(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】クレンジングバーおよびその組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/36 20060101AFI20241024BHJP
A61K 8/26 20060101ALI20241024BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20241024BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20241024BHJP
A61K 8/46 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
A61K8/36
A61K8/26
A61Q19/10
A61K8/44
A61K8/46
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525363
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 EP2022079707
(87)【国際公開番号】W WO2023072898
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-11-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100219265
【氏名又は名称】鈴木 崇大
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ウ,グオフイ
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB242
4C083AB441
4C083AB442
4C083AC121
4C083AC131
4C083AC241
4C083AC242
4C083AC302
4C083AC712
4C083AC782
4C083AC792
4C083AD042
4C083AD221
4C083AD241
4C083AD242
4C083CC23
4C083DD21
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
クレンジングバーであって、クレンジングバーの総重量に基づいて30~50重量%の遊離脂肪酸とクレンジングバーの総重量に基づいて0~16重量%の石鹸とを含む、クレンジングバーの総重量に基づいて5~50重量%の石鹸および遊離脂肪酸であって、遊離脂肪酸対石鹸の重量比が1:1より大きい、石鹸および遊離脂肪酸と、クレンジングバーの総重量に基づいて10~25重量%の非石鹸合成界面活性剤と、クレンジングバーの総重量に基づいて9~50重量%のゼオライトと、クレンジングバーの総重量に基づいて10~30重量%の水とを含み、8重量%のバースラリーから測定したクレンジングバーのpHが4.5~10である、クレンジングバー。バーは、良好なユーザ特性(例えば、泡立ち)を保持しながら、欠点なし(例えば、ざらつき、亀裂などがない)の高速押出プロセスによって製造される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレンジングバーであって、前記クレンジングバーが、
前記クレンジングバーの総重量に基づいて30~50重量%の遊離脂肪酸と前記クレンジングバーの総重量に基づいて0~16重量%の石鹸とを含む、前記クレンジングバーの総重量に基づいて5~50重量%の石鹸および遊離脂肪酸であって、遊離脂肪酸対石鹸の重量比が1:1より大きい、石鹸および遊離脂肪酸と、
前記クレンジングバーの総重量に基づいて10~25重量%の非石鹸合成界面活性剤と、
前記クレンジングバーの総重量に基づいて9~50重量%のゼオライトと、
前記クレンジングバーの総重量に基づいて10~30重量%の水と
を含み、
8重量%のバースラリーから測定した前記クレンジングバーのpHが4.5~10である、クレンジングバー。
【請求項2】
6~45重量%の石鹸および遊離脂肪酸、より好ましくは7~40重量%の石鹸および遊離脂肪酸を含み、遊離脂肪酸対石鹸の重量比が4.3:1より大きい、請求項1に記載のクレンジングバー。
【請求項3】
前記石鹸および遊離脂肪酸がC8-C24石鹸を含み、好ましくは、前記石鹸および遊離脂肪酸がC8-C18石鹸および遊離脂肪酸を含み、より好ましくは、前記石鹸および遊離脂肪酸がC16-C18石鹸および遊離脂肪酸を含む、請求項1または2に記載のクレンジングバー。
【請求項4】
前記石鹸および遊離脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のクレンジングバー。
【請求項5】
9~45重量%のゼオライトを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のクレンジングバー。
【請求項6】
10~20重量%の水、好ましくは12~18%の水を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のクレンジングバー。
【請求項7】
充填剤をさらに含み、好ましくは、前記充填剤が、グリセリン、デンプン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、糖、粘土、およびそれらの組み合わせを含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のクレンジングバー。
【請求項8】
さらに、10重量%~20重量%の合成界面活性剤を含み、好ましくは、前記合成界面活性剤が、アニオン性、非イオン性、両性、カチオン性、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のクレンジングバー。
【請求項9】
ポリオールをさらに含み、好ましくは、前記ポリオールがポリヒドロキシ化合物、糖、修飾炭水化物、ポリマー合成ポリオール、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記ポリヒドロキシ化合物がグリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記糖がソルビトール、マンニトール、スクロース、グルコース、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記修飾炭水化物が、加水分解デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記ポリマー合成ポリオールがポリアルキレングリコールを含み、好ましくは、前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載のクレンジングバー。
【請求項10】
前記クレンジングバーが、8重量%のバースラリーから測定した場合に5~9、好ましくは5~8.5のpHを有する、請求項1~9のいずれか一項に記載のクレンジングバー。
【請求項11】
前記クレンジングバーが、45℃で1~5キログラム、好ましくは45℃で2~3.75kg、より好ましくは45℃で3kgの硬度を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のクレンジングバー。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のクレンジングバーを調製する方法であって、前記方法が、
水および前記遊離脂肪酸または部分的に中和された脂肪酸および任意選択で石鹸を含有するミキサーに、ゼオライト粉末を添加することと、
前記ミキサーを75~80℃の温度に加熱することと、
非石鹸合成界面活性剤を前記ミキサーに添加し、5分間混合することと、
任意選択で、ポリオール、クエン酸、およびデンプンを前記ミキサーに添加し、少なくとも100℃の温度で少なくとも15分間混合して最終混合物を形成することと、
最終混合物を冷間圧延してフレークにすることと、
前記フレークを押し出して押出物を形成することと、
前記押出物を型打ちして前記クレンジングバーにすることと
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のクレンジングバーを調製する方法であって、前記方法が、
遊離脂肪酸または部分的に中和された脂肪酸および任意選択で石鹸をミキサーに加えることと、
非石鹸合成界面活性剤を前記ミキサーに添加することと、
少なくとも100℃の温度で少なくとも5分間混合物を混合することと、
任意選択で、ポリオール、クエン酸、およびデンプンを前記ミキサーに添加し、5分間混合することと、
ゼオライト粉末を前記ミキサーに添加することと、
前記混合物を冷却圧延してフレークにすることと、
前記混合物を押し出して押出物を形成することと、
前記押出物を型打ちして前記クレンジングバーにすることと
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書では、クレンジングバーが開示される。クレンジングバーは、石鹸および遊離脂肪酸と、ゼオライトと、水とを含む組成物を含む。
【背景技術】
【0002】
刺激がなく、皮膚に対して穏やかであり、保湿剤、抗菌活性物質などの有益剤を送達する能力を有する、望ましいクレンジング効果を有する皮膚クレンジング製剤を提供することが常に必要とされている。低濃度の石鹸および遊離脂肪酸(FFA)、ならびに低濃度の合成界面活性剤を有しつつ、良好な使用中の特性を保持する中性pHバーは、皮膚への穏やかさならびに芳香剤および活性物質の可用性の向上などの利点を提供するので、望ましい。クレンジング製剤のpHは、有益剤の安定性および送達、ならびに皮膚の天然タンパク質および脂質の維持に直接影響するため、皮膚への穏やかさに関連する重要な属性の1つである。
【0003】
クレンジングバーは、一般に、2つの経路のうちの1つによって調製される。1つは鋳造バー経路として知られており、他方は粉砕および圧出経路として知られている(押出経路としても知られている)。鋳造バー経路は、本質的に、総脂肪物質(TFM)が低いクレンジングバーの調製に非常に適している。TFMは、クレンジング組成物の品質を定義する一般的な方法である。TFMは、鉱酸、通常は塩酸で割った後にクレンジング組成物のサンプルから分離することができる脂肪物質、主に脂肪酸の総量として定義される。鋳造クレンジングバーにおいて、石鹸混合物を多価アルコールと混合し、鋳型に注ぎ、冷却し、次いで、クレンジングバーを鋳型から取り出す。鋳造バー経路は、比較的低いスループット率でバーを製造することを可能にする。
【0004】
粉砕および圧出経路では、クレンジング組成物を高含水量で調製し、次いで噴霧乾燥させて水分含有量を減らし、石鹸を冷却した後、他の成分を添加する。次いで、石鹸を圧出機に通して押し出し、任意選択で切断および型打ちして、最終的なクレンジングバーを調製する。粉砕および圧出されたバーは、一般に、60~80重量%の量の高いTFMを有する。
【0005】
粉砕および圧出されたクレンジングバーは、押出クレンジングバーとしても知られている。それらは非常に多くの異なるタイプの石鹸から構成される。
【0006】
60~80重量%のTFMに加えて、パーソナルウォッシュのために押出ルートを通して現在調製されているクレンジングバーは、約14~約22重量%の水を含有する。持続可能な技術を開発する必要があり、1つの手法は、より低いTFM含有量を有し、洗浄効力を損なうことなく含水量を増加させることによって石鹸を開発することである。これらの技術は、リン酸アルミニウムの包含またはケイ酸カルシウムのその場生成のような、石鹸バーを構造化する手法を含む。そのような技術は、洗濯用途のためのバーを調製するのに有用であるが、そのような材料は、あまり皮膚に優しくなく、したがってパーソナルウォッシュには適していない。単にTFMをより多量の水で置き換えると、石鹸塊の押出中に問題を引き起こし、さらに押し出されたバーは粘着性であり、容易に型打ちすることができない。他の手法には、ベントナイトまたはカオリナイトのような天然アルミノケイ酸塩粘土を含めることが含まれるが、それらは少量でバーを構造化するのにあまり効率的ではないことが分かっている。
【0007】
したがって、所望のクレンジングバー特性の対応する損失なしに、より低いTFMおよびより高い含水量を有するクレンジングバーが継続的に必要とされている。
【0008】
Farrellらの米国特許第6,849,585号明細書は、低濃度の合成界面活性剤(25重量%未満)および最低65重量%の脂肪酸石鹸とFFAとの組み合わせを有するバーを開示している。請求項は、バーが15重量%未満の水を含むことを規定しており、実施例から、バーが最大9重量%の水を含むことは明らかである。Farrellらで構造化剤として使用している脂肪酸石鹸およびFFAを考えると、バーの多くは、10重量%を超える含水量では十分な硬度を有さないことが十分あり得る。
【0009】
Kefauverらの米国特許第5,607,909号明細書は、30重量%~85重量%の調整脂肪酸石鹸と、3重量%~30重量%の合成界面活性剤と、15重量%~35重量%の水とを含むパーソナルクレンジングフリーザーバーを開示しており、調整脂肪酸石鹸は、65重量%~95重量%のナトリウム石鹸と5重量%~35重量%のマグネシウム石鹸との混合物である。KefauverのバーのpHは、明細書または特許請求の範囲のいずれにも明記されていない。それらの泡立ち石鹸がC8、C10、C12、C18:1、およびC18:2脂肪酸石鹸の群から選択されることを考えると、pHは8.5をはるかに超え得る。そうでなければ、8.5未満のpHでは、そこに開示されるバーは、泡立ちが乏しい遊離脂肪酸を主に含有するであろう。
【0010】
Agarkhedらの国際公開第2020/169409号は、40重量%~75重量%の石鹸と、3重量%~20重量%のゼオライトと、22重量%~35重量%の水とを含む押出バーを開示している。そこに開示されているバーのpHは、好ましくは9~11である。Agarkhedらのバーは2~15重量%の遊離脂肪酸を含んでいてもよいので、遊離脂肪酸の濃度は石鹸の濃度よりも低い。
【0011】
Gilbertらの米国特許第5,211,870号明細書は、2重量%~30重量%の遊離脂肪酸と、0~15重量%の石鹸と、4~32%の飽和長鎖(C15-C22)合成界面活性剤と、20~70重量%の穏やかな泡立ちの界面活性剤とを含む悪臭のないクレンジングバーを開示しており、合成界面活性剤は石鹸より多い。
【0012】
泡立ちなどの優れた使用時特性を維持しながら、石鹸/FFA濃度および非石鹸合成界面活性剤濃度を同時に低下させながら、水分含有量が増加したクレンジングバーを製造することが継続的に望まれている。例えば、泡立ちなどの優れた使用時特性を維持しながら、石鹸/FFA濃度および非石鹸合成界面活性剤濃度を同時に低下させながら、水分含有量が多い中性に近いpHを有する穏やかなクレンジングバーを製造することが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】米国特許第6,849,585号明細書
【特許文献2】米国特許第5,607,909号明細書
【特許文献3】国際公開第2020/169409号
【特許文献4】米国特許第5,211,870号明細書
【発明の概要】
【0014】
様々な態様において、クレンジングバーおよびその組成物が開示される。
【0015】
クレンジングバーは、クレンジングバーの総重量に基づいて30~50重量%の遊離脂肪酸とクレンジングバーの総重量に基づいて0~16重量%の石鹸とを含む、クレンジングバーの総重量に基づいて5~50重量%の石鹸および遊離脂肪酸であって、遊離脂肪酸対石鹸の重量比が1:1より大きい、石鹸および遊離脂肪酸と、クレンジングバーの総重量に基づいて10~25重量%未満の非石鹸合成界面活性剤と、クレンジングバーの総重量に基づいて93~50重量%のゼオライトと、クレンジングバーの総重量に基づいて10~30重量%の水とを含み、8重量%のバースラリーから測定したクレンジングバーのpHが4.5~10である組成物を含む。測定は25℃で行う。
【0016】
これらおよび他の特徴および特性を以下でより詳細に説明する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
低濃度の脂肪酸石鹸とFFAの組み合わせ(例えば、50重量%以下)と、低濃度の非石鹸合成界面活性剤(例えば、25重量%未満)と、9~50重量%のゼオライトと、10~30重量%の水とを含むクレンジングバーを本明細書で開示する。FFAの濃度は、好ましくは石鹸の濃度よりも高い(FFA対石鹸の比が1:1より大きい)ので、クレンジングバーのpHは中性に近い(例えば、5~8.5)。バーは、良好なユーザ特性(例えば、泡立ち)を保持しながら、高速押出プロセスで製造される。高速押出プロセスによるとは、バーが、ざらつき、亀裂などの欠点なしに、毎分200バー以上の速度で押出、切断、および型打ちすることができることを意味する。
【0018】
本発明のクレンジングバーは、はるかに低い濃度の石鹸とFFAの組み合わせ(すなわち、50%以下)、および高い含水量(少なくとも12%、好ましくは15%超)を含む。さらに、クレンジングバーは、TA.XTテクスチャーアナライザーによって測定して、45℃で少なくとも3.0Kgの硬度を有する。本発明のクレンジングバーは、マグネシウム石鹸を必要としない。さらに、本出願におけるバーのpHは、4.5~10、好ましくは5~9、より好ましくは5~8.5であり、これは皮膚の自然なpHに近い。
【0019】
合成界面活性剤が少なく、脂肪酸石鹸と遊離脂肪酸の組み合わせが低濃度である場合に、バーが泡立ちなどの非常に良好な使用時特性を保持することを発見することは驚くべきことであり、予想外であった。本取り組みの前に、ゼオライトを中性pHバーに適用して、水分含有量を増加させ(10重量%超、好ましくは12重量%超)、同時に石鹸およびFFA濃度を低下させ(50重量%以下)、非石鹸合成濃度を低下させた(25重量%未満、好ましくは21重量%未満)バーはなかった。
【0020】
さらに、本明細書に開示されるのは、ゼオライトの濃度が3重量%を超える中性pHバーを調製する方法である。バー製造におけるゼオライトの処理は、プロセスがゼオライト添加に敏感であるため、困難である。不適切な処理は、通常、非常にざらざらしたバーをもたらす。本明細書に開示されるプロセスでは、驚くべきことに、3重量%を超える濃度のゼオライトを含有しながら、ざらつきおよび亀裂を含まないようにすることができるバーを発見した。バーは、好ましくは、高速押出プロセスによって調製される。
【0021】
クレンジングバーおよびその組成物が本明細書に開示される。クレンジングバーは、石鹸および遊離脂肪酸と、ゼオライトと、水とを含む組成物を含む。予想外にも、ゼオライトを含み、より高い含水量であっても、ざらざらしていないクレンジングバーを製造できることが見出された。例えば、クレンジングバー組成物は、50重量%以下の石鹸および遊離脂肪酸と、25重量%未満の合成界面活性剤と、3~50重量%のゼオライトと、10~30重量%の水とを含有することができ(その中に包含されるありとあらゆる範囲を含む)、重量%は、クレンジングバー組成物全体における%重量を指す。例えば、クレンジングバー組成物は、5~50重量%の量で存在することができる。遊離脂肪酸の濃度は、好ましくは石鹸の濃度よりも高い(遊離脂肪酸対石鹸の比が1:1より大きい)。例えば、石鹸と遊離脂肪酸の組み合わせにおいて、遊離脂肪酸は、67%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100重量%の量で存在することができ、石鹸は、33%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、または0重量%の量で存在することができる。クレンジングバー組成物中の50重量%以下の濃度のこれらの量において、遊離脂肪酸は、クレンジングバー組成物全体中に33.5、35、37、40、42.5、45、47.5、または50重量%の量で存在することができ、石鹸は、16、15、12.5、10、7.5、5、2.5、または0重量%の量で存在することができる。例えば、遊離脂肪酸は、30~50重量%、例えば30~45重量%、例えば30.5~40重量%、例えば32~40重量%、例えば30.5~32.8重量%の量で存在することができ、重量%は、クレンジングバー組成物全体における%重量を指す。石鹸は、0~16重量%、例えば0~12重量%、例えば2~10重量%の量で存在することができ、重量%は、クレンジングバー組成物全体における%重量を指す。中性pH(例えば、pH4~10、pH5~9、pH5~8.5)クレンジングバーは、本明細書に開示される配合を用いて得ることができる。
【0022】
本明細書に記載のクレンジングバーは、成形された固体の形態である石鹸とFFAとの組み合わせを含むクレンジングバー組成物を指す。クレンジングバーは、パーソナルクレンジングに特に有用であり得る。クレンジングバーは、所望の局所表面、例えば、身体、毛髪、頭皮および/または顔を洗浄するために使用される界面活性剤の量を一般的に含むウォッシュオフ製品である。クレンジングバーを局所表面に適用し、その上に数秒間または数分間だけ放置し、その後大量の水で洗い流す。
【0023】
本明細書で言及される石鹸は、脂肪酸の塩を意味する。石鹸は、C8-C24脂肪酸の石鹸であり得る。石鹸の基本構造には、以下の構造を有する長い疎水性(水を嫌う)炭化水素「尾部」および親水性(水を好む)アニオン性「頭部」が含まれる。
【0024】
CH3(CH2)nCOO-
炭化水素鎖の長さ(「n」)は、油脂の種類によって異なる。カルボキシレート(COO-)頭部上のアニオン電荷は、通常、正に帯電したカリウム(K+)またはナトリウム(Na+)カチオンのいずれかによって平衡される。本明細書に開示されるクレンジングバーは、一般に、低分子量石鹸(C8-C24石鹸)を含み、これは一般に水溶性である。例えば、石鹸は、C8-C18石鹸、例えばC10-C14石鹸、例えばC16-C18石鹸を含むことができる。石鹸は、クレンジングバー組成物の20重量%未満の量で存在することができる。例えば、石鹸は、0、2.5、5、7.5、10、12.5、15、または16重量%(その中に包含されるありとあらゆる範囲を含む)の量で存在することができ、重量%は、クレンジングバー組成物全体に存在する重量パーセントを指す。石鹸は、0~16重量%、例えば0~12重量%、例えば2~10重量%の量で存在することができ、重量%は、クレンジングバー組成物全体における%重量を指す。不飽和脂肪酸石鹸は、クレンジングバー組成物の総石鹸含有量に含めることができる。不飽和石鹸はオレイン酸石鹸であり得る。存在する場合、不飽和石鹸は、0重量%~15重量%の量で存在することができる。好ましくは、飽和脂肪酸石鹸および遊離脂肪酸は、不飽和脂肪酸よりも優勢であるべきであり、飽和および不飽和石鹸/遊離脂肪酸の比は、少なくとも4.3:1より大きく、より好ましくは5:1より大きくなければならない。
【0025】
水不溶性構造体を使用することができるが、40~100℃、より好ましくは少なくとも50℃、特に50℃~90℃の融点を有することも必要とされる。特に想定される望ましい材料は、脂肪酸、特に12~24個の炭素原子の炭素鎖を有するものである。例は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキドン酸、ベヘン酸およびそれらの混合物である。これらの脂肪酸の供給源は、ココナツ、トップドココナツ、パーム、パーム核、ババス、および獣脂脂肪酸、ならびに部分的または完全に硬化した脂肪酸または蒸留脂肪酸である。他の望ましい水不溶性構造体としては、炭素原子8~20個のアルカノール、特にセチルアルコールが挙げられる。これらの材料は、一般に、20℃で5g/リットル未満の水溶性を有する。
【0026】
脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ラノール酸、イソステアリン酸、アラキドン酸、ヒドロキシステアリン酸、またはそれらの組み合わせから選択することができる。好ましくは、脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0027】
石鹸塩の典型的なものは、このような脂肪酸のアルカリ金属またはアルカノールアンモニウム塩であるが、その他の金属塩、例えばマグネシウム塩も使用することができる。このような酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、モノ-、ジ-およびトリ-エタノールアンモニウム塩は、本明細書で使用するための望ましい石鹸の1つである。
【0028】
石鹸は、中和された脂肪酸であり得る。中和された脂肪酸は、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、ラノール酸、イソステアリン酸、アラキドン酸、ヒドロキシステアリン酸、またはそれらの組み合わせから選択することができる。好ましくは、脂肪酸は、ステアリン酸、パルミチン酸、またはそれらの組み合わせから選択される。
【0029】
石鹸を製造する際、脂肪または油中のトリグリセリドは、水酸化ナトリウムなどの強アルカリ塩基の存在下で加熱され、グリセロール1分子当たり3分子の石鹸を生成する。このプロセスは鹸化と呼ばれる。カチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属、またはアンモニウムイオンであり得る。好ましくは、カチオンはアルカリ金属である。例えば、カチオンは、ナトリウムまたはカリウムから選択することができる。好ましくは、カチオンはナトリウムである。石鹸は飽和または不飽和であり得る。飽和石鹸は、安定性の目的で不飽和石鹸よりも好ましい場合がある。油または脂肪酸は、植物由来または動物由来であり得る。
【0030】
石鹸バーを作製するために一般に使用される脂肪または油は、獣脂、獣脂ステアリン、パーム油、パームステアリン、ダイズ油、魚油、ヒマシ油、米ぬか油、ヒマワリ油、ココナツ油、ババス油およびパーム核油から選択することができる。脂肪酸は、ココナツ、米ぬか、落花生、獣脂、パーム、パーム核、綿実油またはダイズ由来であり得る。
【0031】
脂肪酸石鹸は合成的に調製することもできる(例えば、石油の酸化によって、またはフィッシャー・トロプシュ法による一酸化炭素の水素化によって)。トール油中に存在するものなどの樹脂酸も使用することができる。ナフテン酸も使用することができる。
【0032】
好ましくは、石鹸はパルミチン酸、ステアリン酸またはそれらの組み合わせの塩を含む。石鹸は、パルミチン酸とステアリン酸の塩を1:1の比で含むことができる。
【0033】
クレンジングバー組成物は、組成物の50重量%以下、例えば9~50重量%、例えば9~45重量%、例えば12~45重量%、例えば14~43重量%(その中に包含されるありとあらゆる範囲を含む)量のゼオライトを含む。ゼオライトは、水和アルミノケイ酸塩である。一実施形態では、ゼオライトは、クレンジングバー組成物全体の重量による%に基づいて、9~15重量%の量で存在することができる。それらの構造は、酸素原子によって配位されたAlO4およびSiO4の相互結合したテトラヒドロの三次元フレームワークにある。ゼオライトは、アルミニウム、酸素、およびケイ素の元素から構築された比較的開いた三次元結晶構造を有する固体であり、アルカリ金属またはアルカリ土類金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはマグネシウムなど)およびそれらの間の隙間に捕捉された水分子を含む。ゼオライトは多くの異なる結晶構造を有し、それらは非常に規則的な配置で小分子とほぼ同じサイズの大きな開孔(空洞と呼ばれることもある)を有する。
【0034】
その結晶単位格子に基づくゼオライトの構造式(SiO2とAlO2の両方を変数とする)は、以下によって表すことができ、
Ma/n(AlO2)a(SiO2)b.wH2O
式中、Mはカチオン(例えば、ナトリウム、カリウムまたはマグネシウム)であり、wは単位格子あたりの水分子の数であり、aおよびbはそれぞれ単位格子あたりのAlおよびSiの四面体の総数であり、nは金属イオンの価数である。b/aの比は、通常、1~5で変化する。
【0035】
例えば、モルデナイトの場合、化学式はNa8(AlO2)8(SiO2)40であり、
式中a=8、b=40であり、b/aは5である。
【0036】
ゼオライト4Aの場合、化学式はNa96(AlO2)96(SiO2)96であり、
式中、a=96、b=96であり、b/aは1である。
【0037】
いくつかのゼオライトはb/a値を有し、この値は、例えばZSM-5型ゼオライトについては、10~100またはさらに高い値まで変化する。
【0038】
クレンジングバー組成物に使用するための好ましいゼオライトには、ゼオライト4A、ゼオライト5A、ゼオライト13Aまたはゼオライト3Aが含まれ、最も好ましいゼオライトはゼオライト4Aである。
【0039】
クレンジングバー組成物は、クレンジングバー組成物の30重量%以下、例えば12~30重量%、例えば10~20重量%の量の水を含む(その中に包含されるありとあらゆる範囲を含む)。
【0040】
クレンジングバー組成物は遊離脂肪酸を含む。クレンジングバー組成物は、30~50重量%の遊離脂肪酸を含むことができる。例えば、クレンジングバー組成物は、石鹸バー組成物中に存在する石鹸との組み合わせに基づいて、33.5、35、37.5、40、42.5、45、47.5、または50重量%の遊離脂肪酸を含むことができる。例えば、遊離脂肪酸は、30~50重量%、例えば30~45重量%、例えば30.5~40重量%、例えば32~40重量%、例えば30.5~32.8重量%の量で存在することができ、重量%は、クレンジングバー組成物全体における%重量を指す。遊離脂肪酸の濃度は、好ましくは石鹸の濃度よりも高い(遊離脂肪酸対石鹸の比が1:1より大きい)。遊離脂肪酸とは、Hに結合した炭化水素鎖および末端カルボキシル基を含むカルボン酸を意味する。適切な脂肪酸はC8-C22脂肪酸である。好ましい脂肪酸は、C12-C18、好ましくは主に飽和直鎖脂肪酸である。しかしながら、いくつかの不飽和脂肪酸も使用することができる。飽和および不飽和の石鹸/遊離脂肪酸の比は、少なくとも4.3:1より大きく、より好ましくは5:1より大きくなければならない。
【0041】
組成物は、好ましくは、多価アルコール(ポリオールとも呼ばれる)またはポリオールの混合物を含む。ポリオールは、高度に水溶性である複数のヒドロキシル基(少なくとも2つ、好ましくは少なくとも3つ)を有する化合物を示すために本明細書で使用される用語である。多くの種類のポリオールが利用可能であり、以下を含む:グリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせなどの比較的低分子量の短鎖ポリヒドロキシ化合物;ソルビトール、マンニトール、スクロース、グルコース、またはそれらの組み合わせなどの糖;加水分解デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、またはそれらの組み合わせなどの修飾炭水化物;およびポリマー合成ポリオール、例えば、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリオキシエチレングリコール(PEG)、ポリオキシプロピレングリコール(PPG)、またはそれらの組み合わせ。特に好ましいポリオールは、グリセロール、ソルビトール、またはそれらの組み合わせである。最も好ましいポリオールはグリセロールである。クレンジングバー組成物は、0~8重量%、好ましくは1~7.5重量%のポリオールを含むことができる(その中に包含されるありとあらゆる範囲を含む)。
【0042】
クレンジングバー組成物は、電解質および水を含んでもよい。本明細書に記載の電解質は、水中で実質的にイオンに解離する化合物を含む。本明細書に開示される電解質は、イオン性界面活性剤を含まない。クレンジングバー作製プロセスに含めるのに望ましい電解質は、アルカリ金属塩である。好ましいアルカリ金属塩には、硫酸ナトリウム、塩化ナトリウム、酢酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウム、炭酸ナトリウム、およびアルカリ土類金属の他のモノまたはジまたはトリ塩が含まれ、より好ましい電解質は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化カリウムであり、特に好ましい電解質は、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである。誤解を避けるために、電解質が非石鹸材料であることを明らかにする。存在する場合、電解質は、クレンジングバー組成物全体の0.1~6%、より好ましくは0.5~6%、さらにより好ましくは0.5~5%、さらに好ましくは0.5~3%、最も好ましくは1~3重量%の量で含まれる。電解質は、石鹸を形成するための鹸化工程中にクレンジングバーに含まれることが好ましい。
【0043】
組成物は、最初に脂肪チャージをアルカリで鹸化し、続いて従来の圧出機で混合物を押し出すことを含むプロセスによって、クレンジングバーにすることができる。次いで、圧出塊を所望のサイズに切断し、所望の印で型打ちしてもよい。クレンジングバーの望ましい特徴は、クレンジングバーの含水量が多いにもかかわらず、このように押出によって調製された組成物は、望ましい印で型打ちするのが容易であることが分かっていることである。
【0044】
最終的なクレンジングバー組成物を構成する様々な任意選択の成分は、以下に記載される通りである。
【0045】
クレンジングバー組成物に使用される補助剤/充填剤材料の総濃度は、クレンジングバー組成物の重量の50%以下、好ましくは1~50%、より好ましくは3~45%の量であるべきである。
【0046】
使用され得る適切なデンプン質材料としては、天然デンプン(トウモロコシ、コムギ、イネ、ジャガイモ、タピオカなどに由来)、アルファ化デンプン、様々な物理的および化学的に修飾されたデンプン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。天然デンプン(natural starch)という用語は、化学的または物理的修飾を受けていないデンプンを意味し、生デンプンまたは天然デンプン(native starch)としても知られる。生デンプンは、直接使用するか、またはデンプンが部分的または完全にアルファ化されるように、クレンジングバー組成物を製造するプロセス中に修飾することができる。
【0047】
補助剤/充填剤系は、材料の1つまたは組み合わせを含む不溶性粒子を含んでいてもよい。不溶性粒子とは、固体粒子形態で存在し、パーソナルウォッシュに適した材料を意味する。好ましくは、鉱物(例えば、無機)または有機粒子が存在する。
【0048】
不溶性粒子は、引っかかりまたは粒状として知覚されるべきではなく、したがって、300マイクロメートル以下、より好ましくは100マイクロメートル以下、最も好ましくは50マイクロメートル以下の粒径を有するべきである。
【0049】
望ましい無機粒状材料としては、タルクおよび炭酸カルシウムが挙げられる。タルクは、層状ケイ酸塩構造およびMg3Si4(OH)22の組成を有するケイ酸マグネシウム鉱物材料であり、水和形態で入手可能であり得る。これは板状の形態を有し、本質的に親油性/疎水性である、すなわち水ではなく油で濡れる。
【0050】
炭酸カルシウムまたはチョークは、カルサイト、アラゴナイトおよびバテライトの3つの結晶形態で存在する。カルサイトの天然の形態は、アラゴナイトについては菱面体晶または立方晶、針状または樹状であり、バテライトについては回転楕円体である。
【0051】
他の任意選択の不溶性無機粒状材料の例としては、アルミン酸塩、ケイ酸塩(例えば、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなど)、リン酸塩、不溶性硫酸塩、ホウ酸塩、および粘土(例えば、カオリン、陶土)、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0052】
有機粒状材料としては、不溶性多糖類、例えば高度に架橋されたまたは不溶化されたデンプン(例えば、コハク酸オクチルなどの疎水性物質との反応による)およびセルロース;種々のポリマー格子および懸濁ポリマーなどの合成ポリマー;不溶性石鹸ならびにそれらの混合物が挙げられる。
【0053】
本明細書に開示されるクレンジングバー組成物は、ポリマーを含むことができる。アクリレートクラスのポリマーが特に好ましい。好ましいバーは、0.05~5重量%のアクリレート、好ましくは0.01~3重量%のアクリレートを含む。アクリレートポリマーの例としては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第2,798,053号に記載されているような、ポリアリルスクロースで架橋されたアクリル酸のポリマーおよびコポリマーが挙げられる。他の例としては、ポリアクリレート、アクリレートコポリマーまたはアルカリ膨潤性エマルジョンアクリレートコポリマー、疎水変性アルカリ膨潤性コポリマー、およびアクリル酸の架橋ホモポリマーが挙げられる。このような市販のポリマーの例は、ACULYN(登録商標)、CARBOPOL(登録商標)、およびCARBOPOL(登録商標)Ultrezグレードシリーズである。
【0054】
クレンジングバー組成物は、好ましくは0.1~25重量%、好ましくは5~15重量のこれらの鉱物または有機粒子を含む。
【0055】
乳白剤は、パーソナルケア組成物中に存在していてもよい。乳白剤が存在する場合、クレンジングバーは一般に不透明である。乳白剤としては、二酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。不透明な石鹸組成物が望まれる場合に使用することができる特に好ましい乳白剤は、例えばラウリルエーテル硫酸ナトリウム中20%溶液の形態のエチレングリコールモノ-またはジ-ステアレートである。代替の乳白剤はステアリン酸亜鉛である。
【0056】
製品は、無色透明、すなわち透明な石鹸の形態をとることができ、この場合、乳白剤を含まない。
【0057】
本明細書に開示されるクレンジングバーは、4.5~10、好ましくは5~9、より好ましくは5~8.5のpHを有する。
【0058】
本明細書に開示されるクレンジングバーは界面活性剤を含む。界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、またはそれらの組み合わせを含むことができる。存在する場合、クレンジングバーは、界面活性剤を25重量%以下、好ましくは24重量%以下、より好ましくは21重量%以下の量で含むことができる。例えば、クレンジングバーは、クレンジングバーの総重量に基づいて、10~25重量%の界面活性剤、例えば10~20重量%の界面活性剤を含有することができる。
【0059】
使用されるアニオン性界面活性剤は、脂肪族スルホネート、例えば第一級アルカン(例えば、C8-C22)スルホネート、第一級アルカン(例えば、C8-C22)ジスルホネート、C8-C22アルケンスルホネート、C8-C22ヒドロキシアルカンスルホネートまたはアルキルグリセリルエーテルスルホネート(AGS);またはアルキルベンゼンスルホネートなどの芳香族スルホネートを含むことができる。アニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩(例えば、C12-C18アルキル硫酸塩)またはアルキルエーテル硫酸塩(アルキルグリセリルエーテル硫酸塩を含む)であってもよい。アルキルエーテル硫酸塩の中には、以下の式を有するものがあり、
RO(CH2CH2O)nSO3M
式中、Rは8~18個の炭素、好ましくは12~18個の炭素を有するアルキルまたはアルケニルであり、nは少なくとも1.0、好ましくは5未満、最も好ましくは1~4の平均値を有し、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化カチオンである。
【0060】
アニオン性界面活性剤は、アルキルスルホスクシネート(モノ-およびジアルキル、例えばC6-C22スルホスクシネートを含む);アルキルおよびアシルタウレート(多くの場合、メチルタウレート)、アルキルおよびアシルサルコシネート、スルホアセテート、C8-C22アルキルホスフェートおよびホスホネート、アルキルホスフェートエステルおよびアルコキシルアルキルホスフェートエステル、アシルラクテート、C8-C22モノアルキルスクシネートおよびマレエート、スルホアセテート、アルキルグルコシドおよびアシルイセチオネートなどであってもよい。
【0061】
スルホスクシネートは、以下の式を有するモノアルキルスルホスクシネート
R1OC(O)CH2CH(SO3M)CO2M;
および以下の式のアミド-MEAスルホスクシネートであってもよく:
R1CONHCH2CH2OC(O)CH2CH(SO3M)CO2M
式中、R1はC8-C22アルキルの範囲である。
【0062】
サルコシネートは、一般に、以下の式によって示され、
R2CON(CH3)CH2CO2M、式中、R2はC8-C20アルキルの範囲である。
【0063】
タウレートは、一般に、以下の式によって同定され、
R3CONR4CH2CH2SO3M
式中、R3はC8-C20アルキルであり、R4はC1-C4アルキルである。
【0064】
Mは、前述のように可溶化カチオンである。
【0065】
本明細書に開示されるクレンジング組成物は、C8-C18アシルイセチオネートを含有し得る。これらのエステルは、アルカリ金属イセチオネートと、6~18個の炭素原子および20未満のヨウ素価を有する混合脂肪族脂肪酸との反応によって調製される。混合脂肪酸の少なくとも75%は12~18個の炭素原子を有し、最大25%は6~10個の炭素原子を有する。
【0066】
アシルイセチオネートは、Ilardiらの米国特許第5,393,466号「ポリアルコキシル化イセトン酸の脂肪酸エステル」1995年2月28日発行(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどのアルコキシル化イセチオネートであってもよい。この化合物は、以下の一般式を有し、
R5C-(O)O-C(X)H-C(Y)H-(OCH2-CH2)m-SO3M
式中、R5は8~18個の炭素を有するアルキル基であり、mは1~4の整数であり、XおよびYはそれぞれ独立して水素、または1~4個の炭素を有するアルキル基であり、Mは前述の可溶化カチオンである。
【0067】
クレンジング組成物の一態様では、使用されるアニオン性界面活性剤は、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、ラウリル硫酸アンモニウム、ペルフルオロノナン酸アンモニウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウム、ラウロイルサルコシン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、スルホコハク酸ナトリウムエステル、ラウロイルイセチオン酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせである。このようなアニオン性界面活性剤は、Galaxy Surfactants、Clariant、Sino Lion、Stepan CompanyおよびInnospecなどの供給業者から市販されている。
【0068】
本明細書に開示されるクレンジングバーには、両性界面活性剤を含めることができる。両性界面活性剤(pHに依存して双性イオン性であり得る)としては、アシルアンホアセテート酸ナトリウム、アシルアンホプロピオン酸ナトリウム、アシルアンホジ酢酸二ナトリウムおよびアシルアンホジプロピオン酸二ナトリウムが挙げられ、アシル(すなわち、アルカノイル基)はC7-C18アルキル部分を含むことができる。両性界面活性剤の実例としては、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、ココアンホ酢酸ナトリウム、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0069】
本発明のクレンジングバーに使用される双性イオン性界面活性剤に関して、そのような界面活性剤は少なくとも1つの酸基を含む。このような酸基は、カルボン酸基またはスルホン酸基であってもよい。それらはしばしば第四級窒素を含み、したがって第四級アミノ酸であり得る。それらは、一般に、7~18個の炭素原子のアルキルまたはアルケニル基を含むべきであり、一般に、以下の全体的な構造式に適合し、
R6-[-C(O)-NH(CH2)q-]r-N+(R7)(R8)-A-B
式中、R6は炭素数7~18のアルキルまたはアルケニルであり;R7およびR8は、それぞれ独立して、炭素数1~3のアルキル、ヒドロキシアルキルまたはカルボキシアルキルであり;qは2~4であり;rは0~1であり;Aはヒドロキシルで置換されていてもよい炭素原子1~3個のアルキレンであり、Bは-CO2-または-SO3-である。
【0070】
本明細書に開示されるクレンジングバーおよび上記一般式内で使用するための望ましい双性イオン性界面活性剤には、以下の式の単純なベタイン
R6-N+(R7)(R8)-CH2CO2-
および以下の式のアミドベタインが含まれ、
R6-CONH(CH2)t-N+(R7)(R8)-CH2CO2-
式中、tは2または3である。
【0071】
両方の式において、R6、R7およびR8は先に定義した通りである。R6は、特に、基R6の少なくとも半分、好ましくは少なくとも3/4が10~14個の炭素原子を有するように、ココナツ油由来のC12およびC14アルキル基の混合物であり得る。R7およびR8は、好ましくはメチルである。
【0072】
さらなる可能性は、双性イオン性界面活性剤が以下の式のスルホベタインであり、
R6-N+(R7)(R8)-(CH2)3SO3-または
R6-CONH(CH2)u-N+(R7)(R8)-(CH2)3SO3-
式中、uは2または3であるか、またはこれらの変異体であり、変異体は(CH2)3SO3-が-CH2C(OH)(H)CH2SO3
-に置換されている。
【0073】
これらの式において、R6、R7およびR8は先に定義した通りである。
【0074】
使用に望ましい双性イオン性界面活性剤の例示的な例としては、ラウリルベタイン、クエン酸ベタイン、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ココアミドプロピルベタイン、ココアルキルジメチルベタイン、およびラウリルアミドプロピルベタインなどのベタインが挙げられる。使用に適した追加の双性イオン性界面活性剤としては、ココアミドプロピルスルタイン、例えばコカミドプロピルヒドロキシスルタインが挙げられる。好ましい双性イオン性界面活性剤には、ラウリルベタイン、クエン酸ベタイン、ヒドロキシメチルグリシン酸ナトリウム、(カルボキシメチル)ジメチル-3-[(1-オキソドデシル)アミノ]プロピルアンモニウムヒドロキシド、ココアルキルジメチルベタイン、(カルボキシメチル)ジメチルオレイルアンモニウムヒドロキシド、ココアミドプロピルベタイン、(カルボキシメチル)ジメチルオレイルアンモニウムヒドロキシド、ココアミドプロピルベタイン、(カルボキシラトメチル)ジメチル(オクタデシル)アンモニウム、コカミドプロピルヒドロキシスルタイン、またはそれらの組み合わせが含まれる。そのような界面活性剤は、Stepan Company、Solvay、Evonikなどの供給業者から市販されており、上述の界面活性剤の混合物を使用することは、本明細書に開示されているクレンジングバーの範囲内である。
【0075】
非イオン性界面活性剤をクレンジングバーに使用することができる。使用される場合、非イオン性界面活性剤は、典型的には、0.5、1、1.5または2重量%という低い濃度、および6、8、10または12重量%という高い濃度で使用される。使用され得る非イオン性界面活性剤には、特に、疎水性基および反応性水素原子を有する化合物、例えば脂肪族アルコール、酸、アミドまたはアルキルフェノールと、アルキレンオキシド、特にエチレンオキシド単独またはプロピレンオキシドとの反応生成物が含まれる。具体的な非イオン性界面活性剤化合物は、アルキル(C6-C22)フェノール、エチレンオキシド縮合物、脂肪族(C8-C18)第一級または第二級直鎖または分岐アルコールとエチレンオキシドとの縮合生成物、ならびにエチレンオキシドとプロピレンオキシドおよびエチレンジアミンの反応生成物との縮合によって製造される生成物である。他の非イオン性界面活性剤としては、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖第三級ホスフィンオキシド、ジアルキルスルホキシドなどが挙げられる。
【0076】
一態様では、非イオン性界面活性剤は、以下の構造を有する脂肪酸/アルコールエトキシレートを含むことができ、a)HOCH2(CH2)s(CH2CH2O)c Hまたはb)HOOC(CH2)v(CH2CH2O)d H、式中、sおよびvはそれぞれ独立して18以下の整数であり、cおよびdはそれぞれ独立して1以上の整数である。一態様では、sおよびvはそれぞれ独立して6~18であり得、cおよびdはそれぞれ独立して1~30であり得る。非イオン性界面活性剤の他の選択肢としては、式HOOC(CH2)i-CH=CH-(CH2)k(CH2CH2O)z Hを有するものが挙げられ、式中、i、kはそれぞれ独立して5~15であり、zは5~50である。別の態様では、iおよびkはそれぞれ独立して6~12であり、zは15~35である。
【0077】
非イオン性界面活性剤はまた、多糖アミドなどの糖アミドを含んでもよい。具体的には、界面活性剤は、Auらの米国特許第5,389,279号「非イオン性糖脂質界面活性剤を含む組成物」(1995年2月14日発行)(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているラクトビオンアミドの1つであってもよく、またはKelkenbergの米国特許第5,009,814号「液体水性界面活性剤系用の増粘剤としてのN-ポリヒドロキシアルキル脂肪酸アミドの使用」(1991年4月23日発行)(参照により本出願に組み込まれる)に記載されている糖アミドの1つであってもよい。
【0078】
本明細書に開示されるクレンジングバーに使用することができる非イオン性界面活性剤の実例としては、ポリグリコシド、セチルアルコール、デシルグルコシド、ラウリルグルコシド、オクタエチレングリコールモノドデシルエーテル、n-オクチルベータ-d-チオグルコピラノシド、オクチルグルコシド、オレイルアルコール、ポリソルベート、ソルビタン、ステアリルアルコール、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0079】
一態様では、カチオン性界面活性剤を本出願のクレンジングバー組成物に使用することができる。
【0080】
カチオン性界面活性剤の1つのクラスには、セチルまたはステアリルピリジニウムクロリド、アルキルアミドエチルピリリノジウム(pyrrylinodium)メチルサルフェート、およびラピリウムクロリドなどの複素環アンモニウム塩が含まれる。
【0081】
テトラアルキルアンモニウム塩は、使用のためのカチオン性界面活性剤の別の有用なクラスである。例としては、セチルまたはステアリルトリメチルアンモニウムクロリドまたはブロミド;水素化パームまたはタロウトリメチルアンモニウムハライド;ベヘニルトリメチルアンモニウムハライドまたはメチルサルフェート;デシルイソノニルジメチルアンモニウムハライド;ジタロウ(またはジステアリル)ジメチルアンモニウムハライド、およびベヘニルジメチルアンモニウムクロリドが挙げられる。
【0082】
使用され得るカチオン性界面活性剤のさらに他のタイプは、様々なエトキシル化第四級アミンおよびエステル第四級アミンである。例としては、PEG-5ステアリルアンモニウムラクテート(例えば、Clariant社製Genamin KSL)、PEG-2ココアンモニウムクロリド、PEG-15水素化タロウアンモニウムクロリド、PEG15ステアリルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルエチルメチルアンモニウムクロリド、ジパルミトイルヒドロキシエチルメチルサルフェートおよびステアリルアミドプロピルジメチルアミンラクテートが挙げられる。
【0083】
さらに他の有用なカチオン性界面活性剤には、絹、小麦、およびケラチンタンパク質の四級化加水分解物が含まれ、上述のカチオン性界面活性剤の混合物を使用することはクレンジングバーの範囲内である。
【0084】
使用される場合、カチオン性界面活性剤は、クレンジングバーの1.0重量%以下を構成する。存在する場合、カチオン性界面活性剤は、典型的には、クレンジングバーの重量の0.01~0.7%、より典型的には0.1~0.5%を構成する(その中に包含される全ての範囲を含む)。
【0085】
クレンジングバーは、さらに、最大30重量%の皮膚有益剤を含むことができる。「皮膚有益剤」という用語は、皮膚の含水量を増加させるか、脂質および他の皮膚栄養素を添加または置換するか、またはその両方によって皮膚(角質層)の弾力性、外観および若さを軟化または改善し、その含水量の減少を遅らせることによって皮膚を柔らかく保つ物質として定義される。適切な皮膚有益剤の中には、例えば、疎水性皮膚軟化剤、親水性皮膚軟化剤、またはそれらのブレンドを含む皮膚軟化剤が含まれる。好ましい有益剤には、保湿剤、皮膚軟化剤、日焼け止め剤、および老化防止化合物が含まれる。
【0086】
望ましくは、本明細書に開示されるクレンジングバーに使用される任意選択の皮膚有益剤には、ナイアシンアミド(ビタミンB3)、トコフェロール(ビタミンE)、アロエベラ、α-ヒドロキシ酸およびエステル、β-ヒドロキシ酸およびエステル、ヒドロキシエチル尿素、ポリヒドロキシ酸およびエステル、クレアチン、ヒドロキノン、t-ブチルヒドロキノン、クワ、ヒアルロン酸およびその塩(それらのNa+塩およびK+塩を含むがこれらに限定されない)、抽出物、リコリスエキス、レゾルシノール誘導体、またはそれらの組み合わせが含まれる。例えば、皮膚有益剤はヒアルロン酸ナトリウムであり得る。ヒアルロン酸ナトリウムを含むそのような有益剤は、クレンジングバー組成物の総重量に基づいて、0.0001~10%、例えば0.001~6.5%、例えば0.01~3.5%、例えば0.01重量%の量で存在することができる(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0087】
さらなる任意要素の水溶性皮膚有益剤には、アルギニン、バリンまたはヒスチジンのようなアミノ酸などの酸が含まれる。ビタミンB2、ピコリンアミド、パンテノール(ビタミンB5)、ビタミンB6、ビタミンC、それらの組み合わせなどの他のビタミンを使用することができる。誘導体(一般に、何か他のものから開発されたまたは得られた何かを意味する)、特に、そのようなビタミンの水溶性誘導体も使用することができる。例えば、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウムおよびアスコルビルグリコシドなどのビタミンC誘導体を単独でまたは互いに組み合わせて使用することができる。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)などのナイアシンアミド誘導体を、単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。使用することができる他の皮膚有益剤としては、4-エチルレゾルシノール、抽出物、例えばセージ、アロエベラ、緑茶、サトウキビ、柑橘類、ブドウ種子、タイム、カモミール、ヤロウ、キュウリ、リコリス、ローズマリー抽出物、またはそれらの組み合わせが挙げられる。NaClおよび/またはKCl、MgCl2などの電解質も使用することができる。本明細書に開示されるバーの中に存在する場合、任意の水溶性有益剤(混合物を含む)の総量は、クレンジングバーの総重量に基づいて、0.0001~10%、好ましくは0.001~6.5%、最も好ましくは0.01~3.5重量%であり得る(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。
【0088】
油溶性有益剤を含んでもよいことも本クレンジングバーの範囲内である。本明細書中に開示されるクレンジングバーに使用されてもよい油溶性有益剤のタイプの実例としては、ステアリン酸のような成分、ビタミンA、D、EおよびKのようなビタミン(およびそれらの油溶性誘導体)が挙げられる。
【0089】
使用のための他の任意選択の油溶性有益剤としては、レゾルシノールおよびレゾルシノール誘導体、例えば4-ヘキシルレゾルシノール、4-フェニルエチルレゾルシノール、4-シクロペンチルレゾルシノール、4-シクロヘキシルレゾルシノール4-イソプロピルレゾルシノールまたはそれらの組み合わせが挙げられる。また、5-置換レゾルシノール、例えば4-シクロヘキシル-5-メチルベンゼン-1,3-ジオール、4-イソプロピル-5-メチルベンゼン-1,3-ジオール、これらの組み合わせなどを使用してもよい。5-置換レゾルシノールおよびそれらの合成は、同一出願人による米国特許出願公開第2016/0000669号に記載されている。
【0090】
使用することができるさらに他の油溶性有益剤としては、オメガ-3脂肪酸、オメガ-6脂肪酸、クリンバゾール、マグノロール、ホノキオール、ファルネソール、ウルソール酸、ミリスチン酸、ゲラニルゲラニオール、オレイルベタイン、ココイルヒドロキシエチルイミダゾリン、ヘキサノイルスフィンゴシン、12-ヒドロキシステアリン酸(12HSA)、ペトロセリン酸、共役リノール酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、テルピネオール、チモール必須成分、およびリモネン、ピネン、カンフェン、シメン、シトロネロール、シトロネラール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、ロジノール、ボルネオール、イソボルネオール、メントン、カンフル、サフロール、イソサフロール、オイゲノール、イソオイゲノール、ティーツリー油、ユーカリ油、ペパーミント油、ニーム油、レモングラス油、オレンジ油、ベルガモット油から選択される溶解反応助剤、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0091】
使用され得る別の任意選択の油溶性有益剤は、レチノイン酸前駆体である。レチノイン酸前駆体は、レチノール、レチナール、レチニルエステル、プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニル、酢酸レチニルまたはそれらの組み合わせであり得る。プロピオン酸レチニル、パルミチン酸レチニルおよびそれらの組み合わせが典型的に好ましい。使用のためのさらに別のレチノイン酸前駆体は、Molecular Design Internationalによって供給されるRetextra(登録商標)という名称で市販されているヒドロキシアナサチルレチノエートである。これは、本明細書に記載の油溶性有益剤のいずれとも組み合わせて使用することができる。
【0092】
任意の(すなわち、0.0~1.5重量%)油溶性有益剤がクレンジングバーに使用される場合、それは、典型的には、クレンジングバー全体の重量の0.001~1.5%の量(その中に包含される全ての値および範囲を含む)、例えば、クレンジングバー組成物の総重量の0.05~1.2重量%、例えば0.2~0.5重量%の量で存在する。
【0093】
他の有用な皮膚有益剤としては、以下が挙げられる。
【0094】
(a)直鎖および環状ポリジメチルシロキサンなどのシリコーン油およびその修飾物;アミノ、アルキル、アルキルアリールおよびアリールシリコーン油;
(b)ホホバ、大豆、ヒマワリ、米ぬか、アボカド、アーモンド、オリーブ、ゴマ、パーシック、ヒマシ、ココナツ、ミンク油などの天然油脂を含む油脂類;カカオ脂;牛脂、ラード;上記油を水素添加して得られる硬化油;ミリスチン酸グリセリドおよび2-エチルヘキサン酸グリセリドなどの合成モノ、ジおよびトリグリセリド;
(c)カルナウバ、鯨蝋、蜜蝋、ラノリンおよびそれらの誘導体などのワックス;
(d)疎水性および親水性植物抽出物;
(e)流動パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクアレン、プリスタンおよび鉱油などの炭化水素;
(f)ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ラノール酸、イソステアリン酸、アラキドン酸およびポリ不飽和脂肪酸(PUFA)などの高級脂肪酸;
(g)ラウリル、セチル、ステアリル、オレイル、ベヘニル、コレステロールおよび2-ヘキシデカノールアルコールなどの高級アルコール;
(h)オクタン酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール、モノステアリン酸グリセロール、モノラウリル酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、乳酸アルキル、クエン酸アルキルおよび酒石酸アルキルなどのエステル;
(i)ハッカ、ジャスミン、樟脳、ヒノキ、トウヒ、リュー(ryu)、テレビン油、シナモン、ベルガモット、ウンシュウミカン、ショウブ、マツ、ラベンダー、ベイ、クローブ、ヒバ、ユーカリ、レモン、スターフラワー、タイム、ペパーミント、バラ、セージ、ゴマ、ショウガ、バジル、ジュニパー、レモングラス、ローズマリー、ローズウッド、アボカド、ブドウ、ブドウ種子、ミルラ、キュウリ、ウォータークレス、カレンデュラ、エルダーフラワー、ゼラニウム、リンデン、アマランス、海藻、イチョウ、人参、ニンジン、ガラナ、ティーツリー、ホホバ、コンフリー、オートミール、ココア、ネロリ、バニラ、緑茶、ペニーロイヤルミント、アロエベラ、メントール、シネオール、オイゲノール、シトラール、シトロネル、ボルネオール、リナロール、ゲラニオール、月見草、樟脳、チモール、スピラントール、ペネン、リモネンおよびテルペノイド油などの精油およびその抽出物;
(j)グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコールなどの多価アルコール;およびポリエチレングリコールなどのポリオール、例としては、Polyox WSR-205 PEG 14M、Polyox WSR-N-60K PEG 45M、またはPolyox WSR-N-750、およびPEG 7M;
(k)欧州特許第556,957号明細書に記載のコレステロール、セラミド、スクロースエステルおよび擬似セラミドなどの脂質;
(l)ビタミン類、ミネラル類、および乳、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンKなどの皮膚栄養素;ビタミンCアルキルエステルを含むビタミンアルキルエステル;マグネシウム、カルシウム、銅、亜鉛および他の金属成分;
(m)オクチルメトキシシンナメート(Parsol MCX)、ブチルメトキシベンゾイルメタン(Parsol 1789)などの日焼け止め剤;
(n)リン脂質;ならびに
(o)α-ヒドロキシ酸およびβ-ヒドロキシ酸などの老化防止化合物。
【0095】
好ましい皮膚有益剤には、脂肪酸、炭化水素、多価アルコール、ポリオール、およびそれらの混合物が含まれ、少なくとも1つのC12-C18脂肪酸、ペトロラタム、グリセロール、ソルビトール、および/またはプロピレングリコールを含む皮膚軟化剤は、1つまたは複数の実施形態において特に興味深い。薬剤は、クレンジングバーを作製するプロセス中の適切な工程で添加され得る。いくつかの有益剤は、マクロドメインとして導入され得る。
【0096】
酸化防止剤、香料、ポリマー、キレート剤、着色剤、脱臭剤、染料、酵素、泡ブースター、殺菌剤、抗菌剤、泡立ち剤、真珠光沢剤、皮膚コンディショナー、安定剤、または過脂肪剤などの他の任意選択の成分を、バーを製造するプロセスにおいて適切な量で添加してもよい。好ましくは、成分は鹸化工程の後に添加される。メタ重亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ホウ砂、またはエチレンヒドロキシジホスホン酸(EHDP)を製剤に添加することができる。
【0097】
クレンジングバー組成物中に存在し得るさらなる任意選択の成分は、例えば、芳香剤;エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(EDTA)、エタンヒドロキシルジホスホネート(EHDP)、およびエチドロン酸、別名1-ヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)などの金属イオン封鎖剤およびキレート剤;着色剤;乳白剤、および真珠光沢剤、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、TiO2、モノステアリン酸エチレングリコール(EGMS)、ジステアリン酸エチレングリコール(EGDS)またはLytron 621(スチレン/アクリレート共重合体)など;pH調整剤;酸化防止剤、例えばブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)など;安定剤;泡立ち促進剤、例えば、ココナツアシルモノエタノールアミドまたはジエタノールアミドなど;イオン化塩、例えば塩化ナトリウムおよび硫酸ナトリウム、ならびにクレンジングバー組成物に従来使用されているような他の成分である。そのような追加の任意選択成分の総量は、パーソナルクレンジング配合物の総重量に基づいて、典型的には0~10重量%、より詳細には0.1~5重量%である。
【0098】
本明細書に開示されるクレンジングバーは、抗菌効果をもたらすために使用することができる。これらの利益をもたらすために含まれ得る抗菌剤には、微量作用金属またはその化合物が含まれる。好ましい金属は、銀、銅、亜鉛、金、アルミニウム、またはaである。銀が特に好ましい。イオン形態では、それは塩または任意の適用可能な酸化状態の任意の化合物として存在し得る。好ましい銀化合物は、酸化銀、硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、安息香酸銀、サリチル酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、リン酸銀、またはそれらの組み合わせであり、酸化銀、硫酸銀およびクエン酸銀は、1つまたは複数の実施形態において特に興味深い。少なくとも1つの態様において、銀化合物は酸化銀である。微量作用金属またはその化合物は、クレンジングバー組成物の重量の0.0001~2%、好ましくは0.001~1%の量で含まれ得る。あるいは、精油抗菌活性物質がクレンジングバー組成物に含まれてもよい。含まれ得る精油活性物質は、テルピネオール、チモール、カルバコール、(E)-2(プロパ-1-エニル)フェノール、2-プロピルフェノール、4-ペンチルフェノール、4-sec-ブチルフェノール、2-ベンジルフェノール、オイゲノール、またはそれらの組み合わせである。さらに、好ましい精油活性物質は、テルピネオール、チモール、カルバクロール、チモール、またはそれらの組み合わせであり、最も好ましいのはテルピネオールもしくはチモール、またはそれらの組み合わせである。存在する場合、精油活性物質は、組成物の重量の0.001~1%、好ましくは0.01~0.5%の量で含まれ得る。
【0099】
使用され得るさらに他の成分としては、オクトピロックス(ピロクトン)、亜鉛ピリチオン、クロロキシレノール、トリクロサン、セチルピリジニウムクロリド、ならびに酸化銀、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、安息香酸塩、それらの組み合わせなどを含む銀化合物が挙げられる。使用される場合、これらの他の成分は、典型的には、クレンジングバー全体の重量の0.001~1.6%(その中に包含される全ての値および範囲を含む)、好ましくは0.01~1.2重量%を構成する。
【0100】
防腐剤を本明細書に開示されるクレンジングバーに使用してもよい。使用される場合、使用のための例示的な防腐剤としては、安息香酸ナトリウム、ヨードプロピニルブチルカルバメート、フェノキシエタノール、ヒドロキシアセトフェノン、エチルヘキシルグリセリン、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニル尿素、デヒドロ酢酸ナトリウム、ジメチル-ジメチル(DMDM)ヒダントインおよびベンジルアルコールまたはそれらの組み合わせが挙げられる。使用に適した他の防腐剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、クロロフェネシンおよびデシレングリコールが挙げられる。防腐剤は、好ましくは、クレンジングバーの総重量の0.01%~2.0重量%の量で使用される(その中に包含される全ての値および範囲を含む)。ヒドロキシアセトフェノン単独または他の防腐剤との混合物を含む防腐剤系も好ましい。
【0101】
香料、固定剤、乳白剤(二酸化チタンまたはグリコールジステアレートなど)、およびキレート剤が、クレンジングバーに含まれていてもよい。可能なキレート剤としては、限定されないが、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、ジエチレントリアミン五酢酸五ナトリウム、N-(ヒドロキシエチル)-エチレンジアミンtr酢酸三ナトリウム、EDTAの酸形態、チオシアン酸ナトリウム、メチルグリシン二酢酸の三ナトリウム塩、グルタミン酸四ナトリウム二酢酸およびフィチン酸が挙げられ、好ましくはキレート剤はエチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、またはそれらの組み合わせである。これらの物質の各々は、クレンジングバー全体の重量の約0.03~約3%(その中に包含される全ての値および範囲を含む)、好ましくは約0.1~約2.6重量%の量で存在し得る。
【0102】
本明細書に開示されるクレンジングバーは、プロトコルにおいて本明細書に記載されるTA.XTテクスチャーアナライザーによって測定される、45℃で1~5キログラム、好ましくは45℃で2~3.75kgの硬度を有することができる。
【0103】
本明細書に開示されるクレンジングバーは、カールフィッシャー滴定によって測定して10~20%、好ましくは12~16%の水分量を有する。
【0104】
本明細書に開示されるクレンジングバーを調製するためのプロセスも企図される。クレンジングバーを調製する方法では、ゼオライト粉末を、水および遊離脂肪酸(または部分的に中和された脂肪酸)を含有するミキサーに添加することができる。ミキサーは、約75~約80℃の温度に加熱することができる。加熱後、ポリオールおよび非石鹸界面活性剤をミキサーに添加し、少なくとも1~約5分間混合することができる。製剤中に存在する場合、クエン酸およびデンプンをミキサーに添加し、少なくとも100℃の温度で少なくとも15分間混合することができる。次いで、最終混合物を冷間圧延してフレークにし、フレークを押し出して押出物を形成することができる。押出物を型打ちしてクレンジングバーにすることができる。
【0105】
クレンジングバーを調製するための別のプロセスでは、遊離脂肪酸をミキサー内で部分的に添加または中和することができる。次いで、ポリオールおよび非石鹸界面活性剤をミキサーに添加して、混合物を形成することができる。混合物を少なくとも100℃の温度で少なくとも5分間混合することができる。製剤中に存在する場合、クエン酸およびデンプンをミキサーに添加し、約5分間混合することができる。次いで、ゼオライト粉末をミキサーに加えることができる。最終混合物を冷間圧延してフレークにすることができ、フレークを押し出して押出物を形成することができる。次いで、押出物を型打ちしてクレンジングバーにすることができる。
【0106】
このようなプロセスは、予想外にも、50重量%以下のゼオライトを含有するものであっても、ざらつきのないクレンジングバーを作製することが見出された。以前は、このようなバーは非常にざらざらしており、これは消費者にとって望ましくない特徴であった。
【0107】
他に明示的に示されている場合を除いて、材料の量または反応の条件、材料の物理的特性および/または使用を示す本明細書の全ての数字は、「約」という語によって修飾されると理解されてもよい。全ての量は、特に明記しない限り、最終組成物の重量による。
【0108】
濃度または量の任意の範囲を指定する際に、任意の特定の上限濃度を、任意の特定の下限濃度または量、ならびにその中で消費される任意の部分範囲に関連付けることができることに留意されたい。その点に関して、本明細書に開示される全ての範囲は、終点を含み、終点は、互いに独立して組み合わせることができることに留意されたい(例えば、「25重量%まで、またはより具体的には5重量%~20重量%の範囲は、5重量%~25重量%の範囲の終点および全ての中間値を含む、など)。「組み合わせは、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを含む。さらに、本明細書における「第1」、「第2」などの用語は、順序、量、または重要性を示すものではなく、ある要素を別の要素から区別するために使用される。本明細書における「1つの(a)」および「1つの(an)」および「その(the)」という用語は、量の限定を意味するものではなく、本明細書において別段の指示がない限り、または文脈と明らかに矛盾しない限り、単数形および複数形の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書で使用される接尾辞「(s)」は、それが修飾する用語の単数および複数の両方を含み、それによって用語の1つまたは複数を含むことを意図している(例えば、film(s)は、1つまたは複数の膜を含む)。本明細書全体を通して、「一実施形態」、「一態様」、「別の実施形態」、「別の態様」、「実施形態」、「態様」などへの言及は、実施形態または態様に関連して説明される特定の要素(例えば、特徴、構造、および/または特性)が、本明細書に記載される少なくとも1つの実施形態または態様に含まれ、他の実施形態または態様には存在してもしなくてもよいことを意味する。さらに、記載された要素は、様々な実施形態または態様において任意の適切な方法で組み合わせることができることを理解されたい。
【0109】
全ての引用された特許、特許出願、および他の参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。しかしながら、本出願の用語が、組み込まれた参照の用語と矛盾または対立する場合、本出願の用語は、組み込まれた参照の矛盾する用語よりも優先される。特定の態様が記載されているが、現時点で予測されない、または予測されない可能性がある代替、修正、変形、改善、および実質的な等価物が、出願人または他の当業者に生じる可能性がある。したがって、出願された添付の特許請求の範囲およびそれらが補正され得る添付の特許請求の範囲は、全てのそのような代替、修正、変形、改善、および実質的な均等物を包含することが意図されている。
【0110】
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」を意味することを意図しているが、必ずしも「から構成される(consisting of)」または「から構成される(composed of)」を意味するものではない。言い換えれば、列挙されたステップ、選択肢、または代替物は網羅的である必要はない。
【0111】
本明細書に見られる本発明の開示は、特許請求の範囲が複数の従属性または冗長性なしに見出され得るという事実にかかわらず、互いに複数従属するものとして特許請求の範囲に見られる全ての態様を網羅するとみなされるべきである。特に明記しない限り、「xからy」の形式で表される数値範囲は、xおよびyを含むと理解される。値または量の任意の範囲を指定する際に、任意の特定の上限値または量を任意の特定の下限値または量に関連付けることができる。本明細書に含まれる全ての百分率および比は、特に指示しない限り、重量によって計算される。上記の個々のセクションで言及された本発明の様々な特徴は、適切な場合、必要に応じて他のセクションに適用される。したがって、1つのセクションで指定された特徴は、必要に応じて他のセクションで指定された特徴と組み合わせることができる。任意のセクションの見出しは便宜上追加されているにすぎず、決して本開示を限定することを意図するものではない。
【0112】
[実施例]
以下の実施例は、本明細書に開示されるクレンジングバー組成物の単なる例示であり、本明細書の範囲を限定することを意図しない。
【0113】
以下の実施例では、バーを以下のプロセスに従って調製し、ゼオライト粉末を、水および遊離脂肪酸(または部分的に中和された脂肪酸)を含有するミキサーに添加した。ミキサーを75~80℃の温度まで加熱した。加熱後、合成界面活性剤をミキサーに添加した。混合物を5分間混合した。ポリオール、クエン酸、およびデンプン(使用する場合)をミキサーに添加し、少なくとも100℃の温度で20分間混合した。次いで、最終混合物を冷間圧延してフレークにし、フレークを押し出して押出物を形成した。押出物を型打ちしてクレンジングバーにした。
【0114】
試験プロトコルに記載されているように、クレンジングバーを、泡立ち、ざらつき、亀裂、硬度およびpHを含む様々な特性について試験した。バーの水分をカールフィッシャー滴定によって測定した。表1は、例1~3のクレンジングバー組成物を列挙する。全ての量は、クレンジングバー組成物の重量%で列挙される。POLYOX(商標)は、Dow Chemicalから市販されている水溶性ポリエチレングリコール(PEG-45M)を指す。
【0115】
バー評価プロトコル
バー硬度:
バー硬度は、TA.XT Plusテクスチャーアナライザーで測定した。測定では、30度円錐プローブが10mm/分の速度でバーに貫入するときの抵抗力を記録した。硬度の読み取り値を、目標貫入距離15mmでの力(Kg)とした。サンプルあたり少なくとも3回の測定を行い、平均化した。バーのサイズは、円錐の貫入(15mm)よりもはるかに大きい。硬度測定の直前に、バーを45℃で少なくとも30分間平衡状態にした。したがって、本願では、硬度力を45℃でKgで測定した。
【0116】
泡立ち試験
クレンジングバーを、訓練された評価者によって一定温度で規定の水硬度下で評価した。
【0117】
試験装置および条件は以下の通りであった。
【0118】
流水量を制御した:2.5L/分またはボウル
10リットルのボウルに30℃の水を入れた(現地国の硬度)
メトロノームおよびストップウォッチを160/0に設定した。
【0119】
温度計
ざらつきおよび砂質モックアップをサンプルの比較およびスコアの定義に関する評価を助けるために使用した。
【0120】
評価は、訓練されたオペレータによって手袋なしで行った。
【0121】
泡立ち評価の手順:
i.前処理:評価を開始する前に、バーを流水下で濡らし、手の間で、180°で20回ねじることにより、乾燥した表面層を除去した。次いで、バーをトレイ上に戻した。
【0122】
ii.バーを取り、クロノメーターでカウントした5秒内に、メトロノームのペースで12回、ボウルに浸し水から出して回転させた。
【0123】
iii.バーをトレイ上に置いた。
【0124】
iv.左手の背を右手で1回拭いて、両手に発生した泡を集めた。
【0125】
v.手を3回ねじった。
【0126】
vi.泡立ち量を分析した。
【0127】
泡立ち量の属性は、以下の尺度に従って測定した。
【0128】
【0129】
「適度に多い」および「かなり多い」の泡立ち量を良好な泡立ち特性とする。
【0130】
ざらつきの評価
ざらつきを含む使用中のバーの感触を、訓練された評価者によって、定義された定性的尺度に従って評価した。
【0131】
モックアップの洗浄:
i.平らなベース上にモックアップを整列させた。
【0132】
ii.モックアップを湿らせ、それらを大量の泡で、水の外で石鹸洗いした。
【0133】
iii.モックアップを手のひらの上で滑らせ、指の先端をその表面上に静かに通過させて、ざらつきおよび砂のような手触りのレベルを定量化する。
【0134】
前処理:
iv.より良い結果を得るためには、バーの外側乾燥表面を除去するために、流水下またはボウル内でタブレットを60回回転させなければならない。
【0135】
評価:
v.タブレットを25℃の水中で約1分間回転させ、以下の尺度に従ってサンプル上のざらつきのレベルを評価した。モックアップの使用は、基準として評価中に推奨された。
【0136】
vi.vi.40℃の水中で手順vを繰り返す(付記6i参照)。パラメータを評価することが困難な場合は、バー表面の上に指の先端を使用する。
【0137】
【0138】
「ざらつきなし」および「ざらつきの痕跡」のざらつき尺度は許容可能であり、滑らかなバーとみなした。
【0139】
亀裂評価
亀裂は、バーの連続的な洗浄および乾燥によりバー上に蓄積する亀裂の評価として定義することができる。
【0140】
この方法は、通常の消費者使用中のバーの使用をシミュレートすることを意図したものであった。バーを、制御された条件下で、1日6回、4日間、間隔を置いて洗浄した。各洗浄後、バーを制御された条件で保存した。周囲条件下で3日間乾燥させた後、亀裂評価を行った。
【0141】
洗浄および亀裂評価に必要な装置:
水切り付きの石鹸トレイ
水切りなしの石鹸トレイ
10リットル容量の洗浄ボウル
手術用手袋
洗浄手順:
i.試験は、最初の朝に石鹸トレイにバーを置くことによって開始した。
【0142】
ii.10mLの水(室温および適切な硬度)を計測し、水切りなしのトレイ(25°および40℃)に注いだ。
【0143】
iii.各バーを以下のように洗浄した。
【0144】
(a)洗浄ボウルを、適切な硬度および所望の温度(25℃または40℃)の約5リットルの水で満たした。
【0145】
(b)手術用手袋を着用してバーを水中に浸し、水よりも上で手の中で15回(毎回180°)ねじった。
【0146】
(c)(b)を繰り返した。
【0147】
(d)泡を洗い流すために、バーを再び水に浸した。
【0148】
(e)バーをその石鹸トレイ上に戻し、上面が最上部になるようにした。
【0149】
iv.4日間連続して1日6回、各日中に等間隔の間隔で、完全な洗浄手順を実施した。各洗浄後におもて面を交互に下にして置いた。洗浄と洗浄の間に、石鹸トレイは、制御された室内条件で、オープンベンチまたは水切りボード上に置かれるべきである。
【0150】
v.各日の終わりに、
乾燥条件の変動を最小限に抑えるために、ベンチ上の各石鹸トレイ/バーの位置を変更した。
【0151】
水切りなしの石鹸トレイ(25℃および40℃)は、水切りして10mLの水(周囲温度)を補充した。適切な水硬度を考慮する。
【0152】
vi.4日目の最後の洗浄後、全ての石鹸トレイをすすぎ、乾燥させ、各バーをその石鹸トレイ上に置いた。
【0153】
vii.5日目に、サンプルを両面乾燥できるように裏返した。
【0154】
viii.8日目に、訓練された評価者がバーを調べ、以下の0~5の尺度に従って亀裂の程度を記録した。
【0155】
0-亀裂なし
1-小さく浅い亀裂:
1.1-最低度
1.2-最大度
2-小および中程度の深い亀裂:
2.1-最低度
2.2-最大度
3-中程度および深い亀裂:
3.1-最低度
3.2-最大度
4-大きく深い亀裂:
4.1-最低度
4.2-最大度
5-非常に大きく非常に深い亀裂:
5.1-最低度
5.2-最大度
亀裂は尺度3まで許容可能である。本明細書に開示されるバーでは、バーの亀裂尺度は0~2であった。
【0156】
バーpHの評価
25℃でデジタルpH計を用いて以下の手順によって調製した8重量%のバースラリーからpHを読み取る。
【0157】
装置:
・ビーカー
・磁気撹拌子(直径3~4.75cm)
・磁気ミキサー(IKA Werke RCT Basic)
・おろし器(孔径2mm)
・プラスチックラップ
・VWRベンチトップpH計
手順:
1.バーをすりつぶしてチップにした。
【0158】
2.DI水92gを計測して、150mLビーカーに入れた。撹拌子を加え、蒸発を防ぐためにプラスチックラップで覆った。
【0159】
3.石鹸チップ8gを計測した。石鹸チップを撹拌ビーカー(約200RPM)に添加し、蒸発を避けるためにプラスチックラップで覆った。
【0160】
4.4時間撹拌した。わずかな渦を維持するためにスラリーの粘度に応じて撹拌速度を調整した。典型的には薄い懸濁液で始め、次いで濃い段階を経て、最終的に再び薄くなる。
【0161】
調製した8重量%のバースラリーのpHを、ベンチトップpH計で読み取る。測定は25℃で行う。
【0162】
【0163】
例1~3の硬度値はいずれも3.0Kg以上であった。硬度値が3.0以上であることは、バーが高スループットライン上で処理されるのに十分な硬度であることを示す。比較例AおよびBから分かるように、ゼオライトが3.0重量%または0重量%である場合、このようなバーは、高スループットラインで処理するのに十分な硬度を有していない。理論に束縛されることを望むものではないが、ゼオライトは水を構造化し、バーのモルタルをより堅くし、これにより、より高い水の濃度でバー硬度が増加すると考えられる。例1~3によっても、3%未満のゼオライトが存在しないかまたは存在する比較例AおよびBと比較して、より高い含水量が実証される。pH値が7.4~8.2であることが分かったので、ゼオライトの含有は、クレンジングバーのpHに悪影響を及ぼさないことがさらに確認された。
【0164】
【0165】
【0166】
ゼオライトを含み、より高い含水量であっても、ざらざらしていないクレンジングバーを製造できることが分かった。バーの平滑性は加工に敏感であり、不適切な加工は、比較例C-処理1に示すように、重度のざらつきを有するバーをもたらし得る。本明細書に開示されるバーにおいて、驚くほど滑らかであり、良好な使用時特性を保持するバーを製造するための加工手順が開示される。
【0167】
処理2を介した例4は、良好な特性を有する滑らかなバーを提供し、これは、比較例Cと比較してより高いゼオライト含有量のために14.2%のより高い水分を含有する。
【手続補正書】
【提出日】2024-07-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレンジングバーであって、前記クレンジングバーが、
前記クレンジングバーの総重量に基づいて30~50重量%の遊離脂肪酸と前記クレンジングバーの総重量に基づいて0~16重量%の石鹸とを含む、前記クレンジングバーの総重量に基づいて5~50重量%の石鹸および遊離脂肪酸であって、遊離脂肪酸対石鹸の重量比が1:1より大きい、石鹸および遊離脂肪酸と、
前記クレンジングバーの総重量に基づいて10~25重量%の非石鹸合成界面活性剤と、
前記クレンジングバーの総重量に基づいて9~50重量%のゼオライトと、
前記クレンジングバーの総重量に基づいて10~30重量%の水と
を含み、
8重量%のバースラリーから測定した前記クレンジングバーのpHが4.5~10である、クレンジングバー。
【請求項2】
6~45重量%の石鹸および遊離脂肪酸、より好ましくは7~40重量%の石鹸および遊離脂肪酸を含み、遊離脂肪酸対石鹸の重量比が4.3:1より大きい、請求項1に記載のクレンジングバー。
【請求項3】
前記石鹸および遊離脂肪酸がC8-C24石鹸を含み、好ましくは、前記石鹸および遊離脂肪酸がC8-C18石鹸および遊離脂肪酸を含み、より好ましくは、前記石鹸および遊離脂肪酸がC16-C18石鹸および遊離脂肪酸を含む、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項4】
前記石鹸および遊離脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、またはそれらの組み合わせを含む、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項5】
9~45重量%のゼオライトを含む、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項6】
10~20重量%の水、好ましくは12~18%の水を含む、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項7】
充填剤をさらに含み、好ましくは、前記充填剤が、グリセリン、デンプン、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム、炭酸カルシウム、糖、粘土、およびそれらの組み合わせを含む、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項8】
さらに、10重量%~20重量%の合成界面活性剤を含み、好ましくは、前記合成界面活性剤が、アニオン性、非イオン性、両性、カチオン性、またはそれらの組み合わせを含む、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項9】
ポリオールをさらに含み、好ましくは、前記ポリオールがポリヒドロキシ化合物、糖、修飾炭水化物、ポリマー合成ポリオール、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記ポリヒドロキシ化合物がグリセロール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記糖がソルビトール、マンニトール、スクロース、グルコース、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記修飾炭水化物が、加水分解デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、またはそれらの組み合わせを含み、好ましくは、前記ポリマー合成ポリオールがポリアルキレングリコールを含み、好ましくは、前記ポリアルキレングリコールがポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項10】
前記クレンジングバーが、8重量%のバースラリーから測定した場合に5~9、好ましくは5~8.5のpHを有する、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項11】
前記クレンジングバーが、45℃で1~5キログラム、好ましくは45℃で2~3.75kg、より好ましくは45℃で3kgの硬度を有する、請求項
1に記載のクレンジングバー。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のクレンジングバーを調製する方法であって、前記方法が、
水および前記遊離脂肪酸または部分的に中和された脂肪酸および任意選択で石鹸を含有するミキサーに、ゼオライト粉末を添加することと、
前記ミキサーを75~80℃の温度に加熱することと、
非石鹸合成界面活性剤を前記ミキサーに添加し、5分間混合することと、
任意選択で、ポリオール、クエン酸、およびデンプンを前記ミキサーに添加し、少なくとも100℃の温度で少なくとも15分間混合して最終混合物を形成することと、
最終混合物を冷間圧延してフレークにすることと、
前記フレークを押し出して押出物を形成することと、
前記押出物を型打ちして前記クレンジングバーにすることと
を含む、方法。
【請求項13】
請求項1~11のいずれか一項に記載のクレンジングバーを調製する方法であって、前記方法が、
遊離脂肪酸または部分的に中和された脂肪酸および任意選択で石鹸をミキサーに加えることと、
非石鹸合成界面活性剤を前記ミキサーに添加することと、
少なくとも100℃の温度で少なくとも5分間混合物を混合することと、
任意選択で、ポリオール、クエン酸、およびデンプンを前記ミキサーに添加し、5分間混合することと、
ゼオライト粉末を前記ミキサーに添加することと、
前記混合物を冷却圧延してフレークにすることと、
前記混合物を押し出して押出物を形成することと、
前記押出物を型打ちして前記クレンジングバーにすることと
を含む、方法。
【国際調査報告】