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特表2024-539932ポリグリセリンベースのウレタン(メタ)アクリレート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ポリグリセリンベースのウレタン(メタ)アクリレート
(51)【国際特許分類】
   C08G 18/67 20060101AFI20241024BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20241024BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C08G18/67 005
C08G18/48
C08F290/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524416
(86)(22)【出願日】2022-07-22
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022070628
(87)【国際公開番号】W WO2023078591
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】21306549.3
(32)【優先日】2021-11-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】505005522
【氏名又は名称】アルケマ フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】アミン, ザヒドゥル モハマド
(72)【発明者】
【氏名】ファン, ミンシン
【テーマコード(参考)】
4J034
4J127
【Fターム(参考)】
4J034DA01
4J034DB03
4J034DB07
4J034DG01
4J034FA01
4J034FB01
4J034FC01
4J034FD01
4J034HA01
4J034HA07
4J034HC22
4J034HC46
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC71
4J034HC73
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC17
4J034KD02
4J034KE02
4J034QB05
4J034QB14
4J034QB19
4J034RA07
4J034RA08
4J127AA01
4J127AA02
4J127AA03
4J127AA04
4J127BB041
4J127BB121
4J127BB221
4J127BC051
4J127BC141
4J127BD431
4J127BD451
4J127BD471
4J127BE121
4J127BE12Y
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BF131
4J127BF13Z
4J127BF611
4J127BF61Y
4J127BG041
4J127BG04Y
4J127BG131
4J127BG13Y
4J127BG13Z
4J127BG271
4J127BG27Y
4J127BG27Z
4J127BG281
4J127BG28Z
4J127CB161
4J127CC181
4J127CC291
4J127FA01
4J127FA08
4J127FA14
4J127FA15
4J127FA57
(57)【要約】
本発明は、少なくとも1つのポリグリセリンポリオール;少なくとも1つのポリイソシアネート;及び、少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの反応から得られるウレタン(メタ)アクリレートに関する。本発明はさらに、ウレタン(メタ)アクリレートを得る方法、ウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物、及びウレタン(メタ)アクリレートの硬化から得られる硬化生成物に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン(メタ)アクリレートであって、前記生成物が、
- 少なくとも1つのポリグリセリンポリオール、
- 少なくとも1つのポリイソシアネート、及び
- 少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート
の反応から得られる、ウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項2】
1,000~50,000g/モル、好ましくは1,500~10,000g/モル、より好ましくは2,000~5,000g/モルの数平均分子量を有する、請求項1に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項3】
ヒドロキシ残基を有する、請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項4】
ヒドロキシ基を有さない、請求項1又は2に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項5】
ポリグリセリンポリオールが、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含まず、好ましくはオキシアルキレン基を含まない、請求項1から4のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項6】
ポリグリセリンポリオールが、少なくとも100g/モル、好ましくは100~10,000g/モル、より好ましくは200~500g/モルの数平均分子量を有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項7】
ポリグリセリンポリオールが、次の一般式(I):
[式中、aは、2~20、好ましくは2~10の数である]
を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項8】
ウレタン(メタ)アクリレート中のポリグリセリンポリオール単位の重量含有量が、ウレタン(メタ)アクリレートの全重量に対して、1~50重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは5~30重量%である、請求項1から7のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項9】
ポリイソシアネートが、好ましくは、脂肪族、脂環式、又は芳香族ジイソシアネートから選択され、好ましくは脂環式ジイソシアネートである、ジイソシアネートであり、より好ましくはポリイソシアネートはイソホロンジイソシアネートである、請求項1から8のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項10】
ウレタン(メタ)アクリレート中のポリイソシアネート単位の重量含有量が、ウレタン(メタ)アクリレートの全重量に対して、10~70重量%、好ましくは15~65重量%、より好ましくは20~60重量%である、請求項1から9のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項11】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートが、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又は2~20、好ましくは5~10のエチレングリコール単位を含むポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートから選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項12】
ウレタン(メタ)アクリレート中のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート単位の重量含有量が、ウレタン(メタ)アクリレートの全重量に対して、20~80重量%、好ましくは25~75重量%、より好ましくは30~75重量%である、請求項1から11のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項13】
次の一般式(III):
[式中、
- Rは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートから誘導される単位であり、好ましくは、Rは、次の一般式(IV):
(式中、
- Rは、水素原子及びメチル基から選択され;かつ
- bは、1~30、好ましくは1~10までの数である)
を有し、
- Xは、ポリイソシアネートから誘導される単位であり、ポリイソシアネートが2より大きいNCO官能価を有する場合、前記単位はウレタン(メタ)アクリレート基で置換されていてもよく;
- Aは、ポリグリセリンポリオールから誘導される単位であり、好ましくは、Aは次の一般式(V):
(式中、
- 各Zは、水素原子又は基-C(=O)-NH-X-NH-C(=O)-ORから独立して選択され;かつ
- cは、1~19、好ましくは1~9までの数である)
を有し、
- nは、1~30までの数である]
を有する、請求項1から12のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項14】
50mg KOH/g~400mg KOH/g、好ましくは100mg KOH/g~200mg KOH/gのOH値を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項15】
0mg KOH/g~199mg KOH/g、特に0.1mg KOH/g~190mg KOH/g、より具体的には0.5mg KOH/g~180mg KOH/g、さらに具体的には0.8~170mg KOH/gのOH値を有する、請求項1から13のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項16】
ポリイソシアネートのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートに対する比Rが、0.2~0.9、好ましくは0.5~0.8であり;及び/又は、ポリグリセリンポリオールのポリイソシアネートに対する比Rが、0.1~0.8、好ましくは0.2~0.5である、請求項1から15のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレート。
【請求項17】
次の連続工程:
- ポリイソシアネートをヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートを反応させてソシアネート官能性付加物を形成すること、及び
- イソシアネート官能性付加物をポリグリセリンポリオールと反応させて、ウレタン(メタ)アクリレートを得ること
を含む、ウレタン(メタ)アクリレートを得るための方法。
【請求項18】
硬化性組成物であって、
- 請求項1から16のいずれか一項に記載の、又は請求項17の方法に従って得られる、ウレタン(メタ)アクリレートと、
- エチレン性不飽和モノマー又はエチレン性不飽和オリゴマーから選択されるエチレン性不飽和化合物であって、好ましくは単官能性又は多官能性(メタ)アクリルモノマー又はオリゴマーから選択され、より好ましくはアクリロイルモルホリン及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートから選択される、エチレン性不飽和化合物と
を含む、硬化性組成物。
【請求項19】
エチレン性不飽和化合物が、硬化性組成物の全重量に対して、少なくとも5重量%、好ましくは5~99重量%、より好ましくは10~50重量%、さらに好ましくは15~35重量%の量で存在する、請求項18に記載の硬化性組成物。
【請求項20】
請求項1から16のいずれか一項に記載のウレタン(メタ)アクリレートを硬化することから得られる、又は請求項18若しくは19に記載の硬化性組成物を硬化することから得られる硬化生成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのポリグリセリンポリオール;少なくとも1つのポリイソシアネート;及び、少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの反応から得られるウレタン(メタ)アクリレートに関する。
【0002】
本発明はさらに、ウレタン(メタ)アクリレートを得る方法、ウレタン(メタ)アクリレートを含む硬化性組成物、及びウレタン(メタ)アクリレートを硬化させて得られる硬化生成物に関する。
【背景技術】
【0003】
(メタ)アクリレート官能化ウレタンオリゴマーは、UV照射又は他の方法を使用して硬化(重合)して、コーティング、接着剤、シーラント、添加剤製造樹脂、成形樹脂などとして機能する硬化組成物を形成することができる組成物の有用な成分であることが分かっている。しかしながら、これらの材料は疎水性であるため、他の成分(例えば、粘着付与剤、アクリレートモノマー、光開始剤など)との配合が難しく、用途が制限される。
【0004】
したがって、コーティング、医療用途、自動車、及び3D印刷などのさまざまな用途では、親水性又は水溶性材料の需要が継続的に高まっている。より詳細には、現在利用可能なエネルギー硬化材料は、水溶性と靭性のバランスの取れた特性を欠いている。加えて、ほとんどの材料は、モノマー又はエマルションタイプのポリマーであり、さまざまなエネルギー硬化システムでの使用は困難である。
【0005】
さらには、粘度が高いため、良好な親水性、並びに良好な機械的特性及び高い反応性を有するウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー又はポリマーは、市場で入手することができない。
【0006】
特開2018178071号明細書は、高い表面硬度と低いカール特性を示す硬化生成物を与えることができる、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。前記線硬化性樹脂組成物は、ポリグリセリンアルキレンオキシド付加物の(メタ)アクリレートと、3つ以上の(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートを含む。
【0007】
特開2016-186034号明細書は、親水性であり、良好な防曇性を有し、かつ十分な表面硬度を有する硬化膜表面をもたらす活性エネルギー線硬化性コーティング樹脂組成物に関する。このような活性エネルギー線硬化性コーティング樹脂組成物は、ポリグリセロールエチレンオキシド変性(メタ)アクリル化生成物と、エチレンオキシド基を有するリン酸エステル化合物とを含む。
【0008】
欧州特許第2013302号明細書は、ポリイソシアネート、高分子量ポリオール、イソシアネート基と反応可能な少なくとも1つの反応性基を含み、直接又は中和剤と反応して塩を生成した後にポリウレタンプレポリマーを水性媒体に分散させることができる少なくとも1つの親水性化合物、イソシアネート基と反応可能な少なくとも2つの反応性基を含むエチレン性不飽和化合物、及びイソシアネート基と反応可能な本質的に1つの反応性基を含むエチレン性不飽和化合物の反応から得られる、エチレン性不飽和ポリウレタンプレポリマーを含む放射線硬化性の水性組成物に関する。
【0009】
米国特許出願公開第2004/259970号明細書は、水性のUV硬化性ポリウレタンエマルション、及びソフトタッチコーティングの製造におけるその使用に関する。このエマルションは、特定のヒドロキシ官能性成分をジイソシアネート及び/又はポリイソシアネートと反応させ、得られた生成物と水との分散液を形成し、その分散液をアミン官能性材料と反応させることによって調製される。
【0010】
特開2021-046483号明細書には、防曇用途に使用するための、ポリグリセリンポリオールから誘導される過剰量の単位を含むウレタン(メタ)アクリレートが開示されている。
【0011】
したがって、高い親水性及び良好な機械的特性又は伸びを示す硬化性ウレタン(メタ)アクリレートポリマー組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0012】
本発明の第1の目的は、
- 少なくとも1つのポリグリセリンポリオール、
- 少なくとも1つのポリイソシアネート、及び
- 少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート
の反応から得られるウレタン(メタ)アクリレートを提供することである。
【0013】
幾つかの実施形態によれば、ウレタン(メタ)アクリレートは、1,000~50,000g/モル、好ましくは1,500~10,000g/モル、より好ましくは2,000~5,000g/モルの数平均分子量を有する。
【0014】
幾つかの実施形態によれば、ウレタン(メタ)アクリレートはヒドロキシ残基を有する。
【0015】
幾つかの実施形態によれば、ウレタン(メタ)アクリレートはヒドロキシ基を有しない。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、ポリグリセリンポリオールは、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含まず、好ましくはオキシアルキレン基を含まない。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、ポリグリセリンポリオールは、少なくとも100g/モル、好ましくは100~10,000g/モル、より好ましくは200~500g/モルの数平均分子量を有する。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、ポリグリセリンポリオールは、次の一般式(I)を有する:
[式中、aは、2~20、好ましくは2~10までの数である]。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、ポリイソシアネートは、好ましくは脂肪族、脂環式、又は芳香族ジイソシアネートから選択されるジイソシアネート、好ましくは脂環式ジイソシアネートであり、より好ましくは、ポリイソシアネートはイソホロンジイソシアネートである。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートから選択され、好ましくは、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、又は2~20、好ましくは5~10のエチレングリコール単位を含むポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートである。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、ウレタン(メタ)アクリレートは、次の一般式(III)を有する:
[式中、
- Rは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートから誘導される単位であり、好ましくは、Rは次の一般式(IV):
(ここで、
- Rは、水素原子及びメチル基から選択され、かつ
- bは、1~30、好ましくは1~10までの数である)
を有し、
- Xは、ポリイソシアネートから誘導される単位であり、ポリイソシアネートが2より大きいNCO官能価を有する場合、前記単位は任意選択的にウレタンアクリレート基で置換され、
- Aは、ポリグリセリンポリオールから誘導される単位であり、好ましくは、Aは次の一般式(V):
(ここで、
- 各Zは、水素原子又は基-C(=O)-NH-X-NH-C(=O)-ORから独立して選択され、かつ
- cは、1~19、好ましくは1~9までの数である)
を有し、
- nは、1~30までの数である]。
【0022】
Xが2より大きいNCO官能価を有するポリイソシアネートから誘導される単位である場合、Xは、少なくとも1つのウレタン結合と少なくとも1つの(メタ)アクリレート基とを含むウレタン(メタ)アクリレート基で置換されてもよく、例えば、Xは、式-NH-C(=O)-ORのウレタン(メタ)アクリレート基で置換されてもよく、ここでRは上述したとおりである。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、ウレタン(メタ)アクリレートは、50mg KOH/g~400mg KOH/g、好ましくは100mg KOH/g~200mg KOH/gのOH値を有する。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、ウレタン(メタ)アクリレートは、0mg KOH/g~199mg KOH/g、特に0.1mg KOH/g~190mg KOH/g、より具体的には0.5mg KOH/g~180mg KOH/g、さらに具体的には0.8~170mg KOH/gのOH値を有する。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、ポリイソシアネートのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートに対する比Rは0.2~0.9、好ましくは0.5~0.8であり、及び/又はポリグリセリンポリオールのポリイソシアネートに対する比Rは0.1~0.8、好ましくは0.2~0.5である。
【0026】
本発明は、次の一連の工程:
- ポリイソシアネートをヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートを反応させてソシアネート官能性付加物を形成すること、及び
- イソシアネート官能性付加物をポリグリセリンポリオールと反応させて、ウレタン(メタ)アクリレートを得ること
を含む、ウレタン(メタ)アクリレートを得る方法にも関する。
【0027】
本発明は、上記方法によって得られるウレタン(メタ)アクリレートにも関する。
【0028】
本発明は、
- 上述のウレタン(メタ)アクリレート、
- エチレン性不飽和モノマー又はエチレン性不飽和オリゴマーから選択されるエチレン性不飽和化合物であって、好ましくは単官能性又は多官能性(メタ)アクリルモノマー又はオリゴマーから選択され、より好ましくはアクリロイルモルホリン及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートから選択される、エチレン性不飽和化合物
を含む硬化性組成物にも関する。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、エチレン性不飽和化合物は、硬化性組成物の総重量に対して、少なくとも5重量%、好ましくは5~99重量%、より好ましくは10~50重量%、さらに好ましくは15~35重量%の量で存在する。
【0030】
本発明は、上述のウレタン(メタ)アクリレートの硬化、又は上述の硬化性組成物の硬化から得られる硬化生成物にも関する。
【0031】
本発明は、上記ニーズを満たすことを可能にする。特に、本発明は、高い親水性と良好な機械的特性を示す硬化性ウレタン(メタ)アクリレートポリマー組成物を提供する。
【0032】
これは、本発明によるウレタン(メタ)アクリレートによって達成される。より具体的には、ポリグリセリンポリオールの存在により、高い親水性、高い反応性、及び良好な機械的特性を有する生成物を得ることが可能となる。加えて、本発明のウレタン(メタ)アクリレートの粘度は、ポリイソシアネートのポリグリセリンポリオールに対する当量比を最適化することによって制御することができる。
【発明を実施するための形態】
【0033】
これより、以下の記載によって本発明を限定することなく、さらに詳細に説明する。
【0034】
ウレタン(メタ)アクリレート
本発明は、
- 少なくとも1つのポリグリセリンポリオール、
- 少なくとも1つのポリイソシアネート、及び
- 少なくとも1つのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート
の反応から得られるウレタン(メタ)アクリレートに関する。
【0035】
「ウレタン(メタ)アクリレート」という用語は、少なくとも1つのウレタン結合と少なくとも1つの(メタ)アクリレート官能基とを含む化合物を指す。このような化合物は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと呼ばれることもある。「ウレタン結合」とは、-NH-C(=O)-O-結合又は-O-C(=O)-NH-結合を意味する。「(メタ)アクリレート官能基」という用語は、アクリレート官能基(-O-C(=O)-CH=CH)又はメタクリレート官能基(-O-C(=O)-C(CH)=CH)のいずれかを指す。
【0036】
本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、上記化合物の反応生成物である。本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、ウレタン(メタ)アクリレートの混合物でありうる。
【0037】
本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリグリセリンポリオールをベースとしており、言い換えれば、ポリグリセリンポリオールから誘導される1つ以上の単位を含む。本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリグリセリンポリオールの混合物をベースとすることができる。
【0038】
「ポリグリセリンポリオール」又は「ポリグリセリン」とは、グリセロールの重合生成物、言い換えれば、グリセロールから誘導される繰り返し単位を含む分子を意味する。
【0039】
幾つかの実施形態によれば、ポリグリセリンポリオールのヒドロキシ基は置換されていない(遊離ヒドロキシ基)。「ヒドロキシ基」とは-OH基を意味する。とりわけ、ポリグリセリンポリオールは、オキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基を含まなくてもよく、好ましくはオキシアルキレン基を含まない。言い換えれば、ポリグリセリングリコールは、好ましくはエトキシル化及び/又はプロポキシル化されておらず、さらに好ましくはアルコキシル化されていない。
【0040】
好ましい実施形態によれば、ポリグリセリンポリオールは、次の一般式(I):
[式中、aは、2~20、好ましくは2~10の数である]
を有することができる。
【0041】
ウレタン(メタ)アクリレート中のポリグリセリンポリオール単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、1~50重量%、好ましくは2~40重量%、より好ましくは4~30重量%でありうる。
【0042】
一実施形態では、ウレタン(メタ)アクリレート中のポリグリセリンポリオール単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、4~25重量%、4~20重量%、4~15重量%、又は4~10重量%でありうる。
【0043】
別の実施形態では、ウレタン(メタ)アクリレート中のポリグリセリンポリオール単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、5~25重量%、10~25重量%、15~25重量%、又は20~25重量%でありうる。
【0044】
ウレタン(メタ)アクリレート中のポリグリセリンポリオール単位(%PG)の重量含有量は、次式によって決定することができる:
[式中、
ポリグリセリンは、ウレタン(メタ)アクリレート(グラム単位)の調製に用いられるポリグリセリンポリオールの重量であり、
ポリイソシアネートは、ウレタン(メタ)アクリレートの調製に用いられるポリイソシアネートの重量(グラム単位)であり、
アクリレートは、ウレタン(メタ)アクリレーの調製に用いられるヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの重量(グラム単位)である]。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、ポリグリセリンポリオールは、少なくとも100g/モル、好ましくは100~10,000g/モル、より好ましくは200~500g/モルの数平均分子量を有しうる。例えば、ポリグリセリンポリオールは、100~200g/モル;又は200~400g/モル;又は400~600g/モル;又は600~800g/モル;又は800~1,000g/モル;又は1,000~1,500g/モル;又は1,500~2,000g/モル;又は2,000~2,500g/モル;又は2,500~3,000g/モル;又は3,000~3,500g/モル;又は3,500~4,000g/モル;又は4,000~4,500g/モル;又は4,500~5,000g/モル;又は5,000~5,500g/モル;又は5,500~6,000g/モル;又は6,000~6,500g/モル;又は6,500~7,000g/モル;又は7,000~7,500g/モル;又は7,500~8,000g/モル;又は8,000~8,500g/モル;又は8,500~9,000g/モル;又は9,000~9,500g/モル;又は9,500~10,000g/モル;又は10,000g/モルより大きい数平均分子量を有しうる。
【0046】
数平均分子量は、次式によって決定することができる:
Mw=(56100×F)/OHV
[式中、
Fは、ポリグリセリンポリオールのヒドロキシル官能性であり、
OHVは、ポリグリセリンポリオールのヒドロキシル値(mg KOH/g単位)である]。
【0047】
本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートをベースとしており、言い換えれば、ポリイソシアネートから誘導される1つ以上の単位を含む。本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートの混合物をベースとすることができる。
【0048】
「ポリイソシアネート」とは、少なくとも2つの-N=C=O基を有する化合物を意味する。したがって、「ジイソシアネート」とは、2つの-N=C=O基を有する化合物を意味する。
【0049】
ポリイソシアネートに関しては、この化合物は、脂肪族、脂環式、及び芳香族ポリイソシアネート、並びにそれらの組合せから選択することができ、より好ましくは脂肪族及び脂環式ポリイソシアネート、並びにそれらの組合せであり、さらに好ましくは、ポリイソシアネートは脂環式ポリイソシアネートでありうる。
【0050】
好ましい実施形態によれば、ポリイソシアネートは、ジイソシアネート化合物であるか、又はジイソシアネート化合物の混合物である。
【0051】
本発明のある特定の実施形態によれば、ジイソシアネートは、次の一般式(II)で表すことができる:
(II) OCN-X-NCO
[式中、Xは、二価の有機部分、例えば二価の炭化水素部分である]。二価の炭化水素部分は、例えば、脂肪族(直鎖、分枝鎖、又は環状の脂肪族部分など)、芳香族又は芳香脂肪族であってもよい。二価の有機部分が、炭素原子及び水素原子に加えて、N、O、又はハロゲンなどの1つ以上のヘテロ原子を含むことも可能である。
【0052】
3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート又はIPDIとも呼ばれる)などの脂環式ジイソシアネートを利用することができる。他の適切なポリイソシアネートとしては、トルエンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、水素化テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ノルボラン(norborane)ジイソシアネート(NBDI)、トリメチレンヘキサメチレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネートなど(それらのイソシアネート官能性ビウレット、それらのアロホネート(allophonates)、及びそれらのイソシアヌレートを含む)が挙げられうるが、これらに限定されない。異なるポリイソシアネートの混合物を使用してもよい。
【0053】
ウレタン(メタ)アクリレート中のポリイソシアネート単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、10~70重量%、好ましくは15~65重量%、より好ましくは20~60重量%でありうる。
【0054】
一実施形態では、ウレタン(メタ)アクリレート中のポリイソシアネート単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、20~55重量%、20~50重量%、20~45重量%、20~40重量%、又は20~35重量%でありうる。
【0055】
別の実施形態では、ウレタン(メタ)アクリレート中のポリイソシアネート単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、25~60%、30~60重量%、35~60重量%、40~60重量%、又は45~60重量%でありうる。
【0056】
ウレタン(メタ)アクリレート中のポリイソシアネート単位(%PI)の重量含有量は、次式によって決定することができる:
[式中、
ポリグリセリンは、ウレタン(メタ)アクリレート(グラム単位)の調製に用いられるポリグリセリンポリオールの重量であり、
ポリイソシアネートは、ウレタン(メタ)アクリレートの調製に用いられるポリイソシアネートの重量(グラム単位)であり、
アクリレートは、ウレタン(メタ)アクリレーの調製に用いられるヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの重量(グラム単位)である]。
【0057】
本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートをベースとしており、言い換えれば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートから誘導される1つ以上の単位を含む。本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの混合物をベースとすることができる。
【0058】
「ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート」とは、少なくとも1つのヒドロキシ基と、少なくとも1つの(メタ)アクリレート基(構造-O-C(=O)-CH=CH又は-O-C(=O)-C(CH)=CHに相当する)とを含む化合物を意味する。
【0059】
好ましい実施形態によれば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは、1~5の範囲の(メタ)アクリレート官能性(アクリレート及び/又はメタクリレート官能性)を有する(すなわち、分子あたり1~5の(メタ)アクリレート官能基を含む)。
【0060】
幾つかの実施形態によれば、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは、好ましくは、1つのヒドロキシル官能性を有しうる。
【0061】
あるいは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは、2以上のヒドロキシル官能性を有しうる(すなわち、1分子あたり2つ以上のヒドロキシル基を含む)。
【0062】
ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、及びアルコキシル化ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートから選択することができる。
【0063】
適切なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、アクリル酸及びメタクリル酸のエステルが挙げられ、酸はエステル化されてヒドロキシアルキル基をもたらす。アルキル基は、例えば、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、又はデシルなどの分岐鎖又は直鎖C~C10アルキル基でありうる。ヒドロキシ基は、アルキル基の末端位置、又はアルキル基の鎖に沿って存在することができ、ヒドロキシ基は好ましくは第一級又は第二級である。アルキル基は、任意選択的に、芳香族基、ハロゲンなどで置換されていてもよい。アルキル基上に複数のヒドロキシ基が存在していてもよい(例えば、グリセリンモノ(メタ)アクリレートなど)。前述のように、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、分子あたり1つ、2つ、又はそれ以上の(メタ)アクリレート基を含みうる。本発明に有用なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの例としては、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA)、メタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)、アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2-ヒドロキシプロピル、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ-及びジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1-アクリルオキシ-3-(メタ)アクリルオキシプロパン、トリメチロールプロパンモノ-及びジ(メタ)アクリレート、ジ(トリメチロールプロパン)モノ-、ジ-及びトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンモノ-及びジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ-、ジ-、及びトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、及びペンタ(メタ)アクリレートなど、並びにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
適切なアルコキシル化ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート基でモノエステル化されたエチレン/プロピレン混合ポリオール、ジ(テトラメチレン)グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなど、並びにそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。好ましいアルコキシル化ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2~20、好ましくは5~10のエチレングリコール単位を含む、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートである。
【0065】
適切なヒドロキシル官能性エポキシ(メタ)アクリレートとしては、限定はしないが、エポキシ化合物(例えば、ビスフェノールA樹脂などのエポキシ樹脂)と(メタ)アクリル酸との反応によって得られる、モノマー及びオリゴマー化合物が挙げられ、ここで、(メタ)アクリル酸によるエポキシ基の開環により、ヒドロキシル官能性と(メタ)アクリレート官能性の両方が導入される。適切な市販のヒドロキシル官能性エポキシ(メタ)アクリレートの例としては、Sartomer(Arkema社の一事業部門)が販売する、CN132及びCN116製品が挙げられ、これらはエポキシ基の開環によりメタクリレート官能性と第二級ヒドロキシル官能性の両方を有する脂肪族エポキシアクリレートである。
【0066】
適切なヒドロキシル官能性ポリエステル(メタ)アクリレートとしては、限定はしないが、ポリエステルポリオールのモノ(メタ)アクリレートエステルが挙げられ、ここで、ポリエステルポリオールは、二酸とジオールの縮合重合反応生成物である。
【0067】
本発明によるウレタン(メタ)アクリレートを形成するために、異なるヒドロキシル官能性(メタ)アクリレートの混合物又は組合せを利用することができる。
【0068】
ウレタン(メタ)アクリレート中のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、20~80重量%、好ましくは25~75重量%、より好ましくは30~75重量%でありうる。
【0069】
一実施形態では、ウレタン(メタ)アクリレート中のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、30~55重量%、30~50重量%、30~45重量%、30~40重量%、又は30~35重量%でありうる。
【0070】
別の実施形態では、ウレタン(メタ)アクリレート中のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート単位の重量含有量は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して、35~75重量%、40~75重量%、45~75重量%、50~75重量%、又は55~75重量%でありうる。
【0071】
ウレタン(メタ)アクリレート中のヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート単位の重量含有量(%HF)は、次式によって決定することができる:
[式中、
ポリグリセリンは、ウレタン(メタ)アクリレート(グラム単位)の調製に用いられるポリグリセリンポリオールの重量であり、
ポリイソシアネートは、ウレタン(メタ)アクリレートの調製に用いられるポリイソシアネートの重量(グラム単位)であり、
アクリレートは、ウレタン(メタ)アクリレーの調製に用いられるヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの重量(グラム単位)である]。
【0072】
前述のように、本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、上記化合物の反応生成物である。
【0073】
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリグリセリンポリオールから誘導される単位と、ポリイソシアネートから誘導される単位とで構成される骨格を有しうる。このような単位が交互になっていてよい。したがって、ポリグリセリンポリオールのヒドロキシ基は、ポリイソシアネートのイソシアネート基と反応してウレタン結合を形成することができる。したがって、イソシアネート誘導単位は、ポリグリセリンポリオール単位の間に位置づけられて、ポリグリセリンポリオール単位と結合することができる。さらには、このような生成物の末端は、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートから誘導される単位を含みうる。言い換えれば、このような末端は、ポリイソシアネートのイソシアネート基とヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートのヒドロキシ基が反応してウレタン結合を形成した後に形成されうる。
【0074】
好ましい実施形態によれば、ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネートから誘導される単位、ポリグリセリンポリオールから誘導される単位、及びヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートから誘導される単位から本質的になるか、又はそれらからなる。
【0075】
本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、1,000~50,000g/モル、好ましくは1,500~10,000g/モル、より好ましくは2,000~5,000g/モルの数平均分子量を有しうる。例えば、このような数平均分子量は、1,000~5,000g/モル;又は5,000~10,000g/モル;又は10,000~15,000g/モル;又は15,000~20,000g/モル;又は20,000~25,000g/モル;又は25,000~30,000g/モル;又は30,000~35,000g/モル;又は35,000~40,000g/モル;又は40,000~45,000g/モル;又は45,000~50,000g/モルでありうる。数平均分子量は、ポリスチレン標準物質を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって決定することができる。
【0076】
幾つかの実施形態によれば、本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、線状構造を有しうる。これは、例えば、ウレタン(メタ)アクリレートがヒドロキシ残基を含む場合である。言い換えれば、ポリグリセリングリコール中に存在する第二級ヒドロキシ基は、ポリイソシアネートと反応していない。
【0077】
他の実施形態によれば、本発明によるウレタン(メタ)アクリレートは、分岐構造を有しうる。この場合、ポリグリセリンポリオールの第二級ヒドロキシ基は、ポリイソシアネートと反応している。したがって、この場合、ウレタン(メタ)アクリレートには、ヒドロキシ基が存在しない可能性がある。
【0078】
ポリグリセリングリコール中に存在する第二級ヒドロキシ基がポリイソシアネートと反応していない場合、ウレタン(メタ)アクリレートの耐水性及び水溶性は、より高くなる。ポリグリセリングリコール中に存在する第二級ヒドロキシ基とポリイソシアネートとの反応は、反応温度(例えば、低温では、第二級ヒドロキシ基とポリイソシアネートとの反応を回避することができる)と、反応中のポリグリセリンポリオールの添加速度とによって制御することができる。
【0079】
ウレタン(メタ)アクリレート反応生成物は、50mg KOH/g~400mg KOH/g、好ましくは又は100mg KOH/g~200mg KOH/gのOH値を有しうる。
【0080】
ウレタン(メタ)アクリレートは、0mg KOH/g~199mg KOH/g、特に0.1mg KOH/g~190mg KOH/g、より具体的には0.5mg KOH/g~180mg KOH/g、さらに具体的には0.8mg KOH/g~170mg KOH/gのOH値を有しうる。例えば、ウレタン(メタ)アクリレートは、0mg KOH/g~50mg KOH/g、特に0.1mg KOH/g~10mg KOH/gのOH値を有しうる。あるいは、ウレタン(メタ)アクリレートは、50mg KOH/g~199mg KOH/g、特に70mg KOH/g~170mg KOH/gのOH値を有しうる。
【0081】
ウレタン(メタ)アクリレートのOH値は、滴定法で決定することができる。この手順は、ウレタン(メタ)アクリレートのヒドロキシル基を過剰のp-トルエンスルホニルイソシアネート(TSI)と定量的に反応させて、酸性カルバメートを形成することを包含する。反応の最後に水を加えて、未反応のイソシアネートをスルホンアミドに変換する。カルバメートは、本質的に非水性の媒体中で、電位差滴定法により、t-ブチルアンモニウムヒドロキシドで滴定される。滴定法は、ASTM規格E1899-16に記載されているとおりでありうる。
【0082】
好ましくは、ウレタン(メタ)アクリレート反応生成物は、次の一般式(III)を有する:
【0083】
この式において、Xは、ポリイソシアネートから誘導される単位である。Xは上述したとおりである。
【0084】
Rは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートから誘導される単位である(このような化合物は上に説明されている)。好ましくは、Rは、次の一般式(IV)を有しうる:
【0085】
この式において、Rは、水素原子及びメチル基から選択される。加えて、bは、1~30、好ましくは1~10までの数である。
【0086】
さらには、Aは、ポリグリセリンポリオールから誘導される単位である(このような化合物も上で説明されている)。好ましくは、Aは、次の一般式(V)を有しうる:
【0087】
この式において、各Zは、水素原子又は基-C(=O)-NH-X-NH-C(=O)-ORから独立して選択される。
【0088】
cは、1~19、好ましくは1~9までの数である。
【0089】
最後に、式(III)において、nは、1~30までの数である。
【0090】
ウレタン(メタ)アクリレートを得る方法
本発明はさらに、ウレタン(メタ)アクリレートを得る方法に関する。好ましい実施形態によれば、このような方法を実施することにより、上述のウレタン(メタ)アクリレートが得られる。
【0091】
このような方法は、ポリイソシアネートをヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートを反応させてソシアネート官能性付加物を形成する第1の工程を含む。
【0092】
ポリイソシアネート及びヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートは、上述したとおりでありうる。
【0093】
「イソシアネート官能性付加物」とは、ポリイソシアネートとヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートとの重付加反応の生成物を意味する。
【0094】
このような工程は、例えば反応器内で行うことができる。
【0095】
ポリイソシアネートのヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートに対する比Rは、0.2~0.9、好ましくは0.5~0.8でありうる。
【0096】
上記比Rは、次式によって計算することができる:
[式中、
アクリレートは、ウレタン(メタ)アクリレートの調製に用いられるヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート中のOH基のモル数であり、
ポリイソシアネートは、ウレタン(メタ)アクリレートの調製に用いられるポリイソシアネート中のNCO基のモル数である]。
【0097】
アクリレート及びnポリイソシアネートのモル数は、次式によって計算することができる:
[式中、
アクリレートは、ウレタン(メタ)アクリレーの調製に用いられるヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの重量(グラム単位)であり、
Mwアクリレートは、ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの分子量(g/モル単位)であり、
アクリレートヒドロキシ官能性(メタ)アクリレート中のOH基の数である。
[式中、
ポリイソシアネートは、ウレタン(メタ)アクリレートの調製に用いられるポリイソシアネートの重量(グラム単位)であり、
Mwポリイソシアネートは、ポリイソシアネートの分子量(g/モル単位)であり、
ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート中のNCO基の数である]。
【0098】
幾つかの実施形態によれば、イソシアネート官能性付加物の形成は、触媒を使用せずに行うことができる。
【0099】
他の実施形態によれば、イソシアネート官能性付加物の形成は、ウレタン触媒と呼ばれる触媒の存在下で行うことができる。本明細書で用いられる場合、「ウレタン触媒」とは、ヒドロキシル基とイソシアネート基との間の反応を触媒してウレタン結合を形成することが可能な物質を意味する。したがって、ウレタン触媒は、所与の温度でこのような反応が起こる速度を加速することができ、及び/又はウレタン触媒の不存在下で目標の完了度が達成される温度よりも低い温度で、このような反応の目標の完了度を達成することができる。
【0100】
当技術分野で知られているスズベースのウレタン触媒のいずれも利用することができる(例えば、ジラウリン酸ジブチルスズ)。しかしながら、ある特定の実施形態によれば、非スズウレタン触媒、又は非スズウレタン触媒の組合せが用いられる。
【0101】
適切な非スズウレタン触媒としては、例えば、ビスマスのカルボキシレート錯体(ビスマスオクタン酸など);ジルコニウムのアセチルアセトネート錯体;ハフニウムのアセチルアセトネート錯体;チタンのアセチルアセトネート錯体;ジルコニウムのβ-ジケチミネート錯体;ハフニウムのβ-ジケチミネート錯体;チタンのβ-ジケチミネート錯体;ジルコニウムのアミジネート錯体;ハフニウムのアミジネート錯体;チタンのアミジネート錯体;亜鉛のカルボキシレート錯体;第三級アミン;イミダゾール;N-複素環式カルベン;テトラアルキルアンモニウム(擬)ハロゲン化物;ホスフィン;及び、それらの組合せからなる群より選択される1つ以上の非スズウレタン触媒が挙げられる。
【0102】
典型的には、ウレタン触媒は、ウレタン(メタ)アクリレートの総重量に基づいて、0.0001~0.1重量%の量で利用することができる。
【0103】
このような工程は、30~60℃、好ましくは50~55℃の温度で行うことができる。
【0104】
本発明による方法は、イソシアネート官能性付加物をポリグリセリンポリオールと反応させてウレタン(メタ)アクリレートを得る第2の工程をさらに含む。ポリグリセリンポリオール及びウレタン(メタ)アクリレートは、上で定義したとおりでありうる。
【0105】
第2の工程は、例えば、イソシアネート官能性付加物を含む反応器にポリグリセリンポリオールを添加することによって行うことができる。幾つかの好ましい実施形態によれば、この添加は、滴下によって行われる。あるいは、この添加は、バッチ式で行うことができる(例えば、ポリグリセリンポリオールを、1回又は複数回に分けて反応器に添加しもよい)。
【0106】
反応器内へのポリグリセリンポリオールの添加速度は、ヒドロキシ基を欠くウレタン(メタ)アクリレートよりも、ヒドロキシ残基を有するウレタン(メタ)アクリレートの方が速くなりうる。これにより、副反応(とりわけ、ポリグリセリンポリオールの第二級ヒドロキシ基とポリイソシアネートとの反応)を回避することができる。
【0107】
例えば、ポリグリセリンポリオールの添加速度は、OH残基を有するウレタン(メタ)アクリレートでは、1,000mLの反応器内で10~15g/分でありうるのに対し、OH基を有しないウレタン(メタ)アクリレートでは、ポリグリセリンポリオールの添加速度は、1,000mLの反応器内で2~3g/分でありうる。
【0108】
ポリグリセリンポリオールのポリイソシアネートに対する比Rは、0.1~0.8、好ましくは0.2~0.5でありうる。
【0109】
上記比Rは、次式によって計算することができる:
[式中、
ポリグリセリンは、ポリグリセリンポリオール中のOH基のモル数であり、
ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート中のNCO基のモル数である]。
【0110】
ポリグリセリン及びnポリイソシアネートのモル数は、次式によって計算することができる:
[式中、
ポリグリセリンは、ウレタン(メタ)アクリレート(グラム単位)の調製に用いられるポリグリセリンポリオールの重量であり、
Mwポリグリセリンは、ポリグリセリンポリオールの分子量(g/モル単位)であり、
ポリグリセリンは、ポリグリセリンポリオール中のOH基の数である]。
[式中、
ポリイソシアネートは、ウレタン(メタ)アクリレートの調製に用いられるポリイソシアネートの重量(グラム単位)であり、
Mwポリイソシアネートは、ポリイソシアネートの分子量(g/モル単位)であり、
ポリイソシアネートは、ポリイソシアネート中のNCO基の数である]。
【0111】
ウレタン(メタ)アクリレートがヒドロキシ残基を有する場合には、このような工程は、55~70℃、好ましくは60~65℃の温度で行うことができる。
【0112】
ウレタン(メタ)アクリレートがヒドロキシ基を有しない場合には、このような工程は、75~85℃の温度で行うことができる。
【0113】
さらには、望ましくない副反応を防ぐために、オリゴマーの調製に用いられる成分が反応している間、ブチル化ヒドロキシトルエンなどの酸化防止剤(安定剤)が存在してもよく、及び/又はそのような反応が起こっている間に反応混合物を空気で散布してもよい。さらには、オリゴマーの調製に用いられる異なる成分間の化学量論は、ポリウレタン鎖延長及び/又は末端基官能化の特定の所望の程度を達成するために、従来の慣行に従って調整することができる。
【0114】
硬化性組成物
本発明はさらに、硬化性組成物に関する。「硬化性組成物」とは、硬化して、重合硬化物質を提供することが可能な組成物を意味する。
【0115】
硬化性組成物は、ウレタン(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和化合物とを含む。
【0116】
ウレタン(メタ)アクリレートは、上述したとおりでありうる。
【0117】
ウレタン(メタ)アクリレートは、硬化性組成物の総重量に対して、95重量%以下、好ましくは1~95重量%、より好ましくは50~90重量%、さらに好ましくは65~85重量%の含有量で硬化性組成物中に存在しうる。
【0118】
エチレン性不飽和化合物は、典型的には、分子あたり1つ以上のエチレン性不飽和官能基、好ましくは分子あたり1つ以上の(メタ)アクリル官能基を含む。本明細書で用いられる場合、「(メタ)アクリル官能基」という用語は、アクリロイル官能基(-C(=O)-CH=CH)又はメタクリロイル官能基(-C(=O)-C(CH)=CH)のいずれかを指す。(メタ)アクリル官能基は、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、又はメタクリルアミド官能基に含まれうる。(メタ)アクリル官能基を有する化合物は、(メタ)アクリル官能化化合物と呼ばれる。
【0119】
あるいは、エチレン性不飽和化合物は、例えば、ビニル官能基及びアリル官能基を含む他の種類の適切なエチレン性不飽和官能基を含んでいてもよい。
【0120】
追加の反応性成分は、以下にさらに詳しく説明するように、モノマー又はオリゴマーの特性を有するものでありうる。
【0121】
幾つかの実施形態によれば、エチレン性不飽和化合物は、(メタ)アクリル官能化化モノマー及び(メタ)アクリル官能化オリゴマーから選択される(メタ)アクリル官能化化合物を含みうる。
【0122】
当技術分野で知られている(メタ)アクリレート官能化オリゴマーのいずれも、本発明の硬化性組成物に使用することができる。幾つかの実施形態によれば、このようなオリゴマーは、分子あたり2つ以上の(メタ)アクリレート官能基を含む。このようなオリゴマーの数平均分子量は、例えば約500~約50,000まで、広範囲に変化しうる。
【0123】
適切な(メタ)アクリレート官能化オリゴマーには、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、アクリル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリジエン(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート(メタ)アクリレートオリゴマー、及びそれらの組合せが含まれる。このようなオリゴマーは、本発明の多成分系を使用して調製された硬化樹脂発泡体の柔軟性、強度、及び/又は弾性率などの特性を高めるために、1つ以上の(メタ)アクリレート官能化モノマーと組み合わせて選択及び使用することができる。
【0124】
例示的なポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマーには、アクリル酸又はメタクリル酸又はそれらの混合物とヒドロキシル基末端ポリエステルポリオールとの反応生成物が含まれる。反応プロセスは、特にポリエステルポリオールが二官能性である場合に、ポリエステルポリオールのヒドロキシ基の全て又は本質的に全てが(メタ)アクリル化されるように実施することができる。ポリエステルポリオールは、ポリヒドロキシル官能成分(特にジオール)とポリカルボン酸官能性化合物(特に、ジカルボン酸及び無水物)の重縮合反応によって製造することができる。ポリヒドロキシル官能性成分及びポリカルボン酸官能性成分はそれぞれ、直鎖状、分岐状、脂環式、又は芳香族構造を有することができ、個別に又は混合物として使用することができる。
【0125】
適切なエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、アクリル酸若しくはメタクリル酸又はそれらの混合物とグリシジルエーテル若しくはエステルとの反応生成物が挙げられる。
【0126】
適切なポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、アクリル酸又はメタクリル酸又はそれらの混合物と、ポリエーテルポリオール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、又はポリテトラメチレングリコールなど)であるポリエーテルオールとの縮合反応生成物が挙げられるが、これらに限定されない。適切なポリエーテルオールは、エーテル結合及び末端ヒドロキシ基を含む直鎖状又は分岐状の物質でありうる。ポリエーテルオールは、テトラヒドロフラン又はアルキレンオキシドなどの環状エーテルとスターター分子との開環重合によって調製することができる。適切なスターター分子には、水、ポリヒドロキシル官能性材料、ポリエステルポリオール、及びアミンなどが含まれる。
【0127】
本発明の多成分系に使用することができるポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー(「ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー」と呼ばれることもある)には、脂肪族及び/又は芳香族ポリエステルポリオール及びポリエーテルポリオール、並びに(メタ)アクリレート末端基でキャップされた脂肪族及び/又は芳香族ポリエステルジイソシアネート及びポリエーテルジイソシアネートをベースとしたウレタンが含まれる。適切なポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、脂肪族ポリエステルベースのウレタンジアクリレートオリゴマー及びテトラアクリレートオリゴマー、脂肪族ポリエーテルベースのウレタンジ-及びテトラ-アクリレートオリゴマー、並びに脂肪族ポリエステル/ポリエーテルベースのウレタンジ-及びテトラ-アクリレートオリゴマーが挙げられる。
【0128】
さまざまな実施形態では、ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、脂肪族及び/又は芳香族ジイソシアネートを、OH基末端ポリエステルポリオール(芳香族、脂肪族、及び脂肪族/芳香族混合のポリエステルポリオールを含む)、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリオルガノシロキサンポリオール(例えば、ポリジメチルシロキサンポリオール)、又はポリジエンポリオール(例えば、ポリブタジエンポリオール)、又はそれらの組合せと反応させて、イソシアネート官能化オリゴマーを形成し、次いでこれをヒドロキシエチルアクリレート又はヒドロキシエチルメタクリレートなどのヒドロキシ官能化(メタ)アクリレートと反応させて末端(メタ)アクリレート基を提供することによって、調製することができる。例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーは、分子あたり2つ、3つ、4つ、又はそれより多くの(メタ)アクリレート官能基を含みうる。
【0129】
適切なアクリル(メタ)アクリレートオリゴマー(当該技術分野では「アクリルオリゴマー」とも呼ばれる)には、一又は複数の(メタ)アクリレート基(オリゴマーの末端又はアクリル骨格のペンダントでありうる)で官能化されたオリゴマーアクリル骨格を有する物質として説明することができるオリゴマーが含まれる。アクリル骨格は、アクリルモノマーの繰り返し単位で構成されるホモポリマー、ランダムコポリマー、又はブロックコポリマーでありうる。アクリルモノマーは、C-Cアルキル(メタ)アクリレートなどの任意のモノマー(メタ)アクリレート、並びにヒドロキシル、カルボン酸、及び/又ははエポキシ基を有する(メタ)アクリレートなどの官能化(メタ)アクリレートでありうる。アクリル(メタ)アクリレートオリゴマーは、当技術分野で知られている任意の手順を使用して調製することができ、例えば、少なくとも一部がヒドロキシ、カルボン酸、及び/又はエポキシ基(例えば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート)で官能化されたモノマーをオリゴマー化して官能化オリゴマー中間体を得、次に、これを1つ以上の(メタ)アクリレート含有反応物と反応させて、所望の(メタ)アクリレート官能基を導入する。
【0130】
例示的な(メタ)アクリレート官能化モノマー及びオリゴマーとしては、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;1,4-ブタンジオールジアクリレート;1,4-ブタンジオールジメタクリレート;ジエチレングリコールジアクリレート;ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート;1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート;ネオペンチルグリコールジアクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート(ここで、600はポリエチレングリコール部分のおおよその数平均分子量を指す);ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート;1,12-ドデカンジオールジメタクリレート;テトラエチレングリコールジアクリレート;トリエチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリブタジエンジアクリレート;メチルペンタンジオールジアクリレート;ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート;シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート;シクロヘキサンジメタノールジアクリレート;エトキシル化10ビスフェノールAジメタクリレート(ここで、「エトキシル化」の後の数字は分子あたりのオキシアルキレン部分の平均数である);ジプロピレングリコールジアクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート;アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート;アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート;ドデカンジアクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート;エトキシル化10ビスフェノールAジアクリレート;ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート;ポリプロピレングリコール(400)ジメタクリレート;金属ジアクリレート;改質金属ジアクリレート;金属ジメタクリレート;ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート;メタクリル化ポリブタジエン;プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート;エトキシル化30ビスフェノールAジメタクリレート;エトキシル化30ビスフェノールAジアクリレート;アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート;ポリエチレングリコールジメタクリレート;1,3-ブチレングリコールジアクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジメタクリレート;ジプロピレングリコールジアクリレート;エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート;ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート;ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート;プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート;アルコキシル化脂肪族のジアクリレート、アルコールトリメチロールプロパントリメタクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート;トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート;エトキシル化20トリメチロールプロパントリアクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;プロポキシル化6トリメチロールプロパントリアクリレート;エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート;アルコキシル化三官能アクリレートエステル;三官能メタクリレートエステル;三官能アクリレートエステル;プロポキシル化グリセリルトリアクリレート;プロポキシル化5.5グリセリルトリアクリレート;エトキシル化15トリメチロールプロパントリアクリレート;三官能リン酸エステル;三官能アクリル酸エステル;ペンタエリスリトールテトラアクリレート;ジ-トリメチロールプロパンテトラアクリレート;エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート;ペンタエリスリトールポリオキシエチレンテトラアクリレート;ジペンタエリスリトールペンタアクリレート;ペンタアクリレートエステル;エポキシアクリレートオリゴマー;エポキシメタクリレートオリゴマー;ウレタンアクリレートオリゴマー;ウレタンメタクリレートオリゴマー;ポリエステルアクリレートオリゴマー;ポリエステルメタクリレートオリゴマー;ステアリルメタクリレートオリゴマー;アクリルアクリレートオリゴマー;ペルフルオロ化アクリレートオリゴマー;ペルフルオロ化メタクリレートオリゴマー;アミノアクリレートオリゴマー;アミン変性ポリエーテルアクリレートオリゴマー;及び、アミノメタクリレートオリゴマーを挙げることができる。
【0131】
幾つかの実施形態によれば、エチレン性不飽和化合物は、分子あたり単一のアクリレート又はメタクリレート官能基を含む(メタ)アクリレート官能化化合物を含みうる(本明細書では「モノ(メタ)アクリレート官能化化合物」と呼ぶ)。当技術分野で知られているこのような任意の化合物を使用することができる。
【0132】
適切なモノ(メタ)アクリレート官能化化合物の例としては、脂肪族アルコールのモノ-(メタ)アクリレートエステル(ここで、脂肪族アルコールは、直鎖、分岐鎖、又は脂環式であってよく、モノアルコール、ジアルコール、又はポリアルコールでありうるが、1つのヒドロキシル基のみが(メタ)アクリル酸でエステル化されている);芳香族アルコールのモノ-(メタ)アクリレートエステル(アルキル化フェノールを含むフェノール類など);アルキルアリールアルコールのモノ-(メタ)アクリレートエステル(ベンジルアルコールなど);ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどのオリゴマー及びポリマーグリコールのモノ-(メタ)アクリレートエステル;グリコール、オリゴマーグリコール、ポリマーグリコールのモノアルキルエーテルのモノ-(メタ)アクリレートエステル;アルコキシル化(例えば、エトキシル化及び/又はプロポキシル化)脂肪族アルコールのモノ-(メタ)アクリレートエステル(ここで、脂肪族アルコールは直鎖、分岐鎖、又は脂環式であってよく、モノ-アルコール、ジ-アルコール、又はポリアルコールでありうるが、アルコキシル化脂肪族アルコールの1つのヒドロキシル基のみが(メタ)アクリル酸でエステル化されていることを条件とする);アルコキシル化(例えば、エトキシル化及び/又はプロポキシル化)芳香族アルコール(アルコキシル化フェノールなど)のモノ-(メタ)アクリレートエステル;カプロラクトンモノ(メタ)アクリレート;などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0133】
次の化合物は、本発明の硬化性組成物での使用に適したモノ(メタ)アクリレート官能化化合物の具体的な例である:メチル(メタ)アクリレート;エチル(メタ)アクリレート;n-プロピル(メタ)アクリレート;n-ブチル(メタ)アクリレート;イソブチル(メタ)アクリレート;n-ヘキシル(メタ)アクリレート;2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート;n-オクチル(メタ)アクリレート;イソオクチル(メタ)アクリレート;n-デシル(メタ)アクリレート;n-ドデシル(メタ)アクリレート;トリデシル(メタ)アクリレート;テトラデシル(メタ)アクリレート;ヘキサデシル(メタ)アクリレート;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート;2-及び3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート;2-エトキシエチル(メタ)アクリレート;2-及び3-エトキシプロピル(メタ)アクリレート;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;アルコキシル化テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート;2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;イソデシル(メタ)アクリレート:2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート:ラウリル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート;2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート;アルコキシル化フェノール(メタ)アクリレート;アルコキシル化ノニルフェノール(メタ)アクリレート;環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート;トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールモノブチルエーテル(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート;エトキシル化ラウリル(メタ)アクリレート;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;及び、それらの組合せ。
【0134】
エチレン性不飽和化合物は、(メタ)アクリルアミドモノマーを含みうる。適切な(メタ)アクリルアミドモノマーの例としては、(メタ)アクリルアミド;N-メチル(メタ)アクリルアミド;N-エチル(メタ)アクリルアミド;イソプロピル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド;N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-シクロペンチル(メタ)アクリルアミド;N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミド;N-ブチル(メタ)アクリルアミド;ジアセトン(メタ)アクリルアミド;N-(N,N-ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド;N,-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド;N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド;N-オクチル(メタ)アクリルアミド;N-デシル(メタ)アクリルアミド;N-ドデシル(メタ)アクリルアミド;N-オクタデシル(メタ)アクリルアミド;N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド;N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド;N-イソブチル(メタ)アクリルアミド、N,N,3,3-テトラメチルアクリルアミド;Ν-メチロール(メタ)アクリルアミド;N-[2-ヒドロキシエチル](メタ)アクリルアミド;N-フェニル(メタ)アクリルアミド;アクリロイルモルホリン;及び、それらの組合せが挙げられる。
【0135】
好ましい実施形態によれば、エチレン性不飽和化合物は、単官能性又は多官能性の(メタ)アクリルモノマー又はオリゴマーから選択することができ、より好ましくはアクリロイルモルホリン及びポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートから選択される。
【0136】
エチレン性不飽和化合物は、硬化性組成物の総重量に対して、少なくとも5重量%、好ましくは5~99重量%、より好ましくは10~50重量%、さらに好ましくは15~35重量%の含有量で硬化性組成物中に存在しうる。
【0137】
本発明による硬化性組成物は、1つ以上の添加剤をさらに含みうる。このような添加剤としては、安定剤、光開始剤、酸化防止剤/光安定剤、光遮断剤/吸収剤、重合禁止剤、発泡防止剤、流動剤又はレベリング剤、着色料、顔料、分散剤(湿潤剤、界面活性剤)、スリップ添加剤、充填剤、連鎖移動剤、チキソトロピック剤、艶消し剤、耐衝撃性改良剤、ワックス、又はコーティング、シーラント、接着剤、成形、3D印刷、又はインク技術において従来から利用されている添加剤のいずれかを含む、他のさまざまな添加剤が挙げられるが、これらに限定されない。このような添加剤は、硬化性組成物の総重量に対して、15重量%以下、好ましくは10重量%以下の含有量で存在しうる。
【0138】
安定剤に関しては、この成分により、十分な保存安定性と保存期間をもたらすことが可能となる。硬化性組成物の成分(特に、(メタ)アクリレート官能基を有する硬化性組成物の成分)の望ましくない反応を防ぐために、硬化性組成物の調製に用いられる方法の各段階に、1つ以上のこのような安定剤が存在することが有利である。本明細書で用いられる場合、「安定剤」という用語は、化学線の不存在下で組成物中に存在する(メタ)アクリレート官能基の反応又は硬化を遅らせるか又は防止する、化合物又は物質を意味する。しかしながら、安定剤の量と種類は、組成物が化学線に曝露されても硬化可能な状態を保つ(すなわち、安定剤が組成物の放射線硬化を妨げない)ように選択することが有利である。典型的には、本発明の目的に有効な安定剤は、フリーラジカル安定剤(すなわち、フリーラジカル反応を阻害することによって機能する安定剤)として分類される。
【0139】
(メタ)アクリレート官能化化合物に関連する当該技術分野で知られている安定剤のいずれも、本発明に利用することができる。キノンは、本発明の文脈で用いることができる特に好ましいタイプの安定剤である。本明細書で用いられる場合、「キノン」という用語には、キノンとヒドロキノンの両方、並びにそれらのエーテル、例えば、ヒドロキノンのモノアルキル、モノアリール、モノアラルキル、及びビス(ヒドロキシアルキル)エーテルなどが含まれる。ヒドロキノンモノメチルエーテルは、利用することができる適切な安定剤の一例である。
【0140】
硬化性組成物中の安定剤の濃度は、使用するために選択された特定の安定剤又は安定剤の組合せによって異なり、また、望ましい安定化の程度及び安定剤の不存在下での硬化性組成物中の成分の劣化に対する感受性によっても異なる。しかしながら、典型的には、硬化性組成物は、50~5,000ppmの安定剤を含むように配合される。ある特定の実施形態によれば、硬化性組成物を製造するために用いられる方法の各段階における反応混合物は、例えば少なくとも50ppmの安定剤など、少なくとも幾らかの安定剤を含む。
【0141】
幾つかの実施形態によれば、本明細書に記載される硬化性組成物は、少なくとも1つの光開始剤を含みうる。光開始剤とは、放射線(例えば、化学線)に曝露されると、硬化性組成物中に存在する重合有機物質の反応及び硬化を開始する種を形成する、あらゆる種類の物質とみなすことができる。適切な光開始剤には、フリーラジカル光開始剤とカチオン性光開始剤の両方、及びそれらの組合せが含まれる。
【0142】
フリーラジカル重合開始剤は、照射されるとフリーラジカルを形成する物質である。とりわけ、フリーラジカル光開始剤の使用が好ましい。本発明の硬化性組成物での使用に適したフリーラジカル光開始剤の非限定的な種類としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインエーテル、アセトフェノン、ベンジル、ベンジルケタール、アントラキノン、ホスフィンオキシド、α-ヒドロキシケトン、フェニルグリオキシレート、α-アミノケトン、ベンゾフェノン、チオキサントン、キサントン、アクリジン誘導体、フェナゼン誘導体、キノキサリン誘導体、及びトリアジン化合物が挙げられる。
【0143】
光開始剤の量は、選択された(一又は複数の)光開始剤、硬化性組成物中に存在する重合性種の量及び種類、用いられる放射線源及び放射線条件、その他の要因に応じて、適宜変更することができる。典型的には、しかしながら、光開始剤の量は、硬化性組成物の総重量に基づいて、0.05重量%~5重量%、好ましくは0.1重量%~2重量%でありうる。
【0144】
さらには、本発明の硬化性組成物は、特に硬化性組成物の光硬化を包含する三次元印刷方法において樹脂として硬化性組成物が用いられる場合には、1つ以上の光遮断剤(当該技術分野では吸収剤と呼ばれることもある)を含みうる。(一又は複数の)光遮断剤は、例えば非反応性の顔料及び染料を含む、3次元印刷技術で知られている任意のこのような物質でありうる。光遮断剤は、例えば、可視光遮断剤又はUV光遮断剤でありうる。適切な光遮断剤の例としては、二酸化チタン、カーボンブラック、並びに、ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、オキサニリド、ベンゾフェノン、チオキサントン、ヒドロキシフェニルトリアジン、スーダンI、ブロモチモールブルー、2,2’-(2,5-チオフェンジイル)ビス(5-tert-ブチルベンゾオキサゾール)(「Benetex OB Plus」というブランド名で販売される)、及びベンゾトリアゾール紫外線吸収剤などの有機紫外線吸収剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0145】
光遮断剤の量は、必要に応じて、又は特定の用途に応じて変更することができる。概して、硬化性組成物が光遮断剤を含む場合、それは硬化性組成物の総重量に基づいて、0.001~10重量%の濃度で存在する。
【0146】
有利には、本発明の硬化性組成物は、溶媒を含まない、すなわち非反応性揮発性物質(大気圧で150℃以下の沸点を有する物質)を含まないように配合することができる。例えば、本発明の硬化性組成物は、非反応性溶媒をほとんど又は全く含まなくてもよく、例えば、硬化性組成物の総重量に基づいて、10%未満、又は5%未満、又は1%未満、又はさらに0%の非反応性溶媒を含みうる。
【0147】
硬化性組成物の使用
前述のように、本発明による硬化性組成物は、1つ以上の光開始剤を含むことができ、光硬化性でありうる。
【0148】
あるいは、本発明による硬化性組成物は、開始剤を含まず、電子線エネルギーによって(少なくとも部分的に)硬化可能であってもよい。
【0149】
あるいは、本発明による硬化性組成物には、加熱時又は促進剤の存在下で分解し、化学的に硬化可能な(すなわち、硬化性組成物を放射線に曝露する必要がない)少なくとも1つのフリーラジカル開始剤が含まれる。加熱時又は促進剤の存在下で分解する少なくとも1つのフリーラジカル開始剤は、例えば、過酸化物又はアゾ化合物を含みうる。この目的に適した過酸化物としては、少なくとも1つのペルオキシ(-O-O-)部分を含む、任意の化合物、特に任意の有機化合物を挙げることができ、例えば、ジアルキル、ジアリール、及びアリール/アルキルの過酸化物、ヒドロペルオキシド、過炭酸塩、過酸エステル、過酸、アシル過酸化物などである。少なくとも1つの促進剤は、例えば、少なくとも1つの第三級アミン、及び/又は金属含有塩(例えば、鉄、コバルト、マンガン、バナジウムなどの遷移金属のカルボン酸塩、及びそれらの組合せ)に基づいた1つ以上の他の還元剤を含みうる。(一又は複数の)促進剤は、室温又は周囲温度でフリーラジカル開始剤の分解を促進して活性フリーラジカル種を生成するように選択することができ、その結果、硬化性組成物を加熱又はベイクすることなく硬化性組成物の硬化が達成される。他の実施形態では、促進剤は存在せず、硬化性組成物は、フリーラジカル開始剤の分解を引き起こし、硬化性組成物中に存在する(一又は複数の)重合性化合物の硬化を開始するフリーラジカル種を生成するのに有効な温度まで加熱される。
【0150】
ウレタン(メタ)アクリレートは、60℃で100~100,000mPa・s、好ましくは60℃で200~20,000mPa・sの粘度を有しうる。粘度は、ASTM規格D1084及びASTM規格D2556のいずれか格を使用して、回転式ブルックフィールド粘度計で測定される。
【0151】
本明細書に記載される硬化性組成物は、フリーラジカル重合、カチオン重合、又は他のタイプの重合によって硬化に供される組成物でありうる。フリーラジカル開始剤(例えば、光開始剤、パーオキサイド開始剤)などの1つ以上の開始剤が硬化性組成物中に存在してもよい。
【0152】
特定の実施形態では、硬化性組成物は光硬化される(すなわち、光、特に可視光又はUV光などの化学線への曝露によって硬化される)。
【0153】
硬化性組成物の最終用途としては、インク、コーティング、接着剤、積層造形用樹脂(3D印刷樹脂など)、成形樹脂、シーラント、複合材料、帯電防止層、電子アプリケーション、再利用可能な材料、刺激を検知してそれに応答できるスマート材料、及び生体医学材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0154】
本明細書に記載される硬化性組成物から調製された硬化組成物は、例えば、三次元物品(ここで、三次元物品は、硬化組成物から本質的になるか、又は硬化組成物からなっていてよい)、コーティングされた物品(基板が硬化組成物の1つ以上の層でコーティングされ、基板が硬化組成物で完全に包まれた、カプセル化された物品を含む)、積層又は接着された物品(物品の第1の構成要素が硬化組成物によって第2の構成要素に積層又は接着されている)、複合物品又は印刷物品(硬化組成物を使用して、紙、プラスチック、又はM-含有基板などの基板にグラフィックなどが印刷されている)に使用することができる。
【0155】
硬化前に、硬化性組成物は、任意の知られている従来の方法、例えば、噴霧、ナイフコーティング、ローラーコーティング、キャスティング、ドラムコーティング、浸漬など、及びそれらの組合せによって、基板表面に塗布することができる。転写プロセスを用いた間接的な適用も使用することができる。基板は、それぞれ金属基板又はプラスチック基板などの高表面エネルギー基板又は低表面エネルギー基板などの、任意の商業的に関連する基板でありうる。基板には、金属、紙、厚紙、ガラス、例えばポリオレフィン、ポリカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などの熱可塑性プラスチック、及びそれらのブレンド、複合材料、木材、皮革、並びにそれらの組合せが含まれる。接着剤として使用する場合、硬化性組成物を2つの基板の間に配置し、その後硬化させることができ、硬化した組成物によって基板が接着され、接着された物品が得られる。本発明による硬化性組成物は、バルク方式で形成又は硬化させることもできる(例えば、硬化性組成物を適切な型に流し込み、次に、硬化させてもよい)。
【0156】
硬化は、硬化性組成物を加熱すること、及び/又は硬化性組成物を可視光又はUV光、赤外線、及び/又は電子ビーム放射線などの放射線源に曝露することなどにより、硬化性組成物にエネルギーを供給することによって加速又は促進することができる。したがって、硬化組成物は、硬化によって形成した、硬化性組成物の反応生成物とみなすことができる。硬化性組成物は、化学線に曝露することによって部分的に硬化させることができ、部分的に硬化した物品を加熱することによってさらなる硬化を達成することができる。例えば、硬化性組成物から形成される物品(例えば、3D印刷物品)は、40℃~120℃の温度で5分~12時間加熱することができる。
【0157】
本発明による硬化性組成物の複数の層を基板表面に塗布することができ;複数の層は、同時に硬化させることもできる(例えば、単一の放射線照射により)、又は各層を順次硬化させてから、硬化性組成物の追加の層を塗布することもできる。
【0158】
本明細書に記載される硬化性組成物は、三次元印刷用途における樹脂として使用することができる。三次元(3D)印刷(積層造形とも呼ばれる)は、建築材料を積み重ねて3Dデジタルモデルを製造するプロセスである。3D印刷物体は、物体のコンピュータ支援設計(CAD)データを利用し、3D物体の断面に対応する二次元(2D)の層又はスライスを順次構築することによって生成される。ステレオリソグラフィー(SL)は、液体樹脂を放射線に選択的に曝露することによって硬化させて各2D層を形成する、積層造形法の一種である。放射線は電磁波又は電子ビームの形でありうる。最も一般的に適用されるエネルギー源は、紫外線、可視光線、又は赤外線である。したがって、本明細書に記載される硬化性組成物は、3D印刷技法を使用して三次元物品を製造する際に使用することを意図した、3D印刷樹脂配合物として使用することができる。このような三次元物品は、自立型/自己支持型であってもよく、硬化された本発明による組成物から本質的に構成されるか、又はそれで構成されるものでありうる。三次元物品はまた、前述の硬化組成物から本質的になるかまたは前述の硬化組成物から本質的になるか、又は前述の硬化組成物からなる、少なくとも1つの成分と、そのような硬化組成物以外の1つ以上の材料(例えば、金属成分又は熱可塑性成分)からなる少なくとも1つの追加成分とを含む、複合材料であってもよい。本発明の硬化性組成物は、デジタル光印刷(DLP)において特に有用であるが、本発明の硬化性組成物を使用して他のタイプの三次元(3D)印刷方法(例えば、SLA、インクジェット)を実施することもできる。本発明の硬化性組成物は、本発明の硬化性組成物から形成された物品の足場又は支持体として機能する別の材料と一緒に、三次元印刷動作に使用することができる。
【0159】
したがって、本発明の硬化性組成物は、三次元物体の構築を段階的に又は層ごとに実施する方法を含む、さまざまなタイプの三次元製造又は印刷技法の実施に有用である。このような方法では、層形成は、可視光線、UV、又は他の化学線照射などの放射線への曝露作用下で硬化性組成物を固化(硬化)させることによって実施することができる。例えば、成長する物体の上面又は底面に新しい層が形成されてもよい。本発明の硬化性組成物は、連続的に行われる積層造形による三次元物体の製造方法にも有利に使用することができる。例えば、物体は液体界面から生成されてもよい。このタイプの適切な方法は、当技術分野では「連続液体界面(又は界面相)生成物(又は印刷))」(「CLIP」)法と呼ばれることもある。このような方法は、例えば、国際公開第2014/126830号;国際公開第2014/126834号;国際公開第2014/126837号;及び、Tumbleston et al., “Continuous Liquid Interface Production of 3D Objects,” Science Vol. 347, Issue 6228, pp. 1349-1352 (March 20, 2015)に記載されており、その開示内容は、あらゆる目的のために、その全体がここに参照することによって本明細書に組み込まれる。
【0160】
酸素透過性ビルドウィンドウ上でステレオリソグラフィーを実施する場合、硬化性組成物の薄い未硬化層である酸素含有「デッドゾーン」を、ウィンドウと製造中の硬化物品の表面との間に生成することにより、本発明による硬化性組成物を使用した製品の製造をCLIP手順で可能にすることができる。このようなプロセスでは、分子状酸素の存在によって硬化(重合)が阻害される硬化性組成物が用いられる;このような阻害は、例えば、フリーラジカル機構によって硬化可能な硬化性組成物において典型的に観察される。望ましいデッドゾーンの厚さは、光子束及び硬化性組成物の光学特性及び硬化特性などのさまざまな制御パラメータを選択することによって維持することができる。CLIPプロセスは、液体形態で維持された硬化性組成物の浴の下の酸素透過性で化学線(例えば、UV)を透過するウィンドウを通して、化学線(例えば、UV)画像の連続シーケンス(デジタル光処理画像ユニットなどによって生成されうる)を投影することによって進行する。前進する(成長する)物体の下の液体界面は、ウィンドウの上に生成されたデッドゾーンによって維持される。硬化する物品は、デッドゾーンより上の硬化性組成物浴から連続的に引き出され、これは、硬化されて成長する物品に組み込まれる硬化性組成物の量を補うために、追加の量の硬化性組成物を浴に供給することによって、補充することができる。
【実施例
【0161】
以下の実施例は本発明を限定することなく説明する。
【0162】
材料及び方法
次の化合物を実施例で使用した:
【0163】
実施例のさまざまな特性を測定するために、次の方法を使用した:
【0164】
耐水性:
耐水性は親水性の度合いを評価することができ、数値が大きいほど親水性が高いことを示す。耐水性の測定方法では、0.5gのウレタン(メタ)アクリレートを、100mLビーカー中で10mLのテトラヒドロフランに25℃で混合し、分散させ、ビュレットを混合物に加えた。イオン交換水を徐々に加え、混合物が白濁するまでに必要なイオン交換水の量(mL)を測定した。このイオン交換水の量(mL)を耐水量と定義した。
【0165】
水溶性:
水溶性は、ウレタン(メタ)アクリレートを水と混合し、次に、濁り又は相分離のいずれかによって不相溶性が示されるレベルを決定することによって測定した。10.0gのウレタン(メタ)アクリレートを、25℃で90mLの水に混合し、分散させた。混合溶液を25℃で1時間保持し、水溶解度を次のように定義した:
1:非溶解性
2:部分的に溶解し、1時間後に相分離又は濁りが生じる
3:完全に溶解するが、1時間後に相分離又は濁りが生じる
4:完全に溶解し、1時間後に相分離又は濁りが生じない。
【0166】
引張試験(引張応力、引張係数、及び伸び)
JIS K 7127:1999及びJIS K 7161:1994に準拠して、30~100μmの厚さを有する硬化した試料(ダンベルNo-5)の破断伸び(機械方向)、引張応力、及び弾性率を測定した。グリップ間の距離は8cmとした。破断伸びの計算に使用した最初の試料の長さは、試験片の狭い部分の長さ(2.5cm)であった。歪み速度は3cm/分であった。引張応力の値は、試験片が破断する直前の値とした。
【0167】
振り子の硬さ
振り子の硬さは、SP0505 Koenig法によるISO 1522:2006に準拠して、振り子硬度計で10ミクロン厚の硬化した試料に対して測定した。
数平均分子量
数平均分子量は、ポリスチレン標準物質を使用したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で決定した。GPCの測定条件は以下の通りである。
モデル:Alliance社製、Waters Corporationの高速液体クロマトグラフシステム
- カラム:SHODEX GPC KF-G/-401HQ/-402.5HQ/-403HQ(4.6×250mm)
- 溶出剤:THF
- 流量:0.45mL/分
- 温度:40℃
- 試料の注入量及び濃度:5μL、10mg/mL
- 検出:RI(示差屈折計)
- データを収集及び処理するシステム:Waters Empower3
【0168】
粘度
粘度は、回転式ブルックフィールド粘度計を使用して60℃で測定した。当技術分野で知られているように、回転式ブルックフィールド粘度計を使用して粘度を測定するには、すべて非常に類似したさまざまなASTM方法(ASTM D1084及びASTM D2556など)を使用することができ、スピンドルのサイズは、トルクが50%~び70%の間になるように選択する。特定のASTM方法を、液体試料の粘性がどの程度か、及び、液体がニュートン流体であるか非ニュートン流体であるかなどの要因に基づいて選択した。
【0169】
実施例1~11は本発明に従ったものであり、実施例12~15は比較例である。比較例12~14では、ポリグリセリンポリオールを、本発明の範囲外の異なるポリオールに置き換えた。比較例15は、ポリイソシアネート及びヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートの代わりにNCO官能基を有する(メタ)アクリレートを使用して得られる。
【0170】
実施例1(本発明に係る)
43.3gのIPDI、0.1gのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1gのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。30.20gのHEAを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。20.0gのACMOを混合物に加え、次に75℃で加熱した。次に、6.3gのR-PGを混合物に滴下して加え、R-PGの第一級及び第二級ヒドロキシ官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を75~85℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で22,500mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、80重量%のウレタンアクリレート及び20重量%のACMOで構成されていた。ウレタンアクリレートは、2,550g/モルのMnを有していた。ウレタンアクリレートのOH値は、0.9mg KOH/gである。
【0171】
実施例2(本発明に係る)
38.75gのIPDI、0.1gのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1gのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。24.30gのHEAを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。30.0gのACMOを混合物に加え、次に75℃で加熱した。次に、6.75gのR-PGを混合物に滴下して加え、R-PGの第一級及び第二級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を75~85℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で15,800mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、70重量%のウレタンアクリレート及び30重量%のACMOで構成されていた。ウレタンアクリレートは、2,720g/モルのMnを有していた。ウレタンアクリレートのOH値は、1.0mg KOH/gである。
【0172】
実施例3(本発明に係る)
37.80gのIPDI、0.2gのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1gのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。24.30gのHEAを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。30.0gのACMOを混合物に加え、次に75℃で加熱した。次に、8.15gのPGL-06を混合物に滴下して加え、PGL-06の第一級及び第二級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、75~85℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で17,250mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、70重量%のウレタンアクリレート及び30重量%のACMOで構成されていた。ウレタンアクリレートは、3,170g/モルのMnを有していた。ウレタンアクリレートのOH値は、1.0mg KOH/gである。
【0173】
実施例4(本発明に係る)
25.9グラムのIPDI、0.2グラムのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1グラムのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。49.3グラムのEA-051を、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。20.0グラムのACMOを混合物に加え、次に75℃で加熱した。次に、4.5グラムのR-PGを混合物に滴下して加え、R-PGの第一級及び第二級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、75~85℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で1,630mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、80重量%のウレタンアクリレートと20重量%のACMOとを含む。ウレタンアクリレートは、3,250g/モルのMnを有する。ウレタンアクリレートのOH値は、1.0mg KOH/gである。
【0174】
実施例5(本発明に係る)
19.8グラムのIPDI、0.2グラムのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1グラムのジラウリン酸ジブチルスズを1000mLの反応器に入れた。56.45グラムのAE-400を、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。20.0グラムのACMOを混合物に加え、次に75℃で加熱した。次に、3.45グラムのR-PGを混合物に滴下して加え、R-PGの第一級及び第二級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、75~85℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で1,850mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、80重量%のウレタンアクリレートと20重量%のACMOとを含む。ウレタンアクリレートは、4,400g/モルのMnを有する。ウレタンアクリレートのOH値は、0.8mg KOH/gである。
【0175】
実施例6(本発明に係る)
34.0gのIPDI、0.2gのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1gのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。21.40gのHEAを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。30.0gのACMOを混合物に加え、反応器の温度を60℃に保持した。次に、14.30gのR-PGを混合物に非常に迅速に加え、R-PGの第一級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、60~65℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で2,670mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、70重量%のウレタンアクリレート及び30重量%のACMOで構成されていた。ウレタンアクリレートは、1,860g/モルのMnを有していた。ウレタンアクリレートのOH値は、140mg KOH/gである。
【0176】
実施例7(本発明に係る)
24.0グラムのIPDI、0.2グラムのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1グラムのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。45.50グラムのEA-051を、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。20.0グラムのACMOを混合物に加え、反応器の温度を60℃に保持した。次に、10.20グラムのR-PGを混合物に非常に迅速に加え、R-PGの第一級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、60~65℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で900mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、80重量%のウレタンアクリレートと20重量%のACMOとを含む。ウレタンアクリレートは、2,200g/モルのMnを有する。ウレタンアクリレートのOH値は、108mg KOH/gである。
【0177】
実施例8(本発明に係る)
23.02グラムのIPDI、0.08グラムのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1グラムのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。48.80グラムのEA-051を、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。20.0グラムのSR252NSを混合物に加え、反応器の温度を60℃に保持した。次に、8.0グラムのR-PGを混合物に非常に迅速に加え、R-PGの第一級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、60~65℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で700mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、80重量%のウレタンアクリレート及び20重量%のSR252NSを含む。ウレタンアクリレートは、1,970g/モルのMnを有する。ウレタンアクリレートのOH値は、88mg KOH/gである。
【0178】
実施例9(本発明に係る)
20.85グラムのIPDI、0.2グラムのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1グラムのジラウリン酸ジブチルスズを1mLの反応器に入れた。43.95グラムのEA-051を、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。20.0グラムのACMOを混合物に加え、反応器の温度を60℃に保持した。次に、14.90グラムのPGL-06を混合物に非常に迅速に加え、R-PGの第一級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、60~65℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で650mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、80重量%のウレタンアクリレートと20重量%のACMOとを含む。ウレタンアクリレートは、2,090g/モルのMnを有する。ウレタンアクリレートのOH値は、147mg KOH/gである。
【0179】
実施例10(本発明に係る)
18.65グラムのIPDI、0.2グラムのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1グラムのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。53.15グラムのAE-400を、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。20.0グラムのACMOを混合物に加え、反応器の温度を60℃に保持した。次に、7.9グラムのR-PGを混合物に非常に迅速に加え、R-PGの第一級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、60~65℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で1,120mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、80重量%のウレタンアクリレートと20重量%のACMOとを含む。ウレタンアクリレートは、3,120g/モルのMnを有する。ウレタンアクリレートのOH値は、75mg KOH/gである。
【0180】
実施例11(本発明に係る)
30.0gのIPDI、0.2gのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1gのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。23.60gのHEAを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。30.0gのACMOを混合物に加え、反応器の温度を60℃に保持した。次に、16.10gのPGL-06を混合物に非常に迅速に加え、R-PGの第一級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、60~65℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で920mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、70重量%のウレタンアクリレート及び30重量%のACMOで構成されていた。ウレタンアクリレートは、1,750g/モルのMnを有していた。ウレタンアクリレートのOH値は、155mg KOH/gである。
【0181】
実施例12(比較例)
40.1gのIPDI、0.1gのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1gのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。25.20gのHEAを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。30.0gのACMOを混合物に加え、次に75℃で加熱した。次に、4.75gのグリセロールを混合物に滴下して加え、グリセロールの第一級及び第二級ヒドロキシル官能基をイソシアネート官能性付加物と反応させた。混合物を、75~85℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で10,650mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、70重量%のウレタンアクリレート及び30重量%のACMOで構成されていた。ウレタンアクリレートは、2,200g/モルのMnを有していた。
【0182】
実施例13(比較例)
38.3gのIPDI、0.1gのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1gのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。24.05gのHEAを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。30.0gのACMOを混合物に加え、次に75℃で加熱した。次に、7.45gのDEGを混合物に滴下して加えた。混合物を、75~85℃で2~4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で870mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、70重量%のウレタンアクリレート及び30重量%のACMOで構成されていた。ウレタンアクリレートは、1,750g/モルのMnを有していた。
【0183】
実施例14(比較例)
24.05gのIPDI、0.1gのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1gのジラウリン酸ジブチルスズを1Lの反応器に入れた。15.1gのHEAを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、50~60℃で2時間反応させてイソシアネート官能性付加物を形成した。30.0gのACMOを混合物に加え、次に75℃で加熱した。次に、30.65gのPTMGを混合物に滴下して加えた。混合物を、75~85℃で2~-4時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で480mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、70重量%のウレタンアクリレート及び30重量%のACMOで構成されていた。ウレタンアクリレートは、2,150g/モルのMnを有していた。
【0184】
実施例15(比較例)
20.3グラムのR-PG、0.2グラムのブチル化ヒドロキシトルエン、及び0.1グラムのジラウリン酸ジブチルスズを1000mLの反応器に入れた。59.40グラムのAOI-VMを、乾燥空気を吹き込みながら滴下して加え、55~60℃で2時間反応させた。20.0グラムのACMOを混合物に加え、混合物を60℃で2時間反応させた。最終的な樹脂は、60℃で560mPa・sの粘度を有する、無色透明の物質であった。最終的な樹脂は、80重量%のウレタンアクリレートと20重量%のACMOとを含む。ウレタンアクリレートは、1,240g/モルのMnを有する。
【0185】
実施例16(比較例)
特開2021-046483号明細書の合成例1を再現することにより、ウレタン(メタ)アクリレートを合成した。最終的な樹脂は、60℃で180,000mPa・sの粘度を有する、白く濁った物質であった。ウレタン(メタ)アクリレートは、200mg KOH/gを超えるOH値、及びウレタン(メタ)アクリレートの総重量に対して50重量%を超えるポリグリセリンポリオール単位の重量含有量を有する。
【0186】
実施例17
次のプロセスを使用して、上記配合物を硬化した:
【0187】
各配合物(樹脂)を、重合性化合物の重量に基づいて、5重量%Irgacure 184と混合した。このブレンドを、#10~#50のアプリケーションワイヤロッドを使用して、100μmのPETフィルム上にコーティングした。コーティングされた基板を、400~1,000mJ/cmのHgランプを備えたUV硬化装置で15m/分の速度で硬化した。
【0188】
上記データから、本発明による配合物(実施例1~11)は、比較配合物(実施例12~16)と比較して、高い親水性を示す硬化生成物を得ることを可能にすると結論付けることができる。ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートとしてポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートをベースとしたウレタン(メタ)アクリレートは、最も高い親水性と良好な伸びを有する。ヒドロキシ官能性(メタ)アクリレートとしてヒドロキシルアルキル(メタ)アクリレートを用いて得られるウレタン(メタ)アクリレートは、優れた機械的特性を有する。
【0189】
ヨルダン国特許出願公開第2021-046483号明細書に開示される比較例16のウレタン(メタ)アクリレートは、極めて高い粘度を有しており、非常に濁っており、親水性が乏しく、アルコール、アルカリ、及び酸に対する耐性が乏しく、本発明によるウレタン(メタ)アクリレートと比較して低い機械的特性を示している。
【国際調査報告】