(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】細胞を生成する方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/078 20100101AFI20241024BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
C12N 5/0783 20100101ALI20241024BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20241024BHJP
C12N 15/13 20060101ALN20241024BHJP
C12N 15/62 20060101ALN20241024BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20241024BHJP
A61K 35/17 20150101ALN20241024BHJP
【FI】
C12N5/078
C12N5/10
C12N5/0783
A61K39/395 N
A61P35/00
C12N15/12
C12N15/13
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
A61K35/17
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525402
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022048080
(87)【国際公開番号】W WO2023076511
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522421853
【氏名又は名称】ライエル・イミュノファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LYELL IMMUNOPHARMA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ボドナラ,スマン クマール
【テーマコード(参考)】
4B065
4C085
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BB02
4B065BB03
4B065BB15
4B065BC42
4B065BC50
4B065BD31
4B065BD39
4B065CA24
4B065CA25
4B065CA44
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB11
4C085CC23
4C087AA01
4C087AA02
4C087CA12
4C087NA05
4C087ZB26
(57)【要約】
本開示は、少なくとも約5mMのカリウムイオンを含む培地にて細胞をプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場に接触させることを含む、免疫細胞、例えばT細胞及び/またはNK細胞を調製する方法を提供する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、細胞の集団にて低分化細胞の数を増加させる。いくつかの態様では、培養された細胞は、例えば、キメラ抗原受容体(CAR)または操作T細胞受容体(TCR)を含むように操作される。いくつかの態様では、細胞は投与を必要とする対象に投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫療法のためにヒト免疫細胞の集団を調製する方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、前記方法。
【請求項2】
免疫療法のためにヒト免疫細胞の集団を活性化する方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、前記方法。
【請求項3】
生体外または試験管内の培養の間に活性化されたヒト免疫細胞の収量を高める方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、前記方法。
【請求項4】
免疫療法のために生体外または試験管内の培養の間に活性化されたヒト免疫細胞の集団の収量を高めながら、活性化されたヒト免疫細胞の幹細胞性を高める方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、前記方法。
【請求項5】
生体外または試験管内で活性化された幹細胞様免疫細胞の集団を増殖させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)に免疫細胞を接触させることを含む、前記方法。
【請求項6】
前記PCSが(i)高表面積のメソ多孔性のシリカマイクロロッド(MSR)を含む基層と(ii)前記MSR基層上に積層された連続性の流体支持脂質二重層(SLB)と(iii)前記足場上に担持された複数の表面キューと(iv)前記足場上に担持された複数の可溶性キューとを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面キューが前記SLB層上に担持される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記可溶性キューが前記MSR基層上に担持される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
前記可溶性キューが制御放出方式で前記足場から放出される、請求項6~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記可溶性キューが少なくとも30日間持続的な方式で前記足場から放出される、請求項6~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の可溶性キューがIL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21、形質転換増殖因子(TGF-β)、またはそのアゴニスト、その模倣体、その変異体、その機能性断片、またはその組み合わせを含む、請求項6~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記複数の可溶性キューが(i)IL-2、そのアゴニスト、その模倣体、その変異体、その機能性断片、またはその組み合わせと(ii)IL-7、IL-21、IL-15、IL-15のスーパーアゴニスト、またはそれらの任意の組み合わせを含む第2の可溶性キューとを含む、請求項6~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記複数の可溶性キューが(i)IL-2、そのアゴニスト、その模倣体、その変異体、その機能性断片、またはその組み合わせと、(ii)IL-7、IL-21、IL-15、IL-15のスーパーアゴニスト、またはそれらの任意の組み合わせを含む第2の可溶性キューと、(iii)IL-7、IL-21、IL-15、IL-15のスーパーアゴニスト、またはそれらの任意の組み合わせを含む第3の可溶性キューとを含む、請求項6~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の可溶性キューが、IL-2の最初の30アミノ酸を含むN末端IL-2断片(pl-30)、IL-2スーパーカインペプチド、IL-2部分アゴニストペプチド、またはそれらの組み合わせを含む、請求項6~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記複数の表面キューが、T細胞刺激分子、T細胞共刺激分子、またはT細胞刺激分子とT細胞共刺激分子の双方を含む、請求項6~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記T細胞刺激分子及び前記T細胞共刺激分子がそれぞれ独立して前記流体支持脂質二重層(SLB)上に担持される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記T細胞刺激分子及び前記T細胞共刺激分子が親和性対合または化学結合を介して担持される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記親和性結合がビオチン-ストレプトアビジンのペア、抗体-抗原のペア、抗体-ハプテンのペア、親和性ペア、捕捉タンパク質のペア、Fc受容体-IgGのペア、金属-キレート脂質のペア、またはそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記化学結合が、アジド-アルキン化学(AAC)反応、ジベンゾ-シクロオクチンのライゲーション(DCL)、テトラジン-アルケンのライゲーション(TAL)、またはそれらの組み合わせを含む、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
前記T細胞刺激分子及び前記T細胞共刺激分子がそれぞれ独立して前記流体支持脂質二重層(SLB)上にコーティングされる、請求項15~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
前記T細胞刺激分子及び前記T細胞共刺激分子がそれぞれ独立して前記流体支持脂質二重層(SLB)に部分的に埋め込まれる、請求項15~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記T細胞刺激分子及び前記T細胞共刺激分子がそれぞれ独立して前記メソ多孔性シリカマイクロロッド(MSR)上に担持される、請求項15~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記T細胞刺激分子及び前記T細胞共刺激分子がそれぞれ独立して抗体分子またはその抗原結合断片である、請求項15~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記T細胞刺激分子が、抗CD3抗体またはその抗原結合部分、抗マクロファージスカベンジャー受容体(MSR1)抗体またはその抗原結合部分、抗T細胞受容体(TCR)抗体またはその抗原結合部分、抗CD2抗体またはその抗原結合部分、抗CD47抗体またはその抗原結合部分、MHCペプチドが担持された主要組織適合複合体(MHC)分子またはその多量体、MHC-免疫グロブリン(Ig)コンジュゲートまたはその多量体、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
前記T細胞共刺激分子が、CD28、4.1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27(TNFRSF7)、GITR(CD357)、CD30(TNFRSF8)、HVEM(CD270)、LTfiR(TNFRSF3)、DR3(TNFRSF25)、ICOS(CD278)、CD226(DNAM1)、CRTAM(CD355)、TIM1(HAVCR1、KIM1)、CD2(LFA2、0X34)、SLAM(CD150、SLAMF1)、2B4(CD244、SLAMF4)、Lyl08(NTBA、CD352、SLAMF6)、CD84(SLAMF5)、Ly9(CD229、SLAMF3)、CRACC(CD319、BLAME)を含む共刺激抗原またはそれらの任意の組み合わせに特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分を含む、請求項15~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記T細胞刺激分子及び前記T細胞共刺激分子が二重特異性抗体またはその抗原結合部分を含む、請求項15~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記T細胞刺激分子及び前記T細胞共刺激分子が、CD3/CD28、CD3/ICOS、CD3/CD27、CD3/CD137を含むペア、またはそれらの組み合わせを含む、請求項15~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記足場がさらに、Fc融合タンパク質に特異的に結合する免疫グロブリン分子を含む、請求項6~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記足場がさらに、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド21(CCL-21)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド19(CCL-19)、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド12(CXCL12)、インターフェロンガンマ(IFNy)、FMS-様チロシンキナーゼ3(Flt-3)リガンドを含む動員化合物、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項6~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記動員化合物が顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含む、請求項6~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記足場がさらに、抗原を含む、請求項6~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記抗原が腫瘍抗原を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記腫瘍抗原が、大腸線種様ポリポーシスタンパク質(APC)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(AD Abp)、a-フェトタンパク質、AFP(α-フェトタンパク質)、AIM-2、AIM-3、及びWT1)、ART1、ART4、B7-H3、B7-H6、BAGE、BCMA、B-サイクリン、BMI1、Braf、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、BRAP、C13orf24、C6orfl53、C9orf112、CA-125、CA9(炭酸脱水酵素9)、CASP-8、カテプシンB、Cav-1、CCL-1(C-Cモチーフケモカインlig及び1)、CD123、CD138、CD171、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD352、CD38、CD40、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD45、CD47、CD5、CD56、CD66e、CD70、CD74、CD74、CD79a、CD79b、CD98、cdc27、CDK-1、CDK4、CEA、CEA(がん胎児性抗原)、c-erbB-2、クラウジン18.2、クラウジン6、c-MET、大腸関連抗原(CRC)-C017-1A/GA733、コネキシン37、COX-2、CT-7、サイクロフィリンb、CYNL2、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、DLL3(デルタ-様タンパク質3)、DLL4、EBV-コード核抗原(EBNA)-I、E-カドヘリン、EGFRvIII、ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3)、EpCAM、EPG-2(上皮糖タンパク質2)、EPG-40、EPHa2(エフリン受容体A2)、EphA2/Eck、エフリンB2、ERBB二量体、ESO-1、エストロゲン受容体、ETBR(エンドセリンB受容体)、EZH2、FAP-α(線維芽細胞活性化タンパク質α)、FBP(葉酸結合タンパク質)、FCRL5、胎児性AchR(胎児性アセチルコリン受容体)、フォドリン、Fra-l/Fosl 1、FR-α(葉酸受容体α)、GAGE-1、腫瘍抗原のGAGE-ファミリー、ガングリオシド/GD2、GCC(グアニルサイクラーゼC)、GD2、GD2ガングリオシド、GD3、GLEA2、GM2、GnT-V、GnT-V、、GOLGA、gp100(糖タンパク質100)、gp75、GPC2(グリピカン-2)、GPC3、gplOO、GPNMB(糖タンパク質NMB)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体5D)、GUI、H60、B型肝炎B表面抗原、HER2、HER3、HER4、AFPに由来するペプチドと複合体形成したHLA-A、HLA-A1(ヒト白血球抗原Al)、HLA-A2(ヒト白血球抗原A2)、HMW-MAA(ヒト高分子量-黒色腫関連抗原)、HSPH1、Igカッパ、Igラムダ、IGF1R(インスリン様増殖因子1受容体)、Ig-イディオタイプ、IL-13Ra2(IL-13受容体α2)、IL13Rα、IL-22Ra(IL-22受容体α)、ING4、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、Ki67、KIAA0376、KRAS、Ku70/80、LAGE-I、ルイスY、LI細胞接着分子(LI-CAM)、Liv-1、Livin、lmp-1、LRRC8A(ロイシンが豊富な反復含有8ファミリーメンバーA)、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-A、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1(メランA)、MCSP(黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、メソテリン、MHC/ペプチド複合体(例えば、MICA、MICB、ミドキン、MRP-3、MUC16、ムチン1(MUC1)、MUM-1、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、NAG、NCAM(神経細胞接着分子)、ネクチン-4、ネスチン、NKG2D(ナチュラルキラー群2メンバーD)リガンド、NKTR、NSEP1、NY-ESO、NY-ESO-1、OLIG2、腫瘍胎児性抗原、P1A、p53、PAP、PD-1、PD-L1、pl20ctn、pl5、Pmell l7、PRAME(黒色腫の優先的に発現される抗原)、プロゲステロン受容体、PROX1、PSA(前立腺特異抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAE-1タンパク質、RAGE、ras、RBPSUH、RCAS1、ROR1、ROR2、RTN4、SART1、SART2、SART3、SCP-I、SIRPα(タシグナル調節ンパク質α)、SLIT、SLITRK6(NTRK-様タンパク質6)、腫瘍抗原のSmadファミリー、SOX10、SOX11、SOX2、SSX-2(HOM-MEL-40)、SSX-4、SSX-5、SSX-I、SSX-I、STEAP1(前立腺1の6回幕貫通上皮抗原1)、サバイビン、サバイビン、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72)、T-細胞受容体/CD3-ゼータ鎖、TNKS2、TPBG(栄養膜糖タンパク質)、TPR、Trop-2、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼ、U2AF1L、UL16-結合タンパク質-様転写物1(Multl)、UPAR、VEGFR1(血管内皮増殖因子受容体1)、VEGFR2、WT-1、αvβ6または別のインテグリン、β-カテニン、β1、6-Ν、β-カテニン、γ-カテニン、ιινιηβ、及びHIV、HBV、HCV、HPV、及び他の病原体に由来する抗原、患者に特異的なネオ抗原、またはその免疫原性ペプチド、及びそれらの任意の組み合わせである、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記支持脂質二重層(SLB)の前記メソ多孔性シリカマイクロロッド(MSR)に対する重量比が約10:1~約1:20の間である、請求項6~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記連続性の流体支持脂質二重層(SLB)が、(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)及びジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(8:0-14:0 PC)、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される脂質を含む、請求項6~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記メソ多孔性シリカマイクロロッド-脂質二重層(MSR-SLB)の足場が少なくとも14日間、連続性の流体構造を保持する、請求項6~35のいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記メソ多孔性シリカマイクロロッド(MSR)のT細胞活性化/共刺激分子に対する乾燥重量比が1:1~50:1である、請求項6~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
さらに、リガンド結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドで前記免疫細胞を改変することを含む、請求項1~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記免疫細胞が抗原受容体をコードするポリヌクレオチドを含む、請求項1~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記抗原受容体が、抗体、操作された抗体、例えば、scFv、CAR、操作されたTCR、TCR模倣体、キメラシグナル伝達受容体(CSR)またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項38または39に記載の方法。
【請求項41】
前記CARが、標準CAR、スプリットCAR、オフスイッチCAR、オンスイッチCAR、第1世代CAR、第2世代CAR、第3世代CAR、または第4世代CARとして設計される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記抗原受容体が(i)抗原結合ドメイン、(ii)膜貫通ドメイン、(iii)共刺激ドメイン、(iv)細胞内シグナル伝達ドメイン、または(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせを含む、請求項38~41のいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
前記抗原結合ドメインが、AFP(アルファ-フェトプロテイン)、αvβ6または別のインテグリン、BCMA、Braf、B7-H3、B7-H6、CA9(炭酸脱水酵素9)、CCL-1(C-Cモチーフケモカインリガンド1)、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD45、CD47、CD56、CD66e、CD70、CD74、CD79a、CD79b、CD98、CD123、CD138、CD171、CD352、CEA(がん胎児性抗原)、クローディン18.2、クローディン6、c-MET、DLL3(デルタ様タンパク質3)、DLL4、ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3)、EpCAM、EPG-2(上皮糖タンパク質2)、EPG-40、エフリンB2、EPHa2(エフリン受容体A2)、ERBB二量体、エストロゲン受容体、ETBR(エンドセリンB受容体)、FAP-α(線維芽細胞活性化タンパク質α)、胎児AchR(胎児アセチルコリン受容体)、FBP(葉酸結合タンパク質)、FCRL5、FR-α(葉酸受容体アルファ)、GCC(グアニルシクラーゼC)、GD2、GD3、GPC2(グリピカン-2)、GPC3、gp100(糖タンパク質100)、GPNMB(糖タンパク質NMB)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体5D)、HER2、HER3、HER4、B型肝炎表面抗原、HLA-A1(ヒト白血球抗原A1)、HLA-A2(ヒト白血球抗原A2)、HMW-MAA(ヒト高分子量黒色腫関連抗原)、IGF1R(インスリン様成長因子1受容体)、Igカッパ、Igラムダ、IL-22Ra(IL-22受容体アルファ)、IL-13Ra2(IL-13受容体アルファ2)、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、LI細胞接着分子(LI-CAM)、Liv-1、LRRC8A(8ファミリーメンバーAを含有するロイシンリッチリピート)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1(メランA)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、MCSP(黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、メソテリン、ムチン1(MUC1)、MUC16、MHC/ペプチド複合体(例えば、AFP、KRAS、HPV、NY-ESO、MAGE-A、及びWT1に由来するペプチドと複合体形成したHLA-A)、NCAM(神経細胞接着分子)、ネクチン-4、NKG2D(ナチュラルキラー群2メンバーD)リガンド、NY-ESO、腫瘍胎児抗原、PD-1、PD-L1、PRAME(黒色腫優先発現抗原)、プロゲステロン受容体、PSA(前立腺特異抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、ROR1、ROR2、SIRPα(シグナル調節タンパク質α)、SLIT、SLITRK6(NTRK様タンパク質6)、STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TPBG(栄養膜糖タンパク質)、Trop-2、VEGFR1(血管内皮増殖因子受容体1)、VEGFR2、ならびにHIV、HBV、HCV、及び他の病原体に由来する抗原、ならびにそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される抗原と特異的に結合する、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記抗原結合ドメインがROR1に特異的に結合する、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記抗原結合ドメインがGPC2に特異的に結合する、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記共刺激ドメインが、インターロイキン-2受容体(IL-2R)、インターロイキン-12受容体(IL-12R)、IL-7、IL-21、IL-23、IL-15、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB/CD137、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、LIGHT、NKG2C、OX40、DAP10の共刺激ドメイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項42~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記共刺激ドメインが4-1BB/CD137の共刺激ドメインを含む、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記膜貫通ドメインが、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(タクチル)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D、NKG2C、CD19の膜貫通ドメイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項42~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記膜貫通ドメインがCD28の膜貫通ドメインを含む、請求項42~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ、FcRガンマ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」)、FcεRI、CD66d、CD32、DAP10、DAP12由来の細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項42~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞内シグナル伝達ドメインがCD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記抗原受容体が操作されたTCRを含む、請求項40に記載の方法。
【請求項53】
前記操作されたTCRが、腫瘍抗原/MHC複合体に特異的に結合する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記腫瘍抗原が、AFP、CD19、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、CD19、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、Tn Ag、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-l lRa、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WTl、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos-関連抗原1、p53、p53変異型、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MARTl、Ras変異型、hTERT、肉腫転位分断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸管カルボニルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、ネオ抗原、またはそれらの任意の組み合わせに由来する、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
外来性ポリヌクレオチドが調節要素を含み、ベクターが前記外来性ポリヌクレオチドを含む、請求項1~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記ベクターがポリシストロン性発現ベクターである、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記調節要素がプロモーターを含む、請求項55または56に記載の方法。
【請求項58】
前記プロモーターがdl587revプライマー結合部位が置換された(MND)プロモーター、EF1aプロモーター、ユビキチンプロモーター、またはそれらの組み合わせを含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記ベクターが、ウイルスベクター、哺乳類ベクター、または細菌ベクターを含む、請求項55~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記ウイルスベクターが、アデノウイルスベクター、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ハイブリッドベクター、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む、請求項55~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記ベクターがレンチウイルスである、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記カリウムイオンの濃度が約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、または約90mMよりも高い、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記カリウムイオンの濃度が、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、及び約80mMから成る群から選択される、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記カリウムイオンの濃度が約30mM~約80mM、約40mM~約80mM、約50mM~80mM、約60mM~約80mM、約70mM~約80mM、約40mM~約70mM、約50mM~約70mM、約60mM~約70mM、約40mM~約60mM、約50mM~約60mM、または約40mM~約50mMの間である、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記カリウムイオンの濃度が約50mM、約60mM、または約70mMである、請求項1~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記培地がさらにナトリウムイオンを含む、請求項1~65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記培地がさらにNaClを含む、請求項1~66のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記培地が約140mM、約130mM、約120mM、約110mM、約100mM、約90mM、約80mM、約70mM、約60mM、約50mM、または約40mM未満のNaClを含む、請求項1~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記培地が低張性または等張性である、請求項1~68のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記カリウムイオン濃度と前記NaCl濃度の合計の2倍が280mM未満である、請求項1~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記カリウムイオン濃度と前記NaCl濃度の合計の2倍が240mMを超えて280mM未満である、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記カリウムイオン濃度と前記NaCl濃度の合計の2倍が280mM以上であり且つ300mM未満である、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記カリウムイオンの濃度が約60mMであり、前記NaClの濃度が80mM未満、75mM未満、70mM未満、65mM未満、または60mM未満である、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記カリウムイオンの濃度が約55mMであり、前記NaClの濃度が85mM未満、80mM未満、75mM未満、70mM未満、または65mM未満である、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記カリウムイオンの濃度が約50mMであり、前記NaClの濃度が90mM未満、85mM未満、80mM未満、75mM未満、または70mM未満である、請求項1~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記培地がさらに1以上のサイトカインを含む、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記1以上のサイトカインが、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-21(IL-21)、インターロイキン-15(IL-15)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記1以上のサイトカインがIL-2、IL-7、及びIL-15を含む、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記培地がさらに、カルシウムイオン、グルコース、またはカルシウムイオンとグルコースの双方を含む、請求項1~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記培地がさらに細胞増殖剤を含む、請求項1~78のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記細胞増殖剤が、GSK3B阻害剤、ACLY阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記PI3K阻害剤がクエン酸ヒドロキシル、LY294002、ピクチリシブ、CAL101、IC87114、またはそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項83】
前記AKT阻害剤がMK2206、A443654、AKTi-VIII、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項81に記載の方法。
【請求項84】
前記培地が、前記出発免疫細胞及び/または高濃度のカリウムイオンを含まない培地にて培養された前記免疫細胞と比べて、前記最終細胞製剤にて
(a)低分化及び/または未分化の細胞の数及び/または割合を増やすことができる;
(b)形質導入効率を高めることができる;
(c)幹細胞様免疫細胞を増やすことができる;
(d)生体内生存率を高めることができる;
(e)細胞能力を高めることができる;
(f)細胞疲弊を防ぐことができる;
(g)エフェクター様細胞の数及び/または割合を増やすことができる;または
(h)それらの任意の組み合わせが可能である、請求項1~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記培地がさらにグルコースを含む、請求項1~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記グルコースの濃度が約10mMを超える、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記グルコース濃度が、約10mM~約25mM、約10mM~約20mM、約15mM~約25mM、約15mM~約20mM、約15mM~約19mM、約15mM~約18mM、約15mM~約17mM、約15mM~約16mM、約16mM~約20mM、約16mM~約19mM、約16mM~約18mM、約16mM~約17mM、約17mM~約20mM、約17mM~約19mM、または約17mM~約18mMである、請求項85または86に記載の方法。
【請求項88】
前記グルコース濃度が、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、または約25mMである、請求項85~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記グルコースの濃度が、約15.4mM、約15.9mM、約16.3mM、約16.8mM、約17.2mM、または約17.7mMである、請求項85~88のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記培地がさらにカルシウムイオンを含む、請求項1~89のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記カルシウムイオンの濃度が約0.4mM超である、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記カルシウムイオンの濃度が、約0.4mM~約2.5mM、約0.5mM~約2.0mM、約1.0mM~約2.0mM、約1.1mM~約2.0mM、約1.2mM~約2.0mM、約1.3mM~約2.0mM、約1.4mM~約2.0mM、約1.5mM~約2.0mM、約1.6mM~約2.0mM、約1.7mM~約2.0mM、約1.8mM~約2.0mM、約1.2~約1.3mM、約1.2~約1.4mM、約1.2~約1.5mM、約1.2~約1.6mM、約1.2~約1.7mM、約1.2~約1.8mM、約1.3~約1.4mM、約1.3~約1.5mM、約1.3~約1.6mM、約1.3~約1.7mM、約1.3~約1.8mM、約1.4~約1.5mM、約1.4~約1.6mM、約1.4~約1.7mM、約1.4~約1.8mM、約1.5~約1.6mM、約1.5~約1.7mM、約1.5~約1.8mM、約1.6~約1.7mM、約1.6~約1.8mM、または約1.7~約1.8mMである、請求項90または91に記載の方法。
【請求項93】
前記カルシウムイオン濃度が、約1.0mM、約1.1mM、約1.2mM、約1.3mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.6mM、約1.7mM、約1.8mM、約1.9mM、または約2.0mMである、請求項90~92のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記培地が、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLの濃度でIL-2を含む、請求項1~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記IL-2の濃度が、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、または約20ng/mLである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記IL-2の濃度が約1.0ng/mLである、請求項94または95に記載の方法。
【請求項97】
前記IL-2の濃度が約10ng/mLである、請求項94または95に記載の方法。
【請求項98】
前記培地が、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLの濃度でIL-21を含む、請求項1~97のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記IL-21の濃度が、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、または約20ng/mLである、請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記IL-21の濃度が約1.0ng/mLである、請求項98または99に記載の方法。
【請求項101】
前記IL-21の濃度が約10ng/mLである、請求項98または99に記載の方法。
【請求項102】
前記培地が、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLの濃度でIL-7を含む、請求項1~101のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記IL-7の濃度が、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、または約20ng/mLである、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記IL-7の濃度が約1.0ng/mLである、請求項102または103に記載の方法。
【請求項105】
前記IL-7の濃度が約10ng/mLである、請求項102または103に記載の方法。
【請求項106】
前記培地が、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLの濃度でIL-15を含む、請求項1~105のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記IL-15の濃度が、約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、または約20ng/mLである、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記IL-15の濃度が約1.0ng/mLである、請求項106または107に記載の方法。
【請求項109】
前記IL-15の濃度が約10ng/mLである、請求項106または107に記載の方法。
【請求項110】
請求項1~109のいずれか1項に記載の方法によって調製される、ヒト免疫細胞の集団。
【請求項111】
前記ヒト免疫細胞がT細胞を含む、請求項110に記載のヒト免疫細胞の集団。
【請求項112】
前記免疫細胞が、CD3
+、CD45RO
-、CCR7
+、CD45RA
+、CD62L
+、CD27
+、CD28
+、もしくはTCF7
+、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項110または111に記載のヒト免疫細胞の集団。
【請求項113】
前記ヒト免疫細胞の集団におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%が幹細胞様T細胞である、請求項111または112に記載のヒト免疫細胞の集団。
【請求項114】
前記ヒト免疫細胞の集団におけるT細胞の前記総数の少なくとも約10%~少なくとも約40%がCD39
-/CD69
-である、請求項111~113のいずれか1項に記載のヒト免疫細胞の集団。
【請求項115】
前記ヒト免疫細胞の集団におけるT細胞の前記総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%がCD39
-/TCF7
+T細胞である、請求項111~114のいずれか1項に記載のヒト免疫細胞の集団。
【請求項116】
CD8
+T細胞を含む、請求項111~115のいずれか1項に記載のヒト免疫細胞の集団。
【請求項117】
請求項110~116のいずれか1項に記載の免疫細胞の集団と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項118】
標的細胞の殺傷方法であって、前記標的細胞を請求項110~116のいずれか1項に記載のヒト免疫細胞の集団または請求項117に記載の医薬組成物に、前記免疫細胞による前記標的細胞の殺傷を可能にする条件下で接触させることを含む、前記方法。
【請求項119】
治療を必要とする患者を治療する方法であって、請求項110~116のいずれか1項に記載のヒト免疫細胞の集団または請求項117に記載の医薬組成物を前記患者に投与することを含む、前記方法。
【請求項120】
請求項119に記載の方法における治療を必要とする患者を治療するために薬物を製造するための請求項110~116のいずれか1項に記載のヒト免疫細胞の集団の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2021年10月28日に出願された米国仮特許出願第63/273、137号の優先権の利益を主張する。
【0002】
技術分野
本開示は、細胞、例えば、万能性、多能性、及び/または免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTIL)を培養する方法に関する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、培養下で低分化細胞及び/または未分化細胞の濃縮を促進する。本明細書に開示されている方法を使用して培養される細胞は、ネオ抗原特異的T細胞療法を含む、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法及びTCR T細胞療法を含むが、これらに限定されない様々な細胞療法に使用され得る。
【背景技術】
【0003】
がん免疫療法は、T細胞(感染細胞及び疾患細胞の免疫系の主な殺傷細胞)を利用して、腫瘍細胞を攻撃及び死滅させることに依拠する。しかしながら、免疫療法には重大な障害があり、これはT細胞の殺傷能力が低下し得ることであり、この現象は、多くの場合にT細胞の疲弊または最終分化と称される。免疫チェックポイントの遮断、生体外で増殖させた腫瘍浸潤リンパ球療法、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、及びT細胞受容体を操作した(TCR)T細胞療法は患者から単離された機能的に活性があるT細胞を使用し、有効であるためには高度に機能的なT細胞を必要とする治療である。標的がん細胞上の抗原を認識するようにこれらのT細胞を生体外で操作し、増殖させる。T細胞療法は固形がんの治癒に一貫して効果的であるというわけではなく、その理由の1つは、T細胞が経時的に増殖または殺傷能力を失うためである。
【0004】
T細胞疲弊を克服する1つの手段は、低分化状態を有するT細胞を選択的に投与することである。例えば、Tメモリー幹細胞(TSCM)は、より分化したTセントラルメモリー(TCM)細胞またはTエフェクターメモリー(TEM)細胞よりも、投与後の患者においてより長い期間持続し、TSCMは、より分化した細胞よりも、腫瘍サイズに対してより顕著で長期的な効果を発揮する。しかしながら、当該技術分野では、単離したT細胞の混合集団から低分化及び/またはナイーブT細胞を効率的に濃縮する方法が依然として必要である。
【発明の概要】
【0005】
本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、免疫療法のためにヒト免疫細胞の集団を調製する方法を対象とする。
【0006】
本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、免疫療法のためにヒト免疫細胞の集団を活性化する方法を対象とする。
【0007】
本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、生体外または試験管内の培養中に活性化されたヒト免疫細胞の収量を高める方法を対象とする。
【0008】
本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、免疫療法のために生体外または試験管内の培養中に活性化されたヒト免疫細胞の収量を高めながら、活性化されたヒト免疫細胞の幹細胞性を高める方法を対象とする。
【0009】
本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、生体外または試験管内にて活性化された幹細胞様免疫細胞の集団を増殖させる方法を対象とする。
【0010】
いくつかの態様では、PCSは(i)高表面積のメソ多孔性のシリカマイクロロッド(MSR)を含む基層と(ii)MSR基層上に積層された連続性の流体支持脂質二重層(SLB)と(iii)足場上に担持された複数の表面キューと(iv)足場上に担持された複数の可溶性キューとを含む。
【0011】
いくつかの態様では、表面キューはSLBに担持される。いくつかの態様では、可溶性キューはMSR基層に担持される。
【0012】
いくつかの態様では、可溶性キューは制御放出の方式で足場から放出される。いくつかの態様では、可溶性キューは少なくとも30日間持続された方式で足場から放出される。
【0013】
いくつかの態様では、複数の可溶性キューはIL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21、形質転換増殖因子(TGF-β)、またはそのアゴニスト、その模倣体、その変異体、その機能性断片、またはその組み合わせを含む。いくつかの態様では、複数の可溶性キューは(i)IL-2、そのアゴニスト、その模倣体、その変異体、その機能性断片、またはその組み合わせと(ii)IL-7、IL-21、IL-15、IL-15のスーパーアゴニスト、またはそれらの任意の組み合わせを含む第2の可溶性キューとを含む。いくつかの態様では、複数の可溶性キューは(i)IL-2、そのアゴニスト、その模倣体、その変異体、その機能性断片、またはその組み合わせと(ii)IL-7、IL-21、IL-15、IL-15のスーパーアゴニスト、またはそれらの任意の組み合わせを含む第2の可溶性キューと(iii)IL-7、IL-21、IL-15、IL-15のスーパーアゴニスト、またはそれらの任意の組み合わせを含む第3の可溶性キューとを含む。いくつかの態様では、複数の可溶性キューは、IL-2の最初の30アミノ酸を含むN末端IL-2断片(pl-30)、IL-2スーパーカインペプチド、IL-2部分アゴニストペプチド、またはそれらの組み合わせを含む。
【0014】
いくつかの態様では、複数の表面キューはT細胞刺激分子、T細胞共刺激分子、またはT細胞刺激分子とT細胞共刺激分子の双方を含む。いくつかの態様では、T細胞刺激分子及びT細胞共刺激分子はそれぞれ独立して流体支持脂質二重層(SLB)上に担持される。
【0015】
いくつかの態様では、T細胞刺激分子及びT細胞共刺激分子は親和性対合または化学結合を介して担持される。いくつかの態様では、親和性結合はビオチン-ストレプトアビジンのペア、抗体-抗原のペア、抗体-ハプテンのペア、親和性ペア、捕捉タンパク質ペア、Fc受容体-IgGのペア、金属-キレート脂質のペア、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、化学結合は、アジド-アルキン化学(AAC)反応、ジベンゾ-シクロオクチンのライゲーション(DCL)、テトラジン-アルケンのライゲーション(TAL)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0016】
いくつかの態様では、T細胞刺激分子及びT細胞共刺激分子はそれぞれ独立して流体支持脂質二重層(SLB)上にコーティングされる。いくつかの態様では、T細胞刺激分子及びT細胞共刺激分子はそれぞれ独立して流体支持脂質二重層(SLB)上に部分的に埋め込まれる。いくつかの態様では、T細胞刺激分子及びT細胞共刺激分子はそれぞれ独立してメソ多孔性シリカマイクロロッド(MSR)上に担持される。いくつかの態様では、T細胞刺激分子及びT細胞共刺激分子はそれぞれ独立して抗体分子またはその抗原結合断片である。
【0017】
いくつかの態様では、T細胞刺激分子は、抗CD3抗体またはその抗原結合部分、抗マクロファージスカベンジャー受容体(MSR1)抗体またはその抗原結合部分、抗T細胞受容体(TCR)抗体またはその抗原結合部分、抗CD2抗体またはその抗原結合部分、抗CD47抗体またはその抗原結合部分、MHCペプチドとともに担持される主要組織適合複合体(MHC)分子またはその多量体、MHC-免疫グロブリン(Ig)コンジュゲートまたはその多量体、またはそれらの組み合わせを含む。
【0018】
いくつかの態様では、T細胞共刺激分子は、CD28、4.1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27(TNFRSF7)、GITR(CD357)、CD30(TNFRSF8)、HVEM(CD270)、LTfiR(TNFRSF3)、DR3(TNFRSF25)、ICOS(CD278)、CD226(DNAM1)、CRTAM(CD355)、TIM1(HAVCR1、KIM1)、CD2(LFA2、0X34)、SLAM(CD150、SLAMF1)、2B4(CD244、SLAMF4)、Lyl08(NTBA、CD352、SLAMF6)、CD84(SLAMF5)、Ly9(CD229、SLAMF3)、CRACC(CD319、BLAME)を含む共刺激抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分、またはそれらの組み合わせを含む。
【0019】
いくつかの態様では、T細胞刺激分子及びT細胞共刺激分子は二重特異性抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、T細胞刺激分子及びT細胞共刺激分子はCD3/CD28、CD3/ICOS、CD3/CD27、CD3/CD137を含むペア、またはそれらの組み合わせを含む。
【0020】
いくつかの態様では、足場はさらに、Fc融合タンパク質に特異的に結合する免疫グロブリン分子を含む。
【0021】
いくつかの態様では、足場はさらに、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド21(CCL-21)、ケモカイン(C-Cモチーフ)リガンド19(CCL-19)、ケモカイン(C-X-Cモチーフ)リガンド12(CXCL12)、インターフェロンガンマ(IFNy)、FMS-様チロシンキナーゼ3(Flt-3)リガンドを含む動員化合物、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、動員化合物は顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)を含む。
【0022】
いくつかの態様では、足場はさらに、抗原を含む。いくつかの態様では、抗原は腫瘍抗原を含む。いくつかの態様では、腫瘍抗原は、大腸線種様ポリポーシスタンパク質(APC)、アデノシンデアミナーゼ結合タンパク質(AD Abp)、a-フェトタンパク質、AFP(α-フェトタンパク質)、AIM-2、AIM-3、及びWT1)、ART1、ART4、B7-H3、B7-H6、BAGE、BCMA、B-サイクリン、BMI1、Braf、脳グリコーゲンホスホリラーゼ、BRAP、C13orf24、C6orfl53、C9orf112、CA-125、CA9(炭酸脱水酵素9)、CASP-8、カテプシンB、Cav-1、CCL-1(C-Cモチーフケモカインlig及び1)、CD123、CD138、CD171、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD352、CD38、CD40、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD45、CD47、CD5、CD56、CD66e、CD70、CD74、CD74、CD79a、CD79b、CD98、cdc27、CDK-1、CDK4、CEA、CEA(がん胎児性抗原)、c-erbB-2、クラウジン18.2、クラウジン6、c-MET、大腸関連抗原(CRC)-C017-1A/GA733、コネキシン37、COX-2、CT-7、サイクロフィリンb、CYNL2、ジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)、DLL3(デルタ-様タンパク質3)、DLL4、EBV-コード核抗原(EBNA)-I、E-カドヘリン、EGFRvIII、ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3)、EpCAM、EPG-2(上皮糖タンパク質2)、EPG-40、EPHa2(エフリン受容体A2)、EphA2/Eck、エフリンB2、ERBB二量体、ESO-1、エストロゲン受容体、ETBR(エンドセリンB受容体)、EZH2、FAP-α(線維芽細胞活性化タンパク質α)、FBP(葉酸結合タンパク質)、FCRL5、胎児性AchR(胎児性アセチルコリン受容体)、フォドリン、Fra-l/Fosl 1、FR-α(葉酸受容体α)、GAGE-1、腫瘍抗原のGAGE-ファミリー、ガングリオシド/GD2、GCC(グアニルサイクラーゼC)、GD2、GD2ガングリオシド、GD3、GLEA2、GM2、GnT-V、GnT-V、、GOLGA、gp100(糖タンパク質100)、gp75、GPC2(グリピカン-2)、GPC3、gplOO、GPNMB(糖タンパク質NMB)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体5D)、GUI、H60、B型肝炎B表面抗原、HER2、HER3、HER4、AFPに由来するペプチドと複合体形成したHLA-A、HLA-A1(ヒト白血球抗原Al)、HLA-A2(ヒト白血球抗原A2)、HMW-MAA(ヒト高分子量-黒色腫関連抗原)、HSPH1、Igカッパ、Igラムダ、IGF1R(インスリン様増殖因子1受容体)、Ig-イディオタイプ、IL-13Ra2(IL-13受容体α2)、IL13Rα、IL-22Ra(IL-22受容体α)、ING4、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、Ki67、KIAA0376、KRAS、Ku70/80、LAGE-I、ルイスY、LI細胞接着分子(LI-CAM)、Liv-1、Livin、lmp-1、LRRC8A(ロイシンが豊富な反復含有8ファミリーメンバーA)、MAGE-1、MAGE-2、MAGE-3、MAGE-A、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1(メランA)、MCSP(黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、メソテリン、MHC/ペプチド複合体(例えば、MICA、MICB、ミドキン、MRP-3、MUC16、ムチン1(MUC1)、MUM-1、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、NAG、NCAM(神経細胞接着分子)、ネクチン-4、ネスチン、NKG2D(ナチュラルキラー群2メンバーD)リガンド、NKTR、NSEP1、NY-ESO、NY-ESO-1、OLIG2、腫瘍胎児性抗原、P1A、p53、PAP、PD-1、PD-L1、pl20ctn、pl5、Pmell l7、PRAME(黒色腫の優先的に発現される抗原)、プロゲステロン受容体、PROX1、PSA(前立腺特異抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、RAE-1タンパク質、RAGE、ras、RBPSUH、RCAS1、ROR1、ROR2、RTN4、SART1、SART2、SART3、SCP-I、SIRPα(タシグナル調節ンパク質α)、SLIT、SLITRK6(NTRK-様タンパク質6)、腫瘍抗原のSmadファミリー、SOX10、SOX11、SOX2、SSX-2(HOM-MEL-40)、SSX-4、SSX-5、SSX-I、SSX-I、STEAP1(前立腺1の6回幕貫通上皮抗原1)、サバイビン、サバイビン、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72)、T-細胞受容体/CD3-ゼータ鎖、TNKS2、TPBG(栄養膜糖タンパク質)、TPR、Trop-2、TRP-1、TRP-2、チロシナーゼ、U2AF1L、UL16-結合タンパク質-様転写物1(Multl)、UPAR、VEGFR1(血管内皮増殖因子受容体1)、VEGFR2、WT-1、αvβ6または別のインテグリン、β-カテニン、β1、6-Ν、β-カテニン、γ-カテニン、ιινιηβ、及びHIV、HBV、HCV、HPV、及び他の病原体に由来する抗原、患者に特異的なネオ抗原、またはその免疫原性ペプチド、及びそれらの任意の組み合わせである。
【0023】
いくつかの態様では、支持脂質二重層(SLB)のメソ多孔性シリカマイクロロッド(MSR)に対する重量比は約10:1~約1:20の間である。いくつかの態様では、連続性の流体支持脂質二重層(SLB)は、(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジミリストイルホスファチジルエタノールアミン(DMPE)及びジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(8:0-14:0 PC)、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される脂質を含む。いくつかの態様では、メソ多孔性シリカマイクロロッド-脂質二重層(MSR-SLB)の足場は連続性の流体構造を少なくとも14日間保持する。いくつかの態様では、メソ多孔性シリカマイクロロッド(MSR)のT細胞活性化/共刺激分子に対する乾燥重量比は1:1~50:1の間である。
【0024】
いくつかの態様では、方法はさらに、リガンド結合タンパク質をコードするポリヌクレオチドによって免疫細胞を改変することを含む。
【0025】
いくつかの態様では、免疫細胞は抗原受容体をコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、抗原受容体は、抗体、操作された抗体、例えば、scFv、CAR、操作されたTCR、TCR模倣体、キメラシグナル伝達受容体(CSR)またはそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、CARは、標準のCAR、スプリットCAR、オフスイッチCAR、オンスイッチCAR、第1世代のCAR、第2世代のCAR、第3世代のCAR、または第4世代のCARとして設計される。
【0026】
いくつかの態様では、抗原受容体は(i)抗原結合ドメイン、(ii)膜貫通ドメイン、(iii)共刺激ドメイン、(iv)細胞内シグナル伝達ドメイン、または(v)(i)~(iv)の任意の組み合わせを含む。
【0027】
いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、AFP(α-フェトタンパク質)、αvβ6または別のインテグリン、BCMA、Braf、B7-H3、B7-H6、CA9(炭酸脱水酵素9)、CCL-1(C-Cモチーフケモカインリガンド1)、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD45、CD47、CD56、CD66e、CD70、CD74、CD79a、CD79b、CD98、CD123、CD138、CD171、CD352、CEA(がん胎児性抗原)、クラウジン18.2、クラウジン6、c-MET、DLL3(デルタ-様タンパク質3)、DLL4、ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3)、EpCAM、EPG-2(上皮糖タンパク質2)、EPG-40、エフリンB2、EPHa2(エフリン受容体A2)、ERBB二量体、エストロゲン受容体、ETBR(エンドセリンB受容体)、FAP-α(線維芽細胞活性化タンパク質α)、胎児性AchR(胎児性アセチルコリン受容体)、FBP(葉酸結合タンパク質)、FCRL5、FR-α(葉酸受容体α)、GCC(グアニルサイクラーゼC)、GD2、GD3、GPC2(グリピカン-2)、GPC3、gp100(糖タンパク質100)、GPNMB(糖タンパク質NMB)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体5D)、HER2、HER3、HER4、B型肝炎表面抗原、HLA-A1(ヒト白血球抗原Al)、HLA-A2(ヒト白血球抗原A2)、HMW-MAA(ヒト高分子量-黒色腫関連抗原)、IGF1R(インスリン様増殖因子1受容体)、Igカッパ、Igラムダ、IL-22Ra(IL-22受容体α)、IL-13Ra2(IL-13受容体α2)、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、LI細胞接着分子(LI-CAM)、Liv-1、LRRC8A(ロイシンが豊富な反復含有8ファミリーメンバーA)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1(メランA)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、MCSP(黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、メソテリン、ムチン1(MUC1)、MUC16、MHC/ペプチド複合体(例えば、AFP、KRAS、NY-ESO、MAGE-A、及びWT1に由来するペプチドと複合体形成したHLA-A)、NCAM(神経細胞接着分子)、ネクチン-4、NKG2D(ナチュラルキラー群2メンバーD)リガンド、NY-ESO、腫瘍胎児性抗原、PD-1、PD-L1、PRAME(黒色腫の優先的に発現される抗原)、プロゲステロン受容体、PSA(前立腺特異抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、ROR1、ROR2、SIRPα(シグナル調節タンパク質α)、SLIT、SLITRK6(NTRK-様タンパク質6)、STEAP1(前立腺1の6回幕貫通上皮抗原)、サバイビン、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TPBG(栄養膜糖タンパク質)、Trop-2、VEGFR1(血管内皮増殖因子受容体1)、VEGFR2、ならびにHIV、HBV、HCV、HPV、及び他の病原体に由来する抗原、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される抗原に特異的に結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインはROR1と特異的に結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインはGPC2と特異的に結合する。
【0028】
いくつかの態様では、共刺激ドメインは、インターロイキン-2受容体(IL-2R)、インターロイキン-12受容体(IL-12R)、IL-7、IL-21、IL-23、IL-15、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB/CD137、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、LIGHT、NKG2C、OX40、DAP10の共刺激ドメイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、共刺激ドメインは4-1BB/CD137の共刺激ドメインを含む。いくつかの態様では、膜貫通ドメインはKIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(タクチルT)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D、NKG2C、CD19の膜貫通ドメインまたはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはCD3ゼータ、FcRガンマ、共通のFcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」)、FcεRI、CD66d、CD32、DAP10、DAP12に由来する細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはCD3ゼータの細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0029】
いくつかの態様では、抗原受容体は操作されたTCRを含む。いくつかの態様では、操作されたTCRは腫瘍抗原/MHC複合体に特異的に結合する。いくつかの態様では、腫瘍抗原は、AFP、CD19、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、CD19、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、Tn Ag、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL- 13Ra2、mesothelin、IL-l lRa、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体α、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WTl、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos-関連抗原1、p53、p53変異型、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MARTl、Ras変異型、hTERT、肉腫転位分断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸管カルボニルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、ネオ抗原、またはそれらの任意の組み合わせに由来する。
【0030】
いくつかの態様では、外来性のポリヌクレオチドは調節要素を含み、ベクターは外来性のポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、ベクターはポリシストロン性の発現ベクターである。いくつかの態様では、調節要素はプロモーターを含む。いくつかの態様では、プロモーターはdl587revプライマー結合部位が置換された(MND)プロモーター、EFIaプロモーター、ユビキチンプロモーター、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、ベクターはウイルスベクター、哺乳類ベクター、または細菌ベクターを含む。いくつかの態様では、ベクターは、アデノウイルスベクター、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ハイブリッドベクター、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。いくつかの態様では、ベクターはレンチウイルスである。
【0031】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約10mM、約15mM、約20mM、約25mM、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、または約90mMよりも高い。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、及び約80mMから成る群から選択される。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約30mM~約80mM、約40mM~約80mM、約50mM~80mM、約60mM~約80mM、約70mM~約80mM、約40mM~約70mM、約50mM~約70mM、約60mM~約70mM、約40mM~約60mM、約50mM~約60mM、または約40mM~約50mMの間である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM、約60mM、または約70mMである。
【0032】
いくつかの態様では、培地はさらにナトリウムイオンを含む。いくつかの態様では、培地はさらにNaClを含む。いくつかの態様では、培地は約140mM、約130mM、約120mM、約110mM、約100mM、約90mM、約80mM、約70mM、約60mM、約50mM、または約40mM未満のNaClを含む。
【0033】
いくつかの態様では、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度とNaCl濃度の合計の2倍は280未満である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度とNaCl濃度の合計の2倍は240を超えて280未満である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度とNaCl濃度の合計の2倍は280以上で300未満である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mMであり、NaClの濃度は80mM未満、75mM未満、70mM未満、65mM未満、または60mM未満である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mMであり、NaClの濃度は85mM未満、80mM未満、75mM未満、70mM未満、または65mM未満である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mMであり、NaClの濃度は90mM未満、85mM未満、80mM未満、75mM未満、または70mM未満である。
【0034】
いくつかの態様では、培地はさらに、1以上のサイトカインを含む。いくつかの態様では、1以上のサイトカインはインターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-21(IL-21)、インターロイキン-15(IL-15)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、1以上のサイトカインはIL-2、IL-7及びIL-15を含む。
【0035】
いくつかの態様では、培地はさらに、カルシウムイオン、グルコース、またはカルシウムイオンとグルコースの双方を含む。
【0036】
いくつかの態様では、培地はさらに細胞増殖剤を含む。いくつかの態様では、細胞増殖剤はGSK3B阻害剤、ACLY阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害は、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤は、クエン酸ヒドロキシル、LY294002、ピクチリシブ、CAL101、IC87114、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、AKT阻害剤は、MK2206、A443654、AKTi-VIII、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0037】
いくつかの態様では、出発免疫細胞及び/または高い濃度のカリウムイオンを含まない培地で培養された細胞と比べて最終細胞製剤にて、培地は、(a)低分化及び/または未分化の細胞の数及び/または割合を増やすことができ;(b)形質導入効率を高めることができ;(c)幹細胞様免疫細胞を増やすことができ;(d)体内での生存率を高めることができ;(e)細胞能力を高めることができ;(f)細胞の疲弊を防止することができ;(g)エフェクター様細胞の数及び/または割合を増やすことができ;または(h)それらの組み合わせを可能にすることができる。
【0038】
いくつかの態様では、培地はさらにグルコースを含む。いくつかの態様では、グルコースの濃度は、約10mM超である。いくつかの態様では、グルコースの濃度は、約10mM~約25mM、約10mM~約20mM、約15mM~約25mM、約15mM~約20mM、約15mM~約19mM、約15mM~約18mM、約15mM~約17mM、約15mM~約16mM、約16mM~約20mM、約16mM~約19mM、約16mM~約18mM、約16mM~約17mM、約17mM~約20mM、約17mM~約19mM、または約17mM~約18mMである。いくつかの態様では、グルコースの濃度は、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、または約25mMである。いくつかの態様では、グルコースの濃度は、約15.4mM、約15.9mM、約16.3mM、約16.8mM、約17.2mM、または約17.7mMである。
【0039】
いくつかの態様では、培地は、カルシウムイオンをさらに含む。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、約0.4mM超である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、約0.4mM~約2.5mM、約0.5mM~約2.0mM、約1.0mM~約2.0mM、約1.1mM~約2.0mM、約1.2mM~約2.0mM、約1.3mM~約2.0mM、約1.4mM~約2.0mM、約1.5mM~約2.0mM、約1.6mM~約2.0mM、約1.7mM~約2.0mM、約1.8mM~約2.0mM、約1.2~約1.3mM、約1.2~約1.4mM、約1.2~約1.5mM、約1.2~約1.6mM、約1.2~約1.7mM、約1.2~約1.8mM、約1.3~約1.4mM、約1.3~約1.5mM、約1.3~約1.6mM、約1.3~約1.7mM、約1.3~約1.8mM、約1.4~約1.5mM、約1.4~約1.6mM、約1.4~約1.7mM、約1.4~約1.8mM、約1.5~約1.6mM、約1.5~約1.7mM、約1.5~約1.8mM、約1.6~約1.7mM、約1.6~約1.8mM、または約1.7~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mM、約1.1mM、約1.2mM、約1.3mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.6mM、約1.7mM、約1.8mM、約1.9mM、または約2.0mMである。
【0040】
いくつかの態様では、培地は、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLの濃度でIL-2を含む。いくつかの態様では、IL-2の濃度は約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、または約20ng/mLである。いくつかの態様では、IL-2の濃度は、約1.0ng/mLである。いくつかの態様では、IL-2の濃度は約10ng/mLである。
【0041】
いくつかの態様では、培地は、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLの濃度でIL-21を含む。いくつかの態様では、IL-21の濃度は約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、または約20ng/mLである。いくつかの態様では、IL-21の濃度は約1.0ng/mLである。いくつかの態様では、IL-21の濃度は約10ng/mLである。
【0042】
いくつかの態様では、培地は、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、or約15ng/mL~約20ng/mLの濃度でIL-7を含む。いくつかの態様では、IL-7の濃度は約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、または約20ng/mLである。いくつかの態様では、IL-7の濃度は約0.1ng/mLである。いくつかの態様では、IL-7の濃度は約10ng/mLである。
【0043】
いくつかの態様では、培地は、約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLの濃度でIL-15を含む。いくつかの態様では、IL-15の濃度は約0.1ng/mL、約0.5ng/mL、約1ng/mL、約2ng/mL、約3ng/mL、約4ng/mL、約5ng/mL、約6ng/mL、約7ng/mL、約8ng/mL、約9ng/mL、約10ng/mL、約11ng/mL、約12ng/mL、約13ng/mL、約14ng/mL、約15ng/mL、約16ng/mL、約17ng/mL、約18ng/mL、約19ng/mL、または約20ng/mLである。いくつかの態様では、IL-15の濃度は約0.1ng/mLである。いくつかの態様では、IL-15の濃度は約10ng/mLである。
【0044】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示されている方法によって調製されるヒト免疫細胞の集団を対象とする。いくつかの態様では、ヒト免疫細胞はT細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞はCD3+、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+、CD27+、CD28+、TCF7+、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、ヒト免疫細胞の集団にてT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも70%は幹細胞様T細胞である。いくつかの態様では、ヒト免疫細胞の集団にてT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも40%はCD39-/CD69-T細胞である。いくつかの態様では、ヒト免疫細胞の集団にてT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも70%はCD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様では、ヒト免疫細胞の集団はCD8+T細胞を含む。
【0045】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示されているヒト免疫細胞の集団と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を対象とする。
【0046】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞によって標的細胞を殺傷できる条件下で本明細書に開示されている免疫細胞の集団または本明細書に開示されている医薬組成物に標的細胞を接触させることを含む、標的細胞を殺傷する方法を対象とする。
【0047】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示されているヒト免疫細胞の集団または本明細書に開示されている医薬組成物を患者に投与することを含む、治療を必要とする患者を治療する方法を対象とする。
【0048】
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示されている方法にて治療を必要とする患者を治療するために薬物を製造するための本明細書に開示されているヒト免疫細胞の集団の使用を対象とする。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】8日間の生成プロセスの終了時での合わせたCD4
+及びCD8
+T細胞の倍数増殖を示す図である。倍数増殖は8日目のT細胞の総数を0日目のT細胞の総数で割ることによって算出した。各点は試験のドナーを表す。3つの独立した試験からデータをプールした。
【
図2】8日間の生成プロセスの終了時でのEGFR
+ROR1 CAR-T細胞におけるCD4
+またはCD8
+のT細胞の割合を示す。平均値及び標準偏差を示した。3つの独立した試験からデータをプールした。
【
図3】8日間の生成プロセスの終了時でのCD45RA+及びCCR7+によって定義される幹細胞様CAR-T細胞の表現型解析を示す。(A)8日間の生成プロセスの終了時でのCD3+EGFR+CAR-T細胞すべてにおける幹細胞様CAR-T細胞の割合を示す。(B)8日間の生成プロセスの終了時でのCD4+EGFR+CAR-T細胞における幹細胞様CAR-T細胞の割合を示す。(C)8日間の生成プロセスの終了時でのCD8+EGFR+CAR-T細胞における幹細胞様CAR-T細胞の割合を示す。各点は試験のドナーを表す。2つの独立した試験からデータをプールした。
【
図4】5名の無関係なドナーにわたるさらに厳格なゲートかけ戦略(CCR7+CD45RA+CD62L+CD45RO-)によって定義された幹細胞様CAR-T細胞の表現型解析を示す。8日間の生成プロセスの終了時CD3+EGFR+CAR-T細胞すべてについて細胞にゲートをかけた。各棒はCAR-T細胞すべてにおける幹細胞様T細胞の割合を示す。
【
図5A】標的細胞の刺激に応答した抗ROR1 CAR-T細胞の細胞内サイトカイン発現を示す。細胞内サイトカイン解析のための細胞内IL-2及びIFNガンマ(IFNg)のフローサイトメトリーのプロットと、ゲートかけ戦略を表し、四分
図B,C、D及びEはそれぞれ
図5B、
図5C、
図5D及び
図5Eに対応する。先ず、生細胞のEGFR+CD45+CD3+CAR-T細胞でT細胞にゲートをかけ、続いてIFNg及びIL-2の発現でゲートをかけた。
【
図5B】標的細胞の刺激に応答した抗ROR1 CAR-T細胞の細胞内サイトカイン発現を示す。CD3+CAR-T細胞にてIFNg及びIL-2の双方を発現しているT細胞によって定義される万能性CAR-T細胞の割合を示す。
【
図5C】標的細胞の刺激に応答した抗ROR1 CAR-T細胞の細胞内サイトカイン発現を示す。IL-2のみを発現しているCAR-T細胞の割合を示す。
【
図5D】標的細胞の刺激に応答した抗ROR1 CAR-T細胞の細胞内サイトカイン発現を示す。IFNgのみを発現しているCAR-T細胞の割合を示す。
【
図5E】標的細胞の刺激に応答した抗ROR1 CAR-T細胞の細胞内サイトカイン発現を示す。標的細胞の刺激に応答してIL-2もIFNgも発現しないものによって定義される「機能性ではない」CAR-T細胞の割合を示す。各記号は固有のドナーを表す。
【
図6A】試験管内順次刺激アッセイにてCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。
図6A~6Cは、3名の異なるドナー(ドナー6(
図6A)、ドナー7(
図6B)及びドナー8(
図6C))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.3%抗CD3/28、またはPCS0.5%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
図6D~6Fは3名の異なるドナー(ドナー6(
図6D)、ドナー7(
図6E)及びドナー8(
図6F))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.5%抗CD3/28、PCS0.75%抗CD3/28またはPCS1%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
【
図6B】試験管内順次刺激アッセイにてCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。
図6A~6Cは、3名の異なるドナー(ドナー6(
図6A)、ドナー7(
図6B)及びドナー8(
図6C))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.3%抗CD3/28、またはPCS0.5%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
図6D~6Fは3名の異なるドナー(ドナー6(
図6D)、ドナー7(
図6E)及びドナー8(
図6F))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.5%抗CD3/28、PCS0.75%抗CD3/28またはPCS1%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
【
図6C】試験管内順次刺激アッセイにてCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。
図6A~6Cは、3名の異なるドナー(ドナー6(
図6A)、ドナー7(
図6B)及びドナー8(
図6C))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.3%抗CD3/28、またはPCS0.5%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
図6D~6Fは3名の異なるドナー(ドナー6(
図6D)、ドナー7(
図6E)及びドナー8(
図6F))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.5%抗CD3/28、PCS0.75%抗CD3/28またはPCS1%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
【
図6D】試験管内順次刺激アッセイにてCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。
図6A~6Cは、3名の異なるドナー(ドナー6(
図6A)、ドナー7(
図6B)及びドナー8(
図6C))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.3%抗CD3/28、またはPCS0.5%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
図6D~6Fは3名の異なるドナー(ドナー6(
図6D)、ドナー7(
図6E)及びドナー8(
図6F))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.5%抗CD3/28、PCS0.75%抗CD3/28またはPCS1%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
【
図6E】試験管内順次刺激アッセイにてCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。
図6A~6Cは、3名の異なるドナー(ドナー6(
図6A)、ドナー7(
図6B)及びドナー8(
図6C))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.3%抗CD3/28、またはPCS0.5%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
図6D~6Fは3名の異なるドナー(ドナー6(
図6D)、ドナー7(
図6E)及びドナー8(
図6F))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.5%抗CD3/28、PCS0.75%抗CD3/28またはPCS1%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
【
図6F】試験管内順次刺激アッセイにてCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。
図6A~6Cは、3名の異なるドナー(ドナー6(
図6A)、ドナー7(
図6B)及びドナー8(
図6C))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.3%抗CD3/28、またはPCS0.5%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
図6D~6Fは3名の異なるドナー(ドナー6(
図6D)、ドナー7(
図6E)及びドナー8(
図6F))それぞれについてTransAct処理(TA)、PCS0.5%抗CD3/28、PCS0.75%抗CD3/28またはPCS1%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
【
図7】3名の異なるドナー(ドナー6(A)、ドナー7(B)及びドナー8(C))それぞれについて低いエフェクター対標的の比(ここでは1:125、すなわち、125の標的細胞ごとにCAR-T細胞1)での試験管内効力アッセイを使用したCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。グラフは、見せかけTransAct処理(TA)、TransAct処理(TA)、見せかけPCS処理、PCS0.5%抗CD3/28処理を使用して生成したCAR-T細胞に応答した順次刺激の間での経時的な標的細胞死の動態を示す。
【
図8】3名の異なるドナー(ドナー6(A)、ドナー7(B)及びドナー8(C))それぞれについて試験管内順次刺激アッセイにて標的細胞の刺激に応答したCAR-T細胞の累積数を示す。CAR-T細胞の数はウェルにおける細胞の総数にEGFR+CD45+NLR-生細胞の割合を乗じることによって得た。
【
図9】8日間の生成プロセスの終了時での合わせたCD4+及びCD8+T細胞の倍数増殖をグラフで示す。倍数増殖は8日目のT細胞の総数を0日目のT細胞の総数で割ることによって算出した。各点は固有のドナーを表す。
【
図10】3名の無関係なドナーにわたるCCR7+CD45RA+CD62L+CD45RO-の発現によって定義される幹細胞様CAR-T細胞の表現型解析を示す棒グラフである。8日間の生成プロセスの終了時にCD3+EGFR+CAR-T細胞すべてについて細胞にゲートをかけた。各棒はCAR-T細胞すべてにおける幹細胞様T細胞の割合を示す。
【
図11】標的細胞の刺激に応答した抗ROR1 CAR-T細胞の細胞内サイトカイン発現を示す。(A)CD3+CAR-T細胞における標的細胞の刺激に続くIFNg及びIL-2双方を発現しているT細胞によって定義される万能性CAR-T細胞の割合を示す。(B)標的細胞の刺激に続いてIL-2もIFNgも発現しないものによって定義される「機能性ではない」CAR-T細胞の割合を示す。各記号は固有のドナーを表す。
【
図12】3名の異なるドナー(ドナー7(A)、ドナー8(B)及びドナー9(C))それぞれについての試験管内順次刺激アッセイにてCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。
【
図13】3名の異なるドナー(ドナー7(A)、ドナー8(B)及びドナー9(C))それぞれについての試験管内連続刺激アッセイにてCAR-T細胞に応答した標的細胞のクリアランス曲線を示す。構成的に発現される蛍光タンパク質NLRを使用して標的細胞を視覚化し、定量した。培養物における標的生細胞の量はNLR総強度として定義し、「標的細胞総強度」として表現する。標的細胞総強度の低下は標的細胞死を意味する。
【
図14A】対照(TCM)培養及び種々のMRM(MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、及び標準MRM)培養にて培養し、第1のPCS(密度0.5%、1:1;
図14A、14C、及び14E)または第2のPCS(密度0.1%、1:1;
図14B,14D及び14F)組成物で活性化した細胞についての細胞の活性化を示すグラフである。
【
図14B】対照(TCM)培養及び種々のMRM(MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、及び標準MRM)培養にて培養し、第1のPCS(密度0.5%、1:1;
図14A、14C、及び14E)または第2のPCS(密度0.1%、1:1;
図14B,14D及び14F)組成物で活性化した細胞についての細胞の活性化を示すグラフである。
【
図14C】対照(TCM)培養及び種々のMRM(MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、及び標準MRM)培養にて培養し、第1のPCS(密度0.5%、1:1;
図14A、14C、及び14E)または第2のPCS(密度0.1%、1:1;
図14B,14D及び14F)組成物で活性化した細胞についての細胞の増殖を示すグラフである。
【
図14D】対照(TCM)培養及び種々のMRM(MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、及び標準MRM)培養にて培養し、第1のPCS(密度0.5%、1:1;
図14A、14C、及び14E)または第2のPCS(密度0.1%、1:1;
図14B,14D及び14F)組成物で活性化した細胞についての細胞の増殖を示すグラフである。
【
図14E】対照(TCM)培養及び種々のMRM(MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、及び標準MRM)培養にて培養し、第1のPCS(密度0.5%、1:1;
図14A、14C、及び14E)または第2のPCS(密度0.1%、1:1;
図14B,14D及び14F)組成物で活性化した細胞についての形質導入を示すグラフである。
【
図14F】対照(TCM)培養及び種々のMRM(MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、及び標準MRM)培養にて培養し、第1のPCS(密度0.5%、1:1;
図14A、14C、及び14E)または第2のPCS(密度0.1%、1:1;
図14B,14D及び14F)組成物で活性化した細胞についての形質導入を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0050】
細胞免疫療法の有効性は、患者に注入される細胞製剤の存続性、多分化能、及び非対称細胞分裂を含む、多数の因子に左右される。細胞療法に使用される細胞の培養及び/または操作に使用される培地及び方法は、これらの細胞の代謝的特質、エピジェネティック特質、表現型特質に大きな影響を与える可能性があり、それによって治療可能性に影響を与える。
【0051】
本開示は、細胞を培養する方法、その方法によって調製された細胞、及び/または細胞培養方法のための組成物またはキットを対象とする。本開示のいくつかの態様は、免疫療法のためにヒト免疫細胞の集団を調製する方法、免疫療法のためにヒト免疫細胞の集団を活性化する方法、生体外または試験管内の培養の間に活性化されたヒト免疫細胞の収量を高める方法、免疫療法のために生体外または試験管内の培養の間に活性化されたヒト免疫細胞の収量を高めながら、活性化されたヒト免疫細胞の幹細胞性を高める方法、及び生体外または試験管内にて活性化された幹細胞様免疫細胞の集団を増殖させる方法を対象とし;方法は5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)に免疫細胞を接触させることを含む。
【0052】
いくつかの態様では、本開示は、養子細胞療法(ACT)のための免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の集団を生成する方法を提供し、その際、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は低分化状態を有し、増殖する能力を保持する。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は低分化状態を有し、腫瘍細胞を標的として殺傷する能力を維持する。いくつかの態様では、免疫細胞、例えばT細胞またはNK細胞は低分化状態を有し、増殖能力を保持し、腫瘍細胞を標的として殺傷する能力を維持する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は、従来の方法に従って、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地にて培養された細胞と比べて、ACTにて高い有効性を有する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は、従来の方法に従って、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地にて培養された細胞と比べて、ACTにて対象に投与された際、高い持続性を有する。そのような高い持続性は、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の腫瘍微小環境に浸潤し、機能する能力、疲弊に耐える能力、ならびに連続した増殖及び応答の耐久性を確保する幹細胞性の持続を指す。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は幹細胞様細胞である。そのような細胞は、自己複製、増殖及び分化が可能である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は、エフェクター様マーカーも発現する幹細胞様細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は、腫瘍細胞を標的とし、殺傷する能力も維持する幹細胞様細胞である。
【0053】
本開示の細胞培養方法は、培養細胞の多能性及び/または万能性を増加できるか、あるいは細胞がベクターで形質導入されている場合の形質導入効率を増加できる。いくつかの態様では、培養方法は、細胞が培養される場合、及び/または細胞が生体内での療法に使用される場合に細胞疲弊を減少及び/または回避できる。いくつかの態様では、培養方法はまた、生体内生存能、生体内持続性、生体内エフェクター機能、またはそれらの任意の組み合わせを増加できる。いくつかの態様では、本明細書で開示される培養方法は、オリゴクローナルまたはポリクローナル腫瘍反応性幹細胞様T細胞及び/またはCD8+TILを濃縮できる。いくつかの態様では、本明細書で開示される培養方法は、がん患者に由来するTILのクローン多様性を保持できる。
【0054】
本開示がより詳細に記載される前に、本開示は、記載される特定の組成物またはプロセスステップに限定されず、したがって、当然のことながら変更され得ると理解されるべきである。本開示を読むことで当業者には明らかであるように、本明細書に記載及び図示される個々の態様の各々は、本開示の範囲または趣旨から逸脱することなく、他のいくつかの態様のいずれかから容易に分離され得るか、またはそれらの特徴と組み合わされ得る別の構成要素及び特徴を有する。列挙されるいずれの方法も、列挙される事象の順序で、または論理的に可能な任意の他の順序で実施され得る。
【0055】
本明細書に提供される見出しは、本開示の様々な態様を限定するものではなく、これは本明細書全体を参照することによって定義され得る。本明細書に使用される専門用語は、特定の態様を記載することのみを目的とし、限定することを意図するものではないこともまた理解されるべきである。
【0056】
I.用語
本開示がより容易に理解され得るように、ある特定の用語が最初に定義される。本出願で使用される場合、本明細書に明示的な別段の定めがない限り、以下の用語の各々は、以下に記載される意味を有することとする。追加の定義が、本出願全体を通して示されている。
【0057】
本開示の全体を通して、用語「a」または「an」実体は、その実体のうち1以上を指し、例えば、「aキメラポリペプチド」は1以上のキメラポリペプチドを表すと理解される。したがって、「a」(または「an」)、「1以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は本明細書では相互交換可能に使用することができる。加えて、「または」は、リスト内の構成成分のオープンリストを意味するのに使用される。例えば、「XはAまたはBを含む」は、XがAを含む、XがBを含む、XがA及びBを含む、またはXがAもしくはB及び任意の他の構成要素を含むことを意味する。
【0058】
さらに、「及び/または」は、本明細書で使用される場合、2つの指定された特徴または構成要素の各々の、他方を伴うか、または伴わない特定の開示とみなされるべきである。したがって、「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」などの語句で使用される場合、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、ならびに「B」(単独)を含むことを意図する。同様に、「A、B、及び/またはC」等の句で使用される用語「及び/または」は、以下の態様の各々を包含することを意図する:A、B、及びC、A、B、またはC、AまたはC、AまたはB、BまたはC、A及びC、A及びB、B及びC、A(単独)、B(単独)、ならびに「C」(単独)。
【0059】
態様が、文体「含む」とともに本明細書に記載されている場合は常に、「から成る」及び/または「から本質的になる」の観点から記載される他の同様の態様もまた提供されることが理解される。
【0060】
別段の規定がない限り、本明細書で使用される全ての専門用語及び科学用語は、本開示が関連する分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びthe Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くに関する一般的な辞書を当業者に提供する。
【0061】
単位、接頭辞、及び記号は、それらの国際単位系(SI)で承認された形式で示される。数値範囲は、明白に述べられない限り範囲を定義する数を含む。
【0062】
本明細書で使用される略語は、本開示全体を通して定義される。本開示の様々な態様が、以下の小節においてさらに詳しく記載される。
【0063】
「約」または「本質的に含む」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値または組成の許容誤差範囲内にある値または組成を指し、これは値または組成がどのように測定または決定されるのか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存することになる。例えば、「約」または「本質的に含む」は、当該技術分野の慣例に従って、1標準偏差以内または1標準偏差以上を意味することができる。あるいは、「約」または「本質的に含む」は、最大10%の範囲(例えば、別途記載がない限り、または文脈から明らかでない限り(そのような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)、記載された参照値のいずれかの方向(さらに大きいかまたはさらに小さいか)に10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内の範囲に収まる値の範囲)を意味することができる。例えば、本明細書で使用されるとき「約55mM」には、49.5mM~60.5mMが含まれる。さらに、特に生物系またはプロセスに関して、その用語は最大1桁または最大5倍の値を意味することができる。特定の値または組成物が本出願及び特許請求の範囲で提供される場合、別段の記載がない限り、「約」または「本質的に含む」の意味は、その特定の値または組成物の許容誤差範囲内にあると想定されるべきである。
【0064】
本明細書で使用されるとき、「およそ」という用語は目的の1以上の値に適用される場合、規定の参照値と類似している値を指す。いくつかの態様では、「約」という用語のような「およそ」という用語は、別途明記のない限り、または別途文脈から明らかでない限り(そのような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)、記載の参照値のいずれかの(さらに大きいまたはさらに小さい)方向に10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下の範囲内に入る値の範囲を指す。
【0065】
本明細書に記載されているように、任意の濃度範囲、割合範囲、比率範囲、または整数範囲は、別段の指示がない限り、列挙される範囲内の任意の整数の値を含み、適切な場合、その分数(例えば、整数の10分の1及び100分の1)を含むと理解されるべきである。
【0066】
「対照培地」、「従来の培養培地」または「参照培養培地」という用語は、本明細書で使用されるとき、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地(「MRM」)と比較した任意の培地を指す。対照培地は、特定のイオン濃度、例えば、カリウムイオンを除き、代謝再プログラム化培地と同じ成分を含むことができる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地は、本明細書に記載されているように、1以上のイオン濃度、例えば、カリウムイオン濃度を調整することによって対照培地から調製される。いくつかの態様では、対照培地は、基本培地、例えば、CTS(商標)OPTMIZER(商標)を含む。いくつかの態様では、したがって、対照培地は、代謝再プログラム化培地にも加えられるアミノ酸、グルコース、グルタミン、T細胞刺激因子、抗体、置換物などを含むが、これらに限定されない1以上の追加の成分を含むが、対照培地は代謝再プログラム化培地とは異なる特定のイオン濃度を有する。いくつかの態様では、対照培地は、本明細書に開示されているようなプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)を含まない。別途示されない限り、「培地(media)」及び「培地(medium)」という用語は相互交換可能に使用することができる。
【0067】
本明細書で使用されるとき「培養」という用語は生体外及び/または試験管内での細胞の制御された増殖を指す。本明細書で使用されるとき、「培養」は、細胞増殖中、または細胞操作(例えば、CAR、TCR、もしくはTCRmを発現させるための構築物による形質導入)中の本明細書で開示されている細胞、例えば、免疫細胞、例えば、1以上の操作された免疫細胞の増殖を含む。いくつかの態様では、培養細胞は、対象、例えば、ヒト対象/患者から得られる。いくつかの態様では、培養細胞はヒト対象から得られる免疫細胞を含む。いくつかの態様では、培養細胞は本明細書に開示されている1以上の操作された免疫細胞を含む。いくつかの態様では、培養細胞はヒト対象/患者から得られるT細胞またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、T細胞及び/またはNK細胞は培養前に精製される。いくつかの態様では、T細胞及び/またはNK細胞は腫瘍に浸潤しているT細胞及び/またはNK細胞である。いくつかの態様では、培養細胞は本明細書に開示されている1以上の操作された免疫細胞を含む。
【0068】
「増殖させる」または「増殖」という用語は、免疫細胞培養に関して本明細書で使用されるとき、細胞を刺激し、または活性化し、細胞を培養するプロセスを指す。増殖プロセスは、細胞が刺激され、または活性化され、培養された後、培養細胞の集団にて、所望の細胞の比率または総数の増加、例えば、低分化免疫細胞の比率または総数の増加をもたらすことができる。増殖は、培養細胞の集団におけるすべての細胞タイプの数が増加することを必要としない。むしろ、いくつかの態様では、培養細胞の集団における細胞のサブセットのみが、増殖中に数が増加するのに対し、他の細胞タイプの数は変化しない場合があり、または減少する場合がある。
【0069】
本明細書で使用される場合、「収量」という用語は、培養方法またはその一部の後の細胞の総数を指す。いくつかの態様では、「収量」という用語は、T細胞の集団における特定の細胞、例えば、幹細胞様T細胞の集団を指す。収量は、代表的な試料に基づいて収量を推定することを含むが、これに限定されない任意の方法を使用して決定することができる。
【0070】
「代謝再プログラム化培地(media)」、「代謝再プログラム化培地(medium)」、または「MRM」という用語は本明細書で使用されるとき、本開示の培地を指し、その際、培地は高カリウム濃度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は40mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10mM,少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約25mM、少なくとも約30mM、少なくとも約35mM、少なくとも約40mM、少なくとも約45mM、少なくとも約50mM、少なくとも約55mM、少なくとも約60mM、少なくとも約65mM、少なくとも約70mM、少なくとも約75mM、少なくとも約80mM、少なくとも約85mM、少なくとも約90mM、少なくとも約95mM、または少なくとも約100mMのカリウムイオンの濃度を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mM~約80mMのNaCl、約40mM~約90mMのKCl、約0.5mM~約2.8mMのカルシウム、及び約10mM~約24mMのグルコースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はさらに、約250~約300mOsmolの浸透圧を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラミング培地はさらに、本明細書に開示されているようなプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)を含む。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「よりも高い」という用語はそれを超えるが、等しくはないことを意味する。例えば、「4mMよりも高い」は、4mMを超えるが、4mMを含まない任意の量を意味する。
【0072】
本明細書で使用されるとき「張度」という用語は、細胞膜を横切る計算された有効浸透圧勾配を指し、カリウムイオンの濃度と塩化ナトリウム(NaCl)の濃度の合計に2を掛けた値で表される。張度は、溶液、例えば、培地の浸透圧濃度(mOsm/kg)または浸透圧モル濃度(mOsm/L)によって表すことができる。浸透圧濃度と浸透圧モル濃度は、質量あたり(浸透圧濃度)及び体積あたり(浸透圧モル濃度)の溶媒の溶質浸透圧濃度の測定値である。本明細書で使用されるとき、等張培地は約280mOsm/L(例えば、([K+]+[NaCl])×2=280)の張度を有する。
【0073】
本明細書で使用されるとき、低張溶液は280mOsm/L未満(例えば、([K+]+[NaCl])×2<280)の張度を有する。いくつかの態様では、低張培地は少なくとも約210mOsm/L~約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、低張培地は少なくとも約220mOsm/L~約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、低張培地は少なくとも約230mOsm/L~約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、低張培地は少なくとも約240mOsm/L~約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、本明細書に記載されている低張培地は約250mOsm/Lの張度を有する。
【0074】
本明細書で使用されるとき、高張溶液は、300mOsm/Lを超える(例えば、([K+]+[NaCl])×2>300)張度を有する。いくつかの態様では、本明細書に記載されている高張培地は、約320mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、溶液、例えば、培地の張度はカリウムイオン及びNaClの濃度を増加または減少させることによって調整される。いくつかの態様では、培地の張度は、ある溶質の増加を第2の溶質の減少で相殺することによって維持され得る。例えば、ナトリウムイオンの濃度を変えることなく培地中のカリウムイオンの濃度を増加させると、培地の張度が増加し得る。しかしながら、カリウムイオンの濃度が増加し、ナトリウムイオンの濃度が減少する場合、元の培地の張度は維持され得る。
【0075】
本明細書で使用されるとき、「カリウム」、「カリウムイオン」、「カリウムカチオン」、及び「K+」という用語は相互交換可能に使用され、元素カリウムを指す。元素カリウムは溶液中に陽イオンとして存在する。しかしながら、カリウムイオンを含む溶液を調製する標準的な手段は、カリウム含有塩(例えば、KCl)を溶液中に希釈することを含むことが、当業者には容易に明らかとなる。したがって、あるモル(M)濃度のカリウムイオンを含む溶液、例えば、培地は、等モル(M)濃度のカリウムを含む塩を含むと記載され得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「ナトリウムイオン」及び「ナトリウムカチオン」という用語は、元素ナトリウムを指すために交換可能に使用される。元素ナトリウムは、一価カチオンとして溶液中に存在する。しかしながら、ナトリウムイオンを含む溶液を調製する標準的な手段が、ナトリウム含有塩(例えば、NaCl)を溶液に希釈することを含むことは当業者に容易に明らかであろう。したがって、あるモル(M)濃度のナトリウムイオンを含む溶液、例えば、培地は、等モル(M)濃度のナトリウムを含む塩を含むと記載され得る。
【0077】
本明細書で使用される場合、「カルシウムイオン」及び「カルシウムカチオン」という用語は、元素カルシウムを指すために交換可能に使用される。元素カルシウムは、二価カチオンとして溶液中に存在する。しかしながら、カルシウムイオンを含む溶液を調製する標準的な手段が、カルシウム含有塩(例えば、CaCl2)を溶液に希釈することを含むことは当業者に容易に明らかであろう。したがって、あるモル(M)濃度のカルシウムイオンを含む溶液、例えば、培地は、等モル(M)濃度のカルシウムを含む塩を含むと記載され得る。
【0078】
本明細書で使用されるとき、「免疫細胞」という用語は免疫系の細胞を指す。いくつかの態様では、免疫細胞は、Tリンパ球(「T細胞」)、Bリンパ球(「B細胞」)、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーTリンパ球(NKT)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中球から選択される。本明細書で使用されるとき、細胞の「集団」は2以上の細胞、例えば、複数の細胞の集合を指す。いくつかの態様では、細胞の集団は、2つ以上の免疫細胞、例えば、複数の免疫細胞を含む。いくつかの態様では、細胞の集団は、複数のタイプの細胞を含む細胞の異種混合物、例えば、免疫細胞及び非免疫細胞の異種混合物を含む。いくつかの態様では、細胞の集団は複数のT細胞を含む。
【0079】
本明細書で使用されるとき、「T細胞」及び「Tリンパ球」という用語は相互交換可能であり、胸腺によって産生または処理されるあらゆるリンパ球を指す。T細胞の非限定的なクラスには、エフェクターT細胞及びTh細胞(例えば、CD4+またはCD8+T細胞)が挙げられる。いくつかの態様では、T細胞はTh1細胞である。いくつかの態様では、T細胞はTh2細胞である。いくつかの態様では、T細胞はTc17細胞である。いくつかの態様では、T細胞はTh17細胞である。いくつかの態様では、T細胞はTreg細胞である。いくつかの態様では、T細胞は腫瘍浸潤細胞(TIL)である。
【0080】
本明細書で使用されるとき、「メモリー」T細胞という用語は、これまでに(例えば、生体内、試験管内、もしくは生体外で)それらの同族抗原に遭遇し、応答したT細胞、または例えば、(例えば、試験管内もしくは生体外にて)抗CD3抗体で刺激されたT細胞を指す。免疫細胞は、二次曝露時に「メモリー様」表現型を有し、そのようなメモリーT細胞は、一次曝露中よりも迅速かつ強力な免疫応答を開始するために複製し得る。いくつかの態様では、メモリーT細胞は、セントラルメモリーT細胞(TCM細胞)、エフェクターメモリーT細胞(TEM細胞)、組織常在性メモリーT細胞(TRM細胞)、幹細胞様メモリーT細胞(TSCM細胞)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0081】
本明細書で使用されるとき、「幹細胞様メモリーT細胞」、「Tメモリー幹細胞」、または「TSCM細胞」という用語は、CD95、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現するメモリーT細胞を指し、自己複製する幹細胞様能力ならびにメモリー及びエフェクターT細胞サブセットの範囲全体を再構成する多能性を付与されている。
【0082】
本明細書で使用される場合、「セントラルメモリーT細胞」または「TCM細胞」という用語は、CD45RO、CCR7、及びCD62Lを発現するメモリーT細胞を指す。セントラルメモリーT細胞は一般にリンパ節内及び末梢循環で見られる。
【0083】
本明細書で使用されるとき、「エフェクターメモリーT細胞」または「TEM細胞」という用語は、CD45ROを発現するが、CCR7及びCD62Lの発現を欠いているメモリーT細胞を指す。エフェクターメモリーT細胞は、リンパ節ホーミング受容体(例えば、CCR7及びCD62L)を欠いているので、これらの細胞は通常、末梢循環及び非リンパ組織で見られる。
【0084】
本明細書で使用されるとき、「組織常在性メモリーT細胞」または「TRM細胞」という用語は、循環せず、皮膚、肺、及び消化管のような末梢組織に常在しているメモリーT細胞を指す。いくつかの態様では、組織常在性メモリーT細胞は、また、エフェクターメモリーT細胞である。
【0085】
本明細書で使用されるとき、「ナイーブT細胞」または「TN細胞」という用語は、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現するが、CD95を発現しないT細胞を指す。TN細胞は、T細胞系統の中で最も未分化な細胞である。TN細胞と抗原提示細胞(APC)との間の相互作用によって、活性化TEFF細胞へのTN細胞の分化及び免疫応答が誘導される。
【0086】
本明細書で使用されるとき、「幹細胞性」、「幹細胞様」、「幹細胞様」、または「低分化」という用語は、さらにナイーブな表現型と一致するマーカーを発現する免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を指す。例えば、低分化T細胞はTN細胞またはTSCM細胞に特徴的な1以上のマーカーを発現することができる。いくつかの態様では、「低分化」または「幹細胞様」のT細胞はCD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現する。いくつかの態様では、「低分化」または「幹細胞様」のT細胞はCD45RA、CCR7、CD62L、及びTCF7を発現する。いくつかの態様では、「低分化」または「幹細胞様」のT細胞はCD45RAを発現せず、またはCD45RO低である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、低分化表現型を有する免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を推奨する。特定のメカニズムに束縛されることなく、いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法は、低分化免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の分化を阻止、阻害、または制限し、その結果、培養中の幹細胞様細胞の数が増加する。例えば、腫瘍を効果的に制御するには、幹細胞様メモリー表現型またはセントラルメモリー表現型を持つ低分化免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の養子移入が好ましいと一般的に考えられている。Gattinoni,L.,et al.,J.Clin.Invest.115:1616-1626(2005),Gattinoni,L.,et al.Nat.Med.15(7):808-814(2009),Lynn,R.C.,et al.,Nature,576(7786):293-300(2019);Gattinoni,L.,et al.Nat.Rev.12:671-684(2012),Klebanoff,C.,et al.,J.Immunother.35(9):651-670(2012)及びGattinoni,L.,et al.,Nat.Med.17(10):1290-1297(2011)を参照のこと。
【0087】
幹細胞性は自己複製能力、多能性、及び増殖能の持続性を特徴とする。いくつかの態様では、幹細胞性は特定の特徴的な遺伝子発現、例えば、多数の遺伝子にわたる発現の組み合わせパターンを特徴とする。いくつかの態様では、幹細胞様細胞は、例えば、本明細書に開示されている幹細胞性遺伝子シグネチャを使用して、トランスクリプトーム分析によって同定され得る。いくつかの態様では、遺伝子シグネチャはACTN1、DSC1、TSHZ2、MYB、LEF1、TIMD4、MAL、KRT73、SESN3、CDCA7L、LOC283174、TCF7、SLC16A10、LASS6、UBE2E2、IL7R、GCNT4、TAF4B、SULT1B1、SELP、KRT72、STXBP1、TCEA3、FCGBP、CXCR5、GPA33、NELL2、APBA2、SELL、VIPR1、FAM153B、PPFIBP2、FCER1G、GJB6、OCM2、GCET2、LRRN1、IL6ST、LRRC16A、IGSF9B、EFHA2、LOC129293、APP、PKIA、ZC3H12D、CHMP7、KIAA0748、SLC22A17、FLJ13197、NRCAM、C5orf13、GIPC3、WNT7A、FAM117B、BEND5、LGMN、FAM63A、FAM153B、ARHGEF11、RBM11、RIC3、LDLRAP1、PELI1、PTK2、KCTD12、LMO7、CEP68、SDK2、MCOLN3、ZNF238、EDAR、FAM153C、FAAH2、BCL9、C17orf48、MAP1D、ZSWIM1、SORBS3、IL4R、SERPINF1、C16orf45、SPTBN1、KCNQ1、LDHB、BZW2、NBEA、GAL3ST4、CRTC3、MAP3K1、HLA-DOA、RAB43、SGTB、CNN3、CWH43、KLHL3、PIM2、RGMB、C16orf74、AEBP1、SNORD115-11、SNORD115-11、GRAP、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む(例えば、Gattinoni et al.,Nature Medicine,17(10):1290-97(2011)を参照のこと)。いくつかの態様では、遺伝子シグネチャは、NOG、TIMD4、MYB、UBE2E2、FCER1G、HAVCR1、FCGBP、PPFIBP2、TPST1、ACTN1、IGF1R、KRT72、SLC16A10、GJB6、LRRN1、PRAGMIN、GIPC3、FLNB、ARRB1、SLC7A8、NUCB2、LRRC7、MYO15B、MAL、AEBP1、SDK2、BZW2、GAL3ST4、PITPNM2、ZNF496、FAM117B、C16orf74、TDRD6、TSPAN32、C18orf22、C3orf44、LOC129293、ZC3H12D、MLXIP、C7orf10、STXBP1、KCNQ1、FLJ13197、LDLRAP1、RAB43、RIN3、SLC22A17、AGBL3、TCEA3、NCRNA00185、FAM153B、FAM153C、VIPR1、MMP19、HBS1L、EEF2K、SNORA5C、UBASH3A、FLJ43390、RP6-213H19.1、INPP5A、PIM2、TNFRSF10D、SNRK、LOC100128288、PIGV、LOC100129858、SPTBN1、PROS1、MMP28、HES1、CACHD1、NSUN5C、LEF1、TTTY14、SNORA54、HSF2、C16orf67、NSUN5B、KIAA1257、NRG2、CAD、TARBP1、STRADB、MT1F、TMEM41B、PDHX、KDM6B、LOC100288322、UXS1、LGMN、NANOS2、PYGB、RASGRP2、C14orf80、XPO6、SLC24A6、FAM113A、MRM1、FBXW8、NDUFS2、KCTD12、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む(例えば、Gattinoni,L.,et al.,Nat Med 17(10):1290-1297(2011)を参照のこと)。いくつかの態様では、遺伝子シグネチャはSELL、CCR7、S1PR1、KLF3、TCF7、GPR183、SC5D、FAAH2、LTB、SESN3、MAL、TSHZ2、LEF1、AP3M2、SLC2A3、ICAM2、PLAC8、SCML1、IL7R、ABLIM1、RASGRP2、TRABD2A、SATB1、ALG13、ARID5A、BACH2、PABPC1、GPCPD1、NELL2、TAF4B、FCMR、ARRDC2、C1orf162、FAM177A1、ANKRD12、TXK、SORL1、AQP3、ADTRP、FXYD7、CD28、P2RY8、CRYBG1、TNFSF8、BEX2、PGAP1、PTGER4、MAML2、BEX3、PCSK1N、INPP4B、AC119396.1、CXCR5、LINC00402、CCR4、IL6R、ZBTB10、ITGA6、ARMH1、RILPL2、FOXP1、TESPA1、YPEL5、LPAR6、CMSS1、RIPOR2、ZNF331、EMP3、GIMAP7、WDR74、RIC3、CYSLTR1、ITGB1、CD5、SAMHD1、SERINC5、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む(例えば、Caushi et al.,Nature,596:126-132(2021)を参照のこと)。
【0088】
本明細書で使用されるとき、「エフェクター様」または「エフェクター細胞様」という用語は、腫瘍細胞殺傷能力及びサイトカイン多機能性、例えば、炎症性サイトカイン及び/または細胞傷害性分子を産生する細胞の能力を指す。いくつかの態様では、エフェクター様細胞は細胞によって発現される特定のマーカーを特徴とする。いくつかの態様では、それらのエフェクター様マーカーはpSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、及びSTAT3+のうちの1以上を含む。いくつかの態様では、エフェクター様マーカーはAKT1、AKT2、AKT3、BCL2L1、CBL、CBLB、CBLC、CCND1、CCND2、CCND3、CISH、CLCF1、CNTF、CNTFR、CREBBP、CRLF2、CSF2、CSF2RA、CSF2RB、CSF3、CSF3R、CSH1、CTF1、EP300、EPO、EPOR、GH1、GH2、GHR、GRB2、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNGR1、IFNGR2、IFNK、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IFNLR1、IFNW1、IL10、IL10RA、IL10RB、IL11、IL11RA、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL12RB2、IL13、IL13RA1、IL13RA2、IL15、IL15RA、IL19、IL2、IL20、IL20RA、IL20RB、IL21、IL21R、IL22、IL22RA1、IL22RA2、IL23A、IL23R、IL24、IL26、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL3RA、IL4、IL4R、IL5、IL5RA、IL6、IL6R、IL6ST、IL7、IL7R、IL9、IL9R、IRF9、JAK1、JAK2、JAK3、LEP、LEPR、LIF、LIFR、MPL、MYC、OSM、OSMR、PIAS1、PIAS2、PIAS3、PIAS4、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIK3R5、PIM1、PRL、PRLR、PTPN11、PTPN6、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOCS4、SOCS5、SOCS7、SOS1、SOS2、SPRED1、SPRED2、SPRY1、SPRY2、SPRY3、SPRY4、STAM、STAM2、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、TPO、TSLP、TYK2、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるSTAT標的を含む。いくつかの態様では、エフェクター様細胞はトランスクリプトーム分析によって特徴づけられる。いくつかの態様では、エフェクター様マーカーは、Kaech et al.,Cell 111:837-51(2002);Tripathi et al.,J.Immunology 185:2116-24(2010);及び/またはJohnnidis et al.,Science Immunology 6:eabe3702(Jan.15,2021)で開示されるマーカーを含み、これらのそれぞれは、全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0089】
いくつかの態様では、エフェクター様細胞は、Gattinoni,L.,et al.,Nat Med 17(10):1290-97(2011)に記載のエフェクター関連遺伝子セットを使用して特性評価される。いくつかの態様では、エフェクター様細胞の特徴的な遺伝子シグネチャは、MTCH2、RAB6C、KIAA0195、SETD2、C2orf24、NRD1、GNA13、COPA、SELT、TNIP1、CBFA2T2、LRP10、PRKCI、BRE、ANKS1A、PNPLA6、ARL6IP1、WDFY1、MAPK1、GPR153、SHKBP1、MAP1LC3B2、PIP4K2A、HCN3、GTPBP1、TLN1、C4orf34、KIF3B、TCIRG1、PPP3CA、ATG4D、TYMP、TRAF6、C17orf76、WIPF1、FAM108A1、MYL6、NRM、SPCS2、GGT3P、GALK1、CLIP4、ARL4C、YWHAQ、LPCAT4、ATG2A、IDS、TBC1D5、DMPK、ST6GALNAC6、REEP5、ABHD6、KIAA0247、EMB、TSEN54、SPIRE2、PIWIL4、ZSCAN22、ICAM1、CHD9、LPIN2、SETD8、ZC3H12A、ULBP3、IL15RA、HLA-DQB2、LCP1、CHP、RUNX3、TMEM43、REEP4、MEF2D、ABL1、TMEM39A、PCBP4、PLCD1、CHST12、RASGRP1、C1orf58、C11orf63、C6orf129、FHOD1、DKFZp434F142、PIK3CG、ITPR3、BTG3、C4orf50、CNNM3、IFI16、AK1、CDK2AP1、REL、BCL2L1、MVD、TTC39C、PLEKHA2、FKBP11、EML4、FANCA、CDCA4、FUCA2、MFSD10、TBCD、CAPN2、IQGAP1、CHST11、PIK3R1、MYO5A、KIR2DL3、DLG3、MXD4、RALGDS、S1PR5、WSB2、CCR3、TIPARP、SP140、CD151、SOX13、KRTAP5-2、NF1、PEA15、PARP8、RNF166、UEVLD、LIMK1、CACNB1、TMX4、SLC6A6、LBA1、SV2A、LLGL2、IRF1、PPP2R5C、CD99、RAPGEF1、PPP4R1、OSBPL7、FOXP4、SLA2、TBC1D2B、ST7、JAZF1、GGA2、PI4K2A、CD68、LPGAT1、STX11、ZAK、FAM160B1、RORA、C8orf80、APOBEC3F、TGFBI、DNAJC1、GPR114、LRP8、CD69、CMI、NAT13、TGFB1、FLJ00049、ANTXR2、NR4A3、IL12RB1、NTNG2、RDX、MLLT4、GPRIN3、ADCY9、CD300A、SCD5、ABI3、PTPN22、LGALS1、SYTL3、BMPR1A、TBK1、PMAIP1、RASGEF1A、GCNT1、GABARAPL1、STOM、CALHM2、ABCA2、PPP1R16B、SYNE2、PAM、C12orf75、CLCF1、MXRA7、APOBEC3C、CLSTN3、ACOT9、HIP1、LAG3、TNFAIP3、DCBLD1、KLF6、CACNB3、RNF19A、RAB27A、FADS3、DLG5、APOBEC3D、TNFRSF1B、ACTN4、TBKBP1、ATXN1、ARAP2、ARHGEF12、FAM53B、MAN1A1、FAM38A、PLXNC1、GRLF1、SRGN、HLA-DRB5、B4GALT5、WIPI1、PTPRJ、SLFN11、DUSP2、ANXA5、AHNAK、NEO1、CLIC1、EIF2C4、MAP3K5、IL2RB、PLEKHG1、MYO6、GTDC1、EDARADD、GALM、TARP、ADAM8、MSC、HNRPLL、SYT11、ATP2B4、NHSL2、MATK、ARHGAP18、SLFN12L、SPATS2L、RAB27B、PIK3R3、TP53INP1、MBOAT1、GYG1、KATNAL1、FAM46C、ZC3HAV1L、ANXA2P2、CTNNA1、NPC1、C3AR1、CRIM1、SH2D2A、ERN1、YPEL1、TBX21、SLC1A4、FASLG、PHACTR2、GALNT3、ADRB2、PIK3AP1、TLR3、PLEKHA5、DUSP10、GNAO1、PTGDR、FRMD4B、ANXA2、EOMES、CADM1、MAF、TPRG1、NBEAL2、PPP2R2B、PELO、SLC4A4、KLRF1、FOSL2、RGS2、TGFBR3、PRF1、MYO1F、GAB3、C17orf66、MICAL2、CYTH3、TOX、HLA-DRA、SYNE1、WEE1、PYHIN1、F2R、PLD1、THBS1、CD58、FAS、NETO2、CXCR6、ST6GALNAC2、DUSP4、AUTS2、C1orf21、KLRG1、TNIP3、GZMA、PRR5L、PRDM1、ST8SIA6、PLXND1、PTPRM、GFPT2、MYBL1、SLAMF7、FLJ16686、GNLY、ZEB2、CST7、IL18RAP、CCL5、KLRD1、KLRB1、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む(例えば、以下を参照:Gattinoni,L.,et al.,Nat.Med.,17(10):1290-97(2011))。
【0090】
いくつかの態様では、細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の特性は、T細胞活性化(本明細書では「TACT遺伝子」とも呼ばれる)、T細胞前駆疲弊(本明細書では「TPE遺伝子」とも呼ばれる)、T細胞の終末疲弊(本明細書では「TTE遺伝子」とも呼ばれる)に関連するさまざまな遺伝子セットの上方調節及び/または下方調節を比較することによって、トランスクリプトーム解析を使用して評価することができる。
【0091】
いくつかの態様では、終末期に疲弊したT細胞は、Oliveira et al.,Nature,596:119-125(2021)に記載されているTTE関連遺伝子セットを使用して特徴付けられる。いくつかの態様では、TTE細胞の遺伝子シグネチャは、KRT86、RDH10、ACP5、CXCR6、HMOX1、LAYN、CLIC3、HAVCR2、AC243829.4、PRF1、SLC2A8、CHST12、GALNT2、ENTPD1、LAG3、GZMB、PDCD1、CARD16、CTLA4、SLA2、CD27、RALA、VCAM1、SYNGR2、NKG7、LSP1、CCL5、RARRES3、CD7、CTSW、MTSS1、PTMS、BATF、KIR2DL4、AKAP5、CD38、RAB27A、GZMH、IGFLR1、ATP8B4、CD63、HOPX、TNFRSF18、ADGRG1、PLPP1、CSF1、TNFSF10、SNAP47、LINC01871、MYO1E、ZBED2、AHI1、ABI3、FASLG、TYMP、ZBTB38、CTSB、PLSCR1、AFAP1L2、ITGAE、TNS3、DUSP16、CASP1、CARS、DUSP5、IFIT1、SLC1A4、GOLIM4、RSAD2、DNPH1、NBL1、ACOT9、ABHD6、OAS1、SLC27A2、ZBP1、CD200R1、OAS3、CMPK2、TNFSF4、POLR1E、CADM1、HELZ2、SYTL2、AGPAT2、UBE2F、GIMAP6、ZBTB32、RIN3、PLEKHF1、CHPF、PACSIN2、ABCB1、SPATS2L、USP18、TMEM9、KLRC1、MPSTから選択される1以上の遺伝子またはすべての遺伝子を含む。いくつかの態様では、前駆疲弊T細胞は、Oliveira et al.,Nature,596:119-125(2021)に記載されているTPE関連遺伝子セットを使用して特徴付けられる。いくつかの態様では、TPE細胞の遺伝子シグネチャは、FXYD6、CAV1、GNG4、XCL1、CRTAM、CXCL13、GEM、XCL2、FXYD2、HLA-DRA、LANCL2、RASSF4、BAG3、HSPA1B、HLA-DQA1、HSPB1、FABP5、MS4A6A、SERPINH1、HLA-DPA1、HLA-DRB1、HSPA1A、RGS2、DRAIC、CD74、HSPD1、HSPA6、HSPE1、CD82、TOX、CD200、HLA-DPB1、NR4A2、VCAM1、BEX3、AIF1、DNAJA1、HSPH1、DNAJB1、HIPK2、LHFPL6、HLA-DMA、GK、TSHZ2、LPL、C16orf45、ZFAND2A、CD80、ETV1、NMB、DEDD2、CMC1、PON2、SEMA4A、ENC1、GRAMD1A、MYL6B、BCAT1、ARMH1、TIAM1、PIKFYVE、MRPL18、INPP5F、LMCD1、SESN3、CCDC6、KIAA1324、CHN1、ANKRD10、CD70、PRRG4、TNFSF4、CORO1B、DNAJB4、MAGEH1、ICAM1、GGT1、NINJ2、BLVRA、FAAH2、TOX2、SLK、CCDC141、ATF3、INPP1、FAM3C、GADD45G、APP、MAL、SIT1、DRAM1、CLECL1、MDFIC、PMCH、HLA-DMB、PHF6、AFAP1L2、BTN2A2、CCL4L2から選択される1以上の遺伝子またはすべての遺伝子を含む。いくつかの態様では、活性化T細胞(TACT)は、Oliveira et al.,Nature,596:119-125(2021)に記載されているTACT関連遺伝子セットを使用して特徴付けられる。いくつかの態様では、活性化T細胞の遺伝子シグネチャは、EGR1、HSPA6、FOS、HSPA1B、GADD45B、NR4A1、FOSB、ATF3、DNAJB1、DUSP1、JUNB、CD69、NR4A2、NFKBIA、PPP1R15A、KLF6、DNAJA1、JUN、SRSF7、SLC2A3、ZFP36L1、IER2、HSPA1A、EIF4A2、ID1、IFRD1、CCNL1、RSRP1、SERTAD1、DEDD2、KLF10、AL118516.1、KLF2、ZFAND2A、CLK1、RSRC2、IER3、BTG2、MYLIP、MAFF、CSRNP1、ID2、ZC3H12A、BAG3、SNHG12、TNF、DDIT4、SGK1、SNHG15、DNAJB4、NR4A3、NFKBID、SCML1、RASD1、ATF4、AREG、RASGEF1B、AC020916.1、DDIT3、SNHG8、CITED2、TXNIP、TOB1、PIM2、SOCS3、GADD45G、RGS16、TIPARP、NFKBIZ、CCL4、CD83、PPP1R10、CCL4L2、SESN2、CHMP1B、LEF1、CSKMT、HEXIM1、HSPA2、MRPL18、RBKS、CD55、ARRDC2、SC5D、FAM53C、ATP2B1-AS1、IFNG、MYC、TSC22D2、SERPINH1、LRIF1、ARRDC3、ILF3-DT、INTS6、ZNF10、PRMT9、ATM、SELL、AC243960.1から選択される1以上またはすべての遺伝子を含む。
【0092】
多くのがんなどの長期にわたる抗原曝露の存在下では、より分化した免疫細胞、例えば、エフェクター及びエフェクターメモリーT細胞は、多くの場合、疲弊し、抗腫瘍機能を失う。バイオマーカー、例えば、T細胞マーカーは、任意の方法を使用して測定され得る。いくつかの態様では、T細胞は、抗体染色とその後のゲートフローサイトメトリーを使用して同定される。
【0093】
本明細書で使用されるとき、「基本」培地という用語は、本明細書に開示されている追加の要素、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、グルコース、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、プログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)またはそれらの任意の組み合わせのうち1以上で補完されている任意の出発培地を指す。基本培地は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養するための任意の培地であることができる。いくつかの態様では、基本培地は、平衡塩類溶液(例えば、PBS、DPBS、HBSS、EBSS)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、クリック培地、最小必須培地(MEM)、基本培地イーグル(BME)、F-10、F-12、RPMI1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、M199、OPTMIZER(商標)Pro、OPTMIZER(商標)CTS(商標)T細胞増殖基本培地(ThermoFisher)、OPTMIZER(商標)、OPTMIZER(商標)完全、IMMUNOCULT(商標)XF(STEMCELL(商標)Technologies)、AIM V(商標)、TEXMACS(商標)培地、PRIME-XV(登録商標)T細胞CDM、X-VIVO(商標)15(Lonza)、TRANSACT(商標)、TIL増殖培地、及びそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、基本培地は無血清である。いくつかの態様では、基本培地はPRIME-XV(登録商標)T細胞CDMを含む。いくつかの態様では、基本培地はOPTMIZER(商標)を含む。いくつかの態様では、基本培地はOPTMIZER(商標)Proを含む。いくつかの態様では、基本培地はさらに、免疫細胞血清置換(ICSR)を含む。例えば、いくつかの態様では、基本培地は、ICSRで補完したOPTMIZER(商標)完全、ICSRで補完したAIM V(商標)、ICSRで補完IMMUNOCULT(商標)XF、ICSRで補完RPMI、ICSRで補完したTEXMACS(商標)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、好適な基本培地には、クリック培地、OPTIMIZER(商標)(CTS(商標))培地、STEMLINE(登録商標)T細胞増殖培地(Sigma-Aldrich)、AIM V(商標)培地(CTS(商標))、TEXMACS(商標)培地(MILtenyi Biotech)、IMMUNOCULT(登録商標)培地(Stem Cell Technologies)、PRIME-XV(登録商標)T細胞増殖XSFM(Irvine Scientific)、イスコフ培地、及び/またはRPMI-1640培地が挙げられる。いくつかの態様では、基本培地はNaCl非含有CTS(商標)OPTMIZER(商標)を含む。いくつかの態様では、基本培地はNaClに加えて1以上のナトリウム塩を含む。
【0094】
本明細書で使用されるとき、「サイトカイン」という用語は、細胞間の相互作用及び伝達に対して特定の効果を有する、細胞によって放出される小さな分泌タンパク質を指す。サイトカインの非限定的な例には、インターロイキン(例えば、インターロイキン(IL)-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-3、IL-5、IL-6、IL-11、IL-10、IL-20、IL-14、IL-16、IL-17、IL-21及びIL-23)、インターフェロン(IFN、例えば、IFN-α、IFN-β、及びIFN-γ)、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、ならびに形質転換増殖因子(TGF)ファミリーメンバーが挙げられる。本開示のいくつかの態様は、サイトカインを含む培地中にて本明細書で開示されている免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、または1以上の操作された免疫細胞を培養する及び/または増殖させる方法を対象とする。いくつかの態様では、サイトカインはインターロイキンである。いくつかの態様では、サイトカインはIL-2、IL-7、IL-15、IL-21、またはそれらの任意の組み合わせを含む。IL-2(UniProtKB-P60568)は、抗原刺激または分裂促進刺激に応答してT細胞によって産生される。IL-2は、T細胞増殖及び免疫応答の制御に重要な他の活性を刺激することが知られている。IL-7(UniProtKB-P13232)は、リンパ球前駆細胞の増殖を刺激できる造血成長因子である。IL-7は、B細胞成熟のある特定の段階中に増殖において役割を果たすと考えられている。IL-15(UniProtKB-P40933)は、IL-2と同様に、Tリンパ球の増殖を刺激するサイトカインである。IL-21(UniProtKB-Q9HBE4)は、免疫調節活性を有するサイトカインである。IL-21は、自然免疫と適応免疫との間の移行を促進し、B細胞中でIgG1及びIgG3の産生を誘導すると考えられている。IL-21はまた、IL-15との相乗作用でナチュラルキラー(NK)細胞の増殖及び成熟にて役割を担う場合があり、IL-21は、活性化刺激に応答して成熟B細胞及びT細胞の増殖を調節する場合がある。IL-15及びIL-18との相乗作用では、IL-15はT細胞及びNK細胞中にてインターフェロンガンマ産生も刺激し、IL-21はT細胞が介在する免疫応答にて樹状細胞の活性化及び成熟を阻害する場合もある。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「形質導入効率」という用語は(i)規定の期間内に細胞内に物理的に導入され得る物質(例えば、外来性ポリヌクレオチド)の量;(ii)所与の量の物質を細胞内に物理的に導入するのに要する時間の量;(iii)標的物質、例えば、外来性ポリヌクレオチド、すなわち、導入遺伝子が細胞の集団によって取り込まれるレベル(例えば、導入遺伝子を発現する細胞の割合);または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせを指す。いくつかの態様では、形質導入効率を増加させることによって、本明細書で提供されている培養方法は、さらに多い量の外来性ヌクレオチド配列が細胞内に導入されることを可能とし、及び/または所与の量の外来性ヌクレオチド配列を導入するのに必要とされる時間の量を減少させ得る。何らかの理論1つに束縛されないで、いくつかの態様では、そのような効果は改変された免疫細胞にてコードされたタンパク質(例えば、c-Junポリペプチド)の発現を高めることができる。
【0096】
本明細書で使用されるとき、「投与すること」は、種々の方法及び送達システムのいずれかを使用して、治療剤または治療剤を含む組成物を対象に物理的に導入することを指す。本明細書に記載されている治療剤(例えば、キメラ結合タンパク質及びc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞)のさまざまな投与経路には、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄または他の非経口投与経路、例えば、注射または注入による投与が挙げられる。
【0097】
「非経口投与」という語句は、本明細書で使用されるとき、経腸投与及び局所投与以外の、通常は注射による投与方法を意味し、これには限定しないで、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、腫瘍内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、気管内、経肺、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、心室内、硝子体内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入、と同様に生体内エレクトロポレーションが挙げられる。
【0098】
あるいは、本明細書に記載されている治療剤(例えば、キメラ結合タンパク質及び/または腫瘍抗原に結合するTCRを発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞)は、非経口ではない経路、例えば、局所、表皮、または粘膜への投与経路、例えば、鼻腔内、経口、経膣、直腸内、舌下、または局所を介して投与することができる。投与は、例えば、1回、複数回、及び/または1回以上の長期間にわたって実行することもできる。
【0099】
本明細書で使用されるとき、「細胞操作」または「細胞改変」(その誘導体を含む)は、本明細書に開示されている細胞、例えば、免疫細胞の的を絞った改変を指す。いくつかの態様では、細胞操作は、ウイルス遺伝子操作、非ウイルス遺伝子操作、T細胞機能を改善する1以上の内在性遺伝子の腫瘍特異的標的化(例えば、キメラ結合タンパク質及び/またはTCR)導入を可能にする受容体の導入、免疫細胞、例えば、T細胞の機能を改善する1以上の合成遺伝子(例えば、免疫細胞がc-Junの発現の上昇を示すような、c-Junポリペプチドをコードするポリヌクレオチド)の導入、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0100】
本明細書で使用されるとき、「抗原」という用語は、タンパク質、ペプチド、またはハプテンのような任意の天然または合成の免疫原性物質を指す。本明細書で使用されるとき、「同族抗原」という用語は、免疫細胞(例えば、T細胞)が認識することによって免疫細胞の活性化を誘導する(例えば、サイトカイン産生のようなエフェクター機能を誘導する、及び/または細胞増殖のための細胞内シグナルを始動させる)抗原を指す。いくつかの態様では、抗原は腫瘍抗原を含む。いくつかの態様では、抗原はネオ抗原を含む。
【0101】
「がん」とは、体内の異常細胞の無制御の増殖を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。無秩序な細胞の分裂及び増殖は、隣接組織に浸潤し、リンパ系または血流を通って身体の遠位部に転移することもできる悪性腫瘍の形成をもたらす。「がん」は、本明細書で使用されるとき、原発性がん、転移がん及び再発がんを含む。別途示されない限り、「がん」及び「腫瘍」という用語は相互交換可能に使用することができる。
【0102】
「血液悪性腫瘍」または「血液癌」という用語は、造血組織及びリンパ組織の哺乳類のがん及び腫瘍を指す。血液悪性腫瘍の非限定的な例には、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AmL)、慢性骨髄性白血病(CIVIL)、急性単球性白血病(AMoL)、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫を含む、血液、骨髄、リンパ節、及びリンパ系の組織を冒すものが挙げられる。血液悪性腫瘍は、「液性腫瘍」とも呼ばれる。液性腫瘍癌としては、白血病、骨髄腫、及びリンパ腫に加えて、他の血液悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0103】
「固形腫瘍」は、本明細書で使用される場合、組織の異常な腫瘤を指す。固形腫瘍は、良性であっても、悪性であってもよい。固形腫瘍の非限定例としては、肉腫、癌腫、及びリンパ腫、例えば、肺、乳房、前立腺、結腸、直腸、及び膀胱のがんが挙げられる。固形腫瘍の組織構造は、実質(がん細胞)及びがん細胞が分散し、関連する微小環境を提供する場合がある関連する間質細胞を含む相互依存性組織区画を含む。
【0104】
いくつかの態様では、がんは、副腎皮質癌、進行癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨転移、脳腫瘍、脳癌、乳癌、小児癌、原発不明癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイングファミリー腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎細胞癌、喉頭及び下咽頭癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫瘍、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、成人軟部組織の肉腫、基底細胞及び扁平上皮細胞皮膚癌、黒色腫、小腸癌、胃癌、精巣癌、咽頭癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍ならびにがん治療によって引き起こされる二次がんから選択される。いくつかの態様では、がんは、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、骨肉腫、アバメシー肉腫、脂肪肉腫、脂肪肉腫、肺胞軟部肉腫、エナメル上皮繊維肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、絨毛癌、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血球肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、粘液/円形細胞型脂肪肉腫、または毛細血管拡張性肉腫から選択される。いくつかの態様では、がんは、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング・パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、転移性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫、または表在拡大型黒色腫から選択される。いくつかの態様では、がんは、腺房癌、小葉癌、腺嚢胞癌、腺様嚢胞癌、腺癌、副腎皮質癌、肺胞癌、肺胞細胞癌、基底細胞癌、基底細胞癌、類基底癌、基底扁平上皮癌、気管支肺胞癌、細気管支癌、気管支原性肺癌、大脳様癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、面皰癌、子宮体部癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱上皮癌、円柱細胞癌、管癌、硬性癌、胎児性癌、脳様癌、類表皮癌腫、腺上皮癌、外方発育癌、潰瘍癌、線維癌、膠様癌、膠様癌、巨細胞癌、巨細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母組織癌、血様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子状癌、副腎様癌、乳児性胎児性癌、上皮内癌、表皮内癌、上皮内癌、クロムペッヘル癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌、レンズ状癌、脂肪腫様癌、リンパ上皮癌、髄様癌、髄様癌、黒色癌、軟性癌、粘液性癌、粘液分泌癌、粘液細胞癌、粘表皮癌、粘液癌、粘液性癌、粘液腫様癌、上咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、類骨癌、乳頭癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、軟性癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、硬癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、バレイショ状癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿様癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、紐様癌、毛細血管拡張癌、毛細血管拡張癌、移行上皮癌、結節癌、結節癌、疣状癌、または絨毛癌から選択される。いくつかの態様では、がんは、白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、結腸癌、悪性膵インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、甲状腺乳頭癌、神経芽細胞腫、神経内分泌癌、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮頸癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、前立腺癌、ミュラー管癌、卵巣癌、腹膜癌、卵管癌、または子宮体部漿液性腺癌から選択される。いくつかの態様では、がんは、転移性黒色腫、非小細胞肺癌、骨髄腫、食道癌、滑膜肉腫、粘液/円形細胞型脂肪肉腫、胃癌、乳癌、肝細胞癌、頭頸部癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0105】
本明細書で使用されるとき、「免疫応答」という用語は、外来性作用物質に対する脊椎動物内の生物学的応答を指し、この応答は、これらの作用物質及びそれらに起因する疾患から生物を保護する。免疫応答は、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、NKT細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中性)ならびに任意のこれらの細胞または肝臓によって産生される、侵入する病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がんもしくは他の異常な細胞、または自己免疫もしくは病理学的炎症の場合は正常なヒト細胞もしくは組織に対する選択的標的化、それらとの結合、それらに対する損傷、それらの破壊、及び/または脊椎動物の体内からの排除をもたらす可溶性高分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の作用が関係する。免疫反応としては、例えば、T細胞、例えば、エフェクターT細胞もしくはTh細胞、例えば、CD4+もしくはCD8+T細胞などの活性化もしくは阻害、またはTreg細胞の阻害が挙げられる。本明細書で使用される場合、「T細胞」及び「Tリンパ球」という用語は交換可能であり、胸腺によって産生または処理されるあらゆるリンパ球を指す。いくつかの態様では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD8+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はNKT細胞である。
【0106】
本明細書で使用される場合、「抗腫瘍免疫応答」という用語は、腫瘍抗原に対する免疫応答を指す。
【0107】
「対象」には、あらゆるヒトまたは非ヒト動物が含まれる。「非ヒト動物」という用語は、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラット、及びモルモットなどの齧歯動物といった脊椎動物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、対象はヒトである。「対象」、「患者」、「個体」及び「宿主」という用語は本明細書では相互交換可能に使用される。本明細書で使用されるとき、「それを必要とする対象」という語句は、例えば、c-Junポリペプチド及びキメラ結合タンパク質を発現するように改変され、本明細書で提供されている方法を使用して培養された免疫細胞の投与から、本明細書に記載されているように腫瘍の増殖を制御するという恩恵を受けることになる、哺乳類対象のような対象を含む。
【0108】
「治療有効量」または「治療上有効な投与量」という用語は、所望の生物学的結果、治療結果、及び/または予防結果をもたらす作用物質(例えば、c-Junポリペプチド及びキメラ結合タンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞)の量を指す。その結果は、疾患の徴候、症状、または原因のうち1以上の減少、改善、緩和、軽減、遅延、及び/または軽減、または生物系の任意の他の所望の変化であることができる。固形腫瘍に関して、有効量は、腫瘍を縮小させる、及び/または腫瘍の成長速度を減少させる(腫瘍成長を抑制するなど)、あるいは他の望ましくない細胞増殖を防止または遅延させるのに十分な量を含む。いくつかの態様では、有効量は、腫瘍発達を遅延させるのに十分な量である。いくつかの態様では、有効量は、腫瘍再発を防止または遅延させるのに十分な量である。有効量は1回以上の投与で投与することができる。
【0109】
有効量の組成物(例えば、本明細書に記載されているように改変され、且つ培養された免疫細胞)は、例えば、(i)がん細胞の数を減らすことができ;(ii)腫瘍サイズを縮小することができ;(iii)末梢器官へのがん細胞の浸潤をある程度まで抑制し、遅延させ、遅らせてそれを停止することができ;(iv)阻害することができ(すなわち、腫瘍転移をある程度まで遅らせてそれを停止することができ)、(v)腫瘍増殖を阻害することができ;(vi)腫瘍の発生及び/または再発を防止もしくは遅延させることができ;及び/または(vii)がんと関連する症状のうち1以上をある程度まで緩和することができる。
【0110】
いくつかの態様では、「治療有効量」は、本明細書に開示されている組成物(例えば、キメラ結合タンパク質及びc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞)の量であり、これは進行性固形腫瘍のようながんの著しい減少またはがんの進行の緩徐化(退縮)をもたらすことが臨床的に証明されている。疾患退縮を促進する本開示の治療剤(例えば、本明細書に記載されているように改変し、且つ培養した免疫細胞)の能力は、当業者に既知の種々の方法を使用して、例えば、臨床試験中のヒト対象にて、ヒトでの効力を予測する動物モデル系にて、または試験管内アッセイで薬剤の活性をアッセイすることによって評価され得る。
【0111】
治療に関する「有効な」及び「有効性」という用語は、薬理学的有効性及び生理学的安全性の双方を含む。薬理学的有効性は、本明細書に開示されている組成物(例えば、本明細書に記載されているように改変し、且つ培養した免疫細胞)が患者にてがん退縮を促進する能力を指す。生理学的安全性は、本明細書に開示されている組成物(例えば、本明細書に記載されているように改変し、且つ培養した免疫細胞)の投与に起因する毒性、または細胞、臓器、及び/または生物のレベルでの他の有害生理作用(有害作用)のレベルを指す。
【0112】
「キメラ抗原受容体」及び「CAR」という用語は、本明細書で使用されるとき、ポリペプチドのセット、通常、最も単純な形態で2つのポリペプチドを指し、これは、免疫エフェクター細胞における場合、標的細胞、通常がん細胞に対する特異性、及び細胞内シグナル生成を細胞に提供する。いくつかの態様では、CARは、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び下で定義される刺激分子及び/または共刺激分子由来の機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では、「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様では、ポリペプチドのセットは、同じポリペプチド鎖にあり、例えば、キメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、ポリペプチドのセットは、互いに隣接しておらず、例えば、異なるポリペプチド鎖にある。いくつかの態様では、ポリペプチドのセットには、二量化分子が存在すると、ポリペプチドを互いに結合させ得、例えば、抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合させ得る二量化スイッチが含まれる。いくつかの態様では、CARの刺激分子は、T細胞受容体複合体に関連するゼータ鎖(例えば、CD3ゼータ)である。いくつかの態様では、細胞質シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3-ゼータの一次シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様では、細胞質シグナル伝達ドメインは、以下に定義される少なくとも1つの共刺激分子に由来する1以上の機能性シグナル伝達ドメインをさらに含む。いくつかの態様では、共刺激分子は、本明細書に記載されている共刺激分子、例えば、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27、及び/またはCD28から選択される。
【0113】
いくつかの態様では、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質であって、抗原結合ドメイン及び膜貫通ドメインは、CARスペーサーによって連結されている、キメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、CARは、CARスペーサーを介して膜貫通ドメインに連結された抗原結合ドメインならびに共刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、CARは、CARスペーサーを介して膜貫通ドメインに連結された抗原結合ドメインならびに1以上の共刺激分子(複数可)に由来する2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、CARは、CARスペーサーを介して膜貫通ドメインに連結された抗原結合ドメインならびに1以上の共刺激分子(複数可)に由来する少なくとも2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、CARは、CARのアミノ末端(N末端)における任意のリーダー配列を含む。いくつかの態様では、CARはさらに、抗原結合ドメインのN末端でリーダー配列を含み、その際、リーダー配列は、細胞プロセシング及び細胞膜へのCARの局在化中に抗原結合ドメイン(例えば、scFv)から任意で切断される。
【0114】
キメラ抗原受容体の抗原特異的細胞外ドメインは、抗原、典型的には悪性腫瘍の表面発現抗原を認識し、それと特異的に結合する。抗原特異的細胞外ドメインが抗原と特異的に結合するのは、例えば、そのドメインが、約0.1pM~約10μM、例えば、約0.1pM~約1μMまたは約0.1pM~約100nMの親和性定数または相互作用の親和性(KD)で抗原と結合する場合である。相互作用の親和性を決定する方法は、当該技術分野において既知である。本開示のCARでの使用に適した抗原特異的細胞外ドメインは、任意の抗原結合ポリペプチドであり得、多種多様のポリペプチドが当該技術分野において既知である。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、一本鎖Fv(scFv)である。他の抗体ベースの認識ドメイン、例えば、cAbVHH(ラクダ科抗体可変ドメイン)及びそのヒト化型、IgNARVH(サメ抗体可変ドメイン)及びそのヒト化型、sdAbVH(単一ドメイン抗体可変ドメイン)、ならびに「ラクダ化」抗体可変ドメインなども、本開示のCARでの使用に適している。いくつかの態様では、T細胞受容体(TCR)に基づく認識ドメイン、例えば、単鎖TCR(scTv、すなわち、VαVβを含有する単鎖2ドメインTCR)も、本開示のキメラ結合タンパク質での使用に好適である。
【0115】
本明細書で使用されるとき、「T細胞受容体」または「TCR」という用語は、α鎖及びβ鎖の2本の異なる膜貫通ポリペプチド鎖で構成されるヘテロ二量体を指し、鎖のそれぞれが、鎖をT細胞表面膜内に固定する定常領域、及びMHCによって提示される抗原を認識し、それに結合する可変領域から成る。TCR複合体は、2つのヘテロ二量体のCD3γε及びCD3δε、ならびに1つのホモ二量体のCD3ζを形成する6つのポリペプチドと会合し、これらが共にCD3複合体を形成する。T細胞受容体操作T細胞療法は、これらの複合体を保持するT細胞の改変を利用して、特定の腫瘍細胞によって発現される抗原を特異的に標的とする。本明細書で使用される場合、「TCR」という用語には、天然に存在するTCR及び改変TCRが含まれる。
【0116】
「TCR模倣体」または「TCRm」は、ペプチド及びMHC-I分子の双方を含むエピトープを認識する抗体の型を指し、T細胞上のTCRによるそのような複合体の認識と同様である。
【0117】
「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド(複数可)配列」、及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互交換可能に使用することができ、一本鎖形態または二本鎖らせんのいずれかでのリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、またはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形態、あるいはそれらの任意のリン酸エステル類似体、例えば、ホスホロチオエート及びチオエステルを指す。一本鎖核酸配列は、一本鎖DNA(ssDNA)または一本鎖RNA(ssRNA)を指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNA、及びRNA-RNA螺旋が可能である。核酸分子及び特にDNAまたはRNA分子という用語は、分子の一次及び二次構造のみを指し、任意の特定の三次形態に限定されない。よって、この用語には、とりわけ、線状または環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、超らせんDNA及び染色体に見られる二本鎖DNAが含まれる。特定の二本鎖DNA分子の構造を論述する際、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAと相同な配列を有する鎖)に沿って5’から3’方向の配列のみを付与する通常の規則に従って本明細書で記載され得る。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAとしては、限定されるものではないが、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、及び半合成DNAが挙げられる。本開示の「核酸組成物」は、本明細書に記載されている1以上の核酸を含む。本明細書に記載されている通り、いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、単一のタンパク質をコードする単一のヌクレオチド配列(例えば、コドン最適化c-Junヌクレオチド配列)(「単シストロン性」)を含む場合がある。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、ポリシストロン性である(すなわち、2以上のシストロンを含む)。いくつかの態様では、ポリシストロン性ポリヌクレオチドのシストロンのそれぞれは、本明細書で開示されているタンパク質(例えば、c-Junタンパク質、キメラ結合タンパク質、またはEGFRt)をコードすることができる。いくつかの態様では、シストロンのそれぞれが互いに独立して翻訳され得る。
【0118】
本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」という用語は、別段の指示がない限り、ペプチド及びタンパク質の双方を包含する。ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、上述のもののホモログ、オルソログ、パラログ、断片及び他の等価物、変異体、ならびに類似体が挙げられる。ポリペプチドは、単一ポリペプチドであり得、または多分子複合体、例えば、二量体、三量体または四量体であり得る。それらはまた、一本鎖または複数鎖のポリペプチドを含み得る。最も一般的に、ジスルフィド結合は、多鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語はまた、1以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学的アナログであるアミノ酸ポリマーに適用され得る。いくつかの態様では、「ペプチド」は、50アミノ酸長以下、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であることができる。
【0119】
本明細書で使用されるとき、ポリペプチド(例えば、c-Junポリペプチド)の「断片」という用語は、N及び/またはC末端で欠失した天然に存在する配列よりも短いポリペプチドのアミノ酸配列、または天然に存在するポリペプチドと比べて欠失したポリペプチドの任意の部分を指す。よって、断片は、N及び/またはC末端のみが欠失したことを必ずしも必要とするわけではない。天然に存在する配列に関して内部アミノ酸が欠失したポリペプチドも断片とみなされる。
【0120】
本明細書で使用されるとき、「機能性断片」または「機能性部分」という用語はポリペプチド機能を保持するポリペプチド断片を指す。したがって、いくつかの態様では、Igヒンジの機能性断片は、抗原結合ドメイン(例えば、scFv)が標的エピトープ(例えば、腫瘍抗原)と有効に相互作用し得るように、標的エピトープ(例えば、腫瘍抗原)から少し離れてキメラ結合タンパク質にて抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を配置する能力を保持する。同様に、いくつかの態様では、c-Junの機能性断片は免疫細胞(例えば、CAR T細胞)で発現された場合、例えば、対応する完全長c-Junを発現する参照免疫細胞の活性の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%を有する免疫細胞をもたらす断片である。そのような活性の非限定的な例はさらに、本開示の他の箇所で説明されている。
【0121】
「組換え」ポリペプチドまたはタンパク質は、組換えDNA技術を介して生成されるポリペプチドまたはタンパク質を指す。操作された宿主細胞にて発現した組換えで生成されたポリペプチド及びタンパク質は、任意の好適な技術によって分離された、分画された、または部分的もしくは実質的に精製されたネイティブまたは組換えのポリペプチドと同様に、本開示の目的のために単離されたとみなされる。本明細書に開示されているポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド(例えば、キメラ結合タンパク質、及び/またはc-Jun)は当該技術分野で知られている方法を使用して組換えで生成することができる。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチド(例えば、キメラ結合タンパク質及び/またはc-Jun)は、本明細書に記載されているポリペプチドをコードする少なくとも1つのポリヌクレオチドまたはベクターによる形質移入または改変の後に、細胞、例えば、T細胞によって生成される。
【0122】
本明細書で使用されるとき、「コード領域」、「コード配列」または「翻訳可能配列」とは、アミノ酸に翻訳可能なコドンから成るポリヌクレオチドの部分である。「終止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)は通常はアミノ酸に翻訳されないがコード領域の一部とみなすことができる。ただし、すべてのフランキング配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどはコード領域の一部ではない。コード領域の境界は、得られるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドンと、得られるポリペプチドのカルボキシ末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンとによって一般的に決定される。
【0123】
「相補的」及び「相補性」という用語は、ワトソン・クリック型塩基対形成則により互いに関連する2つ以上のオリゴマー(すなわち、それぞれが核酸塩基配列を含む)、またはオリゴマーと標的遺伝子との間を指す。例えば、核酸塩基配列「T-G-A(5’から3’)」は、核酸塩基配列「A-C-T(3’から5’)」と相補的である。相補性は「部分的」であってよく、その場合、所与の核酸塩基配列の核酸塩基のすべてより少ないものが塩基対形成則に従って他の核酸塩基配列と一致している。例えば、いくつかの態様では、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間の相補性は約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%であることができる。したがって、いくつかの態様では、「相補性」という用語は、標的核酸配列(例えば、miR-485核酸配列)に対する少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の一致または相補性を指す。または、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間に「完全な」あるいは「完璧な」(100%の)相補性がある場合もある。いくつかの態様では、核酸塩基配列間の相補性の程度は、配列間のハイブリッド形成の効率及び強度に顕著な影響を与える。
【0124】
本明細書で使用されるとき、「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、c-Junポリペプチドを生成するプロセスを指す。発現には限定しないで、ポリヌクレオチドのメッセンジャーRNA(mRNA)への転写、及びmRNAのポリペプチドへの翻訳が含まれる。発現により、「遺伝子産物」が産生される。本明細書で使用される場合、遺伝子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写によって産生されるメッセンジャーRNA、または転写産物から翻訳されるポリペプチドであり得る。本明細書に記載されている遺伝子産物にはさらに、例えば、ポリアデニル化もしくはスプライシングのような転写後修飾を有する核酸、または、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、もしくはタンパク質分解切断のような翻訳後修飾を有するポリペプチドが含まれる。
【0125】
本明細書で使用される場合、「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、ポリヌクレオチド分子間の全体的なモノマー保存を指す。いかなる追加の修飾語もない「同一である」という用語、例えば、「ポリヌクレオチドAはポリヌクレオチドBと同一である」は、ポリヌクレオチド配列同士が100%同一(100%の配列同一性)であることを意味する。例えば、「70%同一である」と2つの配列を表現することは、例えば、「70%配列同一性」を有するとそれらを表現することに等しい。「参照ヌクレオチド配列」は、本開示のヌクレオチド配列との比較として本明細書中で使用される場合、配列が最適化されていないことを除いて、本開示のヌクレオチド配列と本質的に同一のポリヌクレオチド配列を指す。例えば、いくつかの態様では、参照ヌクレオチド配列は、野生型JUNの核酸配列を含む。
【0126】
2つのポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列を整列させることによって実施することができる(例えば、最適な配列比較のために第1及び第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の一方または双方にギャップを導入することができ、同一でない配列は比較目的のために無視することができる)。いくつかの態様では、比較目的のために整列させた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。次いで、対応するアミノ酸位のアミノ酸、またはポリヌクレオチドの場合は塩基が比較される。
【0127】
第1の配列におけるある位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸またはヌクレオチドにより占められる場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一率(%)は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列により共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一率(%)の決定は、数学アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0128】
異なる配列同士(例えば、ポリヌクレオチド配列)をアラインするために使用することができる適当なソフトウェアプログラムはさまざまなソースから入手可能である。配列同一率(%)を決定するための適当なプログラムの1つに、米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なBLASTパッケージプログラムの一部であるbl2seqがある。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して、2つの配列間の比較を行う。BLASTNは核酸配列を比較するために使用されるが、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムは、例えば、EMBOSSバイオインフォマティクスプログラム集の一部であり、またebi.ac.uk/Tools/psaのEuropean Bioinformatics Institute(EBI)から利用可能である、Needle、Stretcher、Water、またはMatcherである。
【0129】
配列比較は、当該技術分野において公知の方法、例えば、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal X、またはClustal Omega)、MUSCLEなどを使用して実施され得る。
【0130】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列と整列する単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、それぞれ、それら自体の配列同一率(%)を有することができる。配列同一率(%)は、10分の1の位に四捨五入される点に留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は80.1に切り捨てられ、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は80.2に切り上げられる。また、長さの値は常に整数である点に留意のこと。
【0131】
いくつかの態様では、同一性比率(%ID)または第1のアミノ酸配列(または核酸配列)の第2のアミノ酸配列(または核酸配列)に対する同一性比率(%ID)は、%ID=100×(Y/Z)として算出され、式中、Yは、第1及び第2の配列の配列比較(目視検査または特定の配列の配列比較プログラムによって整列させる)にて完全な一致と評価されたアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは第2の配列における残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列を超える場合、第1の配列の第2の配列に対する同一性パーセントは、第2の配列の第1の配列に対する同一性パーセントより高くなる。
【0132】
当業者であれば、配列同一率(%)を計算するための配列アラインメントの生成が、一次配列データによってのみ行われるバイナリー配列間比較に限定されない点は理解されよう。配列比較は、配列データを異種の供給源由来のデータ、例えば、構造データ(例えば、タンパク質結晶構造)、機能データ(例えば、変異の位置)、または系統学的データと統合することにより生成され得ることも理解されよう。異種のデータを統合して多重配列比較を生成する好適なプログラムはT-Coffeeであり、tcoffee.orgで利用可能であり、代替的には例えば、EBIから利用可能である。配列同一性パーセントを計算するために使用される最終的な配列比較は、自動または手動のいずれかで精選され得ることも理解されるであろう。
【0133】
本明細書で使用されるとき、「単離された」、「精製された」、「抽出された」という用語、及びそれらの文法的変形は相互交換可能に使用され、1以上の精製プロセスを受けた本開示の所望の組成物の調製状態を指す。いくつかの態様では、本明細書で使用されるとき、単離または精製は、本開示の組成物を取り出す、(例えば、画分を)部分的に取り出すプロセスである。
【0134】
いくつかの態様では、単離された組成物は、検出可能な望ましくない活性を有さない、または代わりに、望ましくない活性のレベルもしくは量が許容可能なレベルまたは量以下である。いくつかの態様では、単離された組成物は、本開示の所望の組成物の量及び/または濃度を許容可能な量及び/または濃度及び/または活性以上で有する。いくつかの態様では、単離された組成物は組成物が得られる出発物質と比べて濃縮されている。この濃縮は、出発物質と比べて少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.999%、少なくとも約99.9999%、または99.9999%超であり得る。
【0135】
いくつかの態様では、単離された調製物は、残留する生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの態様では、単離された調製物は、任意の混入している生物学的物質を100%、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約94%、少なくとも約93%、少なくとも約92%、少なくとも約91%、または少なくとも約90%含まない。残留する生物学的産物は、非生物物質(化学物質を含む)または不要な核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物を含み得る。
【0136】
本明細書で使用する場合、「連結された」という用語は、共有結合または非共有結合によりそれぞれ第2のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列に結合された、第1のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列を指す。第1のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列は、第2のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列に直接的に結合もしくは並列され得るか、または代替的に介在配列が第1の配列から第2の配列までに共有結合により加わり得る。「連結された」という用語は、第1のポリヌクレオチド配列の第2のポリヌクレオチド配列への5’末端または3’末端での融合を意味するだけでなく、第2のポリヌクレオチド配列(または第1のポリヌクレオチド配列)における任意の2つのヌクレオチドへの第1のポリヌクレオチド配列(またはそれぞれ第2のポリヌクレオチド配列)全体の挿入も含む。第1のポリヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーにより第2のポリヌクレオチド配列に連結され得る。リンカーは、例えば、ポリヌクレオチドであることができる。
【0137】
「投与すること」(及びその文法的な変形)は、当業者に既知の種々の方法及び送達系のいずれかを使用して治療剤(例えば、本明細書に記載されている操作された細胞)を対象に物理的に導入することを指す。投与の例示的な経路には、静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ系内、病変内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外、胸骨内、経口、直腸内、局所、表皮、粘膜、鼻腔内、膣内、直腸内、舌下の投与、及びそれらの組み合わせが挙げられる。投与は、例えば、1回、複数回、及び/または1回以上の長期間にわたって実行することもできる。
【0138】
対象の「治療」または「療法」(その文法的な派生物を含む)は、疾患に関連する症状、合併症、状態、または生化学的兆候の発症、進行、発達、重症度または再発を元に戻す、軽減する、改善する、抑制する、緩徐化する、または予防する目的で、対象に対して行われる任意のタイプの介入もしくはプロセス、または対象に対する活性剤の投与を指す。いくつかの態様では、この用語は対象にて抗原に対する免疫反応を誘導することを指す。
【0139】
本明細書で使用されるとき、「予防する」、「予防すること」という用語、及びそれらの変形は、疾患、障害、及び/または状態の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の1以上の症状、特徴、または臨床徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の1以上の症状、特徴、または徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の進行を部分的または完全に遅延させること;及び/または疾患、障害、及び/または状態に関連する病状を発生するリスクを減らすことを指す。いくつかの態様では、転帰の予防は予防的治療を介して達成される。
【0140】
本明細書で使用されるとき、「治療有効量」という用語は、それを必要とする対象に対して所望の治療効果、薬理学的な及び/または生理的な効果を生じるのに十分である、本明細書に開示されている組成物(例えば、本明細書に記載されている改変された免疫細胞)を含む試薬または医薬化合物の量である。
【0141】
治療有効量は予防が治療法と見なされるとき、「予防有効量」であることができる。本明細書で使用される場合、「予防」は、疾患または病態の開始を防止するために、または疾患または病態に関連する症状を防止または遅延させるために使用される処置または作用の過程を指す。本明細書で使用されるとき、「予防法」は、健康を維持し、疾患または状態の発症を予防するために、または疾患もしくは状態に関連する症状を予防もしくは遅延させるために取られる手段を指す。
【0142】
本明細書で使用される場合、「プロモーター」という用語は、コード配列または機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列を指す。一般的に、コード配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは、その全体がネイティブな遺伝子に由来することもあれば、自然界に見られる異なるプロモーターに由来する異なる要素から構成されることもあり、または合成DNAセグメントを含むこともある。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞タイプにおいて、または発生の異なる段階において、または異なる環境的もしくは生理学的条件に応じて、遺伝子の発現を誘導することができる点は、当業者には理解されよう。ほとんどの細胞タイプでほとんどの時間に遺伝子を発現させるプロモーターは一般的に「構成的プロモーター」と呼ばれる。特定の細胞タイプにおいて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。発生または細胞分化の特定の段階で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「発生特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する薬剤、生物学的分子、化学物質、リガンド、光などによる細胞の曝露または処理後に誘導されて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「誘導性プロモーター」または「調節可能なプロモーター」と呼ばれる。ほとんどの場合で調節配列の正確な境界は完全には定義されていないので、異なる長さのDNA断片が同じプロモーター活性を有することができることがさらに認識される。
【0143】
本明細書で使用されるとき、「ug」及び「uM」という用語は、それぞれ「μg」及び「μM」と相互交換可能に使用される。
【0144】
本開示の種々の態様が以下の小節にてさらに詳しく記載される。
【0145】
II.本開示の方法
本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、免疫療法のためにヒト免疫細胞の集団を調製する方法を提供する。本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、免疫療法のためにヒト免疫細胞の集団を活性化する方法を提供する。本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、生体外または試験管内の培養の間に活性化されたヒト免疫細胞の収量を高める方法を提供する。本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む、免疫療法のために生体外または試験管内の培養の間に活性化されたヒト免疫細胞の収量を高めながら、活性化されたヒト免疫細胞の幹細胞性を高める方法を提供する。本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)に免疫細胞を接触させることを含む、生体外または試験管内で活性化された幹細胞様免疫細胞の集団を増殖させる方法を提供する。
【0146】
いくつかの態様では、本開示は、少なくとも約5mMの(例えば、5mMよりも高い)濃度でカリウムイオンを含む代謝再プログラム可培地に細胞を播くことを含む、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞を培養する方法を対象とし、その際、培地は高張性ではなく、例えば、低張性または等張性である。本開示のいくつかの態様は、40mMよりも高い、例えば、約50mM~80mMの濃度でカリウムを含む培地に細胞を播くことを含む、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、免疫細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラー(NK)細胞、制御性T(Treg)細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0147】
本開示のいくつかの態様は、40mM~80mMの間の濃度でカリウムイオンを、及び30mM~100mMの間の濃度でNaClを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)に免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞の幹細胞性を高める一方で生体外または試験管内の培養の間に免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の収量を高める方法を対象とし、その際、カリウムイオンとNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。本開示のいくつかの態様は、40mM~80mMの間の濃度でカリウムイオンを、及び30mM~100mMの間の濃度でNaClを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)に免疫細胞を接触させることを含む、免疫療法のために免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の集団を調製する方法を対象とし、その際、カリウムイオンとNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。本開示のいくつかの態様は、40mM~80mMの間の濃度でカリウムイオンを、及び30mM~100mMの間の濃度でNaClを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)に免疫細胞を接触させることを含む、生体外または試験管内の培養の間に免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の幹細胞性を高める方法を対象とし、その際、カリウムイオンとNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、免疫細胞はT細胞である。
【0148】
いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は等張性である。特定の態様では、培地はさらにインターロイキン(IL)-2、IL-21、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、培地はIL-2、IL-7及びIL-15を含む。いくつかの態様では、培地はIL-2及びIL-21を含む。いくつかの態様では、培地はさらに、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、グルコース、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0149】
II.A.代謝再プログラム化培地
本開示のいくつかの態様は、培養条件(例えば、培地)にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)に免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象としており、その際、培養条件(例えば、特定のイオン濃度、培地の張度、サイトカイン、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の分化を低減する、制限する、または防止することができ、それによって細胞療法、例えば、養子細胞療法におけるそれらの使用に影響を与える、または改善することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地(MRM)にて免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞をPCSに接触させ、培養する。いくつかの態様では、MRMにてPCSに接触させ、培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有し、PCSを含まない培地にて培養された細胞と比べてさらに高い比率の幹細胞様細胞を有する。いくつかの態様では、MRMにてPCSに接触させ、培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地にて培養された細胞と比べてさらに高い比率のエフェクター様細胞を有する。いくつかの態様では、MRMにてPCSに接触させ、培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地にて培養された細胞と比べてさらに高い比率の幹細胞様細胞及びエフェクター様細胞の双方を有する。いくつかの態様では、MRMにてPCSに接触させ、培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地にて培養された細胞と比較し比べてさらに高い増殖能を有する。
【0150】
本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地(例えば、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地)にて免疫細胞をPCSに接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の集団を調製する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地(例えば、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地)にてT細胞をPCSに接触させることを含む、T細胞の集団を調製する方法を対象とする。いくつかの態様では、本開示は、5mMよりも高い(例えば、40mMよりも高い、例えば、55mM~70mMの間)の濃度でカリウムイオンを含む培地にて免疫細胞をPCSに接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を調製する方法を提供し、その際、方法は培養細胞の幹細胞様表現型(例えば、最小の分化)を維持することができる。いくつかの態様では、本開示は、5mMよりも高い(例えば、40mMよりも高い、例えば、55mM~70mMの間)の濃度でカリウムイオンを含む培地にてT細胞をPCSに接触させることを含む、T細胞を調製する方法を提供し、その際、方法は培養されたT細胞の幹細胞様表現型(例えば、最小の分化)を維持することができる。いくつかの態様では、培養細胞は、さらに低いカリウム濃度を有する培地にて増殖させた細胞よりも多い幹細胞様表現型を有する(例えば、低分化である)。いくつかの態様では、培地はさらに、インターロイキン(IL)-2、IL-21、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、培地はさらに、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)、カルシウムイオン、グルコース、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0151】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法を使用して培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の集団は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地にて培養された細胞の集団と比べて幹細胞様細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法を使用して培養されたT細胞の集団は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地にて培養されたT細胞の集団と比べて幹細胞様T細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、免疫細胞の出発集団(すなわち、培養前)と比べて幹細胞様細胞に特徴的なマーカーの発現増加を示す。いくつかの態様では、T細胞は、T細胞の出発集団(すなわち、培養前)と比べて幹細胞様細胞に特徴的なマーカーの発現増加を示す。いくつかの態様では、免疫細胞の出発集団は、対象から得られる免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を含む。いくつかの態様では、免疫細胞の出発集団はヒト対象から得られたT細胞を含む。いくつかの態様では、免疫T細胞の出発集団は、TN細胞、TSCM細胞、TCM細胞、TEM細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、免疫細胞の出発集団は、本明細書に記載されているリガンド結合タンパク質をコードする構築物による形質移入/改変の前のT細胞を含む。
【0152】
高い細胞多能性は、当該技術分野にて既知の任意の方法を使用して測定することができる。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性は抗体染色に続いてゲートをかけたフローサイトメトリーによって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性はオートファジーフラックスによって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性はグルコース取込みによって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性は脂肪酸取込みによって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性はミトコンドリア量によって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性はRNA定量化/発現分析(例えば、マイクロアレイ、qPCR(taqman)、RNA-Seq、単一細胞RNA-Seq、またはそれらの任意の組み合わせ)によって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性は、代謝アッセイ(例えば、Seahorse代謝アッセイ、細胞外酸性化速度(ECAR)の分析、酸素消費速度(OCR)の分析、予備呼吸能の分析、及び/またはミトコンドリア膜電位の分析)に関連する転写物によって測定される。いくつかの態様では、幹細胞性は、生体内または試験管内の機能アッセイ(例えば、細胞持続性、抗腫瘍能、抗腫瘍クリアランス、ウイルスクリアランス、多能性、サイトカイン放出、細胞殺傷、またはそれらの任意の組み合わせをアッセイすること)のうち1以上を使用して測定される。
【0153】
いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の分化状態は、低分化細胞に特有のマーカーを発現する細胞数の増加を特徴とする。いくつかの態様では、T細胞の分化状態は、低分化T細胞に特有のマーカーを発現する細胞数の増加を特徴とする。いくつかの態様では、幹細胞様細胞の数の増加は、TN細胞及び/またはTSCM細胞に特有のマーカーを発現するT細胞の数の増加を特徴とする。いくつかの態様では、幹細胞様T細胞の数の増加は、TSCM細胞に特有のマーカーを発現する細胞の数の増加を特徴とする。いくつかの態様では、T細胞集団はCD45RAを発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCCR7を発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD62Lを発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD28を発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD95を発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞はCD45RO低である。いくつかの態様では、細胞はCD45ROを発現しない。いくつかの態様では、細胞集団はCD45RA+、CCR7+、及びCD62L+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はCD95+、CD45RA+、CCR7+、及びCD62L+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はTCF7を発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD95+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD3+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD3+、CD95+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞はCD27を発現する。いくつかの態様では、T細胞集団はCD27+、CD3+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD27+、CD3+、CD95+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD39-及びCD69-である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はTCF7+及びCD39-である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はTSCM細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はTN細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はTSCM細胞及びTN細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団は幹細胞様T細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞はCD4+細胞であり、いくつかの態様では、T細胞はCD8+細胞である。
【0154】
いくつかの態様では、培養物中の幹細胞様細胞の数は、MRMでの培養前の幹細胞様細胞の数と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%増加する。いくつかの態様では、培養物中の幹細胞様細胞の数は、MRMでの培養前の幹細胞様細胞の数と比べて、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、または少なくとも約20倍増加する。
【0155】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹細胞様T細胞は、培養物におけるCD8+T細胞の総数の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、または少なくとも約15%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹細胞様T細胞は、培養物におけるCD4+T細胞の総数の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、または少なくとも約15%を構成する。
【0156】
いくつかの態様では、いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹細胞様T細胞は、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹細胞様T細胞は、培養物におけるCD8+T細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹細胞様T細胞は、培養物におけるCD4+T細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%を構成する。
【0157】
いくつかの態様では、いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約40%は、CD39-/CD69-T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%は、CD39-/CD69-T細胞である。
【0158】
いくつかの態様では、いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%は、CD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%は、CD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD8+T細胞である。
【0159】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された本開示の免疫細胞、例えば、操作された免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)は高い形質導入効率を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された操作されたT細胞は高い形質導入効率を示す。いくつかの態様では、形質導入後、細胞の高い割合が、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする標的導入遺伝子を発現し、その際、従来の方法を使用して(例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて)同様に形質導入して培養した細胞と比べて、当該細胞は本明細書に開示されている方法に従って培養されている。特定の態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞の高い割合が、従来の方法(例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて)を使用して培養された同様に形質導入した細胞と比べて、細胞のレンチウイルス形質導入後、リガンド結合タンパク質を発現する。いくつかの態様では、形質導入効率は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地で培養された同様に形質導入された細胞と比べて少なくとも約1.5倍上昇する。いくつかの態様では、形質導入効率は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地で培養された同様に形質導入された細胞と比べて少なくとも約2倍上昇する。
【0160】
いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って培養される前に形質導入される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って培養した後に形質導入される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は,本明細書に開示されている方法に従って、例えば、形質導入前、形質導入中、及び形質導入後に、少なくとも5mMのカリウムイオンを含む培地にてAPC-MSに免疫細胞を接触させることによって培養される。
【0161】
特定の態様では、免疫細胞はウイルスベクターを使用して形質導入される。いくつかの態様では、ベクターは、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、及びエプスタイン・バーウイルスベクターを含む。いくつかの態様では、ウイルスベクターはレトロウイルスを含む。いくつかの態様では、ウイルスベクターはレンチウイルスを含む。いくつかの態様では、ウイルスベクターはAAVを含む。
【0162】
いくつかの態様では、免疫細胞は非ウイルス的方法を使用して形質導入される。いくつかの態様では、非ウイルス的方法としてはトランスポゾンの使用が挙げられる。いくつかの態様では、非ウイルス的送達方法の使用は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の再プログラム化、及び対象への細胞の直接的注入を可能にする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、CRISPR/Casシステム及びゲノム編集代替手段、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びメガヌクレアーゼ(MN)を使用することによって標的細胞(例えば、T細胞)または宿主細胞(例えば、コードされるタンパク質の組換え発現のための細胞)のゲノムに挿入され得る。
【0163】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した、リガンド結合タンパク質を任意で発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の養子移入時に、形質移入されたT細胞は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて、従来の方法を使用して培養したT細胞と比べて、細胞疲弊の減少を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した、リガンド結合タンパク質を任意に発現するT細胞の養子移入時に、移入されたT細胞は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて、従来の方法を使用して培養したT細胞と比べて細胞疲弊の減少を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞の養子移入の際に、移入された細胞は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地中にて従来の方法を使用して培養した細胞と比べて、生体内でさらに長い期間存続する。いくつかの態様では、移入された細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて従来の方法を使用して培養した細胞と比べてさらに高い生体内有効性、例えば、腫瘍殺傷活性を有する。いくつかの態様では、例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて従来の方法を使用して培養した細胞と比べて、対象にて応答、例えば、腫瘍体積の低下を引き出すのに必要とされる、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞の用量は低い。
【0164】
いくつかの態様では、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)は本明細書に開示されている方法に従って、例えば、対象から単離後直ちに少なくとも5mMのカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞の増殖中に本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞の操作中に、例えば、導入遺伝子、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする構築物での形質導入中に本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞の操作後に、例えば、導入遺伝子、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする構築物での形質導入後に本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、増殖及び操作を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、ウイルス遺伝子操作を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、非ウイルス遺伝子操作の全体を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、腫瘍特異的標的化(例えば、CAR、TCRまたはTCR模倣体)を可能とするための免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)へのリガンド結合タンパク質の導入中に本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、T細胞機能を改善する1以上の内在性遺伝子の導入を通して本明細書に開示されている方法に従って培養されいくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、T細胞機能を改善する1以上の合成遺伝子の導入を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。
【0165】
いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は本明細書に開示されている方法に従って、例えば、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞が対象から単離された時から、成長、増殖、操作を経て、養子細胞療法を必要とする対象への投与まで、例えば、少なくとも5mMのカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって培養される。いくつかの態様では、T細胞は本明細書に開示されている方法に従って、例えば、生体外培養の全体にわたって、例えば、T細胞が対象から単離された時から、成長、増殖、操作を経て、養子細胞療法を必要とする対象への投与まで少なくとも5mMのカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は本明細書に開示されている方法に従って、例えば、増殖の期間にわたって少なくとも5mMのカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、生存免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の総数が少なくとも約104、少なくとも約5×104、少なくとも約105、少なくとも約5×105、少なくとも約106、または少なくとも約5×106、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、少なくとも約1×108、少なくとも約5×108、少なくとも約1×109、少なくとも約5×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約5×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約5×1011、少なくとも約1×1012、または少なくとも約5×1012の総細胞となるまで本明細書に開示されている方法に従って、例えば、少なくとも5mMのカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって培養される。いくつかの態様では、T細胞は、生存T細胞の総数が少なくとも約104、少なくとも約5×104、少なくとも約105、少なくとも約5×105、少なくとも約106、または少なくとも約5×106、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、少なくとも約1×108、少なくとも約5×108、少なくとも約1×109、少なくとも約5×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約5×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約5×1011、少なくとも約1×1012、または少なくとも約5×1012の総T細胞となるまで本明細書に開示されている方法に従って培養される。
【0166】
いくつかの態様では、培地は細胞増殖剤をさらに含む。本明細書で使用されるとき、「細胞増殖剤」は、培養された細胞、例えば、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の試験管内及び/または生体外の成長及び増殖を促進する薬剤、例えば、小分子、ポリペプチド、またはそれらの任意の組み合わせを指す。いくつかの態様では、細胞増殖剤はPI3K阻害剤を含む。いくつかの態様では、培地はAKT阻害剤をさらに含む。いくつかの態様では、培地はPI3K阻害剤及びAKT阻害剤をさらに含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はLY294002を含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はIC87114を含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はイデラリシブを含む(例えば、Peterson et al.,Blood Adv.2(3):210-23(2018)を参照のこと)。いくつかの態様では、培地はGSK3B阻害剤をさらに含む。いくつかの態様では、GSK3B阻害剤はTWS119を含む。いくつかの態様では、培地はACLY阻害剤をさらに含む。いくつかの態様では、ACLY阻害剤はヒドロキシクエン酸カリウム三塩基性一水和物を含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はクエン酸ヒドロキシルを含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はピクチリシブを含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はCAL-101を含む。いくつかの態様では、AKT阻害剤はMK2206、A443654、またはAKTi-VIII(CAS 612847-09-3)を含む。いくつかの態様では、細胞増殖剤はPCSに結び付けられる、または関連付けられる。
【0167】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はミトコンドリア燃料を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はO-アセチル-L-カルニチン塩酸塩を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラミング培地は、少なくとも約0.1mM、少なくとも約0.5mM、少なくとも約1.0mM、少なくとも約5mM、または少なくとも約10mMのO-アセチル-L-カルニチン塩酸塩を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0mMのO-アセチル-L-カルニチン塩酸塩を含む。いくつかの態様では、ミトコンドリア燃料はPCSに結び付けられる、または関連付けられる。
【0168】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はさらに、(i)1以上の細胞増殖剤、(ii)ナトリウムイオン(例えば、NaCl)、(iii)1以上の糖類、(iv)カルシウムイオン、及び(v)1以上のサイトカインのうちの1以上を含む。
【0169】
II.A.1.カリウム
本開示のいくつかの態様は、対照培地と比べて漸増濃度のカリウムイオン(例えば、約5mM超、約40mM超、約45mM超、約50mM超、約55mM超、約60mM超、約65mM超、または約70mM超)を含む培地、すなわち、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地にてPCSに免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5mM~少なくとも約100mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約90mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約40mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約40mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約40mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約40mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、または少なくとも約50mM~少なくとも約55mMのカリウムイオンを含む。
【0170】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約25mM、少なくとも約30mM、少なくとも約35mM、少なくとも約40mM、少なくとも約45mM、少なくとも約50mM、少なくとも約55mM、少なくとも約60mM、少なくとも約65mM、少なくとも約70mM、少なくとも約75mM、または少なくとも約80mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約15mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約20mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約25mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約30mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約35mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約40mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約45mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約50mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約55mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約60mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約65mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約70mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約75mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約80mMのカリウムイオンを含む。
【0171】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は漸増濃度のカリウムイオン、例えば、少なくとも約5mMのカリウムイオンを含み、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mM~約80mMの間の濃度でカリウムイオン及び約30mM~約100mMの間の濃度でNaClを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は約110~約140mMの間である。
【0172】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は、約5mM~約100mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は、約5mM~約100mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は、約5mM~約90mM、約5mM~約80mM、約5mM~約70mM、約5mM~約60mM、または約5mM~約50mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は約5mM~約90mM、約5mM~約80mM、約5mM~約70mM、約5mM~約60mM、または約5mM~約50mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は約25mM~約100mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は約25mM~約100mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は約25mM~約90mM、約25mM~約80mM、約25mM~約70mM、約25mM~約60mM、または約25mM~約50mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は約25mM~約90mM、約25mM~約80mM、約25mM~約70mM、約25mM~約60mM、または約25mM~約50mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は、約40mM~約100mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地中のカリウムイオンの濃度は、約40mM~約100mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約90mM、約40mM~約85mM、約40mM~約80mM、約40mM~約75mM、約40mM~約70mM、約40mM~約65mM、約40mM~約60mM、約40mM~約55mM、または約40mM~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約40mM~約90mM、約40mM~約85mM、約40mM~約80mM、約40mM~約75mM、約40mM~約70mM、約40mM~約65mM、約40mM~約60mM、約40mM~約55mM、または約40mM~約50mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約50mM~約90mM、約50mM~約85mM、約50mM~約80mM、約50mM~約75mM、約50mM~約70mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、または約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約50mM~約90mM、約50mM~約85mM、約50mM~約80mM、約50mM~約75mM、約50mM~約70mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、または約50mM~約55mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約50mMのカリウムイオン及び約90mM未満のNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0173】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約50mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約115mM、約50mM~約110mM、約50mM~約105mM、約50mM~約100mM、約50mM~約95mM、約50mM~約90mM、約50mM~約85mM、約50mM~約80mM、約50mM~約75mM、約50mM~約70mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、または約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は、少なくとも約50mM~約120mMのカリウムイオン及び約90mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0174】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約55mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約115mM、約55mM~約110mM、約55mM~約105mM、約55mM~約100mM、約55mM~約95mM、約55mM~約90mM、約55mM~約85mM、約55mM~約80mM、約55mM~約75mM、約55mM~約70mM、約55mM~約65mM、または約55mM~約60mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約55mM~約120mMのカリウムイオン及び約85mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。
【0175】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約60mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約115mM、約60mM~約110mM、約60mM~約105mM、約60mM~約100mM、約60mM~約95mM、約60mM~約90mM、約60mM~約85mM、約60mM~約80mM、約60mM~約75mM、約60mM~約70mM、または約60mM~約65mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は少なくとも約60mM~約120mMのカリウムイオン及び約80mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0176】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約65mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約65mM~約115mM、約65mM~約110mM、約65mM~約105mM、約65mM~約100mM、約65mM~約95mM、約65mM~約90mM、約65mM~約85mM、約65mM~約80mM、約65mM~約75mM、または約65mM~約70mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は少なくとも約65mM~約120mMのカリウムイオン及び約75mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0177】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約70mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約115mM、約70mM~約110mM、約70mM~約105mM、約70mM~約100mM、約70mM~約95mM、約70mM~約90mM、約70mM~約85mM、約70mM~約80mM、または約70mM~約75mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約70mM~約120mMのカリウムイオン及び約70mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0178】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約75mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約75mM~約115mM、約75mM~約110mM、約75mM~約105mM、約75mM~約100mM、約75mM~約95mM、約75mM~約90mM、約75mM~約85mM、または約75mM~約80mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は少なくとも約75mM~約120mMのカリウムイオン及び約65mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMの間である。
【0179】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約80mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約115mM、約80mM~約110mM、約80mM~約105mM、約80mM~約100mM、約80mM~約95mM、約80mM~約90mM、または約80mM~約85mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約80mM~約120mMのカリウムイオン及び約60mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0180】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約85mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約85mM~約115mM、約85mM~約110mM、約85mM~約105mM、約85mM~約100mM、約85mM~約95mM、または約85mM~約90mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は少なくとも約85mM~約120mMのカリウムイオン及び約65mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0181】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約90mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約90mM~約115mM、約90mM~約110mM、約90mM~約105mM、約90mM~約100mM、または約90mM~約95mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約90mM~約120mMのカリウムイオン及び約50mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0182】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約95mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約95mM~約115mM、約95mM~約110mM、約95mM~約105mM、または約95mM~約100mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約95mM~約120mMのカリウムイオン及び約55mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0183】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約100mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約100mM~約115mM、約100mM~約110mM、または約100mM~約105mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約100mM~約120mMのカリウムイオン及び約50mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0184】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約105mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約105mM~約115mM、または約105mM~約110mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約105mM~約120mMのカリウムイオン及び約35mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0185】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約110mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約110mM~約115mMである。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約110mM~約120mMのカリウムイオン及び約30mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0186】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約50mM~約90mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約80mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約60mM~約90mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約60mM~約80mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約70mM~約90mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約70mM~約80mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約90mMである。
【0187】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約50mM~約90mMであり、NaClの濃度は約90mM未満~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約80mMであり、NaClの濃度は約90mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約90mMであり、NaClの濃度は約90mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約80mMであり、NaClの濃度は約80mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約90mMであり、NaClの濃度は約70mM未満~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約80mMであり、NaClの濃度は約70mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約90mMであり、NaClの濃度は約60mM未満~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0188】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約55mMであり、NaClの濃度は約90未満~約85である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約60mMであり、NaClの濃度は約85未満~約80である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約65mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約65mMであり、NaClの濃度は約80mM未満~約75mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約70mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約70mMであり、NaClの濃度は約75mM未満~約70mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約75mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約75mMであり、NaClの濃度は約70mM未満~約65mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約75mM~約80mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約75mM~約80mMであり、NaClの濃度は約65mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約85mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約85mMであり、NaClの濃度は約60mM未満~約55mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約85mM~約90mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約85mM~約90mMであり、NaClの濃度は約55mM未満~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約90mM~約95mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約90mM~約95mMであり、NaClの濃度は約50未満~約45である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約95mM~約100mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約95mM~約100mMであり、NaClの濃度は約45mM未満~約40mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約100mM~約105mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約100mM~約105mMであり、NaClの濃度は約40mM未満~約35mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約105mM~約110mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約105mM~約110mMであり、NaClの濃度は約35未満~約30である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約110mM~約115mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約110mM~約115mMであり、NaClの濃度は約30mM未満~約25mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約115mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約115mM~約120mMであり、NaClの濃度は約25mM未満~約20mMである。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0189】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0190】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約4mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約4mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約5mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約5mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約6mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約6mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約7mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約7mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約8mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約8mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約9mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約9mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0191】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約10mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約10mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約11mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約11mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約12mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約12mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約13mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約13mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約14mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約14mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約15mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約15mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約16mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約16mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約17mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約17mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約18mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約18mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約19mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約19mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0192】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約20mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約20mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約21mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約21mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約22mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約22mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約23mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約23mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約24mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約24mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約25mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約25mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約26mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約26mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約27mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約27mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約28mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約28mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約29mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約29mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0193】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約30mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約30mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約31mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約31mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約32mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約32mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約33mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約33mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約34mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約34mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約35mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約35mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約36mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約36mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約37mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約37mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約38mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約38mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約39mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約39mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0194】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約41mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約41mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約42mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約42mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約43mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約43mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約44mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約44mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約45mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約45mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約46mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約46mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約47mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約47mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約48mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約48mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約49mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約49mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0195】
いくつかの態様では、高濃度のカリウムイオンを含む代謝再プログラム化培地は、培地に十分な量のカリウム塩を加えることによって調製される。いくつかの態様では、カリウム塩の非限定的な例には、アミントリクロロ白金酸カリウム、アクアペンタクロロルテニウム酸カリウム、ビス(オキサラト)白金(II)酸カリウム二水和物、硫酸水素カリウム、水素化ホウ素カリウム、臭化カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、クロム酸カリウム、重クロム酸カリウム、ジシアノ銀酸カリウム、ジシアノ金酸カリウム、フッ化カリウム、フルオロ硫酸カリウム、ヘキサクロロイリジウム酸カリウム、ヘキサクロロオスミウム酸カリウム、ヘキサクロロパラジウム酸カリウム、ヘキサクロロ白金酸カリウム、ヘキサクロロレニウム酸カリウム、ヘキサシアノクロム酸カリウム、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウム水和物、ヘキサフルオロアンチモン酸カリウム、ヘキサフルオロニッケル酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコン酸カリウム、ヘキサヒドロキソアンチモン酸カリウム、ヘキサヨード白金酸カリウム、ヘキサヨードレニウム酸カリウム、水酸化カリウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ化カリウム、マンガン酸カリウム、メタバナジン酸カリウム、モリブデン酸カリウム、硝酸カリウム、ニトロソジスルホン酸カリウム、オスミウム(VI)酸カリウム二水和物、ペンタクロロニトロシルルテニウム酸カリウム、過塩素酸カリウム、過レニウム酸カリウム、過ルテニウム酸カリウム、過硫酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一カリウム、ピロリン酸カリウム、セレノシアン酸カリウム、セレノシアン酸カリウム、スズ酸カリウム三水和物、硫酸カリウム、テルル酸カリウム水和物、亜テルル酸カリウム、四ホウ酸カリウム四水和物、テトラブロモ金酸カリウム、テトラブロモパラジウム酸カリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、テトラクロロ白金酸カリウム、テトラシアノパラジウム酸カリウム、テトラシアノ白金酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラニトロ白金酸カリウム、テトラチオン酸カリウム、p-トルエンチオスルホン酸カリウム、ヒドロキシクエン酸カリウム三塩基性一水和物、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。特定の態様では、カリウム塩は塩化カリウム(KCl)を含む。特定の態様では、カリウム塩はグルコン酸カリウムを含む。特定の態様では、カリウム塩はクエン酸カリウムを含む。特定の態様では、カリウム塩はヒドロキシクエン酸カリウムを含む。
【0196】
II.A.2.ナトリウム
本開示のいくつかの態様は(i)少なくとも約5mMの濃度でのカリウムイオンと、(ii)約115mM未満の濃度でのナトリウムイオン(例えば、NaCl)とを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、ナトリウムの目標濃度は、さらに高濃度のナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む基本培地から出発し、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の目標濃度に到達するように溶液を希釈することによって達成される。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の目標濃度は1以上のナトリウム塩(例えば、さらに多くのNaCl)を加えることによって達成される。ナトリウム塩の非限定的な例には、(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム、酒石酸アルセニルナトリウム水和物、アジ化ナトリウム、ナトリウムベンジルオキシド、臭化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クロム酸ナトリウム、シクロヘキサン酪酸ナトリウム、ナトリウムエタンチオラート、フッ化ナトリウム、フルオロリン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ヘキサクロロイリジウム(III)酸ナトリウム水和物、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸ナトリウム六水和物、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム六水和物、ヘキサクロロロジウム(III)酸ナトリウム、ヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム、ヘキサフルオロアンチモン(V)酸ナトリウム、ヘキサフルオロヒ(V)酸ナトリウム、ヘキサフルオロ鉄(III)酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、二フッ化水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、ナトリウム水素シアナミド、水酸化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム四水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、メタバナジン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過炭酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過マンガン酸ナトリウム、過レニウム酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜テルル酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、テトラクロロアルミン酸ナトリウム、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム、テトラクロロ白金(II)酸ナトリウム、チオリン酸ナトリウム三塩基性、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム五水和物、オキシフッ化イットリウムナトリウム、トリメタリン酸三ナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、ナトリウム塩は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの態様では、ナトリウム塩はグルコン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、ナトリウム塩は重炭酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、ナトリウム塩はヒドロキシクエン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、ナトリウム塩はリン酸ナトリウムを含む。
【0197】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は基本培地の濃度よりも低い。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度が増加するにつれて、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は低下する。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約25mM~約115mMである。いくつかの態様では、ナトリウム(例えば、NaCl)イオンの濃度は約25mM~約100mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、約30mM~約60mM、約30mM~約70mM、約30mM~約80mM、約40mM~約50mM、約40mM~約60mM、約40mM~約70mM、約40mM~約80mM、約50mM~約55mM、約50mM~約60mM、約50mM~約65mM、約50mM~約70mM、約50mM~約75mM、約50mM~約80mM、約55mM~約60mM、約55mM~約65mM、約55mM~約70mM、約55mM~約75mM、約55mM~約80mM、約60mM~約65mM、約60mM~約70mM、約60mM~約75mM、約60mM~約80mM、約70mM~約75mM、約70mM~約80mM、または約75mM~約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約40mM~約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約50mM~約85mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約55mM~約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約30mM~約35mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約35mM~約40mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約40mM~約45mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約45mM~約50mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約55mM~約60mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約60mM~約65mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約65mM~約70mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約70mM~約75mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約75mM~約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約80mM~約85mMである。
【0198】
いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、または約90mMである。特定の態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約40mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約45mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約50mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約55mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約55.6mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約59.3mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約60mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約63.9mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約65mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約67.6mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約70mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約72.2mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約75mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約76mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は約80.5mMである。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約40mM~約90mMのカリウムイオン及び約40mM~約80mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。
【0199】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約50mM~約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約55mM~約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約60mM~約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約65mM~約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約65mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約66mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約67mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約68mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約69mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約71mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約72mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約73mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約74mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約65mMのカリウムイオン及び約80mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約65mMのカリウムイオン及び約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約65mMのカリウムイオン及び約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約80mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約75mMのカリウムイオン及び約80mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約75mMのカリウムイオン及び約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約75mMのカリウムイオン及び約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。
【0200】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mM~約90mMのカリウムイオン及び約30mM~約109mMのNaClを含み、NaClの濃度(mM)は(135-カリウムイオン濃度、つまり135からカリウムイオン濃度を引いた値)以下である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約40mMのカリウムイオン及び約95mM以下のNaCl(例えば、約95mM、約94mM、約93mM、約92mM、約91mM、約90mM、約85mM、約80mM、約75mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約45mMのカリウムイオン及び約90mM以下のNaCl(例えば、約90mM、約89mM、約88mM、約87mM、約86mM、約85mM、約80mM、約75mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約50mMのカリウムイオン及び約85mM以下のNaCl(例えば、約85mM、約84mM、約83mM、約82mM、約81mM、約80mM、約75mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約55mMのカリウムイオン及び約80mM以下のNaCl(例えば、約80mM、約79mM、約78mM、約77mM、約76mM、約75mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約60mMのカリウムイオン及び約75mM以下のNaCl(例えば、約75mM、約74mM、約73mM、約72mM、約71mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約65mMのカリウムイオン及び約70mM以下のNaCl(例えば、約70mM、約69mM、約68mM、約67mM、約66mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約70mM以下のNaCl(例えば、約65mM、約64mM、約63mM、約62mM、約61mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約75mMのカリウムイオン及び約60mM以下のNaCl(例えば、約60mM、約59mM、約58mM、約57mM、約56mM、約55mM、約50mM、約45mM、または約40mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約80mMのカリウムイオン及び約55mM以下のNaCl(例えば、約55mM、約54mM、約53mM、約52mM、約51mM、約50mM、約45mM、約40mM、または約35mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約85mMのカリウムイオン及び約50mM以下のNaCl(例えば、約50mM、約49mM、約48mM、約47mM、約46mM、約45mM、約40mM、約35mM、または約30mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約90mMのカリウムイオン及び約45mM以下のNaCl(例えば、約45mM、約44mM、約43mM、約42mM、約41mM、約40mM、約35mM、約30mM、または約25mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約60mMのNaClを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約61mMのNaClを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約62mMのNaClを含む。
【0201】
いくつかの態様では、培地は約50mMのカリウムイオン及び約75mMのNaClを含む。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は等張性である。
【0202】
本開示のいくつかの態様は(i)5mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)約135mM未満の濃度のNaClを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は(i)40mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約100mM未満の濃度でのNaClを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は(i)50mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約90mM未満の濃度でのNaClを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は(i)55mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70mM未満の濃度でのNaClを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は(i)60mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70mM未満の濃度でのNaClを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。
【0203】
II.A.3.張度
本開示のいくつかの態様では、代謝再プログラム化培地の張度(例えば、(カリウムイオンの濃度及びNaClの濃度)×2)は、カリウムイオン及び/またはNaClの濃度に基づいて調整される。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地の張度は基本培地の張度より低い。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地の張度は基本培地の張度より高い。いくつかの態様では、培地の張度は基本培地の張度と同じである。培地におけるカリウムイオン及び/またはNaClの濃度を改変することによって、代謝再プログラム化培地の張度に影響を及ぼすことができる。いくつかの態様では、カリウムイオン濃度の上昇はNaClの濃度の上昇または低下と対になる。いくつかの態様では、この対合は代謝再プログラム化培地の張度に影響を及ぼす。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度が上昇する一方で、NaClの濃度は低下する。
【0204】
いくつかの態様では、本発明の培地に有用な培地は、カリウムイオンと張度の関数に基づいて調製することができる。例えば、いくつかの態様では、本開示に有用な培地が低張性(例えば、280mOsm未満)であり、少なくとも約50mMのカリウムイオンを含む場合、低張性として培地を維持するのに十分なNaClの濃度は、次の式:NaCl濃度=(所望の張度(280)/2)-カリウムイオン濃度(すなわち、NaClの濃度(mM)は(140-カリウムイオン濃度)以下である)に基づいて決定することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている低張培地は110mM~140mMの間のカリウムイオン及びNaClの総濃度を含む。したがって、低張培地については、カリウムイオン及びNaClの総濃度が110mM~140mMの間である限り、カリウムイオンの濃度は50mM~90mMの間の濃度で設定することができ、NaClの濃度は90mM~50mMの間で設定することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている低張培地は115mM~140mMの間のカリウムイオン及びNaClの総濃度を含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されている低張培地は120mM~140mMの間のカリウムイオン及びNaClの総濃度を含む。
【0205】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は等張(280mOsm~300mOsmの間)であり、約50mM~70mMの間のカリウムイオンの濃度を含む。NaClの対応する濃度は、次の式:NaCl濃度=(所望の張度/2)-カリウムイオン濃度に基づいて再度算出され得る。例えば、カリウムの濃度が50mMであり、所望の張度が300mOsmである場合、ナトリウム濃度は100mMであることができる。
【0206】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は等張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約280mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±1mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±2mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±3mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±4mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±5mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±6mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±7mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±8mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±9mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L±10mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約280mOsm/L~約285mOsm/L、約280mOsm/L~約290mOsm/L、約280mOsm/L~約295mOsm/L、約280mOsm/L~約300mOsm/L、約280mOsm/L~約305mOsm/L、約280mOsm/L~約310mOsm/L、約280mOsm/L~約315mOsm/L、または約280mOsm/L~320mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約285mOsm/L、約290mOsm/L、約295mOsm/L、約300mOsm/L、約305mOsm/L、約310mOsm/L、または約315mOsm/Lの張度を有する。
【0207】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は275mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき275mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は270mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき270mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は265mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき265mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は260mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき260mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は265mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき265mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は260mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき260mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は255mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき255mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約250mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき約250mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約245mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき約245mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約240mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき約240mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約235mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき約235mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約230mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき約230mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約225mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約225mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、張度は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定されるとき約220mOsm/Lよりも高い。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約230mOsm/L~約280mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約240mOsm/L~約280mOsm/Lの張度を有する。
【0208】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約220mOsm/L未満の浸透圧を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約215mOsm/L未満の浸透圧を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約210mOsm/L未満の浸透圧を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約205mOsm/L未満の浸透圧を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約200mOsm/L未満の浸透圧を有する。
【0209】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約100mOsm/L~約280mOsm/L、約125mOsm/L~約280mOsm/L、約150mOsm/L~約280mOsm/L、約175mOsm/L~約280mOsm/L、約200mOsm/L~約280mOsm/L、約210mOsm/L~約280mOsm/L、約220mOsm/L~約280mOsm/L、約225mOsm/L~約280mOsm/L、約230mOsm/L~約280mOsm/L、約235mOsm/L~約280mOsm/L、約240mOsm/L~約280mOsm/L、約245mOsm/L~約280mOsm/L、約250mOsm/L~約280mOsm/L、約255mOsm/L~約280mOsm/L、約260mOsm/L~約280mOsm/L、約265mOsm/L~約280mOsm/L、約270mOsm/L~約280mOsm/L、または約275mOsm/L~約280mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約250mOsm/L~約270mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約250mOsm/L~約255mOsm/L、約250mOsm/L~約260mOsm/L、約250mOsm/L~約265mOsm/L、約255mOsm/L~約260mOsm/L、約255mOsm/L~約265mOsm/L、約255mOsm/L~約265mOsm/L、約260mOsm/L~約265mOsm/L、または約254mOsm/L~約263mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約254mOsm/L~約255mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約255mOsm/L~約256mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約256mOsm/L~約257mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約257mOsm/L~約258mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約258mOsm/L~約259mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約260mOsm/L~約261mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約261mOsm/L~約262mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約262mOsm/L~約263mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約263mOsm/L~約264mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約264mOsm/L~約265mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約220mOsm/L~約280mOsm/Lの張度を有する。
【0210】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約100mOsm/L、約125mOsm/L、約150mOsm/L、約175mOsm/L、約200mOsm/L、約210mOsm/L、約220mOsm/L、約225mOsm/L、約230mOsm/L、約235mOsm/L、約240mOsm/L、約245mOsm/L、約250mOsm/L、約255mOsm/L、約260mOsm/L、約265mOsm/L、約270mOsm/L、または約275mOsm/Lの張度を有する。
【0211】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約250mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約262.26mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約260mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約259.7mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約257.5mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約257.2mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約255.2mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約254.7の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約255mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約260mOsm/Lの張度を有する。
【0212】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約50mMのカリウムイオンと、(i)約80.5mMのNaCl;(ii)約17.7mMのグルコース;及び(iii)約1.8mMのカルシウムイオンとを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約55mMのカリウムイオンと、(i)約76mMのNaCl;(ii)約17.2mMのグルコース;及び(iii)約1.7mMのカルシウムイオンとを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約60mMのカリウムイオンと、(i)約72.2mMのNaCl;(ii)約16.8mMのグルコース;及び(iii)約1.6mMのカルシウムイオンとを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約65mMのカリウムイオンと、(i)約67.6mMのNaCl;(ii)約16.3mMのグルコース;及び(iii)約1.5mMのカルシウムイオンとを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約70mMのカリウムイオンと、(i)約63.9mMのNaCl;(ii)約15.9mMのグルコース;及び(iii)約1.4mMのカルシウムイオンとを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約75mMのカリウムイオンと、(i)約59.3mMのNaCl;(ii)約15.4mMのグルコース;及び(iii)約1.3mMのカルシウムイオンとを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約80mMのカリウムイオンと、(i)約55.6mMのNaCl;(ii)約15mMのグルコース;及び(iii)約1.2mMのカルシウムイオンとを含む。代謝再プログラミング培地の張度は任意の時点で、例えば、本明細書に開示されている等張性または低張性の状態に調整することができる。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地の張度は、細胞が代謝再プログラム化培地に加えられる前に、例えば、本明細書に開示されている等張または低張の状態に調整され得る。いくつかの態様では、細胞は、細胞操作前に、例えば、CAR、TCR、またはTCR模倣体を発現する構築物による形質導入前に低張性または等張性の培地にて培養される。いくつかの態様では、細胞は、細胞操作中、例えば、CAR、TCR、またはTCR模倣体を発現する構築物による形質導入中に低張性または等張性の培地にて培養される。いくつかの態様では、細胞は、細胞操作後、例えば、CAR、TCR、またはTCR模倣体を発現する構築物による形質導入後に低張性または等張性の培地にて培養される。いくつかの態様では、細胞は細胞増殖全体を通して低張性または等張性の培地にて培養される。
【0213】
II.A.4.糖類
本開示のいくつかの態様は、(i)少なくとも約5mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)糖類を含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、培地は低張性または等張性である。
【0214】
いくつかの態様では、糖類の目標濃度は、さらに高濃度の糖類を含む基本培地から出発し、糖類の目標濃度に到達するように溶液を希釈することによって達成される。いくつかの態様では、糖類の目標濃度は、所望の濃度に到達するまで糖類を添加することにより、糖類の濃度を上昇させることによって達成される。いくつかの態様では、糖類は、単糖、二糖、または多糖である。いくつかの態様では、糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。特定の態様では、糖類はグルコースである。いくつかの態様では、培地は、(i)少なくとも約5mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、培地は、(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、培地は、(i)少なくとも約5mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、培地は、(i)少なくとも約50mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は等張性である。いくつかの態様では、培地は、(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。いくつかの態様では、培地は、(i)50mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。いくつかの態様では、培地は、(i)少なくとも約40mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。いくつかの態様では、培地は、(i)少なくとも約50mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。
【0215】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)5mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約30mM~少なくとも約100mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)5mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約30mM~少なくとも約100mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)少なくとも約50mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は等張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)50mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)少なくとも約40mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)少なくとも約50mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0216】
いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は約10mM~約24mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約4.29g/L未満である。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約24mM未満である。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mM超である。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mM~約20mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約20mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約25mM、約10mM~約20mM、約10mM~約5mM、約15mM~約25mM、約15mM~約20mM、約15mM~約19mM、約15mM~約18mM、約15mM~約17mM、約15mM~約16mM、約16mM~約20mM、約16mM~約19mM、約16mM~約18mM、約16mM~約17mM、約17mM~約20mM、約17mM~約19mM、または約17mM~約18mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mM~約20mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約20mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約15mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約14mM~約14.5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約14.5mM~約15mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約15mM~約15.5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約15.5mM~約16mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約16mM~約16.5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約16.5mM~約17mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約17mM~約17.5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約17.5mM~約18mMである。
【0217】
いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約10.5mM、約11mM、約11.5mM、約12mM、約12.5mM、約13mM、約13.5mM、約14mM、約14.5mM、約15mM、約15.5mM、約16mM、約16.5mM、約17mM、約17.5mM、約18mM、約18.5mM、約19mM、約19.5mM、約20mM、約20.5mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、または約25mMである。
【0218】
II.A.5.カルシウム
本開示のいくつかの態様は、(i)少なくとも約5mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)カルシウムイオンを含む培地にてPCSに細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、培地は低張性または等張性である。
【0219】
いくつかの態様では、カルシウムの目標濃度は、さらに高濃度のカルシウムイオンを含む基本培地から出発し、カルシウムイオンの目標濃度に到達するように溶液を希釈することによって達成される。いくつかの態様では、カルシウムの目標濃度は、1以上のカルシウム塩を添加することにより、カルシウムイオンの濃度を上昇させることによって達成される。カルシウム塩の非限定的な例としては、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシアナミド、フッ化カルシウム、水素化カルシウム、水酸化カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、過塩素酸カルシウム四水和物、第一リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム四水和物、ヒドロキシアパタイト、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、カルシウム塩は、塩化カルシウム(CaCl2)を含む。いくつかの態様では、カルシウム塩は、グルコン酸カルシウムを含む。
【0220】
いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は基本培地の濃度よりも低い。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は基本培地の濃度よりも高い。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.4mM超である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約2.8mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約2.5mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約2.0mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.9mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.8mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.7mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.6mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.5mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.4mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.3mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.2mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.1mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mM未満である。
【0221】
いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、約0.4mM~約2.8mM、約0.4mM~約2.7mM、約0.4mM~約2.5mM、約0.5mM~約2.0mM、約1.0mM~約2.0mM、約1.1mM~約2.0mM、約1.2mM~約2.0mM、約1.3mM~約2.0mM、約1.4mM~約2.0mM、約1.5mM~約2.0mM、約1.6mM~約2.0mM、約1.7mM~約2.0mM、約1.8mM~約2.0mM、約0.8~約0.9mM、約0.8~約1.0mM、約0.8~約1.1mM、約0.8~約1.2mM、約0.8~約1.3mM、約0.8~約1.4mM、約0.8~約1.5mM、約0.8~約1.6mM、約0.8~約1.7mM、約0.8~約1.8mM、約0.9~約1.0mM、約0.9~約1.1mM、約0.9~約1.2mM、約0.9~約1.3mM、約0.9~約1.4mM、約0.9~約1.5mM、約0.9~約1.6mM、約0.9~約1.7mM、約0.9~約1.8mM、約1.0~約1.1mM、約1.0~約1.2mM、約1.0~約1.3mM、約1.0~約1.4mM、約1.0~約1.5mM、約1.0~約1.6mM、約1.0~約1.7mM、約1.0~約1.8mM、約1.1~約1.2mM、約1.1~約1.3mM、約1.1~約1.4mM、約1.1~約1.5mM、約1.1~約1.6mM、約1.1~約1.7mM、約1.1~約1.8mM、約1.2~約1.3mM、約1.2~約1.4mM、約1.2~約1.5mM、約1.2~約1.6mM、約1.2~約1.7mM、約1.2~約1.8mM、約1.3~約1.4mM、約1.3~約1.5mM、約1.3~約1.6mM、約1.3~約1.7mM、約1.3~約1.8mM、約1.4~約1.5mM、約1.4~約1.6mM、約1.4~約1.7mM、約1.4~約1.8mM、約1.5~約1.6mM、約1.5~約1.7mM、約1.5~約1.8mM、約1.6~約1.7mM、約1.6~約1.8mM、または約1.7~約1.8mMである。
【0222】
いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.8mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.9mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.1mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.2mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.8mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.8mM~約0.9mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.9mM~約1.0mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mM~約1.1mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.1mM~約1.2mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.2mM~約1.3mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.3mM~約1.4mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.4mM~約1.5mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.5mM~約1.6mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.7mM~約1.8mMである。
【0223】
いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、約0.6mM、約0.7mM、約0.8mM、約0.9mM、約1.0mM、約1.1mM、約1.2mM、約1.3mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.6mM、約1.7mM、約1.8mM、約1.9mM、または約2.0mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.6mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.7mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.9mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.1mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.2mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.3mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.4mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.5mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.6mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.7mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.8mMである。
【0224】
II.A.6.サイトカイン
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はサイトカインを含む。いくつかの態様では、培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は等張性である。いくつかの態様では、培地は高張性である。いくつかの態様では、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はIL-2を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はIL-2及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はIL2とIL21とIL15とを含む。いくつかの態様では、サイトカインはPCSに結び付けられる、または関連付けられる。
【0225】
サイトカインは任意の時点で培地に加えることができる。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞が培地に加えられる前に、サイトカインが培地に加えられる。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞を操作する前に、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする構築物で形質導入する前に(i)本明細書に開示されている濃度でのカリウムと(ii)サイトカインとを含む培地にてPCSに接触させ、培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞を操作している最中に、例えば、リガンド結合タンパク質で形質導入している最中に(i)本明細書に開示されている濃度でのカリウムと(ii)サイトカインとを含む培地にてPCSに接触させ、培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞を操作した後で、例えば、ポリペプチドリガンド結合タンパク質をコードする構築物で形質導入した後で(i)本明細書に開示されている濃度でのカリウムと(ii)サイトカインとを含む培地にてPCSに接触させ、培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞増殖の全体を通して(i)本明細書に開示されている濃度でのカリウムと(ii)サイトカインとを含む培地にてPCSに接触させ、培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞操作及び細胞増殖の全体を通して(i)本明細書に開示されている濃度でのカリウムと(ii)サイトカインとを含む培地にてPCSに接触させ、培養される。
【0226】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)約40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7及びIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7及びIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7及びIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-7及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-7及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-7及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-15及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-15及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-15及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は等張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はさらにNaClを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。
【0227】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は約50IU/mL~約500IU/mLの間のIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLのIL-2を含む。
【0228】
したがって、いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約50IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約60IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約80IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約90IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約100IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約125IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約150IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約175IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約200IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約225IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約250IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約275IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約300IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約350IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約400IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約450IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約500IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びIL-2を含む代謝再プログラム化培地はさらに、約115nM未満の濃度でNaClを含む。
【0229】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLのIL-2を含む。
【0230】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約2ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約4ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約6ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約16ng/mL、少なくとも約17ng/mL、少なくとも約18ng/mL、少なくとも約19ng/mL、または少なくとも約20ng/mLIL-2を含む。いくつかの態様では、培地は少なくとも約1.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約2.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約3.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約4.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約6.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約7.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約8.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約9.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-2を含む。
【0231】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約50ng/mL~約600ng/mL、約50ng/mL~約500ng/mL、約50ng/mL~約450ng/mL、約50ng/mL~約400ng/mL、約50ng/mL~約350ng/mL、約50ng/mL~約300ng/mL、約100ng/mL~約600ng/mL、約100ng/mL~約500ng/mL、約100ng/mL~約450ng/mL、約100ng/mL~約400ng/mL、約100ng/mL~約350ng/mL、約100ng/mL~約300ng/mL、約200ng/mL~約500ng/mL、約200ng/mL~約450ng/mL、約200ng/mL~約400ng/mL、約200ng/mL~約350ng/mL、約200ng/mL~約300ng/mL、約250ng/mL~約350ng/mL、約300ng/mL~約600ng/mL、約300ng/mL~約500ng/mL、約300ng/mL~約450ng/mL、約300ng/mL~約400ng/mL、約300ng/mL~約350ng/mL、約250ng/mL~約300ng/mL、または約275ng/mL~約325ng/mLのIL-2を含む。
【0232】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約50ng/mL、少なくとも約60ng/mL、少なくとも約70ng/mL、少なくとも約80ng/mL、少なくとも約90ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約110ng/mL、少なくとも約120ng/mL、少なくとも約130ng/mL、少なくとも約140ng/mL、少なくとも約150ng/mL、少なくとも約160ng/mL、少なくとも約170ng/mL、少なくとも約180ng/mL、少なくとも約190ng/mL、少なくとも約200ng/mL、少なくとも約210ng/mL、少なくとも約220ng/mL、少なくとも約230ng/mL、少なくとも約240ng/mL、少なくとも約250ng/mL、少なくとも約260ng/mL、少なくとも約270ng/mL、少なくとも約280ng/mL、少なくとも約290ng/mL、少なくとも約300ng/mL、少なくとも約310ng/mL、少なくとも約320ng/mL、少なくとも約330ng/mL、少なくとも約340ng/mL、少なくとも約350ng/mL、少なくとも約360ng/mL、少なくとも約370ng/mL、少なくとも約380ng/mL、少なくとも約390ng/mL、少なくとも約400ng/mL、少なくとも約410ng/mL、少なくとも約420ng/mL、少なくとも約430ng/mL、少なくとも約440ng/mL、少なくとも約450ng/mL、少なくとも約460ng/mL、少なくとも約470ng/mL、少なくとも約480ng/mL、少なくとも約490ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約510ng/mL、少なくとも約520ng/mL、少なくとも約530ng/mL、少なくとも約540ng/mL、少なくとも約550ng/mL、少なくとも約560ng/mL、少なくとも約570ng/mL、少なくとも約580ng/mL、少なくとも約590ng/mL、または少なくとも約600ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約50ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約60ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約70ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約73.6ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約75ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約80ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約90ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約100ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約200ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約300ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約400ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約500ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約600ng/mLのIL-2を含む。
【0233】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は約50IU/mL~約500IU/mLの間のIL-21を含む。いくつかの態様では、培養培地は、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLのIL-21を含む。
【0234】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約50IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約60IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約80IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約90IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約100IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約125IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約150IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約175IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約200IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約225IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約250IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約275IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約300IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約350IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約400IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約450IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約500IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びIL-21を含む代謝再プログラム化培地はさらに、約115nM未満の濃度でNaClを含む。
【0235】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLのIL-21を含む。
【0236】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約2ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約4ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約6ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約16ng/mL、少なくとも約17ng/mL、少なくとも約18ng/mL、少なくとも約19ng/mL、または少なくとも約20ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約2.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約3.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約4.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約6.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約7.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約8.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約9.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約15ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約20ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約25ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約30ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約35ng/mLのIL-21を含む。
【0237】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は約500IU/mL~約1,500IU/mLの間のIL-7を含む。いくつかの態様では、培養培地は約500IU/mL、約550IU/mL、約600IU/mL、約650IU/mL、約700IU/mL、約750IU/mL、約800IU/mL、約850IU/mL、約900IU/mL、約950IU/mL、約1,000IU/mL、約1,050IU/mL、約1,100IU/mL、約1,150IU/mL、約1,200IU/mL、約1,250IU/mL、約1,300IU/mL、約1,350IU/mL、約1,400IU/mL、約1,450IU/mL、または約1,500IU/mLのIL-7を含む。
【0238】
いくつかの態様では、本開示のために有用な代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約500IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約550IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約600IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約650IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約700IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約750IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約800IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約850IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約900IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約950IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,000IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,050IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,100IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,150IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,200IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,250IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,300IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,350IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,400IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,450IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,500IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びIL-7を含む代謝再プログラム化培地はさらに、約115nM未満の濃度でNaClを含む。
【0239】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLのIL-7を含む。
【0240】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約2ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約4ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約6ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約16ng/mL、少なくとも約17ng/mL、少なくとも約18ng/mL、少なくとも約19ng/mL、または少なくとも約20ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約2.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約3.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約4.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約6.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約7.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約8.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約9.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-7を含む。
【0241】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は約50IU/mL~約500IU/mLの間のIL-15を含む。いくつかの態様では、培養培地は約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLのIL-15を含む。
【0242】
したがって、いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約50IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約60IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約80IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約90IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約100IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約125IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約150IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約175IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約200IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約225IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約250IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約275IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約300IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約350IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約400IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約450IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約500IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びIL-15を含む代謝再プログラム化培地はさらに、約115nM未満の濃度でNaClを含む。
【0243】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLのIL-15を含む。
【0244】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約0.2ng/mL、少なくとも約0.3ng/mL、少なくとも約0.4ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少なくとも約0.6ng/mL、少なくとも約0.7ng/mL、少なくとも約0.8ng/mL、少なくとも約0.9ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約2ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約4ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約6ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約16ng/mL、少なくとも約17ng/mL、少なくとも約18ng/mL、少なくとも約19ng/mL、または少なくとも約20ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約2.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約3.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約4.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約6.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約7.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約8.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約9.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はさらにNaClを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。
【0245】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約30mM~少なくとも約100mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、40mMを超えるカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約45mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約50mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約55mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約60mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約65mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約70mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約75mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約80mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約85mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約90mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約70mMのカリウムイオンと、(ii)約60mMのNaClと、(iii)約1.4mMのカルシウムと、(iv)約16mMのグルコースと、(v)約300ng/mLのIL-2と、(vi)約0.4ng/mLのIL-15とを含む。
【0246】
II.A.7.基本培地
いくつかの態様では、基本培地は、平衡塩類溶液(例えば、PBS、DPBS、HBSS、EBSS)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、基本培地イーグル(BME)、F-10、F-12、RPMI1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、M199、OPTMIZER(商標)CTS(商標)T細胞増殖基本培地(ThermoFisher)、OPTMIZER(商標)完全、ImMUNOCULT(商標)XF(STEMCELL(商標)Technologies)、IMMUNOCULT(商標)、AIM V、TEXMACS(商標)培地、PRIME-XV(登録商標)T細胞CDM、X-VIVOTM 15(Lonza)、TRANSACT(商標)TIL増殖培地、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、基本培地はPRIME-XV T細胞CDMを含む。いくつかの態様では、基本培地はOPTMIZER(商標)を含む。いくつかの態様では、基本培地はOPTMIZER(商標)Proを含む。いくつかの態様では、基本培地は無血清である。いくつかの態様では、基本培地はさらに免疫細胞血清置換(ICSR)を含む。例えば、いくつかの態様では、基礎培地は、ICSRが補充されたOPTMIZER(商標)完全、ICSRが補充されたAIMV、ICSRが補充されたIMMUNOCULT(商標)XF、ICSRが補充されたRPMI、ICSRが補充されたTEXMACS(商標)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。特定の態様では、基本培地はOPTMIZER(商標)完全を含む。
【0247】
いくつかの態様では、培地、例えば、MRMはさらに、約2.5%の血清補足剤(CTS(商標)Immune Cell SR,Thermo Fisher)、2mMのL-グルタミン、2mMのL-glutamax、MEM非必須アミノ酸溶液、Pen-strep、20μg/mLのfungin(商標)、ピルビン酸ナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、培地はさらに、O-アセチル-L-カルニチン塩酸塩を含む。いくつかの態様では、培地はさらに、キナーゼ阻害剤を含む。
【0248】
いくつかの態様では、培地はさらに、CD3アゴニストを含む。いくつかの態様では、CD3アゴニストは抗CD3抗体である。いくつかの態様では、抗CD3抗体はOKT-3を含む。
【0249】
いくつかの態様では、培地はさらに、CD28アゴニストを含む。いくつかの態様では、CD28アゴニストは抗CD28抗体である。いくつかの態様では、培地はさらに、CD27リガンド(CD27L)を含む。いくつかの態様では、培地はさらに、4-1BBリガンド(4-1BBL)を含む。
【0250】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書で開示されている培地を含む細胞培養物、本明細書で開示されている培地を含む細胞バッグ、または本明細書で開示されている培地を含む生物反応器を含む。
【0251】
II.B.プログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)
いくつかの態様では、本明細書に記載されている方法は、本明細書に記載されているように、代謝再プログラミング培地(MRM)にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)にヒト免疫細胞を接触させることを含む。プログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場(PCS)の非限定的な例はWO2018/013797及びChung et al.(Nature Biotechnology,36(2):160-169(2018)に記載されており、その内容は参照によって組み込まれている。いくつかの態様では、本開示のプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場は、高表面積のメソ多孔性シリカマイクロロッド(MSR)を含む第1の層と、前記第1層をコーティングする脂質を含む第2の層と、足場上に担持された複数の機能性分子とを含む。いくつかの態様では、足場は生分解性である。
【0252】
本明細書に記載されている足場は、抗原提示細胞(APC)に一般に関連付けられている機能を模倣することができ、これによって、足場は、標的細胞に対して種々の機能を引き出す、例えばT細胞のエフェクター機能を引き出すことが可能になる。本明細書で企図されているように、足場は、標的細胞(例えば、T細胞)に存在する細胞表面分子と足場によって提示される種々の機能性分子との間の直接的または間接的な相互作用を介してこれらの効果に介在する。いくつかの態様では、足場は、足場自体の物理的または化学的特性を介して、標的細胞(例えば、T細胞)の生存、標的細胞(例えば、T細胞)の増殖、及び/または標的細胞(例えば、T細胞)の機能を調節する。
【0253】
いくつかの態様では、足場組成物は1以上の表面キュー及び/または可溶性キュー(例えば、細胞シグナル伝達分子)を含むように改変される。いくつかの態様では、表面キュー及び/または可溶性キューは種々のエフェクター機能に介在するように作用する。表面キュー及び/または可溶性キューが影響を及ぼすことができるエフェクター機能の非限定的な例には、標的細胞の活性化、分裂、分化の促進、成長、増殖、生き残り、収量の増加、再プログラム化、アネルギー、静止状態、老化、アポトーシス、死、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、1以上の表面キュー及び/または可溶性キューは「幹細胞性」を高めるように作用する。いくつかの態様では、本明細書に記載されている培地にて本明細書に記載されているPCSと接触した細胞、例えば、免疫細胞は、他の基材プラットフォーム、例えば、磁気ビーズ、例えば、DYNABEADS(商標)、または市販の粒子、例えば、TRANSACT(商標)(Miltenyi Biotech)と接触した細胞、例えば、免疫細胞と比べて優れた増殖及び機能を示す。
【0254】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている方法は、代謝再プログラム化培地にてヒト免疫細胞をPCSに接触させること、及びさらに、免疫細胞を1以上の刺激分子、サイトカイン及び/または他の補因子に接触させることを含む。いくつかの態様では、1以上の刺激分子、サイトカイン及び/または他の補因子は培地に存在する。いくつかの態様では、1以上の刺激分子、サイトカイン及び/または他の補因子は足場に存在する。いくつかの態様では、足場に浸潤している非標的化細胞(例えば、T細胞以外の細胞)は陰性選択の薬剤、キューを使用して、または受動的な非刺激を介して拒絶される、または取り除かれる。
【0255】
PCSの構成成分
いくつかの態様では、足場の特定の構成成分が調節される。足場組成物の透過性は、さらに大きなまたはさらに小さな孔サイズ、密度、ポリマー架橋、剛性、強靭性、延性、または弾性について材料を選択する、または操作することによって調節することができる。足場組成物は、標的を絞った細胞がそれを介して足場と相互作用する及び/または足場の特定に区画または領域に移動する物理的なチャネルまたはパスを含有することができる。必要に応じて、区画化を円滑にするために、足場組成物は任意で、それぞれ透過性が異なる区画または層に構造化することができるので、細胞の特定の亜集団のみにアクセスできるように細胞を選別する、または濾別することができる。足場における標的細胞集団の隔離も、分解、脱水、再水和、酸化、化学変化、pHの変化、足場組成物の進行中の自己構築、またはそれらの任意の組み合わせによって調節することができる。さらに、足場の機能性分子はタイプや相対存在量で変化して所望の細胞との特定の相互作用を引き出すことができる。
【0256】
いくつかの態様では、PCSは(i)高表面積のメソ多孔性シリカマイクロロッド(MSR)を含む基層;(ii)MSR基層上に積層された連続性の流体支持脂質二重層(SLB);(iii)足場上に担持された複数の表面キュー、及び/または(iv)足場上に担持された複数の可溶性キューを含む。
【0257】
II.B.1.メソ多孔性シリカ
いくつかの態様では、足場はメソ多孔性シリカを含む。メソ多孔性シリカは六方最密の円筒形状の均一な孔を持つ多孔体である。いくつかの態様では、メソ多孔性シリカは、酸性または塩基性の触媒の存在下で水またはアルコールに、例えば、アルコキシシラン、ケイ酸ナトリウム溶液、カネマイト、シリカ微粒子のようなシリカ供給源を溶解し、加水分解することによって水中で形成される、界面活性剤のロッド様ミセルを鋳型として使用することによって合成される。それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許公開第2015-0072009号及びHoffmann et al.,Angewandte Chemie International Edition,45,3216-3251,2006を参照のこと。カチオン性、アニオン性及び非イオン性の界面活性剤を含むが、これらに限定されない多数の種類の界面活性剤をメソ多孔性シリカの合成に使用することができる。いくつかの態様では、界面活性剤はカチオン性界面活性剤のアルキルトリメチルアンモニウム塩である。カチオン性界面活性剤のアルキルトリメチルアンモニウム塩によって高い比表面積及び孔容量を有するメソ多孔性シリカを得ることができる。それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許公開第2013/0052117号及びKatiyar et al.(Journal of Chromatography,1122(1-2):13-20)を参照のこと。「メソスケール」、「メソ孔」、「メソ多孔性」などという用語は本明細書で使用されるとき、約1nm~約60nmの範囲の形状を有する構造を指す。いくつかの態様では、メソ多孔性物質は約1nm~約50nmの範囲の直径を有する孔を含む。いくつかの態様では、メソ多孔性物質は約5nm~約60nmの範囲の直径を有する孔を含む。いくつかの態様では、メソ多孔性物質は約2nm~約50nmの範囲の直径を有する孔を含む。いくつかの態様では、孔は秩序正しく分布する。いくつかの態様では、孔は無作為に分布する。
【0258】
本開示の足場で使用されるメソ多孔性シリカは種々の形態で提供され得る。いくつかの態様では、足場は、ミクロスフェア、不規則な粒子、四角形ロッド、丸いナノロッド、及びそれらの任意の組み合わせから選択される形態で提供される。いくつかの態様では、足場は構造化されたロッド形状の形態(MSR)として提供される。粒子は所定の形状を有することができる。いくつかの態様では、粒子は球状の形状を有する。いくつかの態様では、粒子は楕円体の形状を有する。いくつかの態様では、粒子はロッド様の形状を有する。いくつかの態様では、粒子は湾曲した円筒の形状を有する。マイクロロッドを生成するためにメソ多孔性シリカを構築する方法の非限定的な例は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるWang et al,Journal of Nanoparticle Research,15:1501,2013に見いだすことができる。いくつかの態様では、メソ多孔性シリカのナノ粒子は、オルソケイ酸テトラエチルをミセルのロッドで出来た鋳型と反応させることによって合成される。鋳型はその後、適切なpHに合わせた溶媒で洗浄することによって取り除くことができる。この例では、界面活性剤鋳型を取り除いたのち、例えば、約600m2/g~約1200m2/g、詳しくは約800m2/g~約1000m2/g及び特に約850m2/g~約950m2/gの比表面積を持つ、均一で秩序のある連結メソ多孔性を特徴とする親水性シリカナノ粒子が調製される。いくつかの態様では、メソ多孔性粒子は単純なゾルゲル法または噴霧乾燥法を使用して合成される。追加のポリマー単量体(例えば、鋳型として)とともにオルソケイ酸テトラエチルを使用することもできる。いくつかの態様では、1以上のテトラアルコキシ-シラン及び1以上の(3-シアノプロピル)トリアルコキシ-シランを共縮合してロッドとしてメソ多孔性ケイ酸粒子を提供する。それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許公開第2013-0145488号、同第2012-0264599号及び同第2012-0256336号を参照のこと。
【0259】
MSRは、1~60nmの間の直径の孔、例えば、2~5nm、10~20nm、10~30nm、10~40nm、20~30nm、30~50nm、30~40nm、40~50nm、50~60nmの間の孔を含むことができる。いくつかの態様では、マイクロロッドは直径およそ1nm、2nm、3nm、4nm、5nm、6nm、7nm、8nm、9nm、10nm、11nm、12nm、13nm、14nm、15nm以上の孔を含む。孔サイズは用途の種類に応じて変えることができる。
【0260】
いくつかの態様では、MSRの長さは約5μm~約500μmに及ぶマイクロメートルの範囲にある。いくつかの態様では、マイクロロッドは、約5~50μm、例えば、約10~20μm、約10~30μm、約10~40μm、約20~30μm、約30~50μm、約30~40μm、または約40~50μmの長さを含む。いくつかの態様では、MSRは、約50μm~約250μm、例えば、約60μm、約70μm、約80μm、約90μm、約100μm、約120μm、約150μm、約180μm、約200μm、約225μm以上の長さを含む。細胞の動員については、50μm~200μmの長さ、具体的には80μm~120μmの長さ、特に約100μm以上の長さを含むロッドを持つ、アスペクト比が高いMSR組成物を採用することができる。
【0261】
いくつかの態様では、MSRの幅は約0.1μm~約100μmに及ぶマイクロメートルの範囲にある。いくつかの態様では、マイクロロッドは約0.1~75μm、例えば、約1~55μm、約1~50μm、約2~50μm、約1~40μmの幅を含む。いくつかの態様では、MSRは約1.0μm、約2μm、約5μm、約10μm、約15μm、約20μm、約25μm、約30μm、約35μm、約40μm、約45μm、約50μm、約55μm以上の幅を含む。
【0262】
いくつかの態様では、MSRは標的細胞、例えば、T細胞への連結及び/または結合のために高い表面積を提供する。高表面積のメソ多孔性ケイ酸を得る非限定的な方法は、例えば、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第8,883,308号及び米国特許公開第2011-0253643号に見いだすことができる。いくつかの態様では、高表面積はナノ粒子の繊維性の形態によるものであり、それによって表面上に高い濃度で高度に分散され、容易にアクセスできる部分を得ることが可能になる。いくつかの態様では、MSRは少なくとも約100m2/g、少なくとも150m2/g、少なくとも約200m2/g、少なくとも約250m2/gまたは少なくとも300m2/gの表面積を有する。いくつかの態様では、MSRは、その間の値すべてまたはその間の部分範囲を含めて約100m2/g~約1500m2/g、例えば、50m2/g、100m2/g、200m2/g、300m2/g、400m2/g、500m2/g、600m2/g、700m2/g、800m2/g、100~500m2/g、100~300m2/g、500~800m2/g、100~700m2/g、200~600m2/g、500~1000m2/gまたは500~1500m2/gの表面積を有する。
【0263】
いくつかの態様では、MSRは、足場が抗原提示を持続し、免疫細胞を引き付け、操作するように十分に多孔性である。いくつかの態様では、足場は多孔性物質を含有し、その際、孔は少なくとも10nmの直径を有する。いくつかの態様では、孔は少なくとも500μmの直径を有する。いくつかの態様では、孔は10nm~500μmの直径を有する。いくつかの態様では、孔は100nm~100μmの直径を有する。これらの態様では、足場はメソ多孔性の足場を含む。いくつかの態様では、足場は多孔性のマトリックスを含有し、その際、孔は足場に浸潤している細胞集団と同じくらいの大きさである、またはそれより大きい。所望の孔サイズ及び孔整列を有するポリマーマトリックスを作製する方法の非限定的な例は、例えば、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許公開第2011/0020216号及び米国特許第6,511,650号に記載されている。
【0264】
II.B.2.脂質
本開示の足場は前記第1の層をコーティングする脂質を含む第2の層を含む。「脂質」という用語は一般に、水に不溶性であるという共通する特性を有し、クロロホルム及びエーテルのような極性が低い有機溶媒によって細胞から抽出することができる生物系に関連する物質の不均一な群を意味する。いくつかの態様では、「脂質」は、好ましくは10~30の炭素単位を含有する、具体的には14~23の炭素単位を含有する、特に16~18の炭素単位を含有する脂肪酸の長鎖を含む任意の物質を指す。
【0265】
いくつかの態様では、脂質を含む層は単層として提供される。いくつかの態様では、脂質を含む層は二重層として提供される。好ましくは、脂質二重層は個々の脂質分子が二重層内で拡散することができる流体である。膜脂質分子は好ましくは両親媒性である。
【0266】
いくつかの態様では、脂質を含む層は、例えば、細胞の原形質膜のような天然の生物膜に見いだされるものに類似する1以上の連続二重層を含む。いくつかの態様では、脂質を含む層は支持された二重層の形態で提供される。いくつかの態様では、脂質を含む層は連続性の流体で支持されたリポソームである。いくつかの態様では、脂質を含む層は連続性の流体で支持された脂質二重層である。本明細書で使用されるとき、支持された二重層は固体支持体上に置かれた平面構造である。そのような配置では、支持された二重層の上面は露出される一方で、支持された二重層の内面は支持体に接触する。本開示の足場は一般に安定であり、高い流量または振動にさらされても大部分インタクトのままである。本開示の足場の脂質を含む層は、化学的な部分及び/または生物学的な部分による改変、誘導体化及び/または化学結合に適している。
【0267】
いくつかの態様では、本開示の足場の脂質を含む層はMSR層に不動化される。共有結合性相互作用及び非共有結合性相互作用を含むが、これらに限定されない任意の方法を使用して脂質層をMSRに不動化することができる。いくつかの態様では、脂質を含む層はMSR層に吸着される。いくつかの態様では、脂質を含む層は1以上の共有結合性相互作用を介してMSRに連結される、またはつながれる。脂質をケイ酸エステルに連結する方法の非限定的な例には、例えば、足場材料にて物質を捕捉するための相変化を使用する表面吸収及び物理的不動化が挙げられる。いくつかの態様では、脂質を含む層はMSR層に積層される。例えば、脂質フィルム(例えば、クロロホルムにて77.5:20:2.5のモル比でDPPC/コレステロール/DSPE-PEGの溶液を含有する)をMSR層上に配置することができ、回転エバポレーターを使用して溶媒を蒸発させる。Meng et al,ACS Nano,9(4),3540-3557,2015を参照のこと。いくつかの態様では、脂質二重層は、例えば、約100nmの孔サイズのフィルターを介した水和脂質フィルムの押し出しによって調製される。フィルターを通した脂質フィルムを次いで、例えば、ピペット混合によって多孔性の粒子コアに融合することができる。
【0268】
いくつかの態様では、アルキル化剤またはアシル化剤を介した共有結合を使用してMSR層上に脂質を含む層の安定な、構造化された且つ長期の保持を提供する。いくつかの態様では、脂質二重層は可逆的にまたは不可逆的にMSR層に不動化される。例えば、MSR層は親水性であることができ、例えば、水酸化アンモニウム及び過酸化水素でさらに処理してさらに親水性の表面を提供することができる。例えば、任意のカップリング法を使用して、脂質二重層を多孔性MSR層に融合して本開示の足場を形成することができる。
【0269】
いくつかの態様では、脂質を含む層はリン脂質を含む。そのような脂質の代表例には、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第9,066,867号及び同第8,3676,28号に記載されている両性リポソームが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、脂質を含む層はジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、パルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイル-ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、ジミリストイル-ホスファチジルエタノールアミン(DMPE)、ジパルミトイル-ホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、1-ステアロイル-2-ミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(8:0-14:0PC)及びそれらの任意の組み合わせから選択される脂質を含む。いくつかの態様では、脂質を含む層はパルミトイル-オレオイルホスファチジルコリン(POPC)を含む。いくつかの態様では、脂質を含む層は哺乳類の細胞膜(例えば、ヒト細胞の原形質膜)の脂質組成を模倣する脂質組成を含む。多数の哺乳類の細胞膜の脂質組成は当業者によって特徴づけられており、容易に確かめられる(例えば、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるEssaid et al.Biochim.Biophys.Acta,1858(11):2725-36(2016)を参照のこと)。脂質を含む層の組成を変化させて脂質二重層の電荷または流動性を改変することができる。いくつかの態様では、脂質を含む層はコレステロールを含む。いくつかの態様では、脂質を含む層はスフィンゴ脂質を含む。いくつかの態様では、脂質を含む層はリン脂質を含む。いくつかの態様では、脂質は6~20の炭素を含む飽和または不飽和の尾部を持つホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスホイノシチド、ホスホスフィンゴ脂質、またはそれらの組み合わせである。いくつかの態様では、脂質はDIYNE PC脂質である。いくつかの態様では、脂質を含む層は脂質種の液体秩序ドメインへの自然の分配に有利に働く脂質組成を含む(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるWang T-Y.et al.Biochemistry,40(43):1303,1-40(2001)を参照のこと)。
【0270】
いくつかの態様では、脂質を含む層は、例えば、イオン性または非イオン性の界面活性剤のような化合物によって安定化される。本明細書に開示されている組成物で有用な界面活性剤の非限定的な例には、合成のリン脂質、その水素化した誘導体及び混合物;スフィンゴ脂質及びグリコスフィンゴ脂質;飽和または不飽和の脂肪酸;脂肪アルコール;ポリオキシンエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー;エトキシ化脂肪酸と同様にそのエステルまたはエーテル;ジミリストイルホスファチジルコリン;ジミリストイルホスファチジルグリセロール;またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、界面活性剤はジミリストイルホスファチジルグリセロールを含む。
【0271】
いくつかの態様では、いったん細胞に接触すると、本開示の足場は少なくとも1日、少なくとも2日間、少なくとも3日間、少なくとも4日間、少なくとも5日間、少なくとも6日間、少なくとも7日間、少なくとも8日間、少なくとも9日間、少なくとも10、少なくとも11日間、少なくとも12日間、少なくとも13日間、少なくとも14日間、少なくとも15日間、少なくとも16日間、少なくとも17日間、少なくとも18日間、少なくとも19日間、少なくとも20日間、少なくとも21日間、少なくとも25日間、少なくとも30日間、少なくとも35日間、少なくとも40日間、少なくとも50日間、またはそれ以上、連続性の流体構造を保持する。
【0272】
II.B.3.生分解性の足場
いくつかの態様では、本開示の足場は生分解性である。いくつかの態様では、足場構造は生物学的環境にさらされると実質的に分解する。いくつかの態様では、生物学的環境は組織培養条件、例えば、T細胞のようなリンパ球を培養するように任意で適応している組織培養培地を含む。いくつかの態様では、生物学的環境は生物学的な流体、例えば、血液、リンパ、CSF、腹水などを含む。いくつかの態様では、生物学的環境は移植の部位での組織環境、例えば、血管、リンパ系、脂肪組織などである。
【0273】
いくつかの態様では、生分解性の足場は生体内での生物学的環境との接触に続いて1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、20日、30日、45日、60日、90日、またはそれ以上にわたって実質的に分解される。いくつかの態様では、生分解性の足場は生体内での生物学的環境に接触した後、1週間未満で実質的に分解される。いくつかの態様では、生分解性の足場は生体内での生物学的環境に接触した後、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、20日、30日、45日、60日、90日、またはそれ以上にわたって実質的に分解される。いくつかの態様では、生分解性の足場は試験管内での生物学的環境に接触した後、1週間未満で実質的に分解される。本明細書で使用されるとき、「実質的な分解」は足場組成物が生物学的環境に接触した場合に足場組成物の少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも90%、少なくとも95%、またはそれ以上が分解されることを意味する。
【0274】
したがって、いくつかの態様では、メソ多孔性シリカロッドの特性、例えば、サイズ、配置及び/または多孔性を改変することによって足場組成物の分解動態を目的に合わせることが有利である。あるいは、培養条件を変えることによって(例えば、培地のpHを調整することによって)足場組成物の分解動態を改変することができる。
【0275】
前述の態様によれば、本開示の足場は、任意で生分解性である複数の機能性分子を含むことができる。いくつかの態様では、本開示の足場は他の生分解性の足場に封入される。そのような複合生分解性足場組成物を作製するのに有用な試薬及び技法の非限定的な例は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるLiao et al,J.Biomed.Mater.Res.B.Appl.Biomater.,102(2):293-302,2014に記載されている。いくつかの態様では、足場は生理学的に適合性であり、任意で生分解性のポリマーから作られる。足場にて採用できるポリマーの非限定的な例は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第6,642,363号、米国特許公開第2011/0020216号、Martinsen et al.,Biotech.& Bioeng.,33(1989)79-89),(Matthew et al.Biomateriah,16(1995)265-274),Atala et al.,J.Urology,152(1994)641-643),及びSmidsrod,TIBTECH,8(1990)71-78)に記載されている。
【0276】
本明細書に記載されている態様はさらに、任意で1以上の追加の薬剤とともに1以上の機能性分子、例えば、表面キュー及び可溶性キューを伴うプログラム可能な細胞シグナル伝達の足場に関する。いくつかの態様では、本開示は足場とその中でクラスター化したT細胞とを含む組成物を提供する。いくつかの態様では、組成物及び/または足場には目的の細胞を選択する、培養する、増殖させる、持続させる及び/または移植するための1以上の試薬が提供される。
【0277】
II.B.4.機能性分子
いくつかの態様では、足場は1以上の機能性分子を含む。いくつかの態様では、機能性分子は細胞、例えば、T細胞と相互作用して相互作用を引き起こし、及び/または反応を誘発する、もしくは阻害する。いくつかの態様では、機能性分子は表面キューである。いくつかの態様では、機能性分子は可溶性キューである。いくつかの態様では、足場は少なくとも1つの表面キューを含む。いくつかの態様では、足場は少なくとも1つの可溶性キューを含む。いくつかの態様では、足場は少なくとも1つの表面キュー及び少なくとも1つの可溶性キューを含む。
【0278】
そのような機能性分子の非限定的な例には、ポリペプチド、抗原、抗体、DNA、RNA、炭水化物、ハプテン、他の小分子、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、本開示の機能性分子はポリペプチド(本明細書ではタンパク質及びペプチドと相互交換可能に使用される)を含む。
【0279】
II.B.5.表面キュー
いくつかの態様では、足場は1以上の表面キューを含む。本明細書で使用されるとき、「表面キュー」は細胞表面の受容体に結合することができる分子を指す。いくつかの態様では、表面キューは足場構造の脂質を含む層に接触する、またはそれに結合する。いくつかの態様では、表面キューは細胞、例えば、T細胞の標的集団の1以上の生物活性の直接的な、間接的なまたは半直接的な調節に介在する。いくつかの態様では、表面キューはT細胞の直接的な活性化に介在する。いくつかの態様では、表面キューは標的T細胞上の細胞表面受容体への結合を介してT細胞を直接活性化する。いくつかの態様では、表面キューはT細胞への活性化シグナルである刺激分子を含む。本明細書で使用されるとき、T細胞「刺激分子」は、1以上のT細胞活性を高める、T細胞による1以上のサイトカインの発現を高める、T細胞による細胞傷害性を高める、T細胞の増殖を増やす、T細胞死を減らす、またはそれらの任意の組み合わせである任意の薬剤を指す。いくつかの態様では、表面キューは共刺激分子を含む。
【0280】
いくつかの態様では、本開示の足場の表面キューは抗体またはその抗原結合部分である。「抗体」という用語は本明細書で使用されるとき、1以上のポリペプチド鎖を含む任意の免疫グロブリン(Ig)分子を広く指す。いくつかの態様では、抗体は、Ig分子の必須のエピトープ結合特性を保持する2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖、またはその任意の機能性断片、突然変異型、変形または派生物を含む。本明細書で使用されるとき、「抗体断片」は抗原のエピトープに結合することができる抗体の一部を指す。抗体の「抗原結合部分」という用語は本明細書で使用されるとき、抗原の認識及び/または抗原への結合を促進する抗体の1以上の部分を指す。
【0281】
本開示の範囲内の抗原結合部分の非限定的な例には、(i)Fab断片、VL、VH、CL及びCHIドメインから成る1価断片、(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む2価断片、(iii)VH及びCHIドメインから成るFd断片、(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインから成るFv断片、(v)dAb断片;ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。いくつかの態様では、抗体は、VHH抗体、vNAR抗体、IgNAR抗体、ラクダ科抗体、ダイアボディ、モノボディ、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0282】
本開示の表面キューのいくつかの態様では、抗体は、単一特異性、二重特異性、二重特異性、または多重特異性の形式であり、1または2以上の異なる抗原に特異的に結合する。
【0283】
いくつかの態様では、表面キューには、T細胞を活性化する刺激分子(T細胞活性化分子)が含まれるが、これに限定されない。いくつかの態様では、刺激分子は、T細胞受容体複合体の構成成分と結合する及び/またはクラスター化することによってT細胞を活性化する。いくつかの態様では、刺激分子は抗CD3抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、刺激分子は抗CD2抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、刺激分子は抗CD47抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、刺激分子は抗CD81抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、刺激分子は、抗マクロファージスカベンジャー受容体(MSR1)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、刺激分子は抗T細胞受容体(TCR)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、表面キューは主要組織適合複合体(MHC)分子またはその多量体を含む。いくつかの態様では、主要組織適合複合体(MHC)分子またはその多量体にMHCペプチドが担持される。いくつかの態様では、表面キューはMHC及び免疫グロブリン(Ig)またはその多量体を含有するコンジュゲートを含む。
【0284】
T細胞は、例えば、CD3またはCD3以外の1以上の細胞表面受容体との結合及び/またはライゲーションを介してCD3依存性または非依存性に活性化することができる。このようなCD3非依存性細胞表面分子の代表例には、例えば、CD2、CD47、CD81、MSR1などが挙げられる。T細胞活性化のプロセスは、例えば、Ryan et al、Nature Reviews Immunology,10,7,2010にて特徴づけられており、この文献は参照によってその全体が組み込まれる。
【0285】
いくつかの態様では、本開示の足場で使用される表面キューは抗CD3抗体またはその抗原結合部分である。抗CD3抗体の代表的な例には、ムロモナブ(OKT3)、オテリキシズマブ(TRX4)、テプリズマブ(hOKT3yl(Ala-Ala))、ビシリズマブ、CD3抗原/T細胞抗原受容体(TCR)複合体(HIT3a)内のCD3の17-19kDC鎖を認識する抗体、及びCD3e(UCHT1)内のTCR複合体の20kDaサブユニットを認識する抗体、またはそれらの抗原結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。抗CD3抗体及びその抗原結合部分のさらなる非限定的な例は、米国特許公開番号2014-0088295に記載されており、その全体が本明細書に参照により組み込まれている。
【0286】
いくつかの態様では、本開示の足場で使用される表面キューは抗CD2抗体またはその抗原結合部分を含む。抗CD2抗体の代表的な例には、シプリズマブ(MEDI-507)及びLO-CD2b、またはそれらの抗原結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ATCC受託番号PTA-802(1999年6月22日寄託)を参照のこと。
【0287】
いくつかの態様では、本開示の足場で使用される表面キューは抗CD47抗体またはその抗原結合部分を含む。抗CD47抗体の代表的な例には、モノクローナル抗体Hu5F9-G4、モノクローナル抗体MABL-1、モノクローナル抗体MABL-2(FERM寄託番号BP-6100及びBP-6101)、またはそれらの抗原結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。その開示が参照によって本明細書に組み込まれるWO1999/1 2973を参照のこと。
【0288】
いくつかの態様では、本開示の足場で使用される表面キューは抗CD81抗体またはその抗原結合部分を含む。抗CD81抗体の代表的な例には、モノクローナル抗体5A6またはその抗原結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、その開示が参照によって本明細書に組み込まれるMaecker et al.,BMC Immunol.,4:1,2003を参照のこと。
【0289】
いくつかの態様では、本開示の足場で使用される表面キューは抗MSR1抗体またはその抗原結合部分を含む。抗MSRI抗体の代表的な例には、ラット抗ヒトCD204抗体(Thermoカタログ番号MA5-16494)及びヤギ抗ヒトCD204/MSR1抗体(Bioradカタログ番号AHP563)、またはその抗原結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0290】
いくつかの態様では、本開示の足場で使用される表面キューは抗TCR抗体またはその抗原結合部分を含む。抗TCR抗体の代表的な例には、マウス抗ヒトTCRモノクローナル抗体IMMU510(Immunotech、Beckman Coulter、Fullerton、CA)(Zhou et al,Cell Mol.Immunol.,9(1):34-44,2012に記載)及びα/βTCR WT31を定義するモノクローナル抗体(Gupta et al,Cell Immunol,132(l):26-44、1991に記載)、またはその抗原結合部分が挙げられるが、これらに限定されない。
【0291】
いくつかの態様では、表面キューは二重特異性抗体を含む。いくつかの態様では、二重特異性抗体を使用して、目的の細胞、例えば、がん細胞や病原体を本開示の標的エフェクター細胞、例えば、細胞傷害性T細胞と近接させるので、標的エフェクター細胞のエフェクター機能に目的の細胞が特異的に介在する。いくつかの態様では、表面キューは二重特異性抗体を含み、抗体の一方のアームはT細胞抗原に特異的であり、抗体の他方のアームは腫瘍関連抗原または病原体特異的抗原またはその突然変異型に特異的である。
【0292】
いくつかの態様では、二重特異性抗体は活性化及び共刺激能力にて機能する。いくつかの態様では、二重特異性抗体はCD3及びCD28に特異的に結合する。そのような表面キューは、本明細書では、例えば、「抗CD3/抗CD28」、もしくは「抗CD3×CD28」もしくは「CD3×CD28」二重特異性分子、または他の同様の用語で呼ばれる得る。ヒトCD28タンパク質は、GENBANK受入番号NP_001230006.1、NP_001230007.1、またはNP_006130.1に示されるアミノ酸配列を有する。マウスCD28タンパク質は、GENBANK受入番号NP_031668.3に示されるアミノ酸配列を有する。前述の受入番号に含まれる種々のポリペプチド配列には、対応するmRNA及び遺伝子配列が含まれ、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる。本開示の範囲内で想定される二重特異性抗体の追加の例には、ソリトマブ(CD3×EpCAM)、ブリナツモマブ(CD3×CD19)、MABMT-111(CD3×CEA)、及びBAY-2010112(CD3×PSMA)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0293】
いくつかの態様では、本開示の足場で使用される表面キューはCD3に結合する主要組織適合複合体(MHC)分子を含む。代表的な例には、TCR及びCD8に結合するMHCI型や、TCR及びCD4に結合するMHCII型が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、MHC分子には、HLA-A、HLA-B、HLA-C、DP、DQ、及びDR、またはそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、表面キューはリンカーに結合した2以上のMHC分子を含む。いくつかの態様では、MHC分子は一価である。いくつかの態様では、MHC分子は二価である。
【0294】
いくつかの態様では、MHC分子には特定のペプチド(例えば、ウイルス抗原、細菌抗原、アレルゲン抗原、または腫瘍関連抗原に由来するペプチド)が担持される。
【0295】
いくつかの態様では、表面キューは融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、融合タンパク質はT細胞刺激特性を有する。T細胞刺激特性は、TCRを介して送達されるシグナルに加えて、T細胞に第2のシグナルを送達することを可能にするリンカーを使用することによって構築することができる。これは、T細胞に第2のシグナルを送達することができる別の細胞の細胞表面構造に対する結合親和性を有するリンカーを使用することによって達成することができる。したがって、リンカーはT細胞と他の細胞を橋渡しするのに役立つ。他の細胞をT細胞に近づけることで、他の細胞はT細胞に第2のシグナルを送達することができる。
【0296】
いくつかの態様では、本開示の表面キューは1以上の共刺激分子を含む。本明細書で使用されるとき「共刺激分子」は、免疫細胞(例えば、T細胞)のような細胞に結合して、二次刺激シグナルまたは共刺激シグナルを提供するポリペプチドを指す。共刺激分子には免疫細胞表面受容体/リガンドが含まれ、T細胞と抗原提示細胞との間で係合し、T細胞にて刺激シグナルを発生させ、このシグナルは、T細胞受容体(TCR)が抗原提示細胞上の抗原を認識した結果生じるT細胞の刺激シグナル(すなわち「共刺激」)と結びつく。本明細書で使用されるとき、「APC由来」の共刺激分子の可溶性形態は、B細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、及び他のAPCによって正常に発現される共刺激分子を指す。Huppa et al.,Nature Reviews Immunology.3,973-983(2003)を参照のこと。「T細胞活性化の共刺激因子」は、共刺激リガンドが、前述の機序または経路のいずれかを介して、例えば、CD3依存性またはCD3非依存性のT細胞活性化を介して活性化されているT細胞に結合し、活性化する能力を指す。共刺激活性化は、サイトカインの産生と周知の増殖アッセイ(例えば、CFSE染色)によってT細胞について測定することができる。
【0297】
そのような共刺激分子は、標的の細胞集団の直接的、間接的、または半直接的な刺激に介在することができる。いくつかの態様では、共刺激分子は1以上の表面キューの存在下でT細胞の活性化に介在する。
【0298】
いくつかの態様では、共刺激分子は共刺激受容体に特異的に結合する分子(例えば、組換えリガンド、精製された天然リガンド、またはそれらの誘導体)を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は、1以上の共刺激抗原に特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分を含む。共刺激分子の代表的な例には、CD28、4.IBB(CD137)、OX40(CD134)、CD27(TNFRSF7)、GITR(CD357)、CD30(TNFRSF8)、HVEM(CD270)、LTR(TNFRSF3)、DR3(TNFRSF25)、ICOS(CD278)、CD226(DNAM1)、CRTAM(CD355)、TIM1(HAVCR1、KIM1)、CD2(LFA2、0X34)、SLAM(CD150、SLAMF1)、2B4(CD244、SLAMF4)、Lyl08(NTBA、CD352、SLAMF6)、CD84(SLAMF5)、Ly9(CD229、SLAMF3)、CD279(PD-1)及び/またはCRACC(CD319、BLAME)に特異的に結合する分子が挙げられるが、これらに限定されない。
【0299】
この文脈では、CD28はプロトタイプのT細胞共刺激受容体であり、例えば、樹状細胞や活性化B細胞のようなAPC上に発現されるB7ファミリーの分子に結合する。CD28のリガンドには、免疫グロブリンスーパーファミリーの単量体膜貫通糖タンパク質であるCD80(B7-1)とCD86(B7-2)が挙げられる。
【0300】
いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD28抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗ICOS(CD278)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD152(CTLA4)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD81抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD137抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗OX40(CD134)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD27(TNFRSF7)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗GITR(CD357)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD30(TNFRSF8)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗HVEM(CD270)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗LTpR(TNFRSF3)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗DR3(TNFRSF25)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD226(DNAM1)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CRTAM(CD355)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗TIM1(HAVCR1,KIM1)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗SLAM(CD150,SLAMF1)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗2B4(CD244,SLAMF4)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗Lyl08(NTBA、CD352、SLAMF6)を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD84(SLAMF5)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CD229(Ly9,SLAMF3)抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗PD-1(CD279)を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は抗CRACC(CD319,BLAME)抗体またはその抗原結合部分を含む。共刺激分子の代表例には、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる、例えば、米国特許第8.785,604号;国際公開出願第WO2010/078526号;Maecker et al.,BMC Immunol.,4:1,(2003);Ramakrishna et al.,Journal for ImmunoTherapy of Cancer,3:37,(2015);Cheung et al,J.Immunol,185:1949,(2010);Hobo et al,J.Immunol.189:39,(2012);Reddy et al,J.Virol,86(19)10606-10620,(2012);Wolf et al.,Transplantation,27;94(6):569-74,(2012);Flaig et al.,J.Immunol.172:6524-6527,(2004);及びStark et al.,J.Immunol.Methods,296:149-158,(2005)に言及されているものが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、共刺激分子は、組換えの、または精製された天然のリガンドまたはその誘導体を含む。
【0301】
いくつかの態様では、足場はペアの表面キューを含む。いくつかの態様では、ペアの表面キューはT細胞のような標的細胞に一次刺激シグナル及び共刺激シグナルを提供する。そのようなペアの代表的な例には、CD3/CD28、CD3/ICOS、CD3/CD27、及びCD3/CD137に結合できる抗体、またはそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。
【0302】
いくつかの態様では、足場はCD3に結合する抗体と少なくとも1つの共刺激分子を含む結合ペアを含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの共刺激分子は抗CD28抗体を含む。いくつかの態様では、少なくとも1つの共刺激分子は抗CD28抗体と第2の共刺激分子とを含む。いくつかの態様では、第2の共刺激分子はICOS、CD27、またはCD137に特異的に結合する抗体を含む。いくつかの態様では、足場は、以下の組み合わせ:(a)CD3、CD28、及びICOSに特異的に結合する抗体、(b)CD3、CD28、及びCD27に特異的に結合する抗体、(c)CD3、CD28、及びCD137に特異的に結合する抗体、(d)CD3、CD28、ICOS、及びCD27に特異的に結合する抗体から選択される機能性分子の組み合わせを含む。
【0303】
いくつかの態様では、足場は、少なくとも2つの単一特異性抗体を含む結合ペアを含み、第1の抗体はペアの第1のメンバー、例えば、CD3に結合し、第2の抗体はペアの第2のメンバー、例えば、CD28に結合する。いくつかの態様では、結合ペアはCD3に特異的に結合する抗原結合ドメインと、CD28に特異的に結合する抗原結合ドメインとを含む二重特異性抗体を含む。
【0304】
あるいは、いくつかの態様では、結合ペアは少なくとも2つの単一特異性抗体を含み、第1の抗体はCD3に結合し、第2の抗体はICOSに結合する。いくつかの態様では、結合ペアはICOSに特異的に結合する抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、抗体はICOSを中和する拮抗抗体または抗原結合部分である。
【0305】
いくつかの態様では、結合ペアは少なくとも2つの単一特異性抗体を含み、第1の抗体はCD3に結合し、第2の抗体はCD27に結合する。いくつかの態様では、双方の抗体は刺激抗体である。いくつかの態様では、双方の抗体はアゴニスト抗体である。いくつかの態様では、結合足場は、アゴニスト抗CD3結合ドメインとアゴニストCD27結合ドメインとを含む二重特異性抗体を含む。
【0306】
いくつかの態様では、結合ペアは少なくとも2つの単一特異性抗体を含み、第1の抗体はCD3に結合し、第2の抗体はCD137に結合する。いくつかの態様では、双方の抗体は刺激抗体である。いくつかの態様では、双方の抗体はアゴニスト抗体である。いくつかの態様では、結合足場は、アゴニスト抗CD3結合ドメインとアゴニストCD137結合ドメインとを含む二重特異性抗体を含む。
【0307】
いくつかの態様では、足場は複数の表面キューを含む。一態様では、足場は複数の抗体を含み、各抗体は標的細胞の表面上の異なる受容体に優先的に結合する。
【0308】
例えば、表面キュー1/表面キュー2のような足場上に存在する異なる表面キュー分子の量は、例えば、機能性分子密度として理解することができ、表面積または足場あたりの理論的な分子数として算出され、または機能性分子の提示に使用されるコーティング脂質のモルパーセントもしくは前記機能性分子の化学量論に基づいて算出され得る。表面キューの密度は、機能性分子の親和性対合に使用される脂質を含む層における脂質の割合によって決定することができ、表面キューは脂質を含む層に取り付けられる。前記機能性分子の比率または化学量論は、取り付けられる種々の機能性分子の相対的な比率として表すことができる。機能性分子提示の密度は、MSRの合わせた表面キュー乾燥重量に対する乾燥重量比によっても決定することができる。
【0309】
本明細書で使用されるとき「親和性ペア」という用語には、抗原-抗体、受容体-ホルモン、受容体-リガンド、アゴニスト-アンタゴニスト、レクチン-炭水化物、核酸(RNAまたはDNA)ハイブリッド形成配列、Fc受容体またはマウスIgG-プロテインA、アビジン-ビオチン、ストレプトアビジン-ビオチン、ビオチン/ビオチン結合剤、Ni2+またはCu2+キレート剤(例えば、NTAまたはその他のキレート剤/金属ペア)/HisTag(6×ヒスチジンまたはその他のポリヒスチジンタグ)、及びウイルス-受容体の相互作用が含まれる。本開示の方法を実施する際には、他の種々の特定の結合ペアの使用が企図される。
【0310】
本明細書で使用されるとき、「ビオチン結合剤」には、アビジン、ストレプトアビジン、及び他のアビジン類似体、例えば、依然としてビオチン結合に適応する、ストレプトアビジンまたはアビジンコンジュゲート、アビジンまたはストレプトアビジンの高度に精製され分画された種、及び非アミノ酸変異体または部分的アミノ酸変異体、アミノ酸置換または化学置換がある組換えまたは化学合成されたアビジン類似体が包含される。
【0311】
いくつかの態様では、各ビオチン結合剤分子は少なくとも2つのビオチン部分に結合する。いくつかの態様では、各ビオチン結合剤分子は少なくとも4つのビオチン部分に結合する。本明細書で使用されるとき、「ビオチン」には、ビオシチンに加えてビオチン、及び例えば、ビオチンアミドカプロン酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビオチン4-アミド安息香酸、ビオチンアミドカプロイルヒドラジド、及びその他のビオチン誘導体やコンジュゲートのような他のビオチン類似体が包含される。他の誘導体には、ビオチンデキストラン、ビオチン-ジスルフィド-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビオチン-6アミドキノリン、ビオチンヒドラジド、d-ビオチン-N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、ビオチンマレイミド、d-ビオチンp-ニトロフェニルエステル、ビオチン化ヌクレオチド、及びNε-ビオチニル-l-リジンのようなビオチン化アミノ酸が挙げられる。
【0312】
親和性対合を介して機能性にすることができるリガンドには、受容体、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体、ウイルス、化学療法剤、受容体アゴニスト及びアンタゴニスト、抗体断片、レクチン、アルブミン、ペプチド、タンパク質、ホルモン、アミノ糖、脂質、脂肪酸、核酸、及び天然源または合成源から調製された、または単離された細胞が挙げられるが、これらに限定されない。本開示の実践を介して検出される任意の分子エピトープまたは受容体に対する任意の部位特異的リガンドを利用することができる。いくつかの態様では、リガンドは膜に固定されたタンパク質である。
【0313】
機能性分子は、前述のように、任意のタンパク質またはペプチドであることができる。いくつかの態様では、タンパク質はリガンド-受容体相互作用に関与する。例えば、T細胞活性化の重要な事象は、T細胞とAPCの間の膜間接触の結果であり、この接触では、MHC-ペプチドとTCR、LFA-1とICAM-1、CD2とCD48、と同様にB7またはCTLA-4とCD28を含む、種々のリガンド-受容体相互作用が2つの相対する膜間で発生する。
【0314】
ビオチン化リン脂質の所定の量をリポソーム製剤に組み込むと、ストレプトアビジンとビオチンの相互作用を介してビオチン化表面キューを正確に表面に付着させることができ、天然のAPCによるT細胞へのキューの細胞表面提示を模倣する。
【0315】
いくつかの態様では、表面キューの密度または表面キューの組み合わせは、足場にて使用される親和性対合した(例えば、ビオチン化した)脂質の割合によって決定される。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.01~約1.1%の間である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.1~約0.9%の間である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.1~約2.5%の間である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.01%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.05%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.1%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.2%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.25%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.3%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.4%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.5%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.6%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.7%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.8%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約0.9%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約1.0%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約1.1%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約1.5%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約2.0%である。いくつかの態様では、ビオチン化脂質の割合は約2.5%である。
【0316】
いくつかの態様では、表面キューの密度または表面キューの組み合わせは、例えば、金属-キレート脂質及びヒスチジン-タグ付き表面キューを使用する場合に、足場にて過剰な親和性対合した脂質が存在するという条件で、足場の担持中に加えられる各親和性対合した表面キューの質量によって決定される。
【0317】
いくつかの態様では、MSRの表面キューに対する乾燥重量比(化学量論)は約1:1~約100:1である。いくつかの態様では、MSRの表面キューに対する乾燥重量比(化学量論)は約10:1~約50:1である。いくつかの態様では、MSRの表面キューに対する乾燥重量比(化学量論)は約20:1~約50:1である。いくつかの態様では、足場のMSRの表面キューに対する乾燥重量比は約10,000:1~約1:1である。いくつかの態様では、足場のMSRの表面キューに対する乾燥重量比は約5,000:1~約1:1、約1、000:1~約1:1、約500:1~約1:1、または約100:1~約1:1である。いくつかの態様では、足場のMSRの表面キューに対する乾燥重量比は約10,000:1、約5,000:1、約2,500:1、約1,000:1、約750:1、約500:1、約250:1、約100:1、約75:1、約50:1、約40:1、約30:1、約25:1、約20:1、約10:1、または約1:1である。
【0318】
II.B.6.可溶性キュー
いくつかの態様では、足場は複数の可溶性キューを含む。本明細書で使用されるとき、「可溶性キュー」は足場構造と接触する細胞-シグナル伝達分子を指す。いくつかの態様では、可溶性キューは足場構造のMSRを含む層に接触する、またはそれに結合する。いくつかの態様では、本開示の足場は、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-7、IL-10、IL-12、IL-15、IL-17、IL-21、Wntタンパク質、及び形質転換増殖因子(TGF-β)、またはそのアゴニスト、その模倣体、その変異体、その機能性断片、またはそれらの組み合わせから成る群から選択される複数の可溶性キューを含有する。
【0319】
代表的な可溶性キューには、ヒト及び/またはそのマウスホモログの以下のNCBI受入番号:IL-1、NP_000566.3(ヒト);IL-1α、NP_034684.2(マウス);IL-1、NP_000567.1(ヒト);IL-1β、NP_032387.1(マウス);IL-2、NP_000577.2(ヒト)及びNP_032392.1(マウス);IL-4、NP_000580.1、NP_758858.1(ヒト)及びNP_067258.1(マウス);IL-5、NP_000870.1(ヒト)及びNP_034688.1(マウス);IL-7、NP_000871.1、NP_001186815.1、NP_001186816.1、NP_001186817.1(ヒト)及びNP_032397.1(マウス);IL-10、NP_000563(ヒト)及びNP_034678.1(マウス);IL-12A、NP_000873.2(ヒト)及びNP_001152896.1、NP_032377.1(マウス);IL-12B、NP_002178.2(ヒト)及びNP_001290173.1(マウス);IL-15、NP_000576.1、NP_751915.1(ヒト)及びNP_001241676.1、NP_032383.1(マウス);IL-17(a)、NP_002181.1、NP_034682.1(ヒト);NP_002181.1;NP_034682.1(マウス);TGF-ベータ1、NP_000651.3(ヒト)及びNP_035707.1(マウス);TGF-ベータ2、NP_001129071.1、NP_003229.1(ヒト)及びNP_033393.2(マウス);及びTGF-ベータ、NP_003230.1(ヒト)が挙げられるが、これらに限定されない。前述の可溶性キューの断片及び変異型の非限定的な例は、例えば、データベースUNIPROTに提示されている。
【0320】
いくつかの態様では、可溶性キューは、上記に列挙された1以上の追加の可溶性キューとともにインターロイキン-2(IL-2)またはそのアゴニスト、その模倣体、その変異体、その機能性断片、またはそれらの組み合わせを含む。IL-2のアゴニスト、その模倣体、その変異体及びその機能性断片の非限定的な例には、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれる米国特許第5,496,924号;同第6,955,807号;Margolin et al,Clin.Cancer Res.1;13(11):3312-9(2007);Eckenberg et al,J.Immunol.165:4312-4318(2000);Levin et al,Nature,484,529-533,(2012);及びZurawski et al.,EMBO Journal,9(12):3899-3905(1990)に提供されたものが挙げられる。
【0321】
いくつかの態様では、足場は複数の可溶性キューを含む。いくつかの態様では、足場は、IL-2を含む第1の可溶性キューと、IL-7、IL-21、IL-15またはIL-15のスーパーアゴニストを含む第2の可溶性キューとを含む。IL-15のスーパーアゴニスト(IL-15SA)はIL-15の可溶性IL-15受容体-aとの組み合わせであり、IL-15単独よりも大きな生物活性を持つ。いくつかの態様では、足場はIL-2を含む第1の可溶性キューと、IL-7を含む第2の可溶性キューと、IL-15を含む第3の可溶性キューとを含む。いくつかの態様では、足場はIL-2を含む第1の可溶性キューと、IL-7、IL-21、IL-15またはIL-15スーパーアゴニストを含む第2の及び第3の可溶性キューとを含む。
【0322】
いくつかの態様では、MSR質量比への可溶性キューの総投入量(μgのMSRに対するμgの可溶性キューの総投入量)は約0.001~0.005である。いくつかの態様では、MSR質量比への可溶性キューの総投入量は約0.001である。いくつかの態様では、MSR質量比への可溶性キューの総投入量は約0.002である。いくつかの態様では、MSR質量比への可溶性キューの総投入量は約0.003である。いくつかの態様では、MSR質量比への可溶性キューの総投入量は約0.004である。いくつかの態様では、MSR質量比への可溶性キューの総投入量は約0.005である。いくつかの態様では、足場が1を超える可溶性キューを含む場合、キューは等量で存在する。いくつかの態様では、足場は1を超える可溶性キューを含み、その際、キューは不均等な量で存在する。
【0323】
II.B.7.足場のさらなる態様
いくつかの態様では、足場は複数の表面キュー及び可溶性キューを含む。典型的な足場は前述の機能性分子のそれぞれの少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、少なくとも10、少なくとも11、またはそれ以上を含むことができる。
【0324】
いくつかの態様では、機能性分子は組換え体である。いくつかの態様では、機能性分子は哺乳類対応物のヒト化誘導体である。機能性分子が由来する例示的な哺乳類種には、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、フェレット、ネコ、イヌ、サル、または霊長類が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、機能性分子は前述の機能性分子のヒト型またはヒト化型である。
【0325】
機能性分子を修飾して生体内でのタンパク質の安定性を高めることができる。あるいは、多かれ少なかれ免疫原性であるように機能性分子を操作することができる。例えば、種々の機能性分子の構造が知られていれば、アミノ酸残基の1以上で、例えば、グリコシル化部位で配列を修飾して免疫原性の変異型を生成することができる。
【0326】
日常的な技法を使用して、MSRを含む層及び/または脂質を含む層に、任意の機能性分子(例えば、任意の抗原、抗体、タンパク質、酵素、その断片、組換えリガンドまたは精製した天然のリガンドまたはその誘導体、またはそれらの任意の組み合わせ)を直接、または間接的に不動化することができる。いくつかの態様では、機能性分子は細胞小器官(例えば、ゴルジ膜または原形質膜)、細胞、細胞クラスター、組織、微生物、動物、植物、またはその抽出物にて提供され、それは次にMSRを含む層または脂質を含む層に不動化される。いくつかの態様では、機能性分子は、所望の場所で、例えば、脂質を含む層の外面にて遺伝子操作または化学反応によって合成される。
【0327】
前述の機能性分子、例えば、表面キュー及び可溶性キューのそれぞれは互いに独立して、MSRを含む層または脂質を含む層に担持され、吸着され、または組み込まれ得る。したがって、いくつかの態様では、表面キューはMSRを含む足場の層に担持される、吸着される、または組み込まれる。一態様では、表面キューは脂質を含む層に担持される、吸着される、または組み込まれる。いくつかの態様では、表面キューはMSRを含む層と同様に脂質を含む層の双方に担持される、吸着される、または組み込まれる。いくつかの態様では、表面キューはMSRを含む層に担持された、吸着された、または組み込まれた共刺激分子を含む。いくつかの態様では、共刺激分子は脂質を含む層に担持される、吸着される、または組み込まれる。いくつかの態様では、表面キューは、MSRを含む層と同様に脂質を含む層の双方に担持されている、吸着されている、または組み込まれている共刺激分子を含む。いくつかの態様では、可溶性キューはMSRを含む層に担持される、吸着される、または組み込まれる。いくつかの態様では、可溶性キューは脂質を含む層に担持される、吸着される、または組み込まれる。いくつかの態様では、可溶性キューはMSRを含む層と同様に脂質を含む層の双方に担持される、吸着される、または組み込まれる。
【0328】
一般に、機能性分子とMSRを含む層及び/または脂質を含む層とは反応性基の使用を介して一緒に連結することができ、この反応性基は通常、連結プロセスにより新しい有機官能基または非反応性種に変換される。反応性の官能基(複数可)を前述の構成成分のいずれかに担持することができる。本開示を実践するのに有用な反応性基及び反応のクラスは一般に、バイオコンジュゲート化学の当該技術分野で周知のものである。反応性キレート化合物とともに利用可能な反応の現在好まれるクラスは相対的に穏やかな条件下で進行するものである。これらには、求核性置換(例えば、アミン及びアルコールのアシルハロゲン化合物、活性エステルとの反応)、求電子性置換(例えば、エナミン反応)、炭素-炭素や炭素-ヘテロ原子の多重結合への付加(例えば、Michael反応、Diels-Alder付加)が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、化学カップリングはclickchemistrytools.comにて議論されたクリック化学を含む。いくつかの態様では、化学カップリングはクリック化学試薬(例えば、DBCOまたはアジド)を含む。これらの反応及び他の有用な反応は、例えば、March,Advanced Organic Chemistry,3rd Ed.,John Wiley & Sons,New York,1985;Hermanson,Bioconjugate Techniques,Academic Press,San Diego,1996;及びFeeney et al,Modification of Proteins;vol.198,American Chemical Society, Washington,D.C.,1982にて議論されている。
【0329】
いくつかの態様では、足場は1以上の追加の分子を含む。いくつかの態様では、1以上の追加の分子は天然に存在する化合物、合成で製造された化合物、または組換え化合物である。いくつかの態様では、1以上の追加の分子はその断片を含む、ペプチド、ポリペプチド、核酸、小分子、ハプテン、炭水化物、または薬剤、またはそれらの組み合わせを含む。
【0330】
いくつかの態様では、アンカーを使用して機能性分子を孔壁に接続する。しかしながら、アンカーは必須の構成成分ではない。いくつかの態様では、メソ多孔性シリカの各孔は少なくとも1つの機能性分子を収容する。孔サイズは不動化される機能性分子のサイズに依存する。いくつかの態様では、機能性分子は孔に不動化される。いくつかの態様では、機能性分子は静電結合によって孔の内面に担持されるまたは吸着される。いくつかの態様では、機能性分子は非共有結合によって孔の内面に担持されるまたは吸着される。
【0331】
いくつかの態様では、アンカーは機能性分子の大きな構造変化を抑え、安定的にそれを保持する。いくつかの態様では、アンカーはメソ多孔性材料と同じ構成成分を実質的に含む。いくつかの態様では、アンカーは、所望の機能性分子への結合を可能にする1以上の官能基:ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基、ピリジン基、尿素基、ウレタン基、カルボキシル基、フェノール基、アゾ基、ヒドロキシル基、マレイミド基、シラン誘導体、アミノアルキレン基、またはそれらの組み合わせを含む。
【0332】
いくつかの態様では、足場は抗原を含む。いくつかの態様では、抗原はポリペプチドを含む。いくつかの態様では、抗原は精製される。いくつかの態様では、抗原は自己抗原である。いくつかの態様では、抗原は非自己抗原である。自己抗原は、自己免疫障害及びがんを含むが、これらに限定されないヒトの疾患または障害に具体的に関連する。非自己抗原はウイルス、細菌、原虫、寄生虫、または真菌を含むが、これらに限定されない病原体に具体的に関連する。いくつかの態様では、抗原は、MHC分子、例えば、HLA-A、HLA-B、HLA-C、DP、DQ、及びDR上に担持され、次いで足場に組み込まれる。
【0333】
いくつかの態様では、抗原は直接結合または間接結合を介して免疫細胞と相互作用するように製剤化される。直接結合の種類には、例えば、同族受容体、例えば、T細胞受容体との抗原の会合または結合が挙げられる。間接結合は1以上の二次的な薬剤または細胞型の仲介を介して発生することができる。例えば、抗原は先ず、B細胞または抗原提示細胞(APC)に結合し、プロセッシングを受け(例えば、分解され)、標的細胞集団、例えば、T細胞が結合する細胞表面の主要組織適合複合体(MHC)に提示される。あるいは、抗原は種々のサイトカイン、増殖因子、ケモカインなどを分泌する他の仲介細胞を動員することができ、それは次に標的免疫細胞の集団を引き付ける。いくつかの態様では、抗原はCD19、CD22、またはその断片である。
【0334】
いくつかの態様では、足場は膜関連タンパク質を含み、それは脂質を含む層に直接、または間接的に係留される。いくつかの態様では、膜関連タンパク質は、選択的または非選択的な膜輸送タンパク質、イオンチャネル、孔形成タンパク質、膜常在受容体、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0335】
いくつかの態様では、足場は、増殖因子、サイトカイン(例えば、IL-2、IL-7、IL-15、及び/またはIL-21)、ケモカイン、インターロイキン、接着シグナル伝達分子、インテグリンシグナル伝達分子、その断片、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、これらの分子を可溶性キュー及び/または表面キューとして使用することができ、MSRを含む層または脂質を含む層に担持することができる。
【0336】
いくつかの態様では、足場は接着分子を含む。いくつかの態様では、接着分子はさらにシグナル伝達剤として役立つ。接着シグナル伝達分子の代表例には、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、トロンボスポンジン1、ビトロネクチン、エラスチン、テネイシン、アグレカン、アグリン、骨シアノタンパク質、軟骨マトリックスタンパク質、フィブロノーゲン、フィブリン、フィブリン、ムチン、エンタクチン、オステオポンチン、プラスミノーゲン、レストリクチン、セルグリシン、SPARC/オステオネクチン、ベルシカン、von Willebrand因子、多糖ヘパリン硫酸、コネキシン、コラーゲン、RGD(Arg-Gly-Asp)及びYIGSR(Tyr-Ile-Gly-Ser-Arg)ペプチド及び環状ペプチド、グリコサミノグリカン(GAG)、ヒアルロン酸(HA)、コンドロイチン-6-硫酸、インテグリンリガンド、セレクチン、カドヘリン、及び免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0337】
いくつかの態様では、機能性分子は、膜関連タンパク質、例えば、グラミシジン、a-らせん束、例えば、バクテリオロドプシンまたはK+チャネル;β-バレル、例えば、a-ヘモリシン、ロイコシジンまたはE.coliのポーリン、またはそれらの組み合わせに結合して脂質を含む層と会合する、及び/またはそれに挿入する。
【0338】
いくつかの態様では、足場はさらに、1以上の動員剤を含む。いくつかの態様では、動員剤はT細胞動員剤、B細胞動員剤、樹状細胞動員剤、及びマクロファージ動員剤から成る群から選択される薬剤を含む。そのような動員剤の例には、ケモカイン、ケモカインリガンド、またはそれらの断片、変異体、同族体、及び組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。優先的な動員は、他の種類の免疫細胞と比べて1以上の特定の種類の免疫細胞が少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、少なくとも2倍、少なくとも5倍、少なくとも8倍、少なくとも10倍またはそれ以上蓄積することを特徴とする。
【0339】
必要に応じて、足場は免疫細胞の特定のサブセット、例えば、汎T細胞、またはT細胞の特定の亜集団を操作できるように動員剤及び接着分子のサブセットを含むように具体的に製剤化することができる。いくつかの態様では、足場は、標的細胞で発現されている細胞表面マーカーに特異的に結合する薬剤を使用して製剤化され/製造される。例えば、T細胞の文脈では、足場は、ヘルパーT細胞(CD4+T細胞)、細胞傷害性T細胞(CD8+T細胞)、メモリーT細胞(CD45RO+T細胞)、サプレッサーT細胞(Tsどちらかの細胞)、制御性T細胞(Treg細胞;FOXP3+Treg細胞及びFOXP3-Tregとしてさらに特徴づけられる)、ナチュラルキラーT細胞(NK細胞;差次的にCDld+を発現する)、粘膜関連不変異体(MAIT;差次的にMR1を発現する)、ガンマデルタT細胞(γδT細胞;γ鎖1つとδ鎖1つを含有するTCRを含む)を優先的に動員するのに適応させることができる。細胞表面マーカーに結合するそのような薬剤には、例えば、ハプテン、ペプチド、リガンド、抗体など、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。1以上の細胞亜型の単離物を濃縮する他の日常的な技法は生体内原位置で、または生体内原位置以外で使用することができる。
【0340】
II.B.8.作製方法
本開示の足場は、種々の方法で生成することができ、標的エフェクター細胞、例えば、T細胞の操作で使用するために足場に従って機能性分子または追加の薬剤の種類及び存在量を調節すること、エフェクター細胞の特定の集団、例えば、CD8+T細胞の亜集団の単離、疾患の治療法、ならびに組成物及びキットの製造を含むが、これらに限定されない種々の用途に使用することができる。そのような足場を作製し、使用する方法の例は、その内容全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT公開第WO2018/013797A1号及びChung et al.(Nature Biotechnology,36(2):160-169(2018))に記載されている。
【0341】
細胞の所望の集団の単離及び/または増殖については、細胞及び足場表面の濃度は変えることができる。いくつかの態様では、足場と細胞が混合される容量を減らして(すなわち、細胞の濃度を高めて)細胞と足場の最大の接触を確保する。いくつかの態様では、20億細胞/mlの濃度が使用される。一実施形態では、10億細胞/mLの濃度が使用される。さらなる一実施形態では、1億細胞/mL超が使用される。さらなる態様では、1000万、1500万、2000万、2500万、3000万、3500万、4000万、4500万、または5000万の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらに別の態様では、7500万、8000万、8500万、9000万、9500万、または1億の細胞/mlの細胞濃度が使用される。さらなる態様では、1億2500万または1億5000万の細胞/mlの濃度が使用される。高い濃度を使用すると、高い細胞収量、細胞活性化及び細胞増殖をもたらすことができる。さらに、高い細胞濃度の使用は、目的の標的抗原を弱く発現している細胞、例えば、CD28-陰性T細胞の、または多数の腫瘍細胞が存在する試料(例えば、白血病の血液、腫瘍組織など)からの細胞のさらに効率的な捕捉を可能にすることができる。細胞のそのような集団は治療上価値があり、入手するのが望ましい。例えば、細胞の高い濃度を使用すると、通常CD28を弱く発現しているCD8+T細胞のさらに効率的な選択が可能になる。
【0342】
他の態様では、細胞の低い濃度を使用することが望ましい。足場:細胞の比を低下させることによってこれを達成することができるので、足場と細胞の間の相互作用が最小限に抑えられる。この方法によって、足場に結合する多量の所望の抗原を発現している細胞を選抜する。CD4+T細胞は高レベルのCD28を発現しており、希釈濃度にてCD8+T細胞よりも効率的に捕捉される。いくつかの態様では、使用される細胞の濃度は5×106/mlである。他の態様では、使用される濃度は約1×104/ml~1×109/ml、及びその間の整数値、例えば、1×105/ml~1×108/ml、1×106/ml~1×107/ml、1×107/ml~1×109/mlであることができる。
【0343】
II.C.細胞
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示されているように、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてプログラム可能な細胞-シグナル伝達の足場に免疫細胞を接触させることを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。培地に播かれる免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、治療を必要とする対象から回収される及び/または単離される細胞であることができる。いくつかの態様では、培地に播かれる免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は培養する前に操作されている。いくつかの態様では、培地に播かれる免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を増殖させている。培地に播かれる免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は出発(開始、すなわち、患者試料、アフェレーシス試料、バフィーコート)細胞と呼ばれ得る。本明細書に開示されている代謝再プログラム可培地にて培養した結果生じる免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は結果(培養したまたは増殖させた)細胞と呼ばれ得る。
【0344】
本明細書に開示されている方法は、培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞について低分化表現型を促進する培養条件を提供する。いくつかの態様では、出発免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はヒト対象から単離される。いくつかの態様では、他家細胞療法のために、出発免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞がヒト対象から単離される。いくつかの態様では、自家細胞療法のために、出発免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞がヒト対象から単離される。いくつかの態様では、免疫細胞はT細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞はTILである。いくつかの態様では、免疫細胞はTregである。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞がヒト対象から単離される。いくつかの態様では、免疫細胞は腫瘍浸潤T細胞または腫瘍浸潤NK細胞である。特定の態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は操作される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はキメラ抗原受容体(CAR)を含むように操作される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は操作されたT細胞受容体(TCR)を含むように操作される。
【0345】
いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILは本明細書に開示されている方法に従って培養する前に操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILは本明細書に開示されている方法に従って培養された後で操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILは、細胞操作の前に、その最中に、及びその後で、例えば、少なくとも5mMのカリウムイオンを含む低張性または等張性の培地にて本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILは、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILは、操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように操作される。特定の態様では、細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILを、本明細書に開示されている条件下で、例えば、少なくとも約5mMのカリウムイオンを含む低張性または等張性の培地にて培養すると、さらに高い形質導入効率がもたらされる。いくつかの態様では、形質導入効率は、4mM以下のカリウムイオンを含む培地で培養された細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILと比べて、本明細書に開示されている方法に従って少なくとも約60mMのカリウムイオンを含む低張性または等張性の培地にて培養された細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILでは少なくとも約2倍高い。いくつかの態様では、形質導入効率は、4mM以下のカリウムイオンを含む培地にて培養した細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILと比較した場合、本明細書に開示されている方法に従って、少なくとも約65mMのカリウムイオンを含む低張性または等張性の培地にて培養した細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILでは少なくとも約2.5倍高い。
【0346】
いくつかの態様では、細胞は、抗原受容体及び/または別の追加のポリペプチドを発現する構築物を含む。いくつかの態様では、抗原受容体は、抗体、scFvなどの操作抗体、CAR、操作TCR、TCR模倣体(例えば、抗体-T細胞受容体(abTCR)もしくはキメラ抗体-T細胞受容体(caTCR))、またはキメラシグナル伝達受容体(CSR)を含む。例として、TCRは、TCR(例えば、アルファ/ベータTCRまたはガンマ/デルタTCR)の抗原結合ドメインが、抗体(抗体の定常ドメインの有無にかかわらず)の抗原結合ドメインで置き換えられている操作TCRを含み得、次いで操作TCRは、TCRのシグナル伝達機能を保持しながら抗体の抗原に特異的となる。キメラシグナル伝達受容体は、(1)細胞外結合ドメイン(例えば、天然/改変受容体細胞外ドメイン、天然/改変リガンド細胞外ドメイン、scFv、ナノボディ、Fab、DARPin、及びaffibody)、(2)膜貫通ドメイン、ならびに(3)細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、転写因子を活性化するドメイン、あるいはJAK/STAT、キナーゼ、ホスファターゼ、及びユビキチンを動員及び/または活性化するドメイン、SH3、SH2、及びPDZ)を含み得る。例えば、EP340793B1、WO2017/070608、WO2018/200582、WO2018/200583、WO2018/200585、及びXu et al.,Cell Discovery(2018)4:62を参照のこと。
【0347】
いくつかの態様では、抗原受容体及び/または別の追加のポリペプチドを発現する構築物は調節要素を含み、その際、ベクターは外来性のポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、ベクターはポリシストロン性の発現ベクターである。いくつかの態様では、調節要素はプロモーターを含む。いくつかの態様では、プロモーターはdl587revプライマー結合部位が置換された(MND)プロモーター、EF1aプロモーター、ユビキチンプロモーター、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、ベクターはウイルスベクター、哺乳類ベクター、または細菌ベクターを含む。いくつかの態様では、ベクターはアデノウイルスベクター、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ハイブリッドベクター、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。いくつかの態様では、ベクターはレンチウイルスである。
【0348】
いくつかの態様では、抗原受容体は目的の抗原(例えば、腫瘍抗原または病原体の抗原)を標的とする。抗原としては、AFP(アルファ-フェトプロテイン)、αvβ6または別のインテグリン、BCMA、B7-H3、B7-H6、Braf、CA9(炭酸脱水酵素9)、CCL-1(C-Cモチーフケモカインリガンド1)、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD45、CD47、CD56、CD66e、CD70、CD74、CD79a、CD79b、CD98、CD123、CD138、CD171、CD352、CEA(がん胎児性抗原)、クローディン18.2、クローディン6、c-MET、DLL3(デルタ様タンパク質3)、DLL4、ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3)、EpCAM、EPG-2(上皮糖タンパク質2)、EPG-40、エフリンB2、EPHa2(エフリン受容体A2)、ERBB二量体、エストロゲン受容体、ETBR(エンドセリンB受容体)、FAP-α(線維芽細胞活性化タンパク質α)、胎児AchR(胎児アセチルコリン受容体)、FBP(葉酸結合タンパク質)、FCRL5、FR-α(葉酸受容体アルファ)、GCC(グアニルシクラーゼC)、GD2、GD3、GPC2(グリピカン-2)、GPC3、gp100(糖タンパク質100)、GPNMB(糖タンパク質NMB)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体5D)、HER2、HER3、HER4、B型肝炎表面抗原、HLA-A1(ヒト白血球抗原A1)、HLA-A2(ヒト白血球抗原A2)、HMW-MAA(ヒト高分子量黒色腫関連抗原)、IGF1R(インスリン様成長因子1受容体)、Igカッパ、Igラムダ、IL-22Ra(IL-22受容体アルファ)、IL-13Ra2(IL-13受容体アルファ2)、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、LI細胞接着分子(LI-CAM)、Liv-1、LRRC8A(8ファミリーメンバーAを含有するロイシンリッチリピート)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1(メランA)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、MCSP(黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、メソテリン、ムチン1(MUC1)、MUC16、MHC/ペプチド複合体(例えば、AFP、KRAS、NY-ESO、MAGE-A、及びWT1に由来するペプチドと複合化したHLA-A)、NCAM(神経細胞接着分子)、ネクチン-4、NKG2D(ナチュラルキラー群2メンバーD)リガンド、NY-ESO、腫瘍胎児抗原、PD-1、PD-L1、PRAME(黒色腫優先発現抗原)、プロゲステロン受容体、PSA(前立腺特異抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、ROR1、ROR2、SIRPα(シグナル調節タンパク質α)、SLIT、SLITRK6(NTRK様タンパク質6)、STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TPBG(栄養膜糖タンパク質)、Trop-2、VEGFR1(血管内皮増殖因子受容体1)、VEGFR2、ならびにHIV、HBV、HCV、HPV、及び他の病原体に由来する抗原が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0349】
特定の態様では、抗原受容体は、hTERTを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、KRASを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、Brafを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、TGFβRIIを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、MAGEA10/A4を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、AFPを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、PRAMEを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、MAGEA1を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はWT-1を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はNY-ESOを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はPRAMEを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はNY-ESOを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はCD19を標的とする。
【0350】
いくつかの態様では、抗原受容体はBCMAを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、CD147を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、CD19を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、CD19及びCD22を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はCD19及びCD28を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、CD20を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、CD20及びCD19を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、CD22を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、CD30を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、CEAを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、DLL3を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、EGFRvIIIを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、GD2を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、HER2を標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体は、IL-1RAPを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はメソテリンを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はメソテリンを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はNKG2Dを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はPSMAを標的とする。いくつかの態様では、抗原受容体はTnMUC1を標的とする。
【0351】
いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は本明細書に開示されている方法に従って培養する前に操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って培養した後に操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って、例えば、細胞操作前、細胞操作中、及び細胞操作後に、少なくとも5mMのカリウムイオンを含む低張性または等張性mの培地にて培養される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように操作される。特定の態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を、本明細書に開示されている条件下で、例えば、少なくとも約5mMのカリウムイオンを含む低張性または等張性の培地にて培養すると、さらに高い形質導入効率がもたらされる。いくつかの態様では、形質導入効率は、4mM以下のカリウムイオンを含む培地にて培養した細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞と比べて、本明細書に開示されている方法に従って、少なくとも約60mMのカリウムイオンを含む低張性または等張性の培地にて培養した細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞では少なくとも約2倍高い。いくつかの態様では、形質導入効率は、4mM以下のカリウムイオンを含む培地にて培養した細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞と比べて、本明細書に開示されている方法に従って、少なくとも約65mMのカリウムイオンを含む低張性または等張性の培地にて培養した細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞では少なくとも約2.5倍高い。
【0352】
初代T細胞を含む初代免疫細胞は、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染の部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び/または腫瘍組織を含む多数の組織源から得ることができる。PBMCを含む白血球は、よく知られている技術、例えば、FICOLL(商標)分離及び白血球除去によって他の血液細胞から単離され得る。白血球除去産物は典型的には、リンパ球(T及びB細胞を含む)、単球、顆粒球、及び他の有核白血球を含有する。T細胞は、例えば、PERCOLL(商標)勾配を介する遠心分離によってまたは対向流遠心溶出法によって他の白血球からさらに単離される。特定のT細胞のサブ集団、例えば、CD3+、CD25+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、GITR+、及びCD45RO+T細胞は、陽性または陰性の選択技術(例えば、蛍光ベースまたは磁気ベースの細胞選別を使用して)さらに単離され得る。例えば、T細胞は、種々の市販の抗体結合ビーズ、例えば、Dynabeads(登録商標)、CELLection(商標)、DETACHaBEAD(商標)(Thermo Fisher)またはMACS(登録商標)細胞分離製品(Miltenyi Biotec)のいずれかとともに、所望のT細胞の陽性選択または不要な細胞の除去のための陰性選択に十分な時間インキュベートすることによって単離することができる。
【0353】
いくつかの例では、自己T細胞はがん治療後にがん患者から直接得られる。特定のがん治療、特に免疫系を損なうものに続いて、治療の直後に回収されたT細胞の品質は、生体外で増殖する及び/または生体外で操作された後に生着する改善された能力を有し得ることが観察された。
【0354】
II.C.1.キメラ抗原受容体(CAR)
いくつかの態様では、細胞、例えば、ヒト免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はCARを含む。いくつかの態様では、CARを発現するように調製することができる細胞(例えば、CAR T細胞)は、例えば、CD8+T細胞またはCD4+T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されているCAR発現細胞は、CAR T細胞、例えば、モノCAR T細胞、ゲノム編集CAR T細胞、二重CAR T細胞、またはタンデムCAR T細胞である。そのようなCAR T細胞の例は国際出願第PCT/US2019/044195号に提供されている。
【0355】
いくつかの態様では、CARは、標準CAR、スプリットCAR、オフスイッチCAR、オンスイッチCAR、第1世代CAR、第2世代CAR、第3世代CAR、または第4世代CARとして設計される。いくつかの態様では、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0356】
いくつかの態様では、CARは、悪性B細胞、悪性T細胞、悪性形質細胞のような腫瘍細胞上に発現される1以上の抗原と特異的に結合する(すなわち、それを標的とする)。
【0357】
いくつかの態様では、CARは、AFP(α-フェトプロテイン)、αvβ6または別のインテグリン、BCMA、Braf、B7-H3、B7-H6、CA9(炭酸脱水酵素9)、CCL-1(C-Cモチーフケモカインリガンド1)、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD45、CD47、CD56、CD66e、CD70、CD74、CD79a、CD79b、CD98、CD123、CD138、CD171、CD352、CEA(がん胎児性抗原)、クローディン18.2、クローディン6、c-MET、DLL3(デルタ様タンパク質3)、DLL4、ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3)、EpCAM、EPG-2(上皮糖タンパク質2)、EPG-40、エフリンB2、EPHa2(エフリン受容体A2)、ERBB二量体、エストロゲン受容体、ETBR(エンドセリンB受容体)、FAP-α(線維芽細胞活性化タンパク質α)、胎児AchR(胎児アセチルコリン受容体)、FBP(葉酸結合タンパク質)、FCRL5、FR-α(葉酸受容体α)、GCC(グアニルシクラーゼC)、GD2、GD3、GPC2(グリピカン-2)、GPC3、gp100(糖タンパク質100)、GPNMB(糖タンパク質NMB)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体5D)、HER2、HER3、HER4、B型肝炎表面抗原、HLA-A1(ヒト白血球抗原Al)、HLA-A2(ヒト白血球抗原A2)、HMW-MAA(ヒト高分子量黒色腫関連抗原)、IGF1R(インスリン様成長因子1受容体)、Igカッパ、Igラムダ、IL-22Ra(IL-22受容体α)、IL-13Ra2(IL-13受容体α2)、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、LI細胞接着分子(LI-CAM)、Liv-1、LRRC8A(ロイシンリッチ反復含有8ファミリーメンバーA)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1(メランA)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、MCSP(黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、メソテリン、ムチン1(MUC1)、MUC16、MHC/ペプチド複合体(例えば、HLA-AとAFP、KRAS、NY-ESO、MAGE-A、及びWT1由来のペプチドとの複合体)、NCAM(神経細胞接着分子)、ネクチン-4、NKG2D(ナチュラルキラーグループ2メンバーD)リガンド、NY-ESO、腫瘍胎児性抗原、PD-1、PD-L1、PRAME(黒色腫優先発現抗原)、プロゲステロン受容体、PSA(前立腺特異抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、ROR1、ROR2、SIRPα(シグナル制御タンパク質α)、SLIT、SLITRK6(NTRK様タンパク質6)、STEAP1(前立腺6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TPBG(栄養膜糖タンパク質)、Trop-2、VEGFR1(血管内皮増殖因子受容体1)、VEGFR2、及びHIV、HBV、HCV、HPV、その他の病原体由来の抗原、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択される抗原に特異的に結合する(すなわち、それを標的とする)。
【0358】
いくつかの態様では、CARはROR1に特異的に結合する。免疫細胞にて発現され得る例示的な抗ROR1 CARは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるHudecek,et al.,Clin.Cancer Res.19.12(2013):3153-64に記載されている。いくつかの態様では、抗ROR1 CARを含むように改変された免疫細胞はHudecek,et al.(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる3155ページ最初の完全な段落にてHudecek,et al.にて記載されたような)に記載されたように生成される。いくつかの態様では、Hudecekに開示されているスペーサーは異なるスペーサー(例えば、本明細書に記載されているもののような)によって置き換えられている。いくつかの態様にでは、本開示に有用な抗ROR1 CARは、それぞれその全体が参照によって本明細書に組み込まれるHudecek et al、3154-55ページの段落橋渡し;Baskar et al、MAbs 4(2012):349~61;及びYang et al、PLoS ONE 6(2011):e21018に記載されている2A2、R11、及びR12抗ROR1モノクローナル抗体のVH配列及び/またはVL配列を含む抗体またはその断片を含む。
【0359】
いくつかの態様では、CARはGPC2に特異的に結合する。
【0360】
いくつかの態様では、共刺激ドメインは、インターロイキン-2受容体(IL-2R)、インターロイキン-12受容体(IL-12R)、IL-7、IL-21、IL-23、IL-15、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB/CD137、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、LIGHT、NKG2C、OX40、DAP10の共刺激ドメイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、共刺激ドメインは4-1BB/CD137の共刺激ドメインを含む。
【0361】
いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR.HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rβ、IL2Rγ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(タクチル)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D、NKG2C、CD19の膜貫通ドメイン、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、膜貫通ドメインはCD28膜貫通ドメインを含む。
【0362】
いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、FcRガンマ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」)、FcεRI、CD66d、CD32、DAP10、DAP12に由来する細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインはCD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0363】
II.C.2.T細胞受容体-操作された(TCR)細胞
いくつかの態様では、本明細書に開示されている免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はT細胞受容体(TCR)、例えば、操作されたTCRを含む。いくつかの態様では、TCRは腫瘍抗原に特異的に結合する。本明細書で使用される場合、「操作TCR」または「操作T細胞受容体」という用語は、選択され、クローニングして、及び/またはその後に免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILの集団に導入される、主要組織適合遺伝子複合体(MHC)/ペプチド標的抗原に所望の親和性で特異的に結合するように操作されているT細胞受容体(TCR)を指す。いくつかの態様では、TCRはがん患者から同定されるネオ抗原と特異的に結合する。
【0364】
いくつかの態様では、TCRは、悪性B細胞、悪性T細胞、悪性形質細胞のような腫瘍細胞上に発現する1以上の抗原と特異的に結合する(すなわち、それを標的とする)。いくつかの態様では、TCRは腫瘍抗原/MHC複合体に特異的に結合する。いくつかの態様では、腫瘍抗原は、AFP、CD19、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、CD19、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、Tn Ag、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-l lRa、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gplOO、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WTl、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV E6,E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie 2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロスタイン、サバイビング、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、メランA/MARTl、Ras変異体、hTERT、肉腫転座ブレークポイント、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、変異型hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、ネオ抗原、またはそれらの組み合わせに由来する。いくつかの態様では、TCRはNY-ESO-1に由来する腫瘍抗原に特異的に結合する(すなわち、それを標的とする)。
【0365】
特定の態様では、本開示の細胞は抗原を標的とするT細胞受容体(TCR)を発現することができる。いくつかの態様では、TCR操作細胞は、共通の腫瘍関連抗原(共通TAA)及び特有の腫瘍関連抗原(特有TAA)、または腫瘍特異的抗原という主な種類を標的とし得る。前者としては、がん精巣(CT)抗原、過剰発現抗原、及び分化抗原が挙げられ得るが、これらに限定されない一方で、後者としては、ネオ抗原及びオンコウイルス抗原が挙げられ得るが、これらに限定されない。ヒトパピローマウイルス(HPV)E6タンパク質及びHPVE7タンパク質は、オンコウイルス抗原の分類に属する。
【0366】
いくつかの態様では、TCR操作細胞は、CT抗原、例えば、黒色腫関連抗原(MAGE)、例えば、MAGE-A1、MAGE-A2、MAGE-A3、MAGE-A4、MAGE-A6、MAGE-A8、MAGE-A9.23、MAGE-A10、及びMAGE-A12を含むが、これらに限定されないMAGEを標的とし得る。いくつかの態様では、TCR操作細胞は、黒色腫及び正常なメラノサイトで主に見られる、糖タンパク質(gp100)、T細胞によって認識される黒色腫抗原(MART-1)、及び/またはチロシナーゼを標的とし得る。いくつかの態様では、TCR操作細胞は、ウィルムス腫瘍1(WT1)、すなわち、ほとんどの急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病、ほぼ全種類の固形腫瘍及びいくつかの決定組織、例えば、心臓組織などで高発現される過剰発現抗原の一種を標的とし得る。いくつかの態様では、TCR操作細胞は、メソテリン、すなわち、中皮腫で高発現されるが、気管を含む、いくつかの組織の中皮細胞上にも存在する別の種類の過剰発現抗原を標的とし得る。
【0367】
いくつかの態様では、TCR操作細胞は、個々の腫瘍に特異的な無作為な体細胞突然変異によって形成され得る、任意のネオ抗原を標的とすることができる。いくつかの態様では、TCRは、AFP、Braf、CD19、TRAC、TCRβ、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、CD19、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、TnAg、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-11Ra、PSCA、PRSS21、VEGFR2、ルイスY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEa-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、グロボH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WTl、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPVE6、E7、MAGEA1、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビン、テロメラーゼ、PCTa-1/ガレクチン8、メランA/MART1、Ras変異体、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、muthsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、またはそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるがん抗原と特異的に結合する(すなわち、標的とする)。
【0368】
特定の態様では、TCRはhTERTと特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはKRASと特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはBrafと特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはTGFβRIIに特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはMAGEA10/A4に特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはAFPに特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはPRAMEに特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはMAGEA1に特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはWT-1に特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはNY-ESOに特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはPRAMEに特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはNY-ESOに特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRはCD19に特異的に結合する(すなわち、標的とする)。特定の態様では、TCRはがん患者から同定されるネオ抗原に特異的に結合する。
【0369】
いくつかの態様では、TCRは細胞内ガンマ/デルタドメインを含む。いくつかの態様では、TCRは抗体-T細胞受容体(AbTCR)である(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるXu et al.,Cell Discovery,4:62(2018)を参照のこと)。
【0370】
II.C.3.T細胞受容体模倣体(TCRm)
いくつかの態様では、本明細書に開示されている免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はTCR様抗体としても知られる、T細胞受容体模倣体(TCRm)を含む。TCRmは、ペプチド及びMHC-I分子の双方を含むエピトープを認識する抗体の型であり、T細胞上のTCRによるそのような複合体の認識に類似する(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるTraneska et al.,Front.Immunol.8(1001):1-12(2017)を参照のこと)。いくつかの態様では、TCRmは腫瘍抗原に特異的に結合する。特定の態様では、TCRmはがん患者から同定されるネオ抗原と特異的に結合する。
【0371】
いくつかの態様では、TCRmは腫瘍細胞、例えば、悪性B細胞、悪性T細胞、または悪性形質細胞などで発現される1以上の抗原と特異的に結合する(すなわち、標的とする)。いくつかの態様では、TCRmはモノクローナル抗体である。いくつかの態様では、TCRmはWT1に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはWT1の断片に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmは、ESK1を含む(例えば、Ataieetal.,J.Mol.Biol.428(1):194-205(2016)を参照し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。いくつかの態様では、TCRmはMAGE-A1に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmは、p68 RNAヘリカーゼ/HLA-A*02:01に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmは、hCG-b/HLAA*02:01に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmは、Her2-E75/HLA-A*02:01に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmは、HLa-A*02:01との関連でPR-1に特異的に結合する(例えば、Oncoimmunology5(1):e1049803(June 2015)を参照し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。いくつかの態様では、TCRmは、HLa-A*24上に提示される、サバイビン-2B由来の九量体ペプチドであるAYACNTSTL(SV2B80-88)(SV2B80-88/HLa-A*24)に特異的に結合する(例えば、Kurosawa et al.,Nature Scientific Reports 9(9827):1-11(2019)を参照し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。いくつかの態様では、TCRmは、1以上の腫瘍関連PRAMEペプチド/HLA-I抗原と特異的に結合する(例えば、J.Clin.Invest.127(7):2705-18(2017)を参照し、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。いくつかの態様では、TCRmはチロシナーゼに特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmは、テロメラーゼ触媒サブユニットと特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmは糖タンパク質100(gp100)に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはムチン1(MUC1)に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはヒトテロメラーゼ逆転写酵素(hTERT)に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはNYESO-1に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはMART-1に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはPRAMEに特異的に結合する。
【0372】
いくつかの態様では、TCRmはウイルス抗原に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはEnv183/A2(HepB/HLa-A*02:01)に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはKP14/1及びKP15/11(HIVエンベロープgp160/HLAA*02:01)に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはRL36A(ウエストナイルウイルス/マウスH-2Db)に特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはHTLVに由来するウイルスエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはインフルエンザに由来するウイルスエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはCMVに由来するウイルスエピトープに特異的に結合する。いくつかの態様では、TCRmはHIVに由来するウイルスエピトープに特異的に結合する。
【0373】
II.C.4.c-Junポリペプチド
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、本明細書に提供される方法を使用して培養されるもの)はc-Junポリペプチドを含む、またはそれを過剰発現することができる。場合によっては、内在性c-Junタンパク質の発現が誘導され、それによってc-Junポリペプチドの増加または過剰発現が生じる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、転写活性化因子(例えば、CRISPR/Casシステムに基づく)で操作または改変され、転写活性化因子はc-Junポリペプチドの内在性発現を誘導及び/または増加させることができる。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドは細胞に外から加えられる(野生型ヒトc-Junは受入番号AAA59197.1のもとでGenBankにて、またはUniProtKB(受入番号P05412.2のもとで)で入手可能である)。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドは免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)にて組換え発現される。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドは、本明細書に記載されているCAR、TCR、TCR模倣体、または他の導入遺伝子を発現するように操作されている免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)にて過剰発現される。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)(例えば、本明細書に提供される方法を使用して培養された)は、c-Junポリペプチドを過剰発現するように改変されていない対応する細胞よりも高いレベル(例えば、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%多く、または少なくとも1.5、2、3、4、5、または10倍多く)のc-Junポリペプチドを発現する。いくつかの態様では、操作された細胞は参照細胞よりも少なくとも約2~100倍多く、約5~50倍多く、約5~40倍多く、約5~30倍多く、約5~20倍多く、約8~20倍多く、または約10~20倍多くc-Junポリペプチドを発現する。c-Junの過剰発現はCAR T細胞を疲弊させにくくし、その結果、種々のヘム及び固形腫瘍モデルにおいて抗腫瘍効果と持続性/増殖の双方を高める(Lynn et al.,Nature,2019,576:293-300)。
【0374】
III.本開示の組成物
本開示の特定の態様は、本明細書に開示されている方法に従って培養した免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団を含む細胞組成物を対象とする。本方法に従って、及び/または本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地にて培養した細胞集団は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて従来の方法に従って培養した同等の細胞と比べて、低分化細胞の数が増加する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、幹細胞様表現型に特有の1以上のマーカーの発現の増加を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って、及び/または代謝再プログラム化培地にて培養された細胞集団は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて従来の方法に従って培養された同等の細胞と比べて、エフェクター様細胞の数が増加する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って、及び/または代謝再プログラム化培地にて培養された細胞集団は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて従来の方法に従って培養された同等の細胞と比べて、幹細胞様細胞及びエフェクター様細胞の双方の数が増加する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、従来の方法に従って培養された細胞と比べてさらに高い増殖能を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、高い形質導入効率を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、対象への移植時に生体内生存能の増加を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、高い細胞能力を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、細胞疲弊の低下を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、対象への移植時に高い生体内持続性を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、対象への移植時に高い生体内活性を示す。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、対象への移植時にさらに持続的な生体内応答を示す。いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0375】
いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約5%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約10%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約15%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約20%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約25%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約30%の細胞が、幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約35%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約40%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約45%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約50%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約55%の細胞が、幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約60%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約65%の細胞が幹細胞様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約70%の細胞が、幹細胞様表現型を有する。
【0376】
いくつかの態様では、いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹細胞様T細胞は培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹細胞様T細胞は、培養物におけるCD8+T細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹細胞様T細胞は、培養物におけるCD4+T細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%を構成する。
【0377】
いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約1.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約2.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約2.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約3.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約3.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約4.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約4.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約5.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約5.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約6.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約6.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約7.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約7.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約8.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約9.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約15倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約20倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約30倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約40倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約50倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約75倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約100倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約500倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹細胞様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比較した場合に少なくとも約1000倍増加する。
【0378】
いくつかの態様では、いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%はCD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%はCD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD8+T細胞である。
【0379】
いくつかの態様では、細胞組成物は免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD95を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45R0を発現しない免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RAを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加をむ。いくつかの態様では、細胞組成物は、CCR7を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD62Lを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、TCF7を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD3を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD27を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD95及びCD45RAを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA及びCCR7を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD95、CD45RA、及びCCR7を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD95、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA、CCR7、CD62L、及びTCF7を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD95、CD45RA、CCR7、CD62L、及びTCF7を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA、CCR7、CD62L、TCF7、及びCD27を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD95、CD45RA、CCR7、CD62L、TCF7、及びCD27を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA、CCR7、CD62L、TCF7、及びCD27を発現し、CD45ROを発現せず、またはCD45RO低である免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD95、CD45RA、CCR7、CD62L、TCF7、及びCD27を発現し、CD45ROを発現せず、またはCD45RO低である免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。
【0380】
いくつかの態様では、細胞組成物は、CD39及びCD69を発現しない免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD8を発現し、CD39及びCD69を発現しない免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約40%はCD39-/CD69-T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%は、CD39-/CD69-T細胞である。
【0381】
いくつかの態様では、細胞組成物は、(i)1以上の幹細胞様マーカー及び(ii)1以上のエフェクター様マーカーの双方を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、少なくとも2つの幹細胞様マーカー及び1以上のエフェクター様マーカーを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、少なくとも3つの幹細胞様マーカー及び1以上のエフェクター様マーカーを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、少なくとも4つの幹細胞様マーカー及び1以上のエフェクター様マーカーを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、1以上の幹細胞様マーカー及び少なくとも2つのエフェクター様マーカーを発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。
【0382】
いくつかの態様では、幹細胞様マーカーはCD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、幹細胞様マーカーはCD45RA+、CD62L+、CCR7+、及びTCF7+、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、細胞はCD45RO低を発現する。いくつかの態様では、幹細胞様マーカーは遺伝子シグネチャの一部として本明細書で列挙される1以上の遺伝子を含む(上記を参照のこと;例えば、Gattinoni,L.,et al.,Nat.Med.17(10):1290-97(2011)またはGalletti et al.Nat.Immunol.21,1552-62(2020)を参照のこと)。
【0383】
いくつかの態様では、幹細胞様マーカーはWNTシグナル伝達経路にて発現する遺伝子を含む。いくつかの態様では、幹細胞様マーカーは、GNG2、PSMC3、PSMB10、PSMC5、PSMB8、PSMB9、AKT1、MYC、CLTB、PSME1、DVL2、PFN1、H2AFJ、LEF1、CTBP1、MOV10、HIST1H2BD、FZD3、ITPR3、PARD6A、LRP5、HIST2H4A、HIST2H3C、HIST1H2AD、HIST2H2BE、HIST3H2BB、DACT1、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む。いくつかの態様では、幹細胞様マーカーは、MYC、AKT1、LEF1、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む。
【0384】
いくつかの態様では、エフェクター様マーカーは、pSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、STAT3+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、エフェクター様マーカーはAKT1、AKT2、AKT3、BCL2L1、CBL、CBLB、CBLC、CCND1、CCND2、CCND3、CISH、CLCF1、CNTF、CNTFR、CREBBP、CRLF2、CSF2、CSF2RA、CSF2RB、CSF3、CSF3R、CSH1、CTF1、EP300、EPO、EPOR、GH1、GH2、GHR、GRB2、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNGR1、IFNGR2、IFNK、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IFNLR1、IFNW1、IL10、IL10RA、IL10RB、IL11、IL11RA、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL12RB2、IL13、IL13RA1、IL13RA2、IL15、IL15RA、IL19、IL2、IL20、IL20RA、IL20RB、IL21、IL21R、IL22、IL22RA1、IL22RA2、IL23A、IL23R、IL24、IL26、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL3RA、IL4、IL4R、IL5、IL5RA、IL6、IL6R、IL6ST、IL7、IL7R、IL9、IL9R、IRF9、JAK1、JAK2、JAK3、LEP、LEPR、LIF、LIFR、MPL、MYC、OSM、OSMR、PIAS1、PIAS2、PIAS3、PIAS4、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIK3R5、PIM1、PRL、PRLR、PTPN11、PTPN6、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOCS4、SOCS5、SOCS7、SOS1、SOS2、SPRED1、SPRED2、SPRY1、SPRY2、SPRY3、SPRY4、STAM、STAM2、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、TPO、TSLP、TYK2、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるSTAT標的を含む。
【0385】
いくつかの態様では、エフェクター様マーカーは、TBCD、ARL4C、KLF6、LPGAT1、LPIN2、WDFY1、PCBP4、PIK343、FAS、LLGL2、PPP2R2B、TTC39C、GGA2、LRP8、PMAIP1、MVD、IL15RA、FHOD1、EML4、PEA15、PLEKHA5、WSB2、PAM、CD68、MSC、TLR3、S1PR5、KLRB1、CYTH3、RAB27B、SCD5、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含むエフェクターメモリー関連遺伝子である。いくつかの態様では、エフェクター様マーカーは、KLF6、FAS、KLRB1、TLR3、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む。
【0386】
いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA+、STAT5+、及びSTAT3+である免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD62L+、STAT5+、及びSTAT3+である免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、TCF7+、STAT5+、及びSTAT3+である免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、STAT5+、及びSTAT3+である免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、pSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、及びSTAT3+である免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA+、CD45RO-、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、pSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、及びSTAT3+である免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合の増加を含む。
【0387】
いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、CD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上のマーカーと、pSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、STAT3+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上のマーカーとを含む。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はCD45RO低を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はCD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上のマーカーと、1以上のエフェクター様マーカーとを含む。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は1以上の幹細胞様マーカーと、pSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、STAT3+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上のマーカーとを含む。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はCD45RO低を発現する。
【0388】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞の集団を含む細胞組成物を対象とし、免疫細胞の集団は(i)1以上の幹細胞様マーカーを発現する免疫細胞(例えば、幹細胞様免疫細胞)の第1の亜集団及び(ii)1以上のエフェクター様マーカーを発現する免疫細胞(例えば、エフェクター様免疫細胞)の第2の亜集団を含み、免疫細胞の集団は、従来の培地、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地を使用して培養した免疫細胞の集団と比べて、1以上の幹細胞様マーカーを発現する、高い割合(すなわち、幹細胞様免疫細胞の数/免疫細胞の総数)の免疫細胞の第1の亜集団を含む。いくつかの態様では、免疫細胞はT細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞はこれらの細胞組成物をもたらす。
【0389】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は増加した発現を有し、例えば、GZMB、MHC-II、LAG3、TIGIT、及び/またはNKG7を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合がさらに高く、且つ低下した発現を有し、例えば、IL-32を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の割合がさらに低い。NKG7について最も高い細胞はさらに良好な殺傷体であることが示されている(Malarkannan et al.2020,Nat.Immuno.)のに対して、IL-32がさらに高い細胞は、活性化誘導細胞死を有することが示されている(Goda et al.,2006,Int.Immunol)。いくつかの態様では、GZMB、MHC-II、LAG3、TIGIT、及び/またはNKG7のさらに高い発現を有する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、エフェクター様マーカーを発現するCD8+T細胞である。いくつかの態様では、IL-32のさらに低い発現を有する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、エフェクター様マーカーを発現するCD8+T細胞である。
【0390】
いくつかの態様では、細胞組成物は1以上の免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILを含み、これらは遺伝子操作される。いくつかの態様では、細胞組成物は、1以上の免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILを含み、これらはキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作される。本明細書、例えば、上記節II.G.1.に開示される任意のCARが、細胞組成物の細胞に使用され得る。
【0391】
いくつかの態様では、細胞組成物は1以上の免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILを含み、これらはT細胞受容体(TCR)、例えば、操作されたTCRを発現するように操作される。本明細書で、例えば、以下の節II.C.2に開示されている任意のTCRは細胞組成物の細胞にて使用され得る。
【0392】
いくつかの態様では、細胞組成物は1以上の免疫細胞、例えば、T細胞、NK細胞、及び/またはTILを含み、これらはTCRmを発現するように操作される。本明細書で、例えば、以下の節II.C.3に開示されている任意のTCRmは細胞組成物の細胞にて使用され得る。
【0393】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物(例えば、療法として使用するための最終細胞製剤の収量)は、少なくとも約1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、または5×109の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約1×103、5×103、1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、または5×109の幹細胞様細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、10×1010、11×1010、12×1010、13×1010、14×1010、または15×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約1×106の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約1×106の幹細胞様細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約1×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約2×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約3×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約4×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約5×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約6×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約7×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約8×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約9×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約10×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約11×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約12×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約13×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約14×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約15×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、細胞収量はCD3+細胞の総数を表す。
【0394】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、本開示の培地での培養の少なくとも約10日目までに少なくとも約1×1010、少なくとも約1.1×1010、少なくとも約1.2×1010、少なくとも約1.3×1010、少なくとも約1.4×1010、少なくとも約1.5×1010、少なくとも約1.6×1010、少なくとも約1.7×1010、少なくとも約1.8×1010、少なくとも約1.9×1010、または少なくとも約2.0×1010の細胞を含む組成物を生成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、本開示の培地での培養の少なくとも約10日目までに少なくとも約1.8×1010の細胞を含む組成物を生成する。
【0395】
いくつかの態様では、細胞組成物は少なくとも約1×1010、少なくとも約1.1×1010、少なくとも約1.2×1010、少なくとも約1.3×1010、少なくとも約1.4×1010、少なくとも約1.5×1010、少なくとも約1.6×1010、少なくとも約1.7×1010、少なくとも約1.8×1010、少なくとも約1.9×1010、または少なくとも約2.0×1010の幹細胞様細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、培養の少なくとも約10日目までに少なくとも約1×1010、少なくとも約1.1×1010、少なくとも約1.2×1010、少なくとも約1.3×1010、少なくとも約1.4×1010、少なくとも約1.5×1010、少なくとも約1.6×1010、少なくとも約1.7×1010、少なくとも約1.8×1010、少なくとも約1.9×1010、または少なくとも約2.0×1010の幹細胞様細胞を含む組成物を生成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、本開示の培地での培養の少なくとも約10日目までに少なくとも約1.8×1010の幹細胞様細胞を含む組成物を生成する。
【0396】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%生存率で免疫細胞を含む組成物を生成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、少なくとも約94%の細胞生存率で少なくとも約1.8×1010の幹細胞様細胞を含む組成物を生成する。
【0397】
IV.治療方法
本開示のいくつかの態様は、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にて)培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の集団を対象に投与することを含む、それを必要とする対象を治療する方法を対象とする。
【0398】
本開示はまた、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMより高い濃度のカリウムイオンを含む培地にて)培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の集団の有効量を投与することを含む、対象にて標的の細胞集団または組織に対するT細胞介在性の免疫応答を刺激する方法も提供する。
【0399】
本開示はまた、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にて)培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の集団を投与することを含む、それを必要とする対象にて抗腫瘍免疫を提供する方法も提供する。
【0400】
いくつかの態様では、投与される免疫細胞の集団はT細胞を含む。いくつかの態様では、T細胞は自家T細胞である。いくつかの態様では、T細胞は他家T細胞である。いくつかの態様では、T細胞は本明細書に記載されているようにCAR、すなわちCAR-T細胞を含む。いくつかの態様では、T細胞は本明細書に記載されているように異種TCRを含む。いくつかの態様では、T細胞は本明細書に記載されているように操作されたTCRを含む。いくつかの態様では、T細胞は本明細書に記載されているようにTCR模倣体を含む。
【0401】
いくつかの態様では、対象はがん、例えば腫瘍に罹患している。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団を投与すると、参照腫瘍体積と比べて対象における腫瘍体積が減少する。いくつかの態様では、参照腫瘍体積は、操作された細胞の投与前の対象における腫瘍体積である。さらなる態様では、参照腫瘍体積は、投与を受けなかった対応する対象における腫瘍体積である。いくつかの態様では、対象における腫瘍体積は、参照腫瘍体積と比べて投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少する。
【0402】
いくつかの態様では、腫瘍を治療することは、対象にて腫瘍重量を減らすことを含む。特定の態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団を投与することは、対象に投与されたときに対象にて腫瘍重量を減少させる。いくつかの態様では、腫瘍重量は、参照腫瘍重量と比べて投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少する。いくつかの態様では、参照腫瘍重量は、本開示の細胞の集団の投与前の対象における腫瘍重量である。さらなる態様では、参照腫瘍重量は、投与を受けなかった対応する対象における腫瘍重量である。
【0403】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団を、例えば腫瘍に罹患している対象に投与すると、対象の腫瘍及び/または腫瘍微小環境(TME)におけるTIL(例えば、CD4+またはCD8+)の数及び/または割合が増加する。特定の態様では、腫瘍及び/またはTMEにおけるTILの数及び/または割合は、参照値(例えば、本開示の細胞組成物を受けなかった対象または本開示の細胞組成物の投与前の同じ対象における対応する値)と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、もしくは少なくとも約300%またはそれを超えて増加する。
【0404】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団を、例えば腫瘍に罹患している対象に投与すると、従来の方法に従って調製された、例えば少なくとも50mMのカリウムイオン濃度を含まない培地にて培養された細胞を含む同様の細胞療法を投与された対象における免疫応答の持続時間と比べて、対象における免疫応答の持続時間を増加させることができる。特定の態様では、免疫応答の持続時間は、参照(例えば、従来の方法に従って調製された、例えば、少なくとも50mMのカリウムイオン濃度を含まない培地にて培養された細胞を含む同様の細胞療法を投与された対象)と比べて、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、もしくは少なくとも約1000%またはそれを超えて増加する。特定の態様では、免疫応答の持続時間は、参照(例えば、従来の方法に従って調製された、例えば、少なくとも50mMのカリウムイオン濃度を含まない培地にて培養された細胞を含む同様の細胞療法を投与された対象)と比べて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、もしくは少なくとも約10倍またはそれを超えて増加する。
【0405】
上記に加えて、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団を投与することは、腫瘍の治療に資する他の効果を有する。
【0406】
本明細書に記載されているように、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団は、種々のがん型、例えば、乳癌、頭頸部癌、子宮癌、脳腫瘍、皮膚癌、腎癌、肺癌、大腸癌、前立腺癌、肝臓癌、膀胱癌、腎臓癌、膵臓癌、甲状腺癌、食道癌、眼癌、胃(胃)癌、胃腸癌、卵巣癌、癌腫、肉腫、白血病、リンパ腫、骨髄腫、またはそれらの組み合わせを含むがんに由来する腫瘍を治療するのに使用することができる。
【0407】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団は、他の治療剤(例えば、抗がん剤及び/または免疫調節剤)と組み合わせて使用することができる。したがって、特定の態様では、本明細書に開示されている腫瘍を治療する方法は、本開示の免疫細胞の集団を1以上の追加の治療剤と併用して投与することを含む。
【0408】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団は、1以上の抗がん剤と組み合わせて使用されるので、免疫経路の複数の要素を標的とすることができる。いくつかの態様では、抗がん剤は、免疫チェックポイント阻害剤を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路を介するシグナル伝達を遮断する)。
【0409】
本発明の方法に使用され得る免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例は、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。いくつかの態様では、チェックポイント阻害剤はPD-1アンタゴニストである。いくつかの態様では、チェックポイント阻害剤は抗PD-1抗体である。いくつかの態様では、チェックポイント阻害剤は抗PD-L1抗体である。併用療法の包括的且つ非限定的なリストは本出願の他の箇所で詳細に開示されている。
【0410】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団は、追加の治療剤の投与の前または後に対象に投与される。他の態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞の集団は、追加の治療薬と同時に対象に投与される。特定の態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞の集団及び追加の治療剤は、薬学的に許容される担体における単一の組成物として同時に投与することができる。他の態様では、本開示の免疫細胞の集団及び追加の治療剤は別々の組成物として同時に投与される。
【0411】
いくつかの態様では、対象はラットまたはマウスのような非ヒト動物である。いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0412】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団は、他の治療剤(例えば、抗がん剤及び/または免疫調節剤)と組み合わせて使用される。したがって、特定の態様では、本明細書に開示されている腫瘍を治療する方法は、本開示の免疫細胞の集団を1以上の追加の治療剤と併用して対象に投与することを含む。そのような薬剤には、例えば、化学療法薬、標的抗がん療法、腫瘍溶解薬、細胞傷害剤、免疫に基づく療法、サイトカイン、外科処置、放射線処置、共刺激分子の活性化剤、免疫チェックポイント阻害剤、ワクチン、細胞免疫療法、またはそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0413】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団は、標準治療(例えば、手術、放射線療法、化学療法)と組み合わせて使用される。本明細書に記載されている方法は、維持療法、例えば、腫瘍の発生または再発を防止することを目的とした療法としても使用され得る。
【0414】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にてPCSに免疫細胞を接触させることによって)培養された免疫細胞の集団は、1以上の抗がん剤と組み合わせて使用されるので、免疫経路の複数の要素を標的とすることができる。そのような組み合わせの非限定的なものには、腫瘍抗原提示を増強する療法(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、イミキモド);例えば、CTLA-4及び/またはPD-1/PD-L1/PD-L2の経路の阻害、及び/またはTregもしくは他の免疫抑制細胞(例えば、骨髄系由来サプレッサー細胞)の枯渇もしくは遮断によって負の免疫制御を阻害する療法;例えば、CD-137、OX-40、及び/またはCD40もしくはGITRの経路を刺激する、及び/またはT細胞エフェクター機能を刺激するアゴニストを用いた、正の免疫制御を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の発生頻度を全身性に増加させる療法;例えば、CD25のアンタゴニスト(例えば、ダクリズマブ)を使用して、または生体外抗CD25ビーズ枯渇によって腫瘍中のTregのようなTregを枯渇させる、または阻害する療法;腫瘍中のサプレッサー骨髄細胞の機能に影響を与える療法;腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えば、アントラサイクリン);遺伝子操作細胞、例えば、キメラ抗原受容体を発現するように操作された細胞(CAR-T療法)を含む養子T細胞またはNK細胞の移入;代謝酵素、例えば、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、または一酸化窒素合成酵素を阻害する療法;T細胞のアネルギーまたは疲弊を元に戻す/防止する療法;腫瘍部位の自然免疫活性化及び/または炎症を誘発する療法;免疫刺激性サイトカインの投与;免疫抑制サイトカインの遮断;あるいはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0415】
いくつかの態様では、抗がん剤は、免疫チェックポイント阻害剤を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路を介するシグナル伝達を遮断する)。本発明の方法に使用され得る免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例は、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。そのような免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例には、抗PD1抗体(例えば、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、MK-3475)、ピディリズマブ(CT-011)、PDR001、MEDI0680(AMP-514)、TSR-042、REGN2810、JS001、AMP-224(GSK-2661380)、PF-06801591、BGB-A317、BI 754091、SHR-1210、及びそれらの組み合わせ)、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、RG7446、MPDL3280A、RO5541267)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI(登録商標))、BMS-936559、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、LY3300054、CX-072(プロクライム-CX-072)、FAZ053、KN035、MDX-1105、及びそれらの組み合わせ)、ならびに抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、トレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675,206)、AGEN-1884、ATOR-1015、及びそれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0416】
いくつかの態様では、抗がん剤は、免疫チェックポイント活性剤を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路を介するシグナル伝達を促進する)。特定の態様では、免疫チェックポイント活性剤は、OX40アゴニスト(例えば、抗OX40抗体)、LAG-3アゴニスト(例えば抗LAG-3抗体)、4-1BB(CD137)アゴニスト(例えば、抗CD137抗体)、GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、TIM3アゴニスト(例えば、抗TIM3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0417】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にて免疫細胞をPCSに接触させることによって)に従って培養された免疫細胞の集団は、追加の治療剤の投与の前または後に対象に投与される。他の態様では、本明細書に開示されている免疫細胞の集団は、追加の治療剤と同時に対象に投与される。特定の態様では、本明細書に開示されている免疫細胞の集団及び追加の治療剤は、薬学的に許容される担体における単一の組成物として同時に投与され得る。他の態様では、本明細書に開示されている免疫細胞の集団及び追加の治療剤は、別の組成物として同時に投与される。いくつかの態様では、追加の治療剤及び本明細書に開示されている免疫細胞の集団は連続して投与される。
【0418】
本開示の特定の態様は、本明細書に開示されている方法のいずれかに従って培養した、例えば、Treg細胞を含む免疫細胞の集団を投与することを含む、自己免疫疾患を治療する方法を対象とする。本開示の他の態様は、本明細書に開示されている方法のいずれかに従って培養した、例えば、Treg細胞を含む免疫細胞の集団を投与することを含む、炎症病態を治療する方法を対象とする。いくつかの態様では、炎症病態はサイトカイン放出症候群を含む。いくつかの態様では、炎症病態は敗血症を含む。いくつかの態様では、炎症病態は移植片対宿主病を含む。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、Treg細胞は操作される。
【実施例】
【0419】
実施例1.
MRMでの生成中にPCS製剤の抗CD3/28密度が抗ROR1 CAR T細胞の増殖に及ぼす影響を評価するために、表1に従ってPCS製剤の以下の抗CD3/28密度を調製した。
【表1】
【0420】
MRMにおけるさまざまな抗CD3/28密度(0.1%~1%、表1)を含むTRANSACT(商標)またはPCS製剤を使用して、健康なドナーT細胞を活性化した。T細胞にR12構築物で形質導入し、MRMにて8日間培養した。8日目にT細胞を数え、0日目からの総増殖量を決定した(
図1)。すべてのPCS活性化T細胞製剤は、TRANSACT(商標)活性化T細胞製剤と比べて、さらに高い増殖を示した。低密度PCS製剤では、TRANSACT(商標)の活性化と比べて2~3倍多くの細胞が生成された。MRMで生成されたPCS製剤では、抗CD3/28密度が高いほど、密度依存性にT細胞の増殖が減少した。
【0421】
実施例2.
MRMにおける抗ROR1 CAR-T細胞製剤にてPCSの抗CD3/CD28密度がCD4のCD8に対する比に与える影響を評価するために、TRANSACT(商標)またはさまざまな抗CD3/28密度(0.1%~1%、表1)を持つPCS製剤を使用して健康なドナーT細胞を活性化した。T細胞にR12構築物で形質導入し(例えば、Hudecek et al.Clin.Cancer Res.19.12(2013):3153-64を参照のこと)、MRMにて8日間培養した。8日目に、T細胞の表現型と幹細胞性に関連する表面マーカーについてT細胞製剤を染色した。CD4陽性T細胞のCD8陽性T細胞に対する比を測定した(
図2)。すべてのPCS活性化T細胞製剤はTRANSACT(商標)活性化T細胞製剤と比べて、さらに強いCD4への偏りを示した。PCS製剤の中で、0.3%抗CD3/28(PCS-2)は最も高いCD4への偏りを示し、これは抗CD3/28密度の増加とともに減少した。0.75%及び1%というさらに高い密度では、CD4への偏りはさらに低い密度よりも大幅に減少し、TRANSACT(商標)製剤とさらに同等だった。これらのデータは、PCSがMRMの背景でCD4とCD8の比を調整する能力を有することを示した。
【0422】
実施例3.
MRMでの抗ROR1 CAR T細胞製剤における「幹細胞様」T細胞を濃縮できるPCS製剤上の抗CD3/CD28密度の最適範囲を決定するために、TRANSACT(商標)または抗CD3/28密度の異なる(0.1%~1%、表1)PCS製剤のいずれかを使用して健康なドナーのT細胞を活性化した。T細胞にR12構築物で形質導入し、MRMにて8日間培養した。8日目に、T細胞の表現型と幹細胞性に関連する表面マーカーについてT細胞製剤を染色した。
【0423】
全体的に、0.3%及び0.5%の密度のPCS製剤(それぞれPCS-2及びPCS-3)は、TRANSACT(商標)製剤と比べて、「幹細胞様」T細胞の濃縮がさらに顕著だった(
図3A)。PCS製剤内を見ると、0.3%~0.5%の密度(それぞれPCS-2とPCS-3)は、他の密度と比べて「幹細胞様」T細胞の最も高い濃縮を示した。これらの観察結果はCD4(
図3B)及びCD8(
図3C)の集団でも同様に示された。
【0424】
さらに、製剤における「幹細胞様」T細胞を特定するためのさらに厳密な表面マーカーパネルを使用して追加の健康なドナー(n=5)にて0.3%及び0.5%の抗CD3/28密度(それぞれPCS-2及びPCS-3)のPCS製剤を評価した。双方のPCS製剤(PCS-2及びPCS-3)はTRANSACT(商標)製剤と比べて、幹細胞様T細胞の濃縮がさらに強く見られた。具体的には、PCS-2は5名のドナー全員でさらに強い濃縮を示し、PCS-3は5名中4名のドナーでさらに強い濃縮を示した(
図4)。まとめると、これらのデータは、PCSがMRMとの相乗効果を発揮してT細胞の幹細胞性を高めることができることを示唆している。
【0425】
実施例4.
PCSを組み合わせた代謝再プログラミング培地を含む条件がT細胞に与える影響をさらに評価するために、TRANSACT(商標)または0.3%または0.5%の抗CD3/28密度(それぞれPCS-2及びPCS-3)のPCS製剤を使用して健康なドナーT細胞を活性化した。T細胞にR12構築物で形質導入し、MRMにて7日間培養した。7日目にT細胞製剤を凍結保存した。その後、T細胞を解凍し、標的刺激に応答してサイトカイン発現を上方調節する能力を評価した。
【0426】
T細胞の機能性は、標的刺激に反応してIL-2及びIFNgを発現する能力として説明することができる。
図5Aは、細胞内IL-2及びIFN-γ(IFNg)の代表的なフローサイトメトリーのプロットと、細胞内サイトカイン解析用のゲートかけ戦略を示す。T細胞について、最初にEGFR+CD45+CD3+T CAR-Tの生細胞にゲートをかけ、その後IFNg及びIL-2の発現にゲートをかけた。0.5%抗CD3/28(PCS-3)のPCS製剤は、調べたすべてのドナーにてTRANSACT(商標)製剤と比べて優れた多機能性(IFN+及びIL2+)を示した(
図5B)。PCS-3を使用したPCS製剤もまた、TRANSACT(商標)製剤と比べて、さらに高いIL2+単独(
図5C)及び同等のIFNg+単独(
図5D)のT細胞を示した。その結果、PCS-3を使用したPCS製剤は、機能性ではないT細胞、つまりIL2もIFNgも発現しないT細胞が最も少ないことを示した(
図5E)。まとめると、これらのデータは、PCSがMRMとの相乗効果を発揮してさらに多機能性のCAR T細胞を生成できることを示唆している。
【0427】
実施例5.
PCSで生成されたCAR-T細胞による標的クリアランスを試験管内で評価するために、TRANSACT(商標)または0.3%または0.5%の抗CD3/28密度(それぞれPCS-2及びPCS-3)のPCS製剤のいずれかを使用して健康なドナーT細胞を活性化した(
図6A-6C)。別の試験では、TRANSACT(商標)または0.5%、0.75%、または1%の抗CD3/28密度(それぞれPCS-3、PCS-4、及びPCS-5)のPCS製剤のいずれかを使用して健康なドナーT細胞を活性化した(
図6D~6F)。T細胞にR12構築物で形質導入し、MRMにて7日間培養した。7日目にT細胞製剤を凍結保存した。その後、T細胞を解凍し、順次刺激アッセイを使用して標的細胞を繰り返し殺傷する能力について評価した。手短には、凍結保存されたT細胞を解凍し、静置したのち、Full RP10培地に再浮遊させた。T細胞を数えた。平底96ウェルプレートにて4,000のEGFR+CAR T細胞を1:5E:Tで20,000のROR1+標的(H1975)と共培養した。3~4日ごとに、以前の培養物の25%を新しいプレートに移し、新しい標的を最初の播種密度で播いた。これとは別に、3~4日ごとにフローサイトメトリーを使用してEGFR+CAR T細胞の数を測定した。標的クリアランスはINCUCYTE(登録商標)を使用して定量した。
【0428】
双方の試験にて、0.5%抗CD3/28密度でのPCS(PCS-3)は、3/3のドナーにてTRANSACT(商標)製剤と比べてさらに良好な持続的標的クリアランスを示した(
図6A-6F)。0.5%抗CD3/28密度でのPCSは、TRANSACT(商標)製剤に匹敵した0.3%抗CD3/28密度よりも良好な標的クリアランスを示した(
図6A-6C)。0.5%抗CD3/28密度でのPCSは、双方ともTRANSACT(商標)製剤よりも優れた性能を示した0.75%及び1%の製剤よりも良好な標的クリアランスも示した(
図6D-6F)。まとめると、これら試験は、PCSがMRMとの相乗効果を発揮して高度に機能的に強力なCAR-T細胞を生成できることを示唆している。
【0429】
実施例6.
PCS製剤はCAR-T細胞が介在する標的クリアランスに優れた効力を示すことをさらに検証するために、TRANSACT(商標)または0.5%抗CD3/28密度でのPCS(PCS-3)を使用して健康なドナーT細胞を活性化した。T細胞にR12構築物で形質導入し、MRMにて7日間培養した。7日目に、T細胞製剤ができた。
【0430】
実施例5では、PCS製剤はTRANSACT(商標)製剤と比べて優れた反復標的クリアランスを示した。その後、CAR-T細胞はストレス試験を受け、短期的な効力を評価した。これを実行するために、T細胞を解凍し、低いエフェクター対標的比(E:T)で標的と共に、以下に手短に記載されているように共培養した:凍結保存したT細胞を解凍し、静置したのち、Full RP10培地に再浮遊させた。T細胞を数えた。ウェルあたり20,000のNLR+ROR1+標的細胞(NLR+H1975)を平底96ウェルプレートに播き、T細胞を加える前に2時間接着させた。次に、EGFR+CAR T細胞を1:125(T細胞1に対して標的細胞125、E:T)で合計200ulの培地にてNLR+H1975標的に加え、INCUCYTE(登録商標)に移した。少なくとも2回の反復を使用した。標的クリアランスはINCUCYTE(登録商標)を使用して4日間にわたって定量した。
【0431】
実施例5で実証されたものと一致して、PCS CAR-T製剤は、2/3のドナーにてTRANSACT(商標)製剤と比べて優れた短期効力を示した(
図7A-7B)。他のドナーでは、PCS製剤はTRANSACT(商標)プロセスと同様の性能を示した(
図7C)。
【0432】
PCS製剤が順次刺激アッセイで優れた標的クリアランスを示したという観察と一致して、PCS T細胞は3/3のドナーにてTransAct製剤と比べて経時的にさらに急速な増殖も示した(
図8A-8C)。
【0433】
実施例7.
PCS+MRMで培養されたT細胞がTRANSACT(商標)+MRMまたはTRANSACT(商標)+TCMと比べて優れた増殖を示すかどうかを判定するために、MRMにおけるTRANSACT(商標)またはさまざまな抗CD3/28密度(0.1%~0.3%)のPCS製剤を使用して健康なドナーT細胞を活性化した。T細胞にR12構築物で形質導入し、TCM(約5mMのカリウムイオンを含む対照T細胞培地)またはMRMにて8日間培養した。8日目にT細胞を数え、0日目からの総増殖量を決定した(
図9)。TRANSACT(商標)+MRMで生成されたT細胞は、TRANSACT(商標)+TCMと比べてわずかに増殖が減少した。一方、PCS+MRMで生成されたT細胞は、TCMまたはMRMでのTRANSACT(商標)活性化T細胞製剤と比べて、さらに高い増殖を示した。
【0434】
実施例8.
PCS+MRMで培養されたT細胞が、TRANSACT(商標)+MRMまたはTRANSACT(商標)+TCMと比べて、抗ROR1 CAR T細胞製剤にて「幹細胞様」集団の増加を示すかどうかを判定するために、TCMにてTRANSACT(商標)、MRMにてTRANSACT(商標)、またはMRMにてさまざまな抗CD3/28密度のPCS製剤を使用して健康なドナーT細胞を活性化し、培養した。T細胞にR12構築物で形質導入し、TCMまたはMRMにて8日間培養した。実施例3に記載されているように、8日目にT細胞の表現型と幹細胞性に関連する表面マーカーについてT細胞製剤を染色した。
【0435】
調べた3名のドナーのうち3名にて、TRANSACT(商標)+MRM製剤はTRANSACT(商標)+TCMと比べて「幹細胞様」T細胞集団が多いことが示された。PCS+MRM製剤はさらに、TRANSACT(商標)+MRM製剤よりも「幹細胞様」T細胞集団の濃縮を示した(
図10)。これらのデータは、PCS+MRMがTRANSACT(商標)及びMRM対照よりも少なくとも追加的な利点を示すことを示唆している。
【0436】
実施例9.
PCS+MRMが標的刺激に応答して多機能性CAR-T細胞の増強を示すかどうかを評価するために、TCMにてTRANSACT(商標)、MRMにてTRANSACT(商標)、またはMRMにて0.5%抗CD3/28密度のPCS(PCS-3)を使用して1Mスケールで健康なドナーT細胞を活性化し、培養した。T細胞にR12構築物で形質導入し、TCMまたはMRMにて7日間培養した。7日目にT細胞製剤を凍結保存した。その後、T細胞を解凍し、標的刺激に応答してサイトカイン発現を上方調節する能力を評価した。
【0437】
T細胞の機能性は、標的刺激に応答してIL-2及びIFNgを発現する能力として説明することができ(
図5A)、T細胞の多機能性は臨床結果との正の相関関係に関与している。TRANSACT(商標)+MRM製剤は、TRANSACT(商標)+TCM製剤よりも高い多機能性(IFN+及びIL-2+)を示した。さらに、PCS+MRM製剤はTRANSACT(商標)+MRM製剤よりも高い多機能性を示した(
図11A)。逆に、PCS+MRM製剤は、TRANSACT(商標)+MRM製剤及びTRANSACT(商標)+TCM製剤と比べて段階的に「機能性ではない」T細胞(IFN-及びIL-2)が最も少ないことを示した(
図11B)。
【0438】
実施例10.
PCS+MRMが試験管内でCAR-T細胞による持続的な標的クリアランスの増強を示すかどうかを評価するために、TCMにてTRANSACT(商標)、MRMにてTRANSACT(商標)、またはMRMにて0.5%抗CD3/28密度のPCS(PCS-3)を使用して1Mスケールで健康なドナーT細胞を活性化し、培養した。T細胞にR12構築物で形質導入し、TCMまたはMRMにて7日間培養した。7日目にT細胞製剤を凍結保存した。その後、T細胞を解凍し、順次刺激アッセイ及び連続刺激アッセイを使用して標的細胞を繰り返し殺傷する能力について評価した。順次刺激アッセイの目的は、T細胞集団全体の機能的効力を評価することであるのに対して、連続刺激アッセイの目的は、個々のT細胞の効力を経時的に評価することである。順次刺激アッセイは以下のように実施した。凍結保存されたT細胞を解凍し、静置したのち、Full RP10培地に再浮遊させた。T細胞を数えた。連続刺激プレートでは、エフェクター:標的比1:5にてEGFR+CAR T細胞をROR1+標的(H1975)とともに共培養した。細胞数は培養容器のサイズを使用して決定した。これとは別に、標的クリアランスの可視化と定量に使用されたINCUCYTE(登録商標)プレートでは、平底96ウェルプレートにて4,000のEGFR+CAR T細胞を20,000のROR1+標的(H1975)とともに1:5E:Tで共培養した。3~4日ごとに、フローサイトメトリーを使用して連続刺激プレートでのEGFR+CAR T細胞の数を測定した。連続刺激プレートにてエフェクター:標的比1:5(E:Tを再設定)でEGFR+CAR T細胞とともに新鮮な標的細胞を再び播いた。これとは別に、INCUCYTE(登録商標)分析のために平底96ウェルプレートにて1:5E:Tで4,000の連続刺激を受けたCAR T細胞を20,000のROR1+標的(H1975)とともに共培養した。INCUCYTE(登録商標)を使用して標的クリアランスを定量した。
【0439】
調べた3名のドナーのうち3名では、順次刺激設定と連続刺激設定の双方にてTRANSACT(商標)+MRM製剤はTRANSACT(商標)+TCM製剤よりも性能が優れていた(
図12A~13C)。PCS+MRM製剤はさらに、3名のドナーのうち2名にて順次刺激アッセイでTRANSACT(商標)+MRMよりも優れた標的クリアランスを示し(
図12B~12C)、最後のドナーはTRANSACT(商標)+MRMと同等の効果を示した(
図12A)。連続刺激アッセイでは、PCS+MRM製剤は3名のドナーのうち3名にてTRANSACT(商標)+MRM製剤よりも優れた性能を示した(
図13A-13C)。
【0440】
実施例11.
MRM変形のPCSを評価するために、2つのPCS製剤(密度0.1%及び0.5%)、5つのMRM変形(MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、及び標準MRM)、及び1つのTCM培地を使用した。T細胞をいずれかのPCS製剤で刺激し、R12で形質導入し、TCM、MRM-1~MRM-4、または標準MRMにて培養した。MRM変形は、K+イオンとNaClの濃度のみが互いに異なる。KイオンレベルはMRM-1(最高K+イオンレベル)からMRM-4(最低K+イオンレベル)に低下する一方で、NaCl濃度はMRM-1(最低NaCl濃度)からMRM-4(最高NaCl濃度)に上昇した。刺激後の活性化、及び7日間の培養後の増殖と形質導入効率についてT細胞を分析した。
【0441】
健康なヒトドナーのCD4及びCD8T細胞を解凍し、一回洗浄し、あらかじめ温めておいたMRMに再浮遊させた。次に、CD4T細胞及びCD8T細胞を1:1の比で混合し、遠心分離して、それぞれの培地にて2e6の総T細胞/mlになるように再浮遊させた。
【0442】
2つの異なるPCS製剤の事前に凍結乾燥したPCS材料を完全TCMに再懸濁して10mg/mlにした。続いて、20ulのPCSと混合することによって1:1でのCD4:CD8の1e6のT細胞を活性化した。最後に、MOI7.5にてT細胞にR12構築物で形質導入し、72時間そのまま放置した。
【0443】
すべてIL2/7/15で補完した完全TCM、MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、または標準MRMにT細胞を播き、いずれかのPCS製剤を使用して刺激し、0日目に形質導入した。2日目に、すべてIL2/7/15で補完した完全TCM、MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、または標準MRMの5mlでのGRex24にT細胞を移した。5日目に、すべてIL2/7/15で補完した完全TCM、MRM-1、MRM-2、MRM-3、MRM-4、または標準MRMの合計15mlまたは20mlでのGRex6にT細胞を移した。2日目と7日目にT細胞を回収し、表現型分析を行った。
【0444】
T細胞生成の終了時にT細胞を数えた。フローサイトメトリー用に500,000のT細胞を回収した。表面抗体で4℃にて20分間、T細胞を染色した。細胞を洗浄し、BioRad ZE5またはCytek Auroraフローサイトメーターで可視化した。
【0445】
いずれかのPCS製剤で刺激したT細胞は、すべての培地製剤にて思い通りの活性化、増殖、及び形質導入を示した。いずれかのPCS製剤によるT細胞刺激の2日後に、種々のMRM製剤で培養されたT細胞は活性化マーカーCD25及びCD69の同様の発現を示し、双方のPCS製剤のすべての培地製剤でT細胞の活性化が上手く行った(
図14A-14B)。
【0446】
いずれかのPCS製剤によるT細胞刺激の7日後に、CellacaMXハイスループット自動カウンターで細胞を数えた。増殖は、7日目の生細胞の総数を0日目の生細胞の総数で割ることによって算出した。双方のPCS製剤のすべての培地製剤にてT細胞の増殖が上手く行った(
図14C-14D)。
【0447】
いずれかのPCS製剤によるT細胞刺激の7日後に、細胞を回収し、形質導入効率を評価した。死細胞は生存率色素を使用して分析から除外した。形質導入したT細胞は、CD3+EGFR+であるT細胞として定義された。双方のPCS製剤のすべての培地製剤で、T細胞の形質導入が上手く行った(
図14E~14F)。
***
【0448】
発明を実施するための形態節は、特許請求の範囲を解釈するために使用されることを意図し、発明の概要及び要約節はそれを意図しないと理解されるべきである。明の概要及び要約節は、本発明者ら(複数可)によって企図されるような本開示の、全てではないが1以上の例示的な実施形態を記載する場合があり、したがって、本開示及び添付の特許請求の範囲を決して限定することを意図するものではない。
【0449】
本開示は、特定の機能及びそれらの関係性の実施を示す機能的構成要素を使用して上に記載されている。これらの機能的構成要素の境界は、記載の便宜上、本明細書では任意に定義されている。特定の機能及びそれらの関係性が適切に実施されている限り、別の境界が定義され得る。
【0450】
特定の実施形態の前述した記載は、本開示の一般的性質を完全に明らかにすることになるため、他者が、当業者の技能範囲内の知識を適用することによって、本開示の一般概念から逸脱することなく、そのような特定の実施形態を様々な用途に合わせて過度な実験を行うことなく、容易に修正及び/または適合させ得る。したがって、そのような適合及び修正は、本明細書に提示される教示及び指針に基づいて、開示される実施形態と同等の意味及び範囲内にあることを意図する。本明細書の表現または用語は、制限ではなく説明を目的としており、そのため本明細書の用語または表現は、当業者によって教示及び指針に照らして解釈されると理解されるべきである。
【0451】
本開示の幅及び範囲は、上述した例示的な実施形態のいずれかによって限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲及びそれらの均等物に従ってのみ定義されるべきである。
【0452】
本出願全体を通して引用されるすべての引用参考文献(参考文献、米国または外国特許または特許出願、及びウェブサイトを含む)の内容は、任意の目的のためにそれらの全体が本明細書に記載されているものとして、そこで引用される参考文献も同様に、参照により明示的に本明細書に組み込まれる。何らかの矛盾が生じた場合、本明細書に文章で開示される内容が優先する。
【国際調査報告】