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特表2024-540093トランスジェニックトウモロコシイベントZM_BCS216090ならびにその検出及び使用方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】トランスジェニックトウモロコシイベントZM_BCS216090ならびにその検出及び使用方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/11 20060101AFI20241024BHJP
   A01H 5/10 20180101ALI20241024BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20241024BHJP
   C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
   A01H 6/46 20180101ALI20241024BHJP
   C12Q 1/6813 20180101ALI20241024BHJP
   C12Q 1/6895 20180101ALI20241024BHJP
   C12N 1/15 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 1/19 20060101ALI20241024BHJP
   C12N 1/21 20060101ALI20241024BHJP
   C12Q 1/686 20180101ALI20241024BHJP
   C10L 5/44 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C12N15/11 Z ZNA
A01H5/10
A01H5/00 A
C12N5/10
A01H6/46
C12Q1/6813 Z
C12Q1/6895 Z
C12N1/15
C12N1/19
C12N1/21
C12Q1/686 Z
C10L5/44
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525366
(86)(22)【出願日】2022-10-31
(85)【翻訳文提出日】2024-06-24
(86)【国際出願番号】 US2022078966
(87)【国際公開番号】W WO2023081614
(87)【国際公開日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】63/274,865
(32)【優先日】2021-11-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/279,508
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100216839
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 敏幸
(74)【代理人】
【識別番号】100228980
【弁理士】
【氏名又は名称】副島 由加里
(74)【代理人】
【識別番号】100151448
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 孝博
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ブルゾストウスキー,リリアン
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,カーリン
(72)【発明者】
【氏名】ガレスピー,ケリー
(72)【発明者】
【氏名】パチョレク,トマシュ
(72)【発明者】
【氏名】ラルストン,ライル
(72)【発明者】
【氏名】レナード,アレクサンダー
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヘピン
【テーマコード(参考)】
4B063
4B065
4H015
【Fターム(参考)】
4B063QA13
4B063QA18
4B063QQ04
4B063QQ09
4B063QQ13
4B063QQ42
4B063QQ52
4B063QR32
4B063QR35
4B063QR55
4B063QR62
4B063QR73
4B063QR78
4B063QR80
4B063QS25
4B063QS34
4B063QS36
4B063QS38
4B063QX01
4B065AA01X
4B065AA57X
4B065AA72X
4B065AA88X
4B065AA88Y
4B065AB01
4B065AC14
4B065AC20
4B065BA02
4B065CA23
4B065CA24
4B065CA46
4B065CA47
4H015AA12
4H015CB01
(57)【要約】
本発明は、トランスジェニックトウモロコシイベントZM_BCS216090、ならびに、イベントZM_BCS216090を含む植物、植物細胞、種子、植物部分、子孫植物、及び商品生産物を提供する。本発明はまた、イベントZM_BCS216090に特異的なポリヌクレオチド及び配列、ならびにイベントZM_BCS216090を含む植物、植物細胞、種子、植物部分、子孫植物、及び商品生産物を使用するための方法、ならびにイベントZM_BCS216090またはイベントZM_BCS216090に特異的なポリヌクレオチドもしくはDNA配列をDNA分子または試料中で検出するための方法、を提供する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその完全な相補体を含む組換えDNA分子。
【請求項2】
前記組換えDNA分子が、トウモロコシイベントZM_BCS216090に由来し、前記イベントを含む代表的な種子試料が、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている、請求項1に記載の組換えDNA分子。
【請求項3】
前記組換えDNA分子が、トウモロコシ植物、植物細胞、種子、子孫植物、植物部分、または商品生産物に含まれる、請求項1または2に記載の組換えDNA分子。
【請求項4】
前記組換えDNA分子が、トウモロコシ植物またはトウモロコシ細胞のゲノムDNAへの異種核酸分子の挿入によって形成される、請求項1、2または3に記載の組換えDNA分子。
【請求項5】
前記組換えDNA分子が、トウモロコシイベントZM_BCS216090に由来するDNAの存在を診断するアンプリコンを含む、請求項1、2、または4に記載の組換えDNA分子。
【請求項6】
前記組換えDNA分子が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物に由来し、前記イベントを含む代表的な種子試料が、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている、請求項1、2、4、または5に記載の組換えDNA分子。
【請求項7】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAとストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするDNAプローブとして機能するのに十分な長さのポリヌクレオチドセグメントを含むDNA分子であって、前記ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で前記DNA分子のハイブリダイゼーションを検出することが、前記試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断する、前記DNA分子。
【請求項8】
前記DNA分子が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその完全な相補体を含む、請求項7に記載のDNA分子。
【請求項9】
前記試料が、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ子孫植物、処理されたトウモロコシ種子、トウモロコシを含む動物飼料、トウモロコシ油、トウモロコシミール、トウモロコシ粉、トウモロコシフレーク、トウモロコシふすま、トウモロコシで作られたパスタ、トウモロコシバイオマス、ならびにトウモロコシ及びトウモロコシ部分を使用して製造された燃料製品に由来する、請求項7または8に記載のDNA分子。
【請求項10】
第1のDNA分子と、前記第1のDNA分子とは異なる第2のDNA分子とを含むDNA分子の対であって、トウモロコシイベントZM_BCS216090鋳型DNAを含有する試料との増幅反応において一緒に使用されるときにDNAプライマーとして機能して、前記試料中の前記トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断するアンプリコンを産生し、前記アンプリコンが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、前記DNA分子の対。
【請求項11】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを診断するDNAセグメントの存在を検出する方法であって、
a)前記試料を、請求項7に記載のDNA分子と接触させることと、
b)前記試料及び前記DNA分子を、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供することと、
c)前記DNA分子と前記試料中の前記DNAとのハイブリダイゼーションを検出することと、を含み、
前記検出が、前記試料中の前記トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断する、前記方法。
【請求項12】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを診断するDNAセグメントの存在を検出する方法であって、
a)前記試料を、請求項10に記載のDNA分子の対と接触させることと、
b)DNAアンプリコンを産生するのに十分な増幅反応を実施することと、
c)前記反応における前記DNAアンプリコンの存在を検出することと、を含み
前記DNAアンプリコンが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその完全な相補体を含む、前記方法。
【請求項13】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを診断するDNAセグメントの存在を検出する方法であって、
a)トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAとストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNA分子、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、もしくはその完全な相補体を含むDNA分子、または請求項7に記載のDNA分子と、前記試料とを接触させることと、
b)シークエンシング反応を実施して標的配列を生成することと、を含み、
前記標的配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはヌクレオチド配列の一部もしくは断片、あるいはその完全な相補体を含む、前記方法。
【請求項14】
トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞であって、
a)請求項1もしくは2に記載の組換えDNA分子、または
b)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、もしくはその完全な相補体を含むDNAセグメントを含む、前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞。
【請求項15】
前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞が、少なくとも第1の内因性ジベレリン20-オキシダーゼ(GA20ox)遺伝子の低下した発現を示す、請求項14に記載のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞。
【請求項16】
前記ジベレリン20-オキシダーゼ(GA20ox)遺伝子が、ジベレリン20-オキシダーゼ3(GA20ox3)及びジベレリン20-オキシダーゼ5(GA20ox5)からなる群から選択される、請求項15に記載のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞。
【請求項17】
前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞が、内因性ジベレリン20-オキシダーゼ3(GA20ox3)遺伝子及び内因性ジベレリン20-オキシダーゼ5(GA20ox5)遺伝子の低下した発現を有する、請求項14に記載のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞。
【請求項18】
前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含み、前記イベントを含む代表的な種子試料が、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている、請求項14~17のいずれか1項に記載のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞。
【請求項19】
前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物の任意の世代の子孫植物、またはそれに由来するトウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、もしくはトウモロコシ細胞として更に定義される、請求項14~18のいずれか1項に記載のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞。
【請求項20】
トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞であって、前記イベントを含む代表的な種子試料が、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている、前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞。
【請求項21】
前記トウモロコシ植物が、対照トウモロコシ植物と比較して、減少した植物高さを有する、請求項14~20のいずれか1項に記載のトウモロコシ植物。
【請求項22】
前記トウモロコシ植物が、対照トウモロコシ植物と比較して、高い倒伏抵抗性を有する、請求項14~21のいずれか1項に記載のトウモロコシ植物。
【請求項23】
前記ヌクレオチド配列が、前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞の染色体1に存在する、請求項14~22のいずれか1項に記載のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞。
【請求項24】
DNA検出キットであって、
a)第1のDNA分子と、前記第1のDNA分子とは異なる第2のDNA分子とを含むDNA分子の対であって、トウモロコシイベントZM_BCS216090鋳型DNAを含有する試料との増幅反応において一緒に使用されるときにDNAプライマーとして機能して、前記試料中の前記トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断するアンプリコンを産生し、前記アンプリコンが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、前記DNA分子の対と、
b)試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAとストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするDNAプローブとして機能するのに十分な長さのポリヌクレオチドセグメントを含むDNAプローブであって、前記ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で前記DNA分子のハイブリダイゼーションを検出することが、前記試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断する、前記DNAプローブと、を含む、前記DNA検出キット。
【請求項25】
トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む子孫トウモロコシ植物を産生する方法であって、
a)トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む第1のトウモロコシ植物を、自家でまたは第2のトウモロコシ植物と性的に交配させることと、
b)前記交配から産生された1つ以上の種子を回収することと、
c)前記種子を成長させて1つ以上の子孫植物を生成することと、
d)トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む少なくとも第1の子孫植物または種子を選択することと、を含む、前記方法。
【請求項26】
前記少なくとも第1の子孫植物が、対照トウモロコシ植物と比較して、減少した植物高さ及び/または増加した倒伏抵抗性を有する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
請求項25または26に記載の方法によって産生される、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む、ハイブリッドトウモロコシ植物または種子。
【請求項28】
e)トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む前記少なくとも第1の子孫植物から種子を回収することをさらに含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項29】
検出可能な量の、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその完全な相補体を含む、トウモロコシ種子。
【請求項30】
検出可能な量の請求項1に記載の組換えDNA分子を含む無生物トウモロコシ植物材料。
【請求項31】
請求項1に記載の組換えDNA分子を含む微生物。
【請求項32】
植物細胞である、請求項31に記載の微生物。
【請求項33】
請求項1に記載の組換えDNA分子を含む商品生産物。
【請求項34】
前記商品生産物が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞から生産される、請求項33に記載の商品生産物。
【請求項35】
更に、全粒または加工トウモロコシ種子、トウモロコシを含む動物飼料、トウモロコシ油、トウモロコシミール、トウモロコシ粉、トウモロコシフレーク、トウモロコシふすま、トウモロコシバイオマス、ならびにトウモロコシ及びトウモロコシ部分を使用して製造された燃料製品からなる群から選択される、請求項33に記載の商品生産物。
【請求項36】
商品生産物を生産する方法であって、
a)トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を得ることと、
b)前記トランスジェニックトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子から商品生産物を生産することと、を含む、前記方法。
【請求項37】
トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断するアンプリコンを産生するDNA増幅方法で試験するときに鋳型として機能するDNA分子を含む、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子。
【請求項38】
トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子の接合性を決定する方法であって、
a)前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子由来のDNAを含む試料を、トウモロコシイベントZM_BCS216090を診断する第1のアンプリコン、及びトウモロコシイベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAを診断する第2のアンプリコンを産生することができる少なくとも2つの異なるプライマーペアを含むプライマーペアのセットと接触させることと、
b)前記試料及び前記プライマーペアのセットにより核酸増幅反応を実施することと、
c)前記核酸増幅反応において、トウモロコシイベントZM_BCS216090を診断する前記第1のアンプリコン、及びトウモロコシイベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAを診断する前記第2のアンプリコンを検出することであって、前記第1のアンプリコンのみの存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してホモ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断し、前記第1のアンプリコン及び前記第2のアンプリコンの両方の存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してヘテロ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断する、前記検出することと、を含む、前記方法。
【請求項39】
トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子の接合性を決定する方法であって、
a)トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子由来のDNAを含む試料を、トウモロコシイベントZM_BCS216090の全部または一部の第1のアンプリコンを産生することができる第1のプライマーペア、及びトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子において単一のコピーであり、ホモ接合であることが知られている標準ゲノム配列の第2のアンプリコンを産生することができる第2のプライマーペア、と接触させることと、
b)前記試料を、前記第1のアンプリコン及び/またはトウモロコシイベントZM_BCS216090の全部もしくは一部に特異的にハイブリダイズする第1のプローブ、ならびに前記標準ゲノム配列に特異的にハイブリダイズする第2のプローブと接触させることと、
c)リアルタイムPCRを使用してDNA増幅反応を行い、前記第1のアンプリコン及び前記第2のアンプリコンのサイクル閾値(Ct値)を決定することと、
d)前記第2のアンプリコンと前記第1のアンプリコンとの間の前記Ct値の差(ΔCt)を計算することと、
e)トウモロコシイベントZM_BCS216090の接合性を決定することであって、約ゼロ(0)のΔCtが、トウモロコシイベントZM_BCS216090のホモ接合性を示し、約1(1)のΔCtが、トウモロコシイベントZM_BCS216090のヘテロ接合性を示す、前記決定することと、を含む、前記方法。
【請求項40】
前記プライマーペアのセットが、配列番号11と配列番号12との組み合わせ、及び配列番号14と配列番号15との組み合わせを含む、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子の接合性を決定する方法であって、
a)前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子由来のDNAを含む試料を、トウモロコシイベントZM_BCS216090を診断する第1のアンプリコン、及びトウモロコシイベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAを診断する第2のアンプリコンを産生することができるプライマーペアと接触させることと、
b)前記試料及び前記プライマーペアのセットにより核酸増幅反応を実施することと、
c)前記第1のアンプリコン及び前記第2のアンプリコンを検出することであって、前記第1のアンプリコンのみの存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してホモ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断し、前記第2のアンプリコンのみの存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAに対してホモ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断し、前記第1のアンプリコン及び前記第2のアンプリコンの両方の存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してヘテロ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断する、前記検出することと、を含む、前記方法。
【請求項42】
トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子の接合性を決定する方法であって、
a)前記トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子由来のDNAを含む試料を、トウモロコシイベントZM_BCS216090に特異的にハイブリダイズする少なくとも第1のプローブ、及びトウモロコシイベントZM_BCS216090の異種DNAの挿入によって破壊され、トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAにハイブリダイズしないトウモロコシゲノムDNAに特異的にハイブリダイズする少なくとも第2のプローブ、を含むプローブセットと接触させることと、
b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で前記試料と前記プローブセットをハイブリダイズすることであって、前記ハイブリダイゼーション条件下で前記第1のプローブのみのハイブリダイゼーションを検出することが、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してホモ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断し、前記ハイブリダイゼーション条件下で前記第1のプローブ及び前記第2のプローブの両方のハイブリダイゼーションを検出することが、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してヘテロ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断する、前記ハイブリダイズすることと、を含む、前記方法。
【請求項43】
前記プローブセットが、配列番号13及び配列番号16を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
減少した植物高さまたは増加した倒伏抵抗性を有するトウモロコシ植物を生産する方法であって、トウモロコシイベントZM_BCS216090をトウモロコシ植物に導入することであって、前記イベントを含む代表的な種子試料が、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている、前記導入することを含む、前記方法。
【請求項45】
トランスジェニックトウモロコシ植物の集団であって、各トランスジェニックトウモロコシ植物が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む、前記トランスジェニックトウモロコシ植物の集団。
【請求項46】
前記トウモロコシ植物の集団が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を欠く対照トウモロコシ植物の集団と比較して、平均して減少した植物高さを有する、請求項45に記載のトウモロコシ植物の集団。
【請求項47】
前記トウモロコシ植物の集団が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を欠く対照トウモロコシ植物の集団と比較して、平均して増加した倒伏抵抗性を有する、請求項45または46に記載のトウモロコシ植物の集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年11月2日に出願された米国仮特許出願第63/274,865号、及び2021年11月15日に出願された米国仮出願第63/279,508号の利益を主張し、いずれの全体も参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
配列表の組み込み
「MONS510US_ST26.xml」という名称のファイルに含まれる配列表は、37.0キロバイト(Microsoft Windows(登録商標)で測定)であり、2022年10月7日に作成され、電子的提出により本明細書とともに提出され、参照により組み込まれる。
【0003】
本発明は、トウモロコシイベントZM_BCS216090に存在し、及び/または、それから単離された、組換えDNA分子に関する。本発明はまた、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含有するトランスジェニックトウモロコシ植物、植物部分、及び種子、細胞、ならびに農産物、ならびに、それらを使用し、トウモロコシイベントZM_BCS216090の存在を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0004】
トウモロコシ(Zea mays)は重要な作物であり、世界の多くの地域で主な食料源である。バイオテクノロジーの方法は、製品の農学的形質及び品質の改善のためにトウモロコシに適用されている。改良された農学的形質としては、トウモロコシ植物のゲノムに挿入された導入遺伝子の発現によって達成され得る、増大した収穫可能性及び耐ストレス性、例えば、増加した倒伏抵抗性が挙げられ得る。
【0005】
トランスジェニック植物、植物部分、種子または細胞におけるトランス遺伝子の発現、したがってそれらの有効性は、導入遺伝子カセットで使用される調節エレメント、導入遺伝子挿入部位の染色体位置、導入遺伝子挿入部位またはその付近でのゲノムのクロマチン構造、ならびに導入遺伝子挿入部位に近い任意の内因性シス及び/またはトランス調節エレメントまたは遺伝子の存在または近接性などの多くの異なる要因によって影響され得る。これらの差は、同じ発現カセットの異なるトランスジェニック挿入イベント間で、導入遺伝子発現のレベル、または導入遺伝子発現の空間的または時間的パターンの変動をもたらし得る。異なるトランスジェニックイベントはまた、異なる植物生殖細胞及び成長条件において、ならびに異なる植物組織及び発達段階にわたって、異なるレベルまたはパターンの導入遺伝子発現を有し得る。加えて、形質転換イベントは、イベントの分子的品質に関しても変化し得る。例えば、トランスジェニック挿入イベントは、意図された挿入に対する切断であってもよく、または追加のベクターバックボーン配列の含有であってもよい。また、いくつかのイベント間には、望ましくない表現型または農学的差異が存在し得る。導入遺伝子発現カセットを含むT-DNA構築物を用いたアグロバクテリウム媒介性形質転換は、導入遺伝子を植物ゲノムに挿入することができる場所の観点から、大部分が可変かつランダムであるため、様々な異なる導入遺伝子イベントを、独自の染色体挿入部位を用いて生成することができる。
【0006】
これらの理由から、同じ形質転換ベクター構築物からの異なる変換イベントの性能は変化し得、他の潜在的なオフタイプまたは懸念なしに最も有益な特性または特徴を付与する変換イベントの同定は、商業的使用のための優れたイベントを選択するために必要とされる。したがって、優れた商業的特性を有するイベントを選択するために、いくつかの個々の植物形質転換イベントを生成及び分析する必要があり、これは、多くの異なる形質転換イベントの間の分析及び選択を伴う重要な作業であり得る。
【発明の概要】
【0007】
一態様では、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその完全な相補体を含む、組換えDNA分子が、本明細書に提供される。特定の実施形態では、組換えDNA分子は、トウモロコシイベントZM_BCS216090に由来し、このイベントを含む代表的な種子試料は、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている。更なる実施形態では、組換えDNA分子は、トウモロコシ植物、植物細胞、種子、子孫植物、植物部分、または商品生産物に含まれる。他の実施形態では、組換えDNA分子は、異種核酸分子をトウモロコシ植物またはトウモロコシ細胞のゲノムDNAに挿入することによって形成される。更に更なる実施形態では、組換えDNA分子は、トウモロコシイベントZM_BCS216090に由来するDNAの存在を診断するアンプリコンを含む。更に別の実施形態では、組換えDNA分子は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物に由来し、このイベントを含む代表的な種子試料は、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている。
【0008】
別の態様では、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAとストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするDNAプローブとして機能するのに十分な長さのポリヌクレオチドセグメントを含むDNA分子が本明細書に提供され、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でのDNA分子のハイブリダイゼーションを検出することは、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断する。特定の実施形態では、DNA分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその完全な相補体を含む。他の実施形態では、試料は、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ子孫植物、処理されたトウモロコシ種子、トウモロコシを含む動物飼料、トウモロコシ油、トウモロコシ粉、トウモロコシ粉末、トウモロコシフレーク、トウモロコシふすま、トウモロコシで作られたパスタ、トウモロコシバイオマス、及びトウモロコシ及びトウモロコシ部分を使用して製造された燃料製品に由来する。
【0009】
更に別の態様では、トウモロコシイベントZM_BCS216090鋳型DNAを含有する試料との増幅反応において一緒に使用されるときにDNAプライマーとして機能して、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断するアンプリコンを産生する、第1のDNA分子と、第1のDNA分子とは異なる第2のDNA分子とを含むDNA分子の対が本明細書で提供され、該アンプリコンは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
【0010】
更に別の態様では、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを診断するDNAセグメントの存在を検出する方法が、本明細書に提供され、本方法は、a)試料を本明細書に記載のDNA分子と接触させることと、b)試料及びDNA分子をストリンジェントなハイブリダイゼーション条件に供することと、c)DNA分子の試料中のDNAへのハイブリダイゼーションを検出することと、を含み、検出では、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断する。
【0011】
更に別の態様では、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを診断するDNAセグメントの存在を検出する方法が、本明細書に提供され、本方法は、a)試料を本明細書に提供されるDNA分子の対と接触させることと、b)DNAアンプリコンを産生するのに十分な増幅反応を行うことと、c)反応中のDNAアンプリコンの存在を検出することとを含み、DNAアンプリコンは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその完全な相補体を含む。
【0012】
更に別の態様では、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを診断するDNAセグメントの存在を検出する方法が提供され、本方法は、a)試料を、(i)トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNA、(ii)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、もしくはその完全な相補体を含むDNA分子;または(iii)試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAとストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするDNAプローブとして機能するのに十分な長さのポリヌクレオチドセグメントを含むDNA分子、とストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするヌクレオチド配列を含むDNA分子と接触させることと、b)シークエンシング反応を実施して標的配列を生成することと、を含み、標的配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはヌクレオチド配列の部分もしくは断片、あるいはその完全な相補体を含む。
【0013】
更に別の態様では、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞であって、(a)本発明の組換えDNA分子;または(b)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むDNAセグメント、もしくはその完全な相補体、を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞が、本明細書に提供される。特定の実施形態では、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞は、少なくとも第1の内因性ジベレリン20-オキシダーゼ(GA20ox)遺伝子の低下した発現を示す。更なる実施形態では、ジベレリン20-オキシダーゼ(GA20ox)遺伝子は、ジベレリン20-オキシダーゼ3(GA20ox3)及びジベレリン20-オキシダーゼ5(GA20ox5)からなる群から選択される。特定の実施形態では、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞は、内因性ジベレリン20-オキシダーゼ3(GA20ox3)遺伝子及び内因性ジベレリン20-オキシダーゼ5(GA20ox5)遺伝子の低下した発現を有する。更に他の実施形態では、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含み、本イベントを含む代表的な種子試料は、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている。更に別の実施形態では、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物の任意の世代の子孫植物、またはそれに由来するトウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、もしくはトウモロコシ細胞として更に定義され得る。
【0014】
更に別の態様では、本明細書では、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞が提供され、本イベントを含む代表的な種子試料が、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている。特定の実施形態では、本明細書で提供されるトウモロコシ植物は、対照トウモロコシ植物と比較して、減少した植物高さを有する。他の実施形態では、本明細書に記載のトウモロコシ植物は、対照トウモロコシ植物と比較して高い倒伏抵抗性を有する。更なる実施形態では、本明細書に記載のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞は、(a)本発明の組換えDNA分子、または(b)配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含むDNAセグメント、またはその完全な相補体を含み、ヌクレオチド配列は、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞の染色体1に存在する。
【0015】
更に別の態様では、本明細書に提供されるのは、DNA検出キットであって、a)第1のDNA分子と、第1のDNA分子とは異なる第2のDNA分子とを含むDNA分子の対であって、トウモロコシイベントZM_BCS216090鋳型DNAを含有する試料との増幅反応において一緒に使用されるときにDNAプライマーとして機能して、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断するアンプリコンを産生し、アンプリコンが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む、DNA分子の対と、b)試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAとストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするDNAプローブとして機能するのに十分な長さのポリヌクレオチドセグメントを含むDNAプローブであって、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でDNA分子のハイブリダイゼーションを検出することが、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断する、DNAプローブと、を含む、DNA検出キットである。
【0016】
更に別の態様では、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む子孫トウモロコシ植物を生産する方法であって、a)トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む第1のトウモロコシ植物を、自家でまたは第2のトウモロコシ植物と性的に交配させることと、b)交配から生産された1つ以上の種子を回収することと、c)種子を成長させて1つ以上の子孫植物を生産することと、d)トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む少なくとも第1の子孫植物または種子を選択することと、を含む方法が提供される。いくつかの実施形態では、本方法の少なくとも第1の子孫植物は、対照トウモロコシ植物と比較して、植物高さの低下及び/または倒伏抵抗性の増加を有する。特定の実施形態では、本方法は、e)トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む少なくとも第1の子孫植物から種子を回収することを更に含む。
【0017】
更に別の態様では、本発明による方法によって生産されたトウモロコシイベントZM_BCS216090を含むハイブリッドトウモロコシ植物または種子が、本明細書に提供される。
【0018】
更に別の態様では、本明細書で提供されるのは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその完全な相補体の検出可能な量を含むトウモロコシ種子である。
【0019】
更に別の態様では、本明細書で提供されるのは、本発明による組換えDNA分子の検出可能な量を含む、非生存可能なトウモロコシ植物材料である。
【0020】
更に別の態様では、本発明による組換えDNA分子を含む微生物が提供される。特定の実施形態では、微生物は、植物細胞である。
【0021】
更に別の態様では、本明細書において、本発明による組換えDNA分子を含む商品生産物が提供される。特定の実施形態では、商品生産物は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ細胞から生産される。他の実施形態では、商品生産物は、トウモロコシ種子全体または加工されたトウモロコシ種子、トウモロコシを含む動物飼料、トウモロコシ油、トウモロコシ粉、トウモロコシフレーク、トウモロコシふすま、トウモロコシバイオマス、及びトウモロコシ及びトウモロコシ部分を使用して製造された燃料製品からなる群から更に選択される。
【0022】
更に別の態様では、本明細書で提供されるのは、商品生産物を生産する方法であって、(a)トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を得ることと、(b)トランスジェニックトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子から商品生産物を生産することとを含む、方法である。
【0023】
更に別の態様では、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子は、トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの存在を診断するアンプリコンを産生するDNA増幅方法で試験したときに鋳型として機能する、DNA分子を含む。
【0024】
更に別の態様では、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子の接合性を決定するための方法であって、a)トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子由来のDNAを含む試料を、トウモロコシイベントZM_BCS216090を診断する第1のアンプリコンを産生することができる少なくとも2つの異なるプライマーペアと、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAを診断する第2のアンプリコンを産生することができるプライマーペアのセットと接触させることと、b)試料とプライマーペアのセットとの核酸増幅反応を実施することと、c)核酸増幅反応で、トウモロコシイベントZM_BCS216090について診断する第1のアンプリコンと、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAについて診断する第2のアンプリコンとを検出することであって、第1のアンプリコンのみの存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090についてホモ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断し、第1のアンプリコンと第2のアンプリコンの存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090のヘテロ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断する、検出することと、を含む方法が提供される。
【0025】
更に別の態様では、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子の接合性を決定するための方法であって、a)トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子由来のDNAを含む試料を、トウモロコシイベントZM_BCS216090の全部もしくは一部の第1のアンプリコンを産生することができる第1のプライマーペア、及びトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子中で、単一コピーであってホモ接合することとであることが知られている標準ゲノム配列の第2のアンプリコンを産生することができる第2のプライマーペア、と接触させることと、b)試料を、第1のアンプリコン及び/またはトウモロコシイベントZM_BCS216090の全部もしくは一部に特異的にハイブリダイズする第1のプローブ、ならびに標準ゲノム配列に特異的にハイブリダイズする第2のプローブと接触させることと、c)リアルタイムPCRを使用してDNA増幅反応を行い、第1のアンプリコンと第2のアンプリコンのサイクル閾値(Ct値)を決定することと、d)第1のアンプリコンと第2のアンプリコンとのCt値の差(ΔCt)を計算することと、e)トウモロコシイベントZM_BCS216090の接合性を決定することであって、約0(0)のΔCtが、トウモロコシイベントZM_BCS216090のホモ接合性を示し、約1(1)のΔCtが、トウモロコシイベントZM_BCS216090のヘテロ接合性を示す、決定することと、を含む方法が提供される。本明細書に記載の方法の特定の実施形態では、プライマーペアのセットは、配列番号11と配列番号12との組み合わせ、及び配列番号14と配列番号15との組み合わせを含む。
【0026】
別の態様では、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子の接合性を決定するための方法であって、a)トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子由来のDNAを含む試料を、トウモロコシイベントZM_BCS216090を診断する第1のアンプリコン、及びトウモロコシイベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAを診断する第2のアンプリコンを産生することができるプライマーペアと接触させることと、b)試料及びプライマーペアのセットにより核酸増幅反応を実施することと、c)第1のアンプリコン及び第2のアンプリコンを検出することであって、第1のアンプリコンのみの存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してホモ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断し、第2のアンプリコンのみの存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAに対してホモ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断し、第1のアンプリコン及び第2のアンプリコンの両方の存在が、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してヘテロ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断する、検出することと、を含む方法が提供される。
【0027】
更に別の態様では、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子の接合性を決定するための方法であって、(a)トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子由来のDNAを含む試料を、トウモロコシイベントZM_BCS216090に特異的にハイブリダイズする少なくとも第1のプローブ、及びトウモロコシイベントZM_BCS216090の異種DNAの挿入によって破壊され、トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAにハイブリダイズしないトウモロコシゲノムDNAに特異的にハイブリダイズする少なくとも第2のプローブ、を含むプローブセットと接触させることと、(b)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で試料とプローブセットをハイブリダイズすることであって、ハイブリダイゼーション条件下で第1のプローブのみのハイブリダイゼーションを検出することが、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してホモ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断し、ハイブリダイゼーション条件下で第1のプローブ及び第2のプローブの両方のハイブリダイゼーションを検出することが、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対してヘテロ接合性のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ種子を診断する、ハイブリダイズすることと、を含む方法が提供される。特定の実施形態では、プローブセットは、配列番号13及び配列番号16を含む。
【0028】
更に別の態様では、減少した植物高さまたは増加した倒伏抵抗性を有するトウモロコシ植物を生産する方法であって、トウモロコシイベントZM_BCS216090をトウモロコシ植物に導入することであって、イベントを含む代表的な種子試料が、ATCC受託番号PTA-127050として寄託されている、導入することを含む、方法が提供される。本明細書では、本発明の方法に従って産生されるトランスジェニックトウモロコシ植物の集団も提供され、各トランスジェニックトウモロコシ植物は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む。特定の実施形態では、かかるトウモロコシ植物の集団は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を欠く対照トウモロコシ植物の集団と比較して、平均して減少した植物高さを有する。更なる実施形態では、トウモロコシ植物の集団は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を欠く対照トウモロコシ植物の集団と比較して、平均して増加した倒伏抵抗性を有する。
【0029】
本開示の前述及び他の態様は、以下の詳細な説明からより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】トウモロコシイベントZM_BCS216090の配列を表す。水平線及び四角は、配列番号10に対して、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、及び配列番号9の位置に対応する。SQ51606(配列番号11)及びSQ51629(配列番号12)と標識された水平矢印は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を検出するために使用することができるプライマーの対のおおよその位置を表し、PB50583(配列番号13)と標識された水平線は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を検出するために使用することができるDNAプローブのおおよその位置を表す。
図2】ZM_BCS216090を含む、本明細書に提供されるトランスジェニックイベントを産生するためのトウモロコシのアグロバクテリウム媒介形質転換に使用されるpM578構築物ベクターマップを示す。
図3】配列番号9と比較したトウモロコシイベントZM_BCS216090のmiRNA発現カセットであって、表1に記載されるように標識されたそれらのそれぞれの遺伝子エレメントを表す。
図4】本明細書に記載されるようなZM_BCS216090トウモロコシイベントの作成、試験、特性評価、及び選択のおおよそのタイミングを表す。
図5】マーカーフリーのトウモロコシイベントZM_BCS216090を生成するための繁殖プロセスの図示である。R生成イベント(「形質転換体」)は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を生成するために使用される形質転換ベクターを用いた初期変換に由来するものである。その後の「R」世代(R及びR)は、トウモロコシイベントZM_BCS216090をもたらした最初のR形質転換体に由来する植物の自己受粉によって産生される連続した世代を表す。T-DNA挿入のためにホモ接合性であるR形質転換体は、Cre-リコンビナーゼの発現のための導入遺伝子カセットを含むエリートトランスジェニックトウモロコシ系統と交配され、F世代をもたらし、子孫の多くは、Cre-リコンビナーゼ切除のためにCP4 EPSPS選択マーカーカセットを欠失している。半接合T-DNA陽性、CP4 EPSPS陰性の植物が選択され、自家受粉され、F世代が生成される。CP4 EPSPSマーカー遺伝子を持たず、Cre-リコンビナーゼ導入遺伝子カセットを欠く、挿入されたT-DNAに対してホモ接合性のF植物が選択され、自己受粉され、F世代が生じる。F世代の植物が自己受粉され、F基準種子の純粋な系統が生じる。
図6】染色体1上の内因性トウモロコシゲノムに対するトウモロコシイベントZM_BCS216090の挿入部位の表示を示す。
【0031】
配列の簡単な説明
配列番号1は、トウモロコシゲノムDNAの5’接合領域及び組み込まれたトランスジェニック発現カセットを表す30ヌクレオチド配列である。配列番号1は、配列番号10内のヌクレオチド位置986~1015に存在する。
【0032】
配列番号2は、組み込まれたトランスジェニック発現カセット及びトウモロコシゲノムDNAの3’接合領域を表す30ヌクレオチド配列である。配列番号2は、配列番号10内のヌクレオチド位置3,719~3,748に存在する。
【0033】
配列番号3は、トウモロコシゲノムDNAの5’接合領域及び組み込まれたトランスジェニック発現カセットを表す60ヌクレオチド配列である。配列番号3は、配列番号10内のヌクレオチド位置971~1,030に存在する。
【0034】
配列番号4は、組み込まれたトランスジェニック発現カセット及びトウモロコシゲノムDNAの3’接合領域を表す60ヌクレオチド配列である。配列番号4は、配列番号10内のヌクレオチド位置3,704~3,763に存在する。
【0035】
配列番号5は、トウモロコシゲノムDNAの5’接合領域及び組み込まれたトランスジェニック発現カセットを表す100ヌクレオチド配列である。配列番号5は、配列番号10内のヌクレオチド位置951~1,050に存在する。
【0036】
配列番号6は、組み込まれたトランスジェニック発現カセット及びトウモロコシゲノムDNAの3’接合領域を表す100ヌクレオチド配列である。配列番号6は、配列番号10内のヌクレオチド位置3,684~3,783に存在する。
【0037】
配列番号7は、5’隣接トウモロコシゲノムDNAの1000ヌクレオチド、及び挿入されたT-DNAの180ヌクレオチドを表す、1,180ヌクレオチド配列である。配列番号7は、配列番号10内のヌクレオチド位置1~1,180に存在する。
【0038】
配列番号8は、挿入されたT-DNAの107ヌクレオチドと、挿入されたT-DNAの後の3’隣接トウモロコシゲノムDNAの1,000ヌクレオチドとを表す、1,107ヌクレオチド配列である。配列番号8は、配列番号10内のヌクレオチド位置3,627~4,733に存在する。
【0039】
配列番号9は、トウモロコシイベントZM_BCS216090のトランスジェニック挿入T-DNAに対応する2,733ヌクレオチド配列である。配列番号9は、配列番号10内のヌクレオチド位置1,001~3,733に存在する。
【0040】
配列番号10は、5’ゲノム隣接DNAヌクレオチド配列、イベントZM_BCS216090における挿入されたT-DNAヌクレオチド配列、及び3’ゲノム隣接DNAヌクレオチド配列の連続ヌクレオチド配列に対応する5,731ヌクレオチド配列であり、配列番号17(ヌクレオチド1~1,000)、配列番号9(ヌクレオチド1,001~3,733)、及び配列番号18(ヌクレオチド3,734~4,733)を含む。
【0041】
配列番号11は、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを同定するために使用されるSQ51606と称される熱増幅プライマーに対応する19ヌクレオチド配列であり、配列番号10の982~1000位に対応するヌクレオチド配列と同一である。
【0042】
配列番号12は、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを同定するために使用されるSQ51629と称される熱増幅プライマーに対応する21ヌクレオチド配列であり、配列番号10の1,049~1069位に対応するヌクレオチド配列と同一である。
【0043】
配列番号13は、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを同定するために使用されるPB50583と称される熱増幅プライマーに対応する19ヌクレオチド配列であり、配列番号10の1,028~1046位に対応するヌクレオチド配列と同一である。
【0044】
配列番号14は、トウモロコシイベントZM_BCS216090のイベント及び接合性アッセイのための内部対照として使用され、トウモロコシゲノムの領域にハイブリダイズするSQ20222と呼ばれる熱増幅プライマーに対応する24ヌクレオチド配列である。
【0045】
配列番号15は、トウモロコシイベントZM_BCS216090のイベント及び接合性アッセイのための内部対照として使用され、トウモロコシゲノムの領域にハイブリダイズするSQ20221と呼ばれる熱増幅プライマーに対応する28ヌクレオチド配列である。
【0046】
配列番号16は、トウモロコシイベントZM_BCS216090のイベント及び接合性アッセイのための内部対照として使用され、トウモロコシゲノムの領域にハイブリダイズする、PB50298と称されるプローブに対応する17ヌクレオチド配列である。
【0047】
配列番号17は、5’接合部までであるが、それを含まない、5’隣接トウモロコシゲノムDNAの1,000ヌクレオチド配列である。配列番号17は、配列番号10内のヌクレオチド位置1~1,000に存在する。
【0048】
配列番号18は、3’接合部から始まるが、それを含まない、3’隣接トウモロコシゲノムDNAの1,000ヌクレオチド配列である。配列番号18は、配列番号10内のヌクレオチド位置3,734~4,733に存在する。
【発明を実施するための形態】
【0049】
植物の高さは、収量の可能性と倒伏抵抗性に直接影響を与える可能性があるため、作物の重要な農学的形質である。半矮性小麦、コメ、ソルガムの植物品種におけるGAレベルの操作は、緑の革命の主な原因であった20世紀の間に穀物作物の収穫量の増加と倒伏の減少につながった。ジベレリン(ジベレリン酸またはGA)は、茎の伸長、発芽、休眠、開花、花の発達、ならびに葉及び果実の老化を含む、様々な植物の成長及び発達プロセスを調節する植物ホルモンである。トウモロコシ中の生体活性GAとしては、GA、GA、GA、及びGAが挙げられる。GA生合成は、生体活性GAの合成のステップを触媒するGA20-オキシダーゼ(GA20ox)及びGA3-オキシダーゼ(GA3ox)をコードする遺伝子によって調節されるが、一方、GAの異化は、活性GAのレベルを低減するGA2-オキシダーゼ(GA2ox)をコードする遺伝子によって調節される。GA生合成または異化経路における遺伝子を操作することによって、活性GAのレベルを低下させて、植物の高さを低下させることができる。
【0050】
本開示は、トウモロコシにおける内因性GA20ox3及びGA20ox5遺伝子の発現を抑制するマイクロRNA(miRNA)をコードする導入遺伝子発現カセットを含む、ZM_BCS216090と称される導入遺伝子トウモロコシイベントを提供する。イベントZM_BCS216090によって引き起こされるジベレリンレベルの低下は、観察可能なオフタイプを伴わずに、ノード間の長さの低下及び全体的な植物高さの低下をもたらす。ZM_BCS216090イベントを含むこれらの短身のトウモロコシまたはトウモロコシ植物は、倒伏及び脆性スナップによる作物の損失の影響を受けにくい。したがって、ZM_BCS216090イベントを構成するトウモロコシまたはトウモロコシの植物は、特に悪天候または極端な天候または風のイベントに直面したときに、収穫の可能性を高め、倒伏または脆性スナップによる作物の損失を減らすための新しい選択肢をトウモロコシ栽培者に提供する。
【0051】
アグロバクテリウム媒介または粒子爆撃形質転換などの植物形質転換技術を使用して、外来DNA(トランスジェニックDNAとしても知られる)を植物細胞のゲノムの染色体にランダムに挿入し、「トランスジェニック」または「組換え」細胞とも呼ばれる遺伝子操作された植物細胞を産生することができる。これらの非標的化形質転換技法を使用して、多くの個々の細胞を形質転換することができ、それぞれが、ゲノムへの外来DNAのランダム(または大部分がランダム)挿入に起因する独自の「トランスジェニックイベント」または「イベント」をもたらす。次いで、トランスジェニック植物は、各個々のトランスジェニック細胞から再生することができる。これにより、トランスジェニック植物の全ての細胞は、ゲノムの安定した部分として独自に挿入されたトランスジェニックイベントを含む。その後、トランスジェニック植物を使用して、それぞれが独自のトランスジェニックイベントを含有する子孫植物を産生することができる。「トランスジェニック」という用語は、場合によっては、導入遺伝子を含む植物、植物部分、植物細胞、植物組織、またはDNA分子、構築物、または配列を指す-例えば、「トランスジェニック細胞」は、導入遺伝子を含む細胞を指す。
【0052】
トウモロコシイベントZM_BCS216090は、単一のT-DNAバイナリ系を有するトウモロコシ未成熟胚のアグロバクテリウム媒介形質転換プロセスによって産生された。このシステムでは、単一のT-DNAを有する1つのバイナリープラスミドベクターを用いたアグロバクテリウム株を利用した。T-DNA構築物は、内因性ジベレリンオキシダーゼ遺伝子GA20ox3及びGA20ox5の発現を抑制するマイクロRNA(miRNA)の発現のための導入遺伝子カセットと、グリホサート選抜(CP4)を使用した形質転換トウモロコシ細胞の選抜のために使用される導入遺伝子カセットとを含む。グリホサート選抜カセットは、腸内細菌ファージP1(Gilbertson,TRENDS in Biotechnology,21(12):550-555,2003)に由来するCre-リコンビナーゼによって認識されるLoxP認識部位を両側に隣接させていた。
【0053】
本明細書に具体的に記載されるように、トウモロコシイベントZM_BCS216090は、複合的な研究・開発プロセスにより作製され、そこでは、(1)各発現カセットの個々の試験ならびに組み合わせに基づいて、左及び右境界配列によって境界されるT-DNA領域内に上記で特定される2つの発現カセットを含むDNA構築物及びベクターを設計及び選択し、(2)数千のトウモロコシ細胞を、イベントZM_BCS216090及び他のイベントを生成するために使用される構築物で形質転換し、各植物が再生された独自のトランスジェニックイベントを含有するトランスジェニック植物の集団を作成し、(3)分子品質スクリーニング及び基準種子ならびに製品開発に基づく多くのイベントを除外した後、更なる試験及びイベント選択のために、100を超えるトランスジェニック植物を一連の自己ならびに異系交配を通して前進させ、(4)トウモロコシイベントにおけるグリホサート選択カセットZM_BCS216090をインビボCre-切除を通して除去して、「マーカーフリー」イベントを作成し、(5)最終的なリードイベントZM_BCS216090を、試験のために進められた各イベントについて、分子特性及びゲノム特性、有効性及び性能データ、育種及び形質に関する考慮事項、ならびに様々な遺伝的背景における農業的特性の試験及び分析を含む、厳格な複数年にわたるイベント選択プロセスを経て、多くの異なるイベントから選択した。トウモロコシイベントZM_BCS216090が生産され、大規模な農学的目的に有用な独自の優れたイベントとして選択された。
【0054】
トウモロコシイベントZM_BCS216090のゲノムに挿入された形質転換プラスミドベクター由来のT-DNAを、詳細な分子解析によって特徴付けた。この分析には、挿入数(トウモロコシゲノム内の組み込み部位の数)、ゲノム挿入位置(挿入が行われたトウモロコシゲノム内の特定の部位)、コピー数(1つの遺伝子座内のT-DNAのコピー数)、及び挿入されたトランスジェニックDNAの完全性を含めた。詳細な分子分析により、トランスジェニックmiRNAカセットを含有する統合T-DNAが、グリホサート(CP4)EPSPS選択カセットの統合及びCre-切除後も無傷のままであることを実証した。本明細書で使用する場合、「発現カセット」または「カセット」または「導入遺伝子」とは、導入遺伝子を含む形質転換植物細胞内で導入遺伝子のコード配列によってコードされるRNA及び/またはタンパク質を発現することができる異なるエレメントの組み合わせを含む組換えDNA分子または配列である。本明細書で提供するように、「発現カセット」または「カセット」または「導入遺伝子」は、プロモーター、リーダー、イントロン、及びターミネーター配列を含む、miRNAのコードまたは転写可能なDNA配列に作動可能に連結された1つ以上の調節エレメント(複数可)を含む。「発現カセット」または「カセット」または「導入遺伝子」は、組換えであり、形質転換された植物細胞ゲノムに関して異種である。本開示の目的のために、かかる「発現カセット」または「カセット」または「導入遺伝子」は、本明細書に記載のmiRNAをコードする組換えDNA分子または配列である。表1は、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対応するDNA配列であるCP4カセットのCre切除後の、配列番号10に含まれるエレメントのリストを提供する。
【表1】
【0055】
トウモロコシイベントZM_BCS216090は、トウモロコシゲノム内の単一の遺伝子座への挿入として特徴付けられ、トウモロコシゲノムまたは他のトランスジェニックトウモロコシイベントに天然に存在することが知られていない、挿入されたDNA及びトウモロコシゲノムDNAの一部にまたがる2つの新しい遺伝子座または接合部配列(例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6に示される配列)をもたらし、これらは、イベントZM_BCS216090に固有のものである。配列番号1、配列番号2、及び配列番号3は、接合部のうちの1つにまたがり、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6は、他方の接合部にまたがる。これらの接合部配列は、トウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、及びトウモロコシ植物またはトウモロコシ植物生産物、例えば、トウモロコシ商品生産物におけるイベントZM_BCS216090の存在を検出するのに有用である。ポリヌクレオチドまたはDNA分子プローブ及び/またはプライマーペアは、イベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ細胞、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ植物、またはトウモロコシ植物組織を含有するか、それに由来するか、またはそれに由来すると疑われる、生体試料中のこれらの様々な接合セグメントの存在を特定するために使用するために開発されたか、または開発され得るものとして、本明細書に記載される。
【0056】
本明細書で使用する場合、トウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分及び/またはトウモロコシ植物産物(例えば、トウモロコシ商品生産物)に関連する特定のDNA分子、アンプリコンまたは配列に関連して「由来する」または「由来する」という用語は、DNA分子、アンプリコンまたは配列が、場合に応じて、かかるトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分及び/またはトウモロコシ植物産物(例えば、トウモロコシ商品生産物)から直接的または間接的に取られ、精製され、単離され、または作製されることを意味する。あるいは、トウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物、及び/またはトウモロコシ植物部分に関連して、トウモロコシ商品生産物などのトウモロコシ植物生産物に関連して「由来する」または「由来する」という用語は、トウモロコシ植物生産物が、場合に応じて、かかるトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物、及び/またはトウモロコシ植物部分から直接的または間接的に取り出され、精製され、単離され、または作られることを意味する。「検出することができる」とは、増幅及びその存在、サイズもしくは配列の決定、例えば、DNA配列分析、及び/またはプローブの標的DNA分子、セグメントもしくは配列への結合により、試料中で検出される特定のDNA分子、セグメントまたは配列の能力を指す。
【0057】
「試料」は、直接的または間接的に、生体試料、源または材料を含むか、またはそれに由来する任意の組成物を指すことが意図される。試料は、一般的に、トウモロコシDNA及び/または実質的にまたは完全に純粋な、精製された、または単離されたトウモロコシDNAを含む。「生体試料」には、トウモロコシ細胞(複数可)、トウモロコシ組織(複数可)、トウモロコシ種子(複数可)、トウモロコシ植物(複数可)、トウモロコシ植物部分(複数可)及び/またはトウモロコシ商品生産物などのトウモロコシ植物生産物(複数可)のゲノムから直接的または間接的に取得され、または由来する、DNAが含まれるが、これらに限定されない生体材料が含まれる。かかるトウモロコシ細胞(複数可)、トウモロコシ組織(複数可)、トウモロコシ種子(複数可)、トウモロコシ植物(複数可)及び/またはトウモロコシ植物産物(複数可)、例えばトウモロコシ商品生産物(複数可)は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含み得るか、またはトウモロコシイベントZM_BCS216090を含むDNA分子(複数可)及び/またはDNAセグメント(複数可)を含み得る。いくつかの実施形態では、試料または生体試料は、トウモロコシ細胞(複数可)、トウモロコシ組織(複数可)、トウモロコシ種子(複数可)、トウモロコシ植物(複数可)、トウモロコシ植物部分(複数可)、及び/またはトウモロコシ植物生産物(複数可)を含み得、その細胞または細胞膜は、ゲノムDNAを含むトウモロコシ細胞(複数可)の内容物を放出し、及び/またはゲノムDNAを含むトウモロコシ細胞(複数可)の内容物をアッセイもしくは試験にアクセス可能もしくは使用可能にするために破砕(例えば、破壊または開放)されている。「直接的に」とは、トウモロコシ細胞を分裂させることによって(または分裂したトウモロコシ細胞を含むトウモロコシの試料を得ることによって)、検出の目的のためにトウモロコシ細胞からゲノムDNAを曝露するか、または使用することによって、トウモロコシゲノムからDNAを直接取得することを指す。「間接的に」とは、トウモロコシ細胞の破砕を介して直接得ること、または破砕されたトウモロコシ細胞を含むトウモロコシの試料を得ること以外の方法によって、特定の試料中の標的または特定の参照DNA(すなわち、イベントZM_BCS216090の存在を診断するものとして本明細書に記載される新規かつ独自の接合セグメント(複数可))を得ることを指す。かかる間接的手段としては、限定されないが、特定のプローブ(複数可)及び/またはプライマーセット(複数可)によって標的化されたDNA配列を含有するDNAセグメントの増幅、または測定及び特徴付けることができる(例えば、アガロースまたはアクリルアミドゲルなどの有効なマトリックス中のDNAの他のセグメント及び/または同定からの移動または分離によって測定されるか、またはアンプリコン(複数可)の直接配列分析によって特徴付けられる)標的配列の全てまたは一部を含むDNAセグメントの増幅、またはアンプリコン(複数可)のベクター(複数可)へのクローニング及びかかるベクター(複数可)内に存在する挿入されたアンプリコン(複数可)の直接シークエンシングが挙げられる。
【0058】
詳細な分子解析は、イベントZM_BCS216090が、SD419トランスジェニックmiRNA発現カセットの1つのコピーを有する単一のT-DNA挿入を含むことを実証した。イベントZM_BCS216090において、植物形質転換プラスミドからトウモロコシゲノムへのトランスジェニックDNA移行に使用されたアグロバクテリウム・トゥメファシエンス左境界領域の一部以外の形質転換構築物からの追加の要素は同定されなかった。最終的には、試料中のイベントZM_BCS216090の存在を診断する特異的アンプリコンを産生する熱増幅及びDNA配列解析を実施して、割り当てられた5’及び3’挿入植物間ゲノム接合部を決定し、挿入物内のエレメントの組織を確認し、挿入されたトランスジェニックDNA(配列番号9)の完全なDNA配列が決定された。配列番号7は、配列番号10の5’トウモロコシゲノムDNA配列に対応する配列であり、配列番号9として提示される挿入されたT-DNA配列の一部分である。配列番号8は、配列番号10の3’トウモロコシゲノムDNA配列に対応する配列であり、配列番号9として提示される挿入されたT-DNA配列の一部分である。配列番号10は、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対応し、5’トウモロコシゲノム隣接配列、イベントZM_BCS216090の導入遺伝子挿入、及び3’トウモロコシゲノム隣接配列を含む連続配列(連続配列)を含有し、したがって、5’及び3’挿入植物ゲノム接合部配列を含有する。本明細書で使用される場合、トランスジェニックイベント挿入の接合部、方向及び側面に関する5’及び3’の表記は、導入遺伝子の5’から3’の方向に対してであり、5’接合部及びゲノム配列は、導入遺伝子の上流であり、3’接合部及びゲノム配列は、導入遺伝子の下流である。
【0059】
別途注記のない限り、用語は、関連技術分野の当業者により、従来の用法に従って理解されるものとする。分子生物学における一般的な用語の定義は、Rieger et al.,Glossary of Genetics:Classical and Molecular,5th edition,Springer-Verlag:New York,1991、及びLewin,Genes V,Oxford University Press:New York,1994ならびに関連技術分野の当業者に既知である他の情報源を参照されたい。本明細書で使用する場合、「トウモロコシ」または「トウモロコシ」という用語は、トウモロコシ内の植物種、及び野生トウモロコシ種を含むトウモロコシ植物と繁殖することができるゼア属に属する全ての植物品種を意味する。
【0060】
本開示は、内因性GA20オキシダーゼ標的遺伝子の発現を抑制するために、トランスジェニックmiRNAをコードする発現カセットを含有するDNA構築物で形質転換された、トランスジェニックトウモロコシまたはトウモロコシ植物を提供する。本明細書で使用する場合、「抑制する」及び「抑制する」という用語は、植物発達の1つ以上の段階(複数可)における植物、植物細胞、または植物組織における標的遺伝子によってコードされるmRNA及び/またはタンパク質の発現レベルを、植物発達の同じ段階(複数可)における野生型または対照植物、細胞、または組織におけるかかる標的遺伝子mRNA及び/またはタンパク質の発現レベルと比較して、低下、低減、または排除することを指す。本明細書に開示されるDNA構築物に従って形質転換されたトウモロコシ植物は、短い身長(より短い植物高さ)の表現型を有する。
【0061】
トランスジェニック植物は、本明細書に記載の発現カセット及びmiRNAをコードする導入遺伝子を含む組換えDNA構築物を有する植物細胞の形質転換によって産生される。かかる組換えDNA構築物は、植物細胞、植物細胞のゲノムへの導入遺伝子の挿入を含む、植物細胞からの少なくとも1つの植物の再生、及び本明細書で更に説明されるように、イベント及び再生されたトランスジェニック植物及び子孫の多くの有効かつ品質の特性及び特徴に基づいて行われる、植物の特定のゲノム位置への導入遺伝子の挿入を特徴とする特定の植物の選択、の点においても異種である。「トランスジェニックイベント」または「イベント」という用語は、植物ゲノム内の挿入されたトランスジェニックDNA及び形質転換された植物のゲノム内の挿入されたトランスジェニックDNAに直接隣接する隣接するゲノム配列を指すが、植物ゲノム内の挿入されたトランスジェニックDNA及び隣接するゲノム配列を含むDNA分子も指す。各イベントは独特であり、挿入されたトランスジェニックDNA及びイベントを含む第1の親系統の、それ自身、または同じトランスジェニックDNA及びイベントを含む場合と含まない場合がある第2の親系統のいずれかとの、性交配または自家交配の結果としての遺伝的継承及び/または親からの分離を通じて、トランスジェニックDNA及びイベントを受け取る子孫植物に伝播されると予想される。挿入されたトランスジェニックDNA及びイベントを含む親系統は、それ自体が、元の形質転換体、または、挿入されたトランスジェニックDNA及びイベントを含む形質転換体または形質転換体の子孫植物をそれ自体と「自家交配」することによって、または別の植物と交配させることによって、生成され得る、該元の形質転換体の子孫植物であり得る。本開示の目的のために、「イベント」は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を指す。
【0062】
本明細書で使用する場合、トランスジェニックイベントに関する「隣接」という用語は、植物ゲノム配列(複数可)が、トランスジェニックイベントを含む形質転換された植物、植物部分、植物組織、または植物細胞のゲノム内の、トランスジェニックイベント挿入物の5’及び/または3’側(複数可)、または末端(複数可)において、トランスジェニックDNA挿入に直接隣接することを指す。同様に、「隣接DNA」は、トランスジェニックDNA挿入物の5’及び/または3’側(複数可)または末端(複数可)に直接隣接している、形質転換植物のゲノム内の所定の長さのゲノムDNA配列を指す。
【0063】
本開示は、トランスジェニックDNA及びイベントを含む、元の形質転換体植物及び該形質転換体の子孫を提供する。かかる子孫は、同じトランスジェニックDNA及びイベントを含む植物間の有性交配または異系交配によって、またはトランスジェニックDNAを含む植物と別の植物とのイベントとの間で、または子孫がトランスジェニックDNA及びイベントを含む任意の細胞もしくは組織培養方法を含む当該技術分野で知られている任意の他の方法によって、産生され得る。かかる他の植物は、同じ及び/または異なる導入遺伝子を含むトランスジェニック植物であってもよく、または非トランスジェニック植物であってもよく、交配または異系交配の各親植物は、同じまたは異なる生殖質または繁殖系であってもよい。反復親に繰り返し戻し交配を行った後であっても、トランスジェニックDNA及びイベントは、同じ染色体位置で交配の子孫に存在する。したがって、「トランスジェニック植物」は、形質転換された植物細胞から再生され、トランスジェニックDNA及びイベントを含む元の形質転換植物、または植物のゲノム内の同じ特定の位置及び配列コンテキストでトランスジェニックDNA及びイベントを保持する1つ以上の世代によって形質転換植物から分離され得る元の形質転換植物の子孫植物であり得る。形質転換植物または子孫植物は、イベントZM_BCS216090に対してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。加えて、「トランスジェニック植物」は、当該技術分野で既知の細胞または組織培養方法によって、またはそれを使用して、形質転換された植物細胞または組織から、または別のトランスジェニック植物もしくは植物部分から、産生される植物を含むことができる。「トランスジェニック植物」は、植物の少なくとも1つの細胞のゲノムに安定的に挿入された導入遺伝子を有する植物(すなわち、植物の少なくとも1つの細胞におけるトウモロコシイベントZM_BCS216090)を含み得、該植物は、導入遺伝子及び/またはイベントに関してキメラまたは非キメラであり得る。トランスジェニック植物は、植物の全ての細胞が導入遺伝子を含むわけではない場合、導入遺伝子に対してキメラである。
【0064】
本明細書で使用する場合、「組換え」という用語は、DNA配列、天然に一緒に存在しないタンパク質の組み合わせなど、天然には通常見出されないであろう非天然のDNA、タンパク質、または組み合わせを指し、またそれは人為的な介入の結果である。「組換えDNA分子」とは、天然に一緒に生じないであろうDNA配列の組み合わせを含むDNA分子であり、またそれは人為的な介入の結果である。かかるDNA配列の組み合わせの2つ以上のエレメントは、互いに作動可能に連結され得る。例えば、組換えDNA分子は、互いに対して異種である少なくとも2つのDNA配列の組み合わせ、例えば、異種プロモーター及び/または他の調節発現エレメント(複数可)に作用可能に連結されたコードもしくは転写可能なDNA配列を含むDNA分子、及び/または導入遺伝子の全部もしくは一部と、導入遺伝子に隣接する異種及び隣接ゲノム配列(複数可)とを含む植物ゲノムDNA配列、及び/または人工合成され、自然界に通常存在する任意のポリヌクレオチド配列から逸脱するポリヌクレオチド配列を含むDNA分子、を含み得る。組換えDNA分子は、植物のゲノムの接合部配列の全部もしくは一部、ならびに植物のゲノムへの導入遺伝子挿入の全部もしくは一部を含み得、及び/またはイベントZM_BCS216090の組換えDNA断片もしくは異種DNA断片を含み得る。組換えDNA分子の例は、配列番号1~10のうちの少なくとも1つを含むDNA分子である。本明細書で使用する場合、組換え植物、植物部分、植物細胞または植物組織は、自然界に通常存在しないであろう植物、植物部分、植物細胞または植物組織であり、人為的な介入の結果であり、植物、植物部分、植物細胞または植物組織のゲノムに組み込まれた導入遺伝子を含有する。かかるゲノム挿入の結果として、組換え植物は新規なものであり、関連する任意の野生型または天然に存在する植物、植物部分、植物細胞または植物組織とは明確に異なる。組換え植物、植物部分、植物細胞または植物組織の例は、イベントZM_BCS216090を含有するトウモロコシまたはトウモロコシの植物、植物部分、植物細胞または植物組織である。
【0065】
本明細書で使用する場合、2つ以上のDNA配列またはエレメントの組み合わせに関して「異種」という用語は、2つ以上のDNA配列またはエレメントが通常、人為的な介入なしに自然界でかかる組み合わせとして一緒に存在しないことを意味する。本明細書で使用する場合、植物、微生物、植物細胞、または植物ゲノムに関連するDNA分子、構築物、または配列に関する「異種」という用語は、DNA分子、構築物、または配列が、かかる植物、微生物、植物細胞、もしくは植物ゲノムの一部として自然界に存在しないこと、及び/または人為的な介入なしに、かかる植物、微生物、植物細胞、もしくは植物ゲノムの一部と同じ物理的もしくはゲノム位置的、前後関係的、もしくは方向に存在しないことを意味する。
【0066】
本開示は、DNA分子及び断片ならびにそれらに対応するDNA配列を提供する。本明細書で使用される「DNA」及び「DNA分子」という用語は、デオキシリボ核酸(DNA)分子を指す。DNA分子は、ゲノム起源または合成起源であってもよく、及び/または組換えDNA分子もしくは異種DNA配列を含んでもよい。DNA分子は、その5’(上流)末端及び3’(下流)末端を参照して記載され得る。本明細書で使用する場合、「DNA配列」という用語は、DNA分子のポリヌクレオチド配列、すなわち、DNA分子内の連続したヌクレオチドの配列を指す。ポリヌクレオチドまたはDNA配列または分子のヌクレオチドに関して本明細書で使用される場合、「連続的な」(consecutive)及び「連続的な」(contiguous)という用語は、交換可能であり、同義であり、それらの間にギャップまたは中断がない、ポリヌクレオチドまたはDNA配列、鎖または分子における5’~3’の順序を指す。慣例として、本開示のDNA配列及びその断片は、DNA分子の2本の逆平行及び相補的DNA鎖のうちの1つの鎖のみの5’から3’方向を参照して開示される。暗示及び意図により、本明細書に提供される配列の相補的配列(すなわち、相補的、相対的、または逆平行鎖の配列)は、当該技術分野において逆相補的または逆相補的配列とも称され、本開示の範囲内であり、特許請求される主題の潜在的な範囲内であることが明示的に意図される。DNA分子、またはそれに由来する断片はまた、植物部分(複数可)、植物細胞(複数可)及び/または組織(複数可)、またはホモジネート、植物部分(複数可)、植物細胞(複数可)及び/または組織(複数可)からの抽出物もしくは溶解物から抽出することができ、あるいは、イベントZM_BCS216090を更に含み得る、植物部分(複数可)、植物細胞(複数可)及び/または組織(複数可)からの抽出物、精製物もしくは単離されたDNA、またはホモジネート、植物部分(複数可)、植物細胞(複数可)及び/または組織(複数可)からの抽出物、抽出物もしくは溶解物として産生することができる。
【0067】
本明細書で使用する場合、「断片」という用語は、より大きなまたは全体のDNA分子または配列の、より小さい断片または配列を指す。例えば、配列番号9または10の断片は、配列番号9または10のより大きな、全体的または完全なDNA分子または配列の連続ヌクレオチドのうちの、少なくとも約12の連続ヌクレオチド、少なくとも約13の連続ヌクレオチド、少なくとも約14の連続ヌクレオチド、少なくとも約15の連続ヌクレオチド、少なくとも約16の連続ヌクレオチド、少なくとも約17の連続ヌクレオチド、少なくとも約18の連続ヌクレオチド、少なくとも約19の連続ヌクレオチド、少なくとも約20の連続ヌクレオチド、少なくとも約21の連続ヌクレオチド、少なくとも約22の連続ヌクレオチド、少なくとも約23の連続ヌクレオチド、少なくとも約24の連続ヌクレオチド、少なくとも約25の連続ヌクレオチド、少なくとも約30の連続ヌクレオチド、少なくとも約35の連続ヌクレオチド、少なくとも約40の連続ヌクレオチド、少なくとも約45の連続ヌクレオチド、少なくとも約50の連続ヌクレオチド、少なくとも約60の連続ヌクレオチド、少なくとも約70の連続ヌクレオチド、少なくとも約80の連続ヌクレオチド、少なくとも約90の連続ヌクレオチド、少なくとも約100の連続ヌクレオチド、少なくとも約200の連続ヌクレオチド、少なくとも約300の連続ヌクレオチド、少なくとも約400の連続ヌクレオチド、または少なくとも約500の連続ヌクレオチドである配列を含み得る。
【0068】
本明細書で使用される場合、「単離された」という用語は、分子が、その天然または天然状態で分子と通常会合する他の分子または配列から少なくとも部分的に分離されていることを意味する。いくつかの実施形態では、「単離された」という用語は、通常は隣接し、その天然または天然状態でDNA分子の配列に共有結合している核酸またはポリヌクレオチドまたはDNA配列(複数可)から少なくとも部分的に分離されているDNA分子を指す。「単離された」DNA分子は、通常は隣接し、天然のDNA配列に共有結合される他のゲノムDNA配列(複数可)を含まない植物細胞のゲノムの一部に対応するDNA配列を有し得る。かかる「単離された」DNA分子は、トウモロコシイベントZM_BCS216090または本明細書に記載の導入遺伝子または発現カセットの全部もしくは一部を含み得る導入遺伝子及び/または導入遺伝子イベントの全部もしくは一部を含み得る。コード配列、イントロン配列、非翻訳リーダー配列、プロモーター配列、転写終結配列などのような、生物のゲノムのDNA内で天然に見出される核酸配列またはエレメントは、当該エレメントが生物のゲノム内にあり、当該エレメントが天然に見出されるゲノム内の位置にある限りは、「単離された」とはみなされない。ただし、これらのエレメントの各々、及びこれらのエレメントの下位部分は、当該エレメントまたは下位部分が生物のゲノム内になく、当該エレメントまたは下位部分が天然に見出される生物のゲノム内の位置にない限り、本開示の範囲内で「単離されている」ものである。「単離された」DNA分子は、任意の組換えDNA分子もしくは増幅産物もしくはアンプリコンであってもよく、及び/または天然もしくは生物学的状態から除去され、天然に会合していない別のDNA分子もしくは配列に共有結合的に融合された任意のDNA配列を含んでもよい。かかる単離されたDNA分子は、組換えDNAを作製すること、または細胞、植物、または種子の染色体に外来または異種DNA分子を組み込むことなどによって、バイオテクノロジー技法を使用して作製することができる。したがって、トランスジェニック、組換え、キメラもしくは人工ヌクレオチド配列、導入遺伝子もしくは発現カセットを含む任意のDNA分子は、これらの配列が、植物細胞を形質転換するのに使用されるプラスミド、ベクターもしくは構築物内に存在するか、または植物、植物部分、植物組織もしくは植物細胞に由来する組織、子孫、生物学的試料もしくは商品生産物において検出可能な量で存在するかに関わらず、天然に存在しないため、「単離された」DNA分子であるとみなされるであろう。したがって、トウモロコシイベントの導入遺伝子または接合部配列の全部もしくは一部を含む組換えDNA分子もしくは配列、またはそれに由来する任意の断片も、「単離された」とみなされる。「単離された」DNA分子は、トランスジェニック植物(複数可)、植物部分(複数可)、植物細胞(複数可)及び/または組織(複数可)から抽出または精製されてもよく、またはかかるトランスジェニック植物(複数可)、植物部分(複数可)、植物細胞(複数可)及び/または組織(複数可)からのホモジネート、抽出物もしくは溶解物中に存在してもよく、または植物ゲノムDNAからの増幅産物または増幅産物として産生されてもよく、及び/またはトランスジェニック植物(複数可)、植物部分(複数可)、植物細胞(複数可)及び/または組織(複数可)からのDNA、抽出物細胞(複数可)及び/または精製されてもよい。本開示の目的において、任意のトランスジェニックポリヌクレオチドまたはDNA配列、すなわち、植物もしくは細菌のゲノム内に挿入されるか、または染色体外ベクター内に存在するDNAのヌクレオチド配列は、それが、細胞の形質転換に使用されるプラスミドもしくは同様の構造内に存在しても、植物もしくは細菌のゲノム内に存在しても、または植物もしくは細菌に由来する組織、子孫、生物学的試料、または商品生産物の中に検出可能量で存在しても、「単離された」ヌクレオチドまたはDNA配列であるとみなされる。「単離された」DNA分子は、分子が核酸、核酸配列、ポリヌクレオチド配列、DNA配列、核酸分子、ポリヌクレオチド分子、DNA分子などと呼ばれるかどうかにかかわらず、化学的分子または生化学的分子である。「単離された」分子は、植物細胞または植物ゲノムに存在する場合、または植物細胞の外側に存在する場合、工業的適用可能性を提供することができ、したがって、分子がどこに配置されているかにかかわらず、有用性を提供し、提示する(ならびに、提供し、提示することが意図されている)。
【0069】
植物のゲノムへのトランスジェニック挿入物(または挿入物)の一端と隣接するトウモロコシゲノムDNAとの間のホスホジエステル結合の結合は、「接合部」と称される。言い換えれば、「接合部」は、トランスジェニック挿入物の一端と隣接するゲノムDNAとの接続点または共有結合である。一方の接合部は、トランスジェニック挿入の5’末端に見出され、他方は、本明細書においてそれぞれ5’及び3’接合部と称されるトランスジェニック挿入物の3’末端に見出される。「接合部配列」とは、植物ゲノム内のトランスジェニックイベントの5’または3’接合部にまたがる任意の長さの連続したヌクレオチドのDNA配列を指す。トランスジェニックイベントと隣接するゲノム配列との間の接合部に特異的な「接合部配列」の場合、該接合部配列は、概して、挿入の一端に十分な数の連続したヌクレオチド、及び隣接するゲノム配列の十分な数の連続したヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態によれば、「接合部配列」は、(i)挿入の一端に少なくとも5(5)個の連続ヌクレオチド、少なくとも10(10)個の連続ヌクレオチド、少なくとも15(15)個の連続ヌクレオチド、少なくとも20(20)個の連続ヌクレオチド、または少なくとも30(30)個の連続ヌクレオチド、ならびに(ii)少なくとも5(5)個の連続ヌクレオチド、少なくとも10(10)個の連続ヌクレオチド、少なくとも15(15)個の連続ヌクレオチド、少なくとも20(20)の連続ヌクレオチド、または少なくとも30(30)個の連続ヌクレオチドの隣接ゲノムDNA配列を含んでもよいが、植物ゲノムにおけるトランスジェニックイベントの接合部にまたがる連続ヌクレオチドの任意の長さが接合部配列であってもよいことが理解される。トウモロコシイベントZM_BCS216090の様々な接合部配列は、配列番号10を使用して当業者によって決定され得る。イベントZM_BCS216090の接合部配列の例は、配列番号1~8として提供される。図1は、配列番号10に対して、5’から3’(左から右へ)に配置された接合部配列の物理的配置及び位置を示す。イベントZM_BCS216090の接合部配列は、イベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、植物部分、植物種子、または植物組織もしくは細胞、イベントZM_BCS216090の全部もしくは一部を含むDNA分子、またはイベントZM_BCS216090を含む微生物のゲノムの一部として存在し得る。植物、植物部分、植物種子、または植物組織もしくは細胞からのDNA分子または試料中の接合部配列のうちのいずれか1つ以上の同定は、植物、植物部分、植物種子、または植物組織もしくは細胞が、イベントZM_BCS216090を含有するかもしくは含むこと、またはDNA分子が、イベントZM_BCS216090を含有するかもしくは含むこと、またはイベントZM_BCS216090を含含有するかもしくは含むトウモロコシ植物、植物部分、植物種子、または植物組織もしくは細胞から得られたことを示し、それぞれの場合において、イベントZM_BCS216090の存在を診断する。
【0070】
イベントZM_BCS216090の接合部配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号10からなる群からの配列によって表され得る。例えば、接合部配列は、配列番号1及び配列番号2、配列番号1及び配列番号4、配列番号1及び配列番号6、配列番号3及び配列番号2、配列番号3及び配列番号4、配列番号3及び配列番号6、配列番号5及び配列番号2、配列番号5及び配列番号4、または配列番号5及び配列番号6であってもよく、またはそれらを含んでもよい。接合部配列は、第1または5’接合部配列、及び第2または3’接合部配列を含み得、第1または5’接合部配列は、配列番号1、配列番号3、及び/または配列番号5のうちの1つ以上であるか、またはそれを含み、第2または3’接合部配列は、配列番号2、配列番号4、及び/または配列番号6のうちの1つ以上であるか、またはそれを含む。代替的にまたは追加的に、第1または5’接合部配列は、配列番号7であり得るか、またはそれを含み得、及び/または第2または5’接合部配列は、配列番号8であり得るか、またはそれを含み得る。
【0071】
本明細書に記載の接合部配列は、イベントZM_BCS216090の全部もしくは一部、及び/または本明細書に記載のmiRNAコード導入遺伝子、構築物または発現カセットの全部もしくは一部を含むDNA分子の存在について診断する。したがって、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞、あるいはトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞に由来する商品生産物に由来する試料またはDNA分子における、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、及び配列番号10のうちの1つ以上の同定または検出は、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞、あるいはトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞に由来する商品生産物が、トウモロコシイベントZM_BCS216090の全部もしくは一部を有するかまたは含むことを直接的または間接的に、診断する。トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞に由来する試料またはDNA分子、またはトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞に由来する商品生産物中の5’接合部配列及び3’接合部配列(それぞれ、本明細書に提供または記載される)の同定または検出は、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞に由来する商品生産物が、トウモロコシイベントZM_BCS216090を有するか、または含むことを診断する。したがって、本開示は、配列番号1、配列番号2、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10として提供されるヌクレオチド配列のうちの少なくとも1つを含むDNA分子を提供する。配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10として提供される配列のうちの少なくとも1つを含むのに十分な、トランスジェニックトウモロコシイベントZM_BCS216090に由来するDNAの任意のセグメントは、本開示の範囲内である。更に、本明細書に記載の配列のいずれかに相補的な配列を含む任意のDNAまたはポリヌクレオチド分子または配列も、本開示の範囲内である。
【0072】
本開示は、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞に由来する試料、またはトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ組織もしくは細胞に由来する商品生産物から得られる試料中のイベントZM_BCS216090の全部もしくは一部を含むDNAの存在を検出するためのプライマーもしくはプローブのいずれかとして使用することができる、一本鎖または二本鎖であり得るDNA、ポリヌクレオチドまたは核酸分子を提供する。かかるプライマーもしくはプローブは、標的核酸、ポリヌクレオチドまたはDNA配列に特異的であり、したがって、本明細書に記載の方法によるトウモロコシイベントZM_BCS216090核酸、ポリヌクレオチドまたはDNA配列の同定に有用である。プライマーもしくはプローブは、標的核酸、ポリヌクレオチド、またはDNA配列にハイブリダイズすることができ、標的核酸、ポリヌクレオチド、またはDNA分子または標的核酸、ポリヌクレオチド、またはDNA配列を含むか、または標的核酸、ポリヌクレオチド、またはDNA配列に共有結合して会合している配列の特異的な検出または増幅を可能にする。本実施形態によれば、プライマー及び/またはプローブは、植物ゲノムにおける導入遺伝子の存在だけでなく、特定のトランスジェニックイベントの検出を同定及び区別するために選択されてもよい。標的核酸、ポリヌクレオチドまたはDNA分子または配列は、トウモロコシイベントZM_BCS216090、接合部配列、及び/または隣接するゲノムDNAの全部もしくは一部を含み得る。本開示によるプローブ及びプライマーは、(i)標的DNA配列に対する完全または100%配列相補性(すなわち、100%相補性)、または(ii)プローブもしくはプライマーが、関連する増幅もしくは検出アッセイ、反応、または方法におけるプローブもしくはプライマーの使用に好適であり、かつ必要なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、標的DNA配列とハイブリダイズするのに十分な標的DNA配列に対する相補性を有する限り、標的DNA配列に対する不完全な配列相補性、例えば、標的DNA配列に対して少なくとも60%相補的、少なくとも65%相補的、少なくとも70%相補的、少なくとも75%相補的、少なくとも80%相補的、少なくとも85%相補的、少なくとも90%相補的、少なくとも95%相補的、もしくは少なくとも99%相補的などのが相補性を有し得る。当技術分野で理解されているように、プライマーもしくはプローブの長さが長く、ストリンジェンシー及び使用に依存する場合、プライマーもしくはプローブの相補性の割合は低くてもよい。
【0073】
「プローブ」は、標的核酸の鎖に相補的であり、ハイブリダイゼーション法において有用な核酸分子である。プローブは、従来の検出可能な標識またはレポーター分子、例えば、放射性同位体、フルオロフォア、リガンド、化学発光剤、または酵素を付着し得る。かかるプローブは、標的核酸の鎖、ならびに本開示の場合、イベントZM_BCS216090を含有する植物からのものであれ、イベントZM_BCS216090 DNAを含む試料からのものであれ、イベントZM_BCS216090からのDNAの鎖に相補的である。本発明によるプローブには、デオキシリボ核酸またはリボ核酸だけでなく、ポリアミド及び標的DNA配列に特異的に結合し、その標的DNA配列の存在を検出するために使用することができる他のプローブ材料も含まれる。トウモロコシイベントZM_BCS216090を検出するためのプローブとして有用な例示的なDNA配列は、配列番号13(PB50583)として提供される。「プローブ」はまた、トウモロコシイベントZM_BCS216090のDNAまたはヌクレオチド配列の全部もしくは一部を含む試料中の鋳型DNAに結合して、精製方法または当技術分野で知られている技術を使用して試料の残りの部分から鋳型DNAを精製するために使用されてもよく、例えば、プローブが、精製または分離することができる基質または粒子もしくはビーズに結合しているか、結合することができる。かかる鋳型DNAは、トウモロコシイベントZM_BCS216090のDNAまたはヌクレオチド配列の全部もしくは一部、またはその部分もしくは断片、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその相補体を含み得る。
【0074】
「プライマー」とは、インビトロ増幅反応を伴う特定のアニーリングまたはハイブリダイゼーション方法で使用するように設計された、DNA分子またはオリゴヌクレオチドである。一対のプライマーを、熱増幅反応(ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)など)または当技術分野で既知の任意の他の好適な増幅方法において鋳型DNA(トウモロコシゲノムDNAの試料など)とともに使用して、増幅産物またはアンプリコンを産生してもよく、かかる反応から産生するアンプリコンは、プライマーが鋳型DNAにハイブリダイゼーションした2つの部位の間に位置する鋳型DNAの配列に対応するDNA配列を有し得る。当該技術分野で理解されるように、「増幅産物」または「アンプリコン」は、増幅反応によって産生されるDNA分子またはセグメントである。増幅または増幅することは、鋳型DNAから標的DNA分子またはセグメントの複数のコピーを作成することを指す。単一の「プライマー」を使用して、当該技術分野で知られているシークエンシング方法に従って、鋳型DNAのDNA配列を決定するためのシークエンシング反応を開始してもよい。かかるシークエンシング反応を使用して、トウモロコシイベントZM_BCS216090からのDNA分子またはヌクレオチド配列、またはその一部または断片の存在または不存在を決定することができる。かかる鋳型DNAは、トウモロコシイベントZM_BCS216090のDNAまたはヌクレオチド配列の全部もしくは一部、またはその部分もしくは断片、例えば、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、またはその相補体を含み得る。
【0075】
DNA増幅反応、方法、及び技法は、当業者に既知である。DNA増幅は、ポリメラーゼ連鎖反応またはPCRを含む熱及び等温増幅方法を含む、当該技術分野で既知の様々な核酸増幅方法のいずれかによって達成することができる。増幅方法は、当該技術分野で既知である。とりわけ、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、及びPCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,ed.Innis et al.,Academic Press,San Diego,1990。ゲノムDNAの最大22kb(キロベース)及びバクテリオファージDNAの最大42kbを増幅するためのPCR増幅方法が開発されている(Cheng et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA91:5695-5699,1994)。これらの方法及び当技術分野で既知の他のDNA増幅法を本発明の実施において使用してもよい。DNA増幅法の例には、PCR、リコンビナーゼポリメラーゼ増幅法(RPA)(例えば、米国特許第7,485,428号を参照)、鎖置換増幅法(SDA)(例えば、米国特許第5,455,166号及び同第5,470,723号を参照)、転写媒介増幅法(TMA)(例えば、Guatelli et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87:1874-1878,1990を参照)、ローリングサークル増幅法(RCA)(例えば、Fire and Xu,Proc.Natl.Acad Sci.USA 92:4641-4645,1995、Lui,et al.,J.Am.Chem.Soc.118:1587-1594,1996、Lizardi,et al.,Nature Genetics 19:225-232,1998、米国特許第5,714,320号及び同第6,235,502号を参照)、HDA(ヘリカーゼ依存性増幅)(例えば、Vincent et al.,EMBO Reports 5(8):795-800,2004、米国特許第7,282,328号を参照)、及び多重変位増幅(MDA)(例えば、Dean et al.,Proc.Natl.Acad Sci.USA 99:5261-5266,2002を参照)を含む。トウモロコシイベントZM_BCS216090からの異種DNA挿入物及び/または隣接ゲノムDNA配列の配列は、本明細書で提供される配列に由来するプライマーを使用して、イベントZM_BCS216090 DNAを含むトウモロコシ種子またはイベントZM_BCS216090 DNAを含むトウモロコシ種子から成長したトウモロコシ植物からかかるDNA分子を増幅し、続いてPCRアンプリコンまたはそのクローンDNA断片の標準DNAシークエンシングすることによって検証または試験することができる。
【0076】
本実施形態によれば、増幅反応のアンプリコンの配列は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10のうちの1つ以上、またはその断片を含み得る。本実施形態によれば、アンプリコンの配列は、トウモロコシイベントZM_BCS216090のための5’接合部配列及び/または3’接合部配列などの少なくとも1つの接合部配列または2つの接合部配列を含む。
【0077】
プライマーは、典型的には、相補的な標的DNA鎖に配列特異的にハイブリダイズして、プライマーと標的DNA鎖との間にハイブリッドを形成するように設計され、相補的な標的DNA鎖にハイブリダイズまたは結合したプライマーは、標的DNA鎖をテンプレートとして使用して、プライマーの伸長(すなわち、追加のヌクレオチドの伸長ヌクレオチド分子への重合)を開始するためのポリメラーゼの認識点である。プライマーペアは、典型的には熱循環増幅反応または他の従来のDNA増幅方法において、プライマーペアの個々のプライマーによって元の鋳型DNAまたは増幅反応のアンプリコンに結合するために標的とされる位置間のポリヌクレオチドまたはDNAセグメントを増幅するために、二本鎖DNAまたはポリヌクレオチドセグメントの対向する鎖に結合する2つのプライマーの使用を指す。プライマーペアは、典型的には、鋳型DNA分子の対向する鎖上の鋳型DNA分子の異なる近くの標的位置にハイブリダイズするように設計され、その結果、2つのプライマーの間の介在する領域または配列を、複数回の増幅を通じて使用または検出するために特異的に増幅することができる。
【0078】
トウモロコシイベントZM_BCS216090の有無を検出するために、テンプレートDNA分子の標的位置及び/または中間の領域もしくは配列は、トウモロコシイベントZM_BCS216090の挿入子の少なくとも1つの接合部配列及び/または少なくとも一部分を含み得る。トウモロコシイベントZM_BCS216090の不存在を検出するために、テンプレートDNA分子の標的位置及び/または中間の領域もしくは配列は、トウモロコシイベントZM_BCS216090の接合部配列または挿入物の任意の部分を含まないトウモロコシゲノムDNAを含み得る。したがって、プライマーペアを有するアンプリコンの存在または不存在は、それぞれ、DNA分子または試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090の存在または不存在、またはその逆を診断し得る。これは、2つ以上のプライマーペアでも可能であり得る。例えば、第1のプライマーペアは、トウモロコシイベントZM_BCS216090が存在する場合に第1のアンプリコンを産生し得、第2のプライマーペアは、トウモロコシイベントZM_BCS216090が存在しないか、または存在しない場合に第2のアンプリコンを産生し得る。あるいは、増幅反応で産生されるアンプリコンのサイズは、DNA分子または試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090の存在または不存在を診断することもでき、例えば、トウモロコシイベントZM_BCS216090が存在する場合、プライマーペアは、第1のサイズの第1のアンプリコンを産生し得、トウモロコシイベントZM_BCS216090が不存在で、存在しない場合、第2のサイズの第2のアンプリコンを産生し得、または、トウモロコシイベントZM_BCS216090が存在する場合、第1のプライマーペアは、第1のサイズの第1のアンプリコンを産生し得、トウモロコシイベントZM_BCS216090が不存在か、または存在しない場合、第2のプライマーペアは、第2のサイズの第2のアンプリコンを産生し得る。これらの実施形態のうちのいくつかによれば、プライマーペアのうちの少なくとも1つが内部対照として使用され、トウモロコシイベントZM_BCS216090に関連付けられていない、少なくとも2つのプライマーペアが使用され得る。
【0079】
本実施形態によれば、DNA分子または試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090の全部もしくは一部の存在を検出するためのプライマーペアは、第1のプライマー及び第2のプライマーを含み、第1のプライマーが5’隣接ゲノムDNA配列に相補的であって、第2のプライマーがトランスジェニック挿入物内の配列に相補的であり、あるいは、第1のプライマーが5’隣接ゲノムDNA配列に相補的であって、第2のプライマーが3’隣接ゲノムDNA配列に相補的であり、あるいは、第1のプライマーが3’隣接ゲノムDNA配列に相補的であって、第2のプライマーが5’隣接ゲノムDNA配列に相補的であり、あるいは、第1のプライマーがトランスジェニック挿入物内の配列に相補的であった、第2のプライマーが3’隣接ゲノムDNA配列に相補的であり、あるいは、第1のプライマーがトランスジェニック挿入物内の配列に相補的であって、第2のプライマーが5’隣接ゲノムDNA配列に相補的であり、あるいは、第1のプライマーが3’隣接ゲノムDNA配列に相補的であって、第2のプライマーがトランスジェニック挿入物内の配列に相補的である。5’隣接ゲノムDNA配列、3’隣接ゲノムDNA配列、またはトウモロコシイベントZM_BCS216090のトランスジェニック挿入物内の配列に相補的なプライマーに対するこのパラグラフにおける各参照は、トウモロコシイベントZM_BCS216090のそれぞれの5’隣接ゲノムDNA配列、3’隣接ゲノムDNA配列、またはトランスジェニック挿入物内の配列の逆相補的なプライマーを潜在的に含むことも意図される。
【0080】
プライマーとして有用な例示的なDNA分子は、配列番号11、配列番号12、配列番号14、及び配列番号15として提供される。プライマーペア配列番号11及び配列番号12は、第1のDNA分子もしくはプライマー及び第2のDNA分子もしくはプライマーとして有用であり得、各プライマーは、トウモロコシイベントZM_BCS216090に由来する鋳型DNAとの増幅反応で一緒に使用されるときにDNAプライマーとして機能して、鋳型DNAの反対鎖にハイブリダイズし、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAを診断するアンプリコンを産生するのに十分な配列番号10の連続するヌクレオチド、または配列番号10に相補的な配列の長さを有する。プライマーペア配列番号14及び配列番号15は、第1のDNA分子またはプライマー及び第2のDNA分子またはプライマーとして有用であり、各プライマーは、トウモロコシイベントZM_BCS216090に由来する鋳型DNAとの熱増幅反応で一緒に使用されるときにDNAプライマーとして機能し、トウモロコシイベントZM_BCS216090の診断と、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの接合性の両方のための内部対照として機能するアンプリコンを産生するために十分な、トウモロコシゲノム内の遺伝子座の連続したヌクレオチドの長さを有する。
【0081】
DNAプローブ及びDNAプライマーは、一般に、11個以上のポリヌクレオチドの長さであり、多くの場合、18個以上のポリヌクレオチド、21個以上のポリヌクレオチド、24個以上のポリヌクレオチド、または30個以上のポリヌクレオチドの長さである。かかるプローブ及びプライマーは、高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション条件下で標的配列に特異的にハイブリダイズするために、標的配列に対して十分な長さ及び配列相補性を有するように選択される。好ましくは、本開示によるプローブ及びプライマーは、完全な配列相補性または標的配列との同一性を有するが、プローブ及びプライマーは、同一性または相補性の観点で、標的配列と異なってはいても、標的配列とハイブリダイズする能力を保持しているものを、従来の方法で設計することができる。
【0082】
本開示の核酸プローブ及びプライマーは、ストリンジェントな条件下で標的DNA分子にハイブリダイズする。任意の従来の核酸ハイブリダイゼーションまたは増幅方法を使用して、試料中のトランスジェニック植物からの標的DNAの存在を検出または特定することができる。核酸またはDNAセグメントまたはその断片とも呼ばれるポリ核酸またはDNA分子は、特定の状況下で他の相補的な核酸またはDNA分子に特異的にハイブリダイズすることができる。
【0083】
本明細書で使用される、2つのポリ核酸分子は、該2つの分子が逆平行の二本鎖核酸構造を形成することが可能な場合、互いに特異的にハイブリダイズすることが可能であると言われる。核酸分子は、それらが完全な相補性を示す場合、別の核酸分子の「相補体」であると言われる。本明細書で使用される場合、核酸分子は、「完全な相補性」を示すと言われ、分子のうちの1つのヌクレオチドが、それぞれの配列の順序で、他方のヌクレオチドに相補的である場合、「完全に相補的」である。2つの分子は、少なくとも従来の「低ストリンジェンシー」条件下で互いにアニールされたままであることを可能にするのに十分な安定性で互いにハイブリダイズすることができる場合、「最小限の相補性」であると言われる。同様に、分子は、それらが従来の「高ストリンジェンシー」条件下で互いにアニールされたままであることを可能にするのに十分な安定性で互いにハイブリダイズすることができる場合、「相補的」であると言われる。従来のストリンジェンシー条件は、Sambrook et al.,1989、及びHaymes et al.,In:Nucleic Acid Hybridization,A Practical Approach,IRL Press,Washington,DC(1985)に記載されている。従って、完全な相補性からの逸脱は、かかる逸脱が二本鎖構造を形成する分子の能力を完全に排除しない限り許容される。核酸分子がプライマーもしくはプローブとして機能するためには、特定の溶媒及び塩濃度ならびに用いられる他の条件下で安定した二本鎖構造を形成することができるように、配列において十分に相補的である必要があるだけである。
【0084】
本明細書で使用される場合、参照核酸配列に関連する実質的に相同な配列は、それが高いストリンジェンシー条件下で比較されている参照核酸配列の相補体に特異的にハイブリダイズする核酸配列である。
【0085】
DNAハイブリダイゼーションを促進する適切なストリンジェンシー条件、例えば約45℃での6.0×塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、続いて50℃での2.0×SSCの洗浄は、当業者に知られているか、またはCurrent Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,N.Y.(1989),6.3.1-6.3.6に見出すことができる。例えば、洗浄工程における塩濃度は、50℃で約2.0×SSCの低ストリンジェンシーから50℃で約0.2×SSCの高ストリンジェンシーまで選択することができる。更に、洗浄ステップの温度は、室温、約22℃での低ストリンジェンシー条件から約65℃での高ストリンジェンシー条件に増加させることができる。温度及び塩の両方が変化してもよく、または温度または塩濃度のいずれかが一定であり、一方、他方の変数が変化してもよい。いくつかの実施形態では、プライマーもしくはプローブなどの本開示のポリ核酸は、例えば、約2.0×SSC及び約65℃の中程度のストリンジェントな条件下で、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び/または配列番号10に示される核酸分子配列のうちの1つ以上に特異的にハイブリダイズする。いくつかの実施形態では、プライマーもしくはプローブなどの本開示の核酸は、高ストリンジェンシー条件下で、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び/または配列番号10に示される核酸分子配列のうちの1つ以上に特異的にハイブリダイズする。本発明の一態様では、本開示の好ましい核酸分子は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、または配列番号8、配列番号9、及び/または配列番号10、またはそれらの相補体、またはそれらの断片のうちの1つ以上に示される核酸配列を有するか、または含む。プライマーもしくはプローブなどの核酸分子の標的DNA分子へのハイブリダイゼーションは、当業者に既知である任意の数の方法によって検出することができ、これらには、蛍光タグ、放射性タグ、抗体ベースのタグ、及び化学発光タグが含まれ得るが、これらに限定されない。
【0086】
特定の増幅プライマーペアを使用した(例えば、PCRによる)標的核酸配列の増幅に関して、「ストリンジェントな条件」とは、DNA熱増幅反応において、対応する配列(またはその相補体)を有するプライマーが結合するであろう標的核酸配列にのみハイブリダイズし、好ましくは独自の増幅産物、すなわちアンプリコンを産生することを可能にする条件である。
【0087】
「(標的配列)に対して特異的」という用語は、プローブもしくはプライマーが、ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で、標的配列を含む試料中の標的配列にのみハイブリダイズすることを示す。
【0088】
本明細書で使用する場合、「増幅DNA」または「アンプリコン」は、鋳型ポリ核酸またはDNA分子の一部である標的ポリ核酸またはDNA分子を対象とする、本明細書に更に記載のポリ核酸またはDNAの増幅反応または方法による核酸またはDNA産物を指す。例えば、2つの親の性交配に起因するトウモロコシ植物等が、本開示のイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物由来のトランスジェニック植物ゲノムDNAを含むかどうかを決定するために、DNAを、トウモロコシ植物組織試料から抽出し、標的配列にユニークに会合しているか、またはイベントZM_BCS216090の一部である、特異的なプライマーペア、例えば、挿入DNAの方向にポリメラーゼ5’から3’によって延長されるイベントZM_BCS216090の異種挿入DNAに隣接する領域のゲノムDNA配列に由来する第1のプライマー、及び第1のプライマーが由来する隣接ゲノムDNAの方向にポリメラーゼ5’から3’によって延長される異種挿入DNA分子に由来する第2のプライマーなどを使用して、増幅反応または方法に供することができる。アンプリコンは、鋳型ポリ核酸、ポリヌクレオチドまたはDNA分子における2つのプライマー標的配列間の介在するポリ核酸、ポリヌクレオチドまたはDNA配列の長さに応じて、プライマーペアの組み合わせた長さ+1つのヌクレオチド塩基対、または+約50個のヌクレオチド塩基対、または+約250個のヌクレオチド塩基対、または+約450個のヌクレオチド塩基対、またはそれ以上の長さの範囲であってもよい。あるいは、プライマーペアは、挿入された異種DNAの両側のゲノム配列に由来して、挿入ポリヌクレオチド配列全体を含むアンプリコンを産生することができる(例えば、配列番号10の5’末端のゲノム部分から単離されたフォワードプライマーと、配列番号10の3’末端のゲノム部分から単離されたリバースプライマーであって、それは本明細書でイベントZM_BCS216090ゲノムにおいて同定された挿入DNA配列(配列番号9)を含むDNA分子を増幅する)。挿入されたトランスジェニックDNAに隣接する植物ゲノム配列に由来するプライマーペアのメンバーは、該挿入DNA配列からある距離に置かれ、この距離は、1ヌクレオチド塩基対から約2万ヌクレオチド塩基対までの範囲であり得る。「アンプリコン」という用語の使用は、DNA増幅反応中に形成され得るプライマー二量体を特異的に除外する。
【0089】
実際上は、限られたサイズ範囲、例えば、100~1000塩基のアンプリコンを産生するプライマーを設計する必要がある。一般に、より小さいサイズ(より短いポリヌクレオチド長)のアンプリコンは、熱増幅反応でより確実に産生され、より短いサイクル時間を可能にし、アガロースゲル上で容易に分離及び視覚化することができ、またはエンドポイントTaqMan(登録商標)様のアッセイでの使用に適合させることができる。より小さなアンプリコンは、当技術分野で既知のDNAアンプリコン検出法によって産生及び検出することができる。加えて、プライマーペアを使用して産生されるアンプリコンは、ベクターにクローニングされ、増殖され、単離され、シークエンシングされ得るか、または当該技術分野で十分に確立された方法で直接シークエンシングされ得る。配列番号11、12、14、及び15の適切な組み合わせなどの、配列番号10の一部と同一であり得る、または相補的であり得る、フォワードプライマー及びリバースプライマーの任意のプライマーペアであって、イベントZM_BCS216090またはその子孫を診断するアンプリコンを産生するためのDNA増幅方法において有用である、任意のプライマーペアは、本開示の態様である。イベントZM_BCS216090またはその子孫を診断するアンプリコンを産生するためのDNA増幅方法において有用である、配列番号10の少なくとも15の連続したヌクレオチド、またはその相補体を含む任意の単一の単離DNAポリヌクレオチドプライマー分子が、本開示の態様である。イベントZM_BCS216090を含む植物またはその子孫を診断するアンプリコンを産生するためのDNA増幅方法において有用である、配列番号12の少なくとも15の連続したヌクレオチド、またはその相補体を含む任意の単一の単離DNAポリヌクレオチドプライマー分子が、本開示の態様である。イベントZM_BCS216090またはその子孫を診断するアンプリコンを産生するためのDNA増幅方法において有用である、配列番号9の少なくとも15の連続したヌクレオチド、またはその相補体を含む任意の単一の単離DNAポリヌクレオチドプライマー分子が、本開示の態様である。
【0090】
本明細書に記載の方法によって産生される診断用アンプリコンは、シークエンシング、制限酵素マッピング、ノーザン分析、サザン分析、または任意の他の好適なポリヌクレオチドもしくはDNAハイブリダイゼーション、ブロッティング、重合及び/または増幅に基づくアプローチもしくは技術などの、当該技術分野で既知の複数の技術によって検出され得る。1つの方法は、Genetic Bit分析であり(Nikiforov et al.,Nucleic Acid Res.22:4167-4175,1994)、ここでは、隣接するゲノムDNA配列と挿入されたDNA配列の両方、すなわち接合部配列と重複するDNAオリゴヌクレオチドが設計される。該オリゴヌクレオチドは、マイクロタイタープレートのウェルに固定化される。目的の領域のPCR後(例えば、挿入された配列内の1つのプライマー及び隣接する隣接するゲノム配列内の1つを使用して)、一本鎖PCR産物を固定化オリゴヌクレオチドにハイブリダイゼーションし、DNAポリメラーゼ及び予想される次の塩基に特異的な標識されたジデオキシヌクレオチド三リン酸塩(ddNTP)を使用して、単一塩基伸長反応のテンプレートとして機能させることができる。読み出しは、蛍光でもELISAベースでもよい。シグナルは、成功した増幅、ハイブリダイゼーション、及び単一塩基伸長に起因する導入遺伝子/ゲノム接合部配列の存在を示す。
【0091】
別の方法は、Winge(Innov.Pharma.Tech.00:18-24,2000)に記載されるような熱シークエンシング技術である。この方法では、隣接するゲノムDNA及び挿入DNA結合部と重複するオリゴヌクレオチドが設計される。該オリゴヌクレオチドは、目的の領域からの一本鎖PCR産物にハイブリダイズされ(1つのプライマーは挿入された配列中、1つは隣接ゲノム配列中)、DNAポリメラーゼ、ATP、スルフリラーゼ、ルシフェラーゼ、アピラーゼ、アデノシン5’ホスホ硫酸及びルシフェリンの存在下でインキュベートされる。DNTPは個別に追加され、その組み込みにより、光信号が生じ、これが測定される。光信号は、増幅、ハイブリダイゼーション、及び一塩基または多塩基伸長の達成による当該導入遺伝子/ゲノム配列の存在を示す。
【0092】
Chen et al.(Genome Res.9:492-498,1999)により記載される蛍光偏光法は、本発明のアンプリコンを検出するために使用され得る方法である。この方法を使用して、ゲノム隣接及び挿入DNA結合部と重複するオリゴヌクレオチドが設計される。該オリゴヌクレオチドは、目的の領域からの一本鎖PCR産物にハイブリダイズされ(1つのプライマーは挿入DNA中、1つは隣接ゲノムDNA配列中)、DNAポリメラーゼ及び蛍光標識ddNTPの存在下でインキュベートされる。単一塩基伸長により、該ddNTPが組み込まれる。取り込みは、蛍光光度計を使用した偏光の変化として測定することができる。偏光の変化は、増幅、ハイブリダイゼーション、及び一塩基伸長の達成による当該導入遺伝子/ゲノム配列の存在を示す。
【0093】
リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)では、PCRの進行を発生時に(すなわち、リアルタイムで)モニターすることが可能である。データは、PCRの終わりではなく、PCRプロセスを通して収集される。リアルタイムPCRでは、反応は、固定されたサイクル数の後に蓄積された標的の量ではなく、標的の増幅が最初に検出されるサイクル中のポイントインタイムによって特徴付けられる。リアルタイムPCRアッセイにおいて、陽性反応は、蛍光シグナルの蓄積によって検出される。核酸標的の開始コピー数が高いほど、蛍光の有意な増加がより早く観察される。サイクル閾値(Ct値)は、蛍光シグナルが閾値を超える(すなわち、バックグラウンドレベルを超える)ために必要なサイクル数として定義される。Ctレベルは、試料中の標的核酸の量に反比例する(すなわち、Ct値が低いほど、試料中の標的核酸の量が大きい)。
【0094】
Taqman(登録商標)(PE Applied Biosystems,Foster City,CA)は、リアルタイムPCRを使用してDNA配列の存在を検出及び定量化する方法とされており、製造業者が提供する使用説明書において十分に理解されている。簡潔には、ゲノム隣接及び挿入DNA結合部と重複するFRETオリゴヌクレオチドプローブが設計される。該FRETプローブ及びPCRプライマー(1つのプライマーは挿入DNA配列中、1つは隣接ゲノム配列中)は、熱安定性ポリメラーゼ及びdNTPの存在下でサイクルに供される。該FRETプローブのハイブリダイゼーションにより、該FRETプローブの消光部分から離れた蛍光部分の切断及び放出が生じる。蛍光信号は、増幅及びハイブリダイゼーションの達成による当該導入遺伝子/ゲノム配列の存在を示す。
【0095】
モレキュラービーコンは、Tyangiら(Nature Biotech.14:303-308、1996)に記載されているように、配列検出における使用について記載されている。簡潔には、隣接ゲノム及び挿入DNA結合部と重複するFRETオリゴヌクレオチドプローブが設計される。該FRETプローブの固有の構造により、該蛍光部分と消光部分を近接近に維持する二次構造が含まれる。該FRETプローブ及びPCRプライマー(1つのプライマーは挿入DNA配列中、1つは隣接ゲノム配列中)は、熱安定性ポリメラーゼ及びdNTPの存在下でサイクルに供される。PCR増幅の達成に続いて、該FRETプローブの該標的配列へのハイブリダイゼーションにより、該プローブの二次構造の除去ならびに該蛍光及び消光部分の空間的隔離がもたらされる。蛍光信号が生じる。蛍光シグナルは、増幅及びハイブリダイゼーションの成功に起因する隣接/導入遺伝子挿入配列の存在を示す。
【0096】
当技術分野で既知の他の検出方法が使用され得る。例えば、マイクロ流体(例えば、米国特許出願公開第2006/068398号、米国特許第6,544,734号を参照)は、DNA試料または分子を分離及び増幅するために使用することができる方法及びデバイスを提供する。光学染料を使用して、特定のDNA分子を検出及び測定することができる(例えば、WO/05017181を参照)。次に、特定のDNA分子に結合するDNA分子またはナノビーズを検出するための電子センサーを含むナノチューブデバイス(例えば、WO/06024023を参照)を検出することができる。
【0097】
DNA増幅法に基づくDNA検出キットは、標的DNAに特異的にハイブリダイズし、適切な反応条件下で診断アンプリコンを増幅するDNAプライマー分子を含む。キットは、アガロースゲルベースの検出方法、または当該技術分野で知られている診断用アンプリコンを検出する任意の数の方法を提供し得る。DNA検出キットは、本明細書に開示される組成物を使用して開発することができ、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの同定に有用であり、イベントZM_BCS216090 DNAを含むトウモロコシ植物を繁殖させるための方法に適用することができる。配列番号10に記載されるトウモロコシゲノム領域の任意の部分及び配列番号9に記載される挿入されたトランスジェニックDNAの任意の部分に相同または相補的であるDNAプライマーを含むキットは、本発明の目的である。DNA分子は、DNA増幅法(PCR)で、またはポリ核酸ハイブリダイゼーション法、すなわち、サザン分析、ノーザン分析などのプローブとして使用することができる。本発明のキットはまた、任意選択で、本明細書に記載の検出または診断反応を実施するための試薬または指示書を含み得る。
【0098】
本明細書に提供されるプローブ及びプライマーは、標的配列と完全な配列同一性を有し得るが、プライマー及びプローブは、標的配列に優先的にハイブリダイズする能力を保持する標的配列とは異なるものを従来の方法で設計することができる。核酸分子がプライマーまたはプローブとして機能するためには、核酸分子の配列が、用いられる特定の溶媒及び塩濃度下で安定した二本鎖構造を形成できるように十分に相補的であることのみを必要とする。任意の従来の核酸ハイブリダイゼーションまたは増幅方法を使用して、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090からのトランスジェニックDNAの存在を同定することができる。
【0099】
当業者に周知の任意の数の方法を使用して、DNA単離もしくは熱増幅またはPCR方法を含む、本明細書に開示されるDNA分子またはその断片を単離及び操作することができる。かかるDNA分子または断片は、分子または組換え技法を使用して、任意の好適なベクターまたはプラスミドに挿入または配置されるか、または他のエレメント、配列または断片と組み合わせることができる。
【0100】
したがって、本明細書に提供されるDNA分子及び対応するヌクレオチド配列は、とりわけ、トウモロコシイベントZM_BCS216090を特定すること、試料中のトランスジェニックトウモロコシイベントZM_BCS216090に由来するDNAの存在を検出すること、及びトウモロコシイベントZM_BCS216090またはイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物に由来する植物部分の存在及び/または不存在について試料をモニターすることにおいて有用である。
【0101】
本明細書における「トウモロコシ」への言及は、別段の定めがない限り、本明細書におけるその使用の文脈に応じて、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコシ植物組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ子孫植物、及び/またはトウモロコシ商品生産物を含むことが一般的に意図されている。本開示は、トウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコシ植物組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分(花粉、胚珠、絹、穗、花粉、穂軸、根組織、茎組織、葉組織など)、トウモロコシ子孫植物、及びトウモロコシ商品生産物を提供する。これらのトウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコシ植物組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ子孫植物、及びトウモロコシ商品生産物は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10として提供される配列のうちの少なくとも1つを有するか、または含む、ポリヌクレオチドもしくはDNA分子もしくは配列などの、トウモロコシイベントZM_BCS216090の少なくとも1つの接合部配列及び/または異種挿入配列を含む検出可能な量のポリヌクレオチドもしくはDNA分子もしくは配列を含む。
【0102】
本発明は、イベントZM_BCS216090 DNAを含有または含むトウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコシ植物組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分(花粉、卵胞、絹、穗、花粉、穂軸、根組織、茎組織、葉組織など)、トウモロコシ子孫植物、またはトウモロコシ商品生産物、あるいは、ZM_BCS216090 DNAを含有または含むトランスジェニックトウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコシ植物組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ子孫植物、またはトウモロコシ商品生産物に由来するそれらを提供する。イベントZM_BCS216090 DNAを含有するトウモロコシ種子の代表的な試料は、American Type Culture Collection(ATCC(登録商標))とのブダペスト条約に従って寄託されている。ATCCの寄託では、イベントZM_BCS216090 DNAを含有する種子に対して、特許寄託番号PTA-127050が割り当てられている。
【0103】
本開示は、そのゲノム中に存在し得る、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される少なくとも1つの配列を有するDNA分子を含む、細菌または真菌細胞などの微生物を更に提供する。微生物には、ゲノムまたは染色体内のDNA、またはかかる微小細胞内のプラスミドまたはベクターなどの染色体外DNA構造を含む、原核生物または真核生物かどうかにかかわらず、任意の微小細胞または生物が含まれることが意図される。顕微鏡細胞または生物には、平均的なヒトの視覚では認識できない細菌(原核生物)及び高等生命体に対応する細胞(真核生物)が含まれる。かかる微生物の例は、トランスジェニック植物細胞である。本開示の植物細胞などの微生物は、以下を含むが、これらに限定されない、多くの産業用途において有用である:(i)科学的調査または工業研究のための研究ツールとしての使用、(ii)その後の科学研究または工業製品として使用され得る内因性または組換え炭水化物、脂質、核酸、またはタンパク質産物または小分子を製造するための培養物での使用、ならびに(iii)農業研究または生産のために使用され得るトランスジェニック植物、植物部分、植物臓器または植物組織培養物を製造するための現代の植物組織培養技術との使用。トランスジェニック植物細胞などの微生物の産生及び使用は、現代の微生物学的技術及び人為的な介入を利用して、人工の独自の微生物を産生する。このプロセスでは、組換えDNAが植物細胞のゲノムに挿入され、天然に存在する植物細胞とは別の固有のトランスジェニック植物細胞が創出される。このトランスジェニック植物細胞は次に、現代の微生物学技術を使用して細菌や酵母細胞によく似て培養することができ、未分化の単細胞状態で存在し得る。トランスジェニック植物細胞の新しい遺伝子組成及び表現型は、異種DNAの細胞のゲノムへの組み込みまたは挿入によって生じる技術的効果である。本開示の別の態様は、本明細書に提供される微生物を使用する方法である。トランスジェニック植物細胞などの本開示の微生物を使用する方法には、(i)組換えDNAを細胞のゲノムに組み込み、次いでこの細胞を使用して同じ異種DNAを有する追加の細胞を誘導することによってトランスジェニック細胞を産生する方法、(ii)現代の微生物学的技術を使用して組換えDNAを含む細胞を培養する方法、(iii)培養細胞から内因性または組換え炭水化物、脂質、核酸、またはタンパク質産物を産生及び精製する方法、ならびに(iv)トランスジェニック植物細胞を用いて現代の植物組織培養技術を使用してトランスジェニック植物またはトランスジェニック植物組織培養物を産生する方法、が含まれる。
【0104】
本開示のトウモロコシ植物は、トウモロコシイベントZM_BCS216090の一部として挿入された導入遺伝子を含むイベントZM_BCS216090 DNAに沿って、子孫(progeny)または子孫(offspring)に伝播し得る。かかる子孫としては、祖先または親トウモロコシ植物(複数可)から遺伝または由来するイベントZM_BCS216090 DNAを含有または含む、任意のトウモロコシ植物、植物細胞、種子、配偶子及び/または再生可能な植物部分を含み得、そのうちの少なくとも1つは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される少なくとも1つの配列を有するかまたは含むDNA分子を含む。トウモロコシ植物、子孫、及び種子は、イベントZM_BCS216090及びイベントZM_BCS216090の導入遺伝子についてホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。子孫は、イベントZM_BCS216090を含むか、または含有するトウモロコシ植物によって産生される種子から、及び/またはイベントZM_BCS216090を含むか、または含有するトウモロコシ植物からの花粉で受精された(すなわち、イベントZM_BCS216090を含むか、または含有する花粉で受精された)植物によって産生される種子から成長され得る。
【0105】
トウモロコシイベントZM_BCS216090を含有または含むトウモロコシ植物及び種子を生産するための方法が提供される。トウモロコシ植物は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して育種され得、例えば、一般的に使用される育種方法の説明は、WR Fehr,in Breeding Methods for Cultivar Development,WilcoxJ.ed.,American Society of Agronomy,Madison WI(1987)に見出すことができる。トウモロコシイベントZM_BCS216090を含有または含むトウモロコシ植物または子孫植物は、トウモロコシ植物の真の繁殖系統、すなわち、導入遺伝子及びイベントZM_BCS216090に対してホモ接合性のトウモロコシ植物を生成するために、自己受粉(「自己繁殖」としても知られている)され得る。自己繁殖は、遺伝的に均一なトウモロコシ近交系を産生するために使用することができる「近交系」として知られる子孫をもたらすことができる。
【0106】
あるいは、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含有または含むトウモロコシ植物または子孫植物は、例えば、異なる種または遺伝子型を有する別の植物と交配または他家受粉(「交配」としても知られる)することにより、他の親植物もまた導入遺伝子及びイベントZM_BCS216090を含有または含むかどうかに応じて、導入遺伝子及びイベントZM_BCS216090に対してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る、品種またはハイブリッド種子または植物を産生し得る。他方の親植物は、同じ及び/または異なる形質、導入遺伝子、またはイベントについて、トランスジェニックまたは非トランスジェニックであってもよい。したがって、本発明の品種またはハイブリッド種子または植物は、特異的かつ独自のトウモロコシイベントZM_BCS216090を欠く第1の親と、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む第2の親とを性的に交配することによって誘導され得、特異的かつ独自のトウモロコシイベントZM_BCS216090を含有または含むハイブリッド植物または子孫植物をもたらす。各親は、トウモロコシイベントZM_BCS216090の少なくとも1つのコピー、及び/または配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される少なくとも1つの配列を有するかまたは含むDNA分子を有するか、または含む限り、ハイブリッドまたは近交系/品種植物であり得る。
【0107】
ある植物と別の植物の有性交配、つまり他家受粉は、人間の介入によって達成または促進される場合があり、例えば:人間の手、または人間、コンピュータもしくは自動制御下の他の機械的手段によって、1つの植物の花粉を収集し、この花粉を第2の植物の花柱または柱頭と接触させることにより;人間の手及び/または人間の行為、あるいは人間、コンピュータもしくは自動制御下の他の機械的手段によって、植物のおしべや葯を除去、破壊、活力を失わせ、または覆うことによって(例えば、手動介入または化学的殺生剤の適用によって)、天然の自家受粉が妨げられ、受精するには他家受粉が必要となることにより;人間が受粉昆虫を「標的特異的な受粉」の位置に配置することにより(例えば、果樹園や畑に蜂の巣を置くか、受粉昆虫を入れて植物をケージに入れることにより);花柱や柱頭に外来花粉が付着したり接触したりできるように、人間が花の一部を開いたり、取り除いたりすることにより;植物を選択的に配置することにより(例えば、受粉の近くに意図的に植物を植えることにより);及び/または開花を促進することによって(花粉に対する柱頭の)受容性を促進するために化学物質を適用することにより、なされ得る。
【0108】
したがって、2つの異なるトランスジェニック植物を交配して、2つの独立して分離するトランス遺伝子またはイベントを含有するハイブリッド子孫植物、植物部分、及び/または種子を産生してもよく、これらのトランス遺伝子またはイベントのうちの少なくとも1つは、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むか、またはその内に含まれる。例えば、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニック植物を他のトランスジェニックトウモロコシ植物と交配して、両方のトランスジェニック親の特徴を有する植物を産生することができる。親植物への戻し交配及び非トランスジェニック植物との異系交配もまた、栄養増殖と同様に企図される。異なる形質及び作物に一般的に使用される他の育種方法の説明は、当該技術分野で既知であり、いくつかの参考文献のうちの1つ、例えば、Fehr,in Breeding Methods for Cultivar Development,Wilcox J.ed.,American Society of Agronomy,Madison WI(1987)に見出すことができる。
【0109】
いくつかの実施形態によれば、低減された植物高さ特性または表現型は、トウモロコシまたはトウモロコシイベントZM_BCS216090を含有する1つ以上の子孫トウモロコシ植物、植物部分または種子を選択するために使用され得る。代替的に、子孫植物、植物部分または種子は、トウモロコシまたはトウモロコシイベントZM_BCS216090を含有または含む植物、植物部分または種子を選択するために、本明細書に記載の診断方法を使用して分析され得る。
【0110】
トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物及び子孫植物は、例えば、PCT出願第PCT/US2017/047405号(国際公開第WO2018/035354号)に記載されるように、短い身長または半矮性の形質または表現型、ならびに倒伏及び/または脆性スナップ抵抗性の形質または表現型を有し得、その内容及び開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に提供されるトウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、子孫、種子、組織、細胞及び植物部分はまた、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含有するトウモロコシ植物を、追加の形質(複数可)またはトランスジェニックイベント(複数可)を含有する別のトウモロコシ植物と交配することなどによって、1つ以上の追加のトウモロコシ形質(複数可)またはトランスジェニックイベント(複数可)を含み得る。かかる追加の形質(複数可)またはトランスジェニックイベント(複数可)は、昆虫抵抗性の増加、除草剤耐性、水利用効率の増加、収量性能の増加、干ばつ抵抗性の増加、種子品質の増加、栄養品質の改善、ハイブリッド種子生産、または疾患もしくは真菌抵抗性を含み得るが、これらに限定されない。トウモロコシ形質は、任意のトランスジェニック形質または変異形質または編集された形質または対立遺伝子を含み得る。遺伝子の変異形質または対立遺伝子は、当該技術分野で既知の任意の変異誘発技術によって生成され得る一方で、編集された形質は、当該技術分野で既知の任意のゲノム編集方法によって生成され得る。多くのトウモロコシトランスジェニックイベント(複数可)は、当業者に既知である。例えば、かかる形質のリストは、米国農務省(USDA)の動植物衛生検査サービス(APHIS)によって提供され、www.aphis.usda.govのウェブサイトに見出すことができる。したがって、トウモロコシイベントZM_BCS216090の少なくとも1つのコピーを含むことを含む2つ以上の対立遺伝子(複数可)及び/またはトランスジェニックイベント(複数可)は、それぞれ1つ以上の対立遺伝子(複数可)及び/またはトランスジェニックイベント(複数可)を含む2つの親植物を交配し、子孫種子を回収し、2つ以上の対立遺伝子(複数可)及び/またはトランスジェニックイベント(複数可)を含む子孫種子または植物を選択することによって、子孫種子または植物内で組み合わせてもよい。これらのステップは、子孫植物におけるトランスジェニックイベント(複数可)及び/または対立遺伝子(複数可)の所望の組み合わせが達成されるまで繰り返され得る。本出願については、子孫植物は、一般に、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む。親植物への戻し交配及び非トランスジェニック植物との異系交配もまた企図され、栄養増殖である。
【0111】
イベントZM_BCS216090を含む、及び/またはイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物に由来する植物部分が提供される。本明細書で使用する場合、「植物部分」は、イベントZM_BCS216090を含み得る植物の任意の部分、及び/またはイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物に由来する材料を指す。植物部分としては、限定されるものではないが、植物組織、花粉、胚珠、絹、スパイク、花粉、穂軸、根組織、茎組織、及び葉組織が挙げられる。植物部分は、生存可能、非生存可能、再生可能、及び/または非再生可能であり得る。
【0112】
イベントZM_BCS216090を含む1つ以上のトウモロコシ植物、植物部分、種子及び/または植物組織に由来し、イベントZM_BCS216090に特異的な検出可能な量の核酸またはDNA分子、セグメントまたは配列を含有する、商品生産物が提供される。本明細書で使用する場合、「商品生産物」は、トウモロコシ植物ZM_BCS216090 DNAを含有または含む1つ以上のトウモロコシ植物、全トウモロコシ種子または加工トウモロコシ種子、1つ以上の植物細胞、及び/または1つ以上の植物部分に由来する材料を含む任意の組成物または生産物を指す。非生存可能な商品生産物としては、非生存可能な種子、全種子または加工種子、種子部分、及び植物部分;トウモロコシを含む動物飼料、トウモロコシ油、トウモロコシ粉、トウモロコシ粉、トウモロコシフレーク、トウモロコシふすま、トウモロコシで作られたパスタ、トウモロコシバイオマス、ならびにトウモロコシ及びトウモロコシ部分を使用して製造された燃料製品が挙げられるが、これらに限定されない。生存可能な商品生産物としては、限定されるものではないが、種子、植物、及び植物細胞が挙げられる。したがって、イベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物を使用して、典型的にはトウモロコシから取得した任意の商品を製造することができる。イベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物に由来する任意のかかる商品は、トウモロコシイベントZM_BCS216090に対応する少なくとも検出可能な量の特異的かつ独自のDNAを含み得、具体的には、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される少なくとも1つの配列を有するか、または含む、検出可能な量のポリヌクレオチドまたはDNA分子を含み得る。トウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ植物組織、トウモロコシ植物細胞、及び/またはトウモロコシ植物生産物、例えば、イベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ商品生産物から採取されるか、またはトウモロコシ植物、トウモロコシ植物部分、トウモロコシ植物組織、トウモロコシ植物細胞、及び/またはトウモロコシ商品生産物などのトウモロコシ植物産物の含量または供給源を決定するために、試料におけるこれらのポリヌクレオチドまたはDNA配列のうちの1つ以上の検出が用いられ得る。本明細書で開示される検出方法を含めて、任意の標準的なヌクレオチド分子の検出方法を使用してもよい。商品生産物に含有される、または含まれる配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される少なくとも1つの配列を有する任意の検出可能な量のDNA分子が存在する場合、商品生産物は、本開示の範囲内である。
【0113】
したがって、本開示のトウモロコシ植物、トウモロコシ植物細胞、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分(花粉、胚珠、絹、穗、花粉、穂軸、根組織、茎組織、葉組織など)、トウモロコシ子孫植物、及び商品生産物は、とりわけ、農業目的のためのトウモロコシイベントZM_BCS216090を含む種子及び/または植物部分の生産、植物育種及び研究目的のためのトウモロコシイベントZM_BCS216090を含む子孫の生産、工業及び研究用途のための微生物学的技術との使用、ならびに消費者への販売、のために有用である。
【0114】
本開示のイベントZM_BCS216090に特異的かつ独自のDNA配列を含むトウモロコシ植物(複数可)を産生するための方法が提供される。イベントZM_BCS216090を含む子孫トウモロコシ植物は、例えば、イベントZM_BCS216090を含む親植物または系統を自己繁殖することによって産生され得、かかる親植物または系統は、イベントZM_BCS216090に対してホモ接合または半接合であるか、あるいは、イベントZM_BCS216090を含む第1の親植物または系統を交配することによって産生され得、かかる親植物または系統は、イベントZM_BCS216090に対してホモ接合または半接合であり、第2の親植物または系統は、第1の親系統とは異なる遺伝子型または生殖形質を有し、かかる第2の親植物または系統は、イベントZM_BCS216090を含有するもしくは含む場合があり、またはそうでない場合がある。本明細書で更に説明されるように、トウモロコシイベントZM_BCS216090は、植物における活性GAレベルの低下及び植物の高さの低下(すなわち、半矮性の表現型または形質)につながる抑制のための、GA20オキシダーゼ遺伝子を標的とするmiRNAをコードする発現カセットまたは導入遺伝子を含有する。いくつかの実施形態によれば、本開示のイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物(複数可)は、非トランスジェニックコントロール植物と比較して、半矮小であり、及び/またはより短い植物高さを有する。いくつかの実施形態によれば、本開示のイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物(複数可)は、非トランスジェニックコントロール植物と比較して、倒伏抵抗性(根及び/または茎の倒伏に対する抵抗性)及び/またはグリーンスナップ抵抗性である。これらの方法で使用されるトランスジェニック植物は、導入遺伝子に対してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。これらの方法によって産生された子孫植物は、品種としてのまたはハイブリッド植物であり得、植物を含有するトウモロコシイベントZM_BCS216090によって産生された種子及び/またはトウモロコシイベントZM_BCS216090を含有する植物から花粉で受精された植物によって産生された種子から成長し得、導入遺伝子及び/またはイベントZM_BCS216090に対してホモ接合性またはヘテロ接合性であり得る。子孫植物は、その後、自己受粉して、植物の真の繁殖系統、すなわち、導入遺伝子に対してホモ接合性の植物を生成してもよく、または代替的に、品種またはハイブリッドの種子または植物を産生するために、例えば、別の無関係の植物と交配してもよい。
【0115】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ植物に由来するDNAの存在を検出する方法が提供される。1つの方法は、(i)少なくとも1つのトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ植物からDNA試料を抽出することと、(ii)DNAシークエンシングに適切な条件下で、イベントZM_BCS216090 DNAに特異的なDNA配列を生成することができる少なくとも1つのプライマーとDNA試料を接触させることと、(iii)DNAシークエンシング反応を行うことと、次いで、(iv)ヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるものなど、その中に含まれる構築物のイベントZM_BCS216090に特異的なヌクレオチド配列を含むことを確認することと、を含む。
【0116】
別の方法は、(i)少なくとも1つのトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ植物からDNA試料を抽出することと、(ii)DNA増幅に適した条件下で、イベントZM_BCS216090 DNAからアンプリコンを産生することができるプライマーペアとDNA試料を接触させることと、(iii)DNA増幅反応を行うことと、次いで、(iv)アンプリコン分子を検出することと、及び/またはアンプリコンのヌクレオチド配列が、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10からなる群から選択されるものなどのイベントZM_BCS216090に特異的なヌクレオチド配列を含むことを確認することと、を含む。アンプリコンは、イベントZM_BCS216090に特異的なものであるべきであり、例えば、配列番号1、もしくは配列番号2、もしくは配列番号3、もしくは配列番号4、もしくは配列番号5、もしくは配列番号6、もしくは配列番号7、もしくは配列番号8、もしくは配列番号9、もしくは配列番号10を含むアンプリコンである。アンプリコン中のイベントZM_BCS216090に特異的なヌクレオチド配列の検出は、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090特異的DNAの存在について決定的及び/または診断的である。DNA増幅に適切な条件下でイベントZM_BCS216090 DNAからアンプリコンを産生することができるプライマーペアの例は、配列番号11及び配列番号12として提供される。他のプライマーペアは、配列番号1、もしくは配列番号2、もしくは配列番号3、もしくは配列番号4、もしくは配列番号5、もしくは配列番号6、もしくは配列番号7、もしくは配列番号8、もしくは配列番号9、もしくは配列番号10を含むアンプリコンを産生するように当業者によって容易に設計され得、かかるプライマーペアは、インサートに隣接するゲノム領域内の少なくとも1つのプライマー及びインサート内の第2のプライマーを含むが、ただし、接合部配列及び/またはインサートもしくは導入遺伝子配列の全部もしくは一部を含むアンプリコンを産生する任意のプライマーペアを設計及び使用することができるものである。アンプリコンの検出は、シークエンシング、マトリックスまたはゲル中のアンプリコンの断片サイズまたは移動の決定、またはハイブリダイゼーションベースの方法などの任意の好適な方法に基づくことができる。
【0117】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ植物に由来するDNAの存在を検出する別の方法は、(i)少なくとも1つのトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、またはトウモロコシ植物からDNA試料を抽出することと、(ii)DNA試料をイベントZM_BCS216090 DNAに特異的なDNAプローブと接触させることと、(iii)プローブとDNA試料とをストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下でハイブリダイゼーションさせることと、次に(iv)プローブと標的DNA試料との間のハイブリダイゼーションを検出することと、からなる。イベントZM_BCS216090に特異的であるDNAプローブの配列の例は、配列番号13として提供される。他のプローブは、当業者によって容易に設計され得、接合部配列、挿入物及び挿入物DNAの少なくとも1つの断片に隣接するゲノムDNAの少なくとも1つの断片、及び/または配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、及び配列番号10に提供される1つ以上の配列を含む。DNA試料へのプローブハイブリダイゼーションの検出は、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090特異的DNAの存在を診断する。ハイブリダイゼーションの不存在は、代替的に、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090特異的DNAの不存在を診断する。
【0118】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAの同定に有用であり、また、適切なイベントDNAを含有するトウモロコシ植物を繁殖させるための方法にも適用することができるDNA検出キットが提供される。かかるキットは、トウモロコシイベントZM_BCS216090に特異的なDNAプライマー及び/またはプローブ(複数可)を含有する。かかるDNAプライマー及び/またはプローブ(複数可)は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10のうちの1つ以上、またはその断片を含み得る。かかるキットの一例は、試料中のイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物に由来するDNAの存在及び/または不存在を検出するのに有用なDNAプローブとして機能するのに十分な長さの配列番号10の連続ヌクレオチドの少なくとも1つのDNA分子を含む。イベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物に由来するDNAは、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される少なくとも1つの配列を有するDNA分子を含む。同様に、プライマーは、第1のプライマー及び第2のプライマーを含むプライマーペアを含んでもよく、プライマーのうちの少なくとも1つは、隣接配列にハイブリダイズし、他のプライマーは、植物ゲノムにおけるイベントZM_BCS216090の挿入配列、または挿入物の反対側の隣接配列のいずれかにハイブリダイズする。第1及び第2のプライマーは、2つのプライマーを含む増幅反応が、2つのプライマー間のプライマー配列及び介在配列を含むアンプリコンを産生するように、異なる離間位置でトウモロコシ植物ゲノムDNAの反対側の鎖にハイブリダイズする。プローブは、プライマーペアまたはプライマーのセットで産生されたアンプリコンに対応するか、またはハイブリダイゼーションするように選択され得、2つのプライマー間のアンプリコンのプライマー配列(複数可)及び/または中間配列の全部もしくは一部を含み得る。好適なプローブは、当業者によって容易に設計され得、配列番号10の少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、少なくとも30、少なくとも31、少なくとも32、少なくとも33、少なくとも34、少なくとも35、少なくとも36、少なくとも37、少なくとも38、少なくとも39、または少なくとも40の連続したヌクレオチドを含み、イベントに由来するDNAを同定するために、トウモロコシイベントZM_BCS216090 DNAに対して十分に独自であるべきである。
【0119】
別のタイプのキットは、試料中のトランスジェニックトウモロコシイベントZM_BCS216090に由来するDNAの存在及び/または不存在を検出するのに有用なアンプリコンを産生するのに有用なプライマーペアを含む。かかるキットは、標的DNA試料を本明細書に記載のプライマーペアと接触させ、次いで、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10から選択される少なくとも1つの配列を有するDNA分子を含むアンプリコンを産生するのに十分な核酸増幅反応を行い、次いで、アンプリコンの存在及び/または不存在を検出することを含む方法を採用する。かかる方法はまた、標的DNA試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090特異的DNAの存在を決定する、すなわち、診断するであろう、アンプリコンまたはその断片をシークエンシングすることを含み得る。他のプライマーペアは、当業者によって容易に設計され得、限定されないが、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及び配列番号10に提供される配列の、少なくとも15、少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、少なくとも23、少なくとも24、少なくとも25、少なくとも26、少なくとも27、少なくとも28、少なくとも29、または少なくとも30個の連続ヌクレオチドを含み、イベントに由来するDNAを同定するために、トウモロコウZM_BCS216090 DNAに十分に独自であるべきである。
【0120】
本発明のキット及び検出方法は、とりわけ、トウモロコシイベントZM_BCS216090を同定すること、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む植物品種またはハイブリッドを選択すること、試料中のイベントZM_BCS216090を含むトランスジェニックトウモロコシ植物由来のDNAの存在を検出すること、及びイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物、またはイベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物由来の植物部分の存在及び/または不存在をモニタリングすること、に有用である。
【0121】
トウモロコシイベントZM_BCS216090からの異種DNA挿入物、接合部配列、または隣接配列の配列は、本明細書に提供される配列に由来するプライマーに続いて、アンプリコンまたはクローンDNAの標準DNAシークエンシングを使用して、イベントからのかかる配列を増幅することによって、決定または検証することができる。
【0122】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090を含む、少なくとも1つのトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分またはトウモロコシ植物に由来するゲノムDNAを用いて、イベント及び導入遺伝子の接合性を検出する方法が提供される。1つの方法は、(i)少なくとも1つのトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ植物からDNA試料を抽出することと、(ii)DNA試料を、イベントZM_BCS216090を診断する第1のアンプリコンを産生することができる第1のプライマーペアと接触させることと、(iii)DNA試料を、イベントZM_BCS216090を含まない天然トウモロコシゲノムDNAを診断する第2のアンプリコンを産生することができる第2のプライマーペアと接触させることと、(iv)DNA増幅反応を行うことと、次いで、(v)アンプリコンを検出することであって、第1のアンプリコンのみの存在が、試料中のホモ接合性イベントZM_BCS216090 DNAを診断し、第1のアンプリコン及び第2のアンプリコンの両方の存在が、イベントZM_BCS216090に対してヘテロ接合性トウモロコシ植物を診断し、第2のアンプリコンのみの存在が、試料中のイベントZM_BCS216090 DNAの不存在を診断する、検出することと、からなる。例示的なプライマーペアのセットは、イベントZM_BCS216090を診断するアンプリコンを産生する配列番号11及び配列番号12、ならびにイベントZM_BCS216090を含まない、挿入されていない野生型トウモロコシゲノムDNAを診断するアンプリコンを産生する配列番号14及び配列番号15として提示される。プローブのセットを、上述のプライマーペアセットを使用してリアルタイムPCRフォーマットで使用されるかかる増幅方法に組み込むこともできる。例示的なプローブのセットは、配列番号13(イベントZM_BCS216090のためのアンプリコンの診断)及び配列番号16(イベントZM_BCS216090を含まない野生型トウモロコシゲノムDNAのためのアンプリコンの診断)として提示される。
【0123】
接合性を決定するための別の方法は、(i)少なくとも1つのトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ植物からDNA試料を抽出することと、(ii)DNA試料を、イベントZM_BCS216090 DNAに特異的にハイブリダイズする少なくとも第1のプローブ、及びイベントZM_BCS216090の異種DNAの挿入によって破壊され、イベントZM_BCS216090 DNAにハイブリダイズしないトウモロコシゲノムDNAに特異的にハイブリダイズする少なくとも第2のプローブを含むプローブセットと接触させることと、(iii)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で試料とプローブセットをハイブリダイゼーションすることであって、ハイブリダイゼーション条件下での第1のプローブのみのハイブリダイゼーションを検出することが、試料中のイベントZM_BCS216090 DNAについて、ホモ接合性トウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ植物を診断し、ハイブリダイゼーション条件下での第1のプローブ及び第2のプローブの両方のハイブリダイゼーションを検出することが、DNA試料中のイベントZM_BCS216090について、ヘテロ接合性トウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ植物を診断し、ハイブリダイゼーション条件下での第2のプローブのみのハイブリダイゼーションを検出することが、試料中のイベントZM_BCS216090 DNAの不存在を診断する、ハイブリダイズすることと、からなる。
【0124】
接合性を決定するための更に別の方法は、(i)少なくとも1つのトウモロコシ細胞、トウモロコシ組織、トウモロコシ種子、トウモロコシ植物部分、またはトウモロコシ植物からDNA試料を抽出することと、(ii)該DNA試料を、イベントZM_BCS216090を診断する第1のアンプリコンを産生することができる第1のプライマーペアと接触させることと、(iii)該DNA試料を、該トウモロコシ植物において単一のコピーであり、ホモ接合性であることが知られている内部標準の第2のアンプリコンを産生することができる第2のプライマーペアと接触させることと、(iv)DNA試料を、第1のアンプリコンに特異的にハイブリダイズする少なくとも第1のプローブ、及び第2のアンプリコンに特異的にハイブリダイズする少なくとも第2のプローブを含むプローブセットと接触させることと、(v)リアルタイムPCRを使用してDNA増幅反応を行い、第1及び第2のアンプリコンのサイクル閾値(Ct値)を決定することと、(vi)第1のアンプリコンと第2のアンプリコンのCt値との間の差(ΔCt)を計算することと、(vii)接合性を決定することであって、約0(0)のΔCtが、イベントまたは挿入されたT-DNAのホモ接合性、及び約1(1)のΔCtが、イベントまたは挿入されたT-DNAのヘテロ接合性を示す、決定することと、からなる。ヘテロ接合及びホモ接合イベントは、約1(1)のΔCt値単位によって区別される。増幅効率及び理想的なアニーリング温度などの複数の要因によるリアルタイムPCRで観察される通常の変動性を考えると、「約1(1)」の範囲は、0.75~1.25のΔCtとして定義され、「約0(0)」の範囲は、-0.25~0.25のΔCtとして定義される(または、ΔCtが絶対値として測定される場合は0.0~0.25)。接合性を決定するための上記方法のためのプライマーペア及びプローブは、導入遺伝子またはイベントDNA及び内部DNA標準からアンプリコンを増幅及び検出することができる。
【0125】
本開示の実施形態によれば、トランスジェニックトウモロコシ植物もしくは植物部分、本明細書に提供される1つ以上のトランスジェニックトウモロコシ植物もしくは植物部分または複数のトランスジェニックトウモロコシ植物もしくは植物部分、あるいは、トランスジェニックトウモロコシ植物もしくは植物部分、本明細書に提供される1つ以上のトランスジェニックトウモロコシ植物もしくは植物部分または複数のトランスジェニックトウモロコシ植物もしくは植物部分が植えられまたは生育される農地もしくは土壌は、例えば、限定されないが、除草剤もしくは1つ以上の除草剤、殺菌剤もしくは1つ以上の殺菌剤、殺虫剤もしくは1つ以上の殺虫剤、植物成長調節剤もしくは植物刺激剤、もしくは1つ以上の植物成長調節剤、及び/または植物刺激剤、及び/または安全剤もしくは1つ以上の安全剤などの1つ以上の有効成分または他の薬剤を含む農業組成物で処理することができる。以下に、これらの種類の活性剤または薬剤のそれぞれについて可能であるか、または代表的な化合物のリストを提供し、農業組成物は、これらの活性剤、薬剤、または化合物の1つまたは任意の組み合わせ、または多様性を含み得る。かかる農業組成物は、例えば、葉状、土壌または溝内処理として、出現前、播種前及び/または出現後処理として、及び/または場合によっては、本明細書に提供されるトランスジェニック植物部分または種子に適用され得る。
【0126】
農業組成物は、その意図された用途及び用途に従って配合され得る。農業組成物の適切な配合物は、それぞれの化合物(複数可)の異なる物理化学的パラメータ、成分、及び安定性を有するように選択され得る。農業組成物のための製剤の可能な種類としては、例えば、湿潤性粉末(WP)、水溶性粉末(SP)、水溶性濃縮物、乳化性濃縮物(EC)、水中油及び油中水エマルションなどのエマルション(EW)、噴霧可能な溶液、懸濁液濃縮物(SC)、油または水に基づく分散液、油混和性溶液、カプセル懸濁液(CS)、ダスティング製品(DP)、ドレッシング、散乱及び土壌施用のための顆粒、微粒(GR)の形態、噴霧顆粒、吸収及び吸収顆粒、水分散性顆粒(WG)、水溶性顆粒(SG)、ULV製剤、マイクロカプセル及びワックスが挙げられ得る。適切であれば、殺虫剤化合物または1つ以上の殺虫剤化合物のいくつかの農業用組成物を製剤化し、本明細書に提供されるように植物部分または種子に塗布される種子コーティングとして使用してもよい。
【0127】
寄託情報
イベントZM_BCS216090を含有するトウモロコシ種子の代表的な試料の寄託は、10801 University Boulevard,Manassas,Virginia 20110,USAに住所を有するAmerican Type Culture Collection(ATCC)において、ブダペスト条約に従って2021年7月14日に行われ、ATCC受託番号PTA-127050が割り当てられた。
【実施例
【0128】
以下の実施例は、本発明をより完全に説明するために含まれる。総括すると、miRNAトランスジェニック構築物pM578についての15,000を超える固有のイベントの産生及び試験、ならびにトウモロコシ鉛イベントZM_BCS216090の創出及び最終的な選抜に必要な厳密な分子学的、農学的、及び野外試験を通じた7年間にわたる数十万の個々の植物の分析である(例えば、図4及び図5を参照されたい)。
【0129】
実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するが、本明細書に提供される全ての特定の実施形態及び実施例は、例示的であり、網羅的ではないことを理解されたい。当業者は、本開示に照らして、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書に開示される実施形態、実施例及び詳細に対して変更及び修正を行うことができることを理解すべきである。
【0130】
実施例1
発現カセット試験、構築物設計、植物試験、及び構築物の選抜
植物における導入遺伝子の発現は、多くの異なる要因の影響を受ける。有害な特性を有するオフ表現型をもたらさない一方で、目的の遺伝子(GOI)と、植物におけるその発現を駆動する様々な発現エレメントの正しい組み合わせを見出さなければならない。更に、発現エレメント自体、ならびにカセット内のそれらの組み合わせ及び配向以上に、植物における導入遺伝子の発現は、おそらくクロマチン構造(例えば、ヘテロクロマチン)または組み込み部位に近い転写調節エレメント(例えば、エンハンサーなど)の近接性に起因して、染色体挿入位置によって影響を受ける可能性がある(Kurt Weising et al.,Annu.Rev.Genet.22:421-77,1988)。例えば、植物ゲノム内の異なる染色体挿入位置を有する異なるイベントの間で、同じ構築物から導入された遺伝子の発現レベルにばらつきがあり得る。異なる染色体挿入位置はまた、空間的または時間的な発現パターンの違いを生じ得、導入された遺伝子構築物中に存在する転写調節エレメントから予想されるパターンに対応しない場合がある。
【0131】
これらの理由により、複数の構築物と特定の構築物に対する多数の形質転換イベントを作成して、スクリーニングし、構築物を同定し、次に、分子及びゲノム挿入に関する懸念がない(例、導入遺伝子の切断や無関係なベクター配列のないクリーンな挿入を選抜し、既存の遺伝子、遺伝子座、または導入遺伝子の近くにある挿入位置を回避する)とともに、導入された目的遺伝子の最適な特性及び好適な発現を実現し、農学的または表現型的なオフタイプも生成しない、最適なイベント(リードイベント)を同定する必要があることがよくある。かかる研究の前に、特定の有益なイベントの表現型を得ることができるか、またはどのイベントがこれらの最適な特性及び特徴を提供するかを決定することは不可能であり得る。数年間及び複数の生育季節にわたる概念及び発達段階の最初の証明において、異なる発現要素を有する多数の異なる構築物がトウモロコシ植物に形質転換された。形質転換された植物を、低減された植物の高さ及び耳の高さの望ましい範囲、ならびに表現型及び農学的オフタイプの不存在に基づいて、試験し、その後の試験のために漸進的に選抜した。得られた先行構築物であるpM578(図2を参照されたい)は、更なる広範な形質転換イベント試験のために選抜された。
【0132】
選抜可能なマーカー及びトランスジェニックmiRNA遺伝子(導入遺伝子)としてCP4 EPSPS遺伝子を含有する構築物pM578を担持するアグロバクテリウム・ツメファシエンス(AB32株)細胞を、「EL0」と命名されたエリートトウモロコシ系統の植物形質転換に使用して、導入遺伝子を含む短い身長のトウモロコシ植物を生成した。pM578ベクターまたはプラスミド構築物を担持するアグロバクテリウム・ツメファシエンスAB32株細胞を使用した野生型胚外植体のアグロバクテリウム媒介形質転換から、合計1,533個のトランスジェニック植物を得た。
【0133】
トランスジェニック植物を一連の分子スクリーニング及び農場試験に供して、無傷のT-DNAの単一コピーを運ぶバックボーンを有さないイベントを同定した。次に、分子データ及び農学的表現型に基づいて、優れたイベントをリード候補として選抜した。
【0134】
分子品質管理(MQC)スクリーニングのために、3つのTaqMan定量PCRアッセイをゲノタイピングのために利用し、目的の遺伝子(GOI)、選抜マーカー、及びバックボーンの存在及びコピー数を検出した。GOIのコピーが1つ、マーカーのコピーが1つあるが、バックボーンがないイベントをMQCスクリーニングへの合格とした。GOIまたはマーカーのコピーが2つ以上あるイベント、またはバックボーン陽性のイベントは、MQCスクリーニングに不合格とした。イベントがいずれか1つのアッセイから決定的な結果を得なかった場合、それらは呼び出し不可能として分類され、更なる評価から除外した。
【0135】
1,533株のトランスジェニック植物から、R MQCスクリーニングによって、植物中でバックボーンフリーであり、挿入の単一コピーのみを有する225個(15%)のイベントを同定した。図5は、マーカーフリーのZM_BCS216090トウモロコシイベントを生成及び選抜するために使用した完全繁殖プロセスの図を示す。R MQCスクリーニング結果は、リードイベントとして後に選抜されたトウモロコシイベントZM_BCS216090(Creマーカー切除前-以下を参照されたい)の前駆イベントが、CP4 EPSPSマーカー遺伝子及び導入遺伝子の1つのコピーを有していたが、形質転換ベクターの骨格を有していなかったことを示した。
【0136】
表2は、これらの1コピー及び骨格なしイベントのうち、80イベント(36%)及び15イベント(7%)が、それぞれ、オフタイプ表現型または植物の健康上の理由のために除外され、130イベント(58%)がMQCスクリーニングに合格し、これらのイベントを有するR0植物が成熟するまで成長したことを示す。各連続した世代に進んだイベントの数は、形質転換の複数のラウンドにわたってプールされる。
【表2】
【0137】
トランスジェニック植物を、成熟するまで成長したRイベントの配列及びゲノム前後関係を決定するために、全ゲノムシークエンシング(E-サザン)などの追加の分子スクリーニングに供し、それらのイベントの84個を選抜し、これらの追加のゲノム考慮に基づいてR種子を産生した。B73のゲノム及び内部エリート系統に対してマッピングされた配列情報に基づいて、挿入部位でのゲノム内41塩基対の欠失を伴って、植物内T-DNA挿入のゲノム位置を染色体1上で同定した。
【0138】
MQCスクリーニングを行い、R植物における個々のイベントが、単一のコピーに存在し、予想される1:2:1の比率(ホモ接合体:ヘミ接合体:野生型ヌル)で分離されていることを確認した。例えば、表3に示されるように、トウモロコシイベントZM_BCS216090の前駆イベントについてのR MQCスクリーニング結果(Creマーカー切除前)は、CP4-EPSPS及び導入遺伝子をコードするmiRNAの両方について1:2:1の分離を示した。選抜されたイベントのためのホモ接合性R植物は、R植物を産生するために自己繁殖させ、R MQCスクリーニングを実施して、Rホモ接合性植物に由来する全てのR子孫が、それぞれのイベントについてもホモ接合性であることを確証した。例えば、表4に示されるように、トウモロコシイベントの前駆イベントZM_BCS216090(Creマーカー切除前)のR MQCスクリーニング結果は、全てのR植物が、CP4-EPSPS及び導入遺伝子をコードするmiRNAの両方についてホモ接合であったことを明らかにし、T-DNA挿入がリードイベントにおける単一コピーであったことを再度確認した。R種子を産生するために自己導入されたR段階で選抜された84のイベントから、66のイベントを選抜し、R植物中で自己繁殖して、ホモ接合性R種子を産生した。各後続世代に進行したイベントの数の選抜及び減少は、例えば、種子の可用性及び制限された能力を含む複数の要因によるものであった。
【表3】
【表4】
【0139】
実施例2
トウモロコシイベントZM_BCS216090におけるグリホサート選抜カセットのCre-切除。
本実施例は、トウモロコシイベントZM_BCS216090からの植物内Cre-切除を通じたグリホサート選抜カセットの除去を説明する。グリホサート選抜カセットを使用して、形質転換されたイベントを選抜した。選抜カセットを除去することによって、トランスジェニックmiRNA発現カセットのみが最終イベントに残った「マーカーフリー」イベントを作製した。
【0140】
図5は、マーカーフリーのZM_BCS216090トウモロコシイベントを生成するために使用した繁殖プロセスを示す。構築物pM578は、miRNA発現カセットと、グリホサート選抜を使用して形質転換植物細胞を選抜するために使用されるカセットとを含む。選抜カセットは、LoxPCre-リコンビナーゼ認識部位が両側に隣接するものであった。上述したように、エリートトウモロコシ系統胚外植体を、構築物pM578を用いたアグロバクテリウム媒介形質転換プロセスを使用して形質転換した。形質転換後、R形質転換体を2世代自己受粉させ、その間に、種子戻し、植物の健康状態、及び分子特性評価などの、上記のような様々なアッセイ及び通常の淘汰(attrition)に基づいて多くのイベントを除去した。この段階で、図5に示されるように、トランスジェニックイベントを含むR世代の植物を、Cre-リコンビナーゼを発現する植物と繁殖させた。具体的には、miRNA発現カセットについてホモ接合性の房除去した(雌の)R世代植物を、Cre-リコンビナーゼ酵素をコードするトランスジェニックトウモロコシ(雄)カセットについてホモ接合性のトランスジェニックトウモロコシ(雄)植物と交配した。Cre-リコンビナーゼを発現する雄ドナー花粉は、miRNA発現カセットを含む雌植物の絹組織に付着した後に発芽し、Cre-リコンビナーゼ発現雄ドナーの2つの精子を解放する。一方の精子の核は、受精卵を形成する雌植物の卵核と融合し、もう一方の精子の核は、2つの極性核のうちの1つと融合し、次にもう一方の極性核と融合し、それによって一次胚乳核を確立する。したがって、Cre-リコンビナーゼ発現植物を雄花粉ドナーとして使用することによって、得られる交配の胚及び胚芽の両方が、細胞が分裂及び分化し、トウモロコシの穀粒(すなわち、種子)になるに従いCre-リコンビナーゼを発現する。Cre-リコンビナーゼは、LoxP部位内の逆位反復に結合し、発現カセットに隣接する2つのLoxP部位の8塩基対スペーサー領域内でクロスオーバーを触媒し、組換えにより、1つのLoxP部位が組み込まれたT-DNA内に残った状態で、マーカーカセットの切除をもたらす。
【0141】
図5に示されるように、43個イベントのR植物を、Creリコンビナーゼを発現する植物(Creエリート系統)に交配した。この交配から生じるF子孫をCP4 EPSPS選抜カセットの不存在について選抜し、38のマーカーフリーイベントのF子孫を自己受粉させてF子孫植物を産生した。F子孫のこの自己受粉は、図5に提示されるタイムラインにおいてF自己として識別する。このプロセスを通じて、残りの2つの発現カセット(Cre-リコンビナーゼ発現カセット及び導入遺伝子をコードするmiRNA)が、得られたF集団に分離され、その結果、発現カセットまたは導入遺伝子の一方または両方に対して子孫ホモ接合性またはヘテロ接合性がもたらされる。
【0142】
Cre-リコンビナーゼ発現カセットの不存在及びマーカーカセットのないトランスジェニックmiRNA発現カセットのホモ接合性を実証したF子孫を選抜した。23個のイベントについてこれらの選抜されたF子孫を自己受粉させ(図5に提示されるタイムラインにおいてF自己として識別する)、miRNA発現カセットについてF世代のホモ接合体を生じさせた。Cre-リコンビナーゼカセットの不存在及び導入遺伝子のホモ接合性に加えて、F自己のイベントも、追加のゲノム、形質の統合及び繁殖の考慮に基づいて選抜した。
【0143】
22個のイベントについてのF子孫の更なる自己受粉(図5に提示されるタイムラインにおいてF自己として同定される)を実施して、純度についてアッセイし、「基準種子」(または「GSS」)として表示するF子孫及び種子を産生した。基準種子は、トウモロコシイベントZM_BCS216090以外のトランスジェニックイベントの不存在を保証するために、純度についてアッセイされた種子である。Fは、第1世代の基準種子であった。。GSSの作製後、わずか10個のイベントのF子孫植物を選抜し、更に自己受粉して、miRNA発現カセットまたは導入遺伝子についてホモ接合性の追加の世代の子孫植物及び種子を作製した。あるいは、Fまたはそれ以降の世代からのmiRNA発現カセットまたは導入遺伝子についてホモ接合性の子孫植物を、トウモロコシイベントZM_BCS216090などの本明細書に記載のイベントの形質組み込みを可能にするように、他の種子または遺伝的背景及び/または他の形質を有する、異なる遺伝子型または種子を有する他の植物に交配してもよい。
【0144】
グリホサート選抜マーカーカセットの切除は、導入遺伝子発現に影響を与えなかった。トウモロコシイベントZM_BCS216090からのCre-切除を介してグリホサート選抜カセットを除去することにより、最終的なイベントで、CP4 EPSPSカセットなしで短い身長のトウモロコシ植物を産生したトランスジェニックトウモロコシイベントが提供された。この「マーカーフリー」イベントは、他のトウモロコシトランスジェニックイベントとともにトウモロコシ育種スタックを構築する際の柔軟性を保証し、トウモロコシイベントZM_BCS216090を組み込んだ多様な製品を提供し、最終的な商業用育種スタックに追加の形質を提供するための複数のオプションを可能にする。
【0145】
実施例3
トウモロコシイベントZM_BCS216090のイベント特異的エンドポイントTaqMan(登録商標)アッセイ。
以下の実施例は、トウモロコシ試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090の存在を同定するのに有用な方法を説明する。
【0146】
試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090の検出は、DNAまたはRNAベースの検出技術を使用して行うことができる。例示的な検出方法及び材料は、本明細書示すとおりである。検出は、試料中のイベントの存在または不存在を決定し得る。検出はまた、ゲノムDNAの試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090(すなわち、半接合性、ホモ接合性、またはヘテロ接合性)のゲノムコピーの数を示し得る。
【0147】
イベント特異的はエンドポイントApplied Biosystems(商標)TaqMan熱増幅法(Thermo Fisher Scientific)は、試料中のトウモロコシイベントZM_BCS216090を同定するこの実施例のエンドポイントアッセイで使用されるDNAプライマー及びプローブを表5に示すが、他のプライマー及びプローブを使用してもよいことが理解される。
【表5】
【0148】
6-FAMは、Applied Biosystems(Foster City,CA)の蛍光染料の製品であり、DNAプローブに結合している。TaqMan MGBプローブの場合、Taq DNAポリメラーゼの5’エキソヌクレアーゼ活性は、フルオロフォアとクエンチャーとの間の5’末端からプローブを切断する。標的DNA鎖とハイブリダイズした場合、クエンチャー及びフルオロフォアが蛍光シグナルが生成されるほど十分に分離され、これにより、蛍光が放出される。これらの反応方法とプローブとともに使用される場合、プライマーの対は、トウモロコシイベントZM_BCS216090を診断するDNAアンプリコンを産生する。この分析のための対照には、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む陽性対照、非トランスジェニック植物由来の陰性対照、及び鋳型DNAを含まない陰性対照を含めるべきである。更に、PCR反応のための対照には、最適には、トウモロコシゲノム内の単一コピー遺伝子に特異的な内部対照プライマー及び内部対照プローブを含めるべきである。これらのアッセイは、最高速度で実行されるApplied Biosystems GeneAmp(登録商標)PCRシステム9700(Thermo Fisher Scientific)とともに使用するために最適化されるが、他の機器が使用されてもよい。
【0149】
系統同定(系統ID)のためのイベント特異的PCRアッセイを開発し、検証した。取り込まれたT-DNA及び隣接するゲノム配列に基づいて、TaqMan PCRアッセイを設計した。8つの陽性、6つの陰性、及び2つの水試料の反復でエンドポイントPCRを実施することによって、簡易検証(sValid)試験を実施し、良好なアッセイを特定した。スコア=(陽性試料の平均-陰性試料の平均)として定義される式を使用して、FAM測定値の差に基づいてスコアを計算した。アッセイでのパフォーマンスを、5つ星方式のスコアに基づいてランク付けし、3つ以上の星を有するアッセイを許容可とみなした。標的配列を含有する葉組織が対応するアッセイについて陽性を示すことを確実にするために、純度試験を実施した。手順を反復してアッセイで予想される結果を得ることができることを確認するために、実験間比較試験(proficiency test、PT)を実施した。
【0150】
イベント特異的なエンドポイントTaqMan PCRアッセイ(系統ID)を、GSS保育所及び他の品質スクリーニングプログラムに使用して、目的の形質の存在を検証する。植物の隣接配列と、Rの急速非結合配列ハイブリダイゼーション(RUSH)によって同定された植物内T-DNA配列に基づいて、導入遺伝子オリゴヌクレオチドと、5’または3’隣接配列のいずれかに適切に配置された対応する第2のオリゴヌクレオチドと、リードイベントのための蛍光標識プローブとを組み込む2つの系統IDを設計し、検証した。
【0151】
トウモロコシイベントZM_BCS216090の後続の分子特性決定に選抜され、使用された系統IDアッセイは、イベント特異的定性エンドポイントTaqMan PCRアッセイである。トウモロコシイベントZM_BCS216090系統IDアッセイの設定及び配列情報を表6に列挙し、サイクル条件を表7に示す。
【表6】
【表7】
【0152】
リードイベントを含む植物が、イベントまたは野生型配列についてヘテロ接合性またはホモ接合性であるかどうかを決定するための接合性アッセイを、ここに記載する。本明細書において提供される配列情報を使用して増幅反応アッセイが設計され得る。例えば、かかるPCRアッセイは、プライマー-1、プライマー-2、及びプライマー-3の少なくとも3つのプライマーの設計を含み、プライマー-1は、リードイベントの3’フランク上のゲノムDNAに特異的であり、プライマー-2は、リードイベントのトランスジェニック挿入物に特異的であり、プライマー-3は、野生型配列に特異的である。プライマー-1及びプライマー-2を増幅反応においてプライマーペアとして使用する場合、リードイベントに特異的なPCRアンプリコンが産生される。プライマー-1及びプライマー-3を増幅反応においてプライマーペアとして使用する場合、野生型配列に特異的なPCRアンプリコンが産生される。トウモロコシゲノムDNAに対して実施されるPCR反応では、プライマー-1及びプライマー-2から産生されるそれぞれのPCRアンプリコンと、プライマー-1及びプライマー-3から産生されるPCRアンプリコンは、それぞれ、アンプリコンの配列及びサイズが異なる。3つのプライマーが、リードイベントについてホモ接合性の植物から抽出されたDNAとのPCR反応に含まれる場合、プライマー-1及びプライマー-2アンプリコン(リードイベント挿入に特異的)のみが産生される。3つのプライマーが、リードイベントに対してヘテロ接合性の植物から抽出されたDNAとのPCR反応に含まれる場合、プライマー-1及びプライマー-2アンプリコン(リードイベント挿入に特異的)及びプライマー-1及びプライマー-3アンプリコン(野生型配列またはリードイベント挿入の不存在に特異的)の両方が生成される。3つのプライマーを、リードイベント(野生型)に対してヌルである植物から抽出されたDNAと混合してPCR反応させる場合、プライマー-1及びプライマー-3のアンプリコン(野生型配列に特異的)のみが産生される。PCR反応を使用して産生されるアンプリコンは、当該技術分野において公知の任意の方法を使用して同定または区別され得る。
【0153】
リードイベントの別の接合性アッセイは、TaqMan熱増幅反応である。この種のアッセイでは、上記のようなプライマーに加えて、アッセイには2つの蛍光標識プローブが含まれる。プローブ-1は、リードイベントに特異的であり、プローブ-2は、リードイベント(野生型)に対してヌルであり、2つのプローブが異なる蛍光標識、例えば、6-FAM標識またはVIC標識を含むトウモロコシ植物に特異的である。TaqMan反応で使用する場合、プライマー-1及びプライマー-2及びプローブ-1は、リードイベントに特異的な第1の蛍光シグナルを生成し、プライマー-1及びプライマー-3及びプローブ-2は、野生型植物に特異的な第2の蛍光シグナルを生成する。3つのプライマー及び2つのプローブが、リードイベントについてホモ接合性の植物から抽出されたDNAとのTaqMan反応に含まれる場合、第1の蛍光シグナル(プライマー-1及びプライマー-2及びプローブ-1に特異的)のみが生成される。3つのプライマー及び2つのプローブが、リードイベントに対してヘテロ接合性の植物から抽出されたDNAとのTaqMan反応に含まれる場合、第1の蛍光シグナル(プライマー-1及びプライマー-2及びプローブ-1に特異的)及び第2の蛍光シグナル(プライマー-1及びプライマー-3及びプローブ-2に特異的)の両方が生成される。3つのプライマーを、リードイベント(野生型)ついてヌルである植物から抽出されたDNAと一緒に混合してTaqMan反応させると、第2の蛍光シグナル(プライマー-1及びプライマー-3及びプローブ-2に特異的)のみが生成される。
【0154】
植物試料中のリードイベントの存在を検出する別の方法は、当該技術分野で一般に理解されているサザン分析である。本開示及びリードイベントの説明に基づいて、当業者は、リードイベントに特異的なサザンハイブリダイゼーションプローブ(複数可)及びリードイベント(野生型)に対してヌルである植物に特異的な第2のサザンハイブリダイゼーションプローブを設計する方法を理解するであろう。サザン分析では、第1のサザンハイブリダイゼーションプローブからのみ検出されたシグナルは、リードイベントに対してホモ接合性の植物を示し、第1のサザンハイブリダイゼーションプローブ及び第2のサザンハイブリダイゼーションプローブの両方から検出されたシグナルは、リードイベントに対してヘテロ接合性の植物を示し、第2のサザンハイブリダイゼーションプローブからのみ検出されたシグナルは、リードイベント(野生型)に対してヌルである植物からDNAが抽出されたことを示す。
【0155】
実施例4
複数の生育期におけるフィールド試験に基づくトウモロコシイベントZM_BCS216090の収量及び農学的形質。
本実施例は、トランスジェニックトウモロコシイベントZM_BCS216090が、その短い身長または半矮小表現型に起因する改善された耐容性及び高い倒伏抵抗性によって、農家の作物収量損失を最小限に抑えることを示す。更に、イベントZM_BCS216090を含むトウモロコシ植物の短い身長は、季節にわたる畑へのアクセスを可能にし、作物投入の精度及び持続可能性の向上につながる。これらのフィールド試験のための近交系(図5ではF*世代と識別する)は、F及びそれ以降の世代でGSSと同じ10個のイベントを有するF植物を交配することによって作製し、これらのフィールド試験のためのハイブリッドは、同じ10個のイベントを有するF植物を、F*子孫植物を産生するための導入遺伝子を持たない4つの他のエリート系統(EL1~4)と交配させることによって作製した(「*」は、マーカー切除及び基準種子の生成のためのF及びF世代を区別することを意図し、いずれかの導入遺伝子のイベントを持たないイベント及びアイソジェニックコントロール植物を含むF植物は、それぞれ、ハイブリッド交配においてエリート系統0またはEL0として識別する)。
【0156】
数年間にわたり、トウモロコシイベントZM_BCS216090及び9つの他のイベント(イベント2~9と表示)を含む、GSSのために選抜された10個のイベントのそれぞれを含むトランスジェニック植物を、米国中西部州における農学的収量試験において、34の場所にわたってフィールド試験した。形質転換されていない対照植物と比較して、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むハイブリッド植物は、一貫した収量、減少した植物高さ及び増加した倒伏抵抗性を示し、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む近交系植物は、減少した植物高さ及び一貫した開花を示した。
【0157】
収量の測定値は、湿度を調整することによって計算し、1エーカー当たりのブッシェル(bu/エーカー)で表した。植物の高さは、土壌線から止め葉の襟までの距離(インチ)として測定する。耳の高さは、土壌線と一次耳結節との間のインチ単位の距離として測定する。倒伏の測定値は、プロットが垂直から30度以上傾いている植物の割合として表す。50%の花粉の落下及び50%のシルキングを、植え付け後の日数(DAP)として表した。
【0158】
表8は、トウモロコシイベントZM_BCS216090ハイブリッドについて測定された収量及び農学的特性を示す。表9は、形質転換されたEL0系統を自己繁殖することによって産生されるトウモロコシイベントZM_BCS216090自交系について測定された農学的特徴を示す。イベントZM_BCS216090またはイベント2~9の各々を含む自交配EL0系統の非変換対照と比較し、イベントZM_BCS216090またはイベント2~9の各々を含みEL1~EL4と交配したハイブリッド系統を、同じ交配の非形質転換対照ハイブリッドと比較した。平均測定値及び標準誤差(SE)を表に示す。
【表8-1】
【表8-2】
【表8-3】
【表9】
【0159】
表8で見ることができるように、収量の測定では、それぞれの対照と比較して、トウモロコシイベントZM_BCS216090のハイブリッドについて同じまたは比較的良いものであり、植物の高さ、穂の高さ、及び倒伏は、それぞれのハイブリッド対照と比較して減少した。それぞれの対照と比較した、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含むハイブリッドにおける収量の増加は、根の倒伏の減少に起因し得る。更に、表9は、50%花粉落下及び50%シルキングのタイミングが、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む近交系植物では、近交系対照植物と比較して比較的類似しており、植物の高さ及び耳の高さは、近交系対照と比較して低下していることを示す。
【0160】
次の試験年度中、トウモロコシイベントZM_BCS216090及び他の9イベント(イベント2~9)を含むハイブリッドを使用して、非形質転換ハイブリッド対照との比較で、フィールド試験を実施した。表10は、トウモロコシイベントZM_BCS216090ハイブリッドの収量が、概して、対照植物で観察された収量に類似するか、またはそれよりも良好であった一方で、イベントZM_BCS216090を含む植物では、それぞれの対照と比較して、植物の高さ、穂の高さ、及び根の倒伏が減少したことを示す。根倒伏の減少は、対照植物と比較して、イベントZM_BCS216090を含む植物において観察された収量の改善を少なくとも部分的に説明し得る。
【表10】
【0161】
2年連続した野外試験からの観察結果を要約すると、トウモロコシイベントZM_BCS216090を含む植物は、形質転換されていない対照と比較して、類似またはより良いハイブリッド収量、類似した近交系開花、及び植物の高さ及び倒伏の減少を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【配列表】
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【国際調査報告】