(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】少なくとも部分的に電気駆動される自動車の電力貯蔵装置を発熱させるための方法、コンピュータプログラム製品、発熱装置及び電力貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
B60L 58/25 20190101AFI20241024BHJP
B60L 58/21 20190101ALI20241024BHJP
【FI】
B60L58/25
B60L58/21
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525094
(86)(22)【出願日】2022-09-08
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022075004
(87)【国際公開番号】W WO2023072470
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021127940.2
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【氏名又は名称】石田 大成
(74)【代理人】
【識別番号】100191938
【氏名又は名称】高原 昭典
(72)【発明者】
【氏名】シャルダックス・クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】シュムートラッハ・クリストファー
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC19
5H125BC28
5H125EE15
(57)【要約】
本発明は、少なくとも部分的に電気駆動される自動車10の電力貯蔵装置12をこの電力貯蔵装置12の発熱装置20によって発熱させるための方法に関する。前記発熱装置20の電子計算機22の制御信号26に依存して、少なくとも1つの第1貯蔵モジュール14と1つの第2貯蔵モジュール16とを備える前記電力貯蔵装置12が発熱される。この場合、電力が、前記第1貯蔵モジュール14から前記第2貯蔵モジュール16に給電され、この第2貯蔵モジュール16の内部抵抗28に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に前記第2貯蔵モジュール16で生成されるように、又は、電力が、前記第2貯蔵モジュール16から前記第1貯蔵モジュール14に給電され、この第1貯蔵モジュール14の内部抵抗28に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に前記第1貯蔵モジュール14で生成されるように、中間タップ18が、前記第1貯蔵モジュール14と前記第2貯蔵モジュール16との間に備えられ、前記制御信号26が生成される。さらに、本発明は、コンピュータプロダクト製品、発熱装置20及び電力貯蔵装置12に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも部分的に電気駆動される自動車(10)の電力貯蔵装置(12)をこの電力貯蔵装置(12)の発熱装置(20)によって発熱させるための方法であって、前記発熱装置(20)の電子計算機(22)の制御信号(26)に依存して、少なくとも1つの第1貯蔵モジュール(14)と1つの第2貯蔵モジュール(16)とを備える前記電力貯蔵装置(12)が加熱される当該方法において、
電力が、前記第1貯蔵モジュール(14)から前記第2貯蔵モジュール(16)に給電され、この第2貯蔵モジュール(16)の内部抵抗(28)に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に前記第2貯蔵モジュール(16)で生成されるように、又は、電力が、前記第2貯蔵モジュール(16)から前記第1貯蔵モジュール(14)に給電され、この第1貯蔵モジュール(14)の内部抵抗(28)に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に前記第1貯蔵モジュール(14)で生成されるように、中間タップ(18)が、前記第1貯蔵モジュール(14)と前記第2貯蔵モジュール(16)との間に備えられ、前記制御信号(26)が生成されることを特徴とする方法。
【請求項2】
発熱量が、当該給電の頻度に依存して前記制御信号(26)で調整されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記中間タップ(18)は、直流電圧変換器(30)に接続され、当該給電は、前記電子計算機(22)からの前記制御信号(26)によって前記直流電圧変換器(30)を制御することによって実行されることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記直流電圧変換器(30)は、第1電圧を有する前記自動車(10)の第1電力供給網(32)に電気接続される他に、第2電圧を有する前記自動車(10)の第2電力供給網(34)を備えることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1電力供給網(32)は、高電圧網として提供され、前記第2電力供給網(34)は、低電圧網として提供されることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1電力供給網(32)は、少なくとも400ボルト、特に少なくとも800ボルトを供給し、前記第2電力供給網(34)は、少なくとも12ボルトを供給することを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1貯蔵モジュール(14)及び/又は前記第2貯蔵モジュール(16)の経年状態に依存して、前記制御信号(26)が、前記貯蔵モジュール(14,16)を発熱させるために調整されることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
プログラムコード手段が、電子計算機(22)によって実行されるときに、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行することを前記電子計算機(22)にさせる前記プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品。
【請求項9】
少なくとも部分的に電気駆動される自動車(10)の電力貯蔵装置(12)を発熱させるための、少なくとも1つの電子計算機(22)を有する発熱装置(20)であって、
前記発熱装置(20)は、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法を実行するように構成されている当該発熱装置(20)。
【請求項10】
少なくとも1つの第1貯蔵モジュール(14)、1つの第2貯蔵モジュール(16)、1つの中間タップ(18)及び請求項9に記載の1つの発熱装置(20)を有する少なくとも部分的に電気駆動される自動車(10)のための電力貯蔵装置(12)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも部分的に電気駆動される自動車の電力貯蔵装置を請求項1の上位概念に記載のこの電力貯蔵装置の発熱装置によって発熱させるための方法に関する。さらに、本発明は、コンピュータプログラム製品、発熱装置及び電力貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術から、少なくとも部分的に電気駆動される自動車又は全電気式に駆動される自動車が既に公知である。これらの自動車は、例えば複数のセルモジュールから構成されている電力貯蔵装置を有する。同様に、これらのセルモジュールは、複数のバッテリセル、例えばリチウムイオンセルを有し得る。この場合、例えば冬期に適正な電力を確保できるように、これらのバッテリセルは、既定の温度に到達するために加熱されなければならないことが既に公知である。これが実行されないと、電力貯蔵装置の電力損失を引き起こし得る。このため、特にセルモジュールの外側からの加熱又は液体による加熱のような様々な加熱の着想が既に公知である。
【0003】
独国特許出願公開第102016208063号明細書は、陽極と陰極とを有するバッテリセルと、陽極に接続されている陽極端子と、陰極に接続されている陰極端子とを含む加熱可能なバッテリを開示する。このバッテリセルは、加熱要素と電位をこの加熱要素に印加するための端子とを有する。この加熱要素は、陽極端子及び陰極端子のうちの1つの端子に接続されている。さらに、このバッテリセルは、電位を加熱要素に印加するための端子と陽極端子及び陰極端子とは違う端子との間に配置されている制御可能なスイッチを含む。
【0004】
独国特許出願公開第102013017343号明細書は、電気駆動部を有する車両内のバッテリ、特に高電圧のバッテリセルを加熱するための方法に関する。この場合、当該車両の電気駆動部は、発電機としても使用され得る。この場合、バッテリは、少なくとも1つのバッテリセルを加熱するための電気加熱装置を有する。当該方法は、少なくとも1つのバッテリセルを有するバッテリ、特に高電圧バッテリを提供ステップ(この場合、このバッテリは少なくとも1つのバッテリセルを加熱するための電気加熱装置を有する)と、制御装置を提供するステップであって、この制御装置によって、回生(Rekuperation)により得られた電流を少なくとも1つのバッテリセル及び電気加熱装置に分配することが制御され得て、当該回生によって得られた電流のうちの少なくとも一部を少なくとも1つのバッテリセルに通電するステップ(この場合、少なくとも1つのバッテリセルの充電電力が、最大に達したときに、当該少なくとも1つのバッテリセルのために使用できない残りの電流部分が、電気加熱装置に通電され得る)とを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016208063号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102013017343号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、電力貯蔵装置が効率的に加熱(発熱)され得る方法、コンピュータプログラム製品、発熱装置及び電力貯蔵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、独立請求項に記載の方法、コンピュータプログラム製品、発熱装置及び電力貯蔵装置によって解決される。好適な実施の形態が、従属請求項に記載されている。
【0008】
本発明の特徴は、少なくとも部分的に電気駆動される自動車の電力貯蔵装置をこの電力貯蔵装置の発熱装置によって発熱させるための方法に関する。当該方法の場合、当該発熱装置の電子計算機の制御信号に依存して、少なくとも1つの第1貯蔵モジュールと1つの第2貯蔵モジュールとを備える当該電力貯蔵装置が加熱される。
【0009】
電力が、当該第1貯蔵モジュールから当該第2貯蔵モジュールに給電され、この第2貯蔵モジュールの内部抵抗に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に当該第2貯蔵モジュールで生成されるように、又は、電力が、当該第2貯蔵モジュールから当該第1貯蔵モジュールに給電され、この第2貯蔵モジュールの内部抵抗に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に当該第1貯蔵モジュールで生成されるように、中間タップが、当該第1貯蔵モジュールと当該第2貯蔵モジュールとの間に備えられ、当該制御信号が生成されることが提唱されている。
【0010】
したがって、特に、電力が、当該第2貯蔵モジュールから当該第1貯蔵モジュールに給電され、この第1貯蔵モジュールの内部抵抗に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に当該第1貯蔵モジュールで生成されることがさらに提唱されている。
【0011】
これにより、電力貯蔵装置の効率的な加熱が実現され得ることが可能である。特に、当該加熱は、貯蔵モジュール内で直接に実行される。その結果、熱損失が発生しない。貯蔵モジュールの加熱を実行するため、特にオーミック抵抗である内部抵抗に基づいて、効率的に利用され得る熱が、当該給電時に発生する。したがって、加熱を実行するための追加の加熱構造が不要である。したがって、僅かな発熱量であっても、効率的な加熱が実行され得る。何故なら、熱損失が全く発生せず、加熱(発熱)がセルモジュール内で直接に実行されるからである。
【0012】
したがって、特に、共通のオンボード電源、特に高電圧オンボード電源を構成する2つの貯蔵モジュールが使用される。この場合、加熱は、著しい損失電力なしにそれぞれの貯蔵モジュールの給電によって実現され得る。この場合、電力貯蔵装置の半分は放電され、貯蔵装置の第2半分は充電される。これらの貯蔵モジュール又はバッテリセルの最適で且つ経年変化に対して最適な発熱を達成するため、電子計算機によって、当該給電は、例えば所定の頻度で実行され得る。
【0013】
この場合、例えば、電力貯蔵装置が800ボルト向けに設けられていることが特に提唱されている。この場合、これらの貯蔵モジュールのそれぞれの貯蔵モジュールが、400ボルトを供給できる。換言すれば、両貯蔵モジュールが、400ボルトの電圧レベルを有し得るように、中間タップが、これらの貯蔵モジュール間に設けられている。このとき、電力貯蔵装置の中間タップ並びに陽極及び陰極が、電子計算機又は切換装置に接続される。この場合、制御信号に依存して、第1貯蔵モジュールの電力が、第2貯蔵モジュールに給電するために使用され、次いで、別の制御信号に依存して、第2貯蔵モジュールの電力が、第1貯蔵モジュールに給電するために使用される。
【0014】
好適な実施の形態によれば、発熱量が、当該給電の頻度に依存して当該制御信号で調整される。特に、当該頻度は、第2貯蔵モジュールの給電と第1貯蔵モジュールの給電との間の切り換え中に特定することができる。換言すれば、当該頻度は、第1貯蔵モジュールの給電と第2貯蔵モジュールの給電との間の切り換えを示す。したがって、特に、例えば、外気の温度若しくは実際の温度に依存して及び/又は電力貯蔵装置の実際の温度に依存して、当該頻度は適合される。特に、より高い頻度の場合に、より高い内部抵抗をこれらの貯蔵モジュール又はバッテリセル内に引き起こすことができる。一方で、より高い内部抵抗の場合、より高い発熱量が発生する。したがって、特に、バッテリセルの温度が低いほど、制御信号の周波数がより高くなることが提唱され得る。したがって、予め設定されている条件に応じて、発熱量は適切に適合され得る。
【0015】
当該中間タップは、直流電圧変換器に接続され、当該給電は、当該電子計算機からの当該制御信号によって当該直流電圧変換器を制御することによって実行されることが有益であると実証されている。特に、直流電圧変換器は、電力貯蔵装置の高電圧側と例えば12ボルトのバッテリを用いた低電圧側とに接続され得る。この場合、直流電圧変換器は、一次側で特に二重のスイッチング要素によって構成されている。その結果、冗長なシステムが提供され得る。例えば、これらのスイッチング要素のうちの一方のスイッチング要素が故障しても、低電圧のオンボード電源が、直流電圧変換器によって確実に稼働され得て、これらのスイッチング要素のうちの他方のスイッチング要素が故障しても、低電圧のオンボード電源が、直流電圧変換器によって確実に稼働され得る。この直流電圧変換器は、特に、既にオンボード電源に実装された構成要素である。その結果、このオンボード電源は、本発明の方法を実行できるように、構成要素を節約して利用され得る。
【0016】
別の好適な実施の形態では、当該直流電圧変換器は、第1電圧を有する当該自動車の第1電力供給網に電気接続される他に、第2電圧を有する当該自動車の第2電力供給網を備える。既に説明したように、第1電圧は、例えば、電力貯蔵装置によって、特に第1貯蔵モジュール及び第2貯蔵モジュールによって供給される高電圧である。第2電力供給網は、特に低電圧の電力供給網であり、例えば12ボルトの低電圧網である。第1電力供給網によって、例えば自動車の駆動装置が稼働され得る。第2電力供給網によって、例えばオンボード電源が稼働され得る。したがって、直流電圧変換器によって、発熱が実現され得て、さらに第1電力供給網と第2電力供給網との間の結合も実現され得る。
【0017】
当該第1電力供給網は、高電圧網として提供され、当該第2電力供給網は、低電圧網として提供されることが同様に有益である。この場合、当該第1電力供給網は、少なくとも400ボルト、特に少なくとも800ボルトを供給でき、当該第2電力供給網は、少なくとも12ボルトを供給できる。したがって、特に、第1電力供給網は、少なくとも部分的に電気駆動される自動車の駆動装置のために提供され得る。自動車は、特に全電気式に駆動される自動車でもよい。
【0018】
当該第1貯蔵モジュール及び/又は当該第2貯蔵モジュールの経年状態に依存して、当該制御信号が、当該貯蔵モジュールを発熱させるために調整されることが有益であると実証されている。例えば、電子計算機が、経年変化を特定するために構成され得る。このとき、経年変化に依存して、対応する発熱が、経年変化に適合されることが同様に必要である。したがって、経年変化が考慮され得て、貯蔵モジュールの効率的な発熱が実現され得る。
【0019】
上記の方法は、特にコンピュータで実行される方法である。したがって、本発明の別の特徴は、プログラムコード手段が電子計算機によって実行されるときに、上記の特徴による方法を実行することを当該電子計算機にさせる当該プログラムコード手段を有するコンピュータプログラム製品に関する。本発明のさらに別の特徴は、コンピュータプロダクト製品を有するコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に関する。コンピュータプロダクト製品は、専らコンピュータプログラムとも呼ばれ得る。
【0020】
さらに、本発明は、少なくとも部分的に電気駆動される自動車の電力貯蔵装置を発熱させるための、少なくとも1つの電子計算機を有する発熱装置にも関する。この場合、当該発熱装置は、上記の特徴による方法を実行するように構成されている。特に、当該方法は、発熱装置によって実行される。
【0021】
さらに、本発明は、上記の特徴による少なくとも1つの第1貯蔵モジュール、1つの第2貯蔵モジュール、1つの中間タップ及び1つの発熱装置を有する少なくとも部分的に電気駆動される自動車のための電力貯蔵装置にも関する。
【0022】
本発明のさらに別の特徴は、上記の特徴による電力貯蔵装置を有する自動車にも関する。この場合、自動車は、少なくとも部分的に電気駆動されるように又は全電気式に駆動されるように構成され得る。
【0023】
当該方法の好適な実施の形態は、コンピュータプログラム製品の好適な実施の形態、発熱装置の好適な実施の形態、電力貯蔵装置の好適な実施の形態及び自動車の好適な実施の形態とみなすことができる。このため、当該発熱装置、当該電力貯蔵装置及び当該自動車は、当該方法の実行を可能にする具体的な特徴を有する。
【0024】
本発明のさらなる特徴は、特許請求の範囲、図及び図の説明に記載されている。明細書に記載されている上記の特徴、特徴の組み合わせ及び下記の図の説明に記載されている特徴及び/又は図ごとだけに示された特徴及び特徴の組み合わせは、それぞれ記載されている組み合わせだけではなくて、別の組み合わせでも使用可能であり又は個別でも使用可能である。
【0025】
以下に、本発明を好適な実施の形態に基づいて、及び図を参照して詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】電力貯蔵装置の実施の形態を有する自動車の実施の形態の側面を概略的に示す。
【
図2】発熱装置の実施の形態を有する電力貯蔵装置の実施の形態による回路を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図では、同じ又は機能的に同じ構成要素は、同じ符号を有する。
【0028】
図1は、電力貯蔵装置12の実施の形態を有する自動車10の実施の形態の側面を概略的に示す。自動車10は、例えば少なくとも部分的に電気駆動される自動車として又は全電気式に駆動される自動車として構成され得る。電力貯蔵装置12は、例えば高電圧バッテリとして構成され得る。電力貯蔵装置12は、自動車10の駆動装置のために例えば電力を給電できる。さらに、電力貯蔵装置12は、自動車10のオンボード電源のために電力を給電できる。
【0029】
この実施の形態では、電力貯蔵装置12は、第1貯蔵モジュール14及び第2貯蔵モジュール16を有する。この場合、電力貯蔵装置12は、中間タップ18をさらに有する。さらに、電力貯蔵装置12は、発熱装置20も有し得ることが特に示されている。発熱装置20は、電力貯蔵装置12を発熱させるために構成されている。このため、発熱装置20は、特に電子計算機22を有する。
【0030】
図2は、電力貯蔵装置12の実施の形態による電気回路を概略的に示す。この実施の形態では、それぞれの貯蔵モジュール14,16が複数のバッテリセル24を有し得ることが特に示されている。電力貯蔵装置12を発熱させるための方法の場合、第1貯蔵モジュール14と第2貯蔵モジュール16とを少なくとも有する電力貯蔵装置12が、電子計算機22の制御信号26に依存して発熱される。この場合、電力が、第1貯蔵モジュール14から第2貯蔵モジュール16に給電され、この第2貯蔵モジュール16の内部抵抗28に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に第2貯蔵モジュール16で生成されるように、中間タップ18が、第1貯蔵モジュール14と第2貯蔵モジュール16との間に備えられ、制御信号26が生成されることが提唱されている。その経過後に、電力が、第2貯蔵モジュール16から第1貯蔵モジュール14に給電され、この第1貯蔵モジュール14の内部抵抗28に基づいて、当該発熱のための熱が、当該給電時に第1貯蔵モジュール14で生成されることがさらに提唱されている。特に、当該それぞれの発熱は交互に実行される。換言すれば、例えば、最初に、第2貯蔵モジュール16が給電され、その後に、第1貯蔵モジュール14が給電される。この場合、特に、制御信号26の周波数が重要である。
【0031】
換言すれば、第1貯蔵モジュール14の給電と第2貯蔵モジュール16の給電とが、周波数に依存して切り換えられる。他方では、特に、当該給電の頻度に依存して、第1貯蔵モジュール14と第2貯蔵モジュール16とに対する発熱量が調整され得る。同様に、特に、周囲条件、例えば周囲温度と電力貯蔵装置12の実際の温度とに依存して、当該頻度の適合、すなわち当該発熱量の適合が実行され得る。特に、より高い頻度が、貯蔵モジュール14,16の内部抵抗をより高くする。その結果、より高い頻度の場合、より多くの熱が生成され、したがって発熱量が増大される。換言すれば、電力貯蔵装置12がより高温であるほど、本発明の方法は、より高くない頻度によって実行される。
【0032】
したがって、特に、貯蔵モジュール14,16の発熱部分が、逆並列に配置されている。
【0033】
特に、
図2に示されているように、中間タップ18が、直流電圧変換器30に接続されていて、給電が、電子計算機22からの制御信号26によって直流電圧変換器30を制御することによって実行される。この場合、特に、直流電圧変換器30は、特に一次側で第1電圧を有する第1電力供給網32に電気接続されている他に、特に二次側で第2電圧を有する第2電力供給網34を伴って構成されている。この場合、第1電力供給網32は、特に高電圧網として提供され得て、第2電力供給網34は、低電圧網として提供され得る。特に、第1電力供給網32は、少なくとも400ボルト、特に少なくとも800ボルトを供給でき、第2電力供給網34は、少なくとも12ボルトを供給できる。例えば、第1貯蔵モジュール14は、400ボルトを供給でき、第2貯蔵モジュール16は、同様に400ボルトを供給できる。その結果、第1電力供給網は、特に800ボルトを供給できる。この場合、電子計算機22は、高電圧制御部36及び低電圧制御部38を有し得る。
【0034】
さらに、第1貯蔵モジュール14及び/又は第2貯蔵モジュール16の経年状態に依存して、制御信号26が、貯蔵モジュール14,16を発熱させるために調整されることが特に提唱され得る。
【0035】
したがって、例えば、共通の出力部を有し、それぞれ400ボルトを供給する2つの貯蔵モジュール14,16を使用することによって、直流電圧変換器30は、例えば、それぞれ400ボルト向けに構成されている第1変換部40及び第2変換部42を有することが特に提唱されている。この場合、第3変換部44が、低電圧向けに構成されている。したがって、特に、電気結合が、第1変換部40と第3変換部44との間と、第2変換部42と第3変換部44との間とに冗長に設けられている。このため、中間タップ18が、自動車で既に使用されている。両変換部40,42は、800ボルトの出力部に接続されていて、著しい電力損失なしに第1貯蔵モジュール14及び第2貯蔵モジュール16の給電を実行できる。この場合、貯蔵装置の半分は放電され、貯蔵装置の第2半分は充電される。貯蔵モジュール14,16の最適で且つ経年変化に対して最適な発熱を達成するため、直流電圧変換器30によって、当該給電は、予め設定されている周波数で実行され得る。
【0036】
さらに、直流電圧変換器30は、例えば自動車10のCANネットワークを介して通信できる通信モジュール46を有し得る。
【符号の説明】
【0037】
10 自動車
12 電力貯蔵装置
14 第1貯蔵モジュール
16 第2貯蔵モジュール
18 中間タップ
20 発熱装置
22 電子計算機
26 制御信号
28 内部抵抗
30 直流電圧変換器
32 第1電力供給網
34 第2電力供給網
36 高電圧制御部
38 低電圧制御部
40 第1変換部
42 第2変換部
44 第3変換部
46 通信モジュール
【国際調査報告】