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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】密閉断熱タンク
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/00 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
F17C13/00 302Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525261
(86)(22)【出願日】2022-10-13
(85)【翻訳文提出日】2024-06-21
(86)【国際出願番号】 EP2022078557
(87)【国際公開番号】W WO2023072616
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】2111402
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515220317
【氏名又は名称】ギャズトランスポルト エ テクニギャズ
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】ミショー エルワン
(72)【発明者】
【氏名】イヴェール エマニュエル
【テーマコード(参考)】
3E172
【Fターム(参考)】
3E172AA03
3E172AA06
3E172AB01
3E172AB04
3E172AB05
3E172AB13
3E172AB20
3E172BA06
3E172BB02
3E172BB13
3E172BB17
3E172BD02
3E172EA03
3E172EB03
3E172EB10
(57)【要約】
本発明は、底壁(6)および天井壁(4)を有する密閉断熱タンク(71)に関し、前記天井壁(4)には、少なくとも1つの第1パイプ(10)および1つの第2パイプ(11)が通過し、前記タンク(71)は、前記底壁(6)を通過し、かつ、前記支持構造(1)に固定される支持足(12)と、前記支持足(12)に固定されるガイド装置(13)と、を備え、前記ガイド装置(13)は、前記第1パイプ(10)および前記第2パイプ(11)の前記高さ方向(H)の並進移動をガイドするように構成され、前記ガイド装置(13)は、前記第1パイプ(10)の周囲全体に配置される第1カラー(25)と、前記第2パイプ(11)の周囲全体に配置される第2カラー(26)と、前記支持足(12)に固定される支持プレート(18)と、前記第1カラー(25)を前記支持プレート(18)に接続する第1接続アーム(21)と、前記第2カラー(26)を前記支持プレート(18)に接続する第2接続アーム(22)と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造(1)に結合されて液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンク(71)であって、前記タンク(71)は、底壁(6)および前記タンク(71)の高さ方向(H)において前記底壁(6)に対向する天井壁(4)を有し、
前記底壁(6)および前記天井壁(4)が前記支持構造(1)に固定され、
前記天井壁(4)には、少なくとも1つの第1パイプ(10)および1つの第2パイプ(11)が通過し、
前記タンク(71)は、
前記底壁(6)を通過し、かつ、前記支持構造(1)に固定される支持足(12)と、
前記支持足(12)に固定されるガイド装置(13)と、を備え、
前記ガイド装置(13)は、前記第1パイプ(10)および前記第2パイプ(11)の前記高さ方向(H)の並進移動をガイドするように構成され、
前記ガイド装置(13)は、
前記第1パイプ(10)の周囲全体に配置され、前記第1パイプ(10)の熱収縮または熱膨張中に前記第1パイプ(10)の前記高さ方向(H)の前記並進移動をガイドするように構成された第1カラー(25)と、
前記第2パイプ(11)の周囲全体に配置され、前記第2パイプ(11)の熱収縮または熱膨張中に前記第2パイプ(11)の前記高さ方向(H)の前記並進移動をガイドするように構成された第2カラー(26)と、
前記支持足(12)に固定される支持プレート(18)と、
前記第1カラー(25)を前記支持プレート(18)に接続する第1接続アーム(21)と、
前記第2カラー(26)を前記支持プレート(18)に接続する第2接続アーム(22)と、
を備えることを特徴とする、タンク(71)。
【請求項2】
補強材は、前記第1接続アーム(21)および/または前記第2接続アーム(22)に沿って形成されることを特徴とする、請求項1に記載のタンク(71)。
【請求項3】
前記補強材は、ガセットであることを特徴とする、請求項2に記載のタンク(71)。
【請求項4】
前記第1カラー(25)は、前記第1接続アーム(21)に固定される第1筒状部(27)と、前記第1カラー(25)の前記第1筒状部(27)に固定される第2筒状部(29)とを備え、
前記第2カラー(26)は、前記第2接続アーム(22)に固定される第1筒状部(27)と、前記第2カラー(26)の前記第1筒状部(27)に固定される第2筒状部(29)とを備えることを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のタンク(71)。
【請求項5】
前記第1カラー(25)の内面および/または前記第2カラー(26)の内面は、少なくとも1つの摩擦防止パッド(30)を備えることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のタンク(71)。
【請求項6】
前記摩擦防止パッド(30)は、スチール上での静止摩擦係数が0.2以下の材料で作られていることを特徴とする、請求項5に記載のタンク(71)。
【請求項7】
前記第1パイプ(10)は、荷積みポンプに連結される液化ガス荷積みパイプであり、前記第2パイプ(11)は、荷降ろしポンプに連結される液化ガス荷降ろしパイプであることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のタンク(71)。
【請求項8】
前記ガイド装置(13)は、メインガイド装置(13)であり、
前記天井壁(4)には、少なくとも1つの第3パイプ(33)が通過され、
前記タンク(71)には、少なくとも1つの二次ガイド装置(34)が備えられ、
前記二次ガイド装置(34)は、前記第3パイプ(33)の前記高さ方向(H)の並進移動をガイドするように構成され、
前記二次ガイド装置(34)は、
前記第3パイプ(33)の周囲全体に配置される第3カラー(36)と、
前記第3カラー(36)を前記第1パイプ(10)または前記第2パイプ(11)に接続する第3接続アーム(35)と、
を備えることを特徴とする、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載のタンク(71)。
【請求項9】
前記タンク(71)は、前記タンク(71)の外部から内部への厚さ方向において、少なくとも1つの断熱バリアと、前記断熱バリアにサポートされ、前記タンク(71)内に保持される流体に接触するように意図された少なくとも1つの密閉メンブレンとを備えることを特徴とする、請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のタンク(71)。
【請求項10】
低温液体製品を輸送するための船舶(70)であって、二重船殻(72)と、前記二重船殻内に配置された請求項1から請求項8のいずれか一項に記載のタンク(71)とを備え、長手方向(L)に伸びることを特徴とする、船舶(70)。
【請求項11】
前記第1接続アーム(21)および前記第2接続アーム(22)は、前記長手方向(L)に直交して伸びることを特徴とする、請求項10に記載の船舶(70)。
【請求項12】
前記第1パイプ(10)および前記第2パイプ(11)は、前記長手方向(L)に直交する前記支持足(12)を通る横断面の両側に位置し、前記支持プレート(18)は、横方向(T)に直交する平面内に位置し、前記横方向(T)は、前記長手方向(L)に垂直することを特徴とする、請求項10または請求項11に記載の船舶(70)。
【請求項13】
前記支持プレート(18)は、少なくとも2つの接続板(19)によって前記支持足(12)に固定され、
前記接続板(19)は、前記高さ方向(H)に直交する平面内に位置し、
前記接続板(19)は、前記支持プレート(18)を補強し、前記支持プレート(18)が湾曲することを防止するよう、前記長手方向(L)において、前記支持プレート(18)に対して配置されることを特徴とする、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の船舶(70)。
【請求項14】
低温液体製品のための輸送システムであって、
前記輸送システムは、
請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の船舶(70)と、
断熱パイプ(73,79,76,81)であって、前記船舶の前記船体に設置された前記タンク(71)を、浮体式または陸上の貯蔵設備(77)と、低温液体製品のフローを前記断熱パイプを通じて、前記船舶の前記タンク(71)から前記浮体式または陸上の貯蔵設備(77)へ、あるいは前記浮体式または陸上の貯蔵設備(77)から前記船舶の前記タンク(71)へ駆動するためのポンプとに接続するように配置される断熱パイプ(73,79,76,81)と、
を備えることを特徴とする、輸送システム。
【請求項15】
請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の船舶(70)に関する荷積みまたは荷降ろしの方法であって、低温液体製品が断熱パイプ(73,79,76,81)を通じて、前記船舶の前記タンク(71)から浮体式または陸上の貯蔵設備(77)へ、または前記浮体式または陸上の貯蔵設備(77)から前記船舶の前記タンク(71)へ案内されることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、密閉された断熱メンブレンタンクの分野に関する。特に、本発明は、例えば-50℃と0℃の間の範囲にある温度を有する液化石油ガス(LPGとも呼ばれる)を輸送するためのタンク、あるいは大気圧で約-162℃の液化天然ガス(LNG)を輸送するためのタンクなど、低温で液化ガスを貯蔵および/または輸送するための密閉断熱タンクの分野に関する。これらの液化ガスは、例えば、アンモニア、二酸化炭素、水素、およびエタンまたはエチレンであってもよい。これらのタンクは、陸上または浮体式構造物に設置できる。浮体式構造物の場合、タンクは、浮体式構造物の推進用燃料として機能する液化ガスを輸送または受け取りを目的とすることができる。
【背景技術】
【0002】
荷積み/荷降ろしタワーが装備され、液化天然ガス(LNG)を船舶上に貯蔵するための密閉断熱タンクは知られている。荷積み/荷降ろしタワーは、三脚構造を有し、すなわち、クロスメンバーによって互いに固定された3本の垂直マストを有する。各垂直マストは、中空である。したがって、2本のマストがタンクの荷降ろしラインを形成し、その目的のために、それぞれ荷積み/荷降ろしタワーの下端近くに搭載された荷降ろしポンプと関連付けられている。そして、3番目のマストは、他の荷降ろしポンプが故障した場合に、スタンバイポンプおよび荷降ろしラインを降下させることができるスタンバイウェルを形成する。荷積み/荷降ろしタワーは、3本のマストのいずれかを構成しない荷積みラインも搭載されている。このような荷積み/荷降ろしタワーは、例えば国際公開第2019211551号に記載されている。1つのタンクは、必要に応じて1つ以上の荷積み/荷降ろしタワーを有してもよい。
【0003】
荷積み/荷降ろしタワーは、3本のマストの下端に固定され、荷降ろしポンプを支持するベースも装備されている。
【0004】
荷積み/荷降ろしタワーは、ベースの下面に対して固定され、支持構造の底壁に固定された支持足と協働するガイド装置をさらに含む。このようなガイド装置は、荷積み/荷降ろしタワーのベースの水平移動を防止しながら、荷積み/荷降ろしタワーが温度の関数として収縮または膨張できるために、荷積み/荷降ろしタワーの支持足に対してタンクの高さ方向における移動を許容することをも目的としている。
【発明の概要】
【0005】
本発明の基礎となる1つのアイデアは、パイプの熱収縮および熱膨張の現象を考慮しながら、密封断熱タンク、特に荷積み荷降ろしパイプによって形成されるタンクを通過する構造を簡素化することである。
【0006】
1つの実施形態によれば、本発明は、支持構造と結合されて液化ガスを貯蔵するための密閉断熱タンクを提供し、前記タンクは、底壁および前記タンクの高さ方向において前記底壁に対向する天井壁を有し、前記底壁および前記天井壁が前記支持構造に固定され、前記天井壁には、少なくとも1つの第1パイプおよび1つの第2パイプが通過し、前記タンクは、前記底壁を通過し、かつ、前記支持構造に固定される支持足と、前記支持足に固定されるガイド装置と、を備え、前記ガイド装置は、前記第1パイプおよび前記第2パイプの前記高さ方向の並進移動をガイドするように構成され、前記ガイド装置は、前記第1パイプの周囲全体に配置され、前記第1パイプの熱収縮または熱膨張中に前記第1パイプの前記高さ方向の前記並進移動をガイドするように構成された第1カラーと、前記第2パイプの周囲全体に配置され、前記第2パイプの熱収縮または熱膨張中に前記第2パイプの前記高さ方向の前記並進移動をガイドするように構成された第2カラーと、前記支持足に固定される支持プレートと、前記第1カラーを前記支持プレートに接続する第1接続アームと、前記第2カラーを前記支持プレート接続する第2接続アームと、を備える。
【0007】
これらの特徴により、パイプは、従来技術のような荷積み/荷降ろしタワーのベースにおける必要な中間部品を有さない支持足に、自身が固定されるガイド装置に直接にガイドされる。さらに、それぞれのパイプは、それぞれのカラーによって各自ガイドされる。したがって、複数のパイプは、異なる熱収縮/膨張の挙動を示す場合、ガイド装置は、前記タンクの高さ方向におけるパイプの下端の並進移動に対するガイダンスを各自独立に行うことを可能にできる。複数のカラーも、複数のパイプの下端が移動することを防止できる。
【0008】
複数の接続アームおよび支持板により、パイプが受ける、底壁に平行する平面内の成分を有する力を支持足に伝達することができる。
【0009】
このようなタンクの実施形態は、1つ以上の下記特徴を有することができる。
【0010】
一つの実施形態によれば、補強材は、前記第1接続アームおよび/または前記第2接続アームに沿って形成される。
【0011】
一つの実施形態によれば、前記第1接続アームおよび/または前記第2接続アームは、第1端部および第2端部を有し、好ましくは円形断面を有する接続管と、前記接続管の第1端部に接続され、例えばボルトまたは溶接などで前記支持板に固定されているベースとを含む。
【0012】
一つの実施形態によれば、少なくとも1つの補強材の一端は、前記第1接続アームまたは前記第2接続アームのベースに向かって位置する。
【0013】
一つの実施形態によれば、前記第1接続アーム上に形成される少なくとも1つの補強材の一端は、前記第1カラーに向かって位置し、好ましくは前記第1カラーに溶接されている。
【0014】
一つの実施形態によれば、前記第2接続アーム上に形成される少なくとも1つの補強材の一端は、前記第2カラーに向かって位置し、好ましくは前記第2カラーに溶接されている。
【0015】
一つの実施形態によれば、複数の前記補強材は、一次補強材および二次補強材を含み、前記一次補強材は、前記第1カラーまたは前記第2カラーから前記第1接続アームまたは前記第2接続アームのベースまで伸び、前記二次補強材は、前記第1カラーまたは前記第2カラーに対して位置する第1端と、前記第1接続アームまたは前記第2接続アームのベースから非ゼロの距離に位置する第2端とを有する。
【0016】
一つの実施形態によれば、前記補強材は、前記接続管の周囲全体に一定の角度ピッチで配置されている。
【0017】
したがって、前記補強材は、強度、特に前記接続アームの湾曲に対する耐性を向上させることが可能である。
【0018】
一つの実施形態によれば、前記補強材は、ガセットである。
【0019】
一つの実施形態によれば、前記第1カラーは、前記第1接続アームに固定される第1筒状部と、前記第1カラーの前記第1筒状部に固定される第2筒状部とを備える。
【0020】
一つの実施形態によれば、前記カラーは、円形、正方形または長方形のベースであって、好ましくは円形のベースを備えた直円筒形を有する。
【0021】
一つの実施形態によれば、前記第2接続アームに固定される第1筒状部と、前記第2カラーの前記第1筒状部に固定される第2筒状部とを備える。
【0022】
一つの実施形態によれば、前記第2筒状部は、第1筒状部にボルト締めすることによって前記第1筒状部に取り外し可能に固定される。
【0023】
一つの実施形態によれば、前記第1カラーの内面および/または前記第2カラーの内面は、例えば前記高さ方向に伸びる少なくとも1つの摩擦防止パッドを備える。
【0024】
一つの実施形態によれば、前記第1カラーの内面および/または前記第2カラーの内面は、例えば前記高さ方向に伸びて、前記内面に均一に分布されている複数の摩擦防止パッドを備える。
【0025】
一つの実施形態によれば、前記摩擦防止パッドは、スチール上での静止摩擦係数が0.2以下、好ましくは0.1以下の材料であって、例えば、PTFEの摩擦防止パッドの場合、静止摩擦係数が0.04に等しい材料で作成されている。
【0026】
一つの実施形態によれば、前記第1パイプは、荷積みポンプに連結される液化ガス荷積みパイプであり、前記第2パイプは、荷降ろしポンプに連結される液化ガス荷降ろしパイプである。
【0027】
一つの実施形態によれば、前記ガイド装置は、メインガイド装置であり、前記天井壁には、少なくとも1つの第3パイプが通過され、前記タンクには、少なくとも1つの二次ガイド装置が備えられ、前記二次ガイド装置は、前記第3パイプの前記高さ方向の並進移動をガイドするように構成され、前記二次ガイド装置は、前記第3パイプの周囲全体に配置される第3カラーと、前記第3カラーを前記第1パイプまたは前記第2パイプに接続する第3接続アームと、を備える。
【0028】
一つの実施形態によれば、前記タンクは、前記タンクの外部から内部への厚さ方向において、少なくとも1つの断熱バリアと、前記断熱バリアにサポートされ、前記タンク内に保持される流体に接触するように意図された少なくとも1つの密閉メンブレンとを備える。
【0029】
一つの実施形態によれば、前記タンクは、次々に、前記タンクの外部から内部への厚さ方向において、支持構造に寄りかかる断熱要素を含む二次断熱バリアと、前記二次断熱バリアの断熱要素にアンカーされる二次密閉メンブレンと、前記二次密閉メンブレンに寄りかかる断熱要素を含む一次断熱バリアと、前記一次断熱バリアの断熱要素にアンカーされ、かつ、前記タンク内に含まれる流体に接触することが意図される一次密閉メンブレンとを含む。
【0030】
一つの実施形態によれば、本発明は、低温液体製品を輸送するための船舶も提供し、この船舶は、二重船殻と、前記二重船殻内に配置された上記のタンクとを備え、前記船舶は、長手方向に伸びている。
【0031】
一つの実施形態によれば、前記第1接続アームおよび前記第2接続アームは、前記長手方向に直交して伸びる。
【0032】
海上では、うねりの作用により、液化ガス貯蔵タンクは貨物のスロッシング現象にさらされる。これらの現象により、タンク内で非常に荒らされる可能性があり、その結果、タンク内、特に第1パイプや第2パイプなどのタンクの設備に大きな力が発生する。これらのスロッシング現象は、船の横断方向、すなわち船の長手方向と直交する方向で大きくなる。
【0033】
接続アームをスロッシング現象が最も強い方向に配置することにより、接続アームは、主に引張/圧縮状態で機能するため、湾曲による損傷のリスクを制限することができる。そして、ガイド装置は、主要なスロッシング力に耐えることが可能になる。
【0034】
一つの実施形態によれば、第1接続アームおよび第2接続アームは、長手方向を含めて75度および105度の間における角度でアーム方向に伸びる。
【0035】
前記アーム方向は、前記底壁に平行する平面に含まれる。
【0036】
一つの実施形態によれば、前記第1パイプおよび前記第2パイプは、前記長手方向に直交する前記支持足を通る横断面の両側に位置し、前記支持プレートは、横方向に直交する平面内に位置し、前記横方向は、前記長手方向に垂直する。
【0037】
一つの実施形態によれば、前記支持プレートは、少なくとも2つの接続板によって前記支持足に固定され、前記接続板は、前記高さ方向に直交する平面内に位置し、前記接続板は、前記支持プレートを補強し、前記支持プレートが湾曲することを防止するよう、前記長手方向において、前記支持プレートに対して配置される。
【0038】
一つの実施形態によれば、本発明は、低温液体製品のための輸送システムを提供し、前記輸送システムは、上記の船舶、および前記船舶の前記船体に設置された前記タンクを、浮体式または陸上の貯蔵設備と、低温液体製品のフローを前記断熱パイプを通じて、前記船舶の前記タンクから前記浮体式または陸上の貯蔵設備へ、または前記浮体式または陸上の貯蔵設備から前記船舶の前記タンクへ駆動するためのポンプとに接続するように配置される断熱パイプとを含む。
【0039】
一つの実施形態によれば、本発明は、このような船舶に関する荷積みまたは荷降ろしの方法も提供し、この方法において、低温液体製品が断熱パイプを通じて、前記船舶の前記タンクから浮体式または陸上の貯蔵設備へ、または前記浮体式または陸上の貯蔵設備から前記船舶の前記タンクへ案内される。
【0040】
本発明、そして本発明のその他の目的、詳細、特徴、および利点は、下記の限定されない図面および添付図面に記載の符号により、本発明の特定の実施形態に関する以下の説明において、より明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】一実施形態に係る、特に天井壁にドーム構造およびマンホール構造を有し、そして底壁に支持足を含む密閉断熱タンクの部分断面図である。
図2】一実施形態に係る、支持足およびガイド装置を有する密閉断熱タンクの底壁の上方から見る部分図である。
図3】第1実施形態に係る、ガイド装置が備えられたサポートフットの斜視図である。
図4】第2実施形態に係る、ガイド装置が備えられたサポートフットの斜視図である。
図5】第2実施形態に係る、支持足およびガイド装置が備えられた底壁の部分斜視図であり、荷積みおよび二次パイプが示されている。
図6】密閉断熱タンクを含むメタンタンカー、およびそのタンクの荷積み/荷降ろしのためのターミナルの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
本出願において、用語「内部」および「外部」は、タンクの内部に対する密閉断熱タンク71の要素の位置を示し、内部要素は外部要素よりもタンクの内部に近い。
【0043】
図1は、液化ガスが内部に収容されて支持構造1に係留された密閉断熱タンク71を示し、支持構造1は、例えば、図6に示すように、船舶70の二重船体72によって形成されている。
【0044】
タンク71は、液化ガスを貯蔵するためのメンブレンタンクである。タンク71は、壁の厚さ方向における外部から内部への多層構造を有し、支持構造1に寄りかかる断熱要素を含む二次断熱バリアと、前記二次断熱バリアの断熱要素にアンカーされる二次密閉メンブレンと、前記二次密閉メンブレンに寄りかかる断熱要素を含む一次断熱バリアと、前記タンク71内に含まれる流体に接触することが意図される一次密閉メンブレン2とを含む。一次密閉メンブレン2は、液化ガスの受け入れが意図される内部空間3を画定する。このようなメンブレンタンクは、特に、例えば国際公開第2014057221号、仏国特許出願公開第2691520号明細書、および仏国特許出願公開第2877638号明細書に記載されている。
【0045】
タンク1内に貯蔵することが意図される液化ガスは、特に液化天然ガス(LNG)であってもよく、すなわち、主にメタンおよび1つ以上の他の炭化水素を含むガス混合物である。この液化ガスは、同様にエタンあるいは液化石油ガス(LPG)であってもよく、すなわち、石油の精製から生じて、本質的にプロパンおよびブタンを含む炭化水素の混合物である。
【0046】
タンク71は、多面体タンクであり、特に、サポート構造1の上方サポート壁5に固定される天井壁4、およびサポート構造1の下方サポート壁7に固定される底壁6を含み、天井壁4および底壁6は、高さ方向Hにおいて互いに間隔を開けて配置されている。タンク71は、さらに、前壁と、図2に見られるように、長手方向Lにおいて、前壁から間隔を開けて配置されている後壁20とを有する。タンク71は、底壁6、天井壁4、前壁、および後壁20とともに内部空間3を閉じる側壁も有する。側壁は、長手方向Lに垂直する横方向Tにおいて、底壁6の両側に配置されている。タンク71が船舶70内に配置される際、長手方向Lは、船舶70の長手方向に対応する。
【0047】
図1は、タンク71の一部を示し、天井壁4の一部およびそれに対応する底壁6の一部のみが示されている。
【0048】
図1より見られるように、タンク71は、ドーム構造8およびマンホール構造9を有し、構造8,9のそれぞれは、天井壁4および上方サポート壁5に形成される開口を通過する。図1に示すように、マンホール構造9は、ドーム構造8に対して一定の距離を開けて配置されている。
【0049】
特に、ドーム構造8は、液化ガス荷積みパイプ10および液化ガス荷降ろしパイプ11が密閉される方式で天井壁4を通過することを可能にする。マンホール構造9は、例えば修理作業などの作業員のアクセスを確保するための構造であり、タンク1の内部空間3に通じている。
【0050】
荷積みパイプ10および荷降ろしパイプ11は、液化ガスを内部空間3に積み込み、または液化ガスを内部空間3より降ろすために、タンク1の内部空間3に開口している。さらに、図1より見られるように、底壁6を通過し、かつ、下方サポート構造7に固定される支持足12が設けられている。支持足12には、荷積みパイプ10および荷降ろしパイプ11の高さ方向における並進移動をガイドし、荷積みパイプ10および荷降ろしパイプ11が鉛直に、かつ、ドーム構造8の軸上にあることをキープするように構成されるガイド装置13が装備されている。支持足12は、したがってドーム構造8の軸の近くに位置する。図2に示すように、ドーム構造8および支持足12はそれぞれ、前壁よりも後壁20に近い天井壁4の領域および底壁6の領域に位置する。
【0051】
支持足12およびガイド装置13については、以下でより詳細に説明する。
【0052】
図2から図5は、複数の実施形態により、ガイド装置13が装備されている支持足12を示している。
【0053】
図3より見られるように、支持足12は、高さ方向Hに延びて、円形の断面を有する回転形状(shape of revolution)を有し、最小直径の端部で円筒形上部15に接続されている円錐台形下部14を有する。円錐台形下部14の大径のベースは、サポート構造3の下方サポート壁7に固定されている。円錐台形下部14は、一次密封メンブレン2のレベルを超えてタンク71の底壁6の厚さを通って延びている。円筒形上部15は、例えば円板の手段により密閉される。二次密閉メンブレンおよび一次密閉メンブレン2は、二次カラー16および一次カラー17の手段により、密閉された方式で円錐台形下部14に接続される。
【0054】
ガイド装置13は、支持足12の円筒形上部15に溶接されている。ガイド装置13は、特に図3より見られるように、2つの接続板19の手段で円筒形上部15に固定される支持板18を有する。接続板19は、例えば、一方が円筒形上部15に溶接され、他方が支持板18に溶接される。支持板18は、長手方向Lに直交する平面内に位置するのに対し、接続板19は、高さ方向Hに直交する平面内において、支持板18と互いに平行するように配置されている。接続板19は、支持板18を固定する役割を果たしながら補強材として用いられる。
【0055】
ガイド装置13も第1接続アーム21および第2接続アーム22を有する。接続アーム21,22のそれぞれは、例えば長方形の板形状に形成され、例えばボルト締めによって支持板18に固定されるベース23を有する。第1接続アーム21のベース23および第2接続アーム22のベース23は、支持板18の両端に配置されている。
【0056】
接続アーム21,22のそれぞれは、第1端でベース23に接続され、横方向Tに平行する軸に沿って伸びる接続管24をさらに有する。
【0057】
最終的に、ガイド装置13は、荷積みパイプ10の周囲全体に配置され、第1接続アーム21の第2端に固定される第1カラー25と、荷降ろしパイプ11の周囲全体に配置され、第2接続アーム22の第2端に固定される第2カラー26を有する。第1カラー25および第2カラー26は、タンクの長手方向におけるパイプ10,11の並進移動をガイドするように、鉛直に配向される中心軸を有する。
【0058】
カラー25,26のそれぞれには、接続管24の第2端に溶接される第1円筒部27が形成される。第1円筒部27は、第1円筒部27の両側におけるアタッチメントゾーン28を有する。カラー25,26のそれぞれには、アタッチメントゾーン28を有する第2円筒部29も形成され、アタッチメントゾーン28は、第2円筒部29の両側において形成され、第1円筒部27のアタッチメントゾーン28に対向するように配置される。第1円筒部27は、パイプ10,11のいずれか1つを取り囲む円筒状カラーを形成するように、ボルト締めによって第2円筒部29に取り外し可能に固定される。
【0059】
特に図3に示すように、第1カラー25の内面および第2カラー26の内面には、それぞれが高さ方向に伸びて、かつ、内面に規則的に分布されている複数の摩擦防止パッド30が装備されている。摩擦防止パッド30は、パイプ10,11上の摩擦を制限する接触面として機能するように構成されている。摩擦防止パッドは、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)または高密度ポリエチレン(HDPE)から選択される材料で作成されている。
【0060】
接続アーム21,22の接続管24を補強するために、特に任意の湾曲力に対抗するために、接続アーム21,22の長手方向に伸びる補強材31,32は、接続管24に沿って溶接される。
【0061】
図3は、ガイド装置13の第1実施形態を示す一方、図4および図5は、第2実施形態を示すが、接続管24における補強材31,32の数量および配置が異なる。
【0062】
図3に示すような第1実施形態において、第1接続アーム21の接続管24は、接続管24の両側に配置される2つの一次補強材31と、高さ方向Hに直交する平面内に位置し、接続管24の中心軸を通過する2つの一次補強材31とを有する。第1接続アーム21の一次補強材31は、一次補強材31が接続管24の長手方向Lの全寸法にわたって延びるように、第1カラー25に溶接される第1端と、第1端の反対であり、第1接続アーム21のベース23に溶接される第2端とを有する。
【0063】
第1実施形態によれば、同様に、第2接続アーム22の接続管24は、接続管24の両側に配置される2つの二次補強材32と、高さ方向Hに直交する平面内に位置し、接続管24の中心軸を通過する2つの二次補強材32とを有する。第2接続アーム22の二次補強材32は、二次補強材32が接続管24の長手方向Lの寸法の一部にわたって延びるように、第2カラー26に溶接される第1端と、第1端の反対であり、第2接続アーム22のベース23から一定の距離を開けて配置される第2端とを有する。
【0064】
図4および図5に示す第2実施形態において、第1実施形態と比較すると、一次補強材31は、第1接続アーム21の接続管24の周囲全体に追加されている。この実施形態において、第1の接続アーム21の接続管24には、接続管24の周囲全体に規則的に分布され、第1カラー26からベース23へ伸びる6つの補強材31が装備されている。
【0065】
その他の実施形態において、接続アーム21,22の接続管24における補強材31,32の数量および配置は、変更可能である。実際には、接続管24には、少なくとも2つの補強材31,32が装置され、補強材は、もっぱら一次補強材31または二次補強材32のみであり、あるいは一次補強材31と二次補強材32が交互して配置されることが可能である。
【0066】
図5において、荷積みパイプ10および二次パイプ33は、支持足12およびガイド装置13と一緒に示されている。したがって、荷積みパイプ10は、ガイド装置13の第1カラー26を通過する。二次パイプ33に関しては、二次ガイド装置34によって高さ方向Hの並進移動もガイドされる。
【0067】
二次ガイド装置34は、二次パイプ33のいずれか一つの周囲全体に配置される二次カラー36と、一方が二次カラー36に固定され、他方がパイプ10,11のいずれか一方に固定される二次接続アーム35とを有する。図5に示す実施形態において、二次ガイド装置35は、荷積みパイプ10に固定され、各二次ガイド33は、高さ方向Hに分布された複数の二次ガイド装置35によってガイドされる。
【0068】
図6を参照すると、メタンタンカー船舶70の断面図は、船舶の二重船体72に取り付けられた角柱状の全体形状を有する密閉断熱タンク71を示している。タンク71の壁は、タンク内に含まれるLNGと接触することが意図された一次密閉バリアと、一次密閉バリアおよび船舶の二重船体72の間に配置された二次密閉バリアと、一次密閉バリアおよび二次密閉バリアの間、そして二次密閉バリアおよび二重船体72の間にそれぞれ配置された2つの断熱バリアとを含む。
【0069】
それ自体が知られている方法として、船舶のトップデッキ上に配置された荷積み/荷降ろしパイプ73は、適切なコネクタによって海上または港湾ターミナルに接続され、LNGの貨物をタンク71へ、またはタンク71より移送することができる。
【0070】
図6は、荷積みおよび荷降ろしステーション75、水中パイプ76および陸上施設77を含む海上ターミナルの一例を示す。荷積みおよび荷降ろしステーション75は、可動アーム74と、可動アーム74を支持するタワー78とを含む固定式オフショア設備である。可動アーム74は、荷積み/荷降ろしパイプ73に接続できる断熱の可撓性チューブ79の束を担持する。転向可能な可動アーム74は、すべてのメタンタンカーの積載ゲージに適合する。非図示の接続パイプがアワー78内に延伸する。荷積みおよび荷降ろしステーション75は、メタンタンカー70から陸上施設77への荷降ろしおよび陸上施設77からメタンタンカー70への荷積みの両方を可能にする。陸上施設77は、液化ガス貯蔵タンク80と、水中パイプ76を介して荷積みおよび荷降ろしステーション75に接続される接続パイプ81とを有する。水中パイプ76は、荷積みおよび荷降ろしステーション75と陸上施設77との間で液化ガスを長距離、例えば5kmにわたって移送することを可能にし、これにより荷積みおよび荷降ろし中において、メタンタンカー船70を海岸から遠く離れたところに留まることを可能にする。
【0071】
船舶70上のポンプおよび/または地上設備77に装備されたポンプおよび/または積み降ろしステーション75に装置されたポンプは、液化ガスを移送するための必要な圧力を生成するように用いられる。
【0072】
本発明は、いくつかの特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明がそれらに決して限定されるものではなく、条件を満たす限り、説明された手段のすべての技術的等価物およびそれらの組み合わせは、本発明の範囲内に包含されることは明らかである。
【0073】
「含む(comprise)」又は「備える(include)」の用語及びこれらの活用形の使用は、請求項に記載されたものに加えて、他の要素又は他の工程の存在を除外するものではない。
【0074】
各請求項において、括弧内の参照符号は、請求項の限定を構成するものとして理解されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】