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特表2024-540086C5をノックアウトするためのCRISPR/CAS関連方法及び組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】C5をノックアウトするためのCRISPR/CAS関連方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/09 20060101AFI20241024BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/12 20060101ALI20241024BHJP
   C07K 16/18 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/13 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 15/55 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 31/7088 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 9/51 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20241024BHJP
   A61K 47/28 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20241024BHJP
   A61K 47/24 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 38/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 7/06 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/04 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 19/02 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 9/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 25/16 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 3/10 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20241024BHJP
   A61K 47/36 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 25/28 20060101ALI20241024BHJP
   A61P 25/08 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C12N15/09 110
C12N5/10 ZNA
C12N15/12
C07K16/18
C12N15/13
C12N15/55
A61K31/7088
A61K48/00
A61P43/00 105
A61K9/51
A61K47/18
A61K47/28
A61K47/34
A61K47/24
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K38/02
A61K39/395 N
A61P1/00
A61P11/00
A61P27/02
A61P7/06
A61P37/08
A61P17/02
A61P3/04
A61P13/12
A61P37/02
A61P19/02
A61P9/00
A61P25/00
A61P25/16
A61P3/10
A61P9/10
A61K47/36
A61P25/28
A61P25/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525346
(86)(22)【出願日】2022-10-28
(85)【翻訳文提出日】2024-05-07
(86)【国際出願番号】 US2022078855
(87)【国際公開番号】W WO2023077053
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/272,863
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】597160510
【氏名又は名称】リジェネロン・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】REGENERON PHARMACEUTICALS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】デバララジャ-ナラシマ, キショー
(72)【発明者】
【氏名】モートン, ローリ
(72)【発明者】
【氏名】ペファニス, エヴァンゲロス
(72)【発明者】
【氏名】ハートフォード, スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】カンジョリア, アルティ マヘンドラ プラカシュ
(72)【発明者】
【氏名】ヘッセ, サラ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AB01
4B065AC20
4B065BA01
4B065CA44
4B065CA46
4C076AA65
4C076BB13
4C076CC01
4C076CC07
4C076CC11
4C076CC15
4C076CC17
4C076CC21
4C076DD63
4C076DD70
4C076EE30
4C076FF70
4C084AA02
4C084AA13
4C084AA19
4C084BA44
4C084NA14
4C084ZA02
4C084ZA06
4C084ZA16
4C084ZA33
4C084ZA36
4C084ZA45
4C084ZA55
4C084ZA59
4C084ZA61
4C084ZA70
4C084ZA81
4C084ZA96
4C084ZB07
4C084ZB08
4C084ZB13
4C084ZB15
4C084ZC01
4C084ZC35
4C084ZC75
4C085AA14
4C085BB11
4C085EE01
4C085GG02
4C086AA01
4C086AA02
4C086EA16
4C086MA01
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA66
4C086NA14
4C086ZA02
4C086ZA06
4C086ZA16
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA45
4C086ZA55
4C086ZA59
4C086ZA61
4C086ZA70
4C086ZA81
4C086ZA96
4C086ZB07
4C086ZB08
4C086ZB13
4C086ZB15
4C086ZC01
4C086ZC35
4C086ZC75
4H045AA11
4H045AA20
4H045AA30
4H045BA10
4H045CA40
4H045DA76
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするガイドRNA及びCRISPR/Casシステム、そのようなガイドRNA又はCRISPR/Casシステムを含む脂質ナノ粒子又はウイルスベクター、並びにそのようなガイドRNA又はシステムを含む細胞又は動物が提供される。CRISPR/Casシステムを使用してC5遺伝子座又は遺伝子を改変又はノックダウン又はノックアウトする方法、並びにC5に関連する疾患、障害、若しくは状態の治療及び/又は予防のため、並びに/あるいはそのような疾患、障害、若しくは状態に関連する少なくとも1つの症状を改善するための予防及び治療適用におけるCRISPR/Casシステムの使用も提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードするDNAを含む組成物であって、前記ガイドRNAが、C5遺伝子のガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、前記ガイドRNAが、Casタンパク質に結合し、前記Casタンパク質を前記C5遺伝子の前記ガイドRNA標的配列に標的とする、組成物。
【請求項2】
前記ガイドRNA標的配列が、前記C5遺伝子のコードエキソン27、22、21、15、12、若しくは1内にあるか、又は前記ガイドRNA標的配列が、前記C5遺伝子のコードエキソン15若しくは12内にある、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記C5遺伝子がヒトC5遺伝子である、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のうちのいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドを含み、又は
前記ガイドRNA標的配列が、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含み、又は
前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のうちのいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、
請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のうちのいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、又は
前記ガイドRNA標的配列が、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物が、RNAの形態の前記ガイドRNAを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記組成物が、前記ガイドRNAをコードする前記DNAを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ガイドRNAが、少なくとも1つの修飾を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記少なくとも1つの修飾が、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記少なくとも1つの修飾が、ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項8又は9に記載の組成物。
【請求項11】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの5’末端の最初の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む、請求項8~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む、請求項8~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項8~12のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項8~13のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項8~14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項8~15のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記少なくとも1つの修飾が、(i)前記ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(ii)前記ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(iii)前記ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、(iv)前記ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、を含む、請求項8~16のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記ガイドRNAが、配列番号29の前記修飾ヌクレオチドを含む、請求項8~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
前記ガイドRNAが、単一ガイドRNA(sgRNA)である、請求項1~18のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
前記ガイドRNAが、配列番号21~29のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、前記ガイドRNAが、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、前記ガイドRNAが、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、又は前記ガイドRNAが、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる、
請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記ガイドRNAが、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)を含む2つの別個のRNA分子を含む二重ガイドRNA(dgRNA)である、請求項1~17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
前記crRNAが、配列番号16~17のうちのいずれか1つに示される配列を含む、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記tracrRNAが、配列番号18~20のうちのいずれか1つに示される配列を含む、請求項21又は22に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物が脂質ナノ粒子と会合している、請求項1~23のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項25】
前記脂質ナノ粒子が、カチオン性脂質、中性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質を含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記カチオン性脂質がリピドAである、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記中性脂質がDSPCである、請求項25又は26に記載の組成物。
【請求項28】
前記ヘルパー脂質がコレステロールである、請求項25~27のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
前記ステルス脂質がPEG2k-DMGである、請求項25~28のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項30】
前記カチオン性脂質がリピドAであり、前記中性脂質がDSPCであり、前記ヘルパー脂質がコレステロールであり、前記ステルス脂質がPEG2k-DMGである、請求項25~29のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物が、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である、請求項1~30のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項32】
前記Casタンパク質又は前記Casタンパク質をコードする核酸を更に含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項33】
前記Casタンパク質が、Cas9タンパク質である、請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記Casタンパク質が、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9タンパク質に由来する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
前記組成物が、タンパク質の形態の前記Casタンパク質を含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項36】
前記組成物が、前記Casタンパク質をコードする前記核酸を含み、前記核酸が、前記Casタンパク質をコードするDNAを含み、任意選択的に、前記組成物が、前記ガイドRNAをコードする前記DNAを含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項37】
前記組成物が、前記Casタンパク質をコードする前記核酸を含み、前記核酸が、前記Casタンパク質をコードするmRNAを含み、任意選択的に、前記組成物が、RNAの形態の前記ガイドRNAを含む、請求項32~34のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項38】
前記Casタンパク質をコードする前記mRNAが、少なくとも1つの修飾を含む、請求項37に記載の組成物。
【請求項39】
前記Casタンパク質をコードする前記mRNAが、1つ以上又は全てのウリジン位置に修飾ウリジンを含むように修飾される、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
前記修飾ウリジンがN1-メチル-シュードウリジンである、請求項39に記載の組成物。
【請求項41】
前記Casタンパク質をコードする前記mRNAが、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換されている、請求項39又は40に記載の組成物。
【請求項42】
前記Casタンパク質をコードする前記mRNAが、5’キャップを含む、請求項38~41のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項43】
前記Casタンパク質をコードする前記mRNAが、ポリ(A)テールを含む、請求項38~42のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項44】
前記Casタンパク質をコードする前記mRNAが、配列番号339、338、又は12に示される配列を含む、請求項37~43のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項45】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸が、哺乳動物細胞又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される、請求項32~44のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項46】
前記Casタンパク質が、配列番号11又は8に示される配列を含む、請求項32~45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
第2のガイドRNA又は前記第2のガイドRNAをコードするDNAを更に含み、前記第2のガイドRNAが、前記C5遺伝子の第2のガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、前記第2のガイドRNAが、前記Casタンパク質に結合し、前記Casタンパク質を前記C5遺伝子の前記第2のガイドRNA標的配列に標的とする、請求項1~46のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項48】
C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質と会合している、請求項1~47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が抗体又はその抗原結合断片である、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、
(1)配列番号341に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号349に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(2)配列番号357に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号365に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(3)配列番号373に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号381に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(4)配列番号389に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号397に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(5)配列番号405に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号413に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(6)配列番号421に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号429に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(7)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(8)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(9)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(10)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(11)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(12)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(13)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(14)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(15)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(16)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(17)配列番号493に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号501に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(18)配列番号509に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号517に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(19)配列番号525に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号533に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(20)配列番号541に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号549に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(21)配列番号557に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号565に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(22)配列番号573に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号581に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(23)配列番号589に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(24)配列番号605に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(25)配列番号613に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号621に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(26)配列番号629に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号637に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(27)配列番号645に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号653に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(28)配列番号661に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号669に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;あるいは
(29)配列番号677に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号685に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
を含み、あるいは
C5への結合について、(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と競合する、あるいは
(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と同じC5上のエピトープに結合する、
請求項48又は49に記載の組成物。
【請求項51】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖又はその可変領域又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖又はその可変領域又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含むモノクローナル抗体であり、
任意選択的に、C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖及び配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含むモノクローナル抗体である、
請求項48~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質がポゼリマブである、請求項48~50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
請求項1~52のいずれか一項に記載の組成物を含む、細胞。
【請求項54】
細胞内のC5遺伝子を改変する方法であって、請求項32~52のいずれか一項に記載の組成物を前記細胞に導入することを含み、前記ガイドRNAが前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記C5遺伝子内の前記ガイドRNA標的配列を標的とし、前記Casタンパク質が前記ガイドRNA標的配列を切断して前記C5遺伝子内に標的化遺伝子改変をもたらす、方法。
【請求項55】
前記Casタンパク質による切断が、前記C5遺伝子に二本鎖切断を生じさせる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記Casタンパク質による切断が、前記C5遺伝子に一本鎖切断を生じさせる、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記標的化遺伝子改変が、非相同末端結合による前記切断されたガイドRNA標的配列の修復によって生成される、請求項54~56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記方法が、前記細胞における前記C5遺伝子の発現若しくは活性の低下をもたらすか、又は前記細胞における前記C5遺伝子の機能の喪失若しくは不活性化をもたらす、請求項54~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞が肝細胞である、請求項54~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記細胞が哺乳動物細胞であり、前記C5遺伝子が哺乳動物C5遺伝子である、請求項54~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞がヒト細胞であり、前記C5遺伝子がヒトC5遺伝子である、請求項54~60のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞がインビトロ又はエクスビボである、請求項54~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項63】
前記細胞がインビボで動物内にある、請求項54~61のいずれか一項に記載の方法。
【請求項64】
(I)前記方法が、前記動物における細胞の標的集団の前記C5遺伝子の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%の編集パーセントをもたらすか、又は
(II)前記方法が、前記動物における細胞の標的集団の前記C5遺伝子の約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、又は約95%~約99%の編集をもたらす、
請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記方法が、前記動物において補体C5タンパク質の血清レベルの低下をもたらし、任意選択的に、補体C5タンパク質の血清レベルが、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する、請求項63又は64に記載の方法。
【請求項66】
前記方法が、前記動物における補体C5タンパク質活性の低下をもたらし、任意選択的に、前記方法が、感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定した場合、古典経路溶血の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%パーセントの阻害をもたらす、請求項63~65のいずれか一項に記載の方法。
【請求項67】
細胞中のC5遺伝子を改変する方法であって、前記細胞のゲノムを、
(a)Casタンパク質;及び
(b)前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記C5遺伝子内のガイドRNA標的配列を標的とするガイドRNA
と接触させることを含み、
前記Casタンパク質が、前記ガイドRNA標的配列を切断して、前記C5遺伝子内に標的化遺伝子改変を生成する、方法。
【請求項68】
前記ガイドRNA標的配列が、前記C5遺伝子のコードエキソン27、22、21、15、12、若しくは1内にあるか、又は前記ガイドRNA標的配列が、前記C5遺伝子のコードエキソン15若しくは12内にある、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記ガイドRNAが、前記ガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、
前記ガイドRNA標的配列が、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含み、又は
前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のうちのいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、
請求項67又は68に記載の方法。
【請求項70】
前記ガイドRNAが、前記ガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、
前記ガイドRNA標的配列が、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、
請求項67~69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記方法が、前記細胞に、
(a)前記Casタンパク質又は前記Casタンパク質をコードする核酸;及び
(b)前記ガイドRNA又はガイドRNAをコードするDNA
を導入することを含む、請求項60~70のいずれか一項に記載の方法。
【請求項72】
前記Casタンパク質若しくは前記Casタンパク質をコードする前記核酸及び/又は前記ガイドRNA若しくは前記ガイドRNAをコードする前記DNAが、脂質ナノ粒子媒介送達を介して前記細胞に導入される、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
RNAの形態の前記ガイドRNA及び前記Casタンパク質をコードする前記核酸が、脂質ナノ粒子媒介送達を介して前記細胞に導入され、前記Casタンパク質をコードする前記核酸がmRNAである、請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記脂質ナノ粒子が、カチオン性脂質、中性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質を含む、請求項72又は73のいずれか一項に記載の方法。
【請求項75】
前記カチオン性脂質がリピドAである、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記中性脂質がDSPCである、請求項74又は75に記載の方法。
【請求項77】
前記ヘルパー脂質がコレステロールである、請求項74~76のいずれか一項に記載の方法。
【請求項78】
前記ステルス脂質がPEG2k-DMGである、請求項74~77のいずれか一項に記載の方法。
【請求項79】
前記カチオン性脂質がリピドAであり、前記中性脂質がDSPCであり、前記ヘルパー脂質がコレステロールであり、前記ステルス脂質がPEG2k-DMGである、請求項74~78のいずれか一項に記載の方法。
【請求項80】
前記Casタンパク質若しくは前記Casタンパク質をコードする前記核酸及び/又は前記ガイドRNA若しくは前記ガイドRNAをコードする前記DNAが、アデノ随伴ウイルスを介して前記細胞に導入される、請求項71に記載の方法。
【請求項81】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸を前記細胞に導入することを含む、請求項71~80のいずれか一項に記載の方法。
【請求項82】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸が、哺乳動物細胞又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される、請求項71~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸がDNAを含み、任意選択的に、前記方法が、前記ガイドRNAをコードする前記DNAを前記細胞に導入することを含む、請求項71~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項84】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸がRNAを含み、任意選択的に、前記方法が、RNAの形態の前記ガイドRNAを前記細胞に導入することを含む、請求項71~82のいずれか一項に記載の方法。
【請求項85】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、少なくとも1つの修飾を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、1つ以上又は全てのウリジン位置に修飾ウリジンを含むように修飾される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記修飾ウリジンがN1-メチル-シュードウリジンである、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換されている、請求項86又は87に記載の方法。
【請求項89】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、5’キャップを含む、請求項85~88のいずれか一項に記載の方法。
【請求項90】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、ポリ(A)テールを含む、請求項85~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、配列番号339、338、又は12に示される配列を含む、請求項84~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
RNAの形態の前記ガイドRNAを前記細胞に導入することを含む、請求項71~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項93】
前記ガイドRNAをコードする前記DNAを前記細胞に導入することを含む、請求項71~91のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
前記ガイドRNAが、少なくとも1つの修飾を含む、請求項71~92のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
前記少なくとも1つの修飾が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1つの修飾が、ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項94又は95に記載の方法。
【請求項97】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの前記5’末端の最初の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む、請求項94~96のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む、請求項94~97のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの前記5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項94~98のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項94~99のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項94~100のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項94~101のいずれか一項に記載の方法。
【請求項103】
前記少なくとも1つの修飾が、(i)前記ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(ii)前記ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(iii)前記ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、(iv)前記ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、を含む、請求項94~102のいずれか一項に記載の方法。
【請求項104】
前記ガイドRNAが、配列番号29の修飾ヌクレオチドを含む、請求項94~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
前記ガイドRNAが単一ガイドRNA(sgRNA)である、請求項67~104のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
前記ガイドRNAが、配列番号21~29のうちのいずれか1つに示される配列を含み、前記ガイドRNAが、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、前記ガイドRNAが、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、又は前記ガイドRNAが、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる、
請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記ガイドRNAが、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)を含む2つの別個のRNA分子を含む二重ガイドRNA(dgRNA)である、請求項67~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項108】
前記crRNAが、配列番号16~17のうちのいずれか1つに示される配列を含む、請求項107に記載の方法。
【請求項109】
前記tracrRNAが、配列番号18~20のうちのいずれか1つに示される配列を含む、請求項107又は108に記載の方法。
【請求項110】
前記Casタンパク質が、Cas9タンパク質である、請求項67~109のいずれか一項に記載の方法。
【請求項111】
前記Casタンパク質が、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9タンパク質に由来する、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記Casタンパク質が、配列番号11又は8に示される配列を含む、請求項67~111のいずれか一項に記載の方法。
【請求項113】
第2のガイドRNA又は前記第2のガイドRNAをコードするDNAを前記細胞に導入することを更に含み、前記第2のガイドRNAが前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記Casタンパク質を前記C5遺伝子内の第2のガイドRNA標的配列に標的化し、前記Casタンパク質が前記第2のガイドRNA標的配列を切断して前記C5遺伝子内に標的化遺伝子改変をもたらす、請求項67~112のいずれか一項に記載の方法。
【請求項114】
前記Casタンパク質による切断が、前記C5遺伝子に二本鎖切断を生じさせる、請求項67~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項115】
前記Casタンパク質による切断が、前記C5遺伝子に一本鎖切断を生じさせる、請求項67~113のいずれか一項に記載の方法。
【請求項116】
前記標的化遺伝子改変が、非相同末端結合による前記切断されたガイドRNA標的配列の修復によって生成される、請求項67~115のいずれか一項に記載の方法。
【請求項117】
前記方法が、前記細胞における前記C5遺伝子の発現若しくは活性の低下をもたらすか、又は前記方法が、前記細胞における前記C5遺伝子の機能の喪失若しくは不活性化をもたらす、請求項67~116のいずれか一項に記載の方法。
【請求項118】
前記細胞が肝細胞である、請求項67~117のいずれか一項に記載の方法。
【請求項119】
前記細胞が哺乳動物細胞であり、前記C5遺伝子が哺乳動物C5遺伝子である、請求項67~118のいずれか一項に記載の方法。
【請求項120】
前記細胞がヒト細胞であり、前記C5遺伝子がヒトC5遺伝子である、請求項67~119のいずれか一項に記載の方法。
【請求項121】
前記細胞がインビトロ又はエクスビボである、請求項67~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項122】
前記細胞がインビボで動物内にある、請求項67~120のいずれか一項に記載の方法。
【請求項123】
(I)前記方法が、前記動物における細胞の標的集団の前記C5遺伝子の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%の編集パーセントをもたらすか、又は
(II)前記方法が、前記動物における細胞の標的集団の前記C5遺伝子の約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、又は約95%~約99%の編集をもたらす、
請求項122に記載の方法。
【請求項124】
前記方法が、前記動物において補体C5タンパク質の血清レベルの低下をもたらし、任意選択的に、補体C5タンパク質の血清レベルが、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する、請求項122又は123に記載の方法。
【請求項125】
前記方法が、前記動物における補体C5タンパク質活性の低下をもたらし、任意選択的に、前記方法が、感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定した場合、古典経路溶血の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%パーセントの阻害をもたらす、請求項122~124のいずれか一項に記載の方法。
【請求項126】
C5補体活性が、補体媒介性ヒツジ赤血球溶解のCH50アッセイによって測定される場合、約95~100%低減される、請求項122~125のいずれか一項に記載の方法。
【請求項127】
前記動物に更なる治療剤を投与することを更に含む、請求項122~126のいずれか一項に記載の方法。
【請求項128】
前記更なる治療剤が、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質、アセトアミノフェン、アルブミン注入、アンクロッド、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗生物質、抗CD20剤、抗凝血剤、抗真菌剤、降圧薬、抗炎症薬、抗プラスミン-a1、抗発作剤、抗血栓剤、抗TNFα剤、抗ウイルス剤、アルガトロバン、アスピリン、生物学的治療剤、ビバリルジン、C3阻害剤、コルチコステロイド、シクロスポリンA、ダビガトラン、デフィブロチド、E-アミノカプロン酸、経腸栄養、エリスロマイシン、エリスロポエチン、線溶剤、葉酸、フォンダパリヌクス、ヘパリン、ホルモン補充療法、イブプロフェン、イドラパリヌクス、免疫抑制薬、インフリキシマブ、ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素の阻害剤、鉄サプリメント、レピルジン、脂質低下剤、硫酸マグネシウム、髄膜炎菌ワクチン、メトトレキサート、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、オリゴヌクレオチド、パラセタモール、非経口栄養、ペニシリン、フェニンジオン、妊娠避妊薬、プロスタサイクリン、リツキシマブ、トロンビン阻害剤、ワクチン、ビンクリスチン、ビタミン、及び/又はワルファリンである、請求項127に記載の方法。
【請求項129】
前記治療剤が、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質である、請求項128に記載の方法。
【請求項130】
前記抗原結合タンパク質が前記動物に静脈内又は皮下投与される、請求項129に記載の方法。
【請求項131】
前記抗原結合タンパク質の初回用量が前記動物に静脈内投与され、前記抗原結合タンパク質の1つ以上の更なる用量が皮下投与される、請求項129又は130記載の方法。
【請求項132】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が抗体又はその抗原結合断片である、請求項129~131のいずれか一項に記載の方法。
【請求項133】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、
(1)配列番号341に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号349に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(2)配列番号357に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号365に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(3)配列番号373に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号381に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(4)配列番号389に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号397に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(5)配列番号405に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号413に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(6)配列番号421に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号429に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(7)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(8)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(9)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(10)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(11)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(12)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(13)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(14)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(15)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(16)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(17)配列番号493に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号501に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(18)配列番号509に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号517に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(19)配列番号525に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号533に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(20)配列番号541に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号549に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(21)配列番号557に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号565に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(22)配列番号573に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号581に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(23)配列番号589に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(24)配列番号605に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(25)配列番号613に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号621に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(26)配列番号629に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号637に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(27)配列番号645に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号653に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(28)配列番号661に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号669に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;あるいは
(29)配列番号677に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号685に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
を含み、あるいは
C5への結合について、(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と競合する、あるいは
(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と同じC5上のエピトープに結合する、
請求項129~132のいずれか一項に記載の方法。
【請求項134】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖又はその可変領域又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖又はその可変領域又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含むモノクローナル抗体であり、
任意選択的に、C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖及び配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含むモノクローナル抗体である、
請求項129~133のいずれか一項に記載の方法。
【請求項135】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質がポゼリマブである、請求項129~134のいずれか一項に記載の方法。
【請求項136】
対象においてC5遺伝子を改変するか、又はC5遺伝子の発現を低下させるか、又は補体C5タンパク質の活性を低下させる方法であって、対象に、
(a)Casタンパク質又は前記Casタンパク質をコードする核酸;及び
(b)ガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードするDNAであって、前記前記ガイドRNAが、前記Casタンパク質と複合体を形成し、C5遺伝子内のガイドRNA標的配列を標的とする、ガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードするDNA
を投与することを含み、
前記Casタンパク質が、前記ガイドRNA標的配列を切断して、前記C5遺伝子内に標的化遺伝子改変を生成する、方法。
【請求項137】
C5に関連する疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は適応症を予防、治療又は改善する方法であって、それを必要とする対象に、治療有効量の、
(a)Casタンパク質又は前記Casタンパク質をコードする核酸;及び
(b)ガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードするDNAであって、前記ガイドRNAが、前記Casタンパク質と複合体を形成し、C5遺伝子内のガイドRNA標的配列を標的とする、ガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードするDNA
を含む医薬組成物を投与することを含み、
前記Casタンパク質が、前記ガイドRNA標的配列を切断して、前記C5遺伝子内に標的化遺伝子改変をもたらす、方法。
【請求項138】
前記疾患又は障害が、成人呼吸窮迫症候群;加齢黄斑変性(AMD);アレルギー;アルポート症候群;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);抗リン脂質症候群(APS);喘息;アテローム性動脈硬化症;非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS);自己免疫疾患;自己免疫性溶血性貧血(AIHA);バルーン血管形成;気管支収縮;水疱性類天疱瘡;火傷;C3糸球体症;毛細血管漏出症候群;心血管障害;突発性抗リン脂質症候群(CAPS);脳血管障害;CHAPLE疾患(補体の過剰活性化、血管障害性血栓症及びタンパク質喪失性腸障害を伴うCD55欠損症);化学的損傷;慢性閉塞性肺疾患(COPD);寒冷凝集素症(CAD);角膜及び/又は網膜組織;クローン病;デゴス病;高密度沈着物疾患(DDD);皮膚筋炎;糖尿病;糖尿病性血管障害;糖尿病性黄斑浮腫(DME);糖尿病性腎症;糖尿病性網膜症;拡張型心筋症;不適切又は望ましくない補体活性化障害;呼吸困難;子癇;気腫;表皮水疱症;てんかん;線維原性ダスト疾患;凍傷;地図状萎縮(GA);糸球体腎炎;糸球体症;グッドパスチャー症候群;グレーブス病;ギラン・バレー症候群;橋本甲状腺炎;血液透析合併症;溶血-肝臓酵素上昇及び低血小板(HELLP)症候群;溶血性貧血;喀血;Henoch-Schonlein紫斑病性腎炎;遺伝性血管浮腫;超急性同種移植片拒絶;過敏性肺炎;特発性血小板減少性紫斑病(ITP);IgA腎症;免疫複合体障害;免疫複合体血管炎;免疫複合体関連炎症;感染症;自己免疫疾患によって引き起こされる炎症;炎症性障害;遺伝性CD59欠損;不活性ダスト及び/又は鉱物による損傷;IL-2治療中のインターロイキン-2誘導性毒性;虚血-再灌流傷害;川崎病;肺の疾患又は障害;ループス腎炎;膜増殖性糸球体腎炎;膜増殖性腎炎;大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流;腸間膜/腸間膜血管障害;多巣性運動ニューロパシー(MMN);多発性硬化症;重症筋無力症;心筋梗塞;心筋炎;神経障害;視神経脊髄炎;肥満;眼血管新生;脈絡膜に影響を及ぼす眼血管新生;有機ダスト病;寄生虫症;パーキンソン病;発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH);低免疫性血管炎;天疱瘡;経皮的冠動脈形成術(PTCA);末梢血管障害;肺炎;虚血後再灌流状態;心肺バイパスにおけるポンプ後症候群;腎バイパスにおけるポンプ後症候群;子癇前症;進行性腎不全;増殖性腎炎;タンパク尿腎疾患;乾癬;肺塞栓症;肺線維症;肺梗塞;肺血管炎;再発性胎児喪失;腎障害;腎虚血;腎虚血-再灌流傷害;腎血管障害;ステント留置後の再狭窄;関節リウマチ(RA);回転式アテレクトミー;統合失調症;敗血症;敗血症性ショック;SLE腎炎;煙による傷害;脊髄損傷;自然胎児喪失;脳卒中;敗血症に対する全身性炎症反応;全身性エリテマトーデス(SLE);全身性エリテマトーデス関連血管炎;高安病;熱損傷;血栓性血小板減少性紫斑病(TTP);外傷性脳損傷;I型糖尿病;典型的な溶血性尿毒症症候群(tHUS);ブドウ膜炎;血管炎;関節リウマチに関連する血管炎;静脈ガス塞栓(VGE);及び/又は異種移植片拒絶である、請求項137に記載の方法。
【請求項139】
前記疾患又は障害が、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、加齢黄斑変性、地図状萎縮、ブドウ膜炎、視神経脊髄炎、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、不適切又は望ましくない補体活性化の障害、血液透析合併症、超急性同種移植片拒絶、異種移植片拒絶、IL-2療法中のインターロイキン-2誘発毒性、炎症性障害、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、火傷又は凍傷を含む熱傷、虚血後再灌流状態、心筋梗塞、毛細血管漏出症候群、肥満、糖尿病、アルツハイマー病、統合失調症、脳卒中、てんかん、アテローム性動脈硬化、血管炎、水疱性類天疱瘡、C3糸球体症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、アルポート症候群、進行性腎不全、タンパク尿性腎疾患、腎虚血-再灌流傷害、ループス腎炎、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染症又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、腎障害、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、溶血性貧血、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、肺塞栓症及び梗塞、肺炎、及び重症筋無力症からなる群から選択される、請求項137に記載の方法。
【請求項140】
前記疾患又は障害が、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、難治性重症筋無力症(rMG)、視神経脊髄炎(NMO)、IgA腎症、膜性腎症、ループス腎炎、C3糸球体症、及びANCA-血管炎である、請求項137に記載の方法。
【請求項141】
前記疾患又は障害がaHUS又はPNHである、請求項137に記載の方法。
【請求項142】
前記疾患又は障害がPNHであり、
任意選択的に、前記方法が、前記対象における血清乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、脈管内溶血、及び/又は赤血球の輸血の必要性を低減するためのものである、請求項137に記載の方法。
【請求項143】
前記疾患又は障害が、CD55欠損タンパク質喪失腸疾患(CHAPLE疾患)であり、
任意選択的に、前記方法が、(i)胃腸管を通じた、血清アルブミンを正常化及び/若しくは増加させること又はその損失を減少させること;胃腸管を通じた、総血清タンパク質レベルを増加させること、又はその損失を減少させること;血清ビタミンB12又はその胃腸吸収を増加させること;血小板数を減少させること、又は凝固カスケード活性化を減少させること、又は血栓性事象の発生率を減少させること;消化管を通じたアルファ-1-アンチトリプシンの喪失を減少させること;顔面及び/又は末梢浮腫を治療又は予防すること;腸運動の頻度を減少させること;下痢を治療又は予防すること;腹痛を治療又は予防すること;コルチコステロイドの使用を減少させること;及び/又は対象における入院の発生率を低下させること;あるいは(ii)前記対象における治療的介入を減少させることであって、前記治療的介入が、コルチコステロイドの投与;免疫グロブリンの投与;アルブミンの投与;抗腫瘍壊死因子アルファ治療剤の投与;免疫調節薬の投与;微量栄養素の投与;経腸又は非経口補充の投与;抗凝固剤の投与;抗生物質の投与;及び抗血小板剤の投与からなる群から選択される1つ以上である、こと
のためのものであり、
任意選択的に、前記方法は、血清アルブミンを少なくとも1g/dL増加させるため、及び/又は血清アルブミンを約3.5~約5.5g/dLに正常化するためのものである、
請求項137に記載の方法。
【請求項144】
前記医薬組成物が、それを必要とする前記対象に予防的又は治療的に投与される、請求項137~143のいずれか一項に記載の方法。
【請求項145】
前記医薬組成物が静脈内投与される、請求項137~144のいずれか一項に記載の方法。
【請求項146】
前記ガイドRNA標的配列が、前記C5遺伝子のコードエキソン27、22、21、15、12、若しくは1内にあるか、又は前記ガイドRNA標的配列が、前記C5遺伝子のコードエキソン15若しくは12内にある、請求項136~145のいずれか一項に記載の方法。
【請求項147】
前記ガイドRNAが、前記ガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、
前記ガイドRNA標的配列が、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含み、又は
前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のうちのいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である、
請求項136~146のいずれか一項に記載の方法。
【請求項148】
前記ガイドRNAが、前記ガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、前記DNA標的化セグメントが、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなり、
前記ガイドRNA標的配列が、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる、
請求項136~147のいずれか一項に記載の方法。
【請求項149】
前記Casタンパク質又は前記Casタンパク質をコードする前記核酸及び/又は前記ガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードする前記DNAが、脂質ナノ粒子媒介送達を介して前記対象に投与される、請求項136~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項150】
RNAの形態の前記ガイドRNA及び前記Casタンパク質をコードする前記核酸が脂質ナノ粒子媒介送達を介して前記対象に投与され、前記Casタンパク質をコードする前記核酸がmRNAである、請求項149記載の方法。
【請求項151】
前記脂質ナノ粒子が、カチオン性脂質、中性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質を含む、請求項149又は150のいずれか一項に記載の方法。
【請求項152】
前記カチオン性脂質がリピドAである、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記中性脂質がDSPCである、請求項151又は152に記載の方法。
【請求項154】
前記ヘルパー脂質がコレステロールである、請求項151~153のいずれか一項に記載の方法。
【請求項155】
前記ステルス脂質がPEG2k-DMGである、請求項151~154のいずれか一項に記載の方法。
【請求項156】
前記カチオン性脂質がリピドAであり、前記中性脂質がDSPCであり、前記ヘルパー脂質がコレステロールであり、前記ステルス脂質がPEG2k-DMGである、請求項151~155のいずれか一項に記載の方法。
【請求項157】
前記Casタンパク質又は前記Casタンパク質をコードする前記核酸及び/又は前記ガイドRNA又は前記ガイドRNAをコードする前記DNAが、アデノ随伴ウイルスを介して前記対象に投与される、請求項136~148のいずれか一項に記載の方法。
【請求項158】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸を投与することを含む、請求項136~157のいずれか一項に記載の方法。
【請求項159】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸が、哺乳動物細胞又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される、請求項136~158のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項160】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸がDNAを含み、任意選択的に、前記方法が、前記ガイドRNAをコードする前記DNAを投与することを含む、請求項136~159のいずれか一項に記載の方法。
【請求項161】
前記Casタンパク質をコードする前記核酸がRNAを含み、任意選択的に、前記方法が、RNAの形態の前記ガイドRNAを投与することを含む、請求項136~160のいずれか一項に記載の方法。
【請求項162】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、少なくとも1つの修飾を含む、請求項161に記載の方法。
【請求項163】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、1つ以上又は全てのウリジン位置に修飾ウリジンを含むように修飾される、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記修飾ウリジンがN1-メチル-シュードウリジンである、請求項163に記載の方法。
【請求項165】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換されている、請求項163又は164に記載の方法。
【請求項166】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、5’キャップを含む、請求項162~165のいずれか一項に記載の方法。
【請求項167】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、ポリ(A)テールを含む、請求項162~166のいずれか一項に記載の方法。
【請求項168】
前記Casタンパク質をコードする前記RNAが、配列番号339、338、又は12に示される配列を含む、請求項161~167のいずれか一項に記載の方法。
【請求項169】
前記方法が、RNAの形態の前記ガイドRNAを投与することを含む、請求項136~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項170】
前記方法が、前記ガイドRNAをコードする前記DNAを投与することを含む、請求項136~168のいずれか一項に記載の方法。
【請求項171】
前記ガイドRNAが、少なくとも1つの修飾を含む、請求項136~169のいずれか一項に記載の方法。
【請求項172】
前記少なくとも1つの修飾が2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項171に記載の方法。
【請求項173】
前記少なくとも1つの修飾が、ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項171又は172に記載の方法。
【請求項174】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの前記5’末端の最初の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む、請求項171~173のいずれか一項に記載の方法。
【請求項175】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む、請求項171~174のいずれか一項に記載の方法。
【請求項176】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの前記5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項171~175のいずれか一項に記載の方法。
【請求項177】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、請求項171~176のいずれか一項に記載の方法。
【請求項178】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項171~177のいずれか一項に記載の方法。
【請求項179】
前記少なくとも1つの修飾が、前記ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む、請求項171~178のいずれか一項に記載の方法。
【請求項180】
前記少なくとも1つの修飾が、(i)前記ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(ii)前記ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(iii)前記ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、(iv)前記ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、を含む、請求項171~179のいずれか一項に記載の方法。
【請求項181】
前記ガイドRNAが、配列番号29の修飾ヌクレオチドを含む、請求項171~180のいずれか一項に記載の方法。
【請求項182】
ガイドRNAが単一ガイドRNA(sgRNA)である、請求項136~181のいずれか一項に記載の方法。
【請求項183】
前記ガイドRNAが、配列番号21~29のうちのいずれか1つに示される配列を含み、前記ガイドRNAが、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、前記ガイドRNAが、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、又は前記ガイドRNAが、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる、
請求項182に記載の方法。
【請求項184】
前記ガイドRNAが、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)を含む2つの別個のRNA分子を含む二重ガイドRNA(dgRNA)である、請求項136~180のいずれか一項に記載の方法。
【請求項185】
前記crRNAが、配列番号16~17のうちのいずれか1つに示される配列を含む、請求項184に記載の方法。
【請求項186】
前記tracrRNAが、配列番号18~20のうちのいずれか1つに示される配列を含む、請求項184又は185に記載の方法。
【請求項187】
前記Casタンパク質が、Cas9タンパク質である、請求項136~186のいずれか一項に記載の方法。
【請求項188】
前記Casタンパク質が、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9タンパク質に由来する、請求項187に記載の方法。
【請求項189】
前記Casタンパク質が、配列番号11又は8に示される配列を含む、請求項136~188のいずれか一項に記載の方法。
【請求項190】
第2のガイドRNA又は前記第2のガイドRNAをコードするDNAを前記対象に投与することを更に含み、前記第2のガイドRNAが前記Casタンパク質と複合体を形成し、前記Casタンパク質を前記C5遺伝子内の第2のガイドRNA標的配列に標的化し、前記Casタンパク質が前記第2のガイドRNA標的配列を切断して前記C5遺伝子内に標的化遺伝子改変を生成する、請求項136~189のいずれか一項に記載の方法。
【請求項191】
前記Casタンパク質による切断が、前記C5遺伝子に二本鎖切断を生じさせる、請求項136~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項192】
前記Casタンパク質による切断が、前記C5遺伝子に一本鎖切断を生じさせる、請求項136~190のいずれか一項に記載の方法。
【請求項193】
前記標的化遺伝子改変が、非相同末端結合による前記切断されたガイドRNA標的配列の修復によって生成される、請求項136~192のいずれか一項に記載の方法。
【請求項194】
前記細胞におけるC5遺伝子の発現又は活性の低下をもたらす、請求項136~193のいずれか一項に記載の方法。
【請求項195】
前記方法が、前記細胞における前記C5遺伝子の機能喪失又は不活性化をもたらす、請求項136~194のいずれか一項に記載の方法。
【請求項196】
前記対象が哺乳動物であり、前記C5遺伝子が哺乳動物C5遺伝子である、請求項136~195のいずれか一項に記載の方法。
【請求項197】
前記対象がヒトであり、前記C5遺伝子がヒトC5遺伝子である、請求項136~196のいずれか一項に記載の方法。
【請求項198】
(I)前記方法が、前記対象における細胞の標的集団の前記C5遺伝子の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%の編集パーセントをもたらすか、又は
(II)前記方法が、前記対象における細胞の標的集団の前記C5遺伝子の約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、又は約95%~約99%の編集をもたらす、
請求項136~197のいずれか一項に記載の方法。
【請求項199】
前記方法が、前記対象において補体C5タンパク質の血清レベルの低下をもたらし、任意選択的に、補体C5タンパク質の血清レベルが、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する、請求項136~198のいずれか一項に記載の方法。
【請求項200】
前記方法が、前記対象における補体C5タンパク質活性の低下をもたらし、任意選択的に、前記方法が、感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定した場合、古典経路溶血の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%パーセントの阻害をもたらす、請求項136~199のいずれか一項に記載の方法。
【請求項201】
C5補体活性が、補体媒介性ヒツジ赤血球溶解のCH50アッセイによって測定される場合、約95~100%低減される、請求項136~200のいずれか一項に記載の方法。
【請求項202】
前記組成物が更なる治療剤と会合して投与される、請求項136~200のいずれか一項に記載の方法。
【請求項203】
前記更なる治療剤が、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質、アセトアミノフェン、アルブミン注入、アンクロッド、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗生物質、抗CD20剤、抗凝血剤、抗真菌剤、降圧薬、抗炎症薬、抗プラスミン-a1、抗発作剤、抗血栓剤、抗TNFα剤、抗ウイルス剤、アルガトロバン、アスピリン、生物学的治療剤、ビバリルジン、C3阻害剤、コルチコステロイド、シクロスポリンA、ダビガトラン、デフィブロチド、E-アミノカプロン酸、経腸栄養、エリスロマイシン、エリスロポエチン、線溶剤、葉酸、フォンダパリヌクス、ヘパリン、ホルモン補充療法、イブプロフェン、イドラパリヌクス、免疫抑制薬、インフリキシマブ、ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素の阻害剤、鉄サプリメント、レピルジン、脂質低下剤、硫酸マグネシウム、髄膜炎菌ワクチン、メトトレキサート、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、オリゴヌクレオチド、パラセタモール、非経口栄養、ペニシリン、フェニンジオン、妊娠避妊薬、プロスタサイクリン、リツキシマブ、トロンビン阻害剤、ワクチン、ビンクリスチン、ビタミン、及び/又はワルファリンである、請求項202に記載の方法。
【請求項204】
前記更なる治療剤が、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質である、請求項203に記載の方法。
【請求項205】
前記抗原結合タンパク質が前記対象に静脈内又は皮下投与される、請求項204に記載の方法。
【請求項206】
前記抗原結合タンパク質の初回用量が前記対象に静脈内投与され、抗原結合タンパク質の1つ以上の更なる用量が皮下投与される、請求項204又は205に記載の方法。
【請求項207】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が抗体又はその抗原結合断片である、請求項204~206のいずれか一項に記載の方法。
【請求項208】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、
(1)配列番号341に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号349に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(2)配列番号357に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号365に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(3)配列番号373に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号381に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(4)配列番号389に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号397に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(5)配列番号405に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号413に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(6)配列番号421に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号429に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(7)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(8)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(9)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(10)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(11)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(12)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(13)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(14)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(15)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(16)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(17)配列番号493に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号501に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(18)配列番号509に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号517に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(19)配列番号525に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号533に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(20)配列番号541に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号549に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(21)配列番号557に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号565に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(22)配列番号573に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号581に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(23)配列番号589に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(24)配列番号605に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(25)配列番号613に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号621に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(26)配列番号629に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号637に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(27)配列番号645に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号653に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
(28)配列番号661に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号669に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;あるいは
(29)配列番号677に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号685に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;
を含み、あるいは
C5への結合について、(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と競合する、あるいは
(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と同じC5上のエピトープに結合する、
請求項204~207のいずれか一項に記載の方法。
【請求項209】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖又はその可変領域又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖又はその可変領域又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含むモノクローナル抗体であり、
任意選択的に、C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質が、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖及び配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含むモノクローナル抗体である、
請求項204~208のいずれか一項に記載の方法。
【請求項210】
C5に特異的に結合する前記抗原結合タンパク質がポゼリマブである、請求項204~209のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年10月28日に出願された米国特許出願第63/272,863号の利益を主張し、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
EFS WEBを介してテキストファイルとして提出された配列表への参照
ファイル057766-586086.xmlに記載されている配列表は914キロバイトであり、2022年10月28日に作成され、参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0003】
補体系は、活性化されると標的細胞の溶解をもたらし、オプソニン化を介して食作用を促進する血漿タンパク質の群である。補体は、3つの主要な経路:典型的には免疫複合体によって活性化される古典経路;保護されていない細胞表面によって誘導され得る代替経路;及びマンノース結合レクチン経路による一連のタンパク質分解工程を介して活性化される。補体カスケードの3つ全ての経路は、補体成分5(C5)タンパク質のタンパク質分解切断に集中する。補体成分5(C5)の切断は、断片C5a及びC5bの産生を生じ、このプロセスは、補体カスケードの活性化の間に重要である。C5aは、その受容体への結合を介して多面的な生理学的応答を生成することができる。C5aは、走化性遊走を誘導し、細胞接着を増強し、酸化的バーストを刺激し、ヒスタミン又はサイトカインなどの様々な炎症メディエータの放出を誘導する強力な炎症促進性メディエータである。C5bは、補体依存性細胞傷害(CDC)の後期に細胞溶解をもたらす膜侵襲複合体(MAC、又はC5b-9)の形成を媒介する。更に、C5b-9による細胞溶解に対して耐性である有核細胞において、亜溶解量のC5b-9は、細胞増殖、炎症促進性メディエータの産生及び細胞外マトリックスの産生をもたらす細胞活性化を引き起こし得る。
【0004】
C5関連疾患の予防及び治療のためにC5遺伝子を標的とする治療薬が依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
ガイドRNA又はガイドRNAをコードするDNAを含む組成物、組成物を含む細胞、細胞においてC5遺伝子を改変する方法、対象においてC5遺伝子を改変するか、又はC5遺伝子の発現を低下させるか、又は補体C5タンパク質の活性を低下させる方法、及びC5に関連する疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は適応症を予防、治療又は改善する方法が提供される。
【0006】
一態様では、ガイドRNA又はガイドRNAをコードするDNAを含む組成物が提供され、ガイドRNAは、C5遺伝子のガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、ガイドRNAは、Casタンパク質に結合し、C5遺伝子のガイドRNA標的配列へのCasタンパク質を標的とする。
【0007】
いくつかのかかる組成物では、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン27、22、21、15、12、若しくは1内にあるか、又はガイドRNA標的配列が、C5遺伝子のコードエキソン15若しくは12内にある。いくつかのかかる組成物では、C5遺伝子はヒトC5遺伝子である。
【0008】
いくつかのかかる組成物では、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む。いくつかのかかる組成物では、ガイドRNA標的配列は、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む。いくつかのかかる組成物では、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である。
【0009】
いくつかのかかる組成物では、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。いくつかのかかる組成物では、ガイドRNA標的配列は、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0010】
いくつかのかかる組成物では、組成物はRNAの形態のガイドRNAを含む。いくつかのかかる組成物では、組成物はガイドRNAをコードするDNAを含む。いくつかのかかる組成物では、ガイドRNAは少なくとも1つの修飾を含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる組成物では、少なくとも1つの修飾は、(i)ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(ii)ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(iii)ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、(iv)ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、を含む。いくつかのかかる組成物では、ガイドRNAは、配列番号29の修飾ヌクレオチドを含む。
【0011】
いくつかのかかる組成物では、ガイドRNAは単一ガイドRNA(sgRNA)である。いくつかのかかる組成物では、ガイドRNAは、配列番号21~29のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、ガイドRNAが、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、ガイドRNAは、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、又はガイドRNAは、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0012】
いくつかのかかる組成物では、ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)を含む2つの別個のRNA分子を含む二重ガイドRNA(dgRNA)である。いくつかのかかる組成物では、crRNAは、配列番号16~17のうちのいずれか1つに示される配列を含む。いくつかのかかる組成物では、tracrRNAは、配列番号18~20のうちのいずれか1つに示される配列を含む。
【0013】
いくつかのかかる組成物では、組成物は脂質ナノ粒子と会合している。いくつかのかかる組成物では、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、中性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質を含む。いくつかのかかる組成物では、カチオン性脂質はリピドAである。いくつかのかかる組成物では、中性脂質はDSPCである。いくつかのかかる組成物では、ヘルパー脂質はコレステロールである。いくつかのかかる組成物では、ステルス脂質はPEG2k-DMGである。いくつかのかかる組成物では、カチオン性脂質はリピドAであり、中性脂質はDSPCであり、ヘルパー脂質はコレステロールであり、ステルス脂質はPEG2k-DMGである。
【0014】
いくつかのかかる組成物では、組成物は、薬学的に許容される担体を含む医薬組成物である。
【0015】
いくつかのかかる組成物では、組成物は、Casタンパク質又はCasタンパク質をコードする核酸を更に含む。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質は、Cas9タンパク質である。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質は、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9タンパク質に由来する。いくつかのかかる組成物では、組成物は、タンパク質の形態のCasタンパク質を含む。いくつかのかかる組成物では、組成物は、Casタンパク質をコードする核酸を含み、核酸は、Casタンパク質をコードするDNAを含み、任意選択的に、組成物は、ガイドRNAをコードするDNAを含む。いくつかのかかる組成物では、組成物は、Casタンパク質をコードする核酸を含み、核酸は、Casタンパク質をコードするmRNAを含み、任意選択的に、組成物は、RNAの形態のガイドRNAを含む。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質をコードするmRNAは、少なくとも1つの修飾を含む。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質をコードするmRNAは、1つ以上又は全てのウリジン位置に修飾ウリジンを含むように修飾される。いくつかのかかる組成物では、修飾ウリジンは、シュードウリジンである。いくつかのかかる組成物では、修飾ウリジンは、N1-メチル-シュードウリジンである。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質をコードするmRNAは、シュードウリジンで完全に置換されている。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質をコードするmRNAは、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換されている。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質をコードするmRNAは5’キャップを含む。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質をコードするmRNAはポリ(A)テールを含む。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質をコードするmRNAは、配列番号339、338、又は12に示される配列を含む。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質をコードする核酸は、哺乳動物細胞又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。いくつかのかかる組成物では、Casタンパク質は、配列番号11又は8に示される配列を含む。
【0016】
いくつかのかかる組成物では、組成物は、第2のガイドRNA又は第2のガイドRNAをコードするDNAを更に含み、第2のガイドRNAは、C5遺伝子の第2のガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、第2のガイドRNAは、Casタンパク質に結合し、Casタンパク質をC5遺伝子の第2のガイドRNA標的配列に標的とする。
【0017】
いくつかのかかる組成物では、組成物は、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質と会合している。いくつかのかかる組成物では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は抗体又はその抗原結合断片である。いくつかのかかる組成物では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、(1)配列番号341に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号349に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(2)配列番号357に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号365に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(3)配列番号373に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号381に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(4)配列番号389に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号397に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(5)配列番号405に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号413に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(6)配列番号421に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号429に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(7)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(8)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(9)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(10)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(11)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(12)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(13)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(14)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(15)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(16)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(17)配列番号493に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号501に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(18)配列番号509に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号517に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(19)配列番号525に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号533に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(20)配列番号541に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号549に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(21)配列番号557に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号565に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(22)配列番号573に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号581に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(23)配列番号589に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(24)配列番号605に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(25)配列番号613に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号621に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(26)配列番号629に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号637に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(27)配列番号645に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号653に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(28)配列番号661に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号669に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;あるいは(29)配列番号677に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号685に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;を含むか、あるいは(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質とC5への結合について競合するか、あるいは(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と同じC5上のエピトープに結合する。いくつかのかかる組成物では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖又はその可変領域又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖又はその可変領域又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含むモノクローナル抗体である。いくつかのかかる組成物では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖及び配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含むモノクローナル抗体である。いくつかのかかる組成物では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質はポゼリマブである。
【0018】
別の態様では、上記の組成物のいずれかを含む細胞が提供される。
【0019】
別の態様では、細胞内のC5遺伝子を改変する方法が提供される。いくつかのそのような方法は、上記の組成物のいずれかを細胞に導入することを含み、ガイドRNAは、Casタンパク質と複合体を形成し、C5遺伝子内のガイドRNA標的配列を標的とし、Casタンパク質は、ガイドRNA標的配列を切断して、C5遺伝子内に標的化遺伝子改変をもたらす。
【0020】
いくつかのかかる方法では、Casタンパク質による切断は、C5遺伝子における二本鎖切断を作り出す。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質による切断は、C5遺伝子中に一本鎖切断を作り出す。いくつかのかかる方法では、標的化遺伝子改変は、非相同末端結合による切断されたガイドRNA標的配列の修復によって生成される。いくつかのかかる方法では、方法は、細胞におけるC5遺伝子の発現若しくは活性の低下をもたらすか、又は方法は、細胞におけるC5遺伝子の機能喪失若しくは不活性化をもたらす。
【0021】
いくつかのかかる方法では、細胞は肝細胞である。いくつかのかかる方法では、細胞は哺乳動物細胞であり、C5遺伝子は哺乳動物C5遺伝子である。いくつかのかかる方法では、細胞はヒト細胞であり、C5遺伝子はヒトC5遺伝子である。いくつかのかかる方法では、細胞はインビトロ又はエクスビボである。いくつかのかかる方法では、細胞はインビボで動物内にある。
【0022】
いくつかのかかる方法では、方法は、動物における細胞の標的集団のC5遺伝子の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%の編集パーセントをもたらす。いくつかのかかる方法では、方法は、動物における細胞の標的集団のC5遺伝子の約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、又は約95%~約99%の編集をもたらす。
【0023】
いくつかのかかる方法では、方法は、動物において補体C5タンパク質の血清レベルの低下をもたらし、任意選択的に、補体C5タンパク質の血清レベルが、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する。いくつかのかかる方法では、方法は、動物における補体C5タンパク質活性の低下をもたらし、任意選択的に、方法が、感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定した場合、古典経路溶血の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%パーセントの阻害をもたらす。
【0024】
いくつかのかかる方法では、C5補体活性は、補体媒介性ヒツジ赤血球溶解のCH50アッセイによって測定される場合、約95~100%低減される。いくつかのかかる方法では、方法は、動物に更なる治療剤を投与することを更に含む。いくつかのかかる方法では、更なる治療剤は、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質、アセトアミノフェン、アルブミン注入、アンクロッド、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗生物質、抗CD20剤、抗凝血剤、抗真菌剤、降圧薬、抗炎症薬、抗プラスミン-a1、抗発作剤、抗血栓剤、抗TNFα剤、抗ウイルス剤、アルガトロバン、アスピリン、生物学的治療剤、ビバリルジン、C3阻害剤、コルチコステロイド、シクロスポリンA、ダビガトラン、デフィブロチド、E-アミノカプロン酸、経腸栄養、エリスロマイシン、エリスロポエチン、線溶剤、葉酸、フォンダパリヌクス、ヘパリン、ホルモン補充療法、イブプロフェン、イドラパリヌクス、免疫抑制薬、インフリキシマブ、ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素の阻害剤、鉄サプリメント、レピルジン、脂質低下剤、硫酸マグネシウム、髄膜炎菌ワクチン、メトトレキサート、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、オリゴヌクレオチド、パラセタモール、非経口栄養、ペニシリン、フェニンジオン、妊娠避妊薬、プロスタサイクリン、リツキシマブ、トロンビン阻害剤、ワクチン、ビンクリスチン、ビタミン、及び/又はワルファリンである。
【0025】
いくつかのかかる方法では、治療剤は、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質である。いくつかのかかる方法では、抗原結合タンパク質は動物に静脈内又は皮下投与される。いくつかのかかる方法では、抗原結合タンパク質の初回用量は動物に静脈内投与され、抗原結合タンパク質の1つ以上の更なる用量は皮下投与される。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は抗体又はその抗原結合断片である。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、(1)配列番号341に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号349に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(2)配列番号357に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号365に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(3)配列番号373に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号381に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(4)配列番号389に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号397に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(5)配列番号405に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号413に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(6)配列番号421に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号429に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(7)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(8)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(9)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(10)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(11)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(12)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(13)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(14)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(15)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(16)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(17)配列番号493に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号501に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(18)配列番号509に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号517に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(19)配列番号525に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号533に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(20)配列番号541に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号549に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(21)配列番号557に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号565に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(22)配列番号573に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号581に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(23)配列番号589に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(24)配列番号605に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(25)配列番号613に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号621に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(26)配列番号629に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号637に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(27)配列番号645に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号653に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(28)配列番号661に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号669に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;あるいは(29)配列番号677に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号685に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;を含むか、あるいは(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質とC5への結合について競合するか、あるいは(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と同じC5上のエピトープに結合する。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖又はその可変領域又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖又はその可変領域又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含むモノクローナル抗体である。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖及び配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含むモノクローナル抗体である。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質はポゼリマブである。
【0026】
別の態様では、細胞内のC5遺伝子を改変する方法が提供される。いくつかのそのような方法は、細胞のゲノムを、(a)Casタンパク質;及び(b)Casタンパク質と複合体を形成し、C5遺伝子内のガイドRNA標的配列を標的化するガイドRNAと接触させることを含み、Casタンパク質はガイドRNA標的配列を切断して、C5遺伝子内に標的化遺伝子改変を生成する。
【0027】
いくつかのかかる方法では、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン27、22、21、15、12、若しくは1内にあるか、又はガイドRNA標的配列が、C5遺伝子のコードエキソン15若しくは12内にある。いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、ガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。いくつかのかかる方法では、ガイドRNA標的配列は、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む。いくつかのかかる方法では、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である。
【0028】
いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、ガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。いくつかのかかる方法では、ガイドRNA標的配列は、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0029】
いくつかのかかる方法では、方法は、細胞に、(a)Casタンパク質又はCasタンパク質をコードする核酸;及び(b)ガイドRNA又はガイドRNAをコードするDNAを導入することを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質又はCasタンパク質をコードする核酸及び/又はガイドRNA若しくはガイドRNAをコードするDNAは、脂質ナノ粒子媒介送達を介して細胞に導入される。いくつかのかかる方法では、RNAの形態のガイドRNA及びCasタンパク質をコードする核酸は、脂質ナノ粒子媒介送達を介して細胞に導入され、Casタンパク質をコードする核酸はmRNAである。いくつかのかかる方法では、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、中性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質を含む。いくつかのかかる方法では、カチオン性脂質はリピドAである。いくつかのかかる方法では、中性脂質はDSPCである。いくつかのかかる方法では、ヘルパー脂質はコレステロールである。いくつかのかかる方法では、ステルス脂質はPEG2k-DMGである。いくつかのかかる方法では、カチオン性脂質はリピドAであり、中性脂質はDSPCであり、ヘルパー脂質はコレステロールであり、ステルス脂質はPEG2k-DMGである。
【0030】
いくつかのかかる方法では、Casタンパク質又はCasタンパク質をコードする核酸及び/又はガイドRNA若しくはガイドRNAをコードするDNAは、アデノ随伴ウイルスを介して細胞に導入される。
【0031】
いくつかのかかる方法では、方法は、Casタンパク質をコードする核酸を細胞に導入することを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードする核酸は、哺乳動物細胞又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードする核酸はDNAを含み、任意選択的に、方法は、ガイドRNAをコードするDNAを細胞に導入することを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードする核酸はRNAを含み、任意選択的に、方法は、RNAの形態のガイドRNAを細胞に導入することを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは、少なくとも1つの修飾を含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは、1つ以上又は全てのウリジン位置に修飾ウリジンを含むように修飾される。いくつかのかかる方法では、修飾ウリジンは、シュードウリジンである。いくつかのかかる方法では、修飾ウリジンは、N1-メチル-シュードウリジンである。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするメッセンジャーRNAをシュードウリジンで完全に置換する。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換されている。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは5’キャップを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAはポリ(A)テールを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは、配列番号339、338、又は12に示される配列を含む。
【0032】
いくつかのかかる方法では、方法は、RNAの形態のガイドRNAを細胞に導入することを含む。いくつかのかかる方法では、方法は、ガイドRNAをコードするDNAを細胞に導入することを含む。いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは少なくとも1つの修飾を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、(i)ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(ii)ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(iii)ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、(iv)ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、を含む。いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、配列番号29の修飾ヌクレオチドを含む。
【0033】
いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは単一ガイドRNA(sgRNA)である。いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、配列番号21~29のうちのいずれか1つに示される配列を含み、ガイドRNAは、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、ガイドRNAは、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、又はガイドRNAは、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0034】
いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)を含む2つの別個のRNA分子を含む二重ガイドRNA(dgRNA)である。いくつかのかかる方法では、crRNAは、配列番号16~17のうちのいずれか1つに示される配列を含む。いくつかのかかる方法では、tracrRNAは、配列番号18~20のうちのいずれか1つに示される配列を含む。
【0035】
いくつかのかかる方法では、Casタンパク質は、Cas9タンパク質である。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質は、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9タンパク質に由来する。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質は、配列番号11又は8に示される配列を含む。
【0036】
いくつかのかかる方法では、方法は、第2のガイドRNA又は第2のガイドRNAをコードするDNAを細胞に導入することを更に含み、第2のガイドRNAはCasタンパク質と複合体を形成し、Casタンパク質をC5遺伝子内の第2のガイドRNA標的配列に標的化し、Casタンパク質は第2のガイドRNA標的配列を切断してC5遺伝子内に標的化遺伝子改変を生成する。
【0037】
いくつかのかかる方法では、Casタンパク質による切断は、C5遺伝子における二本鎖切断を作り出す。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質による切断は、C5遺伝子中に一本鎖切断を作り出す。いくつかのかかる方法では、標的化遺伝子改変は、非相同末端結合による切断されたガイドRNA標的配列の修復によって生成される。いくつかのかかる方法では、方法は、細胞におけるC5遺伝子の発現若しくは活性の低下をもたらすか、又は方法は、細胞におけるC5遺伝子の機能喪失若しくは不活性化をもたらす。
【0038】
いくつかのかかる方法では、細胞は肝細胞である。いくつかのかかる方法では、細胞は哺乳動物細胞であり、C5遺伝子は哺乳動物C5遺伝子である。いくつかのかかる方法では、細胞はヒト細胞であり、C5遺伝子はヒトC5遺伝子である。いくつかのかかる方法では、細胞はインビトロ又はエクスビボである。いくつかのかかる方法では、細胞はインビボで動物内にある。
【0039】
いくつかのかかる方法では、方法は、動物における細胞の標的集団のC5遺伝子の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%の編集パーセントをもたらす。いくつかのかかる方法では、方法は、動物における細胞の標的集団のC5遺伝子の約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、又は約95%~約99%の編集をもたらす。
【0040】
いくつかのかかる方法では、方法は、動物において補体C5タンパク質の血清レベルの低下をもたらし、任意選択的に、補体C5タンパク質の血清レベルが、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する。いくつかのかかる方法では、方法は、動物における補体C5タンパク質活性の低下をもたらし、任意選択的に、方法が、感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定した場合、古典経路溶血の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%パーセントの阻害をもたらす。
【0041】
別の態様では、対象においてC5遺伝子を改変するか、又はC5遺伝子の発現を低下させるか、又は補体C5タンパク質の活性を低下させる方法が提供される。いくつかのそのような方法は、対象に、(a)Casタンパク質又はCasタンパク質をコードする核酸;及び(b)ガイドRNA又はガイドRNAをコードするDNAを投与することを含み、ガイドRNAはCasタンパク質と複合体を形成し、C5遺伝子のガイドRNA標的配列を標的とし、Casタンパク質はガイドRNA標的配列を切断して、C5遺伝子の標的化遺伝子改変を生成する。別の態様では、C5に関連する疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は適応症を予防、治療、又は改善する方法が提供される。いくつかのそのような方法は、それを必要とする対象に、治療有効量の、(a)Casタンパク質又はCasタンパク質をコードする核酸;及び(b)ガイドRNA又はガイドRNAをコードするDNAを含む医薬組成物を投与することを含み、ガイドRNAはCasタンパク質と複合体を形成し、C5遺伝子のガイドRNA標的配列を標的とし、Casタンパク質はガイドRNA標的配列を切断して、C5遺伝子の標的化遺伝子改変を生成する。
【0042】
いくつかのかかる方法では、疾患又は障害は、成人呼吸窮迫症候群;加齢黄斑変性(AMD);アレルギー;アルポート症候群;アルツハイマー病;筋萎縮性側索硬化症(ALS);抗リン脂質症候群(APS);喘息;アテローム性動脈硬化症;非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS);自己免疫疾患;自己免疫性溶血性貧血(AIHA);バルーン血管形成;気管支収縮;水疱性類天疱瘡;火傷;C3糸球体症;毛細血管漏出症候群;心血管障害;突発性抗リン脂質症候群(CAPS);脳血管障害;CHAPLE疾患(補体の過剰活性化、血管障害性血栓症及びタンパク質喪失性腸障害を伴うCD55欠損症);化学的損傷;慢性閉塞性肺疾患(COPD);寒冷凝集素症(CAD);角膜及び/又は網膜組織;クローン病;デゴス病;高密度沈着物疾患(DDD);皮膚筋炎;糖尿病;糖尿病性血管障害;糖尿病性黄斑浮腫(DME);糖尿病性腎症;糖尿病性網膜症;拡張型心筋症;不適切又は望ましくない補体活性化障害;呼吸困難;子癇;気腫;表皮水疱症;てんかん;線維原性ダスト疾患;凍傷;地図状萎縮(GA);糸球体腎炎;糸球体症;グッドパスチャー症候群;グレーブス病;ギラン・バレー症候群;橋本甲状腺炎;血液透析合併症;溶血-肝臓酵素上昇及び低血小板(HELLP)症候群;溶血性貧血;喀血;Henoch-Schonlein紫斑病性腎炎;遺伝性血管浮腫;超急性同種移植片拒絶;過敏性肺炎;特発性血小板減少性紫斑病(ITP);IgA腎症;免疫複合体障害;免疫複合体血管炎;免疫複合体関連炎症;感染症;自己免疫疾患によって引き起こされる炎症;炎症性障害;遺伝性CD59欠損;不活性ダスト及び/又は鉱物による損傷;IL-2治療中のインターロイキン-2誘導性毒性;虚血-再灌流傷害;川崎病;肺の疾患又は障害;ループス腎炎;膜増殖性糸球体腎炎;膜増殖性腎炎;大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流;腸間膜/腸間膜血管障害;多巣性運動ニューロパシー(MMN);多発性硬化症;重症筋無力症;心筋梗塞;心筋炎;神経障害;視神経脊髄炎;肥満;眼血管新生;脈絡膜に影響を及ぼす眼血管新生;有機ダスト病;寄生虫症;パーキンソン病;発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH);低免疫性血管炎;天疱瘡;経皮的冠動脈形成術(PTCA);末梢血管障害;肺炎;虚血後再灌流状態;心肺バイパスにおけるポンプ後症候群;腎バイパスにおけるポンプ後症候群;子癇前症;進行性腎不全;増殖性腎炎;タンパク尿腎疾患;乾癬;肺塞栓症;肺線維症;肺梗塞;肺血管炎;再発性胎児喪失;腎障害;腎虚血;腎虚血-再灌流傷害;腎血管障害;ステント留置後の再狭窄;関節リウマチ(RA);回転式アテレクトミー;統合失調症;敗血症;敗血症性ショック;SLE腎炎;煙による傷害;脊髄損傷;自然胎児喪失;脳卒中;敗血症に対する全身性炎症反応;全身性エリテマトーデス(SLE);全身性エリテマトーデス関連血管炎;高安病;熱損傷;血栓性血小板減少性紫斑病(TTP);外傷性脳損傷;I型糖尿病;典型的な溶血性尿毒症症候群(tHUS);ブドウ膜炎;血管炎;関節リウマチに関連する血管炎;静脈ガス塞栓(VGE);及び/又は異種移植片拒絶である。
【0043】
いくつかのかかる方法では、疾患又は障害は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、加齢黄斑変性、地図状萎縮、ブドウ膜炎、視神経脊髄炎、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・バレー症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、不適切又は望ましくない補体活性化の障害、血液透析合併症、超急性同種移植片拒絶、異種移植片拒絶、IL-2療法中のインターロイキン-2誘発毒性、炎症性障害、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、熱傷又は霜を含む熱傷、虚血後再灌流状態、心筋梗塞、毛細血管漏出症候群、肥満、糖尿病、アルツハイマー病、統合失調症、脳卒中、てんかん、アテローム性動脈硬化、血管炎、水疱性類天疱瘡、C3糸球体症、膜性増殖性糸球体腎炎、糖尿病性腎症、アルポート症候群、進行性腎不全、タンパク尿性腎疾患、腎虚血-再灌流傷害、ループス腎炎、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染症又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、腎障害、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、増殖性腎炎、溶血性貧血、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、肺塞栓症及び梗塞、肺炎、及び重症筋無力症からなる群から選択される。いくつかのかかる方法では、疾患又は障害は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、難治性重症筋無力症(rMG)、視神経脊髄炎(NMO)、IgA腎症、膜性腎症、ループス腎炎、C3糸球体症、及びANCA-血管炎である。
【0044】
いくつかのかかる方法では、疾患又は障害はaHUS又はPNHである。いくつかのかかる方法では、疾患又は障害はaHUSである。いくつかのかかる方法では、疾患又は障害はPNHである。いくつかのかかる方法では、疾患又は障害はPNHであり、方法は、対象における血清乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)レベル、脈管内溶血、及び/又は赤血球の輸血の必要性を低減するためのものである。いくつかのかかる方法では、疾患又は障害は、CD55欠損タンパク質喪失腸疾患(CHAPLE疾患)である。いくつかのかかる方法では、疾患又は障害は、CD55欠乏タンパク質喪失性腸症(CHAPLE疾患)であり、方法は、(i)胃腸管を通じた、血清アルブミンを正常化及び/若しくは増加させること又はその損失を減少させること;胃腸管を通じた、総血清タンパク質レベルを増加させること、又はその損失を減少させること;血清ビタミンB12又はその胃腸吸収を増加させること;血小板数を減少させること、又は凝固カスケード活性化を減少させること、又は血栓性事象の発生率を減少させること;消化管を通じたアルファ-1-アンチトリプシンの喪失を減少させること;顔面及び/又は末梢浮腫を治療又は予防すること;腸運動の頻度を減少させること;下痢を治療又は予防すること;腹痛を治療又は予防すること;コルチコステロイドの使用を減少させること;及び/又は対象における入院の発生率を低下させること;あるいは(ii)対象における治療的介入を減少させることであって、治療的介入が、コルチコステロイドの投与;免疫グロブリンの投与;アルブミンの投与;抗腫瘍壊死因子アルファ治療剤の投与;免疫調節薬の投与;微量栄養素の投与;経腸又は非経口補充の投与;抗凝固剤の投与;抗生物質の投与;及び抗血小板剤の投与からなる群から選択される1つ以上である、こと、のためのものである。任意選択的に、方法は、血清アルブミンを少なくとも1g/dL増加させるため、及び/又は血清アルブミンを約3.5~約5.5g/dLに正常化するためのものである。
【0045】
いくつかのかかる方法では、医薬組成物は、それを必要とする対象に予防的又は治療的に投与される。いくつかのかかる方法では、医薬組成物は静脈内投与される。
【0046】
いくつかのかかる方法では、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン27、22、21、15、12、若しくは1内にあるか、又はガイドRNA標的配列が、C5遺伝子のコードエキソン15若しくは12内にある。いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、ガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。いくつかのかかる方法では、ガイドRNA標的配列は、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含む。いくつかのかかる方法では、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、若しくは少なくとも99%同一である。
【0047】
いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、ガイドRNA標的配列を標的とするDNA標的化セグメントを含み、DNA標的化セグメントは、配列番号33~120のいずれか1つ、配列番号60、65、67、82、85、87、97及び119のうちのいずれか1つ、又は配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。いくつかのかかる方法では、ガイドRNA標的配列は、配列番号209~296のうちのいずれか1つ、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つ、又は配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0048】
いくつかのかかる方法では、Casタンパク質又はCasタンパク質をコードする核酸及び/又はガイドRNA又はガイドRNAをコードするDNAは、脂質ナノ粒子媒介送達を介して対象に投与される。いくつかのかかる方法では、RNAの形態のガイドRNA及びCasタンパク質をコードする核酸は脂質ナノ粒子媒介送達を介して対象に投与され、Casタンパク質をコードする核酸はmRNAである。いくつかのかかる方法では、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、中性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質を含む。いくつかのかかる方法では、カチオン性脂質はリピドAである。いくつかのかかる方法では、中性脂質はDSPCである。いくつかのかかる方法では、ヘルパー脂質はコレステロールである。いくつかのかかる方法では、ステルス脂質はPEG2k-DMGである。いくつかのかかる方法では、カチオン性脂質はリピドAであり、中性脂質はDSPCであり、ヘルパー脂質はコレステロールであり、ステルス脂質はPEG2k-DMGである。
【0049】
いくつかのかかる方法では、Casタンパク質又はCasタンパク質をコードする核酸及び/又はガイドRNA又はガイドRNAをコードするDNAは、アデノ随伴ウイルスを介して対象に投与される。
【0050】
いくつかのかかる方法では、方法は、Casタンパク質をコードする核酸を投与することを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードする核酸は、哺乳動物細胞又はヒト細胞における発現のためにコドン最適化される。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードする核酸はDNAを含み、任意選択的に、方法は、ガイドRNAをコードするDNAを投与することを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードする核酸はRNAを含み、任意選択的に、方法は、RNAの形態のガイドRNAを投与することを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは、少なくとも1つの修飾を含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは、1つ以上又は全てのウリジン位置に修飾ウリジンを含むように修飾される。いくつかのかかる方法では、修飾ウリジンは、シュードウリジンである。いくつかのかかる方法では、修飾ウリジンは、N1-メチル-シュードウリジンである。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするメッセンジャーRNAをシュードウリジンで完全に置換する。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換されている。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは5’キャップを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAはポリ(A)テールを含む。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質をコードするRNAは、配列番号339、338、又は12に示される配列を含む。
【0051】
いくつかのかかる方法では、本方法は、RNAの形態のガイドRNAを投与することを含む。いくつかのかかる方法では、本方法は、ガイドRNAをコードするDNAを投与することを含む。いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは少なくとも1つの修飾を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドに2’-O-メチル修飾ヌクレオチドを含む。いくつかのかかる方法では、少なくとも1つの修飾は、(i)ガイドRNAの5’末端の最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(ii)ガイドRNAの3’末端の最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合と、(iii)ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、(iv)ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドの2’-O-メチル修飾ヌクレオチドと、を含む。いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、配列番号29の修飾ヌクレオチドを含む。
【0052】
いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは単一ガイドRNA(sgRNA)である。いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、配列番号21~29のうちのいずれか1つに示される配列を含み、ガイドRNAは、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、ガイドRNAは、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、又はガイドRNAは、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0053】
いくつかのかかる方法では、ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)及びトランス活性化crRNA(tracrRNA)を含む2つの別個のRNA分子を含む二重ガイドRNA(dgRNA)である。いくつかのかかる方法では、crRNAは、配列番号16~17のうちのいずれか1つに示される配列を含む。いくつかのかかる方法では、tracrRNAは、配列番号18~20のうちのいずれか1つに示される配列を含む。
【0054】
いくつかのかかる方法では、Casタンパク質は、Cas9タンパク質である。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質は、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9タンパク質に由来する。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質は、配列番号11又は8に示される配列を含む。
【0055】
いくつかのかかる方法では、方法は、第2のガイドRNA又は第2のガイドRNAをコードするDNAを対象に投与することを更に含み、第2のガイドRNAは、Casタンパク質と複合体を形成し、Casタンパク質をC5遺伝子内の第2のガイドRNA標的配列に標的化し、Casタンパク質が第2のガイドRNA標的配列を切断してC5遺伝子内に標的化遺伝子改変を生成する。
【0056】
いくつかのかかる方法では、Casタンパク質による切断は、C5遺伝子における二本鎖切断を作り出す。いくつかのかかる方法では、Casタンパク質による切断は、C5遺伝子中に一本鎖切断を作り出す。いくつかのかかる方法では、標的化遺伝子改変は、非相同末端結合による切断されたガイドRNA標的配列の修復によって生成される。いくつかのかかる方法では、本方法は、細胞におけるC5遺伝子の発現又は活性の低減をもたらす。いくつかのかかる方法では、本方法は、細胞におけるC5遺伝子の機能喪失又は不活性化をもたらす。
【0057】
いくつかのかかる方法では、対象は哺乳動物であり、C5遺伝子は哺乳動物C5遺伝子である。いくつかのかかる方法では、対象はヒトであり、C5遺伝子はヒトC5遺伝子である。
【0058】
いくつかのかかる方法では、方法は、対象における細胞の標的集団のC5遺伝子の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、若しくは少なくとも95%の編集パーセントをもたらす。いくつかのかかる方法では、方法は、対象における細胞の標的集団のC5遺伝子の約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、又は約95%~約99%の編集をもたらす。
【0059】
いくつかのかかる方法では、方法は、対象において補体C5タンパク質の血清レベルの低下をもたらし、任意選択的に、補体C5タンパク質の血清レベルが、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%低下する。いくつかのかかる方法では、方法は、対象における補体C5タンパク質活性の低下をもたらし、任意選択的に、方法が、感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定した場合、古典経路溶血の少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、又は少なくとも95%パーセントの阻害をもたらす。いくつかのかかる方法では、C5補体活性は、補体媒介性ヒツジ赤血球溶解のCH50アッセイによって測定される場合、約95~100%低減される。
【0060】
いくつかのかかる方法では、組成物は、更なる治療剤と会合して投与される。いくつかのかかる方法では、更なる治療剤は、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質、アセトアミノフェン、アルブミン注入、アンクロッド、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗生物質、抗CD20剤、抗凝血剤、抗真菌剤、降圧薬、抗炎症薬、抗プラスミン-a1、抗発作剤、抗血栓剤、抗TNFα剤、抗ウイルス剤、アルガトロバン、アスピリン、生物学的治療剤、ビバリルジン、C3阻害剤、コルチコステロイド、シクロスポリンA、ダビガトラン、デフィブロチド、E-アミノカプロン酸、経腸栄養、エリスロマイシン、エリスロポエチン、線溶剤、葉酸、フォンダパリヌクス、ヘパリン、ホルモン補充療法、イブプロフェン、イドラパリヌクス、免疫抑制薬、インフリキシマブ、ヒドロキシメチルグルタリルCoA還元酵素の阻害剤、鉄サプリメント、レピルジン、脂質低下剤、硫酸マグネシウム、髄膜炎菌ワクチン、メトトレキサート、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、オリゴヌクレオチド、パラセタモール、非経口栄養、ペニシリン、フェニンジオン、妊娠避妊薬、プロスタサイクリン、リツキシマブ、トロンビン阻害剤、ワクチン、ビンクリスチン、ビタミン、及び/又はワルファリンである。
【0061】
いくつかのかかる方法では、更なる治療剤は、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質である。いくつかのかかる方法では、抗原結合タンパク質は対象に静脈内又は皮下投与される。いくつかのかかる方法では、抗原結合タンパク質の初回用量は対象に静脈内投与され、抗原結合タンパク質の1つ以上の更なる用量は皮下投与される。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は抗体又はその抗原結合断片である。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、(1)配列番号341に示されるアミノ酸配列を含む重鎖可変領域(HCVR)又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号349に示されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域(LCVR)又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(2)配列番号357に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号365に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(3)配列番号373に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号381に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(4)配列番号389に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号397に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(5)配列番号405に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号413に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(6)配列番号421に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号429に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(7)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(8)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(9)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(10)配列番号437に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(11)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(12)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(13)配列番号461に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(14)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(15)配列番号485に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(16)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(17)配列番号493に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号501に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(18)配列番号509に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号517に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(19)配列番号525に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号533に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(20)配列番号541に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号549に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(21)配列番号557に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号565に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(22)配列番号573に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号581に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(23)配列番号589に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(24)配列番号605に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(25)配列番号613に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号621に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(26)配列番号629に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号637に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(27)配列番号645に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号653に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;(28)配列番号661に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号669に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;あるいは(29)配列番号677に示されるアミノ酸配列を含むHCVR又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号685に示されるアミノ酸配列を含むLCVR又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;を含むか、あるいは(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質とC5への結合について競合するか、あるいは(1)~(29)からなる群から選択される抗原結合タンパク質と同じC5上のエピトープに結合する。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖又はその可変領域又はそのHCDR1、HCDR2及びHCDR3、並びに配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖又はその可変領域又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含むモノクローナル抗体である。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質は、配列番号697に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン重鎖及び配列番号698に示されるアミノ酸配列を含む免疫グロブリン軽鎖を含むモノクローナル抗体である。いくつかのかかる方法では、C5に特異的に結合する抗原結合タンパク質はポゼリマブである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1A】初代ヒト肝細胞への異なるC5標的化sgRNAとの10nMのCas9リボ核タンパク質(RNP)複合体の投与後5日目のヒトC5挿入/欠失(インデル)頻度を示す。陽性対照sgRNA PCSK9_1264及びTTR_G000489は、それぞれPCSK9及びTTR遺伝子中の領域を標的とする。陰性対照sgRNA msHc1はヒト非標的化sgRNAである。
【0063】
図1B】初代ヒト肝細胞への異なるC5標的化sgRNAとの10nMのCas9リボヌクレオタンパク質(RNP)複合体の投与後5日目の培養培地におけるヒト補体C5タンパク質発現を示す。
【0064】
図2】初代ヒト肝細胞への25nMの異なるC5標的化sgRNAを含む0.5μgのCas9 mRNAの投与後3日目のヒトC5挿入/欠失(インデル)頻度を示す。
【0065】
図3A】ヒト化C5マウスへの1mg/kgの用量でCas9 mRNA及び異なるC5標的化sgRNAと共に製剤化されたLNPの注射3週間後のヒト補体C5の血漿レベルを示す。
【0066】
図3B】ヒト化C5マウスへの2mg/kgの用量でCas9 mRNA及び異なるC5標的化sgRNAと共に製剤化されたLNPの注射3週間後のヒト補体C5の血漿レベルを示す。
【0067】
図4A】ヒト化C5マウスへの2mg/kgの用量でCas9 mRNA及び異なるC5標的化sgRNAと共に製剤化されたLNPの注射の3週間後に感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定された、それぞれ、古典経路溶血及び対照に対する低減率としての古典経路溶血を示す。
図4B】ヒト化C5マウスへの2mg/kgの用量でCas9 mRNA及び異なるC5標的化sgRNAと共に製剤化されたLNPの注射の3週間後に感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定された、それぞれ、古典経路溶血及び対照に対する低減率としての古典経路溶血を示す。
【0068】
図5A】ヒト化C5マウスへの0.1、0.3、又は1mg/kgの用量での新しいCas9 mRNA及び2つの異なるC5標的化sgRNAと共に製剤化されたLNPの注射の3週間後に感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定された、ヒト補体C5及び古典経路溶血の血漿レベルを示す。
図5B】ヒト化C5マウスへの0.1、0.3、又は1mg/kgの用量での新しいCas9 mRNA及び2つの異なるC5標的化sgRNAと共に製剤化されたLNPの注射の3週間後に感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定された、ヒト補体C5及び古典経路溶血の血漿レベルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0069】
定義
本明細書で互換的に使用される、「タンパク質」、「ポリペプチド」、及び「ペプチド」という用語は、コード化及び非コード化アミノ酸並びに化学的又は生化学的に修飾又は誘導体化したアミノ酸を含む、任意の長さのアミノ酸のポリマー形態を含む。これらの用語には、修飾されたペプチド骨格を有するポリペプチドなどの修飾されたポリマーも含まれる。「ドメイン」という用語は、特定の機能又は構造を有するタンパク質又はポリペプチドの任意の部分を指す。
【0070】
タンパク質は、「N末端」及び「C末端」を有すると言われる。「N末端」という用語は、遊離アミン基(-NH2)を有するアミノ酸を末端に有する、タンパク質又はポリペプチドの開始部に関する。「C末端」という用語は、遊離カルボキシル基(-COOH)によって終端されたアミノ酸鎖(タンパク質又はポリペプチド)の末端部に関する。
【0071】
本明細書で互換的に使用される、「核酸」及び「ポリヌクレオチド」という用語は、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はそれらの類似体若しくは改変バージョンを含む、任意の長さのヌクレオチドのポリマー形態を含む。これらには、一本鎖、二本鎖、及び多重鎖DNA若しくはRNA、ゲノムDNA、cDNA、DNA-RNAハイブリッド、並びにプリン塩基、ピリミジン塩基、又は他の天然、化学的に修飾された、生化学的に修飾された、非天然、若しくは誘導体化されたヌクレオチド塩基を含むポリマーが含まれる。
【0072】
1つのモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸塩がホスホジエステル結合を介して一方向で、その隣の3’酸素に結合する手法でオリゴヌクレオチドを作製するように、モノヌクレオチドが反応するため、核酸は、「5’末端」及び「3’末端」を有すると言われている。オリゴヌクレオチドの末端は、その5’リン酸塩がモノヌクレオチドペントース環の3’酸素に連結されていない場合、「5’末端」と称される。オリゴヌクレオチドの末端は、その3’酸素が別のモノヌクレオチドペントース環の5’リン酸塩に連結されていない場合、「3’末端」と称される。核酸配列は、より大きなオリゴヌクレオチドの内部に存在するとしても、5’及び3’末端を有するとも言われ得る。線状又は環状DNA分子のいずれかにおいて、別個の要素は、「上流」又は「下流」の5’若しくは3’要素であると称される。
【0073】
「ゲノムに組み込まれた」という用語は、ヌクレオチド配列が細胞のゲノムに組み込まれるように、細胞に導入されている核酸を指す。細胞のゲノムへの核酸の安定した組み込みのために、任意のプロトコルが使用され得る。
【0074】
「標的化ベクター」という用語は、相同組換え、非相同末端結合媒介ライゲーション、又は任意の他の組換え手段によって、細胞のゲノム中の標的位置に導入され得る組換え核酸を指す。
【0075】
「ウイルスベクター」という用語は、ウイルス起源の少なくとも1つのエレメントを含み、かつウイルスベクター粒子へのパッケージングに十分な、又はそれを許容するエレメントを含む、組換え核酸を指す。ベクター及び/又は粒子は、DNA、RNA、又は他の核酸を、インビトロ、エクスビボ、又はインビボで細胞に導入する目的で利用することができる。ウイルスベクターの多くの形態が知られている。
【0076】
細胞、組織(例えば、肝臓サンプル)、脂肪滴、タンパク質、及び核酸に関して「分離された」という用語は、通常インサイチュで存在し得る他の細菌、ウイルス、細胞、又は他の成分に関して比較的精製されている細胞、組織(例えば、肝臓サンプル)、脂肪滴、タンパク質、及び核酸を含み、細胞、組織(例えば、肝臓サンプル)、脂肪滴、タンパク質、及び核酸の実質的に純粋な調製物までを含み、並びにそれらの実質的に純粋な調製物を含む。「単離された」という用語はまた、天然に存在する対応物を有さず、化学的に合成され、それにより他の細胞、組織(例えば、肝臓サンプル)、脂肪滴、タンパク質、及び核酸が実質的に混入していないか、又はそれらに天然に付随する(例えば、他の細胞タンパク質、ポリヌクレオチド、若しくは他の成分)ほとんどの他の成分(例えば、細胞成分)から分離若しくは精製されている細胞、組織(例えば、肝臓サンプル)、脂肪滴、タンパク質、及び核酸も含む。
【0077】
「野生型」という用語は、(変異体、病変した、改変したなどとは対照的に)正常な状態又は文脈に見られるような構造及び/又は活性を有する実体を含む。野生型遺伝子及びポリペプチドは、多くの場合、複数の異なる形態(例えば、対立遺伝子)で存在する。
【0078】
「内因性配列」という用語は、ラット細胞又はラット内で天然に存在する核酸配列を指す。例えば、マウスの内因性C5配列は、マウスのC5遺伝子座で天然に存在する天然のC5配列を指す。
【0079】
「外因性」分子又は配列には、その形態で細胞に通常は存在しない分子又は配列が含まれる。通常の存在には、細胞の特定の発生段階及び環境条件に関する存在が含まれる。外因性分子又は配列には、例えば、内因性配列のヒト化バージョンなど、細胞内の対応する内因性配列の変異バージョンが含まれ得るか、又は細胞内であるが、異なる形態の(すなわち、染色体内ではない)内因性配列に対応する配列が含まれ得る。対照的に、内因性分子又は配列は、その形態で、特定の細胞において、特定の発生段階で、特定の環境条件下で通常存在する分子又は配列を含む。
【0080】
核酸又はタンパク質の文脈で使用される場合の「異種」という用語は、核酸又はタンパク質が、同じ分子内で一緒に天然に存在しない少なくとも2つのセグメントを含むことを示す。例えば、「異種」という用語は、核酸のセグメント又はタンパク質のセグメントに関して使用される場合、核酸又はタンパク質が、自然界で互いに同じ関係(例えば、一緒に結合)で見出されない2つ以上のサブ配列を含むことを示す。一例として、核酸ベクターの「異種」領域は、自然界で他の分子と関連して見出されない、別の核酸分子内の、又は別の核酸分子に結合した核酸のセグメントである。例えば、核酸ベクターの異種領域は、自然界のコード配列に関連して見出されない配列に隣接するコード配列を含み得る。同様に、タンパク質の「異種」領域は、自然界の他のペプチド分子(例えば、融合タンパク質、又はタグ付きタンパク質)に関連して見出されない、別のペプチド分子内にあるか、又はそれに結合しているアミノ酸のセグメントである。同様に、核酸又はタンパク質は、異種標識又は異種分泌又は局在化配列を含むことができる。
【0081】
「コドン最適化」は、アミノ酸を指定する3塩基対のコドンの組み合わせの多様性によって示されるように、コドンの縮重を利用し、一般に、天然アミノ酸配列を維持しながら、天然配列の少なくとも1つのコドンを、宿主細胞の遺伝子においてより頻繁に又は最も頻繁に使用されるコドンで置き換えることによって、特定の宿主細胞における発現の増強のために核酸配列を修飾するプロセスを含む。例えば、補体C5タンパク質をコードする核酸は、天然に存在する核酸配列と比較して、細菌細胞、酵母細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、又は他の任意の宿主細胞を含む、所与の原核細胞又は真核細胞においてより頻度高く使用される代替コドンへと修飾することができる。コドン使用頻度表は、例えば、「コドン使用頻度データベース」において容易に利用可能である。これらの表は、様々な方法で適用することができる。Nakamura et al.(2000)Nucleic Acids Res.28(1):292を参照されたく、その全体が、全ての目的のために参照により本明細書に組み込まれる。特定の宿主における発現のための特定の配列のコドン最適化のためのコンピュータアルゴリズム(例えば、Gene Forgeを参照されたい)もまた利用可能である。
【0082】
「遺伝子座」という用語は、遺伝子(又は重要な配列)、DNA配列、ポリペプチドコード配列、又は生物のゲノムの染色体上の位置(position)の特定の位置(location)を指す。例えば、C5遺伝子座は、C5遺伝子の特定の位置、C5DNA配列、補体C5コード配列、又はここでそのような配列が存在するとして同定された生物のゲノムの染色体上C5位置を指すことができる。「C5遺伝子座」は、例えば、エンハンサー、プロモーター、5’及び/又は3’非翻訳領域(UTR)、又はそれらの組み合わせを含む、C5遺伝子の調節エレメントを含み得る。
【0083】
「遺伝子」という用語は、自然に存在する場合、少なくとも1つのコーディング領域と、少なくとも1つの非コーディング領域と、を含む可能性のある染色体内のDNA配列を指す。産物(例えば、非限定的に、RNA産物及び/又はポリペプチド産物)をコードする染色体中のDNA配列は、非コードイントロンで中断されたコード領域及び5’端と3’端の両方のコード領域に隣接して位置する配列を含み得、遺伝子が全長のmRNA(5’及び3’の非翻訳配列を含む)に対応するようなる。更に、調節配列を含む他の非コード配列(例えば、非限定的に、プロモーター、エンハンサー、及び転写因子結合部位)、ポリアデニル化シグナル、配列内リボソーム進入部位、サイレンサー、絶縁配列、及びマトリックス結合領域も遺伝子に存在してもよい。これらの配列は、遺伝子のコード領域に近接(例えば、非限定的に、10kb以内)してもよく、又は離れていてもよく、それらは遺伝子の転写と翻訳のレベル又は速度に影響を及ぼす。
【0084】
「対立遺伝子」という用語は、遺伝子のバリアントを指す。いくつかの遺伝子は、染色体上の同じ位置、又は遺伝子座に位置する様々な異なる形態を有する。二倍体生物は、各遺伝子座に2つの対立遺伝子を有する。対立遺伝子の各対は、特定の遺伝子座の遺伝子型を表す。遺伝子型は、特定の遺伝子座に2つの同一の対立遺伝子がある場合はホモ接合であり、2つの対立遺伝子が異なる場合はヘテロ接合であると記載される。
【0085】
「プロモーター」は、RNAポリメラーゼIIが特定のポリヌクレオチド配列のための適切な転写開始部位でRNA合成を開始することを指示することができるTATAボックスを通常含むDNAの調節領域である。プロモーターは、転写開始速度に影響を及ぼす他の領域を更に含み得る。本明細書に開示されるプロモーター配列は、作動可能に連結されたポリヌクレオチドの転写を調節する。プロモーターは、本明細書に開示される1つ以上の細胞型(例えば、マウス細胞、ラット細胞、多能性細胞、1細胞期胚、分化細胞、又はそれらの組み合わせ)において活性であり得る。プロモーターは、例えば、構成的に活性なプロモーター、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、時間的に制限されたプロモーター(例えば、発生的に調節されたプロモーター)、又は空間的に制限されたプロモーター(例えば、細胞特異的又は組織特異的プロモーター)であり得る。プロモーターの例は、例えば、国際公開第2013/176772号において見出すことができ、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0086】
「作動可能な連結」又は「作動可能に連結される」とは、その両方の成分が正常に機能し、かつ成分の少なくとも1つが他の成分のうちの少なくとも1つに及ぶ機能を媒介し得る可能性を許すような、2つ以上の成分(例えば、プロモーター及び別の配列要素)の並列を含む。例えば、プロモーターが、1つ以上の転写調節因子の存在又は非存在に応じてコード配列の転写のレベルを制御する場合、そのプロモーターは、コード配列に作動可能に連結され得る。作動可能な連結は、そのような配列が互いに近接していること、又はトランスに作用する(例えば、調節配列が、コード配列の転写を制御するために離れて作用し得る)ことを含み得る。
【0087】
本明細書で提供される方法及び組成物は、様々な異なる構成要素を使用する。記載全体の一部の成分には、活性バリアント及び断片を有し得る。「機能性」という用語は、生物学的活性又は機能を示すタンパク質又は核酸(又はその断片、若しくはバリアント)の生来の能力を指す。機能的断片又はバリアントの生物学的機能は、元の分子と比較して同じであるか、又は実際に変更され得る(例えば、それらの特異性又は選択性又は有効性に関して)が、分子の基本的な生物学的機能を保持する。
【0088】
「バリアント」という用語は、集団で最も一般的な配列とは異なるヌクレオチド配列(例えば、1ヌクレオチド)、又は集団で最も一般的な配列とは異なるタンパク質配列(例えば、1アミノ酸)を指す。
【0089】
「断片」という用語は、タンパク質に言及する場合、完全長タンパク質よりも短いか、又は少ないアミノ酸を有するタンパク質を意味する。「断片」という用語は、核酸に言及する場合、全長の核酸よりも短いか、又は少ないヌクレオチドを有する核酸を意味する。断片は、例えば、N末端断片(すなわち、タンパク質のC末端の一部の除去)、C末端断片(すなわち、タンパク質のN末端の一部の除去)、又は内部断片(すなわち、タンパク質のN末端とC末端の各々の一部の除去)であり得る。断片は、例えば、核酸断片を指す場合、5’断片(すなわち、核酸の3’末端の一部の除去)、3’断片(すなわち、核酸の5’末端の一部の除去)、又は内部断片(すなわち、核酸の5’末端と3’末端の各々の一部の除去)であり得る。
【0090】
2つのポリヌクレオチド又はポリペプチド配列の文脈における「配列同一性」又は「同一性」は、特定の比較ウィンドウで最大の一致のためにアラインさせる場合、同じである2つの配列の残基を指す。タンパク質に関して、配列同一性のパーセンテージを使用する場合、同一ではない残基位置は多くの場合に、保存的アミノ酸置換によって異なり、その保存的アミノ酸置換では、アミノ酸残基は同様の化学的特性(例えば、電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基で置換されており、したがって、分子の機能特性を変化させない。配列が保存的置換で異なる場合、配列同一性パーセントを、置換の保存的性質について補正するために、上方に調整され得る。そのような保存的置換によって異なる配列は、「配列類似性」又は「類似性」を有すると言われる。この調整を行うための手段は周知である。典型的には、これは、保存的置換を完全なミスマッチではなく部分的なミスマッチとしてスコアリングして、それによって、配列同一性パーセンテージを増加させることを含む。したがって、例えば、同一のアミノ酸が1のスコアを与えられ、非保存的置換が0のスコアを与えられる場合に、保存的置換は、0~1のスコアを与えられる。保存的置換のスコアリングは、例えば、プログラムPC/GENE(Intelligenetics、Mountain View,California)で実行されるように計算される。
【0091】
「配列同一性のパーセンテージ」は、比較ウィンドウにわたって2つの最適にアラインされた配列(完全にマッチする残基の数が最大)を比較することによって決定される値を含み、比較ウィンドウにおけるポリヌクレオチド配列の部分は、2つの配列の最適アラインメントのための(付加また欠失を含まない)参照配列と比較した場合に、付加又は欠失(すなわち、ギャップ)を含み得る。パーセンテージは、同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が両方の配列中に発生する位置の数を決定して一致した位置の数を得ること、一致した位置の数を比較のウィンドウにおける位置の総数で割ること、及び結果に100を掛けて配列同一性のパーセンテージを得ることによって計算される。別段の定めがない限り(例えば、短い方の配列が、連結された非相同配列を含む)、比較ウィンドウは、比較される2つの配列のうちの短い方の完全長である。
【0092】
特に明記しない限り、配列同一性/類似性値は、以下のパラメータを使用してGAPバージョン10を使用して得られた値を含む:GAP重み50及び長さ重み3、並びにnwsgapdna.cmpスコアリングマトリックスを使用したヌクレオチド配列についての同一性%及び類似性%;GAP重み8及び長さ重み2、並びにBLOSUM62スコアリングマトリックスを使用するアミノ酸配列についての同一性%及び類似性%;又はその任意の同等のプログラム。「同等のプログラム」は、問題の任意の2つの配列について、GAPバージョン10によって生成された対応するアラインメントと比較した場合、同一のヌクレオチド又はアミノ酸残基の一致及び同一のパーセント配列同一性を有するアラインメントを生成する任意の配列比較プログラムを含む。
【0093】
「保存的アミノ酸置換」という用語は、配列中に通常存在するアミノ酸の、類似のサイズ、電荷、又は極性の、異なるアミノ酸との置換を指す。保存的置換の例には、イソロイシン、バリン、又はロイシンなどの非極性(疎水性)残基の、別の非極性残基との置換が含まれる。同様に、保存的置換の例には、アルギニンとリジンとの間、グルタミンとアスパラギンとの間、又はグリシンとセリンとの間などの、1つの極性(親水性)残基の別のものとの置換が含まれる。追加的に、リジン、アルギニン、若しくはヒスチジンなどの塩基性残基から別のものへの置換、又はアスパラギン酸若しくはグルタミン酸などのある酸性残基から別の酸性残基への置換は、保存的置換の追加の例である。非保存的置換の例には、非極性(疎水性)アミノ酸残基、例えば、イソロイシン、バリン、ロイシン、アラニン、若しくはメチオニンから極性(親水性)残基、例えば、システイン、グルタミン、グルタミン酸、若しくはリシンへの、及び/又は極性残基から非極性残基への置換が含まれる。典型的なアミノ酸の分類を以下で要約する。
【0094】
【表1】
【0095】
「相同」配列(例えば、核酸配列)としては、例えば、既知の参照配列と少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、若しくは100%同一であるような、既知の参照配列と同一か、又は実質的に同様である配列が挙げられる。相同配列は、例えば、オルソログ配列及びパラロガス配列を含み得る。例えば、相同遺伝子は典型的には、種分化事象(オルソログ遺伝子)又は遺伝子重複事象(パラロガス遺伝子)のいずれかを介して、共通の祖先DNA配列に由来する。「オルソログ」遺伝子には、種分化によって共通の祖先遺伝子から進化した様々な種の遺伝子が含まれる。オルソログは典型的には、進化の過程で同じ機能を保持する。「パラロガス」遺伝子には、ゲノム内の重複によって関連する遺伝子が含まれる。パラログは、進化の過程で新しい機能を進化させることができる。
【0096】
「インビトロ」という用語は、人工環境、及び人工環境(例えば、試験管又は単離された細胞若しくは細胞株)内で生じるプロセス又は反応を含む。「インビボ」という用語は、天然環境(例えば、細胞又は生物又は身体)、及び天然環境内で生じるプロセス又は反応を含む。「エクスビボ」という用語は、個体の身体から取り出された細胞、及びそのような細胞内で起こるプロセス又は反応を含む。
【0097】
「レポーター遺伝子」という用語は、異種プロモーター及び/又はエンハンサーエレメントに作動可能に連結されたレポーター遺伝子配列を含むコンストラクトがプロモーター及び/又はエンハンサーエレメントの活性化に必要な因子を含む(又は含むようにすることができる)細胞に導入される場合、容易かつ定量的にアッセイされる遺伝子産物(典型的には酵素)をコードする配列を有する核酸を指す。レポーター遺伝子の例には、これらに限定されないが、ベータガラクトシダーゼ(lacZ)をコードする遺伝子、細菌クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子、ホタルルシフェラーゼ遺伝子、ベータグルクロニダーゼ(GUS)をコードする遺伝子、及び蛍光タンパク質をコードする遺伝子が挙げられる。「レポータータンパク質」は、レポーター遺伝子によってコードされるタンパク質を指す。
【0098】
本明細書で使用される場合、「蛍光レポータータンパク質」という用語は、蛍光に基づいて検出可能なレポータータンパク質を意味し、ここで、蛍光は、レポータータンパク質から直接、蛍光発生基質に対するレポータータンパク質の活性、又は蛍光タグ付き化合物への結合について親和性を有するタンパク質のいずれかからのものであり得る。蛍光タンパク質の例としては、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP、GFP-2、tagGFP、turboGFP、eGFP、Emerald、Azami Green、単量体Azami Green、CopGFP、AceGFP、及びZsGreenl)、黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、eYFP、Citrine、Venus、YPet、PhiYFP、及びZsYellowl)、青色蛍光タンパク質(例えば、BFP、eBFP、eBFP2、Azurite、mKalamal、GFPuv、Sapphire、及びT-sapphire)、シアン色蛍光タンパク質(例えば、CFP、eCFP、Cerulean、CyPet、AmCyanl、及びMidoriishi-Cyan)、赤色蛍光タンパク質(例えば、RFP、mKate、mKate2、mPlum、DsRedモノマー、mCherry、mRFP1、DsRed-Express、DsRed2、DsRedモノマー、HcRed-Tandem、HcRedl、AsRed2、eqFP611、mRaspberry、mStrawberry、及びJred)、オレンジ色蛍光タンパク質(例えば、mOrange、mKO、Kusabira-Orange、単量体Kusabira-Orange、mTangerine、及びtdTomato)、並びにフローサイトメトリー法で細胞内の存在を検出できるその他の好適な蛍光タンパク質メソッドが挙げられる。
【0099】
1つ又は複数の列挙された要素を「含む(comprising)」又は「含む(including)」組成物又は方法は、具体的に列挙されていない他の要素を含み得る。例えば、タンパク質を「含む(comprises)」又は「含む(includes)」組成物は、タンパク質を単独で、又は他の成分との組み合わせで含み得る。「から本質的になる」という移行句は、請求項の範囲が、特許請求の範囲に記載された特定の要素、及び特許請求された発明の基本的かつ新規の特性に実質的に影響をしない要素を包含すると解釈されることを意味する。したがって、本発明の請求項で使用される場合の「本質的に~からなる」という用語は、「含む」と同等であると解釈されることを意図するものではない。
【0100】
「任意選択の」又は「任意選択的に」は、それに続いて記載された事象又は状況が起こっても起こらなくてもよいことであって、その記載が、当該事象又は状況が起こる場合の例及びそれが起こらない場合の例を含むことを意味する。
【0101】
値の範囲の指定は、その範囲内の、又はその範囲を定義する全ての整数、及びその範囲内の整数によって定義される全ての部分範囲を含む。
【0102】
文脈から特に明らかでない限り、「約」という用語は記載された値の±5%である値を包含する。
【0103】
「及び/又は」という用語は、関連する列挙される項目のうちの1つ以上の任意及び全ての可能な組み合わせ、代替物(「又は」)で解釈されるときの組み合わせの欠如を指し、これらを包含する。
【0104】
「又は」という用語は、特定のリストの任意の1つのメンバーを指し、そのリストのメンバーの任意の組み合わせも含む。
【0105】
冠詞「a」、「an」、及び「the」の単数形は、文脈が別段に明確に規定していない限り、複数形の言及を含む。例えば、「タンパク質」又は「少なくとも1つのタンパク質」という用語は、それらの混合物を含む複数のタンパク質を含むことができる。
【0106】
統計的に有意なとは、p≦0.05を意味する。
(発明を実施するための形態)
【0107】
I.概要
C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするガイドRNA及びCRISPR/Casシステム、そのようなガイドRNA又はCRISPR/Casシステムを含む脂質ナノ粒子又はウイルスベクター、並びにそのようなガイドRNA又はシステムを含む細胞又は動物が本明細書で開示される。そのようなCRISPR/Casシステムは、単独で、又はC5抗原結合タンパク質又は抗体、例えば、限定されないが、本明細書に開示されるもの、又は各々が、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2021/034639号、米国特許出願公開第2021-0046182号明細書、国際公開第2021/081277号、米国特許出願公開第2021-0139573号明細書、国際公開第2017/218515号、米国特許出願公開第2020-0262901号明細書、米国特許出願公開第2017-0355757号明細書、又は米国特許出願公開第2020-0262900号明細書に開示されるものと組み合わせて、又は会合していてもよい。本明細書に記載されるCRISPR/Casシステムを使用してC5遺伝子座又は遺伝子を改変又はノックダウン又はノックアウトする方法、並びにC5に関連する疾患、障害、若しくは状態の治療及び/若しくは予防のため、並びに/又はそのような疾患、障害、若しくは状態に関連する少なくとも1つの症状を改善するための予防及び治療適用におけるCRISPR/Casシステムの使用も本明細書に開示される。そのような方法は、CRISPR/Casシステムを、単独で、又はC5抗原結合タンパク質又は抗体、例えば、限定されないが、本明細書に開示されるもの、又は各々が、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2021/034639号、米国特許出願公開第2021-0046182号明細書、国際公開第2021/081277号、米国特許出願公開第2021-0139573号明細書、国際公開第2017/218515号、米国特許出願公開第2020-0262901号明細書、米国特許出願公開第2017-0355757号明細書、又は米国特許出願公開第2020-0262900号明細書に開示されるものと組み合わせて使用することを含み得る。
【0108】
II.C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステム
本明細書に開示される方法及び組成物は、細胞内のC5遺伝子又は遺伝子座(例えば、C5ゲノム遺伝子座)を改変するために、クラスター化して規則的に散在する短い回文配列リピート(CRISPR)/CRISPR関連(Cas)系又はそのような系の構成要素を利用する。CRISPR/Casシステムには、Cas遺伝子の発現に関与する、又はその活性を指示する転写産物及び他の要素が含まれる。CRISPR/Casシステムは、例えば、タイプI、タイプII、タイプIII系、又はタイプV系(例えば、サブタイプV-A又はサブタイプV-B)であり得る。本明細書に開示される方法及び組成物は、核酸の部位特異的結合又は切断のためにCRISPR複合体(Casタンパク質と複合体を形成したガイドRNA(gRNA)を含む)を利用することによってCRISPR/Casシステムを使用することができる。C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするCRISPR/Casシステムは、Casタンパク質(又はCasタンパク質をコードする核酸)及び1つ以上のガイドRNA(又は1つ以上のガイドRNAをコードするDNA)を含み、1つ以上のガイドRNAのそれぞれは、C5遺伝子又はC5遺伝子座における異なるガイドRNA標的配列を標的化する。任意選択的に、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的化するそのようなCRISPR/Casシステムは、C5遺伝子又はゲノム遺伝子座を標的化する1つ以上の外因性ドナー配列(例えば、標的化ベクター)を更に含むことができる。
【0109】
本明細書に開示される組成物及び方法で使用されるCRISPR/Casシステムは、天然に存在しなくてもよい。「天然に存在しない」系は、系の1つ以上の構成要素が、それらの天然に存在する状態から改変又は変異されている、それらが天然に関連する少なくとも1つの他の構成要素を少なくとも実質的に含まない、又はそれらが天然に関連しない少なくとも1つの他の構成要素と関連するなど、ヒトの手の関与を示す任意のものを含む。例えば、いくつかのCRISPR/Casシステムは、天然に発生しないgRNA及びCasタンパク質を一緒に含む非天然発生型CRISPR複合体を用いるか、天然に発生しないCasタンパク質を用いるか、又は天然に発生しないgRNAを用いる。
【0110】
A.C5
本明細書に記載の組成物及び方法は、補体C5(補体成分C5、補体C5イソ型1プレプロタンパク質、又はC3及びPZP様アルファ-2-マクログロブリンドメイン含有タンパク質4としても公知である)をコードするC5遺伝子(CPAMD4としても知られる)を標的とするためのものである。補体C5は、炎症、宿主恒常性、及び病原体に対する宿主防御において重要な役割を果たす自然免疫系の一部である補体系の成分である。コードされたプレプロタンパク質は、タンパク質分解的にプロセシングされて、C5α鎖、C5β鎖、C5aアナフィラトキシン、及びC5bを含む複数のタンパク質産物を生成する。C5タンパク質は、ジスルフィド架橋によって連結されたC5α鎖及びβ鎖から構成される。コンバターゼ酵素によるアルファ鎖の切断は、強力な収縮刺激性活性及び走化性活性を有するC5aアナフィラトキシン、並びに膜侵襲複合体(MAC)のサブユニットであるC5b高分子切断生成物の形成をもたらす。この遺伝子における突然変異は、再発性細菌感染を特徴とする疾患である補体成分5欠乏を引き起こす。選択的スプライシングは、複数の転写バリアントをもたらす。
【0111】
C5転換酵素によるC5の活性化は、後期補体成分、C5-C9の膜侵襲複合体への自発的アセンブリを開始する。C5bは、C6に対する一過性の結合部位を有する。C5b-C6複合体は、溶解複合体が構築される基礎である。補体C5のタンパク質分解に由来して、C5アナフィラトキシンは局所炎症過程のメディエータである。受容体C5AR1への結合は、細胞内カルシウム放出、平滑筋の収縮、血管透過性の増加、並びに肥満細胞及び好塩基性白血球からのヒスタミン放出を含む様々な応答を誘導する。C5aはまた、多形核白血球の移動を刺激し、炎症部位へのそれらの遊走を指示する強力なケモカインである。補体C5は、3つ全ての補体活性化経路の末端エフェクター分子であり、いくつかの補体駆動疾患における中心的な媒介因子である。
【0112】
ヒトC5は、第9染色体上の9q33.2にマッピングされる(NCBI RefSeq遺伝子ID 727;アセンブリGRCh38.p13(GCF_000001405.39);場所NC_000009.12(120952335...121074865、補体))。この遺伝子は、41個のコードエキソンを有することが報告されている。ヒト補体C5タンパク質には、UniProtアクセッション番号P01031が割り当てられている。カノニカルアイソフォームの配列、NCBIアクセッション番号NP_0017626.2及びUniProtアクセッション番号P01031-1は、配列番号1に示されている。1.標準的なアイソフォームをコードするmRNA(cDNA)には、NCBIアクセッション番号NM_001735.3が割り当てられており、配列番号2に示される。2.カノニカルアイソフォームをコードする例示的なコード配列(CDS)は、配列番号3(CCDS ID CCDS6826.1)に示される。ヒト補体C5タンパク質の別のアイソフォームにはNCBIアクセッション番号NP_001304092.1が割り当てられ、配列番号4に示される。この他のアイソフォームをコードするmRNA(cDNA)にはNCBIアクセッション番号NM_001317163.2を割り当て、配列番号5に示される。
【0113】
配列番号1に記載の完全長ヒト補体C5タンパク質は、1676個のアミノ酸を有する。ヒト補体C5への言及には、標準的な(野生型)形態並びに全ての対立遺伝子形態及びアイソフォームが含まれる。任意の他の形態のヒト補体C5は、野生型形態との最大アライメントに対して番号が付けられたアミノ酸を有し、アラインされたアミノ酸は同じ番号で示される。
【0114】
マウスC5(Hc又は溶血性補体としても知られる)は2 B;第2染色体上の2 23.22 cM(NCBI RefSeq遺伝子ID 15139;アセンブリGRCm38.p6(GCF_000001635.26);場所NC_000068.7(34983329...35068506、補体))にマッピングされる。この遺伝子は、41個のコードエキソンを有することが報告されている。マウス成分C5タンパク質には、UniProtアクセッション番号P06684及びNCBIアクセッション番号NP_034536.3が割り当てられている。カノニカルアイソフォームをコードする例示的なmRNA(cDNA)には、NCBIアクセッション番号NM_10406.2が割り当てられる。カノニカルアイソフォームをコードする例示的なコード配列(CDS)には、CCDS ID CCDS15957.1が割り当てられる。
【0115】
B.Casタンパク質
Casタンパク質は一般に、ガイドRNAと相互作用できる少なくとも1つのRNA認識又は結合ドメインを含む。Casタンパク質はまた、ヌクレアーゼドメイン(例えば、DNaseドメイン又はRNaseドメイン)、DNA結合ドメイン、ヘリカーゼドメイン、タンパク質-タンパク質相互作用ドメイン、二量体化ドメイン、及び他のドメインを含み得る。いくつかのそのようなドメイン(例えば、DNaseドメイン)は、ネイティブのCasタンパク質に由来し得る。他のそのようなドメインを追加して、修飾Casタンパク質を作製することができる。ヌクレアーゼドメインは、核酸分子の共有結合の切断を含む、核酸切断に対する触媒活性を有する。切断は平滑末端又は付着末端を生成することができ、一本鎖又は二本鎖であってもよい。例えば、野生型のCas9タンパク質は、通常、平滑端切断産物を生成する。代替的に、野生型Cpf1タンパク質(例えば、FnCpf1)は、非標的鎖のPAM配列から18番目の塩基対の後及び標的鎖の23番目の塩基の後に切断が生じる、5-ヌクレオチドの5’オーバーハングを有する切断産物をもたらし得る。Casタンパク質は、完全な切断活性を有し、標的ゲノム遺伝子座で二本鎖切断を作成することができ(例えば、平滑末端を持つ二本鎖切断)、又はそれは、標的ゲノム遺伝子座で一本鎖切断を作成するニッカーゼであってもよい。
【0116】
Casタンパク質の例には、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas5e(CasD)、Cas6、Cas6e、Cas6f、Cas7、Cas8a1、Cas8a2、Cas8b、Cas8c、Cas9(Csn1又はCsx12)、Cas10、Cas10d、CasF、CasG、CasH、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1(CasA)、Cse2(CasB)、Cse3(CasE)、Cse4(CasC)、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4、及びCu1966、並びにそれらの相同性又は改変バージョンが含まれる。
【0117】
例示的なCasタンパク質は、Cas9タンパク質又はCas9タンパク質に由来するタンパク質である。Cas9タンパク質は、タイプII CRISPR/Casシステムに由来するものであり、典型的には、保存されたアーキテクチャを有する4つの重要なモチーフを共有する。モチーフ1、2、及び4はRuvC様モチーフであり、モチーフ3はHNHモチーフである。例示的なCas9タンパク質は、ストレプトコッカス・ピオゲネス(Streptococcus pyogenes)、ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)、ストレプトコッカス属(Streptococcus sp.)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、ノカルジオプシス・ダソンビレイ(Nocardiopsis dassonvillei)、ストレプトマイセス・プリスチナエスピラリス(Streptomyces pristinaespiralis)、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)、ストレプトマイセス・ビリドクロモゲネス(Streptomyces viridochromogenes)、ストレプトスポランギウム・ロセウム(Streptosporangium roseum)、ストレプトスポランギウム・ロセウム(Streptosporangium roseum)、アリサイクロバチルス・アシドカルダリウス(Alicyclobacillus acidocaldarius)、バチルス・シュードマイコイデス(Bacillus pseudomycoides)、バチルス・セレニティレデュセンス(Bacillus selenitireducens)、エキシグオバクテリウム・シビリカム(Exiguobacterium sibiricum)、ラクトバチルス・デルブルエッキイー(Lactobacillus delbrueckii)、ラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)、マイクロシーラ・マリナ(Microscilla marina)、バークホルデリア目細菌(Burkholderiales bacterium)、ポラロモナス・ナフタレニボランス(Polaromonas naphthalenivorans)、ポラロモナス属(Polaromonas sp.)、クロコスファエラ・ワトソニー(Crocosphaera watsonii)、シアノセイス属(Cyanothece sp.)、ミクロキスティス エルギノーサ(Microcystis aeruginosa)、シネココッカス属(Synechococcus sp.)、アセトハロビウム・アラバチクム(Acetohalobium arabaticum)、アンモニフェクス・デゲンジイ(Ammonifex degensii)、カルディセルロシルプター・ベシイ(Caldicelulosiruptor becscii)、カンディダタス・デスルフォルディス(Candidatus Desulforudis)、ボツリヌス菌(Clostridium botulinum)、クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)、フィネゴルディア・マグナ(Finegoldia magna)、ナトラナエロビウス・サーモフィルス(Natranaerobius thermophilus)、ペロトマキュラム・サーモプロピオニカム(Pelotomaculum thermopropionicum)、硫黄酸化細菌(Acidithiobacillus caldus)、鉄酸化細菌(Acidithiobacillus ferrooxidans)、アロクロマチウム・ビノスム(Allochromatium vinosum)、マリノバクター属(Marinobacter sp.)、ニトロソコッカス・ハロフィルス(Nitrosococcus halophilus)、ニトロソコッカス・ワッソニ(Nitrosococcus watsoni)、シュードアルテロモナス・ハロプランクティス(Pseudoalteromonas haloplanktis)、クテドノバクテル・ラセミファー(Ktedonobacter racemifer)、メタノハロビウム・エベスチガータム(Methanohalobium evestigatum)、アナベナ・バリアビリス(Anabaena variabilis)、ノジュラリア・スプミゲナ(Nodularia spumigena)、ノストック属(Nostoc sp.)、アルスロスピラ・マキシマ(Arthrospira maxima)、アルスロスピラ・プラテンシス(Arthrospira platensis)、アルスロスピラ属(Arthrospira sp.)、リングビア属(Lyngbya sp.)、ミクロコレス・クソノプラステス(Microcoleus chthonoplastes)、オシラトリア属(Oscillatoria sp.)、ペトロトガ・モビリス(Petrotoga mobilis)、サーモシフォ・アフリカヌス(Thermosipho africanus)、アカリオクロリス・マリナ(Acaryochloris marina)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、又はカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)に由来する。Cas9ファミリーメンバーの追加の例は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/131833号に記載されている。S.pyogenes由来のCas9(SpCas9)(例えば、UniProtアクセッション番号Q99ZW2が割り当てられている)は、例示的なCas9タンパク質である。例示的なSpCas9タンパク質配列は、配列番号8(配列番号9に示されるDNA配列によってコードされる)に示される。例示的なSpCas9 mRNA(cDNA)配列は、配列番号10に示される。より小さなCas9タンパク質(例えば、SaCas9及びCjCas9及びNme2Cas9などのCas9及びガイドRNAのガイドRNAコード配列及び調節エレメントと組み合わせた場合にそのコード配列が最大AAVパッケージング容量と互換性があるCas9タンパク質)は、他の例示的なCas9タンパク質である。例えば、黄色ブドウ球菌(S.aureus)由来のCas9(SaCas9)(例えば、UniProtアクセッション番号J7RUA5が割り当てられている)は、別の例示的なCas9タンパク質である。同様に、カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のCas9(CjCas9)例えば、(UniProtアクセッション番号Q0P897が割り当てられている)は、別の例示的なCas9タンパク質である。例えば、Kim et al.(2017)Nat.Commun.8:14500を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。SaCas9は、SpCas9よりも小さく、CjCas9は、SaCas9及びSpCas9の両方よりも小さい。髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)由来のCas9(Nme2Cas9)は、別の例示的なCas9タンパク質である。例えば、Edraki et al.(2019)Mol.Cell 73(4):714-726を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。ストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)由来のCas9タンパク質(例えば、CRISPR1遺伝子座(St1Cas9)によってコードされるストレプトコッカス・サーモフィルス(Streptococcus thermophilus)LMD-9 Cas9又はCRISPR3遺伝子座(St3Cas9)由来の(ストレプトコッカス・サーモフィルスStreptococcus thermophilus)Cas9)は、他の例示的なCas9タンパク質である。フランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida)由来のCas9(FnCas9)又は代替PAMを認識するRHAフランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida)Cas9バリアント(E1369R/E1449H/R1556A置換)は、他の例示的なCas9タンパク質である。これら及び他の例示的なCas9タンパク質は、例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Cebrian-Serrano及びDavies(2017)Mamm.Genome 28(7):247-261で概説されている。Cas9コード配列、Cas9 mRNA及びCas9タンパク質配列の例は、国際公開第2013/176772号、国際公開第2014/065596号、国際公開第2016/106121号、国際公開第2019/067910号、国際公開第2020/082042号、米国特許出願公開第2020/0270617号明細書、国際公開第2020/082041号、米国特許出願公開第2020/0268906号明細書、国際公開第2020/082046号及び米国特許出願公開第2020/0289628号明細書に提供されており、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ORF及びCas9アミノ酸配列の特定の例は、表30の段落[0449]WO2019/067910に提供され、Cas9 mRNA及びORFの特定の例は、WO2019/067910の段落[0214]~[0234]に提供される。国際公開第2020/082046号(84~85ページ)及び国際公開第2020/069296号の表24も参照されたく、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。例示的なSpCas9タンパク質配列は、配列番号11に示される。SpCas9タンパク質配列をコードする例示的なSpCas9 mRNA配列は、配列番号339、338、又は12に示される配列を含む。他の例示的なSpCas9オープンリーディングフレーム配列は、配列番号335~337(例えば、配列番号336)に示される。
【0118】
Casタンパク質の別の例は、Cpf1(Prevotella及びFrancisella1由来のCRISPR)タンパク質である。Cpf1は、Cas9の対応するドメインに相同なRuvC様ヌクレアーゼドメインを、Cas9の特徴的なアルギニンに富むクラスターの対応物と共に含む大きなタンパク質(約1300アミノ酸)である。しかしながら、Cpf1は、Cas9タンパク質に存在するHNHヌクレアーゼドメインを欠いており、HNHドメインを含む長い挿入を含むCas9とは対照的に、RuvC様ドメインは、Cpf1配列において隣接している。例えば、Zetsche et al.(2015)Cell 163(3):759-771を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。例示的なCpf1タンパク質は、野兎病菌(Francisella tularensis 1)、野兎病菌亜種ノビシダ(Francisella tularensis subsp.novicida)、プレボテラ・アルベンシス(Prevotella albensis)、ラクノスピラ科細菌MC2017 1(Lachnospiraceae bacterium MC2017 1)、ブチリビブリオ・プロテオクラスチカス(Butyrivibrio proteoclasticus)、ペレグリニバクテリア細菌GW2011_GWA2_33_10(Peregrinibacteria bacterium GW2011_GWA2_33_10)、パルクバクテリア細菌GW2011_GWC2_44_17(Parcubacteria bacterium GW2011_GWC2_44_17)、スミセラ属SCADC(Smithella sp.SCADC)、アシダミノコッカス属BV3L6(Acidaminococcus sp.BV3L6)、ラクノスピラ科細菌MA2020(Lachnospiraceae bacterium MA2020)、カンディダタス・メタノプラズマ・テルミツム(Candidatus Methanoplasma termitum)、ユーバクテリウム・エリゲンス細菌(Eubacterium eligens)、モラクセラ・ボーボクリ237(Moraxella bovoculi 237)、レプトスピラ・イナダイ(Leptospira inadai)、ラクノスピラ科細菌ND2006(Lachnospiraceae bacterium ND2006)、ポルフィロモナス・クレビオリカニス3(Porphyromonas crevioricanis 3)、プレボテーラ・ディシエンス(Prevotella disiens)、及びポルフィロモナス・マカカエ(Porphyromonas macacae)に由来する。フランシセラ・ノビシダU112(Francisella novicida U112)由来のCpf1(FnCpf1、割り当てられたUniProtアクセッション番号A0Q7Q2)は、例示的なCpf1タンパク質である。
【0119】
Casタンパク質の別の例は、CasX(Cas12e)である。CasXは、DNA中にスタガード二本鎖切断を生成するRNA誘導型DNAエンドヌクレアーゼである。CasXは、1000アミノ酸未満のサイズである。例示的なCasXタンパク質は、デルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria)(DpbCasX又はDpbCas12e)及びプランクトミケス門(Planctomycetes)(PlmCasX又はPlmCas12e)由来である。Cpf1と同様に、CasXは、DNA切断のために単一のRuvC活性部位を使用する。例えば、Liu et al.(2019)Nature 566(7743):218-223を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0120】
Casタンパクの別の例は、CasΦ(CasPhi又はCas12j)であり、これはバクテリオファージに特有に見出される。CasΦは、1000アミノ酸未満のサイズ(例えば、700~800アミノ酸)である。CasΦ切断は、互い違いの5’オーバーハングを生成する。CasΦにおける単一のRuvC活性部位は、crRNAプロセシング及びDNA切断が可能である。例えば、Pausch et al.(2020)Science 369(6501):333-337を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0121】
Casタンパク質は、野生型タンパク質(すなわち、本質的に発生するもの)、修飾Casタンパク質(すなわち、Casタンパク質バリアント)、又は野生型若しくは修飾Casタンパク質の断片であり得る。Casタンパク質はまた、野生型又は修飾Casタンパク質の触媒活性に関して、活性なバリアント又は断片であり得る。触媒活性に関する活性なバリアント又は断片は、野生型又は修飾Casタンパク質又はその一部に対して、少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又はそれ以上の配列同一性を含み得、活性なバリアントは、所望の切断部位で切断する能力を保持し、したがってニック誘導又は二本鎖切断誘導活性を保持する。ニック誘導又は二本鎖切断誘導活性のアッセイは既知であり、一般に、切断部位を含むDNA基質上のCasタンパク質の全体的な活性及び特異性を測定する。
【0122】
改変されたCasタンパク質の一例は、改変されたSpCas9-HF1タンパク質であり、これは、非特異的DNA接触を減らすように設計された改変(N497A/R661A/Q695A/Q926A)を有する化膿レンサ球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9の忠実度の高い変異体である。例えば、Kleinstiver et al.(2016)Nature 529(7587):490-495を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。修飾Casタンパク質の別の例は、オフターゲット効果を低減するように設計された修飾eSpCas9バリアント(K848A/K1003A/R1060A)である。例えば、Slaymaker et al.(2016)Science 351(6268):84-88を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。他のSpCas9バリアントには、K855A及びK810A/K1003A/R1060Aが含まれる。これら及びその他の改変Casタンパク質は、例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Cebrian-Serrano及びDavies(2017)Mamm.Genome 28(7):247-261で概説されている。修飾Cas9タンパク質の別の例は、xCas9であり、これは拡大された範囲のPAM配列を認識することができるSpCas9バリアントである。例えば、Hu et al.(2018)Nature 556:57-63を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0123】
Casタンパク質は、核酸結合親和性、核酸結合特異性、及び酵素活性のうちの1つ以上を増加又は減少させるように改変することができる。Casタンパク質は、安定性など、タンパク質の他の活性又は特性を変更するように修飾することもできる。例えば、Casタンパク質の1つ以上のヌクレアーゼドメインを修飾、欠失、又は不活性化することができ、又はCasタンパク質を短縮して、タンパク質の機能に必須ではないドメインを除去するか、又はCasタンパク質の活性又は特性を最適化(例えば、増強又は低減)することができる。
【0124】
Casタンパク質は、DNaseドメインなどの少なくとも1つのヌクレアーゼドメインを含み得る。例えば、野生型Cpf1タンパク質は、一般に、おそらく二量体立体配座で、標的DNAの両方の鎖を切断するRuvC様ドメインを含む。同様に、CasX及びCasΦは一般に、標的DNAの両方の鎖を切断する単一のRuvC様ドメインを含む。Casタンパク質はまた、DNaseドメインなどの少なくとも2つのヌクレアーゼドメインを含み得る。例えば、野生型Cas9タンパク質は、一般に、RuvC様ヌクレアーゼドメイン及びHNH様ヌクレアーゼドメインを含む。RuvCドメイン及びHNHドメインは各々、二本鎖DNAの異なる鎖を切断して、DNAに二本鎖切断を行うことができる。例えば、Jinek et al.(2012)Science 337(6096):816-821を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0125】
ヌクレアーゼドメインの1つ以上又は全てを欠失又は変異させることで、それらがもはや機能しなくさせるか、又はヌクレアーゼ活性を低減させることができる。例えば、Cas9タンパク質でヌクレアーゼドメインの1つが欠失又は変異している場合、結果として得られるCas9タンパク質はニッカーゼと呼ばれ、二本鎖標的DNA内で一本鎖切断を生成できるが、二本鎖切断は生成できない(すなわち、相補的鎖又は非相補的鎖を切断できるが、両方を切断することはできない)。ヌクレアーゼドメインの両方が削除又は変異された場合、得られたCasタンパク質(例えば、Cas9)は、二本鎖DNAの両方の鎖(例えば、ヌクレアーゼヌル又はヌクレアーゼ不活性Casタンパク質、又は触媒活性を伴わないCasタンパク質(dCas))を切断する能力が低減される。Cas9タンパク質でヌクレアーゼドメインが欠失又は変異している場合、Cas9タンパク質は二本鎖切断誘導活性を保持する。Cas9をニッカーゼに変換する変異の例は、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)由来のCas9のRuvCドメインにおけるD10A(Cas9の位置10におけるアラニンからアスパラギン酸への)変異である。同様に、ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)由来のCas9のHNHドメインにおけるH939A(アミノ酸位置839におけるヒスチジンからアラニンへ)、H840A(アミノ酸位置840におけるヒスチジンからアラニン)、又はN863A(アミノ酸位置N863におけるアスパラギンからアラニン)は、Cas9をニッカーゼに変換することができる。Cas9をニッカーゼに変換する変異の他の例としては、ストレプトコッカス・サーモフィラス(S.thermophilus)由来のCas9に対する対応する変異が挙げられる。例えば、Sapranauskas et al.(2011)Nucleic Acids Res.39(21):9275-9282及び国際公開第2013/141680号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。このような変異は、部位特異的変異誘発、PCR媒介変異誘発、又は全遺伝子合成などの方法を使用して生成することができる。ニッカーゼを生成する他の変異の例は、例えば、国際公開第2013/176772号及び国際公開第2013/142578号において見出すことができ、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ヌクレアーゼドメインの全てがCasタンパク質で削除又は変異された場合(例えば、ヌクレアーゼドメインの両方がCas9タンパク質で削除又は変異された場合)、得られたCasタンパク質(例えば、Cas9)は、二本鎖DNAの両方の鎖(例えば、ヌクレアーゼヌル又はヌクレアーゼ不活性Casタンパク質)を切断する能力が低減される。1つの特定の例は、D10A/H840A化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9二重変異体、又は化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9と最適にアラインされた場合の別の種からのCas9の対応する二重変異体である。別の特定の例は、D10A/N863A化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9二重変異体、又は化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9と最適にアラインされた場合の別の種からのCas9の対応する二重変異体である。
【0126】
xCas9の触媒ドメインにおける不活性化変異の例は、SpCas9について上に記載されるものと同じである。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)Cas9タンパク質の触媒ドメインにおける不活性化変異の例も公知である。例えば、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のCas9酵素(SaCas9)は、N580位での置換(例えば、N580A置換)及びD10位での置換(例えば、D10A置換)を含み得、ヌクレアーゼ不活性Casタンパク質をもたらす。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第2016/106236号を参照されたい。Nme2Cas9の触媒ドメインにおける不活性化変異の例も知られている(例えば、D16AとH588Aとの組み合わせ)。St1Cas9の触媒ドメインにおける不活性化変異の例も既知である(例えば、D9A、D598A、H599A、及びN622Aの組み合わせ)。St3Cas9の触媒ドメインにおける不活性化変異の例も既知である(例えば、D10AとN870Aとの組み合わせ)。CjCas9の触媒ドメインにおける不活性化変異の例も知られている(例えば、D8AとH559Aとの組み合わせ)。FnCas9及びRHA FnCas9の触媒ドメインにおける不活性化変異の例も既知である(例えば、N995A)。
【0127】
Cpf1タンパク質の触媒ドメインにおける不活化変異の例も既知である。フランシセラ・ノビシダ(Francisella novicida)U112(FnCpf1)、アシダミノコッカス属(Acidaminococcus sp.)BV3L6(AsCpf1)、ラクノスピラ科細菌(Lachnospiraceae bacterium)ND2006(LbCpf1)、及びモラクセラ・ボーボクリ(Moraxella bovoculi)237(MbCpf1 Cpf1)由来のCpf1タンパク質に関して、そのような変異は、AsCpf1の位置908、993又は1263あるいはCpf1オルソログ中の対応する位置、あるいはLbCpf1の位置832、925、947又は1180あるいはCpf1オルソログ中の対応する位置における変異を含むことができる。そのような変異は、例えば、AsCpf1の変異D908A、E993A、及びD1263A若しくはCpf1オルソログの対応する変異、又はLbCpf1のD832A、E925A、D947A、及びD1180A若しくはCpf1オルソログの対応する変異のうちの1つ以上を含み得る。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2016/0208243号を参照されたい。
【0128】
CasXタンパク質の触媒ドメインにおける不活化変異の例も既知である。デルタプロテオバクテリア(Deltaproteobacteria)由来のCasXタンパク質に関して、D672A、E769A、及びD935A(個々に又は組み合わせて)又は他のCasXオルソログにおける対応する位置は、不活性化されている。例えば、Liu et al.(2019)Nature 566(7743):218-223を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0129】
CasΦタンパク質の触媒ドメインにおける不活化変異の例も既知である。例えば、D371A及びD394Aは、単独で又は組み合わせて、不活性化変異である。例えば、Pausch et al.(2020)Science 369(6501):333-337を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0130】
Casタンパク質はまた、融合タンパク質として異種ポリペプチドに作動可能に連結することができる。例えば、Casタンパク質は、切断ドメイン、エピジェネティック修飾ドメイン、又は転写抑制因子ドメインに融合され得る。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/089290号を参照されたい。転写リプレッサードメインの例には、誘導性cAMP初期リプレッサー(ICER)ドメイン、Kruppel関連ボックスA(KRAB-A)リプレッサードメイン、YY1グリシンリッチリプレッサードメイン、Sp1様リプレッサー、E(spl)リプレッサー、ΙκΒリプレッサー、及びMeCP2が挙げられる。他の例には、A/B、KOX、TGF-ベータ誘導性初期遺伝子(TIEG)、v-erbA、SID、SID4X、MBD2、MBD3、DNMT1、DNMG3A、DNMT3B、Rb、ROM2由来の転写抑制因子ドメインが挙げられる。例えば、EP3045537及び国際公開第2011/146121号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により組み込まれる。Casタンパク質は、安定性の増加又は減少を提供する異種ポリペプチドに融合することもできる。融合ドメイン又は異種ポリペプチドは、N末端、C末端、又はCasタンパク質の内部に位置し得る。
【0131】
一例として、Casタンパク質は、細胞内局在化を提供する1つ以上の異種ポリペプチドに融合され得る。そのような異種ポリペプチドは、例えば、核を標的とするための単一部分SV40 NLS及び/又は二部分アルファインポーチンNLSなどの1つ以上の核局在化シグナル(NLS)、ミトコンドリアを標的とするためのミトコンドリア局在化シグナル、ER保持シグナルなどを含んでもよい。例えば、Lange et al.(2007)J.Biol.Chem.282(8):5101-5105を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。このような細胞内局在化シグナルは、N末端、C末端、又はCasタンパク質内のどこにでも位置することができる。NLSは、一続きの塩基性アミノ酸を含むことができ、単節型配列又は双節型配列であり得る。任意選択的に、Casタンパク質は、N末端にNLS(例えば、アルファ-インポーチンNLS又は単節型NLS)及びC末端にNLS(例えば、SV40 NLS又は双節型NLS)を含む2つ以上のNLSを含み得る。Casタンパク質はまた、N末端に2つ以上のNLS及び/又はC末端に2つ以上のNLSを含み得る。
【0132】
Casタンパク質は、例えば、1~10個のNLSと融合され得る(例えば、1~5つのNLSと融合されるか、1つのNLSと融合され得る。1つのNLSが使用される場合、NLSは、Casタンパク質配列のN末端又はC末端で連結され得る。NLSはまた、Casタンパク質配列内に挿入され得る。代替的に、Casタンパク質は、2つ以上のNLSと融合され得る。例えば、Casタンパク質は、2、3、4、又は5つのNLSと融合され得る。具体的な例では、Casタンパク質は、2つのNLSと融合され得る。特定の状況では、2つのNLSは、同じ(例えば、2つのSV40 NLS)又は異なり得る。例えば、Casタンパク質は、カルボキシ末端で連結された2つのSV40 NLS配列に融合され得る。代替的に、Casタンパク質は、2つのNLSと融合され得、1つはN末端で、1つはC末端で連結されている。他の例では、Casタンパク質は、3つのNLSと融合され得るか、又はNLSなしで融合され得る。NLSは、例えば、SV40 NLS、PKKKRKV(配列番号13)又はPKKKRRV(配列番号14)などの単一部分配列であり得る。NLSは、ヌクレオプラスミンのNLS、KRPAATKKAGQAKKKK(配列番号15)などの二部分配列であり得る。特定の例では、単一のPKKKRKV(配列番号13)NLSは、Casタンパク質のC末端に連結され得る。1つ以上のリンカーは、任意選択的に融合部位に含まれる。
【0133】
Casタンパク質はまた、細胞透過性ドメイン又はタンパク質導入ドメインに操作可能に連結することができる。例えば、細胞透過性ドメインは、HIV-1 TATタンパク質、ヒトB型肝炎ウイルスからのTLM細胞透過性モチーフ、MPG、Pep-1、VP22、単純ヘルペスウイルスからの細胞透過性ペプチド、又はポリアルギニンペプチド配列に由来し得る。例えば、それぞれが全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/089290及びWO2013/176772を参照されたい。細胞透過性ドメインは、N末端、C末端、又はCasタンパク質内のどこにでも位置することができる。
【0134】
Casタンパク質はまた、追跡又は精製を容易にするために、蛍光タンパク質、精製タグ、又はエピトープタグなどの異種ポリペプチドに作動可能に連結してもよい。蛍光タンパク質の例には、緑色蛍光タンパク質(例えば、GFP、GFP-2、tagGFP、turboGFP、eGFP、Emerald、Azami Green、Monomeric Azami Green、CopGFP、AceGFP、ZsGreenl)、黄色蛍光タンパク質(例えば、YFP、eYFP、Citrine、Venus、YPet、PhiYFP、ZsYellowl)、青色蛍光タンパク質(例えば、eBFP、eBFP2、Azurite、mKalamal、GFPuv、Sapphire、T-sapphire)、シアン蛍光タンパク質(例えば、eCFP、Cerulean、CyPet、AmCyanl、Midoriishi-Cyan)、赤色蛍光タンパク質(例えば、mKate、mKate2、mPlum、DsRed単量体、mCherry、mRFP1、DsRed-Express、DsRed2、DsRed-Monomer、HcRed-Tandem、HcRedl、AsRed2、eqFP611、mRaspberry、mStrawberry、Jred)、オレンジ色蛍光タンパク質(例えば、mOrange、mKO、Kusabira-Orange、Monomeric Kusabira-Orange、mTangerine、tdTomato)、及び任意の他の好適な蛍光タンパク質が挙げられる。タグの例には、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ(GST)、キチン結合タンパク質(CBP)、マルトース結合タンパク質、チオレドキシン(TRX)、ポリ(NANP)、タンデムアフィニティー精製(TAP)タグ、myc、AcV5、AU1、AU5、E、ECS、E2、FLAG、ヘマグルチニン(HA)、nus、Softag 1、Softag 3、Strep、SBP、Glu-Glu、HSV、KT3、S、S1、T7、V5、VSV-G、ヒスチジン(His)、ビオチンカルボキシルキャリアタンパク質(BCCP)、及びカルモジュリンが含まれる。
【0135】
Casタンパク質は、標識された核酸に係留され得る。そのような係留(すなわち、物理的結合)は、共有相互作用若しくは非共有相互作用を介して達成することができ、係留は、直接(例えば、タンパク質又はインテイン修飾上のシステイン又はリジン残基の修飾によって達成することができる直接融合又は化学的結合を介して)、又はストレプトアビジン若しくはアプタマーなどの1つ以上の介在するリンカー又はアダプター分子を介して達成することができる。例えば、Pierce et al.(2005)Mini Rev.Med.Chem.5(1):41-55;Duckworth et al.(2007)Angew.Chem.Int.Ed.Engl.46(46):8819-8822;Schaeffer and Dixon(2009)Australian J.Chem.62(10):1328-1332;Goodman et al.(2009)Chembiochem.10(9):1551-1557;及びKhatwani et al.(2012)Bioorg.Med.Chem.20(14):4532-4539を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。タンパク質-核酸コンジュゲートを合成するための非共有戦略には、ビオチン-ストレプトアビジン及びニッケル-ヒスチジン法が含まれる。共有結合タンパク質-核酸コンジュゲートは、様々な化学物質を使用して適切に機能化された核酸とタンパク質を接続することによって合成できる。これらの化学物質のいくつかは、タンパク質表面のアミノ酸残基(例えば、リジンアミン又はシステインチオール)へのオリゴヌクレオチドの直接結合を含むが、他のより複雑なスキームは、タンパク質の翻訳後修飾又は触媒若しくは反応性タンパク質ドメインの関与を必要とする。タンパク質の核酸への共有結合の方法には、例えば、オリゴヌクレオチドのタンパク質リジン又はシステイン残基への化学的架橋、発現されたタンパク質ライゲーション、化学酵素的方法、及び光アプタマーの使用が含まれ得る。標識された核酸は、Casタンパク質のC末端、N末端、又は内部領域に係留され得る。一例では、標識された核酸は、Casタンパク質のC末端又はN末端に係留される。同様に、Casタンパク質は、標識された核酸の5’末端、3’末端、又は内部領域に係留され得る。すなわち、標識された核酸は、任意の方向及び極性で係留され得る。例えば、Casタンパク質は、標識された核酸の5’末端又は3’末端に係留され得る。
【0136】
Casタンパク質は任意の形態で提供してもよい。例えば、Casタンパク質は、gRNAと複合体を形成したCasタンパク質などのタンパク質の形態で提供することができる。代替的に、Casタンパク質は、RNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))又はDNAなどの、Casタンパク質をコードする核酸の形態で提供することができる。任意選択的に、Casタンパク質をコードする核酸は、特定の細胞又は生物におけるタンパク質への効率的な翻訳のためにコドン最適化することができる。例えば、Casタンパク質をコードする核酸は、天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較して、細菌細胞、酵母細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、又は任意の他の目的の宿主細胞においてより頻度高く使用される代替コドンへと修飾することができる。Casタンパク質をコードする核酸が細胞に導入されると、Casタンパク質は、一過性に、条件付きで、又は構成的に細胞内で発現され得る。
【0137】
Casタンパク質をコードする核酸は、細胞のゲノムに安定して組み込まれ、細胞内で活性のあるプロモーターに作動可能に連結することができる。代替的に、Casタンパク質をコードする核酸は、発現構築物中のプロモーターに作動可能に連結され得る。発現構築物は、遺伝子又は他の目的の核酸配列(例えば、Cas遺伝子)の発現を指示することができ、そのような目的の核酸配列を標的細胞に導入することができる任意の核酸構築物を含む。例えば、Casタンパク質をコードする核酸は、gRNAをコードするDNAを含むベクター内に存在してもよい。代替的に、それは、gRNAをコードするDNAを含むベクターとは別個のベクター又はプラスミドであってもよい。発現構築物において使用することができるプロモーターとしては、例えば、真核細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、非ヒト哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、多能性細胞、胚性幹(ES)細胞、成体幹細胞、発生が制限された前駆細胞、誘導多能性幹(iPS)細胞、又は1細胞期胚のうちの1つ以上において活性なプロモーターが挙げられる。そのようなプロモーターは、例えば、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、又は組織特異的プロモーターであってよい。任意選択的に、プロモーターは、一方向のCasタンパク質と他の方向のガイドRNAの両方の発現を駆動する双方向プロモーターであり得る。かかる双方向プロモーターは、(1)遠位配列要素(DSE)、近位配列要素(PSE)、及びTATAボックスの3つの外部制御要素を含む完全な従来の一方向Pol IIIプロモーター、並びに(2)DSEの5’末端に逆方向に融合されたPSE及びTATAボックスを含む第2の基本的なPol IIIプロモーターで構成され得る。例えば、H1プロモーターでは、DSEはPSEとTATAボックスに隣接しており、プロモーターは、U6プロモーターに由来するPSE及びTATAボックスを追加することによって逆方向の転写が制御されるハイブリッドプロモーターを作成することにより、双方向にすることができる。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれるUS2016/0074535を参照されたい。双方向プロモーターを使用してCasタンパク質及びガイドRNAをコードする遺伝子を同時に発現させることにより、コンパクトな発現カセットを生成して送達を容易にすることができる。
【0138】
様々なプロモーターを使用して、Cas発現又はCas9発現を駆動できる。いくつかの方法では、Cas又はCas9コード配列がAAV構築物に適合することができるように小さなプロモーターが使用される。例えば、Cas又はCas9及び1つ以上のgRNA(例えば、1つのgRNA又は2つのgRNA又は3つのgRNA又は4つのgRNA)は、LNP媒介送達(例えば、RNAの形態)又はアデノ随伴ウイルス(AAV)媒介送達(例えば、AAV2媒介送達、AAV5媒介送達、AAV8媒介送達又はAAV7m8媒介送達)を介して送達することができる。例えば、ヌクレアーゼ剤は、CRISPR/Cas9であってもよく、内因性C5遺伝子座を標的とするCas9 mRNA及びgRNAは、LNP媒介送達又はAAV媒介送達を介して送達され得る。Cas又はCas9及びgRNA(複数可)は、単一のAAVにおいて、又は2つの別個のAAVを介して送達され得る。例えば、第1のAAVは、Cas又はCas9発現カセットを担持することができ、第2のAAVは、gRNA発現カセットを担持することができる。同様に、第1のAAVは、Cas又はCas9発現カセットを担持することができ、第2のAAVは、2つ以上のgRNA発現カセットを担持することができる。代替的に、単一のAAVは、Cas又はCas9発現カセット(例えば、プロモーターに作動可能に連結されたCas又はCas9コード配列)及びgRNA発現カセット(例えば、プロモーターに作動可能に連結されたgRNAコード配列)を担持することができる。同様に、単一のAAVは、Cas又はCas9発現カセット(例えば、プロモーターに作動可能に連結されたCas又はCas9コード配列)及び2つ以上のgRNA発現カセット(例えば、プロモーターに作動可能に連結されたgRNAコード配列)を担持することができる。U6プロモーター又はsmall tRNA Glnなど、様々なプロモーターを使用してgRNAの発現を駆動することができる。同様に、Cas9の発現を駆動するために様々なプロモーターを使用できる。例えば、Cas9コード配列がAAV構築物に適合することができるように小さなプロモーターが使用される。同様に、小さなCas9タンパク質(例えば、SaCas9又はCjCas9を使用して、AAVパッケージング容量を最大化する)。
【0139】
mRNAとして提供されるCasタンパク質は、安定性及び/又は免疫原性の特性を改善するために修飾することができる。修飾は、mRNA内の1つ以上のヌクレオシドに対して行われ得る。mRNA核酸塩基への化学修飾の例としては、シュードウリジン、1-メチル-シュードウリジン、及び5-メチル-シチジンが挙げられる。Casタンパク質をコードするmRNAはまたキャップされ得る。キャップは、例えば、+1リボヌクレオチドがリボースの2’O位置でメチル化されているキャップ1構造であり得る。キャッピングは、例えば、インビボで優れた活性を与えることができ(例えば、天然のキャップを模倣することによって)、宿主の自然免疫系の刺激を低減する天然の構造をもたらすことができる(例えば、自然免疫系のパターン認識受容体の活性化を低減することができる)。Casタンパク質をコードするmRNAは、ポリアデニル化することもできる(ポリ(A)テールを構成するため)。Casタンパク質をコードするmRNAは、シュードウリジンを含むように修飾することもできる(例えば、シュードウリジンで完全に置換することができる)。別の例として、N1-メチルシュードウリジンを含むキャップされポリアデニル化されたCas mRNAを使用することができる。Casタンパク質をコードするmRNAは、N1-メチル-シュードウリジン(例えば、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換することができる)を含むように修飾することもできる。別の例として、シュードウリジンで完全に置換されたCas mRNAを使用することができる(すなわち、全ての標準的なウラシル残基は、ウラシルが窒素-炭素ではなく炭素-炭素結合で結合しているウリジン異性体であるシュードウリジンで置換される)。別の例として、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換されたCas mRNAを使用することができる(すなわち、全ての標準ウラシル残基がN1-メチル-シュードウリジンで置換されている)。同様に、Cas mRNAは、同義のコドンを使用してウリジンを枯渇させることによって修飾することができる。例えば、シュードウリジンで完全に置換されたキャップ及びポリアデニル化されたCas mRNAを使用することができる。例えば、N1-メチル-シュードウリジンで完全に置換されたキャップ及びポリアデニル化されたCas mRNAを使用することができる。
【0140】
Cas mRNAは、少なくとも1つ、複数、又は全てのウリジン位置に修飾ウリジンを含むことができる。修飾ウリジンは、5位で修飾されたウリジンであり得る(例えば、ハロゲン、メチル、又はエチルで)。修飾ウリジンは、1位で修飾されたシュードウリジンであり得る(例えば、ハロゲン、メチル、又はエチルで)。修飾ウリジンは、例えば、シュードウリジン、N1-メチル-シュードウリジン、5-メトキシウリジン、5-ヨードウリジン、又はそれらの組み合わせであり得る。いくつかの例では、修飾ウリジンは、5-メトキシウリジンである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、5-ヨードウリジンである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、シュードウリジンである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、N1-メチル-シュードウリジンである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、シュードウリジンとN1-メチル-シュードウリジンとの組み合わせである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、シュードウリジンと5-メトキシウリジンとの組み合わせである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、N1-メチルシュードウリジンと5-メトキシウリジンとの組み合わせである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、5-ヨードウリジンとN1-メチル-シュードウリジンとの組み合わせである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、シュードウリジンと5-ヨードウリジンとの組み合わせである。いくつかの例では、修飾ウリジンは、5-ヨードウリジンと5-メトキシウリジンとの組み合わせである。
【0141】
本明細書に開示されるCas mRNAはまた、Cap0、Cap1、又はCap2などの5’キャップを含み得る。5’キャップは、一般に、5’-三リン酸を介して、mRNAの5’から3’鎖の最初のヌクレオチドの5’位(すなわち、最初のキャップ近位ヌクレオチド)に連結された7-メチルグアニンリボヌクレオチド(例えば、ARCAに関して更に修飾され得る)である。Cap0では、mRNAの第1及び第2のキャップ近位ヌクレオチドのリボースは両方とも、2’-ヒドロキシルを含む。Cap1では、mRNAの第1及び第2の転写ヌクレオチドのリボースは、それぞれ、2’-メトキシ及び2’-ヒドロキシルを含む。Cap2では、mRNAの第1及び第2のキャップ近位ヌクレオチドのリボースは両方とも、2’-メトキシを含む。例えば、Katibah et al.(2014)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.」111(33):12025-30及びAbbas et al.(2017)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.」114(11):E2106-E2115を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ヒトmRNAなどの哺乳動物mRNAを含むほとんどの内因性高等真核生物mRNAは、Cap1又はCap2を含む。Cap1及びCap2とは異なるCap0及び他のキャップ構造は、IFIT-1及びIFIT-5などの自然免疫系の構成要素によって非自己として認識されるため、ヒトなどの哺乳動物では免疫原性であり得、I型インターフェロンを含むサイトカインレベルの上昇を引き起こす可能性がある。IFIT-1及びIFIT-5などの自然免疫系の構成要素もeIF4Eと競合して、mRNAとCap1又はCap2以外のキャップとの結合を競合し、mRNAの翻訳を阻害する可能性がある。
【0142】
キャップは共転写で含めることができる。例えば、ARCA(アンチリバースキャップアナログ、Thermo Fisher Scientificカタログ番号AM8045)は、グアニンリボヌクレオチドの5’位に連結された7-メチルグアニン3’-メトキシ-5’-三リン酸を含むキャップ類似体であり、開始時に転写物にインビトロで組み込むことができる。ARCAは、最初のキャップ近位ヌクレオチドの2’位がヒドロキシルであるCap0キャップをもたらす。例えば、Stepinski et al.(2001)RNA 7:1486-1495を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0143】
CleanCap(商標)AG(m7G(5’)ppp(5’)(2’OMeA)pG、TriLink Biotechnologiesカタログ番号N-7113)又はCleanCap(商標)GG(m7G(5’)ppp(5’)(2’OMeG)pG、TriLink Biotechnologiesカタログ番号N-7133)を使用して、Cap1構造を共転写的に提供する。CleanCap(商標)AG及びCleanCap(商標)GGの3’-O-メチル化バージョンはまた、それぞれ、カタログ番号N-7413及びN-7433としてTriLink Biotechnologiesから入手可能である。
【0144】
代替的に、転写後にキャップをRNAに追加することもできる。例えば、ワクシニアキャッピング酵素は、市販されており(New England Biolabsカタログ番号M2080S)、D1サブユニットによって提供されるRNAトリホスファターゼ及びグアニリルトランスフェラーゼ活性と、D12サブユニットによって提供されるグアニンメチルトランスフェラーゼを有する。したがって、S-アデノシルメチオニン及びGTPの存在下で、RNAに7-メチルグアニンを付加してCap0を与えることができる。例えば、Guo and Moss(1990)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.」87:4023-4027 and Mao and Shuman(1994)J.Biol.Chem.269:24472-24479を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0145】
Cas mRNAは、ポリアデニル化(ポリA又はポリ(A)又はポリアデニン)テールを更に含むことができる。ポリAテールは、例えば、少なくとも20、少なくとも30、少なくとも40、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90、又は少なくとも100のアデニン、及び任意選択的に最大300のアデニンを含む。例えば、ポリAテールは、95、96、97、98、99、又は100のアデニンヌクレオチドを含むことができる。
【0146】
C.ガイドRNA
「ガイドRNA」又は「gRNA」は、Casタンパク質(例えば、Cas9タンパク質)に結合し、かつCasタンパク質を標的DNA内の特定の位置に標的化するRNA分子である。ガイドRNAは、2つのセグメント:「DNA標的化セグメント」(「ガイド配列」とも呼ばれる)及び「タンパク質結合セグメント」を含み得る。「セグメント」は、RNA中のヌクレオチドの連続ストレッチなどの分子のセクション又は領域を含む。Cas9のものなど、いくつかのgRNAは、「アクチベーターRNA」(例えば、tracrRNA)及び「ターゲッターRNA」(例えば、CRISPR RNA又はcrRNA)の2つの別個のRNA分子を含み得る。他のgRNAは、「単一分子gRNA」、「単一ガイドRNA」又は「sgRNA」とも呼ばれ得る単一RNA分子(単一RNAポリヌクレオチド)である。例えば、国際公開第2013/176772号、国際公開第2014/065596号、国際公開第2014/089290号、国際公開第2014/093622号、国際公開第2014/099750号、国際公開第2013/142578号及び国際公開第2014/131833号を参照されたく、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ガイドRNAは、CRISPR RNA(crRNA)又はcrRNAとトランス活性化CRISPR RNA(tracrRNA)との組み合わせのいずれかを指す。crRNA及びtracrRNAは、単一のRNA分子(単一ガイドRNA又はsgRNA)として、又は2つの別個のRNA分子(二重ガイドRNA又はdgRNA)として関連付けることができる。例えば、Cas9の場合、単一ガイドRNAは、(例えば、リンカーを介して)tracrRNAに融合したcrRNAを含み得る。例えば、Cpf1及びCasΦの場合、標的配列への結合を実現するために必要なのはcrRNAだけである。「ガイドRNA」及び「gRNA」という用語は、二重分子(すなわち、モジュラー)gRNA及び単一分子gRNAの両方を含む。本明細書に開示されるいくつかの方法及び組成物では、C5 gRNAは、化膿性連鎖球菌(S.pyogenes)Cas9 gRNA又はその同等物である。本明細書に開示されるいくつかの方法及び組成物では、C5 gRNAは、黄色ブドウ球菌(S.aureus)Cas9 gRNA又はその同等物である。
【0147】
例示的な2分子gRNAは、crRNA様(「CRISPR RNA」又は「ターゲッターRNA」又は「crRNA」又は「crRNAリピート」)分子及び対応するtracrRNA様(「トランス活性化CRISPR RNA」又は「アクチベーターRNA」又は「tracrRNA」)分子を含む。crRNAは、gRNAのDNA標的化セグメント(一本鎖)、及びgRNAのタンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖の半分を形成するヌクレオチドのストレッチの両方を含む。DNA標的化セグメントの下流(3’)に位置するcrRNAテール(例えば、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)Cas9と共に使用するために)の一例は、GUUUUAGAGCUAUGCU(配列番号16)又はGUUUUAGAGCUAUGCUGUUUUG(配列番号17)を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。本明細書に開示されるDNA標的化セグメントのいずれも、配列番号16又は17の5’末端に結合して、crRNAを形成することができる。
【0148】
対応するtracrRNA(アクチベーター-RNA)は、gRNAのタンパク質結合セグメントのdsRNA二重鎖の残りの半分を形成するヌクレオチドの区間を含む。crRNAのヌクレオチドのストレッチは、tracrRNAのヌクレオチドのストレッチと相補的であり、それをハイブリダイズして、gRNAのタンパク質結合ドメインのdsRNA二重鎖を形成する。したがって、各crRNAは、対応するtracrRNAを有すると言われ得る。tracrRNA配列(例えば、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)Cas9と共に使用するため)の例は、AGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUU(配列番号18)、AAACAGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(配列番号19)、又はGUUGGAACCAUUCAAAACAGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC(配列番号20)を含むか、それから本質的になるか、又はそれからなる。
【0149】
crRNA及びtracrRNAの両方が必要とされる系では、crRNA及び対応するtracrRNAは、ハイブリダイズしてgRNAを形成する。crRNAのみが必要なシステムでは、crRNAはgRNAであってもよい。crRNAは追加的に、標的DNAの相補的鎖にハイブリダイズする一本鎖DNA標的化セグメントを提供する。細胞内での改変に使用する場合、所与のcrRNA又はtracrRNA分子の正確な配列は、RNA分子が使用される種に固有になるように設計することができる。例えば、Mali et al.(2013)Science 339(6121):823-826;Jinek et al.(2012)Science 337(6096):816-821;Hwang et al.(2013)Nat.Biotechnol.31(3):227-229;Jiang et al.(2013)Nat.Biotechnol.31(3):233-239;及びCong et al.(2013)Science 339(6121):819-823を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0150】
所与のgRNAのDNA標的化セグメント(crRNA)は、以下により詳細に記載されるように、標的DNAの相補的鎖上の配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む。gRNAのDNA標的化セグメントは、ハイブリダイゼーション(すなわち、塩基対合)を介して配列特異的様式で標的DNAと相互作用する。したがって、DNA標的化セグメントのヌクレオチド配列は変化してもよく、gRNA及び標的DNAが相互作用する標的DNA内の位置を決定する。目的のgRNAのDNA標的化セグメントは、標的DNA内の任意の所望の配列にハイブリダイズするように修飾され得る。天然に存在するcrRNAは、CRISPR/Casシステム及び生物に応じて異なるが、21~46ヌクレオチド長の2つの直接反復(DR)が隣接する、21~72ヌクレオチド長の標的化セグメントを含むことがよくある(例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/131833号を参照されたい)。ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)の場合、DRは36ヌクレオチド長であり、標的セグメントは30ヌクレオチド長である。3’に位置するDRは、対応するtracrRNAに相補的であり、ハイブリダイズし、転じて、tracrRNAはCasタンパク質に結合する。
【0151】
DNA標的化セグメントは、例えば、少なくとも約12、少なくとも約15、少なくとも約17、少なくとも約18、少なくとも約19、少なくとも約20、少なくとも約25、少なくとも約30、少なくとも約35、又は少なくとも約40ヌクレオチドの長さを有し得る。そのようなDNA標的化セグメントは、例えば、約12~約100、約12~約80、約12~約50、約12~約40、約12~約30、約12~約25、又は約12~約20ヌクレオチドの長さを有し得る。例えば、DNA標的化セグメントは、約15~約25ヌクレオチド(例えば、約17~約20ヌクレオチド、又は約17、18、19、若しくは20ヌクレオチド)であり得る。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2016/0024523号を参照されたい。ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)由来のCas9の場合、典型的なDNA標的化セグメントは、16~20ヌクレオチド長、又は17~20ヌクレオチド長である。黄色ブドウ球菌(S.aureus)由来のCas9の場合、典型的なDNA標的化セグメントは、21~23ヌクレオチド長である。Cpf1の場合、典型的なDNA標的化セグメントは、少なくとも16ヌクレオチド長又は少なくとも18ヌクレオチド長である。
【0152】
一例では、DNA標的化セグメントは、約20ヌクレオチドの長さであり得る。しかしながら、より短い配列及びより長い配列も標的化セグメントに使用することができる(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25ヌクレオチドの長さなどの、15~25ヌクレオチドの長さ)。DNA標的化セグメントと対応するガイドRNA標的配列との間の同一性の程度(又はDNA標的化セグメントとガイドRNA標的配列の他の鎖との間の相補性の程度)は、例えば、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、又は約100%であり得る。DNA標的化セグメント及び対応するガイドRNA標的配列には、1つ以上のミスマッチが含まれ得る。例えば、ガイドRNAのDNA標的化セグメント及び対応するガイドRNA標的配列には、1~4、1~3、1~2、1、2、3、又は4つのミスマッチが含まれ得る(例えば、ガイドRNA標的配列の全長が、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20以上のヌクレオチドである)。例えば、ガイドRNAのDNA標的化セグメント及び対応するガイドRNA標的配列には、ガイドRNA標的配列の全長が、20ヌクレオチドである、1~4、1~3、1~2、1、2、3、又は4つのミスマッチが含まれ得る。
【0153】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号33~120のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメント(すなわち、ガイド配列)を含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号33~120のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号33~120のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号33~120のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号33~120のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号33~120のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号33~120のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的セグメント)と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号33~120のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドと3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。
【0154】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメント(すなわち、ガイド配列)を含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的セグメント)と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドと3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。
【0155】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメント(すなわち、ガイド配列)を含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的セグメント)と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85及び97のうちのいずれか1つに示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドと3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。
【0156】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85に示される配列(DNA標的化セグメント)を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメント(すなわち、ガイド配列)を含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85に示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85に示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85に示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85に示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85に示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85に示される配列(DNA標的セグメント)と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号85に示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドと3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。
【0157】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号97に示される配列(DNA標的化セグメント)を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメント(すなわち、ガイド配列)を含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号97に示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号97に示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号97に示される配列(DNA標的化セグメント)に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号97に示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号97に示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドに対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号97に示される配列(DNA標的セグメント)と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号97に示される配列(DNA標的化セグメント)の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、又は少なくとも20の連続するヌクレオチドと3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下異なる配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるDNA標的化セグメントを含むことができる。
【0158】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【0159】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【0160】
tracrRNAは、任意の形態(例えば、完全長tracrRNA又は活性部分tracrRNA)であってもよく、様々な長さであってもよい。それらには、一次転写物又は処理された形態が含まれ得る。例えば、tracrRNA(単一ガイドRNAの一部として、又は2分子gRNAの一部としての別個の分子として)は、野生型tracrRNA配列(例えば、野生型tracrRNA配列の約20、26、32、45、48、54、63、67、85、又はそれ以上のヌクレオチド)の全て又は一部を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり得る。ストレプトコッカス・ピオゲネス(S.pyogenes)由来の野生型tracrRNA配列の例としては、171ヌクレオチド、89ヌクレオチド、75ヌクレオチド、及び65ヌクレオチドのバージョンが挙げられる。例えば、Deltcheva et al.(2011)Nature 471(7340):602-607;国際公開第2014/093661号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。シングルガイドRNA(sgRNA)内のtracrRNAの例としては、sgRNAの+48、+54、+67、及び+85バージョン内に見出されるtracrRNAセグメントが挙げられ、ここで、「+n」は、野生型tracrRNAの最大+nヌクレオチドがsgRNAに含まれることを示す。全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,697,359号を参照されたい。
【0161】
ガイドRNAのDNA標的化セグメントと標的DNAの相補的鎖との間の相補性パーセントは、少なくとも60%(例えば、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)であり得る。DNA標的化セグメントと標的DNAの相補的鎖との間の相補性パーセントは、約20個の連続するヌクレオチドにわたって少なくとも60%であり得る。一例として、DNA標的化セグメントと標的DNAの相補的鎖との間の相補性パーセントは、標的DNAの相補的鎖の5’末端にある14個の連続するヌクレオチドにわたって100%であってもよく、残りの部分にわたって0%まで低くてもよい。そのような場合、DNA標的化セグメントは、14ヌクレオチド長であると見なされ得る。別の例として、DNA標的化セグメントと標的DNAの相補的鎖との間の相補性パーセントは、標的DNAの相補的鎖の5’末端にある7個の連続するヌクレオチドにわたって100%であってもよく、残りの部分にわたって0%まで低くてもよい。このような場合、DNA標的化セグメントは7ヌクレオチド長であると見なされ得る。いくつかのガイドRNAでは、DNA標的化セグメント内の少なくとも17ヌクレオチドがターゲットDNAの相補的鎖に相補的である。例えば、DNA標的化セグメントは、20ヌクレオチド長であってもよく、標的DNAの相補的鎖との1、2、又は3つのミスマッチを含むことができる。一例では、ミスマッチは、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列に対応する相補的鎖(すなわち、PAM配列の逆相補体)の領域に隣接していない(例えば、ミスマッチは、ガイドRNAのDNA標的化セグメントの5’末端にあるか、又はミスマッチは、PAM配列に対応する相補的鎖の領域から、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、若しくは19塩基対離れている)。
【0162】
gRNAのタンパク質結合セグメントは、互いに相補的な2つのヌクレオチドの区間を含むことができる。タンパク質結合セグメントの相補的ヌクレオチドは、ハイブリダイズして二本鎖RNA二重鎖(dsRNA)を形成する。対象のgRNAのタンパク質結合セグメントはCasタンパク質と相互作用し、gRNAは結合したCasタンパク質をDNA標的化セグメントを介して標的化DNA内の特定のヌクレオチド配列に誘導する。
【0163】
単一ガイドRNAは、DNA標的化セグメント及び足場配列(すなわち、ガイドRNAのタンパク質結合又はCas結合配列)を含み得る。例えば、かかるガイドRNAは、3’足場配列に結合された5’DNA標的化セグメントを有することができる。例示的な足場配列(例えば、化膿レンサ球菌(S.pyogenes)Cas9と共に使用するため)は、以下を含むか、本質的に以下からなるか、又は以下からなる。GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCU(バージョン1;配列番号21);GUUGGAACCAUUCAAAACAGCAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC(バージョン2;配列番号22);GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC(バージョン3;配列番号23);及びGUUUAAGAGCUAUGCUGGAAACAGCAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGC(バージョン4;配列番号24);GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUUUU(バージョン5;配列番号25);GUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU(バージョン6;配列番号26);GUUUAAGAGCUAUGCUGGAAACAGCAUAGCAAGUUUAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUUUU(バージョン7;配列番号27);又はGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGGCACCGAGUCGGUGC(バージョン8;配列番号28)。いくつかのガイドsgRNAでは、バージョン6の4つの末端U残基が存在しない。いくつかのガイドsgRNAでは、バージョン6の4つの末端U残基のうちの1つ、2つ、又は3つしか存在しない。本明細書に開示されるガイドRNA標的配列のいずれかを標的とするガイドRNAは、例えば、ガイドRNAの3’末端の例示的なガイドRNA足場配列のいずれかに融合したガイドRNAの5’末端のDNA標的化セグメントを含んでもよい。すなわち、本明細書に開示されるDNA標的化セグメントのうちのいずれかは、上記の足場配列のうちのいずれか1つの5’末端に結合して、単一ガイドRNA(キメラガイドRNA)を形成することができる。
【0164】
ガイドRNAは、追加の所望の特徴(例えば、改変若しくは調節された安定性、細胞内標的化、蛍光標識による追跡、タンパク質若しくはタンパク質複合体の結合部位など)を提供する改変又は配列を含むことができる。すなわち、ガイドRNAは、1つ以上の修飾ヌクレオシド若しくはヌクレオチド、又は標準的なA、G、C、及びU残基の代わりに、又はそれに加えて使用される1つ以上の非天然及び/若しくは天然に存在する成分若しくは構成を含むことができる。そのような修飾の例には、例えば、5’キャップ(例えば、7-メチルグアニレートキャップ(m7G))、3’ポリアデニル化テール(すなわち、3’ポリ(A)テール)、リボスイッチ配列(例えば、タンパク質及び/又はタンパク質複合体による調節された安定性及び/又は調節されたアクセス可能性を可能にするため)、安定性制御配列、dsRNA二重鎖(すなわち、ヘアピン)を形成する配列、RNAを細胞内の位置(例えば、核、ミトコンドリア、葉緑体など)に標的化する修飾又は配列、追跡を提供する修飾又は配列(例えば、蛍光分子への直接結合、蛍光検出を容易にする部分への複合体化、蛍光検出を可能にする配列など)、タンパク質(例えば、転写活性化因子、転写抑制因子、DNAメチルトランスフェラーゼ、DNAデメチラーゼ、ヒストンアセチルトランスフェラーゼ、ヒストンデアセチラーゼなどを含む、DNAに作用するタンパク質)の結合部位を提供する修飾又は配列、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。修飾の他の例には、操作されたステムループ二重構造、操作されたバルジ領域、ステムループ二重構造の操作されたヘアピン3’、又はそれらの任意の組み合わせが含まれる。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2015/0376586号を参照されたい。バルジは、crRNA様領域と最小のtracrRNA様領域で構成される二重鎖内のヌクレオチドの対になっていない領域であり得る。バルジは、二重鎖の片側に、Xが任意のプリンであり、Yが反対側の鎖のヌクレオチドとゆらぎ塩基対を形成できるヌクレオチドであってもよい5’-XXXY-3’、及び二重鎖の他方の側に対になっていないヌクレオチド領域を含むことができる。
【0165】
ガイドRNAは、例えば、以下の1つ以上を含む修飾ヌクレオシド及び修飾ヌクレオチドを含むことができる。(1)ホスホジエステル骨格結合において、非結合リン酸酸素の一方又は両方及び/若しくは結合リン酸酸素の1つ以上の改変又は置換(例示的な骨格修飾)、(2)リボース糖での2’ヒドロキシルの改変又は置換などのリボース糖の構成要素の改変又は置換(例示的な糖修飾)、(3)リン酸部分のデホスホリンカーによる置換(例えば、大規模な置換)(例示的な骨格修飾)、(4)非基準核酸塩基を含む天然に存在する核酸塩基の修飾又は置換(例示的な塩基修飾)、(5)リボース-リン酸骨格の置換又は修飾(例示的な骨格修飾)、(6)オリゴヌクレオチドの3’末端又は5’末端の修飾(例えば、末端リン酸基の除去、修飾、若しくは置換、又は部分、キャップ、若しくはリンカーの複合(かかる3’又は5’キャップ修飾は、糖及び/又は骨格修飾を含み得る)、及び(7)糖の修飾又は置換(例示的な糖修飾)。他の可能なガイドRNA修飾には、ウラシル又はポリ-ウラシルトラクトの修飾又は置換が含まれる。例えば、それぞれが全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2015/048577号及び米国特許第2016/0237455号を参照されたい。同様の修飾を、Cas mRNAなどのCasコード核酸に行うことができる。例えば、Cas mRNAは、同義のコドンを使用してウリジンを枯渇させることによって修飾することができる。
【0166】
上記のホースでのような化学修飾を組み合わせて、2、3、4、又はそれ以上の修飾を有することができる残基(ヌクレオシド及びヌクレオチド)を含む修飾gRNA及び/又はmRNAを提供することができる。例えば、修飾残基は、修飾された糖及び修飾された核酸塩基を有することができる。一例では、gRNAの全ての塩基が修飾されている(例えば、全ての塩基は、ホスホロチオエート基などの修飾されたリン酸基を有する)。例えば、gRNAの全て又は実質的に全てのリン酸基をホスホロチオエート基で置換することができる。代替的又は追加的に、修飾gRNAは、5’末端又はその近くに少なくとも1つの修飾残基を含むことができる。代替的又は追加的に、修飾gRNAは、3’末端又はその近くに少なくとも1つの修飾残基を含み得る。
【0167】
いくつかのgRNAは、1つ、2つ、3つ、又はそれ以上の修飾残基を含む。例えば、修飾gRNAにおける少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%又は100%の位置は、修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドであり得る。
【0168】
修飾されていない核酸は分解されやすい可能性がある。外因性核酸はまた、自然免疫応答を誘導し得る。修飾は、安定性を導入し、免疫原性を低減するのに役立ち得る。本明細書に記載のいくつかのgRNAは、細胞内又は血清ベースのヌクレアーゼに対する安定性を導入するために、1つ以上の修飾ヌクレオシド又はヌクレオチドを含むことができる。本明細書に記載されているいくつかの修飾gRNAは、細胞の集団に導入された場合、自然免疫応答の低減を示す可能性がある。
【0169】
本明細書に開示されるgRNAは、修飾残基のリン酸基が、1つ以上の酸素を異なる置換基で置換することによって修飾され得る骨格修飾を含むことができる。修飾は、本明細書に記載されるように、修飾されていないリン酸部分を修飾されたリン酸基で大規模に置換することを含み得る。リン酸骨格の骨格修飾には、非荷電リンカー又は非対称電荷分布を有する荷電リンカーのいずれかをもたらす変化も含まれ得る。
【0170】
修飾されたリン酸基の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロセレン酸、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、水素ホスホネート、ホスホロアミデート、アルキル又はアリールホスホネート及びホスホトリエステルが挙げられる。修飾されていないリン酸基のリン原子は、アキラル性である。しかしながら、非架橋酸素のうちの1つを上記の原子又は原子の基のうちの1つに置換すると、リン原子がキラルになる可能性がある。立体中心のリン原子は、「R」配置(Rp)又は「S」配置(Sp)のいずれかを有することができる。骨格は、架橋酸素(すなわち、リン酸をヌクレオシドに結合する酸素)を、窒素(架橋ホスホロアミデート)、硫黄(架橋ホスホロチオエート)、及び炭素(架橋メチレンホスホネート)で置換することによっても修飾することができる。置換は、結合酸素又は結合酸素の両方で生じる可能性がある。
【0171】
リン酸基は、特定の骨格修飾でリンを含まないコネクタに置換することができる。いくつかの実施形態では、荷電リン酸基は、中性部分によって置換することができる。リン酸基を置換することができる部分の例としては、例えば、メチルホスホネート、ヒドロキシルアミノ、シロキサン、カーボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルマセタール、ホルマセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ、及びメチレンオキシメチルイミノが挙げられるが、これらに限定されない。
【0172】
核酸を模倣することができる足場はまた、リン酸リンカー及びリボース糖がヌクレアーゼ耐性ヌクレオシド又はヌクレオチド代用物によって置換させるように構築され得る。そのような修飾は、骨格及び糖修飾を含み得る。いくつかの実施形態では、核酸塩基は、代理骨格によってつながれ得る。例としては、モルフォリノ、シクロブチル、ピロリジン、及びペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド代用物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0173】
修飾ヌクレオシド及び修飾ヌクレオチドは、糖基への1つ以上の修飾(糖修飾)を含むことができる。例えば、2’ヒドロキシル基(OH)を修飾することができる(例えば、いくつかの異なるオキシ又はデオキシ置換基で置換することができる)。2’-アルコキシドイオンを形成するためにヒドロキシルを脱プロトン化することができなくなるため、2’ヒドロキシル基への修飾は核酸の安定性を高めることができる。
【0174】
2’ヒドロキシル基修飾の例としては、アルコキシ又はアリールオキシ(又は、「R」は、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖であり得る)、ポリエチレングリコール(PEG)、O(CHCHO)CHCHORが挙げられ、式中、Rは、例えば、H又は任意選択的に置換されたアルキルであり得、nは、0~20(例えば、0~4、0~8、0~10、0~16、1~4、1~8、1~10、1~16、1~20、2~4、2~8、2~10、2~16、2~20、4~8、4~10、4~16、及び4~20)の整数であり得る。2’ヒドロキシル基修飾は、2’-O-Meであり得る。同様に、2’ヒドロキシル基修飾は、2’-フルオロ修飾であり得、これは2’ヒドロキシル基をフッ化物で置き換える。2’ヒドロキシル基修飾は、2’ヒドロキシルが、例えば、C1-6アルキレン又はC1-6ヘテロアルキレンブリッジによって、同じリボース糖の4’炭素に接続され得るロックされた核酸(LNA)を含み得、例示的なブリッジは、メチレン、プロピレン、エーテル又はアミノブリッジ;O-アミノ(アミノは、例えば、NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン又はポリアミノであり得る)及びアミノアルコキシ、O(CH-アミノ、(アミノは、例えば、NH;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、又はポリアミノであり得る)を含み得る。2’ヒドロキシル基修飾は、リボース環がC2’-C3’結合を欠いているアンロックされた核酸(UNA)を含み得る。2’ヒドロキシル基修飾は、メトキシエチル基(MOE)(OCHCHOCH、例えば、PEG誘導体)を含み得る。
【0175】
デオキシ2’修飾には、水素(すなわち、例えば、部分的にdsRNAのオーバーハング部分にあるデオキシリボース糖)、ハロ(例えば、ブロモ、クロロ、フルオロ又はヨード)、アミノ(アミノは、例えば、NH2、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、又はアミノ酸であり得る)、NH(CHCHNH)CHCH-アミノ(アミノは、例えば、本明細書に記載されるように)、-NHC(O)R(Rは、例えば、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖であり得る)、シアノメルカプト、アルキル-チオ-アルキル、チオアルコキシ、並びにアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルを含み得、これらは、任意選択的に、例えば、本明細書に記載のアミノで置換することができる。
【0176】
糖修飾は、リボース中の対応する炭素とは反対の立体化学的配置を有する1つ以上の炭素を含み得る糖基を含むことができる。したがって、修飾核酸は、糖として、例えば、アラビノースを含むヌクレオチドを含み得る。修飾核酸はまた、脱塩基糖を含み得る。これらの脱塩基糖はまた、構成糖原子のうちの1つ以上で更に修飾することができる。修飾核酸はまた、L型である1つ以上の糖(例えば、L-ヌクレオシド)を含み得る。
【0177】
修飾核酸に組み込むことができる、本明細書に記載の修飾ヌクレオシド及び修飾ヌクレオチドは、核酸塩基とも呼ばれる修飾塩基を含み得る。核酸塩基の例としては、アデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、及びウラシル(U)が挙げられるが、これらに限定されない。これらの核酸塩基は、修飾核酸に組み込むことができる修飾残基を提供するために修飾され得るか、又は完全に置換され得る。ヌクレオチドの核酸塩基は、独立して、プリン、ピリミジン、プリン類似体、又はピリミジン類似体から選択することができる。いくつかの実施形態では、核酸塩基は、例えば、塩基の天然に存在する合成誘導体を含むことができる。
【0178】
二重ガイドRNAでは、crRNA及びtracrRNAの各々に修飾を含めることができる。このような修飾は、crRNA及び/又はtracrRNAの一端又は両端にあり得る。sgRNAでは、sgRNAの一端又は両端の1つ以上の残基が化学的に修飾されているか、かつ/又は内部ヌクレオシドが修飾されているか、かつ/又はsgRNA全体が化学的に修飾されている可能性がある。いくつかのgRNAは、5’末端修飾を含む。いくつかのgRNAは、3’末端修飾を含む。
【0179】
本明細書に開示されるガイドRNAは、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2018/107028Alに開示される修飾パターンのうちの1つを含むことができる。本明細書に開示されるガイドRNAはまた、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2017/0114334に開示される構造/修飾パターンのうちの1つを含むことができる。本明細書に開示されるガイドRNAはまた、全ての目的のためにそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO2017/136794、WO2017/004279、US2018/0187186、又はUS2019/0048338に開示される構造/修飾パターンのうちの1つを含むことができる。
【0180】
一例として、ガイドRNAの5’又は3’末端のヌクレオチドは、ホスホロチオエート結合を含むことができる(例えば、塩基は、ホスホロチオアート基である修飾されたリン酸基を有することができる)。例えば、ガイドRNAは、ガイドRNAの5’又は3’末端の2、3、又は4つの末端ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含み得る。別の例として、ガイドRNAの5’及び/又は3’末端のヌクレオチドは、2’-O-メチル修飾を有し得る。例えば、ガイドRNAは、ガイドRNAの5’及び/又は3’末端(例えば、5’末端)の2、3、又は4つの末端ヌクレオチドに2’-O-メチル修飾を含み得る。例えば、国際公開第2017/173054号及びFinn et al.(2018)Cell Rep.22(9):2227-2235を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。他の可能な修飾は、本明細書の他の場所でより詳細に記載される。特定の例では、ガイドRNAには、最初の3つの5’及び3’末端RNA残基に2’-O-メチル類似体及び3’ホスホロチオエートヌクレオチド間結合が含まれる。かかる化学修飾は、例えば、エキソヌクレアーゼからガイドRNAへのより優れた安定性及び保護を提供し、それらが修飾されていないガイドRNAよりも長く細胞内に持続することを可能にする。かかる化学修飾はまた、例えば、RNAを積極的に分解し得るか又は細胞死につながる免疫カスケードを引き起こし得る自然細胞内免疫応答から保護することもできる。
【0181】
一例として、本明細書に記載のガイドRNAのいずれも、少なくとも1つの修飾を含むことができる。一例では、少なくとも1つの修飾は、2’-O-メチル(2’-O-Me)修飾ヌクレオチド、ヌクレオチド間のホスホロチオエート(PS)結合、2’-フルオロ(2’-F)修飾ヌクレオチド、又はそれらの組み合わせを含む。例えば、少なくとも1つの修飾は、2’-O-メチル(2’-O-Me)修飾ヌクレオチドを含むことができる。代替的又は追加的に、少なくとも1つの修飾は、ヌクレオチド間のホスホロチオエート(PS)結合を含むことができる。代替的又は追加的に、少なくとも1つの修飾は、2’-フルオロ(2’-F)修飾ヌクレオチドを含むことができる。一例では、本明細書に記載のガイドRNAは、1つ以上の2’-O-メチル(2’-O-Me)修飾ヌクレオチド及びヌクレオチド間の1つ以上のホスホロチオエート(PS)結合を含む。
【0182】
修飾は、ガイドRNAの任意の場所に生じ得る。一例として、ガイドRNAは、ガイドRNAの5’末端の最初の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾を含み、ガイドRNAは、ガイドRNAの3’末端の最後の5つのヌクレオチドのうちの1つ以上での修飾、又はそれらの組み合わせを含む。例えば、ガイドRNAは、ガイドRNAの最初の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合、ガイドRNAの最後の4つのヌクレオチド間のホスホロチオエート結合、又はそれらの組み合わせを含むことができる。代替的又は追加的に、ガイドRNAは、ガイドRNAの5’末端の最初の3つのヌクレオチドでの2’-O-Me修飾ヌクレオチドを含むことができ、ガイドRNAの3’末端の最後の3つのヌクレオチドでの2’-O-Me修飾ヌクレオチド、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0183】
一例では、修飾gRNAは、以下の配列:mNmNmNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmUmUmUmU(配列番号29)を含み得、ここで、「N」は、任意の天然又は非天然ヌクレオチドであってもよく、N残基の全体が、本明細書に記載されるC5DNA標的化セグメント(例えば、配列番号29に示される配列)を含み、N残基は、配列番号33~120のうちのいずれか1つのDNA標的化セグメントで置き換えられる。別の例では、修飾gRNAは、以下の配列:mNmNmNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmUmUmUmU(配列番号29)を含み得、ここで、「N」は、任意の天然又は非天然ヌクレオチドであってもよく、N残基の全体が、本明細書に記載されるC5DNA標的化セグメント(例えば、配列番号29に示される配列)を含み、N残基は、配列番号60、65、67、82、85、87、97、及び119のうちのいずれか1つのDNA標的化セグメントで置き換えられる。別の例では、修飾gRNAは、以下の配列:mNmNmNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmUmUmUmU(配列番号29)を含み得、ここで、「N」は、任意の天然又は非天然ヌクレオチドであってもよく、N残基の全体が、本明細書に記載されるC5DNA標的化セグメント(例えば、配列番号29に示される配列)を含み、N残基は、配列番号85及び97のうちのいずれか1つのDNA標的化セグメントで置き換えられる。別の例では、修飾gRNAは、以下の配列:mNmNmNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmUmUmUmU(配列番号29)を含み得、ここで、「N」は、任意の天然又は非天然ヌクレオチドであってもよく、N残基の全体が、本明細書に記載されるC5DNA標的化セグメント(例えば、配列番号29に示される配列)を含み、N残基は、配列番号85のDNA標的化セグメントで置き換えられる。別の例では、修飾gRNAは、以下の配列:mNmNmNNNNNNNNNNNNNNNNNNGUUUUAGAmGmCmUmAmGmAmAmAmUmAmGmCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAmAmCmUmUmGmAmAmAmAmAmGmUmGmGmCmAmCmCmGmAmGmUmCmGmGmUmGmCmUmUmUmU(配列番号29)を含み得、ここで、「N」は、任意の天然又は非天然ヌクレオチドであってもよく、N残基の全体が、本明細書に記載されるC5DNA標的化セグメント(例えば、配列番号29に示される配列)を含み、N残基は、配列番号97のDNA標的化セグメントで置き換えられる。「mA」、「mC」、「mU」、及び「mG」という用語は、2’-O-Meで修飾されたヌクレオチド(それぞれ、A、C、U、及びG)を示す。「」という記号は、ホスホロチオエート修飾を示す。ホスホロチオエート連結又は結合は、ホスホジエステル結合、例えばヌクレオチド塩基間の結合において、硫黄が1つの非架橋リン酸酸素の代わりに使用される結合を指す。ホスホロチオエートを使用してオリゴヌクレオチドを生成する場合、修飾オリゴヌクレオチドはS-オリゴと呼ばれることもあり得る。A、C、U又はGという用語は、ホスホロチオエート結合で次の(例えば3’)ヌクレオチドに連結されるヌクレオチドを示す。「mA」、「mC」、「mU」及び「mG」という用語は、2’-O-Me置換され、ホスホロチオエート結合で次の(例えば、3’)ヌクレオチドに連結されるヌクレオチド(それぞれA、C、U、及びG)を示す。
【0184】
ヌクレオチド糖環に影響を与えることが示されている他の化学修飾は、ハロゲン置換である。例えば、ヌクレオチド糖環の2’-フルオロ(2’-F)置換は、オリゴヌクレオチド結合親和性及びヌクレアーゼ安定性を高めることができる。脱塩基ヌクレオチドとは、窒素塩基を欠くヌクレオチドを指す。反転した塩基とは、通常の5’から3’への結合(すなわち、5’から5’への結合又は3’から3’への結合)から反転した結合を有するものを指す。
【0185】
脱塩基ヌクレオチドは、逆結合で結合することができる。例えば、脱塩基ヌクレオチドは、5’から5’への結合を介して末端5’ヌクレオチドに結合され得るか、又は脱塩基ヌクレオチドは、3’から3’への結合を介して末端3’ヌクレオチドに結合され得る。末端の5’又は3’ヌクレオチドのいずれかにある逆脱塩基ヌクレオチドは、逆脱塩基エンドキャップと呼ばれることもあり得る。
【0186】
一例では、5’末端の最初の3、4、又は5ヌクレオチドのうちの1つ以上、及び3’末端の最後の3、4、又は5ヌクレオチドのうちの1つ以上が修飾されている。修飾は、例えば、2’-O-Me、2’-F、逆塩基性ヌクレオチド、ホスホロチオエート結合、又は安定性及び/又は性能を高めることがよく知られている他のヌクレオチド修飾であり得る。
【0187】
別の例では、5’末端の最初の4ヌクレオチド、及び3’末端の最後の4ヌクレオチドをホスホロチオエート結合で連結することができる。
【0188】
別の例では、5’末端の最初の3つのヌクレオチド、及び3’末端の最後の3つのヌクレオチドは、2’-O-メチル(2’-O-Me)修飾ヌクレオチドを含むことができる。別の例では、5’末端の最初の3つのヌクレオチド、及び3’末端の最後の3つのヌクレオチドは、2’-フルオロ(2’-F)修飾ヌクレオチドを含む。別の例では、5’末端の最初の3つのヌクレオチド、及び3’末端の最後の3つのヌクレオチドは、逆塩基性ヌクレオチドを含む。
【0189】
ガイドRNAはどのような形態で提供してもよい。例えば、gRNAは、2つの分子(別個のcrRNA及びtracrRNA)又は1つの分子(sgRNA)のいずれかとしてRNAの形態で、及び任意にCasタンパク質との複合体の形態で提供され得る。gRNAはまた、gRNAをコードするDNAの形態で提供され得る。gRNAをコードするDNAは、単一RNA分子(sgRNA)又は別個のRNA分子(例えば、別個のcrRNA及びtracrRNA)をコードすることができる。後者の場合、gRNAをコードするDNAは、1つのDNA分子として、又はそれぞれcrRNA及びtracrRNAをコードする別個のDNA分子として提供してもよい。
【0190】
gRNAがDNAの形態で提供される場合、gRNAは一過性、条件付き、又は構成的に細胞内で発現してもよい。gRNAをコードするDNAは、細胞のゲノムにおいて安定して組み込まれ、細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結され得る。代替的に、gRNAをコードするDNAは、発現構築物中のプロモーターに作動可能に連結され得る。例えば、gRNAをコードするDNAは、Casタンパク質をコードする核酸などの異種核酸を含むベクター内にあり得る。代替的に、それは、Casタンパク質をコードする核酸を含むベクターとは別個のベクター又はプラスミドであり得る。そのような発現構築物において使用され得るプロモーターには、例えば、真核細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、非ヒト哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、多能性細胞、胚性幹(ES)細胞、成体幹細胞、発達的に制限された前駆細胞、誘導多能性幹(iPS)細胞、又は1細胞期胚のうちの1つ以上において活性なプロモーターが含まれる。そのようなプロモーターは、例えば、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、又は組織特異的プロモーターであってよい。かかるプロモーターはまた、例えば、双方向プロモーターであり得る。好適なプロモーターの特定の例には、ヒトU6プロモーター、ラットU6ポリメラーゼIIIプロモーター、又はマウスU6ポリメラーゼIIIプロモーターなどのRNAポリメラーゼIIIプロモーターが含まれる。
【0191】
代替的に、gRNAは、他の様々な方法で調製され得る。例えば、gRNAは、例えば、T7 RNAポリメラーゼを使用するインビトロ転写によって調製することができる(例えば、それぞれが全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/089290及び国際公開第2014/065596号を参照されたい)。ガイドRNAはまた、化学的合成によって調製された合成的に生成された分子であり得る。例えば、ガイドRNAを化学的に合成して、最初の3つの5’及び3’末端RNA残基に2’-O-メチル類似体及び3’ホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含むことができる。
【0192】
ガイドRNA(又はガイドRNAをコードする核酸)は、1つ以上のガイドRNA(例えば、1、2、3、4、又はそれ以上のガイドRNA)と、ガイドRNAの安定性を増加させる(例えば、所定の保存条件下(例えば、-20℃、4℃、又は周囲温度)で、分解産物が閾値未満、例えば出発核酸又はタンパク質の0.5重量%未満のままである期間を延長する、あるいはインビボでの安定性を増加させる)担体と、を含む組成物であり得る。そのような担体の非限定的な例には、ポリ(乳酸)(PLA)ミクロスフェア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール-酸)(PLGA)ミクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コキレート(cochleates)、及び脂質微小管が挙げられる。かかる組成物は、Cas9タンパク質などのCasタンパク質、又はCasタンパク質をコードする核酸を更に含み得る。
【0193】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示される配列を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号297~312及び316~331のうちのいずれか1つに示される配列と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下だけ異なる配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。
【0194】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示される配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号297~304及び316~323のうちのいずれか1つに示される配列と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下だけ異なる配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。
【0195】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示される配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号299、301、318、及び320のうちのいずれか1つに示される配列と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下だけ異なる配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。
【0196】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号299及び301のうちのいずれか1つに示される配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号299及び301のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号299及び301のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号299及び301のうちのいずれか1つに示される配列と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下だけ異なる配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。
【0197】
一例として、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号318及び320のうちのいずれか1つに示される配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号318及び320のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号318及び320のうちのいずれか1つに示されるDNA標的化セグメントに対して少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一である配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。代替的に、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、配列番号318及び320のうちのいずれか1つに示される配列と3ヌクレオチド以下、2ヌクレオチド以下、又は1ヌクレオチド以下だけ異なる配列を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。
【0198】
D.ガイドRNA標的配列
ガイドRNAの標的DNAには、結合に十分な条件が存在する場合に、gRNAのDNA標的セグメントが結合するDNAに存在する核酸配列が含まれる。好適なDNA/RNA結合条件には、細胞に通常存在する生理学的条件が含まれる。他の適切なDNA/RNA結合条件(例えば、無細胞系における条件)は、当技術分野で公知である(例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd Ed.(Sambrook et al.,Harbor Laboratory Press 2001)を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。gRNAに相補的であり、かつそれとハイブリダイズする標的DNAの鎖は、「相補的鎖」と呼ばれることができ、「相補的鎖」に相補的である(したがって、Casタンパク質又はgRNAに相補的ではない)標的DNAの鎖は、「非相補的鎖」又は「テンプレート鎖」と呼ばれることができる。
【0199】
標的DNAは、ガイドRNAがハイブリダイズする相補的鎖上の配列と非相補的鎖上の対応する配列(例えば、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)に隣接する)の両方を含む。本明細書で使用される「ガイドRNA標的配列」という用語は、具体的には、特に、ガイドRNAが相補鎖上でハイブリダイズする配列に対応する(すなわち、その逆相補体)非相補鎖上の配列を指す。すなわち、ガイドRNA標的配列は、PAMに隣接する非相補的鎖上の配列(例えば、Cas9の場合、PAMの上流又は5’)を指す。ガイドRNA標的配列は、ガイドRNAのDNA標的化セグメントと同等であるが、ウラシルの代わりにチミンを含む。一例として、SpCas9酵素のガイドRNA標的配列は、非相補的鎖上の5’-NGG-3’PAMの上流の配列を指し得る。ガイドRNAは、標的DNAの相補的鎖に対して相補性を有するように設計されており、ガイドRNAのDNA標的化セグメントと標的DNAの相補的鎖との間のハイブリダイゼーションは、CRISPR複合体の形成を促進する。ハイブリダイゼーションを引き起こし、CRISPR複合体の形成を促進するのに十分な相補性があれば、完全な相補性は必ずしも必要ではない。ガイドRNAが本明細書でガイドRNA標的配列を標的とするものとして言及される場合、それは、ガイドRNAが、非相補的鎖上のガイドRNA標的配列の逆相補体である標的DNAの相補的鎖配列にハイブリダイズすることを意味する。
【0200】
標的DNA又はガイドRNA標的配列は、任意のポリヌクレオチドを含み得、例えば、細胞の核又は細胞質内、あるいはミトコンドリア又は葉緑体などの細胞の細胞小器官内に位置し得る。標的DNA又はガイドRNA標的配列は、細胞に対して内因性又は外因性の任意の核酸配列であり得る。ガイドRNA標的配列は、遺伝子産物(例えば、タンパク質)をコードする配列又は非コード配列(例えば、制御性配列)であり得るか、又は両方を含み得る。
【0201】
Casタンパク質による標的DNAの部位特異的結合及び切断は、(i)ガイドRNAと標的DNAの相補的鎖との間の塩基対合相補性、及び(ii)標的DNAの非相補的鎖にある、プロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)と呼ばれる短いモチーフの両方によって決定される位置で起こり得る。PAMは、ガイドRNA標的配列に隣接し得る。任意選択的に、ガイドRNA標的配列は、3’末端でPAMが隣接し得る(例えば、Cas9の場合)。代替的に、ガイドRNA標的配列は、5’末端でPAMが隣接し得る(例えば、Cpf1の場合)。例えば、Casタンパク質の切断部位は、PAM配列の上流又は下流(例えば、ガイドRNA標的配列内)の約1~約10又は約2~約5塩基対(例えば、3塩基対)であり得る。SpCas9の場合、PAM配列(すなわち、非相補的鎖上)は、5’-NGG-3’であり得、Nは、任意のDNAヌクレオチドであり、PAMは、標的DNAの非相補的鎖上のガイドRNA標的配列の3’のすぐ近くである。したがって、相補的鎖上のPAMに対応する(すなわち、逆相補体)配列は、5’-CCN-3’であり、Nは、任意のDNAヌクレオチドであり、ガイドRNAのDNA標的化セグメントが標的DNAの相補的鎖にハイブリダイズする配列の5’のすぐ近くである。いくつかのそのような場合、N及びNは、相補的であることができ、N~N塩基対は、任意の塩基対であり得る(例えば、N=C及びN=G、N=G及びN=C、N=A及びN=T、又はN=T及びN=A)。黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)由来のCas9の場合、PAMは、NNGRRT又はNNGRRであってもよく、ここでNは、A、G、C、又はTであってもよく、Rは、G又はAであってもよい。カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)由来のCas9の場合、PAMは、例えば、NNNNACAC又はNNNNRYACであってもよく、ここでNは、A、G、C、又はTであってもよく、Rは、G又はAであってもよい。いくつかの場合(例えば、FnCpf1の場合)、PAM配列は、5’末端の上流であってもよく、配列5’-TTN-3’を有することができる。DpbCasXの場合、PAMは、配列5’-TTCN-3’を有し得る。CasΦの場合、PAMは配列5’-TBN-3’(式中、BはG、T、又はCである)を有し得る。
【0202】
ガイドRNA標的配列の例は、SpCas9タンパク質によって認識されるNGGモチーフの直前の20ヌクレオチドのDNA配列である。例えば、ガイドRNA標的配列+PAMの2つの例は、GN19NGG(配列番号30)又はN20NGG(配列番号31)である。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/165825号を参照されたい。5’末端のグアニンは、細胞内のRNAポリメラーゼによる転写を促進することができる。ガイドRNA標的配列+PAMの他の例は、5’末端に2つのグアニンヌクレオチド(例えば、GGN20NGG;配列番号32)を含んで、インビトロで、T7ポリメラーゼによる効率的な転写を容易にし得る。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2014/065596号を参照されたい。他のガイドRNA標的配列及びPAMは、4~22ヌクレオチド長の、配列番号30~32(5’G又はGG及び3’GG又はNGGを含む)を有し得る。更に他のガイドRNA標的配列+PAMは、14~20ヌクレオチド長の、配列番号30~32を有し得る。
【0203】
標的DNAにハイブリダイズしたCRISPR複合体の形成は、ガイドRNA標的配列(すなわち、標的DNAの非相補的鎖上のガイドRNA標的配列及びガイドRNAがハイブリダイズする相補的鎖上の逆相補体)に対応する領域内又は領域の近くの標的DNAの一方又は両方の鎖の切断をもたらし得る。例えば、切断部位は、ガイドRNA標的配列内にあり得る(例えば、PAM配列に対して定義された位置に)。「切断部位」は、Casタンパク質が一本鎖切断又は二本鎖切断を生成する標的DNAの位置を含む。切断部位は、一本鎖のみ(例えば、ニッカーゼが使用される場合)又は二本鎖DNAの両方の鎖上にあり得る。切断部位は、両方の鎖の同じ位置(平滑末端を生成する、例えば、Cas9)にあってもよく、又は各鎖の異なる部位(付着末端(すなわち、オーバーハング)を生成する、例えば、Cpf1)にあってもよい。千鳥状の末端は、例えば、各々が異なる鎖上の異なる切断部位で一本鎖切断を生成し、それによって二本鎖切断を生成する2つのCasタンパク質を使用することによって生成され得る。例えば、第1のニッカーゼは、二本鎖DNA(dsDNA)の第1の鎖上に一本鎖切断を作成することができ、第2のニッカーゼは、オーバーハング配列が作成されるようにdsDNAの第2の鎖上に一本鎖切断を作成することができる。場合によっては、第1の鎖のニッカーゼのガイドRNA標的配列又は切断部位は、第2の鎖のニッカーゼのガイドRNA標的配列又は切断部位から、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、75、100、250、500、又は1,000塩基対離れている。
【0204】
ヒトC5遺伝子などのC5遺伝子を標的とするガイドRNAは、C5遺伝子の任意の所望の位置を標的とすることができる。例えば、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子の任意の連続する配列を含むことができる。C5遺伝子という用語は、C5調節プロモーター及びエンハンサー配列並びにコード配列を含むゲノム領域を含む。ガイドRNA標的配列は、コード配列、非コード配列(例えば、プロモーター又はエンハンサー領域などの調節エレメント)、又はそれらの組み合わせを含むことができる。一例として、ガイドRNA標的配列は、エキソンをコードする任意のC5のいずれかの連続するコード配列を含むことができる。一例では、ガイドRNA標的配列は、この領域がアナフィラトキシンC5aをコードするので、コードエキソン16及び17にはない。一例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン1にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン2にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン3にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン4にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン5にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン6にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン7にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン8にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン9にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン10にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン11にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン12にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン13にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン14にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン15にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン16にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン17にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン18にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン19にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン20にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン21にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン22にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン23にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン24にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン25にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン26にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン27にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン28にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン29にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン30にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン31にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン32にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン33にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン34にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン35にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン36にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン37にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン38にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン39にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン40にあり得る。別の例として、ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子のコードエキソン41にあり得る。ガイドRNA標的配列(例えば、少なくとも1つのヌクレオチド)の少なくとも一部がコードエキソンX内にある場合、ガイドRNA標的配列はコードエキソンX内にある。
【0205】
特定の例において、ガイドRNA標的配列は、コードエキソン1、12、15、21、22、又は27中にあり得る。別の具体的な例では、ガイドRNA標的配列は、コードエキソン12又は15内にあり得る。
【0206】
ガイドRNA標的配列は、対応するCasタンパク質による切断が、機能喪失対立遺伝子をもたらすフレームシフト挿入/欠失(インデル)突然変異をもたらすように、C5遺伝子のコード領域を標的とするように選択することができる。インデルは、標的核酸の二本鎖切断(DSB)の部位で挿入又は欠失されるかのいずれかのヌクレオチドからなる挿入/欠失突然変異を指す。そのようなフレームシフト変異は、標的化DNA二本鎖切断、及びそれに続く非相同末端結合(NHEJ)経路を介した変異原性修復によって達成することができ、これにより、切断部位にインデルが生成される。DSBに導入されているインデルはランダムであり、一部のインデルはC5遺伝子の早期終了を引き起こすフレームシフト変異をもたらす。別の例として、ガイドRNA標的配列は、対応するCasタンパク質による切断がプロモーター領域又はエンハンサー領域の破壊をもたらすように、C5遺伝子のプロモーター領域又はエンハンサー領域内にあり得る。そのようなフレームシフト変異は、標的化DNA二本鎖切断、及びそれに続く非相同末端結合(NHEJ)経路を介した変異原性修復によって達成することができ、これにより、切断部位にインデルが生成される。
【0207】
ガイドRNA標的配列は、C5遺伝子の構成的エキソン内にあり得る。例えば、ガイドRNA標的配列は、5’構成的エキソン内にあり得る。構成的エキソンは、スプライシング後に一貫して保存されているコードエキソンである。C5遺伝子が発現される全ての組織にわたって発現されるエキソンは、gRNA標的化の構成的エキソンと見なされ得る。いくつかの例では、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、選択的スプライシング部位を含有するいずれのエキソンも標的としない。単一のC5コード転写物のみが存在するので、C5の41個のコードエキソン全てが構成的であると考えられる。
【0208】
別の例として、ガイドRNA標的配列は、開始コドンの約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、若しくは約1,000ヌクレオチド以内であり得るか、又は開始コドンを含み得る。
【0209】
ガイドRNA標的配列は、オフターゲット修飾を最小限に抑えるか、又はオフターゲット効果を回避するように選択することもできる(例えば、オフターゲットゲノム配列とのミスマッチが2つ以下になることを回避することによって)。
【0210】
一例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号209~296のうちのいずれか1つに示されるガイドRNA標的配列を標的化し得る。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号209~296のうちのいずれか1つに示されるガイドRNA標的配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを標的化し得る。
【0211】
別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つに示されるガイドRNA標的配列を標的化し得る。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号236、241、243、258、261、263、273、及び295のうちのいずれか1つに示されるガイドRNA標的配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを標的化し得る。
【0212】
別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示されるガイドRNA標的配列を標的化し得る。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号261及び273のうちのいずれか1つに示されるガイドRNA標的配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを標的化し得る。
【0213】
別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号261に示されるガイドRNA標的配列を標的化し得る。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号261に示されるガイドRNA標的配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを標的化し得る。
【0214】
別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号273に示されるガイドRNA標的配列を標的化し得る。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、配列番号273に示されるガイドRNA標的配列の少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、若しくは少なくとも20の連続するヌクレオチドを標的化し得る。
【0215】
【表4-1】
【表4-2】
【0216】
E.C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムを含む脂質ナノ粒子
C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムを含む脂質ナノ粒子も提供される。脂質ナノ粒子は、任意の形態(例えば、タンパク質、DNA、若しくはmRNA)のCasタンパク質を含むことができ、かつ/又は任意の形態(例えば、DNA若しくはRNA)のガイドRNA(複数可)を含むことができる。一例では、脂質ナノ粒子は、mRNAの形態のCasタンパク質(例えば、本明細書に記載される修飾RNA)及びRNAの形態のガイドRNA(複数可)(例えば、本明細書に開示される修飾ガイドRNA)を含む。別の例として、脂質ナノ粒子は、タンパク質の形態のCasタンパク質及びRNAの形態のガイドRNA(複数可)を含むことができる。具体的な例では、ガイドRNAとCasタンパク質はそれぞれ、同じLNPでのLNP媒介送達を介してRNAの形態で導入される。本明細書の他の箇所でより詳細に考察されるように、1つ以上のRNAを修飾することができる。例えば、1つ以上のRNAは、5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の安定化末端修飾を含むように修飾され得る。かかる修飾には、例えば、5’末端及び/又は3’末端の1つ以上のホスホロチオエート結合、並びに/あるいは5’末端及び/又は3’末端の1つ以上の2’-O-メチル修飾が含まれ得る。別の例として、Cas mRNA修飾は、シュードウリジンでの置換(例えば、シュードウリジンで完全に置換される)、5’キャップ、及びポリアデニル化を含み得る。別の例として、Cas mRNA修飾は、N1-メチル-シュードウリジンによる置換(例えば、N1-メチル-シュードウリジンによる完全置換)、5’キャップ、及びポリアデニル化を含むことができる。他の改変もまた、本明細書の他の箇所に開示されるように企図される。かかる方法による送達は、一過性のCas発現及び/又はガイドRNAの一過性の存在をもたらし得、生分解性脂質はクリアランスを改善し、忍容性を改善し、免疫原性を低下させる。脂質製剤は、生体分子を分解から保護すると同時に、細胞への取り込みを改善することができる。脂質ナノ粒子は、分子間力によって互いに物理的に結合した複数の脂質分子を含む粒子である。これらには、ミクロスフェア(単層及び多層ベシクル、例えば、リポソームを含む)、エマルジョン中の分散相、ミセル、又は懸濁液中の内相が含まれる。そのような脂質ナノ粒子は、送達のために1つ以上の核酸又はタンパク質をカプセル化するために使用することができる。カチオン性脂質を含む製剤は、核酸などのポリアニオンを送達するのに有用である。含めることができる他の脂質は、中性脂質(すなわち、非荷電又は両性イオン脂質)、陰イオン脂質、トランスフェクションを増強するヘルパー脂質、及びナノ粒子がインビボで存在できる時間を増加させるステルス脂質である。好適なカチオン性脂質、中性脂質、アニオン性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質の例は、すべての目的のためにそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2016/010840号及び国際公開第2017/173054号に見出すことができる。例示的な脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質及び1つ以上の他の成分を含むことができる。一例において、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質を含むことができる。別の例において、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質及びDSPCなどの中性脂質を含むことができる。別の例において、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質、DSPCなどの任意の中性脂質、及びS010、S024、S027、S031、又はS033などのステルス脂質を含むことができる。
【0217】
LNPは、以下の1つ以上又は全てを含有してもよい。、(i)カプセル化及びエンドソーム脱出のための脂質、(ii)安定化のための中性脂質、(iii)安定化のためのヘルパー脂質、及び(iv)ステルス脂質。例えば、Finn et al.(2018)Cell Rep.22(9):2227-2235及び国際公開第2017/173054号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。特定のLNPにおいて、カーゴはガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸を含むことができる。特定のLNPにおいて、カーゴは、Cas9などのCasヌクレアーゼをコードするmRNA、及びガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸を含み得る。特定のLNPでは、カーゴに外因性ドナー配列を含むことができる。特定のLNPにおいて、カーゴは、Cas9などのCasヌクレアーゼをコードするmRNA、ガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸、及び外因性ドナー配列を含み得る。いくつかのLNPでは、脂質成分は、生分解性のイオン化可能な脂質などのアミン脂質を含む。いくつかの例において、脂質成分は、生分解性のイオン化可能な脂質、コレステロール、DSPC、及びPEG-DMGを含む。例えば、Cas9 mRNA及びgRNAは、イオン化可能な脂質((9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート、(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートとも呼ばれる)、コレステロール、DSPC及びPEG2k-DMGを含む脂質製剤を利用して細胞及び動物に送達することができる。
【0218】
いくつかの例では、LNPはカチオン性脂質を含む。いくつかの例では、LNPは、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート、(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート)とも呼ばれる)又は別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、国際公開第2019/067992号、国際公開第2017/173054号、国際公開第2015/095340号、及び国際公開第2014/136086号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、LNPは、リン酸RNAに対するカチオン性脂質アミンのモル比(N:P)が約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、又は約6.5である。いくつかの例では、LNP脂質の文脈におけるカチオン性及びイオン化可能という用語は交換可能である(例えば、ここで、イオン化可能な脂質はpHに応じてカチオン性である)。
【0219】
カプセル化及びエンドソーム脱出のための脂質は、カチオン性脂質であり得る。脂質はまた、生分解性イオン化可能脂質などの生分解性脂質であり得る。好適な脂質の一例は、3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノアートとも呼ばれる、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノアートであるリピドA又はLP01である。例えば、Finn et al.(2018)Cell Rep.22(9):2227-2235及び国際公開第2017/173054号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。好適な脂質の別の例は、((5-((ジメチルアミノ)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ))ビス(オクタン-8,1-ジイル)ビス(デカノアート)とも呼ばれる、((5-((ジメチルアミノ)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ))ビス(オクタン-8,1-ジイル)ビス(デカノアート)である脂質Bである。好適な脂質の別の例は、2-((4-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ヘキサデカノイル)オキシ)プロパン-1,3-ジイル(9Z,9’Z,12Z,12’Z)-ビス(オクタデカ-9,12-ジエノアート)である脂質Cである。好適な脂質の別の例は、3-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)-13-(オクタノイルオキシ)トリデシル3-オクチルウンデカノアートである脂質Dである。他の好適な脂質には、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート([(6Z,9Z,28Z,31Z-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル]4-(ジメチルアミノ)ブタノエート又はDlin-MC3-DMA(MC3))としても知られる)が含まれる。
【0220】
本明細書に記載のLNPでの使用に好適ないくつかのそのような脂質は、インビボで生分解性である。例えば、そのような脂質を含むLNPには、脂質の少なくとも75%が、8、10、12、24、若しくは48時間以内、又は3、4、5、6、7、若しくは10日以内に血漿から除去されるものが含まれる。別の例として、LNPの少なくとも50%が、8、10、12、24、若しくは48時間以内、又は3、4、5、6、7、若しくは10日以内に血漿から除去される。
【0221】
このような脂質は、それらが含まれる培地のpHに応じてイオン化可能であり得る。例えば、わずかに酸性の培地では、脂質は、プロトン化され、したがって正電荷を帯びることができる。逆に、例えば、pHが約7.35である血液などのわずかに塩基性の媒体では、脂質はプロトン化されない可能性があり、したがって電荷を帯びない可能性がある。いくつかの実施形態では、脂質は、少なくとも約9、9.5、又は10のpHでプロトン化され得る。そのような脂質が電荷を帯びる能力は、その固有のpKaに関連している。例えば、脂質は、独立して、約5.8~約6.2の範囲のpKaを有し得る。
【0222】
中性脂質は、LNPを安定化し、そのプロセシングを改善するよう機能する。好適な中性脂質の例には、様々な中性、非荷電、又は双性イオン性脂質が含まれる。本開示における使用に好適な中性リン脂質の例は、5-ヘプタデシルベンゼン-1,3-ジオール(レゾルシノール)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステロイルホスファチジルコリン、又は1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、ホスホコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ホスファチジルコリン(PLPC)、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DAPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジラウリロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイルホスファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DBPC)、1-ステアロイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(SPPC)、1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、リソホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジリノレオイルホスファチジルコリンジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、パルミトイルロレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、イソホスファチジルエタノールアミン、1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SOPC)、及びこれらの組み合わせを含むが、これらには限定されない。例えば、中性リン脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、及びジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)からなる群から選択され得る。
【0223】
ヘルパー脂質には、トランスフェクションを増強する脂質が含まれる。ヘルパー脂質がトランスフェクションを増強するメカニズムは、粒子安定性を増強することを含み得る。場合によっては、ヘルパー脂質は、膜の融合性を増強することができる。ヘルパー脂質は、ステロイド、ステロール、及びアルキルレゾルシノールを含む。好適な好適なヘルパー脂質の例には、コレステロール、5-ヘプタデシルレゾルシノール、及びヘミコハク酸コレステロールが含まれる。一例において、ヘルパー脂質は、コレステロール又はヘミコハク酸コレステロールであり得る。
【0224】
ステルス脂質は、ナノ粒子がインビボで存在することができる時間の長さを変える脂質を含む。ステルス脂質は、例えば、粒子凝集を低減し、粒子サイズを制御することによって、製剤化プロセスにおいて支援し得る。ステルス脂質は、LNPの薬物動態特性を調節し得る。好適なステルス脂質には、脂質部分に連結された親水性頭部基を有する脂質が含まれる。
【0225】
ステルス脂質の親水性頭部基は、例えば、PEG(時折、ポリ(エチレンオキシド)と称される)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(グリセロール)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリアミノ酸、及びポリN-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドに基づくポリマーから選択されるポリマー部分を含み得る。PEGという用語は、ポリエチレングリコール又は他のポリアルキレンエーテルポリマーを意味する。特定のLNP製剤において、PEGはPEG2000とも呼ばれるPEG-2Kであり、平均分子量は約2,000ダルトンである。例えば、国際公開第2017/173054号を参照されたく、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0226】
ステルス脂質の脂質部分は、例えば、独立して約C4~約C40の飽和又は不飽和の炭素原子を含むアルキル鎖長を有するジアルキルグリセロール又はジアルキルグリカミド基を含むものを含むジアシルグリセロール又はジアシルグリカミドから由来し得、ここで鎖は1つ以上の、例えば、アミド又はエステルなどの官能基を含み得る。ジアルキルグリセロール又はジアルキルグリカミド基は、1つ以上の置換アルキル基を更に含み得る。
【0227】
一例として、ステルス脂質は、PEG-ジラウロイルグリセロール、PEG-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)、PEG-ジパルミトイルグリセロール、PEG-ジステアロイルグリセロール(PEG-DSPE)、PEG-ジラウリルグリカミド、PEG-ジミリスチルグリカミド、PEG-ジパルミトイルグリカミド、及びPEG-ジステアロイルグリカミド、PEG-コレステロール(l-[8’-(コレスト-5-エン-3[ベータ]-オキシ)カルボキシアミド-3’,6’-ジオキサオクタニル]カルバモイル-[オメガ]-メチル-ポリ(エチレングリコール)、PEG-DMB(3,4-ジテトラデコキシルベンジル-[オメガ]-メチル-ポリ(エチレングリコール)エーテル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG2k-DMPE)、又は1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メチルポリオキシエチレングリコール-2000(PEG2k-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG2k-DSPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG2k-DSG)、ポリ(エチレングリコール)-2000-ジメタクリレート(PEG2k-DMA))、及び1,2-ジステアリルオキシプロピル-3-アミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG2k-DSA)から選択され得る。1つの特定の例において、ステルス脂質は、PEG2k-DMGであり得る。
【0228】
いくつかの実施形態では、PEG脂質はグリセロール基を含む。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、ジミリストイルグリセロール(DMG)基を含む。いくつかの実施形態では、PEG脂質はPEG2kを含む。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、PEG-DMGである。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、PEG2k-DMGである。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000である。いくつかの実施形態では、PEG2k-DMGは、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000である。
【0229】
LNPは、製剤中の成分脂質の異なるそれぞれのモル比を含むことができる。CCD脂質のモル%は、例えば、約30モル%~約60モル%、約35モル%~約55モル%、約40モル%~約50モル%、約42モル%~約47モル%、又は約45%であり得る。ヘルパー脂質のモル%は、例えば、約30モル%~約60モル%、約35モル%~約55モル%、約40モル%~約50モル%、約41モル%~約46モル%、又は約44モル%であり得る。中性脂質のモル%は、例えば、約1モル%~約20モル%、約5モル%~約15モル%、約7モル%~約12モル%、又は約9モル%であり得る。ステルス脂質のモル%は、例えば、約1モル%~約10モル%、約1モル%~約5モル%、約1モル%~約3モル%、約2モル%、又は約1モル%であり得る。
【0230】
LNPは、生分解性脂質(N)の正に帯電したアミン基と、カプセル化される核酸の負に帯電したリン酸基(P)との間で異なる比を有することができる。これは、式N/Pによって数学的に表すことができる。例えば、N/P比は、約0.5~約100、約1~約50、約1~約25、約1~約10、約1~約7、約3~約5、約4~約5、約4、約4.5、又は約5であり得る。N/P比はまた、約4~約7又は約4.5~約6であり得る。特定の例において、N/P比は、約4.5であり得るか、又は約6であり得る。
【0231】
一部のLNPでは、カーゴは、Cas mRNA(例えば、Cas9 mRNA)及びgRNAを含むことができる。Cas mRNA及びgRNAは、異なる比であり得る。例えば、LNP製剤は、約25:1~約1:25の範囲、約10:1~約1:10の範囲、約5:1~約1:5の範囲、又は約1:1のCas mRNAとgRNAとの比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:1~約1:5、又は約10:1のCas mRNAとgRNA核酸との比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:10、約25:1、約10:1、約5:1、約3:1、約1:1、約1:3、約1:5、約1:10、又は約1:25のCas mRNAとgRNA核酸との比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:1~約1:2の、Cas mRNAとgRNA核酸との比を含み得る。特定の例において、Cas mRNAとgRNAとの比は、約1:1又は約1:2であり得る。代替的に、LNP製剤は、約2:1~約1:2の、Cas mRNAとgRNA核酸との比を含み得る。具体的な例において、Cas mRNAとgRNAとの比は、約2:1又は約1:1又は約1:2であり得る。
【0232】
LNPの例示的な投薬には、総RNA(Cas9 mRNA及びgRNA)カーゴ含有量に対して約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約8、若しくは約10mg/kg体重(mpk)、又は、約0.1~約10、約0.25~約10、約0.3~約10、約0.5~約10、約1~約10、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約8~約10、約0.1~約8、約0.1~約6、約0.1~約5、約0.1~約4、約0.1~約3、約0.1~約2、約0.1~約1、約0.1~約0.5、約0.1~約0.3、約0.1~約0.25、約0.25~約8、約0.3~約6、約0.5~約5、約1~約5、若しくは約2~約3mg/kgの体重が含まれる。そのようなLNPは、例えば、静脈内に投与することができる。一例では、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1~約10mg/kg、又は約0.01~約0.3mg/kgのLNP用量を使用することができる。例えば、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約1、約3、又は約10mg/kgのLNP用量を使用することができる。LNPの追加の例示的な投薬には、総RNA(Cas9 mRNA及びgRNA)カーゴ含有量に対して約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約8又は約10mg/kg(mpk)体重、又は約0.1~約10、約0.25~約10、約0.3~約10、約0.5~約10、約1~約10、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約8~約10、約0.1~約8、約0.1~約6、約0.1~約5、約0.1~約4、約0.1~約3、約0.1~約2、約0.1~約1、約0.1~約0.5、約0.1~約0.3、約0.1~約0.25、約0.25~約8、約0.3~約6、約0.5~約5、約1~約5、若しくは約2~約3mg/kgの体重が含まれる。そのようなLNPは、例えば、静脈内に投与することができる。一例では、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1~約10mg/kg、又は約0.01~約0.3mg/kgのLNP用量を使用することができる。例えば、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約0.5、約1、約2、約3、又は約10mg/kgのLNP用量を使用することができる。別の例では、約0.5~約10、約0.5~約5、約0.5~約3、約1~約10、約1~約5、約1~約3、又は約1~約2mg/kgのLNP用量を使用することができる。
【0233】
一部のLNPでは、カーゴは外因性ドナー核酸及びgRNAを含むことができる。外因性ドナー核酸及びgRNAは、異なる比にすることができる。例えば、LNP製剤は、約25:1~約1:25の範囲、約10:1~約1:10の範囲、約5:1~約1:5、又は約1:1の外因性ドナー核酸とgRNAとの比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:1~約1:5、約5:1~約1:1、約10:1、又は約1:10の外因性ドナー核酸とgRNAとの比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:10、約25:1、約10:1、約5:1、約3:1、約1:1、約1:3、約1:5、約1:10、又は約1:25の外因性ドナー核酸とgRNA核酸との比を含み得る。
【0234】
適切なLNPの具体例は、約4.5の窒素対リン酸(N/P)比を有し、生分解性カチオン性脂質、コレステロール、DSPC及びPEG2k-DMGを約45:44:9:2のモル比(約45:約44:約9:約2)で含む。生分解性カチオン性脂質は、3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノアートとも呼ばれる、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノアートであり得る。例えば、Finn et al.(2018)Cell Rep.22(9):2227-2235を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して約1:1(約1:約1)の重量比であり得る。適切なLNPの別の具体例は、Dlin-MC3-DMA(MC3)、コレステロール、DSPC、及びPEG-DMGを約50:38:5:10:1.5モル比(約50:約38.5:約10:約1.5)で含有する。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約1:2の比(約1:約2)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約1:1の比(約1:約1)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約2:1の比(約2:約1)であり得る。
【0235】
適切なLNPの別の具体例は、約6の窒素対リン酸(N/P)比を有し、生分解性カチオン性脂質、コレステロール、DSPC、及びPEG2k-DMGを約50:38:9:3のモル比(約50:約38:約9:約3)で含む。生分解性カチオン性脂質は、リピドA3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノアートとも呼ばれる、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノアート)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約1:2の比(約1:約2)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約1:1の比(約1:約1)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して約2:1(約2:約1)の重量比であり得る。
【0236】
適切なLNPの別の具体例は、約3の窒素対リン酸(N/P)比を有し、カチオン性脂質、構造脂質、コレステロール(例えば、コレステロール(ヒツジ)(Avanti 700000))及びPEG2k-DMG(例えば、PEG-DMG 2000(NOF America-SUNBRIGHT(登録商標)GM-020(DMG-PEG))を約50:10:38.5:1.5の比(約50:約10:約38.5:約1.5)又は約47:10:42:1の比(約47:約10:約42:約1)で含む。構造脂質は、例えば、DSPC(例えば、DSPC(Avanti 850365))、SOPC、DOPC、又はDOPEであり得る。カチオン性/イオン化可能脂質は、例えば、Dlin-MC3-DMA(例えば、Dlin-MC3-DMA(Biofine International))であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約1:2の比(約1:約2)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約1:1の比(約1:約1)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約2:1の比(約2:約1)であり得る。
【0237】
適切なLNPの別の具体例は、Dlin-MC3-DMA、DSPC、コレステロール、及びPEG脂質を約45:9:44:2の比(約45:約9:約44:約2)で含む。適切なLNPの別の具体例は、Dlin-MC3-DMA、DOPE、コレステロール、及びPEG脂質又はPEG DMGを約50:10:39:1の比(約50:約10:約39:約1)で含む。適切なLNPの別の具体例は、Dlin-MC3-DMA、DSPC、コレステロール、及びPEG2k-DMGを約55:10:32.5:2.5の比(約55:約10:約32.5:約2.5)で有する。適切なLNPの別の具体例は、Dlin-MC3-DMA、DSPC、コレステロール、及びPEG-DMGを約50:10:38.5:1.5の比(約50:約10:約38.5:約1.5)で有する。適切なLNPの別の具体例は、Dlin-MC3-DMA、DSPC、コレステロール、及びPEG-DMGを約50:10:38.5:1.5の比(約50:約10:約38.5:約1.5)で有する。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約1:2の比(約1:約2)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約1:1の比(約1:約1)であり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量で約2:1の比(約2:約1)であり得る。
【0238】
適切なLNPの他の例は、例えば、国際公開第2019/067992号、国際公開第2020/082042号、米国特許出願公開第2020/0270617号明細書、国際公開第2020/082041号、米国特許出願公開第2020/0268906号明細書、国際公開第2020/082046号明細書(例えば、85~86頁を参照のこと)及び米国特許出願公開第2020/0289628号明細書に見出すことができ、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0239】
F.C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムを含むウイルスベクター
C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムを含むウイルスベクター、例えばアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターも提供される。核酸の導入は、AAV媒介送達又はレンチウイルス媒介送達などのウイルス媒介送達によっても達成することができる。ベクターは、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターなどのウイルスベクターであり得る。AAVは任意の好適な血清型であり得、一本鎖AAV(ssAAV)又は自己相補的AAV(scAAV)であり得る。他の例示的なウイルス/ウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、及び単純ヘルペスウイルスが含まれる。ウイルスは、分裂細胞、非分裂細胞、又は分裂細胞と非分裂細胞の両方に感染し得る。ウイルスは、宿主ゲノムに組み込むことができるか、又は代替的に宿主ゲノムに組み込まない。このようなウイルスは、免疫力が低減するように操作することもできる。ウイルスは、複製可能であり得、複製欠損性(例えば、ビリオン複製及び/又はパッケージングの追加ラウンドに必要な1つ以上の遺伝子に欠損がある)であり得る。ウイルスは、一過性の発現、長期的な発現(例えば、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月)、又は永続的な発現(例えば、Cas及び/又はgRNAの)を引き起こし得る。ウイルスベクターは、それらの野生型対応物から遺伝的に改変され得る。例えば、ウイルスベクターは、クローニングを容易にするために、又はベクターの1つ以上の特性が変化するように、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、又は置換を含み得る。このような特性としては、パッケージング能力、形質導入効率、免疫原性、ゲノム組込み、複製、転写、及び翻訳が挙げられ得る。いくつかの例において、ウイルスゲノムの一部は、ウイルスがより大きなサイズを有する外因性配列をパッケージングすることができるように欠失され得る。いくつかの例において、ウイルスベクターは、増強された形質導入効率を有し得る。いくつかの例では、宿主においてウイルスによって誘導される免疫応答が低減され得る。いくつかの例において、宿主ゲノムへのウイルス配列の組込みを促進するウイルス遺伝子(インテグラーゼなど)は、ウイルスが非組込み型になるように突然変異され得る。いくつかの例では、ウイルスベクターは複製欠損であり得る。いくつかの例では、ウイルスベクターは、ベクター上のコード配列の発現を駆動するための外因性転写又は翻訳制御配列を含み得る。いくつかの例では、ウイルスはヘルパー依存性であり得る。例えば、ウイルスは、ベクターを増幅してウイルス粒子にパッケージングするのに必要なウイルス成分(ウイルスタンパク質など)を供給するために1つ以上のヘルパーウイルスを必要とし得る。そのような場合、ウイルス成分をコードする1つ以上のベクターを含む1つ以上のヘルパー成分を、本明細書に記載のベクター系と共に宿主細胞又は宿主細胞の集団に導入することができる。他の例では、ウイルスはヘルパーフリーであり得る。例えば、ウイルスは、ヘルパーウイルスなしでベクターを増幅及びパッケージングすることができる。いくつかの例では、本明細書に記載のベクター系はまた、ウイルスの増幅及びパッケージングに必要なウイルス成分をコードし得る。例示的なウイルス力価(例えば、AAV力価)としては、約1012、約1013、約1014、約1015及び約1016のベクターゲノム(vg)/mL、又は約1012~約1016、約1012~約1015、約1012~約1014、約1012~約1013、約1013~約1016、約1014~約1016、約1015~約1016、若しくは約1013~約1015vg/mLが挙げられる。他の例示的なウイルス力価(例えば、AAV力価)としては、約1012、約1013、約1014、約1015及び約1016のベクターゲノム(vg)/kgの体重、又は約1012~約1016、約1012~約1015、約1012~約1014、約1012~約1013、約1013~約1016、約1014~約1016、約1015~約1016、若しくは約1013~約1015vg/kgの体重が挙げられる。一例において、ウイルス力価は、約1013~約1014vg/mL又はvg/kgである。
【0240】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、ヒト及び非ヒト霊長類(NHP)を含む複数の種に固有である。現在までに、少なくとも12種の天然血清型及び数百種の天然バリアントが単離され、特徴付けられている。例えば、Li et al.(2020)Nat.Rev.Genet.21:255-272を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。AAV粒子は、一本鎖DNA(ssDNA)ゲノムを含有するエンベロープのない正二十面体タンパク質キャプシドから自然に構成される。DNAゲノムは、複製及びパッケージングシグナルのウイルス起源として働く2つの末端逆位配列(ITR)に隣接している。rep遺伝子はウイルスの複製及びパッケージングに必要な4つのタンパク質をコードし、cap遺伝子はAAV血清型を決定する3つの構造的キャプシドサブユニット、及びいくつかの血清型でビリオンアセンブリを促進するアセンブリ活性化タンパク質(AAP)をコードする。
【0241】
組換えAAV(rAAV)は、現在、治療用導入遺伝子を標的細胞にインビボで送達することによってヒト疾患を治療するための遺伝子治療において使用される最も一般的に使用されるウイルスベクターの1つである。実際、rAAVベクターは天然AAVと同様の正二十面体キャプシドから構成されるが、rAAVビリオンはAAVタンパク質コード配列又はAAV複製配列をキャプシド化しない。これらのウイルスベクターは非複製性である。rAAVベクターに必要な唯一のウイルス配列は、rAAVベクターの製造中にゲノム複製及びパッケージングを誘導するために必要な2つのITRである。rAAVゲノムはAAVのrep及びcap遺伝子を欠いており、それらをインビボで非複製性にする。rAAVベクターは、AAV ITRに隣接する意図された導入遺伝子カセットと組み合わせて、rep及びcap遺伝子を追加のウイルスヘルパータンパク質と共にトランスで発現させることによって産生される。
【0242】
治療用rAAVゲノムにおいて、遺伝子発現カセットは、ITR配列の間に配置される。典型的には、rAAVゲノムカセットは、治療用導入遺伝子の発現を駆動するためのプロモーター、続いてポリアデニル化配列を含む。rAAV発現カセットに隣接するITRは、通常、単離され、組換えウイルスベクターに変換される最初の血清型であるAAV2に由来する。それ以来、ほとんどのrAAV産生方法は、AAV2 Repベースのパッケージング系に依存する。例えば、Colella et al.(2017)Mol.Ther.Methods Clin.Dev.8:87-104を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0243】
使用され得るITRのいくつかの非限定的な例としては、配列番号706、配列番号707、又は配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるITRを含む。ITRの他の例は、配列番号706、配列番号707、又は配列番号708と比較して1つ以上の変異を含み、配列番号706、配列番号707、又は配列番号708と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%同一であり得る。本明細書に開示されるいくつかのrAAVゲノムでは、ヌクレアーゼ剤(又はその成分)をコードする核酸は、同じITR(すなわち、5’末端のITR、及び3’末端のITRの逆相補体)が両側に隣接している。一例では、各末端のITRは、配列番号706を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。別の例では、各末端のITRは、配列番号707を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。一例において、少なくとも1つの末端上のITRは、配列番号708を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。一例では、5’末端のITRは、配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。一例では、3’末端のITRは、配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。一例では、各末端のITRは、配列番号708を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。本明細書に開示される他のrAAVゲノムでは、ヌクレアーゼ剤(又はその成分)をコードする核酸は、各末端で異なるITRに隣接している。一例では、一端のITRは、配列番号706を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、もう一方の末端のITRは、配列番号707を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。別の例では、一端のITRは、配列番号706を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、もう一方の末端のITRは、配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。一例では、一端のITRは、配列番号707を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、もう一方の末端のITRは、配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0244】
組換えAAVベクターの特定の血清型は、特定の組織に対するそのインビボ指向性に影響を及ぼす。AAVキャプシドタンパク質は、付着及び標的細胞への進入、その後のエンドソームの逃避及び核への輸送を媒介する役割を果たす。したがって、rAAVベクターを開発するときの血清型の選択は、インビボ注射時にベクターがどの細胞型及び組織に最も結合し、形質導入する可能性が高いかに影響を及ぼす。rAAV8を含むrAAVのいくつかの血清型は、マウス、NHP及びヒトにおいて全身送達された場合に肝臓を形質導入することができる。例えば、Li et al.(2020)Nat.Rev.Genet.21:255-272を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0245】
核内に入ると、ssDNAゲノムがビリオンから放出され、相補的DNA鎖が合成されて二本鎖DNA(dsDNA)分子が生成される。二本鎖AAVゲノムは、それらのITRを介して天然に環状化し、核内で染色体外に存続するエピソームになる。したがって、エピソーム遺伝子治療プログラムの場合、rAAV送達rAAVエピソームは、非分裂細胞において長期のプロモーター駆動遺伝子発現を提供する。しかしながら、このrAAV送達エピソームDNAは、細胞が分裂するにつれて希釈される。対照的に、本明細書中に記載される遺伝子治療は、長期遺伝子発現を可能にする遺伝子挿入に基づく。
【0246】
ssDNA AAVゲノムは、2つのオープンリーディングフレーム、Rep及びCapで構成され、相補的DNA鎖の合成を可能にする2つの末端逆位配列が隣接している。AAVトランスファープラスミドを構築する場合、導入遺伝子は、2つのITRの間に配置され、Rep及びCapは、トランスで供給され得る。Rep及びCapに加えて、AAVはアデノウイルス由来の遺伝子を含むヘルパープラスミドを必要とする場合がある。これらの遺伝子(E4、E2a、及びVA)はAAV複製を仲介する。例えば、トランスファープラスミド、Rep/Cap、及びヘルパープラスミドをアデノウイルス遺伝子E1+を含むHEK293細胞にトランスフェクトして、感染性AAV粒子を生成することができる。代替的に、Rep、Cap、及びアデノウイルスヘルパー遺伝子を組み合わせて単一のプラスミドとすることもできる。同様のパッケージングセル及び方法は、レトロウイルスなどの他のウイルスにも使用できる。
【0247】
AAVの複数の血清型が確認されている。これらの血清型は、感染する細胞の種類(すなわち、それらの指向性)が異なり、特定の細胞型の優先的な形質導入を可能にする。AAVという用語は、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAVrh、64R1、AAVhu.37、AAVrh.8、AAVrh.32.33、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAV2/8、AAVrh10、AAVLK03、AV10、AAV11、AAV12、rh10及びそれらのハイブリッド、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV及びヒツジAAVを含む。AAVの種々の血清型のゲノム配列、並びにネイティブ末端反復(TR)、Repタンパク質、及びキャプシドサブユニットの配列は、当該分野で公知である。このような配列は、文献又はGenBankなどの公開データベースに見出すことができる。本明細書で使用される「AAVベクター」は、AAV起源ではない異種配列(すなわち、AAVに対して異種の核酸配列)、典型的には目的の異種ポリペプチドをコードする配列を含むAAVベクターを指す。構築物は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAVrh、64R1、AAVhu.37、AAVrh.8、AAVrh.32.33、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAV2/8、AAVrh10、AAVLK03、AV10、AAV11、AAV12、rh10及びそれらのハイブリッド、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV及びヒツジAAVキャプシド配列を含み得る。一般に、異種核酸配列(導入遺伝子)は、少なくとも1つ、一般に2つのAAV末端逆位配列(ITR)に隣接している。AAVベクターは、一本鎖(ssAAV)又は自己相補的(scAAV)のいずれかであり得る。肝臓組織の血清型の例には、AAV3B、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh.74、及びAAVhu.37、特にAAV8を含む。CNS組織に対する血清型には、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV8、及びAAV9が含まれる。心臓組織に対する血清型には、AAV1、AAV8、及びAAV9が含まれる。腎臓組織に対する血清型にはAAV2が含まれる。肺組織に対する血清型には、AAV4、AAV5、AAV6、及びAAV9が含まれる。膵臓組織に対する血清型にはAAV8が含まれる。光受容細胞に対する血清型には、AAV2、AAV5、及びAAV8が含まれる。網膜色素上皮組織に対する血清型には、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、及びAAV8が含まれる。骨格筋組織に対する血清型には、AAV1、AAV6、AAV7、AAV8、及びAAV9が含まれる。肝臓組織に対する血清型には、AAV7、AAV8、及びAAV9、並びに、特にAAV8が含まれる。具体的な例では、核酸構築物を含むAAVベクターは組換えAAV8(rAAV8)であり得る。本明細書に記載のrAAV8ベクターは、キャプシドがAAV8に由来するものである。例えば、AAV2由来のITR及びAAV8のキャプシドを使用するAAVベクターは、本明細書ではrAAV8ベクターであると考えられる。
【0248】
指向性は、キャプシド及び異なるウイルス血清型からのゲノムの混合である偽型付けによって更に洗練することができる。例えば、AAV2/5は、血清型5のキャプシドにパッケージされた血清型2のゲノムを含むウイルスを示す。偽型ウイルスの使用は、形質導入効率を改善するだけでなく、指向性を変えることができる。異なる血清型に由来するハイブリッドキャプシドを使用して、ウイルスの指向性を改変することもできる。例えば、AAV-DJには、8つの血清型由来のハイブリッドキャプシドが含まれており、インビボで幅広い細胞型にわたって高い感染力を示す。AAV-DJ8は、AAV-DJの特性を示すが、脳への取り込みが増強された別の例である。AAV血清型は、変異によっても修飾することができる。AAV2の変異修飾の例には、Y444F、Y500F、Y730F、及びS662Vが含まれる。AAV3の変異修飾の例には、Y705F、Y731F、及びT492Vが含まれる。AAV6の変異修飾の例には、S663V及びT492Vが含まれる。他の偽型/修飾AAVバリアントには、AAV2/1、AAV2/6、AAV2/7、AAV2/8、AAV2/9、AAV2.5、AAV8.2、及びAAV/SASTGが含まれる。
【0249】
導入遺伝子の発現を加速するために、自己相補的AAV(scAAV)バリアントを使用することができる。AAVは細胞のDNA複製機構に依存して、AAVの一本鎖DNAゲノムの相補的鎖を合成するため、導入遺伝子の発現が遅れる可能性がある。この遅延に対処するために、感染時に自発的にアニーリングすることができる相補的配列を含むscAAVを使用することができ、宿主細胞のDNA合成の必要性を排除する。しかしながら、一本鎖AAV(ssAAV)ベクターも使用できる。
【0250】
パッケージング容量を増加させるために、より長い導入遺伝子を、1つ目は3’スプライスドナー、2つ目は5’スプライスアクセプターである2つのAAVトランスファープラスミドに分割することができる。細胞の共感染時に、これらのウイルスはコンカテマーを形成し、一緒にスプライシングされ、完全長の導入遺伝子を発現させることができる。これにより、より長い導入遺伝子の発現が可能になるが、発現の効率は低下する。容量を増加させるための同様の方法は、相同組換えを利用する。例えば、導入遺伝子は2つのトランスファープラスミドに分割できるが、共発現が相同組換え及び全長導入遺伝子の発現を誘導するように、実質的な配列の重複がある。
【0251】
特定のAAVでは、カーゴは、1つ以上のガイドRNA(例えば、ガイドRNAをコードするDNA、又は2つ以上のガイドRNAをコードするDNA)をコードする核酸を含み得る。特定のAAVでは、カーゴは、Cas9などのCasヌクレアーゼをコードする核酸(例えば、DNA)、及び1つ以上のガイドRNAをコードするDNA(例えば、ガイドRNAをコードするDNA、又は2つ以上のガイドRNAをコードするDNA)を含み得る。特定のAAVでは、カーゴに外因性ドナー配列を含めることができる。特定のAAVでは、カーゴは、Cas9などのCasヌクレアーゼをコードする核酸(例えば、DNA)、ガイドRNA(又は複数のガイドRNA)をコードするDNA、及び外因性ドナー配列を含み得る。
【0252】
例えば、Cas又はCas9及び1つ以上のgRNA(例えば、1つのgRNA又は2つのgRNA又は3つのgRNA又は4つのgRNA)は、LNP媒介送達(例えば、RNAの形態)又はアデノ随伴ウイルス(AAV)媒介送達(例えば、AAV8媒介送達)を介して送達することができる。例えば、C5遺伝子を標的化するCas9 mRNA及びgRNAをLNP媒介送達によって送達することができ、又はCas9をコードするDNA及びC5遺伝子を標的化するgRNAをコードするDNAをAAV媒介送達によって送達することができる。Cas又はCas9及びgRNA(複数可)は、単一のAAVにおいて、又は2つの別個のAAVを介して送達され得る。例えば、第1のAAVは、Cas又はCas9発現カセットを担持することができ、第2のAAVは、gRNA発現カセットを担持することができる。同様に、第1のAAVは、Cas又はCas9発現カセットを担持することができ、第2のAAVは、2つ以上のgRNA発現カセットを担持することができる。代替的に、単一のAAVは、Cas又はCas9発現カセット(例えば、プロモーターに作動可能に連結されたCas又はCas9コード配列)及びgRNA発現カセット(例えば、プロモーターに作動可能に連結されたgRNAコード配列)を担持することができる。同様に、単一のAAVは、Cas又はCas9発現カセット(例えば、プロモーターに作動可能に連結されたCas又はCas9コード配列)及び2つ以上のgRNA発現カセット(例えば、プロモーターに作動可能に連結されたgRNAコード配列)を担持することができる。U6プロモーター又はsmall tRNA Glnなど、様々なプロモーターを使用してgRNAの発現を駆動することができる。同様に、Cas9の発現を駆動するために様々なプロモーターを使用できる。例えば、Cas9コード配列がAAV構築物に適合することができるように小さなプロモーターが使用される。同様に、小さなCas9タンパク質(例えば、SaCas9又はCjCas9を使用して、AAVパッケージング容量を最大化する)。
【0253】
III.C5抗原結合タンパク質
本明細書に開示される方法及び組成物は、C5抗体(すなわち、抗C5抗体)又はその抗原結合断片などのC5抗原結合タンパク質(すなわち、抗C5抗原結合タンパク質)を利用することができる。C5抗原結合タンパク質の例としては、国際公開第2021/034639号、米国特許出願公開第2021-0046182号明細書、国際公開第2021/081277号、米国特許出願公開第2021-0139573号明細書、国際公開第2017/218515号、米国特許出願公開第2020-0262901号明細書、米国特許出願公開第2017-0355757号明細書又は米国特許出願公開第2020-0262900号明細書に開示されているものが挙げられるが、これらに限定されず、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0254】
本明細書で使用される「抗体」という用語は、ジスルフィド結合(例えば、IgG)によって相互接続された4つのポリペプチド鎖、2つの重鎖(HC)及び2つの軽鎖(LC)を含む免疫グロブリン分子、例えばH2M11683N;H2M11686N;H4H12159P;H4H12161P;H4H12163P;H4H12164P;H4H12166P;H4H12166P2;H4H12166P3;H4H12166P4;H4H12166P5;H4H12166P6;H4H12166P7;H4H12166P8;H4H12166P9;H4H12166P10;H4H12167P;H4H12168P;H4H12169P;H4H12170P;H4H12171P;H4H12175P;H4H12176P2;H4H12177P2;H4H12183P2;H2M11682N;H2M11684N;H2M11694N;H2M11695N;クロバリマブ;エクリズマブ;テシドルマブ;ムボジナ;又はラブリズマブ;好ましくはポゼリマブを指す。いくつかの実施形態では、各抗体重鎖(HC)は、重鎖可変領域(「HCVR」又は「V」)(例えば、配列番号341;357;373;389;405;421;437;461;477;485;493;509;525;541;557;573;589;605;613;629;645;661若しくは677;又はそれらのバリアント)及び重鎖定常領域を含み、各抗体軽鎖(LC)は、軽鎖可変領域(「LCVR」又は「V」)(例えば、配列番号349;365;381;397;413;429;445;453;469;501;517;533;549;565;581;597;621;637;653;669;若しくは685;又はそれらのバリアント)及び軽鎖定常領域(CL)を含む。V及びV領域は、フレームワーク領域(framework region、FR)と呼ばれるより保存された領域に組み入れられている、相補性決定領域(complementarity determining region、CDR)と呼ばれる超可変領域に更に細分することができる。各V及びVは、3つのCDR及び4つのFRを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に開示される方法及び組み合わせで使用される抗体又はその抗原結合断片は、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞などの哺乳動物宿主細胞から発現され単離された。
【0255】
本明細書で使用される抗体又は抗原結合タンパク質などの「抗原結合部分」又は「抗原結合断片」という用語は、抗原に特異的に結合して複合体を形成する任意の天然に存在する、酵素的に得られる、合成された、又は遺伝子操作されたポリペプチド又は糖タンパク質を含む。抗原結合断片の非限定的な例としては、(i)Fab断片;(ii)F(ab’)断片;(iii)Fd断片(パパインで切断されたFab断片の重鎖部分);(iv)Fv断片(V又はV);及び(v)一本鎖Fv(scFv)分子;抗体(例えば、CDR3ペプチドなどの単離された相補性決定領域(CDR))又は拘束性FR3-CDR3-FR4ペプチドの超可変領域を模倣するアミノ酸残基からなる;が挙げられる。ドメイン特異的抗体、単一ドメイン抗体、ドメイン欠失抗体、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ及び小型モジュール免疫医薬品(SMIP)などの他の操作された分子も、本明細書で使用される「抗原結合断片」という表現に包含される。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、H2M11683N;H2M11686N;H4H12159P;H4H12161P;H4H12163P;H4H12164P;H4H12166P;H4H12166P2;H4H12166P3;H4H12166P4;H4H12166P5;H4H12166P6;H4H12166P7;H4H12166P8;H4H12166P9;H4H12166P10;H4H12167P;H4Hl2168P;H4Hl2169P;H4H12170P;H4H12171P;H4H12175P;H4H12176P2;H4H12177P2;H4H12183P2;H2M11682N;H2M11684N;H2M11694N;又はH2M11695Nの3つ以上のCDR(例えば、CDR-H1、CDR-H2及びCDR-H3;並びに/又はCDR-L1、CDR-L2及びCDR-L3を含む。
【0256】
抗体又はその抗原結合断片などの「組換え」抗原結合タンパク質という用語は、例えばDNAスプライシング及びトランスジェニック発現を含む組換えDNA技術として当技術分野で公知の技術又は方法によって作製、発現、単離、又は得られるそのような分子を指す。この用語は、非ヒト哺乳動物(トランスジェニック非ヒト哺乳動物、例えばトランスジェニックマウスを含む)、又は宿主細胞(例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞)若しくは細胞発現系で発現される抗体、又は組換えコンビナトリアルヒト抗体ライブラリーから単離される抗体を含む。本明細書に記載される組換え抗原結合タンパク質(例えば、H2M11683N;H2M11686N;H4H12159P;H4H12161P;H4H12163P;H4H12164P;H4H12166P;H4H12166P2;H4H12166P3;H4H12166P4;H4H12166P5;H4H12166P6;H4H12166P7;H4H12166P8;H4H12166P9;H4H12166P10;H4H12167P;H4Hl2168P;H4Hl2169P;H4H12170P;H4H12171P;H4H12175P;H4H12176P2;H4H12177P2;H4H12183P2;H2M11682N;H2M11684N;H2M11694N;又はH2M11695N)は、本明細書に開示される組成物及び方法において使用することができる。
【0257】
本明細書に記載の抗体には、例えば、モノクローナル抗体、組換え抗体、キメラ抗体、ヒト抗体及び/又はヒト化抗体が含まれる。例えば、モノクローナル抗C5抗原結合タンパク質(例えば、抗体及びその抗原結合断片)が含まれる。本明細書で使用される「モノクローナル抗体」又は「mAb」という用語は、実質的に均一な抗体の集団からの抗体を指し、すなわち、集団を含む抗体分子は、少量存在し得る天然に存在する可能性のある変異を除いてアミノ酸配列が同一である。修飾語「モノクローナル」は、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とすると解釈されるべきではない。モノクローナル抗体は、参照によりその全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる、Kohler et al.(1975)Nature 256:495によるハイブリドーマ法によって作製され得るか、又は組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号を参照されたい。)によって作製され得る。
【0258】
いくつかの実施形態では、各フレームワーク又はCDRドメインへのアミノ酸の割り当ては、Sequences of Proteins of Immunological Interest,Kabat,et al.;National Institutes of Health,Bethesda,Md.;5th ed.;NIH Publ.No.91-3242(1991);Kabat(1978)Adv.Prot.Chem.32:1-75;Kabat et al.(1977)J.Biol.Chem.252:6609-6616;Chothia et al.(1987)J.Mol.Biol.196:901-917;又はChothia et al.(1989)Nature 342:878-883の定義に従い、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。したがって、VのCDR及びVのCDRを含む抗体及び抗原結合断片が含まれ、V及びVは、本明細書に記載のアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含み、CDRは、Kabat及び/又はChothiaに従って定義される通りである。
【0259】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質、例えば、抗体又は抗原結合断片は、例えば、IgA(例えば、IgA1又はIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3及びIgG4(例えば、S228P及び/又はS108P変異を含む))型又はIgM型の重鎖定常ドメインを含む。例えば、Silva et al.(2015)J Biol Chem.290(9):5462-9を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質、例えば抗体又は抗原結合断片は、例えばカッパ又はラムダ型の軽鎖定常ドメインを含む。いくつかの実施形態では、例えば上記の重鎖及び/又は軽鎖定常ドメインに連結された本明細書に記載の可変ドメインを含む抗原結合タンパク質(例えば、H2M11683N;H2M11686N;H4H12159P;H4H12161P;H4H12163P;H4H12164P;H4H12166P;H4H12166P2;H4H12166P3;H4H12166P4;H4H12166P5;H4H12166P6;H4H12166P7;H4H12166P8;H4H12166P9;H4H12166P10;H4H12167P;H4H12168P;H4H12169P;H4H12170P;H4H12171P;H4H12175P;H4H12176P2;H4H12177P2;H4H12183P2;H2M11682N;H2M11684N;H2M11694N;H2M11695N;クロバリマブ;エクリズマブ、テシドルマブ、ムボジナ、IFX-1(例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2017/0137499号明細書を参照されたい)、オレンタリズマブ、又はラブリズマブ;好ましくは、ポゼリマブ)が含まれる。
【0260】
「単離された」抗原結合タンパク質(例えば、抗体又はその抗原結合断片)、ポリペプチド、ポリヌクレオチド及びベクターは、それらが産生される細胞又は細胞培養物からの他の生物学的分子を少なくとも部分的に含まない。そのような生物学的分子には、核酸、タンパク質、他の抗体若しくは抗原結合断片、脂質、炭水化物、又は細胞残屑及び増殖培地などの他の材料が含まれる。単離された抗原結合タンパク質は更に、宿主細胞からの生物学的分子又はその増殖培地などの発現系成分を少なくとも部分的に含まなくてもよい。一般に、「単離された」という用語は、そのような生物学的分子が完全に存在しないこと(例えば、微量又はわずかな量の不純物が残っていてもよい)、又は水、緩衝剤若しくは塩が存在しないこと、又は抗原結合タンパク質(例えば、抗体若しくは抗原結合断片)を含む医薬製剤の成分を指すことを意図しない。
【0261】
いくつかの実施形態では、補体因子5(C5)タンパク質に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、NMATGMDSW(配列番号692)(又はその中の少なくとも1、2、3、4若しくは5個のアミノ酸);又はWEVHLVPRRKQLQFALPDSL(配列番号693)(又はその中の少なくとも1、2、3、4又は5個のアミノ酸)内に含まれる1つ以上のアミノ酸と相互作用する。いくつかの実施形態では、補体因子5(C5)タンパク質に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、水素/重水素交換によって決定されるように、C5のアルファ鎖及び/又はベータ鎖内に含まれる1つ以上のアミノ酸と相互作用する。例えば、いくつかの実施形態では、抗体又は抗原結合断片は、水素/重水素交換によって決定されるように、C5のC5aアナフィラトキシン領域のアミノ酸と相互作用しない。いくつかの実施形態では、補体因子5(C5)タンパク質に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片は、(a)NMATGMDSW(配列番号692);(b)ATGMDSW(配列番号694);(c)WEVHLVPRRKQLQ(配列番号695);(d)WEVHLVPRRKQLQFALPDSL(配列番号693);並びに(e)LVPRRKQLQ(配列番号696)からなる群から選択されるアミノ酸配列と相互作用する。
【0262】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質は、例えば残基591~599及び/又は775~794、例えばNMATGMDSW(配列番号692)及び/又はWEVHLVPRRKQLQFALPDSL(配列番号693)のC5のアルファ鎖若しくはベータ鎖又は両方に結合する。いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質はC5aに結合しない。
【0263】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質は、残基KDMQLGRLHMKTLLPVSK(配列番号699)において、C5に結合する。
【0264】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質は、例えば残基332~398、332~378、332~364、332~348、350~420、369~409、379~398及び/又は386~392においてmそのC5のベータ鎖に結合する。
【0265】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質は、例えば残基NDETCEQRA(配列番号700)及び/又はSHKDMQL(配列番号701)において、C5aに結合する。
【0266】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質は、C5のベータ鎖、例えば残基19~180に結合する。いくつかの実施形態では、C5への結合は、E48A、D51A及び/又はK109AのC5変異によって低下する。
【0267】
本明細書に開示される方法及び組み合わせにおいて使用され得るC5抗体及びその抗原結合断片の例の配列を以下の表5に示す。
【0268】
【表5】
抗体及び断片は、当該配列の1つ以上のバリアントを含み得る。
例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2017/218515号を参照されたい。国際公開第2021/034639号、米国特許出願公開第2021-0046182号明細書、国際公開第2021/081277号、米国特許出願公開第2021-0139573号明細書、米国特許出願公開第2020-0262901号明細書、米国特許出願公開第2017-0355757号明細書、又は米国特許出願公開第2020-0262900号明細書も参照されたく、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0269】
表5に記載の鎖をコードするポリヌクレオチドを以下の表6に示す。
【0270】
【表6】
抗体及び断片は、当該配列の1つ以上のバリアントを含み得る。
例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2017/218515号を参照されたい。国際公開第2021/034639号、米国特許出願公開第2021-0046182号明細書、国際公開第2021/081277号、米国特許出願公開第2021-0139573号明細書、米国特許出願公開第2020-0262901号明細書、米国特許出願公開第2017-0355757号明細書、又は米国特許出願公開第2020-0262900号明細書も参照されたく、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGAAGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGTAGCGTCTGGATTCACCTTCAGTAGTTATGGCATTCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATATGGGATGATGGAAATAATATAAACTATTCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCATCATCTCCAGAGACAATTCCAGGAAGACAGTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGGCGAGGACACGGCTGTTTATTACTGTGCGAGAGATGCCCCCATAGCACCAGTCCCTGACTATTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号340)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCVASGFTFSSYGIHWVRQAPGKGLEWVAVIWDDGNNINYSDSVKGRFIISRDNSRKTVYLQMNSLRGEDTAVYYCARDAPIAPVPDYWGQGTLVTVSS(配列番号341)
GGATTCACCTTCAGTAGTTATGGC(配列番号342)
GFTFSSYG(配列番号343)
ATATGGGATGATGGAAATAATATA(配列番号344)
IWDDGNNI(配列番号345)
GCGAGAGATGCCCCCATAGCACCAGTCCCTGACTAT(配列番号346)
ARDAPIAPVPDY(配列番号347)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCCAGTCAGAGTATTAGTAGTTGGTTGGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATAAGGCGTCTAGTTTAGACACTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAACTTATTACTGCCAACAGTATAATACTTATTCGTACACTTTTGGCCTGGGGACCAAACTGGAGATCAAA(配列番号348)
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTITCRASQSISSWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSLDTGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFATYYCQQYNTYSYTFGLGTKLEIK(配列番号349)
CAGAGTATTAGTAGTTGG(配列番号350)
QSISSW(配列番号351)
AAGGCGTCT(配列番号352)
KAS(配列番号353)
CAACAGTATAATACTTATTCGTACACT(配列番号354)
QQYNTYSYT(配列番号355)
CAGGTGCAACTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTCAAGCCTGGAGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCTTCTGGATTCACCTTCAGTGACTACTACATGAGCTGGATCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTTTCATATATTAGCAGTAGTGGTAATACCATAAAATATGCAGACTCTATGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGGGACAACGCCAAGAAATCACTGTTTGTGGAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTGCGAGGTATAAAAGTTCGTCCGACTACTTTGACCACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号356)
QVQLVESGGGLVKPGGSLRLSCAASGFTFSDYYMSWIRQAPGKGLEWVSYISSSGNTIKYADSMKGRFTISRDNAKKSLFVEMNSLRAEDTAVYYCARYKSSSDYFDHWGQGTLVTVSS(配列番号357)
GGATTCACCTTCAGTGACTACTAC(配列番号358)
GFTFSDYY(配列番号359)
ATTAGCAGTAGTGGTAATACCATA(配列番号360)
ISSSGNTI(配列番号361)
GCGAGGTATAAAAGTTCGTCCGACTACTTTGACCAC(配列番号362)
ARYKSSSDYFDH(配列番号363)
GAAATTGTGTTGACACAGTCTCCAGCCACCCTGTCTTTGTCTCCAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGCAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGGAGTTACTTAGCCTGGTACCAACAGAAACCTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGATGCATCCAACAGGGCCACTGCCATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGACTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTAGAGCCTGAAGATTTAGCAGTTTATTACTGTCAGCAGTCTGGCAACTGGCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA(配列番号364)
EIVLTQSPATLSLSPGERATLSCRASQSVRSYLAWYQQKPGQAPRLLIYDASNRATAIPARFSGSGSGTDFTLTISSLEPEDLAVYYCQQSGNWPLTFGGGTKVEIK(配列番号365)
CAGAGTGTTAGGAGTTAC(配列番号366)
QSVRSY(配列番号367)
GATGCATCC(配列番号368)
DAS(配列番号369)
CAGCAGTCTGGCAACTGGCCGCTCACT(配列番号370)
QQSGNWPLT(配列番号371)
CAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCGTGGTCCAGCCTGGGAGGTCCTTGAGACTCTCCTGTGGAGCGTCTGGATTCACCTTCAGTACTTATGGCATGCACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGCAAGGGGCTGGAGTGGGTGGCAGTTATCTGGGATGATGGAAATAATAAATATTATGCAGACTCCGTGAAGGGCCGATTCACCATCTCCAGAGACAATTCGAAGAACACGCTGTATCTGCAGATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCTGTTTATTACTGTGCGAGAGATTCAGAGGTCGCCCCAGTTGGGGACTACTGGGGCCAGGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号372)
QVQLVESGGGVVQPGRSLRLSCGASGFTFSTYGMHWVRQAPGKGLEWVAVIWDDGNNKYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCARDSEVAPVGDYWGQGTLVTVSS(配列番号373)
GGATTCACCTTCAGTACTTATGGC(配列番号374)
GFTFSTYG(配列番号375)
ATCTGGGATGATGGAAATAATAAA(配列番号376)
IWDDGNNK(配列番号377)
GCGAGAGATTCAGAGGTCGCCCCAGTTGGGGACTAC(配列番号378)
ARDSEVAPVGDY(配列番号379)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCTTCCACCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACTATCATTTGCCGGGCCAGTCAGAGTATTAACAGGTGGTTGGCCTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAGGCCCCTAAACTCCTGATCTATAAGGCGTCTAGTTTAGAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGCGGCAGTGGATCTGGGACAGAATTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGATGATTTTGCAGCTTATTACTGCCAACAGTATAATGATTATTCGTACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAA(配列番号380)
DIQMTQSPSTLSASVGDRVTIICRASQSINRWLAWYQQKPGKAPKLLIYKASSLESGVPSRFSGSGSGTEFTLTISSLQPDDFAAYYCQQYNDYSYTFGQGTKLEIK(配列番号381)
CAGAGTATTAACAGGTGG(配列番号382)
QSINRW(配列番号383)
AAGGCGTCT(配列番号384)
KAS(配列番号385)
CAACAGTATAATGATTATTCGTACACT(配列番号386)
QQYNDYSYT(配列番号387)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGACTTGGTCCAGCCTGGAGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTCAGTGACCACTATATGGACTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGACTGGATTGGCCGTATTAGAAACAAAGCTAACGCTTATAACACAGAATACGCCGCGTCTGTGAGAGGCAGATTCACCATCTCAAGAGATGATTCACAGAATTTACTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAAAACCGATGACACGGCCGTATATTATTGTGTTAGAGTCTGGAACTACGCCTACTTCGCTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号388)
EVQLVESGGDLVQPGGSLRLSCAASGFTFSDHYMDWVRQAPGKGLDWIGRIRNKANAYNTEYAASVRGRFTISRDDSQNLLYLQMNSLKTDDTAVYYCVRVWNYAYFAMDVWGQGTTVTVSS(配列番号389)
GGATTCACCTTCAGTGACCACTAT(配列番号390)
GFTFSDHY(配列番号391)
ATTAGAAACAAAGCTAACGCTTATAACACA(配列番号392)
IRNKANAYNT(配列番号393)
GTTAGAGTCTGGAACTACGCCTACTTCGCTATGGACGTC(配列番号394)
VRVWNYAYFAMDV(配列番号395)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTATCTGCATCTGTGGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGTCAAGTCAGAACATTGGAATCTTTTTAAACTGGTATCAACAAAAACCAGGGGAAGCCCCTAACCTCCTGATCTCCGCTGCATCCAGTTTACACAGTGGGGTCCCTTCAAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCGGCAGTCTGCAGCCTGAAGATTTTGCGACTTACTACTGTCAACAGACGTACAATACCATATTCACTTTCGGCCCTGGGACCAAAGTGGATATCAAA(配列番号396)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRSSQNIGIFLNWYQQKPGEAPNLLISAASSLHSGVPSRFSGSGSGTDFTLTIGSLQPEDFATYYCQQTYNTIFTFGPGTKVDIK(配列番号397)
CAGAACATTGGAATCTTT(配列番号398)
QNIGIF(配列番号399)
GCTGCATCC(配列番号400)
AAS(配列番号401)
CAACAGACGTACAATACCATATTCACT(配列番号402)
QQTYNTIFT(配列番号403)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGACTTGGTACAGCCTGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAGCAGCTATGCCATGAACTGGGTCCGCCAGGGTCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGGTCTCAGCTATTAGTGGTCGTGGTGATAGTACATACTACGCAGACTCCGTGAAGGGCCGGCTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAACACGCTGTATCTGCAAATGAACAGCCTGAGAGCCGAGGACACGGCCGTATATTACTGTGTGAAAGAGGGGGAGCAACTCGTCTACTGGTACTTCGATCTCTGGGGCCGTGGCACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号404)
EVQLVESGGDLVQPGGSLRLSCAASGFTFSSYAMNWVRQGPGKGLEWVSAISGRGDSTYYADSVKGRLTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDTAVYYCVKEGEQLVYWYFDLWGRGTLVTVSS(配列番号405)
GGATTCACCTTTAGCAGCTATGCC(配列番号406)
GFTFSSYA(配列番号407)
ATTAGTGGTCGTGGTGATAGTACA(配列番号408)
ISGRGDST(配列番号409)
GTGAAAGAGGGGGAGCAACTCGTCTACTGGTACTTCGATCTC(配列番号410)
VKEGEQLVYWYFDL(配列番号411)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGACCATTAGCAACTTTTTACATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGCTCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTGCAAAGTGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGCAGTGGATCTGGGACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGTCTGCAACCTGAAGATTTTTCAACTTACTTCTGTCAACAGAGTTACACTACCCCGCTCACTTTCGGCGGAGGGACCAAGGTGGAGATCAAA(配列番号412)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQTISNFLHWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFSTYFCQQSYTTPLTFGGGTKVEIK(配列番号413)
CAGACCATTAGCAACTTT(配列番号414)
QTISNF(配列番号415)
GCTGCATCC(配列番号416)
AAS(配列番号417)
CAACAGAGTTACACTACCCCGCTCACT(配列番号418)
QQSYTTPLT(配列番号419)
GAGGTGCAGCTGGTGGAGTCTGGGGGAGGCTTGGTGAGGTCGGGGGGGTCCCTGAGACTCTCCTGTGCAGCCTCTGGATTCACCTTTAACAGATATGCCATGACCTGGGTCCGCCAGGCTCCAGGGAAGGGGCTGGAGTGGGTCTCAGCTATAAGTGGTAGTGGTAGCAGCACATACTACACAGACTCCGTGAAAGGCCGGTTCACCATCTCCAGAGACAATTCCAAGAATTCGGTGGATCTGCAAATGCACAGCCTGAGAGTCGAAGACACGGCCATATATTATTGTGCGAGAGGGACTACAGTCACTACGGGGTACGGTATGGACGTCTGGGGCCAAGGGACCACGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号420)
EVQLVESGGGLVRSGGSLRLSCAASGFTFNRYAMTWVRQAPGKGLEWVSAISGSGSSTYYTDSVKGRFTISRDNSKNSVDLQMHSLRVEDTAIYYCARGTTVTTGYGMDVWGQGTTVTVSS(配列番号421)
GGATTCACCTTTAACAGATATGCC(配列番号422)
GFTFNRYA(配列番号423)
ATAAGTGGTAGTGGTAGCAGCACA(配列番号424)
ISGSGSST(配列番号425)
GCGAGAGGGACTACAGTCACTACGGGGTACGGTATGGACGTC(配列番号426)
ARGTTVTTGYGMDV(配列番号427)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCTTCACTTGCCAGGCGAGTCAGGACATTACCAATTCTTTAAATTGGTATCAACAGAAACCTGGGAGAGCCCCTAAGCTCCTGATCTACGATGCATCGTATTTGAAGGCAGGGGTCCCATCAAGATTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTACTTTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAATATGATGATCTCCCATACACTTTTGGCCAGGGGACCAAGCTGGAGATCAAA(配列番号428)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTFTCQASQDITNSLNWYQQKPGRAPKLLIYDASYLKAGVPSRFSGSGSGTDFTFTISSLQPEDIATYYCQQYDDLPYTFGQGTKLEIK(配列番号429)
CAGGACATTACCAATTCT(配列番号430)
QDITNS(配列番号431)
GATGCATCG(配列番号432)
DAS(配列番号433)
CAACAATATGATGATCTCCCATACACT(配列番号434)
QQYDDLPYT(配列番号435)
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGACTCCGTCAGTAGTTCCTACTGGACCTGGATCCGGCAGCCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGCTATATCTATTACAGTGGGAGTTCCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGCCACCATTTCAGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGTTCTGTGACCGCTGCGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAGAGAAGGGAACGTGGATACAACTATGATATTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号436)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGDSVSSSYWTWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSSNYNPSLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAREGNVDTTMIFDYWGQGTLVTVSS(配列番号437)
GGTGACTCCGTCAGTAGTTCCTAC(配列番号438)
GDSVSSSY(配列番号439)
ATCTATTACAGTGGGAGTTCC(配列番号440)
IYYSGSS(配列番号441)
GCGAGAGAAGGGAACGTGGATACAACTATGATATTTGACTAC(配列番号442)
AREGNVDTTMIFDY(配列番号443)
GCCATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGAAATGATTTAGGCTGGTATCAACAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAACTCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTACAAAGTGGGGTCCCATCGAGGTTCGCCGGCCGTGGATCTGGCACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCTACAAGATTTCAATTACCCGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号444)
AIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFAGRGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQDFNYPWTFGQGTKVEIK(配列番号445)
CAGGGCATTAGAAATGAT(配列番号446)
QGIRND(配列番号447)
GCTGCATCC(配列番号448)
AAS(配列番号449)
CTACAAGATTTCAATTACCCGTGGACG(配列番号450)
LQDFNYPWT(配列番号451)
GCCATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGAAATGATTTAGGCTGGTATCAACAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAACTCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTACAAAGTGGGGTCCCATCGAGGTTCGCCGGCCGTGGATCTGGCACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCATCAAGATTTCAATTACCCGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号452)
AIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFAGRGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCHQDFNYPWTFGQGTKVEIK(配列番号453)
CAGGGCATTAGAAATGAT(配列番号454)
QGIRND(配列番号455)
GCTGCATCC(配列番号456)
AAS(配列番号457)
CATCAAGATTTCAATTACCCGTGGACG(配列番号458)
HQDFNYPWT(配列番号459)
CAGGTGCAGCTGCAGGAGTCGGGCCCAGGACTGGTGAAGCCTTCGGAGACCCTGTCCCTCACCTGCACTGTCTCTGGTGACTCCGTCAGTAGTTCCTACTGGACCTGGATCCGGCAGCCCCCAGGGAAGGGACTGGAGTGGATTGGCTATATCTATTACAGTGGGAGTTCCAACTACAACCCCTCCCTCAAGAGTCGAGCCACCATTTCAGTAGACACGTCCAAGAACCAGTTCTCCCTGAAGCTGAGTTCTGTGACCGCTGCGGACACGGCCGTATATTACTGTGCGAGAGAACATAACGTGGATACAACTATGATATTTGACTACTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号460)
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGDSVSSSYWTWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSSNYNPSLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAREHNVDTTMIFDYWGQGTLVTVSS(配列番号461)
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ATCTATTACAGTGGGAGTTCC(配列番号464)
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GCGAGAGAACATAACGTGGATACAACTATGATATTTGACTAC(配列番号466)
AREHNVDTTMIFDY(配列番号467)
GCCATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCGGGCAAGTCAGGGCATTAGAAATGATTTAGGCTGGTATCAACAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAACTCCTGATCTATGCTGCATCCAGTTTACAAAGTGGGGTCCCATCGAGGTTCGCCGGCCGTGGATCTGGCACAGATTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGCCTGAAGATTTTGCAACTTATTACTGTCTACAAGATTTCAATTACCCGTGGCACTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号468)
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GDSVSSSY(配列番号487)
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GCGAGAGAGAATAACTGGAACTTCTACTTTGACTAC(配列番号666)
ARENNWNFYFDY(配列番号667)
GAAATAGTGATGACGCAGTCTCCAGCCACCCTGTCTGTGTCTCGAGGGGAAAGAGCCACCCTCTCCTGTAGGGCCAGTCAGAGTGTTAGCAGCAACTTAGCCTGGTACCAGCAGAAACTTGGCCAGGCTCCCAGGCTCCTCATCTATGGTGCATCCACCAGGGCCACTGGTATCCCAGCCAGGTTCAGTGGCAGTGGGTCTGGGACAGAGTTCACTCTCACCATCAGCAGCCTGCAGTCTGAAGATTTTGCAGTTTATTATTGTCAGCAGTATAATAACTGGCCGTGGACGTTCGGCCAAGGGACCAAGGTGGAAATCAAA(配列番号668)
EIVMTQSPATLSVSRGERATLSCRASQSVSSNLAWYQQKLGQAPRLLIYGASTRATGIPARFSGSGSGTEFTLTISSLQSEDFAVYYCQQYNNWPWTFGQGTKVEIK(配列番号669)
CAGAGTGTTAGCAGCAAC(配列番号670)
QSVSSN(配列番号671)
GGTGCATCC(配列番号672)
GAS(配列番号673)
CAGCAGTATAATAACTGGCCGTGGACG(配列番号674)
QQYNNWPWT(配列番号675)
CAGGTCCACCTGGTACAGTCTGGGGCTGAGGTGAAGAAGCCTGGGGCCTCAGTGAAGGTCTCCTGCAAGGTTTCCGGAAACACCCTCACTGAATTATCCATGCACTGGGTGCGACAGGCTCCTGGAAAAGGGCTTGAGTGGATGGGAGGTTTTGATCCTGAAGATGGTGACACAATCTACTCACAGAAGTTCCAGGGCAGAGTCACCTTGACCGAGGACACATCTACAGACACAGCCTACATGGAGCTGAGCAGCCTGAGATCTGAGGACACGGCCGTGTATTACTGTTCAACAGTGGGGGGACCTACCTCTGACTGCTGGGGCCAGGGAACCCTGGTCACCGTCTCCTCA(配列番号676)
QVHLVQSGAEVKKPGASVKVSCKVSGNTLTELSMHWVRQAPGKGLEWMGGFDPEDGDTIYSQKFQGRVTLTEDTSTDTAYMELSSLRSEDTAVYYCSTVGGPTSDCWGQGTLVTVSS(配列番号677)
GGAAACACCCTCACTGAATTATCC(配列番号678)
GNTLTELS(配列番号679)
TTTGATCCTGAAGATGGTGACACA(配列番号680)
FDPEDGDT(配列番号681)
TCAACAGTGGGGGGACCTACCTCTGACTGC(配列番号682)
STVGGPTSDC(配列番号683)
GACATCCAGATGACCCAGTCTCCATCCTCCCTGTCTGCATCTGTAGGAGACAGAGTCACCATCACTTGCCAGGCGAGTCAGGACATTAGCAACTATTTAAATTGGTATCAGCAGAAACCAGGGAAAGCCCCTAAGGTCCTGATCTTCGATGCATCCAATTTAGAACCAGGGGTCCCATCAAGGTTCAGTGGAAGTGGATCTGGGACAGATTTTACTTTCACCATCATCAGCCTGCAGCCTGAAGATATTGCAACATATTACTGTCAACAATATGATAATCTCCCGATCACCTTCGGCCAGGGGACACGACTGGACATTAAA(配列番号684)
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCQASQDISNYLNWYQQKPGKAPKVLIFDASNLEPGVPSRFSGSGSGTDFTFTIISLQPEDIATYYCQQYDNLPITFGQGTRLDIK(配列番号685)
CAGGACATTAGCAACTAT(配列番号686)
QDISNY(配列番号687)
GATGCATCC(配列番号688)
DAS(配列番号689)
CAACAATATGATAATCTCCCGATCACC(配列番号690)
QQYDNLPIT(配列番号691)
【0271】
いくつかの実施形態では、C5に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載の組み合わせで使用される)は、(1)配列番号341に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号349に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(2)配列番号357に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号365に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(3)配列番号373に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号381に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(4)配列番号389に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号397に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(5)配列番号405に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号413に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(6)配列番号421に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号429に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(7)配列番号437に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(8)配列番号437に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(9)配列番号461に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(10)配列番号437に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(11)配列番号477に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(12)配列番号485に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(13)配列番号461に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(14)配列番号485に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(15)配列番号485に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(16)配列番号477に示されるアミノ酸配列を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(17)配列番号493に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号501に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(18)配列番号509に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号517に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(19)配列番号525に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号533に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(20)配列番号541に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号549に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(21)配列番号557に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号565に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(22)配列番号573に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号581に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(23)配列番号589に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(24)配列番号605に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(25)配列番号613に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号621に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(26)配列番号629に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号637に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(27)配列番号645に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号653に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);(28)配列番号661に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号669に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR);並びに/あるいは(29)配列番号677に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCVRのHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖可変領域(HCVR)、並びに配列番号685に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCVRのLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖可変領域(LCVR)を含む。
【0272】
いくつかの実施形態では、C5に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(例えば、本明細書に開示される組み合わせで使用される)は、(a)配列番号343に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号345に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号347に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号351に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号353に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号355に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(b)配列番号359に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号361に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号363に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号367に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号369に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号371に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(c)配列番号375に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号377に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号379に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号383に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号385に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号387に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(d)配列番号391に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号393に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号395に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号399に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号401に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号403に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(e)配列番号407に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号409に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号411に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号415に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号417に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号419に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(f)配列番号423に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号425に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号427に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号431に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号433に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号435に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(h)配列番号439に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号441に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号443に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号447に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号449に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号451に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(j)配列番号439に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号441に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号443に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号455に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号457に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号459に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(k)配列番号463に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号465に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号467に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号447に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号449に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号451に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(m)配列番号439に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号441に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号443に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号471に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号473に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号475に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(n)配列番号479に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号481に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号483に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号447に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号449に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号451に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(p)配列番号487に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号489に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号491に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号447に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号449に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号451に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(q)配列番号463に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号465に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号467に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号471に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号473に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号475に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(r)配列番号487に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号489に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号491に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号455に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号457に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号459に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(s)配列番号487に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号489に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号491に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号471に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号473に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号475に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(t)配列番号479に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号481に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号483に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号471に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号473に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号475に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(u)配列番号495に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号497に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号499に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号503に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号505に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号507に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(v)配列番号511に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号513に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号515に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号519に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号521に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号523に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(w)配列番号527に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号529に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号531に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号535に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号537に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号539に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(x)配列番号543に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号545に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号547に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号551に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号553に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号555に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(y)配列番号559に示されるア
ミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号561に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号563に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号567に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号569に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号571に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(z)配列番号575に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号577に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号579に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号583に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号585に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号587に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(aa)配列番号591に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号593に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号595に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号599に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号601に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号603に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(ab)配列番号607に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号609に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号611に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号599に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号601に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号603に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(ac)配列番号615に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号617に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号619に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号623に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号625に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号627に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(ad)配列番号631に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号633に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号635に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号639に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号641に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号643に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(ae)配列番号647に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号649に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号651に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号655に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号657に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号659に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;(af)配列番号663に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号665に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号667に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号671に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号673に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号675に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域;並びに/あるいは(ag)配列番号679に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR1、配列番号681に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR2、配列番号683に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むHCDR3を含む重鎖可変領域、並びに配列番号687に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR1、配列番号689に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR2、配列番号691に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含むLCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
【0273】
いくつかの実施形態では、C5に特異的に結合する抗体又はその抗原結合断片(例えば、本明細書に記載の組み合わせで使用される)は、(1)配列番号341に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号349に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(ii)配列番号357に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号365に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(iii)配列番号373に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号381に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(iv)配列番号389に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号397に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(v)配列番号405に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号413に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(vi)配列番号421に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号429に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(vii)配列番号437に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(viii)配列番号437に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(ix)配列番号461に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(x)配列番号437に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xi)配列番号477に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xii)配列番号485に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号445に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xiii)配列番号461に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xiv)配列番号485に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号453に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xv)配列番号485に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xvi)配列番号477に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号469に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xvii)配列番号493に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号501に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xviii)配列番号509に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号517に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xix)配列番号525に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号533に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xx)配列番号541に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号549に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xxi)配列番号557に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号565に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xxii)配列番号573に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号581に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xxiii)配列番号589に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xxiv)配列番号605に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号597に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xxv)配列番号613に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号621に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xxvi)配列番号629に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号637に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xxvii)配列番号645に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号653に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;(xxviii)配列番号661に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号669に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域;並びに/あるいは(xxix)配列番号677に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む重鎖可変領域、並びに配列番号685に示されるアミノ酸配列(又はそのバリアント)を含む軽鎖可変領域を含む。
【0274】
いくつかの実施形態では、本明細書で論じられるC5(抗C5)に特異的に結合する任意の抗原結合タンパク質はアンタゴニストである。そのようなアンタゴニスト(例えば、C5に特異的に結合するアンタゴニスト抗原結合タンパク質)は、C5に結合し、C5の少なくとも1つの生物学的活性を阻害し、例えば、古典的経路又は代替経路による補体媒介溶血の防止又は遮断並びに/あるいはC5からC5a及びC5bへの切断の阻害並びに/あるいは赤血球の補体媒介溶解の阻害並びに/あるいは膜侵襲複合体(MAC)の形成の阻害並びに/あるいはC5b-6複合体の形成の阻害である。
【0275】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質は、エクリズマブ(Solirisとして販売されている)、クロバリマブ、ラブリズマブ(ALXN1210;Ultomirisとして販売)、テシドルマブ(米国特許第8,241,628号明細書;国際公開第2010/015608号;又は国際公開第2017/212375号を参照されたく、その各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる))、又はムボジナ(米国特許第7,999,081号明細書を参照されたく、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる)である。
【0276】
いくつかの実施形態では、C5に特異的に結合する抗体は、ポゼリマブ(REGN3918;H4H12166P)抗体である。ポゼリマブ(REGN3918;H4H12166P)抗体は、アミノ酸配列:
QVQLQESGPGLVKPSETLSLTCTVSGDSVSSSYWTWIRQPPGKGLEWIGYIYYSGSSNYNPSLKSRATISVDTSKNQFSLKLSSVTAADTAVYYCAREGNVDTTMIFDYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPCSRSTSESTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTKTYTCNVDHKPSNTKVDKRVESKYGPPCPPCPAPEFLGGPSVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSQEDPEVQFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQFNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSQEEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSRLTVDKSRWQEGNVFSCSVMHEALHNHYTQKSLSLSLGK(配列番号697)
を含む重鎖免疫グロブリン及びアミノ酸配列:
AIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGIRNDLGWYQQKPGKAPKLLIYAASSLQSGVPSRFAGRGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCLQDFNYPWTFGQGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号698)を含む軽鎖を含む。
【0277】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質は、アミノ酸配列:
QVQLVESGGGLVQPGRSLRLSCAASGFTVHSSYYMAWVRQAPGKGLEWVGAIFTGSGAEYKAEWAKGRVTISKDTSKNQVVLTMTNMDPVDTATYYCASDAGYDYPTHAMHYWGQGTLVTVSSASTKGPSVFPLAPSSKSTSGGTAALGCLVKDYFPEPVTVSWNSGALTSGVHTFPAVLQSSGLYSLSSVVTVPSSSLGTQTYICNVNHKPSNTKVDKKVEPKSCDKTHTCPPCPAPELRRGPKVFLFPPKPKDTLMISRTPEVTCVVVDVSHEDPEVKFNWYVDGVEVHNAKTKPREEQYNSTYRVVSVLTVLHQDWLNGKEYKCKVSNKGLPSSIEKTISKAKGQPREPQVYTLPPSREEMTKNQVSLTCLVKGFYPSDIAVEWESNGQPENNYKTTPPVLDSDGSFFLYSKLTVDKSRWQQGNVFSCSVLHEALHAHYTRKELSLSP(配列番号702)又はそのHCDR1、HCDR2、及びHCDR3;又はそのV(又はそのバリアント)を含む重鎖免疫グロブリン;並びにアミノ酸配列:
DIQMTQSPSSLSASVGDRVTITCRASQGISSSLAWYQQKPGKAPKLLIYGASETESGVPSRFSGSGSGTDFTLTISSLQPEDFATYYCQNTKVGSSYGNTFGGGTKVEIKRTVAAPSVFIFPPSDEQLKSGTASVVCLLNNFYPREAKVQWKVDNALQSGNSQESVTEQDSKDSTYSLSSTLTLSKADYEKHKVYACEVTHQGLSSPVTKSFNRGEC(配列番号703)又はそのLCDR1、LCDR2及びLCDR3;又はそのV(又はそのバリアント)を含む軽鎖免疫グロブリンを含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、ヒトC5(シグナル配列を含む)は、配列番号704に示されるアミノ酸配列を含み、変異R885Hを含む成熟ヒトC5は、配列番号705に示されるアミノ酸配列を含む。
【0279】
「H2M11683N」;「H2M11686N」;「H4H12159P」;「H4H12161P」;「H4H12163P」;「H4H12164P」;「H4H12166P」;「H4H12166P2」;「H4H12166P3」;「H4H12166P4」;「H4H12166P5」;「H4H12166P6」;「H4H12166P7」;「H4H12166P8」;「H4H12166P9」;「H4H12166P10」;「H4H12167P」;「H4H12168P」;「H4H12169P」;「H4H12170P」;「H4H12171P」;「H4H12175P」;「H4H12176P2」;「H4H12177P2」;「H4H12183P2」;「H2M11682N」;「H2M11684N」;「H2M11694N」又は「H2M11695N」は、特に明記しない限り、あらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、本明細書の表5又は国際公開第2017/218515号の表1に具体的に示されるアミノ酸配列(及びそこに示される配列)を含み、免疫グロブリン重鎖又はその可変領域(V)を含む、H2M11683N;H2M11686N;H4H12159P;H4H12161P;H4H12163P;H4H12164P;H4H12166P;H4H12166P2;H4H12166P3;H4H12166P4;H4H12166P5;H4H12166P6;H4H12166P7;H4H12166P8;H4H12166P9;H4H12166P10;H4H12167P;H4H12168P;H4H12169P;H4H12170P;H4H12171P;H4H12175P;H4H12176P2;H4H12177P2;H4H12183P2;H2M11682N;H2M11684N;H2M11694N又はH2M11695N(例えば、配列番号341;357;373;389;405;421;437;461;477;485;493;509;525;541;557;573;589;605;613;629;645;661;又は677)(又はそのバリアント)に対応するC5に特異的に結合するC5抗原結合タンパク質、例えば抗体及びその抗原結合断片(多重特異性抗原結合タンパク質を含む)、並びに/あるいはあらゆる目的のために参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、本明細書の表5又は国際公開第2017/218515号の表1(及びそこに示される配列)において、本明細書に具体的に示されるアミノ酸配列を含む、H2M11683N;H2M11686N;H4H12159P;H4H12161P;H4H12163P;H4H12164P;H4H12166P;H4H12166P2;H4H12166P3;H4H12166P4;H4H12166P5;H4H12166P6;H4H12166P7;H4H12166P8;H4H12166P9;H4H12166P10;H4H12167P;H4H12168P;H4H12169P;H4H12170P;H4H12171P;H4H12175P;H4H12176P2;H4H12177P2;H4H12183P2;H2M11682N;H2M11684N;H2M11694N又はH2M11695N(例えば、配列番号349;365;381;397;413;429;445;453;469;501;517;533;549;565;581;597;621;637;653;669;又は685)(又はそのバリアント)に対応する免疫グロブリン軽鎖又はその可変領域(VL)を指し、並びに/あるいはそのCDR(CDR-H1(又はそのバリアント)、CDR-H2(又はそのバリアント)及びCDR-H3(又はそのバリアント))を含む重鎖又はV及び/又はそのCDR(CDR-L1(又はそのバリアント)、CDR-L2(又はそのバリアント)及びCDR-L3(又はそのバリアント))を含む軽鎖又はVを含む。いくつかの実施形態では、VはIgG定常重鎖ドメイン(例えば、IgG1又はIgG4(例えば、IgG4(S228P変異体)))に連結されており、かつ/又はVはラムダ又はカッパ定常軽鎖ドメインに連結されている。
【0280】
C5抗原結合タンパク質(すなわち、抗C5抗原結合タンパク質)又はC5抗体又は抗原結合断片又はC5に「特異的に結合する」抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1nM(すなわち、1nM以上の親和性)、例えば約0.1又は0.2nMのKでヒトC5に結合する。
【0281】
C5抗原結合タンパク質及び抗体(すなわち、「抗C5」抗原結合タンパク質及び抗体)は、医薬製剤、例えば水性製剤であり得る。医薬製剤は、例えば、国際公開第2021/034639号、米国特許出願公開第2021-0046182号明細書、国際公開第2021/081277号、米国特許出願公開第2021-0139573号明細書、国際公開第2017/218515号、米国特許出願公開第2020-0262901号明細書、米国特許出願公開第2017-0355757号明細書又は米国特許出願公開第2020-0262900号明細書に開示されているものが挙げられ、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、それらは、本明細書に開示されるC5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムと組み合わせて又は共製剤化することができる。いくつかの実施形態では、それらは、本明細書に開示されるC5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムと組み合わせてもよいが、共製剤ではない。そのような医薬製剤又は共製剤は、本明細書で使用される場合、C5抗原結合タンパク質又は抗体及び薬学的に許容される担体を含む製剤を指す。薬学的に許容される担体としては、例えば、1種以上の賦形剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、医薬製剤又は共製剤は水性であり、すなわち水を含む。
【0282】
C5抗原結合タンパク質を含む医薬製剤は、抗原結合タンパク質を1つ以上の賦形剤と混合することによって調製され得る(例えば、Hardman,et al.(2001)Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics,McGraw-Hill,New York,N.Y.;Gennaro(2000)Remington:The Science and Practice of Pharmacy,Lippincott,Williams,and Wilkins,New York,N.Y.;Avis,et al.(eds.)(1993)Pharmaceutical Dosage Forms:Parenteral Medications,Marcel Dekker,NY;Lieberman,et al.(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,Marcel Dekker,NY;Lieberman,et al.(eds.)(1990)Pharmaceutical Dosage Forms:Disperse Systems,Marcel Dekker,NY;Weiner and Kotkoskie(2000)Excipient Toxicity and Safety,Marcel Dekker,Inc.,New York,N.Y.を参照されたい)。医薬製剤は、例えば、粘度低下剤、安定剤、非イオン性界面活性剤、緩衝剤、又はそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0283】
抗体含有製剤と共に使用するための様々な粘度低下剤が当技術分野で公知である。そのような粘度低下剤としては、アミノ酸(例えば、D-又はL-異性体)、例えば、(D-又はL-)アルギニン(例えば、L-アルギニン、例えば、L-アルギニンHCl又はD-アルギニン)、(D-又はL-)アラニン、プロリン、(D-又はL-)バリン、グリシン、(D-又はL-)セリン、(D-又はL-)フェニルアラニン、(D-又はL-)リジン、及び(D-又はL-)グルタミン酸、及びその塩(例えば、Na塩又はHCl塩);無機塩(例えば、NaCl又はMgCl)、ピリドキサミン;L-オルニチン;チアミンリン酸塩化エステル二水和物、ベンゼンスルホン酸及び/又はピリドキシンが挙げられる。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、L-アルギニンなどのL-アミノ酸である。
【0284】
安定剤には、抗体又は抗原結合断片の分解、例えば凝集の低減を助ける作用物質、例えば糖又はポリオールが含まれる。ポリオールは、複数のヒドロキシル基を有する糖アルコールである。安定剤としては、糖又はポリオール、例えば、トレハロース、ソルビトール、マンニトール、タウリン、プロパンスルホン酸、L-プロリン、スクロース、グリセロール、トレイトール、マルチトール、及び/又はポリエチレングリコール(PEG;例えば、PEG3350)が挙げられる。
【0285】
非イオン性界面活性剤は、帯電していない頭部基を有する分子を含有する。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレン部分を含む非イオン性界面活性剤;ソルビタン;オクタエチレングリコールモノドデシルエーテルなどのポリオキシエチレングリコールアルキルエーテル;ペンタエチレングリコールモノドデシルエーテル;ポリオキシプロピレングリコールアルキルエーテル;デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクチルグルコシドなどのグルコシドアルキルエーテル;トリトンX-100などのポリオキシエチレングリコールオクチルフェノールエーテル;ノノキシノール-9などのポリオキシエチレングリコールアルキルフェノールエーテル;グリセリルラウレートなどのグリセロールアルキルエステル;ポリソルベートなどのポリオキシエチレングリコールソルビタンアルキルエステル;スパンなどのソルビタンアルキルエステル;コカミドMα、コカミドDEA、ドデシルジメチルアミンオキシド;ポロキサマーなどのポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのブロックコポリマー;及びポリエトキシル化タローアミン(POEA);ポロキサマー188、ポリエチレングリコール3350、ポリエチレングリコール(例えば、PEG3350)、又はポリソルベート80(PS80)若しくはポリソルベート20(PS20)などのポリソルベートが挙げられる。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート-20(PS20)、ポリソルベート-80(PS80)である。
【0286】
緩衝剤は、弱酸とその共役塩基又はその逆の混合物からなる水溶液であり、そのpHの変化に抵抗し、したがってpHをほぼ一定の値に維持する。様々な緩衝剤、例えばヒスチジン系緩衝剤、リン酸緩衝剤又はクエン酸緩衝剤を医薬製剤又は共製剤に使用することができる。ヒスチジンベースの緩衝剤は、ヒスチジンを含む緩衝剤である。ヒスチジン緩衝剤の例としては、塩化ヒスチジン、塩酸ヒスチジン、酢酸ヒスチジン、リン酸ヒスチジン及び硫酸ヒスチジンが挙げられる。
【0287】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質又はC5抗体は、高濃度(少なくとも150mg/mL又は少なくとも200mg/mL)の低粘度(例えば、約15cP未満、例えば、約14又は14.3)を有するC5抗原結合タンパク質又はC5抗体を含む医薬製剤であり得る。例えば、そのような医薬製剤は、200mg/mLのポゼリマブ;20mMのヒスチジン緩衝剤;100mMのL-アルギニン塩酸塩;2%(w/v)スクロース;0.15%(w/v)ポリソルベート-80;水、pH 5.8を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。
【0288】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、C5抗原結合タンパク質(例えば、≧150mg/mL、≧200mg/mL、≧250mg/mL、≧274mg/ml又は≧275mg/mLの抗C5抗原結合タンパク質);緩衝剤(例えば、約20mM);アミノ酸(例えば、約100mM);任意選択の糖(例えば、約2%);任意選択の非イオン性界面活性剤(例えば、約0.15%);及び水;pH約5~6(例えば、約pH.5.8)を含み得る。
【0289】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約150又は200mg/mL又はそれを超えるC5抗原結合タンパク質と、緩衝剤(例えば、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤又はイミダゾール緩衝剤);アルギニン(例えば、L-アルギニンHCl、例えば、50~100mM、例えば、100mM);水;及び任意選択的に、オリゴ糖(例えば、スクロース、マンニトール、デキストロース、グリセロール、TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)、トレハロース、エチレングリコール、グリシンベタイン、キシリトール又はソルビトール、例えば2%);任意選択的に、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレン系清浄剤又はグリコシド化合物系清浄剤、ポリソルベート-20、ポリソルベート-80又はツイーン-20)、pH約6.1まで、例えば5~6、例えば5.8;約14、14.3又は15cP(20℃)以下の粘度を有する。
【0290】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は水性(例えば、静脈内及び/又は皮下投与に適している)であり、C5抗原結合タンパク質若しくは抗体又はその抗原結合断片(例えば、ポゼリマブ)(例えば、約200mg/mL又は約180~210mg/mL)、ヒスチジン(例えば、ヒスチジン-HCl;例えば、約20mM又は20mM±4mM)、pH約5.8又は5.8±0.3、アルギニン(例えば、約100mM又は100mM±20mM;例えば、L-アルギニン、L-アルギニンHCl又はL-アルギニン一塩酸塩)、ポリオール、例えばスクロース(例えば、約2%又は2%±0.4%(w/v))、及び非イオン性界面活性剤、例えばポリソルベート(例えば、ポリソルベート80;例えば、約0.15%又は0.15%0.075%(w/v)を含む。例えば、医薬製剤は、200mg/mLのポゼリマブ、20mMのヒスチジン緩衝剤、100mMのL-アルギニン塩酸塩、2%(w/v)スクロース、0.15%(w/v)ポリソルベート-80及び水、pH 5.8を含み得る。
【0291】
「アルギニン」又は「L-アルギニン」は、その任意の薬学的に許容される塩形態、例えば、L-アルギニン塩酸塩を含む。
【0292】
緩衝剤は製剤のpHを制御し、場合によってはタンパク質産物の全体的な安定性に寄与する。いくつかの実施形態では、緩衝剤は、リン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、ヒスチジン緩衝剤又はイミダゾール緩衝剤である。
【0293】
アミノ酸は、20個の必須アミノ酸のいずれか1つであり得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸は、グリシン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、リジン、アスパラギン、グルタミン、プロリン又はヒスチジンである。
【0294】
いくつかの実施形態では、オリゴ糖は、スクロース、マンニトール、デキストロース、グリセロール、TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)、トレハロース、エチレングリコール、グリシンベタイン、キシリトール又はソルビトールである。
【0295】
非イオン性界面活性剤は、荷電していない頭部基を有する分子を含有する。本発明の一実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン系又はグリコシド化合物系である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート-20(PS20)、ポリソルベート-80(PS80)又はツイーン-20である。
【0296】
いくつかの実施形態では、医薬製剤は、国際公開第2021/034639号又は米国特許出願公開第2021-0046182号明細書に記載されているものであり、その各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0297】
IV.組み合わせ
C5抗原結合タンパク質及び/又は他の治療剤と組み合わせて、又はそれと会合させて、C5遺伝子座を標的とするCRISPR/Casシステムの組み合わせも本明細書に開示される。C5遺伝子座及びC5抗原結合タンパク質を標的とするCRISPR/Casシステムは、本明細書の他の箇所に詳細に記載されている。本明細書で使用される場合、「と組み合わせて」という用語は、CRISPR/Casシステムの投与前、投与と同時、又は投与後に追加の治療活性成分を投与することができることを意味する。「と組み合わせて」という用語はまた、CRISPR/Casシステム及び第2の治療剤の連続投与又は同時投与を含む。
【0298】
本明細書中に開示されるCRISPR/Casシステムは、C5に伴う疾患又は障害を治療するために使用される1つ以上の薬物又は治療と相乗的に組み合わされ得る。いくつかの実施形態では、本明細書に記載のCRISPR/Casシステムを第2の治療剤と組み合わせて、疾患の1つ以上の症状を改善することができる。
【0299】
C5関連疾患又は障害に応じて、CRISPR/Casシステムは、限定されないが、C5抗原結合タンパク質、抗凝固薬(例えば、ワルファリン、アスピリン、ヘパリン、フェニンジオン、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、及びアルガトロバン、レピルジン、ビバリルジン、又はダビガトランなどのトロンビン阻害剤)、抗炎症薬(例えば、コルチコステロイド、及び非ステロイド系抗炎症薬(NSAID))、降圧薬(例えば、アンジオテンシン変換酵素阻害剤)、免疫抑制薬(例えば、ビンクリスチン、シクロスポリンA又はメトトレキサート)、線溶剤(例えば、ancrod、E-アミノカプロン酸、抗プラスミン-a1、プロスタサイクリン及びデフィブロチド)、脂質低下剤、例えばヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼの阻害剤、抗CD20剤、例えばリツキシマブ、抗TNFα剤、例えばインフリキシマブ、抗発作剤(例えば、硫酸マグネシウム)、C3阻害剤、又は抗血栓剤を含む1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて使用され得る。いくつかの実施形態では、更なる治療剤は、アセトアミノフェン、アルブミン(例えば、注入の形態で)、アンクロッド、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、抗生物質(例えば、経口抗生物質)、更なる抗体、抗CD20剤、リツキシマブ、抗凝固剤、抗真菌剤、降圧剤、抗炎症薬、抗プラスミン-a1、抗発作剤、抗血栓剤、抗TNFα剤、抗ウイルス剤、アルガトロバン、アスピリン、生物学的治療剤、ビバリルジン、C3阻害剤、コルチコステロイド、シクロスポリンA、ダビガトラン、デフィブロチド、E-アミノカプロン酸、経腸栄養、エリスロマイシン、エリスロポエチン、線溶剤、葉酸、フォンダパリヌクス、ヘパリン、ホルモン補充療法、イブプロフェン、イドラパリヌクス、免疫抑制薬、インフリキシマブ、ヒドロキシメチルグルタリルCoAレダクターゼの阻害剤、鉄サプリメント、レピルジン、脂質低下剤、硫酸マグネシウム、髄膜炎菌ワクチン(例えば、血清型A、C、Y、W及び血清型B)、メトトレキサート、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、オリゴヌクレオチド、パラセタモール、非経口栄養、ペニシリン、フェニンジオン、妊娠避妊薬、プロスタサイクリン、リツキシマブ、トロンビン阻害剤、ワクチン、ビンクリスチン、ビタミン、及び/又はワルファリンである。
【0300】
特定の実施形態では、第2の治療剤は、C5抗原結合タンパク質(例えば、C5抗体)又はC5抗原結合タンパク質の組み合わせである。本明細書では、C5に対する広範な中和又は阻害活性を有する抗体の組み合わせ(「カクテル」)を使用することが企図される。いくつかの実施形態では、非競合抗体を組み合わせ、それを必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、組み合わせを含む抗体は、タンパク質上の異なる重複しないエピトープに結合する。組み合わせを含む抗体は、C5コンバターゼへのC5の結合を遮断し得、及び/又はC5a及びC5bへのC5の切断を防止/阻害し得る。特定の実施形態では、第2の抗体は、ヒト血清中でより長い半減期を有し得る。
【0301】
追加の治療活性成分(複数可)は、C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムの投与前に対象に投与され得る。例えば、第1の成分が第2の成分の投与の1週間前、72時間前、60時間前、48時間前、36時間前、24時間前、12時間前、6時間前、5時間前、4時間前、3時間前、2時間前、1時間前、30分前、15分前、10分前、5分前、又は1分未満前に投与される場合、第1の成分は第2の成分「前に」投与されると見なされ得る。他の実施形態では、追加の治療活性成分は、C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムの投与後に対象に投与され得る。例えば、第1の成分が、第2の成分の投与の1分後、5分後、10分後、15分後、30分後、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後、12時間後、24時間後、36時間後、48時間後、60時間後、72時間後に投与される場合、第1の成分は、第2の成分の「後に」投与されたと見なされ得る。更に他の実施形態では、追加の治療活性成分は、C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムの投与と同時に対象に投与され得る。「同時」投与には、例えば、C5遺伝子座又は遺伝子及び更なる治療活性成分を標的とするCRISPR/Casシステムを対象に単一剤形で、又は互いに約30分以内に対象に投与される別々の剤形で投与することが含まれる。別々の剤形で投与される場合、各剤形は同じ経路を介して投与され得(例えば、CRISPR/Casシステム及び更なる治療活性成分(例えば、抗C5抗体)の両方が静脈内などに投与され得る)、あるいは、各剤形は、異なる経路を介して投与され得る(例えば、C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムが静脈内投与され得、更なる治療活性成分が皮下投与され得る)。いずれにしても、成分を単一剤形で、同じ経路による別個の剤形で、又は異なる経路による別個の剤形で投与することは、本開示の目的のために、全て「同時投与」と見なされる。本開示の目的のために、C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムの投与は、追加の治療活性成分の投与の「前に」、「同時に」又は「後に」(それらの用語は本明細書中上で定義される)は、追加の治療活性成分と「組み合わせて」C5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムの投与と見なされる。
【0302】
いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムが、本明細書の他の箇所に記載されるような1つ以上の追加の治療活性成分(例えば、C5抗原結合タンパク質又は抗体)と共製剤化される医薬組成物が使用される。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムを含む医薬組成物は、本明細書の他の箇所に記載されているような1つ以上の追加の治療活性成分(例えば、C5抗原結合タンパク質又は抗体)と組み合わせて使用されるが、共製剤では使用されない。例えば、1つ以上の更なる治療剤(例えば、本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質)と関連してC5遺伝子座又は遺伝子を標的とするCRISPR/Casシステムを含む医薬製剤が提供される。「~と会合して」という用語は、医薬製剤の成分、(1)CRISPR/Casシステム及び薬学的に許容される担体成分が、(2)C5抗原結合タンパク質又は抗体などの1つ以上の更なる治療剤と共に、例えば同時送達のために単一の組成物に製剤化され得るか、又は2つ以上の組成物に別々に製剤化され得ることを示す(例えば、更なる治療剤が別個の製剤中にある、各成分を含むキット)。互いに会合して投与される成分は、他の成分が投与されるときと同時に又は異なる時間に対象に投与することができ、例えば、各投与は、所与の期間にわたって1つ以上の間隔で同時に(例えば、単一の組成物中で一緒に、又は同じ投与セッション中に本質的に同時に)又は非同時に与えられ得る。更に、互いに関連して投与される別個の成分は、同じ又は異なる経路によって対象に投与され得る。
【0303】
V.C5を標的とする方法
本明細書中にはまた、本明細書中に記載されるCRISPR/Casシステムを使用してC5遺伝子座又は遺伝子を改変するか、又は標的化するか、又はノックダウンするか、又はノックアウトする方法、同様にまた、C5に伴う疾患、障害又は状態の治療及び/又は予防のための、並びに/あるいはそのような疾患、障害又は状態に伴う少なくとも1つの症状を、単独で、又は他の治療剤(例えば、本明細書中に開示されるC5抗原結合タンパク質又は抗体など)と組み合わせてのいずれかで、改善するための予防的及び治療的適用におけるCRISPR/Casシステムの使用が開示される。
【0304】
A.C5遺伝子座を改変又はノックアウトする方法
本明細書の他の箇所に記載されるCRISPR/Cas試薬(例えば、Casタンパク質又はそれをコードする核酸及び1つ以上のC5標的化gRNA又はそれをコードするDNA)を使用してC5遺伝子又は遺伝子座(例えば、内在性C5遺伝子又はC5ゲノム遺伝子座)を改変又は不活性化(例えば、ノックダウン又はノックアウト)して、C5遺伝子又は遺伝子座(例えば、C5遺伝子又は遺伝子座内の標的ゲノム遺伝子座)において標的化遺伝子改変を生成するための様々な方法が提供される。任意選択的に、C5遺伝子又は遺伝子座を標的とする外因性ドナー核酸(例えば、標的化ベクター)をCRISPR/Cas試薬と共に使用することができる。あるいは、CRISPR/Cas試薬は、外因性ドナー核酸なしで使用することができる。ノックダウンは、C5遺伝子産物(例えば、C5タンパク質、C5 mRNA、又はその両方)の発現の減少を指す。C5タンパク質のノックダウンは、目的の組織若しくは細胞集団又は血清中からタンパク質の総細胞量を検出することによって測定することができる。C5 mRNAのノックダウンを測定するための方法は公知であり、目的の組織又は細胞集団から単離されたmRNAの配列決定を含む。ノックダウンは、C5遺伝子産物の発現のいくらかの喪失、例えば、転写されるC5mRNAの量の減少又は細胞集団(組織において見出されるものなどのインビボ集団を含む)によって発現されるC5タンパク質の量の減少を指し得る。ノックアウトとは、細胞におけるC5タンパク質の発現の喪失を指す。ノックアウトは、細胞、組織若しくは細胞集団又は血清中のC5タンパク質の総細胞量を検出することのいずれかによって測定することができる。本明細書中に記載される方法は、1つ以上の細胞において(例えば、組織に見られるものなどのインビボ集団を含む細胞の集団において)C5をノックアウトすることができる。いくつかの方法において、ノックアウトは、変異C5タンパク質(例えば、インデルによって作成される)の形成ではなく、むしろ細胞におけるC5タンパク質の発現の完全な喪失である。そのような方法はまた、C5抗原結合タンパク質又はC5抗体の投与と組み合わせてもよい。例えば、本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質又はC5抗体のいずれかを使用することができる。
【0305】
C5遺伝子又は遺伝子座は、動物又は細胞中に存在することができ、方法は、インビトロ、エクスビボ、又はインビボで行うことができる。動物には、哺乳動物、魚類及び鳥類が含まれる。哺乳動物は、例えば、非ヒト哺乳動物、ヒト、げっ歯動物、ラット、マウス、又はハムスターであり得る。一例では、動物はヒトである。他の非ヒト哺乳動物には、例えば、非ヒト霊長類(例えば、カニクイザル)、サル、類人猿、ネコ、イヌ、ウサギ、ウマ、雄ウシ、シカ、バイソン、家畜(例えば、ウシ、去勢牛などのウシ種、ヒツジ、ヤギなどのヒツジ種、並びにブタ、及びイノシシなどのブタ種)が含まれる。鳥類には、例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ガチョウ、アヒルなどが含まれる。飼育動物及び農業用動物も含まれる。本明細書に開示される方法における動物はヒトであり得るか、又は非ヒト動物であり得る。「非ヒト」という用語はヒトを除外する。非ヒト動物の特定の例としては、マウス及びラットなどのげっ歯類、又はカニクイザルなどの非ヒト霊長類が挙げられる。
【0306】
本方法において使用される細胞は、任意のタイプの動物に由来し得、それらは、任意のタイプの未分化状態又は分化状態であり得る。細胞は、インビトロ、エクスビボ、又はインビボであり得る。例えば、細胞は、全能性細胞、多能性細胞(例えば、ヒト多能性細胞、又はマウス胚性幹(ES)細胞又はラットES細胞などの非ヒト多能性細胞)、又は非多能性細胞であってよい。全能性細胞には、任意の細胞型を生じさせることができる未分化細胞が含まれ、多能性細胞には、2つ以上の分化細胞型に発達する能力を有する未分化細胞が含まれる。
【0307】
本明細書で提供される細胞はまた、生殖細胞(例えば、精子又は卵母細胞)であり得る。細胞は、有糸分裂能力のある細胞又は有糸分裂的に不活性な細胞、減数分裂能力のある細胞又は減数分裂的に不活性な細胞であり得る。同様に、細胞はまた、初代体細胞又は初代体細胞ではない細胞であり得る。体細胞には、配偶子、生殖細胞、配偶子細胞、又は未分化幹細胞ではない任意の細胞が含まれる。例えば、細胞は、肝細胞、腎臓細胞、造血細胞、内皮細胞、上皮細胞、線維芽細胞、間葉系細胞、ケラチノサイト、血液細胞、メラノサイト、単球、単核細胞、単球前駆細胞、B細胞、赤芽球-巨核球細胞、好酸球、マクロファージ、T細胞、膵島ベータ細胞、外分泌細胞、膵臓前駆細胞、内分泌前駆細胞、脂肪細胞、前脂肪細胞、ニューロン、グリア細胞、神経幹細胞、ニューロン、肝芽細胞、肝細胞、心筋細胞、骨格筋芽細胞、平滑筋細胞、管細胞、腺房細胞、アルファ細胞、ベータ細胞、デルタ細胞、PP細胞、胆管細胞、白色又は褐色脂肪細胞、又は眼細胞(例えば、小柱網目細胞、網膜色素上皮細胞、網膜微小血管内皮細胞、網膜周囲細胞、結膜上皮細胞、結膜線維芽細胞、虹彩色素上皮細胞、角膜細胞、水晶体上皮細胞、非色素繊毛上皮細胞、眼脈絡膜線維芽細胞、光受容細胞、神経節細胞、双極細胞、水平細胞、又はアマクリン細胞)であり得る。例えば、細胞は、肝芽細胞又は肝細胞などの肝細胞であり得る。本明細書で提供される細胞は、正常で健康な細胞であり得るか、又は罹患した細胞若しくは変異体を担持する細胞であり得る。
【0308】
非ヒト動物は、あらゆる遺伝的背景からのものであってよい。例えば、好適なマウスは、129系統、C57BL/6系統、129及びC57BL/6の雑種、BALB/c系統、又はスイスウェブスター系統からのものであり得る。129系統の例には、129P1、129P2、129P3、129X1、129S1(例えば、129S1/SV、129S1/Svlm)、129S2、129S4、129S5、129S9/SvEvH、129S6(129/SvEvTac)、129S7、129S8、129T1、及び129T2が含まれる。例えば、Festing et al.(1999)Mamm.Genome 10(8):836を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。C57BL系統の例には、C57BL/A、C57BL/An、C57BL/GrFa、C57BL/Kal_wN、C57BL/6、C57BL/6J、C57BL/6ByJ、C57BL/6NJ、C57BL/10、C57BL/10ScSn、C57BL/10Cr、及びC57BL/Olaが含まれる。好適なマウスはまた、前述の129系統及び前述のC57BL/6系統の雑種(例えば、50%129及び50%C57BL/6)からのものであり得る。同様に、好適なマウスは、前述の129系統の雑種又は前述のBL/6系統の雑種(例えば、129S6(129/SvEvTac)系統)からのものであり得る。
【0309】
同様に、ラットは、例えば、ACIラット系統、Dark Agouti(DA)ラット系統、Wistarラット系統、LEAラット系統、Sprague Dawley(SD)ラット系統、又はフィッシャーF344若しくはフィッシャーF6などのフィッシャーラット系統からのものであり得る。ラットはまた、上述の2つ以上の系統の雑種に由来する系統から得ることができる。例えば、好適なラットは、DA系統又はACI系統からのものであり得る。ACIラット系統は、白い腹及び足、並びにRT1av1ハプロタイプを有する黒いアグーチを持っていることを特徴としている。このような系統は、Harlan Laboratoriesを含む様々な供給源から入手できる。Dark Agouti(DA)ラット系統は、アグーチコートとRT1av1ハプロタイプを有することを特徴としている。このようなラットは、Charles River及びHarlan Laboratoriesを含む様々な供給源から入手できる。場合によっては、好適なラットは近交系ラット系統に由来する可能性がある。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第2014/0235933号を参照されたい。
【0310】
CRISPR/Cas試薬(及び任意選択的に外因性ドナー核酸)は、本明細書の他の箇所に記載されるような任意の形態及び任意の手段によって細胞又は動物に導入することができ、全て又はいくつかは、本明細書の他の箇所に記載されるような任意の組み合わせで同時に又は連続的に導入することができる。同様に、任意の追加の薬剤(例えば、C5抗原結合タンパク質)を、本明細書の他の箇所に記載される任意の形態及び任意の手段で導入することができる。
【0311】
いくつかの方法では、1つのガイドRNAが使用される。他の方法では、C5遺伝子又は遺伝子座内の追加のガイドRNA標的配列を標的とする1つ以上の追加のガイドRNAを使用することができる。1つ以上の更なるガイドRNA(例えば、第2のガイドRNA標的配列を標的とする第2のガイドRNA)を使用することによって、Casタンパク質による切断は、2つ又はそれを超える二本鎖切断又は2つ又はそれを超える一本鎖切断を生じ得る(例えば、Casタンパク質がニッカーゼである場合)。いくつかの方法では、C5遺伝子又は遺伝子座中のガイドRNA標的配列を標的とする2つ以上のガイドRNAを使用することができる(例えば、2つのガイドRNAを使用することができる)。いくつかの方法では、C5遺伝子又は遺伝子座中のガイドRNA標的配列を標的とする3つ以上のガイドRNAを使用することができる(例えば、3つのガイドRNAを使用することができる)。いくつかの方法では、C5遺伝子又は遺伝子座中のガイドRNA標的配列を標的とする4つ以上のガイドRNAを使用することができる(例えば、4つのガイドRNAを使用することができる)。
【0312】
任意選択的に、C5遺伝子又は遺伝子座中の標的ゲノム遺伝子座と組換える1つ以上の外因性ドナー配列を、CRISPR/Cas試薬と一緒に使用して、標的化遺伝子改変を生成することができる。本方法で使用することができる外因性ドナー配列の例及び変形は、本明細書の他の箇所に開示されている。
【0313】
ゲノム内のC5遺伝子又は遺伝子座における標的化遺伝子改変は、Casタンパク質(例えば、Cas9タンパク質)及び1つ以上のガイドRNAを含む複合体とゲノムを接触させることによって生成することができ、それぞれがC5遺伝子内の異なるガイドRNA標的配列を標的化し、Casタンパク質がガイドRNA標的配列において1つ以上のニック又は二本鎖切断を生成する。任意選択的に、ゲノムを1つ以上の外来性ドナー核酸と更に接触させることができる。例えば、ゲノム中のC5遺伝子に対する標的化遺伝子改変は、Casタンパク質がガイドRNA標的配列において1つ以上のニック又は二本鎖切断を作り出すように、C5遺伝子中の異なるガイドRNA標的配列をそれぞれ標的化するCasタンパク質(又はCasタンパク質をコードする核酸、例えばmRNA又はDNA)及び1つ以上のガイドRNA(又は1つ以上のガイドRNAをコードするDNA)を細胞又は動物に導入することによって生成することができる。任意選択的に、1つ以上の外因性ドナー核酸を細胞に導入することもできる。Casタンパク質は、各ガイドRNAと異なる複合体を形成し、Casタンパク質はガイドRNA標的配列を切断する。外因性ドナー核酸は、使用される場合、標的ゲノム遺伝子座と組み換わることができる。Casタンパク質による切断は、二本鎖切断又は一本鎖切断を生じ得る(例えば、Casタンパク質がニッカーゼである場合)。本方法で使用することができるCasタンパク質及びガイドRNAの例及び変形は、本明細書の他の箇所に記載されている。
【0314】
ガイドRNAは、例えばRNA(例えば、本明細書中に開示される改変ガイドRNAなどのインビトロ転写RNA)の形態で、又はガイドRNAをコードするDNAの形態で、動物又は細胞に導入することができる。DNAの形態で導入される場合、ガイドRNAをコードするDNAは、細胞内又は動物の細胞内で活性なプロモーターに作動可能に連結され得る。例えば、ガイドRNAは、AAVを介して送達され、U6プロモーターの下で、インビボで発現され得る。そのようなDNAは、1つ以上の発現構築物中にあり得る。例えば、そのような発現構築物は、単一の核酸分子の構成要素であり得る。代替的に、それらは、2つ以上の核酸分子の間で任意の組み合わせで分離することができる(すなわち、1つ以上のCRISPR RNAをコードするDNA及び1つ以上のtracrRNAをコードするDNAは、別個の核酸分子の構成要素であり得る)。
【0315】
同様に、Casタンパク質は、任意の形態で動物又は細胞に導入することができる。例えば、Casタンパク質は、gRNAと複合体を形成したCasタンパク質などのタンパク質の形態で提供することができる。あるいは、Casタンパク質は、Casタンパク質をコードする核酸、例えばRNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))、例えば本明細書に開示される修飾mRNA又はDNA)の形態で提供され得る。任意選択的に、Casタンパク質をコードする核酸は、特定の細胞又は生物におけるタンパク質への効率的な翻訳のためにコドン最適化することができる。例えば、Casタンパク質をコードする核酸は、天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較して、哺乳動物細胞、ヒト細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、又は任意の他の目的の宿主細胞においてより高い頻度で使用される代替コドンへと改変することができる。Casタンパク質をコードする核酸が細胞又は動物に導入される場合、Casタンパク質は、細胞又は動物の細胞において一過性、条件付き又は構成的に発現され得る。
【0316】
一例では、Casタンパク質はmRNA(例えば、本明細書中に開示されるような修飾mRNA)の形態で導入され、ガイドRNAはRNA、例えば本明細書に開示される修飾gRNA(例えば、同じ脂質ナノ粒子内で一緒に)の形態で導入される。
【0317】
ガイドRNAは、本明細書の他の箇所に開示されるように修飾することができる。同様に、Cas mRNAは、本明細書の他の箇所に開示されるように修飾することができる。
【0318】
C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、C5遺伝子内の任意の所望の位置を標的とすることができる。ヒトC5遺伝子などのC5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子内の任意の連続配列を標的化することができる。C5遺伝子という用語は、C5調節プロモーター及びエンハンサー配列並びにC5コード配列を含むゲノム領域を含む。C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、コード配列、非コード配列(例えば、プロモーター領域又はエンハンサー領域などの調節エレメント)、又はそれらの組み合わせを標的化することができる。一例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、コードエキソンのいずれか中の連続したコード配列を標的化することができる。一例では、ガイドRNA標的配列は、この領域がアナフィラトキシンC5aをコードするので、コードエキソン16及び17にはない。一例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン1を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン2を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン3を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン4を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン5を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン6を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン7を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン8を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン9を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン10を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン11を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン12を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン13を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン14を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン15を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン16を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン17を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン18を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン19を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン20を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン21を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン22を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン23を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン24を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン25を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン26を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン27を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン28を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン29を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン30を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン31を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン32を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン33を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン34を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン35を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン36を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン37を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン38を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン39を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン40を標的化することができる。別の例として、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、C5遺伝子のコードエキソン41を標的化することができる。ガイドRNA標的配列(例えば、少なくとも1つのヌクレオチド)の少なくとも一部がコードエキソンX内にある場合、ガイドRNA標的配列はコードエキソンX内にある。
【0319】
具体的な例において、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、コードエキソン1、12、15、21、22又は27を標的化し得る。別の具体例において、C5遺伝子を標的化するガイドRNAは、コードエキソン12又は15を標的化し得る。
【0320】
ガイドRNAは、対応するCasタンパク質による切断が、機能喪失対立遺伝子をもたらすフレームシフト挿入/欠失(インデル)突然変異をもたらすように、C5遺伝子のコード領域を標的とするように設計することができる。そのようなフレームシフト変異は、標的化DNA二本鎖切断、及びそれに続く非相同末端結合(NHEJ)経路を介した変異原性修復によって達成することができ、これにより、切断部位にインデルが生成される。DSBに導入されているインデルはランダムであり、一部のインデルはC5遺伝子の早期終了を引き起こすフレームシフト変異をもたらす。別の例として、ガイドRNAは、対応するCasタンパク質による切断がプロモーター領域又はエンハンサー領域の破壊をもたらすように、C5遺伝子のプロモーター領域又はエンハンサー領域を標的化するように設計され得る。そのようなフレームシフト変異は、標的化DNA二本鎖切断、及びそれに続く非相同末端結合(NHEJ)経路を介した変異原性修復によって達成することができ、これにより、切断部位にインデルが生成される。
【0321】
C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、C5遺伝子の構成的エキソンを標的とすることができる。例えば、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、5’構成エキソンを標的とすることができる。構成的エキソンは、スプライシング後に一貫して保存されているコードエキソンである。全ての関連組織にわたって発現されるエキソンは、ガイドRNA標的化のための構成的エキソンと考えることができる。いくつかの例では、C5遺伝子を標的とするガイドRNAは、選択的スプライシング部位を含有するいずれのエキソンも標的としない。単一のC5コード転写物のみが存在するので、C5の41個のコードエキソン全てが構成的であると考えられる。
【0322】
別の例として、ガイドRNA標的配列は、開始コドンの約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、若しくは約1,000ヌクレオチド以内であり得るか、又は開始コドンを含み得る。
【0323】
ガイドRNA標的配列は、オフターゲット修飾を最小限に抑えるか、又はオフターゲット効果を回避するように選択することもできる(例えば、オフターゲットゲノム配列とのミスマッチが2つ以下になることを回避することによって)。
【0324】
2つのガイドRNAが使用される方法において、各々は、C5遺伝子若しくは遺伝子座の同じ領域、又はC5遺伝子若しくは遺伝子座の異なる領域を標的とすることができる。例えば、各ガイドRNAは、(例えば、Casタンパク質による切断後に開始コドンが破壊されるように)開始コドンの約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、又は約1,000ヌクレオチド以内、又は開始コドンを含む異なるガイドRNA標的配列を標的とし得る。代替的又は追加的に、各ガイドRNAは、異なる連続したコード配列を標的とすることができる。例えば、各ガイドRNAは、C5遺伝子の構成エキソン又はC5遺伝子の5’構成エキソン内の異なるガイドRNA標的配列を標的とすることができる。別の例として、各ガイドRNAは、コードエキソン1~41、コードエキソン1、12、15、21、22及び27、又はコードエキソン12及び15から選択されるコードエキソン中の異なるガイドRNA標的配列を標的とすることができる。別の例として、各ガイドRNAは、C5遺伝子のプロモーター領域又はエンハンサー領域内の異なるガイドRNA標的配列を標的とするように設計することができる。別の例として、少なくとも1つのガイドRNAは、C5遺伝子の連続したコード配列を標的とすることができ、少なくとも1つのガイドRNAは、C5遺伝子のプロモーター領域又はエンハンサー領域のガイドRNA標的配列を標的とすることができる。別の例として、少なくとも1つのガイドRNAは、開始コドンの約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、若しくは約1,000ヌクレオチド以内、又は開始コドンを含むガイドRNA標的配列を標的とすることができ、少なくとも1つのガイドRNAは、停止コドンの約10、約20、約30、約40、約50、約100、約200、約300、約400、約500、若しくは約1,000ヌクレオチド以内、又は停止コドンを含むガイドRNA標的配列を標的とすることができる(例えば、両方のガイドRNA標的配列でのCasタンパク質による切断は、2つのガイドRNA標的配列の間のコード領域の欠失をもたらし得る)。
【0325】
Casタンパク質による切断後に1つ以上の外因性ドナー核酸を使用してC5遺伝子又は遺伝子座を改変する方法では、Casタンパク質は標的ゲノム遺伝子座を切断して一本鎖切断(ニック)又は二本鎖切断を作ることができ、切断又はニックが入った遺伝子座は、非相同末端結合(NHEJ)媒介挿入又は相同組換え修復を介して外因性ドナー核酸によって修復され得る。任意選択的に、外因性ドナー核酸による修復は、標的化された対立遺伝子がCRISPR/Cas試薬によって再標的化され得ないように、ガイドRNA標的配列(複数可)を除去又は破壊する。
【0326】
外因性ドナー核酸は、C5遺伝子又は遺伝子座の任意の配列を標的とすることができる。いくつかの外因性ドナー核酸は、相同性アームを含む。他の外因性ドナー核酸は、ホモロジーアームを含まない。外因性ドナー核酸は、相同組換え修復によってC5遺伝子若しくは遺伝子座に挿入することができ、及び/又は非相同末端結合によってC5遺伝子若しくは遺伝子座に挿入することができる。
【0327】
外因性ドナー核酸は、デオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)を含むことができ、それらは一本鎖又は二本鎖であり得、かつそれらは直線状又は環状の形態であり得る。例えば、外因性ドナー核酸は、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド(ssODN)であり得る。例えば、全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる、Yoshimi et al.(2016)Nat.Commun.。7:10431を参照されたい。外因性ドナー核酸は、ネイキッド核酸であってもよく、AAVなどのウイルスによって送達されてもよい。具体的な例では、外因性ドナー核酸は、AAVを介して送達することができ、非相同末端結合によってC5遺伝子又は遺伝子座に挿入することができる(例えば、外因性ドナー核酸は、ホモロジーアームを含まないものであってよい)。
【0328】
例示的な外因性ドナー核酸は、約50ヌクレオチド~約5kbの長さ、又は約50ヌクレオチド~約3kbの長さである。代替的に、外因性ドナー核酸は、約1kb~約1.5kb、約1.5kb~約2kb、約2kb~約2.5kb、約2.5kb~約3kb、約3kb~約3.5kb、約3.5kb~約4kb、約4kb~約4.5kb、又は約4.5kb~約5kbの長さであってよい。代替的に、外因性ドナー核酸は、例えば、5kb、4.5kb、4kb、3.5kb、3kb、又は2.5kb以下の長さであってよい。
【0329】
一例では、外因性ドナー核酸は、約80ヌクレオチド~約3kbの長さのssODNである。そのようなssODNは、5’末端及び/又は3’末端にホモロジーアーム又は短い一本鎖領域を有することができ、これらは、例えばそれぞれ約40ヌクレオチド~約60ヌクレオチドの長さである、標的ゲノム遺伝子座でのCas剤媒介切断によって作成される1つ以上の突出に相補的である。そのようなssODNはまた、例えば、それぞれ約30ヌクレオチドから~100ヌクレオチドの長さであるホモロジーアーム又は相補的領域を有してもよい。ホモロジーアーム又は相補的領域は、対称的(例えば、各40ヌクレオチド又は各60ヌクレオチド長)であってもよく、又はそれらは非対称的(例えば、36ヌクレオチド長である1つのホモロジーアーム又は相補的領域、及び91ヌクレオチド長である1つのホモロジーアーム又は相補的領域)であってもよい。
【0330】
外因性ドナー核酸は、追加の望ましい特徴(例えば、修飾又は調節された安定性、蛍光標識による追跡又は検出、タンパク質又はタンパク質複合体の結合部位など)を提供する修飾又は配列を含み得る。外因性ドナー核酸は、1つ以上の蛍光標識、精製タグ、エピトープタグ、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、外因性ドナー核酸は、少なくとも1つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、又は少なくとも5つの蛍光標識などの1つ以上の蛍光標識(例えば、蛍光タンパク質又は他のフルオロフォア又は色素)を含んでもよい。例示的な蛍光標識としては、フルオレセイン(例えば、6-カルボキシフルオレセイン(6-FAM))、テキサスレッド、HEX、Cy3、Cy5、Cy5.5、パシフィックブルー、5-(及び-6)-カルボキシテトラメチルローダミン(TAMRA)及びCy7などのフルオロフォアが挙げられる。オリゴヌクレオチドを標識するための幅広い蛍光色素が市販されている(例えば、Integrated DNA Technologiesから)。そのような蛍光標識(例えば、内部蛍光標識)は、例えば、外因性ドナー核酸の末端と適合性のある突出端を有する切断された標的核酸に直接組み込まれた外因性ドナー核酸を検出するために使用することができる。標識又はタグは、外因性ドナー核酸の5’末端、3’末端、又は内部にあってよい。例えば、外因性ドナー核酸は、Integrated DNA TechnologiesからIR700フルオロフォア(5’IRDYE(登録商標)700)を有する5’末端にコンジュゲートさせることができる。
【0331】
本明細書に開示される外因性ドナー核酸はまた、標的ゲノム遺伝子座に組み込まれるDNAのセグメントを含む核酸インサートを含む。標的ゲノム遺伝子座での核酸インサートの組み込みは、標的ゲノム遺伝子座への目的の核酸配列の付加、又は標的ゲノム遺伝子座での目的の核酸配列の置換(すなわち、欠失及び挿入)をもたらし得る。いくつかの外因性ドナー核酸は、標的ゲノム遺伝子座における対応する挿入なしに、標的ゲノム遺伝子座における核酸配列の欠失のために設計される。いくつかの外因性ドナー核酸は、標的ゲノム遺伝子座での対応する欠失なしに、標的ゲノム遺伝子座での核酸インサートの挿入のために設計されている。他の外因性ドナー核酸は、標的ゲノム遺伝子座で目的の核酸配列を欠失し、それを核酸インサートで置き換えるように設計されている。
【0332】
欠失及び/又は置換される標的ゲノム遺伝子座における核酸インサート又は対応する核酸は、様々な長さであってよい。欠失及び/又は置換される標的ゲノム遺伝子座における例示的な核酸インサート又は対応する核酸は、約1ヌクレオチドから約5kbの長さであるか、又は約1ヌクレオチドから約3kbヌクレオチドの長さである。例えば、欠失及び/又は置換される標的ゲノム遺伝子座における核酸インサート又は対応する核酸は、約1~約100、約100~約200、約200~約300、約300~約400、約400~約500、約500~約600、約600~約700、約700~約800、約800~約900、又は約900~約1,000ヌクレオチドの長さであってよい。同様に、欠失及び/又は置換される標的ゲノム遺伝子座における核酸インサート又は対応する核酸は、約1kb~1.5kb、約1.5kb~約2kb、約2kb~約2.5kb、約2.5kb~約3kb、約3kb~約3.5kb、約3.5kb~約4kb、約4kb~約4.5kb、約4.5kb~約5kb、又はそれ以上の長さであってよい。
【0333】
欠失及び/又は置換される標的ゲノム遺伝子座の核酸インサート又は対応する核酸は、エキソンなどのコード領域、イントロン、非翻訳領域、又は調節領域(例えば、プロモーター、若しくはエンハンサー)などの非コード領域、又はそれらの任意の組み合わせであってよい。
【0334】
核酸インサートはまた、条件付き対立遺伝子を含み得る。条件付き対立遺伝子は、すべての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれるUS2011/0104799に記載されているように、多機能対立遺伝子であってよい。例えば、条件付き対立遺伝子は、(a)標的遺伝子の転写に関してセンス方向の作動配列、(b)センス又はアンチセンス方向の薬物選択カセット(DSC)、(c)アンチセンス配向の目的のヌクレオチド配列(NSI)、(d)逆方向の条件付き反転モジュール(COIN、エキソン分割イントロンと反転可能な遺伝子トラップのようなモジュールを利用)を含み得る。例えば米国特許第2011/0104799号を参照されたい。条件付き対立遺伝子は、第1のリコンビナーゼへの曝露時に再結合して、(i)作動配列及びDSCを欠き、(ii)センス方向のNSIとアンチセンス方向のCOINを含む、条件付き対立遺伝子を形成する再結合可能なユニットを更に含むことができる。例えば米国特許第2011/0104799号を参照されたい。
【0335】
核酸インサートはまた、選択マーカーをコードするポリヌクレオチドを含み得る。代替的に、核酸インサートは、選択マーカーをコードするポリヌクレオチドを欠くことができる。選択マーカーは、選択カセットに入れることができる。任意選択で、選択カセットは自己削除カセットにすることができる。例えば、米国特許第8,697,851号明細書及び米国特許出願公開第2013/0312129号明細書を参照されたく、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。例として、自己削除カセットは、マウスPrm1プロモーターに作動可能に連結されたCrei遺伝子(イントロンによって分離されたCreリコンビナーゼをコードする2つのエキソンを含む)及びヒトユビキチンプロモーターに作動可能に連結されたネオマイシン耐性遺伝子を含み得る。Prm1プロモーターを使用することにより、F0動物のオスの生殖細胞で特異的に自己欠失カセットを削除することができる。例示的な選択マーカーとしては、ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ(neo)、ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ(hyg)、ピューロマイシン-N-アセチルトランスフェラーゼ(puro)、ブラスチシジンSデアミナーゼ(bsr)、キサンチン/グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(gpt)、又は単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(HSV-k)、又はそれらの組み合わせが挙げられる。選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは、標的とされる細胞において活性なプロモーターに作動可能に連結され得る。プロモーターの例は、本明細書の他の場所に記載されている。
【0336】
核酸インサートはまた、レポーター遺伝子を含み得る。例示的なレポーター遺伝子には、ルシフェラーゼ、β-ガラクトシダーゼ、緑色蛍光タンパク質(GFP)、強化緑色蛍光タンパク質(eGFP)、シアン蛍光タンパク質(CFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化黄色蛍光タンパク質(eYFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、強化青色蛍光タンパク質(eBFP)、DsRed、ZsGreen、MmGFP、mPlum、mCherry、tdTomato、mStrawberry、J-Red、mOrange、mKO、mCitrine、Venus、YPet、Emerald、CyPet、Cerulean、T-Sapphire、及びアルカリホスファターゼをコードするものが含まれる。このようなレポーター遺伝子は、標的とされる細胞で活性なプロモーターに作動可能に連結することができる。プロモーターの例は、本明細書の他の場所に記載されている。
【0337】
核酸インサートはまた、1つ以上の発現カセット又は削除カセットを含み得る。所与のカセットは、発現に影響を及ぼす様々な調節成分とともに、目的のヌクレオチド配列、選択マーカーをコードするポリヌクレオチド、及びレポーター遺伝子のうちの1つ以上を含むことができる。含めることができる選択可能なマーカー及びレポーター遺伝子の例は、本明細書の他の場所で詳細に論じられている。
【0338】
核酸インサートは、部位特異的組換え標的配列に隣接する核酸を含むことができる。代替的に、核酸インサートは、1つ以上の部位特異的組換え標的配列を含むことができる。核酸インサート全体がそのような部位特異的組換え標的配列に隣接することができるが、核酸インサート内の任意の領域又は目的の個々のポリヌクレオチドもまた、そのような部位に隣接することができる。核酸インサート又は核酸インサート内の目的の任意のポリヌクレオチドに隣接することができる部位特異的組換え標的配列は、例えば、loxP、lox511、lox2272、lox66、lox71、loxM2、lox5171、FRT、FRT11、FRT71、attp、att、FRT、rox、又はそれらの組み合わせを含んでもよい。一例では、部位特異的組換え部位は、核酸インサート内に含まれる選択マーカー及び/又はレポーター遺伝子をコードするポリヌクレオチドに隣接している。標的遺伝子座での核酸インサートの組み込みに続いて、部位特異的組換え部位間の配列を除去することができる。任意選択で、2つの外因性ドナー核酸を使用することができ、それぞれが部位特異的組換え部位を含む核酸インサートを有する。外因性ドナー核酸は、目的の核酸に隣接する5’及び3’領域を標的にすることができる。2つの核酸インサートを標的ゲノム遺伝子座に組み込んだ後、2つの挿入された部位特異的組換え部位の間の目的の核酸を除去することができる。
【0339】
核酸インサートはまた、タイプI、タイプII、タイプIII、及びタイプIVエンドヌクレアーゼを含む、制限エンドヌクレアーゼ(すなわち、制限酵素)のための1つ以上の制限部位を含むことができる。タイプI及びタイプIIIの制限エンドヌクレアーゼは特定の認識部位を認識するが、典型的には、ヌクレアーゼ結合部位から可変位置で切断する。これは、切断部位(認識部位)から数百塩基対離れている場合がある。タイプIIシステムでは、制限活性はメチラーゼ活性とは無関係であり、切断は典型的には、結合部位内又は結合部位の近くの特定の部位で起こる。ほとんどのタイプII酵素はパリンドローム配列を切断するが、タイプIIa酵素は非パリンドローム認識部位を認識して認識部位の外側で切断し、タイプIIb酵素は認識部位の外側の両方の部位で配列を2回切断し、タイプIIs酵素は非対称認識部位を認識し、片側で、認識部位から約1~20ヌクレオチドの定義された距離で切断する。IV型制限酵素はメチル化されたDNAを標的とする。制限酵素は、例えば、REBASEデータベース(webpage at rebase.neb.com;Roberts et al.,(2003)Nucleic Acids Res.31:418-420;Roberts et al.,(2003)Nucleic Acids Res.31:1805-1812;及びBelfort et al.(2002)in Mobile DNA II,pp.761-783,Eds.Craigie et al.,(ASM Press,Washington,DC))で更に説明及び分類されている。
【0340】
一部の外因性ドナー核酸は、非相同末端結合によってC5遺伝子又は遺伝子座に挿入することができる。場合によっては、そのような外因性ドナー核酸はホモロジーアームを含まない。例えば、そのような外因性ドナー核酸は、Casタンパク質による切断後の平滑末端二本鎖切断に挿入することができる。具体的な例では、外因性ドナー核酸は、AAVを介して送達することができ、非相同末端結合によってC5遺伝子又は遺伝子座に挿入することができる(例えば、外因性ドナー核酸は、ホモロジーアームを含まないものであってよい)。
【0341】
具体的な例では、外因性ドナー核酸は、相同性に依存しない標的化された組み込みを介して挿入することができる。例えば、外因性ドナー核酸中の核酸挿入物は、ガイドRNA標的配列(例えば、C5遺伝子座と同じ標的部位、並びにC5遺伝子又は遺伝子座中の標的部位を切断するために使用されるCRISPR/Cas試薬(Casタンパク質及びガイドRNA))によって各側に隣接される。次いで、Casタンパク質は、核酸挿入物に隣接する標的部位を切断することができる。具体的な例では、外因性ドナー核酸は、AAV媒介送達で送達され、核酸挿入物に隣接する標的部位の切断は、AAVの末端逆位配列(ITR)を除去することができる。いくつかの方法では、核酸インサートが正しい向きでC5遺伝子又は遺伝子座に挿入された場合、C5遺伝子又は遺伝子座の標的部位(例えば、隣接するプロトスペーサー隣接モチーフを含むガイドRNA標的配列)はもはや存在しないが、核酸インサートが反対の向きでC5遺伝子又は遺伝子座に挿入された場合には再形成される。
【0342】
他の外因性ドナー核酸は、5’末端及び/又は3’末端に短い一本鎖領域を有し、これは、C5遺伝子又は遺伝子座でのCas媒介切断によって作成される1つ以上の突出に相補的である。例えば、いくつかの外因性ドナー核酸は、5’末端及び/又は3’末端に短い一本鎖領域を有し、これらはC5遺伝子又は遺伝子座の5’及び/又は3’標的配列でのCas媒介切断によって作成された1つ以上のオーバーハングに相補的である。いくつかのそのような外因性ドナー核酸は、5’末端のみ又は3’末端のみに相補的領域を有する。例えば、いくつかのそのような外因性ドナー核酸は、C5遺伝子又は遺伝子座の5’標的配列で作成されたオーバーハングに相補的な5’末端にのみ、又はC5遺伝子又は遺伝子座の3’標的配列で作成されたオーバーハングに相補的な3’末端にのみ、相補的領域を有する。他のそのような外因性ドナー核酸は、5’末端及び3’末端の両方に相補的領域を有する。例えば、他のそのような外因性ドナー核酸は、C5遺伝子又は遺伝子座でのCas媒介性切断によって生成された5’及び3’末端の両方に相補的領域(例えば、それぞれ第1及び第2のオーバーハングに相補的である)を有する。例えば、外因性ドナー核酸が二本鎖である場合、一本鎖相補的領域は、ドナー核酸の上部鎖の5’末端及びドナー核酸の下部鎖の5’末端から伸長し、両端に5’突出を作成することができる。代替的に、一本鎖相補領域は、ドナー核酸の上部鎖の3’末端から、及びテンプレートの下部鎖の3’末端から伸長し、3’突出を作成することができる。
【0343】
相補的領域は、外因性ドナー核酸と標的核酸との間のライゲーションを促進するのに十分な任意の長さであり得る。例示的な相補的領域は、約1~約5ヌクレオチドの長さ、約1~約25ヌクレオチドの長さ、又は約5~約150ヌクレオチドの長さである。例えば、相補的領域は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25ヌクレオチドの長さであってよい。代替的に、相補的領域は、約5~約10、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、約90~約100、約100~約110、約110~約120、約120~約130、約130~約140、約140~約150ヌクレオチド、又はそれ以上の長さであってよい。
【0344】
このような相補的領域は、2対のニッカーゼによって作成された突出を相補的にすることができる。DNAの反対側の鎖を切断して第1の二本鎖切断を作成する第1及び第2のニッカーゼ、及びDNAの反対側の鎖を切断して第2の二本鎖切断を作成する第3及び第4のニッカーゼを使用することにより、両端が千鳥状の2つの二本鎖切断を作成できる。例えば、Casタンパク質を使用して、第1、第2、第3、及び第4のガイドRNAに対応する第1、第2、第3、及び第4のガイドRNA標的配列にニックを入れることができる。第1及び第2のガイドRNA標的配列は、DNAの第1及び第2の鎖上の第1及び第2のニッカーゼによって作成されたニックが二本鎖切断を作成するように、第1の切断部位を作成するように配置することができる(すなわち、第1の切断部位は、第1及び第2のガイドRNA標的配列内のニックを含む)。同様に、第3及び第4のガイドRNA標的配列は、DNAの第1及び第2の鎖上の第3及び第4のニッカーゼによって作成されたニックが二本鎖切断を作成するように、第2の切断部位を作成するように配置することができる(すなわち第2の切断部位は、第3及び第4のガイドRNA標的配列内のニックを含む)。第1及び第2のガイドRNA標的配列及び/又は第3及び第4のガイドRNA標的配列内のニックは、突出を作成するオフセットニックであり得る。オフセットウィンドウは、例えば、少なくとも約5bp、10bp、20bp、30bp、40bp、50bp、60bp、70bp、80bp、90bp、100bp、又はそれ以上であり得る。Ran et al.(2013)Cell 154:1380-1389;Mali et al.(2013)Nat.Biotechnol.31:833-838;and Shen et al.(2014)Nat.Methods 11:399-404を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのような場合、二本鎖外因性ドナー核酸は、第1及び第2のガイドRNA標的配列内のニック及び第3及び第4のガイドRNA標的配列内のニックによって作成された突出に相補的な一本鎖相補領域で設計することができる。次いで、そのような外因性ドナー核酸は、非相同末端結合媒介ライゲーションによって挿入することができる。
【0345】
いくつかの外因性ドナー核酸は、相同性アームを含む。外因性ドナー核酸が核酸インサートも含む場合、ホモロジーアームは核酸インサートに隣接することができる。参照を容易にするために、ホモロジーアームは、本明細書では5’及び3’(すなわち、上流及び下流)ホモロジーアームと呼ばれる。この用語は、外因性ドナー核酸内の核酸インサートに対するホモロジーアームの相対位置に関連している。5’及び3’相同アームは、本明細書でそれぞれ「5’標的配列」及び「3’標的配列」と呼ばれる、C5遺伝子又は遺伝子座の標的ゲノム遺伝子座内の領域に対応する。
【0346】
相同性アーム及び標的配列は、2つの領域が相同組換え反応の基質として作用するのに十分なレベルの配列同一性を互いに共有する場合、互いに「対応する」又は「対応している」。「相同性」という用語は、対応する配列と同一であるか、又は配列同一性を共有するDNA配列を含む。所与の標的配列と外因性ドナー核酸に見られる対応するホモロジーアームとの間の配列同一性は、相同組換えが起こることを可能にする任意の程度の配列同一性であってよい。例えば、外因性ドナー核酸(又はその断片)のホモロジーアーム及び標的配列(又はその断片)によって共有される配列同一性の量は、少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性であり得、これにより、配列は相同組換えを起こす。更に、ホモロジーアームと対応する標的配列との間の対応する相同性領域は、相同組換えを促進するのに十分な任意の長さであり得る。例示的なホモロジーアームは、約25ヌクレオチド~約2.5kbの長さであるか、約25ヌクレオチド~約1.5kbの長さであるか、又は約25~約500ヌクレオチドの長さである。例えば、所与のホモロジーアーム(又はホモロジーアームのそれぞれ)及び/又は対応する標的配列は、約25~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、約90~約100、約100~約150、約150~約200、約200~約250、約250~約300、約300~約350、約350~約400、約400~約450、又は約450~約500ヌクレオチド長の対応する相同性領域を含み得、その結果、ホモロジーアームは、標的核酸内の対応する標的配列との相同組換えを受けるのに十分な相同性を有する。代替的に、所与のホモロジーアーム(又は各ホモロジーアーム)及び/又は対応する標的配列は、約0.5kb~約1kb、約1kb~約1.5kb、約1.5kb~約2kb、又は約2kb~約2.5kbの長さである対応する相同性領域を含み得る。例えば、ホモロジーアームは、それぞれ約750ヌクレオチドの長さであり得る。相同性アームは対称的(それぞれの長さがほぼ同じサイズ)であってもよく、非対称的(一方が他方よりも長い)であってもよい。
【0347】
いくつかの方法では、外因性ドナー核酸は、「標的化ベクター」又は「LTVEC」であってよく、これには、細胞内で相同組換えを行うことを目的とした他のアプローチで典型的に使用されるものよりも大きい核酸配列に対応し、それに由来する相同性アームを含む標的化ベクターが含まれる。LTVECにはまた、細胞内で相同組換えを行うことを目的とした他のアプローチで通常使用されるものよりも大きい核酸配列を有する核酸インサートを含む標的化ベクターが含まれる。例えば、LTVECは、サイズの制限のために従来のプラスミドベースの標的化ベクターでは対応できない大きな遺伝子座の変更を可能にする。例えば、標的化された遺伝子座は、従来の方法を使用して標的化できないか、又はヌクレアーゼ剤(例えば、Casタンパク質)によって誘導されるニック若しくは二本鎖切断の非存在下で不正確にのみ、又は有意に低い効率でのみ標的化され得る細胞の遺伝子座であり得る(すなわち、5’及び3’相同性アームが対応し得る)。LTVECは、任意の長さであり得、通常は少なくとも10kb長である。LTVECの5’相同性アームと3’相同性アームの合計は、典型的には、少なくとも10kbである。VELOCIGENE(登録商標)遺伝子工学技術を使用する細菌相同組換え(BHR)反応によって細菌人工染色体(BAC)DNA由来の大きな標的化ベクター(LTVEC)の生成及び使用は、例えば、US6,586,251及びValenzuela et al.(2003)Nat.Biotechnol.21(6):652-659に記載され、これらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。インビトロアセンブリ法によるLTVECの生成は、例えば、US2015/0376628及び国際公開第2015/200334号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。CRISPR/Cas支援LTVECターゲティングは、例えば、米国特許第9,546,384号;米国特許出願公開第2015-0159174号;米国特許第9,228,208号;米国特許出願公開第2015-0159175号;米国特許出願公開第2016-0060657号;米国特許第10,208,317号;米国特許出願公開第2017-0067078号;米国特許第10,711,280号;米国特許出願公開第2019-0112619号;及び国際公開第2015/088643号に記載され、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0348】
CRISPR/Casシステムを外因性ドナー核酸と組み合わせて使用する場合、Cas切断部位での一本鎖切断(ニック)又は二本鎖切断の際に、標的配列とホモロジーアームとの間の相同組換え事象の発生を促進するように、5’及び3’標的配列をCas切断部位に十分に近接して(例えば、ガイドRNA標的配列に十分に近接して)配置することができる。「Cas切断部位」という用語は、ガイドRNAと複合体化したCasタンパク質によってニック又は二本鎖切断が生じるDNA配列を含む。外因性ドナー核酸の5’及び3’ホモロジーアームに対応する標的化遺伝子座内の標的配列は、距離がCas切断部位での一本鎖切断又は二本鎖切断の際の5’及び3’標的配列とホモロジーアームとの間の相同組換え事象の発生を促進するような距離である場合、Cas切断部位に「十分に近接して位置する」。したがって、外因性ドナー核酸の5’及び/又は3’ホモロジーアームに対応する標的配列は、例えば、所与のCas切断部位の少なくとも1ヌクレオチド内、又は所与のCas切断部位の少なくとも10ヌクレオチド~約1,000ヌクレオチド内であり得る。一例として、Cas切断部位は、標的配列の少なくとも一方又は両方に直接隣接し得る。
【0349】
外因性ドナー核酸のホモロジーアーム及びCas切断部位に対応する標的配列の空間的関係は変化し得る。例えば、標的配列は、Cas切断部位の5’に位置してもよく、標的配列は、Cas切断部位の3’に位置してもよく、又は標的配列は、Cas切断部位に隣接していてもよい。
【0350】
本明細書に記載される方法におけるCasタンパク質によるC5遺伝子又は遺伝子座の切断に応答した修復は、任意の修復経路を介して起こり得る。例えば、修復は、相同組換え(HR)又は非相同末端結合(NHEJ)を介して起こり得る。二本鎖切断(DSB)に応答した修復は、主に2つの保存されたDNA修復経路である相同組換え(HR)及び非相同末端結合(NHEJ)を介して生じる。全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、Kasparek & Humphrey(2011)Semin.Cell Dev.Biol.」、22(8):886-897を参照されたい。同様に、外因性ドナー核酸によって媒介される標的核酸の修復は、2つのポリヌクレオチド間の遺伝情報の交換の任意のプロセスを含み得る。
【0351】
「組換え」という用語は、2つのポリヌクレオチド間で遺伝的情報を交換する任意のプロセスを含み、任意のメカニズムによって起こり得る。組換えは、相同性指向修復(HDR)又は相同組換え(HR)を介して起こり得る。HDR又はHRには、ヌクレオチド配列の相同性を必要とし得る核酸修復の形式が含まれ、「標的」分子(すなわち、二本鎖切断を経験した分子)の修復のテンプレートとして「ドナー」分子を使用し、ドナーから標的への遺伝的情報の伝達をもたらす。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、そのような伝達は、壊れた標的とドナーとの間に形成されるヘテロ二本鎖DNAのミスマッチ補正、及び/又はドナーが標的の一部となる遺伝的情報を再合成するために使用される合成依存性鎖アニーリング、及び/又は関連するプロセスを含み得る。いくつかの場合では、ドナーポリヌクレオチド、ドナーポリヌクレオチドの一部、ドナーポリヌクレオチドのコピー、又はドナーポリヌクレオチドのコピーの一部が標的DNAに組み込まれる。Wang et al.(2013)Cell 153:910-918;Mandalos et al.(2012)PLoS ONE 7:e45768:1-9;及びWang et al.(2013)Nat.Biotechnol.31:530-532を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0352】
非相同末端結合(NHEJ)は、相同テンプレートを必要とせずに、切断末端を互いに又は外因性配列への直接ライゲーションによる、核酸における二本鎖切断の修復を含む。NHEJによる非隣接配列のライゲーションは、多くの場合、二本鎖切断の部位の近くで欠失、挿入、又は転座をもたらし得る。例えば、NHEJはまた、切断末端を外因性ドナー核酸の末端と直接ライゲーションすることにより、外因性ドナー核酸の標的化組み込みをもたらすことができる(すなわち、NHEJベースの捕捉)。そのようなNHEJ媒介標的化組み込みは、相同性指向修復(HDR)経路が容易に使用することができない場合(例えば、非分裂細胞、一次細胞、及び相同性に基づくDNA修復を不十分に行う細胞)、外因性ドナー核酸の挿入に好ましい場合がある。加えて、相同性指向修復とは対照的に、切断部位に隣接する配列同一性の大きな領域に関する知識は必要なく、これは、ゲノム配列の知識が限られているゲノムを有する生物への標的化挿入を試みるときに有益であり得る。組み込みは、外因性ドナー核酸と切断されたゲノム配列との間の平滑末端のライゲーションを介して、又は切断されたゲノム配列においてヌクレアーゼ剤によって生成されたものに適合するオーバーハングに隣接する外因性ドナー核酸を使用する粘着末端(すなわち、5’又は3’オーバーハングを有する)のライゲーションを介して進行することができる。例えば、米国特許出願公開第2011/020722号、国際公開第2014/033644号、国際公開第2014/089290号、及びMaresca et al.(2013)Genome Res.23(3):539-546を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。平滑末端がライゲーションされている場合、断片結合に必要なマイクロホモロジーの生成領域のために、標的及び/又はドナーの切除が必要になる場合があり、これにより、標的配列に望ましくない改変が生じ得る。
【0353】
本明細書に記載の方法を使用して、C5遺伝子又は遺伝子座における様々なタイプの標的化遺伝子改変を導入することができる。そのような標的化修飾には、例えば、1つ以上のヌクレオチドの付加、1つ以上のヌクレオチドの欠失、1つ以上のヌクレオチドの置換、点突然変異、又はそれらの組み合わせが含まれ得る。例えば、少なくとも1、2、3、4、5、7、8、9、10個又はそれ以上のヌクレオチドを変更(例えば、欠失、挿入、又は置換)して、標的化ゲノム改変を形成することができる。本明細書の他の場所に開示されているように、欠失、挿入、又は置換は、任意のサイズであってもよい。例えば、Wang et al.(2013)Cell 153:910-918;Mandalos et al.(2012)PLOS ONE 7:e45768:1-9;及びWang et al.(2013)Nat Biotechnol.31:530-532を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0354】
そのような標的化遺伝子改変は、C5遺伝子又は遺伝子座の破壊をもたらし得る。破壊は、調節エレメント(例えば、プロモーター又はエンハンサー)、ミスセンス突然変異、ナンセンス突然変異、フレームシフト突然変異、短縮突然変異、ヌル突然変異、又は少数のヌクレオチドの挿入若しくは欠失の変化(例えば、フレームシフト突然変異を引き起こすこと)を含み得、不活性化(すなわち、機能の喪失)又は対立遺伝子の喪失をもたらし得る。例えば、標的化修飾は、開始コドンがもはや機能的でないようにC5遺伝子の開始コドンを破壊すること、又は機能的C5タンパク質がもはや発現されないようにフレームシフト突然変異を導入することを含み得る。いくつかの方法では、C5遺伝子又は遺伝子座は、もはや機能的C5タンパク質を発現しないように不活性化又はノックアウトされる。いくつかの方法において、C5遺伝子又は遺伝子座は、減少した量の機能的C5タンパク質を発現するように改変される。
【0355】
特定の例において、標的化修飾は、第1及び第2のガイドRNA標的配列又はCas切断部位の間の欠失を含むことができる。外因性ドナー配列(例えば、修復テンプレート又は標的化ベクター)が使用される場合、改変は、第1及び第2のガイドRNA標的配列又はCas切断部位の間の欠失、並びに5’及び3’標的配列の間の核酸挿入物の挿入を含み得る。
【0356】
あるいは、外因性ドナー配列がCRISPR/Cas試薬と組み合わせて使用される場合、改変は、5’標的配列と3’標的配列との間の欠失、並びに第1及び第2の相同染色体の対における5’標的配列と3’標的配列との間の核酸インサートの挿入を含み得、それにより、ホモ接合性改変ゲノムが得られる。あるいは、外因性ドナー配列が核酸インサートを含まない5’及び3’相同アームを含む場合、改変は5’と3’の標的配列間の欠失を含み得る。
【0357】
第1のガイドRNA標的配列と第2のガイドRNA標的配列との間の欠失、又は5’標的配列と3’標的配列との間の欠失は、改変ゲノム標的遺伝子座において追加の欠失又は挿入が存在しないように、欠失された核酸が第1のヌクレアーゼ切断部位と第2のヌクレアーゼ切断部位との間の核酸配列のみ、又は5’標的配列と3’標的配列との間の核酸配列のみからなる正確な欠失であり得る。第1及び第2のガイドRNA標的配列間の欠失はまた、非相同末端結合(NHEJ)による不正確な修復と一致して、第1及び第2のヌクレアーゼ切断部位を超えて広がる不正確な欠失であり得、改変ゲノム遺伝子座において更なる欠失及び/又は挿入をもたらす。例えば、欠失は、第1及び第2のCasタンパク質切断部位を超えて、約1bp、約2bp、約3bp、約4bp、約5bp、約10bp、約20bp、約30bp、約40bp、約50bp、約100bp、約200bp、約300bp、約400bp、約500bp又はそれを超えて伸長することができる。同様に、改変ゲノム遺伝子座は、NHEJによる不正確な修復と一致する更なる挿入、例えば約1bp、約2bp、約3bp、約4bp、約5bp、約10bp、約20bp、約30bp、約40bp、約50bp、約100bp、約200bp、約300bp、約400bp、約500bp又はそれを超える挿入を含み得る。
【0358】
標的化遺伝子改変は、例えば、二対立遺伝子改変又は単一対立遺伝子改変であり得る。二対立遺伝子修飾には、対応する相同染色体上(例えば、二倍体細胞において)の同じ遺伝子座に対して同じ修飾が行われる事象、又は対応する相同染色体上の同じ遺伝子座に対して異なる修飾が行われる事象が含まれる。いくつかの方法では、標的化遺伝子改変は、単一対立遺伝子改変である。単一対立遺伝子改変には、1つの対立遺伝子のみに改変が加えられる事象(すなわち、2つの相同染色体のうちの1つのみにおけるC5遺伝子に対する改変)が含まれる。相同染色体には、同じ遺伝子座に同じ遺伝子を有するが、おそらく異なる対立遺伝子を有する染色体(例えば、分裂中に対になる染色体)が含まれる。対立遺伝子という用語は、遺伝子配列の1つ以上の代替形態のいずれかを含む。二倍体細胞又は生物において、所与の配列の2つの対立遺伝子は、典型的には、相同染色体対上の対応する遺伝子座を占める。
【0359】
単一対立遺伝子変異は、標的C5修飾についてヘテロ接合性である細胞をもたらし得る。ヘテロ接合性には、C5遺伝子の1つの対立遺伝子(すなわち、両方の相同染色体上の対応する対立遺伝子)のみが標的化修飾を有する状況が含まれる。
【0360】
二対立遺伝子改変は、標的化された改変についてホモ接合性をもたらし得る。ホモ接合性には、C5遺伝子の両方の対立遺伝子(すなわち、両方の相同染色体上の対応する対立遺伝子)が標的化修飾を有する状況が含まれる。あるいは、二対立遺伝子修飾は、標的修飾のための化合物のヘテロ接合性(例えば、ヘミ接合性)をもたらし得る。化合物のヘテロ接合性には、標的遺伝子座の両方の対立遺伝子(すなわち、両方の相同染色体上の対立遺伝子)が修飾されているが、それらが異なる方法で修飾されている状況が含まれる(例えば、一方の対立遺伝子における標的化修飾及び他方の対立遺伝子の不活性化又は破壊)。例えば、標的化修飾を有さない対立遺伝子では、Casタンパク質によって作り出された二本鎖切断は、非相同末端結合(NHEJ)媒介DNA修復によって修復されている可能性があり、これは、核酸配列の挿入又は欠失を含む突然変異対立遺伝子を生成し、それによってそのゲノム遺伝子座の破壊を引き起こす。例えば、細胞が、標的化された改変を有する1つの対立遺伝子と、発現することができない別の対立遺伝子とを有する場合、二対立遺伝子改変は、化合物のヘテロ接合性をもたらし得る。化合物のヘテロ接合性にはヘミ接合性が含まれる。ヘミ接合性には、標的遺伝子座のただ1つの対立遺伝子(すなわち、2つの相同染色体の一方にある対立遺伝子)が存在する状況が含まれる。例えば、二対立遺伝子改変は、標的化された改変が一方の対立遺伝子において他方の対立遺伝子の対応する欠失又は欠失を伴って生じる場合、標的化された改変についてヘミ接合性をもたらし得る。
【0361】
C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的化するための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムの活性を評価する方法は周知であり、本明細書の他の箇所に提供される。活性の評価は、任意の細胞型(例えば、肝細胞などの肝細胞)、任意の組織型(例えば、肝臓)、又は任意の器官型(例えば、肝臓)であり得る。
【0362】
例えば、方法は、C5遺伝子座の改変を評価することを含み得る。一例として、評価することは、C5遺伝子座における非相同末端結合(NHEJ)活性を測定することを含み得る。これは、例えば、C5遺伝子座内の挿入又は欠失の頻度を測定することを含み得る。例えば、インビボ方法では、評価することは、動物から単離された1つ以上の細胞においてC5遺伝子座を配列決定することを含み得る(例えば、次世代シーケンシング)。評価は、非ヒト動物から標的臓器又は組織(例えば、肝臓)を単離すること、及び標的臓器又は組織におけるC5遺伝子座の改変を評価することを含み得る。評価はまた、標的器官又は組織内の2つ以上の異なる細胞型におけるC5遺伝子座の改変を評価することを含み得る。同様に、評価は、非標的器官又は組織(例えば、2つ以上の非標的器官又は組織)を動物から単離することと、及び非標的器官又は組織におけるC5遺伝子座の改変を評価することと、を含み得る。1つの具体例として、C5遺伝子座における編集パーセント(例えば、溶解された細胞のプールからPCR反応で読み取られた配列の総数にわたって観察された挿入又は欠失の総数)を評価することができる(例えば、肝細胞などの肝細胞において)。
【0363】
そのような方法はまた、C5遺伝子座によって産生されるmRNAの発現レベルを測定すること、又はC5遺伝子座によってコードされるタンパク質の発現レベルを測定することを含み得る。例えば、タンパク質レベルは、特定の細胞、組織、又は器官のタイプ(例えば、肝臓)で測定することができ、又は分泌レベルは、血清で測定することができる。C5遺伝子座から発現されるC5 mRNA又はC5タンパク質の発現を評価する方法は、本明細書の他の箇所に提供され、周知である。
【0364】
いくつかの方法では、インビトロ、エクスビボ、又はインビボでの細胞(例えば肝細胞、例えば初代ヒト肝細胞)の標的集団中のC5遺伝子の編集パーセント(例えば、インデルを有するリードのパーセント)は、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%であり得るか、又は細胞の集団の約30%~約99%、又は細胞の集団の約30%~約35%、約35%~約40%、約40%~約45%、約45%~約50%、約50%~約55%、約55%~約60%、約60%~約65%、約65%~約70%、約70%~約75%、約75%~約80%、約80%~約85%、約85%~約90%、約90%~約95%、約95%~約99%であり得る。例えば、編集パーセントは、少なくとも50%、少なくとも60%、又は少なくとも70%であり得る(例えば、2mg/kgのLNP用量でインビボ)。
【0365】
いくつかの方法では、CRISPR/Casシステムの投与前と比較した場合、又は陰性対照と比較した場合の血漿中又は血清中C5レベルの低下パーセントは、投与後1週間、投与後2週間、投与後3週間、又は投与後4週間において、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は約50%~約99%、約55%~約99%、約60%~約99%、約55%~約99%、約60%~約99%、約65%~約99%、約70%~約99%、約75%~約99%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%、又は約95%~約99%である。一例として、血漿又は血清C5レベルの低下率は、投与後3週間で少なくとも50%であり得る(例えば、CRISPR/Casシステムを0.3mg/kgのLNP用量で送達した場合)。別の例として、血漿又は血清C5レベルの減少パーセントは、投与後3週間で少なくとも90%又は少なくとも95%であり得る(例えば、CRISPR/Casシステムを1mg/kgのLNP用量で送達した場合)。別の例として、血漿又は血清C5レベルの減少パーセントは、投与後3週間で少なくとも95%又は少なくとも98%であり得る(例えば、CRISPR/Casシステムを2mg/kgのLNP用量で送達した場合)。
【0366】
このような方法はまた、C5活性を測定することを含み得る。例えば、古典的経路溶血は、感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定することができる。いくつかの方法では、古典的経路溶血における阻害パーセントは、CRISPR/Casシステムの投与前と比較した場合、又は陰性対照と比較した場合、投与後1週間、投与後2週間、投与後3週間、又は投与後4週間において、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、又は少なくとも99%、又は約50%~約99%、約55%~約99%、約60%~約99%、約65%~約99%、約70%~約99%、約75%~約99%、約80%~約99%、約85%~約99%、約90%~約99%、又は約95%~約99%である。一例として、古典的経路溶血における阻害パーセントは、少なくとも70%又は少なくとも75%(例えば、投与後3週間で(例えば、CRISPR/Casシステムを2mg/kgのLNP用量で送達した場合))であり得る。
【0367】
本明細書中に記載の方法では、CRISPR/Casシステムの導入又は投与は、C5遺伝子若しくは遺伝子座の編集、及び/又は血漿若しくは血清C5レベルの低下、及び/又はC5活性の低下において永続的効果をもたらし得る。例えば、耐久効果は、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも13、少なくとも14、又は少なくとも15週間延びることができ、又は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、少なくとも12、少なくとも18、少なくとも24、少なくとも30、又は少なくとも36ヶ月延びることができ、又は少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10年延びることができる。一例では、CRISPR/Casシステムの単回投与は、C5遺伝子若しくは遺伝子座の編集、及び/又は血漿若しくは血清C5レベルの低下、及び/又はC5活性の低下において永続的効果をもたらし得る。
【0368】
B.予防的又は治療的用途
C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムは、単独で、又はC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせて、又はそれと会合してのいずれかで、C5に関連する疾患、障害、若しくは状態の治療及び/若しくは予防、並びに/又はそのような疾患、障害、若しくは状態に関連する少なくとも1つの症状の改善に有用である。例えば、本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質又は抗体のいずれかを使用することができる。いくつかの方法では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムは、C5に関連する疾患又は障害又は状態を有する患者に治療用量で投与され得る。C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムはまた、単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせて若しくはそれと会合してのいずれかで、C5に関連する疾患又は障害(例えば、C5発現又は活性の低下から利益を得る疾患又は障害)に罹患している患者を治療するための医薬組成物又は医薬品の調製に使用することもできる。C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的化するための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムを含む治療用又は医薬組成物は、改善された移入、送達、耐性などを提供するために製剤に組み込まれる適切な担体、賦形剤、及び他の薬剤と共に投与することができる。多数の適切な製剤は、全ての薬剤師に知られている処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA.に見出すことができる。またPowell et al.「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998)J.Pharm.Sci.Technol.52:238-311を参照されたい。
【0369】
「C5関連疾患」という用語は、補体系活性によって直接的又は間接的に引き起こされる、維持される、若しくは増悪される、又はその徴候及び/若しくは症状が引き起こされる、維持される、若しくは増悪される疾患、障害、状態又は症候群を指し、補体系活性は、C5活性の阻害によって減少又は安定化される、若しくは排除され得る。例えば、国際公開第2021/034639号、米国特許出願公開第2021-0046182号明細書、国際公開第2021/081277号、米国特許出願公開第2021-0139573号明細書、国際公開第2017/218515号、米国特許出願公開第2020-0262901号明細書、米国特許出願公開第2017-0355757号明細書、又は米国特許出願公開第2020-0262900号明細書も参照されたく、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。そのようなC5活性は、例えば、C5前駆体のC5a及びC5b鎖への切断、膜侵襲複合体(MAC)の形成及び/又はMACの標的細胞(例えば、赤血球)の表面への結合を防止することによって阻害することができる。いくつかの実施形態では、C5活性阻害は、CH50アッセイで測定される通りである。
【0370】
CH50(50%溶血性補体)は、古典的補体経路のレベルを決定するためのアッセイであり、当該分野で周知の経路の任意の成分の減少、非存在及び/又は不活性に感受性である。CH50は、古典的経路の血清補体成分が、例えばウサギ抗ヒツジ赤血球抗体(溶血素)でプレコートされたヒツジ赤血球(SRBC)を溶解する機能的能力を試験する。例えば、抗体被覆SRBCを試験血清とインキュベートすると、補体の古典的経路が活性化され、溶血が生じる。補体成分が存在しない場合、CH50レベルは0であり、古典経路の1つ以上の成分が減少する場合、CH50は減少する。一定量の最適に感作されたSRBCを各血清希釈物に添加する。例えば、インキュベーション後、混合物を遠心分離し、540nMで上清に放出されたヘモグロビンの吸光度を測定することによって溶血の程度を定量する。補体活性の量は、試験血清の様々な希釈物が抗体被覆SRBCを溶解する能力を調べることによって決定される。Costabile,Measuring the 50%haemolytic complement(CH50)activity of serum,J Vis Exp.2010(37):1923;及びMayer,Complement and complement fixation,1 p.133-240.In E.A.2 Kabat and M.M.Mayer(ed.),Experimental immunochemistry.Thomas,Springfieldを参照されたい。AH50は、代替経路機能を測定するための類似の試験である。例えばMayer,Complement and complement fixation,p.133-240.In E.Kabat and M.M.Mayer(ed.),Experimental immunochemistry.C.C.Thomas,Springfield,Ill.1961;and Rapp & Borsos.Molecular basis of complement action.Appton Century Crofts,New York,N.Y.1970を参照されたい。代替経路(AH50)の機能的活性を評価する試験は、標的細胞としてモルモット、ウサギ、又はニワトリ赤血球を使用する。APはヒツジ赤血球に対して弱い溶血活性を有する。ここで、古典的経路の活性化は、EGTAをキレート2に添加することによって遮断されなければならず、最適な濃度のMg2が必要である。CH50及び/又はAH50における溶血活性の低さ又は欠如の検出は、更なる補体分析を導く。例えばJoiner et al.,1983.A study of optimal reaction conditions for an assay of the human alternative complement pathway.Am.J.Clin.Pathol.79:65-72を参照されたい。
【0371】
C5関連疾患には、例えば、成人呼吸窮迫症候群;加齢黄斑変性(AMD)、アレルギー、アルポート症候群、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、抗リン脂質症候群(APS)、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、バルーン血管形成、気管支収縮、水疱性類天疱瘡、火傷、C3糸球体症、毛細血管漏出症候群、心血管障害、突発性抗リン脂質症候群(CAPS)、脳血管障害、CHAPLE疾患(補体の過剰活性化、血管障害性血栓症及びタンパク質喪失性腸障害を伴うCD55欠損症)、化学的損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、寒冷凝集素症(CAD)、角膜及び/又は網膜組織、クローン病、デゴス病、高密度沈着物疾患(DDD)、皮膚筋炎、糖尿病、糖尿病性血管障害、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、拡張型心筋症、不適切又は望ましくない補体活性化障害、呼吸困難、子癇、気腫、表皮水疱症、てんかん、線維原性ダスト疾患、凍傷、地図状萎縮(GA)、糸球体腎炎、糸球体症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、血液透析合併症、溶血-肝臓酵素上昇及び低血小板(HELLP)症候群、溶血性貧血、喀血、Henoch-Schonlein紫斑病性腎炎、遺伝性血管浮腫、超急性同種移植片拒絶、過敏性肺炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、免疫複合体障害、免疫複合体血管炎、免疫複合体関連炎症、感染症、自己免疫疾患によって引き起こされる炎症、炎症性障害、遺伝性CD59欠損、不活性ダスト及び/又は鉱物による損傷、IL-2治療中のインターロイキン-2誘導性毒性、虚血-再灌流傷害、川崎病、肺の疾患又は障害、ループス腎炎、膜増殖性糸球体腎炎、膜増殖性腎炎、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、腸間膜/腸間膜血管障害、多巣性運動ニューロパシー(MMN)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋梗塞、心筋炎、神経障害、視神経脊髄炎、肥満、眼血管新生、脈絡膜に影響を及ぼす眼血管新生、有機ダスト病、寄生虫症、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、例えば活動性PNH、低免疫性血管炎、天疱瘡、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、末梢(例えば筋骨格)血管障害、肺炎、虚血後再灌流状態、心肺バイパスにおけるポンプ後症候群、腎バイパスにおけるポンプ後症候群、子癇前症、進行性腎不全、増殖性腎炎、タンパク尿腎疾患、乾癬、肺塞栓症、肺線維症、肺梗塞、肺血管炎、再発性胎児喪失、腎障害、腎虚血、腎虚血-再灌流傷害、腎血管障害、ステント留置後の再狭窄、関節リウマチ(RA)、回転式アテレクトミー、統合失調症、敗血症、敗血症性ショック、SLE腎炎、煙による傷害、脊髄損傷、自然胎児喪失、脳卒中、敗血症に対する全身性炎症反応、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性エリテマトーデス関連血管炎、高安病、熱損傷、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、外傷性脳損傷、I型糖尿病、典型的な溶血性尿毒症症候群(tHUS)、ブドウ膜炎、血管炎、関節リウマチに関連する血管炎、静脈ガス塞栓(VGE)、又は異種移植片拒絶が含まれる。
【0372】
同様に、本明細書に開示されるC5遺伝子又は遺伝子座を改変又はノックするための方法は、本明細書に開示されるC5標的化CRISPR/Cas試薬を単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせて若しくはそれと会合するかのいずれかで使用して、対象におけるC5に関連する疾患又は障害を治療するために使用することができる。そのような治療方法は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムを含む医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含み得る。そのような治療方法は、C5遺伝子座又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムを含む医薬組成物及びC5抗原結合タンパク質又は抗体を含む医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含み得る。そのような治療方法は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とし、C5抗原結合タンパク質又は抗体を含む本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムを含む医薬組成物の治療有効量を、それを必要とする対象に投与することを含み得る。治療される障害は、C5活性の阻害又は低下によって改善、改善、阻害又は予防されるあらゆる疾患又は状態であり得る。いくつかのこのような方法は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の少なくとも1つの症状を予防、治療又は改善するものであり、この方法は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書中に開示されるCRISPR/Casシステムの治療有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む。いくつかのそのような方法は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムを投与することによって、対象における発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の少なくとも1つの症状又は適応症の重症度を改善又は軽減する。いくつかの方法では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムは、C5関連疾患又は障害を有するか又は有するリスクがある対象に予防的又は治療的に投与され得る。C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的化するための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、皮下、静脈内、皮内、腹腔内、経口、若しくは筋肉内に、又は任意の他の適切な手段によって投与され得る。
【0373】
治療有効量は、それが投与される所望の効果を生じる量である。正確な量は、治療の目的に依存し、公知の技術を使用して当業者によって確認可能であろう。例えば、Lloyd(1999)The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compoundingを参照されたい。
【0374】
対象は、C5関連疾患又は障害(例えば、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)又は発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)など)の改善、予防及び/又は治療を必要とする動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくはヒトであり得る。この用語は、そのような疾患又は障害を有するか又は有するリスクがあるヒト対象を含む。いくつかの実施形態では、アミノ酸アルギニン885は、対象のC5において別のアミノ酸、例えばR885H又はR885Cに変異されている。
【0375】
治療する、治療する、又は治療するという用語は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムなどの治療剤(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)を、それを必要とする対象に投与することによる、C5関連疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は適応症の重症度の軽減又は改善を指す。この用語は、疾患の進行又は症状/適応症の悪化の阻害を含む。この用語はまた、疾患のポジティブな予後を含む(すなわち、対象は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムなどの治療剤(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)を投与すると、疾患を有さないか、又は疾患が減少し得る)。治療剤は、治療用量で対象に投与され得る。これらの用語は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書中に開示のCRISPR/Casシステムを投与したときの、C5関連疾患若しくは障害又はそのような疾患若しくは障害の任意の症状若しくは適応症の発現の阻害を指す。
【0376】
C5関連疾患又は障害は、C5a及び/又はC5bによって媒介される炎症、細胞傷害及び/又は細胞死滅によって(直接的又は間接的に)引き起こされる疾患又は障害を指す。C5関連疾患の非限定的な例としては、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、難治性重症筋無力症(rMG)、視神経脊髄炎(NMO)、IgA腎症、膜性腎症、ループス腎炎、C3糸球体症、及びANCA-血管炎が挙げられる。具体的な例において、C5関連疾患又は障害は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)である。具体的な例において、C5関連疾患又は障害は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)である。
【0377】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の症状又は適応症を治療又は予防するのに有用である。aHUSは、循環赤血球が破壊されることによる低レベルの循環赤血球(溶血性貧血)、循環赤血球が消費されることによる低血小板数(血小板減少症)、及び腎臓が血液からの老廃物を処理して尿中に排出することができないこと(急性腎不全)、尿毒症として知られる状態を特徴とする希な疾患である。aHUSの徴候及び症状には、例えば、病気、疲労、過敏性及び嗜眠、貧血、血小板減少症、急性腎不全、高血圧及び臓器損傷が含まれ得る。aHUSの症状及び適応症には、血小板活性化、溶血、脳卒中、心臓発作、腎不全及び/又は死亡につながる全身性血栓性微小血管障害(全身の小血管における血栓の形成)、末期腎疾患、永久的腎障害、腹痛、錯乱、浮腫、疲労、悪心/嘔吐、下痢及び微小血管障害性貧血が含まれるが、これらに限定されない。
【0378】
非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)は、循環赤血球が破壊されることによる低レベルの循環赤血球(溶血性貧血)、赤血球が消費されることによる低血小板数(血小板減少症)、及び腎臓が血液からの老廃物を処理して尿中に排出することができないこと(急性腎不全)、尿毒症として知られる状態を特徴とするまれな疾患である。ほとんどのaHUSは、通常の調節機構を損なう補体系欠陥によって引き起こされる。したがって、活性化事象は、広範な内皮損傷をもたらす非架橋性の継続的な補体活性をもたらす。aHUSの徴候及び症状には、例えば、病気、疲労、過敏性及び嗜眠、貧血、血小板減少症、急性腎不全、高血圧及び臓器損傷が含まれ得る。
【0379】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)の症状又は適応症を治療又は予防するのに有用である。PNHは、まれな後天性の生命を脅かす血液の疾患である。この疾患は、赤血球の破壊(溶血性貧血)、血栓(血栓症)及び骨髄機能障害(3つの血液成分を十分に作らない)を特徴とする。PNHの徴候及び症状としては、著しい倦怠感又は衰弱、打撲又は易出血、息切れ、再発性感染及び/又はインフルエンザ様症状、出血を制御することの困難、非常に軽微な創傷からでさえ、皮膚下の出血を示す皮膚上の小さな赤い点の出現、重度の頭痛、感染による発熱及び血餅(血栓形成)が挙げられ得る。PNHの症状及び適応症には、赤血球の破壊、血栓症(深部静脈血栓症、肺塞栓症を含む)、血管内溶血性貧血、尿の赤変、貧血の症状、例えば疲労、息切れ及び動悸、腹痛及び嚥下困難が含まれるが、これらに限定されない。
【0380】
発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)は、ホスファチジルイノシトールグリカン生合成クラスA(PIGA)遺伝子の変異を獲得する多分化能造血幹細胞(HSC)に由来する。PIGA遺伝子産物は、数十のタンパク質を細胞の原形質膜に付着させる糖脂質部分であるグリコフォスファチジルイノシトール(GPI)アンカーの生合成に必要である。その結果、PNH幹細胞及びその子孫の全ては、GPIアンカー型タンパク質の減少又は非存在を有する。造血性クローンに由来する成熟血球は、GPI結合タンパク質の完全欠損(III型)又は部分欠損(II型)を有し得る(Hillmen et al.,Effect of eculizumab on hemolysis and transfusion requirements in patients with paroxysmal nocturnal hemoglobinuria.N Engl J Med 2004;350(6):552-9)。GPIアンカーの非存在によって影響を受けるタンパク質の2つは、補体調節タンパク質であるCD55及びCD59である。CD55は補体成分3(C3)コンバターゼを阻害することによって補体活性化を調節するが、CD59はC8及びC9と相互作用することによって膜侵襲複合体(MAC)C5b~C9の集合を阻害する(Brodsky,How I treat paroxysmal nocturnal hemoglobinuria.Blood 2009;113(26):6522-7)。それらが存在しないことにより、PNH赤血球は補体媒介血管内溶血を受けやすくなる。PNH患者におけるこの血管内溶血は、貧血(しばしば輸血を必要とする)及びヘモグロビン尿症を引き起こす。PNHの合併症には、血栓症、腹痛、嚥下障害、勃起不全及び肺高血圧症が含まれる(Hillmen et al.,The complement inhibitor eculizumab in paroxysmal nocturnal hemoglobinuria.N Engl J Med 2006;355(12):1233-43)。血栓塞栓症は、PNH患者の死亡の一般的な原因である。血栓塞栓症の潜在的な機序としては、血小板活性化、遊離ヘモグロビンの毒性、一酸化窒素欠乏、他のGPI結合タンパク質の非存在、及び内皮機能障害が挙げられる(Hill et al.,Thrombosis in paroxysmal nocturnal hemoglobinuria.Blood 2013;121(25):4985-96)。PNHは、自己免疫性再生不良性貧血と共に起こる(Luzzatto & Risitano,Advances in understanding the pathogenesis of acquired aplastic anaemia.Br J Haematol 2018;182(6):758-76)。PNHに罹患している対象に、本明細書に記載の投薬レジメンによってREGN3918などのC5に特異的に結合するアンタゴニスト抗原結合タンパク質を投与することによって、PNHによって引き起こされる溶血に続発する貧血に対処するための輸血の必要性を減少させる、エリスロポエチン、鉄サプリメント及び/又は葉酸の必要性を減少させる、貧血の発生率を減少させる、ヘモグロビン尿症の発生率を減少させる、又は溶血の発生率を減少させる方法が本明細書に含まれる。
【0381】
PNHの診断は、フローサイトメトリーによって末梢血中で測定された10%を超えるPNH顆粒球クローンサイズの存在の国際的に受け入れられている定義を使用して確立することができる。「活動性疾患」(活動性PNH)の許容される定義は、3ヶ月以内の以下のPNH関連の徴候又は症状の1つ以上の存在である:疲労、ヘモグロビン尿症、腹痛、息切れ(呼吸困難)、貧血(ヘモグロビン<10g/dL)、主要有害血管事象(MAVE;血栓症を含む)の病歴、嚥下障害、又は勃起不全。あるいは、3ヶ月以内のPNHによるRBC輸血の病歴によって活動性を確立することができる。活動性PNHを治療するための方法も含まれる。
【0382】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、CHAPLEの症状又は適応症(補体の過剰活性化、血管障害性血栓症及びタンパク質喪失性腸障害を伴うCD55欠損症)を治療又は予防するのに有用である。CHAPLE疾患は、CD55(減衰加速係数DAFとしても知られている)における機能突然変異の喪失によって引き起こされる常染色体劣性障害である。CHAPLEの徴候及び症状には、低タンパク質血症(アルブミン及び免疫グロブリンの血清レベルが低い)(低タンパク質血症は、顔面及び四肢の浮腫及び再発性感染をもたらす)、吸収不良症候群(慢性下痢、発育不全、貧血及び微量栄養素欠乏)、補体過剰活性化、腸リンパ管拡張症(IL)及び腸炎症並びに/あるいは内臓血栓症に対する感受性の増加が含まれ得る。
【0383】
CHAPLE疾患(補体の過剰活性化、血管障害性血栓症及びタンパク質喪失性腸障害を伴うCD55欠損症)は、CD55(減衰加速係数DAFとしても知られている)における機能突然変異の喪失によって引き起こされる常染色体劣性障害である。CHAPLEの徴候及び症状には、低タンパク質血症(アルブミン及び免疫グロブリンの血清レベルが低い)(低タンパク質血症は、顔面及び四肢の浮腫及び再発性感染をもたらす)、吸収不良症候群(慢性下痢、発育不全、貧血及び微量栄養素欠乏)、補体過剰活性化、腸リンパ管拡張症(IL)及び腸炎症並びに/あるいは内臓血栓症に対する感受性の増加が含まれ得る。CHAPLE疾患は、CD55遺伝子における二対立遺伝子機能喪失変異によって引き起こされる。臨床的には、しばしば重度であり、致死的な全身症状を伴い得る原発性腸リンパ管拡張症(PIL)又はワルトマン病によって引き起こされる家族性形態のタンパク質喪失性腸症(PLE)として現れる。CD55は、C3b及びC4bの酵素活性を阻害し、したがって最終的に膜侵襲複合体(C5b~C9)の構築をもたらすC3及びC5コンバターゼの形成を防止する糖質ホスファチジルイノシトール(GPI)アンカー膜タンパク質である。したがって、CD55の非存在は補体系の過活性化を引き起こし、アナフィラトキシン及び膜侵襲複合体を含む様々な補体産物の産生を引き起こす。造血幹細胞におけるPIGA遺伝子の体細胞変異(GPIアンカーの生合成に必要)に起因して存在しない場合、CD55喪失及びCD59喪失は、造血細胞に特異的である(CD59は別のGPI連結補体調節タンパク質である)。典型的には、結果として生じる赤血球及び血小板の補体媒介溶解は、PNHにおける血管内溶血及び血栓症を引き起こす。CHAPLEでは、全ての組織におけるCD55発現の単離された生殖系列喪失は、PLEを引き起こす原発性腸リンパ管拡張症として、消化管に現れる。一般に、PNHとは異なり、CHAPLE患者では溶血は観察されない。CHAPLEを患っている対象に、本明細書に記載される投与レジメンによって、REGN3918などのC5に特異的に結合するアンタゴニスト抗原結合タンパク質を対象に投与することによる、コルチコステロイド、免疫グロブリン、アルブミン、生物学的治療剤(例えば、抗体又はその抗原結合断片、例えば抗TNFα、又はベドリズマブ)、免疫調節剤(例えば、アザチオプリン又はメサラジン)、微量栄養素、経腸又は非経口補充、抗凝固剤(例えば、低分子量ヘパリン)、抗生物質及び/又は抗血小板剤(例えば、低用量アスピリンなどのアスピリン)の投与の必要性を減らすための方法も含まれた。Kurolap et al.,Loss of CD55 in Eculizumab-Responsive Protein-Losing Enteropathy.N Engl J Med 2017;377(1):87-9.;及びOzen et al.,CD55 Deficiency and Protein-Losing Enteropathy.N Engl J Med 2017b;377(15):1499-500を参照されたい。CHAPLE疾患に関連するCD55変異としては、例えば、149-150delAA;149-150insCCTT;109delC;800G>C;287-1G>C;149-150delAAinsCCTT;(国際公開第2018/053039号に記載)又は同じ変異アミノ酸配列をもたらすCD55変異が挙げられる。
【0384】
CHAPLEの診断は、CD55機能喪失変異を同定するための遺伝子分析によって行うことができる。診断は、CD55の存在の減少を同定するために、末梢血細胞のフローサイトメトリー又はウェスタンブロッティングによって確認することができる。活性CHAPLE疾患は、いくつかの実施形態では、3.2g/dL以下の低アルブミン血症、及びCHAPLEに起因する以下の徴候又は症状:下痢、嘔吐、腹痛、末梢若しくは顔面浮腫、又は付随する低ガンマグロブリン血症を伴う感染症のエピソード、又は新たな血栓塞栓性事象のうちの1つ以上を特徴とする。血清アルブミンの正常範囲は、典型的には約3.5~5.5g/dLである。
【0385】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、抗リン脂質症候群(APS)の症状又は適応症を治療又は予防するのに有用である。APSは、抗リン脂質抗体による動脈及び静脈の血栓症を特徴とする自己免疫疾患である。障害は、別の自己免疫疾患の非存在下で起こる場合、原発性と呼ばれる。二次性APSは、全身性エリテマトーデスなどの自己免疫障害に関連して起こる。壊滅的なAPS(CAPS)は、広範な血管内血栓症が多臓器虚血及び不全をもたらす、まれな生命を脅かすAPSの形態である。
【0386】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、重症筋無力症(MG)の症状又は適応症を治療又は予防するのに有用である。MGは、骨格筋の衰弱を引き起こす慢性自己免疫性神経筋疾患であり、骨格筋は、腕及び脚を含む身体の呼吸及び運動部分を担う。
【0387】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、典型的な溶血性尿毒症症候群(tHUS)の症状又は適応症を治療又は予防するのに有用である。tHUSは、志賀毒素産生大腸菌(STEC)による胃腸感染後に起こり得る。典型的なHUS(店舗;志賀毒素産生大腸菌(STEC)溶血性尿毒症症候群(HUS))は、既知の強力な細胞毒である志賀毒素(又は志賀様毒素)が(ドメインBを介して)細胞膜糖脂質Gb3に結合すると開始され得る。ドメインAは内在化され、続いてタンパク質合成を停止させ、罹患細胞のアポトーシスを誘導する。志賀毒素は、内皮細胞に対していくつかの更なる効果を有し、そのうちの1つは、微小血管血栓症に寄与し得る機能的組織因子の発現増強である。毒素は、内皮、赤血球及び血小板の損傷又は活性化を引き起こす。
【0388】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、C5関連眼科疾患、例えば、加齢黄斑変性(AMD;例えば、湿潤又は乾燥)、糖尿病性網膜症(DR)、非感染性ブドウ膜炎、地図状萎縮、シュタルガルト黄斑ジストロフィー又は視神経炎の症状又は適応症を治療又は予防するのに有用である。そのような方法では、CRISPR/Casシステム及び/又は他の治療剤を、例えば眼内注射又は硝子体内注射によって投与することができる。
【0389】
AMDは、典型的には55歳以上の人々における黄斑(網膜の中心部分)の進行性変性である。C3、C5b-9、CFB及びCFHを含む様々な補体成分が、ドルーゼン及びAMD病変において検出されている。更に、C3a、C3d、Bb及びC5aの血漿レベルの増加がAMD患者で観察されている。これらの結果は、AMDにおける局所及び全身の補体活性化の増加を示唆する。
【0390】
DRは、糖尿病の結果としての網膜血管系及びニューロンの進行性変性である。DR眼の脈絡毛細管板は、有意なレベルのC3d及びC5b-9複合体を含有する。C5b-9沈着は、>9歳の2型糖尿病患者の網膜血管でも検出可能であり得、C5aの増加は、増殖性DR患者の硝子体で検出され得、補体活性化がDRの網膜血管損傷に関与することを示唆している。
【0391】
非感染性ブドウ膜炎は、片眼又は両眼の炎症(熱、発赤、疼痛及び腫脹)であり、これは感染に起因しない。
【0392】
地図状萎縮(GA)は、後期加齢黄斑変性(AMD)の一部としての、黄斑の慢性進行性変性である。この疾患は、網膜外組織、網膜色素上皮及び脈絡毛細管板の限局性で境界が明確な萎縮を特徴とする。これは、典型的には、周中心窩周辺領域で始まり、時間とともに中心窩を含むように拡大し、中心暗点及び視力の永続的喪失をもたらす。それはほとんどの場合、両側性である。
【0393】
常染色体劣性シュタルガルト黄斑ジストロフィー(STGD1)は、ABCA4(ABCR)遺伝子の突然変異に起因するジストロフィーである。ABCA4の変異も錐体-桿体ジストロフィーをもたらす。若年性及び早期成人STGD1の発症年齢は通常8~25歳であり、一部の症例は高齢者に発生する(後期成人発症STGD1)。この疾患の特徴は、眼の網膜色素上皮(RPE)におけるリポフスチン(加齢に関連する褐色-黄色自己蛍光色素)の早期蓄積であり、黄斑から外側に広がる黄色がかった斑点のパターンを引き起こす。
【0394】
視神経炎は、視神経を損傷する炎症である。片眼の痛み及び一時的な視力喪失は、視神経炎の一般的な症状である。
【0395】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、対象の体内の補体活性(例えば、C5媒介補体活性)を低下させるのに有用である。例えば、いくつかの実施形態では、補体活性は、補体媒介溶血(例えば、古典的経路媒介性又は代替経路媒介性)又はC5活性(例えば、C5aのC5aR1への結合、C5前駆体からのC5a及び/又はC5bの生成;又は細胞、例えば内皮細胞における膜侵襲複合体(MAC)の形成若しくは沈着)である。いくつかの実施形態では、補体活性は、抗ヒツジ抗体でコーティングされたヒツジ赤血球を溶解する、対象の身体から採取された血清の能力である。
【0396】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、神経障害、腎障害、多発性硬化症、脳卒中、ギラン・ベン症候群、外傷性脳損傷、パーキンソン病、不適切又は望ましくない補体活性化の障害、血液透析合併症、超急性同種移植片拒絶、異種移植片拒絶、IL-2治療中のインターロイキン-2誘導性毒性、炎症性障害、自己免疫疾患の炎症、クローン病、成人呼吸窮迫症候群、火傷又は凍傷を含む熱傷、虚血後再灌流状態、心筋梗塞、毛細血管漏出症候群、肥満、糖尿病、アルツハイマー病、統合失調症、脳卒中、てんかん、アテローム性動脈硬化、血管炎、水疱性類天疱瘡、C3糸球体症、膜増殖性糸球体腎炎、バルーン血管形成術、心肺バイパス又は腎バイパスにおけるポンプ後症候群、血液透析、腎虚血、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、感染性疾患又は敗血症、免疫複合体障害及び自己免疫疾患、糖尿病性腎症、アルポート症候群、進行性腎不全、タンパク尿性腎疾患、腎虚血再灌流傷害、ループス腎炎、糸球体症、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、SLE腎炎、膜増殖性腎炎、溶血性貧血、視神経脊髄炎、腎移植、遺伝性CD59欠乏症、乾癬、及び重症筋無力症からなる群から選択されるC5関連疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は適応症を治療又は予防するために有用である。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムは、呼吸困難、喀血、ARDS、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気腫、肺塞栓症及び梗塞、肺炎、線維性ダスト疾患、不活性塵及び鉱物(例えば、ケイ素、石炭粉、ベリリウム、及びアスベスト)による傷害、肺線維症、有機ダスト疾患、化学的傷害(刺激性のガス及び化学物質、例えば塩素、ホスゲン、二酸化硫黄、硫化水素、二酸化窒素、アンモニア、及び塩酸に起因する)、煙傷害、熱傷害(例えば、火傷、凍結)、喘息、アレルギー、気管支収縮、過敏性肺炎、寄生虫症、グッドパスチャー症候群、肺血管炎、遺伝性血管浮腫、及び免疫複合体関連炎症などの肺疾患及び障害からなる群から選択されるC5関連疾患又は障害の少なくとも1つの症状又は適応症を治療又は予防するために(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)有用である。
【0397】
いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステムは、成人呼吸窮迫症候群;加齢黄斑変性(AMD)、アレルギー、アルポート症候群、アルツハイマー病、抗リン脂質症候群(APS)、喘息、アテローム性動脈硬化症、非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、自己免疫疾患、自己免疫性溶血性貧血(AIHA)、バルーン血管形成、気管支収縮、水疱性類天疱瘡、火傷、C3糸球体症、毛細血管漏出症候群、心血管障害、突発性抗リン脂質症候群(CAPS)、脳血管障害、CHAPLE疾患(補体の過剰活性化、血管障害性血栓症及びタンパク質喪失性腸障害を伴うCD55欠損症)、化学的損傷、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、寒冷凝集素症(CAD)、角膜及び/又は網膜組織、クローン病、デゴス病、高密度沈着物疾患(DDD)、皮膚筋炎、糖尿病、糖尿病性血管障害、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、糖尿病性腎症、糖尿病性網膜症、拡張型心筋症、不適切又は望ましくない補体活性化障害、呼吸困難、気腫、表皮水疱症、てんかん、線維原性ダスト疾患、凍傷、地図状萎縮(GA)、糸球体腎炎、糸球体症、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン・バレー症候群、橋本甲状腺炎、血液透析合併症、溶血-肝臓酵素上昇及び低血小板(HELLP)症候群、溶血性貧血、喀血、Henoch-Schonlein紫斑病性腎炎、遺伝性血管浮腫、超急性同種移植片拒絶、過敏性肺炎、特発性血小板減少性紫斑病(ITP)、IgA腎症、免疫複合体障害、免疫複合体血管炎、免疫複合体関連炎症、感染症、自己免疫疾患によって引き起こされる炎症、炎症性障害、遺伝性CD59欠損、不活性ダスト及び/又は鉱物による損傷、IL-2治療中のインターロイキン-2誘導性毒性、虚血-再灌流傷害、川崎病、肺の疾患又は障害、ループス腎炎、膜増殖性糸球体腎炎、膜増殖性腎炎、大動脈再建後の腸間膜動脈再灌流、腸間膜/腸間膜血管障害、多巣性運動ニューロパシー(MMN)、多発性硬化症、重症筋無力症、心筋梗塞、心筋炎、神経障害、視神経脊髄炎、肥満、眼血管新生、脈絡膜に影響を及ぼす眼血管新生、有機ダスト病、寄生虫症、パーキンソン病、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、低免疫性血管炎、天疱瘡、経皮的冠動脈形成術(PTCA)、末梢(例えば筋骨格)血管障害、肺炎、虚血後再灌流状態、心肺バイパスにおけるポンプ後症候群、腎バイパスにおけるポンプ後症候群、進行性腎不全、増殖性腎炎、タンパク尿腎疾患、乾癬、肺塞栓症、肺線維症、肺梗塞、肺血管炎、再発性胎児喪失、腎障害、腎虚血、腎虚血-再灌流傷害、腎血管障害、ステント留置後の再狭窄、関節リウマチ(RA)、回転式アテレクトミー、統合失調症、敗血症、敗血症性ショック、SLE腎炎、煙による傷害、脊髄損傷、自然胎児喪失、脳卒中、敗血症に対する全身性炎症反応、全身性エリテマトーデス(SLE)、全身性エリテマトーデス関連血管炎、高安病、熱損傷、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、外傷性脳損傷、I型糖尿病、典型的な溶血性尿毒症症候群(tHUS)、ブドウ膜炎、血管炎、関節リウマチに関連する血管炎、静脈ガス塞栓(VGE)、及び/又は異種移植片拒絶のうちの1つ以上である、C5関連疾患を治療又は予防するために(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)有用である。
【0398】
特定の用途では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、加齢黄斑変性症(AMD)、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、糖尿病性網膜症、眼血管形成(脈絡膜、角膜又は網膜組織に影響を及ぼす眼血管新生)、地図状萎縮(GA)、ブドウ膜炎及び視神経脊髄炎などの眼疾患に罹患している対象を治療するのに有用である。C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、乾燥型AMD又は湿潤型AMDの少なくとも1つの症状又は適応症を治療又は改善するために使用され得る。いくつかの方法では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムは、視力喪失の予防又は速度の遅延に有用である。いくつかの方法では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的化するための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、乾燥型AMDを有する対象の眼のドルーゼンを減少させるのに有用である。いくつかの方法では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステム(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれか)は、AMDを有する対象の視力喪失を予防又は低減/遅延させるのに有用である。
【0399】
C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムは、眼の疾患又は障害の症状又は状態/適応症の1つ以上の重症度を軽減又は予防又は減少させるために(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)投与され得る。C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムは、視力喪失、視覚歪み、低照度レベルへの適応困難、屈曲した中心視力、中心/全視力の混濁の増加、ドルーゼンの存在(網膜上に蓄積する細胞外物質の小さな蓄積)、色素変化、直線のグリッドが波状に見え、グリッドの一部が空白に見えることがある、変性視症の形態の歪んだ視覚、滲出性変化(眼の出血、硬性滲出液、網膜下/RPE下/網膜内液)、明光への曝露後の視覚機能の回復の遅延(光ストレス試験)、初期及び地図状萎縮、視力の劇的な低下(2つのレベル又はそれ以上)、例えば20/20~20/80、優先的な高視力視野測定の変化(湿性AMDの場合)、かすみ眼、中心視力の漸進的喪失(非滲出性黄斑変性の患者の場合)、視力喪失の急速な発症(滲出性黄斑変性の対象における異常な血管の漏出及び出血によって引き起こされることが多い)、中心暗点(陰影又は視覚の欠落領域)、色の識別に問題があり、具体的には暗い色からの暗い色及び明るい色からの明るい色、コントラスト感度の喪失、直線がアムスラーグリッドにおいて湾曲して現れることが挙げられるがこれらに限定されない、少なくとも1つの症状の重症度を改善又は低減するために(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)使用され得る。
【0400】
C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムはまた、黄斑変性を発症するリスクがある対象、例えば50歳を超える対象、黄斑変性の家族歴を有する対象、喫煙者、及び肥満、高コレステロール、心血管疾患、又は非健康な食事を有する対象において予防的に(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)使用され得る。
【0401】
C.C5を動物又は細胞に標的化するCRISPR/Cas試薬及び/又はC5抗原結合タンパク質及び/又は他の試薬の投与
本明細書に開示される方法は、核酸の形態(例えば、DNA又はRNA)、タンパク質、核酸タンパク質複合体を含む、C5を標的とする様々なCRISPR/Cas試薬(及び任意選択的にC5を標的とする外因性ドナー核酸)を動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)又は細胞に導入することを含み得る。本明細書に開示される方法はまた、動物(例えば、ヒトなどの哺乳動物)又は細胞に様々なC5抗原結合タンパク質又はC5抗体又は他の治療剤を導入することを含み得る。「導入する」は、動物若しくは細胞の内部又は動物内の細胞の内部にアクセスできるように分子(複数可)(例えば、核酸(複数可)又はタンパク質(複数可))を細胞又は動物に提示することを含む。導入することは、任意の手段によって達成することができ、2つ以上の構成要素(例えば、2つの構成要素、又はすべての構成要素)を、任意の組み合わせで同時に又は逐次的に細胞又は動物に導入することができる。例えば、Casタンパク質は、ガイドRNAの導入前に細胞又は動物に導入することができ、又はガイドRNAの導入後に導入することができる。別の例として、外因性ドナー核酸は、Casタンパク質及びガイドRNAの導入前に導入することができるか、又はCasタンパク質及びガイドRNAの導入後に導入することができる(例えば、外因性ドナー核酸は、Casタンパク質及びガイドRNAの導入の約1、2、3、4、8、12、24、36、48、又は72時間前又は後に投与することができる)。例えば、米国特許出願公開第2015/0240263号明細書及び米国特許出願公開第2015/0110762号明細書を参照されたく、これらの各々は、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。加えて、2つ以上の構成要素は、同じ送達方法又は異なる送達方法によって細胞又は動物に導入することができる。同様に、2つ以上の構成要素は、同じ投与経路又は異なる投与経路によって動物に導入することができる。
【0402】
ガイドRNAは、例えばRNA(例えば、インビトロ転写RNA)の形態で、又はガイドRNAをコードするDNAの形態で、動物又は細胞に導入することができる。ガイドRNAは、本明細書の他の箇所に開示されるように修飾することができる。DNAの形態で導入される場合、ガイドRNAをコードするDNAは、細胞内又は動物の細胞内で活性なプロモーターに作動可能に連結され得る。例えば、ガイドRNAは、AAVを介して送達され、U6プロモーターの下で、インビボで発現され得る。そのようなDNAは、1つ以上の発現構築物中にあり得る。例えば、そのような発現構築物は、単一の核酸分子の構成要素であり得る。代替的に、それらは、2つ以上の核酸分子の間で任意の組み合わせで分離することができる(すなわち、1つ以上のCRISPR RNAをコードするDNA及び1つ以上のtracrRNAをコードするDNAは、別個の核酸分子の構成要素であり得る)。
【0403】
同様に、Casタンパク質は、任意の形態で提供することができる。例えば、Casタンパク質は、gRNAと複合体を形成したCasタンパク質などのタンパク質の形態で提供することができる。代替的に、Casタンパク質は、RNA(例えば、メッセンジャーRNA(mRNA))又はDNAなどの、Casタンパク質をコードする核酸の形態で提供することができる。Cas RNAは、本明細書の他の箇所に開示されるように修飾することができる。任意選択的に、Casタンパク質をコードする核酸は、特定の細胞又は生物におけるタンパク質への効率的な翻訳のためにコドン最適化することができる。例えば、Casタンパク質をコードする核酸は、天然に存在するポリヌクレオチド配列と比較して、哺乳動物細胞、ヒト細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、又は任意の他の目的の宿主細胞においてより高い頻度で使用される代替コドンへと改変することができる。Casタンパク質をコードする核酸が細胞又は動物に導入される場合、Casタンパク質は、細胞又は動物の細胞において一過性、条件付き又は構成的に発現され得る。
【0404】
Casタンパク質又はガイドRNAをコードする核酸は、発現コンストラクト中のプロモーターに作動可能に連結され得る。発現構築物は、遺伝子又は他の目的の核酸配列(例えば、Cas遺伝子)の発現を指示することができ、そのような目的の核酸配列を標的細胞に導入することができる任意の核酸構築物を含む。例えば、Casタンパク質をコードする核酸は、1つ以上のgRNAをコードするDNAを含むベクター内に存在し得る。代替的に、それは、1つ以上のgRNAをコードするDNAを含むベクターとは別のベクター又はプラスミドであり得る。発現コンストラクトにおいて使用することができる好適なプロモーターとしては、例えば、真核細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳動物細胞、非ヒト哺乳動物細胞、げっ歯類細胞、マウス細胞、ラット細胞、ハムスター細胞、ウサギ細胞、多能性細胞、胚性幹(ES)細胞、成体幹細胞、発生が制限された前駆細胞、誘導多能性幹(iPS)細胞、又は1細胞期胚のうちの1つ以上において活性なプロモーターが挙げられる。例えば、適切なプロモーターは、肝細胞などの肝臓細胞において活性であり得る。そのようなプロモーターは、例えば、条件付きプロモーター、誘導性プロモーター、構成的プロモーター、又は組織特異的プロモーターであってよい。任意選択的に、プロモーターは、一方向のCasタンパク質と他の方向のガイドRNAの両方の発現を駆動する双方向プロモーターであり得る。このような双方向プロモーターは、(1)遠位配列要素(DSE)、近位配列要素(PSE)、及びTATAボックスの3つの外部制御要素を含む完全な従来の一方向Pol IIIプロモーター、並びに(2)DSEの5’末端に逆方向に融合されたPSE及びTATAボックスを含む第2の基本的なPol IIIプロモーターで構成することができる。例えば、H1プロモーターでは、DSEはPSEとTATAボックスに隣接しており、プロモーターは、U6プロモーターに由来するPSE及びTATAボックスを追加することによって逆方向の転写が制御されるハイブリッドプロモーターを作成することにより、双方向にすることができる。例えば、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれるUS2016/0074535を参照されたい。双方向プロモーターを使用してCasタンパク質とガイドRNAをコードする遺伝子を同時に発現させることにより、コンパクトな発現カセットを生成して送達を容易にすることができる。
【0405】
動物又は細胞に導入された分子(例えば、Casタンパク質又はガイドRNA又はC5抗原結合タンパク質をコードする核酸)は、導入された分子の安定性を増加させる担体(例えば、所与の貯蔵条件下(例えば、-20℃、4℃、又は周囲温度)での、分解産物が閾値未満、例えば出発核酸又はタンパク質の0.5重量%未満のままである期間を延長する、又はインビボでの安定性を増加させる)を含む組成物で提供することができる。そのような担体の非限定的な例には、ポリ(乳酸)(PLA)ミクロスフェア、ポリ(D,L-乳酸-コグリコール-酸)(PLGA)ミクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質コキレート(cochleates)、及び脂質微小管が挙げられる。
【0406】
細胞又は動物への分子(例えば、核酸又はタンパク質)の導入を可能にするために、様々な方法及び組成物が本明細書で提供される。分子を様々な細胞型に導入するための方法は既知であり、例えば、安定したトランスフェクション法、一過性トランスフェクション法、及びウイルス媒介法が含まれる。
【0407】
トランスフェクションプロトコル、並びに分子を細胞に導入するためのプロトコルは異なり得る。非限定的なトランスフェクション方法としては、リポソーム;ナノ粒子;リン酸カルシウム(Graham et al.(1973)Virology 52(2):456-67,Bacchetti et al.(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.」74(4):1590-4,and Kriegler,M(1991).Transfer and Expression:A Laboratory Manual.New York:W.H.Freeman and Company.pp.96-97)、デンドリマー、又はDEAE-デキストラン若しくはポリエチレンイミンなどのカチオン性ポリマーを使用する化学ベースのトランスフェクション方法が挙げられる。非化学的方法には、電気穿孔法、ソノポレーション、及び光トランスフェクションが含まれる。粒子ベースのトランスフェクションには、遺伝子銃の使用、又はマグネットアシストトランスフェクション(Bertram(2006)Current Pharmaceutical Biotechnology 7,277-28)が含まれる。ウイルス法もトランスフェクションに使用することができる。
【0408】
細胞への核酸又はタンパク質の導入はまた、エレクトロポレーション、細胞質内注射、ウイルス感染、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レンチウイルス、レトロウイルス、トランスフェクション、脂質媒介トランスフェクション、又はヌクレオフェクションによって媒介され得る。ヌクレオフェクションは、核酸基質を細胞質だけでなく核膜を介して核に送達することを可能にする改良されたエレクトロポレーション技術である。加えて、本明細書に開示される方法でのヌクレオフェクションの使用は、典型的には、通常の電気穿孔法よりもはるかに少ない細胞を必要とする(例えば、通常の電気穿孔法による700万に対してわずか約200万)。一例では、ヌクレオフェクションは、LONZA(登録商標)NUCLEOFECTOR(商標)システムを使用して行われる。
【0409】
細胞(例えば、接合子)への分子(例えば、核酸又はタンパク質)の導入は、マイクロインジェクションによっても達成され得る。接合子(すなわち、1細胞期胚)では、マイクロインジェクションは母体及び/又は父方の前核又は細胞質に行うことができる。マイクロインジェクションが1つの前核のみに行われる場合は、サイズが大きいため、父方の前核が適している。mRNAのマイクロインジェクションは、好ましくは細胞質へ(例えば、mRNAを翻訳機構に直接送達するために)のものであるが、一方で、Casタンパク質若しくはCasタンパク質をコードするか又はRNAをコードするポリヌクレオチドのマイクロインジェクションは、核/前核へのものが好ましい。代替的に、マイクロインジェクションは、核/前核及び細胞質の両方への注射によって実施することができ、針を最初に核/前核に導入し、最初の量を注射することができ、1細胞期胚から針を除去しながら、2番目の量を細胞質に注射することができる。Casタンパク質が細胞質に注入される場合、Casタンパク質は、核/前核への送達を確実にするために、核局在化シグナルを含むことが好ましい。マイクロインジェクションを実施する方法は周知である。例えば、Nagy et al.(Nagy A,Gertsenstein M,Vintersten K,Behringer R.,2003,Manipulating the Mouse Embryo.Cold Spring Harbor,New York:Cold Spring Harbor Laboratory Press);またMeyer et al.(2010)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.」107:15022-15026及びMeyer et al.(2012)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.」109:9354-9359を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0410】
分子(例えば、核酸又はタンパク質)を細胞又は動物に導入するための他の方法には、例えば、ベクター送達、粒子媒介送達、エクソソーム媒介送達、脂質ナノ粒子媒介送達、細胞透過性ペプチド媒介送達、又は埋め込み型デバイス媒介配達が含まれ得る。具体的な例として、核酸又はタンパク質は、ポリ(乳酸)(PLA)マイクロスフェア、ポリ(D、L-乳酸-コグリコール酸)(PLGA)マイクロスフェア、リポソーム、ミセル、逆ミセル、脂質渦巻状物、又は脂質微小管などの担体中で、細胞又は動物に導入することができる。動物への送達のいくつかの特定の例には、流体力学的送達、ウイルス媒介送達(例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)媒介送達)、及び脂質ナノ粒子媒介送達が含まれる。
【0411】
細胞又は動物への核酸及びタンパク質の導入は、流体力学的送達(HDD)によって達成することができる。実質細胞への遺伝子送達では、必須のDNA配列のみを選択した血管から注射する必要があり、現在のウイルス及び合成ベクターに関連する安全性の懸念が排除される。DNAは血流に注入されると、血液にアクセスできる様々な組織の細胞に到達することができる。流体力学的送達は、循環中の非圧縮性血液への大量の溶液の迅速な注射によって生成される力を利用して、大きくかつ膜不透過性の化合物が実質細胞に入るのを妨げる内皮及び細胞膜の物理的障壁を克服する。DNAの送達に加えて、この方法は、RNA、タンパク質、及び他の小さな化合物をインビボで効率的に細胞内に送達するのに役立つ。例えば、Bonamassa et al.(2011)Pharm.Res.28(4):694-701を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0412】
核酸の導入は、AAV媒介送達又はレンチウイルス媒介送達などのウイルス媒介送達によっても達成することができる。ベクターは、例えば、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターなどのウイルスベクターであり得る。AAVは任意の好適な血清型であり得、一本鎖AAV(ssAAV)又は自己相補的AAV(scAAV)であり得る。他の例示的なウイルス/ウイルスベクターには、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、ポックスウイルス、及び単純ヘルペスウイルスが含まれる。ウイルスは、分裂細胞、非分裂細胞、又は分裂細胞と非分裂細胞の両方に感染し得る。ウイルスは、宿主ゲノムに組み込むことができるか、又は代替的に宿主ゲノムに組み込まない。このようなウイルスは、免疫力が低減するように操作することもできる。ウイルスは、複製可能であり得、複製欠損性(例えば、ビリオン複製及び/又はパッケージングの追加ラウンドに必要な1つ以上の遺伝子に欠損がある)であり得る。ウイルスは、一過性の発現、長期的な発現(例えば、少なくとも1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、又は3ヶ月)、又は永続的な発現(例えば、Cas9及び/又はgRNAの)を引き起こし得る。ウイルスベクターは、それらの野生型対応物から遺伝的に改変され得る。例えば、ウイルスベクターは、クローニングを容易にするために、又はベクターの1つ以上の特性が変化するように、1つ以上のヌクレオチドの挿入、欠失、又は置換を含み得る。このような特性としては、パッケージング能力、形質導入効率、免疫原性、ゲノム組込み、複製、転写、及び翻訳が挙げられ得る。いくつかの例において、ウイルスゲノムの一部は、ウイルスがより大きなサイズを有する外因性配列をパッケージングすることができるように欠失され得る。いくつかの例において、ウイルスベクターは、増強された形質導入効率を有し得る。いくつかの例では、宿主においてウイルスによって誘導される免疫応答が低減され得る。いくつかの例において、宿主ゲノムへのウイルス配列の組込みを促進するウイルス遺伝子(インテグラーゼなど)は、ウイルスが非組込み型になるように突然変異され得る。いくつかの例では、ウイルスベクターは複製欠損であり得る。いくつかの例では、ウイルスベクターは、ベクター上のコード配列の発現を駆動するための外因性転写又は翻訳制御配列を含み得る。いくつかの例では、ウイルスはヘルパー依存性であり得る。例えば、ウイルスは、ベクターを増幅してウイルス粒子にパッケージングするのに必要なウイルス成分(ウイルスタンパク質など)を供給するために1つ以上のヘルパーウイルスを必要とし得る。そのような場合、ウイルス成分をコードする1つ以上のベクターを含む1つ以上のヘルパー成分を、本明細書に記載のベクター系と共に宿主細胞又は宿主細胞の集団に導入することができる。他の例では、ウイルスはヘルパーフリーであり得る。例えば、ウイルスは、ヘルパーウイルスなしでベクターを増幅及びパッケージングすることができる。いくつかの例では、本明細書に記載のベクター系はまた、ウイルスの増幅及びパッケージングに必要なウイルス成分をコードし得る。例示的なウイルス力価(例えば、AAV力価)としては、約1012、約1013、約1014、約1015及び約1016のベクターゲノム(vg)/mL、又は約1012~約1016、約1012~約1015、約1012~約1014、約1012~約1013、約1013~約1016、約1014~約1016、約1015~約1016、若しくは約1013~約1015vg/mLが挙げられる。他の例示的なウイルス力価(例えば、AAV力価)としては、約1012、約1013、約1014、約1015及び約1016のベクターゲノム(vg)/kgの体重、又は約1012~約1016、約1012~約1015、約1012~約1014、約1012~約1013、約1013~約1016、約1014~約1016、約1015~約1016、若しくは約1013~約1015vg/kgの体重が挙げられる。一例において、ウイルス力価は、約1013~約1014vg/mL又はvg/kgである。
【0413】
アデノ随伴ウイルス(AAV)は、ヒト及び非ヒト霊長類(NHP)を含む複数の種に固有である。現在までに、少なくとも12種の天然血清型及び数百種の天然バリアントが単離され、特徴付けられている。例えば、Li et al.(2020)Nat.Rev.Genet.21:255-272を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。AAV粒子は、一本鎖DNA(ssDNA)ゲノムを含有するエンベロープのない正二十面体タンパク質キャプシドから自然に構成される。DNAゲノムは、複製及びパッケージングシグナルのウイルス起源として働く2つの末端逆位配列(ITR)に隣接している。rep遺伝子はウイルスの複製及びパッケージングに必要な4つのタンパク質をコードし、cap遺伝子はAAV血清型を決定する3つの構造的キャプシドサブユニット、及びいくつかの血清型でビリオンアセンブリを促進するアセンブリ活性化タンパク質(AAP)をコードする。
【0414】
組換えAAV(rAAV)は、現在、治療用導入遺伝子を標的細胞にインビボで送達することによってヒト疾患を治療するための遺伝子治療において使用される最も一般的に使用されるウイルスベクターの1つである。実際、rAAVベクターは天然AAVと同様の正二十面体キャプシドから構成されるが、rAAVビリオンはAAVタンパク質コード配列又はAAV複製配列をキャプシド化しない。これらのウイルスベクターは非複製性である。rAAVベクターに必要な唯一のウイルス配列は、rAAVベクターの製造中にゲノム複製及びパッケージングを誘導するために必要な2つのITRである。rAAVゲノムはAAVのrep及びcap遺伝子を欠いており、それらをインビボで非複製性にする。rAAVベクターは、AAV ITRに隣接する意図された導入遺伝子カセットと組み合わせて、rep及びcap遺伝子を追加のウイルスヘルパータンパク質と共にトランスで発現させることによって産生される。
【0415】
治療用rAAVゲノムにおいて、遺伝子発現カセットは、ITR配列の間に配置される。典型的には、rAAVゲノムカセットは、治療用導入遺伝子の発現を駆動するためのプロモーター、続いてポリアデニル化配列を含む。rAAV発現カセットに隣接するITRは、通常、単離され、組換えウイルスベクターに変換される最初の血清型であるAAV2に由来する。それ以来、ほとんどのrAAV産生方法は、AAV2 Repベースのパッケージング系に依存する。例えば、Colella et al.(2017)Mol.Ther.Methods Clin.Dev.8:87-104を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0416】
使用され得るITRのいくつかの非限定的な例としては、配列番号706、配列番号707、又は配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなるITRを含む。ITRの他の例は、配列番号706、配列番号707、又は配列番号708と比較して1つ以上の変異を含み、配列番号706、配列番号707、又は配列番号708と少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%又は少なくとも99%同一であり得る。本明細書に開示されるいくつかのrAAVゲノムでは、ヌクレアーゼ剤(又はその成分)をコードする核酸は、同じITR(すなわち、5’末端のITR、及び3’末端のITRの逆相補体)が両側に隣接している。一例では、各末端のITRは、配列番号706を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。別の例では、各末端のITRは、配列番号707を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。一例において、少なくとも1つの末端上のITRは、配列番号708を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。一例では、5’末端のITRは、配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。一例では、3’末端のITRは、配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。一例では、各末端のITRは、配列番号708を含み得るか、本質的にそれからなり得るか、又はそれからなり得る。本明細書に開示される他のrAAVゲノムでは、ヌクレアーゼ剤(又はその成分)をコードする核酸は、各末端で異なるITRに隣接している。一例では、一端のITRは、配列番号706を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、もう一方の末端のITRは、配列番号707を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。別の例では、一端のITRは、配列番号706を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、もう一方の末端のITRは、配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。一例では、一端のITRは、配列番号707を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなり、もう一方の末端のITRは、配列番号708を含むか、本質的にそれからなるか、又はそれからなる。
【0417】
組換えAAVベクターの特定の血清型は、特定の組織に対するそのインビボ指向性に影響を及ぼす。AAVキャプシドタンパク質は、付着及び標的細胞への進入、その後のエンドソームの逃避及び核への輸送を媒介する役割を果たす。したがって、rAAVベクターを開発するときの血清型の選択は、インビボ注射時にベクターがどの細胞型及び組織に最も結合し、形質導入する可能性が高いかに影響を及ぼす。rAAV8を含むrAAVのいくつかの血清型は、マウス、NHP及びヒトにおいて全身送達された場合に肝臓を形質導入することができる。例えば、Li et al.(2020)Nat.Rev.Genet.21:255-272を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0418】
核内に入ると、ssDNAゲノムがビリオンから放出され、相補的DNA鎖が合成されて二本鎖DNA(dsDNA)分子が生成される。二本鎖AAVゲノムは、それらのITRを介して天然に環状化し、核内で染色体外に存続するエピソームになる。したがって、エピソーム遺伝子治療プログラムの場合、rAAV送達rAAVエピソームは、非分裂細胞において長期のプロモーター駆動遺伝子発現を提供する。しかしながら、このrAAV送達エピソームDNAは、細胞が分裂するにつれて希釈される。対照的に、本明細書中に記載される遺伝子治療は、長期遺伝子発現を可能にする遺伝子挿入に基づく。
【0419】
ssDNA AAVゲノムは、2つのオープンリーディングフレーム、Rep及びCapで構成され、相補的DNA鎖の合成を可能にする2つの末端逆位配列が隣接している。AAVトランスファープラスミドを構築する場合、導入遺伝子は、2つのITRの間に配置され、Rep及びCapは、トランスで供給され得る。Rep及びCapに加えて、AAVはアデノウイルス由来の遺伝子を含むヘルパープラスミドを必要とする場合がある。これらの遺伝子(E4、E2a、及びVA)はAAV複製を仲介する。例えば、トランスファープラスミド、Rep/Cap、及びヘルパープラスミドをアデノウイルス遺伝子E1+を含むHEK293細胞にトランスフェクトして、感染性AAV粒子を生成することができる。代替的に、Rep、Cap、及びアデノウイルスヘルパー遺伝子を組み合わせて単一のプラスミドとすることもできる。同様のパッケージングセル及び方法は、レトロウイルスなどの他のウイルスにも使用できる。
【0420】
AAVの複数の血清型が確認されている。これらの血清型は、感染する細胞の種類(すなわち、それらの指向性)が異なり、特定の細胞型の優先的な形質導入を可能にする。AAVという用語は、例えば、AAV1、AAV2、AAV3、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAVrh、64R1、AAVhu.37、AAVrh.8、AAVrh.32.33、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAV2/8、AAVrh10、AAVLK03、AV10、AAV11、AAV12、rh10及びそれらのハイブリッド、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV及びヒツジAAVを含む。AAVの種々の血清型のゲノム配列、並びにネイティブ末端反復(TR)、Repタンパク質、及びキャプシドサブユニットの配列は、当該分野で公知である。このような配列は、文献又はGenBankなどの公開データベースに見出すことができる。本明細書で使用される「AAVベクター」は、AAV起源ではない異種配列(すなわち、AAVに対して異種の核酸配列)、典型的には目的の異種ポリペプチドをコードする配列を含むAAVベクターを指す。構築物は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV3B、AAV4、AAV5、AAV6、AAV6.2、AAV7、AAVrh、64R1、AAVhu.37、AAVrh.8、AAVrh.32.33、AAV8、AAV9、AAV-DJ、AAV2/8、AAVrh10、AAVLK03、AV10、AAV11、AAV12、rh10及びそれらのハイブリッド、鳥類AAV、ウシAAV、イヌAAV、ウマAAV、霊長類AAV、非霊長類AAV及びヒツジAAVキャプシド配列を含み得る。一般に、異種核酸配列(導入遺伝子)は、少なくとも1つ、一般に2つのAAV末端逆位配列(ITR)に隣接している。AAVベクターは、一本鎖(ssAAV)又は自己相補的(scAAV)のいずれかであり得る。肝臓組織の血清型の例には、AAV3B、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh.74、及びAAVhu.37、特にAAV8を含む。具体的な例では、核酸構築物を含むAAVベクターは組換えAAV8(rAAV8)であり得る。本明細書に記載のrAAV8ベクターは、キャプシドがAAV8に由来するものである。例えば、AAV2由来のITR及びAAV8のキャプシドを使用するAAVベクターは、本明細書ではrAAV8ベクターであると考えられる。CNS組織に対する血清型には、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、AAV8、及びAAV9が含まれる。心臓組織に対する血清型には、AAV1、AAV8、及びAAV9が含まれる。腎臓組織に対する血清型にはAAV2が含まれる。肺組織に対する血清型には、AAV4、AAV5、AAV6、及びAAV9が含まれる。膵臓組織に対する血清型にはAAV8が含まれる。光受容細胞に対する血清型には、AAV2、AAV5、及びAAV8が含まれる。網膜色素上皮組織に対する血清型には、AAV1、AAV2、AAV4、AAV5、及びAAV8が含まれる。骨格筋組織に対する血清型には、AAV1、AAV6、AAV7、AAV8、及びAAV9が含まれる。肝臓組織に対する血清型には、AAV7、AAV8、及びAAV9、並びに、特にAAV8が含まれる。
【0421】
指向性は、キャプシド及び異なるウイルス血清型からのゲノムの混合である偽型付けによって更に洗練することができる。例えば、AAV2/5は、血清型5のキャプシドにパッケージされた血清型2のゲノムを含むウイルスを示す。偽型ウイルスの使用は、形質導入効率を改善するだけでなく、指向性を変えることができる。異なる血清型に由来するハイブリッドキャプシドを使用して、ウイルスの指向性を改変することもできる。例えば、AAV-DJには、8つの血清型由来のハイブリッドキャプシドが含まれており、インビボで幅広い細胞型にわたって高い感染力を示す。AAV-DJ8は、AAV-DJの特性を示すが、脳への取り込みが増強された別の例である。AAV血清型は、変異によっても修飾することができる。AAV2の変異修飾の例には、Y444F、Y500F、Y730F、及びS662Vが含まれる。AAV3の変異修飾の例には、Y705F、Y731F、及びT492Vが含まれる。AAV6の変異修飾の例には、S663V及びT492Vが含まれる。他の偽型/修飾AAVバリアントには、AAV2/1、AAV2/6、AAV2/7、AAV2/8、AAV2/9、AAV2.5、AAV8.2、及びAAV/SASTGが含まれる。
【0422】
導入遺伝子の発現を加速するために、自己相補的AAV(scAAV)バリアントを使用することができる。AAVは細胞のDNA複製機構に依存して、AAVの一本鎖DNAゲノムの相補的鎖を合成するため、導入遺伝子の発現が遅れる可能性がある。この遅延に対処するために、感染時に自発的にアニーリングすることができる相補的配列を含むscAAVを使用することができ、宿主細胞のDNA合成の必要性を排除する。しかしながら、一本鎖AAV(ssAAV)ベクターも使用できる。
【0423】
パッケージング容量を増加させるために、より長い導入遺伝子を、1つ目は3’スプライスドナー、2つ目は5’スプライスアクセプターである2つのAAVトランスファープラスミドに分割することができる。細胞の共感染時に、これらのウイルスはコンカテマーを形成し、一緒にスプライシングされ、完全長の導入遺伝子を発現させることができる。これにより、より長い導入遺伝子の発現が可能になるが、発現の効率は低下する。容量を増加させるための同様の方法は、相同組換えを利用する。例えば、導入遺伝子は2つのトランスファープラスミドに分割できるが、共発現が相同組換え及び全長導入遺伝子の発現を誘導するように、実質的な配列の重複がある。
【0424】
特定のAAVでは、カーゴはガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸を含むことができる。特定のAAVにおいて、カーゴは、Cas9などのCasヌクレアーゼをコードするmRNA、及びガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸を含み得る。特定のAAVでは、カーゴに外因性ドナー配列を含めることができる。特定のAAVにおいて、カーゴは、Cas9などのCasヌクレアーゼをコードするmRNA、ガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸、及び外因性ドナー配列を含み得る。
【0425】
核酸及びタンパク質の導入は、脂質ナノ粒子(LNP)媒介送達によっても達成できる。例えば、LNP媒介送達は、Cas mRNA及びガイドRNAの組み合わせ、又はCasタンパク質及びガイドRNAの組み合わせを送達するために使用することができる。LNP媒介送達を使用して、RNAの形態のガイドRNAを送達することができる。具体的な例では、ガイドRNAとCasタンパク質はそれぞれ、同じLNPでのLNP媒介送達を介してRNAの形態で導入される。本明細書の他の箇所でより詳細に考察されるように、1つ以上のRNAを修飾することができる。例えば、1つ以上のRNAは、5’末端及び/又は3’末端に1つ以上の安定化末端修飾を含むように修飾され得る。かかる修飾には、例えば、5’末端及び/又は3’末端の1つ以上のホスホロチオエート結合、又は5’末端及び/又は3’末端の1つ以上の2’-O-メチル修飾が含まれ得る。別の例として、Cas mRNA修飾は、シュードウリジンでの置換(例えば、シュードウリジンで完全に置換される)、5’キャップ、及びポリアデニル化を含み得る。別の例として、Cas mRNA修飾は、N1-メチル-シュードウリジンによる置換(例えば、N1-メチル-シュードウリジンによる完全置換)、5’キャップ、及びポリアデニル化を含むことができる。他の改変もまた、本明細書の他の箇所に開示されるように企図される。かかる方法による送達は、一過性のCas発現及び/又はガイドRNAの一過性の存在をもたらし得、生分解性脂質はクリアランスを改善し、忍容性を改善し、免疫原性を低下させる。脂質製剤は、生体分子を分解から保護すると同時に、細胞への取り込みを改善することができる。脂質ナノ粒子は、分子間力によって互いに物理的に結合した複数の脂質分子を含む粒子である。これらには、ミクロスフェア(単層及び多層ベシクル、例えば、リポソームを含む)、エマルジョン中の分散相、ミセル、又は懸濁液中の内相が含まれる。そのような脂質ナノ粒子は、送達のために1つ以上の核酸又はタンパク質をカプセル化するために使用することができる。カチオン性脂質を含む製剤は、核酸などのポリアニオンを送達するのに有用である。含めることができる他の脂質は、中性脂質(すなわち、非荷電又は両性イオン脂質)、陰イオン脂質、トランスフェクションを増強するヘルパー脂質、及びナノ粒子がインビボで存在できる時間を増加させるステルス脂質である。好適なカチオン性脂質、中性脂質、アニオン性脂質、ヘルパー脂質、及びステルス脂質の例は、すべての目的のためにそれぞれの全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2016/010840号及び国際公開第2017/173054号に見出すことができる。例示的な脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質及び1つ以上の他の成分を含むことができる。一例において、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質を含むことができる。別の例において、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質及びDSPCなどの中性脂質を含むことができる。別の例において、他の成分は、コレステロールなどのヘルパー脂質、DSPCなどの任意の中性脂質、及びS010、S024、S027、S031、又はS033などのステルス脂質を含むことができる。
【0426】
LNPは、以下の1つ以上又は全てを含有してもよい。、(i)カプセル化及びエンドソーム脱出のための脂質、(ii)安定化のための中性脂質、(iii)安定化のためのヘルパー脂質、及び(iv)ステルス脂質。例えば、Finn et al.(2018)Cell Rep.22(9):2227-2235及び国際公開第2017/173054号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。特定のLNPにおいて、カーゴはガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸を含むことができる。特定のLNPにおいて、カーゴは、Cas9などのCasヌクレアーゼをコードするmRNA、及びガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸を含み得る。特定のLNPでは、カーゴに外因性ドナー配列を含むことができる。特定のLNPにおいて、カーゴは、Cas9などのCasヌクレアーゼをコードするmRNA、ガイドRNA又はガイドRNAをコードする核酸、及び外因性ドナー配列を含み得る。いくつかのLNPでは、脂質成分は、生分解性のイオン化可能な脂質などのアミン脂質を含む。いくつかの例において、脂質成分は、生分解性のイオン化可能な脂質、コレステロール、DSPC、及びPEG-DMGを含む。例えば、Cas9 mRNA及びgRNAは、イオン化可能な脂質((9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート、(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエートとも呼ばれる)、コレステロール、DSPC及びPEG2k-DMGを含む脂質製剤を利用して細胞及び動物に送達することができる。
【0427】
いくつかの例では、LNPはカチオン性脂質を含む。いくつかの例では、LNPは、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノエート、(3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノエート)とも呼ばれる)又は別のイオン化可能な脂質を含む。例えば、国際公開第2019/067992号、国際公開第2017/173054号、国際公開第2015/095340号、及び国際公開第2014/136086号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの例では、LNPは、リン酸RNAに対するカチオン性脂質アミンのモル比(N:P)が約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、又は約6.5である。いくつかの例では、LNP脂質の文脈におけるカチオン性及びイオン化可能という用語は交換可能である(例えば、ここで、イオン化可能な脂質はpHに応じてカチオン性である)。
【0428】
カプセル化及びエンドソーム脱出のための脂質は、カチオン性脂質であり得る。脂質はまた、生分解性イオン化可能脂質などの生分解性脂質であり得る。好適な脂質の一例は、3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノアートとも呼ばれる、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノアートであるリピドA又はLP01である。例えば、Finn et al.(2018)Cell Rep.22(9):2227-2235及び国際公開第2017/173054号を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。好適な脂質の別の例は、((5-((ジメチルアミノ)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ))ビス(オクタン-8,1-ジイル)ビス(デカノアート)とも呼ばれる、((5-((ジメチルアミノ)メチル)-1,3-フェニレン)ビス(オキシ))ビス(オクタン-8,1-ジイル)ビス(デカノアート)である脂質Bである。好適な脂質の別の例は、2-((4-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)ヘキサデカノイル)オキシ)プロパン-1,3-ジイル(9Z,9’Z,12Z,12’Z)-ビス(オクタデカ-9,12-ジエノアート)である脂質Cである。好適な脂質の別の例は、3-(((3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)-13-(オクタノイルオキシ)トリデシル3-オクチルウンデカノアートである脂質Dである。他の好適な脂質には、ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル4-(ジメチルアミノ)ブタノエート([(6Z,9Z,28Z,31Z-ヘプタトリアコンタ-6,9,28,31-テトラエン-19-イル]4-(ジメチルアミノ)ブタノエート又はDlin-MC3-DMA(MC3))としても知られる)が含まれる。
【0429】
本明細書に記載のLNPでの使用に好適ないくつかのそのような脂質は、インビボで生分解性である。例えば、そのような脂質を含むLNPには、脂質の少なくとも75%が、8、10、12、24、若しくは48時間以内、又は3、4、5、6、7、若しくは10日以内に血漿から除去されるものが含まれる。別の例として、LNPの少なくとも50%が、8、10、12、24、若しくは48時間以内、又は3、4、5、6、7、若しくは10日以内に血漿から除去される。
【0430】
このような脂質は、それらが含まれる培地のpHに応じてイオン化可能であり得る。例えば、わずかに酸性の培地では、脂質は、プロトン化され、したがって正電荷を帯びることができる。逆に、例えば、pHが約7.35である血液などのわずかに塩基性の媒体では、脂質はプロトン化されない可能性があり、したがって電荷を帯びない可能性がある。いくつかの実施形態では、脂質は、少なくとも約9、9.5、又は10のpHでプロトン化され得る。そのような脂質が電荷を帯びる能力は、その固有のpKaに関連している。例えば、脂質は、独立して、約5.8~約6.2の範囲のpKaを有し得る。
【0431】
中性脂質は、LNPを安定化し、そのプロセシングを改善するよう機能する。好適な中性脂質の例には、様々な中性、非荷電、又は双性イオン性脂質が含まれる。本開示における使用に好適な中性リン脂質の例は、5-ヘプタデシルベンゼン-1,3-ジオール(レゾルシノール)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステロイルホスファチジルコリン、又は1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、ホスホコリン(DOPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ホスファチジルコリン(PLPC)、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DAPC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、卵ホスファチジルコリン(EPC)、ジラウリロイルホスファチジルコリン(DLPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、1-ミリストイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(MPPC)、1-パルミトイル-2-ミリストイルホスファチジルコリン(PMPC)、1-パルミトイル-2-ステアロイルホスファチジルコリン(PSPC)、1,2-ジアラキドイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DBPC)、1-ステアロイル-2-パルミトイルホスファチジルコリン(SPPC)、1,2-ジエイコセノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DEPC)、パルミトイルオレオイルホスファチジルコリン(POPC)、リソホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジリノレオイルホスファチジルコリンジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、パルミトイルロレオイルホスファチジルエタノールアミン(POPE)、イソホスファチジルエタノールアミン、1-ステアロイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(SOPC)、及びこれらの組み合わせを含むが、これらには限定されない。例えば、中性リン脂質は、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、及びジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)からなる群から選択され得る。
【0432】
ヘルパー脂質には、トランスフェクションを増強する脂質が含まれる。ヘルパー脂質がトランスフェクションを増強するメカニズムは、粒子安定性を増強することを含み得る。場合によっては、ヘルパー脂質は、膜の融合性を増強することができる。ヘルパー脂質は、ステロイド、ステロール、及びアルキルレゾルシノールを含む。好適な好適なヘルパー脂質の例には、コレステロール、5-ヘプタデシルレゾルシノール、及びヘミコハク酸コレステロールが含まれる。一例において、ヘルパー脂質は、コレステロール又はヘミコハク酸コレステロールであり得る。
【0433】
ステルス脂質は、ナノ粒子がインビボで存在することができる時間の長さを変える脂質を含む。ステルス脂質は、例えば、粒子凝集を低減し、粒子サイズを制御することによって、製剤化プロセスにおいて支援し得る。ステルス脂質は、LNPの薬物動態特性を調節し得る。好適なステルス脂質には、脂質部分に連結された親水性頭部基を有する脂質が含まれる。
【0434】
ステルス脂質の親水性頭部基は、例えば、PEG(時折、ポリ(エチレンオキシド)と称される)、ポリ(オキサゾリン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(グリセロール)、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリアミノ酸、及びポリN-(2-ヒドロキシプロピル)メタクリルアミドに基づくポリマーから選択されるポリマー部分を含み得る。PEGという用語は、ポリエチレングリコール又は他のポリアルキレンエーテルポリマーを意味する。特定のLNP製剤において、PEGはPEG2000とも呼ばれるPEG-2Kであり、平均分子量は約2,000ダルトンである。例えば、国際公開第2017/173054号を参照されたく、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0435】
ステルス脂質の脂質部分は、例えば、独立して約C4~約C40の飽和又は不飽和の炭素原子を含むアルキル鎖長を有するジアルキルグリセロール又はジアルキルグリカミド基を含むものを含むジアシルグリセロール又はジアシルグリカミドから由来し得、ここで鎖は1つ以上の、例えば、アミド又はエステルなどの官能基を含み得る。ジアルキルグリセロール又はジアルキルグリカミド基は、1つ以上の置換アルキル基を更に含み得る。
【0436】
一例として、ステルス脂質は、PEG-ジラウロイルグリセロール、PEG-ジミリストイルグリセロール(PEG-DMG)、PEG-ジパルミトイルグリセロール、PEG-ジステアロイルグリセロール(PEG-DSPE)、PEG-ジラウリルグリカミド、PEG-ジミリスチルグリカミド、PEG-ジパルミトイルグリカミド、及びPEG-ジステアロイルグリカミド、PEG-コレステロール(l-[8’-(コレスト-5-エン-3[ベータ]-オキシ)カルボキシアミド-3’,6’-ジオキサオクタニル]カルバモイル-[オメガ]-メチル-ポリ(エチレングリコール)、PEG-DMB(3,4-ジテトラデコキシルベンジル-[オメガ]-メチル-ポリ(エチレングリコール)エーテル)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG2k-DMPE)、又は1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メチルポリオキシエチレングリコール-2000(PEG2k-DMG)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG2k-DSPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG2k-DSG)、ポリ(エチレングリコール)-2000-ジメタクリレート(PEG2k-DMA))、及び1,2-ジステアリルオキシプロピル-3-アミン-N-[メトキシ(ポリエチレングリコール)-2000](PEG2k-DSA)から選択され得る。1つの特定の例において、ステルス脂質は、PEG2k-DMGであり得る。
【0437】
いくつかの実施形態では、PEG脂質はグリセロール基を含む。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、ジミリストイルグリセロール(DMG)基を含む。いくつかの実施形態では、PEG脂質はPEG2kを含む。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、PEG-DMGである。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、PEG2k-DMGである。いくつかの実施形態では、PEG脂質は、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000である。いくつかの実施形態では、PEG2k-DMGは、1,2-ジミリストイル-rac-グリセロ-3-メトキシポリエチレングリコール-2000である。
【0438】
LNPは、製剤中の成分脂質の異なるそれぞれのモル比を含むことができる。CCD脂質のモル%は、例えば、約30モル%~約60モル%、約35モル%~約55モル%、約40モル%~約50モル%、約42モル%~約47モル%、又は約45%であり得る。ヘルパー脂質のモル%は、例えば、約30モル%~約60モル%、約35モル%~約55モル%、約40モル%~約50モル%、約41モル%~約46モル%、又は約44モル%であり得る。中性脂質のモル%は、例えば、約1モル%~約20モル%、約5モル%~約15モル%、約7モル%~約12モル%、又は約9モル%であり得る。ステルス脂質のモル%は、例えば、約1モル%~約10モル%、約1モル%~約5モル%、約1モル%~約3モル%、約2モル%、又は約1モル%であり得る。
【0439】
LNPは、生分解性脂質(N)の正に帯電したアミン基と、カプセル化される核酸の負に帯電したリン酸基(P)との間で異なる比を有することができる。これは、式N/Pによって数学的に表すことができる。例えば、N/P比は、約0.5~約100、約1~約50、約1~約25、約1~約10、約1~約7、約3~約5、約4~約5、約4、約4.5、又は約5であり得る。N/P比はまた、約4~約7又は約4.5~約6であり得る。特定の例において、N/P比は、4.5又は6であり得る。
【0440】
一部のLNPでは、カーゴは、Cas mRNA(例えば、Cas9 mRNA)及びgRNAを含むことができる。Cas mRNA及びgRNAは、異なる比であり得る。例えば、LNP製剤は、約25:1~約1:25の範囲、約10:1~約1:10の範囲、約5:1~約1:5の範囲、又は約1:1のCas mRNAとgRNAとの比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:1~約1:5、又は約10:1のCas mRNAとgRNA核酸との比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:10、25:1、10:1、5:1、3:1、1:1、1:3、1:5、1:10、又は1:25のCas mRNAとgRNA核酸との比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:1~約1:2の、Cas mRNAとgRNA核酸との比を含み得る。特定の例において、Cas mRNAとgRNAとの比は、約1:1又は約1:2であり得る。
【0441】
LNPの例示的な投薬には、総RNA(Cas9 mRNA及びgRNA)カーゴ含有量に対して約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約8、若しくは約10mg/kg体重(mpk)、又は、約0.1~約10、約0.25~約10、約0.3~約10、約0.5~約10、約1~約10、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約8~約10、約0.1~約8、約0.1~約6、約0.1~約5、約0.1~約4、約0.1~約3、約0.1~約2、約0.1~約1、約0.1~約0.5、約0.1~約0.3、約0.1~約0.25、約0.25~約8、約0.3~約6、約0.5~約5、約1~約5、若しくは約2~約3mg/kgの体重が含まれる。そのようなLNPは、例えば、静脈内に投与することができる。一例では、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1~約10mg/kg、又は約0.01~約0.3mg/kgのLNP用量を使用することができる。例えば、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約1、約3、又は約10mg/kgのLNP用量を使用することができる。LNPの追加の例示的な投薬には、総RNA(Cas9 mRNA及びgRNA)カーゴ含有量に対して約0.1、約0.25、約0.3、約0.5、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約8又は約10mg/kg(mpk)体重、又は約0.1~約10、約0.25~約10、約0.3~約10、約0.5~約10、約1~約10、約2~約10、約3~約10、約4~約10、約5~約10、約6~約10、約8~約10、約0.1~約8、約0.1~約6、約0.1~約5、約0.1~約4、約0.1~約3、約0.1~約2、約0.1~約1、約0.1~約0.5、約0.1~約0.3、約0.1~約0.25、約0.25~約8、約0.3~約6、約0.5~約5、約1~約5、若しくは約2~約3mg/kgの体重が含まれる。そのようなLNPは、例えば、静脈内に投与することができる。一例では、約0.01mg/kg~約10mg/kg、約0.1~約10mg/kg、又は約0.01~約0.3mg/kgのLNP用量を使用することができる。例えば、約0.01、約0.03、約0.1、約0.3、約0.5、約1、約2、約3、又は約10mg/kgのLNP用量を使用することができる。別の例では、約0.5~約10、約0.5~約5、約0.5~約3、約1~約10、約1~約5、約1~約3、又は約1~約2mg/kgのLNP用量を使用することができる。
【0442】
一部のLNPでは、カーゴは外因性ドナー核酸及びgRNAを含むことができる。外因性ドナー核酸及びgRNAは、異なる比にすることができる。例えば、LNP製剤は、約25:1~約1:25の範囲、約10:1~約1:10の範囲、約5:1~約1:5、又は約1:1の外因性ドナー核酸とgRNAとの比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:1~約1:5、約5:1~約1:1、約10:1、又は約1:10の外因性ドナー核酸とgRNAとの比を含み得る。代替的に、LNP製剤は、約1:10、25:1、10:1、5:1、3:1、1:1、1:1:3、1:5、1:10、又は1:25の外因性ドナー核酸とgRNA核酸との比を含み得る。
【0443】
好適なLNPの特定の例は、4.5の窒素対リン酸塩(N/P)比を有し、45:44:9:2のモル比で生分解性カチオン性脂質、コレステロール、DSPC、及びPEG2k-DMGを含む。生分解性カチオン性脂質は、3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノアートとも呼ばれる、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノアートであり得る。例えば、Finn et al.(2018)Cell Rep.22(9):2227-2235を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量比で1:1にすることができる。好適なLNPの別の具体的な例には、Dlin-MC3-DMA(MC3)、コレステロール、DSPC、及びPEG-DMGが50:38.5:10:1.5のモル比で含まれている。
【0444】
好適なLNPの別の特定の例は、6の窒素対リン酸塩(N/P)比を有し、50:38:9:3のモル比で生分解性カチオン性脂質、コレステロール、DSPC、及びPEG2k-DMGを含む。生分解性カチオン性脂質は、3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノアートとも呼ばれる、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノアートであり得る。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量比で1:2にすることができる。
【0445】
好適なLNPの別の特定の例は、3の窒素対リン酸塩(N/P)比を有し、50:10:38.5:1.5の比又は47:10:42:1の比でカチオン性脂質、構造脂質、コレステロール(例えば、コレステロール(ヒツジ)(Avanti 700000))、及びPEG2k-DMG(例えば、PEG-DMG 2000(NOF America-SUNBRIGHT(登録商標)GM-020(DMG-PEG))を含む。構造脂質は、例えば、DSPC(例えば、DSPC(Avanti 850365))、SOPC、DOPC、又はDOPEであり得る。カチオン性/イオン化可能脂質は、例えば、Dlin-MC3-DMA(例えば、Dlin-MC3-DMA(Biofine International))であり得る。
【0446】
好適なLNPの別の特定の例には、45:9:44:2の比でのDlin-MC3-DMA、DSPC、コレステロール、及びPEG脂質が含まれる。好適なLNPの別の特定の例には、50:10:39:1の比でのDlin-MC3-DMA、DOPE、コレステロール、及びPEG脂質又はPEG DMGが含まれる。好適なLNPの別の特定の例は、55:10:32.5:2.5の比でのDlin-MC3-DMA、DSPC、コレステロール、及びPEG2k-DMGを有する。好適なLNPの別の特定の例は、50:10:38.5:1.5の比でのDlin-MC3-DMA、DSPC、コレステロール、及びPEG-DMGを有する。好適なLNPの別の特定の例は、50:10:38.5:1.5の比でのDlin-MC3-DMA、DSPC、コレステロール、及びPEG-DMGを有する。
【0447】
適切なLNPの他の例は、例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2019/067992号に見出すことができる。
【0448】
免疫原性を低下させるために、送達様式を選択することができる。例えば、Casタンパク質及びgRNAは、異なる様式(例えば、バイモーダル(bi-modal)送達)によって送達され得る。これらの異なる様式は、対象の送達された分子(例えば、Cas又は核酸をコードする、gRNA又は核酸をコードする、又は外因性ドナー核酸/修復テンプレート)に異なる薬力学又は薬物動態特性を与える可能性がある。例えば、異なる様式は、異なる組織分布、異なる半減期、又は異なる時間的分布をもたらす可能性がある。いくつかの送達様式(例えば、自律複製又はゲノム組み込みによって細胞内で持続する核酸ベクターの送達)は、分子のより持続的な発現及び存在をもたらすが、他の送達様式は、一過性で持続性が低い(例えば、RNA又はタンパク質の送達)。例えばmRNA又はタンパク質としてのより一時的な方法でのCasタンパク質の送達は、Cas/gRNA複合体が短期間のみ存在し、活性であることを保証し、MHC分子によって細胞の表面に表示される細菌由来のCas酵素からのペプチドによって引き起こされる免疫原性を低下させることができる。このような一時的な送達は、オフターゲット修飾の可能性を低減することもできる。
【0449】
インビボでの投与は、例えば、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、又は筋肉内を含む任意の好適な経路によることができる。全身投与様式には、例えば、経口及び非経口経路が含まれる。非経口経路の例には、静脈内、動脈内、骨内、筋肉内、皮内、皮下、鼻腔内、及び腹腔内経路が含まれる。特定の例は、静脈内注入である。鼻腔内注入及び硝子体内注射は、他の特定の例である。局所投与様式には、例えば、髄腔内、脳室内、実質内(例えば、線条体(例えば、尾状核又は被殻へ)、大脳皮質、前中心回旋、海馬(例えば、歯状回又はCA3領域)、側頭皮質、扁桃体、前頭皮質、視床、小脳、髄質、視床、視蓋、被殻、又はニグラ実質への局所的な実質内送達)、眼内、眼窩内、結膜下、硝子体内、網膜下、及び強膜を介した経路が含まれる。(全身的アプローチと比較して)有意に少量の成分は、全身的に投与された場合(例えば、静脈内)と比較して、局所的に投与された場合(例えば、実質内又は硝子体内)に効果を発揮し得る。局所投与様式はまた、治療有効量の成分が全身投与されるときに起こり得る潜在的に毒性の副作用の発生率を低減又は排除し得る。具体的な例において、インビボでの投与は静脈内投与である。投与経路としては、例えば、非経口、非経口以外、経口、直腸、経粘膜、腸、非経口、筋肉内、皮下、皮内、髄内、髄腔内、直接脳室内、静脈内、腹腔内、鼻腔内、眼内、吸入、吹送、局所、皮膚、眼内、硝子体内、経皮又は動脈内が挙げられ得る。
【0450】
インビボでの投与は、例えば、非経口、静脈内、経口、皮下、動脈内、頭蓋内、髄腔内、腹腔内、局所、鼻腔内、又は筋肉内を含む任意の好適な経路によることができる。特定の例は、静脈内注入である。ガイドRNA及び/又はCasタンパク質(又はガイドRNA及び/又はCasタンパク質をコードする核酸)を含む組成物は、1つ以上の生理学的及び薬学的に許容される担体、希釈剤、賦形剤又は助剤を使用して処方することができる。製剤は、選択した投与経路に依存し得る。「薬学的に許容される」は、担体、希釈剤、賦形剤、又は補助剤が製剤の他の成分と適合性であり、そのレシピエントに実質的に有害ではないことを意味する。具体例では、投与経路及び/又は製剤、又は肝臓(例えば、肝細胞)への送達のために選択される。
【0451】
投与の頻度及び投与回数は、他の要因の中でもとりわけ、外因性ドナー核酸又はガイドRNA、又はCasタンパク質(又はガイドRNA若しくはCasタンパク質をコードする核酸)の半減期及び投与経路に依存し得る。細胞又は動物への核酸又はタンパク質の導入は、ある期間にわたって1回又は複数回実施することができる。例えば、導入は、ある期間にわたって一度だけ、ある期間にわたって少なくとも2回、ある期間にわたって少なくとも3回、ある期間にわたって少なくとも4回、ある期間にわたって少なくとも5回、ある期間にわたって少なくとも6回、ある期間にわたって少なくとも7回、ある期間にわたって少なくとも8回、ある期間にわたって少なくとも9回、ある期間にわたって少なくとも10回、ある期間にわたって少なくとも11回、ある期間にわたって少なくとも12回、ある期間にわたって少なくとも13回、ある期間にわたって少なくとも14回、ある期間にわたって少なくとも15回、ある期間にわたって少なくとも16回、ある期間にわたって少なくとも17回、ある期間にわたって少なくとも18回、ある期間にわたって少なくとも19回、又はある期間にわたって少なくとも20回、実施することができる。
【0452】
いくつかの方法では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムの単回用量を(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせて、又はそれと会合させることのいずれかで)それを必要とする対象に投与することができる。他の方法では、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムの複数回用量を(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせて、若しくはそれと会合させることのいずれかで)定義された時間経過にわたって対象に投与することができる。そのような方法は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書中に開示のCRISPR/Casシステムの複数回用量を(単独で、又は本明細書中に開示のC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせて、又は会合させることのいずれかで)対象に投与することを含み得る。逐次投与とは、CRISPR/Casシステムの各用量が、異なる時点、例えば、所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間、又は数ヶ月)で隔てられた異なる日に対象に投与されることを意味する。いくつかの方法は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書中に開示のCRISPR/Casシステムの単回初回用量を(単独で、又は本明細書中に開示のC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)患者に逐次投与し、続いてCRISPR/Casシステムの1回又は複数回の二次用量を(単独で、又は本明細書中に開示のC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)投与し、任意選択的にCRISPR/Casシステムの1回又は複数回の三次用量を(単独で、又は本明細書中に開示のC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)投与することを含む。
【0453】
初回用量、二次用量及び三次用量は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムの投与の時間的順序を指す。したがって、初回用量は治療レジメンの開始時に投与される用量(ベースライン用量とも呼ばれる)であり、二次用量は初回用量の後に投与される用量であり、三次用量は二次用量の後に投与される用量である。初回用量、二次用量及び三次用量は全て、同じ量のCRISPR/Casシステムを含有し得るが、一般に、投与頻度に関して互いに異なり得る。しかしながら、いくつかの方法では、初回、二次及び/又は三次用量に含まれるCRISPR/Casシステムの量は、治療の経過中に互いに異なる(例えば、必要に応じて上下に調整)。いくつかの方法において、2つ又はそれを超える(例えば、2、3、4、又は5)用量が、負荷用量として治療レジメンの開始時に投与され、続いて、より低い頻度で投与されるその後の用量(例えば、維持用量)が投与される。
【0454】
そのような方法は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするための本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムの任意の数の二次及び/又は三次用量を(単独で、又は本明細書に開示されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体などの他の治療剤と組み合わせてのいずれかで)患者に投与することを含み得る。一例では、単一の二次用量のみが患者に投与される。別の例では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれを超える)の二次用量が患者に投与される。同様に、別の例では、単一の三次用量のみが患者に投与される。他の例では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれを超える)の三次用量が患者に投与される。
【0455】
二次及び/又は三次用量が患者に投与される頻度は、治療レジメンの経過にわたって変化し得る。投与の頻度はまた、臨床検査後の個々の患者の必要性に応じて、医師によって治療の経過中に調整され得る。
【0456】
本明細書中に記載されるC5抗原結合タンパク質若しくは抗体又はその抗原結合性断片を含む治療用組成物は、改善された移入、送達、耐性などを提供するために製剤に組み込まれる好適な担体、賦形剤及び他の薬剤とともに投与され得る。多数の適切な製剤は、全ての薬剤師に知られている処方集:Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,Pa.に見出すことができる。これらの製剤には、例えば、粉末、ペースト、軟膏、ゼリー、ワックス、油、脂質、脂質(カチオン性又はアニオン性)含有小胞(LIPOFECTIN(商標)など)、DNAコンジュゲート、無水吸収ペースト、水中油型及び油中水型エマルジョン、エマルジョンカルボワックス(様々な分子量のポリエチレングリコール)、半固体ゲル、及びカルボワックスを含有する半固体混合物が含まれる。またPowell et al.「Compendium of excipients for parenteral formulations」PDA(1998)J Pharm Sci Technol 52:238-311を参照されたい。
【0457】
抗原結合タンパク質又は抗体の用量は、投与される対象の年齢及びサイズ、標的疾患、状態、投与経路などに応じて変動し得る。本明細書に開示される抗原結合タンパク質又は抗体が、成人患者の疾患又は障害を治療するため、又はそのような疾患を予防するために使用される場合、抗原結合タンパク質又は抗体を通常約0.1~約100mg/kg体重、より好ましくは約5~約80、約10~約70、又は約20~約50mg/kg体重の用量(例えば、単回用量)で投与することが有利であり得る。いくつかの実施形態では、抗原結合タンパク質又は抗体は、約1、約3、約10、約15、又は約30mg/kgの用量(例えば、静脈内用量)で投与することができる。状態の重症度に応じて、治療の頻度及び期間を調整することができる。一定の実施形態では、抗原結合タンパク質若しくは抗体又はその抗原結合性断片を、少なくとも約0.1mg~約800mg、約1~約600mg、約5~約500mg又は約10~約400mgの初回用量として投与することができる。特定の実施形態では、初回用量の後に、抗原結合タンパク質若しくは抗体又はその抗原結合性断片の2回目又は複数の後続の用量を、初回用量とほぼ同じ又はそれ未満であり得る量で投与することができ、後続の用量は少なくとも1日~3日、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも12週間、又は少なくとも14週間離れている。
【0458】
様々な送達系が公知であり、医薬組成物を投与するために使用することができ、例えば、リポソーム、微粒子、マイクロカプセル、変異型ウイルスを発現することができる組換え細胞、受容体媒介性エンドサイトーシスである(例えば、Wu et al.(1987)J.Biol.Chem.262:4429-4432を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる)。導入方法には、皮内、経皮、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外及び経口経路が含まれるが、これらに限定されない。組成物は、任意の好都合な経路によって、例えば注入又はボーラス注射によって、上皮又は皮膚粘膜ライニング(例えば、口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を介した吸収によって投与され得、他の生物学的に活性な薬剤と一緒に投与され得る。投与は全身的又は局所的であり得る。医薬組成物は、小胞、特にリポソーム中に送達することもできる(例えば、あらゆる目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれるLanger(1990)Science 249:1527-1533を参照されたい)。
【0459】
抗原結合タンパク質又は抗体を送達するためのナノ粒子の使用も本明細書で企図される。抗体コンジュゲート化ナノ粒子は、治療用途及び診断用途の両方に使用され得る。抗体コンジュゲートナノ粒子並びに調製及び使用の方法は、Arruebo et al.(2009)(「Antibody-conjugated nanoparticles for biomedical applications」in J.Nanomat.Volume 2009,Article ID 439389,24 pages,doi:10.1155/2009/439389)によって詳細に記載されており、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。ナノ粒子を開発し、医薬組成物に含まれる抗体に結合させて細胞を標的化することができる。薬物送達のためのナノ粒子はまた、例えば、米国特許第8,257,740号明細書、又は米国特許第8,246,995に記載されており、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0460】
特定の状況では、医薬組成物は、制御放出系で送達され得る。一実施形態では、ポンプを使用することができる。別の実施形態では、ポリマー材料を使用することができる。更に別の実施形態では、制御放出システムを組成物の標的の近くに配置することができ、したがって、全身用量の一部のみを必要とする。
【0461】
注射剤には、静脈内、皮下、皮内、頭蓋内、腹腔内及び筋肉内注射、点滴などのための剤形が含まれ得る。これらの注射剤は、公知の方法によって調製され得る。例えば、注射用調製物は、例えば、注射に従来使用されている滅菌水性媒体又は油性媒体に上記の抗体又はその塩を溶解、懸濁又は乳化することによって調製され得る。注射用水性媒体としては、例えば、生理食塩水、アルコール(例えば、エタノール)、多価アルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン性界面活性剤[例えば、ポリソルベート80、HCO-50(硬化ヒマシ油のポリオキシエチレン(50mol)付加物)]等の適当な可溶化剤と組み合わせて使用してもよいグルコースやその他の助剤を含む等張液等が挙げられる。油性媒体としては、例えば、安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の可溶化剤と組み合わせて使用してもよいゴマ油、大豆油等が挙げられる。このようにして調製された注射剤は、適当なアンプルに充填されることが好ましい。
【0462】
抗原結合タンパク質又は抗体を含む医薬組成物は、標準的な針及び注射器を用いて皮下又は静脈内に送達することができる。更に、皮下送達に関して、ペン送達装置は、本明細書に開示される医薬組成物を送達する際の用途を容易に有する。そのようなペン送達装置は、再使用可能又は使い捨て可能であり得る。再使用可能なペン送達装置は、一般に、医薬組成物を含む交換可能なカートリッジを利用する。カートリッジ内の全ての医薬組成物が投与され、カートリッジが空になると、空のカートリッジを容易に廃棄し、医薬組成物を含む新しいカートリッジと交換することができる。次いで、ペン送達装置を再使用することができる。使い捨てのペン送達装置では、交換可能なカートリッジは存在しない。むしろ、使い捨てペン送達装置は、装置内のリザーバに保持された医薬組成物で予め充填される。リザーバから医薬組成物が空になると、装置全体が廃棄される。
【0463】
多数の再使用可能なペン及び自己注射器送達装置は、本明細書に開示される医薬組成物の皮下送達に用途を有する。例としては、ほんの数例を挙げると、AUTOPEN(商標)(Owen Mumford、Inc.、Woodstock、UK)、DISETRONIC(商標)ペン(Disetronic Medical Systems、Burghdorf、Switzerland)、HUMALOG MIX 75/25(商標)ペン、HUMALOG(商標)ペン、HUMALIN 70/30(商標)ペン(Eli Lilly及びCo.、Indianapolis、Ind.)、NOVOPEN(商標)I、II及びIII(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、NOVOPEN JUNIOR(商標)(Novo Nordisk、Copenhagen、Denmark)、BD(商標)ペン(Becton Dickinson、Franklin Lakes、N.J.)、OPTIPEN(商標)、OPTIPEN PRO(商標)、OPTIPEN STARLET(商標)、及びOPTICLIK(商標)(Sanofi-Aventis、Frankfurt、Germany)が挙げられるが、確かにこれらに限定されない。医薬組成物の皮下送達における用途を有する使い捨てペン送達デバイスの例は、確かに限定されないが、ほんの数例を挙げると、SOLOSTAR(商標)ペン(Sanofi-Aventis)、FLEXPEN(商標)(Novo Nordisk)、及びKWIKPEN(商標)(Eli Lilly)、SURECLICK(商標)Autoinjector(Amgen,Thousand Oaks,Calif.)、PENLET(商標)(Haselmeier,Stuttgart,Germany)、EPIPEN(Dey,L.P.)、及びHUMIRA(商標)ペン(Abbott Labs、Abbott Park、IL)である。
【0464】
上記の経口又は非経口使用のための医薬組成物は、活性成分の用量に適合する単位用量の剤形に調製することができる。単位用量におけるそのような剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが挙げられる。含有される抗原結合タンパク質又は抗体の量は、一般に、単位用量における剤形当たり約5~約500mgである。特に注射の形態では、抗原結合タンパク質又は抗体が、他の剤形については約5~約300mg及び約10~約300mgで含まれることが好ましい。
【0465】
いくつかの実施形態では、単回用量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体(すなわち、抗C5抗原結合タンパク質又は抗体)(又はC5抗原結合タンパク質又はC5抗体と本明細書に記載の追加の治療活性剤のいずれかとの組み合わせを含む医薬組成物)を、それを必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、単回用量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体(すなわち、抗C5抗原結合タンパク質又は抗体)(又はC5抗原結合タンパク質又はC5抗体と本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムとの組み合わせを含む医薬組成物)を、それを必要とする対象に投与することができる。いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質又はC5抗体(又はC5抗原結合タンパク質又はC5抗体と本明細書に記載の追加の治療活性剤のいずれかとの組み合わせを含む医薬組成物)の複数回用量を、定義された時間経過にわたって対象に投与することができる。いくつかの方法は、C5抗原結合タンパク質又はC5抗体を対象に複数回投与することを含む。いくつかの方法は、最初の用量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体を本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせて投与し、次いで、更なる用量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体(例えば、単独で、又はCRISPR/Casシステムと組み合わせて)を逐次投与することを含む。本明細書で使用される場合、「逐次投与する」とは、各用量が異なる時点、例えば所定の間隔(例えば、数時間、数日、数週間又は数ヶ月)で隔てられた異なる日に対象に投与されることを意味する。
【0466】
いくつかの実施形態は、単回初回用量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体(例えば、静脈内)を患者に逐次投与し、続いて1回又は複数回の二次用量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体(例えば、皮下)を投与し、任意選択的に1回又は複数回の三次用量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体(例えば、皮下)を投与することを含む方法を含む。いくつかの実施形態では、初回用量は、本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせており、二次及び三次用量は、本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせていなくてもよい。いくつかの実施形態では、CRISPR/Casシステム及びC5抗原結合タンパク質は別々の製剤中にあり、共製剤ではない。いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質の初回用量は、その後の二次及び/又は三次用量よりも高い。いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質の初回用量は、その後の二次及び/又は三次用量と同じである。いくつかの実施形態では、CRISPR/Cas媒介性C5ノックダウンの定常状態効果が達成されるまで、C5抗原結合タンパク質又はより高頻度及び/又はより高頻度の用量が使用され、その後、より低用量及び/又はより低頻度の用量のC5抗原結合タンパク質が使用される。例えば、CRISPR/Cas介在性C5ノックダウンの定常状態での効果は、CRISPR/Casシステムの投与後約2週間~約6週間、約3週間~約5週間、又は約1ヶ月で達成され得る。
【0467】
「初回用量」、「二次用量」及び「三次用量」という用語は、C5抗原結合タンパク質又はC5抗体の投与の時間的順序を指す。したがって、「初回用量」は治療レジメンの開始時に投与される用量(「ベースライン用量」とも呼ばれる)であり、「二次用量」は「初回用量」の後に投与される用量であり、「三次用量」は二次用量の後に投与される用量である。初回、二次及び三次用量は全て、同じ量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体を含有し得るが、一般に、投与頻度に関して互いに異なり得る。しかし、特定の実施形態では、初回、二次及び/又は三次用量に含まれるC5抗原結合タンパク質又はC5抗体の量は、治療の過程で互いに異なる(例えば、必要に応じて上下に調整)。ある特定の実施形態では、2つ又はそれを超える(例えば、2、3、4、又は5)用量が、治療レジメンの開始時に「負荷用量」として投与され、続いて、より低い頻度で投与されるその後の用量(例えば、「維持用量」)が投与される。
【0468】
いくつかの実施形態では、各二次及び/又は三次用量は、直前の用量の1~48時間後(例えば、1、1%、2、2%、3、3%、4、4%、5、5%、6、6%、7、7%、8、8%、9、9%、10、10%、11、11%、12、12%、13、13%、14、14%、15、15%、16、16%、17、17%、18、18%、19、19%、20、20%、21、21%、22、22%、23、23%、24、24%、25、25%、26、26%以上)に投与される。本明細書で使用される「直前の用量」という語句は、複数回投与のシーケンスにおいて、介在する用量なしでシーケンス内のまさに次の用量の投与の前に患者に投与されるC5抗原結合タンパク質又はC5抗体の用量を意味する。
【0469】
この方法は、任意の数の二次及び/又は三次用量のC5抗原結合タンパク質又はC5抗体を患者に投与することを含み得る。例えば、特定の実施形態では、単一の二次用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれを超える)の二次用量が患者に投与される。同様に、特定の実施形態では、単一の三次用量のみが患者に投与される。他の実施形態では、2つ以上(例えば、2、3、4、5、6、7、8、又はそれを超える)の三次用量が患者に投与される。
【0470】
いくつかの実施形態では、二次及び/又は三次用量が患者に投与される頻度は、治療レジメンの経過にわたって変化し得る。投与の頻度はまた、臨床検査後の個々の患者の必要性に応じて、医師によって治療の経過中に調整され得る。
【0471】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質(例えば、REGN3918)は、以下のように対象に投与される。(i)約30mg/kg(体重(BW))の抗原結合タンパク質の1以上の用量(例えば、1回の用量)を静脈内(IV)に投与(例えば、本明細書中に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせて);次いで(ii)1つ以上の用量(例えば2以上)の約800mgの抗原結合タンパク質(例えば、皮下(SC))(これは、本明細書では、30+800投与レジメンと呼ばれることがある)、又は以下:体重(BW)<10kgの場合:約125mg;BW≧10kg及び<20kgの場合:約200mg;BW≧20kg及び<40kgの場合:約350mg;BW≧40kg及び<60kgの場合:約500mg;BW≧60kgの場合:約800mgのように体重に従って1つ以上のSC用量のいずれかの投与。そのようなSC用量(複数可)は、初回IV用量(複数可)の後に毎週与えられ得る。毎週の用量は、例えば、治療効果又は望ましくない結果(例えば、血清アルブミンの喪失、又は血清LDHレベルの上昇)の防止が望まれる限り、無期限に継続することができる。例えば、それぞれが全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2021/081277号又は米国特許出願公開第2021-0139573号明細書を参照されたい。
【0472】
いくつかの実施形態では、約30mg/kg(体重(BW))のC5抗原結合タンパク質(例えば、REGN3918)又はその薬学的製剤の静脈内(IV)(例えば、本明細書中に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせて)への1回又は複数回の用量(例えば、1つ以上)。30mg/kgの静脈内用量は、持続的な最大CH50阻害に必要な抗原結合タンパク質(例えば、抗体)の定常状態のトラフ濃度を迅速に達成するのを助けることが実証されており、したがって、これは対象において治療効果をもたらすであろう。抗原結合タンパク質の任意の更なる皮下用量が、例えば、毎週、例えば、IV用量の後に対象に与えられ得る。
【0473】
いくつかの実施形態では、対象(例えば、PNHに罹患している人)に、(i)約30mg/kgのC5抗原結合タンパク質を最初に(1日目)静脈内(IV)に(例えば、本明細書に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせて);次いで、(ii)約800mgの抗原結合タンパク質(例えば、皮下(SC))を週1回(例えば、±1、±2又は±3日目)、例えば、約8日目(例えば±1、±2又は±3日間)、15日間(例えば±1、±2又は±3日)、22日(例えば±1、±2又は±3日)など、及び毎週(±1、±2又は±3日後)投与する。
【0474】
いくつかの実施形態では、対象には、治療有効用量のC5抗原結合タンパク質又は抗体(例えば、30mg/kg静脈内)(例えば、本明細書中に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせて)が投与される。いくつかの実施形態では、対象(例えば、CHAPLE)に、(i)約30mg/kgの抗原結合タンパク質を静脈内(IV)(1日目に);次いで(ii)約8日目(例えば、8日目、8日目1日目、8日目2日目又は8日目3日目)に開始して、1回又は複数回の用量を皮下(SC)投与し、その後、以下のように体重(BW)に応じた用量で週1回ベースで継続する:体重(BW)<10kg:約125mg;BW≧10kg及び<20kg:約200mg;BW≧20kg及び<40kg:約350mg;BW≧40kg及び<60kg:約500mg;及びBW≧60kg:約800mg。
【0475】
1週間に1回の投薬又は毎週の投薬又はQW投薬は、それぞれが直前の投薬の約7(例えば、1、2又は3)日後に行われる1回又は複数回の用量を投与することを指す。
【0476】
いくつかの実施形態では、IV用量及び第1のSC用量は同じ日に与えられる。
【0477】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質又は抗体は、皮下(SC)投与される場合、7ml未満の体積、約0.625mL、約1mL、約1.75mL、約2.5mL、約4mL、約0.5~4.0mL又は約0.625~4.0mLで送達される。いくつかの実施形態では、各SC用量は単回注射で送達される。いくつかの実施形態では、SC注射は約60秒以下で送達される。
【0478】
いくつかの実施形態では、対象(例えば、C5関連疾患に罹患している)は、以下のように1つ以上の用量のC5抗原結合タンパク質又は抗体を投与される。1mg/kg IV;3mg/kg IV;300mg SC;800mg SC;10mg/kg IV;600mg SC;若しくは30mg/kg IV;又は15mg/kg IVの負荷用量、続いて週1回投与される400mgの1回若しくは複数回のSC用量。
【0479】
ヒト対象における約100mg/リットルのC5抗原結合タンパク質又は抗体(例えば、REGN3918)の血清濃度は、C5活性(例えば、代替、古典的及びレクチン経路)を最大限に抑制する(例えば、AH50及び/又はCH50アッセイによって測定した場合)。したがって、対象において補体活性又はC5活性(例えば、副経路(AP))(例えば、C5活性をその最大レベル付近まで抑制すること(例えば、少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%);例えば、AH50及び/又はCH50活性として測定される)を抑制するための方法であって、抗C5抗原結合タンパク質の血清濃度を約100mg/リットル以上(例えば、150、400、600又は700mg/リットル)に維持するのに十分なレベルで抗原結合タンパク質の1つ以上の用量を投与することを含む方法が本明細書に含まれる。いくつかの実施形態では、投薬レジメンは、(i)約30mg/kg(体重(BW))の抗原結合タンパク質の1つ以上の用量(例えば、1回の用量)を静脈内(IV)投与すること;次いで、任意選択的に、(ii)約800mgの抗原結合タンパク質(例えば、皮下(SC))の1回又は複数回の毎週の用量(例えば、2以上)を投与すること;又は、体重(BW)に応じて、以下:週1回又は複数回の用量:体重(BW)<10kgの場合:約125mg;BW≧10kg及び<20kgの場合:約200mg;BW≧20kg及び<40kgの場合:約350mg;BW≧40kg及び<60kgの場合:約500mg;又はBW≧60kgの場合:約800mgのように皮下(SC)投与することを含む。毎週の用量は、例えば、抗C5抗原結合タンパク質の血清濃度の維持及び/又はC5活性の抑制が望まれる限り、無期限に継続することができる。
【0480】
対象において約100mg/リットル以上のC5抗原結合タンパク質又は抗体の血清濃度(例えば、経時的な定常状態の血清トラフ濃度)を達成又は達成及び維持するための方法であって、(i)約30mg/kg(体重(BW))の抗原結合タンパク質の1つ以上の用量(例えば、1回の用量)を静脈内(IV)に投与すること(例えば、本明細書中に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせて);次いで、任意選択的に、(ii)約800mgの抗原結合タンパク質(例えば、皮下(SC))の1回又は複数回の毎週の用量(例えば、2以上)を投与すること;又は以下:体重(BW)<10kgの場合:約125mg;BW≧10kg及び<20kgの場合:約200mg;BW≧20kg及び<40kgの場合:約350mg;BW≧40kg及び<60kgの場合:約500mg;又はBW≧60kgの場合:約800mgのように体重(BW)に応じて皮下(SC)投与される1つ以上の毎週の用量を含む、方法も含まれる。毎週の用量は、例えば、抗C5抗原結合タンパク質血清濃度の維持が望まれる限り、無期限に継続することができる。
【0481】
いくつかの実施形態では、C5抗原結合タンパク質又は抗体の静脈内注入は、注入の期間中に対象が1つ以上の有害事象、例えば、咳、寒気/悪寒、発疹、掻痒症(痒み)、蕁麻疹(urticaria)(蕁麻疹(hive)、疣贅、水疱)、発汗(汗をかく)、低血圧、呼吸困難(息切れ)、嘔吐又は潮紅などを患っている場合、最初の注入率の50%で中断され、再開される。
【0482】
C5抗原結合タンパク質又は抗体5(例えば、REGN 3918)を対象に投与する方法であって、(i)約30mg/kg(体重(BW))の抗原結合タンパク質(例えば、REGN3918)の1つ以上の用量(例えば、1回の用量)を静脈内(IV)に投与すること(例えば、本明細書中に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせて);次いで、任意選択的に、(ii)約800mgの抗原結合タンパク質(例えば、皮下(SC))の1つ以上の用量(例えば、2以上)を投与することを含む方法も含まれる。そのようなSC用量(複数可)は、初回IV用量(複数可)の後に毎週与えられ得る。抗原結合タンパク質(例えば、REGN3918)を対象に投与する方法であって、(i)約30mg/kg(体重(BW))の抗原結合タンパク質の1つ以上の用量(例えば、1回の用量)を静脈内(IV)に投与すること(例えば、本明細書中に開示されるCRISPR/Casシステムと組み合わせて);次いで、任意選択的に、(ii)以下:体重(BW)<10kgの場合:約125mg;BW≧10kg及び<20kgの場合:約200mg;BW≧20kg及び<40kgの場合:約350mg;BW≧40kg及び<60kgの場合:約500mg;BW≧60kgの場合:約800mgのように体重に応じて1つ以上のSC用量を投与することを含む方法も含まれる。そのようなSC用量(複数可)は、初回IV用量(複数可)の後に毎週与えられ得る。いくつかの実施形態では、対象は、例えばCHAPLE、PNH、aHUS又はMGなどのC5関連疾患に罹患している。
【0483】
D.C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするCRISPR/Casシステムの送達、活性、又は有効性の測定
本明細書に開示される方法は、C5遺伝子又はC5遺伝子座を標的とするCRISPR/Casシステムの活性を検出又は測定することを更に含み得る。
【0484】
測定することは、改変についてC5遺伝子座を評価することを含み得る。標的化遺伝子改変を有する細胞を同定するために様々な方法を使用することができる。スクリーニングは、親染色体の対立遺伝子の改変(MOA)を評価するための定量的アッセイを含むことができる。例えば、米国特許出願公開第2004/0018626号明細書;米国特許出願公開第2014/0178879号;米国特許出願公開第2016/0145646号;国際公開第2016/081923号;及びFrendewey et al.(2010)Methods Enzymol.476:295-307を参照されたく、それらの各々は、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。例えば、定量的アッセイは、リアルタイムPCR(qPCR)などの定量的PCRを介して実施することができる。リアルタイムPCRは、標的遺伝子座を認識する第1のプライマーセット及び非標的参照遺伝子座を認識する第2のプライマーセットを利用することができる。プライマーセットは、増幅された配列を認識する蛍光プローブを含むことができる。好適な定量的なアッセイの他の例としては、蛍光媒介インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)、比較ゲノムハイブリダイゼーション、等温DNA増幅、固定化プローブ全てに対する定量的ハイブリダイゼーション、INVADER(登録商標)プローブ、TAQMAN(登録商標)分子ビーコンプローブ、又はECLIPSE(商標)プローブ技術が挙げられる(例えば、の目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2005/0144655を参照されたい)。次世代シーケンシング(NGS)もまた、スクリーニングに使用することができる。次世代シーケンシングは、「NGS」又は「大規模並列シーケンシング」又は「ハイスループットシーケンシング」とも呼ばれ得る。標的化遺伝子改変の正確な性質及びそれが細胞型又は組織型又は器官型にわたって一貫しているかどうかを定義するために、MOAアッセイに加えてNGSをスクリーニングツールとして使用することができる。
【0485】
測定はまた、C5 mRNA又はC5タンパク質発現を評価することを含み得る。mRNA及びタンパク質発現を測定する方法は周知である。
【0486】
測定することはまた、C5活性を評価することを含み得る。例えば、古典的経路溶血は、本明細書の他の箇所に開示される感作ヒツジ赤血球を使用してエクスビボで測定することができる。
【0487】
動物における評価は、任意の組織又は臓器からの任意の細胞型にあり得る。例えば、評価は、同じ組織若しくは臓器(例えば、肝臓)からの複数の細胞型、又は組織若しくは臓器内の複数の場所からの細胞で行うことができる。これは、標的組織又は臓器内のどの細胞型が標的化されているか、又は組織又は臓器のどのセクションがCRISPR/Casシステムによって到達されているかについての情報を提供することができる。別の例として、評価は複数の種類の組織又は複数の臓器で行うことができる。特定の組織、器官、又は細胞型が標的にされる方法では、これは、その組織又は器官がどれほど効果的に標的にされるか、及び他の組織又は器官にオフターゲット効果があるかどうかについての情報を提供することができる。
【0488】
使用できるアッセイの一例は、無傷の固定組織との関連で、単一ヌクレオチドの変化を含む、細胞特異的に編集された転写産物を定量化することができる方法である、RNASCOPE(商標)及びBASESCOPE(商標)RNAインサイチュハイブリダイゼーション(ISH)アッセイである。BASESCOPE(商標)RNA ISHアッセイは、遺伝子編集の特性評価においてNGS及びqPCRを補完することができる。NGS/qPCRは野生型及び編集された配列の定量的平均値を提供できるが、組織内の編集された細胞の不均一性又はパーセンテージに関する情報は提供しない。BASESCOPE(商標)ISHアッセイは、組織全体のランドスケープビューと、編集されたmRNA転写物を含む標的組織内の実際の細胞数を定量化できる単一細胞分解能での野生型対編集された転写物の定量化とを提供できる。BASESCOPE(商標)アッセイは、ペアオリゴ(「ZZ」)プローブを使用して非特異的なバックグラウンドなしでシグナルを増幅し、単一分子RNA検出を実現する。しかしながら、BASESCOPE(商標)プローブの設計とシグナル増幅システムにより、ZZプローブを使用した単一分子RNAの検出が可能になり、無傷の固定組織における単一ヌクレオチドの編集と変異を差次的に検出できる。
【0489】
いくつかの方法において、ガイドRNAの効力は、C5の編集パーセントによって測定される。いくつかの方法では、C5の編集パーセントは、C5タンパク質のノックダウンを達成するのに必要な編集パーセントと比較される(例えば、血清中で)。
【0490】
いくつかの方法では、インビトロモデル(例えば、培養細胞)において欠失又は挿入が起こるオフターゲット部位の数は、例えば、Cas mRNA及びガイドRNAをインビトロでトランスフェクトした細胞からのゲノムDNAを分析することによって決定される。
【0491】
いくつかの方法では、ガイドRNAの有効性は、標的細胞型のゲノム内のオフターゲット配列におけるインデルの数及び/又は頻度によって測定される。いくつかの実施形態では、細胞集団において非常に低い頻度(例えば、<5%)で、かつ/又は標的部位におけるインデル生成の頻度に対して非常に低い頻度で、オフターゲット部位においてインデルを産生する効果的なガイドRNAが提供される。したがって、本開示は、標的細胞型においてオフターゲットのインデル形成を示さないか、又は細胞集団において及び/若しくは標的部位におけるインデル形成の頻度に対して5%未満のオフターゲットのインデル形成の頻度をもたらすガイドRNAを提供する。いくつかの方法において、本開示は、標的細胞型においてオフターゲットインデル形成を何ら示さないガイドRNAを提供する。いくつかの方法では、5つ未満のオフターゲット部位(例えば、本明細書中に記載される1つ以上の公知の方法又は複数の方法によって評価される場合)でインデルを産生するガイドRNAが提供される。いくつかの方法において、4個、3個、2個又は1個以下のオフターゲット部位(例えば、本明細書中に記載される1つ以上の公知の方法又は方法によって評価される場合)においてインデルを産生するガイドRNAが提供される。いくつかの実施形態では、オフターゲット部位(複数可)は、標的細胞ゲノム内のタンパク質コード領域には存在しない。
【0492】
上記又は下記で引用されている全ての特許出願、ウェブサイト、他の刊行物、アクセッション番号などは、各項目が、参照により組み込まれることが具体的にかつ個別に示されたのと同じ程度に、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。配列の異なるバージョンが違う時間にアクセッション番号に関連付けられている場合、本出願の有効な出願日においてアクセッション番号に関連付けられるバージョンを意味する。有効な出願日とは、該当する場合、アクセッション番号に関する実際の出願日以前又は優先出願の出願日を意味する。同様に、刊行物、ウェブサイトなどの異なるバージョンが違う時間に公開されている場合、別段の指定のない限り、本出願の有効な出願日の直近に公開されたバージョンを意味する。別段に他の指示がない限り、本発明の任意の特徴、工程、要素、実施形態、又は態様を、任意の他のものと組み合わせて使用することができる。本発明は、明瞭さ及び理解の目的に対し図表及び例を介していくつかの詳細が記載されているが、添付の特許請求の範囲内で、ある特定の変化及び修正を実施することができることが明らかになろう。
【0493】
配列の簡単な説明
添付の配列表に列記されているヌクレオチド及びアミノ酸配列は、ヌクレオチド塩基のための標準的な文字略語、及びアミノ酸のための三文字表記を使用して示されている。ヌクレオチド配列は、配列の5’末端から始まって先へ(すなわち、各行で左から右へ)進み3’末端に至る標準規則に従っている。各ヌクレオチド配列の1本の鎖のみが示されているが、相補的鎖は、示されている鎖を任意に参照することによって含まれると理解される。アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列が提供される場合、同じアミノ酸配列をコードするそのコドン縮重バリアントもまた提供されることが理解される。アミノ酸配列は、配列のアミノ末端から始まって先へ(すなわち、各行で左から右へ)進みカルボキシ末端に至る標準規則に従っている。
【0494】
【表7】
【実施例
【0495】
実施例1.初代ヒト肝細胞(PHH)におけるガイドRNAのスクリーニング-編集及びタンパク質ノックダウン
いくつかのC5 CRISPRガイドRNAを、C5遺伝子をノックアウトし、それによって循環C5レベルを低下させることを目的としてインシリコ設計した。初代ヒト肝細胞(PHH)(Invitrogen)を解凍し、サプリメント(Gibco,Cat.CM7500)を有する肝細胞解凍培地に懸濁し、続いて遠心分離した。上清を廃棄し、ペレット化した細胞を肝細胞プレーティング培地(William’s E Medium(Invitrogen,Cat.A1217601)と、デキサメタゾン+カクテルサプリメント、FBS内容物、及びプレーティングサプリメント(Gibco,Cat.CM3000)に懸濁した。細胞を計数し、Bio-coatコラーゲンI被覆96ウェルプレート(ThermoFisher,Cat.877272)に、PHHについて30,000~35,000細胞/ウェルの密度で播種した。播種した細胞を、37℃及び5%CO雰囲気の組織培養インキュベーター中で4~6時間沈降させ、接着させた。インキュベーション後、細胞を単層形成についてチェックし、肝細胞維持培地(維持サプリメントを含むWilliam’s E Medium(Gibco,Cat.CM4000)で1度洗浄した。
【0496】
解凍の6時間後、表8に記載の個々のcrRNA及びtracrRNA(trRNA)を、等量の試薬を混合し、95℃で2分間インキュベートし、室温に冷却することによってプレアニールした。プレアニールされたcrRNA及びtrRNAからなる二重ガイド(dgRNA)を化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)Cas9(Spy Cas9)タンパク質とインキュベートして、リボ核タンパク質(RNP)複合体を形成した。細胞をリポフェクタミンNAiMAX(ThermoFisher,Cat.13778150)で、製造業者のプロトコルに従ってトランスフェクトした。細胞を、Spy Cas9(10nM)、crRNA(10nM)、trRNA(10nM)、リポフェクタミンRNAiMAX(1.0μL/ウェル)、及びOptiMEM培地を含有するRNPでトランスフェクトした。
【0497】
トランスフェクションの48時間後に細胞を溶解し、50μL/ウェルのBuccAmP DNA抽出溶液(Epicentre,Cat.QE09050)を使用して、製造業者のプロトコルに従って単離した。PCRプライマーを目的の遺伝子内の標的部位の周りに設計し(例えば、C5)、目的のゲノム領域を増幅した。当分野で標準的であるようにプライマー配列設計を行った。
【0498】
更なるPCRを製造者のプロトコル(Illumina)に従って実施して、配列決定のための化学反応を加えた。アンプリコンをIllumina MiSeq装置で配列決定した。低品質スコアを有するものを排除した後、リードをヒト参照ゲノム(例えば、hg38)にアラインメントした。リードを含有する得られたファイルを参照ゲノム(BAMファイル)にマッピングし、ここで、目的の標的領域と重複するリードを選択し、野生型リードの数対挿入又は欠失(「インデル」)を含有するリードの数を計算した。編集パーセンテージ(例えば、「編集効率」又は「編集パーセント」)は、野生型を含む配列リードの総数に対する、挿入又は欠失(「インデル」)を有する配列リードの総数として定義される。試験したガイドによる編集結果を表8に示す。
【0499】
【表8-1】
【表8-2】
【0500】
実施例2.C5ガイドRNAのオフターゲット分析
HLA-Aを標的化するCas9によって切断される潜在的なオフターゲットゲノム部位についてのスクリーニングを行った。例えば、Cameron et al.(2017)Nature Methods 6,600-606を参照されたく、その全体があらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。この実験では、リンパ芽球細胞株NA24385(Coriell Institute)由来の精製ゲノムDNAを使用して、既知のオフターゲットプロファイルを有する、ヒトC5を標的とする8つのsgRNA並びにEMX1及びVEGFAを標的とする対照ガイドをスクリーニングした。潜在的なオフターゲット部位の数を、生化学アッセイにおいて192nMのsgRNA及び64nMのRNPの濃度で表9に示されるようなsgRNAを使用して検出した。アッセイは、表9に示されるように、試験したsgRNAについて潜在的なオンターゲット及びオフターゲット部位を同定した。
【0501】
【表9】
【0502】
【表10】
【0503】
上記で使用される生化学的方法などの既知のオフターゲット検出アッセイでは、通常、多数の潜在的なオフターゲット部位が、他の状況で、例えば、目的の初代細胞において検証され得る潜在的な部位について「広いネットを張る」ように、設計によって回収される。例えば、生化学的方法は、典型的には、アッセイが細胞環境を含まない精製された高分子量ゲノムDNAを利用し、使用されるCas9 RNPの用量に依存するので、潜在的なオフターゲット部位の数を過剰に表す。したがって、これらの方法によって同定された潜在的なオフターゲット部位は、同定された潜在的なオフターゲット部位の標的化配列決定を使用してガイドごとに検証される。
【0504】
実施例3.ヒトC5を標的とするガイドRNAの試験インビトロ
15個のガイドRNAを、初代ヒト肝細胞及び初代カニクイザル肝細胞におけるインビトロでのそれらの有効性について試験した。カニクイザルC5コード配列は、配列番号7に示される。これら15個のガイドRNAの配列を表11に提供する。
【0505】
【表11】
【0506】
初代ヒト肝細胞への10nM Cas9リボ核タンパク質複合体の投与後5日目のC5インデル頻度を図1Aに示す。Cas9:crRNA:tracrRNAリボ核タンパク質複合体を、CRISPRMAX(ThermoFisher)トランスフェクション試薬を使用して、培養培地中10nMの最終濃度で細胞にトランスフェクトした。RNP実験で使用したCas9タンパク質は、Thermo Fisherから購入した。トランスフェクションの5日後、QuickExtract(商標)DNA抽出溶液(Epicentre)を使用して細胞溶解物を調製した。溶解物を、それぞれのgRNA標的部位におけるアンプリコンに基づく次世代シーケンシングのためのゲノムDNA鋳型として使用した。陽性対照sgRNA PCSK9_1264及びTTR_G000489は、それぞれPCSK9及びTTR遺伝子中の領域を標的とする。陰性対照sgRNA msHc1はヒト非標的化sgRNAである。対応するC5タンパク質発現を図1Bに示す。初代ヒト肝細胞馴化培地におけるC5タンパク質の最大80%のノックダウンが観察された。初代ヒト肝細胞へのCas9 mRNA及び25nM化学修飾sgRNAの投与後3日目のC5インデル頻度を図2に示す。MessengerMax(ThermoFisher)トランスフェクション試薬を使用して、Cas9 mRNA及びsgRNAを細胞に同時トランスフェクトした。トランスフェクションの3日後、QuickExtract(商標)DNA抽出溶液(Epicentre)を使用して細胞溶解物を調製した。溶解物を、それぞれのgRNA標的部位におけるアンプリコンに基づく次世代シーケンシングのためのゲノムDNA鋳型として使用した。このアッセイは、両方のアプローチがリボヌクレオチドとしてCas9及びsgRNAを標的細胞に送達するという点で、インビボで使用されるLNP送達様式をインビトロでより厳密に模倣する。
【0507】
実施例4.ヒト化C5マウスにおけるインビボでヒトC5を標的とするガイドRNAの試験
8つのトップガイドRNA(CR0005680、CR0005692、CR0005682、CR0005660、CR0005655、CR0005677、CR0005662、及びCR0005714に対応するsgRNA)をインビボ実験のために選択し、Cas9 mRNAと(配列番号338、配列番号339に示されるCDSと)インビボ送達のための脂質ナノ粒子(LNP)中で合成した。LNPは、生分解性カチオン性脂質、コレステロール、DSPC、及びPEG2k-DMGを50:38:9:3のモル比で含有していた。生分解性カチオン性脂質は、3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピル(9Z,12Z)-オクタデカ-9,12-ジエノアートとも呼ばれる、(9Z,12Z)-3-((4,4-ビス(オクチルオキシ)ブタノイル)オキシ)-2-((((3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)カルボニル)オキシ)メチル)プロピルオクタデカ-9,12-ジエノアートであった。Cas9 mRNAは、ガイドRNAに対して重量比で1:1であった。
【0508】
8つのC5 CRISPR/Cas9配合LNPは、ヒト化C5マウスにおいて循環C5レベルの用量依存的減少をもたらした。ヒト化C5マウスでは、ヒトC5遺伝子(97kb)のコードエキソン2~42が、コードエキソン2~41に及んでおり、3’UTRの一部を含むマウスC5遺伝子座の75.8kb部分と置き換わっていた。例えば、国際公開第2015/171523号を参照されたく、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。ヒト化C5遺伝子のコード配列が配列番号6に示される。血漿C5レベルをインビボのC5遺伝子の編集パーセントと比較した場合、良好な相関が存在した(データは示さず)。2つのガイド、CR005680及びCR005692に対応するsgRNAは、ヒト化C5マウスに単回静脈内注射として送達した場合、投与後3週間で0.3mg/kgで50%超及び1mg/kgで約95%の循環C5レベルを低下させた(データは示さず)。図3Aを参照されたい。ヒト化C5マウスに、C5 LNP配合CRISPR/Cas9ガイドを1mg/kgで単回静脈内注射で投与した。治療群は、治療の1週間前に測定された血漿C5に基づいて形成された。8つのガイド(群当たりn=5):LNP0365;LNP0366;LNP0367;LNP0368;LNP0369;LNP0370;LNP0371;及びLNP0372を実験で試験した。LNP0373は、実験で使用した対照であった。血漿C5レベルを、市販のELISA(Abcam)を使用して、3週間のガイド投与後に毎週測定した。3つのガイド、LNP0369、LNP0367及びLNP0368は、血漿C5レベルの90~95%の低下を達成した(図3A)。別の実験では、ヒト化C5マウスに、C5 LNP製剤化CRISPR/Cas9ガイドを2mg/kgで単回静脈内注射で投与した。治療群は、治療の1週間前に測定された血漿C5に基づいて形成された。4つのガイド(群当たりn=5):LNP0367;LNP0368;LNP0369;及びLNP0370を実験で試験した。LNP0373(非標的化マウスガイドRNA)は実験で使用した対照であった。血漿C5レベルを、異なるエピトープでC5に結合する2つのC5モノクローナル抗体を用いて、社内で開発されたELISAを使用して2週間及び3週間で測定した。C5機能に対する効果を調べるために、感作RBCを使用した古典的経路(CP)溶血をガイドの投与後3週間で利用した。例えば、Latuszek et al.(2020)PLoS One 15(5):e0231892を参照されたく、全ての目的のためにその全体が参照により本明細書に組み込まれる。LNP0369及びLNP0367は、約98%の血漿C5レベルの低下を達成した(図3B)。LNP0369及びLNP0367では溶血の約75%の減少が観察された(図4A及び4B)。ヒト化C5マウスに、LNP1457(CR005692に対応するsgRNAを含む)及びLNP1458(CR005662に対応するsgRNAを含む)を0.1、0.3又は1mg/kgで投与した。血漿C5レベルの用量依存的減少があり、LNP1457は1mg/kgで約92%減少し(図5A)、エクスビボで古典的経路溶血は対応する80%減少した(図5B)。
【0509】
両方のトップリード(CR005680及びCR005692に対応するsgRNA)は、GuideSeq実験及びSiteSeq実験によって行われたように、オフターゲットヒットがほとんど又は全くないC5に非常に特異的であった。結果を表12にまとめる。「HEK293オフターゲット」は、Cas9を安定的に過剰発現するHEK293細胞において同定された潜在的オフターゲット部位の数を表す。これらの実験は、C5に対して非常に効率的かつ選択的なCRISPR/Cas9ガイドRNAの生成の成功を示す。
【0510】
【表12】
ND=未実施
N/A=該当せず
図1A
図1B
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
【配列表】
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【国際調査報告】