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特表2024-540049沈降シリカ、その製造方法およびその使用
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  • 特表-沈降シリカ、その製造方法およびその使用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】沈降シリカ、その製造方法およびその使用
(51)【国際特許分類】
   C01B 33/193 20060101AFI20241024BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20241024BHJP
   C08L 7/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C01B33/193
C08L9/00
C08L7/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525197
(86)(22)【出願日】2022-10-17
(85)【翻訳文提出日】2024-04-25
(86)【国際出願番号】 EP2022078858
(87)【国際公開番号】W WO2023072666
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】21204753.4
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】アニエスカ オヘンドゥシュコ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレ ヴェーマイアー
(72)【発明者】
【氏名】ライナー ラーマン
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン パンツ
【テーマコード(参考)】
4G072
4J002
【Fターム(参考)】
4G072AA25
4G072AA28
4G072BB05
4G072GG01
4G072GG03
4G072HH21
4G072JJ15
4G072KK01
4G072LL06
4G072MM01
4G072MM21
4G072MM32
4G072RR06
4G072RR12
4G072SS07
4G072SS10
4G072SS11
4G072SS12
4G072TT05
4G072TT06
4G072TT30
4G072UU08
4J002AC011
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC081
4J002AC111
4J002DJ016
4J002FD016
4J002GN01
(57)【要約】
本発明は、以下の物理化学的パラメータ:CTAB50m/g~450m/g、BET/CTAB比<1.3、5%テーリング係数≧150nmを有する沈降シリカに関する。該沈降シリカは、様々なエージング工程を用いた水ガラスとHSOとの反応により製造される。該沈降シリカは、ゴム混合物の製造に使用可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の物理化学的パラメータ:
CTAB 50m/g~450m/g、
BET/CTAB比 <1.3、
5%テーリング係数 ≧150nm
を特徴とする、沈降シリカ。
【請求項2】
前記CTABが150m/g~350m/gであることを特徴とする、請求項1記載の沈降シリカ。
【請求項3】
前記BET/CTAB比が0.9~1.2であることを特徴とする、請求項1記載の沈降シリカ。
【請求項4】
前記5%テーリング係数が175~400nmであることを特徴とする、請求項1記載の沈降シリカ。
【請求項5】
前記CTABが150m/g~350m/gであり、前記BET/CTAB比が0.9~1.2であり、前記5%テーリング係数が175~400nmであることを特徴とする、請求項1記載の沈降シリカ。
【請求項6】
請求項1記載のシリカの製造方法であって、前記方法は、
a)60℃~90℃の温度でpHが4未満になるまで水にHSOを添加することにより、初期装入物を生成する工程、
b)pHが4未満の前記初期装入物に、水ガラスおよびHSOを同時に添加するが、ただし、水ガラスの総量の3~55%を使用する工程、
c)HSOの計量添加を止める工程、
d)pHが3~9になるまで水ガラスの計量添加を続け、その後、水ガラスの添加を止める工程、
e)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
f)前記懸濁液のpHが8を超えた状態で、水ガラスおよびHSOを同時に計量供給する工程、
g)水ガラスの全量が添加された後に、水ガラスの計量添加を止める工程、
h)pHが5未満になるまでHSOの計量添加を続け、その後、HSOの添加を止める工程、
i)前記懸濁液を濾過し、乾燥させる工程
を実施し、ここで、20重量%を超えるSiO含有率を有する水ガラス、および90重量%を超える濃度を有するHSOを使用し、方法工程a)~h)において撹拌を常時行うことを特徴とする、方法。
【請求項7】
請求項1記載のシリカの製造方法であって、前記方法は、
a)45℃~90℃の温度で水ガラスの総量の5~50重量%を水に添加することにより、初期装入物を生成する工程、
b)pHが3未満になるまでHSOを添加し、その後、HSOの添加を止める工程、
c)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
d)pHが3~9になるまで水ガラスを計量供給し、その後、水ガラスの添加を止める工程、
e)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、前記懸濁液をエージングに供する工程、
f)その後、水ガラスの総量の5~50重量%を添加し、その後、水ガラスの添加を止める工程、
g)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、前記懸濁液をエージングに供する工程、
h)pHが3未満になるまでHSOを添加し、その後、HSOの添加を止める工程、
i)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、前記懸濁液をエージングに供する工程、
j)pHが3~9になるまで水ガラスを計量し、その後、水ガラスの添加を止める工程、
k)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、前記懸濁液をエージングに供する工程、
l)その後、水ガラスの総量の5~50重量%を添加し、その後、水ガラスの添加を止める工程、
m)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、前記懸濁液をエージングに供する工程、
n)pHが7.5~9.0になるまでHSOを添加し、その後、HSOの添加を止める工程、
o)任意に、前記懸濁液を85~95℃まで加熱する工程、
p)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、前記懸濁液をエージングに供する工程、
q)pHが5未満になるまでHSOを添加し、その後、HSOの添加を止める工程、
r)前記懸濁液を濾過し、乾燥させる工程
を実施し、ここで、20重量%を超えるSiO含有率を有する水ガラス、および90重量%を超える濃度を有するHSOを使用し、方法工程a)~g)において撹拌を常時行うことを特徴とする、方法。
【請求項8】
ゴム混合物、バッテリーセパレータ箔、シリコーンゴム混合物、医薬用途、歯科用途および化粧品用途における、請求項1記載のシリカの使用。
【請求項9】
補強剤、担体、艶消剤および自由流動補助剤としての、請求項1記載のシリカの使用。
【請求項10】
ゴム混合物であって、少なくとも1つのゴムと少なくとも1つの請求項1記載の沈降シリカとを含むことを特徴とする、ゴム混合物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、沈降シリカ、その製造方法およびその使用に関する。
【0002】
欧州特許第1585704号明細書には、以下の物理化学的パラメータ:
CTAB表面積 100~160m/g、
BET表面積 100~190m/g、
DBP値 180~300g/(100g)、
シアーズ数V 15~28ml/(5g)、
含水率 4~8%
を有する沈降シリカが開示されている。
【0003】
この沈降シリカは、一定のAV(アルカリ価)で製造される。
【0004】
さらに、欧州特許第1764344号明細書には、以下の物理化学的パラメータ:
孔径分布の相対幅γ 4.0~10.0(g nm)/ml、
BET表面積 90~320m/g、
CTAB表面積 100~200m/g、
シアーズ数V 25~40ml/(5g)、
シアーズ数V/CTAB比 0.16~0.28ml/(5m
を有する沈降シリカ、およびそのゴム混合物への使用が開示されている。
【0005】
欧州特許第2473443号明細書には、沈降シリカの製造方法であって、該方法は、シリケートと酸性化剤を反応させてシリカ懸濁液を生成する工程と、次いで該懸濁液を分離および乾燥させる工程とを含み、シリケートと酸性化剤との反応を、以下:
(i)2~5のpHを有する水性初期装入物を形成する工程、
(ii)反応媒体のpHが2~5に保たれるように、シリケートおよび酸性化剤を同時に初期装入物に添加する工程、
(iii)反応媒体のpHが7~10になるまで、反応媒体へのシリカの添加を続けながら酸性化剤の添加を調整する工程、
(iv)反応媒体のpHが7~10に保たれるように、シリケートおよび酸性化剤を同時に反応媒体に添加する工程、
(v)反応媒体のpHが2.5~5.3になるまで、反応媒体への酸性化剤の添加を続けながらシリケートの添加を調整する工程、
(vi)反応媒体のpHが2.5~5.3に保たれるように、反応媒体を酸性化剤およびシリケートと接触させる工程、
(vii)得られた反応媒体にアルカリ活性成分、好ましくはシリケートを添加することにより、反応媒体のpHを4.7~6.3の値まで上昇させる工程であって、この工程(vii)は、工程(vi)で、反応媒体のpHが5.0~5.3に保たれるように、5.0~5.3のpHを有する反応媒体を酸性化剤およびシリケートと接触させる場合には、任意であるものとする
のように行う、方法が開示されている。
【0006】
また、欧州特許第2794479号明細書から、シリカの製造方法であって、シリケートと少なくとも1つの酸を反応させてシリカ懸濁液を生成し、次いで該懸濁液を分離および乾燥させ、シリケートと酸との反応を、以下の連続工程:
(i)2~5のpHを有する水性初期装入物を形成する工程、
(ii)反応媒体のpHが2~5に保たれるように、シリケートおよび酸を同時に初期装入物に添加する工程、
(iii)酸の添加を止め、同時に、反応媒体のpHが7~10になるまで、反応媒体へのシリカの添加を続ける工程、
(iv)反応媒体のpHが7~10に保たれるように、シリケートおよび酸を同時に反応媒体に添加する工程、
(v)シリケートの添加を止め、同時に、反応媒体のpHが6未満になるまで、反応媒体への酸の添加を続ける工程
により行い、ここで、工程(ii)において、反応媒体においてゲル化点到達後に使用される酸は、少なくとも80質量%の濃度を有する硫酸、少なくとも90質量%の濃度を有する酢酸またはギ酸、少なくとも60質量%の濃度を有する硝酸、少なくとも75質量%の濃度を有するリン酸、および30質量%の濃度を有する塩酸からなる群からの濃酸である方法も知られている。
【0007】
米国特許出願公開第2017/0044020号明細書には、以下:
BET表面積 45~550m/g、
CTAB表面積 40~525m/g、
全炭素含有率として表される、ポリカルボン酸および対応するカルボキシレートの含有率(C) 少なくとも0.15重量%、ならびに
細孔分布範囲ldp 0.65超
を有する沈降シリカが開示されている。
【0008】
欧州特許第1764344号明細書には、以下の物理化学的パラメータ:
孔径分布の相対幅γ 4.0~10.0(g nm)/ml、
BET表面積 90~320m/g、
CTAB表面積 100~200m/g、
シアーズ数V 25~40ml/(5g)、
シアーズ数V/CTAB比 0.16~0.28ml/(5m
を有する沈降シリカが開示されている。
【0009】
公知のシリカの特に不利な点は、表面積が比較的大きい(比表面積が約150m/gを超える)シリカの、特にいわゆるグリーンタイヤ混合物への分散性が限られていることであり、その結果、典型的なタイヤトレッド混合物における補強特性を最適化することができない。これは、最適な分散性がないために、このようなシリカの潜在的な補強効果を十分に引き出すことができないことを意味する。このようなシリカは、それで補強されたタイヤトレッドコンパウンドに非常に優れた耐摩耗性を付与すると想定されるにもかかわらず、これは部分的または不完全にしか達成されない。
【0010】
本発明が対処する課題は、先行技術から知られているシリカよりも分散性および補強特性の点で有利なシリカを提供することである。それにより、タイヤの他の特性に悪影響を与えることなく、摩耗の低減、すなわち耐摩耗性の最適化ゆえにタイヤの寿命の延長の確立が可能となるはずである。
【0011】
本発明は、以下の物理化学的パラメータ:
CTAB 50m/g~450m/g、好ましくは140m/g~450m/g、より好ましくは150m/g~350m/g、特に好ましくは180m/g~330m/g、
BET/CTAB比 <1.3、好ましくは0.8~1.2、より好ましくは0.9~1.2、特に好ましくは0.9~1.1、
5%テーリング係数 ≧150nm、好ましくは150~1000nm、より好ましくは170~500nm、特に好ましくは175~400nm
を特徴とする沈降シリカを提供する。
【0012】
本発明による沈降シリカのシアーズ数Vは、5~15ml/(1.5g)、好ましくは8~12ml/(1.5g)、より好ましくは10~12ml/(1.5g)とすることができる。
【0013】
本発明による沈降シリカのRo-Tap値>300μmは、>75重量%、好ましくは>80重量%、より好ましくは>85重量%とすることができる。
【0014】
本発明による沈降シリカは、圧縮された形態で、より好ましくはペレットの形態で使用することができる。ここで、Ro-Tap>300μmフラクションから得られる顆粒の少なくとも50%が、高さ、幅または長さの点で1.0mm以上、好ましくは>1.5mm、より好ましくは>2.5mm、特に好ましくは>3.0mmの顆粒の最長寸法(「粒長」と定義される)を有することができる。粒長は、Keyence VR-5200 3Dプロフィロメーターで測定される。
【0015】
本質的に安定化されたアグリゲートまたはアグロメレートの理想的で比較的密な充填を達成するためには、比較的粗いアグリゲートまたはアグロメレートと比較的小さいアグリゲートまたはアグロメレートとの特定の比を確立する必要がある。充填が密であるほど、これらの粒子同士の相互作用は大きくなり、充填はより安定する。粗大粒子の割合は、高さ5%でのCPSによる粒子径分布の横軸値における分布関数の幅により表すことができる。この値は粒子径分布のピーク最大値に対する比として表され、これにd95が乗じられる。よって、この5%テーリング係数は、粒子径分布の望ましい非対称性を表す。これにより、例えばゴム混合物において、高いせん断力でも混合操作中にほとんど破壊されない安定化された本質的な出発構造が形成され、ゴムマトリックスのさらなる補強が生じる。粗大粒子の割合を制限することにより、耐摩耗性に悪影響を及ぼすような形で分散性が悪化することはない。
【0016】
本発明はさらに、本発明によるシリカの製造方法であって、該方法は、
a)60℃~90℃の温度でpHが4未満になるまで水にHSOを添加することにより、初期装入物を生成する工程、
b)pHが4未満の初期装入物に、水ガラスおよびHSOを同時に添加するが、ただし、水ガラスの総量の3~55%を使用する工程、
c)HSOの計量添加を止める工程、
d)pHが3~9になるまで水ガラスの計量添加を続け、その後、水ガラスの添加を止める工程、
e)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
f)懸濁液のpHが8を超えた状態で、水ガラスおよびHSOを同時に計量供給する工程、
g)水ガラスの全量が添加された後に、水ガラスの計量添加を止める工程、
h)pHが5未満になるまでHSOの計量添加を続け、その後、HSOの添加を止める工程、
i)懸濁液を濾過し、乾燥させる工程
を実施し、ここで、20重量%を超えるSiO含有率を有する水ガラス、および90重量%を超える濃度を有するHSOを使用し、方法工程a)~h)において撹拌を常時行うことを特徴とする、方法を提供する。
【0017】
SOの代わりに、他の酸、例えばHClやCOを使用することも可能である。
【0018】
本発明はさらに、本発明によるシリカのさらなる製造方法であって、該方法は、
a)45℃~90℃の温度で水ガラスの総量の5~50重量%を水に添加することにより、初期装入物を生成する工程、
b)pHが3未満になるまでHSOを添加し、その後、HSOの添加を止める工程、
c)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
d)pHが3~9になるまで水ガラスを計量供給し、その後、水ガラスの添加を止める工程、
e)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
f)その後、水ガラスの総量の5~50重量%を添加し、その後、水ガラスの添加を止める工程、
g)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
h)pHが3未満になるまでHSOを添加し、その後、HSOの添加を止める工程、
i)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
j)pHが3~9になるまで水ガラスを計量し、その後、水ガラスの添加を止める工程、
k)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
l)その後、残りの量の水ガラスを添加し、その後、水ガラスの添加を止める工程、
m)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
n)pHが7.5~9.0になるまでHSOを添加し、その後、HSOの添加を止める工程、
o)任意に、懸濁液を85~95℃まで加熱する工程、
p)HSOも水ガラスもさらに添加せずにさらに5~90分間撹拌することにより、懸濁液をエージングに供する工程、
q)pHが5未満になるまでHSOを添加し、その後、HSOの添加を止める工程、
r)懸濁液を濾過し、乾燥させる工程
を実施し、ここで、20重量%を超えるSiO含有率を有する水ガラス、および90重量%を超える濃度を有するHSOを使用し、方法工程a)~g)において撹拌を常時行うことを特徴とする、方法を提供する。
【0019】
方法工程r)で得られた濾過および乾燥されたシリカは、ペレット化することも、粉砕してからペレット化することもできる。
【0020】
処理r)で得られた懸濁液は、スプレードライヤー、例えばノズルタワーとして設計されたスプレードライヤーやスピンフラッシュドライヤーで乾燥させることができる。
【0021】
水ガラスは、2.8を超える重量弾性率を有することができる。
【0022】
SOの代わりに、他の酸、例えばHClやCOを使用することも可能である。
【0023】
本発明はさらに、ゴム混合物、バッテリーセパレータ箔、シリコーンゴム混合物、医薬用途、歯科用途および化粧品用途における本発明によるシリカの使用を提供する。
【0024】
本発明はさらに、本発明によるシリカの、補強剤、担体、艶消剤および自由流動補助剤としての使用を提供する。
【0025】
本発明はさらに、少なくとも1つのゴムと少なくとも1つの本発明による沈降シリカとを含むことを特徴とするゴム混合物を提供する。
【0026】
本発明によるゴム混合物は、二官能性シランを含むことができる。二官能性シランは、硫黄シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランまたはメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランであってよい。
【0027】
硫黄シランは、式(I)
[(RO)Si-R-]A (I)
の硫黄シランであってよく、ここで、Rは、同一であるかまたは異なり、直鎖状の非置換のまたは分岐状の非置換の(C~C10)-アルキル、好ましくは(C~C)-アルキル、より好ましくはメチルもしくはエチル基、またはアルキルポリエーテル基-(R-O)-Rであり、ここで、Rは、同一であるかまたは異なり、分岐状または非分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族の2価のC~C30炭化水素基であり、mは平均で1~30であり、Rは、非置換または置換の、分岐状または非分岐状の、1価のC~C30-アルキル、C~C30-アルケニル、C~C30-アリールまたはC~C30-アラルキル基であり、Rは、分岐状または非分岐状の、飽和または不飽和の、脂肪族、芳香族または混合脂肪族/芳香族の2価のC~C30炭化水素基であり、n=2の場合、AはSであり、ここで、x=1~10であり、n=1の場合、AはSH、SC(=O)RまたはSCNである。硫黄シランは、好ましくは、ビス[3-トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ビス[3-トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、(EtO)Si-(CH-S-C(O)-C15、(EtO)Si-(CH-SCN、(C1327(OCHCH-O-)(CHO)Si-(CH-SH、または(C1327(OCHCH-O-)(CO)Si-(CH-SHであってよい。
【0028】
ゴム混合物は、本発明によるシリカとは別に、さらなる充填剤を含むこともできる。
【0029】
本発明によるゴム混合物に使用可能な充填剤としては、以下の充填剤が挙げられる:
- カーボンブラック:ここで使用されるカーボンブラックは、ランプブラック方法、ファーネスブラック方法、ガスブラック方法またはサーマルブラック方法によって製造することができる。カーボンブラックは、再生方法から得ることもできる。カーボンブラックは、20~200m/gのBET表面積を有することができる。カーボンブラックに、任意に例えばSiをドープすることもできる。
- 非晶質シリカ、好ましくは沈降シリカまたは成形シリカ。非晶質シリカは、5~1000m/g、好ましくは20~400m/gの比表面積(BET表面積)、および10~400nmの一次粒子径を有することができる。シリカは任意に、他の金属酸化物、例えばAl、Mg、Ca、Ba、Znおよびチタンの酸化物との混合酸化物の形態であることもできる。
- 合成シリケート、例えばケイ酸アルミニウムまたはアルカリ土類金属ケイ酸塩、例えばケイ酸マグネシウムまたはケイ酸カルシウム。20~400m/gのBET表面積、および10~400nmの一次粒子径を有する合成シリケート。
- 合成または天然のアルミニウム酸化物および水酸化物。
- カオリンなどの天然シリケート、および他の天然に存在するシリカ。
- ガラス繊維およびガラス繊維製品(マット、ストランド)またはガラスマイクロビーズ。
【0030】
有利に、非晶質シリカ、より好ましくは沈降シリカまたはシリケート、特に好ましくは20~400m/gのBET表面積を有する沈降シリカを、それぞれゴム100重量部に対して5~180重量部の量で使用することができる。
【0031】
挙げられた充填剤は、単独でも混合物でも使用できる。
【0032】
本方法の特に好ましい実施形態では、それぞれゴム100重量部に対して、本発明による沈降シリカ10~180重量部を、任意にカーボンブラック0~100重量部およびシラン0.1~20重量部とともに、混合物の製造に使用することができる。
【0033】
合成ゴムも天然ゴムも、本発明によるゴム混合物の製造に適している。好ましい合成ゴムは、例えばW. Hofmann, Kautschuktechnologie [Rubber Technology], Genter Verlag, Stuttgart 1980に記載されている。これらには、以下のものが挙げられる
- ポリブタジエン(BR)、
- ポリイソプレン(IR)、
- スチレン/ブタジエン共重合体、例えば乳化重合SBR(E-SBR)または溶液重合SBR(S-SBR)であって、好ましくは、ポリマー全体に対して1重量%~60重量%、より好ましくは2重量%~50重量%のスチレン含有率を有するもの、
- クロロプレン(CR)、
- イソブチレン/イソプレン共重合体(IIR)、
- ブタジエン/アクリロニトリル共重合体であって、好ましくは、ポリマー(NBR)全体に対して5重量%~60重量%、好ましくは10重量%~50重量%のアクリロニトリル含有率を有するもの、
- 部分水添または完全水添NBRゴム(HNBR)、
- エチレン/プロピレン/ジエン共重合体(EPDM)、または
- 上記のゴムであって、さらに官能基、例えば、カルボキシル基、シラノール基またはエポキシ基を有するもの、例えばエポキシ化NR、カルボキシル官能化NBR、またはシラノール官能化(-SiOH)もしくはシロキシ官能化(-Si-OR)、アミノ官能化、エポキシ官能化、メルカプト官能化、ヒドロキシル官能化SBR、
およびこれらのゴムの混合物。自動車用タイヤトレッドの製造において特に重要であるのは、-50℃を超えるガラス転移温度を有するアニオン重合S-SBRゴム(溶液重合SBR)、およびこれとジエンゴムとの混合物である。
【0034】
使用されるゴムは、より好ましくは、NR、または官能化もしくは非官能化S-SBRおよびBRであってよい。
【0035】
本発明によるゴム混合物は、さらなるゴム助剤、例えば反応促進剤、老化安定剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン劣化防止剤、加工助剤、可塑剤、樹脂、粘着付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、加硫遅延剤、金属酸化物、および活性剤、例えば、ジフェニルグアニジン、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、アルコキシ末端ポリエチレングリコールアルキル-O-(CH-CH-O)yI-Hであって、ここで、y=2~25、好ましくはy=2~15、より好ましくはy=3~10、最も好ましくはy=3~6であるものとする、またはヘキサントリオールを含むことができ、これらは、ゴム業界でよく知られているものである。
【0036】
ゴム助剤は、特に用途などの要因によって決定される通常の量で使用することができる。慣用量は、例えば、ゴム100重量部に対して0.1~50重量部の量であってよい。使用される架橋剤は、過酸化物、硫黄または硫黄供与体物質であってよい。本発明によるゴム混合物は、加硫促進剤をさらに含むことができる。適切な加硫促進剤の例としては、メルカプトベンゾチアゾール、スルフェンアミド、チウラム、ジチオカルバメート、チオ尿素およびチオカーボネートを挙げることができる。加硫促進剤および硫黄は、ゴム100重量部に対して0.1~10重量部、好ましくはゴム100重量部に対して0.1~5重量部の量で使用することができる。
【0037】
本発明によるゴム混合物に、100℃~200℃、好ましくは120℃~180℃の温度で、任意に10~200barの圧力で加硫することができる。ゴムと本発明による沈降シリカと任意のゴム助剤とシランとの混合は、ローラー、インターナルミキサーおよび混合押出機のような公知の混合ユニットで行うことができる。
【0038】
本発明によるゴム混合物は、成形品の製造、例えば、タイヤ、特に空気タイヤまたはタイヤトレッド、ケーブルシース、ホース、伝動ベルト、コンベアベルト、ローラーカバー、靴底、シーリングリングおよび減衰要素の製造に使用することができる。
【0039】
本発明による沈降シリカの利点は、分散性およびゴム混合物における特殊な補強特性である。
【0040】
シリカの特性評価のための分析法
乾燥減量、2時間105℃ - DIN EN ISO 787-2に準拠した乾燥減量の測定
乾燥キャビネット内で105℃で2時間加熱した試料の重量減少を測定する。
【0041】
本手順を、DIN EN ISO 787-2に準拠して、ただし以下の具体化を伴って行う:
秤量瓶(フランジ付き蓋、直径約80mm、高さ約30ml)を、蓋を外したまま105℃で約1時間加熱する。デシケーターで冷却後、蓋をする。精密天秤にて精度0.01gで重量を測定する。5~10gの試料(かさ密度に応じた重量)を正確に秤量し、秤量瓶の底に広げて均一な層とする。秤量瓶を慎重に開け、乾燥キャビネット内で(105±2)℃で2時間加熱する(蓋も加熱されるが、秤量瓶はまだ蓋で閉じられていない)。
秤量瓶を慎重に蓋で閉め、デシケーター内で冷却した後、精度0.01gで再秤量する。
【0042】
算出
揮発性フラクション/%=(E-A)×100%/E
E=初期重量/g
A=最終重量/g
pH- DIN EN ISO 787-9に準拠したシリカのpH
本手順を、DIN EN ISO 787-9に準拠して、ただし以下の具体化を伴って行う:
ペレット化された試料材料を、乳鉢および乳棒で粉末状にしてから秤量する。
【0043】
分析試料の5%(m/m)水懸濁液を調製する。このために、脱塩(DMPA)水を使用する。
【0044】
pHを測定する前に、試料懸濁液を撹拌機で少なくとも5分間撹拌する。
【0045】
pH電極6.0228.000(Metrohm社製)を備えた事前校正済みのMetrohm社製780型pHメーターを用いて、23℃でpHを測定する。
【0046】
CTAB表面積 - ISO 5794-1 Gに準拠した測定
本方法は、CTAB(N-セチル-N,N,N-トリメチルアンモニウムブロミド)の水性緩衝液をシリカの「外」面に吸着させることに基づくものであり、シリカの「外」面は、「ゴム有効表面」とも呼ばれる。吸着しなかったCTABを、NDSS(スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩溶液)で逆滴定する。滴定の終点は、溶液の濁度の最大増加量で示される。
【0047】
本手順を、ISO 5794-1 Gに準拠して、ただし以下の具体化、追加および変更を加えて行う:
試料調製の過程で、シリカおよびシリケートの粗大粒子試料を、好ましくは適切なミルで微粉砕するかまたは乳鉢および乳棒で粉砕して90μmのふるいでふるい分けし、規格に記載されているような乳鉢および乳棒での粉砕ならびに150μmのふるいでの分級を行わない。
【0048】
試験試料と、CTAB表面積が200m/gより小さいと予想されるCTAB溶液との懸濁液を10分間撹拌する。試験試料と、CTAB表面積が200m/g以上と予想されるCTAB溶液との懸濁液を、規格に記載されているように35分間撹拌する。
【0049】
吸着後、シリカを0.2μmのポリアミドフィルターで濾過する。
【0050】
濾液を、オートサンプラーおよびTirando 809を備えたMetrohm社製Titroprocessorで滴定する。光学センサとして、Metrohm社製Spectrosense 523nmを使用する。
【0051】
BET表面積(N、多点) - DIN ISO 9277に準拠した測定
本方法では、DIN ISO 9277に準拠してBET法によりシリカのN比表面積を測定する。本方法では、所定の分圧での窒素の低温吸着により測定値を求める。分析は多点測定で行われ、合計で5つの測定点を求めた際に0.05~0.20の分圧範囲(p/po)でほぼ線形的な挙動を示す。
【0052】
本手順を、DIN ISO 9277に準拠して、ただし以下の具体化を伴って行う:
ペレット化された試料を、秤量前にヘラで慎重に押し潰し、次いでMICROMERITICS社製真空ベークアウトサーモスタットVacPrep(商標)061にて(160+/-2)℃で60分間にわたって真空下で加熱する。
【0053】
BET表面積を測定するため、吸着段階で以下の5つの相対圧点(p/po)を記録する:0.0500;0.0875;0.1250;0.1625および0.2000。
【0054】
測定には、静的容積測定方法およびデュワー容器を備えたMICROMERITICS社製TriStar 3000シリーズ(3000/3020/3030)を使用する。
【0055】
Ro-Tap(>300μm)- ISO 5794-1 Annex Fに準拠したふるい分け分析
ふるい分け分析を、回転式ふるい機(タイマースイッチ付きのTyler社製分析用ふるい機Ro-Tap RX-29)を用いて行う。本方法を、ISO 5794-1 Annex Fに準拠して行う。ふるい分析のために、メッシュサイズの異なる試験ふるいを重ねる(金属製ふるいメッシュを備えた分析用ふるい、ISO 3310-1、公称メッシュサイズ75μm、ふるい直径200mm、金属製ふるいメッシュを備えた分析用ふるい、ISO 3310-1、公称メッシュサイズ150μm、ふるい直径200mm、金属製ふるいメッシュを備えた分析用ふるい、ISO 3310-1、公称メッシュサイズ300μm、ふるい直径200mm)。ふるい分けタワーを、記載された順序で分析用ふるい機に設置する。ふるい上の残分の測定を、以下のように行う:試料を、測定前に穏やかにホモジナイズする。精密天秤で100gを0.01gの精度でビーカーにはかり入れ、試料を一番上のふるい(300μm)に定量的に移し替える。ビーターによりRo-Tapふるい分けを5分間行う。ふるい分け終了後、ふるい分けタワーを取り外し、75μmおよび300μmのふるい上のフラクションを秤量する。
【0056】
ふるい残分の算出
Ro-Tap<75μm(%)=AS×100%/E
および
Ro-Tap>300μm(%)=A300×100%/E
および
Ro-Tap>150μm(%)=A150×100%/E
であり、ここで、
A300=300μmのふるい上の残分(g)
AS=ふるい分け皿内の残分(g)
E=初期重量(g)
である。
【0057】
5%テーリング係数 - ディスク型遠心分離機による粒子径分布およびその非対称性の測定
シリカの粒子径分布を測定する。分析試料を水溶液に分散させ、ディスク型遠心分離機で粒子径に応じて分離する。粒子が大きいほど、つまり重いほど、遠心分離機の重力場での移動は速くなる。粒子はそこで光バリアを通過し、時間に応じた吸収を測定する。これらのデータは、粒子径分布、すなわち粒子径に応じた頻度を算出するために使用される。
【0058】
注:英語表記のため、本試験方法の説明では、「,」を「.」と表記する。
【0059】
機器
CPS DC24000 ディスク型遠心分離機
S14ソノトロード付きHielscher UP200S超音波フィンガー
冷却浴、例えばJulabo F12
Fritschミル;80μmふるい付き「Pulverisette 14」型
分析天秤
Luer使い捨てシリンジ:1.0mlおよび2.0ml
30mlスナップ蓋バイアル、d=28mm、h=75mm
スターラーバー付きマグネチックスターラー
化学物質
エタノール、p.A.、例えばMerck社製
脱塩水
スクロース、粉末、99.7%以上、例えばAcros社製
ドデカン99%、例えばMerck社製
PVC参照標準物質、例えばCPS Instruments社製
方法
ディスク型遠心分離機の準備
ディスク型遠心分離機を、所望の速度に調整する。沈降シリカの場合、20000rpmの速度を設定する。
【0060】
運転中のディスク型遠心分離機を密度勾配のあるスクロース溶液で満たし、ドデカン層で覆う。
【0061】
濃度の異なる糖溶液を生成する。ここでの糖溶液の濃度は、w=8%~w=24%である。密度勾配を9段階で形成する:
24%/22%/20%/18%/16%/14%/12%/10%/8%。
【0062】
各濃度段階に対して1.6mlの糖溶液を、最高濃度から始めてディスク型遠心分離機に注入する。あるいは最高濃度および最低濃度の2種類の糖溶液を生成し、計量シリンジ内で必要な混合比で互いに混合してもよい。注入の前に、糖溶液を混合するためにシリンジを短時間振とうしなければならない。最後にドデカンを0.5ml注入する。
【0063】
試料調製
沈降シリカ試料(粉末試料を含む)をすべて、測定前にFritschミルで粉砕する。フュームドシリカ試料は粉砕しない。
【0064】
15g(±0.5g)の試料材料を、ここでFritschミルで粉砕する。
【0065】
0.75g(±0.05g)の粉砕物を30mlのスナップ蓋バイアルに秤量し、15mlの脱塩水を加える。
【0066】
充填したスナップ蓋バイアルを、クランプで冷却浴に固定する。冷却浴は、予め5℃(±1℃)に平衡化されている。超音波フィンガーを、スナップ蓋バイアルの上端から測定した場合にバイアルの深さ5.5cm(ただし少なくとも5cm)の位置にソノトロードが浸るように配置する。
【0067】
試料を、出力100%、パルス100%で15分間超音波処理する。
【0068】
手順
測定を開始する前に、密度勾配形成後少なくとも30分間にわたって、遠心分離機を設定速度でウォームアップする。
【0069】
使用する測定手順は、装置ソフトウェアで呼び出される。シリカの測定では、以下のパラメータを確立する:
試料のパラメータ:
最大直径:5.1ミクロン
最小直径:0.02ミクロン
粒子密度:2.0g/ml
粒子の屈折率:1.44
粒子吸収:0.001K
非真球度:1.1
校正標準物質パラメータ:
ピーク径:xxxミクロン1)
ハーフハイトピーク幅:0.2ミクロン1)
粒子密度:1.385g/ml1)
流体パラメータ:
流体密度:1,045g/ml
流体の屈折率:1,344
流体の粘度:1.2cps(カウント/秒)
提示パラメータ:
表示モード:重量
X軸の目盛り:Log
1)→使用する校正標準物質に応じて、製造元のデータにしたがって入力する。
【0070】
「System Configuration」サブメニューで、測定波長を470nmに設定する。
【0071】
「Operate Analyser」サブメニューに切り替えて、試料の分散を分析する。測定に必要な工程は、「Instructions」行に順次表示される。
【0072】
各測定の前に、校正標準物質を記録する。対応する予備設定を、「Operate Analyser」サブメニューの「Options」で行う。
【0073】
標準物質または試料懸濁液をそれぞれ0.1mlずつ注入する。測定信号がベースラインを下回ったら、「Terminate」ボタンで測定を停止する。
【0074】
各分析試料について、二重測定(分散を含む)を行う。
【0075】
結果
生データ曲線(吸収測定)を使用して、ミー理論の適用により重量分布を確認する。以下のように報告されている:
ピーク(nm) - 最も頻度の高い粒子径で、分布関数の最大値の横軸の値に相当する;
ハーフハイト幅(d50)(単位:nm) - 分布関数の最大値の50%における幅に相当する;
平均(重量平均)(nm) - 分布関数の横軸の値で、曲線の下方の領域を同じ大きさの2つの半分に分ける値;
メジアン値(50重量パーセンタイル)(nm) - 累積曲線の50%における粒子径;
25(25オーバーサイズ重量パーセンタイル)(単位:nm)- 分布の25%が上記となる粒子径(累積曲線より)。
75(75オーバーサイズ重量パーセンタイル)(単位:nm)- 分布の75%が上記となる粒子径(累積曲線より)。
95(95オーバーサイズ重量パーセンタイル)(単位:nm)- 分布の95%が上記となる粒子径(累積曲線より)。
【0076】
5%テーリング係数:ディスク型遠心分離機による測定から粒子径分布の非対称性の確認
非対称性を、重量ベースのサイズ分布(図1)から確認する。このために、ピークと、5%ピーク高さでの分布幅と、d95値との関係は、以下のように表される(図1):
5%テーリング係数=5%ピーク高さでの分布幅(nm)/(2×ピーク(nm))×d95(nm)
【0077】
シアーズ数V - 親水性シリカのシアーズ数の測定
シリカを、pH4~pH9の範囲で0.1mol/lの水酸化カリウム測定溶液で滴定することにより、遊離シラノール基の数の指標としてシアーズ数を求めることができる。
【0078】
測定方法は、以下の化学反応に基づいており、ここで、≡SiOHは、シリカのシラノール基を表す:
≡SiOH+NaCl→≡SiONa+HCl
HCl+KOH→KCl+HO。
【0079】
手順:
粉末状、球状または顆粒状のシリカ約10.0gを、Fritschミル(80μmふるい付きPulverisette 14)を用いて10000rpmで60秒間均一に粉砕する。このように処理したシリカ約1.50gを0.1mgの精度で250mlのビーカーにはかり入れ、150mlのNaCl溶液(β(NaCl)=200g/L、塩酸c(HCl)=1mol/lでpH3に調整)と混合する。試料を完全に濡らした後、懸濁液を、Ultra Turrax PT1300D(Polytron社)を用いて、20000rpmの速度で30秒間分散させる。
【0080】
滴定の前に、pHメーター(Methrom社製pH電極LL Unitrode、PT1000型)を、緩衝液(pH4.00、pH7.00およびpH9.00)を用いて室温で校正する。まず、このpHメーターで懸濁液の初期pHを測定し、その後、その結果に応じて水酸化カリウム溶液(0.1mol/l)あるいは塩酸溶液(0.1mol/l)でpH値を4.00に調整する。その後、0.1mol/lのKOH測定溶液で、pH値が9.00になるまで滴定を行う。pH4.00からpH9.00までのKOH溶液の消費量(ml)は、VpH4-9に相当する。ブランク値滴定(シリカを加えない)も同様に行う。溶液のブランク値は、シリカを含まないNaCl溶液をpH4からpH9まで滴定するのに必要な水酸化カリウム溶液の体積VBLを表す。
【0081】
ml/(1.5g)を単位とする元の物質に対するシアーズ数は、以下:
シアーズ数オリジナル=(VpH4-9-VBL)×T×(1.5g)/E
から算出される。
【0082】
ml/(1.5g)を単位とする乾物ベースでのシアーズ数は、以下:
シアーズ数乾物=(VpH4-9-VBL)×T×(1.5g)/E×(100/(100-TV))
から算出され、ここで、
T=使用したKOH測定溶液の滴定量
E=試料の初期質量(g)
TV=シリカ試料の乾燥減量(%)
である。
【0083】
シアーズ数オリジナルは、シアーズ数Vに相当する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
図1】重量ベースの粒子径分布を示す図である。
【0085】
実施例
沈殿中のpHは、実験の説明に異なる温度が規定されていない限り、60℃で測定される。
【0086】
実施例1:
プロペラ撹拌機システム付き反応器に、1474Lの水を初期装入し、90℃まで加熱する。この初期装入物を、硫酸でpH2.3に調整する。22分以内に220kgの水ガラス(密度1.345kg/l、27%SiO、8%NaO)および硫酸(密度1.84kg/l、96%HSO)を同時に添加し、反応媒体のpHを2.3にする。その後、硫酸の計量添加を止め、pHが8.1になるまで水ガラスの計量添加(2.55kg/分)を続ける。反応媒体を90℃で15分間エージング処理する。その後、38分以内に379kgの水ガラスを添加する。この過程で、反応媒体のpHが9(23℃で測定)になるように、硫酸の計量添加を制御する。その後、水ガラスの添加を止め、pHが2.3(23℃で測定)になるまで硫酸の供給を続ける。得られた懸濁液を濾過し、通常通り水で洗浄し、噴霧乾燥やスピンフラッシュ乾燥のような短時間の乾燥操作に供する。必要に応じて、このようにして得られた粉末をペレット化する。
【0087】
ペレット化されたシリカは、以下の分析パラメータを有する:
【表1】
【0088】
実施例2:
プロペラ撹拌機システム付き反応器に、1676Lの水および121kgの水ガラス(密度1.345kg/l、27%SiO、8%NaO)を初期装入し、90℃まで加熱する。16kgの硫酸(密度1.84kg/l、96%HSO)を、16.7分以内にpHが2.5になるまで添加する。その後5分間エージング処理し、水ガラス(1kg/分)でpHを6に調整する。エージング処理を90℃で30分間行う。その後、120.9kgの水ガラスを13.33kg/分の速度で計量添加する。さらに5分間エージング処理する。その後、16kgの硫酸を0.95kg/分でpHが2.5になるまで計量供給する。pHを、再び水ガラス(1kg/分)でpH6に調整する。再びその温度で15分間エージング処理する。エージング処理の後、120.9kgの水ガラスを13.33kg/分の速度でさらに計量添加する。この後、さらに5分間エージング処理する。次に、7kgの硫酸を0.95kg/分の速度でpHが8.5になるまで添加する。続いて30分間エージング処理し、pHが3.3(23℃で測定)になるように、さらに硫酸を0.4kg/分で添加する。得られた懸濁液を濾過し、通常通り水で洗浄し、スピンフラッシュ乾燥にかける。このようにして得られた粉末を、その後ペレット化する。ペレット化されたシリカは、以下の分析パラメータを有する:
【表2】
【0089】
実施例3:
プロペラ撹拌機システム付き反応器に、1700Lの水および122.3kgの水ガラス(密度1.345kg/l、27%SiO、8%NaO)を初期装入し、53℃まで加熱する。16kgの硫酸(密度1.84kg/l、96%HSO)を1.9kg/分の計量速度でpHが2.5になるまで計量供給する。添加後、5分間エージング処理する。その後、pHが6になるまで水ガラスを1kg/分の計量速度で計量供給する。その後、混合物を30分間エージング処理する。エージング処理後、さらに120.9kgの水ガラスを3.3分以内に添加する。その後、混合物を5分間エージング処理した後、さらに16kgの硫酸を1.9kg/分の速度でpHが2.5になるまで添加する。5分間のエージング処理後、水ガラスを使用してpHを6に調整する(1kg/分)。この後、15分間エージング処理し、さらに120.9kgの水ガラスを懸濁液に添加する。この後、5分間エージング処理し、その後、pHが8.5になるまで7kgの硫酸を1.9kg/分で添加する。その後、混合物を21分以内に90℃まで加熱し、その温度で30分間エージング処理する。その後、反応混合物のpHが4.0(23℃で測定)に達するまで硫酸を0.4kg/分で計量供給する。
【0090】
得られた懸濁液を濾過し、通常通り水で洗浄し、スピンフラッシュ乾燥にかける。このようにして得られた粉末を、その後ペレット化する。ペレット化されたシリカは、以下の分析パラメータを有する:
【表3】
【0091】
実施例4:
プロペラ撹拌機システム付き反応器に、1480Lの水を初期装入し、84℃まで加熱する。この初期装入物を、硫酸でpH2.3に調整する。22分以内に220kgの水ガラス(密度1.345kg/l、27%SiO、8%NaO)および硫酸(密度1.84kg/l、96%HSO)を同時に添加し、反応媒体のpHを2.3にする。その後、硫酸の計量添加を止め、pHが4.4になるまで水ガラスの計量添加(2.56kg/分)を続ける。水ガラスの計量添加を止め、懸濁液のpHは6.0まで上昇する。反応媒体を84℃で15分間エージング処理する。その後、18.7kgの水ガラスを、pHが9(23℃で測定)になるように9.8kg/分で計量添加する。その後、35分以内に350kgの水ガラスを添加する。この過程で、反応媒体のpHが9(23℃で測定)になるように、硫酸の計量添加を制御する。その後、水ガラスの添加を止め、pHが2.6(23℃で測定)になるまで硫酸の供給を続ける。得られた懸濁液を濾過し、通常通り水で洗浄し、噴霧乾燥やスピンフラッシュ乾燥のような短時間の乾燥操作に供する。必要に応じて、このようにして得られた粉末をペレット化する。
【0092】
ペレット化されたシリカは、以下の分析パラメータを有する:
【表4】
【0093】
実施例5:
プロペラ撹拌機システム付き反応器に、1477Lの水を初期装入し、78℃まで加熱する。この初期装入物を、硫酸でpH2.3に調整する。22分以内に220kgの水ガラス(密度1.345kg/l、27%SiO、8%NaO)および硫酸(密度1.84kg/l、96%HSO)を同時に添加し、反応媒体のpHを2.3にする。その後、硫酸の計量添加を止め、pHが4.3になるまで水ガラスの計量添加(2.56kg/分)を続ける。水ガラスの計量添加を止め、懸濁液のpHは6.0まで上昇する。反応媒体を78℃で15分間エージング処理する。その後、27.3kgの水ガラスを、pHが9(23℃で測定)になるように10.1kg/分で計量添加する。その後、35分以内に350kgの水ガラスを添加する。この過程で、反応媒体のpHが9(23℃で測定)になるように、硫酸の計量添加を制御する。その後、水ガラスの添加を止め、pHが2.7(23℃で測定)になるまで硫酸の供給を続ける。得られた懸濁液を濾過し、通常通り水で洗浄し、噴霧乾燥やスピンフラッシュ乾燥のような短時間の乾燥操作に供する。必要に応じて、このようにして得られた粉末をペレット化する。
【0094】
ペレット化されたシリカは、以下の分析パラメータを有する:
【表5】
【0095】
実施例6:
プロペラ撹拌機システム付き反応器に、1439Lの水を初期装入し、84℃まで加熱する。この初期装入物を、硫酸でpH2.9に調整する。22分以内に220kgの水ガラス(密度1.345kg/l、27%SiO、8%NaO)および硫酸(密度1.84kg/l、96%HSO)を同時に添加し、反応媒体のpHを2.9にする。その後、硫酸の計量添加を止め、pHが4.5になるまで水ガラスの計量添加(2.43kg/分)を続ける。水ガラスの計量添加を止め、懸濁液のpHは6.0まで上昇する。反応媒体を84℃、pH6で15分間エージング処理する。その後、pHが9.5(23℃で測定)になるように、5分以内に49.9kgの水ガラスを計量供給する。その後、35分以内に350kgの水ガラスを添加する。この過程で、反応媒体のpHが8.6になるように、硫酸の計量添加を制御する。その後、水ガラスの添加を止め、pHが2.5(室温で測定)になるまで硫酸の供給を続ける。得られた懸濁液を濾過し、通常通り水で洗浄し、噴霧乾燥やスピンフラッシュ乾燥のような短時間の乾燥操作に供する。必要に応じて、このようにして得られた粉末をペレット化する。
【0096】
ペレット化されたシリカは、以下の分析パラメータを有する:
【表6】
【0097】
実施例7:
プロペラ撹拌機システム付き反応器に、1446Lの水を初期装入し、78℃まで加熱する。この初期装入物を、硫酸でpH2.9に調整する。22分以内に220kgの水ガラス(密度1.345kg/l、27%SiO、8%NaO)および硫酸(密度1.84kg/l、96%HSO)を同時に添加し、反応媒体のpHを2.9にする。その後、硫酸の計量添加を止め、pHが4.7になるまで水ガラスの計量添加(2.35kg/分)を続ける。水ガラスの計量添加を止め、懸濁液のpHは6.0まで上昇する。反応媒体を78℃、pH6で15分間エージング処理する。その後、pHが9.5(23℃で測定)になるように、5分以内に50.1kgの水ガラスを計量供給する。その後、35分以内に350kgの水ガラスを添加する。この過程で、反応媒体のpHが8.6になるように、硫酸の計量添加を制御する。その後、水ガラスの添加を止め、pHが2.6(23℃で測定)になるまで硫酸の供給を続ける。得られた懸濁液を濾過し、通常通り水で洗浄し、噴霧乾燥やスピンフラッシュ乾燥のような短時間の乾燥操作に供する。必要に応じて、このようにして得られた粉末をペレット化する。
【0098】
ペレット化されたシリカは、以下の分析パラメータを有する:
【表7】
【0099】
実施例8:
プロペラ撹拌機システム付き反応器に、1280Lの水を初期装入し、90℃まで加熱する。この初期装入物を、硫酸でpH2.9に調整する。22分以内に220kgの水ガラス(密度1.345kg/l、27%SiO、8%NaO)および硫酸(密度1.84kg/l、96%HSO)を同時に添加し、反応媒体のpHを2.9にする。その後、硫酸の計量添加を止め、pHが8.1になるまで水ガラスの計量添加(2.45kg/分)を続ける。水ガラスの計量添加を止め、反応媒体を90℃で15分間エージング処理する。その後、190kgの水ガラスを10.1kg/分で19分以内に計量供給する。その後、35分以内に350kgの水ガラスを添加する。その後、pHが2.7(23℃で測定)になるように硫酸を1.28kg/分で計量供給する。得られた懸濁液を濾過し、通常通り水で洗浄し、噴霧乾燥やスピンフラッシュ乾燥のような短時間の乾燥操作に供する。必要に応じて、このようにして得られた粉末をペレット化する。
【0100】
ペレット化されたシリカは、以下の分析パラメータを有する:
【表8】
【0101】
比較例1:
比較例1には、SOLVAY S.A.社製ZEOSIL(登録商標)HRS 1200 MPを使用した。
【0102】
比較例2:
比較例2には、SOLVAY S.A.社製ZEOSIL(登録商標)PREMIUM 200 MPを使用した。
【0103】
比較例3:
比較例3は、欧州特許第2794479号明細書の実施例2を再実施したものである。
【0104】
比較例4:
比較例4には、SOLVAY S.A.社製ZEOSIL(登録商標)1165 MPを使用した。
【0105】
実施例9:ゴム特性の試験
「未加硫ゴム混合物」および「加硫ゴム混合物」という用語は、本明細書では同義で用いられる。表1に、使用したゴム物質を示す。
【0106】
【表9】
【0107】
ゴム混合物に使用したシリカとその分析値を表2に比較した。
【0108】
【表10】
【0109】
ゴム混合物に使用した配合を表3に示す。ここでの単位「phr」(「parts per hundred rubber」)は、使用した原料ゴム100重量部に対する重量部を意味する。
【0110】
【表11-1】
【表11-2】
【0111】
それぞれのシリカの潜在的な補強効果を引き出すために必要なシランの使用量を、3の法則によって確認した。比表面積(ゴム関連の補強作用にとって重要であるCTAB表面積である)が大きいほど、必要なシラン量も多くなる。160m/gのCTAB表面積には5.8phrのSi 266が必要であるという仮定を基にした。
【0112】
ゴム混合物およびその加硫物を製造するための一般的な方法は、“Rubber Technology Handbook”, W. Hofmann, Hanser Verlag 1994に記載されている。具体的に、本発明によるゴム混合物および参照混合物の製造に使用した装置および混合方法を表4に示す。
【0113】
混合操作の準備のために、導入する可塑剤を、処理に含めることができる低融点LDPEパウチに秤量する。「可塑剤」という用語は、この文脈ではTDAE(Treated Distilled Aromatic Extract)と同義で用いられる。
【0114】
【表12-1】
【表12-2】
【0115】
試験試料およびシートに、一般的な加硫プレスで温度165℃、保持圧力130barで加硫する。混合物の加硫時間は20分である。
【0116】
ゴム試験を、表5に規定された試験方法にしたがって行う。
【0117】
【表13-1】
【表13-2】
【0118】
ゴム試験の結果を表6に示す。
【0119】
【表14】
【0120】
本発明によるシリカは、先行技術と比較して優れた分散性を達成できることが見出された。これにより優れた補強特性が得られ、これは補強指数に反映されている。この指数が高いほど、各シリカの潜在的な補強効果がより良好に引き出される。
【0121】
実施例10:ゴムの特性の検討
さらなる混合系列において、比較例4と本発明による実施例2を比較した。このために、これらを表4の混合方法にしたがって混合し、表5に記載の試験方法にしたがって試験した。配合物を表7に示す。
【0122】
試験試料およびシートに、一般的な加硫プレスで温度165℃、保持圧力130barで加硫する。混合物の加硫時間は15分である。
【0123】
【表15】
【0124】
【表16】
【0125】
実施例10もまた、実施例2の本発明によるシリカが先行技術と比較して優れた分散性を達成できることを示している。これにより優れた補強特性が得られ、これは補強指数に反映されている。この指数が高いほど、各シリカの潜在的な補強効果がより良好に引き出される。
図1
【国際調査報告】