(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】両面増強層、および該両面増強層を備える光起電デバイス
(51)【国際特許分類】
H01L 31/055 20140101AFI20241024BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L31/04 622
G02B5/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524635
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-06-20
(86)【国際出願番号】 US2022047821
(87)【国際公開番号】W WO2023076339
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510328032
【氏名又は名称】ファースト・ソーラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(74)【代理人】
【識別番号】100112634
【氏名又は名称】松山 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】ベッカー,ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】ヒューバー,ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】リー,チュンホ
(72)【発明者】
【氏名】マ,ジアリウ
(72)【発明者】
【氏名】ワイス,ダーク
(72)【発明者】
【氏名】シオーン,ガーン
【テーマコード(参考)】
2H148
5F251
【Fターム(参考)】
2H148AA07
2H148AA15
2H148AA18
5F251AA09
5F251AA16
5F251FA02
5F251FA03
5F251HA13
5F251HA17
5F251JA04
(57)【要約】
両面増強を有する光起電デバイスが、本明細書に示される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体層および両面増強層を備える両面光起電デバイスであって、
前記吸収体層が、表界面および裏界面を有し、前記表界面が、500nm~900nmの光に対する表平均量子効率を有し、前記裏界面が、500nm~900nmの光に対する裏平均量子効率を有し、前記裏平均量子効率が、前記表平均量子効率の50%以下、かつ前記表平均量子効率の5%以上であり;
前記両面増強層が、前記吸収体層の上にあり、前記吸収体層の前記表界面と比較して、前記吸収体層の前記裏界面に近く配置されており、
前記両面増強層が、前記両面増強層の吸収端のカットオフ波長以下の吸収波長を有する光を吸収し;
前記カットオフ波長が、前記両面増強層の極大吸収の15%に等しい吸光度に対応し;
前記両面増強層が、ピークを有する放射フォトルミネセンスを放射し;
前記両面増強層の前記放射フォトルミネセンスの前記ピークの波長が、前記吸収端の前記カットオフ波長よりも大きく;そして
前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークが、100nm未満の半値全幅を有する、
両面光起電デバイス。
【請求項2】
前記両面増強層による吸収に起因する短絡電流Jsc
Lossが20mA/cm
2未満である、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項3】
前記吸収端の前記カットオフ波長が800nm以下である、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項4】
基板の上、かつ前記基板と前記吸収体層との間に配置された透明導電性酸化物;および
前記両面増強層の上に配置された背面支持体であって、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、背面支持体
を備える、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項5】
前記吸収体層の上、かつ前記吸収体層と前記両面増強層との間に導電層を備え、前記導電層が、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項6】
前記吸収体層に隣接し、かつ前記両面増強層と前記吸収体層との間に配置されたバックコンタクトを備え、前記バックコンタクトが、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項7】
前記吸収体層がセレンを含む、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項8】
前記吸収体層が、カドミウムおよびテルルを含み、前記吸収体層中の前記セレンの平均原子パーセントが、0原子パーセント超かつ約25原子パーセント以下である、請求項7に記載の光起電デバイス。
【請求項9】
前記両面増強層が、50nm未満の平均直径を有するペロブスカイトナノ結晶を含む、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項10】
前記両面増強層が、20nm未満の平均直径を有する量子ドットを含む、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項11】
前記両面増強層が、量子ドットの平均直径の50~200,000倍の厚さを有する、請求項10に記載の光起電デバイス。
【請求項12】
前記吸収体層の上に導電層を備え、前記量子ドットが、前記導電層と直接接触している、請求項10に記載の光起電デバイス。
【請求項13】
前記量子ドットの上に配置された中間層を含む、請求項10に記載の光起電デバイス。
【請求項14】
前記中間層が前記量子ドットと直接接触している、請求項13に記載の光起電デバイス。
【請求項15】
前記量子ドットが、400nm~800nmの波長を有する光子に対して、少なくとも10
4cm
-1の平均吸光係数を有する、請求項10に記載の光起電デバイス。
【請求項16】
前記量子ドットが、前記両面増強層の体積の少なくとも15%を充填する、請求項10に記載の光起電デバイス。
【請求項17】
前記両面増強層に入射する、400nm~800nmの波長を有する光子の少なくとも50%が、前記フォトルミネセンスの前記ピークに変換される、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項18】
前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長が825nm~875nmである、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項19】
前記吸収端の前記カットオフ波長が800nm以下である、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項20】
基板の上、かつ前記基板と前記吸収体層との間に配置された透明導電性酸化物;および
前記両面増強層の上に配置された背面支持体であって、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、背面支持体
を備える、請求項1から2および19のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項21】
前記吸収体層の上、かつ前記吸収体層と前記両面増強層との間に導電層を備え、前記導電層が、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、請求項1から2および19から20のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項22】
前記吸収体層に隣接し、かつ前記両面増強層と前記吸収体層との間に配置されたバックコンタクトを備え、前記バックコンタクトが、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、請求項1から2および19から21のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項23】
前記吸収体層がセレンを含む、請求項1から2および19から22のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項24】
前記吸収体層中の前記セレンの平均原子パーセントが、0原子パーセント超かつ約25原子パーセント以下である、請求項23に記載の光起電デバイス。
【請求項25】
前記吸収体層が、カドミウムおよびテルルを含み、前記吸収体層中のセレンの平均原子パーセントが、0原子パーセント超かつ約25原子パーセント以下である、請求項1から2および19から24のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項26】
前記両面増強層が、50nm未満の平均直径を有するペロブスカイトナノ結晶を含む、請求項1から2および19から25のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項27】
前記両面増強層が、20nm未満の平均直径を有する量子ドットを含む、請求項1から2および19から26のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項28】
前記両面増強層が、量子ドットの平均直径の50~200,000倍の厚さを有する、請求項27に記載の光起電デバイス。
【請求項29】
前記吸収体層の上に導電層を備え、前記量子ドットが、前記導電層と直接接触している、請求項27または28に記載の光起電デバイス。
【請求項30】
前記量子ドットの上に配置された中間層を含む、請求項27から29のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項31】
前記中間層が前記量子ドットと直接接触している、請求項30に記載の光起電デバイス。
【請求項32】
前記量子ドットが、400nm~800nmの波長を有する光子に対して、少なくとも10
4cm
-1の平均吸光係数を有する、請求項27から31のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項33】
前記量子ドットが、前記両面増強層の体積の少なくとも15%を充填する、請求項27から32のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項34】
前記両面増強層に入射する、400nm~800nmの波長を有する光子の少なくとも50%が、前記フォトルミネセンスの前記ピークに変換される、請求項1から2および19から33のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項35】
前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長が825nm~875nmである、請求項1から2および19から34のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項36】
前記表界面が表量子効率プロファイルを有し;
前記裏界面が裏量子効率プロファイルを有し;
前記表量子効率プロファイルの半値全幅が、前記裏量子効率プロファイルの半値全幅よりも少なくとも2倍大きい、
請求項1から2および19から35のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【請求項37】
前記表界面が表量子効率プロファイルを有し;
前記裏界面が裏量子効率プロファイルを有し;
前記表量子効率プロファイルのピークが、前記裏量子効率プロファイルのピークよりも大きい、
請求項1から2および19から36のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本明細書は、一般に、光起電デバイス用の両面増強層に関し、より具体的には、薄膜光起電デバイスの両面効率を改善するための両面増強層の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002]光起電デバイスは、光起電力効果を示す半導体材料を使用して、光を電気に変換することで電力を生成する。片面光起電デバイスは、デバイスの単一の面から日光を受け取るように構成される。両面光起電デバイスは、デバイスの2つの面から日光を受け取るように構成される。たとえば、両面光起電デバイスは、太陽に向いて直射日光を収集する表面と、地球の方を向いて反射した日光、すなわちアルベド反射を収集する、反対側の表面とを含み得る。一般に、両面モジュールは、設置面積当たり、片面モジュールよりも多くの出力を生成することができる。シリコン系半導体材料は、両面光起電デバイスにおける使用の対象となるが、薄膜系半導体材料を両面光起電デバイスに組み込むのは困難であり得る。両面光起電デバイスにおける薄膜系半導体材料の使用を制限する特性は、十分には理解されていない。
【0003】
[0003]したがって、光起電デバイスにおいて使用するための代替両面増強層が必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】[0004]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による光起電デバイスを概略的に示す図である。
【
図2】[0005]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による
図1の光起電デバイスの2-2に沿った断面を概略的に示す図である。
【
図3】[0006]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による基板を概略的に示す図である。
【
図4】[0007]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による
図1および
図2の光起電デバイスの導電層を概略的に示す図である。
【
図5】[0008]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による両面増強層を概略的に示す図である。
【
図6】[0009]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態によるフォトルミネセンス、吸光度および量子効率を視覚的に示すグラフである。
【
図7】[0010]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による代替的光起電デバイスの断面図を概略的に示す図である。
【
図8】[0011]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による裏界面の量子効率を視覚的に示すグラフである。
【
図9】[0012]本明細書に示され、説明される1つまたは複数の実施形態による両面増強層の放射フォトルミネセンスを視覚的に示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0005】
[0013]光起電デバイスは、基板上に形成された機能層の積層体から形成されてもよい。薄膜光起電デバイスは、半導体材料の層を堆積させることから形成される、光を荷電キャリアに変換するための吸収体層を含んでもよい。本明細書で提供される実施形態は、両面増強層、および該両面増強層を備える光起電デバイスに関する。開示される両面増強層は、アルベド反射に対する薄膜光起電デバイスの量子効率を改善することができる。本明細書で使用される場合、アルベド反射は、これらに限定されないが、光起電デバイスの下の表面など、光起電デバイスの近くの物体から反射した日射エネルギーを指す。
【0006】
[0014]ここで
図1を参照すると、光起電デバイス100の一実施形態が概略的に示されている。光起電デバイス100は、光を受け取り、光を電気エネルギーに変換するように構成されてもよく、たとえば、光子が光から吸収され、光起電力効果を介して電流に変換されてもよい。したがって、議論および明確化のために、光起電デバイス100は、たとえば太陽などの一次光源に面するように構成された前面102を画定することができる。さらに、光起電デバイス100は、たとえば、材料の複数の機能層によってなど、前面102から隔離された裏面104も画定することができる。動作中、光起電デバイス100の裏面104は、二次光源、すなわち、アルベド反射の供給源に向くように構成されてもよい。たとえば、日光は、光起電デバイス100の近くの物体によって反射され得る。一般に、地球、すなわち、砂、土、岩、またはいくつかの地表の覆い、たとえば、植物、雪もしくは水などは、アルベド反射の供給源であり得る。場合によっては、アルベド反射は、高い反射率の物体、たとえば、金属質物体または表面コーティングを用いて日光を集中させることによって、増強することができる。用語「光」は、これらに限定されないが、紫外線(UV)、赤外線(IR)、および電磁スペクトルの可視部分の波長など、電磁スペクトルのさまざまな波長を指すことができることに注意されたい。「太陽光」は、本明細書で使用される場合、太陽によって放射される光を指す。
【0007】
[0015]光起電デバイス100は、前面102と裏面104との間に配置された複数の層を含んでもよい。本明細書で使用される場合、用語「層」は、表面上に設けられる材料の厚みを指す。各層は、隣接する表面の全てまたはいずれかの部分を覆うことができる。いくつかの実施形態において、光起電デバイス100の層は、太陽電池セル200のアレイに分割され得る。たとえば、光起電デバイス100は、複数の直列スクライブ202および複数の並列スクライブ204に従ってスクライビングされてもよい。直列スクライブ202は、光起電デバイス100の長さYに沿って延び、光起電デバイス100の長さYに沿って太陽電池セル200の境界を定めることができる。太陽電池セル200において隣り合う複数のセルは、光起電デバイス100の幅Xに沿って直列に接続されていてもよい。言い換えれば、隣り合う複数のセル200のモノリシックインターコネクトは、すなわち、直列スクライブ202に隣接して形成されてもよい。並列スクライブ204は、光起電デバイス100の幅Xに沿って延び、光起電デバイス100の幅Xに沿って太陽電池セル200の境界を定めることができる。動作中、電流205は、直列スクライブ202によって直列に接続された太陽電池セル200を通って、幅Xに沿って優位に流れることができる。動作中、並列スクライブ204は、長さYに沿って流れる電流205の能力を制限することができる。並列スクライブ204は任意であり、直列接続された太陽電池セル200を、長さYに沿って配列されたグループ206に分離するように構成されてもよい。
【0008】
[0016]
図1をなおも参照すると、並列スクライブ204は、直列接続された太陽電池セル200のグループ206を電気的に分離することができる。いくつかの実施形態において、太陽電池セル200のグループ206は、たとえば、電気母線の使用を介してなど、並列に接続されていてもよい。任意に、並列スクライブ204の数は、太陽電池セル200の各グループ206によって生成される最大電流を制限するように構成されてもよい。いくつかの実施形態において、各グループ206によって生成される最大電流は、たとえば、一実施形態において約100mA以下、別の実施形態において約75mA以下、またはさらなる実施形態において約50mA以下など、約200ミリアンペア(mA)以下であってもよい。
【0009】
[0017]ここで
図2を参照すると、光起電デバイス100の層は、基板110上に設けられた薄膜積層体を含んでもよい。基板110は、光起電デバイス100への光の透過を促進するように構成されてもよい。基板110は、光起電デバイス100の前面102に配置されてもよい。
図2および
図3を併せて参照すると、基板110は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面112と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面114とを有してもよい。材料の1つまたは複数の層が、基板110の第1の表面112と第2の表面114との間に配置されてもよい。本明細書で使用される場合、用語「の上」は、積層体中の第1の層が第2の層に対して、第1の層と第2の層との少なくとも一部の間に、なんらかの介在層または介在物がある状態または無い状態で配置されることを意味し得る。
【0010】
[0018]
図3を参照すると、基板110は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面122と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面124とを有する透明層120を含んでもよい。いくつかの実施形態において、透明層120の第2の表面124は、基板110の第2の表面114を形成してもよい。透明層120は、たとえば、ガラスなどの実質的に透明な材料から形成されてもよい。好適なガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、または鉄含有量の低いいずれかのガラスを挙げることができる。本明細書で使用される場合、用語「透明」は、約600nm~約1,100nmの透過範囲にわたって、少なくとも約50%の平均透過率を有する物体を指す。いくつかの実施形態において、透明な物体は、上昇した平均透過率、より広い透過範囲、または両方を有し得る。透明層120は、約250nm~約1,300nmの透過範囲にわたって、たとえば、一実施形態において約80%超、またはさらに別の実施形態において約85%超を含む、少なくとも80%の平均透過率パーセンテージを有し得る。一実施形態において、透明層120は、約250nm~約1,300nmの透過範囲にわたって、約90%以上の透過率を有するガラスから形成され得る。任意に、基板110は、透明層120の第1の表面122に塗布されたコーティング126を含んでもよい。コーティング126は、これらに限定されないが、反射防止コーティング、汚れ防止コーティング、またはそれらの組み合わせなど、光と相互作用するように、または基板110の耐久性を向上させるように構成されてもよい。
【0011】
[0019]再び
図2を参照すると、光起電デバイス100は、光起電力積層体の他の層の劣化または剥離をもたらし得る、基板110からの汚染物質(たとえば、ナトリウム)の拡散を軽減するように構成されたバリア層130を含んでもよい。バリア層130は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面132と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面134とを有してもよい。いくつかの実施形態において、バリア層130は、基板110に隣接して設けられてもよい。たとえば、バリア層130の第1の表面132は、基板100の第2の表面114上に設けられてもよい。本明細書で使用される語句「に隣接する」は、第1の層と第2の層とが連続的に、かつ第1の層と第2の層との少なくとも一部の間にいずれの介在物もない状態で配置されることを意味する。したがって、第1の層と第2の層との少なくとも一部は、互いに直接接触している。
【0012】
[0020]一般に、バリア層130は、実質的に透明であり、熱的に安定であり、ピンホールの数が少なく、かつ高いナトリウム遮断能力および良好な粘着特性を有してもよい。あるいは、またはさらに、バリア層130は、光に色抑制を適用するように構成されてもよい。バリア層130は、酸化スズ、二酸化シリコン、アルミニウムでドーピングされた酸化シリコン、酸化シリコン、窒化シリコン、または酸化アルミニウムを含むが、これらに限定されない、好適な材料の1つまたは複数の層を含んでもよい。バリア層130は、たとえば、5nm~50nm、一実施形態において約10nm超、別の実施形態において約15nm超、30nm未満、またはさらなる実施形態において約20nm未満を含む、第1の表面132および第2の表面134を境界とするいずれかの好適な厚さを有してもよい。
【0013】
[0021]
図2をなおも参照すると、光起電デバイス100は、光起電デバイス100によって生成された電荷キャリアを輸送するための電気接点を提供するように構成された透明導電性酸化物(TCO)層140を含んでもよい。TCO層140は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面142と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面144とを有してもよい。いくつかの実施形態において、TCO層140は、バリア層130に隣接して設けられてもよい。たとえば、TCO層140の第1の表面142は、バリア層130の第2の表面134上に設けられてもよい。一般に、TCO層140は、実質的に透明であり、広いバンドギャップを有するn型半導体材料の1つまたは複数の層から形成されてもよい。TCO層140は、約400nm~約900nmの透過範囲にわたって、少なくとも75%の平均透過率であり得る。TCO層140の広いバンドギャップは、光の光子のエネルギーと比較してより大きなエネルギー値を有することができ、これは光の望ましくない吸収を軽減することができる。TCO層140は、二酸化スズ、ドーピングされた二酸化スズ(たとえば、F-SnO
2)、インジウムスズ酸化物、またはスズ酸カドミウム(Cd
2SnO
4)を含むがこれらに限定されない、好適な材料の1つまたは複数の層を含んでもよい。TCO層140がスズ酸カドミウムを含む実施形態において、スズ酸カドミウムは、結晶の形態で提供されてもよい。たとえば、スズ酸カドミウムは、膜として堆積され、その後、アニーリングプロセスに供され、これにより、薄膜が結晶化膜に変換されてもよい。
【0014】
[0022]光起電デバイス100は、TCO層140と、いずれかの隣接する半導体層との間に絶縁層を設けるように構成されたバッファ層150を含んでもよい。バッファ層150は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面152と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面154とを有してもよい。いくつかの実施形態において、バッファ層150は、TCO層140に隣接して設けられてもよい。たとえば、バッファ層150の第1の表面152は、TCO層140の第2の表面144上に設けられてもよい。バッファ層150は、固有二酸化スズ(intrinsic tin dioxide)、酸化亜鉛マグネシウム(たとえば、Zn1-xMgxO)、二酸化シリコン(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、窒化アルミニウム(AlN)、酸化亜鉛スズ、酸化亜鉛、酸化スズシリコン、またはそれらのいずれかの組み合わせを含むがこれらに限定されない、TCO層140よりも高い抵抗率を有する材料を含んでもよい。いくつかの実施形態において、バッファ層150の材料は、隣接する半導体層(たとえば、吸収体)の伝導バンドエネルギーに実質的に一致するように構成されてもよい。バッファ層150は、たとえば、10nm~150nm、一実施形態において約10nm超、別の実施形態において約10nm~約80nm、またはさらなる実施形態において約15nm~約60nmを含む、第1の表面152と第2の表面154との間の厚さを有する。
【0015】
[0023]
図2をなおも参照すると、光起電デバイス100は、別の層と組になって光起電デバイス100内にp-n接合を形成するように構成された吸収体層160を含んでもよい。したがって、吸収された光の光子は、電子-正孔対を解離させ、キャリアフローを生成して、電気エネルギーをもたらすことができる。吸収体層160は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面162と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面164とを有してもよい。吸収体層160の厚さは、第1の表面162と第2の表面164との間に画定され得る。吸収体層160の厚さは、たとえば、一実施形態において約1000nm~約7000nm、別の実施形態において約1500nm~約4000nmなど、約500nm~約10,000nmであってもよい。
【0016】
[0024]本明細書に記載される実施形態によれば、吸収体層160は、過剰な正電荷キャリア、すなわち正孔またはアクセプタを有するp型半導体材料から形成されてもよい。吸収体層160は、たとえば、カドミウムおよびテルルのようなII-VI族半導体などの、いずれかの好適なp型半導体材料を含んでもよい。さらなる例としては、カドミウム、亜鉛、テルル、セレン、またはそれらのいずれかの組み合わせを含む半導体材料が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、カドミウム、セレンおよびテルルの三元(たとえば、CdSexTe1-x)、またはカドミウム、セレン、テルル、および1種または複数の追加元素を含む化合物(たとえば、CdZnSeTe)を含んでもよい。吸収体層160は、1種または複数のドーパントをさらに含んでもよい。本明細書で提供される光起電デバイス100は、複数の吸収体材料を含んでもよい。
【0017】
[0025]吸収体層160がテルルおよびカドミウムを含む実施形態において、吸収体層160中のテルルの平均原子パーセントは、たとえば、一実施形態において約30原子パーセント超約50原子パーセント未満、さらなる実施形態において約40原子パーセント超約50原子パーセント未満、またはさらに別の実施形態において約47原子パーセント超約50原子パーセント未満など、約25原子パーセント以上約50原子パーセント以下であってもよい。あるいは、またはさらに、吸収体層160中のテルルの平均原子パーセントは、たとえば、一実施形態において約49%超など、約45原子パーセント超であってもよい。本明細書に記載される平均原子パーセントは、吸収体層160全体の代表であり、吸収体層160内の特定の位置における材料の原子パーセントは、吸収体層160の全体組成と比較して、厚さによって勾配を付けることができることに留意されたい。たとえば、吸収体層160は、勾配を付けた組成を有してもよい。
【0018】
[0026]吸収体層160が勾配を付けた組成を有する場合、吸収体層160のバンドギャップを、吸収体層160の厚さ全体にわたって変化させることができ、すなわち、バンドギャップに勾配を付けることができる。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、吸収体層160の第1の表面162における第1のバンドギャップと、吸収体層160の第2の表面164における第2のバンドギャップとを有し得る。たとえば、第2のバンドギャップは、吸収体層160の第1のバンドギャップよりも大きくてもよい。一般に、動作中、第1のバンドギャップよりも大きなエネルギーに対応する波長を有する日光からの光子は、吸収体層160の第1の表面162付近で吸収され得る。たとえば、日光は、基板110、TCO層130およびバッファ層150を通って透過し、吸収体層160によって吸収され得る。
【0019】
[0027]吸収体層160がセレンおよびテルルを含む実施形態において、吸収体層160中のセレンの平均原子パーセントは、たとえば、一実施形態において約1原子パーセント超約20原子パーセント未満、別の実施形態において約1原子パーセント超約15原子パーセント未満、またはさらなる実施形態において約1原子パーセント超約8原子パーセント未満など、約0原子パーセント超約25原子パーセント以下であってもよい。テルル、セレン、またはその両方の濃度は、吸収体層160の厚さによって勾配を付けることができることに留意されたい。たとえば、吸収体層160が、xのモル分率でセレンを含み、1-xのモル分率でテルルを含む化合物(SexTe1-x)を含む場合、吸収体層160の第1の表面162からの距離によって、吸収体層160内においてxが変動してもよい。
【0020】
[0028]さらに
図2を参照すると、吸収体層160は、電荷キャリア濃度を操作するように構成されたドーパントでドーピングされていてもよい。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、たとえば、ヒ素、リン、アンチモン、またはそれらの組み合わせなどのV族ドーパントでドーピングされていてもよい。あるいは、またはさらに、吸収体層160は、たとえば、銅、銀、金、またはそれらの組み合わせなどのIB族ドーパントでドーピングされていてもよい。吸収体層160内のドーパントの総密度は、制御され得る。さらに、ドーパントの量は、吸収体層160の第1の表面162からの距離によって変動してもよい。
【0021】
[0029]本明細書で提供される実施形態によれば、p-n接合は、過剰な負電荷キャリア、すなわち電子またはドナーを有する光起電デバイス100の一部に十分に近接して吸収体層160を設けることによって形成されてもよい。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、n型半導体材料に隣接して設けられてもよい。あるいは、吸収体層160とn型半導体材料との間に1つまたは複数の介在層が設けられてもよい。いくつかの実施形態において、吸収体層160は、バッファ層150に隣接して設けられてもよい。たとえば、吸収体層160の第1の表面162は、第2の表面154と第1の表面162との少なくとも一部が直接接触状態となるように、バッファ層150の第2の表面154上に設けられてもよい。
【0022】
[0030]光起電デバイス100は、ドーパントの望ましくない変質を軽減し、吸収体層160に電気接点を提供するように構成されたバックコンタクト層170を含んでもよい。バックコンタクト層170は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面172と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面174とを有してもよい。バックコンタクト層170の厚さは、第1の表面172と第2の表面174との間に画定され得る。バックコンタクト層170の厚さは、たとえば、一実施形態において約10nm~約50nmなど、約5nm~約200nmであってもよい。
【0023】
[0031]いくつかの実施形態において、バックコンタクト層170は、吸収体層160に隣接して設けられてもよい。たとえば、バックコンタクト層170の第1の表面172は、吸収体層160の第2の表面164上に設けられてもよい。いくつかの実施形態において、バックコンタクト層170は、たとえば、さまざまな組成で亜鉛およびテルルを含有する1つまたは複数の層など、I、II、VI族材料の組み合わせを含んでもよい。さらなる例示的な材料としては、テルル化カドミウム亜鉛およびテルル化亜鉛の二層、またはたとえば窒素などのV族ドーパントでドーピングされたテルル化亜鉛が挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
[0032]
図2、および
図4を併せて参照すると、光起電デバイス100は、バックコンタクト層170、吸収体層160、またはその両方に電気接点を提供するように構成された導電層180を含んでもよい。導電層180は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面182と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面184とを有してもよい。いくつかの実施形態において、導電層180は、バックコンタクト層170または吸収体層160に隣接して設けられてもよい。たとえば、導電層180の第1の表面182は、バックコンタクト層170の第2の表面174または吸収体層160の第2の表面162上に設けられてもよい。導電層180の厚さは、第1の表面182と第2の表面184との間に画定され得る。導電層180の厚さは、たとえば、一実施形態において約40nm~約400nm、または約60nm~約350nmなど、約500nm未満であってもよい。
【0025】
[0033]本明細書で提供される実施形態によれば、導電層180は、材料の1つまたは複数の機能層を含んでもよい。導電層180は、約600nm~約900nmの透過範囲にわたって、少なくとも80%の平均透過率パーセンテージを有し得る。導電層180は、たとえば吸収体層160などの、セル200の活性領域に対する金属種の拡散を制限するように動作可能な拡散バリア層210を含んでもよい。吸収体層160への金属種の拡散は、セル200の変換効率を低下させる場合がある。そのような劣化および性能の低下は、特に高温および/または多湿の環境と関連している場合がある。したがって、好適な拡散バリア210の使用により、光起電デバイス100の性能を向上させることができる。
【0026】
[0034]拡散バリア層210は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面212と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面214とを有してもよい。拡散バリア層210の厚さは、第1の表面212と第2の表面214との間に画定され得る。拡散バリア層210の厚さは、たとえば、一実施形態において約2nm~約100nm、または別の実施形態において約5nm~約50nmなど、約125nm未満であってもよい。
【0027】
[0035]いくつかの実施形態において、拡散バリア層210は、バックコンタクト層170に隣接して設けられてもよい。たとえば、拡散バリア層210の第1の表面212は、バックコンタクト層170の第2の表面174上に設けられてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、バックコンタクト層180の第1の表面182は、拡散バリア層210の第1の表面212によって形成されてもよい。一般に、拡散バリア層210は、「+」型にドーピングされ得る好適な透過率を有する材料によって形成されてもよい。たとえば、約1×1016cm-3より大きい電荷密度は、「+」型であると考えられてもよい。いくつかの実施形態において、拡散バリア層210は、n+にドーピングされていてもよい。代替的実施形態において、拡散バリア層210は、p+にドーピングされていてもよい。境界は厳密ではないが、電子ドナーキャリアが約1×1011cm-3~約1×1016cm-3の範囲で存在する場合、材料はn型と考えられてもよく、ドナーキャリア密度が約1×1016cm-3より大きい場合、n+型と考えられてもよい。同様に、材料は、電子アクセプタキャリア(すなわち「正孔」)が約1×1011cm-3~約1×1016cm-3の範囲で存在する場合はp型、アクセプタキャリア密度が約1×1016cm-3より大きい場合はp+型と一般に考えられる。絶対的なキャリア密度に関係なく、キャリア濃度が少なくとも2桁(すなわち100倍)高い場合、層はp型である層に対してp+である(またはn型である層に対してn+である)場合があるため、境界は厳密ではなく、重複する場合がある。さらに、約1×1018cm-3より大きい電荷密度は、「++」型であると考えられてもよい。したがって、n型またはp型のいずれかの層は、++層が+層の100倍を超える同型キャリア密度を有する場合、それ自体がさらに第3の層に対して「+」である同型の層に対して「++」である場合がある。
【0028】
[0036]拡散バリア層210に好適な材料は、たとえば、酸窒化チタン(TiNxOy)または酸窒化モリブデン(MoNxOy)などの耐火性酸窒化物を含んでもよい。理論に拘束されるものではないが、出願人は、合金中の酸素の量が増加すると、酸窒化物は、向上した光学特性、すなわち、透過率の増加を示す場合があることを発見した。しかしながら、さらに、増加した酸素によって電気伝導率は低下する場合があると考えられている。透明拡散バリア310での使用に好適な材料の別の群としては、たとえば、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化カドミウム(CdO)、スズ酸カドミウム(Cd2SnO4)および非晶質カドミウムスズ酸化物(CdxSnO4材料、式中、0.5≦x≦2)などの透明導電性酸化物が挙げられる。これらの透明導電性酸化物は、F、Al、In、Ga、Tiなど、およびその他の不純物をドープし、電気的、光学的特性を変えられてもよい。
【0029】
[0037]
図2および
図4をなおも参照すると、導電層180は、低いデバイス直列抵抗をもたらすように構成された高導電率層220を含んでもよい。高導電率層220は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面222と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面224とを有してもよい。高導電率層220の厚さは、第1の表面222と第2の表面224との間に画定され得る。高導電率層220の厚さは、たとえば、一実施形態において約30nm~約300nm、別の実施形態において約50nm~約250nm、またはさらなる実施形態において約100nm~約250nmなど、約300nm未満であってもよい。
【0030】
[0038]いくつかの実施形態において、高導電率層220は、拡散バリア層210と比較して、吸収体層160またはバックコンタクト層170からさらに離れた位置に配置されてもよい。したがって、拡散バリア層210は、吸収体層160と高導電率層220との間、またはバックコンタクト層170と高導電率層220との間に配置されてもよい。具体的には、いくつかの実施形態において、高導電率層220は、高導電率層に隣接して設けられてもよい。たとえば、高導電率層220の第1の表面222は、拡散バリア層210の第2の表面214上に設けられてもよい。一般に、高導電率層220は、「++」型にドーピングされ得る好適な透過率を有する材料によって形成されてもよい。いくつかの実施形態において、拡散バリア層210は、n++にドーピングされていてもよい。したがって、高導電率層220は、縮退するようにドーピングされた透明導電性酸化物を含んでもよい。いくつかの実施形態において、高導電率層220は、それ自体または酸化物ドーパントでn++にドーピングされていてもよい。好適な酸化物ドーパントとしては、In2O3、Ga2O3、TiO2、Dy2O3、SnO2、Y2O3、Al2O3、またはそれらのいずれかの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。出願人は、たとえば、酸化インジウムドープ酸化カドミウム(CdO:In2O3)または酸化ガリウムドープ酸化カドミウム(CdO:Ga2O3)などの酸化カドミウム(CdO)が、好適な光学特性を有する他の透明導電性酸化物と比較して、比較的高い電気移動度を有することを発見した。したがって、酸化カドミウムを含む高導電率層220の実施形態は、比較的高い充填率、および向上した光起電力性能を示した。
【0031】
[0039]本明細書で提供される実施形態によれば、導電層180は、高温多湿環境における高導電率層220の腐食を軽減するように動作可能なキャッピング層230を含んでもよい。キャッピング層230は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面232と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面234とを有してもよい。キャッピング層230の厚さは、第1の表面232と第2の表面234との間に画定され得る。キャッピング層230の厚さは、たとえば、一実施形態において約2nm~約100nm、または別の実施形態において約5nm~約50nmなど、約125nm未満であってもよい。
【0032】
[0040]いくつかの実施形態において、キャッピング層230は、高導電率層220と比較して、吸収体層160またはバックコンタクト層170からさらに離れた位置に配置されてもよい。したがって、高導電率層220は、拡散バリア層210とキャッピング層230との間に配置されてもよい。具体的には、いくつかの実施形態において、キャッピング層230は、高導電率層220に隣接して設けられてもよい。たとえば、キャッピング層230の第1の表面232は、高導電率層220の第2の表面224上に設けられてもよい。キャッピング層230は、たとえば、スズ酸カドミウムなどの透明導電性酸化物を含んでもよい。いくつかの実施形態において、キャッピング層は、非晶質スズ酸カドミウムを含んでもよい。
【0033】
[0041]再び
図2を参照すると、光起電デバイス100は、光起電デバイス100の裏面104を通って透過するアルベド反射の電磁スペクトルを変化させるように構成された、両面増強層190を含んでもよい。両面増強層190は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面192と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面194とを有してもよい。両面増強層190の厚さは、第1の表面192と第2の表面194との間に画定され得る。両面増強層190の厚さは、1,000,000nm未満であり得る。両面増強層190の厚さは、たとえば、いくつかの実施形態において、50nm~50,000nm、50nm~5,000nm、または約100nm~約2,500nmなど、約50nm~約500,000nmであり得る。
【0034】
[0042]
図2、および
図5を併せて参照すると、両面増強層190は、複数のナノメートル規模の粒子、たとえば、ナノ結晶または量子ドット196などを含んでもよい。一般に、ナノメートル規模の粒子は、約50nm未満の平均直径を有する物体である。層内の粒子の平均サイズは、層の断面において、電子顕微鏡法および画像処理を使用して測定され得る。好適なナノ結晶は、たとえば、ABX
3組成を有する化合物などのペロブスカイト材料から形成され得る。Aとしては、セリウム、メチルアンモニウム、またはホルムアミジニウムの1つまたは複数を挙げることができる。Bとしては、たとえば、鉛またはスズなどの1種または複数の金属を挙げることができる。Xとしては、たとえば、塩素、臭素、またはヨウ素などの1種または複数のハライドを挙げることができる。
【0035】
[0043]
図2および
図6を併せて参照すると、両面増強層190は、吸収スペクトル240によって特徴付けることができ、本明細書で提供される実施形態による吸収体層160と組になるように合わせることができる。
図6は、波長(nm)に対してプロットされる、両面増強層190の実施形態の吸光度を、右の縦軸に従う任意単位(arbitrary unit:a.u.)を用いて視覚的に示す。吸光度は、1という値が、両面増強層190によって吸収される、両面増強層190に入射する波長に対応する光の100%に対応するように、倍率変更される。吸収スペクトル240は、吸収端242を含み得る。吸収端242は、吸収スペクトル240の吸光度のほとんどの消失を含む、吸収スペクトル240の部分を区分する、吸収スペクトル240の傾斜の切れ目であり得る。本明細書で提供される場合、吸収スペクトル240は、吸収スペクトル242の極大吸収の15%に等しい吸光度の波長に対応する、カットオフ波長243を有し得る。カットオフ波長243は、有効吸光度不足を区分する、吸収端242に沿って位置付けられ得る。吸収端242のカットオフ波長243は、約660nmとして
図6に示されるが、吸収端242のカットオフ波長243は、本開示に従って変動し得ることに注意されたい。いくつかの実施形態において、吸収端242のカットオフ波長243は、たとえば、約600nm以下、および一実施形態において約800nm以下など、800nm以下であり得る。
【0036】
[0044]
図6はさらに、本明細書で提供される実施形態による吸収体層160と組になるように合わせることができる、両面増強層190の実施形態の放射フォトルミネセンス244を視覚的に示す。放射フォトルミネセンス244は、右の縦軸に従う任意単位を用いて、波長(nm)に対してプロットされる。一般に、両面増強層190は、光を「ダウンシフト」するように構成され得る。したがって、放射フォトルミネセンス244は、吸収スペクトル240のカットオフ波長243よりも長い波長を有する、ピーク246を有し得る。あるいは、またはさらに、放射フォトルミネセンス244は、入射光のエネルギーの大部分が、吸収スペクトル240のカットオフ波長243よりも長い波長にシフトした、半値全幅(FWHM)248を有し得る。
【0037】
[0045]量子ドット196を含む実施形態において、各量子ドット196は、1種の半導体材料、または複数の半導体材料、すなわちコア/シェル構成から形成され得る。好適な半導体材料としては、たとえば、硫化銅インジウム、硫化銀インジウム、硫化鉛、セレン化鉛、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、テルル化カドミウム、ヒ化インジウム、およびリン化インジウムなどのI-III-VI族ナノ結晶、またはII-VI族半導体ナノ結晶が挙げられる。量子ドット196は、たとえば、ある実施形態において約0.1nm超かつ15nm未満、一実施形態において約1nm超かつ10nm未満、4nm超かつ13nm未満、別の実施形態において2nm超かつ8nm未満、または約1nm超かつ約5nm未満など、約50nm未満、または約20nm未満の平均直径を有し得る。量子ドット196がナノメートル規模であることによって、量子ドット196は、同じ材料から形成されるより大きな物体とは異なる光学特性を有する。量子ドット196の吸光度およびフォトルミネセンスは、半導体材料のバンドギャップ、および量子ドット196の直径の関数として調整され得る。所与のバンドギャップについて、量子ドット196の直径の増大は、フォトルミネセンスのピークの波長を増大させることができる。一般に、量子ドット196は、400nm~800nmの波長について、104cm-1超の平均吸収係数を有し得る。
【0038】
[0046]いくつかの実施形態において、両面増強層190は、量子ドット196の積層配列を含んでもよい。たとえば、両面増強層190は、互いの上に積み重ねられて厚さを形成する、複数の量子ドット196を含んでもよい。量子ドット196は、両面増強層190内に複数の間隙が存在するように分散され得る。間隙は、開放されていてもよく、たとえば透明材料などの充填材料によって充填されてもよい。したがって、いくつかの実施形態において、量子ドット196は、たとえば、両面増強層190の体積の2%以上、5%以上、5%~45%、15%~35%、または20%~30%など、両面増強層190の体積の少なくとも約1%を充填することができる。いくつかの実施形態において、量子ドット196は、たとえば、両面増強層190の体積の約60%~90%など、両面増強層190の体積の少なくとも約55%を充填することができる。あるいは、またはさらに、量子ドット196は、導電層180の第2の表面184に直接適用され得る。量子ドット196は、導電層180の第2の表面184上に、55%超の面密度で設けられ得る。いくつかの実施形態において、量子ドット196は、導電層180の第2の表面184に対して、55%~100%、65%~95%、75%~99%、80%~100%、または90%~100%の範囲内の面密度で設けられ得る。
【0039】
[0047]再び
図2を参照すると、光起電デバイス100は、光起電デバイス100に湿気保護を提供するように構成された、中間層198を含んでもよい。中間層198は、これに限定されないが、熱可塑性材料など、硬化プロセスの前またはプロセス中に流すことができる透明材料を含んでもよい。熱可塑性材料としては、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アクリル系物質(PMMA)、セルロイド、酢酸セルロース、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリビニルブチラール(PVB)、シリコン、エポキシ、エチレン-酢酸ビニル(EVA)、エチレンビニルアルコール(EVOH)、フッ素樹脂(PTFE)、イオノマー、KYDEX(登録商標)、液晶ポリマー(LCP)、ポリアセタール(POM)、ポリアクリレート、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリアミド-イミド(PAI)、ポリアリールエーテルケトン(PAEK)、ポリブタジエン(PBD)、ポリブチレン(PB)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(PCT)、ポリカーボネート(PC)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、ポリケトン(PK)、ポリエステル、ポリエチレン(PE)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルスルホン(PES)、塩素化ポリエチレン(PEC)、ポリイミド(PI)、ポリ乳酸(PLA)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリフェニレンオキシド(PPO)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリフタルアミド(PPA)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリスルホン(PSU)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリウレタン(PU)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、もしくはスチレン-アクリロニトリル(SAN)、またはいずれかの他の好適な材料、またはそれらのいずれかの組み合わせを挙げることができる。ある種の実施形態において、中間層198は、エチレン酢酸ビニル(EVA)、ポリビニルブチラール(PVB)、シリコン、またはエポキシを含んでもよい。
【0040】
[0048]いくつかの実施形態において、中間層198は、両面増強層190の上に設けられ得る。したがって、両面増強層190は、中間層198と導電層180との間に配置され得る。任意に、中間層198は、両面増強層190に隣接していてもよい。いくつかの実施形態において、中間層198は、両面増強層190の量子ドット196に直接接触していてもよい。あるいは、またはさらに、両面増強層190と中間層198とは、単一の層に組み合わせられ得る。たとえば、量子ドット196(
図5)は、中間層198内に分散していてもよい。
【0041】
[0049]光起電デバイス100は、基板110と組になって、光起電デバイス100用のハウジングを形成するように構成された背面支持体250を含んでもよい。背面支持体250は、光起電デバイス100の裏面104に配置されてもよい。背面支持体250は、実質的に光起電デバイス100の前面102に向いた第1の表面252と、実質的に光起電デバイス100の裏面104に向いた第2の表面254とを有してもよい。背面支持体250は、たとえば、ホウケイ酸ガラス、フロートガラス、ソーダ石灰ガラス、炭素繊維、またはポリカーボネートを含む、いずれの好適な透明材料を含んでもよい。背面支持体250、基板110、および中間層198は、光起電デバイス100のさまざまな層を、湿気および他の環境における危険への曝露から保護することができる。いくつかの実施形態において、基板110および背面支持体250は、積層プロセスを通じて、中間層198と互いに結合され得る。たとえば、背面支持体250の第1の表面252は、中間層198と直接接触していてもよい。
【0042】
[0050]ここで
図7を参照すると、光起電デバイス260の実施形態は、背面支持体250と中間層198との間に配置された両面増強層190を含んでもよい。たとえば、両面増強層190の第2の表面194は、背面支持体250の第1の表面252と直接接触していてもよい。
【0043】
[0051]
図2、
図6および
図7を併せて参照すると、両面増強層190の実施形態は、光起電デバイス100、260の両面性能を改善するように構成される。場合によっては、光起電デバイス100、260は、吸収体層160の表界面166で当初受け取った光の変換において、吸収体層160の裏界面168で当初受け取った光と比較して、より効率的であり得る。表界面166は、吸収体層160の第1の表面162と、隣接する、光変換中に電子を輸送するように構成された層の積層体との間に形成され得る。いくつかの実施形態において、表界面166は、吸収体層160の第1の表面162と、バッファ層150の第2の表面154との間に形成され得る。裏界面168は、吸収体層160の第2の表面164と、隣接する、光変換中に正孔を輸送するように構成された層の積層体との間に形成され得る。いくつかの実施形態において、裏界面168は、吸収体層160の第2の表面164と、バックコンタクト170の第1の表面172との間に形成され得る。
【0044】
[0052]シリコン系光起電デバイスとは対照的に、たとえば、CdTe、CdSe等を用いたデバイスなどの薄膜光起電デバイスは、表界面166と比較して非効率な裏界面168を有し得る。この非効率は、吸収体層160の特定の組成、および吸収体層160のドーパントレベルによる影響であり得る。さらに、非効率は、吸収体層160に隣接するいずれかの層の組成、界面の不活性化、および製造プロセスを含む、他の要因によって生じることもある。具体的には、裏界面168は、比較的大きな表面再結合速度および短いキャリア寿命を有することがあり、電力に変換され得る光の量が低減し得る。単純に述べると、裏界面168において当初受け取られた比較的多量の光のエネルギーは、エネルギーが電力として供給され得る前に、キャリア再結合のために失われることがある。裏界面168の表面再結合速度は、望ましくないことに、たとえば、転移および面欠陥(たとえば、粒界および表面界面)などのモルフォロジー欠陥によって、ならびにバンドベンディングを生じ得る表面電荷によって上昇し得る。したがって、これらに限定されないが、吸収体層160の材料を変更すること、裏界面168のモルフォロジーを改善すること、裏界面168を不活性化すること、またはそれらのいずれかの組み合わせなど、組成変化のためのさまざまな変更によって効率が改善され得る。対照的に、本明細書で提供される実施形態は、吸収体層160、裏界面168、または両方の組成を直接的に変化させることなく、吸収体層160の効率を改善するための、両面増強層190の使用に関する。
【0045】
[0053]
図2、
図6および
図7をなおも参照すると、表界面166において受け取った光と比較して、裏界面168において受け取った光に対する平均量子効率が低いことは、裏界面168において、表界面166に対して、表面再結合速度が望ましくないことに上昇していることを示し得る。例示的な表界面166の量子効率プロファイル270、および例示的な裏界面168の量子効率プロファイル280が、
図6において、波長に対してプロットされる。裏界面168は、表界面166と比較して低い平均量子効率を有し得る。具体的には、500nm~900nmの光に対する裏界面168の平均量子効率は50%以下であり得、かつ500nm~900nmの光に対する表界面166の平均量子効率の5%以上であり得、たとえば、一実施形態において45%以下かつ8%以上、または別の実施形態において40%以下かつ10%以上であり得る。
【0046】
[0054]吸収体層160の表界面166によってまず受け取られる光の量子効率プロファイル270は、示される通り、FWHM272およびピーク274を有する。同様に、吸収体層160の裏界面168によってまず受け取られる光の量子効率プロファイル280は、FWHM282およびピーク284を有する。上に述べた通り、表界面166は、裏界面168よりも出力変換が効率的であり得る。したがって、表界面166の量子効率プロファイル270のFWHM272は、裏界面168の量子効率プロファイル280のFWHM282よりも大きいことがあり、たとえば、一実施形態において、量子効率プロファイル270のFWHM272は、量子効率プロファイル280のFWHM282よりも少なくとも2倍大きいことがあり、または別の実施形態において、量子効率プロファイル270のFWHM272は、量子効率プロファイル280のFWHM282よりも少なくとも3倍大きいことがある。あるいは、またはさらに、表界面166の量子効率プロファイル270のピーク274は、裏界面168の量子効率プロファイル280のピーク284よりも大きいことがあり、たとえば、一実施形態において、量子効率プロファイル270のピーク274は、量子効率プロファイル280のピーク284よりも1.1倍大きいことがあり、または別の実施形態において、量子効率プロファイル270のピーク274は、量子効率プロファイル280のピーク284よりも少なくとも1.2倍大きいことがある。
【0047】
[0055]本明細書で提供される場合、両面増強層190は、アルベド反射に対する裏界面168の出力変換効率を改善するように構成され得る。一般に、両面増強層190は、広い波長のスペクトルにわたって、アルベド反射と相互作用するように動作させ、アルベド反射をより狭いフォトルミネセンススペクトルに変換することができる。いくつかの実施形態において、両面増強層190は、400nm~800nmの波長を有する光を吸収することができる。たとえば、両面増強層190は、たとえば、400nm~800nmの波長を有する入射光子の85%~100%、少なくとも85%、または少なくとも約90%など、400nm~800nmの波長を有する入射光子の少なくとも約85%を吸収することができる。別の実施形態において、両面増強層190は、たとえば、いくつかの実施形態において、400nm~800nmの波長を有する入射光子の50%~95%、60%~95%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、もしくは少なくとも約90%、または別の実施形態において、400nm~800nmの波長を有する入射光子の少なくとも約95%など、400nm~800nmの波長を有する入射光子の少なくとも約50%を吸収することができる。
【0048】
[0056]本明細書で提供される実施形態によれば、両面増強層190によって提供される放射フォトルミネセンス244は、光のダウンシフトに対応する振動数において、ピーク246を有し得る。たとえば、フォトルミネセンスのピーク246の波長は、たとえば、一実施形態において825nm~875nm、別の実施形態において830nm以上かつ870nm以下、または別の実施形態において840nm以上かつ860nm以下など、約820nmよりも大きいことがある。あるいは、またはさらに、両面増強層190によって提供される放射フォトルミネセンス244は、アルベド反射と比較して、相対的に狭いピークを有し得る。たとえば、放射フォトルミネセンスのピーク246は、たとえば、一実施形態において60nm未満、または別の実施形態において約10nm~50nmなど、100nm未満のFWHM248を有し得る。あるいは、またはさらに、放射フォトルミネセンス244のピーク246に変換される、400nm~800nmの波長を有する入射光子の量子収率は、たとえば、一実施形態において約60%超など、50%超であり得る。
【0049】
[0057]
図2、
図6および
図7をなおも参照すると、本開示によれば、光起電デバイス100、260の実施形態の両面性能は、裏界面168の量子効率プロファイル280のピーク284へ、光をダウンシフトさせることによって改善され得る。このようなダウンシフトは、電流損失を生じ得ることに注意されたい。たとえば、短絡電流J
SCにおける損失は、両面増強層190の吸収スペクトル240と、裏界面168の量子効率プロファイル280との間の重なり286に相関し得る。したがって、所与の吸収体層160について、両面増強層190の吸収端242は、両面増強層190による吸収に起因して失われる、短絡電流Jsc
Lossの量に影響を及ぼし得る。
【0050】
[0058]その関係は、下に等式1として提供され、式中、QE(λ)は、裏界面168の波長に応じた量子効率であり、RI(λ)は、波長に応じた背面放射照度であり、AB(λ)は、の波長に応じた吸光度である。
【0051】
【0052】
いくつかの実施形態では、両面増強層190による吸収に起因する短絡電流JscLossの量は、たとえば、一実施形態において、0.05mA/cm2以上かつ15mA/cm2以下、または別の実施形態において0.5mA/cm2以上かつ10mA/cm2以下など、約20mA/cm2未満であり得る。
【0053】
[0059]
図2、
図4および
図6を併せて参照すると、光起電デバイス100、260の介在層は、両面増強層190の放射フォトルミネセンス244を透過するように構成され得る。たとえば、バックコンタクト層170、導電層180、中間層198、またはそれらのいずれかの組み合わせは、両面増強層190の放射フォトルミネセンス244のピーク246の波長に対して、たとえば、一実施形態において90%以上の透過率など、85%以上の透過率を有し得る。
【実施例】
【0054】
[0060]
図8および
図9を併せて参照すると、本開示の実施形態のさまざまな実施例をシミュレートし、本明細書に示される両面増強層の使用に起因する短絡電流J
SCにおける正味の利得を決定した。短絡電流における正味の変化Jsc
Netは、下の等式2および3によって与えられ、式中、QYは、両面増強層190の量子収率であり、AB(λ)は、両面増強層190の波長に応じた吸光度であり、RI(λ)は、波長に応じた背面放射照度であり、PL(λ)は、両面増強層190の波長に応じたフォトルミネセンスであり、QE(λ)は、裏界面168の波長に応じた量子収率である。
【0055】
【0056】
シミュレートされる両面増強層の放射フォトルミネセンス(
図9)のピークを、シミュレートされる裏界面の量子効率プロファイル(
図8)のピークと並べた。シミュレートされる両面増強層を通る光学入力として、AM 1.5スペクトルを使用した。シミュレートされる裏界面の量子効率プロファイル(
図8)のFWHMは、22nm、55nm、88nm、120.7nm、153nm、および186nmにおいてシミュレートした。
図8は、22nmのプロファイル線801、55nmのプロファイル線802、88nmのプロファイル線803、120.7nmのプロファイル線804、153nmのプロファイル線805、および186nmのプロファイル線806を示し、それぞれ、シミュレートされる裏界面の量子効率プロファイルのFWHMに対応する。シミュレートされる裏界面の量子効率プロファイルのピークは、一定に保たれた。シミュレートされる両面増強層の放射フォトルミネセンス(
図9)のFWHMは、1nm、30nm、60nm、91nm、121nm、152nm、および183nmにおいてシミュレートした。
図9は、1nmの線901、30nmの線902、60nmの線903、91nmの線904、121nmの線905、152nmの線906、および183nmの線907を示し、それぞれ、シミュレートされる両面増強層の放射フォトルミネセンスのFWHMに対応する。シミュレートされる両面増強層裏界面の放射フォトルミネセンスのピークは、一定に保たれた。
【0057】
[0061]シミュレーションは、1の吸光度(a.u.)、ならびに660nm、720nm、および790nmの吸収端のカットオフ振動数を用いて、3種の異なる吸光プロファイルを使用して行った。両面増強層に起因して失われる短絡電流JscLoss(mA/cm2)の量を、各吸光プロファイルおよび各量子効率プロファイルについて決定した。結果を、下の表1に提供する。
【0058】
【0059】
[0062]660nmの吸収端のカットオフ波長を用いて、各放射フォトルミネセンス(
図9)および量子効率プロファイル(
図8)についてシミュレーションを行った。各組み合わせについて、短絡電流における正味の変化Jsc
Net(mA/cm
2)を下の表2に提供する。
【0060】
【0061】
[0063]720nmの吸収端のカットオフ波長を用いて、各放射フォトルミネセンス(
図9)および量子効率プロファイル(
図8)についてシミュレーションを行った。各組み合わせについて、短絡電流における正味の変化Jsc
Net(mA/cm
2)を下の表3に提供する。
【0062】
【0063】
[0064]780nmの吸収端のカットオフ波長を用いて、各放射フォトルミネセンス(
図9)および量子効率プロファイル(
図8)についてシミュレーションを行った。各組み合わせについて、短絡電流における正味の変化Jsc
Net(mA/cm
2)を下の表4に提供する。
【0064】
【0065】
[0065]表2~4にまとめたシミュレーションでは、性能が上昇しており、すなわち、AM 1.5スペクトルのダウンシフトを通じて、短絡電流の正味の変化JscNetは大きかった。一般に、短絡電流の正味の変化JscNetは、放射フォトルミネセンスがより狭いFWHMを有することによって、改善し得る。さらに、放射フォトルミネセンスのFWHMが狭くなると、短絡電流の正味の変化JscNetの感受性が低下して、裏界面の量子効率プロファイルのFWHMが広くなる傾向にある。反対に、放射フォトルミネセンスのFWHMが広くなると、裏界面の量子効率プロファイルのFWHMに対して、短絡電流の正味の変化JscNetの感受性が上昇する傾向にある。
【0066】
[0066]ここで、両面増強層は、高効率両面光起電モジュールの一部として利用され得ることが理解されるべきである。たとえば、ダウンシフト層は、アルベド反射のエネルギーレベルを低下させ、吸収体層内の出力変換の制御を向上させるために利用され得る。このような制御は、吸収体層の組成を著しく改変することなく、高出力密度かつ高効率の両面光起電モジュールを実施するために使用され得る。
【0067】
[0067]本明細書に示される実施形態によれば、両面光起電デバイスは、吸収体層および両面増強層を含んでもよい。吸収体層は、表界面および裏界面を有し得る。表界面は、500nm~900nmの光に対する表平均量子効率を有し得る。裏界面は、500nm~900nmの光に対する裏平均量子効率を有し得る。裏平均量子効率は、表平均量子効率の50%以下、かつ表平均量子効率の5%以上であり得る。両面増強層は、吸収体層の上にあってもよく、吸収体層の表界面と比較して、吸収体層の裏界面に近く配置され得る。両面増強層は、両面増強層の吸収端のカットオフ振動数以下の吸収波長を有する光を吸収することができる。カットオフ振動数は、両面増強層の極大吸収の15%に等しい吸光度の振動数である。両面増強層は、ピークを有する放射フォトルミネセンスを放射することができる。両面増強層の放射フォトルミネセンスのピークの波長は、吸収端のカットオフ波長よりも大きくてもよい。両面増強層のフォトルミネセンスのピークは、100nm未満の半値全幅を有し得る。
【0068】
[0068]本明細書において、用語「実質的に」および「約」は、いずれかの定量的な比較、値、測定、または他の表現に起因し得る、内在する不確実性の程度を表すために利用されてもよいことに留意されたい。これらの用語はまた、本明細書において、問題となっている主題の基本的な機能に変化をもたらすことなく、記載された参照事項から定量的表現が変動し得る程度を表すために利用される。
【0069】
[0069]特定の実施形態が本明細書で例示され、説明されてきたが、請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更および修正がなされてもよいことを理解されたい。さらに、請求される主題のさまざまな態様が本明細書で説明されたが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、請求される主題の範囲内にあるそのような変更および修正を全て包含することが意図される。
【手続補正書】
【提出日】2024-06-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収体層および両面増強層を備える両面光起電デバイスであって、
前記吸収体層が、表界面および裏界面を有し、前記表界面が、500nm~900nmの光に対する表平均量子効率を有し、前記裏界面が、500nm~900nmの光に対する裏平均量子効率を有し、前記裏平均量子効率が、前記表平均量子効率の50%以下、かつ前記表平均量子効率の5%以上であり;
前記両面増強層が、前記吸収体層の上にあり、前記吸収体層の前記表界面と比較して、前記吸収体層の前記裏界面に近く配置されており、
前記両面増強層が、前記両面増強層の吸収端のカットオフ波長以下の吸収波長を有する光を吸収し;
前記カットオフ波長が、前記両面増強層の極大吸収の15%に等しい吸光度に対応し;
前記両面増強層が、ピークを有する放射フォトルミネセンスを放射し;
前記両面増強層の前記放射フォトルミネセンスの前記ピークの波長が、前記吸収端の前記カットオフ波長よりも大きく;そして
前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークが、100nm未満の半値全幅を有する、
両面光起電デバイス。
【請求項2】
前記両面増強層による吸収に起因する短絡電流Jsc
Lossが20mA/cm
2未満である、請求項1に記載の光起電デバイス。
【請求項3】
前記吸収端の前記カットオフ波長が800nm以下である、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項4】
基板の上、かつ前記基板と前記吸収体層との間に配置された透明導電性酸化物;および
前記両面増強層の上に配置された背面支持体であって、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、背面支持体
を備える、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項5】
前記吸収体層の上、かつ前記吸収体層と前記両面増強層との間に導電層を備え、前記導電層が、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項6】
前記吸収体層に隣接し、かつ前記両面増強層と前記吸収体層との間に配置されたバックコンタクトを備え、前記バックコンタクトが、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項7】
前記吸収体層がセレンを含み、
前記吸収体層中の前記セレンの平均原子パーセントが、0原子パーセント超かつ約25原子パーセント以下である、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項8】
前記吸収体層の上に導電層を備え、前記量子ドットが、前記導電層と直接接触している、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項9】
前記量子ドットの上に配置された中間層を含む、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項10】
前記中間層が前記両面増強層の前記量子ドットと直接接触している、請求項9に記載の光起電デバイス。
【請求項11】
前記両面増強層の前記量子ドットが、400nm~800nmの波長を有する光子に対して、少なくとも10
4cm
-1の平均吸光係数を有する、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項12】
前記両面増強層の前記量子ドットが、前記両面増強層の体積の少なくとも15%を充填する、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項13】
前記両面増強層に入射する、400nm~800nmの波長を有する光子の少なくとも50%が、前記フォトルミネセンスの前記ピークに変換される、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項14】
前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長が825nm~875nmである、請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項15】
前記表界面が表量子効率プロファイルを有し;
前記裏界面が裏量子効率プロファイルを有し;
前記表量子効率プロファイルの半値全幅が、前記裏量子効率プロファイルの半値全幅よりも少なくとも2倍大きい、
請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【請求項16】
前記表界面が表量子効率プロファイルを有し;
前記裏界面が裏量子効率プロファイルを有し;
前記表量子効率プロファイルのピークが、前記裏量子効率プロファイルのピークよりも大きい、
請求項1または2に記載の光起電デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0069
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0069】
[0069]特定の実施形態が本明細書で例示され、説明されてきたが、請求される主題の精神および範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更および修正がなされてもよいことを理解されたい。さらに、請求される主題のさまざまな態様が本明細書で説明されたが、そのような態様は組み合わせて利用される必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲は、請求される主題の範囲内にあるそのような変更および修正を全て包含することが意図される。
[発明の態様]
[1]
吸収体層および両面増強層を備える両面光起電デバイスであって、
前記吸収体層が、表界面および裏界面を有し、前記表界面が、500nm~900nmの光に対する表平均量子効率を有し、前記裏界面が、500nm~900nmの光に対する裏平均量子効率を有し、前記裏平均量子効率が、前記表平均量子効率の50%以下、かつ前記表平均量子効率の5%以上であり;
前記両面増強層が、前記吸収体層の上にあり、前記吸収体層の前記表界面と比較して、前記吸収体層の前記裏界面に近く配置されており、
前記両面増強層が、前記両面増強層の吸収端のカットオフ波長以下の吸収波長を有する光を吸収し;
前記カットオフ波長が、前記両面増強層の極大吸収の15%に等しい吸光度に対応し;
前記両面増強層が、ピークを有する放射フォトルミネセンスを放射し;
前記両面増強層の前記放射フォトルミネセンスの前記ピークの波長が、前記吸収端の前記カットオフ波長よりも大きく;そして
前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークが、100nm未満の半値全幅を有する、
両面光起電デバイス。
[2]
前記両面増強層による吸収に起因する短絡電流JscLossが20mA/cm2未満である、1に記載の光起電デバイス。
[3]
前記吸収端の前記カットオフ波長が800nm以下である、1に記載の光起電デバイス。
[4]
基板の上、かつ前記基板と前記吸収体層との間に配置された透明導電性酸化物;および
前記両面増強層の上に配置された背面支持体であって、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、背面支持体
を備える、1に記載の光起電デバイス。
[5]
前記吸収体層の上、かつ前記吸収体層と前記両面増強層との間に導電層を備え、前記導電層が、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、1に記載の光起電デバイス。
[6]
前記吸収体層に隣接し、かつ前記両面増強層と前記吸収体層との間に配置されたバックコンタクトを備え、前記バックコンタクトが、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、1に記載の光起電デバイス。
[7]
前記吸収体層がセレンを含む、1に記載の光起電デバイス。
[8]
前記吸収体層が、カドミウムおよびテルルを含み、前記吸収体層中の前記セレンの平均原子パーセントが、0原子パーセント超かつ約25原子パーセント以下である、7に記載の光起電デバイス。
[9]
前記両面増強層が、50nm未満の平均直径を有するペロブスカイトナノ結晶を含む、1に記載の光起電デバイス。
[10]
前記両面増強層が、20nm未満の平均直径を有する量子ドットを含む、1に記載の光起電デバイス。
[11]
前記両面増強層が、量子ドットの平均直径の50~200,000倍の厚さを有する、10に記載の光起電デバイス。
[12]
前記吸収体層の上に導電層を備え、前記量子ドットが、前記導電層と直接接触している、10に記載の光起電デバイス。
[13]
前記量子ドットの上に配置された中間層を含む、10に記載の光起電デバイス。
[14]
前記中間層が前記量子ドットと直接接触している、13に記載の光起電デバイス。
[15]
前記量子ドットが、400nm~800nmの波長を有する光子に対して、少なくとも104cm-1の平均吸光係数を有する、10に記載の光起電デバイス。
[16]
前記量子ドットが、前記両面増強層の体積の少なくとも15%を充填する、10に記載の光起電デバイス。
[17]
前記両面増強層に入射する、400nm~800nmの波長を有する光子の少なくとも50%が、前記フォトルミネセンスの前記ピークに変換される、1に記載の光起電デバイス。
[18]
前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長が825nm~875nmである、1に記載の光起電デバイス。
[19]
前記吸収端の前記カットオフ波長が800nm以下である、1または2に記載の光起電デバイス。
[20]
基板の上、かつ前記基板と前記吸収体層との間に配置された透明導電性酸化物;および
前記両面増強層の上に配置された背面支持体であって、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、背面支持体
を備える、1から2および19のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[21]
前記吸収体層の上、かつ前記吸収体層と前記両面増強層との間に導電層を備え、前記導電層が、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、1から2および19から20のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[22]
前記吸収体層に隣接し、かつ前記両面増強層と前記吸収体層との間に配置されたバックコンタクトを備え、前記バックコンタクトが、前記両面増強層の前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長に対して85%以上の透過率を有する、1から2および19から21のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[23]
前記吸収体層がセレンを含む、1から2および19から22のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[24]
前記吸収体層中の前記セレンの平均原子パーセントが、0原子パーセント超かつ約25原子パーセント以下である、23に記載の光起電デバイス。
[25]
前記吸収体層が、カドミウムおよびテルルを含み、前記吸収体層中のセレンの平均原子パーセントが、0原子パーセント超かつ約25原子パーセント以下である、1から2および19から24のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[26]
前記両面増強層が、50nm未満の平均直径を有するペロブスカイトナノ結晶を含む、1から2および19から25のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[27]
前記両面増強層が、20nm未満の平均直径を有する量子ドットを含む、1から2および19から26のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[28]
前記両面増強層が、量子ドットの平均直径の50~200,000倍の厚さを有する、27に記載の光起電デバイス。
[29]
前記吸収体層の上に導電層を備え、前記量子ドットが、前記導電層と直接接触している、27または28に記載の光起電デバイス。
[30]
前記量子ドットの上に配置された中間層を含む、27から29のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[31]
前記中間層が前記量子ドットと直接接触している、30に記載の光起電デバイス。
[32]
前記量子ドットが、400nm~800nmの波長を有する光子に対して、少なくとも104cm-1の平均吸光係数を有する、27から31のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[33]
前記量子ドットが、前記両面増強層の体積の少なくとも15%を充填する、27から32のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[34]
前記両面増強層に入射する、400nm~800nmの波長を有する光子の少なくとも50%が、前記フォトルミネセンスの前記ピークに変換される、1から2および19から33のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[35]
前記フォトルミネセンスの前記ピークの波長が825nm~875nmである、1から2および19から34のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[36]
前記表界面が表量子効率プロファイルを有し;
前記裏界面が裏量子効率プロファイルを有し;
前記表量子効率プロファイルの半値全幅が、前記裏量子効率プロファイルの半値全幅よりも少なくとも2倍大きい、
1から2および19から35のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
[37]
前記表界面が表量子効率プロファイルを有し;
前記裏界面が裏量子効率プロファイルを有し;
前記表量子効率プロファイルのピークが、前記裏量子効率プロファイルのピークよりも大きい、
1から2および19から36のいずれか一項に記載の光起電デバイス。
【国際調査報告】