(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】IRAK4分解剤およびその合成
(51)【国際特許分類】
C07D 401/14 20060101AFI20241024BHJP
C07D 519/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/5386 20060101ALI20241024BHJP
A61K 31/4545 20060101ALI20241024BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 7/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 17/04 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20241024BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C07D401/14 CSP
C07D519/00 301
A61K31/5386
A61K31/4545
A61P37/02
A61P29/00
A61P7/00
A61P17/00
A61P1/00
A61P17/04
A61P35/00
A61P35/02
A61P19/02
A61P1/04
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525331
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022048163
(87)【国際公開番号】W WO2023076556
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520099771
【氏名又は名称】カイメラ セラピューティクス, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】レオン, ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン, ダリル チャールズ
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA03
4C086BC22
4C086CB22
4C086GA07
4C086MA01
4C086MA04
4C086NA14
4C086NA20
4C086ZA51
4C086ZA66
4C086ZA68
4C086ZA89
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB11
4C086ZB15
(57)【要約】
本発明は、化合物、その組成物、およびこれらを調製する方法を提供する。本発明は、IRAK4分解剤である、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド、その合成、およびその組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
化合物I-1:
【化37】
または薬学的に許容されるその塩、および以下:
【化38】
【化39】
からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物。
【請求項2】
前記組成物が、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つの不純化合物または薬学的に許容されるその塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記組成物が、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される2つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記組成物が、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される3つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記組成物が、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される4つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される5つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される6つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される7つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項9】
前記組成物が、不純化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9の各々または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が、I-2、I-3およびI-5からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記組成物が、I-3およびI-5からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
不純化合物I-4、I-6、I-7、I-8およびI-9の各々または薬学的に許容されるそれらの塩が、独立して、前記組成物の総重量の約0.7HPLC面積パーセント以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
不純化合物I-2または薬学的に許容されるその塩が、前記組成物の総重量の約2.0HPLC面積パーセント以下である、請求項1から12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
不純化合物I-3およびI-5の各々または薬学的に許容されるそれらの塩が、独立して、約30ppm以下である、請求項1から13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物中に存在する、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9の全不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩が、約3.0HPLC面積パーセント以下である、請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物中の化合物I-1または薬学的に許容されるその塩の純度が、少なくとも約97.0HPLC面積パーセントである、請求項1から15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記組成物中にジクロロメタンを約600ppm以下の量でさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記組成物中にN,N-ジメチルアセトアミドを約1090ppm以下の量でさらに含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記組成物中にテトラヒドロフランを約720ppm以下の量でさらに含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記組成物中にイソプロパノールを約5000ppm以下の量でさらに含む、請求項1から19のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物中に2-メチルテトラヒドロフランを約5000ppm以下の量でさらに含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物中に塩化イソプロピルを約300ppm以下の量でさらに含む、請求項1から21のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項23】
請求項1から22のいずれか一項に記載の組成物、および薬学的に許容される補助剤、担体またはビヒクルを含む、医薬組成物。
【請求項24】
患者において自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、前記患者に、請求項23に記載の医薬組成物を投与するステップを含む、方法。
【請求項25】
前記自己免疫疾患/自己炎症性疾患が、皮膚、リウマチ性および胃腸管の自己免疫疾患/自己炎症性疾患から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記自己免疫疾患/自己炎症性疾患が、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される、皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患である、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
式Iの化合物:
【化40】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
Xは、共有結合、-CH
2-、-C(O)-、-C(S)-または
【化41】
から選択される二価部分であり;
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、独立して、水素、ジュウテリウム、R
A、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR、-SR、-NR
2、-SO
2R、-SO
2NR
2、-S(O)R、-CFR
2、-CF
2R、-CF
3、-CR
2OR、-CR
2(NR
2)、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR
2、-C(S)NR
2、-C(O)NROR、-OC(O)R、-OC(O)NR
2、-NRC(O)OR、-NRC(O)R、-NRC(O)NR
2、-NRSO
2R、-N
+(O
-)R
2、-OP(O)R
2、-OP(O)(OR)
2、-OP(O)(OR)NR
2、-OP(O)(NR
2)
2、-P(O)R
2、-SiR
3、-Si(OR)R
2、または
【化42】
から選択され;
Rはそれぞれ、独立して、水素であるか、またはC
1~6脂肪族、フェニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の飽和もしくは部分不飽和な複素環式、ならびに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基である、あるいは
同一炭素または窒素上の2つのR基は、必要に応じて、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~9員のヘテロアリール環を形成し;
R
Aはそれぞれ、独立して、C
1~6脂肪族、フェニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和または部分不飽和な複素環式環、ならびに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基であり;
a、b、c、dおよびeは、独立して、0、1、2、3または4から選択され;
R
6は、水素またはC
1~6脂肪族であり;
環A、環Bおよび環Eは、独立して、フェニル、ナフチル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール環から選択され;
環Cは、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の飽和または部分不飽和な炭素環式環または複素環式環であり;
環Dは、存在する窒素に加え、窒素、酸素および硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有する4~6員の飽和または部分不飽和な複素環式環であり;
Lは、共有結合、または二価の飽和もしくは不飽和な直鎖状もしくは分岐状C
1~10炭化水素鎖であり、ここで、Lの0~6個のメチレン単位は、-CDH-、-CD
2-、-CRF-、-CF
2-、-Cy-、-O-、-NR-、-SiR
2-、-Si(OH)R-、-Si(OH)
2-、-P(O)OR-、-P(O)R-、-P(O)NR
2-、-S-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)-、-S(O)-、-SO
2-、-NRSO
2-、-SO
2NR-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-OC(O)NR-、-NRC(O)O-、
【化43】
によって独立して、置き換えられており;
-Cy-はそれぞれ、独立して、フェニレニル、8~10員の二環式アリーレニル、4~7員の飽和もしくは部分不飽和なカルボシクリレニル、4~12員の飽和もしくは部分不飽和なスピロカルボシクリレニル、8~10員の飽和もしくは部分不飽和な二環式カルボシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和なヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~12員の飽和もしくは部分不飽和なスピロヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する8~10員の飽和もしくは部分不飽和な二環式ヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレニル、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレニルから選択される、必要に応じて置換されている二価の環であり;
rは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)
を調製する方法であって、
式IIの化合物:
【化44】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
X
1は、好適な脱離基である)
を、好適な条件下、式IIIの化合物:
【化45】
により処理して、前記式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を形成するステップを含む、方法。
【請求項28】
X
1がハロゲンである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
請求項28に記載の式IIの化合物を調製する方法であって、前記方法が、式IVの化合物:
【化46】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
Gは、C
1~6脂肪族、フェニル、ナフチル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基である)
を、好適な条件下、ハロゲン化して、前記式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩を形成するステップを含む、方法。
【請求項30】
請求項29に記載の式IVの化合物を調製する方法であって、前記方法が、式Vの化合物:
【化47】
または薬学的に許容されるその塩を、好適な条件下、スルホン化して、前記式IVの化合物または薬学的に許容されるその塩を形成するステップを含む、方法。
【請求項31】
環Aが、フェニル、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール環である、請求項27から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
環Bが、フェニル、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環である、請求項27から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
環Cが、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する6員の飽和または部分不飽和な炭素環式環または複素環式環である、請求項27から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
環Dが、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する6員の飽和または部分不飽和な炭素環式環または複素環式環である、請求項27から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
環Eが、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式または二環式ヘテロアリール環である、請求項27から34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
R
1が、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR、-SR、-NR
2、-SO
2R、-SO
2NR
2、-S(O)R、-CFR
2、-CF
2R、-CF
3、-CR
2OR、-CR
2(NR
2)、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR
2、-C(S)NR
2、-C(O)NROR、-OC(O)R、-OC(O)NR
2、-NRC(O)OR、-NRC(O)R、-NRC(O)NR
2、または-NRSO
2Rである、請求項27から35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
R
2が、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR、-SR、-NR
2、-SO
2R、-SO
2NR
2、-S(O)R、-CFR
2、-CF
2R、-CF
3、-CR
2OR、-CR
2(NR
2)、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR
2、-C(S)NR
2、-C(O)NROR、-OC(O)R、-OC(O)NR
2、-NRC(O)OR、-NRC(O)R、-NRC(O)NR
2、または-NRSO
2Rである、請求項27から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
c、dおよびeが、0である、請求項27から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
R
6が水素である、請求項27から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記式Iの化合物が、
【化48】
または薬学的に許容されるその塩である、請求項27から39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記式IIの化合物が、
【化49】
または薬学的に許容されるその塩である、請求項27から40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記式IIIの化合物が、
【化50】
または薬学的に許容されるその塩である、請求項27から41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記式IVの化合物が、
【化51】
または薬学的に許容されるその塩である、請求項29から42のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる、2021年10月29日出願の米国出願第63/263,274号に対する優先権の利益を主張する。
【0002】
発明の技術分野
本発明は、IRAK4分解剤である、5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド、その合成、およびその組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
ユビキチン-プロテアソーム経路(UPP)は、重要な調節因子タンパク質を調節して、ミスフォールディングされたタンパク質または異常なタンパク質を分解する重要な経路である。UPPは、複数の細胞過程の中核をなし、欠陥がある場合、またはバランスを欠く場合、様々な疾患の病因をもたらす。E3ユビキチンリガーゼの作用により、特定のタンパク質基質へのユビキチンの共有結合が達成される。
UPPは、細胞周期の調節、細胞表面受容体およびイオンチャネルのモジュレーション、ならびに抗原提示を含めた、様々な基礎的な細胞過程において重要な、短命のおよび調節性タンパク質の分解に重要な役割を果たす。インターロイキン-1受容体関連キナーゼ4(IRAK4)は、toll様受容体(TLR)およびインターロイキン(IL)-1受容体によるシグナル伝達を媒介する先天性免疫に関与する、多タンパク質複合体である、ミッドソーム(myddosome)の重要な構成成分である(Patra and Choi, Molecule 2016, 21(11):1529)。IRAK4タンパク質は、皮膚、リンパ組織、骨髄、胃腸(GI)管および肺を含めた、複数の様々な組織のタイプにわたり普遍的に発現される。IRAK4の機能は、そのキナーゼ活性とその足場特性の両方に依存しており、この機能は、TLRまたはIL-1Rエンゲージメントおよび骨髄分化因子88(MyD88)の活性化後の、ミッドソーム複合体の集合に必要である(De Nardo et al., J. Bio. Chem. 2018, 293(39):15195;Cushing et al., J. Bio. Chem. 2014, 289(15):10865)。NF-kB活性化は、IRAK4の足場機能に特に依存し、ミッドソーム活性化によって媒介される細胞増殖ならびに炎症誘発性サイトカインおよびケモカイン産生の重要な駆動因子である。
5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミドを含めた様々なIRAK4分解剤が、以前に、例えば、それらの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/133531号および国際公開第2020/010227号に、記載されている。このような化合物の合成の改善に対する未だ満たされていないニーズが存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2019/133531号
【特許文献2】国際公開第2020/010227号
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Patra and Choi, Molecule 2016, 21(11):1529
【非特許文献2】De Nardo et al., J. Bio. Chem. 2018, 293(39):15195
【非特許文献3】Cushing et al., J. Bio. Chem. 2014, 289(15):10865
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
5-((1R,4R)-2-オキサ-5-アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン-5-イル)-N-(3-(ジフルオロメチル)-1-((1r,4R)-4-((4-((3-(1-(2,6-ジオキソピペリジン-3-イル)-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-4-イル)プロパ-2-イン-1-イル)オキシ)ピペリジン-1-イル)メチル)シクロヘキシル)-1H-ピラゾール-4-イル)ピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-3-カルボキサミド(本明細書において、化合物I-1)または薬学的に許容されるその塩の組成物は、いくつかの不純物を含有することがあることが今や見出された。
【化1】
【0007】
一態様では、本発明は、化合物I-1、および以下:
【化2】
【化3】
からなる群から選択される1つまたは複数の不純化合物、または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を提供する。
【0008】
本出願に記載されている、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、およびそれらの医薬組成物は、自己免疫疾患/自己炎症性疾患を処置するのに有用である。一部の態様では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)、関節リウマチ(RA)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される、皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患である。
【0009】
別の態様では、本発明は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および関連する中間体を合成する方法を提供する。
【0010】
本開示のこれらの態様および他の態様が、以下の詳細な説明を参照すると明白になろう。この目的のため、ある特定の背景情報および手順を一層詳細に記載する様々な参考文献が本明細書に記載されており、このことにより、それぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
発明の詳細な説明
1.本発明のある特定の実施形態の一般的な記載
当業者は、活性医薬剤(「API」または「原薬」)の不純物プロファイルは、あらゆる医薬製品の重要な側面であることを認識している。したがって、合成または分解に起因する不純物は、API純度のモニタリングおよび規制基準への順守を可能にするという点で、これらの不純物は有用である。
【0012】
ある特定の実施形態では、本発明は、化合物I-1:
【化4】
およびその中に1つまたは複数の不純化合物(すなわち、不純物)を含む組成物を提供する。
【0013】
化合物I-1は、IRAK4およびE3リガーゼであるCRBNを標的として、ユビキチン-プロテアソーム系を介してIRAK4の選択的分解を媒介する、経口投与される、強力で選択性の高いヘテロ二官能性低分子治療剤である。
【0014】
一部の実施形態では、化合物I-1は、結晶形態にある。一部の実施形態では、化合物I-1は、HCl塩形態にある。一部の実施形態では、化合物I-1は、結晶性HCl塩形態にある。一部の実施形態では、その内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2021/247899号に記載されている通り、化合物I-1の結晶性HCl塩形態は、多形形態Aである。一部の実施形態では、化合物I-1の多形形態Aは、そのX線粉末回折パターンにおいて、2シータが約14.1、約17.0、約17.3、約19.0、約21.0、約21.2および約23.3度におけるピークから選択される1つまたは複数の主要ピークを有することを特徴とする。
【0015】
ある特定の実施形態では、本発明は、患者において自己免疫疾患/自己炎症性疾患または血液悪性疾患を処置する方法であって、患者に、本明細書に記載されている化合物I-1を含む医薬組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本組成物は、本明細書に記載されている、化合物I-1、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つまたは複数の不純物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0016】
以下の開示において、ある種の具体的な詳細は、様々な実施形態の完全な理解をもたらすために記載される。しかし、当業者は、本明細書に記載されている方法および使用が、これらの詳細なしに行われ得ることを理解していよう。他の場合では、実施形態の記載を不必要に不明確にすることを避けるため、周知の構造は詳細に示されておらず、記載もされていない。文脈上異なる解釈を要する場合を除き、以下に続く、本明細書および特許請求の範囲の全体を通して、用語「含む(comprise)」、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」などのその変化形は、オープンで包括的な意味、すなわち「含むが、それらに限定されない」として解釈されるべきである。さらに、本明細書に提示されている見出しは、便宜的なものに過ぎず、特許請求されている発明の範囲または意味を解釈するものではない。
【0017】
本明細書全体を通じて、「一実施形態」または「実施形態」と言う場合、これらの実施形態に関連して記載されている、特定の機能、構造または特徴が、少なくとも一実施形態に含まれていることを意味する。したがって、本明細書の全体における様々な位置における、語句「一実施形態では」または「実施形態では」が現れる場合、必ずしも、すべてが、同じ実施形態を指すわけではない。さらに、特定の機構、構造または特徴は、1つまたは複数の実施形態における、任意の好適な様式で組み合わされてもよい。同様に、本明細書および添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、その内容が特に明確に指示しない限り、複数の指示対象を包む。用語「または」は、その内容が特に明白に示さない限り、「および/または」を含む意味で、一般に、使用されていることにやはり留意すべきである。
2.化合物および定義
【0018】
本発明の化合物は、本明細書において一般に記載されているものを含み、本明細書において開示されているクラス、部分クラスおよび種によりさらに例示される。本明細書において使用する場合、特に示さない限り、以下の定義が適用されるものとする。本発明の目的のために、化学元素は、Handbook of Chemistry and Physics, 75th Ed.、元素周期表のCAS版に従って特定される。さらに、有機化学の一般的な原理は、それらの全内容が参照により本明細書に組み込まれる、"Organic Chemistry", Thomas Sorrell, University Science Books, Sausalito: 1999および"March's Advanced Organic Chemistry", 5th Ed., Ed.: Smith, M.B. and March, J., John Wiley & Sons, New York: 2001に記載されている。
【0019】
用語「脂肪族」または「脂肪族基」は、本明細書において使用する場合、完全に飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和単位を含有する、直鎖(すなわち、非分岐状)または分岐状の置換または非置換の炭化水素鎖、あるいは完全に飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和単位を含有するが、芳香族ではない単環式炭化水素または二環式炭化水素(本明細書において、「炭素環」、「脂環式」または「シクロアルキル」とも称される)を意味し、これらは、分子の残部への1つの結合点を有する。別段の指定がない限り、脂肪族基は、1~6個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、脂肪族基は、1~5個の脂肪族炭素原子を含有する。他の実施形態では、脂肪族基は、1~4個の脂肪族炭素原子を含有する。さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~3個の脂肪族炭素原子を含有し、さらに他の実施形態では、脂肪族基は、1~2個の脂肪族炭素原子を含有する。一部の実施形態では、「脂環式」(または「炭素環」もしくは「シクロアルキル」)とは、完全に飽和であるか、または1つもしくは複数の不飽和単位を含有するが、芳香族ではない単環式C3~C6炭化水素を指し、これは、分子の残部への1つの結合点を有する。一部の実施形態では、炭素環式環は、5~12員の二環式、架橋二環式またはスピロ環式環であってもよい。炭素環式環は、1つまたは複数のオキソ(=O)またはチオオキソ(=S)置換基を含んでもよい。好適な脂肪族基には、以下に限定されないが、線状または分岐状の、置換または非置換アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、および(シクロアルキル)アルキル、(シクロアルケニル)アルキルまたは(シクロアルキル)アルケニルなどのそれらの混成体が含まれる。
【0020】
本明細書において使用する場合、用語「架橋二環式」とは、任意の二環式環系、すなわち飽和または部分不飽和な、少なくとも1つの架橋を有する炭素環式または複素環式を指す。IUPACによって定義されている通り、「架橋」は、2つの橋頭部を連結する、複数もしくは単数の原子の非分岐鎖、または原子価結合であり、「橋頭部」は、3個またはそれより多い骨格原子(水素を除外する)に結合した環系の任意の骨格原子である。一部の実施形態では、架橋二環式基は、7~12環員、および窒素、酸素または硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する。このような架橋二環式基は、当分野で周知であり、以下に記載されている基を含み、基のそれぞれは、任意の置換可能な炭素原子または窒素原子において、分子の残りに結合している。別段の指定がない限り、架橋二環式基は、脂肪族基の場合に記載されている通り、1つまたは複数の置換基により必要に応じて置換されている。さらにまたは代替的に、架橋二環式基の置換可能ないずれの窒素も、必要に応じて置換されている。例示的な架橋二環式は、以下:
【化5】
を含む。
【0021】
用語「低級アルキル」とは、C1~4直鎖または分岐アルキル基を指す。例示的な低級アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチルおよびtert-ブチルである。
【0022】
用語「低級ハロアルキル」とは、1個または複数のハロゲン原子により置換されているC1~4直鎖または分岐アルキル基を指す。
【0023】
用語「ヘテロ原子」は、酸素、硫黄、窒素、リンまたはケイ素(窒素、硫黄、リンまたはケイ素の任意の酸化形態を含む;任意の塩基性窒素または複素環式環の置換可能な窒素の四級化形態、例えば、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)またはNR+(N-置換ピロリジニルにおけるような))のうちの1個または複数を意味する。
【0024】
用語「不飽和な」は、本明細書において使用する場合、ある部分が1つまたは複数の不飽和単位を有することを意味する。
【0025】
本明細書において使用する場合、用語「二価のC1~8(またはC1~6)飽和または不飽和な、直鎖または分岐炭化水素鎖」とは、本明細書で定義されている、二価の直鎖状または分岐状のアルキレン鎖、アルケニレン鎖およびアルキニレン鎖を指す。
【0026】
用語「アルキレン」は、二価アルキル基を指す。「アルキレン鎖」は、ポリメチレン基、すなわち-(CH2)n-であり、nは、正の整数、好ましくは1~6、1~4、1~3、1~2または2~3である。置換アルキレン鎖は、1個または複数のメチレン水素原子が置換基により置き換えられているポリメチレン基である。好適な置換基には、置換脂肪族基に関して、以下に記載されているものが含まれる。
【0027】
用語「アルケニレン」とは、二価アルケニル基を指す。置換アルケニレン鎖は、1個または複数の水素原子が置換基により置き換えられている、少なくとも1つの二重結合を含有するポリメチレン基である。好適な置換基には、置換脂肪族基に関して、以下に記載されているものが含まれる。
【0028】
本明細書において使用する場合、用語「シクロプロピレニル」とは、以下の構造:
【化6】
の二価シクロプロピル基を指す。
【0029】
用語「ハロゲン」は、F、Cl、BrまたはIを意味する。
【0030】
単独で、または「アラルキル」、「アラルコキシ」もしくは「アリールオキシアルキル」におけるような、より大きな部分の一部として使用されている用語「アリール」は、合計が5~14個の環員を有する単環式環系または二環式環系を指し、これらの系中の少なくとも1つの環は芳香族であり、これらの系中の各環は、3~7個の環員を含有する。用語「アリール」は、用語「アリール環」と互換的に使用することができる。本発明のある特定の実施形態では、「アリール」とは、以下に限定されないが、1つまたは複数の置換基を有してもよい、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどを含む、芳香族環系を指す。同様に、用語「アリール」の範囲には、本明細書において使用されている通り、芳香族環が、インダニル、フタルイミジル、ナフトイミジル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロナフチルなどの、1つまたは複数の非芳香族環に縮合している基も含まれる。用語「アリーレニル」とは、二価アリール基(例えば、フェニレニル)を指す。
【0031】
単独で、またはより大きな部分、例えば、「ヘテロアラルキル」もしくは「ヘテロアラルコキシ」の一部として使用されている用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ-(heteroar-)」は、5~10個の環原子、好ましくは5個、6個または9個の環原子、環状配列中に共有されている6個、10個または14個のπ電子を有する基であって、炭素原子に加えて、1~5個のヘテロ原子を有する基を指す。用語「ヘテロ原子」とは、窒素、酸素または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化形態、および塩基性窒素の任意の四級化形態を含む。ヘテロアリール基には、非限定的に、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニルおよびプテリジニルが含まれる。用語「ヘテロアリール」および「ヘテロアラ-(heteroar-)」はまた、本明細書において使用する場合、複素芳香族環が、1つまたは複数のアリール環、脂環式環またはヘテロシクリル環に縮合している基を含み、ラジカルまたは結合点は、複素芳香族環上に存在する。非限定例には、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニルおよびピリド[2,3-b]-1,4-オキサジン-3(4H)-オンが含まれる。ヘテロアリール基は、単環式、二環式、架橋二環式またはスピロ環式であってもよい。用語「ヘテロアリール」は、用語「ヘテロアリール環」、「ヘテロアリール基」または「複素芳香族」と互換的に使用されてもよく、これらの用語のいずれも、必要に応じて置換されている環を含む。用語「ヘテロアラルキル」は、ヘテロアリールによって置換されているアルキル基を指し、アルキル部分およびヘテロアリール部分は、独立して、必要に応じて置換されている。用語「ヘテロアリーレニル」とは、二価ヘテロアリール基(例えば、ピリジレニル)を指す。
【0032】
本明細書において使用する場合、用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「複素環式ラジカル」および「複素環式環」は、互換的に使用され、飽和または部分不飽和のいずれかの、安定な5~7員の単環式複素環式部分または7~10員の二環式複素環式部分であって、炭素原子に加えて、1個または複数の、好ましくは1~4個の上で定義したヘテロ原子を有する、上記の複素環式部分を指す。複素環の環原子を参照して使用する時、用語「窒素」は、置換されている窒素を含む。一例として、酸素、硫黄または窒素から選択される0~3個のヘテロ原子を有する、飽和または部分不飽和な環では、窒素は、N(3,4-ジヒドロ-2H-ピロリルにおけるような)、NH(ピロリジニルにおけるような)または+NR(N-置換ピロリジニルにおけるような)であってもよい。
【0033】
複素環式環は、安定な構造をもたらす、任意のヘテロ原子または炭素原子において、そのペンダント基に結合することができ、これらの環原子のいずれも、必要に応じて置換され得る。このような飽和または部分不飽和な複素環式ラジカルの例としては、非限定的に、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオフェニル ピロリジニル、ピペリジニル、ピロリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オキサゾリジニル、ピペラジニル、ジオキサニル、ジオキソラニル、ジアゼピニル、オキサゼピニル、チアゼピニル、モルホリニルおよびキヌクリジニルが挙げられる。用語「複素環」、「ヘテロシクリル」、「ヘテロシクリル環」、「複素環式基」、「複素環式部分」および「複素環式ラジカル」は、本明細書において互換的に使用され、同様に、ヘテロシクリル環が、インドリニル、3H-インドリル、クロマニル、フェナントリジニルまたはテトラヒドロキノリニルなどの、1つまたは複数のアリール、ヘテロアリールまたは脂環式環に縮合している基を含む。一部の実施形態では、複素環式環は、5~12員の二環式、架橋二環式またはスピロ環式環であってもよい。複素環式環は、1つまたは複数のオキソ(=O)またはチオオキソ(=S)置換基を含んでもよい。用語「ヘテロシクリルアルキル」とは、ヘテロシクリルによって置換されているアルキル基を指し、アルキル部分およびヘテロシクリル部分は、独立して、必要に応じて置換されている。
【0034】
本明細書において使用する場合、用語「部分不飽和な」とは、少なくとも1つの二重結合または三重結合を含む環部分を指す。用語「部分不飽和な」は、複数の不飽和部位を有する環を包含することが意図されているが、本明細書において定義されているアリール部分またはヘテロアリール部分を含むことは意図されていない。
【0035】
本明細書に記載されている通り、本開示の化合物は、「置換されている」部分を含有してもよい。一般に、用語「置換されている」とは、指定部分の1個または複数の水素が好適な置換基により置き換えられていることを意味する。特に示さない限り、「必要に応じて置換されている」基は、この基の置換可能な各位置に好適な置換基を有することがあり、任意の所与の構造中の1つより多い位置が、指定した基から選択される1つより多い置換基により置換されていてもよい場合、この置換基は、各位置において、同一であってもよく、または異なっていてもよい。本発明によって想起される置換基の組合せは、好ましくは、安定なまたは化学的に実現可能な化合物の形成をもたらすものである。用語「安定な」とは、本明細書において使用する場合、その生成、検出、ならびにある特定の実施形態では、本明細書において開示されている1つまたは複数の目的のために、その回収、精製および使用を可能にする条件が施された場合に、実質的に変化しない化合物を指す。
【0036】
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な炭素原子上の好適な一価の置換基は、独立して、ハロゲン;-(CH2)0~4R○;-(CH2)0~4OR○;-O(CH2)0~4R○、-O-(CH2)0~4C(O)OR○;-(CH2)0~4CH(OR○)2;-(CH2)0~4SR○;-(CH2)0~4Ph(これは、R○により置換されていてもよい)、-(CH2)0~4O(CH2)0~1Ph(これは、R○により置換されていてもよい);-CH=CHPh(これは、R○により置換されていてもよい);-(CH2)0~4O(CH2)0~1-ピリジル(これは、R○により置換されていてもよい);-NO2;-CN;-N3;-(CH2)0~4N(R○)2;-(CH2)0~4N(R○)C(O)R○;-N(R○)C(S)R○;-(CH2)0~4N(R○)C(O)NR○
2;-N(R○)C(S)NR○
2;-(CH2)0~4N(R○)C(O)OR○;-N(R○)N(R○)C(O)R○;-N(R○)N(R○)C(O)NR○
2;-N(R○)N(R○)C(O)OR○;-(CH2)0~4C(O)R○;-C(S)R○;-(CH2)0~4C(O)OR○;-(CH2)0~4C(O)SR○;-(CH2)0~4C(O)OSiR○
3;-(CH2)0~4OC(O)R○;-OC(O)(CH2)0~4SR○;-(CH2)0~4SC(O)R○;-(CH2)0~4C(O)NR○
2;-C(S)NR○
2;-C(S)SR○;-SC(S)SR○、-(CH2)0~4OC(O)NR○
2;-C(O)N(OR○)R○;-C(O)C(O)R○;-C(O)CH2C(O)R○;-C(NOR○)R○;-(CH2)0~4SSR○;-(CH2)0~4S(O)2R○;-(CH2)0~4S(O)2OR○;-(CH2)0~4OS(O)2R○;-S(O)2NR○
2;-(CH2)0~4S(O)R○;-N(R○)S(O)2NR○
2;-N(R○)S(O)2R○;-N(OR○)R○;-C(NH)NR○
2;-P(O)2R○;-P(O)R○
2;-OP(O)R○
2;-OP(O)(OR○)2;SiR○
3;-(C1~4直鎖または分岐アルキレン)O-N(R○)2;または-(C1~4直鎖または分岐アルキレン)C(O)O-N(R○)2であり、R○はそれぞれ、以下に定義されている通りに置換されていてもよく、独立して、水素、C1~6脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、-CH2-(5~6員のヘテロアリール環)、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であるか、または上記の定義に関わらず、2つの独立したR○の出現は、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する3~12員の単環式もしくは二環式の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環を形成し、これらは、以下に定義されている通りに置換されていてもよい。
【0037】
R○上の好適な一価の置換基(または、2つの独立したR○の出現が介在原子と一緒になることによって形成される環)は、独立して、ハロゲン、-(CH2)0~2R●、-(ハロR●)、-(CH2)0~2OH、-(CH2)0~2OR●、-(CH2)0~2CH(OR●)2;-O(ハロR●)、-CN、-N3、-(CH2)0~2C(O)R●、-(CH2)0~2C(O)OH、-(CH2)0~2C(O)OR●、-(CH2)0~2SR●、-(CH2)0~2SH、-(CH2)0~2NH2、-(CH2)0~2NHR●、-(CH2)0~2NR●
2、-NO2、-SiR●
3、-OSiR●
3、-C(O)SR●、-(C1~4直鎖または分岐アルキレン)C(O)OR●または-SSR●であり、R●はそれぞれ、非置換であるか、あるいは「ハロ」が前にある場合、1個または複数のハロゲンだけによって置換されており、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から独立して選択される。R°の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基は、=Oおよび=Sを含む。
【0038】
「必要に応じて置換されている」基の飽和炭素原子上の好適な二価の置換基には、以下:=O、=S、=NNR*
2、=NNHC(O)R*、=NNHC(O)OR*、=NNHS(O)2R*、=NR*、=NOR*、-O(C(R*
2))2~3O-または-S(C(R*
2))2~3S-が含まれ、独立したR*の出現はそれぞれ、水素、以下に定義されている通り置換されていてもよいC1~6脂肪族、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から選択される。「必要に応じて置換されている」基の隣接する置換可能な炭素に結合している好適な二価の置換基には、-O(CR*
2)2~3O-が含まれ、独立したR*の出現はそれぞれ、水素、以下に定義されている通り置換されていてもよいC1~6脂肪族、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する非置換の5~6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環から選択される。
【0039】
R*の脂肪族基上の好適な置換基には、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR●
2または-NO2が含まれ、R●はそれぞれ、非置換であるか、あるいは「ハロ」が前にある場合、1個または複数のハロゲンだけによって置換されており、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環である。
【0040】
「必要に応じて置換されている」基の置換可能な窒素上の好適な置換基には、-R†、-NR†
2、-C(O)R†、-C(O)OR†、-C(O)C(O)R†、-C(O)CH2C(O)R†、-S(O)2R†、-S(O)2NR†
2、-C(S)NR†
2、-C(NH)NR†
2または-N(R†)S(O)2R†が含まれ、R†はそれぞれ、独立して、水素、以下に定義されている通り置換されていてもよいC1~6脂肪族、非置換-OPh、あるいは窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、非置換の5~6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環であるか、または上記の定義に関わらず、2つの独立したR†の出現は、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する、非置換の3~12員の単環式もしくは二環式の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環を形成する。
【0041】
R†の脂肪族基上の好適な置換基は、独立して、ハロゲン、-R●、-(ハロR●)、-OH、-OR●、-O(ハロR●)、-CN、-C(O)OH、-C(O)OR●、-NH2、-NHR●、-NR●
2または-NO2であり、R●はそれぞれ、非置換であるか、あるいは「ハロ」が前にある場合、1個または複数のハロゲンだけによって置換されており、独立して、C1~4脂肪族、-CH2Ph、-O(CH2)0~1Ph、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される0~4個のヘテロ原子を有する5~6員の飽和環、部分不飽和環もしくはアリール環である。
【0042】
本明細書において使用する場合、用語「薬学的に許容される塩」とは、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなく、ヒトおよび下等動物の組織に接触させて使用するのに好適であり、かつ妥当な利益/リスク比に見合う、健全な医療的判断の範囲内にある塩を指す。薬学的に許容される塩は、当分野において周知である。例えば、S.M.Bergeらは、参照により本明細書に組み込まれる、J. Pharmaceutical Sciences, 1977, 66, 1-19に詳細に、薬学的に許容される塩を記載している。本開示の化合物の薬学的に許容される塩は、好適な無機酸および有機酸、ならびに無機塩基および有機塩基から誘導されるものを含む。薬学的に許容される非毒性の酸付加塩の例は、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸および過塩素酸などの無機酸、または酢酸、シュウ酸、マレイン酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸もしくはマロン酸などの有機酸と共に形成される、あるいはイオン交換などの当分野において使用されている他の方法を使用することによる、アミノ基の塩である。他の薬学的に許容される塩としては、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、アスパラギン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、硫酸水素塩、ホウ酸塩、酪酸塩、樟脳酸塩、カンファースルホン酸塩、クエン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、二グルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルコヘプトン酸塩、グリセロリン酸塩、グルコン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシ-エタンスルホン酸塩、ラクトビオン酸塩、乳酸塩、ラウリン酸塩、ラウリル硫酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オレイン酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩(pectinate)、過硫酸塩、3-フェニルプロピオン酸塩、リン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、ウンデカン酸塩、吉草酸塩などが挙げられる。
【0043】
適切な塩基から誘導される塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウムおよびN+(C1~4アルキル)4の塩が挙げられる。代表的なアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩としては、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムなどが挙げられる。さらに薬学的に許容される塩としては、適切な場合、非毒性のアンモニウム、第四級アンモニウム、およびハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボン酸イオン、硫酸イオン、リン酸イオン、硝酸イオン、低級アルキルスルホン酸イオンおよびアリールスルホン酸イオンなどの対イオンを使用して形成されるアミン陽イオンが挙げられる。
【0044】
本明細書において使用する場合、用語「約」または「ほぼ」は、所与の値または範囲の20%以内にあるという意味を有する。一部の実施形態では、用語「約」は、所与の値の20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%または1%の範囲内にあることを指す。
【0045】
特に明記しない限り、本明細書において図示されている構造は、その構造のすべての異性(例えば、鏡像異性、ジアステレオマーおよび幾何異性(または立体構造))形態、例えば、各不斉中心に関してRおよびS立体配置、ZおよびE二重結合異性体、ならびにZおよびE立体構造異性体を含むことがやはり意図される。したがって、本化合物の単一立体化学異性体、ならびに鏡像異性体、ジアステレオマーおよび幾何異性体(または立体構造)の混合物が、本発明の範囲内にある。特に明記しない限り、本発明の化合物のすべての互変異性体が、本発明の範囲内にある。
【0046】
本明細書において使用する場合、語句「脱離基」は、化学反応の間に、分子から置き換えられる官能基を指す。脱離基には、ハロゲン、ならびにトシレート、トリフレートおよびメシレートなどのスルホネート基が含まれる。
【0047】
本明細書において使用する場合、用語「患者」または「対象」は、哺乳動物、好ましくはヒトを意味する。
【0048】
本明細書において使用する場合、「治療有効量」は、所望の生物学的応答を誘発する物質(例えば、治療剤、組成物および/または製剤)の量を意味する。一部の実施形態では、物質の治療有効量とは、疾患、状態または障害に罹患している、または罹患し易い対象に投与レジメンの部分として投与した場合、疾患、状態または障害を処置する、診断する、予防する、および/またはそれらの発生を遅延させるのに十分な量である。当業者によって認識される通り、物質の有効量は、所望の生物学的エンドポイント、送達される物質、標的細胞または組織などの因子に応じて様々となり得る。例えば、製剤中での疾患、状態または障害を処置する化合物の有効量は、疾患、状態または障害のうちの1つまたは複数の症状または特徴の発生を軽減する、改善する、緩和する、阻害する、予防する、それらの発生を遅延させる、それらの重症度を低減させる、および/またはそれらの出現率を低下させる量である。一部の実施形態では、「治療有効量」とは、患者における、自己免疫疾患/自己炎症性疾患に関連する1つまたは複数の症状を処置するのに十分な、化合物または化合物を含有する組成物の少なくとも最小限の量のことである。
【0049】
用語「処置する(treat)」または「処置すること(treating)」とは、本明細書において使用する場合、疾患もしくは障害、またはその疾患もしくは障害の1つまたは複数の症状を部分的または完全に軽減する、阻害する、それらの発生を遅延させる、それらを予防する、改善する、および/またはそれらを緩和することを指す。本明細書において使用する場合、用語「処置(treatment)」、「処置する」および「処置すること」とは、本明細書に記載されている疾患もしくは障害、またはその疾患もしくは障害の1つまたは複数の症状を部分的または完全に軽減する、阻害する、それらの発生を遅延させる、それらを予防する、改善する、および/または緩和することを指す。一部の実施形態では、処置は、1つまたは複数の症状が発症した後に行われてもよい。一部の実施形態では、用語「処置すること」とは、疾患または障害の進行を予防することまたは停止させることを含む。他の実施形態では、処置は、症状の非存在下で行われてもよい。例えば、処置は、症状の発生前に、感受性の個体に施されてもよい(例えば、症状歴を鑑みて、および/または遺伝的もしくは他の感受性因子を鑑みて)。処置はまた、症状が消散した後に、例えば、その再発を予防または遅延させるために、継続されてもよい。したがって、一部の実施形態では、用語「処置すること」は、疾患または障害の逆戻りまたは再発を予防することを含む。
【0050】
表現「単位剤形」は、本明細書において使用する場合、処置される対象にとって適切な、治療製剤の物理的に個別の単位を指す。しかし、本発明の組成物の1日あたりの合計使用量は、健全な医療的判断の範囲内で、主治医により決定されることが理解されよう。任意の特定の対象または生物に対する具体的な有効用量レベルは、処置される障害および障害の重症度、用いられる具体的な活性剤の活性、用いられる具体的な組成物、対象の年齢、体重、全般的な健康状態、性別および食事、投与時間、ならびに用いられる具体的な活性剤の排出速度、処置期間、用いられる具体的な化合物と組み合わせてもしくは同時に使用される薬物および/または追加の治療法を含めた様々な因子、ならびに医療技術において周知の同様の因子に依存する。
【0051】
本明細書において使用する場合、用語「HPLCの面積パーセント」または「HPLC面積パーセント」とは、HPLCクロマトグラムにおけるピークの面積パーセンテージを指す。用語「HPLCの面積パーセント」または「HPLC面積パーセント」は、組成物における化合物の量を示すために使用される。一部の実施形態では、化合物I-1のHPLCの面積パーセントまたはHPLC面積パーセンテージとは、HPLCクロマトグラムにおける、組成物中の化合物I-1および不純化合物ピークの合計面積に対する、化合物I-1のピークの面積を指す。一部の実施形態では、不純化合物のHPLCの面積パーセントまたはHPLC面積パーセンテージとは、HPLCクロマトグラムにおける、組成物中の化合物I-1および不純化合物ピークの合計面積に対する、不純化合物のピークの面積を指す。一部の実施形態では、不純化合物の合計のHPLCの面積パーセントまたはHPLC面積パーセンテージとは、HPLCクロマトグラムにおける、組成物中の化合物I-1および不純化合物ピークの合計面積に対する、全不純化合物ピークの面積を指す。一部の実施形態では、面積パーセンテージは、HPLCクロマトグラムにおける、化合物I-1の面積に対するものである。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例に記載されている通りであり、例えば、カラム:Zorbax Eclipse Plus C18、150×3.0mm、3.5μm;移動相:水中の0.04%TFAおよびアセトニトリル中の0.02%TFA;検出:225nmでのUV;カラム温度:40℃;ポンププログラム:グラジエント;流量:0.9mL/分;および試料調製:希釈剤=50:50:0:2のアセトニトリル:水:TFA中の0.4mg/mLである。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において表7に記載されている通りである。
【0052】
用語「重量パーセント」または「wt%」とは、本明細書において使用する場合、非塩形態を基準にして計算した、構成成分の重量パーセンテージを指す。化合物I-1の重量パーセンテージとは、組成物の総重量に対する、化合物I-1の重量パーセントを指す。一部の実施形態では、不純物または全有機不純物の重量パーセンテージは、組成物の総重量に対して、不純物または全有機不純物の重量パーセントを指す。一部の実施形態では、不純物または全有機不純物の重量パーセンテージは、組成物中の化合物I-1の重量に対して、不純物または全有機不純物の重量パーセントを指す。
3.例示的な化合物の説明
【0053】
ある特定の不純化合物が、化合物I-1を含む組成物中に存在することがあることが今や見出された。
【0054】
一態様によれば、本発明は、以下の表1
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
のいずれか1つである不純化合物または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0055】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-2:
【化7】
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0056】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-3:
【化8】
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0057】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-4:
【化9】
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0058】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-5:
【化10】
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0059】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-6:
【化11】
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0060】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-7:
【化12】
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0061】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-8:
【化13】
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0062】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-9:
【化14】
または薬学的に許容されるその塩を提供する。
4.例示的な組成物の説明
【0063】
別の態様では、本発明は、化合物I-1:
【化15】
または薬学的に許容されるその塩、および以下:
【化16】
【化17】
【化18】
からなる群から選択される1つまたは複数の不純化合物または薬学的に許容されるその塩を含む組成物を提供する。
【0064】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つの不純化合物または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0065】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される2つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0066】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される3つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0067】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される4つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0068】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される5つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0069】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される6つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0070】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される7つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0071】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびに不純化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9の各々または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0072】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される1つまたは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0073】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される1つの不純化合物または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0074】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される2つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0075】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される3つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0076】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される4つの不純化合物または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0077】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびに不純化合物I-2、I-3、I-4、I-5およびI-6の各々または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0078】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、およびI-2、I-3もしくはI-5からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0079】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、およびI-2、I-3もしくはI-5からなる群から選択される1つの不純化合物または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0080】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、およびI-2、I-3もしくはI-5からなる群から選択される2つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0081】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-2、I-3もしくはI-5の各々または薬学的に許容されるそれらの塩を含む。
【0082】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-2または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0083】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-3または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0084】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-4または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0085】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-5または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0086】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-6または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0087】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-7または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0088】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-8または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0089】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-9または薬学的に許容されるその塩を含む。
【0090】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を、その組成物の総重量の少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9、99.95または99.99wt%の量で含む。一部の実施形態では、組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を、その組成物の総重量の少なくとも約97wt%の量で含む。一部の実施形態では、組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を、その組成物の総重量の少なくとも約98wt%の量で含む。
【0091】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、化合物I-1 HClを、その組成物の総重量の少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9、99.95または99.99wt%の量で含む。一部の実施形態では、組成物は、化合物I-1 HClを、その組成物の総重量の少なくとも約97wt%の量で含む。一部の実施形態では、組成物は、化合物I-1 HClを、その組成物の総重量の少なくとも約98wt%の量で含む。
【0092】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9または99.95HPLC面積パーセントの量で含む。一部の実施形態では、組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも約97HPLC面積パーセントの量で含む。一部の実施形態では、組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を、少なくとも約98HPLC面積パーセントの量で含む。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0093】
一部の実施形態では、本発明の組成物は、化合物I-1 HClを、少なくとも約95、95.5、96、96.5、97、97.5、98、98.5、99.0、99.5、99.8、99.9または99.95HPLC面積パーセントの量で含む。一部の実施形態では、組成物は、化合物I-1 HClを、少なくとも約97HPLC面積パーセントの量で含む。一部の実施形態では、組成物は、化合物I-1 HClを、少なくとも約98HPLC面積パーセントの量で含む。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0094】
一部の実施形態では、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を含む組成物は、その組成物の総重量の約5.0、4.0、3.0、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.25、1、0.75、0.5、0.25、0.2、0.1、0.01、0.005または0.001wt%以下の量の不純物を含有する。一部の実施形態では、全有機不純物の量は、組成物の総重量の約3.0wt%以下である。一部の実施形態では、全有機不純物の量は、組成物の総重量の約0.05~3.0、0.05~2.9、0.05~2.8、0.05~2.7、0.05~2.6、0.05~2.5、0.05~2.4、0.05~2.3、0.05~2.2、0.05~2.1、0.05~2.0、0.1~3.0、0.15~3.0、0.2~3.0、0.25~3.0、0.3~3.0、0.4~3.0、0.5~3.0、0.6~3.0、0.7~3.0、0.8~3.0、0.9~3.0または1.0~3.0wt%である。一部の実施形態では、全有機不純物の量は、組成物の総重量の約2.0wt%以下である。一部の実施形態では、全有機不純物の量は、組成物の総重量の約1.0wt%以下である。
【0095】
一部の実施形態では、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を含む組成物では、全有機不純物の量は、約5.0、4.0、3.0、2.0、1.9、1.8、1.7、1.6、1.5、1.25、1、0.75、0.5、0.25、0.2、0.15、0.1または0.05HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、全有機不純物の量は、約5.0HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、全有機不純物の量は、約2.0~5.0、2.0~4.5、2.0~4.0、2.0~3.8、2.0~3.6、2.0~3.5、2.0~3.2、2.0~3.0、2.0~2.9、2.0~2.8、2.0~2.7、2.0~2.6、2.0~2.5、2.0~2.4、2.0~2.3、2.0~2.2または2.0~2.1HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、全有機不純物の量は、約3.0HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、全有機不純物の量は、約0.05~3.0、0.05~2.9、0.05~2.8、0.05~2.7、0.05~2.6、0.05~2.5、0.05~2.4、0.05~2.3、0.05~2.2、0.05~2.1、0.05~2.0、0.1~3.0、0.15~3.0、0.2~3.0、0.25~3.0、0.3~3.0、0.4~3.0、0.5~3.0、0.6~3.0、0.7~3.0、0.8~3.0、0.9~3.0または1.0~3.0HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0096】
一部の実施形態では、全有機不純物は、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9から選択される1つまたは複数の化合物を含む。一部の実施形態では、全有機不純物は、I-2、I-3、I-4、I-5およびI-6から選択される1つまたは複数の化合物を含む。一部の実施形態では、全有機不純物は、I-2、I-3およびI-5から選択される1つまたは複数の化合物を含む。
【0097】
一部の実施形態では、有機不純物はそれぞれ、独立して、組成物の総重量の約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.15、0.1または0.05wt%以下である。一部の実施形態では、有機不純物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9はそれぞれ、独立して、組成物の総重量の約0.7wt%以下である。一部の実施形態では、有機不純物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9はそれぞれ、独立して、組成物の総重量の約0.5wt%以下である。一部の実施形態では、I-2、I-4、I-6、I-7、I-8およびI-9から選択される有機不純物は、独立して、存在しない、または組成物の総重量の約0.2~0.7、0.25~0.7、0.3~0.7、0.35~0.7、0.4~0.7、0.2~0.65、0.2~0.6、0.2~0.55、0.2~0.5、0.05~0.5、0.1~0.5、0.15~0.5、0.2~0.5または0.25~0.5wt%である。
【0098】
一部の実施形態では、有機不純物はそれぞれ、独立して、約1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、0.3、0.2、0.15、0.1または0.05HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、有機不純物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9はそれぞれ、独立して、約0.7HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、有機不純物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9はそれぞれ、独立して、約0.5HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、I-2、I-4、I-6、I-7、I-8およびI-9から選択される有機不純物は、独立して、存在しない、または約0.2~0.7、0.25~0.7、0.3~0.7、0.35~0.7、0.4~0.7、0.2~0.65、0.2~0.6、0.2~0.55、0.2~0.5、0.05~0.5、0.1~0.5、0.15~0.5、0.2~0.5または0.25~0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0099】
一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.05~2.0、0.1~2.0または0.5~2.0wt%である。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.1、0.5、1.0または1.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約2.0wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.5~1.0または1.0~1.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.5wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.05~2.0、0.1~2.0または0.5~2.0HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.1、0.5、1.0または1.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、約2.0HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5~1.0または1.0~1.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-2または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-2は、組成物に存在しない(HPLCによって決定した場合)。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0100】
一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7wt%である。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01、0.05、0.1または0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.7wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01~0.1または0.05~0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.5wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、0.01、0.05、0.1または0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.7HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.01~0.1または0.05~0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-4または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-4は、組成物に存在しない(HPLCによって決定した場合)。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0101】
一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7wt%である。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01、0.05、0.1または0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.7wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01~0.1または0.05~0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.5wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、0.01、0.05、0.1または0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.7HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.01~0.1または0.05~0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-6または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-6は、組成物に存在しない(HPLCによって決定した場合)。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0102】
一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7wt%である。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01、0.05、0.1または0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.7wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01~0.1または0.05~0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.5wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、0.01、0.05、0.1または0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.7HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.01~0.1または0.05~0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-7または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-7は、組成物に存在しない(HPLCによって決定した場合)。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0103】
一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7wt%である。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01、0.05、0.1または0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.7wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01~0.1または0.05~0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.5wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、0.01、0.05、0.1または0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.7HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.01~0.1または0.05~0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-8または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-8は、組成物に存在しない(HPLCによって決定した場合)。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0104】
一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7wt%である。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01、0.05、0.1または0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.7wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.01~0.1または0.05~0.5wt%である。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、組成物の総重量の約0.5wt%以下である。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.05~0.7、0.1~0.7または0.2~0.7HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、0.01、0.05、0.1または0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.7HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.01~0.1または0.05~0.5HPLC面積パーセントである。一部の実施形態では、化合物I-9または薬学的に許容されるその塩の量は、約0.5HPLC面積パーセント以下である。一部の実施形態では、化合物I-9は、組成物に存在しない(HPLCによって決定した場合)。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0105】
一部の実施形態では、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を含む組成物は、1つまたは複数の遺伝毒性不純物を含有する。一部の実施形態では、選択される不純物の潜在的な遺伝毒性は、例えば、以下の実施例の項目において示されている通り、DEREK 6.0.0 Nexus 2.2.0(変異原性のみ)およびLSMAバージョン2.4.5-7(変異原性スイート(mutagenicity suite))によって、in silicoで評価する。一部の実施形態では、組成物中の遺伝毒性不純物の各々は、独立して、約30ppm以下である。一部の実施形態では、組成物中の遺伝毒性不純物の各々は、独立して、約20ppm以下である。一部の実施形態では、組成物中の遺伝毒性不純物の各々は、独立して、約29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1ppm、または1ppm未満である。一部の実施形態では、組成物は、約15ppm以下の全遺伝毒性不純物を含む。一部の実施形態では、組成物は、約10ppm以下の全遺伝毒性不純物を含む。一部の実施形態では、組成物は、約15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2もしくは1ppmまたは約1ppm未満の全遺伝毒性不純物を含む。一部の実施形態では、遺伝毒性不純物は、化合物I-3および化合物I-5である。一部の実施形態では、遺伝毒性不純物は、化合物I-3である。一部の実施形態では、遺伝毒性不純物は、化合物I-5である。
【0106】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1 HClおよび不純化合物I-2を含み、化合物I-1 HClは、少なくとも約97HPLC面積パーセントの量で存在し、不純化合物I-2は、約2HPLC面積パーセント以下の量で存在する。一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1 HCl、不純化合物I-2および不純化合物I-3またはI-5を含み、化合物I-1 HClは、少なくとも約97HPLC面積パーセントの量で存在し、不純化合物I-2は、約2HPLC面積パーセント以下の量で存在し、不純化合物I-3またはI-5は、約30ppm以下の量で存在する。一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1 HCl、不純化合物I-2、I-3およびI-5を含み、化合物I-1 HClは、少なくとも約97HPLC面積パーセントの量で存在し、不純化合物I-2は、約2HPLC面積パーセント以下の量で存在し、不純化合物I-3およびI-5はそれぞれ、約30ppm以下の量で存在する。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0107】
一部の実施形態では、組成物は、残留溶媒を、約9000、8000、7000、6000、5000、4000、3000、2000、1000または500ppm以下の量で含む。一部の実施形態では、残留溶媒は、約100、200、300、400、500、600、700、800、900または1000ppmである。一部の実施形態では、残留溶媒は、約500ppm以下である。一部の実施形態では、残留溶媒含有量は、キャピラリーGCによって測定される。
【0108】
一部の実施形態では、組成物は、残留ジクロロメタン溶媒を約600ppm以下の量で含む。一部の実施形態では、残留ジクロロメタン溶媒は、約600、500、400、300または200ppm以下である。一部の実施形態では、残留ジクロロメタン溶媒は、約100ppm以下である。一部の実施形態では、残留ジクロロメタン溶媒は、約10~100、50~200、100~300、150~400、200~500、250~600または300~700ppmである。一部の実施形態では、残留ジクロロメタン溶媒は、組成物に存在しない(GCによって決定した場合)。
【0109】
一部の実施形態では、組成物は、残留N,N-ジメチルアセトアミド溶媒を約1090ppm以下の量で含む。一部の実施形態では、残留N,N-ジメチルアセトアミド溶媒は、約1000、900、800、700、600、500、400、300または200ppm以下である。一部の実施形態では、残留N,N-ジメチルアセトアミド溶媒は、約100ppm以下である。一部の実施形態では、残留N,N-ジメチルアセトアミド溶媒は、約10~100、50~200、100~300、150~400、200~500、250~600、300~700、400~800、500~900または600~1000ppmである。一部の実施形態では、残留N,N-ジメチルアセトアミド溶媒は、組成物に存在しない(GCによって決定した場合)。
【0110】
一部の実施形態では、組成物は、残留テトラヒドロフラン溶媒を約720ppm以下の量で含む。一部の実施形態では、残留テトラヒドロフラン溶媒は、約700、600、500、400、300または200ppm以下である。一部の実施形態では、残留テトラヒドロフラン溶媒は、約100ppm以下である。一部の実施形態では、残留テトラヒドロフラン溶媒は、約10~100、50~200、100~300、150~400、200~500、250~600または300~700ppmである。一部の実施形態では、残留テトラヒドロフラン溶媒は、組成物に存在しない(GCによって決定した場合)。
【0111】
一部の実施形態では、組成物は、残留2-プロパノール溶媒を約5000ppm以下の量で含む。一部の実施形態では、残留2-プロパノール溶媒は、約4000、3000、2000、1000または500ppm以下である。一部の実施形態では、残留2-プロパノール溶媒は、約100ppm以下である。一部の実施形態では、残留2-プロパノール溶媒は、約100~1000、500~2000、1000~3000、1500~4000または2000~5000ppmである。一部の実施形態では、残留2-プロパノール溶媒は、組成物に存在しない(GCによって決定した場合)。
【0112】
一部の実施形態では、組成物は、残留2-メチルテトラヒドロフラン溶媒を約5000ppm以下の量で含む。一部の実施形態では、残留2-メチルテトラヒドロフラン溶媒は、約4000、3000、2000、1000または500ppm以下である。一部の実施形態では、残留2-メチルテトラヒドロフラン溶媒は、約100ppm以下である。一部の実施形態では、残留2-メチルテトラヒドロフラン溶媒は、約100~1000、500~2000、1000~3000、1500~4000または2000~5000ppmである。一部の実施形態では、残留2-メチルテトラヒドロフラン溶媒は、組成物に存在しない(GCによって決定した場合)。
【0113】
一部の実施形態では、本発明は、I-1 HCl、および実施例2中の表2に記載されている受け入れ基準の1つまたは複数の追加の構成成分を含む組成物を提供する。一部の実施形態では、本発明は、I-1 HCl、および実施例2中の表2に記載されている受け入れ基準のすべての構成成分を含む組成物を提供する。
【0114】
一部の実施形態では、本発明は、単離形態の、上記および本明細書おいて開示されているいずれかの化合物を提供する。本明細書において使用する場合、用語「単離された」は、化合物が、その化合物の通常の環境に存在し得る他の構成成分と分離されている形態で提供されることを意味する。ある特定の実施形態では、単離された化合物は固体形態にある。一部の実施形態では、単離された化合物は、好適なHPLC法によって決定すると、少なくとも約50%純粋である。ある特定の実施形態では、単離された化合物は、好適なHPLC法によって決定すると、少なくとも約60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、99.5%、99.6%、99.7%、99.8%、99.9%、99.95%、99.99%または99.999%純粋である。パーセント純度は、所望の化合物の重量パーセント(%w/w)によって、HPLCクロマトグラムの合計面積に対する面積%によって、または当分野において公知の他の方法によって測定され得る。
【0115】
一部の実施形態では、組成物は錠剤である。一部の実施形態では、錠剤中の化合物I-1または薬学的に許容されるその塩は、HPLCクロマトグラムにおける化合物I-1および不純化合物ピークの合計面積に対して、HPLCの少なくとも約97面積パーセントの量である。一部の実施形態では、錠剤中の上記の有機不純物の量は、HPLCクロマトグラムにおける化合物I-1および不純化合物ピークの合計面積に対して、HPLCの約0.7%面積パーセント以下である。一部の実施形態では、HPLC法は、実施例において記載されている通りである。
【0116】
開示化合物は、当分野で公知の任意の手段によって精製することができる。このような手段は、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー;中圧液体クロマトグラフィー(MPLC);高速液体クロマトグラフィー(HPLC);分取HPLC(分取HPLC);フラッシュクロマトグラフィー(FC);液体クロマトグラフィー(LC);超臨界流体クロマトグラフィー(SFC);薄層クロマトグラフィー(TLC);分取TLC(分取TLC);液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS、LCMSまたはLC/MS);再結晶化;沈殿;トリチュレーション;蒸留;誘導体化;酸-塩基抽出などを含む。
【0117】
化合物に関する、用語「精製された」、「精製形態の」または「単離された形態および精製された形態の」とは、合成法(例えば、反応混合物)もしくは天然源、またはそれらの組合せから単離された後の前記化合物の物理形態を指す。したがって、化合物に関する用語「精製された」、「精製形態の」または「単離形態および精製形態の」は、本明細書に記載されている、もしくは当業者に周知(例えば、クロマトグラフィー、再結晶化など)の精製プロセス(単数または複数)から得られた後の、in vivoまたは医療的使用にとって好適なほどの、および/または本明細書に記載されているもしくは当業者に周知の標準分析技法によって特徴付けられる十分な純度で、前記化合物(またはその互変異性体もしくは立体異性体、または前記化合物、前記立体異性体もしくは前記互変異性体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物)の物理状態を指す。
5.式Iの化合物および関連中間体の合成の説明
【0118】
一部の実施形態では、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩は、スキーム1に従って合成される:
【化19】
【0119】
ステップS-1において、式Vの化合物またはその塩の一級ヒドロキシルは、適切なスルホン化試薬を使用してスルホン化されて、式IVのスルホン酸エステル化合物が得られる。好適なスルホン化試薬および反応条件は、当業者に周知であり、例えば、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, P. G. M. Wuts and T. W. Greene, 4th Edition, John Wiley & Sons, 2007を参照されたい。一部の実施形態では、ステップS-1は、式Vの化合物と塩化メタンスルホニル(MsCl)またはメタンスルホン酸無水物(Ms2O)との間の反応を含む。一部の実施形態では、ステップS-1は、テトラヒドロフラン(THF)溶媒を含む。一部の実施形態では、ステップS-1は、三級塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)を含む。
【0120】
ステップS-2において、式IVの化合物またはその塩のスルホン酸エステルは、適切なハロゲン化試薬を使用してハロゲン化されて、式IIの一級ハロゲン化合物が得られる。好適なハロゲン化試薬および反応条件は、当業者に周知であり、例えば、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, P. G. M. Wuts and T. W. Greene, 4th Edition, John Wiley & Sons, 2007を参照されたい。一部の実施形態では、ステップS-2は、式IVの化合物とヨウ化リチウムとの間の反応を含む。一部の実施形態では、ステップS-2は、2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)溶媒を含む。
【0121】
ステップS-3において、式IIの化合物またはその塩の一級ハロゲンは、適切な置換条件下、式IIIの化合物と反応させると、式Iの化合物が得られる。置換反応の好適な反応条件は、当業者に周知であり、例えば、Greene's Protective Groups in Organic Synthesis, P. G. M. Wuts and T. W. Greene, 4th Edition, John Wiley & Sons, 2007を参照されたい。一部の実施形態では、ステップS-3は、N-N-ジメチルアセトアミド(N-N-dimetylacetamide)(DMAc)溶媒を含む。一部の実施形態では、ステップS-3は、三級塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなど)を含む。
【0122】
当業者は、式Iの化合物またはその塩は、酸性化、塩基性化、スラリー形成、加温、冷却、ろ過、沈殿および種晶添加ステップのうちの1つまたは複数により、結晶の多形形態で調製され得ることを認識している。
【0123】
一部の実施形態では、本発明は、式Iの化合物:
【化20】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
Xは、共有結合、-CH
2-、-C(O)-、-C(S)-または
【化21】
から選択される二価部分であり;
R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、独立して、水素、ジュウテリウム、R
A、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR、-SR、-NR
2、-SO
2R、-SO
2NR
2、-S(O)R、-CFR
2、-CF
2R、-CF
3、-CR
2OR、-CR
2(NR
2)、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR
2、-C(S)NR
2、-C(O)NROR、-OC(O)R、-OC(O)NR
2、-NRC(O)OR、-NRC(O)R、-NRC(O)NR
2、-NRSO
2R、-N
+(O
-)R
2、-OP(O)R
2、-OP(O)(OR)
2、-OP(O)(OR)NR
2、-OP(O)(NR
2)
2、-P(O)R
2、-SiR
3、-Si(OR)R
2、または
【化22】
から選択され;
Rはそれぞれ、独立して、水素であるか、またはC
1~6脂肪族、フェニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の飽和もしくは部分不飽和な複素環式、ならびに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基である、あるいは
同一炭素または窒素上の2つのR基は、必要に応じて、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~9員のヘテロアリール環を形成し;
R
Aはそれぞれ、独立して、C
1~6脂肪族、フェニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和または部分不飽和な複素環式環、ならびに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基であり;
a、b、c、dおよびeは、独立して、0、1、2、3または4から選択され;
R
6は、水素またはC
1~6脂肪族であり;
環A、環Bおよび環Eは、独立して、フェニル、ナフチル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール環から選択され;
環Cは、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の飽和または部分不飽和な炭素環式環または複素環式環であり;
環Dは、存在する窒素に加え、窒素、酸素および硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有する4~6員の飽和または部分不飽和な複素環式環であり;
Lは、共有結合、または二価の飽和もしくは不飽和な直鎖状もしくは分岐状C
1~10炭化水素鎖であり、ここで、Lの0~6個のメチレン単位は、-CDH-、-CD
2-、-CRF-、-CF
2-、-Cy-、-O-、-NR-、-SiR
2-、-Si(OH)R-、-Si(OH)
2-、-P(O)OR-、-P(O)R-、-P(O)NR
2-、-S-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)-、-S(O)-、-SO
2-、-NRSO
2-、-SO
2NR-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-OC(O)NR-、-NRC(O)O-、
【化23】
によって独立して、置き換えられており;
-Cy-はそれぞれ、独立して、フェニレニル、8~10員の二環式アリーレニル、4~7員の飽和もしくは部分不飽和なカルボシクリレニル、4~12員の飽和もしくは部分不飽和なスピロカルボシクリレニル、8~10員の飽和もしくは部分不飽和な二環式カルボシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和なヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~12員の飽和もしくは部分不飽和なスピロヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する8~10員の飽和もしくは部分不飽和な二環式ヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレニル、または窒素、酸素もしくは硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレニルから選択される、必要に応じて置換されている二価の環であり;
rは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である)
を調製する方法であって、
式IIの化合物:
【化24】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
X
1は、好適な脱離基である)
を、好適な条件下、式IIIの化合物:
【化25】
により処理して、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を形成するステップを含む、方法を提供する。
【0124】
一部の実施形態では、式Iの化合物は、化合物I-1である。一部の実施形態では、式IIの化合物は、化合物I-3である。一部の実施形態では、式IIIの化合物は、化合物I-4である。
【0125】
一部の実施形態では、本発明は、X
1がハロゲンである式IIの化合物を調製する方法であって、式IVの化合物:
【化26】
または薬学的に許容されるその塩(式中、
変数R
1、R
2、R
3、a、b、c、環A、環Bおよび環Cはそれぞれ、独立して、本明細書における実施形態に定義および記載されている通りであり、
Gは、C
1~6脂肪族、フェニル、ナフチル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基である)
を、好適な条件下、ハロゲン化して、式IIの化合物または薬学的に許容されるその塩を形成するステップを含む、方法を提供する。
【0126】
一部の実施形態では、本発明は、式Iの化合物を調製する方法であって、好適な条件下、式IVの化合物を式IIIの化合物により処理して、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を形成するステップを含む、方法を提供する。
【0127】
一部の実施形態では、式IVの化合物は、化合物I-5である。
【0128】
一部の実施形態では、本発明は、式IVの化合物を調製する方法であって、式Vの化合物:
【化27】
または薬学的に許容されるその塩を、好適な条件下、スルホン化して、式IVの化合物または薬学的に許容されるその塩(各可変基は、独立して、本明細書における実施形態に定義および記載されている通りである)を形成するステップを含む、方法を提供する。
【0129】
一部の実施形態では、本発明は、式Iの化合物を調製する方法であって、好適な条件下、式Vの化合物を式IIIの化合物により処理して、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を形成するステップを含む、方法を提供する。
【0130】
一部の実施形態では、式Vの化合物は、化合物I-6である。
【0131】
式Iの変数の定義を参照により組み込み、その後に以下の簡略化したバージョンを組み込むのはどうであろうか?
【0132】
上記の通り、Xは、共有結合、-CH
2-、-C(O)-、-C(S)-または
【化28】
から選択される、二価部分である。
【0133】
一部の実施形態では、Xは、共有結合である。一部の実施形態では、Xは、-CH
2-である。一部の実施形態では、Xは、-C(O)-である。一部の実施形態では、Xは、-C(S)-である。一部の実施形態では、Xは、
【化29】
である。
【0134】
上記の通り、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5は、独立して、水素、ジュウテリウム、R
A、ハロゲン、-CN、-NO
2、-OR、-SR、-NR
2、-SO
2R、-SO
2NR
2、-S(O)R、-CFR
2、-CF
2R、-CF
3、-CR
2OR、-CR
2(NR
2)、-C(O)R、-C(O)OR、-C(O)NR
2、-C(S)NR
2、-C(O)NROR、-OC(O)R、-OC(O)NR
2、-NRC(O)OR、-NRC(O)R、-NRC(O)NR
2、-NRSO
2R、-N
+(O
-)R
2、-OP(O)R
2、-OP(O)(OR)
2、-OP(O)(OR)NR
2、-OP(O)(NR
2)
2、-P(O)R
2、-SiR
3、-Si(OR)R
2、または
【化30】
から選択される。
【0135】
一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、水素である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、ジュウテリウムである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、R
Aである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、ハロゲンである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-CNである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-NO
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-ORである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-SRである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-NR
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-SO
2Rである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-SO
2NR
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-S(O)Rである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-CFR
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-CF
2Rである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-CF
3である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-CR
2ORである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-CR
2(NR
2)である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-C(O)Rである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-C(O)ORである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-C(O)NR
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-C(S)NR
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-C(O)NRORである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-OC(O)Rである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-OC(O)NR
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-NRC(O)ORである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-NRC(O)Rである。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-NRC(O)NR
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-NRSO
2R、-N
+(O
-)R
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-OP(O)R
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-OP(O)(OR)
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-OP(O)(OR)NR
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-OP(O)(NR
2)
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-P(O)R
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-SiR
3である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、-Si(OR)R
2である。一部の実施形態では、R
1、R
2、R
3、R
4およびR
5のうちの1つまたは複数は、
【化31】
である。
【0136】
一部の実施形態では、R
1は、
【化32】
である。一部の実施形態では、R
2は、-CHF
2である。一部の実施形態では、R
5は、メチルである。
【0137】
上記の通り、Rはそれぞれ、独立して、水素であるか、またはC1~6脂肪族、フェニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する3~7員の飽和もしくは部分不飽和な複素環式、ならびに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基であるか、あるいは同一炭素または窒素上の2つのR基は、必要に応じて、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~9員のヘテロアリール環を形成する。
【0138】
一部の実施形態では、Rは、水素である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているC1~6脂肪族である。一部の実施形態では、Rは、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Rは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、3~7員の飽和または部分不飽和な複素環式である。一部の実施形態では、Rは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている5~6員のヘテロアリール環である。一部の実施形態では、同一炭素または窒素上の2つのR基は、必要に応じて、それらの介在する原子と一緒になって、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~9員のヘテロアリール環を形成する。
【0139】
上記の通り、RAはそれぞれ、独立して、C1~6脂肪族、フェニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和または部分不飽和な複素環式環、ならびに窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基である。
【0140】
一部の実施形態では、RAは、必要に応じて置換されているC1~6脂肪族である。一部の実施形態では、RAは、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、RAは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている4~7員の飽和または部分不飽和な複素環式環である。一部の実施形態では、RAは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている5~6員のヘテロアリール環である。
【0141】
上記の通り、a、b、c、dおよびeは、独立して、0、1、2、3または4から選択される。
【0142】
一部の実施形態では、a、b、c、dおよびeのうちの1つまたは複数は、0である。一部の実施形態では、a、b、c、dおよびeのうちの1つまたは複数は、1である。一部の実施形態では、a、b、c、dおよびeのうちの1つまたは複数は、2である。一部の実施形態では、a、b、c、dおよびeのうちの1つまたは複数は、3である。一部の実施形態では、a、b、c、dおよびeのうちの1つまたは複数は、4である。
【0143】
上記の通り、R6は、水素またはC1~6脂肪族である。
【0144】
一部の実施形態では、R6は水素である。一部の実施形態では、R6は、C1~6脂肪族である。
【0145】
上記の通り、環A、環Bおよび環Eは、独立して、フェニル、ナフチル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール環から選択される。
【0146】
一部の実施形態では、環A、環Bおよび環Eのうちの1つまたは複数は、フェニルである。一部の実施形態では、環A、環Bおよび環Eのうちの1つまたは複数は、ナフチルである。一部の実施形態では、環A、環Bおよび環Eのうちの1つまたは複数は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和または部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式またはスピロ環式の炭素環式環または複素環式環である。一部の実施形態では、環A、環Bおよび環Eのうちの1つまたは複数は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式または二環式ヘテロアリール環である。
【0147】
一部の実施形態では、環Aは、ピリジニルである。一部の実施形態では、環Bは、ピラゾリルである。一部の実施形態では、環Eは、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-オンイルである。
【0148】
上記の通り、環Cは、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の飽和または部分不飽和な炭素環式環または複素環式環である。
【0149】
一部の実施形態では、環Cは、窒素、酸素および硫黄から選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~6員の飽和または部分不飽和な炭素環式環または複素環式環である。
【0150】
一部の実施形態では、環Cは、シクロヘキシルである。
【0151】
上記の通り、環Dは、存在する窒素に加え、窒素、酸素および硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有する4~6員の飽和または部分不飽和な複素環式環である。
【0152】
一部の実施形態では、環Dは、存在する窒素に加え、窒素、酸素および硫黄から選択される0~2個のヘテロ原子を有する4~6員の飽和または部分不飽和な複素環式環である。
【0153】
一部の実施形態では、環Dは、ピペリジニルである。
【0154】
上記の通り、Lは、共有結合、または二価の飽和もしくは不飽和な直鎖状もしくは分岐状C
1~10炭化水素鎖であり、ここで、Lの0~6個のメチレン単位は、-CDH-、-CD
2-、-CRF-、-CF
2-、-Cy-、-O-、-NR-、-SiR
2-、-Si(OH)R-、-Si(OH)
2-、-P(O)OR-、-P(O)R-、-P(O)NR
2-、-S-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)-、-S(O)-、-SO
2-、-NRSO
2-、-SO
2NR-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-OC(O)NR-、-NRC(O)O-、
【化33】
によって独立して、置き換えられている。
【0155】
一部の実施形態では、Lは、共有結合である。一部の実施形態では、Lは、二価の飽和または不飽和な直鎖状または分岐状C
1~10炭化水素鎖であり、ここで、Lの0~6個のメチレン単位は、-CDH-、-CD
2-、-CRF-、-CF
2-、-Cy-、-O-、-NR-、-SiR
2-、-Si(OH)R-、-Si(OH)
2-、-P(O)OR-、-P(O)R-、-P(O)NR
2-、-S-、-OC(O)-、-C(O)O-、-C(O)-、-S(O)-、-SO
2-、-NRSO
2-、-SO
2NR-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-OC(O)NR-、-NRC(O)O-、
【化34】
によって独立して、置き換えられている。
【0156】
一部の実施形態では、Lは、-O(CH2)1~4-である。一部の実施形態では、Lは、-(CH2)1~5-である。
【0157】
【0158】
上記の通り、-Cy-はそれぞれ、独立して、フェニレニル、8~10員の二環式アリーレニル、4~7員の飽和もしくは部分不飽和なカルボシクリレニル、4~12員の飽和もしくは部分不飽和なスピロカルボシクリレニル、8~10員の飽和もしくは部分不飽和な二環式カルボシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~7員の飽和もしくは部分不飽和なヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する4~12員の飽和もしくは部分不飽和なスピロヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する8~10員の飽和もしくは部分不飽和な二環式ヘテロシクリレニル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリーレニル、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリーレニルから選択される、必要に応じて置換されている二価の環である。
【0159】
一部の実施形態では、-Cy-は、必要に応じて置換されているフェニレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、必要に応じて置換されている8~10員の二環式アリーレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、必要に応じて置換されている4~7員の飽和または部分不飽和なカルボシクリレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、必要に応じて置換されている、4~12員の飽和または部分不飽和なスピロカルボシクリレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、必要に応じて置換されている、8~10員の飽和または部分不飽和な二環式カルボシクリレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、4~7員の飽和または部分不飽和なヘテロシクリレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、4~12員の飽和または部分不飽和なスピロヘテロシクリレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~2個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、8~10員の飽和または部分不飽和な二環式ヘテロシクリレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、5~6員のヘテロアリーレニルである。一部の実施形態では、-Cy-は、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~5個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、8~10員の二環式ヘテロアリーレニルである。
【0160】
上記の通り、rは、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。
【0161】
一部の実施形態では、rは、0である。一部の実施形態では、rは、1である。一部の実施形態では、rは、2である。一部の実施形態では、rは、3である。一部の実施形態では、rは、4である。一部の実施形態では、rは、5である。一部の実施形態では、rは、6である。一部の実施形態では、rは、7である。一部の実施形態では、rは、8である。一部の実施形態では、rは、9である。一部の実施形態では、rは、10である。
【0162】
上記の通り、X1は、好適な脱離基である。
【0163】
一部の実施形態では、X1は、好適な脱離基である。一部の実施形態では、脱離基は、ハロゲンである。一部の実施形態では、脱離基は、ヨウ化物イオンである。
【0164】
上記の通り、Gは、C1~6脂肪族、フェニル、ナフチル、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する4~11員の飽和もしくは部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式もしくはスピロ環式の炭素環式環もしくは複素環式環、または窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する5~10員の単環式もしくは二環式ヘテロアリール環から選択される、必要に応じて置換されている基である。
【0165】
一部の実施形態では、Gは、必要に応じて置換されているC1~6脂肪族である。一部の実施形態では、Gは、必要に応じて置換されているフェニルである。一部の実施形態では、Gは、必要に応じて置換されているナフチルである。一部の実施形態では、Gは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、4~11員の飽和または部分不飽和な単環式、二環式、架橋二環式またはスピロ環式の炭素環式環または複素環式環である。一部の実施形態では、Gは、窒素、酸素および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する、必要に応じて置換されている、5~10員の単環式または二環式ヘテロアリール環である。
【0166】
一部の実施形態では、Gは、メチルである。
【0167】
一部の実施形態では、本発明は、式IIの化合物またはその塩を提供し、各可変基は、独立して、本明細書における実施形態に定義および記載されている通りである。
【0168】
一部の実施形態では、本発明は、式IIIの化合物またはその塩を提供し、各可変基は、独立して、本明細書における実施形態に定義および記載されている通りである。
【0169】
一部の実施形態では、本発明は、式IVの化合物またはその塩を提供し、各可変基は、独立して、本明細書における実施形態に定義および記載されている通りである。
【0170】
一部の実施形態では、本発明は、式Vの化合物またはその塩を提供し、各可変基は、独立して、本明細書における実施形態に定義および記載されている通りである。
6.分析、製剤および投与
6.1. 分析
【0171】
ある特定の不純物が、上記の表1に示されている化合物などの化合物I-1、またはその立体異性体もしくは薬学的に許容される塩の合成の間に生じることが発見された。各不純物の単離および特徴付けは、いくつかの目的のために有用である。一般に、医薬組成物は、薬物品質および純度に関する規制標準を満たすほどの高いレベルの純度を必要とする。例えば、化合物I-1の合成において、製造の分解物または副生物を含めた不純物が多くの場合に形成され、この不純物は、化合物I-1の治療効果を妨げる恐れがある、および/または十分に多い量で存在する場合、毒性であることがある。したがって、このような不純物の存在および量を決定すること、および化合物I-1の立体化学純度を含めた化学純度をモニタリングすることができることが望ましい。これを行うため、化合物I-1の純度を確認するための標準品として、クロマトグラフィー手順において使用することができる不純物を特定すること、単離することおよび化学的に特徴付けすることが重要である。
【0172】
したがって、一態様では、本発明は、開示化合物または薬学的に許容されるその塩を調製する方法であって、例えば、以下の実施例において示されている条件下、適切な出発原料(単数または複数)を接触させて、本化合物または薬学的に許容されるその塩を調製するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本化合物または薬学的に許容されるその塩は、参照標準として、および/または化合物I-1または薬学的に許容されるその塩の試料などの試料中の不純物の存在を決定する方法において有用である。
【0173】
本発明はまた、不純物を決定する方法であって、参照化合物(例えば、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8またはI-9)または薬学的に許容されるその塩を一連の条件下でHPLCカラムに注入して、第1のHPLCクロマトグラムを得るステップであって、参照溶液中に存在する化合物の量および/または化学的同一性が公知である、ステップ、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を含む試料溶液を前記一連の条件下で、HPLCカラムに注入して、第2のHPLCクロマトグラムを得るステップ、ならびに試料溶液中の化合物の存在および/または量を決定するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、参照溶液は、複数回、注入される。一部の実施形態では、決定するステップは、第1のHPLCクロマトグラムにおけるピークと第2のHPLCクロマトグラムにおけるピークとの保持時間を比較して、試料溶液中の化合物の存在を決定するステップを含む。他の実施形態では、決定するステップは、HPLCクロマトグラム上の試料溶液のピーク面積および参照溶液のピーク面積を定量するステップ、およびこれらから試料溶液中の化合物の量を推定するステップを含む。一部の実施形態では、HPLCカラムは、逆相カラムであり、カラムは、移動相(例えば、水、アセトニトリルおよび無機酸または有機酸)を使用して溶出される。
【0174】
本発明はまた、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩から本質的になる物質中の不純物を決定する方法であって、HPLCカラムに、物質を含有しており、かつ既知化学構造を有する参照化合物(例えば、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8またはI-9)または薬学的に許容されるその塩をスパイクした試料溶液を単回または一連の注入で注入するステップ、HPLCクロマトグラムを得るステップ、ならびに物質中の化合物の存在および/または量を決定するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、HPLCカラムは、逆相カラムであり、カラムは、移動相(例えば、水、アセトニトリルおよび無機酸または有機酸)を使用して溶出される。本方法は、化合物の化学的同一性、および不純物としての化合物の量を書面形態で文書化するステップをさらに含むことができる。
【0175】
本発明はまた、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩から本質的になる物質中の不純物を決定する方法であって、HPLCカラムに、物質が溶解した溶液を単回または一連の注入で注入して、HPLCクロマトグラムを得るステップ、既知構造を有する化合物(例えば、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8またはI-9)または薬学的に許容されるその塩の量を決定するステップ、ならびに物質中の化合物の化学的同一性および不純物としての化合物の量を書面形態で文書化するステップを含む、方法を提供する。一部の場合、化合物の物質の量は、(i)既知構造を有する化合物の対照クロマトグラム上のピークに相当する、クロマトグラム上のピークを同定するステップ、(ii)既知構造を有する化合物の相対保持時間に相当する、クロマトグラム上のピークを特定するステップ、および/または(iii)既知構造を有する化合物のスパイクの既知量に相当する、クロマトクラム上のピークを特定するステップによって決定される。一部の実施形態では、HPLCカラムは、逆相カラムであり、カラムは、移動相(例えば、水、アセトニトリルおよび無機酸または有機酸)を使用して溶出される。
【0176】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩を、以下により詳細に記載されている、様々な分析法(例えば、HPLC、HPTLC、GC、SFC、LCMS)において、参照品または標準化合物として、その使用を可能にするほど十分な純度で提供する。一部の実施形態では、本化合物または薬学的に許容されるその塩は、少なくとも50%純度、少なくとも75%純度、少なくとも95%純度で、または少なくとも97%純度で単離され得る。一部の実施形態では、本化合物または薬学的に許容されるその塩は、固体として単離および/または包装される。
【0177】
別の態様では、本発明は、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の存在および/または量を決定する方法を提供する。例えば、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩は、化合物I-1の合成の間に、不純物として形成され得る。本明細書において使用する場合、用語「不純物」とは、化合物I-1の化学製造の間に形成される、化合物I-1および/または副生物の保管の間に生じる分解物を指すことがある。一実施形態では、本方法は、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩を含む参照溶液を一連の条件下で、HPLCカラムに注入して、第1のHPLCクロマトグラムを得るステップであって、参照溶液中に存在する、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の量および/または化学的同一性が公知であるステップ、化合物I-1を含む試料溶液を同一の一連の条件下で、HPLCカラムに注入して、第2のHPLCクロマトグラムを得るステップ、ならびに第1のHPLCクロマトグラムと第2のHPLCクロマトグラムとを比較して、不純物(化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩)の存在および/または量を決定するステップを含む。参照溶液は、第1の溶媒中に、式I-1の化合物または薬学的に許容されるその塩の試料(例えば、固体試料)を溶解することによって形成されてもよく、試料溶液は、第2の溶媒中に固体試料を溶解することによって形成されてもよい。一部の実施形態では、参照溶液は追加の化合物を含有してもよく、追加の化合物の量および/または同一性もまた公知である。一実施形態では、試料(例えば、試料溶液)は、化合物I-1を含んでもよい。本発明は、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩を含むことが疑われる他の試料を包含してもよいことが理解されるべきである。
【0178】
一部の実施形態では、試料溶液中の化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の存在は、第1のHPLCクロマトグラムにおけるピークの保持時間と第2のHPLCクロマトグラムにおけるピークの保持時間とを比較することによって決定され得る。例えば、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩を含む標準溶液は、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩に対応し、かつ特定の保持時間を有するピークを有するクロマトグラムを生じることができる。次に、試料溶液を標準溶液と同じ条件下、HPLCカラムに注入されてもよく、得られたクロマトグラムは、ピークが、標準溶液のHPLCクロマトグラムにおいて、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩に対応するピークと同じ保持時間に存在するかどうかを決定するよう検討されてもよい。このようなピークの存在は、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩が、試料中に存在することを示すことができる。別の実施形態では、試料溶液中の化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の量は、第1のHPLCクロマトグラムにおけるピークの面積と第2のHPLCクロマトグラムにおけるピークの面積とを比較し、これらから、試料溶液中の化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の含有量を計算することによって決定され得る。
【0179】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-1から本質的になる物質中の不純物を決定する方法であって、物質を含有しており、かつ本明細書に記載されている、既知化学構造の化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩を有する参照化合物をスパイクした試料溶液をHPLCカラムに注入し、HPLCクロマトグラムを得て、物質中の化合物の存在および/または量を決定する、方法を提供する。
【0180】
本発明の方法は、物質中の化合物の化学的同一性、および不純物としての化合物の量を書面形態で文書化するステップをさらに含むことができる。
【0181】
一部の実施形態では、本発明は、化合物I-1から本質的になる物質中の不純物を決定する方法であって、物質が溶解している溶液をHPLCカラムに注入し、HPLCクロマトグラムを得て、本明細書に記載されている化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の構造を有することが公知の化合物の物質中の量を決定する、方法を提供する。次に、化合物の化学的同一性および物質中の不純物としての化合物の量を文書化することができる。物質中の化合物の量は、(i)対照クロマトグラム上のピークに相当するクロマトグラム上のピークを同定するステップ、(ii)化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の構造を有することが公知の化合物の相対保持時間に相当するクロマトグラム上のピークを同定するステップ、および/あるいは(iii)化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の構造を有することが公知の化合物のスパイクの既知量に相当するクロマトグラム上のピークを同定するステップによって決定することができる。
【0182】
本発明の一部の実施形態は、化合物I-1を含む試料中に、化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の量および/または存在を決定するのに有用となり得る。試料は、新しく製造した物質の試料であってもよく、または試料は、所与の期間、保管されたものであってもよい。一実施形態では、化合物I-1の試料は保管されてもよく、本明細書に記載されている方法を使用して定期的に分析されて、例えば、化合物I-1の分解によって形成されている場合がある、試料中の化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の存在および/または量を決定することができる。一部の場合、試料は、ストレス条件、すなわち高温および/または多湿などの化合物I-1の分解を意図的に促す条件下に置かれてもよく、この場合、試料は、本明細書に記載されている方法を使用して定期的に分析され、試料中の化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8もしくはI-9または薬学的に許容されるその塩の存在および/または量を決定する。
6.2.薬学的に許容される組成物
【0183】
一部の実施形態では、本発明は、本明細書の以下において詳述されている提供される組成物、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む医薬組成物を提供する。
【0184】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つの不純化合物または薬学的に許容されるその塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0185】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される2つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0186】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される3つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0187】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される4つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0188】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される5つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0189】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される6つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0190】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される7つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0191】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびに不純化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9の各々または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0192】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される1つまたは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0193】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される1つの不純化合物または薬学的に許容されるその塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0194】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される2つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0195】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される3つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0196】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5およびI-6からなる群から選択される4つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0197】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびに不純化合物I-2、I-3、I-4、I-5およびI-6の各々または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0198】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、およびI-2、I-3もしくはI-5からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0199】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、およびI-2、I-3もしくはI-5からなる群から選択される1つの不純化合物または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0200】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、およびI-2、I-3もしくはI-5からなる群から選択される2つの不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0201】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および不純化合物I-2、I-3もしくはI-5の各々または薬学的に許容されるそれらの塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0202】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および化合物I-2または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0203】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および化合物I-3または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0204】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および化合物I-4または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0205】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および化合物I-5または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0206】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および化合物I-6または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0207】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および化合物I-7または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0208】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および化合物I-8または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0209】
一部の実施形態では、本組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、および化合物I-9または薬学的に許容されるその塩、および薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルを含む。
【0210】
一部の実施形態では、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む本発明の組成物は、医薬組成物の総重量の1~90wt%、薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクル中に存在する。一部の実施形態では、本発明の組成物は、医薬組成物の総重量の約5、約10、約15、約20、約25、約30、約35、約40、約45、約50、約55、約60、約65、約70、約75、約80、約85または約90wt%で存在する。一部の実施形態では、本発明の組成物は、医薬組成物の総重量の20~40、30~50、40~60または50~70wt%で存在する。
【0211】
用語「薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクル」とは、本化合物の薬理学的活性を破壊しない、非毒性の担体、補助剤またはビヒクルであって、本化合物と共に製剤化される、上記の非毒性の担体、補助剤またはビヒクルを指す。本開示の組成物において使用することができる薬学的に許容される担体、補助剤またはビヒクルとしては、以下に限定されないが、イオン交換体、アルミナ、ステアリン酸アルミニウム、レシチン、血清タンパク質、例えば、ヒト血清アルブミン、緩衝物質、例えば、リン酸塩、グリシン、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、植物性飽和脂肪酸の部分グリセリド混合物、水、塩または電解質、例えば、硫酸プロタミン、リン酸水素二ナトリウム、リン酸水素カリウム、塩化ナトリウム、亜鉛塩、コロイド状シリカ、三ケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、セルロースベースの物質、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリレート、ワックス、ポリエチレン-ポリオキシプロピレン-ブロックポリマー、ポリエチレングリコールおよび羊毛脂が挙げられる。
6.3.投与
【0212】
一部の実施形態では、本明細書における医薬組成物は、単一剤形として、単一組成物中で投与される。本明細書に記載されている通り、本明細書における医薬組成物は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含むことができる。一部の実施形態では、1つまたは複数の不純化合物I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9または薬学的に許容されるそれらの塩の量は、本明細書に記載されている通りである。一部の実施形態では、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物は、I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9から選択される1つもしくは複数の化合物または薬学的に許容されるそれらの塩をさらに含む。一部の実施形態では、本明細書における医薬組成物は、水および/または1種もしくは複数の残留溶媒をさらに含む。本明細書にやはり記載されている通り、一部の実施形態では、本発明は、活性成分として化合物I-1または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物を提供する。
【0213】
本開示の組成物は、経口的に、非経口的に、吸入スプレーにより、局所的に、直腸に、鼻に、口腔内に、膣に、または埋め込まれたレザーバーにより投与されてもよい。用語「非経口」には、本明細書において使用する場合、皮下、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、髄腔内、肝臓内、病巣内および頭蓋内注射、または注入技法が含まれる。好ましくは、本組成物は、経口、腹腔内または静脈内に投与される。本開示の組成物の滅菌の注射可能な形態は、水性または油性懸濁剤とすることができる。これらの懸濁剤は、好適な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、当分野で公知の技法に従い、製剤化することができる。滅菌の注射可能な調製物はまた、例えば1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の滅菌の注射可能な液剤または懸濁剤であってもよい。用いることができる、許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に用いられる。
【0214】
この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性不揮発性油が用いられてもよい。オレイン酸およびそのグリセリド誘導体などの脂肪酸が注射剤の調製に有用であり、オリーブ油またはヒマシ油、とりわけそれらのポリオキシエチル化バージョンなどの、天然の薬学的に許容される油も同様である。これらの油性液剤または懸濁剤はまた、エマルション剤および懸濁剤を含む薬学的に許容される剤形の製剤化に一般に使用される、カルボキシメチルセルロースまたは類似の分散剤などの、長鎖アルコール希釈剤または分散剤を含有してもよい。薬学的に許容される固体、液体または他の剤形の製造において一般に使用される、Tween(登録商標)、Span(登録商標)および他の乳化剤、またはバイオアベイラビリティ向上剤などの、他の一般に使用される界面活性剤もまた、製剤化を目的として使用されてもよい。
【0215】
本開示の薬学的に許容される組成物は、以下に限定されないが、カプセル剤、錠剤、水性懸濁剤または液剤を含めた、任意の経口的に許容される剤形で、経口投与されてもよい。経口使用のための錠剤の場合、一般に使用される担体には、ラクトースおよびトウモロコシデンプンが含まれる。ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤もまた、典型的に、加えられる。カプセル剤形態での経口投与の場合、有用な希釈剤には、ラクトースおよび乾燥トウモロコシデンプンが含まれる。水性懸濁剤が経口使用に必要な場合、活性成分は、乳化剤および懸濁化剤と合わされる。所望の場合、ある特定の甘味剤、矯味矯臭剤または着色剤もまた、添加されてもよい。
【0216】
代替的に、本開示の薬学的に許容される組成物は、直腸投与のための坐剤の形態で投与されてもよい。これらは、薬剤を、室温では固体であるが、直腸温度では液体であり、したがって、直腸内で融解して薬物を放出する、好適な非刺激性賦形剤と混合することによって調製することができる。このような物質としては、カカオ脂、蜜ろうおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0217】
本開示の薬学的に許容される組成物はまた、とりわけ、処置の標的が、眼、皮膚または下部腸管の疾患を含めた、局所適用により容易に接近可能な領域または臓器を含む場合、局所的に投与されてもよい。好適な局所製剤は、これらの領域または臓器の各々のために容易に調製される。
【0218】
下部腸管のための局所適用は、直腸坐剤製剤(上を参照されたい)または好適な浣腸製剤で行うことができる。局所経皮パッチ剤もまた、使用されてもよい。
【0219】
局所適用の場合、提供される薬学的に許容される組成物は、1つまたは複数の担体中に懸濁または溶解された活性構成成分を含有する好適な軟膏剤中に製剤化されてもよい。本開示の化合物の局所投与のための担体としては、以下に限定されないが、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、プロピレングリコール、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン化合物、乳化ワックスおよび水が挙げられる。代替的に、提供される薬学的に許容される組成物は、1種または複数の薬学的に許容される担体に懸濁または溶解した活性構成成分を含有する、好適なローション剤またはクリーム剤中に製剤化され得る。好適な担体としては、以下に限定されないが、鉱油、モノステアリン酸ソルビタン、ポリソルベート60、セチルエステルワックス、セテアリルアルコール、2-オクチルドデカノール、ベンジルアルコールおよび水が挙げられる。
【0220】
眼科的使用の場合、提供される薬学的に許容される組成物は、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水中の微粉化懸濁剤として、または好ましくは、塩化ベンザルコニウム(benzylalkonium chloride)などの保存剤を含むまたは含まないかのどちらかで、等張性のpH調節した滅菌生理食塩水中の液剤として製剤化されてもよい。代替的に、眼科使用の場合、薬学的に許容される組成物は、ワセリンなどの軟膏剤中で製剤化されてもよい。
【0221】
本開示の薬学的に許容される組成物はまた、経鼻用エアロゾルまたは吸入によって投与されてもよい。このような組成物は、当分野で周知の医薬製剤の技法に準拠して調製され、ベンジルアルコールまたは他の好適な保存剤、バイオアベイラビリティを向上させるための吸収促進剤、フルオロカーボンおよび/または他の慣用的な可溶化剤もしくは分散剤を用いる、生理食塩水中の液剤として調製されてもよい。
【0222】
ある特定の実施形態では、本開示の薬学的に許容される組成物は、経口投与のために製剤化される。このような製剤は、食物と一緒に投与されてもよく、または食物なしに投与されてもよい。一部の実施形態では、本開示の薬学的に許容される組成物は、食物なしに投与される。他の実施形態では、本開示の薬学的に許容される組成物は、食物と一緒に投与される。
【0223】
本開示の薬学的に許容される組成物は、ヒトおよび他の動物に、処置される感染の重症度に応じて、経口、直腸、非経口、嚢内、膣内、腹腔内、局所(散剤、軟膏剤または点眼剤によるものとして)、口腔内、経口噴霧剤または鼻内噴霧剤などで投与され得る。ある特定の実施形態では、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩は、所望の治療効果を得るため、1日1回または複数回、1日あたり、対象の体重1kgあたり、約10mg~約200mgの用量で、特に、約30mg、約35mg、約40mg、約45mg、約50mg、約55mg、約60mg、約65mg、約70mg、約75mg、約80mg、約85mg、および約90mgから選択される用量で経口投与されてもよい。
【0224】
経口投与のための液体剤形としては、以下に限定されないが、薬学的に許容されるエマルション剤、マイクロエマルション剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液体剤形は、例えば、水、またはエチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカーボネート、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリルアルコール、ポリエチレングリコールおよびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにそれらの混合物などの他の溶媒、可溶化剤および乳化剤などの、当分野において一般に使用される不活性希釈剤を含有してもよい。不活性希釈剤の他に、本経口組成物はまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、矯味矯臭剤および芳香剤などの補助剤を含むことができる。
【0225】
公知技術に従い、好適な分散剤または湿潤剤、および懸濁化剤を使用して、注射可能な調製物、例えば注射可能な滅菌水性懸濁剤または油性懸濁剤が製剤化されてもよい。滅菌の注射可能な調製物はまた、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液として、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の注射可能な滅菌液剤、懸濁剤またはエマルション剤であってもよい。用いることができる許容されるビヒクルおよび溶媒の中には、水、リンゲル液、U.S.P、および等張性塩化ナトリウム溶液がある。さらに、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として、慣用的に用いられる。この目的のために、合成モノグリセリドまたはジグリセリドを含む任意の無刺激性の不揮発性油を用いることができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射剤の調製に使用される。
【0226】
注射可能な製剤は、使用前に、例えば、細菌保持フィルターに通してろ過することにより、または滅菌水中もしくは他の滅菌の注射可能な媒体中に溶解もしくは分散することができる滅菌固体組成物の形態の滅菌剤を組み込むことにより滅菌され得る。
【0227】
化合物I-1または薬学的に許容されるその塩の作用を延長するため、皮下または筋肉内注射からの化合物の吸収を遅くすることが望ましいことがある。これは、水溶解性に乏しい、結晶性物質またはアモルファス物質の液体懸濁物の使用により行うことができる。次に、本化合物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、ひいては、結晶サイズおよび結晶形態に依存することがある。代替として、非経口的に投与される化合物形態の遅延した吸収は、油ビヒクル中に化合物を溶解するまたは懸濁させることにより行われる。ポリラクチド-ポリグリコリドなどの生分解性ポリマー中に、本化合物のマイクロカプセルマトリックスを形成させることにより、注射可能なデポ形態が作製される。ポリマーに対する化合物の比、および用いられる特定のポリマーの性質に応じて、化合物の放出速度を制御することができる。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。注射可能なデポ製剤もまた、身体組織と適合可能なリポソームまたはマイクロエマルション中に本化合物を捕捉することにより調製される。
【0228】
直腸または膣投与のための組成物は、好ましくは坐剤であって、本開示の化合物を、周囲温度では固体であるが、体温では液体であり、したがって直腸内または膣腔内で融解して活性化合物を放出する、カカオ脂、ポリエチレングリコールまたは坐剤ワックスなどの好適な非刺激性賦形剤または担体と混合することにより調製することができる坐剤である。
【0229】
経口投与のための固形剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤および顆粒剤が挙げられる。このような固形剤形では、活性化合物は、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムなどの少なくとも1種の不活性な薬学的に許容される賦形剤もしくは担体、ならびに/またはa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよびケイ酸などの充填剤もしくは増量剤、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロースおよびアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天、炭酸カルシウム、バレイショデンプンもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、ある特定のシリケートおよび炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶解遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコールおよびモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリンおよびベントナイトクレイなどの吸収剤、ならびにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムなどの滑沢剤、ならびにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝化剤も含んでもよい。
【0230】
同様のタイプの固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として用いられてもよい。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティングおよび医薬調合分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。それらは、乳白剤を必要に応じて含有してもよく、それらは、腸管のある特定の部分において、必要に応じて遅延様式で、活性成分だけをまたは活性成分を優先的に放出する組成物であり得る。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。同様のタイプの固体組成物もまた、ラクトースまたは乳糖、および高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を使用する、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中に充填剤として用いられてもよい。
【0231】
化合物I-1または薬学的に許容されるその塩はまた、1種または複数の上記の賦形剤を含むマイクロカプセル封入形態にあることもできる。錠剤、糖剤、カプセル剤、丸剤および顆粒剤の固形剤形は、腸溶性コーティング、放出制御コーティング、および医薬調合分野において周知の他のコーティングなどのコーティングおよびシェルを用いて調製することができる。このような固形剤形では、活性化合物は、スクロース、ラクトースまたはデンプンなどの少なくとも1種の不活性希釈剤と混合されてもよい。このような剤形はまた、通常の実施の通り、不活性希釈剤以外の追加の物質、例えば、ステアリン酸マグネシウムおよび微結晶セルロースなどの錠剤化用滑沢剤および他の錠剤化助剤を含んでもよい。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、剤形は、緩衝化剤も含んでもよい。それらは、乳白剤を必要に応じて含有してもよく、それらは、腸管のある特定の部分において、必要に応じて遅延様式で、活性成分だけをまたは活性成分を優先的に放出する組成物とすることもできる。使用することができる包埋組成物の例としては、ポリマー物質およびワックスが挙げられる。
【0232】
本開示の化合物の局所投与または経皮投与のための剤形としては、軟膏剤、ペースト剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、散剤、液剤、噴霧剤、吸入剤またはパッチ剤が挙げられる。活性構成成分は、滅菌条件下において、薬学的に許容される担体、および任意の必要な保存剤または緩衝液(必要とされ得る場合)と混合される。眼科用製剤、点耳剤および点眼剤も、本開示の範囲内にあることが企図されている。さらに、本開示は、身体への化合物の制御送達を提供する追加の利点を有する、経皮パッチ剤の使用を企図する。このような剤形は、適切な媒体中に本化合物を溶解または分注することにより作製することができる。吸収促進剤はまた、本化合物の皮膚を横切るフラックスを増大させるために使用することもできる。速度は、速度制御膜を設けること、またはポリマーマトリックスもしくはゲル中に本化合物を分散させることのいずれかによって制御することができる。
7.疾患を処置する方法および使用
【0233】
一部の実施形態では、本開示は、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩(I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物中で)を、それを必要とする患者に投与する方法であって、患者が、自己免疫疾患/自己炎症性疾患または血液悪性疾患に罹患している、方法を提供する。一部の実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患は、皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患である。一部の実施形態では、本開示は、自己免疫疾患/自己炎症性疾患および/または血液悪性疾患を処置する方法であって、それを必要とする患者に治療有効量の化合物I-1または薬学的に許容されるその塩(I-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物中で)を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患は、アトピー性皮膚炎(AD)、関節リウマチ(RA)および化膿性汗腺炎(HS)から選択される。
【0234】
一部の実施形態では、自己免疫疾患/自己炎症性疾患としては、皮膚の炎症性状態またはアレルギー性状態、例えば、乾癬、汎発性膿疱性乾癬(GPP)、尋常性乾癬、接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、円形脱毛、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性脈管炎、じんましん、水疱性類天疱瘡、エリテマトーデス、全身性エリテマトーデス、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症、尋常性ざ瘡、化膿性汗腺炎、Sweet症候群、壊疽性膿皮症および皮膚の他の炎症性状態またはアレルギー性状態が挙げられる。一部の実施形態では、皮膚の炎症性疾患は、接触皮膚炎(contact dermatitits)、アトピー性皮膚炎、円形脱毛、多形紅斑、疱疹状皮膚炎、強皮症、白斑、過敏性脈管炎、じんましん、水疱性類天疱瘡、尋常性天疱瘡、落葉状天疱瘡、腫瘍随伴性天疱瘡、後天性表皮水疱症または化膿性汗腺炎から選択される。
【0235】
一部の実施形態では、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物はまた、炎症要素を有する疾患または状態などの他の疾患または状態の処置、例えば、眼アレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎などの眼の疾患および状態、アレルギー性鼻炎を含む鼻に罹患する疾患、ならびに炎症性疾患(自己免疫反応が自己免疫血液学的障害(例えば、溶血性貧血、再生不良性貧血、赤芽球癆および特発性血小板減少症)、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、多発性軟骨炎、強皮症、ウェゲナー肉芽腫症、皮膚筋炎、慢性活動性肝炎、重症筋無力症、スティーヴン-ジョンソン症候群、特発性スプルー、自己免疫炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)、過敏性腸症候群、セリアック病、歯周炎、肺硝子膜症、腎疾患、糸球体疾患、アルコール性肝疾患、多発性硬化症、内分泌眼病(endocrine opthalmopathy)、グレーブス病、サルコイドーシス、肺胞炎、慢性過敏性肺炎、多発性硬化症、原発性胆汁性肝硬変、ぶどう膜炎(前部および後部)、シェーグレン症候群、乾性角結膜炎および春季カタル、間質性肺線維症、乾癬性関節炎、全身型若年性特発性関節炎、クリオピリン関連周期症候群、腎炎、脈管炎、憩室炎、間質性膀胱炎、糸球体腎炎(例えば、特発性ネフローゼ症候群または微小変化型腎障害(minal change nephropathy)を含めた、ネフローゼ症候群を伴うおよび伴わない)、慢性肉芽腫症、子宮内膜症、レプトスピラ症腎疾患(leptospiriosis renal disease)、緑内障、網膜疾患、加齢、頭痛、疼痛、複合性局所疼痛症候群、心臓肥大、筋消耗、異化障害、肥満、胎児成長遅延、高コレステロール血症(hyperchlolesterolemia)、心臓疾患、慢性心不全、中皮腫、無汗性外胚葉性形成異常、ベーチェット病、色素失調症、パジェット病、すい臓炎、遺伝性周期発熱症候群、喘息(アレルギー性および非アレルギー性、軽度、中度、重度の気管支炎性および運動誘導性)、急性肺傷害、急性呼吸窮迫症候群、好酸球増加症、過敏症、アナフィラキシー、副鼻腔炎(nasal sinusitis)、眼アレルギー、シリカ誘発性疾患、COPD(損傷の軽減、気道炎症、気管支過敏症、リモデリングまたは疾患進行)、肺疾患、嚢胞性線維症、酸誘発性肺傷害、肺高血圧症、多発神経障害、白内障、全身性硬化症を伴う筋肉炎症、封入体筋炎、重症筋無力症、甲状腺炎、アジソン病、扁平苔癬、1型糖尿病または2型糖尿病、虫垂炎、アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー、眼瞼炎、細気管支炎、気管支炎、滑液包炎、子宮頸管炎、胆管炎、胆嚢炎、慢性移植片拒絶、大腸炎、結膜炎、クローン病、膀胱炎、涙腺炎、皮膚炎、皮膚筋炎、脳炎、心内膜炎、子宮内膜炎、腸炎(enteritis)、腸炎(enterocolitis)、外上顆炎、精巣上体炎、筋膜炎、結合織炎、胃炎、胃腸炎、ヘノッホシェーンライン紫斑病、肝炎、化膿性汗腺炎、免疫グロブリンA腎症、間質性肺疾患、喉頭炎、乳腺炎、髄膜炎、脊髄炎 心筋炎、筋炎、腎炎、卵巣炎、精巣炎、骨炎、耳炎、すい臓炎、耳下腺炎、心膜炎、腹膜炎、咽頭炎、胸膜炎、静脈炎、肺臓炎、肺炎、多発筋炎、直腸炎、前立腺炎、腎盂腎炎、鼻炎、卵管炎、副鼻腔炎(sinusitis)、口内炎、滑膜炎、腱炎、扁桃炎、潰瘍性大腸炎、ぶどう膜炎、腟炎、脈管炎または外陰炎を含めた、自己免疫要素または病因に関与するまたはこれを有する)の処置に使用することができる。
【0236】
一部の実施形態では、本開示の方法により処置され得る炎症性疾患は、急性および慢性痛風、慢性痛風性関節炎、乾癬、乾癬性関節炎、関節リウマチ、若年性関節リウマチ、全身型若年性特発性関節炎(SJIA)、クリオピリン関連周期症候群(CAPS)、成人発症型スティル病、マクロファージ活性化症候群(MAS)、原発性および続発性血球貪食性リンパ組織球症(HLH)、家族性地中海熱、NLRP12自己炎症性症候群および骨関節炎から選択される。
【0237】
一部の実施形態では、処置され得る炎症性疾患は、TH17媒介性疾患である。一部の実施形態では、TH17媒介性疾患は、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、尋常性乾癬、化膿性汗腺炎および炎症性腸疾患(クローン病または潰瘍性大腸炎を含む)から選択される。
【0238】
一部の実施形態では、本開示の方法により処置され得る炎症性疾患は、シェーグレン症候群、アレルギー性障害、骨関節炎、眼の状態(眼アレルギー、結膜炎、乾性角結膜炎および春季結膜炎など)および鼻に罹患する疾患(アレルギー性鼻炎または鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)など)から選択される。
【0239】
一部の実施形態では、本開示は、アトピー性皮膚炎(AD)および化膿性汗腺炎(HS)などの、患者における皮膚の自己免疫疾患/自己炎症性疾患を処置する方法であって、患者に、治療有効量の、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0240】
一部の実施形態では、本開示は、患者においてADを処置する方法であって、患者に、治療有効量の、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0241】
一部の実施形態では、本開示は、患者における、ADを処置する方法であって、患者に治療有効量の、化合物I-1 HCl、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0242】
一部の実施形態では、本開示は、患者における、HSを処置する方法であって、患者に治療有効量の、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0243】
一部の実施形態では、本開示は、患者においてHSを処置する方法であって、患者に、治療有効量の、化合物I-1 HCl、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0244】
一部の実施形態では、本開示は、患者において関節リウマチ(RA)を処置する方法であって、患者に、治療有効量の、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む方法を提供する。
【0245】
一部の実施形態では、本開示は、患者における、RAを処置する方法であって、患者に治療有効量の、化合物I-1 HCl、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。
【0246】
一部の実施形態では、本開示は、患者における、血液悪性疾患を処置する方法であって、患者に治療有効量の、化合物I-1または薬学的に許容されるその塩、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、本開示は、患者における、血液悪性疾患を処置する方法であって、患者に治療有効量の、化合物I-1 HCl、ならびにI-2、I-3、I-4、I-5、I-6、I-7、I-8およびI-9からなる群から選択される1つもしくは複数の不純化合物または薬学的に許容されるそれらの塩を含む組成物を投与するステップを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、血液悪性疾患は、白血病、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、ABC DLBCL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、慢性リンパ球性リンパ腫、原発性滲出性リンパ腫、バーキットリンパ腫/白血病、急性リンパ性白血病、B細胞前リンパ球性白血病、リンパ形質細胞性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、脾臓周辺帯リンパ腫、多発性骨髄腫、形質細胞腫、血管内大細胞型B細胞リンパ腫、AMLまたはMDSである。
【0247】
本開示を一読すると、当業者には、本発明によって包含される多数の変形形態および等価物が明白になるので、以下の実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、決して本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。例えば、以下に記載されている一部の反応は、様々な温度(4℃、10℃、25℃など)などの条件の範囲下で行われてもよく、置換は、他の試薬および試薬の異なる量または濃度で行われてもよい。
【実施例】
【0248】
以下の実施例に図示されている通り、ある特定の例示的な実施形態では、I-1 HClを調製し、以下の手順に準拠して特徴付けする。出発原料の合成は、例えば、それらの内容の全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2019/133531号および国際公開第2020/010227号に見出すことができる。
(実施例1)
I-1 HClの合成
【化36】
【0249】
ステップ1:I-3の合成。出発アルコール(I-6)およびメタンスルホン酸無水物(Ms2O)のテトラヒドロフラン(THF)溶液を反応容器中で調製し、-15℃まで冷却した。次に、トリエチルアミン(Et3N)を容器に投入し、I-6からI-5への完全な変換が達成されるまで、反応混合物を熟成させた(IPC、HPLCによる反応モニタリング)。反応混合物を室温まで温め、50℃で撹拌しながら、I-5のI-3への完全な変換が観察されるまで、過剰のヨウ化リチウム(LiI)を加えた(IPC、HPLCによる反応モニタリング)。次に、この反応混合物を冷却し、亜硫酸水素ナトリウム(NaHSO3)溶液でクエンチした。このバッチを2-メチルテトラヒドロフラン(2-MeTHF)で抽出し、溶媒をN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)に交換する前に、2-MeTHF流を常圧蒸留によって許容されるレベルまで共沸乾燥した(IPC、カールフィッシャーによる水分)。I-3の粗製溶液をインラインフィルターに通して反応容器から取り出し、このプロセスのステップ2に直接導入する前に、アッセイした(IPC、HPLCによる重量%)。
【0250】
ステップ2:I-1 HCl(粗製)の合成。I-3(ステップ1から)およびI-4のDMAc溶液を反応容器に投入し、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)と75℃で反応させて、I-1の遊離塩基を形成させた。反応が完了すると(IPC、HPLCによる反応モニタリング)、混合物を50℃まで冷却した後、2-プロパノール(IPA)中の塩酸(HCl)を添加した。次に、I-1 HClの種結晶を加え、反応混合物を50℃で熟成した。追加の2-プロパノール(IPA)を容器に投入した。結晶化スラリーを50℃でさらに熟成させた後に、室温まで冷却し、溶液からI-1 HClを析出させた。物質をろ過によって単離し、ケーキを2-プロパノール(IPA)で洗浄して乾燥させた。固体のI-1 HCl(粗製)をアッセイし(IPC、HPLCによる重量%)、このプロセスのステップ3に直接導入した。ステップ2の反応混合物および粗製APIは、約50:50の比のジアステレオマーを維持していると決定されたことが認められた。
【0251】
ステップ3:I-1 HClの調製。ステップ2からのI-1 HCl(粗製)物質を反応容器中、ジクロロメタン(DCM)に懸濁させて、容器の内容物を25℃未満に維持しながら、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)を加えた。この混合物を撹拌して溶液を形成し、次に、リン酸二水素カリウム(KH2PO4)の水溶液を加えた。有機相を取り出し、容器をN,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、水、2-プロパノール(IPA)およびジクロロメタン(DCM)のすすぎ液で清浄した後に、有機相をインラインフィルターを介して容器に戻した。ジクロロメタン(DCM)を加え、インラインフィルターを洗浄し、次いで、2-プロパノール(IPA)を添加し、35℃まで加熱した。逐次的に、IPA中の塩酸(HCl)、およびI-1 HCl種結晶を容器に投入し、混合物としてのI-1 HCl析出物を熟成させて、20℃に冷却した。このバッチをろ過して、ケーキをジクロロメタン(DCM)および2-プロパノール(IPA)により洗浄した後に、真空オーブン中、60℃で乾燥させた。乾燥後のI-1 HClの結晶化度(XRPD)および残留溶媒レベル(GC)の工程内測定を完了した後に、包装する。
(実施例2)
I-1 HCl原薬の特徴付け
規格の正当性
【0252】
I-1 HCl原薬に関する公開規格および各原薬特性に関する限度値の正当性を表2に示しており、以下の項目おいて議論する。
【表2-1】
【表2-2】
説明
【0253】
I-1 HClのバッチの色および物理特徴は目視検査する。原薬の説明は、開発バッチにおいて生成したI-1 HClからの観察に基づいて、「白色~オフホワイト色~ベージュ色の粉末」である。
FTIRによる同定
【0254】
赤外(IR)分光法を使用して、原薬の同一性を確認した。同定は、試料のIRスペクトルとI-1 HCl参照標準のスペクトルとの比較に基づいた。
HPLCによる同定
【0255】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を使用して、原薬の同一性を確認した。同定は、表3に列挙されている方法パラメータを使用して、試料の保持時間とI-1 HCl参照標準の保持時間との比較に基づいた。
【表3】
HPLCによる純度およびアッセイ
【0256】
I-1 HClのHPLC純度の限度値(≧97.0%面積)は、開発ロットから得られた結果に基づいており、早期開発用に通常、確立した限度値に一致する。表3の方法を使用して、I-1 HClの不純物を特定した。グラジエント方法は、すべての公知の関連不純物ピークを分割し、強制分解検討において安定であることを示すことが示された。HPLCによるHCl塩としてのアッセイに関する限度値(無水溶媒不含基準)を95~105%(w/w)として確立する。この限度値は、開発ロットから得られた結果に基づいており、早期開発用に通常、確立した限度値に一致する。
立体化学制御
【0257】
I-1 HClを、ジアステレオマーである(S)-I-1および(R)-I-1のほぼ50:50の混合物として製造した。I-1 HClの分子構造は、モルホリン環(R,R)の周りの2個の固定された/安定な中心、および1個のエピメリ化可能なキラル中心(R/S)を含む、3個のキラル中心を含有する。さらに、シクロヘキシル環では、トランス立体配置が望ましい。ステレオジェニック特徴のすべてが、出発原料から導入される。表4は、I-1 HClに存在し得る、潜在的な異性体の化合物の識別を列挙している。
【表4】
ジアステレオマー比
【0258】
(S)-I-1:(R)-I-1のジアステレオマー比をキラルHPLCによって決定する。方法パラメータは、表5に列挙されている。
【表5】
HPLCによる特定不能不純物
【0259】
閾値を報告する上記の不純物を報告する(≧0.05%面積)。I-1 HCl原薬における個々の特定不能不純物の限度値は、例えば、Harvey, et al., "Management of organic impurities in small molecule medicinal products: Deriving safe limits for use in early development", Regul. Toxicol. Pharmacol. 2017, 84:116-23の文献ガイダンスから導き、早期臨床検討(<6か月)では、非変異原性不純物の場合、5mg/日または0.7%(どちらか低い方)の許容される限度値を妥当とする。計画した複数回用量漸増臨床検討は、500mg(遊離塩基として)の推定最大1日用量(MDD)を有する。このMDDに対応する不純物の上限値は、式1に従い、1.0%と計算される。しかし、これは、Harveyらによって要求される通り、0.7%の上限値が優先する。
【数1】
HPLC-MSによる特定不純物
【0260】
いくつかの不純物が、実施例1に図示されている合成を使用して、I-1 HClに見出すことができる。特定不純物を表6に列挙する。
【表6】
【0261】
I-1のシクロヘキシル環におけるトランス立体配置は、合成の結果である。さらに、結晶化プロセスのステップにより、トランスの純度が向上する。I-1 HClにおけるシス立体配置(I-2)は、表3におけるHPLC法を使用して検出した。特定不純物I-2に関する限度値は、≦2%である。I-3およびI-5は、表7における質量分析検出(MS)を伴う逆相HPLCによって測定し、以下に議論する、潜在的な遺伝毒性不純物である。
【表7】
潜在的遺伝毒性不純物
【0262】
I-1 HClの製造の間の潜在的な遺伝毒性不純物(PGI)の形成可能性の評価は、ICH M7(R1)-潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価および管理(Assessment and Control of DNA Reactive(Mutagenic)Impurities in Pharmaceuticals to Limit Potential Carcinogenic Risk)(2017年3月31日公開)に準拠して行った。出発原料、中間体ならびに潜在的不純物および分解生成物の潜在的な変異原性をDEREK 6.0.0 Nexus 2.2.0(変異原性のみ)およびLSMAバージョン2.4.5-7(変異原性スイート)によって、in silicoで評価した。結果が、表8に要約されている。
【表8-1】
【表8-2】
【0263】
I-3は、ヨウ化アルキルの特徴が存在するため、DEREKではin vitro変異原性であること、およびLSMAでは陽性である可能性があると予測した。この特徴は、アルキル化剤であることが公知であり、いくつかの例は、エームズ試験における陽性結果を示す。ヨウ化メチルは、げっ歯類の発癌性アッセイにおいて陽性結果をやはり示す。したがって、I-3は、潜在的変異原性であると考えられ、ICH M7によるクラス3として分類される。
【0264】
I-5は、スルホン酸アルキルエステルの特徴が存在するため、DEREKではin vitro変異原性があること、およびLSMAでは陽性である可能性があると予測した。この特徴は、アルキル化剤であることが公知であり、いくつかの例は、エームズ試験において陽性結果を示す。げっ歯類の発癌性アッセイにおいて陽性結果を示す化合物がやはり存在する。したがって、I-5は、潜在的変異原性であると考えられ、ICH M7によるクラス3として分類される。
【0265】
I-3およびI-5は、潜在的に変異原性(クラス3)と考えられたので、これらの不純物の含有量をHPLC-MSによって試験した。各不純物の限度値は、ICH M7(R1)から導いた。500mg(HCl塩として520mg)の推定最大1日用量、および12か月以下の間の処置期間を有する、計画された複数回用量漸増臨床検討に関しては、M7(R1)ガイダンスは、最大で12か月の処置期間の間、20μg/日の1日服用量となることを示す。これらの値から、I-3およびI-5に関して計算される限度値は、式2に示されている通り、それぞれ、≦38ppmである。各化合物に対する具体的な限度値は、≦30ppmへと切り捨てを行った。
【数2】
【0266】
I-4は、DEREKでは、in vitro変異原性に関して不活性であり、誤分類または分類不能な特徴がなく、類似体が欠如しているためLSMAでは、ドメインにはないことが予測された。不純物に存在する特徴のいずれも、変異原性の陽性結果と大きく関連しない。不純物に存在する特徴のすべてが、APIにおいて考慮され、これは、予備的なエームズ試験では陰性であった。したがって、I-4は、非変異原性であると考えられ、ICH M7によるクラス5として分類された。
【0267】
I-6は、DEREKでは、in vitro変異原性に関して不活性であり、誤分類または分類不能な特徴がなく、LSMAでは陰性と予測された。不純物に存在する特徴のいずれも、変異原性の陽性結果と大きく関連しない。関連する特徴のすべてが、APIに存在し、これは、予備的なエームズ試験では陰性であった。したがって、I-6は、非変異原性であると考えられ、ICH M7によるクラス5として分類された。
【0268】
除去不純物I-7は、DEREKでは、in vitro変異原性に対して不活性であり、誤分類または分類不能な特徴がなく、LSMAでは陰性と予測された。不純物に存在する特徴のいずれも、変異原性の陽性結果と大きく関連しない。さらに、この化合物における特徴の大部分は、類似の化学的空間にあるI-1に存在する。不純物とI-1との間の唯一異なる特徴は、メチレンシクロヘキサンであり、これは、陽性の変異原性に寄与しないことが予想される。したがって、除去不純物I-7は、非変異原性であると考えられ、ICH M7によるクラス5として分類された。
【0269】
開環不純物異性体I-8および異性体I-9は、DEREKでは、in vitro変異原性に関して不活性であり、誤分類または分類不能な特徴がなく、類似体が欠如しているためLSMAでは、ドメインにはないことが予測された。不純物に存在する特徴のいずれも、変異原性の陽性結果と大きく関連しない。これらの不純物は、I-1に構造が非常に類似している。異なる特徴のいずれも、変異原性の陽性結果とは関連しない。したがって、開環不純物異性体I-8および異性体I-9は、非変異原性と考えられ、ICH M7によるクラス5として分類される。
残留溶媒
【0270】
I-1 HClを調製するプロセスにおいて使用される残留溶媒が表9に列挙されており、選択肢1の限度値は、ICH Q3C(R6)-2016年10月20日に採択された、不純物:残留溶媒のガイドライン(Impurities:Guideline for Residual Solvents)によって確立される。さらに、2-メチルテトラヒドロフランの場合の限度値は、ICHドラフトガイダンスQ3C(R8)-2020年3月25日に承認された不純物:残留溶媒のガイダンス、2-メチルテトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテルおよび三級ブチルアルコールのPDE(Impurities: Guideline for Residual Solvents,PDE for 2-Methyltetrahydrofuran, Cyclopentyl methyl ether, and tertiary-Butyl alcohol)によって提案されているクラス3指定に基づく。
【表9】
【0271】
残留溶媒含有量は、水素炎イオン化検出器(FID)を備えるガスクロマトグラフィー(GC)によって決定する。方法パラメータは、表10に列挙されている。
【表10】
塩化イソプロピル
【0272】
塩化イソプロピルは、製造プロセスの潜在的な副生物である。塩化イソプロピルは、ICH M7(R1)-2017年3月31日付けの潜在的発がんリスクを低減するための医薬品中DNA反応性(変異原性)不純物の評価および管理(Assessment and Control of DNA Reactive(Mutagenic)Impurities in Pharmaceuticals to Limit Potential Carcinogenic Risk)によるクラス2の化合物である。一官能性塩化アルキルに関する毒性学的懸念のデフォルト閾値(TTC)は、M7(R1)ガイダンスにおいて列挙されているデフォルトTTCより10倍、引き上げることができる。したがって、12か月以下の処置の期間に基づくと、塩化イソプロピルのTTC限度値は、200μg/日である。500mg(HCl塩として520mg)の推定最大1日用量を有する、計画された複数回用量漸増臨床検討によれば、塩化イソプロピルの計算される限度値は、≦385ppmである。この指定限度値は、≦300ppmへの切り捨てを行った。塩化イソプロピルの含有量は、表10の方法によって決定した。
無機不純物
【0273】
I-1 HClは、米国薬局方<233>に準拠して誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)を使用して試験し、クラス1およびクラス2Aの元素のすべてを検出した。このプロセスにおいて使用した元素(パラジウム、銅およびリチウム)は、ICH Q3D(R1)-2019年3月22日に採択された元素不純物のガイドライン(Guideline for Elemental Impurities)によって確立された経口限度値(最大で1g/日のI-1 HClの投与)に管理する。表11は、元素不純物を列挙する。
【表11】
対イオン分析
【0274】
対イオンは、塩化物イオンである。塩化物イオンの含有量の限度値は、3.9±0.6%に設定する。対イオン含有量は、滴定によって決定した。測定は、硝酸銀滴定剤に対する銀電極を使用して行う。限度値は、開発バッチに対して得られた結果に基づいており、一HCl塩と一致する。
強熱残分
【0275】
強熱残分は、米国薬局方<281>に準拠して試験した。強熱残分(ROI)の限度値は、≦0.5%であった。この限度値は、開発ロットから得られた結果に基づいており、早期開発用に通常、確立した限度値に一致する。
結晶化度
【0276】
原薬の多形形態は、米国薬局方<941>に準拠して、X線粉末回折(XRPD)によって決定した。形態の確認は、試料のXRPD回折パターンとI-1 HCl参照標準の回折パターンとの比較に基づいた。
水分含量
【0277】
水分含量は、米国薬局方<921>に準拠してカールフィッシャー電量滴定によって測定した。
微生物計数試験
【0278】
総好気性微生物数(TAMC)、総真菌数(TYMC)およびE.coliは、米国薬局方<61>および米国薬局方<62>に準拠して試験した。
【0279】
本発明者らは、本発明のいくつかの実施形態を記載しているが、本発明者らの基本的な実施例は、本発明の化合物および方法を利用する他の実施形態を提供するために改変されてもよいことは明白である。したがって、本発明の範囲は、例として表されている特定の実施形態によってではなく、本出願および特許請求の範囲によって規定されることが理解されよう。
【国際調査報告】