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特表2024-540062抗CLDN18.2抗体及びその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】抗CLDN18.2抗体及びその用途
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/18 20060101AFI20241024BHJP
   C12N 15/63 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/62 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C07K16/18
C12N15/63 Z
C12N15/12
C12N15/13
C07K16/46
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12N5/10
A61P35/00
A61P35/02
A61K39/395 N
A61K39/395 T
A61K39/395 D
A61K39/395 E
A61K48/00
C12N15/62 Z ZNA
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525253
(86)(22)【出願日】2022-11-04
(85)【翻訳文提出日】2024-05-15
(86)【国際出願番号】 CN2022129834
(87)【国際公開番号】W WO2023078386
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】202111307619.3
(32)【優先日】2021-11-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516089784
【氏名又は名称】チア タイ ティエンチン ファーマシューティカル グループ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Chia Tai Tianqing Pharmaceutical Group Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.369 Yuzhou South Rd.,Lianyungang,Jiangsu 222062 China
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(72)【発明者】
【氏名】イン、シュソン
(72)【発明者】
【氏名】リュウ、フゥイ
(72)【発明者】
【氏名】ザオ、カイディ
(72)【発明者】
【氏名】ザン、ゼンピン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA90X
4B065AA90Y
4B065AB01
4B065BA02
4B065CA43
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA31
4C084MA52
4C084MA56
4C084MA57
4C084MA58
4C084MA59
4C084MA60
4C084MA65
4C084MA66
4C084NA14
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C085AA13
4C085AA14
4C085BB31
4C085BB36
4C085BB41
4C085BB43
4C085CC22
4C085CC23
4C085DD62
4C085EE01
4C085GG01
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C085GG08
4C085GG10
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA41
4H045DA76
4H045EA28
4H045FA74
4H045GA26
(57)【要約】
CLDN18.2と特異的に結合するマウス、ヒト、キメラ又はヒト化抗体又はその抗原結合断片を提供し、また、前記抗体又はその抗原結合断片をコードする核酸分子、及び前記抗体又はその抗原結合断片を発現するための発現ベクター及び宿主細胞を提供する。さらに、CLDN18.2陽性に関連する疾患の治療を含む前記抗体又はその抗原結合断片の使用方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
単離された抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片であって、
(i)重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)重鎖CDR1は配列番号11における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号11における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号11における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖CDR1は配列番号12における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号12における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号12における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖CDR1は配列番号13における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号13における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号13における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖CDR1は配列番号14における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号14における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号14における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖CDR1は配列番号15における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号15における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号15における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖CDR1は配列番号29における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号29における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号29における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖CDR1は配列番号30における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号30における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号30における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖CDR1は配列番号31における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号31における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号31における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖CDR1は配列番号32における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号32における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号32における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(10)重鎖CDR1は配列番号33における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号33における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号33における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(11)重鎖CDR1は配列番号43における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号43における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号43における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(12)重鎖CDR1は配列番号51における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号51における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号51における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、又は
(13)重鎖CDR1は配列番号59における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号59における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号59における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、及び/又は
(ii)軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)軽鎖CDR1は配列番号16における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号16における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号16における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(2)軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(3)軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(4)軽鎖CDR1は配列番号34における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号34における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号34における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(5)軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(6)軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(7)軽鎖CDR1は配列番号44における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号44における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号44における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(8)軽鎖CDR1は配列番号52における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号52における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号52における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、又は
(9)軽鎖CDR1は配列番号60における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号60における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号60における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む、前記抗体又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記抗体又はその抗原結合断片が、
(i)重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、4、7で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、4、7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、5、7で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、5、7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、6、7で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、6、7で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、20、24で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、20、24で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、21、24で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、21、24で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、22、24で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、22、24で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、23、24で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、23、24で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号37、38、39で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号37、38、39で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号45、46、47で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号45、46、47で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は
(10)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号53、54、55で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号53、54、55で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、及び/又は
(ii)軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号8、9、10で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号8、9、10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(2)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(3)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(4)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号40、41、42で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号40、41、42で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(5)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号48、49、50で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号48、49、50で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は
(6)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号56、57、58で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号56、57、58で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記抗体若しくはその抗原結合断片が、重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3と、軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)重鎖CDR1は配列番号11における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号11における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号11における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号16における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号16における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号16における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖CDR1は配列番号12における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号12における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号12における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖CDR1は配列番号13における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号13における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号13における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖CDR1は配列番号14における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号14における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号14における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖CDR1は配列番号15における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号15における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号15における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖CDR1は配列番号12における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号12における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号12における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖CDR1は配列番号13における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号13における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号13における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖CDR1は配列番号14における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号14における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号14における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖CDR1は配列番号15における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号15における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号15における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(10)重鎖CDR1は配列番号29における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号29における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号29における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号34における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号34における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号34における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(11)重鎖CDR1は配列番号30における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号30における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号30における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(12)重鎖CDR1は配列番号31における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号31における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号31における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(13)重鎖CDR1は配列番号32における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号32における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号32における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(14)重鎖CDR1は配列番号33における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号33における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号33における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(15)重鎖CDR1は配列番号30における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号30における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号30における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(16)重鎖CDR1は配列番号31における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号31における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号31における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(17)重鎖CDR1は配列番号32における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号32における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号32における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(18)重鎖CDR1は配列番号33における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号33における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号33における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(19)重鎖CDR1は配列番号43における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号43における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号43における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号44における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号44における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号44における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(20)重鎖CDR1は配列番号51における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号51における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号51における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号52における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号52における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号52における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、又は
(21)重鎖CDR1は配列番号59における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号59における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号59における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号60における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号60における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号60における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
又は、前記抗体若しくはその抗原結合断片が、重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3と、軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、4、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、4、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、5、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、5、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、6、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、6、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、20、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、20、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、21、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、21、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、22、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、22、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、23、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、23、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、20、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、20、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、21、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、21、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(10)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、22、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、22、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(11)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、23、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、23、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(12)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号37、38、39、40、41、42で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号37、38、39、40、41、42で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(13)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号45、46、47、48、49、50で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号45、46、47、48、49、50で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は
(14)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号53、54、55、56、57、58で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号53、54、55、56、57、58で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1又は2に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項4】
前記抗体又はその抗原結合断片が、キメラ又はヒト化されたものである、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記抗体又はその抗原結合断片が、
(i)配列番号11、12、13、14、15、29、30、31、32、33、43、51若しくは59で示されるアミノ酸配列、又は配列番号11、12、13、14、15、29、30、31、32、33、43、51若しくは59で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、及び/又は
(ii)配列番号16、17、18、34、35、36、44、52若しくは60で示されるアミノ酸配列、又は配列番号16、17、18、34、35、36、44、52若しくは60で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項6】
前記抗体又はその抗原結合断片が、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含み、ただし、
(1)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号11、16で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号11、16で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号12、17で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号12、17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号13、17で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号13、17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号14、17で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号14、17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号15、17で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号15、17で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号12、18で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号12、18で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号13、18で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号13、18で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号14、18で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号14、18で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号15、18で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号15、18で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(10)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号29、34で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号29、34で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(11)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号30、35で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号30、35で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(12)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号31、35で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号31、35で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(13)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号32、35で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号32、35で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(14)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号33、35で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号33、35で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(15)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号30、36で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号30、36で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(16)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号31、36で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号31、36で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(17)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号32、36で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号32、36で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(18)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号33、36で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号33、36で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(19)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号43、44で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号43、44で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(20)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号51、52で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号51、52で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は
(21)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号59、60で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号59、60で示されるアミノ酸配列と少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記抗体又はその抗原結合断片が、IgG1、IgG2又はIgG4アイソタイプである、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記抗体又はその抗原結合断片が、重鎖定常領域と、軽鎖定常領域とをさらに含み、前記重鎖定常領域は、配列番号61で示されるアミノ酸配列又は配列番号61で示されるアミノ酸配列と比べて1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失及び付加を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖定常領域は、配列番号62で示されるアミノ酸配列又は配列番号62で示されるアミノ酸配列と比べて1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失及び付加を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記抗体又はその抗原結合断片が、(a)ヒトCLDN18.2と結合し、(b)CLDN18.2を発現する細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を誘導し、及び/又は(c)CLDN18.2を発現する細胞に対する補体依存性細胞傷害(CDC)活性を誘導する、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項10】
前記抗体又はその抗原結合断片が、モノクローナル抗体、単特異性抗体、ナノボディ、Fab断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、dAb断片、単離されたCDR領域、単鎖Fv分子又はそれらの組み合わせから選ばれる、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片をコードする、単離された核酸分子。
【請求項12】
請求項11に記載の核酸分子を含む、発現ベクター。
【請求項13】
請求項11に記載の核酸分子又は請求項12に記載の発現ベクターを含む、宿主細胞。
【請求項14】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片を含む、多重特異性抗体。
【請求項15】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と、それに接続された機能性断片とを含む、組換えポリペプチド又は融合タンパク質。
【請求項16】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と、それに接続された治療剤とを含む、イムノコンジュゲート。
【請求項17】
請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体又はその抗原結合断片と、1種又は複数種の薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、医薬組成物。
【請求項18】
必要とする被験者でCLDN18.2陽性に関連する疾患を予防、緩和又は治療する方法であって、前記被験者に治療有効量の請求項1~10のいずれか一項に記載の抗体若しくはその抗原結合断片、又は請求項17に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
【請求項19】
前記CLDN18.2陽性に関連する疾患は、がんを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記がんは、胃がん、食道がん、消化管がん、膵臓がん、肝がん、肺がん、気管支がん、中皮腫、腎がん、卵巣がん、乳がん、膀胱がん、子宮がん、前立腺がん、精巣がん、肛門がん、膣がん、胆管がん、胆嚢がん、頭頸部がん、脊椎腫瘍、耳鼻咽喉科領域の腫瘍、甲状腺がん、中皮腫、骨がん、皮膚がん、黒色腫、腺がん、肉腫、神経芽細胞腫、膠芽腫、脳がん、中枢神経系がん、神経内分泌腫瘍、白血病、リンパ腫、骨髄腫を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2021年11月5日に提出された中国特許出願第202111307619.3号の国際出願に基づくもので、当該中国特許出願の優先権及び利益を主張する。前記出願に開示されている内容は参照により全体として本明細書に組み込まれる。
【技術分野】
【0002】
本願は、バイオテクノロジーの分野に属し、具体的には、タイトジャンクションタンパク質18.2(CLDN18.2)と結合する抗体及びその抗原結合断片に関し、且つ、そのような抗体及び抗原結合断片の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
タイトジャンクションタンパク質18(CLDN18又はClaudin18)は、細胞タイトジャンクションタンパク質のファミリーに属し、細胞間の密着結合の形成に参加し、細胞間分子の流れを制御し、細胞極性、透過性及び細胞間シグナル伝達を維持する上で重要な役割を果たしている。CLDN18は、N末端及びC末端がいずれも細胞内にあり、細胞外には2つのループ(Loop)領域が形成さている4回膜貫通タンパク質であり、RNAの選択的スプライシングにより、組織には2種類の異なるアイソフォーム、即ち、タイトジャンクションタンパク質18.1(CLDN18.1、例えば、ヒトCLDN18.1のUniprotアクセッション番号はP56856-1)及びタイトジャンクションタンパク質18.2(CLDN18.2、例えば、ヒトCLDN18.2のUniprotアクセッション番号はP56856-2)が存在している。
【0004】
CLDN18.1とCLDN18.2のタンパク質配列は類似度が高いが、発現分布は異なる。CLDN18.1は正常な肺組織の中に選択的に発現されるが、CLDN18.2は正常な組織では発現が非常に限られており、胃黏膜の分化した上皮細胞だけに特異的に発現される。70%の原発性胃がん及びその転移巣ではCLDN18.2が高発現されることが研究で分かり、また、膵臓がん、食道がん、肺がん、乳がん、卵巣がん、耳鼻咽喉科領域の腫瘍など、様々な悪性腫瘍ではCLDN18.2が頻繁に異所的に活性化されることも分かった(Niimi et al.,(2001)Mol Cell Biol 21(21):7380-7390、Sahin,U.et al..,(2008)Clin Cancer Res.14,7624-34、Tanaka et al.,(2011)J Histochem Cytochem 59(10):942-952、Micke et al.,(2014)Int J Cancer 135(9):2206-2214、Shimobaba et al.,(2016)Biochim Biophys Acta 1863(6Pt A):1170-1178、Sing h et al.,(2017)J Hema tol Oncol 10(1):105、Tokumitsu et al.,(2017)Cytopathology 28(2):116-121)。
【0005】
Ganymedによって開発されたCLDN18.2キメラIgG1抗体、クラウジキシマブ(Claudiximab、IMAB362)(Sahin et al.,(2018)Eur J Cancer 100:17-26)、PCT出願WO2020211792に開示されているCLDN18.2ヒト化抗体など、様々なCLDN18.2抗体は既にがん治療の研究に使用されている。臨床上、CLDN18.2に対する抗体がなおも多く必要とされている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様で、本願は、CLDN18.2と結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片はヒトCLDN18.2と結合する。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ネズミ抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体である。いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、モノクローナル抗体、単特異性抗体、多重特異性抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、dAb、単離されたCDR、単鎖Fv分子、ナノボディ、組換えポリペプチド、融合タンパク質、イムノコンジュゲート、又はそれらの組み合わせである。
【0007】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖CDR1(HCDR1)と、重鎖CDR2(HCDR2)と、重鎖CDR3(HCDR3)とを含み、ただし、
(1)重鎖CDR1は配列番号11における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号11における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号11における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖CDR1は配列番号12における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号12における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号12における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖CDR1は配列番号13における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号13における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号13における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖CDR1は配列番号14における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号14における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号14における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖CDR1は配列番号15における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号15における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号15における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖CDR1は配列番号29における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号29における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号29における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖CDR1は配列番号30における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号30における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号30における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖CDR1は配列番号31における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号31における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号31における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖CDR1は配列番号32における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号32における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号32における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(10)重鎖CDR1は配列番号33における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号33における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号33における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(11)重鎖CDR1は配列番号43における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号43における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号43における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(12)重鎖CDR1は配列番号51における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号51における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号51における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、又は
(13)重鎖CDR1は配列番号59における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号59における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして重鎖CDR3は配列番号59における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含む。
【0008】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、4、7で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、4、7で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、5、7で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、5、7で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、6、7で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、6、7で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、20、24で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、20、24で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、21、24で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、21、24で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、22、24で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、22、24で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、23、24で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、23、24で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号37、38、39で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号37、38、39で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号45、46、47で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号45、46、47で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は
(10)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3は、それぞれ、配列番号53、54、55で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号53、54、55で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0009】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、軽鎖CDR1(LCDR1)と、軽鎖CDR2(LCDR2)と、軽鎖CDR3(LCDR3)とを含み、ただし、
(1)軽鎖CDR1は配列番号16における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号16における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号16における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(2)軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(3)軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(4)軽鎖CDR1は配列番号34における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号34における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号34における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(5)軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(6)軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(7)軽鎖CDR1は配列番号44における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号44における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号44における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(8)軽鎖CDR1は配列番号52における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号52における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号52における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、又は
(9)軽鎖CDR1は配列番号60における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号60における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号60における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む。
【0010】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号8、9、10で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号8、9、10で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(2)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(3)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(4)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号40、41、42で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号40、41、42で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(5)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号48、49、50で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号48、49、50で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は
(6)軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号56、57、58で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号56、57、58で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3と、軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)重鎖CDR1は配列番号11における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号11における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号11における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号16における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号16における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号16における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖CDR1は配列番号12における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号12における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号12における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖CDR1は配列番号13における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号13における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号13における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖CDR1は配列番号14における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号14における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号14における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖CDR1は配列番号15における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号15における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号15における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号17における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号17における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号17における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖CDR1は配列番号12における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号12における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号12における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖CDR1は配列番号13における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号13における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号13における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖CDR1は配列番号14における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号14における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号14における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖CDR1は配列番号15における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号15における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号15における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号18における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号18における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号18における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(10)重鎖CDR1は配列番号29における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号29における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号29における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号34における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号34における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号34における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(11)重鎖CDR1は配列番号30における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号30における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号30における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(12)重鎖CDR1は配列番号31における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号31における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号31における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(13)重鎖CDR1は配列番号32における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号32における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号32における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(14)重鎖CDR1は配列番号33における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号33における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号33における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号35における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号35における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号35における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(15)重鎖CDR1は配列番号30における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号30における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号30における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(16)重鎖CDR1は配列番号31における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号31における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号31における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(17)重鎖CDR1は配列番号32における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号32における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号32における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(18)重鎖CDR1は配列番号33における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号33における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号33における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号36における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号36における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号36における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(19)重鎖CDR1は配列番号43における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号43における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号43における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号44における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号44における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号44における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、
(20)重鎖CDR1は配列番号51における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号51における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号51における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号52における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号52における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号52における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、又は
(21)重鎖CDR1は配列番号59における重鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR2は配列番号59における重鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、重鎖CDR3は配列番号59における重鎖CDR3のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR1は配列番号60における軽鎖CDR1のアミノ酸配列を含み、軽鎖CDR2は配列番号60における軽鎖CDR2のアミノ酸配列を含み、そして軽鎖CDR3は配列番号60における軽鎖CDR3のアミノ酸配列を含む。
【0012】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3と、軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
(1)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、4、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、4、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、5、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、5、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号3、6、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号3、6、7、8、9、10で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、20、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、20、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、21、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、21、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、22、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、22、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、23、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、23、24、25、26、27で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、20、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、20、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、21、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、21、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(10)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、22、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、22、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(11)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号19、23、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号19、23、24、25、26、28で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(12)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号37、38、39、40、41、42で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号37、38、39、40、41、42で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(13)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号45、46、47、48、49、50で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号45、46、47、48、49、50で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は
(14)重鎖CDR1、重鎖CDR2、重鎖CDR3、軽鎖CDR1、軽鎖CDR2、軽鎖CDR3は、それぞれ、配列番号53、54、55、56、57、58で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号53、54、55、56、57、58で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3と、軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
前記重鎖CDR1は、配列番号3、19、37、45又は53で示されるアミノ酸配列を含み、
前記重鎖CDR2は、配列番号4、5、6、20、21、22、23、38、46又は54で示されるアミノ酸配列を含み、且つ
前記重鎖CDR3は、配列番号7、24、39、47又は55で示されるアミノ酸配列を含み、
前記軽鎖CDR1は、配列番号8、25、40、48又は56で示されるアミノ酸配列を含み、
前記軽鎖CDR2は、配列番号9、26、41、49又は57で示されるアミノ酸配列を含み、且つ
前記軽鎖CDR3は、配列番号10、27、28、42、50又は58で示されるアミノ酸配列を含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖CDR1と、重鎖CDR2と、重鎖CDR3と、軽鎖CDR1と、軽鎖CDR2と、軽鎖CDR3とを含み、ただし、
前記重鎖CDR1は、配列番号3、19又は53で示されるアミノ酸配列を含み、
前記重鎖CDR2は、配列番号4、5、6、20、21、22、23又は54で示されるアミノ酸配列を含み、
前記重鎖CDR3は、配列番号7、24又は55で示されるアミノ酸配列を含み、
前記軽鎖CDR1は、配列番号8、25又は56で示されるアミノ酸配列を含み、
前記軽鎖CDR2は、配列番号9、26又は57で示されるアミノ酸配列を含み、且つ
前記軽鎖CDR3は、配列番号10、27、28又は58で示されるアミノ酸配列を含む。
【0015】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域を含み、前記重鎖可変領域は、配列番号11、12、13、14、15、29、30、31、32、33、43、51若しくは59で示されるアミノ酸配列、又は配列番号11、12、13、14、15、29、30、31、32、33、43、51若しくは59で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0016】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、軽鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号16、17、18、34、35、36、44、52若しくは60で示されるアミノ酸配列、又は配列番号16、17、18、34、35、36、44、52若しくは60で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含み、ただし、
(1)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号11、16で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号11、16で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(2)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号12、17で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号12、17で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(3)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号13、17で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号13、17で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(4)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号14、17で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号14、17で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(5)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号15、17で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号15、17で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(6)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号12、18で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号12、18で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(7)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号13、18で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号13、18で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(8)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号14、18で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号14、18で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(9)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号15、18で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号15、18で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(10)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号29、34で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号29、34で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(11)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号30、35で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号30、35で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(12)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号31、35で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号31、35で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(13)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号32、35で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号32、35で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(14)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号33、35で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号33、35で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(15)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号30、36で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号30、36で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(16)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号31、36で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号31、36で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(17)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号32、36で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号32、36で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(18)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号33、36で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号33、36で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(19)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号43、44で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号43、44で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、
(20)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号51、52で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号51、52で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、又は
(21)重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、配列番号59、60で示されるアミノ酸配列若しくは配列番号59、60で示されるアミノ酸配列と少なくとも、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%若しくは99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0018】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含み、ただし、前記重鎖可変領域は、配列番号11、12、13、14、15、29、30、31、32、33、43、51又は59で示されるアミノ酸配列を含み、且つ、前記軽鎖可変領域は、配列番号16、17、18、34、35、36、44、52又は60で示されるアミノ酸配列を含む。
【0019】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含み、ただし、前記重鎖可変領域は、配列番号11、12、13、14、15、29、30、31、32、33又は59で示されるアミノ酸配列を含み、且つ、前記軽鎖可変領域は、配列番号16、17、18、34、35、36又は60で示されるアミノ酸配列を含む。
【0020】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、重鎖と、軽鎖とを含み、前記重鎖は、重鎖可変領域と、重鎖定常領域とを含み、前記軽鎖は、軽鎖可変領域と、軽鎖定常領域とを含み、ただし、重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、上記の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域を含み、重鎖定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG4の定常領域又はそのバリアントを含み、好ましくは、ヒトIgG1定常領域又はそのバリアントであり、軽鎖定常領域は、ヒトκ定常領域、ヒトλ定常領域又はそのバリアントを含み、好ましくは、ヒトκ定常領域又はそのバリアントである。例示的なバリアントは、重鎖定常領域に対して部位特異的修飾及びアミノ酸置換が行われたIgGl、IgG2又はIgG4の重鎖定常領域のバリアントを含み、例えば、従来技術で知られているAAA変異、DLE変異(Shields et al.,2002、Lazar et al.,2006)、YTE変異、LS変異(Ghetie et al.,1997、Zalevsky et al.,2010)である。
【0021】
いくつかの具体的な実施形態では、前記重鎖定常領域は、配列番号61で示されるアミノ酸配列又は配列番号61で示されるアミノ酸配列と比べて1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失及び付加を有するアミノ酸配列を含み、前記軽鎖定常領域は、配列番号62で示されるアミノ酸配列又は配列番号62で示されるアミノ酸配列と比べて1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失及び付加を有するアミノ酸配列を含む。
【0022】
本明細書では、前記アミノ酸置換は、保存的なアミノ酸置換であってもよく、即ち、同じタイプの(類似する化学的特性又は機能を有する)別のアミノ酸で置換するものである。例として、側鎖特性に基づいて、アミノ酸を(1)非極性アミノ酸:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)、(2)非荷電の極性アミノ酸:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)、(3)酸性アミノ酸:Asp(D)、Glu(E)、(4)塩基性アミノ酸:Lys(K)、Arg(R)、His(H)と分類することができる。又は、共通の側鎖特性に基づいて、アミノ酸を(1)疎水性アミノ酸:Met、Ala、Val、Leu、Ile、(2)中性親水性アミノ酸:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln、(3)酸性アミノ酸:Asp、Glu、(4)塩基性アミノ酸:His、Lys、Arg、(5)鎖の配向に影響を与えるアミノ酸:Gly、Pro、(6)芳香族アミノ酸:Trp、Tyr、Pheと分類することができる。
【0023】
本明細書では、上記の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片の様々なバリアントには、抗原CLDN18.2と特異的に結合する能力が保持されている。
【0024】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、2つの重鎖(H)と、2つの軽鎖(L)とを含み、又は2つの重鎖と、2つの軽鎖とからなり、重鎖と軽鎖はジスルフィド結合によって互いに接続され、ただし各重鎖は上記の重鎖可変領域(VH)と、重鎖定常領域とを含み、ただし重鎖可変領域(VH)はフレームワーク領域(FR)と、上記の重鎖相補性決定領域(HCDR)とを含み、各軽鎖は上記の軽鎖可変領域(VL)と、軽鎖定常領域とを含み、ただし軽鎖可変領域(VL)はFRと、上記の軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含み、ただし重鎖可変領域のC末端が重鎖定常領域のN末端に接続され、軽鎖可変領域のC末端が軽鎖定常領域のN末端に接続される。
【0025】
いくつかの実施形態では、本願の抗体は、全長抗体であってもよく、例えば、IgG1アイソタイプの全長抗体である。別の実施形態では、本願の抗体は、単鎖抗体(scFv)、ナノボディ、又は抗体断片(例えば、Fab、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、dAb又は単離されたCDR)であってもよい。
【0026】
本願によって提供される抗体又はその抗原結合断片は、CLDN18.2と結合することによって、CLDN18.2を発現する細胞に対する抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)活性を誘導する。いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗体又はその抗原結合断片は、ヒトCLDN18.2と結合することによって、ヒトCLDN18.2を発現する細胞に対するADCC及び/又はCDCを誘導する。
【0027】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗体又はその抗原結合断片はCLDN18.1と実質的に結合しない。いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗体又はその抗原結合断片はヒトCLDN18.1と実質的に結合しない。タンパク質又は細胞と「実質的に結合しない」とは、タンパク質若しくは細胞と結合せず、又はタンパク質若しくは細胞と非特異的に結合することを指す。
【0028】
いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗体又はその抗原結合断片はCLDN18.1を発現する細胞に対するADCC及び/又はCDCを誘導しない。いくつかの実施形態では、本願によって提供される抗体又はその抗原結合断片はヒトCLDN18.1を発現する細胞に対するADCC及び/又はCDCを誘導しない。
【0029】
一態様で、本願は、CLDN18.2と結合する単離された抗体又はその抗原結合断片を提供し、前記抗体又はその抗原結合断片はハイブリドーマによって産生され、前記ハイブリドーマは本明細書で28G3、40F6、22F12、34G6及び10D8と呼ばれるハイブリドーマからなる群から選ばれる。したがって、本願は、さらに、ハイブリドーマ28G3、40F6、22F12、34G6、10D8及び本明細書に開示されている抗体を産生するハイブリドーマのいずれかによって産生される抗体又はその抗原結合断片を含む。
【0030】
一態様で、本願は、本願の例示的な抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片のいずれかとヒトCLDN18.2上の同じエピトープと結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態では、本願は、本願の例示的な抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片のいずれかと競合的にヒトCLDN18.2と結合する抗体又はその抗原結合断片を提供する。
【0031】
別の態様で、本願は、また、1種又は複数種の本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片と、本願の抗体又は抗原結合断片と異なる特異性を有する少なくとも1つの抗体又はその抗原結合断片とを含む、多重特異性抗体を提供し、前記多重特異性抗体は少なくとも2つの異なる結合部位又は標的と結合することができる。本明細書で使用される「多重特異性抗体」は、2種(即ち、二重特異性抗体)、3種(即ち、三重特異性抗体)、4種(即ち、四重特異性抗体)又はそれ以上の特異性を有する抗体をカバーしている。これらの多重特異性抗体は、当分野で熟知されている方法により作製してもよい。
【0032】
別の態様で、本願は、また、1種又は複数種の本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片を含む組換えポリペプチド又は融合タンパク質を提供し、ただし本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも1種の他の機能性断片に接続され、前記他の機能性断片は、別のペプチド、タンパク質、サイトカイン又は受容体リガンドを含み、ただしそれらに限定されない。これらの組換えポリペプチド及び融合タンパク質は、当分野で熟知されている方法により作製してもよい。
【0033】
別の態様で、本願は、また、1種又は複数種の本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片を含むイムノコンジュゲートを提供し、ただし、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は少なくとも1種の他の治療剤(例えば、細胞傷害性薬物、放射性同位体、免疫接着分子又は造影剤など)に接続され、例えば、抗体-薬物複合体(ADC)である。これらのイムノコンジュゲートは、当分野で熟知されている方法により作製してもよい。
【0034】
いくつかの実施形態では、前記接続は共有接続である。いくつかの実施形態では、前記接続は非共有接続である。いくつかの実施形態では、前記接続は直接的な接続である。いくつかの実施形態では、前記接続はリンカーによって接続されることである。適切なリンカーは、アミノ酸及びポリペプチドリンカーを含み、ただしそれらに限定されない。
【0035】
別の態様で、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片はキメラ抗原受容体(CAR)の一部であってもよい。本願は、また、前記キメラ抗原受容体を含む免疫細胞、例えば、T細胞(即ち、CAR-T細胞)を提供する。
【0036】
また、本願は、また、遺伝子ベクターを提供し、前記遺伝子ベクターは、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片をコードする遺伝子を含み、且つ、前記遺伝子を哺乳動物細胞(好ましくはヒト細胞)に入れて、その中で発現させることができる。これらの遺伝子ベクターは、ネイキッドプラスミドベクター、酵母ベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、ラブドウイルスベクター又はバキュロウイルスベクターを含み、ただしそれらに限定されない。
【0037】
一態様で、本願は、また、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片をコードする単離された核酸分子を提供する。本願は、また、前記核酸分子を含む発現ベクター、及び前記核酸分子又は前記発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
【0038】
一態様で、本願は、また、(i)宿主細胞において抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片を発現するステップと、(ii)宿主細胞又はその細胞培養物から抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片を単離するステップとを含む、抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片の作製方法を提供する。
【0039】
一態様で、本願は、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片と、1種又は複数種の薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。別の実施形態では、本願は、また、本願の組換えポリペプチド、融合タンパク質、多重特異性抗体、イムノコンジュゲート、キメラ抗原受容体、核酸分子又は遺伝子ベクターと、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む医薬組成物を提供する。
【0040】
別の態様で、本願は、被験者でCLDN18.2陽性に関連する疾患を予防、緩和又は治療する方法を提供し、前記方法は、被験者に治療有効量の本願の抗CLDN18.2抗体若しくはその抗原結合断片、又はその医薬組成物を投与することを含む。別の態様で、本願は、本願の抗CLDN18.2抗体若しくはその抗原結合断片、又はその医薬組成物の、CLDN18.2陽性に関連する疾患を予防、緩和又は治療するための薬物の作製における用途を提供する。又は、本願は、CLDN18.2陽性に関連する疾患を予防、緩和又は治療するための抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態では、前記CLDN18.2陽性に関連する疾患は、がんである。いくつかの実施形態では、被験者は、ヒトである。
【0041】
したがって、いくつかの実施形態では、本願は、被験者でがんを予防、緩和又は治療する方法を提供し、前記方法は、被験者に治療有効量の本願の抗CLDN18.2抗体若しくはその抗原結合断片、又はその医薬組成物を投与することを含む。いくつかの実施形態では、被験者は、ヒトである。
【0042】
本願で使用される用語「がん」とは、体内の異常な細胞が制御不能に増殖することを特徴とする、広範な様々な疾患からなる群を指す。「がん」又は「がん組織」には、腫瘍が含まれてもよい。本願の方法により治療できるがんは、がん腫(carcinomas)、肉腫、リンパ腫、芽細胞腫、白血病を含み、ただしそれらに限定されない。用語「がん」は、体内の特定の部位で発生する原発がん、その発生源から体の他の部位に拡散している転移がん、元の原発がんが緩和された後の再発がん、二次がん(異なるタイプのがんの既往歴のある患者に新たに発生する原発がん)を含み、ただしそれらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態では、前記がんは血液腫瘍及び固形腫瘍を含む。血液腫瘍は、例えば、白血病、リンパ腫、骨髄腫を含む。いくつかの実施形態では、前記がんは、CLDN18.2陽性がんである。いくつかの実施形態では、前記がんは、胃がん、食道がん、消化管がん(結腸がん及び直腸がんを含む)、膵臓がん、肝がん、肺がん(小細胞肺がん及び非小細胞肺がんを含む)、気管支がん、中皮腫、腎がん、卵巣がん(クルッケンベルグ腫瘍を含む)、乳がん、膀胱がん、子宮がん(子宮内膜がんを含む)、前立腺がん、精巣がん、肛門がん、膣がん、胆管がん、胆嚢がん、頭頸部がん、脊椎腫瘍、耳鼻咽喉科領域の腫瘍、甲状腺がん、中皮腫、骨がん、皮膚がん、黒色腫、腺がん、肉腫、神経芽細胞腫、膠芽腫、脳がん、中枢神経系がん、神経内分泌腫瘍、白血病、リンパ腫、骨髄腫を含み、ただしそれらに限定されない。前記がんは、前浸潤性、転移性、再発性、及び/又は難治性であってもよい。
【0044】
本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、単独で投与されてもよいし、又は1種若しくは複数種の他の治療剤と併用して投与されてもよい。他の治療剤と併用して投与される場合は、他の治療剤は本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片の投与前又は投与後に投与されてもよいし、又は同時に投与される。
【0045】
いくつかの実施形態では、前記他の治療剤は本願の抗体又は抗原結合断片と異なる特異性を有する抗体又はその抗原結合断片であり、例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体、CTLA-4抗体、又はその抗原結合断片である。いくつかの実施形態では、前記他の治療剤は、サイトカインであり、例えば、インターロイキン2である。いくつかの実施形態では、前記他の治療剤は、γδT細胞を刺激する薬剤であり、前記γδT細胞は、Vγ9Vδ2 T細胞であってもよく、前記γδT細胞を刺激する薬剤は、ビスホスホン酸、又はその塩、又はそのエステルを含み、ただしそれらに限定されず、例えば、ゾレドロン酸、ジクロロメチレンビス(ホスホン酸)、イバンドロン酸、パミドロン酸、リセドロン酸、ミノドロン酸、オルパドロン酸、アレンドロン酸、インカドロン酸、及びそれらの塩である。いくつかの実施形態では、前記他の治療剤は、化学療法剤であり、前記化学療法剤は、アルキル化剤、ポドフィルム系、カンプトテシン系、タキサン系、代謝拮抗剤系、抗生物質系を含み、ただしそれらに限定されず、例えば、白金系薬物(シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン)、アントラサイクリン系(例えば、アドリアマイシン又はエピルビシン)、タキサン系(例えば、パクリタキセル)、フルオロピリミジン誘導体(例えば、5-フルオロウラシル又はゲムシタビン)、及びそのプロドラッグである。いくつかの実施形態では、前記他の治療剤は、CLDN18.2の発現を安定化又は増加させる薬剤であり、例えば、エピルビシン、オキサリプラチン、5-フルオロウラシル、フォリン、イリノテカン、ドセタキセル、シスプラチン、ゲムシタビン、及びそのプロドラッグである。
【0046】
「治療」とは、症状、病状、経過又は疾患の進行又は重症度を軽減する方法を指す。本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片、核酸分子、医薬組成物、組換えポリペプチド、融合タンパク質、多重特異性抗体、イムノコンジュゲート、キメラ抗原受容体又は遺伝子ベクターを被験者に投与することによって、前記被験者のがんを治療することができる。いくつかの実施形態では、前記被験者は、ヒトである。
【0047】
下記の具体的な記述及び実施例から、当該開示の内容及び他の特徴と利点が一層明瞭になるだろうが、具体的な記述及び実施例を限定的なものと捉えるべきではない。本願で参照される全ての文献、Genbankの記録、特許及び開示済みの特許出願の内容は、参照により本明細書に明確に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1図1は、U2OS-CLDN18.2細胞(A~C)、NUGC-4細胞(D~F)、KATOIII細胞(G~I)に対するキメラ抗体xi40F6、xi34G6、xi10D8、xi22F12、xi28G3の結合活性である。
図2図2は、キメラ抗体xi22F12、xi28G3、xi40F6、xi34G6のADCC活性であり、ただし、Jurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)はフェクター細胞であり、KATOIII(A)、NUGC-4(B)、U2OS-CLDN18.2(C)は標的細胞である。
図3図3は、キメラ抗体xi22F12、xi28G3、xi40F6、xi34G6のADCC活性であり、ただし、PBMCはフェクター細胞であり、KATOIII(A)、NUGC-4(B)は標的細胞である。
図4図4は、キメラ抗体xi22F12、xi28G3、xi40F6、xi34G6、xi10D8のCDC活性であり、ただし、KATOIII(A)、U2OS-CLDN18.2(B)は標的細胞である。
図5図5は、キメラ抗体xi28G3、xi40F6のエンドサイトーシス活性であり、ただし、NUGC-4(A)、NIH-3T3-CLDN18.2(B)は標的細胞である。
図6図6は、キメラ抗体xi22F12、xi28G3、xi40F6、xi34G6、xi10D8の非特異的ADCC活性であり、ただし、Jurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)はフェクター細胞であり、NIH-3T3-CLDN18.1は標的細胞である。
図7図7は、NUGC-4細胞(A)、KATOIII細胞(B)に対するキメラ抗体xi28G3及びヒト化抗体hz28G3-1.1、hz28G3-1.2、hz28G3-1.3、hz28G3-1.4、hz28G3-2.1、hz28G3-2.2、hz28G3-2.3、hz28G3-2.4の結合活性である。
図8図8は、NUGC-4細胞(A)、KATOIII細胞(B)に対するキメラ抗体xi40F6及びヒト化抗体hz40F6-1.1、hz40F6-1.2、hz40F6-1.3、hz40F6-1.4、hz40F6-2.1、hz40F6-2.2、hz40F6-2.3、hz40F6-2.4の結合活性である。
図9図9は、キメラ抗体xi28G3及びヒト化抗体hz28G3-1.1、hz28G3-1.2、hz28G3-1.3、hz28G3-1.4、hz28G3-2.1、hz28G3-2.2、hz28G3-2.3、hz28G3-2.4のADCC活性であり、ただし、Jurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)はフェクター細胞であり、U2OS-CLDN18.2(A)、KATOIII(B)は標的細胞である。
図10図10は、キメラ抗体xi40F6及びヒト化抗体hz40F6-1.1、hz40F6-1.2、hz40F6-1.3、hz40F6-1.4、hz40F6-2.1、hz40F6-2.2、hz40F6-2.3、hz40F6-2.4のADCC活性であり、ただし、Jurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)はフェクター細胞であり、NIH-3T3-CLDN18.2(A)、NUGC-4(B)は標的細胞である。
図11図11は、キメラ抗体xi28G3及びヒト化抗体hz28G3-1.1、hz28G3-1.3、hz40F6-1.4のADCC活性であり、ただし、PBMCはフェクター細胞であり、NIH-3T3-CLDN18.2(A)、KATOIII(B)、NUGC-4(C)は標的細胞である。
図12図12は、キメラ抗体xi28G3及びヒト化抗体hz28G3-1.1、hz28G3-1.3、hz40F6-1.1、hz40F6-1.2、hz40F6-1.3、hz40F6-1.4、hz40F6-2.1、hz40F6-2.2、hz40F6-2.3、hz40F6-2.4のCDC活性であり、ただし、NIH-3T3-CLDN18.2は標的細胞である。
図13図13は、キメラ抗体xi28G3及びヒト化抗体hz28G3-1.1、hz28G3-1.3のエンドサイトーシス活性であり、ただし、U2OS-CLDN18.2(A)、NUGC-4(B)は標的細胞である。
図14図14は、キメラ抗体xi28G3及びヒト化抗体hz28G3-1.1、hz28G3-1.3の非特異的ADCC活性であり、ただし、PBMCはフェクター細胞であり、NIH-3T3-CLDN18.1は標的細胞である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本明細書で使用される用語は、具体的な実施例を記述するためのものに過ぎず、限定をするためではないということが理解されたい。特に定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語の意味は、本願の属する分野の当業者が理解している一般的な意味と同じである。
【0050】
用語「抗体」とは、少なくとも1つの抗原(例えば、CLDN18.2)結合ドメインを有する結合タンパク質を指す。本願の抗体又はその抗原結合断片は、抗体全体又はそのいずれかの断片であってもよく、モノクローナル抗体又はその断片及び抗体バリアント又はその断片を含む。抗体又はその抗原結合断片の例は、モノクローナル抗体、単特異性抗体、多重特異性抗体、Fab断片、F(ab’)断片、Fd断片、Fv断片、dAb、単離されたCDR領域、単鎖Fv(scFv)、ナノボディ及び当分野で知られている抗体断片のいずれかを含む。本明細書に開示されている抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4アイソタイプであってもよい。用語「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体のクラスを指す。いくつかの実施形態では、本明細書に開示されている抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、IgG1アイソタイプである。本願に開示されている抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、マウス、ラット、ウサギ、非ヒト霊長類動物(例えば、チンパンジー、カニクイザル、クモザル、マカク)、ラマ、ヒトを含み、ただしそれらに限定されないいずれかの種から誘導されてもよい。本願の抗CDCLDN18.2抗体又はその抗原結合断片は、ネズミ抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体又はヒト抗体であってもよい。特に説明がない限り、本願の「抗体」には全長抗体及びそのいずれかの抗原結合部分(若しくは「抗原結合断片」)又は単鎖が含まれる。
【0051】
典型的な「全長抗体」は、2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質であり、ただし重鎖と軽鎖はジスルフィド結合によって接続され、各重鎖は重鎖可変領域(VH)と重鎖定常領域とからなり、重鎖定常領域は3つのドメイン、即ちCH1と、CH2と、CH3とからなり、各軽鎖は軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域とからなり、軽鎖定常領域は1つのドメインCLからなり、VH及びVL領域はさらに超可変領域(即ち、相補性決定領域(CDR))及び配列が保存的なフレームワーク領域(FR)に分けられてもよい。各VH及びVLは、アミノ末端からカルボキシ末端までFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順に配置される、3つのCDRと4つのFRとからなる。抗体の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。抗体の定常領域は、免疫グロブリンと宿主組織又は因子の結合を媒介することができ、前記宿主組織又は因子は、様々な免疫系細胞(例えば、エフェクター細胞)、補体の古典的経路の最初の成分(C1q)を含む。
【0052】
抗体の「抗原結合断片」又は「抗原結合部分」とは、抗原(例えば、CLDN18.2タンパク質)と特異的に結合する機能が保持されている抗体の1つ又は複数の断片を指す。抗体の抗原結合機能は、全長抗体の断片で実施できるということが確認されている。用語抗体の「抗原結合部分/断片」のカバーしている例には、(i)VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価断片であるFab断片、(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって接続された2つのFab断片を含む二価断片であるF(ab’)断片、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体シングルアームのVL及びVHドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature.341:544-546(1989)を参照する)、(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、(vii)1つの重鎖可変ドメイン及び2つの定常ドメインを含むが軽鎖はない抗体であるナノボディが含まれる。また、Fv断片の2つのドメインVL及びVHは異なる遺伝子によってコードされるが、組換えの方法でリンカーによってVHとVLを単一のタンパク質鎖として接続させてもよく、そのうちVLとVHがマッチして形成された一価分子は単鎖Fv(scFv)と呼ばれ、Bird et al.,Science.242:423-426(1988)、Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.85:5879-5883(1988)が参照され、これらの単鎖抗体も用語「抗原結合部分/断片」がカバーしている。また、当該抗原結合部分/断片を含む組換えポリペプチド、融合タンパク質及びイムノコンジュゲートも、用語「抗原結合部分/断片」がカバーしている。これらの抗体断片は、当業者が知られている通常の技術で得ることができ、且つ、断片に対して全長抗体と同じ方法で機能スクリーニングを行ってもよい。
【0053】
「マウス抗体」又は「ネズミ抗体」とは、可変領域でフレームワーク領域及びCDR領域がいずれもマウス生殖系列免疫グロブリン配列に由来する抗体を指す。また、抗体が定常領域を含む場合に、定常領域もマウス生殖系列免疫グロブリン配列に由来する。本願のネズミ抗体は、マウス生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロのランダム変異又は点変異又はインビボの体細胞変異によって導入された変異)を含んでもよく、ただし「マウス抗体」又は「ネズミ抗体」は、マウスフレームワーク配列に他の哺乳動物に由来する生殖系列CDR配列が挿入された抗体を含まない。
【0054】
「キメラ抗体」とは、ネズミ抗体の可変領域とヒト抗体の定常領域を融合させてなる抗体であり、ネズミ抗体によって誘発される免疫応答を軽減することができる。キメラ抗体を作製するためには、まずマウス特異的モノクローナル抗体を分泌するハイブリドーマを作製し、次にハイブリドーマ細胞から可変領域遺伝子をクローニングし、さらに所望によりヒト抗体の定常領域遺伝子をクローニングし、マウス可変領域遺伝子とヒト定常領域遺伝子を接続させてキメラ遺伝子を得た後に発現ベクターに挿入し、最後に真核生物系又は原核生物系の中でキメラ抗体を発現させる。本願では、キメラ抗体は「xi」とも表記される。
【0055】
「ヒト化抗体」は、非ヒト抗体から誘導された相補性決定領域(CDR)、ヒト抗体から誘導されたフレームワーク領域及び定常領域を含有する抗体である。例えば、本明細書によって提供されるCLDN18.2と結合するヒト化抗体は、1種又は複数種のネズミ抗体から誘導されたCDR及びヒトフレームワーク領域、ヒト定常領域を含んでもよい。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書によって提供されるヒト化抗体は前記抗体のCDRが誘導されるネズミ抗体とCLDN18.2上の同じエピトープと結合する。本明細書は例示的なヒト化抗体を提供する。本明細書によって提供される重鎖CDR及び軽鎖CDRを含む他のCLDN18.2と結合するヒト化抗体又はそのバリアントはヒトフレームワーク配列のいずれかを使用して産生してもよく、且つそれも本願に含まれる。いくつかの実施形態では、本願での使用に適するフレームワーク配列は、本明細書によって提供されるフレームワーク配列と構造的に類似するそれらのフレームワーク配列を含む。フレームワーク領域で他の修飾を行って本明細書によって提供される抗体の特性を変更してもよい。このような他のフレームワーク修飾は、化学修飾、免疫原性を低下させ若しくはT細胞エピトープを除去する点変異、又は元の生殖系列配列中の残基への復帰変異を含んでもよい。いくつかの実施形態では、このような他の修飾は、生殖系列配列に対する復帰変異など、本明細書の例示的な変異に対応するそれらの修飾を含む。例えば、いくつかの実施形態では、本明細書によって提供されるヒト化抗体のVH及び/又はVLのヒトフレームワーク領域で1つ又は複数のアミノ酸が親ネズミ抗体の対応するアミノ酸に復帰変異される。本願では、ヒト化抗体は「hz」とも表記される。
【0056】
本明細書で「誘導された」と記載される場合は、参照抗体又はタンパク質と結合する他の分子若しくはポリペプチドに対して使用されるときに、参照抗体又は他の結合タンパク質と、同じエピトープと特異的に結合することができる分子又はポリペプチドを意味する。
【0057】
「単離された」とは、すでに自然環境から単離されている目的化合物(例えば、抗体、抗原結合断片又は核酸分子)を指す。
【0058】
「同一性」とは、2つ若しくはそれ以上の核酸配列の間又は2つ若しくはそれ以上のポリペプチド配列の間の類似性を指す。本願の配列同一性は、少なくとも、85%、90%又は95%であってもよく、好ましくは、少なくとも95%である。非限定的な実施例は、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%を含む。2つの配列の間の配列比較及び同一性パーセンテージの測定は、アメリカ国立生物工学情報センター(National Center For Biotechnology Institute)のウェブサイト上のBLASTN/BLASTPアルゴリズムのデフォルト設定で行ってもよい。
【0059】
「競合的に結合する」抗体とは、他の抗体を部分的に又は完全に遮断して標的と結合する抗体を指す。2種の抗体は互いに競合的に標的と結合するかどうかは、即ち、1種の抗体が別の抗体を遮断して標的と結合するかどうか且つその程度はどのくらいかということであり、当分野で知られている競合アッセイ、例えば、固相法による直接的又は間接的放射免疫測定(RIA)、固相法による直接的又は間接的酵素免疫測定法(EIA)、サンドイッチ法による競合測定などを利用して決定してもよい。いくつかの実施形態では、抗体は別の抗体と競合的に標的と結合し、且つ標的に対する別の抗体の結合を少なくとも、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%遮断する。
【0060】
2種の又はそれ以上の抗体が「同じエピトープと結合する」とは、所定の方法で測定されたように、抗体がアミノ酸残基の同じセクションと結合することを意味する。抗体が本明細書に記載の抗体と「CLDN18.2上の同じエピトープ」と結合するかどうかを決定するための技術は、例えば、エピトープマッピング法を含み、例えば、酵母表面ディスプレイによるエピトープマッピング、抗原-抗体複合体の結晶のX線分析、水素重水素交換質量分析法(HDX-MS)である。
【0061】
用語「EC50」は、半数有効濃度とも呼ばれ、特定の曝露時間後、50%の最大効果に達することができる抗体濃度を指す。用語「IC50」は、半数阻害濃度とも呼ばれ、抗体が存在しない場合に対して、特異的な生物学的又は生化学的機能を50%阻害する抗体濃度を指す。EC50とIC50の両方はいずれもELISA又はFACS解析又は当分野で知られている他の方法のいずれかで計測することができる。
【0062】
「患者」又は「被験者」は、ヒト又は非ヒト動物のいずれかを含む。用語「非ヒト動物」には、全ての脊椎動物、例えば、哺乳動物及び非哺乳動物が含まれ、好ましくは、哺乳動物、例えば、非ヒト霊長類動物、ヒツジ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマである。
【0063】
「有効用量」又は「有効量」とは、所望の効果を実現し又は少なくとも部分的に実現するのに充分な量を指す。薬物又は治療剤の治療「有効量」又は「有効用量」とは、単独で又は別の治療剤と組み合わせて使用される場合に、疾患又は病状の関連症状を防止又は改善するのに充分な量、好ましくは疾患の症状の重症度の低下、無症状期間の頻度及び持続時間の増加を引き起こし、又は疾患によって引き起こされる損傷若しくは機能障害を防止する量を指す。治療有効量は、治療される疾患に関係しており、ただし当業者は、実際の有効量を容易に決定できる。
【0064】
本明細書で使用される「約」は、特定の値に対して当業者が判定した誤差を含む許容可能範囲内にあることを意味し、部分的には当該値の測定方法、即ち測定システムの限界から決定される。例えば、本分野の常識によれば「約」が1倍の又は1倍を超える標準偏差までを表す。又は、「約」は最大±5%の範囲を表し、例えば、示される数値範囲±2%の範囲まで、±1%の範囲まで又は±0.5%の範囲までで変動する。本明細書又は特許請求の範囲で特定の値が示される場合に、特に説明のない限り、「約」の意味は当該特定の値に許容される誤差範囲内にあると理解される。本明細書では、特に説明のない限り、ステップのパラメータ又は条件として示される値には「約」がつくと見なされる。
【0065】
特に説明がない限り、用語「1つ」又は「1種」は、「少なくとも1つ」又は「少なくとも1種」を意味し、用語「少なくとも1つ」の意味は、「1つ又は複数」の意味と同じであり、「及び/又は」は、「及び」又は「又は」の意味で使用される。
【0066】
特に断りがない限り、本明細書に記載のパーセンテージ範囲、比率範囲又は整数範囲はいずれも、列挙された範囲内の整数のいずれもが含まれるように理解されるべきである。
【0067】
本明細書では、文脈で規定がない限り、用語「含み」「含む」及び「含有」は、前記ステップ又は要素又は一連のステップ若しくは要素を含むが、他のステップ又は要素又は一連のステップ若しくは要素のいずれも除外されないことを表すように理解される。「……からなる」は、語句「……からなる」によって定義される内容を含み、且つそれに限定されることを表す。したがって、語句「……からなる」は、挙げられた要素は必要又は必須であり、且つ他の要素が存在しないことを表す。「実質的に……からなる」は、この語句によって定義される要素のいずれかを含み、且つ挙げられた要素の、本願で詳細に記述した活性又は作用を妨げず又はそれに寄与する他の要素に限定されるということを表す。したがって、語句「実質的に……からなる」は、挙げられた要素は必要又は必須であるが、他の要素は任意であり、且つ、挙げられた要素の活性又は作用に影響を与えるかどうかによってそれが存在してもよいし又は存在しなくてもよいということを表す。
【0068】
本明細書では、特に説明がない限り、用語「核酸」「核酸配列」及び「遺伝子」を入れ替えて使用することができ、2つの以上のヌクレオチド同士がホスホジエステル結合によって接続されて得た生成物を表す。
【0069】
文脈で明確な指示がない限り、単数形の用語は複数の指示対象をカバーしており、逆もまたしかりである。
【0070】
以下、本願の複数の態様をより具体的に記述する。
【0071】
本願の例示的な抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域、軽鎖可変領域及びCDRのアミノ酸配列ID(配列番号)は次の表1に提供される。いくつかの抗体は同じCDRを有し、いくつかの抗体は同じVH又はVLを有する。抗体の重鎖定常領域は、ヒトIgG1、IgG2、IgG4の定常領域又はそのバリアントであってもよく、好ましくは、ヒトIgG1定常領域又はそのバリアントであり、例えば、配列番号61で示されるアミノ酸配列又は配列番号61で示されるアミノ酸配列と比べて1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失及び付加を有するアミノ酸配列を含む。抗体の軽鎖定常領域は、ヒトκ定常領域、ヒトλ定常領域又はそのバリアントであってもよく、好ましくは、ヒトκ定常領域又はそのバリアントであり、例えば、配列番号62で示されるアミノ酸配列又は配列番号62で示されるアミノ酸配列と比べて1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失及び付加を有するアミノ酸配列を含む。これらの抗体は、マウスIgG1重鎖定常領域及び/又はマウスκ定常領域を含んでもよい。
【表1】
【0072】
用語「相補性決定領域」「CDR」又は「超可変領域」とは、抗体の可変領域内の主に抗原結合に寄与する6つの超可変領域の1つを指す。抗体可変領域のアミノ酸配列から、当業者は様々な周知されているスキームを利用してCDRのアミノ酸配列の境界を決定することができ、当該スキームには、「Kabat」番号付けルール(Kabat et al.,(1991),「Sequences of Proteins of Immunological Interest」,5th Edition,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MDを参照する)、「Chothia」番号付けルール(Al-Lazikani et al.,(1997)JMB273:927-948を参照する)、ImMunoGenTics(IMGT)番号付けルール(Lefranc M.P.,Immunologist,7,132-136(1999)、Lefranc,M.P.et al.,Dev.Comp.Immunol.,27,55-77(2003))、AbM番号付けルール(Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによる定義)、Contact番号付けルール(利用可能な複雑な結晶構造の分析に基づく)など、そしてKabat、Chothia、IMGT、AbM、Contactなどの番号付けルールの2つ又はそれ以上の組み合わせが含まれる。例えば、古典的な形式の場合に、Kabatルールに従う場合は、前記重鎖可変領域(VH)中のCDRアミノ酸残基番号は31~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)及び95~102(HCDR3)であり、軽鎖可変領域(VL)中のCDRアミノ酸残基番号は24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)及び89~97(LCDR3)である。例えば、Chothiaルールに従う場合は、VH中のCDRアミノ酸番号は26~32(HCDR1)、52~56(HCDR2)及び95~102(HCDR3)であり、且つVL中のCDRアミノ酸残基番号は26~32(LCDR1)、50~52(LCDR2)及び91~96(LCDR3)である。Kabat及びChothiaの両方のルールを組み合わせると、CDRはヒトVH中のアミノ酸残基26~35(HCDR1)、50~65(HCDR2)及び95~102(HCDR3)と、ヒトVL中のアミノ酸残基24~34(LCDR1)、50~56(LCDR2)及び89~97(LCDR3)とから構成されることになる。IMGTルールに従う場合は、VH中のCDRアミノ酸残基番号はおおよそ26~35(CDR1)、51~57(CDR2)及び93~102(CDR3)であり、VL中のCDRアミノ酸残基番号はおおよそ27~32(CDR1)、50~52(CDR2)及び89~97(CDR3)である。IMGTルールに従う場合は、抗体のCDRはプログラムIMGT/DomainGapAlignを利用して決定してもよい。
【0073】
番号付けシステムによって、CDRのアミノ酸配列の境界は異なる。当業者が理解できることだろうが、特に規定がない限り、用語によって特定された抗体又はその領域(例えば、可変領域)の「CDR」又は「相補性決定領域」は、知られている方法のいずれかで確定した相補性決定領域をカバーしている。表1及び表11で示されているCDR配列は上記の番号付けルールの1つで定義されたものであるが、他のCDR番号付けルールに従う対応するアミノ酸配列も、本願の保護範囲に入っている。
【0074】
ヒトCLDN18.2と結合する他の抗体のVH及び/又はVL配列(又はCDR配列)は、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片のVH及び/又はVL配列(又はCDR配列)と「ミックス・アンド・マッチ」することができる。好ましくは、VH及びVL鎖(又はそのCDR)がミックス・アンド・マッチする場合に、特定のVH/VL対におけるVH配列は構造的に類似するVH配列によって置換されてもよい。同様に、好ましくは、特定のVH/VL対におけるVL配列が構造的に類似するVL配列に置換される。
【0075】
したがって、一実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、
(a)表1に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域と、
(b)表1に記載のアミノ酸配列、又は別の抗CLDN18.2抗体のVLを含む軽鎖可変領域とを含み、ただし、当該抗体又はその抗原結合断片はヒトCLDN18.2と特異的に結合する。
【0076】
別の実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、
(a)表1に記載のHCDR1、HCDR2及びHCDR3と、
(b)表1に記載のLCDR1、LCDR2及びLCDR3、又は別の抗CLDN18.2抗体の軽鎖可変領域のCDRとを含み、ただし、当該抗体又はその抗原結合断片はヒトCLDN18.2と特異的に結合する。
【0077】
別の実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、表1に記載のHCDR2と、他の抗CLDN18.2抗体のCDR、例えば、他の抗CLDN18.2抗体のHCDR1及び/又はHCDR3、及び/又は他の抗CLDN18.2抗体のLCDR1、LCDR2及び/又はLCDR3とを含む。
【0078】
また、当分野で周知されるように、CDR3ドメインはCDR1及び/又はCDR2ドメインから独立しており、同じ抗原に対する抗体の結合特異性を単独で決定することができ、また、当該CDR3配列から同じ結合特異性を有する複数種の抗体を産生できることが予測できる。
【0079】
別の実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、表1に記載のHCDR2と、表1に記載のHCDR3及び/又は表1に記載のLCDR3と、他の抗CLDN18.2抗体のCDRとを含み、ただし、当該抗体又はその抗原結合断片はヒトCLDN18.2と特異的に結合する。別の実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、表1に記載のLCDR2と、他の抗CLDN18.2抗体のCDRとをさらに含み、ただし、当該抗体又はその抗原結合断片はヒトCLDN18.2と特異的に結合する。別の実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、表1に記載のHCDR1又は表1に記載のLCDR1と、他の抗CLDN18.2抗体のCDRとをさらに含み、ただし、当該抗体又はその抗原結合断片はヒトCLDN18.2と特異的に結合する。好ましくは、これらの抗体は、本願の抗CLDN18.2抗体と、(a)競合的にヒトCLDN18.2と結合し、(b)同じ機能特徴が保持され、(c)同じエピトープと結合し、及び/又は(d)類似する結合親和性を有する。
【0080】
別の実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域は、1つ又は複数の保存的な修飾を含んでもよい。当分野で理解できることだろうが、いくつかの保存的な修飾があっても抗体の抗原結合性は消えない。
【0081】
したがって、一実施形態では、本願の抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域、軽鎖可変領域は、それぞれ、CDR1、CDR2、CDR3を含み、ただし、
(a)HCDR1配列は、表1に記載の配列、及び/若しくはその保存的な修飾を含み、及び/又は
(b)HCDR2配列は、表1に記載の配列、及び/若しくはその保存的な修飾を含み、及び/又は
(c)HCDR3配列は、表1に記載の配列、及び/若しくはその保存的な修飾を含み、及び/又は
(d)LCDR1及び/若しくはLCDR2及び/若しくはLCDR3配列は、表1に記載の配列を含み、及び/若しくはその保存的な修飾を含み、且つ
(e)抗体又はその抗原結合断片は、ヒトCLDN18.2と特異的に結合する。
【0082】
本明細書で使用される用語「保存的な修飾」とは、抗体の結合特性を顕著に影響又は変更しないアミノ酸修飾を指す。このような保存的な修飾は、アミノ酸の置換、付加及び欠失を含む。当分野で知られている標準的な技術、例えば、点変異、PCRによって媒介される変異で本願の抗体に修飾を導入することができる。保存的なアミノ酸置換とは、アミノ酸残基が、類似する構造又は化学的特性(例えば、類似する側鎖)を有するアミノ酸残基によって置換されるものを指す。類似する側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当分野で知られている。これらのアミノ酸残基ファミリーは、塩基性側鎖(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、β分岐側鎖(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)を有するアミノ酸を含む。したがって、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片のCDR領域で1つ又は複数のアミノ酸残基は、同じ側鎖ファミリーの他のアミノ酸残基によって置換されてもよく、且つ得られた抗体に対して、本明細書に記載の機能アッセイでその機能をテストすることができる。
【0083】
本願の抗体又はその抗原結合断片は、可変領域(CDR領域及び/若しくはフレームワーク領域を含む)の修飾を含み、又は、本願の抗体若しくはその抗原結合断片は、さらに、Fc修飾、例えば、抗体のエフェクター機能を改善するものを含んでもよい。
【0084】
したがって、本願の一実施形態によって提供される単離された抗CLDN18.2モノクローナル抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域及び/又は軽鎖可変領域を含み、重鎖可変領域は、本願の上記の配列のHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含み、軽鎖可変領域は、本願の上記の配列のLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含み、また、本願の上記の配列におけるフレームワーク配列と異なるフレームワークを含む。このようなフレームワーク配列は、生殖系列抗体遺伝子配列を含む公開DNAデータベース又は公開参照文献から得ることができる。このようなフレームワーク配列は、本願の抗CLDN18.2抗体で使用されるフレームワーク配列と構造的に類似するものであることが好ましい。例えば、場合によっては、フレームワーク領域における残基に対する変異は、抗体の抗原結合能力を維持又は増強することができる有益なものである(例えば、米国特許第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,762号、第6,180,370号を参照する)。
【0085】
別のタイプの可変領域修飾は、CDR1、CDR2及び/又はCDR3領域内のアミノ酸残基を変異させることにより、目的抗体の1種又は複数種の特性(例えば、親和性、物理化学的性質)を改善することである。点変異又はPCRによって媒介される変異で変異を導入することができ、当分野で知られているインビトロ又はインビボ測定で抗体結合又は他の機能特性に対する変異の影響を評価することができる。アミノ酸の置換、付加又は欠失であってもよく、好ましくは、置換である。また、一般的に、各CDR領域内の1個、2個、3個、4個又は5個以下の残基を変更する。
【0086】
一実施形態では、本願によって提供される抗体又はその抗原結合断片は、重鎖可変領域と、軽鎖可変領域とを含み、前記重鎖可変領域及び軽鎖可変領域は、(a)本願のHCDR1配列、又は1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有するアミノ酸配列を含むHCDR1と、(b)本願のHCDR2配列、又は1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有するアミノ酸配列を含むHCDR2と、(c)本願のHCDR3配列、又は1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有するアミノ酸配列を含むHCDR3と、(d)本願のLCDR1配列、又は1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有するアミノ酸配列を含むLCDR1と、(e)本願のLCDR2配列、又は1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有するアミノ酸配列を含むLCDR2と、(f)本願のLCDR3配列、又は1個、2個、3個、4個若しくは5個のアミノ酸の置換、欠失若しくは付加を有するアミノ酸配列を含むLCDR3とを含む。
【0087】
本願の抗体又はその抗原結合断片は、抗体の特性を改善するVH及び/又はVLのフレームワーク領域修飾を含む。一般的に、このようなフレームワーク領域修飾は、抗体の免疫原性を低下させることができる。例えば、1つ又は複数のフレームワーク残基を対応する生殖系列配列に「復帰変異」させる。これらの残基は、抗体フレームワーク配列を、抗体の由来となる生殖系列配列と比較して認識することができる。
【0088】
別のタイプのフレームワーク修飾は、T細胞エピトープを除去することによって、抗体が引き起こし得る免疫原性を減少させるための、フレームワーク領域、又は1つ若しくは複数のCDR領域の1つ若しくは複数の残基に対する変異を含む。当該方法は、「脱免疫化」とも呼ばれ、米国特許開示第20030153043号で詳細に記述されている。
【0089】
また、本願の抗体又はその抗原結合断片は、Fc修飾を含み、Fc修飾は、アミノ酸の挿入、欠失又は置換であってもよく、一般的に、抗体の1種又は複数種の機能特性、例えば、血中濃度半減期、補体結合、Fc受容体結合及び/又は抗原依存性細胞傷害性を変更するために用いられる。
【0090】
また、本願の抗体又はその抗原結合断片に対して、化学修飾(例えば、1つ又は複数の化学官能基の接続)、又は、抗体の1種若しくは複数種の機能特性を変更するためのそのグリコシル化を変更する修飾を行ってもよい。他の実施形態では、ペグ化(例えば、抗体又はその断片をポリエチレングリコール(PEG)と反応させること)によって、Fc領域を修飾する。他の実施形態では、抗体のグリコシル化を変更する。
【0091】
本願は、また、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片の重鎖可変領域及び/若しくは軽鎖可変領域若しくはCDRをコードする単離された核酸分子を提供する。本願の核酸分子は、DNA又はRNAであってもよく、且つイントロン配列を含んでもよいし又は含まなくてもよい。本願の核酸分子は一本鎖又は二本鎖であってもよい。好ましい実施形態では、核酸分子はcDNA分子である。
【0092】
本願の核酸は、標準的な分子生物学技術により得られてもよい。ハイブリドーマによって発現される抗体の場合は、標準的なPCR増幅又はcDNAクローニング技術により、ハイブリドーマで作製される抗体の軽鎖及び重鎖をコードするcDNAを得てもよい。免疫グロブリン遺伝子ライブラリーから得られる(例えば、ファージディスプレイ技術を使用する)抗体の場合は、遺伝子ライブラリーからそのような抗体をコードする核酸を回収してもよい。
【0093】
VH及びVLをコードするDNA断片を得ると、標準的な組換えDNA技術によりこれらのDNA断片に対して更なる操作を行うことができ、例えば、可変領域遺伝子を全長抗体鎖遺伝子、Fab断片遺伝子又はscFv遺伝子に変換する。これらの操作では、VH又はVLをコードするDNA断片と別のタンパク質(例えば、抗体定常領域又は柔軟なリンカー)をコードするDNA断片を作動可能に接続させる。この場合において使用される用語「作動可能に接続させる」とは、2つのDNA断片を接続させることによって、2つのDNA断片によってコードされるアミノ酸配列がいずれもリーディングフレーム内にあることを指す。
【0094】
VHをコードするDNAと重鎖定常領域(CH1、CH2、CH3)をコードする別のDNA分子を作動可能に接続させることによって、VHをコードする単離されたDNAを全長重鎖遺伝子に変換することができる。ヒト重鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で知られており、且つ標準的なPCR増幅によりヒト重鎖定常領域遺伝子を含むDNA断片を得ることができる。重鎖定常領域はIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、IgE、IgM又はIgDの定常領域であってもよく、好ましくはIgG1定常領域である。
【0095】
VLをコードするDNAと軽鎖定常領域CLをコードする別のDNA分子を作動可能に接続させることによって、VLをコードする単離されたDNAを全長軽鎖遺伝子に変換することができる。ヒト軽鎖定常領域遺伝子の配列は当分野で知られており、且つ標準的なPCR増幅により、ヒト軽鎖定常領域遺伝子を含むDNA断片を得ることができる。好ましい実施形態では、軽鎖定常領域はκ又はλ定常領域であってもよい。
【0096】
本願のモノクローナル抗体(mAb)は、当分野で熟知されているKohler and Milstein(1975)Nature 256:495に記載の体細胞融合法(ハイブリドーマ)技術を利用して作製してもよい。モノクローナル抗体の作製に係る他の実施形態は、Bリンパ球のウイルスへの又は発癌性形質転換及びファージディスプレイ技術を含む。キメラ又はヒト化抗体も当分野では熟知されている。例えば、米国特許第4,816,567号、第5,225,539号、第5,530,101号、第5,585,089号、第5,693,762号、第6,180,370号を参照し、それらが全体として参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【0097】
本願の抗体は、また、例えば、組換えDNA技術と遺伝子導入を組み合わせる方法を用いて、宿主細胞のトランスフェクトーマにおいて作製してもよい(例えば、Morrison,S.(1985)Science 229:1202)。一実施形態では、標準的な分子生物学技術から得られた軽鎖及び重鎖の部分又は全長をコードするDNAを1つ又は複数の発現ベクターに挿入することによって、遺伝子を転写及び翻訳調節配列に作動可能に接続させる。この場合において用語「作動可能に接続」とは、抗体遺伝子をベクターの中に接続させることによって、ベクター内の転写及び翻訳調節配列に、抗体遺伝子の転写及び翻訳を調節するそれらの定められた機能を発揮させることを指す。用語「調節配列」には、抗体遺伝子の転写又は翻訳を制御するプロモーター、エンハンサー、他の発現制御要素(例えば、ポリアデニル化シグナル)が含まれる。
【0098】
抗体軽鎖遺伝子及び抗体重鎖遺伝子を同じ発現ベクターに挿入してもよいし又は異なる発現ベクターに挿入してもよい。好ましい実施形態では、可変領域を、所望のアイソタイプの重鎖定常領域及び軽鎖定常領域をコードしている発現ベクターに挿入して全長抗体遺伝子を構築することによって、VHをベクター中のCHに作動可能に接続させ、VLをベクター中のCLに作動可能に接続させる。また、又は、組換え発現ベクターは抗体鎖の宿主細胞からの分泌を促進するシグナルペプチドをコードすることができる。抗体鎖遺伝子をベクターにクローニングすることによって、シグナルペプチドをリーディングフレーム内において抗体鎖遺伝子のアミノ末端に接続させることができる。シグナルペプチドは、免疫グロブリンシグナルペプチド又は異種シグナルペプチド(即ち、非免疫グロブリンからのシグナルペプチド)であってもよい。
【0099】
軽鎖及び重鎖を発現させるために、標準的な技術により、重鎖及び軽鎖をコードする発現ベクターを宿主細胞に導入する。用語「導入」には、例えば、電気穿孔法、リン酸カルシウム共沈殿法、DEAE-デキストラン導入など、外因性DNAを原核又は真核宿主細胞に導入するための様々な技術が含まれる。原核又は真核宿主細胞の中で本願の抗体を発現させるのは理論的には可能であるが、好ましくは抗体を真核細胞において発現させ、最も好ましくは哺乳動物宿主細胞において発現させ、これは、真核細胞、とりわけ哺乳動物細胞のほうが、原核細胞よりも抗体を組み立て、適切に折り畳まれた免疫活性を有する抗体を分泌することができるからである。本願の組換え抗体を発現させるための好ましい哺乳動物宿主細胞は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFR選択マーカーと共に使用されるdhfr-CHO細胞を含み、これについては、Urlaub and Chasin,(1980)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216-4220で記述されており、DHFR選択マーカーについては、例えば、R.J.Kaufman and P.A.Sharp(1982)J.Mol.Biol.159:601-621に記述されている)、NSO骨髄腫細胞、COS細胞及びSP2細胞を含む。抗体遺伝子をコードする組換え発現ベクターを哺乳動物宿主細胞に導入した後に、宿主細胞で抗体が発現されるように、又は好ましくは宿主細胞が成長する培地に抗体が一定の期間に分泌されるように宿主細胞を培養することによって抗体を作製する。標準的なタンパク質精製方法を用いて抗体を宿主細胞又はその細胞培養物から回収することができる。
【0100】
別の態様で、本願は、本願の抗CLDN18.2抗体又はその抗原結合断片、核酸分子、組換えポリペプチド、融合タンパク質、多重特異性抗体、イムノコンジュゲート、キメラ抗原受容体若しくは遺伝子ベクターと、薬学的に許容される担体又は賦形剤とを含む、医薬組成物を提供する。用語「薬学的に許容される担体又は賦形剤」は、医薬組成物を作製するために使用できる担体又は賦形剤を表し、それらは一般的に安全で、非毒性で生物学的活性がなく無害なものであり、獣医学用及びヒトへの医薬用の担体又は賦形剤を含む。
【0101】
本願の医薬組成物は、静脈内、筋肉内、皮下、非経口、髄腔内又は表皮投与(例えば、注射又は注入)に適する。投与経路によって、酸及びそれを不活性化させ得る他の自然条件の影響を受けないよう、有効成分を材料でコーティングしてもよい。本明細書で使用される用語「非経口投与」とは、経腸及び局所投与以外の投与方式を指し、一般的に、注射を利用し、且つ、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、胸骨内の注射及び注入を含み、ただしそれらに限定されない。又は、本願の医薬組成物は、経口経路によって、例えば、局所、表皮又は粘膜経路によって投与されてもよく、例えば、鼻腔内、経口、経膣、経直腸、舌下又は局所で投与される。
【0102】
本願の医薬組成物は、滅菌水溶液又は分散液の形態であってもよい。それらは、マイクロエマルジョン、リポソーム又は高濃度薬物に適する他の規則正しい構造において調製してもよい。
【0103】
投与計画は、最適な所望の反応(例えば、治療反応)を提供するように調整される。例えば、単回の高用量で投与してもよいし、経時的に複数の部分用量を投与してもよいし、又は治療中の緊急度に応じて用量を比例的に低減又は増加させてもよい。又は、抗体を徐放性製剤として投与してもよく、この場合に所定の投与頻度は低減される。
【0104】
抗体の投与について、用量は、約0.0001~100mg/kgの宿主の体重の範囲内にあってもよい。
【0105】
明瞭に理解されるために、例での説明及び実施例で上記の発明を詳細に記述しているが、本願の教示によれば、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく他にも本願に若干の変更及び補正を行ってもよいということが当業者に自明である。限定をするためではないが、下記の実施例で本願をさらに説明する。また、当業者は、様々な重要でないパラメータを認識しやすいはずであり、前記パラメータを変更又は補正しても実質的に類似している結果を得ることができる。
【0106】
特に断りがない限り、本願を実施するにあたり、当分野の技術範囲内にあるタンパク質化学、生化学、組換えDNA技術及び薬理学の通常の方法を用いる。例えば、下記の実施例で使用する試薬、材料及び器具のそれぞれは、特に説明がない限り、当分野で市販されているものを使用してもよい。
【実施例
【0107】
実施例1:抗CLDN18.2ハイブリドーマモノクローナル抗体の産生
安定細胞株の構築:
遺伝子合成によりヒトCLDN18.2(配列番号1)をコードするcDNAを得て、次に、発現ベクターpcDNA3.1にサブクローニングした。Lipofectamine 2000導入試薬(Thermo、カタログ番号11668019)の説明書に従って、発現ベクターをそれぞれU2OS細胞及びNIH-3T3細胞に導入して、安定細胞株U2OS-CLDN18.2及びNIH-3T3-CLDN18.2を得た。
【0108】
遺伝子合成によりヒトCLDN18.1(配列番号2)をコードするcDNAを得て、次に、発現ベクターpcDNA3.1にサブクローニングした。Lipofectamine 2000導入試薬(Thermo、カタログ番号11668019)の説明書に従って、発現ベクターをそれぞれU2OS細胞及びNIH-3T3細胞に導入して、安定細胞株U2OS-CLDN18.1及びNIH-3T3-CLDN18.1を得た。
【0109】
マウスの免疫化:
免疫原NIH-3T3-CLDN18.2細胞でBALB/cマウスを免疫し、各マウスには5×10~10×10個のNIH-3T3-CLDN18.2細胞を腹腔内注射し、2週ごとに1回免疫し、5回免疫した。融合の3日前に、各マウスに1×10個のNIH-3T3-CLDN18.2細胞を腹腔内注射して免疫した。免疫終了後、各マウスの血清を採取して抗CLDN18.2特異性抗体の力価を検出した。後の脾臓細胞融合に備えて抗体力価が高いマウスを選択した。
【0110】
細胞融合:
電気融合法を用いて、電気融合装置(BTX、ECM2001)を使用して免疫マウスからの脾臓細胞(1×10個)とSP2/0骨髄腫細胞(5×10個)を融合させてハイブリドーマ細胞を得た。融合後、HAT完全培地で細胞を再懸濁し、0.2mL/ウェルで96ウェルプレートに分注して、37℃、5%のCOを含むインキュベーターにおいて培養し、7~10日後、ハイブリドーマ細胞培養上清を取得して検出した。
【0111】
ハイブリドーマのスクリーニング:
ELISAによりCLDN18.2に対する抗体の結合活性を検出した。U2OS-CLDN18.2細胞を10000個/ウェルで96ウェルプレートに分注して、37℃、5%のCOを含むインキュベーターにおいて一晩培養した。細胞培養上清を捨て、PBSバッファーで96ウェルプレートを3回洗浄して、2%のパラホルムアルデヒドを加えて室温で30分間固定した。PBSバッファーで96ウェルプレートを3回洗浄し、各ウェルに100μLのハイブリドーマ細胞培養上清を加えて、室温で1時間インキュベートした。PBSバッファーで96ウェルプレートを3回洗浄し、各ウェルに100μLのHRP-Goat Anti-Mouse(ヤギ抗マウス) IgG Fcγ(Jackson immunoresearch、カタログ番号115-035-071)を加えて、室温で1時間インキュベートした。PBSバッファーで96ウェルプレートを3回洗浄し、各ウェルに100μLのTMB(Thermo、カタログ番号00-4201-56)を加えて、10分間インキュベートし、次に、各ウェルに50μLの停止溶液(2NのH2SO4)を加えて反応を停止させた。マイクロプレートリーダー(Thermo、Varioskan Flash)を用いて波長450nmでOD値を読み取った。
【0112】
ELISAにより陽性が検出されたハイブリドーマ細胞を選択し、FACS法でとCLDN18.2を天然に発現する細胞株KATOIII及びNUGC-4に対する前記ハイブリドーマ細胞培養上清中の抗体の結合活性を検出した(方法は実施例3を参照した)。
【0113】
実施例2:抗CLDN18.2キメラ抗体の産生
cDNAの取得:
ELISA及びFACSにより陽性が検出されたハイブリドーマ細胞(28G3、40F6、22F12、34G6、10D8)を選択し、トータルRNA抽出キット(タカラ、カタログ番号9767)を使用して細胞からトータルRNAを鋳型として単離し、キット(Thermo、カタログ番号18080051)の説明書に従ってsuperscript III逆転写酵素を使用して第一鎖cDNAを合成した。第一鎖cDNAを鋳型とし、次に、マウスIgGプライマー及びκプライマーを使用してPCR反応により抗体の重鎖可変領域及び軽鎖可変領域配列を増幅させた。0.5μg/mLのエチジウムブロミドを含有している1%のアガロース/ホウ酸トリス(トリメチルシリル)ゲルにおいて電気泳動によりPCR混合物を分離させた。ゲルから所定の大きさのDNA断片を切り出してそれを精製した。精製されたPCR生成物をpMD-19Tベクター(タカラ、カタログ番号6013)にクローニングして、DH5α大腸菌コンピテントセル(タカラ、カタログ番号9057)に導入してLB固体培養プレートにおいて培養した。LB固体培養プレートから単一のコロニーをピッキングしてDNA配列決定を行った。抗体(ネズミ抗体28G3、40F6、22F12、34G6、10D8)の重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列を得た。
【0114】
キメラ抗体の構築及び発現:
フコース発現関連遺伝子FUT8をノックアウトすることによってIgG1とFcgRIIIaの相互作用を高め、そして抗体のADCC活性を増強させることができる(Shields et al.,2002、Yamane-Ohnuki et al.,2004)。当実施例では、FUT8をノックアウトされたCHO-S細胞(CHO-S Fut8-/-細胞と命名した)を用いて脱フコシル化抗体を作製した。
【0115】
マウスVL領域遺伝子断片をヒトκ鎖定常領域に接続させてキメラ軽鎖を構築し、マウスVH領域遺伝子断片をヒトIgG1定常領域に接続させてキメラ重鎖を構築した。各抗体に対応するキメラ重鎖発現プラスミド及びキメラ軽鎖発現プラスミドをCHO-S Fut8-/-細胞に同時導入してタンパク質の発現を行った。導入後の細胞を37℃、8%のCOを含む条件で培養した。7~10日培養した後、遠心分離して細胞培養上清を得て、プロテインAカラム(GE healthcare)で細胞培養上清中のキメラ抗体を精製した。ここで、前記ヒトκ軽鎖定常領域は配列番号62で示されるアミノ酸配列を有し、前記ヒトIgG1定常領域は配列番号61で示されるアミノ酸配列を有する。
【0116】
実施例3:抗CLDN18.2抗体の結合活性の測定
FACS法に基づいて、CLDN18.2を過剰発現する細胞株U2OS-CLDN18.2、CLDN18.2を天然に発現する細胞株KATOIII(中国科学院細胞バンク)及びNUGC-4(中国科学院細胞バンク)に対する抗CLDN18.2抗体の結合活性を分析した。IMAB362(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号63及び64で示される)を陽性対照とし、IgG1アイソタイプ対照抗体(本願の実施例ではIgG1とも表記され、社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号67及び68で示される)を陰性対照とした。
【0117】
PBSで細胞濃度を調整し、細胞(U2OS-CLDN18.2、KATOIII又はNUGC-4細胞)を3×10個/ウェルで96ウェル培養プレートに分注し、次に異なる濃度の被検抗体を96ウェル培養プレートの各ウェルに加えて、4℃で60分間インキュベートした。KATOIII及びNUGC-4細胞に対して、xi40F6及びxi34G6抗体の最終濃度を300nM、100nM、33.33nM、11.11nM、3.7nM、1.23nM、0.41nM、0.14nMにし、xi10D8、xi22F12及びxi28G3抗体の最終濃度を300nM、60nM、12nM、2.4nM、0.48nM、0.096nM、0.0192nM、0.00384nMにし、U2OS-CLDN18.2細胞に対して、被検抗体の最終濃度を150nM、50nM、16.67nM、5.56nM、1.85nM、0.62nM、0.21nM、0.07nMにした。上清を捨て、予め冷却したPBSバッファーで細胞を3回洗浄し、各ウェルに100μLの1:200希釈したPE-Goat Anti-Human(ヤギ抗ヒト) IgG Fcγ(Jackson immunoresearch、カタログ番号109-116-170)を加えて、4℃で30分間インキュベートした。予め冷却したPBSバッファーで細胞を3回洗浄して、100μLのPBSバッファーで細胞を再懸濁し、次にフローサイトメーター(Sartorius、iQUE3)を使用して蛍光シグナルを検出した。染色の平均蛍光強度(MFI)からCLDN18.2に対する抗CLDN18.2抗体の結合能力を計測した。
【0118】
U2OS-CLDN18.2、KATOIII及びNUGC-4細胞に対する抗CLDN18.2キメラ抗体の結合活性は図1に示され、結合のEC50データは表2.1、表2.2、表2.3に示され、xi28G3、xi40F6、xi22F12及びxi34G6の3種の異なる細胞における結合活性は、いずれもIMAB362より優れ、xi10D8はIMAB362の結合活性と同等であった。
【表2】
【表3】
【表4】
【0119】
実施例4:抗CLDN18.2抗体の非特異的結合
FACS法に基づいて、CLDN18.1(配列番号2)を過剰発現する細胞株U2OS-CLDN18.1に対する抗CLDN18.2抗体の結合活性を分析した。PBSで細胞濃度を調整し、U2OS-CLDN18.1細胞を3×10個/ウェルで96ウェル培養プレートに加え、次に被検抗体を96ウェル培養プレートの各ウェルに加え、抗体の最終濃度を200nMにし、4℃で60分間インキュベートした。上清を捨て、予め冷却したPBSバッファーで細胞を3回洗浄し、各ウェルに100μLの1:200希釈したPE-Goat Anti-Human(ヤギ抗ヒト) IgG Fcγ(Jackson immunoresearch、カタログ番号109-116-170)を加えて、4℃で30分間インキュベートした。予め冷却したPBSバッファーで細胞を3回洗浄して、100μLのPBSバッファーで細胞を再懸濁し、次にフローサイトメーター(Sartorius、iQUE3)を使用して蛍光シグナルを検出した。染色の平均蛍光強度(MFI)からU2OS-CLDN18.1細胞に対する抗CLDN18.2抗体の非特異的結合を計測し、IgG1アイソタイプ対照抗体(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号67及び68で示される)を対照とし、IgG1アイソタイプ対照抗体の2倍を基準として、非特異的結合があるかどうかを判断した。
【0120】
結果は表3に示され、抗CLDN18.2キメラ抗体は対照群IgG1アイソタイプ対照抗体のMFI値に近いことから、抗CLDN18.2キメラ抗体はU2OS-CLDN18.1細胞とは非特異的に結合しないことが示された。
【表5】
【0121】
実施例5:抗CLDN18.2抗体のADCC活性
レポーター遺伝子アッセイに基づいて、それぞれ、KATOIII、NUGC-4、U2OS-CLDN18.2を標的細胞とし、CD16a v158及びNFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)が安定導入されたJurkat細胞(Jurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ))(BPS Bioscience、カタログ番号60541)をフェクター細胞として、抗CLDN18.2抗体の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を測定した。IMAB362(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号63及び64で示される)を陽性対照とし、IgG1アイソタイプ対照抗体(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号67及び68で示される)を陰性対照とした。
【0122】
培地でKATOIII、NUGC-4及びU2OS-CLDN18.2細胞をそれぞれ2.4×10個/mLに希釈し、各種の細胞懸濁液を100μL/ウェルで96ウェルプレートに分注して、37℃、5%のCOを含むインキュベーターにおいて一晩培養した。翌日に、培養上清を捨て、PBSバッファーで96ウェルプレートを1~3回洗浄した。次に異なる濃度の被検抗体を60μL/ウェルで96ウェルプレートに加え、KATOIII細胞に対して、本願の抗CLDN18.2抗体の最終濃度を20nM、2nM、0.2nM、0.02nM、0.002nM、0.0002nM、0.00002nM、0.000002nMにし、IMAB362の最終濃度を2000nM、200nM、20nM、2nM、0.2nM、0.02nM、0.002nM、0.0002nMにし、NUGC-4細胞に対して、本願の抗CLDN18.2抗体及びIMAB362の最終濃度を1333.33nM、133.33nM、13.33nM、1.33nM、0.133nM、0.0133nM、0.00133nM、0.000133nMにし、U2OS-CLDN18.2細胞に対して、本願の抗CLDN18.2抗体及びIMAB362の最終濃度を1.334nM、0.267nM、0.053nM、0.011nM、0.002nM、0.0004nM、0.00009nMにした。次にJurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)細胞を取り出し、フェクター細胞数:標的細胞数=5:1の比率で、96ウェルプレートの各ウェルに40μLのJurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)細胞懸濁液を加えた。低速で遠心分離してフェクター細胞と標的細胞を充分に均一混合させて接触させて、37℃、5%のCOを含むインキュベーターにおいて5~6時間インキュベートし、次にルシフェラーゼ検出キット(諾唯賛、カタログ番号DD1203-03)の説明書に従って、各ウェルに100μLの検出試薬を加えて、15~30分間静置し、マイクロプレートリーダー(Thermo、Varioskan Flash)を使用して蛍光シグナルを検出した。
【0123】
レポーター遺伝子アッセイで、抗CLDN18.2キメラ抗体のADCC活性は図2に示され、EC50データは表4に示され、3種の異なる細胞において、キメラ抗体xi28G3、xi40F6、xi34G6、xi22F12は、Jurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)細胞のNFATシグナルの活性化を顕著に誘導することができ、且つIMAB362よりも優れた。
【表6】
【0124】
PBMCの殺傷効果に基づいて、それぞれ、KATOIII、NUGC-4を標的細胞とし、PBMCをフェクター細胞として、抗CLDN18.2抗体のADCC活性を検出した。IMAB362(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号63及び64で示される)及び15F9(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号65及び66で示される)を陽性対照とし、IgG1アイソタイプ対照抗体(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号67及び68で示される)を陰性対照とした。
【0125】
培地でKATOIII及びNUGC-4細胞をそれぞれ2×10個/mLに希釈して、各種の細胞懸濁液を50μL/ウェルで96ウェルプレートに分注した。次に異なる濃度の被検抗体を96ウェルプレートの各ウェルに加え、KATOIII細胞に対して、被検抗体の最終濃度を66.7nM、8.34nM、1.04nM、0.13nM、0.016nM、0.002nM、0.00025nM、0.00003nMにし、NUGC-4細胞に対して、被検抗体の最終濃度を600nM、100nM、16.67nM、2.78nM、0.46nM、0.077nM、0.013nM、0.002nMにした。PBMC細胞を蘇生させ、フェクター細胞数:標的細胞数=20:1の比率で96ウェルプレートの各ウェルに50μLのPBMC細胞懸濁液を加えた(細胞密度は4×10個/mL)。低速で遠心分離してフェクター細胞と標的細胞を充分に均一混合させて接触させて、37℃、5%のCOを含むインキュベーターにおいて18時間インキュベートした。次に96ウェルプレートをプレート遠心機に入れて250g/分で5分間遠心分離し、各ウェルから50μLの上清を取って96ウェル検出プレートに入れた。CytoTox96 Non-Radioキット(Promega、カタログ番号PR-G1780)の説明書に従ってLDH作業溶液を調製し、96ウェル検出プレートの各ウェルに50μLのLDH作業溶液を加えて、均一に混合した後に暗所で室温下25~35分間インキュベートした。各ウェルに50μLの停止液を加え、均一に混合して、マイクロプレートリーダー(Thermo、Varioskan Flash)を使用して波長490nmでOD値を読み取った。
【数1】
【0126】
図3及び表5に示すように、PBMC殺傷試験では、抗CLDN18.2キメラ抗体xi22F12、xi28G3、xi40F6、xi34G6のADCC活性はIMAB362、15F9よりも優れた。
【表7】
【0127】
実施例6:抗CLDN18.2抗体のCDC活性
CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assayの方法に基づいて、それぞれ、KATOIII、U2OS-CLDN18.2を標的細胞として、抗体の補体依存性細胞傷害(CDC)活性を検出した。IMAB362(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号63及び64で示される)を陽性対照とし、IgG1アイソタイプ対照抗体(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号67及び68で示される)を陰性対照とした。
【0128】
培地でKATOIII、U2OS-CLDN18.2をそれぞれ8×10個/mLに希釈して、各種の細胞懸濁液を50μL/ウェルで96ウェルプレートに分注した。次に異なる濃度の被検抗体を50μL/ウェルで96ウェルプレートに加え、KATOIII細胞に対して、被検抗体の最終濃度を50nM、10nM、2nM、0.4nM、0.08nM、0.016nM、0.0032nM、0.00064nMにし、U2OS-CLDN18.2細胞に対して、被検抗体の最終濃度を333.33nM、66.67nM、13.33nM、2.67nM、0.53nM、0.11nM、0.02nM、0.004nMにした。次に補体(Quidel、カタログ番号A113)を50μL/ウェルで96ウェルプレートに加え、補体の最終濃度を10%にした。低速で遠心分離し、次に96ウェルプレートを37℃で振盪しながら30分間インキュベートして、補体と標的細胞を充分に均一混合させて接触させた。次に37℃、5%のCOを含むインキュベーターにおいて2時間インキュベートした。インキュベートが終了した後、各ウェルに110μLのCellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assay(Promega、カタログ番号G7572)を加え、暗所で室温下5~15分間インキュベートし、最後にマイクロプレートリーダー(Thermo、Varioskan Flash)において蛍光値を測定した。
【数2】
【0129】
結果は図4及び表6に示され、抗CLDN18.2キメラ抗体xi22F12、xi28G3、xi40F6、xi34G6、xi10D8はいずれも強いCDC効果を誘導することができ、且つxi22F12、xi28G3、xi40F6及びxi34G6の活性がIMAB362より強かった。
【表8】
【0130】
実施例7:抗CLDN18.2抗体のエンドサイトーシス活性
Antibody Internalization Human Reagent(Sartorius、カタログ番号90564)の説明書に従って、それぞれ、NUGC-4、NIH-3T3-CLDN18.2を標的細胞として、抗CLDN18.2抗体のエンドサイトーシス活性を検出した。
【0131】
培地でNUGC-4及びNIH-3T3-CLDN18.2細胞をそれぞれ2×10個/mLに希釈して、各種の細胞懸濁液を20μL/ウェルで96ウェルプレートに分注した。被検抗体及びインターナリゼーション試薬を均一に混合して、37℃の暗所で15分間インキュベートし、次に被検抗体とインターナリゼーション試薬の混合物を20μL/ウェルで96ウェルプレートに加え、37℃、5%のCOのインキュベーターにおいて2時間インキュベートして、被検抗体の最終濃度を20nM、6.67nM、2.22nM、0.74nM、0.25nM、0.08nM、0.027nM、0.009nMにした。インキュベートが終了した後、フローサイトメーター(Sartorius、iQUE3)を使用して蛍光シグナル(MFI)を検出した。蛍光値の大きさから抗体のエンドサイトーシス活性を評価し、結果を図5に示した。
【0132】
実施例8:抗CLDN18.2抗体の非特異的ADCC活性
レポーター遺伝子アッセイに基づいて、NIH-3T3-CLDN18.1細胞を標的細胞とし、Jurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)をフェクター細胞として、NIH-3T3CLAN18.1細胞に対する抗CLDN18.2抗体の非特異的ADCC活性を分析し、被検抗体の最終濃度を333.33nM、66.67nM、13.33nM、2.67nM、0.53nM、0.107nM、0.021nM、0.004nMにし、具体的な方法は実施例5を参照した。
【0133】
結果は図6に示され、抗CLDN18.2キメラ抗体xi22F12、xi28G3、xi40F6、xi34G6はいずれもNIH-3T3-CLDN18.1細胞に対してADCC効果がないが、xi10D8、IMAB362はNIH-3T3-CLDN18.1細胞に対して弱いADCC活性を有している。
【0134】
実施例9:抗CLDN18.2モノクローナル抗体のヒト化
ネズミ抗体28G3(重鎖可変領域配列は配列番号11、軽鎖可変領域配列は配列番号16)、40F6(重鎖可変領域配列は配列番号29、軽鎖可変領域配列は配列番号34)を選択してヒト化設計を行った。
【0135】
CDR-グラフト法とコンピューター支援設計を併用してネズミ抗体28G3、40F6に対してヒト化設計を行い、ネズミ抗体の重鎖可変領域配列及び軽鎖可変領域配列に対してタンパク質データベースとの比較・解析により、配列相同性が最も高いヒト生殖系列抗体配列をスクリーニングした。ネズミ抗体28G3、40F6の相補性決定領域(CDR)をスクリーニングされたヒト生殖系列抗体配列のフレームワークにグラフトし、さらに、より多くの候補可変領域配列を得るために、CDR及び/又はフレームワーク中のアミノ酸残基を変異させた。
【0136】
ヒト化VL領域遺伝子断片をヒトκ鎖定常領域に接続させてヒト化軽鎖を構築し、ヒト化VH領域遺伝子断片をヒトIgG1定常領域に接続させてヒト化重鎖を構築した。実施例2の方法に従って導入及び発現を行い、次にプロテインAカラムで細胞培養上清中のヒト化抗体を精製した。ここで、前記ヒトκ軽鎖定常領域は配列番号62で示されるアミノ酸配列を有し、前記ヒトIgG1定常領域は配列番号61で示されるアミノ酸配列を有する。
【0137】
実施例10:抗CLDN18.2ヒト化抗体の特性評価
結合活性:
FACS法に基づいて、CLDN18.2を天然に発現する細胞株KATOIII(中国科学院細胞バンク)及びNUGC-4(中国科学院細胞バンク)に対する抗CLDN18.2ヒト化抗体の結合活性を分析した。hz28G3-1.1、hz28G3-1.2、hz28G3-1.3、hz28G3-1.4、hz28G3-2.1、hz28G3-2.2、hz28G3-2.3、hz28G3-2.4及びxi28G3の最終濃度を150nM、50nM、16.67nM、5.56nM、1.85nM、0.62nM、0.21nM、0.07nMにし、hz40F61.1、hz40F6-1.2、hz40F6-1.3、hz40F6-1.4、hz40F6-2.1、hz40F6-2.2、hz40F6-2.3、hz40F6-2.4及びxi40F6の最終濃度を300nM、100nM、33.33nM、11.11nM、3.7nM、1.23nM、0.41nM、0.14nMにし、具体的な方法は実施例3を参照した。
【0138】
抗CLDN18.2ヒト化抗体の結合活性は図7図8に示され、結合のEC50データは表7.1、表7.2に示され、hz40F6-1.1及びhz40F6-2.1の結合活性がキメラ抗体xi40F6より弱いが、残りのヒト化抗体の結合活性はそのキメラ抗体と同等で又はより優れ、且つ全てのヒト化抗体の結合活性はいずれもIMAB362より優れた。
【表9】
【表10】
【0139】
ADCC活性:
レポーター遺伝子アッセイに基づいて、それぞれ、KATOIII、NUGC-4、NIH-3T3-CLDN18.2、U2OS-CLDN18.2を標的細胞とし、Jurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)をフェクター細胞として、抗CLDN18.2ヒト化抗体のADCC活性を分析した。NIH-3T3-CLDN18.2及びU2OS-CLDN18.2細胞に対して、被検抗体の最終濃度を13.33nM、2.22nM、0.37nM、0.062nM、0.01nM、0.0017nM、0.00029nM、0.000048nMにし、NUGC-4細胞に対して、被検抗体の最終濃度を1333.33nM、133.33nM、13.33nM、1.33nM、0.133nM、0.0133nM、0.00133nM、0.000133nMにし、KATOIII細胞に対して、本願の抗CLDN18.2抗体の最終濃度は20nM、2nM、0.2nM、0.02nM、0.002nM、0.0002nM、0.00002nM、0.000002nMであり、IMAB362の最終濃度は2000nM、200nM、20nM、2nM、0.2nM、0.02nM、0.002nM、0.0002nMであり、具体的な方法は実施例5を参照した。
【0140】
レポーター遺伝子アッセイで、抗CLDN18.2ヒト化抗体のADCC活性は図9図10に示され、EC50データは表8.1、表8.2に示され、2種の異なる細胞において、抗CLDN18.2ヒト化抗体はいずれもJurkat-CD16a v158-NFAT-luciferase(ルシフェラーゼ)細胞のNFATシグナルの活性化を顕著に誘導することができ、ヒト化抗体のADCC活性はそのキメラ抗体と同等であり、且つIMAB362より優れた。
【表11】
【表12】
【0141】
PBMC殺傷試験を利用し、それぞれ、KATOIII、NUGC-4、NIH-3T3-CLDN18.2を標的細胞とし、PBMCをフェクター細胞として、抗CLDN18.2ヒト化抗体のADCC活性を分析した。被検抗体の最終濃度を66.7nM、8.34nM、1.04nM、0.13nM、0.016nM、0.002nM、0.00025nM、0.000032nMにし、具体的な方法は実施例5を参照した。
【0142】
結果は図11、表9に示され、PBMC殺傷試験では、抗CLDN18.2ヒト化抗体hz28G3-1.3のADCC活性はxi28G3と同等であり、且つ15F9よりも顕著に優れた。
【表13】
【0143】
CDC活性:
CellTiter-Glo Luminescent Cell Viability Assayの方法に基づいて、NIH-3T3-CLDN18.2を標的細胞として、抗体のCDC活性を検出した。IMAB362(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号63及び64で示される)及び15F9(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号65及び66で示される)を陽性対照とし、IgG1アイソタイプ対照抗体(社内で作製したもので、重鎖及び軽鎖アミノ酸配列は本願の配列番号67及び68で示される)を陰性対照とした。0.1%のBSAを含んだ培地でNIH-3T3-CLDN18.2細胞をそれぞれ8×10個/mLに希釈して、各種の細胞懸濁液を50μL/ウェルで96ウェルプレートに分注した。次に異なる濃度の被検抗体を50μL/ウェルで96ウェルプレートに加えた。hz28G3-1.1、hz28G3-1.3及びxi28G3の最終濃度を100nM、25nM、6.25nM、1.56nM、0.39nM、0.098nM、0.024nM、0.006nMにし、hz40F6-1.1、hz40F6-1.2、hz40F6-1.3、hz40F6-1.4、hz40F6-2.1、hz40F6-2.2、hz40F6-2.3、hz40F6-2.4及びxi40F6の最終濃度を333.33nM、66.67nM、13.33nM、2.67nM、0.53nM、0.11nM、0.02nM、0.004nMにし、具体的な方法は実施例6を参照した。
【0144】
結果は、図12及び表10.1、表10.2に示され、抗CLDN18.2ヒト化抗体はいずれも強いCDC効果を誘導することができ、個別の抗体を除いて、他のヒト化抗体のCDC活性はそのキメラ抗体と同等であった。
【表14】
【表15】
【0145】
エンドサイトーシス活性:
Antibody Internalization Human Reagent(Sartorius、カタログ番号90564)の説明書に従って、それぞれ、NUGC-4、U2OS-CLDN18.2を標的細胞として、抗CLDN18.2ヒト化抗体のエンドサイトーシス活性を検出した。NUGC-4細胞では被検抗体の最終濃度は111.11nM、37.04nM、12.35nM、4.12nM、1.37nM、0.46nM、0.15nMであり、U2OS-CLDN18.2細胞では被検抗体の最終濃度を33.33nM、11.11nM、3.7nM、1.23nM、0.41nM、0.14nM、0.046nM、0.015nMにし、具体的な方法は実施例7を参照した。蛍光値の大きさから抗体のエンドサイトーシス活性の強さを評価し、結果を図13に示した。
【0146】
非特異的ADCC活性:
PBMC殺傷試験に基づいて、NIH-3T3-CLDN18.1を標的細胞とし、PBMCをフェクター細胞として、NIH-3T3-CLDN18.1細胞に対する抗CLDN18.2ヒト化抗体の非特異的ADCC活性を分析した。被検抗体の最終濃度を66.7nM、8.34nM、1.04nM、0.13nM、0.016nM、0.002nM、0.00025nMにし、具体的な方法は実施例5を参照した。
【0147】
結果は図14に示され、抗CLDN18.2ヒト化抗体hz28G3-1.1、hz28G3-1.3はNIH-3T3-CLDN18.1細胞に対してADCC効果がなかった。
【0148】
本願の配列情報を表11にまとめている。
【表16-1】
【表16-2】
【表16-3】
【表16-4】
【表16-5】
【表16-6】
【表16-7】
【表16-8】
【0149】
本明細書では記述と開示の目的で、全ての特許、特許出願及び他のすでに確定した刊行物を参照して明確に組み込む。それらの刊行物は本願の出願日前に公開されているため提供できる。それらの書類の開示日に関する声明又はその内容の記載は出願人の知り得た情報に基づくもので、それらの書類の開示日又はその内容が正しいと承諾するものではない。しかも全ての対象国において、本明細書へのそれらの刊行物の参照で当該刊行物は当分野で周知される常識になると認めるものではない。
【0150】
上記で一般的な説明及び具体的な実施形態を用いて本願を詳しく記述しているが、本願を踏まえて、それに対していくつかの補正又は改善を行なってもよく、これは当業者にとって自明なことである。したがって、本願の主旨から脱することなくそのような補正又は改善を行った場合に、そのいずれも本願で主張する保護範囲に属する。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【配列表】
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【国際調査報告】