(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】眼科用レーザシステムのレーザ送達ヘッドの制御
(51)【国際特許分類】
A61F 9/008 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
A61F9/008 120F
A61F9/008 130
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525052
(86)(22)【出願日】2022-10-05
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 IB2022059522
(87)【国際公開番号】W WO2023089400
(87)【国際公開日】2023-05-25
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】319008904
【氏名又は名称】アルコン インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【氏名又は名称】森本 有一
(74)【代理人】
【識別番号】100211177
【氏名又は名称】赤木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】ゾルト ボル
(57)【要約】
いくつかの実施形態では、眼に対してレーザ処置を行う眼科用レーザシステムは、レーザデバイス、眼科用顕微鏡、y方向モータ、ユーザインタフェースデバイス及びコントローラを含む。レーザデバイスは、レーザビームを眼内の標的の方に向けるレーザ送達ヘッドを含む。レーザビームはz軸を画定し、z軸は、y方向を画定するy軸を含むxy平面を画定する。眼科用顕微鏡は、眼内から光を受光して眼の画像を提供する。ユーザインタフェースデバイスは、ユーザから指示を受け取る。コントローラは、ユーザインタフェースデバイスから、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させる指示を受け取り、その指示に応じて、y方向モータに、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させるように命令する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼に対してレーザ処置を行うように構成された眼科用レーザシステムであって、
レーザビームを前記眼内の標的の方に向けるように構成されたレーザ送達ヘッドを備えるレーザデバイスであって、前記レーザビームがz軸を画定し、前記z軸がxy平面を画定し、前記xy平面のx軸が水平方向に位置合わせされ、前記xy平面のy軸が垂直方向に位置合わせされている、レーザデバイスと、
前記眼内から光を受光して前記眼の画像を提供するように構成された眼科用顕微鏡と、
前記y軸によって画定されるy方向に前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を移動させるように構成されたy方向モータと、
ユーザから複数の指示を受け取るように構成されたユーザインタフェースデバイスと、
コントローラであって、
前記ユーザインタフェースデバイスから、前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を前記y方向に移動させる指示を受け取り、
前記指示に応じて、前記y方向モータに、前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を前記y方向に移動させるように命令する
ように構成されたコントローラと、
を備える眼科用レーザシステム。
【請求項2】
前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を支持するように構成されたリフト支持体をさらに備え、
前記y方向モータが、前記リフト支持体を前記y方向に移動させることにより、前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を前記y方向に移動させるように構成されている、
請求項1に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項3】
前記y方向モータが、回転アクチュエータを有するモータ駆動サーボシステムを含む、請求項1記載の眼科用レーザシステム。
【請求項4】
前記y方向モータが、ステッピングモータを有するモータ駆動サーボシステムを含む、請求項1に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項5】
前記y方向モータが、
リフト支持体を上昇及び下降させるように構成された複数のアームを備えるシザージャッキリフト
を含む、請求項1に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項6】
前記y方向モータが、
1つ又は複数のシャフトを備えた回転垂直調整システムであって、シャフトがリフト支持体を上昇及び下降させるために回転するように構成されている、
請求項1に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項7】
前記y方向モータが、
リフト支持体を上昇及び下降させるために回転するように構成されたスクリューを含むスクリュー式垂直調整システム
を含む、請求項1に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項8】
前記y方向モータが、
リフト支持体を上昇及び下降させるために回転するように構成されたホイール
を含む、請求項1に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項9】
前記ユーザインタフェースデバイスが、ジョイスティックを含む、請求項1に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項10】
前記ジョイスティックが、回転するように構成されており、
前記コントローラが、前記ジョイスティックの回転を検出することにより、前記ユーザインタフェースデバイスから前記指示を受け取るように構成されている、
請求項9に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項11】
前記ジョイスティックが、上昇及び下降するように構成されており、
前記コントローラが、前記ジョイスティックの上昇又は下降を検出することにより、前記ユーザインタフェースデバイスから前記指示を受け取るように構成されている、
請求項9に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項12】
前記x軸によって画定されるx方向及び前記z軸によって画定されるz方向に、前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を移動させるように構成されたxz方向モータ
をさらに備える、請求項1に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項13】
前記コントローラが、
前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡をx方向に移動させる指示を受け取り、
前記指示に応じて、前記xz方向モータに、前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡をx方向に移動させるように命令する
ようにさらに構成されている、請求項12に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、
前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を前記z方向に移動させる指示を受け取り、
前記指示に応じて、前記xz方向モータに、前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を前記z方向に移動させるように命令する
ようにさらに構成されている、請求項12に記載の眼科用レーザシステム。
【請求項15】
眼科用レーザシステムの送達ヘッドを移動させる方法であって、
ユーザインタフェースデバイスにより、ユーザから前記眼科用レーザシステムに対する複数の指示を受け取ることであって、前記眼科用レーザシステムが、レーザ送達ヘッドと眼科用顕微鏡とを備え、前記レーザ送達ヘッドが、レーザビームを眼内の標的の方に向けるように構成され、前記レーザビームがz軸を画定し、前記z軸がxy平面を画定し、前記xy平面のx軸が水平方向に位置決めされ、前記xy平面のy軸が垂直方向に配置され、前記眼科用顕微鏡が、前記眼内から光を受光して前記眼の画像を提供するように構成されている、受け取ることと、
前記コントローラにより、前記ユーザインタフェースデバイスから、前記複数の指示のうち、前記y軸によって画定される前記y方向に前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を移動させる指示を受け取ることと、
前記コントローラにより、前記指示に応じて、y方向モータに、前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を前記y方向に移動させるように命令することと、
前記y方向モータにより、前記レーザ送達ヘッド及び前記眼科用顕微鏡を前記y方向に移動させることと、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、眼科用レーザ手術システムに関し、より詳細には、眼科用レーザ手術システムのレーザ送達ヘッドを制御することに関する。
【背景技術】
【0002】
眼科用レーザ手術では、外科医は眼を治療するためにレーザビームを眼に向けることがある。例えば、飛蚊症を治療するためにレーザビームを硝子体に向けることがある。飛蚊症は、硝子体内に生じるコラーゲンタンパク質の塊である。これらの塊は、動く影及び歪みによって視界を妨げる可能性がある。レーザビームを使用して、浮遊物を分解し、視力を良好にすることができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
いくつかの実施形態では、眼に対してレーザ処置を行う眼科用レーザシステムは、レーザデバイス、眼科用顕微鏡、y方向モータ、ユーザインタフェースデバイス及びコントローラを含む。レーザデバイスは、レーザビームを眼内の標的の方に向けるレーザ送達ヘッドを含む。レーザビームは、xy平面を画定するz軸を画定する。xy平面のx軸は水平方向に位置合わせされ、xy平面のy軸は垂直方向に位置合わせされている。眼科用顕微鏡は、眼内から光を受光して眼の画像を提供する。y方向モータは、y軸によって画定されるy方向にレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させる。ユーザインタフェースデバイスは、ユーザから指示を受け取る。コントローラは、ユーザインタフェースデバイスから、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させる指示を受け取り、その指示に応じて、y方向モータに、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させるように命令する。
【0004】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてもよく、1つ、いくつか、又は全てを含んでもよい。
【0005】
* 眼科用レーザシステムは、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を支持するリフト支持体を含む。y方向モータは、リフト支持体をy方向に移動させることにより、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させる。
【0006】
* y方向モータは、回転アクチュエータを有するモータ駆動サーボシステムを含む。
【0007】
* y方向モータは、ステッピングモータを有するモータ駆動サーボシステムを含む。
【0008】
* y方向モータは、リフト支持体を上昇及び下降させるアームを有するシザージャッキリフトを含む。
【0009】
y方向モータは、リフト支持体を上昇及び下降させるために回転する1つ又は複数の* シャフトを有する回転垂直調整システムを含む。
【0010】
* y方向モータは、リフト支持体を上昇及び下降させるために回転するスクリューを有するスクリュー式垂直調整システムを含む。
【0011】
* y方向モータは、リフト支持体を上昇及び下降させるために回転するホイールを含む。
【0012】
* ユーザインタフェースデバイスは、ジョイスティックを含む。ジョイスティックは、回転させることができ、コントローラは、ジョイスティックの回転を検出することにより、ユーザインタフェースデバイスから指示を受け取る。又は、ジョイスティックは、上昇及び下降させることができ、コントローラは、ジョイスティックの上昇又は下降を検出することにより、ユーザインタフェースデバイスから指示を受け取る。
【0013】
いくつかの実施形態では、眼科用レーザシステムのレーザ送達ヘッドを移動させる方法は、ユーザインタフェースデバイスにより、ユーザから眼科用レーザシステムに対する指示を受け取ることを含む。眼科用レーザシステムは、レーザ送達ヘッドと、眼科用顕微鏡とを含む。レーザ送達ヘッドは、レーザビームを眼内の標的の方に向ける。レーザビームはz軸を画定し、z軸は、x軸が水平方向に位置決めされ、y軸が垂直方向に配置された、xy平面を画定する。眼科用顕微鏡は、眼内から光を受光して眼の画像を提供する。本方法はまた、コントローラにより、ユーザインタフェースデバイスから、y軸によって画定されるy方向にレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させる指示を受け取ることと、コントローラにより、上記指示に応じて、y方向モータに、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させるように命令することと、y方向モータにより、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させることとを含む。
【0014】
実施形態は、以下の特徴のいずれも含まなくてもよく、1つ、いくつか、又は全てを含んでもよい。
【0015】
* y方向モータにより、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させることは、リフト支持体をy方向に移動させることをさらに含み、リフト支持体はレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を支持する。
【0016】
* コントローラにより、ユーザインタフェースデバイスから、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させる命令を受け取ることは、ユーザインタフェースデバイスの回転を検出することをさらに含み、ユーザインタフェースデバイスはジョイスティックを含む。
【0017】
* コントローラにより、ユーザインタフェースデバイスから、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させる命令を受け取ることは、ユーザインタフェースデバイスの上昇又は下降を検出することをさらに含み、ユーザインタフェースデバイスはジョイスティックを含む。
【0018】
* 本方法は、コントローラにより、ユーザインタフェースデバイスから、x軸によって画定されるx方向にレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させる指示を受け取ることと、コントローラにより、上記指示に応じて、xz方向モータに、x方向にレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させるように命令することとをさらに含む。
【0019】
* 本方法は、コントローラにより、ユーザインタフェースデバイスから、z軸によって画定されるz方向にレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させる指示を受け取ることと、コントローラにより、上記指示に応じて、xz方向モータに、z方向にレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させるように命令することとをさらに含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、眼に対してレーザ処置を行う眼科用レーザシステムは、レーザデバイス、眼科用顕微鏡、リフト支持体、y方向モータ、xz方向モータ、ユーザインタフェースデバイス及びコントローラを含む。レーザデバイスは、レーザビームを眼内の標的の方に向けるレーザ送達ヘッドを含む。レーザビームは、z軸を画定し、z軸はxy平面を画定する。xy平面のx軸は水平方向に位置合わせされ、xy平面のy軸は垂直方向に位置合わせされている。眼科用顕微鏡は、眼内から光を受光して眼の画像を提供する。リフト支持体は、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を支持する。y方向モータは、リフト支持体をy方向に移動させることにより、y軸によって画定されるy方向にレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させる。y方向モータは、回転アクチュエータ又はステッピングモータを有するモータ駆動サーボシステムを備える。y方向モータは、リフト支持体を上昇及び下降させるアームを有するシザージャッキリフト、リフト支持体を上昇及び下降させるために回転する1つ又は複数のシャフトを有する回転垂直調整システム、リフト支持体を上昇及び下降させるために回転するスクリューを有するスクリュー式垂直調整システム、又はリフト支持体を上昇及び下降させるために回転するホイールのうち少なくとも1つを含む。xz方向モータは、x軸によって画定されるx方向とz軸によって画定されるz方向とにレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させる。ユーザインタフェースデバイスは、ジョイスティックを含み、ユーザから指示を受け取る。コントローラは、ユーザインタフェースデバイスから、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させる指示を受け取り、その指示に応じて、y方向モータに、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させるように命令する。コントローラは、ユーザインタフェースデバイスから、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をx方向に移動させる指示を受け取り、その指示に応じて、xy方向モータに、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をx方向に移動させるように命令する。コントローラは、ユーザインタフェースデバイスから、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をz方向に移動させる指示を受け取り、その指示に応じて、xy方向モータに、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をz方向に移動させるように命令する。ジョイスティックは、回転させることができ、コントローラは、ジョイスティックの回転を検出することにより、ユーザインタフェースデバイスから指示を受け取る。又は、ジョイスティックは、上昇及び下降させることができ、コントローラは、ジョイスティックの上昇又は下降を検出することにより、ユーザインタフェースデバイスから指示を受け取る。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】いくつかの実施形態による、硝子体浮遊物を除去するために患者の眼に対してレーザビトレオライシスを行うためにオペレータが使用することができる眼科用レーザシステムの一例を示す。
【
図2A-2B】いくつかの実施形態による、
図1のy方向モータがレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させるために使用することができる機構の一例を示す。
【
図3A-3B】いくつかの実施形態による、
図1のy方向モータがレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させるために使用することができる機構のさらなる例を示す。
【
図3C】いくつかの実施形態による、
図1のy方向モータがレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させるために使用することができる機構のさらなる例を示す。
【
図4】いくつかの実施形態による、ジョイスティック等の位置決めデバイスを使用して、
図1のレーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡を移動させることができる方法の一例である。
【
図5】いくつかの実施形態による、
図1の眼科用レーザシステムによって使用することができる、レーザ送達ヘッドを移動させる方法の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここで、説明及び図面を参照して、開示される装置、システム、及び方法の例示的な実施形態を詳細に示す。説明及び図面は、網羅的であることも、或いは、特許請求の範囲を、図面において示され、説明において開示される特定の実施形態に限定することも意図するものではない。図面は可能な実施形態を表すが、図面は必ずしも縮尺通りではなく、実施形態をよりよく示すために特定の特徴部を簡略化、誇張、削除、又は部分的に分割している場合がある。
【0023】
レーザ内蔵のスリットランプは、通常、後嚢切開術、虹彩切開術、選択的レーザ線維柱帯形成術及び網膜光凝固術に使用される。これらの処置では、レーザビームの水平方向の調整が垂直方向の調整よりもはるかに多く必要とされることが多い。しかしながら、最近の処置は、より多くの垂直方向の動きを必要とする。したがって、本システムの実施形態は、レーザ送達ヘッドを垂直方向に調整するモータを含む。
【0024】
図1は、いくつかの実施形態による、硝子体浮遊物を除去するために患者眼14に対してレーザビトレオライシスを行うために(オペレータ眼12を有する)オペレータが使用することができる眼科用レーザシステム10の一例を示す。硝子体浮遊物は、合わせて塊になる傾向がある硝子体内の微細なコラーゲン線維である。これらの塊は、光を散乱させ、網膜上に影を落とし、そうしたものは、患者の視覚的妨害として現れる。眼科用レーザシステム10により、オペレータは、眼の網膜及び水晶体と関連して浮遊物を確認し、次いで、その浮遊物を破壊するようにレーザビームを向けることができる。
【0025】
この例では、眼科用レーザシステム10は、図示するように連結されている、接眼レンズ20、レーザ送達ヘッド22、スリット照明光源26、位置決めデバイス(ジョイスティック28等)、ベース30、リフト支持体35、xz方向モータ31、y方向モータ33及びコンソール32を備える。レーザ送達ヘッド22は、図示するように連結されている、レーザファイバ34、ズームシステム36、コリメータ38、ミラー40及び対物レンズ42を含む。スリット照明光源26は、光源43、集光レンズ44、可変絞り45、可変スリット板46、投影レンズ47及びミラー48を含む。コンソール32は、図示するように連結されている、コンピュータ(コントローラ50等)、レーザ52及びユーザインタフェース54を含む。
【0026】
概要として、眼科用レーザシステム10は、レーザデバイス16(例えば、レーザ52、レーザファイバ34及びレーザ送達ヘッド22)と、スリットランプ等の眼科用顕微鏡18(例えば、接眼レンズ20、ミラー40、対物レンズ42、ミラー48及びスリット照明光源26)とを含む。オペレータ眼12は、接眼レンズ20からミラー40、対物レンズ42及びミラー48を通る光路を利用して、患者眼14を見る。レーザビームは、レーザ52からレーザ送達ヘッド22及びミラー48を通るレーザ経路をたどり、患者眼14を処置する。
【0027】
この概要によれば、レーザデバイス16は、レーザビームを患者眼14内の標的の方に向けるレーザ送達ヘッド22を備える。レーザビームは、眼球の(例えば、光学的又は視覚的)軸と位置合わせされたときにz軸を画定する。z軸はさらにxy平面を画定し、ここで、xy平面のx軸は水平方向に位置合わせされ、xy平面のy軸は垂直方向に位置合わせされている。眼科用顕微鏡18は、眼内から光を受光して眼の画像を提供する。y方向モータ33は、y軸によって画定されるy方向にレーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18を移動させる。ユーザインタフェースデバイス(ジョイスティック28等)は、ユーザからの指示を受け取る。コントローラ50は、ユーザインタフェースデバイスから、レーザデバイス及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させる指示を受け取り、その指示に応じて、y方向モータに、レーザデバイス及び眼科用顕微鏡をy方向に移動させるように命令する。
【0028】
より詳細には、いくつかの実施形態では、接眼レンズ20により、オペレータ眼12は患者眼14を見ることができる。レーザ送達ヘッド22は、コンソール32のレーザ52からレーザパルスのレーザビームを患者眼14に送達する。送達ヘッド22のレーザファイバ34は、レーザ52からファイバ34の端部までレーザビームを伝送する。ズームシステム36は、ファイバ34から出るレーザビームのスポットサイズを変更する光学素子を含む。光学素子は、レーザビーム等の光に作用する(例えば、光を透過させる、反射する、屈折させる、回折させる、コリメートする、調整する、成形する、集束させる、変調する、且つ/又は他の方法で光に作用する)ことができる。コリメータ38は、レーザビームをコリメートし、ミラー40は、ビームを対物レンズ42に通すように向け、対物レンズ42はビームを集束させる。ズームシステム36及びコリメータ38は、レーザビームを眼科用顕微鏡18の像面に集束させるために、平行なレーザビームをミラー40に向けるように構成されている。ミラー40は、レーザビームの波長に対しては反射し、可視光に対しては透過させるダイクロイックミラーであり得る。
【0029】
レーザシステム10のスリット照明光源26は、患者眼14の手術部位を照明する光を提供する。スリット照明光源26は、高輝度照明光等の光を放出する光源43を含む。集光レンズ44は、光を可変絞り45及び可変スリット板46の方に向ける。可変絞り45は、y方向の光の高さを画定し、可変スリット板46は、x方向の光の幅を画定して、光をスリット状に形成する。投影レンズ47は、光をプリズムミラー48の方に向け、プリズムミラー48は、スリット状の光を患者眼14内に向ける。
【0030】
ベース30及びリフト支持体35は、レーザ送達ヘッド22と、スリットランプを含む眼科用顕微鏡18とを支持する。y方向モータ33は、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をy方向に移動させ、xz方向モータ31は、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をx方向及びz方向に移動させる。モータは、ベース30及び/又はリフト支持体35を移動させることにより、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18を移動させることができ、これにより、送達ヘッド22及び顕微鏡18が移動する。例えば、y方向モータ33は、リフト支持体35を移動させることができ、xz方向モータ31は、ベース30を移動させて、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18を移動させることができる。
【0031】
y方向モータ33は、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18を移動させる任意の好適なアクチュエータを備えることができる。いくつかの実施形態では、y方向モータ33は、例えば、回転アクチュエータ又はステッピングモータに基づく場合がある、モータ駆動サーボシステムを備えることができる。ジョイスティック28は、オペレータ等のユーザからの指示を受け取るユーザインタフェースデバイス(位置決めデバイス等)である。ユーザの指示は、例えば、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をx方向、y方向及び/又はz方向に移動させる指示を含むことができる。
【0032】
コンソール32は、システム10の動作をサポートする構成要素を含む。コンソール32のコントローラ50は、システム10の構成要素、例えば、ジョイスティック28、ベース30、リフト支持体35、レーザ送達ヘッド22、スリット照明光源26、レーザ52及び/又はユーザインタフェース54の動作を制御するコンピュータである。例えば、ジョイスティック28からのx方向、y方向及び/又はz方向の指示に応じて、コントローラ50は、その指示に従って、レーザ送達ヘッド22をx方向、y方向及び/又はz方向に移動させる。ユーザインタフェース54は、ユーザ(例えば、オペレータ)とシステム10との間で情報を伝達する。
【0033】
レーザ52は、エネルギーを点に集束させる円錐形のエネルギープロファイルを有するレーザビームを供給する。任意の好適なレーザ52、例えば、任意の好適な結晶(例えば、Nd:YAG、エルビウム:YAG、チタン:サファイア、又はルビー)を有するフェムト秒又はナノ秒レーザ(例えば、Qスイッチレーザ)を使用することができる。レーザビームは、例えば500nm~1100nmの範囲の、任意の好適な波長を有することができる。
【0034】
図2A及び
図2Bは、いくつかの実施形態による、
図1のy方向モータ33を使用してレーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をy方向に移動させることができる機構の一例を示す。この例では、y方向モータ33は、リフト支持体35等のプラットフォームに連結されたはめ歯歯車等のホイール60に連結されたモータ72を含む。モータ72の一例は、例えば、回転アクチュエータ又はステッピングモータに基づく場合があるモータ駆動サーボシステムであってもよい。モータ72は、ホイール60を動かして(例えば、回転させて)、リフト支持体35を上方又は下方に移動させ、これにより、送達ヘッド22及び顕微鏡18が上方又は下方に移動する。
【0035】
ユーザは、ジョイスティック28を任意の好適な方法で操作して、リフト支持体35を動かす指示を与えることができる。図示する例では、ジョイスティック28は、送達ヘッド22及び顕微鏡18を上方に移動させる場合には一方向に、下方に移動させる場合には他方向に、回転させる(70)ように構成されている。コントローラ50は、ジョイスティック28の回転を検出して、ジョイスティック28から上方又は下方の指示を受け取り、次いで、y方向モータ33に、リフト支持体35を上方又は下方に移動させるように命令する。
【0036】
図3A~
図3Cは、いくつかの実施形態による、
図1のy方向モータ33を使用してレーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をy方向に移動させることができる機構のさらなる例を示す。この例では、y方向モータ33はモータ72を含む。モータ72の一例は、例えば、回転アクチュエータ又はステッピングモータに基づく場合があるモータ駆動サーボシステムであってもよい。
【0037】
図3Aは、いくつかの実施形態においてリフト支持体35をy方向に調整するために使用することができる、モータ72及びシザージャッキリフト74の一例を示す。シザージャッキリフト74は、リフト支持体35等のプラットフォームを上昇又は下降させることができるアームを含むジャッキリフトである。動作の一例として、モータ72は、シザージャッキリフト74のクランクを回転させ、これにより、アームはリフト支持体35をy方向に移動させる。
【0038】
図3Bは、いくつかの実施形態においてリフト支持体35をy方向に移動させるのに使用することができる回転垂直調整システム76に連結されたモータ72の一例を示す。回転垂直調整システム76は、1つ又は複数のシャフト80を含み、シャフト80を回転させて、軸受82を上昇又は下降させて、リフト支持体35等のプラットフォームを上昇又は下降させることができる。この例では、回転垂直調整システム76は、図示するように連結されている、フリンジ78(78a~78d)、シャフト80(80a及び80b)、軸受82、接触片84及びクランク86を含む。動作の一例として、モータ72がクランク86を回転させ、クランク86がシャフト80を回転させて、軸受82及び接触片84をy方向に移動させる。次いで、接触片84が、リフト支持体35をy方向に移動させる。
【0039】
図3Cは、いくつかの実施形態においてリフト支持体35をy方向に移動させるために使用することができる、スクリュー式垂直調整システム89に連結されたモータ72の一例を示す。スクリュー式垂直調整システム89は、リフト支持体35等のプラットフォームを上昇又は下降させるために回転させることができるスクリュー94を含む。この例では、スクリュー式垂直調整システム89は、図示するように連結されている、クランク90、(スクリュー94及びレール96を有する)垂直取付台92及びキャリッジ98を含む。キャリッジ98は、スクリュー94を受けるねじ穴100を画定する内面を有する。動作の一例として、モータ72がクランク90を回転させ、クランク90がスクリュー94を回転させる。スクリュー94がキャリッジ98のねじ穴100内で回転すると、キャリッジ98は、y方向に移動して、リフト支持体35をy方向に調整する。
【0040】
図4は、いくつかの実施形態による、ジョイスティック28等の位置決めデバイスを使用して、
図1のシステム10のレーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18を移動させることができる方法の一例である。ユーザは、任意の好適な方法でジョイスティック28を操作して、送達ヘッド22及び顕微鏡18を移動させる指示を与えることができる。図示する例では、ジョイスティック28は、送達ヘッド22及び顕微鏡18を上方に移動させる場合には一方向に、下方に移動させる場合には他方向に、回転させる(70)ように構成されている。コントローラ50は、ジョイスティック28の回転を検出して、ジョイスティック28からの指示を受け取る。ジョイスティック28は、送達ヘッド22及び顕微鏡18をx方向に移動させる場合はx方向に、z方向に移動させる場合はz方向に動かすように構成されている。コントローラ50は、ジョイスティック28のx方向又はz方向の動きを検出して、ジョイスティック28からの指示を受ける。
【0041】
他の例では、ジョイスティック28は、送達ヘッド22及び顕微鏡18を上方に移動させる場合は上昇させ、それらを下方に移動させる場合は下降させるように構成してもよい。これに応じて、コントローラ50は、ジョイスティック28の上昇及び下降を検出して、ジョイスティック28からの指示を受け取る。
【0042】
図5は、いくつかの実施形態による、
図1の眼科用レーザシステム10によって使用することができるレーザ送達ヘッドを移動させるための方法の一例を示す。本方法は、ステップ110で開始し、そこでは、ジョイスティック28等の位置決めデバイスが、眼科用レーザシステム10のユーザ(例えば、オペレータ)から指示を受け取る。
【0043】
ステップ112において、コントローラ50は、位置決めデバイスから、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をy方向に移動させる指示を受け取る。コントローラ50は、ジョイスティックの回転を検出するか、又はジョイスティックの上昇若しくは下降を検出することにより、指示を受け取ることができる。コントローラ50は、レーザ送達ヘッド及び眼科用顕微鏡をx方向及び/又はz方向に移動させる指示を受け取ることもできる。
【0044】
ステップ114において、コントローラ50は、指示に応じて、y方向モータ33に、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をy方向に移動させるように命令する。コントローラ50は、コントローラ50がx方向及び/又はz方向に移動する指示を受け取った場合、xz方向モータ31に、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をx方向及び/又はz方向に移動させるように命令することもできる。
【0045】
ステップ116において、y方向モータ33は、指示に応じて、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をy方向に移動させる。y方向モータ33は、リフト支持体35をy方向に移動させて、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18を移動させることができる。xz方向モータ31がx方向及び/又はz方向に移動する命令を受け取った場合、xz方向モータ31は、レーザ送達ヘッド22及び眼科用顕微鏡18をx方向及び/又はz方向に移動させることができる。
【0046】
本明細書に開示するシステム及び装置の(制御コンピュータ等の)コンポーネントは、インタフェース、ロジック及び/又はメモリを含んでいてもよく、これらのうちの任意のものは、コンピュータハードウェア及び/又はソフトウェアを含み得る。インタフェースは、コンポーネントへの入力を受信し、且つ/又はコンポーネントから出力を送信することができ、通常、例えばソフトウェア、ハードウェア、周辺機器、ユーザ及びこれらの組合せ間で情報を交換するために使用される。ユーザインタフェースは、ユーザがコンピュータと通信する(例えば、コンピュータに入力を送り且つ/又はコンピュータから出力を受け取る)ために利用することができる一種のインタフェースである。ユーザインタフェースの例としては、ディスプレイ、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)、タッチスクリーン、キーボード、マウス、ジェスチャセンサ、マイク及びスピーカが挙げられる。
【0047】
ロジックは、構成要素の動作を実行することができる。ロジックは、データを処理する、例えば命令を実行して入力から出力を生成する1つ又は複数の電子デバイスを含むことができる。こうした電子デバイスの例としては、コンピュータ、プロセッサ、マイクロプロセッサ(例えば中央処理装置(CPU))及びコンピュータチップが挙げられる。ロジックには、動作を実施するために電子デバイスが実行することができる命令を符号化するコンピュータソフトウェアが含まれる場合がある。コンピュータソフトウェアの例としては、コンピュータプログラム、アプリケーション及びオペレーティングシステムが挙げられる。
【0048】
メモリは、情報を記憶することができ、有形のコンピュータ可読且つ/又はコンピュータ実行可能な記憶媒体を含むことができる。メモリの例としては、コンピュータメモリ(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)又はリードオンリメモリ(ROM))、大容量記憶媒体(例えば、ハードディスク)、リムーバブル記憶媒体(例えば、コンパクトディスク(CD)又はデジタルビデオ若しくは多用途ディスク(DVD))、データベース、ネットワークストレージ(例えば、サーバ)及び/又は他のコンピュータ可読媒体が挙げられる。特定の実施形態は、コンピュータソフトウェアを用いて符号化されたメモリを対象としてもよい。
【0049】
本開示をいくつかの実施形態に関し説明してきたが、実施形態の変更形態(変形形態、置換形態、追加形態、省略形態及び/又は他の変更形態等)は当業者には明らかとなろう。したがって、本発明の範囲から逸脱することなく、実施形態に変更を行ってもよい。例えば、本明細書で開示したシステム及び装置に変更を行ってもよい。当業者に明らかであるように、システム及び装置の構成要素は、統合若しくは分離してもよく、又はシステム及び装置の動作は、より多い、より少ない、若しくは他の構成要素によって実行してもよい。別の例として、本明細書で開示した方法に対する変更を行ってもよい。当業者に明らかであるように、方法は、より多い、より少ない、又は他のステップを含んでもよく、ステップは、任意の好適な順序で実行してもよい。
【0050】
特許庁及び読者が請求項を解釈するのを助けるように、本出願人らは、特定の請求項において「means for」又は「step for」という言い回しが明示的に使用されていない限り、請求項又は請求項の要素のうちのいかなるものも米国特許法第112条(f)を想起することを意図していない、ということを注記する。請求項内の他の任意の用語(例えば、「機構」、「モジュール」、「デバイス」、「ユニット」、「構成要素」、「要素」、「部材」、「装置」、「機械」、「システム」、「プロセッサ」又は「コントローラ」)の使用は、当業者にとって既知の構造を指すものと本出願人らは理解しており、したがって米国特許法第112条(f)を想起させるように意図されていない。
【国際調査報告】