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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】反応誘発性の変色組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 63/00 20060101AFI20241024BHJP
   C08K 5/18 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 163/00 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 163/04 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 11/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C08L63/00 C
C08K5/18
C09J11/06
C09J163/00
C09J163/04
C09J11/04
C09J11/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524483
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022048349
(87)【国際公開番号】W WO2023076650
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/273,598
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508036075
【氏名又は名称】ゼフィロス インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147511
【弁理士】
【氏名又は名称】北来 亘
(72)【発明者】
【氏名】ヒックス,ケビン
(72)【発明者】
【氏名】モータザヴィアン,ハミド
(72)【発明者】
【氏名】ゴールドマン,ヴィセント
(72)【発明者】
【氏名】チャプリツキ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】パケット,ドナルド
【テーマコード(参考)】
4J002
4J040
【Fターム(参考)】
4J002CD05X
4J002CD06W
4J002DJ018
4J002EN066
4J002EW047
4J002FD018
4J002FD096
4J002FD207
4J002GJ01
4J040EC001
4J040GA29
4J040HA306
4J040HD23
4J040JA13
4J040KA02
4J040KA04
4J040KA22
4J040KA35
4J040KA37
4J040KA42
4J040NA12
4J040NA15
(57)【要約】
適切な混合を示すための変色2液系。2液系は、A側およびB側を含む。A側および/またはB側は、反応性変色剤(例えば、pH感受性染料)を含む。B側は、1つまたは複数の酸を含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
変色2液系において、
A側と、
1つまたは複数の酸を含むB側とを含み、
反応性変色剤が前記A側に存在するか、非反応性変色剤が前記A側および/もしくは前記B側に存在するか、またはそれらの両方である、2液系。
【請求項2】
前記反応性変色剤が、クロロアニリン、メチルアニリン、およびクロロメチルアニリンから選択されるアニリン誘導体を含む、請求項1に記載の2液系。
【請求項3】
前記反応性変色剤が、4,4’-メチレンジアニリン誘導体を含む、請求項1または請求項2に記載の2液系。
【請求項4】
前記反応性変色剤が、反応性がエポキシ官能基に基づくようにエポキシ化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項5】
前記反応性変色剤が、4,4’-メチレンジアニリンテトラグリシジルエーテルである、請求項4に記載の2液系。
【請求項6】
前記反応性変色剤が、前記A側の約0.1重量%から30重量%の間、より好ましくは約1重量%から25重量%の間、更により好ましくは約5重量%から20重量%の間の量で前記A側に存在する、請求項1~5のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項7】
前記変色プロセスが、pH感受性である、請求項1~6のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項8】
前記A側に供給される前記非反応性変色剤が、クレゾールレッド、クリスタルバイオレット、またはそれらの両方を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項9】
前記非反応性変色剤が、前記A側の約0.05重量%から5重量%の間、より好ましくは約0.1重量%から3重量%の間、更により好ましくは約1重量%から2重量%の間の量で前記A側に存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項10】
前記B側に供給される前記非反応性変色剤が、ブロモクレゾールグリーンを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項11】
前記非反応性変色剤が、前記B側の約0.05重量%から5重量%の間、より好ましくは約0.1重量%から3重量%の間、更により好ましくは約1重量%から2重量%の間の量で前記B側に存在する、請求項1~10のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項12】
前記A側が、好ましくは1つもしくは複数の多官能芳香族エポキシ樹脂、多官能脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、シラン変性エポキシ樹脂、もしくはそれらのあらゆる組み合わせを含む、1つまたは複数の更なるエポキシ樹脂を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項13】
前記1つまたは複数の更なるエポキシ樹脂が、前記A側の約50重量%から80重量%の間、より好ましくは約55重量%から75重量%の間、更により好ましくは約60重量%から70重量%の間の量で存在する、請求項12に記載の2液系。
【請求項14】
前記シラン変性エポキシ樹脂が、前記A側の約0.5重量%から10重量%の間、より好ましくは約1重量%から9重量%の間、更により好ましくは約2重量%から8重量%の間の量で存在する、請求項12または請求項13に記載の2液系。
【請求項15】
前記エポキシノボラック樹脂が、1つまたは複数の液状エポキシノボラック樹脂、および1つまたは複数の固体エポキシノボラック樹脂の両方を含む、請求項12~14のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項16】
前記A側が、1つまたは複数の添加剤を含み、
前記1つまたは複数の添加剤が、1つまたは複数の金属炭酸塩、鉱物、強化繊維、疎水性シリカ、コアシェル粒子ポリマー、顔料、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項17】
前記金属炭酸塩が、炭酸カルシウム、好ましくは超微細な炭酸カルシウム、微細な炭酸カルシウム、中程度に微細な炭酸カルシウム、中程度の炭酸カルシウム、粗い炭酸カルシウム、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項16に記載の2液系。
【請求項18】
前記A側および前記B側を混合した後、前記A側および前記B側の初期の膨張していない容積の約10%から800%の間、より好ましくは約50%から700%の間、更により好ましくは約100%から600%の間の容積に膨張する、請求項1~17のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項19】
前記A側が、前記反応性変色剤から基本的になる、請求項1~18のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項20】
前記1つまたは複数の酸が、少なくとも、1つまたは複数のリン酸エステルを含み、任意にリン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項1~19のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項21】
前記1つまたは複数のリン酸エステルが、カシューナッツ殻液に由来するリン酸エステル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルに由来するリン酸エステル、フェニルグリシジルエーテルに由来するリン酸エステル、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項20に記載の2液系。
【請求項22】
前記リン酸エステルが、前記B側の約40重量%から95重量%の間、より好ましくは約50重量%から80重量%の間、更により好ましくは約60重量%から約70重量%の間の量で前記B側に存在する、請求項20または請求項21に記載の2液系。
【請求項23】
前記任意のリン酸、クエン酸、酢酸、またはそれらのあらゆる組み合わせが、前記B側の約4重量%から18重量%の間、より好ましくは約6重量%から16重量%の間、更により好ましくは約8重量%から約14重量%の間の量で前記B側に存在する、請求項20~22のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項24】
前記B側が、1つまたは複数の添加剤を含み、
前記1つまたは複数の添加剤が、1つまたは複数の金属炭酸塩、鉱物、強化繊維、疎水性シリカ、コアシェル粒子ポリマー、顔料、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項25】
前記2液組成物が、熱硬化性樹脂である、請求項1~24のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項26】
混合したA側およびB側の色が、前記A側の初期の色および前記B側の初期の色の混合物から色彩理論(例えば、青色および黄色が合わさって緑色になる)に基づいて予測された色ではない、請求項1~25のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項27】
前記A側のpHが、約5~10である、請求項1~26のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項28】
前記B側のpHが、7未満である、請求項1~27のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項29】
前記B側のpHが、5未満である、請求項1~28のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項30】
合わせたA側およびB側のpHが、前記A側のみのpHより低い、請求項1~29のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項31】
合わせたA側およびB側のpHが、8未満である、請求項1~30のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項32】
合わせたA側およびB側のpHが、7未満である、請求項1~31のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項33】
合わせたA側およびB側のpHが、5未満である、請求項1~32のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項34】
接着剤および封止剤から選択される、請求項1~33のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項35】
発泡体であるか、発泡性であるか、接着剤であるか、構造用接着剤であるか、封止剤であるか、発泡しないものであるか、テープを形成するために用いられるか、またはそれらのあらゆる組み合わせである、請求項1~34のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項36】
N-メチルアニリン、2,5-ジメトキシアニリン、2-アセチル-フェノチアジン、3-クロロ-2-メチルアニリン、3-クロロ-4-メチルアニリン、3-クロロアニリン、4-クロロ-3-アミノベンゾトリフルオリド、5-クロロ-2-アミノベンゾトリフルオリド、5-クロロ-2-メチルアニリン、クロロアニリン、クロロジメトキシアニリン、デヒドロチオトルイジン、ジクロロアニリン、ジメチルアニリン、メタトルイジン、o-クロロ-p-ニトロアニリン、パラトルイジン、フェノチアジン、フェニレンジアミン、およびそれらのあらゆる組み合わせから選択されるアニリン誘導体を含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項37】
2液接着剤および2液封止剤から選択される2液系において、前記2液系が、A側およびB側を含み、
前記A側および前記B側が、互いに分離しており、
前記A側と前記B側とを混合すると、得られる混合物が、前記A側および前記B側とは異なる色、色調、または視覚のインジケーターを発現し、
前記B側が、1つまたは複数の酸を含み、
(i)前記A側が、エポキシ、アミノ、ヒドロキシル、メチル、カルボニル、カルボキシル、およびホスフェートからなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有する第1のpH感受性染料を含むか、(ii)前記A側および/もしくは前記B側が、好ましくは前記少なくとも1つの官能基を有さない、前記第1のpH感受性染料とは異なる第2のpH感受性染料を含むか、または(i)および(ii)の両方である、2液系。
【請求項38】
前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、クロロアニリン、メチルアニリン、およびクロロメチルアニリンから選択されるアニリン誘導体を含む、請求項37に記載の2液系。
【請求項39】
前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、4,4’-メチレンジアニリン誘導体を含む、請求項37または請求項38に記載の2液系。
【請求項40】
前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数がエポキシ官能基に基づいて反応性であるようにエポキシ化されている、請求項37~39のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項41】
前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、4,4’-メチレンジアニリンテトラグリシジルエーテルである、請求項40に記載の2液系。
【請求項42】
前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、前記A側の約0.1重量%から30重量%の間、より好ましくは約1重量%から25重量%の間、更により好ましくは約5重量%から20重量%の間の量で前記A側に存在する、請求項37~41のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項43】
前記A側に供給される前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、クレゾールレッド、クリスタルバイオレット、またはそれらの両方を含む、請求項37~42のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項44】
前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、前記A側の約0.05重量%から5重量%の間、より好ましくは約0.1重量%から3重量%の間、更により好ましくは約1重量%から2重量%の間の量で前記A側に存在する、請求項37~42のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項45】
前記B側に供給される前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、ブロモクレゾールグリーンを含む、請求項37~44のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項46】
前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数が、前記B側の約0.05重量%から5重量%の間、より好ましくは約0.1重量%から3重量%の間、更により好ましくは約1重量%から2重量%の間の量で前記B側に存在する、請求項37~45のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項47】
前記A側が、好ましくは1つもしくは複数の多官能芳香族エポキシ樹脂、多官能脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、シラン変性エポキシ樹脂、もしくはそれらのあらゆる組み合わせを含む、1つまたは複数の更なるエポキシ樹脂を含む、請求項37~46のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項48】
前記1つまたは複数の更なるエポキシ樹脂が、前記A側の約50重量%から80重量%の間、より好ましくは約55重量%から75重量%の間、更により好ましくは約60重量%から70重量%の間の量で存在する、請求項47に記載の2液系。
【請求項49】
前記シラン変性エポキシ樹脂が、前記A側の約0.5重量%から10重量%の間、より好ましくは約1重量%から9重量%の間、更により好ましくは約2重量%から8重量%の間の量で存在する、請求項47または請求項48に記載の2液系。
【請求項50】
前記エポキシノボラック樹脂が、1つまたは複数の液状エポキシノボラック樹脂、および1つまたは複数の固体エポキシノボラック樹脂の両方を含む、請求項47~49のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項51】
前記A側が、1つまたは複数の添加剤を含み、
前記1つまたは複数の添加剤が、1つまたは複数の金属炭酸塩、鉱物、強化繊維、疎水性シリカ、コアシェル粒子ポリマー、顔料、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項37~50のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項52】
前記金属炭酸塩が、炭酸カルシウム、好ましくは超微細な炭酸カルシウム、微細な炭酸カルシウム、中程度に微細な炭酸カルシウム、中程度の炭酸カルシウム、粗い炭酸カルシウム、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項51に記載の2液系。
【請求項53】
前記A側および前記B側を混合した後、前記A側および前記B側の初期の膨張していない容積の約10%から800%の間、より好ましくは約50%から700%の間、更により好ましくは約100%から600%の間の容積に膨張する、請求項37~52のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項54】
前記A側が、前記第1または第2のpH感受性染料のうちの1つまたは複数から基本的になる、請求項37~53のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項55】
前記1つまたは複数の酸が、少なくとも、1つまたは複数のリン酸エステルを含み、任意にリン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項37~54のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項56】
前記1つまたは複数のリン酸エステルが、カシューナッツ殻液に由来するリン酸エステル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルに由来するリン酸エステル、フェニルグリシジルエーテルに由来するリン酸エステル、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項55に記載の2液系。
【請求項57】
前記リン酸エステルが、前記B側の約40重量%から95重量%の間、より好ましくは約50重量%から80重量%の間、更により好ましくは約60重量%から約70重量%の間の量で前記B側に存在する、請求項55または請求項56に記載の2液系。
【請求項58】
前記任意のリン酸、クエン酸、酢酸、またはそれらのあらゆる組み合わせが、前記B側の約4重量%から18重量%の間、より好ましくは約6重量%から16重量%の間、更により好ましくは約8重量%から約14重量%の間の量で前記B側に存在する、請求項55~57のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項59】
前記B側が、1つまたは複数の添加剤を含み、
前記1つまたは複数の添加剤が、1つまたは複数の金属炭酸塩、鉱物、強化繊維、疎水性シリカ、コアシェル粒子ポリマー、顔料、またはそれらのあらゆる組み合わせを含む、請求項27~58のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項60】
前記2液組成物が、熱硬化性樹脂である、請求項37~59のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項61】
混合したA側およびB側の色が、前記A側の初期の色および前記B側の初期の色の混合物から色彩理論(例えば、青色および黄色が合わさって緑色になる)に基づいて予測された色ではない、請求項37~60のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項62】
前記A側のpHが、約5~10である、請求項37~61のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項63】
前記B側のpHが、7未満である、請求項37~62のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項64】
前記B側のpHが、5未満である、請求項37~63のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項65】
合わせたA側およびB側のpHが、前記A側のみのpHより低い、請求項37~64のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項66】
合わせたA側およびB側のpHが、8未満である、請求項37~65のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項67】
合わせたA側およびB側のpHが、7未満である、請求項37~66のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項68】
合わせたA側およびB側のpHが、5未満である、請求項37~67のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項69】
発泡体であるか、発泡性であるか、接着剤であるか、構造用接着剤であるか、封止剤であるか、発泡しないものであるか、テープを形成するために用いられるか、またはそれらのあらゆる組み合わせである、請求項37~68のいずれか一項に記載の2液系。
【請求項70】
N-メチルアニリン、2,5-ジメトキシアニリン、2-アセチル-フェノチアジン、3-クロロ-2-メチルアニリン、3-クロロ-4-メチルアニリン、3-クロロアニリン、4-クロロ-3-アミノベンゾトリフルオリド、5-クロロ-2-アミノベンゾトリフルオリド、5-クロロ-2-メチルアニリン、クロロアニリン、クロロジメトキシアニリン、デヒドロチオトルイジン、ジクロロアニリン、ジメチルアニリン、メタトルイジン、o-クロロ-p-ニトロアニリン、パラトルイジン、フェノチアジン、フェニレンジアミン、およびそれらのあらゆる組み合わせから選択されるアニリン誘導体を含む、請求項37~69のいずれか一項に記載の2液系。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、A側およびB側を含む2液系、特に、A側およびB側を混合した後に変色する反応性変色剤を含む2液系に関する。2液系は、変色(色が変わること)により、A側およびB側の適切な混合、硬化、および/または発泡を示すのに有利なものでありうる。
【背景技術】
【0002】
2液系は、典型的にはA側およびB側として供給される。2液系は、典型的には使用前に混合される。A側およびB側の混合は、典型的には系の硬化および/または発泡を開始させる。
【0003】
2液系に対する関心は適切な混合である。2液系は、適切に混合されないと適切に硬化および/または発泡することができない。それらは現場で混合されることから、混合装置による長時間の機械混合は不可能なことがある。更に、機械混合は、静的ミキサーの不具合またはヒューマンエラーが生じやすいことがある。不適切な混合は、下流の適用にとって有害となることがある。例えば、発泡成形体に用いられる2液系の反応生成物は、十分な意図した機械的特性を提供しないことがあり、または発泡が望まれる場合、反応生成物は、適切に空間を埋めるための膨張容積を有さないことがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2液系の適切な硬化および/または発泡を保証するための適切な混合のインジケーターを提供することが望ましいことでありうる。
【0005】
適切なその混合を示す2液系を提供することが望ましいことでありうる。
【0006】
適切な混合の簡素で明確に理解可能なインジケーターを提供する2液系を提供することが望ましいことでありうる。
【0007】
適切な混合の信頼できる繰り返し可能な測定を提供することが望ましいことでありうる。
【0008】
高価ではないインジケーターを含む2液系を提供することが望ましいことでありうる。
【0009】
速やかに適切な混合を示す2液系を提供することが望ましいことでありうる。
【0010】
組成物に組み込まれた品質管理手段を含む2液系を提供することが望ましいことでありうる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、色が変わる変色2液系に関する。変色2液系は、上記に特定された要求の少なくともいくつかに対処することができる。変色2液系は、A側、および1つまたは複数の酸を含むB側を含んでもよい。非反応性変色剤がA側および/またはB側に存在してもよい。反応性変色剤がA側に存在してもよい。非反応性変色剤および/または反応性変色剤が2液系に存在してもよい。
【0012】
反応性変色剤は、アニリン誘導体を含んでもよい。反応性変色剤は、4,4’-メチレンジアニリン誘導体を含んでもよい。反応性変色剤は、エポキシ化されうる。反応性変色剤は、4,4’-メチレンジアニリンテトラグリシジルエーテルであってもよい。
【0013】
反応性変色剤は、A側の約0.1重量%から30重量%の間、より好ましくは約1重量%から25重量%の間、更により好ましくは約5重量%から20重量%の間の量でA側に存在してもよい。
【0014】
非反応性変色剤は、pH感受性であってもよい。A側に供給される非反応性変色剤は、クレゾールレッド、クリスタルバイオレット、またはそれらの両方を含んでもよい。B側に供給される非反応性変色剤は、ブロモクレゾールグリーンを含んでもよい。
【0015】
非反応性変色剤は、A側の約0.05重量%から5重量%の間、より好ましくは約0.1重量%から3重量%の間、更により好ましくは約1重量%から2重量%の間の量でA側に存在してもよい。
【0016】
非反応性変色剤は、B側の約0.05重量%から5重量%の間、より好ましくは約0.1重量%から3重量%の間、更により好ましくは約1重量%から2重量%の間の量でB側に存在してもよい。
【0017】
A側は、1つもしくは複数の多官能芳香族エポキシ樹脂、多官能脂肪族エポキシ樹脂、エポキシノボラック樹脂、シラン変性エポキシ樹脂、もしくはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい、1つまたは複数の更なるエポキシ樹脂を含んでもよい。
【0018】
1つまたは複数の更なるエポキシ樹脂は、A側の約50重量%から80重量%の間、より好ましくは約55重量%から75重量%の間、更により好ましくは約60重量%から70重量%の間の量で存在してもよい。
【0019】
シラン変性エポキシ樹脂は、A側の約0.5重量%から10重量%の間、より好ましくは約1重量%から9重量%の間、更により好ましくは約2重量%から8重量%の間の量で存在してもよい。
【0020】
エポキシノボラック樹脂は、1つまたは複数の液状エポキシノボラック樹脂、および1つまたは複数の固体エポキシノボラック樹脂の両方を含んでもよい。
【0021】
A側は、1つまたは複数の添加剤を含んでもよい。1つまたは複数の添加剤は、1つまたは複数の金属炭酸塩、鉱物、強化繊維、疎水性シリカ、コアシェル粒子ポリマー、顔料、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0022】
金属炭酸塩は、超微細な炭酸カルシウム、微細な炭酸カルシウム、中程度に微細な炭酸カルシウム、中程度の炭酸カルシウム、粗い炭酸カルシウム、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。2液系は、A側およびB側を混合した後、A側およびB側の初期の膨張していない(発泡していない)容積の約10%から800%の間、より好ましくは約50%から700%の間、更により好ましくは約100%から600%の間の容積に膨張(発泡)することができる。
【0023】
A側は、反応性変色剤から基本的になってもよい。
【0024】
1つまたは複数の酸は、少なくとも、1つまたは複数のリン酸エステルを含んでもよい。1つまたは複数の酸は、任意にリン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、リン酸もしくはリン酸エステルに対して安定なあらゆる酸、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。1つまたは複数のリン酸エステルは、カシューナッツ殻液に由来するリン酸エステル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルに由来するリン酸エステル、フェニルグリシジルエーテルに由来するリン酸エステル、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0025】
リン酸エステルは、B側の約40重量%から95重量%の間、より好ましくは約50重量%から80重量%の間、更により好ましくは約60重量%から約70重量%の間の量でB側に存在してもよい。
【0026】
任意のリン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、リン酸もしくはリン酸エステルに対して安定なあらゆる酸、またはそれらのあらゆる組み合わせは、B側の約4重量%から18重量%の間、より好ましくは約6重量%から16重量%の間、更により好ましくは約8重量%から約14重量%の間の量でB側に存在してもよい。
【0027】
リン酸エステルの反応性変色剤に対する比は、約85:1から2.5:1の間、より好ましくは約80:1から5:1の間、より好ましくは約70:1から10:1の間、更により好ましくは約60:1から20:1の間であってもよい。
【0028】
B側は、1つまたは複数の添加剤を含んでもよい。1つまたは複数の添加剤は、1つまたは複数の金属炭酸塩、鉱物、強化繊維、疎水性シリカ、コアシェル粒子ポリマー、顔料、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0029】
2液組成物は、熱硬化性樹脂であってもよい。
【0030】
混合したA側およびB側の色は、A側の初期の色およびB側の初期の色の混合物から予測された色ではない。
【0031】
本明細書の教示は、2液接着剤および2液封止剤から選択される2液系に更に関する。その2液系は、A側およびB側を含み、A側およびB側が、互いに分離しており、A側とB側とを混合すると、得られる混合物が、A側およびB側とは異なる色、色調、または視覚のインジケーターを発現する。B側は、1つまたは複数の酸を含み、(i)A側が、エポキシ、アミノ、ヒドロキシル、メチル、カルボニル、カルボキシル、およびホスフェートからなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有する第1のpH感受性染料を含むか、(ii)A側および/もしくはB側が、好ましくはその少なくとも1つの官能基を有さない、第1のpH感受性染料とは異なる第2のpH感受性染料を含むか、または(i)および(ii)の両方である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】表1に示された試料の写真である。
図2】発泡した試料の写真である。
図3】発熱ピークまでの時間とA側のYDMの割合の間の関係を示すグラフを示す図である。
図4】発熱ピーク温度とA側のYDMの割合の間の関係を示すグラフを示す図である。
図5】発熱ピークまでの時間とB側のHPOの割合の間の関係を示すグラフを示す図である。
図6】発熱ピーク温度とB側のHPOの割合の間の関係を示すグラフを示す図である。
図7】重ねせん断ピーク応力とYDMの割合の間の関係を示すグラフを示す図である。
図8】表3に示された試料の写真を示す図である。
図9】表4に示された試料の写真を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本教示は、本明細書に記載された改善した2液組成物により、上記の要求の1つまたは複数を満たす。本明細書に示される説明および図解は、当業者に本教示、その原理、およびその実際の適用を伝えることが意図される。当業者は、特定の使用の要求に最も適切でありうるものとして、その多数の形態において本教示を適応および適用することができる。従って、示されたような本教示の特定の実施形態は、包括的なものまたは本教示を限定するものとして意図されない。従って、本教示の範囲は、本明細書の記載を基準にすることなく判断されるべきであり、その代わりに添付の特許請求の範囲を基準にして、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と併せて、判断されるべきである。特許出願および特許公報を含む全ての論文および参考文献の開示が、あらゆる目的のために参照により援用される。以下の特許請求の範囲から得られるように他の組み合わせもまた可能であり、これらもまたこの明細書に参照により援用される。
【0034】
本出願は、2021年10月29日に出願された米国仮出願番号第63/273,598号の出願日の利益を主張し、その出願の内容は、あらゆる目的のためにその全体が本明細書において完全に援用される。
【0035】
国際公開第2020/101732号A1、国際公開第2020/205355号A1、国際公開第2020/206346号A1、および国際公開第2020/198139号は、現場で硬化する組成物に関するリン酸およびリン酸エステルの使用について説明している。これらの組成物は、典型的には、幅広い室温での活性化系、例えば硬い発泡成形体、空洞充填、ガスケット、および封止剤に用いられる。そのような組成物の利益は、様々な基材に接着する能力、低い揮発性有機化合物(VOC)を含むこと、分注温度に対して影響を受けやすくないこと、2液系の正確な混合比に対して影響を受けやすくないこと、物理的特性および機械的特性を調整する能力、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。これらの組成物は、適切な混合、ならびにそれによる適切な硬化および/または発泡のインジケーターを提供するものではない。
【0036】
本教示の組成物は、2液組成物(「2液系」)であってもよい。2液系は、A側およびB側を含みうる。A側およびB側は、混合されて混合組成物を形成することができる。混合組成物は、硬化して反応生成物を形成することができる。反応生成物は、完全に硬化されたものでありうる(即ち、更なる架橋反応は受けない)。硬化は、A側およびB側を混合した後に開始することができる。硬化は、一般的にA側およびB側の混合直後に開始することができる。硬化は、A側およびB側を混合した後、一時の間、遅延されうる。2液系は、潜在的硬化剤、硬化促進剤、またはそれらの両方を含まないものであってもよい。
【0037】
2液系は、約0℃~50℃の温度で混合されうる。2液系の硬化は、室温(即ち、約18℃~約25℃)で活性化することができる。必要に応じて、混合組成物の温度、ならびに/または混合時のA側および/もしくはB側の温度が上昇するにつれて、容積膨張が増大しうる。周囲温度は、分注時の2液系の温度と同じ程度に、発泡率には影響を及ぼさないものでありうる。周囲温度とは、本明細書で言及される場合、2液系が存在する環境の温度を意味することができる。
【0038】
2液系は、熱硬化性樹脂を形成してもよい。
【0039】
2液系は、自動車、航空宇宙、建築、修理工場、住宅メンテナンス、他の同様の産業、またはそれらのあらゆる組み合わせにおいて用いられうる。2液系は、接着剤、複合材料マトリックス樹脂、発泡成形体、空洞充填剤、構造補強材、封止材料、またはそれらのあらゆる組み合わせとして用いられうる。接着剤は、同様のおよび/または異種の基材に対して接着することができる。
【0040】
本教示の2液組成物系は、分注されてもよい。分注は、分注装置により行うことができる。分注は、自動分注装置により行われても非自動分注装置により行われてもよい。分注は、空気圧系により行われても手動系により行われてもよい。2液組成物は、カートリッジまたは分注装置を用いることなく、手動で混合されてもよい。手動で混合された2液組成物は、基材上または空洞中に注がれてもよい。
【0041】
A側
A側は、1つまたは複数の反応性変色剤および/または非反応性変色剤、更なるエポキシ樹脂(即ち、1つまたは複数の反応性エポキシ基を有する化学的組成物)、反応性希釈剤、添加剤、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。反応性希釈剤および/または添加剤は任意でありうる。A側は、1つまたは複数の反応性変色剤および/または非反応性変色剤から基本的になってもよい。
【0042】
反応性変色剤は、材料が置かれた環境のpH変化に応じて変色が生じるようにpH感受性である材料であってもよい。反応性変色剤は、pH感受性染料であってもよい。反応性変色剤は、クロロアニリン、メチルアニリン、およびクロロメチルアニリンから選択されるアニリンおよび/または誘導体を含んでもよい。アニリン誘導体は、N-メチルアニリン、2,5-ジメトキシアニリン、2-アセチル-フェノチアジン、3-クロロ-2-メチルアニリン、3-クロロ-4-メチルアニリン、3-クロロアニリン、4-クロロ-3-アミノベンゾトリフルオリド、5-クロロ-2-アミノベンゾトリフルオリド、5-クロロ-2-メチルアニリン、クロロアニリン、クロロジメトキシアニリン、デヒドロチオトルイジン、ジクロロアニリン、ジメチルアニリン、メタトルイジン、o-クロロ-p-ニトロアニリン、パラトルイジン、フェノチアジン、またはフェニレンジアミンから選択することができる。アニリンは、メチレンジアニリン(MDA)および/またはその誘導体を含んでもよい。反応性変色剤は、エポキシ化されうる。反応性変色剤は、反応して硬化系の一部となってもよい。重合の遅延、発泡活性化の遅延、2液組成物の基材への接着性の改善、またはそれらのあらゆる組み合わせは、反応性変色剤のエポキシ化に由来しうる。反応性変色剤は、以下に示すような4,4’-メチレンジアニリンテトラグリシジルエーテルを含んでもよい。
【0043】
【化1】
【0044】
非反応性変色剤は、A側に存在してもよい。非反応性とは、本明細書で言及される場合、材料が重合反応を受けないかまたは重合反応に寄与しないことを意味することができる。即ち、非反応性変色剤は、A側およびB側の混合により得られるポリマー鎖の一部にはなりえない。非反応性変色剤は、pH感受性であってもよい。非反応性変色剤の色は、混合物のpHに依存しうる。非反応性変色剤の色は、pHが変化するにつれて変化しうる。本開示に従うA側のpHは、約5~10であってもよい。B側のpHは、7未満または5未満でさえあることができる。合わせたA側およびB側のpHは、B側の酸性成分に起因して、A側のみのpHより低いものでありうる。合わせたA側およびB側のpHは、8未満、7未満、または5未満でさえあることができる。選択される特定の非反応性変色剤は、B側と混合する前のA側のpH、ならびに合わせたA側およびB側のpHに依存しうる。
【0045】
反応性変色剤および非反応性変色剤は、本明細書においてまとめて「変色剤」と呼ぶことができる。
【0046】
あらゆる適切な非反応性変色剤が、それがA側の化学的性質に適合し、A側の当初pH範囲からpHが低下するにつれて変色し、非反応性変色剤の色転移pHが、A側から最終生成物(即ち、混合したA側およびB側)へのpH変化と連携する場合に、本開示の系において用いられうる。非反応性変色剤は、クレゾールレッド、クリスタルバイオレット等、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0047】
非反応性変色剤は、A側の約0.05重量%以上、1重量%以上、または2重量%以上までもの量でA側に存在してもよい。非反応性変色剤は、A側の約5重量%以下、4重量%以下、または3重量%以下までもの量でA側に存在してもよい。
【0048】
反応性変色剤および/または非反応性変色剤は、A側およびB側の混合時に変色することができる。変色は、一般的にA側およびB側の十分な混合直後に活性化することができる。即ち、変色は、混合後約3分以下、より好ましくは混合後約1分以下、より好ましくは混合後約30秒以下、更により好ましくは混合後約5秒以下で活性化することができる。変色は、A側およびB側を混合した後、一時の間、遅延されうる。遅延時間は、約5分以上の間、10分以上の間、または20分以上の間でさえあることができる。遅延時間は、約2時間以下の間、1時間以下の間、または30分以下の間でさえあることができる。A側およびB側は、分注時に混合してもよい。例として、A側およびB側は、静的ミキサーから出てきてもよい。変色は、混合および硬化の品質の視覚確認をもたらすことができる。
【0049】
変色は、A側およびB側が十分に混合された場合に生じうる。変色は、硬化後にも安定なままであってもよい。即ち、反応生成物の色相、彩度、および/または色値は、反応生成物が約150℃、より好ましくは120℃、更により好ましくは100℃よりも低く、および/または紫外線曝露のない環境において保管される場合、時間の経過とともに、感知できるほどに変化しえない(例えば、色は、5%を超えて波長が変化しない)。
【0050】
色相とは、本明細書で言及される場合、原色(赤色、緑色、青色)、二次色(青緑色、赤紫色、黄色)、またはそれらのあらゆる組み合わせを意味することができる。例えば、反応生成物は、色または色相が青色であってもよい。
【0051】
彩度とは、本明細書で言及される場合、色純度を意味することができ、彩度範囲の一方の端は白色であり、彩度の他方の端は純粋な色相である。
【0052】
色値とは、本明細書で言及される場合、色相の明るさまたは暗さを意味することができ、色値範囲の一方の端は黒色であり、色値範囲の他方の端は黒色が欠如している。
【0053】
色は、色相、彩度、および色値により定義されうる。
【0054】
A側は、B側との混合前に自然の初期の色を有することができる。自然の色は、いずれの顔料も含まない場合、黄褐色または白色であってもよい。B側は、A側との混合前に自然の初期の色を有することができる。自然の色は、茶色であってもよい。混合組成物および/または反応生成物は、A側および/またはB側の色とは異なる色を有することができる。混合組成物および/または反応生成物は、予測されない色を有することができる。例えば、2つの黄褐色の成分の混合物は、黄褐色となると予測することができるが、実際には青色でありうる。
【0055】
混合組成物および/または反応生成物の色は、青色、暗い青色、黄褐色、灰色、または黄色であってもよい。これらの色は本明細書に示された例示の配合物により提供されるが、他の色が本教示の範囲内である。混合組成物および/または反応生成物の色は、室温(即ち、約18℃~約25℃)で安定であってもよい。混合組成物および/または反応生成物の色は、高温でより暗くなりうる。これは、混合組成物および/または反応生成物の色値が高温で変化しうるためである。変色の度合いは、温度の関数でありうる。例として、色は、明るい茶色、茶色、または暗い茶色までへと変化することができる。特定の高温に晒された材料の変色は、材料がより高温に晒されなければ、そしてより高温に晒されるまで、安定であってもよい。
【0056】
混合組成物は、反応生成物が形成されるまで時間の経過とともに変化する色を有することができる。混合組成物は、特定の程度の硬化が達成されるまで変化する色を有することができる。変色は、混合組成物が約60%以上、70%以上、80%以上、または90%以上までも硬化した場合に停止することができる。
【0057】
反応性変色剤および/または非反応性変色剤は、顔料とともに用いられても顔料なしで用いられてもよい。顔料は、A側、B側、またはその両方に供給されうる。顔料は、反応性変色剤とは異なるものでありうる。反応性変色剤は、顔料が存在しても、その意図されたインジケーター機能を果たすことができる。反応性変色剤は、顔料と連携して所定の最終色を与えるのに十分な量で選択および供給されうる。例として、反応性変色剤は、特定の色相、彩度、および色値の反応生成物を与える量で選択および使用することができ、顔料は、反応生成物の色相、彩度、および/または色値を改良する量で選択および使用することができる。例えば、青色の反応生成物については、赤色顔料が、紫色の反応生成物を生成するために添加されうる。顔料は、白色顔料を含んでもよい。白色顔料は、反応生成物の色の彩度を改良することができる。反応性変色剤は、顔料を含めることなく反応生成物の望ましい色を達成するのに十分な量で選択および供給されうる。
【0058】
最終色は、A側およびB側の2つの色の混合時に予測された色ではないことがある。例えば、白色のA側および茶色のB側の最終色は、黄褐色の混合組成物または反応生成物を生成すると予測するであろうが、本教示の混合組成物または反応生成物は、青色であってもよい。予測されない色は、利用者が適切な混合が生じたかどうかを判断するのを支援するのに特に有利なものでありうる。例として、一部の人は微妙な変色に気付くことができず、そのため茶色から黄色への変色は、茶色から茶色のわずかに異なる色相への変色と比較して、一部の人にとって気付くのがより容易でありうる。
【0059】
A側および/またはB側の自然の(初期の)色が一般的に変化しないままである場合、利用者は、適切な混合、硬化、および/または発泡が生じなかったと判断することができる。A側および/またはB側の自然の色は、反応生成物において領域または線として存在してもよい。反応生成物またはその一部が所定の色を有さない場合、利用者は、適切な混合、硬化、および/または発泡が生じなかったと判断することができる。例えば、変色は生じることができても、色相、彩度、および/または色値が、反応生成物の望ましい色相、彩度、および/または色値とは異なることがある。
【0060】
反応性変色剤は、未混合または混合下にある反応生成物または反応生成物の一部までもの同定を提供することができる。例えば、静的ミキサーは、2液系を適切に混合するために必要な数の混合要素を有しえない。別の例としては、A側またはB側の一方が、他方より前に静的ミキサーに急増しうる。これは、充満したカートリッジセットおよび静的ミキサーノズルから分注された最初の材料に関して特に生じやすい。このことは、2つの成分の異なる粘度、ディスペンサーのエアポケット、欠陥のある静的ミキサー、壊れた静的ミキサー、またはそれらのあらゆる組み合わせに起因しうる。
【0061】
B側は、本明細書で議論されるように、酸を含んでもよい。反応性変色剤のエポキシ化アニリン環は、酸との反応で開くことができる。酸は、アニリン基にプロトンを付加することができる。理論に束縛されることは意図しないが、アニリン基のプロトン付加は、架橋密度の減少および変色の理由であってもよい。
【0062】
非反応性変色剤のイオン化が、B側の酸により生じることができる。イオン化は、非反応性変色剤を変色させることができる。
【0063】
エポキシ環の開環、アニリン基のプロトン付加、および/またはpH変化は、酸、例えばリン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、リン酸もしくはリン酸エステルに対して安定なあらゆる酸、またはそれらのあらゆる組み合わせにより行われうる。他の酸が本開示により検討される。
【0064】
反応性変色剤は、A側の約0.1重量%以上、1重量%以上、5重量%以上、または10重量%以上までもの量で存在してもよい。反応性変色剤は、A側の約30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、または15重量%以下までもの量で存在してもよい。反応性変色剤により生成される色の彩度は、A側の反応性変色剤の量の増加により上昇させられうる。
【0065】
反応性変色剤は、A側における反応性変色剤の量が8%未満である場合、混合組成物の発泡に対して感知できるほどに影響を及ぼすことはできない。即ち、A側における反応性変色剤の量が8%未満である場合、混合組成物の容積膨張の差は、反応性変色剤を含まない混合組成物と比較して約10%以下、より好ましくは約5%以下、更により好ましくは約1%以下であってもよい。
【0066】
反応性変色剤は、適切な混合を示すか、組成物の延性を改善するか、重合を遅延させるか、発泡活性化を遅延させるか、2液組成物の基材への接着性を改善するか、またはそれらのあらゆる組み合わせのために機能することができる。反応性変色剤は、他の有用で調節可能な特性を提供することができる。
【0067】
反応性変色剤は、組成物の延性および/または破壊ひずみを改善することができる。理論に束縛されることは意図しないが、これは、発泡体の架橋密度およびオープンセルのクローズドセルに対する比の変化に起因しうる。延性の改善は、A側に供給される反応性変色剤の量に依存しうる。
【0068】
理論に束縛されることは意図しないが、反応性変色剤の使用は、A側のpH、およびそれによりA側およびB側の混合時の混合組成物のpHを上昇させることができる。酸性の低下は、最終生成物の架橋密度の減少および/または反応速度の低下をもたらすことができる。発熱反応のピーク温度は、架橋密度の度合いを示すことができる。即ち、架橋は熱を生成することができる。
【0069】
反応性変色剤は、硬化および/もしくは発泡活性化を遅延させることができるか、可使時間を調節することができるか、硬化時間を調節することができるか、またはそれらのあらゆる組み合わせである。理論に束縛されることは意図しないが、反応性変色剤は、A側のpHを上昇させることができ、それにより混合組成物は、低下した酸性を有することができる。活性化の遅延時間、可使時間、硬化時間、またはそれらのあらゆる組み合わせは、反応性変色剤の量の増加により増大しうる。
【0070】
活性化の遅延時間の増大、可使時間の増大、硬化時間の増大、またはそれらのあらゆる組み合わせは、利用者がより長い組立時間を必要とする一定の適用のために有利なものでありうる。
【0071】
活性化の遅延とは、オープンタイムの増大を意味することができる。オープンタイムとは、著しい硬化反応が生じる前の時間を言うことができる。2液系の硬化活性化の遅延時間は、約1分以上、5分以上、10分以上、または30分以上でさえあることができる。2液系の硬化活性化の遅延時間は、約4時間以下、3時間以下、2時間以下、または1時間以下でさえあることができる。遅延は、より速く硬化する傾向にある非発泡組成物において特に有用でありうる。
【0072】
オープンタイムは、配合物における反応性変色剤の比が増加するにつれて増大することができる。オープンタイムは、分注したA側およびB側の粘度が上昇するにつれて減少することができる。オープンタイムは、分注したA側およびB側の容積が増大するにつれて減少することができる。オープンタイムは、温度が上昇するにつれて減少することができる。
【0073】
混合組成物の基材に対する接着性は、オープンタイムの間に最善であってもよい。混合組成物による基材の濡れ性は、オープンタイムの間に最善であってもよい。接着性および/または濡れ性は、重ねせん断試験により示されうる。接着性および/または濡れ性は、破壊モードにより示されうる。特に、接着破壊モードから凝集破壊モードへの変化であり、逆もまた同様である。
【0074】
可使時間とは、混合組成物がもはや基材に結合しなくなるのにかかる時間を言うことができる。
【0075】
硬化時間とは、混合組成物が完全に硬化するのにかかる時間を言うことができる。発熱反応のピーク温度は、全体の硬化時間を示すことができる。即ち、組成物が硬化する間、組成物は、発熱反応の結果としての発熱、ならびに大気および/または組成物が置かれる基材による熱損失の両方を経験しうる。従って、発熱反応は、熱が大気または組成物が置かれる基材へと発散される速度よりも速い速度で、より多くの熱を組成物に与えることから、発熱反応のより高いピーク温度は全体の硬化時間が短いことを示しうる。硬化時間は、約1分以上、5分以上、10分以上、30分以上、または1時間以上でさえあることができる。硬化時間は、約48時間以下、24時間以下、12時間以下、6時間以下、または3時間以下でさえあることができる。
【0076】
反応性変色剤は、ASTM D1652-11に準拠して、約90g/eq~140g/eq、より好ましくは100g/eq~130g/eq、更により好ましくは111g/eq~117g/eqのエポキシ当量を有することができる。反応性変色剤は、ASTM D445-21に準拠して、約2,000mPa・s~8,000mPa・s、より好ましくは2,500mPa・s~7,000mPa・s、更により好ましくは3,000mPa・s~6,000mPa・sの25℃で測定される粘度を有することができる。適切な反応性変色剤の非限定的な例は、Aditya Birla Chemicalsから市販されているEpotec(登録商標)YDM 441を含んでもよい。
【0077】
A側は、1つまたは複数の更なるエポキシ樹脂を含んでもよい。更なるエポキシ樹脂は、多官能芳香族エポキシ樹脂、多官能脂肪族エポキシ樹脂、シラン変性エポキシ樹脂、エポキシ/エラストマー付加物、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0078】
更なるエポキシ樹脂は、A側の約50重量%以上、55重量%以上、または60重量%以上までもの量でA側に存在してもよい。更なるエポキシ樹脂は、A側の約80重量%以下、75重量%以下、または70重量%以下までもの量でA側に存在してもよい。
【0079】
A側への1つまたは複数の更なるエポキシ樹脂の供給は、組成物の反応時間を遅延させ、それにより可使時間を増大させることができる。
【0080】
2液系は、1つまたは複数の多官能芳香族および/または脂肪族エポキシ樹脂を含んでもよい。多官能芳香族および/または脂肪族エポキシ樹脂は、反応生成物の架橋密度を増大させることができるか、反応生成物の機械的特性を改善することができるか、反応生成物の耐薬品性を改善することができるか、2液系および/もしくは混合組成物の粘度を低下させることができるか、発泡した反応生成物のセル構造品質を改善することができるか、またはそれらのあらゆる組み合わせである。多官能芳香族および/または脂肪族樹脂の官能性は、約2.1以上、3以上、または4以上でさえあることができる。多官能芳香族および/または脂肪族樹脂の官能性は、約8以下、7以下、または6以下でさえあることができる。
【0081】
2液系がA側に金属炭酸塩を含む場合、B側の効果的な官能性は、混合組成物においてA側と合わされた場合に部分的に低下させられうる。これは、発泡を引き起こすためのB側の酸とA側の金属炭酸塩との反応に起因しうる。A側は、金属炭酸塩の反応に起因するB側の低下した官能性を補うために、官能性の上昇した成分を含んでもよい。A側は、官能性が2より高い反応性原料、例えば脂肪族多官能エポキシ樹脂を用いることにより、官能性の上昇した配合がなされうる。
【0082】
反応生成物の剛性は、反応性変色剤を2液系に含めた結果として低下しうる。多官能エポキシ樹脂は、低下した剛性を補うために用いられうる。
【0083】
適切な多官能樹脂の例は、エポキシ化ソルビトール、エポキシ化大豆油、固体エポキシノボラック樹脂、液状エポキシノボラック樹脂、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0084】
多官能脂肪族エポキシ樹脂は、ASTM D1652-11に準拠して、約130g/eq~230g/eq、より好ましくは約140g/eq~220g/eq、更により好ましくは約160g/eq~195g/eqのエポキシ当量を有することができる。多官能脂肪族エポキシ樹脂は、ASTM D445-21に準拠して、約6,000mPa・s~約20,000mPa・s、より好ましくは約7,000mPa・s~19,000mPa・s、更により好ましくは約8,000mPa・s~18,000mPa・sの25℃で測定される粘度を有することができる。多官能脂肪族エポキシ樹脂は、エポキシ化ソルビトールを含んでもよい。適切な多官能脂肪族エポキシ樹脂の非限定的な例は、Huntsman Advanced Materialsから市販されているErisys(登録商標)GE 60を含んでもよい。
【0085】
多官能芳香族エポキシ樹脂は、エピクロロヒドリンとビスフェノールAとの反応生成物を含んでもよい。更なるエポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂であってもよい。更なるエポキシ樹脂は、ASTM D1652-11に準拠して、約160g/eq~210g/eq、より好ましくは約170g/eq~200g/eq、更により好ましくは約182g/eq~192g/eqのエポキシ当量を有することができる。更なるエポキシ樹脂は、ASTM D445-21に準拠して、約9,000mPa・s~16,000mPa・s、より好ましくは約10,000mPa・s~15,000mPa・s、更により好ましくは約11,000mPa・s~14,000mPa・sの25℃で測定される粘度を有することができる。適切な二官能芳香族エポキシ樹脂の非限定的な例は、Olin Corporationから市販されているD.E.R.(商標)331(商標)を含んでもよい。
【0086】
2液系は、1つまたは複数のエポキシノボラック樹脂を含んでもよい。エポキシノボラック樹脂は、室温(即ち、約18℃~約25℃)で液状であっても固体であってもよい。2液系は、1つまたは複数の液状エポキシノボラック樹脂、1つまたは複数の固体エポキシノボラック樹脂、またはそれらの両方を含んでもよい。エポキシノボラック樹脂は、約2.1~6.5の官能性を有することができる。エポキシノボラック樹脂は、反応生成物の架橋密度を改善するか、ガラス転移温度を改善するか、機械的特性を改善するか、耐薬品性を改善するか、耐湿性を改善するか、またはそれらのあらゆる組み合わせために機能することができる。より大量のエポキシノボラック樹脂が、反応性変色剤の添加に起因しうる剛性(即ち、弾性率)低下の可能性のいくらかを補うために用いられうる。より高い官能性のエポキシノボラック樹脂が、組成物の剛性を改善して、反応性変色剤の存在に起因する剛性低下の可能性を補うために用いられうる。エポキシノボラック樹脂の選択は、反応生成物の望ましい粘度、機械的特性、および耐薬品性に依存しうる。
【0087】
1つまたは複数のエポキシノボラック樹脂は、A側の約1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、または15重量%以上までもの量で存在してもよい。1つまたは複数のエポキシノボラック樹脂は、A側の約50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、または20重量%以下までもの量で存在してもよい。
【0088】
ポリマー固体エポキシノボラック樹脂は、ASTM D1652-11に準拠して、約175g/eq~250g/eq、より好ましくは約185g/eq~240g/eq、更により好ましくは約195g/eq~230g/eqのエポキシ当量を有することができる。ポリマー固体エポキシノボラック樹脂は、ASTM D445-21に準拠して、約0.1Pa・s~8Pa・s、より好ましくは約0.5Pa・s~7Pa・s、更により好ましくは約1Pa・s~6Pa・sの25℃で測定される粘度を有することができる。適切なポリマー固体エポキシノボラック樹脂の非限定的な例は、Hexionから市販されているEpon(商標)SU-8を含んでもよい。
【0089】
液状エポキシノボラック樹脂は、約1.5~4、より好ましくは2~3.5、より好ましくは約2.5~3、更により好ましくは約2.65の平均官能性を有することができる。液状エポキシノボラック樹脂は、ASTM D1652-11に準拠して、約130g/eq~200g/eq、より好ましくは約145g/eq~185g/eq、更により好ましくは約165g/eq~178g/eqのエポキシ当量を有することができる。液状エポキシノボラック樹脂は、ASTM D445-21に準拠して、約10,000mPa・s~40,000mPa・s、より好ましくは約15,000mPa・s~30,000mPa・s、更により好ましくは約18,000mPa・s~28,000mPa・sの25℃で測定される粘度を有することができる。適切な液状エポキシノボラック樹脂の非限定的な例は、Huntsman Advanced Materialsから市販されているEpalloy(登録商標)8250を含んでもよい。
【0090】
液状エポキシノボラック樹脂は、エピクロロヒドリンとフェノールホルムアルデヒドノボラックとの反応生成物であってもよい。エポキシフェノールノボラック樹脂は、ASTM D1652-11に準拠して、約145g/eq~195g/eq、より好ましくは155g/eq~185g/eq、更により好ましくは164g/eq~177g/eqのエポキシ当量を有することができる。エポキシフェノールノボラック樹脂は、ASTM D445-21に準拠して、約16,000mPa・s~25,000mPa・s、より好ましくは17,000mPa・s~24,000mPa・s、更により好ましくは18,000mPa・s~23,000mPa・sの25℃で測定される粘度を有することができる。適切な液状エポキシノボラック樹脂の非限定的な例は、Olin Epoxyから市販されているD.E.N.(商標)426を含んでもよい。
【0091】
2液系は、1つまたは複数のシラン変性エポキシ樹脂を含んでもよい。シラン変性エポキシ樹脂は、反応生成物の改善した接着性を付与するために機能することができる。接着性は、ガラス、金属、またはそれらの両方に対するものであってもよい。シラン基は、エポキシ樹脂および無機基材と共有結合を形成することができる。シラン変性エポキシ樹脂は、A側に存在してもよい。シラン変性エポキシ樹脂は、A側の約0.5重量%以上、1重量%以上、2重量%以上、または3重量%以上までもの量で存在してもよい。シラン変性エポキシ樹脂は、A側の約10重量%以下、9重量%以下、8重量%以下、または7重量%以下までもの量で存在してもよい。
【0092】
シラン変性エポキシ樹脂は、ASTM D1652-11に準拠して、約170g/eq~240g/eq、より好ましくは約180g/eq~230g/eq、更により好ましくは約190g/eq~220g/eqのエポキシ当量を有することができる。シラン変性エポキシ樹脂は、約7,000mPa・s~17,000mPa・s、より好ましくは約8,000mPa・s~16,000mPa・s、更により好ましくは約9,000mPa・s~15,000mPa・sの25℃で測定される粘度を有することができる。適切なシラン変性エポキシ樹脂の非限定的な例は、Kukdo Chemical Co.,Ltdから市販されているEpokukdo KSR 177を含んでもよい。
【0093】
2液系は、1つまたは複数のエポキシ/エラストマー付加物を含んでもよい。エポキシ/エラストマー付加物は、2液系に可塑化効果を付与し、ならびに/または2液系の構造特性、例えば強度、破壊ひずみ、破壊靭性(G1c)、剥離、接着耐久性、未硬化材料の完全性(即ち、使用前に付着、破壊、または変形する可能性が低い)、および剛性を改良するために含まれうる。カルボキシル末端ブタジエン-アクリロニトリルは、汚染された表面への接着性を発現させるために特に有用でありうる。汚染された表面は、自動車産業に典型的なスタンピング潤滑剤を含んでもよい。
【0094】
付加物におけるエラストマーは、ポリスルフィド、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、イソプレン-ブタジエン共重合体、ネオプレン、アクリル、天然ゴム、カルボキシル末端ブタジエン-アクリロニトリル、ポリシロキサン、ポリエステル、ウレタンプレポリマー、ニトリルゴム(例えば、ブチルニトリル、例えばカルボキシ末端ブチルニトリル)、ブチルゴム、ポリスルフィドエラストマー、アクリルエラストマー、アクリロニトリルエラストマー、シリコーンゴム、ポリエステルゴム、ジイソシアネート結合縮合エラストマー、スチレンブタジエンゴム、エチレン-プロピレンジエンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、フッ素化炭化水素、またはそれらのあらゆる組み合わせから選択されうる。エポキシ/エラストマー付加物は、カルボキシル末端ポリマー(例えば、付加されたカルボキシル末端ポリマー、付加されたカルボキシ末端ブチルニトリル)を含んでもよい。エポキシ/エラストマー付加物は、ジカルボン酸であってもよい。付加物に適切なエラストマー化合物は、熱硬化性エラストマーであってもよいが、必須ではない。
【0095】
更なるもしくは別のエポキシ/エラストマー、または本教示に用いるのに適切な他の付加物の例は、米国特許公開第2004/0204551号A1および国際公開第2020/033393号A1に開示される。
【0096】
付加物それ自体は、一般的に、約1:5~5:1部のエポキシ対エラストマー、より好ましくは約1:3~3:1部のエポキシ対エラストマーを含む。より典型的には、付加物は、少なくとも約10%、より典型的には少なくとも約20%、または少なくとも約30%ものエラストマーを含み、また典型的には、約60%以下を含むが、より高い割合またはより低い割合が可能である。
【0097】
エポキシ/エラストマー付加物は、A側に存在してもよい。エポキシ/エラストマー付加物は、A側の約1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上、または15重量%以上までもの量で存在してもよい。エポキシ/エラストマー付加物は、A側の約35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、または20重量%以下までもの量で存在してもよい。
【0098】
エポキシ/エラストマー付加物は、2つ以上の異なる付加物の組み合わせであってもよい。付加物は、室温(即ち、約18℃~約25℃)における固体付加物、液状付加物、または半固体を含むことができ、またそれらのいくつかの組み合わせであることもできる。付加物は、実質的に全部(即ち、少なくとも70%、80%、90%またはそれ以上)の室温で固体である1つまたは複数の付加物を含んでもよい。
【0099】
A側は、1つまたは複数の添加剤を含んでもよい。1つまたは複数の添加剤は、金属炭酸塩、鉱物、強化繊維、疎水性シリカ、コアシェル粒子ポリマー、顔料、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0100】
2液系は、2液系における1つまたは複数の金属炭酸塩の存在に起因して発泡することができる。金属炭酸塩は酸と反応することができる。金属炭酸塩はA側に供給されうる。酸はB側に供給されうる。金属炭酸塩は、炭酸カルシウムを含んでもよい。炭酸カルシウムは、1つまたは複数の異なる粒径で供給されうる。炭酸カルシウムの粒径の多くの組み合わせが用いられうる。
【0101】
金属炭酸塩は、微細なサイズの炭酸カルシウムと中程度に微細なサイズの炭酸カルシウムの組み合わせとして供給されうる。微細な炭酸カルシウムは、均一で微細なセル構造をもたらす。微細なサイズの炭酸カルシウムと中程度に微細なサイズの炭酸カルシウムの組み合わせは、発泡と硬化の間のバランス、およびそれによる発泡体の構造的完全性をもたらすことができる。
【0102】
反応生成物は、約10%以上、50%以上、100%以上、または200%以上もの容積膨張を有することができる。反応生成物は、約800%以下、700%以下、600%以下、または500%以下もの容積膨張を有することができる。
【0103】
反応生成物の色の彩度は、発泡が増大するにつれて低下する。即ち、反応生成物が発泡して大きな容積膨張となるにつれて、色は明るくなる。変色は、発泡および硬化がいつ完了したかおよび完了したどうか、ならびに許容可能な発泡が生じたかどうかを観察するためのインジケーターとして用いられうる。
【0104】
発泡は、反応生成物の完全な硬化前に開始することができる。混合組成物の発泡時間は、約30秒以上、1分以上5分以上、または10分以上でさえあることができる。混合組成物の発泡時間は、約2時間以下、1時間以下、または30分以下でさえあることができる。発泡時間とは、2液系が活発に発泡する時間枠でありうる。
【0105】
炭酸カルシウムは、超微細な粒径の炭酸カルシウムを含んでもよい。超微細な粒径は、約1ミクロン~3ミクロン、更により好ましくは約2ミクロンであってもよい。適切な超微細な炭酸カルシウムの非限定的な例は、Huber Engineered Materialsから市販されているHubercarb(登録商標)Q2を含んでもよい。
【0106】
炭酸カルシウムは、中程度に微細な粒径の炭酸カルシウムを含んでもよい。中程度に微細な粒径は、約20ミクロン~24ミクロン、更により好ましくは約22ミクロンであってもよい。適切な中程度に微細な粒径の炭酸カルシウムの非限定的な例は、Huber Engineered Materialsから市販されているHubercarb(登録商標)Q200、medium fineを含んでもよい。
【0107】
炭酸カルシウムは、中程度に微細な粒径の炭酸カルシウムを含んでもよい。中程度に微細な粒径は、約10ミクロン~16ミクロン、更により好ましくは約13ミクロンであってもよい。適切な超微細な炭酸カルシウムの非限定的な例は、Huber Engineered Materialsから市販されているHubercarb(登録商標)Q325を含んでもよい。
【0108】
炭酸カルシウムは、粗い粒径の炭酸カルシウムを含んでもよい。粗い粒径は、約200ミクロン~800ミクロン、300ミクロン~700ミクロン、または400ミクロン~600ミクロンでさえあることができる。適切な超微細な炭酸カルシウムの非限定的な例は、Huber Engineered Materialsから市販されているHubercarb(登録商標)Q40-200を含んでもよい。
【0109】
鉱物は、1つまたは複数のケイ酸塩鉱物を含んでもよい。ケイ酸塩鉱物は、1つまたは複数のイノケイ酸塩を含んでもよい。イノケイ酸塩は、珪灰石を含んでもよい。珪灰石は、機械的強度、耐久性、接着性、耐湿性、耐衝撃性、またはそれらのあらゆる組み合わせを改善することができる。1つまたは複数の鉱物の個々の結晶または晶群の外形は、針状であってもよい。珪灰石は、発泡に寄与する埋め込まれた金属炭酸塩を含んでもよい。9~20の範囲のアスペクト比の鉱物の針状構造は、反応生成物の機械的強度および耐久性を改善するのに役立つことができる。適切な珪灰石の非限定的な例は、NYCO Minerals Inc.から市販されているNYGLOS(登録商標)12およびNYGLOS(登録商標)8、ならびにVanderbilt Minerals,LLCから市販されているVansil(登録商標)HR2000を含んでもよい。
【0110】
適切な疎水性シリカの非限定的な例は、Evonik Corporationから市販されているAEROSIL(登録商標)R 202、ならびにCabot Corporationから市販されているCAB-O-SIL(登録商標)TS-530およびTS-720を含んでもよい。
【0111】
有機親和性フィロケイ酸塩が、疎水性シリカの代わりに用いられうる。適切な有機親和性フィロケイ酸塩の例は、BYK-Chemie GmbHから市販されているGaramite-1958を含んでもよい。
【0112】
2液系は、1つまたは複数のコアシェル粒子ポリマーを含んでもよい。コアシェル粒子ポリマーは、反応生成物の破壊靭性および延性を改善するために機能することができる。エポキシ樹脂配合物は、通常、剛性および高い耐温度性を必要とする適用のために知られている。エポキシ樹脂は、脆い傾向がある。エポキシ樹脂の脆さを低減するために様々な戦略がある。しばしば、強化剤、例えばコアシェルポリマー粒子が、耐温度性に大きな影響を及ぼすことなく、脆さを低減して反応生成物の破壊靭性を改善するために用いられる。
【0113】
コアシェル粒子ポリマーは、A側、B側、またはそれらの両方に存在してもよい。コアシェル粒子ポリマーは、A側またはB側の約5重量%以上、10重量%以上、または15重量%以上までもの量で存在してもよい。コアシェル粒子ポリマーは、A側またはB側の約35重量%以下、30重量%以下、または25重量%以下までもの量で存在してもよい。
【0114】
コアシェル粒子ポリマーは、エポキシ樹脂と予め混合され、エポキシ樹脂中に分散されうる。コアシェル粒子ポリマーは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂中に分散されうる。エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂であってもよい。エポキシ樹脂は、ASTM D445-21に準拠して、約16,000mPa・s~約20,000mPa・s、より好ましくは17,000mPa・s~19,000mPa・s、更により好ましくは約18,000mPa・sの50℃で測定される粘度を有することができる。コアシェル粒子ポリマーは、約30%~45%、より好ましくは35%~40%、更により好ましくは約37%の量でエポキシ樹脂中に存在してもよい。コアシェル粒子ポリマーは、約100nm~300nm、または約200nmものメジアン粒径を有することができる。コアシェル粒子ポリマーは、ポリブタジエンを含んでもよい。適切なコアシェル粒子ポリマーの非限定的な例は、Kaneka Corporationから市販されているKane Ace MX-257およびMX-267を含んでもよい。
【0115】
B側
B側は、1つまたは複数の酸、酸無水物、更なるエポキシ樹脂反応生成物、反応性希釈剤反応生成物、添加剤、非反応性変色剤、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。更なるエポキシ樹脂反応生成物および/または反応性希釈剤反応生成物は任意でありうる。B側は、1つまたは複数の酸から基本的になってもよい。
【0116】
B側は、1つまたは複数の酸を含んでもよい。酸は、室温で液体でありうる。室温とは、本明細書で言及される場合、約18℃~約25℃の間の温度を意味することができる。酸は、7未満のpHを有することができる。酸は、リン酸エステル、リン酸、クエン酸、酢酸、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。酸は、少なくともリン酸エステル、および任意にリン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、リン酸もしくはリン酸エステルに対して安定なあらゆる酸、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。リン酸もしくはリン酸エステルに対して安定な酸は、リン酸もしくはリン酸エステルと混合された場合に貯蔵性に影響を及ぼさないものでありうる。酸は、反応性変色剤と反応することができる。反応性変色剤との反応は、混合組成物および反応生成物に変色をもたらすことができる。酸のpHは、非反応性変色剤の色に影響を与えることができる。
【0117】
酸は、2液系の発泡に寄与することができる。
【0118】
混合組成物の可使時間は、酸の選択により調整されうる。リン酸に代えてリン酸エステルを用いることは、それらのより高いpH、より低い官能性、より高い粘度、またはそれらのあらゆる組み合わせに起因して硬化反応を遅延させることができる。リン酸エステルの官能性およびpHは、可使時間を調整するために選択されうる。
【0119】
B側は、1つまたは複数のリン酸エステルを含んでもよい。リン酸エステルは、以下に示すような、モノエポキシド(「リン酸エステル前駆体」)とリン酸との反応生成物であってもよい。
【0120】
【化2】
【化3】
【化4】
【0121】
リン酸エステルは、カシューナッツ殻液(CNSL)に由来するリン酸エステルを含んでもよい。カシューナッツ殻液は、エポキシ化されうる。エポキシ化したカシューナッツ殻液は、カシューナッツ殻液の1つまたは複数の成分とエピクロロヒドリンとの反応生成物でありうる。カシューナッツ殻液の1つまたは複数の成分は、アナカルド酸、カルダノール、カルドール、または脂肪族C10~C20部分を有するそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。脂肪族C10~C20部分は、飽和であっても不飽和であってもよい。脂肪族C10~C20部分は、疎水性でありうる。リン酸エステルは、以下に示すような、エポキシ化したカシューナッツ殻液とリン酸との反応生成物であってもよい。
【0122】
【化5】
【0123】
カルダノールをベースとするカシューナッツ殻液は上記に説明されるが、カシューナッツ殻液の他の成分は、本開示により検討される。適切なエポキシ化したカシューナッツ殻液の非限定的な例は、ニュージャージー州モンマスジャンクションのCardolite Corporationから市販されているCardolite(登録商標)LITE 2513HPを含んでもよい。
【0124】
リン酸エステルは、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルに由来するリン酸エステルを含んでもよい。リン酸エステルは、以下に示すような、2-エチルヘキシルグリシジルエーテルとリン酸との反応生成物の異性体であってもよい。
【0125】
【化6】
【0126】
上記の反応は、水酸化物基がα炭素に従う異性体、および水酸化物基がβ炭素に従う異性体を生成することができる。
【0127】
適切な2-エチルヘキシルグリシジルエーテルの非限定的な例は、ニュージャージー州ムアズタウンのCVC Thermoset Specialtiesから市販されているERISYS(登録商標)GE-6を含んでもよい。
【0128】
リン酸エステルは、フェニルグリシジルエーテルに由来するリン酸エステルを含んでもよい。適切なフェニルグリシジルエーテルの非限定的な例は、ニュージャージー州ムアズタウンのCVC Thermoset Specialtiesから市販されているERISYS(登録商標)GE-13を含んでもよい。
【0129】
リン酸エステルは、リン酸および/またはポリリン酸および/または無水リン酸および/または塩化ホスホリルと様々なアルコール(「リン酸エステル前駆体」)との反応により生成されうる。
【0130】
B側は、1つまたは複数のリン酸エステル、リン酸エステル前駆体、またはそれらの両方を含んでもよい。1つまたは複数のリン酸エステルは、予め反応させられたものでありうる。B側は、A側と合わせる前にリン酸と結合させられうる1つまたは複数のリン酸エステル前駆体を含んでもよい。
【0131】
リン酸エステルは、リン酸エステル前駆体とリン酸との化学量論比の範囲の反応により生成されうる。1つまたは複数のリン酸エステルは、約0.6:1~1:0.6、より好ましくは約0.7:1~1:0.7、更により好ましくは約0.8:1~1:0.8のリン酸エステル前駆体とリン酸との比の反応により生成されうる。リン酸エステルは、B側の約40重量%以上、50重量%以上、または60重量%以上までもの量で存在してもよい。リン酸エステルは、B側の約95重量%以下、80重量%以下、または70重量%以下までもの量で存在してもよい。
【0132】
リン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、リン酸もしくはリン酸エステルに対して安定なあらゆる酸、またはそれらのあらゆる組み合わせは、B側の約4重量%以上、6重量%以上、または8重量%以上までもの量でB側に存在してもよい。リン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、リン酸もしくはリン酸エステルに対して安定なあらゆる酸、またはそれらのあらゆる組み合わせは、B側の約18重量%以下、16重量%以下、または14重量%以下までもの量でB側に存在してもよい。
【0133】
B側は、更なるリン酸を含んでもよい。更なるリン酸は、オルトリン酸、ポリリン酸、またはそれらの両方を含んでもよい。更なるリン酸は、架橋密度を増大させ、オープンタイムを減少させることができる。予め反応させたリン酸エステルの反応速度は、B側への更なるリン酸の添加により増大されうる。更なるリン酸は、混合組成物の発泡速度および全発泡容積を増大させることができる。
【0134】
リン酸エステルの反応性変色剤に対する比は、約85:1から2.5:1の間、より好ましくは約80:1から5:1の間、より好ましくは約70:1から10:1の間、更により好ましくは約60:1から20:1の間であってもよい。
【0135】
リン酸、クエン酸、酢酸、他の酸性リン化合物、リン酸もしくはリン酸エステルに対して安定なあらゆる酸、またはそれらのあらゆる組み合わせの反応性変色剤に対する比は、約0.1:1から5:1の間、より好ましくは約0.5:1から4:1の間、更により好ましくは約1:1から3:1の間であってもよい。
【0136】
非反応性変色剤は、B側に存在してもよい。非反応性とは、本明細書で言及される場合、材料が重合反応を受けないかまたは重合反応に寄与しないことを意味することができる。即ち、非反応性変色剤は、A側およびB側の混合により得られるポリマー鎖の一部にはなりえない。非反応性変色剤は、pH感受性であってもよい。非反応性変色剤の色は、混合物のpHに依存しうる。本開示に従うB側のpHは、約1~4であってもよい。合わせたA側およびB側のpHは、A側の比較的高いpHに起因して、B側のみのpHより高いものでありうる。選択される特定の非反応性変色剤は、A側と混合する前のB側のpH、ならびに合わせたA側およびB側のpHに依存しうる。
【0137】
あらゆる適切な非反応性変色剤が、それがB側の化学的性質に適合し、B側の当初pH範囲からpHが上昇するにつれて変色し、非反応性変色剤の色転移pHが、B側から最終生成物(即ち、混合したA側およびB側)へのpH変化と連携する場合に、本開示の系において用いられうる。非反応性変色剤は、ブロモクレゾールグリーン等、またはそのあらゆる組み合わせを含んでもよいが、これらに限定されない。
【0138】
非反応性変色剤は、B側の約0.05重量%以上、1重量%以上、または2重量%以上までもの量でB側に存在してもよい。非反応性変色剤は、B側の約5重量%以下、4重量%以下、または3重量%以下までもの量でB側に存在してもよい。
【0139】
B側は、1つまたは複数の添加剤を含んでもよい。1つまたは複数の添加剤は、鉱物、強化繊維、疎水性シリカ、コアシェル粒子ポリマー、顔料、またはそれらのあらゆる組み合わせを含んでもよい。
【0140】
鉱物は、珪灰石を含んでもよい。適切な珪灰石の非限定的な例は、NYCO Minerals Inc.から市販されているNYGLOS(登録商標)12およびNYGLOS(登録商標)8、ならびにVanderbilt Minerals,LLCから市販されているVansil(登録商標)HR2000を含んでもよい。
【0141】
適切な疎水性シリカの非限定的な例は、Evonik Corporationから市販されているAEROSIL(登録商標)R 202、ならびにCabot Corporationから市販されているCAB-O-SIL(登録商標)TS-530およびTS-720を含んでもよい。
【0142】
有機親和性フィロケイ酸塩が、疎水性シリカの代わりに用いられうる。適切な有機親和性フィロケイ酸塩の例は、BYK-Chemie GmbHから市販されているGaramite-1958を含んでもよい。
【0143】
2液系は、1つまたは複数のコアシェル粒子ポリマーを含んでもよい。コアシェル粒子ポリマーは、反応生成物の破壊靭性および延性を改善するために機能することができる。エポキシ樹脂配合物は、通常、剛性および高い耐温度性を必要とする適用のために知られている。エポキシ樹脂は、脆い傾向がある。エポキシ樹脂の脆さを低減するために様々な戦略がある。しばしば、強化剤、例えばコアシェルポリマー粒子が、耐温度性に大きな影響を及ぼすことなく、脆さを低減して反応生成物の延性を改善するために用いられる。
【0144】
コアシェル粒子ポリマーは、A側、B側、またはそれらの両方に存在してもよい。コアシェル粒子ポリマーは、A側またはB側の約5重量%以上、10重量%以上、または15重量%以上までもの量で存在してもよい。コアシェル粒子ポリマーは、A側またはB側の約35重量%以下、30重量%以下、または25重量%以下までもの量で存在してもよい。
【0145】
コアシェル粒子ポリマーは、エポキシ樹脂と予め混合され、エポキシ樹脂中に分散されうる。この場合、コアシェル粒子ポリマーは、A側において用いられうる。コアシェル粒子ポリマーは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂中に分散されうる。エポキシ樹脂は、液状エポキシ樹脂であってもよい。エポキシ樹脂は、ASTM D445-21に準拠して、約16,000mPa・s~約20,000mPa・s、より好ましくは17,000mPa・s~19,000mPa・s、更により好ましくは約18,000mPa・sの50℃で測定される粘度を有することができる。コアシェル粒子ポリマーは、約30%~45%、より好ましくは35%~40%、更により好ましくは約37%の量でエポキシ樹脂中に存在してもよい。コアシェル粒子ポリマーは、約100nm~300nm、または約200nmものメジアン粒径を有することができる。コアシェル粒子ポリマーは、ポリブタジエンを含んでもよい。適切なコアシェル粒子ポリマーの非限定的な例は、Kaneka Corporationから市販されているKane Ace MX-257およびMX-267を含んでもよい。
【0146】
2液組成物は、A側のB側に対する容積比で混合されうる。A側のB側に対する容積比は、約10:1~1:1、更により好ましくは約5:1~2:1であってもよい。
【実施例
【0147】
図1は、A側およびB側の初期の色に基づいた、A側およびB側の混合時の予測されない色の形成を示す。A欄では、A側(左)が白色、B側(右)が茶色であり、2つの混合が青色の反応生成物をもたらす。白色および茶色から生成される少なくとも1つの予測された色は、黄褐色でありうる。B欄では、A側(左)が赤紫色、B側(右)が茶色であり、2つの混合が紫色の反応生成物をもたらす。赤紫色および茶色から生成される少なくとも1つの予測された色は、暗紅色でありうる。C欄では、A側(左)が黄色、B側(右)が茶色であり、2つの混合が緑色の反応生成物をもたらす。黄色および茶色から生成される少なくとも1つの予測された色は、茶色のより明るい色合いでありうる。
【0148】
図2は、発泡により製造された次第に増大する容積膨張により製造された、色が明るくなること(彩度の低下)について示す。混合組成物は青色であり、青色のより明るい色合いは、次第に増大する膨張容積に起因する。破線の基準線は、容積膨張をより良く示すために与えられる。組成物は、左から右に、より増大した容積膨張に膨張(発泡)する。各試料は同じ量の反応性変色剤を含む。
【0149】
表1は、反応性変色剤であるEpotec(登録商標)YDM 441の比が異なる様々な配合物を示す。比は、反応性変色剤とA側の他の原料の集合の間のものでありうる。全ての量はグラム単位で与えられる。
【0150】
【表1】
【0151】
図3はグラフを示す。グラフは、A側の配合物における反応性変色剤の比の関数としての、表1の配合物が発熱反応のピーク温度に達するのにかかる時間の関係を示す。発熱反応のピーク温度に達するのにかかる時間は、A側の配合物における反応性変色剤の比が増加するのにつれて一般的に増大する。発熱反応のピーク温度は、ASTM D2471-99に合致して判断された。
【0152】
図4はグラフを示す。グラフは、表1の配合物のA側の反応性変色剤の比と発熱反応のピーク温度の間の関係を示す。A側の反応性変色剤の比が増加するのにつれて、一般的に発熱反応のピーク温度は低下する。発熱反応のピーク温度は、ASTM D2471-99に合致して判断された。
【0153】
表2は、B側のリン酸の比が異なる様々な配合物を示す。比は、リン酸とB側の他の原料の集合の間のものでありうる。A側に存在する反応性変色剤の比は一定である。リン酸(H3PO4)の量の増加は、配合物における反応性変色剤の存在に起因する架橋密度の減少を補うことができる。リン酸の量の増加は、硬化活性化のより長い遅延時間および/または全体の硬化時間を維持しながら、反応生成物の機械的特性を改善することができる。全ての量はグラム単位で与えられる。
【0154】
【表2】
【0155】
図5はグラフを示す。グラフは、B側の配合物におけるリン酸の比の関数としての、発熱硬化反応のピーク温度に達するのにかかる時間を示す。発熱反応のピーク温度に達するのにかかる時間は、B側のリン酸の比が増加するのにつれて一般的に減少する。発熱反応のピーク温度は、ASTM D2471-99に合致して判断された。
【0156】
図6はグラフを示す。グラフは、B側の配合物におけるリン酸の比の関数としての、発熱反応のピーク温度を示す。B側のリン酸の比が増加するのにつれて、一般的に発熱反応のピーク温度は上昇する。発熱反応のピーク温度は、ASTM D2471-99に合致して判断された。
【0157】
図7はグラフを示す。グラフは、配合物における反応性変色剤の比の関数としての、重ねせん断ピーク応力を示す。反応性変色剤の比が増加するのにつれて、重ねせん断ピーク応力は一般的に増大する。重ねせん断試験は、ASTM D3163-01に従って行われうる。
【0158】
図8は、様々な温度に晒された反応生成物を示す。反応生成物は、特定の温度に約30分間晒された。反応生成物の明るい青色は室温で硬化し、約121℃で後硬化されるとわずかに変化する。材料の色は、149℃に晒されると明るい茶色に変化する。材料の色は、約117℃で明るい茶色から茶色に変化する。材料の色は、約204℃で茶色から暗い茶色に変化する。材料の色は、約232℃で暗い茶色から暗い茶色/黒色に変化することができる。
【0159】
高温での変色の強さは、A側の反応性変色剤の比に依存しうる。表3は、図3に説明した反応生成物の配合物を示す。
【0160】
【表3】
【0161】
表4は、少量の非反応性変色剤が用いられた例示の配合物を示す。非反応性変色剤は、pH感受性である。非反応性変色剤は、A側およびB側の混合物の色を変えることができる。全ての量はグラム単位で与えられる。
【0162】
【表4】
【0163】
図9は、2液系に非反応性変色剤を含むことの変色効果を示す。A側およびB側を上の列に示す。未混合のA側およびB側の色は、試料L、M、およびNについて同じである。A側は黄褐色、B側は茶色である。表4に従って各試料に添加された少量の非反応性変色剤は、A側およびB側の初期の色にほぼ変化をもたらさない。
【0164】
各試料の混合したA側およびB側の生成物を下の列に示す。混合生成物の色は、供給された非反応性変色剤、ならびにA側およびB側を混合することにより生じたpH変化の結果として異なる。試料Lはピンク色になり、試料Mは明るい青色/灰色になり、試料Nは黄色になった。これらの色のうち、黄褐色材料(A側)と茶色材料(B側)との組み合わせから予測されたものはなかった。
【0165】
上記の記載は実例となるものであり限定するものではないことが意図されることが、理解される。提供される実施例に加えて、多くの実施形態および多くの適用が、上記の記載を読めば当業者にとって明らかとなる。従って、本発明の範囲は、上記の記載を基準にすることなく判断されるべきであり、その代わりに添付の特許請求の範囲を基準にして、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と併せて、判断されるべきである。特許出願および特許公報を含む全ての論文および参考文献の開示が、あらゆる目的のために参照により援用される。本明細書で開示される主題のあらゆる態様の以下の特許請求の範囲における省略は、そのような主題の放棄ではなく、発明者がそのような主題を開示された発明の主題の一部と考えなかったと見なされるべきでもない。
【0166】
本明細書に示される説明および図解は、当業者に本発明、その原理、およびその実際の適用を伝えることが意図される。上記の記載は、実例となるものであり限定するものではないことが意図される。当業者は、特定の使用の要求に最も適切でありうるものとして、その多数の形態において本発明を適応および適用することができる。
【0167】
従って、示されたような本発明の特定の実施形態は、包括的なものまたは本教示を限定するものとして意図されない。従って、本教示の範囲は、この記載を基準にすることなく判断されるべきであり、その代わりに添付の特許請求の範囲を基準にして、そのような特許請求の範囲が権利を与えられる等価物の全範囲と併せて、判断されるべきである。本明細書で開示される主題のあらゆる態様の以下の特許請求の範囲における省略は、そのような主題の放棄ではなく、発明者がそのような主題を開示された発明の主題の一部と考えなかったと見なされるべきでもない。
【0168】
複数の構成要素または工程が、1つの統合された要素または工程により提供されうる。別の方法では、1つの構成要素または工程が、別個の複数の構成要素または工程に分けられうる。
【0169】
構成要素または工程を示すための「1つ(a)」または「1つ(one)」の開示は、更なる構成要素または工程を除外することを意図されない。
【0170】
角度測定を示すための用語「一般的に」または「実質的に」とは、約+/-10°以下、約+/-5°以下、または約+/-1°以下までもを意味することができる。角度測定を示すための用語「一般的に」または「実質的に」とは、約+/-0.01°以上、約+/-0.1°以上、または約+/-0.5°以上までもを意味することができる。直線的測定、割合、または比を示すための用語「一般的に」または「実質的に」とは、約+/-10%以下、約+/-5%以下、または約+/-1%以下までもを意味することができる。直線的測定、割合、または比を示すための用語「一般的に」または「実質的に」とは、約+/-0.01%以上、約+/-0.1%以上、または約+/-0.5%以上までもを意味することができる。
【0171】
別に示されなければ、全ての範囲は、両方の端点、および端点間の全ての数を含む。範囲に関連する「約」または「ほぼ」の使用は、その範囲の両方の端点に適用される。従って、「約20~30」は、少なくとも特定された端点を含めて「約20~約30」に及ぶことが意図される。
【0172】
別に示されなければ、本明細書に示されるあらゆる数値は、いずれかの下限値といずれかの上限値の間が少なくとも2単位に分けられるのであれば、1単位きざみで下限値から上限値の全ての値を含む。例として、成分、特性、または変化するプロセスの値、例えば温度、圧力、時間等の量が、例えば1~90、20~80、または30~70であることが示される場合、(例えば、15~85、22~68、43~51、30~32等)のような中間の範囲の値は、この明細書の教示の範囲内であることが意図される。同様に、個々の中間の値はまた、本教示の範囲内である。1未満の値に関しては、必要に応じて1つの単位が0.0001、0.001、0.01、または0.1であると見なされる。これらは、具体的に意図されていることの例にすぎず、列挙される下限値と上限値の間の数値の全ての可能な組み合わせが、同様の方法で本出願において明確に示されているものと見なされる。別に示されなければ、全ての範囲は、両方の端点、および端点間の全ての数を含む。
【0173】
このように、本明細書で「重量部」として表される量の教示はまた、重量パーセントを単位として表される同じ範囲を考慮する。従って、「得られる組成物の少なくとも『x』重量部」についての範囲の表現はまた、得られる組成物の重量パーセントでの「x」の同じ示された量の範囲の教示を考慮する。
【0174】
組み合わせを示すための用語「から基本的になる」は、特定された構成要素、原料、成分、または工程、およびその組み合わせの基本となる新規な特性に大きく影響を及ぼさないそのような他の構成要素、原料、成分、または工程を含むべきである。本明細書において構成要素、原料、成分、または工程の組み合わせを示すための用語「含む(comprising)」または「含む(including)」の使用はまた、その構成要素、原料、成分、または工程から基本的になる実施形態について考慮する。
【0175】
特許出願および特許公報を含む全ての論文および参考文献の開示が、あらゆる目的のために参照により援用される。以下の特許請求の範囲から得られるように他の組み合わせもまた可能であり、これらもまたこの明細書に参照により援用される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】