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特表2024-540071車両排出物管理システムに使用されるEVAPキャニスタ用のグラフェン系吸着材
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】車両排出物管理システムに使用されるEVAPキャニスタ用のグラフェン系吸着材
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20241024BHJP
   B01D 53/04 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 20/20 20060101ALI20241024BHJP
   B01J 20/30 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
F02M25/08 311D
F02M25/08 D
B01D53/04 111
B01J20/20 B
B01J20/30
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525291
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022078905
(87)【国際公開番号】W WO2023077087
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/274,158
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/975,102
(32)【優先日】2022-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522013256
【氏名又は名称】マーティンリア インターナショナル ユーエス インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100195257
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 一志
(72)【発明者】
【氏名】チャンドラセカール、 ムラリ
(72)【発明者】
【氏名】ダラパネニ、 プラガシ
(72)【発明者】
【氏名】バナージ、 アニンディア
(72)【発明者】
【氏名】ドーブル、 コリー
【テーマコード(参考)】
3G144
4D012
4G066
【Fターム(参考)】
3G144BA20
3G144DA02
3G144DA03
3G144GA02
3G144GA03
3G144GA12
3G144GA22
3G144GA23
3G144GA27
4D012BA01
4D012BA03
4D012CA08
4D012CB05
4D012CB13
4D012CE02
4D012CE03
4D012CF03
4D012CF10
4D012CG01
4D012CG02
4G066AA04B
4G066AC02B
4G066AC02C
4G066AC13C
4G066AC15C
4G066AC23C
4G066AC24C
4G066AC27C
4G066BA09
4G066CA51
4G066DA04
4G066FA27
4G066FA28
4G066FA37
(57)【要約】
蒸発排出物を削減するための自動車用の蒸発排出物制御システムであって、燃料タンクに連結されたエバポキャニスタを有し、キャニスタは、炭化水素を吸着することができ、単層グラフェン、数層グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、及び官能化グラフェンのいずれにも限定されない活性化グラフェン誘導体の群から選択される吸着材を含む、蒸発排出物制御システム。キャニスタの蒸気入口は燃料タンクに接続され、キャニスタのパージ出口は空気導入システムに接続され、吸着材は、エンジンが作動していないときに燃料蒸気を吸着し、エンジンが作動しているときに燃料蒸気を脱着させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸発排出物を削減するための自動車用の蒸発排出物制御システムであって、
燃料タンクに連結されたエバポキャニスタであって、炭化水素を吸着することができ、単層グラフェン、数層グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、及び官能化グラフェンのいずれにも限定されない活性化グラフェン誘導体の群から選択された吸着材を含む、キャニスタと、
前記燃料タンクに接続された前記キャニスタの蒸気入口と、
空気導入システムに接続された前記キャニスタのパージ出口と
を備え、
前記吸着材は、前記エンジンが作動していないときに燃料蒸気を吸着し、前記エンジンが作動しているときに燃料蒸気を脱着させる、蒸発排出物制御システム。
【請求項2】
グラフェン又はグラフェン誘導体の前記吸着材は、粉末押出しペレット、型抜きペレット又は成形ペレットのいずれかとして提供され、化学的手法又は熱的手法のいずれかを用いて活性化されることをさらに含む、請求項1に記載の発明。
【請求項3】
前記吸着材は、前記吸着材を圧縮して前記キャニスタの内部容積を維持し、前記炭化水素の適切な吸着を可能にするために、粉末押出ペレット、型抜きペレット又は成形ペレットと、前記キャニスタ内に膨張するポリマー発泡体又はフェルト層との組み合わせとして提供されることをさらに含む、請求項1に記載の発明。
【請求項4】
前記ペレット又は粒状吸着材の形状を保持するための有機ポリマー結合剤をさらに含む、請求項2に記載の発明。
【請求項5】
前記有機結合剤はセルロース系であることをさらに含む、請求項4に記載の発明。
【請求項6】
前記吸着材は、気化した炭化水素の吸着及び脱着に適した高い表面積及び最適な孔径を維持するために、押出プロセス及び低温乾燥プロセスによって製造されることをさらに含む、請求項1に記載の発明。
【請求項7】
前記吸着材は、前記活性化グラフェン誘導体と組み合わせたリグノセルロース又は木炭材料のいずれかをさらに含む、請求項1に記載の発明。
【請求項8】
前記発泡体又はフェルト層に対する前記グラフェン誘導体の充填濃度が0.1~60重量パーセントの範囲で提供されることをさらに含む、請求項3に記載の発明。
【請求項9】
前記ポリマー発泡体は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12、ポリエチレン、テレフタレート、ポリブチレン、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルのいずれかから選択されるがこれらに限定されないことをさらに含む、請求項3に記載の発明。
【請求項10】
前記ポリマーは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12、ポリエチレン、テレフタレート、ポリブチレン、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルのいずれかから選択されるがこれらに限定されない熱可塑性ポリマーをさらに含む、請求項3に記載の発明。
【請求項11】
前記吸着材は、グラフェン誘導体、リグノセルロース、及び木炭のいずれかの組み合わせが組み込まれた発泡体又はフェルトをさらに含む、請求項1に記載の発明。
【請求項12】
蒸発排出物を削減するための自動車用の蒸発排出物制御システムであって、
燃料タンクに連結されたエバポキャニスタであって、粉末押出ペレット、型抜きペレット、又は成形ペレットのいずれかとして提供され、炭化水素を吸着することができる吸着材を含み、前記吸着材は、単層グラフェン、数層グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、及び官能化グラフェンのいずれにも限定されない活性化グラフェン誘導体の群から選択される、キャニスタと、
前記吸着材ペレット材料の形状を保持するためのセルロース系有機ポリマー結合剤と、
前記燃料タンクに接続された前記キャニスタの蒸気入口と、
空気導入システムに接続された前記キャニスタのパージ出口と
を備え、
前記吸着材は、前記エンジンが作動していないときに燃料蒸気を吸着し、前記エンジンが作動しているときには燃料蒸気を脱着させる、蒸発排出物制御システム。
【請求項13】
前記吸着材はポリマー発泡体として提供され、発泡体又はフェルト外側層のいずれかが、前記吸着材を圧縮して前記キャニスタの内部容積を維持し、前記炭化水素の吸着を可能にするために、前記キャニスタ内に膨張することをさらに含む、請求項12に記載の発明。
【請求項14】
前記吸着材は、気化した炭化水素の吸着及び脱着に適した高い表面積及び最適な孔径を維持するために、押出プロセス及び低温乾燥プロセスによって製造されることをさらに含む、請求項12に記載の発明。
【請求項15】
前記吸着材は、前記活性化グラフェン誘導体と組み合わせたリグノセルロース又は木炭材料のいずれかをさらに含む、請求項12に記載の発明。
【請求項16】
前記発泡体又はフェルト層に対する前記グラフェン誘導体の充填濃度が0.1~60重量パーセントの範囲で提供されることをさらに含む、請求項13に記載の発明。
【請求項17】
前記ポリマー発泡体は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12、ポリエチレン、テレフタレート、ポリブチレン、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルのいずれかから選択されるがこれらに限定されないことをさらに含む、請求項13に記載の発明。
【請求項18】
前記ポリマーは、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12、ポリエチレン、テレフタレート、ポリブチレン、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルのいずれかから選択されるがこれらに限定されない熱可塑性ポリマーをさらに含む、請求項13に記載の発明。
【請求項19】
前記吸着材は、グラフェン誘導体、リグノセルロース、及び木炭のいずれかの組み合わせが組み込まれた発泡体又はフェルトをさらに含む請求項12に記載の発明。
【請求項20】
蒸発排出物を削減するための自動車用の蒸発排出物制御システムであって、
燃料タンクに連結されたエバポキャニスタであって、炭化水素を吸着することができ、単層グラフェン、数層グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、及び官能化グラフェンのいずれにも限定されない活性化グラフェン誘導体の群から選択された吸着材を含む、キャニスタと、
前記燃料タンクに接続された前記キャニスタの蒸気入口と、
空気導入システムに接続された前記キャニスタのパージ出口と
を含み、
前記吸着材はポリマー発泡体として提供され、発泡体又はフェルト外側層のいずれかが、前記吸着材を圧縮して前記キャニスタの内容積を維持し、前記炭化水素の吸着を可能にするために、前記キャニスタ内に膨張し、
前記ポリマー発泡体は、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12、ポリエチレン、テレフタレート、ポリブチレン、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルのいずれかから選択されるがこれらに限定されず、
前記吸着材は、前記エンジンが作動していないときに燃料蒸気を吸着し、前記エンジンが作動しているときに燃料蒸気を脱着させる、蒸発排出物制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全体として、EVAPキャニスタに組み込まれる吸着材に関する。より詳細には、本発明は、蒸発排出物管理システムにおいて利用され、活性化グラフェン誘導体又はグラフェンベースの発泡体組成物のいずれかを含むことができるグラフェン系吸着材を開示する。
【0002】
関連出願への相互参照
本出願は、2022年10月27日出願の米国特許出願第17/975,102号の優先権を主張するものであり、同米国出願は、2021年11月1日出願の第63/274,158号の優先権を主張するものであり、図面を含むそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【背景技術】
【0003】
蒸発排出物制御(EVAP)システムは、燃料タンク及び燃料システムからの燃料蒸気が大気中に漏れるのを防ぐために、車両の燃料システムを密閉する。燃料蒸気は空気及び太陽光と反応するとスモッグを形成する様々な炭化水素を含むため、これは重要である。周知のように、ガソリンは非常に速く蒸発するため、燃料システムが大気に開放されている場合、車両は1日中(特に昼間)、電源を入れていなくても汚染する可能性がある。研究によると、これらの制御されていない蒸発排出物は、車両によって発生する汚染物質の20%を占める可能性がある。
【0004】
典型的なEVAPシステムの主要コンポーネントの1つは、ガソリンを貯蔵する燃料タンクである。充填ポンプの動作は、ノズルがタンク内の達成された充填レベルを検出するとガスの流れを停止するようになっている。これは、タンクに貯蔵された燃料が溢れたり、EVAPシステムに漏れを生じさせたりすることなく膨張できるように、上部に最小限の膨張スペースを保持するためである。
【0005】
ガスキャップは、ガソリンタンクのフィラーネックを外気から遮断する。ガスキャップの損傷又は欠落は、エンジン警告灯を点灯させる可能性のあるEVAPシステム故障コードの最も一般的な原因である。
【0006】
液体蒸気分離器は、燃料蒸気を貯蔵する能力に負担をかけ過ぎる液体ガソリンがEVAPキャニスタに入るのを防ぐ。
【0007】
EVAPキャニスタが、タンクベントラインによって燃料タンクに接続され、通常は1~2ポンド(0.45~0.91kg)の活性炭を含み、活性炭は、パージ弁が開いてエンジン吸気の負圧により活性炭からエンジン吸気マニホールドに燃料蒸気が吸い上げられること(脱着)を可能にするまで、吸着して貯蔵することによってスポンジのように機能する。ベント制御弁は、燃料タンクからEVAPキャニスタへの燃料蒸気の流れを可能にする。
【0008】
排出物の最小化に特化したエンジン制御システムは、キャニスタのパージを容易にし、エンジン動作中に、ベントポートを通してキャニスタに引き込まれ、吸着炭素床を流れる周囲空気でキャニスタシステムをパージすることによって、吸着された燃料蒸気が活性炭から除去され、その結果、気化した炭化水素がパージポートを通してエンジン吸気口に脱着されるようにする。再生された炭素は、その後、更なる燃料蒸気を吸着する準備ができ、サイクルが継続される。このように、「EVAP」キャニスタは、気化した炭化水素を一時的に吸着し、清浄な空気のみを排出することにより、現代の蒸発排出物制御技術において重要な役割を果たしている。
【0009】
パージ弁/センサは、エンジン吸気負圧によりEVAPキャニスタからエンジン吸気マニホールドに燃料蒸気が吸い上げられること(脱着プロセス)を可能にする。ベントホースは、燃料蒸気がEVAPシステムの様々なコンポーネントに流れる手段を提供する。
【0010】
燃料タンク圧力センサは、漏れと過剰圧力に関して圧力を監視する。最後に、燃料レベルセンサは、タンク内の燃料レベルを監視する。
【0011】
新しい吸着材を備えた既存の蒸発排出物制御システムの例は、Reddyの特許文献1に開示されており、特許文献1は、システムに設けられたほぼ線形の等温線を有する活性炭などの吸着材を教示している。
【0012】
さらに留意されるように、排気排出物とは対照的に、蒸発排出物は無色であるため、気付かれずに漏れる危険性がある。漏出を許すと、これらの気化した炭化水素は太陽光の存在下で空気と反応し、人間や生態系全体に有害なスモッグを発生させる。
【0013】
したがって、自動車の蒸発排出物制御技術の主な目的は、気化した炭化水素などの揮発性有機化合物(VOC)が大気中に漏れるのを防ぎ、LEV II/LEV III排出基準の下でEPA/CARB基準を満たすことである。上述の「EVAPキャニスタ」は、気化した炭化水素を一時的に吸着し、清浄な空気のみを排出することにより、現代の蒸発排出物制御技術において重要な役割を果たしている。キャニスタのサイズ及び吸着材の体積はさらに、通常は特定の用途に関連する予測される燃料蒸気の蒸発に適合するように選択される。
【0014】
蒸発排出物の主な発生源は、燃料補給と日中に関連する排出である。燃料補給中、ディスペンサーノズルから自動車のガソリンタンクに新しい燃料が加えられると、ガソリンタンクから追い出された気化した炭化水素(ブタンやペンタンなど)がキャニスタに排出される。日中の排出は、昼夜の温度変動の結果として発生する燃料蒸気によって起こる。キャニスタは、高表面積(活性)炭などの吸着材を含み、キャニスタのサイズと吸着材の体積は、予想される燃料蒸気の蒸発に適合するように選択される。
【0015】
ガソリン蒸気は、この場合も先と同様にブタンやペンタンなどの炭化水素分子から構成されており、活性炭の非極性表面に引き寄せられ、一時的に吸着(物理吸着)され、清浄な空気のみをベントポートから大気中に放出させる。燃料補給プロセスでは高濃度の炭化水素が発生するため、先進的なキャニスタは、蒸発排出物を低く又はゼロにするために、複数のチャンバと特別に設計された炭素吸着材を使用する。
さらに知られているように、従来のEVAPキャニスタで使用される活性炭吸着材の長期性能には一定の限界がある。脱着プロセスが完了していない場合、吸着材に微量の炭化水素が残留し、時間の経過と共に吸着能力が低下する。その結果、燃料補給中又はダイアーナル(日中の)ロス中に、燃料タンクからキャニスタへ、及びベントポートを通って大気中に出る空気の流れは、吸着材の吸着能力の低下により吸着されない微量の有害なガソリン成分を含む可能性がある。したがって、従来は押出ペレットの形態の活性炭がキャニスタ充填のための主要な選択肢であったが、このような持続的な「ブリード」の問題は依然として課題である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】米国特許第7,467,620号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、従来の炭素系吸着材の欠点に対処しようとするものであり、その代わりに、キャニスタからの排出物を削減するために高濃度の蒸発炭化水素を吸着する蒸発排出物管理システムの一部を形成するEVAPキャニスタに使用されるグラフェン系吸着材(粉末、ペレット、発泡体、フェルト又は他の組成物のいずれかを含む)を開示する。
【0018】
グラフェン誘導体は、キャニスタの容積を維持しかつキャニスタ内の燃料蒸気の適切な吸着を可能にするために使用される、ペレット又は発泡体のいずれかの形態のポリマーに組み込まれる。更なるグラフェン誘導体は、キャニスタ内で吸着材を圧縮するために使用されるフェルトの形態のポリマーに組み込まれる。
【0019】
グラフェン誘導体の群は、単層グラフェン、数層グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、及び官能化グラフェンを含むが、これらに限定されない。発泡体及びフェルト用のグラフェン誘導体の充填濃度は、0.1重量パーセントから60重量パーセントまで様々であり得る。ポリマーは、熱可塑性ポリマーであり、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12、ポリエチレン、テレフタレート、ポリブチレン、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルから選択することができるが、これらに限定されない。
【0020】
別の実施形態において、吸着材は、発泡体又はフェルトのいずれかに組み込まれたグラフェン誘導体とリグノセルロース材料又は木炭との組み合わせであり得る。
【0021】
蒸発排出物を削減するための自動車用の対応する蒸発排出物制御システムは、燃料タンクに連結されたエバポキャニスタを含む。キャニスタはグラフェン吸着材組成物を含み、キャニスタの蒸気入口が燃料タンクに接続され、パージ出口が空気導入システムに接続されている。動作中、吸着材は、エンジンが作動していないときに燃料蒸気を吸着し、エンジンが作動しているときに燃料蒸気を脱着させる。
【0022】
更なる特徴はこの場合も先と同様に、グラフェン吸着材が、発泡体、フェルトのいずれかとして、又はペレットの形態に押し出されたような粉末として提供されることを含む。一変形例において、有機ポリマー結合剤が、粉末吸着材のペレットの形態へのペレット化をもたらす。結合剤は、さらにセルロース系であってもよい。
【0023】
他の特徴は、グラフェン吸着材組成物が、気化した炭化水素の適切な吸着及び脱着を提供するために高い表面積及び最適な孔径を維持するように押出プロセス及び低温乾燥プロセスによって製造されることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0024】
ここで、添付の図を参照する。以下の詳細な説明と組み合わせて読む場合、同様の符号は、いくつかの図全体にわたって同様の部分を指している。
【0025】
図1】本発明の一応用例に従ってEVAP蒸気キャニスタ内でグラフェン系吸着材を利用する全体的な蒸発排出物制御システムの概略図である。
【0026】
図2図1の蒸発排出物制御システムで使用されるようなEVAPキャニスタの部分分解平面断面図であり、グラフェン誘導体が追加の吸着材の体積で囲まれた高分子発泡体(ポリマー発泡体)の体積補正器に組み込まれ、ロードライン及びパージラインが取り付けられたキャニスタの第1端に第1のフェルト層が配置され、新鮮空気ポートと連通するキャニスタの反対端に第2のフェルト層が配置される、第1の非限定的な変形例を示す。
【0027】
図3】更なる変形例に従って体積補正器ポリマー発泡体に組み込まれたグラフェン誘導体とリグノセルロースの組み合わせを含む、図2に示されたものと同様のキャニスタの図である。
【0028】
図4】更なる変形例に従って体積補正器ポリマー発泡体に組み込まれたグラフェン誘導体と木炭の組み合わせを含む、図2に示されたものと同様のキャニスタの図である。
【0029】
図5】この場合も先と同様に体積補正器ポリマー発泡体に組み込まれたグラフェン誘導体の組み合わせと、キャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体とを含む、図2に示されたものと同様のキャニスタの別の変形例の図である。
【0030】
図6図3及び図5の態様を組み合わせ、それにより体積補正器ポリマー発泡体がリグノセルロースと共にグラフェン誘導体を組み込み、加えてキャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に更なるグラフェン誘導体が組み込まれた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0031】
図7図4及び図5の態様を組み合わせ、それにより体積補正器ポリマー発泡体が木炭と共にグラフェン誘導体を組み込み、加えてキャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に更なるグラフェン誘導体が組み込まれた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0032】
図8】吸着材で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及びリグノセルロースと組み合わせた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0033】
図9】吸着材で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体にリグノセルロースと共に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及びリグノセルロースと組み合わせた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0034】
図10】吸着材で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体に木炭と共に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及びリグノセルロースと組み合わせた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0035】
図11】吸着材で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及び木炭と組み合わせた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0036】
図12】吸着材で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体にリグノセルロースと共に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及び木炭と組み合わせた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0037】
図13】吸着材で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体に木炭と共に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及び木炭と組み合わせた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0038】
図14】外側吸着材に組み込まれたグラフェンペレット、発泡体又はフェルトのいずれかなどを含むグラフェン誘導体を組み込み、外側吸着材の間に体積補正器発泡体が挟まれ、キャニスタの両端に取り付けられた外側フェルト層と組み合わせた、キャニスタの更なる変形例の図である。
【0039】
図15】補正器発泡体内部を取り囲む外側吸着材にグラフェン誘導体と共に組み込まれたリグノセルロースを、この場合も先と同様にEVAPキャニスタの反対端にある外側フェルト層と共にさらに含む、図14と同様の図である。
【0040】
図16】体積補正器発泡体内部を取り囲む外側吸着材にグラフェン誘導体と共に組み込まれたリグノセルロースを木炭に置き換え、この場合も先と同様にEVAPキャニスタの外側フェルト層とさらに組み合わせた、図15と同様の図である。
【0041】
図17】前述のものと同様であり、グラフェン誘導体、リグノセルロース、及び木炭の任意の組み合わせを含む発泡体又はフェルト吸着材を、グラフェン誘導体、リグノセルロース、及び木炭の任意の組み合わせを同様に含む外側フェルト層と共に組み込んだ、キャニスタの更なる断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
添付の図を参照すると、本発明は、従来の炭素系吸着材の欠点に対処しようとするものであり、代わりに、蒸発排出物管理システムの一部を形成するEVAPキャニスタに使用されるグラフェン系吸着材を開示する。
【0043】
図1は、炭化水素を吸着することができる本発明の新しい吸着材を使用する、全体として10で参照される蒸発排出物制御システムの概略図である。システムは、延伸する充填ネック14と密閉された燃料キャップ16とを備えた燃料タンク12を含む。ガソリンタンクは断面図で示されており、燃料レベルセンサ22によって読み取られる充填レベル18を定める液体ガソリンを示している。充填レベルより上では、タンクの上部の空いている膨張空間又は膨張容積が、燃料蒸気24(例えば、ペンタン、ブタンなど)によって占有される。燃料タンク圧力センサ26もタンク12内に配置されており、燃料レベルセンサ22と組み合わせて、充填レベル及びタンク圧力の測定値を適切なパワートレイン制御モジュール(PCM)28に供給する。
【0044】
EVAP蒸気キャニスタ30が設けられており、燃料タンク12から延びる蒸気入口ライン32によって連通され、これは、燃料タンクからEVAPキャニスタ30への燃料蒸気の流れを可能にするベント制御弁と連通している。キャニスタ30から延びるEVAPベント33が、常開EVAPソレノイド弁34を含む。更なるライン36が、キャニスタ30からパージ流量センサ38、EVAPパージセンサ(通常は閉じている)40まで延びており、EVAPパージセンサ40は、空気導入システムに接続されており、エンジン吸気負圧により、EVAPキャニスタ内にそれまでに吸着された正確な量の燃料蒸気がエンジン吸気マニホールドへの送達及び最終的な燃焼のために吸い上げられる(脱着する)ことを可能にする。PCMモジュール28はまた、EVAPベントソレノイド34、パージ流量センサ38及びEVAPパージソレノイド40のそれぞれからの入力を受信する。
【0045】
後続の図2~16のそれぞれをさらに参照してさらに説明するように、キャニスタ30は、グラフェン吸着材組成物を含み、動作中、吸着材は、エンジンが作動していないときに燃料タンクから排出される燃料蒸気を吸着し、その後、エンジンが作動しているときに燃料蒸気を脱着させてエンジン吸気マニホールドに戻す。図2以降の各図には直線状のキャニスタが示されているが、非直線状を含むキャニスタのあらゆる形状が本発明の範囲内で想定されることがさらに理解される。
【0046】
さらに説明するように、グラフェン吸着材は、発泡体、フェルト又はペレットの形態で押し出された粉末のいずれかとして提供され、グラフェン又はグラフェン誘導体は、化学的手法又は熱的手法のいずれかを用いてさらに活性化される。有機ポリマー結合剤が、キャニスタの表面へのグラフェン吸着材の接着性を向上させる。結合剤は、さらにセルロース系であってもよい。他の特徴は、グラフェン吸着材組成物が、気化した炭化水素の適切な吸着及び脱着を提供するために高い表面積及び最適な孔径を有するように押出プロセス及び低温乾燥プロセスによって製造されることを含む。
【0047】
図2に進むと、図1の蒸発排出物制御システムで使用されるようなEVAPキャニスタの部分分解平面切断図が、全体として50で示されている。EVAPキャニスタは、メインハウジング52(中空の内部を備えた円筒形状を有する非限定的な形でも示されている)を含む。
【0048】
ハウジング52は、炭化水素を吸着することができ、この場合も先と同様にグラフェン、数層グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、及び官能化グラフェンのいずれかを含むが、これらに限定されない一定量の吸着材を封入する。発泡体及びフェルト用のグラフェン誘導体の充填濃度は、0.1重量パーセントから60重量パーセントまで様々であり得る。吸着材は、上部セクション54及び下部セクション56として示されており、上部セクション54及び下部セクション56は、ポリマーに組み込まれたグラフェン誘導体58を有する更なる量のポリマーベースの発泡体によって分離され、かつこの発泡体を取り囲み、この発泡体は、キャニスタの容積を維持し、キャニスタ内の燃料蒸気の適切な吸着を可能にするために使用される。
【0049】
限定されないが、グラフェン誘導体の群は、この場合も先と同様に単層グラフェン、数層グラフェン、酸化グラフェン、還元酸化グラフェン、及び官能化グラフェンのいずれかを含むことができるが、これらに限定されない。グラフェン誘導体の充填濃度は、0.1重量パーセントから50重量パーセントまで様々であり得る。ポリマーは、熱可塑性ポリマーのいずれかを含むことができ、ポリウレタン、ポリエステル、ポリプロピレン、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン12、ナイロン6,12、ポリエチレン、テレフタレート、ポリブチレン、ポリフタルアミド、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、及びポリ塩化ビニルから選択することができるが、これらに限定されない。
【0050】
第1のフェルト層60が、キャニスタメインハウジング52の一端に位置し、第1のフェルト層60を覆って、新鮮空気ポート64を組み込んだトップカバー62が取り付けられる。第2のフェルト層66が、キャニスタメインハウジング52の反対端に位置し、第2のフェルト層66を覆って、ロードライン70及びパージライン72のそれぞれを組み込んだ更なるカバー68が取り付けられる。フェルト層は、各実施形態において、キャニスタ内で吸着材を圧縮するのを補助するために設けられる。
【0051】
EVAPキャニスタ50の動作は、前述のものと同様であり、燃料タンクを延長する蒸気入口(ロード)ライン70によって蒸気キャニスタが連通され、この場合も先と同様に燃料タンクからEVAPキャニスタへの燃料蒸気の流れを可能にするベント制御弁と連通することを含む。EVAPベントは(エアポート64も)、キャニスタ50から延びており、常開EVAPソレノイド弁(図1の34を再度参照)を含み、更なるライン72は、キャニスタ50からパージ流量センサ(図1で説明したように前に38であった)、EVAPパージセンサ40(通常は閉じている)まで延びており、EVAPパージセンサ40は、空気導入システムに接続され、エンジン吸気負圧により、EVAPキャニスタ内にそれまでに吸着された正確な量の燃料蒸気が、エンジンの動作中のエンジン吸気マニホールドへの送達及び最終的な燃焼のために吸い上げられる(脱着する)ことを可能にする。
【0052】
続いて図3~16を参照すると、同様のEVAPキャニスタ構造が示されており、同一の構成要素には繰り返し番号が付され、説明は図2で開示された組成物の違いに限定される。図3は、ポリマー発泡体組成物58’が体積補正器発泡体に組み込まれたグラフェン誘導体とリグノセルロースの両方の組み合わせを含むことを除いて、図2に示されたものと同様のキャニスタ(全体として74)の図である。図4は、図2に示されたものと同様の、関連する部分では、更なる変形例に従って58”で示される体積補正器ポリマー発泡体の更なるバージョンに組み込まれたグラフェン誘導体と木炭の組み合わせを含むキャニスタ76の図である。
【0053】
図5は、この場合も先と同様に体積補正器ポリマー発泡体(58)に組み込まれたグラフェン誘導体の組み合わせと、キャニスタの反対端に位置するフェルト層(これらはさらに符号62’及び66’で示されている)の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体とを含む、図2に示されたものと同様のキャニスタの別の変形例78の図である。
【0054】
図6は、図3及び図5の態様を組み合わせ、それにより体積補正器ポリマー発泡体がリグノセルロース(再び58’)と共にグラフェン誘導体を組み込み、加えてキャニスタの反対端に位置するフェルト層(60’及び66’)の両方に更なるグラフェン誘導体が組み込まれた、キャニスタの更なる変形例80の図である。
【0055】
図7は、図4及び図5の態様を組み合わせ、それにより体積補正器ポリマー発泡体が木炭(再び58’)と共にグラフェン誘導体を組み込み、加えてキャニスタの反対端に位置するフェルト層(60’及び66’)の両方に更なるグラフェン誘導体が組み込まれた、キャニスタの更なる変形例82の図である。
【0056】
図8は、この場合も先と同様に、吸着材(54及び56)で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体(58)に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層(60”及び66”で示される)の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及びリグノセルロースと組み合わせた、キャニスタの更なる変形例84の図である。
【0057】
図9は、吸着材(再び54及び56)で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体(再び58’)にリグノセルロースと共に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置する60”及び66”のフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及びリグノセルロースと組み合わせた、キャニスタの更なる変形例の図86である。
【0058】
図10は、吸着材(この場合も先と同様に体積54/56を囲む)で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体(58’)に木炭と共に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置する、この場合も先と同様に60”及び66”のフェルト層の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及びリグノセルロースと組み合わせた、キャニスタの更なる変形例88の図である。
【0059】
図11は、この場合も先と同様に、吸着材(54/56)で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体58に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層(60”及び66”で示される)の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及び木炭と組み合わせた、キャニスタの更なる変形例90の図である。
【0060】
図12は、吸着材で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体(58’)にリグノセルロースと共に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層(再び60”及び66”)の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及び木炭と組み合わせた、キャニスタの更なる変形例92の図である。
【0061】
図13は、吸着材(54/56)で囲まれた体積補正器ポリマー発泡体(58”)に木炭と共に組み込まれたグラフェン誘導体を、キャニスタの反対端に位置するフェルト層(再び60”及び66”)の両方に組み込まれた更なるグラフェン誘導体及び木炭と組み合わせた、キャニスタの更なる変形例94の図である。
【0062】
図14は、外側吸着材(98及び100参照)に組み込まれたペレットなどを含むグラフェン誘導体を組み込み、外側吸着材の間に体積補正器発泡体内部(102)が挟まれ、これを、前に図2~13で示したようなフェルト層の代わりに、キャニスタの両端に取り付けられた外側フェルト層(104及び106)と組み合わせた、キャニスタの更なる変形例96の図である。
【0063】
図15は、外側吸着材(96’及び98’参照)にグラフェン誘導体と共に組み込まれたリグノセルロース(これらは体積補正器発泡体内部102を取り囲む)を、この場合も先と同様にEVAPキャニスタの反対端にある外側フェルト層104及び106と共にさらに含む、図14と同様の図(108)である。
【0064】
図16は、体積補正器発泡体内部102を取り囲む外側吸着材(96”及び98”で示すもの参照)にグラフェン誘導体と共に組み込まれたリグノセルロースを木炭に置き換え、この場合も先と同様にEVAPキャニスタ110の外側フェルト層104及び106とさらに組み合わせた、図15と同様の図(110)である。
【0065】
図17は、前述のものと同様であり、発泡体又はフェルト吸着材114のいずれかを組み込み、これにグラフェン誘導体、リグノセルロース、及び木炭の任意の組み合わせが設けられた、キャニスタ(全体として112)の更なる断面図を示す。また、外側フェルト層116及び118も示されており、これらもグラフェン誘導体、リグノセルロース及び木炭の任意の組み合わせを含む。
【0066】
本発明を説明してきたが、他の更なる好ましい実施形態は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、本発明が関係する技術分野の当業者には明らかになるであろう。詳細な説明及び図面は開示を支持するものであり、開示の範囲は特許請求の範囲によって定義されることがさらに理解される。請求項に記載された教示を実施するための最良の形態及び他の実施形態のいくつかが詳細に説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義される開示を実施するための様々な代替的な設計及び実施形態が存在する。
【0067】
前述の開示は、本開示を開示された正確な形態又は特定の使用分野に限定することを意図したものではないことがさらに理解される。したがって、本明細書に明示的に記載されているか暗示されているかにかかわらず、本開示に照らして、本開示に対する様々な別の実施形態及び/又は修正が可能であると考えられる。本開示の実施形態をこのように説明してきたが、当業者は、本開示の範囲から逸脱することなく、形態及び詳細の変更を行うことができることを認識するであろう。したがって、本開示は特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0068】
前述の明細書では、開示は特定の実施形態を参照して記載されている。しかしながら、当業者が理解するように、本明細書に開示された様々な実施形態は、本開示の主旨及び範囲から逸脱することなく、様々な他の方法で修正又は実施することができる。したがって、この説明は、例示とみなされるべきであり、本開示の様々な実施形態を作成及び使用する方法を当業者に教示することを目的としている。本明細書に示され、記載された開示の形態は、代表的な実施形態として解釈されるべきであることが、理解されるべきである。本明細書に代表的に示され、記載された要素、材料、プロセス又はステップは、等価な要素、材料、プロセス又はステップに置き換えることができる。また、本開示の特定の特徴は、他の特徴の使用から独立して利用することができ、そのすべてが、本開示のこの説明の恩恵を受けた後の当業者には明らかであろう。本開示を説明し、特許請求するために使用される「備える」、「含む」、「組み込む」、「から成る」、「有する」、「である」などの表現は、非排他的に解釈されることが意図されており、すなわち、明示的に記載されていないアイテム、構成要素又は要素も存在することを許容する。単数への言及は、複数にも関係すると解釈されるべきである。
【0069】
さらに、本明細書に開示された様々な実施形態は、例示的及び説明的な意味で解釈されるべきであり、決して本開示を限定するものと解釈されるべきではない。すべての結合の表現(例えば、取り付けられる、固定される、連結される、接続される等)は、本開示の読者の理解を助けるためにのみ使用され、特に本明細書に開示されたシステム及び/又は方法の位置、方向、又は使用に関して制限を設けることはできない。したがって、結合の表現は、もしあれば、広く解釈されるべきである。また、このような結合の表現は、必ずしも2つの要素が互いに直接接続されていることを暗示するものではない。
【0070】
さらに、限定されるものではないが、「第1」、「第2」、「第3」、「一次」、「二次」、「主要」などのすべての数字的な用語、又は他のあらゆる一般的及び/又は数字的な用語も、本開示の様々な要素、実施形態、変形及び/又は修正に関する読者の理解を助けるための識別子としてのみ解釈されるべきであり、特に、任意の要素、実施形態、変形及び/又は修正の、他の要素、実施形態、変形及び/又は修正に対する順序又は優先順位に関して、いかなる制限を設けるものではない。
【0071】
また、図面/図に示された要素の1つ以上が、特定の用途に従って有用であるように、より分離又は統合された方法で実装することも、場合によっては除去するか又は動作不能にすることさえできることが理解されるであろう。さらに、図面/図のシグナルハッチは、特に明記されない限り、例示としてのみ考慮されるべきであり、限定するものではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
【国際調査報告】