(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ヘンプ抽出物及び組成物を生成するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61K 36/185 20060101AFI20241024BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/44 20170101ALI20241024BHJP
A61K 47/46 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20241024BHJP
A61K 47/06 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20241024BHJP
A61K 47/08 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/38 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20241024BHJP
A61K 31/05 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20241024BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K36/185
A61K9/08
A61K47/44
A61K47/46
A61K47/14
A61K47/06
A61K47/10
A61K47/08
A61K47/22
A61K47/36
A61K47/38
A61K47/32
A61K47/34
A61K31/05
A61K31/352
A61P25/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024524763
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-05-29
(86)【国際出願番号】 US2022078694
(87)【国際公開番号】W WO2023076931
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】524152148
【氏名又は名称】エコファイバー ユーエスエイ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ECOFIBRE USA INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ナンス、アレックス
(72)【発明者】
【氏名】リス、ジェフ ディ.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ、アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ラスリー、ローラ
(72)【発明者】
【氏名】ライアン、ジョン
【テーマコード(参考)】
4C076
4C086
4C088
4C206
【Fターム(参考)】
4C076AA13
4C076BB01
4C076BB30
4C076CC01
4C076DD34
4C076DD37
4C076DD40
4C076DD46A
4C076DD59
4C076EE09G
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4C076EE53A
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4C086AA04
4C086BA08
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4C088NA20
4C088ZA01
4C206AA01
4C206AA02
4C206AA04
4C206CA19
4C206MA03
4C206MA05
4C206MA37
4C206MA72
4C206MA75
4C206NA20
4C206ZA01
(57)【要約】
全スペクトルヘンプ抽出物を生成するための方法であって、抽出溶媒に可溶性である物質を大麻ベースの緑色材料から抽出し、抽出溶媒を含む抽出物を収集し、抽出溶媒の少なくとも一部分を留去し、留去されない濃縮物をもたらすことと、水溶性物質の少なくとも一部分を水相に分配し、濃縮物からの物質の残りを分配された濃縮物に分配することによって、水溶性物質の少なくとも一部分を濃縮物から除去することと、分配された濃縮物を加熱して、非極性溶媒を蒸発させ、粗製油を生じることと、粗製油を加熱することによって粗製油を脱気することであって、これにより脱気された粗製油が得られる、脱気することと、第1のパス蒸留を約150℃で行い、第1の残渣を収集することと、第2及び第3のパス蒸留を約170℃及び約185℃で行い、そこから蒸留物を収集することと、を含む、方法。特定の生成物配合物、装置、及び装置の使用は、方法に関連して考察される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全スペクトルヘンプ抽出物を生成するための方法であって、
a.約-20℃~約0℃に冷却された約5%のヘプタン及び約95%のエタノールの抽出溶媒中で大麻ベースの緑色材料を混合し、前記抽出溶媒及びその中に溶解した可溶性物質を含む抽出物を収集することと、
b.前記抽出物を約160°F(約70℃)~約190°F(約90℃)の温度に加熱することによって、前記抽出物から前記抽出溶媒の少なくとも一部分を留去し、留去されない濃縮物を収集することと、
c.水溶性物質の少なくとも一部分を水相に分配し、前記濃縮物からの物質の残りを非極性溶媒の相に溶解した分配された濃縮物に分配することによって、前記水溶性物質の少なくとも一部分を前記濃縮物から除去することと、
d.前記分配された濃縮物を約160°F(約70℃)~約200°F(約95℃)の温度に加熱して、前記非極性溶媒を蒸発させ、粗製油を生じることと、
e.前記粗製油を約2torr未満(約270Pa未満)である真空中で約少なくとも310°F(約少なくとも155℃)の温度に加熱することによって前記粗製油を脱気することであって、前記脱気することが、前記粗製油の泡立ちを排除するのに十分な時間にわたるものであり、これにより脱気された粗製油が得られる、脱気することと、
f.前記脱気された粗製油の第1のパス蒸留を約150℃で行い、第1の残渣を収集することと、
g.前記第1の残渣の第2のパス蒸留を約170℃~約185℃で行い、全スペクトルヘンプ抽出物である第2の蒸留物を収集し、第2の残渣を収集することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記第2の残渣に対して約180℃~約190℃の温度で第3のパス蒸留を行うことと、全スペクトルヘンプ抽出物である第3の蒸留物を収集することと、全スペクトルヘンプ抽出物の前記第2の蒸留物と全スペクトルヘンプ抽出物の前記第3の蒸留物とを組み合わせることと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(a)において、前記抽出物が、前記抽出溶媒及びその中に溶解した可溶性物質を、前記抽出溶媒に可溶性でない前記大麻ベースの緑色材料のうちのいずれかから分離することによって収集され、好ましくは、前記分離することが、濾過によって実施される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記水溶性物質の少なくとも一部分を水相に分配し、前記濃縮物からの物質の残りを非極性溶媒の相に溶解した分配された濃縮物に分配することが、
c1.約2~5部の濃縮物を約1~5部の水に添加することと、
c2.約2部~約5部の非極性溶媒を前記水及び前記濃縮物に添加することと、
c3.前記水、濃縮物、及び非極性溶媒を約1分間~約20分間混合することと、
c4.前記混合物を少なくとも30分間、かつ任意選択で最大180分間静置して、前記水相と前記非極性溶媒の相とを分離させることと、
c5.前記水相を前記非極性溶媒の相から排出して、非極性溶媒の相に溶解した前記分配された濃縮物を得ることと、を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
i.前記非極性溶媒が、ヘキサンであり、かつ/又は
ii.水、濃縮物、及びヘキサンの比が、約1部の水、2部の濃縮物、及び2部のヘキサンであり、かつ/又は
iii.排出された前記水相が、等量の非極性溶媒に再分配され、かつ/又は
iv.前記非極性溶媒を収集し、前記非極性溶媒を、非極性溶媒の相に溶解した前記分配された濃縮物と組み合わせることである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記抽出溶媒を除去した後に新鮮な抽出溶媒を添加して、同じ緑色材料から可溶性物質を更に抽出することと、任意選択で、各別個の抽出工程からの前記抽出物を組み合わせることと、を更に含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抽出溶媒の少なくとも一部分を前記抽出物から留去することが、前記抽出溶媒の少なくとも50%が前記抽出物から留去されたときに、前記温度を約240°F~260°F(約115℃~130℃)に上昇させることによって、前記抽出物中に存在するカンナビジオール酸(CBDA)の少なくとも一部分をカンナビジオール(CBD)に脱炭酸させることを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記分配された濃縮物が、流下薄膜型蒸発器内で加熱されて前記粗製油を生成し、前記粗製油を脱気する前、かつ前記非極性溶媒の蒸留の視覚的認識が終了した後に、約10torr未満(1,350Pa未満)の真空が、約1時間、前記流下薄膜型蒸発器に適用される、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
脱気工程が、約1分~約6時間、好ましくは約1分~60分間実施される、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のパス蒸留が、145℃~155℃の温度で実施される、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の残渣、前記第2の残渣、又はその両方を、10部の残渣対1部のキャノーラ油の比でキャノーラ油に溶解することを更に含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
全スペクトルヘンプ抽出物の前記第2の蒸留物、又は組み合わされた第2の蒸留物及び第3の蒸留物中のCBDの濃度が、約70%~約90%である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
全スペクトルヘンプ抽出物の前記第2の蒸留物、又は前記組み合わされた第2の蒸留物及び第3の蒸留物中のΔ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の濃度が、約0.1%~2.99%である、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
全スペクトルヘンプ抽出物の前記第2の蒸留物、又は前記組み合わされた第2の蒸留物及び第3の蒸留物中の総カンナビノイドが、約77%~約97%である、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
全スペクトルヘンプ抽出物の前記第2の蒸留物、又は前記組み合わされた第2の蒸留物及び第3の蒸留物が、少なくとも1つのテルペンを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の除去によってカンナビノイドベースの抽出生成物からの精製された広域スペクトルヘンプ抽出物を生成するための方法であって、
a.約2:1のヘキサン対抽出生成物の比でヘキサン中に前記カンナビノイドベースの抽出生成物を溶解することと、
b.ヘキサン:メタノール:水をそれぞれ5:4:1の比で混和することによって、遠心分配クロマトグラフィ(CPC)用の溶媒系を配合することと、
c.前記溶媒系を有効な時間量にわたって上層と下層とに分離させることと、
d.水、メタノール、又はその両方を使用して、70°F(約21℃)で前記下層の密度を約0.8g/cm
3に調整することと、
e.溶解したカンナビノイドベースの抽出生成物をCPC装置に通して、前記溶解したカンナビノイドベースの抽出生成物を再生画分、THC不含画分、及び廃棄物画分に分離することと、
f.約140°F(約60℃)及び完全真空で加熱するように設定された水平拭取り薄膜型蒸発器中で、前記THC不含画分からヘキサン、メタノール、水、又はこれらの組み合わせを蒸留することと、
g.少なくとも約100℃に設定された油浴を有する回転蒸発器を使用して、前記THC不含画分からヘキサン、メタノール、水、又はこれらの組み合わせを蒸留することと、
h.真空下の非加熱回転蒸発器、真空下の加熱回転蒸発器、又はその両方を使用して、前記THC不含画分から水を除去することと、
i.得られる広域スペクトルヘンプ抽出物を収集することと、を含む、方法。
【請求項17】
前記広域スペクトルヘンプ抽出物中のCBDの濃度が、約79%~約99%である、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記カンナビノイドベースの抽出生成物が、全スペクトルヘンプ抽出物、好ましくは請求項1~15のいずれか一項に記載の方法によって生成された全スペクトルヘンプ抽出物である、請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
完全真空が、100torr未満又は約13.3kPaの真空である、請求項16~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
生成物であって、
i.請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる全スペクトルヘンプ抽出物又は請求項16~19のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる広域スペクトルヘンプ抽出物と、
ii.脂肪又は油と、を含み、
前記生成物が、約1%~99%の前記全スペクトルヘンプ抽出物又は広域スペクトルヘンプ抽出物を含む、生成物。
【請求項21】
前記脂肪又は油が、低温圧搾ヘンプ種子油又は中鎖トリグリセリド(MCT)油である、請求項20に記載の生成物。
【請求項22】
前記脂肪又は油が、シアバターである、請求項20に記載の生成物。
【請求項23】
経口配合物であって、
i.約0.1重量%~30重量%の、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる全スペクトルヘンプ抽出物又は請求項16~19のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる広域スペクトルヘンプ抽出物と、
ii.約25重量%~70重量%の中鎖トリグリセリド(MCT)油と、
iii.約25重量%~70重量%の低温圧搾ヘンプ種子油と、を含む、経口配合物。
【請求項24】
約0.1重量%~5重量%のテルペンブレンドを更に含む、請求項23に記載の経口配合物。
【請求項25】
前記テルペンブレンドが、β-ミルセン、β-カリオフィレン、リナロール、α-ピネン、シトラール、D-リモネン、ユーカリプトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のテルペンを含む、請求項24に記載の経口配合物。
【請求項26】
香味剤を更に含む、請求項23~25のいずれか一項に記載の経口配合物。
【請求項27】
粘膜付着剤を更に含む、請求項23~26のいずれか一項に記載の経口配合物。
【請求項28】
前記粘膜付着剤が、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、又はこれらの組み合わせである、請求項27に記載の経口配合物。
【請求項29】
膣内配合物であって、
i.約0.1重量%~50重量%の、請求項1~15のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる全スペクトルヘンプ抽出物又は請求項16~19のいずれか一項に記載のプロセスによって得ることができる広域スペクトルヘンプ抽出物と、
ii.約10重量%~90重量%のシアバターと、を含む、膣内配合物。
【請求項30】
約0.1重量%~10重量%のテルペンブレンドを更に含む、請求項29に記載の膣内配合物。
【請求項31】
前記テルペンブレンドが、β-ミルセン、β-カリオフィレン、リナロール、α-ピネン、シトラール、D-リモネン、ユーカリプトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のテルペンを含む、請求項30に記載の膣内配合物。
【請求項32】
約5重量%~50重量%の低温圧搾ヘンプ種子油を更に含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の膣内配合物。
【請求項33】
pH調節剤を更に含む、請求項29~32のいずれか一項に記載の膣内配合物。
【請求項34】
浸透圧調節剤を更に含む、請求項29~33のいずれか一項に記載の膣内配合物。
【請求項35】
全スペクトルヘンプ抽出物を生成するためのシステムであって、
フォルスボトムを作製するために内部に配置されたメッシュスクリーンを有する抽出器ドラムであって、前記メッシュスクリーンによって実質的に保持され、前記フォルスボトムに入ることを防止されるようにサイズ決めされたカンナビノイド緑色材料と、前記カンナビノイド緑色材料から抽出された材料が溶解され、かつ前記フォルスボトムに収集することができる、約5%のへプタン及び約95%のエタノールを含む、抽出溶媒と、を含むように構成されている、抽出器ドラムと、
前記抽出溶媒及び前記溶解した材料を受け入れるように構成されたプレート熱交換蒸発器であって、前記抽出溶媒を蒸発させるために約160°F~190°F(約70℃~90℃)及び約5psi~約10psi(約34kPa~約69kPa)の圧力に設定することができる第1のセットのプレート熱交換器と、蒸発した抽出溶媒を得られるカンナビノイド濃縮物から凝縮させるために約70°F(約21℃)に設定することができる第2のセットのプレート熱交換器と、を有する、プレート熱交換蒸発器と、
前記カンナビノイド濃縮物、水、及びヘキサンをそれぞれ約2:1:2の比で受け入れるように構成された分配漏斗であって、その結果、前記カンナビノイド濃縮物が、前記分配漏斗内で、水に溶解した水溶性物質と前記ヘキサンに溶解したヘキサン可溶性物質とに分配され得る、分配漏斗と、
前記ヘキサン及びヘキサン可溶性物質を受け入れるための流下薄膜型蒸発器であって、前記ヘキサン可溶性物質から前記ヘキサンを除去するための約160°F~約200°F(約70℃~約95℃)の第1の設定と、約20torr~25torr(約2,650Pa~3,350Pa)まで徐々に増加させることができる初期約10torr未満(1350Pa未満)の真空圧力を可能にする第2の設定と、を有し、前記第2の設定は、前記ヘキサンが、除去されていると視覚的に評価された後に設定されるように構成されており、約1時間後に前記ヘキサン可溶性物質を含む粗製油の生成を可能にする、流下薄膜型蒸発器と、
蒸発したヘキサンを凝縮させるために50°F(10℃)に設定することができる前記流下薄膜型蒸発器に動作可能に接続された凝縮器と、
前記粗製油を受け入れるための真空オーブンであって、前記粗製油を脱気するために310°F(約155℃)及び真空下に設定することができる真空オーブンと、
少なくとも2回連続して通過させた後に、脱気された粗製油から精製された全スペクトルヘンプ抽出物を生成するための少なくとも1つの拭取り薄膜型ショートパス蒸留器であって、第1のパスが、前記粗製油からテルペンを除去し、第2のパスが、蒸留物として前記全スペクトルヘンプ抽出物を生成する、少なくとも1つの拭取り薄膜型ショートパス蒸留器と、を備える、システム。
【請求項36】
請求項1~16のいずれか一項に記載の全スペクトルヘンプ抽出物を生成するための方法を実施するための、請求項35に記載のシステムの、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許商標庁に対して2021年10月26日に出願された米国仮特許出願第63/263,026号の利益を主張するものであり、その内容はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本明細書に開示される発明は、大麻抽出物の精製プロセス及び製造方法に関し、より詳細には、ある特定の哺乳動物障害の処置において使用するための、全スペクトルヘンプ抽出物(full spectrum hemp extract、FSHE)及び広域スペクトルヘンプ抽出物(broad spectrum hemp extract、BSHE)並びにそれらを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトにおけるカンナビノイド(cannabinoid、CB)受容体(CB1及びCB2)を含む内在性カンナビノイド(endocannabinoid)系の最近の描写は、植物から得られたカンナビノイド、又はフィトカンナビノイドの治療的使用への関心の増加をもたらした。Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ-9-tetrahydrocannabinol、THC)は最も有名なフィトカンナビノイドであり得るが、カンナビジオール(cannabidiol、CBD)は、THCの有害な精神活性効果を伴わずに、その治療可能性に関して注目を集めている。実際、2019年に世界保健機関(World Health Organization、WHO)は、CBDが公衆衛生上のリスクを引き起こさず、依存又は中毒を引き起こすことが事実上なかったと結論付けた。
【0004】
ヒトにおいて、内因性カンナビノイド(endogenous cannabinoid)、又は内在性カンナビノイドは、体内で天然に生成される。2つの最もよく研究された内在性カンナビノイドは、アナンダミド及び2-アラキドノイルグリセロール(2-arachidonoylglycerol、2-AG)である。一般に、内在性カンナビノイドは、1つ以上のCB受容体に作用して、細胞応答を引き起こす。これらの受容体の変化は、アルツハイマー病、パーキンソン病、及びハンチントン病などの神経変性疾患に関連している。内在性カンナビノイド、受容体、シグナル伝達経路、及び細胞応答は、正常状態及び疾患状態の両方におけるそれらの役割を理解するために現在調査されている。
【0005】
フィトカンナビノイドは、1つ以上のCB受容体に作用し得るか、又はそうでなければ受容体活性化に影響を及ぼし得、これが、治療薬としてのそれらの可能性が魅力的である1つの理由である。カンナビノイドを生成する植物としては、カヴァ、ローズマリー、ゼニゴケ、キバナオランダセンニチ(electric daisy)、エキナセア、カカオ、ヘリクリサム、コショウの木、ブラックトリュフ、並びにTHCの前駆体であるΔ-9-テトラヒドロカンナビノール酸(Δ-9-tetrahydrocannabinolic acid、THCA)を合成する固有の能力を有する酵母(Pichia pastoris)の株が挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、最もよく知られているカンナビノイド生成植物は、Cannabis属の植物などのCannabaceae科に属する植物である。異なる種が存在するか否かは、自然界で、かつ人間の設計によって交雑した、C.sativa及びC.indicaの同定された種のうちの少なくとも2つについて議論される。植物はバイオマス及びカンナビノイド含量に関して所望のプロファイルを生成するように育種されているので、実質的に全てのCannabis品種は交雑とみなすことができるようであるが、多くは依然として種によって植物を区別する。米国は、ヘンプを、乾燥重量で0.3%以下のTHC含量を有するCannabis植物と定義することによって命名法の問題を回避している。ヘンプ植物の副生成物(カンナビノイドを含む)は、2014年農業法案(2014 Farm Bill)のセクション7606に定義された通り、連邦法的に合法であり、2018年農業法案(2018 Farm Bill)において恒久化された。
【0006】
どのように定義されるかにかかわらず、異なる株又は品種のCannabis植物は、異なるカンナビノイドプロファイルを提供することができ、成長条件は、特定の株内の植物の得られるカンナビノイドプロファイルに影響を及ぼし得る。フィトカンナビノイドは、Cannabis植物において、毛状突起として知られる腺表皮増殖物(glandular epidermal outgrowth)中で生成された粘性樹脂中に存在する。樹脂はまた、Cannabis植物の独特の臭気の主な原因であるテルペンに富んでいる。毛状突起は、雌花序において最も豊富であるが、他の場所で見出され得る。更に、フィトカンナビノイド生成は、毛状突起に限定されず、これらは、他の植物構造において生成され得るが、どこも、毛状突起によって生成されるのと同じ量に近くはない。
【0007】
化学的に、多くのフィトカンナビノイドは、アルキルレゾルシノールをモノテルペン単位でアルキル化することによって得られた21炭素テルペンフェノール化合物である。しかしながら、いくつかのフィトカンナビノイドは、この正確な21炭素構造に従わない。これは主に、多くの場合ペンチル(5-炭素)又はプロピル(3-炭素)鎖である芳香環に結合した側鎖の長さの変動に起因する。現在までに、100を超えるフィトカンナビノイドがCannabis植物において特異的に同定されており、全部で144を超える既知のフィトカンナビノイドが存在し得る。他の既知のフィトカンナビノイドのいくつかの例としては、カンナビゲロール(cannabigerol、CBG)、カンナビクロメン(cannabichromene、CBC)、カンナビジバリン(cannabidivarin、CBDV)、及びカンナビノール(cannabinol、CBN)が挙げられる。植物におけるカンナビノイドの目的は不明のままであるが、最も一般的な仮説は、それらが昆虫、細菌、真菌、紫外線、及び乾燥から生成植物を保護するように作用することを示唆している。
【0008】
テルペンは、針葉樹及びCannabisなどの葉状植物を含む多数の植物によって生成された有機化合物の大きなクラスである。テルペンは、多くの場合、強くて容易に同定可能な臭気を有し、多くの精油の主成分である。したがって、多くの種類の植物から得られたテルペンは、それらの芳香族成分のために、かつある特定の医薬特性などの他の目的のために使用される。ある特定のテルペンは、カンナビノイドの化学的プロファイルと同様の化学的プロファイルを有し、カンナビノイド類似体である。
【0009】
多くの植物ベースの生成物と同様に、ヒトは、利益が提供された特定の植物を得るために大量の植物を消費することを望まない。したがって、フィトカンナビノイドを得るために、本発明者らは、燃焼した植物の煙を吸入した。負の社会的影響を含む、煙を吸入することに関連するいくつかの負の副作用が存在する。植物化学物質を吸入する代わりに経口及び/又は局所で摂取することを可能にするために、ヘンプ植物からのフィトカンナビノイドを含む植物から植物化学物質を抽出する努力がなされてきた。しかしながら、経口及び/又は局所用の植物ベースの生成物を生成するための多くのプロセスは規制されておらず、植物化学物質抽出物は、様々なレベルの不純物を有する様々な品質のものであり得る。そのような変動は、植物ベースの生成物がある特定の医学的状態の処置に使用される場合、許容可能ではない。
【0010】
植物ベースの抽出物及び植物ベースの抽出物に由来する生成物は、抽出のための特定のプロセス及び植物抽出物を洗浄するための特定のプロセスの両方を必要とする。特定の抽出及びその後の処理は、異なる最終生成物及び異なる収率を生じる。更に、抽出及びその後の処理もまた、使用される原料材料に依存して変動し得る。一貫した結果を有する植物ベースの抽出物から最終生成物を創出するために、原料材料から最終生成物までのプロセスの全ての部分が、生成物の一貫性及び品質を得るために重要である。特に、植物化学物質を抽出及び処理するために使用されるある特定の化学物質は、摂取された場合、ヒトにとって有害であり得る。しかしながら、これらの材料の多くは、十分な収率の所望の植物化学物質を抽出し、生成するために必要である。
【0011】
CBD及び関連する植物化学物質は、それらの天然源、広範な使用、中毒又は依存の低いリスク、及び相対的な安全性のために、潜在的な治療役割の詳細な調査の対象として指摘されている。本出願人は、ヘンプ植物から1つ以上のカンナビノイドを抽出及び精製するための改善された方法を創出した。1つ以上のカンナビノイドは、単独で又は医薬配合物中で使用される。そのような生成物は、多くの哺乳動物の疾患又は障害を処置するために、経口的に、局所的に、粘膜を介して、かつ/又は他の投与経路で投与され得る。本明細書で定義される方法論及び抽出プロセスは、収率の改善、抽出を行うのに必要なエネルギーの低減、及び得られる生成物の品質の改善を提供する。
【発明の概要】
【0012】
ここでの実施形態は、精製されたBSHE又はFSHEを製造するための方法及び生成するための方法、並びに薬学的に許容可能な形態のBSHE又はFSHEのいずれかを生成する方法に関する。
【0013】
好ましい実施形態では、全スペクトルヘンプ抽出物を生成するための方法であって、(a)約-20℃~約0℃に冷却された約5%のヘプタン及び約95%のエタノールの抽出溶媒中で大麻ベースの緑色材料を混合し、抽出溶媒及びその中に溶解した可溶性物質を含む抽出物を収集することと、(b)抽出物を約160°F(約70℃)~約190°F(約90℃)の温度に加熱することによって、抽出物から抽出溶媒の少なくとも一部分を留去し、留去されない濃縮物を収集することと、(c)水溶性物質の少なくとも一部分を水相に分配し、濃縮物からの物質の残りを非極性溶媒の相に溶解した分配された濃縮物に分配することによって、水溶性物質の少なくとも一部分を濃縮物から除去することと、(d)分配された濃縮物を約160°F(約70℃)~約200°F(約95℃)の温度に加熱して、非極性溶媒を蒸発させ、粗製油を生じることと、(e)粗製油を約2torr未満(約270Pa未満)である真空中で約少なくとも310°F(約少なくとも155℃)の温度に加熱することによって粗製油を脱気することであって、脱気することが、粗製油の泡立ちを排除するのに十分な時間にわたるものであり、これにより脱気された粗製油が得られる、脱気することと、(f)脱気された粗製油の第1のパス蒸留を約150℃で行い、第1の残渣を収集することと、(g)第1の残渣の第2のパス蒸留を約170℃~約185℃で行い、全スペクトルヘンプ抽出物である第2の蒸留物を収集し、第2の残渣を収集することと、を含む、方法。
【0014】
更なる実施形態では、第2の残渣に対して約180℃~約190℃の温度で第3のパス蒸留を行うことと、全スペクトルヘンプ抽出物である第3の蒸留物を収集することと、全スペクトルヘンプ抽出物の第2の蒸留物と全スペクトルヘンプ抽出物の第3の蒸留物とを組み合わせることと、を更に含む、方法。
【0015】
更なる実施形態では、工程(a)において、抽出物が、抽出溶媒及びその中に溶解した可溶性物質を、抽出溶媒に可溶性でない大麻ベースの緑色材料のうちのいずれかから分離することによって収集され、好ましくは、分離することが、濾過によって実施される、方法。
【0016】
更なる実施形態では、水溶性物質の少なくとも一部分を水相に分配し、濃縮物からの物質の残りを非極性溶媒の相に溶解した分配された濃縮物に分配することが、(c1)約2~5部の濃縮物を約1~5部の水に添加することと、(c2)約2部~約5部の非極性溶媒を水及び濃縮物に添加することと、(c3)水、濃縮物、及び非極性溶媒を約1分間~約20分間混合することと、(c4)混合物を少なくとも30分間、かつ任意選択で最大180分間静置して、水相と非極性溶媒の相とを分離させることと、(c5)水相を非極性溶媒の相から排出して、非極性溶媒の相に溶解した分配された濃縮物を得ることと、を含む、方法。更なる実施形態では、(i)非極性溶媒が、ヘキサンであり、かつ/又は(ii)水、濃縮物、及びヘキサンの比が、約1部の水、2部の濃縮物、及び2部のヘキサンであり、かつ/又は(iii)排出された水相が、等量の非極性溶媒に再分配され、かつ/又は(iv)非極性溶媒を収集し、非極性溶媒を、非極性溶媒の相に溶解した分配された濃縮物と組み合わせることである、方法。
【0017】
更なる実施形態では、抽出溶媒を除去した後に新鮮な抽出溶媒を添加して、同じ緑色材料から可溶性物質を更に抽出することと、任意選択で、各別個の抽出工程からの抽出物を組み合わせることと、を更に含む、方法。
【0018】
更なる実施形態では、抽出溶媒の少なくとも一部分を抽出物から留去することが、抽出溶媒の少なくとも50%が抽出物から留去されたときに、温度を約240°F~260°F(約115℃~130℃)に上昇させることによって、抽出物中に存在するカンナビジオール酸(cannabidiolic acid、CBDA)の少なくとも一部分をカンナビジオール(CBD)に脱炭酸させることを含む、方法。
【0019】
更なる実施形態では、分配された濃縮物が、流下薄膜型蒸発器内で加熱されて粗製油を生成し、粗製油を脱気する前、かつ非極性溶媒の蒸留の視覚的認識が終了した後に、約10torr未満(1,350Pa未満)の真空が、約1時間、流下薄膜型蒸発器に適用される、方法。
【0020】
更なる実施形態では、脱気工程が、約1分~約6時間、好ましくは約1分~60分間実施される、方法。
【0021】
更なる実施形態では、第1のパス蒸留が、145℃~155℃の温度で実施される、方法。
【0022】
更なる実施形態では、第1の残渣、第2の残渣、又はその両方を、10部の残渣対1部のキャノーラ油の比でキャノーラ油に溶解することを更に含む、方法。
【0023】
更なる実施形態では、全スペクトルヘンプ抽出物の第2の蒸留物、又は組み合わされた第2の蒸留物及び第3の蒸留物中のCBDの濃度が、約70%~約90%である、方法。
【0024】
更なる実施形態では、全スペクトルヘンプ抽出物の第2の蒸留物、又は組み合わされた第2の蒸留物及び第3の蒸留物中のΔ9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の濃度が、約0.1%~2.99%である、方法。
【0025】
更なる実施形態では、全スペクトルヘンプ抽出物の第2の蒸留物、又は組み合わされた第2の蒸留物及び第3の蒸留物中の総カンナビノイドが、約77%~約97%である、方法。
【0026】
更なる実施形態では、全スペクトルヘンプ抽出物の第2の蒸留物、又は組み合わされた第2の蒸留物及び第3の蒸留物が、少なくとも1つのテルペンを含む、方法。
【0027】
好ましい実施形態では、Δ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)の除去によってカンナビノイドベースの抽出生成物からの精製された広域スペクトルヘンプ抽出物を生成するための方法であって、(a)約2:1のヘキサン対抽出生成物の比でヘキサン中にカンナビノイドベースの抽出生成物を溶解することと、(b)ヘキサン:メタノール:水をそれぞれ5:4:1の比で混和することによって、遠心分配クロマトグラフィ(centrifugal partition chromatography、CPC)用の溶媒系を配合することと、(c)溶媒系を有効な時間量にわたって上層と下層とに分離させることと、(d)水、メタノール、又はその両方を使用して、70°F(約21℃)で下層の密度を約0.8g/cm3に調整することと、(e)溶解したカンナビノイドベースの抽出生成物をCPC装置に通して、溶解したカンナビノイド系抽出生成物を再生画分、THC不含画分、及び廃棄物画分に分離することと、(f)約140°F(約60℃)及び完全真空で加熱するように設定された水平拭取り薄膜型蒸発器中で、THC不含画分からヘキサン、メタノール、水、又はこれらの組み合わせを蒸留することと、(g)少なくとも約100℃に設定された油浴を有する回転蒸発器を使用して、THC不含画分からヘキサン、メタノール、水、又はこれらの組み合わせを蒸留することと、(h)真空下の非加熱回転蒸発器、真空下の加熱回転蒸発器、又はその両方を使用して、THC不含画分から水を除去することと、(i)得られる広域スペクトルヘンプ抽出物を収集することと、を含む、方法。
【0028】
更なる実施形態では、広域スペクトルヘンプ抽出物中のCBDの濃度が、約79%~約99%である、方法。
【0029】
更なる実施形態では、カンナビノイドベースの抽出生成物が、全スペクトルヘンプ抽出物、好ましくは本方法によって生成された全スペクトルヘンプ抽出物である、方法。
【0030】
更なる実施形態では、完全真空が、100torr未満又は約13.3kPaの真空である、方法。
【0031】
好ましい実施形態では、生成物であって、(i)プロセスによって得ることができる全スペクトルヘンプ抽出物又はプロセスによって得ることができる広域スペクトルヘンプ抽出物と、(ii)脂肪又は油と、を含み、当該生成物が、約1%~99%の全スペクトルヘンプ抽出物又は広域スペクトルヘンプ抽出物を含む、生成物。更なる実施形態では、脂肪又は油が、低温圧搾ヘンプ種子油又は中鎖トリグリセリド(medium chain triglyceride、MCT)油である、生成物。更なる実施形態では、脂肪又は油が、シアバターである、生成物。
【0032】
好ましい実施形態では、経口配合物であって、(i)約0.1重量%~30重量%の、プロセスによって得ることができる全スペクトルヘンプ抽出物又はプロセスによって得ることができる広域スペクトルヘンプ抽出物と、(ii)約25重量%~70重量%の中鎖トリグリセリド(MCT)油と、(iii)約25重量%~70重量%の低温圧搾ヘンプ種子油と、を含む、経口配合物。
【0033】
更なる実施形態では、約0.1重量%~5重量%のテルペンブレンドを更に含む、経口配合物。更なる実施形態では、テルペンブレンドが、β-ミルセン、β-カリオフィレン、リナロール、α-ピネン、シトラール、D-リモネン、ユーカリプトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のテルペンを含む、経口配合物。
【0034】
更なる実施形態では、香味剤を更に含む、経口配合物。
【0035】
更なる実施形態では、粘膜付着剤を更に含む、経口配合物。更なる実施形態では、粘膜付着剤が、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、又はこれらの組み合わせである、経口配合物。
【0036】
好ましい実施形態では、膣内配合物であって、(i)約0.1重量%~50重量%の、プロセスによって得ることができる全スペクトルヘンプ抽出物又はプロセスによって得ることができる広域スペクトルヘンプ抽出物と、(ii)約10重量%~90重量%のシアバターと、を含む、膣内配合物。
【0037】
更なる実施形態では、約0.1重量%~10重量%のテルペンブレンドを更に含む、膣内配合物。更なる実施形態では、テルペンブレンドが、β-ミルセン、β-カリオフィレン、リナロール、α-ピネン、シトラール、D-リモネン、ユーカリプトール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される1つ以上のテルペンを含む、膣内配合物。
【0038】
更なる実施形態では、約5重量%~50重量%の低温圧搾ヘンプ種子油を更に含む、膣内配合物。
【0039】
更なる実施形態では、pH調節剤を更に含む、膣内配合物。更なる実施形態では、浸透圧調節剤を更に含む、膣内配合物。
【0040】
好ましい実施形態では、全スペクトルヘンプ抽出物を生成するためのシステムであって、フォルスボトムを作製するために内部に配置されたメッシュスクリーンを有する抽出器ドラムであって、メッシュスクリーンによって実質的に保持され、フォルスボトムに入ることを防止されるようにサイズ決めされたカンナビノイド緑色材料と、カンナビノイド緑色材料から抽出された材料が溶解され、かつフォルスボトムに収集することができる、約5%のへプタン及び約95%のエタノールを含む、抽出溶媒と、を含むように構成されている、抽出器ドラムと、抽出溶媒及び溶解した材料を受け入れるように構成されたプレート熱交換蒸発器であって、抽出溶媒を蒸発させるために約160°F~190°F(約70℃~90℃)及び約5psi~約10psi(約34kPa~約69kPa)の圧力に設定することができる第1のセットのプレート熱交換器と、蒸発した抽出溶媒を得られるカンナビノイド濃縮物から凝縮させるために約70°F(約21℃)に設定することができる第2のセットのプレート熱交換器と、を有する、プレート熱交換蒸発器と、カンナビノイド濃縮物、水、及びヘキサンをそれぞれ約2:1:2の比で受け入れるように構成された分配漏斗であって、その結果、カンナビノイド濃縮物が、分配漏斗内で、水に溶解した水溶性物質とヘキサンに溶解したヘキサン可溶性物質とに分配され得る、分配漏斗と、ヘキサン及びヘキサン可溶性物質を受け入れるための流下薄膜型蒸発器であって、ヘキサン可溶性物質からヘキサンを除去するための約160°F~約200°F(約70℃~約95℃)の第1の設定と、約20torr~25torr(約2,650Pa~3,350Pa)まで徐々に増加させることができる初期約10torr未満(1350Pa未満)の真空圧力を可能にする第2の設定と、を有し、第2の設定は、ヘキサンが、除去されていると視覚的に評価された後に設定されるように構成されており、約1時間後にヘキサン可溶性物質を含む粗製油の生成を可能にする、流下薄膜型蒸発器と、蒸発したヘキサンを凝縮させるために50°F(10℃)に設定することができる流下薄膜型蒸発器に動作可能に接続された凝縮器と、粗製油を受け入れるための真空オーブンであって、粗製油を脱気するために310°F(約155℃)及び真空下に設定することができる、真空オーブンと、少なくとも2回連続して通過させた後に、脱気された粗製油から精製された全スペクトルヘンプ抽出物を生成するための少なくとも1つの拭取り薄膜型ショートパス蒸留器であって、第1のパスが、粗製油からテルペンを除去し、第2のパスが、蒸留物として全スペクトルヘンプ抽出物を生成する、少なくとも1つの拭取り薄膜型ショートパス蒸留器と、を備える、システム。
【0041】
好ましい実施形態では、全スペクトルヘンプ抽出物を生成するための方法を実施するためのシステムの、使用。
【0042】
好ましい実施形態では、50~95%のCBD及び0.1~5%のΔ9-THCを含む、上記方法のいずれか1つによって作製された大麻抽出物。
【0043】
更に好ましい実施形態では、大麻抽出物は、Δ9テトラヒドロカンナビノール(Δ9 tetrahydrocannabinol、Δ9-THC)、テトラヒドロカンナビノール酸(THCA)、テトラヒドロカンナビバリン(tetrahydrocannabivarin、THCV)、Δ8テトラヒドロカンナビノール(Δ8 tetrahydrocannabinol、Δ8-THC)、カンナビクロメン(CBC)、カンナビクロメン酸(cannabichromene acid、CBCA)、カンナビゲロール(cannabigerol、CBG)、カンナビゲロール酸(cannabigerol acid、CBGA)、カンナビジオール(CBD)、カンナビジオール酸(cannabidiolic acid、CBDA)、カンナビジバリン(CBDV)、カンナビノール(CBN)、カンナビシクロール(Cannabicyclol、CBL)、CBDA、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される0.01~5.0%の少なくとも1つの追加のカンナビノイドを含む。
【0044】
好ましい実施形態では、大麻抽出物は、少なくとも2つの追加のカンナビノイドを、各々少なくとも0.1%の重量パーセントで含む。
【0045】
好ましい実施形態では、大麻抽出物は、66~95%のCBD、少なくとも0.1~5.0%、好ましくは0.1~0.3%以下のΔ9-THCを含み、総カンナビノイドは、少なくとも70重量%である。
【0046】
更なる実施形態では、本明細書で定義されるプロセスによって製造される生成物であって、当該生成物が、1~99%の大麻抽出物を含み、大麻抽出物が脂肪又は油と混和されている、生成物。
【0047】
更に好ましい実施形態では、脂肪又は油が、低温圧搾ヘンプ種子油又はMCT油である、生成物。更に好ましい実施形態では、脂肪又は油が、シアバターである、生成物。
【0048】
更なる実施形態では、経口配合物であって、:経口配合物の10~90重量%を含み、かつ0.1~10%の濃度のMCT油を含む、本明細書で定義されるプロセスのいずれか1つによって作製される抽出物と、低温圧搾ヘンプ種子油と、を含み、各々が経口配合物の総重量の25~70%を有する、経口配合物。
【0049】
更に好ましい実施形態では、経口配合物は、風味材料を含む。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【
図1】全スペクトルヘンプ抽出物(FSHE)を抽出及び生成するための工程のフロー図を描写する。
【
図2】
図1の方法を行うために利用され得る例示的なシステムのブロック図及びフロー図の組み合わせを描写する。
【
図3】ヘンプ緑色材料から物質を抽出するための工程のフロー図を描写する。
【
図4】抽出物から抽出溶媒を蒸留して、抽出物を濃縮するための工程のフロー図を描写する。
【
図5】濃縮物を2つの異なる液相間で分配するための工程のフロー図を描写する。
【
図6】分配された濃縮物から非極性溶媒を蒸留して、粗製油を得るための工程のフロー図を描写する。
【
図7】FSHEを生成するために粗製油を精製するための工程のフロー図を描写する。
【
図8】FSHEからTHCを除去して、広域スペクトルヘンプ抽出物(BSHE)を生成するための例示的なプロセスを描写する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
様々な実施形態が、添付の図面を参照して、以下でより完全に説明される。これらの図面は、本明細書の一部分を形成し、例示として、具体的な例示的実施形態を示すもので、それによって、革新が実践され得る。しかしながら、実施形態は、多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的かつ完全であり、実施形態の範囲を当業者に十分に伝えるように提供されるであろう。とりわけ、様々な実施形態は、方法、配合物、組成物などであり得る。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0052】
定義:
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、それが使用されている数の数値の±5%を意味する。したがって、約50%は、45%~55%の範囲を意味する。非限定的な例として、約150℃の温度は、142.5℃~157.5℃の範囲を意味し、端点及びその間の全ての数を含む。
【0053】
本明細書で使用される場合、「広域スペクトルヘンプ抽出物(BSHE)」BSHEは、抽出物を精製するために少なくともいくらかの精製を受けたCannabis属の植物に由来する組成物である。典型的には、BSHEは、60~99.9%のCBDと、Δ9-THC、THCA、THCV、Δ8-THC、CBC、CBCA、CBG、CBGA、CBDA、CBDV、CBN、CBL、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加のカンナビノイドと、を含み、その合計は0.1~40%である。
【0054】
本明細書で使用される場合、「大麻抽出物」(cannabis extract、CE)という用語は、Cannabis属の植物(ヘンプを含む)に由来する組成物である。典型的には、大麻抽出物は、カンナビジオールを含有し、より典型的には、カンナビジオール(CBD)と、Δ9-THC、THCA、THCV、Δ8-THC、CBC、CBCA、CBG、CBGA、CBDA、CBDV、CBN、CBL、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加のカンナビノイドとの両方を0.1~40%で含む。本発明による大麻抽出物は、典型的には、カンナビジオールが富化されており、1~99.9%のCBD、好ましくは20~99.9%のCBD、より好ましくは50~99.9%のCBD、更により好ましくは70~99.9%のCBD、最も好ましくは90~99.9%のCBDを含むことができる。全スペクトルヘンプ抽出物、広域スペクトルヘンプ抽出物、CBD単離物、及びCBDA単離物は、CEの非限定的な例として、本明細書で利用される大麻抽出物の形態である。
【0055】
本明細書で使用される場合、「組成物」は、指定された成分を指定された量で含む生成物、並びに指定された成分の指定された量の組み合わせから直接又は間接的に得られる任意の生成物を包含することを意図する。
【0056】
本明細書で使用される場合、「CBD/CBD単離物」は、98%を超える純度までのCBD分子の精製濃度を包含する。
【0057】
本明細書で使用される場合、「全スペクトルヘンプ抽出物(FSHE)」という用語は、CBDと、0を超える、好ましくは0.01%~5%、最も好ましくは0.01%~0.3%の量のTHCと、を含有するCannabis属の植物に由来する組成物である。FSHEは、追加のカンナビノイドを含んでもよく、CEの重量の少なくとも50~99%のCBD、少なくとも0.01%~10%のTHC(Δ9-THC、THCA、THCV、Δ8-THCの合計)、及び50%~99%の総カンナビノイドを含む生成物を生じる。
【0058】
本明細書で使用される場合、「原料材料」は、抽出プロセスで使用されるために収穫される大麻植物を包含する。
【0059】
本明細書で使用される場合、「大麻ベースの緑色材料」(cannabis-based green material、GM)は、花/花序及びいくつかの葉材料を含むほとんどのカンナビノイドを生成する原料材料の部分を包含する。好ましくは、「大麻ベースの緑色材料」は、大麻属の植物の花序及び葉材料を指す。
【0060】
本明細書で使用される場合、「抽出物」は、抽出溶媒及び抽出溶媒に溶解した抽出材料を包含する。
【0061】
本明細書で使用される場合、「濃縮物/濃縮抽出物」は、抽出溶媒が除去された後に残る抽出物からの抽出された材料を包含する。
【0062】
本明細書で使用される場合、「分配された濃縮物」は、非極性溶媒に可溶であり、かつ水相と非極性溶媒との間の濃縮物の分配から生じる、濃縮物中の材料を包含する。
【0063】
本明細書で使用される場合、「粗製油」は、分割工程からのヘキサンが留去された後に得られる油を包含する。
【0064】
本明細書で使用される場合、「残渣」は、蒸留の結果として残された材料、より具体的にはショートパス蒸留器における蒸留工程の結果として残された材料を包含する。
【0065】
本明細書で使用される場合、「蒸留物」は、蒸留工程で除去された(すなわち、蒸発及び再凝縮された)材料、より具体的には、ショートパス蒸留器での蒸留の結果として除去された材料を包含する。
【0066】
本明細書で使用される場合、「の少なくとも一部分」は、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、更により好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%、例えば、75%~99%、75%~95%、又は75%~90%を指す。したがって、抽出物から抽出溶媒の少なくとも一部分を留去することは、典型的には、抽出物から抽出溶媒の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、更により好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%、例えば、75%~99%、75%~95%、又は75%~90%を留去することを意味する。同様に、濃縮物から水溶性物質の少なくとも一部分を除去することは、典型的には、濃縮物から水溶性物質の少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、より好ましくは少なくとも20%、更により好ましくは少なくとも50%、最も好ましくは少なくとも75%、例えば、75%~99%、75%~95%、又は75%~90%を除去することを意味する。
【0067】
本明細書で使用される場合、「非極性溶媒」は、Burdick及びJacksonによって計算された値に従って、3.5以下の極性指数を有する溶媒を指す(https://macro.lsu.edu/howto/solvents/polarity%20index.htmで入手可能なリスト)。好ましくは、非極性溶媒は、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、30~40℃で沸騰する石油エーテルの画分、40~60℃で沸騰する石油エーテルの画分、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、及びジクロロメタンから選択される。最も好ましくは、非極性溶媒は、ヘキサンである。
【0068】
本明細書で使用される場合、「THC不含画分」は、0.1%未満又はそれ以下のΔ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)、好ましくは0.008%以下、より好ましくは0.0027%未満のTHCを含有する遠心分配クロマトグラフィから得られた画分である。
【0069】
本明細書で使用される場合、「再生画分」は、2%を超えるΔ-9-テトラヒドロカンナビノール(THC)及び40%を超えるカンナビジオール(CBD)も含有する遠心分配クロマトグラフィから得られた画分である。そのような画分は、本明細書に記載される所望のBSHE生成物をより多く得るために、遠心分離分配工程において再循環され得る。
【0070】
本明細書で使用される場合、「廃棄物画分」は、10%以下のカンナビジオール(CBD)を含有する遠心分配クロマトグラフィから得られた画分であり、遠心分配クロマトグラフィ工程の後にリサイクルされるか、又は廃棄されるかのいずれかである。
【0071】
Ralph Mechoulamは、Cannabis植物から抽出された複数の天然に存在する化合物が並行して消費される場合に現れる不可解な相乗作用を説明するために、「アントラージュ(entourage)効果」という用語を造った。この効果は、単離されたCBDのみより多くを含むヘンプ抽出物中の様々な栄養素からの多経路活性化及びシグナル伝達の結果であると考えられる。
【0072】
本明細書に記載のプロセスから得られる全スペクトルヘンプ抽出物(FSHE)は、ヘンプ植物から抽出された複数の天然に存在するカンナビノイドを含む。そのようなFSHEはまた、限定されないが、必須脂肪酸、フラボノイド、テルペン、ビタミン、ミネラルなどの追加の天然に存在する植物栄養素、例えば、限定されないが、オメガ3及びオメガ-6脂肪酸、抗酸化剤、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、カルシウム、リン、ビタミンE、及び他の分子を含むことができる。広域スペクトルヘンプ抽出物(BSHE)は、CBDを含む他のカンナビノイドを保持しながら、FSHEから検出できる量のTHCを除去することによって生成される。BSHEはまた、FSHEに見出される追加の非カンナビノイド植物栄養素の一部分又は全てを含む。したがって、複数の種類のカンナビノイド+他の天然に存在する植物栄養素の利益を得るために、カンナビジオールのみであるCBD単離物からではなく、本明細書に記載されるプロセスによって生成されるものなどのFSHE又はB SHEを使用すべきである。
【0073】
ヘンプ植物からカンナビノイド及び他の植物化学物質を抽出することは、生成物の商業的実行可能性に対する多くの課題をはらんでいる。第一に、フィトカンナビノイドは、水にほとんど不溶性であり、したがって、それらはアルコール及び/又は非極性有機溶媒を使用して、抽出されなければならない。これらの溶媒はまた、所望の分子に加えて、多くの不純物及び他の望ましくないものを抽出することになる。不純物、望ましくない分子、及び溶媒は全て、所望のカンナビノイド及び植物栄養素から分離及び除去される必要があり、これは複雑で、時間がかかり、高価であり得る。いくつかのプロセスは除去能力が不十分であり、得られる抽出物中に不純物及び時には有害物質が残る。逆に、高品質の生成物を生成しようとする試みにおいて、他のプロセスは、不純物などに加えて多くの所望のカンナビノイド及び植物栄養素を除去し得る。いずれにしても、これらのプロセスのうちの多くは時間がかかり、バッチ間で一貫性のないカンナビノイドプロファイルに悩まされていた。更に、多くの生成プロセスは、維持できないほど低い収率で終わり、生成された抽出生成油の価格が高くなる。
【0074】
出願人は、ヘンプ植物からカンナビノイド及び他の植物栄養素を抽出し、より効率的なシステム及びプロセスを介してそのような抽出物を精製し、所望の鍵となる化合物のより高い収率を生成し、所望のカンナビノイド、テルペン、及び抽出物中に見出される他の分子の多様性を増加させ、最終生成物のより高い一貫性を提供する、改善された方法を発見した。得られる高品質のFSHE及びBSHEは、個人用途及び医薬用途の両方に好適である。
【0075】
本発明者らの以前のプロセスは、良好に機能したが、特にスループットに関して改善することができた。従来のプロセスに従って、カンナビノイド及び他の植物栄養素を、溶媒としてエタノールを使用して凍結GMから抽出した。水平拭取り蒸発器を使用して、抽出された材料からエタノールを除去した。エタノール除去の結果は、黒色タール状物質であり、これが蒸留するとヘンプ油を生じた。ガラス器具及び他の機器に付着した黒色タール状物質は、取り扱うのが困難であり、除去は、しばしば、物理的除去によってガラス器具及び機器に損傷を引き起こした。実際に、約1日かかる抽出/精製と比較して、ガラス器具及び他の機器から物質を洗浄するのに最大2週間かかる可能性がある。更に、カンナビノイドなどが、ガラス器具/機器上に残された黒色タール状物質中に失われたので、収率は不完全であった。したがって、従来のプロセスは、少なくとも材料の高い実行コスト及び1つのバッチのGMの処理と次のバッチの処理との間の洗浄に必要な時間のために、しかしまた、収率を劇的に増加させることによって、改善され得る。
【0076】
多くの実験の後、本発明者らは、スループット、収率、結果の一貫性、及び精製された抽出物中に保持されるカンナビノイドの多様性を改善しながら、最低でもコスト及び廃棄物を減少させる複数のカンナビノイド抽出並びに精製プロセスを発見した。
図1は、FSHEを生成するための改善されたプロセス(1)の概要であり、
図2は、プロセス(1)が行われ得るシステム(200)のブロック図である。一般に、プロセス(1)は、以下の工程及び関連するシステム(200)構成要素を含む:抽出のためのヘンプGMを調製する工程(2、202)、調製されたGMから可溶性材料/物質を抽出する工程(3、206)、抽出溶媒を蒸留して、抽出物を濃縮する工程(4、210)、溶解特性に基づいて、濃縮液を2つの相に分配する工程(5、212)、分配された濃縮液の上相から非極性溶媒を蒸留して、粗製油を得る工程(6a、214)、粗製油を脱炭酸及び脱気する工程(6b、216)、粗製油を精製して、FSHEを得る工程(7、218)。FSHEは、BSHEを生成するためなどの任意選択の追加のプロセス(
図8)を受けてもよい。前述の工程の各々の詳細は、以下の段落及び関連する図面において扱われる。
【0077】
GMの調製は、栽培者から始まる。具体的には、それは播種された種子から始まり、収穫及び包装を通して継続する。本明細書に詳述されるヘンプ抽出物を生成するために使用される植物は、米国農務省(United States Department of Agriculture、USDA)によって、0.3%w/w未満のTHCを有する「ヘンプ」として認識されている。その上、収穫された原料材料は、0.01ppm未満の農薬を有するべきであり、乾燥後、カビの成長を防止するために、0.8未満、好ましくは0.7未満の持続した水分活性(aw)を有するべきである。栽培者が可能な限り最良の生成物を提供するのを支援するために、多くの栽培者が経験する包装及び/又は天候条件を模倣して実験を行った。一般に、原料材料は異なる速度で包装され、新鮮な空気へのアクセスは、納屋において実際に包装された原料材料を模倣するように制御された。最良の結果を得るためには、原料材料、包装前に0.8未満のawを有するように乾燥されるべきであることが見出された。awが0.8未満になると、包装時にカビの成長は観察されない。原料材料が緩く包装されている場合、0.8未満のawを有するように乾燥するのに室温で約24時間かかった。
【0078】
天候もまた、特に納屋に吊り下げられて脱穀された場合、原料材料awに影響を及ぼし得る。雨天での大麻原料材料awを試験するために設計された実験から、1日又は2日の雨は、それが納屋に掛けられたときに原料材料のawに悪影響を及ぼさなかったが、数日間にわたる連続的な雨は、awを許容限界を超えて上昇させ、カビの成長に対する感受性を増加させたことが決定された。上記を考慮して、栽培者は、最初に許容可能なawを得て、原料材料が手元にある間にそのawを維持するために、原料材料の最適な栽培、収穫、及び包装を計画することができる。
【0079】
全体的な収率は、原料材料の品質だけでなく、所望の分子が緑色材料(GM)から除去され、損失なく保持される程度にも依存する。抽出のために調製された緑色材料は、一般に、花/花序及び葉などのほとんどのカンナビノイドを生成するヘンプ植物の部分を指す。ヘンプGMを調製する工程(2)及びヘンプGMから物質を抽出する工程(3)は、
図3に概説される方法(300)に詳述される。方法(300)は、抽出前に、カビ又は他の侵入についての目視検査によって、及び以前に行われていない場合は試験によってなど、栽培者(302)からのGMを検査することを含み得る。例えば、GMは、0.3%w/w未満のTHC及び0.01ppm未満の農薬を含有することと、0.7未満のa
wを有することと、を確実にするために試験される。乾燥したGMを約0.25インチに細断/粉砕し、所定の重量に秤量する。また、
図2を参照すると、調製されたGMは、ボックスダンパ及びオーガコンベヤ(202)を介して抽出器ドラム(206)内に装填される(304)。装填の間、調製されたGMは、所定の重量全体を抽出器ドラム(206)内に適合させるために、時折突き固められる必要があり得る。抽出器ドラム(206)にはメッシュスクリーン(208)が取り付けられ、フォルスボトムを創出し、抽出器ドラム(206)の底部に収集される抽出溶媒から粒子状GMを保持するのを助ける。
【0080】
抽出溶媒はまた、凍結温度以下に冷却することによって、使用前に調製される(306)。一般に、抽出溶媒は、冷却流体がポンプで送り込まれるジャケットを有する溶媒タンク(204)内で冷却される。このようにして、抽出溶媒は、使用前に約0℃~約-20℃の温度に冷却される。抽出溶媒が所望の温度であるとき、抽出溶媒は、所望の体積に達するまで、しかし少なくとも抽出ドラム(206)内でGMを飽和させるのに必要な量に達するまで、抽出ドラム(206)にポンプで送り込まれる。好ましい実施形態では、抽出溶媒は、Greenfield Global製の完全変性アルコール配合物CDA-12A-1(完全変性アルコール)であり、これは、5%ヘプタン及び95%200プルーフエタノールを含むが、実施形態はこれに限定されない。
【0081】
抽出器ドラム(206)が、適切な量の調製されたGM及び抽出溶媒で満たされると、GMは、第1の抽出サイクル(310)を通される。一般に、抽出溶媒は、GMを通って流れ、抽出器ドラム(206)のフォルスボトム内に収集される。そこから、抽出溶媒は、抽出器ドラム(206)の上部にポンプで戻されて、GMを通して浸透し、フォルスボトム内に収集され、そこで抽出器ドラム(206)の上部に再びポンプで戻される。抽出溶媒の循環は、大気圧で約1時間継続する。その後、第1の抽出サイクルからの抽出物は、微細メッシュフィルタを通してポンプで送られることによって収集され(312)、任意の粒子状GMを除去し、保持タンクに入れる。
【0082】
抽出器ドラム(206)内のGMは、必要とされないが、第2の抽出サイクル(314)に供されてもよい。第2の抽出サイクル(314)が所望される場合、抽出ドラム(214)は、第1の抽出サイクル(310)に使用される体積の約1/3~1/2である体積まで、冷抽出溶媒で充填される。第2の抽出サイクル(312)は、任意の追加の可溶性材料を抽出するために、少なくとも約1時間、第1の抽出サイクルと同じ方法で抽出溶媒を循環させる。複数回の抽出が行われる場合、各々からの抽出は、各抽出工程から組み合わされ得る。その後、第2の抽出サイクル(314)からの抽出物は、保持タンクに汲み出され、GMは廃棄される。その中に溶解したGMからの材料/物質を含む抽出溶媒は、一般に抽出物と称される。抽出物は、GMから抽出された全ての可溶性物質を含有し、ワックス、糖、セルロース、クロロフィル、汚れ、細胞破片、並びにもちろんカンナビノイド、及び他の植物栄養素が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
抽出工程(3)の目的は、ヘンプGMからヘンプ油(カンナビノイドを含む)を抽出することであるので、この段階での改善は収率を改善することになる。そこで、ヘンプGMから物質を抽出する上記の方法を、ある特定のパラメータを変化させて収率を検討することによって開発した。黒色タール状物質中の不純物はタール状物質を扱う際の困難性に寄与すると思われるので、収率を維持しながら、又は好ましくは増加させながら、不純物が後に残る(すなわち、抽出されない)かどうかを調べるために、異なる抽出溶媒を試験した。具体的には、抽出溶媒としてヘキサン、エタノール、完全変性エタノールを使用した場合の収率を調べた。ヘキサンは、最適以下の結果をもたらした。エタノールで抽出した場合、収率はより良好であり、完全変性アルコール収得量での抽出が最良であった。更に、冷却した完全変性アルコール(上記のような)は、黒色タール状物質が問題のままであったとしても、全体として最良の収率を与えた。
【0084】
他のパラメータを試験して、収率に対するそれらの影響を調べた。驚くべきことに、調製されたGMのサイズは結果に影響を及ぼした。これは、GMのサイズを抽出器ドラム(206)のフォルスボトムと組み合わせて考慮した場合に特に当てはまる。ここでも、抽出物からできるだけ多くの破片、不純物、及び他の汚染物質を排除するために、炭素、珪藻土、又は砂などの天然材料を通して抽出物を濾過することを、1つ以上の合成フィルタを通して濾過することと同様に試験した。フォルスボトムを創出するもの(208)及び/又は抽出物が保持タンクにポンプで送られるものなどの合成フィルタは、抽出物から粒子状GMを十分に保持した。更に、合成フィルタと組み合わせたGMの最適サイズは、約0.25インチであることが分かった。このサイズは、抽出物からの粒子状GMのより高価で面倒な濾過も必要とする微細な切断又は粉砕による損失を生じるほど小さくすることなく、所望のカンナビノイド及び他の植物栄養素の完全な抽出を可能にする。
【0085】
抽出再開発中に調べた別のパラメータは、抽出前にGMを凍結する必要性であった。凍結GM及び室温GMの抽出物から比較した収率は、抽出前にGMを凍結しても効率が改善されないことを示した。前述の結果の組み合わせは、GMの凍結を省略し、天然材料を通して抽出物を濾過することによって、コスト及び時間を減少させた。それはまた、より多くの量及び種類のカンナビノイドが完全変性アルコールで抽出されることを可能にすることによって、本発明者らの収率を増加させた。しかしながら、驚くべき結果は、カンナビノイドが抽出される調製されたGMのサイズが収率を大きく改善することを見出したことであった。
【0086】
生成プロセス(1)の次の工程(4)は、抽出物から抽出溶媒を蒸留して濃縮物を形成することによって、精製局面を開始する。濃縮物は、望ましさにかかわらず、全ての可溶性抽出材料を含有する。換言すれば、この工程は主に、抽出溶媒のみを除去する。除去された抽出溶媒は、再利用のために収集されるが、得られる濃縮物は、追加の処理を受ける。
図2を参照すると、前の工程からの抽出物が貯蔵される保持タンク(図示せず)は、蒸発器(210)に接続する。蒸発器(210)は、プレート熱交換技術を使用して、抽出溶媒を蒸発及び凝縮させる。結果として、凝縮された抽出溶媒は、濃縮された抽出物又は濃縮物から分離される。
図4に詳述された方法(400)を参照すると、より具体的には、抽出物は、保持タンクから蒸発器(210)に、特に約5~10psiの圧力でプレート熱交換器を通して供給される(402)。スチームは、約20~30psiの圧力でプレート熱交換器に供給される。スチームは、抽出物を約160°Fより高い温度、好ましくは約190°Fに加熱し、抽出溶媒を蒸発させる(404)。約160°F~190°Fの温度は、抽出溶媒の蒸発及び凝縮の間、かなり一定に保たれなければならない。その後、蒸発した抽出溶媒は、約70°Fに設定された凝縮器を通過して、蒸気を凝縮させる(406)。凝縮器液は任意の供給源であってよいが、プロピレングリコール:水の50:50混合物がこの目的に有用である。凝縮された抽出溶媒は、再利用のために収集される(408)。抽出溶媒がほとんど残っていない場合、蒸発器(210)内を循環する濃縮物の温度は、約240°F~約260°Fに達することが可能である。この温度は、残りの抽出溶媒を蒸発及び凝縮させ、残りのカンナビノイドの少なくとも一部を脱炭酸させる。温かい濃縮物は、保持タンク(図示せず)にポンプで送られる(410)。特に、蒸発器(210)の熱及び凝縮成分は、蒸留が始まる前に設定されるべきであり、約5~10psiの背圧が、加熱されたプレート交換器に印加されて、プレート内部の蒸留を防止するべきである。抽出物が含まれる保持タンクの圧力は大気圧である。抽出溶媒及び濃縮物が蒸発器(210)から除去された後、追加のエタノール又は完全変性アルコールを使用して、蓄積した濃縮物を蒸発器(210)から除去することができる。
【0087】
プロセス(1)における次の工程である分配工程(5)は、
図5の方法(500)において詳述される。この工程は、プロセス(1)の精製部分のために新たに創出されたものであり、黒色タール状物質である濃縮物を扱う際の困難性を低減するように設計されている。濃縮物中の水溶性不純物は、濃縮物を扱う際の困難さの大きな原因であり、ヘキサン(GMから直接)による水溶性不純物の抽出を減少させる試みは、十分な収率をもたらさなかったので、収率の損失なしに抽出物から水溶性不純物を除去することができるかどうかを調べるために実験を行った。
【0088】
最初の実験は、抽出溶媒を含む抽出物に対して水及びヘキサンを使用する液体/液体抽出に焦点を当てた。液体/液体抽出の背後にある考えは、疎水性材料/物質が溶解して親水性材料から分離し、親水性材料は水相とともに除去することができるということである。ヘキサン、抽出物、及び水の様々な比を試験した後、収率の損失なしに成分を2相に分離するための最良の比は、5:1:1(ヘキサン:抽出物:水)であることが見出された。この比はまた、後続の蒸留工程での精製をはるかに容易にし、全体的な洗浄をより迅速かつ容易にした。相分離に必要な最適時間も決定した。
【0089】
実験を続けると、液体-液体抽出の前に抽出溶媒が除去されたとき(例えば、
図1の工程4、
図4、400)、より良好な結果が達成されることが発見された。すなわち、抽出物を分配するとき、CBDAが水相に沈降し、水溶性不純物とともに除去されることが見出された。CBDAはCBDの前駆体であり、したがってその保持が収率にとって最も重要である。分配前に抽出溶媒を除去することにより、いくつかの予期せぬ利点が得られた。1つは、抽出溶媒を回収し、廃棄物として処分する代わりに再使用することができることであった。結果として、分配によって生成された廃棄物は、主に水であるより清浄なものであり、これはまた、処分のコストを低減する。しかしながら、より重要なことは、蒸発器(210)からの熱がCBDAを脱炭酸してCBDにするという認識であった。CBDは水中よりもヘキサン中により容易に溶解するので、分配工程に入るより多くのCBDが生成されると(CBDAの脱炭酸により)、収率が劇的に増加する。したがって、CBDAが脱炭酸されてCBDになることを確実にするために、前の工程(工程4/
図4)を改変して、CBDA(410)の脱炭酸を強制した。具体的には、約240°F~約260°Fの温度で蒸発器(210)内で濃縮物を循環させることにより、抽出されたCBDAの少なくとも一部分が脱炭酸されることになる。分配前に抽出溶媒を除去する別の利点は、抽出溶媒体積の損失により、分配された各バッチに対して、抽出物よりも多くの濃縮物を添加することができることである。次に、より少ない時間及びエネルギーが分配工程に費やされる。
【0090】
濃縮物は抽出物よりも分配に好適であるので、溶媒比及び他のパラメータも変化させなければならなかった。例えば、最良の収率を得るために、溶媒及び濃縮物が混合されるべきある特定の順序、相が分離するために必要とされる時間、並びに水相が収集及び再分配され得ることが発見された。追加的に、蒸発器(210)と分配漏斗(212)との間の接続は、エタノールで洗い流すことができ、エタノールは、更に多くのカンナビノイド回収のために分配漏斗(212)に添加することができることが見出された。
【0091】
図2及び
図5をともに参照すると、飲料水は、他のもの(502)の前に分配漏斗(212)に添加される。水対濃縮物対ヘキサンの最終比が最適には水1部、濃縮物2部、及びヘキサン2部であるように、十分な水が存在すべきである。しかしながら、ヘキサンは約2部~5部の範囲であってもよく、濃縮物は約2部~5部の範囲であってもよく、水は約1部~5部の範囲であってもよいという柔軟性が存在する。その後、濃縮物は、蒸発器(210)から分配漏斗(212、504)にポンプで送り込まれる。濃縮物及び水は、濃縮物が分配漏斗(212)にポンプで送り込まれるときに混合されるべきである。その後、食品グレードのヘキサン(純度98%)を分配漏斗(506)に添加する。分配漏斗は、ヘキサン、濃縮物、及び水を大気圧で1~20分間、好ましくは5~10分間循環させるように設定される(508)。より長い実行時間は許容可能であるが、必要ではない。循環により、相が混合し、抽出された材料を水相又はヘキサン相のいずれかに溶解させることができる。例えば、糖、セルロース、クロロフィルなどの水溶性不純物は水に溶解し、油(例えば、カンナビノイドを含有する)、ワックスなどの疎水性材料はヘキサンに溶解することになる。混合後、2つの相(すなわち、ヘキサン/疎水性、及び水/水性)は、約60分後に分離するはずである(510)。より長い持続時間が使用されてもよいが、必要ではない。分離のためのより短い持続時間が有効であり得るが、収率のいくらかを失うリスクがある。
【0092】
相が分離した後、水(及び水溶性材料)は保持容器(512)に排出される。可溶性材料が溶解したヘキサン層は、流下薄膜型蒸発器(214)にポンプで送られる(514)。任意選択で、例えば、2つの相の分離が明確でなかった場合、収集された水は、それを分配漏斗(212)に戻し、再処理することによって再分配されてもよい。しかしながら、第2の分配プロセスでは、分配を繰り返す前に、等量のヘキサン及び水が分配漏斗(212)に添加される。水相の再分配は、特にCBDAが蒸発器(210)を介してCBDに完全に変換されなかった場合に、カンナビノイド収率を増加させることができる。第2の分配は、水相中で失われた可能性がある任意のCBDAを回収することができる。上述したように、蒸発器(210)から分配漏斗(212)への接続は、少量(例えば、5リットル)のエタノールで洗い流されてもよく、エタノールは、濃縮物が分配漏斗(504、506)に添加された直後に分配漏斗の内容物に添加され得る。エタノールは、収率に影響を与えることなく水層とともに分離することになる。
【0093】
精製プロセスへの分配工程(5)の追加は、広範な洗浄時間を約2週間から3時間未満に短縮することによって、スループットを大幅に増加させた。それはまた、その後の大規模な洗浄を必要としない洗浄された分配された濃縮物を提供することによって、スループットを増加させた。この工程(5)は、流量を改善し、洗浄時間を短縮することによって、容量定数も改善した。機器は、より多くの稼働時間が可能であり、したがって、操作の複雑さ及び時間を追加することなく能力を改善した。分配工程(5)をプロセス全体に含めることによって得られた最も顕著な利点は、収率の増加であった。FSHEの量は以前よりも多く、以前に失われたFSHE中のカンナビノイドはここで保持された。すなわち、この工程(5)なしでは、約50~70%のカンナビノイドしか回収されなかった。この工程(5)により、カンナビノイド回収率の30%の増加が存在する。例えば、表2を参照。
【0094】
全プロセス(1)を更に改変して、分配された濃縮物からヘキサンを除去した。一般に、ヘキサンは蒸留(6a)によって除去される。一実施形態では、ヘキサンは、流下薄膜型蒸発器(214)などの蒸発器内で蒸発され、プレート熱交換器を介して凝縮される。分離した濃縮物からヘキサンを除去すると、粗製油が得られる。分配された濃縮物からヘキサンを除去する工程(6a)は、
図6の方法(600)において詳述される。ヘキサン蒸気が適切に凝縮することを確実にするために、冷却機をオンにし、約50°Fに設定してから、分配された濃縮物を流下薄膜型蒸発器(214)にポンプで送る(602)。流下薄膜型蒸発器(214)の加熱要素は、ヘキサン蒸発が起こるまで(604)、スチームを適用して、分配された濃縮物を約160°F~約200°Fの温度に加熱する。スチーム量は、冷却機圧縮機が100%未満、好ましくは60%で動作することを確実にするように調整される。ヘキサン蒸気は、冷却水を利用してヘキサン蒸気温度を低下させるプレート熱交換器を介して凝縮する(606)。分配された濃縮物は、目視評価に基づいてヘキサンが完全に蒸留されるまで、このシステムを循環する。循環中、蒸発温度は、約275°Fに達することがある。しかしながら、冷却水は、約50°Fの設定点で数度を超えて上昇すべきではない。したがって、蒸発器へのスチームは監視され、それに応じて調整されるべきである。
【0095】
ヘキサンが蒸留することを視覚的に停止したら、システムに真空を適用することができる(608)。一般に、真空は、大気圧での蒸留によって除去されなかった任意の残りのヘキサンを除去するであろう。蒸発器(214)へのスチーム流を減少させ、低圧真空を適用する(例えば、<10torr)。圧力を徐々に上昇させて、約20~25torrにする。可能であれば、スチーム流を増加させてもよい。真空下でのヘキサン蒸留を約1時間継続する。その後、得られる粗製油は、真空オーブン内で脱気するために汲み出される(610、工程6b)。
【0096】
真空オーブン(216)は、流下薄膜型蒸発器(214)の圧力よりも更に圧力を低下させ、流下薄膜型蒸発器は、粗製油から残留溶媒を蒸発させる。真空オーブン内の温度を約310°Fに設定し、真空を2torr未満に設定する。この温度及び圧力で、微量の溶媒を粗製油から蒸発させる。その上、カルボン酸形態のカンナビノイドを含むカルボン酸は、前の工程で既に脱炭酸されていない場合、脱炭酸される。ある特定の軽質テルペンはまた、真空オーブン(216)内で蒸発し得る。目に見える泡立ちが停止するまで(612)、粗製油を真空オーブン中に放置する。典型的には、これは1分~6時間であり、好ましくは約3、2、又は1時間未満である。真空オーブン内での脱気も、精製プロセスのために新たに開発された工程である。この工程(6b)を加える前に、その後の蒸留中に脱気を行った。その後の蒸留前の脱気が収率を改善することが見出された。その上、その後の蒸留中の脱気により、重金属が最終生成物中に漏れる可能性があり、これは許容できない汚染源である。したがって、真空オーブン(216)内での脱気(工程6b)は、収率の増加及び最終生成物の汚染の減少という少なくとも2つの利点を有する。
【0097】
脱気(6b)後、粗製油は精製(7)の準備ができている。精製は、クロロフィル、溶媒、重金属などの任意の残りの不純物を除去する。精製は、拭取り薄膜型ショートパス蒸留器(218)を少なくとも1回、好ましくは2回、任意選択で3回通過させることによって達成される。第1のパスは、粗製油からテルペンなどの揮発性化合物を分離し、第2のパスは、より揮発性の低い不純物からカンナビノイドを分離する。所望であれば、第2のパスから収集された不純物を第3のパスに供して、任意の残りのカンナビノイドを不純物から蒸発させ、分離してもよい。蒸留器パラメータは、最適な結果を得るために各パスについて調整される。以下の表1を参照。
【0098】
一般に、拭取り薄膜型ショートパス蒸留器(218)内の物質を精製するために、物質は、蒸留器(218)のヘッドに入る前又は入るときに加熱することができる。蒸留器壁は、加熱されたジャケット又は電気的に加熱される。加熱により、物質が蒸留器(218)内に流入し、壁の内側を流れ落ちる。物質が壁を流れ落ちると、ワイパーを回転させることによって薄い層に広がる。蒸留器(218)も真空下に維持される。したがって、熱及び真空は、揮発性成分を蒸発させ、内部凝縮器に対して凝縮させる。内部凝縮器での凝縮物は、蒸留物である。蒸発及び凝縮されなかったものは、残渣として蒸留器(218)から出る。蒸留物及び残渣の両方を収集することができる。一実施形態では、蒸留器は、上方に流れて蒸留器の上部から出た蒸気を凝縮する外部凝縮器(図示せず)に接続されてもよい。蒸気が外部凝縮器を通過する場合、蒸気は、外部凝縮器と真空ポンプとの間に位置する冷却トラップ内で凝縮し得る。拭取り薄膜型ショートパス蒸留器(218)の各パスのパラメータは、以下の通りである。
【0099】
【0100】
図7を参照すると、蒸留器(218)を通る第1のパスは、ある特定のテルペン及び他の高揮発性分子がこのパス中に除去されるので、「テルペンパス」と呼ばれる。粗製油が表1に示されるように設定された蒸留器(218)に供給されると(702)、テルペン、一部の不純物などが蒸発し、「第1の蒸留物」(704)として凝縮する。蒸発及び凝縮されなかったものは、より精製された粗製油である第1の残渣である。第1の残渣を収集し(706)、任意選択でキャノーラ油(10:1)に溶解してから、同じ蒸留器又は順次蒸留器で第2の蒸留(708)を通され得る。
【0101】
第2のパス蒸留では、より高い圧力のテルペンが第1のパスで既に除去されているので、蒸留器をより高い温度に加熱し、より低い圧力に設定する(表1)。内部凝縮器も、より高い温度である(表1)。蒸留器パラメータに対するこれらの変化は、カンナビノイドを蒸留器内部で蒸発及び凝縮させ、より重い、より揮発性の低い不純物を残す。すなわち、蒸留器内で、カンナビノイドは、第1の残渣から蒸発し、内部凝縮器上で凝縮して、第2の蒸留物(710)として蒸留器から流出する。より重く、揮発性の低い材料は蒸発せず、第2の残渣(712)として蒸留器から出る。第2の蒸留物は、FSHEを含む精製された油であり、これは収集される。第2の残渣中に残っている任意のカンナビノイドは、同じ蒸留器又は連続蒸留器を通る任意選択の第3のパスを介して抽出され得る。
【0102】
第2の残渣を第3のパス蒸留に通す前に、第2の残渣をキャノーラ油(714)と10:1(第2の残渣:キャノーラ油)の比で混合して、蒸留を容易にするために第2の残渣を希釈する。蒸留器の第3のパス時に、供給物をより高い温度に事前加温し、蒸留器を、蒸留器の第2のパスと比較してわずかに温かい温度で加熱する(表1を参照)。残りの設定は、第2のパスと本質的に同じである。この第3のパス(716)の間に、任意の残りのカンナビノイドが蒸発し、内部凝縮器に対して凝縮して、FSHEを含む油である第3の蒸留物(718)として収集され、第3の残渣が収集されて廃棄物(720)として処分される。
【0103】
第3の蒸留物は第2の蒸留物に添加され、その理由は、それらが両方とも同じ出発材料(716)から抽出されたFSHEを含む精製された油だからである。一般に、第2の蒸留物及び第3の蒸留物は、加熱タンク(220)に送られ、そこで混合されて均質な混合物になり、品質試験のためにガラスジャーに収集される。独立した実験室が、農薬、重金属、微生物、残留溶媒、及びマイコトキシンについてFSHEを試験する。独立した研究室はまた、液体クロマトグラフィダイオードアレイ検出器(liquid chromatography diode array detector、LC-DAD)によって決定されるカンナビノイドプロファイルを提供する。前述の抽出及び精製プロセス(1)から得られる例示的なカンナビノイドプロファイルを表2に要約する。
【0104】
【表2】
ここで、NDは検出されないことを意味する。総THC=Δ
9-THC+(0.877×Δ
9-THCA)、総CBD=CBD+(0.877×CBDA)、かつ総カンナビノイド=Σ(中性カンナビノイド)+[0.877×Σ(酸性カンナビノイド)]
【0105】
特に、表2に示されるカンナビノイドプロファイルは、実際のFSHE生成ロットからのプロファイルである。特定の生成ロットにおけるカンナビノイドの量及び種類は異なり得る。たとえそうであっても、ほとんどのFSHEロットは、微量元素(5重量%未満については表2に記載された量の約±25%の範囲の量、及び主成分CBDについては±10%の範囲の量を有する、表2に示されたものと同様のプロファイルを有する。その上、各々2.5%まで含まれ得るTHCV及びCBLなどの少量の他のカンナビノイドを抽出及び回収することは珍しいことではない。
【0106】
ある特定の用途では、FSHEが望ましいが、しかしながら、他の用途は、Δ9THC不含ヘンプ抽出物を必要とする。したがって、抽出及び精製方法(1)によって生成されたFSHEは、定量(quntitation)のレベル未満を意味するΔ9 THC不含であるBSHEを生成するために更に処理され得る。カンナビノイドプロファイルなどのBSHEの他の態様は、それが生成されたFSHEと実質的に同様である。
【0107】
FSHEからBSHEを生成するための主要な工程は、(i)遠心分配クロマトグラフィ(CPC)を使用して他のカンナビノイドからTHCを分離することと、(ii)CPCを介して得られたTHC不含画分から溶媒を蒸留することと、を含む。これらの工程は、プロセス(8)として
図8に詳細に示されている。
【0108】
CPCは、一方を固定相として、他方を移動相として、2つの液体を使用するクロマトグラフィの一種である。固定相は強い遠心力によって固定され、移動相は固定相を通って移動して、異なる分子を分離する。この技術は、典型的には、溶媒の二相混合物を必要とする。異なる化合物は、特定の溶媒系の成分及び選択された溶媒系における分子の分配係数に基づいて分離することができる。したがって、CPCとともに2つの異なる溶媒を使用することによって、類似の物質を分離することができる。一般に、CPCを使用すると、1つの液体が装置に導入されると、別の液体がCPC装置から出る。異なる分配係数を有する分子は、CPC装置における固定相を介した分離に起因して、異なる時間に及び/又は異なる画分でCPC装置から出てくることになる。
【0109】
他のカンナビノイドからTHCを分離するために使用される溶媒系は、非極性溶媒(例えば、ヘキサン)及び2つの極性溶媒(例えば、メタノール及び水)を含む。これらの溶媒の比は、非極性溶媒混合物の密度と同様に重要である。新たに調製した(802)溶媒については、ヘキサン:メタノール:水の比は、5:4:1である。BSHE生成プロセス(800)により、溶媒を再利用することができる(812、814~802)。それにもかかわらず、溶媒の比(5:4:1)は、適切なTHC分離のために維持されるべきである。一般に、収集された使用済み溶媒は容器内で分離され、そこで主にヘキサンである上層と、主に水及びメタノールである下層と、を形成することになる。分離後、2つの層をそれぞれの容器に移す。下相の密度は、密度が70°Fで約0.852g/cm3になるまで、水及び/又はメタノールを添加することによって調整される。
【0110】
CPC分離のためのFSHEを調製するために、所望の量のFSHEを、完全に溶解するまでオーブン中で加温する。ヘキサン対FSHEの比が約2:1(804)となるように、加温したFSHEを上相(例えば、ヘキサン)に添加する。FSHEは、CPC装置に装填される前にヘキサンに完全に溶解されるべきである。この時点で、溶媒及び試料は、CPC装置に装填する準備ができている。
【0111】
簡単に説明すると、CPC装置は水及びメタノールのきれいな上相混合物で満たされ、CPC装置内の遠心分離機は回転し始める。その後、ヘキサンに溶解したFSHEをCPC装置に装填し、分離させる(806)。FSHE分離中に追加の下相を添加する。その後、上相をCPC装置に添加する。一方、CPC装置から出てくる画分が収集される(808)。画分は、UV吸収スペクトルによってモニターすることができる。カンナビノイドが装置から出てくることが予想されないCPC実行の開始時及び終了時に、UV吸収スペクトルは低い。対照的に、カンナビノイドの存在は、UV吸収スペクトルに高い点を示させることになる。この吸収スペクトルは、CPC装置の操作者に、カンナビノイドがシステムを通過するときを知らせる。THCを有しないカンナビノイドは、THCを有するものとは異なる吸収スペクトルを有するので、どの画分がTHCを含まず、どの画分がTHCを含むかを推定することが可能である。したがって、溶媒系、試料装填、及びCPCパラメータごとに、画分を3つのカテゴリ:廃棄物、THC不含、及び再生に分けることができる。CPC実行方法の単純化されたパラメータを表3に概説する。非THCカンナビノイド(例えば、CBD)は、THCよりも下相によく溶解するので、それらは最初にCPC装置から離れる。逆に、THCは、上相によりよく溶解するので、プロセスの後の方でCPC装置から離れることになる。再生は、CPCを通る第2のパスにおいて分離され得るTHC及びCBDの混合物である。
【0112】
【0113】
再生画分がCPC上で再実行され得る前に、溶媒は、1つ以上の蒸留プロセスによって最初に除去される(810)。非限定的な例として、再生画分は、流下薄膜型蒸発器(214)、拭取り薄膜型ショートパス蒸留器(218)、又はその両方において溶媒を留去させてもよい。これらの蒸留は、FSHE精製について記載したものと本質的に同じである。その後、得られる油(例えば、再生油)をCPC装置において再実行してもよい。再生油の実行は、ヘキサン対再生油の比が2.5(ヘキサン)対1(再生油)であり、2つの画分(THC不含及び廃棄物)のみが収集されたことを除いて、最初の実行と同様である。
【0114】
溶媒の除去を続ける前に、THC不含画分は、真にTHC不含ことが内部で確認される。そうでない場合、画分は、CPCを通して再実行され(例えば、再生画分として)、THC不含として再確認され得る。THC不含画分を、水平拭取り膜型蒸発器による溶媒除去のために組み合わせる。
【0115】
水平拭取り薄膜型蒸発器(812)を使用してTHC不含画分からメタノールを除去するために、メタノールの引火点未満である限り、約100torrである完全真空で、蒸発器を約60℃から100℃以上に加熱するように、加熱ジャケットを設定する。THC不含画分が蒸発器に移動するにつれて、それらはワイパーによって薄層に広げられ、溶媒(例えば、メタノール)の蒸発を促進する。溶媒蒸気は、凝縮器に移動し、凝縮器は、4℃に設定され、蒸気を凝縮して、液体溶媒に戻す。前述したように、蒸留された溶媒は、CPCにおいて再利用することができる。約4時間後、濃縮されたTHC不含カンナビノイドを含有する未蒸留部分を収集する。
【0116】
濃縮されたTHC不含部分中に溶媒が依然として存在し得るので、残りのメタノール/溶媒を留去するために、可能な限り最も強い真空下で少なくとも約100℃に設定された浴を用いて、回転蒸発器(rotovap evaporator)(814)上で第2の蒸留を行う。蒸発した溶媒は、約-20℃に設定された凝縮器によって凝縮される。
【0117】
濃縮されたTHC不含部分から残りのメタノールを除去した後、水を含む内容物を少なくとも1時間冷却するが、より長い時間をかけても収率に影響しないことになる。冷却されると、水及びTHC不含濃縮物は、蒸発器(816)上で分離することができる。そうするために、真空はオンにされるが、加熱はオンにされない。真空は、油を凝集させ、水から分離させる。少なくとも1時間真空下に置いた後、水及びTHC不含生成物を完全に分離すべきである。THC不含生成物から水を除去し、THC不含生成物を蒸発器に戻して、残りの水を留去する(818)。例えば、約100℃の温度及び約150ミリトール未満の真空圧で、水は、THC不含生成物から蒸発することになる。THC不含油が濁った状態から透明に変化し、油の泡立ちがほとんどないか全くない場合、水を留去し、BSHE(820)であるTHC不含生成物を、試験のために独立した実験室に送る。
【0118】
【表4】
ここで、NDは検出されないことを意味する。総THC=Δ
9-THC+(0.877×Δ
9-THCA)、総CBD=CBD+(0.877×CBDA)、かつ総カンナビノイド=Σ(中性カンナビノイド)+[0.877×Σ(酸性カンナビノイド)]
【0119】
特に、表4に示されるカンナビノイドプロファイルは、実際のBSHE生成ロットからのプロファイルである。特定の生成ロットにおけるカンナビノイドの量及び種類は異なり得る。たとえそうであっても、ほとんどのBSHEロットは、表4に記載された量の約±10%の範囲の量を有する表4に示されたものと同様のプロファイルを有する。その上、CBC、CBG、及びCBLなどの少量の他のカンナビノイドを抽出及び回収することは珍しいことではない。
【0120】
以下の表5は、BSHE内の要素に対する許容可能な分散を提供する。
【0121】
【0122】
以下の表6は、FSHE内の要素に対する許容可能な分散を提供する。
【0123】
【0124】
配合物への単純化されたアプローチは、BSHEが60~95%のCBD、0~0.1%であるが好ましくは検出不可能なΔ9-THC、及び0.1~20%の追加のカンナビノイドを含むことである。一方、FSHEは、0.01~5%のTHCを含むが、ある特定の管轄区域で必要とされる場合、好ましくは0.01~0.3%である。追加の要素は、0.1~20%のワックス及び脂肪酸を含む。
【0125】
一旦製造されたBSHE又はFSHEのいずれも、今や多くの方法で利用することができる。残念なことに、BSHE及びFSHEの各々は、口腔粘膜又は経口投与に対して苦い香味剤を有し、したがって、BSHE又はFSHEをそのような剤形に好適な経口担体に添加することが最適である。長鎖トリグリセリド(long chain triglyceride、LCT)油又は中鎖トリグリセリド油(MCT)油などの油は、容易に入手可能である。好ましい実施形態では、FSHEは、低温圧搾ヘンプ種子油、ヤシ油、又はこれらの組み合わせの混合物中にv/vで添加される。これにより、得られた油を経口投与に適したものにする。典型的には、FSHEを約1~10%v/vで、低温圧搾ヘンプ種子油及びMCT油(例えば、ヤシ油)を各々10~99%v/vで添加する。香味剤は、約0.1%~5.0%v/vで添加することができる。香味剤には、柑橘類香味剤、果実香味剤、ミント又はウインターグリーンなどを含むがこれらに限定されない周知の例が含まれ、これらは天然又は合成であってもよい。
【0126】
ある特定の実施形態では、FSHE又はBSHEは、組成物の全体積又は重量の最大99%(1~99%の全ての範囲を含む)で担体に添加され得る。
【0127】
好ましい実施形態は、BSHE又はFSHE w/wを、低温圧搾ヘンプ種子油及びMCT油の混合物中に組み合わせ、更にテルペンブレンドを含むことによって作製される。他の実施形態では、BSHE又はFSHEは、MCT油のみに、又は低温圧搾ヘンプ種子油のみに添加される。好ましい実施形態では、組成物は、40~70%の低温圧搾ヘンプ種子油、30~50%のMCT油、及び1~20%のBSHE又はFSHEを含む。より好ましくは、本実施形態は、組成物のプロファイルを改善するためにテルペンミックス又は他の混合物を更に含む。
【0128】
ある特定の実施形態では、テルペンブレンドは、0.1~2.0v/vで含まれる。特定のブレンドは、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上のテルペンを含み得る。テルペンブレンドは、β-ミルセン、β-カリオフィレン、リナロール、α-ピネン、シトラール、D-リモネン、及び/又はユーカリプトールを含んでもよい。特定のテルペンブレンドは、15~25%のβ-ミルセン、15~25%のβ-カリオフィレン、5~15%のリナロール、5~15%のα-ピネン、15~40%のシトラール、10~30%のD-リモネン、及び0.1~5%のユーカリプトールを含む、テルペンプロファイルを含む。好ましい実施形態では、テルペンブレンドは、列挙された7つのテルペンのうちの少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、又は7つ全てを含む。好ましくは、テルペンの各々の範囲は、テルペンブレンドの総体積の約0.1%~約50%である。最も好ましくは、テルペンブレンドは、少なくとも5つのテルペンを含み、各テルペンは、テルペンブレンドの総体積の40%以下の濃度を表す。
【0129】
FSHE、低温圧搾ヘンプ種子油、ヤシ油、及びテルペンブレンドを含む組成物は、経口投与用チンキ剤としての使用に最適化される。好ましい実施形態では、香味剤は、組成物の0.1%~2.0%v/vで更に添加される。そのような適用は、舌下適用のために提供され、ここで、FSHE及びカンナビノイドは、口腔粘膜を通しての取り込みが意図される。材料はしばしば最終的に嚥下され、追加の材料が口の後部、食道を通して、並びに胃の中に取り込まれ、第1のパス代謝を受けることが理解される。ある特定の実施形態では、FSHEは、精製されたBSHEによって置換される。更なる実施形態では、組成物は、ソフトゲルに配合されてもよく、ゲルコーティングは、ある量の組成物の周囲に溶解可能なシェルとして形成されるように生成される。そのような製造は、当業者によって十分に理解される。更なる実施形態では、組成物は、ガム状生成物の製造のために、風味材料、甘味剤、着色剤を含むがこれらに限定されない1つ以上の賦形剤を添加して、ゼラチン又は別の担体中に混和される。
【0130】
局所投与のために、担体は、乳化剤を更に含んでもよい。ある特定の実施形態では、MCT油の代わりに担体として利用することができるシアバターなどの脂肪が更に含まれてもよい。そのような実施形態では、組成物は、FSHE、低温圧搾ヘンプ種子油、第2の油又は脂肪、及び任意選択でテルペンブレンドを含む。好ましい実施形態では、第2の油又は脂肪は、シアバターである。ある特定の実施形態では、FSHEは、BSHEによって置換される。したがって、生成物は、1~50%のBSHE又はFSHE、及び99~50%の追加の賦形剤(担体及び他の成分を含む)を含んでもよく、これは局所投与に好適である。
【0131】
油は、BSHE又はFSHEのいずれであっても、製造され、瓶詰めされる。その後の処理工程において、BSHE又はFSHEは、経口投与のためにゼラチン材料にカプセル化されてもよい。典型的な軟ゼラチンカプセルは、カプセル当たり0.4~0.6mLの油を含む。ゼラチンカプセルの製造は、ゼラチンシェルを作製するために必要な更なる賦形剤を含み得る。
【0132】
更なる実施形態は、粘膜用組成物に関する。好ましい実施形態では、粘膜用組成物は、口腔粘膜、鼻粘膜、膣粘膜、又は直腸粘膜を対象とし得る。好ましい実施形態では、粘膜用組成物は、膣内組成物である。膣内組成物は、1~99%のBSHE又はFSHE、担体、好ましくは脂肪又は油を含む。配合物を安定化させるため、かつ最終生成物の流動性又は特性を改変するために、追加の賦形剤を含めることができる。好ましい脂肪は、シアバターである。膣内組成物は、本明細書に詳述されるテルペンブレンドを更に含んでもよい。ある特定の実施形態では、pHは、例えば、FSHE又はBSHEの約10.5の天然pHから酸性pHに改変される。適切な共役酸及び塩基を含む酸性緩衝液は、pHを酸性(例えば、3.5~6)にするために当業者によって利用され得、pH改変剤として機能し得る。浸透圧調節剤も利用することができ、組成物への塩化ナトリウムなどの塩の添加が含まれる。ある特定の実施形態では、粘膜付着剤が含まれ、粘膜付着剤は、キトサン、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、又はこれらの組み合わせである。
【0133】
本明細書で説明される実施形態及び例示は、例として提供され、本発明は、具体的に開示されたものに限定されないことが理解されるであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組み合わせ及び部分的組み合わせの両方、並びに前述の説明を読んだときに当業者が思い付くであろう、先行技術に開示されていないそれらの変形形態及び修正形態を含む。したがって、本明細書に詳述される様々方法、配合物、及び組成物は、本明細書に詳述される様々な方法及びシステムを実装する者によって理解されるように、実施形態の限定のうちの1つ又は全てを含んでもよいか、任意の順序で行われてもよいか、又は異なる実施形態からの限定を組み合わせてもよい。
【国際調査報告】