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特表2024-540055差動的セグメント化開口アンテナのためのビームステアリング及び方向探知
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  • 特表-差動的セグメント化開口アンテナのためのビームステアリング及び方向探知 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】差動的セグメント化開口アンテナのためのビームステアリング及び方向探知
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/24 20060101AFI20241024BHJP
   H01Q 21/06 20060101ALI20241024BHJP
   H01Q 3/36 20060101ALI20241024BHJP
   H01Q 3/44 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01Q21/24
H01Q21/06
H01Q3/36
H01Q3/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525214
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 US2022078841
(87)【国際公開番号】W WO2023077045
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/273,344
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/273,352
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/273,434
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】591072086
【氏名又は名称】バテル メモリアル インスティチュート
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】パーキンス,ダニエル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ウェルシュ,ラファエル ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ソーントン,ダグラス エー.
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,ジェフリー エー.
(72)【発明者】
【氏名】レーシュ,ダニエル ジー.
(72)【発明者】
【氏名】フェドリカ,ダミアン ビー.
(72)【発明者】
【氏名】カンケ,ロジャー
(72)【発明者】
【氏名】ピッツ,シャノン
【テーマコード(参考)】
5J021
【Fターム(参考)】
5J021AA05
5J021AA09
5J021AA11
5J021AB03
5J021AB05
5J021DB03
5J021FA17
5J021FA29
5J021GA02
5J021GA06
5J021HA01
5J021JA05
(57)【要約】
【課題】差動的セグメント化開口アンテナのためのビームステアリングシステムの提供。
【解決手段】ビームステアリングシステムが、方向要素の第1及び第2のセットを含むアレイ状に配列された複数の角錐構造及び要素を含む差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナであって、各要素が2つの隣接した角錐構造の対向する面の間に規定され、各要素の位置がアレイの要素の共通原点から距離を置いて配置されている、差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナと、方向要素のための第1及び第2の位相勾配を決定するための位相勾配決定回路であって、位相勾配が、DSAアンテナに対するターゲットの第1及び第2の角度、並びにDSAアンテナの動作周波数に基づく、位相勾配決定回路と、要素の各々について、第1及び第2の位相シフトを決定し、要素ごとに、それぞれの第1及び第2の位相シフトを合計することによって、合成位相シフトを決定するための位相シフト決定回路と、を含む。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アレイ状に配列された複数の角錐構造、並びに第1の方向要素のセット及び第2の方向要素のセットを含むアレイ状に形成された複数の要素を含む差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナであって、各要素が2つの隣接した角錐構造の対向する面の間に規定され、さらに、各要素の位置が前記アレイの前記要素の共通原点から距離を置いて配置されている、差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナと、
第1の方向要素の前記セットのための第1の位相勾配を決定し、第2の方向要素の前記セットのための第2の位相勾配を決定するための位相勾配決定回路であって、前記第1の位相勾配及び第2の位相勾配が、前記DSAアンテナに対するターゲットの第1の角度、前記DSAアンテナに対する前記ターゲットの第2の角度、及び前記DSAアンテナの動作周波数に基づく、位相勾配決定回路と、
前記要素の各々について、前記第1の位相勾配に前記アレイの前記要素の前記共通原点に対する前記要素の前記位置を乗算することによって、第1の位相シフトを決定し、前記要素の各々について、前記第2の位相勾配に前記アレイの前記要素の前記共通原点に対する前記要素の前記位置を乗算することによって、第2の位相シフトを決定し、要素ごとに、前記それぞれの第1及び第2の位相シフトを合計することによって、合成位相シフトを決定するための位相シフト決定回路と、
を備えるビームステアリングシステム。
【請求項2】
前記ターゲットに対する前記DSAアンテナの信号利得の変化を生じさせるために、各々のそれぞれの合成位相シフトが各々のそれぞれの要素に適用される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
複数の位相シフト信号を前記ターゲットへ送信するために各々のそれぞれの位相シフトを前記DSAアンテナの各要素に適用するための位相シフト適用回路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
複数の同相信号を生成するために、各要素において受信された信号から前記合成位相シフトを除去するための位相整列回路をさらに備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記複数の同相信号を合計するための信号合成回路をさらに備える、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記位相勾配決定回路が、固定周波数について前記第1の位相勾配及び/又は前記第2の位相勾配を増大及び/又は減少させることによって、注目信号の場所を決定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1の位相勾配が、
cos(DSAアンテナアレイに対する前記ターゲットの第1の角度)×-cos(前記DSAアンテナアレイに対する前記ターゲットの第2の角度)×(360/(波長(f)))、として決定され、ここで、波長(f)はc/fと等しく、cは光の速度であり、fは前記動作周波数であり、
さらに、前記第2の位相勾配が、
sin(前記DSAアンテナアレイに対する前記ターゲットの第1の角度)×-cos(前記DSAアンテナアレイに対する前記ターゲットの第2の角度)×(360/(波長(f)))、として決定され、ここで、波長(f)はc/fと等しく、cは前記光の速度であり、fは前記動作周波数である、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
アレイ状に配列された複数の角錐構造、並びに第1の方向要素のセット及び第2の方向要素のセットを含むアレイ状に形成された複数の要素を含む差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナであって、各要素が2つの隣接した角錐構造の対向する面の間に規定され、さらに、各要素の位置が前記アレイの前記要素の共通原点から距離を置いて配置されている、差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナと、
1つ以上のコンピュータプロセッサと、
1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体と、
前記1つ以上のコンピュータプロセッサのうちの少なくとも1つによる実行のための前記1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたプログラム命令と、
を備えるビームステアリングシステムであって、前記記憶されたプログラム命令が、
第1の方向要素の前記セットのための第1の位相勾配を決定し、第2の方向要素の前記セットのための第2の位相勾配を決定することであって、前記第1及び第2の位相勾配が、前記DSAアンテナに対するターゲットの第1の角度、前記DSAアンテナに対する前記ターゲットの第2の角度、及び前記DSAアンテナの動作周波数に基づく、決定することと、
前記要素の各々について、前記第1の位相勾配に前記アレイの前記要素の前記共通原点に対する前記要素の前記位置を乗算することによって、第1の位相シフトを決定し、前記要素の各々について、前記第2の位相勾配に前記アレイの前記要素の前記共通原点に対する前記要素の前記位置を乗算することによって、第2の位相シフトを決定し、要素ごとに、前記それぞれの第1及び第2の位相シフトを合計することによって、合成位相シフトを決定することと、
を行うための命令を含む、ビームステアリングシステム。
【請求項9】
前記1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体上に記憶された、以下のプログラム命令のうちの1つ以上:
前記ターゲットに対する前記DSAアンテナの信号利得の変化を生じさせるために、各々のそれぞれの合成位相シフトを各々のそれぞれの要素に適用するためのプログラム命令、
をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項10】
前記1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体上に記憶された、以下のプログラム命令のうちの1つ以上:
複数の位相シフト信号を前記ターゲットへ送信するために各々のそれぞれの位相シフトを前記DSAアンテナの各要素に適用するためのプログラム命令、
をさらに備える、請求項8に記載のシステム。
【請求項11】
前記1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体上に記憶された、以下のプログラム命令:
前記第1の位相勾配を:
cos(DSAアンテナアレイに対する前記ターゲットの第1の角度)×-cos(前記DSAアンテナアレイに対する前記ターゲットの第2の角度)×(360/(波長(f)))
として決定することであって、ここで、波長(f)はc/fと等しく、cは光の速度であり、fは前記動作周波数である、決定することと、
前記第2の位相勾配を:
sin(前記DSAアンテナアレイに対する前記ターゲットの第1の角度)×-cos(前記DSAアンテナアレイに対する前記ターゲットの第2の角度)×(360/(波長(f)))
として決定することであって、ここで、波長(f)はc/fと等しく、cは前記光の速度であり、fは前記動作周波数である、決定することと、
を行うためのプログラム命令のうちの1つ以上をさらに備える、
請求項8に記載のシステム。
【請求項12】
アンテナ用のビームステアリングのための方法であって、
アンテナの第1の方向要素のセットのための第1の位相勾配を決定し、前記アンテナの第2の方向要素のセットのための第2の位相勾配を決定することであって、前記アンテナが、アレイ状に配列された複数の角錐構造、並びに第1の方向要素のセット及び第2の方向要素のセットを含むアレイ状に形成された複数の要素を含む差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナであって、各要素が2つの隣接した角錐構造の対向する面の間に規定され、各要素の位置が前記アレイの前記要素の共通原点から距離を置いて配置されている、差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナを含み、前記第1及び第2の位相勾配が、前記DSAアンテナに対するターゲットの第1の角度、前記DSAアンテナに対する前記ターゲットの第2の角度、及び前記DSAアンテナの動作周波数に基づく、決定することと、
前記要素の各々について、前記第1の位相勾配に前記アレイの前記要素の前記共通原点に対する前記要素の前記位置を乗算することによって、第1の位相シフトを決定することと、
前記要素の各々について、前記第2の位相勾配に前記アレイの前記要素の前記共通原点に対する前記要素の前記位置を乗算することによって、第2の位相シフトを決定することと、
要素ごとに、前記それぞれの第1及び第2の位相シフトを合計することによって、合成位相シフトを決定することと、
を含む、方法。
【請求項13】
複数の同相信号を生成するために、各要素において受信された信号から前記合成位相シフトを除去することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
位相勾配決定回路が、固定周波数について前記第1の位相勾配及び/又は前記第2の位相勾配を増大及び/又は減少させることによって、注目信号の場所を決定することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
アレイ状に配列された複数の角錐構造、並びに第1の方向要素のセット及び第2の方向要素のセットを含むアレイ状に形成された複数の要素を含む差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナであって、各要素が2つの隣接した角錐構造の対向する面の間に規定され、さらに、各要素の位置が前記アレイの前記要素の共通原点から距離を置いて配置されている、差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナと、
要素ごとの位相シフト値を決定するための位相シフト及び時間遅延決定回路であって、前記位相シフト及び時間遅延決定回路がまた、前記位相シフト値に基づいて時間遅延値を決定するためのものであり、前記位相シフト及び時間遅延決定回路がまた、固定変調信号を用いて前記時間遅延値を変調することによって、固定周波数位相シフト信号を生成するためのものである、位相シフト及び時間遅延決定回路と、
プロセッサ回路と、
ブースト固定周波数位相シフト信号を生成するために、前記固定周波数位相シフト信号の周波数を増大させるための位相ロックループ(PLL)回路と、
無線信号を生成するためのソフトウェア無線(SDR)回路と、
前記ブースト固定周波数位相シフト信号を前記無線信号と合成し、合成時間遅延信号を生成するためのミキサ回路であって、前記合成時間遅延信号が、前記要素を、位相シフトを位相中心に適用するように制御する、ミキサ回路と、
を備えるビームステアリングシステム。
【請求項16】
前記PLL回路が、
選択された周波数を適用し、前記固定周波数位相シフト信号に基づいて前記ブースト固定周波数位相シフト信号を生成するための周波数シンセサイザ回路、
前記ブースト固定周波数位相シフト信号をフィルタリングするためのフィルタ回路、及び
前記周波数シンセサイザ回路を、前記選択された周波数を生成するように制御するための発振器回路、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項17】
前記位相シフト及び時間遅延決定回路が、
前記アレイの前記要素のための位相シフト値を決定するためのプロセッサ回路、
前記位相シフト値のための時間遅延値を決定するための位相制御回路、及び
クロック値に基づいて前記位相シフト値を順序制御するための位相シフトシーケンサ回路、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項18】
前記位相シフト値に基づいて前記時間遅延値を生成するための位相制御回路及び時間遅延回路をさらに備える、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記プロセッサ回路が、
第1の方向要素のセットのための第1の位相勾配を決定し、第2の方向要素のセットのための第2の位相勾配を決定するための位相勾配決定回路であって、前記第1及び第2の位相勾配が、前記DSAアンテナに対するターゲットの第1の角度、前記DSAアンテナに対する前記ターゲットの第2の角度、及び前記DSAアンテナの動作周波数に基づく、位相勾配決定回路、並びに
前記要素の各々について、前記第1の位相勾配に前記アレイの前記要素の前記共通原点に対する前記要素の前記位置を乗算することによって、第1の位相シフトを決定し、前記要素の各々について、前記第2の位相勾配に前記アレイの前記要素の前記共通原点に対する前記要素の前記位置を乗算することによって、第2の位相シフトを決定し、要素ごとに、前記それぞれの第1及び第2の位相シフトを合計することによって、合成位相シフトを決定するための位相シフト決定回路、
を含む、請求項15に記載のシステム。
【請求項20】
前記ターゲットに対する前記DSAアンテナの信号利得の変化を生じさせるために、各々のそれぞれの合成ヌル位相シフトが各々のそれぞれの要素に適用される、請求項19に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2021年10月29日に出願された、米国仮特許出願第63/273,344号、2021年10月29日に出願された、米国仮特許出願第63/273,352号、及び2021年10月29日に出願された、米国仮特許出願第63/273,434号の出願日の利益を主張する。これらの出願の教示全体は本明細書において参照により組み込まれる。
【0002】
技術分野
[0002] 本開示は、差動セグメント化アレイ(DSA(differential segmented array))アンテナのためのビームステアリング及び方向探知に関する。
【背景技術】
【0003】
背景
[0003] ビームフォーミングは、より長い、よりターゲットを定めたストリームを有する単一のアンテナを実効的に作り出す、同じ信号を同じ波長及び位相で送信する複数の放射要素の適用である。ビームステアリングは、全ての放射要素上の入力信号の位相を変更することによって、ビームフォーミングのコンセプトを1段階先に進める。これは、信号が特定の受信器にターゲットを定められることを可能にする。アンテナは、単一のビームを特定の方向に操縦するための共通周波数を有する放射要素を採用することができるか、又は異なる周波数のビームが、異なるユーザにサービス提供するために異なる方向に操縦され得る。ビームステアリングは、5Gネットワークの高使用量と相まった範囲制限のゆえに、5G通信において重要な役割を果たしている。
【0004】
図面の簡単な説明
[0004] 以下の詳細な説明が参照されなければならず、詳細な説明は添付の図面と併せて読まれなければならず、同様の符号は同様の部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1A】[0005]図1Aは、本開示のいくつかの実施形態に係る差動的セグメント化アレイ(DSA)アンテナの様々な図を示す。
図1B】[0005]図1Bは、本開示のいくつかの実施形態に係る差動的セグメント化アレイ(DSA)アンテナの様々な図を示す。
図1C】[0005]図1Cは、本開示のいくつかの実施形態に係る差動的セグメント化アレイ(DSA)アンテナの様々な図を示す。
図2】[0006]図2は、本開示のいくつかの実施形態に係るビームステアリング回路を示す。
図3A】[0007]図3Aは、本開示の一実施形態に係る図1AのDSAアンテナのためのビームパターンを示す。
図3B】[0007]図3Bは、本開示の一実施形態に係る図1BのDSAアンテナのためのビームパターンを示す。
図3C】[0007]図3Cは、本開示の一実施形態に係る図1CのDSAアンテナのためのビームパターンを示す。
図4】[0008]図4は、本開示の一実施形態に係るビームステアリング回路を示す。
図5】[0009]図5は、本開示の一実施形態に係る位相シフト及び時間遅延決定回路を示す。
図6】[0010]図6は、本開示の一実施形態に係る時間遅延回路を示す。
図7】[0011]図7は、本開示の一実施形態に係る信号チェーンの例を示す。
図8】[0012]図8は、本開示の別の実施形態に係るビームステアリング回路を示す。
図9】[0013]図9は、本開示のいくつかの実施形態に係るDSAアンテナのためのビームステアリング提示システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
詳細な説明
[0014] 本開示は、その適用において、以下の説明において記載されるか、又は図面において示される構成要素の構成及び配置の詳細に限定されない。本明細書において説明される例は、他の実施形態の余地、及び様々な仕方で実施若しくは実行される余地があり得る。また、本明細書において用いられる術語及び専門用語は、当業者によって理解され得るように、説明の目的のためのものであり、限定と見なされるべきでないことは理解されるであろう。本説明全体を通して、同様の参照符号はいくつかの図全体を通して同様の構造を指示し得、このような構造は別個に説明されなくてもよい。さらに、特定の例示的な実施形態の任意の特定の特徴は、本明細書の任意の他の例示的な実施形態に、好適なものとして等しく適用され得る。換言すれば、本明細書において説明される様々な例示的な実施形態の間の特徴は交換可能であり、排他的なものではない。
【0007】
[0015] 本明細書において開示されるのは、DSAに基づくビームステアリングシステム及びビームステアリング提示システムである。
【0008】
[0016] 図1A図1B、及び図1Cは、本開示のいくつかの実施形態に係るDSAアンテナ100の様々な図を示す。図1Aは、例示的なDSAアンテナ100の、上から見下ろした図を示す。アンテナ100は、本明細書における例では、アレイ状に配列された、概ね角錐の構造である、複数の突出部を含み、1つの例示的な角錐構造が102とラベル付けされている。図1Aの例では、アンテナ100は5行及び5列(5×5)の角錐構造を有する。各角錐構造の少なくとも1つの面は、図示のように、隣接した角錐構造に面する。2つの隣接した角錐構造の対向する面はアンテナ要素104、106を形成する。要素104は水平要素と指示され、要素106は鉛直要素と指示される。本例において5行及び5列(5×5)の角錐構造が存在することを所与とすると、水平要素104の5つの行が存在し、各行は水平要素104の4つの列を含む。それゆえ、水平要素104は、合計で20個の水平要素になる、(5×4)アレイを形成する。また、本例において5行及び5列(5×5)の角錐構造が存在することを所与とすると、鉛直要素106の5つの列が存在し、各行は鉛直要素106の4つの行を含む。それゆえ、鉛直要素106は、合計で20個の鉛直要素になる、(4×5)アレイを形成する。それゆえ、鉛直及び水平要素104、106は、要素のm個の数の行及びn個の数の列を有する、(m×n)アレイ状に配列される。図1Aの例では、鉛直要素106はX軸に沿って列状に形成され、水平要素104はY軸に沿って行状に形成される。実施形態によっては、角錐構造は互いに概ね同一であり、また、互いに概ね等距離にあり、例えば、各要素は隣接要素から1”離れている。要素104、106の電磁的位置はその要素についての位相中心である。各位相中心は、要素によって送信される、又はそれによって受信される信号のための送信(Tx)及び受信(Rx)点を表す。
【0009】
[0018] 図1Bは、ベース誘電体層108上に形成された角錐状構造102を示す、アレイ100の断面図を示す。図1Bはまた、ターゲット110との通信(RX及び/又はTX)のための位置におけるDSAアンテナアレイ100を示す。ターゲット100はアレイ100のX-Y平面に対して仰角(「El.Ang.」)及び方位角(「Az.Ang.」)に位置付けられている。本例では、Az.Ang.は、X方向におけるアレイの正面と垂直な軸112に対するターゲット110の角度である。図1Cはまた、ターゲット110との通信(RX及び/又はTX)のための位置におけるアレイ100の断面図を示す。本例では、El.Ang.は、Y方向におけるアレイの正面と垂直な軸114に対するターゲット110の角度である。以下においてより詳細に説明されるように、アレイ100の要素104、106は、アレイ100とターゲット110との間の信号利得を最適化するべくターゲット110とのRx及び/又はTx通信のための位相シフトを与えるように制御され得る。
【0010】
[0018] 図2は、本開示のいくつかの実施形態に係るビームステアリング回路200を示す。一般的な事項として、及び図1A図1B、及び図1Cを引き続き参照すると、アレイ100の配向に対するターゲット110の方位角及び/又は仰角は、概して、ターゲット110の方向におけるRx動作及びTx動作の両方における信号の利得に影響を及ぼす働きをする。例えば、アレイのピーク利得は、概して、アレイ100のビームパターン、具体的には、ビームパターンのメインローブがターゲット110に向けられた所に存在する。したがって、ビームステアリング回路200は、概して、実質上、アレイ100とターゲット110との間の通信利得を最大化するために、アレイがターゲット110を直接(及びアレイ110の物理的運動を行うことなく)指向するよう、要素(104、106)の各々の上の位相角を与えるように構成されている。
【0011】
[0019] ビームステアリング回路200は、概して、アレイとターゲットとの間の信号強度を最大化するために(X次元及びY次元の両方における)アレイにわたる位相勾配を決定するように構成された位相勾配決定回路202を含む。位相勾配は、アレイに対するターゲットの方位角及び仰角、動作周波数(f)、並びにターゲットに対するDSAアレイの配向に基づく。アレイにわたるX方向における位相勾配(PGx)は式(1)を用いて決定され得る。
PGx=cos(Az.Ang.)*-cos(El.Ang.)*(360/(波長(f))) (1)
【0012】
[0020] 式(1)において、波長(f)はc/fとして決定され得、距離単位(例えば、インチ、mm等)で表され、cは、所与の媒質によって変更され得るとおりの、光の速度である。それゆえ、PGxの単位は(度/距離)として表される。PGxは、後述されるように、図1Aに示される水平要素の各行に適用される。
【0013】
[0021] 同様に、アレイにわたるY方向における位相勾配(PGy)は式(2)を用いて決定され得る。
PGy=sin(Az.Ang.)*-cos(El.Ang.)*(360/(波長(f))) (2)
【0014】
[0022] 式(2)において、波長(f)はc/fとして決定され得、距離単位(例えば、インチ、mm等)で表され、cは、所与の媒質によって変更され得るとおりの、光の速度である。それゆえ、PGyの単位は(度/距離)として表される。PGyは、後述されるように、図1Aに示される鉛直要素の各列に適用される。
【0015】
[0023] 位相シフト決定回路204は、位相勾配PGx及びPGyに基づいて、並びにまた、アレイの要素の共通原点に対する要素の位置に基づいて、アレイ100内の各々のそれぞれの要素104、106に適用するべき位相シフトを決定するように構成されている。共通原点は、要素の全てに共通であるアレイ100に対する任意の位置であり得る。すなわち、各要素(m,n)は共通原点から規定の距離を有する。例えば、共通原点は、アレイ100の中心、アレイ100の左下隅等として選択され得る。水平要素ごとに、位相シフト決定回路204は、PGx位相勾配にアレイの要素の共通原点に対する要素の位置を乗算し、かくして、度を単位として表される値θ(m,n)xをもたらすことによって、所与の位相中心のための位相シフトを決定するように構成されている。同様に、鉛直要素ごとに、位相シフト決定回路204は、PGy位相勾配にアレイの要素の共通原点に対する要素の位置を乗算し、かくして、度を単位として表される値θ(m,n)yをもたらすことによって、所与の要素のための位相シフトを決定するように構成されている。位相シフト決定回路204はまた、要素ごとに、対応するx及びy位相シフト値(θ(m,n)x+θ(m,n)y)を合成し(合計し)、かくして、要素ごとの合成位相シフト値、すなわち、θ(m,n)の行列を形成するように構成されている。
【0016】
[0024] 位相シフト値θ(m,n)は、Tx及び/又はRx動作の間に、各々の対応する要素に適用され得、これは各要素の位相中心ごとの位相シフト/時間遅延を与え得る。図面には示されていないが、各要素は、アレイ100とターゲット110との間の通信を可能にするための対応するTx及びRx回路に関連付けられていることが理解される。送信動作のために、ビームステアリング回路200はまた、概して、決定された位相シフト値を、周波数(f)で動作する送信信号に適用するように構成された、各要素に関連付けられた、位相シフト適用回路206を含み得る。位相シフト信号は、要素ごとに、((実数,虚数)e-jθ(m,n))と表され得る。各要素は、位相シフトを有する信号を送信していてもよいが、送信信号の全ては遠方界自由空間内で合成することになることに留意されたい。受信動作のために、各要素のRx回路は、対応する位相シフト値を適用し得る。位相シフト信号が各アンテナ要素から受信されるため、ビームステアリング回路はまた、概して、各要素のRx回路上で与えられた任意の位相シフトを除去するように、すなわち、各要素において受信された各信号が互いに同相に配されるように構成された位相整列回路208を含み得る。ビームステアリング回路200はまた、概して、各要素からの同相信号の集合を合成し(合計し)、かくして、合計された同相信号の数に基づく利得増大を有する、合成信号を形成するように構成された信号合成回路210を含み得る。
【0017】
[0025] 図1A図1B、及び図1Cに示されるDSAアレイ100は、概して、2次元アレイである。他の実施形態では、DSAアレイは、例えば、角錐構造102を3次元形状(例えば、球、円錐、立方体等)の表面上に配列することによって、3次元アレイとして実施され得る。このような実施形態では、位相勾配及び位相シフトを決定するための本開示の教示は第3の次元(z次元)へと拡張され得る。それゆえ、例えば、位相勾配決定回路202はまた、z方向位相勾配をz方向オフセット角の関数として決定するように構成され得、PGz=-sin(Z角度)X(360/(波長(f)))と表され得る。加えて、合成位相シフト値はθ(m,n,z)と表され得る。ここで、zはz方向要素の数を表す。
【0018】
[0026] DSAアレイ100は、トラック、固定構造物等の上へのDSAアレイ100の装着などの、地上波の適用のために用いられ得る。DSAアレイ100はまた、アレイ100が概して上向きに指向させられ得る衛星-地上通信、及び/又は衛星-衛星通信等のために用いられ得る。適用によっては、DSAアンテナ100及び/又はターゲット110は、仰角及び/又は方位角が経時的に変化するよう、運動していてもよい。したがって、実施形態によっては、位相勾配決定回路202及び/又は位相シフト決定回路204は、ターゲット110に対するDSAアレイ100の角度の変化に基づいて位相勾配及び/又は位相シフトを決定するように構成されている。
【0019】
[0027] 上述されたビームステアリング回路200はまた、既知の注目信号の仰角及び/又は方位角を決定するべくアレイを「操縦する」ための方向探知のために用いられ得る。したがって、位相勾配決定回路202はまた、選択された周波数帯域にわたって周波数を増大/減少させ、また、位相勾配を増大/減少させ(ひいては、各要素の位相シフトを増大/減少させ)、選択された注目信号について「走査し」、選択された周波数について最も大きい利得を発生する位相シフトを決定するように構成され得る。位相勾配はアレイに対する角度を単位として定義されるため、それゆえ、ターゲットの空間内の場所を得ることができる。
【0020】
[0028] 上述されたように、ビームステアリング回路200はアレイとターゲットとの間の信号通信における利得の増大を可能にする。実施形態によっては、無線ジャマー等などの、通信に干渉している遠方界ターゲットが存在し得る。したがって、ビームステアリング回路200はまた、不要なターゲットをアンテナアレイのヌル位置に操縦し、かくして、ソース信号の利得を減少させるために用いられ得る。図3A図3B、及び図3Cは、本開示の一実施形態に係る図1A図1B、及び図1CのDSAアンテナのためのビームパターンを示す。図3Aは所与の周波数についてのDSAアンテナのビームパターンの3次元グラフを示す。図示のように、ビームパターンは、DSAアンテナの真正面にあるメインローブ302、及び1つが304とラベル付けされた、いくつかのサイドローブを含む。利得特性は、(例えば、DSAアンテナが、メインローブ302がターゲットに面するように操縦されたときに(上述された))、メインローブ302内で生じるTx及びRxについて最大化され、Tx及びRxがサイドローブ304内で生じるときには、低下した利得になる。メインローブ302とサイドローブ304との間にヌル位置306がある。ヌル位置306は方位角及び仰角(本明細書において「Null-Az.Ang」及び「Null-El.Ang」と称される)に対応する。利得特性は、(例えば、DSAアンテナが、ヌル位置306がターゲットに面するように操縦されたときに(上述された))、メインローブ内で生じるTx及びRxについて最小化される。電力目盛308は、メインローブ302、サイドローブ304、及びヌル位置306の色分けされた相対利得特性を示す。ここで、明は、増大した利得特性(dBによる電力利得)を示し、暗はヌル利得特性(例えば、-30dB超低下した利得)を示す。図示のように、典型的には、複数のサイドローブ304及び複数のヌル位置306が存在する。上述されたように、ビームパターンは、概して、DSAアンテナの設計(例えば、要素数(m×n))、及び動作周波数に基づく。図3Aに示されるビームパターンは、4×4の要素を有し、8.000GHzで動作するDSAアンテナについてのビームパターンを仮定している。図3Bは、方位角ビームパターン310を示し、例えば、60~90度の間の、ヌルの場所が生じ得る方位角を示す。図3Cは仰角ビームパターン312を示し、ヌルが生じ得る仰角を示し、例えば、ヌル306が、メインローブ302とサイドローブ304との間に、およそ45度において生じる。
【0021】
[0029] 図3A図3B図3Cに加えて、図1A図1B、及び図1Cを引き続き参照しつつ、図2を再び参照すると、並びにターゲット110は妨害信号のソースとして識別されると仮定すると、ビームステアリング回路200は、ビームパターン300を、ヌル位置306がターゲットの方へ向けられ、かくして、妨害信号の減衰(ヌリング)を可能にするように操縦するように構成されている。したがって、位相シフト決定回路204はまた、要素の各々について、水平位相勾配、アレイの要素の共通原点に対する要素の位置、及び方位角ヌル角(Null-Az.Ang.)に基づいて、第1のヌル位相シフトを決定するように構成され得る。具体的には、第1のヌル位相シフトは、第1の位相勾配にアレイの要素の共通原点に対する要素の位置を乗算し、第1のヌル角を減算又は加算することによって決定され得る。第1のヌル角を減算又は加算することは、例えば、ビームパターンのメインローブに対する第1のヌル角の位置に基づき得る。位相シフト決定回路204はまた、位相中心の各々について、第2の位相勾配、アレイの要素の共通原点に対する要素の位置、及び仰角ヌル角(Null-El.Ang.)に基づいて、第2のヌル位相シフトを決定するように構成され得る。具体的には、第2のヌル位相シフトは、第2の位相勾配にアレイの要素の共通原点に対する要素の位置を乗算し、第2のヌル角を減算又は加算することによって決定され得る。第2のヌル角を減算又は加算することは、例えば、ビームパターンのメインローブに対する第2のヌル角の位置に基づき得る。
【0022】
[0030] 位相シフト決定回路204はまた、要素ごとに、それぞれの第1及び第2のヌル位相シフトを合計することによって、合成ヌル位相シフトを決定するように構成され得る。合成ヌル位相シフトはDSAアンテナにヌル位置をターゲットの方へ配向させ、かくして、ターゲットから受信される信号の信号強度を減少させる。図3A図3B、及び図3Cに、所与の動作周波数についてのヌル角が示されている。
【0023】
[0031] 図4は、本開示の一実施形態に係るビームステアリング回路400を示す。本実施形態のビームステアリング回路400は、以上において図2を参照して説明されたように、概して、アレイの各々のそれぞれの要素のための位相シフト値θ(m,n)を決定するように構成された、位相シフト及び時間遅延決定回路402を含む。位相シフト及び時間遅延決定回路402はまた、各々のそれぞれの位相シフト値θ(m,n)について、時間遅延値、td(m,n)を生成するように構成されている。位相シフト及び時間遅延決定回路402はまた、固定変調信号、例えば、1MHzの変調信号(本明細書において「固定周波数位相シフト信号」と称される)を用いて各々のそれぞれの時間遅延値を変調するように構成されている。
【0024】
[0032] 本実施形態のビームステアリング回路400はまた、概して、固定周波数位相シフト信号の周波数をブーストし(増大させ)、ブースト固定周波数位相シフト信号を生成するように構成された位相ロックループ(PLL)回路404を含む。PLL回路404は、中間のブースト固定周波数位相シフト信号を生成するための周波数シンセサイザ回路406、ブースト固定周波数位相シフト信号のフィルタリング(例えば、ノッチフィルタリング、ローパスフィルタリング等)を提供するための帯域幅フィルタ回路408、並びにPLL回路404からの出力として、及び基準ブースト固定周波数信号として、ターゲットのブースト固定周波数位相シフト信号を生成するための電圧制御発振器回路410を含む。基準ブースト固定周波数信号は、周波数シンセサイザ回路406が、ブースト固定周波数位相シフト信号がターゲットのブースト周波数にとどまっていることを確実にするべく、ブースト固定周波数位相シフト信号と比較するためのフィードバックとして用いられる。
【0025】
[0033] ビームステアリング回路400はまた、概して、データを含む無線信号を生成するように構成されたソフトウェア無線(SDR)回路412を含む。一般的な事項として、SDR回路の動作周波数は900MHz~3.0GHzの範囲内であり得る。ビームステアリング回路400はまた、概して、(PLL回路によって生成された)ブースト固定周波数位相シフト信号を(SDR回路412によって生成された)無線信号と合成し、合成時間遅延信号416を生成するように構成されたミキサ回路414を含む。合成時間遅延信号416は、ビームステアリングを可能にするために位相中心に適用され得る。合成時間遅延信号416は、ブースト固定周波数位相シフト信号の周波数・プラス・無線信号の周波数と等しい周波数値を有し、データ及び位相情報を含む。例えば、DSAアンテナのターゲット動作周波数は2.4GHzであると仮定する。その値を達成するために、ブースト固定周波数位相シフト信号は1500MHzの周波数を有し得、無線信号は900MHzの周波数を有し得る。図示のように、PLL回路404及びミキサ回路414は、アンテナアレイの各々のそれぞれの要素(ピクセル)を独立して駆動するために位相/時間遅延値ごとに繰り返され得る。
【0026】
[0034] 図5は、本開示の一実施形態に係る位相シフト及び時間遅延決定回路402’を示す。本実施形態の位相シフト及び時間遅延決定回路402’は、以上において図2を参照して説明されたように、アレイの各々のそれぞれの要素のための位相シフト値θ(m,n)を決定するためのプロセッサ回路502(例えば、デジタル信号プロセッサ回路、マイクロプロセッサ回路等)を含む。位相シフト及び時間遅延決定回路402’はまた、概して、各々のそれぞれの位相シフト値θ(m,n)について、時間遅延値、td(m,n)を決定するように構成された位相制御回路504を含む。位相制御回路504は、クロック値に基づいて位相シフト値θ(m,n)を順序制御するように構成された位相シフトシーケンサ回路506を含む。周波数領域における位相値は時間領域における時間遅延値に対応するため、位相制御回路504はまた、位相シフト値に基づいて時間遅延値を生成する時間遅延回路508を含む。時間遅延値は、対応する要素を制御し、時間遅延を適用するための(上述された)PLL回路404’への入力である。図示のように、位相制御回路504は、アンテナアレイの各々のそれぞれの要素を独立して制御するために位相/時間遅延値ごとに繰り返され得る。
【0027】
[0035] 図6は、本開示の一実施形態に係る時間遅延回路508’を示す。本実施形態の時間遅延回路508’は、複数の縦続接続されたフリップフロップ回路602を含む。図6に示される例は、選択された遅延時間を生成するために組み合わせられ得る(オンにされる)単一のフリップフロップ回路、2つのフリップフロップ回路、及び4つのフリップフロップ回路を含む3ビット分解能時間遅延を示しており、選択された遅延時間は位相遅延値に対応する。無論、図6の時間遅延回路508’は、時間遅延値のより大きい分解能を提供するように拡張され得る。
【0028】
[0036] 図7は、本開示の一実施形態に係る信号チェーンの例を示す。図示のように、送信部分702はアナログ構成要素で構成されており、それゆえ、送信側におけるデジタル-アナログ回路を解消している。本明細書において説明されるように、送信信号チェーンにおいてアナログソリューションを提供することは、周波数に依存しない動作を可能にし得、また、DSAアンテナの帯域幅性能も増大させ得る。
【0029】
[0037] 図8は、本開示の別の実施形態に係るビームステアリング回路800を示す。図8のビームステアリング回路800は、ビームステアリング回路400の複数のインスタンスが、固有の動作周波数を用いた同時ビームステアリングを可能にするために利用され得る、以上において図4図7を参照して説明されたコンセプトの拡張を示す。
【0030】
[0038] 図9は、本開示のいくつかの実施形態に係るDSAアンテナのためのビームステアリング提示システム900を示す。ビームステアリング提示システム900はDSAアンテナアレイ902(断面で示されている)を含む。アレイ902は、概して、アレイ状に配列された複数の角錐構造を含む。各角錐構造の少なくとも1つの面は、図示のように、隣接した角錐構造に面する。2つの隣接した角錐構造の対向する面はアンテナ要素を形成する。実施形態によっては、角錐構造は互いに概ね同一であり、また、互いに概ね等距離にあり、例えば、各要素は最も近い要素から1”離れている。要素の電磁的位置はその要素についての位相中心である。各位相中心は、要素によって送信される、又はそれによって受信される信号のための送信(Tx)及び受信(Rx)点を表す。
【0031】
[0039] システム900はまた、少なくとも1つの方向におけるビームステアリング動作を遂行するべく、アレイ902の1つ以上の要素の位相を制御するための位相シフト回路904を含む。一実施形態では、アレイ902は、仰角方向における物理的運動を可能にするように装着され得、位相シフト回路904は方位角方向における位相シフトを制御し得る。複数の位相シフト回路が、例えば、各要素及び/又は要素の集団を制御するために用いられ得る。システム900はまた、(コンピュータシステム等のようなプログラム可能ソースから)選択された動作周波数における位相及びデータ情報を受信し、選択された動作周波数における同じ位相及びデータ情報を用いて各位相シフト回路904を制御するための合成器回路906を含み得る。
【0032】
[0040] システム900はまた、選択された動作周波数における位相及びデータ情報を受信し、スペクトル及び/又は音声データを生成するためのスペクトル分析器回路908を含み得る。スペクトル分析器回路908は、受信信号のスペクトル内容を表示するUSBベースのスペクトル分析器を含み得る。例えば、受信(Rx)モードにおいて、スペクトル分析器回路908はターゲット信号の視覚的な振幅及び周波数内容をユーザに提供し得る。アレイ902が位相シフト回路904を介してビーム操縦されたとき、スペクトル分析器回路908はターゲット信号の方向依存性の振幅の視覚的変化をユーザに提供し得、かくして、DSAアレイ902のビームステアリング能力を提示する視覚的手法を提供する。スペクトル分析器回路908はまた、無線信号の復調も可能にし得、これにより、例えば、電波から音声内容が復調され得、標準的な無線機と全く同様に音声が再生され得る。それゆえ、スペクトル分析器回路908は、受信モードにおけるビームステアリングを提示する可聴情報をユーザに提供し得る。例えば、スペクトル分析器回路908は、ビームがターゲットへ、及びターゲットから遠ざかるよう操縦されるのに従って、可聴情報を増大及び減少させることを可能にし得る。
【0033】
[0041] システム900はまた、アレイ902のビームステアリング動作のために用いられるべき位相及びデータ情報を生成するためのプログラム可能ソース910(例えば、ラップトップコンピュータ)を含み得る。実施形態によっては、アレイ902、位相シフト回路904、及び/又はスペクトル分析器回路908と、プログラム可能ソース910との間でコマンド及びデータを交換するためのバスインターフェース回路912(例えば、ユニバーサルシリアルバスインターフェース回路)。システム900はまた、上述された構成要素のうちのいずれか又は全てに電力を提供するための電源回路914を含み得る。
【0034】
[0042] 本開示の一態様によれば、それゆえ、ビームステアリングシステムであって、システムが、アレイ状に配列された複数の角錐構造、並びに第1の方向要素のセット及び第2の方向要素のセットを含むアレイ状に形成された複数の要素を含む差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナであって、各要素が2つの隣接した角錐構造の対向する面の間に規定され、さらに、各要素の位置がアレイの要素の共通原点から距離を置いて配置されている、差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナと、第1の方向要素のセットのための第1の位相勾配を決定し、第2の方向要素のセットのための第2の位相勾配を決定するための位相勾配決定回路であって、第1の位相勾配及び第2の位相勾配が、DSAアンテナに対するターゲットの第1の角度、DSAアンテナに対するターゲットの第2の角度、及びDSAアンテナの動作周波数に基づく、位相勾配決定回路と、要素の各々について、第1の位相勾配にアレイの要素の共通原点に対する要素の位置を乗算することによって、第1の位相シフトを決定し、要素の各々について、第2の位相勾配にアレイの要素の共通原点に対する要素の位置を乗算することによって、第2の位相シフトを決定し、要素ごとに、それぞれの第1及び第2の位相シフトを合計することによって、合成位相シフトを決定するための位相シフト決定回路と、を含む、ビームステアリングシステムが提供される。
【0035】
[0043] 本開示の別の態様によれば、それゆえ、ビームステアリングシステムであって、システムが、アレイ状に配列された複数の角錐構造、並びに第1の方向要素のセット及び第2の方向要素のセットを含むアレイ状に形成された複数の要素を含む差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナであって、各要素が2つの隣接した角錐構造の対向する面の間に規定され、さらに、各要素の位置がアレイの要素の共通原点から距離を置いて配置されている、差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナと、1つ以上のコンピュータプロセッサと、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体と、1つ以上のコンピュータプロセッサのうちの少なくとも1つによる実行のための1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されたプログラム命令と、を含む、ビームステアリングシステムが提供される。記憶されたプログラム命令は、第1の方向要素のセットのための第1の位相勾配を決定し、第2の方向要素のセットのための第2の位相勾配を決定することであって、第1及び第2の位相勾配が、DSAアンテナに対するターゲットの第1の角度、DSAアンテナに対するターゲットの第2の角度、及びDSAアンテナの動作周波数に基づく、決定することと、要素の各々について、第1の位相勾配にアレイの要素の共通原点に対する要素の位置を乗算することによって、第1の位相シフトを決定し、要素の各々について、第2の位相勾配にアレイの要素の共通原点に対する要素の位置を乗算することによって、第2の位相シフトを決定し、要素ごとに、それぞれの第1及び第2の位相シフトを合計することによって、合成位相シフトを決定することと、を行うための命令を含む。
【0036】
[0044] 本開示のさらに別の態様によれば、それゆえ、ビームステアリングシステムであって、システムが、アレイ状に配列された複数の角錐構造、並びに第1の方向要素のセット及び第2の方向要素のセットを含むアレイ状に形成された複数の要素を含む差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナであって、各要素が2つの隣接した角錐構造の対向する面の間に規定され、さらに、各要素の位置がアレイの要素の共通原点から距離を置いて配置されている、差動セグメント化アレイ(DSA)アンテナと、要素ごとの位相シフト値を決定するための位相シフト及び時間遅延決定回路であって、位相シフト及び時間遅延決定回路がまた、位相シフト値に基づいて時間遅延値を決定するためのものであり、位相シフト及び時間遅延決定回路がまた、固定変調信号を用いて時間遅延値を変調することによって、固定周波数位相シフト信号を生成するためのものである、位相シフト及び時間遅延決定回路と、プロセッサ回路と、ブースト固定周波数位相シフト信号を生成するために、固定周波数位相シフト信号の周波数を増大させるための位相ロックループ(PLL)回路と、無線信号を生成するためのソフトウェア無線(SDR)回路と、ブースト固定周波数位相シフト信号を無線信号と合成し、合成時間遅延信号を生成するためのミキサ回路であって、合成時間遅延信号が、要素を、位相シフトを位相中心に適用するように制御するためのものである、ミキサ回路と、を含む、ビームステアリングシステムが提供される。
【0037】
[0045] 本出願及び請求項で使用するとき、用語「及び/又は(and/or)」によってつながれた事柄の並びは、列挙された事柄の任意の組み合わせを意味することができる。例えば、表現「A、B及び/又はC」は、A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;或いはA、B、及びCを意味することができる。本出願及び請求項で使用するとき、用語「~のうちの少なくとも1つ(at least one of)」によってつながれた事柄の並びは、列挙された用語の任意の組み合わせを意味することができる。例えば、表現「A、B、又はCのうちの少なくとも1つ」は、A;B;C;A及びB;A及びC;B及びC;或いはA、B、及びCを意味することができる。
【0038】
[0046] 「回路(circuitry)」は、本明細書における任意の実施形態で使用するとき、例えば、単独で、又は任意の組み合わせで、配線回路、1つ以上の個々の命令処理コアを含む1つ以上のコンピュータプロセッサなどのプログラム可能回路、状態機械回路、及び/又はプログラム可能回路によって実行される命令を記憶するファームウェア、及び/又は例えば、超並列処理、アナログ若しくは量子コンピューティング、ニューラルネットプロセッサなどのアクセラレータのハードウェア実施形態を含む将来のコンピューティング回路、並びに以上のもののノンシリコン実装形態を含み得る。回路は、集合的に、又は個々に、より大きいシステム、例えば、集積回路(IC(integrated circuit))、システムオンチップ(SoC(system on-chip))、特定用途向け集積回路(ASIC(application-specific integrated circuit))、プログラムマブル論理デバイス(PLD(programmable logic device))、デジタル信号プロセッサ(DSP(digital signal processor))、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA(field programmable gate array))、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、チップ、マイクロチップ、チップセット等の部分を形成する回路として具現され得る。
【0039】
[0047] 本明細書において説明される動作のうちの任意のものは、個々に、又は組み合わせて、回路によって実行されたとき、動作を遂行する命令を内部に記憶した、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体を含む、1つ以上の非一時的記憶デバイスを含むシステム内で実施され得る。記憶デバイスとしては、任意の種類の有形の媒体、例えば、ハードディスク、フロッピーディスク、光ディスク、コンパクトディスクリードオンリーメモリ(CD-ROM(compact disk read-only memory))、コンパクトディスクリライタブル(CD-RW(compact disk rewritable))、及び光磁気ディスクを含む任意の種類のディスク、リードオンリーメモリ(ROM(read-only memory))、ランダムアクセスメモリ(RAM(random access memory))などのダイナミック及びスタティックRAM、消去可能プログラムマブルリードオンリーメモリ(EPROM(erasable programmable read-only memory))、電気的消去可能プログラムマブルリードオンリーメモリ(EEPROM(electrically erasable programmable read-only memory))、フラッシュメモリ、ソリッドステートディスク(SSD(Solid State Disk))、組み込みマルチメディアカード(eMMC(embedded multimedia card))、セキュアデジタル入力/出力(SDIO(secure digital input/output))カードなどの半導体デバイス、磁気若しくは光カード、或いは電子命令を記憶するために適した任意の種類の媒体が挙げられる。命令は、ファームウェア実行可能コード、ソフトウェア実行可能コード、組み込み命令セット、アプリケーションソフトウェア等の形態のものであり得る。他の実施形態は、プログラム可能制御デバイスによって実行されるソフトウェアとして実施さ得る。また、本明細書において説明される動作は、1つを超える異なる物理場所における処理構造などの、複数の物理デバイスにわたって分散し得ることも意図される。
【0040】
[0048] 本明細書において採用される用語及び表現は、限定ではなく、説明の用語として使用されており、このような用語及び表現の使用において、図示及び説明される特徴(又はそれらの部分)の同等物を除外する意図は全くなく、様々な変更が請求項の範囲内で可能であることが認識される。したがって、請求項は、全てのこのような同等物を網羅することが意図される。様々な特徴、態様、及び実施形態が本明細書において説明された。特徴、態様、及び実施形態は、当業者によって理解されるであろうように、相互の組み合わせ、並びに変形及び変更を受け入れる余地がある。したがって、本開示は、このような組み合わせ、変形、及び変更を包含すると考えられるべきである。
【0041】
[0049] 本明細書全体を通じた「一実施形態(one embodiment)」、又は「一実施形態(an embodiment)」への言及は、実施形態に関して説明された特定の特徴、構造、又は特性が少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。それゆえ、本明細書全体を通じた様々な箇所における、表現「一実施形態では(in one embodiment)」、又は「一実施形態では(in an embodiment)」の出現は、必ずしも全てが同じ実施形態に言及しているわけではない。さらに、特定の特徴、構造、又は特性は1つ又は複数の実施形態において任意の好適な仕方で組み合わせられ得る。
図1A
図1B
図1C
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【国際調査報告】