(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】無線機
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/46 20060101AFI20241024BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20241024BHJP
H01Q 19/06 20060101ALI20241024BHJP
H01Q 1/24 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01Q3/46
H01Q21/06
H01Q19/06
H01Q1/24 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525076
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 GB2022052709
(87)【国際公開番号】W WO2023073354
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523277334
【氏名又は名称】株式会社Visban
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ウィルキンソン, ティム
(72)【発明者】
【氏名】ネイサン, アロキア
(72)【発明者】
【氏名】チャ, ソクベ
(72)【発明者】
【氏名】▲桑▼田 良輔
【テーマコード(参考)】
5J020
5J021
5J047
【Fターム(参考)】
5J020AA02
5J020BB07
5J020BC04
5J020BC12
5J020BC13
5J020DA03
5J020DA10
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AA12
5J021AB05
5J021AB06
5J021BA04
5J021CA06
5J021DB03
5J021FA01
5J021FA13
5J021FA23
5J021FA26
5J021FA30
5J021FA31
5J021FA32
5J021GA02
5J021HA01
5J021HA05
5J047AB03
5J047AB08
5J047AB13
5J047FD01
(57)【要約】
液晶、LC、位相シフト層(2)を含む無線機(1)について説明する。LC位相シフト層(2)は、複数の個別にアドレス指定可能なLC画素(P
1,...,P
K)を含む。各LC画素(P
1、...、P
k、...、P
K)の経路長は、そのLC画素(P
1、...、P
k、...、P
K)に印加される電圧(V
k)の関数として変化する。無線機(1)はまた、1つまたは複数の平面アンテナ(3)を含む。各平面アンテナ(3)は、LC位相シフト層(2)を介して無線信号(4)を受信および/または送信するように構成される。無線機(1)はまた、アクティブマトリクストランジスタアレイ(5)を含む。各トランジスタ(T
m、n)は、対応する蓄積キャパシタ(C
S)の両端の電圧(V
k)を制御するように構成される。各蓄積キャパシタ(C
S)は、それぞれのLC画素(P
1、...、P
k、...、P
K)にわたって接続されている。無線機(1)はまた、1つまたは複数の平面アンテナ(3)に接続された無線周波数送受信回路(6)を含む。無線機(1)はまた、アクティブマトリクストランジスタアレイ(5)を制御して複数のLC画素(P
1、...、P
k、...、P
K)の各々に経路長を設定することによって、1つまたは複数の平面アンテナ(3)によって受信され、かつ/または1つまたは複数の平面アンテナ(3)から送信された無線信号(4)のビームフォーミングを実行するように構成されたコントローラ(8)を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線機であって、
複数の個別にアドレス指定可能なLC画素を含む液晶LC位相シフト層であって、各LC画素の経路長が、そのLC画素に印加される電圧の関数として変化する、液晶LC位相シフト層と、
1つまたは複数の平面アンテナであって、各平面アンテナが、前記LC位相シフト層を介して無線信号を受信および/または送信するように構成される、1つまたは複数の平面アンテナと、
アクティブマトリクストランジスタアレイであって、各トランジスタが、対応する蓄積キャパシタの両端の電圧を制御するように構成され、各蓄積キャパシタが、前記複数のLC画素のうちのそれぞれのLC画素の両端に接続される、アクティブマトリクストランジスタアレイと、
前記1つまたは複数の平面アンテナに接続された無線周波数送受信回路と、
前記アクティブマトリクストランジスタアレイを制御して前記複数のLC画素の各々について前記経路長を設定することによって、前記1つまたは複数の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングを実行するように構成されたコントローラと
を含む、無線機。
【請求項2】
前記アクティブマトリクストランジスタアレイが薄膜トランジスタを含む、請求項1に記載の無線機。
【請求項3】
前記複数のLC画素が、LC画素アレイを形成するように配置される、請求項1または2に記載の無線機。
【請求項4】
受信した無線信号を中継または再ブロードキャストするように構成された、請求項1から3のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項5】
前記1つまたは複数の平面アンテナが、前記複数のLC画素の下にあり、前記複数のLC画素と同一の広がりを有する単一の平面アンテナの形態をとり、
前記単一の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングが、前記LC位相シフト層によって導入される位相シフトから生じる、請求項1から4のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項6】
前記1つまたは複数の平面アンテナが、各々が前記複数のLC画素の下にある2つ以上の平面アンテナの形態をとる、請求項1から4のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項7】
前記2つ以上の平面アンテナが、各LC画素に対応する平面アンテナを含み、
各LC画素が、前記それぞれの平面アンテナがそのLC位相画素を介して無線信号を受信および/または送信するように配置されるように、前記それぞれの平面アンテナの上に重なっている、請求項6に記載の無線機。
【請求項8】
前記無線周波数送受信回路が、前記2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングが、前記LC位相シフト層によって導入される位相シフトから生じるように、前記2つ以上の平面アンテナのすべてに対して同相で送信および/または受信するように構成される、請求項6または7に記載の無線機。
【請求項9】
前記無線周波数送受信回路が、対応する電気位相シフトで各平面アンテナに送信し、かつ/または各平面アンテナから受信するように構成され、それにより、前記2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングが、前記無線周波数送受信回路によって導入される電気位相シフトと前記LC位相シフト層によって導入される位相シフトとの和から生じる、請求項6または7に記載の無線機。
【請求項10】
前記複数のLC画素にグランド層を提供する第1の導体層と、
第1の誘電体層によって前記第1の導体層から分離された第2の導体層であって、前記1つまたは複数の平面アンテナの放射導体を提供するようにパターニングされた、第2の導体層と、
液晶材料の層によって前記第2の導体層から分離された第3の導体層であって、前記LC位相シフト層のそれぞれの画素を画定する画素電極を提供するようにパターニングされた、第3の導体層と
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項11】
前記1つまたは複数の平面アンテナが、2つ以上の平面アンテナの形態をとり、前記無線機が、
各々が前記LC位相シフト層のそれぞれの画素を画定する複数のLC画素電極、および
各々が前記2つ以上の平面アンテナのそれぞれの1つの放射導体を提供する2つ以上のアンテナ電極
にパターニングされた第4の導体層と、
液晶材料の層によって前記第4の導体層から分離された第5の導体層であって、前記複数のLC画素のためのグランド層を提供し、前記2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される信号の減衰を最小化するように構成される、第5の導体層と
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項12】
前記2つ以上の平面アンテナのためのグランド層を提供する第6の導体層であって、第2の誘電体層によって前記第4の導体層から分離されており、前記第4の導体層が、前記第2の誘電体層と前記液晶材料の層との間にある、第6の導体層
をさらに含む、請求項11に記載の無線機。
【請求項13】
前記1つまたは複数の平面アンテナが、2つ以上の平面アンテナの形態をとり、前記無線機が、
各々が前記LC位相シフト層のそれぞれの画素を画定する、複数のLC画素電極にパターニングされた第7の導体層であって、各LC画素電極が、前記2つ以上の平面アンテナの放射導体も提供する、第7の導体層と、
液晶材料の層によって前記第4の導体層から分離された第8の導体層であって、前記第5の導体層が前記複数のLC画素のためのグランド層を提供し、前記第5の導体層が前記2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される信号の減衰を最小化するように構成される、第8の導体層と
を含み、
前記無線周波数送受信回路が、前記2つ以上の平面アンテナの各々に容量結合される、
請求項1から9のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項14】
前記2つ以上の平面アンテナのためのグランド層を提供する第9の導体層であって、第3の誘電体層によって前記第7の導体層から分離されており、前記第7の導体層が、前記第3の誘電体層と前記液晶材料の層との間にある、第9の導体層
をさらに含む、請求項13に記載の無線機。
【請求項15】
前記1つまたは複数の平面アンテナが、2つ以上の平面アンテナの形態をとり、前記無線機が、
各々が前記2つ以上の平面アンテナのそれぞれの1つの放射導体を提供する、2つ以上のアンテナ電極にパターニングされた第10の導体層と、
第4の誘電体層によって前記第10の導体層から分離された第11の導体層であって、前記複数のLC画素のためのグランド層を提供し、前記2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される信号の減衰を最小化するように構成される、第11の導体層と、
液晶材料の層によって前記第11の導体層から分離された第12の導体層であって、各々が前記LC位相シフト層のそれぞれの画素を画定する複数のLC画素電極にパターニングされた、第12の導体層と
を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項16】
前記2つ以上の平面アンテナのためのグランド層を提供する第13の導体層であって、前記第10の導体層から第5の誘電体層によって分離され、前記第10の導体層が前記第5の誘電体層と前記第4の誘電体層との間にある、第13の導体層
をさらに含む、請求項15に記載の無線機。
【請求項17】
複数の個別にアドレス指定可能な第2のLC画素を含む第2の液晶LC位相シフト層であって、各第2のLC画素の経路長が、その第2のLC画素に印加される電圧の関数として変化する、第2の液晶LC位相シフト層と、
1つまたは複数の第2の平面アンテナであって、各第2の平面アンテナが、前記第2のLC位相シフト層を介して無線信号を受信および/または送信するように構成される、第2の平面アンテナと、
第2のアクティブマトリクストランジスタアレイであって、各トランジスタが、対応する第2の蓄積キャパシタの両端の電圧を制御するように構成され、各第2の蓄積キャパシタが、前記複数の第2のLC画素のうちのそれぞれの第2のLC画素の両端に接続されている、第2のアクティブマトリクストランジスタアレイと
をさらに含み、
前記無線周波数送受信回路が、前記1つまたは複数の第2の平面アンテナに接続され、
前記コントローラが、
前記第2のアクティブマトリクストランジスタアレイを制御して前記複数の第2のLC画素の各々について前記経路長を設定することによって、前記1つまたは複数の第2の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングを実行し、
前記アクティブマトリクストランジスタアレイを使用して、無線信号を受信するための第1のフェーズドアレイとして前記1つまたは複数のアンテナを制御し、前記第1のフェーズドアレイが、指向性であり、かつ受信方向に制御可能に配向可能であり、
前記第2のアクティブマトリクストランジスタアレイを使用して、前記1つまたは複数の第2のアンテナを第2のフェーズドアレイとして制御し、前記第1のフェーズドアレイを使用して受信された前記無線信号を再送信し、前記第2のフェーズドアレイが、指向性であり、かつ送信方向に制御可能に配向可能である、
ようにさらに構成される、
請求項1から16のいずれか一項に記載の無線機。
【請求項18】
第1および第2の対向面を有し、前記第1および第2の対向面の間に厚さを有する平面基板をさらに含み、
前記1つ以上の平面アンテナおよび前記LC位相シフト層が前記第1の面に支持されており、前記1つまたは複数の第2の平面アンテナおよび前記第2のLC位相シフト層が前記第2の面に支持されており、
前記無線周波数送受信回路が、前記平面基板によって支持され、前記無線周波数送受信回路と前記1つまたは複数の平面アンテナとの間および/または前記無線周波数送受信回路と前記1つまたは複数の第2の平面アンテナとの間で信号を送信するために前記平面基板の前記厚さを貫通して形成された複数のビアを含む、
請求項17に記載の無線機。
【請求項19】
請求項1から18のいずれか一項に記載の2つ以上の無線機を含むシステムであって、前記2つ以上の無線機の各無線機が、前記2つ以上の無線機の各他の無線機とビームフォーミングを調整するように構成される、システム。
【請求項20】
前記複数の無線機が、2つ以上の無線機の受信および/または送信を第1の外部ソースに向けるように、ビームフォーミングおよび/またはビームステアリングを調整するように構成される、請求項19に記載のシステム。
【請求項21】
前記複数の無線機が、少なくとも2つの空間的に分離された外部ソースに向けてビームフォーミングを調整するように構成される、請求項19または20に記載のシステム。
【請求項22】
前記複数の無線機が、構造体によって支持される、請求項19から21のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項23】
アンテナアセンブリであって、
複数の個別にアドレス指定可能なLC画素を含む液晶LC位相シフト層であって、各LC画素の経路長が、そのLC画素に印加される電圧の関数として変化する、液晶LC位相シフト層と、
金属で形成された1つまたは複数の平面アンテナであって、各平面アンテナが、前記LC位相シフト層を介して無線信号を受信および/または送信するように構成され、各平面アンテナが、5GHz~300GHzの範囲内の周波数を有する無線信号用に構成される、1つまたは複数の平面アンテナと
を含む、アンテナアセンブリ。
【請求項24】
アクティブマトリクストランジスタアレイであって、各トランジスタが、対応する蓄積キャパシタの両端の電圧を制御するように構成され、各蓄積キャパシタが、前記複数のLC画素のそれぞれのLC画素の両端に接続される、アクティブマトリクストランジスタアレイ
をさらに含む、請求項23に記載のアンテナアセンブリ。
【請求項25】
請求項1から18のいずれか一項に記載の無線機または請求項19から22のいずれか一項に記載のシステムを使用する方法であって、
前記アクティブマトリクストランジスタアレイを制御して前記複数のLC画素の各々に前記経路長を設定することによって、前記1つまたは複数の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングを制御すること
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナアセンブリ、アンテナアセンブリを含む無線機、および無線機におけるビームフォーミングのためのアンテナアセンブリの使用に関する。本発明は、特に、5GHzを超える周波数を有する信号用の無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信ネットワークがデータレートを改善するためにより高い周波数に向かって移動するにつれて、波長の対応する減少は、例えば都市部、森林地域、内部構造物などにおいて、送信機への見通し線のない領域に均一なカバレッジを提供するという問題につながる可能性がある。
【0003】
無線通信ネットワークが5GHz以上の周波数(「第5世代」または「5G」と呼ばれることもある)に移動し始めると、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、および水蒸気(H2O)などの大気ガスによる減衰の影響は、いくつかの周波数帯域で顕著になる可能性がある。大気の天候影響は、このような問題を悪化させる可能性があり、例えば、減衰は60dB.m-1の領域に達する可能性がある。
【0004】
建物およびスポーツ競技場などの構造物の内部に無線ネットワークカバレッジを提供することは、5GHz未満の周波数では既に問題である。より高い周波数に移動すると、構造に浸透する信号強度がさらに低下する。建物をより低温に保つのを助けるために薄い金属化層を含むなど、熱調節に関する建築用ガラスの改善は、外部からの無線信号をさらに減衰させる可能性がある。
【0005】
中国特許出願公開第106992807号明細書は、5G通信のための信号中継システムを記載している。システムは、第1の受信アンテナと、第1の低雑音増幅器モジュールと、第1の送信アンテナとを含むダウンリンク信号増強サブシステムを含む。システムはまた、第2の受信アンテナと、第2の低雑音増幅器モジュールと、第2の送信アンテナとを含むアップリンク信号増強サブシステムを含む。記載された5G通信のための信号中継システムは、信号スルーウォールまたはスルーガラスをサポートする。基地局によって送信された5G信号を増幅して屋内の無線端末に送信することができ、屋内の無線端末の信号を増幅して基地局にアップロードすることができる。
【0006】
米国特許出願公開第2018/139521号明細書は、建物の外側にあり、光ファイバーネットワークとの間で通信信号を送受信するように構成された第1の送受信機を含む、光ファイバーネットワークへのアクセスを提供するためのトランスペアレント無線ブリッジを記載している。窓の外側に取り付けられた第1のガラスシートは、第1の送受信機に通信可能に結合され、第1の送受信機との間で通信信号を送受信するように構成された第1のアンテナを含む。第2のガラスシートは、窓の内側に取り付けられ、第1のアンテナとの間で通信信号を無線で送受信するように構成された第2のアンテナを含む。無線ブリッジはまた、第2のアンテナに通信可能に結合され、第2のアンテナとの間でデータを無線で送受信するように構成された、建物の内部に配置された第2の送受信機を含む。
【0007】
米国特許出願公開第2015/380816号明細書は、ドナーアンテナと隣接する基地局との間の最適な指向点を一貫して維持することができるアンテナ制御システムおよび方法を記載している。基地局からの信号を受信するアンテナ制御システムは、窓ガラスの内側に固定されて配置され、アレイアンテナからなるアンテナモジュールを有するドナーアンテナと、複数の伝送線路からなる移相器と、アンテナモジュールの指向方向を変更するように移相器を制御する位相コントローラとを含む。リピータは、アンテナモジュールによって受信された受信信号を測定するための測定モジュールを含む。解析モジュールは、測定モジュールの測定結果に基づいてアンテナモジュールの各指向方向における信号品質パラメータを解析するためのものである。生成モジュールは、分析モジュールの分析結果に基づいてアンテナモジュールの指向方向を制御するためのアンテナ制御信号を生成するためのものである。
【0008】
例えば5Gモバイルネットワークを展開するために見通し内中継送受信機のネットワークを展開するには、かなりの数の操縦可能なフェーズドアレイアンテナが必要になる。各送受信機のコストおよび複雑さは重要な要素である。多数の個別にアドレス指定可能なアンテナを含むアレイを製造することは可能であるが、ビームフォーミングのために独立して可変の位相を有する信号でそれぞれを駆動する方法についても問題がある。
【0009】
米国特許出願公開第2020/112095号明細書は、アンテナのアンテナ素子に影響を及ぼす環境条件および他の条件の監視および補償を記載している。これらの条件は、アンテナ素子の無線周波数(RF)液晶に影響を及ぼし得る。一実施形態では、アンテナは、ホログラフィックビームステアリングで使用するための周波数帯域のビームを形成するように共に制御および動作可能な表面散乱アンテナ素子のアレイを有する物理アンテナ開口部と、監視されたアンテナ条件に基づいてアンテナ素子に対して補償を実行する補償コントローラとを含む。
【発明の概要】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、液晶、LC、位相シフト層を含む無線機が提供される。LC位相シフト層は、複数の個別にアドレス指定可能なLC画素を含む。各LC画素の経路長は、そのLC画素に印加される電圧の関数として変化する。無線機はまた、1つまたは複数の平面アンテナを含む。各平面アンテナは、LC位相シフト層を介して無線信号を受信および/または送信するように構成される。無線機はまた、アクティブマトリクストランジスタアレイを含む。各トランジスタは、対応する蓄積キャパシタの両端の電圧を制御するように構成される。各蓄積キャパシタは、LC画素のそれぞれのLC画素にわたって接続されている。無線機はまた、1つまたは複数の平面アンテナに接続された無線周波数送受信回路を含む。無線機はまた、アクティブマトリクストランジスタアレイを制御して複数のLC画素の各々に経路長を設定することによって、1つまたは複数の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングを実行するように構成されたコントローラを含む。
【0011】
本明細書における経路長は、幾何学的経路長とそれぞれの波長における屈折率との積に等しい(「光路長」と呼ばれることもある)。LC位相シフト層は、ポリマー分散液晶材料を含んでもよい。
【0012】
無線周波数送受信回路は、送信機として構成されてもよい。無線周波数送受信回路は、受信機として構成されてもよい。無線周波数送受信回路は、送信機および受信機として構成されてもよい。
【0013】
1つまたは複数の平面アンテナは、2つ以上のアンテナの形態をとってもよい。平面アンテナは、アレイ状に配置されてもよい。平面アンテナのアレイは、アクティブマトリクストランジスタアレイのそれぞれのトランジスタごとの平面アンテナを含んでもよい。平面アンテナのアレイの幾何学的形状は、アクティブマトリクストランジスタアレイの幾何学的形状に対応してもよい。言い換えれば、平面アンテナのアレイの格子およびモチーフは、アクティブマトリクストランジスタアレイ内のトランジスタの格子およびモチーフと同じであってもよく、それらと整列していてもよい。平面アンテナのアレイの幾何学的形状は、アクティブマトリクストランジスタアレイの幾何学的形状と異なってもよい。
【0014】
1つまたは複数のグランド導体は、LC画素を通過しない無線信号の放射/受信を減衰させる(抑制する、またはさらには防止する)ように配置されてもよい。
【0015】
コントローラおよび無線周波数送受信回路は、単一の構成要素として統合されてもよい。コントローラおよび無線周波数送受信回路は、別個の構成要素によって提供されてもよい。
【0016】
無線機は、5GHzと300GHzとの間を含む周波数を有する無線信号用に構成され得る。無線機は、30GHzと300GHzとの間を含む周波数を有する無線信号用に構成され得る。無線機は、NATOによって定義されたK(20GHzから40GHz)、L(40GHzから60GHz)、およびM(60GHzから100GHz)帯域のうちの1つまたは複数の帯域内の周波数を有する無線信号用に構成され得る。無線機は、電気電子技術者協会(IEEE)によって定義されたKa(27GHz~40GHz)、V(40GHz~75GHz)、およびW(75GHz~110GHz)帯域のうちの1つまたは複数内の周波数を有する無線信号用に構成され得る。無線機は、300GHzを超える周波数を有する無線信号用に構成され得る。無線機は、1THz以上の周波数を有する無線信号のために構成され得る。無線機は、5G信号である無線信号用に構成され得る。無線機は、6G信号である無線信号用に構成され得る。無線機は、7G信号である無線信号用に構成され得る。
【0017】
アクティブマトリクストランジスタアレイは、薄膜トランジスタを含んでもよく、または薄膜トランジスタによって提供されてもよい。
【0018】
LC画素は、LC画素アレイを形成するように配置されてもよい。LC画素アレイは、5つの2次元ブラベ格子のいずれか1つに従って配置されてもよい。好ましくは、LC画素アレイは長方形または正方形である。好ましくは、LC画素アレイのLC画素は、アクティブマトリクストランジスタアレイのそれぞれの行および列に対応する行および列に配置される。
【0019】
無線機は、受信した無線信号を中継または再ブロードキャストするように構成され得る。
【0020】
1つまたは複数の平面アンテナは、LC画素の下にあり、LC画素と同一の広がりを有する単一の平面アンテナの形態をとってもよい。単一の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングは、LC位相シフト層によって導入される位相シフトから生じ得る。単一の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングは、専らLC位相シフト層によって導入される位相シフトから生じ得る。
【0021】
1つまたは複数の平面アンテナは、各々がLC画素の下にある2つ以上の平面アンテナの形態をとってもよい。2つ以上の平面アンテナの各部分は、少なくとも1つのLC画素によってオーバーラップされてもよい。アンテナの数は、LC画素の数を超えないことが好ましい。
【0022】
2つ以上の平面アンテナは、各LC画素に対応する平面アンテナを含んでもよい。各LC画素は、それぞれの平面アンテナがそのLC画素を介して無線信号を受信および/または送信するように配置されるように、それぞれの平面アンテナの上に重なってもよい。
【0023】
無線周波数送受信回路は、2つ以上の平面アンテナによって受信および/または2つ以上の平面アンテナから送信される無線信号のビームフォーミングがLC位相シフト層によって導入される位相シフトから生じるように、2つ以上の平面アンテナのすべてに同相で送信および/または2つ以上の平面アンテナから受信するように構成されてもよい。2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングは、専らLC位相シフト層によって導入される位相シフトから生じてもよい。
【0024】
無線周波数送受信回路は、2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングが、無線周波数送受信回路によって導入される電気位相シフトとLC位相シフト層によって導入される位相シフトとの和から生じるように、対応する電気位相シフトを用いて各平面アンテナとの間で送信および/または受信するように構成されてもよい。
【0025】
無線機は、LC画素のためのグランド層を提供する第1の導体層を含むことができる。無線機はまた、第1の誘電体層によって第1の導体層から分離された第2の導体層を含むことができる。第2の導体層は、1つまたは複数の平面アンテナの放射導体を提供するようにパターニングされてもよい。無線機はまた、液晶材料の層によって第2の導体層から分離された第3の導体層を含むことができる。第3の導体層は、LC位相シフト層のそれぞれの画素を画定する画素電極を提供するようにパターニングされてもよい。
【0026】
LC位相シフト層は、液晶材料の層と、第1の導体層と、第3の導体層とを含んでもよい。第1の導体層は、均一な(すなわち、パターン化されていない)電極であってもよい。第1の導体層は、いくつかの電極を画定するようにパターニングされてもよい。第1の導体層はまた、1つまたは複数の平面アンテナのためのグランド層を提供することができる。
【0027】
本明細書に記載の層に関連して、特に明記しない限り、層「A」が層「C」によって層「B」から分離されているという説明は、少なくとも以下:
・層Cの対向する面に直接接触する層「A」および「B」、
・A層とC層との間の1つまたは複数の介在層、
・層「B」と層「C」との間の1つまたは複数の介在層、または
・層「A」と層「C」との間の1つまたは複数の介在層、ならびに層「C」と層「B」との間の1つまたは複数のさらなる介在層
の構成を包含する。
【0028】
1つまたは複数の平面アンテナは、2つ以上の平面アンテナの形態をとってもよい。無線機はまた、いくつかのLC画素電極および2つ以上のアンテナ電極にパターン化された第4の導体層を含むことができる。各LC画素電極は、LC位相シフト層のそれぞれの画素を画定することができる。各アンテナ電極は、2つ以上の平面アンテナのそれぞれの1つの放射導体を提供することができる。無線機はまた、液晶材料の層によって第4の導体層から分離された第5の導体層を含むことができる。第5の導体層は、複数のLC画素のためのグランド層を提供することができる。第5の導体層は、2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される信号の減衰を最小にするように構成されてもよい。
【0029】
LC位相シフト層は、液晶材料の層と、第4の導体層と、第5の導体層とを含んでもよい。LC画素電極は、同じ層内にアンテナ電極が点在していてもよい。各LC画素電極は、アンテナ電極を囲んでいてもよい。
【0030】
第5の導体層は、無線機が構成される無線信号の通過を可能にするようにインピーダンス整合されてもよい。第5の導体層は、メッシュ構造を有する単一の導体の形態をとってもよい。メッシュ構造を形成する要素の間隔は、2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される信号の減衰を最小化するように構成されてもよい。第5の導体層は、2つ以上のLCバイアス電極にパターニングされてもよい。各LCバイアス電極は、それぞれのLC画素電極に対応し得る。
【0031】
第5の導体はまた、2つ以上の平面アンテナのためのグランドプレーンを提供することができる。
【0032】
無線機はまた、2つ以上の平面アンテナのためのグランド層を提供する第6の導体層を含むことができる。第6の導体層は、第2の誘電体層によって第4の導体層から分離されてもよい。第4の導体層は、第2の誘電体層と液晶材料の層との間に位置してもよい。
【0033】
第2の誘電体層は、アクティブマトリクストランジスタアレイを提供する薄膜トランジスタ(TFT)基板の形態をとってもよい。アクティブマトリクストランジスタアレイのTFTは、アンテナ電極と重ならないように配置されてもよい。
【0034】
1つまたは複数の平面アンテナは、2つ以上の平面アンテナの形態をとってもよい。無線機は、2つ以上のLC画素電極にパターニングされた第7の導体層を含んでもよい。各LC画素電極は、LC位相シフト層のそれぞれの画素を画定することができる。各LC画素電極はまた、2つ以上の平面アンテナの放射導体を提供してもよい。無線機はまた、液晶材料の層によって第4の導体層から分離された第8の導体層を含むことができる。第5の導体層は、LC画素のためのグランド層を提供することができる。第5の導体層は、2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される信号の減衰を最小にするように構成されてもよい。無線周波数送受信回路は、2つ以上の平面アンテナの各々に容量結合されてもよい。
【0035】
LC位相シフト層は、液晶材料の層と、第7の導体層と、第8の導体層と、を含んでもよい。
【0036】
第8の導体層は、無線機が構成される周波数での無線信号の通過を可能にするようにインピーダンス整合されてもよい。第8の導体層は、メッシュ構造を有する単一の導体の形態をとってもよい。メッシュ構造を形成する要素の間隔は、2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される信号の減衰を最小化するように構成されてもよい。第8の導体層は、2つ以上のLCバイアス電極にパターニングされてもよい。各LCバイアス電極は、それぞれのLC画素電極に対応し得る。第8の導体層は、LC画素電極のそれぞれが第8の導体層におけるギャップと一致するように、第7の導体層の逆にパターニングされていてもよい。
【0037】
アクティブマトリクストランジスタアレイを提供するTFT基板はまた、液晶材料の層と第7の導体層との間に配置されてもよい。
【0038】
第8の導体はまた、2つ以上の平面アンテナのためのグランドプレーンを提供してもよい。
【0039】
無線機はまた、2つ以上の平面アンテナのためのグランド層を提供する第9の導体層を含むことができる。第9の導体層は、第3の誘電体層によって第7の導体層から離間されていてもよい。第7の導体層は、第3の誘電体層と液晶材料の層との間に位置してもよい。
【0040】
1つまたは複数の平面アンテナは、2つ以上の平面アンテナの形態をとってもよい。無線機は、2つ以上のアンテナ電極にパターン化された第10の導体層を含んでもよい。各アンテナ電極は、2つ以上の平面アンテナのそれぞれの1つの放射導体を提供することができる。無線機はまた、第4の誘電体層によって第10の導体層から分離された第11の導体層を含むことができる。第11の導体層は、LC画素のためのグランド層を提供することができる。第11の導体層は、2つ以上の平面アンテナによって受信および/または送信される信号の減衰を最小にするように構成されてもよい。無線機はまた、液晶材料の層によって第11の導体層から分離された第12の導体層を含むことができる。第12の導体層は、複数のLC画素電極にパターニングされていてもよい。各LC画素電極は、LC位相シフト層のそれぞれの画素を画定することができる。
【0041】
第11の導体層はまた、2つ以上の平面アンテナのためのグランドプレーンを提供することができる。
【0042】
無線機はまた、2つ以上の平面アンテナのためのグランド層を提供する第13の導体層を含むことができる。第13の導体層は、第10の導体層から第5の誘電体層によって分離されていてもよい。第10の導体層は、第5の誘電体層と第4の誘電体層との間に位置していてもよい。
【0043】
LC位相シフト層のLC材料は、100μm~5mmの範囲の厚さを有することができる。LC位相シフト層のLC材料は、500μm~2mmの範囲の厚さを有することができる。LC位相シフト層のLC材料は、500μm~1.5mmの範囲の厚さを有することができる。LC位相シフト層のLC材料は、800μm~1.2mmの範囲の厚さを有することができる。
【0044】
無線機はまた、2つ以上の個別にアドレス指定可能な第2のLC画素を含む第2の液晶LC位相シフト層を含むことができる。各第2のLC画素の経路長は、その第2のLC画素に印加される電圧の関数として変化し得る。無線機はまた、1つまたは複数の第2の平面アンテナを含むことができる。各第2の平面アンテナは、第2のLC位相シフト層を介して無線信号を受信および/または送信するように構成されてもよい。無線機はまた、第2のアクティブマトリクストランジスタアレイを含んでもよい。第2のアクティブマトリクストランジスタアレイの各トランジスタは、対応する第2の蓄積キャパシタの両端の電圧を制御するように構成されてもよい。各第2の蓄積キャパシタは、第2のLC画素のそれぞれの第2のLC画素にわたって接続されてもよい。無線周波数送受信回路は、1つまたは複数の第2の平面アンテナに接続されてもよい。コントローラは、複数の第2のLC画素の各々について経路長を設定するように第2のアクティブマトリクストランジスタアレイを制御することによって、1つまたは複数の第2の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングを実行するようにさらに構成されてもよい。コントローラは、アクティブマトリクストランジスタアレイを使用して、無線信号を受信するための第1のフェーズドアレイとして1つまたは複数のアンテナを制御するようにさらに構成されてもよく、第1のフェーズドアレイは、受信方向に指向し、制御可能に配向可能である。コントローラは、第2のアクティブマトリクストランジスタアレイを使用して、1つまたは複数の第2のアンテナを第2のフェーズドアレイとして制御して、第1のフェーズドアレイを使用して受信された無線信号を再送信するようにさらに構成されてもよく、第2のフェーズドアレイは、送信方向に指向し、制御可能に配向可能である。
【0045】
平面アンテナおよび/または第2の平面アンテナは、共通の基板上に支持されてもよい。LC位相シフト層および/または第2のLC位相シフト層は、共通の基板上に支持されてもよい。アクティブマトリクストランジスタアレイおよび/または第2のアクティブマトリクストランジスタアレイは、共通の基板上に支持されてもよい。無線周波数送受信回路および/またはコントローラはまた、共通基板上に支持されてもよい。
【0046】
共通基板は、可撓性フィルムまたはシートを含んでもよく、または可撓性フィルムまたはシートの形態をとってもよい。無線機の電気部品は、共通基板の片面または両面に支持、堆積、パターニング、および/または一体化されてもよい。共通基板は、多層プリント回路基板の形態をとることができる。無線機の電気構成要素は、限定はしないが、アクティブマトリクストランジスタアレイ、第2のアクティブマトリクストランジスタアレイ、蓄積キャパシタ、第2の蓄積キャパシタ、無線周波数送受信回路、コントローラ、LC位相シフト層および/または第2の位相シフト層を含んでもよい。共通基板の対向する面に支持された無線機の電気部品間の相互接続は、貫通ビアを使用して提供され得る。
【0047】
共通基板は、積層体を含むか、または積層体の形態をとってもよい。共通基板が積層体である場合、無線機の1つまたは複数の電気部品は、積層体の1つまたは複数の内部層上(または内部)に支持、堆積、パターン化、および/または一体化されてもよい。共通の基板が積層体である場合、積層体は、ガラスおよび/またはプラスチックおよび/または接着剤の1つまたは複数の層を含むことができる。積層体は、1つまたは複数の導体層を含んでもよい。積層体の導体層は、内部(すなわち、第1の面と第2の面との間)および/または外部(すなわち、第1の面および/または第2の面に支持される)であってもよい。積層体の1つまたは複数の層は、無線機の1つまたは複数の電気部品を支持することができる。
【0048】
アクティブマトリクストランジスタアレイおよび/または第2のアクティブマトリクストランジスタアレイは、共通基板上および/または共通基板内に集積されてもよい。アクティブマトリクストランジスタアレイおよび/または第2のアクティブマトリクストランジスタアレイは、共通基板にフリップチップ接合されてもよい。蓄積キャパシタおよび/または第2の蓄積キャパシタは、共通の基板上および/または共通の基板内に集積されてもよい。蓄積キャパシタおよび/または第2の蓄積キャパシタは、共通基板にフリップチップ接合されてもよい。無線周波数送受信回路は、共通基板上および/または共通基板内に集積されてもよい。無線周波数送受信回路は、共通基板にフリップチップ接合されてもよい。コントローラは、共通の基板上および/または共通の基板内に一体化されてもよい。コントローラは、共通基板にフリップチップ接合されてもよい。部品は、共通基板の片面または両面にフリップチップ接合されてもよい。
【0049】
共通基板は、透明であってもよい。透明は、可視波長に対して50%の最小透過率を有する共通基板に対応し得る。可視波長は、380nm~750nmの範囲に対応し得る。1つまたは複数の平面アンテナおよび/または1つまたは複数の第2の平面アンテナを支持、提供、および/または形成する無線機の一部は、透明または不透明であってもよい。
【0050】
共通基板は、ガラスを含むか、またはガラスから形成されてもよい。共通基板は、限定はしないが、ポリカーボネート(PC)、ポリイミド(PI)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレートPEN、シクロオレフィンポリマー(COP)、または無線機を支持するのに十分な機械的強度および透けて見えるのに十分な透明性を有する任意の他のポリマーを含む1つまたは複数のプラスチックを含むか、またはその形態をとってもよい。
【0051】
無線機の1つまたは複数の電気部品が共通基板にフリップチップ接合される場合、そのような電気部品は、ヘテロジニアス・インテグレーション・ロードマップHIRに従って共通基板にフリップチップ接合されてもよい。ヘテロジニアス・インテグレーション・ロードマップ(HIR)は、シリコン・システム・イン・パッケージ(SiP)技術のために開発されたガイドラインのセットである。HIRは、例えば、HIR 2019 editionの刊行物に記載されたガイドラインを指すことができる。
【0052】
共通基板は、ヒートスプレッダ層を組み込んでもよい。ヒートスプレッダ層は、ヘテロジニアス・インテグレーション製造プロセス中に組み込まれてもよい。ヒートスプレッダ層は、ファンまたは他の冷却方法を必要とせずに、より高い出力で、および/またはより高密度の電気部品および相互接続を使用して動作することを可能にすることができる。例えば、1つまたは複数のアンテナおよび/またはLC画素のためのグランドプレーン層は、銅から形成されてもよく、ヒートスプレッダ層としてさらに機能してもよい。
【0053】
無線機は、第1の対向面および第2の対向面を有し、第1の対向面と第2の対向面との間に厚さを有する平面基板を含むことができる。1つ以上の平面アンテナおよびLC位相シフト層は、第1の面上に支持されてもよい。1つまたは複数の第2の平面アンテナおよび第2のLC位相シフト層は、第2の面上に支持されてもよい。無線周波数送受信回路は、平面基板によって支持されてもよく、無線周波数送受信回路と1つまたは複数の平面アンテナとの間および/または無線周波数送受信回路と1つまたは複数の第2の平面アンテナとの間で信号を送信するために平面基板の厚さを貫通して形成された複数のビアを含んでもよい。
【0054】
平面基板は、前述の共通基板を含むか、またはその形態をとることができる。
【0055】
無線周波数送受信回路は、第1の面上に支持された第1のマイクロストリップ線路と、第2の面上に支持された第2のマイクロストリップ線路とを含むことができる。第1および第2のマイクロストリップ線路は、対応するビアによって接続されてもよい。第1の面および第2の面に支持されたマイクロストリップ線路間を接続するビアは、マイクロストリップ線路にインピーダンス整合されてもよい。無線周波数送受信回路は、第1の面上に支持されたいくつかの第1のマイクロストリップ線路を含むことができる。無線周波数送受信回路は、第2の面上に支持されたいくつかの第2のマイクロストリップ線路を含むことができる。任意のマイクロストリップ線路は、平面基板を貫通して延在するビアによって、平面基板の反対側に支持された無線周波数送受信回路の1つまたは複数のマイクロストリップ線路および/または他の構成要素に接続することができる。
【0056】
無線周波数送受信回路は、平面基板にフリップチップ接合された1つまたは複数の構成要素を含むことができる。無線周波数送受信回路の1つまたは複数の構成要素は、第1の面にフリップチップ接合されてもよい。無線周波数送受信回路の1つまたは複数の構成要素は、第2の面にフリップチップ接合されてもよい。無線周波数送受信回路の1つまたは複数の構成要素は、第1の面にフリップチップ接合されてもよく、1つまたは複数のさらなる構成要素は、第2の面にフリップチップ接合されてもよい。無線周波数送受信回路の1つまたは複数の構成要素は、ヘテロジニアス・インテグレーション・ロードマップHIRに従って平面基板にフリップチップ接合されてもよい。
【0057】
いくつかの例では、無線周波数送受信回路、アクティブマトリクストランジスタアレイ、第2のアクティブマトリクストランジスタアレイ、および/またはコントローラのいずれかまたはすべては、プリント回路基板を含まなくてもよい。これらの構成要素はプリント回路基板を含まなくてもよいが、それらのいずれかまたはすべては、プリント回路基板を含むことができる別個のデバイス、例えば電源に接続されてもよい。
【0058】
無線周波数送受信回路は、1つまたは複数のフィルタを含むことができる。フィルタは、無線周波数送受信回路と平面アンテナとの間および/または無線周波数送受信回路と第2の平面アンテナとの間の信号をフィルタリングするように配置されてもよい。フィルタは、フィルムバルク音響共振器FBARを含むか、またはその形態をとることができる。フィルタは、薄膜バルク音響共振器TFBARを含むか、またはその形態をとることができる。フィルタは、メタマテリアルを含んでもよく、メタマテリアルから形成されてもよい。無線周波数送受信回路での使用に適したメタマテリアルフィルタには、限定するものではないが、“Metamaterial Structure Inspired Miniature RF/Microwave Filters”、Abdullah Alburaikan,PhD Thesis(2016)、The University of Manchester,https://www.escholar.manchester.ac.uk/uk-ac-man-scw:305308,(特に56ページ以降を参照)に記載されているメタマテリアルフィルタが含まれる。フィルタは、無線周波数送受信回路と1つまたは複数の平面アンテナとの間、および/または無線周波数送受信回路と1つまたは複数の第2の平面アンテナとの間の伝送線路に組み込まれてもよい。例えば、1つまたは複数の分散要素フィルタの形態である。フィルタは、伝送線路の一部に沿ったインピーダンスの変化の形態で設けられてもよい。
【0059】
平面基板は、ヒートスプレッダ層(図示せず)を組み込んでもよい。ヒートスプレッダ層は、ヘテロジニアス・インテグレーション製造プロセス中に組み込まれてもよい。ヒートスプレッダ層は、ファンまたは他の冷却方法を必要とせずに、より高い電力で、および/またはより高密度のアンテナおよび/またはマイクロストリップ相互接続を使用して動作することを可能にすることができる。いくつかの例では、グランドプレーン層(例えば、アンテナおよび/または第2のアンテナの一部として形成される)は、銅から形成されてもよく、ヒートスプレッダ層としてさらに機能してもよい。追加的または代替的に、アンテナ誘電体層は、比較的高い熱コンダクタンスを有する誘電体、例えばAlNから形成されてもよく、またはAlOx(特にサファイア構造のAl2O3)も良好なヒートスプレッダ層として機能してもよい。
【0060】
コントローラは、位相画像を受信または生成するようにさらに構成されてもよい。位相画像の各画素は、アクティブマトリクストランジスタアレイのトランジスタに対応してもよく、関連する蓄積キャパシタに印加するための電圧を蓄積してもよい。コントローラは、位相画像の値に従って各蓄積キャパシタの電圧を設定するようにアクティブマトリクストランジスタアレイを制御するようにさらに構成されてもよい。あるいは、位相画像はホログラムとして説明されてもよい。本明細書では、「ホログラム」という用語はまた、異なる量だけ位相シフトされた無線信号間の干渉によって形成される3D波パターンを表すために使用され得る。言い換えれば、「ホログラム」という用語は、位相画像に適用されてもよいし、無線機から放射される波パターンに適用されてもよい。
【0061】
無線周波数送受信回路は、1つまたは複数の増幅器を含むことができる。追加的または代替的に、無線機は、無線周波数送受信回路と1つまたは複数の平面アンテナとの間および/または無線周波数送受信回路と1つまたは複数の第2の平面アンテナとの間に接続された1つまたは複数の増幅器を含むことができる。無線周波数送受信回路は、1つまたは複数のフィルタを含むことができる。追加的または代替的に、無線機は、無線周波数送受信回路と1つまたは複数の平面アンテナとの間および/または無線周波数送受信回路と1つまたは複数の第2の平面アンテナとの間に接続された1つまたは複数のフィルタを含むことができる。
【0062】
無線機がフィルタを含む場合、フィルタは、共通基板および/または平面基板によって支持され、共通基板上に形成され、または共通基板内に形成されてもよい。無線機は、無線周波数送受信回路に関連して前述した任意の形態の1つまたは複数のフィルタを含むことができる。無線機が増幅器を含む場合、増幅器は、共通基板および/または平面基板によってさらに支持されてもよい。無線機は、共通基板および/または平面基板によって支持され、共通基板上に形成され、または共通基板および/または平面基板内に形成されたCMOS増幅器の形態の1つまたは複数の増幅器を含むことができる。
【0063】
増幅器の一部またはすべては、低雑音増幅器の形態をとることができる。増幅器の一部またはすべては、電力増幅器の形態をとることができる。無線機が送受信機(送信および受信)として構成される場合、各平面アンテナまたは第2の平面アンテナは、受信モードの低雑音増幅器と送信モードの電力増幅器との間で切り替え可能な経路を介して無線周波数送受信回路に接続されてもよい。無線機が送受信機として構成される場合、平面アンテナおよび/または第2の平面アンテナのサブセットは、1つまたは複数の低雑音増幅器を介して無線周波数送受信回路に接続された受信アンテナであってもよく、残りの第1のアンテナおよび/または第2の平面アンテナ(すなわち、サブセットの補体)は、1つまたは複数の電力増幅器を介して無線周波数送受信回路に接続された送信アンテナであってもよい。
【0064】
システムは、無線機のうちの2つ以上を含んでもよい。2つ以上の無線機の各無線機は、2つ以上の無線機の各他の無線機とビームフォーミングを調整するように構成され得る。
【0065】
2つ以上の無線機は、同じ一般的な近傍、例えば200mの球内に配置されてもよい。2つ以上の無線機の各々は、2つ以上の無線機のうちの少なくとも1つの他の無線機の200m以内、100m以内、50m以内、20m以内、または10m以内に位置し得る。
【0066】
2つ以上の無線機は、有線ネットワークを介して接続されてもよい。2つ以上の無線機は、無線ネットワークを介して接続されてもよい。2つ以上の無線機は、有線リンクおよび無線リンクを含むネットワークを介して接続されてもよい。
【0067】
システムはまた、2つ以上の無線機のビームフォーミングを調整するように構成された中央制御ユニットを含んでもよい。中央制御ユニットは、2つ以上の無線機のうちの1つの無線機の形態をとってもよい。システムは、2つ以上の無線機のコントローラを使用して、ビームフォーミングの調整が分散方式で実行されるように構成され得る。
【0068】
2つ以上の無線機は、2つ以上の無線機の受信および/または送信を第1の外部ソースに向けるようにビームフォーミングを調整するように構成され得る。
【0069】
2つ以上の無線機は、少なくとも2つの空間的に分離された外部ソースに向けてビームフォーミングを調整するように構成され得る。
【0070】
2つ以上の無線機は、構造体によって支持され得る。構造物は、建物であってもよい。各無線機は、建物の窓または壁によって支持されてもよい。各無線機は、異なるウィンドウによってサポートされ得る。2つ以上の無線機は、同じウィンドウによってサポートされ得る。構造は、バスシェルタ、ランプポスト、または街路備品の任意の他のアイテムであってもよい。構造体によって支持されることは、構造体への取り付け、構造体への装着などを含むことができる。構造によって支持されることは、追加的または代替的に、構造に組み込まれるか、または構造と一体的に形成される無線機を含むことができる。システムを構成する2つ以上の無線機は、2つ以上の別個の構造(既に説明したのと同じ意味を有する構造)によってサポートされ得る。
【0071】
2つ以上の無線機の全部または一部は、少なくとも2つの無線機の平面アンテナが第1のマクロフェーズドアレイとして利用され得るように、アレイ状に配置されてもよい。第2の平面アンテナが含まれる場合、これらは、追加的または代替的に、第2のマクロ位相アレイとして利用されてもよい。
【0072】
本発明の第2の態様によれば、液晶LC位相シフト層を含むアンテナアセンブリが提供される。LC位相シフト層は、複数の個別にアドレス指定可能なLC画素を含む。各LC画素の経路長は、そのLC画素に印加される電圧の関数として変化する。アンテナアセンブリはまた、金属で形成された1つまたは複数の平面アンテナを含む。各平面アンテナは、LC位相シフト層を介して無線信号を受信および/または送信するように構成される。各平面アンテナは、5GHz~300GHzの範囲内の周波数を有する無線信号用に構成される。
【0073】
アンテナアセンブリは、第1の態様による無線機に含まれてもよい。アンテナアセンブリは、第1の態様による無線機またはその無線機を含むシステムの任意の特徴に対応する特徴を含むことができる。第1の態様による無線機、またはその無線機を含むシステムに適用可能な定義は、アンテナアセンブリにも同様に適用可能であり得る。
【0074】
アンテナアセンブリは、液晶ディスプレイの全部または一部に対応しなくてもよい。アンテナアセンブリは、交差偏波器を含まなくてもよい。
【0075】
LC位相シフト層と平面アンテナとは、共通の基板上に一体化されていてもよい。
【0076】
アンテナアセンブリはまた、アクティブマトリクストランジスタアレイを含んでもよい。アクティブマトリクストランジスタアレイの各トランジスタは、対応する蓄積キャパシタの両端の電圧を制御するように構成されてもよい。各蓄積キャパシタは、複数のLC画素のそれぞれのLC画素にわたって接続されてもよい。
【0077】
アクティブマトリクストランジスタアレイは、共通基板上に集積されてもよい。
【0078】
本発明の第3の態様によれば、第1の態様による無線機を使用する方法、またはその無線機を含むシステムが提供される。本方法は、アクティブマトリクストランジスタアレイを制御して複数のLC画素の各々に経路長を設定することによって、1つまたは複数の平面アンテナによって受信および/または送信される無線信号のビームフォーミングを制御することを含む。
【0079】
本方法は、第1の態様の無線機またはその無線機を含むシステムの任意の特徴に対応する特徴を含むことができる。
【0080】
本発明の特定の実施形態を、添付の図面を参照して、例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【
図2】例示的な無線送受信機の一部に対応する回路図である。
【
図3】第1のアンテナアセンブリを概略的に示す図である。
【
図5】第1の無線送受信機構成の概略ブロック図である。
【
図6】第2の無線送受信機構成の概略ブロック図である。
【
図7】第3の無線送受信機構成の概略ブロック図である。
【
図8】第4の無線送受信機構成の概略ブロック図である。
【
図9】第5の無線送受信機構成の概略ブロック図である。
【
図10】第1のタイプの平面アンテナの概略平面図である。
【
図11】第2のタイプの平面アンテナの概略平面図である。
【
図12】第3のタイプの平面アンテナの概略平面図である。
【
図13】第4のタイプの平面アンテナの概略平面図である。
【
図14】第5のタイプの平面アンテナの概略平面図である。
【
図15】
図14に示す第5の平面アンテナの代替的な配置の概略平面図である。
【
図16】第2のアンテナアセンブリを概略的に示す図である。
【
図18】第3のアンテナアセンブリを概略的に示す図である。
【
図20A】LC画素電極およびアンテナ電極の概略平面図である。
【
図21】第4のアンテナアセンブリを概略的に示す図である。
【
図23】第5のアンテナアセンブリを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
以下の説明では、同一部分には同一符号を付す。
【0083】
基地局に対する見通し線ならびに無線信号の大気および/または気象減衰の問題は、無線ネットワークにさらなる無線送受信機を追加することによって対処することができる。しかしながら、実際にこれを行うためには、小型、高利得、操縦可能で安価であり、大量の電力を必要としない無線送受信機が必要とされる。特に見通し外環境の場合、無線信号のポインティングベクトルの方向は、サービス品質性能を最大化するために重要である。また、使用される無線送受信機は、審美的に目立たない、すなわち小さく、好ましくは変装および/または環境への統合が容易であることが望ましい。本明細書では、他の問題の中でも、これらの問題に対処する無線送受信機用のアンテナアセンブリについて説明する。
【0084】
無線通信のための現在のインフラストラクチャは、より高い周波数に向かって、例えばミリ波に向かって(またはそれを超えて)スケーリングすることを困難にする制限および根本的な問題に遭遇すると予想される。モバイルデータ、コンテンツストリーミングなどの新しいサービスのために、より高い帯域幅に対する需要がますます高まっているため、単一の送信機タワーによってカバーされるエリア(または「セル」)のサイズはますます小さくなってきている。この傾向は、しばしば「5G」と呼ばれる5GHzを超える周波数で続くと予想される。セルタワーの現在の従来のインフラストラクチャは既にその限界に近づいており、無線通信ネットワークが高周波数および高データレートで動作する見通し内ポイントツーマルチポイントシステムに向かって移動するにつれて、新しい手法が必要とされる。そのような高周波数通信、例えばミリ波はまた、ビーム形成およびビームステアリングを可能にするための大規模多入力多出力アンテナアーキテクチャの使用からかなり利益を得ることができる。高指向性動作は、マルチパス干渉に関する問題を回避するのに役立ち得る。
【0085】
例えば、高精細度ビデオストリーミング、クラウドベースのサービス、拡張現実など、ますます多様化し、没入型のモバイルデータサービスに対する消費者の要求によって、次世代無線通信ネットワークおよびシステムは、競争力を維持するために高スループット、低レイテンシ、および信頼性を提供する必要がある。例えば、6GHzまで移動するために現在計画されているインフラストラクチャを超えて、利用されておらず、潜在的に毎秒10から50Gbの領域のデータレートをサポートすることができるミリ波周波数で利用可能な追加の200GHzのスペクトルがある。
【0086】
広域スペクトルは、それが無制限であることを意味するものではなく、他のサービスも、同じ帯域または隣接する帯域を利用する。スペクトルのかなりの部分が単一の独立したモバイルネットワーク事業者に排他的に与えられる場合、スペクトル利用の非効率性が存在する。平均的な消費者は、ミリ波スペクトルとして、3から30GHzの範囲、および30から40GHzの間(最大300GHz)のスペクトルを有するcm波を利用することができる。
【0087】
また、スマートシティのインフラストラクチャ、ヘルスケア、自動運転車、および他の多くのアプリケーションを含む、ミッションクリティカルなサービスのための60から70GHzでのスペクトル共有もある。そのようなサービスは、好ましくは、連続的な高速、低レイテンシ接続にアクセスする必要があり、共有スペクトルは、デバイスが常に接続されていることを保証するのに役立つ可能性を有する。
【0088】
本明細書は、隣接するアンテナから放射される信号間に必要な位相シフトを生成する複雑さおよびコストを低減しながら、フェーズドアレイのためのビームステアリングを実行することができるアンテナアセンブリに関する。特に、本明細書は、電子的に生成された位相シフトとは無関係に、および/または電子的に生成された位相シフトと組み合わせて(例えば、従来のビームフォーミング出力を改良するために)、ビームフォーミングのために液晶セル(または「画素」)のアクティブマトリクス制御を使用する。
【0089】
本明細書はまた、アンテナアセンブリを組み込み、無線信号、特に無線通信ネットワーク(例えば、モバイル/セルサービス)におけるデータ送信に使用される5GHzを超える無線信号を中継するように構成され得る無線送受信機(または単に「無線機」)に関する。他の特徴の中でも、本明細書に記載の無線送受信機は、コンパクトで薄型であり、構築環境内の構造への直接的な取り付け、または構造への統合を可能にする。本明細書による無線送受信機は、窓ガラスへの取り付けまたは窓ガラスへの組み込みに特に適している場合があり、人間の観察者に透視されるのに十分な透明性を保持することができる。
【0090】
これらの特徴により、距離を改善し、死角を減らし、構造物または地下(例えば、メトロ輸送システム)の内部に信号を中継するなどのために、無線送受信機を構造物に追加することができる。
【0091】
【0092】
無線送受信機1は、K個の個別にアドレス指定可能なLC画素P1,...,Pk,...,PKを含む液晶(LC)位相シフト層2を含み、PkはK個のLC画素のうちのk番目を表す。LC位相シフト層2は、好ましくはポリマー分散液晶(PDLC)の形態の液晶材料を含む。例えば、PDLC材料は、シアノビフェニルおよびシアノテルフェノール成分の混合物、例えばメルク(RTM)から販売されているE7液晶を含んでもよい。PDLC材料は、アクリレート材料(例えば、Norland(RTM)Optical Adhesive 81)に20から30重量%(例えば、25重量%)の範囲の濃度で溶解されて混合されてもよい。LC位相シフト層2の厚さはtである。厚さは、使用される特定のLC材料およびビームフォーミングのための所望の角度範囲に応じて、数百μmから数mmまでの範囲であり得る。
【0093】
無線送受信機1はまた、各々がLC位相シフト層2を介して無線信号4を受信および/または送信するように構成された1つまたは複数の平面アンテナ3を含む。例えば、液晶(LC)位相シフト層2は、
図1に示すように、1つまたは複数の平面アンテナ3の放射導体を覆う平坦な層の形態をとってもよい。1つまたは複数のグランド導体(
図1には図示せず)は、LC位相シフト層2を通過しない無線信号4の放射/受信を減衰(すなわち、抑制する、またはさらには防止する)するように構成されてもよい。
【0094】
各LC画素Pkを介して1つまたは複数の平面アンテナ3に無線信号4を伝送するための経路長は、そのLC画素Pkに印加される電圧の関数として変化する。この文脈における経路長は、幾何学的経路長とそれぞれの波長における屈折率との積に等しく、「光路長」と呼ばれることもあるが、この場合、関連する電磁放射は可視光ではない。特に、異方性の分極性により、液晶分子の局所的な配向方向に依存して誘電率が変化する。したがって、各LC画素Pkの屈折率nは、そのLC画素Pkに印加される電圧V(厳密には対応する電界)の関数n(V)である。k番目のLC画素Pkに印加される電圧をVkとすると、対応する屈折率nをnk(Vk)または単にnkとする。
【0095】
LC画素Pkが規則的な間隔dで離間されている場合、隣接するLC画素Pk、Pk+1間の経路差は2つの成分を有し、第1の成分は幾何学的効果によるものであり、第2の成分は屈折率nk、nk+1の差によるものである。幾何学的寄与は、任意のフェーズドアレイと同じである。角度θで入射する無線信号4の場合、幾何学的経路差はd.sin(θ)である。従来のフェーズドアレイでは、幾何学的経路差d.sin(θ)にかかわらず、無線信号4が1つまたは複数の平面アンテナ3によって同相で放射または受信され得るように、電子機器を使用して幾何学的経路差d.sin(θ)を補償する。
【0096】
図1の無線送受信機1では、幾何学的経路差d.cos(θ)の補償は、代わりに、LC画素P
kの調整可能な経路長によって提供される。LC画素P
kの屈折率n
kは、無線信号4の角度を局所角度θ
kに屈折させる。
(1)
ここで、n
0は空気の屈折率(n
0≒1)である。k番目の画素の光路長は次のとおりである。
(2)
ここで、OPL
kは、k番目のLC画素P
kの光路長である。このとき、隣接するLC画素P
k、P
k+1間の光路差ΔOPLは、
ΔOPL=OPL
k-OP
k+1(3)
【0097】
ビームフォーミングの場合、光路差ΔOPLが幾何学的経路差に等しくなることが必要であり、すなわち、
ΔOPL=d・sin(θ)(4)
【0098】
一例として、入射角θ=10°=π/18、画素間隔d=2mmの場合、幾何学的経路差はd.sin(θ)=0.35mmである。k番目のLC画素Pkの屈折率をnk=3、k+1番目のLC画素Pk+1の屈折率をnk+1=1.5とすると、それぞれの角度は、θk=3.32°、θk+1=6.65°となる。LC画素Pk,Pk+1間の光路長差によって幾何学的な光路長差が完全に打ち消されるためには、0.23mm(230μm)の厚みがあればよい。
【0099】
無線送受信機1はまた、LC画素P
1、...、P
Kの各々にわたって印加される電圧V
1、...、V
Kを制御するように構成されたアクティブマトリクストランジスタアレイ5を含む。アクティブマトリクストランジスタアレイ5の各トランジスタ(
図2参照)は、対応する蓄積キャパシタ(
図2参照)にわたる電圧V
kを制御するように構成され、その蓄積キャパシタは、LC位相シフト層2のそれぞれのLC画素P
kにわたって接続される。アクティブマトリクストランジスタアレイ5は、薄膜トランジスタを使用して実装されることが好ましいが、アクティブマトリクスアドレス配列に適した任意のトランジスタが代わりに使用されてもよい。
【0100】
無線送受信機1はまた、1つまたは複数の平面アンテナ3に接続された無線周波数送受信回路6を含む。無線周波数送受信回路6は、1つまたは複数の平面アンテナ3との間で無線周波数信号7を送信および/または受信する。無線周波数信号7は、入射無線信号4に、LC位相シフト層2によって加えられる位相シフトを加えたものに対応する。無線周波数送受信回路6は、送信機として、受信機として、または好ましくは送信機および受信機(同時か時間多重かにかかわらず)として構成されてもよい。いくつかの例では、無線送受信機1は、受信した無線信号4を中継または再ブロードキャストするように構成されてもよい。
【0101】
無線送受信機1はまた、アクティブマトリクストランジスタアレイ5を制御して複数のLC画素P1、...、PKの各々の光路長を設定することによって、1つまたは複数の平面アンテナ2によって受信および/または送信される無線信号4のビームフォーミングを実行するように構成されたコントローラ8を含む。特に、コントローラ8は、電圧V1、...、VKを設定するためにアクティブマトリクストランジスタアレイ5にアクティブマトリクス制御信号9を出力する。以下に説明するように、有利には、アクティブマトリクス制御信号9は、例えば従来のアクティブマトリクスディスプレイで使用される任意の既知のアクティブマトリクスアドレッシング方式に従って構成されてもよい。任意選択的に、コントローラ8はまた、例えば無線周波数信号7および/または制御信号10を生成、処理および/または中継するために、無線周波数送受信回路6を制御することもできる。あるいは、無線周波数送受信回路6は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5とは独立して制御されてもよい。
【0102】
コントローラ8は、例えば、コントローラ8を組み込んだデバイス(図示せず)から制御信号15を受信することができる。例えば、制御信号15は、無線周波数信号7、ビームフォーミングのためのターゲット方向などを提供することができる。
【0103】
コントローラ8は、マイクロコントローラまたは1つまたは複数のプロセッサ11、揮発性メモリ12、および不揮発性記憶装置13を含むコンピューティングデバイス(例えば、携帯電話)の形態をとることができる。不揮発性記憶装置13は、1つまたは複数のプロセッサ11によって実行されると、コントローラ8に本明細書に記載の機能を実施させるプログラムコード14を格納する。コントローラ8は、マイクロコントローラまたはコンピューティングデバイスを使用した実装に限定されず、代替的に、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または必要な機能を実行するのに適した任意の他のデバイスに実装されてもよい。
【0104】
図1では別個の構成要素として示されているが、他の例では、コントローラ8および無線周波数送受信回路6は単一の構成要素として統合されてもよい。
【0105】
このようにして、単一の平面アンテナ3を使用してビームフォーミングを実行することができ、無線信号4が通過するときにLC位相シフト層2によって位相シフトが適用される。LC画素P1、...、Pkのアクティブマトリクス5制御は、多数の要素のビームフォーミングを制御するための簡便に実装されたコンパクトでスケーラブルな手法を提供する。さらに、電圧V1、...、VKの印加は、従来のビームフォーミングのK個の素子と比較して複雑ではない。
【0106】
LC位相シフト層2および1つまたは複数の平面アンテナ3は、例えば共通の基板上に支持されて一体化され、無線送受信機1の一体化された構成要素としてのアンテナアレイを提供することができる。アンテナアレイはまた、共通基板上のLC位相シフト層2および1つまたは複数の平面アンテナ3と一体化されたアクティブマトリクストランジスタアレイ5を含むことができる。
【0107】
無線送受信機1は、5GHz~300GHzのキャリア周波数を有する無線信号4用に構成される。いくつかの例では、無線送受信機1は、300GHzを超える、または1THz以上のキャリア周波数を有する無線信号4用に構成されてもよい。5G無線通信規格は適切な無線信号4の一例であるが、後続の世代も使用することができる(例えば、6G、7Gなど)。
【0108】
図2も参照すると、LC位相シフト層のLC画素P
kは、アクティブマトリクストランジスタアレイ5に対応するアレイに配置されてもよい。
【0109】
LC位相シフト層の画素Pkをアクティブマトリクストランジスタアレイ5に対応するアレイに配置することにより、LC位相シフト層2とアクティブマトリクストランジスタアレイ5との統合を容易にすることができる。例えば、各LC画素Pkは、対応するトランジスタおよび蓄積キャパシタに直接隣接して配置されてもよい。
【0110】
K個のLC画素Pkは、K=N×Mとして、N行M列に配置されてもよい。第n行第m列に対応するLC画素PkをPm,nとする。この例では、アクティブマトリクストランジスタアレイ5は、M本の駆動線D1、...、Dm、...、DMおよびN本のアドレス線S1、...、Sn、...、SNを使用して制御される。駆動線Dmおよびアドレス線Snの各対は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5のそれぞれのトランジスタTm、nによって結合される。トランジスタTm,nのゲートにはアドレス線Snが接続され、トランジスタチャネル(極性に応じてソースまたはドレイン)の一端には駆動線Dmが接続されている。トランジスタチャネルの他端は、それぞれの蓄積キャパシタCSを介してグランドに結合される。蓄積キャパシタCSは、対応するLC画素Pm,nを跨いで並列に接続されている。
【0111】
LC画素Pm,nに電圧Vm,nを設定するには、第mの駆動線Dmを所望の電圧値に接続し、アドレス線SnをトランジスタTm,nのチャネルが開くようにバイアスする。接続された蓄積キャパシタCSは、駆動線Dmに印加された電圧値に充電され、トランジスタTm,nがオフされる。このように、LC画素Pm,nごとに電圧値Vm,nが設定されてもよい。漏れ電流による電圧Vm、nの減衰により、蓄積キャパシタCS上の電圧値Vm、nは、アレイ5を走査することによって定期的にリフレッシュされる。このようにして、アクティブマトリクストランジスタアレイ5は、アクティブマトリクス表示画面と同様の方法で制御されてもよい。
【0112】
コントローラ8は、任意選択的に、位相画像16を受信、検索、または生成するように構成されてもよい。例えば、位相画像16は、制御信号15に含まれてもよく、コントローラの内部記憶装置13から取得されてもよく、1つまたは複数のプロセッサ11によって生成されてもよく、および/またはコントローラ8の外部のさらなる記憶装置17から取得されてもよい。位相画像16の各画素は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5のトランジスタTm,nに対応し、関連する蓄積キャパシタCSおよびLC画素Pm,nに印加するための電圧値Vm,nを蓄積する。コントローラ8は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5を制御して、位相画像17に記憶された値に従って各蓄積キャパシタの電圧Vm、nを設定することができる。この手法は、従来のLCDディスプレイと共に使用するように構成されたコントローラ8の使用を可能にすることができる。位相画像17はまた、LC位相シフト層2を使用して出力されている位相パターンの有用な視覚化を提供することができる。
【0113】
位相画像17は、代替的に「ホログラム」と記載されてもよい。本明細書では、「ホログラム」という用語はまた、アンテナアセンブリによって異なる量だけ位相シフトされた無線信号4間の干渉によって形成される3D波パターンを表すために使用され得る。換言すれば、「ホログラム」という用語は、位相画像17および/またはLC位相シフト層2を介して放射される波パターンに適用することができる。
【0114】
LC画素Pm,nのアレイは、基本的な矩形または正方格子に従って配置されることが好ましいが、これは、アクティブマトリクストランジスタアレイ5の行および列におけるそれぞれのトランジスタTm,nに対応するように配置する方が簡単であるためである。しかしながら、一般に、LC画素Pm,nのアレイは、5つの2次元ブラベ格子のいずれか1つに従って配置されてもよい。
【0115】
図2に示す例は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5およびLCシフト層のLC画素P
kを実装する単なる一例である。他の例では、1つまたは複数の平面アンテナ3の幾何学的形状は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5の幾何学的形状と異なってもよい。アクティブマトリクストランジスタアレイ5も同様にアドレス指定および制御されるが、トランジスタT
m、nは、任意の順序でLC画素P
kに接続されてもよい。電圧値V
kを記憶するために位相画像17を使用する能力は、LC画素P
kの配置がトランジスタT
m、nの配置に対応するか否かによって影響されないが、両者が対応しない場合、位相画像17の視覚化は、出力位相を視覚化するのに有用である可能性は低い。
【0116】
第1のアンテナアセンブリ
図3も参照すると、第1の例示的アンテナアセンブリ18(以下、第1のアンテナアセンブリ)が示されている。
【0117】
第1のアンテナアセンブリ18は、無線送受信機1の実施態様で使用することができる。第1のアンテナアセンブリ18において、1つまたは複数の平面アンテナ3は、LC位相シフト層2のLC画素Pkから電気的に分離(絶縁)されている。
【0118】
LC位相シフト層2は、各LC画素Pkが、アクティブマトリクストランジスタアレイ5の対応する蓄積キャパシタCSの非グランド側に接続されたそれぞれのLC画素電極19kによって画定される液晶材料33の層の形態をとる。また、各LC画素Pkは、LCバイアス電極20の少なくとも一部を含む。個々のLCバイアス電極20kは、各LC画素電極19kに対応して画定されてもよく、または単一のLCバイアス電極20は、LC画素Pkの2つ以上、またはさらにはすべてに共通であってもよい。
【0119】
LC画素P
kおよび対応するLC画素電極19
kは、(
図2に示すように)アクティブマトリクストランジスタアレイ5のトランジスタT
m、nに対応するアレイに配置されてもよく、その結果、各LC画素P
kは代替的にP
m、nと呼ばれ、各LC画素電極19
kは19
m、nと呼ばれてもよい。
【0120】
LC画素電極19k、19m、nおよびLCバイアス電極20を画定する電極層は、所望の周波数範囲、例えば5GHz~300GHz(またはその1つまたは複数の部分)の無線信号4の通過を可能にするようにインピーダンス整合されるべきである。
【0121】
1つまたは複数の平面アンテナ3は、任意の数の個々の平面アンテナ3を含んでもよく、単一の平面アンテナ22(
図5)の形態をとってもよい。各平面アンテナ3は、無線送受信回路6の一部を構成する増幅器23に接続されている。送信のために、増幅器23は電力増幅器の形態をとることができる。受信のために、増幅器23は低雑音増幅器の形態をとることができる。平面アンテナ3への接続は、電力増幅器と低雑音増幅器との間で切り替え可能であってもよい。任意選択で、1つまたは複数のフィルタ24が、無線送受信回路6と平面アンテナ3との間に接続されてもよい。含まれる場合、フィルタ24は、平面アンテナ3とそれぞれの増幅器23との間、および/または増幅器23と無線送受信回路6の残りの部分との間に接続されてもよい。
【0122】
いくつかの例では、増幅器23は、無線送受信回路6とは別個であり、無線送受信回路6と平面アンテナ3との間に接続されてもよい。
【0123】
図4も参照すると、第1のアンテナアセンブリ18を実装する第1の積層体25の概略断面図が示されている。
【0124】
第1の積層体25は基板26を含む。1つまたは複数の平面アンテナ3は、基板26上に支持され、アンテナグランドプレーン層27、アンテナ誘電体層28、および放射導体層29を含む。放射導体層29は、1つまたは複数の平面アンテナを画定するようにパターニングされ、アンテナグランドプレーン層27は、均一なグランドプレーン(連続導体層)であってもよく、または放射導体層29に対応するようにパターニングされてもよい。
【0125】
第1の積層体25において、アクティブマトリクストランジスタアレイ5は、TFTアクティブマトリクスアレイを支持するTFT基板30の形態で第1のアンテナアセンブリ18に集積される。例えば、TFT基板30は、TFTの形態のトランジスタTm、nが内部に画定されるアモルファスシリコンの薄層を支持するガラスから形成されてもよい。TFT基板30は、1つまたは複数の平面アンテナ3の上に重なっており、好ましくは、1つまたは複数の平面アンテナ3に接合または他の様態で固定される。
【0126】
LC位相シフト層2は、TFT基板30の上に接合され、または直接堆積され、液晶材料33の層によってLCバイアス電極層32から分離されたLC画素電極層31を含む。LC画素Pkは、それぞれのトランジスタTm,nと物理的に重なるように配置されたLC画素Pm,nとして配置されており、LC画素電極層31は、LC画素電極20m,nを画定している。好ましくは、LC位相シフト層2は、LC画素電極層31がTFT基板31に接触するか、または少なくとも最も近くなるように配置される。これは、LC画素Pm、nとそれぞれのトランジスタTm、nとの間の簡略化された接続および/または直接接続を容易にすることができる。
【0127】
第1の積層体25は第1のアンテナアセンブリ18を実装する一例であるが、第1のアンテナアセンブリ18は第1の積層体25に限定されない。
【0128】
第1の無線送受信機の構成
図5も参照すると、第1の無線送受信機構成34(以下、「第1の無線機」)が示されている。
【0129】
第1の無線機34は、無線送受信機1の実施態様である。第1の無線機34は第1のアンテナアセンブリ18を用いてもよい。
【0130】
第1の無線機34の1つまたは複数の平面アンテナ3は、LC位相シフト層2内に画定された複数のLC画素P1、...、PKの下にあり、それらと実質的に同一の広がりを有する単一の平面アンテナ22、ANTの形態をとる。単一の平面アンテナ19は、均一またはパターン化されていないアンテナである必要はなく、(すべての部分が連続的に接続されているが)パターン化されてもよい。
【0131】
無線周波数送受信回路6は、φ0の位相を有する無線周波数(RF)信号7で単一の平面アンテナ22を駆動する。単一の平面アンテナ22から放射された無線信号4は、LC画素P1,...,PKを通過し、それぞれの位相シフトψ1,...,ψKを取得する。位相シフトψ1、...、ψKは、無線信号4が、LC位相シフト層2がない場合に予想されるような平面波面ではなく、指向性ビーム(強め合う干渉が存在する方向に対応する)としてLC位相シフト層2から出現するように制御される。
【0132】
LC画素P
1,...,P
Kは、アクティブマトリクストランジスタアレイ5(
図2参照)のそれぞれのトランジスタT
m,nに対応するLC画素P
m,nのアレイとして配置されてもよい。
【0133】
無線信号4の送信に関連して示されているが、第1の無線機34は、送信プロセスの逆によってビームフォーミング方向から無線信号4を追加的または代替的に受信することができる。
【0134】
第2の無線送受信機構成
図6も参照すると、第2の無線送受信機構成35(以下、「第2の無線機」)が示されている。
【0135】
第2の無線機35は、無線送受信機1の実施態様である。第2の無線機35は、第1のアンテナアセンブリ18を用いてもよい。第2の無線機35の1つまたは複数の平面アンテナ3は、各LC画素Pm,nに対応する平面アンテナANTm,nの形態をとる。例えば、各平面アンテナANTm,nは、それぞれのLC画素Pm,nの直下(または上層)に配置され、LC画素Pm,nを介して無線信号を受信および/または送信するように構成されてもよい。LC画素Pm,nおよびそれぞれの平面アンテナANTm,nは、いずれも、アクティブマトリクストランジスタアレイ5を構成するトランジスタTm,nのアレイに対応するアレイ状に配置されている。
【0136】
無線周波数送受信回路6は、位相がφ0の無線周波数(RF)信号7を用いて、各平面アンテナANTm,nを同相で駆動する。各平面アンテナANTm,nから放射された無線信号4は、それぞれのLC画素Pm,nを通過し、対応するそれぞれの位相シフトψm,nを取得する。位相シフトψ1,1,...,ψM,Nは、無線信号4が、LC位相シフト層2がない場合に予想されるような平面波面の代わりに、指向性ビーム(強め合う干渉が存在する方向に対応する)としてLC位相シフト層2から現れるように制御される。
【0137】
無線信号4の送信に関連して示されているが、第2の無線機35は、追加的または代替的に、送信プロセスの逆によってビームフォーミング方向から無線信号4を受信することができる。
【0138】
第3の無線送受信機の構成
図7も参照すると、第3の無線送受信機構成36(以下、「第3の無線機」)が示されている。
【0139】
第3の無線機36は、無線送受信機1の実施態様である。第3の無線機36は、第1のアンテナアセンブリ18を使用してもよい。第3の無線機36は、すべてのアンテナANTm,nをコヒーレントに駆動する代わりに、無線周波数送受信回路6が、対応する位相φm,nを有するそれぞれのRF電気信号7m,nを使用して各平面アンテナANTm,nとの間で送信および/または受信するように構成されることを除いて、第2の無線機35と同じである。各位相φm、nは、一般性を失うことなく位相φm、nのうちの1つ、例えばφ1、1に対応すると仮定することができるベース信号φ0に対する位相シフトに対応する。アレイ全体にわたって、2つ以上の位相φm、nは、ビームフォーミング方向に応じて等しいかまたは等価であり得る。
【0140】
LC位相シフト層2から現れる無線信号4は、アンテナANTm,nを駆動するために使用される位相φm,nと、LC画素Pm,nを通過することによって与えられる位相シフトψm,nとの和である位相を有する。この2段階(または「ハイブリッド」)ビームフォーミングは、ビームが、そうでなければLC位相シフト層2のLC材料層33の所与の厚さtを使用して可能であるよりも広い範囲のビームフォーミング角度に形成されることを可能にし得る。追加的または代替的に、2段階ビーム形成は、LC位相シフト層2の必要な厚さtを減少させることができる。これは、所与の電界を得るために印加される必要がある電圧の大きさを低減するのに役立ち得る。
【0141】
電気信号7m、nの多数の調整可能な位相φm、nを精密に提供することは複雑である。例えば、所与のアンテナANTm,nへの伝送線路は、各々が予め設定されたビームフォーミング方向に対応し得る2つ以上の受動位相シフト素子/構造間で(例えば、トランジスタTm、nに属するか、またはトランジスタTm、nと同じ基板上に形成された追加のトランジスタを使用して)切り替え可能であり得る。次いで、LC画素Pm、nを通過することによって付与されるさらなる位相シフトψm、nによって、ビームフォーミング方向の精密な制御が提供され得る。
【0142】
いくつかの例では、アンテナANTm,nのグループは、互いに同相で駆動されてもよい。例えば、より広いアレイの正方形または長方形のパッチ。そのような例では、駆動される必要がある別個の位相φm、nの総数は、Kよりも実質的に少なくてもよい。例えば、アンテナANTm、nの12×12アレイは、4×4の群の正方形で駆動され、144から必要とされる別個のRF信号7m、nの数をわずか9に低減することができる。各グループは、対応する領域の平均位相に対応する位相φで駆動されてもよく、その後に、LC画素Pm,nを通過することによって与えられる追加の位相シフトψm,nによって必要に応じて上下に調整されてもよい。
【0143】
LC位相シフト層2を使用するファインビームフォーミングと組み合わされた電子機器における粗ビームフォーミングのこの2段階の組み合わせは、RF送受信回路6の電子機器の複雑さを最小限に抑えながら、LC位相シフト層2のLC材料層33の所与の厚さtを使用して可能であるよりも広い範囲のビームフォーミング角度にビームを形成することを可能にすることができる。追加的または代替的に、2段階ビーム形成は、LC位相シフト層2の必要な厚さtを低減することができ、および/または所与の電界を得るために印加される必要がある電圧の大きさを低減することができる。
【0144】
第4の無線送受信機の構成
図8も参照すると、第4の無線送受信機構成37(以下、「第4の無線機」)が示されている。
【0145】
第4の無線機37は、無線送受信機1の実施態様である。第4の無線機37は、第1のアンテナアセンブリ18を用いてもよい。第2の無線機35の1つまたは複数の平面アンテナ3は、W個の平面アンテナANT1、...、ANTw、...、ANTWの形態をとり、ANTwはW個のアンテナのw番目を表す。数Wは、2以上であり、LC画素Pkの総数K未満であり、すなわち、2≦W<Kである。平面アンテナANT1、...、ANTWの各々は、LC画素Pkの下にあり(または上にあり)、LC位相シフト層2は、アンテナANTwへの、および/またはアンテナANTwからの無線信号が少なくとも1つのLC画素Pkを通過するように、各平面アンテナANT1、...、ANTWに全体的に重なる。
【0146】
換言すれば、各アンテナANT
wは、1つまたは複数の対応するLC画素Pkのグループを介して送信および/または受信する。w番目のアンテナANT
wに対応するLC画素P
kの数をJwとすると、
(5)
w番目のアンテナANT
wに対応するJw個のLC画素のj番目をP
w,jとする。
【0147】
無線周波数送受信回路6は、位相がφ0の無線周波数(RF)信号7を用いて、各平面アンテナANTwを同相で駆動する。各平面アンテナANTwから放射された無線信号4は、それぞれのLC画素Pw,1,...,Pw,Jwを通過し、対応する位相シフトψw,1,...,ψw,Jwを取得する。位相シフトψ1,1,...,ψW,JWは、無線信号4が、LC位相シフト層2が存在しない場合に予想されるような平面波面の代わりに、指向性ビーム(強め合う干渉が存在する方向に対応する)としてLC位相シフト層2から現れるように制御される。
【0148】
いくつかの例では、LC画素P
w、Jwは、アクティブマトリクストランジスタアレイ5(
図2参照)に対応するアレイに配置され、各平面アンテナANT
wは、LC画素P
w、Jwの正方形または長方形のグループに対応し得る。あるいは、各平面アンテナANT
wは、バンドまたはストリップ、例えばLC画素P
w、Jwの1つまたは複数の行/列に対応してもよい。
【0149】
無線信号4の送信に関連して示されているが、第4の無線機37は、追加的または代替的に、送信プロセスの逆によってビームフォーミング方向から無線信号4を受信することができる。
【0150】
第5の無線送受信機の構成
図9も参照すると、第5の無線送受信機構成38(以下、「第5の無線機」)が示されている。
【0151】
第5の無線機38は、無線送受信機1の実施態様である。第5の無線機38は、第1のアンテナアセンブリ18を使用してもよい。第5の無線機38は、すべての平面アンテナANT1、...、ANTWを同相で駆動する代わりに、無線周波数送受信回路6が、対応する位相φwを有するそれぞれのRF電気信号7wを使用して各平面アンテナANTwとの間で送信および/または受信するように構成されることを除いて、第4の無線機37と同じである。各位相φwは、ベース信号φ0に対する位相シフトに対応し、これは一般性を失うことなく、位相φwのうちの1つ、例えばφ1に対応すると仮定することができる。アレイ全体にわたって、2つ以上の位相φwは、所望のビームフォーミング方向に応じて、等しいかまたは等価であり得る。
【0152】
LC位相シフト層2から現れる無線信号4は、アンテナANTm,nを駆動するために使用される位相φwと、LC画素Pw,1,...,Pw,Jwを通過することによって与えられる位相シフトψw,1,...,ψw,Jwとの和sである位相を有する。この二相ビーム形成は、LC位相シフト層2のLC材料層33の所与の厚さtを使用して可能となるよりも広い範囲のビームフォーミング角度にビームを形成することを可能にすることができる。追加的または代替的に、2段階ビーム形成は、LC位相シフト層2の必要な厚さtを低減し、および/または所与の電界を得るために印加される必要がある電圧の大きさを低減することができる。
【0153】
LC画素P
w、Jwがアクティブマトリクストランジスタアレイ5(
図2参照)に対応するアレイに配置されている場合、および各平面アンテナANT
wがLC画素P
w、Jwの正方形または長方形のグループに対応する場合、前述の2段階ビームフォーミングが実行され得る。例えば、粗いビームフォーミングは、RF電気信号7
1、...、7
Wの位相φ
1、...、φ
Wによって提供されてもよく、一方、ビームフォーミング方向の精密な制御は、LC画素P
w、jwを通過することによって与えられるさらなる位相シフトψ
w、jwによって提供される。
【0154】
アンテナ形状の例
図10も参照すると、第1のタイプの平面アンテナ39(以下、「第1の平面アンテナ」)が示されている。
【0155】
第1の平面アンテナ39は、正方形の導電領域の形態をとり、その各々がアンテナの放射導体を提供する。例えば、第1の平面アンテナを放射導体層29にパターニングしてもよい。アンテナグランドプレーン(例えば、アンテナグランドプレーン層27)は、同じ方法でパターン化され、第1の平面アンテナ39と位置合わせされてもよい。あるいは、アンテナグランドプレーンは、単一のパターン化された(例えば、メッシュ)またはパターン化されていない導電領域の形態をとってもよい。
【0156】
各LC画素Pkは、第1の平面アンテナ39と重畳する位置に配置されており、その面積がやや大きいことが好ましい。
【0157】
正方形アレイで示されているが、第1の平面アンテナ39は、任意の(格子)タイプまたは形状のアレイに従って構成されてもよい。
図10には3×3のアレイが示されているが、第1の平面アンテナ39のアレイは、任意の数の行および/または列を含んでもよい。
【0158】
図11も参照すると、第2のタイプの平面アンテナ40(以下、「第2の平面アンテナ」)が示されている。
【0159】
第2のタイプの平面アンテナ40は、第1のタイプ39と同じであるが、第2のタイプの平面アンテナ39は、長軸および短軸を有する矩形の導電領域の形態をとる。対応する上にあるまたは下にあるLC画素Pkの投影された輪郭41は、破線を使用して示されている。
【0160】
矩形アレイで示されているが、第2の平面アンテナ40は、任意の(格子)タイプまたは形状のアレイに従って構成されてもよい。
図11には3×3のアレイが示されているが、第2の平面アンテナ40のアレイは、任意の数の行および/または列を含んでもよい。
【0161】
図12も参照すると、第3のタイプの平面アンテナ42(以下、「第3の平面アンテナ」)が示されている。
【0162】
第3のタイプの平面アンテナ42は、第3の平面アンテナ42がリング(または「ループ」)アンテナの形態をとることを除いて、第1または第2のタイプ39、40と同じである。対応する上にあるまたは下にあるLC画素Pkの投影された輪郭41は、破線を使用して示されている。
【0163】
正方形アレイで示されているが、第3の平面アンテナ42は、任意の(格子)タイプまたは形状のアレイに従って構成されてもよい。
図12には3×3のアレイが示されているが、第3の平面アンテナ42のアレイは、任意の数の行および/または列を含むことができる。
【0164】
図13も参照すると、第4のタイプの平面アンテナ43(以下、「第3の平面アンテナ」)が示されている。
【0165】
第4のタイプの平面アンテナ43は、第4の平面アンテナ43が螺旋アンテナの形態をとることを除いて、第1、第2または第3のタイプ39、40、42と同じである。対応する上にあるまたは下にあるLC画素P
kの投影された輪郭41は、破線を使用して示されている。
図11および
図12とは異なり、
図13では、対応するLC画素P
kの投影輪郭41は円形である。投影された輪郭41が対応する平面アンテナ3、39、40、42、43を囲む限り、対応するLC画素P
kの特定の形状は、いかなるタイプの平面アンテナ39、40、42、43にとっても重要ではない。例えば、
図13では正方形LC画素P
kを代わりに使用することができ、あるいは
図11および/または
図12では円形LC画素P
kを代わりに使用することができる。
【0166】
正方形アレイで示されているが、第4の平面アンテナ43は、任意の(格子)タイプまたは形状のアレイに従って構成されてもよい。
図13には3×3のアレイが示されているが、第4の平面アンテナ43のアレイは、任意の数の行および/または列を含むことができる。
【0167】
図14も参照すると、第5のタイプの平面アンテナ44(以下、「第5の平面アンテナ」)が示されている。
【0168】
第5のタイプの平面アンテナ44は、第5の平面アンテナ44がビバルディアンテナの形態をとることを除いて、第1から第4のタイプ39,40,42,43と同じである。ビバルディアンテナは指向性であり、各第5の平面アンテナ44は、放射方向45に平行な方向を中心とする主ローブを有する放射パターンを放射する。対応する上にあるまたは下にあるLC画素Pkの投影された輪郭41は、破線を使用して示されている。
【0169】
矩形アレイで示されているが、第5の平面アンテナ44は、任意の(格子)タイプまたは形状のアレイに従って構成されてもよい。
図14には3×3のアレイが示されているが、第5の平面アンテナ44のアレイは、任意の数の行および/または列を含むことができる。
【0170】
図15も参照すると、第5の平面アンテナ44(以下、「第5の平面アンテナ」)の代替的な配置が示されている。
【0171】
特に、第5の平面アンテナ44のような面内指向性平面アンテナを使用する場合、それらはすべて同じ方向に配向される必要はない。
図15では、いくつかの第5の平面アンテナ44は、放射方向45に平行に放射するように配向され、他の第5の平面アンテナ44’は、逆平行に放射するように配向される。2つの向きは、相互貫入格子(長方形であり、2つのアンテナモチーフを中心とする。本明細書におけるモチーフは、結晶学および他のタイプの反復/モザイク状パターンから既知の意味を有するが、ここでは格子点に対するアンテナの配置を指す)。第5の平面アンテナ44は、平行/逆平行であることに限定されず、所与のアレイは、任意の方向に配向され、任意の数のアンテナを含むモチーフを有する格子に従って配置された第5の平面アンテナ44を含むことができる。
【0172】
第1から第5の平面アンテナ39,40,42,43,44の例は、これに限定されるものではなく、一般的に、1つまたは複数の平面アンテナ3は、任意のタイプの平面アンテナを含んでもよいし、2つ以上のタイプの平面アンテナの組み合わせを含んでもよい。
【0173】
第2のアンテナアセンブリ
図16も参照すると、第2の例示的アンテナアセンブリ46(以下、第2のアンテナアセンブリ)が示されている。
【0174】
第2のアンテナアセンブリ46は、無線送受信機1の実施態様で使用されてもよく、限定はしないが、第1から第5の無線機34、35、36、37、38を含む任意の無線送受信機1の第1のアンテナアセンブリ18を置き換えてもよい。
【0175】
第2のアンテナアセンブリ46において、1つまたは複数の平面アンテナ3は、共通のグランドプレーンを共有するという点で、LC位相シフト層2のLC画素Pkと一体化されている。
【0176】
共通のグランド導体層47(または第1の導体層)は、第1のアンテナアセンブリ18のLCバイアス電極と同様に、(または各)LC画素Pkのためのグランド層を提供する。放射導体層29(または第2の導体層)は、アンテナ誘電体層28によって共通グランド導体層47から分離されている。放射導体層29は、1つまたは複数の平面アンテナ3の放射導体を提供するようにパターニングされる。共通のグランド導体層47はまた、1つまたは複数の平面アンテナのためのグランド層を提供する。LC画素電極層31(または第3の導体層)は、液晶材料33の層によって放射導体層29から分離されている。パターニングされたLC画素電極層をパターニングすることにより、LC位相シフト層3のそれぞれのLC画素Pkを画定するLC画素電極19kが形成される。
【0177】
共通のグランド導体層47は、均一なパターン化されていない電極であってもよい。あるいは、共通のグランド導体層47は、いくつかの別個の電極を形成するようにパターニングされてもよい。
【0178】
LC画素P
kおよび対応するLC画素電極19
kは、(
図2に示すように)アクティブマトリクストランジスタアレイ5のトランジスタT
m、nに対応するアレイに配置されてもよく、その結果、各LC画素P
kは代替的にP
m、nと呼ばれ、各LC画素電極19kは19
m、nと呼ばれてもよい。
【0179】
LC画素電極19k、19m、nを画定するLC画素電極層31は、所望の周波数範囲、例えば5GHz~300GHz(またはその1つまたは複数の部分)の無線信号4の通過を可能にするようにインピーダンス整合されるべきである。
【0180】
第1のアンテナアセンブリ18と同様に、1つまたは複数の平面アンテナ3は、任意の数の平面アンテナ3を含んでもよい。各平面アンテナ3は、任意選択のフィルタ24および/または増幅器23(無線送受信回路6の内部または外部)を含む、第1のアンテナアセンブリ18と同じ方法で無線送受信回路6に接続される。
【0181】
第1のアンテナアセンブリ18と比較して、第2のアンテナアセンブリの構造は、アンテナグランドプレーン層27およびLCバイアス電極層31の両方の代わりに共通グランド導体層47を使用して単純化される。さらに、LC画素電極19k、19m、nを画定するLC画素電極層31は、無線信号4の通過を可能にするために依然としてインピーダンス整合されるべきであるが、無線信号4は、より少ない数のインピーダンス整合層を通って放射され、これにより、出力信号強度を改善することができる。
【0182】
図17も参照すると、第2のアンテナアセンブリ46を実装する第2の積層体48の概略断面が示されている。
【0183】
TFT基板30は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5を支持する。LC画素電極層31は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5に支持されているか、または直接形成されている。これは、LC画素Pm、nとそれぞれのトランジスタTm、nとの間の簡略化された接続および/または直接接続を容易にすることができる。放射導体層29は、LC材料33の層によってLC画素電極層31から隔てられている。反対側において、放射導体層29は、アンテナ誘電体層28によって共通グランドプレーン導体層47から分離されている。基板26は省略されてもよく、代わりにTFT基板30によって機械的支持が提供される。
【0184】
1つまたは複数の平面アンテナ3は、共通グランドプレーン層48と放射導体層29との間に画定される。LC位相シフト層2は、共通グランドプレーン層48とLC画素電極層31との間に画定される。このように、1つまたは複数の平面アンテナ3はLC位相シフト層2内にあるので、1つまたは複数の平面アンテナ3とLC位相シフト層2とは別個の層ではない。
【0185】
第2の積層体48は第2のアンテナアセンブリ46を実現する一例であるが、第2のアンテナアセンブリ46は第2の積層体48に限定されない。
【0186】
第3のアンテナアセンブリ
図18も参照すると、第3の例示的なアンテナアセンブリ49(以下、第3のアンテナアセンブリ)が示されている。
【0187】
第3のアンテナアセンブリ49は、無線送受信機1の実施態様で使用されてもよく、限定はしないが、第1から第5の無線機34、35、36、37、38を含む任意の無線送受信機1の第1のアンテナアセンブリ18を置き換えてもよい。
【0188】
第3のアンテナアセンブリ49において、LC画素P
kおよび対応するLC画素電極19
kは、(
図2に示すように)アクティブマトリクストランジスタアレイ5のトランジスタT
m、nに対応するアレイに配置され、それにより、各LC画素P
kはP
m、nと称され、各LC画素電極19
kは19
m、nと称される。
【0189】
平面アンテナ3は、LC位相シフト層2のLC画素P
m,nと一体化されており、LC画素電極19
m,nは、それぞれの平面アンテナ3の放射導体を提供するアンテナ電極51
m,nと同じ導電層50(第4の導電層以降)からパターニングされている。LC画素電極19
m,nには、アンテナ電極51
m,nが点在している。LCバイアス電極層32(第5の導体層)は、液晶材料33の層によって導体層50から分離されており、LC画素P
m,nの下地層を構成している。アンテナグランドプレーン層27は別個に設けられる(
図19参照)。LCバイアス電極層32は、アンテナ電極51
m、nによって画定される平面アンテナ3によって受信および/または送信される無線信号4の減衰を最小にするように構成されるように、例えば5GHz~300GHz(またはその1つまたは複数の部分)を含む所望の周波数範囲内の無線信号4の通過を可能にするようにインピーダンス整合される。
【0190】
図19も参照すると、第3のアンテナアセンブリ49を実装する第3の積層体51の概略断面図が示されている。
【0191】
基板26は、アンテナグランドプレーン層27(第6の導体層)を支持する。アンテナグランドプレーン層27の上には、アクティブマトリクス型トランジスタアレイを含むTFT基板30が配置されている。TFT基板30上には、LC画素電極19m,nおよび放射導体をなすアンテナ電極51m,nを構成する導体層50が設けられている。TFT基板30は、アンテナ誘電体として機能し、LC画素電極19m、nへの単純かつ直接的な接続のために配置される。LCバイアス電極層32は、LC材料33の層によって導電層50から分離されている。TFT基板30が他の層のための機械的支持を提供することができる場合、基板26は省略されてもよい。トランジスタTm,nを提供するアクティブマトリクストランジスタアレイ5のTFTは、任意のアンテナ電極51m,nと重複しないように配置されてもよい。
【0192】
1つまたは複数の平面アンテナ3は、アンテナグランドプレーン層27と導電層50との間に画定される。LC位相シフト層2は、LCバイアス電極層32と導電層50との間に画定される。このように、1つまたは複数の平面アンテナ3およびLC位相シフト層2は、導体層50が両方に属するため、別個の層ではない。
【0193】
図20Aおよび
図20Bも参照すると、LC画素電極19
m、n、アンテナ電極51
m、nおよびLCバイアス電極20
m、nの例示的な構成が示される。
【0194】
特に
図20Aを参照すると、導電層50内で、各アンテナ電極51
m、nは、間隙52によって分離された対応する環状LC画素電極19
m、nによって取り囲まれてもよい。アンテナ電極51
m、nは、ビアを使用して別の層に接続されてもよく、またはLC画素電極19
m、nは、アンテナ電極51
m、nに導電性トレースをルーティングすることを可能にするサイズの小さなギャップを含んでもよい。
【0195】
特に
図20Bを参照すると、LCバイアス電極層32内で、LCバイアス電極20
m、nは環状LC画素電極19
m、nと位置合わせされ、同じ形状を有し、2つの電極19
m、n、20
m、nは同一の広がりを有する。アンテナ電極51
m、nは、環状LCバイアス電極20
m、nによって囲まれた領域を介して無線信号4を放射および/または受信することができる。
【0196】
あるいは、LCバイアス電極層32は、無線信号4の減衰を最小にするように構成されたメッシュを形成する要素間の間隔を有するメッシュ構造を有する単一の導体の形態をとってもよい。
【0197】
変形例(図示せず)では、アンテナ誘電体として機能するTFT基板30の代わりに、基板26を省略することができ、アンテナグランドプレーン27は、
図19に示すものとは反対側のTFT基板30に移動させることができる。そのような実施態様では、アンテナグランドプレーン27は、アンテナ誘電体層28(
図19には示されていないが、他の場所に示されている)によって導体層50から分離される。
【0198】
第3のアンテナアセンブリ49のさらなる変形例(図示せず)では、別個のアンテナグランドプレーン層27は省略されてもよく、LCバイアス電極層32はまた、平面アンテナ3のグランドプレーンを提供してもよい。
【0199】
第3の積層体51は、第3のアンテナアセンブリ49を実装する一例であるが、第3のアンテナアセンブリ49は、第3の積層体51に限定されない。
【0200】
第4のアンテナアセンブリ
図21も参照すると、第4の例示的なアンテナアセンブリ53(以下、第4のアンテナアセンブリ)が示されている。
【0201】
第4のアンテナアセンブリ53は、無線送受信機1の実施態様で使用されてもよく、限定はしないが、第1から第5の無線機34、35、36、37、38を含む任意の無線送受信機1の第1のアンテナアセンブリ18を置き換えてもよい。
【0202】
第4のアンテナアセンブリ53において、LC画素P
kおよび対応するLC画素電極19
kは、(
図2に示すように)アクティブマトリクストランジスタアレイ5のトランジスタT
m、nに対応するアレイに配置され、それにより、各LC画素P
kはP
m、nと称され、各LC画素電極19
kは19
m、nと称される。
【0203】
第4のアンテナアセンブリ53では、各LC画素電極19m,nおよびそれぞれのアンテナ電極52m,nが共通信号電極層55(第7の導体層)からパターニングされた同一の共通信号電極54m,nによって提供されるという点で、平面アンテナ3がLC位相シフト層2のLC画素Pm,nと一体化されている。
【0204】
1つまたは複数のLCバイアス電極20を画定するLCバイアス電極層32(第8の導体層)は、LC材料33の層によって共通信号電極層55から分離されている。アンテナグランドプレーン層27は別個に設けられる(
図22参照)。LCバイアス電極層32は、共通信号電極54
m、nによって画定される平面アンテナ3によって受信および/または送信される無線信号4の減衰を最小にするように構成されるように、例えば5GHz~300GHz(またはその1つまたは複数の部分)を含む所望の周波数範囲内の無線信号4の通過を可能にするようにインピーダンス整合される。
【0205】
各共通信号電極54m,nとRF送受信回路5との間の接続は、DCおよび低周波成分がアクティブマトリクストランジスタアレイ5とRF送受信回路との間に結合されないように、阻止容量Cblkを含む。いずれにせよ、減衰された低周波数成分は、フィルタリング(例えば、1つまたは複数のフィルタ24を使用する)によって除去することができる。5GHz以上の周波数範囲は、ほとんどの液晶材料が電界に応答することができる帯域幅から著しく外れており、したがって、RF信号の正味のDC成分も容量Cblkによってブロックされるので、RF信号7の印加はLC画素Pm、nに影響を及ぼすべきではない。
【0206】
LCバイアス電極層32は、前述の周波数範囲内で無線信号4の通過を可能にするようにインピーダンス整合されるべきである。LCバイアス電極層32は、無線信号4の減衰を最小にするように構成された間隔を有するメッシュ構造を有する単一の導体の形態をとることができる。あるいは、LCバイアス電極層32は、多数のLCバイアス電極20、例えば各LC画素電極19m、nに対応する1つのLCバイアス電極20m、nにパターニングされてもよい。他の例では、LCバイアス電極層32は、各LC画素電極19m、nがLCバイアス電極層32内のギャップと一致するように、共通信号電極層55の逆としてパターニングされてもよい。
【0207】
図22も参照すると、第4のアンテナアセンブリ53を実装する第4の積層体56の概略断面図が示されている。
【0208】
TFT基板30は、第1の表面57および第2の表面58を有し、アクティブマトリクストランジスタアレイ5を提供する。LC材料33の層が第2の表面58の上に設けられ、LCバイアス電極層32がLC材料33の層の反対側の上に配置される。共通信号電極層55は、第1の表面57上に配置されている(または直接形成されている)。アンテナグランドプレーン層27(第9の導体層)は、アンテナ誘電体層28によって共通信号電極層55から分離されている。
【0209】
1つまたは複数の平面アンテナ3は、アンテナグランドプレーン層27と共通信号電極層55との間に画定される。LC位相シフト層2は、LCバイアス電極層32と共通信号電極層55との間に画定される。このように、1つまたは複数の平面アンテナ3およびLC位相シフト層2は、共通信号電極層55が両方に属するため、別個の層ではない。
【0210】
第4のアンテナアセンブリ53の変形例(図示せず)では、アンテナグランドプレーン27およびアンテナ誘電体28層は省略されてもよく、LCバイアス電極層32はまた、平面アンテナ3のためのグランドプレーンを提供してもよい。
【0211】
第4の積層体56は、第4のアンテナアセンブリ53を実現する一例であるが、第4のアンテナアセンブリ53は、第4の積層体56に限定されない。
【0212】
第5のアンテナアセンブリ
図23も参照すると、第5の例示的なアンテナアセンブリ59(以下、第5のアンテナアセンブリ)が示されている。
【0213】
第5のアンテナアセンブリ59は、無線送受信機1の実施態様で使用されてもよく、限定はしないが、第1から第5の無線機34、35、36、37、38を含む任意の無線送受信機1の第1のアンテナアセンブリ18を置き換えてもよい。
【0214】
第5のアンテナアセンブリ59において、1つまたは複数の平面アンテナ3は、共通のグランドプレーンを共有するという点で、LC位相シフト層2のLC画素Pkと一体化されている。
【0215】
共通のグランド導体層60(または第11の導体層)は、第1のアンテナアセンブリ18のLCバイアス電極20と同様に、(または各)LC画素Pkのためのグランド層を提供する。共通グランド導体層60は、平面アンテナ3のためのアンテナグランド層27も提供する。共通グランド導体層60は、アンテナ誘電体層28とLC材料33の層との間に挟まれている。放射導体層29(または第10の導体層)は、アンテナ誘電体層28によって共通グランド導体層60から分離されている。放射導体層29は、1つまたは複数の平面アンテナ3の放射導体を提供するようにパターニングされ、単一の放射導体を含んでもよく、または2つ以上の別個のアンテナ電極51に分離されてもよい。LC画素電極層31(または第12の導体層)は、液晶材料33の層によって共通グランド導体層60から分離されている。パターニングされたLC画素電極層31をパターニングすることにより、LC位相シフト層3のそれぞれのLC画素Pkを画定するLC画素電極19kが形成される。
【0216】
共通グランド導体層60およびLC画素電極層31は、平面アンテナ3によって受信および/または平面アンテナ3から送信される無線信号4の減衰を最小にするように構成されるように、例えば5GHz~300GHz(またはその1つまたは複数の部分)を含む所望の周波数範囲内の無線信号4の通過を可能にするようにインピーダンス整合される。共通のグランド導体層60は、無線信号4の減衰を最小にするように構成された間隔を有するメッシュ構造を有する単一の導体の形態をとることができる。あるいは、共通グランド導体層60は、いくつかのLCバイアス電極20、例えば各LC画素電極19m、nに対応する1つのLCバイアス電極20m、nにパターニングされてもよい。
【0217】
LC画素P
kおよび対応するLC画素電極19
kは、(
図2に示すように)アクティブマトリクストランジスタアレイ5のトランジスタT
m、nに対応するアレイに配置されてもよく、その結果、各LC画素P
kは代替的にP
m、nと呼ばれ、各LC画素電極19
kは19
m、nと呼ばれてもよい。
【0218】
図24も参照すると、第3のアンテナアセンブリ49を実装する第5の積層体60の概略断面図が示されている。
【0219】
TFT基板30は、アクティブマトリクストランジスタアレイ5を提供する。LC画素電極層31は、TFT基板30に支持されている。共通グランド導体層60は、LC材料層33によってLC画素電極層31から分離されており、LC材料層33とアンテナ誘電体層28との間に挟まれている。放射導体層29は、アンテナ誘電体層28によって共通グランド導体層60から分離されている。
【0220】
1つまたは複数の平面アンテナ3は、共通のグランド導体層60と放射導体層29との間に画定される。LC位相シフト層2は、共通グランド導体層60とLC画素電極層31との間に画定されている。このように、1つまたは複数の平面アンテナ3およびLC位相シフト層2は、共通のグランド導体層60が両方に属するため、別個の層ではない。
【0221】
任意選択で、LC材料層33とは反対側の放射導体層29の表面からの無線信号4の放射および/または受信は、任意選択の追加の誘電体層62によって放射導体層29から分離された任意選択のグランド遮蔽層61を使用して抑制されてもよい。必要に応じて、任意選択の遮蔽層61は、LC画素Pkを通過しない無線信号4の放射および/または受信を低減または防止するために、本明細書に記載の任意の他の積層体および/またはアンテナアセンブリに含まれてもよい。
【0222】
第5の積層体60は、第5のアンテナアセンブリ59を実装する一例であるが、第5のアンテナアセンブリ59は、第5の積層体60に限定されない。
【0223】
変形例
上述した実施形態に対して多くの変更を行うことができることが理解されよう。そのような変形例は、無線送受信機の設計、製造、および使用において既に知られており、本明細書で既に説明された特徴の代わりに、またはそれに加えて使用され得る同等の特徴および他の特徴を含むことができる。一実施形態の特徴は、別の実施形態の特徴によって置き換えられてもよく、または補足されてもよい。例えば、1つの無線送受信機の特徴は、他の無線送受信機の特徴によって置き換えられ、または補足され、および/または1つのアンテナ装置の特徴は、他のアンテナ装置の特徴によって置き換えられ、または補足され得る。
【0224】
本出願では、特徴の特定の組み合わせに対して特許請求の範囲が定式化されているが、本発明の開示の範囲はまた、任意の請求項で現在請求されているのと同じ発明に関連するか否か、および本発明と同じ技術的問題のいずれかまたはすべてを軽減するか否かにかかわらず、本明細書に明示的もしくは暗黙的に開示されている任意の新規な特徴または特徴の任意の新規な組み合わせまたはその任意の一般化も含むことを理解されたい。出願人は、本出願またはそれに由来する任意のさらなる出願の審査中に、そのような特徴および/またはそのような特徴の組み合わせに対して新たな請求項を策定することができることをここに通知する。
【国際調査報告】