(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】自動車用ロック
(51)【国際特許分類】
E05B 77/34 20140101AFI20241024BHJP
E05B 85/02 20140101ALI20241024BHJP
E05B 85/26 20140101ALI20241024BHJP
E05B 79/20 20140101ALI20241024BHJP
【FI】
E05B77/34
E05B85/02
E05B85/26
E05B79/20
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525361
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-04
(86)【国際出願番号】 DE2022100798
(87)【国際公開番号】W WO2023072346
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】102021128301.9
(32)【優先日】2021-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】イナン, オマー
(72)【発明者】
【氏名】シファー, ホルガー
(72)【発明者】
【氏名】ショルツ, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】スゼジェニー, ピーター
(72)【発明者】
【氏名】シュミッツ, アンドレアス
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250JJ10
2E250LL01
2E250PP02
2E250PP04
2E250PP05
2E250RR13
2E250RR43
2E250SS08
(57)【要約】
本発明は、回転ラッチおよび少なくとも1つの爪部を有するロック機構と、ロック機構をブロック解除する為の電気駆動ユニット(7、9、11、12)と、ウェットチャンバおよびドライチャンバを備えたロック用ハウジング(3、35、36)とを備える、自動車用ロック(1、21)、特に自動車用側部扉用ロックに関し、回転ラッチは爪部によって少なくとも1つのキャッチ位置でブロックすることができ、ロック機構はウェットチャンバ内に配置され、駆動ユニット(7、9、11、12)はドライチャンバ(2、33)内に配置され、少なくとも1つの機械的接続部(4、37、40)は、ロック用ハウジング(3、35、36)上に配置され、ドライチャンバ(2、33)内に突出して、ドライチャンバ(2、33)内に配置された機構(6、29)を作動させることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車用ロック(1、21)、特に、自動車用側部扉用ロックであって、
回転ラッチおよび少なくとも1つの爪部を有するロック機構と、前記ロック機構のブロックを解除する為の電気駆動ユニット(7、9、11、12)と、ウェットチャンバおよびドライチャンバを備えたロック用ハウジング(3、35、36)と、
を備え、
前記回転ラッチは、前記爪部によって少なくとも1つのキャッチ位置でブロック可能であり、前記ロック機構は、前記ウェットチャンバ内に配置され、前記駆動ユニット(7、9、11、12)は、前記ドライチャンバ(2、33)内に配置され、少なくとも1つの機械的接続部(4、37、40)は、前記ロック用ハウジング(3、35、36)上に配置され、前記ドライチャンバ(2、33)内に突出して、前記ドライチャンバ(2、33)内に配置された機構(6、29)を作動させることができることを特徴とする自動車用ロック(1、21)。
【請求項2】
前記ロック機構は、前記機械接続部(4、37、40)によってブロックが解除可能であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車用ロック(1、21)。
【請求項3】
前記ドライチャンバ(2、33)内に盗難防止装置(22)が配置され、前記機械接続部(4、37、40)によって前記盗難防止装置(22)を作動させることができることを特徴とする、請求項1又は2に記載の自動車用ロック(1、21)。
【請求項4】
前記盗難防止装置(22)は、電気的に作動可能であることを特徴とする、請求項3に記載の自動車用ロック(1、21)。
【請求項5】
前記機械接続部(4、37、40)は、ボーデンケーブル(4、37、40)で形成されていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1、21)。
【請求項6】
ボーデンケーブル(4、37、40)、特にボーデンケーブルシース(14)は、ロック用ハウジング(3、35、36)上に密封して配置されていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1、21)。
【請求項7】
前記ロック用ハウジング(3、35、36)は、前記ボーデンケーブル接続のための軸受点(16、34、42)として設計されることを特徴とする、請求項5又は6に記載の自動車用ロック(1、21)。
【請求項8】
少なくとも1つの更なる機械接続(4、37、40)が、前記ロック用ハウジング(3、35、36)上に配置され、前記ウェットチャンバ内に突出し、前記ウェットチャンバ内に配置された機構を作動させることができることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1、21)。
【請求項9】
前記更なる機械接続部(4、37、40)がボーデンケーブルであることを特徴とする、請求項8に記載の自動車用ロック(1、21)。
【請求項10】
前記ロックハウジング(3、35、36)には、2本以上のボーデンケーブル(4、37、40)が接続されていることを特徴とする、請求項5~9のいずれか一項に記載の自動車用ロック(1、21)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、自動車用ロック、特に自動車側部扉用ロックに関し、この自動車用ロックは、回転ラッチおよび少なくとも1つの爪部を有するロック機構を備え、爪部、ロック機構をロック解除するための電気駆動ユニット、ならびにウェットチャンバおよびドライチャンバを有するロックハウジングによって回転ラッチは少なくとも1つのキャッチ位置にロックすることができ、ロック機構がウェットチャンバ内に配置され、駆動ユニットがドライチャンバ内に配置される。
【0002】
[0002]現代の自動車ロックシステムにおいて、回転ラッチと爪部とが互いに係合することによって互いに係合し、従って自動車上に移動可能に設けられた構成部品の固定を可能にするロック機構が主に設置されている。自動車内の配置に応じて、シングルキャッチまたはダブルキャッチのロック機構が使用される。カバーまたはトランク蓋にシングルキャッチロック機構を使用することがより一般的であるが、車両製造業者は、たとえば、ダブルキャッチロック機構を側部扉に装備することを法的に要求している。第1のキャッチ、すなわち、プレキャッチとも呼ばれる第1のキャッチ位置において、側部扉は緩く保持され、第2のキャッチ、すなわち、メインキャッチとも呼ばれる第2の下流側キャッチ位置において、側部扉は完全に閉鎖された操作位置にある。
【0003】
[0003]自動車の快適性をさらに向上させるために、ロックシステムにはますます多くの電気アシスト機能が使用されている。この目的のために、電気モータは、たとえば、ロックシステムに設置され、次いで、たとえば、ロック機構の電気的なブロック解除を可能にする。電気モータはギア機構と相互作用し、ギア段は間接的または直接的にロック機構のブロック解除を開始する。このような電気駆動ユニットは、DE 10 2019 109 488.7から公知である。
【0004】
[0004]ロックシステムにおいて、少なくとも回転ラッチは、ロック用ピンまたはロック用ホルダと直接係合する。回転ラッチおよびロックホルダは、回転ラッチがロックホルダを中心に旋回可能であり、爪部によって回転ラッチをブロックするように相互作用する。したがって、回転ラッチは、環境の影響にさらされ、たとえば、雨による水および/または風による埃と接触する可能性がある。自動車用ロックの他の構成部品を環境の影響から保護するために、自動車用ロックをウェットチャンバとドライチャンバ、またはウェット領域とドライ領域に細分することが知られている。どちらの用語も同義語として使用される。
【0005】
[0005]DE 20 2012 103 608 U1において、回転ラッチは、この場合ハウジングの「外側」と呼ばれる湿った領域に配置され、爪部は、この場合ハウジングの「内側」と呼ばれる自動車用ロックの乾いた領域に配置される自動車用ロックを開示している。ここで、爪部の一部のみがロック用ハウジングの開放スロットを貫通して突出しており、開放スロットの幅は爪部の材料厚さに対応している。したがって、爪部のキャッチアームは、回転ラッチと係合するために自動車用ロックの湿った領域内に突出する爪部の一部である。
【0006】
[0006]DE 10 2020 118 721.1において、回転ラッチと爪部との間、またはロック機構とブロック解除機構との間の開放スロットを省略することができるという点で、前述の従来技術の改良を記載している。この文献は、作動レバーと、ロック機構のブロック解除とを開示しており、作動レバーは乾いた領域から湿った領域に向かって延びている。作動レバーは、一方では通路開口内に、他方ではロックハウジング内に旋回可能に収容される。乾いた領域と湿った領域とはハウジング壁によって分離され、作動レバーは通路開口部を貫通する。シールは、通路開口部の領域に配置され、解除レバーに収容され、密封リップによって乾いた領域をハウジング壁に対して密封する。乾いた領域から湿った領域にトルクを密封状態で伝達することが可能であるため、ここでは、駆動ユニットを乾いた領域に配置することが可能である。
【0007】
[0007]上記の既知の解決策は、原理的に成功していることが証明されている。ロックシステムの電動化の増加および駆動ユニットの乾いた領域への再配置のために、乾いた領域に配置された駆動ユニットに機械的にアクセスできることも必要である。ここから本発明が始まる。
【発明の概要】
【0008】
[0008]本発明の1つの目的は、改善されたロックシステムを提供することである。さらに、本発明の目的は、高度に電化されたロックシステムにおける安全性を高め、乾いた領域において駆動ユニットに影響を与えることができるようにすることである。
【0009】
[0009]本発明によれば、独立クレーム1の特徴によって目的が達成される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項において特定される。以下に記載される例示的な実施形態は、限定的なものではなく、むしろ、説明および従属する請求項に記載される特徴の任意の変形が可能であることに留意されたい。
【0010】
[0010]請求項1によれば、本発明の目的は、回転ラッチおよび少なくとも1つの爪部を有するロック機構と、ロック機構のブロックを解除するための電気駆動ユニットと、ウェットチャンバおよびドライチャンバを有するロックハウジングと、を備える自動車用ロック、特に、自動車側部扉用ロックを提供することにより達成されるが、ここで、ロック機構は、ウェットチャンバ内に配置され、駆動ユニットは、ドライチャンバ内に配置され、少なくとも1つの機械接続部が、ロック用ハウジング上に配置され、ドライチャンバ内に突出して、ドライチャンバ内に配置された機構を作動させることができる。本発明による自動車用ロックの設計は、自動車の安全性を向上させ、従って操作者の快適性を向上させる可能性をもたらす。機械接続部および機構に影響を及ぼす可能性のために、自動車用ロックの安全関連機能を手動で作動させることができる。ロック機構のブロックを解除するための電気機械式駆動装置全体が自動車用ロックのハウジングのドライチャンバ内に配置されている場合、ロック機構のブロックを解除するためには、電気機械式駆動装置がいつでも、いかなる状況においても機能することが必要である。これは、たとえば、強い霜のような環境の影響、および/またはロック機構自体の汚れ、および/または自動車の損傷が、ロック機構のブロック解除を妨げる場合に問題となり得る。この場合、電気機械式駆動装置は、ロック機構のブロック解除を開始するのに十分でないことがある。本発明による設計および機械接続部は、乾いた領域における機構に影響を及ぼすことを可能にする。この場合、盗難防止装置、幼児安全ロックまたはロック装置などの他の機能にも影響を与える場合があり、実施例として他の影響を与える可能性も挙げることができる。機械接続部を自動車ロック用ハウジングのドライチャンバ内に移動させることにより、以下により詳細に説明する更なる利点が得られる。
【0011】
[0011]ロック用ハウジングは、ウェットチャンバとドライチャンバとを分離するために使用され、ロック用ハウジングは、一方では、電気的および/または電子的構成部品を保持または含めることができ、同時に、自動車用ロックの更なる構成部品を含めるために使用することができる。ロック用ハウジングは、主としてハウジング部品とハウジングカバーとからなる。もちろん、ハウジングは幾つかの部品から構成することもでき、2つ、3つ、またはそれ以上のハウジング部品から構成することもできる。本発明の概念を実現するためには、自動車用ロックの機能的機構の少なくとも一部分がロック用ハウジングのドライチャンバ内に配置されることが重要である。機能的機構は、ここでは限定されないが、ロック解除機構、ロック装置、盗難防止装置、チャイルド安全ロック、閉鎖補助装置、および/または自動車用ロック内の同様の機能的な装置に関連することができる。本発明において、ロック用ハウジングへの機械的な接続が行われること、すなわち、乾いた領域に配置された機構が乾いた領域に機械的に係合することによって作動できるようにすることが不可欠である。電気モータ、制御装置、回路板、および/またはさらなる電気的または電子的構成部品が、ドライチャンバ内に配置されることが好ましい。
【0012】
[0012]本発明による自動車用ロックは、側部扉、ハッチ、カバー、またはスライドドアに使用されるようなロックも含むものと理解され、すなわち、自動車に移動可能に固定された構成部品が、自動車の安全な使用を可能にするためにロック位置に固定されなければならない。しかしながら、本発明に係る自動車用ロックは、好ましくは、自動車側部扉用ロックに関する。
【0013】
[0013]ロック機構は、単一のキャッチまたは二重キャッチのロック機構として設計することができる。最近の開発により、回転可能なキャッチ要素のような転動するロック機構部品を有するロック機構も知られている。単一キャッチ式ロック機構の場合、爪部が回転ラッチを保持するキャッチ位置は1つだけである。二重キャッチ式ロック機構の場合、メインキャッチ位置に加えて、回転ラッチと爪部が2つのキャッチ位置で相互作用できるように、プレキャッチ位置も存在する。この場合、解除レバーは、捕捉されたロック機構の係合を解除するようにロック機構と相互作用する。この場合、爪部は回転ラッチとの係合領域から外れる。幾つかの爪部を使用することも知られている。たとえば、ロック機構の開放トルクがメインキャッチ位置で発生すると、爪部は別の爪部を介して保持することができる。この別の爪部は、キャッチレバーまたはブロッキングレバーと呼ばれる。
【0014】
[0014]電気駆動ユニットは、好ましくは、DCモータからなり、その出力シャフトにはギアホィールが装着され、このギアホィールは、別のギアホィールと相互作用して、自動車ロックの運動を開始する。電気モータに固定されたギアホイールは、作動レバーと直接係合することが考えられるが、駆動ギアホイールと作動レバーとの間に少なくとも1つのギア段が配置されていることが好ましい。使用されるギア段は、好ましくはウォームギア段である。作動レバーはまた、解除レバーと直接相互作用するか、または解除レバーとして一体的に形成することができる。
【0015】
[0015]本発明の一変形例において、ロック機構は、機械的な接続によってブロックを解除することができる。機械的接続は、解除レバーが直接的または間接的に作動できるように設計することができる。このように、機械的接続によって、電気駆動ユニットとは独立してロック機構をブロック解除することが可能である。これにより、極端な状況においてもロック機構の解除を確実にすることができる利点が提供される。たとえば、ロック機構がフリーズするなど、極端な状況が発生する可能性がある。この場合、電気駆動ユニットは、ロック機構のブロックを解除することができず、その結果、機械的接続によって追加の固定機能を提供することができる。機械的駆動ユニットは、爪部に直接的に作用するか、解除レバーに接続されるか、または解除レバーに間接的に作用することができる。
【0016】
[0016]本発明の更なる有利な変形例において、盗難防止装置が乾いた領域に配置され、盗難防止装置が機械的接続によって作動できる場合に生じる。盗難防止装置は、ロックされたロックシステムまたは自動車用ロックにおいて内部作動手段がさらに無効にされる場合に存在する。盗難防止装置は、内部作動レバーまたは内部ドアハンドルが作動されたときに内部作動レバーがロック解除されるのを防止する。自動車ロック用ハウジングのドライチャンバ内に盗難防止装置を配置することにより、環境の影響を受ける領域の外側にある自動車用ロックの盗難防止機構の他の構成部品を使用することが可能になる。ここで、盗難防止装置を電気的に作動させることができれば有利である。ロック機構をブロック解除するための電気駆動ユニットに加えて、電気的に作動可能な盗難防止装置は、ロック機構の解除機構を無効にする役割を果たす。盗難防止装置を作動させるための別の電気駆動装置の有利な配置により、電気モータは、例えば、ドライチャンバ内に配置された回路板と直接接触することもできる。ドライチャンバ内の電気または電子構成部品は、ドライチャンバ内に配置された電気モータと直接接触することができ、電気接触点を環境の影響から保護する必要はない。たとえば、マイクロスイッチ上の電気接触点を保護するために、接触点の領域における腐食を防止するために接触点がポッティングされることが知られている。このような複雑な接触保護は、ドライチャンバ内に電気モータを配置することによって不要にすることができる。
【0017】
[0017]本発明の好ましい変形例において、機械的接続部は、ボーデンケーブルから形成される。たとえば、ボーデンケーブルによって、機械的な外部ドアハンドルまたは外部ドアハンドル内の作動ソケットを自動車用ロックに接続することができる。したがって、ボーデンケーブルは、ドライチャンバ内の機械的機能装置に直接アクセスして作動させることができる。たとえば、ボーデンケーブルを解除レバーに固定し、ボーデンケーブルによってロック機構をブロック解除することが考えられる。もちろん、ボーデンケーブルを内部作動レバーに接続して、ロック機構を内部ドアハンドルによって機械的にロックできるようにすることもできる。
【0018】
[0018]ボーデンケーブル、特にボーデンケーブルシースがロック用ハウジング上に密封して配置されている場合、本発明の有利な変形例を達成することができる。ボーデンケーブルシースは、ボーデンケーブルコアを包囲し、たとえば、内部作動ドアハンドルからロック用ハウジングに向かってボーデンケーブルコアを案内することを可能にする。自動車内のボーデンケーブルの位置に応じて、ボーデンケーブルは、自動車の湿った領域に配置されてもよい。ボーデンケーブルと自動車ロック用ハウジング、特に、ドライチャンバとの間の密封接続は、ドライチャンバが依然として保護されていることを保証することができる。ボーデンケーブルシースをロック用ハウジングに接続することにより、この場合、ボーデンケーブルコアの密封を省略することができる。ボーデンケーブルシースは、環境の影響を無視し続けることができるように、ドライチャンバの方向に開いている。従って、ボーデンケーブルコアの別個の密封は不要である。これは、ボーデンケーブルの腐食および/または汚染が、ボーデンケーブルシースに入る水分の結果として発生する可能性があり、その結果、ボーデンケーブルコアの円滑な移動を防止および/または完全に制限することができるため、有利である。
【0019】
[0019]ここで、ロック用ハウジングがボーデンケーブル接続部上の軸受点として設計されることも有利である。従って、ボーデンケーブルの自動車ロック用ハウジングへの接続、特に、自動車ロック用ハウジングのドライチャンバへの接続は、二重の機能を果たすことができる。一方では、接続の領域に密封接続を確立することができ、他方では、接続は、ボーデンケーブルシースの軸受点として機能することができる。次に、ボーデンケーブルシースのロック用ハウジングへの軸受点または固定接続により、ボーデンケーブルコアを介してドライチャンバに力を伝達することが可能になる。
【0020】
[0020]少なくとも1つの更なる機械的接続がロック用ハウジング上に配置され、更なる機械的接続がウェットチャンバ内に突出する場合、ウェットチャンバ内に配置された機構を作動させることができる。したがって、ロック機構の一部をウェットチャンバ内に配置することができ、ロック機構の構成部品を同様にドライチャンバ内に配置することができる。特に、環境の影響から保護されるべき構成部品、例えば、電気モータ、電線および/または構成部品は、環境の影響から保護することができる。作動レバーは、ロック用ハウジングを介して作動されることが有利であり、ドライチャンバからウェットチャンバへの密封接続が有利であることが証明されている。ロック機構をロック解除するためのトルクをロックハウジングの通路開口を介して伝達することにより、侵入する環境の影響から確実にドライチャンバを保護することができる。ロック機構および、たとえば、閉鎖駆動装置は、別のボーデンケーブルを介してロック機構に作用することができる。
【0021】
[0021]更なる機械的接続は、ボーデンケーブルであってもよい。また、2本以上のボーデンケーブルをロック用ハウジングに配置し、これを自動車用ロック内の機構の位置に応じてドライチャンバまたはウェットチャンバに接続することも考えられる。特に、ドライチャンバに関連する自動車用ロック内の機構および/または電気的に作動される機能ユニットは、環境の影響から確実に保護されるように使用することができる。この場合、ロック、ロック解除、チャイルドセーフティロック、盗難防止固定、閉鎖、照会等のロックの機能を説明する機構または電気的機構は、自動車用ロックにおける機能ユニットまたは機械的機能と呼ばれる。
【0022】
[0022]本発明による自動車用ロックの設計は、自動車用ロックのドライチャンバ内での機械的係合を可能にする。機能、たとえば、盗難防止装置の機能のドライチャンバ内への再配置は、追加の固定手段なしに電気的接続を確立することができ、ドライチャンバ内に配置される機構がいかなる環境の影響も受けない利点を提供する。さらに、ロック用ハウジングへのボーデンケーブルの密封軸受および接続も簡素化され、これは、自動車用ロックの全体的なコストにプラスの効果をもたらす。
【0023】
[0023]以下、添付図面を参照して、より詳細に本発明を実施の形態に基づいて説明する。しかしながら、例示的な実施形態は本発明を限定するものではなく、単に本発明の有利な実施形態であるという原則が適用される。示された特徴は、個々に、または、明細書および請求項の更なる特徴と組み合わせて、個々に又は組み合わせて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、本発明に従って設計された自動車用ロックの3次元平面図であり、ハウジング用カバーがなく、ドライチャンバ内にボーデンケーブルが配置されている。
【
図2】
図2は、ハウジング用カバーがなく、一体化された盗難防止装置を有する自動車用ロックの別の実施形態の平面図を示す。
【
図3】
図3は、
図2による閉じた自動車用ロックの3次元図を示す。
【0025】
【発明の詳細な説明】
【0026】
[0025]
図1は、ロックハウジング用カバーのない自動車用ロック1を平面図で示し、ここでは、ドライチャンバ2が示され、本発明を説明するのに不可欠な自動車用ロック1の構成部品のみが示されている。自動車ロック用ハウジング3にはボーデンケーブル4が接続され、このボーデンケーブルは、ボーデンケーブルコア5によって自動車ロック用ハウジングに旋回可能に装着されたレバー6に接続されている。レバー6は、たとえば、外部作動レバーまたは内部作動レバーとすることができる。レバー6は、作動レバー7に作用し、レバー6の時計回りの旋回によって作動レバー7を反時計回りに動かすことができる。作動レバー7は、自動車用ロック1内に軸8を中心に旋回可能に収容されている。作動レバー7によって、たとえば、ウェットチャンバ(図示せず)内に配置された解除レバーを作動させることができる。また、ウォーム10を介してウォームギアホィール11を駆動する電気モータ9が示されている。ウォームギアホイール11には制御外形部が配置されており、この制御外形部によって作動レバー7を反時計回りに旋回させることができる。作動レバー7は、制御外形部12に対してバネ懸架された状態で静止することができる。
【0027】
[0026]自動車ロック用ハウジング3は、少なくとも両側をロック用プレート13で包囲されており、通常、少なくともロック機構はロック用プレート13に取り付けられている。加えて、ロック用プレート13は、自動車用ロック1内のボーデンケーブル4の軸受点を形成する延長部を有することができる。
【0028】
[0027]更なる電気的及び電子的構成部品並びに回路板は、自動車用ロックの内部、特にドライチャンバ2に設置することができる。たとえば、マイクロスイッチを回路板上に配置することができ、レバー6、作動レバー7、ウォームギアホイール、および/または制御外形部12の位置を照会することができる。もちろん、このリストは限定するものではない。むしろ、自動車用ロック1の更なる機能を有する、更に/又は、電気的構成部品として設計された更なる構成部品をドライチャンバ2内に配置することができる。
【0029】
[0028]ボーデンケーブル4は、ボーデンケーブルシース14を有し、自動車ロック用ハウジング3内に密封して収容される。プラスチック製スリーブ15は、ボーデンケーブル4、特にボーデンケーブルコア5を環境の影響に対してシールすることができる。また、自動車ロック用ハウジング3は、ボーデンケーブル4の軸受点を有しており、ボーデンケーブルコア5を作動させるための当接部を自動車ロック用ハウジング3によって設けることができる。ボーデンケーブル4またはボーデンケーブルコア5を作動させることにより、レバー6は、その軸17を中心に時計回りに旋回され、レバー6上の伴出部18が作動レバー7と係合し、ロック機構をブロック解除することができる。ロック機構のロック解除するために、電気モータ9も作動させることができ、それにより、作動レバー7は、ロック機構のロック解除するために、ウォーム10及びウォームホイール11及び制御外形部12を介して再び反時計回りに旋回される。
【0030】
[0029]電気モータ9は、たとえば、回路板によって電力を供給することができる電気接触点19、20を有する。電気モータ自体及び接触点19、20がドライチャンバの2に配置されているので、電気接触点19、20を別々に保護する必要はない。
【0031】
[0030]
図2は、自動車用ロック21の別の実施形態を示す。同一の構成部品には同一の参照符号が付されている。また、自動車用ロック21は、盗難防止装置22を有している。ウォーム24は電気モータ23によって作動され、ウォーム24はウォームホイールセグメント25と噛み合っている。ウォームホイールセグメント25によって、調整レバーを変位させ、盗難防止装置22を係合させることができる。分離された状態は、
図2に示されているこのために、調整レバー26は開口部27内で直線的に案内されている。調整レバー26は結合要素として機能し、調整レバー26上の円筒状延長部28は、レバー29が円筒状延長部28と係合して駆動装置30を旋回させることができるように、レバー29への結合を生じさせる。駆動装置は、自動車ロック用ハウジング3内に旋回可能に取り付けられた別個のレバー上に配置され、レバーと円筒状延長部28とによって作動させることができる。したがって、ボーデンケーブル4またはボーデンケーブルコア5を引っ張ると、レバー29が旋回し、盗難防止装置22が係合解除されると、駆動装置30が作動して作動レバー7を反時計回りに旋回させることができる。
【0032】
[0031]本発明による自動車用ロック21の設計の利点、すなわち、電気モータ23の電気接触点31、32をドライチャンバ33内に配置することができ、それによって電気接触点31、32、および/または、更なるマイクロスイッチおよび/または、更なる制御ラインまたは供給ラインも天候の影響から保護されることがここに示される。
【0033】
[0032]
図2には、別のボーデンケーブルを収容するための別の軸受点も設けられており、これにより、たとえば、ドライチャンバ3内のロック機構を作動させることができる。
【0034】
[0033]
図3は、完成した自動車用ロック21の3次元図である。自動車ロック用ハウジング35と、ドライチャンバ33を密封するロックハウジング用カバー36とが示されている。第1のボーデンケーブル4は、内部作動レバー29を作動させるように機能し、別のボーデンケーブル37は、ロック装置を作動させるように機能する。ボーデンケーブル4、37は、ボーデンケーブル4、37の自動車ロック用ハウジング35への密封接続が可能になるように、プラスチック製スリーブ15、38によって自動車ロック用ハウジングに接続される。ロック用ケース39は、自動車ロック用ハウジング35を包囲し、同時に、別のボーデンケーブル40の軸受点として機能する。別のボーデンケーブル40は、たとえば、閉鎖装置41の一部とすることができる。次に、閉鎖装置は、自動車用ロック21の湿った領域に係合し、ロック機構をプレキャッチ位置からメインキャッチ位置に移行させることができる。大きな力を吸収することができるように、閉鎖装置41の軸受点42はロック用ケース39によって形成される。
【0035】
[0034]ロックハウジング用カバー36には、プラグソケット43も配置されており、ロックハウジング用カバー36は、ドライチャンバ33内の電気構成部品44を同時に包囲する。
【0036】
[0035]本発明による自動車用ロックの設計は、自動車用ロック1、21のドライチャンバ内で機械的機能を手動で作動させることも可能にする。その結果、ボーデンケーブル4、37、40の接続が簡略化されるだけでなく、環境の影響に関係なく、電気的、電子的及び機械的構成部品を自動車用ロック1、21内に収容することができるという利点も生じる。
【符号の説明】
【0037】
1、21…自動車用ロック、
2、33…ドライチャンバ、
3、35…自動車ロック用ハウジング、
4、37、40…ボーデンケーブル、
5…ボーデンケーブルコア、
6、29…レバー、外部作動レバー、内部作動レバー、
7…作動レバー、
8、17…軸、
9、23…電気モータ、
10、24…ウォーム、
11…ウォームギアホィール、
12…制御外形部、
13、39…ロック用プレート、ロック用ケース、
14…ボーデンケーブルシース、
15、38…プラスチック製スリーブ、
16、34、42…軸受点、
18、30…伴出部、
19、20、31、32…電気接触部、
22…盗難防止装置、
25…ウォームホィールセグメント、
26…調整レバー、
27…開放部、
28…円筒形拡張部、
36…ロックハウジング用カバー、
41…閉鎖装置、
43…プラグソケット、
44…電気構成部品、
P…矢印。
【国際調査報告】