャン出力と、スキャン信号に応答して携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号から誘導されたスキャン入力信号を受信するように構成されたスキャン入力と、電子制御装置にデータを送信するための信号出力部と、プロセッサと、プロセッサによって実行されたときに、プロセッサが、範囲要求信号の受信に応じて、スキャン出力に命令信号を送信させ、スキャン応答信号に応じて、車両から携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データを決定し、信号出力部に範囲データを電子制御装置に出力させる、コンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリと、を備える。このようにして、運転者に対応して、車両から携帯型制御装置までの範囲を決定することができる。この範囲は、車両の自律操縦の運転を容易にするのに十分な速度で決定できる。
【0007】
制御システムは、自律車両操縦を実行する際に、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するように構成されていてもよい。制御システムは、スキャン出力に、ポーリングレートでスキャン信号を繰り返し発信するように命令信号を送信させることができる。ポーリングレートは、自律車両操縦の状態に応じて変動してもよい。
【0008】
ポーリングレートは、車両が静止しているときよりも、車両が動いているときの方が高くなることがある。車両が動いている間のポーリングレートは、150ms~350msの間、任意に250msとすることができる。車両が静止している間のポーリングレートは400ms~1500ms、任意に500ms又は1000msである。
【0009】
実施形態では、自律操縦は、待機状態、起動状態、操縦状態、中断状態、及び終了状態の5つの潜在的な状態を有することができる。任意に、待機状態では、携帯型制御装置までの範囲の決定に関連する動作は行われない。スキャン信号は、起動状態において第1の速度で発信され、第1の速度は400ms~1500msの間であり、一例では1000msである。起動状態において、スキャン信号は、スキャン信号の範囲内に携帯型制御装置があることをスキャン応答信号が示すとすぐに停止できる。
【0010】
操縦状態において、車両は自律操縦を実施していてもよく、スキャン信号は、起動状態で使用される第1の速度よりも速い第2の速度で発信されてもよい。第2の速度は、150ms~350msの間、任意に250msであり、電子制御装置が所望の範囲外にあるか、又は車両内にあると制御システムが決定した場合に、操縦が停止される。
【0011】
中断状態では、自律運転は完了前に停止され、スキャン信号は、予め定義された期間にわたって第3の速度で発信され、その後停止されてもよく、第3の速度は、第2の速度よりも遅く、任意に第1の速度と同じである。
【0012】
車両が自律的に駐車場から出るパークアウト操縦に適用される終了状態では、制御システムは、第1の速度又は第3の速度のスキャン信号を使用して、携帯型制御装置が車両内に位置していることを決定することができる。
【0013】
実施形態において、範囲要求信号は、スキャン信号を構成するための構成データを含む。任意に、スキャン信号は、規則的に反復する複数のスキャン信号を含むことができる。構成データは、スキャン信号の反復速度についての速度データを含むことができ、スキャン信号の周波数データを含むことができる。このようにして、スキャン信号の反復率を調節して、携帯型制御装置のエネルギー使用量を管理し、車両と携帯型制御装置との間の範囲において十分な監視レベルを維持することができる。
【0014】
一実施形態では、信号入力は、電子制御装置から範囲停止信号を受信するように構成され、スキャン出力は、スキャン信号の発信を停止させるための停止信号を送信するように構成され、プロセッサは、範囲停止信号の受信に応じて、スキャン出力に停止信号を送信させるように構成される。このようにして、範囲データが不要になったときに測距を中止することができる。これは、携帯型制御装置のエネルギー使用量の管理にも有用である。
【0015】
任意に、範囲データは、携帯型制御装置が、車両の外側であってその所定の範囲内にあること、車両の外側であって所定の範囲外にあること、又は車両の内側にあることを示すことができる。範囲データは、携帯型制御装置が好適な範囲内にあるか否かを単に示すこともできる。
【0016】
一実施形態では、スキャン信号は無線周波数信号である。スキャン応答信号は無線周波数信号であってもよい。実施形態では、スキャン信号及びスキャン応答信号は400MHz~500MHzの間の周波数を有し、433MHzであってもよい。このようにして、制御システムは、車両を施錠及び解錠するためのキーフォブを備えるものなど、既存の車両用アクセス制御システムに現在使用されているものと同じハードウェアを使用することができる。このようなシステムでは、既存のキーフォブが携帯型制御装置として機能する。
【0017】
一実施形態では、制御システムは、アクセス制御システムとして、又はアクセス制御システムと共に動作するように構成され、携帯型制御装置は、車両へのアクセスを制御するように構成された携帯型アクセスデバイスである。このようなアクセス制御システムは公知であり、車両に実装されてもよく、このようなアクセス制御システムを有する車両に本発明の制御システムを実装することは、追加のハードウェアを必要としない。
【0018】
本発明のさらに別の態様によれば、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定する方法であって、範囲要求信号の受信時に、スキャン信号の発信をトリガし、スキャン信号に応答して携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号を受信し、スキャン応答信号に基づいて車両から携帯型アクセス制御までの範囲を示す範囲データを決定し、範囲データを出力する方法が提供される。これは、携帯型制御装置までの範囲を決定する便利な方法である。
【0019】
本発明のさらなる態様によれば、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するための方法であって、車両の電子制御装置から範囲要求信号を受信し、範囲要求信号の受信時に、スキャン信号の発信をトリガするための命令信号を送信し、スキャン信号に応答して携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号を受信し、スキャン応答信号に応じて、車両から携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データを決定し、及び範囲データを電子制御装置に出力する方法が提供される。このようにして、本発明の方法は、運転者に対応して携帯型制御装置と車両との間の距離の情報を提供し、自律操縦の運転を容易にする。
【0020】
任意に、この方法は、電子制御装置から範囲停止信号を受信し、及び範囲停止信号の受信に応じて、スキャン信号の発信を停止する命令を送信することを含むことができる。
【0021】
本発明のさらなる態様によれば、先行する請求項のいずれかに記載の制御システムと、スキャン信号を発信し、かつ、スキャン応答信号を受信するように構成された複数のアンテナとを備える測距システムが提供される。これは、携帯型制御装置までの範囲を決定する便利な方法である。
【0022】
一実施形態では、複数のアンテナは無線周波数アンテナを含む。これは、測距システムを実施するための便利で効率的な方法である。
【0023】
任意に、測距システムは、携帯型制御装置をさらに備えることができる。携帯型制御装置は、車両ドアの施錠又は解錠に使用されるような無線周波数の携帯型アクセスデバイスを含む。
【0024】
本発明の別の態様によれば、車両用電子制御装置が提供され、この電子制御装置は、車両状態データを受信するための状態入力と、範囲データを要求及び受信するための測距通信チャネルであって、範囲データは、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を示す、測距通信チャネルと、範囲データに応じて車両の他の制御システムに車両制御信号を送信するための出力と、プロセッサと、プロセッサによって実行されるときに、車両状態データに応じて、第1の速度又は第2の速度で範囲データの受信をプロセッサに要求させるコンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリであって、第2の速度は第1の速度よりも高い速度であるメモリと、を備える。このように、第2の速度は、時間的正確度を高めた範囲を提供するために利用でき、第1の速度は、携帯型制御装置までの範囲の変化を検出することの関連性が低い場合に利用される。第1の速度は400ms~1500msの間であり、一例では500msであり、別の例では1000msである。第2の速度は150ms~350msの間であり、一例では250msである。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、車両用の電子制御装置が提供され、この電子制御装置は、車両を制御するように構成され、この電子制御装置は、1つ以上のコントローラを備え、かつ、車両状態データを受信するための状態入力と、範囲データを要求及び受信するための測距通信チャネルであって、該範囲データは、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を示す、測距通信チャネルと、範囲データに応じて、車両の別の制御システムに車両制御信号を送信するための出力と、プロセッサと、プロセッサによって実行されるときに、プロセッサに、車両が静止していることを示す車両状態データに応じて、第1の速度で範囲データを受信するよう要求し、車両が移動していることを示す車両状態データに応じて、第1の速度よりも大きい第2の速度で範囲データを受信するよう要求する、コンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリと、を備える。このように、より高い速度は、携帯型制御装置までの範囲において変化を迅速に検出するために有用な場合に使用できる一方で、より低い速度は、携帯型制御装置のエネルギー消費を低減するために使用できる。
【0026】
任意に、範囲データは、携帯型制御装置が車両の外側であってその所定の範囲内にあること、所定の範囲外にあること、又は車両の内側にあることを示すことができる。
【0027】
本発明のさらなる態様によれば、本明細書に記載の制御システム、測距システム又は電子制御システムを含む車両が提供される。
【0028】
本発明のさらなる態様によれば、コンピュータによって実行されるときに、本明細書に記載されるような方法を実行するように配置されたコンピュータ可読命令が提供される。
【0029】
本願の範囲内において、先の段落、特許請求の範囲、及び/又は以下の説明及び図面に記載された様々な態様、実施形態、例、及び代替例、特にその個々の特徴は、独立して、又は任意の組み合わせで採用できることが明示的に意図される。すなわち、全ての実施形態及び/又は任意の実施形態の特徴は、そのような特徴が両立しない場合を除き、任意の方法及び/又は組み合わせで組み合わせることができる。本出願人は、出願当初の請求項を変更する権利、又はそれに応じて新たな請求項を提出する権利を留保するが、これには、出願当初の請求項について、出願当初はそのように請求されていなかったが、他の任意の請求項の特徴を引用する、及び/又は他の請求項の特徴を取り入れる補正をする権利も含まれる。
【0030】
次に、本発明の1以上の実施形態について、添付図面を参照して例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る制御システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係るシステムのブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施形態に係る測距システムのブロック図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る方法のフローチャートを示す。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る電子制御システムのブロック図である。
【
図6】
図6は、本発明の実施形態に係るパルスタイムライン図を示す。
【
図7】
図7は、本発明の実施形態に係る車両を示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
詳細な説明
本発明の一実施形態に係る、該して符号100で示される車両用制御システムを、添付の
図1を参照して本明細書で説明する。制御システム100は、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するように構成されている。制御システム100は、プロセッサ102及びメモリ104を備える。制御システムは、信号入力部106及び信号出力部108と、スキャン出力110及びスキャン入力112をさらに備える。信号入力部106は、車両の電子制御装置から範囲要求信号114を受信するように構成される。スキャン出力110は、スキャン信号の発信をトリガするための命令信号116を送信するように構成される。スキャン入力112は、スキャン信号に応答して携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号から誘導されるスキャン入力信号118を受信するように構成される。信号出力部108は、電子制御装置にデータを送信するように構成される。メモリ104は、プロセッサ102によって実行されるときに、プロセッサ102に本明細書で説明する特定の動作を実行させるコンピュータ実行可能命令(図示せず)を内部に格納する。範囲要求信号114の受信に応じて、プロセッサ102は、スキャン出力110に命令信号116を送信させる。スキャン応答信号に応じて、プロセッサ102は、車両から携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データ120を決定する。範囲データ120は、信号出力部120によって電子制御装置に送信される。
【0033】
範囲データ120は、携帯型制御装置160までの距離を具体的に示すことができる。範囲データ120は、運転のための所定の要件に関連する携帯型制御装置までの距離の分類を含んでいてもよい。例えば、範囲データ102は、携帯型アクセスデバイス160が車両の外側であってその所定の範囲内にあること、車両の外側であって所定の範囲の外側にあること、又は車両の内側にあることを示すことができる。携帯型制御装置160までの距離の分類は、制御システム100によって実施されてもよいし、車両内の別の電子制御装置によって実施されてもよいことが分かるであろう。分類は、「有効」及び「無効」の読み取りにさらに簡略化されてもよく、「有効」の読み取りは、携帯型制御装置160が所定の範囲内にあることを示し、「無効」の読み取りは、携帯型制御装置160が所定の範囲外にあること、又は範囲データが利用できないことを示す。
【0034】
次に
図2を参照すると、概して符号200で示されるシステムが示されている。システム200は、
図1に関連して説明した制御システム100を備える車両150と、携帯型制御装置160とを備える。携帯型制御装置160は、キーフォブなどの携帯型アクセスデバイスであってもよい。携帯型制御装置160は、車両150と無線通信するように構成される。車両150は、電子制御装置140と、携帯型制御装置160と通信するための無線通信モジュール130とを備える。制御システム100の上記説明に従って、制御システム100は、無線通信モジュール130にスキャン信号132を発信させる。スキャン信号132はブロードキャストであってもよい。携帯型制御装置160がスキャン信号132を受信したときに、スキャン応答信号134を送信する。携帯型制御装置160がスキャン信号132の範囲外であれば、スキャン信号132を受信せず、スキャン応答134信号は生成されないであろう。無線通信モジュール130は、スキャン信号132及びスキャン応答信号134がRF信号であるような無線周波数(RF)通信モジュールであってもよい。無線通信モジュール130は、複数のアンテナを備えることができる。一例では、RF信号は433MHz信号である。制御システム100は、電子制御装置140からの範囲要求信号114に応答して、スキャン信号132を生じさせるようにトリガされる。無線通信モジュール130は、制御システム100内に構成されていてもよく、及び/又は制御システム100の一部を形成していてもよく、同様に、電子制御装置140内に構成されてもよく、及び/又は電子制御装置140の一部を形成していてもよい。
【0035】
完全又は部分的な自律運転が可能な車両の所定の自律動作については、車両の運転者又は使用者が車両の外側にいることが要求される。これらの運転としては、車両が自律的に駐車場から出るパークアウト操縦や、車両が自ら駐車するパークイン操縦が挙げられる。これらの運転は、例えば個人用通信機器上のアプリケーションを介して、車両の外側から使用者によって制御される。これらの運転の制御には、「デッドマンスイッチ」、すなわちフェイルセーフを提供するように使用者からの常時入力を必要とする動作を含めることが有用な場合がある。指定された動作に対する使用者の入力がなくなると、その運転は直ちに中止される。
【0036】
また、ある自律操縦が計画されている間に、使用者は車両から一定の距離内にいる必要がある。したがって、車両は、車両から使用者までの範囲を検出できなければならない。本開示によれば、この範囲情報は、車両150と使用者が所持する携帯型制御装置160との間の通信を介して取得される。携帯型制御装置160は、車両による自律運転の制御に使用する専用の装置であってもよいし、車両の施錠及び解錠のためのキーフォブなどの携帯型アクセスデバイスと組み合わせてもよい。携帯型制御装置を携帯型アクセスデバイスと組み合わせる場合、便利なことに、これは既存のハードウェアを使用して実装することができ、同様に、制御システムは、車両の既存のハードウェアを使用して実装することができる。
【0037】
使用中、車両の自律運転が使用者によって要求された場合、車両の電子制御装置140は、使用者までの範囲を決定するステップをとる。電子制御装置140は、範囲要求信号114を制御システム100に送信する。範囲要求信号114の受信に応答して、制御システム100は命令信号116を送信し、それによってスキャン信号132が車両から送信されることになる。携帯型制御装置160がスキャン信号132を受信すると、携帯型制御装置160はスキャン応答信号134を生成し、これを車両150が受信し、制御システム100のスキャン入力信号118に変換する。次に、制御システム100のプロセッサ102は、スキャン入力信号118を処理して、車両から携帯型制御装置160までの範囲を決定し、使用者の範囲に対応させる。次に、その範囲は、範囲データ120として電子制御装置140に伝送される。範囲データ120は、飛行時間計算、複数の応答に基づく三角測量、及び/又は他の好適な機構から導出できる。
【0038】
車両の電子制御装置140は、その時点で範囲データが不要であると決定し、制御システム100に測距操作の停止を命令する信号をさらに送信してもよい。信号入力部106は、電子制御装置140から範囲停止信号を受信するように構成される。範囲停止信号を受信すると、制御システムは、スキャン出力110から停止信号を送信するように構成され、停止信号は、スキャン信号132の発信を停止する。プロセッサは、範囲停止信号の受信に応じて、スキャン出力110に停止信号を送信させるように構成できる。
【0039】
一例として、測距は、操縦前又は操縦中に1回以上の期間にわたって実施される。これは、電子制御装置140から制御システム100に、すなわち携帯型制御装置160に、反復信号を送信することを含むことができる。さらに又はその代わりに、制御システム100は、電子制御装置からの1つの範囲要求信号114に応答して、繰反復の命令信号116をトリガしてもよい。さらに又はその代わりに、単一の命令信号116は、複数のスキャン信号132が発信されるか、又は信号スキャン信号が複数のパルスを含む単一のスキャン信号132を生じさせることができる。スキャン信号は、規則的に反復する複数のスキャン信号を含むことができる。複数のスキャン信号又は複数のパルスを含む単一のスキャン信号の場合、対応する応答を、複数のスキャン応答信号134又は複数の応答パルスを含む単一のスキャン応答信号134の形態で、携帯型制御装置160から受信することができる。スキャン信号132の複数のパルスに対する言及は、複数のスキャン信号をいうものと理解でき、同様に、複数の応答パルスに対する言及は、複数のスキャン応答信号134をいうものと理解できるものとする。
図6に関連して配置例をより詳細に説明する。
【0040】
範囲要求信号114は、スキャン信号132のための構成データを含むことができる。構成データは、スキャン信号の反復速度データを含むことができる。マークスペース比データ、パルス周波数データ、及び他の構成データを含むことができる。
【0041】
本明細書で説明するタイプの携帯型制御装置160は、典型的には、バッテリ駆動される。したがって、携帯型制御装置160に多くの応答パルス及び/又はスキャン応答信号を発信させざるを得ない可能性のあるシステムは、バッテリ充電の望ましくないほど速い消耗をもたらす可能性がある。本開示の例では、携帯型制御装置160がスキャン応答信号又はパルスを発信するように要求される速度は、自律操縦の安全要件も満たしつつ、携帯型制御装置160の電力使用を効率的に管理するように制御される。スキャン信号132の発信速度は、操縦の状態に応じて変動する場合がある。例えば、ポーリングレートと呼ばれるスキャン信号の発信速度は、車両が静止しているときよりも、車両が動いているときの方が高くなることがある。車両が動いている際のポーリングレートは150ms~350msの間であり、一例では250msである。他の時間でのポーリングレートは400ms~1500msの間であり、一例では500msであり、別の例では1000msである。
【0042】
操縦は、待機、起動、操縦、中断及び終了の5つの状態に分類できる。待機状態においては、選択される操縦はなく、携帯型制御装置160までの範囲の決定に関連するいかなる動作もとられない。起動モードでは、自律操縦を実行する使用者要求がなされ、動作前に、電子制御装置140までの範囲が決定される。このようにして、使用者が要求された自律操縦を可能にするために十分に車両に近づいていることを確認することができる。スキャン信号132は、起動状態において第1の速度で発信される。この状態の間、車両は動いていないため、第1の速度は適度に遅くてもよい。第1の速度は400ms~1500msの間であり、一例では1000msである。スキャン信号132は、スキャン応答信号134が、スキャン信号132の範囲内に携帯型制御装置160があることを示すとすぐに停止できる。制御システム100は、検出された携帯型制御装置160までの範囲を算出してもよいが、これは起動段階では必須ではない。しかし、範囲を検出する場合には、範囲が決定されたときにスキャン信号132の応答信号が停止される。携帯型制御装置160が車両の適切な範囲内にあると決定されたら、電子制御装置は車両のエンジンを始動させてもよい。このようにして、使用者が範囲外にいるときにエンジンが始動されることはないため、燃料の使用量を削減し、使用者が操縦の実施を希望していることを確認することができる。
【0043】
操縦状態では、車両は自律操縦を実施している。この状態では、スキャン信号132は、車両から携帯型制御装置160までの範囲を検出するために発信される。スキャン信号132は、起動状態で使用される第1の速度よりも速い第2の速度で発信される。第2の速度は150ms~350msの間であり、一例では250msである。測距操作により、電子制御装置140が所望の範囲外にあるか、又は車両内にあることが示された場合に、操縦が停止される。
【0044】
中断状態では、例えば、電子制御装置140が所望の範囲を超えて移動した場合や、デッドマンスイッチが解除された場合など、自律操縦が完了する前に停止している。この状態では、スキャン信号132は、予め設定された期間にわたって第3の速度で発信され、その後停止される。第3の速度は第2の速度よりも遅く、第1の速度と同じであってもよい。第3の速度は400ms~1500msの間であり、一例では500msである。このようにして、使用者が自律操縦を迅速に再開する場合には自律操縦は迅速に再開できるが、操縦の再開に所定の期間よりも長い時間がかかる場合には、携帯型制御装置160のバッテリが不必要に消耗することはない。所定の期間は、0秒~30秒の間であってもよく、一例では5秒である。
【0045】
終了状態は、パークアウト操縦に適用され、制御システムは、携帯型制御装置160が車両内部に位置していると決定する。これは、例えば第1の速度又は第3の速度などの遅い速度でスキャン信号132を使用して達成できる。
【0046】
1つの車両に対して複数の携帯型制御装置160が存在することがあり、例えば、車両の各使用者に対して1つ存在することがある。これに対処するために、本開示に係る例では、制御システム100又は電子制御装置140などの車両の制御モジュールが、車両で直近に使用された携帯型制御装置160の識別情報を記憶する。携帯型制御装置160が車両の解錠/施錠のための携帯型アクセスデバイスである場合、車両の解錠に最後に使用された携帯型制御装置160の識別情報が記憶される。この識別情報は、PairedKeyIDと呼ばれることがある。PairedKeyIDによって識別される携帯型制御装置160までの範囲がチェックされることになる。2つの携帯型制御装置160を有する2人の使用者が車両に乗車している場合には、PairedKeyIDを使用して制御対象の携帯型制御装置160を特定する。携帯型制御装置160が有効範囲内にない場合、車両は移動せず、携帯型制御装置160が見つからなかったことが使用者に通知される。これにより、使用者は携帯型制御装置160を交換し、PairedKeyIDによって識別される携帯型制御装置160を有効範囲内に入れることができる。
【0047】
車両の電子制御装置から範囲要求信号を受信するように構成された信号入力部は、範囲要求信号を受信するための電気入力を有するプロセッサを備えていてもよく、スキャン入力信号を受信するように構成されたスキャン入力は、スキャン入力信号を受信するための電気入力を有するプロセッサを備えていてもよく、命令信号を送信するように構成されたスキャン出力は、車両からのスキャン信号の発信をトリガするための電気出力を有するプロセッサを備えていてもよく、信号出力部は、電子制御装置にデータを送信するための電気出力を有するプロセッサを備えていてもよい。プロセッサは1つ以上のプロセッサを含むことができ、電気入力は同一の電気入力であってもよく、電気出力は同一の電気出力であってもよく、電気入力及び電気出力は、組み合わされた入出力ポートであってもよい。
【0048】
携帯型制御装置160は、キーフォブなどの携帯型アクセスデバイスであってもよい。電子制御装置140は、テレマティクス制御ユニットであってもよく、使用者の携帯通信装置と車両ネットワークとの間の通信ゲートウェイとして機能する。このようにして、使用者は、携帯電話などのデバイス上のアプリケーションを介して自律操縦を要求することができる。このメッセージはテレマティクス制御ユニットによって受信され、テレマティクス制御ユニットは、その後、携帯型制御装置160までの範囲を決定するように本開示に係る制御システムに命令する。そして、一旦範囲が決定されると、制御システムは、例えば範囲データ120として、それをテレマティクスユニット、又は別の関連する電子制御装置に送信することができる。一例では、範囲データ120は、制御システム100から直接、又はテレマティクスユニット若しくは別の電子制御装置によって中継されて、近距離センサ制御ユニットに送信される。近距離センサ制御ユニットは、範囲データが操縦の要件を満たしているかどうかを決定し、例えば、範囲要件が満たされている場合には操縦を開始又は継続し、範囲要件が満たされていない場合(例えば、範囲が要求値を超えて拡大した場合)には操縦を停止するなど、適宜操縦を制御する。範囲要件が満たされているかどうかの決定は、車両内の任意の適切な制御ユニット又は制御システムによって実行できることが分かるであろう。
【0049】
次に
図3を参照すると、本発明の実施形態に係る測距システムのブロック図が示されている。測距システム300は、本明細書に記載の制御システム100と、複数のアンテナ170a、170b、170c、170dとを備える。一例として、車両は、キーフォブによる遠隔アクセスシステムで使用するための複数のアンテナを備えていてもよい。このような遠隔アクセスシステムは、433Mhzで動作する無線周波数システムであってもよい。このような遠隔アクセスシステムは、無線周波数コントローラ及び/又は無線周波数アクチュエータを備えることができる。アンテナは、例えば、フロントバンパー/フェンダー上、リアバンパー/フェンダー上、運転席側ドア内、助手席側ドア内、及び車両内部に配置できる。このようにして、様々なアンテナからの読み取り値を組み合わせることにより、遠隔アクセスシステムは、例えばキーフォブが車両内にある場合など、キーフォブの位置を決定することができる。制御システム100は、スキャン信号132をブロードキャストするようRFアンテナに命令することや、キーフォブを携帯型制御装置160として使用することを含めて、車両内の既存の遠隔アクセスシステムの態様を利用することができる。このように、測距システム300は、複数のアンテナ170a、170b、170c、170dとして、既存の遠隔アクセスシステムのアンテナを利用してもよい。このように、制御システム100及び測距システム300は、使用するハードウェアを変更することなく、このような遠隔アクセスシステムを備える車両に実装することができる。
【0050】
次に
図4を参照すると、車両から車両に関連する携帯型アクセスデバイスまでの範囲を決定するための、該して符号400で示される方法が示されている。この方法は、前の図に関連して本明細書で説明した制御システム100によって実施することができる。方法400は、ブロック402において、車両の電子制御装置から範囲要求信号を受信することを含む。ブロック404において、範囲要求信号を受信すると、方法400は、スキャン信号の発信をトリガするための命令信号を送信することを含む。ブロック406において、方法400は、スキャン信号に応答して携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号を受信することを含む。方法400は、ブロック408において、スキャン応答信号に応じて、車両から携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データを決定することを含む。ブロック410において、方法400は、範囲データを電子制御装置に出力することを含む。方法400は、電子制御装置から範囲停止信号を受信し、範囲停止信号の受信に応じてスキャン信号の発信を停止する命令を送信することをさらに含むことができる。
【0051】
次に
図5を参照すると、本開示の一実施形態に係る、概して符号500で示される車両用電子制御装置のブロック図が示されている。電子制御装置500は、車両又は車両の態様を制御するように構成される。電子制御装置500は、プロセッサ502と、プロセッサ502によって実行されるとプロセッサに特定の動作をとらせるコンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリ504とを備える。電子制御装置500は、車両状態データ524を受信するための状態入力506を備える。電子制御装置500は、範囲データを要求及び受信するための測距通信チャネル510を備え、範囲データは、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を示す。電子制御装置500は、範囲データに応じて車両の他の制御システムに車両制御信号を送信するための出力を備えている。メモリ504に格納されたコンピュータ実行可能命令により、プロセッサ502は、車両が静止していることを示す車両状態データ524に応じて、第1の速度で範囲データを受信するよう要求し、車両が移動していることを示す車両状態データ524に応じて、第2の速度で範囲データを受信するよう要求するように構成され、この場合、第2の速度は第1の速度よりも高い。第1の速度は400ms~1500msの間であり、一例では500msであり、別の例では1000msである。第2の速度は150ms~350msの間であり、一例では250msである。
【0052】
範囲データは、携帯型アクセスデバイスが車両の外側であってその所定の範囲内にあること、所定の範囲外にあること、又は車両の内側にあることを示すことができる。測距通信チャネル510は、範囲要求を送信するための測距出力と、範囲データを受信するための測距入力とを含むことができる。電子制御装置500は、本明細書で説明するテレマティクス制御ユニットに対応することができる。
【0053】
図5に関連して本明細書で説明する電子制御装置500は、
図2に関連して本明細書で説明する電子制御装置140に対応してもよい。電子制御装置500は、
図1及び
図2に関連して説明された電子制御装置140と制御システム100との組み合わせに対応してもよい。電子制御装置500は、
図3に関連して説明された電子制御装置140と測距システム300との組み合わせに対応してもよい。
【0054】
次に
図6を参照すると、本発明の実施形態に係る信号タイムライン図が示されている。信号タイムライン図は、本明細書に記載のシステム及び方法によって実施できる範囲要求シグナリングの一例を表すことができる。信号タイムライン図は、制御システム100によって受信された複数の範囲要求信号114を示す。さらに、制御システム100が携帯型制御装置160に対して範囲の決定を停止するように命令されたときに送信される範囲停止信号602が示されている。最初の範囲要求信号と範囲停止信号602との間の時間をスキャン要求時間604ということがある。これは、典型的には、操縦が完了するまでの時間に関連する。隣接する範囲要求信号114間の時間を、スキャン要求速度606ということがある。信号タイムライン図は、制御システム100によってトリガされる複数のスキャン信号132を示し、停止信号608で終了する。隣接するスキャン信号132間の時間を、ポーリングレート610ということがある。ポーリングレート610は、スキャン信号132に使用される無線通信ハードウェア及びソフトウェア、車両構成などに基づくことができる。信号タイムライン図は、スキャン信号132に応答して携帯型制御装置160によって送信される複数のスキャン応答信号134を示す。スキャン信号132と得られるスキャン応答信号134との間の時間を、応答時間612ということがある。応答時間612は、携帯型制御装置160の動作周波数、ハードウェア及びソフトウェアを含む動作システムに依存する場合がある。信号タイムライン図は、制御システム100によって電子制御システム140に送信される複数の範囲データ120信号を示す。スキャン応答信号134と対応する範囲データ信号120との間の時間を、範囲処理時間614ということができる。範囲処理時間614は、ハードウェア(プロセッサ102)及びソフトウェア(メモリ104に格納されたコンピュータ可読命令)を含めた制御システム100の動作システムに依存することがある。範囲要求信号とそれに対応する範囲データ信号との間の時間を、待ち時間616ということがある。
【0055】
ポーリングレートは、操縦の状態に応じて変動する。一例として、制御システムは、150ms~1500msの間のポーリングレートを提供するように構成される。操縦ポーリングレートは150ms~350msの間であり、静止ポーリングレートは300ms~1500msの間であり、一例では400ms~840msの間である。制御システムは、800ms~2000msの待ち時間を提供するように構成される。特定の例では、ポーリングレートは300ms~750msの間であり、待ち時間は1000msである。このようにして、携帯型制御装置160が指定範囲外にあることが検出された場合、自律操縦を1秒以内に終了させることができる。
【0056】
スキャン要求速度は、本明細書で説明する第1の速度、第2の速度及び第3の速度に対応する。スキャン要求速度は、車両の自律操縦の状態に依存する場合がある。
【0057】
図7に示すように、制御システム100は、車両700に搭載される。本実施形態における車両700は、車輪付き車両などの自動車であるが、制御システム100は、航空機、水上バイクなどの他のタイプの車両に使用されてもよいことが分かるであろう。
【0058】
制御システム100、測距システム300、電子制御装置140、500など、本明細書で説明するシステムは、1つのプロセッサを備えていてもよいが、これは単なる例示であることが理解されるであろう。プロセッサは、処理手段を含んでいてもよく、メモリ手段を含んでいてもよい。システムは、メモリ104、504などのメモリを備えていてもよい。処理手段は、コンピュータ可読命令を動作可能に実行する1以上の電子処理装置であってもよい。メモリ手段は、1以上のメモリデバイスであってもよい。メモリ手段は、処理手段に電気的に接続されていてもよい。メモリ手段は命令を記憶するように構成され、処理手段は、メモリ手段にアクセスし、そこに格納された命令を実行するように構成される。特に、メモリは、プロセッサによって実行されるときに、
図4に関連して本明細書で説明されるような方法400を実行するコンピュータ可読命令を含んでいてもよい。
【0059】
本明細書で説明するシステムは、入力及び出力を備える。入力は、システムの電気入力を含み、システムのプロセッサの電気入力に電気的に接続できる。出力は、システムの電気出力を含み、プロセッサの電気出力に電気的に接続できる。
【0060】
本発明は、車両から車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するための、車両用制御システムに関する。この制御システムは、範囲要求信号を受信するための信号入力部と、スキャン信号の発信をトリガするためのスキャン出力と、スキャン信号に応答して携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号を受信するためのスキャン入力と、電子制御装置にデータを送信するための信号出力部とを備え、範囲要求信号の受信に応じて、スキャン信号が送信され、スキャン応答信号に応じて、車両から携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データが決定され、範囲データが出力される。制御システムは、アクセス制御システムのキーフォブが携帯型制御装置として動作するように、既存のアクセス制御システムと共に動作することができる。
【0061】
自律操縦の中には、車両から車外にいる運転者/使用者までの距離を知る必要がある場合がある。これは、キーフォブのような携帯型アクセスデバイスを含めて、車両を遠隔操作で施錠・解錠するための既存のアクセス制御システムと類似又は対応する制御システムを使用して行うことができる。車両からキーフォブへの信号をトリガし、その応答を測定することにより、キーフォブまでの範囲を決定することができる。車両からキーフォブへの信号の速度を調節することにより、キーフォブのバッテリのエネルギー使用量を管理することができる。
【0062】
本開示の態様は、車両がパークアウトなどの自律操縦を行っている間に、車両の使用者の位置を実質的に連続的に検出し、使用者が車両の所定の半径の外側にいる場合、車両が動いていないことを保証することを可能にする。
【0063】
本願の範囲から逸脱することなく、本発明に様々な変更や修正を加えることができることが分かるであろう。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律車両操縦を実行する際に車両から前記車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定するように構成される、車両用の制御システムであって、前記制御システムは1つ以上のコントローラを備え、前記制御システムは、
前記車両の電子制御装置から範囲要求信号を受信するように構成された信号入力と、
前記車両からのスキャン信号の発信をトリガするための命令信号を送信するように構成されたスキャン出力と、
前記スキャン信号に応答して前記携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号に由来するスキャン入力信号を受信するように構成されたスキャン入力と、
前記電子制御装置にデータを送信するための信号出力と、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されたときに、プロセッサが、
範囲要求信号の受信に応じて、前記スキャン信号をポーリングレートで繰り返し発信させるようにスキャン出力に命令信号を送信させ、
前記スキャン応答信号に応じて、前記車両から前記携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データを決定し、及び、
前記信号出力に範囲データを電子制御装置に出力させる、
コンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリと、を備え、
前記ポーリングレートは、自律車両操縦の状態に応じて変動する、
制御システム。
【請求項2】
前記ポーリングレートは、前記車両が静止しているときよりも、前記車両が動いているときの方が高い、請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
前記車両が動いている間の前記ポーリングレートが150ms~350msの間、任意に250msであ
る、請求項2に記載の制御システム。
【請求項4】
前記車両が静止している間の前記ポーリングレートが400ms~1500ms、任意に500ms又は1000msである、請求項2に記載の制御システム。
【請求項5】
前記自律操縦が待機状態、起動状態、操縦状態、中断状態、及び終了状態の5つの潜在的な状態を有する、請求項
1に記載の制御システム。
【請求項6】
前記待機状態では、前記携帯型制御装置までの範囲の決定に関連する動作は行われない、請求項
5に記載の制御システム。
【請求項7】
前記スキャン信号は、前記起動状態において第1の速度で発信され、前記第1の速度は400ms~1500msの間であり、任意に1000msである、請求項
6に記載の制御システム。
【請求項8】
前記起動状態において、前記スキャン信号は、前記スキャン信号の範囲内に前記携帯型制御装置があることをスキャン応答信号が示すとすぐに停止される、請求項
7に記載の制御システム。
【請求項9】
前記操縦状態において、前記車両は自律操縦を実施しており、前記スキャン信号は、前記起動状態で使用される前記第1の速度よりも速い第2の速度で発信され、前記第2の速度は、150ms~350msの間、任意に250msであり、前記電子制御装置が所望の範囲外にあるか、又は前記車両内にあると制御システムが決定した場合に、前記操縦が停止される、請求項
7に記載の制御システム。
【請求項10】
前記中断状態では、前記自律運転は完了前に停止され、前記スキャン信号は、予め定義された期間にわたって第3の速度で発信され、その後停止され、前記第3の速度は、前記第2の速度よりも遅く、任意に前記第1の速度と同じである、請求項
9に記載の制御システム。
【請求項11】
前記車両が自律的に駐車場から出るパークアウト操縦に適用される終了状態では、前記制御システムは、前記第1の速度又は前記第3の速度のスキャン信号を使用して、前記携帯型制御装置が前記車両内に位置していることを決定する、請求項
10に記載の制御システム。
【請求項12】
前記範囲要求信号が前記スキャン信号を構成するための構成データを含み、前記構成データが前記スキャン信号の前記ポーリングレートについての速度データを含む、請求項1に記載の制御システム。
【請求項13】
自律車両操縦を実行する際に車両から前記車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を決定する方法であって、
前記車両の電子制御装置から範囲要求信号を受信し、
前記範囲要求信号の受信時に、スキャン信号の繰り返し発信をトリガするための命令信号をポーリングレートで送信し、
前記スキャン信号に応答して前記携帯型制御装置に由来するスキャン応答信号を受信し、
前記スキャン応答信号に応じて、前記車両から前記携帯型制御装置までの範囲を示す範囲データを決定し、及び
前記範囲データを前記電子制御装置に出力し、
前記ポーリングレートは、自律車両操縦の状態に応じて変動する、前記方法。
【請求項14】
自律車両操縦を実行する際に車両を制御するように構成される車両用の電子制御装置であって、前記電子制御装置は、1つ以上のコントローラを備え、かつ、
車両状態データを受信するための状態入力と、
範囲データを要求及び受信するための測距通信チャネルであって、前記範囲データが前記車両から前記車両に関連する携帯型制御装置までの範囲を示す、測距通信チャネルと、
前記範囲データに応じて、前記車両の別の制御システムに車両制御信号を送信するための出力と、
プロセッサと、
前記プロセッサによって実行されるときに、
自律車両操縦を実行する際にプロセッサに、
車両が静止していることを示す車両状態データに応じて、第1の速度で前記範囲データを受信するよう要求し、及び
前記車両が移動していることを示す車両状態データに応じて、第1の速度よりも大きい第2の速度で前記範囲データを受信するよう要求する
コンピュータ実行可能命令を内部に格納するメモリと
を備える電子制御装置。
【請求項15】
前記範囲データは、携帯型制御装置が車両の外側であってその所定の範囲内にあること、所定の範囲外にあること、又は車両の内側にあることを示すことができる、請求項
14に記載の電子制御装置。
【請求項16】
請求項
1に記載の制御システ
ムを備える車両。
【請求項17】
コンピュータによって実行されるときに、請求項
13に記載の方法を実行するように配置されたコンピュータ可読命令。
【国際調査報告】