(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】フラッシュメモリシステムにおけるアドレス障害検出
(51)【国際特許分類】
G11C 29/02 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G11C29/02 130
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024523943
(86)(22)【出願日】2022-02-01
(85)【翻訳文提出日】2024-06-10
(86)【国際出願番号】 US2022014800
(87)【国際公開番号】W WO2023091172
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500147506
【氏名又は名称】シリコン ストーリッジ テクノロージー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】SILICON STORAGE TECHNOLOGY, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】トラン、ヒュー バン
【テーマコード(参考)】
5L206
【Fターム(参考)】
5L206AA10
5L206DD50
5L206EE01
5L206FF05
(57)【要約】
アドレス障害検出システムを備えるメモリシステムの様々な例が開示される。メモリシステムは、第1のメモリアレイと、行デコーダと、第2のアレイを備えるアドレス障害検出システムと、を備え、行デコーダは行アドレスをワード線にデコードし、各ワード線は、第1のアレイ内のセルの行及び第2のアレイ内のセルの行に結合されている。第2のアレイは、アドレス障害を識別するために使用されるデジタルビット及び/又はアナログ値を含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリシステムであって、
行及び列に配置された第1のメモリセルのセットを備えるメモリアレイと、
入力としてのNビットの行アドレスを受信するための行デコーダであって、前記行デコーダは複数のワード線に結合されており、各ワード線は前記第1のメモリセルのセット内のセルの行に結合されており、Nは整数である、行デコーダと、
行及び列に配置された第2のメモリセルのセットを備えるアドレス障害検出アレイであって、前記複数のワード線の各々は、
1つ以上のKビットグループ、及び
1つ以上のLビットグループ、のうちの1つ以上を含む符号化されたワードを含む、前記第2のメモリセルのセット内のセルの行に結合されており、
前記Kビットグループ及び前記Lビットグループの各々は、1つのみの「1」ビットを含み、K及びLは整数であり、K≦NかつL≦Nである、アドレス障害検出アレイと、を備える、メモリシステム。
【請求項2】
K≧2である、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項3】
L≧2である、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項4】
前記Nビットの行アドレスと、前記アドレス障害検出アレイの出力と、に基づいてアドレス障害を識別するためのコンパレータを更に備える、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項5】
前記コンパレータは、どの行も選択されていない場合に障害を示す、請求項4に記載のメモリシステム。
【請求項6】
前記コンパレータは、前記メモリアレイの2つ以上の行が選択されている場合に障害を示す、請求項4に記載のメモリシステム。
【請求項7】
前記コンパレータは、デジタルビットコンパレータ及びアナログコンパレータを含む、請求項4に記載のメモリシステム。
【請求項8】
前記第1のメモリセルのセット内の各セルはスプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項9】
前記第2のメモリセルのセット内の各セルはスプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項10】
前記第2のメモリセルのセット内の各セルは読み出し専用メモリセルである、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項11】
前記第1のメモリセルのセット内の各セルはアナログメモリセルである、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項12】
前記メモリアレイを検知するためのマルチステート検知増幅器を更に備える、請求項1に記載のメモリシステム。
【請求項13】
メモリシステムであって、
行及び列に配置された第1のメモリセルのセットを備えるメモリアレイと、
入力としてのNビットの行アドレスを受信するための行デコーダであって、前記行デコーダは複数のワード線に結合されており、各ワード線は前記第1のメモリセルのセット内のセルの行に結合されており、Nは整数である、行デコーダと、
行及び列に配置された第2のメモリセルのセットを備えるアドレス障害検出アレイであって、前記複数のワード線の各々は、前記Nビットの行アドレス内のN個のビットの各々に対する符号化されたビットの対を備える符号化されたワードを含む、前記第2のメモリセルのセット内のセルの行に結合されており、符号化されたビットの各対は異なる値の符号化されたビットを含む、アドレス障害検出アレイと、を備える、メモリシステム。
【請求項14】
どの行も選択されていない場合に障害を示すコンパレータを更に備える、請求項13に記載のメモリシステム。
【請求項15】
前記メモリアレイの2つ以上の行が選択されている場合に障害を示すコンパレータを更に備える、請求項13に記載のメモリシステム。
【請求項16】
前記第1のメモリセルのセット内の各セルはスプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項13に記載のメモリシステム。
【請求項17】
前記第2のメモリセルのセット内の各セルはスプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項13に記載のメモリシステム。
【請求項18】
前記第2のメモリセルのセット内の各セルは読み出し専用メモリセルである、請求項13に記載のメモリシステム。
【請求項19】
前記第1のメモリセルのセット内の各セルはアナログメモリセルである、請求項13に記載のメモリシステム。
【請求項20】
メモリシステムであって、
行及び列に配置された第1のメモリセルのセットを備えるメモリアレイと、
入力としてのNビットの行アドレスを受信するための行デコーダであって、前記行デコーダは複数のワード線に結合されており、各ワード線は前記第1のメモリセルのセット内のセルの行に結合されており、Nは整数である、行デコーダと、
行及び列に配置された第2のメモリセルのセットと、アナログコンパレータと、を備えるアドレス障害検出アレイであって、前記複数のワード線の各々は、符号化されたワードを含む、前記第2のメモリセルのセット内のセルの行に結合されており、各符号化されたワードは1つ以上のアナログ値を含む、アドレス障害検出アレイと、を備える、メモリシステム。
【請求項21】
各符号化されたワードは、1つ以上のデジタルビットを更に含む、請求項20に記載のメモリシステム。
【請求項22】
前記アナログコンパレータは、どの行も選択されていない場合に障害を示す、請求項20に記載のメモリシステム。
【請求項23】
前記アナログコンパレータは、前記メモリアレイの2つ以上の行が選択されている場合に障害を示す、請求項20に記載のメモリシステム。
【請求項24】
前記第1のメモリセルのセット内の各セルはスプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項20に記載のメモリシステム。
【請求項25】
前記第2のメモリセルのセット内の各セルはスプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項20に記載のメモリシステム。
【請求項26】
前記第2のメモリセルのセット内の各セルは読み出し専用メモリセルである、請求項20に記載のメモリシステム。
【請求項27】
前記第1のメモリセルのセット内の各セルはアナログメモリセルである、請求項20に記載のメモリシステム。
【請求項28】
メモリシステムであって、
行及び列に配置された第1のメモリセルを備えるメモリアレイであって、前記第1のメモリセルはマルチステートメモリセルである、メモリアレイと、
入力としてのNビットの行アドレスを受信するための行デコーダであって、前記行デコーダは複数のワード線に結合されており、各ワード線は第1のメモリセルの行に結合されており、Nは整数である、行デコーダと、
行及び列に配置された第2のメモリセルを備えるアドレス障害検出アレイであって、前記複数のワード線の各々は第2のメモリセルの行に結合されている、アドレス障害検出アレイと、を備える、メモリシステム。
【請求項29】
前記第1のメモリセルはアナログメモリセルである、請求項28に記載のメモリシステム。
【請求項30】
前記アドレス障害検出アレイは、
1つ以上のKビットグループ、及び
1つ以上のLビットグループ、のうちの1つ以上を含む符号化されたワードを含み、
前記Kビットグループ及び前記Lビットグループの各々は、1つのみの「1」ビットを含み、K及びLは整数であり、K≦NかつL≦Nである、請求項28に記載のメモリシステム。
【請求項31】
K≧2である、請求項30に記載のメモリシステム。
【請求項32】
L≧2である、請求項30に記載のメモリシステム。
【請求項33】
各第1のメモリセルはスプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項28に記載のメモリシステム。
【請求項34】
各第2のメモリセルはスプリットゲート型フラッシュメモリセルである、請求項28に記載のメモリシステム。
【請求項35】
各第2のメモリセルは読み出し専用メモリセルである、請求項28に記載のメモリシステム。
【請求項36】
前記メモリアレイを検知するためのマルチステート検知増幅器を更に備える、請求項28に記載のメモリシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
本出願は、2021年11月22日に出願された「Address Fault Detection in a Flash Memory System」と題する米国特許仮出願第63/281,868号、及び2022年1月28日に出願された「Address Fault Detection in a Memory System」と題する米国特許出願第17/588,198号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
メモリシステムにおけるアドレス障害検出を実行するための様々な機構が開示される。
【背景技術】
【0003】
不揮発性メモリセルは、当該技術分野において周知である。5つの端子を含む、先行技術の不揮発性スプリットゲート型メモリセル10の1つを
図1に示す。メモリセル10は、P型などの第1の導電型の半導体基板12を備える。基板12は、N型などの第2の導電型の第1の領域14(ソース線SLとしても知られる)が形成されている表面を有する。N型の第2の領域16(ドレイン線としても知られる)もまた、基板12の表面に形成される。第1の領域14と第2の領域16との間は、チャネル領域18である。ビット線BL20は、第2の領域16に接続されている。ワード線WL22は、チャネル領域18の第1の部分の上方に位置付けられ、そこから絶縁される。ワード線22は、第2の領域16とほとんど又は全く重ならない。浮遊ゲートFG24は、チャネル領域18の別の部分の上方にある。浮遊ゲート24は、そこから絶縁され、ワード線22に隣接する。浮遊ゲート24はまた、第1の領域14にも隣接する。浮遊ゲート24は、第1の領域14に重なり、第1の領域14から浮遊ゲート24への結合を提供することができる。結合ゲートCG(制御ゲートとしても知られる)26は、浮遊ゲート24の上方にあり、そこから絶縁される。消去ゲートEG28は、第1の領域14の上方にあり、浮遊ゲート24及び結合ゲート26に隣接し、そこから絶縁される。浮遊ゲート24の上隅部は、消去効率を高めるために、T字形状の消去ゲート28の入隅部の方を向いていてもよい。消去ゲート28はまた、第1の領域14からも絶縁される。メモリセル10は、米国特許第7,868,375号においてより具体的に説明されており、この開示内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0004】
先行技術の不揮発性メモリセル10の消去及びプログラムのための1つの例示的な動作は、次のとおりである。メモリセル10は、消去ゲート28に高電圧を印加し、他の端子が0ボルトに等しくなることによって、ファウラーノルトハイムトンネルリングメカニズムによって消去される。電子が浮遊ゲート24から消去ゲート28にトンネリングすることにより、浮遊ゲート24が正に帯電し、読み出し状態のセル10がオンになる。その結果生じるセルの消去状態は、「1」状態として知られる。
【0005】
メモリセル10は、結合ゲート26に高電圧を印加し、ソース線14に高電圧を印加し、消去ゲート28に中電圧を印加し、ビット線20にプログラミング電流を印加することにより、ソース側ホットエレクトロンプログラミングメカニズムによってプログラムされる。ワード線22と浮遊ゲート24との間の隙間を通って流れる電子の一部分は、浮遊ゲート24の中へ注入するための十分なエネルギーを得ることにより、浮遊ゲート24が負に帯電し、読み出し状態のセル10をオフにする。その結果生じるセルのプログラムされた状態は、「0」状態として知られる。
【0006】
メモリセル10は、電流検知モードにおいて以下のように読み出される。バイアス電圧をビット線20に印加し、バイアス電圧をワード線22に印加し、バイアス電圧を結合ゲート26に印加し、バイアス又はゼロ電圧を消去ゲート28に印加し、接地(すなわち、ゼロ電圧)をソース線14に印加する。消去状態では、ビット線20からソース線14に流れるセル電流が存在し、プログラム状態では、ビット線20からソース線14へのわずかな又はゼロのセル電流のフローが存在する。代替的に、メモリセル10を逆電流検知モードで読み出すことができ、このモードでは、ビット線20を接地して、バイアス電圧をソース線24に印加する。このモードでは、電流は、ソース線14からビット線20へと逆方向に流れる。
【0007】
メモリセル10は、代替的に、以下のようにして電圧検知モードで読み出すことができる。バイアス電流(接地への)をビット線20に印加し、バイアス電圧をワード線22に印加し、バイアス電圧を結合ゲート26に印加し、バイアス電圧を消去ゲート28に印加し、バイアス電圧をソース線14に印加する。消去状態では、ビット線20にセル出力電圧(0Vを大幅に超える)が存在し、プログラム状態では、ビット線20にわずかな又はゼロに近い出力電圧が存在する。代替的に、メモリセル10を逆電圧検知モードで読み出すことができ、このモードでは、ビット線20をバイアス電圧にバイアスして、バイアス電流(接地への)をソース線14に印加する。このモードでは、メモリセル10の出力電圧は、ビット線20の代わりにソース線14にある。
【0008】
先行技術では、正又はゼロ電圧の種々の組み合わせをワード線22、結合ゲート26、及び浮遊ゲート24に印加して、読み出し、プログラム、及び消去動作を行う。
【0009】
読み出し、消去、又はプログラムコマンドに応答して、論理回路270(図示せず)は、選択メモリセル10及び非選択メモリセル10の両方の様々な部分に、適時に、ディスターブが最も少ない方法で様々な電圧を供給させる。
【0010】
選択及び非選択メモリセル10に対し、印加される電圧及び電流は以下のとおりである。以下に使用されるように、次の略語、つまり、ソース線又は第1の領域14(source line、SL)、ビット線20(bit line、BL)、ワード線22(word line、WL)、及び結合ゲート26(coupling gate、CG)が使用される。
表1:読み出し、消去及びプログラム用の正電圧を使用したメモリセル10の動作
【表1】
【0011】
米国特許第9,361,995号(2016年6月7日に発行)(参照により組み込まれる)において、読み出し、プログラム、及び/又は消去動作の間に、負電圧をワード線22及び/又は結合ゲート26に印加し得る。この例では、電圧及び電流は選択及び非選択のメモリセル10に、以下のように印加される。
表2:読み出し及び/又はプログラム用の負電圧を使用したメモリセル10の動作
【表2】
【0012】
上述の特許の別の例では、読み出し、消去、及びプログラム動作の間にメモリセル10が非選択であるときに負電圧をワード線22に印加することができ、消去動作の間に負電圧を結合ゲート26に印加することができ、以下の電圧が印加されるようになっている。
表3:消去用の負電圧を使用したメモリセル10の動作
【表3】
【0013】
前述で列記したCGINH信号は、抑止信号であり、選択セルと消去ゲート28を共有する非選択セルの結合ゲート26に印加される。
【0014】
図2は、別の先行技術の不揮発性スプリットゲート型メモリセル210の一例を示す。メモリセル10と同様に、メモリセル210は、基板12、第1の領域(ソース線)14、第2の領域16、チャネル領域18、ビット線20、ワード線22、浮遊ゲート24及び消去ゲート28を備える。メモリセル10とは異なり、メモリセル210は、結合ゲートを含まず、4つの端子、すなわち、ビット線20、ワード線22、消去ゲート28及びソース線14のみを含む。これは、そのようなメモリセルのアレイを動作させるために必要とされる、デコーダ回路などの回路の複雑性を大幅に低減する。
【0015】
消去動作(消去ゲートを通しての消去)及び読み出し動作は、制御ゲートバイアスがないことを除いて、
図1のものと同様である。プログラミング動作もまた、制御ゲートバイアスなしで行われるため、ソース線のプログラム電圧は、制御ゲートバイアスの不足を補償するためにより高い。
【0016】
表4は、読み出し、消去及びプログラム動作を実行するために4つの端子に印加され得る典型的な電圧範囲を示す。
表4:メモリセル210の動作
【表4】
【0017】
図3は、別の先行技術の不揮発性スプリットゲート型メモリセル310の一例を示す。メモリセル10と同様に、メモリセル310は、基板12、第1の領域(ソース線)14、第2の領域16、チャネル領域18、ビット線20、及び浮遊ゲート24及び消去ゲート28を備える。メモリセル10とは異なり、メモリセル310は、結合ゲート又は消去ゲートを含まない。加えて、ワード線322は、ワード線22に置き換わり、図示されるように、ワード線22とは異なる物理的形状を有する。
【0018】
先行技術の不揮発性メモリセル310の消去及びプログラムのための1つの例示的な動作は、次のとおりである。セル310は、ワード線322に高電圧を印加し、ビット線及びソース線に0ボルトを印加することにより、ファウラーノルドハイムトンネリングメカニズムを通じて消去される。電子が浮遊ゲート24からワード線322にトンネリングすることにより、浮遊ゲート24が正に帯電し、読み出し状態のセル310がオンになる。その結果生じるセルの消去状態は、「1」状態として知られる。セル310は、ソース線14に高電圧を印加し、ワード線322に小電圧を印加し、ビット線320にプログラミング電流を印加することにより、ソース側ホットエレクトロンプログラミングメカニズムを通じてプログラムされる。ワード線322と浮遊ゲート24との間の隙間を通って流れる電子の一部分は、浮遊ゲート24の中へ注入するための十分なエネルギーを得ることにより、浮遊ゲート24が負に帯電し、読み出し状態のセル310をオフにする。その結果生じるセルのプログラムされた状態は、「0」状態として知られる。
【0019】
メモリセル310内での読み出し、プログラム、消去及びスタンバイ動作に使用可能な例示的な電圧を下の表5に示す。
表5:メモリセル310の動作
【表5】
【0020】
先行技術においても、メモリシステムにおいてアドレス障害検出を実行するための様々な技術が知られている。アドレス障害は、材料の欠陥に起因して、又は太陽フレアなどの放射に起因して、時には発生し、これは、アドレス内で「1」ビットを「0」ビットに、また逆にフリップさせ得る。アドレス障害の結果は、デコーダが動作のための意図されたアドレスを受信する可能性があることであるが、障害の発生に起因して、デコーダ内のビットが変更されることになり、デコーダは、異なるアドレスに対応するワード線をアクティブ化する可能性があり、これによって、メモリアレイ内の誤った行にアクセスされることになる。別の可能性のある結果は、障害により、デコーダが、意図されたアドレスに対応するワード線、及び加えて、意図されたアドレスとは異なる別のアドレスに対応するワード線をアクティブ化することである。検出又は修正されない場合、アドレス障害は、誤った読み出し又は書き込み/プログラム動作を発生させる。
【0021】
図4は、先行技術のメモリシステム400を示す。先行技術のメモリシステム400は、行デコーダ410及びアレイ420を備える。行デコーダ410は、アドレスXを受信し、本明細書でこのアドレスは、アレイ420内の選択された行に対応するアドレス又はアドレスの一部である。行デコーダ410は、アドレスXを復号し、その選択された行に対応するワード線を選択する。この簡略化された例では、4本のワード線、すなわち、WL0(アドレス0000に対応する)、WL1(アドレス0001に対応する)、WL2(アドレス0010に対応する)及びWL3(アドレス0011に対応する)が示されている。選択されたワード線は、アレイ420内のメモリセルの行をアクティブ化する。したがって、例えば、アドレス0010が受信された場合、行デコーダ410は、WL2(アドレス0010に対応する)をアクティブ化する。
【0022】
図5は、
図4と同様の先行技術のメモリシステム400を示す。しかしながら、この状況では、アドレス障害が発生した。行デコーダ410は、アドレス0010を受信するが、このとき、WL2(アドレス0010に対応する)をアクティブ化する代わりに、行デコーダ410は、行デコーダ410で発生した障害に起因してWL3(アドレス0011に対応する)を代わりにアクティブ化する。この障害が検出又は修正されない場合、誤った読み出し又はプログラム動作が発生する。
【0023】
図6は、
図4及び
図5と同様の先行技術のメモリシステム400を示す。しかしながら、この状況では、
図4のものとは異なるタイプのアドレス障害が発生した。行デコーダ410は、アドレス0010を受信するが、このとき、WL2(アドレス0010に対応する)のみをアクティブ化する代わりに、行デコーダ410は、行デコーダ410で発生した障害に起因してWL2及びWL3(アドレス0010及び0011に対応する)をアクティブ化する。この障害が検出又は修正されない場合、誤った読み出し又はプログラム動作が発生する。
【0024】
図7は、先行技術のメモリシステム700を示す。メモリシステム700は、前の複数の図のメモリシステムと同様の行デコーダ410及びアレイ420を備える。しかしながら、WL0、WL1、WL2及びWL3などのワード線はまた、ROM(読み出し専用メモリ)710に結合される。ROM710は、検証機能を実行する。各ワード線は、ROM710内のセルの行に結合される。特定のワード線がアクティブ化されると、ROM710内の対応するセルの行がアクティブ化される。設計により、各ワード線は、ROM710内の1行に対応し、ROM710内の各行は、そのセル内に異なる値を記憶する。この例では、ROM710内の各行は、その行に結び付けられたワード線に対応するアドレスと同一の値を記憶する。したがって、WL0はアドレス0000に対応し、WL0に取り付けられたROM710内の行に記憶された値もまた、0000である。
【0025】
図8では、メモリシステム700が、再び示されている。行デコーダ410は、アドレス0010を受信するが、障害状態に起因して、ワード線WL3(アドレス0011に対応する)が、ワード線WL2(アドレス0010に対応する)の代わりに選択される。これにより、メモリセルの誤った行がアレイ420内で選択されることになる。ワード線WL3がアクティブ化されるので、ワード線WL3に対応するROM710内の行もアクティブ化され、ROM710は、その行に記憶された値0011を出力する。コンパレータ450は、行デコーダ410によって受信されたアドレス(すなわち、0010)と、ROM710の出力(すなわち、0011)とを比較し、それらの値が一致しないと判定する。次いで、コンパレータ450は、一致が見つからなかったことを意味すると理解される値(例えば、「0」)を出力することができ、これは、アドレス障害が発生したことを示す。
【0026】
先行技術のメモリシステム700は、誤ったワード線がアクティブ化されるアドレス障害を検出することができるが、先行技術のメモリシステム700は、1行のみではなくて複数の行が選択される少なくともいくつかの状況における障害を検出することができない。
図9には、メモリシステム700が、再び示されている。この例では、意図された行のためのワード線(すなわち、アドレス0011用のワード線WL3)がアクティブ化され、別のワード線(すなわち、アドレス0010用のワード線WL2)がアクティブ化される、アドレス障害が発生する。ワード線WL2及びWL3は両方ともアクティブ化され、ROM710の両方の行についてのコンテンツが出力されることになる。論理的に、ROM710は、2行がアクティブ化されると、出力がその2行の「OR」になるように設計される。したがって、0010及び0011の記憶された値は、出力を0011にさせる。コンパレータ450は、行デコーダ410によって受信されたアドレス(すなわち、0011)とROM710の出力(すなわち、0011)とを比較する。この場合、障害は検出されない。したがって、メモリシステム700は、1行の代わりに2行が選択されるこのタイプのアドレス障害を特定するのに常に有効とはいえないことが理解され得る。
【0027】
必要なのは、メモリシステムにおける3つのタイプのアドレス障害、すなわち、誤ったワード線がアサートされる第1の状況、正しいワード線がアサートされるが第2の行も誤ってアサートされる第2の状況、及びどのワード線もアサートされない第3の状況を特定することができる改善されたアドレス障害検出システムである。
【発明の概要】
【0028】
アドレス障害検出システムを備えるメモリシステムの様々な例が開示される。メモリシステムは、第1のメモリアレイと、行デコーダと、第2のアレイを備えるアドレス障害検出システムと、を備え、行デコーダは行アドレスをワード線にデコードし、各ワード線は第1のアレイ内のセルの行及び第2のアレイ内のセルの行に結合されている。第2のアレイは、アドレス障害を識別するために使用されるデジタルビット及び/又はアナログ値を含む。
【0029】
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】
【0037】
【0038】
【0039】
【0040】
【0041】
【0042】
【0043】
【0044】
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【0051】
【0052】
【0053】
【0054】
【0055】
【0056】
【0057】
【0058】
【0059】
【0060】
【0061】
【0062】
【0063】
【0064】
【0065】
【0066】
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【図面の簡単な説明】
【0073】
【
図1】本発明を適用可能な先行技術の不揮発性メモリセルの断面図である。
【
図2】本発明を適用可能な別の先行技術の不揮発性メモリセルの断面図である。
【
図3】本発明を適用可能な別の先行技術の不揮発性メモリセルの断面図である。
【
図5】
図4の先行技術のメモリシステムにおいて発生し得る1つのタイプのアドレス障害を示す。
【
図6】
図4の先行技術のメモリシステムにおいて発生し得る別のタイプのアドレス障害を示す。
【
図7】先行技術のアドレス障害検出システムを示す。
【
図8】
図7の先行技術のアドレス障害検出システム及び1つのタイプのアドレス障害を示す。
【
図9】
図7の先行技術のアドレス障害検出システム及び別のタイプのアドレス障害を示す。
【
図10】
図1~
図3に示されるタイプの不揮発性メモリセルを備え、改善されたアドレス障害検出システムを備えるダイのレイアウト図である。
【
図12】アドレスに関する検証データのための先行技術の符号化スキームを示す。
【
図13A】アドレスに関する検証データの符号化スキームの一例を示す。
【
図13B】アドレスに関する検証データのための符号化スキームの別の例を示す。
【
図14】アドレスに関する検証データのための符号化スキームの別の例を示す。
【
図15】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図17A】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図17B】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図18】アドレスに関する検証データのための符号化スキームの別の例を示す。
【
図19】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図20】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図21】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図22】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図23】アドレス障害検出システムのための符号化スキームを示す。
【
図24A】アドレス障害検出システムのための符号化スキームを示す。
【
図24B】アドレス障害検出システムのための符号化スキームを示す。
【
図25A】アドレス障害検出システムのための符号化スキームを示す。
【
図25B】アドレス障害検出システムのための符号化スキームを示す。
【
図27】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図28】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図29】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図30】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図31】アドレス障害検出システムの別の例を示す。
【
図32】アドレス障害検出システムの例で使用するための検知回路の一例を示す。
【
図33】
図32の検知回路で使用されるコンパレータの一例を示す。
【
図34】アドレス障害検出システムの例で使用するための検知回路の別の例を示す。
【
図35】アドレス障害検出システムの例で使用するための検知回路の別の例を示す。
【
図36】例で使用するためのフラッシュメモリセルのレイアウトを示す。
【
図37】例で使用するためのROMセルとして構成されたフラッシュメモリセルのレイアウトを示す。
【
図38】アドレス障害検出システムの例とともに使用するための行デコーダの一例を示す。
【
図39】アドレス障害検出システムの例とともに使用するための消去ゲートデコーダの一例を示す。
【
図40】アドレス障害検出システムの例とともに使用するためのソース線デコーダの一例を示す。
【
図41】アドレス障害検出システムの例とともに使用するための制御ゲートデコーダの一例を示す。
【
図42】アドレス障害検出システムの例との高電圧レベルシフタ使用の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図10は、ダイのメモリシステムの一例を示す。ダイ1000は、データを記憶するためのメモリアレイ1001、1002、1003及び1004であって、各メモリアレイが、
図1と同様のメモリセル10、
図2と同様のメモリセル210、
図3と同様のメモリセル310又は他の既知のタイプのメモリセルを任意選択的に利用する、メモリアレイと、メモリアレイ1001、1002、1003及び1004内の行にそれぞれアクセスして読み出し又は書き込みを行うために使用される、行デコーダ回路1005、1006、1007及び1008と、メモリアレイ1001、1002、1003及び1004内の列にそれぞれアクセスして読み出し又は書き込みを行うために使用される、列デコーダ回路1009、1010、1011及び1012と、メモリアレイ1001及び1003からデータを読み出すために使用される検知回路1013と、メモリアレイ1002及び1004からデータを読み出すために使用される検知回路1014と、アナログ回路1050と、冗長性及び組み込み自己試験などの様々な制御機能を提供するための制御論理回路1051と、正及び負高電圧源をメモリシステムに提供するために使用される高電圧回路1052と、メモリアレイ1001、1002、1003、及び1004の消去及びプログラム動作のための増加した電圧を提供するチャージポンプ回路1053と、オンチップで他のマクロに接続するためのインターフェースピンを提供するインターフェース回路(interface circuit、ITFC)1054と、必要に応じて、読み出し、消去、及びプログラム動作中に使用するための高電圧デコーダ回路1018、1019、1020及び1021と、を備える。ダイ1000は、特定の実施形態に関して以下でより詳細に論じられる、アドレス障害検出回路1022、1023、1024及び1025と、アレイ障害検出検知回路1026、1027、1028及び1029とを更に備える。
【0075】
図11は、改善されたアドレス障害検出能力を有するメモリシステムの一例を示す。メモリシステム1100は、行デコーダ1110、アレイ1120、高電圧デコーダ1140、列デコーダ1150及び検知増幅器1160を備え、これらのそれぞれは、
図10の同様の説明を用いた構成要素に対応する。高電圧デコーダ1140は、アレイ1120における消去及びプログラム動作に必要な高電圧を提供する。
【0076】
メモリシステム1100は、アドレス障害検出システム1125を更に備え、アドレス障害検出システム1125は、アドレス障害検出アレイ1130、検知増幅器1170及びコンパレータ1180を備える。アドレス障害検出アレイ1130は、行デコーダ1110及び/又は列デコーダ1150によって受信することができる、可能なアドレスごとに符号化された値を記憶するROMアレイ、フラッシュアレイ又は他の不揮発性メモリアレイを備える。
【0077】
可能なアドレスごとに検証データを生成するための様々な符号化スキームが企図される。先行技術の符号化スキームを
図12に示す。この例では、行デコーダ1110及び/又は列デコーダ1150によって受信することができるアドレスである4ビットアドレスが示されている。簡略化のために、アドレスの行部分は、0000~1111の範囲の4ビットであると想定される。これらの可能なアドレスの各々は、ワード線と関連付けられており、これは、ここでは、WL0~WL15(16個の異なる行アドレス及びワード線)の範囲である。各ワード線は、アドレス障害検出アレイ1130内の1つの行をアクティブ化し、各行は、そのワード線と関連付けられた行アドレスに等しい1つの値を記憶する。したがって、アドレス0000は、WL0と関連付けられており、これは次に、アドレス障害検出アレイ1130内の値0000を記憶する1つの行をアクティブ化する。
【0078】
図11を再び参照すると、
図12の符号化スキームの下で、アドレスXは、行デコーダ1110によって受信され、この行デコーダ1110は次に、アレイ1120内の行及びアドレス障害検出アレイ1130内の行にアクセスするワード線をアクティブ化する。検知増幅器1170は、ワード線がアクティブ化されているアドレス障害検出アレイ1130内の各列の値を検知する。各列内の値は、アドレス障害検出アレイ1130内の各アクティブ化された行に対するその列内の値の論理「OR」であり、すなわち、複数の行がアクティブ化されている場合、その列に対する複数のアクティブ化された行内のビットの値は、アクティブ化された複数の行のその列内のビットのいずれかが1である場合、1である。各列からの値は、コンパレータ1180へ入力され、このコンパレータは、受信された値をアドレスX(又は、この例では、アドレスXの行アドレス部分)と比較する。前述したように、コンパレータ1180の出力は、誤った行がアクティブ化されている状況における障害を特定するが、その理由は、その状況では、コンパレータは、2つの入力値が異なることを示す値を出力することになるからである。しかしながら、このスキーム単独では、
図9に関連して上述したような、障害に起因して2行がアクティブ化されている障害を伴うあらゆる状況において有効というわけではない。
【0079】
省電力を向上させるように改善された符号化スキームを
図13Aに示す。当業者であれば、アドレス障害検出アレイ1130内の「1」値を記憶及び検出することは、「0」値の場合よりも多くのエネルギーを消費することを理解するであろう。この符号化スキームでは、追加のビットが記憶され、ここでは「PB」(極性ビット)とラベル付けされる。PBが「0」である場合、符号化されたビットは、関連付けられたアドレスと直接一致する。PBが「1」である場合、符号化されたビットは、関連付けられたアドレスの反転バージョンである。この例では、アドレス内のビットの半分超が「1」であるときは常に、「1」値がPBに使用され、ビットは、反転して記憶される。例えば、アドレス「1111」については、「0000」の値がアドレス障害検出アレイ1130内に記憶され、「1」がその値のためにPBビットに記憶され、各々値が対応するアドレスの反転バージョンであることを示す。このスキームに従うことにより、メモリシステムは、全体としてより少ない「1」が記憶されるため、
図12の先行技術のスキームを使用している場合よりも少ないエネルギーを消費することになる。
【0080】
図13Bは、別の符号化スキームを示す。これは、
図13Aの符号化スキームと同様であるが、複数の行が誤ってアクティブ化される状況を検出することができる複数行検出(multiple row detection、MRD)のための追加の列を含み、それは、
図13Aの符号化スキームと比較して追加の電力消費を犠牲にする。MRD列は、各行に「1」を含有する。複数行検出の詳細な説明は、以下に包含される。
【0081】
別の改善された符号化スキームを
図14に示す。ここで、アドレス内の各「0」は、アドレス障害検出アレイ1130内の「01」として符号化され、アドレス内の各「1」は、アドレス障害検出アレイ1130内の「10」として符号化される。したがって、アドレス「0000」は「01010101」として符号化され、アドレス「1111」は「10101010」として符号化される。アドレス内の各ビットAxは、EAx及びEBxとして符号化される。これは、アドレス障害検出回路1130内の符号化された値が、対応するアドレスの2倍のビットを含むことを意味する。任意の2つのアドレスは、少なくとも1つのビットだけ互いに常に異なるため、2つのアドレスに対応する任意の2つの符号化された値の合計は、少なくとも1つのビット対(EAx及びEBx)に「11」パターンを含む。したがって、アドレス障害検出アレイ1130の検知された値に「11」パターンを検出することは、2つのアドレスがアクティブ化されていることを示し、これは、障害状態である。これは、
図12の先行技術の解決策が、少なくとも時には検出することができない障害状態のタイプである。
【0082】
図15は、
図14の符号化スキームを実装するための改善されたアドレス障害検出システムを有するメモリシステムの一例を示す。メモリシステム1500は、アドレス障害検出回路1525がアドレス障害検出回路1125とは異なる設計に従うことを除いて、メモリシステム1100と同じ構成要素を備える。ここで、アドレス障害検出システム1525は、アドレス障害検出アレイ1130及びアドレス障害検出回路1510を備える。アドレス障害検出回路1510は、ワード線が活性化されているアドレス障害検出アレイ1130内の各列からの出力を受信し、ワード線が活性化されている任意の所与の列内の値は、その列に対する出力を作成するために論理的に「OR」される。
【0083】
図16は、アドレス障害検出回路1510の一例を更に示す。ビットEA[x]及びEB[x]を含む行のアクティブ化に応答して(ここで、x=アドレス障害検出回路1210の各行内の符号化されたアドレスビットの数)、各ビット対EA[x]及びEB[x]は、アドレス障害検出回路1510に入力される。アドレス障害検出回路1510は、各ビット対EA[x]及びEB[x]に対して、図示のように構成されたNANDゲート1601及び1604と、NORゲート1602と、インバータ1603と、のセットを備える。
【0084】
ビット対EA[x]及びEB[x]に対するアドレス障害検出回路1510の出力A[x]は、入力が「01」又は「10」(第1のビットがEA[x]であり、第2のビットがEB[x]である場合)であれば「0」となり、そうでなければ「1」となる。「1」は、障害状態を示し(EA[x]とEB[x]とが常に異なるビット値である
図14に示される符号化スキームに基づいて、通常動作中に「11」又は「00」パターンが発生すべきではないため)、EAx及びEBxを「11」とさせる唯一の状況である1行の代わりに2行がアクティブ化されたこと、EAx及びEBxを「00」とさせる唯一の状況である受信されたアドレスが変更されていること、又はどの行も選択されていないことを示す。したがって、アドレス障害検出システム1525は、2行が不適切にアクティブ化された、又はどの行も選択されていない障害状況を検出することができる。
【0085】
図17Aは、改善されたアドレス障害検出システムを有するメモリシステムの別の例を示す。メモリシステム1700は、前述の例と同様に、行デコーダ1110、アレイ1120、及び列デコーダ1150を含む。メモリシステム1700は、アドレス障害検出アレイ1730、アドレス障害検出アレイ1731、及びアドレス障害検出回路1710を備えるアドレス障害検出システム1725を更に含む。
【0086】
列デコーダ1150は、マルチプレクサのセットであり、多くの場合に、階層型マルチプレクサを備え得る。
図17Bを参照して、列デコーダ1150の一例の一部分を示す。アレイ1120内の各列は、ビット線に結合される。ここで、4本のビット線が示され、BL0~BL3とラベル付けされている。マルチプレクサの第1の階層は、アクティブ化される一対の隣接するビット線を選択する。2つのそのような第1の階層のマルチプレクサの一部分、すなわち、T0及びT1が示されている。マルチプレクサの第2の階層は、一対の隣接するビット線の中からビット線を選択する。ここで、各ビット線は、部分的に示され、かつV0~V3と標記された信号を受信する、独自の第2の階層のマルチプレクサを有する。したがって、BL0が選択されることが意図される場合、T0及びV0がアクティブ化され、BL1が選択されることが意図される場合、T0及びV1がアクティブ化され、BL2が選択されることが意図される場合、T1及びV2がアクティブ化され、BL3が選択されることが意図される場合、T1及びV3がアクティブ化される。
【0087】
図17A及び
図17Bの両方を参照すると、列デコーダ1150は、行デコーダ1110と同様に障害の影響を受けやすいことが理解され得る。この例では、アドレスXが、列デコーダ1150に入力される。ここで、アドレスXは、行アドレス部分及び列アドレス部分を備える。アドレスXの列部分は、どのマルチプレクサがアクティブ化されるかを示すビットを含む(これは次に、ビット線をアサートする)。列デコーダ1150の第2の層のマルチプレクサに対する各アクティブ化信号(V0、V1、V2、V3、...)は、アドレス障害検出アレイ1730内の行に結合されており、列デコーダ1150の第1の階層のマルチプレクサに対する各アクティブ化信号は、アドレス障害検出アレイ1731内の行(T0、T1、...)に結合されている。ビット線がアサートされると、アドレス障害検出アレイ1730内の行がアサートされ、アドレス障害検出アレイ1731内の行がアサートされ、アドレス障害検出アレイ1730及びアドレス障害検出アレイ1731の各々によって値が出力される。それらの値は、アドレス障害検出回路1710によってアドレスXの列部分と比較することができる。値が異なる場合、障害が発生しており、誤ったビット線がアサートされている。
【0088】
図17Aの例で使用するための例示的な符号化スキームを
図18に示す。ここでは、マルチプレクサの2つの階層が使用される。第1の階層は、列アドレスビットAY[4]及びAY[0]を有する値T[0]~[3]によって制御されるマルチプレクサを備える。第2の階層は、列アドレスビットAY[2]、AY[1]、及びAY[0]を有する値V[0]~V[7]によって制御されるマルチプレクサを備える。追加の階層が可能であることを理解されたい。アドレス障害検出アレイ1330及び1331は、各マルチプレクサ値に対する符号化された値、特に、V[0]...V[7]に対するAYA[2]、AYB[2]、AYA[1]、AYB[1]、AYA[0]、及びAYB[0]、並びにT[0]...T[3]に対するAYA[4]、AYB[4]、AYA[3]、及びAYB[3]を含む。
図14のように、アドレスの列構成要素における各「0」は、「01」として符号化され、アドレス内の各「1」は、「10」として符号化される。
【0089】
再び
図17Aを参照すると、
図18の符号化スキームを使用することができる。アドレス障害検出回路1710は、アドレス障害検出回路1510と同じ設計に従い、アドレス障害検出アレイ1310に記憶された符号化された値のビット対において「11」又は「00」パターンが検出された場合に「0」を出力する(AYA[x]及びAYB[x]が常に異なるビット値である
図18に示される符号化スキームに基づいて、通常動作中に「11」および「00」パターンのいずれも発生すべきでないため)。したがって、アドレス障害検出システム1725の動作の結果として、メモリシステム1700は、アドレスの列構成要素における障害を検出することができる。
【0090】
図19及び
図20は、既に説明した例の変形を示す。分かり得るように、例の機能ブロックは、異なる構成で配置することができる。
【0091】
図19は、メモリシステム1900を示す。メモリシステム1900は、高電圧デコーダ1140がアレイ1120とアドレス障害検出アレイ1130との間に結合されていることを除いて、
図11のメモリシステム1100と同一である。システムは、他の点では、
図11と同じように動作する。
【0092】
図20は、メモリシステム2000を示す。メモリシステム2000は、行デコーダ1110がアレイ1120とアドレス障害検出アレイ1130との間に結合されていることを除いて、
図11のメモリシステム1100と同一である。システムは、他の点では、前の例と同じように動作する。
【0093】
図21は、メモリシステム2100を示す。ここで、行デコーダ2103は、2つのアレイ、アレイ2101及びアレイ2102とともに動作する。アレイ2101は、高電圧デコーダ2104、列デコーダ2106及び検知増幅器2108に結合されている。アレイ2102は、高電圧デコーダ2105、列デコーダ2107及び検知増幅器2109に結合されている。単一のアドレス障害検出システム2125が使用される。アドレス障害検出システム2125は、アドレス障害検出アレイ2110、検知増幅器2111、及びコンパレータ2112を備える。アドレス障害検出アレイ2110は、検知増幅器2111及びコンパレータ2112に結合されており、前述の例と同様に動作することができる。
【0094】
図22は、改善されたアドレス障害検出システムを有するメモリシステムの一例を示す。メモリシステム2200は、行デコーダ2210、アレイ2220、高電圧デコーダ2240、列デコーダ2250及び検知増幅器2260を備え、これらの各々は、
図10、
図11、
図15、
図17A、
図19、
図20、及び
図21の同様の説明を用いた構成要素に対応する。メモリシステム2200はアドレス障害検出システム2225を更に備え、アドレス障害検出システム2225は、アドレス障害検出アレイ2230、アナログマルチステート検知増幅器2270及びアナログコンパレータ2280を備える。アドレス障害検出アレイ2230は、行デコーダ2210及び/又は列デコーダ2250によって受信することができる可能なアドレスごとに符号化された値を記憶する、ROMアレイ、フラッシュアレイ又は他の不揮発性メモリアレイを備える。
【0095】
メモリシステム2200は、
図23に示される符号化スキームを利用する。アドレス障害検出アレイ2230は、関連付けられたアドレスと同一である可能な各アドレスの符号化された値を含む。この例では、4ビットアドレス、[A3:A0]が示されており、これは、行デコーダ2210及び/又は列デコーダ2250によって受信することができるアドレスである。簡略化のために、アドレスの行部分は、0000~1111の範囲の4ビットであると想定される。これらの可能なアドレスの各々は1つのワード線と関連付けられており、これは、ここでは、WL0~WL15(16個の異なる行アドレス及びワード線)の範囲である。各ワード線はアドレス障害検出アレイ2230内の行をアクティブ化し、アドレス障害検出アレイ2230内の各行は、そのワード線と関連付けられた行アドレスに等しい値を記憶する。したがって、アドレス0000はWL0と関連付けられており、これは次に、アドレス障害検出アレイ2230内の値0000をビットロケーション[EA3:EA0]に記憶する行をアクティブ化する。
【0096】
図22において、マルチステート検知増幅器2270は、3ビット以上(又はそれより多い)値に対応する各列のアナログレベルを検知することができ、例えば、1ビット値の代わりに列内の2ビット値を検知することができる。各列で生成された電流は、その列の値を表し、アドレス障害検出アレイ1130内のアクティブ化された行ごとに加算され、すなわち、複数の行がアクティブ化されている場合、その列の複数のアクティブ化された行内のビットの値が互いに加算される。マルチステート検知増幅器2270は、任意選択的に、マルチステートデジタル検知増幅器、マルチステートアナログ検知増幅器、又はその両方を備える。
図23に例示される例では、行6(ROMコードパターン(0110))及び行7(コードパターン0111)は、意図せずに互いに短絡され、エラーを引き起こす。マルチステート検知増幅器2270は、出力パターンを(0,2,2,1)として示し、これは本質的に、行6の値に行7の値を加算したものである。障害アドレスは、出力パターンから入力アドレスビットを減算することによって決定することができ、ここでは、0221-0110=0111である。
【0097】
【0098】
図24Aは、5ビット入力アドレスA[4:0]に対するROMパターンを符号化するための一例を示す。空白である表中のセルは、「0」を含むと理解されたい。符号化されたワードパターンは、図示されるように、各コードワードの「1」の数が符号化されたワード内のビット数の半分未満であるようなものである。例えば、32行全ての符号化されたワードER[0:9]では、任意のワードに3つのみの「1」がある。符号化されたワードER[0:9]に対して示されるように、符号化されたパターンは、最初の4つの符号化されたビットER[0:3]に対して1つのみの「1」があり、第2の4つの符号化されたビットER[4:7]に対して1つのみの「1」があり、最後の2つの符号化されたビットER[8:9]に対して1つのみの「1」があるようなものである。
【0099】
図24Bに示される別の例では、符号化されたパターンは、各ワードが、最初の8つの符号化されたビットER[0:7]内に1つのみの「1」を含み、次の4ビットER[8~11]内に1つのみの「1」を含むようなものである。空白である表中のセルは、「0」を含むと理解されたい。したがって、32行の各々は、正確に2つの「1」を含む。
【0100】
より一般には、
図24A又は
図24Bと同様の符号化されたワードについて、Nビットの符号化されたワードのうちのKビットグループ及び/又はLビットグループに対して、Kビットグループ及び/又はLビットグループに1つのみの「1」があり、ここで、K>2かつ/又はL>2である。例えば、12ビットのコード化されたワード(N=12)について、4ビット(K=4)の3つのグループがあり、各4ビットグループは、1つのみの「1」を含む。別の例では、4ビット(L=4)グループを伴う8ビットグループ(K=8)のような、Kビットグループ及び/又はLビットグループの異なる組み合わせを互いに組み合わせることができる。
【0101】
図25Aは、デジタルROMセル及びアナログ(マルチステート又はマルチレベル)ROMセル(
図1又は
図2又は
図3のメモリセルなど)を使用する符号化されたスキームを示す。この例における符号化されたワードは、4つのデジタル列ER[0:3]及び4つのアナログ列EAR[0:3]に対応する、4つのデジタルビットER[0-3]及び4つのアナログビットEAR[0:3](アナログROMセル、例えば、セル当たりにマルチレベルを記憶することを意味するマルチステート又はマルチレベルセル)を含む。セル電流が0.5×Irであるか、1.0×Irであるかを検出するために、アナログ列にマルチステート検知増幅器2270が使用される。第1の4ビットER[0:3]は、
図24Aと同じパターンに従う。空白である表中のセルは、「0」を含むと理解されたい。第1の4つの符号化されたワードは、0.5×Ir(ROMセル電流)に等しいEAR[0]を有し、次の4つの符号化されたワードは、1.0×Ir(ROMセル電流)に等しいEAR[0]を有する。この特性は、第1の4つの符号化されたワードを第2の4つの符号化されたワードから区別するために使用される。列EAR[1]、EAR[2]、及びEAR[3]は、後続の8つの行の複数のグループに対して同じ機能を果たす。
【0102】
図25Bは、アナログROMセルのみを使用する符号化されたスキームを示す。この例における符号化されたワードは、6つのアナログROMセルを含む。マルチステート検知増幅器2270は、全ての列を読み出すために使用される。
【0103】
図26は、メモリシステム2600を示す。メモリシステム2600は、アレイ1120、アドレス障害検出アレイ1130及びアナログコンパレータ2610を備える。この例では、アドレス障害検出アレイ1130は、各々が「1」値を記憶する不揮発性メモリ又はROMセルの単一の列を備える。不揮発性メモリ又はROMセルの各々の出力は、単一のビット線に並列に結合されている。ワード線がアサートされると、その行内の対応するセルが、電流Irを生成する「1」を出力する。Irの典型的な値は、20μAである。2つ以上のワード線がアサートされる場合(これは、障害が意図されたワード線及び意図しないワード線をアサートさせるときに起こる)、アドレス障害検出アレイ1130内の2つ以上のセルは、「1」を出力し、合計出力電流は、n*Irであり、ここで、nは、アクティブ化されたワード線の本数である。出力は、アナログコンパレータ2610に入力される。基準電流も、アナログコンパレータ2610に入力される。例示的な基準電流は、1.3Irである。アドレス障害検出アレイ1130からの入力が1.3Irを超える場合、アナログコンパレータ2610の出力は「1」となり、これは、2つ以上のワード線がアクティブ化されることを表し、それは、障害状態を示す。アドレス障害検出アレイ1130からの入力が1.3Ir未満である場合、出力は「0」となり、これは、1つ又はゼロのワード線がアクティブ化されることを表し、それは、非障害状態を示す。(ゼロのワード線状況が障害であることは可能である。本例は、その状態を検出しない。)1.3以外の他の倍数が選択され得ることを理解されたい。
【0104】
アドレス障害検出アレイ1130がフラッシュメモリセルを備えるいくつかの例では、セル内の「1」状態は、(Irのセル電流を有する)消去状態であり、セル内の「0」状態は、(約0μAのセル電流を有する)プログラムされた状態である。アドレス障害検出アレイ1130がフラッシュメモリセルを備える他の例では、セル内の「1」は、消去状態であり、セル内の「0」状態は、セルとアレイ列との間にビット線接触がない状態である。
【0105】
図27は、メモリシステム2700を示す。メモリシステム2700は、アドレス障害検出アレイ1130内に2列のセルを有することを除いて、
図26のメモリシステム2600と同様である。メモリシステム2700は、アレイ1120、アドレス障害検出アレイ1130並びにアナログコンパレータ2710及び2720を備える。この例では、アドレス障害検出アレイ1130は、各々が「1」値を記憶する2列の不揮発性メモリ又はROMセルを備える。各それぞれの列内の不揮発性メモリ又はROMセルの各々の出力は、単一のビット線に並列に結合されている。ワード線がアサートされると、その行内の対応するセルがそれぞれ、電流Irに対応する「1」を出力する。Irの典型的な値は、20μAである。2つ以上のワード線がアサートされた場合(これは、障害状態のタイプである)、アドレス障害検出アレイ1130内の2つ以上の対のセルが「1」を出力し、各列内の合計出力電流はn*Irであり、ここで、nは、アクティブ化されたワード線の数である。出力は、アナログコンパレータ2710及び2720に入力される。0.5Ir及び1.1Irなどの基準電流も、アナログコンパレータ2710及び2720にそれぞれ入力される。アドレス障害検出アレイ1130からの入力が1.1Irを超える場合、コンパレータ2720の出力は、2つ以上のワード線がアクティブ化されることを表す「1」となり、それは、障害状態を示す。アドレス障害検出アレイ1130からの入力が0.5Irを超えるが1.1Ir未満である場合、コンパレータ2710の出力は「1」となり、コンパレータ2720の出力は、正確に1つのワード線がアクティブ化されることを表す「0」となり、それは、非障害状態を示す。アドレス障害検出アレイ1130からの入力が0.5Ir未満である場合、コンパレータ2710の出力は、どのワード線もアクティブ化されないことを表す「0」となり、それは、障害状態を示す。特定の数(例えば、3本)のワード線が障害状態にあるかどうかを判定するために、1.1以外の他の倍数が選択され得ることが理解され得る。
【0106】
図28は、メモリシステム2800を示す。メモリシステム2800は、アレイ1120、アドレス障害検出アレイ1130及びアナログコンパレータ2810を備える。メモリシステム2800は、アドレス障害検出アレイ1130が、独自の制御ゲート信号(CGAFD)、消去ゲート信号(EGAFD)及びソース線ゲート信号(SLGAFD)によって制御されることを除いて、
図26のメモリシステム2600と同じである。
図26のように、アレイ1120及びアドレス障害検出アレイ1130は、ワード線を共有する。したがって、この例では、アレイ1120及びアドレス障害検出アレイ1130は、ワード線を共有するが、アドレス障害検出アレイ1130がアレイ1120から独立に消去又はプログラムされ得るように、別個の高電圧制御線を使用する。
【0107】
図29は、メモリシステム2900を示す。メモリシステム2900は、アレイ1120及びアドレス障害検出アレイ1130を備える。アドレス障害検出アレイ1130は、不揮発性メモリセルの1つ以上の列を備える。アレイ1120及びアドレス障害検出アレイ1130はワード線及び高電圧制御線(制御ゲート、消去ゲート及びソース線ゲート信号)を共有するため、アドレス障害検出アレイ1130の特定の行内のセルは、その同じ行内のセルがアレイ1120内で消去されると、消去される。したがって、適切な値が、消去動作に続いてコントローラ又は他のデバイスによって、アドレス障害検出アレイ1130内の消去された各行にプログラムされる必要がある。アドレス障害検出アレイ1130内の特定の列は、
図12、
図13A、
図13B、
図14、
図18、
図23、
図24A、
図24B、
図25A、又は
図25Bの符号化スキーム又は別の符号化スキームを使用して、可能な各アドレスの行部分及び/又は列のために符号化された検証ビットを含む。
【0108】
図30は、メモリシステム3000を示す。メモリシステム3000は、アレイ1120及びアドレス障害検出アレイ1130を備える。アドレス障害検出アレイ1130は、不揮発性メモリセルの1つ以上の列を備える。メモリシステム3000は、メモリシステム3000が、動作中に1つ以上のビット線を接地にプルダウンする回路3010及び3020を備えることを除いて、メモリシステム2900と同一である。これは、例えば、複数のセルにより強く起因して、ローカルソース線を接地にプルダウンし、ROM(アドレス障害検出アレイ1130)パターンにおいて同時にローカルにオンにするために使用される。メモリシステム3000は、アドレス障害検出アレイ1130内の各列のための1つのそのような回路を備えることができることを理解されたい。アドレス障害検出アレイ1130内の特定の列は、
図12、
図13A、
図13B、
図14、
図18、
図23、
図24A、
図24B、
図25A、又は
図25Bの符号化スキーム又は別の符号化スキームを使用して、可能な各アドレスの行部分及び/又は列のために符号化された検証ビットを含む。
【0109】
図31は、メモリシステム3100を示す。メモリシステム3100は、アレイ1120、アドレス障害検出アレイ1130及びアナログコンパレータ3130を備える。アドレス障害検出アレイ1130は、不揮発性メモリセルの1つ以上の列を備える。メモリシステム3100は、メモリシステム3100が極性列3110及び複数行検出列3120を備えることを除いて、メモリシステム3000と同一である。極性列3110は、
図13A又は
図13BのPBビットの機能を果たすために、各行に対して単一のビットを含む。複数行検出列3120は、各行に対して単一セルを含み、複数行検出列3120内の各単一セルは、「1」を記憶する。この列は、
図26に関して前述した機能を実装する。アドレス障害検出アレイ1130内の他の列は、
図12、
図13A、
図13B、
図14、
図18、
図23、
図24A、
図24B、
図25A、又は
図25Bの符号化スキーム又は別の符号化スキームを使用して、可能な各アドレスの行部分及び/又は列のために符号化された検証ビットを含む。
【0110】
本明細書に説明される例の全てにおいて、障害が示される場合、メモリシステムは適切なステップをとることができる。例えば、メモリシステムは、障害によって影響を受けた任意の読み出し動作の結果を無視することができ、読み出し動作を繰り返すことができる。メモリシステムはまた、障害によって影響を受けた任意の書き込み動作を繰り返すことができる。アレイ1120がフラッシュメモリセルを備える状況では、メモリシステムは、書き込み(プログラム)動作を繰り返す前に、アレイの関連部分を最初に消去することができる。
【0111】
図32は、検知回路の一例を示す。検知回路3200は、バイアストランジスタ3202及び3204、電流源(基準電流)トランジスタ3201及び3203並びにアナログコンパレータ3205を備える。バイアストランジスタ3202は、アドレス障害検出アレイ1130内のビット線(列)に接続している。バイアストランジスタ3203は、ダミービット線、平衡容量、又は基準電流発生器に接続している。
【0112】
電流源トランジスタ3201及び3203のための適切なトランジスタを選択することによって、異なる構成を選択することができる。1つの構成では、コンパレータ3205の出力は、1つのワード線がアサートされているか否かを示す。例えば、電流源(基準電流)トランジスタ3201は、0.5*IRに等しい電流を発生するように選択又は設定され得、ここで、IRは、ワード線がアサートされたときに単一のセルによって引き込まれる電流である。この構成では、コンパレータ3205からの「0」の出力は、どのワード線もアサートされていないことを示し、「1」の出力は、1つのワード線がアサートされていることを示す。
【0113】
別の構成では、コンパレータ3205の出力は、2つ以上のワード線がアサートされているか否かを示す。電流源トランジスタ3201及び3203は、1.1*IRに等しい電流を発生するように選択又は設定され、ここで、IRは、ワード線がアサートされたときに単一のセルによって引き込まれる電流である。この構成では、コンパレータ3205からの「0」の出力は、1つのワード線又はより少ないワード線がアサートされていることを示し、2つ以上のワード線がアサートされていることを示す。
【0114】
図33は、検知回路3200の追加的な詳細を示す。バイアススイッチ3301及び3302もまた示されている。
【0115】
図34は、検知回路の別の例を示す。検知回路3400は、バイアストランジスタ3402及び3404並びに電流ミラートランジスタ3401及び3403を備える。トランジスタ3403及び3404は、出力比較段3410を構成する。バイアストランジスタ3402は、アドレス障害検出アレイ1130内のビット線(列)に接続している。バイアストランジスタ3404は、接地又は他の共通電位に接続している。ミラートランジスタ3403は、バイアストランジスタ3404からの基準電流Irefに対して比較されるミラートランジスタ3401を介して、アドレス障害検出アレイ1130内のビット線からのセル電流(Ir)をミラーリングする。バイアストランジスタ3404は、異なる電流比較比(%*Ir)を実装するために変更される(例えば、トリミング可能なサイズ)。出力(Out)は、「1」又は「0」がアドレス障害検出アレイ1130からそのビット線に出力されているかどうかを示す。具体的には、セル電流Ir>Iref(相対的に高いメモリセル電流を示し、セルに「0」が記憶されていることを示す)の場合、Outは「1」となり、セル電流Ir<Iref(相対的に低いメモリセル電流を示し、セルに「1」が記憶されていることを示す)の場合、Outは「0」となる。異なる電流検出比を示す複数の出力を用いて同時に異なる電流比較比を実装するための出力比較段3410の複数のブロックがあり得る。更に、トランジスタ3403は、トランジスタ3401からトランジスタ3403への異なるミラー比を実装するために変更され得る(例えば、トリミング可能なサイズ)。
【0116】
図35は、検知回路の別の例を示す。検知回路3500は、バイアストランジスタ3504及び3502と、制御トランジスタ3501及び3503と、トランジスタ3505及び3506から形成されたインバータと、を備える。バイアストランジスタ3504は、アドレス障害検出アレイ1130内のビット線(列)に接続している。バイアストランジスタ3506は、接地に接続している。AFD_OUTにおける出力は、「1」又は「0」がアドレス障害検出アレイ1130からそのビット線に出力されているかどうかを示す。制御トランジスタ3503は、検知が完了すると(インバータの出力が「0」から「1」に切り替わり、トランジスタ3503のゲートがオフであることを意味する)、トランジスタ3502及び3504内の電流を遮断する働きをする。バイアストランジスタ3502は、トランジスタ3504に結合されたセル電流(Ir)に対して比較される基準電流を設定するために使用される。
【0117】
図36は、アドレス障害検出アレイ1130内に使用することができる不揮発性メモリセル3600のレイアウトを示す。メモリセル3600は、
図1のメモリセル10のアーキテクチャに従う。
【0118】
図37は、アドレス障害検出アレイ1130内に使用することができるROMセル3700のレイアウトを示す。ROMメモリセル3700は、
図1のメモリセル10のアーキテクチャに従うが、ROMセルとして動作するように修正され、例えば、セル3600から、CG及びEGゲートを除去することができる。
【0119】
図38は、メモリアレイ(メモリアレイ1001、1002、1003及び1004など)内のセクタの8つのワード線用の行デコーダ3800を示す。行デコーダ3800は、上述の例における行デコーダ1110用に使用することができる。行デコーダ3800は、メモリアレイ内のセクタを選択する線XPA、XPB、XPC及びXPDとしてここでは示される、プリデコードされたアドレス信号を受信するNANDゲート3801を備える。XPA、XPB、XPC及びXPDが全て「ハイ」である場合、NANDゲート3801の出力は「ロー」となり、この特定のセクタが選択される。
【0120】
行デコーダ3800は、インバータ3802、ワード線WL0を生成するためのデコーダ回路3810、WL7を生成するためのデコーダ回路3820、並びにワード線WL1、WL2、WL3、WL4、WL5及びWL6を生成するための追加のデコーダ回路(図示せず)を更に備える。
【0121】
デコーダ回路3810は、図示されるように構成された、PMOSトランジスタ3811、3812及び3814、並びにNMOSトランジスタ3813及び3815を備える。デコーダ回路3810は、デコーディングの前段階から、NANDゲート3801の出力、インバータ3802の出力及びプリデコードされたアドレス信号XPZB0を受信する。この特定のセクタが選択され、XPZB0が「ロー」である場合、WL0がアサートされる。XPZB0が「ハイ」である場合、WL0はアサートされない。
【0122】
同様に、デコーダ回路3820は、図示されるように構成された、PMOSトランジスタ3821、3822及び3824並びにNMOSトランジスタ3823及び3825を備える。デコーダ回路3820は、NANDゲート3801の出力、インバータ3802の出力及びプリデコードされたアドレス信号XPZB7を受信する。この特定のセクタが選択され、XPZB7が「ロー」である場合、WL7がアサートされる。XPZB7が「ハイ」である場合、WL7はアサートされない。
【0123】
WL1、WL2及びWL3、WL4、WL5及びWL6用のデコーダ回路(図示せず)は、それらが、XPZB0又はXPZB7の代わりにそれぞれ、入力XPZB1、XPZB2、XPZB3、XPZB4、XPZB5及びXPZB6を受信することを除いて、デコーダ回路3810及び3820と同じ設計に従うことが理解される。
【0124】
このセクタが選択され、WL0がアサートされることが望ましい状況では、NANDゲート3801の出力は「ロー」となり、インバータの出力は「ハイ」となる。PMOSトランジスタ3811がオンにされ、PMOSトランジスタ3812とNMOSトランジスタ3813との間のノードは、ワード線WL0がアサートされるときに「ロー」となるXPZB0の値を受信する。これは、PMOSトランジスタ3814をオンにし、それは、WL0「ハイ」をZVDDにプルし、これは、アサートされた状態を示す。この場合において、XPZB7は「ハイ」であり、WL7がアサートされないことを表し、これは、PMOSトランジスタ3822とNMOSトランジスタ3823との間のノードをXPZB7の値(「ハイ」である)にプルし、これは、NMOSトランジスタ3825をオンにし、WLを「ロー」にさせ、これは、アサートされない状態を示す。このようにして、このセクタが選択されると、ワード線WL0...WL7のうちの1つを選択することができる。
【0125】
図39は、高電圧デコーダ1018~1021の一部として消去ゲートデコーダ3900を示す。消去ゲートデコーダ3900は、図示のように構成された、NMOSトランジスタ3901並びにPMOSトランジスタ3902及び3903を備える。PMOSトランジスタ3903は、電流ミラーバイアスレベルとしてEGHV_BIASを有する電流リミッタである。この消去ゲート信号(erase gate signal、EG)がアサートされる場合、EN_HV_Nはロー(例えば、0V又は1.2V又は2.5V)に設定され、これは、PMOSトランジスタ3902をオンにし、NMOSトランジスタ3901をオフにして、これは、消去ゲート(EG)をハイ(すなわち、=VEGSUP、例えば、11.5V)にさせる。この消去ゲート信号(EG)がアサートされない場合、EN_HV_Nはハイに設定され、これは、PMOSトランジスタ3902をオフにし、NMOSトランジスタ3901をオンにして、これは、消去ゲート(EG)をロー(すなわち、=VEGSUP_LOWレベル、例えば、0v又は1.2V又は2.5V)にさせる。
【0126】
図40は、高電圧デコーダ1018~1021の一部としてソース線デコーダ4000を示す。ソース線デコーダ4000は、図示されるように構成された、NMOSトランジスタ4001、4002、4003及び4004を備える。NMOSトランジスタ4001は、アクティブハイのSLRD_EN信号に応答して、読み出し動作中にソース線(SL)をローにプルする。NMOSトランジスタ4002は、アクティブハイのSLP_EN信号に応答して、プログラミング動作中にソース線(SL)をローにプルする。NMOSトランジスタ4003は、出力VSLMONを介して監視機能を実行し、すなわち、NMOSトランジスタ4003は、出力VSLMONで検出される電圧をSLに提供する。NMOSトランジスタ4004は、アクティブハイのEN_HV信号に応答して、ソース線(SL)に電圧を提供する。
【0127】
図41は、高電圧デコーダ1018~1021の一部として制御ゲートデコーダ4100を示す。制御ゲートデコーダ4100は、NMOSトランジスタ4101及びPMOSトランジスタ4102を備える。NMOSトランジスタ4101は、アクティブハイの信号EN_HV_Nに応答して、制御ゲート信号(CG)をプルダウンする。PMOSトランジスタ4102は、アクティブローの信号EN_HV_Nに応答して、制御ゲート信号(CG)をプルアップする。
【0128】
図42は、高電圧デコーダ1018~1021の一部としてラッチ電圧シフタ4200を示す。ラッチ電圧シフタ4200は、図示された構成において、低電圧ラッチインバータ4209、NMOSトランジスタ4203、4204、4207及び4208並びにPMOSトランジスタ4201、4202、4205及び4206を備える。ラッチ電圧シフタ4200は、入力として信号EN_SECを受信し、EN_SECの電圧振幅より大きい電圧振幅を有するEN_HV及びEN_HV_Nを出力する。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0113
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0113】
別の構成では、コンパレータ3205の出力は、2つ以上のワード線がアサートされているか否かを示す。電流源トランジスタ3201及び3203は、1.1*IRに等しい電流を発生するように選択又は設定され、ここで、IRは、ワード線がアサートされたときに単一のセルによって引き込まれる電流である。この構成では、コンパレータ3205からの「0」の出力は、1つのワード線又はより少ないワード線がアサートされていることを示し、「1」の出力は、2つ以上のワード線がアサートされていることを示す。
【国際調査報告】