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特表2024-540083抗NRP2a抗体を含む組成物及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】抗NRP2a抗体を含む組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
   C07K 16/28 20060101AFI20241024BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 39/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/19 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/22 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 35/768 20150101ALI20241024BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 9/99 20060101ALI20241024BHJP
   C12Q 1/02 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 1/13 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20241024BHJP
   G01N 33/577 20060101ALI20241024BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20241024BHJP
   G01N 33/574 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C07K16/28 ZNA
A61K39/395 T
A61K39/395 N
A61P35/00
A61P35/02
A61P37/02
A61P29/00
A61P21/00
A61K45/00
A61K39/00 H
A61K38/19
A61K38/22
A61K35/768
A61K39/395 U
A61P35/04
C07K16/46
C12N9/99
C12Q1/02
C07K1/13
C12N5/10
C12M3/00 Z
C12M3/00 A
G01N33/577 B
G01N33/53 D
G01N33/574 A
C12N15/13
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525338
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-11
(86)【国際出願番号】 US2022078780
(87)【国際公開番号】W WO2023076998
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/272,374
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】512264080
【氏名又は名称】エータイアー ファーマ, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】バーマン, ルーク ジー.
(72)【発明者】
【氏名】チョン, イーティン
(72)【発明者】
【氏名】ラウチ, ケイトリン
(72)【発明者】
【氏名】ナングル, レスリー エー.
【テーマコード(参考)】
4B029
4B063
4B065
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B029AA02
4B029AA08
4B029BB11
4B029CC01
4B029CC02
4B029CC08
4B029GA02
4B063QA01
4B063QA05
4B063QA18
4B063QQ08
4B063QQ13
4B063QQ43
4B063QQ79
4B063QR33
4B063QR48
4B063QR77
4B063QR80
4B063QS33
4B063QS38
4B065AA91X
4B065AA93X
4B065AA94Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA25
4B065CA44
4B065CA46
4C084AA02
4C084AA19
4C084BA44
4C084DA01
4C084DB01
4C084NA05
4C084ZB071
4C084ZB092
4C084ZB111
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
4C084ZC032
4C084ZC202
4C084ZC752
4C085AA03
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB33
4C085BB34
4C085BB35
4C085BB36
4C085BB37
4C085BB44
4C085EE01
4C085EE03
4C085GG02
4C085GG03
4C085GG04
4C085GG06
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA09
4C087MA02
4C087MA56
4C087MA66
4C087NA05
4C087ZB26
4C087ZB27
4C087ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045BA70
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA28
4H045EA50
4H045EA51
4H045EA54
(57)【要約】
提供されるのは、他のNRP2aアイソフォーム又はNRP2bアイソフォームと比べて、ヒトニューロピリン-2a(NRP2a)バリアント1(v1)及び/又はバリアント2(v2)に優先的又は選択的に結合し、NRP2a v1/v2リガンドと下流シグナル伝達事象の間での結合相互作用を調節する、抗体及びその抗原結合断片である。また、含まれるのは、疾患、例えば癌ならびに炎症性及び自己免疫疾患などを治療するための関連する治療用組成物及び方法である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表N2から選択される配列の約又は少なくとも約8、9、10、11、又は12もしくはそれ以上の連続アミノ酸を含む、表N2から選択される配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になるエピトープでニューロピリン-2A(NRP2a)バリアント1(v1)又はバリアント2(v2)ポリペプチドに結合する、抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項2】
前記エピトープは、配列番号96~104から選択される配列の約又は少なくとも約8、9、10、11、又は12の連続アミノ酸を含む、配列番号96~104から選択される配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる、請求項1の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項3】
前記エピトープが、配列番号100、又は配列番号100の約もしくは少なくとも約8、9、10、11もしくは12の連続アミノ酸配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になる、請求項1又は2に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項4】
相補的決定領域VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)配列ならびに相補的決定領域VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)配列を含み、
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号13、127、及びGXを含み(XはG、A、又はSであり、XはY、F、K、L、又はRであり、XはT、A、G、I、L、Q、又はVであり、XはD、A、G、K、N、Q、R、又はSであり、及びXはY、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、Q、R、S、T、又はVである)、ならびに前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号16、17、及びX10111213を含む(XはS、A、G、I、L、P、T、又はVであり、XはQ、A、G、R、又はSであり、XはS、A、H、K、L、Q、又はTであり、XはT、F、G、H、I、K、L、N、Q、R、S、V、又はYであり、X10はH、A、D、E、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、又はYであり、X11はV、A、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、又はYであり、X12はL、A、E、H、I、N、P、Q、S、T、又はVであり、及びX13はT、A、D、E、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、又はVである)(また、表E6及び表E7を参照のこと);
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号130~132を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号133~135を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号136~138を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号139~141を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号142~144を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号145~147を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号148~150を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号151~153を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号154~156を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号157~159を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号1~3を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号4~6を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号7~9を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号10~12を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号13~15を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号16~18を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号19~21を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号22~24を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号25~27を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号28~30を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号31~33を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号34~36を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号37~39を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号40~42を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号43~45を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号46~48を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号49~51を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号52~54を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号55~57を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号58~60を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;又は
前記VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号61~63を含み、前記VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号64~66を含み、前記CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項5】
前記VH配列が配列番号170を含み、前記VL配列が配列番号171を含む;
前記VH配列が、配列番号160と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号161と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号162と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号163と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号164と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号165と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号166と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号167と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号168と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号169と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号67と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号68と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号69と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号70と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号71と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号72と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号73と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号74と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号75と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号76と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号77と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号78と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号79と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号80と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号81と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号82と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号83と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号84と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
前記VH配列が、配列番号85と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号86と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;又は
前記VH配列が、配列番号87と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、前記VL配列が、配列番号88と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である、請求項4に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項6】
ヒトニューロピリン-2B(NRP2b)バリアント4(v4)ポリペプチド及び/又はヒトNRP2bバリアント5(v5)ポリペプチドに実質的に結合しない、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項7】
前記NRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド、あるいは前記エピトープに、約10pM~約500pMもしくは約50nMまで、又は約、少なくとも約、もしくは約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、又は50nM以下の親和性を伴って、あるいは、場合により、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、又は約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、又は約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、又は約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、又は約25nM~約50nMの範囲の親和性を伴って結合する、請求項1~6のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項8】
前記NRP2a v1又はv2ポリペプチドについての前記抗体、又はその抗原結合断片の結合親和性が、NRP2a v3ポリペプチド、NRP2b v4ポリペプチド、及び/又はNRP2b v5ポリペプチドについてのその結合親和性より少なくとも約1.5倍、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、40倍、60倍、80倍、100倍、200倍、400倍、600倍、800倍、又は1000倍強い、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項9】
前記NRP2a v1又はv2ポリペプチドとそのリガンドの間での結合を遮断する、又は他の方法で低下させ、場合により、前記リガンドが表L1又は表L2から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項10】
場合によりインビトロ結合アッセイ、インビトロもしくはエクスビボ細胞ベースのアッセイ、又はインビボにおいて、前記NRP2a v1又はv2ポリペプチドとケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド21(CCL21)ポリペプチドの間での結合を遮断する、又は他の方法で低下させる、請求項1~9のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項11】
対照又は参照と比べて、約又は少なくとも約20~100%又はそれ以上(場合により約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%もしくはそれ以上)だけ、前記NRP2a v1又はv2ポリペプチドと前記CCL21ポリペプチドの間での結合を遮断する、又は他の方法で低下させる、請求項10に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項12】
場合によりインビトロ結合アッセイ、インビトロもしくはエクスビボ細胞ベースのアッセイ、又はインビボで、前記NRP2a v1もしくはv2ポリペプチドとC-Cケモカイン受容体7型(CCR7)ポリペプチドの間での二量体化を含む結合を遮断する、又は他の方法で低下させる、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項13】
対照又は参照と比べて、約又は少なくとも約20~100%又はそれ以上(場合により約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%もしくはそれ以上)だけ、前記NRP2a v1又はv2ポリペプチドと前記CCR7ポリペプチドの間での二量体化を含む結合を遮断する、又は他の方法で低下させる、請求項12に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項14】
対照又は参照と比べて、場合により、約又は少なくとも約20~100%又はそれ以上(場合により約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%もしくはそれ以上)だけ、前記NRP2a v1又はv2ポリペプチドとCCL21及び/又はCCR7ポリペプチドの間でのシグナル伝達活性を調節する(場合により拮抗する)、請求項1~13のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項15】
前記シグナル伝達活性が、免疫細胞移動、場合により樹状細胞もしくは成熟T細胞の誘導を含み、前記抗体、又はその抗原結合断片が、前記シグナル伝達活性を低下させる;ならびに/あるいは、前記シグナル伝達活性が、腫瘍細胞移動の誘導を含み、前記抗体、又はその抗原結合断片が、前記シグナル伝達活性を低下させる、請求項14に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項16】
IgA(サブクラスIgA1及びIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む)、又はIgM Fcドメイン、場合によりヒトFcドメイン、あるいはそのハイブリッド及び/又はバリアントを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項17】
ヒトにおいて高いエフェクター機能を伴うIgG Fcドメイン、場合によりIgG1もしくはIgG3 Fcドメインを含む、又は、ヒトにおいて低いエフェクター機能を伴うIgG Fcドメイン、場合によりIgG2もしくはIgG4 Fcドメインを含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項18】
場合により表F1から選択されるIgG1又はIgG4 Fcドメインを含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項19】
モノクローナル抗体である、請求項1~18のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項20】
ヒト化抗体である、請求項1~19のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項21】
Fv断片、一本鎖Fv(scFv)ポリペプチド、アドネクチン、アンチカリン、アプタマー、アビマー、ラクダ科抗体、設計アンキリンリピートタンパク質(DARPin)、ミニボディ、ナノボディ、又はユニボディである、請求項1~20のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片。
【請求項22】
医薬的に許容可能な担体と、請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片と、を含む、治療用組成物。
【請求項23】
前記組成物が、前記少なくとも一つの抗体、又はその抗原結合断片に関して、タンパク質ベースで少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の純度を有し、実質的に凝集体を含まない、請求項22に記載の治療用組成物。
【請求項24】
前記治療用組成物が、実質的にエンドトキシンを含まない、請求項22又は23に記載の治療用組成物。
【請求項25】
前記治療用組成物が、場合により静脈内、筋肉内、皮下、又は腹腔内投与のために適切な滅菌注射溶液である、請求項22~24のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項26】
癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及びキナーゼ阻害剤の一つ又は複数から選択される少なくとも一つの追加の薬剤をさらに含む、請求項22~25のいずれか一項に記載の治療用組成物。
【請求項27】
請求項22~26のいずれか一項に記載の治療用組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする前記対象において疾患又は状態を治療する方法。
【請求項28】
前記疾患又は状態が、ニューロピリン2(NRP2)関連疾患又は状態、場合によりNRP2a関連疾患又は状態である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記疾患又は状態が、癌、炎症性疾患、自己免疫性疾患、リンパ性疾患又は関連付けられる状態、線維性疾患、及び低下した平滑筋収縮性に関連付けられる疾患から選択される、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患が癌であり、場合により、前記癌が、NRP2を発現又は過剰発現し、場合により、前記癌が、NRP2依存的成長、NRP2依存的接着、NRP2依存的遊走、及び/又はNRP2依存的浸潤を呈する、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記癌がNRP2を発現又は過剰発現するが、しかし、ニューロピリン-1(NRP1)を実質的に発現しない、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
それを必要とする対象において癌の再出現を低下又は予防するためであって、前記治療用組成物の投与によって、前記癌への免疫記憶の生成が可能になる、請求項30又は31に記載の方法。
【請求項33】
前記対象がリンパ浮腫を有する、請求項30~32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記対象に、癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及びキナーゼ阻害剤の一つ又は複数から選択される少なくとも一つの追加の薬剤を投与することを含む、請求項30~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記少なくとも一つの抗NRPa2抗体又はその抗原結合断片及び前記少なくとも一つの薬剤が、別々の組成物として別々に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも一つの抗NRP2抗体及び前記少なくとも一つの薬剤が、同じ治療用組成物の一部として、場合により、請求項46~64のいずれか一項に記載の治療用組成物として一緒に投与される、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記癌免疫療法剤が、免疫チェックポイント調節剤、癌ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカイン、及び細胞ベースの免疫療法の一つ又は複数から選択される、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記免疫チェックポイント調節剤が、ポリペプチド、場合により、抗体もしくはその抗原結合断片、又はリガンド、又は小分子である、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記免疫チェックポイント調節剤が、
(a)阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニスト;又は
(b)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストを含み、
場合により、前記免疫チェックポイント調節剤が、前記免疫チェックポイント分子に特異的に結合する、請求項37又は38に記載の方法。
【請求項40】
前記阻害性免疫チェックポイント分子が、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、B及びTリンパ球減衰因子(BTLA)、CD160、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、ならびにIg及びITIMドメインを伴うT細胞免疫受容体(TIGIT)の一つ又は複数から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)、及びデュルバルマブ(MEDI4736)の一つ又は複数から場合により選択されるPD-L1及び/又はPD-L2アンタゴニストであり、場合により、前記癌が、結腸直腸癌、黒色腫、乳癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、及び腎細胞癌の一つ又は複数から選択される;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MK-3475、AMP-224、AMP-514PDR001、及びピジリズマブの一つ又は複数から場合により選択されるPD-1アンタゴニストであり、場合により、前記PD-1アンタゴニストがニボルマブであり、前記癌が、ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、腎細胞癌、及び卵巣癌の一つ又は複数から場合により選択される;
前記PD-1アンタゴニストがペムブロリズマブであり、前記癌が、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、及び尿路上皮癌の一つ又は複数から場合により選択される;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、イピリムマブ、トレメリムマブの一つ又は複数から場合により選択されるCTLA-4アンタゴニストであり、場合により、前記癌が、黒色腫、前立腺癌、肺癌、及び膀胱癌の一つ又は複数から選択される;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、インドキシモド(NLG-8189)、1‐メチル‐トリプトファン(1MT)、β‐カルボリン(ノルハルマン;9H‐ピリド[3,4‐b]インドール)、ロスマリン酸、及びエパカドスタットの一つ又は複数から場合により選択されるIDOアンタゴニストであり、前記癌は転移性乳癌及び脳癌の一つ又は複数から場合により選択され、場合により多形神経膠芽腫、神経膠腫、神経膠肉腫又は悪性脳腫瘍である;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、680C91、及びLM10の一つ又は複数から場合により選択されるTDOアンタゴニストである;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子の一つ又は複数から場合により選択されるTIM-3アンタゴニストである;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、及びBMS-986016の一つ又は複数から場合により選択されるLAG-3アンタゴニストである;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子の一つ又は複数から場合により選択されるVISTAアンタゴニストである;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子の一つ又は複数から場合により選択されるBTLA、CD160、及び/又はHVEMアンタゴニストである;
前記アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子の一つ又は複数から場合により選択されるTIGITアンタゴニストである、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記刺激性免疫チェックポイント分子が、OX40、CD40、グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、CD28、CD226、及びヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)の一つ又は複数から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項43】
前記アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、OX86、Fc-OX40L、及びGSK3174998の一つ又は複数から場合により選択されるOX40アゴニストである;
前記アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、CP-870,893、ダセツズマブ、Chi Lob 7/4、ADC-1013、及びrhCD40Lの一つ又は複数から場合により選択されるCD40アゴニストであり、前記癌が、黒色腫、膵臓癌腫、中皮腫、及び血液癌の一つ又は複数から場合により選択され、場合によりリンパ腫、例えば非ホジキンリンパ腫などである;
前記アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、INCAGN01876、DTA-1及びMEDI1873の一つ又は複数から場合により選択されるGITRアゴニストである;
前記アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、ウトミルマブ、及び4-1BBリガンドの一つ又は複数から場合により選択されるCD137アゴニストである;
前記アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、バルリルマブ、及びCDX-1127(1F5)の一つ又は複数から場合により選択されるCD27アゴニストである;
前記アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、及びTAB08の一つ又は複数から場合により選択されるCD28アゴニストである;ならびに/あるいは
前記アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンドの一つ又は複数から場合により選択されるHVEMアゴニストである、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記癌ワクチンが、オンコファージ、ヒトパピローマウイルスHPVワクチン、場合により、Gardasil又はCervarix、B型肝炎ワクチン、場合により、Engerix-B、Recombivax HB、又はTwinrix、及びsipuleucel-T(Provenge)の一つ又は複数から選択される、あるいは、ヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例、VEGF-A)VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファフェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児性抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通型糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(又はCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10B又はTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌腫抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝臓ホスファターゼ3(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍上に発現されるジシアロガングリオシド)、グリピカン-3(GPC3)、及びメソテリンの一つ又は複数から選択される癌抗原を含み、場合により、前記対象が、対応する癌抗原を含む癌を有する、又は有するリスクがある、請求項37に記載の方法。
【請求項45】
前記腫瘍溶解性ウイルスが、タリモジェンラヘルパレプベック(T-VEC)、コクサッキーウイルスA21(CAVATAK(商標))、オンコリン(H101)、ペラレオレプ(REOLYSIN(登録商標))、セネカバレーウイルス(NTX-010)、セネカウイルスSVV-001、ColoAd1、SEPREHVIR(HSV-1716)、CGTG-102(Ad5/3-D24-GMCSF)、GL-ONC1、MV-NIS、及びDNX-2401の一つ又は複数から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項46】
前記サイトカインが、インターフェロン(IFN)-α、IL-2、IL-12、IL-7、IL-21及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の一つ又は複数から選択される、請求項37記載の方法。
【請求項47】
前記細胞ベースの免疫療法剤は、癌抗原特異的T細胞、場合により、エクスビボ由来T細胞を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項48】
前記癌抗原特異的T細胞が、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞、及びT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、及びペプチド誘導T細胞の一つ又は複数から選択される、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも一つの化学療法剤が、アルキル化剤、抗代謝剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(1型又はII型)、及び抗微小管剤の一つ又は複数から選択される、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記アルキル化剤が、窒素マスタード(場合により、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、及びブスルファン)、ニトロソ尿素(場合により、N-ニトロソ-N-メチル尿素(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチン、及びストレプトゾトシン)、テトラジン(場合により、ダカルバジン、ミトゾロミド、及びテモゾロミド)、アジリジン(場合により、チオテパ、マイトマイシン、及びジアジコン(AZQ))、シスプラチン及びその誘導体(場合により、カルボプラチン及びオキサリプラチン)、ならびに非古典的アルキル化剤(場合により、プロカルバジン及びヘキサメチルメラミン)の一つ又は複数から選択される;
前記抗代謝剤が、抗葉酸(場合により、メトトレキサート及びペメトレキセド)、フルオロピリミジン(場合により、5-フルオロウラシル及びカペシタビン)、デオキシヌクレオシド類似体(場合により、アシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、及びペントスタチン)、及びチオプリン(場合により、チオグアニン及びメルカプトプリン)の一つ又は複数から選択される;
前記細胞傷害性抗生物質が、アントラサイクリン(場合により、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、及びミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、及びアクチノマイシンの一つ又は複数から選択される;
前記トポイソメラーゼ阻害剤が、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロン、及びアクラルビシンの一つ又は複数から選択される;ならびに/あるいは
前記抗微小管剤が、タキサン(場合によりパクリタキセル及びドセタキセル)及びビンカアルカロイド(場合によりビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)の一つ又は複数から選択される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも一つのホルモン治療剤が、ホルモンアゴニスト又はホルモンアンタゴニストである、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記ホルモンアゴニストが、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(場合により、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、又はデキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来の血管新生因子及びリンパ管新生因子(場合により、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲン、ならびにソマトスタチン類似体の一つ又は複数から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記ホルモンアンタゴニストが、ホルモン合成阻害剤、場合により、アロマターゼ阻害剤又はゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)又はその類似体、及びホルモン受容体アンタゴニスト、場合により、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)又は抗アンドロゲン、あるいはホルモン受容体に対して向けられた抗体、場合により、シクスツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、ロバツムマブ、アラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、ナキシタマブ、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、ザルツムマブ、アプルツマブイクサドチン、ベマリツズマブ、オララツマブ、あるいはトベツマブの一つ又は複数から選択される、請求項51に記載の方法。
【請求項54】
前記キナーゼ阻害剤が、アダボセルチブ、アファニチブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エントレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブ、及びベムアフェニブの一つ又は複数から選択される、請求項34~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記癌が原発性癌である、請求項30~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記癌が、転移性癌、場合により、NRP2a及び/又はNRP2bを発現する転移性癌である、請求項30~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記癌が、黒色腫(例、転移性黒色腫)、膵臓癌、骨癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、中皮腫、白血病(例、リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、再発性急性骨髄性白血病)、リンパ腫、肝細胞癌(肝細胞癌腫)、肉腫、B細胞悪性腫瘍、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、神経膠腫、多形神経膠芽腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、原始神経外胚葉腫瘍(髄芽腫)、腎臓癌(例、腎細胞癌腫)、膀胱癌、子宮癌、食道癌、脳癌、頭頸部癌、子宮頸癌、精巣癌、甲状腺癌、及び胃癌の一つ又は複数から選択される、請求項30~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記転移性癌が、
(a)骨、肝臓、及び/又は肺に転移した膀胱癌;
(b)骨、脳、肝臓、及び/又は肺に転移した乳癌;
(c)肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した結腸直腸癌;
(d)副腎、骨、脳、肝臓、及び/又は肺に転移した腎臓癌;
(e)副腎、骨、脳、肝臓、及び/又は他の肺部位に転移した肺癌;
(f)骨、脳、肝臓、肺、及び/又は皮膚/筋肉に転移した黒色腫;
(g)肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した卵巣癌;
(h)肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した膵臓癌;
(i)副腎、骨、肝臓、及び/又は肺に転移した前立腺癌;
(j)肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した胃癌;
(l)骨、肝臓、及び/又は肺に転移した甲状腺癌;ならびに
(m)骨、肝臓、肺、腹膜、及び/又は膣に転移した子宮癌の一つ又は複数から選択される、請求項56又は57に記載の方法。
【請求項59】
(a)請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片;及び、場合により、
(b)癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及びキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも一つの追加の薬剤を含む、患者ケアキット。
【請求項60】
(a)及び(b)が別々の治療用組成物中にある、請求項59に記載の患者ケアキット。
【請求項61】
(a)及び(b)が同じ治療用組成物中にある、請求項59に記載の患者ケアキット。
【請求項62】
前記少なくとも一つの化学療法剤が、アルキル化剤、抗代謝剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(1型又はII型)、及び抗微小管剤の一つ又は複数から選択される、請求項59~61のいずれか一項に記載の患者ケアキット。
【請求項63】
請求項1~21のいずれか一項に記載の抗体、又はその抗原結合断片、及び細胞表面上にヒトNRP2ポリペプチドを発現する宿主細胞株を含む、バイオアッセイ系。
【請求項64】
前記NRP2ポリペプチドが、検出可能な標識を用いて標識される、請求項63に記載のバイオアッセイ系。
【請求項65】
前記抗体、又はその抗原結合断片が、検出可能な標識を用いて標識される、請求項63又は64に記載のバイオアッセイ系。
【請求項66】
前記NRP2ポリペプチドが、読み出し又はインジケータ、例えば前記NRP2ポリペプチドの生物学的活性の蛍光又は発光インジケータなどに機能的に共役される、請求項63~35のいずれか一項に記載のバイオアッセイ系。
【請求項67】
前記NRP2ポリペプチドが、表N1、場合によりNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドから選択される、請求項63~66のいずれか一項に記載のバイオアッセイ系。
【請求項68】
少なくとも一つのNRP2aリガンド、場合により表L1又は表L2から選択されるNRP2aリガンドを含み、場合により、前記宿主細胞が、前記少なくとも一つのNRP2aリガンドを発現する、請求項63~67のいずれか一項に記載のバイオアッセイ系。
【請求項69】
ヒトニューロピリン2a(NRP2a)ポリペプチド、少なくとも一つのNRP2aリガンド、及び請求項1~21のいずれか一項に記載されるヒトもしくはヒト化抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片を発現する細胞を含み、前記NRP2aポリペプチドと前記少なくとも一つのNRP2aリガンドの間での相互作用を調節する、検出系。
【請求項70】
前記抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片が、検出可能な標識を用いて標識される、請求項69に記載の検出系。
【請求項71】
前記NRP2aポリペプチドが、表N1から選択されるNRP2aバリアント1及び/又はバリアント2ポリペプチドである、請求項69又は70に記載の検出系。
【請求項72】
前記少なくとも一つのNRP2aリガンドが、表L1又は表L2から選択される、請求項69~71のいずれか一項に記載の検出系。
【請求項73】
前記NRP2aポリペプチド及び/又は前記少なくとも一つのNRP2aリガンドが、読み出し又はインジケータ、例えば前記NRP2aポリペプチド又は前記少なくとも一つのNRP2aリガンドの生物学的活性の蛍光又は発光インジケータなどに機能的に共役される、請求項69~72のいずれか一項に記載の検出系。
【請求項74】
少なくとも一つの細胞が、請求項1~21のいずれか一項に記載のヒトもしくはヒト化抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片をコードする一つ又は複数のポリヌクレオチドを含む、操作された細胞集団を含み、前記細胞が、無血清培地中で成長させることが可能である、細胞組成物。
【請求項75】
請求項1~21のいずれか一項に記載のヒトもしくはヒト化抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片と、少なくとも一つの細胞が、前記抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片をコードする一つ又は複数のポリヌクレオチドを含む、操作された細胞集団と、少なくとも約10リットルの無血清成長培地と、滅菌容器と、を含む、細胞成長デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年10月27日に出願された米国仮特許出願第63/272,374号の35 U.S.C.§ 119(e)の下の利益を主張し、それは、その全体において参照により組み入れられる。
【0002】
配列表に関する記述
本出願に関連付けられる配列表XMLは、XMLファイルフォーマット中で提供され、参照により本明細書中に組み入れられる。配列表XMLを含むXMLファイルの名前は、ATYR_137_01WO_ST26.xmlである。XMLファイルは約222,086バイトであり、2022年10月26日に作成され、USPTO特許センターを介して電子的に提出されている。
【0003】
本開示は、NRP2bアイソフォームと比べて、ヒトニューロピリン-2a(NRP2a)バリアント1(v1)及び/又はバリアント2(v2)アイソフォームに優先的又は選択的に結合し、ヒトNRP2a v1/v2リガンドと下流シグナル伝達事象の間での結合相互作用を選択的に調節する、抗体及びその抗原結合断片に関する。また、含まれるのは、疾患、例えば癌ならびに炎症性及び自己免疫疾患などを治療するための関連する治療用組成物及び方法である。
【背景技術】
【0004】
関連技術の説明
NRP2は、FLT-4、KDR、及びcMETなどの成長因子受容体を含む、多数の他の形質膜受容体とヘテロ二量体複合体を形成する単一通過膜貫通タンパク質(Nararre et al.,(2014)OncoTargets and Therapy doi:10.2147/OTT.S377744)、ならびにインテグリン及び他のシグナル伝達系(Goel et al.,J.Cell Sci 125 597-506,2012)である。NRP2の細胞外ドメインは、VEGF及びセマホリンファミリーのリガンドに結合する一方で、その短い細胞内ドメインは、様々なタンパク質-タンパク質相互作用において関与する。これらの相互作用は、細胞が、変化する環境及び細胞ストレスに迅速に応答し、適応することを可能にする他のプロセスの間で、細胞可塑性を促進するために、成長因子受容体、インテグリン、及び他の共受容体の細胞内輸送及びシグナル伝達出力を増強又は調節するように思われる(Favier et al.,Blood doi:10.1182/ blood-2005-11-4447)。
【0005】
NRP2は、典型的には、様々な密接に関連するスプライスバリアントの混合物としてインビボで発現され、それは、典型的には、バリアントv1、v2、及びv3を含むNRP2a、ならびにバリアントv4及びv5を含むNRP2bとして一緒にグループ化される。バリアントv6は、循環内に見出されるNRP2の可溶性形態である。NRP2a及びNRP2bは、それらの表面曝露ドメインの大部分(しかし、全てではない)にわたって配列同一性を共有する一方で、NRP2a及びNRP2bバリアントは、それらの膜近傍領域、膜貫通領域、及び細胞内C末端領域において有意に異なる。NRP2aの全ての三つのスプライスバリアントにおいて、固有のc末端ドメインは、42のアミノ酸、及びC末端SEAアミノ酸配列モチーフを伴う細胞内PDZ結合ドメインを含む。対照的に、NRP2bの二つのスプライスバリアントは、C末端SEAを欠く46のアミノ酸細胞質ドメイン領域を含む。NRP2a及びNRP2bは、それらの細胞内配列、膜近傍配列、及び膜貫通配列の間で約11%の配列相同性のみを共有する。
【0006】
増加するエビデンスは、NRP2のNRP2a及びNRP2bスプライスバリアントが、細胞内局在化及びシグナル伝達の差次的パターンに向けて、細胞機能を調節する際に、異なる役割を果たすことを示唆する。新たなデータは、特定の組織においてNRP2a及びNRP2bの発現の比率が、正常状態及び病態生理状態の両方において、細胞ストレス及び活性化状態に基づいて、経時的に変動することを示唆する。したがって、NRP2a及びNRP2b選択抗体の開発は、新世代の、より選択的で強力な治療剤及び診断剤を開発する機会を提供する。
しかし、アイソフォーム特異的治療試薬及び診断試薬を開発することへの主な限定は、適切なアイソフォーム選択的抗体、高親和性抗体、及び機能遮断抗体の欠如であった。この限定は、本明細書中に記載されるNRP2a特異的抗体の開発及び検証により克服されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Nararre et al.,(2014)OncoTargets and Therapy doi:10.2147/OTT.S377744
【非特許文献2】Goel et al.,J.Cell Sci 125 597-506,2012
【非特許文献3】Favier et al.,Blood doi:10.1182/ blood-2005-11-4447
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の実施形態は、抗体又は、その抗原結合断片を含み、それは、表N2から選択される配列の約又は少なくとも約8、9、10、11、又は12もしくはそれ以上の連続アミノ酸を含む、表N2から選択される配列を含む、それからなる、又はそれから本質的になるエピトープでニューロピリン-2A(NRP2a)バリアント1(v1)又はバリアント2(v2)ポリペプチドに結合する。一部の実施形態では、エピトープは、配列番号96~104から選択される配列の約又は少なくとも約8、9、10、11、又は12の連続アミノ酸を含む、配列番号96~104から選択される配列を含む、それからなる、又はそれらから本質的になる。特定の実施形態では、エピトープは、配列番号100、あるいは配列番号100の約又は少なくとも約8、9、10、11、又は12の連続アミノ酸を含む、それからなる、又はそれから本質的になる。
【0009】
特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)配列ならびに相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)配列を含み、それにおいて:
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号13、127、及びGXを含み(それにおいて、XはG、A、又はSであり、XはY、F、K、L、又はRであり、XはT、A、G、I、L、Q、又はVであり、XはD、A、G、K、N、Q、R、又はSであり、及びXはY、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、Q、R、S、T、又はVである)、ならびにVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号16、17、及びX10111213を含む(それにおいて、XはS、A、G、I、L、P、T、又はVであり、XはQ、A、G、R、又はSであり、XはS、A、H、K、L、Q、又はTであり、XはT、F、G、H、I、K、L、N、Q、R、S、V、又はYであり、X10はH、A、D、E、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、又はYであり、X11はV、A、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、又はYであり、X12はL、A、E、H、I、N、P、Q、S、T、又はVであり、及びX13はT、A、D、E、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、又はVである);
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号130~132を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号133~135を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号136~138を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号139~141を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号142~144を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号145~147を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号148~150を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号151~153を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号154~156を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号157~159を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号1~3を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号4~6を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号7~9を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号10~12を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号13~15を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号16~18を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号19~21を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号22~24を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号25~27を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号28~30を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号31~33を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号34~36を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号37~39を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号40~42を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号43~45を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号46~48を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号49~51を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号52~54を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号55~57を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号58~60を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;又は
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号61~63を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号64~66を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む。
【0010】
特定の実施形態では、
VH配列が配列番号170を含み、VL配列が配列番号171を含む;
VH配列が、配列番号160と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号161と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号162と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号163と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号164と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号165と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号166と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号167と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号168と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号169と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号67と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号68と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号69と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号70と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号71と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号72と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号73と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号74と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号75と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号76と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号77と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号78と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号79と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号80と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号81と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号82と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号83と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号84と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号85と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号86と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;又は
VH配列が、配列番号87と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号88と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である。
【0011】
一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、ヒトニューロピリン-2B(NRP2b)バリアント4(v4)ポリペプチド、及び/又はヒトNRP2bバリアント5(v5)ポリペプチドに実質的に結合しない。一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、NRP2a v1もしくはv2ポリペプチド、又はエピトープに約10pM~約500pMもしくは約50nMまで、又は約、少なくとも約、もしくは約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、又は50nM以下の親和性を伴って、あるいは、場合により、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、又は約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、又は約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、又は約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、又は約25nM~約50nMの範囲の親和性を伴って結合する。
【0012】
特定の実施形態では、NRP2a v1又はv2ポリペプチドについての抗体、又はその抗原結合断片の結合親和性は、NRP2b v4ポリペプチド、及び/又はNRP2b v5ポリペプチドについてのその結合親和性よりも少なくとも約1.5倍、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、40倍、60倍、80倍、100倍、200倍、400倍、600倍、800倍、又は1000倍強い。
【0013】
一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、NRP2a v1又はv2ポリペプチドとそのリガンドの間での結合を遮断する、又は他の方法で低下させ、場合により、それにおいて、リガンドは表L1又は表L2から選択される。一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、場合によりインビトロ結合アッセイ、インビトロもしくはエクスビボ細胞ベースのアッセイ、又はインビボにおいて、NRP2a v1又はv2ポリペプチドとケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド21(CCL21)ポリペプチドの間での結合を遮断する、又は他の方法で低下させる。一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、対照又は参照と比べて、約又は少なくとも約20~100%又はそれ以上(場合により約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%もしくはそれ以上)だけ、NRP2a v1又はv2ポリペプチドとCCL21ポリペプチドの間での結合を遮断する、又は他の方法で低下させる。特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、場合によりインビトロ結合アッセイ、インビトロもしくはエクスビボ細胞ベースのアッセイ、又はインビボで、NRP2a v1もしくはv2ポリペプチドとC-Cケモカイン受容体7型(CCR7)ポリペプチドの間での二量体化を含む結合を遮断する、又は他の方法で低下させる。特定の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、対照又は参照と比べて、約又は少なくとも約20~100%又はそれ以上(場合により約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%もしくはそれ以上)だけ、NRP2a v1又はv2ポリペプチドとCCR7ポリペプチドの間での二量体化を含む結合を遮断する、又は他の方法で低下させる。
【0014】
一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、対照又は参照と比べて、場合により、約又は少なくとも約20~100%又はそれ以上(場合により約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%もしくはそれ以上)だけ、NRP2a v1又はv2ポリペプチドとCCL21及び/又はCCR7ポリペプチドの間でのシグナル伝達活性を調節する(場合により拮抗する)。特定の実施形態では、シグナル伝達活性は、免疫細胞移動、場合により樹状細胞もしくは成熟T細胞の誘導を含み、それにおいて、抗体、又はその抗原結合断片は、シグナル伝達活性を低下させる;ならびに/あるいは、それにおいて、シグナル伝達活性は、腫瘍細胞移動の誘導を含み、ならびに、それにおいて、抗体、又はその抗原結合断片は、シグナル伝達活性を低下させる。
【0015】
一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、IgA(サブクラスIgA1及びIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む)、又はIgM Fcドメイン、場合によりヒトFcドメイン、あるいはそのハイブリッド及び/又はバリアントを含む。一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、ヒトにおいて高いエフェクター機能を伴うIgG Fcドメイン、場合によりIgG1もしくはIgG3 Fcドメインを含み;又はそれは、ヒトにおいて低いエフェクター機能を伴うIgG Fcドメイン、場合によりIgG2もしくはIgG4 Fcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、場合により表F1から選択されるIgG1又はIgG4 Fcドメインを含む。
【0016】
特定の実施形態は、モノクローナル抗体、ヒト化抗体、Fv断片、一本鎖Fv(scFv)ポリペプチド、アドネクチン、アンチカリン、アプタマー、アビマー、ラクダ科抗体、設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)、ミニボディ、ナノボディ、及び/又はユニボディを含む。
【0017】
また、含まれるのは、本明細書中に記載されるように、医薬的に許容可能な担体及び抗体、又はその抗原結合断片を含む治療用組成物である。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも一つの抗体、又はその抗原結合断片に関して、タンパク質ベースで少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の純度を有し、実質的に凝集体を含まない。一部の実施形態では、治療用組成物は、実質的にエンドトキシンを含まない。一部の実施形態では、治療用組成物は、場合により静脈内、筋肉内、皮下、又は腹腔内投与のために適切な滅菌注射溶液である。癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及びキナーゼ阻害剤の一つ又は複数から選択される少なくとも一つの追加の薬剤をさらに含む、特定の治療用組成物及び方法。
【0018】
また、含まれるのは、本明細書中に記載される治療用組成物を対象に投与することを含む、それを必要とする対象において疾患又は状態を治療する方法である。一部の実施形態では、疾患又は状態は、ニューロピリン2(NRP2)関連疾患又は状態、場合によりNRP2a関連疾患又は状態である。一部の実施形態では、疾患又は状態は、癌、炎症性疾患、自己免疫疾患、リンパ性疾患又は関連付けられる状態、線維性疾患、及び低下した平滑筋収縮性に関連付けられる疾患から選択される。
【0019】
特定の実施形態では、疾患は癌であり、場合により、癌は、NRP2を発現又は過剰発現し、場合により、癌は、NRP2依存的成長、NRP2依存的接着、NRP2依存的遊走、及び/又はNRP2依存的浸潤を呈する。特定の実施形態では、癌は、NRP2を発現又は過剰発現するが、しかし、ニューロピリン-1(NRP1)を実質的に発現しない。特定の方法は、それを必要とする対象において癌の再出現を低下又は予防するためであって、治療用組成物の投与によって、癌への免疫記憶の生成が可能になる。一部の実施形態では、対象はリンパ浮腫を有する。
【0020】
特定の実施形態は、対象に、癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及びキナーゼ阻害剤の一つ又は複数から選択される少なくとも一つの追加の薬剤を投与することを含む。一部の実施形態では、少なくとも一つの抗NRPa2抗体又はその抗原結合断片及び少なくとも一つの薬剤は、別々の組成物として別々に投与される。一部の実施形態では、少なくとも一つの抗NRP2抗体及び少なくとも一つの薬剤は、同じ治療用組成物の一部として、場合により、本明細書中に記載される治療用組成物として一緒に投与される。
【0021】
一部の実施形態では、癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント調節剤、癌ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカイン、及び細胞ベースの免疫療法の一つ又は複数から選択される。特定の実施形態では、免疫チェックポイント調節剤は、ポリペプチド、場合により抗体もしくはその抗原結合断片、又はリガンド、又は小分子である。一部の実施形態では、免疫チェックポイント調節剤は、
(a)阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニスト;又は
(b)刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストを含み、
場合により、免疫チェックポイント調節剤は、免疫チェックポイント分子に特異的に結合する。
【0022】
一部の実施形態では、阻害性免疫チェックポイント分子が、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死1(PD-1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、B及びTリンパ球減衰因子(BTLA)、CD160、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)、ならびにIg及びITIMドメインを伴うT細胞免疫受容体(TIGIT)の一つ又は複数から選択される。特定の実施形態では、
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)、及びデュルバルマブ(MEDI4736)の一つ又は複数から場合により選択されるPD-L1及び/又はPD-L2アンタゴニストであり、場合により、癌は、結腸直腸癌、黒色腫、乳癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、及び腎細胞癌の一つ又は複数から選択される;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、ニボルマブ、ペムブロリズマブ、MK-3475、AMP-224、AMP-514PDR001、及びピジリズマブの一つ又は複数から場合により選択されるPD-1アンタゴニストであり、場合により、PD-1アンタゴニストがニボルマブであり、癌が、ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌、腎細胞癌、及び卵巣癌の一つ又は複数から場合により選択される;
PD-1アンタゴニストがペムブロリズマブであり、癌が、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、及び尿路上皮癌の一つ又は複数から場合により選択される;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、イピリムマブ、トレメリムマブの一つ又は複数から場合により選択されるCTLA-4アンタゴニストであり、場合により、癌が、黒色腫、前立腺癌、肺癌、及び膀胱癌の一つ又は複数から選択される;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、インドキシモド(NLG-8189)、1‐メチル‐トリプトファン(1MT)、β‐カルボリン(ノルハルマン;9H‐ピリド[3,4‐b]インドール)、ロスマリン酸、及びエパカドスタットの一つ又は複数から場合により選択されるIDOアンタゴニストであり、癌は転移性乳癌及び脳癌の一つ又は複数から場合により選択され、場合により多形神経膠芽腫、神経膠腫、神経膠肉腫又は悪性脳腫瘍である;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、680C91、及びLM10の一つ又は複数から場合により選択されるTDOアンタゴニストである;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子の一つ又は複数から場合により選択されるTIM-3アンタゴニストである;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子、及びBMS-986016の一つ又は複数から場合により選択されるLAG-3アンタゴニストである;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子の一つ又は複数から場合により選択されるVISTAアンタゴニストである;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子の一つ又は複数から場合により選択されるBTLA、CD160、及び/又はHVEMアンタゴニストである;
アンタゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子の一つ又は複数から場合により選択されるTIGITアンタゴニストである。
【0023】
一部の実施形態では、刺激性免疫チェックポイント分子は、OX40、CD40、グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、CD28、CD226、及びヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)の一つ又は複数から選択される。特定の実施形態では、
アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、OX86、Fc-OX40L、及びGSK3174998の一つ又は複数から場合により選択されるOX40アゴニストである;
アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、CP-870,893、ダセツズマブ、Chi Lob 7/4、ADC-1013、及びrhCD40Lの一つ又は複数から場合により選択されるCD40アゴニストであり、癌が、黒色腫、膵臓癌腫、中皮腫、及び血液癌の一つ又は複数から場合により選択され、場合によりリンパ腫、例えば非ホジキンリンパ腫などである;
アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、INCAGN01876、DTA-1及びMEDI1873の一つ又は複数から場合により選択されるGITRアゴニストである;
アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、ウトミルマブ、及び4-1BBリガンドの一つ又は複数から場合により選択されるCD137アゴニストである;
アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、バルリルマブ、及びCDX-1127(1F5)の一つ又は複数から場合により選択されるCD27アゴニストである;
アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンド、及びTAB08の一つ又は複数から場合により選択されるCD28アゴニストである;ならびに/あるいは
アゴニストが、抗体もしくは抗原結合断片、又はそれに特異的に結合する小分子もしくはリガンドの一つ又は複数から場合により選択されるHVEMアゴニストである。
【0024】
一部の実施形態では、癌ワクチンは、オンコファージ、ヒトパピローマウイルスHPVワクチン、場合により、Gardasil又はCervarix、B型肝炎ワクチン、場合により、Engerix-B、Recombivax HB、又はTwinrix、及びsipuleucel-T(Provenge)の一つ又は複数から選択される、あるいは、ヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3、C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例、VEGF-A)VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファフェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水酵素9(CA-IX)、癌胎児性抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通型糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(又はCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10B又はTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌腫抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝臓ホスファターゼ3(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewis-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍上に発現されるジシアロガングリオシド)、グリピカン-3(GPC3)、及びメソテリンの一つ又は複数から選択される癌抗原を含み、場合により、対象は、対応する癌抗原を含む癌を有する、又は有するリスクがある。
【0025】
一部の実施形態では、タリモジェンラヘルパレプベック(T-VEC)、コクサッキーウイルスA21(CAVATAK(商標))、オンコリン(H101)、ペラレオレプ(REOLYSIN(登録商標))、セネカバレーウイルス(NTX-010)、セネカウイルスSVV-001、ColoAd1、SEPREHVIR(HSV-1716)、CGTG-102(Ad5/3-D24-GMCSF)、GL-ONC1、MV-NIS、及びDNX-2401の一つ又は複数から選択される腫瘍溶解性ウイルス。一部の実施形態では、インターフェロン(IFN)-α、IL-2、IL-12、IL-7、IL-21及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)の一つ又は複数から選択されるサイトカイン。一部の実施形態では、細胞ベースの免疫療法剤は、癌抗原特異的T細胞、場合により、エクスビボ由来T細胞を含む。一部の実施形態では、癌抗原特異的T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞、及びT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、及びペプチド誘導T細胞の一つ又は複数から選択される。
【0026】
特定の実施形態では、少なくとも一つの化学療法剤は、アルキル化剤、抗代謝剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(1型又はII型)、及び抗微小管剤の一つ又は複数から選択される。一部の実施形態では、
アルキル化剤が、窒素マスタード(場合により、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、及びブスルファン)、ニトロソ尿素(場合により、N-ニトロソ-N-メチル尿素(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチン、及びストレプトゾトシン)、テトラジン(場合により、ダカルバジン、ミトゾロミド、及びテモゾロミド)、アジリジン(場合により、チオテパ、マイトマイシン、及びジアジコン(AZQ))、シスプラチン及びその誘導体(場合により、カルボプラチン及びオキサリプラチン)、ならびに非古典的アルキル化剤(場合により、プロカルバジン及びヘキサメチルメラミン)の一つ又は複数から選択される;
抗代謝剤が、抗葉酸(場合により、メトトレキサート及びペメトレキセド)、フルオロピリミジン(場合により、5-フルオロウラシル及びカペシタビン)、デオキシヌクレオシド類似体(場合により、アシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、及びペントスタチン)、及びチオプリン(場合により、チオグアニン及びメルカプトプリン)の一つ又は複数から選択される;
細胞傷害性抗生物質が、アントラサイクリン(場合により、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、及びミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、及びアクチノマイシンの一つ又は複数から選択される;
トポイソメラーゼ阻害剤が、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロン、及びアクラルビシンの一つ又は複数から選択される;ならびに/あるいは
抗微小管剤が、タキサン(場合によりパクリタキセル及びドセタキセル)及びビンカアルカロイド(場合によりビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)の一つ又は複数から選択される。
【0027】
一部の実施形態では、少なくとも一つのホルモン治療剤は、ホルモンアゴニスト又はホルモンアンタゴニストである。特定の実施形態では、ホルモンアゴニストは、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(場合により、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、又はデキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来の血管新生因子及びリンパ管新生因子(場合により、VEGF-A、VEGF-A145、VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、トランスフォーミング成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲン、ならびにソマトスタチン類似体の一つ又は複数から選択される。一部の実施形態では、ホルモンアンタゴニストが、ホルモン合成阻害剤、場合により、アロマターゼ阻害剤又はゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)又はその類似体、及びホルモン受容体アンタゴニスト、場合により、選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)又は抗アンドロゲン、あるいはホルモン受容体に対して向けられた抗体、場合により、シクスツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、ロバツムマブ、アラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブ、フレソリムマブ、メテリムマブ、ナキシタマブ、セツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、ザルツムマブ、アプルツマブイクサドチン、ベマリツズマブ、オララツマブ、あるいはトベツマブの一つ又は複数から選択される。
【0028】
一部の実施形態では、キナーゼ阻害剤が、アダボセルチブ、アファニチブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エントレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブ、及びベムアフェニブの一つ又は複数から選択される。
【0029】
一部の実施形態では、癌は原発性癌である。特定の実施形態では、癌は、転移性癌、場合により、NRP2a及び/又はNRP2bを発現する転移性癌である。
【0030】
一部の実施形態では、癌が、黒色腫(例、転移性黒色腫)、膵臓癌、骨癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、中皮腫、白血病(例、リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、再発性急性骨髄性白血病)、リンパ腫、肝細胞癌(肝細胞癌腫)、肉腫、B細胞悪性腫瘍、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、神経膠腫、多形神経膠芽腫、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、原始神経外胚葉腫瘍(髄芽腫)、腎臓癌(例、腎細胞癌腫)、膀胱癌、子宮癌、食道癌、脳癌、頭頸部癌、子宮頸癌、精巣癌、甲状腺癌、及び胃癌の一つ又は複数から選択される。
【0031】
一部の実施形態では、転移性癌は、以下の一つ又は複数から選択される:
(a)骨、肝臓、及び/又は肺に転移した膀胱癌;
(b)骨、脳、肝臓、及び/又は肺に転移した乳癌;
(c)肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した結腸直腸癌;
(d)副腎、骨、脳、肝臓、及び/又は肺に転移した腎臓癌;
(e)副腎、骨、脳、肝臓、及び/又は他の肺部位に転移した肺癌;
(f)骨、脳、肝臓、肺、及び/又は皮膚/筋肉に転移した黒色腫;
(g)肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した卵巣癌;
(h)肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した膵臓癌;
(i)副腎、骨、肝臓、及び/又は肺に転移した前立腺癌;
(j)肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した胃癌;
(l)骨、肝臓、及び/又は肺に転移した甲状腺癌;ならびに
(m)骨、肝臓、肺、腹膜、及び/又は膣に転移した子宮癌。
【0032】
また、含まれるのは、以下を含む患者ケアキットである:
(a)本明細書中に記載される抗体、又はその抗原結合断片;及び場合により、
(b)癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及びキナーゼ阻害剤から選択される少なくとも一つの追加の薬剤。
【0033】
一部の実施形態では、(a)及び(b)は、別々の治療用組成物中にある。一部の実施形態では、(a)及び(b)は、同じ治療用組成物中にある。一部の実施形態では、少なくとも一つの化学療法剤は、アルキル化剤、抗代謝剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(1型又はII型)、及び抗微小管剤の一つ又は複数から選択される。
【0034】
特定の実施形態は、本明細書中に記載される抗体、又はその抗原結合断片を含むバイオアッセイ系、及び細胞表面上にヒトNRP2ポリペプチドを発現する宿主細胞株を含む。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、検出可能な標識を用いて標識される。一部の実施形態では、抗体、又はその抗原結合断片は、検出可能な標識を用いて標識される。一部の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、読み出し又はインジケータ、例えばNRP2ポリペプチドの生物学的活性の蛍光又は発光インジケータなどに機能的に共役される。特定の実施形態では、NRP2ポリペプチドは、表N1、場合によりNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドから選択される。特定のバイオアッセイ系は、少なくとも一つのNRP2aリガンド、場合により表L1又は表L2から選択されるNRP2aリガンドを含み、場合により、それにおいて、宿主細胞は、少なくとも一つのNRP2aリガンドを発現する。
【0035】
特定の実施形態は、ヒトニューロピリン2a(NRP2a)ポリペプチド、少なくとも一つのNRP2aリガンド、及び本明細書中に記載されるヒトもしくはヒト化抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片を発現する細胞を含む検出系を含み、それは、NRP2aポリペプチドと少なくとも一つのNRP2aリガンドの間での相互作用を調節する。一部の実施形態では、抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片は、検出可能な標識を用いて標識される。一部の実施形態では、NRP2aポリペプチドは、表N1から選択されるNRP2aバリアント1及び/又はバリアント2ポリペプチドである。一部の実施形態では、少なくとも一つのNRP2aリガンドは、表L1又は表L2から選択される。一部の実施形態では、NRP2aポリペプチド及び/又は少なくとも一つのNRP2aリガンドは、読み出し又はインジケータ、例えばNRP2aポリペプチド又は少なくとも一つのNRP2aリガンドの生物学的活性の蛍光又は発光インジケータなどに機能的に共役される。
【0036】
また、含まれるのは、少なくとも一つの細胞が、本明細書中に記載されるヒトもしくはヒト化抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片をコードする一つ又は複数のポリヌクレオチドを含む、操作された細胞集団を含む細胞組成物であって、それにおいて、細胞は無血清培地中で成長させることが可能である。
【0037】
一部の実施形態は、本明細書中に記載されるヒトもしくはヒト化抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片を含む細胞成長デバイス、少なくとも一つの細胞が、当該抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片をコードする一つ又は複数のポリヌクレオチドを含む、操作された細胞集団、少なくとも約10リットルの無血清増殖培地、及び滅菌容器を含む。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、NRP2a v1/v2とCCL21及びCCR7との相互作用のモデルを示す。NRP2a v3及びNRP2b v4/v5は、部分的には、これらのNRP2アイソフォームが膜近傍ドメイン内にCCL21相互作用配列を欠くため、CCL21又はCCR7と有意に相互作用しない。
図2A図2A~2Eは、CCL21又はCCL19の存在における、NRP2a v1/v2アイソフォームとCCR7の間での会合を示す。
図2B】同上。
図2C】同上。
図2D】同上。
図2E】同上。
図3A図3A~3Eは、NRP2a及びCCR7のリガンド誘導性二量体化に関するNRP2aのCCL21結合部位における変異の効果を示す。
図3B】同上。
図3C】同上。
図3D】同上。
図3E】同上。
図4A図4A~4Cは、ヒト及びマウスNRP2A(4A)、ヒトNRP2a及びNRP2b(4B)、ならびにヒトNRP2a v2及びNRP2a v3(4C)への抗体の相対的結合を示す。
図4B】同上。
図4C】同上。
図5A図5A~5Dは、NRP2a/CCR7-CCL21誘導受容体二量体化を遮断する抗体の能力を示す。
図5B】同上。
図5C】同上。
図5D】同上。
図6図6は、例示的な抗NRP2a抗体エピトープ(配列番号95(NRP2a)、及び対応する相同マウス配列、配列番号124(mNRP2a))の配列解析を示す。
図7A図7A~7Bは、インビボ樹状細胞遊走アッセイのワークフロー(7A)及びゲーティング戦略(7B)を示す。
図7B】同上。
図7C図7Cは、野生型マウスと比べた、NRP2 KOのリンパ節におけるFITC+樹状細胞の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が属する当業者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中に記載されるものと類似又は等価の任意の方法、材料、組成物、試薬、細胞を、本開示の主題の実施又はテストにおいて使用することができるが、好ましい方法及び材料が記載される。全ての刊行物及び参考文献は、限定されないが、本明細書中に引用される特許及び特許出願を含むが、各個々の刊行物又は参考文献が、完全に記載されるものとして参照により本明細書中に組み入れられることが具体的かつ個別に示されているかのように、それらの全体において参照により本明細書中に組み入れられる。本出願が優先権を主張する任意の特許出願はまた、刊行物及び参考文献について上に記載される様式において、その全体において参照により本明細書中に組み入れられる。
【0040】
標準的な技術が、組換えDNA、オリゴヌクレオチド合成、ならびに組織培養及び形質転換(例、エレクトロポレーション、リポフェクション)において使用され得る。酵素反応及び精製技術は、製造業者の仕様に従って、又は当技術分野において一般に達成される、又は本明細書中に記載されるように実施され得る。これら及び関連する技術及び手順は、当技術分野において周知の従来的な方法に従って、及び本明細書全体を通して引用及び考察される様々な一般的及びより具体的な参考文献において記載されるように、一般的に実施され得る。具体的な定義が提供されない限り、本明細書中に記載される分子生物学、分析化学、合成有機化学、ならびに医薬及び医薬化学との関連において利用される命名法、ならびにそれらの実験室手順及び技術は、当技術分野において周知であり、一般に使用されるものである。標準的な技術は、組換え技術、分子生物学的、微生物学的、化学合成、化学分析、医薬調製、製剤化、及び送達、ならびに患者の治療のために使用され得る。
【0041】
本開示の目的のために、以下の用語が以下に定義される。
【0042】
冠詞「a」及び「an」は、本明細書中では、物品の文法的な物体の一つ又は一つを上回る(即ち、少なくとも一つ)を指すために使用される。一例として、「要素」は、「一つの要素」、「一つ又は複数の要素」、及び/又は「少なくとも一つの要素」を含む。
【0043】
「約」により、基準量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量又は長さに対して20、15、10、9、8、7、6、5、4、3、2又は1%ほど変動する量、レベル、値、数、頻度、パーセンテージ、寸法、サイズ、量、重量又は長さを意味する。
【0044】
用語「抗原」は、選択的結合剤、例えば抗体などにより結合されることが可能で、加えて、動物において使用されて、その抗原のエピトープに結合することが可能な抗体を産生することが可能な分子又は分子の一部を指す。抗原は、一つ又は複数のエピトープを有し得る。本明細書中で使用される場合、用語「抗原」は、適した条件下で、物質に対する免疫応答を誘導し、免疫応答の産物と反応することが可能である物質を含む。例えば、抗原は、抗体(液性免疫応答)もしくは感作Tリンパ球(Tヘルパー又は細胞媒介性免疫応答)、又はその両方により認識されることができる。抗原は、可溶性物質、例えば毒素及び外来タンパク質など、又は粒子、例えば細菌及び組織細胞などであり得るが;しかし、抗原決定基(エピトープ)として公知のタンパク質又は多糖分子の部分のみが、リンパ球上の抗体又は特定の受容体と組み合わされる。より広くは、用語「抗原」は、その物質が免疫原性であるか否かにかかわらず、抗体が結合する、又は抗体が望ましい任意の物質を含む。そのような抗原については、抗体は、任意の免疫応答とは独立的に、組換え方法により同定することができる。
【0045】
「アンタゴニスト」は、別の薬剤又は分子の生理学的作用に干渉する、又はそうでなければそれを低下させる生物学的構造又は化学薬剤を指す。一部の例では、アンタゴニストは、他の薬剤又は分子に特異的に結合する。含まれるのは、完全及び部分アンタゴニストである。
【0046】
「アゴニスト」は、別の薬剤又は分子の生理学的作用を増加又は増強する生物学的構造又は化学薬剤を指す。一部の例では、アゴニストは、他の薬剤又は分子に特異的に結合する。含まれるのは、完全及び部分アゴニストである。
【0047】
用語「アネルギー」は、抗原による再刺激に対するT細胞、又はB細胞の応答の機能的不活性化を指す。
【0048】
本明細書中で使用される場合、用語「アミノ酸」は、天然及び非天然アミノ酸の両方、ならびにアミノ酸類似体及び模倣体を意味することが意図される。天然アミノ酸は、タンパク質生合成中に利用される20の(L)アミノ酸、ならびに、例えば、他、例えば4-ヒドロキシプロリン、ヒドロキシリジン、デスモシン、イソデスモシン、ホモシステイン、シトルリン、及びオルニチンなどを含む。非天然アミノ酸は、例えば、(D)-アミノ酸、ノルロイシン、ノルバリン、p-フルオロフェニルアラニン、エチオニン及び同様のものを含み、それらは、当業者に公知である。アミノ酸類似体は、天然及び非天然アミノ酸の修飾形態を含む。そのような修飾は、例えば、アミノ酸上の化学基及び部分の置換もしくは交換を含み得る、又はアミノ酸の誘導体化により得る。アミノ酸模倣体は、例えば、機能的に類似した特性、例えば参照アミノ酸の電荷及び電荷間隔特徴などを示す有機構造を含む。例えば、アルギニン(Arg又はR)を模倣する有機構造は、類似の分子空間中に位置し、天然Argアミノ酸の側鎖のe-アミノ基と同じ程度の可動性を有する正電荷部分を有するであろう。模倣体はまた、アミノ酸の又はアミノ酸官能基の最適な間隔及び電荷相互作用を維持するように、制約された構造を含む。当業者は、どの構造が、機能的に等価なアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を構成するかを知っている、又は決定することができる。
【0049】
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、インタクトなポリクローナル又はモノクローナル抗体だけでなく、しかし、また、それらの断片(例えばdAb、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、一本鎖(scFv)、それらの合成バリアント、天然バリアント、要求される特異性の抗原結合断片を伴う抗体部分を含む融合タンパク質、ヒト化抗体、キメラ抗体、及び要求される特異性の抗原結合部位又は断片(エピトープ認識部位)を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成を含む。抗体(及びそれらの抗原結合断片)の特定の特色及び特徴は、本明細書中でより詳細に記載される。
【0050】
抗体又は抗原結合断片は、本質的に任意の種類であり得る。当技術分野において周知のように、抗体は、免疫グロブリン分子の可変領域中に位置する、少なくとも一つのエピトープ認識部位を通じて、標的、例えば免疫チェックポイント分子などに特異的に結合することが可能な免疫グロブリン分子である。
【0051】
本明細書中で使用される用語「抗原結合断片」は、目的の抗原に結合する免疫グロブリン重鎖及び/又は軽鎖の少なくとも一つのCDRを含むポリペプチド断片を指す。これに関して、本明細書中に記載される抗体の抗原結合断片は、標的分子に結合する抗体からのV及びV配列の1、2、3、4、5、又は全て6つのCDRを含み得る。
【0052】
抗体及びそれらの抗原結合断片の結合特性は、当技術分野において周知の方法を使用して定量化することができる(Davies et al.,Annual Rev.Biochem.59:439-473,1990を参照のこと)。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片が、標的分子、例えば、NRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド、あるいはそのエピトープ又は複合体に、約≦10-7M~約10-8Mである、又はその範囲である平衡解離定数を伴って特異的に結合する。一部の実施形態では、平衡解離定数は、約≦10-9M~約≦10-10Mである、又はその範囲である。特定の例証的な実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、約、少なくとも約、又は約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、又は50nM未満の、標的分子(それが特異的に結合する)についての親和性(Kd又はEC50)を有する。
【0053】
分子、例えばポリペプチド又は抗体などは、それが、代替的な細胞もしくは物質、又はエピトープとするよりも、より頻繁に、より迅速に、より大きな持続時間を伴って、及び/又はより大きな親和性を伴って、特定の細胞、物質、又は特定のエピトープと反応又は会合する場合、「特異的結合」又は「優先的結合」を示すと言われる。抗体は、それが、例えば、統計的に有意な量だけ、他の物質又はエピトープに結合するよりも大きな親和性、結合力を伴って、より容易に、及び/又はより大きな持続時間を伴って結合する場合、標的分子又はエピトープに「特異的に結合する」又は「優先的に結合する」。典型的には、特異的結合を示す一対の分子の一つのメンバーは、その表面上の領域、又は空洞を有し、それは、一対の分子の他のメンバーの特定の空間的及び/又は極性構造に特異的に結合し、従って、相補的である。このように、対のメンバーは、互いに特異的に結合する特性を有する。例えば、特定のエピトープに特異的又は優先的に結合する抗体は、それが他のエピトープに結合するよりも、より大きな親和性、結合力を伴って、より容易に、及び/又はより大きな持続時間を伴って、その特定のエピトープに結合する抗体である。また、例えば、第一の標的に特異的又は優先的に結合する抗体(又は部分もしくはエピトープ)が、第二の標的に特異的又は優先的に結合し得る、又はしないであろうということが、この定義を読むことにより理解される。この用語はまた、例えば、抗体が、多数の抗原により担持される特定のエピトープについて特異的である場合に適用可能であり、その場合では、抗原結合断片又はドメインを担持する特異的結合部材は、エピトープを担持する様々な抗原に結合することができ;例えば、それは、共通エピトープを共有する複数の種からの標的抗原の多数の異なる形態に対して交差反応性であり得る。
【0054】
免疫学的結合は、一般的に、免疫グロブリン分子と、免疫グロブリンが特異的である抗原との間に生じる種類の非共有結合的な相互作用を指し、例えば、例証により、限定ではなく、静電、イオン、親水性、及び/又は疎水性引力もしくは反発力、立体力、水素結合、ファンデルワールス力、及び他の相互作用の結果としてである。免疫学的結合相互作用の強度、又は親和性は、相互作用の解離定数(Kd)の観点から表現することができ、それにおいて、より小さいKdは、より大きな親和性を表す。選択されたポリペプチドの免疫学的結合特性は、当技術分野において周知の方法を使用して定量化することができる。一つのそのような方法は、抗原結合部位/抗原複合体形成及び解離の速度を測定することを伴い、それにおいて、それらの速度は、複合体パートナーの濃度、相互作用の親和性に、及び両方の方向における速度に等しく影響を及ぼす幾何学的パラメータに依存する。このように、「オン速度定数」(Kon)及び「オフ速度定数」(Koff)の両方が、濃度ならびに会合及び解離の実際の速度の計算により決定することができる。Koff/Konの比率によって、親和性に関連しない全てのパラメータの取り消しが可能になり、このように、解離定数Kdと等しい。本明細書中で使用される場合、用語「親和性」は、二つの薬剤の可逆的結合についての平衡定数を含み、Kd又はEC50として表現される。リガンドへの結合タンパク質の親和性、例えばエピトープについての抗体の親和性などは、例えば、約100ナノモル(nM)~約0.1nM、約100nM~約1ピコモル(pM)、又は約100nM~約1フェムトモル(fM)であることができる。本明細書中で使用される場合、用語「結合力」は、希釈後の解離に対する二つ又はそれ以上の薬剤の複合体の耐性を指す。一部の実施形態では、親和性は、半最大有効濃度(EC50)の観点で表現され、それは、本明細書中に開示される薬剤、例えば抗NRP2a抗体などの濃度を指し、それは、特定された曝露時間後のベースラインと最大値の間での中間の応答を誘導する。EC50は、抗体の効力の尺度として一般に使用される。
【0055】
抗体は、当業者に公知の様々な技術のいずれかにより調製され得る。例えば、Harlow and Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,1988を参照のこと。目的のポリペプチドについて特異的なモノクローナル抗体は、例えば、Kohler and Milstein,Eur.J.Immunol.6:511-519,1976、及びそれらに対する改善を使用して調製され得る。また、含まれるのは、トランスジェニック動物、例えばマウスなどを利用してヒト抗体を発現する方法である。例えば、Neuberger et al.,Nature Biotechnology 14:826,1996;Lonberg et al.,Handbook of Experimental Pharmacology 113:49-101,1994;及びLonberg et al.,Internal Review of Immunology 13:65-93,1995を参照のこと。特定の例は、REGENEREX(登録商標)によるVELOCIMMUNE(登録商標)プラットフォームを含む(例、米国特許第6,596,541号を参照のこと)。
【0056】
抗体はまた、ファージディスプレイライブラリー又は酵母ディスプレイライブラリーの使用により生成又は同定することができる(例、米国特許第7,244,592号;Chao et al.,Nature Protocols.1:755-768,2006を参照のこと)。利用可能なライブラリーの非限定的な例は、クローン化又は合成ライブラリー、例えばヒトコンビナトリアル抗体ライブラリー(HuCAL)などを含み、それにおいて、ヒト抗体レパートリーの構造的多様性が、七つの重鎖及び七つの軽鎖可変領域遺伝子により表される。これらの遺伝子の組み合わせは、マスターライブラリー中に49のフレームワークを生じさせる。これらのフレームワーク上に高度に可変な遺伝子カセット(CDR=相補性決定領域)を重ねることにより、広大なヒト抗体レパートリーを再現することができる。また、含まれるのは、軽鎖可変領域、重鎖CDR-3、重鎖CDR-1における多様性をコードする合成DNA、及び重鎖CDR-2における多様性をコードする合成DNAをコードするヒトドナー供給断片を用いて設計されたヒトライブラリーである。使用のために適切な他のライブラリーは、当業者には明らかであろう。
【0057】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗体及びその抗原結合断片は、重鎖及び軽鎖のCDRセットをそれぞれ含み、CDRに対して支持を提供し、互いに対するCDRの空間的関係を定める重鎖及び軽鎖フレームワーク領域(FR)セットの間に介在する。本明細書中で使用される場合、用語「CDRセット」は、重鎖又は軽鎖V領域の三つの超可変領域を指す。重鎖又は軽鎖のN末端から進むと、これらの領域は、それぞれ「CDR1」、「CDR2」、及び「CDR3」として表示される。抗原結合部位は、従って、重鎖及び軽鎖V領域の各々からのCDRセットを含む、六つのCDRを含む。単一のCDR(例、CDR1、CDR2又はCDR3)を含むポリペプチドは、本明細書中では「分子認識単位」として言及される。多数の抗原-抗体複合体の結晶学的分析によって、CDRのアミノ酸残基が、結合抗原との広範な接触を形成し、それにおいて、最も広範な抗原接触が、重鎖CDR3とであることが実証されている。このように、分子認識単位は、主に抗原結合部位の特異性について関与する。
【0058】
本明細書中で使用される場合、用語「FRセット」は、重鎖又は軽鎖V領域のCDRセットのCDRをフレーム化する、四つの隣接するアミノ酸配列を指す。一部のFR残基は、結合抗原と接触し得るが;しかし、FRは、主に、V領域を抗原結合部位、特にCDRに直接隣接するFR残基中にフォールディングすることについて関与する。FR内では、特定のアミノ残基及び特定の構造的特色は、非常に高度に保存されている。これに関して、全てのV領域配列は、約90のアミノ酸残基の内部ジスルフィドループを含む。V領域が結合部位中に折り畳まれる場合、CDRは、抗原結合表面を形成する突出ループモチーフとして呈示される。正確なCDRアミノ酸配列に関係なく、特定の「正準」構造中へのCDRループの折り畳まれた形状に影響を及ぼす、FRの保存された構造領域があることが一般的に認識される。さらに、特定のFR残基が、抗体重鎖及び軽鎖の相互作用を安定化させる非共有結合ドメイン間接触において関与することが公知である。
【0059】
免疫グロブリン可変ドメインの構造及び位置は、Kabat,E.A.et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest.4th Edition.US Department of Health and Human Services.1987、及びその更新への参照により決定され得る。
【0060】
また、含まれるのは、「モノクローナル」抗体であって、それは、均質な抗体集団を指し、それにおいて、モノクローナル抗体は、エピトープの選択的結合において含まれるアミノ酸(天然及び非天然)で構成される。モノクローナル抗体は高度に特異的であり、単一のエピトープに対して向けられる。用語「モノクローナル抗体」は、インタクトなモノクローナル抗体及び全長モノクローナル抗体だけでなく、しかし、また、それらの断片(例えばFab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、一本鎖(scFv)、それらのバリアント、抗原結合部分を含む融合タンパク質、ヒト化モノクローナル抗体、キメラモノクローナル抗体、ならびに要求される特異性、及びエピトープに結合する能力の抗原結合断片(エピトープ認識部位)を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変された構成を含む。抗体の供給源、又はそれが作製される様式(例、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、トランスジェニック動物による)に関して限定されることは意図されない。この用語は、全免疫グロブリン、ならびに「抗体」の定義の下に上に記載される断片などを含む。
【0061】
タンパク質分解酵素パパインは、IgG分子を優先的に切断していくつかの断片をもたらし、そのうちの二つ(F(ab)断片)は、各々が、インタクトな抗原結合部位を含む共有結合的なヘテロ二量体を含む。酵素ペプシンはまた、IgG分子を切断して、両方の抗原結合部位を含むF(ab’)2断片を含む、いくつかの断片を提供することができる。特定の実施形態による使用のためのFv断片は、IgMの、及び稀な場合では、IgG又はIgA免疫グロブリン分子の優先的なタンパク質分解切断により産生されることができる。Fv断片は、しかし、当技術分野において公知の組み換え技術を使用してより一般に導き出される。Fv断片は、天然抗体分子の抗原認識及び結合能力の大部分を保持する抗原結合部位を含む、非共有結合的なVH::VLヘテロ二量体を含む。Inbar et al.,PNAS USA.69:2659-2662,1972;Hochman et al.,Biochem.15:2706-2710,1976;及びEhrlich et al.,Biochem.19:4091-4096,1980を参照のこと。
【0062】
特定の実施形態では、一本鎖Fv(scFV)抗体が企図される。例えば、カッパ体(Ill et al.,Prot.Eng.10:949-57,1997);ミニボディ(Martin et al.,EMBO J 13:5305-9,1994);ダイアボディ(Holliger et al.,PNAS 90:6444-8,1993);又はJanusins(Traunecker et al.,EMBO J 10:3655-59,1991;及びTraunecker et al.,Int.J.Cancer Suppl.7:51-52,1992)は、所望の特異性を有する抗体の選択に関する本出願の教示に従って、標準的な分子生物学技術を使用して調製されてもよい。
【0063】
一本鎖Fv(scFv)ポリペプチドは、共有結合的に連結されたVH::VLヘテロ二量体であり、それは、ペプチドをコードするリンカーにより連結されたVH及びVLコード遺伝子を含む遺伝子融合体から発現される。Huston et al.(PNAS USA.85(16):5879-5883,1988)。天然に凝集したが、しかし、化学的に分離された軽鎖及び重鎖ポリペプチド鎖を、抗体V領域から、抗原結合部位の構造と実質的に類似の三次元構造へと折り畳まれるscFv分子に変換するための化学構造を識別するための多数の方法が記載されている。例えば、Hustonらへの米国特許第5,091,513号及び第5,132,405号;ならびにLadnerらへの米国特許第4,946,778号を参照のこと。
【0064】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、「ダイアボディ」の形態である。ダイアボディはポリペプチドの多量体であり、各ポリペプチドが、免疫グロブリン軽鎖の結合領域を含む第一のドメイン及び免疫グロブリン重鎖の結合領域を含む第二のドメインを含み、二つのドメインが(例、ペプチドリンカーにより)連結されているが、しかし、互いに会合して抗原結合部位を形成することができない:抗原結合部位は、多量体内の一つのポリペプチドの第一のドメインと、多量体内の別のポリペプチドの第二のドメインとの会合により形成される(WO94/13804)。抗体のdAb断片は、VHドメインからなる(Ward et al.,Nature 341:544-546,1989)。ダイアボディ及び他の多価又は多重特異性断片は、例えば、遺伝子融合により構築することができる(WO94/13804;及びHolliger et al.,PNAS USA.90:6444-6448,1993)を参照のこと)。
【0065】
CH3ドメインに連結されたscFvを含むミニボディがまた、含まれる(Hu et al.,Cancer Res.56:3055-3061,1996を参照のこと)。また、Ward et al.,Nature.341:544-546,1989;Bird et al.,Science.242:423-426,1988;Huston et al.,PNAS USA.85:5879-5883,1988);PCT/US92/09965;WO94/13804;及びReiter et al.,Nature Biotech.14:1239-1245,1996を参照のこと。
【0066】
二重特異性抗体が使用される場合、これらは従来の二重特異性抗体であってもよく、それらは、様々な方法において製造されることができ(Holliger and Winter,Current Opinion Biotechnol.4:446-449,1993)、例えば、化学的に、又はハイブリッドハイブリドーマから調製されることができ、又は上で言及する二重特異性抗体断片のいずれかであり得る。ダイアボディ及びscFvは、可変ドメインのみを使用し、Fc領域を伴うことなく構築することができ、抗イディオタイプ反応の効果を潜在的に低下させる。
【0067】
二重特異性ダイアボディはまた、二重特異性全抗体とは対照的に、特に有用であり得る。なぜなら、それらは、大腸菌中で容易に構築及び発現させることができるためである。適した結合特異性のダイアボディ(及び多くの他のポリペプチド、例えば抗体断片など)は、ライブラリーからのファージディスプレイ(WO94/13804)を使用して容易に選択することができる。ダイアボディの一つのアームが、例えば、抗原Xに対して向けられた特異性を伴って、一定に保たれる場合、次にライブラリーを作製することができ、ここで、他のアームが変動し、適した特異性の抗体が選択される。二重特異性全抗体は、ノブイントゥホールエンジニアリングにより作製され得る(Ridgeway et al.,Protein Eng.,9:616-621,1996)。
【0068】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、UniBody(登録商標)の形態である。UniBody(登録商標)は、除去されたヒンジ領域を伴うIgG4抗体である(GenMab Utrecht,The Netherlandsを参照のこと;また、例えば、US20090226421を参照のこと)。この抗体技術によって、現在の小さな抗体フォーマットよりも、予想されるより長い治療ウィンドウを伴う、安定で、より小さな抗体フォーマットが作製される。IgG4抗体は不活性と考えられ、このように、免疫系と相互作用しない。完全ヒトIgG4抗体は、抗体のヒンジ領域を排除して、対応するインタクトなIgG4(GenMab、Utrecht)と比べて、異なる安定性特性を有する半分子断片を得ることにより修飾され得る。IgG4分子を半減させることは、同族抗原(例、疾患標的)に結合することができるUniBody(登録商標)上に一つの領域のみを残し、UniBody(登録商標)は、従って、標的細胞上の一つの部位にのみ一価で結合する。特定の癌細胞表面抗原については、この一価結合は、同じ抗原特異性を有する二価抗体を使用して見られ得るように、癌細胞を刺激して成長させないであろうが、それ故に、UniBody(登録商標)技術は、従来の抗体を用いた治療に難治性であり得る一部の種類の癌について治療選択肢を与え得る。UniBody(登録商標)の小さなサイズは、一部の形態の癌を治療する際に大きな利益となり得るが、より大きな固形腫瘍を上回る分子のより良好な分布を可能にし、潜在的に有効性を増加させる。
【0069】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗体及び抗原結合断片は、ナノボディの形態である。ミニボディは、単一の遺伝子によりコードされ、ほぼ全ての原核宿主及び真核宿主、例えば、大腸菌(米国特許第6,765,087号を参照のこと)、カビ(例えば、アスペルギルス又はトリコデルマ)、及び酵母(例えば、サッカロミセス、クルイヴェルミセス、ハンセヌラ又はピキア(米国特許第6,838,254号を参照のこと)において効率的に産生される。産生プロセスは拡張可能であり、マルチキログラムの量のナノボディが産生されている。ナノボディは、長い保存期間を有する、すぐに使用できる溶液として製剤化され得る。ナノクローン方法(WO06/079372を参照のこと)は、B細胞の自動ハイスループット選択に基づいて、所望の標的に対してナノボディを生成するための専有の方法である。
【0070】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、アプタマーの形態である(例、参照により組み入れられる、Ellington et al.,Nature.346,818-22,1990;及びTuerk et al.,Science.249,505-10,1990を参照のこと)。アプタマーの例は、核酸アプタマー(例、DNAアプタマー、RNAアプタマー)及びペプチドアプタマーを含む。核酸アプタマーは、一般的に、インビトロ選択の反復ラウンド、又は同等の方法、例えばSELEX(指数関数的濃縮によるリガンドの系統的進化)などを通じて操作され、様々な分子標的、例えば小分子、タンパク質、核酸、ならびにさらには細胞、組織、及び生物などに結合する核酸種を指す。例えば、参照により組み入れられる、米国特許第6,376,190号;及び第6,387,620号を参照のこと。
【0071】
ペプチドアプタマーは、典型的には、両方の末端でタンパク質足場に付着された可変ペプチドループを含み、典型的には、ペプチドアプタマーの結合親和性を、抗体のもの(例、ナノモル範囲)と同等のレベルまで増加させる二重構造制約である。特定の実施形態では、可変ループ長は、約10~20のアミノ酸(その間の全ての整数を含む)で構成されてもよく、足場は、良好な溶解性及び容量特性を有する任意のタンパク質を含み得る。特定の例示的な実施形態は、細菌タンパク質チオレドキシンAを足場タンパク質として利用し、可変ループは、還元活性部位(野生型タンパク質中の-Cys-Gly-Pro-Cys-ループ)内に挿入され、二つのシステイン側鎖はジスルフィド架橋を形成することができる。ペプチドアプタマーを同定するための方法は、例えば、参照により組み入れられる米国特許出願第2003/0108532号において記載されている。ペプチドアプタマー選択は、酵母ツーハイブリッド系を含む、当技術分野において公知の異なる系を使用して実施することができる。
【0072】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、アビマーの形態である。アビマーは、インビトロエクソンシャッフリング及びファージディスプレイを使用して操作された多量体結合タンパク質又はペプチドを指す。複数の結合ドメインが連結され、単一エピトープ免疫グロブリンドメインと比較して、より大きな親和性及び特異性をもたらす。例えば、参照により組み入れられる、Silverman et al.,Nature Biotechnology.23:1556-1561,2005;米国特許第7,166,697号;ならびに米国特許出願第2004/0175756号、第2005/0048512号、第2005/0053973号、第2005/0089932号、及び第2005/0221384号を参照のこと。
【0073】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、アドネクチンの形態である。アドネクチンは、他のタンパク質に天然に結合する豊富な細胞外タンパク質であるヒトフィブロネクチンから由来する、標的化される生物製剤のクラスを指す。例えば、参照により組み入れられる、米国特許出願第2007/0082365号;第2008/0139791号;及び第2008/0220049号を参照のこと。アドネクチンは、典型的には、天然フィブロネクチン骨格、ならびにヒトフィブロネクチンの特定の部分の複数の標的化ドメインからなる。標的化ドメインは、アドネクチンが、NRP2ポリペプチド又はそのエピトープを特異的に認識することを可能にするように操作することができる。
【0074】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、アンチカリンの形態である。アンチカリンは、構造的に剛直なフレームワークにより支持される超可変ループ領域を伴う結合タンパク質のファミリーであるヒトリポカリンから典型的には合成される抗体模倣体のクラスを指す。例えば、米国特許出願第2006/0058510号を参照のこと。アンチカリンは、典型的には、約20kDaのサイズを有する。アンチカリンは、四つのペプチドループ及び付着α-ヘリックスにより対で接続される八つの逆平行β鎖(安定なβ-バレル足場)により形成されるバレル構造により特徴付けられることができる。特定の態様では、特異的結合を達成するための立体構造的な逸脱が、超可変ループ領域中に作製される。例えば、参照により組み入れられる、Skerra,FEBS J.275:2677-83,2008を参照のこと。
【0075】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される抗体又は抗原結合断片は、設計されたアンキリンリピートタンパク質(DARPin)の形態である。DARPinsは、創薬及び薬物開発における標的結合について、抗体を上回る利点を提供することができる非免疫グロブリンタンパク質のクラスを含む。他の使用の間で、DARPinsは、小サイズ及び高い安定性を含む、それらの好ましい分子特性のため、毒素又は他の治療ペイロードのインビボ撮像又は送達のために理想的に適している。細菌における低コストの産生及び多くの標的特異的DARPinの迅速な生成によって、DARPinアプローチは創薬のために有用となる。加えて、DARPinsは、多特異的フォーマットにおいて簡単に生成することができ、エフェクターDARPinを特定の器官に標的化する、又はいくつかのDARPinで構成される一つの分子を用いて複数の受容体を標的化する潜在能を提供している。例えば、参照により組み入れられる、Stumpp et al.,Curr Opin Drug Discov Devel.10:153-159,2007;米国特許出願第2009/0082274号;及びPCT/EP2001/10454号を参照のこと。
【0076】
また、含まれるのは、重鎖二量体、例えばラクダ類及びサメからの抗体などである。ラクダ類抗体及びサメ抗体は、V様及びC様ドメインの二つの鎖(いずれも軽鎖を有さない)のホモ二量体対を含む。ラクダ類における重鎖二量体IgGのVH領域は、軽鎖と疎水性相互作用を作らなくてもよいため、軽鎖に通常接触する重鎖中の領域は、ラクダ類において親水性アミノ酸残基に変化する。重鎖二量体IgGのVHドメインは、VHHドメインと呼ばれる。サメIg-NARは、一つの可変ドメイン(V-NARドメインと称される)及び五つのC様定常ドメイン(C-NARドメイン)のホモ二量体を含む。
【0077】
ラクダ類では、抗体レパートリーの多様性は、VH又はVHH領域中の相補性決定領域(CDR)1、2、及び3により決定される。ラクダVHH領域中のCDR3は、平均16アミノ酸のその比較的長い長さにより特徴付けられる(Muyldermans et al.,1994,Protein Engineering 7(9):1129)。これは、多くの他の種の抗体のCDR3領域とは対照的である。例えば、マウスVHのCDR3は、平均9のアミノ酸を有する。ラクダ由来抗体可変領域のライブラリーは、ラクダ類の可変領域のインビボ多様性を維持し、例えば、米国特許出願第20050037421号、2005年2月17日公開、において開示される方法により作製することができる。
【0078】
特定の実施形態では、抗体又はそれらの抗原結合断片はヒト化される。これらの実施形態は、一般的に組換え技術を使用して調製され、非ヒト種からの免疫グロブリンから由来する抗原結合部位、及びヒト免疫グロブリンの構造及び/又は配列に基づく分子の残りの免疫グロブリン構造を有するキメラ分子を指す。抗原結合部位は、定常ドメイン上に融合された完全な可変ドメイン、又は可変ドメイン中の適したフレームワーク領域上に移植されたCDRのみのいずれかを含み得る。エピトープ結合部位は、野生型であってもよく、あるいは一つ又は複数のアミノ酸置換により修飾されてもよい。これによって、ヒト個体における免疫原としての定常領域が排除されるが、しかし、外来性可変領域に対する免疫応答の可能性は、依然として残っている(LoBuglio et al.,PNAS USA 86:4220-4224,1989;Queen et al.,PNAS USA.86:10029-10033,1988;Riechmann et al.,Nature.332:323-327,1988)。抗体のヒト化のための例証的な方法は、米国特許第7,462,697号において記載される方法を含む。
【0079】
別のアプローチは、ヒト由来定常領域を提供することだけでなく、しかし、可変領域も改変して、ヒト形態に可能な限り密接にそれらを再形成することに焦点を当てる。重鎖及び軽鎖の両方の可変領域が、問題のエピトープへの応答において変動し、結合能力を決定する、所与の種において比較的保存され、CDRについての足場を推定的に提供する四つのフレームワーク領域(FR)により隣接される、三つの相補性決定領域(CDR)を含むことが公知である。非ヒト抗体が特定のエピトープに関して調製される場合、可変領域は、改変されるヒト抗体中に存在するFR上に、非ヒト抗体から由来するCDRを移植することにより、「再形成」又は「ヒト化」することができる。様々な抗体へのこのアプローチの適用は、Sato et al.,Cancer Res.53:851-856,1993;Riechmann et al.,Nature 332:323-327,1988;Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536,1988;Kettleborough et al.,Protein Engineering.4:773-3783,1991;Maeda et al.,Human Antibodies Hybridoma 2:124-134,1991;Gorman et al.,PNAS USA.88:4181-4185,1991;Tempest et al.,Bio/Technology 9:266-271,1991;Co et al.,PNAS USA.88:2869-2873,1991;Carter et al.,PNAS USA.89:4285-4289,1992;及びCo et al.,J Immunol.148:1149-1154,1992により報告されている。一部の実施形態では、ヒト化抗体は、全てのCDR配列(例えば、マウス抗体からの全ての六つのCDRを含むヒト化マウス抗体)を保っている。他の実施形態では、ヒト化抗体は、本来の抗体に関して改変されている一つ又は複数のCDR(一つ、二つ、三つ、四つ、五つ、六つ)を有し、それらはまた、本来の抗体からの一つ又は複数のCDR「から由来する」一つ又は複数のCDRと呼ばれる。
【0080】
特定の実施形態では、抗体は「キメラ」抗体である。これに関して、キメラ抗体は、異なる抗体の異種Fc部分に動作可能に連結された、又はそうでなければ融合された抗体の抗原結合断片で構成される。特定の実施形態では、Fcドメイン又は異種Fcドメインはヒト起源である。特定の実施形態では、Fcドメイン又は異種Fcドメインはマウス起源である。他の実施形態では、異種Fcドメインは、IgA(サブクラスIgA1及びIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG(サブクラスIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4を含む)、及びIgMを含む、親抗体とは異なるIgクラスからであり得る。さらなる実施形態では、異種Fcドメインは、異なるIgクラスの一つ又は複数からのCH2及びCH3ドメインで構成され得る。ヒト化抗体に関して上に記述するように、キメラ抗体の抗原結合断片は、本明細書中に記載される抗体のCDRの一つ又は複数のみを含み得る(例、本明細書中に記載される抗体の1、2、3、4、5、又は6のCDR)、又は可変ドメイン全体を含み得る(VL、VH、又は両方)。
【0081】
本明細書中で使用される場合、疾患、又は有害反応を発生する「リスクのある」対象は、検出可能な疾患、又は疾患の症状を有し得る、又は有さないであろう、及び本明細書中に記載される治療方法の前に検出可能な疾患、又は疾患の症状を呈し得る、又は呈さないであろう。「リスクのある」は、対象が一つ又は複数のリスク因子を有することを意味し、それらは、本明細書中に記載される、当技術分野において公知の、疾患の発生と相関する測定可能なパラメータである。これらのリスク因子の一つ又は複数を有する対象は、これらのリスク因子の一つ又は複数を伴わない対象よりも高い、疾患、又は有害反応を発生する確率を有する。
【0082】
「生体適合性」は、細胞又は対象の生物学的機能に一般的に損傷を与えるものではなく、アレルゲン性及び疾患状態を含む、許容可能ではない毒性の任意の程度をもたらさない材料又は化合物を指す。
【0083】
用語「結合」は、例えば、相互作用、例えば塩架橋及び水架橋などを含む、共有結合、静電、疎水性、ならびにイオン及び/又は水素結合の相互作用に起因する、二つの分子間の直接的な会合を指す。
【0084】
用語「化学療法耐性」は、癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及び/又はキナーゼ阻害剤の少なくとも一つに対する耐性を含む、化学療法への曝露後の経時的な癌細胞集団の治療感受性における変化を指す。最終的に、化学療法耐性は、癌の再発及び/又は転移に導き、癌患者についての臨床転帰の改善に挑戦する。それは、長期的な成功裏の癌治療への依然として主な障害である。例えば、早期乳癌と診断された女性の約30パーセントが、究極的に耐性を発生し、最終的に転移性乳癌に進行する。化学療法耐性の分子機構は、トランスポーターポンプの誘導、癌遺伝子、腫瘍抑制遺伝子、ミトコンドリア改変、DNA修復、オートファジー、上皮間葉移行(EMT)、癌幹細胞性、及びエクソソーム産生を含む。これらのプロセスは、単独で、又は互いの組み合わせにおいて、異なる機構を介して動作し得るが、しかし、究極的には、特定の標的化された化学療法剤への応答において細胞死を防止するように調整される。例えば、そのようなプロセスは、代替的な成長促進シグナルを提供し、及び/又はアポトーシス経路を排除する、もしくはそうでなければ低下させる。したがって、化学療法耐性を低下させる薬剤は、化学療法耐性癌の治療又は低下において有用性を見出すことができ得る。
【0085】
「コード配列」により、遺伝子のポリペプチド産物についてのコードに寄与する任意の核酸配列を意味する。対照的に、用語「非コード配列」は、遺伝子のポリペプチド産物についてのコードに直接的に寄与しない任意の核酸配列を指す。
【0086】
本開示全体を通して、文脈が他に要求しない限り、用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含んでいる(comprising)」は、記載された工程又は要素あるいは工程又は要素の群の包含を意味するが、しかし、任意の他の工程又は要素あるいは工程又は要素の群の除外を意味しないと理解されるであろう。
【0087】
「からなる(consising of)」は、語句「からなる」に従うものは何でも含み、それらに限定されることを意味する。このように、語句「からなる」は、列挙された要素が要求される又は必須であり、他の要素が存在しないであろうことを示す。「から本質的になる(consisting essentially of)」により、語句の後に列挙される任意の要素を含み、列挙された要素について本開示において特定される活性又は作用に干渉又は寄与しない他の要素に限定されることを意味する。このように、語句「から本質的になる」は、列挙された要素が要求される又は必須であること、しかし、他の要素が場合によりあり、それらが、列挙された要素の活性又は作用に実質的に影響するか否かに依存して、存在してもよく、又は存在しなくてもよい。
【0088】
抗体の文脈における用語「エフェクター機能」、又は「ADCCエフェクター機能」は、例えば、古典的補体経路の活性化を含め、又はFc受容体の会合を通じて、免疫系の他のアームと会合するその抗体の能力を指す。補体依存的経路は、C1qと、クラスター化抗体Fcドメインを伴うC1複合体との相互作用により主に駆動される。抗体依存的細胞傷害(ADCC)は、それ自体が標的細胞に結合されるIgGのFc領域に結合するエフェクター細胞(ナチュラルキラー細胞、マクロファージ、単球、及び好酸球)の表面上でのFc受容体(FcR)の相互作用により主に駆動される。Fc受容体(FcR)は、抗体媒介性(液性)免疫応答を細胞エフェクター機能に接続する、重要な免疫調節受容体である。免疫グロブリンの全てのクラスについての受容体が特定されており、FcγR(IgG)、FcεRI(IgE)、FcαRI(IgA)、FcμR(IgM)、及びFcδR(IgD)を含む。白血球上に見出されるヒトIgGについての受容体の少なくとも三つのクラスがある:CD64(FcγRI)、CD32(FcγRIIa、FcγRIIb及びFcγRIIc)ならびにCD16(FcγRIIIa及びFcγRIIIb)。FcγRIは、高親和性受容体(ナノモル範囲KD)として分類される一方でFcγRII及びFcγRIIIは、低~中間親和性(マイクロモル範囲KD)である。Fc結合時に、シグナル伝達経路が誘発され、それは、様々な物質、例えば溶解酵素、パーフォリン、グランザイム、及び腫瘍壊死因子などの分泌をもたらし、それらは、標的細胞の破壊を媒介する。ヒトIgGサブタイプについて様々なADCCエフェクター機能のレベル。これは、アロタイプ及び特異的FcvRに依存的であるが、単純に言えば、ADCCエフェクター機能は、ヒトIgG1及びIgG3については「高」であり、ならびにIgG2及びIgG4については「低」である。
【0089】
用語「エンドトキシンを含まない」又は「エンドトキシンを実質的に含まない」は、一般的に、最も微量(例、対象に臨床的に有害な生理学的効果を有さない量)のエンドトキシン、及び好ましくは検出不可能な量のエンドトキシンを含む組成物、溶媒、及び/又は容器に関する。エンドトキシンは、特定の微生物、例えば細菌、典型的にはグラム陰性細菌などに関連付けられる毒素であるが、エンドトキシンは、グラム陽性細菌、例えばリステリア・モノサイトゲネスなどにおいて見出されうる。最も蔓延しているエンドトキシンは、様々なグラム陰性細菌の外膜中に見出されるリポ多糖類(LPS)又はリポオリゴ糖類(LOS)であり、それらは、疾患を起こすこれらの細菌の能力における中心的な病原性特色を表す。ヒトにおける少量のエンドトキシンは、他の有害な生理学的効果の中でも、発熱、血圧の低下、ならびに炎症及び凝固の活性化を産生し得る。
【0090】
従って、医薬品産生では、しばしば、薬物産物及び/又は薬物容器から大半の又は全ての微量のエンドトキシンを除去することが望ましい。なぜなら、少量であってもヒトにおいて有害効果を起こし得るためである。脱水素オーブンがこの目的のために使用され得る。なぜなら、300℃を超える温度が、典型的には、大半のエンドトキシンを分解するために要求されるためである。例えば、一次包装材料、例えばシリンジ又はバイアルなどに基づいて、250℃のガラス温度及び30分の保持時間の組み合わせは、しばしば、エンドトキシンレベルにおける3対数低下を達成するために十分である。エンドトキシンを除去する他の方法が企図され、例えば、本明細書中に記載され、当技術分野において公知のクロマトグラフィー及び濾過方法を含む。
【0091】
エンドトキシンは、当技術分野において公知のルーチン的な技術を使用して検出することができる。例えば、リムルス・アメボサイト溶解アッセイは、カブトガニからの血液を利用し、エンドトキシンの存在を検出するための非常に高感度のアッセイである。このテストでは、非常に低いレベルのLPSが、この反応を増幅する強力な酵素カスケードに起因して、リムルス溶解物の検出可能な凝固を起こすことができる。エンドトキシンはまた、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)により定量化することができる。実質的にエンドトキシンを含まないように、エンドトキシンレベルは、約0.001、0.005、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.06、0.08、0.09、0.1、0.5、1.0、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、又は10EU/mg未満の活性化合物であり得る。典型的には、1ngのリポ多糖類(LPS)は、約1~10EUに対応する。
【0092】
用語「エピトープ」は、免疫グロブリン又はT細胞受容体への特異的な結合が可能な任意の決定基、好ましくはポリペプチド決定基を含む。エピトープは、抗体により結合される抗原の領域を含む。特定の実施形態では、エピトープ決定基は、分子、例えばアミノ酸、糖側鎖、ホスホリル又はスルホニルなどの化学的に活性な表面基を含み、特定の実施形態では、特定の三次元構造特徴、及び/又は特定の電荷特徴を有し得る。エピトープは、抗原の一次構造、例えば、NRP2ポリペプチドに関して連続的又は非連続的であり得る。特定の実施形態では、エピトープは、本明細書中に記載される参照配列(例、表N1、表N2を参照のこと)又は標的分子の約、少なくとも約、又は約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20以下の連続アミノ酸(即ち、直鎖状エピトープ)又は非連続アミノ酸(即ち、立体構造エピトープ)を含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる。
【0093】
「エピトープ」は、結合タンパク質の可変領域結合ポケットと相互作用する結合相互作用を形成することが可能な抗原又は他の高分子のその部分を含む。そのような結合相互作用は、CDRの一つ又は複数のアミノ酸残基との分子間接触として現れ得る。抗原結合は、CDR3又はCDR3対を含むことができる。エピトープは、直鎖状ペプチド配列(即ち、「連続的」)であることができる、又は非連続アミノ酸配列(即ち、「立体構造的」又は非連続的)で構成されることができる。結合タンパク質は、一つ又は複数のアミノ酸配列を認識することができ;従って、エピトープは、1を上回る異なるアミノ酸配列を定義することができる。結合タンパク質により認識されるエピトープは、当業者に周知のペプチドマッピング及び配列解析技術により決定することができる。「潜在性エピトープ」又は「潜在性結合部位」は、未修飾ポリペプチド内の認識から曝露されない、又は実質的に保護されないが、しかし、変性又はタンパク質分解ポリペプチドの結合タンパク質により認識されることが可能であるタンパク質配列のエピトープ又は結合部位である。未修飾ポリペプチド構造において曝露されない、又は部分的にのみ曝露されるアミノ酸配列は、潜在的な潜在性エピトープである。エピトープが曝露されない場合、又は部分的にのみ曝露される場合、それは、ポリペプチドの内部内に埋め込まれる可能性が高い。候補潜在性エピトープは、例えば、未修飾ポリペプチドの三次元構造を調べることにより同定することができる。
【0094】
用語「最大有効濃度の半分」又は「EC50」は、一部の指定された曝露時間後にベースラインと最大値の間の中間での応答を誘導する、本明細書中に記載される薬剤(例、抗体)の濃度を指し;段階用量応答曲線のEC50は、従って、その最大効果の50%が観察される化合物の濃度を表す。EC50はまた、インビボで最大効果の50%を得るために要求される血漿濃度を表す。同様に、「EC90」は、その最大効果の90%が観察される薬剤又は組成物の濃度を指す。「EC90」は、「EC50」及びヒルスロープから計算することができる、又は当技術分野におけるルーチン的な知識を使用して、データから直接決定することができる。一部の実施形態では、薬剤(例、抗体)のEC50は、約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100、200又は500nM未満である。一部の実施形態では、薬剤は、約1nM又はそれ以下のEC0値を有する。
【0095】
「免疫応答」は、細胞性及び上腕骨、先天的及び適応免疫系からの応答を含む、免疫系から由来する任意の免疫学的応答を意味する。例示的な細胞性免疫細胞は、例えば、リンパ球、マクロファージ、T細胞、B細胞、NK細胞、好中球、好酸球、樹状細胞、マスト細胞、単球、及びそれらの全てのサブセットを含む。細胞応答は、例えば、エフェクター機能、サイトカイン放出、食作用、エフェロサイトーシス、転座、輸送、増殖、分化、活性化、抑制、細胞間相互作用、アポトーシスなどを含む。上腕骨応答は、例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、応答及びそれらの対応するエフェクター機能を含む。
【0096】
薬剤、例えば抗体などの「半減期」は、薬剤が、生物の血清もしくは組織中への投与時でのそのような活性と比べて、又は任意の他の定義された時間点と比較べて、その薬理学的、生理学的、もしくは他の活性の半分を失う時間を指すことができる。「半減期」はまた、薬剤の量又は濃度を、生物の血清もしくは組織中への投与時でのそのような量又は濃度と比べて、又は任意の他の定義された時間点と比べて、生物の血清もしくは組織中に投与される開始量の半分だけ低下させる時間を指すことができる。半減期は、血清及び/又は任意の一つ又は複数の選択された組織中で測定することができる。
【0097】
用語「調節すること」及び「改変すること」は、典型的には対照と比べて統計的に有意な又は生理学的に有意な量又は程度において「増加すること」、「増強すること」又は「刺激すること」、ならびに「減少すること」又は「低下すること」を含む。「増加した」、「刺激した」、又は「増強した」量は、典型的には、「統計的に有意な」量であり、組成物なし(例、薬剤の非存在)又は対照組成物により産生される量の1.1、1.2、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100倍又はそれ以上(例、500、1000倍)(全ての整数及びその間の範囲、例、1.5、1.6、1.7、1.8などを含む)である増加を含み得る。「減少した」又は「低下した」量は、典型的には、「統計的に有意な」量であり、組成物なし(例、薬剤の非存在)又は対照組成物により産生される量における1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、11%、12%、13%、14%、15%、16%、17%、18%、19%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、又は100%減少(全ての整数及びそれらの間の範囲を含む)を含み得る。比較及び「統計的に有意な」量の例が、本明細書中に記載されている。
【0098】
用語「遊走細胞」は、刺激への応答において、一つの場所から別への移動が可能である細胞を指す。例示的な遊走細胞は、免疫細胞、例えば単球、ナチュラルキラー(NK)細胞、樹状細胞(未熟又は成熟)、樹状細胞のサブセット、骨髄細胞、形質細胞様(また、リンパ球と呼ばれる)、及びランゲルハンス細胞を含む、マクロファージ、例えば組織球など、組織常在マクロファージ、例えばクッパー細胞、CNS中のミクログリア細胞、肺胞マクロファージ、及び腹膜マクロファージなど、マクロファージサブタイプ、例えばM0、M1、Mox、M2a、M2b、及びM2cマクロファージなど、好中球、好酸球、マスト細胞、好塩基球、B細胞、形質B細胞、記憶B細胞、B-1細胞、B-2細胞を含む、CD45RO(ナイーブT)細胞、CD45RA(メモリーT)細胞、CD4ヘルパーT細胞Th1、Th2、及びTr1/Th3細胞を含む、CD8細胞傷害性T細胞、調節性T細胞、ガンマデルタT細胞、及び胸腺細胞を含む。遊走性細胞のさらなる例は、線維芽細胞、線維細胞、腫瘍細胞、及び幹細胞を含む。用語「細胞遊走」は、遊走細胞の移動を指し、用語「細胞遊走の調節」は、任意のそのような遊走細胞の移動の調節を指す。
【0099】
用語「ポリペプチド」、「タンパク質」、及び「ペプチド」は、互換的に使用され、任意の特定の長さに限定されないアミノ酸のポリマーを意味する。用語「酵素」は、ポリペプチド又はタンパク質触媒を含む。この用語は、修飾、例えばミリストイル化、硫酸化、グリコシル化、リン酸化、及びシグナル配列の付加又は欠失などを含む。用語「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、一つ又は複数のアミノ酸の鎖を意味し、それにおいて、各鎖はペプチド結合により共有結合的に連結されたアミノ酸を含み、ならびに、それにおいて、当該ポリペプチド又はタンパク質は、ペプチド結合により非共有結合的に及び/又は共有結合的に一緒に連結された複数の鎖を含むことができ、天然タンパク質、すなわち、天然の及び具体的には非組換え細胞、又は遺伝子操作細胞もしくは組換え細胞により産生されるタンパク質の配列を有し、天然タンパク質のアミノ酸配列を有する分子、あるいは天然配列の一つ又は複数のアミノ酸からの欠失、それへの付加、及び/又はその置換を有する分子を含む。特定の実施形態では、ポリペプチドは、一つ又は複数の組換えDNA分子を含む組換え細胞により産生される「組換え」ポリペプチドであって、それは、典型的には、異種ポリヌクレオチド配列、又はそうでなければ細胞中に見出されないであろうポリヌクレオチド配列の組み合わせで作製される。
【0100】
用語「ポリヌクレオチド」及び「核酸」は、mRNA、RNA、cRNA、cDNA、及びDNAを含む。この用語は、典型的には、リボヌクレオチドもしくはデオキシヌクレオチドのいずれか、又はいずれかの種類のヌクレオチドの修飾形態の少なくとも10塩基長のヌクレオチドのポリマー形態を指す。この用語は、一本鎖及び二本鎖形態のDNAを含む。用語「単離DNA」及び「単離ポリヌクレオチド」及び「単離核酸」は、特定の種の全ゲノムDNAを含まずに単離された分子を指す。従って、ポリペプチドをコードする単離DNAセグメントは、DNAセグメントが得られる種の全ゲノムDNAから別に実質的に単離された、又はそれを含まずに精製された、一つ又は複数のコード配列を含むDNAセグメントを指す。また、含まれるのは、ポリペプチドをコードしない非コードポリヌクレオチド(例、プライマー、プローブ、オリゴヌクレオチド)である。また、含まれるのは、例えば、発現ベクター、ウイルスベクター、プラスミド、コスミド、ファージミド、ファージ、ウイルス、及び同様のものを含む、組換えベクターである。
【0101】
追加のコード配列又は非コード配列は、本明細書中に記載されるポリヌクレオチド内に存在してもよいが、しかし、そうである必要はなく、ポリヌクレオチドは、他の分子及び/又は支持材料に連結されてもよいが、しかし、そうである必要はない。それ故に、ポリヌクレオチド又は発現可能なポリヌクレオチドは、コード配列自体の長さにかかわらず、他の配列、例えば、発現制御配列と組み合わされてもよい。
【0102】
「発現制御配列」は、核酸、又は対応するアミノ酸の調節配列、例えばプロモーター、リーダー、エンハンサー、イントロン、RNA又はDNA結合タンパク質についての認識モチーフ、ポリアデニル化シグナル、ターミネーター、内部リボソーム侵入部位(IRES)、分泌シグナル、細胞内局在シグナル、及び同様のものを含み、それらは、宿主細胞中のコード配列の転写もしくは翻訳、細胞内、又は細胞の位置に影響を及ぼす能力を有する。例示的な発現制御配列は、Goeddel;Gene Expression Technology:Methods in Enzymology 185,Academic Press,San Diego,Calif.(1990)において記載されている。
【0103】
「プロモーター」は、細胞中でRNAポリメラーゼに結合し、下流(3’方向)コード配列の転写を開始することが可能なDNA調節領域である。本明細書中で使用される場合、プロモーター配列は、転写開始部位によりその3’末端で境界付けられ、上流(5’方向)に伸長し、バックグラウンドを超えて検出可能なレベルで転写を開始するのに必要な最小数の塩基又はエレメントを含む。転写開始部位(ヌクレアーゼS1を用いたマッピングにより便利に定義される)は、プロモーター配列、ならびにRNAポリメラーゼの結合のために関与するタンパク質結合ドメイン(コンセンサス配列)内に見出すことができる。真核プロモーターは、しばしば、しかし、常にではないが、「TATA」ボックス及び「CAT」ボックスを含むことができる。原核生物プロモーターは、-10及び-35コンセンサス配列に加えて、シャイン-ダルガノ配列を含む。
【0104】
様々な異なる供給源からの構成的、誘導性、及び抑制性プロモーターを含む、多数のプロモーターが、当技術分野において周知である。代表的な供給源は、例えば、ウイルス、哺乳動物、昆虫、植物、酵母、及び細菌細胞型を含み)、これらの供給源からの適切なプロモーターは、オンラインで、又は、例えば、保管所、例えばATCCなど、ならびに他の商業的又は個々の供給源から公的に入手可能な配列に基づいて、容易に利用可能である、又は合成的に作製することができる。プロモーターは、一方向性(即ち、一つの方向において転写を開始する)又は双方向性(即ち、3’又は5’方向のいずれかにおいて転写を開始する)であり得る。プロモーターの非限定的な例は、例えば、T7細菌発現系、pBAD(araA)細菌発現系、サイトメガロウイルス(CMV)プロモーター、SV40プロモーター、RSVプロモーターを含む。誘導性プロモーターは、Tet系(米国特許第5,464,758号及び第5,814,618号)、エクジソン誘導系(No et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(1996)93(8):3346-3351;T-RExTM系(Invitrogen、カリフォルニア州カールスバッド)、LacSwitch(登録商標)(Stratagene,(カリフォルニア州サンディエゴ)、及びCre-ERTタモキシフェン誘導性リコンビナーゼ系(Indra et al.Nuc.Acid.Res.(1999)27(22):4324-4327;Nuc.Acid.Res.(2000)28(23):e99;米国特許第7,112,715号;及びKramer&Fussenegger,Methods Mol.Biol.(2005)308:123-144)、又は所望の細胞における発現のために適切な、当技術分野において公知の任意のプロモーターを含む。
【0105】
「発現可能なポリヌクレオチド」は、少なくとも一つのコード配列、及び場合により少なくとも一つの発現制御配列、例えば、転写及び/又は翻訳調節エレメントを含み、細胞、例えば、対象中の細胞中への導入時に、コードされたポリペプチドを発現することができるcDNA、RNA、mRNA、又は他のポリヌクレオチドを含む。
【0106】
発現可能なポリヌクレオチドを送達するために利用することができる様々なウイルスベクターは、アデノウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクター、及びレトロウイルスベクターを含む。一部の例では、レトロウイルスベクターは、マウス又は鳥類レトロウイルスの誘導体である、又はレンチウイルスベクターである。単一の外来遺伝子を挿入することができるレトロウイルスベクターの例は、以下を含むが、しかし、それらに限定されない:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)、ハーベイマウス肉腫ウイルス(HaMuSV)、マウス乳腺腫瘍ウイルス(MuMTV)、SIV、BIV、HIV、及びラウス肉腫ウイルス(RSV)。多数の追加のレトロウイルスベクターは、複数の遺伝子を組み入れることができる。これらのベクターの全てが、選択マーカーのための遺伝子を移入する又は組み込むことができ、形質導入された細胞を同定及び生成することができる。目的のポリペプチド配列をウイルスベクター中に、特定の標的細胞上の受容体についてのリガンドをコードする別の遺伝子と共に挿入することにより、例えば、ベクターを標的特異的に作ってもよい。レトロウイルスベクターは、例えば、タンパク質をコードするポリヌクレオチドを挿入することにより標的特異的にすることができる。例示的な標的化は、抗体を使用してレトロウイルスベクターを標的化することにより達成され得る。当業者は、過度の実験を伴うことなく、レトロウイルスゲノム中に挿入されて、レトロウイルスベクターの標的特異的送達を可能にすることができる特定のポリヌクレオチド配列を知っている、又は容易に確認することができるであろう。
【0107】
特定の実施形態では、発現可能なポリヌクレオチドは、修飾RNA又は修飾mRNAポリヌクレオチド、例えば、非天然RNA類似体である。特定の実施形態では、修飾RNA又はmRNAポリペプチドは、一つ又は複数の修飾又は非天然塩基、例えば、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、及び/又はウラシル(U)以外のヌクレオチド塩基を含む。一部の実施形態では、修飾mRNAは、一つ又は複数の修飾又は非天然ヌクレオチド間連結を含む。コードされる治療用ポリペプチドを送達するための発現可能なRNAポリヌクレオチドは、例えば、Kormann et al.,Nat Biotechnol.29:154-7,2011;ならびに米国特許出願第2015/0111248号;第2014/0243399号;第2014/0147454号;及び第2013/0245104号において記載されており、それらは、参照によりそれらの全体において組み入れられる。
【0108】
本明細書中で言及される用語「単離」ポリペプチド又はタンパク質は、対象タンパク質が、(1)典型的には自然界において見出されるであろう少なくとも一部の他のタンパク質を含まず、(2)同じ供給源からの、例えば、同じ種からの他のタンパク質を本質的に含まず、(3)異なる種からの細胞により発現され、(4)ポリヌクレオチド、脂質、糖類、又は自然界において関連付けられる他の材料の少なくとも約50パーセントから分離されており、(5)「単離タンパク質」が自然界において関連付けられるタンパク質の一部と(共有結合的又は非共有結合的な相互作用により)会合しておらず、(6)自然界において関連付けられないポリペプチドと動作可能に(共有結合的又は非共有結合的な相互作用により)会合しており、あるいは(7)自然界において生じないことを意味する。そのような単離タンパク質は、ゲノムDNA、cDNA、mRNA、又は他のRNAによりコードされることができ、あるいは合成起源、又はそれらの任意の組み合わせであり得る。特定の実施形態では、単離タンパク質は、その使用(治療、診断、予防、研究、又は他の方法)に干渉するであろうタンパク質もしくはポリペプチド、又はその天然環境において見出される他の混入物を実質的に含まない。
【0109】
特定の実施形態では、組成物中の任意の所与の薬剤(例、ポリペプチド、例えば抗体など)の「純度」が定義され得る。例えば、特定の組成物は、例えば、決して限定されないが、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、化合物を分離、同定、及び定量化するために生化学及び分析化学において頻繁に使用される周知の形態のカラムクロマトグラフィーにより測定される、全ての小数及びその間の範囲を含む、タンパク質基準もしくは重量基準で少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%純粋である薬剤、例えばポリペプチド薬剤などを含み得る。
【0110】
「脂質ナノ粒子」又は「固体脂質ナノ粒子」は、約10~約1000ナノメートルの間の平均直径を伴い、親油性分子を可溶化することができる固体脂質コアマトリックスを含む、一つ又は複数の球状ナノ粒子を指す。脂質コアは、界面活性剤(例、乳化剤)により安定化され、トリグリセリド(例、トリステアリン)、ジグリセリド(例、バヘン酸グリセロール)、モノグリセリド(例、モノステアリン酸グリセロール)、脂肪酸(例、ステアリン酸)、ステロイド(例、コレステロール)、及びワックス(例、パルミチン酸セチル)の一つ又は複数を含むことができ、これらの組み合わせを含む。脂質ナノ粒子は、例えば、Petrilli et al.,Curr Pharm Biotechnol.15:847-55,2014;ならびに米国特許第6,217,912号;第6,881,421号;第7,402,573号;第7,404,969号;第7,550,441号;第7,727,969号;第8,003,621号;第8,691,750号;第8,871,509号;第9,017,726号;第9,173,853号;第9,220,779号;第9,227,917号;及び第9,278,130号において記載されており、それらは、それらの全体において参照により組み入れられる。本明細書中に記載される特定の組成物は、一つ又は複数の脂質ナノ粒子を用いて製剤化される。
【0111】
用語又は「ニューロピリン2関連疾患」又は「NRP2関連疾患」は、NRP2活性、発現、及び/又は空間分布が、その疾患又は状態の病態生理学において役割を果たす疾患及び状態を指す。一部の例では、NRP2関連疾患は、NRP2と少なくとも一つのNRP2リガンドとの相互作用を改変させることにより本開示の抗NRP2抗体により調節され、それにより、NRP2活性、シグナル伝達、発現、及び/又は空間分布に影響を及ぼす。特定の実施形態では、NRP2はNRP2aバリアント1又はバリアント2であり、NRP2リガンドはCCL21及び/又はCCR7である。このように、特定の実施形態では、NRP2関連疾患又は状態は、「NRP2a関連疾患又は状態」である。例示的なNRP2関連疾患及び状態は、限定されないが、癌細胞成長、癌開始、癌移動、癌細胞接着、浸潤、化学療法耐性、及び転移を含む、癌ならびに癌に関連付けられる疾患又は病理を含む。また、含まれるのは、炎症及び自己免疫に関連付けられる疾患、ならびに関連する炎症性疾患であって、不適切な免疫細胞の活性化又は遊走に関連付けられる疾患、例えば移植片対宿主疾患(GVHD)などを含む。特定の実施形態は、リンパ管の発生、リンパ管新生、及びリンパ管損傷に関連付けられる疾患、例えば、浮腫、リンパ浮腫、続発性リンパ浮腫、不適切な脂肪吸収及び蓄積、過剰な脂肪蓄積、ならびに血管透過性を含み;感染に関連付けられる疾患、潜伏感染を含み;アレルギー性障害/疾患、アレルギー応答に関連付けられる疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好中球性喘息、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連全身性血管炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、インフラマソーム関連疾患、及び皮膚関連好中球媒介性疾患、例えば壊疽性膿皮症など;肉芽腫性炎症性疾患に関連付けられる疾患、サルコイドーシス及び肉芽腫を含み;線維症に関連付けられる疾患、線維性疾患、線維症、内皮間葉移行(EMT)、及び創傷治癒を含み;不適切な平滑筋収縮性、平滑筋の代償及び代償不全、ならびに不適切な血管平滑筋細胞遊走及び接着に関連付けられる疾患;不適切なオートファジー、食作用、及びエフェロサイトーシスに関連付けられる疾患;神経疾患、末梢神経系リモデリング、及び疼痛知覚に関連付けられる疾患;骨発生及び骨リモデリングに関連付けられる疾患を含む。典型的には、用語「不適切」は、病理もしくは疾患状態と関連する、又はそれを起こす活性又は特徴を指す。
【0112】
用語「参照配列」は、一般的に、核酸コード配列、又はアミノ酸配列を指し、それに対して、別の配列が比較されている。本明細書中に記載される全てのポリペプチド及びポリヌクレオチド配列は、参照配列として含まれ、名称により記載されるもの、ならびに表及び配列表中に記載されるものを含む。
【0113】
特定の実施形態は、本明細書中に記載されるポリペプチド(例、抗体)の生物学的に活性な「バリアント」及び「断片」、ならびに同をコードするポリヌクレオチドを含む。「バリアント」は、参照ポリペプチド又はポリヌクレオチドと比べて一つ又は複数の置換、付加、欠失、及び/又は挿入を含む(例、表及び配列表を参照のこと)。バリアントポリペプチド又はポリヌクレオチドは、本明細書中に記載されるように、参照配列と少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性又は類似性又は相同性を伴うアミノ酸又はヌクレオチド配列を含み、その参照配列の活性を実質的に保持する。また、含まれるのは、参照配列からなる、又はそれとは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150もしくはそれ以上のアミノ酸もしくはヌクレオチドの付加、欠失、挿入、又は置換により異なり、その参照配列の活性を実質的に保持する配列である。特定の実施形態では、付加又は欠失は、C末端及び/又はN末端の付加及び/又は欠失を含む。
【0114】
用語「配列同一性」は、又は、例えば、「と50%同一の配列」を含み、本明細書中で使用される場合、配列が、比較のウィンドウにわたってヌクレオチドごとに又はアミノ酸ごとに同一である程度を指す。このように、「配列同一性のパーセンテージ」は、二つの最適に整列された配列を比較のウィンドウにわたり比較し、同一の核酸塩基(例、A、T、C、G、I)又は同一のアミノ酸残基(例、Ala、Pro、Ser、Thr、Gly、Val、Leu、Ile、Phe、Tyr、Trp、Lys、Arg、His、Asp、Glu、Asn、Gln、Cys、及びMet)が両方の配列中に生じて、一致する位置の数をもたらし、一致した位置の数を比較のウィンドウ中の位置の総数(即ち、ウィンドウサイズ)により割り、その結果に100を掛けて、配列同一性のパーセンテージをもたらすことにより計算され得る。比較ウィンドウを整列させるための配列の最適な整列が、アルゴリズムのコンピューター化された実装(Wisconsin Genetics Software Package Release 7.0,Genetics Computer Group,575 Science Drive、米国ウィスコンシン州マディソンにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)により、又は検査、及び選択された様々な方法のいずれかにより生成される最良のアライメント(即ち、比較ウィンドウにわたる最も高い相同性パーセンテージをもたらす)により行われ得る。参照がまた、例えば、Altschul et al.,Nucl.Acids Res.25:3389,1997により開示されるプログラムのBLASTファミリーに作られ得る。
【0115】
用語「溶解性」は、液体溶媒中に溶解し、均質な溶液を形成するための、本明細書中に提供される薬剤(例、抗体)の特性を指す。溶解性は、典型的には、溶媒の単位体積当たりの溶質の質量(溶媒1kg当たりの溶質のg、dL当たりのg(100mL)、mg/mlなど)、容積モル濃度、重量モル濃度、モル分画、又は濃度の他の類似の説明のいずれかによる濃度として表現される。溶媒の量当たり溶解することができる溶質の最大平衡量は、温度、圧力、pH、及び溶媒の性質を含む特定の条件下でのその溶媒中の溶質の溶解性である。特定の実施形態では、溶解性は、生理学的pH、又は他のpH、例えば、pH5.0、pH6.0、pH7.0、pH7.4、pH7.6、pH7.8、又はpH8.0(例、約pH5~8)で測定される。特定の実施形態では、溶解性は、水又は生理学的緩衝液、例えばPBSもしくはNaClなど(NaPOを伴う又は伴わない)中で測定される。特定の実施形態では、溶解性は、比較的低いpH(例、pH6.0)及び比較的高い塩(例、500mM NaCl及び10mM NaPO)で測定される。特定の実施形態では、溶解性は、生物学的液体(溶媒)、例えば血液又は血清などの中で測定される。特定の実施形態では、温度は、約室温(例、約20、21、22、23、24、25℃)又はほぼ身体温度(37℃)とすることができる。特定の実施形態では、薬剤は、室温で又は37℃で少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、40、50、60、70、80、90又は100mg/mlの溶解性を有する。
【0116】
「対象」もしくは「その必要のある対象」又は「患者」もしくは「その必要のある患者」は、哺乳動物対象、例えばヒト対象などを含む。
【0117】
「実質的に」又は「本質的に」は、ほぼ全く又は完全に、例えば、一部の所与の量の95%、96%、97%、98%、99%、又はそれ以上を意味する。
【0118】
「統計的に有意」により、それは、結果が偶然に生じた可能性が低いことを意味する。統計的有意性は、当技術分野において公知の任意の方法により決定することができる。一般に使用される有意性の尺度は、p値を含み、それは、帰無仮説が真である場合に、観察された事象が生じ得る頻度又は確率である。得られたp値が有意性レベルよりも小さい場合、次に帰無仮説は拒絶される。単純な場合では、有意性レベルは、0.05又はそれ以下のp値で定義される。
【0119】
「治療応答」は、一つ又は複数の治療剤の投与に基づく症状の改善(持続するか否かにかかわらず)を指す。
【0120】
本明細書中で使用される場合、用語「治療有効量」、「治療用量」、「予防有効量」、又は「診断有効量」は、投与後に所望の生物学的応答を誘発するために必要な薬剤(例、抗NRP2a抗体、免疫療法剤)の量である。
【0121】
本明細書中で使用される場合、対象(例、哺乳動物、例えばヒトなど)又は細胞の「治療」は、個体又は細胞の自然な経過を改変させる試みにおいて使用される任意の種類の介入である。治療は、限定されないが、医薬組成物の投与を含み、予防的に、又は病理学的事象の開始もしくは病因的薬剤との接触に続発して、のいずれかに実施され得る。また、含まれるのは、「予防的」治療であって、それは、治療されている疾患もしくは状態の進行の速度を低下させること、その疾患もしくは状態の発症を遅延させること、又はその発症の重症度を低下させることに向けることができる。「治療」又は「予防」は、疾患もしくは状態、又はその関連症状の完全な根絶、治癒、又は防止を必ずしも示さない。
【0122】
用語「野生型」は、集団において最も頻繁に観察され、このように、遺伝子の「正常」又は「野生型」形態で任意に設計される遺伝子又は遺伝子産物(例、ポリペプチド)を指す。
【0123】
本明細書中の各実施形態は、他に明示的に記述されない限り、すべての他の実施形態に適用される。
【0124】
抗NRP2a抗体
特定の実施形態は、抗体、及びそれらの抗原結合断片を含み、それらは、ヒトニューロピリン2a(NRP2a)ポリペプチド、具体的にはヒトNRP2aバリアント1(v1)及び/又はバリアント2(v2)ポリペプチドに結合する。特定の実施形態では、抗体、及びそれらの抗原結合断片は、ヒトNRP2a v1及びv2ポリペプチドに特異的に結合し、また、ヒトNRP2aバリアント3(v3)ポリペプチドに結合する。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、少なくとも一つのNRP2aリガンド、例えば形質膜受容体、成長因子、シグナル伝達分子、インテグリン、プレキシン、又は他のリガンドなどへの、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドの結合を選択的に調節する(例、直接的又は間接的に干渉する、阻害する、低下させる、刺激する、増加させる)。NRP2aリガンドの具体的な例は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド21(CCL21)ポリペプチド及び/又はC-Cケモカイン受容体7型(CCR7)ポリペプチドを含む。
【0125】
NRP2は、二つのCUBドメイン(a1/a2組み合わせドメイン)、二つの第V/VIII因子相同ドメイン(b1/b2組み合わせドメイン)、MAMドメイン(cドメイン)(図1A-1Bを参照のこと)、及びcドメインを膜貫通ドメイン(細胞膜を横断する)に接続する短い膜近傍領域を含む優性細胞外領域を伴う単一の膜貫通受容体である。NRP2は、典型的には、様々な密接に関連するスプライスバリアントの混合物としてインビボで発現され、それは、しばしば、バリアントv1、v2、及びv3を含むNRP2a、ならびにバリアントv4及びv5を含むNRP2bとして一緒にグループ化される。バリアントv6は、循環中に見出されるNRP2の可溶性形態である。
【0126】
NRP2a及びNRP2bスプライスバリアントは、a1、a2、b1、b2及びcドメインにわたって同一のアミノ酸配列を有するが、しかし、膜近傍領域、膜貫通領域、及び細胞質領域にわたって配列において異なる。NRP2aバリアントv1、v2、及びv3はまた、選択的スプライシングのそれらのパターンに基づいて、これらの領域にわたりアミノ酸配列において異なり、NRP2a v1(931aa)及びNRP2a v2(926aa)を伴い、比較的より小さなNRP2aバリアント3(909aa)と比較して、より大きな挿入を有する。これらの選択的にスプライシングされた形態のNRP2aの異なるサイズは、v1からv2の膜近傍配列のN末端での5アミノ酸ストレッチの喪失、次にv3バリアントにおける5アミノ酸欠失の直ぐC末端の17アミノ酸のさらなる喪失を反映する。膜近傍領域、膜貫通ヘリックス、及び細胞質ドメインのC末端半分は、全ての三つのNRP2aバリアントにおいて同一のままである。
【0127】
NRP2a及びNRP2bの両方において、NRP2のa1a2組み合わせドメインは、セマホリンのsema領域と相互作用し、b1ドメインは、セマホリンPSI及びIg様ドメインと相互作用する。NRP2は、SEMA3F及び3Gについてより高い親和性を有し、対照的に、SEMA3A,3B、及び3Eは、NRP1と優先的に相互作用する。NRP1及びNRP2の両方が、SEMA 3Cについて類似の親和性を有する。NRP2のb1b2組み合わせドメインは、VEGF C&D、胎盤成長因子(PIGF)-2、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、及び形質転換成長因子(TGF)-ベータを含む、ヘパリン結合ドメインを含むいくつかの成長因子と相互作用する(例、Prud’homme et al.,Oncotarget.3:921-939,2012を参照のこと)。NRP2はまた、様々な成長因子特異的受容体と相互作用し、これらの受容体との相互作用は、SEMAへの結合とは独立して生じ得る。この文脈では、インテグリンならびにVEGFR2及びVEGFR3、TGF-ベータ受容体、c-Met、EGFR、FGFR、PDGFRなどの成長因子受容体は、NRPと相互作用し、一般的に、その受容体についての各リガンドの親和性を増加させ、下流シグナル伝達を調節するように見えることが示されている。cドメイン(Mam)ドメインは、リガンド結合のために直接的に要求されないように見えるが、しかし、リガンド特異性、受容体シグナル伝達、及びNRP2二量体化に影響を及ぼし得る。
【0128】
ニューロピリン-2は、様々なリガンドについての必須の細胞表面受容体及び共受容体としてのその役割を通して、広範な細胞機能を調節する(例、Guo and Vander Kooi,J.Cell.Biol.290 No 49:29120-29126,2015を参照のこと)。加えて、最近のデータは、NRP2a及びNRP2bが正常組織中で及び特定の病理学的状態において差次的に発現されることを示唆し、NRP2スプライスバリアントの相対発現が、複数のNRP2関連疾患における状況依存的な様式において受容体クロストークを駆動する際に重要な役割を果たすことを示唆している。NRP2a及びNRP2bはまた、広範囲の細胞機能において異なる、及び時折、反対の役割を果たすように見える。このように、アイソフォーム特異的抗体の開発は、NRP2aバリアントの活性を選択的に調節するという約束を保持し、これらのアイソフォームの間で区別することができない他の抗NRP2抗体と比較して、有意に増強された細胞型選択性、アイソタイプ特異性、より高い効力、及び低下した毒性を伴う新世代の治療剤を作製する機会を提供する。
【0129】
ニューロピリン-2発現は、正常細胞及び癌細胞の両方における増加した細胞可塑性、及び上皮から間葉への移行(EMT)と関連付けられ、それにより、癌治療中での細胞生存及び化学療法耐性の発生を増加させる(例、Gandclement et al.,PLoS ONE 6(7)e20444,2011を参照のこと)。加えて、NRP2発現は、線維芽細胞及び内皮細胞におけるEMT及び線維症の発生の両方に導くTGF-ベータ曝露により増加される(例、Pardali et al.,Int.J.Mol.Sci.18:2157,2017)。したがって、NRP2a特異的抗体の開発は、細胞可塑性及び生存、化学療法耐性、ならびに線維症の発生を選択的に調節する可能性を提供する。
【0130】
ニューロピリン-2発現はリンパ血管新生を促進し(例、Doci et al.,Cancer Res.75:2937-2948,2015を参照のこと)、NRP2中の一塩基多型(SNP)はリンパ浮腫と関連付けられる(例、Miaskowski et al.,PLoS ONE 8(4)e60164,2013を参照のこと)。したがって、NRP2a特異的抗体の開発は、リンパ管新生を調節し、リンパ浮腫を治療するために、これらのアイソフォームの機能を選択的に調節する可能性を提供する。NRP2はまた、平滑筋収縮性及び平滑筋緊張を調節し(例、Bielenberg et al.,Amer.J.Path.181:548-559,2012を参照のこと)、したがって、NRP2a特異的抗体の開発は、平滑筋収縮性、及び筋緊張を調節するためにこれらのアイソフォームの機能を選択的に調節する可能性を提供する。
【0131】
NRP2は、癌幹細胞の維持、ならびに増加した腫瘍開始に導く生存、生存、化学及び放射線耐性の発生、ならびに転移に直接的に寄与する(例、Goel et al.,EMBO Mol.Med.5:488-508,2013;及びSamuel et al.,PLoS ONE 6(10)e23208,2011)、Prud’homme et al.,Oncotarget 3:921-939,2012を参照のこと)。したがって、NRP2a特異的抗体の開発は、癌幹細胞の成長、生存、化学及び放射線耐性の発生ならびに転移を調節するために、これらのアイソフォームの機能を選択的に調節する可能性を提供する。
【0132】
ニューロピリン-2は、リンパ細胞、例えばB及びT細胞など、ならびに骨髄細胞、例えば好塩基球、好酸球、単球、樹状細胞、NK細胞、好中球、及び組織特異的マクロファージ、例えば、肺胞マクロファージを含むマクロファージを含む、免疫系の様々な細胞において発現される。それはまた、肺及び他の組織における内皮細胞及び上皮細胞において、ならびに筋細胞において発現される(例、Bielenberg et al.,Amer.J.Path.181:548-559,2012;Aung,et al.,PLoS ONE 11(2)e0147358,2016;Schellenburg et al.,Mol.Imm 90:239-244,2017;及びWild et al.,Int.J.Exp.Path.93:81-103,2012を参照のこと)。NRP2は、免疫細胞の活性化及び遊走を調節する(例、Mendes-da-Cruz et al.,PLoS ONE 9(7)e103405,2014を参照のこと)。したがって、NRP2a特異的抗体の開発は、免疫細胞の活性化及び遊走を調節するためにこれらのアイソフォームの機能を選択的に調節する可能性を提供し、それにより、炎症及び自己免疫に対する抗炎症剤及び免疫調節剤を提供又は開発する。
【0133】
ニューロピリン-2はまた、例えば、感染及びアポトーシス細胞のクリアランスにそれぞれ寄与する食作用及びエフェロサイトーシスの重要な態様である後期エンドソーム成熟を調節することにより、オートファジー、エンドソーム発生において重要な役割を果たす(例、Diaz-Vera et al.,J.Cell.Sci.130:697-711,2017;Dutta et al.,Cancer Res.76:418-428,2016を参照のこと)。したがって、NRP2a特異的抗体の開発は、これらのアイソフォームの機能を選択的に調節して、エンドソームの発生、貪食、エフェロサイトーシス、及びオートファジーを調節する可能性を提供する。
【0134】
ニューロピリン-2は、多くの疾患(例、本明細書中に記載される「NRP2関連疾患」)の病態生理学において重要なプレーヤーであることが公知であり、セマホリン3F、VEGF-C及びD、ならびにTGF-ベータ(例えば、表L1及び表L2を参照のこと)を含む可溶性リガンドの広範なアレイ、ならびに細胞受容体及び共因子のアレイと相互作用する。NRP2はまた、樹状細胞上でポリシアリル化され、ケモカインCCL21及びその受容体CCR7と能動的に相互作用して免疫細胞移動を媒介し、それについては、ILD及びRAに関連付けられる一塩基多型が記載されている(例、Rey-Gallardo et al.,Glycobiology 20:1139-1146,2010;Stahl et al.,Nat.Genet.42:508-514,2013;及びMiller et al.,Arthritis Rheum.65:3239-3247を参照のこと)。加えて、NRP-2の可溶性の循環形態が公知である(例、Parker et al.,Structure 23(4)677-687,2015を参照のこと)。したがって、広範囲の疾患における病態生理学においてNRP2により果たされる中心的な役割を考慮すると、NRP2とNRP2リガンド(例えば、表L1及び表L2からのNRP2リガンド)の間での相互作用、及び対応する生物学的活性を選択的に変化させるための、NRP2に対する抗体とのそれらの相互作用の調節によって、NRP2関連疾患を含む、疾患の治療のための広範な潜在能が提供されることは明らかである。
【0135】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、他のNRP2アイソフォームポリペプチドと比べて、ヒトニューロピリン-2B(NRP2b)バリアント4(v4)ポリペプチド及び/又はヒトNRP2bバリアント5(v5)ポリペプチドと比べて、を含み、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドに選択的又は優先的に結合する。すなわち、一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトNRP2b v4ポリペプチド又はNRP2b v5ポリペプチドに実質的に結合しない。特定の抗体又はその抗原結合断片はまた、ヒトNRP2a v3ポリペプチドに結合し、特定の抗体及びその抗原結合断片は、ヒトNRP2a v3ポリペプチドに実質的に結合しない(例、図4Cを参照のこと)。NRP2ポリペプチドの例示的なアミノ酸配列を、以下の表N1中に提供する。
【表N1-1】
【表N1-2】
【表N1-3】
【0136】
このように、特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、表N1からのヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドに選択的又は優先的に結合し、例えば、表N1からのヒトNRP2b v4ポリペプチド、又はヒトNRP2b v5ポリペプチドに実質的に結合しない。特定の抗体又はそれらの抗原結合断片はまた、表N1からのヒトNRP2a v3ポリペプチドに結合し、一部の抗体及びそれらの抗原結合断片は、表N1からのヒトNRP2a v3ポリペプチドに実質的に結合しない。
【0137】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、膜近傍ドメイン中の固有のエピトープ、すなわち、ヒトNRP2a v1及び/又はv2中に存在するが、しかし、ヒトNRP2b v4又はNRP2b v5中には存在しないエピトープで、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドに結合する。一部の例では、固有のエピトープは、ヒトNRP2a v3中に存在し、一部の例では、固有のエピトープは、ヒトNRP2a v3中に存在しない。例示的な固有の膜近傍エピトープを以下の表N2中に提供する。
【表N2】
【0138】
このように、一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、表N2からの配列又はエピトープで、NRP2a v1又はv2ポリペプチドに結合する。一部の実施形態では、エピトープは、表N2からの配列又はエピトープの少なくとも約8、9、10、11、又は12の連続アミノ酸、例えば、配列番号94~104のいずれか、それらの組み合わせを含む、を含む。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、表N2からのエピトープを含む、連続エピトープに結合する。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、表N2からの一つ又は複数のエピトープを含む、不連続エピトープに結合する。特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号100、又は配列番号100の約もしくは少なくとも約8、9、10、11、もしくは12の連続アミノ酸に結合する。
【0139】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号94において定義されるように、NRP2a v1のニューロピリン膜近傍ドメイン中のエピトープ、例えば、残基803~864、813~864、823~864、833~864、843~864、853~864;803~854、803~844、803~834、803~824、及び/又は803~814に結合する。一部の実施形態では、少なくとも一つの抗体又はその抗原結合断片は、配列番号95において定義されるように、NRP2a v2のニューロピリン膜近傍ドメイン中の少なくとも一つのエピトープ、例えば、残基803~859、813~859、823~859、833~859、843~859、853~859;803~849、803~839、803~829、803~819、及び/又は803~809に特異的に結合する。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号95において定義されるように、NRP2a v1/v2のニューロピリン膜近傍ドメイン中の少なくとも一つのエピトープ、例えば、残基818~832、820~832、822~832、824~832、826~832、818~830、818~828、818~826、及び/又は818~824に結合する。
【0140】
一部の実施形態では、少なくとも一つの抗体又はその抗原結合断片は、配列番号95において定義されるように、NRP2a v1/v2のニューロピリン膜近傍ドメイン中の少なくとも一つのエピトープ、例えば、残基818~832、820~832、822~832、824~832、826~832、又は818~830、818~828、818~826、及び/又は818~824に特異的に結合する。特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、配列番号100に結合する。
【0141】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、NRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド、ならびに、場合により、NRP2a v3ポリペプチド、例えば、表N1からの配列及び/又は表N2からのエピトープに、約10pM~約500pMもしくは約50nMまで、又は約、少なくとも約、もしくは約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、300、400、500、600、700、800、900pM、1nM、10nM、25nM、又は50nM以下の親和性を伴って、あるいは、場合により、約10pM~約500pM、約10pM~約400pM、約10pM~約300pM、約10pM~約200pM、約10pM~約100pM、約10pM~約50pM、又は約20pM~約500pM、約20pM~約400pM、約20pM~約300pM、約20pM~約200pM、約20pM~約100pM、約20pM~約50pM、又は約30pM~約500pM、約30pM~約400pM、約30pM~約300pM、約30pM~約200pM、約30pM~約100pM、約30pM~約50pM、又は約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約1nM~約5nM、約5nM~約10nM、約10nM~25nM、又は約25nM~約50nMの範囲の親和性を伴って結合する。
【0142】
特定の実施形態では、ヒトNRP2a v1又はv2ポリペプチドについての抗体、又はその抗原結合断片の結合親和性(表N1を参照のこと)は、NRP2a v3リペプチド、NRP2b v4ポリペプチド、及び/又はNRP2b v5ポリペプチドについてのその結合親和性(表N1を参照のこと)より少なくとも約1.5倍、2倍、4倍、6倍、8倍、10倍、20倍、40倍、60倍、80倍、100倍、200倍、400倍、600倍、800倍、又は1000倍強い。
【0143】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトNRP2a v1及び/又はv2と相互作用する、あるいは可逆的に結合するが、しかし、NRP2b v4又はNRP2b v5と実質的に相互作用又は結合しない任意の分子を含む、少なくとも一つの「NRP2aリガンド」に結合又は相互作用するヒトNRP2aポリペプチドの領域内の少なくとも一つのエピトープに特異的に結合する。NRP2リガンドの一般的な例を、表L1中に提供する。
【表L1】
【0144】
このように、特定の実施形態では、少なくとも一つのNRP2aリガンドは、表L1から選択される。「NRP2aリガンド」の具体的な例は、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド21(CCL21)ポリペプチド及びC-Cケモカイン受容体7型(CCR7)ポリペプチドを含む。例示的なNRP2aリガンドのアミノ酸配列を、以下の表L2中に提供する。
【表L2】
【0145】
このように、特定の実施形態では、少なくとも一つのNRP2aリガンドは、表L2から選択され、抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片は、表L1もしくは表L2からのNRP2aリガンド、又はその生物学的に活性な断片もしくはバリアントへのヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド(例えば、表N1から選択される)の結合を調節する(例、それに干渉する、阻害する、低下させる)。
【0146】
一部の態様では、少なくとも一つのNRP2リガンドは、CCL21及びその受容体CCR7から選択される。CCR7活性は、慢性炎症性状態(Moschovakis et al.,2012,Eur J Immunol.42:1949-55)、アテローム性動脈硬化症(Luchtefeld et al.,2010,Circulation 122:1621-28)、HIV感染(Evans et al.,2012,Cytokine Growth Factor Rev.23:151-57)、及び癌(Ben-Baruch,2009,Cell Adhesion Migration 3:328-33)を含む、多様な疾患状態において関係付けられてきた。CCR7活性は、炎症性腸疾患(IBD)、例えばクローン病及び潰瘍性大腸炎、組織又は臓器移植拒絶反応、喘息、アレルギー性気道炎症、気道平滑筋過形成、ならびに線維性肺疾患などを含む炎症性障害において関係付けられてきた(Gomperts et al.,2007,J Leukoc Biol.82:449-56;Kawakami et al.,2012,Cell Immunol 2575:24-32;Saunders et al.,2009,Clin Exp Allergy 39:1684-92)。CCR7活性はまた、関節リウマチにおいて関係付けられてきた(Moschovakis et al.,2012,Eur J Immunol.42:1949-55)。CCR7活性は、多発性硬化症(Aung et al.,2010,J Neuroimmunol.226:158-64)、乾癬(Fan et al.,2008,Indian J Dermatol Venereol Leprol.74(5):550;Bose et al.,2013,Am J Pathol,183(2):413-421)、及びアテローム性動脈硬化症(Luchtefeld et al.,2010,Circulation 10 122:1621-28)において関係付けられてきた。CCR7活性は、ライシュマニア・ドノバニ感染を含む慢性及び潜伏感染を含む、HIV感染及び他の感染において関係付けられてきた(Evans et al.,2012,Cytokine Growth Factor Rev.23:151-57)。
【0147】
様々な試験によって、CCR7が多種多様な腫瘍細胞、例えば、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫、大細胞型B細胞リンパ腫、AIDS関連リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、バーキットリンパ腫、B細胞急性リンパ芽球性白血病、ホジキン病、成人T細胞白血病/リンパ腫、菌状息肉症、慢性骨髄増殖性症候群の急性転化、骨髄異形成症候群の急性転化、癌、例えば乳癌、非小細胞肺癌、黒色腫、胃癌又は頭頸部扁平上皮癌及び結腸癌など、B細胞慢性リンパ性白血病、非ホジキンリンパ腫、乳癌細胞及び悪性乳腺腫瘍(例えば、WO2007/003426を参照のこと)を含む、において発現されることが明らかになっている。CCR7はまた、様々な癌のリンパ節転移において役割を果たす(例、Viola and Luster,2008,Annu Rev Pharmacol Toxicol.48:171-97を参照のこと)。
【0148】
したがって、CCL21結合、又はCCR7受容体のシグナル伝達のいずれかを直接的に調節する抗NRP2a抗体は、炎症性障害、癌、組織又は臓器移植拒絶反応、気道炎症、RAの治療のため、ならびに潜伏感染及び持続性感染の治療及び予防のため、を含む、これらの疾患及び障害の一つ又は複数を調節する際での有用性が見出されることが予測され得る。
【0149】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は「遮断抗体」であって、それは、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドと、NRP2aリガンド、例えばヒトCCL21及び/又はCCR7などの間での結合を完全に又は実質的に阻害する。一部の実施形態では、「遮断抗体」は、実質的に化学量論的に等価な量のNRP2aポリペプチドとの「遮断抗体」のプレインキュベーション後のNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドとNRP2aリガンドとの間の理論上の最大結合の約又は少なくとも約80~100%(例、80、85、90、95、又は100%)を阻害する。本明細書中で使用される場合、「化学量論的に等価な量」は、一つの物質(例、抗NRP2a抗体)のモル数が、所与の式又は反応における少なくとも一つの他の物質(例、NRP2aポリペプチド)のモル数と同等又は実質的に等価である状況を指す。
【0150】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は「部分遮断抗体」であって、それは、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドと、NRP2aリガンド、例えばヒトCCL21及び/又はCCR7などの間での結合を少なくとも部分的に、しかし、完全にではなく阻害する。一部の実施形態では、「部分遮断抗体」は、実質的に化学量論的に等量のNRP2aポリペプチドとの「部分遮断抗体」のプレインキュベーション後に、NRP2aポリペプチドとNRP2aリガンドの間での理論上の最大結合の約又は少なくとも約20~80%(例、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80%)阻害する。
【0151】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、例えば、インビトロ結合アッセイ、インビトロもしくはエクスビボ細胞ベースのアッセイ、又はインビボで、NRP2a v1又はv2ポリペプチドとヒトCCL21ポリペプチドの間での結合を阻害する、遮断する、又はそうでなければ低下させる。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、例えば、実質的に化学量論的に等価な量の抗NRP2aポリペプチドとの抗NRP2a抗体のプレインキュベーション後、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドと、ヒトCCL21 NRP2a ポリペプチドの間での理論上の最大結合に、約又は少なくとも約20~100%(例、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%)拮抗する又はそれを低下させる。
【0152】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、例えば、インビトロ結合アッセイ、インビトロもしくはエクスビボ細胞ベースのアッセイ、又はインビボで、NRP2a v1もしくはv2ポリペプチドとヒトCCR7ポリペプチドの間での結合(例、二量体化)を特異的に阻害する、遮断する、又はそうでなければ低下させる。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、例えば、実質的に化学量論的に等価な量の抗NRP2aポリペプチドとの抗NRP2a抗体のプレインキュベーション後、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドとヒトCCR7ポリペプチドの間での理論上の最大結合に、約又は少なくとも約20~100%(例えば、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%)拮抗する又はそれを低下させる。
【0153】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、対照と比べて、例えば、約又は少なくとも約20~100%(例、約20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、又は100%)だけCCL21/CCR7媒介シグナル伝達を調節する。CCL21/CCR7媒介シグナル伝達活性の例は、限定されないが、樹状細胞又は成熟T細胞を含む免疫細胞遊走の誘導、未成熟T細胞の阻害、及び腫瘍又は癌細胞遊走の誘導を含む。例示的な免疫細胞及び腫瘍細胞/癌細胞が、本明細書中に記載されている。
【0154】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、(i)ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド、ならびに(ii)カニクイザルNRP2ポリペプチドの対応する領域(例えば、UniProt G7PL91を参照のこと)の各々についての親和性(Kd又はEC50)を有し、それにおいて、(i)及び(ii)についての親和性が、約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、約0.4~約1.2nM、約0.9~約5.5nM、約0.9~約5nM、又は約1nM~約10nMの範囲内である。
【0155】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、(i)ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド、ならびに(ii)マウスNRP2ポリペプチドの対応する領域の各々についての親和性(Kd又はEC50)を有し、それにおいて、(i)及び(ii)についての親和性が、約20pM~約200pM、約30pM~約300pM、約40pM~約400pM、約50pM~約500pM、約60pM~約600pM、約70pM~約700pM、約80pM~約800pM、約90pM~約900pM、約100pM~約1nM、又は約1nM~約10nMの範囲内である。
【0156】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、対応するマウスNRP2ポリペプチドと比べて、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド(表N1を参照のこと)に選択的に結合し、例えば、ここで、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドについてのその親和性は、対応するマウスNRP2ポリペプチドについてのその親和性よりも、例えば、約又は少なくとも約2、5、10、20、30、40、50、100、500、又は1000倍又はそれ以上だけ有意に強い。特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドに選択的に結合し、対応するマウスNRP2ポリペプチドに実質的に結合しない。特定の例示的なマウスNRP2ポリペプチドは、ハツカネズミNRP2ポリペプチドを含む(例えば、UniProt O35375を参照のこと)。
【0157】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)配列、ならびに相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VL)配列により特徴付けられる、又はそれを含む。例示的なVH、VHCDR1、VHCDR2、VHCDR3、VL、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列を、以下の表A1及び表A2中に提供する。
【表A1-1】
【表A1-2】
【表A1-3】
【表A2-1】
【表A2-2】
【表A2-3】
【0158】
このように、特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、
表A1から選択される相補性決定領域VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列を含む重鎖可変領域(VH)配列ならびにヒトNRP2aポリペプチド又はそのエピトープに特異的に結合するそれらのバリアント(例えば、表N1、表N2から選択される);及び
表A1から選択される相補性決定領域VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列を含む軽鎖可変領域(VH)配列ならびにヒトNRP2ポリペプチド又はそのエピトープに特異的に結合するそれらのバリアント(例えば、表N1、表N2から選択される)。
【0159】
特定の実施形態では、CDR配列は、以下の通りである:
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号130~132を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号133~135を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号136~138を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号139~141を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号142~144を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号145~147を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号148~150を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号151~153を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号154~156を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号157~159を含み、CDR領域の全てにわたり合計1、2、3、4、5、もしくは6の改変を有するそれらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号1~3を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号4~6を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号7~9を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号10~12を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号13~15を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号16~18を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号19~21を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号22~24を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号25~27を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号28~30を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号31~33を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号34~36を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号37~39を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号40~42を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号43~45を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号46~48を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号49~51を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号52~54を含み、それらのバリアントを含む;
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号55~57を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号58~60を含み、それらのバリアントを含む;又は
VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列が、それぞれ配列番号61~63を含み、VLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列が、それぞれ配列番号64~66を含み、それらのバリアントを含む。
【0160】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片(例、401抗体又はその抗原結合断片のバリアント)が、CDRコンセンサス配列を含み、例えば、それにおいて、VHCDR1、VHCDR2、及びVHCDR3配列は、それぞれ配列番号13、127、及びGXを含み(それにおいて、XはG、A、又はSであり、XはY、F、K、L、又はRであり、XはT、A、G、I、L、Q、又はVであり、XはD、A、G、K、N、Q、R、又はSであり、及びXはY、A、D、E、F、G、H、I、K、L、N、Q、R、S、T、又はVである)、ならびにVLCDR1、VLCDR2、及びVLCDR3配列は、それぞれ配列番号16、17、及びX10111213を含む(それにおいて、XはS、A、G、I、L、P、T、又はVであり、Xは Q、A、G、R、又はSであり、XはS、A、H、K、L、Q、又はTであり、XはT、F、G、H、I、K、L、N、Q、R、S、V、又はYであり、X10はH、A、D、E、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、T、又はYであり、X11はV、A、E、F、G、H、I、K、L、N、P、Q、R、S、T、又はYであり、X12はL、A、E、H、I、N、P、Q、S、T、又はVであり、及びX13はT、A、D、E、F、G、I、K、L、N、Q、R、S、又はVである)(「X」残基の定義については、表E7を参照のこと);
また、含まれるのは、それらのバリアントであって、ヒトNRP2aポリペプチド又はそのエピトープに結合する親和性成熟バリアント(例えば、表N1、表N2を参照のこと)、例えば、CDR領域の全てにわたって1、2、3、4、5、又は6の全改変、例えば、本明細書中に記載されるV CDR1、V CDR2、V CDR3、V CDR1、V CDR2、及び/又はV CDR3配列の一つ又は複数を有するバリアントを含む。例示的な「改変」は、アミノ酸置換、付加、及び欠失を含む。
【0161】
特定の実施形態では、VH配列は、表A2から選択される配列と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、又は100%同一であり、例えば、それにおいて、VH配列が、一つ又は複数のフレームワーク領域中に1、2、3、4、又は5つの改変を有することを含む。
【0162】
一部の実施形態では、VL配列は、表A2から選択される配列と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、又は100%同一であり、例えば、それにおいて、VL配列が、一つ又は複数のフレームワーク領域中に1、2、3、4、又は5つの改変を有することを含む。
【0163】
一部の実施形態では、抗体又は抗原結合断片のVH及びVL配列は、以下の通りである:
VH配列が、配列番号160と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号161と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号162と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号163と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号164と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号165と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号166と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号167と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号168と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号169と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号67と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号68と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号69と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号70と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号71と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号72と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号73と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号74と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号75と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号76と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号77と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号78と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号79と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号80と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号81と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号82と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号83と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号84と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;
VH配列が、配列番号85と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号86と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である;又は
VH配列が、配列番号87と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一であり、VL配列が、配列番号88と少なくとも80、85、90、95、97、98、99、もしくは100%同一である。
【0164】
一部の実施形態では、抗体又は抗原結合断片のV及びV配列は、以下の通りである:
配列は配列番号170を含み、V配列は配列番号171を含む(「X」残基の定義については、表E7を参照のこと);
配列は配列番号160を含み、V配列は配列番号161を含む;
配列は配列番号162を含み、V配列は配列番号163を含む;
配列は配列番号164を含み、V配列は配列番号165を含む;
配列は配列番号166を含み、V配列は配列番号167を含む;
配列は配列番号168を含み、V配列は配列番号169を含む;
配列は配列番号67を含み、V配列は配列番号68を含む;
配列は配列番号69を含み、V配列は配列番号70を含む;
配列は配列番号71を含み、V配列は配列番号72を含む;
配列は配列番号73を含み、V配列は配列番号74を含む;
配列は配列番号75を含み、V配列は配列番号76を含む;
配列は配列番号77を含み、V配列は配列番号78を含む;
配列は配列番号79を含み、V配列は配列番号80を含む;
配列は配列番号81を含み、V配列は配列番号82を含む;
配列は配列番号83を含み、V配列は配列番号84を含む;
配列は配列番号85を含み、V配列は配列番号86を含む;又は
配列は配列番号87を含み、V配列は配列番号88を含む。
【0165】
また、含まれるのは、それらのバリアント、例えば、ヒトNRP2aポリペプチド又はそのエピトープに結合する、一つ又は複数のフレームワーク領域中に1、2、3、4、又は5の改変を有するバリアントである(例えば、表N1、表N2を参照のこと)。例示的な「改変」は、アミノ酸置換、付加、及び欠失を含む。
【0166】
単に例証的な目的のために、抗体もしくはその抗原結合断片、ヒトNRP2aポリペプチド(例、NRP2a v1及び/又はv2)、及び/又はNRP2リガンド(例、CCL21、CCR7)間の結合相互作用は、様々なルーチン的な方法を使用して検出及び定量化することができ、オクテットアッセイ及びBiacoreアッセイ(例えば、適切にタグ付けされた可溶性試薬を用いて、センサーチップに結合される)、細胞表面上にNRP2aポリペプチドを発現する細胞を用いたFACS分析(天然、又は組換え体のいずれか)、イムノアッセイ、蛍光染色アッセイ、ELISAアッセイ、及びマイクロカロリメトリーアプローチ、例えばITC(等温滴定熱量測定)などを含む。また、実施例を参照のこと。
【0167】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、野生型Fc領域と比較して改変された特性又は生物学的活性を有するものを含む、バリアント又は他の方法で修飾されたFc領域を含む。修飾Fc領域の例は、例えば、野生型配列と比べて、一つ又は複数のアミノ酸の置換、挿入、欠失、又は切断により変異配列を有するもの、異なる免疫グロブリンクラス/サブクラスからのドメインで構成されるハイブリッドFcポリペプチド、改変されたグリコシル化/シアル化パターンを有するFcポリペプチド、及び、例えば、ビオチン化(例、米国特許出願第2010/0209424号を参照のこと)、リン酸化、硫酸化など、又は前述の任意の組み合わせにより修飾又は誘導体化されるFcポリペプチドを含む。そのような修飾を用いて、一つ又は複数の特定のFcR(例、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIb、FcγRIIc、FcγRIIIa、FcγRIIIb、FcRn)へのFc領域の結合特性、その薬物動態特性(例、安定性又は半減期、バイオアベイラビリティ、組織分布、分布の容積、濃度、排出速度定数、排出速度、曲線下面積(AUC)、クリアランス、Cmax、tmax、Cmin、変動)、その免疫原性、その補体固定又は活性化、及び/又はFc領域のCDC/ADCC/ADCP関連活性を、本明細書中に記載されている他の特性の中でもとりわけ、抗体又はその抗原結合断片の対応する野生型Fc配列と比べて改変(例、増加、減少)させることができる。含まれるのは、ヒト及び/又はマウス起源の修飾Fc領域である。
【0168】
また、含まれるのは、ハイブリッドFc領域、例えば、異なる種(例、ヒト、マウス)、異なるIgクラス、及び/又は異なるIgサブクラスの免疫グロブリンからのFcドメイン(例、ヒンジ、CH、CH、CH)の組み合わせを含むFc領域を含む抗体又はその抗原結合断片である。一般的な例は、CH/CHドメインの以下の組み合わせを含む、それからなる、又はそれから本質的になるハイブリッドFc領域を含む:IgA1/IgA1、IgA1/IgA2、IgA1/IgD、IgA1/IgE、IgA1/IgG1、IgA1/IgG2、IgA1/IgG3、IgA1/IgG4、IgA1/IgM、IgA2/IgA1、IgA2/IgA2、IgA2/IgD、IgA2/IgE、IgA2/IgG1、IgA2/IgG2、IgA2/IgG3、IgA2/IgG4、IgA2/IgM、IgD/IgA1、IgD/IgA2、IgD/IgD、IgD/IgE、IgD/IgG1、IgD/IgG2、IgD/IgG3、IgD/IgG4、IgD/IgM、IgE/IgA1、IgE/IgA2、IgE/IgD、IgE/IgE、IgE/IgG1、IgE/IgG2、IgE/IgG3、IgE/IgG4、IgE/IgM、IgG1/IgA1、IgG1/IgA2、IgG1/IgD、IgG1/IgE、IgG1/IgG1、IgG1/IgG2、IgG1/IgG3、IgG1/IgG4、IgG1/IgM、IgG2/IgA1、IgG2/IgA2、IgG2/IgD、IgG2/IgE、IgG2/IgG1、IgG2/IgG2、IgG2/IgG3、IgG2/IgG4、IgG2/IgM、IgG3/IgA1、IgG3/IgA2、IgG3/IgD、IgG3/IgE、IgG3/IgG1、IgG3/IgG2、IgG3/IgG3、IgG3/IgG4、IgG3/IgM、IgG4/IgA1、IgG4/IgA2、IgG4/IgD、IgG4/IgE、IgG4/IgG1、IgG4/IgG2、IgG4/IgG3、IgG4/IgG4、IgG4/IgM、IgM/IgA1、IgM/IgA2、IgM/IgD、IgM/IgE、IgM/IgG1、IgM/IgG2、IgM/IgG3、IgM/IgG4、IgM/IgM(又はそれらの断片もしくはバリアント)、場合により、IgA1、IgA2、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4の一つ又は複数からのヒンジ、ならびに/あるいはIgE及び/又はIgMからのCHドメインを含む。特定の実施形態では、ヒンジ、CH、CH、及びCHドメインは、ヒトIgからである。
【0169】
追加の例は、CH/CHドメインの以下の組み合わせを含む、それからなる、又はそれから本質的になるハイブリッドFc領域を含む:IgA1/IgE、IgA2/IgE、IgD/IgE、IgE/IgE、IgG1/IgE、IgG2/IgE、IgG3/IgE、IgG4/IgE、IgM/IgE、IgA1/IgM、IgA2/IgM、IgD/IgM、IgE/IgM、IgG1/IgM、IgG2/IgM、IgG3/IgM、IgG4/IgM、IgM/IgM(又はそれらの断片もしくはバリアント)、場合により、IgA1、IgA2、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4の一つ又は複数からのヒンジ、ならびに/あるいはIgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はIgMの一つ又は複数からのCHドメインを含む。特定の実施形態では、ヒンジ、CH、CH、及びCHドメインは、ヒトIgからである。
【0170】
特定の例は、CH/CHドメインの以下の組み合わせを含む、それからなる、又はそれから本質的になるハイブリッドFc領域を含む:IgA1/IgE、IgA2/IgE、IgD/IgE、IgE/IgE、IgG1/IgE、IgG2/IgE、IgG3/IgE、IgG4/IgE、IgM/IgE、IgA1/IgM、IgA2/IgM、IgD/IgM、IgE/IgM、IgG1/IgM、IgG2/IgM、IgG3/IgM、IgG4/IgM、IgM/IgM(又はそれらの断片もしくはバリアント)、場合により、IgA1、IgA2、IgD、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4の一つ又は複数からのヒンジ、ならびに/あるいはIgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はIgMの一つ又は複数からのCHドメインを含む。特定の実施形態では、ヒンジ、CH、CH、及びCHドメインは、ヒトIgからである。
【0171】
特定の例は、ヒンジ/CHドメインの以下の組み合わせを含む、それからなる、又はそれから本質的になるハイブリッドFc領域を含む:IgA1/IgA1、IgA1/IgA2、IgA1/IgD、IgA1/IgE、IgA1/IgG1、IgA1/IgG2、IgA1/IgG3、IgA1/IgG4、IgA1/IgM、IgA2/IgA1、IgA2/IgA2、IgA2/IgD、IgA2/IgE、IgA2/IgG1、IgA2/IgG2、IgA2/IgG3、IgA2/IgG4、IgA2/IgM、IgD/IgA1、IgD/IgA2、IgD/IgD、IgD/IgE、IgD/IgG1、IgD/IgG2、IgD/IgG3、IgD/IgG4、IgD/IgM、IgG1/IgA1、IgG1/IgA2、IgG1/IgD、IgG1/IgE、IgG1/IgG1、IgG1/IgG2、IgG1/IgG3、IgG1/IgG4、IgG1/IgM、IgG2/IgA1、IgG2/IgA2、IgG2/IgD、IgG2/IgE、IgG2/IgG1、IgG2/IgG2、IgG2/IgG3、IgG2/IgG4、IgG2/IgM、IgG3/IgA1、IgG3/IgA2、IgG3/IgD、IgG3/IgE、IgG3/IgG1、IgG3/IgG2、IgG3/IgG3、IgG3/IgG4、IgG3/IgM、IgG4/IgA1、IgG4/IgA2、IgG4/IgD、IgG4/IgE、IgG4/IgG1、IgG4/IgG2、IgG4/IgG3、IgG4/IgG4、IgG4/IgM(又はその断片もしくはバリアント)、場合により、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はIgMの一つ又は複数からのCHドメイン、ならびに/あるいはIgE及び/又はIgMのCHドメインを含む。特定の実施形態では、ヒンジ、CH、CH、及びCHドメインは、ヒトIgからである。
【0172】
特定の例は、ヒンジ/CHドメインの以下の組み合わせを含む、それからなる、又はそれから本質的になるハイブリッドFc領域を含む:IgA1/IgA1、IgA1/IgA2、IgA1/IgD、IgA1/IgE、IgA1/IgG1、IgA1/IgG2、IgA1/IgG3、IgA1/IgG4、IgA1/IgM、IgA2/IgA1、IgA2/IgA2、IgA2/IgD、IgA2/IgE、IgA2/IgG1、IgA2/IgG2、IgA2/IgG3、IgA2/IgG4、IgA2/IgM、IgD/IgA1、IgD/IgA2、IgD/IgD、IgD/IgE、IgD/IgG1、IgD/IgG2、IgD/IgG3、IgD/IgG4、IgD/IgM、IgG1/IgA1、IgG1/IgA2、IgG1/IgD、IgG1/IgE、IgG1/IgG1、IgG1/IgG2、IgG1/IgG3、IgG1/IgG4、IgG1/IgM、IgG2/IgA1、IgG2/IgA2、IgG2/IgD、IgG2/IgE、IgG2/IgG1、IgG2/IgG2、IgG2/IgG3、IgG2/IgG4、IgG2/IgM、IgG3/IgA1、IgG3/IgA2、IgG3/IgD、IgG3/IgE、IgG3/IgG1、IgG3/IgG2、IgG3/IgG3、IgG3/IgG4、IgG3/IgM、IgG4/IgA1、IgG4/IgA2、IgG4/IgD、IgG4/IgE、IgG4/IgG1、IgG4/IgG2、IgG4/IgG3、IgG4/IgG4、IgG4/IgM(又はそれらの断片もしくはバリアント)、場合により、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はIgMの一つ又は複数からのCHドメイン、ならびに/あるいはIgE及び/又はIgMからのCHドメインを含む。特定の実施形態では、ヒンジ、CH、CH、及びCHドメインは、ヒトIgからである。
【0173】
一部の例は、ヒンジ/CHドメインの以下の組み合わせを含む、それからなる、又はそれから本質的になるハイブリッドFc領域を含む:IgA1/IgE、IgA1/IgM、IgA2/IgE、IgA2/IgM、IgD/IgE、IgD/IgM、IgG1/IgE、IgG1/IgM、IgG2/IgE、IgG2/IgM、IgG3/IgE、IgG3/IgM、IgG4/IgE、IgG4/IgM(又はその断片もしくはバリアント)、場合により、IgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はIgMの一つ又は複数からのCHドメイン、ならびに/あるいはIgA1、IgA2、IgD、IgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、又はIgMの一つ又は複数からのCHドメインを含む。
【0174】
ハイブリッドFc領域の具体的な例は、例えば、WO2008/147143において見出すことができ、それは、IgGサブクラスの組み合わせ又はヒトIgD及びIgGの組み合わせから由来する。
【0175】
また、含まれるのは、誘導体化された又は別の方法で修飾されたFc領域を有する抗体又はその抗原結合断片である。特定の態様では、Fc領域は、例えば、野生型又は天然のFc領域と比べて、リン酸化、硫酸化、アクリル化、グリコシル化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化、アミド化、及び同様のものにより修飾され得る。特定の実施形態では、Fc領域は、野生型又は天然グリコシル化パターンを含んでもよく、又は、あるいは、天然形態と比べて増加したグリコシル化、天然形態と比べて減少したグリコシル化を含んでもよく、又はそれは、完全に脱グリコシル化されてもよい。修飾Fcグリコフォームの一例として、Fc領域の減少したグリコシル化は、第一の補体成分C1のC1q領域への結合、ADCC関連活性における減少、及び/又はCDC関連活性における減少を低下させる。特定の実施形態は、このように、脱グリコシル化又は非グリコシル化Fc領域を用いる。例示的な非グリコシル化Fc領域の産生については、例えば、WO2005/047337を参照のこと。Fc領域グリコフォームの別の例は、Kabatらのナンバリングシステムに従って、Q295位置をシステイン残基で置換することにより生成することができる(例、米国特許出願第2010/0080794号を参照のこと)。特定の実施形態は、Fc領域中の糖タンパク質の約80~100%が、フルクトースを欠く成熟コア糖構造を含むFc領域を含み得る(例、米国特許出願第2010/0255013号を参照のこと)。一部の実施形態は、例えば、Fc γRI、Fc γRIa、もしくはFc γRIIIaについての親和性を増加させるために、及び/又はFc γRIIa発現細胞による貪食を改善するために、フコシル化のレベルを低下させるために置換又は欠失により最適化されるFc領域を含む(米国特許出願第2010/0249382号及び第2007/0148170号を参照のこと)。
【0176】
修飾Fcグリコフォームの別の例として、抗体又はその抗原結合断片のFc領域は、オリゴマンノース型N-グリカンを含んでもよく、及び、場合により、以下の一つ又は複数を有する:複合型N-グリカンを含む対応するFc領域と比べて、増加したADCCエフェクター活性、FcγRIIIA(及び特定の他のFcR)についての増加した結合親和性、NRP2aポリペプチドの標的についての同様の又は増加した結合特異性、NRP2aポリペプチドの標的についての同様の又はより高い結合親和性、ならびに/あるいはマンノース受容体についての同様の又はより低い結合親和性(例、米国特許出願第2007/0092521号及び米国特許第7,700,321号を参照のこと)。別の例として、FcγRについてのFc領域の増強した親和性は、操作又はバリアント細胞株における抗体の発現により生成された操作グリコフォームを使用して達成されている(例、Umana et al.,Nat Biotechnol.17:176-180,1999;Davies et al.,Biotechnol Bioeng.74:288-294,2001;Shields et al.,J Biol Chem.277:26733-26740,2002;Shinkawa et al.,2003,J Biol Chem.278:3466-3473,2003;及び米国特許出願第2007/0111281号を参照のこと)。特定のFc領域グリコフォームは、増加した割合のN-グリコシド結合型複合体糖鎖を含み、それは、糖鎖の還元末端でN-アセチルグルコサミンの6位に結合したフコースの1位を有さない(例、米国特許出願第2010/0092997号を参照のこと)。特定の実施形態は、α-2,6連結により、それぞれの末端シアル酸部分に接続された少なくとも一つのガラクトース部分を伴ってグリコシル化されるIgG Fc領域を含み得るが、場合により、ここで、Fc領域は、対応する野生型Fc領域と比べて、より高い抗炎症活性を有する(米国特許出願第2008/0206246号を参照のこと)。これらの及び関連する改変グリコシル化アプローチの特定のものが、本明細書中に記載されるように、FcR、例えばFcγRIIIなどに選択的に結合し、ADCCを媒介し、Fc領域の他の特性を改変させるFc領域の能力の実質的な増強を生成した。
【0177】
抗体又はその抗原結合断片の特定のバリアント、断片、ハイブリッド、又は別の方法で修飾されたFc領域は、対応する野生型Fc配列(例、同じ種、同じIgクラス、同じIgサブクラス)と比べて、一つ又は複数のFcRへの改変された結合、ならびに/あるいはエフェクター機能への対応する変化を有し得る。例えば、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体、及び/又は新生児Fc受容体の一つ又は複数への増加した結合を有し得る。他の実施形態では、バリアント、断片、ハイブリッド、又は修飾Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体、及び/又は新生児Fc受容体の一つ又は複数への減少した結合を有し得る。特定のFcRが、本明細書中の他の箇所に記載されている。
【0178】
一部の実施形態では、抗体は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体、及び/又は新生児Fc受容体の一つ又は複数への結合を増加させるための一つ又は複数の変異を含むFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体、及び/又は新生児Fc受容体の一つ又は複数への結合を増加させるための一つ又は複数の変異を含むIgG1又はIgG3 Fcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、エフェクター機能を増加させるための一つ又は複数の変異を含むFcドメインを含む。一部の実施形態では、少なくとも一つの抗体は、エフェクター機能を増加させるための一つ又は複数の変異を含む、ヒトIgG1及びIgG3から選択されるFcドメインを含む。
【0179】
一部の実施形態では、抗体は、高いエフェクター活性を伴うFcドメインを含む遮断抗体である。一部の実施形態では、遮断抗体は、エフェクター機能を増加させるための一つ又は複数の変異を含む、ヒトIgG1及びIgG3から選択されるFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、高いエフェクター活性を伴うFcドメインを含む部分遮断抗体である。一部の実施形態では、部分遮断抗体は、エフェクター機能を増加させるための一つ又は複数の変異を含む、ヒトIgG1及びIgG3から選択されるFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、高いエフェクター活性を伴うFcドメインを含む非遮断抗体である。一部の実施形態では、非遮断抗体は、エフェクター機能を増加させるための一つ又は複数の変異を含む、ヒトIgG1又はIgG3から選択されるFcドメインを含む。
【0180】
一部の実施形態では、抗体は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体、及び/又は新生児Fc受容体の一つ又は複数への結合を減少させるための一つ又は複数の変異を含むFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、対応する野生型Fc配列と比べて、Fcγ受容体、Fcα受容体、Fcε受容体、及び/又は新生児Fc受容体の一つ又は複数への結合を減少させるための一つ又は複数の変異を含むIgG1又はIgG3 Fcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、エフェクター機能を減少させるための一つ又は複数の変異を含むFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、エフェクター機能を減少させるための一つ又は複数の変異を含む、ヒトIgG2及びIgG4から選択されるFcドメインを含む。
【0181】
一部の実施形態では、抗体は、低いエフェクター活性を伴うFcドメインを含む遮断抗体である。一部の実施形態では、遮断抗体は、エフェクター機能を減少させるための一つ又は複数の変異を含む、ヒトIgG2及びIgG4から選択されるFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、低いエフェクター活性を伴うFcドメインを含む部分遮断抗体である。一部の実施形態では、部分遮断抗体は、エフェクター機能を減少させるための一つ又は複数の変異を含む、ヒトIgG2及びIgG4から選択されるFcドメインを含む。一部の実施形態では、抗体は、低いエフェクター活性を伴うFcドメインを含む非遮断抗体である。一部の実施形態では、非遮断抗体は、エフェクター機能を減少させるための一つ又は複数の変異を含む、ヒトIgG2及びIgG4から選択されるFcドメインを含む。
【0182】
改変された(例、増加した、減少した)エフェクター機能/FcR結合を有するFcバリアントの具体的な例は、例えば、米国特許第5,624,821号及び第7,425,619号;米国特許出願第2009/0017023号、第2009/0010921号、及び第2010/0203046号;ならびにWO2000/42072号及びWO2004/016750号において見出すことができる。特定の例は、位置298、333、及び/又は334に一つ又は複数の置換を有するヒトFc領域、例えば、S298A、E333A、及び/又はK334A(KabatらのEUインデックスのナンバリングに基づく)を含み、それらは、活性化受容体FcγRIIIaへの結合を増加させ、阻害受容体FcγRIIbへの結合を低下させることが示されている。これらの変異を組み合わせて、FcRへの結合のさらなる改善を有する二重及び三重変異バリアントを得ることができる。特定の実施形態はS298A/E333A/K334A三重変異体を含み、それは、FcγRIIIaへの増加した結合、FcγRIIbへの減少した結合、及び増加したADCCを有する(例、Shields et al.,J Biol Chem.276:6591-6604,2001;及びPresta et al.,Biochem Soc Trans.30:487-490,2002を参照のこと)。また、Umanaら、上記;及び米国特許第7,662,925号において開示されているように、FcRへの増加した結合を有する、操作されたFcグリコフォームを参照のこと。一部の実施形態は、KabatらのEUインデックスに基づいて、434S、252Y/428L、252Y/434S、及び428L/434Sから選択される一つ又は複数の置換を含むFc領域を含む(米国出願第2009/0163699号及び第20060173170号を参照のこと)。
【0183】
特定のバリアント、断片、ハイブリッド、又は修飾Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、改変されたエフェクター機能を有し得る。例えば、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、増加した補体固定もしくは活性化、増加したClq結合親和性、増加したCDC関連活性、増加したADCC関連活性、及び/又は増加したADCP関連活性を有し得る。他の実施形態では、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、減少した補体固定もしくは活性化、減少したClq結合親和性、減少したCDC関連活性、減少したADCC関連活性、及び/又は減少したADCP関連活性を有し得る。単に一つの例証的な例として、Fc領域は、補体結合部位、例えばC1q結合部位などにおける欠失もしくは置換、及び/又はADCC部位における欠失もしくは置換を含み得る。そのような欠失/置換の例は、例えば、米国特許第7,030,226号において記載されている。多くのFcエフェクター機能、例えばADCCなどが、当技術分野におけるルーチン的な技術に従ってアッセイすることができる(例、Zuckerman et al.,CRC Crit Rev Microbiol.7:1-26,1978を参照のこと)。そのようなアッセイのための有用なエフェクター細胞は、限定されないが、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、及び他の末梢血単核細胞(PBMC)を含む。代わりに、又は加えて、特定のFcエフェクター機能は、例えば、Clynes et al.PNAS.95:652-656,1998において記載されている動物モデルを用いることにより、インビボで評価することができる。
【0184】
特定のバリアントハイブリッド、又は修飾Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、改変した安定性又は半減期を有し得る。特定の実施形態では、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、増加した半減期を有し得る。他の実施形態では、バリアントハイブリッド、又は修飾Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、減少した半減期を有し得る。半減期は、当技術分野におけるルーチン的な技術、例えば放射性標識、ELISA、又は他の方法などに従って、インビトロ(例、生理学的条件下で)又はインビボで測定することができる。安定性又は半減期のインビボ測定値は、血液、血清、血漿、尿、もしくは脳脊髄液を含む、一つ又は複数の体液、又は所与の組織、例えば肝臓、腎臓、筋肉、中枢神経系組織、骨などにおいて測定することができる。一例として、FcRnに結合するその能力を改変させる、Fc領域への修飾は、インビボでのその半減期を改変させることができる。インビボ薬物動態特性(例、インビボ平均排出半減期)を測定するためのアッセイ、及びFcRnへのその結合を改変させるFc修飾の非限定的な例が、例えば、米国特許第7,217,797号及び第7,732,570号;ならびに米国特許出願第 US 2010/0143254及び2010/0143254において記載されている。
【0185】
安定性又は半減期を改変させるための修飾の追加の非限定的な例は、Kabatらのナンバリングシステムによる、CHドメイン中の251~256、285~290、及び308~314、ならびにCHドメイン中の385~389及び428~436から選択されるアミノ酸残基の一つ又は複数における置換/欠失を含む。米国特許出願第2003/0190311号を参照のこと。具体的な例は、251位のロイシンでの置換、252位のチロシン、トリプトファン又はフェニルアラニンでの置換、254位のスレオニン又はセリンでの置換、255位のアルギニンでの置換、256位のグルタミン、アルギニン、セリン、スレオニン、又はグルタミン酸での置換、308位のスレオニンでの置換、309位のプロリンでの置換、311位のセリンでの置換、312位のアスパラギン酸での置換、314位のロイシンでの置換、385位のアルギニン、アスパラギン酸、又はセリンでの置換、386位のスレオニン又はプロリンでの置換、387位のアルギニン又はプロリンでの置換、389位のプロリン、アスパラギン、又はセリンでの置換、428位のメチオニン又はスレオニンでの置換、434位のチロシン又はフェニルアラニンでの置換、433位のヒスチジン、アルギニン、リジン、又はセリンでの置換、ならびに/あるいは436位のヒスチジン、チロシン、アルギニン、又はスレオニンでの置換、これらの任意の組み合わせを含む、を含む。そのような修飾は、場合により、FcRnについてのFc領域の親和性を増加させ、それにより、対応する野生型Fc領域と比べて、半減期を増加させる。
【0186】
特定のバリアントハイブリッド、又は修飾Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、改変された溶解性を有し得る。特定の実施形態では、そのようなFc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、増加した溶解性を有し得る。他の実施形態では、バリアントハイブリッド、又は修飾Fc領域は、対応する野生型Fc配列と比べて、減少した溶解性を有し得る。溶解性は、例えば、当技術分野におけるルーチン的な技術に従って、インビトロで(例、生理学的条件下で)測定することができる。例示的な溶解性測定値が、本明細書中の他の箇所に記載されている。
【0187】
バリアントの追加の例は、重鎖の250位、314位、又は428位の一つ又は複数で、あるいはそれらの任意の組み合わせ、例えば250位及び428位、又は250位及び314位、又は314位及び428位、又は250位、314位、及び428位などで保存的置換又は非保存的置換(本明細書中の他の箇所で記載されている)を有するIgG Fc領域を含む(例、米国特許出願第2011/0183412号を参照のこと)。特定の実施形態では、250位での残基は、グルタミン酸もしくはグルタミンで置換され、及び/又は428位の残基は、ロイシンもしくはフェニルアラニンで置換される。IgG Fcバリアントの別の例証的な例として、214位~238位、297位~299位、318位~322位、及び/又は327位~331位でのアミノ酸残基の任意の一つ又は複数を、修飾(例、保存的又は非保存的置換、欠失)のための適切な標的として使用してもよい。特定の実施形態では、IgG FcバリアントCHドメインは、228位、234位、235位、及び/又は331位でのアミノ酸置換を含み(例、Ser228Pro及びLeu235Ala変異を伴うヒトIgG4を参照のこと)、Fc領域のエフェクター機能を減弱させる(例、米国特許第7,030,226号を参照のこと)。ここで、重鎖中の残基のナンバリングは、EUインデックスのナンバリングである(Kabat et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。これらの及び関連する実施形態の特定のものは、場合により、低下したエフェクター機能、例えばADCC又はCDC関連活性などを伴うことなく、改変(例、増加、減少)したFcRn結合及び/又は血清半減期を有する。
【0188】
追加の例は、野生型Fc領域の279位、341位、343位、もしくは373位、又はそれらの任意の組み合わせで一つ又は複数のアミノ酸置換を含むバリアントFc領域を含む(例、米国特許出願第2007/0224188号を参照のこと)。ヒトIgGについてのこれらの位置での野生型アミノ酸残基は、バリン(279)、グリシン(341)、プロリン(343)、及びチロシン(373)である。置換は、保存的又は非保存的であることができる、あるいは本明細書中に記載されるように、非天然アミノ酸又は模倣体を含むことができる。単独で又はこれらの置換との組み合わせにおいて、特定の実施形態はまた、以下から選択される少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のアミノ酸置換を含むバリアントFc領域を用いてもよい:235G、235R、236F、236R、236Y、237K、237N、237R、238E、238G、238H、238I、238L、238V、238W、238Y、244L、245R、247A、247D、247E、247F、247M、247N、247Q、247R、247S、247T、247W、247Y、248F、248P、248Q、248W、249L、249M、249N、249P、249Y、251H、251I、251W、254D、254E、254F、254G、254H、254I、254K、254L、254M、254N、254P、254Q、254R、254V、254W、254Y、255K、255N、256H、256I、256K、256L、256V、256W、256Y、257A、257I、257M、257N、257S、258D、260S、262L、264S、265K、265S、267H、267I、267K、268K、269N、269Q、271T、272H、272K、272L、272R、279A、279D、279F、279G、279H、279I、279K、279L、279M、279N、279Q、279R、279S、279T、279W、279Y、280T、283F、283G、283H、283I、283K、283L、283M、283P、283R、283T、283W、283Y、285N、286F、288N、288P、292E、292F、292G、292I、292L、293S、293V、301W、304E、307E、307M、312P、315F、315K、315L、315P、315R、316F、316K、317P、317T、318N、318P、318T、332F、332G、332L、332M、332S、332V、332W、339D、339E、339F、339G、339H、339I、339K、339L、339M、339N、339Q、339R、339S、339W、339Y、341D、341E、341F、341H、341I、341K、341L、341M、341N、341P、341Q、341R、341S、341T、341V、341W、341Y、343A、343D、343E、343F、343G、343H、343I、343K、343L、343M、343N、343Q、343R、343S、343T、343V、343W、343Y、373D、373E、373F、373G、373H、373I、373K、373L、373M、373N、373Q、373R、373S、373T、373V、373W、375R、376E、376F、376G、376H、376I、376L、376M、376N、376P、376Q、376R、376S、376T、376V、376W、376Y、377G、377K、377P、378N、379N、379Q、379S、379T、380D、380N、380S、380T、382D、382F、382H、382I、382K、382L、382M、382N、382P、382Q、382R、382S、382T、382V、382W、382Y、385E、385P、386K、423N、424H、424M、424V、426D、426L、427N、429A、429F、429M、430A、430D、430F、430G、430H、430I、430K、430L、430M、430N、430P、430Q、430R、430S、430T、430V、430W、430Y、431H、431K、431P、432R、432S、438G、438K、438L、438T、438W、439E、439H、439Q、440D、440E、440F、440G、440H、440I、440K、440L、440M、440Q、440T、440V又は442K。上の通り、重鎖中の残基のナンバリングは、EUインデックスのナンバリングである(Kabat et al.,上記を参照のこと)。そのようなバリアントFc領域は、典型的には、バリアントFc領域が動作可能に付着する抗体に対して、改変されたエフェクター機能又は改変された血清半減期を付与する。好ましくは、改変されたエフェクター機能は、そのようなアミノ酸置換を欠く対応するFc領域と比較した、ADCCにおける増加、ADCCにおける減少、CDCにおける増加、CDCにおける減少、Clq結合親和性における増加、Clq結合親和性における減少、FcR(好ましくはFcRn)結合親和性における増加、又はFcR(好ましくはFcRn)結合親和性における減少である。
【0189】
追加の例は、221位、222位、224位、227位、228位、230位、231位、223位、233位、234位、235位、236位、237位、238位、239位、240位、241位、243位、244位、245位、246位、247位、249位、250位、258位、262位、263位、264位、265位、266位、267位、268位、269位、270位、271位、272位、273位、274位、275位、276位、278位、280位、281位、283位、285位、286位、288位、290位、291位、293位、294位、295位、296位、297位、298位、299位、300位、302位、313位、317位、318位、320位、322位、323位、324位、325位、326位、327位、328位、329位、330位、331位、332位、333位、334位、335位、336位及び/又は428位の一つ又は複数にアミノ酸置換を含むバリアントFc領域を含む(例、米国特許第7,662,925号を参照のこと)。特定の実施形態では、バリアントFc領域は、以下からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸置換を含む:P230A、E233D、L234E、L234Y、L234I、L235D、L235S、L235Y、L235I、S239D、S239E、S239N、S239Q、S239T、V240I、V240M、F243L、V264I、V264T、V264Y、V266I、E272Y、K274T、K274E、K274R、K274L、K274Y、F275W、N276L、Y278T、V302I、E318R、S324D、S324I、S324V、N325T、K326I、K326T、L328M、L328I、L328Q、L328D、L328V、L328T、A330Y、A330L、A330I、I332D、I332E、I332N、I332Q、T335D、T335R、及びT335Y。他の特定の実施形態では、バリアントFc領域は、以下からなる群から選択される少なくとも一つのアミノ酸置換を含む:V264I、F243L/V264I、L328M、I332E、L328M/I332E、V264I/I332E、S298A/I332E、S239E/I332E、S239Q/I332E、S239E、A330Y、I332D、L328I/I332E、L328Q/I332E、V264T、V240I、V266I、S239D、S239D/I332D、S239D/I332E、S239D/I332N、S239D/I332Q、S239E/I332D、S239E/I332N、S239E/I332Q、S239N/I332D、S239N/I332E、S239Q/I332D、A330Y/I332E、V264I/A330Y/I332E、A330L/I332E、V264I/A330L/I332E、L234E、L234Y、L234I、L235D、L235S、L235Y、L235I、S239T、V240M、V264Y、A330I、N325T、L328D/I332E、L328V/I332E、L328T/I332E、L328I/I332E、S239E/V264I/I332E、S239Q/V264I/I332E、S239E/V264I/A330Y/I332E、S239D/A330Y/I332E、S239N/A330Y/I332E、S239D/A330L/I332E、S239N/A330L/I332E、V264I/S298A/I332E、S239D/S298A/I332E、S239N/S298A/I332E、S239D/V264I/I332E、S239D/V264I/S298A/I332E、S239D/V264I/A330L/I332E、S239D/I332E/A330I、P230A、P230A/E233D/I332E、E272Y、K274T、K274E、K274R、K274L、K274Y、F275W、N276L、Y278T、V302I、E318R、S324D、S324I、S324V、K326I、K326T、T335D、T335R、T335Y、V240I/V266I、S239D/A330Y/I332E/L234I、S239D/A330Y/I332E/L235D、S239D/A330Y/I332E/V240I、S239D/A330Y/I332E/V264T、S239D/A330Y/I332E/K326E、及びS239D/A330Y/I332E/K326T。より具体的な実施形態では、バリアントFc領域は、以下からなる群から選択される一連の置換を含む:N297D/I332E、F241Y/F243Y/V262T/V264T/N297D/I332E、S239D/N297D/I332E、S239E/N297D/I332E、S239D/D265Y/N297D/I332E、S239D/D265H/N297D/I332E、V264E/N297D/I332E、Y296N/N297D/I332E、N297D/A330Y/I332E、S239D/D265V/N297D/I332E、S239D/D265I/N297D/I332E、及びN297D/S298A/A330Y/I332E。特定の実施形態では、バリアントFc領域は、332位にアミノ酸置換を含む(EUインデックス、Kabat et al.、上記を参照のこと)。置換の例は、332A、332D、332E、332F、332G、332H、332K、332L、332M、332N、332P、332Q、332R、332S、332T、332V、332W及び332Yを含む。Fc領域中の残基のナンバリングは、KabatらのEUインデックスのナンバリングである。本明細書中に記載される他の特性の間で、そのようなバリアントFc領域は、対応する野生型Fc領域と比べて、FcγRについての増加した親和性、増加した安定性、及び/又は増加した溶解性を有し得る。
【0190】
さらなる例は、以下のアミノ酸置換の一つ又は複数を含むバリアントFc領域を含む:224N/Y、225A、228L、230S、239P、240A、241L、243S/L/G/H/I、244L、246E、247L/A、252T、254T/P、258K、261Y、265V、266A、267G/N、268N、269K/G、273A、276D、278H、279M、280N、283G、285R、288R、289A、290E、291L、292Q、297D、299A、300H、301C、304G、305A、306I/F、311R、312N、315D/K/S、320R、322E、323A、324T、325S、326E/R、332T、333D/G、335I、338R、339T、340Q、341E、342R、344Q、347R、351S、352A、354A、355W、356G、358T、361D/Y、362L、364C、365Q/P、370R、372L、377V、378T、383N、389S、390D、391C、393A、394A、399G、404S、408G、409R、411I、412A、414M、421S、422I、426F/P、428T、430K、431S、432P、433P、438L、439E/R、440G、441F、442T、445R、446A、447E、場合により、バリアントは、親Fcポリペプチドと比較して、改変された、Fcリガンドの認識及び/又は改変されたエフェクター機能を有し、それにおいて、残基のナンバリングは、KabatらにおけるEUインデックスのナンバリングである。これらの及び関連する実施形態の具体的な例は、以下の置換のセットを含む、又はそれらからなるバリアントFc領域を含む:(1)N276D、R292Q、V305A、I377V、T394A、V412A及びK439E;(2)P244L、K246E、D399G及びK409R;(3)S304G、K320R、S324T、K326E及びM358T;(4)F243S、P247L、D265V、V266A、S383N及びT411I;(5)H224N、F243L、T393A及びH433P;(6)V240A、S267G、G341E及びE356G;(7)M252T、P291L、P352A、R355W、N390D、S408G、S426F及びA431S;(8)P228L、T289A、L365Q、N389S及び5440G;(9)F241L、V273A、K340Q及びL441F;(10)F241L、T299A、I332T及びM428T;(11)E269K、Y300H、Q342R、V422I及びG446A;(12)T225A、R301c、S304G、D312N、N315D、L351S及びN421S;(13)S254T、L306I、K326R及びQ362L;(14)H224Y、P230S、V323A、E333D、K338R及びS364C;(15)T335I、K414M及びP445R;(16)T335I及びK414M;(17)P247A、E258K、D280N、K288R、N297D、T299A、K322E、Q342R、S354A及びL365P;(18)H268N、V279M、A339T、N361D及びS426P;(19)C261Y、K290E、L306F、Q311R、E333G及びQ438L;(20)E283G、N315K、E333G、R344Q、L365P及びS442T;(21)Q347R、N361Y及びK439R;(22)S239P、S254P、S267N、H285R、N315S、F372L、A378T、N390D、Y391C、F404S、E430K、L432P及びK447E;ならびに(23)E269G、Y278H、N325S及びK370R、それにおいて、残基のナンバリングは、KabatらにおけるようにEUインデックスのナンバリングである(例、米国特許出願第2010/0184959号を参照のこと)。
【0191】
バリアントFc領域はまた、例えば、米国特許出願第2003/0118592号において記載されるように、一つ又は複数の変異ヒンジ領域を有することができる。例えば、ヒンジ領域中の一つ又は複数のシステインは、欠失される、又は異なるアミノ酸で置換されることができる。変異ヒンジ領域は、システイン残基を含まない、又はそれは、対応する野生型ヒンジ領域よりも1、2、又は3つ少ないシステイン残基を含むことができる。一部の実施形態では、この種類の変異ヒンジ領域を有するFc領域は、野生型Igヒンジ領域と比べて、二量体化する、低下した能力を示す。
【0192】
特定の実施形態では、Fc領域は、ヒトIgG1もしくはIgG4からのFc(例、Allberse and Schuurman,Immunology.105:9-19,2002を参照のこと)、又はその断片もしくはバリアントを含む、又はそれからなる、又は本質的になる。下の表F1は、ヒトIgG1及びIgG4からの例示的な配列(CH1、ヒンジ(下線)、CH2、及びCH3領域)を提供する。用いることができるバリアントIgG4配列の例は、例えば、Peters et al.,JBC.287:24525-24533,2012において記載されており、C227、C230、C127(例、C127S)、及びC131(例、C131S)での置換を含む。使用することができる他のバリアントは、IgG4中のL445P置換(IgG4-2として表示される)、又はIgG1中のD356E及びL358M置換(IgG1m(zf)として表示される)を含む。
【表P1】
【0193】
上に記述するように、改変Fc領域を有する抗体は、典型的には、対応する野生型Fc領域と比べて、改変(例、改善、増加、減少)された薬物動態特性を有する。薬物動態特性の例は、安定性又は半減期、バイオアベイラビリティ(吸収される薬物の割合)、組織分布、分布の体積(薬物が、それが静脈内注射され、血漿と周囲の組織の間で平衡化された直後に分布する見掛けの体積)、濃度(血漿中の薬物の初期又は定常状態濃度)、排出速度定数(薬物が身体から除去される速度)、排出速度(排出のバランスを取るために要求される注入の速度)、曲線下面積(AUC又は曝露;濃度-時間曲線の積分、単一用量後又は定常状態での)、クリアランス(単位時間当たりの薬物の除去された血漿の容積)、Cmax(経口投与後の薬物のピーク血漿濃度)、tmax(Cmaxに達する時間)、Cmin(薬物が、次の用量が投与される前に達する最低濃度)、及び変動(定常状態での一つの投薬間隔内のピークトラフ変動)を含む。
【0194】
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、約pH7.4で、ほぼ生理学的pHで、約25℃もしくは室温で、及び/又は約37℃もしくはヒト身体温度(例、インビボ、血清中、所与の組織中、所与の種、例えばラット、マウス、サル、又はヒトにおいて、など)で、約又は少なくとも約30分、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約12時間、約18時間、約20時間、約24時間、約30時間、約36時間、約40時間、約48時間、約50時間、約60時間、約70時間、約72時間、約80時間、約84時間、約90時間、約96時間、約120時間、又は約144時間もしくはそれ以上、あるいは約1週間、又は約2週間、又は約3週間、又は約4週間、又は約5週間、又は約6週間もしくはそれ以上、あるいは任意の介在する半減期、その間の全ての範囲を含む、生物学的半減期を有する。
【0195】
一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、約又は少なくとも約60、62、64、66、68、70、72、74、又は75℃のTを有する。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、約60℃又はそれ以上のTを有する。
【0196】
一部の実施形態では、一つ又は複数の細胞傷害性薬剤又は化学療法剤にコンジュゲートされた抗体又はその抗原結合断片。細胞傷害性薬剤又は化学療法剤の一般的な例は、限定されないが、アルキル化剤、抗代謝剤、アントラサイクリン、抗腫瘍抗生物質、白金、I型トポイソメラーゼ阻害剤、II型トポイソメラーゼ阻害剤、ビンカアルカロイド、及びタキサンを含む。細胞傷害性薬剤又は化学療法剤の具体的な例は、限定されないが、シクロホスファミド、シレンジタイド、ロムスチン(CCNU)、メルファラン、プロカルバジン、カルムスチン(BCNU)、エンザスタウリン、ブスルファン、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ゲフィチニブ、エルロチニブイダルビシン、テモゾロミド、エピルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド、リン酸エトポシド、テニポシド、テムシロリムス、エベロリムス、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、CT52923、パクリタキセル、イマチニブ、ダサチニブ、ソラフェニブ、パゾパニブ、スニトニブ、バタラニブ、ゲフチニブ、エルロチニブ、AEE-788、ジクロロ酢酸、タモキシフェン、ファスジル、SB-681323、セマキサニブ、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、タクリン、ラシギリン、ナルトレキソン、ルビプロストン、サフィナミド、イストラデフィリン、ピマバンセリン、ピトリサント、イスラジピン、プリドピジン(ACR16)、テトラベナジン、ベキサロテン、酢酸グラチリマー、フィンゴリモド、及びミトキサントロン、それらの医薬的に許容可能な塩及び酸を含む、を含む。細胞傷害性薬剤又は化学療法薬剤のさらなる例は、アルキル化剤、例えばチオテパ、シクロホスファミド(CYTOXAN(商標))など;アルキルスルホネート、例えばブスルファン、インプロスルファン、及びピポスルファンなど;アジリジン、例えばベンゾドーパ、カルボクオン、メツレドーパ、及びウレドーパなど;エチレンイミン及びメチルアメラミン、アルトレタミン、トリエチレンメラミン、トリエチレンホスホルアミド、トリエチレンチオホスホルアミド及びトリメチロールメラミンを含む;ナイトロジェンマスタード、例えばクロランブシル、クロルナファジン、クロロホスファミド、エストラムスチン、イホスファミド、メクロレタミン、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン、ノベンビチン、フェネステリン、プレドニムスチン、トロホスファミド、ウラシルマスタードなど;ニトロスレア(nitrosureas)、例えばカルムスチン、クロロゾトシン、フォテムスチン、ロムスチン、ニムスチン、ラニムスチンなど;抗生物質、例えばアクラシノミシン、アクチノマイシン、アザセリン、ブレオマイシン、カクチノマイシン、カリチアミシン、カラビシン、カルミノマイシン、カルジノフィリン、クロモマイシン、ダクチノマイシン、ドーノルビシン、デトルビシン、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、エソルビシン、イダルビシン、マルセロマイシン、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノガラマイシン、オリボマイシン、ペプロマイシン、ポトフィロマイシン、ピューロマイシン、クエラマイシン、ロドルビシン、ストレプトニグリン、ストレプトゾシン、ツベルシジン、ウベニメックス、ジノスタチン、ゾルビシンなど;抗代謝剤、例えばメトトレキサート及び5-フルオロウラシル(5-FU)など;葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキサート、プテロプテリン、トリメトレキサートなど;プリン類似体、例えばフルダラビン、6-メルカプトプリン、チアミプリン、チオグアニンなど;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FUなど;アンドロゲン、例えばカルステロン、プロピオン酸ドロモスタノロン、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトンなど;抗副腎剤、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタンなど;葉酸補給剤、例えばフロリン酸など;アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド;アミノレブリン酸;アムサクリン;ベストラブシル;ビサントレン;エダトラキサート;デフォアミン;デメコルシン;ジアジクオン;エルホルミチン;酢酸エリプチニウム;エトグルシド;硝酸ガリウム;ヒドロキシ尿素;レンチナン;ロニダミン;ミトグアゾン;ミトキサントロン;モピダモール;ニトラクリン;ペントスタチン;フェナメット;ピラルビシン;ポドフィリン酸;2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK;ラゾキサン;シゾフィラン;スピロゲルマニウム;テヌアゾン酸;トリアジコン;2,2’,2”-トリクロロトリエチルアミン;ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール;ミトラクトール;ピポブロマン;ガシトシン;アラビノシド(「Ara-C」);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド、例えば、パクリタキセル(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、ニュージャージー州プリンストン)及びドキセタキセル(TAXOTERE(登録商標)、Rhne-Poulenc Rorer、フランス、アントニー);クロラムブシル;ゲムシタビン;6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキサート;プラチナ類似体、例えばシスプラチン及びカルボプラチンなど;ビンブラスチン;白金;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン;ビノレルビン;ノバントロン;テニポシド;ダウノマイシン;アミノプテリン;ゼロダ;イバンドロネート;CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS 2000;ジフルオロメチルオルチン(DMFO);レチノイン酸誘導体、例えばTargretin(商標)(ベキサロテン)、Panretin(商標)(アリトレチノイン)など;ONTAK(商標)(デニロイキンディフティトックス);エスペラマイシン;カペシタビン;ならびに上のいずれかの医薬的に許容可能な塩、酸又は誘導体を含む。
【0197】
抗体又はその抗原結合断片は、本明細書中に記載される組成物、方法、及び/又はキットのいずれかにおいて使用され、本明細書中に記載される免疫療法剤の一つ又は複数と組み合わされることができる。
【0198】
追加の治療剤及び組成物
特定の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及びキナーゼ阻害剤を含む、一つ又は複数の追加の治療剤との組み合わせにおいて使用される。
【0199】
免疫療法剤。特定の実施形態は、一つ又は複数の癌免疫療法剤を用いる。特定の例では、免疫療法剤は、例えば、癌関連又は癌特異的免疫応答を増加又は維持するために、対象の免疫応答を調節し、それにより、癌細胞の、増加した免疫細胞阻害又は低下をもたらす。例示的な免疫療法剤は、ポリペプチド、例えば、抗体及びその抗原結合断片、リガンド、及び小ペプチド、ならびにそれらの混合物を含む。また、免疫療法剤として含まれるのは、小分子、細胞(例、免疫細胞、例えばT細胞など)、様々な癌ワクチン、遺伝子治療又は他のポリヌクレオチドベースの薬剤、ウイルス剤、例えば腫瘍溶解性ウイルスなどを含む、及び当技術分野において公知の他を含む。このように、特定の実施形態では、癌免疫療法剤は、免疫チェックポイント調節剤、癌ワクチン、腫瘍溶解性ウイルス、サイトカイン、及び細胞ベースの免疫療法の一つ又は複数から選択される。
【0200】
特定の実施形態では、癌免疫療法剤は免疫チェックポイント調節剤である。特定の例は、一つ又は複数の阻害性免疫チェックポイント分子の「アンタゴニスト」、及び一つ又は複数の刺激性免疫チェックポイント分子の「アゴニスト」を含む。一般的に、免疫チェックポイント分子は、シグナルを上げる(共刺激分子)、又はシグナルを下げる、のいずれかの免疫系の構成要素であり、癌細胞が免疫チェックポイント分子の天然機能を妨害することができるため、その標的化は癌において治療能力を有する(例、Sharma and Allison,Science.348:56-61,2015;Topalian et al.,Cancer Cell.27:450-461,2015;Pardoll,Nature Reviews Cancer.12:252-264,2012を参照のこと)。一部の実施形態では、免疫チェックポイント調節剤(例、アンタゴニスト、アゴニスト)は、本明細書中に記載されるように、一つ又は複数の免疫チェックポイント分子に「結合する」、又は「特異的に結合する」。
【0201】
特定の実施形態では、免疫チェックポイント調節剤はポリペプチド又はペプチドである。用語「ペプチド」及び「ポリペプチド」は、本明細書中では互換的に使用されるが、しかし、特定の例では、用語「ペプチド」は、より短いポリペプチド、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、又は50のアミノ酸からなるポリペプチドなどを指すことができ、その間の全ての整数及び範囲(例、5~10、8~12、10~15)を含む。ポリペプチド及びペプチドは、本明細書中に記載されるように、天然アミノ酸及び/又は非天然アミノ酸で構成されることができる。
【0202】
抗体はまた、ポリペプチドとして含まれる。このように、一部の実施形態では、免疫チェックポイント調節ポリペプチド薬剤は、本明細書中の他の箇所に記載される抗体又はその抗原結合断片である。
【0203】
一部の実施形態では、薬剤は、免疫チェックポイント分子の「リガンド」、例えば、天然リガンドである、又はそれを含む。「リガンド」は、一般的に、生物学的な目的を果たすために標的分子(例、生体分子)と複合体を形成する物質又は分子を指し、「タンパク質リガンド」を含み、それは、一般的に、標的分子又は標的タンパク質上の部位に結合することによりシグナルを産生する。このように、特定の薬剤は、自然において、免疫チェックポイント分子に結合し、シグナルを産生するタンパク質リガンドである。また、含まれるのは、「修飾リガンド」であって、例えば、免疫グロブリンから由来するFc領域といった薬物動態調節剤に融合されるタンパク質リガンドである。
【0204】
ポリペプチドの結合特性は、当技術分野において周知の方法を使用して定量化することができる(Davies et al.,Annual Rev.Biochem.59:439-473,1990を参照のこと)。一部の実施形態では、ポリペプチドは、標的分子、例えば、免疫チェックポイント分子又はそのエピトープに特異的に結合し、約≦10-7~約10-8Mである、又はその範囲である平衡解離定数を伴う。一部の実施形態では、平衡解離定数は約≦10-9Mから約≦10-10Mである、又はその範囲である。特定の例証的な実施形態では、ポリペプチドは、本明細書中に記載される標的(それが特異的に結合する)について、約、少なくとも約、又は約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、又は50nMの親和性(Kd又はEC50)を有する。
【0205】
一部の実施形態では、薬剤は「小分子」であり、それは、合成的又は生物学的起源(生体分子)である有機化合物を指すが、しかし、典型的にはポリマーではない。有機化合物は、その分子が炭素を含む、大きなクラスの化学化合物を指し、典型的には、炭酸塩、炭素の単純な酸化物、又はシアン化物のみを含むものを除外する。「生体分子」は、一般的に、大きな高分子分子(バイオポリマー)、例えばペプチド、多糖類、及び核酸など、ならびに小分子、例えば一次二次代謝物、脂質、リン脂質、糖脂質、ステロール、グリセロ脂質、ビタミン、及びホルモンなどを含む、生きた生物により産生される有機分子を指す。「ポリマー」は、一般的に、典型的には共有結合的な化学結合により接続される、繰り返し構造単位で構成される大分子又は高分子を指す。
【0206】
特定の実施形態では、小分子は、約1000~2000ダルトン又はそれ以下、典型的には約300~700ダルトンの間の分子量を有し、約50、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、500、650、600、750、700、850、800、950、1000、又は2000ダルトン又はそれ以下を含む。
【0207】
特定の小分子は、本明細書中のポリペプチド、例えば抗体などについて記載される「特異的結合」の特徴を有することができる。例えば、一部の実施形態では、小分子は、例えば免疫チェックポイント分子などの標的に、約、少なくとも約、又は約0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、40、又は50の結合親和性(Kd又はEC50)を伴って特異的に結合する。
【0208】
一部の実施形態では、免疫チェックポイント調節剤は、一つ又は複数の阻害性免疫チェックポイント分子のアンタゴニスト又は阻害剤である。例示的な阻害性免疫チェックポイント分子は、プログラム死リガンド1(PD-L1)、プログラム死リガンド2(PD-L2)、プログラム死1(PD-1)、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA-4)、インドールアミン2,3-ジオキシゲナーゼ(IDO)、トリプトファン2,3-ジオキシゲナーゼ(TDO)、T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)、リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)、T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)、B及びTリンパ球減衰因子(BTLA)、CD160、ならびにIg及びITIMドメインを伴うT細胞免疫受容体(TIGIT)を含む。
【0209】
特定の実施形態では、薬剤は、PD-1(受容体)アンタゴニスト又は阻害剤であり、その標的化は、腫瘍環境中の免疫機能を回復させることが示されている(例、Phillips et al.,Int Immunol.27:39-46,2015を参照のこと)。PD-1は、免疫グロブリンスーパーファミリーに属し、T細胞及びプロB細胞上で発現される細胞表面受容体である。PD-1は、二つのリガンド、PD-L1及びPD-L2と相互作用する。PD-1は、例えば、T細胞の活性化を低下又は防止することにより、阻害性免疫チェックポイント分子として機能し、それは次に自己免疫を低下させ、自己寛容を促す。PD-1の阻害効果は、少なくとも部分的に、リンパ節中の抗原特異的T細胞におけるアポトーシスを促す一方で、また、調節性T細胞(抑制剤T細胞)におけるアポトーシスを低下させる二重機構を通して達成される。PD-1アンタゴニスト又は阻害剤の一部の例は、PD-1に特異的に結合し、その免疫抑制活性、例えば、その下流シグナル伝達又はPD-L1とのその相互作用の一つ又は複数を低下させる抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。PD-1アンタゴニスト又は阻害剤の具体的な例は、抗体ニボルマブ、ペムブロリズマブ、PDR001,MK-3475、AMP-224、AMP-514、及びピジリズマブ、ならびにそれらの抗原結合断片を含む(例、米国特許第8,008,449号;第8,993,731号;第9,073,994号;第9,084,776号;第9,102,727号;第9,102,728号;第9,181,342号;第9,217,034号;第9,387,247号;第9,492,539号;第9,492,540号;及び米国出願第2012/0039906号;第2015/0203579号を参照のこと)。
【0210】
一部の実施形態では、薬剤はPD-L1アンタゴニスト又は阻害剤である。上に記述するように、PD-L1は、PD-1受容体についての天然リガンドの一つである。PD-L1アンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、PD-L1に特異的に結合して、その免疫抑制活性の一つ又は複数、例えば、PD-1受容体へのその結合を低下させる抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。PD-L1アンタゴニストの具体的な例は、抗体アテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)、及びデュルバルマブ(MEDI4736)、ならびにそれらの抗原結合断片を含む(例、米国特許第9,102,725号;第9,393,301号;第9,402,899号;第9,439,962号を参照のこと)。
【0211】
一部の実施形態では、薬剤はPD-L2アンタゴニスト又は阻害剤である。上に記述するように、PD-L2は、PD-1受容体についての天然リガンドの一つである。PD-L2アンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、PD-L2に特異的に結合し、その免疫抑制活性の一つ又は複数、例えば、PD-1受容体へのその結合を低下させる抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。
【0212】
一部の実施形態では、薬剤はCTLA-4アンタゴニスト又は阻害剤である。CTLA4又はCTLA-4(細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4)は、また、CD152(分化クラスター152)として公知であり、例えば、それが、抗原提示細胞の表面上でCD80又はCD86に結合した場合に阻害シグナルをT細胞に伝達することにより、阻害性免疫チェックポイント分子として機能するタンパク質受容体である。CTLA-4アンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、CTLA-4に特異的に結合する抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。特定の例は、抗体イピリムマブ及びトレメリムマブ、ならびにそれらの抗原結合断片を含む。イピリムマブの活性の少なくとも一部は、CTLA-4を発現するサプレッサーTregの抗体依存的細胞媒介性細胞傷害(ADCC)死滅により媒介されると考えられる。
【0213】
一部の実施形態では、薬剤は、IDOアンタゴニストもしくは阻害剤、又はTDOアンタゴニストもしくは阻害剤である。IDO及びTDOは、免疫阻害特性を伴うトリプトファン異化酵素である。例えば、IDOは、T細胞及びNK細胞を抑制し、Treg及び骨髄由来抑制細胞を生成及び活性化し、腫瘍血管新生を促すことが公知である。IDO及びTDOアンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、IDO又はTDOに特異的に結合し(例、Platten et al.,Front Immunol.5:673,2014を参照のこと)、一つ又は複数の免疫抑制活性を低下又は阻害する抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。IDOアンタゴニスト又は阻害剤の具体的な例は、インドキシモド(NLG-8189)、1-メチル-トリプトファン(1MT)、β-カルボリン(ノルハルマン;9H-ピリド[3,4-b]インドール)、ロスマリン酸、及びエパカドスタットを含む(例、Seridan,Nature Biotechnology.33:321-322,2015を参照のこと)。TDOアンタゴニスト又は阻害剤の具体的な例は、680C91及びLM10を含む(例、Pilotte et al.,PNAS USA.109:2497-2502,2012を参照のこと)。
【0214】
一部の実施形態において、薬剤はTIM-3アンタゴニスト又は阻害剤である。T細胞免疫グロブリンドメイン及びムチンドメイン3(TIM-3)は、活性化ヒトCD4+ T細胞上で発現され、Th1及びTh17サイトカインを調節する。TIM-3はまた、そのリガンドであるガレクチン-9との相互作用時に細胞死を誘発することにより、Th1/Tc1機能の負の調節因子として作用する。TIM-3は、抑制性腫瘍微小環境に寄与し、その過剰発現は、様々な癌における予後不良と関連付けられる(例、Li et al.,Acta Oncol.54:1706-13,2015を参照のこと)。TIM-3アンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、TIM-3に特異的に結合し、その免疫抑制活性の一つ又は複数を低下又は阻害する抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。
【0215】
一部の実施形態では、薬剤はLAG-3アンタゴニスト又は阻害剤である。リンパ球活性化遺伝子3(LAG-3)は、活性化T細胞、ナチュラルキラー細胞、B細胞、及び形質細胞様樹状細胞上で発現される。それは、CTLA-4及びPD-1と同様の様式において、T細胞の細胞増殖、活性化、及び恒常性を負に調節し(例、Workman and Vignali.European Journal of Immun.33:970-9,2003;及びWorkman et al.,Journal of Immun.172:5450-5,2004を参照のこと)、Treg抑制機能において役割を果たすことが報告されている(例、Huang et al.,Immunity.21:503-13,2004を参照のこと)。LAG3はまた、CD8+T細胞を耐容性状態中に維持し、PD-1と組み合わせてCD8 T細胞消耗を維持する。LAG-3アンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、LAG-3に特異的に結合し、その免疫抑制活性の一つ又は複数を阻害する抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。具体的な例は、抗体BMS-986016、及びその抗原結合断片を含む。
【0216】
一部の実施形態では、薬剤はVISTAアンタゴニスト又は阻害剤である。T細胞活性化のVドメインIgサプレッサー(VISTA)は、主に造血細胞上で発現され、T細胞活性化を抑制し、Foxp3発現を誘導し、それが抗腫瘍T細胞応答を抑制する腫瘍微小環境内で高度に発現される阻害性免疫チェックポイント調節因子である(例、Lines et al.,Cancer Res.74:1924-32,2014を参照のこと)。VISTAアンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、VISTAに特異的に結合し、その免疫抑制活性の一つ又は複数を低下させる抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。
【0217】
一部の実施形態では、薬剤はBTLAアンタゴニスト又は阻害剤である。B及びTリンパ球減衰因子(BTLA;CD272)発現は、T細胞の活性化中に誘導され、それは、腫瘍壊死ファミリー受容体(TNF-R)及び細胞表面受容体のB7ファミリーとの相互作用を介してT細胞を阻害する。BTLAは、腫瘍壊死因子(受容体)スーパーファミリー、メンバー14(TNFRSF14)についてのリガンドであり、また、ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)として公知である。BTLA-HVEM複合体は、例えば、ヒトCD8+癌特異的T細胞の機能を阻害することにより、T細胞免疫応答を負に調節する(例、Derle et al.,J Clin Invest 120:157-67,2009を参照のこと)。BTLAアンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、BTLA-4に特異的に結合し、その免疫抑制活性の一つ又は複数を低下させる抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。
【0218】
一部の実施形態では、薬剤は、HVEMアンタゴニスト又は阻害剤、例えば、HVEMに特異的に結合し、BTLA又はCD160とのその相互作用に干渉するアンタゴニスト又は阻害剤である。HVEMアンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、HVEMに特異的に結合し、場合により、HVEM/BTLA及び/又はHVEM/CD160相互作用を低下させ、それにより、HVEMの免疫抑制活性の一つ又は複数を低下させる抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。
【0219】
一部の実施形態では、薬剤は、CD160アンタゴニスト又は阻害剤、例えば、CD160に特異的に結合し、HVEMとのその相互作用に干渉するアンタゴニスト又は阻害剤である。CD160アンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、CD160に特異的に結合し、場合により、CD160/HVEM相互作用を低下させ、それにより、その免疫抑制活性の一つ又は複数を低下させる又は阻害する抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む。
【0220】
一部の実施形態では、薬剤はTIGITアンタゴニスト又は阻害剤である。T細胞Ig及びITIMドメイン(TIGIT)は、様々なリンパ細胞の表面上に見出され、例えば、Tregを介して抗腫瘍免疫を抑制する共阻害受容体である(Kurtulus et al.,J Clin Invest.125:4053-4062,2015)。TIGITアンタゴニスト又は阻害剤の一般的な例は、TIGITに特異的に結合し、その免疫抑制活性の一つ又は複数を低下させる抗体又は抗原結合断片又は小分子を含む(例、Johnston et al.,Cancer Cell.26:923-37,2014を参照のこと)。
【0221】
特定の実施形態では、免疫チェックポイント調節剤は、一つ又は複数の刺激性免疫チェックポイント分子のアゴニストである。例示的な刺激性免疫チェックポイント分子は、OX40、CD40、グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)、CD137(4-1BB)、CD27、CD28、CD226、及びヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)を含む。
【0222】
一部の実施形態では、薬剤はOX40アゴニストである。OX40(CD134)は、エフェクター及びメモリーT細胞の増殖を促し、T調節細胞の分化及び活性を抑制する(例、Croft et al.,Immunol Rev.229:173-91,2009を参照のこと)。そのリガンドはOX40L(CD252)である。OX40シグナル伝達は、T細胞活性化及び生存の両方に影響を及ぼすため、それは、リンパ節における抗腫瘍免疫応答の開始において、及び腫瘍微小環境における抗腫瘍免疫応答の維持において重要な役割を果たしている。OX40アゴニストの一般的な例は、OX40に特異的に結合し、その免疫刺激活性の一つ又は複数を増加させる、抗体又は抗原結合断片又は小分子又はリガンドを含む。具体的な例は、OX86、OX-40L、Fc-OX40L、GSK3174998、MEDI0562(ヒト化OX40アゴニスト)、MEDI6469(マウスOX4アゴニスト)、及びMEDI6383(OX40アゴニスト)、ならびにそれらの抗原結合断片を含む。
【0223】
一部の実施形態では、薬剤はCD40アゴニストである。CD40は、抗原提示細胞(APC)及び一部の悪性腫瘍上で発現される。そのリガンドはCD40L(CD154)である。APC上では、ライゲーションは共刺激分子の上方調節をもたらし、抗腫瘍免疫応答におけるT細胞支援についての必要性を潜在的に迂回する。CD40アゴニスト治療は、APC成熟及び腫瘍からリンパ節へのそれらの移動において重要な役割を果たし、上昇した抗原提示及びT細胞活性化をもたらす。抗CD40アゴニスト抗体は、動物モデルにおいて実質的な応答及び持続的な抗癌免疫を産生し、少なくとも部分的に細胞傷害性T細胞により媒介される効果である(例、Johnson et al.Clin Cancer Res.21:1321-1328,2015;及びVonderheide and Glennie,Clin Cancer Res.19:1035-43,2013を参照のこと)。CD40アゴニストの一般的な例は、CD40に特異的に結合し、その免疫刺激活性の一つ又は複数を増加させる抗体又は抗原結合断片又は小分子又はリガンドを含む。具体的な例は、CP-870,893、ダセツズマブ、Chi Lob 7/4、ADC-1013、CD40L、rhCD40L、及びそれらの抗原結合断片を含む。
【0224】
一部の実施形態では、薬剤はGITRアゴニストである。グルココルチコイド誘導TNFRファミリー関連遺伝子(GITR)は、T細胞増殖を増加させ、Tregの抑制活性を阻害し、Tエフェクター細胞の生存を延長させる。GITRアゴニストは、Treg系統の安定性の喪失を通じて抗腫瘍応答を促すことが示されている(例、Schaer et al.,Cancer Immunol Res.1:320-31,2013を参照のこと)。これらの多様な機構は、GITRがリンパ節における免疫応答の開始及び腫瘍組織における免疫応答の維持において重要な役割を果たしていることを示す。そのリガンドはGITRLである。GITRアゴニストの一般的な例は、GITRに特異的に結合し、その免疫刺激活性の一つ又は複数を増加させる抗体又は抗原結合断片又は小分子又はリガンドを含む。具体的な例は、GITRL、INCAGN01876、DTA-1、MEDI1873、及びそれらの抗原結合断片を含む。
【0225】
一部の実施形態では、薬剤はCD137アゴニストである。CD137(4-1BB)は、腫瘍壊死因子(TNF)受容体ファミリーのメンバーであり、CD137の架橋は、T細胞増殖、IL-2分泌、生存、及び細胞溶解活性を増強する。CD137媒介性シグナル伝達はまた、T細胞、例えばCD8+T細胞などを、活性化誘導性細胞死から保護する。CD137アゴニストの一般的な例は、CD137に特異的に結合し、その免疫刺激活性の一つ又は複数を増加させる抗体又は抗原結合断片又は小分子又はリガンドを含む。具体的な例は、CD137(又は4-1BB)リガンド(例、Shao and Schwarz,J Leukoc Biol.89:21-9,2011を参照のこと)及び抗体ウトミルマブ、その抗原結合断片を含む、を含む。
【0226】
一部の実施形態では、薬剤はCD27アゴニストである。CD27の刺激は、ナイーブT細胞の抗原特異的増殖を増加させ、T細胞メモリー及びT細胞免疫の長期維持に寄与する。そのリガンドはCD70である。アゴニスト抗体を用いたヒトCD27の標的化は、T細胞活性化及び抗腫瘍免疫を刺激する(例、Thomas et al.,Oncoimmunology.2014;3:e27255.doi:10.4161/onci.27255;及びHe et al .,J Immunol.191:4174-83,2013を参照のこと)。CD27アゴニストの一般的な例は、CD27に特異的に結合し、その免疫刺激活性の一つ又は複数を増加させる抗体又は抗原結合断片又は小分子又はリガンドを含む。具体的な例は、CD70、ならびに抗体ヴァリルマブ及びCDX-1127(1F5)、それらの抗原結合断片を含む、を含む。
【0227】
一部の実施形態では、薬剤はCD28アゴニストである。CD28は、構成的に発現されるCD4+T細胞、一部のCD8+T細胞である。そのリガンドはCD80及びCD86を含み、その刺激はT細胞増殖を増加させる。CD28アゴニストの一般的な例は、CD28に特異的に結合し、その免疫刺激活性の一つ又は複数を増加させる抗体又は抗原結合断片又は小分子又はリガンドを含む。具体的な例は、CD80、CD86、抗体TAB08、及びそれらの抗原結合断片を含む。
【0228】
一部の実施形態では、薬剤はCD226アゴニストである。CD226は、TIGITとリガンドを共有し、TIGITとは反対の刺激受容体であり、CD226の会合は、T細胞活性化を増強する(例、Kurtulus et al.,J Clin Invest.125:4053-4062,2015;Bottino et al.,J Exp Med.1984:557-567,2003;及びTahara-Hanaok et al.,Int Immunol.16:533-538,2004を参照のこと)。CD226アゴニストの一般的な例は、CD226に特異的に結合し、その免疫刺激活性の一つ又は複数を増加させる抗体又は抗原結合断片又は小分子又はリガンド(例、CD112、CD155)を含む。
【0229】
一部の実施形態では、薬剤はHVEMアゴニストである。ヘルペスウイルス侵入メディエーター(HVEM)は、また、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー14(TNFRSF14)として公知であり、TNF受容体スーパーファミリーのヒト細胞表面受容体である。HVEMは、T細胞、APC、及び他の免疫細胞を含む、様々な細胞で見出される。他の受容体とは異なり、HVEMは、静止T細胞上で高レベルで発現され、活性化時に下方調節される。HVEMシグナル伝達は、T細胞活性化の初期段階において、及びリンパ節における腫瘍特異的リンパ球集団の増殖中に重要な役割を果たしていることが示されている。HVEMアゴニストの一般的な例は、HVEMに特異的に結合し、その免疫刺激活性の一つ又は複数を増加させる抗体又は抗原結合断片又は小分子又はリガンドを含む。
【0230】
特定の実施形態では、癌免疫療法剤は癌ワクチンである。例示的な癌ワクチンは、オンコファージ、ヒトパピローマウイルスHPVワクチン、例えばガーダシル又はセルバリックスなど、B型肝炎ワクチン、例えばエンゲリックス-B、リコンビバックスHB、又はツインリックスなど、及びシプルセル-T(Provenge)を含む。一部の実施形態では、癌ワクチンは、一つ又は複数の癌抗原、又は癌関連d抗原を含む、又はそれを利用する。例示的な癌抗原は、限定されないが、ヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD19、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3 C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例、VEGF-A)VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、NRP2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファ-フェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水素酵素9(CA-IX)、癌胎児性抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(又はCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10B又はTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌腫抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝臓3のホスファターゼ(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewiss-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍上で発現されるジシアロガングリオシド)、グリピカン-3(GPC3)、及びメソテリンを含む。
【0231】
特定の実施形態では、癌免疫療法剤は、腫瘍溶解性ウイルスである。腫瘍溶解性ウイルスは、癌細胞に優先的に感染し、死滅させるウイルスである。含まれるのは、天然及び人造又は操作腫瘍溶解性ウイルスである。大半の腫瘍溶解性ウイルスが、腫瘍選択性について操作されているが、天然の例、例えばレオウイルス及びSVV-001セネカバレーウイルスなどがある。腫瘍溶解性ウイルスの一般的な例は、VSV、ポリオウイルス、レオウイルス、セネカウイルス、及びRIGVIR、ならびにそれらの操作バージョンを含む。腫瘍溶解性ウイルスの非限定的な例は、とりわけ、単純ヘルペスウイルス(HSV)及びその操作バージョン、タリモゲン・ラヘルパレプベック(T-VEC)、コクサッキーウイルスA21(CAVATAK(商標))、オンコリン(H101)、ペラレオレプ(REOLYSIN(登録商標))、セネカバレーウイルス(NTX-010)、セネカウイルスSVV-001、ColoAd1、SEPREHVIR(HSV-1716)、CGTG-102(Ad5/3-D24-GMCSF)、GL-ONC1、MV-NIS、及びDNX-2401を含む。
【0232】
特定の実施形態では、癌免疫療法剤はサイトカインである。例示的なサイトカインは、インターフェロン(IFN)-α、IL-2、IL-12、IL-7、IL-21、及び顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含む。
【0233】
特定の実施形態では、癌免疫療法剤は、細胞ベースの免疫療法、例えば、T細胞ベースの養子免疫療法である。一部の実施形態では、細胞ベースの免疫療法は、癌抗原特異的T細胞、場合によりエクスビボ由来T細胞を含む。一部の実施形態では、癌抗原特異的T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞、及びT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、及びペプチド誘導T細胞の一つ又は複数から選択される。特定の実施形態では、CAR改変T細胞は、CD-19に対して標的化される(例、Maude et al.,Blood.125:4017-4023,2015を参照のこと)。
【0234】
特定の例では、治療される癌は、癌抗原と関連付けられる、すなわち、癌抗原特異的T細胞は、治療される癌と関連付けられることが公知である少なくとも一つの抗原に対して標的化される、又はそれについて濃縮される。一部の実施形態では、癌抗原は、CD19、ヒトHer2/neu、Her1/EGF受容体(EGFR)、Her3、A33抗原、B7H3、CD5、CD20、CD22、CD23(IgE受容体)、MAGE-3 C242抗原、5T4、IL-6、IL-13、血管内皮成長因子VEGF(例、VEGF-A)VEGFR-1、VEGFR-2、CD30、CD33、CD37、CD40、CD44、CD51、CD52、CD56、CD74、CD80、CD152、CD200、CD221、CCR4、HLA-DR、CTLA-4、NPC-1C、テネイシン、ビメンチン、インスリン様成長因子1受容体(IGF-1R)、アルファ-フェトプロテイン、インスリン様成長因子1(IGF-1)、炭酸脱水素酵素9(CA-IX)、癌胎児性抗原(CEA)、グアニリルシクラーゼC、NY-ESO-1、p53、サバイビン、インテグリンαvβ3、インテグリンα5β1、葉酸受容体1、膜貫通糖タンパク質NMB、線維芽細胞活性化タンパク質アルファ(FAP)、糖タンパク質75、TAG-72、MUC1、MUC16(又はCA-125)、ホスファチジルセリン、前立腺特異的膜抗原(PMSA)、NR-LU-13抗原、TRAIL-R1、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー10b(TNFRSF10B又はTRAIL-R2)、SLAMファミリーメンバー7(SLAMF7)、EGP40汎癌腫抗原、B細胞活性化因子(BAFF)、血小板由来成長因子受容体、糖タンパク質EpCAM(17-1A)、プログラム死-1、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDI)、再生肝臓3のホスファターゼ(PRL-3)、前立腺酸性ホスファターゼ、Lewiss-Y抗原、GD2(神経外胚葉起源の腫瘍上で発現されるジシアロガングリオシド)、グリピカン-3(GPC3)、及びメソテリンの一つ又は複数から選択される。
【0235】
追加の例示的な癌抗原は、5T4、707-AP、9D7、AFP、AlbVDC HPG1、アルファ-5-ベータ-1-インテグリン、アルファ-5-ベータ-6-インテグリン、アルファ-アクチニン-4/m、アルファ-メチルアシル-コエンザイムAラセマーゼ、ART-4、ARTC1/m、B7H4、BAGE-1、BCL-2、bcr/abl、ベータ-カテニン/m、BING-4、BRCA1/m、BRCA2/m、CA 15-3/CA 27-29、CA19-9、CA72-4、CA125、カルレティキュリン、CAMEL、CASP-8/m、カテプシンB、カテプシンL、CDC27/m、CDK4/m、CDKN2A/m、CEA、CLCA2、CML28、CML66、COA-1/m、コラクトシン様タンパク質、コラージュXXIII、COX-2、CT-9/BRD6、Cten、サイクリンB1、サイクリンD1、cyp-B、CYPB1、DAM-10、DAM-6、DEK-CAN、EFTUD2/m、EGFR、ELF2/m、EMMPRIN、EpCam、EphA2、EphA3、ErbB3、ETV6-AML1、EZH2、FGF-5、FN、Frau-1、G250、GAGE-1、GAGE-2、GAGE-3、GAGE-4、GAGE-5、GAGE-6、GAGE7b、GAGE-8、GDEP、GnT-V、gp100、GPC3、GPNMB/m、HAGE、HAST-2、ヘプシン、Her2/neu、HERV-K-MEL、HLA-A*0201-R1 7I、HLA-A1 1/m、HLA-A2/m、HNE、ホメオボックスNKX3.1、HOM-TES-14/SCP-1、HOM-TES-85、HPV-E6、HPV-E7、HSP70-2M、HST-2、hTERT、iCE、IGF-1 R、IL-13Ra2、IL-2R、IL-5、未成熟ラミニン受容体、カリクレイン-2、カリクレイン-4、Ki67、KIAA0205、KIAA0205/m、KK-LC-1、K-Ras/m、LAGE-A1、LDLR-FUT、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A9、MAGE-A10、MAGE-A12、MAGE-B1、MAGE-B2、MAGE-B3、MAGE-B4、MAGE-B5、MAGE-B6、MAGE-B10、MAGE-B1 6、MAGE-B1 7、MAGE-C1、MAGE-C2、MAGE-C3、MAGE-D1、MAGE-D2、MAGE-D4、MAGE-E1、MAGE-E2、MAGE-F1、MAGE-H1、MAGEL2、マンマグロビンA、MART-1/メラン-A、MART-2、MART-2/m、マトリックスタンパク質22、MCI R、M-CSF、ME1/m、メソテリン、MG50/PXDN、MMP1 1、MN/CA IX-抗原、MRP-3、MUC-1、MUC-2、MUM-1/m、MUM-2/m、MUM-3/m、ミオシンクラスl/m、NA88-A、N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼ-V、Neo-PAP、Neo-PAP/m、NFYC/m、NGEP、NMP22、NPM/ALK、N-Ras/m、NSE、NY-ESO-B、NY-ESO-1、OA1、OFA-iLRP、OGT、OGT/m、OS-9、OS-9/m、オステオカルシン、オステオポンチン、pi 5、p190マイナーbcr-abl、p53、p53/m、PAGE-4、PAI-1、PAI-2、PAP、PART-1、PATE、PDEF、Pim-1キナーゼ、Pin-1、Pml/PARアルファ、POTE、PRAME、PRDX5/m、プロステイン、プロテイナーゼ-3、PSA、PSCA、PSGR、PSM、PSMA、PTPRK/m、RAGE-1、RBAF600/m、RHAMM/CD1 68、RU1、RU2、S-100、SAGE、SART-1、SART-2、SART-3、SCC、SIRT2/m、Sp1 7、SSX-1、SSX-2/HOM-MEL-40、SSX-4、STAMP-1、STEAP-1、サバイビン、サバイビン-2B、SYT-SSX-1、SYT-SSX-2、TA-90、TAG-72、TARP、TEL-AML1、TGF-ベータ、TGFベータRII、TGM-4、TPI/m、TRAG-3、TRG、TRP-1、TRP-2/6b、TRP/INT2、TRP-p8、チロシナーゼ、UPA、VEGFR1、VEGFR-2/FLK-1、及びWT1を含む。特定の好ましい抗原は、p53、CA125、EGFR、Her2/neu、hTERT、PAP、MAGE-A1、MAGE-A3、メソテリン、MUC-1、GP100、MART-1、チロシナーゼ、PSA、PSCA、PSMA、STEAP-1、Ras、CEA及びWT1、より好ましくはPAP、MAGE-A3、WT1、及びMUC-1を含む。
【0236】
一部の実施形態では、抗原は、MAGE-A1(例、受入番号M77481によるMAGE-A1)、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A6(例、受入番号NM_005363によるMAGE-A6)、MAGE-C1、MAGE-C2、メランA(例、受入番号NM_00551 1によるメランA)、GP100(例、受入番号M77348によるGP100)、チロシナーゼ(例、受入番号NM_000372によるチロシナーゼ)、サバイビン(例、受入番号AF077350によるサバイビン)、CEA(例、受入番号NM_004363によるCEA)、Her-2/neu(例、受入番号M1 1 730によるHer-2/neu)、WT1(例、受入番号NM_000378によるWT1)、PRAME(例、受入番号NM_0061 15によるPRAME)、EGFRI(上皮成長因子受容体1)(例、受入番号AF288738によるEGFRI(上皮成長因子受容体1))、MUC1、ムチン-1(例、受入番号NM_002456によるムチン-1)、SEC61 G(例、受入番号NM_014302によるSEC61 G)、hTERT(例、hTERT受入番号NM_198253)、5T4(例、受入番号NM_006670による5T4)、TRP-2(例、受入番号NM_001 922によるTRP-2)、STEAP1(前立腺1の6膜貫通上皮抗原)、PSCA、PSA、PSMA、などから選択される。
【0237】
一部の実施形態では、癌抗原は、PCA、PSA、PSMA、STEAP、及び場合によりMUC-1、それらの断片、バリアント、及び誘導体を含む、から選択される。一部の実施形態では、NY-ESO-1、MAGE-C1、MAGE-C2、サバイビン、5T4、及び場合によりMUC-1、それらの断片、バリアント、及び誘導体を含む、から選択される癌抗原。
【0238】
一部の例では、癌抗原は、癌又は腫瘍疾患、特にリンパ腫又はリンパ腫関連疾患に関連付けられるイディオタイプ抗原を包含し、例えば、それにおいて、イディオタイプ抗原は、リンパ血液細胞の免疫グロブリンイディオタイプ又はリンパ血液細胞のT細胞受容体イディオタイプである。
【0239】
一部の例では、癌抗原特異的T細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)改変T細胞(例、癌抗原に対して標的化される)、及びT細胞受容体(TCR)改変T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、及びペプチド誘導性T細胞の一つ又は複数から選択される。
【0240】
当業者は、本明細書中に記載される様々な癌免疫療法剤を、本明細書中に記載される様々な抗NRP2a抗体(それらの抗原結合断片を含む)の任意の一つ又は複数と組み合わせて、本明細書中に記載される方法又は組成物の任意の一つ又は複数に従って使用することができることを理解するであろう。
【0241】
化学療法剤。特定の実施形態は、一つ又は複数の化学療法剤、例えば、小分子化学療法剤を用いる。化学療法剤の非限定的な例は、とりわけ、アルキル化剤、抗代謝剤、細胞傷害性抗生物質、トポイソメラーゼ阻害剤(1型又はII型)、抗微小管剤を含む。
【0242】
アルキル化剤の例は、窒素マスタード(例、メクロレタミン、シクロホスファミド、ムスチン、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミド、及びブスルファン)、ニトロソ尿素(例、N-ニトロソ-N-メチル尿素(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)、セムスチン(MeCCNU)、フォテムスチン、及びストレプトゾトシン)、テトラジン(例、ダカルバジン、ミトゾロミド、及びテモゾロミド)、アジリジン(例、チオテパ、マイトマイシン、及びジアジコン(AZQ))、シスプラチン及びその誘導体(例、カルボプラチン及びオキサリプラチン)、ならびに非古典的なアルキル化剤(場合によりプロカルバジン及びヘキサメチルメラミン)を含む。
【0243】
抗代謝剤の例は、抗葉酸(例、メトトレキサート及びペメトレキセド)、フルオロピリミジン(例、5-フルオロウラシル及びカペシタビン)、デオキシヌクレオシド類似体(例、アシタビン、エノシタビン、シタラビン、ゲムシタビン、デシタビン、アザシチジン、フルダラビン、ネララビン、クラドリビン、クロファラビン、フルダラビン、及びペントスタチン)、ならびにチオプリン(例、チオグアニン及びメルカプトプリン)を含む;
細胞傷害性抗生物質の例は、アントラサイクリン(例、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、ピラルビシン、アクラルビシン、及びミトキサントロン)、ブレオマイシン、マイトマイシンC、ミトキサントロン、及びアクチノマイシンを含む。トポイソメラーゼ阻害剤の例は、カンプトテシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、ドキソルビシン、ミトキサントロン、テニポシド、ノボビオシン、メルバロン、及びアクラルビシンを含む。
【0244】
抗微小管剤の例は、タキサン(例、パクリタキセル及びドセタキセル)及びビンカアルカロイド(例、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビン)を含む。
【0245】
当業者は、本明細書中に記載される様々な化学療法剤を、本明細書中に記載される様々な抗NRP2a抗体(それらの抗原結合断片を含む)のいずれか一つ又は複数と組み合わせて、本明細書中に記載される方法又は組成物のいずれか一つ又は複数に従って使用することができることを理解するであろう。
【0246】
ホルモン治療剤。特定の実施形態は、少なくとも一つのホルモン治療剤を用いる。ホルモン治療剤の一般的な例は、ホルモンアゴニスト及びホルモンアンタゴニストを含む。ホルモンアゴニストの特定の例は、プロゲストゲン(プロゲスチン)、コルチコステロイド(例、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン)、インスリン様成長因子、VEGF由来血管新生因子及びリンパ管新生因子(例、VEGF-A、VEGF-A145,VEGF-A165、VEGF-C、VEGF-D、PIGF-2)、線維芽細胞成長因子(FGF)、ガレクチン、肝細胞成長因子(HGF)、血小板由来成長因子(PDGF)、形質転換成長因子(TGF)-ベータ、アンドロゲン、エストロゲン、CCL21、及びソマトスタチン類似体を含む。ホルモンアンタゴニストの例は、ホルモン合成阻害剤、例えばアロマターゼ阻害剤及びゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト(例、リュープロリド、ゴセレリン、トリプトレリン、ヒストレリン)などを含み、それらの類似体を含む。また、含まれるのは、ホルモン受容体アンタゴニスト、例えば選択的エストロゲン受容体調節因子(SERM;例、タモキシフェン、ラロキシフェン、トレミフェン)及び抗アンドロゲン剤(例、フルタミド、ビカルタミド、ニルタミド)などである。
【0247】
また、含まれるのは、ホルモン経路阻害剤、例えばホルモン受容体に対して向けられる抗体などである。例は、IGF受容体の阻害剤(例、IGF-IR1)、例えばシクスツムマブ、ダロツズマブ、フィギツムマブ、ガニツマブ、イスチラツマブ、及びロバツムマブなど;血管内皮成長因子受容体1、2、もしくは3(VEGFR1、VEGFR2もしくはVEGFR3)の阻害剤又はそれらのリガンド、例えばアラシズマブペゴル、ベバシズマブ、イクルクマブ、ラムシルマブなど;TGF-ベータ受容体R1、R2、及びR3の阻害剤、例えばフレソリムマブ及びメテリムマブなど;c-Metの阻害剤、例えばナキシタマブなど;EGF受容体の阻害剤、例えばセツキシマブ、デパツキシズマブマホドチン、フツキシマブ、イムガツズマブ、ラプリツキシマブエムタンシン、マツズマブ、モドツキシマブ、ネシツムマブ、ニモツズマブ、パニツムマブ、トムゾツキシマブ、及びザルツムマブなど;FGF受容体の阻害剤、例えばアプルツマブイクサドチン及びベマリツズマブなど;CCR7の阻害剤;ならびにPDGF受容体の阻害剤、例えばオララツマブ及びトベツマブなどを含む。
【0248】
当業者は、本明細書中に記載される様々なホルモン治療剤を、本明細書中に記載される様々な抗NRP2a抗体(それらの抗原結合断片を含む)のいずれか一つ又は複数と組み合わせて、本明細書中に記載される方法又は組成物のいずれか一つ又は複数に従って使用することができることを理解するであろう。
【0249】
キナーゼ阻害剤。特定の実施形態は、チロシンキナーゼ阻害剤を含む、少なくとも一つのキナーゼ阻害剤を用いる。キナーゼ阻害剤の例は、限定を伴わずに、アダボセルチブ、アファニチブ、アフリベルセプト、アキシチニブ、ベバシズマブ、ボスチニブ、カボザンチニブ、セツキシマブ、コビメチニブ、クリゾチニブ、ダサチニブ、エントレクチニブ、エルダフィチニブ、エルロチニブ、フォスタミチニブ、ゲフィチニブ、イブルチニブ、イマチニブ、ラパチニブ、レンバチニブ、ムブリチニブ、ニロチニブ、パニツムマブ、パゾパニブ、ペガプタニブ、ポナチニブ、ラニビズマブ、レゴラフェニブ、ルキソリチニブ、ソラフェニブ、スニチニブ、SU6656、トファシチニブ、トラスツズマブ、バンデタニブ、及びベムアフェニブを含む、例示的なPI3キナーゼ阻害剤は、アルペリシブ、ブパルリシブ、コパンリシブ、CUDC-907、ダクトリシブ、デュベリシブ、GNE-477、イデラシブ、IPI-549、LY294002、ME-401、ペリホシン、PI-103、ピクチリシブ、PWT33597、RP6503、タセリシブ、ウムブラリシブ、ボクスタリシブ、ワートマンニン、及びXL147を含む。
【0250】
当業者は、本明細書中に記載される様々なキナーゼ阻害剤を、本明細書中に記載される様々な抗NRP2a抗体(それらの抗原結合断片を含む)のいずれか一つ又は複数と組み合わせて、本明細書中に記載される方法又は組成物のいずれか一つ又は複数に従って使用することができることを理解するであろう。
【0251】
使用の方法及び治療用組成物
本開示の実施形態は、特定のヒトニューロピリン2(NRP2)ポリペプチド、具体的にはNRP2a v1及びv2が、NRP2a v1/v2リガンド、例えばCCL21及び/又はCCR7などとの結合相互作用を媒介する固有の膜近傍ドメイン配列を含むという発見に部分的に関する。そのようなCCL21/CCR7相互作用ドメインは、ヒトNRP2b v4及びNRP2b v5ポリペプチド中で見出されず、ヒトNRP2a v3中で部分的にのみ存在している。したがって、NRP2b v4及びNRP2b v5と比べて、ヒトNRP2a v1及び/又はv2に選択的に結合し、NRP2a v1/v2とCCL21/CCR7の間での結合を阻害する、又はそうでなければ干渉する抗体を使用して、これらの経路の下流シグナル伝達事象を調節することができる。そのような抗体は、NRP2関連疾患を含む疾患の治療における単独治療として、又は本明細書中に記載される他の治療剤との組み合わせにおいて使用することができる。
【0252】
特定の実施形態は、従って、それを必要とする対象において疾患又は状態を治療する、その症状を寛解させる、及び/又はその進行を低下させる方法を含み、本明細書中に記載されるように、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドに結合する少なくとも一つの抗体又はその抗原結合断片を対象に投与することを含む。一部の例では、抗体又はその抗原結合断片は、NRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドとCCL21及び/又はCCR7の間での結合を調節する(例、拮抗する)。一部の実施形態では、抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片は、NRP2aバリアント1及び/又は2アイソフォームに選択的に結合し、NRP2b v4及びv5アイソフォームには実質的に結合しない。一部の実施形態では、抗体又はその抗原結合断片は、NRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドとNRP2aリガンド、例えばCCL21/CCR7などとの間での相互作用からもたらされるシグナル伝達活性を調節する。
【0253】
一部の実施形態は、抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片を、約1nM~約1μM、約1nM~約100nM、約1nM~約10nM、又は約1nM~約3μMの抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片の定常状態濃度、又は平均循環濃度を達成するのに十分な量で、及び頻度で投与することを含む。
【0254】
特定の実施形態では、疾患又は状態は、NRP2関連疾患又は状態である。一部の実施形態では、NRP2に関連付けられる疾患又は状態は、癌、ならびに癌に関連付けられる疾患及び経路の一つ又は複数から選択され、癌細胞の成長、開始、遊走、接着、浸潤、化学療法耐性、及び/又は転移;炎症、自己免疫、及び関連する炎症性疾患に関連付けられる疾患、不適切な免疫細胞の活性化又は遊走に関連付けられる疾患、例えば移植片対宿主病(GVHD)などを含む;リンパ管の発生、リンパ管新生、及びリンパ管損傷に関連付けられる疾患、例えば、浮腫、リンパ浮腫、続発性リンパ浮腫、不適切な脂肪吸収及び蓄積、過剰な脂肪蓄積、ならびに血管透過性を含み;感染に関連付けられる疾患、潜伏感染を含む;アレルギー性障害/疾患、アレルギー応答に関連付けられる疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好中球性喘息、抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連全身性血管炎、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、インフラマソーム関連疾患、及び皮膚関連好中球媒介性疾患、例えば壊疽性膿皮症など;肉芽腫性炎症性疾患に関連付けられる疾患、サルコイドーシス及び肉芽腫を含む;線維症に関連付けられる疾患、線維性疾患、線維症、内皮間葉移行(EMT)、及び創傷治癒を含む;不適切な平滑筋収縮性、平滑筋の代償及び代償不全、ならびに不適切な血管平滑筋細胞遊走及び接着に関連付けられる疾患;不適切なオートファジー、食作用、及びエフェロサイトーシスに関連付けられる疾患;神経疾患、末梢神経系リモデリング、及び疼痛知覚に関連付けられる疾患;骨発生及び骨リモデリングに関連付けられる疾患を含む。
【0255】
一部の実施形態では、疾患は癌である。特定の実施形態は、このように、それを必要とする対象において癌を治療する、その症状を寛解させる、又はその進行を阻害する方法を含み、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドに特異的に結合し、ならびにヒトNRP2aリガンド(例えば、表N2からのNRP2aリガンド、例えばCCL21及び/又はCCR7など)へのヒトNRP2aポリペプチドの結合を調節する(例、それに干渉する)、少なくとも一つの抗体又はその抗原結合断片(抗NRP2a抗体)を対象に投与することを含む。特定の実施形態は、それを必要とする対象において癌、例えば、転移性癌及び/又は化学療法耐性癌の再出現を低下又は防止することを含み、それにおいて、治療用組成物の投与は、癌への免疫記憶の生成を可能にする。
【0256】
一部の例では、抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片は、未処置対照と比べて、癌開始、癌細胞移動、接着、又は癌細胞転移を、約又は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%又はそれ以上だけ低下させる。一部の例では、抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片は、未処置対照と比べて、癌媒介性リンパ管新生を約又は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%又はそれ以上だけ低下させる。一部の実施形態では、抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片は、癌又は遊走性細胞(例えば、生検又はインビトロで成長させた他のサンプルから単離された癌又は免疫細胞)の移動又は運動の速度を、未処置対照と比べて、約又は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%又はそれ以上だけ阻害又は低下させる。一部の実施形態では、抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片は、癌(例えば、生検又はインビトロで成長させた他のサンプルから単離された癌細胞)の侵襲性を、未処置対照と比べて、約又は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%又はそれ以上だけ低下させる。
【0257】
一部の実施形態では、抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片は、追加の薬剤(例えば、化学療法剤、ホルモン治療剤、及び又はキナーゼ阻害剤)に対する癌の感受性を、追加の薬剤単独と比べて、約又は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%又はそれ以上だけ増強させる。一部の実施形態では、抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片は、癌免疫療法剤の抗腫瘍及び/又は免疫刺激活性を、癌免疫療法剤単独と比べて、約又は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%又はそれ以上だけ増強させる。
【0258】
また、含まれるのは、癌を治療するための併用治療であって、それを必要とする対象において癌を治療する、その症状を寛解させる、又はその進行を阻害する方法を含み、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも一つの抗体又はその抗原結合断片(抗NRP2a抗体)を、少なくとも一つの追加の薬剤、例えば、癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及び/又はキナーゼ阻害剤との組み合わせにおいて、対象に投与することを含む。例示的な癌免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、及びキナーゼ阻害剤が、本明細書中の他の箇所に記載されている。
【0259】
一部の例では、抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片、及び少なくとも一つの追加の薬剤は、例えば、別々の治療用組成物中で、及び同じ又は異なる時間に、別々に投与される。一部の実施形態では、抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片、及び少なくとも一つの追加の薬剤は、同じ治療用組成物の一部として同時に投与される。
【0260】
特定の方法は、併用治療レジメンの一部として(即ち、それに加えて)、一つ又は複数の抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片を用いる。例示的な併用レジメンを以下の表M1中に提供する。
【表M1】
【0261】
一部の実施形態では、本明細書中に記載される方法及び治療用組成物(例えば、抗NRP2a抗体、単独で、又は少なくとも一つの追加の薬剤との組み合わせにおいて)は、対象の生存期間の中央値を4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、15週間、20週間、25週間、30週間、40週間だけ、又はより長く増加させる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される方法及び治療用組成物(例えば、抗NRP2a抗体、単独で、又は少なくとも一つの追加の薬剤との組み合わせにおいて)は、対象の生存期間の中央値を1年、2年、3年だけ、又はより長く増加させる。一部の実施形態では、本明細書中に記載される方法及び治療用組成物(例えば、抗NRP2a抗体を単独で、又は癌免疫療法剤との組み合わせにおいて)は、無増悪生存期間を2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間だけ、又はより長く増加させる。特定の実施形態では、本明細書中に記載される方法又は治療用組成物は、無増悪生存期間を1年、2年、3年だけ、又はより長く増加させる。
【0262】
特定の実施形態では、本明細書中に記載される方法及び治療用組成物(例えば、抗NRP2a抗体、単独で、又は少なくとも一つの追加の薬剤との組み合わせにおいて)は、生存腫瘍の量における統計的に有意な減少、例えば、腫瘍質量における少なくとも10%、20%、30%、40%、50%又はより大きな減少により、あるいは改変された(例、統計的有意性を伴って減少した)スキャン寸法により示されるように、腫瘍退縮をもたらすのに十分である。特定の実施形態では、本明細書中に記載される方法及び治療用組成物(例えば、抗NRP2a抗体、単独で、又は少なくとも一つの追加の薬剤との組み合わせにおいて)は、安定した疾患をもたらすのに十分である。特定の実施形態では、本明細書中に記載される方法及び治療用組成物(例えば、抗NRP2a抗体、単独で、又は癌免疫療法剤との組み合わせにおいて)は、当業者に公知の特定の疾患適応症の症状における臨床的に関連する低下をもたらすのに十分である。
【0263】
一部の実施形態では、抗NRP2a抗体は、癌免疫療法剤単独と比べて、癌免疫療法剤の抗腫瘍活性及び/又は免疫刺激活性を増加させる、補う、又はそうでなければ増強する。一部の実施形態では、抗NRP2a抗体は、癌免疫療法剤単独と比べて、癌免疫療法剤の抗腫瘍活性及び/又は免疫刺激活性を、約、又は少なくとも約5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、60、70、80、90、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000%又はそれ以上だけ増強する。
【0264】
本明細書中に記載される方法及び治療用組成物は、任意の様々な癌又は腫瘍の治療において使用することができる。一部の実施形態では、癌は、原発性癌、即ち、腫瘍進行が開始し、癌性腫瘤をもたらした解剖学的部位で成長する癌である。一部の実施形態では、癌は、二次癌又は転移性癌、即ち、原発部位又は起源の組織から、一つ又は複数の異なる部位又は組織中に広がった癌である。一部の実施形態では、癌は、NRP2を発現又は過剰発現する。一部の実施形態では、対象又は患者は、黒色腫(例、転移性黒色腫)、上皮又は上皮由来腫瘍、膵臓癌、骨癌、前立腺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌(NSCLC)、中皮腫、白血病(例、リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、急性骨髄性白血病、再発性急性骨髄性白血病)、リンパ腫、肝細胞癌(肝細胞癌腫又はHCC)、肉腫、B細胞悪性腫瘍、乳癌(例えば、エストロゲン受容体陽性(ER+)、エストロゲン受容体陰性(ER-)、Her2陽性(Her2+)、Her2陰性(Her2-);又はそれらの組み合わせ、例、ER+/Her2+、ER+/Her2-、ER-/Her2+、又はER-/Her2-;又はエストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性、及びHER2 陰性である「トリプルネガティブ」乳癌)、卵巣癌、結腸直腸癌、神経膠腫(例、星状細胞腫、希突起膠腫、上衣腫、又は脈絡叢乳頭腫)、多形神経膠芽腫(例、巨細胞膠芽腫又は神経膠肉腫)、髄膜腫、下垂体腺腫、前庭神経鞘腫、原発性CNSリンパ腫、原始神経外胚葉腫瘍(髄芽腫)、腎臓癌(例、腎細胞癌腫)、膀胱癌、子宮癌、食道癌、脳癌、頭頸部癌、子宮頸癌、精巣癌、甲状腺癌、胃癌、ウイルス誘発性腫瘍、例えば、パピローマウイルス誘発癌腫(例、子宮頸癌腫、子宮頸癌)、腺癌、ヘルペスウイルス誘発腫瘍(例、バーキットリンパ腫、EBV誘発B細胞リンパ腫)、B型肝炎誘発腫瘍(肝細胞癌腫)、HTLV-1誘発及びHTLV-2誘発リンパ腫、聴神経腫瘍、肺癌(例、肺癌腫、気管支癌腫)、小細胞肺癌腫、咽頭癌、肛門癌腫、神経膠芽腫、直腸癌腫、リンパ管腫、星状細胞腫、脳腫瘍、網膜芽細胞腫、基底細胞腫、脳転移、髄芽腫、膣癌、膵臓癌、精巣癌、ホジキン症候群、髄膜腫、シュネーベルガー病、下垂体腫瘍、菌状息肉症、カルチノイド、神経鞘腫、脊髄腫、バーキットリンパ腫、喉頭癌、腎臓癌、胸腺腫、体癌腫、骨癌、非ホジキンリンパ腫、尿道癌、CUP症候群、頭頸部腫瘍、希突起膠腫、外陰癌、腸癌、結腸癌腫、食道癌(例:食道癌腫)、いぼ併発、小腸の腫瘍、頭蓋咽頭腫、卵巣癌腫、生殖器腫瘍、卵巣癌(例、卵巣癌腫)、膵臓癌(例、膵臓癌腫)、子宮内膜癌腫、肝転移、陰茎癌、舌癌、胆嚢癌、白血病、形質細胞腫、眼瞼腫瘍の一つ又は複数から選択される癌を有する。
【0265】
一部の実施形態では、上に記述するように、癌又は腫瘍は、転移性癌、例えば、NRP2a v1及び/又はv2を発現する転移性癌である。上の癌に加えて、例示的な転移性癌は、限定されないが、骨、肝臓、及び/又は肺に転移した膀胱癌;骨、脳、肝臓、及び/又は肺に転移した乳癌;肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した結腸直腸癌;副腎、骨、脳、肝臓、及び/又は肺に転移した腎臓癌;副腎、骨、脳、肝臓、及び/又は他の肺部位に転移した肺癌;骨、脳、肝臓、肺、及び/又は皮膚/筋肉に転移した黒色腫;肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した卵巣癌;肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した膵臓癌;副腎、骨、肝臓、及び/又は肺に転移した前立腺癌;肝臓、肺、及び/又は腹膜に転移した胃癌;骨、肝臓、及び/又は肺に転移した甲状腺癌;ならびに骨、肝臓、肺、腹膜、及び/又は膣に転移した子宮癌をとりわけ含む。
【0266】
一部の実施形態では、例えば、癌免疫療法剤がPD-1又はPD-L1アンタゴニスト又は阻害剤である場合、対象は、PD-1又はPD-L1阻害剤療法について適切となる一つ又は複数のバイオマーカー(例、細胞、例えば癌細胞又は癌特異的CTLなどにおける、増加したPD-1又はPD-L1レベル)を有する。例えば、一部の実施形態では、対象は、腫瘍浸潤性CD8+T細胞サブセット内のプログラム細胞死1高/細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4高(例、PD-1hi CTLA-4hi)細胞の増加した分画を有する(例、Daud et al.,J Clin Invest.126:3447-3452,2016を参照のこと)。別の例として、一部の実施形態では、対象は、循環腫瘍反応性(例、PD-1CD11ahiCD8)T細胞におけるBim(B細胞リンパ腫2相互作用(Bcl2相互作用)メディエーター)の増加レベルを有し、場合により転移性黒色腫を有する(例、Dronca et al.,JCI Insight.May 5;1(6):e86014,2016を参照のこと)。
【0267】
特定の具体的な組み合わせは、結腸直腸癌、黒色腫、乳癌、非小細胞肺癌腫、膀胱癌、及び腎細胞癌腫の一つ又は複数から選択される癌を治療するための、抗NRP2a抗体ならびにPD-L1アンタゴニスト又は阻害剤、例えばアテゾリズマブ(MPDL3280A)、アベルマブ(MSB0010718C)、及びデュルバルマブ(MEDI4736)などを含む。
【0268】
一部の特定の組み合わせは、ホジキンリンパ腫、黒色腫、非小細胞肺癌、肝細胞癌腫、腎細胞癌腫、及び卵巣癌の一つ又は複数から選択される癌を治療するための、抗NRP2a抗体及びPD-1アンタゴニスト、例えば、ニボルマブを含む。
【0269】
特定の具体的な組み合わせは、黒色腫、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、頭頸部癌、及び尿路上皮癌の一つ又は複数から選択される癌を治療するための、抗NRP2a抗体及びPD-1アンタゴニスト、例えば、ペムブロリズマブを含む。
【0270】
特定の具体的な組み合わせは、黒色腫、前立腺癌、肺癌、及び膀胱癌の一つ又は複数から選択される癌を治療するための、抗NRP2a抗体ならびにCTLA-4アンタゴニスト、例えば、イピリムマブ及びトレメリムマブを含む。
【0271】
一部の特定の組み合わせは、転移性乳癌及び脳癌、場合により多形神経膠芽腫、神経膠腫、神経膠肉腫又は悪性脳腫瘍の一つ又は複数から選択される癌を治療するための、抗NRP2a抗体及びIDOアンタゴニスト、例えば、インドキシモド(NLG-8189)、1-メチル-トリプトファン(1MT)、β-カルボリン(ノルハルマン;9H-ピリド[3,4-b]インドール)、ロスマリン酸、又はエパカドスタットを含む。
【0272】
特定の具体的な組み合わせは、黒色腫、カポジ肉腫、及び血液癌を治療するための抗NRP2a抗体及びサイトカインINF-αを含む。また、含まれるのは、転移性腎臓癌又は転移性黒色腫を治療するための抗NRP2a抗体及びIL-2(例、アルデスロイキン)の組み合わせである。
【0273】
一部の特定の組み合わせは、血液癌、例えば急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ性白血病(CLL)、及びB細胞新生物などを治療するための、抗NRP2a抗体、ならびに、例えば、CD-19に対して標的化されたCAR改変T細胞を含むT細胞ベースの養子免疫療法を含む(例、Maude et al.,2015,上記;Lorentzen and Straten,Scand J Immunol.82:307-19,2015;及びRamos et al.,Cancer J.20:112-118,2014を参照のこと)。
【0274】
癌を治療するための方法は、他の治療モダリティと組み合わせることができる。例えば、本明細書中に記載される併用治療は、対症療法、放射線療法、手術、移植、ホルモン治療、光線力学的治療、抗生物質治療、又はそれらの任意の組み合わせを含む、他の治療的介入の前、中、又は後に対象に投与することができる。対症療法は、脳浮腫、頭痛、認知機能障害、及び嘔吐を低下させるためのコルチコステロイドの投与、ならびに発作を低下させるための抗痙攣薬の投与を含む。放射線療法は、全脳照射、分割放射線療法、及び放射線手術、例えば定位放射線手術などを含み、それは、従来の手術とさらに組み合わせることができる。
【0275】
特定の実施形態は、リンパ管新生を調節し、関連するリンパ性疾患又は関連付けられる状態、例えばリンパ浮腫又は腫瘍転移などを治療するための、本明細書中に記載される抗NRP2a抗体の使用を含む。リンパ系は、血管系からろ過された体液及びタンパク質を吸収し、収集し、輸送する、相互接続された毛細血管、収集管、及びリンパ節のネットワークからなる。この系は重要な恒常性機能を提供する:ヒトでは、リンパ管は、1日当たり>4リットルの液体及び相当量のタンパク質を頸部の大静脈中に戻す。
【0276】
リンパ性血管機能不全(リンパ浮腫)は、間質における過剰な液体の蓄積(浮腫)をもたらす。リンパ性浮腫は、典型的には生命を脅かすものではないが、それは、疼痛、不動、線維症、炎症、脂肪組織蓄積、及び組織損傷を含む、深刻な健康結果を有する。リンパ系はまた、免疫応答の重大な成分であるため、リンパ浮腫は、典型的には、感染及び他の免疫系の問題の増加リスクにより伴われる。
【0277】
リンパ管新生は、既存のリンパ管からの新たなリンパ管の形成であり、転移性播種、移植片拒絶(例、角膜、腎臓及び心臓)、2型糖尿病、肥満、高血圧、及びリンパ浮腫を含む多様な病理学的状態と関連付けられる(例、Alitalo et al.Nature 438:946-953,2005;Karaman et al.J Clin Invest 124:922-928,2014;Kim et al.,J Clin Invest 124:936-942,2014;Maby-El Hajjami et al.,Histochem Cell Biol 130:1063-107,2008;Machnik et al.,Nat Med 15:545-552;Mortimer et al.,2014.J Clin Invest 124:915-921;Skobe et al.,2009.Nat Med 15:993-994を参照のこと)。
【0278】
血管の浸潤と比較した原発性腫瘍中での及びその周辺でのリンパ管浸潤は、様々な種類の癌の侵襲性の予後マーカーである。リンパ管の成長はまた、移植片拒絶において含まれる(Dietrich,T.,et al.,J Immunol 184:535-539,2010、Hall et al.,Arch Otolaryngol Head Neck Surg 129:716-719,2003.;Maula et al.,Cancer Res 63:1920-1926,2003;Miyata et al.,J Urol 176:348-353,2006;Saad et al.,Mod Pathol 19:1317-1323,2006;Schoppmann et al.,Ann Surg 240:306-312,2004;Zeng et al.,Prostate 65:222-230,2005)。
【0279】
抗リンパ管新生剤は、例えば、リンパ管の成長が角膜移植片拒絶の主要な理由であり、加齢関連の黄斑変性に関連付けられる血管新生の主要な寄与因子である、眼の衰弱性疾患を治療するために有用である(Dietrich,T.,et al.,J Immunol 184:535-539,2010)。特に、全層角質移植は、固体組織移植の最も一般的な形態であり、米国においては毎年約40,000の角膜移植が実施される。全層角質移植の成功率は、無血管の低リスク床において実施される無併発性の第一の移植片では90%と高い。しかし、高リスクの血管形成された宿主床において配置された角膜移植片の拒絶率は極めて高い(70%~90%)。このように、特定の実施形態は、リンパ管新生を阻害し、それにより移植片の生存を促し、血管新生を阻害するための抗NRP2a抗体を含む。
【0280】
抗リンパ管新生薬物はまた、ドライアイ疾患の治療のために有用である。リンパ新生促進因子(例、VEGF-C、VEGF-D、及びVEGFR-3)の有意な上方調節ならびに血管の同時成長を伴わないリンパ管の選択的成長が、ドライアイ疾患を伴う角膜において実証されている(Goyal et al.,Arch Ophthalmol 128:819-824,2010)。ドライアイ疾患は、約500万人のアメリカ人に影響を及ぼす免疫媒介性障害である。それは、視覚関連の生活の質に重度の影響を及ぼし、症状は衰弱性であり得る。ドライアイ疾患についての現在の治療選択肢は限定されており、大半が緩和的であり、高価である。一部の実施形態は、このように、ドライアイ疾患の治療のためのリンパ管新生阻害剤として抗NRP2a抗体を含む。
【0281】
転移は、固形腫瘍からの死亡の大部分(90%)について原因となっている(Gupta and Massague,Cell 127,679-695,2006)。転移の複雑なプロセスは、原発腫瘍からの腫瘍細胞の解離、リンパ管又は血管中への腫瘍細胞の血管内浸潤、ならびに二次部位中での腫瘍細胞の血管外遊走及び成長を含む、一連の異なる工程を含む。多くの腫瘍型における所属リンパ節の分析は、リンパ管構造が、ヒト癌の播種のための重要な経路であることを示唆する。さらに、ほぼ全ての癌腫において、リンパ節における腫瘍細胞の存在が、最も重要な有害予後因子である。そのような転移は、腫瘍近くの既存のリンパ管に沿った悪性細胞の通過を排他的に含むと以前は考えられていた一方で、最近の実験的試験及び臨床病理学的報告(例、Achen et al.,Br J Cancer 94,1355-1360,2006及びNathanson,Cancer 98,413-423,2003を参照のこと)は、リンパ管新生が固形腫瘍により誘導されることができ、腫瘍拡大を促すことができることを示唆する。一部の実施形態は、このように、癌転移の発生を制限するための治療戦略として、リンパ管及びリンパ管新生を標的化するための抗NRP2a抗体の使用を含む。
【0282】
したがって、本明細書中に記載される方法及び組成物を使用して、リンパ新生促進因子の活性を阻害し、それにより移植片拒絶、ドライアイ疾患、腫瘍転移、リンパ浮腫、及び関連する炎症状態を治療することができる。
【0283】
一部の実施形態は、平滑筋収縮性を調節し、関連する状態を治療するための、本明細書中に記載される抗NRP2抗体の使用を含む。膀胱における低下した平滑筋(SM)収縮性は、良性前立腺過形成(BPH)に続発する部分的閉塞、後部尿道弁、真性糖尿病、多発性硬化症、脊髄損傷、又は特発性原因を含む、多数の病因から生じ得る。(例、Drake et al.,Nat Rev Urol.11(8):454-464,2014を参照のこと)。状態、例えばBPH又は後部尿道弁などでは、膀胱は、閉塞した出口に対して収縮する。初期応答は適応性であり、増加した力生成によって、増加した出口抵抗を克服することを可能にするSM肥大の代償段階を含む。要求が膀胱の適応能力を凌ぐ場合、収縮性能はより低い効率となり、残留体積が増加し、膀胱がリモデリングされ、最終的に、膀胱が代償するにつれて、排尿筋収縮性の喪失に導く。(例、Zderic et al.,J Cell Mol Med.16(2):203-217,2012を参照のこと)。不活性な排尿筋機能の有病率は、成人において48%と高いことが報告されている(Osman et al.,Eur Urol;65(2):389-398,2014)。さらに、SM収縮の回復のための既存の薬理学的治療、例えばムスカリンアゴニスト又はコリンエステラーゼ阻害剤などは、限定的な有効性及び有害効果を示している(Barendrecht et al.,BJU Int.99(4):749-752,2007)。
【0284】
最近の試験によって、NRP2発現の主要部位として膀胱平滑筋が特定され、RhoA及び細胞骨格硬直の阻害が実証され、インビボでのNRP2のユビキタスな又は平滑筋特異的な欠失を伴うマウスからの膀胱SM細片の増加した収縮性が、NRP2インタクト同腹仔対照からの組織と比較した場合に観察された(例、Bielenberg et al.,Am.J.Pathol.181 548-559,2012;及びVasquez et al.,JCI Insight 2(3)e90617,2017を参照のこと)。
【0285】
さらに、最近の試験によって、代償不全を受けている膀胱においてNRP2を標的化することが、進行中の閉塞にもかかわらず収縮性を回復させる潜在能を有することが示されている。(Vasquez et al.,JCI Insight 2(3)e90617,2017)。これらの知見によって、NRP2軸が、部分的な膀胱出口閉塞症候群におけるSM収縮性の回復のための潜在的に新規の薬理学的標的を表し、NRP2機能の抗体ベースのモジュレーターの開発のための重要な治療機会を提供することが論じられている。
【0286】
今日までの減少した排尿筋収縮性の薬理学的管理は、膀胱収縮性を増強するための副交感作用活性の刺激、及び膀胱排出を促進するための流出抵抗の低下に焦点を当てている(Chancellor et al.,Urology 72(5)966-967,2008)。しかし、不良な収縮性の膀胱を伴う患者における副交感神経模倣薬物の10の無作為化臨床治験の分析は、症状の悪化又は有意な改善の欠如のいずれかを明らかにした(Barendrecht et al.,BJU Int.99(4)749-752,2007)。代償不全膀胱におけるNRP2欠失後の収縮性における増加は、NRP2が、慢性閉塞の条件下での低下した排尿筋収縮性を軽減するための有用な標的であり得ることを示唆する。
【0287】
このプロセスにおけるNRP2の役割を考慮すると、特定の実施形態は、例えば、膀胱における低下した平滑筋(SM)収縮性、より具体的には、部分的な膀胱出口閉塞症候群に関連付けられる症候群の治療における、を含む、平滑筋収縮性を調節するための、本明細書中に記載される抗NRP2抗体の使用を含む。一部の実施形態は、このように、それを必要とする対象において部分的な膀胱出口閉塞症候群を治療する、その症状を寛解させる、又はその進行を阻害する方法を含み、ヒトNRP2aポリペプチドに特異的に結合する、本明細書中に記載される少なくとも一つの抗体、又はその抗原結合断片を対象に投与することを含む。特定の実施形態は、それを必要とする対象において平滑筋収縮性を調節する(例、増加させる、低下させる)方法を含み、本明細書中に記載されるように、抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片を対象に投与することを含む。特定の実施形態は、それを必要とする対象において低下した平滑筋収縮性を治療すること、その症状を寛解させること、及び/又はその進行を低下させることを含み、本明細書中に記載される抗NRP2a抗体、又はその抗原結合断片を対象に投与することを含む。
【0288】
NRP2発現は、線維症の発生と関連付けられてきた。一部の実施形態は、このように、線維症、例えば、組織線維症を治療するための、本明細書中に記載される抗NRP2a抗体の使用を含む。組織線維症の例は、他の繊維性疾患の中でもとりわけ、肝線維症、腎線維症、肺線維症、皮膚線維症、心血管線維症、及び胃腸線維症からなる群から選択される線維症を含む。肝線維症の例は、肝硬変、虚血再灌流、肝移植後障害、壊死性肝炎、B型肝炎、C型肝炎、原発性胆汁性肝硬変、及び原発性硬化性胆管炎を含む。一部の態様では、肝硬変は、アルコール、薬物、及び/又は他の化学物質による誘導に関連する。腎線維症の例は、増殖性糸球体腎炎、硬化性糸球体腎炎、腎原性線維性皮膚症、糖尿病性腎症、腎細管間質性線維症、及び巣状分節性糸球体硬化症を含む。肺線維症の例は、肺間質性線維症、薬物誘発性サルコイドーシス、肺線維症、特発性肺線維症、喘息、慢性閉塞性肺疾患、びまん性肺胞傷害疾患、肺高血圧症、及び新生児気管支肺異形成症を含む。皮膚線維症の例は、強皮症、ケロイド瘢痕化、乾癬、肥大瘢痕化、及び擬似強皮症を含む。心血管系線維症の例は、アテローム性動脈硬化症、冠動脈再狭窄、うっ血性心筋症、心不全、心臓移植、及び心筋線維症を含む。胃腸線維症の例は、コラーゲン性大腸炎、絨毛性萎縮、陰窩過形成、ポリープ形成、クローン病の線維症、胃潰瘍治癒、及び腹部接着手術後の瘢痕を含む。また、含まれるのは、骨関連線維化疾患及びリウマチ性パンヌス形成から生じる線維性状態である。
【0289】
本明細書中に記載される疾患又は状態の一つ又は複数を伴う対象を特定する方法は、当技術分野において公知である。一部の実施形態では、対象は、健康な対照と比べて、少なくとも一つのNRP2aリガンド、例えばCCL21及び/又はCCR7など、ならびに/あるいはそれらのコードmRNAの増加レベル又は発現に関連付けられる疾患を有する、及び/又は有することに基づいて治療のために選択される。例えば、一部の実施形態では、疾患対象、細胞、又は組織における少なくとも一つのNRP2aリガンドのレベルは、健康な対照における少なくとも一つのNRP2aリガンドのレベルの約又は少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、1000倍又はそれ以上である。一部の実施形態では、対象は、非癌性対照細胞又は組織と比べて、少なくとも一つのNRP2aリガンド及び/又はそれらのコードmRNAの増加レベル又は発現を有する癌を有する、及び/又は有することに基づいて治療のために選択される。例えば、一部の実施形態では、癌細胞又は組織中の少なくとも一つのNRP2aリガンドのレベルは、非癌性対照又は標準におけるNRP2aリガンドのレベルの約又は少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍、1000倍又はそれ以上である。このように、特定の実施形態では、治療のために対象を選択する方法を含み、(i)対照又は参照と比べて、対象における少なくとも一つのNRP2aリガンド及び/又はコードmRNAの増加発現レベルを検出すること、ならびに(ii)本明細書中に記載されるように、少なくとも一つの抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片を含む治療用組成物を対象に投与することを含む。特定の実施形態では、NRP2aリガンドはCCL21及び/又はCCR7である。
【0290】
一部の実施形態では、対象は、対象の健康な対照集団又は一致した対照集団のレベルと比べて、NRP2aポリペプチド、例えば可溶性NRP2aポリペプチド(例えば、表N1から選択される)などの増加循環レベル又は血清レベルを有する、及び/又は有することに基づいて治療のために選択される。例えば、特定の実施形態では、循環レベルもしくは血清レベルが、約又は少なくとも約10、20、30、50、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、3000、4000、5000pMの可溶性NRP2aポリペプチドである、又は循環レベルもしくは血清レベルが、約30~50、50~100、100~2000、200~2000、300~2000、400~2000、500~2000、600~2000、700~2000、800~2000、900~2000、1000~2000、2000~3000、3000~4000、4000~5000pMの可溶性NRP2aポリペプチドである。
【0291】
特定の実施形態では、対象は、健康な対照(例、NRP2関連疾患)と比べて、NRP2aポリペプチド(場合により表N1から選択される)及び/又はそのコードmRNAの増加レベル又は発現に関連付けられる疾患を有する、及び/又は有することに基づいて治療のために選択される。一部の実施形態では、NRP2aポリペプチドは、NRP2aバリアント1もしくはバリアント2アイソフォーム、又はその断片である。例えば、特定の実施形態では、罹患した対象、細胞、又は組織におけるNRP2aポリペプチドのレベルは、健康な対照におけるNRP2aポリペプチドのレベルの約又は少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍又はそれ以上である。一部の実施形態では、対象は、対照細胞又は組織と比べて、場合により、癌と同じ種類の非癌性細胞又は組織と比べて、NRP2aポリペプチド(例えば、表N1から選択される)及び/又はそのコードmRNAの増加レベルもしくは発現を有する癌を有する、及び/又は有することに基づいて治療のために選択される。例えば、一部の実施形態では、癌細胞又は組織におけるNRP2aポリペプチドのレベルは、非癌性対照又は標準におけるNRP2aポリペプチドのレベルの約又は少なくとも約1.5倍、2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、30倍、40倍、50倍、60倍、70倍、80倍、90倍、100倍又はそれ以上である。一部の実施形態は、このように、(i)対照又は参照と比べて、対象におけるNRP2aポリペプチド及び/又はそのコードmRNAの増加発現レベルを検出すること、ならびに(ii)本明細書中に記載されるように、少なくとも一つの抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片を含む治療用組成物を対象に投与することを含む、治療のために対象を選択する方法を含む。
【0292】
一部の実施形態では、対象は、健康な対照もしくは一致した対照標準又は対象の集団と比べて、NRP2aの増加レベルもしくは発現と関連付けられる疾患(例えば、表N1のバリアント1及び/又は2)、又はNRP2a:NRP2b発現の改変された比率を有する、及び/又は有することに基づいて治療のために選択される。一部の実施形態では、対象は、健康な対照もしくは一致した対照標準又は対象の集団と比べて、有意により高いNRP2aの発現又はレベルを有する。一部の実施形態では、NRP2aのレベルは、健康な対照もしくは一致した対照標準又は対象の集団と比べて、約又は少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、100%、200%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1000%だけ増加する。特定の実施形態は、従って、癌治療のために対象を選択する方法を含み、(i)対照又は参照と比べて対象におけるNRP2aの増加発現レベルを検出すること、及び(ii)本明細書中に記載される抗抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片を含む治療用組成物を対象に投与することを含む。
【0293】
一部の実施形態では、健康な対照もしくは一致した対照標準又は対象の集団は、同じ種類の罹患又は非罹患細胞又は組織の、年齢が一致したサンプルについての平均範囲を含み、それらは、特定の特徴、例えば薬物耐性、転移能、侵襲性、遺伝シグネチャ(例、p53変異、PTEN欠失、IGFR発現)、及び/又は発現パターンなどを含む。
【0294】
上に記述するように、ヒト又は非ヒト哺乳動物の疾患の治療又は検査のためのインビボ使用のために、本明細書中に記載される薬剤は、獣医学的治療用組成物を含む、投与前に一つ又は複数の治療用組成物又は医薬組成物中に一般的に組み入れられる。
【0295】
このように、特定の実施形態は、本明細書中に記載されるように、ヒトNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも一つの抗体又はその抗原結合断片を含む治療用組成物に関する。一部の例では、治療用又は医薬組成物は、医薬的に又は生理学的に許容可能な担体又は賦形剤との組み合わせにおいて、本明細書中に記載される薬剤の一つ又は複数を含む。特定の治療用組成物は、本明細書中に記載されるように、少なくとも一つの癌免疫療法剤をさらに含む。
【0296】
一部の治療用組成物は、一つの抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片のみを含む(及び特定の方法が利用する)。特定の治療用組成物は、少なくとも二つ、三つ、四つ、又は五つの異なる抗NRP2a抗体又はその抗原結合断片の混合物を含む(及び特定の方法が利用する)。
【0297】
例えば、特定の治療用組成物は少なくとも二つの抗NRP2抗体を含み、ヒトNRP2aポリペプチドの少なくとも一つの第一のエピトープに特異的に結合する第一の抗体又はその抗原結合断片、及び同じ又は異なるヒトNRP2ポリペプチドの少なくとも一つの第二のエピトープに特異的に結合する第二の抗体又はその抗原結合断片を含み、それにおいて、少なくとも一つの第一のエピトープは、少なくとも一つの第二のエピトープとは異なる。一部の実施形態では、第一及び第二の抗体又はその抗原結合断片は、NRP2ポリペプチドの同じドメインに特異的に及び非競合的に結合する。一部の実施形態では、第一の抗NRP2抗体又はその抗原結合断片は、NRP2aアイソフォーム(例、表N1のバリアント1及び/又は2)に特異的である第一のエピトープに選択的に結合し、第二の抗NRP2抗体又はその抗原結合断片は、NRP2bアイソフォーム(例、表N1のバリアント4及び/又は5)に特異的である、あるいはNRP2a及びNRP2bアイソフォームの両方に共通する(例、全長NRP2a及びNRP2bにより共有される、共通の、表面に曝露されたa1、a2、b1、b2又はcドメイン中に位置する)第二のエピトープに選択的に結合する。
【0298】
一部の実施形態では、第一及び第二の抗体又はその抗原結合断片は、NRP2ポリペプチドの異なるドメインに特異的に及び非競合的に結合する。一部の実施形態では、第一の抗体は、NRP2aポリペプチドと少なくとも一つのNRP2aリガンド、例えば、CCL21及び/又はCCR7の間でのシグナル伝達活性を調節する。
【0299】
一部の実施形態では、第一及び第二の抗体又はその抗原結合断片は、両方とも、例えば、少なくとも二つの異なるNRP2リガンドについての遮断抗体である。一部の実施形態では、第一及び第二の抗体又はその抗原結合断片は、両方とも、例えば、少なくとも二つの異なるNRP2リガンドについての部分遮断抗体である。一部の例では、第一及び第二の抗体又はその抗原結合断片は、両方とも、例えば、少なくとも二つの異なるNRP2リガンドに関して、非遮断抗体である。
【0300】
一部の例では、第一の抗体又はその抗原結合断片は遮断抗体であり、第二の抗体又はその抗原結合断片は部分遮断抗体である。特定の例では、第一の抗体又はその抗原結合断片は遮断抗体であり、第二の抗体又はその抗原結合断片は非遮断抗体である。
【0301】
一部の実施形態では、第一及び第二の抗体又はその抗原結合断片は、両方とも、ヒトにおいて高いエフェクター機能を伴うIgG Fcドメイン、例えば、IgG1又はIgG3 Fcドメインを含む。一部の実施形態では、第一及び第二の抗体又はその抗原結合断片は、ヒトにおいて低いエフェクター機能を伴うIgG Fcドメイン、例えば、IgG2又はIgG4 Fcドメインを含む。
【0302】
一部の例では、第一の抗体又はその抗原結合断片は、ヒトにおいて高いエフェクター機能を伴うIgG Fcドメイン、例えば、IgG1又はIgG3 Fcドメインを含み、第二の抗体又はその抗原結合断片は、ヒトにおいて低いエフェクター機能を伴うIgG Fcドメイン、例えば、IgG2又はIgG4 Fcドメインを含む。
【0303】
特定の実施形態では、薬剤、例えば抗NRP2a抗体又は他のポリペプチド薬剤などを含む治療用組成物は、タンパク質基準又は重量-重量基準で実質的に純粋であり、例えば、組成物は、タンパク質基準又は重量-重量基準で少なくとも約80%、85%、90%、95%、98%、又は99%の純度を有する。
【0304】
一部の実施形態では、本明細書中で提供される抗体(例、抗NRP2a抗体)又は他のポリペプチド薬剤は、本明細書中に記載される、及び当技術分野において公知のように、凝集体を形成しない、所望の溶解性を有する、及び/又はヒトにおける使用のために適切である免疫原性プロファイルを有する。このように、一部の実施形態では、ポリペプチド薬剤(例えば、抗NRP2a抗体)を含む治療用組成物は、実質的に凝集体を含まない。例えば、特定の組成物は、約10%未満(タンパク質基準)の高分子量凝集タンパク質、又は約5%未満の高分子量凝集タンパク質、又は約4%未満の高分子量凝集タンパク質、又は約3%未満の高分子量凝集タンパク質、又は約2%未満の高分子量凝集タンパク質、又は約1%未満の高分子量凝集タンパク質を含む。一部の組成物は、その見掛けの分子量に対して少なくとも約50%、約60%、約70%、約80%、約90%又は約95%の単分散であるポリペプチド薬剤(例、抗体、例えば抗NRP2a抗体など)を含む。
【0305】
一部の実施形態では、ポリペプチド薬剤、例えば抗体(例、抗NRP2a抗体)などは、約又は少なくとも約0.1mg/ml、0.2mg/ml、0.3mg/ml、0.4mg/ml、0.5mg/ml、0.6、0.7、0.8、0.9、1mg/ml、2mg/ml、3mg/ml、4mg/ml、5mg/ml、6mg/ml、7mg/ml、8mg/ml、9mg/ml、10mg/ml、11、12、13、14、又は15mg/mlに濃縮され、生物療法的な使用のために製剤化される。
【0306】
治療用組成物又は医薬組成物を調製するために、有効な又は所望の量の一つ又は複数の薬剤を、特定の薬剤及び/又は投与の様式のために適切であることが当業者に公知の任意の医薬担体又は賦形剤と混合する。医薬担体は、液体、半液体、又は固体であり得る。非経口、皮内、眼内、皮下、膀胱中への直接点滴、又は局所適用のために使用される溶液又は懸濁液は、例えば、滅菌希釈剤(例えば水など)、生理食塩水(例、リン酸緩衝生理食塩水;PBS)、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の合成溶媒;抗菌剤(例えばベンジルアルコール及びメチルパラベンなど);酸化防止剤(例えばアスコルビン酸及び亜硫酸水素ナトリウムなど)及びキレート剤(例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)など);緩衝液(例えば酢酸塩、クエン酸塩、リン酸塩など)を含み得る。静脈内に(例、IV注入により)投与される場合、適切な担体は、生理食塩水又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびに増粘剤及び可溶化剤、例えばグルコース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びそれらの混合物などを含む溶液を含む。
【0307】
純粋な形態における、又は適した治療用組成物もしくは医薬組成物における、本明細書中に記載される薬剤の投与は、類似の有用性を果たすための薬剤の許容される投与の様式のいずれかを介して行うことができる。治療用組成物又は医薬組成物は、薬剤含有組成物を、適した生理学的に許容可能な担体、希釈剤、又は賦形剤と組み合わせることにより調製することができ、固体、半固体、液体、又は気体の形態、例えば錠剤、カプセル、粉末、顆粒、軟膏、溶液、座薬、注射、吸入剤、ゲル、マイクロスフェア、及びエアロゾルなどの調製物に製剤化することができる。また、他の医薬的に活性な成分(本明細書中の他の箇所に記載される他の小分子を含む)ならびに/あるいは適切な賦形剤、例えば塩、緩衝剤、及び安定剤などは、組成物内に存在してもよいが、しかし、そうである必要はない。
【0308】
投与は、経口、非経口、経鼻、静脈内、眼内、皮内、筋肉内、皮下、膀胱中への設置、又は局所を含む、様々な異なる経路により達成され得る。好ましい投与様式は、治療又は予防される状態の性質に依存する。特定の実施形態は、IV注入による投与を含む。
【0309】
担体は、例えば、用いられる投与量及び濃度でそれに曝露されている細胞又は哺乳動物に非毒性である、医薬的又は生理学的に許容可能な担体、賦形剤、又は安定剤を含むことができる。しばしば、生理学的に許容可能な担体は、水性pH緩衝溶液である。生理学的に許容可能な担体の例は、緩衝剤、例えばリン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸など;アスコルビン酸を含む抗酸化物質;低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;タンパク質、例えば血清アルブミン、ゼラチン、又は免疫グロブリンなど;親水性ポリマー、例えばポリビニルピロリドンなど;アミノ酸、例えばグリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、又はリジンなど;グルコース、マンノース、又はデキストリンを含む単糖類、二糖類、及び他の糖類;キレート剤、例えばEDTAなど;糖アルコール、例えばマンニトール又はソルビトールなど;塩形成対イオン、例えばナトリウムなど;及び/又は非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート 20(TWEEN(登録商標))、ポリエチレングリコール(PEG)、及びポロキサマー(PLURONICS(登録商標))など、ならびに同様のものを含む。
【0310】
一部の実施形態では、一つ又は複数の薬剤は、例えば、コアセルベーション技術により、もしくは界面重合により調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロース又はゼラチンマイクロカプセル及びポリ-(メチルメタシル酸)マイクロカプセル)中に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルション、ナノ粒子及びナノカプセル)中に、又はマクロエマルション中に封入することができる。そのような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th edition,Oslo,A.,Ed.,(1980)において開示されている。粒子又はリポソームは、他の治療剤又は診断剤をさらに含み得る。
【0311】
治療の正確な投与量及び持続時間は、治療されている疾患の関数であり、公知のテストプロトコールを使用して経験的に、又は当技術分野において公知のモデル系において組成物をテストし、そこから外挿することにより決定され得る。対照臨床治験がまた、実施され得る。用量はまた、軽減される状態の重症度で変動し得る。医薬組成物は、一般的に、望ましくない副作用を最小化しながら、治療的に有用な効果を発揮するように製剤化及び投与される。組成物は、一回投与されてもよく、又は一定間隔で投与される多数のより小さな用量中に分割されてもよい。任意の特定の対象について、特定の投薬レジメンは、個々の必要性に従って経時的に調整され得る。
【0312】
これら及び関連する治療用組成物又は医薬組成物を投与する典型的な経路は、このように、限定されないが、経口、局所、経皮、吸入、非経口、舌下、頬側、眼、直腸、膣、及び鼻腔内を含む。本明細書中で使用される用語「非経口」は、皮下注射、静脈内、膀胱中への注入、筋肉内、胸骨内注射、又は注入技術を含む。本開示の特定の実施形態による治療用組成物又は医薬組成物は、その中に含まれる活性成分が、対象又は患者への組成物の投与時に生物学的に利用可能となるように製剤化される。対象又は患者に投与される組成物は、一つ又は複数の投与単位の形態を取り得るが、ここで、例えば、錠剤は、単一投与単位であってもよく、エアロゾル形態の本明細書中に記載される薬剤の容器は、複数の投与単位を保持し得る。そのような投薬形態を調製する実際の方法は、当業者に公知である、又は明らかであろう;例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Edition(Philadelphia College of Pharmacy and Science,2000)を参照のこと。投与される組成物は、典型的には、目的の疾患又は状態の治療のための、本明細書中に記載される薬剤の治療有効量を含む。
【0313】
治療用組成物又は医薬組成物は、固体又は液体の形態であってもよい。一実施形態では、担体は粒子状であり、組成物は、例えば、錠剤又は粉末の形態であるようにする。担体は液体であってもよく、組成物は、例えば、経口油、注射可能な液体又はエアロゾルであり、それは、例えば、吸入投与において有用である。経口投与のために意図される場合、医薬組成物は、好ましくは、固体形態又は液体形態のいずれかであり、ここで、半固体、半液体、懸濁液、及びゲル形態は、固体又は液体のいずれかとして本明細書中で考慮される形態内に含まれる。特定の実施形態は、滅菌注射溶液を含む。
【0314】
経口投与用の固形組成物として、医薬組成物は、粉末、顆粒、ゲル、圧縮錠剤、丸剤、カプセル剤、チューインガム、ウエハー又は同様のものに製剤化されてもよい。そのような固体組成物は、典型的には、一つ又は複数の不活性希釈剤又は食用担体を含む。また、以下の一つ又は複数が存在し得る:結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、微結晶セルロース、トラガカントゴム、又はゼラチンなど;賦形剤、例えばデンプン、ラクトース、又はデキストリンなど、崩壊剤、例えばアルギン酸、アルギン酸ナトリウム、プリモゲル、コーンスターチ及び同様のもの;潤滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム又はステレオテックスなど;滑剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素など;甘味剤、例えばスクロース又はサッカリンなど;香味剤、例えばペパーミント、サリチル酸メチル、又はオレンジ香料など;及び着色剤。医薬組成物が、カプセル、例えば、ゼラチンカプセルの形態である場合、それは、上の種類の材料に加えて、液体担体、例えばポリエチレングリコール又は油などを含んでもよい。
【0315】
治療用組成物又は医薬組成物は、液体、例えば、エリキシル、シロップ、溶液、ゲル、エマルション、又は懸濁液の形態であってもよい。液体は、二つの例として、経口投与用又は注射による送達用であってもよい。経口投与について意図される場合、好ましい組成物は、本化合物に加えて、甘味剤、防腐剤、染料/着色剤、及び香味増強剤の一つ又は複数を含む。注射により投与されることが意図される組成物中では、界面活性剤、防腐剤、湿潤剤、分散剤、懸濁剤、緩衝剤、安定剤、及び等張剤の一つ又は複数が含まれ得る。
【0316】
液体治療用組成物又は医薬組成物は、それらが、溶液、懸濁液又は他の類似の形態であるかを問わず、以下のアジュバントの一つ又は複数を含み得る:無菌希釈剤、例えば注射用水、生理食塩水、好ましくは生理学的食塩水、リンゲル液、等張塩化ナトリウムなど、固定油、例えば溶媒又は懸濁培地としての役割を果たし得る合成モノ又はジグリセリド、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール又は他の溶媒など;抗菌剤、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベンなど;抗酸化物質、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウムなど;キレート剤、例えばエチレンジアミン四酢酸など;緩衝剤、例えば酢酸塩、クエン酸塩、又はリン酸塩など、及び張性の調整用薬剤、例えば塩化ナトリウム又はブドウ糖など。非経口調製物は、アンプル、使い捨てシリンジ、又はガラスもしくはプラスチックで作製された複数用量バイアル中に封入することができる。生理食塩水は好ましいアジュバントである。注射用医薬組成物は、好ましくは、無菌である。
【0317】
非経口投与、眼内投与、又は経口投与のいずれかについて意図される液体治療用組成物又は医薬組成物は、適切な投与量が得られるように、ある量の薬剤を含むべきである。典型的には、この量は、組成物中の目的の薬剤の少なくとも0.01%である。経口投与について意図される場合、この量は、組成物の重量の0.1~約70%の間であるように変動し得る。特定の経口治療用組成物又は医薬組成物は、約4%~約75%の間の目的の薬剤を含む。特定の実施形態では、治療用組成物又は医薬組成物及び調製物は、非経口投薬単位が、希釈前に0.01~10重量%の間の目的の薬剤を含むように調製される。
【0318】
治療用組成物又は医薬組成物は、局所投与について意図されてもよく、その場合では、担体は、適切には、溶液、エマルション、軟膏、又はゲル基剤を含み得る。基剤は、例えば、以下の一つ又は複数を含んでもよい:ワセリン、ラノリン、ポリエチレングリコール、ミツロウ、鉱油、希釈剤、例えば水及びアルコールなど、ならびに乳化剤及び安定剤。増粘剤は、局所投与のための治療用組成物又は医薬組成物中に存在してもよい。経皮投与について意図される場合、組成物は経皮パッチ又はイオン導入デバイスを含みうる。
【0319】
治療用組成物又は医薬組成物は、例えば、直腸中で溶解し、薬物を放出する座薬の形態における直腸投与について意図され得る。直腸投与のための組成物は、適切な非刺激性賦形剤として油性基剤を含み得る。そのような基剤は、限定されないが、ラノリン、ココアバター、及びポリエチレングリコールを含む。
【0320】
治療用組成物又は医薬組成物は、様々な材料を含み得るが、それらは、固体又は液体投薬単位の物理的形態を改変する。例えば、組成物は、活性成分の周りにコーティングシェルを形成する材料を含み得る。コーティングシェルを形成する材料は、典型的には不活性であり、例えば、糖、シェラック、及び他の腸溶コーティング剤から選択され得る。あるいは、活性成分は、ゼラチンカプセル中に封入されてもよい。固体又は液体形態における治療用組成物又は医薬組成物は、薬剤に結合し、それにより、化合物の送達を支援する成分を含み得る。この能力において作用し得る適切な成分は、モノクローナル抗体もしくはポリクローナル抗体、一つ又は複数のタンパク質、又はリポソームを含む。
【0321】
治療用組成物又は医薬組成物は、エアロゾルとして投与することができる投薬単位から本質的になり得る。用語「エアロゾル」は、コロイド性質のものから、加圧パッケージからなる系に及ぶ様々な系を意味するために使用される。送達は、液化ガスもしくは圧縮ガスにより、又は活性成分を分注する適切なポンプ系により得る。エアロゾルは、活性成分を送達するために、単相、二相、又は三相系において送達されてもよい。エアロゾルの送達は、必要な容器、活性化剤、弁、サブコンテナ、及び同様のものを含み、それらは一緒にキットを形成し得る。当業者は、過度の実験なしに、好ましいエアロゾルを決定し得る。
【0322】
本明細書中に記載される組成物は、身体からの迅速な排除に対して薬剤を保護する担体、例えば徐放性製剤又はコーティングなどを用いて調製されてもよい。そのような担体は、制御放出製剤、例えば、限定されないが、インプラント及びマイクロカプセル化送達系など、ならびに生分解性生体適合性ポリマー、例えばエチレンビニルアセテート、ポリ無水物、ポリグリコール酸、ポリオルトエステル、ポリ乳酸及び当業者に公知の他のものなどを含む。
【0323】
治療用組成物又は医薬組成物は、医薬技術分野において周知の方法論により調製されてもよい。例えば、注射により投与されることが意図される治療用組成物又は医薬組成物は、溶液を形成するために、滅菌蒸留水を伴う塩、緩衝剤及び/又は安定剤の一つ又は複数を含み得る。界面活性剤を加えて、均質な溶液又は懸濁液の形成を促進し得る。界面活性剤は、水性送達系において薬剤の溶解又は均質な懸濁を促進するために、薬剤と非共有結合的に相互作用する化合物である。
【0324】
治療用組成物又は医薬組成物は、治療有効量において投与されてもよく、それは、様々な因子、用いられる特定の化合物の活性;化合物の代謝安定性及び作用の長さ;対象の年齢、体重、一般的な健康、性別、及び食事;投与の様式及び時間;排泄の速度;薬物の組み合わせ;特定の障害又は状態の重症度;治療を受けている対象を含む、に依存して変動し得る。一部の例では、治療有効一日用量は、(70kgの哺乳動物について)約0.001mg/kg(即ち、約0.07mg)~約100mg/kg(即ち、約7.0g)であり;好ましくは、治療有効用量は(70kgの哺乳動物について)約0.01mg/kg(即ち、約0.7mg)~約50mg/kg(即ち、約3.5g)であり;より好ましくは、治療有効用量は(70kgの哺乳動物について)約1mg/kg(即ち、約70mg)~約25mg/kg(即ち、約1.75g)である。一部の実施形態では、治療有効用量は、毎週、隔週、又は毎月投与される。特定の実施形態では、治療有効用量は、毎週、隔週、又は毎月、例えば、約1~10又は1~5mg/kg、あるいは約1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10mg/kgの用量で投与される。
【0325】
本明細書中に記載される併用治療は、抗NRP2a抗体及び追加の治療剤(例、免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、キナーゼ阻害剤)を含む単一医薬投与製剤の投与、ならびに抗NRP2a抗体及び追加の治療剤をそれ自体の別々の医薬投与製剤中に含む組成物の投与を含み得る。例えば、本明細書中に記載される抗NRP2a抗体及び追加の治療剤は、単一経口投薬組成物、例えば錠剤もしくはカプセルなど、又は別々の経口投薬製剤中で投与される各薬剤中で、対象に一緒に投与することができる。同様に、本明細書中に記載される抗NRP2a抗体及び追加の治療剤は、単一の非経口投与組成物中で、例えば生理食塩水もしくは他の生理学的に許容可能な溶液中などで一緒に対象に投与することができる、又は各薬剤を、別々の非経口投与製剤中で投与することができる。別の例として、細胞ベースの治療については、抗NRP2a抗体は、投与前に細胞と混合することができる、別々の組成物の一部として投与することができる、又は両方であることができる。別々の投与製剤が使用される場合、組成物は、本質的に同じ時間に、即ち、同時に、又は別々にずらされた時間で、即ち、連続的に及び任意の順序において投与することができる;併用治療は、これら全てのレジメンを含むと理解される。
【0326】
また、含まれるのは、患者ケアキットであって、(a)本明細書中に記載されるように、ヒトNRP2aバリアント1及び/又はバリアント2ポリペプチドに特異的に結合する少なくとも一つの抗体又はその抗原結合断片(抗NRP2a抗体);ならびに、場合により、(b)少なくとも一つの追加の治療剤(例、免疫療法剤、化学療法剤、ホルモン治療剤、キナーゼ阻害剤)を含む。特定のキットでは、(a)及び(b)は別々の治療用組成物中にある。一部のキットでは、(a)及び(b)は同じ治療用組成物中にある。
【0327】
本明細書中のキットはまた、治療されている適応症について、又は所望の診断適用について適切な、又は所望の一つ又は複数の追加の治療薬剤又は他の成分を含み得る。本明細書中のキットはまた、意図される送達様式(例、ステント、移植可能なデポなど)を促進するために必要な又は望ましい一つ又は複数のシリンジ又は他の成分を含むことができる。
【0328】
一部の実施形態では、患者ケアキットは、組成物及び情報材料のための別々の容器、仕切り、又は区画を含む。例えば、組成物は、ボトル、バイアル、又はシリンジ中に含まれることができ、情報材料は、容器との関連において含まれることができる。一部の実施形態では、キットの別々の要素は、単一の、分割されていない容器内に含まれる。例えば、組成物は、ラベルの形態において情報材料をそれに付着したボトル、バイアル、又はシリンジ中に含まれる。一部の実施形態では、キットは、複数の(例、パック)個々の容器を含み、各々が、抗NRP2a抗体の一つ又は複数の単位投薬形態(例、本明細書中に記載される投薬形態)、及び場合により少なくとも一つの追加の治療剤を含む。例えば、キットは、複数のシリンジ、アンプル、ホイルパケット、又はブリスターパックを含み、各々が抗NRP2a抗体の単一単位用量、及び場合により少なくとも一つの追加の治療剤を含む。キットの容器は、気密性、防水性(例、水分又は蒸発における変化に対して不透過性)、及び/又は遮光性であることができる。
【0329】
患者ケアキットは、場合により、組成物の投与のために適切なデバイス、例えば、シリンジ、吸入剤、ドロッパ(例、点眼器)、スワブ(例、綿スワブ又は木製スワブ)、又は任意のそのような送達デバイスを含む。一部の実施形態では、デバイスは、薬剤の定用量を分注する移植可能なデバイスである。また、含まれるのは、例えば、本明細書中に記載される構成要素を組み合わせることにより、キットを提供する方法である。
【0330】
薬剤放出アッセイならびに製品仕様、診断、及び試薬のためのバイオアッセイ及び分析アッセイ
また、含まれるのは、抗NRP2a抗体ならびに関連薬剤、例えば治療試薬及び診断試薬などに関連するバイオアッセイである。例は、とりわけ、純度、生物学的活性、親和性、溶解性、pH、エンドトキシンレベルを測定するバイオアッセイ及び分析アッセイを含む、その多くが本明細書中に記載されている。また、含まれるのは、用量応答曲線を確立する、及び/又は抗体の異なるバッチ間の比較のために一つ又は複数の基礎を提供するアッセイである。バッチ比較は、化学的特徴付け、生物学的特徴付け、及び臨床的特徴付けのいずれか一つ又は複数に基づくことができる。また、含まれるのは、選択された抗体の効力、安定性、薬物動態、及び免疫原性を評価する方法である。他の使用の間で、これら及び他の方法は、本明細書中に記載される抗NRP2a抗体を含む、生物剤又は化学薬剤のロット放出テストのために使用することができる。
【0331】
特定の実施形態は、バイオアフィニティアッセイの使用を含む。そのようなアッセイを使用して、例えば、抗NRP2a抗体と少なくとも一つのNRP2リガンド(例えば、NRP2aリガンド、例えばCCL21及び/又はCCR7など)の間での結合親和性、ヒトNRP2aポリペプチドと少なくとも一つのNRP2aリガンド、又は他の細胞結合パートナーの間での相互作用に干渉するその能力を含む、を評価することができる。特定の例示的な結合親和性アッセイは、本明細書中に記載され、当技術分野において公知の他のタンパク質相補アッセイ及びアプローチの中でもとりわけ、ELISAアッセイ又はタンパク質間相互作用アッセイ、例えばNanoBiT(登録商標)タンパク質:タンパク質相互作用系(Promega)などを利用し得る。特定のアッセイは、高性能受容体結合クロマトグラフィーを利用する(例、Roswall et al.,Biologicals.24:25-39,1996を参照のこと)。他の例示的な結合親和性アッセイは、表面プラズモン共鳴(SPR)ベースの技術を利用し得る。例はBIACore技術を含み、それらの特定のものは、SPR技術をマイクロ流体系と統合して、pM~mMの範囲の濃度で分子相互作用をリアルタイムでモニターする。また、含まれるのは、KINEXA(商標)アッセイであり、それは、結合特異性、結合親和性、及び結合動態/速度定数の正確な測定を提供する。
【0332】
特定の実施形態は、抗NRP2a抗体の免疫原性を評価又は最適化するためのイムノアッセイに関する。例は、治療用タンパク質の免疫原性能に関する有用な情報を提供するためのエクスビボヒト細胞アッセイ及びインビトロ免疫酵素アッセイを含む。エクスビボ細胞応答アッセイを使用して、例えば、抗原提示細胞(APC)とT細胞の間での細胞共作用を再現し、それにより、目的のタンパク質との接触後のT細胞活性化を測定することができる。特定のインビトロ酵素アッセイは、関連するヒト集団の大部分をカバーする組換えHLA-DR分子のコレクションを利用してもよく、HLA-DR分子とのペプチドの結合(治療用タンパク質の断片化から由来する)をテストするための自動免疫酵素アッセイを含んでもよい。また、含まれるのは、抗NRP2a抗体から一つ又は複数のT細胞エピトープを特定し、次に除去又は改変するために、これらの及び関連する方法を使用することなどにより、選択されたタンパク質の免疫原性を低下させる方法である。
【0333】
また、含まれるのは、パラメータ、例えば特定の生物学的活性、結合特徴、NRP2受容体二量体化及びヘテロ二量体化、又はシグナル伝達、受容体局在化、NRP2ポリペプチドの内部移行もしくは時間空間動態における変化など、ならびに、あるいは他のパラメータ、例えば可塑性、成長、及び/又は細胞傷害性などを測定するための生物学的放出アッセイ(例、細胞ベースのアッセイ)である。特定の特異的生物学的アッセイは、例えば、細胞結合パートナー、例えば、細胞表面受容体、例えばNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチドなど、異なるNRP2ポリペプチド(表N1を参照のこと)、及び/又は細胞表面上に存在する少なくとも一つのNRP2リガンド、例えばCCL21及び/又はCCR7など、それは、内因性に、又は細胞表面上に組換え発現され、それは、本明細書中に記載されるように、読み取り、例えばNRP2もしくはNRP2リガンド結合の蛍光又は発光インジケータなど、又は機能活性に機能的に共役される、を利用する細胞ベースのアッセイを含む。
【0334】
例えば、特定の実施形態は、本明細書中に記載されるNRP2ポリペプチドの一つ又は複数に結合する抗NRP2a抗体の能力の評価を可能にする、ヒトNRP2ポリペプチド(例、細胞表面上のNRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド、あるいは他のNRP2ポリペプチド)を内因性に又は組換えのいずれかで発現する細胞を含む。一部の実施形態では、抗NRP2a抗体及び/又はNRP2ポリペプチドは、NRP2ポリペプチドの結合及び/又は生物学的活性を測定するために、読み出し又はインジケータ、例えば蛍光又は発光インジケータなどに機能的に共役される。抗NRP2a抗体への応答において、NRP2aポリペプチドとNRP2aリガンドとの相互作用をモニターすることが可能である例示的なタンパク質-タンパク質間相互作用アッセイは、分割センサー系、例えばNanoBiT(登録商標)タンパク質:タンパク質相互作用系(Promega)などを含む。一部の実施形態では、細胞はまた、少なくとも一つのNRP2リガンド(例えば、表N2からのNRP2aリガンド、例えばCCR7など)を発現し、それにおいて、少なくとも一つのNRP2リガンドは、読み出し又はインジケータ、例えばNRP2aポリペプチドへの少なくとも一つのNRP2リガンドの結合及び/又は生物学的活性の蛍光又は発光インジケータなどに共役される。
【0335】
また、含まれるのは、抗NRP2a抗体の薬物動態を特徴付けるためのインビボ生物学的アッセイであって、典型的には、操作された、又は野生型マウス、ラット、サル、又は他の哺乳動物を利用する(例、Lee et al.,The Journal of Pharmacology.281:1431-1439,1997を参照のこと)。細胞傷害性ベースの生物学的アッセイの例は、とりわけ、用量応答曲線、バッチテスト、又は様々な規制当局、例えば食品医薬品局(FDA)などによる承認に関連する他の特性を確立するか否かを問わず、抗NRP2a抗体の細胞傷害性を評価することができる放出アッセイ(例、アポトーシスを測定するためのクロム又はユーロピウム放出アッセイ;例えば、von Zons et al.,Clin Diagn Lab Immunol.4:202-207,1997を参照のこと)を含む。また、含まれるのは、免疫細胞、例えば、樹状細胞に対する抗NRP2a抗体の効果を評価するためのアッセイである。
【0336】
特定の実施形態は、単一のモノクローナル抗NRP2a抗体ならびに少なくとも一つのヒトNRP2a v1/及び又はv2ポリペプチドを含むアッセイ系を含み、それにおいて、抗NRP2a抗体はNRP2aポリペプチドに結合する。一部の例では、少なくとも一つの抗体は、IgG4 Fcドメインを含む。
【0337】
また、含まれるのは、精製NRP2ポリペプチド(例、NRP2a v1及び/又はv2ポリペプチド)を含むテスト材料であり、それにおいて、当該精製NRP2ポリペプチドは、抗体結合検出を可能にする様式において固体基質に結合される。
【0338】
そのようなアッセイ及び材料は、例えば、選択された抗NRP2a抗体についての用量応答曲線を開発するために、及び/又はタンパク質もしくは他の薬剤の異なるバッチの用量応答曲線を比較するために使用することができる。用量応答曲線は、ストレッサーの大きさを、受容体の応答、例えばNRP2-NRP2リガンド(例えば、表N2からのNRP2aリガンド)相互作用などに関連付けるX-Y グラフである;応答は、生理学的又は生化学的応答、例えばインビトロの細胞又はインビボの細胞もしくは組織における非正準の生物学的活性、インビボで測定される治療有効量(例、EC50により測定される)、あるいはインビトロ又はインビボで測定されたかを問わない死(例、細胞死、生物死など)などであり得る。死は通常、モデル集団の50%に致死的である統計的に導出された用量であるLD50として示されるが、それは、LC01(動物テスト集団の1%についての致死用量)、LC100(動物テスト集団の100%についての致死用量)、又はLCLO(致死性を起こす最低用量)により示すことができる。ほぼ任意の所望の効果又はエンドポイントを、この様式において特徴付けることができる。
【0339】
応答曲線の測定用量は、典型的にはX軸上にプロットされ、応答はY軸上にプロットされる。より典型的には、用量の対数は、X軸上にプロットされ、最もしばしば、真ん中に最も急勾配部分を伴うシグモイド曲線を生成する。無影響量(NOEL)は、測定可能な効果が観察されない最低実験用量を指し、閾値用量は、ゼロを上回る応答を示すグラフに沿った第一の点を指す。原則として、より強い薬物は、より急勾配の用量応答曲線を生成する。多くの薬物について、望ましい効果は、閾値用量よりもわずかに大きな用量で見出され、しばしば、なぜなら、より低い用量は比較的無効であり、より高い用量は望ましくない副作用に導くためである。インビボで生成された用量応答曲線については、曲線は、望ましい場合、値、例えばμg/kg、mg/kg、又はg/kgの体重などにより特徴付けることができる。
【0340】
バッチ比較については、異なるバッチの異なる用量応答曲線間(例、抗NRP2a抗体の異なるバッチ間)の変動係数(CV)を計算することが有用であり得る。部分的には、なぜなら、CVによって、異なる単位又は異なる手段を伴うデータセットの間での比較が可能になるためである。例えば、特定の例示的な実施形態では、抗NRP2a抗体又は他の薬剤の二つ又は三つ又はそれ以上の異なるバッチは、4、5、6、7、又は8点用量曲線について、それらの間に約30%、20%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、又は1%未満のCVを有する。特定の実施形態では、用量応答曲線は、細胞ベースのアッセイにおいて測定され、その読み出しは、抗NRP2a抗体の選択された活性における増加又は減少に関連する。特定の実施形態では、用量応答曲線は、細胞放出アッセイ又は動物モデル(例、マウスモデル)において測定され、その読み出しは、細胞死又は動物死に関連する。他のバリエーションが、当業者に明らかであろう。
【0341】
発現系及び精製系
特定の実施形態は、本明細書中に記載される抗NRP2a抗体又は他のポリペプチドベースの薬剤を発現及び精製するための方法及び関連する組成物を含む。そのような組換え抗NRP2a抗体は、例えば、Sambrook,et al.,(1989,上記)、特にセクション16及び17;Ausubel et al.,(1994,上記)、特にチャプター10及び16;ならびにColigan et al.,Current Protocols in Protein Science(John Wiley & Sons,Inc.1995-1997)、特にチャプター1、5及び6において記載される標準プロトコールを使用して簡便に調製することができる。一つの一般的な例として、抗NRP2a抗体は、(a)抗NRP2a抗体重鎖及び軽鎖をコードし、調節エレメントに動作可能に連結されたポリヌクレオチド配列を含む構築物を調製すること;(b)構築物を宿主細胞中に導入すること;(c)抗NRP2a抗体を発現するように宿主細胞を培養すること;ならびに(d)抗NRP2a抗体を宿主細胞から単離することの一つ又は複数を含む手順により調製され得る。
【0342】
抗NRP2a抗体ポリヌクレオチドは、本明細書中の他の箇所に記載されている。所望のポリペプチドを発現するために、抗NRP2a抗体をコードするヌクレオチド配列、又は機能的等価物は、適した発現ベクター、即ち、挿入されたコード配列の転写及び翻訳のための必要なエレメントを含むベクター中に挿入されてもよい。当業者に周知である方法を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列、ならびに適した転写及び翻訳制御エレメントを含む発現ベクターを構築してもよい。これらの方法は、インビトロ組換えDNA技術、合成技術、及びインビボ遺伝子組み換えを含む。そのような技術は、Sambrook et al.,Molecular Cloning,A Laboratory Manual(1989)、及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1989)において記載されている。
【0343】
様々な発現ベクター/宿主系が公知であり、ポリヌクレオチド配列を含み、発現するために利用され得る。これらは、限定されないが、微生物、例えば組換えバクテリオファージ、プラスミド、又はコスミドDNA発現ベクターで形質転換された細菌など;酵母発現ベクターで形質転換された酵母;ウイルス発現ベクター(例、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系;ウイルス発現ベクター(例、カリフラワーモザイクウイルス、CaMV;タバコモザイクウイルス、TMV)又は細菌発現ベクター(例、Ti又はpBR322プラスミド)で形質転換された植物細胞系;あるいは動物細胞系、哺乳動物細胞、より具体的にはヒト細胞系を含む、を含む。
【0344】
発現ベクター中に存在する「制御エレメント」又は「調節配列」は、転写及び翻訳を行うための、宿主細胞タンパク質と相互作用するベクター-エンハンサー、プロモーター、5’及び3’非翻訳領域の非翻訳領域である。そのようなエレメントは、それらの強度及び特異性において変動し得る。利用されるベクター系及び宿主に依存して、構成的及び誘導性プロモーターを含む、任意の数の適切な転写及び翻訳エレメントが使用され得る。例えば、細菌系においてクローニングする場合、誘導性プロモーター、例えばPBLUESCRIPTファージミド(Stratagene、カリフォルニア州ラ・ホーヤ)又はPSPORT1プラスミド(Gibco BRL、メリーランド州ゲイザースバーグ)のハイブリッドlacZプロモーターなどが使用され得る。哺乳動物細胞系では、哺乳動物遺伝子からの又は哺乳動物ウイルスからのプロモーターが一般的に好ましい。ポリペプチドをコードする配列の複数のコピーを含む細胞株を生成することが必要である場合、SV40又はEBVに基づくベクターを、適した選択マーカーと有利に使用してもよい。
【0345】
細菌系では、多数の発現ベクターが、発現ポリペプチドについて意図される使用に依存して選択されてもよい。例えば、大量が必要とされる場合、容易に精製される融合タンパク質の高レベル発現を向けるベクターが使用され得る。そのようなベクターは、限定されないが、多機能性大腸菌クローニング及び発現ベクター、例えばBLUESCRIPT(Stratagene)、それにおいて、目的のポリペプチドをコードする配列は、アミノ末端Met及びその後のβ-ガラクトシダーゼの7残基についての配列とインフレームでベクター中にライゲーションされてもよく、それによりハイブリッドタンパク質が産生される;pINベクター(Van Heeke & Schuster,J.Biol.Chem.264:5503 5509(1989));及び同様のものなどを含む。pGEXベクター(Promega、ウィスコンシン州マディソン)を使用して、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)との融合タンパク質として外来ポリペプチドを発現させてもよい。一般的に、そのような融合タンパク質は可溶性であり、グルタチオン-アガロースビーズへの吸着、続いて遊離グルタチオンの存在における溶出により、溶解した細胞から簡単に精製することができる。そのような系において作製されたタンパク質は、ヘパリン、トロンビン、又は第XA因子プロテアーゼ切断部位を含むように設計されてもよく、目的のクローン化されたポリペプチドを、随意にGST部分から放出することができるようにする。
【0346】
特定の実施形態は、大腸菌ベースの発現系を用いてもよい(例、Structural Genomics Consortium et al.,Nature Methods.5:135-146,2008を参照のこと)。これらの及び関連する実施形態は、ライゲーション非依存的クローニング(LIC)に部分的又は完全に頼り、適切な発現ベクターを産生し得る。特定の実施形態では、タンパク質発現は、T7 RNAポリメラーゼ(例、pETベクターシリーズ)により制御され得る。これらの及び関連する実施形態は、T7媒介性発現を支持し、改善された標的タンパク質安定性のためにlon及びompTプロテアーゼにおいて欠損しているBL21のλDE3溶原菌である、発現宿主株BL21(DE3)を利用し得る。また、含まれるのは、大腸菌、例えばROSETTA(商標)(DE3)株及びRosetta 2(DE3)株などにおいて稀にしか使用されないtRNAをコードするプラスミドを担持する発現宿主株である。細胞溶解及びサンプルの取り扱いはまた、商標BENZONASE(登録商標)ヌクレアーゼ及びBUGBUSTER(登録商標)タンパク質抽出試薬の下で販売されている試薬を使用して改善され得る。細胞培養については、自動誘導培地は、ハイスループット発現系を含む、多くの発現系の効率を改善することができる。この種類の培地(例、OVERNIGHT EXPRESS(商標)自動誘導系)は、人工誘導剤、例えばIPTGなどの添加なく、代謝シフトを通じてタンパク質発現を徐々に惹起させる。特定の実施形態は、ヘキサヒスチジンタグ(例えば商標HIS・TAG(登録商標)融合物の下で販売されるものなど)を用い、固定化金属親和性クロマトグラフィー(IMAC)精製、又は関連する技術が続く。特定の態様では、しかし、臨床グレードのタンパク質は、親和性タグの使用を伴わず又は伴わず、大腸菌封入体から単離することができる(例、Shimp et al.,Protein Expr Purif.50:58-67,2006を参照のこと)。さらなる例として、特定の実施形態は、コールドショック誘導性大腸菌高収率産生系を用いうる。なぜなら、低温での大腸菌中のタンパク質の過剰発現が、それらの溶解性及び安定性を改善するためである(例、Qing et al.,Nature Biotechnology.22:877-882,2004を参照のこと)。
【0347】
また、含まれるのは、高密度細菌発酵系である。例えば、ラルストニア・ユートロファの高細胞密度培養によって、150g/Lを上回る細胞密度でのタンパク質産生、及び10g/Lを超える力価での組み換え型タンパク質の発現が可能になる。
【0348】
酵母サッカロマイセス・セレビシエでは、構成的又は誘導性プロモーター、例えばアルファ因子、アルコールオキシダーゼ、及びPGHなどを含む多数のベクターが使用され得る。総説については、Ausubel et al.(上記)及びGrant et al.,Methods Enzymol.153:516-544(1987)を参照のこと。また、含まれるのは、ピキア・パンドリス発現系である(例、Li et al.,Nature Biotechnology.24,210-215,2006;及びHamilton et al.,Science,301:1244,2003を参照のこと)。特定の実施形態は、とりわけ、ヒト化N-グリコシル化経路を有する酵母を含む、タンパク質を選択的にグリコシル化するように操作されている酵母系を含む(例、Hamilton et al.,Science.313:1441-1443,2006;Wildt et al.,Nature Reviews Microbiol.3:119-28,2005;及びGerngross et al.,Nature-Biotechnology.22:1409-1414,2004;米国特許第7,629,163号;第7,326,681号;及び第7,029,872号を参照のこと)。単に例として、組換え酵母培養物を、とりわけ、フェルンバッハフラスコ又は15L、50L、100L及び200Lの発酵体中で成長させることができる。
【0349】
植物発現ベクターが使用される場合では、ポリペプチドをコードする配列の発現は、多数のプロモーターのいずれかにより駆動され得る。例えば、ウイルスプロモーター、例えばCaMVの35S及び19Sプロモーターなどは、単独で、又はTMVからのオメガリーダー配列との組み合わせにおいて使用され得る(Takamatsu,EMBO J.6:307-311(1987))。あるいは、植物プロモーター、例えばRUBISCOの小サブユニット又は熱ショックプロモーターなどが使用され得る(Coruzzi et al.,EMBO J.3:1671-1680(1984);Broglie et al.,Science 224:838-843(1984);及びWinter et al.,Results Probl.Cell Differ.17:85-105(1991))。これらの構築物は、直接的なDNA形質転換又は病原体媒介性トランスフェクションにより植物細胞中に導入することができる。そのような技術は、多くの一般的に入手可能な総説において記載されている(例、Hobbbs in McGraw Hill,Yearbook of Science and Technology,pp.191-196(1992)を参照のこと)。
【0350】
昆虫系を使用して、目的のポリペプチドを発現してもよい。例えば、一つのそのような系では、オートグラファ・カリフォルニカ核多角体病ウイルス(AcNPV)が、スポドプテラ・フルギペルダ細胞において又はトリコプルシア細胞において外来遺伝子を発現するためのベクターとして使用される。ポリペプチドをコードする配列は、ウイルスの非必須領域、例えばポリヘドリン遺伝子などの中にクローニングされ、ポリヘドリンプロモーターの制御下に置かれてもよい。ポリペプチドコード配列の成功裏の挿入によって、ポリヘドリン遺伝子が不活性になり、コートタンパク質を欠く組換えウイルスが産生される。組換えウイルスを次に使用して、例えば、目的のポリペプチドが発現され得るS.フルギペルダ細胞又はトリコプルシア細胞を感染させてもよい(Engelhard et al.,PNAS.U.S.A.91:3224-3227(1994))。また、含まれるのは、SF9、SF21及びT.ni細胞を利用するものを含む、バキュロウイルス発現系である(例、Murphy and Piwnica‐Worms,Curr Protoc Protein Sci.Chapter 5:Unit5.4,2001を参照のこと)。昆虫系は、哺乳動物系に類似する翻訳後修飾を提供することができる。
【0351】
哺乳動物宿主細胞では、多くのウイルスベースの発現系が一般的に利用可能である。例えば、アデノウイルスが発現ベクターとして使用される場合では、目的のポリペプチドをコードする配列は、後期プロモーター及び三要素リーダー配列からなるアデノウイルス転写/翻訳複合体中にライゲーションされ得る。ウイルスゲノムの非必須E1又はE3領域中での挿入を使用して、感染宿主細胞においてポリペプチドを発現することが可能である生育可能なウイルスを得てもよい(Logan & Shenk,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.81:3655-3659(1984))。また、転写エンハンサー、例えばラウス肉腫ウイルス(RSV)エンハンサーなどを使用して、哺乳動物宿主細胞における発現を増加させてもよい。
【0352】
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、SV40(COS-7、ATCC CRL 1651)により形質転換されたサル腎臓CV1株;ヒト胚性腎臓株(懸濁培養物中での成長のためにサブクローニングされた293又は293細胞、Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK,ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TR1細胞(Mather et al.Sci.383:44-68(1982));MRC 5細胞;FS4細胞;及びヒト肝腫株(Hep G2)を含む。他の有用な哺乳動物宿主細胞株は、DHFR-CHO細胞を含む、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(Urlaub et al.,PNAS USA 77:4216(1980));ならびに骨髄腫細胞株、例えばNSO及びSp2/0などを含む。抗体産生のための適切な特定の哺乳動物宿主細胞株の総説については、例えば、Yaaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C Lo,ed.,Humana Press,Totowa,N.J.,2003),pp.255-268を参照のこと。特定の好ましい哺乳動物細胞発現系は、CHO及びHEK293細胞ベースの発現系を含む。哺乳動物発現系は、例えば、Tフラスコ、ローラーボトル、もしくは細胞工場、又は懸濁培養物、例えば、当技術分野において公知の他の中でもとりわけ、1L及び5Lのスピナー、5L、14L、40L、100L及び200Lの撹拌タンクバイオリアクター、又は20/50L及び100/200LのWAVEバイオリアクターにおいて付着細胞株を利用することができる。
【0353】
また、含まれるのは、タンパク質の無細胞発現である。これらの及び関連する実施形態は、典型的には、精製RNAポリメラーゼ、リボソーム、tRNA及びリボヌクレオチドを利用し;これらの試薬は、細胞からの又は細胞ベースの発現系からの抽出により産生され得る。
【0354】
特定の開始シグナルをまた、使用して、目的のポリペプチドをコードする配列のより効率的な翻訳を達成してもよい。そのようなシグナルは、ATG開始コドン及び隣接配列を含む。ポリペプチドをコードする配列、その開始コドン、及び上流配列が、適した発現ベクター中に挿入される場合、追加の転写又は翻訳制御シグナルは必要とされないことがあり得る。しかし、コード配列、又はその一部のみが挿入される場合では、ATG開始コドンを含む外因性翻訳制御シグナルが提供されるべきである。さらに、開始コドンは、インサート全体の翻訳を確実にするために、正確なリーディングフレーム中にあるべきである。外因性翻訳エレメント及び開始コドンは、天然及び合成の両方の様々な起源のものであり得る。発現の効率は、使用される特定の細胞系について適したエンハンサー、例えば文献において記載されるものなどの包含により増強され得る(Scharf.et al.,Results Probl.Cell Differ.20:125-162(1994))。
【0355】
また、宿主細胞株は、挿入配列の発現を調節する、又は発現されたタンパク質を所望の様式において処理するその能力について選んでもよい。ポリペプチドのそのような修飾は、限定されないが、翻訳後修飾、例えばアセチル化、カルボキシル化、グリコシル化、リン酸化、脂質化、及びアシル化などを含む。タンパク質の「プレプロ」形態を切断する翻訳後処理をまた使用して、正確な挿入、折り畳み、及び/又は機能を促進し得る。異なる宿主細胞、例えば酵母、CHO、HeLa、MDCK、HEK293、及びW138などは、そのような翻訳後活性のための特定の細胞機構及び特徴的な機構を有する、又はさらには欠く細菌細胞に加えて、外来タンパク質の正確な修飾及びプロセシングを確実にするように選ばれ得る。
【0356】
組換えタンパク質の長期の高収率産生のために、安定した発現が一般的に好まれる。例えば、目的のポリヌクレオチドを安定的に発現する細胞株は、ウイルス複製起源及び/又は内因性発現エレメント、ならびに同じ又は別々のベクター上の選択マーカー遺伝子を含み得る発現ベクターを使用して形質転換され得る。ベクターの導入後、細胞を、それらを選択的培地へ切り替える前に、濃縮培地中で約1~2日間にわたり成長させてもよい。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を付与することであり、その存在によって、導入された配列を成功裏に発現する細胞の成長及び回復が可能になる。安定的に形質転換された細胞の耐性クローンは、細胞型に適した組織培養技術を使用して増殖され得る。例えば一過性トランスフェクション又は感染などによる一過性産生をまた、用いることができる。一過性産生のために適切である、例示的な哺乳動物発現系は、HEK293及びCHOベースの系を含む。
【0357】
任意の数の選択系を使用して、形質転換又は形質導入された細胞株を回収してもよい。これらは、限定されないが、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(Wigler et al.,Cell 11:223-232(1977))及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(Lowy et al.,Cell 22:817-823(1990))遺伝子を含み、それらは、それぞれtk-細胞又はaprt-細胞において用いることができる。また、抗代謝剤、抗生物質、又は除草剤耐性は、選択についての基礎として使用することができる。例えば、メトトレキサートに対する耐性を付与するdhfr(Wigler et al.,PNAS USA.77:3567-70(1980));アミノグリコシド、ネオマイシン、及びG-418に対する耐性を付与するnpt(Colbere-Garapin et al.,J.Mol.Biol.150:1-14(1981));ならびにそれぞれクロルスルフロン及びホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼに対する耐性を付与するals又はpat(Murry、上記)。追加の選択可能な遺伝子、例えば、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用することを可能にするtrpB、又は細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用することを可能にするhisDが記載されている(Hartman & Mulligan,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.85:8047-51(1988))。可視マーカーの使用は、緑色蛍光タンパク質(GFP)及び他の蛍光タンパク質(例、RFP、YFP)、アントシアニン、β-グルクロニダーゼ及びその基質GUS、ならびにルシフェラーゼ及びその基質ルシフェリンなどのマーカーで人気を得ており、形質転換体を同定するだけでなく、特定のベクター系に起因する一過性又は安定なタンパク質発現の量を定量化するためにも広く使用されている(例、Rhodes et al.,Methods Mol.Biol.55:121-131(1995))。
【0358】
また、含まれるのは、ハイスループットタンパク質産生系、又はマイクロ産生系である。特定の態様は、例えば、金属キレート改変スライド表面又はMagneHis Ni-粒子上のタンパク質発現及び精製のためのヘキサヒスチジン融合タグを利用し得る(例、Kwon et al.,BMC Biotechnol.9:72,2009;及びLin et al.,Methods Mol Biol.498:129-41,2009を参照のこと)。また、含まれるのは、ハイスループット無細胞タンパク質発現系である(例、Sitaraman et al.,Methods Mol Biol.498:229-44,2009を参照のこと)。これら及び関連する実施形態を使用して、例えば、抗NRP2a抗体のマイクロアレイを生成することができ、それを次に、ライブラリーをスクリーニングして、目的のNRP2ポリペプチドと相互作用する抗体及び抗原結合ドメインを同定するために使用することができる。
【0359】
結合剤又は抗体、例えば産物について特異的なポリクローナル抗体もしくはモノクローナル抗体などを使用して、ポリヌクレオチドコード産物の発現を検出及び測定するための様々なプロトコールが、当技術分野において公知である。例は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、ウェスタン免疫ブロット、放射免疫アッセイ(RIA)、及び蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)を含む。これらの及び他のアッセイは、とりわけ、Hampton et al.,Serological Methods,a Laboratory Manual(1990)及びMaddox et al.,J.Exp.Med.158:1211-1216(1983)において記載されている。
【0360】
多種多様な標識及びコンジュゲーション技術が、当業者により公知であり、様々な核酸及びアミノ酸アッセイにおいて使用され得る。ポリヌクレオチドに関連する配列を検出するための、標識されたハイブリダイゼーション又はPCRプローブを産生するための手段は、標識されたヌクレオチドを使用したオリゴ標識、ニック翻訳、末端標識、又はPCR増幅を含む。あるいは、配列、又はその任意の部分は、mRNAプローブの産生のためにベクター中にクローニングされてもよい。そのようなベクターは、当技術分野において公知であり、商業的に入手可能であり、適したRNAポリメラーゼ、例えばTT7、T3、又はSP6など、及び標識ヌクレオチドの添加により、インビトロでRNAプローブを合成するために使用され得る。これらの手順は、様々な商業的に入手可能なキットを使用して行ってもよい。使用され得る、適切なレポーター分子又は標識は、放射性核種、酵素、蛍光剤、化学発光剤、又は発色剤、ならびに基質、補因子、阻害剤、磁性粒子、及び同様のものを含む。
【0361】
目的のポリヌクレオチド配列で形質転換された宿主細胞は、細胞培養からのタンパク質の発現及び回収のために適切な条件下で培養されてもよい。特定の具体的な実施形態は、無血清細胞発現系を利用する。例は、無血清培地上で成長させることができるHEK293細胞及びCHO細胞を含む(例、Rosser et al.,Protein Expr.Purif.40:237-43,2005;及び米国特許第6,210,922号を参照のこと)。
【0362】
組換え細胞により産生される抗体又はその抗原結合断片は、使用される配列及び/又はベクターに依存して細胞内に分泌又は含まれてもよい。当業者により理解されるように、ポリヌクレオチドを含む発現ベクターは、原核細胞膜又は真核細胞膜を通して、コードされたポリペプチドの分泌に向けるシグナル配列を含むように設計されてもよい。他の組換え構築を使用して、目的のポリペプチドをコードする配列を、可溶性タンパク質の精製及び/又は検出を促進するポリペプチドドメインをコードするヌクレオチド配列に連結してもよい。そのようなドメインの例は、切断可能及び非切断可能な親和性精製ならびにエピトープタグ、例えばアビジン、FLAGタグ、ポリヒスチジンタグ(例、6xHis)、cMycタグ、V5タグ、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)タグ、及び他を含む。
【0363】
組換え細胞により産生されるタンパク質は、当技術分野において公知の様々な技術に従って精製及び特徴付けすることができる。タンパク質精製を実施する及びタンパク質純度を分析するための例示的な系は、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)(例、AKTA及びBio-Rad FPLCシステム)、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)(例、Beckman及びWaters HPLC)を含む。精製のための例示的な化学物質は、当技術分野において公知のものの中でもとりわけ、イオン交換クロマトグラフィー(例、Q、S)、サイズ排除クロマトグラフィー、塩勾配、親和性精製(例、Ni、Co、FLAG、マルトース、グルタチオン、プロテインA/G)、ゲル濾過、逆相、セラミックHYPERD(登録商標)イオン交換クロマトグラフィー、及び疎水性相互作用カラム(HIC)などを含む。また、含まれるのは、分析方法、例えばSDS-PAGE(例、クーマシー、銀染色)、イムノブロット、ブラッドフォード、及びELISAなどであって、それらは、典型的にはタンパク質組成物の純度を測定するために、産生又は精製プロセスの任意の工程中に利用され得る。
【0364】
また、含まれるのは、抗NRP2a抗体及びその抗原結合断片を濃縮する方法、ならびに濃縮可溶性タンパク質を含む組成物である。異なる態様では、抗NRP2a抗体のそのような濃縮溶液は、約5mg/mL;又は約8mg/mL;又は約10mg/mL;約15mg/mL;又は約20mg/mLの濃度でタンパク質を含み得る。
【0365】
一部の態様では、そのような組成物は、実質的に単分散であってもよく、少なくとも一つの抗NRP2a抗体が、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、動的光散乱、又は分析超遠心分離により評価された場合、一つの見掛け上の分子量形態で主に(即ち、少なくとも約90%又はそれ以上)存在することを意味する。
【0366】
一部の態様では、そのような組成物は、少なくとも約90%の純度(タンパク質ベース)、又は一部の態様では、少なくとも約95%純度、又は一部の実施形態では、少なくとも98%純度を有する。純度は、当技術分野において公知の任意のルーチン的な分析方法を介して決定され得る。
【0367】
一部の態様では、そのような組成物は、存在するタンパク質の総量と比較して、約10%未満の高分子量凝集体含量を有し、又は一部の実施形態では、そのような組成物は、約5%未満の高分子量凝集体含量を有し、又は一部の態様では、そのような組成物は、約3%未満の高分子量凝集体含量を有し、又は一部の実施形態では、約1%未満の高分子量凝集体含量を有する。高分子量凝集体含量は、例えば、サイズ排除クロマトグラフィー、動的光散乱、又は分析超遠心分離を含む様々な分析技術を介して決定され得る。
【0368】
本明細書中に企図される濃縮アプローチの例は、凍結乾燥を含む、それは、溶液が、目的のタンパク質以外の可溶性成分をほとんど含まない場合に典型的に使用される。凍結乾燥は、しばしば、HPLC実行後に実施され、混合物から大半の又は全ての揮発性成分を除去することができる。また、含まれるのは、限外濾過技術であり、それは、典型的には、タンパク質溶液を濃縮するために一つ又は複数の選択的透過性膜を用いる。膜は、水及び小分子が通過し、タンパク質を保持することを可能にする;溶液は、他の技術の中でもとりわけ、機械的ポンプ、ガス圧力、又は遠心分離により膜に対して強いられ得る。
【0369】
特定の実施形態では、試薬、抗NRP2a抗体、又は関連薬剤は、当技術分野におけるルーチン的な技術に従って測定した場合、少なくとも約90%の純度を有する。特定の実施形態、例えば診断組成物又は特定の治療用組成物などでは、抗NRP2a抗体組成物は、少なくとも約95%の純度を有する。特定の実施形態、例えば治療用組成物又は医薬組成物などでは、抗NRP2a抗体組成物は、少なくとも約97%又は98%又は99%の純度を有する。他の実施形態、例えば参照試薬又は研究試薬として使用される場合などでは、抗NRP2a抗体は、より低い純度でもよく、少なくとも約50%、60%、70%、又は80%の純度を有してもよい。純度は、全体的に、又は選択された成分、例えば他のタンパク質などに関連して測定することができ、例えば、タンパク質ベースの純度である。
【0370】
精製された抗NRP2a抗体はまた、それらの生物学的特徴に従って特徴付けることができる。結合親和性及び結合動態は、当技術分野において公知の様々な技術、例えばBiacore(登録商標)、及び非標識相互作用物質をリアルタイムで検出することを可能にする光学現象である表面プラズモン共鳴(SPR)を利用する関連技術などに従って測定することができる。SPRベースのバイオセンサーは、活性濃度の決定、親和性及び動態の両方の観点でのスクリーニング及び特徴付けにおいて使用することができる。一つ又は複数の正準又は非正準の生物学的活性の存在又はレベルは、本明細書中に記載されるように、読み出し又はインジケータ、例えば生物学的活性の蛍光又は発光インジケータなどに機能的に共役される、選択された抗NRP2a抗体の細胞結合パートナーを利用するアッセイを含む、細胞ベースのアッセイに従って測定することができる。
【0371】
特定の実施形態では、上に記述されるように、抗NRP2a抗体組成物は、実質的にエンドトキシンを含まず、例えば、約95%エンドトキシンを含まない、好ましくは約99%エンドトキシンを含まない、より好ましくは約99.99%エンドトキシンを含まない、を含む。エンドトキシンの存在は、本明細書中に記載されるように、当技術分野におけるルーチン的な技術に従って検出することができる。特定の実施形態では、抗NRP2a抗体組成物は、実質的に無血清の培地中の真核細胞、例えば哺乳動物又はヒト細胞などから作製される。特定の実施形態では、本明細書中に記述されるように、抗NRP2a抗体組成物は、約10EU/mg未満の抗NRP2a抗体、又は約5EU/mg未満の抗NRP2a抗体、約3EU/mg未満の抗NRP2a抗体、又は約1EU/mg未満の抗NRP2a抗体のエンドトキシン含量を有する。
【0372】
特定の実施形態では、抗NRP2a抗体組成物は、約10重量/重量%未満の高分子量凝集体、又は約5重量/重量%未満の高分子量凝集体、又は約2重量/重量%未満の高分子量凝集体、又は約1重量/重量%未満の高分子量凝集体を含む。
【0373】
また、含まれるのは、タンパク質ベースの分析アッセイ及び方法であって、それらは、他の特徴の中でもとりわけ、例えば、タンパク質純度、サイズ、溶解性、及び凝集の程度を評価するために使用され得る。タンパク質純度は、多数の方法で評価することができる。例えば、純度は、一次構造、高次構造、サイズ、電荷、疎水性、及びグリコシル化に基づいて評価することができる。一次構造を評価するための方法の例は、N末端及びC末端の配列決定及びペプチドマッピングを含む(例、Allen et al.,Biologicals.24:255-275,1996を参照のこと)。高次構造を評価するための方法の例は、環状二色性(例、Kelly et al.,Biochim Biophys Acta.1751:119-139,2005を参照のこと)、蛍光分光法(例、Meagher et al.,J.Biol.Chem.273:23283-89,1998を参照のこと)、FT-IR、アミド水素-重水素交換動態、示差走査熱量測定、NMR分光法、立体構造感受性抗体との免疫反応性を含む。高次構造はまた、様々なパラメータ、例えばpH、温度、又は添加塩などの関数として評価され得る。タンパク質特徴、例えばサイズなどを評価するための方法の例は、分析超遠心分離及びサイズ排除HPLC(SEC-HPLC)を含み、電荷を測定するための例示的な方法は、イオン交換クロマトグラフィー及び等電点電気泳動を含む。疎水性は、例えば、逆相HPLC及び疎水性相互作用クロマトグラフィーHPLCにより評価することができる。グリコシル化は、薬物動態(例、クリアランス)、立体構造又は安定性、受容体結合、及びタンパク質機能に影響を及ぼし得るが、例えば、質量分析及び核磁気共鳴(NMR)分光法により評価することができる。
【0374】
上に記述するように、特定の実施形態は、他の使用の間で、タンパク質特徴、例えば純度、サイズ(例、サイズ均質性)、もしくは凝集の程度などを評価する、及び/又はタンパク質を精製するためのSEC-HPLCの使用を含む。SECは、また、ゲル濾過クロマトグラフィー(GFC)及びゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を含み、溶液中の分子が、それらのサイズ、又はより具体的には、それらの流体力学的体積、拡散係数、及び/又は表面特性に基づいて多孔性材料中で分離されるクロマトグラフィー方法を指す。このプロセスは、一般的に、生物学的分子を分離し、ポリマーの分子量及び分子量分布を決定するために使用される。典型的には、生物学的サンプル又はタンパク質サンプル(例えば本明細書中で提供され、当技術分野において公知のタンパク質発現方法に従って産生されるタンパク質抽出物など)は、定義された固定相(多孔性材料)、好ましくはサンプル中のタンパク質と相互作用しない相を伴う、選択されたサイズ排除カラム中に充填される。特定の態様では、固定相は、ガラス又は鋼カラム内の高密度三次元マトリクス中に充填された不活性粒子で構成される。移動相は、純水、水性緩衝液、有機溶媒、又はそれらの混合物であり得る。固定相粒子は、典型的には、特定のサイズ以下の分子のみが入ることを可能にする小さな細孔及び/又はチャネルを有する。大きな粒子は、従って、これらの細孔及びチャネルから除外され、固定相とのそれらの限定された相互作用は、それらを、実験の開始時に「完全に除外された」ピークとして溶出することに導く。より小さな分子は、細孔中に適合することができ、流動する移動相から除去され、それらが固定相の細孔中に固定化されるのに費やす時間は、部分的に、それらがどの程度の距離まで細孔中に貫通するかに依存する。移動相流からのそれらの除去は、それらをカラムから溶出させるのにより長い時間を要し、それらのサイズにおける差に基づいて粒子間の分離をもたらす。所与のサイズ排除カラムは、分離することができる分子量の範囲を有する。全体的に、上限よりも大きい分子は、固定相により捕捉されず、下限よりも小さい分子は、固相に完全に入り、単一のバンドとして溶出し、範囲内の分子は、それらの特性、例えば流体力学的体積などにより定義される異なる速度で溶出する。医薬タンパク質を用いた実践におけるこれらの方法の例については、Bruner et al.,Journal of Pharmaceutical and Biomedical Analysis.15:1929-1935,1997を参照のこと。
【0375】
臨床適用のためのタンパク質純度はまた、例えば、Anicetti et al.(Trends in Biotechnology.7:342-349,1989)により考察されている。タンパク質純度を分析するためのより最近の技術は、限定されないが、タンパク質及び核酸の迅速な分析のための自動プラットフォームであるLabChip GXIIを含み、それによって、タンパク質の力価、サイズ、及び純度分析のハイスループット分析が提供される。特定の非限定的な実施形態では、臨床グレードのタンパク質、例えばタンパク質断片及び抗体などが、他の方法の中でもとりわけ、少なくとも二つの直交する工程においてクロマトグラフィー材料の組み合わせを利用することにより得ることができる(例、Therapeutic Proteins:Methods and Protocols.Vol.308,Eds.,Smales and James,Humana Press Inc.,2005を参照のこと)。典型的には、タンパク質剤(例、抗NRP2a抗体、及び抗原結合断片)は、当技術分野において公知であり、本明細書中に記載される技術に従って測定されるように、実質的にエンドトキシンを含まない。
【0376】
タンパク質溶解性アッセイも含まれる。そのようなアッセイは、例えば、組換え産生のための最適な成長及び精製条件を決定し、緩衝液の選択を最適化し、ならびに抗NRP2a抗体又はそのバリアントの選択を最適化するために利用することができる。溶解性又は凝集は、温度、pH、塩、及び他の添加剤の存在又は非存在を含む、様々なパラメータに従って評価することができる。溶解性スクリーニングアッセイの例は、限定されないが、濁度又は他の測定値をエンドポイントとして使用してタンパク質溶解性を測定するマイクロプレートベースの方法、精製された組換えタンパク質の溶解性の分析のためのハイスループットアッセイ(例、Stenvall et al.,Biochim Biophys Acta.1752:6-10,2005を参照のこと)、遺伝子マーカータンパク質の構造相補性を使用して、インビボでのタンパク質フォールディング及び溶解性をモニター及び測定するアッセイ(例、Wigley et al.,Nature Biotechnology.19:131-136,2001を参照のこと)、及び走査型電気化学顕微鏡法(SECM)を使用した大腸菌における組換えタンパク質溶解性の電気化学スクリーニング(例、Nagamine et al.,Biotechnology and Bioengineering.96:1008-1013,2006を参照のこと)をとりわけ含む。増加した溶解性(又は低下した凝集)を伴う抗NRP2a抗体は、タンパク質溶解性についての単純なインビボアッセイを含む、当技術分野におけるルーチン的な技術に従って特定又は選択することができる(例、Maxwell et al.,Protein Sci.8:1908-11,1999を参照のこと)。
【0377】
タンパク質溶解性及び凝集はまた、動的光散乱技術により測定することができる。凝集は、可溶性/不溶性、共有結合性/非共有結合性、可逆的/不可逆的、ならびに天然/変性相互作用及び特徴を含む、いくつかの種類の相互作用又は特徴を包含する一般用語である。タンパク質治療薬については、凝集体の存在は、典型的には、凝集体が免疫原性反応(例、小さな凝集体)を起こし得る、又は投与時に有害事象(例、粒子)を起こし得るという懸念のため、望ましくないと考えられる。動的光散乱は、懸濁液中の小粒子又は溶液中のポリマー、例えばタンパク質などのサイズ分布プロファイルを決定するために使用することができる技術を指す。この技術はまた、光子相関分光法(PCS)又は準弾性光散乱法(QELS)として言及され、散乱光を使用してタンパク質粒子の拡散の速度を測定する。散乱強度の変動は、溶液中の分子及び粒子のブラウン運動に起因して観察され得る。この運動データは、従来的に処理されて、サンプルについてのサイズ分布を導き出すことができ、それにおいて、サイズは、タンパク質粒子のストークス半径又は流体力学的半径により与えられる。流体力学的サイズは、質量及び形状(立体構造)の両方に依存する。動的散乱は、広範囲の質量を含むサンプル中でさえ、非常に少量の凝集タンパク質(<0.01重量%)の存在を検出することができる。それはまた、例えば、上昇温度での変化のリアルタイムモニタリングに頼る適用を含む、異なる製剤の安定性を比較するために使用することができる。したがって、特定の実施形態は、本開示の抗NRP2a抗体を含むサンプル中での凝集体の溶解性及び/又は存在を分析するための動的光散乱の使用を含む。
【0378】
前述の実施形態は、理解の明瞭化の目的のために例証及び実施例によりある程度詳細に記載されてきたが、本開示の教示に照らして、特定の変化及び修飾が、添付の特許請求の範囲の精神又は範囲から逸脱することなく作られ得ることが当業者には容易に明らかであろう。以下の実施例は、例証のみにより提供され、限定しない。当業者は、本質的に類似した結果をもたらすように変化又は修飾され得る様々な重大ではないパラメータを容易に認識するであろう。
【実施例
【0379】
実施例1
結合親和性
表A1/A2中に列挙される抗体についてのアイソフォーム特異性、結合親和性、及び種反応性を、以下に記載されるようにテストして、それらの機能的特性を特徴付けた。結合実験を、Octet RED96e機器(Sartorius)上でのバイオレイヤー干渉法(BLI)により行った。全ての抗体、ペプチド、及びタンパク質を、1×PBS、0.1%BSA、及び0.02%Tween(登録商標) 20、pH7.4中で希釈した。アイソフォーム特異性及びマウス反応性については、NRP2アイソフォームa及びb、ならびにマウスNRP2アイソフォームa(表E2を参照のこと)の固有の配列に対応するビオチン化ペプチドを、China Peptides及びGenscriptから購入した。ペプチドを、20μg/mLでOctet Streptavidin Biosensors(Sartorius、18~5019)上に固定した。バイオセンサーを次に、各抗体の50nM溶液中に浸漬し、300秒間にわたり読み取った。
【0380】
結合親和性を測定するために、ビオチン化抗マウス抗体(CaptureSelectビオチン抗LCカッパマウス、ThermoFisher)を、8μg/mLでOctet Streptavidin Biosensors(Sartorius、18-5019)上に固定した。バイオセンサーを次に、各抗体の1μg/mL溶液中に浸漬し、450、150、50、16.67、5.56、1.85、0.62nMの組換えNRP2アイソフォームaの滴定が続いた。結合の会合相は300秒であり、解離相は1200秒であった。バイオセンサーを、異なる抗体のサイクル間で、10mMグリシン、pH1.5中で再生した。結合親和性は、Octet Data Analysisソフトウェアにおいて1:1結合モデルにデータを適合することにより得られた。
【0381】
結果を以下の表E1中に要約する。
【表E1】
【0382】
これらの結果は、NRP2aについての特異的選択性を示し、NRP2bへの結合をほとんど又は全く示さない、高親和性抗体の作製を初めて実証する。そのような抗体は、非特異的反応性がほとんど又は全くない、NRP2aについての高い(サブナノモル)親和性を実証し、同定されたエピトープが、高い特異性を可能にし、固有の機能的及び診断的特徴を伴うNRP2a抗体を提供することを実証している。
【0383】
実施例2
CCL21により誘導されるNRP2アイソフォーム及びCCR7の二量体化
CCR7とのNRP2a及びNRP2bの会合の特異性を決定するために、NRP2の異なるタンパク質アイソフォームを、ケモカインリガンドCCL21及びCCL19の存在においてCCR7とヘテロ二量体化するそれらの能力について評価した。
【0384】
簡単には、分割されたNanoLucの小断片(pBiT2.1-C)及び大断片(pBiT1.1-C)を含むベクターをPromega社から得た。ヒトNRP2a(RCC220706、アイソフォーム2)及びヒトNRP2b(RC210928、アイソフォーム5)をコードするcDNAをOrigene Technologiesから得た。CCR7(OHu24012)をコードするcDNAをGenscriptから得た。ベクターコードスペーサー配列及びNanoLucタグへのN末端で、NRP2の完全なコード配列をpBiT1.1-C中にクローニングした一方で、CCR7の完全なコード配列をpBiT1.1-C中にクローニングした。NRP2の残りのタンパク質アイソフォームを、標準的な変異誘発技術に従って、以前に記載されたベクターから構築した。
【0385】
ベクターを次に、Expifectamineトランスフェクション試薬(Fisher Scientific)により、1mL当たり1μg、1mL当たり100万個細胞の密度でExpi293F細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクション後の約16~20時間に、細胞を洗浄し、ルミノメータープレート中に100,000個細胞/ウェルで播種し、次に、細胞透過性ルシフェラーゼ基質を加えて、発光を、発光シグナルの安定化が達成されるまでGloMax96(Promega社)上でモニターした。100nMのCCL19(R&Dシステム、361-MI/CF)又はCCL21(R&Dシステム、366-6C/CF)のいずれかを加えて、対照ウェルと比較したリガンドを加えたウェルの発光における変化を計算した。
【0386】
図2A~2E中に示されるように、NRP2aの二つのアイソフォーム、NRP2a v1(931aa)及びNRP2a v2(926aa)は、CCL19と比較して、CCL21の存在においてCCR7との増強した会合を示したのに対し、NRP2b、NRP2b v4(906aa)及びNRP2b v5(901aa)の「b」アイソフォームの両方が、ケモカインリガンドへの応答を示さなかった。このデータは、NRP2a v1及びv2アイソフォームの膜近傍配列におけるCCL21特異的結合部位の存在を示唆するが、しかし、NRP2bアイソフォームでは示唆しない。NRP2aバリアント(例、v1/v2/v3)の全てが、NRP2、NRP2v3(909aa)が、CCL21に対する追加の応答を示さず、結合部位が、このバリアント中の膜近傍領域からの17aaの省略により破壊されることを示唆する。
【0387】
このデータは、そのリガンドCCL21の存在における、NRP2a(しかし、NRP2bではない)とCCR7の間での特異的な相互作用を実証する最初のものである。免疫細胞遊走活性化、組織炎症、自己免疫、及び癌進行の調節におけるCCR7/CCL21軸の中心的な役割を考慮すると、このデータは、NRP2a特異的抗体が、CCR7/CCL21シグナル伝達、及びこれらの経路に関連付けられる、関連付けられる病態生理に対して高度に選択的及び特異的な効果を有するであろうという直接的なエビデンスを提供する。
【0388】
実施例3
NRP2a上でのCCL21結合部位の変異誘発ならびにNRP2a及びCCR7のリガンド誘導性二量体化に対する効果
CCL21とNRP2aとの相互作用について関与する残基を同定するために、アラニンスキャニング変異誘発を、NRP2v3欠失において破壊されることが予想されるNRP2aの膜近傍領域を通して実施した。次に、受容体二量体化実験を実施して、結合相互作用を作製する際に含まれる特定のアミノ酸を同定した。
【0389】
変異を、標準的な部位指向変異誘発プロトコールに従って、NanoBiTベクターpBiT2.1-C-NRP2v2(アイソフォーム2)において作製した。この場合でのpBiT1.1-C中のCCR7タンパク質を切断して、最後の(第7の)膜貫通ヘリックス(aa331後)の細胞質配列C末端を除去し、NRP2v3を伴うCCL19及びCCL21で見られた受容体輸送に起因する可能性が高いシグナル応答を除去した。
【0390】
ベクターを、Expifectamine(Fisher Scientific)を使用してExpi293細胞中にトランスフェクトした。トランスフェクション後の約16~20時間に、細胞を洗浄し、ルミノメータープレート中に100,000個細胞/ウェルで播種し、次に、細胞透過性ルシフェラーゼ基質を加えて、発光をGloMax96(Promega)上でモニターした。100nMリガンドを加えて、リガンドへの応答を、リガンドを伴わない対照セットに関して計算した。
【0391】
図3A~3E中に示されるように、変異は、結合部位全体にわたって負に荷電した残基の置換を伴う様々な程度の減少した結合を示し、NRP2aアイソフォームv2の位置828でのチロシン残基の重大な重要性を強調した。加えて、残基816~818からの3のアミノ酸置換、及び残基834~849からの欠失は、受容体二量体化に対する名目上の効果を示し、この場合では、完全なCCR7配列を伴い、これらの配列が、受容体相互作用のために重要ではないことを示唆している。これらの領域によって、結合部位へのN及びC末端境界が定められる。したがって、FL NRP2aの残基819~833によって、NRP2aとCCL21との相互作用において含まれる固有の最小エピトープが定められる。
【0392】
実施例4
NRP2ペプチドに対する抗体のELISA特異性
各NRP2a反応性抗体により認識される近似エピトープを決定するために、全ての抗体を、以下に記載されるように、免疫アッセイを介してGenscript及びChina Peptidesにより生成されたNRP2ペプチドに対してテストした。全ての抗体がまた、ヒト/マウス保存及びNRP2bとの交差反応性についてテストされた。マッピングのために使用されるNRP2ペプチドを表E2中に示し、実施例3において定義されるNRP2a上の最小CCL21相互作用ドメインに系統的に及ぶ一連の12のアミノ酸ペプチド配列を含む。これらのペプチド配列のうち、ペプチドNRP2a-スキャン4、5、及び6は、CCL21相互作用ドメインを最も完全にカバーする配列を表す。
【表E2】
【0393】
ペプチドをビオチンにコンジュゲートした。ストレプトアビジンプレートを、カゼイン中に希釈された、2ug/mLの各ペプチドでコーティングした。プレートを、プレートシーラーを用いて密封し、4℃で一晩インキュベートした(振盪なし)。一晩のコーティング後、プレートを、PBSTを用いて三回洗浄した。目的の各NRP2a特異的抗体を1ug/mL、0.5ug/mL、及び0.25ug/mLに希釈し、50uL/ウェルをアッセイプレートに加えた。プレートを、振盪(400rpm)を伴って、室温で1時間にわたりインキュベートした。プレートをPBSTで再び三回洗浄し、HRPコンジュゲートヤギ抗マウスIgG(Jackson Immuno Research、115-035-071)を50uL/ウェルで、1:5000希釈で加えた。プレートを、振盪(400rpm)を伴って、室温で1時間にわたりインキュベートした。プレートをPBSTで三回洗浄し、50uL/ウェルの1-Step Ultra TMB基質(Thermo Scientific、34029)を加えることにより発色させた。
【0394】
プレートを基質と10分間にわたりインキュベートし、反応を停止溶液(Biolegend、423001)で停止させた。比色シグナルを、Biotekプレートリーダー上で450nmで読み取った。シグナルが平均ブランクの<3倍であった場合、抗体は、ペプチドへの非結合として標識された。>3×ブランクであるが、しかし、<10×ブランクであったシグナルは、正であるが、しかし、低いシグナルとして標識された。>10×ブランクであるシグナルは、ペプチドへの正の結合剤であった。結果を表E3中に示す。
【表E3】
【0395】
結果は、抗体aNRP2-406v2及びaNRP2-407v2が、NRP2a及びNRP2bの両方と交差反応性を示したが、しかし、最小CCL21相互作用領域を表すペプチドには結合しなかったことを実証する。比較により、抗体aNRP2-401v2、aNRP2-402v2、及びaNRP2-403v2は、NRP2aペプチドスキャン5及び6、ならびにより長いNRP2a膜近傍配列についての選択性を示したが、しかし、NRP2bには結合しなかった。抗体aNRP2-400v2及びaNRP2-404v2は、膜近傍領域においてさらなるN末端に結合する可能性が高いが、しかし、また、遮断する結合部位に十分に近接し得る一方で、残りの抗体は、膜近傍領域のC末端に結合する可能性が高い。
【0396】
実施例5
NRP2ペプチドへの抗体のバイオレイヤーインターフェロメトリ特異性
バイオレイヤーインターフェロメトリ(BLI)実験をOctet RED96e機器(Sartorius)上で行い、上でスクリーニングされたNRP2ペプチドへの抗体親和性をさらに特徴付けた。抗体は、NRP2aアイソフォーム特異的領域に及ぶペプチドを使用してエピトープマッピングされた;抗体はまた、NRP2bアイソフォーム特異的ペプチドへの反応性、ならびにmNRP2a及びmNRP2bペプチドへの交差反応性についてテストされた(ペプチド配列については表E2を参照のこと)。
【0397】
ペプチドをGenscript及びChina Peptidesで合成し、ビオチンコンジュゲートした。抗体及びペプチドを、1×PBS、0.1%BSA、0.02%Tween(登録商標) 20、pH7.4中で希釈した。ペプチドを、20μg/mLでOctet Streptavidin Biosensors(Sartorius、18~5019)上に固定した。バイオセンサーを次に、各抗体の50nM溶液中に浸漬し、300秒間にわたり読み取った。バイオセンサーを、異なる抗体のサイクル間で、10mMグリシン、pH1.5中で再生した。結果を表E4中に示し、上に提示したデータを確認する。
【表E4】
【0398】
結果によって、抗体aNRP2-406v2及びaNRP2-407v2が、NRP2a及びNRP2bの両方と交差反応性を示したが、しかし、最小CCL21相互作用領域を表すペプチドに結合することができなかったこと、ならびに抗体aNRP2-401v2、aNRP2-402v2、及びaNRP2-403v2が、NRP2a上でCCL21と相互作用する最小エピトープについての選択性を示したことが確認される。これらの結果によって、また、抗体aNRP2-404v2、aNRP2-405v2、aNRP2-408v2、aNRP2-409v2、及びaNRP2-37v2が、それらが最小ドメインと相互作用するCCL21に結合しないにもかかわらず、NRP2aについての強い特異性を示すことが確認された。
【0399】
実施例6
抗体によるNRP2の細胞表面認識
選択されたNRP2a反応性抗体を、ヒト又はマウスのNRP2a受容体を認識するそれらの能力について、ならびにNRP2bを上回るNRP2aに対するそれらの特異性について評価した。ヒトNRP2a v2(RCC220706)、マウスNRP2a(MR224748)、又はヒトNRP2b(RC210928)をコードするcDNAを、Origene技術から得た。NRP2 v3発現ベクターを次に、変異誘発を介してNRP2 v2をコードするベクターを改変して、NRP2 v3において欠落している17のアミノ酸を除去することにより構築した。Expi293F細胞を各ベクターでトランスフェクトし、トランスフェクション後の約48時間に計数し、各組換え抗体及び蛍光二次抗体で染色した(Jackson Immuno research,115-175-146)。シグナル対ノイズを、非トランスフェクト「偽」集団と比較したトランスフェクト細胞の染色強度として計算した。結合を、NRP2マウス/ヒト反応性a1ドメイン結合抗体(aNRP2-17v2)及び非結合アイソタイプ対照(NBIC)と比較した。
【0400】
結果を図4A~4C中に示す。テストされた抗体は、全長NRP2a又はNRP2bを発現する細胞への変動した結合を示した。これらの試験に基づき、抗体aNRP2-403は、Expi293F細胞上で組換え発現されたヒトNRP2aへの最良の結合を示した。抗体aNRP2-403v2はまた、NRP2aへの強力な結合を示したが、加えて、いくらかのマウス交差反応性を示すという利点を有する。抗体aNRP2-402は、NRP2aについて良好な結合特異性を示したが、しかし、また、テストされた他の抗体と比較してより低い親和性を示した。これらの試験に基づいて、抗体aNRP2-403v2は、そのNRP2aペプチド特異的結合を超える、NRP2の他の領域に結合する能力を持ち得る。なぜなら、それは、NRP2b特異的ペプチドに非反応性であるが、しかし、このモデルにおいて生細胞中で組換え発現された全長NRP2bへのいくらかの結合を示すように見えるからである。
【0401】
加えて、CCL21最小相互作用ドメインに結合することが示されている抗体のうち、aNRP2-401は、良好な結合、mNRP2a結合の保存、及びNRP2aについての良好な特異性を示す。NRP2 v3と比較したNRP2 v2の細胞表面結合は、欠落したアミノ酸が、CCL21関連NRP2v3/CCR7会合を防止するのに十分である一方で(実施例2を参照のこと)、この領域の近くを標的化する抗体は、NRP2 v3を上回ってNRP2 v2について特異的ではないであろうことを示す。なぜなら、結合部位の全体が除去されないからである。
【0402】
実施例7
NRP2a/CCR7受容体二量体化の抗体競合
NRP2a/CCR7-CCL21誘導性の受容体二量体化を遮断する抗体の能力を確認するために、抗体遮断実験を実施した。pBiT1.1-C-CCR7(そのC末端細胞質配列を伴わない)及びpBiT2.1-C-NRP2v2(アイソフォーム2)を、Expifectamineトランスフェクション試薬を用いてExpi293細胞中に共トランスフェクトした。トランスフェクション後の16~20時間に細胞を計数し、播種し、ルシフェラーゼ基質を加えた。各々の示した抗体を100nMで加えて、新たなベースライン発光シグナルを確立し、次にCCL21をEC80で加えて、リガンドに対する標準化された応答を経時的に観察した。曲線下面積を次に計算し、比較した。
【0403】
結果を図5A~5D中に示す。抗体aNRP2-400v2,aNRP2-401v2,aNRP2-402v2,aNRP2-403v2、及びaNRP2-404v2は全て、ある程度の遮断を示し、抗体aNRP2-401v2及びaNRP2-403v2が最も強力であった。他の抗体は、非結合アイソタイプ対照(NBIC)で認められるものと同様に、受容体二量体化に対して無視できる効果を有するように見えた。リガンドのEC80に対する抗体aNRP2-401v2及びaNRP2-403v2の滴定によって、0.339nM及び12.72nMのそれぞれのIC50が与えられた。このデータによって、抗体aNRP2-401v2及びaNRP2-403v2が、NRP2a及びCCL21の相互作用を破壊することを目的とした治療アプローチにおいて有用性を有することが確認される。
【0404】
実施例8
CCL21の推定結合部位への抗体のエピトープマッピング
NRP2aのペプチド結合境界及びヒト/マウス保存に基づくマッピングを、図6中に示す、選択された抗体を用いて実施した;ここでは、mNRP2a中のヒト配列に対する置換は、マウス配列(mNRP2a)において下線付きであり、CCL21結合部位は、ヒト配列において太字で示されている。ヒト配列において下線を引いたのは、CCL21誘導性の二量体化を防止する際に無効であり、このように、結合部位のおよそのC末端境界として機能する、実施例3(図3E)において記載される欠失である。N末端境界は標識されていないが、しかし、CCL21誘導性の二量体化に対する最小限の効果を示した、実施例3(図3D)中のNRP2 v2(816~818)における記載された変異から明らかである。
【0405】
CCL21の結合部位と重複するエピトープを伴う抗体(即ち、aNRP2-401v2,aNRP2-402v2及びaNRP2-403v2)は、CCR7を伴う受容体二量体化の効率的な遮断剤である。上と同様に、これらの抗体は、NRP2a及びCCL21の相互作用を破壊することを目的とした治療アプローチにおいて有用性を実証する。
【0406】
また、NRP2a特異的ペプチド自体への結合(例えば、抗体aNRP2-400v2、aNRP2-404v2、aNRP2-405v2、aNRP2-408v2、aNRP2-409v2、及びaNRP2-37v2により例証されるように)は、高い効率を伴う受容体二量体化を遮断するのに十分ではない。これらの抗体は、診断試薬としての、例えば、標的会合を発生し、細胞上での及び組織中での受容体密度を測定するための試薬としての有用性を示す。
【0407】
実施例9
ヒト化抗体
ヒト化抗体を、抗体aNRP2-401v2及びaNRP2-402v2から調製した。CDRは、表A1中に定義されるように、それらのKabat定義(IMGT境界を使用するCDR-H1の例外を伴う)により同定された。マウスモノクローナル軽鎖及び重鎖の全V遺伝子を、ヒトV遺伝子に対して整列させて、最も類似するフレームワーク配列を特定し、適切なヒトフレームワークを移入のために特定した。マウスCDRをヒトフレームワーク上に移入し、親和性を、Octet RED96e上のバイオレイヤーインターフェロメトリ(BLI)により、ある範囲のNRP2リガンド濃度への結合により決定した。必要な場合、逆変異を、Vインターフェース、CDRループ接触、及び他の構造的な考慮事項についての重要な残基を考慮に入れて、ヒトフレームワーク中に作製した。結合を再び測定し、重大な逆変異を選択した。加えて、抗体は、NNK飽和変異誘発を介して、CDRを通じて親和性成熟させて、リガンドへの親和性を改善させた。
【0408】
ヒト化バリアントの結合親和性を、以下の表E5中に示す。
【表E5】
【0409】
実施例10
aNRP2-401のバリアント
ヒト化aNRP2-401の抗体バリアントを、標準的なプロトコールを通じて、部位特異的変異誘発により生成した。軽鎖CDR3、重鎖CDR3の全体、及び重鎖CDR2の最初の11アミノ酸を無作為に変異させた。各位置について、70~100の個々のクローンをスクリーニングし、システイン、トリプトファン、及びメチオニンを省略した後、各々について15~16のアミノ酸バリアントをもたらした。バリアントを次に、未修飾の同族軽鎖又は重鎖と共に、単一の置換としてExpi293細胞(ThermoFisher、A14527)中にトランスフェクトした。溶液中の各バリアントの濃度を次に、Octet RED96e上で決定し、バリアントを次に使用して、競合ELISAにおいて対照抗体と競合させた。
【0410】
ヒト化aNRP2-401を、EZ-link NSH-PEG-ビオチン(ThermoFisher、21363)を使用して、IgGに対して20倍モル過剰のビオチンを用いてビオチン化した。間接ELISAを介して、ビオチン化抗体を、1xPBS pH7.4中、2ug/mLでコーティングされたNRP2(転写バリアント2のアミノ酸23~855)に対して滴定して、適したEC50を決定した。競合抗体を、EC50でビオチン化対照抗体を用いた3又は2倍希釈により希釈した。全てのプレートを、Casein Blocker(ThermoFisher、37528)を用いてブロッキングし、PBST pH7.4を用いて洗浄し、ストレプトアビジン-HRP(ThermoFisher、SA10001)を用いて検出し、TMB Ultra(ThermoFisher、37574)を用いて発色させた。データ分析を、GraphPad Prismを使用して実施した。
【0411】
各バリアントについてのIC50値を、競合曲線から計算した。発現され、抗原への結合を十分に保持していると判定されたバリアントは、対照の2倍以下のIC50及び類似のヒル勾配を有した。活性結合バリアントを表E6及び表E7中にまとめており、それらは、CDR内でのそれらの相対位置及び結合を保持した各アミノ酸バリアントを示す。
【表E6】
【表E7】
【0412】
実施例11
樹状細胞遊走のインビボモデル
樹状細胞遊走のインビボモデルを、皮膚から排出リンパ節への樹状細胞遊走におけるNRP2の役割をテストするために開発した。0日目に、10μlの1:1比率の完全フロイントアジュバント(CFA)(Sigma-Aldrich):リン酸緩衝生理食塩水(PBS)を、50μlハミルトンシリンジ及び22ゲージ針(Becton Dickinson)を用いて、野生型及びNRP2ノックアウトマウスの各耳中に皮下注射した。48時間後、各耳を、5mg/mlフルオレセインイソチオシアネート(FITC)(Fisher Scientific)を含むアセトン(DPA)(Sigma-Aldrich)を用いて、20ulのフタル酸ジブチルで各側上に塗布した。
【0413】
DPA/FITC塗布後の24時間に、マウスを安楽死させ、排出リンパ節を除去し、フローサイトメトリー分析のために処理した(図7A)。簡単には、単一細胞懸濁液を、リンパ節を切断し、70umストレーナー(Fisher Scientific)を通過させることにより作製した。細胞を、抗マウスCD3、CD11c、及びMHC-II抗体(Biolegend)を用いた表面マーカー染色の前に、Zombie Aqua生存色素(Biolegend)を用いて染色した。細胞を次に、CytoFlex S(Becton Dickinson)フローサイトメーターで分析して、細胞表面マーカー発現を決定した。FlowJoソフトウェアを使用して、FITC陽性樹状細胞(CD3-CD11cMHC-II)の割合を決定した(図7B)。図7C中に示されるように、FITC樹状細胞の割合の約42%の有意な減少が、NRP2野生型マウスと比較して、NRP2ノックアウトマウスの排出リンパ節において観察されたが、NRP2が、インビボでの樹状細胞の遊走において役割を果たすことを示唆している。同じモデルを使用して、本明細書中に記載される抗NRP2抗体の活性をテストし、それは、同様に、皮膚から排出リンパ節への樹状細胞遊走を減少させることが予想される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4A
図4B
図4C
図5A
図5B
図5C
図5D
図6
図7A
図7B
図7C
【配列表】
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【国際調査報告】