(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】フィーダー細胞としておよび合成抗原提示細胞としてのヒドロゲル粒子
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20241024BHJP
C12N 5/0783 20100101ALN20241024BHJP
C12N 5/0735 20100101ALN20241024BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12N5/0783
C12N5/0735
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524632
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-27
(86)【国際出願番号】 US2022048283
(87)【国際公開番号】W WO2023076629
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517277498
【氏名又は名称】スリングショット バイオサイエンシーズ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】グエン, アン トゥアン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジェフリー
(72)【発明者】
【氏名】アン, クンホ
【テーマコード(参考)】
4B029
4B065
【Fターム(参考)】
4B029AA21
4B029AA27
4B029BB11
4B029CC13
4B065AA89X
4B065AC20
4B065BC46
4B065BC50
4B065BD39
4B065BD50
4B065CA44
(57)【要約】
本開示は、培養中の標的細胞の成長、増殖、および/または活性化を支持するように機能し得るフィーダーヒドロゲル粒子を提供する。本開示はまた、標的細胞をフィーダーヒドロゲル粒子とともに培養する方法も提供する。上記ヒドロゲル粒子は、標的細胞の増殖を刺激する1種または複数種のサイトカインまたはその断片を含み得る。上記標的細胞は、幹細胞またはリンパ球であり得、リンパ球は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、またはその両方であり得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
標的細胞の細胞成長を支持すること、細胞増殖を増加させること、または活性化を増加させることのうちの少なくとも1つを支持する1種または複数種の分子
を含む、ヒドロゲル粒子。
【請求項2】
前記1種または複数種の分子が、インターロイキン、腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバー、またはその両方を含む、請求項1に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項3】
前記標的細胞が幹細胞またはリンパ球である、請求項2に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項4】
前記リンパ球がT細胞またはナチュラルキラー細胞である、請求項3に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項5】
前記1種または複数種の分子が、IL-2、IL-15、IL-21、CD137、CD137L、またはそれらの組合せを含む、請求項1に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項6】
モノマーを含むマトリックスをさらに含む、請求項1に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項7】
前記モノマーが、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、プロピレングリコールメタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、グリコールメタクリレート、エチレングリコール、フマル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート、ヒドロキシジエトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシジエトキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メトキシ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、グリセロールメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2-フェニルエチルアクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、2,3-ジブロモプロピルアクリレート、2,3-ジブロモプロピルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、4-メトキシベンジルアクリレート、4-メトキシベンジルメタクリレート、2-ベンジルオキシエチルアクリレート、2-ベンジルオキシエチルメタクリレート、4-クロロフェノキシエチルアクリレート、4-クロロフェノキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエトキシエチルアクリレート、2-フェノキシエトキシエチルメタクリレート、N-フェニルアクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-ベンジルメタクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、N,N-ジベンジルメタクリルアミド、N-ジフェニルメチルアクリルアミドN-(4-メチルフェニル)メチルアクリルアミド、N-1-ナフチルアクリルアミド、N-4-ニトロフェニルアクリルアミド、N-(2-フェニルエチル)アクリルアミド、N-トリフェニルメチルアクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N,N-メチルフェニルアクリルアミド、N,N-フェニルフェニルエチルアクリルアミド、N-ジフェニルメチルメタクリルアミド、N-(4-メチルフェニル)メチルメタクリルアミド、N-1-ナフチルメタクリルアミド、N-4-ニトロフェニルメタクリルアミド、N-(2-フェニルエチル)メタクリルアミド、N-トリフェニルメチルメタクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N,N-メチルフェニルメタクリルアミド、N,N’-フェニルフェニルエチルメタクリルアミド、N-ビニルカルバゾール、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、またはそれらの組合せである、請求項6に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項8】
前記モノマーが生分解性である、請求項6に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項9】
前記生分解性モノマーが、単糖、二糖、多糖、ペプチド、タンパク質、またはタンパク質ドメインである、請求項8に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項10】
前記生分解性モノマーが、タンパク質、少なくとも1種の非天然アミノ酸を含むタンパク質ドメイン、プロテオグリカン、細胞外マトリックス構成要素、デコリン、バイグリカン、テスティカン、ビクニン、フィブロモジュリン、ルミカン、コラーゲン、エラスチン、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、それらのドメイン、またはそれらの組合せである、請求項8に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項11】
前記生分解性モノマーが構造多糖である、請求項8に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項12】
前記生分解性モノマーが、寒天、アガロース、アルギン酸、アルグロン酸、アルファグルカン、アミロペクチン、アミロース、アラビノキシラン、ベータ-グルカン、カロース、カプスラン、カラギーナン多糖、セロデキストリン、セルリン、セルロース、キチン、キトサン、クリソラミナリン、カードラン、シクロデキストリン、アルファ-シクロデキストリン、デキストリン、デキストラン、フィコール、フルクタン、フコイダン、ガラクトグルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトサミノガラクタン、ジェランガム、グルカン、グルコマンナン、グルクロノキシラン、グリコカリックス、グリコーゲン、ヘミセルロース、ホモ多糖、ヒプロメロース、イコデキストリン、イヌリン、ケフィラン、ラミナリン、レンチナン、レバン多糖、リケニン、マンナン、混合結合グルカン、パラミロン、ペクチン酸、ペクチン、ペンタスターチ、フィトグリコーゲン、プルーラン、ポリデキストロース、多糖ペプチド、ポルフィラン、プルラン、シゾフィラン、シニストリン、シゾフィラン(sizofiran)、ウェランガム、キサンタンガム、キシラン、キシログルカン、ザイモサン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸-グリコール酸、およびコポリマー、またはそれらの組合せである、請求項8に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項13】
前記モノマーが官能化されている、請求項6に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項14】
前記モノマーが、アクリレートまたはアクリルアミドで官能化されている、請求項13に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項15】
前記モノマーが二官能性である、請求項6に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項16】
前記ヒドロゲル粒子が、少なくとも1つの表面上で官能化されている、請求項6に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項17】
分解性マトリックスをさらに含む、請求項1に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項18】
前記分解性マトリックスが、化学的、機械的、またはその両方で分解するように構成されている、請求項17に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項19】
前記1種または複数種の分子が、分解性マトリックス内に包埋または封入されている、請求項17に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項20】
前記分解性マトリックスが、少なくとも1つのジスルフィド架橋を含む、請求項17に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項21】
複数の層をさらに含み、各層が分解性であり異なる分解速度を有する、請求項1に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項22】
前記複数の層のそれぞれが、同じ種類の前記1種または複数種の分子を含む、請求項21に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項23】
前記複数の層のそれぞれが、異なる種類の前記1種または複数種の分子を含む、請求項21に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項24】
磁性材料で構成されるか、磁性材料が内部に包埋もしくは封入されているか、またはその両方であるマトリックスをさらに含み、その結果、前記マトリックスが、磁石によって導入される磁場または磁場勾配によって誘引されるかまたは反発することが可能である、請求項1に記載のヒドロゲル粒子。
【請求項25】
培養中の標的細胞の細胞成長を支持すること、細胞増殖を増加させること、または活性化を増加させることのうちの少なくとも1つの方法であって、標的細胞を請求項1に記載のヒドロゲル粒子とともに培養することを含む、方法。
【請求項26】
複数の標的細胞のうちの少なくとも1つの細胞成長を支持すること、細胞増殖を増加させること、または活性化を増加させることのうちの少なくとも1つを支持する1種または複数種の分子を含む第1のヒドロゲル粒子、および
前記複数の標的細胞のうちの少なくとも1つの細胞成長を支持すること、細胞増殖を増加させること、または活性化を増加させることのうちの少なくとも1つを支持する1種または複数種の分子を含む第2のヒドロゲル粒子
を含むキット。
【請求項27】
前記複数の標的細胞を含む培養物をさらに含む、請求項26に記載のキット。
【請求項28】
前記第1のヒドロゲル粒子の前記1種または複数種の分子、および前記第2のヒドロゲル粒子の前記1種または複数種の分子が、異なる種類の分子である、請求項26に記載のキット。
【請求項29】
前記第1のヒドロゲル粒子によって支持される複数の標的細胞のうちの少なくとも1つが、前記第2のヒドロゲル粒子によって支持される複数の標的細胞のうちの少なくとも1つとは異なる種類の細胞である、請求項28に記載のキット。
【請求項30】
前記第1および第2のヒドロゲル粒子が分解性であり、異なる分解速度を有する、請求項26に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年10月29日に出願された米国仮特許出願第63/273,741号、2022年3月15日に出願された米国仮特許出願第63/320,009号、2021年11月1日に出願された米国仮特許出願第63/274,316号、および2022年3月15日に出願された米国仮特許出願第63/320,016号に基づく利益を請求するものであり、これら仮出願のそれぞれは、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
開示の分野
本開示は、フィーダー細胞としてのヒドロゲル粒子、官能化されたヒドロゲル粒子などのうちの1つまたは複数に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
増殖が停止されたフィーダー細胞の培養物は、細胞増殖を、特に低密度接種物を使用して促進するために長年使用されてきた。フィーダー細胞は、標的細胞とともにインキュベートされ、細胞外分泌物を提供して、標的細胞が増殖するのを助ける。これは、1つの細胞型である標的細胞のみが増殖可能であることから、共培養系とは異なる。
【0004】
しかし、フィーダー細胞の起源は、in vitroでの使用のみでは重要ではないかもしれないが、臨床的使用が意図される場合、フィーダー細胞には安全性の問題が関係してくる。例えば、3T3マウス線維芽細胞のような動物性フィーダー細胞の使用には、動物性フィーダー、マトリックス、または馴化培地から動物病原体が培養物に交差移入して、その後の臨床適用を損なうリスクがある。さらに、マウスフィーダー層は、非ヒト性シアル酸であるN-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)を発現する。ヒト細胞はNeu5AcからNeu5Gcを産生することはできないが、動物性フィーダー層から、または培地からNeu5Gcを取り込むことはでき、ほとんどの健康なヒトに存在するNeu5Gcに対する循環抗体によって媒介される免疫応答をもたらす。異種性フィーダー細胞もまた、標的細胞を培養フラスコから消化させる場合にフィーダー細胞が表面から剥離するため、混入のリスクがある。フィーダー細胞の混入は、標的細胞が臨床目的に使用される場合には深刻な問題を引き起こすおそれがある。
【0005】
Tリンパ球(T細胞)のプライミングおよび増大を含む免疫療法は、がんおよび感染症の処置のための有望な処置である。現在、研究では、自己樹状細胞(DC)、ウイルス感染B細胞、および/またはクローニングされて増大T細胞が注入された同種フィーダー細胞上での、in vitroで刺激されたT細胞の養子移入が使用されている。しかし、これらの使用は、数十億個ものT細胞を必要とし、T細胞を他の細胞型と共培養することは、増大されたT細胞が患者に投与される場合に望ましくない免疫反応またはウイルスの導入を誘発する可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
要旨
本開示は、培養中の標的細胞の維持および/または増殖を刺激する合成フィーダー細胞として機能するヒドロゲル粒子を提供する。本開示の一部の態様では、ヒドロゲル粒子は、標的細胞の増殖を刺激する1種または複数種のサイトカインまたはその断片を含む。
【0007】
一部の態様では、本開示は、例えば、
図2のフィーダーヒドロゲル粒子を提供する。
【0008】
一部の態様では、本開示は、培養中の標的細胞の細胞成長を支持するかまたは細胞増殖および/もしくは活性化を増加させる方法であって、標的細胞を、細胞成長を支持するかまたは標的細胞の増殖および/もしくは活性化を増加させる1種または複数種の分子を含む1種または複数種のフィーダーヒドロゲル粒子とともに培養することを含む方法を提供する。
【0009】
一部の態様では、本開示は、細胞成長を支持するかまたは標的細胞の増殖および/もしくは活性化を増加させる1種または複数種の分子を含むフィーダーヒドロゲル粒子を提供する。
【0010】
一部の態様では、本開示は、標的細胞の培養物と、細胞成長を支持するかまたは標的細胞の増殖および/もしくは活性化を増加させる1種または複数種の分子を含む1種または複数種のフィーダーヒドロゲル粒子とを含む組成物を提供する。
【0011】
一部の実施形態では、標的細胞は、幹細胞またはリンパ球である。一部の実施形態では、リンパ球は、T細胞、ナチュラルキラー細胞、またはその両方である。
【0012】
一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、1種または複数種のインターロイキン、および/または腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバーを含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、CD137L、およびCD137のうちの1種または複数種を含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、CD137L、およびCD137を含む。
【0013】
一部の実施形態では、本開示は、
図3に示されるように、抗原提示細胞(APC)模倣物として機能し得るヒドロゲル粒子を提供する。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、さまざまな状況(例えば、in vitro、ex vivoまたはin vivo)において、T細胞の成長、分裂、分化、増大、増殖、活性、生存能力、消耗、アネルギー、静止、アポトーシスを可能にする。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、細胞死を促進させるために有用である。
【0014】
一部の実施形態では、本開示は、例えば、
図3のAPCヒドロゲル粒子を提供し、ここでAPCヒドロゲルは、その表面に抗原を有するヒドロゲルマトリックスを含む。
【0015】
一部の実施形態では、本開示は、培養中のT細胞の増殖、増大、および/または活性化を誘導する方法であって、T細胞を、T細胞の増殖、増大、および/または活性化を誘導する1種または複数種の分子を含む1種または複数種のAPCヒドロゲル粒子とともに培養することを含む方法を提供する。
【0016】
一部の実施形態では、本開示は、T細胞の増殖、増大、および/または刺激を誘導する1種または複数種の分子を含むAPCヒドロゲル粒子を提供する。
【0017】
一部の実施形態では、本開示は、T細胞の培養物と、T細胞の増殖、増大、および/または活性化を誘導する1種または複数種の分子を含む1種または複数種のAPCヒドロゲル粒子とを含む組成物を提供する。
【0018】
一部の実施形態では、T細胞は細胞傷害性T細胞である。一部の実施形態では、T細胞はCAR T細胞である。
【0019】
一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、1種または複数種のT細胞刺激分子を含む。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、1種または複数種のT細胞共刺激分子を含む。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、1種または複数種のT細胞刺激分子と、1種または複数種のT細胞共刺激分子とを含む。
【0020】
一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、1種または複数種のT細胞刺激分子に特異的に結合する抗体またはその断片を含む。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、1種または複数種のT細胞共刺激分子に特異的に結合する抗体またはその断片を含む。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、1種または複数種のT細胞刺激分子に特異的に結合する抗体またはその断片と、1種または複数種のT細胞共刺激分子に特異的に結合する抗体またはその断片とを含む。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、抗CD3抗体またはその断片を含む。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、抗CD28抗体またはその断片を含む。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、抗CD3抗体またはその断片と、抗CD28抗体またはその断片とを含む。
【0021】
一部の実施形態では、フィーダーまたはAPCヒドロゲル粒子は、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、プロピレングリコールメタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、グリコールメタクリレート、エチレングリコール、フマル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート、ヒドロキシジエトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシジエトキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メトキシ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、グリセロールメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2-フェニルエチルアクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、2,3-ジブロモプロピルアクリレート、2,3-ジブロモプロピルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、4-メトキシベンジルアクリレート、4-メトキシベンジルメタクリレート、2-ベンジルオキシエチルアクリレート、2-ベンジルオキシエチルメタクリレート、4-クロロフェノキシエチルアクリレート、4-クロロフェノキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエトキシエチルアクリレート、2-フェノキシエトキシエチルメタクリレート、N-フェニルアクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-ベンジルメタクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、N,N-ジベンジルメタクリルアミド、N-ジフェニルメチルアクリルアミドN-(4-メチルフェニル)メチルアクリルアミド、N-1-ナフチルアクリルアミド、N-4-ニトロフェニルアクリルアミド、N-(2-フェニルエチル)アクリルアミド、N-トリフェニルメチルアクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N,N-メチルフェニルアクリルアミド、N,N-フェニルフェニルエチルアクリルアミド、N-ジフェニルメチルメタクリルアミド、N-(4-メチルフェニル)メチルメタクリルアミド、N-1-ナフチルメタクリルアミド、N-4-ニトロフェニルメタクリルアミド、N-(2-フェニルエチル)メタクリルアミド、N-トリフェニルメチルメタクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N,N-メチルフェニルメタクリルアミド、N,N’-フェニルフェニルエチルメタクリルアミド、N-ビニルカルバゾール、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、またはそれらの組合せから選択されるモノマーで構成される。
【0022】
一部の実施形態では、モノマーは生分解性モノマーである。一部の実施形態では、生分解性モノマーは、単糖、二糖、多糖、ペプチド、タンパク質、またはタンパク質ドメインである。一部の実施形態では、生分解性モノマーは、少なくとも1種の非天然アミノ酸を含むタンパク質またはタンパク質ドメインである。一部の実施形態では、生分解性モノマーは構造多糖である。一部の実施形態では、生分解性モノマーは、寒天、アガロース、アルギン酸、アルグロン酸、アルファグルカン、アミロペクチン、アミロース、アラビノキシラン、ベータ-グルカン、カロース、カプスラン、カラギーナン多糖、セロデキストリン、セルリン、セルロース、キチン、キトサン、クリソラミナリン、カードラン、シクロデキストリン、アルファ-シクロデキストリン、デキストリン、デキストラン、フィコール、フルクタン、フコイダン、ガラクトグルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトースアミノガラクタン、ジェランガム、グルカン、グルコマンナン、グルクロノキシラン(glucorunoxylan)、グリコカリックス、グリコーゲン、ヘミセルロース、ホモ多糖、ヒプロメロース、イコデキストリン、イヌリン、ケフィラン、ラミナリン、レンチナン、レバン多糖、リケニン、マンナン、混合結合グルカン、パラミロン、ペクチン酸、ペクチン、ペンタスターチ、フィトグリコーゲン、プルーラン、ポリデキストロース、多糖ペプチド、ポルフィラン、プルラン、シゾフィラン(schizophyllan)、シニストリン、シゾフィラン(sizofiran)、ウェランガム、キサンタンガム、キシラン、キシログルカン、ザイモサン、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、生分解性モノマーは、キトサンまたはヒアルロナンである。一部の実施形態では、タンパク質は、構造タンパク質、そのドメイン、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、タンパク質は、プロテオグリカン、そのドメイン、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、タンパク質は細胞外マトリックス構成要素である。一部の実施形態では、プロテオグリカンは、デコリン、バイグリカン、テスティカン、ビクニン、フィブロモジュリン、ルミカン、それらのドメイン、またはそれらの組合せである。一部の実施形態では、タンパク質は、コラーゲン、エラスチン、またはプロテオグリカンである。一部の実施形態では、タンパク質はコラーゲンである。一部の実施形態では、コラーゲンは、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、それらのドメイン、またはそれらの組合せである。
【0023】
一部の実施形態では、モノマーは官能化されている。一部の実施形態では、モノマーは、アクリレートまたはアクリルアミドで官能化されている。
【0024】
一部の実施形態では、モノマーは二官能性である。
【0025】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、少なくとも1つの表面上で官能化されている。
【0026】
一部の実施形態では、フィーダー細胞の構成要素、例えば、サイトカインをマトリックス中に組み込み、いくつかの他のものを細胞表面上に組み込むことができ、それにより、フィーダー細胞は少なくとも2つの効果を達成することができる:a)標的に対する物理的アンカー、ならびにb)サイトカインAおよびサイトカインBを、異なる溶解速度を有する2つの異なる材料中に封入することによって、サイトカインAおよびサイトカインBは異なる時間に、活性化後に支持する。
【0027】
一部の実施形態では、フィーダー細胞と2種の異なる基本構成要素との混合物を使用することができる。例えば、PLGAを有するフィーダー細胞Aおよびヒドロゲルを有するフィーダー細胞Bを使用し得、NK細胞を再供給する必要性を低減することができる(フィーダー細胞が培養液中により長く持続するためである)。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態による分解性ヒドロゲル粒子の概略図である。
【0029】
【
図2】
図2は、本開示の実施形態によるフィーダー細胞としてのヒドロゲル粒子の概略図である。
【0030】
【
図3】
図3は、本開示の実施形態による抗原提示性ヒドロゲル粒子の概略図である。
【0031】
【
図4-1】
図4A~
図4Dは、本開示の実施形態による磁性官能化ヒドロゲル粒子に関する概略図である。
【0032】
【
図4-5】
図4Eは、本開示の実施形態による磁性官能化ヒドロゲル粒子の態様の説明図を提供する。
【0033】
【
図4-6】
図4Fは、磁性ナノ粒子および空のヒドロゲルと比較した場合の、本開示の実施形態による磁性ヒドロゲルの性能のグラフ図を提供する。
【0034】
【
図5】
図5Aおよび
図5Bは、本開示の実施形態によるフィーダー細胞としてのヒドロゲル粒子に関する。
【0035】
【
図6】
図6Aおよび
図6Bは、本開示の実施形態による抗原提示性ヒドロゲル粒子に関する。
【0036】
【
図7-1】
図7Aは、抗CD4がコンジュゲートされたヒドロゲル含有磁性ナノ粒子の蛍光標識二次抗体による染色を示し、これは190kの平均蛍光強度(MFI)を示しており、ヒドロゲルが相当量の結合した抗CD4を含有することを示す。
【0037】
【
図7-2】
図7Bは、ヒドロゲルリンパ球(Lympho)模倣物と特異的に結合した捕捉ビーズを示す。上のパネルは、ストレプトアビジンとビオチンヒドロゲルとの間の陽性対照相互作用を示す。下のパネルは、抗CD4ビーズとCD4+ヒドロゲルについて示す。
【0038】
【
図7-3】
図7Cは、抗CD4 Dynabeadsによる細胞捕捉を示す。CD4陽性および陰性の1:1混合物を使用した。Dynabeadsによる選択は、94%の純度および55%の収率で、混合物からCD4+細胞を選択することができた。
【0039】
【
図7-4】
図7Dは、抗CD4捕捉ビーズによるCD4+細胞捕捉を示す。陽性細胞および陰性細胞の1:1混合物からの精製後に、91%の純度および60%の収率のCD4+細胞と同程度の成績が、Dynabeadsについて示される。
【0040】
【
図8-1】
図8Aは、陽性選択された細胞の精製を可能にするための、(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン)(TCEP)による結合抗体とヒドロゲルビーズとの間の切断を示す。
【0041】
【
図8-2】
図8Bは、磁性捕捉粒子が、陽性選択された細胞から切断され得るか、または溶解されて、陽性選択された細胞から除去され得ることを示す。そうすることにより、側方散乱および前方散乱が減少する。二次抗体染色も減少するが、これは溶解された磁性捕捉粒子が抗体を脱落させるためである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
発明の詳細な説明
定義
不定冠詞「1つの(a)」および「1つの(an)」ならびに定冠詞「その(the)」は、それらが使用されている文脈が明確に他を指示しない限り、単数および複数の両方を含むことを意図する。「少なくとも1つの」および「1つまたは複数の」は、物品が、列挙された要素のうちの1つまたは複数を含み得ることを意味するために互換的に使用される。
【0043】
本出願の全体を通じて、「約」という用語は、ある値が、その値を決定するために使用される装置または方法に固有の誤差の変動、または測定される試料間に存在する変動を含むことを示すために使用される。別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り、「約」という用語は、報告された数値の上下10%以内を意味する(そのような数が可能な値の100%を超えるかまたは0%を下回る場合を除く)。値の範囲または一連の値とともに使用される場合、「約」という用語は、別段の記載がない限り、範囲の端点または一連の中で列挙された値のそれぞれに適用される。本出願で使用される場合、「約」および「およそ」という用語は、同等物として使用される。
【0044】
「実質的に類似する」は、本明細書で使用される場合、少なくとも40%類似する、少なくとも50%類似する、少なくとも60%類似する、少なくとも70%類似する、少なくとも80%類似する、少なくとも90%類似する、少なくとも95%類似する、少なくとも96%類似する、少なくとも97%類似する、少なくとも98%類似する、または少なくとも99%類似することを意味する。
【0045】
別段の指示がない限り、本明細書および特許請求の範囲において使用される成分の数量、比率、および数値的特性、反応条件などを表すすべての数は、すべての事例において、「約」という用語で修飾可能であることが想定されることを理解されたい。
【0046】
本明細書で使用される場合、「接触させること」(すなわち、細胞、例えば、分化可能な細胞を化合物と接触させること)という用語は、化合物および細胞をin vitroで一緒にインキュベートすること(例えば、培養中の細胞に化合物を添加すること)を含むことが意図される。規定された培地と接触させた細胞を、さらに細胞分化環境で処理して、細胞を安定化すること、または細胞を分化させることができることが理解される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「安定化する」という用語は、細胞または細胞の培養物の分化状態に関連して使用される場合、細胞が培養中に複数回の継代にわたって、好ましくは培養中に無限に増殖し続け、培養中の細胞のすべてではないにしてもほとんどが同じ分化状態であることを示す。加えて、安定化された細胞が分裂する場合、分裂は典型的には同じ細胞型の細胞を生じるか、または同じ分化状態の細胞を生じる。安定化された細胞または細胞集団は一般に、細胞培養条件が変更されず、細胞が継代され続け、過剰増殖しない場合には、さらに分化することも脱分化することもない。一実施形態では、安定化された細胞は、無限に、または少なくとも2回を上回る継代の間、安定状態で増殖することができる。より具体的な一実施形態では、細胞は、3回を上回る継代、4回を上回る継代、5回を上回る継代、6回を上回る継代、7回を上回る継代、8回を上回る継代、9回を上回る継代、10回を上回る継代、15回を上回る継代、20回を上回る継代、25回を上回る継代、または30回を上回る継代にわたって安定である。一実施形態では、細胞は、およそ1か月間、2か月間、3か月間、4か月間、5か月間、6か月間、7か月間、8か月間、9か月間、10か月間、または11か月間を上回る連続継代にわたって安定である。別の実施形態では、細胞は、およそ1年間を上回る連続継代にわたって安定である。一実施形態では、幹細胞を、それらを分化させることが望まれるまで、規定された培地中でのルーチン的な継代によって、多能性状態で培養中に維持する。本明細書で使用される場合、「増殖する」という用語は、細胞培養中の細胞数の増加を指す。
【0048】
それ故に、本明細書で使用される場合、「成長環境」という用語は、幹細胞(例えば、霊長類胚性幹細胞)がin vitroで増殖する環境である。環境の特徴としては、細胞が培養される培地、および存在する場合は支持構造(例えば、固体表面上の基質)が挙げられる。
【0049】
「規定された」培地は、生化学的に規定された構成成分のみで構成される生化学的に規定された処方物を指す。規定された培地は、既知の化学組成を有する構成成分のみを含み得る。規定された培地はまた、既知の供給源に由来する構成成分も含み得る。例えば、規定された培地は、既知の組織または細胞から分泌される因子および他の組成物を含むこともできる;しかし、規定された培地は、そのような細胞の培養物由来の馴化培地を含まない。したがって、「規定された培地」は、指示される場合、培地を形成するために添加される特定の化合物を含むことができる。
【0050】
本明細書で使用される場合、「基本培地」という用語は、アミノ酸、ビタミン、塩、および栄養素の溶液であって、培養中の細胞の成長を支持するのに有効であるものを指すが、通常、これらの化合物は、追加の化合物が補充されない限り、細胞成長を支持しないと考えられる。栄養素としては、細胞によって代謝され得る炭素源(例えば、グルコースなどの糖)、ならびに細胞の生存に必要な他の化合物が挙げられる。これらは、化合物(例えば、必須アミノ酸)を合成するために必要なタンパク質をコードする遺伝子のうちの1種もしくは複数が存在しないことから細胞自体が合成することができない化合物であるか、または、細胞が合成することができる化合物に関しては、その特定の発生状態が理由で、必要な生合成タンパク質をコードする遺伝子が十分なレベルで発現されていない。いくつかの基本培地、例えば、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)、ノックアウト-DMEM(KO-DMEM)、およびDMEM/F12が、哺乳動物細胞培養の技術分野で公知であるが、実質的に未分化状態にある霊長類胚性幹細胞の成長を支持する任意の基本培地を使用することができる。本明細書に記載される「基本培地」は、2007年6月13日に出願されたPCT/US2007/062755に記載されている基本培地も指し、これはその全体が本明細書に組み込まれる。
【0051】
本開示は、画像化(例えば、顕微鏡、スキャナーなど)、フローサイトメトリー、または他の免疫検出方法(例えば、ELISAアッセイ)、電気泳動、オミクス分析(ゲノミクス、グリコミクス、プロテオミクス、リピドミクス分析)、分子分析(q-PCRなど)などを含むがこれらに限定されない、任意の適切な検出または分析プラットフォーム上で使用することができる。分析、例えば、画像化または検出は、蛍光、明視野、暗視野、または免疫組織化学(例えば、発色性染色)において行うことができる。
ヒドロゲル粒子
【0052】
一態様では、複数のヒドロゲル粒子を含む組成物であって、複数のうちの個々のヒドロゲル粒子のそれぞれが、標的細胞の1種または複数種の特性に実質的に類似した1種または複数種の特性を有する、組成物が提供される。複数のうちの個々のヒドロゲル粒子のそれぞれは、1種または複数種のモノマーを重合させること、すなわち、ホモポリマーまたはコポリマーを形成することによって合成されるヒドロゲルを独立に含む。以下でさらに考察するように、二官能性モノマーの使用により、例えば、細胞表面マーカーもしくはそのエピトープ結合断片、またはそれらの組合せによる、ヒドロゲルのさらなる誘導体化が可能になる。ヒドロゲルの特性を調整するための方法は、本明細書に記載される。ヒドロゲル構成要素およびその濃度を含むパラメーターの範囲を調整し得ることにより、広範囲の細胞、例えば、本明細書に記載される細胞型のうちの1つを模倣するように粒子を調整することが可能になる。
【0053】
上記で提供されるように、一態様では、本開示は、それぞれが標的細胞の1種または複数種の特性(例えば、サイズまたは弾性)と実質的に類似する1種または複数種の特性を有する個々のヒドロゲル粒子を提供する。
【0054】
本開示は、ヒドロゲル粒子の1種または複数種の特性を、ヒドロゲル粒子の組成を変更することによって、例えば、組成物中の初期モノマー(またはコモノマー)の量を変更することによって、表面官能化を変更することによって、重合開始剤の量を変更することによって、または架橋剤の量を変更することによって、独立にモジュレートすることができるという予想外の発見に部分的に基づく。さらに、ヒドロゲル粒子の特性は、粒子の密度に実質的な影響を与えることなく調整することができる。細胞の代替物として働くヒドロゲル粒子は、適切に機能するために最小の密度を必要とするので、これは驚くべき有用な特徴である。
【0055】
別の態様では、ヒドロゲル粒子を生成する方法であって、ヒドロゲル粒子が、1種または複数種の標的細胞の特性に実質的に類似する1種または複数種の特性を有する、方法が提供される。一態様では、ヒドロゲル粒子は、所定の特性を有する。
【0056】
別の態様では、
図2に示されるように、1つまたは複数のヒドロゲル粒子を含む合成フィーダー細胞を作製する方法が提供される。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、細胞成長および/または細胞増殖を刺激する1つまたは複数の因子を含む。
【0057】
上記で提供したように、本開示の一態様では、複数のヒドロゲル粒子を含む組成物が提供される。ヒドロゲルは、水の存在下で膨潤し、水の非存在下では(または水の量の減少によって)収縮するが、水には溶解しない、高分子三次元ネットワークを含む材料である。膨潤、すなわち、水の吸収は、その高分子ネットワーク内に結び付くかまたは分散した親水性官能基の存在の結果である。隣接する高分子間の架橋は、これらのヒドロゲルの水不溶性をもたらす。架橋は、化学的結合(すなわち、共有結合)または物理的結合(すなわち、ファンデルワールス力、水素結合、イオン力など)に起因し得る。合成により調製されたヒドロゲルは、モノマー材料を重合させて骨格を形成させ、その骨格を架橋剤で架橋することによって調製することができる。本明細書で言及される場合、「ヒドロゲル」という用語は、脱水状態であるか水和状態であるかにかかわらず、高分子材料を指す。特に価値のあるヒドロゲルの特徴は、材料が脱水状態であるか水和状態であるかにかかわらず、一般的な形状を保持することである。したがって、ヒドロゲルが脱水状態でほぼ球形の形状を有する場合、それは水和状態で球形であると考えられる。
【0058】
一実施形態では、本明細書に開示されるヒドロゲル粒子は、約30%を上回る、約40%を上回る、約50%を上回る、約55%を上回る、約60%を上回る、約65%を上回る、約70%を上回る、約75%を上回る、約80%を上回る、約85%を上回る、約90%を上回る、または約95%を上回る水を含む。別の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、約10重量パーセント~約95重量パーセント、または約20重量パーセント~約95重量パーセント、または約30重量パーセント~約95重量パーセント、または約40重量パーセント~約95重量パーセント、または約50重量パーセント~約95重量パーセント、または約60重量パーセント~約95重量パーセント、または約70重量パーセント~約95重量パーセント、または約80重量パーセント~約95重量パーセントの含水量を有する。
【0059】
粒子の形態にある、本明細書で提供されるヒドロゲルは、本明細書で提供されるモノマーのうちの1種または複数種を重合させることによって合成される。合成は、個々のヒドロゲル粒子を形成するために実施される。一実施形態では、モノマー材料(モノマー)を重合させて、ホモポリマーを形成する。しかし、一部の実施形態では、異なるモノマー単位(すなわちコモノマー)のコポリマーが、本明細書で提供される方法で合成されて使用される。本明細書に記載される方法および組成物において使用されるモノマーまたはコモノマーは、一部の実施形態では、二官能性モノマーであるか、または二官能性モノマーを含む(コモノマーが使用される場合)。一部の実施形態では、ヒドロゲルは、架橋剤の存在下で合成される。さらなる実施形態では、ヒドロゲルは、重合開始剤の存在下で合成される。
【0060】
モノマーの量は、例えば、標的細胞のものと実質的に類似した特定の特性を得るために、本開示のユーザーによって変更され得る。一実施形態では、モノマー構成要素(すなわち、モノマー、コモノマー、二官能性モノマー、またはそれらの組合せ、例えば、さまざまな架橋比のビス/アクリルアミド、二次標識/コンジュゲーションのための化学的官能性を提供するアリルアミンもしくは他のコモノマー、またはアルギネート)は、ヒドロゲルの約10重量パーセント~約95重量パーセントで存在する。さらなる実施形態では、モノマー構成要素は、ヒドロゲルの約15重量パーセント~約90重量パーセント、またはヒドロゲルの約20重量パーセント~約90重量パーセントで存在する。
【0061】
本開示とともに使用するために利用可能なさまざまなモノマーおよび架橋化学物質の例は、"Easy molecular bonding crosslinking technology"という表題のThermo Scientific Crosslinking Technical Handbook(tools.lifetechnologies.com/content/sfs/brochures/1602163-Crosslinking-Reagents-Handbook.pdfで入手可能であり、その開示はすべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる)に提供されている。例えば、ヒドラジンカップリング反応(例えば、NHSエステル化合物との)またはEDCカップリング反応(例えば、マレイミド化合物との)を使用して、本開示のヒドロゲルを構築することができる。
【0062】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるヒドロゲルとともに使用するためのモノマーは、乳酸、グリコール酸、アクリル酸、1-ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、プロピレングリコールメタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、グリコールメタクリレート、エチレングリコール、フマル酸、それらの誘導体化バージョン、またはそれらの組合せである。
【0063】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲルを形成するために、以下のモノマーのうちの1種または複数種が本明細書で使用される:2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート、ヒドロキシジエトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシジエトキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メトキシ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、グリセロールメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、またはそれらの組合せ。
【0064】
他の実施形態では、調整可能なヒドロゲルを形成するために、以下のモノマーのうちの1種または複数種が本明細書で使用される:すべての目的のためにその全体が本明細書に参照により組み込まれる米国特許第6,657,030号に記載されているような、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2-フェニルエチルアクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、2,3-ジブロモプロピルアクリレート、2,3-ジブロモプロピルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、4-メトキシベンジルアクリレート、4-メトキシベンジルメタクリレート、2-ベンジルオキシエチルアクリレート、2-ベンジルオキシエチルメタクリレート、4-クロロフェノキシエチルアクリレート、4-クロロフェノキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエトキシエチルアクリレート、2-フェノキシエトキシエチルメタクリレート、N-フェニルアクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-ベンジルメタクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、N,N-ジベンジルメタクリルアミド、N-ジフェニルメチルアクリルアミドN-(4-メチルフェニル)メチルアクリルアミド、N-1-ナフチルアクリルアミド、N-4-ニトロフェニルアクリルアミド、N-(2-フェニルエチル)アクリルアミド、N-トリフェニルメチルアクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N,N-メチルフェニルアクリルアミド、N,N-フェニルフェニルエチルアクリルアミド、N-ジフェニルメチルメタクリルアミド、N-(4-メチルフェニル)メチルメタクリルアミド、N-1-ナフチルメタクリルアミド、N-4-ニトロフェニルメタクリルアミド、N-(2-フェニルエチル)メタクリルアミド、N-トリフェニルメチルメタクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N,N-メチルフェニルメタクリルアミド、N,N’-フェニルフェニルエチルメタクリルアミド、N-ビニルカルバゾール、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン。
【0065】
合成モノマーおよびバイオモノマーの両方を、本明細書で提供されるヒドロゲルに使用して、合成構成要素およびバイオ構成要素(例えば、生体分子上に存在するペプチド、タンパク質、単糖、二糖、多糖、第一級アミンスルフヒドリル、カルボニル、炭水化物、カルボン酸)を含む合成ヒドロゲル、バイオヒドロゲル、またはハイブリッドヒドロゲルを形成することができる。例えば、タンパク質、ペプチドまたは炭水化物を、合成モノマー(またはポリマー)を含むかまたは含まないヒドロゲルを形成するための個々のモノマーとして、化学的適合性のあるコモノマーおよび架橋化学物質(例えば、その開示がすべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる、tools.lifetechnologies.com/content/sfs/brochures/1602163-Crosslinking-Reagents-Handbook.pdfで入手可能な"Easy molecular bonding crosslinking technology"という表題のThermo Scientific Crosslinking Technical Handbookを参照されたい)と組み合わせて使用することができる。適合性のある架橋化学物質としては、アミン、カルボキシル、および他の反応性化学的側基が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載されるヒドロゲルおよびモノマーにおける使用に適する代表的な反応性基は、以下の表1に提示される。
【表1】
【0066】
一般に、当業者によって一般に公知である重合化学/方法の任意の形態を使用して、ポリマーを形成することができる。一部の実施形態では、紫外線誘導ラジカル形成および反応進行によって、重合を触媒することができる。他の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、アクリルアミドの重合またはアクリレートの重合によって生成される。例えば、一実施形態におけるアクリルアミドは、米国特許第6,107,365号に記載されているような重合可能な炭水化物誘導体化アクリルアミドであり、その開示はすべての目的のために参照により全体が組み込まれる。その中に記載され、当業者に公知であるように、アクリルアミド基の糖への特異的結合は、ある範囲の単糖およびより高次の多糖、例えば、合成多糖または天然源に由来する多糖、例えば、血清または組織中に見られる糖タンパク質に容易に適合化される。
【0067】
一部の実施形態では、アクリレート官能化ポリ(エチレン)グリコールモノマーが、ヒドロゲルモノマーとして使用される。例えば、一実施形態におけるPEGは、アクリレートまたはアクリルアミド官能化PEGである。
【0068】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、少なくとも1種の二官能性モノマーと重合した単官能性モノマーを含む。1つの例としては、アクリルアミドおよびビスアクリルアミド(二官能性モノマー)を使用したポリアクリルアミドポリマーの形成が挙げられるが、これに限定されない。別の実施形態では、本明細書で提供されるヒドロゲル粒子は、第2の二官能性モノマーと重合した二官能性モノマーを含む。1つの例としては、適合性のある化学物質、例えば、アクリルアミド、ビスアクリルアミド、および広範囲にわたるさらなる化学物質を含むビスアクリルアミド構造同類物を含む混合組成物を用いたポリマーの形成が挙げられるが、これらに限定されない。化学的に適合性のあるモノマー、二官能性モノマー、および混合組成物の範囲は当業者には明白であり、当業者に公知の化学的反応性の原理に従う(参考文献、Thermo handbook and acrylamide polymerization handbook)。例えば、"Easy molecular bonding crosslinking technology"という表題のThermo Scientific Crosslinking Technical Handbook(tools.lifetechnologies.com/content/sfs/brochures/1602163-Crosslinking-Reagents-Handbook.pdfで入手可能)およびthe Polyacrylamide Emulsions Handbook(SNF Floerger、snf.com.au/downloads/Emulsion_Handbook_E.pdfで入手可能)を参照されたく、これらのそれぞれの開示は、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。
【0069】
一部の実施形態では、本明細書で提供されるヒドロゲル粒子は、重合可能な単官能性モノマーを含み、単官能性アクリルモノマーである。本明細書での使用のための単官能性アクリルモノマーの非限定的な例は、アクリルアミド;メタクリルアミド;N-アルキルアクリルアミド、例えば、N-エチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミドまたはN-tertブチルアクリルアミド;N-アルキルメタクリルアミド、例えば、N-エチルメタクリルアミドまたはNイソプロピルメタクリルアミド;N,N-ジアルキルアクリルアミド、例えば、N,N-ジメチルアクリルアミドおよびN,N-ジエチル-アクリルアミド;N-[(ジアルキルアミノ)アルキル]アクリルアミド、例えば、N-[3ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミドまたはN-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]アクリルアミド;N-[(ジアルキルアミノ)アルキル]メタクリルアミド、例えば、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドまたはN-[3-(ジエチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド;(ジアルキルアミノ)アルキルアクリレート、例えば、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、2-(ジメチルアミノ)プロピルアクリレート、または2-(ジエチルアミノ)エチルアクリレート;および(ジアルキルアミノ)アルキルメタクリレート、例えば、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートである。
【0070】
二官能性モノマーは、本開示の単官能性モノマーと重合して、第2の反応、例えば、フルオロフォアまたは細胞表面受容体(またはそのドメイン)のコンジュゲーションに参加することができる第2の官能基をさらに含有する、本明細書に記載されるヒドロゲルを形成することができる任意のモノマーである。
【0071】
一部の実施形態では、二官能性モノマーは、アリルアミン、アリルアルコール、アリルイソチオシアネート、アリルクロリド、およびアリルマレイミドからなる群から選択される。
【0072】
二官能性モノマーは、二官能性アクリルモノマーであり得る。二官能性アクリルモノマーの非限定的な例は、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-メチレンビスメタクリルアミド、N,N’-エチレンビスアクリルアミド、N,N’-エチレンビスメタクリルアミド、N,N’プロピレンビスアクリルアミドおよびN,N’-(1,2-ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミドである。
【0073】
すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,657,030号に記載されているように、より高次の分枝鎖および直鎖コモノマーをポリマー混合物中で置換して、ポリマー密度を維持しながら屈折率を調整することができる。
【0074】
一部の実施形態では、ヒドロゲルは、ヒドロゲルの特性をモジュレートする分子を含む。ヒドロゲルの特性を変更することが可能な分子については、以下でさらに考察する。
【0075】
一部の実施形態では、個々のヒドロゲル粒子またはその複数は、ヒドロゲルモノマーとして生分解性ポリマーを含む。一実施形態では、生分解性ポリマーは、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコリド(PGA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ乳酸-グリコール酸(PLGA)およびそれらのコポリマーをベースとするポリ(エステル)である。一部の実施形態では、生分解性ポリマーは、炭水化物もしくはタンパク質、またはそれらの組合せである。例えば、一実施形態では、単糖、二糖もしくは多糖(例えば、グルコース、スクロース、またはマルトデキストリン)ペプチド、タンパク質(またはそれらのドメイン)が、ヒドロゲルモノマーとして使用される。他の生分解性ポリマーとしては、PHB-PHVクラスのポリ(ヒドロキシアルカノエート)、追加のポリ(エステル)、および天然ポリマー、例えば、変性ポリ(サッカライド)、例えば、デンプン、セルロース、およびキトサンが挙げられる。他の実施形態では、生体適合性ポリマーは、接着タンパク質、セルロース、炭水化物、デンプン(例えば、マルトデキストリン、2-ヒドロキシエチルデンプン、アルギン酸)、デキストラン、リグニン、ポリアミノ酸、アミノ酸、またはキチンである。そのような生分解性ポリマーは、例えば、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から市販されている。
【0076】
一部の実施形態におけるタンパク質は、天然アミノ酸のみを含む。しかし、本開示はそれに限定されない。例えば、自己集合性人工タンパク質および非天然アミノ酸を有するタンパク質(例えば、非リボソームペプチドに組み込まれたもの、または合成アプローチを介して合成により導入されたもの、例えば、Zhang et al. (2013). Current Opinion in Structural Biology 23, pp. 581-587を参照されたく、その開示はすべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる)、またはそのタンパク質ドメインも、ヒドロゲルモノマーとして使用することができる。そのような組成物に組み込むことができる非天然(天然でない)アミノ酸の範囲は、当業者には周知である(Zhang et al. (2013). Current Opinion in Structural Biology 23, pp. 581-587;これはすべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる)。一実施形態における生分解性ポリマーは、コモノマー、すなわちモノマーの混合物として使用される。一実施形態における生分解性ポリマーは、二官能性モノマーである。
【0077】
バイオモノマーは、一部の実施形態では、アクリルアミドまたはアクリレートで官能化されている。例えば、一実施形態では、重合可能なアクリルアミド官能化生体分子は、アクリルアミドもしくはアクリレート官能化タンパク質(例えば、アクリルアミド官能化コラーゲンまたは官能化コラーゲンドメイン)、アクリルアミドもしくはアクリレート官能化ペプチド、またはアクリルアミドもしくはアクリレート官能化単糖、二糖もしくは多糖である。
【0078】
任意の単糖、二糖または多糖(官能化されたものまたは他のもの)を、ヒドロゲルモノマーとして使用することができる。一部の実施形態では、アクリルアミドまたはアクリレート官能化単糖、二糖または多糖が、重合可能なヒドロゲルモノマーとして使用される。一部の実施形態では、構造多糖が、重合可能なヒドロゲルモノマーとして使用される。さらなる実施形態では、構造多糖は、アラビノキシラン、セルロース、キチンまたはペクチンである。他の実施形態では、アルギン酸(アルギネート)が、重合可能なヒドロゲルモノマーとして使用される。さらに他の実施形態では、グリコサミノグリカン(GAG)が、本明細書で提供されるヒドロゲルにおける重合可能なモノマーとして使用される。さらなる実施形態では、GAGは、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラチン硫酸、ヘパリン、ヘパリン硫酸またはヒアルロン酸(当技術分野ではヒアルロンまたはヒアルロン酸塩とも称される)であり、重合可能なヒドロゲルモノマーとして使用される。適合性バイオモノマーおよびそれらの反応性化学物質のさらなる範囲は、当業者に公知であり、一般的な化学反応性の原理に従う。
【0079】
組み込むことができる生体適合性モノマーのさらなる範囲は、当技術分野で公知であり、例えば、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Shastri (2003). Current Pharmaceutical Biotechnology 4, pp. 331-337に開示されている非分解性の生体適合性モノマーを参照されたい。他のモノマーは、de Moraes Porto (2012). Polymer Biocompatibility, Polymerization, Dr. Ailton De Souza Gomes (Ed.), ISBN: 978-953-51- 0745-3; InTech, DOI: 10.5772/47786; Heller et al. (2010). Journal of Polymer Science Part A: Polymer Chemistry 49, pp. 650-661; Final Report for Biocompatible Materials (2004), The Board of the Biocompatible Materials and the Molecular Engineering in Polymer Science programmes, ISBN 91-631-4985-0に記載されており、それぞれの開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0080】
本明細書に記載されるヒドロゲルとともに使用するための生体適合性モノマーとしては、一実施形態では、エチレングリコール(ethyleglycol)ジメタクリレート(EGDMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、メチルメタクリレート(methylmethacrylte)(MMA)、メタクリルオキシメチルトリメチルシラン(TMS-MA)、N-ビニル-2-ピロリドン(N-VP)、スチレン、またはそれらの組合せが挙げられる。
【0081】
本開示において有用な天然に存在するヒドロゲルとしては、植物、藻類、真菌、酵母、海洋性無脊椎動物および節足動物などの天然源から入手可能なさまざまな多糖が挙げられる。非限定的な例としては、アガロース、デキストラン、キチン、セルロース系化合物、デンプン、誘導体化デンプンなどが挙げられる。これらは一般に、多糖骨格の主要部分として反復性グルコース単位を有する。そのような多糖の架橋化学物質は当技術分野で公知であり、例えば、"Easy molecular bonding crosslinking technology"という表題のThermo Scientific Crosslinking Technical Handbookを参照されたい(tools.lifetechnologies.com/content/sfs/brochures/1602163-Crosslinking-Reagents-Handbook.pdfで入手可能)。
【0082】
一実施形態では、ヒアルロナンが、ヒドロゲルモノマーとして(単一モノマーまたはコモノマーのいずれかとして)使用される。一実施形態におけるヒアルロナンは、例えば、アクリレートまたはアクリルアミドで官能化されている。ヒアルロナンは、交互のβ-1,4およびβ-1,3グリコシド結合を介して連結されたN-アセチルグルコサミンおよびグルクロン酸の二糖反復単位で構成される高分子量GAGである。ヒト体内では、ヒアルロン酸塩は、皮膚、臍帯、滑液、および硝子体液を含むいくつかの軟結合組織中に見出される。したがって、一実施形態では、標的細胞の1種または複数種の特性を模倣することが望まれる場合、一実施形態では、ヒアルロナンがヒドロゲルモノマーとして使用される。ヒドロゲル粒子を製作するための方法は、Xu et al. (2012). Soft Matter. 8, pp. 3280-3294に記載されており、その開示はすべての目的のためにその全体が本明細書に組み込まれる。その中に記載されているように、ヒアルロナンは、所望の架橋化学物質およびヒドロゲル粒子を形成するために使用される他のモノマーに応じて、さまざまな反応性ハンドルを用いて誘導体化することができる。
【0083】
さらに他の実施形態では、ランダムに分布したβ-(1-4)連結D-グルコサミン(脱アセチル化単位)およびN-アセチル-D-グルコサミン(アセチル化単位)で構成される直鎖状多糖であるキトサンが、ヒドロゲルモノマーとして(単一モノマーまたはコモノマーのいずれかとして)使用される。
【0084】
ヒドロゲルモノマーまたはコモノマーとして使用される他の多糖としては、寒天、アガロース、アルギン酸、アルグロン酸、アルファグルカン、アミロペクチン、アミロース、アラビノキシラン、ベータ-グルカン、カロース、カプスラン、カラギーナン多糖(例えば、カッパ、イオタ、またはラムダのクラス)、セロデキストリン、セルリン、セルロース、キチン、キトサン、クリソラミナリン、カードラン、シクロデキストリン、アルファ-シクロデキストリン、デキストリン、フィコール、フルクタン、フコイダン、ガラクトグルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトサミノガラクタン(galactosaminoogalactan)、ジェランガム、グルカン、グルコマンナン、グルコルノキシラン、グリコカリックス、グリコーゲン、ヘミセルロース、ホモ多糖、ヒプロメロース、イコデキストリン、イヌリン、ケフィラン、ラミナリン、レンチナン、レバン多糖、リケニン、マンナン、混合結合グルカン、パラミロン、ペクチン酸、ペクチン、ペンタスターチ、フィトグリコーゲン、プルーラン、ポリデキストロース、多糖ペプチド、ポルフィラン、プルラン、シゾフィラン(schizophyllan)、シニストリン、シゾフィラン(sizofiran)、ウェランガム、キサンタンガム、キシラン、キシログルカン、ザイモサン、またはそれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。全体にわたって記載されるように、ヒドロゲルに使用される所望の架橋化学物質および/または追加のコモノマーに応じて、多糖をさらに官能化することができる。例えば、一実施形態において本明細書に記載される多糖のうちの1種または複数種は、アクリレートまたはアクリルアミドで官能化されている。
【0085】
一部の実施形態では、個々のヒドロゲル粒子またはその複数は、ペプチド、タンパク質、タンパク質ドメイン、またはそれらの組合せを、ヒドロゲルモノマーまたはその複数として含む。別の実施形態では、タンパク質は、構造タンパク質、またはそのドメイン、例えば、絹、エラスチン、タイチンもしくはコラーゲン、またはそれらのドメインである。一部の実施形態では、タンパク質は、細胞外マトリックス(ECM)構成要素(例えば、コラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、フィブリン、リジン、フィブロネクチン)である。またさらなる実施形態では、構造タンパク質はコラーゲンである。さらに別の実施形態では、コラーゲンは、I型コラーゲン、II型コラーゲンもしくはIII型コラーゲン、またはそれらの組合せである。他の実施形態では、ヒドロゲルモノマーはプロテオグリカンを含む。さらなる実施形態では、プロテオグリカンは、デコリン、バイグリカン、テスティカン、ビクニン、フィブロモジュリン、ルミカン、またはそれらのドメインである。
【0086】
他の実施形態では、アクリレート官能化構造タンパク質ヒドロゲルモノマーが、本明細書で提供されるヒドロゲルの構成要素(例えば、アクリレート官能化タンパク質またはタンパク質ドメイン、例えば、絹、エラスチン、タイチン、コラーゲン、プロテオグリカン、またはそれらの官能化ドメイン)として使用される。さらなる実施形態では、アクリレート官能化構造タンパク質ヒドロゲルモノマーは、プロテオグリカン、例えば、デコリン、バイグリカン、テスティカン、ビクニン、フィブロモジュリン、ルミカン、またはそれらのドメインを含む。
【0087】
一部の実施形態では、PEGモノマーおよびオリゴペプチドは、細胞外マトリックスタンパク質を模倣するものであり得、本明細書で提供されるヒドロゲルにおいて、例えば、すべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる、Lutolf et al. (2003). Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100, 5413-5418によって記載されているような、ビニルスルホン官能化マルチアームPEG、インテグリン結合ペプチドおよびビス-システインマトリックスメタロプロテイナーゼペプチドとともに使用される。この特定の実施形態では、ヒドロゲルは、PEG上のジチオール化オリゴペプチドとビニルスルホン基との間のマイケル型付加反応によって形成される。本明細書に組み込むことができるさらなる適合性化学物質の範囲は当業者に明白であり、一般的な化学反応性の原理に従うものであり、例えば、"Easy molecular bonding crosslinking technology"という表題のThermo Scientific Crosslinking Technical Handbook(tools.lifetechnologies.com/content/sfs/brochures/1602163-Crosslinking-Reagents-Handbook.pdfで入手可能)を参照されたい。
【0088】
天然タンパク質の中の他の生理活性ドメインも、ヒドロゲルモノマーまたはその一部として使用することができる。例えば、細胞接着性インテグリン結合ドメイン、制御放出性の親和性結合ドメインまたはトランスグルタミナーゼ架橋ドメインを、本明細書で提供されるヒドロゲルにおいて使用することができる。そのようなヒドロゲルを生成するための詳細は、Martino et al. (2009). Biomaterials 30, 1089; Martino et al. (2011). Sci. Trans. Med. 3, 100ra89; Hu and Messersmith (2003). J. Am. Chem. Soc. 125, 14298に記載されており、これらのそれぞれは、すべての目的においてその全体が参照により組み込まれる。
【0089】
一部の実施形態では、pHまたは温度の変化に応じてゲル化するように設計されたタンパク質を作製するために、組換えDNA法が、例えば、Petk et al. (1998). Science 281, pp. 389-392によって記載されている方法によって使用され、これはすべての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。手短に述べると、タンパク質は、水溶性高分子電解質セグメントに隣接する末端ロイシンジッパードメインからなる。中性に近い水溶液中では、末端ドメインのコイルドコイル凝集物が三次元ヒドロゲルポリマーネットワークを形成する。
【0090】
本明細書で提供されるヒドロゲルを架橋するために使用することができる一般的な架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(EGDMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート、およびN,N’-15メチレンビスアクリルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。使用することができるさらなる架橋化学物質の範囲は当業者に明白であり、一般的な化学反応性の原理に従うものであり、例えば、"Easy molecular bonding crosslinking technology"という表題のThermo Scientific Crosslinking Technical Handbook(tools.lifetechnologies.com/content/sfs/brochures/1602163-Crosslinking-Reagents-Handbook.pdfで入手可能)を参照されたい。
【0091】
一部の実施形態では、ヒドロゲルの重合は、過硫酸塩またはラジカル形成を触媒する同等の開始剤によって開始される。適合性のある開始剤の範囲は当業者に公知であり、一般的な化学反応性の原理に従うものであり、例えば、"Easy molecular bonding crosslinking technology"という表題のThermo Scientific Crosslinking Technical Handbook(tools.lifetechnologies.com/content/sfs/brochures/1602163-Crosslinking-Reagents-Handbook.pdfで入手可能)を参照されたい。過硫酸塩は、任意の水溶性過硫酸塩であり得る。水溶性過硫酸塩の非限定的な例は、過硫酸アンモニウムおよびアルカリ金属過硫酸塩である。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウムおよびカリウムが挙げられる。一部の実施形態では、過硫酸塩は過硫酸アンモニウムまたは過硫酸カリウムである。さらなる実施形態では、本明細書で提供されるヒドロゲルの重合は、過硫酸アンモニウムによって開始される。
【0092】
ヒドロゲルの重合は、重合しやすい化学的側基の形成を触媒することができる促進剤によって加速させることができる。可能な促進剤の範囲は当業者に公知であり、一般的な化学反応性の原理に従うものであり、例えば、"Easy molecular bonding crosslinking technology"という表題のThermo Scientific Crosslinking Technical Handbook(tools.lifetechnologies.com/content/sfs/brochures/1602163-Crosslinking-Reagents-Handbook.pdfで入手可能)を参照されたい。一実施形態における促進剤は、第三級アミンである。第三級アミンは、任意の水溶性第三級アミンであり得る。一実施形態では、促進剤は重合反応に使用され、N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン、3-ジメチルアミノ)プロピオニトリル、またはN,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン(TEMED)である。別の実施形態では、促進剤は、重合反応に使用され、アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)である。
【0093】
以上で考察したように、本明細書に記載される組成物および方法において使用するためのヒドロゲルは、本明細書に記載されるモノマー単位および架橋剤のいずれかを含むことができ、一態様では、液滴を重合させることによってヒドロゲル粒子として生成される(例えば、
図2を参照されたい)。流体液滴および硬化液滴を含む複数の液滴を生成するマイクロ流体法は、当業者に公知であり、米国特許公開第2011/0218123号および米国特許第7,294,503号に記載されており、これらはそれぞれ、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのような方法は、第1の流体を含み、第2の流体によって実質的に取り囲まれている複数の液滴を提供し、ここで第1の流体および第2の流体は実質的に不混和性である(例えば、油ベースの液体によって実質的に取り囲まれている水性ベースの液体を含む液滴)。
【0094】
複数の流体液滴(例えば、マイクロ流体デバイスを用いて調製される)は、多分散性(例えば、異なるサイズの範囲を有する)であってもよく、または一部の場合には、流体液滴は、例えば、液滴の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%、または約0.01%以下が、平均直径の約10%、約5%、約3%、約1%、約0.03%、または約0.01%を上回る平均直径を有するような、均一な直径分布を有する単分散性または実質的に単分散性であってもよい。液滴の集団の平均直径は、本明細書で使用される場合、液滴の直径の算術平均を指す。粒子の平均直径は、例えば、光散乱手法によって測定することができる。一実施形態におけるヒドロゲル粒子の平均直径は、例えば、マイクロ流体デバイスのチャネル内の第1および第2の流体の流体流の流量を変化させることによって、またはマイクロ流体デバイスのチャネルの容積を変化させることによって調整される。
【0095】
したがって、本開示は、複数のヒドロゲル粒子を含むヒドロゲル粒子の集団であって、ヒドロゲル粒子の集団が実質的に単分散性である集団を提供する。
【0096】
マイクロ流体という用語は、1mm未満の断面寸法、および少なくとも約3:1である長さのチャネルに垂直な最大断面寸法に対する比を有する少なくとも1つの流体チャネルを含む、デバイス、器具またはシステムを指す。マイクロ流体チャネルを含むマイクロ流体デバイスは、複数の単分散性液滴を調製するのに特に好適である。
【0097】
本開示とともに使用することができるマイクロ流体システムの非限定的な例は、米国特許出願公開第2006/0163385号;米国特許出願公開第2005/0172476号;米国特許出願公開第2007/000342号;国際特許出願公開第WO2006/096571号;米国特許出願公開第2007/0054119号;米国特許第7,776,927号;および国際特許出願公開第WO2006/078841号に開示されており、これらはそれぞれ、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0098】
液滴サイズは、マイクロ流体チャネルサイズに関係する。マイクロ流体チャネルは、例えば、約5mm未満もしくは2mm未満、または約1mm未満、または約500μm未満、約200μm未満、約100μm未満、約60μm未満、約50μm未満、約40μm未満、約30μm未満、約25μm未満、約10μm未満、約3μm未満、約1μm未満、約300nm未満、約100nm未満、約30nm未満、または約10nm未満の流体流に対して垂直な最大寸法を有する任意のサイズであってよい。
【0099】
液滴サイズは、相対流量を調節することによって調整することができる。一部の実施形態では、液滴直径は、チャネルの幅に等しいか、またはチャネルの幅の約10%、15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、もしくは100%以内である。
【0100】
本開示のヒドロゲル粒子の寸法は、それが形成された液滴と実質的に類似している。したがって、一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、約1μm、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、600、800未満、または1000μm未満の直径を有する。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、直径が約1μm、2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、120、150、200、250、300、350、400、450、500、600、800を上回る、または1000μmよりも大きい直径を有する。一実施形態では、ヒドロゲル粒子は、5μm~100μmの範囲の直径を有する。
【0101】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は形状が球形である。
【0102】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子はアガロースを含まない。
【0103】
一部の実施形態におけるヒドロゲル粒子は、懸濁重合によって担持され、これは当技術分野ではパール、ビーズまたは粒状重合とも称される(Elbert (2011). Acta Biomater. 7, pp. 31-56を参照、これはすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。懸濁重合では、モノマーは連続相、例えば、連続油相中のモノマー水溶液中で不溶性である。懸濁重合では、重合開始は、モノマーを多く含む液滴内で、液滴当たりのラジカル数が常に1つを上回る状態で起こる。一実施形態におけるモノマー相は、二官能性モノマーまたは複数のモノマー種(コモノマー、これは複数の二官能性モノマーであり得る)であり得るモノマーを含む。一実施形態におけるモノマー相は、開始剤および/または架橋剤を含む。
【0104】
乳化重合を、本明細書に記載されるヒドロゲル粒子を形成するために使用することもできる。乳化重合では、モノマーは、懸濁重合と同様に連続相中での溶解性が低いが、重合開始はモノマー液滴の外側で生じる(Elbert (2011). Acta Biomater. 7, pp. 31-56を参照、これはすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。乳化重合の実施形態では、開始剤は、連続相中に溶解したモノマー(またはコモノマー)の、または界面活性剤が存在する場合にはミセルに含まれるモノマーの連鎖成長を引き起こす。
【0105】
他の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、例えば、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる、Elbert (2011). Acta Biomater. 7, pp. 31-56に記載されているような沈殿重合によって形成される。沈殿重合は、モノマーとポリマーとの溶解度の違いを利用して微粒子を生成させる手法である。具体的には、より大きなポリマー鎖は、より小さなポリマー鎖よりも一般的に低い溶解度を有することが知られている。したがって、特定の分子量を上回ると、相分離が起こりやすい。沈殿重合は最初は、単相の均一系における溶液重合として始まる。重合の開始直後に、一実施形態では、比較的高濃度のポリマー鎖が存在し、核形成による相分離が起こりやすい。重合が進行するにつれて、ポリマー鎖の濃度は低くなり、既存の粒子は、新しい粒子の核形成が起こり得る前に鎖を捕捉する。したがって、粒子の核形成は、反応の開始直後に短時間にのみ生じ、これは一実施形態では、粒子の狭いサイズ分布をもたらす。さらなる方法としては、リソグラフィック粒子形成(Helgeson et al. (2011). Curr. Opin. Colloid. Interface Sci. 16, pp. 106-117、これはすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)、膜乳化(例えば、Nanomi B.V. (Netherlands)によって記載されているマイクロシーブ乳化技術の手法)およびマイクロチャネル乳化(Sugiura et al. (2002). Languimir 18, pp. 5708- 5712、これはすべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)およびバルク乳化(SNF Floerger、これはsnf.com.au/downloads/Emulsion_Handbook_E.pdfで入手可能であり、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、水性モノマー溶液の中心流に集束する2つの油チャネルを有するマイクロ流体デバイス内で形成される。この実施形態では、液滴が2つのチャネルと中心流との境界面で形成されて、油中水型エマルジョン中の液滴を壊す。液滴がひとたび形成されると、一実施形態では、それらは例えば、油相に界面活性剤を添加することによって、重合の前に安定化される。しかし、別の実施形態では、液滴は重合の前に安定化されない。一実施形態におけるモノマーの重合は、最初の液滴が形成された後に、油チャネルの一方または両方に促進剤(例えば、N,N,N’,N’テトラメチルエチレンジアミン)を添加することによって誘発される。
【0107】
上記で提供されるような水性モノマー溶液は、単一のモノマー種または複数のモノマー種を含むことができる。水性モノマー溶液は、コモノマー、二官能性モノマーまたはそれらの組合せを含むことができる。一部の実施形態では、モノマーまたは複数のモノマーは、二官能性モノマー、例えば、上記のモノマーのうちの1種を含むことができる。以下に記載されるように、コモノマーを使用して、ヒドロゲル粒子の特定の特性をモジュレートすることができる。
【0108】
一部の実施形態では、水性モノマー溶液の中心流は、架橋剤、例えば、N,N’-ビスアクリルアミドを含む。さらなる実施形態では、水性モノマー溶液の中心流は、モノマーに加えて、架橋剤および促進剤を含む。さらに別の実施形態では、水性モノマー溶液は、開始剤、例えば、過硫酸アンモニウムなどの酸化剤を含む。
【0109】
一部の実施形態では、ビーズ、複数のビーズ、生体分子、または複数の生体分子がヒドロゲル粒子内に包埋される(封入される)。封入されたビーズまたは生体分子は、一部の実施形態では、標的細胞の、またはそれが粒子を貪食した後の細胞の、1種または複数種の細胞内小器官を模倣するために使用される。一部の実施形態では、ビーズまたは生体分子の封入または包埋は、ヒドロゲル粒子の形成時点で達成される。例えば、ビーズは、平均1個のビーズが単一のヒドロゲル粒子内に包埋される/封入されることを可能にする適切な濃度で懸濁することができる。ビーズ懸濁液は、例えば、モノマーの水溶液中に含めることができる。同様に、生体分子または生体分子の混合物をモノマーの水溶液中に組み込んで、1種または複数種の生体分子を封入することもできる。
【0110】
あるいは、ヒドロゲル粒子が、例えば上記の方法によって形成された時点で、一部の実施形態では、例えば、ビーズ、複数のビーズ、生体分子または複数の生体分子をヒドロゲル粒子内に包埋することによって、ヒドロゲル粒子をさらに操作することもできる。
【0111】
したがって、本開示の一態様では、包埋された物質を含むヒドロゲルが提供される。
【0112】
一部の実施形態では、包埋された物質は、包埋された分子、例えば、生体分子である。生体分子は、単一の種または複数の異なる種であり得る。例えば、タンパク質、ペプチド、炭水化物、核酸またはそれらの組合せを、本開示のヒドロゲル粒子内に封入することができる。さらに、異なる核酸分子(例えば、異なる配列または核酸タイプ、例えば、ゲノムDNA、メッセンジャーRNAまたはDNA-RNAハイブリッド)を、本開示のヒドロゲル粒子によって封入することができる。これらは任意のタンパク質または核酸で構成され得るが、これは両方の形態の生物学的材料が不安定な化学的側基を含むためである(または例えば、商業的販売元によって修飾され得る(例えば、Integrated DNA Technologyの化学的側基修飾))。そのような側基は、コモノマー組成物に一般的に見出される反応化学物質と適合性がある(例えば、アクリレート化学物質、NHS-エステル、第一級アミン、銅触媒によるクリックケミストリー(Sharpless))。適合性のある化学物質を含有する可能な包埋された分子の範囲は、当業者によって理解される。
【0113】
一部の実施形態では、それぞれが異なる濃度の生体分子を有する、ヒドロゲル粒子の異なる部分集団が製作される。さらなる実施形態では、生体分子は、核酸、タンパク質、細胞内イオン、例えば、カルシウム酸(またはユーザーが選択した他の生体分子、例えば、カルシウム)である。別の実施形態では、それぞれが異なる濃度の原薬を有する、ヒドロゲル粒子の異なる部分集団が製作される。一実施形態における原薬は、生体分子(すなわち、生物製剤、抗体、抗体薬物コンジュゲート、タンパク質/酵素、ペプチド、非リボソームペプチド、または関連分子)または小分子合成薬物(例えば、I/II/III型ポリケチド、生理活性特性を有する非リボソームペプチド、または当業者によって一般に分類される他の小分子実体)である。
【0114】
この点に関して、本開示は、細胞が各々の核酸またはタンパク質含有量について染色されるアッセイ分解能を決定するために特に有用である。一部の実施形態では、本明細書で提供されるヒドロゲル粒子の異なる集団に、既知の異なる量の細胞内物質、例えば、核酸またはタンパク質が封入される。個々のヒドロゲル粒子を細胞内物質について染色し、種々の集団の個々のヒドロゲルについて、サイトメトリーデバイスを介して蛍光を測定する。これにより、細胞内アッセイの感度およびダイナミックレンジを確立するための標準曲線の作成が可能になる。ひとたび確立されると、試料をサイトメーターに通して、存在する場合には標的細胞を検出し、各々の標的細胞における細胞内物質の量を定量することができる。一実施形態では、包埋された物質は、感染症バイオマーカー、例えば、Infectious Disease Biomarker Database(IDBD、Yang et al. (2008) IDBD: Infectious Disease Biomarker Database. Nucleic Acid Res. 36, pp. D455-D460を参照、これはすべての目的のためにその全体が参照によって組み込まれる)における感染症バイオマーカーの1つである。さらなる一実施形態では、感染症バイオマーカーは、胃腸感染症、呼吸器感染症、神経系感染症、泌尿生殖器感染症、ウイルス感染症、出血熱、人畜共通感染症、アルボウイルス、抗生物質耐性またはバイオテロリズムのバイオマーカーである。さらなる一実施形態では、ウイルス感染症はエボラ感染症である。
【0115】
一部の実施形態では、本明細書で提供される方法は、細胞核酸定量アッセイの感度および/またはダイナミックレンジを決定するために使用される。この実施形態では、試料を、試料内の細胞型(存在する場合)、および細胞内の細胞核酸の量について調べる。
【0116】
他の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、一実施形態では、さまざまな濃度で既知量のタンパク質を封入しており、その後に適切なタンパク質抗体で染色される。さまざまな粒子について蛍光を測定して、アッセイの感度および/またはダイナミックレンジを決定する。続いて、蛍光値を試料中の細胞から得られた値と比較して、標的細胞が存在するか否か、およびそれが細胞内タンパク質を含有するか否か、ならびにタンパク質の量を決定することができる。
【0117】
上記で提供されるように、本開示の一態様では、包埋された物質を含むヒドロゲルが提供される。一部の実施形態では、包埋された物質は、ビーズまたは複数のビーズである。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子に単一のビーズが包埋される。他の実施形態では、個々のヒドロゲルで、複数のヒドロゲル粒子中に包埋されたビーズの平均数は1個である。
【0118】
一部の実施形態では、約1μm~約3μm、約2μm~約4μm、または約3μm~約7μmの直径を有するビーズが、本明細書で提供されるヒドロゲルに包埋される。例えば、一部の実施形態では、ビーズは約3μm~約3.5μmの直径を有する。さらなる実施形態では、ビーズは蛍光ビーズである。他の実施形態では、ビーズは約1μm~約2.5μm、または約1.5μm~約3μmの直径を有する。さらなる実施形態では、ビーズは蛍光ビーズであり、内部またはその表面のいずれかを染色することができる。またさらなる実施形態では、蛍光ビーズは内部が染色される。理論に拘束されることを望まないが、内部染色は、蛍光出力の変動を引き起こし得る環境相互作用からフルオロフォアを隔離すると考えられている。
【0119】
一部の実施形態では、FSCは、組成物中に存在するモノマーのパーセンテージを調節することによってモジュレートされ、それによってヒドロゲル形成中に存在する含水量を変更する。モノマーおよびコモノマーが使用される一部の実施形態では、モノマーおよびコモノマーの比率は、ヒドロゲル粒子の特性を変化させるように調節される。例えば、モノマーおよびコモノマーの比率を使用して、ヒドロゲル粒子の弾性(すなわち、ヤング率)を、標的細胞の弾性に実質的に類似するように調節することができる。モノマーおよびコモノマーの比率により、ヒドロゲル粒子のヤング率を、標的細胞の弾性に基づいて、0.2キロパスカル(kPa)~400kPaの範囲で変化させることができる。ヒドロゲル粒子の弾性(例えば、柔らかさまたは硬さ)は、ヒドロゲル粒子が相互作用する標的細胞の機能に影響を及ぼし得る。
【0120】
開示されるヒドロゲル粒子のFSCは、標的細胞のものと比較することで最も有意義に測定される。一部の実施形態では、開示されるヒドロゲル粒子は、サイトメトリーデバイスによって測定した場合、標的細胞の30%以内、25%以内、20%以内、15%以内、10%以内、5%以内、または1%以内のFSCを有する。
【0121】
FSCは、粒子容積に関係しており、したがって、本明細書に記載されるように、粒子直径を変化させることによってモジュレートすることができる。一部の実施形態における粒子直径は、ヒドロゲル粒子のFSC特性をモジュレートするように変更される。例えば、ヒドロゲル粒子直径は、一実施形態では増加し、粒子形成中により大きなマイクロ流体チャネルを利用することによって変更される。
【0122】
SSCは、ヒドロゲル内にナノ粒子を封入することによって、標的細胞内の細胞小器官を模倣するように操作することができる。一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)ナノ粒子、ポリスチレン(PS)ナノ粒子、およびシリカナノ粒子からなる群から選択される1種または複数の種類のナノ粒子を含む。理論に縛られることを望まないが、本明細書に記載されているように、ヒドロゲルを選択的に調整し得ることにより、極めて多数の細胞型を模倣するための堅牢なプラットフォームが可能になる。
【0123】
例えば、ヒドロゲル粒子は、粒子のキャパシタンスを調整するために、例えば、コールターカウンターを較正するために、製作および調整することができる。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子のキャパシタンスは、組成物中のヒドロゲルモノマーの量を変更することによって調節される。例えば、ポリアナリン、ポリアセチレン;ポリフェニレンビニレン;ポリピロール(X=NH)およびポリチオフェン(X=S)コモノマー;ならびにポリアニリン(X=NH/N)およびポリフェニレンスルフィド(X=S)コモノマーの濃度はすべて、キャパシタンスを変更するように調節することができる。一部の実施形態では、これらのモノマーのうちの1種または複数種の濃度を上昇させて、ヒドロゲル粒子のキャパシタンスを増加させる。
【0124】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、同じ直径のポリスチレンビーズと比較して、標的細胞のものにより近い材料弾性率特性(例えば、弾性)を有する。ヒドロゲル粒子が形成された後に、粒子の表面の1つまたは複数を官能化して、例えば、標的細胞の1種または複数種の特性を模倣することができる。官能化されたヒドロゲル粒子はまた、上記のように、包埋されたビーズまたは物質、例えば、生体分子を含むこともできる。一部の実施形態では、1種または複数種のヒドロゲル粒子は、1種もしくは複数の蛍光色素、1種もしくは複数の細胞表面マーカー(またはそのエピトープ結合領域)、またはそれらの組合せで官能化される。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、少なくとも1種の二官能性モノマーを重合することによって形成され、形成後に、ヒドロゲル粒子は、細胞表面マーカー、細胞表面マーカーのエピトープ結合領域、蛍光色素、またはそれらの組合せのさらなる結合のために使用することができる1種または複数種の官能基を含む。遊離官能基は、一実施形態では、アミン基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、またはそれらの組合せである。所望の官能化に応じて、例えば、異なる化学物質を使用して、異なる分子を用いて粒子を官能化するために、複数の二官能性モノマーを使用し得ることを理解されたい。
【0125】
ヒドロゲル粒子は、すべての目的のためにその全体が参照によって本明細書に組み込まれる、The MolecularProbes(登録商標)Handbook-A Guide to Fluorescent Probes and Labeling Technologiesに列挙されている蛍光色素を含む、当技術分野で公知の任意の蛍光色素で官能化することができる。官能化は、遊離アミン基を含む化合物、例えば、アリルアミンによって媒介することができ、上記で考察したように、ヒドロゲルを形成するために使用される二官能性モノマーにそれを組み込むことができる。
【0126】
本明細書に記載されるヒドロゲル粒子の表面を官能化するために使用することができる公知の蛍光色素の非限定的な例としては、6-カルボキシ-4’,5’-ジクロロ-2’,7’-ジメトキシフルオレセインスクシンイミジルエステル;5-(および-6)-カルボキシエオシン;5-カルボキシフルオレセイン;6-カルボキシフルオレセイン;5-(および-6)-カルボキシフルオレセイン;S-カルボキシフルオレセイン-ビス-(5-カルボキシメトキシ-2-ニトロベンジル)エーテル、-アラニン-カルボキサミド、またはスクシンイミジルエステル;5-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル;6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル;5-(および-6)-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル;5-(4,6-ジクロロトリアジニル)アミノフルオレセイン;2’,7’-ジフルオロフルオレセイン;エオシン-5-イソチオシアネート;エリスロシン5-イソチオシアネート;6-(フルオレセイン-5-カルボキサミド)ヘキサン酸またはスクシンイミジルエステル;6-(フルオレセイン-5-(および-6)-カルボキサミド)ヘキサン酸またはスクシンイミジルエステル;フルオレセイン-S-EXスクシンイミジルエステル;フルオレセイン-5-イソチオシアネート;フルオレセイン-6-イソチオシアネート;OregonGreen(登録商標)488カルボン酸、またはスクシンイミジルエステル;Oregon Green(登録商標)488イソチオシアネート;Oregon Green(登録商標)488-Xスクシンイミジルエステル;Oregon Green(登録商標)500カルボン酸;Oregon Green(登録商標)500カルボン酸、スクシンイミジルエステルまたはトリエチルアンモニウム塩;Oregon Green(登録商標)514カルボン酸;Oregon Green(登録商標)514カルボン酸またはスクシンイミジルエステル;Rhodamine Green(商標)カルボン酸、スクシンイミジルエステルまたは塩酸塩;Rhodamine Green(商標)カルボン酸、トリフルオロアセトアミドまたはスクシンイミジルエステル;Rhodamine Green(商標)-Xスクシンイミジルエステルまたは塩酸塩;RhodolGreen(商標)カルボン酸、N,O-ビス-(トリフルオロアセチル)またはスクシンイミジルエステル;ビス-(4-カルボキシピペリジニル)スルホネルローダミンまたはジ(スクシンイミジルエステル);5-(および-6)カルボキシナフトフルオレセイン、5-(および-6)カルボキシナフトフルオレセインスクシンイミジルエステル;5-カルボキシローダミン6G塩酸塩;6-カルボキシローダミン6G塩酸塩、5-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;6-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;5-(および-6)-カルボキシローダミン6Gスクシンイミジルエステル;5-カルボキシ-2’,4’,5’,7’-テトラブロモスルホンフルオレセインスクシンイミジルエステルまたはビス-(ジイソプロピルエチルアンモニウム)塩;5-カルボキシテトラメチルローダミン;6-カルボキシテトラメチルローダミン;5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミン;5-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;5-(および-6)-カルボキシテトラメチルローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシ-X-ローダミン;5-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;6-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;5-(および-6)-カルボキシ-X-ローダミンスクシンイミジルエステル;5-カルボキシ-X-ローダミントリエチルアンモニウム塩;Lissamine(商標)ローダミンBスルホニルクロリド;マラカイトグリーン;イソチオシアネート;NANOGOLD(登録商標)モノ(スルホスクシンイミジルエステル);QSY(登録商標)21カルボン酸またはスクシンイミジルエステル;QSY(登録商標)7カルボン酸またはスクシンイミジルエステル;Rhodamine Red(商標)-Xスクシンイミジルエステル;6-(テトラメチルローダミン-5-(および-6)-カルボキサミド)ヘキサン酸;スクシンイミジルエステル;テトラメチルローダミン-5-イソチオシアネート;テトラメチルローダミン-6-イソチオシアネート;テトラメチルローダミン-5-(および-6)-イソチオシアネート;Texas Red(登録商標)スルホニル;Texas Red(登録商標)スルホニルクロリド;Texas Red(登録商標)-X STPエステルまたはナトリウム塩;Texas Red(登録商標)-Xスクシンイミジルエステル;Texas Red(登録商標)-Xスクシンイミジルエステル;ならびにX-ローダミン-5-(および-6)イソチオシアネートが挙げられる。
【0127】
本明細書に記載されるヒドロゲル粒子とともに使用するための蛍光色素の他の例としては、これらに限定されないが、BODIPY(登録商標)FL;BODIPY(登録商標)TMR STPエステル;BODIPY(登録商標)TR-X STPエステル;BODIPY(登録商標)630/650-X STPエステル;BODIPY(登録商標)650/665-X STPエステルを含む、Invitrogenから市販されているBODIPY(登録商標)色素;6-ジブロモ-4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸スクシンイミジルエステル;4,4-ジフルオロ-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3,5-ジプロピオン酸;4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-ペンタン酸;4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-ペンタン酸スクシンイミジルエステル;4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3プロピオン酸;4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸スクシンイミジルエステル;4,4ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3プロピオン酸;スルホスクシンイミジルエステルまたはナトリウム塩;6-((4,4-ジフルオロ-5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3プロピオニル)アミノ)ヘキサン酸;6-((4,4-ジフルオロ-5,7ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオニル)アミノ)ヘキサン酸またはスクシンイミジルエステル;N-(4,4-ジフルオロ5,7-ジメチル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオニル)システイン酸、スクシンイミジルエステルまたはトリエチルアンモニウム塩;6-4,4-ジフルオロ-1,3-ジメチル-5-(4-メトキシフェニル)-4-ボラ3a,4a4,4-ジフルオロ-5,7-ジフェニル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-sインダセン-3-プロピオン酸;4,4-ジフルオロ-5,7-ジフェニル-4-ボラ3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸スクシンイミジルエステル;4,4-ジフルオロ-5-フェニル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸;スクシンイミジルエステル;6-((4,4-ジフルオロ-5-フェニル-4ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオニル)アミノ)ヘキサン酸またはスクシンイミジルエステル;4,4-ジフルオロ-5-(4-フェニル-1,3ブタジエニル)-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸スクシンイミジルエステル;4,4-ジフルオロ-5-(2-ピロリル)-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸スクシンイミジルエステル;6-(((4,4-ジフルオロ-5-(2-ピロリル)-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-イル)スチリルオキシ)アセチル)アミノヘキサン酸またはスクシンイミジルエステル;4,4-ジフルオロ-5-スチリル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-プロピオン酸;4,4-ジフルオロ-5-スチリル-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-sインダセン-3-プロピオン酸;スクシンイミジルエステル;4,4-ジフルオロ-1,3,5,7-テトラメチル-4-ボラ-3a,4aジアザ-s-インダセン-8-プロピオン酸;4,4-ジフルオロ-1,3,5,7-テトラメチル-4ボラ-3a,4a-ジアザ-sインダセン-8-プロピオン酸スクシンイミジルエステル;4,4-ジフルオロ-5-(2-チエニル)-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-sインダセン-3-プロピオン酸スクシンイミジルエステル;6-(((4-(4,4-ジフルオロ-5-(2-チエニル)-4-ボラ-3a,4aジアザs-インダセン-3-イル)フェノキシ)アセチル)アミノ)ヘキサン酸またはスクシンイミジルエステル;および6-(((4,4-ジフルオロ-5-(2-チエニル)-4-ボラ-3a,4a-ジアザ-s-インダセン-3-イル)スチリルオキシ)アセチル)アミノヘキサン酸またはスクシンイミジルエステルが挙げられる。
【0128】
一実施形態における1種または複数種のヒドロゲル粒子の表面の誘導体化のための蛍光色素としては、これらに限定されないが、Alexa fluor(登録商標)350カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)430カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)488カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)532カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)546カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)555カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)568カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)594カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)633カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)647カルボン酸;Alexa Fluor(登録商標)660カルボン酸;およびAlexa Fluor(登録商標)680カルボン酸を含む、Invitrogen社から市販されているAlexa fluor色素が挙げられる。別の実施形態では、本明細書に記載されるヒドロゲル粒子および方法とともに使用するための蛍光色素としては、Cy3 NHSエステル;Cy 5 NHSエステル;Cy5.5 NHSエステル;およびCy7 NHSエステルを含むがこれらに限定されない、Amersham-Pharmacia Biotechから市販されているシアニン色素が挙げられる。
【0129】
ヒドロゲル粒子の所望のスペクトル励起および発光特性に基づいて、好適な1種または複数種の色素を選択することは、当業者の通常の技術の範囲内である。
磁性ヒドロゲル粒子
【0130】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は磁性であり得、その結果、ヒドロゲル粒子は、磁石によって導入される磁場または磁場勾配に誘引されるかまたは反発することが可能である。ヒドロゲル粒子は、磁性、反磁性、強磁性、常磁性、または超常磁性であり得る。例えば、ヒドロゲル粒子を磁性にするために、磁性ビーズ、磁性粒子、または磁性ナノ粒子(
図4Bおよび
図4Cに示されるような)、磁性流体(例えば、フェロ流体)、それらの組合せなどを、ヒドロゲル粒子内に封入するかまたは包埋することができる。さらに別の例として、ヒドロゲル粒子マトリックスは、磁性材料(例えば、酸化鉄を含むものなどの磁性応答性ヒドロゲル)で構成され得る。
【0131】
図4D~
図4Fに示されるように、磁性捕捉ビーズは、標的細胞集団上の細胞外バイオマーカーを標的とする抗体でコーティングすることができる。細胞集団を捕捉ビーズとともにインキュベートした後(例えば、最大1分間、最大2分間、最大3分間、最大4分間、最大5分間、最大10分間、最大15分間、最大30分間、最大60分間、少なくとも60分間、または含められたこれらの時間の間、これらの時間を下回る、もしくはこれらの時間を上回る任意の適切な時間)、磁性捕捉ビーズは、標的細胞集団に特異的に結合する。捕捉ビーズに結合した細胞の磁性分離により、宿主細胞集団からバイオマーカー陽性細胞が濃縮される。ビーズを溶解するかまたは細胞から切断して、磁性捕捉後に陽性細胞を回収することができる。
【0132】
さらに、
図4Fにおけるように、磁性ナノ粒子(例えば、超常磁性ナノ粒子)をヒドロゲルまたは粒子に含めることにより、フローサイトメーター上で測定した場合に、ヒドロゲル粒子の側方散乱が増加する。
【0133】
磁石は、限定されるものではないが、リング磁石、棒磁石、馬蹄形磁石、電磁石、切り替え可能磁石、球形磁石、多角形磁石、多面体形状、ワンド磁石、腎臓形磁石、台形磁石、円盤磁石、ウシ用磁石、またはブロックもしくはレンガ磁石であり得る。複数の磁石が使用される場合、磁石は、サイズ、形状、および機能が異なってもよく、または同じであってもよい(すなわち、電磁石対永久磁石)。
【0134】
一部の実施形態では、磁性ヒドロゲル粒子を、標的細胞の免疫磁性分離に使用することができる。免疫磁性分離において、磁性ヒドロゲルを、相補的リガンドを介して標的細胞にコンジュゲートすることができる。磁性ヒドロゲル粒子は、標的細胞の抗原を対象とするリガンド、例えば、抗体を含むことができる。これらの相補的コンジュゲートは、共有結合、イオン結合、双極子-双極子相互作用、ロンドン分散力、ファンデルワールス力、水素結合、または他の化学結合によって互いに結合することができる。直接的または間接的コンジュゲーションを使用することができる。
【0135】
続いて、標的細胞-磁性ヒドロゲル粒子コンジュゲートを、磁石に向けて誘引することができる。磁石は、
図4Aに示すように、コンジュゲートを誘引するための磁場または磁場勾配を生成する。コンジュゲートは、目的の試料を容器の側壁に向かって誘引すること、異なるビンに向かわせることなどができる。
【0136】
一部の実施形態では、磁性ヒドロゲル粒子を使用して、後続の分析の前に、目的のデバイスまたは試料から磁性ヒドロゲル粒子を除去することができる。磁性ヒドロゲル粒子は、較正または補正などのための対照として使用することができる。制御ステップまたはプロセスが完了した後に、磁性ヒドロゲル粒子を、較正されるデバイスまたは補正が決定されている目的の試料から除去することができる。磁性ヒドロゲル粒子の除去は、適合しないステップまたはプロセスに含められることを回避するために必要であり得る。例えば、磁性ヒドロゲル粒子の除去は、試料が、磁性ヒドロゲル粒子と適合しない可能性がある後続の処理または分析(例えば、下流分析、配列決定など)を受けることを可能にすることができる。さらに別の例として、磁性ヒドロゲル粒子の除去は、磁性ヒドロゲル粒子が適合しない後続のプロセスにおいて、または異なる磁性ヒドロゲル粒子が使用される後続のプロセスにおいて、デバイスを使用することを可能にすることができる。
ヒドロゲル粒子は標的細胞の成長を支持する
【0137】
フィーダー細胞は、増殖因子、接着分子、および/または細胞外マトリックスなどの生体分子を培地に放出することによって標的細胞の成長を支持するが、ウイルスおよび望ましくない抗原などの問題を細胞培養物に導入する可能性がある。ここで、本開示は、フィーダー細胞として作用し、培地/標的細胞に対する1種または複数種の増殖因子、接着分子、および/または細胞外マトリックスを含むヒドロゲル粒子を提供する。本開示の一部の態様では、フィーダーヒドロゲル粒子は、標的細胞の成長を支持する1種または複数種のポリペプチドまたはその断片を含む。本開示の一部の態様では、フィーダーヒドロゲル粒子は、標的細胞の増殖および/または活性化を刺激する1種または複数種のポリペプチドまたはその断片を含む。
【0138】
一部の実施形態では、生体分子は、ヒドロゲル粒子の表面に結び付いている。一部の実施形態では、生体分子は、ヒドロゲル粒子自体のマトリックス中にある。一部の実施形態では、ヒドロゲルは、分解されて標的細胞にそのような生体分子を提供するように操作される。分解速度は、ヒドロゲル粒子の緩徐な分解をもたらし、それ故に標的細胞への生体分子の緩徐な放出をもたらすようにモジュレートすることができる。一部の実施形態では、生体分子は、ヒドロゲル粒子の表面およびヒドロゲル粒子のマトリックスの両方に結び付いている。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子の表面上およびマトリックス中の生体分子は同じである。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子の表面上およびマトリックス中の生体分子は異なる。
抗原提示性ヒドロゲル粒子
【0139】
本開示はT細胞に関して記載されるが、本開示は、その適用の範囲においてそのように限定されることを意図していない。本開示は、形質細胞、リンパ球、免疫細胞、抗原提示細胞(例えば、樹状細胞、マクロファージ、B細胞)、ナイーブB細胞、メモリーB細胞、ナイーブT細胞、メモリーT細胞、キメラ抗原受容体T細胞(CAR T細胞)、制御性T細胞、細胞傷害性T細胞、NK細胞、または任意の他の適切な細胞に対して使用することができる。さらに、本方法は、任意の数の細胞または分析物、例えば、1種、少なくとも1種、複数などのものに対して使用することができる。
【0140】
一般に、T細胞の活性化は、抗原提示細胞(APC)の表面にある主要組織適合抗原複合体(MHC)分子に結合したペプチド抗原、T細胞受容体/CD3複合体(TCR/CD3)によって誘発される。これはT細胞活性化における主要なシグナルであるが、APCとT細胞との間の他の受容体-リガンド相互作用も完全な活性化のために必要である。例えば、他の分子相互作用の非存在下におけるTCR刺激は、アネルギー状態を誘導することができ、その結果、これらの細胞は再刺激時に完全な活性化シグナルに応答できなくなる。したがって、最適な機能性は、第2のシグナル伝達分子、例えば、膜結合タンパク質またはAPC分泌産物の使用を通じて付与され得る。これらの膜結合タンパク質の場合、そのような第2の相互作用は通常、本質的に接着性であり、2つの細胞間の接触を強化する。他のシグナル伝達分子(例えば、APCからT細胞へのさらなる活性化シグナル伝達)も関連する可能性がある。例えば、CD28はヒトにおいて末梢T細胞の80%に存在する表面糖タンパク質であり、静止T細胞および活性化T細胞の両方に存在する。CD28はB7-1(CD80)またはB7-2(CD86)に結合し、公知の共刺激分子の中で最も強力なものの1つである。TCR結合と組み合わされて、T細胞上へのCD28連結はインターロイキン-2(IL-2)の産生を誘導する。分泌されたIL-2は、ex vivoでのT細胞増大のための重要な因子である。
【0141】
ここで、本開示は、APCとして作用し、T細胞の増大および/または活性化を刺激する1種または複数種の生体分子を含むヒドロゲル粒子を提供する。一部の実施形態では、APCヒドロゲルは、活性化生体分子、刺激生体分子、共刺激生体分子および/またはT細胞ホメオスタシス因子のうちの1種または複数種を含む。
【0142】
さらに、本開示は、細胞増大、細胞増殖、細胞分化、活性化維持、細胞成熟、細胞受容体クラスター形成、シナプス形成(例えば、リンパ球と腫瘍細胞との間)、サイトカイン産生、遺伝子発現、タンパク質発現、または適切な抗原、抗体、免疫グロブリン(例えば、CD3、CD19、CD20、CD28、CD80、CD86、CD69、CD154、CD137、IgM、IgG、IgE、IgA、IgD)、toll様受容体(例えば、TLR、例えば、TLR1-13)などによる認識もしくは刺激に際して標的細胞が活性化される任意の他の適切な出来事を含むがこれらに限定されない活性化事象を検出すること、誘導すること、または検出して誘導することができる。
【0143】
一部の実施形態では、これらの活性化事象は、目的の細胞へのヒドロゲル粒子の近接性に基づいて誘導することができる。1つの例では、ヒドロゲル粒子は、直接的または間接的なコンジュゲーションのいずれかを介して、目的の細胞にコンジュゲートすることができる。別の例では、ヒドロゲル粒子は、目的の細胞に近接し得るが、接触していてはならない。ヒドロゲル粒子および目的の細胞は、1nm未満、1ミクロン未満、1ミリメートル未満、または活性化事象が依然として起こり得る任意の適切な分離距離で隔てられることができる。
【0144】
作用は、粒子の導入領域から離れていてもよく、その場合にはシグナル事象またはカスケード事象が遠隔的に発生する。距離は、少なくとも1ミリメートル、少なくとも1センチメートル、少なくとも1メートルなどであり得る。例えば、粒子を、筋肉内または静脈内に導入することができ、作用は、リンパ節、遠隔免疫器官、または他の標的器官におけるものである。あるいは、粒子を、膜の一方の側に導入することもでき、作用は、膜の他方の側に対するもの(例えば、半透膜を介して)であり得る。
【0145】
一部の実施形態では、T細胞の増大および/または活性化を刺激することができる分子は、ポリペプチドまたはその断片である。一部の実施形態では、T細胞の増大および/または活性化を刺激することができるポリペプチドまたはその断片は、ペプチド抗原である。一部の実施形態では、T細胞の増大および/または活性化を刺激することができる分子は、MHC分子の構成要素である。一部の実施形態では、T細胞の増大および/または活性化を刺激することができる分子は、T細胞受容体/CD3複合体の構成要素である。一部の実施形態では、T細胞の増大および/または活性化を刺激することができる分子は、T細胞受容体/CD3複合体の構成要素に特異的に結合する抗体である。一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、CD3に特異的に結合する抗体またはその断片を含む。
【0146】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、1種または複数種のT細胞活性化分子と、1種または複数種のT細胞共刺激分子とを含む。一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、T細胞活性化分子に特異的に結合する1種または複数種の抗体またはその断片と、1種または複数種のT細胞共刺激分子とを含む。一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、CD3のT細胞活性化分子と、CD28、ICOS、CD27、CD40、CD40L、CD137L、およびCD137から選択されるT細胞共刺激分子とを含む。一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、CD3に特異的に結合する1種もしくは複数の抗体もしくはその断片、およびCD28、ICOS、CD27、CD40、CD40L、CD137L、CD137などに特異的に結合する1種もしくは複数の抗体もしくはその断片、またはそれらの組合せを含む。
【0147】
一部の実施形態では、ヒドロゲル/合成細胞上の受容体分子はMHCテトラマー(MHCクラスIまたはクラスII)であり、CD3 CD28分子はヒドロゲル内に封入され、これにより、一次認識がMHCテトラマーによる抗原特異性によって決定され、その後にCD3、CD28によるそのような標的化細胞の刺激が起こり、その結果として、Ag特異的細胞のみが共刺激されて、サイトカイン放出症候群の程度が低減される。
【0148】
本開示の一実施形態は、APCを使用して、T細胞、B細胞、NK細胞または他の免疫細胞の病原性サブセットを排除することである。例えば、自己免疫疾患における病原性T細胞を排除すること。合成細胞を入手して、全身性エリテマトーデス(SLE)におけるように、それを自己抗原に対する抗体を産生するB細胞に対して特異的にする。この結果、さまざまな自己抗原に対する抗体を産生するB細胞が排除される。
【0149】
一部の実施形態では、T細胞活性化分子は、抗CD3抗体もしくはその抗原結合性断片、抗マクロファージスカベンジャー受容体(MSR1)抗体もしくはその抗原結合性断片、抗T細胞受容体(TCR)抗体もしくはその抗原結合性断片、抗CD2抗体もしくはその抗体、抗原結合性断片、抗CD47抗体もしくはその抗原結合性断片、MHCペプチドがロードされた主要組織適合抗原複合体(MHC)分子もしくはそのマルチマー、およびMHC免疫グロブリン(Ig)コンジュゲートもしくはそのマルチマー、またはそれらの組合せであり得る。
【0150】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、CD28、4.1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27(TNFRSF7)、GITR(CD357)、CD30(TNFRSF8)、HVEM(CD270)、LTβR(TNFRSF3)、DR3(TNFRSF25))、ICOS(CD278)、CD226(DNAM1)、CRTAM(CD355)、TIM1(HAVCR1、KIM1)、CD2(LFA2、OX34)、SLAM(CD150、SLAMF1)、2B4(CD244、SLAMF4)、Ly108(NTBA、CD352)、SLAMF6)、CD84(SLAMF5)、Ly9(CD229、SLAMF3)および/またはCRACC(CD319、BLAME)を含むがこれらに限定されない1種または複数種のT細胞共刺激分子を含む。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、CD28、4.1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27(TNFRSF7)、GITR(CD357)、CD30(TNFRSF8)、HVEM(CD270)、LTβR(TNFRSF3)、DR3(TNFRSF25))、ICOS(CD278)、PD1(CD279)CD226(DNAM1)、CRTAM(CD355)、TIM1(HAVCR1、KIM1)、CD2(LFA2、OX34)、SLAM(CD150、SLAMF1)、2B4(CD244、SLAMF4)、Ly108(NTBA、CD352)、SLAMF6)、CD84(SLAMF5)、Ly9(CD229、SLAMF3)および/またはCRACC(CD319、BLAME)に特異的に結合する1種または複数種の抗体またはその断片を含む。一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、抗CD28抗体またはその断片を含む。
【0151】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、特定のT細胞サブタイプの増大を促進し、同時に他のサブセットの発生を阻害する1種または複数種のポリペプチドを含む。一部の実施形態では、特定のT細胞サブタイプの増大を促進するポリペプチドは、サイトカインである。一部の実施形態では、サイトカインは、インターロイキン、インターフェロン、リンホトキシン、TNFスーパーファミリーのメンバー、または前述のもののうちの1つに結合する抗体もしくはその断片である。一部の実施形態では、サイトカインは、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21、インターフェロンγ、IFNアルファ、IFNベータ、リンホトキシンα、TNFα、TNFβまたはそれらの組合せを含むがこれらに限定されないリストから選択される。
【0152】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、1種または複数種のT細胞ホメオスタシス因子を含む。一部の実施形態では、T細胞ホメオスタシス因子は、トランスフォーミング増殖因子β(TGF-β)、またはそのアゴニスト、その模倣物、そのバリアント、その機能性断片、もしくはそれらの組合せを含むがこれらに限定されないリストから選択される。一部の実施形態では、T細胞ホメオスタシス因子は、IL-2、そのアゴニスト、模倣物、バリアント、もしくは機能性断片、またはそれらの組合せである。
【0153】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、CD3およびCD28生体分子またはその断片を含む。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、抗CD3および抗CD28抗体またはそれらの断片を含む。
【0154】
一部の実施形態では、生体分子は、ヒドロゲル粒子(例えば、APCヒドロゲルまたはフィーダーヒドロゲル)の表面に結び付けられる。一部の実施形態では、生体分子は、ヒドロゲル粒子自体のマトリックス中にある(例えば、ヒドロゲル粒子内に封入されまたは包埋されて)。一部の実施形態では、生体分子は、ヒドロゲル粒子の表面およびヒドロゲル粒子のマトリックスの両方に結び付けられる。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子の表面上およびマトリックス中の生体分子は同じである。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子の表面上およびマトリックス中の生体分子は異なる。
【0155】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子によって刺激および/もしくは増大される、ならびに/または枯渇/除去されるT細胞は、ナチュラルキラー(NK)細胞、CD3+ T細胞、CD4+ T細胞、CD8+ T細胞、および制御性T細胞(Treg)、またはそれらの組合せからなる非限定的な群から選択される。一部の実施形態では、T細胞はヘルパーT細胞である。一部の実施形態では、T細胞は細胞傷害性T細胞である。一部の実施形態では、T細胞はTh1またはTh2細胞である。一部の実施形態では、T細胞は組換えT細胞である。一部の実施形態では、組換えT細胞はCAR T細胞である。
【0156】
一部の実施形態では、T細胞は、対象から新たに収集される。一部の実施形態では、T細胞は培養細胞株である。一部の実施形態では、T細胞は樹立細胞株である。一部の実施形態では、T細胞は、保存または凍結試料から培養される。
【0157】
一部の実施形態では、本開示のヒドロゲル粒子は、任意の適切なT細胞の増大、増殖、および/または活性化を誘導する。一部の実施形態では、T細胞は、APCヒドロゲル粒子なしでは培養中に増大、増殖、および/または活性化しない。一部の実施形態では、T細胞は、APCヒドロゲル粒子なしでは培養中に十分に増大、増殖、および/または活性化しない。
【0158】
一部の実施形態では、T細胞またはそのサブセットは、APCヒドロゲル粒子とのインキュベーションの結果として排除される。
【0159】
一部の実施形態では、T細胞は、動物体内の任意の適切な供給源に由来する。T細胞が採取される動物は、脊椎動物または無脊椎動物、哺乳動物または非哺乳動物、ヒトまたは非ヒトであり得る。動物供給源の例としては、霊長類、齧歯類、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、ウシ科動物およびブタが挙げられるが、これらに限定されない。
【0160】
一部の実施形態では、標的細胞は免疫細胞である。免疫細胞の非限定的な例としては、B細胞とも呼ばれるBリンパ球、T細胞とも呼ばれるTリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、リンホカイン活性化キラー(LAK)細胞、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、肥満細胞、血小板、ランゲルハンス細胞、幹細胞、樹状細胞、末梢血単核細胞、腫瘍浸潤(TIL)細胞、ハイブリドーマを含む遺伝子改変免疫細胞、薬物改変免疫細胞、および本明細書中に列挙された細胞型のうちのいずれかの派生物、先駆体または前駆体が挙げられる。
【0161】
一部の実施形態では、標的細胞は、共通の特性を有する特定のクラスの細胞のすべての細胞を範囲に含む。例えば、標的細胞は、NK細胞、T細胞、およびB細胞を含むリンパ球であり得る。標的細胞は、活性化リンパ球であり得る。
【0162】
一部の実施形態では、標的細胞は、初代細胞、培養細胞、樹立細胞、正常細胞、形質転換細胞、感染細胞、安定的にトランスフェクトされた細胞、一時的にトランスフェクトされた細胞、増殖性細胞、または最終分化した細胞である。
【0163】
一実施形態では、標的細胞は、初代ニューロン細胞である。種々のニューロンが標的細胞となり得る。非限定的な例として、標的細胞は、初代ニューロン;樹立ニューロン;形質転換ニューロン;安定的にトランスフェクトされたニューロン;または運動もしくは感覚ニューロンであり得る。
【0164】
他の実施形態では、標的細胞は、初代リンパ球、単球、および顆粒球からなる群から選択される。
【0165】
標的細胞は、原核細胞および真核細胞を含む事実上あらゆるタイプの細胞であり得る。
【0166】
好適な原核標的細胞としては、大腸菌(E.coli)、さまざまなバチルス属(Bacillus)種、および極限環境細菌、例えば、好熱菌などの細菌が挙げられるが、これらに限定されない。
【0167】
好適な真核標的細胞としては、真菌、例えば、サッカロミセス属(Saccharomyces)、アスペルギルス属(Aspergillus)、トリコデルマ属(Trichoderma)およびアカパンカビ属(Neurospora)の種を含む酵母および糸状菌;トウモロコシ、ソルガム、タバコ、アブラナ、ダイズ、コットン、トマト、ジャガイモ、アルファルファ、ヒマワリなどのものを含む植物細胞;ならびに魚類、鳥類および哺乳動物を含む動物細胞が挙げられるが、これらに限定されない。好適な魚類細胞としては、サケ、マス、ティラピア、マグロ、コイ、ヒラメ、ハリバット、メカジキ、タラおよびゼブラフィッシュの種由来のものが挙げられるが、これらに限定されない。好適な鳥類細胞としては、ニワトリ、アヒル、ウズラ、キジおよびシチメンチョウ、および他の野鶏または猟鳥のものが挙げられるが、これらに限定されない。適切な哺乳動物細胞としては、ウマ、雌ウシ、バッファロー、シカ、ヒツジ、ウサギ、齧歯類、例えば、マウス、ラット、ハムスターおよびモルモット、ヤギ、ブタ、霊長類、イルカおよびクジラを含む海洋性哺乳動物由来の細胞、ならびに細胞株、例えば、任意の組織型または幹細胞型のヒト細胞株、ならびに多能性および非多能性を含む幹細胞、ならびにヒト以外の受精卵が挙げられるが、これらに限定されない。
【0168】
好適な標的細胞にはまた、多種多様な疾患状態に関わる細胞型が含まれ、罹患していない状態の細胞型でさえも含まれる。したがって、好適な真核細胞型としては、これらに限定されないが、すべての型の腫瘍細胞(例えば、黒色腫、骨髄性白血病、肺、乳房、卵巣、結腸、腎臓、前立腺、膵臓および精巣の癌腫)、心筋細胞、樹状細胞、内皮細胞、上皮細胞、リンパ球(T細胞およびB細胞)、肥満細胞、好酸球、血管系内膜細胞、マクロファージ、ナチュラルキラー細胞、赤血球、肝細胞、単核白血球を含む白血球、幹細胞、例えば、造血、神経、皮膚、肺、腎臓、肝臓および筋細胞幹細胞(分化および脱分化因子に関するスクリーニングにおける使用のため)、破骨細胞、軟骨細胞および他の結合組織細胞、ケラチノサイト、メラニン形成細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、および含脂肪細胞が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の実施形態では、細胞は原発性疾患状態の細胞、例えば、原発性腫瘍細胞である。好適な細胞としてはまた、Jurkat T細胞、NIH3T3細胞、CHO、COSなどを含む公知の研究細胞も挙げられるが、これらに限定されない。参照により本明細書に明示的に組み込まれるATCC細胞株カタログを参照されたい。
【0169】
一部の実施形態では、標的細胞は腫瘍ミクロベシクルまたは腫瘍マクロベシクルである。腫瘍により分泌されるミクロベシクルまたは腫瘍により分泌されるエキソソームとしても知られる腫瘍ミクロベシクルは、循環血液中に見出すことができ、免疫抑制活性を有し得る。腫瘍ミクロベシクルは、典型的には直径30~200nmの範囲のサイズである。より大きな腫瘍ミクロベシクルは、腫瘍マクロベシクルと称することができ、直径3~10μmの範囲のサイズであり得る。
【0170】
一部の態様では、本開示のヒドロゲル粒子は、任意の適切な標的細胞の成長を支持する。一部の実施形態では、標的細胞は、フィーダーヒドロゲル粒子なしでは培養中に増殖しない。一部の実施形態では、標的細胞は、フィーダーヒドロゲル粒子なしでは培養中に十分に増殖しない。
【0171】
一部の実施形態では、標的細胞は幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞は、胚性幹細胞、ICM/エピブラスト細胞、原始外胚葉細胞、始原生殖細胞、がん細胞、または奇形癌細胞であるが、これらに限定されない。
【0172】
一部の実施形態では、幹細胞は、多能性幹細胞、全能性幹細胞、多分化能性幹細胞、寡能性幹細胞、または単能性幹細胞である。一部の実施形態では、多能性幹細胞は胚性幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞は未分化多能性幹細胞である。一部の実施形態では、全能性幹細胞は、胚性幹細胞、神経幹細胞、骨髄幹細胞、造血幹細胞、心筋細胞、ニューロン、アストロサイト、筋細胞、または結合組織細胞であるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、多分化能性幹細胞は、骨髄前駆細胞またはリンパ系前駆細胞であるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、幹細胞は人工多能性幹細胞(iSPC)である。一部の実施形態では、幹細胞は成体幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞は未分化多能性幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞は哺乳動物幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞は霊長類幹細胞である。一部の実施形態では、幹細胞はヒト幹細胞である。
【0173】
一部の実施形態では、幹細胞は、動物体内の任意の供給源に由来する。例えば、幹細胞は、胚またはその中の任意の始原胚葉から、胎盤または絨毛膜組織から、または脂肪、骨髄、神経組織、乳腺組織、肝臓組織、膵臓、上皮、呼吸器、性腺および筋肉組織を含むがこれらに限定されない成体幹細胞などのより成熟した組織から採取することができる。一部の実施形態では、幹細胞は、胎盤由来幹細胞または絨毛膜由来幹細胞である。
【0174】
一部の実施形態では、本開示は、分化可能な細胞を生成することができる任意の動物由来の分化可能な細胞、例えば、膵臓型細胞、例えば、ベータ細胞を使用することを想定している。分化可能な細胞が採取される動物は、脊椎動物または無脊椎動物、哺乳動物または非哺乳動物、ヒトまたは非ヒトであり得る。動物源の例としては、霊長類、齧歯類、イヌ科動物、ネコ科動物、ウマ科動物、ウシ科動物およびブタが挙げられるが、これらに限定されない。
【0175】
一部の実施形態では、標的細胞は血液細胞である。一部の実施形態では、標的細胞は末梢血単核細胞(PMBC)である。一部の実施形態では、末梢血単核細胞は、リンパ球、単球、または樹状細胞である。一部の実施形態では、リンパ球は、T細胞、B細胞、またはNK細胞である。一部の実施形態では、標的細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。
【0176】
本開示のある特定の実施形態では、細胞培養物は濃縮される。「濃縮される」という用語は、所望の細胞系譜の少なくとも10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%または100%を含有する細胞培養物を指す。
【0177】
本明細書で使用される場合、「実質的に未分化な」細胞培養物という用語は、少なくとも約50%、好ましくは少なくとも約60%、70%、または80%、さらに好ましくは少なくとも約90%の未分化幹細胞を含む幹細胞集団を指す。所望の未分化状態を示す1種または複数種のマーカーに対する標識抗体またはレポーター遺伝子/タンパク質(例えば、高感度緑色蛍光タンパク質[EGFP])を使用する蛍光活性化細胞選別を使用して、所与の幹細胞集団のどの程度多くの細胞が未分化であるかを決定することができる。この評価を行うために、未分化状態と相関する1種または複数種の細胞表面マーカー(例えば、SSEA-4、Tra-1-60およびTra-1-81)、および典型的な多能性幹細胞転写因子マーカーOct-4を検出することができる。テロメラーゼ逆転写酵素(TERT)活性およびアルカリホスファターゼもアッセイすることができる。霊長類幹細胞に関しては、陽性および/または陰性選択を使用して、例えば、免疫染色によって、またはレポーター遺伝子(例えば、EGFP)の使用によって、特定のマーカー(例えば、Oct-4、SSEA-4、Tra-1-60、Tra-1-81、SSEA-1、SSEA-3、ネスチン、テロメラーゼ、Myc、p300、およびTip60ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ならびにアルカリホスファターゼ活性)の発現(またはその欠如)、または特定の翻訳後修飾(例えば、アセチル化ヒストン)の存在を検出することができ、それによって、細胞の自己複製または分化の状態の評価を容易にすることができる。また、本明細書に記載される未分化細胞は、当技術分野で十分に記載されている典型的な幹細胞の形態を有する。
【0178】
本開示の一部の態様では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する1種または複数種の分子を含む。これらの分子としては、サイトカイン、増殖因子、サイトカイン受容体、細胞外マトリックス、転写因子、分泌性ポリペプチドおよび他の分子、ならびに増殖因子受容体またはその断片が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、線維芽細胞増殖因子(bFGF)、酸性線維芽細胞増殖因子(aFGF)、上皮増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子-1(IGF-I)、インスリン様増殖因子-II(IGF-II)、血小板由来増殖因子-AB(PDGF)、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)、アクチビン-A、骨形態形成タンパク質(BMP)、ケモカイン、モルフォゲン、中和抗体、ヘレグリン、インターフェロン、マクロファージ由来サイトカイン、インターロイキン、インターロイキン受容体、IL-1、IL-2、IL-3、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-8、IL-9、IL-10、IL-11、IL-12、IL-13、IL-14、IL-15、IL-16、IL-17、IL-18、IL-19、IL-20、IL-21、IL-22、IL-23、IL-24、IL-25、IL-26、IL-28、IL-29、IL-30、IL-31、IL-32、IL-33、IL-34、IL-35、IL-36、IL-37、IL-38、腫瘍壊死因子、TNFα、TNFβ、TNFR1、TNFR2、IFAR1、IFAR2、TGFR1、TGFR2、FGF、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子、ケモカイン(例えば、CCL1、CCL2、CCL3、CCL、CCL5、およびCXCL8)、CD27リガンド(CD27L)、CD40L、CD137L、TNF関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、TNF関連活性化誘導性サイトカイン(TRANCE)、TNF関連のアポトーシスの弱い誘導因子(TWEAK)、B細胞活性化因子(BAFF)、LIGHT(リンホトキシンと相同であり、誘導性発現を示し、Tリンパ球上に発現される受容体であるヘルペスウイルス侵入メディエーターへの結合に関して、単純ヘルペスウイルスの糖タンパク質Dと競合する)、TNF様サイトカイン1A(TL1A)、グルココルチコイド誘導性TNF受容体関連タンパク質リガンド(GITRL)、トランスフォーミング増殖因子α(TGF-α)、TGF-β、血管内皮増殖因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)、マクロファージコロニー刺激因子(M-CSF)、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、IFN-α、IFN-β、およびIFN-γを含む。
【0179】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子の表面上およびマトリックス中の生体分子は異なり、マトリックスの構成要素は異なる速度で溶解する。
【0180】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、分解されて、培養中の細胞にそのような生体分子を提供するように操作される。分解には、溶解(すなわち、溶解すること)またはリーシスが含まれ得るが、これらに限定されない。ヒドロゲルは、
図1に示されているように、複数の層を有するように操作することができ、層のうちの少なくとも2つは異なる分解速度を有する。ヒドロゲルは、その全体またはそのさまざまな層のいずれであっても、化学的に(例えば、試薬、界面活性剤、破裂など)、機械的に(例えば、振動、音響、凍結融解、破裂など)、または化学的および機械的の両方で分解することができる。
【0181】
ヒドロゲル粒子全体、ヒドロゲル粒子の個々の層、またはヒドロゲル集団の群または部分集団の分解速度は、速いこと(すなわち、24時間未満)も遅いこと(24時間またはそれよりも長い)も可能である。例えば、ヒドロゲル粒子の第1の層は、24時間未満で分解することができ、同じヒドロゲル粒子の第2の層は、48時間で分解することができる。さらに別の例として、ヒドロゲル粒子の第1の部分集団は、1時間未満で分解することができ、ヒドロゲル粒子の第2の部分集団は、24時間で分解することができ、ヒドロゲル粒子の第3の部分集団は、1週間で分解することができる。第1、第2および第3の部分集団は、ヒドロゲル粒子の集団を形成する。
【0182】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子の集団は、異なる分解速度を有するヒドロゲル粒子の群または部分集団を含むことができる。
【0183】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、さまざまな分解速度と相関する孔径を有するように操作することができる。孔径は、0.1nm~1μmの範囲であり得る。例えば、第1のヒドロゲル粒子は、第1のヒドロゲル粒子が第1の分解速度を有するような第1の孔径を有することができる;また、第2のヒドロゲルは、第2のヒドロゲル粒子が第2の分解速度を有し、第1および第2の分解速度が等しくない(例えば、第1の速度は第2の速度よりも速い;または、第1の速度は第2の速度よりも遅い)ような第2の孔径を有することができる。
【0184】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、孔径、化学組成(すなわち、化学結合、モノマー、コモノマー)、層組成など、およびそれらの組合せを含むがこれらに限定されない複数の因子に基づく、ある分解速度を有するように操作することができる。
【0185】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、活性増殖因子を放出するためにプロテアーゼによって処理されなければならない増殖因子、サイトカインまたはホルモン前駆体を含有する。一部の実施形態では、活性増殖因子を生成することができる対応するプロテアーゼは、増殖培地に添加されてもよく、標的細胞によって自然に分泌されてもよく、またはヒドロゲル粒子の組成物に含まれてもよい。
【0186】
一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、還元剤の添加時にヒドロゲル粒子が溶解することを可能にするジスルフィド架橋を含有する。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、プロテアーゼの添加によって溶解され得る。一部の実施形態では、増殖因子は、還元剤の添加によって切断されて活性増殖因子を放出することができるジスルフィド架橋を介して、互いに、またはヒドロゲルマトリックスに架橋される。適切な還元剤としては、ジチオトレイトール、トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩および2-メルカプトエタノールが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する1種類の分子のみを含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、標的細胞の成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する1種類の分子のみを含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する、複数の種類および/またはクラスの分子を含む。
【0187】
一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、インターロイキンおよび細胞表面分子を含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、少なくとも2種のインターロイキンおよび1種の細胞表面分子を含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、IL-2、IL-15、IL-21、CD137L、およびCD137(TNFRSF9;4-1BB)を含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、IL-15、IL-21、CD137LおよびCD137を含み、NK細胞を活性化する。
【0188】
一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞外マトリックスのうちの1種または複数種の構成要素を含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、標的細胞に対して物理的支持を提供する。
【0189】
一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する1種または複数種の分子の約1~約100,000,000コピーを含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、標的細胞とほぼ同じサイズであり、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する1種または複数種の分子の約500~100,000,000コピーを含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、約5μm~約200μmであり、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する1種または複数種の分子の約500~100,000,000コピーを含む。一部の実施形態では、ヒドロゲル粒子は、少なくとも5nmの直径を有する。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、標的細胞の結合部位と少なくとも同数の、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する1種または複数種の分子を含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖もしくは活性化を刺激する1種または複数種の分子を標的細胞の結合部位よりも多く含む。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞成長を支持し、および/または標的細胞増殖もしくは活性化を刺激する1種または複数種の分子の少なくとも1コピー、少なくとも10コピー、少なくとも100コピー、少なくとも1,000コピー、少なくとも10,000コピー、少なくとも100,000コピー、少なくとも1,000,000コピー、少なくとも10,000,000コピー、または少なくとも100,000,000コピーを含む。
【0190】
一実施形態では、複数のヒドロゲル粒子を使用して、標的細胞の集団における特定の細胞表面マーカーまたはその組合せの検出のダイナミックレンジおよび/または感度を決定する。例えば、ヒドロゲル粒子の集団を、標的細胞のSSCおよび/またはFSCプロファイルを有するように調整することができ、ヒドロゲル粒子の部分集団を、細胞表面マーカー、例えば、細胞表面受容体、またはそのドメイン、例えば、そのエピトープ結合領域の特定数のコピーによって誘導体化する。例えば、ヒドロゲル粒子の個々の部分集団を、それぞれ固有のコピー数を有するように誘導体化することができ、例えば、1つの部分集団は、細胞表面マーカーの100コピーを含み、第2の部分集団は、同じ細胞表面マーカーの1,000コピーを含み、第3の部分集団は、同じ細胞表面マーカーの10,000コピーを含むなどである。ヒドロゲル粒子の集団を、それぞれの細胞表面マーカーについて蛍光染色し、各部分集団のヒドロゲル粒子について蛍光を検出する。この点に関して、ヒドロゲル粒子の部分集団を使用して、各々の細胞マーカーを有する標的細胞に関して蛍光発光の標準曲線を作成することができる。細胞表面マーカーは、それによって提供される細胞表面マーカーのうちのいずれか、またはその結合領域、または当業者に公知の細胞表面マーカーであり得る。
【0191】
一部の態様では、本開示は、本明細書に記載される1種または複数種のフィーダーヒドロゲル粒子とともに標的細胞を培養する方法を提供する。一部の態様では、培地は、標的細胞を培養するのに有用である。一部の実施形態では、培地は、培養される細胞と比較して実質的に等張性である。未分化幹細胞を培養する一部の実施形態では、特定の培地は、基本培地、および胚性幹細胞の実質的に未分化な成長を支持するのに必要な量のさまざまな因子を含む。一部の実施形態では、基本培地は、塩、必須アミノ酸、標的細胞によって代謝され得る炭素源、およびヒト血清を含む。一部の実施形態では、例えば、標的細胞がT細胞である場合、基本培地は、サイトカイン、例えば、IL-2、IL-7、およびIL-15を含む。これらの成分はすべて、各々の標的細胞を支持する量で供給される。
【0192】
一部の実施形態では、本開示は、標的細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、本明細書に記載されるフィーダーヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ナチュラルキラー細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、本明細書に記載されるフィーダーヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ナチュラルキラー細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、インターロイキンおよび/または腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバーのうちの1種または複数種を含む本明細書に記載されるフィーダーヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ナチュラルキラー細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、IL-15、IL-21、CD137L、および/またはCD137のうちの1種または複数種を含む本明細書に記載されるフィーダーヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、ナチュラルキラー細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、IL-15、IL-21、CD137L、および/またはCD137のうちの1種または複数種を含む本明細書に記載される異なるフィーダーヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、
図5Aに部分的に示されており、
図5Bに部分的に示されているように、IL-15、IL-21、CD137L、およびCD137を含むフィーダーヒドロゲル粒子を提供する。
【0193】
一部の実施形態では、本開示は、T細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、本明細書に記載されるAPCヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、B細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、本明細書に記載されるCD19発現APCヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。一部の実施形態では、本開示は、T細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、CD3に特異的に結合する1種または複数種の抗体またはその断片およびCD28に特異的に結合する1種または複数種の抗体またはその断片を含む本明細書に記載されるAPCヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。
【0194】
一部の実施形態では、本開示は、T細胞と、ヒト血清(hS)を含む規定された培地と、
図6Aおよび
図6Bに示されているように、CD3に特異的に結合する1種または複数種の抗体またはその断片およびCD28に特異的に結合する1種または複数種の抗体またはその断片を含むAPCヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物であって、フィーダー細胞を本質的に含まない組成物を提供する。
【0195】
一部の実施形態では、本開示は、リンパ球と、hSを含む規定された培地と、
図7Aに示されているように、CD4に特異的に結合する1種または複数種の抗体またはその断片を含むAPCヒドロゲル粒子とを含む細胞培養組成物を提供する。
図7Aに示されているように、抗CD4がコンジュゲートされた磁性ナノ粒子を含有するヒドロゲルを、蛍光標識された二次抗体で染色すると、190kの平均蛍光強度(MFI)を示し、これはヒドロゲルが有意な量の結合した抗CD4を含有することを示す。
図7Bは、捕捉ビーズがヒドロゲルリンパ球模倣物に特異的に結合し得ることを示す。
図7Bの上のパネルは、ストレプトアビジンおよびビオチンヒドロゲルの間の陽性対照相互作用を示す。
図7Bの下のパネルは、抗CD4ビーズとCD4+ヒドロゲルについて示す。さらに、
図7Cに示されているように、1:1のCD4陽性/陰性混合物における抗CD4 Dynabeadsによる細胞捕捉が示されている。Dynabeadsによる選択は、94%の純度および55%の収率で、混合物からCD4+細胞を選択した。
図7Dに示されているように、抗CD4捕捉ビーズによるCD4+細胞捕捉は、陽性および陰性細胞の1:1混合物からの精製後に、CD4+細胞91%の純度および60%の収率でDynabeadsと同程度の成績を示した。
【0196】
諸実施形態において、
図8Aおよび
図8Bに示されているように、磁性捕捉粒子を陽性選択細胞から切断するか、または溶解させて陽性選択細胞から除去することができる。そうすることにより、側方散乱および前方散乱が減少する。二次抗体染色も減少するが、これは溶解して除去された磁性捕捉粒子が抗体を脱落させるためである。
【0197】
本開示は、さまざまな量の、例えば、約0.5%~約40%、約0.5%~約30%、約0.5%~約20%、約0.5%~約10%、約0.5%~約5%、約0.5%~約3%、約0.5%~約2%、および約0.5%~約1%のヒト血清をさらに含む規定された培地を含む。しかし、典型的な規定された培地での幹細胞培養物は、「本質的に無血清」という用語を使用し、これは外因的に添加された血清または血清構成要素を指す。そのような培地に添加される血清は、典型的には、本明細書に記載されるものよりも量が多い。当然ながら、培養される細胞が血清構成要素の一部またはすべてを産生する場合、または培養される細胞が血清を含有する培地で成長したシード培養物に由来する場合、付随する共分離およびその後の少量の血清(例えば、約1%未満)の別の培養物への導入は、血清の意図的な導入とみなされるべきではない。
【0198】
一部の実施形態では、細胞およびヒドロゲルは、合成培地添加物を含んでいて無血清である培地中で培養される。
【0199】
一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞培養物において単一の単層を形成する。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、細胞培養物において多層支持体を形成する。
【0200】
一部の実施形態では、細胞培養物は、単一の種類のフィーダーヒドロゲル粒子を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、異なる種類のフィーダーヒドロゲル粒子の組合せを含む。
【0201】
一部の実施形態では、細胞培養物は、細胞培養物1mL当たり約1×105~約1×108個のフィーダーヒドロゲル粒子を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、細胞培養物1mL当たり約1×105個、約1×106個、約1×107個、または約1×108個のフィーダーヒドロゲル粒子を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、伝統的な細胞培養方法において使用されるフィーダー細胞と同程度の濃度のフィーダーヒドロゲル粒子を含む。
【0202】
一部の実施形態では、本開示のフィーダーヒドロゲル粒子は、約1:1~約1:1000の希釈度で細胞培養物に適用される。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:200、約1:300、約1:400、約1:500、約1:600、約1:700、約1:800、約1:900、または約1:1000の希釈度で細胞培養物に適用される。
【0203】
一部の実施形態では、本開示のフィーダーヒドロゲル粒子とともに標的細胞を培養することにより、フィーダーヒドロゲル粒子を伴わずに標的細胞を培養することと比較して、標的細胞の増殖が約1%~約10000%増加する。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子を伴わずに標的細胞を培養することと比較して、標的細胞の増殖が約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、about400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、約1000%、約2000%、約3000%、約4000%、約5000%、約6000%、約7000%、約8000%、約9000%、または約10000%増加する。一部の実施形態では、細胞増殖は、最初の細胞集団の少なくとも100,000倍であり得る。
【0204】
一部の実施形態では、本開示のフィーダーヒドロゲル粒子とともに標的細胞を培養することにより、フィーダーヒドロゲル粒子を伴わずに標的細胞を培養することと比較して、標的細胞の活性化が約1%~約10000%増加する。一部の実施形態では、フィーダーヒドロゲル粒子を伴わずに標的細胞を培養することと比較して、標的細胞の増殖が約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、約1000%、約2000%、約3000%、約4000%、約5000%、約6000%、約7000%、約8000%、約9000%、または約10000%増加する。一部の実施形態では、細胞活性化は、最初の細胞集団の少なくとも100,000倍であり得る。
【0205】
一部の実施形態では、フィーダー細胞は、目的の細胞へのヒドロゲル粒子の近接性に基づいて培養または増殖を支持することができる。1つの例では、ヒドロゲル粒子は、直接的または間接的なコンジュゲーションのいずれかを介して、目的の細胞にコンジュゲートすることができる。別の例では、ヒドロゲル粒子は、目的の細胞に近接し得るが、接触していてはならない。ヒドロゲル粒子および目的の細胞は、1nm未満、1ミクロン未満、1ミリメートル未満、または活性化事象が依然として起こり得る任意の適切な分離距離で離てられることができる。
【0206】
培養または増殖は、目的の細胞が位置する領域から離れていてもよい(すなわち、培養または増殖は遠隔的に起こり得る)。距離は、少なくとも1ミリメートル、少なくとも1センチメートル、少なくとも1メートルなどであり得る。例えば、粒子を、筋肉内または静脈内に導入することができ、作用は、リンパ節または遠隔免疫器官または他の標的器官におけるものである。あるいは、粒子を、膜の一方の側に導入することもでき、作用は、膜の他方の側に対するもの(例えば、半透膜を介して)であり得る。
【0207】
一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、細胞培養物において単一の単層を形成する。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、細胞培養物において多層支持体を形成する。
【0208】
一部の実施形態では、細胞培養物は、単一の種類のAPCヒドロゲル粒子を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、異なるタイプのAPCヒドロゲル粒子の組合せを含む。
【0209】
一部の実施形態では、細胞培養物は、細胞培養物1mL当たり少なくとも約1×101個のAPCヒドロゲル粒子、例えば、少なくとも約1×101個、少なくとも約1×102個、少なくとも約1×103個、少なくとも約1×104個、少なくとも約1×105個、少なくとも約1×106個、少なくとも約1×107個、少なくとも約1×108個、少なくとも約1×109個、少なくとも約1×1010個、少なくとも約1×1011個、少なくとも約1×1012個、少なくとも約1×1013個、少なくとも約1×1014個、少なくとも約1×1015個、少なくとも約1×1016個、少なくとも約1×1017個、少なくとも約1×1018個、少なくとも約1×1019個、少なくとも約1×1020個、またはそれよりも多くを含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、細胞培養物1mL当たり約1×105個~約1×108個のAPCヒドロゲル粒子(例えば、1×105個、2×105個、3×105個、4×105個、5×105個、6×105個、7×105個、8×105個、9×105個、1×106個、2×106個、3×106個、4×106個、5×106個、6×106個、7×106個、8×106個、9×106個、1×107個、2×107個、3×107個、4×107個、5×107個、6×107個、7×107個、8×107個、9×107個であって、その中のすべての値および部分範囲を含む)を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、細胞培養物1mL当たり約1×105個、約1×106個、約1×107個、または約1×108個のAPCヒドロゲル粒子を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、伝統的な細胞培養方法において使用されるAPC細胞と同程度の濃度のAPCヒドロゲル粒子を含む。
【0210】
一部の実施形態では、本開示のAPCヒドロゲル、およびT細胞は、少なくとも約30分間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、2日間、36時間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、13日間、14日間、またはそれよりも長く、その中のすべての値および範囲を含めて、培養される。
養子細胞療法
【0211】
養子細胞療法、例えば、養子免疫療法のための、APCヒドロゲル粒子、およびそれから生成される細胞が提供される。細胞には、免疫細胞、例えば、T細胞およびNK細胞を含む上記のものが含まれ、細胞は一般に、遺伝子操作された抗原受容体、例えば、遺伝子操作されたTCRおよび/またはキメラ抗原受容体(CAR)を発現する。
【0212】
ヒドロゲルは、T細胞の増大および/または活性化を刺激する1種または複数種の抗原を導入することによって操作される。抗原は、操作されたT細胞受容体(TCR)および機能的な非TCR抗原受容体、例えば、活性化、刺激性および共刺激性CARを含むキメラ抗原受容体(CAR)、ならびにそれらの組合せを含む抗原受容体と相互作用することができる。一部の実施形態では、本明細書に開示されるAPCヒドロゲルとともに培養された細胞は、抗原、例えば、処置される疾患または状態に対応する疾患特異的標的抗原を標的とする(例えば、特異的に結合するかまたは認識する)操作された受容体を発現する。
【0213】
一部の実施形態では、養子細胞療法は、腫瘍浸潤リンパ球療法である。腫瘍浸潤リンパ球療法では、すでに患者の腫瘍に浸潤している天然に存在するT細胞を採取し、本明細書に記載されるAPCヒドロゲル粒子とともに培養することで、それらを活性化して増大させる。活性化されたT細胞は、続いて患者に再注入され、そこで腫瘍を探し出して破壊することができる。
【0214】
一部の実施形態では、養子細胞療法は、操作されたT細胞受容体(TCR)療法である。TCR療法では、患者からT細胞を採取する。T細胞に、それらが特定のがん抗原を標的とすることを可能にする適切なT細胞受容体(例えば、本明細書に記載されるような)を備えさせる(操作する)。続いて、操作されたT細胞を、本明細書に記載されるAPCヒドロゲル粒子とともに培養することで、それらを活性化して増大させる。活性化されたT細胞は、続いて患者に再注入され、そこで腫瘍を探し出して破壊することができる。
【0215】
一部の実施形態では、養子細胞療法は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法である。CAR T細胞療法では、患者からT細胞を採取する。T細胞は、血液を身体から取り出して、1種または複数種の血液構成要素(血漿、血小板、白血球など)を除去する手順であるアフェレーシスを介して収集される。残った血液は体内に戻される。その後、T細胞は研究施設で再操作される。この目的のために、T細胞は研究施設または医薬品製造施設に送られ、核酸、RNA、および/またはDNAを導入することによって遺伝子操作されて、細胞の表面にキメラ抗原受容体(CAR)を産生する。この再操作の後には、T細胞は「キメラ抗原受容体(CAR)T細胞」として公知である。CARは、T細胞が標的腫瘍細胞上の抗原を認識できるようにするタンパク質である。続いて、再操作されたCAR T細胞を、本明細書に記載されているAPCヒドロゲル粒子とともに培養することで、活性化して増大させる。患者の遺伝子改変T細胞の数は、研究施設で細胞を成長させることによって「増大」される。それらが十分になった時点で、これらのCAR T細胞は凍結されて、患者が処置を受けている病院またはセンターに送られる。病院または処置センターで、CAR T細胞は解凍された後に患者に注入され、腫瘍を探し出して破壊することができる。CARは、抗原ががん細胞の表面に主要組織適合抗原複合体を介して提示されていなくてもがん細胞に結合することができ、これにより、より多くのがん細胞を攻撃に対して脆弱にすることができる。多くの患者は、CAR T細胞の注入を受ける前に、「リンパ球枯渇」と呼ばれる1種または複数種の化学療法剤の短期コースを施される。患者の血流に戻されたCAR T細胞は、数が増加する。これらは、表面上に標的抗原を有する細胞を認識して攻撃する「アタッカー」細胞である。
【0216】
一部の実施形態では、養子細胞療法は、ナチュラルキラー(NK)細胞療法である。
i.細胞、細胞調製、および培養
【0217】
一部の実施形態では、細胞は、真核細胞、例えば、哺乳動物細胞、例えば、ヒト細胞である。一部の実施形態では、細胞は、血液、骨髄、リンパまたはリンパ器官に由来するものであり、免疫系の細胞、例えば、自然免疫または適応免疫の細胞、例えば、リンパ球、典型的にはT細胞および/またはNK細胞を含む骨髄細胞またはリンパ球細胞である。他の例示的な細胞としては、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)を含む多分化能性および多能性幹細胞が挙げられる。一部の実施形態では、細胞はヒト細胞である。細胞は、典型的には、初代細胞、例えば、対象から直接単離されたもの、および/または対象から単離されてから凍結されたものである。一部の実施形態では、細胞は、T細胞または他の細胞型の1種または複数種のサブセット、例えば、全T細胞集団、CD4+細胞、CDS+細胞、ならびにそれらの部分集団、例えば、機能、活性化状態、成熟度、分化能、増大、再循環、局在化、および/または持続能力、抗原特異性、抗原受容体の種類、特定の器官もしくは区画における存在、マーカーもしくはサイトカイン分泌プロファイル、および/または分化の程度によって定義されるものを含む。処置される対象に関して、細胞は、同種異系および/または自己由来であってもよい。方法の中には、既製の方法が含まれる。既製技術用などの一部の実施形態では、細胞は、多能性および/または多分化能性であり、例えば、幹細胞、例えば、人工多能性幹細胞(iPSC)である。一部の実施形態では、方法は、細胞を対象から単離して、本明細書に記載されるように、それらを調製、処理、培養、および/または操作して、凍結保存の前または後にそれらを同じ患者に再導入することを含む。
【0218】
T細胞および/またはCD4+および/またはCDS+ T細胞のサブタイプおよび部分集団の中には、ナイーブT(TN)細胞、エフェクターT細胞(T EFF)、メモリーT細胞およびそのサブタイプ、例えば、幹細胞メモリーT(T scM)、セントラルメモリーT(TcM)、エフェクターメモリーT(TEM)、または最終分化エフェクターメモリーT細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、未熟T細胞、成熟T細胞、ヘルパーT細胞、細胞傷害性T細胞、粘膜関連インバリアントT(MAIT)細胞、天然に存在する適応制御性T(Treg)細胞、ヘルパーT細胞、例えば、THI細胞、TH2細胞、TH3細胞、THI 7細胞、TH9細胞、TH22細胞、濾胞ヘルパーT細胞、アルファ/ベータT細胞、ならびにデルタ/ガンマT細胞がある。
【0219】
一部の実施形態では、T細胞集団のうちの1種または複数種は、1種もしくは複数の特定のマーカー、例えば、表面マーカーに関して陽性であるか(マーカー+)、もしくは高レベルで発現する細胞(マーカーhigh)、または1種もしくは複数のマーカーに関して陰性であるか(マーカー-)、もしくは比較的低レベルで発現する細胞(マーカーlow)について濃縮されているか、または枯渇している。一部の場合には、そのようなマーカーは、T細胞の特定の集団(例えば、非メモリー細胞)上には存在しないか、または比較的低レベルで発現されるが、T細胞の特定の他の集団(例えば、メモリー細胞)上には比較的高レベルで存在するかまたは発現されるものである。一実施形態では、細胞(例えば、CDS+細胞またはT細胞、例えば、CD3+細胞)は、CD45RO、CCR7、CD2S、CD27、CD44、CDl27、および/もしくはCD62Lに関して陽性であるかもしくは高い表面レベルで発現する細胞、ならびに/またはCD45RAに関して陽性であるかもしくは高い表面レベルで発現する細胞について濃縮されている(すなわち、それに対して陽性選択される)か、または枯渇している(例えば、陰性選択されている)。一部の実施形態では、細胞は、CDl22、CD95、CD25、CD27、および/またはIL 7-Ra(CDl27)に関して陽性であるかもしくは高い表面レベルで発現する細胞について濃縮されているか、または枯渇している。一部の実施形態では、CDS+ T細胞は、CD45ROに関しておよびCD62Lに関して陽性(またはCD45RAに関して陰性)である細胞について濃縮されている。
【0220】
一部の実施形態では、CD4+ T細胞集団およびCDS+ T細胞部分集団、例えば、セントラルメモリー(T cM)細胞について濃縮されている部分集団。一部の実施形態では、細胞はナチュラルキラー(NK)細胞である。一部の実施形態では、細胞は、単球または顆粒球、例えば、骨髄細胞、マクロファージ、好中球、樹状細胞、肥満細胞、好酸球、および/または好塩基球である。
ii.細胞調製
【0221】
細胞は、典型的には、試料、例えば、生物学的試料、例えば、対象から得られたかまたは対象に由来するものから単離される。一部の実施形態では、特定の疾患もしくは状態を有する対象、細胞療法を必要とする対象、または細胞療法が施される対象として、細胞が単離される対象。一部の実施形態における対象は、哺乳動物、例えば、ヒト、例えば、特定の治療的介入、例えば、細胞が単離され、処理され、および/または操作される養子細胞療法を必要とする対象である。
【0222】
したがって、一部の実施形態における細胞は、初代細胞、例えば、初代ヒト細胞である。試料としては、対象から直接採取された組織、流体、および他の試料、ならびに1種または複数種の処理ステップ、例えば、分離、遠心分離、遺伝子操作(例えば、ウイルスベクターによる形質導入)、洗浄、および/もしくはインキュベーションから得られた試料が挙げられる。生物学的試料は、生物学的供給源から直接得られた試料、または処理された試料であり得る。生物学的試料としては、体液、例えば、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗、組織ならびに器官試料が、それらに由来する処理された試料を含めて挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
一部の実施形態では、細胞が由来するかまたは単離される試料は、血液もしくは血液由来試料であるか、アフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物であるか、またはアフェレーシスもしくは白血球アフェレーシス産物に由来する。例示的な試料としては、全血、末梢血単核細胞(PBMC)、白血球、骨髄、胸腺、組織生検試料、腫瘍、白血病、リンパ腫、リンパ節、腸管関連リンパ組織、粘膜関連リンパ組織、脾臓、他のリンパ組織、肝臓、肺、胃、腸、結腸、腎臓、膵臓、乳房、骨、前立腺、子宮頸部、精巣、卵巣、扁桃、もしくは他の臓器、および/またはそれらに由来する細胞が挙げられる。試料としては、細胞療法、例えば、養子細胞療法に関連して、自己由来および同種異系由来の試料が挙げられる。
【0224】
一部の実施形態では、細胞は細胞株、例えば、T細胞株に由来する。一部の実施形態における細胞は、異種供給源から、例えば、マウス、ラット、非ヒト霊長類、およびブタから得られる。
iii.インキュベーションおよび培養
【0225】
一部の実施形態では、細胞は、遺伝子操作に先立って、または遺伝子操作に関連して、インキュベートされる、および/または培養される。インキュベーションのステップには、培養、栽培、刺激、活性化、および/または増殖が含まれ得る。一部の実施形態では、組成物または細胞は、刺激条件または刺激剤の存在下でインキュベートされる。そのような条件には、集団内の細胞の増殖、増大、活性化、および/もしくは生存を誘導するように、抗原曝露を模倣するように、ならびに/または遺伝子操作のために、例えば、遺伝子操作された抗原受容体の導入のために細胞をプライミングするように設計されたものが含まれる。条件には、特定の培地、温度、酸素含量、二酸化炭素含量、時間、薬剤、例えば、栄養素、アミノ酸、抗生物質、イオン、および/または刺激因子、例えば、サイトカイン、ケモカイン、抗原、結合パートナー、融合タンパク質、組換え可溶性受容体、ならびに細胞を活性化するように設計された任意の他の物質のうちの1種または複数種が含まれ得る。
【0226】
一部の実施形態では、刺激条件または薬剤は、TCR複合体の細胞内シグナル伝達ドメインを活性化することができる1種または複数種の薬剤、例えば、リガンドを含む。一部の態様では、薬剤は、T細胞においてTCR/CD3細胞内シグナル伝達カスケードをオンにするか、または開始する。そのような薬剤には、抗体、例えば、TCR構成要素および/または共刺激受容体、例えば、ビーズなどの固体支持体に結合した抗CD3、抗CD28、および/または1種または複数種のサイトカインに対して特異的なものが含まれ得る。必要に応じて、増殖方法は、抗CD3および/または抗CD28抗体を培地に添加するステップをさらに含み得る(例えば、少なくとも約0.5ng/mlの濃度で)。一部の実施形態では、刺激剤は、IL-2および/またはIL-15、例えば、少なくとも約10単位/mLのIL-2濃度を含む。
【0227】
一部の実施形態では、T細胞は、培養開始組成物にフィーダー細胞、例えば、非分裂性末梢血単核細胞(PBMC)を添加して(例えば、結果として得られる細胞の集団が、増大される最初の集団において各Tリンパ球について少なくとも約5個、10個、20個、もしくは40個、またはそれよりも多くのPBMCフィーダー細胞を含むように)、培養物をインキュベートすること(例えば、T細胞数を増加させるのに十分な時間にわたって)によって増大される。一部の実施形態では、非分裂性フィーダー細胞は、ガンマ線照射されたPBMCフィーダー細胞を含み得る。一部の実施形態では、PBMCに約3000~3600ラドの範囲のガンマ線を照射して、細胞分裂を防止する。一部の実施形態では、フィーダー細胞を、複合体(MHC)分子の添加の前に培地に添加する。CARおよび組換えTCRを含む例示的な抗原受容体、ならびに受容体を操作して細胞に導入する方法。
【0228】
一部の実施形態では、T細胞は、上記のように、APCヒドロゲルとの細胞培養によって増大される。例えば、一部の実施形態では、細胞培養物は、細胞培養物1mL当たり少なくとも約1×101個のAPCヒドロゲル粒子、例えば、少なくとも約1×101個、少なくとも約1×102個、少なくとも約1×103個、少なくとも約1×104個、少なくとも約1×105個、少なくとも約1×106個、少なくとも約1×107個、少なくとも約1×108個、少なくとも約1×109個、少なくとも約1×1010個、少なくとも約1×1011個、少なくとも約1×1012個、少なくとも約1×1013個、少なくとも約1×1014個、少なくとも約1×1015個、少なくとも約1×1016個、少なくとも約1×1017個、少なくとも約1×1018個、少なくとも約1×1019個、少なくとも約1×1020個またはそれよりも多くを含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、細胞培養物1mL当たり約1×105~約1×108個のAPCヒドロゲル粒子(例えば、1×105個、2×105個、3×105個、4×105個、5×105個、6×105個、7×105個、8×105個、9×105個、1×106個、2×106個、3×106個、4×106個、5×106個、6×106個、7×106個、8×106個、9×106個、1×107個、2×107個、3×107個、4×107個、5×107個、6×107個、7×107個、8×107個、9×107個であって、その中のすべての値および部分範囲を含む)を含む。一部の実施形態では、細胞培養物は、細胞培養物1mL当たり約1×105個、約1×106個、約1×107個、または約1×108個のAPCヒドロゲル粒子を含む。
【0229】
一部の実施形態では、本開示のAPCヒドロゲル、およびT細胞は、少なくとも約30分間、約1時間、約1.5時間、約2時間、約2.5時間、約3時間、約3.5時間、約4時間、約4.5時間、約5時間、約5.5時間、約6時間、約6.5時間、約7時間、約7.5時間、約8時間、約8.5時間、約9時間、約9.5時間、約10時間、約10.5時間、約11時間、約11.5時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、8日間、9日間、10日間、11日間、13日間、14日間またはそれよりも長く、その中のすべての値および範囲を含めて、培養される。
【0230】
一部の実施形態では、本開示のAPCヒドロゲル粒子は、約1:1~約1:1000の希釈度で細胞培養物に適用される。一部の実施形態では、APCヒドロゲル粒子は、約1:1、約1:2、約1:3、約1:4、約1:5、約1:6、約1:7、約1:8、約1:9、約1:10、約1:20、約1:30、約1:40、約1:50、約1:60、約1:70、約1:80、約1:90、約1:100、約1:200、約1:300、約1:400、約1:500、約1:600、約1:700、約1:800、約1:900、または約1:1000の希釈度で細胞培養物に適用される。
【0231】
一部の実施形態では、T細胞を本開示のAPCヒドロゲル粒子とともに培養することにより、APCヒドロゲル粒子を伴わずにT細胞を培養することと比較して、T細胞の増殖が約1%~約1000s%増加する。一部の実施形態では、T細胞増殖は、APCヒドロゲル粒子を伴わずにT細胞を培養することと比較して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%増加する。
【0232】
一部の実施形態では、T細胞を本開示のAPCヒドロゲル粒子とともに培養することにより、APCヒドロゲル粒子を伴わずにT細胞を培養することと比較して、T細胞の活性化が約1%~約1000%増加する。一部の実施形態では、T細胞の活性化は、APCヒドロゲル粒子を伴わずにT細胞を培養することと比較して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%増加する。
【0233】
一部の実施形態では、T細胞を本開示のAPCヒドロゲル粒子とともに培養することにより、APCヒドロゲル粒子を伴わずにT細胞を培養することと比較して、T細胞の増大が約1%から約1000%増加する。一部の実施形態では、T細胞の増大は、APCヒドロゲル粒子を伴わずにT細胞を培養することと比較して、約1%、約2%、約3%、約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、約600%、約700%、約800%、約900%、または約1000%増加する。
【0234】
一部の実施形態では、刺激条件は、ヒトTリンパ球の成長に好適な温度、例えば、少なくとも約25℃、一般には少なくとも約30℃、および一般に37℃または約37℃を含む。必要に応じて、インキュベーションは、非分裂性EBY形質転換リンパ芽球様細胞(LCL)をフィーダー細胞として添加することをさらに含み得る。LCLに、約6000~1万ラドの範囲のガンマ線を照射することができる。一部の実施形態におけるLCLフィーダー細胞は、任意の好適な量で、例えば、少なくとも約10:1の初期Tリンパ球に対するLCLフィーダー細胞の比で提供される。
【0235】
諸実施形態において、抗原特異的T細胞、例えば、抗原特異的CD4+および/またはCDS+ T細胞は、ナイーブまたは抗原特異的Tリンパ球を抗原で刺激することによって得られる。例えば、抗原特異的T細胞株またはクローンは、感染した対象からT細胞を単離して、同じ抗原によってin vitroで細胞を刺激することによって、サイトメガロウイルス抗原に対して作製することができる。
【0236】
一部の実施形態では、方法は、操作された細胞または操作される細胞の表面上の1種または複数種のマーカーの発現を評価することを含む。一実施形態では、方法は、例えば、親和性ベースの検出方法、例えば、フローサイトメトリーによって、養子細胞療法によって標的化することが求められる1種または複数種の標的抗原(例えば、遺伝子操作された抗原受容体によって認識される抗原)の表面発現を評価することを含む。一部の実施形態では、方法によって抗原または他のマーカーの表面発現が明らかになる場合に、例えば、本明細書に記載される方法を使用して、抗原または他のマーカーをコードする遺伝子が破壊されるか、または他の様式で発現が抑制される。
T細胞活性化の例
【0237】
多くの研究室が、研究または臨床目的でのヒト初代T細胞の短期的および長期的増殖のためにCD3/CD28活性化剤磁性ビーズを使用している。活性化がなければ、T細胞は効率的に増殖せず、さらに、それらの代謝的およびエピジェネティック的に不活性なプロファイルのために、それらを操作することは困難となる。種々の活性化手法が種々のT細胞サブタイプに対して好都合であり、したがって、活性化手法の選択を、特定の使用事例または実験設定に基づいて行うことができる。
【0238】
抗CD3および抗CD28がコーティングされたビーズによる活性化は、T細胞集団のポリクローナル性を維持する必要がある場合、例えば、がんまたは感染症に対する養子細胞療法のためのT細胞の増大のために有益である。
【0239】
1つの例では、ナイーブT細胞または制御性T細胞のいずれかの活性化を刺激するために抗CD3および抗CD28でコーティングされたヒドロゲル粒子が開発された。
【0240】
ナイーブT細胞を、免疫磁気法を使用して単離し、さまざまな濃度の抗CD3および抗CD28でコーティングされたヒドロゲル粒子に加えてrH IL2を含む培地中に置く。このナイーブT細胞を10~14日間培養し(「培養期間」)、CD4+およびCD8+サブセット上のCD25およびCD69の発現について、フローサイトメトリー法によって活性化を評価する。増大倍数を培養期間にわたって計算する。表現型分析による決定で、開始細胞集団からの10倍を上回る増大が、CD4、CD8、CD69またはCD25の発現を失うことなく観察される。
【0241】
制御性T細胞(CD4+CD25hi)を、免疫磁気法を使用して単離し、さまざまな濃度の抗CD3および抗CD28で官能化されたヒドロゲルに加えてrH IL2を含む培地中に置く。この制御性T細胞を10~14日間培養する。CD4+およびCD8+サブセット上のCD25およびCD69の発現について、フローサイトメトリー法によって活性化を評価する。CD62L、HLA-DR、CCR6およびFOXP3をフローサイトメトリー分析によって評価し、培養期間にわたって増大倍数を計算する。開始細胞集団からの10倍を上回る増大が、CD25、CD69、HLA-DR、CCR6およびFOXP3の発現を失うことなく観察される。
【0242】
自己腫瘍浸潤リンパ球を用いる養子細胞療法は、転移性黒色腫の治療法であり、養子細胞療法の奏効率は最大50%であると報告されている。しかし、腫瘍浸潤リンパ球転移産物の作製は困難であり、迅速な増大プロトコールを支持するための「フィーダー」としてin vitroで使用される、プールされた同種異系正常ドナー末梢血単核細胞(PBMC)を必要とする。ここでは、PBMCフィーダーを使用することの代わりに、人工的抗原提示細胞として機能するように、共刺激分子、例えば、CD86、CD137および膜結合IL-15で官能化されたヒドロゲルを使用して、腫瘍浸潤リンパ球を増殖させるプラットフォーム。
【0243】
同等のエフェクター-メモリー表現型を有するCD8+ T細胞の増大の頻度を増加させながら、人工的抗原提示細胞によって増殖させた腫瘍浸潤リンパ球を、PBMCフィーダーを用いて増殖させた腫瘍浸潤リンパ球と対比して測定することができる。人工的抗原提示細胞を用いた腫瘍浸潤リンパ球の増大は、CD8+発現の損失なしに、PBMCフィーダー細胞株と同等であるかまたはそれを上回ることが期待される。
キット
【0244】
一部の態様では、本開示は、本明細書に開示される1種または複数種のフィーダーヒドロゲル粒子を含むキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、細胞成長を支持し、および/または標的細胞の増殖または活性化を刺激する1種または複数種の分子を含まないフィーダーヒドロゲル粒子、および所望に応じてそのような分子を結び付けるための指示書/試薬を含む。
本発明の番号付き実施形態
【0245】
添付される特許請求の範囲に妨げられることなく、本開示は、以下の番号付き実施形態を記載する。
【0246】
(1)
標的細胞の細胞成長を支持すること、細胞増殖を増加させること、または活性化を増加させることのうちの少なくとも1つを支持する1種または複数種の分子
を含む、ヒドロゲル粒子。
【0247】
(2)
前記1種または複数種の分子が、インターロイキン、腫瘍壊死因子スーパーファミリーのメンバー、またはその両方を含む、(1)に記載のヒドロゲル粒子。
【0248】
(3)
前記標的細胞が幹細胞またはリンパ球である、(1)または(2)のいずれかに記載のヒドロゲル粒子。
【0249】
(4)
前記リンパ球がT細胞またはナチュラルキラー細胞である、(1)~(3)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0250】
(5)
前記1種または複数種の分子が、IL-2、IL-15、IL-21、CD137、CD137L、またはそれらの組合せを含む、(1)~(4)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0251】
(6)
モノマーを含むマトリックスをさらに含む、(1)~(5)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0252】
(7)
前記モノマーが、ヒドロキシエチルメタクリレート、エチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、プロピレングリコールメタクリレート、アクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、グリセロールメタクリレート(GMA)、グリコールメタクリレート、エチレングリコール、フマル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエトキシエチルメタクリレート、ヒドロキシジエトキシエチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシエトキシエチルメタクリレート、メトキシジエトキシエチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メトキシ-ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸ナトリウム、グリセロールメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、フェニルアクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、2-フェニルエチルアクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、2-フェノキシエチルアクリレート、2-フェノキシエチルメタクリレート、フェニルチオエチルアクリレート、フェニルチオエチルメタクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルアクリレート、2,4,6-トリブロモフェニルメタクリレート、ペンタブロモフェニルアクリレート、ペンタブロモフェニルメタクリレート、ペンタクロロフェニルアクリレート、ペンタクロロフェニルメタクリレート、2,3-ジブロモプロピルアクリレート、2,3-ジブロモプロピルメタクリレート、2-ナフチルアクリレート、2-ナフチルメタクリレート、4-メトキシベンジルアクリレート、4-メトキシベンジルメタクリレート、2-ベンジルオキシエチルアクリレート、2-ベンジルオキシエチルメタクリレート、4-クロロフェノキシエチルアクリレート、4-クロロフェノキシエチルメタクリレート、2-フェノキシエトキシエチルアクリレート、2-フェノキシエトキシエチルメタクリレート、N-フェニルアクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N-ベンジルアクリルアミド、N-ベンジルメタクリルアミド、N,N-ジベンジルアクリルアミド、N,N-ジベンジルメタクリルアミド、N-ジフェニルメチルアクリルアミドN-(4-メチルフェニル)メチルアクリルアミド、N-1-ナフチルアクリルアミド、N-4-ニトロフェニルアクリルアミド、N-(2-フェニルエチル)アクリルアミド、N-トリフェニルメチルアクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N,N-メチルフェニルアクリルアミド、N,N-フェニルフェニルエチルアクリルアミド、N-ジフェニルメチルメタクリルアミド、N-(4-メチルフェニル)メチルメタクリルアミド、N-1-ナフチルメタクリルアミド、N-4-ニトロフェニルメタクリルアミド、N-(2-フェニルエチル)メタクリルアミド、N-トリフェニルメチルメタクリルアミド、N-(4-ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N,N-メチルフェニルメタクリルアミド、N,N’-フェニルフェニルエチルメタクリルアミド、N-ビニルカルバゾール、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、またはそれらの組合せである、(1)~(6)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0253】
(8)
前記モノマーが生分解性である、(1)~(7)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0254】
(9)
前記生分解性モノマーが、単糖、二糖、多糖、ペプチド、タンパク質、またはタンパク質ドメインである、(1)~(8)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0255】
(10)
前記生分解性モノマーが、タンパク質、少なくとも1種の非天然アミノ酸を含むタンパク質ドメイン、プロテオグリカン、細胞外マトリックス構成要素、デコリン、バイグリカン、テスティカン、ビクニン、フィブロモジュリン、ルミカン、コラーゲン、エラスチン、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、それらのドメイン、またはそれらの組合せである、(1)~(9)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0256】
(11)
前記生分解性モノマーが構造多糖である、(1)~(10)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0257】
(12)
前記生分解性モノマーが、寒天、アガロース、アルギン酸、アルグロン酸、アルファグルカン、アミロペクチン、アミロース、アラビノキシラン、ベータ-グルカン、カロース、カプスラン、カラギーナン多糖、セロデキストリン、セルリン、セルロース、キチン、キトサン、クリソラミナリン、カードラン、シクロデキストリン、アルファ-シクロデキストリン、デキストリン、デキストラン、フィコール、フルクタン、フコイダン、ガラクトグルコマンナン、ガラクトマンナン、ガラクトサミノガラクタン、ジェランガム、グルカン、グルコマンナン、グルクロノキシラン、グリコカリックス、グリコーゲン、ヘミセルロース、ホモ多糖、ヒプロメロース、イコデキストリン、イヌリン、ケフィラン、ラミナリン、レンチナン、レバン多糖、リケニン、マンナン、混合結合グルカン、パラミロン、ペクチン酸、ペクチン、ペンタスターチ、フィトグリコーゲン、プルーラン、ポリデキストロース、多糖ペプチド、ポルフィラン、プルラン、シゾフィラン、シニストリン、シゾフィラン(sizofiran)、ウェランガム、キサンタンガム、キシラン、キシログルカン、ザイモサン、ポリラクチド、ポリグリコリド、ポリカプロラクトン、ポリ乳酸-グリコール酸、およびコポリマー、またはそれらの組合せである、(1)~(11)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0258】
(13)
前記モノマーが官能化されている、(1)~(12)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0259】
(14)
前記モノマーが、アクリレートまたはアクリルアミドで官能化されている、(1)~(13)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0260】
(15)
前記モノマーが二官能性である、(1)~(14)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0261】
(16)
前記ヒドロゲル粒子が、少なくとも1つの表面上で官能化されている、(1)~(15)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0262】
(17)
分解性マトリックスをさらに含む、(1)~(16)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0263】
(18)
前記分解性マトリックスが、化学的、機械的、またはその両方で分解するように構成されている、(1)~(17)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0264】
(19)
前記1種または複数種の分子が、分解性マトリックス内に包埋または封入されている、(1)~(18)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0265】
(20)
前記分解性マトリックスが、少なくとも1つのジスルフィド架橋を含む、(1)~(19)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0266】
(21)
複数の層をさらに含み、各層が分解性であり異なる分解速度を有する、(1)~(20)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0267】
(22)
前記複数の層のそれぞれが、同じ種類の前記1種または複数種の分子を含む、(1)~(21)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0268】
(23)
前記複数の層のそれぞれが、異なる種類の前記1種または複数種の分子を含む、(1)~(22)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0269】
(24)
磁性材料で構成されるか、磁性材料が内部に包埋もしくは封入されているか、またはその両方であるマトリックスをさらに含み、その結果、前記マトリックスが、磁石によって導入される磁場または磁場勾配によって誘引されるかまたは反発することが可能である、(1)~(23)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子。
【0270】
(25)
培養中の標的細胞の細胞成長を支持すること、細胞増殖を増加させること、または活性化を増加させることのうちの少なくとも1つの方法であって、標的細胞を(1)~(24)のいずれか1つに記載のヒドロゲル粒子とともに培養することを含む、方法。
【0271】
(26)
複数の標的細胞のうちの少なくとも1つの細胞成長を支持すること、細胞増殖を増加させること、または活性化を増加させることのうちの少なくとも1つを支持する1種または複数種の分子を含む第1のヒドロゲル粒子、および
前記複数の標的細胞のうちの少なくとも1つの細胞成長を支持すること、細胞増殖を増加させること、または活性化を増加させることのうちの少なくとも1つを支持する1種または複数種の分子を含む第2のヒドロゲル粒子
を含むキット。
【0272】
(27)
前記複数の標的細胞を含む培養物をさらに含む、(26)に記載のキット。
【0273】
(28)
前記第1のヒドロゲル粒子の前記1種または複数種の分子、および前記第2のヒドロゲル粒子の前記1種または複数種の分子が、異なる種類の分子である、(26)または(27)のいずれかのいずれか1つに記載のキット。
【0274】
(29)
前記第1のヒドロゲル粒子によって支持される複数の標的細胞のうちの少なくとも1つが、前記第2のヒドロゲル粒子によって支持される複数の標的細胞のうちの少なくとも1つとは異なる種類の細胞である、(26)~(27)のいずれか1つに記載のキット。
【0275】
(30)
前記第1および第2のヒドロゲル粒子が分解性であり、異なる分解速度を有する、(26)~(29)のいずれか1つに記載のキット。
【国際調査報告】