(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】フィルタ装置の運転方法およびフィルタ装置
(51)【国際特許分類】
B01D 29/66 20060101AFI20241024BHJP
B01D 29/46 20060101ALI20241024BHJP
B01D 29/50 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B01D29/38 530A
B01D29/46 Z
B01D29/24 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525249
(86)(22)【出願日】2022-10-20
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 EP2022079202
(87)【国際公開番号】W WO2023072722
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021128195.4
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515267482
【氏名又は名称】マーグ ジャーマニー ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100121728
【氏名又は名称】井関 勝守
(74)【代理人】
【識別番号】100165803
【氏名又は名称】金子 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100179648
【氏名又は名称】田中 咲江
(74)【代理人】
【識別番号】100222885
【氏名又は名称】早川 康
(74)【代理人】
【識別番号】100140338
【氏名又は名称】竹内 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100227695
【氏名又は名称】有川 智章
(74)【代理人】
【識別番号】100170896
【氏名又は名称】寺薗 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100219313
【氏名又は名称】米口 麻子
(74)【代理人】
【識別番号】100161610
【氏名又は名称】藤野 香子
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】ポール,ハラルド
【テーマコード(参考)】
4D116
【Fターム(参考)】
4D116BB01
4D116BC27
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4D116RR05
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4D116RR30
4D116TT05
4D116TT06
4D116VV16
(57)【要約】
本発明は、濾過対象のポリマーメルトのためのフィルタ装置の運転方法に関し、フィルタ装置は、少なくとも1つの第1大面積フィルタと第2大面積フィルタと、第1弁と第2弁と、第1ドレン弁と第2ドレン弁とを備え、濾過対象のポリマーメルトはフィルタ装置を通って圧力下で送られ、第1および第2流入部は共通流入部と接続されており、第1および第2ドレン部は共通ドレン部と接続されている。本発明によれば、濾過対象のポリマーメルトが第1および第2大面積フィルタの両方に濾過方向に同時に供給され、基本運転では並行濾過が第1および第2大面積フィルタを介して連続的に実行される。逆洗運転では濾過が一方の大面積フィルタのみを介して実行される。逆洗運転は、大面積フィルタが所定の汚染度に到達したとき、つまり逆洗運転を使用して第1大面積フィルタを洗浄する必要があるときに開始される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過対象のポリマーメルトのためのフィルタ装置(10)の運転方法であって、前記フィルタ装置は、
第1フィルタチャンバ(12,14)に設けられた少なくとも1つの第1大面積フィルタ(30,32)と第2フィルタチャンバ(12,14)に設けられた第2大面積フィルタ(30,32)と、
濾過対象のポリマーメルトを制御するために、前記第1フィルタチャンバ(12,14)への第1流入部(16,18)に設けられた第1弁(22,24)と前記第2フィルタチャンバ(12,14)への第2流入部(16,18)に設けられた第2弁(22,24)と、
前記第1フィルタチャンバ(12,14)からの濾過済みポリマーメルトのための第1ドレン部(38,40)に設けられた第1ドレン弁(44,46)と前記第2フィルタチャンバ(12,14)からの濾過済みポリマーメルトのための第2ドレン部(38,40)に設けられた第2ドレン弁(44,46)とを備え、
濾過対象のポリマーメルトは、前記フィルタ装置(10)を通って圧力下で送られ、
前記第1流入部(16,18)および前記第2流入部(16,18)は、共通流入部(20)と接続されており、前記第1ドレン部(38,40)および前記第2ドレン部(38,40)は、共通ドレン部(42)と接続されており、
濾過対象のポリマーメルトは、前記第1大面積フィルタ(30,32)および前記第2大面積フィルタ(30,32)の両方に濾過方向に同時に供給され、基本運転モードでは、並行濾過が前記第1および第2大面積フィルタ(30,32)を介して連続的に実行され、逆洗運転モードでは、濾過が単に一方の大面積フィルタ(30,32)のみを介して実行され、
前記逆洗運転モードは、前記大面積フィルタ(30,32)が所定の汚染度に到達したとき、つまり逆洗運転を使用して前記第1大面積フィルタ(30,32)を洗浄する必要があるときに開始されることを特徴とする方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記逆洗運転モードによる前記第1大面積フィルタ(30,32)の洗浄の後、前記第2大面積フィルタ(30,32)についての前記逆洗運転モードが開始されることを特徴とする方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の方法において、
前記逆洗運転モード中に、濾過済みポリマーメルトの流れ方向を反転させ、それをこの一方の大面積フィルタ(30,32)に通させることにより、当該一方の大面積フィルタ(30,32)から異物が除去されることを特徴とする方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1つに記載の方法において、
一方の大面積フィルタ(30,32)についての前記逆洗運転モードは、前記大面積フィルタ(30,32)用のポリマーメルトに所定の物理的パラメータが存在するときに開始されることを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記逆洗運転モードで、この一方の大面積フィルタ(30,32)へのポリマーメルトの流入が中断され、他方の大面積フィルタ(30,32)の濾過済みポリマーメルトの少なくとも一部が前記一方の大面積フィルタ(30,32)の前記ドレン部を介して前記濾過方向に反して供給され、前記一方の大面積フィルタ(30,32)を逆洗によって洗浄するために前記一方の大面積フィルタ(30,32)に通され、そして排出されることを特徴とする方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法において、
前記流入部(16,18)の領域に配置された前記弁(22,24)は、濾過済みポリマーメルトを一方の大面積フィルタ(30,32)から排出するために開かれ、前記弁(22,24)は、前記他方の大面積フィルタ(30,32)によって濾過された後に前記一方の大面積フィルタ(30,32)を通って逆洗されたポリマーメルトを排出するために用いられることを特徴とする方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載の方法において、
前記逆洗運転モードで、前記一方の大面積フィルタ(30,32)の前記フィルタチャンバ(12,14)の前記容積の少なくとも1倍、好ましくは1.5倍、好ましくは2倍が前記流入部(16,18)における前記弁(26,28)を介して排出されることを特徴とする方法。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1つに記載の方法において、
前記逆洗運転モードで、この一方の大面積フィルタ(30,32)の前記ドレン部(38,40)は、逆洗用の関連する前記ドレン弁(44,46)を介して、例えば2/3、1/3または1/2だけ部分的に閉じられ、これにより、前記他方の大面積フィルタ(30,32)からの濾過済みポリマーメルトの一部のみが洗浄のために前記一方の大面積フィルタ(30,32)に供給されることを特徴とする方法。
【請求項9】
請求項1~8のいずれか1つに記載の方法において、
前記逆洗運転モードのために、前記一方の大面積フィルタ(30,32)の前記ドレン弁(44,46)を手短に開閉することにより、濾過済みポリマーメルトが、好ましくは数回、間隔をおいて、特に間欠的に、前記一方の大面積フィルタ(30,32)を通って流れることを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1つに記載の方法において、
濾過対象のポリマーメルトとして、特にプラスチック原料、好ましくはケミカルリサイクル用の溶融プラスチックを含む低粘度のポリマーメルトが用いられることを特徴とする方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1つに記載の方法において、
濾過対象のポリマーメルトの粘度は、70mPas以上90mPas以下の範囲内、特に80mPasであることを特徴とする方法。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか1つに記載の方法において、
最大3μmの濾過精度を有する前記大面積フィルタ(30,32)が用いられることを特徴とする方法。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1つに記載の方法において、
45m
2以上255m
2以下のフィルタ表面を有する前記大面積フィルタ(30,32)が用いられることを特徴とする方法。
【請求項14】
請求項1~13のいずれか1つに記載の方法において、
前記大面積フィルタ(30,32)は、1bar以上100bar以下の差圧に用いられることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項2~14のいずれか1つに記載の方法において、
前記逆洗運転モードのための前記大面積フィルタ(30,32)についての所定のパラメータが、前記大面積フィルタ(30,32)の上流の濾過対象のポリマーメルトで前記大面積フィルタ(30,32)にかかる圧力によって構成され、前記大面積フィルタ(30,32)の上流の濾過対象のポリマーメルトと前記大面積フィルタ(30,32)の下流の濾過済みポリマーメルトとに生じる差圧によって構成され、および/または前記大面積フィルタ(30,32)の運転時間によって構成されることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか1つに記載の方法において、
前記基本運転モードでは前記大面積フィルタ(30,32)を通る前記濾過方向の層流が存在し、前記逆洗運転モードでは前記大面積フィルタ(30,32)を通る前記濾過方向に反する脈流が存在することを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項1~16のいずれか1つに記載の方法において、
逆洗対象の前記フィルタチャンバ(12,14)のドレン側のポリマーメルトにおける圧力は、逆洗運転モード中に、前記フィルタチャンバ(12,14)のドレン側の下流に配置されたメルトポンプによって生じることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1つに記載の方法において、
逆洗対象の前記フィルタチャンバ(12,14)のドレン側では、前記逆洗運転モードでポリマーメルトに生じる圧力は、前記逆洗運転モードが開始される直前に前記大面積フィルタ(30,32)にかかる差圧と比較して高いことを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1つに記載の方法において、
逆洗対象の前記大面積フィルタ(30,32)を有する前記フィルタチャンバ(12,14)のドレン側のポリマーメルトにおける圧力は、前記逆洗運転モードで、その下流に配置されたスロットル(62)などの、管および/またはシステム構成要素によって生じることを特徴とする方法。
【請求項20】
請求項19に記載の方法において、
前記大面積フィルタ(30,32)の下流に配置された前記スロットル(62)は、逆洗運転モードで完全に閉じられ、前記第1大面積フィルタ(30,32)からの濾過済みポリマーメルト全体が前記第2大面積フィルタ(30,32)を逆洗するために用いられことを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1つに記載の方法を実行するためのフィルタ装置(10)であって、
第1大面積フィルタ(30,32)が配置された第1フィルタチャンバ(12,14)と、
第2大面積フィルタ(30,32)が配置された第2フィルタチャンバ(12,14)と、
前記第1フィルタチャンバ(12,14)への第1流入弁(22,24)を有する第1流入部(16,18)と、
前記第2フィルタチャンバ(12,14)への第2流入弁(22,24)を有する第2流入部(16,18)と、
前記第1フィルタチャンバ(12,14)からの第1ドレン部(36,38)と、
前記第2フィルタチャンバ(36,38)からの第2ドレン部(36,38)と、
前記第1ドレン部(38,40)に設けられた第1ドレン弁(44,46)と、
前記第2ドレン部(38,40)に設けられた第2ドレン弁(44,46)とを備え、
前記流入弁(22,24)および前記ドレン弁(44,46)は、油圧式および/または電動式であるように設計され、
前記基本運転モードおよび前記逆洗運転モードをそれぞれ設定するために前記流入弁(22,24)および前記ドレン弁(44,46)を制御する制御装置(60)が設けられていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項22】
請求項20に記載のフィルタ装置において、
ポリマーメルトにおける圧力を測定するための圧力センサ(56,58)が、前記フィルタチャンバ(12,14)の上流および下流に設けられていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項23】
請求項20に記載のフィルタ装置において、
ポリマーメルトにおける圧力を測定するための圧力センサ(56,58)が、前記大面積フィルタ(30,32)の上流と前記大面積フィルタ(30,32)の下流とで前記フィルタチャンバ(12,14)に設けられていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項24】
請求項10~22のいずれか1つに記載のフィルタ装置において、
前記フィルタチャンバにおける前記大面積フィルタ(30,32)のフィルタ表面は、積層ディスクフィルタまたはフィルタカートリッジ(30a,32a)によって形成されていることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項25】
請求項20~23のいずれか1つに記載のフィルタ装置において、
すべての前記フィルタチャンバ(12,14)、すべての前記大面積フィルタ(30,32)、すべての前記流入弁(22,24)および/またはすべての前記ドレン弁(44,46)が、設計が同一であることを特徴とするフィルタ装置。
【請求項26】
請求項19~24のいずれか1つに記載のフィルタ装置において、
メルトポンプ(66,68)が共通ドレン管(42)または前記左右のドレン管(38,40)に配置されていることを特徴とするフィルタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに規定されるようなフィルタ装置の運転方法と、請求項21に規定されるような、当該方法を実行するためのフィルタ装置とに関する。
【背景技術】
【0002】
特に熱可塑性プラスチックの製造では、ポリマーメルトを濾過することにより異物をそれから除去することが一般的である。大面積フィルタが一般にこの目的に用いられ、大面積フィルタは、複数個(通常37個~169個)のフィルタカートリッジがその中に配置されたフィルタチャンバを備える。フィルタカートリッジが多数あることにより、大きいフィルタ表面が確保される。このプロセスでは、濾過対象の物質がフィルタカートリッジを通って外側から内側に流れる。濾過対象のポリマーメルトは、フィルタカートリッジの側壁部を介して濾過される。側壁部は、通常、3μm~20μmの濾過精度を有する。
【0003】
この目的のために、いわゆる複式フィルタユニットを用いることが一般的である。これらの複式フィルタユニットは、2つの同一のフィルタ手段を有する。各フィルタ手段は、大面積フィルタがそれぞれ取り付けられた円柱状のフィルタチャンバを有する。フィルタチャンバとその中に取り付けられた大面積フィルタとは、好ましくは縦に揃えられ、濾過対象の物質がこれらを通って下部から上部に流れる。大面積フィルタは、分配器上に配置されたいくつかのフィルタカートリッジを備えるフィルタである。フィルタカートリッジおよび分配器は、フィルタチャンバを流入ゾーンおよび流出ゾーンに分割する。ポリマーメルトは、フィルタチャンバへの流入部を介してフィルタカートリッジに供給される。ポリマーメルトの供給は、フィルタチャンバへの個々の流入部に配置された流入弁を介して制御される。フィルタカートリッジの側壁部は、フィルタ部を構成する。さらに具体的には、フィルタ表面を増大させるように、側壁部を周方向に波形状または他の任意の形状に形成することができる。使用されるフィルタ表面は、例えば45m2~255m2であり、これは、すべてのフィルタカートリッジの側壁部表面の合計である。濾過されたポリマーメルトは、分配器の下流の側壁部を通ってフィルタチャンバのドレンゾーンに出て、そしてフィルタチャンバからのドレン部に出る。ポリマーメルトは、ポンプを介してフィルタ装置に供給される。フィルタカートリッジの代わりに、積層ディスクフィルタを用いることもできる。
【0004】
複式フィルタの装置のフィルタ手段の両方は、常に交互に運転され、これにより、汚染された大面積フィルタを有する一方のフィルタチャンバが汚染された場合、清潔な他方の大面積フィルタを有する他方のフィルタチャンバに切り替えることが可能である。これは、常時連続運転を確保する。
【0005】
一方のフィルタ手段から他方のフィルタ手段に切り替えるために、流入部およびドレン部における弁が適宜切り替えられる。汚染された大面積フィルタを含むフィルタチャンバへの流入部における弁が閉じられ、汚染された大面積フィルタを含むフィルタチャンバからのドレン部におけるドレン弁も閉じられる。同時に、清潔な大面積フィルタを含む他方のフィルタチャンバへの流入弁が開かれ、清潔な大面積フィルタを含むフィルタチャンバからのドレン部におけるドレン弁も開かれる。汚染された大面積フィルタを含むフィルタチャンバにおけるポリマーメルトが、流入部におけるドレン弁を介して排出される。そして、汚染された大面積フィルタを含むフィルタチャンバ全体がフィルタ装置から取り外されるか、フィルタチャンバが開かれて、フィルタカートリッジを有する分配器が取り外され、洗浄のために運び出される。ポリマーの種類に応じて、熱分解プロセス、化学溶液、超音波槽、高圧洗浄機が洗浄のために用いられ、これらは、プラスチックおよび濾過で取り除かれた異物をフィルタカートリッジの側壁部から除去する。
【0006】
しかしながら、従来技術のフィルタ装置の運転方法の欠点は、複式フィルタ装置の使用されていない並列フィルタユニットの故に、総フィルタ表面が常に、複式フィルタ装置の基本運転モードで使用されるものの2倍の大きさであることである。この結果、投資コストが極めて高く、資本が拘束される。また、特にフィルタ手段を洗浄のために専門会社に運ばなければならない場合、洗浄に極めて多大な労力と時間がかかる。また、これまで必要とされてきた洗浄プロセスは、環境の観点から不利である。
【発明の概要】
【0007】
したがって、本発明の目的は、前述の欠点を回避しつつも、フィルタ装置の効率が向上し、それでもなお連続運転が確保されるように、請求項1のプリアンブルに規定された種類のフィルタ装置の運転方法をさらに発展させることである。
【0008】
この目的は、フィルタ装置の運転方法について、請求項1の特徴とそのプリアンブルの特徴との組み合わせによって達成される。
【0009】
従属項は、本発明の有利なさらなる実施形態に関する。
【0010】
本発明は、フィルタチャンバの両方の並行運転が総フィルタ表面を縮小させ、したがって複式フィルタ装置の全体のサイズが半分となり、かなりのコスト利点が得られ、かつ、一方の大面積フィルタの汚染の際には、この一方が、他方の大面積フィルタで既に濾過されたポリマーメルトでの逆洗によって洗浄されつつも、他方の大面積フィルタのみを使用して濾過が継続されるという見識に基づいている。連続運転は、逆洗中も維持される。
【0011】
したがって、本発明は、第1大面積フィルタおよび第2大面積フィルタの両方に濾過方向に同時に供給される濾過対象のポリマーメルトに供する。基本運転モードでは、第1および第2大面積フィルタを介する並行かつ同時の濾過が連続的に行われる。逆洗運転モードでは、濾過対象のポリマーメルトの濾過が一方の大面積フィルタのみを使用して実行される。逆洗運転モードは、大面積フィルタの両方が所定の汚染度に到達したとき、つまり逆洗運転モードを使用して第1大面積フィルタを洗浄する必要があるときに開始される。
【0012】
第1大面積フィルタを洗浄した後、第2大面積フィルタを逆洗によって洗浄することができる。一方の大面積フィルタの逆洗は、常に他方の大面積フィルタの逆洗を要する。
【0013】
好ましくは、逆洗運転モード中に、濾過済みポリマーメルトの流れ方向を反転させ、それを一方の大面積フィルタに通させることにより、この一方の大面積フィルタから異物が除去される。これは、複雑な多段階の洗浄プロセスの必要性を排除するシンプルな方法であり、それによってフィルタ装置の効率が向上する。
【0014】
特に、一方の大面積フィルタについての所定のパラメータが満たされると、この大面積フィルタについて逆洗運転が開始される。これらの所定のパラメータは、この大面積フィルタの汚染度に関連している。
【0015】
一方の大面積フィルタを洗浄した後、好ましくは続いて他方の大面積フィルタを洗浄した後、複式フィルタ装置は、逆洗パラメータが再び満たされて次の逆洗サイクルが引き起こされるまで、大面積フィルタの両方の並行フィルタ運転を伴う基本運転モードに戻る。基本運転モードと逆洗運転モードとを何度も交互に行うことができ、これにより複式フィルタ装置の寿命が長くなる。
【0016】
本発明の特定の実施形態では、逆洗運転モード中に、この一方の大面積フィルタへの流入が中断され、他方の大面積フィルタの濾過済みポリマーメルトの少なくとも一部が、一方の大面積フィルタのドレン部を介して濾過方向に反して供給され、当該一方の大面積フィルタを逆洗によって洗浄するために当該一方の大面積フィルタに通され、そして排出される。したがって、既に濾過されたポリマーメルトが、汚染された大面積フィルタを洗浄するために用いられる。濾過済みポリマーメルトは、そして大面積フィルタから異物を吸収し、排出されて廃棄される。
【0017】
汚染されたポリマーメルトを当該一方の大面積フィルタから排出するために、流入部の領域に配置された弁を開くことができ、他方の大面積フィルタによって濾過された後に当該一方の大面積フィルタを通って逆洗されたポリマーメルトを、当該弁を介して排出することができる。
【0018】
好ましくは、逆洗運転モードでは、当該一方の大面積フィルタのフィルタチャンバの容積の少なくとも1倍、好ましくは1.5倍、好ましくは2倍が、流入部における弁を介して排出される。所定の量の逆洗ポリマーメルトが、大面積フィルタの十分な洗浄を確実にするために用いられる。
【0019】
逆洗運転モードにおいてもポリマーメルトが連続的に送られるのを確実にするために、この一方の大面積フィルタのドレン部は、逆洗用の関連するドレン弁を介して、例えば2/3、1/3または1/2だけ部分的に閉じられ、これにより、他方の大面積フィルタからの濾過済みポリマーメルトの一部のみが洗浄のために一方の大面積フィルタに供給される。
【0020】
一方の大面積フィルタの流入弁またはドレン弁を手短に開閉し、したがって濾過済みポリマーメルトを、好ましくは間隔をおいて数回、特に間欠的に、一方の大面積フィルタを通して流すことにより、逆洗運転モードにおける洗浄効果を向上させることができる。
【0021】
好ましくは、濾過対象のポリマーメルトは、特にプラスチック原料、好ましくはケミカルリサイクルからの溶融プラスチックを含む、例えば100mPasの低粘度のポリマーメルトである。
【0022】
最大3μmの濾過精度を有する大面積フィルタを用いることができる。これは、特に小さい異物をポリマーメルトから除去する。
【0023】
本発明による方法は、好ましくは、45m2以上255m2以下のフィルタ表面を有する大面積フィルタを用いる。
【0024】
本発明による方法は、特に、1bar以上100bar以下の差圧に対応する大面積フィルタを用いる。
【0025】
大面積フィルタの汚染度を判定するために、逆洗運転モードのための大面積フィルタについての所定のパラメータが、大面積フィルタの上流の濾過対象のポリマーメルトにおける圧力によって構成される。付加的または代替的に、所定のパラメータを、大面積フィルタの上流の濾過対象のポリマーメルトと大面積フィルタの下流の濾過済みポリマーメルトとに生じる差圧によって構成することもできる。圧力測定は、大面積フィルタが経時的に段々と詰まり、大面積フィルタの上流の圧力増大および差圧に直接的に影響することから、大面積フィルタの汚染度を判定するのに特に好適な手段である。これは、汚染度を判定し、必要な場合に逆洗運転モードを開始させるのを容易にする。
【0026】
所定のパラメータを大面積フィルタの運転時間によって構成することも可能である。所定の運転時間は、特に濾過対象のポリマーメルトとの経験、すなわち大面積フィルタが汚染されるまでに平均でどれぐらいの時間がかかるかを反映する。
【0027】
本発明による方法では、基本運転モードでは大面積フィルタを通る濾過方向の層流が存在し、逆洗運転モードでは大面積フィルタを通る濾過方向に反する脈流が存在する。
【0028】
好ましくは、逆洗対象のフィルタチャンバのドレン側のポリマーメルトにおける圧力は、逆洗運転モードで、フィルタチャンバのドレン側の下流に配置されたメルトポンプによって生じる。
【0029】
逆洗対象のフィルタチャンバのドレン側には、逆洗運転モードで、逆洗運転モードが開始される直前の大面積フィルタの差圧と比較してポリマーメルトに高い圧力が存在する。
【0030】
逆洗運転モードで、逆洗対象の大面積フィルタを有するフィルタチャンバのドレン側のポリマーメルトにおける圧力を、その下流に配置されたスロットルまたはメルトポンプなどの、配管および/またはシステム構成要素によって生じさせることができる。
【0031】
そして例えば、逆洗運転モードで、大面積フィルタの下流に配置されたスロットルを完全に閉じ、第2大面積フィルタを逆洗するために第1大面積フィルタからの濾過済みポリマーメルト全体を用いることが可能である。
【0032】
特に、フィルタ装置を実行する方法は、第1大面積フィルタが配置された第1フィルタチャンバと、第2大面積フィルタが配置された第2フィルタチャンバと、第1フィルタチャンバへの第1流入弁を含む第1流入部と、第2フィルタチャンバへの第2流入弁を含む第2流入部と、第1フィルタチャンバからの第1ドレン部と、第2フィルタチャンバからの第2ドレン部と、第1ドレン部における第1ドレン弁と、第2ドレン部における第2ドレン弁とを備える。好ましくは、流入弁およびドレン弁は、油圧式および/または電動式であるように設計され、基本運転モードを設定し逆洗運転モードを設定するために流入弁およびドレン弁を制御する制御装置が設けられる。
【0033】
ポリマーメルトにおける圧力を測定するために、フィルタチャンバの上流および下流に圧力センサを設けることができ、これは、個々のフィルタチャンバにおける大面積フィルタの汚染度を判定するために必要となり得る。
【0034】
さらに具体的には、ポリマーメルトにおける圧力を測定するための圧力センサを、メルト管における大面積フィルタの上流および下流に設けることができ、したがって、大面積フィルタにかかる差圧の検出が可能となる。
【0035】
本発明の一実施形態では、フィルタチャンバにおける大面積フィルタのフィルタ表面は、積層ディスクフィルタまたはフィルタカートリッジで構成される。
【0036】
製造およびメンテナンスを簡略化するために、個々のフィルタチャンバ、大面積フィルタ、流入弁および/またはドレン弁は、すべて設計が同一である。
【0037】
例えば、共通ドレン管および/または左右のドレン管にメルトポンプを配置することができ、これを、基本運転モードおよび逆洗運転モードの両方を制御するために用いることができる。
【0038】
本発明のさらなる利点、特徴および可能な適用が、図示された実施形態を参照する以下の説明から明らかになる。
【0039】
本明細書、特許請求の範囲および図面を通して、以下の参照符号のリストに記載されているように、それらの用語および関連する参照符号が用いられる。図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態によるフィルタ装置の基本運転モードを示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【
図3】
図3は、
図1のフィルタ装置の従来技術の運転モードを示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態によるフィルタ装置の基本運転モードを示す概略図である。
【
図5】
図5は、
図4のフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3実施形態によるフィルタ装置の基本運転モードを示す概略図である。
【
図7】
図7は、
図6のフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の第4実施形態によるフィルタ装置の基本運転モードを示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図8のフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1~
図2には、本発明の第1実施形態による、濾過対象のポリマーメルトのためのフィルタ装置10が示されている。フィルタ装置10は、左フィルタチャンバ12と右フィルタチャンバ14とを備える。フィルタチャンバ12の下部領域12aとフィルタチャンバ14の下部領域14aとは、それぞれ分配器として設計されている。流入管16,18は、下部領域12a,14aと接続されており、左流入管16は、左フィルタチャンバ12の下部領域12aで終端しており、右流入管18は、右フィルタチャンバ14の下部領域14aで終端している。
【0042】
流入管16,18の、フィルタチャンバ12,14から遠い側部では、これらの管が共通流入管20と接続されている。共通流入管20の領域では、左流入管16が左ストップ弁22を有し、右流入管18が右ストップ弁24を有する。左ストップ弁22を左フィルタチャンバ12への濾過対象のポリマーメルトの流れを制御するために用いることができ、右ストップ弁24を右フィルタチャンバ14への濾過対象のポリマーメルトの流れを制御するために用いることができる。
【0043】
左ドレン弁26は、左ストップ弁22の、基本運転モードにおけるポリマーメルトの流れ方向における下流に接続されており、右ドレン弁28は、右ストップ弁24の下流に接続されている。ポリマーメルトを、必要に応じて左右のドレン弁26,28を介して個々の流入管16,18から排出することができる。
【0044】
左フィルタチャンバ12には、複数個のフィルタカートリッジ30aを有する左大面積フィルタ30が配置されている。右フィルタチャンバ14には、複数個のフィルタカートリッジ32aを有する右大面積フィルタ32が配置されている。フィルタカートリッジ30a,32aは、互いに平行に縦に揃えられていて、上部領域で、それぞれ左分配器34または右分配器36で終端している。各大面積フィルタは、例えば169個のフィルタカートリッジを備える。
【0045】
フィルタカートリッジ30aは、左分配器34で終端しており、これにより、フィルタカートリッジ30aに外側から内側に通されたポリマーメルトは、左分配器34で合流し、フィルタチャンバ12の上部と接続された左ドレン管38を介して排出される。
【0046】
フィルタカートリッジ32aは、右分配器36で終端しており、これにより、フィルタカートリッジ32aに外側から内側に通されたポリマーメルトは、右分配器36で合流し、フィルタチャンバ14の上部と接続された右ドレン管40を介して排出される。
【0047】
左ドレン管38および右ドレン管40は、共通ドレン管42に合流する。
【0048】
共通ドレン管42の上流には、左ドレン管38に左ストップ弁44が取り付けられており、右ドレン管40に右ストップ弁46が取り付けられている。左ストップ弁44および右ストップ弁46を、それぞれ左ドレン管38および右ドレン管40を遮断および開放するために用いることができる。
【0049】
左ベント弁48は、基本運転モードにおけるポリマーメルトの流れ方向に関して左ストップ弁44の上流に接続されている。同様に、右ベント弁50は、基本運転モードにおけるポリマーメルトの流れ方向に関して右ストップ弁46の上流に接続されている。これらのベント弁をフィルタ装置10のそれぞれのサイドをベントするために用いることができる。
【0050】
濾過対象のポリマーメルトは、メルトポンプ(詳細に図示しない)によって、またはプロセスによって引き起こされ共通流入管20にかかるメルト圧力によって、フィルタチャンバ12,14における大面積フィルタ30,32を通って共通ドレン管42に送られ、こうしてフィルタ装置10を通って送られる。大面積フィルタ30,32の上流および下流でポリマーメルトに異なる圧力が生じる。この差圧を測定するために、圧力センサ56が個々の大面積フィルタ39,32の上流に設けられていて、圧力センサ58が個々の大面積フィルタ30,32の下流に設けられている。
【0051】
フィルタ装置10の両サイドは、同じ構成要素を有し、すなわちフィルタチャンバ12は、フィルタチャンバ14に対応しており、大面積フィルタ30は、大面積フィルタ32に対応しており、他も同様である。
【0052】
大面積フィルタ30,32には、最大3μmの濾過精度が用いられる。好ましくは、一方の大面積フィルタ30,32のフィルタ表面は、45m2以上255m2以下の範囲内である。大面積フィルタ30,32にかかる差圧は、1bar以上100bar以下である。
【0053】
基本運転モードでは、濾過対象のポリマーメルトが、左大面積フィルタ30および右大面積フィルタ32の両方に、
図1における矢印52によって示されるように濾過方向に同時に供給される。したがって、並行濾過が左右の大面積フィルタ30,32によって連続的に実行される。基本運転モードは、
図1に示されている。
【0054】
この場合、左流入管16における左ストップ弁22および右流入管18における右ストップ弁24、ならびに左ドレン管38における左ストップ弁44および右ドレン管40における右ストップ弁46は、すべて開いている。共通流入管20を介して、濾過対象のポリマーメルトは、左流入管16および右流入管18内に等しい割合で流れる。
【0055】
左流入管16から、分配器12aに含まれる濾過対象のポリマーメルトは、フィルタチャンバ12内に広がり、フィルタカートリッジ30aのフィルタ壁部を貫通する。フィルタカートリッジ30aから濾過されたばかりのポリマーメルトは、分配器34を介して再混合され、左ドレン管38を介して、開いた左ストップ弁44を通って共通ドレン管42内に流れる。
【0056】
同様に、右流入管18を通って供給された分配器14a内の濾過対象のポリマーメルトは、フィルタチャンバ14内に流れ、フィルタカートリッジ32aのフィルタ壁部を貫通する。フィルタカートリッジ32aから濾過されたばかりのポリマーメルトは、分配器36を介して再混合され、右ドレン管40を介して、開いた右ストップ弁46を通って共通ドレン管42内に流れる。
【0057】
図2には、逆洗運転モード、すなわち右大面積フィルタ32の逆洗およびこれによる洗浄が示されている。濾過済みポリマーメルトの流れ方向を反転させ、ポリマーメルトを右大面積フィルタ32に通させることにより、濾過済みポリマーメルトを用いてフィルタから異物が除去される。逆洗運転モードでは、左大面積フィルタ30のみを使用して濾過が継続される。左大面積フィルタ30の逆洗中およびこれによる洗浄中では、ポリマーメルトが右大面積フィルタ32のみによって濾過される。
【0058】
逆洗運転モードは、2つの大面積フィルタ30および32が所定の汚染度に到達するとすぐに、すなわち逆洗運転モードを使用して大面積フィルタ30,32を洗浄する必要が生じるとすぐに、開始される。
【0059】
図2に示された例では、所定の汚染度が到達され、右大面積フィルタ32についての逆洗運転モードが開始される。
【0060】
右サイドでの逆洗運転モードを開始させるために、まず右ストップ弁24が閉じられ、したがって右流入管18が塞がれる。次に右ストップ弁46が閉じられ、右ドレン管40が塞がれる。続いて、右ドレン弁28が開かれ、ポリマーメルトが右流入管18から出ることが可能となる。そして右ストップ弁46が右大面積フィルタ32を通る逆洗を引き起こすように再び開かれる。右ストップ弁46の開閉を所定の時間間隔で行うことができ、その結果、脈動逆洗運転モードが生じる。代替的に、全逆洗プロセスの間、ストップ弁46を開くこともでき、逆洗されたポリマーメルトは、右大面積フィルタ32を通って層流で流れる。
【0061】
逆洗が完了すると、右ドレン弁28が閉じられ、そして右ストップ弁24が開かれる。こうしてフィルタ装置10は、基本運転モードに戻る。
【0062】
右大面積フィルタ32の逆洗運転モードでは、濾過済みポリマーメルトの流れ方向が反転され、濾過済みポリマーメルトが右大面積フィルタ32を通り、したがって異物が除去される。ポリマーメルトは、もっぱら左大面積フィルタ30を介して濾過される。濾過済みポリマーメルトは、フィルタカートリッジ32aを有する大面積フィルタ32が完全に洗浄されるまで、矢印54によって示されるように濾過方向に反して流される。その際に、原則として右フィルタチャンバ14の容積の1倍以上2倍以下が排出される。
【0063】
右大面積フィルタ32の逆洗運転モードが完了し、基本運転モードが再開されると、逆洗運転モードが左大面積フィルタ30について自動的に開始される。
【0064】
左サイドでの逆洗運転モードを開始させるために、まず左ストップ弁22が閉じられ、したがって左流入管16が塞がれる。そして左ストップ弁44が閉じられ、左ドレン管38が塞がれる。続いて、左ドレン弁26が開かれ、ポリマーメルトが左流入管16から出ることが可能となる。そして左ストップ弁44が再び開かれ、左大面積フィルタ30を通る逆洗を引き起こす。左ストップ弁44の開閉を所定の時間間隔で行うことができ、その結果、左大面積フィルタ30を通る脈動逆洗モードが生じる。代替的に、全逆洗運転の間、ストップ弁44を開くこともでき、逆洗されたポリマーメルトは、左大面積フィルタ30を通って層流で流れる。
【0065】
左大面積フィルタ30の逆洗中、ポリマーメルトは、もっぱら右大面積フィルタ32を介して濾過される。濾過済みポリマーメルトは、フィルタカートリッジ30aを有する大面積フィルタ30が完全に洗浄されるまで、矢印54によって示されるように濾過方向に反して流される。その際に、原則として左フィルタチャンバ12の容積の1倍以上2倍以下が排出される。
【0066】
左大面積フィルタ30が洗浄されると、逆洗運転モード、したがって大面積フィルタ30および32の両方が順次洗浄される逆洗サイクルが終了し、前述のように基本運転モードが再び開始される。
【0067】
逆洗サイクルは、逆洗運転モードについての所定のパラメータが満たされるとすぐに開始される。これらのパラメータを、圧力センサ56によって測定される、大面積フィルタ30,32の上流で濾過対象のポリマーメルトに生じる圧力によって構成することができる。付加的または代替的に、これらのパラメータを、大面積フィルタ30,32の上流の濾過対象のポリマーメルトと大面積フィルタの下流の濾過済みポリマーメルトとに生じる差圧によって構成することができ、圧力は、それぞれ圧力センサ56および58によって測定される。付加的または代替的に、パラメータをこの大面積フィルタ30,32についての試運転および/または最後の逆洗からの運転時間によって構成することもできる。
【0068】
流入管16,18におけるストップ弁22,24、流入管16,18におけるドレン弁26,28、ドレン管38,40におけるストップ弁44,46ならびにドレン管38,40におけるベント弁48,50は、油圧式および/または電動式であり、制御装置60によって制御される。この目的のために、制御ユニット60は、対応するアクチュエータと接続されている。わかりやすくするために、管の接続部分および弁アクチュエータを図示していない。さらに、制御装置60は、ポリマーメルトにおけるそれぞれの圧力を測定するための圧力センサ56および58と接続されている。
【0069】
既に説明したように、逆洗運転モードでのドレン管38,40におけるストップ弁44,46の一定の設定、例えば1/3だけ閉じられる設定の代わりに、逆洗対象の大面積フィルタ30,32のドレン管38,40におけるストップ弁44,46を短時間だけ連続的に開閉することにより、この大面積フィルタ30,32を通る濾過済みポリマーメルトの間欠的な流れを引き起こすことができる。基本運転モードおよび逆洗運転モードの両方は、制御ユニットを介して制御される。
【0070】
図4および
図5には、本発明のさらに他の実施形態が示されている。これは、本質的に、
図1および
図2を参照して説明した実施形態に対応する。したがって、同じ参照符号が同じ部品を指すために用いられている。唯一の相違点は、調整式スロットル62が共通ドレン管42に取り付けられていることである。
図4は、基本運転モードを示しており、
図5は、右サイドでの逆洗運転モードを示している。右サイドでの逆洗運転モードでは、調整式スロットル62が、スロットル62の上流の圧力が増大し、したがってポリマーメルトが右大面積フィルタ32内に逆洗されることを確実にするために用いられる。
【0071】
図6および
図7には、本発明のさらに他の実施形態が示されている。これは、本質的に、
図1および
図2を参照して説明した実施形態に対応する。したがって、同じ参照符号が同じ部品を指すために用いられている。唯一の相違点は、調整式スロットル64が共通ドレン管42に取り付けられていることである。
図6は、基本運転モードを示しており、
図7は、右サイドでの逆洗運転モードを示している。右サイドでの逆洗運転モードでは、調整式スロットル64が、スロットル64の上流の圧力が増大し、したがってポリマーメルトが右大面積フィルタ32内に逆洗されることを確実にするために用いられる。
【0072】
図8および
図9には、本発明のさらに他の実施形態が示されている。これは、本質的に、
図1および
図2を参照して説明した実施形態に対応する。したがって、同じ参照符号が同じ部品を指すために用いられている。唯一の相違点は、左制御メルトポンプ66が左ドレン管38に取り付けられており、右制御メルトポンプ68が右ドレン管40に取り付けられていることである。
図8は、基本運転モードを示しており、
図9は、右サイドでの逆洗運転モードを示している。右サイドでの逆洗運転モードでは、制御メルトポンプ66および68が、ポリマーメルトが右大面積フィルタ32内に逆洗されることを確実にするために用いられる。
【0073】
図10は、本発明のさらに他の実施形態を示している。これは、本質的に、
図1および
図2を参照して説明した実施形態に対応する。したがって、同じ参照符号が同じ部品を指すために用いられている。この図は、スロットル62を閉じた状態での逆洗運転モードを示していて、これにより、左大面積フィルタ30からの洗浄されたポリマー全体の流れが、右大面積フィルタ32内に流れ、洗浄のためにこれを逆向きに通って流れる。
【0074】
本発明は、既に濾過されたポリマーメルトを用いて大面積フィルタ30,32を洗浄するシンプルな方法を提供することを特徴とする。これは、コストを著しく削減し、基本運転モードで大面積フィルタ30,32の両方を同時に運転することにより、フィルタ装置10のサイズを大幅に縮小することができる。
【符号の説明】
【0075】
10 フィルタ装置
12 左フィルタチャンバ
12a 左フィルタチャンバ12の下部領域
14 右フィルタチャンバ
14a 右フィルタチャンバ14の下部領域
16 左流入管
18 右流入管
20 共通流入管
22 左ストップ弁
24 右ストップ弁
26 左ドレン弁
28 右ドレン弁
30 左大面積フィルタ
30a 左大面積フィルタ30のフィルタカートリッジ
32 右大面積フィルタ
32a 右大面積フィルタ32のフィルタカートリッジ
34 左分配器
36 右分配器
38 左ドレン管
40 右ドレン管
42 共通ドレン管
44 左ストップ弁
46 右ストップ弁
48 左ベント弁
50 右ベント弁
52 基本運転におけるポリマーメルトの流れ方向を示す矢印
54 逆洗運転におけるポリマーメルトの流れ方向を示す矢印
56 大面積フィルタ30,32の上流の圧力センサ
58 大面積フィルタ30,32の下流の圧力センサ
60 制御装置
62 調整式スロットル
64 制御メルトポンプ
66 左制御メルトポンプ
68 右制御メルトポンプ
【手続補正書】
【提出日】2024-06-27
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0040
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0040】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態によるフィルタ装置の基本運転モードを示す概略図である。
【
図2】
図2は、
図1のフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【
図3】
図3は、
図1のフィルタ装置の従来技術の運転モードを示す概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態によるフィルタ装置の基本運転モードを示す概略図である。
【
図5】
図5は、
図4のフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【
図6】
図6は、本発明の第3実施形態によるフィルタ装置の基本運転モードを示す概略図である。
【
図7】
図7は、
図6のフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【
図8】
図8は、本発明の第4実施形態によるフィルタ装置の基本運転モードを示す概略図である。
【
図9】
図9は、
図8のフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【
図10】
図10は、本発明の第5実施形態によるフィルタ装置の逆洗運転モードを示す概略図である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0050】
濾過対象のポリマーメルトは、メルトポンプ(詳細に図示しない)によって、またはプロセスによって引き起こされ共通流入管20にかかるメルト圧力によって、フィルタチャンバ12,14における大面積フィルタ30,32を通って共通ドレン管42に送られ、こうしてフィルタ装置10を通って送られる。大面積フィルタ30,32の上流および下流でポリマーメルトに異なる圧力が生じる。この差圧を測定するために、圧力センサ56が個々の大面積フィルタ30,32の上流に設けられていて、圧力センサ58が個々の大面積フィルタ30,32の下流に設けられている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項21
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1つに記載の方法を実行するためのフィルタ装置(10)であって、
第1大面積フィルタ(30,32)が配置された第1フィルタチャンバ(12,14)と、
第2大面積フィルタ(30,32)が配置された第2フィルタチャンバ(12,14)と、
前記第1フィルタチャンバ(12,14)への第1流入弁(22,24)を有する第1流入部(16,18)と、
前記第2フィルタチャンバ(12,14)への第2流入弁(22,24)を有する第2流入部(16,18)と、
前記第1フィルタチャンバ(12,14)からの第1ドレン部(36,38)と、
前記第2フィルタチャンバ(
12,14)からの第2ドレン部(36,38)と、
前記第1ドレン部(38,40)に設けられた第1ドレン弁(44,46)と、
前記第2ドレン部(38,40)に設けられた第2ドレン弁(44,46)とを備え、
前記流入弁(22,24)および前記ドレン弁(44,46)は、油圧式および/または電動式であるように設計され、
前記基本運転モードおよび前記逆洗運転モードをそれぞれ設定するために前記流入弁(22,24)および前記ドレン弁(44,46)を制御する制御装置(60)が設けられていることを特徴とするフィルタ装置。
【国際調査報告】