(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】調整可能な流体流を有する搬送装置及び方法
(51)【国際特許分類】
C03B 35/24 20060101AFI20241024BHJP
C03B 17/06 20060101ALI20241024BHJP
B65G 49/06 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C03B35/24
C03B17/06
B65G49/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524664
(86)(22)【出願日】2022-09-30
(85)【翻訳文提出日】2024-04-24
(86)【国際出願番号】 US2022045295
(87)【国際公開番号】W WO2023075985
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100170634
【氏名又は名称】山本 航介
(72)【発明者】
【氏名】フォーネル ニルス ポール
(72)【発明者】
【氏名】ヒル キース ミッチェル
(72)【発明者】
【氏名】スチュワート クレッグ ジーン
【テーマコード(参考)】
4G015
【Fターム(参考)】
4G015GC02
(57)【要約】
ガラス物品の製造方法及び装置が、流体入口を有するプレナムチャンバと、プレナムチャンバと流体連通し、複数のアパーチャを含み、第1の位置から第2の位置に移動可能である複数のスライドゲートと、複数のスライドゲートに近接する、複数のオリフィスを含む流体支持テーブルとを含むガラス搬送装置を含む。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス搬送装置を備えたガラス物品製造装置であって、前記ガラス搬送装置は、
流体入口を含むプレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバと流体連通し、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、それぞれが複数のアパーチャを含む複数のスライドゲートと、
前記複数のスライドゲートに近接する、複数のオリフィスを含む流体支持テーブルと、
を備え、前記プレナムチャンバは、少なくとも1つのスライドゲートが前記第1の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通せず、少なくとも1つのスライドゲートが前記第2の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通する、
ことを特徴とする装置。
【請求項2】
前記装置は、成形装置をさらに備え、前記成形装置は、該成形装置から前記ガラス搬送装置に向かって引き抜き方向にガラスリボンを流すように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記スライドゲートは、前記引き抜き方向と平行な方向に移動可能である、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記スライドゲートは、前記引き抜き方向と垂直な方向に移動可能である、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記装置は、再配向機構をさらに備え、前記再配向機構は、前記引き抜き方向を、前記成形装置と前記再配向機構との間の実質的に垂直な引き抜き方向から前記再配向機構の下流の実質的に水平な引き抜き方向に再配向するように構成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記ガラス搬送装置は、実質的に水平な引き抜き方向に沿って配置される、
請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記ガラス搬送装置は、実質的に垂直な引き抜き方向と実質的に水平な引き抜き方向との間に配置される、
請求項5に記載の装置。
【請求項8】
前記装置は、実質的に垂直な引き抜き方向に沿って配置された2つの対向するガラス搬送装置を備える、
請求項5に記載の装置。
【請求項9】
流体入口を含むプレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバと流体連通し、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、それぞれが複数のアパーチャを含む複数のスライドゲートと、
前記複数のスライドゲートに近接する、複数のオリフィスを含む流体支持テーブルと、
を備え、前記プレナムチャンバは、少なくとも1つのスライドゲートが前記第1の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通せず、少なくとも1つのスライドゲートが前記第2の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通する、
ことを特徴とするガラス搬送装置。
【請求項10】
前記流体入口と前記複数のスライドゲートとの間の流体拡散器をさらに備える、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記アパーチャは、サイズ、形状及び互いに対する距離がほぼ同じである、
請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記アパーチャは、サイズ、形状又は互いに対する距離のうちの少なくとも1つが異なる、
請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記流体支持テーブルは、実質的に平らな表面を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記流体支持テーブルは、平らでない表面を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項15】
前記装置は、加熱機構又は冷却機構の少なくとも一方を含む、
請求項9に記載の装置。
【請求項16】
ガラス物品製造方法であって、ガラスリボンを成形装置からガラス搬送装置に向けて引き抜き方向に流すことを含み、前記ガラス搬送装置は、
流体入口を含むプレナムチャンバと、
前記プレナムチャンバと流体連通し、第1の位置から第2の位置に移動可能であり、それぞれが複数のアパーチャを含む複数のスライドゲートと、
前記複数のスライドゲートに近接する、複数のオリフィスを含む流体支持テーブルと、
を備え、前記プレナムチャンバは、少なくとも1つのスライドゲートが前記第1の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通せず、少なくとも1つのスライドゲートが前記第2の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通する、
ことを特徴とする方法。
【請求項17】
前記引き抜き方向は、前記成形装置と再配向機構との間の実質的に垂直な引き抜き方向から前記再配向機構の下流の実質的に水平な引き抜き方向に再配向される、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ガラス搬送装置は、実質的に水平な引き抜き方向に沿って配置される、
請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ガラス搬送装置は、実質的に垂直な引き抜き方向と実質的に水平な引き抜き方向との間に配置される、
請求項17に記載の方法。
【請求項20】
前記ガラス搬送装置は、実質的に垂直な引き抜き方向に沿って配置された2つの対向するガラス搬送装置を含む、
請求項17に記載の方法。
【請求項21】
請求項16に記載の方法によって製造される、
ことを特徴とするガラス物品。
【請求項22】
請求項21に記載のガラス物品を含む、
ことを特徴とする電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
〔関連出願との相互参照〕
本出願は、2021年10月28日に出願された米国仮特許出願シリアル番号第63/272,852号の米国特許法第119条に基づく優先権の利益を主張するものであり、この文献の内容は信頼に足るものであってその全体が引用により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本開示は、一般にガラス搬送方法及び装置に関し、具体的には、調整可能な流体流を有するガラス搬送方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
テレビ、並びに電話及びタブレットなどのハンドヘルド装置を含むディスプレイ用途のためのガラスシートなどのガラス物品の生産では、成形装置からガラスリボンを流すことができる。ガラスリボンは、成形装置から流れると、さらに個々のガラス物品又はシートに加工するために搬送することができる。このような搬送中には、ガラスリボン表面の傷又はその他の欠陥を防ぐために、ガラスリボンの品質領域(すなわち、非エッジ領域)に対する物理的接触を最小限に抑えることが好ましい。ガラスリボンが薄く及び/又は幅広くなるにつれ、ガラスリボン領域の望ましくない変形(例えば、たるみ)を防ぐと同時に品質エリアに物理的に接触することなくガラスリボンを搬送することはますます困難になる。従って、薄い及び/又は幅広いガラスリボンの改善された搬送方法がますます望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本明細書に開示する実施形態は、ガラス物品製造装置を含む。装置は、ガラス搬送装置を含む。ガラス搬送装置は、流体入口を含むプレナムチャンバを含む。ガラス搬送装置は、プレナムチャンバと流体連通し、第1の位置から第2の位置に移動可能である複数のスライドゲートも含む。複数のスライドゲートの各々は複数のアパーチャを含む。また、ガラス搬送装置は、複数のスライドゲートに近接する、複数のオリフィスを含む流体支持テーブルも含む。プレナムチャンバは、少なくとも1つのスライドゲートが第1の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通せず、少なくとも1つのスライドゲートが第2の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通する。
【0005】
本明細書に開示する実施形態は、ガラス搬送装置も含む。ガラス搬送装置は、流体入口を含むプレナムチャンバを含む。ガラス搬送装置は、プレナムチャンバと流体連通し、第1の位置から第2の位置に移動可能である複数のスライドゲートも含む。複数のスライドゲートの各々は複数のアパーチャを含む。また、ガラス搬送装置は、複数のスライドゲートに近接する、複数のオリフィスを含む流体支持テーブルも含む。プレナムチャンバは、少なくとも1つのスライドゲートが第1の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通せず、少なくとも1つのスライドゲートが第2の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通する。
【0006】
また、本明細書に開示する実施形態は、ガラス物品の製造方法も含む。方法は、ガラスリボンを成形装置からガラス搬送装置に向けて引き抜き方向に流すことを含む。ガラス搬送装置は、流体入口を含むプレナムチャンバを含む。ガラス搬送装置は、プレナムチャンバと流体連通し、第1の位置から第2の位置に移動可能である複数のスライドゲートも含む。複数のスライドゲートの各々は複数のアパーチャを含む。また、ガラス搬送装置は、複数のスライドゲートに近接する、複数のオリフィスを含む流体支持テーブルも含む。プレナムチャンバは、少なくとも1つのスライドゲートが第1の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通せず、少なくとも1つのスライドゲートが第2の位置にある時に少なくとも1つのオリフィスと流体連通する。
【0007】
以下の詳細な説明では、本明細書に開示する実施形態のさらなる特徴及び利点を示すが、当業者には、この説明からこのような特徴及び利点が部分的に容易に明らかになり、或いは以下の詳細な説明、特許請求の範囲及び添付図面を含む本明細書で説明する本開示の実施形態を実施することによってこのような特徴及び利点が部分的に認識されるであろう。
【0008】
上述した概要及び以下の詳細な説明は、特許請求の範囲に記載する実施形態の性質及び特性を理解するための概説又は枠組みを示すように意図された実施形態を示すものであると理解されたい。添付図面は、さらなる理解をもたらすように含められ、本明細書に組み込まれてその一部を構成する。これらの図面は、本開示の様々な実施形態を示し、明細書と共に様々な実施形態の原理及び動作を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】フュージョンダウンドロー式ガラス製造装置例及びプロセスの概略図である。
【
図2】ガラス製造装置例及びプロセスの概略的側面斜視図である。
【
図3】本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置の上面斜視図である。
【
図4】本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置の一部の上面斜視図である。
【
図5】本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置の一部の上面斜視図である。
【
図6】本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置の底面斜視図である。
【
図7】本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置の一部の側面斜視図である。
【
図8】本明細書に開示する実施形態による流体拡散器の上面斜視図である。
【
図9A】本明細書に開示する実施形態によるスライドゲートの上面斜視図である。
【
図9B】本明細書に開示する実施形態によるスライドゲートの上面斜視図である。
【
図9C】本明細書に開示する実施形態によるスライドゲートの上面斜視図である。
【
図9D】本明細書に開示する実施形態によるスライドゲートの上面斜視図である。
【
図10】本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置の一部の側面断面斜視図である。
【
図11】本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置の一部の側面断面斜視図である。
【
図12】本明細書に開示する実施形態によるガラスリボン及びガラス搬送装置の一部の側面断面斜視図である。
【
図13】本明細書に開示する実施形態によるガラス製造装置例及びプロセスの側面概略斜視図である。
【
図14】本明細書に開示する実施形態によるガラス製造装置例及びプロセスの側面概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面に例を示す本開示の実施形態を詳細に参照する。図面全体を通じ、可能な場合には常に同じ参照番号を使用して同一又は同様の部品を示す。しかしながら、本開示は多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に示す実施形態に限定されるものではないと解釈されたい。
【0011】
本明細書では、「約」1つの特定の値から、及び/又は「約」別の特定の値までとして範囲を表していることがある。このような範囲を表す場合、別の実施形態は一方の特定の値から及び/又は他方の特定の値までを含む。同様に、例えば「約」という先行詞を使用して値を近似値として表している場合、この値は別の実施形態を形成するものであると理解されるであろう。さらに、各範囲の端点は、他方の端点に関連して有意であることも、他方の端点とは無関係に有意であることもあると理解されるであろう。
【0012】
本明細書で使用する、上、下、右、左、前、後、上部、底部などの方向を示す用語は図を参照して使用するものにすぎず、絶対的な向きを意味するものではない。
【0013】
別途明示していない限り、本明細書に示すいずれかの方法については、決してそのステップを特定の順序で実行する必要があるものと解釈すべきではなく、いずれかの装置についても、決して特定の向きが必要であると解釈すべきではない。従って、方法の請求項においてそのステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、又はいずれかの装置の請求項において個々のコンポーネントに対する順序又は向きを実際に記載していない場合、或いは特許請求の範囲又は本明細書においてステップを特定の順序に限定すべき旨を別途具体的に示していない場合、或いは装置のコンポーネントに対する特定の順序又は向きを記載していない場合は、いかなる点においても順序又は向きが暗示されるものではない。このことは、ステップの配列、動作フロー、コンポーネントの順序又はコンポーネントの向きに関する論理事項、文法構成又は句読点から導出される一般的意味、及び本明細書で説明する実施形態の数又はタイプを含む、解釈のためのあらゆる可能な非明示基準(non-express basis)に当てはまる。
【0014】
本明細書で使用する単数形の英文不定冠詞(「a」、「an」)及び英文定冠詞(「the」)は、文脈によって別途明確に決定付けられない限り複数形の照応を含む。従って、例えば「あるコンポーネント(a component)」という表現は、文脈によって別途明確に決定付けられない限り2又は3以上のこのようなコンポーネントを有する態様を含む。
【0015】
本明細書で使用する「冷却機構」という用語は、ある領域からの熱伝達をこのような冷却機構が存在しない条件と比べて増加させる機構を意味する。熱伝達は、伝導、対流、又は放射のうちの少なくとも1つを通じて発生することができる。
【0016】
本明細書で使用する「加熱機構」という用語は、ある領域からの又はある領域への熱伝達をこのような加熱機構が存在しない条件と比べて減少又は増加させる機構を意味する。熱伝達は、伝導、対流、又は放射のうちの少なくとも1つを通じて発生することができる。
【0017】
本明細書で使用する「ハウジング」という用語は、ガラスリボンが成形されるエンクロージャを意味し、ガラスリボンは、一般にハウジングを通過すると相対的に高い温度から相対的に低い温度に冷える。本明細書に開示する実施形態については、ガラスリボンがハウジング内を概ね垂直方向に流れ落ちるフュージョンダウンドロープロセスを参照しながら説明しているが、このような実施形態は、ガラスリボンがハウジング内を概ね垂直方向又は概ね水平方向などの様々な方向に流れることができるフロートプロセス、スロットドロープロセス、アップドロープロセス及びプレスローリングプロセスなどの他のガラス成形プロセスにも適用可能である。
【0018】
図1に、例示的なガラス製造装置10を示す。いくつかの例では、ガラス製造装置10が、溶融容器14を含むことができるガラス溶融炉12を含むことができる。ガラス溶融炉12は、溶融容器14に加えて、原料を加熱して原料を溶融ガラスに変換するように構成された発熱体(例えば、燃焼バーナー又は電極)などの1又は2以上のさらなるコンポーネントを任意に含むことができる。さらなる例では、ガラス溶融炉12が、溶融容器の近傍からの熱損失を抑える熱管理装置(例えば、断熱コンポーネント)を含むことができる。さらに別の例では、ガラス溶融炉12が、原料のガラス融液への溶融を容易にする電子装置及び/又は電気機械装置を含むことができる。さらに、ガラス溶融炉12は、支持構造(例えば、支持シャーシ、支持部材など)又はその他のコンポーネントを含むこともできる。
【0019】
ガラス溶融容器14は、通常は例えばアルミナ又はジルコニアを含む耐火性セラミック材料などの耐火性材料で構成される。いくつかの例では、ガラス溶融容器14を耐火性セラミックレンガから構成することができる。ガラス溶融容器14の具体的な実施形態については、以下でさらに詳細に説明する。
【0020】
いくつかの例では、ガラス溶融炉を、例えば連続長のガラスリボンなどのガラス基板を製作するガラス製造装置のコンポーネントとして組み込むことができる。いくつかの例では、本開示のガラス溶融炉を、スロットドロー装置、フロートバス装置、フュージョンプロセスなどのダウンドロー装置、アップドロー装置、プレスローリング装置、チューブドロー装置を含むガラス製造装置、又は本明細書に開示する態様から恩恵を受ける他のいずれかのガラス製造装置のコンポーネントとして組み込むことができる。一例として、
図1には、ガラスリボンをフュージョンドロー成形した後に個々のガラスシートに加工するフュージョンダウンドロー式ガラス製造装置10のコンポーネントとしてのガラス溶融炉12を概略的に示す。
【0021】
任意に、ガラス製造装置10(例えば、フュージョンダウンドロー装置10)は、ガラス溶融容器14に対して上流に配置された上流ガラス製造装置16を含むことができる。いくつかの例では、上流ガラス製造装置16の一部又は全体をガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。
【0022】
図示の例に示すように、上流ガラス製造装置16は、貯蔵ビン18と、原料送出装置20と、原料送出装置に接続されたモータ22とを含むことができる。貯蔵ビン18は、矢印26で示すように、ガラス溶融炉12の溶融容器14に供給できる量の原料24を貯蔵するように構成することができる。通常、原料24は、1又は2種類以上のガラス形成金属酸化物及び1又は2種類以上の変性剤を含む。いくつかの例では、原料送出装置20を、貯蔵ビン18から溶融容器14に所定量の原料24を送出するようにモータ22によって駆動することができる。さらなる例では、モータ22が、溶融容器14から下流で検知された溶融ガラスのレベルに基づいて原料24を制御された速度で導入するように原料送出装置20を駆動することができる。その後、溶融容器14内の原料24を加熱して溶融ガラス28を形成することができる。
【0023】
任意に、ガラス製造装置10は、ガラス溶融炉12に対して下流に配置された下流ガラス製造装置30を含むこともできる。いくつかの例では、下流ガラス製造装置30の一部をガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。いくつかの事例では、後述する第1の接続導管32、又は下流ガラス製造装置30の他の部分をガラス溶融炉12の一部として組み込むことができる。第1の接続導管32を含む下流ガラス製造装置の要素は、貴金属から形成することができる。好適な貴金属としては、白金、イリジウム、ロジウム、オスミウム、ルテニウム及びパラジウムから成る金属群から選択される白金族金属、又はこれらの合金が挙げられる。例えば、ガラス製造装置の下流コンポーネントは、約70重量%~約90重量%の白金と約10重量%~約30重量%のロジウムとを含む白金-ロジウム合金から形成することができる。しかしながら、他の好適な金属として、モリブデン、パラジウム、レニウム、タンタル、チタン、タングステン、及びこれらの合金を挙げることもできる。
【0024】
下流ガラス製造装置30は、溶融容器14の下流に配置され、上述した第1の接続導管32によって溶融容器14に結合された、清澄容器(fining vessel)34などの第1の調整(conditioning)(すなわち、処理)容器を含むことができる。いくつかの例では、第1の接続導管32を介して溶融容器14から清澄容器34に溶融ガラス28を重力供給(gravity fed)することができる。例えば、重力により、第1の接続導管32の内部経路を通じて溶融容器14から清澄容器34に溶融ガラス28を通すことができる。しかしながら、溶融容器14の下流の、溶融容器14と清澄容器34との間などに他の調整容器を配置することもできる。いくつかの実施形態では、溶融容器と清澄容器との間に調整容器を採用することができ、この場合、一次溶融容器からの溶融ガラスは、溶融プロセスを継続するためにさらに加熱され、或いは清澄容器に入る前に溶融容器内の溶融ガラスの温度よりも低い温度に冷却される。
【0025】
清澄容器34内の溶融ガラス28からは、様々な技術によって気泡を取り除くことができる。例えば、原料24は、加熱時に化学的還元反応を受けて酸素を放出する酸化スズなどの多価化合物(multivalent compounds)(すなわち、清澄剤)を含むことができる。他の好適な清澄剤としては、限定するわけではないが、ヒ素、アンチモン、鉄及びセリウムが挙げられる。清澄容器34は、溶融容器の温度よりも高い温度に加熱され、これによって溶融ガラス及び清澄剤が加熱される。(単複の)清澄剤の温度誘発型の化学的還元によって生じた酸素が、溶融プロセス中に溶融ガラス内で生じた気泡内に拡散又は融合することができる。この結果、拡大した気泡が清澄容器内の溶融ガラスの自由表面に上昇し、その後にこれらを清澄容器から排出することができる。これらの気泡は、清澄容器内の溶融ガラスの機械的混合をさらに誘発することができる。
【0026】
下流ガラス製造装置30は、溶融ガラスを混ぜ合わせるための混合容器36などの別の調整容器をさらに含むことができる。混合容器36は、清澄容器34の下流に位置することができる。混合容器36は、均質なガラス溶融組成物を提供することにより、清澄チャンバから出た溶融ガラス内に存在し得るはずの化学的又は熱的不均一性のすじ(cords)を抑えるために使用することができる。図示のように、清澄容器34は、第2の接続導管38を介して混合容器36に結合することができる。いくつかの例では、第2の接続導管38を介して清澄容器34から混合容器36に溶融ガラス28を重力供給することができる。例えば、重力により、第2の接続導管38の内部経路を通じて清澄容器34から混合容器36に溶融ガラス28を通すことができる。混合容器36は、清澄容器34の下流に示しているが、清澄容器34の上流に配置することもできる。いくつかの実施形態では、下流ガラス製造装置30が、例えば清澄容器34から上流の混合容器及び清澄容器34から下流の混合容器などの複数の混合容器を含むことができる。これら複数の混合容器は、同じ設計であることも、或いは異なる設計であることもできる。
【0027】
下流ガラス製造装置30は、混合容器36の下流に配置できる送出容器40などの別の調整容器をさらに含むことができる。送出容器40は、下流の成形装置内に供給される溶融ガラス28を調整することができる。例えば、送出容器40は、出口導管44を介して成形体42への溶融ガラス28の一貫した流れを調整及び/又は提供するためのアキュムレータ及び/又はフローコントローラとして機能することができる。図示のように、混合容器36は、第3の接続導管46を介して送出容器40に結合することができる。いくつかの例では、第3の接続導管46を介して混合容器36から送出容器40に溶融ガラス28を重力供給することができる。例えば、重力により、第3の接続導管46の内部経路を通じて混合容器36から送出容器40に溶融ガラス28を駆動することができる。
【0028】
下流ガラス製造装置30は、上述した成形体42及び入口導管50を含む成形装置48をさらに含むことができる。出口導管44は、送出容器40から成形装置48の入口導管50に溶融ガラス28を送出するように配置することができる。例えば、出口導管44を入口導管50の内面内で入れ子状にして入口導管50の内面から離間させることにより、出口導管44の外面と入口導管50の内面との間に位置する溶融ガラスの自由表面を提供することができる。フュージョンダウンドロー式ガラス製造装置における成形体42は、成形体の上面内に配置されたトラフ52と、成形体42の下端部56に沿って引き抜き方向(draw direction)に収束する収束成形面(converging forming surfaces)54とを含むことができる。送出容器40、出口導管44及び入口導管50を介して成形本体トラフに送出された溶融ガラスは、トラフの側壁から溢れ、溶融ガラスの別々の流れとして収束成形面54に沿って降下する。溶融ガラスの別々の流れは、下端部56の下方で下端部56に沿って合流して単一のガラスリボン58を生成し、このガラスリボン58が重力、エッジロール72及びプルロール82などによってガラスリボンに張力を加えることによって下端部56から引き抜き方向又は流れ方向60に引き抜かれ、ガラスが冷えてガラスの粘度が増すにつれてガラスリボンの寸法が制御される。従って、ガラスリボン58は、粘弾性遷移を経て、ガラスリボン58に安定した寸法特性を与える機械的特性を獲得する。いくつかの実施形態では、ガラスリボン58を、ガラスリボンの弾性領域においてガラス分離装置100によって個々のガラスシート62に分離することができる。その後、ロボット64が、把持ツール65を使用して個々のガラスシート62をコンベアシステムに移送し、そこで個々のガラスシートをさらに加工することができる。
【0029】
図2は、ガラス製造装置例10及びプロセスの概略的斜視図である。
図2のガラス製造装置10及びプロセスは、
図2ではガラスリボン58を引き抜き方向60に流すスロット156を含む成形容器142を成形装置が含んでいる点を除いて
図1のものと同様である。また、
図2では、ガラス製造装置が、ガラスリボン58の対向する主表面に接触するように構成できる一対の対向する成形ロール160をスロット156の下流に含む。ガラス製造装置10は再配向機構170も含み、再配向機構170は、(成形容器142を含む)成形装置と再配向機構170との間の実質的に垂直60A(つまり、重力ベクトルに平行)な向きから再配向機構170下流の実質的に水平60Bな向きに引き抜き方向60を再配向するように構成される。
図2に示すように、再配向機構170は複数のローラ180を含み、各ローラはガラスリボン58のエッジ領域に接触するように構成される。ローラ180は、再配向機構170の下流のガラスリボン58の水平搬送を容易にすることもできる。
【0030】
図3は、本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置200の上面斜視図である。ガラス搬送装置200は、プレナムチャンバ206及び取り付けブラケット208を含む。ガラス搬送装置200は流体支持テーブル(fluid bearing table)202も含み、流体支持テーブル202は、それぞれが流体支持テーブル202の厚みを貫通する複数のオリフィス204(例えば、オリフィス204のアレイ)を含む。
【0031】
プレナムチャンバ206は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、又はインコネルを含むことができる。流体支持テーブル202は、例えばステンレス鋼、アルミニウム、インコネル、セラミック材料、又はポリマー材料を含むことができる。オリフィス204は、例えば約0.5ミリメートル~約3ミリメートルの範囲の直径を有することができる。
【0032】
図4及び
図5は、本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置200の一部の上面斜視図であり、流体支持テーブル202は図示していない。
図4及び
図5に示すように、ガラス搬送装置200は、プレナムチャンバ206と流体連通する複数のスライドゲート210を含む。
図4では、スライドゲート210が、両方向矢印「X」によって示す方向に移動可能であり、
図5では、スライドゲート210が、両方向矢印「Y」によって示す方向に移動可能である。具体的には、
図4ではスライドゲート210が引き抜き方向60と垂直な方向に移動可能であり、
図5ではスライドゲート210が引き抜き方向60と平行な方向に移動可能である。
【0033】
図6は、本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置200の底面斜視図である。
図6に示すように、プレナムチャンバ206は流体入口212を含む。流体入口212は、流体源(図示せず)からプレナムチャンバ206内への流体の流れを容易にすることができる。
【0034】
流体入口212を通じてプレナムチャンバ206に流入する流体は気体又は液体の少なくとも一方を含むことができるが、いくつかの例示的な実施形態では、流体が空気などの気体を含む。例えば、流体は、窒素、酸素、水素、ヘリウム、アルゴン、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含むことができる。流体は、窒素、酸素、水素、ヘリウム、アルゴン、又はこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つから成り、又は基本的にこれらから成ることもできる。
【0035】
図7は、本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置200の一部の側面斜視図であり、プレナムチャンバ206の側面は示していない。
図7に示すように、ガラス搬送装置200は流体拡散器214を含む。流体拡散器214は、プレナムチャンバ206内に配置されて、流体入口212と(例えば、
図4及び
図5に示す)複数のスライドゲート210との間に延びる。
【0036】
図4、
図6及び
図7には、実質的に平らな表面を含む流体支持テーブル202を有するガラス搬送装置200を示す。本明細書に開示する実施形態は、平らでない表面などの他の表面形状を含む流体支持テーブル202を有する搬送装置200を含むこともできる。例えば、
図7の破線「A」及び「B」によって示すように、流体支持テーブル202は1又は2以上の方向に曲面を有することもできる。
【0037】
図8は、本明細書に開示する実施形態による流体拡散器214の上面斜視図である。流体拡散器214は、流体拡散器214の一方の主表面(すなわち、流体入口212に面する表面)から他方の主表面(すなわち、スライドゲート210に面する表面)に流体が通過できる複数の穿孔又はオリフィス216を含む。流体拡散器214は、例えば
図7に示すようなプレナムチャンバ206内に配置された場合、流体拡散器214とスライドゲート210との間のプレナムチャンバの領域(すなわち、
図7に示す流体拡散器214の上方のプレナムチャンバ206の領域)の方が流体入口212と流体拡散器207との間のプレナムチャンバ206の領域(すなわち、
図7に示す流体拡散器214の下方のプレナムチャンバ206の領域)よりも流体流及び圧力の分布が均等になるように流体流を再分配するよう機能する。
【0038】
いくつかの例示的な実施形態では、流体拡散器214が、ステンレス鋼、アルミニウム、インコネル、セラミック材料、又はポリマー材料を含むことができる。穿孔又はオリフィス216は、例えば約0.1ミリメートル~約1ミリメートルの範囲の直径を有することができる。
【0039】
図9A~
図9Dは、本明細書に開示する実施形態によるスライドゲート210A~Dの上面斜視図である。
図9Aに示すように、スライドゲート210Aは、サイズ、形状及び互いに対する距離がほぼ同じである複数のアパーチャ218Aを含む。
図9Bに示すように、スライドゲート210Bは、サイズ及び形状はほぼ同じであるが互いに対する距離が異なる複数のアパーチャ218Bを含む。具体的には、スライドゲート210Bは、中央領域よりも端部領域付近の密度の方が高いアパーチャ218Bを含む。
図9Cに示すように、スライドゲート210Cは、サイズ及び形状はほぼ同じであるが互いに対する距離が異なる複数のアパーチャ218Cを含む。具体的には、スライド210Cは、中央領域よりも端部領域付近の密度の方が低いアパーチャ218Cを含む。
図9Dに示すように、スライドゲート210Dは、少なくとも一部のサイズ、形状及び互いに対する距離が異なる複数のアパーチャ218Dを含む。
【0040】
いくつかの例示的な実施形態では、スライドゲート210A~Dが、ステンレス鋼、アルミニウム、インコネル、セラミック材料、又はポリマー材料を含むことができる。アパーチャ218A~Dは、例えば約1ミリメートル~約1センチメートルの範囲の直径を有することができる。
【0041】
図10及び
図11は、本明細書に開示する実施形態によるガラス搬送装置200の一部の側面断面斜視図である。具体的には、
図10には、流体支持テーブル202の一部と、流体支持テーブル202に対して第1の位置に配置されたスライドゲート210の一部とを示す。
図10に示すように、スライドゲート210は流体支持テーブル202に隣接してその下方に配置されているが、流体支持テーブル202のオリフィス204はスライドゲート210のアパーチャ218と流体連通しておらず、従ってプレナムチャンバ206はオリフィス204と流体連通していない。対照的に、
図11には、流体支持テーブル202の一部と、流体支持テーブル202に対して第2の位置に配置されたスライドゲート210の一部とを示しており、スライドゲート210は、矢印「M」によって示すように流体支持テーブル202に対して移動している。
図11に示すように、流体支持テーブル202のオリフィス204はスライドゲート210のアパーチャ218と軸方向に整列しており、従って流体支持テーブル202のオリフィス204はスライドゲート210のアパーチャ218と流体連通しており、この結果プレナムチャンバ206がオリフィス204と流体連通している。
【0042】
従って、本明細書に開示する実施形態は、少なくとも1つのスライドゲート210が(例えば、
図10に示すような)第1の位置にある時にプレナムチャンバ206が少なくとも1つのオリフィス204と流体連通せず、少なくとも1つのスライドゲート210が(例えば、
図11に示すような)第2の位置にある時にプレナムチャンバ206少なくとも1つのオリフィスと流体連通するような実施形態を含む。
【0043】
図12は、本明細書に開示する実施形態によるガラスリボン58及びガラス搬送装置200の一部の側面断面斜視図である。具体的には、
図12には、流体支持テーブル202とガラスリボン58との間に流体クッション158が延びるように流体支持テーブル202の上方にガラスリボン58を配置及び/又は搬送できることを示す。流体クッション158は、例えば少なくとも1つのスライドゲート210が(例えば、
図11に示すような)第2の位置にあることによってプレナムチャンバ206が少なくとも1つのオリフィス204と流体連通し、従ってプレナムチャンバ206からの流体がオリフィス204内をガラスリボン58に向かって流れ(プレナムチャンバ206がガラスリボン58と流体連通することができ)、これによってガラスリボン58が流体クッション158上に容易に持ち上がる時に発生することができる。
【0044】
いくつかの例示的な実施形態では、流体支持テーブル202の上方に配置及び/又は搬送されるガラスリボン58が、約0.2ミリメートル~約0.4ミリメートルを含む約0.1ミリメートル~約0.5ミリメートルなどの、約0.4ミリメートル未満、さらには約0.3ミリメートル未満、さらには約0.2ミリメートル未満などの、約0.5ミリメートル未満の厚みを有する。
【0045】
プレナムチャンバ206とガラスリボン58との間の全体的な流体連通の量は、1又は2以上のスライドゲート210を流体支持テーブル202に対して移動させることによって変更又は調整することができる。例えば、本明細書に開示する実施形態は、複数のスライドゲート210が1つも第1の位置又は第2の位置に存在しない及び/又は第1の位置から第2の位置に移動しないような実施形態、複数のスライドゲート210のうちの一部が第1の位置又は第2の位置に存在する及び/又は第1の位置から第2の位置に移動するような実施形態、或いは複数のスライドゲート210の全部が第1の位置又は第2の位置に存在する及び/又は第1の位置から第2の位置に移動するような実施形態を含む。例えば、スライドゲート210が移動すると、(例えば、
図9A~9Dに示すような)スライドゲート210上のアパーチャの配置を含むスライドゲート210の構成及び流体支持テーブル202上のオリフィス204の配置を含む流体支持テーブル202の構成に応じて(すなわち、スライドゲート210のアパーチャを通る流体流を介して)一定割合のオリフィス204がプレナムチャンバ206と流体連通できるようになる。
【0046】
例えば、複数のスライドゲート210のうちの少なくとも1つが第1の位置にある時には、オリフィス204の約0%~約75%、さらには約1%~約50%、さらには約2%~約25%、さらには約3%~約10%などの、オリフィス204の約50%未満、さらには約25%未満、さらには約10%未満などの、オリフィス204の約75%未満がプレナムチャンバ206と流体連通することができる。これとは逆に、複数のスライドゲート210のうちの少なくとも1つが第2の位置にある時には、オリフィス204の約25%~約100%、さらには約50%~約99%、さらには約75%~約98%、さらには約90%~約97%などの、オリフィス204の約50%超、さらには約75%超、さらには約90%超などの、オリフィス204の約25%超がプレナムチャンバ206と流体連通することができる。
【0047】
従って、流体支持テーブル202とガラスリボン58との間の流体クッション158は、例えば第1の位置と第2の位置との間で複数のスライドゲート210のうちの1つ又は2つ以上を移動させることによってリアルタイムで動的に制御又は調整することができる。例えば、ガラスリボン58の幾何学的形状(例えば、幅及び/又は厚み)及び/又は引き抜き速度を含むプロセス条件に応じて複数のスライドゲート210のうちの1つ又は2つ以上を制御又は調整することにより、ガラス搬送装置200によってガラスリボン58に作用する全体的圧力を制御又は調整することができる。
【0048】
図13及び
図14は、本明細書に開示する実施形態によるガラス製造装置例10及びプロセスの側面概略斜視図である。
図13及び
図14のガラス製造装置10及びプロセスは、
図13及び
図14ではガラスリボン58の引き抜き方向60に沿って1又は2以上のガラス搬送装置200が配置されている(及び、ローラ180の一部又は全部を置き換えている)点を除いて
図2のものと同様である。
【0049】
具体的には、
図13には、実質的に水平60Bな引き抜き方向60に沿ってガラスリボン58の下方に配置されたガラス搬送装置200を示す。
図13には、ガラスリボン58の下方の実質的に垂直60Aな引き抜き方向60と実質的に水平60Bな引き抜き方向60との間に配置された(すなわち、実質的に垂直60Aな引き抜き方向60及び実質的に水平60Bな引き抜き方向60に対して斜角で配向された)ガラス搬送装置200も示す。また、
図13には、ローラ180及びガラス搬送装置200の両方を含むガラス製造装置10を示すように、引き抜き方向60に沿ってガラス搬送装置200間に及び/又はガラス搬送装置200の周囲に配置されたローラ180も示す。
【0050】
図13と同様に、
図14にも、ガラスリボン58の下方に実質的に水平60Bな引き抜き方向60に沿って配置された少なくとも1つのガラス搬送装置200、及びガラスリボン58の下方の実質的に垂直60Aな引き抜き方向60と実質的に水平60Bな引き抜き方向60との間に配置された少なくとも1つのガラス搬送装置200を示す。また、
図14には、実質的に垂直60Aな引き抜き方向60に沿って配置された2つの対向する(すなわち、実質的に垂直60Aの引き抜き方向60に沿ってガラスリボン58の両側に配置された)ガラス搬送装置200も示す。
図14には、ガラスリボン58の上方に実質的に水平60Bな引き抜き方向60に沿って配置されたガラス搬送装置200、及びガラスリボンの上方の実質的に垂直60Aな引き抜き方向60と実質的に水平60Bな引き抜き方向60との間に配置された2つのガラス搬送装置200も示す。
【0051】
また、引き抜き方向60に沿って非常に幅広のガラスリボン58が搬送される状況などでは、ガラスリボン58の幅方向に沿って1又は2以上のガラス搬送装置200を配置することもできる。
【0052】
いくつかの例示的な実施形態では、ガラス搬送装置200が、ガラス搬送装置200とガラスリボン58との間に熱伝達をもたらすために冷却機構及び/又は加熱機構を含み又は設けることができる。冷却機構は、例えばプレナムチャンバ206からの流体がオリフィス204を通じてガラスリボン58に向かって流れるガラス搬送装置200の通常動作に由来することができる。また、冷却機構は、対流増強装置(convection enhancers)(例えば、冷却ファン)、及び/又は多相冷却システムなどの循環冷却流体を含むシステムなどの、ガラス搬送装置200とガラスリボン58との間にさらなる熱伝達をもたらす1又は2以上のコンポーネントを含むこともできる。加熱機構は、例えば電気抵抗ベース、燃焼ベース、又は誘導ベースの加熱部品を含むことができる。
【0053】
本明細書に開示する実施形態は、約0.2ミリメートル~約0.4ミリメートルを含む約0.1ミリメートル~約0.5ミリメートルなどの、約0.4ミリメートル未満、さらには約0.3ミリメートル未満、さらには約0.2ミリメートル未満などの、約0.5ミリメートル未満の厚みを有するガラスシートなどの、表面欠陥を最小限に抑えた平らな表面を有する薄い及び/又は幅広のガラスシートなどの薄い及び/又は幅広のガラス物品の製造を可能にすることができる。
【0054】
以上、フュージョンダウンドロープロセス及びスロットドロープロセスを参照しながら実施形態について説明したが、このような実施形態は、フロートプロセス、アップドロープロセス及びプレスローリングプロセスなどの他のガラス成形プロセスにも適用可能であると理解されたい。
【0055】
このようなプロセスは、例えば電子装置内で及び他の用途で使用できるガラス物品を製造するために使用することができる。
【0056】
当業者には、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本開示の実施形態に様々な修正及び変形を行えることが明らかであろう。従って、本開示は、添付の特許請求の範囲及びその同等物の範囲内に入ることを条件に、このような修正及び変形も対象とするように意図される。
【符号の説明】
【0057】
60 引き抜き方向
200 ガラス搬送装置
202 流体支持テーブル
204 オリフィス
206 プレナムチャンバ
208 取り付けブラケット
【国際調査報告】