(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】トポロジカルキュービット、レジスタ、及び方法
(51)【国際特許分類】
G06N 10/40 20220101AFI20241024BHJP
G06F 7/38 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G06N10/40
G06F7/38 510
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2024523917
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-04-18
(86)【国際出願番号】 US2022047295
(87)【国際公開番号】W WO2023069632
(87)【国際公開日】2023-04-27
(32)【優先日】2021-10-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522154319
【氏名又は名称】ストリームライン オートメーション エルエルシー
(71)【出願人】
【識別番号】594141749
【氏名又は名称】ウェイク フォレスト ユニバーシティ
【氏名又は名称原語表記】Wake Forest University
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ライヒ,アルトン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】キャロル,デビッド エル.
(72)【発明者】
【氏名】ディ サルボ,ロベルト
(57)【要約】
トポロジカル量子レジスタは、基板上にトポロジカルキュービットのアレイを含む。再構成可能な量子レジスタはまた、各量子ビットを少なくとも1つの他の量子ビットに接続する導電性リードを含み、固体スイッチを有する。トポロジカル量子レジスタはまた、量子ビットの量子状態を同時に決定するための手段と、量子ビットの各々において重ね合わせ状態を確立するための手段と、当該固体スイッチの各々と通信するコンピュータと、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トポロジカルキュービットのアレイを含むトポロジカル量子レジスタであって、前記トポロジカルキュービットの各々は、基板内又は基板上のバックゲートリードに電気的に結合されたトポロジカル量子ナノ粒子と、前記トポロジカルキュービットの状態を同時に決定するための手段と、を含む、トポロジカル量子レジスタ。
【請求項2】
前記トポロジカルキュービットは、前記トポロジカル量子キュービットの互いに対する近接によってエンタングルされる、請求項1に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項3】
前記トポロジカルキュービットは、前記トポロジカルキュービット間の電気的接続を形成する接続リードによってエンタングルされる、請求項1に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項4】
前記トポロジカルキュービット間の前記電気的接続のうちの1つ以上は、固体スイッチを含む、請求項3に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項5】
前記固体スイッチとコンピュータとの間の電気的接続を更に含み、前記固体スイッチは、前記コンピュータによって制御される、請求項4に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項6】
前記トポロジカルキュービットの前記状態を同時に決定するための前記手段は、ボルタンメトリー手段、電流測定手段、キャパシタンス手段、インダクタンス手段、分極検出手段、又はSQUID手段である、請求項1に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項7】
前記トポロジカル量子ナノ粒子は、遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)ナノプレートレットである、請求項1に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項8】
再構成可能な量子レジスタであって、前記量子レジスタは、
基板上の量子ビットのアレイと、
各量子ビットを少なくとも1つの他の量子ビットに接続する導電性リードであって、前記導電性リードは、固体スイッチを含む、導電性リードと、
前記量子ビットの量子状態を同時に決定するための手段と、
前記量子ビットの各々において重ね合わせ状態を確立するための手段と、
前記固体スイッチの各々と通信するコンピュータと、を含み、
前記コンピュータは、各量子ビットが少なくとも1つの他の量子ビットと選択的にエンタングル可能であるように、各固体スイッチを選択的に制御するように構成されている、再構成可能な量子レジスタ。
【請求項9】
前記コンピュータは、前記量子ビットの量子状態を同時に決定するための前記手段と、前記量子ビットの各々において重ね合わせ状態を確立するための前記手段と、を制御する、請求項8に記載の再構成可能な量子レジスタ。
【請求項10】
前記量子ビットの各々は、TMDナノプレートレットを含む、請求項8に記載の再構成可能な量子レジスタ。
【請求項11】
前記トポロジカル量子キュービットの前記状態を同時に決定するための前記手段は、ボルタンメトリー手段、電流測定手段、キャパシタンス手段、インダクタンス手段、分極検出手段、又はSQUID手段である、請求項8に記載の再構成可能な量子レジスタ。
【請求項12】
前記固体スイッチは、前記固体スイッチが70Kよりも高い温度にあるときに前記コンピュータによって制御されるように動作可能である、請求項8に記載の再構成可能な量子レジスタ。
【請求項13】
量子コンピュータであって、前記量子コンピュータは、請求項1に記載のトポロジカル量子レジスタ又は請求項8に記載の再構成可能な量子レジスタを含む、量子コンピュータ。
【請求項14】
量子ゲートの所望の組み合わせを形成するために基板上にキュービットのアレイを選択的に構成するための方法であって、前記方法は、
前記キュービットのアレイの所望の構成に関する入力データをコンピュータに提供して、ゲートの前記所望の組み合わせを形成することと、
前記コンピュータに、前記キュービットのアレイの前記キュービットを電気的に接続する固体スイッチを選択的に開閉するための命令のセットを実行させ、それにより、前記キュービットのサブセットを互いに選択的にエンタングルさせて、前記量子ゲートの所望の組み合わせを形成することと、を含む、方法。
【請求項15】
キュービットのアレイを含む量子レジスタを作製するための方法であって、前記方法は、
バックゲート電極のアレイを含む基板を提供することと、
トポロジカル量子ナノ粒子を複数の前記バックゲート電極の各々に接触又は並置させて位置決めし、それにより、前記トポロジカル量子ナノ粒子を前記複数の前記バックゲート電極に電気的に接続することと、
前記トポロジカル量子ナノ粒子の量子状態を同時に決定するためのセンサを形成するために、前記トポロジカル量子ナノ粒子に関連して前記基板上に導電性リードを堆積することと、を含む、方法。
【請求項16】
前記バックゲート電極は、前記バックゲート電極のアレイを露出させるために電気絶縁体によって部分的に覆われた単一の電極として具現化される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記基板は、電気絶縁体の表面層を有するシリコンウェハを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記基板及びバックゲート電極をレジスト層又はフォトレジスト層で覆うことと、
フォトリソグラフィを使用して、前記バックゲート電極の上方の前記レジスト又はフォトレジスト層に孔パターンを形成することと、を更に含み、
トポロジカル量子ナノ粒子を前記位置決めすることは、導電性電極を前記基板上のトポロジカル量子ナノ粒子の懸濁液と接触させて配置し、かつ前記導電性電極と前記バックゲート電極との間にバイアス電圧を印加して、前記トポロジカル量子ナノ粒子を前記バックゲート電極に向かって誘導することと、を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記基板及びバックゲート電極を絶縁層で覆い、かつ前記バックゲート電極の上方の前記絶縁層に孔を形成することを更に含み、
トポロジカル量子ナノ粒子を前記位置決めすることは、前記基板上にトポロジカル量子ナノ粒子の懸濁液を適用し、かつ前記バックゲート電極に電位を印加して、前記トポロジカル量子ナノ粒子を前記孔のうちの1つに誘導することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記キュービットの機能性を個々に試験することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
連邦政府主催の研究開発
この発明は、米国空軍によって授与された契約番号FA864920P0373及びFA864920P0989の下で政府の支援を受けてなされた。政府は、本発明において特定の権利を有する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、概して、量子コンピュータハードウェアを作製するためのシステム及び方法、並びにコンピュータシステムのためのトポロジカル量子ビット(TQB)及び他の構成要素を含むレジスタに関する。
【0003】
背景技術
量子コンピューティングでは、重ね合わせ(superposition)及びエンタングルメント(entanglement)などの量子力学的現象を使用して、特定のタイプの計算を実行している。量子コンピュータ回路は、量子コンピュータにおける情報記憶、処理、又は表現の基本単位である、「キュービット」又は「qビット」とも称される量子ビットに基づいている。キュービットは、2つの状態、0又は1において、重ね合わせの状態で同時に、又は異なる時間に存在することができる。複数のキュービットが機能的に結合されて、古典的なプロセッサレジスタの量子アナログである量子レジスタを形成している。量子論理ゲート(又は量子ゲート)は、組み合わせてより大きい量子コンピューティング回路を作製することができる少数のキュービットを含む基本的な量子回路である。量子論理ゲートは、量子コンピュータ内の情報の流れ及びその処理を制御するために量子ビットを使用して論理演算が実行されることを可能にする。
【0004】
キュービットを安定させるためには、量子状態を乱す可能性のある熱雑音及び電磁雑音などの外部干渉から保護する必要がある。これは通常、キュービットが絶対零度に近い極低温まで冷却されることを必要とするため、現在の量子コンピュータの深刻な制限となっている。量子計算の実装はまた、短いコヒーレンス時間、又は既存のキュービットに対して準備又は測定された量子状態を維持できる時間の長さによって制限されている。これは、少なくとも部分的には、現在の量子コンピューティング技術が、電子部品に直接結合することができない電子、光子、又はイオンをエンタングルさせることに基づいているためである。
【0005】
PCT/US20/56725(その全体が参考として援用される)は、基板上に固定され、電極と接触する結晶を含むキュービットデバイスを記載している。結晶は、電荷対対称性を呈し、電子電流が、時計回りに、反時計回りに、又はその両方に移動する。電流は、電流が測定されるまで電流が未知である重ね合わせの状態に置くことができ、電流の方向は、論理0又は論理1に対応するバイナリ出力を生成するために測定される。電圧、電流、又は磁場を測定し、かつ閾値に応じて重ね合わせ状態又は基底状態を割り当てることによって、キュービットデバイスの状態を監視する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トポロジカル量子コンピューティング構成要素を作製するための方法と関連付けられる困難な点として、ナノ粒子の適切な位置決め及び配向、並びにレジスタ、論理ゲート、及び他の構成要素を形成するためのキュービット間の電気コンタクトの確立が挙げられる。レジスタ内のトポロジカルキュービットの量子状態を同時に測定する手段が必要である。トポロジカル絶縁体ナノ結晶などのナノ粒子を基板上に位置決めするための方法は、トポロジカル量子コンピューティング構成要素の生成のために必要である。かかる方法は、好ましくは、ナノクリスタルと電気リードとの間の接続を形成すること、ナノクリスタルを互いに対して選択的に配置すること、及び/又はナノクリスタルの適切な配置及び配向を評価することを含む。現在、トポロジカルキュービットを含むレジスタを再構成することができないように、トポロジカル量子コンピュータ接続は固定されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明の概要
本発明の実施形態は、好ましくは、トポロジカル量子ナノ粒子を含むキュービット、エンタングルされたトポロジカルキュービットのアレイを含む量子キュービットレジスタ、量子キュービットレジスタを含む量子コンピュータ、トポロジカルキュービットレジスタを作製する方法、及びトポロジカルキュービットレジスタ内のトポロジカル量子キュービットの状態を同時に決定するための方法を提供することによって、単独で又は任意の組み合わせで、上記で識別されたような当技術分野における1つ以上の欠陥、欠点又は問題を軽減、緩和又は排除しようとする。
【0008】
本発明は、室温以上の温度で、トポロジカル量子ナノ粒子間でエンタングルすることができるスピン電子流の安定した重ね合わせを示すトポロジカル量子ナノ粒子(TQN)を含む。トポロジカル絶縁体は、それらを通して電気を伝導しないが、電子がそれらの表面又は縁部上を移動することを可能にするトポロジカル効果を示す材料である。
【0009】
TQNは、量子レジスタ及び量子論理ゲートを作製するために基板上に配置され得るキラルトポロジカル絶縁体ナノ粒子である。TQNの例としては、キラル遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)ナノプレートレットが挙げられる。TQNから構成されるキュービット、レジスタ、及び論理ゲートは、既存の量子コンピューティング技術よりもはるかに高い温度で動作可能であり、干渉の影響を受けにくく、より長いコヒーレンス時間を有する。TMDナノプレートレット及び他のTQNは、不完全に形成又は損傷された場合であっても、量子計算のために機能し得る。キュービット、レジスタ、及び論理ゲートの実施形態は、マイクロメートルスケールでのサイズを有することができ、それらの製造及び動作は、既存のキュービット、レジスタ、及び論理ゲートよりも単純になり、かつそれらほど高価ではなくなる。追加的に、キュービットの状態は、既存の量子コンピュータに必要とされるものほど、複雑ではなく、かつ高価ではない手段によって測定され得る。
【0010】
トポロジカルキュービットは、TQNの周りのスピン電流電子流の安定した重ね合わせと、スピン電子流がTQNの周りを異なる方向に流れる2つの状態のいずれかとを有し得るTQNを含むキュービットである。説明されるようなトポロジカルキュービットを使用して、全てのキュービットの状態が同時に読み取られる量子レジスタを作製することができる。本明細書に記載されるトポロジカルキュービットを使用して、パウリゲート及び量子論理ゲートを含む量子ゲートを作製することができ、かつ量子回路を作製することができる。
【0011】
図面の要素は、必ずしも互いに相対的に縮尺が一致しているわけではなく、代わりに、本開示の原理を明確に図示することに重点が置かれる。同様の参照番号は、図面の一部の図を通して対応する部分を示す。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】双角錐型遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)ナノプレートレットの上面透過電子顕微鏡写真である。
【
図2】双角錐型TMDナノプレートレットの成長プロセスを示す。
【
図3】角錐型TMDナノプレートレットの上面図である。
【
図4】シリコン基板上にTQNを含むキュービットの側断面図である。
【
図5】シリコン基板上にTQNを含むキュービットの側断面図である。
【
図6】シリコン基板上にTQNを含むキュービットの上面図である。
【
図8】キャパシタンス測定のために構成されたキュービットの上面図である。
【
図9】キャパシタンス測定のために構成された代替的なキュービットの上面図である。
【
図10】キャパシタンス測定のための代替的なキュービット構成の上面図である。
【
図12】磁気測定のための代替的なキュービット構成の上面図である。
【
図13】キュービットレジスタにおけるTQN間の近接エンタングルメント(proximity entanglement)を示す側面図である。
【
図14】上から上への電気的エンタングルを示す側断面図である。
【
図15】上から下への電気的エンタングルを示す側断面図である。
【
図16】下から下への電気的エンタングルを示す側断面図である。
【
図17】近接エンタングルされたTQNの6キュービットレジスタの上面図の図である。
【
図18】電気的にエンタングルされたTQNの4キュービットレジスタの上面図である。
【
図19】キャパシタンス測定のために構成された電気的にエンタングルされたTQNの2キュービットレジスタの上面図である。
【
図20】6つのキュービットと、キュービットを選択的にエンタングルするための7つのスイッチとを含むキュービットレジスタの一実施形態の上面図である。
【
図21】8つのキュービットと、キュービットを選択的にエンタングルするためのスイッチを有する14個の電気的接続とを含むキュービットレジスタの一実施形態の上面図である。
【
図22】キュービットレジスタを作製するための方法の一実施形態を示す概略図である。
【
図23】4つのキュービット(cubit)レジスタの写真である。
【
図24】TQNを含む量子コンピュータの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の特定の実施形態について、添付の図面を参照して記載する。しかしながら、この発明を、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に詳述される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が詳細かつ完全であり、本発明の範囲を当業者に完全に伝達するように提供される。図面では、同様の数字は、同様の要素を指す。
【0014】
全ての技術分野特有の用語は、別段の指定がない限り、その技術分野によって受け入れられる意味を有することが意図されている。全ての非技術分野特有の語は、別段の指定がない限り、それらが使用される文脈においてそれらの通常の言葉の意味を有することが意図されている。
【0015】
本明細書で使用される場合、ナノ粒子は、長さが1,000ナノメートル又は1マイクロメートル未満である少なくとも1つの寸法を有する粒子である。「ナノプレートレット」という用語は、本明細書において、約0.5マイクロメートル~約20マイクロメートルの直径及び約200ナノメートル未満の高さを有するナノ粒子を指すために使用される。
【0016】
本明細書で使用される場合、「トポロジカル量子ナノ粒子」は、スピン電流フローを示す少なくとも2つの縮退電荷パリティ保護量子状態を作成するトポロジーを有する量子物体を含むナノ粒子である。
【0017】
本明細書で使用される場合、「トポロジカル量子ナノ結晶」は、そのトポロジーを使用して少なくとも2つの縮退電荷パリティ保護量子状態を作成し、状態間のトンネリング/ホッピング遷移を減少させることによって状態の占有を分離する量子物体を含む結晶性ナノ粒子である。「トポロジカル量子ナノ結晶」の例としては、MoS2、Sb2Te3、又はBi2Te3を含み、必要に応じて、元素周期表の第IVA-VIIIA族及び第IB族からの元素、特にニッケル、銀、金、白金、及び/又は銅のナノ粒子で修飾された、キラルな、自己集合した、双二角錐状の遷移金属ジカルコゲナイドが挙げられる。他のトポロジカル絶縁体の例としては、BixSb1-x、Bi2Se3、Bi2Te2Se、Bi4Br4、β-Ag2Te、GeBi2Te4、及びWCが挙げられる。
【0018】
非晶質トポロジカル量子ナノ粒子の例としては、キラルスピン電流フローを示す、ワッシャ、双角錐、双円錐、又は双螺旋円錐形状を有するトポロジカル絶縁体が挙げられる。
【0019】
本明細書で使用される場合、キュービットへの「電気的接続」は、導電性リードを介した直接接触であってもよく、又はキュービットと導電性リードとの間で電流又は電位を伝導することができる機能的電磁接続が形成されるようにキュービットに近接して位置決めされた導電性リードを介した間接的接続であってもよい。非接触接続の例には、容量性接続及び誘導性接続が含まれる。
【0020】
トポロジカル量子ナノ粒子:
本明細書に記載されるようなトポロジカル量子ナノ粒子(TQN)(11)は、異なる三次元形状及びトポロジーを有することができる。1つのタイプのTQN(11)は、双角錐形状を有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)を含む。
図1は、キラルな、自己集合した、トポロジカルなSb
2Te
3ジカルコゲナイドアノプレートレット/ナノ粒子(12)の上面電子顕微鏡写真であり、三角形の螺旋構造がTMDナノプレートレット(12)の上面(13)に見られる。底面(15)の縁部(14)は、上面(13)の縁部(15)の周りに見られる。
【0021】
図2は、
図1に示されるタイプのTMDナノプレートレット(12)の連続形成を示す。WO2018/190919A9は、自己組織化TMDナノ粒子及びそれらの合成を記載している。結晶格子は、中心軸(矢印、21)(
図2)の周りに形成され、連続層(22)は、反対のキラリティで反対方向に成長し、時計回り及び反時計回りに回転し、又は中心軸(21)に沿って中心から軸線方向にそれぞれ上方及び下方に移動する回転を伴う。上面(13)及び下面(15)は、上面(13)の上端部(23)から下面(15)の下端部(25)まで同じキラリティを有する螺旋トポロジーを有する。ナノプレートレットの直径(24)又は最大幅は、通常、螺旋の中心軸に沿った方向のナノプレートレットの高さよりも少なくとも5倍大きい。軸線方向に、TMDナノプレートレット(12)の中心又はその近くで、晶癖面(26)は、TMDナノプレートレット(12)の上半分と下半分を分離する。
【0022】
溶液からの結晶化によって調製されたTMDナノプレートレット(12)は、平坦な双角錐構造を有し、それらのスピン電流は、
図2に示されるように、それらの晶癖面(26)の縁部(14)を金属ナノ粒子(27)でドーピング又は装飾することによって増強することができる。追加的又は代替的に、双安定点間のエネルギー差は、異なる温度におけるデコヒーレンス時間を最適化するように、豊富な1つのタイプの電子キャリア又は別のものでトポロジカル状態を充填することによって、ドーピングを用いて調整されてもよい。
【0023】
理論に束縛されることを望むものではないが、ナノプレートレットの複雑なトポロジーは、ナノプレートレットの基本バンド構造に反映されない特性を有する予想外の伝導チャネルをもたらすと考えられる。双角錐型TMDナノプレートレット(12)TQN(11)のトポロジカル電流は、晶癖面(26)から上面(13)の螺旋に沿って流れ、中心転位に沿って戻る(
図4)。この電流は、底面(15)上の晶癖面(26)を横切らないが、これは、電荷パリティ対称性を壊すと考えられるからである。トポロジカル状態は、電荷パリティ不変であるため、2つの半部でミラー電流が確立される。物体が電気的に中性である間、任意の所与の測定に対して1つの電流方向が優勢であり、その結果、外側縁部(14)に沿った電流の任意の測定は、螺旋に従って時計回り又は反時計回りの電流を与える。
【0024】
角錐形状(
図3)を有するTMDナノプレートレット(12)は、晶癖面(26)ではなくベース面(31)を含み、TMDナノプレートレット(12)を形成することができる溶液を基板上に配置し、基板上のスポットを選択的に加熱して結晶化を開始させることによって、基板上で結晶成長を開始させることによって形成することができる。TMDナノプレートレット(12)及び他のタイプのTQNは、電着技術によって基板上に形成することができる。溶液中ではなく固体基板上で成長させた角錐形状のTMDナノプレートレット(12)は、ベース面から離れて上方に、又はベース面に向かって下方に移動するスピン電流フローを示す。双角錐形状のナノプレートレットと同様に、中央転位は、スピン電流がベース面に向かって下方に、又はベース面から離れて上方に移動することを可能にすることによって、電流の回路が完成することを可能にする。TQN形状の他の例には、モビウスストリップ(mobius strips)及びトポロジカル絶縁体で作られた他の方向付け不可能な表面が含まれる。
【0025】
トポロジカル量子ナノ粒子の生成:
例1:テルル化アンチモン(Sb2Te3)トポロジカル量子ナノ粒子塩化アンチモン(1.4g)及び酸化テルル(1.44g)を真空下で70mlのエチレングリコール中で合わせ、白色溶液が形成されるまで混合する。水酸化ナトリウム(1.46g)を溶液に添加し、溶解する。0.8gのPVPを溶液中に混合し、溶液をアルゴンガスでパージする。溶液を125~135℃に加熱し、8mlのヒドラジンを滴下し、反応を2~4時間進行させ、温度を160℃に上昇させ、12~18時間維持し、次いで40℃に冷却する。沈殿を遠心分離により単離し、アセトン及びエタノールで洗浄し、超音波処理しながらエタノールに再懸濁した後、0.1ミクロンフィルタで濾過する。追加的又は代替的に、沈殿物は、貯蔵中の安定性を改善するために、濾過前に水で洗浄されてもよく、及び/又は水に再懸濁されてもよい。しかしながら、沈殿物を水中で洗浄又は貯蔵することは、ナノ結晶を金属ナノ粒子で装飾(ドーピング)することを妨害し得る。
【0026】
例2:テルル化ビスマス(Bi2Te3)トポロジカル量子ナノ粒子
硝酸ビスマス五水和物(6mmol)及び亜テルル酸ナトリウム(9mmol)を真空下で70mlのエチレングリコール中で合わせ、白色溶液が形成されるまで混合する。水酸化ナトリウム(1.46g)を溶液に添加し、溶解する。0.8gのPVPを溶液中に混合し、溶液をアルゴンガスでパージする。溶液を180℃に12~18時間加熱し、次いで40℃に冷却する。沈殿物を遠心分離により単離し、アセトン及びエタノールで洗浄し、超音波処理しながらエタノールに再懸濁した後、0.1ミクロンフィルタで濾過する。
【0027】
例3:銀によるドーピング
テルル化ビスマス又はテルル化アンチモン量子ナノ粒子を20mLのエチレングリコールに懸濁させ、10~20秒間ボルテックスし、5~10分間超音波処理する。得られた懸濁液を真空に曝し、ヘッドスペースをアルゴンガスで満たしながら撹拌する。0.4gの硝酸銀を室温で混合しながら添加し、反応を1~20時間進行させる。得られた溶液を遠心分離管に移し、50mlのアセトンを添加した後、5,000RPMで15分間遠心分離する。液体をデカントし、ボルテックス、超音波処理、遠心分離、及び液体のデカントによって、沈殿物をエタノール中で洗浄する。洗浄した沈殿をエタノール20ml及び水40mlに再懸濁し、0.1マイクロメートルフィルタで濾過する。追加的又は代替的に、沈殿物は、貯蔵中の安定性を改善するために、濾過前に水で洗浄されてもよく、及び/又は水に再懸濁されてもよい。しかしながら、沈殿物を水中で洗浄又は貯蔵することは、ナノ結晶を金属ナノ粒子で装飾(ドーピング)することを妨害し得る。
【0028】
例4:銅によるドーピング
テルル化ビスマス又はテルル化アンチモン量子ナノ粒子を20mLのエチレングリコールに懸濁させ、10~20秒間ボルテックスし、5~10分間超音波処理する。得られた懸濁液を真空に曝し、ヘッドスペースをアルゴンガスで満たしながら撹拌する。塩化銅0.4gを70℃で混合しながら添加し、反応を1~20時間進行させる。得られた溶液を遠心分離管に移し、50mlのアセトンを添加した後、5,000RPMで15分間遠心分離する。液体をデカントし、ボルテックス、超音波処理、遠心分離、及び液体のデカントによって、沈殿物をエタノール中で洗浄する。洗浄した沈殿をエタノール20ml及び水40mlに再懸濁し、0.1マイクロメートルフィルタで濾過する。
【0029】
例5:鉄によるドーピング
テルル化ビスマス又はテルル化アンチモン量子ナノ粒子を20mLのエチレングリコールに懸濁させ、10~20秒間ボルテックスし、5~10分間超音波処理する。得られた懸濁液を真空に曝し、ヘッドスペースをアルゴンガスで満たしながら撹拌する。0.4g mmolの塩化鉄を混合しながら添加し、反応を1~15時間進行させる。得られた溶液を遠心分離管に移し、50mlのアセトンを添加した後、5,000RPMで15分間遠心分離する。液体をデカントし、ボルテックス、超音波処理、遠心分離、及び液体のデカントによって、沈殿物をエタノール中で洗浄する。洗浄した沈殿をエタノール20ml及び水40mlに再懸濁し、0.1マイクロメートルフィルタで濾過する。
【0030】
例5:ニッケルによるドーピング
テルル化ビスマス又はテルル化アンチモン量子ナノ粒子を20mLのエチレングリコールに懸濁させ、10~20秒間ボルテックスし、5~10分間超音波処理する。得られた懸濁液を真空に曝し、ヘッドスペースをアルゴンガスで満たしながら撹拌する。0.4g mmolの塩化ニッケルを混合しながら添加し、反応を1~15時間進行させる。得られた溶液を遠心分離管に移し、50mlのアセトンを添加した後、5,000RPMで15分間遠心分離する。液体をデカントし、ボルテックス、超音波処理、遠心分離、及び液体のデカントによって、沈殿物をエタノール中で洗浄する。洗浄した沈殿をエタノール20ml及び水40mlに再懸濁し、0.1マイクロメートルフィルタで濾過する。
【0031】
トポロジカル量子ナノ粒子キュービット及びキュービットレジスタ:
図4は、TQNベースのキュービット(49)の一実施形態の構成要素の側断面図である。この実施形態では、TMDナノプレートレット(12)は、晶癖面(26)が少なくとも3Åの厚さを有する表面電気絶縁層(41)に対して主に平行であるように、シリコンウェハ基板(40)上に配向される。適切な電気絶縁体の例には、二酸化ケイ素、サファイア、及びアルミナが含まれる。TMDナノプレートレット(12)は、例えば、約1μm~約20μmの直径及び約200nm未満の高さを有する、銅又は銀でドープされたSb
2Te
3又はBi
2Te
3TMDであってもよい。TMDナノプレートレット(12)は、電源(P)に電気的に接続されたバックゲート(又はボトムゲート)リード(42)の上に位置決めされ、これは、TMDナノプレートレット(12)を重ね合わせた状態にするための手段として、0.1μsec~1msecの期間、0.2V~1.0Vの電位でTMDナノプレートレット(12)をパルスするために使用することができ、この重ね合わせの状態では、晶癖面(26)の縁部(14)の周りの電流フローは、時計回り及び反時計回りの両方であってよく、晶癖面(26)の中央転位(43)を通る電流フローは、上下の重ね合わせであってよい。バックゲートリード(42)は、TMDナノプレートレット(12)の底面(15)に物理的に接触するか、又はリードとTMDナノプレートレットとの間の二酸化ケイ素の小さなギャップ又は薄い部分にわたって電流及び電位を伝達するのに十分なほどTMDナノプレートレットに近接していてよい。
【0032】
図4は、バックゲートリード(42)がナノプレートレット(12)の底面(15)と直接接触していない一実施形態を示す。バックゲートリード(42)は、示されるように、又はナノプレートレット(12)の底面(15)と直接接触して位置決めされてもよい。第1の上部リード(44)は、晶癖面(26)の縁部(14)の近くでTMDナノプレートレット(12)の上面(13)と接触しているか、又は近接している。この例では、第2の上部リード(45)は、第1の上部リード(44)から上面(13)の反対側にある場所で、TMDナノプレートレット(12)の上面(13)と接触しているか、又は近接している。第2の上部リード(45)は、第1の上部リード(44)から上面(13)の反対側に位置決めされる必要はなく、ナノプレートレット(12)の上端部(23)に対して120°の角度など、2つのリード(44,45)間で電流又は電圧が検出されるのに十分な第1の上部リード(44)からの距離に位置決めされてもよい(
図6)。第1及び第2のリード(44,45)の間の測定された電位差は、TMDナノプレートレット(12)を流れる電流の方向及び大きさを示す。
【0033】
図5は、TQNベースのキュービット(49)の別の実施形態の構成要素のレイアウトを示す側断面図である。この実施形態では、TMDナノプレートレット(12)は、
図4のように配向される。この実施形態におけるバックゲートリード(42)は、TMDナノプレートレット(12)の底面(15)と物理的に接触しているように示されているが、バックゲートリード(42)は、代替的に、リードとTMDナノプレートレットとの間の二酸化ケイ素の小さなギャップ又は薄い部分にわたって電流及び電位を伝達するのに十分にTMDナノプレートレットに近接していてもよい。第1の上部リード(44)は、晶癖面(26)の縁部(14)の近くでTMDナノプレートレット(12)の上面(13)と接触しているか、又は近接している。この例では、第2の上部リード(45)は、TMDナノプレートレット(12)の上端部(23)と接触しているか、又は上端部(23)に近接している。第1及び第2のリード(44,45)の間の測定された電位差は、TMDナノプレートレット(12)を流れる電流の方向及び大きさを示す。
【0034】
状態測定手段(46)は、電圧測定手段、電流測定手段、キャパシタンス測定手段、及び磁場測定手段に基づき得る。他の量子計算技術に対するTMDナノプレートトポロジカル量子キュービット(49)の1つの利点は、より長いコヒーレンス時間、すなわちキュービットが重ね合わせの状態を維持することができる時間の長さである。TMDナノプレートレット(12)を含む個々のトポロジカル量子キュービット(49)のコヒーレンス測定は、トポロジカル量子キュービットが10msから少なくとも10sのコヒーレンス時間を有することを示す。これらのコヒーレンス時間は、トポロジカルキュービット(49)の量子状態が重ね合わせの量子状態に置かれた後に、トポロジカルキュービット(49)の量子状態が同時に決定されるための十分な時間を可能にする。
【0035】
キュービット状態のための電圧測定手段:
図4を参照すると、第1のリード(44)及び第2のリード(45)は、晶癖面(26)の同じ側でTMDナノプレートレット(12)に電気的に接続され、晶癖面(26)は、図示のように上面(13)であってもよいが、代替的に底面(15)であってもよい。第1及び第2のリード(44,45)は、ナノプレートレット(12)の直径(24)の少なくとも10%だけナノプレートレット上で分離されるように位置決めされ、電圧を測定するための手段に接続される。第1及び第2のリード(44,45)の間の測定された電位差は、TMDナノプレートレット(12)を流れる電流の方向及び大きさを示す。TMDナノプレートレットキュービット(49)の場合、測定される電圧はマイクロボルト程度であり、これは既存の電圧計を使用して容易に測定される。電圧測定は、第1のリードと第2のリードとの間の電位の直接測定であり得る(44,45)。代替的に、交流電位をリードに印加することができ、印加された電位の位相の変化を使用して、キュービット(49)内の電流の方向を検出することができる。
図5に示す実施形態では、
図4に示される実施形態と同様に、第1のリードと第2のリード(44,45)との間の測定された電位差は、TMDナノプレートレット(12)内を流れる電流の方向及び大きさを示す。
【0036】
キュービット状態のための電流測定手段:
図4を参照すると、第1のリード(44)及び第2のリード(45)は、晶癖面(26)の同じ側でTMDナノプレートレット(12)に電気的に接続され、晶癖面(26)は、図示のように上面(13)であってもよいが、代替的に底面(15)であってもよく、その場合、リードは底面リードである。第1及び第2のリード上面(44,45)は、ナノプレートレット(12)の直径(24)の少なくとも10%だけナノプレートレット上で分離されるように位置決めされ、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)などの電流を測定するための手段に接続される。第1及び第2の上面リード(44,45)の間で測定された電流は、TMDナノプレートレット(12)内を流れる電流の方向及び大きさを示す。電流は、直接測定されてもよく、又はナノアンペア及びミリボルト程度の非常に低い入力交流電流が、第1の上面リード(44)を通して送達され、第2の上面リード(45)から来る電流が、測定されてもよい。アンペア数対電圧の勾配の変化は、キュービット(49)(
図7)内の電流の方向を検出するために使用される。測定された電流は、TMDナノプレートレット(12)上の電流フローの方向に増加し、TMDナノプレートレット(12)上の電流フローの方向とは反対の電流フローの方向に減少するため、状態の決定は、電流が方向を変化させるときの
図7の線の傾きの変化に基づく。
【0037】
電圧を測定するために必要とされる最小電流は、測定デバイスの感度に依存する。銀ナノ粒子、又は金、白金、銅、ニッケル及び他のIVA-VIIIA族及びIB族金属などの他のナノ粒子ドーパントの存在を使用して、晶癖面の縁部に結合した金属ナノ粒子を形成し、必要に応じて電子密度を増加させて信頼できる測定可能な電圧を提供するために使用することができる金属半導体接合を確立することができる。任意の所与のキュービット設計について、ホール測定を行って、ピコ電流計を使用して検出可能な電流レベルを決定し、検出可能な電流レベルを達成するために必要に応じてドーパントの有無又はタイプ又は量を調整してもよい。
【0038】
キャパシタンスキュービット状態測定手段(46)を含むキュービット(49)の第1の実施形態を
図8に示す。キャパシタ(80)の第1の端部(81)は、TMDナノプレートレット(12)の底面(15)の1つの側面上の基板(40)又は絶縁層(41)上に位置決めされる。キャパシタ(80)の第2の反対側の端部(82)は、TMDナノプレートレット(12)の底面(15)の反対側の基板(40)又は絶縁層(41)上に位置決めされる。時間変化する電圧がキャパシタ(80)の第1の端部(81)に印加され、時間変化する電圧がキャパシタ(80)の第2の端部(82)から測定される。キュービット(49)のスピン電子電流によって引き起こされる電場は、印加された電圧と測定された電圧との間の位相シフトを引き起こし、位相シフトの大きさは、電流がTMDナノプレートレット(12)内でどの方向に流れているかを示す。キャパシタ(80)の第1及び第2の端部(81,82)は、好ましくは、
図8に示されるように、TMDナノプレートレット(12)に対して中心から外れて位置決めされるが、代替的に、
図9に示すように、TMDナノプレートレット(12)に対して中心に位置決めされ得る。
図8及び
図9に示される実施形態では、キャパシタ(80)の第1及び第2の端部(81,82)は、TMDナノプレートレット(12)の底面(15)ではなく、TMDナノプレートレット(12)の上面(13)の両側に位置決めされ得る。
【0039】
TMDナノプレートレット(12)の状態を識別する電流及び/又は電圧の位相シフトを用いて、キャパシタ(80)(
図12)の第2の端部(82)で電圧及び電流を測定することができるように、キャパシタ(80)の第1及び第2の端部(81,82)の間に、TMDナノプレートレット(12)と接触させて電解質(83)を配置することができる。
【0040】
キュービット(49)のための別のキャパシタンス測定構成が
図10に示されている。キャパシタ(80)の第1の端部(81)は、TMDナノプレートレット(12)の下の基板(40)又は基板上の絶縁体層(41)上に位置決めされる。絶縁体(誘電体)層は、好ましくはTMDナノプレートレット(12)が基板(40)上に配置される前に、キャパシタの第1の端部(81)上に配置される。絶縁体層は、キャパシタの第1の端部(81)の上方のTMDナノプレートレット(12)の上面に適用される。キャパシタ(80)の第2の端部(82)は、TMDナノプレートレット(12)の上半分の絶縁体の上方に位置決めされる。時間変化する電圧がキャパシタの第1の端部(81)に印加され、時間変化する電圧がキャパシタの第2の端部(82)から測定される。キュービットの電場は、印加された電圧と測定された電圧との間の位相シフトを引き起こし、位相シフトの大きさは、電流がTMDナノプレートレット(12)内でどの方向に流れているかを示す。
図11は、状態0についての測定曲線が状態1についての測定曲線と区別可能であるキャパシタンス測定の結果の例を示す。この場合、状態0及び状態1は、TMDナノ粒子上の電流の方向が異なる。
【0041】
TMDナノプレートレット(12)の状態(46)を決定するためのSQUID測定手段を
図12に示す。SQUIDループ(121)は、TMDナノプレートレット(12)内の電流の方向を示す、SQUIDループ(121)内及びその近くの磁場を測定するために、TMDナノプレートレット(12)に近接して位置決めされる。TMDナノプレートレット(12)の状態(46)を決定するためのこの手段の欠点は、キュービットが室温で動作可能である一方で、測定に極低温が必要とされることである。しかしながら、極低温は、特定の用途に対してキュービットのコヒーレンス時間を大幅に延長することができる。
【0042】
キュービットのエンタングルメント:
TQNベースのキュービットは、近接、電気的接続、及び選択可能な電気的接続によってエンタングルさせることができる。
図13は、近接によって2つのキュービット(49)をエンタングルさせる一例を示す。直径(d1)を有する第1のTMDベースのキュービット(QB1)は、直径(d2)を有する第2のキュービット(QB2)とエンタングルすることができ、第1及び第2のキュービットは、距離Sだけ分離される。距離Sは、スピン電流に関連する電界又は磁界が互いに影響を及ぼすのに十分小さい。第1及び第2のキュービットの平均直径(AD)が(d1+d2)/2である場合、Sは、好ましくは、0.01AD~1.0ADの範囲、又は1μm~5μmの範囲のADに対して0.01μm~5.0μmの範囲である。最適な間隔は、トポロジカルキュービット(49)の組成及びサイズに依存して変化し得る。同じ平面に並んで配向されたエンタングルされたトポロジカルキュービット(49)は、反対方向のスピン電流を有する。近接によって垂直にエンタングルされるように上から下に配向されたトポロジカルキュービット(49)は、スピン電流の同じ方向を有する。
【0043】
TQNベースのキュービットはまた、接続リード(140)を使用する電気的接続によってエンタングルされて、トポロジカルキュービット(49)を互いに電気的に接続することができる。相互接続リード(140)はインピーダンス整合されている。
図14~
図16は、2つのキュービット(49)を選択的にエンタングルさせる又はエンタングルを解くための、マイクロトランジスタなどの任意選択の固体スイッチ(99)を含むリード(140)によって接続された2つのキュービットの側断面図である。キュービットは、接続リード(140)を介して上から上に、それらのバックゲートリード(42)を介して下から下に、又はそれらのバックゲートリード(42)及び/若しくは接続リード(140)を介して上から下若しくは下から下に電気的に接続されてもよく、任意選択でトランジスタ又は他の固体スイッチ(99)を含む。
【0044】
TMDナノプレートレット(12)キュービット(49)を上から上に(
図14)又は下から下に(
図16)接続すると、それらはエンタングルして反対方向のスピン電流を有し、キュービットを上から下に(
図15)又は下から上に接続すると、それらはエンタングルして同じ方向のスピン電流を有する。接続リード(140)は、基板(40)及び絶縁層(41)の上にあるように示されているが、接続リード(140)は、その長さの一部又は全部について、基板(40)又は絶縁層(41)の上又は中にあってもよい。バックゲート電極(42)は、基板(40)の中、上、又は下の導電性リードによって接続されてもよい。基板内又は基板上のバックゲートは、TQNをパルス駆動するのに便利であるが、TQNの上部と接触して、又はTQNの上部に近接して配置された上部電極など、別の電気リードを使用してTQNをパルス駆動する場合には、バックゲートは不要である。
【0045】
固体スイッチ(99)は、キュービット(49)が選択的にエンタングル又は切断されることを可能にするように、接続リード(140)に組み込まれてもよい。接続リードは、基板(40)から離れた場所、例えば、スイッチ(99)を制御するための従来のコンピュータ又はマイクロプロセッサまで延在することができる。また、キュービットのうちの一部が近接によってエンタングルされ、一部が電気的接続によってエンタングルされ、一部のキュービットが近接及び/又は電気的接続によって複数のキュービットとエンタングルされたキュービットのアレイを配置することも可能である。マイクロトランジスタを含む、電気的接続リード(140)とともに使用するのに適した固体スイッチ(99)は、市販されている。
【0046】
トポロジカル量子ナノ粒子レジスタ:
トポロジカルキュービットレジスタ(171)は、基板(40)上に配置された少なくとも2つのエンタングル可能なトポロジカルキュービット(49)を含み、各キュービットは、導電体を含む底部又はバックゲート(42)に電気的に接続されている。バックゲート(42)は、別個の構造として構成されてもよく、又は複数のバックゲート(42)を形成するよりも大きい電極の露出部分であってもよい。
図17は、近接によってエンタングルされた6つのトポロジカルキュービット(49、QB~QB6)のアレイを含むTQNベースのレジスタ(171)の一実施形態の概略上面図である。QB1は、QB2及びQB4とエンタングルされ、QB2は、QB1、QB3、及びQB5とエンタングルされる。QB3はQB2及びQB6とエンタングルされる。QB4はQB1及びQB5とエンタングルされる。QB5は、QB2、QB4、及びQB6とエンタングルされる。QB6はQB3及びQB5とエンタングルされる。全てのキュービット(49)は並んで配置されているため、それらのエンタングルメントは、各キュービット(49)が各隣接キュービットとは反対方向のスピン流を有するようなものである。特定のタイプの論理ゲートは、任意の所望のエンタングルメントパターンを提供するために、異なる相対的な空間位置(例えば、左右及び/又は上下)にキュービットを配置することによって生成され得る。
【0047】
図18は、上から下へ電気的にエンタングルされた4つのTMDベースのキュービット(49)の直列アレイを含むTQNベースのレジスタ(171)の概略上面図である。キュービット(49)は、基板の上部に沿って、基板の内部に、基板の下に、かつ/又はこれらの組み合わせで延在することができる導電性リード(140)によって直列に電気的に接続される。代替的な実施形態では、任意の数のキュービット(49)が全て、上から上に、又は上から上、上から下、及び下から上の任意の組み合わせで接続されてもよい。追加的又は代替的に、キュービットのうちのいずれか1つは、他のキュービットのうちの2つ以上に電気的に接続され、それらとエンタングルされてもよい。任意の数又は組み合わせの導電性リードは、固体スイッチ(99)を含んでもよい。
【0048】
図19は、両方のトポロジカルキュービット(49)の量子電流状態を同時に決定するための1つの例示的な構成を示すための、2つのTMDベースのトポロジカルキュービット(49)及びキャパシタンス測定手段(46)を含むレジスタ(171)の概略上面図である。トポロジカルキュービット(49)は、上から上に、又は上から下に接続されてもよい。追加的又は代替的に、2つのキュービットは、別個のバックゲートリード又は共通のバックゲートリードに電気的に接続されてもよい。キュービットを共通のバックゲートリードに電気的に接続させることは、両方のキュービットを重ね合わせ状態に設定するために両方のキュービットを同時にパルス化するプロセスを単純化する。これは、キュービットのアレイ並びにキュービットのアレイの一部に適用される(49)。
【0049】
図20は、7つの選択的に切り替え可能な接続リードにエンタングルされた6つのトポロジカルキュービット(49)を含むアレイ(172)の概略上面図である。QB1は、QB2及び/又はQB4と選択的にエンタングルすることができ、QB2は、QB1、QB3、及び/又はQB5と選択的にエンタングルすることができる。QB3は、QB2及び/又はQB6と選択的にエンタングルすることができる。QB4は、QB1及び/又はQB5と選択的にエンタングルすることができる。QB5は、QB2、QB4、及び/又はQB6と選択的にエンタングルすることができる。QB6は、QB3及び/又はQB5と選択的にエンタングルすることができる。接続リード(140)を含むスイッチは、トポロジカルキュービット(49)の同じアレイを使用して異なるタイプの論理ゲートの構成を可能にするために、キュービットの任意の対を上から上に又は上から下に接続するように構成され得る。固体スイッチ(99)は、キュービットの任意のアレイに組み込まれ、それらを開閉して接続パターンを変更し、異なって構成されたレジスタ及び/又はゲートを形成することによって、ゲーティングが再構成されることを可能にしてもよい。
【0050】
図21は、選択的に切り替え可能な固体スイッチ(99)を含む14個の接続リード(140)によって接続された8つのトポロジカルキュービット(49)のアレイの一実施形態の概略上面図である。図に見られるように、トポロジカルキュービットのアレイは、正方形、長方形、三角形、及びダイヤモンドアレイを含む、任意の数の空間配列又は構成を有してもよく、同一のアレイ(172)を使用して、多種多様かつ多数のゲート及びレジスタを作成することを可能にする。トポロジカルキュービット(49)の対の間の切り替え可能な2つ以上の切り替え可能な接続リード(140)、又は切り替え可能な接続リード(140)と切り替え可能なバックゲート電極(42)との組み合わせを使用して、トポロジカルキュービット(49)の対の間のエンタングルメントを、上から上、上から下、下から上、及び/又は下から下の間で変化させることが可能である。
【0051】
トポロジカル量子回路:
トポロジカル量子回路は、トポロジカル量子ゲートのシーケンスを形成することによって構築され得る。選択的に切り替え可能な固体スイッチ(99)を含む接続リード(140)によって接続されたトポロジカルキュービット(49)のアレイ(172)を構築することの1つの利点は、固体スイッチを使用して、静的トポロジカルキュービットの同じアレイから異なるトポロジカル量子回路を生成することができることである。
【0052】
トポロジカル量子ナノ粒子キュービット及びレジスタの生成:
キュービット及びキュービットレジスタは、一部の方法を使用して、事前形成されたTQNを使用して作製することができる。キュービットは、非導電性基板上にゲート電極を形成し、ゲート上に絶縁層を形成し、ゲート電極に接触又は並置して絶縁層上に半導体ナノ粒子結晶を固定し、結晶の上半分に電極を配置又は並置することによって作製することができる。
【0053】
図22は、TQNレジスタ(171)を作製するためのリソグラフィ方法の一実施形態を示すピクトグラムである。二酸化シリコン絶縁体(41)の表面層を有するシリコンウェハを含む基板(40)は、フォトレジスト(220)と、TMDナノプレートレット(12)が電気的に接続されるバックゲートリード(42)の位置の輪郭を描くマスク(221)とで覆われ、マスクはUV光(UV)に露光される。マスク(221)を除去し、フォトレジスト(220)を現像して、バックゲートリード(42)及びコンタクト(223)を形成したい場所のシリコン(40)を露出させる。蒸着を使用して、露出したシリコン上にアルミニウム又は金などの導電体を付着させて、バックゲートリード(42)及びコンタクト(223)を形成し、残りのフォトレジストを除去する。フォトレジスト(220)の新たな層が適用され、TMDナノプレートレット(12)がバックゲートリード(42)の上に位置決めされることになる孔を有するマスクで覆われる。孔は、使用されるTMDナノプレートレットのほぼ直径(例えば、2~3ミクロン)である。マスクはUV光に露光され、除去される。フォトレジストを現像して、UV光に露光されたフォトレジスト(220)内にウェル(225)を形成する。TMDナノプレートレット(12)の希釈懸濁液をフォトレジストの表面上に堆積させ、基板とフォトレジストとの間に電位を印加して、TMDナノプレートレット(12)をバックゲートリード(42)の上のウェル内に移動させる。電位は、第2のフォトレジスト内のウェルの位置に対応するスポット電位のマトリクス又はアレイの形態で印加されてもよい。TMDナノプレートレット(12)の懸濁液は、好ましくは、懸濁液が、第2のフォトレジストに作製された孔のサイズに対応する一貫したサイズのナノプレートレットを含有するようにふるい分けされる。ふるい分けは、例えば、電気泳動又はサイズ排除クロマトグラフィーによって達成され得る。第2のフォトレジストは、TMDナノプレートレット(12)の上面(13)に接続する接続リード(140)が標準的な電子ビームリソグラフィを使用して作製される前に除去することができる。
【0054】
図23は、4キュービットレジスタ(171)を形成する二酸化シリコン絶縁層を有するシリコンウェハ(又はチップ)基板上の4つのトポロジカルキュービット(49)のアレイ(172)の一実施形態の上面写真である。コンタクト(223)及びリード(42)は、リード(42)がバックゲート電極(図示せず)上に位置決めされたTMDナノプレートレット(12)の上面(13)に電気的に接続されるように、標準的な電子ビームリソグラフィを使用して作製した。コンタクト(223)は、電源を重ね合わせ状態に設定し、同時に4つのキュービット(49)の量子状態を同時に測定するためのキュービットを制御するソフトウェアを含むコンピュータへの更なる電気的接続のために、写真及びウエハの縁を越えて短い距離だけ延在する。切り替え可能なリードを含むキュービットアレイ(172)の実施形態では、コンピュータは、固体スイッチを制御するためのソフトウェアを更に含む。コンピュータは、各個々のキュービット(49)を、重ね合わせの状態に置かれるように機能的であること、及び他のキュービットとのエンタングルについて試験するとともに、アレイ内のキュービットの残りから非機能的キュービットを分離するように構成されたソフトウェアを含んでもよい。
【0055】
トポロジカル量子ナノ粒子コンピュータ:
TQNコンピュータ又はトポロジカル量子コンピュータ(241)は、少なくとも1つのTQBベースのレジスタ(171)とインターフェース接続する古典的コンピューティングデバイス(240)を含むことができる。コンピューティングデバイスは、量子レジスタと通信し、量子レジスタを制御し、量子レジスタ(171)から情報を受信するために、従来の回路によって実行される命令のセットを提供する。コンピューティングデバイス(240)は、例えば、バックゲート電極(42)に印加される電位を制御することによって、重ね合わせ状態又は電流フローの1つの方向若しくは別の方向を有する状態を設定することによって、TQNベースのキュービット(49)を所望の状態に設定する。コンピューティングデバイス(240)は、キュービット(49)の量子状態を測定するための手段(46)と通信する。計算手段は、トポロジカル量子レジスタ(171)上のコンタクトに電気的に接続された量子状態を測定するための手段(46)を含むことができる。
【0056】
TQNベースの量子レジスタ(171)の利点は、標準的なデジタルコンピュータと互換性のある温度で動作する能力と、デジタルコンピュータを作製するための方法及び材料と互換性のある方法及び材料を使用して製造することができることとを含む。例えば、トポロジカル量子レジスタは、7K~233Kよりも高く、500Kまでの温度で動作し、より低い温度は、より長いコヒーレンス時間の利点を提供するが、233K及び更に500Kでのコヒーレンス時間は、量子コンピューティングに十分である。これは、1つ以上のTQNベースの量子レジスタ(171)を従来のデジタルコンピュータ(240)に統合することが可能であり、1つ以上の量子レジスタ(171)がデジタルコンピュータの回路に組み込まれることを意味する。トポロジカルキュービット論理ゲートの完全なセットを含む汎用トポロジカル量子コンピュータを構築することも可能である。
【0057】
トポロジカル量子コンピュータ(241)の動作は、以下の動作、すなわち
デジタルコンピュータ(240)を使用して、各トポロジカルキュービット(49)をアドレス指定することと、
デジタルコンピュータ(240)を使用して、1つ以上の機能試験を実施して、どのトポロジカルキュービット(49)が適切に機能しており、どれがそうでないかを識別することと、
デジタルコンピュータ(240)を使用して、ユーザインターフェースを介して又はプログラムから入力データを受信して、固体スイッチを制御することによってトポロジカルキュービット間にどの相互接続が作製されるかを判定することと、
デジタルコンピュータ(240)を使用して、1つ以上のトポロジカル量子レジスタ(171)を形成するためにトポロジカルキュービットを接続する固体スイッチを制御することと、
デジタルコンピュータ(240)を使用して、1つ以上のトポロジカル量子ゲートを形成するためにトポロジカルキュービットを接続する固体スイッチを制御することと、
デジタルコンピュータ(240)を使用して、1つ以上のトポロジカル量子回路を形成するためにトポロジカルキュービットを接続する固体スイッチを制御することと、
デジタルコンピュータ(240)を使用して、トポロジカルキュービットを重ね合わせ(254)に設定することと、エンタングルされたトポロジカルキュービットの集合の状態を測定することとを含む、順次及び同時アクションのためのタイミング回路を提供することと、
トポロジカル量子レジスタ(複数可)を使用して、量子フーリエ変換を実施することと、を含み得る。
【0058】
動作の一部又は全部は、種々のシーケンスで実施され得、多くの他の動作が可能である。動作の一部は反復的に実施される。例えば、固体スイッチがデジタルコンピュータの制御下で設定されると、キュービットは、繰り返し重ね合わせに設定され、測定され得る。
【手続補正書】
【提出日】2024-05-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にトポロジカルキュービットのアレイを含むトポロジカル量子レジスタであって、前記トポロジカルキュービットの各々は、
パルスリードに電気的に結合されたトポロジカル量子ナノ粒子であって、前記パルスリードは、電位を用いて前記トポロジカル量子ナノ粒子をパルスするように構成されている、トポロジカル量子ナノ粒子と、前記トポロジカルキュービットの状態を同時に決定するための手段と、を
含み、
前記トポロジカル量子ナノ粒子は、スピン電流フローを示す少なくとも2つの縮退電荷パリティ保護量子状態を作成するトポロジーを有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)ナノプレートレットであり、
前記トポロジカルキュービットの前記状態を同時に決定するための前記手段は、各前記TMDナノプレートレットによって示されるスピン電流フローの方向を検出することを含む、トポロジカル量子レジスタ。
【請求項2】
前記トポロジカルキュービット
の前記スピン電流フローは、前記トポロジカル量子キュービットの互いに対する近接によってエンタングルされる、請求項1に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項3】
前記トポロジカルキュービット
の前記スピン電流フローは、前記トポロジカルキュービット間の電気的接続を形成する接続リードによってエンタングルされる、請求項1に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項4】
前記トポロジカルキュービット間の前記電気的接続のうちの1つ以上は、固体スイッチを含む、請求項3に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項5】
前記固体スイッチとコンピュータとの間の電気的接続を更に含み、前記固体スイッチは、前記コンピュータによって制御される、請求項4に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項6】
前記トポロジカルキュービットの前記状態を同時に決定するための前記手段は、ボルタンメトリー手段、電流測定手段、キャパシタンス手段、インダクタンス手段、分極検出手段、又はSQUID手段である、請求項1に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項7】
前記
コンピュータは、前記量子ビットの量子状態を同時に決定するための前記手段と、前記パルスリードと、を制御する、請求項5に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項8】
前記固体スイッチ
は、前記固体スイッチ
が70Kよりも高い温度にあるときに前記コンピュータ
によって制御されるように
動作可能である、請求項5に記載のトポロジカル量子レジスタ。
【請求項9】
キュービットのアレイを含む量子レジスタを作製するための方法であって、前記方法は、
バックゲート電極のアレイを含む基板を提供することと、
トポロジカル量子ナノ粒子を複数の前記バックゲート電極の各々に接触又は並置させて位置決めし、それにより、前記トポロジカル量子ナノ粒子を前記複数の前記バックゲート電極に電気的に接続することと、
前記トポロジカル量子ナノ粒子の量子状態を同時に決定するためのセンサを形成するために、前記トポロジカル量子ナノ粒子に関連して前記基板上に導電性リードを堆積することと、を
含み、
前記トポロジカル量子ナノ粒子は、スピン電流フローを示す少なくとも2つの縮退電荷パリティ保護量子状態を作成するトポロジーを有する遷移金属ジカルコゲナイド(TMD)ナノプレートレットであり、
前記トポロジカルキュービットの状態を同時に決定するための前記手段は、各前記TMDナノプレートレットによって示されるスピン電流フローの方向を検出することを含む、方法。
【請求項10】
前記バックゲート電極は、前記バックゲート電極のアレイを露出させるために電気絶縁体によって部分的に覆われた単一の電極として具現化される、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
前記基板は、電気絶縁体の表面層を有するシリコンウェハを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項12】
前記基板及びバックゲート電極をレジスト層又はフォトレジスト層で覆うことと、
フォトリソグラフィを使用して、前記バックゲート電極の上方の前記レジスト又はフォトレジスト層に孔パターンを形成することと、を更に含み、
トポロジカル量子ナノ粒子を前記位置決めすることは、導電性電極を前記基板上のトポロジカル量子ナノ粒子の懸濁液と接触させて配置し、かつ前記導電性電極と前記バックゲート電極との間にバイアス電圧を印加して、前記トポロジカル量子ナノ粒子を前記バックゲート電極に向かって誘導することと、を含む、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記基板及びバックゲート電極を絶縁層で覆い、かつ前記バックゲート電極の上方の前記絶縁層に孔を形成することを更に含み、
トポロジカル量子ナノ粒子を前記位置決めすることは、前記基板上にトポロジカル量子ナノ粒子の懸濁液を適用し、かつ前記バックゲート電極に電位を印加して、前記トポロジカル量子ナノ粒子を前記孔のうちの1つに誘導することを含む、請求項
9に記載の方法。
【請求項14】
前記キュービットの機能性を個々に試験することを更に含む、請求項
9に記載の方法。
【国際調査報告】