(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】放射性核種錯体の組み合わせ療法
(51)【国際特許分類】
A61K 51/08 20060101AFI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 103/00 20060101ALN20241024BHJP
A61K 103/30 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
A61K51/08 100
A61P35/00
A61K103:00
A61K103:30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524610
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 IB2022060331
(87)【国際公開番号】W WO2023073603
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】504389991
【氏名又は名称】ノバルティス アーゲー
(71)【出願人】
【識別番号】521030618
【氏名又は名称】アドバンスド アクセラレーター アプリケーションズ
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】アイモネ,パオラ ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】チッコ,ダニエラ
(72)【発明者】
【氏名】マリアニ,マウリツィオ エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ゾール,エヴレン
【テーマコード(参考)】
4C084
【Fターム(参考)】
4C084AA12
4C084MA66
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
(57)【要約】
本開示は、膠芽腫の処置が必要とされる対象に効率量の放射性医薬化合物を投与することを含む、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法を対象とする。本開示はまた、膠芽腫の処置が必要とされる対象に効率量の放射性医薬化合物を、効率線量の電離放射線で対象を放射線照射するステップとの、及び任意選択で治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与することを含む、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法を対象とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膠芽腫の処置が必要とされる対象に効率量の放射性医薬化合物を、効率線量の電離放射線で前記対象を放射線照射するステップとの組み合わせで投与することを含む、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法。
【請求項2】
前記放射性医薬化合物が、式:
M-C-S-P(式中、
Mは、放射性核種であり;
Cは、前記放射性核種をキレート化し得るキレート剤であり;
Sは、CとPとの間で共有結合的に連結している任意選択のスペーサーであり;
Pは、Cに直接的に又はSを介して間接的に共有結合的に連結しているソマトスタチン受容体結合ペプチドである)
の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
Mが、
90Y、
131I、
121Sn、
186Re、
188Re、
64Cu、
67Cu、
59Fe、
89Sr、
198Au、
203Hg、
212Pb、
165Dy、
103Ru、
149Tb、
161Tb、
213Bi、
166Ho、
165Er、
169Er、
153Sm、
177Lu、
213Bi、
223Ra、
225Ac、
227Ac、
227Th、
211At、
67Cu、
186Re、
188Re、
161Tb、
175Yb、
105Rh、
166Dy、
199Au、
44Sc、
149Pm、
151Pm、
142Pr、
143Pr、
76As、
111Ag及び
47Scから選択され、好ましくは、
177Luである、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
Cが、DOTA(テトラキセタン)、トリゾキセタン、DTPA、NTA、EDTA、DO3A、TETA、NOTA、NOTAGA、NODOGA、NODASA、NODAPA、及びAAZTA(例えば、AAZTA5)キレート剤から選択され、好ましくは、DOTA、NOTA又はDTPAキレート剤であり、より好ましくは、DOTAキレート剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
Pが、オクトレオチド、オクトレオテート、ランレオチド、バプレオチド、及びパシレオチドから選択され、好ましくは、オクトレオチド及びオクトレオテートから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記放射性医薬化合物が、DOTA-OC、DOTA-TOC(エドトレオチド)、DOTA-NOC、DOTA-TATE(オキソドトレオチド)、サトレオチドテトラキセタン、DOTA-LAN、及びDOTA-VAPから選択され、好ましくは、DOTA-TOC及びDOTA-TATEから選択され、より好ましくは、DOTA-TATEである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記放射性医薬化合物が、[
177Lu]Lu-DOTA-TOC(
177Lu-エドトレオチド)又は[
177Lu]Lu-DOTA-TATE(
177Lu-オキソドトレオチド)、より好ましくは、[
177Lu]Lu-DOTA-TATE(
177Lu-オキソドトレオチド)である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドを投与することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、誘導期に4~8週間、好ましくは、6週間の期間、各日50~100mg/m
2/日、好ましくは、約75mg/m
2/日の用量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
放射線照射及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドの両方が、同日に開始される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、中断なしで放射線照射と併用投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、前記放射線療法との前記併用投与の間、例えば、6週間の期間、第1の用量で毎日投与され、前記放射線療法との前記併用投与に続く維持期の間、例えば、最長24週間の期間、第2の用量で投与され、前記第2の用量は、前記第1の用量の少なくとも2倍である、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、前記維持期の間、20~28週間、好ましくは、24週間の期間、28日ごとに5日間連続で各日50~400mg/m
2/日、好ましくは、75~300mg/m
2/日、より好ましくは、150~200mg/m
2/日の用量で投与され、次いで2日間休薬される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記対象が、正のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有する対象から選択された、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記放射性医薬化合物が、0.925GBq(25mCi)~29.6GBq(800mCi)、好ましくは、1.48GBq(40mCi)~18.5GBq(500mCi)、好ましくは、1.85GBq(50mCi)~14.8GBq(400mCi)、より好ましくは、3.7GBq(100mCi)~11.1GBq(300mCi)の範囲の、いっそうより好ましくは、約3.7GBq(100mCi)、5.55GBq(150mCi)、7.4GBq(200mCi)又は9.25GBq(250mCi)の線量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記放射性医薬化合物が、誘導期に処置当たり1~8回、好ましくは、処置当たり2~7回、より好ましくは、処置当たり4~6回投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記放射性医薬化合物が、2週間、又は3週間、又は4週間、又は5週間又はさらには6週間、好ましくは、3又は4週間、より好ましくは、3週間ごとの処置間隔を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
第1の用量の前記放射性医薬化合物が、放射線照射の開始の1~20日前、好ましくは、3~15日前、より好ましくは、7~10日前に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記放射線照射誘導が、4~8週間、好ましくは、6週間の期間中、週3~7日間、好ましくは、約5日間の期間中、1Gy~4Gy/日、好ましくは、約2Gy/日の線量で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記放射線照射が、6週間連続で、5日間連続で実施され、次いで2日間休止される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記放射線照射が、全脳放射線照射である、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記対象が、
177Luに代えてイメージングに好適な放射性金属、好ましくは、
68Ga、
67Ga又は
64Cu、より好ましくは、
68Gaを用いる以外、前記処置について定義されるものと同じ放射性医薬化合物でのSPECT/CT又はPET/CT又はSPECT/MRI、PET/MRIイメージングによる前記処置のために、前記対象におけるイメージングに好適な前記放射性医薬化合物の取り込みを評価することにより選択された、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記対象が、膠芽腫と新たに診断されるか、又は再発性膠芽腫に罹患する、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、正のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有し、前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与され、第1の用量の前記放射性医薬化合物が、好ましくは、放射線療法の開始の7~10日前に投与される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、負のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有し、前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法との組み合わせで投与され、他の化学療法剤、例えば、テモゾロミドとの組み合わせでは投与されず;前記放射性医薬化合物の2回の投与間の前記処置間隔が、最初の2回の間隔については4週間、3回目及び任意の後続の間隔については3週間であり;第1の用量の前記放射性医薬化合物が、好ましくは、放射線療法の開始の7~10日前に投与される、請求項23に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法であって、治療効率量の前記放射性医薬化合物が前記対象に放射線療法との組み合わせで投与される方法に関する。
【背景技術】
【0002】
膠芽腫(GB)は、全腫瘍の14.6%を占める最も一般的に生じる悪性中枢神経系(CNS)腫瘍である(Ostrom QT,Cioffi G,Gittleman H,et al(2019)CBTRUS Statistical Report:Primary Brain and Other Central Nervous System Tumors Diagnosed in the United States in 2012-2016.Neuro Oncol;12(S5):1-100)。これは、侵襲性原発性脳腫瘍であり、新たな処置を開発する広範な取り組みにもかかわらず高い死亡率を伴う。現在、膠芽腫のための治癒的処置オプションは存在せず、厳密な治療法研究にもかかわらず、膠芽腫と診断された患者の生存率は低いままである。全生存期間中央値(OS)はおよそ15か月であり、5年生存率は10%未満である(Wen PY,Weller M,Lee EQ,et al(2020)Glioblastoma in adults:a Society for Neuro-Oncology(SNO)and European Society of Neuro-Oncology(EANO)consensus review on current management and future directions.Neuro Oncol;22(8):1073-113)。膠芽腫は最低長期生存率の悪性脳腫瘍の1つであり、5年全相対生存率は6.8%にすぎない(Ostrom QT,Cioffi G,Gittleman H,et al(2019)CBTRUS Statistical Report:Primary Brain and Other Central Nervous System Tumors Diagnosed in the United States in 2012-2016.Neuro Oncol;12(S5):1-100)。
【0003】
合衆国における膠芽腫の全年齢調整罹患率は3.22/100000人であり、男性が多く、診断時の高齢に伴って増加する(Wen PY,Weller M,Lee EQ,et al(2020)Glioblastoma in adults:a Society for Neuro-Oncology(SNO)and European Society of Neuro-Oncology(EANO)consensus review on current management and future directions.Neuro Oncol;22(8):1073-113)。新たに診断された膠芽腫患者のための標準的治療法は、最大限の安全な腫瘍摘出を実施することが意図される外科手術から開始される(Nabors LB,Portnow J,Ahluwalia M、et al(2020)Central Nervous System Cancers,Version 3.2020,NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology.J Natl Compr Canc Netw p.1537-1570)。膠芽腫は放射線感受性腫瘍であり、放射線療法(RT)は、1980年代以降、手術に次いで膠芽腫のための最も重要な処置モダリティであるとみなされている。
【0004】
新たに診断された患者における現在のスタンダードオブケアは、テモゾロミド(TMZ)(経口アルキル化剤)と放射線療法(RT)との組み合わせであり、それは、放射線療法(6週間にわたる60gy)を、放射線療法と毎日の併用テモゾロミド75mg/m2/日とそれに続く28日サイクルごとに5日間連続で最大6サイクルの維持テモゾロミド150~200mg/m2/日と比較する大規模ランダム化第III相試験の結果に基づき承認された(Stupp R,Mason WP,van den Bent MJ,et al(2005)Radiotherapy plus concomitant and adjuvant temozolomide for glioblatoma.N Engl J Med;352:987-96)。放射線療法へのテモゾロミドの追加により、全生存期間中央値が12.1から14.6か月まで延長された。
【0005】
膠芽腫におけるO-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子のプロモーターのメチル化は、アルキル化剤での処置に対する応答についての予後及び予測マーカーの両方である。206人の新たに診断された膠芽腫患者を含む試験において、MGMTプロモーターメチル化を有する患者の全生存期間は、腫瘍がメチル化MGMTプロモーターを有さない患者に対して高度に有意であった(P<0.001;死亡についてのハザード比、0.45)。この試験は、メチル化MGMTプロモーターを有する患者において、テモゾロミド及び放射線療法で処置された患者において生存利益が観察されることも示し、生存期間中央値は、放射線療法のみで処置された患者の15.3か月と比較して21.7か月であった(P=0.007)。対照的に、腫瘍がMGMTプロモーターでメチル化されていない患者において、全生存期間の差は有意でなく、生存期間中央値は、テモゾロミドと放射線療法で処置された患者において12.7か月であり、放射線療法のみで処置された患者において11.8か月であった(P=0.06)(Hegi ME,Diserens AC,Gorlia T,et al(2005)MGMT gene silencing and benefit from temozolomide in glioblastoma.N Engl J Med;352:997-1003)。他の試験も、MGMTプロモーターメチル化の存在が、テモゾロミドで処置された膠芽腫患者について、及びMGMTプロモーターメチル化を欠く患者においておよそ50%長い生存期間中央値をもたらすことを示している。これに関して、テモゾロミドの使用はこの患者群において臨床的利益を有さず、不所望な毒性をもたらす。したがって、MGMTプロモーターメチル化を欠く膠芽腫からのテモゾロミドの差し控えが、特に近年実施された臨床試験に関して許容可能になった(Wen PY,Weller M,Lee EQ,et al(2020)Glioblastoma in adults:a Society for Neuro-Oncology(SNO)and European Society of Neuro-Oncology(EANO)consensus review on current management and future directions.Neuro Oncol;22(8):1073-113)。
【0006】
必然的にほぼ全ての患者は疾患再発を経験し、無増悪期間中央値(PFS)はおよそ6~10か月である(Wen PY,Weller M,Lee EQ,et al(2020)Glioblastoma in adults:a Society for Neuro-Oncology(SNO)and European Society of Neuro-Oncology(EANO)consensus review on current management and future directions.Neuro Oncol;22(8):1073-113)。再発性疾患のための利用可能な治療オプションは限られた生存利益を有し、再発性膠芽腫のための確立された一連の治療法は存在しない。再発性膠芽腫の処置は、利用可能なオプションの限られた有効性及び確立された処置オプションの欠落のため困難である。処置ガイドラインは、適格患者のための好ましいオプションとして臨床試験を推奨する(Nabors LB,Portnow J,Ahluwalia M,et al(2020)Central Nervous System Cancers,Version 3.2020,NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology.J Natl Compr Canc Netw p.1537-1570;Wen PY,Weller M,Lee EQ,et al(2020)Glioblastoma in adults:a Society for Neuro-Oncology(SNO)and European Society of Neuro-Oncology(EANO)consensus review on current management and future directions.Neuro Oncol;22(8):1073-113)。手術は、症候性及び/又は大きな病変についての役割を有し得る。しかしながら、完全又はほぼ完全な摘出を受ける患者が任意の生存利益を有するにすぎない(Nam JY,de Groot JF(2017)Treatment of Glioblastoma.J Oncol Pract;13(10):629-39)。他の処置オプションとしては、全身療法、例えば、テモゾロミド再チャレンジ、ニトロソウレア、ベバシズマブ、再放射線照射、及び腫瘍電場療法が挙げられ、それらはこの設定のランダム化試験、又は不良のパフォーマンスステータスを有する患者のための緩和ケアにおける生存期間を延長することは示されていない。単剤ニトロソウレア(カルムスチン、ロムスチン、及びフォテムスチンは、再発性膠芽腫において評価されている。近年の研究において、437人の患者が単剤としてのロムスチンと、ベバシズマブとの組み合わせのロムスチンとの間で2:1にランダム化された。ロムスチンアームの患者は、1.5か月のPFS中央値及び8.6か月のOSを示した。ロムスチンへのベバシズマブの追加は、ロムスチンアームの1.5か月に対して組み合わせアームの4.2か月の改善されたPFS中央値を示し(P<0.001);しかしながら、OS中央値の差は、ロムスチンアームの8.6か月に対して組み合わせアームの9.1か月で生存期間の差を付与しなかった(Wick W,Gorlia T,Bendszus M,et al(2017)Lomustine and Bevacizumab in Progressive Glioblastoma.N Engl J Med;377:1954-1963)。
【0007】
パイロット試験は、膠芽腫を有する患者における放射性標識DOTAペプチドの活性を評価している。Heuteらは、3人のグレードIV再発性膠芽腫患者における90Y-DOTATOCの使用を報告した(Heute D,Kostron H,von Guggenberg E,et al(2010)Response of recurrent high-grade glioma to treatment with (90)Y-DOTATOC.J Nucl Med;51:397-400)。Nematiらは、高悪性度神経膠腫(HGG)における177Lu-DOTATATEの使用を報告した(Nemati R,Shooli H,Rekabpour SJ,et al(2021)Feasibility and Therapeutic Potential of Peptide Receptor Radionuclide Therapy for High-Grade Gliomas.Clin Nucl Med;46(5):389-95)。
【0008】
膠芽腫の改善された臨床的処置を提供することが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本開示は、治療効率量の放射性医薬化合物を膠芽腫の処置が必要とされる対象に放射線療法、及び任意選択でテモゾロミドとの組み合わせで投与することにより、前記対象における膠芽腫を処置する方法に関する。
【0010】
本開示は、以下に概説される種々の態様で提供される:
1.膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫の処置における使用のための放射性医薬化合物であって、治療効率量の前記放射性医薬化合物が前記対象に好ましくは、放射線療法との組み合わせで投与される、放射性医薬化合物。
【0011】
2.前記放射性医薬化合物が、式:
M-C-S-P(式中、
Mは、放射性核種であり;
Cは、前記放射性核種をキレート化し得るキレート剤であり;
Sは、CとPとの間で共有結合的に連結している任意選択のスペーサーであり;
Pは、Cに直接的に又はSを介して間接的に共有結合的に連結しているソマトスタチン受容体結合ペプチドである)
の化合物である、実施形態1の使用のための放射性医薬化合物。
【0012】
3.Mが、90Y、131I、121Sn、186Re、188Re、64Cu、67Cu、59Fe、89Sr、198Au、203Hg、212Pb、165Dy、103Ru、149Tb、161Tb、213Bi、166Ho、165Er、169Er、153Sm、177Lu、213Bi、223Ra、225Ac、227Ac、227Th、211At、67Cu、186Re、188Re、161Tb、175Yb、105Rh、166Dy、199Au、44Sc、149Pm、151Pm、142Pr、143Pr、76As、111Ag及び47Scから選択され、好ましくは、177Luである、実施形態1又は2の使用のための放射性医薬化合物。
【0013】
4.Cが、DOTA(テトラキセタン)、トリゾキセタン(trizoxetan)、DOTAGA、DTPA、NTA、EDTA、DO3A、TETA、NOTA、NOTAGA、NODAGA、NODAPA、及びAAZTA(例えば、AAZTA5)キレート剤から選択され、好ましくは、DOTA、DOTAGA、NOTA又はDTPAキレート剤であり、より好ましくは、DOTAキレート剤である、実施形態1~3の使用のための放射性医薬化合物。
【0014】
5.Pが、オクトレオチド、オクトレオテート、サトレオチド、ランレオチド、バプレオチド、及びパシレオチドから選択され、好ましくは、オクトレオチド及びオクトレオテートから選択される、実施形態1~4の使用のための放射性医薬化合物。
【0015】
6.DOTA-OC、DOTA-TOC(エドトレオチド)、DOTA-NOC、DOTA-TATE(オキソドトレオチド)、サトレオチドテトラキセタン、DOTA-LAN、及びDOTA-VAPから選択され、好ましくは、DOTA-TOC及びDOTA-TATEから選択され、より好ましくは、DOTA-TATEである、実施形態1~5の使用のための放射性医薬化合物。
【0016】
7.[177Lu]Lu-DOTA-TOC(177Lu-エドトレオチド)又は[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)、より好ましくは、[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)である、実施形態1~6の使用のための放射性医薬化合物。
【0017】
8.前記対象に放射線療法との、及び治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与される、実施形態1~7の使用のための放射性医薬化合物。
【0018】
9.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、(誘導期の間)4~8週間、好ましくは、5~7週間、より好ましくは、6週間の初期、各日50~100mg/m2/日、好ましくは、約75mg/m2/日の用量で投与される、実施形態8の使用のための放射性医薬化合物。
【0019】
10.放射線療法及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドの投与の両方が、同日に開始される、実施形態8又は9の使用のための放射性医薬化合物。
【0020】
11.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、放射線療法と中断なしで(放射線療法の初日から最終日まで)併用投与される、実施形態8~10の使用のための放射性医薬化合物。
【0021】
12.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、放射線療法との併用投与の間、例えば、6週間(±1週間)の期間、第1の1日用量(好ましくは、50~100mg/m2/日、より好ましくは、75mg/m2/日)で毎日投与され、放射線療法との併用投与に続く維持期の間、例えば、最長24週間の期間、第2の用量で投与され、前記第2の1日用量は、第1の1日用量の少なくとも2倍であり、好ましくは、前記第2の用量は、28日サイクルの1日目~5日目の各々に投与される、実施形態8~11の使用のための放射性医薬化合物。
【0022】
13.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、維持期の間、28日サイクルの1日目~5日目の各々に、4~8サイクル、好ましくは、5~7サイクル、より好ましくは、6サイクルで50~400mg/m2/日、好ましくは、75~300mg/m2/日、より好ましくは、150~200mg/m2/日の用量で投与される、実施形態8~12の使用のための放射性医薬化合物。
【0023】
14.前記対象が、正のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有する対象から選択された、実施形態8~13の使用のための放射性医薬化合物。
【0024】
15.0.925GBq(25mCi)~29.6GBq(800mCi)、好ましくは、1.48GBq(40mCi)~18.5GBq(500mCi)、好ましくは、1.85GBq(50mCi)~14.8GBq(400mCi)、より好ましくは、3.7GBq(100mCi)~11.1GBq(300mCi)の範囲の、いっそうより好ましくは、約3.7GBq(100mCi)、5.55GBq(150mCi)、7.4GBq(200mCi)又は9.25GBq(250mCi)の線量で投与される、実施形態1~14の使用のための放射性医薬化合物。
【0025】
16.1~8回、好ましくは、2~7回、より好ましくは、4~6回投与され、前記放射性医薬化合物の2回の投与ごとの処置間隔が存在する、実施形態1~15の使用のための放射性医薬化合物。
【0026】
17.前記放射性医薬化合物の投与が、2週間、又は3週間、又は4週間、又は5週間又はさらには6週間、好ましくは、3及び/又は4週間、より好ましくは、3週間ごとの処置間隔を含む、実施形態1~16の使用のための放射性医薬化合物。
【0027】
18.第1の用量の前記放射性医薬化合物が、放射線療法の開始の1~20日前、好ましくは、3~15日前、より好ましくは、7~10日前に投与される、実施形態1~17の使用のための放射性医薬化合物。
【0028】
19.前記放射線療法誘導が、4~8週間、好ましくは、6週間の期間中、週3~7日間、好ましくは、約5日間の期間中、1Gy~4Gy/日、好ましくは、約2Gy/日の線量で実施される、実施形態1~18の使用のための放射性医薬化合物。
【0029】
20.前記放射線療法が、6週間連続で、5日間連続で実施され、次いで2日間休止される、実施形態1~19の使用のための放射性医薬化合物。
【0030】
21.前記放射線療法が、全脳放射線療法である、実施形態1~20の使用のための放射性医薬化合物。
【0031】
22.前記対象が、Mが、イメージングに好適な放射性金属、好ましくは、68Ga、67Ga又は64Cu、より好ましくは、68Gaである以外、処置について定義されるものと同じ放射性医薬化合物でのSPECT/CT又はPET/CT又はSPECT/MRI、PET/MRIイメージングによる処置のために選択された、実施形態1~21の使用のための放射性医薬化合物。
【0032】
23.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、又は再発性膠芽腫に罹患する、実施形態1~22の使用のための放射性医薬化合物。
【0033】
24.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、正のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有し、前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与され、第1の用量の前記放射性医薬化合物が、好ましくは、放射線療法の開始の7~10日前に投与される、実施形態1~23の使用のための放射性医薬化合物。
【0034】
25.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、負のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有し、前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法との組み合わせで投与されるが、他の化学療法剤、例えば、テモゾロミドとの組み合わせでは投与されず;前記放射性医薬化合物の2回の投与間の処置間隔が、最初の2回の間隔については4週間、3回目及び任意の後続の間隔については3週間であり;第1の用量の前記放射性医薬化合物が、好ましくは、放射線療法の開始の7~10日前に投与される、実施形態1~24の使用のための放射性医薬化合物。
【0035】
26.膠芽腫の処置が必要とされる対象に効率量の放射性医薬化合物を、好ましくは、効率線量の電離放射線で対象を放射線照射するステップとの組み合わせで投与することを含む、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法。
【0036】
27.前記放射性医薬化合物が、式:
M-C-S-P(式中、
Mは、放射性核種であり;
Cは、前記放射性核種をキレート化し得るキレート剤であり;
Sは、CとPとの間で共有結合的に連結している任意選択のスペーサーであり;
Pは、Cに直接的に又はSを介して間接的に共有結合的に連結しているソマトスタチン受容体結合ペプチドである)
の化合物である、実施形態26の方法。
【0037】
28.Mが、90Y、131I、121Sn、186Re、188Re、64Cu、67Cu、59Fe、89Sr、198Au、203Hg、212Pb、165Dy、103Ru、149Tb、161Tb、213Bi、166Ho、165Er、169Er、153Sm、177Lu、213Bi、223Ra、225Ac、227Ac、227Th、211At、67Cu、186Re、188Re、161Tb、175Yb、105Rh、166Dy、199Au、44Sc、149Pm、151Pm、142Pr、143Pr、76As、111Ag及び47Scから選択され、好ましくは、177Luである、実施形態26又は27の方法。
【0038】
29.Cが、DOTA(テトラキセタン)、トリゾキセタン、DOTAGA、DTPA、NTA、EDTA、DO3A、TETA、NOTA、NOTAGA、NODAGA、NODASA、NODAPA、及びAAZTA(例えば、AAZTA5)キレート剤から選択され、好ましくは、DOTA、DOTAGA、NOTA又はDTPAキレート剤であり、より好ましくは、DOTAキレート剤である、実施形態26~28の方法。
【0039】
30.Pが、オクトレオチド、オクトレオテート、サトレオチド、ランレオチド、バプレオチド、及びパシレオチドから選択され、好ましくは、オクトレオチド及びオクトレオテートから選択される、実施形態26~29の方法。
【0040】
31.放射性医薬化合物が、DOTA-OC、DOTA-TOC(エドトレオチド)、DOTA-NOC、DOTA-TATE(オキソドトレオチド)、サトレオチドテトラキセタン、DOTA-LAN、及びDOTA-VAPから選択され、好ましくは、DOTA-TOC及びDOTA-TATEから選択され、より好ましくは、DOTA-TATEである、実施形態26~30の方法。
【0041】
32.放射性医薬化合物が、[177Lu]Lu-DOTA-TOC(177Lu-エドトレオチド)又は[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)、より好ましくは、[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)である、実施形態26~31の方法。
【0042】
33.治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドを投与することをさらに含む、実施形態26~32の方法。
【0043】
34.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、(誘導期の間)4~8週間、好ましくは、5~7週間、より好ましくは、6週間の初期、各日50~100mg/m2/日、好ましくは、約75mg/m2/日の用量で投与される、実施形態33の方法。
【0044】
35.放射線照射及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドの投与の両方が、同日に開始される、実施形態33又は34の方法。
【0045】
36.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、中断なしで放射線照射と(例えば、放射線照射の初日から最終日まで)併用投与される、実施形態33~35の方法。
【0046】
37.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、放射線療法との併用投与の間、例えば、6週間(±1週間)の期間、第1の1日用量(好ましくは、50~100mg/m2/日、より好ましくは、75mg/m2/日)で毎日投与され、放射線療法との併用投与に続く維持期の間、例えば、最長24週間の期間、第2の1日用量で投与され、前記第2の1日用量は、第1の1日用量の少なくとも2倍であり、好ましくは、前記第2の用量は、28日サイクルの1日目~5日目の各々に投与される、実施形態33~36の方法。
【0047】
38.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、維持期の間、28日サイクルの1日目~5日目の各々に、4~8サイクル、好ましくは、5~7サイクル、より好ましくは、6サイクルで50~400mg/m2/日、好ましくは、75~300mg/m2/日、より好ましくは、150~200mg/m2/日の用量で投与される、実施形態33~37の方法。
【0048】
39.前記対象は、正のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有する対象から選択された、実施形態33~38の方法。
【0049】
40.前記放射性医薬化合物が、0.925GBq(25mCi)~29.6GBq(800mCi)、好ましくは、1.48GBq(40mCi)~18.5GBq(500mCi)、好ましくは、1.85GBq(50mCi)~14.8GBq(400mCi)、より好ましくは、3.7GBq(100mCi)~11.1GBq(300mCi)の範囲の、いっそうより好ましくは、約3.7GBq(100mCi)、5.55GBq(150mCi)、7.4GBq(200mCi)又は9.25GBq(250mCi)の線量で投与される、実施形態26~39の方法。
【0050】
41.前記放射性医薬化合物が、1~8回、好ましくは、2~7回、より好ましくは、4~6回投与され、前記放射性医薬化合物の2回の投与ごとの処置間隔が存在する、実施形態26~40の方法。
【0051】
42.前記放射性医薬化合物が、2週間、又は3週間、又は4週間、又は5週間又はさらには6週間、好ましくは、3及び/又は4週間、より好ましくは、3週間ごとの処置間隔を含む、実施形態26~41の方法。
【0052】
43.第1の用量の前記放射性医薬化合物が、放射線照射の開始の1~20日前、好ましくは、3~15日前、より好ましくは、7~10日前に投与される、実施形態26~42の方法。
【0053】
44.前記放射線照射誘導が、4~8週間、好ましくは、6週間の期間中、週3~7日間、好ましくは、約5日間の期間中、1Gy~4Gy/日、好ましくは、約2Gy/日の線量で実施される、実施形態26~33の方法。
【0054】
45.前記放射線照射が、6週間連続で、5日間連続で実施され、次いで2日間休止される、実施形態26~44の方法。
【0055】
46.前記放射線照射が、全脳放射線照射である、実施形態26~45の方法。
【0056】
47.前記対象が、177Luに代えてイメージングに好適な放射性金属、好ましくは、68Ga、67Ga又は64Cu、より好ましくは、68Gaを用いる以外、処置について定義されるものと同じ放射性医薬化合物でのSPECT/CT又はPET/CT又はSPECT/MRI、PET/MRIイメージングによる処置のために、前記対象におけるイメージングに好適な前記放射性医薬化合物の取り込みを評価することにより選択された、実施形態26~46の方法。
【0057】
48.前記対象が、膠芽腫と新たに診断されるか、又は再発性膠芽腫に罹患する、実施形態26~47の方法。
【0058】
49.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、正のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有し、前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与され、第1の用量の前記放射性医薬化合物が、好ましくは、放射線照射の開始の7~10日前に投与される、実施形態26~48の方法。
【0059】
50.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、負のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有し、前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法との組み合わせで投与されるが、他の化学療法剤、例えば、テモゾロミドとの組み合わせでは投与されず;前記放射性医薬化合物の2回の投与間の処置間隔が、最初の2回の間隔については4週間、3回目及び任意の後続の間隔については3週間であり;第1の用量の前記放射性医薬化合物が、好ましくは、放射線照射の開始の7~10日前に投与される、実施形態26~49の方法。
【0060】
51.膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫の処置における使用のための薬物の調製における放射性医薬化合物の使用であって、治療効率量の前記放射性医薬化合物は、前記対象に、好ましくは、放射線療法との組み合わせで投与される使用。
【0061】
52.前記放射性医薬化合物が、式:
M-C-S-P(式中、
Mは、放射性核種であり;
Cは、前記放射性核種をキレート化し得るキレート剤であり;
Sは、CとPとの間で共有結合的に連結している任意選択のスペーサーであり;
Pは、Cに直接的に又はSを介して間接的に共有結合的に連結しているソマトスタチン受容体結合ペプチドである)
の化合物である、実施形態51の使用。
【0062】
53.Mが、90Y、131I、121Sn、186Re、188Re、64Cu、67Cu、59Fe、89Sr、198Au、203Hg、212Pb、165Dy、103Ru、149Tb、161Tb、213Bi、166Ho、165Er、169Er、153Sm、177Lu、213Bi、223Ra、225Ac、227Ac、227Th、211At、67Cu、186Re、188Re、161Tb、175Yb、105Rh、166Dy、199Au、44Sc、149Pm、151Pm、142Pr、143Pr、76As、111Ag及び47Scから選択され、好ましくは、177Luである、実施形態51又は52の使用。
【0063】
54.Cが、DOTA(テトラキセタン)、トリゾキセタン、DOTAGA、DTPA、NTA、EDTA、DO3A、TETA、NOTA、NOTAGA、NODAGA、NODASA、NODAPA、及びAAZTA(例えば、AAZTA5)キレート剤から選択され、好ましくは、DOTA、DOTAGA、NOTA又はDTPAキレート剤であり、より好ましくは、DOTAキレート剤である、実施形態51~53の使用。
【0064】
55.Pが、オクトレオチド、オクトレオテート、サトレオチド、ランレオチド、バプレオチド、及びパシレオチドから選択され、好ましくは、オクトレオチド及びオクトレオテートから選択される、実施形態51~54の使用。
【0065】
56.放射性医薬化合物が、DOTA-OC、DOTA-TOC(エドトレオチド)、DOTA-NOC、DOTA-TATE(オキソドトレオチド)、サトレオチドテトラキセタン、DOTA-LAN、及びDOTA-VAPから選択され、好ましくは、DOTA-TOC及びDOTA-TATEから選択され、より好ましくは、DOTA-TATEである、実施形態51~55の使用。
【0066】
57.放射性医薬化合物が、[177Lu]Lu-DOTA-TOC(177Lu-エドトレオチド)又は[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)、より好ましくは、[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)である、実施形態51~56の使用。
【0067】
58.前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法との、及び治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与される、実施形態51~57の使用。
【0068】
59.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、(誘導期の間)4~8週間、好ましくは、5~7週間、より好ましくは、6週間の初期、各日50~100mg/m2/日、好ましくは、約75mg/m2/日の用量で投与される、実施形態58の使用。
【0069】
60.放射線療法及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドの投与の両方が、同日に開始される、実施形態58又は59の使用。
【0070】
61.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、放射線療法と中断なしで(例えば、放射線療法の初日から最終日まで)併用投与される、実施形態58~60の使用。
【0071】
62.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、放射線療法との併用投与の間、例えば、6週間(±1週間)の期間、第1の1日用量(好ましくは、50~100mg/m2/日、より好ましくは、75mg/m2/日)で毎日投与され、放射線療法との併用投与に続く維持期の間、例えば、最長24週間の期間、第2の1日用量で投与され、前記第2の1日用量は、第1の1日用量の少なくとも2倍であり、好ましくは、前記第2の用量は、28日サイクルの1日目~5日目の各々に投与される、実施形態58~61の使用。
【0072】
63.前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが、維持期の間、28日サイクルの1日目~5日目の各々に、4~8サイクル、好ましくは、5~7サイクル、より好ましくは、6サイクルで50~400mg/m2/日、好ましくは、75~300mg/m2/日、より好ましくは、150~200mg/m2/日の用量で投与される、実施形態58~62の使用。
【0073】
64.前記対象が、正のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有する対象から選択された、実施形態58~63の使用。
【0074】
65.前記放射性医薬化合物が、0.925GBq(25mCi)~29.6GBq(800mCi)、好ましくは、1.48GBq(40mCi)~18.5GBq(500mCi)、好ましくは、1.85GBq(50mCi)~14.8GBq(400mCi)、より好ましくは、3.7GBq(100mCi)~11.1GBq(300mCi)の範囲の、いっそうより好ましくは、約3.7GBq(100mCi)、5.55GBq(150mCi)、7.4GBq(200mCi)又は9.25GBq(250mCi)の線量で投与される、実施形態51~64の使用。
【0075】
66.前記放射性医薬化合物が、1~8回、好ましくは、2~7回、より好ましくは、4~6回投与され、前記放射性医薬化合物の2回の投与ごとの処置間隔が存在する、実施形態51~65の使用。
【0076】
67.前記放射性医薬化合物の投与が、2週間、又は3週間、又は4週間、又は5週間又はさらには6週間、好ましくは、3及び/又は4週間、より好ましくは、3週間ごとの処置間隔を含む、実施形態51~66の使用。
【0077】
68.第1の用量の前記放射性医薬化合物が、放射線療法の開始の1~20日前、好ましくは、3~15日前、より好ましくは、7~10日前に投与される、実施形態51~67の使用。
【0078】
69.前記放射線療法誘導が、4~8週間、好ましくは、6週間の期間中、週3~7日間、好ましくは、約5日間の期間中、1Gy~4Gy/日、好ましくは、約2Gy/日の線量で実施される、実施形態51~68の使用。
【0079】
70.前記放射線療法が、6週間連続で、5日間連続で実施され、次いで2日間休止される、実施形態51~69の使用。
【0080】
71.前記放射線療法が、全脳放射線療法である、実施形態51~70の使用。
【0081】
72.前記対象が、Mが、イメージングに好適な放射性金属、好ましくは、68Ga、67Ga又は64Cu、より好ましくは、68Gaである以外、処置について定義されるものと同じ放射性医薬化合物での、イメージングに好適な放射性金属を用いる以外、処置について定義されるものと同じ放射性医薬化合物でのSPECT/CT又はPET/CT又はSPECT/MRI、PET/MRIイメージングによる処置のために選択された、実施形態51~71の使用。
【0082】
73.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、又は再発性膠芽腫に罹患する、実施形態51~72の使用。
【0083】
74.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、正のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有し、前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与され、第1の用量の前記放射性医薬化合物が、好ましくは、放射線療法の開始の7~10日前に投与される、実施形態51~73の使用。
【0084】
75.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、負のメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼプロモーター状態を有し、前記放射性医薬化合物が、前記対象に放射線療法との組み合わせで投与されるが、他の化学療法剤、例えば、テモゾロミドとの組み合わせでは投与されず;前記放射性医薬化合物の2回の投与間の処置間隔が、最初の2回の間隔については4週間、3回目及び任意の後続の間隔については3週間であり;第1の用量の前記放射性医薬化合物が、好ましくは、放射線療法の開始の7~10日前に投与される、実施形態51~74の使用。
【0085】
76.膠芽腫の処置が必要とされる対象に効率量の放射性医薬化合物を投与することを含む、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法であって、前記放射性医薬化合物は、式:
M-C-S-P(式中、
Mは、放射性核種であり;
Cは、前記放射性核種をキレート化し得るキレート剤であり;
Sは、CとPとの間で共有結合的に連結している任意選択のスペーサーであり;
Pは、Cに直接的に又はSを介して間接的に共有結合的に連結しているソマトスタチン受容体結合ペプチドである)
の化合物であり、
効率線量の電離放射線で対象を放射線照射する併用ステップを含まない方法。
【0086】
77.Mが、90Y、131I、121Sn、186Re、188Re、64Cu、67Cu、59Fe、89Sr、198Au、203Hg、212Pb、165Dy、103Ru、149Tb、161Tb、213Bi、166Ho、165Er、169Er、153Sm、177Lu、213Bi、223Ra、225Ac、227Ac、227Th、211At、67Cu、186Re、188Re、161Tb、175Yb、105Rh、166Dy、199Au、44Sc、149Pm、151Pm、142Pr、143Pr、76As、111Ag及び47Scから選択され、好ましくは、177Luである、実施形態76の方法。
【0087】
78.Cが、DOTA(テトラキセタン)、トリゾキセタン、DTPA、NTA、EDTA、DO3A、TETA、NOTA、NOTAGA、NODOGA、NODASA、NODAPA、及びAAZTA(例えば、AAZTA5)キレート剤から選択され、好ましくは、DOTA、NOTA又はDTPAキレート剤であり、より好ましくは、DOTAキレート剤である、実施形態76又は77の方法。
【0088】
79.Pが、オクトレオチド、オクトレオテート、サトレオチドランレオチド、バプレオチド、及びパシレオチドから選択され、好ましくは、オクトレオチド及びオクトレオテートから選択される、実施形態76~78の方法。
【0089】
80.放射性医薬化合物が、DOTA-OC、DOTA-TOC(エドトレオチド)、サトレオチドテトラキセタン、DOTA-NOC、DOTA-TATE(オキソドトレオチド)、DOTA-LAN、及びDOTA-VAPから選択され、好ましくは、DOTA-TOC及びDOTA-TATEから選択され、より好ましくは、DOTA-TATEである、実施形態76~79の方法。
【0090】
81.放射性医薬化合物が、[177Lu]Lu-DOTA-TOC(177Lu-エドトレオチド)又は[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)、より好ましくは、[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)である、実施形態76~81の方法。
【0091】
82.前記放射性医薬化合物が、0.925GBq(25mCi)~29.6GBq(800mCi)、好ましくは、1.48GBq(40mCi)~18.5GBq(500mCi)、好ましくは、1.85GBq(50mCi)~14.8GBq(400mCi)、より好ましくは、3.7GBq(100mCi)~11.1GBq(300mCi)の範囲の、いっそうより好ましくは、約3.7GBq(100mCi)、5.55GBq(150mCi)、7.4GBq(200mCi)又は9.25GBq(250mCi)の線量で投与される、実施形態76~81の方法。
【0092】
83.前記放射性医薬化合物が、1~8回、好ましくは、2~7回、より好ましくは、4~6回投与され、前記放射性医薬化合物の2回の投与ごとの処置間隔が存在する、実施形態76~82の方法。
【0093】
84.前記放射性医薬化合物の投与が、2~7サイクルの処置を2週間、又は3週間、又は4週間、又は5週間又はさらには6週間、好ましくは、3週間ごとの処置間隔で含む、実施形態76~83の方法。
【0094】
85.前記対象が、177Luに代えてイメージングに好適な放射性金属、好ましくは、68Ga、67Ga又は64Cu、より好ましくは、68Gaを用いる以外、処置について定義されるものと同じ放射性医薬化合物でのSPECT/CT又はPET/CT又はSPECT/MRI、PET/MRIイメージングによる処置のために、前記対象におけるイメージングに好適な前記放射性医薬化合物の取り込みを評価することにより選択された、実施形態76~84の方法。
【0095】
86.前記対象が、膠芽腫と新たに診断され、又は再発性膠芽腫に罹患し、特に前記対象は、再発性膠芽腫に罹患する、実施形態76~85の方法。
【0096】
87.前記対象が、再発性膠芽腫に罹患し、アルキル化剤、例えば、テモゾロミドを投与する併用ステップを含まない、実施形態76~86の方法。
【0097】
88.前記対象が再発性膠芽腫に罹患し、効率線量の電離放射線で対象を放射線照射する併用ステップを含まず、アルキル化剤、例えば、テモゾロミドを投与する併用ステップを含まず、前記放射性医薬での2~7サイクルの処置を含み、前記放射性医薬化合物の2回の投与間の処置間隔は、3週間である、実施形態76~87の方法。
【0098】
実施形態76~88は、代替的に以下のフォーマットにおいても表現され得る:
膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫の処置における使用のための放射性医薬化合物であって、治療効率量の前記放射性医薬化合物が前記対象に投与される放射性医薬化合物など。
【0099】
膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫の処置における使用のための薬物の調製における放射性医薬化合物の使用など。
【発明を実施するための形態】
【0100】
本開示は、治療効率量の放射性医薬化合物を膠芽腫の処置が必要とされる対象に放射線療法、及び任意選択でアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与することにより、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法に関する。
【0101】
一般的定義
詳細な説明及び特許請求の範囲の両方における冠詞「a」、「an」、及び「the」の使用は、本明細書において特に示されない限り、又は文脈と明らかに矛盾しない限り単数形及び複数形の両方に及ぶと解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する」、例えば、「放射性核種及びキレート剤に連結している細胞受容体結合有機部分の」錯体におけるような「の」、「含む(including)」、及び「含有する」という用語は、特に注記されない限りオープンな用語(すなわち、「限定されるものではないが~を含む」)と解釈されるべきである。さらに、「含む」又は別のオープンエンドの用語が実施形態において使用される場合は常に、中間的な用語「から本質的になる」又はクローズドの用語「からなる」を使用して同じ実施形態が狭く特許請求され得ることが理解されるべきである。
【0102】
「約」又は「およそ」という用語は、本明細書において、その後の値が±20%、好ましくは、±10%、より好ましくは、±5%、いっそうより好ましくは、±2%、いっそうより好ましくは、±1%変動し得るという意味を有する。
【0103】
特に定義のない限り、「%」は、本明細書において、重量比パーセント(w/w%)とも称される重量パーセント(wt%)の意味を有する。
【0104】
「総濃度」は、1つ以上の個々の濃度の総和を指す。
【0105】
「水溶液」は、水中の1つ以上の溶質の溶液を指す。
【0106】
「の処置」及び「処置すること」という語句は、疾患、障害、又はその症状の改善又は停止を含む。特に、腫瘍の処置に関して、「処置」という用語は、腫瘍の成長の阻害、又は腫瘍のサイズの低減を指し得る。
【0107】
本明細書において使用される場合、「膠芽腫」は、グレードIV星状細胞腫脳腫瘍に属する侵襲性脳腫瘍を指す。膠芽腫という用語には、その亜型の神経膠肉腫、巨細胞膠芽腫及び小細胞膠芽腫も含まれる。この腫瘍中の細胞はサイズ及び形状が変動するため、すなわち、それらは多形性であるため、膠芽腫は多形性膠芽腫(GBM)とも呼ばれる。
【0108】
国際単位系と一致して、「MBq」は、放射能「メガベクレル」の単位の略語である。
【0109】
本明細書において使用される場合、「PET」は、陽電子放出断層撮影を意味する。
【0110】
本明細書において使用される場合、「SPECT」は、単一光子放出コンピュータ断層撮影を意味する。
【0111】
本明細書において使用される場合、「MRI」は、磁気共鳴イメージングを意味する。
【0112】
本明細書において使用される場合、「CT」は、コンピュータ断層撮影を意味する。
【0113】
本明細書において使用される場合、化合物の「効率量」又は「治療効率量」という用語は、対象の生物学的又は医学的応答を誘発する、例えば、症状を改善し、病態を緩和し、疾患進行を緩徐化若しくは遅延させ、又は疾患を予防する化合物の量を指す。
【0114】
互換的に使用される「患者」及び「対象」という用語は、ヒトを指し、例えば、癌を有する対象を含む。
【0115】
「商業的使用のため」は、薬物製品、例えば、医薬水溶液が保健機関、例えば、US-FDA又はEMAによる市場認可を、そのような保健機関により要求される全ての薬物製品品質及び安定性要件に従うことにより得ることができ(好ましくは、それを得ており)、医薬生産拠点から又はそこで商業的規模で製造され得(好ましくは、製造され)、次いで品質管理検査手順が行われ、薬物製品が遠隔地のエンドユーザ、例えば、病院又は患者に供給され得る(好ましくは、供給される)ことを指す。
【0116】
「組み合わせ」は、1つの投与量単位形態の固定組み合わせ、又は本開示の化合物及び組み合わせ相手(例えば、以下に説明される別の薬物、「治療剤」若しくは「同時薬剤」(co-agent)とも称される)が独立して同時に若しくは時間間隔内で別個に投与され得る組み合わせ投与であって、特にこれらの時間間隔は、組み合わせ相手が協調的、例えば、相乗的効果を示すことを可能とする組み合わせ投与のいずれかを指す。単一構成成分は、キット中で又は別個に包装され得る。構成成分(例えば、粉末又は液体)の一方又は両方は、投与前に所望の用量に再構成又は希釈され得る。本明細書において利用される「同時投与」又は「組み合わせ投与」などという用語は、投与が必要とされる単一対象(例えば、患者)への選択される組み合わせ相手の投与を包含することを意味し、薬剤が必ずしも同じ投与経路により又は同時に投与されない処置レジメンを含むことが意図される。
【0117】
本明細書において使用される「医薬組み合わせ」という用語は、2つ以上の治療剤の混合又は組み合わせから生じる生成物を意味し、治療剤の固定又は非固定組み合わせの両方を含む。「固定組み合わせ」という用語は、治療剤、例えば、放射性標識ソマトスタチン結合受容体化合物及び組み合わせ相手、例えば、アルキル化剤が両方とも患者に単一実体又は投与量の形態で同時に投与されることを意味する。「非固定組み合わせ」という用語は、治療剤、例えば、放射性標識ソマトスタチン結合受容体化合物及び組み合わせ相手、例えば、アルキル化剤が両方とも患者に別個の実体として、規定の時間制限なしで同時に、併用して又は逐次的に投与されることを意味し、そのような投与は、治療効率レベルの2つの化合物を患者の体内に提供する。非固定組み合わせは、カクテル療法、例えば、3つ以上の治療剤の投与にも適用される。
【0118】
本開示の処置方法における放射性医薬化合物
本明細書において使用される場合、「放射性医薬」という用語は、典型的には金属性の放射性核種元素で標識される医薬化合物を指す。したがって、放射性医薬化合物は、放射性核種を含み、SSTR、例えば、少なくともSSTR2受容体に対する特異的結合親和性を有するSSTR結合化合物である。
【0119】
したがって、放射性標識ソマトスタチン受容体結合化合物は、放射性核種を含み、ソマトスタチン受容体に対する特異的結合親和性を有する化合物である。本開示の一部の実施形態において、少なくともSSTR2受容体に対する特異的結合親和性を有する前記放射性標識ソマトスタチン受容体結合化合物。
【0120】
本開示のこれらの及び他の実施形態において、前記放射性医薬化合物は、式
M-C-S-P(式中、
・Mは、放射性核種であり;
・Cは、前記放射性核種をキレート化し得るキレート剤であり;
・Sは、CとPとの間で共有結合的に連結している任意選択のスペーサーであり;
・Pは、例えば、そのN末端を介して、Cに直接的に又はSを介して間接的に共有結合的に連結しているソマトスタチン受容体結合ペプチドである)
の化合物である。
【0121】
このような放射性医薬化合物は、オクトレオチド、オクトレオテート、ランレオチド、バプレオチド、及びパシレオチドから選択され、好ましくは、オクトレオチド及びオクトレオテートから選択され得る。
【0122】
本開示の一部の実施形態において、放射性核種Mは、PRRTに好適な選択放射性核種同位体である。
【0123】
このような好適な放射性核種Mの例としては、限定されるものではないが、90Y、131I、121Sn、186Re、188Re、64Cu、67Cu、59Fe、89Sr、198Au、203Hg、212Pb、165Dy、103Ru、149Tb、161Tb、213Bi、166Ho、165Er、169Er、153Sm、177Lu、213Bi、223Ra、225Ac、227Ac、227Th、211At、67Cu、186Re、188Re、161Tb、175Yb、105Rh、166Dy、199Au、44Sc、149Pm、151Pm、142Pr、143Pr、76As、111Ag及び47Scが挙げられ、好ましくは、それは177Luである。
【0124】
本明細書において使用される場合、「キレート剤」という用語は、放射性核種との非共有結合を形成し、それにより安定的な放射性核種錯体を形成し得る官能基を含む有機部分を指す。本開示に関するキレート剤は、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7,10-四酢酸(DOTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ニトリロ三酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1,4,7-三酢酸(DO3A)、トリエチレンテトラミンTETA、1,4,7-トリアザシクロノナン-1,4,7-三酢酸(NOTA)であり得る。本開示の多くの実施形態において、キレート剤はDOTAである。
【0125】
このようなキレート剤は、ソマトスタチン受容体結合ペプチドに直接連結しており、又はリンカー分子を介して接続されており、好ましくは、それは直接結合している。(1つ以上の)連結結合は、細胞受容体結合有機部分(及びリンカー)と、キレート剤との間の(1つ以上の)共有又は非共有結合であり、好ましくは、(1つ以上の)結合は共有結合である。
【0126】
本明細書において使用される場合、「ソマトスタチン受容体結合ペプチド」という用語は、ソマトスタチン受容体に対する特異的結合親和性を有するペプチド性部分を指す。このようなソマトスタチン受容体結合ペプチドは、オクトレオチド、オクトレオテート、ランレオチド、バプレオチド、及びパシレオチドから選択され、好ましくは、オクトレオチド及びオクトレオテートから選択され得る。
【0127】
本開示の方法の多くの実施形態によれば、キレート剤に連結しているソマトスタチン受容体結合ペプチドは、DOTA-OC、DOTA-TOC(エドトレオチド)、DOTA-NOC、DOTA-TATE(オキソドトレオチド)、DOTA-LAN、及びDOTA-VAPから選択される。これらの実施形態の多くにおいて、ソマトスタチン受容体結合ペプチドは、DOTA-TOC又はDOTA-TATEである。多くのこのような実施形態において、ソマトスタチン受容体結合ペプチドは、DOTA-TATEである。
【0128】
一実施形態において、本開示の放射性医薬化合物は、177Lu-DOTA-TOC(177Lu-エドトレオチド)又は177Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)、より好ましくは、177Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)である。
【0129】
本開示の多くの実施形態は、前記放射性医薬化合物との組み合わせ療法を包含する。
【0130】
放射性医薬化合物は、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫の処置における使用のためのものであり、治療効率量の前記放射性医薬化合物が前記対象に投与される。
【0131】
一実施形態において、前記放射性医薬化合物は、0.925GBq(25mCi)~29.6GBq(800mCi)、好ましくは、1.48GBq(40mCi)~18.5GBq(500mCi)、好ましくは、1.85GBq(50mCi)~14.8GBq(400mCi)、より好ましくは、3.7GBq(100mCi)~11.1GBq(300mCi)の範囲の、いっそうより好ましくは、約3.7GBq(100mCi)、5.55GBq(150mCi)、7.4GBq(200mCi)又は9.25GBq(250mCi)の線量で投与される。
【0132】
別の実施形態において、使用のための放射性医薬化合物は、誘導期に処置当たり1~8回、好ましくは、処置当たり2~7回、より好ましくは、処置当たり4~6回投与される。使用のための放射性医薬化合物の投与は、2週間、又は3週間、又は4週間、又は5週間又はさらには6週間、好ましくは、3又は4週間、より好ましくは、3週間ごとの処置間隔を含み得る。
【0133】
したがって、細胞受容体結合部分及びキレート剤は、以下の分子:
DOTA-OC:[DOTA
0,D-Phe
1]オクトレオチド、
以下の式:
【化1】
により表されるDOTA-TOC:[DOTA
0,D-Phe
1,Tyr
3]オクトレオチド、エドトレオチド(INN)、
DOTA-NOC:[DOTA
0、D-Phe
1,1-Nal
3]オクトレオチド、
以下の式:
【化2】
により表されるDOTA-TATE:[DOTA
0,D-Phe
1,Tyr
3]オクトレオテート、DOTA-Tyr
3-オクトレオテート、DOTA-d-Phe-Cys-Tyr-d-Trp-Lys-Thr-Cys-Thr(シクロ2,7)、オキソドトレオチド(INN)
DOTA-LAN:[DOTA
0,D-β-Nal
1]ランレオチド、
DOTA-VAP:[DOTA
0,D-Phe
1,Tyr
3]バプレオチド、
サトレオチドトリゾキセタン
【化3】
サトレオチドテトラキセタン
【化4】
を一緒に形成し得る。
【0134】
組み合わせ療法における使用のための本開示の共通の「キレート剤に連結している細胞受容体結合部分」分子は、DOTA-TOC、DOTA-TATE、及びサトレオチドテトラキセタンであり、より好ましくは、分子はDOTA-TATEである。
【0135】
より具体的には、本開示の多くの実施形態において、本発明による、放射性核種及びキレート剤に連結している細胞受容体結合部分により形成される錯体は、
177Lu-DOTA-TATEであり、それは、ルテチウム(177Lu)オキソドトレオチド(INN)、すなわち、水素[N-{[4,7,10-トリス(カルボキシラト-κO-メチル)-1,4,7,10-テトラアザシクロドデカン-1-イル-κ
4N
1,N
4,N
7,N
10]アセチル-κO}-D-フェニルアラニル-L-システイニル-チロシル-D-トリプトフィル-L-リジル-L-トレオニル-L-システイニル-L-トレオニナトサイクリック(2→7)-ジスルフィド(4-)](177Lu)ルテタート(1-)とも称され、
以下の式:
【化5】
により表される。
【0136】
前記放射性標識ソマトスタチン受容体結合化合物は、典型的には、それが必要とされる対象における治療効率量の投与のために配合される。
【0137】
放射性標識ソマトスタチン受容体結合化合物は、100MBq/mL以上の体積放射能を提供する濃度で存在し得る。本開示の多くの実施形態において、体積放射能は250MBq/mL以上である。
【0138】
本開示の多くの実施形態において、放射性標識ソマトスタチン受容体結合化合物は、250MBq/mL~500MBq/mLを含む100MBq/mL~1000MBq/mLを含んだ体積放射能を提供する濃度で、例えば、約370MBq/mL(10mCi/mL)の濃度で存在し得る。
【0139】
薬学的に許容可能な賦形剤は、慣用的に使用されるもののいずれかであり得、物理化学的検討事項、例えば、溶解度及び(1つ以上の)活性化合物との反応性の欠落によってのみ限定される。
【0140】
特に、1つ以上の薬学的に許容可能な賦形剤は、このような薬学的に許容可能な賦形剤の多数の異なるクラスから選択され得る。このようなクラスの例としては、放射線分解に対する安定剤、緩衝液、封鎖剤及びそれらの混合物が挙げられる。
【0141】
本明細書において使用される場合、「放射線分解に対する安定剤」は、有機分子を放射線分解に対して保護する安定剤を指し、例えば、放射性核種から放出されたガンマ線が有機分子の原子間の結合を開裂しており、ラジカルが形成される場合、ラジカルが不所望な潜在的に無効又はさらには毒性の分子をもたらし得る任意の他の化学反応を受けるのを回避する安定剤によりそれらのラジカルは次いで排除される。したがって、それらの安定剤は、「フリーラジカルスカベンジャー」又は短く「ラジカルスカベンジャー」とも称される。それらの安定剤についての他の代替用語は、「放射線安定性増強剤」、「放射線分解安定剤」、又は単に「クエンチャー」である。
【0142】
本明細書において使用される場合、「封鎖剤」は、(放射性標識ペプチドと錯化されない)配合物中のフリー放射性核種金属イオンを錯化するために好適なキレート剤を指す。
【0143】
緩衝液としては、酢酸塩緩衝液、クエン酸塩緩衝液及びリン酸塩緩衝液が挙げられる。
【0144】
本開示の多くの実施形態によれば、医薬組成物は、水溶液、例えば、注射配合物である。特定の実施形態によれば、医薬組成物は、注入用溶液である。
【0145】
注射組成物のための有効な医薬担体についての要件は、当業者に周知である(例えば、Pharmaceutics and Pharmacy Practice,J.B.Lippincott Company,Philadelphia,PA,Banker and Chalmers,eds.,238-250(1982)、及びSHP Handbook on Injectable Drugs,Trissel,15th ed.,622-630(2009)参照)。
【0146】
以下の項は、本開示の組み合わせ方法における使用のための好適な医薬水溶液の種々の実施形態を指す。提供される以下の項は、非限定的である。
【0147】
82.(a)
(ai)放射性核種、及び
(aii)キレート剤に連結している細胞受容体結合有機部分
により形成される錯体;並びに
(b)放射線分解に対する少なくとも1つの安定剤
を含む医薬水溶液であって;
前記放射性核種は、それが少なくとも100MBq/mLの、好ましくは、少なくとも250MBq/mLの体積放射能を提供する濃度で存在する医薬水溶液。
【0148】
83.前記安定剤、構成成分(b)が、少なくとも0.2mg/mL、好ましくは、少なくとも0.5mg/mL、より好ましくは、少なくとも1.0mg/mL、いっそうより好ましくは、少なくとも2.7mg/mLの総濃度で存在する、実施形態82に記載の医薬水溶液。
【0149】
84.前記放射性核種が、それが100~1000MBq/mL、好ましくは、250~500MBq/mLの体積放射能を提供する濃度で存在する、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0150】
85.前記安定剤が、0.2~20.0mg/mL、好ましくは、0.5~10.0mg/mL、より好ましくは、1.0~5.0mg/mL、いっそうより好ましくは、2.7~4.1mg/mLの総濃度で存在する、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0151】
86.構成成分(b)が、放射線分解に対する1つの安定剤のみ、すなわち、第1の安定剤のみである、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0152】
87.構成成分(b)が、放射線分解に対する少なくとも2つの安定剤、すなわち、少なくとも第1及び第2の安定剤、好ましくは、2つの安定剤のみ、すなわち、第1及び第2の安定剤のみである、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0153】
88.第1の安定剤が、0.2~5mg/mL、好ましくは、0.5~5mg/mL、より好ましくは、0.5~2mg/mL、いっそうより好ましくは、0.5~1mg/mL、いっそうより好ましくは、0.5~0.7mg/mLの濃度で存在する、実施形態86~87のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0154】
89.第2の安定剤が、0.5~10mg/mL、より好ましくは、1.0~8.0mg/mL、いっそうより好ましくは、2.0~5.0mg/mL、いっそうより好ましくは、2.2~3.4mg/mLの濃度で存在する、実施形態87又は88に記載の医薬水溶液。
【0155】
90.安定剤が、ゲンチシン酸(2,5-ジヒドロキシ安息香酸)又はその塩、アスコルビン酸(L-アスコルビン酸、ビタミンC)又はその塩(例えば、アスコルビン酸ナトリウム)、メチオニン、ヒスチジン、メラトニン、エタノール、及びSe-メチオニンから選択され、好ましくは、ゲンチシン酸又はその塩及びアスコルビン酸又はその塩から選択される、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0156】
97.エタノールを有さない、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0157】
98.第1の安定剤が、ゲンチシン酸及びアスコルビン酸から選択され、好ましくは、第1の安定剤が、ゲンチシン酸である、実施形態86~90のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0158】
99.第2の安定剤が、ゲンチシン酸及びアスコルビン酸から選択され、好ましくは、第2の安定剤が、アスコルビン酸である、実施形態87~91のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0159】
100.第1の安定剤が、ゲンチシン酸又はその塩であり、第2の安定剤が、アスコルビン酸又はその塩であり、第1の安定剤の濃度(mg/mL)と第2の安定剤の濃度(mg/mL)との比は、1:3~1:7、好ましくは、1:4~1:5である、実施形態87~89のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0160】
101.放射性核種が、90Y、131I、121Sn、186Re、188Re、64Cu、67Cu、59Fe、89Sr、198Au、203Hg、212Pb、165Dy、103Ru、149Tb、161Tb、213Bi、166Ho、165Er、169Er、153Sm、177Lu、213Bi、223Ra、225Ac、227Ac、227Th、211At、67Cu、186Re、188Re、161Tb、175Yb、105Rh、166Dy、199Au、44Sc、149Pm、151Pm、142Pr、143Pr、76As、111Ag及び47Scから選択され、好ましくは、177Luである、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0161】
102.細胞受容体結合部分が、ソマトスタチン受容体結合ペプチドであり、好ましくは、前記ソマトスタチン受容体結合ペプチドが、オクトレオチド、オクトレオテート、ランレオチド、バプレオチド及びパシレオチドから選択され、好ましくは、オクトレオチド及びオクトレオテートから選択される、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0162】
103.キレート剤が、DOTA、DTPA、NTA、EDTA、DO3A、TETA及びNOTAから選択され、好ましくは、DOTAである、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0163】
104.細胞受容体結合部分及びキレート剤が、DOTA-OC、DOTA-TOC(エドトレオチド)、DOTA-NOC、DOTA-TATE(オキソドトレオチド)、DOTA-LAN、及びDOTA-VAPから選択され、好ましくは、DOTA-TOC及びDOTA-TATEから選択される分子を一緒に形成し、より好ましくは、DOTA-TATEである、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0164】
105.放射性核種、細胞受容体結合部分及びキレート剤が、錯体177Lu-DOTA-TOC(177Lu-エドトレオチド)又は177Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)、好ましくは、177Lu-DOTA-TATEを一緒に形成する、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0165】
106.緩衝液をさらに含み、好ましくは、前記緩衝液は、好ましくは、0.3~0.7mg/mL(好ましくは、約0.48mg/mL)の酢酸及び0.4~0.9mg/mL(好ましくは、約0.66mg/mL)の酢酸ナトリウムの濃度をもたらす量の酢酸塩緩衝液である、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0166】
107.封鎖剤をさらに含み、好ましくは、前記封鎖剤は、好ましくは、0.01~0.10mg/mL(好ましくは、約0.05mg/mL)の濃度をもたらす量のジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はその塩である、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0167】
108.≦25℃で少なくとも24時間(h)、≦25℃で少なくとも48h、≦25℃で少なくとも72h、≦25℃で24h~120hの、≦25℃で24h~96h、≦25℃での24h~84h、≦25℃で24h~72hの有効期間を有し、特に、≦25℃で72hの有効期間を有する、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0168】
109.商業的規模製造で生産され、特に、少なくとも20GBq、少なくとも50GBq、又は少なくとも70GBqのバッチサイズで生産される、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0169】
110.使用準備済みである、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0170】
111.商業的使用のためのものである、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0171】
112.(a)
(ai)250~500MBq/mLの体積放射能を提供する濃度で存在する放射性核種177-ルテチウム(177Lu)、及び
(aii)キレート剤連結ソマトスタチン受容体結合有機部分DOTA-TATE(オキソドトレオチド)又はDOTA-TOC(エドトレオチド)
により形成される錯体;
(bi)0.5~1mg/mLの濃度で存在する、放射線分解に対する第1の安定剤としてのゲンチシン酸又はその塩;
(bii)2.0~5.0mg/mLの濃度で存在する、放射線分解に対する第2の安定剤としてのアスコルビン酸又はその塩
を含む医薬水溶液。
【0172】
113.(c)0.01~0.10mg/mLの濃度のジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はその塩
をさらに含む、実施形態109に記載の医薬水溶液。
【0173】
114.(d)0.3~0.7mg/mLの濃度の酢酸及び0.4~0.9mg/mLの濃度の酢酸ナトリウム
をさらに含む、実施形態109又は110に記載の医薬水溶液。
【0174】
115.安定剤が、構成成分(ai)及び(aii)の錯体形成の間に溶液中に存在する、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0175】
116.第1の安定剤のみが、構成成分(ai)及び(aii)の錯体形成の間、好ましくは、最終溶液中で0.5~5mg/mL、より好ましくは、0.5~2mg/mL、いっそうより好ましくは、0.5~1mg/mL、いっそうより好ましくは、0.5~0.7mg/mLの濃度をもたらす量で存在する、実施形態86~115のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0176】
117.第2の安定剤の量の一部が、構成成分(ai)及び(aii)の錯体形成の間、溶液中に既に存在し、第2の安定剤の量の別の一部が、構成成分(ai)及び(aii)の錯体形成後に添加される、実施形態86~116のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0177】
118.第2の安定剤が、構成成分(ai)及び(aii)の錯体形成後に添加される、実施形態86~117のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0178】
119.第2の安定剤が、構成成分(ai)及び(aii)の錯体形成後に好ましくは、最終溶液中で0.5~10mg/mL、より好ましくは、1.0~8.0mg/mL、いっそうより好ましくは、2.0~5.0mg/mL、いっそうより好ましくは、2.2~3.4mg/mLの濃度をもたらす量で添加される、実施形態87~118のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0179】
120.あらゆる未錯化Luを除去するため、構成成分(ai)及び(aii)の錯体形成後に添加される封鎖剤をさらに含み、好ましくは、前記封鎖剤は、好ましくは、最終溶液中で0.01~0.10mg/mL(好ましくは、約0.05mg/mL)の濃度をもたらす量のジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)又はその塩である、上記実施形態のいずれか1つに記載の医薬水溶液。
【0180】
177Lu-DOTA-TATE又は177Lu-DOTA-TOCの注入用溶液、例えば、370MBq/mL(±5%)の比放射能濃度を有するものが、本開示の組み合わせ方法において使用されることが多い。
【0181】
上記実施形態のいずれか1つに定義される医薬水溶液を製造する特定の方法は、以下の方法ステップ:
(1)
(1.1)放射性核種を含む水溶液を調製するステップ;
(1.2)キレート剤連結細胞受容体結合有機部分、第1の安定剤、任意選択で第2の安定剤を含む水溶液を調製するステップ;及び
(1.3)ステップ(1.1)及び(1.2)において得られた溶液を混合し、得られた混合物を加熱するステップ;
により、放射性核種及びキレート剤連結細胞受容体結合有機部分の錯体を形成するステップ:
(2)
(2.1)任意選択で第2の安定剤を含む水性希釈溶液を調製するステップ;及び
(2.2.)ステップ(1)により得られた錯体溶液を、ステップ(2.1)により得られた希釈溶液と混合するステップ
により、ステップ(1)により得られた錯体溶液を希釈するステップ
を含み得る。
【0182】
組み合わせ療法における使用される放射線療法
一実施形態において、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法は、効率線量の電離放射線で対象を放射線照射するステップ、すなわち、放射線療法を含む。
【0183】
本明細書において使用される場合、「放射線療法」という用語は、電離放射線に対応する放射線照射での腫瘍性の疾患の処置について使用される。電離放射線は、処置されている区域(標的組織)中の細胞をその遺伝子材料の損傷により損傷させ、又は破壊するエネルギーを堆積させ、それらの細胞が成長し続けることを不可能にする。
【0184】
具体的な実施形態において、本開示の方法は、処置されるべき腫瘍を効率線量の電離放射線に曝露することを含み、前記電離放射線は、光子、例えば、X線である。光線は、それが有するエネルギーの量に応じて、身体の表面上又は体内のより深部の癌細胞を破壊するために使用され得る。X線ビームのエネルギーが高ければ高いほど、X線は標的組織中により深く進入し得る。線形加速器及びベータトロンは、ますます大きなエネルギーのX線を生成する。放射線(例えば、X線)を癌部位上で集束させるための機械の使用は、外照射療法と呼ばれる。
【0185】
本開示による処置の方法の代替的な実施形態において、ガンマ線が使用される。ガンマ線は、ある元素(例えば、ラジウム、ウラン、及びコバルト60)が、それらの分解、又は崩壊時に放射線を放出するにつれて自然生成される。
【0186】
電離放射線は、典型的には、2keV~25000keV、特に、2keV~6000keV(すなわち、6MeV)又は2keV~1500keV(例えば、コバルト60源)である。
【0187】
放射線療法分野の当業者は、疾患の性質及び患者の構成に応じて適切な施与及び適用スケジュールをどのように決定するかを把握している。特に、当業者は、用量制限毒性(DLT)をどのように評価するか及びそれに応じて最大耐量(MTD)をどのように決定するかを把握している。
【0188】
放射線療法において使用される放射線の量はグレイ(Gy)で測定され、処置されている癌のタイプ及びステージに応じて変動する。治癒症例については、固形腫瘍のための典型的な総線量は、20~120Gyの範囲である。患者が化学療法を受けているか否か、患者の合併症、放射線療法が術前又は術後に施与されているか否か、及び手術の成功の程度を含む多くの他の因子が、線量選択時に放射線腫瘍医により検討される。
【0189】
総線量は、典型的には分割される(経時的に広がる)。量及びスケジュール(電離放射線、分割線量、分割送達スキーム、総線量単独又は他の抗癌剤との組み合わせなどの計画及び送達)は、任意の疾患/解剖学的部位/病期患者設定/年齢について定義され、任意の具体的な状況のためのスタンダードオブケアを構成する。
【0190】
本開示の方法についての成人のための典型的な慣用の分割スケジュールは、4~8週間、好ましくは、6週間の期間中、週3~7日間、好ましくは、約5日間の期間中、1日当たり1~4Gy、好ましくは、約2Gy/日であり得る。具体的な実施形態において、前記放射線療法は、対象を50~70Gy、例えば、60Gyの総線量の電離放射線に曝露することからなる。
【0191】
他の具体的な実施形態において、対象は、約2~12Gyの分割当たりの線量の電離放射線に曝露され、総線量は、好ましくは、最大6分割で投与される。換言すると、前記放射線療法は、6週間連続で、5日間連続で実施され、次いで2日間休止される。
【0192】
対象が膠芽腫を罹患している具体的な実施形態において、本明細書に開示される方法の適用される放射線療法は、全脳放射線療法(WBRT)である。
【0193】
組み合わせ療法において使用されるアルキル化剤
膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法は、任意選択で、放射性医薬化合物を、放射線療法との、及び治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで前記対象に投与するステップを含む。
【0194】
アルキル化剤は、
- ナイトロジェンマスタード:例えば、メクロレタミン(ナイトロジェンマスタード)、クロラムブシル、シクロホスファミド(Cytoxan(登録商標))、イホスファミド、及びメルファラン;
- ニトロソウレア:例えば、ストレプトゾシン、カルムスチン(BCNU)、及びロムスチン;
- スルホン酸アルキル:ブスルファン;
- トリアジン:ダカルバジン(DTIC)及びテモゾロミド(Temodar(登録商標));及び
- エチレンイミン:チオテパ及びアルトレタミン(ヘキサメチルメラミン)
を含む異なるクラスに分類される。
【0195】
本明細書において使用される場合、「テモゾロミド」は、トリアジンのアルキル化剤、より具体的には式3,4-ジヒドロ-3-メチル-4-オキソイミダゾ[5,1-d][1,2,3,5]テトラジン-8-カルボキサミドの化合物及びその薬学的に許容可能な塩(85622-93-1のCAS番号)を指す。アルキル化剤はDNA(各細胞中の遺伝子材料)を直接損傷させて細胞の増殖を妨げる。これらの薬物は細胞周期の全ての期において機能し、膠芽腫、白血病、リンパ腫、ホジキン病、多発性骨髄腫、及び肉腫、並びに肺、乳房、及び卵巣の癌を含む多くの異なる癌を処置するために使用される。
【0196】
一実施形態において、前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドは、誘導期に4~8週間、好ましくは、6週間の期間、各日50~100mg/m2/日、好ましくは、約75mg/m2/日の用量で投与される。
【0197】
本明細書において使用される場合、「誘導期」は、前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドが対象に最初に投与される期間を指し、この期間は、最長11週間、例えば、1週目1日目から11週目7日目の終了までの持続期間を有する。
【0198】
一実施形態において、放射線療法及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドの両方は、同日に開始される。ある態様において、アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドは、放射線療法と中断なしで併用投与される。
【0199】
ある実施形態において、前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドは、放射線療法との併用投与の間、例えば、6週間の期間、第1の用量で毎日投与され、放射線療法との併用投与に続く維持期の間、例えば、最長24週間の期間、第2の用量で投与され、前記第2の用量は、第1の用量放射性医薬化合物の少なくとも2倍である。
【0200】
本明細書において使用される場合、「維持期」は、誘導期又は放射線療法との併用投与後、例えば、12週目1日目に開始する期間を指し、持続期間は最長25週間であり、誘導期における用量と比較して用量が増加される。具体的な実施形態において、この維持期において、前記アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドは、20~28週間、好ましくは、24週間の期間、28日ごとに5日間連続で各日50~400mg/m2/日、好ましくは、75~300mg/m2/日、より好ましくは、150~200mg/m2/日の用量で投与され、次いで2日間休薬される。
【0201】
一実施形態において、アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドは、経口投与のために配合される。
【0202】
組み合わせ療法
具体的な実施形態において、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法は、前記対象に効率量の放射性医薬化合物、好ましくは、[177Lu]Lu-DOTA-TATE(177Lu-オキソドトレオチド)を投与することを含む。
【0203】
別の実施形態において、本開示は、膠芽腫の処置が必要とされる対象に効率量の放射性医薬化合物を、効率線量の電離放射線で対象を放射線照射するステップとの、及び任意選択で、治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで投与することを含む、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫を処置する方法を対象とする。
【0204】
したがって、本開示は、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫の処置における使用のための放射性医薬化合物であって、治療効率量の前記放射性医薬化合物が前記対象に放射線療法との、及び任意選択で、治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで、それらと同時に、別個に又は逐次的に投与される放射性医薬化合物に関する。
【0205】
本開示はまた、膠芽腫の処置が必要とされる対象における膠芽腫の処置における使用のための薬物の調製における放射性医薬化合物の使用であって、治療効率量の前記放射性医薬化合物が前記対象に放射線療法との、及び任意選択で、治療効率量のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで、それらと同時に、別個に又は逐次的に投与される使用に関する。
【0206】
本開示の種々の実施形態において、組み合わせ療法は、(i)それが必要とされる対象に、放射性医薬化合物を含む治療効率量の医薬組成物を投与すること;及び(ii)効率線量の電離放射線で対象を放射線照射すること、及び任意選択で、(iii)それが必要とされる対象にアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドを含む治療効率量の医薬組成物を投与することを合わせて含む。
【0207】
本明細書において使用される場合、「合わせて」という用語は、治療剤が(時間的にずらした様式で、特に順序特異的様式で)、(好ましくは、相乗的)相互作用(すなわち、共同的治療効果)を示すような時間間隔で別個に与えられ得ることを意味する。
【0208】
本開示の種々の実施形態において、放射性医薬化合物(例えば、[177Lu]Lu-DOTA-TATE)及び放射線療法が独立して同時に又は時間間隔内で別個に投与される組み合わせ投与であって、特にそれらの時間間隔は、組み合わせ相手が協調的、例えば、相乗的効果を示すことを可能とする組み合わせ投与。
【0209】
一実施形態において、放射性医薬化合物は、放射線療法の開始の1~20日前、好ましくは、3~15日前、より好ましくは、7~10日前に最初に投与される。
【0210】
放射性医薬化合物の投与は、2週間、又は3週間、又は4週間、又は5週間又はさらには6週間、好ましくは、3又は4週間、より好ましくは、3週間ごとの処置間隔を含み得る。
【0211】
有利には、放射性医薬化合物及び放射線療法の治療法の組み合わせ効果は、全奏効率を単独放射線療法と比較して少なくとも10%、20%、30%、40%、又は少なくとも50%まで増加させる。
【0212】
単一構成成分又はそれらの前駆体、典型的には、非標識DOTATEは、キット中で又は別個に包装され得る。構成成分(例えば、粉末又は液体)の一方又は両方は、投与前に所望の用量に再構成又は希釈され得る。
【0213】
ある態様において、前記処置に適格な対象への放射性医薬化合物を含む組成物の投与は、対象における腫瘍成長を阻害し、遅延させ、及び/又は低減させ得る。ある態様において、腫瘍の成長は、非処置対照対象と比較して少なくとも30%、40%、50%又は60%だけ遅延される。ある態様において、腫瘍の成長は、非処置対照対象と比較して少なくとも60%だけ遅延される。ある態様において、腫瘍の成長は、処置なしの腫瘍の予測成長と比較して少なくとも30%、40%、50%又は6%だけ遅延される。ある態様において、腫瘍の成長は、処置なしの腫瘍の予測成長と比較して少なくとも60%だけ遅延される。
【0214】
ある態様において、前記処置に適格な対象への放射性医薬組成物を含む組成物の投与は、対象の生存期間の長さを増加させ得る。ある態様において、生存期間の増加は、非処置対照対象と比較したものである。ある態様において、生存期間の増加は、処置なしの対象の予測される生存期間の長さと比較したものである。ある態様において、生存期間の長さは、非処置対照対象と比較して少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍又は1.4倍の長さだけ増加される。ある態様において、生存期間の長さは、非処置対照対象と比較して少なくとも1.2倍の長さだけ増加される。ある態様において、生存期間の長さは、処置なしの対象の予測される生存期間の長さと比較して少なくとも1.1倍、1.2倍、1.3倍又は1.4倍の長さだけ増加される。ある態様において、生存期間の長さは、処置なしの対象の予測される生存期間の長さと比較して少なくとも1.2倍の長さだけ増加される。ある態様において、生存期間の長さは、非処置対照対象と比較して少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、5か月、又は6か月だけ増加される。ある態様において、生存期間の長さは、非処置対照対象と比較して少なくとも3か月、又は4か月だけ増加される。ある態様において、生存期間の長さは、処置なしの対象の予測される生存期間の長さと比較して少なくとも1か月、2か月、3か月、4か月、又は6か月だけ増加される。ある態様において、生存期間の長さは、処置なしの対象の予測される生存期間の長さと比較して少なくとも3か月、又は4か月だけ増加される。
【0215】
組み合わせ処置のための対象を選択する方法
本開示のある実施形態において、前記膠芽腫は、SSTR陽性疾患である。一実施形態において、対象は、Mが、イメージングに好適な放射性金属である以外、処置について定義されるものと同じ放射性医薬化合物、すなわち、イメージング放射性医薬化合物でのSPECT/CT又はPET/CT又はSPECT/MRI、PET/MRIイメージングによる処置のために選択される。イメージングにおける造影剤として使用に好適な典型的な放射性金属としては、以下:111In、133mIn、99mTc、94mTc、67Ga、66Ga、68Ga、52Fe、72As、97Ru、203Pb、62Cu、64Cu、61Cu 177Lu、86Y、51Cr、52mMn、157Gd、169Yb、172Tm、117mSn、123I、124I、125I、18F、Al18F、152Tb、155Tb、82Rb、89Zr、43Sc、44Scが挙げられる。
【0216】
好ましい実施形態によれば、イメージングに好適な放射性金属は、67Ga、68Ga又は64Cu、好ましくは、68Gaである。
【0217】
一実施形態において、対象は、腫瘍領域、例えば、全脳におけるPET/CT又はPET/MRIスキャンにより[68Ga]Ga-DOTA-TATEの取り込みを評価することにより選択される。
【0218】
したがって、本開示はまた、膠芽腫を有するヒト患者が組み合わせ療法のために選択され得るか否かを決定する方法であって、
(i)前記放射性医薬化合物の取り込みをイメージングするための造影剤として効率量のイメージング放射性医薬化合物を投与するステップ、
(ii)前記患者のPET/MRI又はPET/CTにより画像を取得するステップ、及び
(iii)対照画像と比較するステップ
を含む方法に関する。
【0219】
上記方法の目的は、SSTR陽性腫瘍を有する、すなわち、本開示の放射性医薬化合物での処置に対する良好なレスポンダーである患者を選択することである。SSTR陽性腫瘍は、有利には、造影剤としてのイメージング放射性医薬化合物の注射後にPET/MRI又はPET/CTイメージングにより前記イメージング放射性医薬化合物の取り込みを評価することにより検出され得る。
【0220】
本明細書において使用される場合、良好なレスポンダーは、ランダム化患者集団(すなわち、本方法の選択ステップにより選択されなかった)と比較して処置に対する統計的に良好な応答を示し、且つ/又はランダム化患者集団(すなわち、本方法の選択ステップにより選択されなかった)と比較して処置に対して少ない副作用を示す患者集団から選択される患者である。
【0221】
ある態様において、[68Ga]Ga-DOTA-TATEは、NETSPOT(登録商標)(ガリウムGa68 dotatate(USAN))と呼ばれるキット中で提供される。このキットは、アメリカ合衆国(USA)(2016年)、カナダ(2019年)及びスイス(2019年)で以下の適応症で承認された[68Ga]Ga-DOTA-TATEの放射性医薬製剤用であり:(68Ga)で放射性標識した後、SSTR陽性神経内分泌腫瘍(NET)の局在化のためのPETでの使用に処方される放射性診断剤(NETSPOT(登録商標)PI)である。
【0222】
一実施形態において、対象の選択は、放射性医薬化合物の1回目投与の10~18日前、好ましくは、約14日前に実施される。
【0223】
ある実施形態において、前記イメージング放射性医薬は、1.5MBq/kg(0.040mCi/kg)~2.5MBq/kg(0.067mCi/kg)、好ましくは、約2MBq/kg体重(0.054mCi/kg)の線量で、100MBq(2.7mCi)の最小線量及び200MBq(5.4mCi)の最大線量で、典型的には静脈内注射、好ましくは、緩徐静脈内注射により投与される。
【0224】
次いで、対象の身体の画像がPET/MRI又はPET/CTイメージングにより取得され、画像は対照画像と比較されて慣用のイメージングにより、例えば、MRI、CT、SPECT又はPETにより同定される病変が、前記イメージング放射性医薬化合物の取り込み、すなわち[68Ga]Ga-DOTA-TATEの取り込みによっても同定されるか否かが同定される。典型的には、PET/MRI又はPET/CTイメージングは、対象への前記イメージング放射性医薬化合物の静脈内投与の30~120分後、好ましくは、60~90分後に実施される。
【0225】
本方法の具体的な実施形態において、対象は、本開示の組み合わせ療法のために選択され、以下の条件を満たす:前記対象における慣用のイメージングにより、例えば、MRI、CT、SPECT又はPETにより検出される病変の少なくとも10%、好ましくは、20%超、好ましくは、30%超、好ましくは、40%超、好ましくは、50%超、好ましくは、60%超、好ましくは、70%超、好ましくは、80%超が、前記対象におけるPET/MRI又はPET/CTイメージングにより決定されるイメージング放射性医薬化合物の取り込み、例えば、[68Ga]Ga-DOTA-TATEの取り込みによっても同定される。
【0226】
具体的な実施形態において、「病変」という用語は、Ellingson BM,Wen PY,Cloughesy TF.Modified Criteria for Radiographic Response Assessment in Glioblastoma Clinical Trials.Neurotherapeutics.2017 Apr;14(2):307-320.doi:10.1007/s13311-016-0507-6.PMID:28108885;PMCID:PMC5398984に定義される修正RANO基準に従う測定可能な腫瘍病変を指す。
【0227】
ある態様において、前記対象は、膠芽腫と新たに診断され、又は再発性膠芽腫に罹患する。
【0228】
別の実施形態において、対象は、そのメチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)プロモーターメチル化状態を評価することによりさらに選択される。典型的には、アルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドを受ける対象は、正のMGMTプロモーター状態を有する対象から選択される。
【0229】
腫瘍中のMGMTプロモーターにおけるメチル化を保有する患者は、大部分がアルキル化剤、例えば、テモゾロミドから利益を受ける者である。ある態様において、メチル化MGMTプロモーターを有するこの患者群において、本開示の放射性医薬化合物は、併用放射線療法及びアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせで評価され、次いで、維持のアルキル化剤、好ましくは、テモゾロミドとの組み合わせの放射性医薬化合物が評価され得る。
【実施例】
【0230】
実施例1:膠芽腫対象を処置するための臨床試験
新たに診断された膠芽腫におけるテモゾロミドあり又はなしの放射線療法との組み合わせの、及び再発性膠芽腫における単剤としての[177Lu]Lu-DOTA-TATEの安全性及び活性を評価するプロスペクティブ第Ib相用量探索試験を説明するプロトコル実施例が本明細書に提供される。
【0231】
【0232】
【0233】
【0234】
【0235】
【0236】
【0237】
【0238】
【0239】
【0240】
【0241】
【0242】
【0243】
【0244】
各参加者についての試験は、スクリーニング期間、処置期間及び12か月のフォローアップ期間からなる。
【0245】
新たに診断された膠芽腫を有する適格参加者は、MGMTプロモーターメチル化状態に応じて群1又は群2に割り当てられる:
・群1:併用放射線療法及びテモゾロミドとの組み合わせの[177Lu]Lu-DOTA-TATEとそれに続く維持における[177Lu]Lu-DOTA-TATE及びテモゾロミドで処置される、メチル化O-6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)プロモーターを有する新たに診断された膠芽腫の参加者。
・群2:放射線療法との組み合わせの[177Lu]Lu-DOTA-TATEとそれに続く[177Lu]Lu-DOTA-TATE単独で処置される、非メチル化MGMTプロモーターを有する新たに診断された膠芽腫の参加者。
【0246】
再発性膠芽腫を有する適格参加者は群3に割り当てられ、単剤処置としての[177Lu]Lu-DOTA-TATEを受ける。
【0247】
【0248】
3つの群の臨床試験デザインは、以下に表される:
【0249】
【0250】
【0251】
【国際調査報告】