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特表2024-540006酸性水吸収による二酸化硫黄含有流の処理
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】酸性水吸収による二酸化硫黄含有流の処理
(51)【国際特許分類】
   C01B 17/05 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
C01B17/05 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525031
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-19
(86)【国際出願番号】 US2022078030
(87)【国際公開番号】W WO2023076807
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】17/510,600
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】506018363
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レイネル、ギヨーム ロベール ジャン-フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】デュヴァル、セバスチャン エー.
(72)【発明者】
【氏名】シャビル、グラーム
(72)【発明者】
【氏名】オナサンヤ、オラトゥンデ オー.
(57)【要約】
本明細書では、硫黄含有化合物を除去するためにクラウスプロセスのテールガスを処理するための方法及びシステムを提供する。この方法は、過剰酸素ガスでクラウスプロセスのテールガスを燃焼させて、燃焼酸化装置流出物を生成するステップを含む。燃焼酸化装置流出物は、二酸化硫黄、水蒸気、酸素を含む。流出物はクエンチ塔に送られ、希薄水性酸クエンチ流と接触して、亜硫酸、水和二酸化硫黄、又はその両方を生成する。亜硫酸又は水和二酸化硫黄は、燃焼酸化装置流出物からの過剰酸素で酸化され、硫酸を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
硫黄含有化合物を除去するためにクラウスプロセスのテールガスを処理する方法であって、
過剰酸素ガス中でクラウスプロセスのテールガスを燃焼させるステップであって、前記過剰酸素ガスは、前記硫黄含有化合物を完全に燃焼させるために必要な酸素モル数を超える酸素モル数を含み、燃焼酸化装置流出物を生成し、前記燃焼酸化装置流出物は、二酸化硫黄、水蒸気、酸素を含む、ステップと、
冷却燃焼酸化装置流出物を生成するために、前記燃焼酸化装置流出物を冷却するステップと、
前記冷却燃焼酸化装置流出物をクエンチ塔に流すステップと、
水蒸気を凝縮させ、前記二酸化硫黄を溶解して、亜硫酸、水和二酸化硫黄、又は亜硫酸と水和二酸化硫黄の組み合わせを生成するために、前記クエンチ塔の前記冷却燃焼酸化装置流出物を希薄水性酸クエンチ流に接触させるステップと、
硫酸を含む生成希薄水性酸流を生成するために、前記燃焼酸化装置流出物からの酸素で前記亜硫酸又は前記水和二酸化硫黄を酸化するステップと、
冷却希薄水性酸流を生成するために、前記生成希薄水性酸流を冷却するステップと、
前記冷却希薄水性酸流を前記希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とに分割するステップと、
前記希薄水性酸クエンチ流を前記クエンチ塔に流すステップと、を備える、
方法。
【請求項2】
前記希薄水性酸バッファ流を水処理装置に流すステップであって、前記水処理装置は、実質的に水である透過液と濃硫酸である残留物とを生成する、ステップをさらに備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水蒸気を凝縮させ、前記二酸化硫黄を溶解して、亜硫酸、水和二酸化硫黄、又は亜硫酸と水和二酸化硫黄の組み合わせを含む生成希薄水性酸流を生成するために、前記クエンチ塔の前記冷却燃焼酸化装置流出物を希薄水性酸クエンチ流に接触させるステップは、約2重量%から約20重量%の間の硫酸を含む生成希薄水性酸流を生成する、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記冷却希薄水性酸流を前記希薄水性酸クエンチ流と前記希薄水性酸バッファ流とに分割するステップは、前記冷却希薄水性酸流を前記希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とに分割するステップであって、前記希薄水性酸バッファ流は、前記燃焼酸化装置流出物から凝縮した前記水とほぼ同じ容量を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記冷却希薄水性酸流を前記希薄水性酸クエンチ流と前記希薄水性酸バッファ流とに分割するステップは、前記冷却希薄水性酸流を均等に分割するステップを備え、前記希薄水性酸クエンチ流と前記希薄水性酸バッファ流は、それぞれ前記冷却希薄水性酸流の約50%を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記二酸化硫黄を真水流と接触させるステップと、
亜硫酸、水和二酸化硫黄、又はその両方を前記燃焼酸化装置流出物中の前記過剰酸素で硫酸へと酸化するステップと、
前記真水流の一部を回収するステップと、
前記回収水のpHを監視するステップと、
前記回収水のpHが0.5未満である場合は、前記回収水を前記水処理装置に流すステップと、をさらに備える、
請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記水処理装置の前記透過液を前記真水流として前記クエンチ塔に流すステップをさらに備える、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記水処理装置の前記残留物は、クラウス炉の酸素を濃縮するために、硫黄回収装置に流される、
請求項2に記載の方法。
【請求項9】
硫黄含有化合物を含むガスを受け取り、過剰酸素ガス中で前記硫黄含有化合物を燃焼させるように構成された燃焼酸化装置であって、前記過剰酸素ガスは、前記硫黄含有化合物を完全に燃焼させるために必要な酸素モル数を超える酸素モル数を含み、二酸化硫黄を含む燃焼酸化装置流出物を生成する、前記燃焼酸化装置と、
前記燃焼酸化装置に結合され、前記燃焼酸化装置流出物を冷却するように構成され、冷却燃焼酸化装置流出物を生成する、廃熱回収装置と、
前記廃熱回収装置に結合されたクエンチ塔であって、
前記冷却燃焼酸化装置流出物を受け取り、
前記冷却燃焼酸化装置流出物を希薄水性酸クエンチ流と接触させて、
前記二酸化硫黄を亜硫酸、水和二酸化硫黄、又は硫酸と二酸化水和硫黄の組み合わせに溶解し、
前記亜硫酸、水和二酸化硫黄、又はその両方を硫酸へと酸化し、
硫酸を含む生成希薄水性酸流を生成する、ように構成された、前記クエンチ塔と、
前記クエンチ塔に結合された冷却装置であって、前記クエンチ塔は、前記生成希薄水性酸流を前記冷却装置に流すように構成され、
前記生成希薄水性酸流を受け取り、
前記生成希薄水性酸流を冷却して、冷却希薄水性酸流を生成し、
前記冷却希薄水性酸流を前記希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とに分割し、
前記希薄水性酸クエンチ流を前記クエンチ塔に流すように構成される、前記冷却装置と、を備える、
ガスから硫黄含有化合物を除去するためのシステム。
【請求項10】
水処理装置をさらに備え、前記水処理装置は、前記冷却装置に結合され、前記冷却装置から前記希薄水性酸バッファ流を受け取るように構成され、前記水処理装置は、実質的に水である透過液流及び濃硫酸である残留物流を生成するように構成される、
請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記冷却装置と前記水処理装置との間に結合されたバッファタンクをさらに備え、前記バッファタンクは、前記希薄水性酸バッファ流を受け取り、前記希薄水性酸バッファ流を前記水処理装置に流すように構成される、
請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記バッファタンクは通気口をさらに備え、前記通気口は前記クエンチ塔に結合され、未溶解ガスを前記クエンチ塔に流すように構成される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記廃熱回収装置は、前記燃焼酸化装置流出物を約330F(166℃)の温度まで冷却するように構成される、
請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記希薄水性酸クエンチ流は、約110F(43℃)から約130F(54℃)の間の温度を有する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記生成希薄水性酸流は、約2重量%から約20重量%の間の硫酸を含む、
請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
前記水処理装置は、逆浸透膜処理装置であり、前記逆浸透膜処理装置は、実質的に水である透過液と、約70重量%から約90重量%の間の硫酸である残留物を生成する、
請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記残留物は、硫黄回収装置に送られ、クラウス炉の酸素を濃縮する、
請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記クエンチ塔は、
上部と、
中間部と、
下部と、を備え、前記上部と前記下部は、前記中間部において多孔プレートによって接続され、前記多孔プレートは、前記クエンチ塔の前記下部上で前記希薄水性酸クエンチ流を再分配する、
請求項9に記載のシステム。
【請求項19】
前記クエンチ塔は、
上部と、
中間部と、
下部と、を備え、前記上部と前記下部は、前記中間部においてプレートによって接続され、前記プレートはバブルキャップを含み、前記プレートは液体を収集し、ガスが前記プレートを通過できるように構成される、
請求項11に記載のシステム。
【請求項20】
前記クエンチ塔と第2の冷却装置との間に結合された第2のバッファタンクであって、前記第2のバッファタンクは、前記クエンチ塔から回収水を受け取るように構成され、前記第2のバッファタンクは第2の通気口を備え、前記第2の通気口は前記クエンチ塔に結合され、未溶解ガスを前記クエンチ塔に流すように構成される、前記第2のバッファタンクと、
真水流であって、前記真水流は、前記クエンチ塔の前記上部で、前記クエンチ塔に入り、前記プレートは真水を回収し、前記回収水を前記第2のバッファタンクに流すように構成される、前記真水流と、
第2の冷却装置であって、前記第2の冷却装置は、前記第2のバッファタンクから前記回収水を冷却し、前記冷却された回収水を前記真水流として前記クエンチ塔に流すように構成される、前記第2の冷却装置と、
前記回収水のpHを監視するように構成されたpHモニタであって、前記第2のバッファタンクは、前記回収水のpHが0.5未満の場合、バルブを介して前記回収水を前記バッファタンクに流すように構成され、前記水処理装置は、前記透過液流を前記真水流として前記クエンチ塔に流すように構成される、前記pHモニタと、をさらに備える、
請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年10月26日に出願された米国特許出願17/510,600号に基づく優先権を主張し、その全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本明細書は、ガス流、例えば坑井掘削中又はガス-オイル分離プラントで発生する硫黄含有流から、硫黄含有化合物を除去する方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
政府の環境規制がますます厳しくなるにつれて、排出物からの硫黄含有化合物の除去がますます重要になっている。場合によっては、硫黄の回収率は、最低でも99.95%と高い。したがって、硫黄回収装置の簡易化された信頼性の高いテールガス処理が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本明細書では、例えば、クラウスプロセス(Claus process、クラウス法)のテールガスのようなガス流から硫黄含有化合物を除去するためのシステム及び方法を提供する。
【0005】
実施によっては、硫黄含有化合物を除去するためにクラウスプロセスのテールガスを処理する方法は、過剰酸素ガス中でクラウスプロセスのテールガスを燃焼させることを含み、過剰酸素ガスは、硫黄含有化合物を完全に燃焼させるのに必要な酸素モル数を超える酸素モル数を含む。クラウスプロセスのテールガスを過剰酸素ガス中で燃焼することは、燃焼酸化装置流出物(thermal oxidizer effluent)を生成し、燃焼酸化装置流出物は、二酸化硫黄、水蒸気、及び酸素を含む。この方法は、冷却燃焼酸化装置流出物を生成するために燃焼酸化装置流出物を冷却することと、冷却燃焼酸化装置流出物をクエンチ塔に流すことと、クエンチ塔の冷却燃焼酸化装置流出物を希薄水性酸(dilute aqueous acid)クエンチ流と接触させ、水蒸気を凝縮させ、二酸化硫黄を溶解し、亜硫酸、水和二酸化硫黄、又は亜硫酸と水和二酸化硫黄との組合せを生成することと、亜硫酸又は水和二酸化硫黄を燃焼酸化装置流出物からの酸素で酸化して硫酸を含む生成希薄水性酸流を生成することと、生成希薄水性酸流を冷却して冷却希薄水性酸流を生成することと、冷却希薄水性酸流を希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とに分割することと、希薄水性酸クエンチ流をクエンチ塔に流すことと、を含む。
【0006】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。本方法は、希薄水性酸バッファ流を水処理装置に流すことをさらに含み、水処理装置は、実質的に水である透過液と濃硫酸である残留物とを生成する。
【0007】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。クエンチ塔の冷却燃焼酸化装置流出物を希薄水性酸クエンチ流と接触させて、水蒸気を凝縮させ、二酸化硫黄を溶解し、亜硫酸、水和二酸化硫黄、又は亜硫酸と水和二酸化硫黄の組み合わせを含む生成希薄水性酸流を生成することは、約2重量%から約20重量%の間の硫酸を含む生成希薄水性酸流を生成する。
【0008】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。冷却希薄水性酸流を希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とに分割することは、冷却希薄水性酸流を希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とに分割することを含み、希薄水性酸バッファ流は、燃焼酸化装置流出物から凝縮した水とほぼ同じ容量を含む。
【0009】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。冷却希薄水性酸流を希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とに分割することは、冷却希薄水性酸流を均等に分割することを含み、希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流はそれぞれ、冷却希薄水性酸流の約50%を含む。
【0010】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。本方法は、二酸化硫黄を真水流と接触させることと、亜硫酸、水和二酸化硫黄、又はその両方を燃焼酸化装置流出物中の過剰酸素で硫酸へと酸化することと、真水流の一部を回収することと、回収(された)水のpHを監視することと、回収水のpHが0.5未満である場合は、回収水を水処理装置に流すことと、をさらに含む。
【0011】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。本方法は、水処理装置の透過液を真水流としてクエンチ塔に流すことをさらに含む。
【0012】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。水処理装置の残留物は硫黄回収装置に送られ、クラウス炉の酸素を濃縮する。
【0013】
実施によっては、ガスから硫黄含有化合物を除去するためのシステムには、硫黄含有化合物を含むガスを受け取り、過剰酸素ガス中で硫黄含有化合物を燃焼させるように構成された燃焼酸化装置が含まれ、過剰酸素ガスは、硫黄含有化合物を完全に燃焼させるのに必要な酸素モル数を超える酸素モル数を含み、二酸化硫黄を含む燃焼酸化装置流出物を生成する。本システムは、燃焼酸化装置に結合され、燃焼酸化装置流出物を冷却して冷却燃焼酸化装置流出物を生成するように構成された廃熱回収装置を含む。本システムは、廃熱回収装置に結合され、冷却燃燃焼酸化装置流出物を受け取るように構成されたクエンチ塔を含み、冷却燃焼酸化装置流出物を希薄水性酸クエンチ流と接触させ、二酸化硫黄を亜硫酸、水和二酸化硫黄、又は亜硫酸と水和二酸化硫黄との組合せに溶解し、亜硫酸、水和二酸化硫黄、又はその両方を硫酸へと酸化して、硫酸からなる生成希薄水性酸流を生成する。本システムは、クエンチ塔に結合された冷却装置を含み、クエンチ塔は、生成希薄水性酸流を冷却装置に流すように構成される。冷却装置は、生成希薄水性酸流を受け取り、生成希薄水性酸流を冷却して冷却希薄水性酸流を生成し、冷却希薄水性酸流を希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とに分割し、希薄水性酸クエンチ流をクエンチ塔に流すように構成される。
【0014】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。本システムは、水処理装置を含み、水処理装置は、冷却装置に結合され、冷却装置から希薄水性酸バッファ流を受け取るように構成され、水処理装置は、実質的に水である透過液流と濃硫酸である残留物流とを生成するように構成される。
【0015】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。本システムは、冷却装置と水処理装置との間に結合されたバッファタンクを含み、バッファタンクは、希薄水性酸バッファ流を受け取り、希薄水性酸バッファ流を水処理装置に流すように構成される。
【0016】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。バッファタンクは通気口を含み、通気口はクエンチ塔に結合され、未溶解ガスをクエンチ塔に流すように構成される。
【0017】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。廃熱回収装置は、燃焼酸化装置流出物を約330F(166℃)の温度まで冷却するように構成される。
【0018】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。希薄水性酸クエンチ流は、約110F(43℃)から約130F(54℃)の間の温度を有する。
【0019】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。生成希薄水性酸流は、約2重量%から約20重量%の硫酸を含む。
【0020】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。水処理装置は逆浸透膜処理装置であり、逆浸透膜処理装置は、実質的に水である透過液と、約70重量%から約90重量%の硫酸である残留物を生成する。
【0021】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。残留物は、硫黄回収装置に送られ、クラウス炉の酸素を濃縮する。
【0022】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。クエンチ塔は、上部、中間部、及び下部を含み、上部と下部は、中間部において多孔プレートによって接続され、多孔プレートは、クエンチ塔の下部上で希薄水性酸クエンチ流を再分配する。
【0023】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。クエンチ塔は、上部、中間部、及び下部を含み、上部と下部は、中間部においてプレートによって接続され、そのプレートは、バブルキャップを備え、そのプレートは、液体を収集し、気体がプレートを通過するように構成される。
【0024】
本態様は、単独で、又は他の態様と組み合わせて、以下の特徴を含むことができる。システムは、クエンチ塔と第2の冷却装置との間に結合された第2のバッファタンクを含み、第2のバッファタンクは、クエンチ塔から回収水を受け取るように構成され、第2のバッファタンクは、第2の通気口を含み、第2の通気口は、クエンチ塔に結合され、未溶解ガスをクエンチ塔に流すように構成される。本システムは、真水流を含み、真水流は、クエンチ塔の上部でクエンチ塔に入り、プレートは、真水を回収し、回収水を第2のバッファタンクに流すように構成される。システムは第2の冷却装置を含み、第2の冷却装置は第2のバッファタンクから回収水を冷却し、冷却回収水を真水流としてクエンチ塔に流すように構成される。システムは、回収水のpHを監視するように構成されたpHモニタを含み、第2のバッファタンクは、回収水のpHが0.5未満である場合には、バルブを介して回収水をバッファタンクに流すように構成され、水処理装置は、透過液流を真水流としてクエンチ塔に流すように構成される。
【0025】
本開示の1つ以上の実施の詳細は、添付図面及び以下の説明に記載されている。本開示の他の特徴、目的、及び利点は、明細書、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】ガスから硫黄含有化合物を除去するためのシステム100の例示的な概略図である。
【0027】
図2】ガスから硫黄含有化合物を除去するためのシステム200の例示的な概略図である。
【0028】
図3】ガスから硫黄含有化合物を除去するためのシステム300の例示的な概略図である。
【0029】
図4】硫黄含有化合物を除去するためにクラウスプロセスのテールガスを処理する方法400の一例を示すフローチャートである。
【0030】
種々な図面における同様の参照符号は、同様の要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
これから、開示された主題の特定の実施形態について詳細に言及するが、その例は、添付図面に部分的に示されている。開示された主題を列挙した特許請求の範囲と合わせて説明するが、例示された主題は、特許請求の範囲を開示された主題に限定することを意図するものではないことが理解されるであろう。
【0032】
本開示に提供されるのは、ガス流、例えばクラウスプロセスのテールガスから硫黄化合物を除去するための方法及びシステムの一部である。本開示に記載の技術は、現在利用可能な方法と比較して、クラウスプロセスのテールガスをより効率的に処理するために実施することができる。本明細書で説明する技術は、現在利用可能な方法と比較して、硫黄の回収率が高く、比較的安価である。
【0033】
クラウスプロセスは、天然ガス、原油、その他の工業用流体やガスから硫化水素を除去する方法である。クラウスプロセスは、2つのステップで構成される。
【数1】

【数2】
【0034】
クラウスプロセスのテールガスは、二酸化硫黄(SO)、硫化水素(HS)、二酸化炭素(CO)、窒素ガス(N)、水素ガス(H)、水(HO)、一酸化炭素(CO)、硫化カルボニル(COS)、微量の硫化炭素(CS)、及び、硫黄の同素体(S、S、及びS)を含む。テールガス成分の処理又は分離は困難である。
【0035】
本明細書には、硫黄化合物を含むテールガス、例えばクラウスプロセスのテールガスを処理するための方法及びシステムが説明されている。この方法及びシステムは、硫黄化合物をSOに変換すること、水溶液と接触させSOを溶解すること、及び、水和SOを硫酸へと酸化することによって、テールガスから多くの異なる硫黄含有化合物を除去することができる。次に、生成された硫酸は、後続のプロセスで収益化又は使用できる。例えば、生成された硫酸は、染料、紙、ガラス、アストリンゼント(収斂剤)、バッテリー、排水口クリーナー、金属加工、及び肥料の製造に使用できる。
【0036】
実施によっては、クラウスプロセスのテールガスは、燃焼酸化装置で燃料ガス、例えば、CHやC2Hと共に燃焼される。燃焼は、過剰酸素ガスで起こる。過剰酸素ガスは、硫黄含有化合物を完全に燃焼させるために必要な酸素モル数を超える酸素モル数を含む。実施によっては、酸素ガスは周囲空気から供給される。燃焼酸化装置は、SO、CO、N、HO、及び微量のCOと共に、約2体積%から3体積%のOを含む排気ガス、すなわち燃焼酸化装置流出物を生成する。この流出物は、冷えた酸性水(acidic water)との接触によって冷却される。この接触により、排気ガス中の水蒸気も凝縮させる。さらに、燃焼酸化装置流出物中のSOは、水に溶解して水和し、水相中で燃焼酸化装置流出物中に存在する過剰酸素と反応して亜硫酸(HSO)と硫酸(HSO)の混合物を生成する。SOの酸化は水中では熱力学的に可能であるが、この反応は気相中では起こらない。冷えた酸性水中で生成された亜硫酸及び硫酸は、亜硫酸/硫酸混合物の水性酸(aqueous acid)流を生成する。亜硫酸/硫酸の水性酸流はさらに冷却され、2つの流れに分かれる。第1の流れは、冷えた酸性水冷却材としてクエンチ塔(quench tower)に送り返される。第2の流れは処理され、弱酸性水と濃縮された亜硫酸/硫酸流を生成する。弱酸性水は、蒸発池(evaporation pond)に送るか、再利用することができる。濃縮された亜硫酸/硫酸流は、収益化されるか、硫黄回収装置(SRU)に送られ、クラウス炉の酸素を濃縮することができる。実施によっては、これは、工場、事業所、営利企業、又はその他の排出事業体が、硫黄回収目標又は硫黄排出目標を達成するのに役立つ。
【0037】
有利には、このアプローチは、燃焼を介して硫黄含有種を二酸化硫黄に変換し、次いでクエンチ塔で吸収と過剰酸素による酸化を介して硫酸に変換することによって、クラウスプロセスのテールガス中の多種多様な硫黄含有種を除去することができる。
【0038】
図1は、ガスから硫黄含有化合物を除去するためのシステム100の概略図の一例である。システム100は、燃焼酸化装置流出物101からSOを除去するための1段のクエンチ塔102を含む。燃焼酸化装置流出物101は、燃焼酸化装置160で硫化水素及び他の硫黄含有化合物、例えばCOS及びCS、が完全に燃焼した結果の残留物である。燃焼酸化装置流出物101は、N、SO、O、HO、CO、及びCOを含む。図1に示す星印(*)は、流れの中の化学種の相対濃度を示し、星印4つ(****)は高濃度、星印3つ(***)は高中間濃度、星印2つ(**)は低中間濃度、星印1つ(*)は低濃度を表す。燃焼酸化装置流出物101は、高濃度のN、高中間濃度のHOとCO、低中間濃度のO、低濃度のCOとSOを含む。実施によっては、燃焼酸化装置流出物101中のSO濃度は0.05モル%から1モル%である。実施によっては、燃焼酸化装置流出物101のOの濃度は2体積%から3体積%である。
【0039】
燃焼酸化装置流出物101は、約1100F(593℃)の温度で燃焼酸化装置160から出る。実施によっては、燃焼酸化装置流出物は、クエンチ塔102に入る前に、廃熱回収装置165を使用して約330F(166℃)の温度まで冷却される。燃焼酸化装置流出物101は、クエンチ塔102の底部130に送られる。次に、燃焼酸化装置流出物は、希薄水性酸クエンチ流105と接触する。燃焼酸化装置流出物は、希薄水性酸クエンチ流105との接触によってさらに冷却される。
【0040】
希薄水性酸クエンチ流105は、クエンチ塔102の上部120から入る。希薄水性酸クエンチ流105は、約110F(43℃)から約140F(60℃)の間の温度を有する。実施によっては、希薄水性酸クエンチ流105は約120F(49℃)の温度を有する。
【0041】
クエンチ塔では、式3に示すように、燃焼酸化装置流出物101の二酸化硫黄が水和し、燃焼酸化装置流出物中に存在する過剰酸素(E=+1.1301V)と容易に反応する。
【数3】
【0042】
この反応の生成物は硫酸である。反応速度は、酸素が溶解しているかどうかに関わらず、水和二酸化硫黄の濃度に依存し、酸素濃度には依存しない。酸化反応速度は、式4のように表すことができる。
【数4】
【0043】
速度定数kは、L3/2・mol-1/2・s-1を単位とし、式5のように表現できる。
【数5】

ここで、Rは理想気体定数であり、Tはケルビンの温度である。式3に示す反応速度は、反応の温度が上昇すると増加する。ただし、反応速度は硫酸の存在によって変化しない。式3に示すような反応は、クエンチ塔102のパッキングゾーンで起こる。パッキングゾーンは、液相、すなわち酸性水と気相との間の接触を促進するために大きな表面を提供する部分である。これにより、気相からのSOの除去も容易になる。パッキングゾーンは、材料(例えば、プラスチック、セラミック、金属)、形態(例えば、リング、ビーズ、サドル)、及び構成(すなわち、構造化又はランダム)で異なる場合がある。パッキングゾーンは、気相及び/又は液相での濃度分極を回避するために、各相の混合を誘導する。SOの水和の後、水相中でSOの酸化が起こる。燃焼酸化装置流出物に存在する他の化学種(N、未反応O、未凝縮HO、CO)は、クエンチ塔流出物104としてクエンチ塔の頂部から流出する。本明細書で説明するように、図1の星印は、これらの化学種の相対濃度を示す。クエンチ塔流出物104はフレアスタックに送られ、異常な状態時に起こる可能性のあるSOの漏出を軽減する。SOがクエンチ塔で正常に処理されない場合、例えば、SOの一部が気相と液相との間の接触不良(例えば、ガス流の偏流や液体/気体の比率の低下)のために気相に残留する場合に、異常な状態が起こる。
【0044】
希薄水性酸クエンチ流105の冷却作用は、燃焼酸化装置流出物101中の水蒸気も凝縮させる。凝縮水中の生成された硫酸と希薄水性酸クエンチ流の混合物は、生成希薄水性酸流103を生成する。生成希薄水性酸流103における硫酸の質量濃度は、約2重量%~約20重量%である。生成希薄水性酸流103は、クエンチ塔の下部を出て、ポンプ106を使用して冷却装置108に送られる。実施によっては、冷却装置108は熱交換器である。実施によっては、冷却装置108は空気冷却装置である。生成希薄水性酸流103は、約160F(71℃)から約140F(60℃)に冷却され、冷却希薄水性酸流109を生成する。冷却希薄水性酸流109は、冷却装置108を出て、希薄水性酸クエンチ流105と希薄水性酸バッファ流110とに分割される。実施によっては、この分割は、冷却希薄水性酸流109の流量を監視し、コントローラ及び制御バルブ(不図示)を使用してこの流れの一部を方向転換(diverting、分流)させることによって実行される。この分割は、生成希薄水性酸流103中の所望の硫酸濃度に基づくことができ、これにより、クエンチ塔102で必要な希薄水性酸クエンチ流105の量が特定される。冷却希薄水性酸流109(約99.5重量%から約95重量%)のほとんどは、希薄水性酸クエンチ流105として、クエンチ塔102の上部120に送り返される。希薄水性酸バッファ流110は、冷却希薄水性酸流109の残りの少量部分(約0.5重量%から約5重量%)を含む。この少量部分は、クエンチ塔102で凝縮した水の量とほぼ同じであり、クエンチ塔内の水の量が一定に保たれ、生成希薄水性酸流103が硫酸の濃度を一定に保つことを保証する。
【0045】
希薄水性酸バッファ流110は、バッファタンク111に送られる。未反応のSOは、水性酸バッファ流の中で、空気中の酸素と容易に反応し続ける。バッファタンク111は、通気口112を含む。希薄水性酸バッファ流中のSOと硫酸の濃度が低い場合、バッファタンクを外気に通気することができる。通気プロセスは、後続の膜プロセスに送られる液体がガスを含まないことを保証し、後続の膜プロセスでの脱ガスを最小限に抑えることができる。さらに、その通気口を用いて、第2のポンプ114が作動しているときにバッファタンクの圧力を平衡化できる。実施によっては、通気口112をクエンチ塔102に接続でき、通気されたガス140をクエンチ塔102の上部120に送ることができる。通気されたガス140は、希薄水性酸クエンチ流105の下のクエンチ塔102に入る。バッファタンク111をクエンチ塔102に通気することは、未溶解ガス、例えば、COや微量のSOをクエンチ塔に再循環させ、生成希薄水性酸流103における硫酸の収量を増加させる。実施によっては、SOの排出を回避するために、通気口112には、きれいな水流が循環される小さなカラム、又はウォータートラップが備え付けられている。実施によっては、一面(blanket)の不活性雰囲気が通気口112を介してバッファタンクに注入される。
【0046】
実施によっては、バッファタンク111内の希薄水性酸バッファ流110は、バッファタンクを出て、第2のポンプ114を使用して水処理装置118に送られる。水処理装置116は、希薄水性酸バッファ流110から亜硫酸と硫酸を除去するように構成されている。実施によっては、水処理装置116は、逆浸透膜処理装置、ナノ濾過(nanofiltration)装置、又はナノ濾過と逆浸透膜の組み合わせである。水処理装置は、硫酸を70重量%から90重量%まで濃縮できる。水処理装置は、主に水である透過液118を生成できる。透過液118は、pHがそれぞれ約7.0から約0.98の範囲である、0重量%から1重量%の範囲の硫酸濃度を有することができる。透過液118は、設備で再利用するか、蒸発池に送ることができる。水処理装置は、主に濃硫酸(約70重量%から90重量%)である残留物(retentate、保持液、リテンテート)流117も生成する。残留物流117は、収益化されるか、又は硫黄回収装置(SRU)に送られ、クラウス炉の酸素を濃縮できる。
【0047】
実施によっては、水処理装置118は電気透析装置である。電気透析装置を使用して、硫酸を20重量%から30重量%まで濃縮できる。
【0048】
実施によっては、希薄水性酸バッファ流110は、水処理装置116での蒸留、燃焼酸化装置160から生成される蒸気の一部を用いて、又はクラウスプロセスの反応炉の下流に設置された廃熱回収装置からの熱を利用して濃縮される。例えば、燃焼酸化装置の下流にある廃熱回収熱交換器でボイラー給水を加熱するために、蒸気が、高温の燃焼酸化装置流出物(温度>1100F(593℃))を利用することによって生成される。その後、この蒸気を用いて水を沸騰させることによって、希薄水性酸バッファ流を濃縮できる。
【0049】
図2は、ガスから硫黄含有化合物を除去するためのシステム200の概略図の一例である。燃焼酸化装置流出物201は、燃焼酸化装置260から出る。燃焼酸化装置流出物201は、燃焼酸化装置内で硫化水素及びその他の硫黄含有化合物が完全燃焼した残留物である。燃焼酸化装置流出物201は、N、SO、O、HO、CO、及びCOを含む。本明細書で説明するように、図2に示す星印(*)は、流れの中の化学種の相対濃度を示す。燃焼酸化装置流出物201は、高濃度のN、高中間濃度のHOとCO、低中間濃度のO、低濃度のCOとSOを含む。実施によっては、燃焼酸化装置流出物中のSO濃度は0.05~1モル%である。実施によっては、燃焼酸化装置のガスのOの濃度は2体積%~3体積%である。
【0050】
燃焼酸化装置流出物201は、約1100F(593℃)の温度で燃焼酸化装置260から出る。燃焼酸化装置流出物201は、クエンチ塔202の底部230に入る前に、廃熱回収ユニット265を使用して冷却される。クエンチ塔は、上部220、中間部225、及び下部230を含む。クエンチ塔の上部220とクエンチ塔202の下部230は、多孔プレート221によって中間部225で流体的に接続されている。多孔プレート221は、真水(fresh water)流からの水を下部230のパッキング上に再分配する。多孔プレートは、下部230のパッキングの頂部に落下する液体を再分配するように構成され、ガスが上部から下部まで通過できるように構成されている。多孔プレートは、プラスチック、セラミック、又は金属で作ることができる。実施によっては、多孔プレートはスプラッシュプレート又はチャンネル型プレートにすることができる。
【0051】
希薄水性酸クエンチ流205は、下部230のパッキングに噴霧される。下部230のパッキングゾーンは、材料(例えば、プラスチック、セラミック、金属)、形態(例えば、リング、ビーズ、サドル)、及び構成(すなわち、構造化又はランダム)で異なる場合がある。パッキングゾーンは、液相、すなわち酸性水と気相との間の接触を促進するために、大きな表面を提供する。これにより、気相からのSOの除去も容易になる。パッキングゾーンは、気相及び/又は液相での濃度分極を回避するために、各相の混合を誘導する。
【0052】
燃焼酸化装置流出物201は、希薄水性酸クエンチ流205及び真水流219との接触によって、クエンチ塔でさらに冷却される。希薄水性酸クエンチ流205は、クエンチ塔202の中間部225でクエンチ塔202に入る。希薄水性酸クエンチ流205は、約110F(43℃)から約140F(60℃)の間の温度を有する。実施によっては、希硫酸流205は、約120F(49℃)の温度を有する。真水流219は、クエンチ塔202の上部220に入る。真水流219は、約110F(43℃)から約140F(60℃)の間の温度を有する。実施によっては、真水流219は、約120F(49℃)の温度を有する。
【0053】
水和二酸化硫黄の硫酸への酸化は、クエンチ塔のパッキングゾーン、上部220及び下部230で起こる。本明細書に記載されているが、式3に示すように、燃焼酸化装置流出物201の二酸化硫黄は、水中で水和し、燃焼酸化装置流出物中に存在する過剰酸素と容易に反応する。この反応の生成物は硫酸である。反応速度は、水和二酸化硫黄の濃度に依存する。希薄水性酸クエンチ流205及び真水流219の冷却作用は、燃焼酸化装置流出物201に含まれる水蒸気を凝縮させる。燃焼酸化装置流出物のSOは水に溶解して水和し、水相中で燃焼酸化装置流出物中に存在する過剰酸素と反応して亜硫酸(HSO)と硫酸(HSO)の混合物を生成する。冷えた酸性水中に生成された亜硫酸及び硫酸は、生成された硫酸の流れを生成する。結果として生成された硫酸の流れは、クエンチ塔の底部で硫酸の質量濃度を2重量%~20重量%に維持する。燃焼酸化装置流出物に存在する他の化学種(N、未反応O、未凝縮HO、CO)は、クエンチ塔流出物204としてクエンチ塔の頂部から出る。本明細書で説明するように、図2の星印はこれらの化学種の相対濃度を示す。クエンチ塔流出物204はフレアスタックに送られ、異常な状態時に起こる可能性のあるSOの漏出を軽減する。
【0054】
生成希薄水性酸流203は、クエンチ塔202の下部を出て、ポンプ206を使用して冷却装置208に送られる。実施によっては、冷却装置208は熱交換器である。実施によっては、冷却装置208は空気冷却装置である。生成希薄水性酸流203は、冷却装置によって約160F(71℃)から約120F(49℃)に冷却され、冷却希薄水性酸流209を生成する。冷却希薄水性酸流209は、希薄水性酸クエンチ流205と希薄水性酸バッファ流210とに分割される。実施によっては、この分割は、冷却希薄水性酸流209の流量を監視し、コントローラ及び制御バルブ(不図示)を使用してこの流れの一部を分流させることによって実行される。この分割は、生成希薄水性酸流203中の所望の硫酸濃度に基づくことができ、これにより、クエンチ塔202で必要な希薄水性酸クエンチ流205の量が特定される。実施によっては、冷却希薄水性酸流209は、均等に分割される、すなわち、希薄水性酸クエンチ流205と希薄水性酸バッファ流210は、それぞれ冷却希薄水性酸流を50重量%含む。希薄水性酸クエンチ流205は、クエンチ塔202の中間部に送られる。希薄水性酸バッファ流210は、バッファタンク211に送られる。未反応のSOは、水性酸バッファ流の中で、空気中の酸素と容易に反応し続ける。バッファタンク211には、通気口212が取り付けられている。希薄水性酸バッファ流210中のSOと硫酸の濃度が低い場合、バッファタンクを外気に通気することができる。通気プロセスは、後続の膜プロセスに送られる液体がガスを含まないことを保証し、後続の膜プロセスでの脱ガスを最小限に抑えることができる。さらに、その通気口を用いて、第2のポンプ214が作動しているときにバッファタンクの圧力を平衡化できる。実施によっては、通気口212をクエンチ塔202に接続でき、通気されたガス240はクエンチ塔202の中間部に送ることができる。通気されたガス240は、希薄水性酸クエンチ流205の下でクエンチ塔202に入る。バッファタンク211をクエンチ塔202に通気することは、未溶解ガス、例えば、SOやCOをクエンチ塔に再循環させ、生成希薄水性酸流203における硫酸の収量を増加させる。
【0055】
実施によっては、SOの排出を回避するために、通気口212には、きれいな水流が循環される小さなカラム、又はウォータートラップが備え付けられている。実施によっては、一面の不活性雰囲気が通気口212を介してバッファタンクに注入される。
【0056】
第2のポンプ214を使用して、バッファタンク211から水処理装置216まで希薄水性酸バッファ流210を送ることができる。水処理装置216は、希薄水性酸バッファ流210から亜硫酸と硫酸を除去するように構成されている。実施によっては、水処理装置216は、逆浸透膜処理装置、ナノ濾過装置、又はナノ濾過と逆浸透膜の組み合わせである。水処理装置は、希薄水性酸バッファ流210中の硫酸を70重量%から90重量%まで濃縮できる。水処理装置の透過液218は主に水である。透過液218は、pHがそれぞれ約7.0から約0.98の範囲である、0重量%から1重量%の範囲の硫酸濃度を有することができる。透過液のほとんど(約90重量%から99重量%)は、真水流219として、クエンチ塔202の上部220に送られる。透過液218の少量部分218b(約1重量%から10重量%)が除去される。少量部分218bは、クエンチ塔102で凝縮した水の量にほぼ相当し、クエンチ塔内の水の量が一定に保たれ、生成希薄水性酸流203が硫酸の濃度を一定に保たれることを保証する。少量部分218bは、設備で再利用するか、蒸発池に送ることができる。
【0057】
逆浸透処理装置の残留物217は濃硫酸(70重量%~90重量%)である。残留物は、収益化されるか、硫黄回収装置(SRU)に送られ、クラウス炉の酸素を濃縮できる。
【0058】
実施によっては、水処理装置218は電気透析装置である。電気透析装置を使用して、硫酸を20重量%から30重量%まで濃縮できる。
【0059】
実施によっては、希薄水性酸バッファ流210は、水処理装置216での蒸留、燃焼酸化装置から生成される蒸気の一部を用いて、又はクラウスプロセスの反応炉の下流に設置された廃熱回収装置からの熱の利用によって、濃縮される。
【0060】
図3は、ガスから硫黄含有化合物を除去するためのシステム300の一例を示す概略図である。燃焼酸化装置流出物301は、クエンチ塔302の底部330に送られる。燃焼酸化装置流出物301は、燃焼酸化装置360で硫化水素及び他の硫黄含有化合物が完全に燃焼した残留物である。燃焼酸化装置流出物301は、N、SO、O、HO、CO、及びCOを含む。本明細書で説明するように、図3に示す星印(*)は、流れの中の化学種の相対濃度を示す。燃焼酸化装置流出物301は、高濃度のN、高中間濃度のHOとCO、低中間濃度のO、低濃度のCOとSOを含む。実施によっては、燃焼酸化装置流出物301中のSO濃度は、0.05から1モル%である。実施によっては、燃焼酸化装置流出物中のOの濃度は、2体積%から3体積%である。
【0061】
燃焼酸化装置流出物301は、約1100F(593℃)の温度で燃焼酸化装置360から出る。燃焼酸化装置流出物は、クエンチ塔302に送られる前に、廃熱回収装置365を用いて約330F(166℃)まで冷却される。クエンチ塔302では、燃焼酸化装置流出物は、希薄水性酸クエンチ流305及び真水流319との接触によって、さらに冷却される。希薄水性酸クエンチ流305は、クエンチ塔302の中間部325でクエンチ塔302に入る。希薄水性酸クエンチ流は、約140F(60℃)の温度でクエンチ塔に入る。真水流319は、クエンチ塔の上部320でクエンチ塔302に入る。真水流319は、約140F(60℃)の温度でクエンチ塔に入る。
【0062】
クエンチ塔302の上部320は、クエンチ塔の中間部325のプレート321によって、クエンチ塔302の下部330に流体的に接続される。プレート321はバブルキャップを含む。バブルキャップは、プレートを通してガスを上方に流れるようにする。プレート321はまた、真水流319から真水を収集する。真水はプレート321から回収できる。
【0063】
式3に示すように、水和二酸化硫黄の硫酸への酸化は、主にクエンチ塔302の下部330のパッキングゾーンで起こる。燃焼酸化装置流出物に存在する他の化学種(N、未反応O、未凝縮HO、CO)は、クエンチ塔流出物304としてクエンチ塔の頂部から流出する。本明細書で説明するように、図3の星印は、これらの化学種の相対濃度を示す。クエンチ塔流出物304は、フレアスタックに送られ、異常な状態(upset conditions)時に起こる可能性のあるSOの漏出を軽減する。
【0064】
生成希薄水性酸流303は、クエンチ塔の下部を出て、ポンプ306を使用して冷却装置308に送られる。実施によっては、冷却装置308は熱交換器である。実施によっては、冷却装置308は空気冷却装置である。生成希薄水性酸流303が冷却装置に入り、約160F(71℃)から約140F(60℃)にさらに冷却され、冷却希薄水性酸流309が生成される。冷却希薄水性酸流309は、希薄水性酸クエンチ流305と希薄水性酸バッファ流310とに分割される。実施によっては、この分割は、冷却希薄水性酸流309の流量を監視し、コントローラ及び制御バルブ(不図示)を使用して、この流れの一部を方向転換させることによって実行される。この分割は、生成希薄水性酸流303中の所望の硫酸濃度に基づくことができ、これにより、クエンチ塔302で必要な希薄水性酸クエンチ流305の量が特定される。冷却水性酸流309の約99.5重量%から96重量%は、希薄水性酸クエンチ流305としてクエンチ塔の中間部に送り返される。冷却水性酸流309の少量部分(約0.5重量%から5重量%)は、希薄水性酸バッファ流310としてバッファタンク311に送られる。この少量部分は、クエンチ塔302で凝縮した水の量にほぼ相当し、クエンチ塔内の水の量が一定に保たれ、生成希薄水性酸流303が硫酸の濃度を一定に保たれることを保証する。未反応のSOは、水性酸バッファ流の中で、空気中のOと容易に反応し続ける。
【0065】
バッファタンク311には通気口312が取り付けられている。希薄水性酸バッファ流の中のSOと硫酸の濃度が低い場合、バッファタンクを外気に通気することができる。通気プロセスは、後続の膜プロセスに送られる液体がガスを含まないことを保証し、後続の膜プロセスでの脱ガスを最小限に抑えることができる。さらに、通気口は、第2のポンプ314が作動しているときにバッファタンクの圧力を平衡化するために使用できる。
【0066】
実施によっては、通気口312を、クエンチ塔の下部330に通気されたガス340を送るように構成できる。通気されたガス340は、希薄水性酸クエンチ流305の下でクエンチ塔に入る。バッファタンク311をクエンチ塔302に通気することは、未溶解ガス、例えば、SOやCOをクエンチ塔に再循環させ、生成希薄水性酸流303における硫酸の収量を増加させる。実施によっては、SOの排出を回避するために、通気口312には、きれいな水流が循環される小さなカラム、又は水トラップが備え付けられている。実施によっては、一面の不活性雰囲気が通気口312を介して注入される。
【0067】
希薄水性酸バッファ流310は、バッファタンク311を出て、第2のポンプ314を使用して水処理装置316まで送られる。水処理装置316は、希薄水性酸バッファ流310から亜硫酸と硫酸を除去するように構成されている。実施によっては、水処理装置316は、逆浸透膜処理装置、ナノ濾過装置、又はナノ濾過と逆浸透膜の組み合わせである。水処理装置は、硫酸を約70重量%から90重量%まで濃縮できる。水処理装置の透過液318は主に水である。透過液318は、pHがそれぞれ約7.0から約0.98の範囲である、0重量%から1重量%の範囲の硫酸濃度を有することができる。透過液318は、設備で再利用するか、バルブ332を介して蒸発池に送ることができる。水処理装置の残留物317は、主に濃硫酸であり、約70重量%から90重量%である。残留物317は、収益化されるか、クラウス炉の酸素を濃縮するために硫黄回収装置(SRU)に送られ得る。
【0068】
実施によっては、水処理装置318は電気透析装置である。電気透析装置は、硫酸を20重量%から30重量%まで濃縮するために使用できる。
【0069】
実施によっては、希薄水性酸バッファ流310は、水処理装置316での蒸留、燃焼酸化装置から生成される蒸気の一部の利用、又はクラウスプロセスの反応炉の下流に設置された廃熱回収装置からの熱の利用によって濃縮される。
【0070】
本明細書で説明するように、プレート321は、真水流319から水を収集及び回収するように構成される。実施によっては、回収された真水322は、第2のバッファタンク324に送られる。第2のバッファタンク324には、第2の通気口323が取り付けられている。回収された真水322中のSOと硫酸の濃度が低い場合、第2のバッファタンク324を外気に通気することができる。通気プロセスは、後続の膜プロセスに送られる液体がガスを含まないことを保証し、後続の膜プロセスでの脱ガスを最小限に抑えることができる。さらに、その通気口、第3のポンプ326が作動しているときにバッファタンクの圧力を平衡化するために使用できる。実施によっては、通気口112は、クエンチ塔102の上部320に接続され得る。通気されたガス350は、真水流319の下のクエンチ塔302に入る。第2のバッファタンク324をクエンチ塔302に通気することは、未溶解ガス、例えば、SOやCOをクエンチ塔に再循環させ、生成希薄水性酸流303における硫酸の収量を増加させる。
【0071】
実施によっては、第2の通気口323には、SOが大気に放出されるのを防ぐために、きれいな水流が循環する小さなカラム(塔)、又はウォータートラップが備え付けられている。実施によっては、一面の不活性雰囲気が第2の通気口323を介して第2のバッファタンクに注入される。
【0072】
実施によっては、真水流319は第2のバッファタンクを出て、クエンチ塔の頂部に導かれる前に、熱交換器328によって約140F(60℃)の温度に維持される。
【0073】
本明細書に記載されているように、水和二酸化硫黄の硫酸への酸化は、主にクエンチ塔302の下部330のパッキングゾーンで起こる。ただし、燃焼酸化装置流出物301の組成又は流量に変動又は異常がある場合、あるいは生産の異常がクエンチ塔の下部で処理できない大量のSOを生成する場合、漏出が起こり、SOガスがクエンチ塔302の上部320に入る可能性がある。漏出したSOは、真水流319から来る真水によって吸収され、クエンチ塔302の上部320に亜硫酸と硫酸を生成する。真水流319は、亜硫酸と硫酸を冷却して溶解する。SOの漏出によって生成される亜硫酸と硫酸は、真水流322で回収される。
【0074】
したがって、二酸化硫黄の漏出が起こると、回収された真水のpHが減少する。漏出がなければ、真水322のpHは7から1(それぞれ0重量%から1重量%の硫酸)の間である。漏出が起こり、インライン又はバイパスのpHプローブで測定されたpHが約0.5に達すると、第2のバッファタンク324から出る回収水流322は、ライン335及びバルブ331を介してバッファタンク311へ方向転換される。実施によっては、バルブを手動で制御できる。実施によっては、バルブは、バッファタンク311及び第2のバッファタンク324のpH計と液面計に連動したコントローラで制御できる。したがって、回収水流はバッファタンク311に保持され、その後、水処理装置316を使用して処理される。次に、水処理装置の透過液318は、ライン329及びバルブ333及び第3のポンプ326を介して、クエンチ塔302の上部320に送り返される。したがって、システム300は、硫酸を除去するために回収水322を処理することによって、漏出を軽減する。
【0075】
実施によっては、システム300は、ラインとバルブの代替配置を含む。例えば、第2のバッファタンク24から出る回収水流322は、ライン335及びバルブ331を通過してポンプ314に流れ得る。本実施では、ライン335は第2のバッファタンク324の底部に接続されている。本実施では、水処理装置318からの真水は、バルブ323及びライン329を介してタンク324に送られ、ライン329は、第2のバッファタンク324の頂部に接続されている。本実施では、バルブは手動で制御することもできるし、バッファタンク311及び第2のバッファタンク324のpH計と液面計に連動したコントローラで制御することもできる。
【0076】
図4は、硫黄含有化合物を除去するためにクラウスプロセスのテールガスを処理する方法400の一例を示す。402では、クラウスプロセスのテールガスは、燃焼酸化装置で過剰酸素ガス内で燃焼して、二酸化硫黄、水蒸気、酸素を含む燃焼酸化装置流出物を生成する。404では、燃焼酸化装置流出物を約330F(166℃)に冷却する。406では、冷却流出物はクエンチ塔に送られる。
【0077】
408では、クエンチ塔に入る燃焼酸化装置流出物は、希薄水性酸クエンチ流と接触させて、水蒸気を凝縮させ、二酸化硫黄を溶解し、亜硫酸、水和二酸化硫黄、又はその両方を生成する。410では、亜硫酸又は水和二酸化硫黄は、燃焼酸化装置流出物からの酸素で酸化され、硫酸を含む生成希薄水性酸流が生成される。実施によっては、生成希薄水性酸流は、約2重量%から20重量%の硫酸を含む。
【0078】
412では、生成希薄水性酸流流量を約140F(60℃)に冷却して、冷却希薄水性酸流を生成する。414では、冷却希薄水性酸流を分割し、希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流を生成する。実施によっては、希薄水性酸バッファ流は、燃焼酸化装置流出物から凝縮した水とほぼ同じ容量である。実施によっては、冷却希薄水性酸流は、希薄水性酸クエンチ流と希薄水性酸バッファ流とがそれぞれ冷却希薄水性酸流の約50%を含むように、均等に分割される。
【0079】
416では、希薄水性酸クエンチ流はクエンチ塔に送られる。実施によっては、希薄水性酸バッファ流は水処理装置に送られる。実施によっては、水処理装置は、逆浸透膜処理装置、ナノ濾過装置、又はナノ濾過と逆浸透膜の組み合わせである。水処理装置は、硫酸を70重量%から90重量%まで濃縮できる。水処理装置は、主に水である透過液を生成できる。透過液は、pHがそれぞれ約7.0から約0.98の範囲で、0重量%から1重量%の範囲の硫酸濃度を有していてよい。透過液は、設備で再利用するか、蒸発池に送ることができる。水処理装置は、主に濃硫酸(約70重量%から90重量%)である残留物も生成する。この残留物は、収益化されるか、又は硫黄回収装置(SRU)に送られ、クラウス炉の酸素の濃縮に使用できる。
【0080】
実施によっては、水処理装置は電気透析装置である。電気透析装置は、硫酸を20重量%から30重量%まで濃縮するために使用できる。
【0081】
実施によっては、希薄水性酸バッファ流は、水処理装置での蒸留、燃焼酸化装置から生成される蒸気の一部の利用、又はクラウスプロセスの反応炉の下流に設置された廃熱回収装置からの熱の利用によって、濃縮される。例えば、高温の(温度1100F(593℃)超)燃焼酸化装置流出物を利用することによって蒸気を生成し、燃焼酸化装置の下流にある廃熱回収熱交換器でボイラー給水を加熱することができる。その後、蒸気を使用して、水を沸騰させることによって、希薄水性酸バッファ流を濃縮できる。水処理装置は、実質的に水である透過液と濃硫酸である残留物を生成する。
【0082】
実施によっては、本方法は硫酸を真水流と接触させることを含む。真水流は回収される。実施によっては、回収水は真水流として再利用される。回収水のpHが0.5を下回ると、回収水を水処理装置に送ることができる。水処理装置の透過液は、クエンチ塔又は蒸発池に送ることができる。水処理装置の残留物は、収益化するか、クラウス炉の酸素を濃縮するためにSRUに送られ得る。
【0083】
本開示で使用される用語「約」は、例えば、記載された値又は範囲の記載された限界値の10%以内、5%以内、又は1%以内といった、値又は範囲のばらつきの程度を許容することができる。
【0084】
本開示で使用される用語「実質的に」は、少なくとも約50%、60%、70%、80%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%、99.9%、99.99%、又は少なくとも約99.999%以上のように、大部分、又はほとんどを指す。
【0085】
本開示で使用される「重量%」(wt%)は、混合物又は組成物全体に対する物質の質量分率又は質量比とみなすことができる。重量パーセントは、特に示されない限り、重量対重量の比率でも質量対質量の比率でもよい。
【0086】
本開示で使用されるように、「体積パーセント」(vol%)は、混合物又は組成物の総体積に対する物質の体積分率又は体積比とみなすことができる。
【0087】
本開示で使用されるように、「モルパーセント」(mol%)は、混合物又は組成物のモルの総数に対する物質のモル分率又はモル比とみなすことができる。
【0088】
本開示の多くの実施が説明されてきた。それにもかかわらず、本開示の主旨と範囲から離れることなく、さまざまな修正が行われる可能性があることが理解されよう。
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】