(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】液体製品用貯蔵設備を建造するためのスペーサ部材の寸法を算出するための算出方法
(51)【国際特許分類】
F17C 13/00 20060101AFI20241024BHJP
B65D 90/12 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F17C13/00 302E
B65D90/12 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525260
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022080254
(87)【国際公開番号】W WO2023073201
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】クールトゥ ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ラムドゥーア オスマン
(72)【発明者】
【氏名】ヴォリュト ミカエル
(72)【発明者】
【氏名】ヴォリュト ヤン
【テーマコード(参考)】
3E170
3E172
【Fターム(参考)】
3E170AA08
3E170AB03
3E170AB29
3E170CA07
3E170NA01
3E170QA20
3E170VA20
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB04
3E172AB05
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB12
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172CA10
3E172DA23
3E172DA90
(57)【要約】
本発明は、荷重支持壁(12)により画定された内部スペース(11)と、当該荷重支持壁(12)の内部スペース(11)内に設置された密閉タンク(20)と、が設けられた荷重支持構造(10)を備えた液体製品用貯蔵設備(1)を建造するためのスペーサ部材(40)の寸法を算出するための算出方法(400)に関するものである。本算出方法(400)は、密閉タンク(20)の平坦ファセット(224)の変形を制限する平坦性基準を含む許容基準の制約下でスペーサ部材(40)の寸法を反復的に減少させることに基づくものである。
【選択図】
図4B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷重支持壁(12)により画定された内部スペース(11)を有する荷重支持構造(10)と、当該荷重支持壁(12)の内部スペース(11)内に設置された密閉タンク(20)と、を備えた液体製品用貯蔵設備(1)を建造するためのスペーサ部材(40)の寸法を算出するための算出方法(400)であって、
前記算出方法(400)はコンピュータにより実行され、
前記荷重支持壁(12)の三次元の位置測定結果を取得すること(401)と、
前記位置測定結果に基づいて、前記荷重支持構造(12)の内部スペース(11)内に、前記密閉タンク(20)の周壁(22)の初期位置(220)を含む当該密閉タンク(20)の初期位置を定めること(402)と、ただし、前記周壁(22)は前記初期位置(220)において、準線として凸多角形と、当該準線に対して垂直な母線と、を有する多角柱面を形成する複数の平坦ファセット(224)を有し、
前記各平坦ファセット(224)ごとに、
前記密閉タンク(20)の前記周壁(22)を構成するための隣り合う壁モジュール(30,660)の場所(130)を定める位置決めライン(100)を定めること(403)と、
前記位置決めライン(100)の位置に基づいて、前記平坦ファセット(224)と前記荷重支持壁(12)との間において前記平坦ファセット(224)に対して垂直に延在する設定ライン(150)であって、設定ライン前記壁モジュール(30,660)の各場所(130)と少なくとも1つの当該設定ライン(150)が交差するように配され、前記密閉タンク(20)の前記周壁(22)が最終位置にあるときに前記各壁モジュール(30,660)と前記荷重支持壁(12)との間に位置するスペーサ部材(40)の位置を表す設定ライン(150)を定めること(404)と、
前記荷重支持壁(12)の前記位置測定結果に基づいて前記設定ライン(150)の初期寸法を算出すること(405)と、
前記平坦ファセット(224)の変形を制限する平坦性基準を含む許容基準の制約下で、前記密閉タンク(20)の前記周壁(22)の前記最終位置に達するまで前記荷重支持壁(12)に前記壁モジュール(30,660)を近づけるように、前記設定ライン(150)の寸法を反復的に減少させること(405)と、
を含むことを特徴とする算出方法(400)。
【請求項2】
前記設定ラインの寸法を反復的に減少させること(405)は、
a)設定ライン(150)を選択する工程(501,510)と、
b)選択した前記設定ライン(150)の寸法を縮小寸法に低減する工程(502)と、
c)前記許容基準が満たされることの確認を前記算出(503,504,505,506)によって行い、前記許容基準が満たされる場合、工程b)において得られた前記縮小寸法を維持し(508)、前記許容基準が満たされない場合、工程b)において行った寸法の低減をキャンセルする工程(507)と、
d)未だ選択されていない設定ラインが少なくとも1つ存在するか否かを確認し、
未だ選択されていない設定ラインが少なくとも1つ存在する場合、当該未だ選択されていない設定ラインについて工程a)~c)を実施し、
未だ選択されていない設定ラインが存在しない場合、工程c)において少なくとも1つの前記設定ラインについて前記縮小寸法が維持されているか否かを確認し(511)、
工程c)において少なくとも1つの前記設定ラインについて前記縮小寸法が維持されている場合、工程a)~d)を再度実施し、
工程c)において少なくとも1つの前記設定ラインについて前記縮小寸法が維持されていない場合、前記設定ライン(150)の寸法を前記スペーサ部材(40)の寸法としてメモリ(512)に記録する工程(509)と、
を含む請求項1に記載の算出方法(400)。
【請求項3】
前記設定ライン(150)の寸法は、予め定められた分(δ)ずつ減少される、
請求項1又は2記載の算出方法(400)。
【請求項4】
前記許容基準は、前記設定ライン(150)の寸法を第1の所定の下限(l
min)以上に留める下限基準を含む、
請求項1から3までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項5】
前記許容基準は、前記各壁モジュール(30,660)に対して垂直方向における当該壁モジュール(30,660)と前記荷重支持壁(12)との間の距離を第2の所定の下限(e
min)以上に留める離間基準を含む、
請求項1から4までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項6】
前記許容基準は、整列した3つの隣り合うスペーサ部材(40)の先端間の傾き差(α)に関する傾き基準を含む、
請求項1から5までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項7】
前記許容基準は、前記スペーサ部材(40)に沿った前記各壁モジュール(30,660)に対して垂直方向における当該壁モジュール(30,660)と当該壁モジュール(30,660)の平均平面(430)との間の離間距離に関するねじれ基準を含む、
請求項1から6までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項8】
前記密閉タンクの前記周壁の前記初期位置(220)を定めること(402)は、前記平坦ファセット(224)を分けるコーナ縁部(225)における当該平坦ファセット(224)により成される角度(β)の基準値を定めることを含む、
請求項1から7までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項9】
前記密閉タンク(20)の前記周壁(22)の全部が、隣り合う平坦な壁モジュール(30)によって構成され、
前記許容基準は、コーナ縁部(225)に最も近い2つの整列した前記スペーサ部材(40)の、当該コーナ縁部(225)の両側における先端を接続する2つの傾きによって成される角度(γ)を、当該コーナ縁部(225)における前記角度(β)の基準値を含む範囲内とするとの角度基準を含む、
請求項8記載の算出方法(400)。
【請求項10】
前記壁モジュールは1つの前記コーナ縁部(225)において、当該コーナ縁部(225)に配置されて二面角を形成する二面角壁モジュール(660)を含み、
前記二面角の角度は、前記コーナ縁部(225)の前記角度(β)の前記基準値に等しく、
前記許容基準は、
前記二面角ブロック(660)に対応する前記スペーサ部材(40)の先端と、隣の前記スペーサ部材(40)の先端と、の間の傾きと、
前記二面角ブロック(660)に対応する前記スペーサ部材(40)の先端と、当該二面角ブロック(660)の二面角に位置する点(660P)であって前記スペーサ部材(40)と整列している点(660P)と、の間の傾きと
の傾き差(ζ)に関する第2の傾き基準を含む、
請求項8記載の算出方法(400)。
【請求項11】
前記荷重支持構造(10)はさらに、寸法公差を有する平坦な底部荷重支持壁(19)を備えており、
前記荷重支持壁(12)の三次元の位置測定結果を取得すること(401)は、前記底部荷重支持壁(19)の三次元の位置測定結果を取得することをさらに含み、
前記密閉タンク(20)の初期位置は、当該密閉タンク(20)の底壁(23)の初期位置を定める底部平坦ファセット(223)をさらに含み、
前記算出方法(400)はさらに、
前記位置決めライン(100)に基づき、前記密閉タンク(20)の前記底壁(23)を構成するための隣り合う底部壁モジュール(30)の場所を定める底部位置決めライン(700)を定めることと、
前記底部位置決めライン(700)の位置に基づいて、前記底部平坦ファセット(223)と前記底部荷重支持壁(19)との間において前記底部平坦ファセット(223)に対して垂直に延在する底部設定ライン(750)であって、前記底部壁モジュール(30)の各場所(730)と少なくとも1つの当該底部設定ライン(750)が交差するように配され、前記密閉タンク(20)の前記底壁(23)が最終位置にあるときに前記各底部壁モジュール(30)と前記底部荷重支持壁(19)との間に位置するスペーサ部材(40)の位置を表す底部設定ライン(750)を定めることと、
前記底部荷重支持壁(19)の前記位置測定結果に基づいて前記底部設定ライン(750)の初期寸法を算出することと、
前記底部平坦ファセット(223)の変形を制限する平坦性基準を含む許容基準の制約下で、前記密閉タンク(20)の前記底壁(23)の前記最終位置に達するまで前記底部荷重支持壁(19)に前記壁モジュール(30)を近づけるように、前記底部設定ライン(750)の寸法を反復的に減少させることと、
を含む請求項1から10までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項12】
前記密閉タンク(20)の前記周壁(22)を構成するための前記壁モジュール(30)は矩形の外輪郭を有し、
前記位置決めライン(100)は前記壁モジュールの矩形の場所(130)を定め、
前記設定ライン(150)は、前記壁モジュール(30)の矩形の場所(130)のコーナ部付近において当該矩形の各場所(130)と少なくとも4つの前記設定ライン(150)が交差するように配置されている、
請求項1から11までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項13】
前記密閉タンク(20)の前記周壁(22)は前記初期位置(220)において、準線として正凸多角形を有する多角柱面を形成する複数の平坦ファセット(224)を有する、
請求項1から12までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項14】
前記荷重支持壁(12)は、寸法公差を有する多角柱面又は円柱面を形成する、
請求項1から13までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項15】
前記スペーサ部材(40)はシムを有する、
請求項1から14までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【請求項16】
前記スペーサ部材(40)はアンカーロッドを有する、
請求項1から15までのいずれか1項記載の算出方法(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体製品用貯蔵設備の建造に関するものである。より具体的には本発明は、荷重支持壁により画定された内部スペースを有する荷重支持構造と、当該荷重支持壁の内部スペース内に設置された密閉タンクと、を備えた液体製品用貯蔵設備を建造するためのスペーサ部材の寸法の算出に関するものである。
【0002】
このタンクは、低温で液化ガスを貯蔵及び/又は輸送するための密閉断熱タンクとすることができ、例えば、-50℃~0℃の間の温度を有する液化石油ガス(LPG)を輸送するためのタンク、又は大気圧下で約-162℃で液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンク等とすることができる。これらのタンクは、沿岸又は浮体構造物に設置することができる。浮体構造物の場合、タンクは液化ガスを輸送するためのもの、又は、浮体構造物を推進するための燃料として使用される液化ガスを入れるものとすることができる。
【0003】
一実施形態では、液化ガスはLNG、すなわち大気圧下で約-162℃の温度で貯蔵される高メタン含有量の混合物である。他の液化ガスも可能であり、特にエタン、プロパン、ブタン又はエチレンとすることができ、また水素とすることも可能である。液化ガスは、例えば2~20バールの相対ゲージ圧力の圧力下で貯蔵することもでき、特に約2バールの相対ゲージ圧力で圧力下で貯蔵することも可能である。タンクを製造できる技術は種々存在し、特に統合メンブレンタンク又は自立式タンクの形態で製造することができる。
【0004】
上記に代えて密閉タンクは、原油又は精製油、特に灯油、ディーゼル油又はガソリン等の液体製品を常圧及び常温で貯蔵及び/又は輸送するための密閉タンクとすることも可能である。
【背景技術】
【0005】
国際公開第2020/193584号に、荷重支持壁に密閉断熱タンクを建造するための方法が記載されている。荷重支持壁の内表面には、複数の断熱ブロックが並べられて固定されている。断熱ブロックと荷重支持壁との間に、シムとマスチックのビードとが配置されている。このシムとマスチックのビードとにより荷重支持壁の内表面の平坦性不足を補償することができ、これにより、タンクの密閉メンブレンを支持するために満足する平坦性を備えた断熱バリアを提供することができる。
【発明の概要】
【0006】
本発明の基礎となる一思想は、荷重支持壁により画定された内部スペースを有する荷重支持構造と、当該荷重支持壁の内部スペース内に設置された密閉タンクと、を備えた液体製品用貯蔵設備を建造するためのスペーサ部材の寸法を算出するための算出方法を提供することである。本発明の基礎となる他の一思想は、スペーサ部材の寸法を反復的に算出させるというものであり、この反復的とはより具体的には、タンクに設けられた平坦ファセットの変形を制限する平坦性基準を含む許容基準の制約下でスペーサ部材の寸法を反復的に減少させる、ということである。
【0007】
よって本発明は、荷重支持壁により画定された内部スペースを有する荷重支持構造と、当該荷重支持壁の内部スペース内に設置された密閉タンクと、を備えた液体製品用貯蔵設備を建造するためのスペーサ部材の寸法を算出するための算出方法を提供するものであり、
前記算出方法はコンピュータにより実行され、
前記荷重支持壁の三次元の位置測定結果を取得することと、
前記位置測定結果に基づいて、前記荷重支持構造の内部スペース内に、前記タンクの周壁の初期位置を含む当該タンクの初期位置を定めることと、ただし、前記周壁は前記初期位置において、準線として凸多角形と、当該準線に対して垂直な母線と、を有する多角柱面(surface cylindrique polygonale)を形成する複数の平坦ファセットを有し、
前記各平坦ファセットごとに、
前記タンクの前記周壁を構成するための隣り合う壁モジュールの場所を定める位置決めラインを定めることと、
前記位置決めラインの位置に基づいて、前記平坦ファセットと前記荷重支持壁との間において前記平坦ファセットに対して垂直に延在する設定ラインであって、前記壁モジュールの各場所と少なくとも1つの当該設定ラインが交差するように配され、前記タンクの前記周壁が最終位置にあるときに前記各壁モジュールと前記荷重支持壁との間に位置するスペーサ部材の位置を表す設定ラインを定めることと、
前記荷重支持壁の前記位置測定結果に基づいて前記設定ラインの初期寸法を算出することと、
前記平坦ファセットの変形を制限する平坦性基準を含む許容基準の制約下で、前記タンクの前記周壁の前記最終位置に達するまで前記荷重支持壁に前記壁モジュールを近づけるように、前記設定ラインの寸法を反復的に減少させることと、
を含む。
【0008】
かかる構成により、許容基準が満たされる限りスペーサ部材の寸法を可能な限り減少するようにスペーサ部材の寸法の算出を実施することができ、これにより、タンクの周壁と荷重支持壁との間のデッドスペースを減少することができる。上記の許容基準によって平坦ファセットの変形が制限され、これにより、タンクの周壁が最終位置にあるときに十分な平坦性を有し、例えば密閉メンブレンを支持するために十分な平坦性を有することとなる。
【0009】
本算出方法はコンピュータによって、例えばコンピュータによって実行される適切なコンピュータプログラムによって実行される。かかる構成により、許容基準の事前指定を目的とする介入以外の人間の介入無しで、ユーザはスペーサ部材の寸法を自動的に取得することができる。上記の位置測定結果の全部若しくは一部をユーザが手動で入力することができ、又は、コンピュータ可読の形式でコンピュータプログラムに入力することができる。
【0010】
実施形態では、上述の算出方法は下記の構成のうち1つ又は複数を具備することができる。
【0011】
一実施形態では、前記設定ラインの寸法を反復的に減少させることは、
a)設定ラインを選択する工程と、
b)選択した前記設定ラインの寸法を縮小寸法に低減する工程と、
c)前記許容基準が満たされることの確認を前記算出によって行い、前記許容基準が満たされる場合、工程b)において得られた前記縮小寸法を維持し、前記許容基準が満たされない場合、工程b)において行った寸法の低減をキャンセルする工程と、
d)未だ選択されていない設定ラインが少なくとも1つ存在するか否かを確認し、未だ選択されていない設定ラインが少なくとも1つ存在する場合、当該未だ選択されていない設定ラインについて工程a)~c)を実施し、未だ選択されていない設定ラインが存在しない場合、工程c)において少なくとも1つの前記設定ラインについて前記縮小寸法が維持されているか否かを確認し、工程c)において少なくとも1つの前記設定ラインについて前記縮小寸法が維持されている場合、工程a)~d)を再度実施し、工程c)において少なくとも1つの前記設定ラインについて前記縮小寸法が維持されていない場合、前記設定ラインの寸法を前記スペーサ部材の寸法としてメモリに記録する工程と、
を含む。
【0012】
一実施形態では、前記設定ラインの寸法は、予め定められた分ずつ減少される。
【0013】
一実施形態では、前記許容基準は、前記設定ラインの寸法を第1の所定の下限以上に留める下限基準を含む。
【0014】
一実施形態では、前記許容基準は、前記各壁モジュールに対して垂直方向における当該壁モジュールと前記荷重支持壁との間の距離を第2の所定の下限以上に留める離間基準を含む。
【0015】
一実施形態では、前記許容基準は、整列した3つの隣り合うスペーサ部材の先端間の傾き差に関する傾き基準を含む。
【0016】
一実施形態では、前記許容基準は、前記スペーサ部材に沿った前記各壁モジュールに対して垂直方向における当該壁モジュールと当該壁モジュールの平均平面との間の離間距離に関するねじれ基準を含む。
【0017】
一実施形態では、前記タンクの前記周壁の前記初期位置を定めることは、前記平坦ファセットを分けるコーナ縁部における当該平坦ファセットにより成される角度の基準値を定めることを含む。
【0018】
一実施形態では、前記タンクの前記周壁の全部が、隣り合う平坦な壁モジュールによって構成され、前記許容基準は、コーナ縁部に最も近い2つの整列した前記スペーサ部材の、当該コーナ縁部の両側における先端を接続する2つの傾きによって成される角度を、当該コーナ縁部における前記角度の基準値を含む範囲内とするとの角度基準を含む。
【0019】
一実施形態では、前記壁モジュールは1つの前記コーナ縁部において、当該コーナ縁部に配置されて二面角を形成する二面角壁モジュールを含み、前記二面角の角度は、前記コーナ縁部の前記角度の前記基準値に等しく、前記許容基準は、
前記二面角ブロックに対応する前記スペーサ部材の先端と、隣の前記スペーサ部材の先端と、の間の傾きと、
前記二面角ブロックに対応する前記スペーサ部材の先端と、当該二面角ブロックの二面角に位置する点であって前記スペーサ部材と整列している点と、の間の傾きと
の傾き差に関する第2の傾き基準を含む。
【0020】
一実施形態では、
-前記荷重支持構造はさらに、寸法公差を有する平坦な底部荷重支持壁を備えており、
-前記荷重支持壁の三次元の位置測定結果を取得することは、前記底部荷重支持壁の三次元の位置測定結果を取得することをさらに含み、
-前記タンクの初期位置は、当該タンクの底壁の初期位置を定める底部平坦ファセットをさらに含み、
-前記算出方法はさらに、
前記位置決めラインに基づき、前記タンクの前記底壁を構成するための隣り合う底部壁モジュールの場所を定める底部位置決めラインを定めることと、
前記底部位置決めラインの位置に基づいて、前記底部平坦ファセットと前記底部荷重支持壁との間において前記底部平坦ファセットに対して垂直に延在する底部設定ラインであって、前記底部壁モジュールの各場所と少なくとも1つの当該底部設定ラインが交差するように配され、前記タンクの前記底壁が最終位置にあるときに前記各底部壁モジュールと前記底部荷重支持壁との間に位置するスペーサ部材の位置を表す底部設定ラインを定めることと、
前記底部荷重支持壁の前記位置測定結果に基づいて前記底部設定ラインの初期寸法を算出することと、
前記底部平坦ファセットの変形を制限する平坦性基準を含む許容基準の制約下で、前記タンクの前記底壁の前記最終位置に達するまで前記底部荷重支持壁に前記壁モジュールを近づけるように、前記底部設定ラインの寸法を反復的に減少させることと、
を含む。
【0021】
一実施形態では、前記タンクの前記周壁を構成するための前記壁モジュールは矩形の外輪郭を有し、前記位置決めラインは前記壁モジュールの矩形の場所を定め、前記設定ラインは、前記壁モジュールの矩形の場所のコーナ部付近において当該矩形の各場所と少なくとも4つの前記設定ラインが交差するように配置されている。
【0022】
一実施形態では、前記壁モジュールは、前記タンクの密閉メンブレンを構成する少なくとも1つのメタルシートを固定するための手段を備えている。
【0023】
一実施形態では、前記タンクは密閉断熱タンクである。
【0024】
一実施形態では、前記壁モジュールは断熱ブロックである。
【0025】
一実施形態では、前記各断熱ブロックは、ポリマー発泡体のブロックをカバーシートと底部シートとの間に挟んだものを備えている。一実施形態では、前記ポリマー発泡体のブロックはポリウレタン発泡体のブロックであり、これはオプションとして、ガラス繊維により強化されたものである。一実施形態では、前記ポリマー発泡体の密度は130~200kg/m3である。一実施形態では、前記カバーシート及び前記底部シートは合板製である。
【0026】
一実施形態では、前記カバーシートは、メタルシートの縁部に溶接されることにより当該メタルシートを当該カバーシートに固定するためのアンカープレートを備えている。
【0027】
一実施形態では、前記タンクの前記周壁は前記初期位置において、準線として正凸多角形を有する多角柱面を形成する複数の平坦ファセットを有する。
【0028】
一実施形態では、前記荷重支持壁は、寸法公差を有する多角柱面又は円柱面を形成する。
【0029】
一実施形態では、前記スペーサ部材はシムを有する。
【0030】
一実施形態では、前記スペーサ部材はアンカーロッドを有する。一実施形態では、前記アンカーロッドは前記壁モジュールを前記荷重支持壁に固定する。
【0031】
一実施形態では、前記荷重支持壁の三次元の位置測定結果を取得することは、走査型レーザレンジファインダを用いて鉛直方向荷重支持壁の位置の三次元測量を行うことを含む。
【0032】
一実施形態では、前記三次元測量は2cm2以下おきの点に等しい分解能で行われる。
【0033】
添付の図面を参照して、本発明の複数の特定の実施形態についての以下の説明を読めば、本発明をより良好に理解できると共に、本発明の他の目的、詳細、特徴及び利点がより明らかとなる。以下の説明の特定の実施形態は、あくまで非限定的な例示である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A】荷重支持構造の内部スペース内におけるタンクの周壁の初期位置を示す図である。
【
図1B】一変形形態の荷重支持構造の形状を示す、
図1Aと同様の図である。
【
図2】荷重支持構造の主荷重支持壁の一部と、初期位置にあるときのタンクの周壁の平坦ファセットと、
図1Aの初期位置にあるときの設定ラインの初期寸法と、を示す図である。
【
図3】タンク壁の周壁が最終位置にあるときの設定ラインの寸法を示す、
図2と同様の図である。
【
図4A】本発明の算出方法の各工程を示すブロック図である。
【
図4B】
図4Aの算出方法の一工程を詳細に示すブロック図である。
【
図5】設定ラインの初期寸法を定める一態様を示す図である。
【
図6】タンクの周壁を構成するための隣り合う平坦な壁モジュールと、タンクの周壁が最終位置にあるときに各壁モジュールと荷重支持壁との間に位置するスペーサ部材と、を示す図である。
【
図7】隣り合う平坦な壁モジュールとスペーサ部材とを示す別の図である。
【
図8A】
図3A,
図3B及び
図5に示されている設定ラインの場所と、平坦な壁モジュールの場所を定める位置決めラインの場所と、を示す図である。
【
図8B】整列状態の隣り合うスペーサ部材の先端間の傾きを示す図である。
【
図9】平坦な壁モジュールの平均平面と、当該壁モジュールに対して垂直方向における当該スペーサ部材に沿った各壁モジュールと当該平均平面との間の離間距離と、を示す図である。
【
図10】タンクの2つの平坦な壁を分けるコーナ縁部の両側の整列した隣り合うスペーサ部材の先端間の傾きを示す図である。
【
図11】タンクの周壁の第1の実施変形形態を示す図であり、本変形形態ではスペーサ部材はシムである。
【
図12】第1の実施変形形態の壁モジュールの可能な構造を示す図である。
【
図13】タンクの2つの平坦な壁を分けるコーナ縁部における第1の実施変形形態の当該タンクの周壁を示す図である。
【
図14】タンクの周壁の第2の実施変形形態の断面を示す部分図であり、本変形形態ではスペーサ部材はアンカーロッドである。
【
図15A】タンクの2つの平坦な壁を分けるコーナ縁部における第2の実施変形形態の当該タンクの周壁の可能な構造を示す図である。
【
図15B】二面角ブロックを仮想的に平坦なブロックに変換したものを示す図である。
【
図15D】整列した隣り合うスペーサ部材の先端間の傾きと、当該スペーサ部材の先端と
図15A及び
図15Bの二面角ブロックの二面角に位置する一点の先端との間の傾きと、を示す、
図15Cと同様の図である。
【
図16】荷重支持構造の底壁の一部と、当該荷重支持構造の主荷重支持壁の一部と、を示す荷重支持構造の部分斜視図である。
【
図17】荷重支持構造の底壁と主荷重支持壁とを分けるコーナ縁部の両側の整列した隣り合うスペーサ部材の先端間の傾きを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
上記の通り、本発明は液体製品用貯蔵設備の製造に関するものであり、以下の説明において貯蔵設備に符号1を付している。
【0036】
一変形形態では、設備1は液化ガスを貯蔵可能なものであり、特に液化天然ガス(LNG)を約-162℃の温度及び大気圧で貯蔵可能又は他の液化ガスを貯蔵可能なものである。他の一変形形態では、設備1は原油又は精製油等の他の液体製品、特に灯油、ディーゼル油又はガソリンを貯蔵可能なものである。
【0037】
設備1はまず、荷重支持構造10と密閉タンク20とを備えている。
【0038】
最初に荷重支持構造10について説明する。荷重支持構造10は、密閉タンク20を受ける空洞を画定する少なくとも1つの荷重支持壁を備えている。一実施形態では、主荷重支持壁12が、上記の空洞を取り囲む概ね円筒状の幾何学的形状を有する。かかる主荷重支持壁12は、ガイド方向における少なくとも一端において他の荷重支持壁によって閉じられることも可能である。一実施形態では、上記の主荷重支持壁12は底部荷重支持壁とカバー荷重支持壁との間に延在することができる。
【0039】
設備1は沿岸設置用に設けることができる。その際には、主荷重支持壁12は典型的には鉛直方向、すなわち、寸法公差の範囲内で重力に起因する加速度の方向に対して平行な平面内に配される。荷重支持構造10は例えばコンクリート製である。不図示の一態様では、底部荷重支持壁を地上に設置することができ、又は地下に設置できる場合もある。不図示の一態様では荷重支持構造10は、主荷重支持壁12における底部荷重支持壁とは反対側の端部に、当該底部荷重支持壁と鉛直方向荷重支持壁12とにより画定された内部スペースを閉じるカバー荷重支持壁を備えている。このカバー荷重支持壁は、内部スペースから又は内部スペースへ液体製品を搬送するために使用可能な各種装置アイテムを支持することができる。底部荷重支持壁及び/又はカバー荷重支持壁は例えば平坦とすることができる。しかし、底部荷重支持壁及びカバー荷重支持壁を他の形状とすること、特に球面ドーム状とすることも可能である。
【0040】
他の一代替形態として、設備1は船舶等の浮体構造物上に設置するために設けることも可能である。この場合には、荷重支持構造10は浮体構造物に含まれる二重船殻の一部である。主荷重支持壁12を非鉛直方向とすることができる場合があり、また主荷重支持壁12は、浮体構造物が静止状態の際に重力に起因する加速度の方向に対して垂直なガイド方向を有することも可能である。
【0041】
以下では、設備1が沿岸に設置され、主荷重支持壁12が鉛直方向である事例について、より詳細に検討する。よって、以下の説明は鉛直方向荷重支持壁12に基づいて行われる。しかし、以下の説明は、重力に起因する加速度の方向に対して主荷重支持壁12の如何なる向きにも適用可能である。
【0042】
図1Aは、鉛直方向荷重支持壁12の鉛直軸に対して垂直方向にとった荷重支持構造10の概略的な断面図である。
図1A中、鉛直方向荷重支持壁12は実線で示されている。鉛直方向荷重支持壁12は多角柱面を形成し、典型的には民間の工業技術を用いて建造されたものである。よって、鉛直方向荷重支持壁12は複数の鉛直方向パネル14を有し、これらの鉛直方向パネル14はコーナ縁部13によって分けられている。鉛直方向パネル14の位置及び向きは、設定された正多角形に対して寸法偏差を示すことがあり得る。また、
図2に示されているように、各鉛直方向パネル14は理想的な平坦形状に対して寸法偏差を示すこともあり得る。かかる寸法偏差は例えば、具体的な建造の寸法公差に起因するものであり得る。
【0043】
一変形形態では、鉛直方向荷重支持壁12は
図1Bに示されているように任意の凸状の柱面を形成することができ、例えば、円形に対する寸法偏差を有するが大まかな円柱面を形成すること等が可能である。かかる荷重支持壁は自然な空洞とすることができ、又は公差の大きい建造物とすることができる。しかし、より一般化すると、鉛直方向荷重支持壁12の形状は図示の形状より正規性を低くしたり又は高くする(moins reguliere ou plus reguliere)ことができる。
【0044】
密閉タンク20(
図1A及び
図1Bにおいて破線で示されている)は、荷重支持構造10の内部スペース11内に設置されるものである。タンク20は、鉛直方向荷重支持壁12に対向する鉛直方向周壁22を備えている。不図示の一態様ではタンク20は、底部荷重支持壁に対向する底壁と、カバー荷重支持壁に対向するカバー壁と、をさらに備える。
【0045】
鉛直方向周壁22は、隣り合う平坦な壁モジュール30により構成されている。
図3において、鉛直方向荷重支持壁12に最も近い壁モジュール30の縁部が破線で示されている。典型的には、壁モジュール30は鉛直方向の複数の平行な列に配列されている。壁モジュール30と鉛直方向荷重支持壁12との間には、上記の寸法偏差を補償するためにスペーサ部材40が配置されている。
【0046】
タンクの内部容積を最大限にし、鉛直方向荷重支持壁12と鉛直方向周壁22との間に配する材料の量を最小限にしつつ、タンク20を密閉する密閉メンブレンを支持するために鉛直方向周壁22が十分な平坦性を有することを保証するためには、スペーサ部材40の寸法を最小可能なものとする必要がある。
【0047】
これらの課題を解決できる算出方法400について説明する前に、
図1A、
図1B、
図2及び
図3を参照して全体的な原理を説明する。これらの図では、鉛直方向周壁22の初期位置220が一点鎖線で示されている。図面の見やすさの向上のため、
図1A及び
図1Bにおいて初期位置220と鉛直方向荷重支持壁12との間の距離は大幅に誇張されている点に留意されたい。
【0048】
初期位置220は、下記にて説明する所定の許容基準を満たすものである。よって初期位置220は、鉛直方向周壁22が十分な平坦性を有することを保証するために許容可能なものとみなされる。しかし、初期位置220は鉛直方向周壁22と鉛直方向荷重支持壁12との間に相当な大きさの間隔を残している。これにより、
図2に示すようにもし鉛直方向周壁22を単純にこの初期位置220に配置すると、スペーサ部材40の寸法が相当な大きさになってしまう。さらに、タンク20を建造する際に、鉛直方向荷重支持壁12と鉛直方向周壁22との間にその機械的強度の確保のために材料を配置する必要がある場合、その使用される材料体積量も相当量になってしまう。
【0049】
それとは逆に、本算出方法400の終了時には、鉛直方向周壁22が最終位置320にあるときのスペーサ部材40の縮小寸法が発見されることとなる。この最終位置320は初期位置220と同じ許容基準を満たすものであるから、最終位置320も、鉛直方向周壁22が十分な平坦性を有することを保証するものである。しかしスペーサ部材40の寸法は縮小しているので、鉛直方向荷重支持壁12と鉛直方向周壁22との間に配置される材料の体積は減少し、タンク20の内部容積が増大する。
【0050】
以下、算出方法400の各工程について
図4A~10を参照して説明する。
【0051】
方法400は、鉛直方向荷重支持壁12の三次元の位置測定結果を取得する工程401を含む。一具体例ではこの工程401は、走査型レーザレンジファインダを用いて高分解能で、例えば2cm2以下おきの点に等しい分解能で、鉛直方向荷重支持壁51の位置の三次元測量を行うものである。
【0052】
工程402において、工程401で取得した位置測定結果に基づいて、内部スペース11内にタンク20の鉛直方向周壁22の初期位置220を定める。鉛直方向周壁22は初期位置220において、準線として凸多角形と、当該準線に対して垂直な母線と、を有する多角柱面(surface cylindrique polygonale)を形成する複数の平坦ファセット224を有する。具体的な一変形形態では、平坦ファセット224によって形成される多角柱面は準線として正凸多角形を有する。一具体例では初期位置220は、1つ又は複数の基準の制約下で数値シミュレーションにより鉛直方向周壁22の位置を探索することにより得られ、上記の1つ又は複数の基準は例えば、タンク20の鉛直方向周壁22と鉛直方向荷重支持壁12との間に存在するスペースを最小化する基準を含むことができる。
【0053】
工程401及び402の後、方法400は、位置決めライン100を定める工程403に移行する。位置決めライン100は、
図8Aに示されているように壁モジュール30の場所130を定める。
【0054】
図示の例では位置決めライン100は、壁モジュール30の矩形の外輪郭に対応した矩形の場所130を定めるべく、鉛直方向の位置決めライン110と、当該鉛直方向の位置決めライン110に対して垂直な水平方向の位置決めライン120とを含む。一具体例では鉛直方向の位置決めライン110は、平坦ファセット224の鉛直方向の中央鉛直線を特定し、この鉛直方向の中央鉛直線に沿って規則的な間隔で鉛直方向の位置決めライン110を配置することにより特定される。水平方向の位置決めライン120も同様に、平坦ファセット224の水平方向の中央水平線を特定し、この水平方向の中央水平線に沿って規則的な間隔で水平方向の位置決めライン120を配置することにより特定される。
【0055】
工程403の後、方法400は、位置決めライン100の位置に基づいて設定ライン150を定める工程404に移行する。設定ライン150は、最終位置320におけるスペーサ部材40の位置を表すものである。設定ライン150は、壁モジュール30の各場所130と少なくとも1つの設定ライン150が交差するように配置される。
【0056】
図示の例では設定ライン150は、上記の矩形の場所のコーナ部付近において当該矩形の各場所130と少なくとも4つの設定ライン150が交差するように配置されている。しかし、特に矩形の各場所130のコーナ部付近以外の他の場所にスペーサ部材40を配置する場合には、設ける設定ライン150の数を変えることが可能である。
【0057】
工程404の後、本方法は、工程401で得られた鉛直方向荷重支持壁12の位置測定結果に基づいて設定ライン150の初期寸法を算出し、その後、鉛直方向荷重支持壁12に壁モジュール30を近づけるように設定ライン150の寸法を反復的に減少させる工程405に移行する。設定ライン150の寸法の反復的な減少は、平坦ファセット224の変形を制限する平坦性基準を含む許容基準の制約下で行われる。
【0058】
特定の変形形態では、工程405中に設定ライン150の寸法は、予め定められた分δずつ反復的に減少される。
【0059】
工程403,404及び405は各平坦ファセット224ごとに行われる。
【0060】
以下、工程405の可能な一具現化態様と、許容基準例とについて、
図4B~10を参照して詳細に説明する。
【0061】
工程500において、許容基準が満たされるように設定ライン150の高さを初期化する。
図5中概略的に示されている一具体例では、設定ライン150の寸法の初期化は下記の通り行われる。鉛直方向荷重支持壁12が平坦ファセット224に最も近い設定ライン150-1を特定し、この設定ライン150-1の寸法を最小寸法l
minに設定する。この最小寸法l
minについては、下記にて工程503において説明する。その後、許容基準が満たされるように他の設定ライン150の寸法を設定する。
【0062】
工程500における初期化の後、本方法は、設定ライン150を選択する工程501に移行する。
【0063】
工程502において、工程501で選択した設定ライン150の寸法を予め定められた分δだけ減少する。
【0064】
工程503において、工程502で減少した設定ライン150の寸法が、この設定ライン150の寸法を最小寸法l
min超に留める下限基準を満たすことを確認する。最小寸法l
minは予め設定されたものである。例えば、スペーサ部材40の製造及び使用を可能にしつつスペーサ部材40を準備できるものを最小寸法とすることができる。
図6は、スペーサ部材40がシムである場合の最小寸法l
minを示す図であり、以下では、これについて
図10及び
図11を参照して詳細に説明する。また
図6には、上記の予め定められた分δが複数示されている。
【0065】
工程504において、工程502で減少した設定ライン150の寸法が離間基準を満たすことを確認する。この離間基準は、対応する壁モジュール30に対して垂直方向における当該壁モジュール30と鉛直方向荷重支持壁12との間の距離を、当該壁モジュール30の下縁部上における点39であって工程401で得られた鉛直方向荷重支持壁12の位置測定結果を利用可能な全ての点39において、最小離間距離e
min超に留める、というものである。最小離間距離e
minは予め設定されるものである。
図7は、スペーサ部材40がシムである場合の最小離間距離e
minを概略的に示す図であり、以下では、これについて
図10及び
図11を参照して詳細に説明する。
【0066】
工程505において、工程502で減少した設定ライン150の寸法が、整列した3つの隣り合うスペーサ部材40の先端間の傾き差αに関する傾き基準を満たすことを確認する。より具体的には、上記の傾き差αが閾値2A未満に留まっていることを確認する。ここで、Aは予め設定された大きさである。
【0067】
図8A及び
図8Bは、傾き基準の算出の一例を示す。3つの整列した設定ライン150の先端の座標をデカルト基準座標系(x,z)で(x
1,z
1),(x
2,z
2),(x
3,z
3)として示し、xが上記3つの設定ライン150を接続する線190(
図8A参照)に対して平行であるとすると、以下の不等式が成り立つ場合に傾き基準が満たされる:
【0068】
【0069】
工程506において、工程502で減少した設定ライン150の寸法がねじれ基準を満たすことを確認する。このねじれ基準は、対応する各壁モジュール30に対応するスペーサ部材に沿った対応する各壁モジュール30に対して垂直方向における当該壁モジュール30と当該壁モジュールの平均平面との間の離間距離に関するものである。
【0070】
図9は、ねじれ基準の一例を示している。複数の設定ライン150に対応する1つの壁モジュール30について、当該壁モジュール30の平均平面430を定めることができる。この平均平面430から各設定ライン150までの距離を、d
1,d
2,d
3,d
4・・・とする。
図9の理解を容易にするため、同図において、平均平面430からの距離がd
2,d
4である設定ライン150の先端は平均平面430の上方にあり、平均平面430からの距離がd
1,d
3である設定ライン150の先端は平均平面430の下方にあるとする。壁モジュール30のうち平均平面430の下方に位置する部分も、破線で示されている。ねじれ基準は、量D=d
1+d
2+d
3+d
4・・・が所定の閾値未満である場合に満たされるとみなされる。
【0071】
工程503~506の許容基準は、1つの平坦ファセット224に対応する設定ライン150のみに関するものであるが、
図10に示されているように、設定ライン150の寸法が、コーナ縁部225により分かれた2つの隣り合う平坦ファセット224を十分に容易に接続可能とするものであることを保証することが望ましい場合がある。
【0072】
こうするためには、工程402において、コーナ縁部225における2つの平坦ファセット224を分ける角度の基準値βも定める(
図1A及び
図10参照)。基準値βは、全てのコーナ縁部225について同一とすることができる。
【0073】
工程507において、コーナ縁部225に最も近い2つの整列した前記スペーサ部材40の、当該コーナ縁部225の両側における先端を接続する2つの傾きP1,P2によって成される角度γを算出し、角度γが角度基準を満たすか否かを確認する。この角度基準は、角度γが基準値βを含む範囲内に収まっている場合に満たされるとみなされる。この範囲は、γとβとの間の許容可能な差を数値化したものであり、この範囲が狭いほど、平坦ファセット224が基準値βに近い角度γを形成するように制約される。各ファセット間で角度の均一性の向上を保証することにより、各ファセットの機械的接続が、例えば標準化された構成要素を使用可能となることにより容易になる。
【0074】
図10は、角度γと、当該角度γを算出する一態様とを示す図である。スペーサ部材40の先端と、これに対応する平坦ファセットと、の距離をdZ
1,dZ
2,dZ
3,dZ
4とし、各スペーサ部材40間の離間距離をd
12及びd
34とすると、以下の式が得られる:
【0075】
【0076】
工程507の基準は、γ-βの絶対値が所定の範囲内に収まる場合に満たされるとみなされる。
【0077】
工程503~507の許容基準のうち1つが満たされない場合には、本方法は工程508に移行し、工程502で行った設定ライン150の減少をキャンセルする。換言すると、工程501で選択した設定ライン150が工程502の前の寸法に復元される。
【0078】
逆に、工程503~507の全ての許容基準が満たされる場合には、本方法は工程509に移行し、工程502で行った設定ライン150の減少を有効化する。
【0079】
工程508又は509の後、本方法は工程510へ移行し、未選択の設定ライン150が存在するか否かを確認する。
【0080】
未選択の設定ライン150が存在する場合、本方法は工程511へ移行して未選択の設定ライン150を選択し、その後、この設定ライン150について工程502~510を繰り返す。工程511における未選択の設定ライン150の選択を行える態様は種々存在する。一変形形態では、この選択は完全にランダムである。他の一変形形態では、上記の選択は1つの平坦ファセット224の設定ライン150に限定して行われる。換言すると工程511では、特定の平坦ファセット224において未選択の設定ライン150が残っている限り、当該特定の平坦ファセット224に対応する設定ライン150の選択を続行する。
【0081】
未選択の設定ライン150が存在しない場合には、工程508において少なくとも1つの設定ライン150について寸法の減少が有効化されたか否かを確認する。この確認結果が否定的となった場合、工程503~507の許容基準に違反せずに設定ライン150の寸法をさらに減少することは不可能になると解されるので、本方法は工程513へ移行し、設定ライン150の寸法をスペーサ部材40の寸法としてメモリに記録する。逆に、上記の確認結果が肯定的となった場合には、設定ライン150のうち、工程503~507の許容基準に違反せずに設定ライン150の寸法を引き続き減少できる可能性がある設定ライン150が存在すると解されるので、本方法は工程501に戻って設定ライン150を再度選択し、工程502~509を繰り返す。
【0082】
一変形形態では、工程503~507の許容基準のうち一部の許容基準のみを用いることが可能である。
【0083】
算出方法400の各工程は、コンピュータにより実行される適切なコンピュータプログラムで実装することができる。工程401の位置測定結果の全部若しくは一部をユーザが手動で入力することができ、又は、コンピュータ可読の形式でコンピュータプログラムに入力することができる。
【0084】
上記の原理は、平坦な壁モジュールと、当該平坦な壁モジュールと荷重支持壁との間に配されるスペーサ部材と、を備えた数多くの形式のタンク壁に適用可能である。以下、このようなタンク壁の2つの実施変形形態について説明する。
【0085】
図11~13は、鉛直方向周壁22の第1の実施変形形態を示す図である。本変形形態では、スペーサ部材40はシムの形態となっている。
図12は壁モジュール30の中心における断面図であり、よって、同図にはシム40が示されていない。
【0086】
壁モジュール30は、全体形状が平行六面体状である断熱ブロックの形態となっている。ブロック30のコーナ部はアンカー部材によって鉛直方向荷重支持壁12に固定されており、その位置は
図10において符号90により示されている。シム40は上記のようなアンカー部材に配され、又は当該アンカー部材付近に配される。さらに、シム40はブロック30の下方に配置されている。よって、シム40の可変の寸法により、鉛直方向荷重支持壁12の平坦性不足を補償することができる。
【0087】
図12は、ブロック30の構造をより詳細に示す図である。ブロック30はポリマー発泡体のブロック32、例えばポリウレタン発泡体製のブロック等であり、このブロック32はオプションとしてガラス繊維により強化されたものであり、場合によっては130~200kg/m
3の密度を有する。ブロック32はカバーシート31と底部シート33との間に挟まれており、これらは例えば合板製である。
【0088】
図12を見ると、各ブロック30間に形成されたギャップ990を埋めるため、ブロック30間にガラスウール栓部318及び/又はポリウレタン発泡体のブロック319を配することが可能であることが分かる。さらに、ブロック30と鉛直方向荷重支持壁12との間にマスチックのビード98を配置できる場合がある。ブロック30とシム40とを嵌め合う前に、鉛直方向荷重支持壁12の表面にコーティング99を、例えばポリマー製のコーティング99等を設けておくことが可能である。
【0089】
ブロック30の上方にメタルシート171が配置され、その縁部が公知の技術により溶接されることにより、密閉メンブレンが構成される。不図示の一態様では、ブロック32のカバーシート31を支持する金属製のアンカープレートにブロック32のメタルシート171の縁部を溶接することによってメタルシート171をカバーシート31に固定することができる。メタルシート171は、LNG等の低温液体製品に接触することにより生じる熱収縮現象を吸収するため、コルゲーション172を有することができる。
【0090】
図13は、鉛直方向周壁22の2つの平坦ファセット間の角度における当該鉛直方向周壁22の一部を示す。鉛直方向周壁22の角度は単に、2つの隣り合うブロック30間の連結部(不図示)によって実現されている。
【0091】
図10に示されているシム40をブロック30の下方に配置する構成は、あくまで一例であり、ブロック30に対するシム40の配置を異なるものとすることができ、例えば、各ブロック30の各コーナ部にそれぞれシム40を配置することができる。
【0092】
また、
図6に示されているように、各ブロック30の下方に追加のシム80をシム40の場所間に配置することもできる。追加のシム80の寸法は、上記の算出方法400によって算出されたシム40の寸法と、工程401で得られた位置測定結果と、に基づいて算出することができる。
【0093】
また、スペーサ部材40はシム以外の形態をとることも可能である。あくまで一例として、
図14に、鉛直方向周壁22の第2の実施変形形態を概略的に示しており、本変形形態ではスペーサ部材40はアンカーロッドの形態をとる。壁モジュール30は、全体形状が平行六面体状である平坦なパネルの形態をとっている。不図示の一態様では、壁モジュール30の上方にメタルシートが配置され、その縁部が公知の技術により溶接されることにより、密閉メンブレンが構成される。例えば、壁モジュール30に設けられたアンカープレートにメタルシートを溶接することができる。
【0094】
本事例では、各パネル30は矩形の固定シート51を備えており、この矩形の固定シート51の各コーナ部はアンカーロッド40によって固定されている。こうするためには、固定シート51はそのコーナ部にカウンタボア52を有する。アンカーロッド40における鉛直方向荷重支持壁12とは反対側の端部は、カウンタボア52の底部に設けられた貫通孔(不図示)に入れられている。このようにして、各パネル30を鉛直方向荷重支持壁12の方向に当接した状態に維持するアンカー手段(不図示)によって、アンカーロッド40をカウンタボア52の底部に固定することができる。パネル30を鉛直方向荷重支持壁12に設置した後、パネル30と鉛直方向荷重支持壁12との間に残ったスペース94にセメントスラリーその他これに類する材料を射出することができ、これにより、鉛直方向荷重支持壁12における鉛直方向周壁22の機械的強度を確保することができる。
【0095】
以上では、隣り合う平坦な壁モジュール30のみによって作製された鉛直方向周壁22についてのみ説明したが、
図15Aに示されているように、一変形形態では鉛直方向周壁22は、平坦な壁モジュール30間に配置された二面角ブロック660を備えることもできる。この二面角ブロック660は角度βの二面角を有し、ここでβは上記の基準値である。スペーサ部材40、本事例ではシムも、上記の二面角ブロック660と鉛直方向荷重支持壁12との間に配置されている。このように作製された鉛直方向周壁22についても、算出方法400を以下の通り修正することによって二面角ブロック660の存在を考慮することを条件に、上記の原理を適用することが可能である。
【0096】
上記の算出方法400の修正に際しては、工程506において、二面角ブロック660に対応するスペーサ部材40に対応する設定ライン150に合わせて上記のねじれ基準を調整する。この設定ライン150については、平均平面430を算出するため、
図15Bに示されているように、二面角ブロック660を平坦な仮想的ブロック660’に仮想的に変換する回転を行うことにより、二面角ブロック660の二面角の同じ側に位置する2つの設定ライン150の先端を仮想的に変位させる。その後、上記にて
図10を参照して説明したように、この平均平面430を用いてねじれ基準を検証する。
【0097】
その代わり、工程507の角度基準の検証は行われず、工程507では上記の二面角ブロック660に対応するスペーサ部材40に対応する設定ライン150のみについて、二面角ブロック660に固有の傾き基準が満たされるか否かを確認する。この傾き基準は、
-二面角ブロック660に対応するスペーサ部材40の先端と、隣のスペーサ部材40の先端と、の間の傾きと、
-二面角ブロック660に対応するスペーサ部材40の先端と、当該二面角ブロック660の二面角に位置する点660Pであってスペーサ部材40と整列している点660Pと、の間の傾きとの間の傾き差ζに関するものである(
図15A、
図15C及び
図15D)。
具体的には、この傾き差ζが閾値2B未満に留まっていることを確認する。ここで、Bは予め設定された大きさである。二面角ブロック660と平坦な壁モジュール30との間の接続を容易にするために好適なのは、BをAに等しくすることである。
【0098】
図15C及び
図15Dは、二面角ブロック660に固有の傾き基準の算出の一例を示す図である。まず
図15Cを参照すると、点66Pの位置を算出する。これは、二面角ブロック660に対応するスペーサ部材40の高さを考慮した二面角ブロック660の位置960と基準角βの二等分線612との交点に位置するものである。次に
図15Dを参照すると、点660Pの座標と、当該点と整列する2つの設定ライン150の先端の座標と、をそれぞれデカルト基準座標系(x,z)で(x
1,z
1),(x
2,z
2),(x
p,z
p)として示し、xが上記2つの整列した設定ライン150を接続する線190(
図8A参照)に対して平行であるとすると、二面角ブロック660に固有の傾き基準は、以下の不等式が満たされる場合に満たされる:
【0099】
【0100】
タンク20の実質的に平坦な底壁23であって、荷重支持構造10の底部荷重支持壁19に配置される底壁についても、上記にてタンク20の鉛直方向周壁22について説明した原理を適用することができる。
図16及び
図17に、上記の底部荷重支持壁19が概略的に示されている。
【0101】
図17に示されているように、底部荷重支持壁19は理想的な平坦形状に対して寸法偏差を示すことがあり得る。かかる寸法偏差は例えば、具体的な建造の寸法公差に起因するものであり得る。
【0102】
図17は、タンク20の底壁23の位置も破線で示している。タンク20の底壁23も鉛直方向周壁22と同様に、隣り合う平坦な壁モジュール(不図示)により構成されており、この壁モジュールは、鉛直方向周壁22を構成する平坦な壁モジュール30と同一とすることができ、壁モジュールと底部荷重支持壁19との間には、上記の寸法偏差を補償するためにスペーサ部材(不図示)が配置されており、このスペーサ部材は鉛直方向周壁22のスペーサ部材40と同一とすることができる。
【0103】
鉛直方向周壁22の場合と同様に、タンクの内部容積を最大限にし、底部荷重支持壁19と底壁23との間に配する材料の量を最小限にしつつ、タンク20を密閉する密閉メンブレンを支持するために底壁23が十分な平坦性を有することを保証するためには、スペーサ部材の寸法を最小可能なものとする必要がある。
【0104】
こうするためには、算出方法400を以下の通り修正する:
-工程401において、得られる位置測定結果は底部荷重支持壁19の三次元の位置測定結果を含むものとする。
-工程402において、内部スペース11に底壁23の初期位置も定める。この初期位置は、底部平面ファセット223によって定義されるものである(
図17参照)。
-工程403において、底壁23の壁モジュールの場所730を定める位置決めライン700(
図16参照)も定める。一実施形態例では、位置決めライン700は位置決めライン100に基づいて定められる。例えば、位置決めライン700は
図16に示されているように、底部荷重支持壁19上における鉛直方向位置決めライン110の延長である第1の位置決めライン710と、第1の位置決めライン710に対して直交する第2の位置決めライン720と、を含む。
-工程404において、設定ライン750も定める(
図17参照)。設定ライン750は、底壁23が最終位置にあるときのスペーサ部材の位置を表すものであり、設定ライン150と同様、底壁23の各場所と少なくとも1つの設定ライン750が交差するように配置される。
-工程405において、設定ライン750の初期寸法も、工程401で得られた底部荷重支持壁19の位置測定結果に基づいて設定ライン算出し、その後、底部荷重支持壁19に底壁23の壁モジュールを近づけるように設定ライン750の寸法を反復的に減少させる。設定ライン150の寸法の反復的な減少は、底部平坦ファセット223の変形を制限する平坦性基準を含む許容基準の制約下で行われる。
【0105】
上記をまとめると、本算出方法400は、タンク20の鉛直方向周壁22の設定ライン150と共に当該タンク20の底壁23の設定ライン750を定めて処理する。
【0106】
設定ライン750の許容基準は、上記にて設定ライン150について説明した許容基準と類似あるいは同一である。よって、設定ライン750の許容基準については詳細に説明しない。
【0107】
しかし、底部平坦ファセット223と平坦ファセット224とを十分に容易に接続可能とするためには、工程402において、コーナ縁部225における底部平坦ファセット223と各平坦ファセット224とを分ける角度の基準値θを定める。基準値θは、底部平坦ファセット223と平坦ファセット224とを分ける各コーナ縁部725について同一とすることができる。
【0108】
上記にて工程507及び
図10を参照して既に説明した角度基準は、各コーナ縁部725ごとに、当該コーナ縁部725に最も近い2つの整列したスペーサ部材の先端を接続する2つの傾きPF,PVによって成される角度φ(
図17参照)を算出し、基準値θを含む範囲内に角度φが収まるか否かを確認することである。
【0109】
一変形形態では、底部平面ファセット223と平面ファセット224との間の接続部を、上記にて
図15A~15Dを参照して説明したものと同様に二面角ブロックによって作製することができる。その際には、二面角ブロックに対応する設定ライン150及び750について、上記にて
図15A~15Dを参照して説明した当該二面角ブロックに固有の傾き基準を検証する。
【0110】
複数の具体的な実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は決してこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲に属する場合には本願に記載の手段の技術的均等態様及びその組み合わせの全てを含むことが極めて明らかである。
【0111】
動詞「有する(have)」、「含む(comprise)」又は「備える(include)」及びその共役形の使用は、請求項に記載されたもの以外の要素又はステップの存在を除外するものではない。
【0112】
特許請求の範囲において、いかなる括弧書きの符号も、特許請求の範囲の限定と解すべきものではない。
【国際調査報告】