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特表2024-539973液圧回路において流体分配を制御するためのシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】液圧回路において流体分配を制御するためのシステム
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/53 20060101AFI20241024BHJP
   F16K 11/085 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F16K31/53
F16K11/085 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524712
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 FR2022051984
(87)【国際公開番号】W WO2023073309
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】2111328
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523216126
【氏名又は名称】ボンタズ・サントル
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン・デュマンジュ
(72)【発明者】
【氏名】ギヨーム・モラー
(72)【発明者】
【氏名】カンタン・デュランド
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・ラペルシュ
【テーマコード(参考)】
3H063
3H067
【Fターム(参考)】
3H063AA08
3H063BB50
3H063CC02
3H063DA14
3H063DB31
3H063EE08
3H063GG05
3H067AA23
3H067CC04
3H067DD03
3H067DD32
3H067DD45
3H067EA14
3H067ED20
3H067FF11
3H067GG13
(57)【要約】
本発明は、液圧回路において流体の分配を制御するためのシステムであって、モータ(10)と、前記流体の複数のd個の回転分配器(D~D)であって、各分配器が、平面(YZ)内で回転する本体(400)を含み、前記本体は少なくとも1つの入口(180)および少なくとも1つの出口(120、210)を含み、入口の数と出口の数との合計は3以上であり、各分配器の機械的出力軸(29)が、前記平面(YZ)に垂直な方向(XX’)に延在する、複数のd個の回転分配器(D~D)と、複数のd個のギアトレイン(E1.1~E1.d、E2.1~E2.d)であって、各トレインが、関連する回転分配器と呼ばれる、前記回転分配器のうちの1つへのモータの動きの伝達を保証し、各ギアトレインが、そのギアトレインに対して、関連する回転分配器を係合または係合解除するための、アクチュエータを含む手段(S~S)を含み、前記アクチュエータは、分配器の機械的出力軸(29)によって画定される軸に沿って移動する、複数のd個のギアトレイン(E1.1~E1.d、E2.1~E2.d)と、を含む、システムに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液圧回路において流体の分配を制御するためのシステムであって、
モータ(10)と、
前記流体の複数のd個の回転分配器(D~D)であって、各分配器が、平面(YZ)内で回転する本体(400)を含み、前記本体は少なくとも1つの入口(180)および少なくとも1つの出口(120、210)を含み、前記入口の数と前記出口の数との合計は3以上であり、各分配器の機械的出力軸(29)が、前記平面(YZ)に垂直な方向(XX’)に延在する、複数のd個の回転分配器(D~D)と、
複数のd個のギアトレイン(E1.1~E1.d、E2.1~E2.d)であって、各トレインが、関連する回転分配器と呼ばれる、前記回転分配器のうちの1つへの前記モータの動きの伝達を保証し、各ギアトレインが、前記ギアトレインに対して、前記関連する回転分配器を係合または係合解除するための、アクチュエータを含む手段(S~S)を含み、前記アクチュエータは、前記分配器の前記機械的出力軸(29)によって画定される軸に沿って移動する、複数のd個のギアトレイン(E1.1~E1.d、E2.1~E2.d)と、
を含む、システム。
【請求項2】
各ギアトレインは、少なくとも2つのギア段、すなわち、
第1段のギア(E1.1~E1.d)であって、前記第1段のギアの各ギアが前記モータ(10)によって駆動される、第1段のギア(E1.1~E1.d)と、
第2段のギア(E2.1~E2.d)であって、前記第2段のギアの各ギアが前記第1段によって駆動される、第2段のギア(E2.1~E2.d)と、
を含み、
ギアには、前記ギアを係合する、または前記ギアを係合解除するための手段(S1~Sd)が設けられている、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
各回転分配器(D)はnei個の入口およびnsi個の出口を含む、請求項1または2に記載のシステム。
【請求項4】
各回転分配器(D)は位置センサ(C~C)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記モータ(10)を制御するための電子的手段(12)を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
前記電子的手段(12)は、前記位置センサ(C~C)のうちの1つまたは複数からの信号に従って前記モータ(10)を制御することが可能である、請求項4を引用する請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記電子的手段(12)は、
動作モード命令(26)を受信すること、
前記d個の回転分配器のそれぞれの目標位置を決定すること、
前記回転分配器のそれぞれの前記目標位置に従って、前記モータ(10)と、各回転分配器を係合または係合解除するための前記手段と、を制御すること、
が可能である、請求項5または6に記載のシステム。
【請求項8】
前記液圧回路は、冷却回路における流体のための分配回路、または車両の油もしくは水素分配回路である、請求項1から7のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
前記モータ(10)はブラシレスモータである、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
各回転分配器を係合または係合解除するための前記手段は、電磁(S、...S)タイプ、たとえばコイル、および電流が流れると前記コイルによって生成される場と相互作用するプランジャの、または空気圧もしくは液圧タイプのアクチュエータを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項11】
各回転分配器について、
前記軸(XX’)を中心に前記分配器の前記本体を回転させる回転軸(19)と、
前記回転軸(19)を駆動するための手段(20)と、
前記駆動手段(20)に対して係合解除静止位置に前記回転軸(19)を維持する復帰手段(R)と、
前記駆動手段(20)に対して、前記軸を係合解除するまたはその静止位置から係合するための手段(16)と、
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項12】
前記アクチュエータは、作動時、前記復帰手段(R)を圧縮することが可能である、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記分配器の前記本体(400)を駆動する前記回転軸(19)および前記回転軸(19)を駆動するための前記手段(20)はそれぞれ、鉛直軸でギアを形成する歯車(18、20)を含む、請求項11または12に記載のシステム。
【請求項14】
前記分配器が係合解除されると前記分配器を制動するための制動手段(22)をさらに含む、請求項11から13のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項15】
前記復帰手段(R)は、前記回転分配器に接続された軸と前記本体を駆動する前記回転軸(19)との間で圧縮状態に保持されるばねを含む、請求項11から14のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項16】
液圧回路において流体を分配するためのシステムであって、
少なくとも1つのポンプと、
請求項1から15のいずれか一項に記載の前記流体の分配を制御するためのシステムと、
を含む、システム。
【請求項17】
熱および/または電気エンジン、少なくとも1つの液圧回路、および前記液圧回路における請求項16に記載の少なくとも1つの流体分配システムを含む車両。
【請求項18】
請求項1から16のいずれか一項に記載のシステムを使用する液圧回路において、または請求項17に記載の車両において流体の分配を制御するための方法であって、
作動させるべき1つまたは複数の回転分配器(D~D)を選択するステップと、
前記モータ(10)および前記分配器を係合するための前記手段を使用して前記分配器(D~D)を作動させるステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
作動させるべき1つまたは複数の分配器の方向および/または回転角度を選択または決定するステップ、および前記方向および/または前記回転角度に前記回転分配器を作動させるステップを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記流体は、水もしくは油もしくはグリコールまたはガス、たとえば空気もしくは水素である、請求項18または19に記載の方法。
【請求項21】
前記液圧回路は、車両の冷却回路または油もしくは水素分配回路である、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液圧回路、たとえば車両の冷却回路において流体、たとえば水の流れを管理する分野に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両冷却回路において水流を制御することは、
電動アクチュエータおよびオン/オフバルブのセット、
または(テスラの「オクトバルブ」タイプの)多入口多出口バルブ、
または1つもしくは複数のアクチュエータを備えた独立した調節モジュール、
によって達成することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】仏国特許出願公開第202101137号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
より単純な制御システムまたは装置を見つけるという課題がある。
【0005】
既知のシステムより単純であり、さまざまな流体に適用することができる、液圧回路において流体の分配を管理または制御するための装置またはシステムを見つけるという課題もある。
【0006】
分配システムに組み込むことが可能であり、さまざまな流体に適用することが可能である、流体を分配するための新たな装置を見つけるという課題もある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はまず、液圧回路において少なくとも1つの流体の流れを制御するためのシステム、および/または液圧回路において少なくとも1つの流体の少なくとも1つの分配器を作動させるためのシステムに関し、これは、
モータ、たとえばモータ、たとえばブラシレスモータまたはステッピングモータと、
前記流体の1つまたは複数の分配器(D~D)と、
1つまたは複数(d)個のギアトレインであって、各トレインは分配器の1つへのモータの動きの伝達を保証し、各ギアトレインは、関連する分配器またはこのトレインのギアを直接係合または係合解除するための手段を含む、1つまたは複数(d)個のギアトレインと、
を含む。
【0008】
たとえば、各分配器は、平面(YZ)内で回転する本体を含み、前記本体は少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を含み、入口の数と出口の数との合計はたとえば3以上であり、分配器の機械的出力および/または駆動軸が、前記平面に垂直な方向に延在する。
【0009】
たとえば、各ギアトレインは、そのギアトレインに対して、関連する回転分配器を係合または係合解除するための、アクチュエータを含む手段を含むことができ、前記アクチュエータは、分配器の機械的出力軸によって画定される軸に沿って移動する、または移動することができる、または移動することが可能である。
【0010】
同じモータが異なる分配器を作動させることができるため、このようなシステムは既知のシステムより単純である。
【0011】
各ギアトレインは、
第1段のギア(E1.1~E1.d)であって、第1段のギアの各ギアが前記モータによって駆動される、第1段のギア(E1.1~E1.d)と、
第2段のギア(E2.1~E2.d)であって、第2段のギアの各ギアが第1段によって駆動される、第2段のギア(E2.1~E2.d)と、
を含むことができる。
【0012】
たとえば、
第1段のギア(E1.1~E1.d)において、この第1段の各ギアを前記モータによって駆動し、係合解除可能なシャフト(A1.1~A1.d)および/または係合解除手段と関連させることができ、
第2段のギア(E2.1~E2.d)であって、第2段のギアの各ギアは、第1段のギアのギア、または第1段のギアのギアに関連するシャフトによって駆動される。
【0013】
本発明によるシステムにより、同じモータによって独立して制御される分配器を介して、流体、たとえば水の流れを導くことが可能になる。たとえば、p個のポンプから来るこの流体は、m個の入口(すべての分配器の入口の数の合計)およびn個の出口(システムにおけるすべての分配器の出口の数の合計)を使用して分配される。
【0014】
特定の実施形態によれば、
各分配器(D)はnei個の入口およびnsi個の出口を含むことができ、
かつ/または各分配器(D)は、位置センサ(C~C)を含む、または位置センサと関連させることができ、
かつ/またはこのシステムは、モータを制御するための電子的手段を含むことができ、さらに具体的な実施形態において、これらの電子的手段は、
前記位置センサ(C~C)のうちの1つまたは複数からの信号に従ってモータを制御すること、
および/または、
動作モード命令を受信すること、
d個の分配器のそれぞれの目標移動を決定すること、
分配器のそれぞれの目標移動に従ってモータを制御すること、
が可能である。
【0015】
他の特定の実施形態によれば、各ツリーは、
ソレノイドと関連させてこれを係合または係合解除し、
かつ/または圧縮ばね(R、...R)によって静止位置に保持することができる。
【0016】
各回転分配器、または回転分配器を駆動するシステムは、
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を含み、入口の数と出口の数との合計はたとえば3以上である、回転分配器本体、
および/または前記軸(XX’)を中心に分配器の前記本体を回転させる回転軸、
前記回転軸を駆動するための手段、
および/または駆動手段に対して係合または係合解除静止位置に回転軸を維持する復帰手段であって、たとえばこれらの復帰手段は、回転分配器に接続された軸と前記本体を駆動する回転軸との間で圧縮状態に保持されるばねを含み、アクチュエータは好ましくは、作動時、復帰手段(R)を圧縮することが可能である、復帰手段、
および/または駆動手段に対して、前記軸をその静止位置から係合解除または係合するための手段、
を含むことができる。
【0017】
駆動手段の前記軸を係合または係合解除するための手段はたとえば、電磁アクチュエータまたは空気圧アクチュエータまたは液圧アクチュエータタイプの手段を含むことができる。
【0018】
電磁アクチュエータタイプの手段の場合、これらの手段はたとえば、コイルと、電流が流れるとコイルによって生成される場と相互作用して、復帰手段を圧縮するプランジャと、を含む。
【0019】
前記本体を駆動する回転軸および前記軸を駆動するための手段はたとえばそれぞれ、鉛直軸でギアを形成する歯車を含むことができる。
【0020】
このような回転分配器は、分配器が係合解除されると分配器を制動する制動手段をさらに含むことができる。
【0021】
本発明による流体分配システム、および/または、流体回路において、少なくとも1つの流体の少なくとも1つの分配器を作動させるためのシステムは、
少なくとも1つのポンプと、
上で、または本願に定義されたような、本発明による前記流体の分配を制御するためのシステムと、
を含むことができる。
【0022】
本発明はまた、熱および/または電気エンジン、少なくとも1つの液圧回路、および上で、または本願に定義されたような、本発明によるこの液圧回路における少なくとも1つの流体分配システムを含む車両に関する。
【0023】
本発明はまた、上で、または本願に記載されたような、本発明によるシステムを実装する、流体回路において少なくとも1つの流体の分配を制御するための方法に関する。
【0024】
好ましくは、このような方法は、
作動させるべき1つまたは複数の分配器を決定するステップ、
および/またはモータを使用して前記分配器を作動させるステップ、
を含む。
【0025】
命令または制御信号を事前に受信して、動作モード、または命令または信号によって所望または定義されるものに従って流体を分配するために到達すべき分配器の位置の組み合わせを定義することができる。
【0026】
1つまたは複数の分配器の位置は、測定によって、たとえば1つまたは複数の分配器に関連する1つまたは複数の位置センサによって知ることができる。
【0027】
一実施形態によれば、流体は水であってもよいが、他の流体、たとえば油もしくはグリコールまたはガス、たとえば空気もしくは水素が含まれてもよい。
【0028】
本発明による装置または方法において、液圧回路はたとえば、車両または、たとえばヒートポンプのような家庭用タイプの装置の冷却回路における流体のための分配回路または油もしくは水素もしくは空気分配回路であり得る。
【0029】
別の一態様によれば、本発明はまた、流体を分注するための回転分配器に関し、これは、
少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を含み、入口の数と出口の数との合計は3以上である、回転分配器本体と、
前記本体を駆動する回転軸と、
前記軸を駆動するための手段と、
駆動手段に対して係合または係合解除静止位置に回転軸を維持するための復帰手段であって、たとえばこれらの復帰手段は、回転分配器に接続された軸と前記本体を駆動する回転軸との間で圧縮状態に保持されるばねを含む、復帰手段と、
駆動手段に対して、前記軸をその静止位置から係合解除または係合するための手段と、
を含む。
【0030】
たとえば、この分配器は、平面(YZ)内で回転する本体を含み、前記本体は少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を含み、入口の数と出口の数との合計はたとえば3以上であり、分配器の機械的出力および/または駆動軸が、前記平面に垂直な方向に延在する。
【0031】
たとえば、この分配器は、前記軸を駆動するための手段に対して、回転分配器を係合または係合解除するための、アクチュエータを含む手段を含むことができ、前記アクチュエータは、分配器の機械的出力軸によって画定される軸に沿って、線形に移動する。
【0032】
このような回転分配器は、本発明による流体分配システムの一部として使用することができる。
【0033】
駆動手段の前記軸を係合または係合解除するための手段は、電磁アクチュエータまたは空気圧アクチュエータまたは液圧アクチュエータタイプの手段を含むことができる。
【0034】
電磁アクチュエータタイプの手段の場合、これらの手段は、コイルと、電流が流れるとコイルによって生成される場と相互作用して、復帰手段を圧縮するプランジャと、を含む。
【0035】
前記本体を駆動する回転軸および前記軸を駆動するための手段はたとえばそれぞれ、鉛直軸でギアを形成する歯車を含むことができる。
【0036】
本発明によるこのような回転分配器は、分配器が係合解除されると分配器を制動するための制動手段をさらに含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明によるシステムの例示的な一実施形態を表す図である。
図2】モータと組み合わせたギアトレインの製作の一例を表す図である。
図3A】本発明によるシステムに実装することができる回転分配器の一例を表す図である。
図3B】本発明によるシステムに実装することができる回転分配器の一例を表す図である。
図3C】本発明によるシステムに実装することができる回転分配器の一例を表す図である。
図4】本発明によるシステムに実装することができる分配器を係合解除するための機構の例示的な一実施形態を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
図1は、本発明による、または本発明を適用することができる、流体を分配するための液圧回路の例示的な一実施形態を表す。
【0039】
この例において、この回路は、それぞれ流体F1、F2を分配する2つのポンプP1およびP2を含むが、異なる数のポンプおよび流体も本願の範囲の一部である。流体は回転分配器Dによって分配される。
【0040】
以下において図3A図3Cを説明し、図3A図3Cは本発明の文脈において使用することができる回転分配器Dの一例を表す。
【0041】
この液圧回路における流体の分配を制御するためのシステムは、モータ10、好ましくはブラシレスモータを含み、モータ10は、d個のギアトレイン(d>2)に同時に結合された中央出口シャフト14を駆動する。
【0042】
図1において、シャフト14は異なるギアトレインに関連して示されているが、ギアトレインは実際には(ギアトレインのための図2の例のように)シャフト14の周囲に配置されている。たとえばプリント回路基板(「PCB」)の形態で作製された電子制御手段12がこのモータ10を制御する。異なるトレインのギアは好ましくは、平行な軸を備えた直線ギアである。
【0043】
各ギアトレインはこの例において第1段のギアの第1のギア(E1.1...E1.d)を含む。
【0044】
たとえばこれらのギアE1.1...E1.dのそれぞれは、たとえば電磁(ソレノイド)または空気圧または油圧タイプのアクチュエータを使用して、他から独立して係合/係合解除することができるシャフトA...Aを回転させる。図1において、電磁(またはソレノイド)アクチュエータS、...Sが概略的に示されているが、他のタイプのアクチュエータ(油圧、空気圧アクチュエータ)も可能である。各係合解除可能シャフトはたとえば圧縮ばねR、...Rによって静止位置に保持することができる。各アクチュエータは電子制御手段12によって制御することができる。
【0045】
以下において図4を説明し、図4は、ソレノイドSを含む、回転分配器Dとその電磁タイプアクチュエータの一例を表す。
【0046】
図1に示す例示的な実施形態において、システムは第2段のギア(E2.1...E2.d)を含む。これらの第2段のギアのそれぞれは、係合解除可能シャフトに接続することができ、回転分配器D...Dを駆動する。これらの回転分配器はしたがって互いに独立して駆動される。
【0047】
アクチュエータは各ギアトレインの歯車またはシャフトのいずれかと関連させることができるということが留意され得る。図1において、これは、分配器の直前にあるホイールであるが、図4においてこれは、分配器自体に関連しているホイールである。各ギアトレインの任意の歯車を係合および係合解除手段と関連させることができ、これにより対応する分配器を係合解除または係合することが可能になる。
【0048】
d個の分配器のそれぞれを位置センサC~Cと関連させることができ、これにより、好ましくはいつでも、関連する分配器の位置を知ることが可能になる。位置信号が手段12に送信される。
【0049】
各回転分配器Dは、nei個の入口(nei>1)およびnsi個の出口(nsi>1)と、いくつかの出口(nsi>2)を含む単一の入口(nei=1)を備えた分配器と、いくつかの入口(nei>1)を含む単一の出口(nsi=1)を備えた分配器と、を有することができる。出口は、所与の用途、たとえば冷却回路、または油もしくは空気が供給されねばならない回路(たとえば空調回路)、または水素が供給されねばならない回路(たとえば燃料電池電源回路)に流体を運ぶ導管に接続されている。図1の例において、分配器Dは1つの入口および2つの出口を有し、分配器Dは2つの入口および1つの出口を有し、分配器Dは2つの入口および3つの出口を有する。入口/出口の任意の他の組み合わせを達成することもできる。
【0050】
図1において、分配器の出口は液圧システムの他の器官に向けられているが、代わりに(図示せず)、1つまたは複数の分配器の1つまたは複数の出口が別のまたは複数の他の分配器の1つまたは複数の入口に向けられる。
【0051】
本発明の文脈において実装することができる回転分配器の一例が、特許文献1の下で出願された出願に記載されており、その構造が図3A図3Cにおいて回想されている。
【0052】
流体分配システムはまた、考慮される流体分配システムに特有のアーキテクチャに従って異なる分配器に接続された、数p(p>1)のポンプを含む。
【0053】
d個のアクチュエータS、...Sのそれぞれは、異なる分配器の位置に応じて手段12によって制御することができ、この位置は、これらの手段12が対応する位置センサから受信した信号のおかげで知ることができる。
【0054】
動作中、手段12は車両から動作モード命令26を受信することができ、各動作モードは、各分配器の係合または係合解除状態によって、そして選択(または係合)された分配器のすべての入口のおよびすべての出口の開閉位置によって定義される。すべての分配器が同じ数xの可能な位置を有するとき、モードの総数はxに等しい。各動作モードに関するデータは、手段12に関連する格納手段に格納することができ、各分配器の位置はセンサCによって知ることができる。動作モードの選択によりしたがって、各分配器の係合または係合解除状態および係合された各分配器の位置が定義される。任意選択で、格納手段は、
選択された各分配器を、どの方向に、そしてどの角度移動で作動させて、その入口/出口の特定の組み合わせによって定義される状態から、その入口/出口の別の組み合わせによって定義される別の状態へ発展させることができるか、
および/または選択された分配器が係合されねばならない順序、すべてを同時にまたは順次(および特定の順序で)係合せねばならない、またはこれらの分配器の一部を同時に係合し、他の部分を順次(これも特定の順序で)係合することができる、
を格納することができる(または手段12が計算することができる)。
【0055】
1つまたは複数の分配器を、これまたはこれらの分配器が以前に駆動された方向とは反対の方向に駆動することが所望されるとき、モータ10の回転方向は逆転する。回転方向が逆転していない分配器は係合解除することができる。1つまたは複数の分配器を、1つまたは複数の他の分配器が駆動されるべき方向とは反対の方向に駆動することが希望されるとき、後者を係合解除することが可能である。
【0056】
選択された動作モードに応じて、これらの手段12は、選択された分配器の係合または係合解除手段を作動させることができ、たとえば関連する分配器のそれぞれの方向および角度移動、ならびに作動の順番または順序(上述のように順次または同時)を決定することによって、このまたはこれらの分配器を作動させることができる。
【0057】
次いでモータ10に電力が供給され、決定された順序およびd個の分配器のそれぞれの位置に応じて、d個の分配器のそれぞれが所望の位置に到達するまで、軸が順次または同時に係合される(またはされない)。
【0058】
このシステムによりしたがって、同数のブラシレスアクチュエータによって制御されるいくつかのバルブで構成される製品を、単一のモータ10、たとえばブラシレスモータまたはステッピングモータによって制御される一組の流体分配器、および分配器のそれぞれに関連する係合および係合解除機構によって置き換えることが可能になる。
【0059】
たとえばプリント回路基板の形態で製造される手段12は、たとえば、上で定義されたような複数の動作モードに従って各分配器およびモータ10の係合/係合解除手段を制御するように、かつ/またはオペレータもしくは車両によって選択された動作モードに従って分配器の1つもしくは複数の作動を計算するようにプログラムされたプロセッサまたはマイクロプロセッサを含むことができる。
【0060】
図2はモータと組み合わせた単一のギアトレインの一例を示す。モータの軸14、ならびに第1段E1.1がこの図に見られる。図2に示すものと同一または同様の他のギアトレインをモータの周囲に配置することができる。
【0061】
図3A図3Cは、本発明によるシステムに実装することができる回転分配器の一例を表す。
【0062】
これは1つの入口および2つの出口を含むが、1つまたは複数の入口および1つまたは複数の出口を有し得ることが理解される。
【0063】
この分配器は、軸Xを中心としての回転の本質的に円筒形のハウジング200またはバルブ本体と、ハウジング200内に取り付けられ、ハウジング200内で回転することが可能な、コアと呼ばれる、中央部分400と、を含む。
【0064】
図示の例において、ハウジング200は、一体に作製された底部60および実質的に円筒形の側壁80と、ハウジングを閉じるカバー100と、を含む。カバー100はたとえば溶接によって、たとえば超音波溶接によってハウジング200に固定されている。
【0065】
ハウジング200は、側壁80に形成された、供給オリフィスと呼ばれる、オリフィス180と、たとえばオリフィス180の基部に溶接され、流体源、たとえば図1におけるポンプP1、P2の1つのようなポンプへの接続が意図された、供給導管220と、を含む。この入口オリフィス180の両側に、ハウジング200はまた、
液体を所与のゾーン、たとえば冷却されるべきゾーンに運ぶように意図された導管240(または分配導管)によって延在する、側壁80に形成された第1の出口オリフィス210、
および液体を別の所与のゾーンに運ぶように意図された、導管140(または分配導管)によって延長された第2の出口オリフィス120、
を含む。
【0066】
これらの出口オリフィスは、これらのいずれか1つが分配導管の入口に対向して配置されているときに流体を分配するように意図されている。これらの出口オリフィスのいずれか1つを、軸XX’を中心に分配器を回転させることによって分配導管のこの入口の前に持ってくると、流体が軸XX’に垂直な平面内の方向で分配器を出る。いくつかの分配導管およびこれらの導管のいくつかの対応する入口があり得、すべてが、軸XX’に垂直なこの平面内に配置されている。換言すれば、このタイプの分配器はこの平面内で1つまたは複数の流体を分配し、すなわちこのように分配された流体は、好ましくはこの軸XX’に垂直なこの平面内にある流れ方向を有して分配器を出る。同様に、分配されるべき流体は、好ましくはこの軸XX’に垂直なこの同じ平面内にある流れ方向で分配器に入る。
【0067】
導管140および240はたとえばそれぞれオリフィス210および120の基部に溶接されている。ハウジング200は液圧チャンバ260を画定する。出口オリフィス120および210は、供給オリフィス180の両側で軸Xを中心とする側壁上に角度を付けて分配されている。
【0068】
コア400は、液圧チャンバ内に取り付けられるように意図されており、軸Xを中心に回転することが可能である。コア400は2つの端面280、300および側面320を含む。コア400は、次に、入口201および出口203を接続することを可能にする少なくとも1つの導管を含む(図3Bおよび図3Cから理解され得るように、入口201は、軸XXを中心とするコアの位置に応じて、出口になることができ、出口203ではその逆である)。
【0069】
端面280はハウジングの底部に面しており、端面300はカバーに面している。端面300は、アクチュエータのシャフトの端部を受容するように意図された凹状キャビティ310を含み、シャフトは好ましくは軸X(または分配器の機械的および/または駆動軸)に沿って位置を合わせている。カバー100は、凹部310に面してシャフトとの結合を可能にする開口330を含む。あるいは、端面300は、アクチュエータのシャフトに形成された凹部内へ侵入するように意図された突出結合部材を含む。流体の漏れを防止するために端面300とキャビティ310に隣接するカバーとの間にシール340が有利には設けられる。
【0070】
コア400はまた、互いに向き合ったとき、出口オリフィス120を閉じるように意図された第1のシール440、および任意選択で、互いに向き合ったとき、出口オリフィス210を閉じるように意図された第2のシール460を含むことができる。第1のシール440および第2のシール460は、これらのコアへの取り付けと同様に、同一または同様の形状である。
【0071】
すでに上で説明したように、この分配器により、分配器のコアの、鉛直軸XX’を中心とする配向に応じて、流体を横方向に分配することが可能になり、分配器の出口での、このように分配される流体、またはそのそれぞれは、軸XX’に垂直な平面内の流れ方向を有する。
【0072】
したがって、図3Bにおいて、第1の位置において、分配器は流体を出口210に向かって運び、図3Cにおいて、第2の位置において、軸XX’を中心に回転した後、分配器は流体を出口120に向かって運ぶ。
【0073】
図4は、出力軸29(または機械的出力および/または駆動軸)、および、ここでは電磁タイプの、そのアクチュエータが設けられた、たとえば図3A図3Cに関連して上述したタイプの回転分配器Dを表す。アクチュエータは、作動させると、軸XX’に沿って軸29の方向にプランジャ16を作動させるソレノイドSを含み、その移動によりばねRが圧縮されることになり、プランジャは、電流がソレノイドを通過するときに生成される場と相互作用する磁気特性を有し、したがって回転分配器Dに向かって引き込まれる。プランジャはしたがって、歯車18と一体の軸19を押し、歯車18は次いで、シャフトAに取り付けられた別のホイール20と噛み合い、シャフトAはそれ自体モータ10によって、またはモータ10によって駆動される駆動手段(このホイールがそれ自体ギアトレインの一部である)によって作動させることができる。ホイール18は円筒壁27によってその中心部分を延長することができ、円筒壁27は、手段(たとえばキー)、またはクラッチもしくはクラッチを形成する手段を含み、これは、ホイール18を分配器の出力軸29に結合することを可能にしながら、壁27、ホイール18および軸19を含むアセンブリの、軸29に対する並進を可能にする。プランジャが軸19を分配器Dに向かって押すと、分配器Dが係合される。ソレノイドの作動が緩むと、ばねRはアセンブリ18-19-27を押し戻し、アセンブリ18-19-27が次いで係合解除される。この装置は、分配器(歯車18)が係合解除されるとこれを制動することを可能にするブレーキ22をさらに含むことができる。ソレノイドは上述の手段12のような手段によって制御することができる。このような回転分配器Dは、図1および図2に関連して上述したようなシステムにおいて使用することができる。
【0074】
好ましくは、この図に見られるように、分配器の出力軸29は、アクチュエータ、アクチュエータ手段S、16と位置を合わせている。したがって、分配器およびアクチュエータ手段のアクチュエータは鉛直方向に位置を合わせており、または同じ軸上にある。
【0075】
復帰ばねが手段18、19を鉛直方向にとる(押し戻す)(これらを押し戻し、したがって分配器から離れるように移動させる)と、これらの手段は分配器から結合解除されるが、分配器自体の本体は同じ位置に留まる。
【0076】
換言すれば、作動手段S、16は、分配器の軸XX’に配置され、鉛直軸XX’に沿った分配器の位置を変更することなく、分配器に結合すること、または分配器から結合解除することができる。
【0077】
ここで示すアクチュエータは電磁タイプのものである。しかし、別のタイプの、たとえば空気圧または液圧タイプのアクチュエータを選択することもでき、これも、図4のように、分配器の出力軸29と位置合わせされることになり、軸XX’に従う作動方向を有することになり、特に、復帰手段(R)を圧縮して駆動手段を分配器と係合させ、前記復帰手段(R)は逆に駆動手段を押して駆動手段を分配器に対して係合解除し、分配器は常に鉛直軸XX’に沿って同じ位置を保つ。アクチュエータは、分配器の出力軸29、または機械的出力軸および/または駆動軸によって画定される軸に沿って、線形に移動する。たとえば、アクチュエータは、分配器に向かって作動させると、復帰手段を圧縮する。アクチュエータを反対方向に、分配器とは反対方向に作動させると、復帰手段は解放され、かつ/またはその静止位置に復帰する。
【0078】
歯車、またはクラウン18は、分配器と常に一体であるわけではなく、係合解除位置において、ばね(または復帰手段)の状態に応じて、分配器から結合解除または分離されている。ここでも、分配器は鉛直軸XX’に沿って常に同じ位置を保つ。
【0079】
本発明によるシステムの1つの用途は、車両の冷却回路における冷却水の流れの分配に関する。しかし他の用途、たとえば車両(熱もしくは電気もしくはハイブリッドエンジンを備えた自動車もしくはトラック、またはボートもしくは飛行機械)における油もしくはガス(たとえば空気または水素)の分配、または他に、たとえばヒートポンプのような家庭用の用途における流体の分配にも関係し得る。
【符号の説明】
【0080】
10 モータ
12 電子制御手段
14 シャフト
16 プランジャ
18 歯車
19 軸
20 ホイール
22 ブレーキ
26 動作モード命令
27 円筒壁
29 出力軸
80 側壁
100 カバー
120 第2の出口オリフィス
140 導管
180 入口オリフィス
200 ハウジング
201 入口
203 出口
210 第1の出口オリフィス
220 供給導管
240 導管
260 液圧チャンバ
280 端面
300 端面
310 キャビティ
320 側面
330 開口
340 シール
400 コア
440 第1のシール
460 第2のシール
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
【国際調査報告】