(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】多層ワニス塗装表面、多層ワニス塗装表面を製造する方法およびそのような表面を含む家具製品
(51)【国際特許分類】
B32B 27/20 20060101AFI20241024BHJP
B32B 27/10 20060101ALI20241024BHJP
B32B 27/16 20060101ALI20241024BHJP
B05D 1/38 20060101ALI20241024BHJP
B05D 3/06 20060101ALI20241024BHJP
B05D 7/00 20060101ALI20241024BHJP
B05D 7/24 20060101ALI20241024BHJP
B05D 7/06 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
B32B27/20 A
B32B27/10
B32B27/16
B05D1/38
B05D3/06 102Z
B05D7/00 F
B05D7/24 301T
B05D7/06 H
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525022
(86)(22)【出願日】2022-10-18
(85)【翻訳文提出日】2024-05-28
(86)【国際出願番号】 PL2022050066
(87)【国際公開番号】W WO2023075619
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】PL
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】517130920
【氏名又は名称】シャトデツォル スプウカ ス オルガニザツィーノン オトゥポビエジャルノシチョン
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】シェイヴィアン イェルジイ
(72)【発明者】
【氏名】スムス ミハウ
(72)【発明者】
【氏名】コニエチュニー クシシュトフ
【テーマコード(参考)】
4D075
4F100
【Fターム(参考)】
4D075AE05
4D075AE09
4D075AE17
4D075BB46Z
4D075CA02
4D075CA06
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4F100AA21A
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4F100AK07B
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4F100EJ542
4F100EJ54A
4F100GB08
4F100GB81
4F100JD16
(57)【要約】
本発明は、ホルムアルデヒド放出のない多層コート装飾表面に関する。表面は、担体層(1)と、第1のワニス層(2)と第2のワニス層(3)とから構成され、第1のワニス層(2)および第2のワニス層(3)におけるワニスはアクリレート化合物および反応性希釈モノマーを含む。2から10μmの範囲の厚さを有する第1のワニス層(2)におけるワニスは、少なくとも1つの艶消し剤および少なくとも1つの分散顔料をさらに含み、第1のワニス層(2)は直接担体層(1)に塗布され、担体層(1)の全表面を被覆し、2から10μmの範囲の厚さを有するは第2のワニス層(3)は第1のワニス層(2)に直接塗布され、第1のワニス層(2)の全表面を被覆する。発明はまた、そのような表面を得るための方法に関する。本発明による表面は家具ボードの外層として使用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)紙またはポリマーフィルムに基づく材料でできた担体層1と、
b)第1のワニス層2と、
c)第2のワニス層3と
からなり、前記第1および第2のワニス層におけるワニスは、アクリレート化合物および反応性希釈モノマーを含む、多層ワニス塗装表面であって、
2から10μmの範囲の厚さを有する前記第1のワニス層2における前記ワニスは、少なくとも1つの艶消し剤および少なくとも1つの分散顔料をさらに含み、前記第1のワニス層2は前記担体層1に直接塗布され、前記担体層1の全表面を被覆し、2から10μmの範囲の厚さを有する前記第2のワニス層3は前記第1のワニス層2に直接塗布され、前記第1のワニス層2の全表面を被覆することを特徴とする、多層ワニス塗装表面。
【請求項2】
前記ポリマーフィルムはBoPP、cPP、PVCまたはPETであることを特徴とする、請求項1に記載の多層ワニス塗装表面。
【請求項3】
前記第2のワニス層3は艶消し剤を含むことを特徴とする、請求項1に記載の多層ワニス塗装表面。
【請求項4】
前記艶消し剤は二酸化チタンTiO
2であることを特徴とする、請求項1または3に記載の多層ワニス塗装表面。
【請求項5】
前記第2のワニス層3は接着増強添加物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の多層ワニス塗装表面。
【請求項6】
a)紙またはポリマーフィルムに基づく材料でできた担体層1を提供する工程、
b)前記担体層1の全表面を、艶消し剤を含む第1のワニス層2で被覆する工程、
c)前記塗布した第1のワニス層2を2~6kGyの線量の電子ビーム照射または十分な線量のUV照射に曝露する工程、
d)前記全表面を第2のワニス層3で被覆する工程、
e)前記塗布した第2のワニス層3を少なくとも35kGyの線量の電子ビーム照射または十分な線量のUV照射に曝露する工程、
を含むことを特徴とする、多層ワニス塗装表面を得る方法。
【請求項7】
工程e)における硬化前に、前記塗布した透明ワニス層3は172nmの波長のエキシマランプに供されることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1~5に記載の多層ワニス塗装表面を含む家具製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の主題は、紙または人工フィルム、特に二軸延伸ポリプロピレンBoPP、キャスト無延伸ポリプロピレンcPP、PVC、PETなどの担体上の、電子ビームまたはUV照射を用いて硬化させることができる透明ワニス層を含む多層ワニス塗装表面である。発明の主題はまた、そのような多層ワニス塗装表面を製造する方法および多層ワニス塗装表面を含む家具製品である。
【背景技術】
【0002】
装飾材料として使用される多層コート表面およびそのような表面を製造するための方法は当技術分野で知られている。
【0003】
公知のコート表面は、通常、硬化プロセスを加速するために塗布前に酸が添加された水性ワニス層から得られる。次いで、この層はワニスのトップコートで被覆され、次いで、電子ビームまたはUV硬化される。しかしながら、樹脂の固体粒子の硬化プロセスを加速するために酸が添加された水性ワニスはまた、メラミンホルムアルデヒド樹脂を15から45%の量で含み、これがワニスを結合させるが、同時にそのような表面からのホルムアルデヒド放出を引き起こす。ホルムアルデヒドは無色ガスであり、強烈な、特異臭を伴い、それは、我々の自然環境において見出すことができる。ホルムアルデヒドは太陽光の作用、代謝過程および土または水中に存在する細菌の作用の下で分解する。それはチップボード、ファイバーボード、木製パネル、サンドイッチパネル、接着剤、塗料およびワニスなどの多くの材料(主に木材に使用されるもの)により大気中に放出される可能性がある。ホルムアルデヒドは濃度によって、毒性、有害、腐食性または刺激性物質となる。
【0004】
発明US4942198A号は、ブロック化酸樹脂、ポリアクリレートおよびメラミン樹脂またはメラミン尿素樹脂を含むそのような水性ワニスを開示する。これらのワニスは熱処理により硬化され、その一方、酸は、硬化プロセスにおいて触媒として作用する。ホルムアルデヒドのレベルを低く保つことは言及されているが、発明US4942198A号において開示されるワニスは、依然としてホルムアルデヒドを放出する。というのも、その起源、メラミン尿素樹脂が依然としてワニス組成物中に存在し、ホルムアルデヒドがワニスの熱処理中に放出されるからである。
【0005】
同様に、発明US4940841A号は、ポリアクリレート、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリオールおよびアミンを含む装飾表面上で使用できるワニスに言及する。使用されるワニスはホルムアルデヒド源、メラミンおよび尿素樹脂を含み、これが、なぜ、ホルムアルデヒドの放出が阻止されないかの理由である。
【0006】
文書P.426181号は、多層コート表面およびそのような表面を製造するための方法を開示する。前記文書P.426181における多層表面は、担体層、印刷装飾層、下塗り層およびワニス層を含む。しかしながら、構造を形成する最後のワニス層は、表面を完全には被覆しておらず、むしろ、印刷された装飾をコピーする。その上、文書P.426181号は前記多層装飾表面を製造する方法を開示する。方法は、担体層に装飾を適用し、次いで、プライマーをそれに塗布し、次いで、電子ビームで硬化させることができるワニスを塗布することにある。マットな表面はエキシマ照射により得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第4,942,198号明細書
【特許文献2】米国特許第4,940,841号明細書
【特許文献3】ポーランド特許出願公開第426181号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって、本発明は、新規装飾表面の耐化学性および機械抵抗を確保しながら、酸が塗布前に添加される水性ワニスを排除することにより、装飾表面からのホルムアルデヒドの放出を低減または排除することを目標とする。この目標を達成するために、本発明の多層コート表面はホルムアルデヒドを含まないコーティングをワニスとして使用する。本発明では、酸硬化ワニスおよびメラミン-ホルムアルデヒド樹脂などのホルムアルデヒド源は使用されない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
a)紙またはポリマーフィルムに基づく材料でできた担体層1と、
b)第1のワニス層2と、
c)第2のワニス層3と、
からなり、前記第1および第2のワニス層におけるワニスは、アクリレート化合物および反応性希釈モノマーを含む、多層ワニス塗装表面であって、
2から10μmの範囲の厚さを有する前記第1のワニス層2における前記ワニスは、少なくとも1つの艶消し剤および少なくとも1つの分散顔料をさらに含み、前記第1のワニス層2は前記担体層1に直接塗布され、前記担体層1の全表面を被覆し、2から10μmの範囲の厚さを有する前記第2のワニス層3は前記第1のワニス層2に直接塗布され、前記第1のワニス層2の全表面を被覆する、多層ワニス塗装表面である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【発明を実施するための形態】
【0011】
下記からなる多層ワニス塗装表面であって:
a)紙またはポリマーフィルムに基づく材料でできた層と、
b)ワニスの第1のコートと、
c)ワニスの第2の層と、
からなり、
第1および第2のワニス層におけるワニスは、アクリレート化合物および反応性希釈モノマーを含み、
それは、2から10μmの範囲の厚さを有する第1のワニス層におけるワニスは、少なくとも1つの艶消し剤、および、少なくとも1つの分散顔料を含み、第1のワニス層は担体層に直接塗布され、担体層の全表面を被覆し、第2のワニス層は第1のワニス層に直接塗布され、第1のワニス層の全表面を被覆するという事実により特徴付けられる。
【0012】
好ましくは、ポリマーフィルムはBoPP、cPP、PVCまたはPETであり、紙は含浸紙である。
【0013】
第2のワニス層は艶消し剤を含むことがまた、好ましい。
【0014】
艶消し剤は二酸化チタンTiO2であることがまた、好ましい。
【0015】
第2のワニス層は接着促進剤を含むことがまた、好ましい。
【0016】
多層表面は担体層1、第1のワニス層2および第2のワニス層3から構成される。担体層1は紙またはポリマーフィルムに基づく材料でできている。ポリマーフィルムは、BoPP、cPP、PVCおよびPETからなる群より選択される。担体層1が紙である場合、紙は含浸させることができる。
【0017】
第1のワニス層2は担体層1の表面に直接塗布され、担体層1の全表面を被覆する。第1のワニス層2は2から10μmの範囲の厚さを有する。この層は製品の最終色外観を決定し、また、装飾表面上で耐化学性を得る際の重要な要素となる。しかしながら、単一ワニス層は、家具業界において期待される機械抵抗のレベルを達成しない。1つのワニス層のみが装飾表面上に存在する場合、金属摩耗試験に対する感度が増加することが観察されている。この理由から、耐摩耗性を改善するために、ワニスの別のコートが塗布されるべきである。
【0018】
第1の層の全表面に直接塗布された第2の層は、透明電子ビーム硬化ワニスのコーティングであり、厚さが2~10μmの範囲である。現在のところ使用されているこのワニス層の塗布システムは、製品の最終視覚的評価において特に重要である均質性および光沢の観点から、最適表面特性を得ることを可能にする。
【0019】
第1のワニス層におけるワニスは、アクリレート化合物、反応性希釈モノマー、少なくとも1つの艶消し剤および少なくとも1つの顔料を含む。アクリル樹脂は固体物質(フィラー、顔料)を結合させ、均一なコーティングを作製し、基材への接着を担い、コーティングの光沢および透明性に影響する。反応性希釈モノマーは低い分子量および低い粘度を有する。モノマーはコーティングから蒸発せず、化学反応に関与する(すなわち、それらはコーティングを作製する)。ワニス中で使用される顔料により、装飾表面は1つの均一な色を有し、追加の装飾層を塗布する必要がない。その上、追加の装飾層が必要とされないので、得られた多層表面は経済的に製造される。艶消し剤がTiO2である場合、それはまた、白色顔料として作用することができる。そのようなワニスはホルムアルデヒドを含まず、よって、ホルムアルデヒドを放出しない。
【0020】
多層ワニス塗装表面を得る方法はこれらの工程を含む:
a)紙またはポリマーフィルムに基づく材料でできた担体層を提供する工程、
b)担体層の全表面を、艶消し剤を含む第1のワニス層で被覆する工程、
c)塗布した第1のワニス層を2~6kGyの線量の電子ビーム照射または十分な線量のUV照射に曝露する工程、
d)全表面を第2のワニス層で被覆する工程、
e)塗布した第2のワニス層を少なくとも35kGyの線量の電子ビーム照射または十分な線量のUV照射に曝露する工程。
【0021】
好ましくは、工程e)における硬化前に、塗布した透明ワニス層が172nmの波長のエキシマランプ照射に供される。
【0022】
工程b)およびd)のコーティングは、当技術分野で知られている任意の方法により実施することができる。3WSおよびDKR塗布法ならびにフレキソ印刷コーティングが好ましい。両方の方法が組み合わせられると、すなわち、第1のワニス層が3WSコーティングシステムを用いて塗布され、第2のワニス層がフレキソ印刷コーティングシステムを用いて塗布されると、または第1のワニス層が3WSコーティングシステムを用いて塗布され、第2のワニス層3がDKRコーティングシステムを用いて塗布されると有利である。
【0023】
2~6kGyの範囲の線量を用いて、工程c)において実施される電子ビーム硬化処理はワニスの塗布された第1の層の完全重合を引き起こさず、むしろ、予備重合、すなわちゲル化を引き起こし、次の層の塗布が可能になり、次の層と塗布したワニスの第1の層の間で十分な接着が得られる。
【0024】
35kGyの線量を用いて、工程e)において実施される電子ビーム硬化は、表面の完全重合を引き起こす。この処理の結果、第2のワニス層は完全に硬化される。
【0025】
製造プロセスはワニス塗装または印刷-ワニス塗装機に基づく。ブランクロールが巻き戻しセクションに置かれる。ウェブは、一連のガイドローラーにより、第1のワニス層コーティングセクションまで進む。塗布が基材とワニスを塗布するローラーの接触点で起こる。ワニスの第2のコートが、次のワニス塗装システムにおいて同様に塗布される。ワニスの2つの層を塗布し、それらを適正に硬化させた後、ウェブは、巻き取りセクションまで進む。製品は家具システムにおけるさらなる加工の準備ができている。
【0026】
解決策の本質はまた、上記多層ワニス塗装表面を有する家具製品である。
【0027】
発明の主題が
図1においてより詳細に提示され、ここで、アイテム1は担体層であり、2は電子ビーム硬化顔料ワニス層、および3は電子ビーム硬化透明ワニス層である。
【実施例】
【0028】
下記実施例において使用される全てのSchattdecorワニスは艶消し剤を含む。
71-83.0
40%-TiO2
71-83.4
40%-TiO2
0.26%-フレームシリカ(パイロ)
70-92.1
1.5%-アモルファス、合成シリカ(3.4~4.0μm)
31%-PMMA
70-92.10
0.2%-焼成シリカ-層間剥離防止剤として使用される
【0029】
他方、Hesseワニスは市場で入手可能であり、組成は製造者により公表されている。
【0030】
使用されるエキシマランプについては、製造中、これらのランプを有するチャンバ内での標準中和レベルは50~200ppmである。
【0031】
経験的に実施されるワニス塗装試験では、我々は、機械および化学試験に抵抗する8~20μmの間の厚さを有するコーティングを得ることができた。
【0032】
<実施例1:2層のオンラインコーティング-2つの3WSシステム>
平滑な含浸紙である半完成品、いわゆるボリンプレグネート(vorimpregnate)の形態のベースローラーが機械の巻き戻しセクションに置かれる。
【0033】
電子ビーム硬化顔料ワニスである第1のワニス層2が担体層1に塗布される。プロセスのこの段階で、コートは下記組成を有する。
・Schattdecor71ワニス-83.4-0.5部
・Schattdecor71ワニス-83.0-0.5部
【0034】
コーティングは、3WSシステムで起こる。担体は、全表面が7μm厚さの層で均一に被覆される。層は電子ビーム発生器内で初期重合(ゲル化)を受ける。発生器パラメータ設定は下記の通りである。
・放射線量-5kGy
・高電圧-110kV
【0035】
塗布された層は60°ジオメトリで測定すると19°の表面光沢を有する。
【0036】
コート材料は次いで、第2の3WSコーティングステーションまで移動し、ワニスの第2のコート3が塗布される。第2のワニス層3の組成は下記の通りである。
・Schattdecor70ワニス-92.10-0.8部
・Schattdecor70ワニス-92.1-0.2部
【0037】
得られたコーティングは発生器内で完全に電子ビーム硬化される。装置設定は下記の通りである。
・放射線量-35kGy
・高電圧-110kV
【0038】
完成品の表面は、60°ジオメトリで測定される26°の光沢および15μm±1μmのコーティング全厚を有する。
【0039】
得られた装飾表面は、第1の層2からのワニスの組成により保証される均一な色、ならびに、家具業界の要求に適合された耐化学性および機械抵抗により特徴付けられる。その上、どちらのワニス層もホルムアルデヒドを含まず、それにより、製品はさらに魅力的なものとなる。両方のワニス層の良好な接着のための条件は第1のワニス層の初期ゲル化である。
【0040】
【0041】
<実施例2:2つのオンライン層-3WSシステムにおける第1の層-フレキソ印刷システムにおける第2の層、エキシマランプ曝露によりリファイニングされたコーティング>
担体層1、第1のワニス層2をその上で塗布して硬化する方法は実施例1と同じである。ゲル化された第1のワニス層2は含浸紙のウェブ全体を均一に被覆し、第2のフレキソ印刷コーティングステーションまで進む。
【0042】
システム塗布ローラーは、下記からなる透明電子ビーム硬化ワニスの層を塗布する。
・Hesse FL27692ワニス-0.9部
・Hesse FL27800ワニス-0.08部
・耐擦傷性添加物-Hesse FZ2711-0.05部
・ワニス接着増強添加物-Hesse FL2720-0.015部
【0043】
塗布された層は最初にエキシマランプを使用する表面リファインメントチャンバを通って進み、これにより、艶なしワニスコーティングを得ることができる。次いで、移動ウェブが、電子ビーム発生器のチャンバを通過し、ここで、ワニスの両方の層が最終的に硬化され、さらなる家具加工のための準備のできた材料が作製される。
【0044】
ワニス層の最終硬化中の電子ビーム発生器のパラメータ:
・放射線量-35kGy
・高電圧-110kV
【0045】
製品表面は、60°のジオメトリで測定すると8°-10°の範囲の光沢、および、14μm±1μmの厚さを有するコーティングにより特徴付けられる。
【0046】
ワニスの両方の層の良好な接着のための条件は、第1のワニス層の初期ゲル化、および、第2のワニス層における接着増強剤の添加である。
【0047】
得られたフィルムおよびその断面が
図1において開示される。
【0048】
<実施例3:2つのオンライン層-2つの3WSシステム-エキシマランプ曝露を用いてリファイニングされた第2の層>
担体層1、その上で第1のワニス層2を塗布および硬化する方法は実施例1と同じである。ゲル化された第1のワニス層2は含浸紙のウェブ全体を均一に被覆し、3WSローラーを有する第2のコーティングステーションまで進む。
【0049】
この段階で、ウェブは下記組成を有する透明電子ビーム硬化ワニスの層で被覆される。
・Hesse FL27692ワニス-0.5部
・Hesse FL27800ワニス-0.48部
・耐擦傷性添加物-Hesse FZ2711-0.05部
・ワニス接着増強添加物-Hesse FL2720-0.15部
【0050】
塗布された層は最初にエキシマランプを使用する表面リファインメントチャンバを通って進み、これにより、艶なしワニスコーティングを得ることができる。次いで、前進ウェブが、電子ビーム発生器のチャンバを通過し、ここで、ワニスの両方の層が最終的に硬化され、よって、家具表面リファイニングプロセスにおけるさらなる加工のための完成品が作製される。
【0051】
ワニス層の最終硬化中の電子ビーム発生器のパラメータ:
・放射線量-35kGy
・高電圧-110kV
【0052】
完成材料の表面は60°のジオメトリで測定すると6°の光沢および16μm±1μmの厚さを有するコーティングにより特徴付けられる。
【0053】
このように得られた装飾材料は、キッチンフロントまたは他の家具表面上でのベニアの適用にうまく使用することができる。この実施例において作られる艶消し仕上げは、標準単色高光沢表面の範囲を補完する。
【0054】
ワニスの両方の層の良好な接着のための条件は、第1のワニス層2の初期ゲル化および第2のワニス層3における接着増強剤の添加である。
【0055】
得られたフィルムおよびその断面が
図1において開示される。
【0056】
<実施例4:2つのオンライン層-2つの3WSシステム-担体としての合成フィルム>
実施例1および2または3と異なり、ワニスの2つの層上にコートされる基材は、ポリプロピレンまたはポリエチレン合成フィルムである。家具用途におけるさらなる加工のための良好な特性が、ポリプロピレンおよびポリエチレンフィルムを使用することにより得られる。
【0057】
全てのコーティングおよびリファインメントプロセスはこの実施例において、実施例1、2または3のプロセスに基づき繰り返すことができる。
【0058】
得られた表面は、様々な適用領域における、とりわけ、単色装飾効果を使用するのが適切であり、かつ、合成フィルムの形態の基材の適用が要求される場合の、家具用途のための材料である。
【0059】
上記実施例1、2または3と同様に、ワニスの両方の層を接着させるための条件は、第2の層を塗布する前に、最初に第1の層をゲル化することである。
【0060】
【0061】
<実施例5:2つの層のオフラインコーティング-DKR+3WS>
担体上で、実施例1におけるように、電子ビーム硬化顔料ワニスの第1の層がDKRローラーコーティングステーションにより塗布される。このプロセスにより、下記組成のコーティングワニスが得られる。
・Schattdecor71ワニス-83.4-0.5部
・Schattdecor71ワニス-83.0-0.5部
【0062】
8μmの厚さを有する塗布された層は電子ビーム発生器からの照射により部分重合(ゲル化)される。部分重合は下記装置設定により記載される。
・放射線量-5kGy
・高電圧-110kV
【0063】
プロセスのこの段階後、60°のジオメトリで測定すると18°の光沢を有する均一な色の視覚効果を有するワニスコートウェブが得られる。ウェブはローラー上で巻き取られ、固定され、異なる機械での次のコーティングプロセスのために準備される。
【0064】
製品が耐化学性および機械抵抗の要求を満たすために、ワニスコーティングの第2の段階が必要であり、これは、異なるワニス塗装機上で、または、同じ機械上で異なる時間に起こるが、ワニスコート塗布プロセスの構成が異なる。この理由から、この実施例はオフラインコーティングと呼ばれ、これは、完成品が基材をコーティング機に2回通すことにより得られることを意味する。
【0065】
第2のワニス塗装プロセスは、3WSコーティングステーションを使用して実施される。この段階で、透明電子ビーム硬化ワニスの層が塗布される。ワニスは下記組成を有する。
・Schattdecor70ワニス-92.10-0.8部
・Schattdecor70ワニス-92.1-0.2部
【0066】
得られたコーティングは、発生器における電子ビームで完全に硬化される。
【0067】
装置設定は下記の通りである。
・放射線量-35kGy
・高電圧-110kV
【0068】
装飾表面は、60°のジオメトリを用いて測定すると25°の光沢コーティングを有する。コートウェブは約17μm±1μmのワニスコートの全厚および均質な単色装飾効果により特徴付けられる。
【0069】
両方のワニス層の良好な接着のための条件は第1のワニス層の初期ゲル化である。
【0070】
【0071】
【国際調査報告】