(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】c-Junを発現する細胞を培養するための方法
(51)【国際特許分類】
C12N 5/0789 20100101AFI20241024BHJP
C12N 5/078 20100101ALI20241024BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/09 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20241024BHJP
C12N 9/14 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/52 20060101ALI20241024BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/63 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20241024BHJP
C12N 15/85 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/861 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/867 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/869 20060101ALI20241024BHJP
C12N 15/864 20060101ALI20241024BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20241024BHJP
A61K 35/17 20150101ALI20241024BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20241024BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20241024BHJP
A61K 47/68 20170101ALN20241024BHJP
A61K 39/395 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C12N5/0789
C12N5/078 ZNA
C12N5/10
C12N15/09 110
C12N15/12
C12N9/14
C12N15/52 Z
C07K19/00
C12N15/62 Z
C12N15/63 Z
C12N15/113 Z
C12N15/85 Z
C12N15/861 Z
C12N15/867 Z
C12N15/869 Z
C12N15/864 100P
A61P35/00
A61K35/17
A61K48/00
A61P37/04
A61K47/68
A61K39/395 T
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525403
(86)(22)【出願日】2022-10-27
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022078825
(87)【国際公開番号】W WO2023077032
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522421853
【氏名又は名称】ライエル・イミュノファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】LYELL IMMUNOPHARMA, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100138911
【氏名又は名称】櫻井 陽子
(72)【発明者】
【氏名】ボドナラ,スマン クマール
(72)【発明者】
【氏名】クリシナムーアスィー,ヴィーナ
(72)【発明者】
【氏名】パーク,スペンサー
(72)【発明者】
【氏名】ボン,クイニー
(72)【発明者】
【氏名】セイザー,ブライス
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
4C085
4C087
4H045
【Fターム(参考)】
4B065AA93X
4B065AA94X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA02
4B065BB02
4B065BB15
4B065BB19
4B065BC01
4B065BD22
4B065BD36
4B065BD39
4B065CA24
4B065CA44
4C076AA95
4C076CC07
4C076CC27
4C076CC41
4C076EE59
4C084AA13
4C084NA05
4C084NA13
4C084ZB021
4C084ZB091
4C084ZB261
4C085AA14
4C085BB01
4C085BB12
4C085BB50
4C085CC03
4C085CC31
4C085DD62
4C085EE01
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA03
4C087BB37
4C087CA04
4C087NA05
4C087NA13
4C087ZB02
4C087ZB09
4C087ZB26
4H045AA10
4H045AA30
4H045BA09
4H045BA41
4H045DA50
4H045EA20
4H045FA74
(57)【要約】
少なくとも約5mMのカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養する方法が、本明細書で開示され、培地は、免疫細胞の幹細胞性を増加させることができる。いくつかの態様では、本明細書に提供されている方法を使用して培養される免疫細胞は、c-Junを過剰発現するように改変されており、及び/またはリガンド結合タンパク質をコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、免疫細胞は投与を必要とする対象に投与される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エクスビボ培養またはインビトロ培養の間に免疫細胞の幹細胞性を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養することを含み、前記免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、前記方法。
【請求項2】
エクスビボ培養またはインビトロ培養の間に免疫細胞の収率を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養することを含み、前記免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、前記方法。
【請求項3】
免疫療法のための免疫細胞の集団を調製する方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養することを含み、前記免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、前記方法。
【請求項4】
免疫療法のためのエクスビボ培養またはインビトロ培養の間に免疫細胞の収率を増加させながら、免疫細胞の幹細胞性を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養することを含み、前記免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、前記方法。
【請求項5】
エクスビボまたはインビトロで幹様免疫細胞の集団を増殖させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養することを含み、前記免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、前記方法。
【請求項6】
抗原刺激に応答した免疫細胞によるサイトカインの産生を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において前記免疫細胞を培養することを含み、前記免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、前記方法。
【請求項7】
前記サイトカインがIL-2を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記培養の後、参照免疫細胞と比べて、前記抗原刺激に応答した前記サイトカインの前記産生が、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加する、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記参照免疫細胞が、(i)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されており、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、(ii)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地で培養されているか、(iii)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、対応する免疫細胞を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
持続的抗原刺激に応答した免疫細胞のエフェクター機能を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において前記免疫細胞を培養することを含み、前記免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、前記方法。
【請求項11】
前記免疫細胞が、参照免疫細胞と比べて、抗原刺激アッセイの少なくとも1回、少なくとも2回、または少なくとも3回の追加の回の間、エフェクター機能を保持する、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記エフェクター機能が、(i)標的細胞(例えば、腫瘍細胞)を殺傷するか、(ii)更なる抗原刺激時にサイトカインを産生するか、または(iii)(i)と(ii)との双方の能力を含む、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記サイトカインがIFN-γを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記培養の後、持続的抗原刺激に応答した前記免疫細胞の前記エフェクター機能が、参照免疫細胞と比べて、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加する、請求項10~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記参照免疫細胞が、(i)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されており、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、(ii)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地で培養されているか、(iii)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、対応する免疫細胞を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記免疫細胞が、改変後、前記免疫細胞が前記対応する免疫細胞と比べて、前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するような、前記c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドで改変されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記c-Junポリペプチドが、前記免疫細胞に対して内在性であり、前記免疫細胞が、内在性c-Junポリペプチドの発現を増加させることができる転写活性化因子で改変されている、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記転写活性化因子が、エンドヌクレアーゼ活性を欠くように改変されているCasタンパク質に結合される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
免疫細胞におけるc-Junポリペプチドの発現を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において、前記c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドで免疫細胞を改変することを含み、前記改変後、前記免疫細胞における前記c-Junポリペプチドの前記発現が、参照細胞と比べて増加する、前記方法。
【請求項20】
前記参照細胞が、(i)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されており、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、(ii)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地で培養されているか、(iii)前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、対応する免疫細胞を含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記c-Junポリペプチドの前記発現が、前記参照細胞と比べて、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加する、請求項19または20に記載の方法。
【請求項22】
免疫療法のためにエクスビボまたはインビトロで免疫細胞を調製する方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドで免疫細胞を改変することを含む、前記方法。
【請求項23】
免疫療法のためにエクスビボまたはインビトロで免疫細胞を調製する方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において、前記内在性c-Junポリペプチドの前記発現を増加させることができる転写活性化因子で免疫細胞を改変することを含む、前記方法。
【請求項24】
前記転写活性化因子が、エンドヌクレアーゼ活性を欠くように改変されているCasタンパク質に結合される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記c-Junポリペプチドが、配列番号13に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記c-Junポリペプチドをコードする前記外来性ポリヌクレオチドが、
a.配列番号1に示される核酸配列に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
b.配列番号2に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
c.配列番号4に示される核酸配列に対して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
d.配列番号5に示される核酸配列に対して少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
e.配列番号6に示される核酸配列に対して少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
f.配列番号7に示される核酸配列に対して少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
g.配列番号8に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、
h.配列番号9に示される核酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、または
i.配列番号10に示される核酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項16、19、22、及び25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記外来性ポリヌクレオチドが、前記配列番号1に示される核酸配列に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号1に示される核酸配列を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記外来性ポリヌクレオチドが、前記配列番号2に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号2に示される核酸配列を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記外来性ポリヌクレオチドが、前記配列番号4に示される核酸配列に対して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号4に示される核酸配列を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記外来性ポリヌクレオチドが、前記配列番号5に示される核酸配列に対して少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号5に示される核酸配列を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記外来性ポリヌクレオチドが、配列番号6に示される核酸配列に対して少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号6に示される核酸配列を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項37】
前記外来性ポリヌクレオチドが、前記配列番号7に示される核酸配列に対して少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号7に示される核酸配列を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記外来性ポリヌクレオチドが、前記配列番号8に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号8に示される核酸配列を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記外来性ポリヌクレオチドが、前記配列番号9に示される核酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号9に示される核酸配列を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記外来性ポリヌクレオチドが、前記配列番号10に示される核酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
前記ヌクレオチド配列が、前記配列番号10に示される核酸配列を含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記免疫細胞が、リガンド結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を更に含む、請求項1~44のいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記リガンド結合タンパク質が、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)、キメラシグナル伝達受容体(CSR)、T細胞受容体模倣体(TCR模倣体)、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記CARが、標準的CAR、スプリットCAR、オフスイッチCAR、オンスイッチCAR、第一世代CAR、第二世代CAR、第三世代CAR、または第四世代CARとして設計される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記リガンド結合タンパク質が、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの組み合わせを含む、請求項45~47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記抗原結合ドメインが、AFP(アルファ-フェトプロテイン)、αvβ6または別のインテグリン、BCMA、Braf、B7-H3、B7-H6、CA9(炭酸脱水酵素9)、CCL-1(C-Cモチーフケモカインリガンド1)、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD45、CD47、CD56、CD66e、CD70、CD74、CD79a、CD79b、CD98、CD123、CD138、CD171、CD352、CEA(がん胎児性抗原)、クローディン18.2、クローディン6、c-MET、DLL3(デルタ様タンパク質3)、DLL4、ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3)、EpCAM、EPG-2(上皮糖タンパク質2)、EPG-40、エフリンB2、EPHa2(エフリン受容体A2)、ERBB二量体、エストロゲン受容体、ETBR(エンドセリンB受容体)、FAP-α(線維芽細胞活性化タンパク質α)、胎児AchR(胎児アセチルコリン受容体)、FBP(葉酸結合タンパク質)、FCRL5、FR-α(葉酸受容体アルファ)、GCC(グアニルシクラーゼC)、GD2、GD3、GPC2(グリピカン-2)、GPC3、gp100(糖タンパク質100)、GPNMB(糖タンパク質NMB)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体5D)、HER2、HER3、HER4、B型肝炎表面抗原、HLA-A1(ヒト白血球抗原A1)、HLA-A2(ヒト白血球抗原A2)、HMW-MAA(ヒト高分子量黒色腫関連抗原)、IGF1R(インスリン様成長因子1受容体)、Igカッパ、Igラムダ、IL-22Ra(IL-22受容体アルファ)、IL-13Ra2(IL-13受容体アルファ2)、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、LI細胞接着分子(LI-CAM)、Liv-1、LRRC8A(8ファミリーメンバーAを含有するロイシンリッチリピート)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1(メランA)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、MCSP(黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、メソテリン、ムチン1(MUC1)、MUC16、MHC/ペプチド複合体(例えば、AFP、KRAS、NY-ESO、MAGE-A、及びWT1に由来するペプチドと複合体化したHLA-A)、NCAM(神経細胞接着分子)、ネクチン-4、NKG2D(ナチュラルキラー群2メンバーD)リガンド、NY-ESO、腫瘍胎児抗原、PD-1、PD-L1、PRAME(黒色腫優先発現抗原)、プロゲステロン受容体、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、ROR1、ROR2、SIRPα(シグナル調節タンパク質アルファ)、SLIT、SLITRK6(NTRK様タンパク質6)、STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TPBG(栄養膜糖タンパク質)、Trop-2、VEGFR1(血管内皮増殖因子受容体1)、VEGFR2、ならびにHIV、HBV、HCV、HPV、及び他の病原体に由来する抗原、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗原に特異的に結合する、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記抗原結合ドメインが、ROR1に特異的に結合する、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記抗原結合ドメインが、GPC2に特異的に結合する、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記共刺激ドメインが、インターロイキン-2受容体(IL-2R)、インターロイキン-12受容体(IL-12R)、IL-7、IL-21、IL-23、IL-15、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB/CD137、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、LIGHT、NKG2C、OX40、DAP10、またはそれらの任意の組み合わせの共刺激ドメインを含む、請求項48~51のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
前記共刺激ドメインが、4-1BB/CD137共刺激ドメインを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記膜貫通ドメインが、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D、NKG2C、CD19、CD8、またはそれらの任意の組み合わせの膜貫通ドメインを含む、請求項48~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記膜貫通ドメインが、CD28膜貫通ドメインを含む、請求項48~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ、FcRガンマ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」)、FcεRI、CD66d、CD32、DAP10、DAP12、またはそれらの任意の組み合わせに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項48~55のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
前記細胞内シグナル伝達ドメインが、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記TCRが、腫瘍抗原/MHC複合体に特異的に結合する、請求項46に記載の方法。
【請求項59】
前記腫瘍抗原が、AFP、CD19、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、CD19、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、Tn Ag、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-llRa、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、Kras、Braf、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WTl、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV、HPV E6、E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビング、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MARTl、Ras変異体(例えば、HRAS、KRAS、NRAS)、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、ネオアンチゲン、またはそれらの任意の組み合わせに由来する、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記c-Junポリペプチドが、リンカーによって前記リガンド結合タンパク質に連結されている、請求項45~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記リンカーが、切断可能なリンカーを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
前記リンカーが、P2Aリンカー、T2Aリンカー、F2Aリンカー、E2Aリンカー、フーリン切断部位、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項60または61に記載の方法。
【請求項63】
前記リンカーが、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項60~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記リンカーが、前記配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む、請求項60~63のいずれか1項に記載の方法。
【請求項65】
前記免疫細胞が、前記免疫細胞において発現される切断型EGFR(EGFRt)をコードするヌクレオチド配列を更に含む、請求項1~64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項66】
前記EGFRtが、配列番号24に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記EGFRtが、前記配列番号24に示されるアミノ酸配列を含む、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
前記EGFRtが、リンカーによって前記c-Junポリペプチド及び/または前記リガンド結合タンパク質と連結されている、請求項65~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記リンカーが、切断可能なリンカーを含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記リンカーが、P2Aリンカー、T2Aリンカー、F2Aリンカー、E2Aリンカー、フーリン切断部位、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項68または69に記載の方法。
【請求項71】
前記リンカーが、前記配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、請求項68~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記リンカーが、前記配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む、請求項68~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記外来性ポリヌクレオチドが、調節要素を含み、ベクターが、前記外来性ポリヌクレオチドを含む、請求項1~72のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記ベクターが、ポリシストロン性発現ベクターである、請求項73に記載の方法。
【請求項75】
前記調節要素が、プロモーターを含む、請求項73または74に記載の方法。
【請求項76】
前記プロモーターが、dl587revプライマー結合部位置換(MND)プロモーター、EF1aプロモーター、ユビキチンプロモーター、またはそれらの組み合わせを含む、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
前記ベクターが、ウイルスベクター、哺乳動物ベクター、または細菌ベクターを含む、請求項73~76のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記ベクターが、アデノウイルスベクター、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ハイブリッドベクター、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む、請求項73~77のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記ベクターが、レンチウイルスである、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
カリウムイオンの前記濃度が、約10mMよりも高い、約15mMよりも高い、約20mMよりも高い、約25mMよりも高い、約30mMよりも高い、約35mMよりも高い、約40mMよりも高い、約45mMよりも高い、約50mMよりも高い、約55mMよりも高い、約60mMよりも高い、約65mMよりも高い、約70mMよりも高い、約75mMよりも高い、約80mMよりも高い、約85mMよりも高い、または約90mMよりも高い、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
カリウムイオンの前記濃度が、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、及び約80mMからなる群から選択される、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
カリウムイオンの濃度が、約30mM~約80mM、約40mM~約80mM、約50mM~80mM、約60mM~約80mM、約70mM~約80mM、約40mM~約70mM、約50mM~約70mM、約60mM~約70mM、約40mM~約60mM、約50mM~約60mM、または約40mM~約50mMである、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
カリウムイオンの濃度が、約50mM、約60mM、または約70mMである、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
前記培地が、ナトリウムイオンを更に含む、請求項1~83のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記培地が、NaClを更に含む、請求項1~84のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記培地が、約140mM未満、約130mM未満、約120mM未満、約110mM未満、約100mM未満、約90mM未満、約80mM未満、約70mM未満、約60mM未満、約50mM未満、または約40mM未満のNaClを含む、請求項1~85のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記培地が、低張性または等張性である、請求項1~86のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記培地が、低張性であり、カリウムイオン濃度及びナトリウムイオン濃度の合計の2倍が、280mM未満である、請求項84~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記培地が、低張性であり、前記カリウムイオン濃度及び前記ナトリウムイオン濃度の合計の2倍が、240mMを超え、かつ280mM未満である、請求項84~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記培地が、等張性であり、前記カリウムイオン濃度及び前記ナトリウムイオン濃度の合計の2倍が、280mM以上かつ300mM未満である、請求項84~87のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
カリウムイオンの前記濃度が、約60mMであり、NaClの濃度が、約80mM未満、約75mM未満、約70mM未満、約65mM未満、または約60mM未満である、請求項85~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
カリウムイオンの前記濃度が、約55mMであり、前記NaClの濃度が、約85mM未満、約80mM未満、約75mM未満、約70mM未満、または約65mM未満である、請求項85~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
カリウムイオンの前記濃度が、約50mMであり、前記NaClの濃度が、約90mM未満、約85mM未満、約80mM未満、または約75mM未満、または約70mM未満である、請求項85~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項94】
前記培地が、1つ以上のサイトカインを更に含む、請求項1~93のいずれか1項に記載の方法。
【請求項95】
前記1つ以上のサイトカインが、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-21(IL-21)、インターロイキン-15(IL-15)、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記1つ以上のサイトカインが、IL-2、IL-7、及びIL-15を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
前記培地が、約50IU/mL~約500IU/mLの濃度でIL-2を含む、請求項95または96に記載の方法。
【請求項98】
IL-2の前記濃度が、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
IL-2の前記濃度が、約100IU/mL~約300IU/mLである、請求項97または98に記載の方法。
【請求項100】
IL-2の前記濃度が、約200IU/mLである、請求項97~99のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記培地が、約50IU/mL~約500IU/mLの濃度でIL-21を含む、請求項95及び97~100のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
IL-21の前記濃度が、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLである、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
IL-21の前記濃度が、約100IU/mL~約300IU/mLである、請求項101または102に記載の方法。
【請求項104】
IL-21の前記濃度が、約200IU/mLである、請求項101~103のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記培地が、約500IU/mL~約1,500IU/mLの濃度でIL-7を含む、請求項95~104のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
IL-7の前記濃度が、約500IU/mL、約550IU/mL、約600IU/mL、約650IU/mL、約700IU/mL、約750IU/mL、約800IU/mL、約850IU/mL、約900IU/mL、約950IU/mL、約1,000IU/mL、約1,050IU/mL、約1,100IU/mL、約1,150IU/mL、約1,200IU/mL、約1,250IU/mL、約1,300IU/mL、約1,350IU/mL、約1,400IU/mL、約1,450IU/mL、または約1,500IU/mLである、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
IL-7の前記濃度が、約1,000IU/mL~約1,400IU/mLである、請求項105または106に記載の方法。
【請求項108】
IL-7の前記濃度が、約1,200IU/mLである、請求項105~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記培地が、約50IU/mL~約500IU/mLの濃度でIL-15を含む、請求項95~108のいずれか1項に記載の方法。
【請求項110】
IL-15の前記濃度が、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLである、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
IL-15の前記濃度が、約100IU/mL~約300IU/mLである、請求項109または110に記載の方法。
【請求項112】
IL-15の前記濃度が、約200IU/mLである、請求項109~111のいずれか1項に記載の方法。
【請求項113】
前記培地が、細胞増殖剤を更に含む、請求項1~112のいずれか1項に記載の方法。
【請求項114】
前記細胞増殖剤が、GSK3B阻害剤、ACLY阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
前記PI3K阻害剤が、クエン酸ヒドロキシル、LY294002、ピクチリシブ、CAL101、IC87114、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項116】
前記AKT阻害剤が、MK2206、A443654、AKTi-VIII、及びそれらの任意の組み合わせから選択される、請求項114に記載の方法。
【請求項117】
前記培地が、出発免疫細胞と比べて、高濃度のカリウムイオンを含まない培地において培養された免疫細胞と比べて、及び/または前記c-Junポリペプチドを含まない免疫細胞と比べて、最終細胞産物において、
a.低分化及び/または未分化細胞の数及び/または割合を増加させることができるか、
b.形質導入効率を増加させることができるか、
c.幹様免疫細胞を増加させることができるか、
d.インビボ生存能を増加させることができるか、
e.細胞能力を増加させることができるか、
f.細胞疲弊を防ぐことができるか、または
g.それらの任意の組み合わせを行うことができる、請求項1~116のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
前記培地が、カルシウムイオン、グルコース、またはそれらの任意の組み合わせを更に含む、請求項1~117のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
前記培地が、グルコースを更に含み、グルコースの濃度が、約10mMを超える、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
グルコースの前記濃度が、約10mM~約25mM、約10mM~約20mM、約15mM~約25mM、約15mM~約20mM、約15mM~約19mM、約15mM~約18mM、約15mM~約17mM、約15mM~約16mM、約16mM~約20mM、約16mM~約19mM、約16mM~約18mM、約16mM~約17mM、約17mM~約20mM、約17mM~約19mM、または約17mM~約18mMである、請求項119に記載の方法。
【請求項121】
グルコースの前記濃度が、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、または約25mMである、請求項119に記載の方法。
【請求項122】
グルコースの前記濃度が、約15.4mM、約15.9mM、約16.3mM、約16.8mM、約17.2mM、または約17.7mMである、請求項119に記載の方法。
【請求項123】
前記培地が、カルシウムイオンを更に含み、カルシウムイオンの濃度が、約0.4mMを超える、請求項118~122のいずれか1項に記載の方法。
【請求項124】
カルシウムイオンの前記濃度が、約0.4mM~約2.8mM、約0.4mM~約2.5mM、約0.5mM~約2.0mM、約1.0mM~約2.0mM、約1.1mM~約2.0mM、約1.2mM~約2.0mM、約1.3mM~約2.0mM、約1.4mM~約2.0mM、約1.5mM~約2.0mM、約1.6mM~約2.0mM、約1.6mM~約2.8mM、約1.7mM~約2.0mM、約1.8mM~約2.0mM、約1.2~約1.3mM、約1.2~約1.4mM、約1.2~約1.5mM、約1.2~約1.6mM、約1.2~約1.7mM、約1.2~約1.8mM、約1.3~約1.4mM、約1.3~約1.5mM、約1.3~約1.6mM、約1.3~約1.7mM、約1.3~約1.8mM、約1.4~約1.5mM、約1.4~約1.6mM、約1.4~約1.7mM、約1.4~約1.8mM、約1.5~約1.6mM、約1.5~約1.7mM、約1.5~約1.8mM、約1.6~約1.7mM、約1.6~約1.8mM、または約1.7~約1.8mMである、請求項123に記載の方法。
【請求項125】
カルシウムイオンの前記濃度が、約1.0mM、約1.1mM、約1.2mM、約1.3mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.6mM、約1.7mM、約1.8mM、約1.9mM、約2.0mM、約2.1mM、約2.2mM、約2.3mM、約2.4mM、約2.5mM、約2.6mM、約2.7mM、約2.8mM、約2.9mM、または約3.0mMである、請求項123に記載の方法。
【請求項126】
前記免疫細胞が、前記培養後に、CD3+、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+、CD27+、CD28+、もしくはTCF7+、またはそれらの任意の組み合わせである、請求項1~125のいずれか1項に記載の方法。
【請求項127】
請求項1~126のいずれか1項に記載の方法によって調製された、免疫細胞の集団。
【請求項128】
前記免疫細胞が、T細胞である、請求項127に記載の免疫細胞の集団。
【請求項129】
前記T細胞が、CD4+T細胞、CD8+T細胞、または双方を含む、請求項128に記載の免疫細胞の集団。
【請求項130】
請求項127~129のいずれか1項に記載の免疫細胞の集団と、薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物。
【請求項131】
(a)キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD4+T細胞及びCD8+T細胞の集団を含む組成物であって、(i)改変された前記CD4+T細胞の少なくとも約20パーセントが、CCR7及びCD45RAについて表面陽性であるか、(ii)改変された前記CD8+T細胞の少なくとも約20パーセントが、CCR7及びCD45RAについて表面陽性であるか、または(iii)(i)と(ii)との双方である、前記組成物。
【請求項132】
(a)キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD4+T細胞の集団を含む組成物であって、改変された前記CD4+T細胞の少なくとも約20パーセントが、CCR7及びCD45RAについて表面陽性である、前記組成物。
【請求項133】
(a)キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD8+T細胞の集団を含む組成物であって、改変された前記CD8+T細胞の少なくとも約20パーセントはCCR7及びCD45RAについて表面陽性である、前記組成物。
【請求項134】
(a)操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD4+T細胞及びCD8+T細胞の集団を含む組成物であって、(i)改変された前記CD4+T細胞の少なくとも約15%が、CCR7及びCD45RAについて表面陽性であるか、(ii)改変された前記CD8+T細胞の少なくとも約20%が、CCR7及びCD45RAについて表面陽性であるか、または(iii)(i)と(ii)との双方である、前記組成物。
【請求項135】
(a)操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD4+T細胞の集団を含む組成物であって、改変された前記CD4+T細胞の少なくとも約15%が、CCR7及びCD45RAについて表面陽性である、前記組成物。
【請求項136】
(a)操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD8+T細胞の集団を含む組成物であって、改変された前記CD8+T細胞の少なくとも約20パーセントはCCR7及びCD45RAについて表面陽性である、前記組成物。
【請求項137】
(a)操作されたキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている免疫細胞の集団を含む組成物であって、前記細胞の少なくとも約4%が、前駆疲弊T細胞である、前記組成物。
【請求項138】
(a)操作されたキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている免疫細胞の集団を含む組成物であって、前記細胞の約4%~約6%が、前駆疲弊T細胞である、前記組成物。
【請求項139】
(a)操作されたキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて前記c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている免疫細胞の集団を含む組成物であって、前記細胞の少なくとも約4%が、前駆疲弊T細胞であり、前記細胞の少なくとも約4%が、幹様T細胞である、前記組成物。
【請求項140】
療法を必要とする対象を治療するための、請求項127~129のいずれか1項に記載の免疫細胞の集団、請求項130に記載の医薬組成物、または請求項131~139のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項141】
疾患または状態の治療または予防を必要とする対象において疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における請求項127~129のいずれか1項に記載の免疫細胞の集団、請求項130に記載の医薬組成物、または請求項131~139のいずれか1項に記載の組成物の、使用。
【請求項142】
前記疾患または前記状態が、がんを含む、請求項141に記載の使用。
【請求項143】
療法に有用な細胞の疲弊を予防または低減するための、請求項127~129のいずれか1項に記載の免疫細胞の集団、請求項130に記載の医薬組成物、または請求項131~139のいずれか1項に記載の組成物の、使用。
【請求項144】
疾患または状態の治療または予防を必要とする対象において疾患または状態を治療または予防する方法であって、請求項127~129のいずれか1項に記載の免疫細胞の集団、請求項130に記載の医薬組成物、または請求項131~139のいずれか1項に記載の組成物を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項145】
前記疾患または前記状態が、がんを含む、請求項144に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本PCT出願は、2022年10月28日に出願された米国仮出願第63/263,233号、2022年2月11日に出願された同第63/309,403号、及び2022年5月6日に出願された同第63/339,353号の優先権の利益を主張し、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
EFS-WEBを介して電子的に提出された配列表の参照
本出願において提出された電子的に提出された配列表の内容(名称:4385_079PC03_Seqlisting_ST26.xml、サイズ:135,670バイト、及び作成日:2022年10月26日)は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
本開示は、例えば、改変されていない対応する細胞と比べて、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された細胞、例えば、多能性細胞、多分化能細胞、及び/または免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法に関する。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本明細書に記載されている方法を使用して培養される免疫細胞はまた、コードされたタンパク質が細胞によって発現されるような、タンパク質(例えば、キメラ結合タンパク質)をコードする外来性ポリヌクレオチドを含むように改変されている。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、そのエフェクター活性を保持しながら、培養にて低分化細胞及び/または未分化細胞の濃縮を促進する。いくつかの態様では、本明細書で提供されている培養方法は、細胞における目的のタンパク質(例えば、c-Jun)の発現を増加させるのにも役立ち得る。本明細書に開示されている方法を使用して培養される細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法、ネオ抗原に向けたT細胞療法を含むTCR T細胞療法、及びTIL療法を含むが、これらに限定されない様々な細胞療法に使用することができる。
【背景技術】
【0004】
がん免疫療法は、T細胞(感染細胞及び疾患細胞の免疫系の主な殺傷細胞)を利用して、腫瘍細胞を攻撃及び殺傷させることに依拠する。しかしながら、腫瘍細胞を標的とし、殺傷する免疫細胞の能力は、腫瘍微小環境内に存在する免疫応答の様々な阻害剤の存在によって抑えられる。したがって、CAR T細胞は、ある特定のがんの治療において様々な成功を収めてきた(例えば、KYMRIAH(商標)(チサゲンレクロイセル、Novartis)及びYESCARTA(商標)(アキシカブタゲンシロロイセル、Kite/Gilead)がFDAに認可されている)が、一方で、課題も残されている。例えば、CAR T細胞免疫療法の成功は、レシピエントの体内でのCAR T増殖の程度によって制限されることが多く、通常、大量の細胞注入が必要とされる。更に、移入されたCAR T細胞の疲弊及び存続性の喪失が観察され、臨床効果の喪失及び再発の可能性につながっている。
【0005】
T細胞疲弊を克服する1つの手段は、低分化状態を有するT細胞を選択的に投与することである。例えば、Tメモリー幹細胞(TSCM)は、更に分化したTセントラルメモリー(TCM)細胞またはTエフェクターメモリー(TEM)細胞よりも、投与後の患者にて更に長期間存続し、TSCMは更に分化した細胞よりも腫瘍サイズに対して更に顕著で長期的な効果を発揮する。しかしながら、多くの養子細胞療法(ACT)の細胞調製物は、分化の様々な段階で免疫細胞の不明確な混合物を含み、これは固形腫瘍を根絶するには効果がない。治癒力を増加させるには、自己複製能を強化した幹細胞/エフェクター特性を持つT細胞製剤が必要である。このように、当該技術分野では、単離された細胞の混合集団から低分化及び/またはナイーブT細胞を効率的に濃縮する方法が依然として必要である。
【発明の概要】
【0006】
本明細書で提供されているのは、エクスビボ培養またはインビトロ培養の間に免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)の幹細胞性を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)を培養することを含み、免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、方法である。本明細書で提供されているのはまた、エクスビボ培養またはインビトロ培養の間に免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)の収率を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)を培養することを含み、免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、方法である。本明細書で提供されているのはまた、免疫療法のための免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)の集団を調製する方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)を培養することを含み、免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、方法である。本開示はまた、免疫療法のためのエクスビボ培養またはインビトロ培養の間に免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)の収率を増加させながら、免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)の幹細胞性を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)を培養することを含み、免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、方法を提供する。本明細書で提供されているのは、エクスビボまたはインビトロで幹様免疫細胞の集団を増殖させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養することを含み、免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、方法である。
【0007】
本明細書で提供されているのは、抗原刺激に応答した免疫細胞によるサイトカインの産生を増加させる方法であって、本方法が、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養することを含み、免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、方法である。
【0008】
いくつかの態様では、サイトカインはIL-2を含む。いくつかの態様では、培養後、参照免疫細胞と比べて、抗原刺激に応答したサイトカインの産生は、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加する。
【0009】
本明細書で提供されているのは、持続的抗原刺激に応答した免疫細胞のエフェクター機能を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞を培養することを含み、免疫細胞が、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べて、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている、方法である。
【0010】
いくつかの態様では、免疫細胞は、参照免疫細胞と比べて、抗原刺激アッセイの少なくとも1回、少なくとも2回、または少なくとも3回の追加の回の間、エフェクター機能を保持する。いくつかの態様では、エフェクター機能は、(i)標的細胞(例えば、腫瘍細胞)を殺傷するか、(ii)更なる抗原刺激時にサイトカインを産生するか、または(iii)(i)及び(ii)の双方の能力を含む。いくつかの態様では、サイトカインはIFN-γを含む。
【0011】
いくつかの態様では、培養後、持続的抗原刺激に応答した免疫細胞のエフェクター機能は参照免疫細胞と比べて少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加する。
【0012】
上記の方法のうちのいずれかにおいて、いくつかの態様では、参照免疫細胞は、(i)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されており、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、(ii)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地で培養されているか、(iii)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、対応する免疫細胞を含む。
【0013】
上記の方法のうちのいずれにおいて、いくつかの態様では、免疫細胞は、改変後、免疫細胞が対応する免疫細胞と比べて、c-Junポリペプチドのレベルが増加するような、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドで改変されている。
【0014】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドは免疫細胞にとって内在性であり、免疫細胞は内在性c-Junポリペプチドの発現を増加させることができる転写活性化因子で改変されている。いくつかの態様では、転写活性化因子は、エンドヌクレアーゼ活性を欠くように改変されたCasタンパク質に結合されている。
【0015】
本明細書で提供されているのはまた、免疫細胞におけるc-Junポリペプチドの発現を増加させる方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドで免疫細胞を改変することを含み、改変後、免疫細胞におけるc-Junポリペプチドの発現が、参照細胞と比べて増加する、方法である。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、参照細胞は、(i)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されており、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、(ii)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地で培養されているか、(iii)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されておらず、かつ5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地で培養されているか、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせである、対応する免疫細胞を含む。
【0016】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドの発現は、参照細胞と比べて、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加する。
【0017】
本明細書で提供されているのは、免疫療法のためにエクスビボまたはインビトロで免疫細胞を調製する方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドで免疫細胞を改変することを含む、方法である。
【0018】
本明細書で提供されているのは、免疫療法のためにエクスビボまたはインビトロで免疫細胞を調製する方法であって、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において、内在性c-Junポリペプチドの発現を増加させることができる転写活性化因子で免疫細胞を改変することを含む、方法である。いくつかの態様では、転写活性化因子は、エンドヌクレアーゼ活性を欠くように改変されたCasタンパク質に結合されている。
【0019】
上記の方法のうちのいずれかにおいて、いくつかの態様では、c-Junポリペプチドは、改変されていない対応する免疫細胞と比べて、免疫細胞において過剰発現される。
【0020】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドは、配列番号13に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0021】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、a)配列番号1に示される核酸配列に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、b)配列番号2に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、c)配列番号4に示される核酸配列に対して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、d)配列番号5に示される核酸配列に対して少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、e)配列番号6に示される核酸配列に対して少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、f)配列番号7に示される核酸配列に対して少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、g)配列番号8に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、h)配列番号9に示される核酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、またはi)配列番号10に示される核酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、もしくは約100%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
【0022】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号1に示される核酸配列に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号1に示される核酸配列を含む。
【0023】
いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号2に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号2に示される核酸配列を含む。
【0024】
いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号4に示される核酸配列に対して少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号4に示される核酸配列を含む。
【0025】
いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号5に示される核酸配列に対して少なくとも79%、少なくとも80%、少なくとも81%、少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号5に示される核酸配列を含む。
【0026】
いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号6に示される核酸配列に対して少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号6に示される核酸配列を含む。
【0027】
いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号7に示される核酸配列に対して少なくとも82%、少なくとも83%、少なくとも84%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号7に示される核酸配列を含む。
【0028】
いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号8に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号8に示される核酸配列を含む。
【0029】
いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号9に示される核酸配列に対して少なくとも55%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号9に示される核酸配列を含む。
【0030】
いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号10に示される核酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、ヌクレオチド配列は、配列番号10に示される核酸配列を含む。
【0031】
いくつかの態様では、上記に提供されている方法の免疫細胞は、リガンド結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を更に含む。いくつかの態様では、リガンド結合タンパク質は、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)、キメラシグナル伝達受容体(CSR)、T細胞受容体模倣体(TCR模倣体)、またはそれらの組み合わせから選択される。いくつかの態様では、CARは、標準的CAR、スプリットCAR、オフスイッチCAR、オンスイッチCAR、第一世代CAR、第二世代CAR、第三世代CAR、または第四世代CARとして設計される。いくつかの態様では、リガンド結合タンパク質は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの組み合わせを含む。
【0032】
いくつかの態様では、リガンド結合タンパク質の抗原結合ドメインは、AFP(アルファ-フェトプロテイン)、αvβ6または別のインテグリン、BCMA、Braf、B7-H3、B7-H6、CA9(炭酸脱水酵素9)、CCL-1(C-Cモチーフケモカインリガンド1)、CD5、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、CD30、CD33、CD38、CD40、CD44、CD44v6、CD44v7/8、CD45、CD47、CD56、CD66e、CD70、CD74、CD79a、CD79b、CD98、CD123、CD138、CD171、CD352、CEA(がん胎児性抗原)、クローディン18.2、クローディン6、c-MET、DLL3(デルタ様タンパク質3)、DLL4、ENPP3(エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼファミリーメンバー3)、EpCAM、EPG-2(上皮糖タンパク質2)、EPG-40、エフリンB2、EPHa2(エフリン受容体A2)、ERBB二量体、エストロゲン受容体、ETBR(エンドセリンB受容体)、FAP-α(線維芽細胞活性化タンパク質α)、胎児AchR(胎児アセチルコリン受容体)、FBP(葉酸結合タンパク質)、FCRL5、FR-α(葉酸受容体アルファ)、GCC(グアニルシクラーゼC)、GD2、GD3、GPC2(グリピカン-2)、GPC3、gp100(糖タンパク質100)、GPNMB(糖タンパク質NMB)、GPRC5D(Gタンパク質共役受容体5D)、HER2、HER3、HER4、B型肝炎表面抗原、HLA-A1(ヒト白血球抗原A1)、HLA-A2(ヒト白血球抗原A2)、HMW-MAA(ヒト高分子量黒色腫関連抗原)、IGF1R(インスリン様成長因子1受容体)、Igカッパ、Igラムダ、IL-22Ra(IL-22受容体アルファ)、IL-13Ra2(IL-13受容体アルファ2)、KDR(キナーゼ挿入ドメイン受容体)、LI細胞接着分子(LI-CAM)、Liv-1、LRRC8A(8ファミリーメンバーAを含有するロイシンリッチリピート)、ルイスY、黒色腫関連抗原(MAGE)-A1、MAGE-A3、MAGE-A6、MART-1(メランA)、マウスサイトメガロウイルス(MCMV)、MCSP(黒色腫関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、メソテリン、ムチン1(MUC1)、MUC16、MHC/ペプチド複合体(例えば、AFP、KRAS、NY-ESO、MAGE-A、及びWT1に由来するペプチドと複合体化したHLA-A)、NCAM(神経細胞接着分子)、ネクチン-4、NKG2D(ナチュラルキラー群2メンバーD)リガンド、NY-ESO、腫瘍胎児抗原、PD-1、PD-L1、PRAME(黒色腫優先発現抗原)、プロゲステロン受容体、PSA(前立腺特異的抗原)、PSCA(前立腺幹細胞抗原)、PSMA(前立腺特異的膜抗原)、ROR1、ROR2、SIRPα(シグナル調節タンパク質α)、SLIT、SLITRK6(NTRK様タンパク質6)、STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原1)、サバイビン、TAG72(腫瘍関連糖タンパク質72)、TPBG(栄養膜糖タンパク質)、Trop-2、VEGFR1(血管内皮増殖因子受容体1)、VEGFR2、ならびにHIV、HBV、HCV、HPV、及び他の病原体に由来する抗原、ならびにそれらの任意の組み合わせからなる群から選択される抗原に特異的に結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、ROR1に特異的に結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、GPC2に特異的に結合する。
【0033】
いくつかの態様では、リガンド結合タンパク質の共刺激ドメインは、インターロイキン-2受容体(IL-2R)、インターロイキン-12受容体(IL-12R)、IL-7、IL-21、IL-23、IL-15、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB/CD137、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、LIGHT、NKG2C、OX40、DAP10、またはそれらの任意の組み合わせの共刺激ドメインを含む。いくつかの態様では、共刺激ドメインは、4-1BB/CD137共刺激ドメインを含む。
【0034】
いくつかの態様では、リガンド結合タンパク質の膜貫通ドメインは、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(Tactile)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D、NKG2C、CD19、CD8、またはそれらの任意の組み合わせの膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは、CD28膜貫通ドメインを含む。
【0035】
いくつかの態様では、リガンド結合ドメインの細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ、FcRガンマ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD22、CD79a、CD79b、CD278(ICOSとしても知られる)、FcεRI、CD66d、CD32、DAP10、DAP12、またはそれらの任意の組み合わせに由来する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメインを含む。
【0036】
いくつかの態様では、リガンド結合ドメインは、TCRであり、TCRは、腫瘍抗原/MHC複合体に特異的に結合する。いくつかの態様では、腫瘍抗原は、AFP、CD19、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、CD19、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、TnAg、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-1Rα、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、Kras、Braf、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WT1、NY-ESO-1、LAGE-1a、MAGE-A1、レグマイン、HPV、HPV E6、E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビング、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MART1、Ras変異体(例えば、HRAS、KRAS、NRAS)、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンB1、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、ネオアンチゲン、またはそれらの任意の組み合わせに由来する。
【0037】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドは、リンカーによってリガンド結合タンパク質と連結されている。いくつかの態様では、リンカーは切断可能なリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは、P2Aリンカー、T2Aリンカー、F2Aリンカー、E2Aリンカー、フーリン切断部位、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0038】
いくつかの態様では、上記に提供されている方法のうちのいずれかの免疫細胞は、免疫細胞において発現される切断型EGFR(EGFRt)をコードするヌクレオチド配列を更に含む。いくつかの態様では、EGFRtは、配列番号24に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、EGFRtは、配列番号24に示されるアミノ酸配列を含む。
【0039】
いくつかの態様では、EGFRtは、リンカーによってc-Junポリペプチド及び/またはリガンド結合タンパク質に連結されている。いくつかの態様では、リンカーは切断可能なリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは、P2Aリンカー、T2Aリンカー、F2Aリンカー、E2Aリンカー、フーリン切断部位、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0040】
いくつかの態様では、上記に提供されている方法の外来性ポリヌクレオチドは、調節要素を含み、ベクターは、外来性ポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、ベクターは、ポリシストロン性発現ベクターである。いくつかの態様では、ベクターは、ウイルスベクター、哺乳動物ベクター、または細菌ベクターを含む。いくつかの態様では、ベクターは、アデノウイルスベクター、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ハイブリッドベクター、またはアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを含む。いくつかの態様では、ベクターは、レンチウイルスである。
【0041】
いくつかの態様では、調節要素は、プロモーターを含む。いくつかの態様では、プロモーターは、dl587revプライマー結合部位置換(MND)プロモーター、EF1aプロモーター、ユビキチンプロモーター、またはそれらの組み合わせを含む。
【0042】
上記に提供されている方法のうちのいずれかにおいて、いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約10mMよりも高い、約15mMよりも高い、約20mMよりも高い、約25mMよりも高い、約30mMよりも高い、約35mMよりも高い、約40mMよりも高い、約45mMよりも高い、約50mMよりも高い、約55mMよりも高い、約60mMよりも高い、約65mMよりも高い、約70mMよりも高い、約75mMよりも高い、約80mMよりも高い、約85mMよりも高い、または約90mMよりも高い。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、及び約80mMから成る群から選択される。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約30mM~約80mMの間、約40mM~約80mMの間、約50mM~80mMの間、約60mM~約80mMの間、約70mM~約80mMの間、約40mM~約70mMの間、約50mM~約70mMの間、約60mM~約70mMの間、約40mM~約60mMの間、約50mM~約60mMの間、または約40mM~約50mMの間である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM、約60mM、または約70mMである。
【0043】
いくつかの態様では、培地は更に、ナトリウムイオンを含む。いくつかの態様では、培地は更にNaClを含む。いくつかの態様では、培地は、約140mM未満、約130mM未満、約120mM未満、約110mM未満、約100mM未満、約90mM未満、約80mM未満、約70mM未満、約60mM未満、約50mM未満、または約40mM未満のNaClを含む。
【0044】
いくつかの態様では、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、培地は低張性であり、カリウムイオン濃度とナトリウムイオン濃度の合計の2倍が280mM未満である。いくつかの態様では、培地は低張性であり、カリウムイオン濃度とナトリウムイオン濃度の合計の2倍が240mMより高くかつ280mM未満である。いくつかの態様では、培地は等張性であり、カリウムイオン濃度とナトリウムイオン濃度の合計の2倍が280mM以上かつ300mM未満である。
【0045】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mMであり、NaClの濃度は約80mM未満、約75mM未満、約70mM未満、約65mM未満、または約60mM未満である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mMであり、NaClの濃度は約85mM未満、約80mM未満、約75mM未満、または約70mM未満、または約65mM未満である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mMであり、NaClの濃度は約90mM未満、約85mM未満、約80mM未満、または約75mM未満、または約70mM未満である。
【0046】
いくつかの態様では、上記に提供されている方法の培地は、1つ以上のサイトカインを更に含む。いくつかの態様では、1つ以上のサイトカインは、インターロイキン-2(IL-2)、インターロイキン-7(IL-7)、インターロイキン-21(IL-21)、インターロイキン-15(IL-15)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、1以上のサイトカインはIL-2、IL-7及びIL-15を含む。
【0047】
いくつかの態様では、培地は約50IU/mL~約500IU/mLの濃度でIL-2を含む。いくつかの態様では、IL-2の濃度は、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLである。いくつかの態様では、IL-2の濃度は約100IU/mL~約300IU/mLの間である。いくつかの態様では、IL-2の濃度は約200IU/mLである。
【0048】
いくつかの態様では、培地は約50IU/mL~約500IU/mLの濃度でIL-21を含む。いくつかの態様では、IL-21の濃度は、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLである。いくつかの態様では、IL-21の濃度は約100IU/mL~約300IU/mLの間である。いくつかの態様では、IL-21の濃度は約200IU/mLである。
【0049】
いくつかの態様では、培地は約500IU/mL~約1,500IU/mLの濃度でIL-7を含む。いくつかの態様では、IL-7の濃度は、約500IU/mL、約550IU/mL、約600IU/mL、約650IU/mL、約700IU/mL、約750IU/mL、約800IU/mL、約850IU/mL、約900IU/mL、約950IU/mL、約1,000IU/mL、約1,050IU/mL、約1,100IU/mL、約1,150IU/mL、約1,200IU/mL、約1,250IU/mL、約1,300IU/mL、約1,350IU/mL、約1,400IU/mL、約1,450IU/mL、または約1,500IU/mLである。いくつかの態様では、IL-7の濃度は、約1,000IU/mL~約1,400IU/mLである。いくつかの態様では、IL-7の濃度は、約1,200IU/mLである。
【0050】
いくつかの態様では、培地は約50IU/mL~約500IU/mLの濃度でIL-15を含む。いくつかの態様では、IL-15の濃度は、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLである。いくつかの態様では、IL-15の濃度は約100IU/mL~約300IU/mLの間である。いくつかの態様では、IL-15の濃度は約200IU/mLである。
【0051】
いくつかの態様では、培地は更に細胞増殖剤を含む。いくつかの態様では、細胞増殖剤は、GSK3B阻害剤、ACLY阻害剤、PI3K阻害剤、AKT阻害剤、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤は、クエン酸ヒドロキシル、LY294002、ピクチリシブ(pictilisib)、CAL101、IC87114、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、AKT阻害剤は、MK2206、A443654、AKTi-VIII、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0052】
いくつかの態様では、出発免疫細胞と比べて、高い濃度のカリウムイオンがない培地で培養された免疫細胞、及び/またはc-Junポリペプチドがない免疫細胞と比べて、最終細胞産物において、上記に提供されている方法の培地は、a)低分化及び/または未分化細胞の数及び/または割合を増加させることができるか、b)形質導入効率を増加させることができるか、c)幹様免疫細胞を増加させることができるか、d)インビボ生存能を増加させることができるか、e)細胞能力を増加させることができるか、f)細胞疲弊を防ぐことができるか、またはg)それらの任意の組み合わせを行うことができる。
【0053】
いくつかの態様では、培地は、カルシウムイオン、グルコース、またはそれらの任意の組み合わせを更に含む。
【0054】
いくつかの態様では、培地は更にグルコースを含み、その際、グルコースの濃度は約10mMを超える。いくつかの態様では、グルコースの濃度は、約10mM~約25mM、約10mM~約20mM、約15mM~約25mM、約15mM~約20mM、約15mM~約19mM、約15mM~約18mM、約15mM~約17mM、約15mM~約16mM、約16mM~約20mM、約16mM~約19mM、約16mM~約18mM、約16mM~約17mM、約17mM~約20mM、約17mM~約19mM、または約17mM~約18mMである。いくつかの態様では、グルコースの濃度は、約10mM、約11mM、約12mM、約13mM、約14mM、約15mM、約16mM、約17mM、約18mM、約19mM、約20mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、または約25mMである。いくつかの態様では、グルコースの濃度は、約15.4mM、約15.9mM、約16.3mM、約16.8mM、約17.2mM、または約17.7mMである。
【0055】
いくつかの態様では、培地は更にカルシウムイオンを含み、その際、カルシウムイオンの濃度は約0.4mMを超える。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、約0.4mM~約2.8mM、約0.4mM~約2.5mM、約0.5mM~約2.0mM、約1.0mM~約2.0mM、約1.1mM~約2.0mM、約1.2mM~約2.0mM、約1.3mM~約2.0mM、約1.4mM~約2.0mM、約1.5mM~約2.0mM、約1.6mM~約2.0mM、約1.6mM~約2.8mM、約1.7mM~約2.0mM、約1.8mM~約2.0mM、約1.2~約1.3mM、約1.2~約1.4mM、約1.2~約1.5mM、約1.2~約1.6mM、約1.2~約1.7mM、約1.2~約1.8mM、約1.3~約1.4mM、約1.3~約1.5mM、約1.3~約1.6mM、約1.3~約1.7mM、約1.3~約1.8mM、約1.4~約1.5mM、約1.4~約1.6mM、約1.4~約1.7mM、約1.4~約1.8mM、約1.5~約1.6mM、約1.5~約1.7mM、約1.5~約1.8mM、約1.6~約1.7mM、約1.6~約1.8mM、または約1.7~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、約1.0mM、約1.1mM、約1.2mM、約1.3mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.6mM、約1.7mM、約1.8mM、約1.9mM、約2.0mM、約2.1mM、約2.2mM、約2.3mM、約2.4mM、約2.5mM、約2.6mM、約2.7mM、約2.8mM、約2.9mM、または約3.0mMである。
【0056】
いくつかの態様では、免疫細胞は、培養後にCD3+、CD45RO-、CCR7+、CD45RA+、CD62L+、CD27+、CD28+、またはTCF7+、またはそれらの任意の組み合わせである。
【0057】
本明細書で提供されているのは、本明細書に記載されている方法のうちのいずれかによって調製される免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)の集団である。いくつかの態様では、免疫細胞は、T細胞である。いくつかの態様では、T細胞は、CD8+T細胞、CD4+T細胞、またはその双方を含む。
【0058】
本明細書で提供されているのは、本明細書に記載されているヒト免疫細胞の集団を含む医薬組成物である。
【0059】
本明細書で提供されているのは、(a)キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD4+T細胞及びCD8+T細胞の集団を含む組成物であって、(i)改変されたCD4+T細胞の少なくとも約20パーセントが、CCR7及びCD45RAについて表面陽性であるか、(ii)改変されたCD8+T細胞の少なくとも約20パーセントが、CCR7及びCD45RAについて表面陽性であるか、または(iii)(i)と(ii)との双方である、組成物である。本明細書で提供されているのは、(a)キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD4+T細胞の集団を含む組成物であって、改変されたCD4+T細胞の少なくとも約20パーセントが、CCR7及びCD45RAについて表面陽性である、組成物である。本明細書で提供されているのは、(a)キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD8+T細胞の集団を含む組成物であって、改変されたCD8+T細胞の少なくとも約20パーセントはCCR7及びCD45RAについて表面陽性である、組成物である。
【0060】
本明細書で提供されているのは、(a)操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD4+T細胞及びCD8+T細胞の集団を含む組成物であって、(i)改変されたCD4+T細胞の少なくとも約15パーセントが、CCR7及びCD45RAについて表面陽性であるか、(ii)改変されたCD8+T細胞の少なくとも約20パーセントが、CCR7及びCD45RAについて表面陽性であるか、または(iii)(i)と(ii)との双方である、組成物である。本明細書で提供されているのは、(a)操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD4+T細胞の集団を含む組成物であって、改変されたCD4+T細胞の少なくとも約15%が、CCR7及びCD45RAについて表面陽性である、組成物である。本明細書で提供されているのは、(a)操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されているCD8+T細胞の集団を含む組成物であって、改変されたCD8+T細胞の少なくとも約20パーセントはCCR7及びCD45RAについて表面陽性である、組成物である。
【0061】
本明細書で提供されているのはまた、(a)操作されたキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている免疫細胞の集団を含む組成物であり、細胞の少なくとも約4%は前駆疲弊T細胞である。本開示のいくつかの態様は、(a)操作されたキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている免疫細胞の集団を含む組成物であり、細胞の約4%~約6%の間は前駆疲弊T細胞である。本明細書で提供されているのはまた、(a)操作されたキメラ抗原受容体(CAR)または操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように、かつ(b)c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する免疫細胞と比べてc-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されている免疫細胞の集団を含む組成物であり、細胞の少なくとも約4%は前駆疲弊T細胞であり、細胞の少なくとも約4%は幹様T細胞である。
【0062】
いくつかの態様では、本明細書に記載されているヒト免疫細胞集団、医薬組成物、または組成物は、治療を必要とする対象を治療するためのものである。本明細書で提供されているのはまた、疾患または状態の治療または予防を必要とする対象において疾患または状態を治療または予防するための医薬の製造における本明細書に記載されているヒト免疫細胞集団、医薬組成物、または組成物の使用である。いくつかの態様では、疾患または状態は、がんを含む。
【0063】
本明細書で提供されているのは、療法に有用な細胞の疲弊を予防または低減するための本明細書に記載されているヒト免疫細胞の集団、医薬組成物、または組成物の使用である。
【0064】
本明細書で提供されているのは、疾患または状態の治療または予防を必要とする対象において疾患または状態を治療または予防する方法であって、本明細書に記載されているヒト細胞集団、医薬組成物、または組成物のうちのいずれかを投与することを含む、方法である。いくつかの態様では、疾患または状態は、がんを含む。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【
図1】異なる試験群からの形質導入T細胞におけるc-Junタンパク質発現レベル(メジアン蛍光強度(MFI)として示されている)に対する代謝再プログラム化培地(MRM)の効果を示す。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照培地(すなわち、TCM)において培養された非形質導入T細胞、(2)対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞、(3)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞、(4)MRMにおいて培養された非形質導入T細胞、(5)対照CD19t-R12 CARで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞、及び(6)c-Jun-R12 CARで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞。形質導入されたT細胞(CD4+及びCD8+T細胞の双方を含む)は、3名の異なるドナー:ドナー#1(A)、ドナー#2(B)、及びドナー#3(C)に由来した。
【
図2A】異なる試験群からの幹様形質導入CD4+T細胞(
図2A、2B、及び2C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図2D、2E、及び2F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図1A~1Cに記載されているものと同じである。実施例2に記載されているように、幹様細胞をCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+として同定した。
【
図2B】異なる試験群からの幹様形質導入CD4+T細胞(
図2A、2B、及び2C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図2D、2E、及び2F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図1A~1Cに記載されているものと同じである。実施例2に記載されているように、幹様細胞をCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+として同定した。
【
図2C】異なる試験群からの幹様形質導入CD4+T細胞(
図2A、2B、及び2C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図2D、2E、及び2F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図1A~1Cに記載されているものと同じである。実施例2に記載されているように、幹様細胞をCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+として同定した。
【
図2D】異なる試験群からの幹様形質導入CD4+T細胞(
図2A、2B、及び2C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図2D、2E、及び2F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図1A~1Cに記載されているものと同じである。実施例2に記載されているように、幹様細胞をCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+として同定した。
【
図2E】異なる試験群からの幹様形質導入CD4+T細胞(
図2A、2B、及び2C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図2D、2E、及び2F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図1A~1Cに記載されているものと同じである。実施例2に記載されているように、幹様細胞をCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+として同定した。
【
図2F】異なる試験群からの幹様形質導入CD4+T細胞(
図2A、2B、及び2C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図2D、2E、及び2F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図1A~1Cに記載されているものと同じである。実施例2に記載されているように、幹様細胞をCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+として同定した。
【
図2G】CD4+T細胞(
図2G、2H、2I)及びCD8+T細胞(
図2J、2K、2L)について同じ3名のドナーからのナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞の割合を示す。実施例2に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図2H】CD4+T細胞(
図2G、2H、2I)及びCD8+T細胞(
図2J、2K、2L)について同じ3名のドナーからのナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞の割合を示す。実施例2に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図2I】CD4+T細胞(
図2G、2H、2I)及びCD8+T細胞(
図2J、2K、2L)について同じ3名のドナーからのナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞の割合を示す。実施例2に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図2J】CD4+T細胞(
図2G、2H、2I)及びCD8+T細胞(
図2J、2K、2L)について同じ3名のドナーからのナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞の割合を示す。実施例2に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図2K】CD4+T細胞(
図2G、2H、2I)及びCD8+T細胞(
図2J、2K、2L)について同じ3名のドナーからのナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞の割合を示す。実施例2に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図2L】CD4+T細胞(
図2G、2H、2I)及びCD8+T細胞(
図2J、2K、2L)について同じ3名のドナーからのナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞の割合を示す。実施例2に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図3】一次抗原刺激後に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIL-2産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(A)、ドナー#2(B)、及びドナー#3(C)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照CD19t-R12 CARで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-R12 CARで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。x軸は、エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を提供する。
【
図4】複数回の抗原刺激後に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIFN-γ産生の比較を提供する。実施例3で更に提供されるように、連続刺激アッセイは、次の回を再播種するために必要な形質導入T細胞の数が達成されなかったときに終了した。(i)ドナー#1についての4回の抗原刺激(A)、(ii)ドナー#2についての3回の抗原刺激(B)、及び(iii)ドナー#3についての2回の抗原刺激(C)。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照CD19t-R12 CARで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(3)c-Jun-R12 CARで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。x軸は、エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を提供する。
【
図5-1】複数回の抗原刺激後の形質導入CD8+T細胞の標的腫瘍細胞を殺傷する能力を示している。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(B及びE)、ドナー#2(C及びF)、及びドナー#3(A及びD)に由来した。A、B、及びCは、対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR、黒色の棒)またはc-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR、白色の棒)のいずれかで形質導入され、対照培地(すなわち、TCM)において培養されたCD8+T細胞についての結果を提供する。D、、及びFは、対照CD19t-R12 CAR(黒色の棒)またはc-Jun-R12 CAR(白色の棒)のいずれかで形質導入され、代謝再プログラム化培地(MRM)において培養されたCD8+T細胞についての結果を提供する。x軸は、エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を提供する。
【
図5-2】複数回の抗原刺激後の形質導入CD8+T細胞の標的腫瘍細胞を殺傷する能力を示している。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(B及びE)、ドナー#2(C及びF)、及びドナー#3(A及びD)に由来した。A、B、及びCは、対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR、黒色の棒)またはc-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR、白色の棒)のいずれかで形質導入され、対照培地(すなわち、TCM)において培養されたCD8+T細胞についての結果を提供する。D、、及びFは、対照CD19t-R12 CAR(黒色の棒)またはc-Jun-R12 CAR(白色の棒)のいずれかで形質導入され、代謝再プログラム化培地(MRM)において培養されたCD8+T細胞についての結果を提供する。x軸は、エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を提供する。
【
図6】異なる試験群からの形質導入T細胞におけるc-Junタンパク質発現レベル(メジアン蛍光強度(MFI)として示されている)に対する代謝再プログラム化培地(MRM)の効果を示す。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照CD19t-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、対照培地(TCM)において培養されたT細胞(「対照TCR TCM」)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(「c-Jun-TCR TCM」)、(3)対照CD19t-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(「対照TCR MRM」)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(「c-Jun-TCR MRM」)。形質導入されたT細胞(CD4+及びCD8+T細胞の双方を含む)は、3名の異なるドナー:ドナー#1(A)、ドナー#2(B)、及びドナー#3(C)に由来した。
【
図7A】異なる試験群からのナイーブ及び幹細胞メモリー形質導入CD4+T細胞(
図7A、7B、及び7C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図7D、7E、及び7F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図6A~6Cに記載されているものと同じである。実施例8に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図7B】異なる試験群からのナイーブ及び幹細胞メモリー形質導入CD4+T細胞(
図7A、7B、及び7C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図7D、7E、及び7F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図6A~6Cに記載されているものと同じである。実施例8に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図7C】異なる試験群からのナイーブ及び幹細胞メモリー形質導入CD4+T細胞(
図7A、7B、及び7C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図7D、7E、及び7F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図6A~6Cに記載されているものと同じである。実施例8に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図7D】異なる試験群からのナイーブ及び幹細胞メモリー形質導入CD4+T細胞(
図7A、7B、及び7C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図7D、7E、及び7F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図6A~6Cに記載されているものと同じである。実施例8に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図7E】異なる試験群からのナイーブ及び幹細胞メモリー形質導入CD4+T細胞(
図7A、7B、及び7C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図7D、7E、及び7F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図6A~6Cに記載されているものと同じである。実施例8に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図7F】異なる試験群からのナイーブ及び幹細胞メモリー形質導入CD4+T細胞(
図7A、7B、及び7C-3名の異なるドナー)及びCD8+T細胞(
図7D、7E、及び7F-3名の異なるドナー)の割合の比較を提供する。異なる試験群は、
図6A~6Cに記載されているものと同じである。実施例8に記載されているように、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞をCCR7
+CD45RA
+として同定した。
【
図8A】A375(
図8A、
図8B、及び
図8C)及びH1703(
図8D、
図8E、及び
図8F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIL-2産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図8A及び
図8D)、ドナー#2(
図8B及び
図8E)、及びドナー#3(
図8C及び
図8F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図8B】A375(
図8A、
図8B、及び
図8C)及びH1703(
図8D、
図8E、及び
図8F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIL-2産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図8A及び
図8D)、ドナー#2(
図8B及び
図8E)、及びドナー#3(
図8C及び
図8F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図8C】A375(
図8A、
図8B、及び
図8C)及びH1703(
図8D、
図8E、及び
図8F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIL-2産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図8A及び
図8D)、ドナー#2(
図8B及び
図8E)、及びドナー#3(
図8C及び
図8F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図8D】A375(
図8A、
図8B、及び
図8C)及びH1703(
図8D、
図8E、及び
図8F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIL-2産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図8A及び
図8D)、ドナー#2(
図8B及び
図8E)、及びドナー#3(
図8C及び
図8F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図8E】A375(
図8A、
図8B、及び
図8C)及びH1703(
図8D、
図8E、及び
図8F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIL-2産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図8A及び
図8D)、ドナー#2(
図8B及び
図8E)、及びドナー#3(
図8C及び
図8F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図8F】A375(
図8A、
図8B、及び
図8C)及びH1703(
図8D、
図8E、及び
図8F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIL-2産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図8A及び
図8D)、ドナー#2(
図8B及び
図8E)、及びドナー#3(
図8C及び
図8F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図9A】A375(
図9A、
図9B、及び
図9C)及びH1703(
図9D、
図9E、及び
図9F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIFN-γ産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図9A及び
図9D)、ドナー#2(
図9B及び
図9E)、及びドナー#3(
図9C及び
図9F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図9B】A375(
図9A、
図9B、及び
図9C)及びH1703(
図9D、
図9E、及び
図9F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIFN-γ産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図9A及び
図9D)、ドナー#2(
図9B及び
図9E)、及びドナー#3(
図9C及び
図9F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図9C】A375(
図9A、
図9B、及び
図9C)及びH1703(
図9D、
図9E、及び
図9F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIFN-γ産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図9A及び
図9D)、ドナー#2(
図9B及び
図9E)、及びドナー#3(
図9C及び
図9F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図9D】A375(
図9A、
図9B、及び
図9C)及びH1703(
図9D、
図9E、及び
図9F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIFN-γ産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図9A及び
図9D)、ドナー#2(
図9B及び
図9E)、及びドナー#3(
図9C及び
図9F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図9E】A375(
図9A、
図9B、及び
図9C)及びH1703(
図9D、
図9E、及び
図9F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIFN-γ産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図9A及び
図9D)、ドナー#2(
図9B及び
図9E)、及びドナー#3(
図9C及び
図9F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図9F】A375(
図9A、
図9B、及び
図9C)及びH1703(
図9D、
図9E、及び
図9F)標的腫瘍細胞による一次抗原刺激中に、代謝再プログラム化培地(MRM)または対照培地(すなわち、TCM)において形質導入及び培養されたT細胞によるIFN-γ産生の比較を提供する。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(
図9A及び
図9D)、ドナー#2(
図9B及び
図9E)、及びドナー#3(
図9C及び
図9F)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸)、(2)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角)、(3)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸)、及び(4)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)を各プロットの上部に示す。
【
図10-1】複数回の抗原刺激を介して形質導入T細胞の標的腫瘍細胞A375(A、B、及びC)またはH1703(D、E、及びF)を殺傷する能力を示している。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(A及びD)、ドナー#2(B及びE)、及びドナー#3(C及びF)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照培地(すなわち、TCM)(黒三角、「モック-TCM」)において培養された非形質導入T細胞、(2)MRM(白三角、「モック-MRM」)において培養された非形質導入T細胞、(3)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸、「対照TCR-TCM」)、(4)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角、「c-JUN-TCR-TCM」)、(5)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸、「対照TCR-MRM」)、及び(6)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角、「c-JUN-TCR-MRM」)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)は、A375では1:4、H1703では1:1である。
【
図10-2】複数回の抗原刺激を介して形質導入T細胞の標的腫瘍細胞A375(A、B、及びC)またはH1703(D、E、及びF)を殺傷する能力を示している。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(A及びD)、ドナー#2(B及びE)、及びドナー#3(C及びF)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照培地(すなわち、TCM)(黒三角、「モック-TCM」)において培養された非形質導入T細胞、(2)MRM(白三角、「モック-MRM」)において培養された非形質導入T細胞、(3)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸、「対照TCR-TCM」)、(4)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角、「c-JUN-TCR-TCM」)、(5)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸、「対照TCR-MRM」)、及び(6)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角、「c-JUN-TCR-MRM」)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)は、A375では1:4、H1703では1:1である。
【
図10-3】複数回の抗原刺激を介して形質導入T細胞の標的腫瘍細胞A375(A、B、及びC)またはH1703(D、E、及びF)を殺傷する能力を示している。形質導入されたT細胞は、3名の異なるドナー:ドナー#1(A及びD)、ドナー#2(B及びE)、及びドナー#3(C及びF)に由来した。異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照培地(すなわち、TCM)(黒三角、「モック-TCM」)において培養された非形質導入T細胞、(2)MRM(白三角、「モック-MRM」)において培養された非形質導入T細胞、(3)対照NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有しないNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒丸、「対照TCR-TCM」)、(4)c-Jun-NY-ESO1 TCR(すなわち、c-Junを有するNY-ESO1 TCR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞(黒四角、「c-JUN-TCR-TCM」)、(5)対照NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白丸、「対照TCR-MRM」)、及び(6)c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(白四角、「c-JUN-TCR-MRM」)。エフェクター:標的(E:T)比(すなわち、形質導入T細胞対標的腫瘍細胞の比)は、A375では1:4、H1703では1:1である。
【
図11】連続抗原刺激後の抗ROR1 CAR T細胞のトランスクリプトームのプロファイルを示す。実施例6で更に説明されているように、抗ROR1 CAR T細胞の一部をc-Junタンパク質を過剰発現するように改変し、及び/またはMRMにて培養した。示されている異なる試験群は以下のとおりである:(1)対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、対照培地で培養されたT細胞(灰色の棒)、及び(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞(黒色の棒)。Aは、連続抗原刺激アッセイの7日目及び10日目に幹様遺伝子が濃縮されたCD8
+T細胞の比率を示す。Bは、T細胞終末疲弊遺伝子が濃縮されたCD8
+T細胞の比率を示す。
【
図12A】ROR1 CARで形質導入され、TCMまたは様々な濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養されたT細胞におけるc-Jun発現を示す棒グラフである。実施例13で更に説明されているように、試験された様々なMRMのカリウムイオン濃度は、40~80mM(すなわち、低濃度から高濃度)の範囲であった。異なる形質導入条件(または試験群)は以下のとおりである:(1)対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞、(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞、(3)対照CD19t-R12 CARで形質導入され、様々なカリウム濃度のMRMにおいて培養されたT細胞、(4)c-Jun-R12 CARで形質導入され、様々なカリウム濃度のMRMにおいて培養されたT細胞。
図12A、12B、及び12Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図12B】ROR1 CARで形質導入され、TCMまたは様々な濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養されたT細胞におけるc-Jun発現を示す棒グラフである。実施例13で更に説明されているように、試験された様々なMRMのカリウムイオン濃度は、40~80mM(すなわち、低濃度から高濃度)の範囲であった。異なる形質導入条件(または試験群)は以下のとおりである:(1)対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞、(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞、(3)対照CD19t-R12 CARで形質導入され、様々なカリウム濃度のMRMにおいて培養されたT細胞、(4)c-Jun-R12 CARで形質導入され、様々なカリウム濃度のMRMにおいて培養されたT細胞。
図12A、12B、及び12Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図12C】ROR1 CARで形質導入され、TCMまたは様々な濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養されたT細胞におけるc-Jun発現を示す棒グラフである。実施例13で更に説明されているように、試験された様々なMRMのカリウムイオン濃度は、40~80mM(すなわち、低濃度から高濃度)の範囲であった。異なる形質導入条件(または試験群)は以下のとおりである:(1)対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞、(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMにおいて培養されたT細胞、(3)対照CD19t-R12 CARで形質導入され、様々なカリウム濃度のMRMにおいて培養されたT細胞、(4)c-Jun-R12 CARで形質導入され、様々なカリウム濃度のMRMにおいて培養されたT細胞。
図12A、12B、及び12Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図13A】形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養された幹様CD4+T細胞の割合の比較を示す。異なる試験群は、
図12A~12Cに記載されたものと同じである。幹様細胞は細胞表面マーカーCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+によって同定した。
図13A、13B、及び13Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図13B】形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養された幹様CD4+T細胞の割合の比較を示す。異なる試験群は、
図12A~12Cに記載されたものと同じである。幹様細胞は細胞表面マーカーCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+によって同定した。
図13A、13B、及び13Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図13C】形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養された幹様CD4+T細胞の割合の比較を示す。異なる試験群は、
図12A~12Cに記載されたものと同じである。幹様細胞は細胞表面マーカーCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+によって同定した。
図13A、13B、及び13Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図14A】形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養された幹様CD8+T細胞の割合の比較を示す。異なる試験群は、
図12A~12Cに記載されたものと同じである。幹様細胞は細胞表面マーカーCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+によって同定した。
図14A、14B、及び14Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図14B】形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養された幹様CD8+T細胞の割合の比較を示す。異なる試験群は、
図12A~12Cに記載されたものと同じである。幹様細胞は細胞表面マーカーCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+によって同定した。
図14A、14B、及び14Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図14C】形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養された幹様CD8+T細胞の割合の比較を示す。異なる試験群は、
図12A~12Cに記載されたものと同じである。幹様細胞は細胞表面マーカーCD45RO
-CCR7
+CD45RA
+CD62L
+CD27
+CD28
+TCF7
+によって同定した。
図14A、14B、及び14Cの各々は、3名の独立したドナーから単離されたT細胞の生物学的複製の結果を示す。
【
図15-1】1:1のエフェクター対標的比(E:T)での一次抗原刺激後の抗ROR1 CAR T細胞によるIFN-γ(A、B、及びC)、IL-2(D、E、及びF)、及びTNF-α(G、H、及びI)の産生を示す。実施例13に更に説明されているように、(3名の別個のドナーから単離された)T細胞を形質導入し、TCMまたは40~80mM(すなわち、低濃度~高濃度)の範囲の濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養した。T細胞を以下で形質導入した:(1)T細胞対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)(黒丸)または(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)(黒四角)。
【
図15-2】1:1のエフェクター対標的比(E:T)での一次抗原刺激後の抗ROR1 CAR T細胞によるIFN-γ(A、B、及びC)、IL-2(D、E、及びF)、及びTNF-α(G、H、及びI)の産生を示す。実施例13に更に説明されているように、(3名の別個のドナーから単離された)T細胞を形質導入し、TCMまたは40~80mM(すなわち、低濃度~高濃度)の範囲の濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養した。T細胞を以下で形質導入した:(1)T細胞対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)(黒丸)または(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)(黒四角)。
【
図15-3】1:1のエフェクター対標的比(E:T)での一次抗原刺激後の抗ROR1 CAR T細胞によるIFN-γ(A、B、及びC)、IL-2(D、E、及びF)、及びTNF-α(G、H、及びI)の産生を示す。実施例13に更に説明されているように、(3名の別個のドナーから単離された)T細胞を形質導入し、TCMまたは40~80mM(すなわち、低濃度~高濃度)の範囲の濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養した。T細胞を以下で形質導入した:(1)T細胞対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)(黒丸)または(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)(黒四角)。
【
図16-1】1:4のエフェクター対標的比(E:T)での一次抗原刺激後の抗ROR1 CAR T細胞によるIFN-γ(A、B、及びC)、IL-2(D、E、及びF)、及びTNF-α(G、H、及びI)の産生を示す。実施例13に更に説明されているように、(3名の独立したドナーから単離された)T細胞を形質導入し、TCMまたは40~80mM(すなわち、低濃度~高濃度)の範囲の濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養した。T細胞を以下で形質導入した:(1)T細胞対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)(黒丸)または(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)(黒四角)。
【
図16-2】1:4のエフェクター対標的比(E:T)での一次抗原刺激後の抗ROR1 CAR T細胞によるIFN-γ(A、B、及びC)、IL-2(D、E、及びF)、及びTNF-α(G、H、及びI)の産生を示す。実施例13に更に説明されているように、(3名の独立したドナーから単離された)T細胞を形質導入し、TCMまたは40~80mM(すなわち、低濃度~高濃度)の範囲の濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養した。T細胞を以下で形質導入した:(1)T細胞対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)(黒丸)または(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)(黒四角)。
【
図16-3】1:4のエフェクター対標的比(E:T)での一次抗原刺激後の抗ROR1 CAR T細胞によるIFN-γ(A、B、及びC)、IL-2(D、E、及びF)、及びTNF-α(G、H、及びI)の産生を示す。実施例13に更に説明されているように、(3名の独立したドナーから単離された)T細胞を形質導入し、TCMまたは40~80mM(すなわち、低濃度~高濃度)の範囲の濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養した。T細胞を以下で形質導入した:(1)T細胞対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)(黒丸)または(2)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)(黒四角)。
【
図17A】複数回の抗原刺激後の(形質導入され、TCMまたは様々な濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養された)抗ROR1 CAR CD8+T細胞の標的腫瘍細胞を殺傷する能力を示す。実施例13で更に説明されているように、形質導入されたT細胞を、1:1(
図17A及び17B)または1:4(
図17C及び17D)のエフェクター:標的(E:T)比で抗原によって刺激した。
図17A及び17Cは、対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養されたCD8+T細胞の結果を示す。
図17B及び17Dは、c-Jun-R12-CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養されたCD8+T細胞の結果を示す。腫瘍生存率の割合は、IncuCyte殺傷曲線の曲線下面積(AUC)を使用して算出した(バーが低いほど、細胞傷害性が高くなる)。
図17A~17Dの各々において、腫瘍のみの細胞及び非形質導入(「モック」)T細胞を対照として使用した。
【
図17B】複数回の抗原刺激後の(形質導入され、TCMまたは様々な濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養された)抗ROR1 CAR CD8+T細胞の標的腫瘍細胞を殺傷する能力を示す。実施例13で更に説明されているように、形質導入されたT細胞を、1:1(
図17A及び17B)または1:4(
図17C及び17D)のエフェクター:標的(E:T)比で抗原によって刺激した。
図17A及び17Cは、対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養されたCD8+T細胞の結果を示す。
図17B及び17Dは、c-Jun-R12-CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養されたCD8+T細胞の結果を示す。腫瘍生存率の割合は、IncuCyte殺傷曲線の曲線下面積(AUC)を使用して算出した(バーが低いほど、細胞傷害性が高くなる)。
図17A~17Dの各々において、腫瘍のみの細胞及び非形質導入(「モック」)T細胞を対照として使用した。
【
図17C】複数回の抗原刺激後の(形質導入され、TCMまたは様々な濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養された)抗ROR1 CAR CD8+T細胞の標的腫瘍細胞を殺傷する能力を示す。実施例13で更に説明されているように、形質導入されたT細胞を、1:1(
図17A及び17B)または1:4(
図17C及び17D)のエフェクター:標的(E:T)比で抗原によって刺激した。
図17A及び17Cは、対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養されたCD8+T細胞の結果を示す。
図17B及び17Dは、c-Jun-R12-CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養されたCD8+T細胞の結果を示す。腫瘍生存率の割合は、IncuCyte殺傷曲線の曲線下面積(AUC)を使用して算出した(バーが低いほど、細胞傷害性が高くなる)。
図17A~17Dの各々において、腫瘍のみの細胞及び非形質導入(「モック」)T細胞を対照として使用した。
【
図17D】複数回の抗原刺激後の(形質導入され、TCMまたは様々な濃度のカリウムイオンを含むMRMのいずれかにおいて培養された)抗ROR1 CAR CD8+T細胞の標的腫瘍細胞を殺傷する能力を示す。実施例13で更に説明されているように、形質導入されたT細胞を、1:1(
図17A及び17B)または1:4(
図17C及び17D)のエフェクター:標的(E:T)比で抗原によって刺激した。
図17A及び17Cは、対照CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを有しないR12 CAR)で形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養されたCD8+T細胞の結果を示す。
図17B及び17Dは、c-Jun-R12-CAR(すなわち、c-Junを有するR12 CAR)で形質導入され、TCMまたは40~80mMの濃度(すなわち、低濃度から高濃度)のカリウムイオンを含むMRMにおいて培養されたCD8+T細胞の結果を示す。腫瘍生存率の割合は、IncuCyte殺傷曲線の曲線下面積(AUC)を使用して算出した(バーが低いほど、細胞傷害性が高くなる)。
図17A~17Dの各々において、腫瘍のみの細胞及び非形質導入(「モック」)T細胞を対照として使用した。
【
図18A】腫瘍を担うマウスへの養子移入後の抗ROR1 CAR T細胞(c-Jun過剰発現の有するか、または有しない)のトランスクリプトームのプロファイルを示す。実施例12で更に説明されているように、腫瘍を担うマウスを、MRMにて培養したc-Jun ROR1 CAR T細胞(c-Jun R12 CAR MRM)またはMRMにて培養した対照ROR1 CAR T細胞(対照R12 CAR MRM)のいずれかで処理した。その後、養子導入した形質導入T細胞を腫瘍から単離し、単個細胞RNA-seq分析を実施した。
図18Aは、双方の処理群からの全ての試料からのCD8
+T細胞のUMAPを提供する。
図18Bは、T細終末疲弊胞遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Cは、T細胞前駆疲弊遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Dは、幹様遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Eは、T細胞活性化関連遺伝子が濃縮されているCD8+T細胞の比率を示す。
【
図18B】腫瘍を担うマウスへの養子移入後の抗ROR1 CAR T細胞(c-Jun過剰発現の有するか、または有しない)のトランスクリプトームのプロファイルを示す。実施例12で更に説明されているように、腫瘍を担うマウスを、MRMにて培養したc-Jun ROR1 CAR T細胞(c-Jun R12 CAR MRM)またはMRMにて培養した対照ROR1 CAR T細胞(対照R12 CAR MRM)のいずれかで処理した。その後、養子導入した形質導入T細胞を腫瘍から単離し、単個細胞RNA-seq分析を実施した。
図18Aは、双方の処理群からの全ての試料からのCD8
+T細胞のUMAPを提供する。
図18Bは、T細終末疲弊胞遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Cは、T細胞前駆疲弊遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Dは、幹様遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Eは、T細胞活性化関連遺伝子が濃縮されているCD8+T細胞の比率を示す。
【
図18C】腫瘍を担うマウスへの養子移入後の抗ROR1 CAR T細胞(c-Jun過剰発現の有するか、または有しない)のトランスクリプトームのプロファイルを示す。実施例12で更に説明されているように、腫瘍を担うマウスを、MRMにて培養したc-Jun ROR1 CAR T細胞(c-Jun R12 CAR MRM)またはMRMにて培養した対照ROR1 CAR T細胞(対照R12 CAR MRM)のいずれかで処理した。その後、養子導入した形質導入T細胞を腫瘍から単離し、単個細胞RNA-seq分析を実施した。
図18Aは、双方の処理群からの全ての試料からのCD8
+T細胞のUMAPを提供する。
図18Bは、T細終末疲弊胞遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Cは、T細胞前駆疲弊遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Dは、幹様遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Eは、T細胞活性化関連遺伝子が濃縮されているCD8+T細胞の比率を示す。
【
図18D】腫瘍を担うマウスへの養子移入後の抗ROR1 CAR T細胞(c-Jun過剰発現の有するか、または有しない)のトランスクリプトームのプロファイルを示す。実施例12で更に説明されているように、腫瘍を担うマウスを、MRMにて培養したc-Jun ROR1 CAR T細胞(c-Jun R12 CAR MRM)またはMRMにて培養した対照ROR1 CAR T細胞(対照R12 CAR MRM)のいずれかで処理した。その後、養子導入した形質導入T細胞を腫瘍から単離し、単個細胞RNA-seq分析を実施した。
図18Aは、双方の処理群からの全ての試料からのCD8
+T細胞のUMAPを提供する。
図18Bは、T細終末疲弊胞遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Cは、T細胞前駆疲弊遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Dは、幹様遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Eは、T細胞活性化関連遺伝子が濃縮されているCD8+T細胞の比率を示す。
【
図18E】腫瘍を担うマウスへの養子移入後の抗ROR1 CAR T細胞(c-Jun過剰発現の有するか、または有しない)のトランスクリプトームのプロファイルを示す。実施例12で更に説明されているように、腫瘍を担うマウスを、MRMにて培養したc-Jun ROR1 CAR T細胞(c-Jun R12 CAR MRM)またはMRMにて培養した対照ROR1 CAR T細胞(対照R12 CAR MRM)のいずれかで処理した。その後、養子導入した形質導入T細胞を腫瘍から単離し、単個細胞RNA-seq分析を実施した。
図18Aは、双方の処理群からの全ての試料からのCD8
+T細胞のUMAPを提供する。
図18Bは、T細終末疲弊胞遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Cは、T細胞前駆疲弊遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Dは、幹様遺伝子が濃縮されているCD8
+T細胞の比率を示す。
図18Eは、T細胞活性化関連遺伝子が濃縮されているCD8+T細胞の比率を示す。
【発明を実施するための形態】
【0066】
細胞免疫療法の有効性は、患者に注入される細胞製剤の存続性、多分化能、及び非対称細胞分裂を含む、いくつかの因子に左右される。細胞療法に使用される細胞の培養及び/または操作に使用される培地は、これらの細胞の代謝的特質、エピジェネティック特質、表現型特質に大きな影響を及ぼす可能性があり、それによってそれらの治療可能性に影響を及ぼす。
【0067】
本開示は、細胞を培養する方法、その方法によって調製された細胞、及び/または細胞培養方法のための組成物もしくはキットを対象とする。いくつかの態様では、本開示は、養子細胞療法(ACT)のための免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junを発現するように改変された)の集団を生成する方法を提供し、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は、低分化状態を有し、増殖する能力を保持する。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、低分化状態を有し、腫瘍細胞を標的として殺傷する能力を維持する。いくつかの態様では、免疫細胞、例えばT細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、低分化状態を有し、増殖する能力を保持し、腫瘍細胞を標的として殺傷する能力を維持する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、従来の方法に従って、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地において培養された細胞と比べて、ACTにおいて高い有効性を有する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、従来の方法に従って、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地において培養された細胞と比べて、ACTにおいて対象に投与された際、増加した存続性を有する。そのような増加した存続性は、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の腫瘍微小環境に浸潤し、機能する能力、疲弊の発症に耐え、それを遅延させる能力、ならびに連続した増殖及び応答の耐久性を確保する幹細胞性の持続を指す。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は幹様細胞である。そのような細胞は、自己再生、増殖、及び分化が可能である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、エフェクター様マーカーも発現する幹様細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞は、腫瘍細胞を標的とし、殺傷する能力も維持する幹様細胞である。
【0068】
本開示の細胞培養方法は、培養細胞の多能性及び/または万能性を増加させることができ、または細胞がベクターで形質導入されている場合の形質導入効率を増加させることができる。いくつかの態様では、培養方法は、細胞が培養される場合、及び/または細胞が生体内での療法に使用される場合に細胞疲弊を減らす及び/または防止することができる。いくつかの態様では、培養方法はまた、インビボ生存能、インビボ存続性、インビボエフェクター機能、またはそれらの任意の組み合わせを増加させることができる。いくつかの態様では、本明細書で開示されている培養方法は、オリゴクローナルまたはポリクローナル腫瘍反応性幹様T細胞及び/またはCD8+TILを濃縮することができる。いくつかの態様では、本明細書で開示される培養方法は、がん患者に由来するTILのクローン多様性を保持できる。
【0069】
いくつかの態様では、本開示は、少なくとも約5mM(例えば、5mMよりも高い)濃度でカリウムを含む代謝再プログラム化培地に細胞を置くことを含む、細胞、例えば、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)を培養する方法を対象とし、培地は、高張性ではなく、例えば、低張性または等張性である。本開示のいくつかの態様は、40mMよりも高い、例えば、約40~80mM、例えば、50mM~80mMの濃度でカリウムを含む培地に細胞を置くことを含む、細胞、例えば、免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、免疫細胞は、T細胞、腫瘍浸潤リンパ球(TIL)、ナチュラルキラー(NK)細胞、制御性T(Treg)細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0070】
本開示のいくつかの態様は、40mM~80mMの濃度でカリウムイオン及び30mM~100mMの濃度でNaClを含む代謝再プログラム化培地において細胞を培養することを含む、免疫細胞の幹細胞性を増加させながら、エクスビボまたはインビトロの培養中に免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の収率を増加させる方法を対象とし、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110~140mMである。本開示のいくつかの態様は、40mM~80mMの濃度でカリウムイオン及び30mM~100mMの濃度でNaClを含む代謝再プログラム化培地において細胞を培養することを含む、免疫療法のために免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の集団を調製する方法を対象とし、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110~140mMである。本開示のいくつかの態様は、40mM~80mMの濃度でカリウムイオン及び30mM~100mMの濃度でNaClを含む培地において免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)を培養することを含む、エクスビボまたはインビトロの培養中に免疫細胞、例えば、T細胞またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の幹細胞性を増加させる方法を対象とし、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110~140mMである。いくつかの態様では、免疫細胞は、T細胞である。
【0071】
いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、培地は、等張性である。特定の態様では、培地は更にインターロイキン(IL)-2、IL-21、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、培地はIL-2、IL-7及びIL-15を含む。いくつかの態様では、培地はIL-2及びIL-21を含む。いくつかの態様では、培地は、ナトリウムイオン、カルシウムイオン、グルコース、またはそれらの任意の組み合わせを更に含む。
【0072】
本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において免疫細胞(例えば、T細胞またはNK細胞)を(例えば、c-Junをコードする外来性ヌクレオチド配列及び/または内在性c-Junポリペプチドの発現を増加させることができる転写活性化因子を用いて)c-Junを過剰発現させるように改変することは、以下の参照方法と比べて、免疫細胞の1つ以上の特性を更に改善し得る:(i)免疫細胞は改変されているが、5mMよりも高い濃度でカリウムを含む培地において培養されない、(ii)免疫細胞は改変されていないが、5mMよりも高い濃度でカリウムを含む培地において培養される、または(iii)(i)と(ii)との双方。そのような方法の更なる態様は本開示全体を通して提供されている。
【0073】
I.用語
本開示がより容易に理解され得るように、ある特定の用語が最初に定義される。本出願で使用されるとき、本明細書で明示的に提供されない限り、以下の用語の各々は、以下に示される意味を有することとする。追加の定義は本出願全体を通して示される。
【0074】
本開示の全体を通して、用語「a」または「an」実体は、その実体のうち1以上を指し、例えば、「aキメラポリペプチド」は1以上のキメラポリペプチドを表すと理解される。したがって、「a」(または「an」)、「1以上」、及び「少なくとも1つ」という用語は本明細書では相互交換可能に使用することができる。加えて、「または」は、リスト内の構成要素のオープンリストを意味するために使用される。例えば、「XはAまたはBを含む」は、XがAを含む、XがBを含む、XがA及びBを含む、またはXがAもしくはB及び任意の他の構成要素を含むことを意味する。
【0075】
更に、「及び/または」は、本明細書で使用されるとき、他方の有無にかかわらず、2つの指定された特徴または構成要素の各々の特定の開示とみなされるべきである。したがって、「及び/または」という用語は、本明細書で「A及び/またはB」のような語句で使用される場合、「A及びB」、「AまたはB」、「A」(単独)、ならびに「B」(単独)を含むように意図される。同様に、「A、B、及び/またはC」などの語句で使用される「及び/または」という用語は、以下の態様の各々を包含することが意図される:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)。
【0076】
態様が、「含むこと」という言語とともに本明細書に記載されている場合は常に、「から成る」及び/または「から本質的になる」の観点から記載される他の同様の態様もまた提供されることが理解される。
【0077】
別途記載のない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本開示が関連する当業者に、一般に理解されるのと同じ意味を有する。例えば、Concise Dictionary of Biomedicine and Molecular Biology,Juo,Pei-Show,2nd ed.,2002,CRC Press;The Dictionary of Cell and Molecular Biology,3rd ed.,1999,Academic Press;及びthe Oxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology,Revised,2000,Oxford University Pressは、本開示で使用される用語の多くに関する一般的な辞書を当業者に提供する。
【0078】
単位、接頭辞、及び記号はそれらの国際単位系(SI)で承認された形式で示される。数値範囲は、明白に述べられない限り範囲を定義する数を含む。
【0079】
本明細書で使用される略語は本開示全体を通して定義される。本開示の様々な態様が以下の小節において更に詳しく記載されている。
【0080】
「約」または「本質的に含む」という用語は、当業者によって決定されるような特定の値または組成の許容誤差範囲内にある値または組成を指し、これは値または組成がどのように測定または決定されるのか、すなわち、測定システムの限界に部分的に依存することになる。例えば、「約」または「から本質的に構成される」は、当該技術分野における慣例に従って1標準偏差以内のまたは1標準偏差を超えることを意味し得る。代替的に、「約」または「から本質的に構成される」は、別途明記のない限り、または別途文脈から明らかでない限り(そのような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)、記載の参照値のいずれかの(よりも大きいまたはよりも小さい)方向に、最大10%の範囲(例えば、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下の内に入る値の範囲)を意味する。例えば、本明細書で使用されるとき「約55mM」には、49.5mM~60.5mMが含まれる。更に、特に生物系またはプロセスに関して、その用語は最大1桁または最大5倍の値を意味することができる。特定の値または組成が、出願及び特許請求の範囲で提供される場合、別途記載のない限り、「約」または「から本質的になる」の意味は、その特定の値または組成について許容可能な誤差範囲内にあるとみなされるべきである。
【0081】
本明細書で使用されるとき、「およそ」という用語は目的の1以上の値に適用される場合、規定の参照値と類似している値を指す。いくつかの態様では、「約」という用語のような「およそ」という用語は、別途明記のない限り、または別途文脈から明らかでない限り(そのような数値が可能な値の100%を超える場合を除く)、記載の参照値のいずれかの(更に大きいまたは更に小さい)方向に10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下の範囲内に入る値の範囲を指す。
【0082】
本明細書に記載されているように、任意の濃度範囲、割合範囲、比率範囲、または整数範囲は、別途示されない限り、列挙される範囲内の任意の整数の値を含み、適切な場合、その分数(例えば、整数の10分の1及び100分の1)を含むと理解されるべきである。
【0083】
「対照培地」、「従来の培養培地」または「参照培養培地」という用語は、本明細書で使用されるとき、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地(「MRM」)と比較した任意の培地を指す。対照培地は、ある特定のイオン濃度、例えば、カリウムイオンを除き、代謝再プログラム化培地と同じ構成要素を含み得る。いくつかの態様では、本明細書に記載の代謝再プログラム化培地は、本明細書に記載されるように、1つ以上のイオン濃度、例えば、カリウムイオン濃度を調整することによって対照培地から調製される。いくつかの態様では、対照培地は、基本培地、例えば、CTS(商標)OPTMIZER(商標)を含む。いくつかの態様では、したがって、対照培地は、代謝再プログラム化培地にも加えられるアミノ酸、グルコース、グルタミン、T細胞刺激因子、抗体、置換物などを含むが、これらに限定されない1つ以上の追加の構成要素を含むが、対照培地は、代謝再プログラム化培地とは異なる特定のイオン濃度を有する。別途示されない限り、「培地(media)」及び「培地(medium)」という用語は相互交換可能に使用することができる。
【0084】
本明細書で使用されるとき「培養」という用語は、エクスビボ及び/またはインビトロでの細胞の制御された増殖を指す。本明細書で使用されるとき、「培養」は、細胞増殖中、または細胞操作(例えば、CAR、TCR、もしくはTCRmを発現させるための構築物による形質導入)中の本明細書で開示されている細胞、例えば、免疫細胞、例えば、1つ以上の操作された免疫細胞の増殖を含む。いくつかの態様では、培養細胞は、対象、例えば、ヒト対象/患者から得られる。いくつかの態様では、培養細胞はヒト対象/患者から得られる免疫細胞を含む。いくつかの態様では、培養細胞は本明細書に開示されている1以上の操作された免疫細胞を含む。いくつかの態様では、培養細胞はヒト対象/患者から得られるT細胞またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、T細胞及び/またはNK細胞は培養前に精製される。いくつかの態様では、T細胞及び/またはNK細胞は腫瘍に浸潤しているT細胞及び/またはNK細胞である。いくつかの態様では、培養細胞は本明細書に開示されている1以上の操作された免疫細胞を含む。
【0085】
「増殖させる」または「増殖」という用語は、免疫細胞培養に関して本明細書で使用されるとき、細胞を刺激し、または活性化し、細胞を培養するプロセスを指す。増殖プロセスは、細胞が刺激され、または活性化され、培養された後、培養細胞の集団において、所望の細胞の比率または総数の増加、例えば、低分化免疫細胞の比率または総数の増加をもたらすことができる。増殖は、培養細胞の集団における全ての細胞型の数が増加することを必要としない。むしろ、いくつかの態様では、培養細胞の集団中の細胞のサブセットのみが、増殖中に数が増加するが、他の細胞型の数は、変化しないか、または減少し得る。
【0086】
本明細書で使用されるとき、「収率」という用語は、培養方法またはその一部の後の細胞の総数を指す。いくつかの態様では、「収率」という用語は、T細胞の集団における特定の細胞、例えば、幹様T細胞の集団を指す。収率は、代表的な試料に基づいて収率を推定することを含むが、これに限定されない任意の方法を使用して決定することができる。
【0087】
「代謝再プログラム化培地(media)」、「代謝再プログラム化培地(medium)」、または「MRM」という用語は本明細書で使用されるとき、本開示の培地を指し、その際、培地は高カリウム濃度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、40mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、MRMは約40mM~約80mMの間の濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約10mM,少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約25mM、少なくとも約30mM、少なくとも約35mM、少なくとも約40mM、少なくとも約45mM、少なくとも約50mM、少なくとも約55mM、少なくとも約60mM、少なくとも約65mM、少なくとも約70mM、少なくとも約75mM、少なくとも約80mM、少なくとも約85mM、少なくとも約90mM、少なくとも約95mM、または少なくとも約100mMのカリウムイオンの濃度を含む。いくつかの態様では、MRMは約40mMの濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、MRMは約50mMの濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、MRMは約60mMの濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、MRMは約70mMの濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、MRMは約80mMの濃度でカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mM~約80mMのNaCl、約40mM~約90mMのKCl、約0.5mM~約2.8mMのカルシウム、及び約10mM~約24mMのグルコースを含む。いくつかの態様では、MRMは、約40mM~約80mMのNaCl、約40mM~約80mMのカリウムイオン、約0.5mM~約2.8mMのカルシウム、及び約10mM~約24mMのグルコースを含む。いくつかの態様では、MRMは、約55mM~約90mMのNaCl及び約40mM~約80mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、更に、約250~約300mOsmolの浸透圧を含む。
【0088】
本明細書で使用される場合、「よりも高い」という用語は、それより大きいが等しくないことを意味する。例えば、「5mMよりも高い」は5mMを超える任意の量を意味するが、5mMを含まない。
【0089】
本明細書で使用されるとき「張度」という用語は、細胞膜を横切る計算された有効浸透圧勾配を指し、カリウムイオンの濃度と塩化ナトリウム(NaCl)の濃度の合計に2を掛けた値で表される。張度は、溶液、例えば、培地の浸透圧濃度(mOsm/kg)または浸透圧モル濃度(mOsm/L)によって表すことができる。浸透圧濃度と浸透圧モル濃度は、質量当たり(浸透圧濃度)及び体積当たり(浸透圧モル濃度)の溶媒の溶質浸透圧濃度の測定値である。本明細書で使用されるとき、等張性培地は、約280mOsm/L(例えば、([K+]+[NaCl])×2=280)の張度を有する。
【0090】
本明細書で使用されるとき、低張性溶液は、280mOsm/L未満(例えば、([K+]+[NaCl])×2<280)の張度を有する。いくつかの態様では、低張性培地は、少なくとも約210mOsm/L~約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、低張性培地は、少なくとも約220mOsm/L~約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、低張性培地は、少なくとも約230mOsm/L~約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、低張性培地は、少なくとも約240mOsm/L~約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、本明細書に記載されている低張性培地は、約250mOsm/Lの張度を有する。
【0091】
本明細書で使用されるとき、高張性溶液は、300mOsm/Lを超える(例えば、([K+]+[NaCl])×2>300)張度を有する。いくつかの態様では、本明細書に記載されている高張性培地は、約320mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、溶液、例えば培地の張度は、カリウムイオン及びNaClの濃度を増加または減少させることによって調節される。いくつかの態様では、培地の張度は、ある溶質の増加を第2の溶質の減少で相殺することによって維持することができる。例えば、ナトリウムイオンの濃度を変えることなく培地におけるカリウムイオンの濃度を増加させると、培地の張度が増加し得る。しかしながら、カリウムイオンの濃度が増加し、ナトリウムイオンの濃度が減少する場合、元の培地の張度は維持され得る。
【0092】
本明細書で使用されるとき、「カリウム」、「カリウムイオン」、「カリウムカチオン」、及び「K+」という用語は相互交換可能に使用され、元素カリウムを指す。元素カリウム素は、溶液中に陽イオンで存在する。しかしながら、カリウムイオンを含む溶液を調製する標準的な手段は、カリウム含有塩(例えば、KCl)を溶液中に希釈することを含むことが、当業者には容易に明らかとなる。したがって、あるモル(M)濃度のカリウムイオンを含む溶液、例えば、培地は、等モル(M)濃度のカリウムを含む塩を含むと記載され得る。
【0093】
本明細書で使用されるとき、「ナトリウムイオン」及び「ナトリウムカチオン」という用語は、元素ナトリウムを指すために交換可能に使用される。元素ナトリウムは、溶液中に一価の陽イオンで存在する。しかしながら、ナトリウムイオンを含む溶液を調製する標準的な手段が、ナトリウム含有塩(例えば、NaCl)を溶液に希釈することを含むことは当業者に容易に明らかであろう。したがって、あるモル(M)濃度のナトリウムイオンを含む溶液、例えば、培地は、等モル(M)濃度のナトリウムを含む塩を含むと記載され得る。
【0094】
本明細書で使用されるとき、「カルシウムイオン」及び「カルシウムカチオン」という用語は、元素カルシウムを指すために交換可能に使用される。元素カルシウムは、溶液中に二価の陽イオンで存在する。しかしながら、カルシウムイオンを含む溶液を調製する標準的な手段が、カルシウム含有塩(例えば、CaCl2)を溶液に希釈することを含むことは当業者に容易に明らかであろう。したがって、あるモル(M)濃度のカルシウムイオンを含む溶液、例えば、培地は、等モル(M)濃度のカルシウムを含む塩を含むと記載され得る。
【0095】
本明細書で使用されるとき、「免疫細胞」という用語は免疫系の細胞を指す。いくつかの態様では、免疫細胞は、Tリンパ球(「T細胞」)、Bリンパ球(「B細胞」)、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中球から選択される。本明細書で使用されるとき、細胞の「集団」は2つ以上の細胞、例えば、複数の細胞の集合を指す。いくつかの態様では、細胞の集団は、2つ以上の免疫細胞、例えば、複数の免疫細胞を含む。いくつかの態様では、細胞の集団は、複数のタイプの細胞を含む細胞の異種混合物、例えば、免疫細胞及び非免疫細胞の異種混合物を含む。いくつかの態様では、細胞の集団は複数のT細胞を含む。
【0096】
本明細書で使用されるとき「参照免疫細胞」(または「参照細胞」)という用語は、本明細書に提供されている方法を使用して改変されていない及び/または培養されていない細胞を指す。例えば、いくつかの態様では、参照細胞は、本明細書に記載されているように(例えば、本明細書に提供されているc-Junヌクレオチド配列及び/または転写活性化因子のいずれかで)改変されていない細胞(例えば、対応する免疫細胞)を含む。いくつかの態様では、参照細胞は、本開示の培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)において培養された(本明細書に記載されているように改変されていない)そのような細胞を含む。いくつかの態様では、参照細胞は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地(すなわち、参照培地)において培養された(本明細書に記載されているように改変されていない)そのような細胞を含む。いくつかの態様では、参照細胞は、本明細書に記載されているように(例えば、本明細書に提供されているc-Junヌクレオチド配列及び/または転写活性化因子のいずれかで)改変されているが、参照培地で培養された細胞を含む。したがって、別途示されない限り、参照細胞は、以下のうちのいずれかを含み得る:(1)本明細書に記載されているように改変されていない細胞(例えば、対応する免疫細胞)、(2)本明細書に記載されているように改変されておらず、本開示の培地で培養もされていない細胞(例えば、対応する免疫細胞)、(3)本明細書に記載されているように改変されていないが、本開示の培地で培養された細胞(例えば、対応する免疫細胞)、(4)本明細書に記載されているように改変されているが、参照培地で培養された細胞(例えば、対応する免疫細胞)、または(5)(1)~(4)の任意の組み合わせ。少なくとも本開示に基づいて、本明細書で使用される場合「参照細胞」という用語の範囲は、当業者には明らかであろう。
【0097】
本明細書で使用されるとき、「T細胞」及び「Tリンパ球」という用語は、相互交換可能であり、胸腺によって産生または処理されるあらゆるリンパ球を指す。T細胞の非限定的なクラスには、エフェクターT細胞及びTh細胞(例えば、CD4+またはCD8+T細胞)が挙げられる。いくつかの態様では、T細胞はTh1細胞である。いくつかの態様では、T細胞はTh2細胞である。いくつかの態様では、T細胞はTc17細胞である。いくつかの態様では、T細胞はTh17細胞である。いくつかの態様では、T細胞はTreg細胞である。いくつかの態様では、T細胞は腫瘍浸潤細胞(TIL)である。
【0098】
本明細書で使用されるとき、「メモリー」T細胞という用語は、これまでに(例えば、インビボ、インビトロ、もしくはエクスビボで)それらの同族抗原に遭遇し、応答したT細胞、または例えば、(例えば、インビトロもしくはエクスビボにおいて)抗CD3抗体で刺激されたT細胞を指す。二次曝露の際に「メモリー様」表現型を有する免疫細胞、そのようなメモリーT細胞は増殖して、一次曝露中よりも速くかつ強い免疫応答を起こすことができる。いくつかの態様では、メモリーT細胞は、セントラルメモリーT細胞(TCM細胞)、エフェクターメモリーT細胞(TEM細胞)、組織常在性メモリーT細胞(TRM細胞)、幹細胞様メモリーT細胞(TSCM細胞)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。
【0099】
本明細書で使用されるとき、「幹細胞様メモリーT細胞」、「Tメモリー幹細胞」、または「TSCM細胞」という用語は、CD95、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現するメモリーT細胞を指し、自己複製する幹細胞様能力ならびにメモリー及びエフェクターT細胞サブセットの範囲全体を再構成する多能性を付与されている。
【0100】
本明細書で使用されるとき、「セントラルメモリーT細胞」または「TCM細胞」という用語は、CD45RO、CCR7、及びCD62Lを発現するメモリーT細胞を指す。セントラルメモリーT細胞は一般にリンパ節内及び末梢循環で見られる。
【0101】
本明細書で使用されるとき、「エフェクターメモリーT細胞」または「TEM細胞」という用語は、CD45ROを発現するが、CCR7及びCD62Lの発現を欠いているメモリーT細胞を指す。エフェクターメモリーT細胞は、リンパ節ホーミング受容体(例えば、CCR7及びCD62L)を欠いているため、これらの細胞は通常、末梢循環及び非リンパ組織で見られる。
【0102】
本明細書で使用されるとき、「組織常在性メモリーT細胞」または「TRM細胞」という用語は、循環せず、皮膚、肺、及び消化管のような末梢組織に常在しているメモリーT細胞を指す。いくつかの態様では、組織常在性メモリーT細胞はまた、エフェクターメモリーT細胞でもある。
【0103】
本明細書で使用されるとき、「ナイーブT細胞」または「TN細胞」という用語は、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現するが、CD95を発現しないT細胞を指す。TN細胞はT細胞系列にて最も未分化な細胞である。TN細胞と抗原提示細胞(APC)との間の相互作用によって、活性化TEFF細胞へのTN細胞の分化及び免疫応答が誘導される。
【0104】
本明細書で使用されるとき、「幹細胞性」、「幹細胞様」、「幹様」、または「低分化」という用語は、よりナイーブな表現型と一致するマーカーを発現する免疫細胞(例えば、T細胞、NK細胞またはTIL)を指す。例えば、低分化T細胞はTN細胞またはTSCM細胞に特徴的な1以上のマーカーを発現することができる。いくつかの態様では、「低分化」または「幹様」のT細胞はCD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現する。いくつかの態様では、「低分化」または「幹様」のT細胞はCD45RA、CCR7、CD62L、及びTCF7を発現する。いくつかの態様では、「低分化」または「幹様」のT細胞はCD45ROを発現せず、またはCD45RO低である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、低分化表現型を有する免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を推奨する。特定の機構に束縛されるものではないが、いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法は、低分化免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の分化を阻止、阻害、または制限し、その結果、培養物における幹様細胞の数が増加する。例えば、腫瘍を効果的に制御するためには、幹細胞様メモリー表現型またはセントラルメモリー表現型を有する低分化免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の養子移入が好ましいと一般的に考えられている。Gattinoni,L.,et al.,J.Clin.Invest.115:1616-1626(2005)、Gattinoni,L.,et al.Nat Med 15(7):808-814(2009)、Lynn,R.C.,et al.,Nature 576(7786):293-300(2019)、Gattinoni,L.,et al.Nat Rev 12:671-684(2012)、Klebanoff,C.,et al.,J.Immunother 35(9):651-670(2012)、及びGattinoni,L.,et al.,Nat Med 17(10):1290-1297(2011)を参照されたい。
【0105】
幹細胞性は、自己再生能力、多能性、及び増殖能の存続性を特徴とする。いくつかの態様では、幹細胞性は、特定の遺伝子シグネチャ、例えば、多数の遺伝子にわたる発現の組み合わせパターンを特徴とする。いくつかの態様では、幹様細胞は、例えば、本明細書に開示される幹細胞性遺伝子シグネチャを使用して、トランスクリプトーム分析によって同定され得る。いくつかの態様では、遺伝子シグネチャは、ACTN1、DSC1、TSHZ2、MYB、LEF1、TIMD4、MAL、KRT73、SESN3、CDCA7L、LOC283174、TCF7、SLC16A10、LASS6、UBE2E2、IL7R、GCNT4、TAF4B、SULT1B1、SELP、KRT72、STXBP1、TCEA3、FCGBP、CXCR5、GPA33、NELL2、APBA2、SELL、VIPR1、FAM153B、PPFIBP2、FCER1G、GJB6、OCM2、GCET2、LRRN1、IL6ST、LRRC16A、IGSF9B、EFHA2、LOC129293、APP、PKIA、ZC3H12D、CHMP7、KIAA0748、SLC22A17、FLJ13197、NRCAM、C5orf13、GIPC3、WNT7A、FAM117B、BEND5、LGMN、FAM63A、FAM153B、ARHGEF11、RBM11、RIC3、LDLRAP1、PELI1、PTK2、KCTD12、LMO7、CEP68、SDK2、MCOLN3、ZNF238、EDAR、FAM153C、FAAH2、BCL9、C17orf48、MAP1D、ZSWIM1、SORBS3、IL4R、SERPINF1、C16orf45、SPTBN1、KCNQ1、LDHB、BZW2、NBEA、GAL3ST4、CRTC3、MAP3K1、HLA-DOA、RAB43、SGTB、CNN3、CWH43、KLHL3、PIM2、RGMB、C16orf74、AEBP1、SNORD115-11、SNORD115-11、GRAP、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の遺伝子を含む(例えば、Gattinoni et al.,Nature Medicine 17(10):1290-97(2011)を参照のこと)。いくつかの態様では、特徴的な遺伝子発現は、NOG、TIMD4、MYB、UBE2E2、FCER1G、HAVCR1、FCGBP、PPFIBP2、TPST1、ACTN1、IGF1R、KRT72、SLC16A10、GJB6、LRRN1、PRAGMIN、GIPC3、FLNB、ARRB1、SLC7A8、NUCB2、LRRC7、MYO15B、MAL、AEBP1、SDK2、BZW2、GAL3ST4、PITPNM2、ZNF496、FAM117B、C16orf74、TDRD6、TSPAN32、C18orf22、C3orf44、LOC129293、ZC3H12D、MLXIP、C7orf10、STXBP1、KCNQ1、FLJ13197、LDLRAP1、RAB43、RIN3、SLC22A17、AGBL3、TCEA3、NCRNA00185、FAM153B、FAM153C、VIPR1、MMP19、HBS1L、EEF2K、SNORA5C、UBASH3A、FLJ43390、RP6-213H19.1、INPP5A、PIM2、TNFRSF10D、SNRK、LOC100128288、PIGV、LOC100129858、SPTBN1、PROS1、MMP28、HES1、CACHD1、NSUN5C、LEF1、TTTY14、SNORA54、HSF2、C16orf67、NSUN5B、KIAA1257、NRG2、CAD、TARBP1、STRADB、MT1F、TMEM41B、PDHX、KDM6B、LOC100288322、UXS1、LGMN、NANOS2、PYGB、RASGRP2、C14orf80、XPO6、SLC24A6、FAM113A、MRM1、FBXW8、NDUFS2、KCTD12、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の遺伝子を含む(例えば、Gattinoni,L.,et al.,Nat.Med,17(10):1290-1297(2011)を参照のこと)。いくつかの態様では、特徴的な遺伝子発現は、SELL、CCR7、S1PR1、KLF3、TCF7、GPR183、SC5D、FAAH2、LTB、SESN3、MAL、TSHZ2、LEF1、AP3M2、SLC2A3、ICAM2、PLAC8、SCML1、IL7R、ABLIM1、RASGRP2、TRABD2A、SATB1、ALG13、ARID5A、BACH2、PABPC1、GPCPD1、NELL2、TAF4B、FCMR、ARRDC2、C1orf162、FAM177A1、ANKRD12、TXK、SORL1、AQP3、ADTRP、FXYD7、CD28、P2RY8、CRYBG1、TNFSF8、BEX2、PGAP1、PTGER4、MAML2、BEX3、PCSK1N、INPP4B、AC119396.1、CXCR5、LINC00402、CCR4、IL6R、ZBTB10、ITGA6、ARMH1、RILPL2、FOXP1、TESPA1、YPEL5、LPAR6、CMSS1、RIPOR2、ZNF331、EMP3、GIMAP7、WDR74、RIC3、CYSLTR1、ITGB1、CD5、SAMHD1、SERINC5、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の遺伝子を含む(例えば、Caushi et al.,Nature,596:126-132(2021)を参照のこと)。
【0106】
本明細書で使用されるとき、「エフェクター様」または「エフェクター細胞様」という用語は、腫瘍細胞殺傷能力及びサイトカイン多機能性、例えば、炎症性サイトカイン及び/または細胞傷害性分子を産生する細胞の能力を指す。いくつかの態様では、エフェクター様細胞は細胞によって発現される特定のマーカーを特徴とする。いくつかの態様では、それらのエフェクター様マーカーはpSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、及びSTAT3+のうちの1以上を含む。いくつかの態様では、エフェクター様マーカーはAKT1、AKT2、AKT3、BCL2L1、CBL、CBLB、CBLC、CCND1、CCND2、CCND3、CISH、CLCF1、CNTF、CNTFR、CREBBP、CRLF2、CSF2、CSF2RA、CSF2RB、CSF3、CSF3R、CSH1、CTF1、EP300、EPO、EPOR、GH1、GH2、GHR、GRB2、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNGR1、IFNGR2、IFNK、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IFNLR1、IFNW1、IL10、IL10RA、IL10RB、IL11、IL11RA、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL12RB2、IL13、IL13RA1、IL13RA2、IL15、IL15RA、IL19、IL2、IL20、IL20RA、IL20RB、IL21、IL21R、IL22、IL22RA1、IL22RA2、IL23A、IL23R、IL24、IL26、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL3RA、IL4、IL4R、IL5、IL5RA、IL6、IL6R、IL6ST、IL7、IL7R、IL9、IL9R、IRF9、JAK1、JAK2、JAK3、LEP、LEPR、LIF、LIFR、MPL、MYC、OSM、OSMR、PIAS1、PIAS2、PIAS3、PIAS4、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIK3R5、PIM1、PRL、PRLR、PTPN11、PTPN6、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOCS4、SOCS5、SOCS7、SOS1、SOS2、SPRED1、SPRED2、SPRY1、SPRY2、SPRY3、SPRY4、STAM、STAM2、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、TPO、TSLP、TYK2、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるSTAT標的を含む。いくつかの態様では、エフェクター様細胞はトランスクリプトーム分析によって特徴付けられる。いくつかの態様では、エフェクター様マーカーは、Kaech et al.,Cell 111:837-51(2002)、Tripathi et al.,J.Immunology 185:2116-24(2010)、及び/またはJohnnidis et al.,Science Immunology 6:eabe3702(Jan.15,2021)で開示されるマーカーを含み、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0107】
いくつかの態様では、エフェクター様細胞は、Gattinoni,L.,et al.,Nat.Med.,17(10):1290-97(2011)に記載されているエフェクター関連遺伝子セットを使用して特徴付けられる。いくつかの態様では、エフェクター様細胞の特徴的な遺伝子発現は、MTCH2、RAB6C、KIAA0195、SETD2、C2orf24、NRD1、GNA13、COPA、SELT、TNIP1、CBFA2T2、LRP10、PRKCI、BRE、ANKS1A、PNPLA6、ARL6IP1、WDFY1、MAPK1、GPR153、SHKBP1、MAP1LC3B2、PIP4K2A、HCN3、GTPBP1、TLN1、C4orf34、KIF3B、TCIRG1、PPP3CA、ATG4D、TYMP、TRAF6、C17orf76、WIPF1、FAM108A1、MYL6、NRM、SPCS2、GGT3P、GALK1、CLIP4、ARL4C、YWHAQ、LPCAT4、ATG2A、IDS、TBC1D5、DMPK、ST6GALNAC6、REEP5、ABHD6、KIAA0247、EMB、TSEN54、SPIRE2、PIWIL4、ZSCAN22、ICAM1、CHD9、LPIN2、SETD8、ZC3H12A、ULBP3、IL15RA、HLA-DQB2、LCP1、CHP、RUNX3、TMEM43、REEP4、MEF2D、ABL1、TMEM39A、PCBP4、PLCD1、CHST12、RASGRP1、C1orf58、C11orf63、C6orf129、FHOD1、DKFZp434F142、PIK3CG、ITPR3、BTG3、C4orf50、CNNM3、IFI16、AK1、CDK2AP1、REL、BCL2L1、MVD、TTC39C、PLEKHA2、FKBP11、EML4、FANCA、CDCA4、FUCA2、MFSD10、TBCD、CAPN2、IQGAP1、CHST11、PIK3R1、MYO5A、KIR2DL3、DLG3、MXD4、RALGDS、S1PR5、WSB2、CCR3、TIPARP、SP140、CD151、SOX13、KRTAP5-2、NF1、PEA15、PARP8、RNF166、UEVLD、LIMK1、CACNB1、TMX4、SLC6A6、LBA1、SV2A、LLGL2、IRF1、PPP2R5C、CD99、RAPGEF1、PPP4R1、OSBPL7、FOXP4、SLA2、TBC1D2B、ST7、JAZF1、GGA2、PI4K2A、CD68、LPGAT1、STX11、ZAK、FAM160B1、RORA、C8orf80、APOBEC3F、TGFBI、DNAJC1、GPR114、LRP8、CD69、CMI、NAT13、TGFB1、FLJ00049、ANTXR2、NR4A3、IL12RB1、NTNG2、RDX、MLLT4、GPRIN3、ADCY9、CD300A、SCD5、ABI3、PTPN22、LGALS1、SYTL3、BMPR1A、TBK1、PMAIP1、RASGEF1A、GCNT1、GABARAPL1、STOM、CALHM2、ABCA2、PPP1R16B、SYNE2、PAM、C12orf75、CLCF1、MXRA7、APOBEC3C、CLSTN3、ACOT9、HIP1、LAG3、TNFAIP3、DCBLD1、KLF6、CACNB3、RNF19A、RAB27A、FADS3、DLG5、APOBEC3D、TNFRSF1B、ACTN4、TBKBP1、ATXN1、ARAP2、ARHGEF12、FAM53B、MAN1A1、FAM38A、PLXNC1、GRLF1、SRGN、HLA-DRB5、B4GALT5、WIPI1、PTPRJ、SLFN11、DUSP2、ANXA5、AHNAK、NEO1、CLIC1、EIF2C4、MAP3K5、IL2RB、PLEKHG1、MYO6、GTDC1、EDARADD、GALM、TARP、ADAM8、MSC、HNRPLL、SYT11、ATP2B4、NHSL2、MATK、ARHGAP18、SLFN12L、SPATS2L、RAB27B、PIK3R3、TP53INP1、MBOAT1、GYG1、KATNAL1、FAM46C、ZC3HAV1L、ANXA2P2、CTNNA1、NPC1、C3AR1、CRIM1、SH2D2A、ERN1、YPEL1、TBX21、SLC1A4、FASLG、PHACTR2、GALNT3、ADRB2、PIK3AP1、TLR3、PLEKHA5、DUSP10、GNAO1、PTGDR、FRMD4B、ANXA2、EOMES、CADM1、MAF、TPRG1、NBEAL2、PPP2R2B、PELO、SLC4A4、KLRF1、FOSL2、RGS2、TGFBR3、PRF1、MYO1F、GAB3、C17orf66、MICAL2、CYTH3、TOX、HLA-DRA、SYNE1、WEE1、PYHIN1、F2R、PLD1、THBS1、CD58、FAS、NETO2、CXCR6、ST6GALNAC2、DUSP4、AUTS2、C1orf21、KLRG1、TNIP3、GZMA、PRR5L、PRDM1、ST8SIA6、PLXND1、PTPRM、GFPT2、MYBL1、SLAMF7、FLJ16686、GNLY、ZEB2、CST7、IL18RAP、CCL5、KLRD1、KLRB1、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の遺伝子を含む(例えば、Gattinoni,L.,et al.,Nat.Med.,17(10):1290-97(2011)を参照のこと)。
【0108】
本明細書で更に説明されているように(例えば、実施例12を参照)、いくつかの態様では、細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の特性は、T細胞活性化(本明細書では「TACT遺伝子」とも呼ばれる)、T細胞前駆疲弊(本明細書では「TPE遺伝子」とも称される)、T細胞終末疲弊(本明細書では「TTE遺伝子」とも呼ばれる)に関連する様々な遺伝子セットの上方調節及び/または下方調節を比較することによって、トランスクリプトーム分析を使用して評価され得る。
【0109】
いくつかの態様では、終末疲弊T細胞は、Oliveira et al.,Nature,596:119-125(2021)に記載されているTTE関連遺伝子セットを使用して特徴付けられる。いくつかの態様では、TTE細胞の遺伝子シグネチャは、以下から選択される遺伝子の1つ以上または全てを含む:KRT86、RDH10、ACP5、CXCR6、HMOX1、LAYN、CLIC3、HAVCR2、AC243829.4、PRF1、SLC2A8、CHST12、GALNT2、ENTPD1、LAG3、GZMB、PDCD1、CARD16、CTLA4、SLA2、CD27、RALA、VCAM1、SYNGR2、NKG7、LSP1、CCL5、RARRES3、CD7、CTSW、MTSS1、PTMS、BATF、KIR2DL4、AKAP5、CD38、RAB27A、GZMH、IGFLR1、ATP8B4、CD63、HOPX、TNFRSF18、ADGRG1、PLPP1、CSF1、TNFSF10、SNAP47、LINC01871、MYO1E、ZBED2、AHI1、ABI3、FASLG、TYMP、ZBTB38、CTSB、PLSCR1、AFAP1L2、ITGAE、TNS3、DUSP16、CASP1、CARS、DUSP5、IFIT1、SLC1A4、GOLIM4、RSAD2、DNPH1、NBL1、ACOT9、ABHD6、OAS1、SLC27A2、ZBP1、CD200R1、OAS3、CMPK2、TNFSF4、POLR1E、CADM1、HELZ2、SYTL2、AGPAT2、UBE2F、GIMAP6、ZBTB32、RIN3、PLEKHF1、CHPF、PACSIN2、ABCB1、SPATS2L、USP18、TMEM9、KLRC1、MPST。いくつかの態様では、前駆疲弊T細胞(TPE)は、Oliveira et al.,Nature,596:119-125(2021)に記載されているTPE関連遺伝子セットを使用して特徴付けられる。いくつかの態様では、TPE細胞の遺伝子シグネチャは、以下から選択される遺伝子の1つ以上または全てを含む:FXYD6、CAV1、GNG4、XCL1、CRTAM、CXCL13、GEM、XCL2、FXYD2、HLA-DRA、LANCL2、RASSF4、BAG3、HSPA1B、HLA-DQA1、HSPB1、FABP5、MS4A6A、SERPINH1、HLA-DPA1、HLA-DRB1、HSPA1A、RGS2、DRAIC、CD74、HSPD1、HSPA6、HSPE1、CD82、TOX、CD200、HLA-DPB1、NR4A2、VCAM1、BEX3、AIF1、DNAJA1、HSPH1、DNAJB1、HIPK2、LHFPL6、HLA-DMA、GK、TSHZ2、LPL、C16orf45、ZFAND2A、CD80、ETV1、NMB、DEDD2、CMC1、PON2、SEMA4A、ENC1、GRAMD1A、MYL6B、BCAT1、ARMH1、TIAM1、PIKFYVE、MRPL18、INPP5F、LMCD1、SESN3、CCDC6、KIAA1324、CHN1、ANKRD10、CD70、PRRG4、TNFSF4、CORO1B、DNAJB4、MAGEH1、ICAM1、GGT1、NINJ2、BLVRA、FAAH2、TOX2、SLK、CCDC141、ATF3、INPP1、FAM3C、GADD45G、APP、MAL、SIT1、DRAM1、CLECL1、MDFIC、PMCH、HLA-DMB、PHF6、AFAP1L2、BTN2A2、CCL4L2。いくつかの態様では、活性化T細胞(TACT)は、Oliveira et al.,Nature,596:119-125(2021)に記載されているTACT関連遺伝子セットを使用して特徴付けられる。いくつかの態様では、活性化T細胞の遺伝子シグネチャは、以下から選択される遺伝子の1つ以上または全てを含む:EGR1、HSPA6、FOS、HSPA1B、GADD45B、NR4A1、FOSB、ATF3、DNAJB1、DUSP1、JUNB、CD69、NR4A2、NFKBIA、PPP1R15A、KLF6、DNAJA1、JUN、SRSF7、SLC2A3、ZFP36L1、IER2、HSPA1A、EIF4A2、ID1、IFRD1、CCNL1、RSRP1、SERTAD1、DEDD2、KLF10、AL118516.1、KLF2、ZFAND2A、CLK1、RSRC2、IER3、BTG2、MYLIP、MAFF、CSRNP1、ID2、ZC3H12A、BAG3、SNHG12、TNF、DDIT4、SGK1、SNHG15、DNAJB4、NR4A3、NFKBID、SCML1、RASD1、ATF4、AREG、RASGEF1B、AC020916.1、DDIT3、SNHG8、CITED2、TXNIP、TOB1、PIM2、SOCS3、GADD45G、RGS16、TIPARP、NFKBIZ、CCL4、CD83、PPP1R10、CCL4L2、SESN2、CHMP1B、LEF1、CSKMT、HEXIM1、HSPA2、MRPL18、RBKS、CD55、ARRDC2、SC5D、FAM53C、ATP2B1-AS1、IFNG、MYC、TSC22D2、SERPINH1、LRIF1、ARRDC3、ILF3-DT、INTS6、ZNF10、PRMT9、ATM、SELL、AC243960.1。
【0110】
本明細書で使用されるとき、「基本」培地という用語は、本明細書に開示されている追加の要素、例えば、カリウム、ナトリウム、カルシウム、グルコース、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、またはそれらの任意の組み合わせのうち1つ以上で補完されている任意の出発培地を指す。基本培地は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養するための任意の培地であり得る。いくつかの態様では、基本培地は、平衡塩類溶液(例えば、PBS、DPBS、HBSS、EBSS)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、クリック培地、最小必須培地(MEM)、基本培地イーグル(BME)、F-10、F-12、RPMI1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、M199、OPTMIZER(商標)Pro、OPTMIZER(商標)CTS(商標)T細胞増殖基本培地(ThermoFisher)、OPTMIZER(商標)、OPTMIZER(商標)完全、IMMUNOCULT(商標)XF(STEMCELL(商標)Technologies)、AIM V(商標)、TEXMACS(商標)培地、PRIME-XV(登録商標)T細胞CDM、X-VIVO(商標)15(Lonza)、TRANSACT(商標)、TIL増殖培地、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、基本培地は無血清である。いくつかの態様では、基本培地はPRIME-XV(登録商標)T細胞CDMを含む。いくつかの態様では、基本培地は、OPTMIZER(商標)を含む。いくつかの態様では、基本培地は、OPTMIZER(商標)Proを含む。いくつかの態様では、基本培地は、更に免疫細胞血清置換(ICSR)を含む。例えば、いくつかの態様では、基本培地は、ICSRで補完したOPTMIZER(商標)完全、ICSRで補完したAIM V(商標)、ICSRで補完IMMUNOCULT(商標)XF、ICSRで補完RPMI、ICSRで補完したTEXMACS(商標)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、好適な基本培地には、クリック培地、OPTMIZER(商標)(CTS(商標))培地、STEMLINE(登録商標)T細胞増殖培地(Sigma-Aldrich)、AIM V(商標)培地(CTS(商標))、TEXMACS(商標)培地(Miltenyi Biotech)、IMMUNOCULT(登録商標)培地(Stem Cell Technologies)、PRIME-XV(登録商標)T細胞増殖XSFM(Irvine Scientific)、イスコフ培地、及び/またはRPMI-1640培地が挙げられる。いくつかの態様では、基本培地はNaCl非含有CTS(商標)OPTMIZER(商標)を含む。いくつかの態様では、基本培地はNaClに加えて1以上のナトリウム塩を含む。
【0111】
本明細書で使用されるとき、「サイトカイン」という用語は、細胞間の相互作用及び伝達に対して特定の効果を有する、細胞によって放出される小さな分泌タンパク質を指す。サイトカインの非限定的な例としては、インターロイキン(例えば、インターロイキン(IL)-1、IL-2、IL-4、IL-7、IL-9、IL-13、IL-15、IL-3、IL-5、IL-6、IL-11、IL-10、IL-20、IL-14、IL-16、IL-17、IL-21及びIL-23)、インターフェロン(IFN、例えば、IFN-α、IFN-β、及びIFN-γ)、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、及び形質転換増殖因子(TGF)ファミリーメンバーが挙げられる。本開示のいくつかの態様は、サイトカインを含む培地中において本明細書で開示されている免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、または1つ以上の操作された免疫細胞を培養する及び/または増殖させる方法を対象とする。いくつかの態様では、サイトカインはインターロイキンである。いくつかの態様では、サイトカインはIL-2、IL-7、IL-15、IL-21、またはそれらの任意の組み合わせを含む。IL-2(UniProtKB-P60568)は、抗原刺激または分裂促進刺激に応答してT細胞によって産生される。IL-2は、T細胞増殖と、免疫応答の制御に重要な他の活性とを刺激することが知られている。IL-7(UniProtKB-P13232)はリンパ球前駆細胞の増殖を刺激することができる造血成長因子である。IL-7はB細胞成熟の特定の段階中に増殖にて役割を担うと考えられている。IL-15(UniProtKB-P40933)はIL-2と同様にTリンパ球の増殖を刺激するサイトカインである。IL-21(UniProtKB-Q9HBE4)は免疫調節活性を持つサイトカインである。IL-21は、自然免疫と適応免疫との間の移行を促進し、B細胞にてIgG1及びIgG3の産生を誘導すると考えられている。IL-21はまた、IL-15との相乗作用でナチュラルキラー(NK)細胞の増殖及び成熟にて役割を担う場合があり、IL-21は、活性化刺激に応答して成熟B細胞及びT細胞の増殖を調節する場合がある。IL-15及びIL-18との相乗作用では、IL-15はT細胞及びNK細胞中にてインターフェロンガンマ産生も刺激し、IL-21はT細胞が介在する免疫応答にて樹状細胞の活性化及び成熟を阻害する場合もある。
【0112】
本明細書で使用される場合、「投与すること」は、様々な方法及び送達システムのいずれかを使用して、治療剤または治療剤を含む組成物を対象に物理的に導入することを指す。本明細書に記載されている治療剤(例えば、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞または免疫細胞の集団)の様々な投与経路には、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄、または例えば、注射または注入による他の非経口投与経路が挙げられる。
【0113】
「非経口投与」という語句は、本明細書で使用されるとき、経腸投与及び局所投与以外の、通常は注射による投与方法を意味し、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ内、病巣内、腫瘍内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、気管内、経肺、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、心室内、硝子体内、硬膜外、及び胸骨内の注射及び注入、ならびにインビボエレクトロポレーションが挙げられるが、これらに限定されない。
【0114】
代替的に、本明細書に記載されている治療剤(例えば、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞)は、局所、表皮などの非経口経路、または粘膜の投与経路、例えば、鼻腔内、経口、経膣、直腸内、舌下、または局所を介して投与され得る。また、投与は、例えば、1回、複数回、及び/または1つ以上の長期間にわたって実施され得る。
【0115】
本明細書で使用されるとき、「細胞操作」または「細胞改変」(その誘導体を含む)は、本明細書に開示されている細胞、例えば、免疫細胞の標的化された改変を指す。いくつかの態様では、細胞操作は、ウイルス遺伝子操作、非ウイルス遺伝子操作、T細胞機能を改善する1つ以上の内在性遺伝子の腫瘍特異的標的化(例えば、キメラ結合タンパク質)導入を可能にする受容体の導入、免疫細胞、例えば、T細胞の機能を改善する1つ以上の合成遺伝子(例えば、改変されていない対応する細胞と比べて、免疫細胞がc-Junの発現の増加を呈するような、c-Junをコードするポリヌクレオチド)の導入、またはそれらの任意の組み合わせを含む。本開示の他の場所で更に説明されるように、いくつかの態様では、細胞は、転写活性化因子(例えば、CRISPR/Casシステムベースの転写活性化因子)を用いて操作または改変され得、転写活性化因子は、目的のタンパク質(例えば、c-Jun)の内在性発現を誘導及び/または増加させることが可能である。
【0116】
本明細書で使用するとき、「抗原」という用語は、タンパク質、ペプチド、またはハプテンなどの任意の天然または合成の免疫原性物質を意味する。本明細書で使用されるとき、「同族抗原」という用語は、免疫細胞(例えば、T細胞)が認識することによって免疫細胞の活性化を誘導する(例えば、サイトカイン産生のようなエフェクター機能を誘導する、及び/または細胞増殖のための細胞内シグナルを始動させる)抗原を指す。いくつかの態様では、抗原は腫瘍抗原を含む。いくつかの態様では、抗原はネオ抗原を含む。
【0117】
「がん」は、体内の異常細胞の無制御の増殖を特徴とする様々な疾患の広範な群を指す。無秩序な細胞の分裂及び増殖は、隣接組織に浸潤し、リンパ系または血流を通って身体の遠位部に転移することもできる悪性腫瘍の形成をもたらす。「がん」は、本明細書で使用されるとき、原発性がん、転移がん及び再発がんを含む。別途示されない限り、「がん」及び「腫瘍」という用語は相互交換可能に使用することができる。
【0118】
「血液悪性腫瘍」または「血液癌」という用語は、造血組織及びリンパ組織の哺乳類のがん及び腫瘍を指す。血液悪性腫瘍の非限定的な例には、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、慢性リンパ球性リンパ腫(CLL)、小リンパ球性リンパ腫(SLL)、急性骨髄性白血病(AmL)、慢性骨髄性白血病(CIVIL)、急性単球性白血病(AMoL)、ホジキンリンパ腫、及び非ホジキンリンパ腫を含む、血液、骨髄、リンパ節、及びリンパ系の組織を冒すものが挙げられる。血液悪性腫瘍は、「液性腫瘍」とも呼ばれる。液性腫瘍癌としては、白血病、骨髄腫、及びリンパ腫に加えて、他の血液悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。
【0119】
「固形腫瘍」は、本明細書で使用されるとき、組織の異常な腫瘤を指す。固形腫瘍は、良性または悪性の場合がある。固形腫瘍の非限定的な例としては、肉腫、癌腫、及びリンパ腫、例えば、肺、乳房、前立腺、結腸、直腸、及び膀胱のがんなどが挙げられる。固形腫瘍の組織構造は、実質(がん細胞)及びがん細胞が分散し、関連する微小環境を提供する場合がある関連する間質細胞を含む相互依存性組織区画を含む。
【0120】
いくつかの態様では、がんは、副腎皮質癌、進行癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨転移、脳腫瘍、脳癌、乳癌、小児癌、原発不明癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング腫瘍、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎細胞癌、喉頭及び下咽頭癌、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫瘍、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、上咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔及び中咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、成人軟部組織の肉腫、基底細胞及び扁平上皮細胞皮膚癌、黒色腫、小腸癌、胃癌、精巣癌、咽頭癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍ならびにがん治療によって引き起こされる続発性のがんから選択される。いくつかの態様では、がんは、軟骨肉腫、線維肉腫、リンパ肉腫、黒色肉腫、粘液肉腫、粘液/円形細胞型脂肪肉腫、骨肉腫、アバメシー肉腫、脂肪肉腫、脂肪肉腫、肺胞軟部肉腫、エナメル上皮繊維肉腫、ブドウ状肉腫、緑色腫肉腫、絨毛癌、胎児性肉腫、ウィルムス腫瘍肉腫、子宮内膜肉腫、間質肉腫、ユーイング肉腫、筋膜肉腫、線維芽細胞肉腫、巨細胞肉腫、顆粒球肉腫、ホジキン肉腫、特発性多発性色素性出血性肉腫、B細胞の免疫芽球性肉腫、リンパ腫、T細胞の免疫芽球性肉腫、イエンセン肉腫、カポジ肉腫、クッパー細胞肉腫、血管肉腫、白血球肉腫、悪性間葉腫肉腫、傍骨性肉腫、網状赤血球肉腫、ラウス肉腫、漿液嚢胞性肉腫、滑膜肉腫、または毛細血管拡張性肉腫から選択される。いくつかの態様では、がんは、末端黒子型黒色腫、無色素性黒色腫、良性若年性黒色腫、クラウドマン黒色腫、S91黒色腫、ハーディング・パッセー黒色腫、若年性黒色腫、悪性黒子型黒色腫、悪性黒色腫、転移性黒色腫、結節性黒色腫、爪下黒色腫、または表在拡大型黒色腫から選択される。いくつかの態様では、がんは、腺房癌、小葉癌、腺嚢胞癌、腺様嚢胞癌、腺癌、副腎皮質癌、肺胞癌、肺胞細胞癌、基底細胞癌、基底細胞癌、類基底癌、基底扁平上皮癌、気管支肺胞癌、細気管支癌、気管支原性肺癌、大脳様癌、胆管細胞癌、絨毛癌、膠様癌、面皰癌、子宮体部癌、篩状癌、鎧状癌、皮膚癌、円柱上皮癌、円柱細胞癌、管癌、硬性癌、胎児性癌、脳様癌、類表皮癌腫、腺上皮癌、外方発育癌、潰瘍癌、線維癌、膠様癌、膠様癌、巨細胞癌、巨細胞癌、腺癌、顆粒膜細胞癌、毛母組織癌、血様癌、肝細胞癌、ヒュルトレ細胞癌、硝子状癌、副腎様癌、乳児性胎児性癌、上皮内癌、表皮内癌、上皮内癌、クロムペッヘル癌、クルチツキー細胞癌、大細胞癌、レンズ状癌、レンズ状癌、脂肪腫様癌、リンパ上皮癌、髄様癌、髄様癌、黒色癌、軟性癌、粘液性癌、粘液分泌癌、粘液細胞癌、粘表皮癌、粘液癌、粘液性癌、粘液腫様癌、上咽頭癌、燕麦細胞癌、骨化性癌、類骨癌、乳頭癌、門脈周囲癌、前浸潤癌、有棘細胞癌、軟性癌、腎臓の腎細胞癌、予備細胞癌、肉腫様癌、シュナイダー癌、硬癌、陰嚢癌、印環細胞癌、単純癌、小細胞癌、バレイショ状癌、球状細胞癌、紡錘細胞癌、海綿様癌、扁平上皮癌、扁平上皮細胞癌、紐様癌、毛細血管拡張癌、毛細血管拡張癌、移行上皮癌、結節癌、結節癌、疣状癌、または絨毛癌から選択される。いくつかの態様では、がんは、白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、神経芽細胞腫、乳癌、卵巣癌、肺癌、横紋筋肉腫、原発性血小板増加症、原発性マクログロブリン血症、小細胞肺腫瘍、原発性脳腫瘍、胃癌、結腸癌、悪性膵インスリノーマ、悪性カルチノイド、膀胱癌、前悪性皮膚病変、精巣癌、リンパ腫、甲状腺癌、甲状腺乳頭癌、神経芽細胞腫、神経内分泌癌、食道癌、尿生殖路癌、悪性高カルシウム血症、子宮頸癌、子宮内膜癌、副腎皮質癌、前立腺癌、ミュラー管癌、卵巣癌、腹膜癌、卵管癌、または子宮体部漿液性腺癌から選択される。いくつかの態様では、がんは、転移性黒色腫、非小細胞肺癌、骨髄腫、食道癌、滑膜肉腫、胃癌、乳癌、肝細胞癌、頭頸部癌、卵巣癌、前立腺癌、膀胱癌、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。
【0121】
本明細書で使用されるとき、「免疫応答」という用語は、外来性作用物質に対する脊椎動物内の生物学的応答を指し、この応答は、これらの作用物質及びそれらに起因する疾患から生物を保護する。免疫応答には、免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞または好中球)及びこれらの細胞のいずれかまたは肝臓で産生される可溶性高分子(抗体、サイトカイン、及び補体を含む)の作用によって介在され、この応答は、侵入病原体、病原体に感染した細胞もしくは組織、がん性細胞もしくは他の異常細胞、または自己免疫もしくは病的炎症の場合には、正常なヒトの細胞もしくは組織の選択的標的化、それへの結合、損傷、破壊、及び/または脊椎動物の身体からの排除をもたらすものである。免疫反応には、例えば、T細胞、例えば、エフェクターT細胞もしくはTh細胞、例えば、CD4+もしくはCD8+T細胞の活性化もしくは阻害、またはTreg細胞の阻害が挙げられる。本明細書で使用されるとき、「T細胞」及び「Tリンパ球」という用語は相互交換可能であり、胸腺によって産生または処理されるあらゆるリンパ球を指す。いくつかの態様では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD8+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はNKT細胞である。
【0122】
本明細書で使用されるとき、「抗腫瘍免疫応答」という用語は腫瘍抗原に対する免疫応答を指す。
【0123】
「対象」は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。「非ヒト動物」という用語には、非ヒト霊長動物、ヒツジ、イヌ、ならびにマウス、ラット、及びモルモットのような齧歯動物などの脊椎動物が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの態様では、対象はヒトである。「対象」、「患者」、「個体」及び「宿主」という用語は本明細書では相互交換可能に使用される。本明細書で使用されるとき、「それを必要とする対象」という語句は、本明細書に記載されているように、例えば、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書で提供されている方法を使用して培養された、例えば、免疫細胞の投与から、腫瘍の増殖を制御するという恩恵を受けることになる、哺乳動物対象などの対象を含む。
【0124】
「治療有効量」または「治療上有効な投与量」という用語は、所望の生物学的結果、治療結果、及び/または予防結果をもたらす作用物質(例えば、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞)の量を指す。結果は、疾患の徴候、症状、もしくは原因のうちの1つ以上の低減、回復、緩和、減弱、遅延、及び/または軽減、または生物学的システムの任意の他の所望の変化であり得る。固形腫瘍に関して、有効量は、腫瘍を縮小させる、及び/または腫瘍の成長速度を減少させる(腫瘍成長を抑制するなど)、あるいは他の望ましくない細胞増殖を防止または遅延させるのに十分な量を含む。いくつかの態様では、有効量は、腫瘍の進展を遅延させるのに十分な量である。いくつかの態様では、有効量は、腫瘍の再発を予防または遅延させるのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で投与され得る。
【0125】
有効量の組成物(例えば、本明細書に記載されているような免疫細胞、例えば、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞)は、例えば、(i)がん細胞の数を低減することができ、(ii)腫瘍サイズを低減することができ、(iii)末梢器官へのがん細胞の浸潤を抑制し、遅延させ、ある程度まで減速させて、停止することができ、(iv)阻害することができ(すなわち、腫瘍転移をある程度まで減速させ、停止することができ)、(v)腫瘍増殖を阻害することができ、(vi)腫瘍の発生及び/または再発を防止もしくは遅延させることができ、及び/または(vii)がんと関連する症状のうち1つ以上をある程度まで緩和することができる。
【0126】
いくつかの態様では、「治療有効量」は、本明細書に開示されている組成物(例えば、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書に記載されているように培養された免疫細胞)の量であり、これは進行性固形腫瘍のようながんの著しい減少またはがんの進行の減速(退縮)をもたらすことが臨床的に証明されている。疾患退縮を促進する本開示の治療剤(例えば、本明細書に記載されているように改変され、かつ培養された免疫細胞)の能力は、当業者に既知の様々な方法を使用して、例えば、臨床試験中のヒト対象において、ヒトでの効力を予測する動物モデル系において、またはインビトロアッセイで薬剤の活性をアッセイすることによって評価され得る。
【0127】
治療に関する「有効な」及び「有効性」という用語は、薬理学的有効性及び生理学的安全性の双方を含む。薬理学的有効性は、本明細書に開示されている組成物(例えば、本明細書に記載されているように改変され、かつ培養された免疫細胞)が患者においてがん退縮を促進する能力を指す。生理学的安全性は、本明細書に開示されている組成物(例えば、本明細書に記載されているように改変され、かつ培養された免疫細胞)の投与に起因する毒性、または細胞、臓器、及び/または生物のレベルでの他の有害生理作用(有害作用)のレベルを指す。
【0128】
「キメラ抗原受容体」及び「CAR」という用語は、本明細書で使用されるとき、ポリペプチドのセット、通常、最も単純な形態で2つのポリペプチドを指し、これは、免疫エフェクター細胞における場合、標的細胞、通常がん細胞に対する特異性、及び細胞内シグナル生成を細胞に提供する。いくつかの態様では、CARは、少なくとも細胞外抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び下で定義される刺激分子及び/または共刺激分子に由来する機能的シグナル伝達ドメインを含む細胞質シグナル伝達ドメイン(本明細書では、「細胞内シグナル伝達ドメイン」とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様では、ポリペプチドのセットは、同じポリペプチド鎖にあり、例えば、キメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、ポリペプチドのセットは、互いに隣接しておらず、例えば、異なるポリペプチド鎖にある。いくつかの態様では、ポリペプチドのセットには、二量化分子が存在すると、ポリペプチドを互いに結合させ得、例えば、抗原結合ドメインを細胞内シグナル伝達ドメインに結合させ得る二量化スイッチが含まれる。いくつかの態様では、CARの刺激分子は、T細胞受容体複合体に関連するゼータ鎖(例えば、CD3ゼータ)である。いくつかの態様では、細胞質シグナル伝達ドメインは、一次シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3-ゼータの一次シグナル伝達ドメイン)を含む。いくつかの態様では、細胞質シグナル伝達ドメインは、以下に定義される少なくとも1つの共刺激分子に由来する1以上の機能性シグナル伝達ドメインを更に含む。いくつかの態様では、共刺激分子は、本明細書に記載されている共刺激分子、例えば、4-1BB(すなわち、CD137)、CD27、及び/またはCD28から選択される。
【0129】
いくつかの態様では、CARは、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質であって、抗原結合ドメイン及び膜貫通ドメインは、CARスペーサーによって連結されている、キメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、CARは、CARスペーサーを介して膜貫通ドメインに連結された抗原結合ドメインならびに共刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、CARは、CARスペーサーを介して膜貫通ドメインに連結された抗原結合ドメインならびに1以上の共刺激分子(複数可)に由来する2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、CARは、CARスペーサーを介して膜貫通ドメインに連結された抗原結合ドメインならびに1以上の共刺激分子(複数可)に由来する少なくとも2つの機能性シグナル伝達ドメイン及び刺激分子に由来する機能性シグナル伝達ドメインを含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むキメラ融合タンパク質を含む。いくつかの態様では、CARは、CARのアミノ末端(N末端)における任意のリーダー配列を含む。いくつかの態様では、CARは更に、抗原結合ドメインのN末端でリーダー配列を含み、リーダー配列は、任意選択で、細胞プロセシング及び細胞膜へのCARの局在化中に抗原結合ドメイン(例えば、scFv)から切断される。
【0130】
キメラ抗原受容体の抗原特異的細胞外ドメインは、抗原、通常、悪性腫瘍の表面発現抗原を認識し、それに特異的に結合する。例えば、そのドメインが、約0.1pM~約10μM、例えば、約0.1pM~約1μMまたは約0.1pM~約100nMの親和性定数または相互作用の親和性(KD)で抗原と結合する場合、抗原特異的細胞外ドメインは、抗原に特異的に結合する。相互作用の親和性を決定するための方法は、当該技術分野で既知である。本開示のCARにおける使用に好適な抗原特異的細胞外ドメインは、当該技術分野で既知である多種多様な任意の抗原結合ポリペプチドであり得る。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、単鎖Fv(scFv)である。cAb VHH(ラクダ科抗体可変ドメイン)及びそのヒト化型、IgNAR VH(サメ抗体可変ドメイン)及びそのヒト化型、sdAb VH(単一ドメイン抗体可変ドメイン)、ならびに「ラクダ化」抗体可変ドメインなどの他の抗体ベースの認識ドメインもまた、本開示のCARにける使用に好適である。いくつかの態様では、T細胞受容体(TCR)ベースの認識ドメイン、例えば、一本鎖TCR(scTv、すなわち、VαVβを含有する一本鎖2ドメインTCR)なども、本開示のキメラ結合タンパク質での使用に好適である。
【0131】
本明細書で使用されるとき、「T細胞受容体」または「TCR」という用語は、α鎖及びβ鎖の2本の異なる膜貫通ポリペプチド鎖で構成されるヘテロ二量体を指し、鎖の各々が、鎖をT細胞表面膜内に固定する定常領域、及びMHCによって提示される抗原を認識し、それに結合する可変領域から構成される。TCR複合体は、2つのヘテロ二量体のCD3γε及びCD3δε、ならびに1つのホモ二量体のCD3ζを形成する6つのポリペプチドと会合し、これらがともにCD3複合体を形成する。T細胞受容体操作T細胞療法は、これらの複合体を保持するT細胞の改変を利用して、特定の腫瘍細胞によって発現される抗原を特異的に標的とする。本明細書で使用される場合、「TCR」という用語は、天然に存在するTCR及び操作されたTCRを含む。
【0132】
本明細書で使用される場合、「操作されたTCR」または「操作されたT細胞受容体」は、選択され、クローニングされ、及び/またはその後に免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の集団に導入される、主要組織適合抗原複合体(MHC)/ペプチド標的抗原に所望の親和性で特異的に結合するように操作されているT細胞受容体(TCR)を指す。
【0133】
「TCR模倣体」または「TCRm」は、ペプチド及びMHC-I分子の双方を含むエピトープを認識する抗原結合ドメイン(例えば、抗体に由来する)を含む操作されたキメラTCRの型を指し、T細胞上のTCRによるそのような複合体の認識と同様である。TCR模倣体は更に、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員できるT細胞受容体モジュール(TCRM)を含む。例示的なTCR模倣体は、例えば、米国特許第10,822,413号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0134】
「核酸」、「核酸分子」、「ヌクレオチド」、「ヌクレオチド(複数可)配列」、及び「ポリヌクレオチド」という用語は、相互交換可能に使用することができ、一本鎖形態または二本鎖らせんのいずれかでのリボヌクレオシド(アデノシン、グアノシン、ウリジン、またはシチジン;「RNA分子」)またはデオキシリボヌクレオシド(デオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、またはデオキシシチジン;「DNA分子」)のリン酸エステルポリマー形態、あるいはそれらの任意のリン酸エステル類似体、例えば、ホスホロチオエート及びチオエステルを指す。一本鎖核酸配列は、一本鎖DNA(ssDNA)または一本鎖RNA(ssRNA)を指す。二本鎖DNA-DNA、DNA-RNA、及びRNA-RNA螺旋が可能である。核酸分子及び特にDNAまたはRNA分子という用語は、分子の一次及び二次構造のみを指し、任意の特定の三次形態に限定されない。したがって、この用語には、とりわけ、線状または環状DNA分子(例えば、制限断片)、プラスミド、超らせんDNA、及び染色体に見られる二本鎖DNAが含まれる。特定の二本鎖DNA分子の構造を論述する際、配列は、DNAの非転写鎖(すなわち、mRNAと相同な配列を有する鎖)に沿って5’から3’方向の配列のみを与える通常の規則に従って本明細書で記載され得る。「組換えDNA分子」は、分子生物学的操作を受けたDNA分子である。DNAとしては、限定されるものではないが、cDNA、ゲノムDNA、プラスミドDNA、合成DNA、及び半合成DNAが挙げられる。本開示の「核酸組成物」は本明細書に記載されている1以上の核酸を含む。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、単一のタンパク質をコードする単一のヌクレオチド配列(例えば、コドン最適化c-Junヌクレオチド配列)(「単シストロン性」)を含み得る。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、ポリシストロン性である(すなわち、2つ以上のシストロンを含む)。いくつかの態様では、ポリシストロン性ポリヌクレオチドのシストロンの各々は、本明細書で開示されているタンパク質(例えば、c-Junタンパク質、キメラ結合タンパク質、またはEGFRt)をコードし得る。いくつかの態様では、シストロンの各々が、互いに独立して翻訳され得る。
【0135】
本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」という用語は、別途示されない限り、ペプチド及びタンパク質の双方を包含する。ポリペプチドには、遺伝子産物、天然に存在するポリペプチド、合成ポリペプチド、上述のもののホモログ、オルソログ、パラログ、断片及び他の等価物、変異体、ならびに類似体が挙げられる。ポリペプチドは、単一ポリペプチドであり得、または多分子複合体、例えば、二量体、三量体または四量体であり得る。それらはまた、一本鎖または複数鎖のポリペプチドを含み得る。最も一般的に、ジスルフィド結合は、多鎖ポリペプチドに見られる。ポリペプチドという用語はまた、1以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工化学的アナログであるアミノ酸ポリマーに適用され得る。いくつかの態様では、「ペプチド」は、50アミノ酸長以下、例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、45、または50アミノ酸長であり得る。
【0136】
本明細書で使用されるとき、ポリペプチド(例えば、c-Junポリペプチド)の「断片」という用語は、N及び/またはC末端で欠失した天然に存在する配列よりも短いポリペプチドのアミノ酸配列、または天然に存在するポリペプチドと比べて欠失したポリペプチドの任意の部分を指す。したがって、断片は必ずしもN末端及び/またはC末端のアミノ酸のみが欠失したものである必要はない。天然に存在する配列に関して内部アミノ酸が欠失したポリペプチドも断片とみなされる。
【0137】
本明細書で使用されるとき、「機能的断片」という用語は、ポリペプチド機能を保持するポリペプチド断片を指す。したがって、いくつかの態様では、Igヒンジの機能的断片は、抗原結合ドメイン(例えば、scFv)が標的エピトープ(例えば、腫瘍抗原)と有効に相互作用できるような、標的エピトープ(例えば、腫瘍抗原)から少し離れてキメラ結合タンパク質における抗原結合ドメイン(例えば、scFv)を配置する能力を保持する。同様に、いくつかの態様では、c-Junの機能的断片は免疫細胞(例えば、CAR T細胞)において発現された場合、例えば、対応する完全長c-Junを発現する参照免疫細胞の活性の少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約99%、または約100%を有する免疫細胞をもたらす断片である。そのような活性の非限定的な例は、本開示の他の箇所で更に説明される。
【0138】
「組換え」ポリペプチドまたはタンパク質は、組換えDNA技術を介して生成されるポリペプチドまたはタンパク質を指す。操作された宿主細胞において発現された組換えで産生されたポリペプチド及びタンパク質は、任意の好適な技法によって分離されたか、分画されたか、または部分的もしくは実質的に精製されたネイティブまたは組換えポリペプチドと同様に、本開示の目的のために単離されたとみなされる。本明細書に開示されるポリヌクレオチド(例えば、キメラ結合タンパク質、c-Jun、及び/またはEGFRt)によってコードされるポリペプチドは、当該技術分野で既知の方法を使用して組換えで産生され得る。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチド(例えば、キメラ結合タンパク質、c-Jun、及び/またはEGFRt)によってコードされるポリペプチドは、本明細書に記載されている少なくとも1つのポリヌクレオチドまたはポリペプチドをコードするベクターでの形質移入後、細胞、例えば、T細胞によって産生される。
【0139】
本明細書で使用されるとき、「コーディング領域」、「コーディング配列」または「翻訳可能配列」とは、アミノ酸に翻訳可能なコドンからなるポリヌクレオチドの部分である。「終止コドン」(TAG、TGA、またはTAA)は通常はアミノ酸に翻訳されないがコード領域の一部とみなすことができる。ただし、全てのフランキング配列、例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、転写ターミネーター、イントロンなどはコード領域の一部ではない。コード領域の境界は、得られるポリペプチドのアミノ末端をコードする5’末端の開始コドンと、得られるポリペプチドのカルボキシ末端をコードする3’末端の翻訳終止コドンとによって一般的に決定される。
【0140】
「相補的」及び「相補性」という用語は、ワトソン・クリック型塩基対形成則により互いに関連する2つ以上のオリゴマー(すなわち、各々が核酸塩基配列を含む)、またはオリゴマーと標的遺伝子との間を指す。例えば、核酸塩基配列「T-G-A(5’から3’)」は、核酸塩基配列「A-C-T(3’から5’)」と相補性である。相補性は「部分的」であってよく、その場合、所与の核酸塩基配列の核酸塩基の全てより少ないものが塩基対形成則に従って他の核酸塩基配列と一致している。例えば、いくつかの態様では、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間の相補性は、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、または約95%であり得る。したがって、いくつかの態様では、「相補性」という用語は、標的核酸配列(例えば、c-Junをコードする核酸配列)に対する少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約91%、少なくとも約92%、少なくとも約93%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の一致または相補性を指す。または例を続けると、「完璧な」または「完全な」(100%)相補性が、所与の核酸塩基配列と他の核酸塩基配列との間に存在し得る。いくつかの態様では、核酸塩基配列間の相補性の程度は、配列間のハイブリッド形成の効率及び強度に顕著な影響を与える。
【0141】
本明細書で使用されるとき、「発現」という用語は、ポリヌクレオチドが遺伝子産物、例えば、c-Junポリペプチドを生成するプロセスを指す。発現には限定しないで、ポリヌクレオチドのメッセンジャーRNA(mRNA)への転写、及びmRNAのポリペプチドへの翻訳が含まれる。発現によって「遺伝子産物」が生成される。本明細書で使用されるとき、遺伝子産物は、核酸、例えば、遺伝子の転写によって産生されるメッセンジャーRNA、または転写物から翻訳されるポリペプチドであり得る。本明細書に記載されている遺伝子産物には更に、転写後修飾、例えば、ポリアデニル化もしくはスプライシングを有する核酸、または、翻訳後修飾、例えば、メチル化、グリコシル化、脂質の付加、他のタンパク質サブユニットとの会合、もしくはタンパク質分解切断を有するポリペプチドが含まれる。
【0142】
本明細書で使用されるとき、「同一性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、ポリヌクレオチド分子間の全体的なモノマー保存を指す。任意の追加の修飾語もない「同一である」という用語、例えば、「ポリヌクレオチドAはポリヌクレオチドBと同一である」は、ポリヌクレオチド配列同士が100%同一(100%の配列同一性)であることを意味する。例えば、「70%同一である」と2つの配列を説明することは、例えば、「70%の配列同一性」を有するとそれらを表現することに等しい。
【0143】
2つのポリペプチド配列またはポリヌクレオチド配列の同一性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的のために2つの配列を整列させることによって実施され得る(例えば、最適な配列比較のために第1及び第2のポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列の一方または双方にギャップを導入することができ、同一でない配列は比較目的のために無視することができる)。いくつかの態様では、比較目的のために整列させた配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%である。次いで、対応するアミノ酸位のアミノ酸、またはポリヌクレオチドの場合は塩基を比較する。
【0144】
第1の配列におけるある位置が第2の配列における対応する位置と同じアミノ酸またはヌクレオチドにより占められる場合、分子はその位置で同一である。2つの配列間の同一性パーセント(%)は、2つの配列の最適なアラインメントのために導入される必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列により共有される同一の位置の数の関数である。配列の比較及び2つの配列間の同一性パーセント(%)の決定は、数学アルゴリズムを使用して達成され得る。
【0145】
異なる配列(例えば、ポリヌクレオチド配列)を整列させるために使用することができる好適なソフトウェアプログラムは様々な供給源から入手可能である。配列同一性パーセントを決定するための1つの好適なプログラムは、米国政府のNational Center for Biotechnology Information BLASTウェブサイト(blast.ncbi.nlm.nih.gov)から入手可能なBLASTパッケージプログラムの一部であるbl2seqである。Bl2seqは、BLASTNまたはBLASTPアルゴリズムのいずれかを使用して2つの配列間の比較を実施する。BLASTNが核酸配列を比較するために使用されるのに対して、BLASTPはアミノ酸配列を比較するために使用される。他の好適なプログラムとしては、例えば、バイオインフォマティクスEMBOSS一式の一部であり、worldwideweb.ebi.ac.uk/Tools/psaでEuropean Bioinformatics Institute(EBI)より入手可能なNeedle、Stretcher、Water、またはMatcherである。
【0146】
配列アラインメントは、当該技術分野において公知の方法、例えば、MAFFT、Clustal(ClustalW、Clustal X、またはClustal Omega)、MUSCLEなどを使用して実施され得る。
【0147】
ポリヌクレオチドまたはポリペプチド参照配列と整列する単一のポリヌクレオチドまたはポリペプチド標的配列内の異なる領域は、各々、それら自体の配列同一性パーセント(%)を有することができる。配列同一性パーセント(%)は、10分の1の位に四捨五入される点に留意されたい。例えば、80.11、80.12、80.13、及び80.14は80.1に切り捨てられ、80.15、80.16、80.17、80.18、及び80.19は80.2に切り上げられる。また、長さ値は常に整数であることに留意されたい。
【0148】
いくつかの態様では、同一性比率(%ID)または第1のアミノ酸配列(または核酸配列)の第2のアミノ酸配列(または核酸配列)に対する同一性割合(%ID)は、%ID=100×(Y/Z)として算出され、式中、Yは、第1及び第2の配列の配列比較(目視検査または特定の配列の配列比較プログラムによって整列させる)にて完全な一致と評価されたアミノ酸残基(または核酸塩基)の数であり、Zは第2の配列における残基の総数である。第1の配列の長さが第2の配列を超える場合、第1の配列の第2の配列に対する同一性パーセントは、第2の配列の第1の配列に対する同一性パーセントより高くなる。
【0149】
当業者であれば、配列同一性パーセント(%)を計算するための配列アラインメントの生成が、一次配列データによってのみ行われるバイナリー配列間比較に限定されない点は理解されよう。配列アラインメントは、配列データを、異種の供給源由来のデータ、例えば、構造データ(例えば、タンパク質結晶構造)、機能データ(例えば、変異の位置)、または系統学的データと統合することにより生成され得ることも理解されよう。異種データを統合してマルチプル配列アラインメントを生成する好適なプログラムは、worldwidewebtcoffee.orgで入手できるか、代替的には例えばEBIからも入手できるT-Coffeeである。配列同一性パーセントを計算するために使用される最終的な配列比較は、自動または手動のいずれかで精選され得ることも理解されるであろう。
【0150】
本明細書で使用されるとき、「単離された」、「精製された」、「抽出された」という用語、及びそれらの文法的変形は相互交換可能に使用され、1以上の精製プロセスを受けた本開示の所望の組成物の調製状態を指す。いくつかの態様では、本明細書で使用される単離または精製とは、汚染物質を含有する試料から本開示の組成物(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現する改変された免疫細胞)を部分的に取り出す(例えば、画分)ことを含む、取り出すプロセスである。
【0151】
いくつかの態様では、単離された組成物は、検出可能な望ましくない活性を有さず、または、代替的に望ましくない活性のレベルまたは量は、許容可能なレベルまたは量以下である。いくつかの態様では、単離された組成物は、本開示の所望の組成物の量及び/または濃度を許容可能な量及び/または濃度及び/または活性以上で有する。いくつかの態様では、単離された組成物は組成物が得られる出発物質と比べて濃縮されている。この濃縮は、出発物質と比べて少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、少なくとも約99.9%、少なくとも約99.99%、少なくとも約99.999%、少なくとも約99.9999%、または99.9999%超であり得る。
【0152】
いくつかの態様では、単離された調製物は、残留する生物学的産物を実質的に含まない。いくつかの態様では、単離された調製物は、任意の混入している生物学的物質を100%、少なくとも約99%、少なくとも約98%、少なくとも約97%、少なくとも約96%、少なくとも約95%、少なくとも約94%、少なくとも約93%、少なくとも約92%、少なくとも約91%、または少なくとも約90%含まない。残留する生物学的産物は、非生物物質(化学物質を含む)または不要な核酸、タンパク質、脂質、もしくは代謝産物を含み得る。
【0153】
本明細書で使用されるとき、「連結された」という用語は、共有結合または非共有結合によりそれぞれ第2のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列に結合された、第1のアミノ酸配列またはポリヌクレオチド配列を指す。第1のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列は、第2のアミノ酸またはポリヌクレオチド配列に直接的に結合もしくは並列され得るか、または代替的に介在配列が第1の配列から第2の配列までに共有結合により加わり得る。「連結された」という用語は、第1のポリヌクレオチド配列の第2のポリヌクレオチド配列への5’末端または3’末端での融合を意味するだけでなく、第2のポリヌクレオチド配列(または第1のポリヌクレオチド配列)における任意の2つのヌクレオチドへの第1のポリヌクレオチド配列(またはそれぞれ第2のポリヌクレオチド配列)全体の挿入も含む。第1のポリヌクレオチド配列は、ホスホジエステル結合またはリンカーにより第2のポリヌクレオチド配列に連結され得る。リンカーは、例えば、ポリヌクレオチドであり得る。
【0154】
対象の「治療」または「療法」(その文法的な派生物を含む)は、症状、合併症、状態、または疾患に関連する生化学的兆候の発症、進行、発達、重症度または再発を元に戻す、軽減する、改善する、抑制する、緩徐化する、または予防する目的で、対象に対して行われる任意のタイプの介入もしくはプロセス、または対象に対する活性剤の投与を指す。いくつかの態様では、この用語は、対象にて抗原に対する免疫反応を誘導することを指す。
【0155】
本明細書で使用されるとき、「予防する」、「予防すること」という用語、及びそれらの変形は、疾患、障害、及び/または状態の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の1以上の症状、特徴、または臨床徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の1以上の症状、特徴、または徴候の発症を部分的または完全に遅延させること;特定の疾患、障害、及び/または状態の進行を部分的または完全に遅延させること;及び/または疾患、障害、及び/または状態に関連する病状を発生するリスクを減らすことを指す。いくつかの態様では、転帰の予防は予防的治療を介して達成される。
【0156】
本明細書で使用されるとき、「プロモーター」という用語は、コード配列または機能的RNAの発現を制御することができるDNA配列を指す。一般的に、コード配列はプロモーター配列の3’側に位置する。プロモーターは、天然遺伝子にその全体が由来することができ、または自然界にみられるさまざまなプロモーターに由来する様々な要素で構成することができ、または更には、合成DNAセグメントを含むことができる。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞タイプにおいて、または発生の異なる段階において、または異なる環境的もしくは生理学的条件に応じて、遺伝子の発現を誘導することができる点は、当業者には理解されよう。ほとんどの細胞タイプでほとんどの時間に遺伝子を発現させるプロモーターは一般的に「構成的プロモーター」と呼ばれる。特定の細胞タイプにおいて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「細胞特異的プロモーター」または「組織特異的プロモーター」と呼ばれる。発生または細胞分化の特定の段階で遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「発生特異的プロモーター」または「細胞分化特異的プロモーター」と呼ばれる。プロモーターを誘導する薬剤、生物学的分子、化学物質、リガンド、光などによる細胞の曝露または処理後に誘導されて遺伝子を発現させるプロモーターは、一般的に「誘導的プロモーター」または「調節可能なプロモーター」と呼ばれる。ほとんどの場合で調節配列の正確な境界は完全には定義されていないので、異なる長さのDNA断片が同じプロモーター活性を有することができることが更に認識される。
【0157】
本明細書で使用されるとき、「ug」及び「uM」という用語は、それぞれ「μg」及び「μM」と相互交換可能に使用される。
【0158】
本開示の様々な態様が以下の小節において更に詳しく記載されている。
【0159】
II.本開示の方法
II.A.代謝再プログラム化培地
本開示のいくつかの態様は、培養条件(例えば、培地)において免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)を培養する方法を対象とし、培養条件(例えば、ある特定のイオン濃度、培地の張度、サイトカイン、及び/またはそれらの任意の組み合わせ)は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の分化を低減、制限、または防止することができ、それによって細胞療法、例えば、養子細胞療法におけるそれらの使用に影響を及ぼすか、または改善することができる。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地(MRM)において培養される。いくつかの態様では、MRMにおいて培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地において培養された細胞と比べてより高い比率の幹様細胞を有する。いくつかの態様では、MRMにおいて培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地において培養された細胞と比べてより高い比率のエフェクター様細胞を有する。いくつかの態様では、MRMにおいて培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地において培養された細胞と比べてより高い比率の幹様細胞及びエフェクター様細胞の双方を有する。いくつかの態様では、MRMにおいて培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地において培養された細胞と比べてより高い増殖能を有する。
【0160】
本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地(例えば、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地)において細胞を培養することを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の集団を調製する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地(例えば、本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地)においてT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)を培養することを含む、T細胞の集団を調製する方法を対象とする。いくつかの態様では、本開示は、5mMよりも高い(例えば、40mMよりも高い、例えば、40mM~80mM、例えば、55mM~70mM)の濃度でカリウムイオンを含む培地において細胞を培養することを含む、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)を調製する方法を提供し、培養された細胞の幹様表現型(例えば、最小の分化)を保持することができる。いくつかの態様では、本開示は、5mMよりも高い(例えば、40mMよりも高い、例えば、40mM~80mM、例えば、55mM~70mM)の濃度でカリウムイオンを含む培地においてT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)を培養することを含む、T細胞を調製する方法を提供し、培養されたT細胞の幹様表現型(例えば、最小の分化)を保持することができる。いくつかの態様では、培養細胞は、より低いカリウム濃度を有する培地中で成長した細胞よりも多い幹様表現型を有する(例えば、低分化である)。いくつかの態様では、培地は更に、インターロイキン(IL)-2、IL-21、IL-7、IL-15、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、培地は、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)、カルシウムイオン、グルコース、またはそれらの任意の組み合わせを更に含む。
【0161】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法を使用して培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の集団は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地において培養された細胞の集団に対して、幹様細胞の数の増加を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法を使用して培養されたT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の集団は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地において培養されたT細胞の集団に対して、幹様T細胞の数の増加を呈する。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、免疫細胞の出発集団(すなわち、培養前)に対して、幹様細胞に特徴的なマーカーの発現増加を呈する。いくつかの態様では、T細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、T細胞の出発集団(すなわち、培養前)に対して、幹様細胞に特徴的なマーカーの発現増加を呈する。いくつかの態様では、出発免疫細胞集団は、ヒト対象から得られる免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を含む。いくつかの態様では、免疫細胞の出発集団はヒト対象から得られるT細胞を含む。いくつかの態様では、免疫T細胞の出発集団は、TN細胞、TSCM細胞、TCM細胞、TEM細胞、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、免疫細胞の出発集団は、本明細書に記載されている改変(例えば、c-Junタンパク質をコードするポリヌクレオチド及び/または内在性c-Junタンパク質の発現を増加させることができる転写活性化因子での形質移入)前のT細胞を含む。
【0162】
細胞多能性の増加は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して測定され得る。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性は、抗体染色、続いてゲート化フローサイトメトリーによって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性はオートファジーフラックスによって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性はグルコース取込みによって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性は脂肪酸取込みによって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性はミトコンドリア量によって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性は、RNA定量/発現分析(例えば、マイクロアレイ、qPCR(taqman)、RNA-Seq、単一細胞RNA-Seq、またはそれらの任意の組み合わせ)によって測定される。いくつかの態様では、細胞の幹細胞性は、代謝アッセイ(例えば、海馬代謝アッセイ、細胞外酸性化速度(ECAR)の分析、酸素消費速度(OCR)の分析、予備呼吸能の分析、及び/またはミトコンドリア膜電位の分析)に関連付けられる転写物によって測定される。いくつかの態様では、幹細胞性は、インビボまたはインビトロの機能アッセイ(例えば、細胞存続性、抗腫瘍能、抗腫瘍クリアランス、ウイルスクリアランス、多能性、サイトカイン放出、細胞殺傷、またはそれらの任意の組み合わせをアッセイすること)のうち1つ以上を使用して測定される。
【0163】
いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の分化状態は、低分化細胞に特有のマーカーを発現する細胞の数の増加を特徴とする。いくつかの態様では、T細胞の分化状態は、低分化T細胞に特有のマーカーを発現する細胞の数の増加を特徴とする。いくつかの態様では、幹様細胞の数の増加は、TN細胞及び/またはTSCM細胞に特有のマーカーを発現するT細胞の数の増加を特徴とする。いくつかの態様では、幹様T細胞の数の増加は、TSCM細胞に特有のマーカーを発現する細胞の数の増加を特徴とする。いくつかの態様では、T細胞集団はCD45RAを発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCCR7を発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD62Lを発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD28を発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD95を発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞はCD45RO低である。いくつかの態様では、細胞はCD45ROを発現しない。いくつかの態様では、細胞集団は、CD45RA+及びCCR7+である細胞(例えば、CD4+及び/またはCD8+T細胞)の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はCD45RA+、CCR7+、及びCD62L+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はCD95+、CD45RA+、CCR7+、及びCD62L+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はTCF7を発現する細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD95+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD3+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD3+、CD95+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞はCD27を発現する。いくつかの態様では、T細胞集団はCD27+、CD3+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD27+、CD3+、CD95+、CD45RA+、CCR7+、CD62L+、及びTCF7+である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はCD39-及びCD69-である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞集団はTCF7+及びCD39-である細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はTSCM細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はTN細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団はTSCM細胞及びTN細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、細胞集団は幹様T細胞の数の増加を示す。いくつかの態様では、T細胞はCD4+細胞であり、いくつかの態様では、T細胞はCD8+細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD4+T細胞及びCD8+T細胞の双方を含む。
【0164】
いくつかの態様では、培養物における幹様細胞の数は、MRMでの培養前の幹様細胞の数と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%増加する。いくつかの態様では、培養物における幹様細胞の数は、MRMでの培養前の幹様細胞の数と比べて、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、または少なくとも約20倍増加する。
【0165】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、幹様T細胞は、培養物におけるCD8+T細胞の総数の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、または少なくとも約15%を構成する。いくつかの態様では、幹様T細胞(例えば、CD45RA+及びCCR7+)は、CD8+T細胞の少なくとも約20%を構成する。いくつかの態様では、幹様T細胞(例えば、CD45RA+及びCCR7+)は、CD8+T細胞の少なくとも約15%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、幹様T細胞は、培養物におけるCD4+T細胞の総数の少なくとも約1%、少なくとも約2%、少なくとも約3%、少なくとも約4%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、または少なくとも約15%を構成する。いくつかの態様では、幹様T細胞(例えば、CD45RA+及びCCR7+)は、CD4+T細胞の少なくとも約20%を構成する。
【0166】
本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本開示の培養方法は、(a)リガンド結合タンパク質(例えば、CARまたは操作されたTCR)を発現するように、かつ(b)c-Junタンパク質のレベルが増加するようにT細胞(例えば、CD8+T細胞及び/またはCD4+T細胞)を改変するために使用され得る。したがって、いくつかの態様では、培養後、CD8+T細胞は、CARを発現し、c-Junタンパク質のレベルが増加し、改変されたCD8+T細胞の少なくとも約20%は、幹様T細胞(例えば、CD45RA+及びCCR7+)である。いくつかの態様では、培養後、CD8+T細胞は、操作されたTCRを発現し、c-Junタンパク質のレベルが増加し、改変されたCD8+T細胞の少なくとも約15%は、幹様T細胞(例えば、CD45RA+及びCCR7+)である。いくつかの態様では、培養後、CD4+T細胞は、CARを発現し、c-Junタンパク質のレベルが増加し、改変されたCD4+T細胞の少なくとも約20%は、幹様T細胞(例えば、CD45RA+及びCCR7+)である。いくつかの態様では、培養後、CD4+T細胞は、操作されたTCRを発現し、c-Junタンパク質のレベルが増加し、改変されたCD4+T細胞の少なくとも約15%は、幹様T細胞(例えば、CD45RA+及びCCR7+)である。
【0167】
いくつかの態様では、いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、幹様T細胞は、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、幹様T細胞は、培養物におけるCD8+T細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、幹様T細胞は、培養物におけるCD4+T細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%を構成する。
【0168】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約40%は、CD39-/CD69-T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%は、CD39-/CD69-T細胞である。
【0169】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10~少なくとも約70%は、CD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%は、CD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞は、CD8+T細胞である。
【0170】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、c-Junタンパク質のレベルが増加するように改変された)の培養後、T細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%は、CD45RA+及びCCR7+T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞(例えば、c-Junタンパク質のレベルが増加するように改変された)の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%はCD45RA+及びCCR7+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD4+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞は、CD8+T細胞である。いくつかの態様では、T細胞はCD4+T細胞及びCD8+T細胞の双方を含む。
【0171】
いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従って培養された、本開示の免疫細胞、例えば、操作された免疫細胞(例えば、c-Junタンパク質の増加したレベルを含むように改変されたT細胞及び/またはNK細胞)は増加した形質導入効率を示す。
【0172】
いくつかの態様では、形質導入後、細胞の高い割合が、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする標的導入遺伝子を発現し、細胞は、従来の方法を使用して(例えば、5mM未満のK+を含有する培地において)同様に形質導入され、培養された細胞と比べて、本明細書に開示されている方法に従って培養されている。特定の態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地において培養された同様に形質導入された細胞と比べて、細胞のレンチウイルス形質導入後、高い割合でリガンド結合タンパク質を発現する。いくつかの態様では、形質導入効率は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地において培養された同様に形質導入された細胞に対して、少なくとも約1.5倍増加する。いくつかの態様では、形質導入効率は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地において培養された同様に形質導入された細胞に対して、少なくとも約2倍増加する。本明細書で使用される場合、「形質導入効率」という用語は、以下を指す:(i)規定の期間内に細胞内に物理的に導入され得る物質(例えば、外来性ポリヌクレオチド)の量、(ii)所与の量の物質を細胞内に物理的に導入するために要する時間の量、(iii)標的物質、例えば、外来性ポリヌクレオチド、すなわち、導入遺伝子が細胞の集団によって取り込まれたレベル(例えば、導入遺伝子を発現する細胞の割合)、または(iv)(i)~(iii)の任意の組み合わせ。いくつかの態様では、形質導入効率を増加させることによって、本明細書で提供されている培養方法は、更に多い量の外来性ヌクレオチド配列が細胞内に導入されることを可能とし、及び/または所与の量の外来性ヌクレオチド配列を導入するのに必要とされる時間の量を減少させ得る。任意の1つの理論によって束縛されるものではないが、いくつかの態様では、そのような効果は、改変された免疫細胞におけるコードされたタンパク質(例えば、c-Junポリペプチド)の発現を増加することができる。
【0173】
いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って培養する前に形質導入される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って培養した後に形質導入される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って、例えば、形質導入の前、形質導入中に、及び形質導入の後、少なくとも5mMのカリウムイオン(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)を含む培地において免疫細胞をAPC-MSと接触させることによって培養される。
【0174】
特定の態様では、免疫細胞はウイルスベクターを使用して形質導入される。いくつかの態様では、ベクターは、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、ワクシニアベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、及びエプスタイン・バーウイルスベクターを含む。いくつかの態様では、ウイルスベクターはレトロウイルスを含む。いくつかの態様では、ウイルスベクターはレンチウイルスを含む。いくつかの態様では、ウイルスベクターはAAVを含む。
【0175】
いくつかの態様では、免疫細胞は非ウイルス的方法を使用して形質導入される。いくつかの態様では、非ウイルス的方法にはトランスポゾンの使用が挙げられる。いくつかの態様では、非ウイルス的送達方法の使用は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の再プログラム化、及び対象への細胞の直接的注入を可能にする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、CRISPR/Casシステム及びジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びメガヌクレアーゼ(MN)などのゲノム編集代替手段を使用することによって標的細胞(例えば、T細胞)または宿主細胞(例えば、コードされるタンパク質の組換え発現のための細胞)のゲノムに挿入され得る。
【0176】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された、任意選択でリガンド結合タンパク質を発現する免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の養子移入の際に、移入された細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地において培養された細胞と比べて、細胞疲弊の減少を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された、任意選択でリガンド結合タンパク質を発現するT細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)の養子移入の際に、移入されたT細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地において培養されたT細胞と比べて、細胞疲弊の減少を呈する。
【0177】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞の養子移入の際に、移入された細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地中において培養された細胞と比べて、インビボでより長い期間存続する。いくつかの態様では、移入された細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、従来の方法を使用して、例えば、5mM未満のK+を含有する培地において培養された細胞と比べて、より高いインビボ有効性、例えば、腫瘍殺傷活性を有する。いくつかの態様では、例えば、5mM未満のK+を含有する培地において従来の方法を使用して培養された細胞と比べて、対象において応答、例えば、腫瘍体積の低下を引き出すのに必要とされる、本明細書に開示されている方法に従って培養された細胞の用量は低い。
【0178】
いくつかの態様では、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)は、対象から単離後直ちに、本明細書に開示されている方法に従って、例えば、少なくとも5mMのカリウムイオン(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)を含む培地において培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞の増殖中に本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞の操作中に、例えば、導入遺伝子、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする構築物での形質導入中に本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞の操作後に、例えば、導入遺伝子、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする構築物での形質導入後に本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、増殖及び操作の全体を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、ウイルス遺伝子操作の全体を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、非ウイルス遺伝子操作の全体を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、腫瘍特異的標的化(例えば、CAR、TCRまたはTCR模倣体)を可能とするための免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)へのリガンド結合タンパク質の導入中に本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、T細胞機能を改善する1つ以上の内在性遺伝子(c-Jun)の導入全体を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、T細胞機能を改善する1つ以上の合成遺伝子(例えば、c-Junタンパク質をコードする外来性ポリヌクレオチド、またはCAR、TCR、caTCR、CSR、もしくはTCR模倣体をコードする外来性ポリヌクレオチド)の導入全体を通して本明細書に開示されている方法に従って培養される。
【0179】
いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、エクスビボ培養の全体で、例えば、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞が対象から単離されたときから、成長、増殖、操作を経て、養子細胞療法を必要とする対象への投与まで、本明細書に開示されている方法に従って、例えば、少なくとも5mMのカリウムイオン(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)を含む培地において培養される。いくつかの態様では、T細胞は、エクスビボ培養の全体で、例えば、T細胞が対象から単離されたときから、成長、増殖、操作を経て、養子細胞療法を必要とする対象への投与まで、本明細書に開示されている方法に従って、例えば、少なくとも5mMのカリウムイオン(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)を含む培地において培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、増殖期間中、本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、生存免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の総数が、少なくとも約104、少なくとも約5×104、少なくとも約105、少なくとも約5×105、少なくとも約106、または少なくとも約5×106、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、少なくとも約1×108、少なくとも約5×108、少なくとも約1×109、少なくとも約5×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約5×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約5×1011、少なくとも約1×1012、または少なくとも約5×1012個の総細胞となるまで本明細書に開示されている方法に従って培養される。いくつかの態様では、T細胞は、生存T細胞の総数が少なくとも約104、少なくとも約5×104、少なくとも約105、少なくとも約5×105、少なくとも約106、または少なくとも約5×106、少なくとも約1×107、少なくとも約5×107、少なくとも約1×108、少なくとも約5×108、少なくとも約1×109、少なくとも約5×109、少なくとも約1×1010、少なくとも約5×1010、少なくとも約1×1011、少なくとも約5×1011、少なくとも約1×1012、または少なくとも約5×1012の総T細胞となるまで本明細書に開示されている方法に従って培養される。
【0180】
いくつかの態様では、培地は更に細胞増殖剤を含む。本明細書で使用されるとき、「細胞増殖剤」は、培養細胞、例えば、免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)のインビトロ及び/またはエクスビボの成長及び増殖を促進する薬剤、例えば、小分子、ポリペプチド、またはそれらの任意の組み合わせを指す。いくつかの態様では、細胞増殖剤はPI3K阻害剤を含む。いくつかの態様では、培地はAKT阻害剤を更に含む。いくつかの態様では、培地はPI3K阻害剤及びAKT阻害剤を更に含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はLY294002を含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はIC87114を含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤は、イデラリシブを含む(例えば、Peterson et al.,Blood Adv.2(3):210-23(2018)を参照のこと)。いくつかの態様では、培地は更に、GSK3B阻害剤を含む。いくつかの態様では、GSK3B阻害剤はTWS119を含む。いくつかの態様では、培地はACLY阻害剤を更に含む。いくつかの態様では、ACLY阻害剤はヒドロキシクエン酸カリウム三塩基性一水和物を含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤は、クエン酸ヒドロキシルを含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はピクチリシブを含む。いくつかの態様では、PI3K阻害剤はCAL-101を含む。いくつかの態様では、AKT阻害剤は、MK2206、A443654、またはAKTi-VIII(Cas612847-09-3)を含む。
【0181】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はミトコンドリア燃料を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はO-アセチル-L-カルニチン塩酸塩を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1mM、少なくとも約0.5mM、少なくとも約1.0mM、少なくとも約5mM、または少なくとも約10mMのO-アセチル-L-カルニチン塩酸塩を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0mMのO-アセチル-L-カルニチン塩酸塩を含む。
【0182】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は更に、(i)1以上の細胞増殖剤、(ii)ナトリウムイオン(例えば、NaCl)、(iii)1以上の糖類、(iv)カルシウムイオン、及び(v)1以上のサイトカインのうちの1以上を含む。
【0183】
II.A.1.カリウム
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を、対照培地に対して、増加した濃度のカリウムイオン(例えば、約5mM超、約40mM超、約45mM超、約50mM超、約55mM超、約60mM超、約65mM超、または約70mM超)を含む培地、すなわち、本明細書に開示される代謝再プログラム化培地において培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5mM~少なくとも約100mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約90mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約5mM~少なくとも約40mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約10mM~少なくとも約40mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約20mM~少なくとも約40mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約30mM~少なくとも約40mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約40mM~少なくとも約45mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約55mMのカリウムイオン、少なくとも約45mM~少なくとも約50mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約80mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約75mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約70mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約65mMのカリウムイオン、少なくとも約50mM~少なくとも約60mMのカリウムイオン、または少なくとも約50mM~少なくとも約55mMのカリウムイオンを含む。
【0184】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5mM、少なくとも約10mM、少なくとも約15mM、少なくとも約20mM、少なくとも約25mM、少なくとも約30mM、少なくとも約35mM、少なくとも約40mM、少なくとも約45mM、少なくとも約50mM、少なくとも約55mM、少なくとも約60mM、少なくとも約65mM、少なくとも約70mM、少なくとも約75mM、または少なくとも約80mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約15mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約20mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約25mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約30mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約35mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約40mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約45mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約50mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約55mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約60mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約65mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約70mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約75mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約80mMのカリウムイオンを含む。いくつかの態様では、MRMは、約40mM~約80mMのカリウムイオン(例えば、40~80mM)を含む。
【0185】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、増加した濃度のカリウムイオン、例えば、少なくとも約5mMのカリウムイオンを含み、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオン及び約30mM~約100mMの濃度でNaClを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、約110~約140mMである。
【0186】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約5mM~約100mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約5mM~約100mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は、約5mM~約90mM、約5mM~約80mM、約5mM~約70mM、約5mM~約60mM、または約5mM~約50mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は、約5mM~約90mM、約5mM~約80mM、約5mM~約70mM、約5mM~約60mM、または約5mM~約50mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約25mM~約100mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約25mM~約100mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約25mM~約90mM、約25mM~約80mM、約25mM~約70mM、約25mM~約60mM、または約25mM~約50mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は、約25mM~約90mM、約25mM~約80mM、約25mM~約70mM、約25mM~約60mM、または約25mM~約50mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約40mM~約100mMである。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は、約40mM~約100mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約90mM、約40mM~約85mM、約40mM~約80mM、約40mM~約75mM、約40mM~約70mM、約40mM~約65mM、約40mM~約60mM、約40mM~約55mM、または約40mM~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約40mM~約90mM、約40mM~約85mM、約40mM~約80mM、約40mM~約75mM、約40mM~約70mM、約40mM~約65mM、約40mM~約60mM、約40mM~約55mM、または約40mM~約50mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約80mMの間であり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約50mM~約90mM、約50mM~約85mM、約50mM~約80mM、約50mM~約75mM、約50mM~約70mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、または約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約50mM~約90mM、約50mM~約85mM、約50mM~約80mM、約50mM~約75mM、約50mM~約70mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、または約50mM~約55mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約50mMのカリウムイオン及び約90mM未満のNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0187】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約50mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約50mM~約115mM、約50mM~約110mM、約50mM~約105mM、約50mM~約100mM、約50mM~約95mM、約50mM~約90mM、約50mM~約85mM、約50mM~約80mM、約50mM~約75mM、約50mM~約70mM、約50mM~約65mM、約50mM~約60mM、または約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、培地は少なくとも約50mM~約120mMのカリウムイオン及び約90mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0188】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約55mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約55mM~約115mM、約55mM~約110mM、約55mM~約105mM、約55mM~約100mM、約55mM~約95mM、約55mM~約90mM、約55mM~約85mM、約55mM~約80mM、約55mM~約75mM、約55mM~約70mM、約55mM~約65mM、または約55mM~約60mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、培地は少なくとも約55mM~約120mMのカリウムイオン及び約85mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。
【0189】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約60mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約60mM~約115mM、約60mM~約110mM、約60mM~約105mM、約60mM~約100mM、約60mM~約95mM、約60mM~約90mM、約60mM~約85mM、約60mM~約80mM、約60mM~約75mM、約60mM~約70mM、または約60mM~約65mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、培地は少なくとも約60mM~約120mMのカリウムイオン及び約80mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0190】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約65mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約65mM~約115mM、約65mM~約110mM、約65mM~約105mM、約65mM~約100mM、約65mM~約95mM、約65mM~約90mM、約65mM~約85mM、約65mM~約80mM、約65mM~約75mM、または約65mM~約70mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約65mM~約120mMのカリウムイオン及び約75mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0191】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約70mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約70mM~約115mM、約70mM~約110mM、約70mM~約105mM、約70mM~約100mM、約70mM~約95mM、約70mM~約90mM、約70mM~約85mM、約70mM~約80mM、または約70mM~約75mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約70mM~約120mMのカリウムイオン及び約70mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0192】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約75mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約75mM~約115mM、約75mM~約110mM、約75mM~約105mM、約75mM~約100mM、約75mM~約95mM、約75mM~約90mM、約75mM~約85mM、または約75mM~約80mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約75mM~約120mMのカリウムイオン及び約65mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0193】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約80mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約80mM~約115mM、約80mM~約110mM、約80mM~約105mM、約80mM~約100mM、約80mM~約95mM、約80mM~約90mM、または約80mM~約85mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約80mM~約120mMのカリウムイオン及び約60mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0194】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約85mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約85mM~約115mM、約85mM~約110mM、約85mM~約105mM、約85mM~約100mM、約85mM~約95mM、または約85mM~約90mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約85mM~約120mMのカリウムイオン及び約65mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0195】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約90mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は、約90mM~約115mM、約90mM~約110mM、約90mM~約105mM、約90mM~約100mM、または約90mM~約95mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約90mM~約120mMのカリウムイオン及び約50mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0196】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約95mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約95mM~約115mM、約95mM~約110mM、約95mM~約105mM、または約95mM~約100mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約95mM~約120mMのカリウムイオン及び約55mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0197】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約100mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約100mM~約115mM、約100mM~約110mM、または約100mM~約105mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約100mM~約120mMのカリウムイオン及び約50mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0198】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約105mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約105mM~約115mM、または約105mM~約110mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約105mM~約120mMのカリウムイオン及び約35mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0199】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約110mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約110mM~約115mMである。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約110mM~約120mMのカリウムイオン及び約30mM未満~約20mMのNaClを含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0200】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約50mM~約90mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約80mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約90mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約80mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約90mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約80mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約90mMである。
【0201】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約50mM~約90mMであり、NaClの濃度は約90mM未満~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約80mMであり、NaClの濃度は約90mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約90mMであり、NaClの濃度は約90mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約80mMであり、NaClの濃度は約80mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約90mMであり、NaClの濃度は約70mM未満~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約80mMであり、NaClの濃度は約70mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約90mMであり、NaClの濃度は約60mM未満~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0202】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるカリウムイオンの濃度は約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約55mMであり、NaClの濃度は約90未満~約85である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約60mMであり、NaClの濃度は約85未満~約80である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約65mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約65mMであり、NaClの濃度は約80mM未満~約75mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約70mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約70mMであり、NaClの濃度は約75mM未満~約70mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約75mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約70mM~約75mMであり、NaClの濃度は約70mM未満~約65mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約75mM~約80mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約75mM~約80mMであり、NaClの濃度は約65mM未満~約60mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約85mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約80mM~約85mMであり、NaClの濃度は約60mM未満~約55mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約85mM~約90mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約85mM~約90mMであり、NaClの濃度は約55mM未満~約50mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約90mM~約95mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約90mM~約95mMであり、NaClの濃度は約50未満~約45である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約95mM~約100mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約95mM~約100mMであり、NaClの濃度は約45mM未満~約40mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約100mM~約105mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約100mM~約105mMであり、NaClの濃度は約40mM未満~約35mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約105mM~約110mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約105mM~約110mMであり、NaClの濃度は約35未満~約30である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約110mM~約115mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約110mM~約115mMであり、NaClの濃度は約30mM未満~約25mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約115mM~約120mMである。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約115mM~約120mMであり、NaClの濃度は約25mM未満~約20mMである。いくつかの態様では、カリウムイオン及びNaClの総濃度は、110mM~140mMである。
【0203】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約50mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約55mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約60mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約90mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約80mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約65mM~約70mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0204】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約4mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約4mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約5mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約5mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約6mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約6mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約7mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約7mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約8mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約8mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約9mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約9mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0205】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約10mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約10mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約11mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約11mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約12mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約12mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約13mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約13mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約14mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約14mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約15mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約15mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約16mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約16mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約17mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約17mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約18mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約18mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約19mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約19mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0206】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約20mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約20mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約21mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約21mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約22mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約22mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約23mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約23mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約24mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約24mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約25mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約25mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約26mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約26mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約27mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約27mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約28mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約28mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約29mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約29mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0207】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約30mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約30mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約31mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約31mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約32mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約32mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約33mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約33mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約34mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約34mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約35mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約35mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約36mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約36mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約37mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約37mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約38mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約38mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約39mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約39mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0208】
いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約40mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約41mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約41mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約42mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約42mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約43mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約43mMであり、培地は低張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約44mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約44mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約45mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約45mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約46mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約46mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約47mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約47mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約48mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約48mMであり、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約49mMよりも高く、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度は約49mMであり、培地は低張性または等張性である。
【0209】
いくつかの態様では、高濃度のカリウムイオンを含む代謝再プログラム化培地は、培地に十分な量のカリウム塩を加えることによって調製される。いくつかの態様では、カリウム塩の非限定的な例としては、アミントリクロロ白金酸カリウム、アクアペンタクロロルテニウム酸カリウム、ビス(オキサラト)白金(II)酸カリウム二水和物、硫酸水素カリウム、水素化ホウ素カリウム、臭化カリウム、炭酸カリウム、塩化カリウム、クロム酸カリウム、重クロム酸カリウム、ジシアノ銀酸カリウム、ジシアノ金酸カリウム、フッ化カリウム、フルオロ硫酸カリウム、ヘキサクロロイリジウム酸カリウム、ヘキサクロロオスミウム酸カリウム、ヘキサクロロパラジウム酸カリウム、ヘキサクロロ白金酸カリウム、ヘキサクロロレニウム酸カリウム、ヘキサシアノクロム酸カリウム、ヘキサシアノ鉄酸カリウム、ヘキサシアノルテニウム(II)酸カリウム水和物、ヘキサフルオロアンチモン酸カリウム、ヘキサフルオロニッケル酸カリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、ヘキサフルオロチタン酸カリウム、ヘキサフルオロジルコン酸カリウム、ヘキサヒドロキソアンチモン酸カリウム、ヘキサヨード白金酸カリウム、ヘキサヨードレニウム酸カリウム、水酸化カリウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ化カリウム、マンガン酸カリウム、メタバナジン酸カリウム、モリブデン酸カリウム、硝酸カリウム、ニトロソジスルホン酸カリウム、オスミウム(VI)酸カリウム二水和物、ペンタクロロニトロシルルテニウム酸カリウム、過塩素酸カリウム、過レニウム酸カリウム、過ルテニウム酸カリウム、過硫酸カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一カリウム、ピロリン酸カリウム、セレノシアン酸カリウム、セレノシアン酸カリウム、スズ酸カリウム三水和物、硫酸カリウム、テルル酸カリウム水和物、亜テルル酸カリウム、四ホウ酸カリウム四水和物、テトラブロモ金酸カリウム、テトラブロモパラジウム酸カリウム、テトラクロロパラジウム酸カリウム、テトラクロロ白金酸カリウム、テトラシアノパラジウム酸カリウム、テトラシアノ白金酸カリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム、テトラニトロ白金酸カリウム、テトラチオン酸カリウム、p-トルエンチオスルホン酸カリウム、ヒドロキシクエン酸カリウム三塩基性一水和物、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。特定の態様では、カリウム塩は塩化カリウム(KCl)を含む。特定の態様では、カリウム塩はグルコン酸カリウムを含む。特定の態様では、カリウム塩はクエン酸カリウムを含む。特定の態様では、カリウム塩はヒドロキシクエン酸カリウムを含む。
【0210】
II.A.2.ナトリウム
本開示のいくつかの態様は、(i)少なくとも約5mM(例えば、5mMより高く、例えば、約40mM~約80mM)の濃度でカリウムイオンと、(ii)約115mM未満の濃度でナトリウムイオン(例えば、NaCl)とを含む培地において免疫細胞を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、培地は低張性または等張性である。いくつかの態様では、ナトリウム(例えば、NaCl)の目標濃度は、より高い濃度のナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む基本培地から出発し、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の目標濃度に到達するように溶液を希釈することによって達成される。いくつかの態様では、ナトリウム(例えば、NaCl)の目標濃度は、1つ以上のナトリウム塩(例えば、多くのNaCl)を加えることによって達成される。ナトリウム塩の非限定的な例には(メタ)過ヨウ素酸ナトリウム、酒石酸アルセニルナトリウム水和物、アジ化ナトリウム、ナトリウムベンジルオキシド、臭化ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クロム酸ナトリウム、シクロヘキサン酪酸ナトリウム、エタンチオール酸ナトリウム、フッ化ナトリウム、フルオロリン酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、ヘキサクロロイリジウム(III)酸ナトリウム水和物、ヘキサクロロイリジウム(IV)酸ナトリウム六水和物、ヘキサクロロ白金(IV)酸ナトリウム六水和物、ヘキサクロロロジウム(III)酸ナトリウム、ヘキサフルオロアルミン酸ナトリウム、ヘキサフルオロアンチモン(V)酸ナトリウム、ヘキサフルオロヒ(V)酸ナトリウム、ヘキサフルオロ鉄(III)酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロケイ酸ナトリウム、ヘキサヒドロキシ白金(IV)酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、二フッ化水素ナトリウム、硫酸水素ナトリウム、ナトリウム水素シアナミド、水酸化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、メタホウ酸ナトリウム四水和物、メタケイ酸ナトリウム九水和物、メタバナジン酸ナトリウム、モリブデン酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム一水和物、過炭酸ナトリウム、過塩素酸ナトリウム、過ヨウ素酸ナトリウム、過マンガン酸ナトリウム、過レニウム酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、ピロリン酸ナトリウム、セレン酸ナトリウム、亜セレン酸ナトリウム、スズ酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、亜テルル酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、テトラクロロアルミン酸ナトリウム、テトラクロロ金(III)酸ナトリウム、テトラクロロパラジウム(II)酸ナトリウム、テトラクロロ白金(II)酸ナトリウム、チオリン酸ナトリウム三塩基性、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム五水和物、オキシフッ化イットリウムナトリウム、トリメタリン酸三ナトリウム、及びそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、ナトリウム塩は塩化ナトリウム(NaCl)を含む。いくつかの態様では、ナトリウム塩はグルコン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、ナトリウム塩は重炭酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、ナトリウム塩はヒドロキシクエン酸ナトリウムを含む。いくつかの態様では、ナトリウム塩はリン酸ナトリウムを含む。
【0211】
いくつかの態様では、本開示の代謝再プログラム化培地におけるナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、基本培地の濃度よりも低い。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度が増加するにつれて、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、低減する。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約25mM~約115mMである。いくつかの態様では、ナトリウム(例えば、NaCl)イオンの濃度は、約25mM~約100mM、約30mM~約40mM、約30mM~約50mM、約30mM~約60mM、約30mM~約70mM、約30mM~約80mM、約40mM~約50mM、約40mM~約60mM、約40mM~約70mM、約40mM~約80mM、約50mM~約55mM、約50mM~約60mM、約50mM~約65mM、約50mM~約70mM、約50mM~約75mM、約50mM~約80mM、約55mM~約60mM、約55mM~約65mM、約55mM~約70mM、約55mM~約75mM、約55mM~約80mM、約60mM~約65mM、約60mM~約70mM、約60mM~約75mM、約60mM~約80mM、約70mM~約75mM、約70mM~約80mM,または約75mM~約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約40mM~約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約50mM~約85mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約55mM~約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約30mM~約35mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約35mM~約40mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約40mM~約45mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約45mM~約50mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約50mM~約55mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約55mM~約60mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約60mM~約65mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約65mM~約70mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約70mM~約75mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約75mM~約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約80mM~約85mMである。
【0212】
いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約30mM、約35mM、約40mM、約45mM、約50mM、約55mM、約60mM、約65mM、約70mM、約75mM、約80mM、約85mM、または約90mMである。特定の態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約40mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約45mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約50mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約55mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約55.6mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約59.3mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約60mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約63.9mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約65mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約67.6mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約70mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約72.2mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約75mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約76mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約80mMである。いくつかの態様では、ナトリウムイオン(例えば、NaCl)の濃度は、約80.5mMである。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mM~約90mMのカリウムイオン及び約40mM~約80mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。
【0213】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約50mM~約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約55mM~約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約60mM~約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約65mM~約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約65mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約66mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約67mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約68mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約69mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約70mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約71mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約72mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約73mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約74mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約75mMのカリウムイオン及び約80mM~約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約65mMのカリウムイオン及び約80mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約65mMのカリウムイオン及び約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約65mMのカリウムイオン及び約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約70mMのカリウムイオン及び約80mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約70mMのカリウムイオン及び約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約70mMのカリウムイオン及び約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約75mMのカリウムイオン及び約80mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約75mMのカリウムイオン及び約85mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約75mMのカリウムイオン及び約90mMのナトリウムイオン(例えば、NaCl)を含む。
【0214】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mM~約90mMのカリウムイオン及び約30mM~約109mMのNaClを含み、NaClの濃度(mM)は、(135-カリウムイオン濃度、135からカリウムイオン濃度を引くことを意味する)以下である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mMのカリウムイオン及び約95mM以下のNaCl(例えば、約95mM、約94mM、約93mM、約92mM、約91mM、約90mM、約85mM、約80mM、約75mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約45mMのカリウムイオン及び約90mM以下のNaCl(例えば、約90mM、約89mM、約88mM、約87mM、約86mM、約85mM、約80mM、約75mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約50mMのカリウムイオン及び約85mM以下のNaCl(例えば、約85mM、約84mM、約83mM、約82mM、約81mM、約80mM、約75mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約55mMのカリウムイオン及び約80mM以下のNaCl(例えば、約80mM、約79mM、約78mM、約77mM、約76mM、約75mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約60mMのカリウムイオン及び約75mM以下のNaCl(例えば、約75mM、約74mM、約73mM、約72mM、約71mM、約70mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約65mMのカリウムイオン及び約70mM以下のNaCl(例えば、約70mM、約69mM、約68mM、約67mM、約66mM、約65mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約70mMのカリウムイオン及び約70mM以下のNaCl(例えば、約65mM、約64mM、約63mM、約62mM、約61mM、約60mM、約55mM、または約50mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約75mMのカリウムイオン及び約60mM以下のNaCl(例えば、約60mM、約59mM、約58mM、約57mM、約56mM、約55mM、約50mM、約45mM、または約40mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約80mMのカリウムイオン及び約55mM以下のNaCl(例えば、約55mM、約54mM、約53mM、約52mM、約51mM、約50mM、約45mM、約40mM、または約35mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約85mMのカリウムイオン及び約50mM以下のNaCl(例えば、約50mM、約49mM、約48mM、約47mM、約46mM、約45mM、約40mM、約35mM、または約30mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約90mMのカリウムイオン及び約45mM以下のNaCl(例えば、約45mM、約44mM、約43mM、約42mM、約41mM、約40mM、約35mM、約30mM、または約25mMのNaCl)を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約60mMのNaClを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約61mMのNaClを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約70mMのカリウムイオン及び約62mMのNaClを含む。
【0215】
いくつかの態様では、培地は約50mMのカリウムイオン及び約75mMのNaClを含む。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、培地は、等張性である。
【0216】
本開示のいくつかの態様は(i)5mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)約135mM未満の濃度のNaClを含む培地にて免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は(i)40mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約100mM未満の濃度でのNaClを含む培地にて免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は(i)50mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約90mM未満の濃度でのNaClを含む培地にて免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は(i)55mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70mM未満の濃度でのNaClを含む培地にて免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は(i)60mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70mM未満の濃度でのNaClを含む培地にて免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は、(i)約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でNaClとを含む培地において免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は、(i)約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオンと、(ii)約55mM~約90mMの濃度でNaClとを含む培地において免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)を培養する方法を対象とする。
【0217】
II.A.3.張度
本開示のいくつかの態様では、代謝再プログラム化培地の張度(例えば、(カリウムイオンの濃度及びNaClの濃度)X2)は、カリウムイオン及び/またはNaClの濃度に基づいて調整される。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地の張度は基本培地の張度より低い。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地の張度は基本培地の張度より高い。いくつかの態様では、培地の張度は基本培地の張度と同じである。培地におけるカリウムイオン及び/またはNaClの濃度を改変することによって、代謝再プログラム化培地の張度に影響を及ぼすことができる。いくつかの態様では、カリウムイオン濃度の増加はNaClの濃度の増加または低下と対になる。いくつかの態様では、この対合は代謝再プログラム化培地の張度に影響を及ぼす。いくつかの態様では、カリウムイオンの濃度が増加する一方で、NaClの濃度は低下する。
【0218】
いくつかの態様では、本発明の培地に有用な培地は、カリウムイオンと張度の関数に基づいて調製することができる。例えば、いくつかの態様では、本開示に有用な培地が低張性(例えば、280mOsm未満)であり、かつ少なくとも約50mMのカリウムイオンを含む場合、培地を低張性として維持するのに十分なNaClの濃度は、以下の式に基づいて決定され得る:NaCl濃度=(所望の張度(280)/2)-カリウムイオン濃度。(すなわち、NaClの濃度(mM)は、(140-カリウムイオン濃度)以下である)。いくつかの態様では、本明細書に開示されている低張性培地は110mM~140mMの間のカリウムイオン及びNaClの総濃度を含む。したがって、低張性培地については、カリウムイオン及びNaClの総濃度が110mM~140mMの間である限り、カリウムイオンの濃度は50mM~90mMの間の濃度で設定することができ、NaClの濃度は90mM~50mMの間で設定することができる。いくつかの態様では、本明細書に開示されている低張性培地は、115mM~140mMの間でカリウムイオン及びNaClの総濃度を含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されている低張性培地は、120mM~140mMの間でカリウムイオン及びNaClの総濃度を含む。
【0219】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は等張(280mOsm~300mOsmの間)であり、約50mM~70mMの間のカリウムイオンの濃度を含む。対応するNaClの濃度は、以下の式に基づいて再度計算され得る:NaCl濃度=(所望の張度/2)-カリウムイオン濃度。例えば、カリウムの濃度が50mMであり、所望の張度が300mOsmである場合、ナトリウム濃度は100mMであることができる。
【0220】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は等張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約280mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±1mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±2mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±3mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±4mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±5mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±6mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±7mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、MRMは、280mOsm/L±8mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±9mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L±10mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約280mOsm/L~約285mOsm/L、約280mOsm/L~約290mOsm/L、約280mOsm/L~約295mOsm/L、約280mOsm/L~約300mOsm/L、約280mOsm/L~約305mOsm/L、約280mOsm/L~約310mOsm/L、約280mOsm/L~約315mOsm/L、または約280mOsm/L~320mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約285mOsm/L、約290mOsm/L、約295mOsm/L、約300mOsm/L、約305mOsm/L、約310mOsm/L、または約315mOsm/Lの張度を有する。
【0221】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される約280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される280mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、275mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される275mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、270mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される270mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、265mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される265mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、260mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される260mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、265mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される265mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、260mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される260mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、255mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される255mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約250mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される約250mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約245mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される約245mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約240mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される約240mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約235mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される約235mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約230mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される約230mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約225mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約225mOsm/L未満の張度を有する。いくつかの態様では、張度は、カリウムイオン濃度及びNaCl濃度を加算し、2を乗じることによって測定される約220mOsm/Lよりも高い。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約230mOsm/L~約280mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約240mOsm/L~約280mOsm/Lの張度を有する。
【0222】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約220mOsm/L未満のオスモル濃度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約215mOsm/L未満のオスモル濃度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約210mOsm/L未満のオスモル濃度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約205mOsm/L未満のオスモル濃度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約200mOsm/L未満のオスモル濃度を有する。
【0223】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約100mOsm/L~約280mOsm/L、約125mOsm/L~約280mOsm/L、約150mOsm/L~約280mOsm/L、約175mOsm/L~約280mOsm/L、約200mOsm/L~約280mOsm/L、約210mOsm/L~約280mOsm/L、約220mOsm/L~約280mOsm/L、約225mOsm/L~約280mOsm/L、約230mOsm/L~約280mOsm/L、約235mOsm/L~約280mOsm/L、約240mOsm/L~約280mOsm/L、約245mOsm/L~約280mOsm/L、約250mOsm/L~約280mOsm/L、約255mOsm/L~約280mOsm/L、約260mOsm/L~約280mOsm/L、約265mOsm/L~約280mOsm/L、約270mOsm/L~約280mOsm/L、または約275mOsm/L~約280mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約250mOsm/L~約270mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約250mOsm/L~約255mOsm/L、約250mOsm/L~約260mOsm/L、約250mOsm/L~約265mOsm/L、約255mOsm/L~約260mOsm/L、約255mOsm/L~約265mOsm/L、約255mOsm/L~約265mOsm/L、約260mOsm/L~約265mOsm/L、または約254mOsm/L~約263mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約254mOsm/L~約255mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約255mOsm/L~約256mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約256mOsm/L~約257mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約257mOsm/L~約258mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約258mOsm/L~約259mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約260mOsm/L~約261mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約261mOsm/L~約262mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約262mOsm/L~約263mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約263mOsm/L~約264mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約264mOsm/L~約265mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約220mOsm/L~約280mOsm/Lの張度を有する。
【0224】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約100mOsm/L、約125mOsm/L、約150mOsm/L、約175mOsm/L、約200mOsm/L、約210mOsm/L、約220mOsm/L、約225mOsm/L、約230mOsm/L、約235mOsm/L、約240mOsm/L、約245mOsm/L、約250mOsm/L、約255mOsm/L、約260mOsm/L、約265mOsm/L、約270mOsm/L、または約275mOsm/Lの張度を有する。
【0225】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約250mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約262.26mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約260mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約259.7mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約257.5mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約257.2mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約255.2mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約254.7の張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約255mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約260mOsm/Lの張度を有する。いくつかの態様では、MRMは、(i)5mMよりも高い濃度でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でNaClと、(iii)約250~260mOsm/Lの張度とを含む。いくつかの態様では、MRMは、(i)約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でNaClと、(iii)約250~260mOsm/Lの張度とを含む。いくつかの態様では、MRMは、(i)約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオンと、(ii)約55mM~約90mMの濃度でNaClと、(iii)約250~260mOsm/Lの張度とを含む。
【0226】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約50mMのカリウムイオンと、(i)約80.5mMのNaCl;(ii)約17.7mMのグルコース;及び(iii)約1.9mMのカルシウムイオンとを含む。
【0227】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約50mMのカリウムイオンと、(i)約80.5mMのNaCl;(ii)約24mMのグルコース;及び(iii)約2.8mMのカルシウムイオンとを含む。
【0228】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約40mMのカリウムイオンと、(i)約88.9mMのNaCl;(ii)約24mMのグルコース;及び(iii)約2.8mMのカルシウムイオンとを含む。
【0229】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約60mMのカリウムイオンと、(i)約72.2mMのNaCl;(ii)約24mMのグルコース;及び(iii)約2.8mMのカルシウムイオンとを含む。
【0230】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約70mMのカリウムイオンと、(i)約63.9mMのNaCl;(ii)約24mMのグルコース;及び(iii)約2.8mMのカルシウムイオンをと含む。
【0231】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約80mMのカリウムイオンと、(i)約55.6mMのNaCl;(ii)約24mMのグルコース;及び(iii)約2.8mMのカルシウムイオンとを含む。
【0232】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約50mMのカリウムイオンと、(i)約80.5mMのNaCl;(ii)約17.7mMのグルコース;及び(iii)約1.8mMのカルシウムイオンとを含む。
【0233】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約55mMのカリウムイオンと、(i)約76mMのNaCl;(ii)約17.2mMのグルコース;及び(iii)約1.7mMのカルシウムイオンとを含む。
【0234】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約60mMのカリウムイオンと、(i)約72.2mMのNaCl;(ii)約16.8mMのグルコース;及び(iii)約1.6mMのカルシウムイオンとを含む。
【0235】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約65mMのカリウムイオンと、(i)約67.6mMのNaCl;(ii)約16.3mMのグルコース;及び(iii)約1.5mMのカルシウムイオンとを含む。
【0236】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約70mMのカリウムイオンと、(i)約63.9mMのNaCl;(ii)約15.9mMのグルコース;及び(iii)約1.4mMのカルシウムイオンとを含む。
【0237】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約75mMのカリウムイオンと、(i)約59.3mMのNaCl;(ii)約15.4mMのグルコース;及び(iii)約1.3mMのカルシウムイオンとを含む。
【0238】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、約80mMのカリウムイオンと、(i)約55.6mMのNaCl;(ii)約15mMのグルコース;及び(iii)約1.2mMのカルシウムイオンとを含む。
【0239】
代謝再プログラム化培地の張度は、任意の時点で、例えば、本明細書に開示されている等張性または低張性の状態に調整され得る。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地の張度は、細胞が代謝再プログラム化培地に加えられる前に、例えば、本明細書に開示されている等張性または低張性の状態に調整され得る。いくつかの態様では、細胞は、細胞操作前に、例えば、CAR、TCR、またはTCR模倣体を発現する構築物による形質導入前に低張性培地または等張性培地において培養される。いくつかの態様では、細胞は、細胞操作中に、例えば、CAR、TCR、またはTCR模倣体を発現する構築物による形質導入中に低張性培地または等張性培地において培養される。いくつかの態様では、細胞は、細胞操作後に、例えば、CAR、TCR、またはTCR模倣体を発現する構築物による形質導入後に低張性培地または等張性培地において培養される。いくつかの態様では、細胞は、細胞増殖全体を通して低張性培地または等張性培地にて培養される。
【0240】
II.A.4.糖類
本開示のいくつかの態様は、(i)少なくとも約5mM(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)の濃度でカリウムイオンと、(ii)糖類とを含む培地において免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、培地は低張性または等張性である。
【0241】
いくつかの態様では、糖類の目標濃度は、更に高濃度の糖類を含む基本培地から出発し、糖類の目標濃度に到達するように溶液を希釈することによって達成される。いくつかの態様では、糖類の目標濃度は、所望の濃度に到達するまで糖類を加えることにより、糖類の濃度を上昇させることによって達成される。いくつかの態様では、糖類は、単糖類、二糖類、または多糖類である。いくつかの態様では、糖類は、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、マルトース、スクロース、ラクトース、トレハロース、またはそれらの任意の組み合わせから選択される。特定の態様では、糖類はグルコースである。いくつかの態様では、培地は(i)少なくとも約5mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、培地は(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、培地は(i)少なくとも約5mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、培地は(i)少なくとも約50mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、培地は、等張性である。いくつかの態様では、培地は(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、培地は(i)50mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、培地は(i)少なくとも約40mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、培地は(i)少なくとも約50mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0242】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約30mM~少なくとも約100mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、培地は(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約30mM~少なくとも約100mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は低張性である。いくつかの態様では、培地は、等張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)50mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)グルコースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約40mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMの濃度のカリウムイオン及び(ii)マンノースを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMの間である。
【0243】
いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約24mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約4.29g/L未満である。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約24mM未満である。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mM超である。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mM~約20mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約20mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約25mM、約10mM~約20mM、約10mM~約5mM、約15mM~約25mM、約15mM~約20mM、約15mM~約19mM、約15mM~約18mM、約15mM~約17mM、約15mM~約16mM、約16mM~約20mM、約16mM~約19mM、約16mM~約18mM、約16mM~約17mM、約17mM~約20mM、約17mM~約19mM、または約17mM~約18mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mM~約20mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約20mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約10mM~約15mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約14mM~約14.5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約14.5mM~約15mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約15mM~約15.5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約15.5mM~約16mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約16mM~約16.5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約16.5mM~約17mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約17mM~約17.5mMである。いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約17.5mM~約18mMである。
【0244】
いくつかの態様では、糖類、例えば、グルコースの濃度は、約5mM、約6mM、約7mM、約8mM、約9mM、約10mM、約10.5mM、約11mM、約11.5mM、約12mM、約12.5mM、約13mM、約13.5mM、約14mM、約14.5mM、約15mM、約15.5mM、約16mM、約16.5mM、約17mM、約17.5mM、約18mM、約18.5mM、約19mM、約19.5mM、約20mM、約20.5mM、約21mM、約22mM、約23mM、約24mM、または約25mMである。
【0245】
いくつかの態様では、本開示に有用な培地は、(i)5mMよりも高い濃度(例えば、約40mM~約80mM)でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でNaClと、(iii)グルコースとを含む。いくつかの態様では、本開示に有用な培地は、(i)5mMよりも高い濃度(例えば、約40mM~約80mM)でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でのNaClと、(iii)グルコースと、(iv)250~260mOsm/Lの張度とを含む。いくつかの態様では、本開示に有用な培地は、(i)5mMよりも高い濃度(例えば、約40mM~約80mM)でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でのNaClと、(iii)約10mM~約24mMの濃度でグルコースと、(iv)250~260mOsm/Lの張度とを含む。
【0246】
II.A.5.カルシウム
本開示のいくつかの態様は、(i)少なくとも約5mM(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)の濃度でカリウムイオンと、(ii)カルシウムイオンとを含む培地において免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を培養する方法を対象とする。いくつかの態様では、培地は低張性または等張性である。
【0247】
いくつかの態様では、カルシウムの目標濃度は、更に高濃度のカルシウムイオンを含む基本培地から出発し、カルシウムイオンの目標濃度に到達するように溶液を希釈することによって達成される。いくつかの態様では、カルシウムの目標濃度は、1以上のカルシウム塩を加えることにより、カルシウムイオンの濃度を上昇させることによって達成される。カルシウム塩の非限定的な例としては、臭化カルシウム、炭酸カルシウム、塩化カルシウム、カルシウムシアナミド、フッ化カルシウム、水素化カルシウム、水酸化カルシウム、ヨウ素酸カルシウム、ヨウ化カルシウム、硝酸カルシウム、亜硝酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、過塩素酸カルシウム四水和物、第一リン酸カルシウム、リン酸三カルシウム、硫酸カルシウム、チオシアン酸カルシウム四水和物、ヒドロキシアパタイト、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、カルシウム塩は塩化カルシウム(CaCl2)を含む。いくつかの態様では、カルシウム塩は、グルコン酸カルシウムを含む。
【0248】
いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、基礎培地の濃度よりも低い。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、基礎培地の濃度よりも高い。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.4mM超である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約2.8mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約2.5mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約2.0mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.9mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.8mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.7mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.6mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.5mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.4mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.3mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.2mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.1mM未満である。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mM未満である。
【0249】
いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.4mM~約2.8mM、約0.4mM~約2.7mM、約0.4mM~約2.5mM、約0.5mM~約2.0mM、約1.0mM~約2.0mM、約1.1mM~約2.0mM、約1.2mM~約2.0mM、約1.3mM~約2.0mM、約1.4mM~約2.0mM、約1.5mM~約2.0mM、約1.6mM~約2.0mM、約1.7mM~約2.0mM、約1.8mM~約2.0mM、約0.8~約0.9mM、約0.8~約1.0mM、約0.8~約1.1mM、約0.8~約1.2mM、約0.8~約1.3mM、約0.8~約1.4mM、約0.8~約1.5mM、約0.8~約1.6mM、約0.8~約1.7mM、約0.8~約1.8mM、約0.8~約1.9mM、約0.9~約1.0mM、約0.9~約1.1mM、約0.9~約1.2mM、約0.9~約1.3mM、約0.9~約1.4mM、約0.9~約1.5mM、約0.9~約1.6mM、約0.9~約1.7mM、約0.9~約1.8mM、約0.9~約1.9mM、約1.0~約1.1mM、約1.0~約1.2mM、約1.0~約1.3mM、約1.0~約1.4mM、約1.0~約1.5mM、約1.0~約1.6mM、約1.0~約1.7mM、約1.0~約1.8mM、約1.0~約1.9mM、約1.1~約1.2mM、約1.1~約1.3mM、約1.1~約1.4mM、約1.1~約1.5mM、約1.1~約1.6mM、約1.1~約1.7mM、約1.1~約1.8mM、約1.1~約1.9mM、約1.2~約1.3mM、約1.2~約1.4mM、約1.2~約1.5mM、約1.2~約1.6mM、約1.2~約1.7mM、約1.2~約1.8mM、約1.2~約1.9mM、約1.3~約1.4mM、約1.3~約1.5mM、約1.3~約1.6mM、約1.3~約1.7mM、約1.3~約1.8mM、約1.3~約1.9mM、約1.4~約1.5mM、約1.4~約1.6mM、約1.4~約1.7mM、約1.4~約1.8mM、約1.4~約1.9mM、約1.5~約1.6mM、約1.5~約1.7mM、約1.5~約1.8mM、約1.5~約1.9mM、約1.6~約1.7mM、約1.6~約1.8mM、約1.6~約1.9mM、約1.7~約1.8mM、約1.7~約1.9mM、または約1.8~約1.9mMである。
【0250】
いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.8mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.9mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.1mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.2mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.8mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.8mM~約0.9mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.9mM~約1.0mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mM~約1.1mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.1mM~約1.2mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.2mM~約1.3mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.3mM~約1.4mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.4mM~約1.5mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.5mM~約1.6mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.7mM~約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は、約1.8mM~約1.9mMである。
【0251】
いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.6mM、約0.7mM、約0.8mM、約0.9mM、約1.0mM、約1.1mM、約1.2mM、約1.3mM、約1.4mM、約1.5mM、約1.6mM、約1.7mM、約1.8mM、約1.9mM、または約2.0mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.6mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.7mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約0.9mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.0mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.1mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.2mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.3mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.4mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.5mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.6mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.7mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.8mMである。いくつかの態様では、カルシウムイオンの濃度は約1.9mMである。
【0252】
いくつかの態様では、本開示に有用な培地は、(i)約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオンと、(ii)約0.5mM~約2.8mMの濃度でカルシウムとを含む。いくつかの態様では、培地は、(i)約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でNaClと、(iii)約0.5mM~約2.8mMの濃度でカルシウムとを含む。いくつかの態様では、培地は、(i)約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でNaClと、(iii)約10mM~約24mMの濃度でグルコースと、(iv)約0.5mM~約2.8mMの濃度でカルシウムとを含む。いくつかの態様では、培地は、(i)約40mM~約80mMの濃度でカリウムイオンと、(ii)約40mM~約80mMの濃度でNaClと、(iii)約10mM~約24mMの濃度でグルコースと、(iv)約0.5mM~約2.8mMの濃度でカルシウムと、(v)約250~260mOsm/Lの張度とを含む。
【0253】
II.A.6.サイトカイン
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はサイトカインを含む。いくつかの態様では、培地は、低張性である。いくつかの態様では、培地は、等張性である。いくつかの態様では、培地は高張性である。いくつかの態様では、サイトカインは、IL-2、IL-7、IL-15、IL-21、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はIL-2を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、IL-2及びIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地はIL-2とIL-21とIL-15とを含む。
【0254】
サイトカインは、任意の時点で培地に添加され得る。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞が培地に加えられる前に、サイトカインが培地に加えられる。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞操作の前に、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする構築物での形質導入前に、(i)本明細書に開示されている濃度(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)でカリウムと、(ii)サイトカインとを含む培地において培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞操作中に、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする構築物での形質導入中に、(i)本明細書に開示されている濃度(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)でカリウムと、(ii)サイトカインとを含む培地において培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞操作の後に、例えば、リガンド結合タンパク質をコードする構築物での形質導入後に、(i)本明細書に開示されている濃度(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)でのカリウムと、(ii)サイトカインとを含む培地において培養される。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞増殖の全体を通して、(i)本明細書に開示されている濃度(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)でカリウムと、(ii)サイトカインとを含む培地において培養される。
【0255】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7及びIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7及びIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオン及び(ii)IL-2を含み、代謝再プログラム化培地はIL-7及びIL-15を含まない。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオンと(ii)IL-2及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオンと(ii)IL-2及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオンと(ii)IL-2及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオンと(ii)IL-7及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオンと(ii)IL-7及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオンと(ii)IL-7及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約5mMのカリウムイオンと(ii)IL-15及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)40mMを超えるカリウムイオンと(ii)IL-15及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約50mMのカリウムイオンと(ii)IL-15及びIL-21とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は低張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は等張性である。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は更にNaClを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。
【0256】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は、約50IU/mL~約500IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLのIL-2を含む。
【0257】
したがって、いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約50IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約60IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約80IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)約90IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約100IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約125IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約150IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約175IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約200IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約225IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約250IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約275IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約300IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約350IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約400IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約450IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約500IU/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びIL-2を含む代謝再プログラム化培地は更に、約115nM未満の濃度でNaClを含む。
【0258】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLのIL-2を含む。
【0259】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約2ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約4ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約6ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約16ng/mL、少なくとも約17ng/mL、少なくとも約18ng/mL、少なくとも約19ng/mL、または少なくとも約20ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約2.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約3.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約4.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約6.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約7.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約8.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約9.0ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-2を含む。
【0260】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約50ng/mL~約600ng/mL、約50ng/mL~約500ng/mL、約50ng/mL~約450ng/mL、約50ng/mL~約400ng/mL、約50ng/mL~約350ng/mL、約50ng/mL~約300ng/mL、約100ng/mL~約600ng/mL、約100ng/mL~約500ng/mL、約100ng/mL~約450ng/mL、約100ng/mL~約400ng/mL、約100ng/mL~約350ng/mL、約100ng/mL~約300ng/mL、約200ng/mL~約500ng/mL、約200ng/mL~約450ng/mL、約200ng/mL~約400ng/mL、約200ng/mL~約350ng/mL、約200ng/mL~約300ng/mL、約250ng/mL~約350ng/mL、約300ng/mL~約600ng/mL、約300ng/mL~約500ng/mL、約300ng/mL~約450ng/mL、約300ng/mL~約400ng/mL、約300ng/mL~約350ng/mL、約250ng/mL~約300ng/mL、または約275ng/mL~約325ng/mLのIL-2を含む。
【0261】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約50ng/mL、少なくとも約60ng/mL、少なくとも約70ng/mL、少なくとも約80ng/mL、少なくとも約90ng/mL、少なくとも約100ng/mL、少なくとも約110ng/mL、少なくとも約120ng/mL、少なくとも約130ng/mL、少なくとも約140ng/mL、少なくとも約150ng/mL、少なくとも約160ng/mL、少なくとも約170ng/mL、少なくとも約180ng/mL、少なくとも約190ng/mL、少なくとも約200ng/mL、少なくとも約210ng/mL、少なくとも約220ng/mL、少なくとも約230ng/mL、少なくとも約240ng/mL、少なくとも約250ng/mL、少なくとも約260ng/mL、少なくとも約270ng/mL、少なくとも約280ng/mL、少なくとも約290ng/mL、少なくとも約300ng/mL、少なくとも約310ng/mL、少なくとも約320ng/mL、少なくとも約330ng/mL、少なくとも約340ng/mL、少なくとも約350ng/mL、少なくとも約360ng/mL、少なくとも約370ng/mL、少なくとも約380ng/mL、少なくとも約390ng/mL、少なくとも約400ng/mL、少なくとも約410ng/mL、少なくとも約420ng/mL、少なくとも約430ng/mL、少なくとも約440ng/mL、少なくとも約450ng/mL、少なくとも約460ng/mL、少なくとも約470ng/mL、少なくとも約480ng/mL、少なくとも約490ng/mL、少なくとも約500ng/mL、少なくとも約510ng/mL、少なくとも約520ng/mL、少なくとも約530ng/mL、少なくとも約540ng/mL、少なくとも約550ng/mL、少なくとも約560ng/mL、少なくとも約570ng/mL、少なくとも約580ng/mL、少なくとも約590ng/mL、または少なくとも約600ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約50ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約60ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約70ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約73.6ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約75ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約80ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約90ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約100ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約200ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約300ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約400ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約500ng/mLのIL-2を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約600ng/mLのIL-2を含む。
【0262】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は、約50IU/mL~約500IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、培養培地は、約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLのIL-21を含む。
【0263】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約50IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約60IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約80IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約90IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約100IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約125IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約150IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約175IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約200IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約225IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約250IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約275IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約300IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約350IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約400IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約450IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約500IU/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びIL-21を含む代謝再プログラム化培地は更に、約115nM未満の濃度でNaClを含む。
【0264】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLのIL-21を含む。
【0265】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約2ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約4ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約6ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約16ng/mL、少なくとも約17ng/mL、少なくとも約18ng/mL、少なくとも約19ng/mL、または少なくとも約20ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約2.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約3.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約4.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約6.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約7.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約8.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約9.0ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約15ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約20ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約25ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約30ng/mLのIL-21を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約35ng/mLのIL-21を含む。
【0266】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は、約500IU/mL~約1,500IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、培養培地は、約500IU/mL、約550IU/mL、約600IU/mL、約650IU/mL、約700IU/mL、約750IU/mL、約800IU/mL、約850IU/mL、約900IU/mL、約950IU/mL、約1,000IU/mL、約1,050IU/mL、約1,100IU/mL、約1,150IU/mL、約1,200IU/mL、約1,250IU/mL、約1,300IU/mL、約1,350IU/mL、約1,400IU/mL、約1,450IU/mL、または約1,500IU/mLのIL-7を含む。
【0267】
いくつかの態様では、本開示のために有用な代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約500IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約550IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約600IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約650IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約700IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約750IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約800IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約850IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約900IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約950IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,000IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,050IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,100IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,150IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,200IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,250IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,300IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,350IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,400IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,450IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約1,500IU/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びIL-7を含む代謝再プログラム化培地は更に、約115nM未満の濃度でNaClを含む。
【0268】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLのIL-7を含む。
【0269】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約2ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約4ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約6ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約16ng/mL、少なくとも約17ng/mL、少なくとも約18ng/mL、少なくとも約19ng/mL、または少なくとも約20ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約2.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約3.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約4.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約6.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約7.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約8.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約9.0ng/mLのIL-7を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-7を含む。
【0270】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は、約50IU/mL~約500IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、培養培地は約50IU/mL、約60IU/mL、約70IU/mL、約80IU/mL、約90IU/mL、約100IU/mL、約125IU/mL、約150IU/mL、約175IU/mL、約200IU/mL、約225IU/mL、約250IU/mL、約275IU/mL、約300IU/mL、約350IU/mL、約400IU/mL、約450IU/mL、または約500IU/mLのIL-15を含む。
【0271】
したがって、いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約50IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約60IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約70IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約80IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、(i)5mMよりも高い濃度のカリウムイオン及び(ii)約90IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約100IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約125IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約150IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約175IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約200IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約225IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約250IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約275IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約300IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約350IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約400IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約450IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)5mMよりも高い濃度でのカリウムイオン及び(ii)約500IU/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、カリウムイオン及びIL-15を含む代謝再プログラム化培地は更に、約115nM未満の濃度でNaClを含む。
【0272】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は約0.1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約20ng/mL、約1ng/mL~約15ng/mL、約1ng/mL~約14ng/mL、約1ng/mL~約13ng/mL、約1ng/mL~約12ng/mL、約1ng/mL~約11ng/mL、約1ng/mL~約10ng/mL、約1ng/mL~約9ng/mL、約1ng/mL~約8ng/mL、約1ng/mL~約7ng/mL、約1ng/mL~約6ng/mL、約1ng/mL~約5ng/mL、約1ng/mL~約4ng/mL、約1ng/mL~約3ng/mL、約1ng/mL~約2ng/mL、約5ng/mL~約15ng/mL、約5ng/mL~約10ng/mL、約10ng/mL~約20ng/mL、約10ng/mL~約15ng/mL、または約15ng/mL~約20ng/mLのIL-15を含む。
【0273】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約0.1ng/mL、少なくとも約0.2ng/mL、少なくとも約0.3ng/mL、少なくとも約0.4ng/mL、少なくとも約0.5ng/mL、少なくとも約0.6ng/mL、少なくとも約0.7ng/mL、少なくとも約0.8ng/mL、少なくとも約0.9ng/mL、少なくとも約1ng/mL、少なくとも約2ng/mL、少なくとも約3ng/mL、少なくとも約4ng/mL、少なくとも約5ng/mL、少なくとも約6ng/mL、少なくとも約7ng/mL、少なくとも約8ng/mL、少なくとも約9ng/mL、少なくとも約10ng/mL、少なくとも約11ng/mL、少なくとも約12ng/mL、少なくとも約13ng/mL、少なくとも約14ng/mL、少なくとも約15ng/mL、少なくとも約16ng/mL、少なくとも約17ng/mL、少なくとも約18ng/mL、少なくとも約19ng/mL、または少なくとも約20ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約1.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約2.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約3.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約4.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約5.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約6.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約7.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約8.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約9.0ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は少なくとも約10ng/mLのIL-15を含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は更にNaClを含み、カリウムイオン及びNaClの総濃度は110mM~140mMである。
【0274】
いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約30mM~少なくとも約100mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、40mMを超えるカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約45mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約50mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約55mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約60mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約65mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約70mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約75mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約80mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約85mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は、少なくとも約90mMのカリウムイオンと、約300ng/mLのIL-2と、約0.4ng/mLのIL-15とを含む。いくつかの態様では、代謝再プログラム化培地は(i)少なくとも約70mMのカリウムイオンと、(ii)約60mMのNaClと、(iii)約1.4mMのカルシウムと、(iv)約16mMのグルコースと、(v)約300ng/mLのIL-2と、(vi)約0.4ng/mLのIL-15とを含む。
【0275】
II.A.7.基礎培地
いくつかの態様では、基本培地は、平衡塩類溶液(例えば、PBS、DPBS、HBSS、EBSS)、ダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)、最小必須培地(MEM)、基本培地イーグル(BME)、F-10、F-12、RPMI1640、グラスゴー最小必須培地(GMEM)、アルファ最小必須培地(アルファMEM)、イスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)、M199、OPTMIZER(商標)CTS(商標)T細胞増殖基本培地(ThermoFisher)、OPTMIZER(商標)完全、IMMUNOCULT(商標)XF(STEMCELL(商標)Technologies)、IMMUNOCULT(商標)、AIM V、TEXMACS(商標)培地、PRIME-XV(登録商標)T細胞CDM、X-VIVO(商標)15(Lonza)、TRANSACT(商標)TIL増殖培地、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、基本培地はPRIME-XV T細胞CDMを含む。いくつかの態様では、基本培地は、OPTMIZER(商標)を含む。いくつかの態様では、基本培地は、OPTMIZER(商標)Proを含む。いくつかの態様では、基本培地は無血清である。いくつかの態様では、基本培地は、更に免疫細胞血清置換(ICSR)を含む。例えば、いくつかの態様では、基本培地は、ICSRで補完したOPTMIZER(商標)完全、ICSRで補完したAIM V、ICSRで補完したIMMUNOCULT(商標)XF、ICSRで補完したRPMI、ICSRで補完したTEXMACS(商標)、またはそれらの任意の組み合わせを含む。特定の態様では、基本培地はOPTMIZER(商標)完全を含む。
【0276】
いくつかの態様では、培地、例えば、MRMは、更に、約2.5%の血清補完剤(CTS(商標)Immune Cell SR,Thermo Fisher)、2mMのL-グルタミン、2mMのL-glutamax、MEM非必須アミノ酸溶液、Pen-strep、20μg/mlのfungin(商標)、ピルビン酸ナトリウム、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、培地は更に、O-アセチル-L-カルニチン塩酸塩を含む。いくつかの態様では、培地は更に、キナーゼ阻害剤を含む。
【0277】
いくつかの態様では、培地は更に、CD3アゴニストを含む。いくつかの態様では、CD3アゴニストは抗CD3抗体である。いくつかの態様では、抗CD3抗体はOKT-3を含む。
【0278】
いくつかの態様では、培地は更に、CD28アゴニストを含む。いくつかの態様では、CD28アゴニストは抗CD28抗体である。いくつかの態様では、培地は更に、CD27リガンド(CD27L)を含む。いくつかの態様では、培地は更に、4-1BBリガンド(4-1BBL)を含む。
【0279】
いくつかの態様では、本開示は、本明細書で開示されている培地を含む細胞培養物、本明細書で開示されている培地を含む細胞バッグ、または本明細書で開示されている培地を含む生物反応器を含む。
【0280】
II.B.細胞の供給源及び活性化
初代T細胞を含む本開示の免疫細胞(本明細書に記載されている方法を使用して改変及び培養することができる)は、末梢血単核細胞(PBMC)、骨髄、リンパ節組織、臍帯血、胸腺組織、感染部位からの組織、腹水、胸水、脾臓組織、及び/または腫瘍組織を含む、多数の組織源から得ることができる。PBMCを含む白血球は、周知の技法、例えば、FICOLL(商標)分離及び白血球除去によって他の血液細胞から単離され得る。白血球アフェレーシス産物は、典型的には、リンパ球(T及びB細胞を含む)、単球、顆粒球、及び他の有核白血球を含有する。T細胞は、例えば、PERCOLL(商標)勾配を介する遠心分離によって、または対向流遠心溶出法によって他の白血球から更に単離され得る。CD3+、CD25+、CD28+、CD4+、CD8+、CD45RA+、GITR+、及び/またはCD45RO+T細胞などのT細胞の特定の亜集団は、陽性選択または陰性選択の技法によって(例えば、蛍光に基づくまたは磁気に基づく細胞選別を使用して)更に単離され得る。例えば、T細胞は、Dynabeads(登録商標)、CELLection(商標)、DETACHaBEAD(商標)(Thermo Fisher)またはMACS(登録商標)細胞分離製品(Miltenyi Biotec)などの様々な市販の抗体結合ビーズのうちのいずれかと、所望のT細胞の陽性選択または不要な細胞の除去のための陰性選択に十分な時間インキュベートすることによって単離され得る。
【0281】
いくつかの例では、自己T細胞はがん治療後にがん患者から直接得られる。ある特定のがん治療、特に免疫系を損なう治療の後、治療の直後に収集されたT細胞の品質は、エクスビボで増殖する、及び/またはエクスビボで操作された後に移植するための改善された能力を有し得ることが観察された。
【0282】
遺伝子改変の前または後(例えば、本明細書に記載されている改変方法のいずれかを使用して)にかかわらず、T細胞は、例えば、米国特許第5,858,358号、同第5,883,223号、同第6,352,694号、同第6,534,055号、同第6,797,514号、同第6,867,041号、同第6,692,964号、同第6,887,466号、同第6,905,680号、同第6,905,681号、同第6,905,874号、同第7,067,318号、同第7,144,575号、同第7,172,869号、同第7,175,843号、同第7,232,566号、同第7,572,631号、及び同第10,786,533号に記載されている方法を使用して、概して、活性化及び増殖され得、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。概して、T細胞は、CD3/TCR複合体関連シグナルを刺激する薬剤及びT細胞の表面上の共刺激分子を刺激するリガンドに結合した表面との接触によってインビトロまたはエクスビボで増殖され得る。いくつかの態様では、T細胞集団は、例えば、抗CD3抗体もしくはその抗原結合断片、または表面上に不動化された抗CD3抗体との接触によって、またはカルシウムイオノフォアと併せたタンパク質キナーゼC活性化因子(例えば、ブリオスタチン)との接触などによって刺激され得る。T細胞の表面上のアクセサリー分子の共刺激については、アクセサリー分子に結合するリガンドが使用され得る。例えば、T細胞の集団を、T細胞の増殖を刺激するのに適切な条件下で抗CD3抗体及び抗CD28抗体と接触させることができる。CD4+T細胞またはCD8+T細胞のいずれかの増殖を刺激するために、抗CD3抗体及び抗CD28抗体が用いられ得る。いくつかの態様では、T細胞を、例えば、DYNABEADS(商標)、または市販のナノ粒子、例えばTRANSACT(商標)(Miltenyi Biotech)、またはその他の既知の活性化剤を使用して活性化し、増殖させる。
【0283】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている方法は、本明細書に記載されているように、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地(例えば、代謝再プログラム化培地)において、ヒト免疫細胞(例えば、c-Junタンパク質の発現レベルを増加させるように改変されたT細胞及び/またはNK細胞)をプログラム可能な細胞シグナル伝達足場(PCS)と接触させることを含む。プログラム可能な細胞シグナル伝達足場(PCS)の非限定的な例は、WO2018/013797及びChung et al.(Nature Biotechnology 36(2):160-169(2018)に記載されており、これらの内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、本開示のプログラム可能な細胞シグナル伝達足場は、高表面積のメソ孔のシリカマイクロロッド(MSR)を含む第1の層と;第1層をコーティングする脂質を含む第2の層と;足場上に搭載された複数の機能性分子とを含む。いくつかの態様では、機能性分子には、T細胞を活性化する刺激分子(T細胞活性化分子)が含まれるが、これに限定されない。いくつかの態様では、刺激分子は、T細胞受容体複合体の構成要素を結合する及び/またはクラスター化することによってT細胞を活性化する。いくつかの態様では、刺激分子は抗CD3抗体またはその抗原結合部分を含む。いくつかの態様では、機能性分子には1つ以上の共刺激抗原に特異的に結合する1つ以上の共刺激分子が含まれる。共刺激分子の代表的な例には、CD28、4-1BB(CD137)、OX40(CD134)、CD27(TNFRSF7)、GITR(CD357)、及び/またはCD30(TNFRSF8)に特異的に結合する分子が挙げられるが、これらに限定されない。そのような足場は、抗原提示細胞(APC)に一般的に関連付けられている機能を模倣することができ、これによって、足場は標的細胞に対して様々な機能を誘発、例えば、T細胞のエフェクター機能を誘発することができる。本明細書で企図されているように、いくつかの態様では、足場は、標的細胞(例えば、T細胞)に存在する細胞表面分子と足場によって提示される様々な機能分子との間の直接的または間接的な相互作用を介してこれらの効果に介在する。いくつかの態様では、足場は、足場自体の物理的または化学的な特性を介して、標的細胞(例えば、T細胞)の生存、標的化された細胞(例えば、T細胞)の増殖、及び/または標的細胞(例えば、T細胞)の機能を調節する。
【0284】
II.C.細胞
本開示はまた、参照細胞(例えば、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する細胞)と比べて増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現する改変された細胞も提供する。いくつかの態様では、細胞は自然にc-Junタンパク質を発現しないが、c-Junタンパク質を発現するように改変されている。いくつかの態様では、細胞は、自然にc-Junタンパク質を発現することができるが、内在性増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されている。いくつかの態様では、細胞は自然にc-Junタンパク質を発現することができるが、内在性c-Junタンパク質の発現を増やすように改変されている。別途指示されない限り、「c-Jun過剰発現」(またはその派生語)はそのような改変された細胞うちのいずれかを含む。本明細書に記載されているように、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して本明細書に記載されている細胞を改変することができる。
【0285】
いくつかの態様では、本開示に有用な細胞は、目的のタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列を含むように改変されているので、コードされたタンパク質は細胞にて発現される。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、改変後、コードされたタンパク質の発現は、参照細胞(例えば、外来性ヌクレオチド配列を含むように改変されていない対応する細胞)と比べて増加する。いくつかの態様では、本明細書に記載されている細胞は、目的の様々なタンパク質(例えば、キメラ結合タンパク質、c-Junポリペプチド、及び/またはEGFRt)をコードする複数の外来性ヌクレオチド配列を含むように改変されている。複数の外来性ヌクレオチド配列が関与する場合、いくつかの態様では、複数の外来性ヌクレオチド配列は、単一のポリシストロン性ポリヌクレオチドの一部であることができる。
【0286】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている細胞は、細胞における目的のタンパク質(例えば、c-Jun)の内在性発現を誘導する及び/または増加させることができる転写活性化因子で改変されている。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、改変後、タンパク質の内在性発現は、参照細胞(例えば、転写活性化因子で改変されていない対応する細胞)と比べて増加する。本明細書で使用されるとき、「転写活性化因子」という用語は、遺伝子または遺伝子セットの転写を(例えば、核酸配列のエンハンサーまたはプロモーターの近位要素に結合し、それによってその転写を誘導することによって)増加させるタンパク質を指す。本開示とともに使用され得るそのような転写活性化因子の非限定的な例としては、転写活性化因子様エフェクター(TALE)ベースの転写活性化因子、ジンクフィンガータンパク質(ZFP)ベースの転写活性化因子、クラスター化して規則的な配置の短い回文配列リピート(CRISPR)/CRISPR関連タンパク質(Cas)システムベースの転写活性化因子、またはそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、Kabadi et al.,Methods 69(2):188-197(Sep.2014)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0287】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている細胞は、CRISPR/Casシステムベースの転写活性化因子、例えば、CRISPR活性化(CRISPRa)で改変されている。例えば、Nissim et al.,Molecular Cell 54:1-13(May 2014)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。CRISPRaは、エンドヌクレアーゼ活性を欠くが、そのガイドRNA及び標的DNA核酸配列に結合する能力を保持する改変されたCasタンパク質の使用を含むCRISPRツールの一種である。本開示とともに使用され得るそのような改変されたCasタンパク質の非限定的な例は、当該技術分野で既知である。例えば、Pandelakis et al.,Cell Systems10(1):1-14(Jan.2020)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、改変されたCasタンパク質は、改変されたCas9タンパク質(当該技術分野では「dCas9」とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様では、改変されたCasタンパク質は、改変されたCas12aタンパク質を含む。いくつかの態様では、本開示に有用な改変されたCasタンパク質は、ガイドポリヌクレオチド(例えば、低分子ガイドRNA)に結合し(「改変されたCasガイド複合体」)、ガイドポリヌクレオチドは、目的のタンパク質(例えば、c-Jun)をコードする核酸配列の領域に相補的である認識配列を含む。いくつかの態様では、ガイドポリヌクレオチドは、目的のタンパク質をコードする内在性核酸配列のプロモーター領域に相補的な認識配列を含む。いくつかの態様では、1つ以上の転写活性化因子は、改変されたCasガイド複合体が細胞に導入された場合に、1つ以上の転写活性化因子が、核酸配列の調節要素(例えば、プロモーター領域)に結合することができ、それによって、コードされたタンパク質(例えば、c-Jun)の発現が誘導され、及び/または増加するように、改変されたCasガイド複合体(例えば、改変されたCasタンパク質のN末端及び/またはC末端)に結合されている。いくつかの態様では、1つ以上の転写活性化因子は、内在性遺伝子の調節要素(例えば、プロモーター領域)に結合することができ、それによって、コードされたタンパク質(例えば、c-Jun)の発現を誘導する及び/または増加させることができる。使用され得る一般的な活性化因子の非限定的な例としては、RNAPのオメガサブユニット、VP16、VP64及びp65が挙げられる。例えば、Kabadi and Gersbach,Methods 69:188-197(2014)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0288】
いくつかの態様では、1つ以上の転写リプレッサー(例えば、Kruppel関連ボックスドメイン(KRAB))は、細胞に導入された場合に、1つ以上の転写リプレッサーが、遺伝子、例えば、c-Junの発現を妨害し得る遺伝子(例えば、Bach2)の転写を抑制または低減するように、改変されたCasガイド複合体(例えば、改変されたCasタンパク質のN及び/またはC末端)に結合され得る。例えば、US2020/0030379(A1)及びYang et al.,J Transl Med19:459(2021)を参照されたく、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、本開示に有用な改変されたCasタンパク質は、1以上の転写活性化因子及び1以上の転写リプレッサーの双方に結合し得る。
【0289】
いかなる理論にも束縛されるものではないが、いくつかの態様では、そのような改変されたCasタンパク質の使用は、目的の遺伝子の条件付き転写及び発現を可能にすることができる。例えば、いくつかの態様では、細胞(例えば、T細胞)は、プロテアーゼ(例えば、タバコエッチウイルス(TEV))及びc-Junのプロモーター領域を標的とする単一ガイドRNA(sgRNA)に連結されているリガンド結合タンパク質(例えば、本明細書に記載されているCARまたはTCR)を含むように改変されている。いくつかの態様では、細胞は、リンカー(例えば、TEV切断可能リなンカー)を介して転写活性化因子(例えば、dCas9-VP64-p65-Rta転写活性化因子(VPR))に結合された改変されたCasタンパク質に複合体化された、T細胞の活性化のためのリンカー(LAT)を更に含むように改変されている。リガンド結合タンパク質が活性化されると、改変されたCasタンパク質が核局在化のために放出され、c-Junの発現を条件付きかつ可逆的に誘導する。Yang et al.,J Immunother Cancer 9(Suppl2):A164(2021)これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0290】
当業者には明らかなように、いくつかの態様では、本明細書に記載されている細胞は、複数のアプローチの組み合わせを使用して改変されている。例えば、いくつかの態様では、細胞は、(i)1つ以上のタンパク質(例えば、キメラ結合タンパク質及びEGFRt)をコードする外来性ヌクレオチド配列、及び(ii)内在性タンパク質(例えば、c-Jun)の発現を増加させる外来性転写活性化因子(例えば、CRISPRa)を含むように改変されている。いくつかの態様では、細胞は、(i)第1のタンパク質(例えば、キメラ結合タンパク質)をコードする外来性ヌクレオチド配列と、(ii)第2のタンパク質(例えば、c-Junタンパク質)をコードする外来性ヌクレオチド配列とを含むように改変されている。いくつかの態様では、改変された細胞は更に、第3のタンパク質(例えば、EGFRt)をコードする外来性ヌクレオチド配列を含み得る。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、第1、第2及び第3のタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列は、単一のポリシストロン性ベクターの一部であることができる。
【0291】
別途示されない限り、1つ以上の外来性ヌクレオチド配列及び/または転写活性化因子は、当該技術分野で既知の任意の好適な方法を使用して細胞内に導入され得る。1つ以上の外来性ヌクレオチド配列を細胞に送達するための好適な方法の非限定的な例としては、形質移入(形質転換及び形質導入としても知られる)、エレクトロポレーション、非ウイルス送達、ウイルス形質導入、脂質ナノ粒子送達、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
【0292】
いくつかの態様では、本開示の免疫細胞(本明細書に記載されている方法を使用して改変及び培養され得る)は、例えば、インビトロまたはエクスビボで培養する前にヒト対象から単離される。いくつかの態様では、免疫細胞は他家細胞療法のためにヒト対象から単離される。いくつかの態様では、免疫細胞は自家細胞療法のためにヒト対象から単離される。いくつかの態様では、免疫細胞は、T細胞(例えば、CD4+T細胞及び/またはCD8+T細胞)である。いくつかの態様では、免疫細胞はNK細胞である。いくつかの態様では、免疫細胞はTregである。
【0293】
いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って培養前に操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、本明細書に開示されている方法に従って培養後に操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、細胞操作の前に、細胞操作中に、及び細胞操作の後に、本明細書に開示されている方法に従って、例えば、少なくとも5mM(例えば、5mMよりも高い、例えば、約40mM~約80mM)のカリウムイオンを含む低張性培地または等張性培地において培養される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)を発現するように操作される。いくつかの態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、操作されたT細胞受容体(TCR)を発現するように操作される。特定の態様では、細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を本明細書に開示されている条件下で、例えば、少なくとも約5mMのカリウムイオンを含む低張性培地または等張性培地において培養することにより、より高い形質導入効率がもたらされる。いくつかの態様では、形質導入効率は、4mM以下のカリウムイオンを含む培地において培養された細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞と比べて、本明細書に開示されている方法に従って、少なくとも約60mMのカリウムイオンを含む低張性培地または等張性培地において培養された細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞では、少なくとも約2倍高い。いくつかの態様では、形質導入効率は、4mM以下のカリウムイオンを含む培地において培養された細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞と比べて、本明細書に開示されている方法に従って、少なくとも約65mMのカリウムイオンを含む低張性培地または等張性培地において培養された細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞では、少なくとも約2.5倍高い。
【0294】
本開示から明らかなように、いくつかの態様では、本開示に有用な免疫細胞(例えば、本明細書に提供されている方法を使用して改変及び培養された)は、当該技術分野で既知である任意の好適な免疫細胞を含む。更に、本開示の他の箇所に更に記載されているように、本開示の免疫細胞は、それらが自然界に天然に存在する対応する免疫細胞とは異なるように改変されている。例えば、本明細書に記載されている免疫細胞は、免疫細胞の独特な特性を付与するのに役立つ1つ以上のタンパク質を発現するように改変されている。具体的には、いくつかの態様では、本明細書で提供されている改変された免疫細胞は、参照細胞(例えば、本明細書に記載されているように改変されていない対応する免疫細胞)と比べて、c-Junタンパク質を増加したレベルで発現する。いくつかの態様では、本明細書に記載されている改変された免疫細胞は、免疫細胞では自然に発現されないキメラ結合タンパク質(例えば、CAR)も発現する。本開示から明らかなように、いくつかの態様では、キメラ結合タンパク質は、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ポリヌクレオチドで細胞を改変することによって細胞において発現され得る。外来性ポリヌクレオチドによってコードされ、免疫細胞で発現され得る追加のタンパク質については、本開示の他の箇所で説明されている。そのようなポリヌクレオチドに関する非限定的な開示は以下に提供されている。
【0295】
II.C.1.c-Junをコードするポリヌクレオチド
本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、本明細書に提供されている方法を使用して改変及び培養された)は、c-Junタンパク質を含むか、またはc-Junタンパク質を発現することができる。免疫細胞がc-Junタンパク質を天然に発現できる場合、いくつかの態様では、内在性c-Junタンパク質の発現が誘導され、それによって、タンパク質の増加または過剰発現を生じる。細胞におけるc-Junタンパク質の発現(または過剰発現)を誘導する際に、いくつかの態様では、c-Junタンパク質が外から加えられる。いくつかの態様では、c-Junタンパク質は細胞にて組換え発現される。例えば、いくつかの態様では、本明細書に記載されている細胞は、改変された細胞におけるc-Junタンパク質の発現が、参照細胞(例えば、外来性ポリヌクレオチドを含むように改変されていない対応する細胞)と比べて増加するように、c-Junタンパク質をコードするヌクレオチド配列(本明細書では「c-Junヌクレオチド配列」とも称される)を含む外来性ポリヌクレオチドを含むように(例えば、遺伝的に)改変または操作されている。いくつかの態様では、細胞は、内在性c-Junタンパク質の発現が参照細胞(例えば、転写活性化因子で改変されていない対応する細胞)と比べて増加するように、転写活性化因子(例えば、CRISPR/Casシステムに基づく転写活性化因子、例えば、CRISPRa)で改変されている。
【0296】
いくつかの態様では、改変(例えば、外から導入されるc-Junヌクレオチド配列及び/または転写活性化因子の導入)に起因して、操作された細胞はc-Junタンパク質を過剰発現する、すなわち、そのような改変がない対応する細胞(「参照細胞」)よりも高いレベル(例えば、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、または100%多く、または少なくとも1.5、2、3、4、5、または10倍多く)のc-Junタンパク質を発現する。「の高いレベル[もしくは量」を発現する」、「過剰発現する」、または「の高い発現を有する」という用語(及び本明細書で使用される語句の類似の形態)は相互交換可能に使用される。
【0297】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている操作された(または改変された)細胞は、参照細胞よりも少なくとも約2~100倍多く、約5~50倍多く、約5~40倍多く、約5~30倍多く、約5~20倍多く、約8~20倍多く、または約10~20倍多くのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、本明細書に記載されている改変された細胞におけるc-Junタンパク質の発現は参照細胞におけるc-Junタンパク質の発現と比べて、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0298】
更に、本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本開示の培養培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)は、改変された細胞におけるc-Junタンパク質(または任意の他の目的のタンパク質)の発現を更に増加させるのにも役立つことができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供されている方法を使用して培養された場合、改変された細胞におけるc-Junタンパク質の発現(例えば、c-Junタンパク質及び/または内在性c-Junタンパク質の発現を増加させることができる転写活性化因子をコードする外来性ヌクレオチド配列の導入の結果生じる)は、更に、参照細胞におけるc-Junタンパク質の発現と比べて、少なくとも0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供されている方法は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドで免疫細胞(例えば、T細胞)を改変することを含み、改変後、免疫細胞におけるc-Junポリペプチドの発現は、参照細胞と比べて増加する。いくつかの態様では、免疫細胞は別の培地にて外来性ポリヌクレオチドで改変され、その後、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地に移され、培養され得る。
【0299】
本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、参照細胞は、以下のうちのいずれかを含み得る:(i)改変されておらず、培養培地で培養されていない(すなわち、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない、例えば、TCM)対応する細胞、(ii)改変されているが、培養培地で培養されていない対応する細胞、(iii)改変されていないが、培養培地で培養された対応する細胞、または(iv)(i)、(ii)、及び(iii)の任意の組み合わせ。
【0300】
本開示から明らかなように、いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、本明細書で提供されている方法を使用して培養された)は、c-Junタンパク質の量の増加と組み合わせて1つ以上の追加の導入遺伝子を発現するように改変されている。例えば、いくつかの態様では、本開示に有用な免疫細胞は、以下を含む:(i)c-Junポリペプチドをコードする第1の外来性ヌクレオチド配列、及び(ii)キメラ結合タンパク質をコードする第2の外来性ヌクレオチド配列。いくつかの態様では、第1及び第2のヌクレオチド配列は、単一のポリヌクレオチド(本明細書では「ポリシストロン性ポリヌクレオチド」と呼ばれる)の一部である。そのようなポリシストロン性ポリヌクレオチドの非限定的な例については、以下で更に記載されている。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、免疫細胞のそのような改変は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において生じる。いくつかの態様では、免疫細胞は、参照培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない培地)において改変され、その後、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において培養される。いくつかの態様では、T細胞は、改変前に5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にて培養することができる。いくつかの態様では、改変されたT細胞は更に、改変後に5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地中にて培養することができる。いくつかの態様では、免疫細胞は、本明細書に記載されているものなどの1つ以上の導入遺伝子をコードする外来性ヌクレオチド配列での改変の前、改変中、及び改変後に、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において培養される。
【0301】
c-Junは、活性化因子タンパク質-1(AP-1)ファミリーに属する発がん性転写因子である。これは、様々なタンパク質(例えば、c-Fos)と相互作用して、細胞増殖及び腫瘍進行を含む多様な範囲の細胞シグナル伝達経路を調節する二量体複合体を形成する。したがって、ある特定のがんでc-Jun発現の増加が観察され、そのようながんを治療するためのc-Junアンタゴニストの開発に大きな関心が寄せられてきた。例えば、Brennan,A.,et al.,J Exp Clin Cancer Res 39(1):184(Sep.2020)を参照されたい。
【0302】
ヒトでは、c-Junタンパク質は、第1染色体(GenBankアクセッション番号NC_000001.11のヌクレオチド58,780,791~58,784,047、マイナス鎖方向)に位置するJUN遺伝子によってコードされる。JUN遺伝子、及びそのコードされるタンパク質の同義語が知られており、これらとしては、「Junがん原遺伝子、AP-1転写因子サブユニット」、「v-Junトリ肉腫ウイルス17がん遺伝子ホモログ」、「転写因子AP-1」、「Junがん遺伝子」、「AP-1」、「Jun活性化ドメイン結合タンパク質」、「p39」、及び「エンハンサー結合タンパク質AP1」が挙げられる。野生型ヒトc-Junタンパク質配列は、331アミノ酸長である。野生型ヒトc-Junのアミノ酸配列及び核酸配列をそれぞれ表1及び表2に示す。
【0303】
野生型ヒトc-Jun(UniProt識別子:P05412-1)タンパク質配列は、331アミノ酸長(配列番号13)である。アミノ酸配列及び核酸配列をそれぞれ表1及び表2に示す。
【表1】
【表2-1】
【表2-2】
【0304】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている免疫細胞は、配列番号12に示される野生型ヌクレオチド配列のような野生型c-Junタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列を含むように改変されている。あるいは、いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞は、免疫細胞の疲弊を防止及び/または軽減する能力を保持する変異型c-Junタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列を含むように改変される。いくつかの態様では、本明細書で開示されている免疫細胞上で発現され得る変異型c-Junタンパク質は、野生型c-Junタンパク質(配列番号13)のC末端のアミノ酸残基(例えば、C末端の50、75、100、150、200、もしくは250以上の残基)、C末端部分(例えば、4分の1、3分の1、もしくは半分)、またはC末端ドメイン(例えば、イプシロン、bZIP、及びそのアミノ酸のC末端)と少なくとも約70%(例えば、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%)の配列同一性を含む。いくつかの態様では、野生型c-Jun(すなわち、配列番号13)のN末端のアミノ酸残基(例えば、N末端の50、75、100、もしくは150以上)、N末端部分(例えば、4分の1、3分の1、もしくは半分)、またはN末端ドメイン(例えば、デルタ、トランス活性化ドメイン、及びそのアミノ酸のN末端)を欠失させる、変異させる、またはそうでなければ不活性化する。いくつかの態様では、c-Junは変異型ヒトc-Junであり、任意でそのトランス活性化ドメインまたはデルタドメインに不活性化変異を含む。いくつかの態様では、c-Jun変異体は、S63A及びS73Aの変異を含む。いくつかの態様では、c-Jun変異体は、野生型c-Jun(配列番号13)と比べて残基2と102との間に欠失を含む。いくつかの態様では、c-Jun変異体は、野生型c-Jun(配列番号13)と比べて残基30と50との間に欠失を含む。いくつかの態様では、変異型c-Junは、野生型ヒトc-Jun(配列番号13)と比べて(i)S63A及びA73Aの変異、または(ii)残基2と102との間、もしくは残基30と50との間に欠失を含む。本開示に有用な変異型c-Junタンパク質の非限定的な例は、US2019/0183932(A1)及びUS2017/0037376(A1)に提供されており、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0305】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞は、c-Junポリペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列を含むように改変されており、外来性ヌクレオチド配列は、配列番号1~11に示される核酸配列のうちのいずれか1つに対して少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junタンパク質をコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号1~11のうちのいずれか1つに示される核酸配列を含む。
【0306】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号1に示される核酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号1に示される核酸配列に対して少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号1に示される核酸配列を含む。
【0307】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号2に示される核酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号2に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号2に示される核酸配列を含む。
【0308】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号3に示される核酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号3に示される核酸配列に対して少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号3に示される核酸配列を含む。
【0309】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号4に示される核酸配列に対して少なくとも50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号4に示される核酸配列に対して少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号4に示される核酸配列を含む。
【0310】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号5に示される核酸配列に対して少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号5に示される核酸配列に対して少なくとも約79%、少なくとも約80%、少なくとも約81%、少なくとも約82%、少なくとも約83%、少なくとも約84%、少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号5に示される核酸配列を含む。
【0311】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号6に示される核酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号6に示される核酸配列に対して少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号6に示される核酸配列を含む。
【0312】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号7に示される核酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号7に示される核酸配列に対して少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号7に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0313】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号8に示される核酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号8に示される核酸配列に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号8に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0314】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号9に示される核酸配列に対して少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号9に示される核酸配列に対して少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドは、配列番号9に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0315】
いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号10に示される核酸配列に対して少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、配列番号10に示される核酸配列に対して少なくとも85%、少なくとも86%、少なくとも87%、少なくとも88%、少なくとも89%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列同一性を有する。いくつかの態様では、外来性ヌクレオチドは、配列番号10に示されるヌクレオチド配列を含む。
【0316】
例示的なc-Junのヌクレオチド配列を(下記)表3に示す。
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【0317】
本明細書に開示されるc-Junヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用してコドン最適化され得る。例えば、いくつかの態様では、本明細書に開示されるc-Junヌクレオチド配列のコドンは、野生型ヌクレオチド配列(例えば、配列番号11)と比べて、以下のパラメータのうちの1つ以上を改変(例えば、増加または減少)するように最適化されている:(i)コドン適応指数(すなわち、コドン使用バイアス)、(ii)グアニン-シトシン(GC)ヌクレオチド含有量、(iii)mRNA二次構造及び不安定モチーフ、(iv)反復配列(例えば、直接反復、反転反復、二重反復)、(v)制限酵素認識部位、または(vi)それらの組み合わせ。
【0318】
いくつかの態様では、本明細書で提供されているc-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチドは、野生型c-Junヌクレオチド配列(例えば、配列番号11)で形質移入された細胞における対応する発現と比べて、免疫細胞(例えば、ヒト免疫細胞)に形質移入されたか、形質導入されたか、または他の方法で導入された場合に、コードされるc-Junタンパク質の発現を増加させることができる。いくつかの態様では、外来性ポリヌクレオチドを含むように改変した免疫細胞におけるc-Junタンパク質の発現は、野生型c-Junヌクレオチド配列(配列番号11)で発現するように形質移入されたか、形質導入されたか、またはそうでなければ遺伝子改変された細胞における対応する発現と比べて、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0319】
上記に提供されている特定の開示は一般的には、c-Junタンパク質(野生型c-Junまたはその変異型)をコードする外来性ヌクレオチド配列を含むように免疫細胞を改変することに関する一方で、細胞にてc-Junタンパク質の発現(野生型またはその変異体のいずれか)を誘導する及び/または増加させるのに他の好適な方法を使用できることは当業者には明らかである。例えば、本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、内在性c-Junタンパク質の発現は、転写活性化因子(例えば、CRISPRa)で増加し得る。別途示されない限り、外来性ヌクレオチド配列を使用する上記に提供されている開示は、本明細書で提供されている細胞におけるc-Junタンパク質発現を誘導及び/または増加させる他のアプローチ(例えば、転写活性化因子、例えば、CRISPRa)にも同様に適用される。
【0320】
いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加は、免疫細胞(例えば、CD4+及び/またはCD8+T細胞のようなT細胞)の1つ以上の特性を改善及び/または増強し得る。そのような特性の非限定的な例としては、疲弊に対する耐性(例えば、PD-1、CD39、TIM-3、及び/またはLAG-3などの疲弊マーカーの発現の低減、存続性/生存の増加、機能不全状態の発症の遅延、及び/またはサイトカイン(例えば、IFN-γ及び/またはIL-2)産生の増加によって示される)、増殖(expansion)/増殖(proliferation)の増加、抗原感受性の増大、エフェクター機能の改善、特に反復抗原刺激後のエフェクター機能の改善(例えば、抗原刺激時のサイトカイン産生、標的抗原を発現する細胞の溶解、または双方)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0321】
疲弊、細胞表現型、存続性、細胞傷害性及び/または殺傷、増殖、サイトカインの産生/放出、及び遺伝子発現プロファイルを測定するために有用なアッセイは、当該技術分野で既知であり、それらには、例えば、フローサイトメトリー、細胞内サイトカイン染色(ICS)、INCUCYTE(登録商標)免疫細胞殺傷分析、Meso Scale Discovery(MSD)または同様のアッセイ、持続的抗原刺激アッセイ、バルク及び単一細胞RNAseq(例えば、Fron Genet.2020;11:220;2019 Bioinformatics 35:i436-445;2019 Annual Review of Biomed.Data Sci.2:139-173を参照のこと)、細胞傷害性/殺傷アッセイ、ELISA、ウェスタンブロットならびに本明細書で記載されているか、または、例えば、Current Protocols in Molecular Biology or Current Protocols in Immunology(John Wiley&Sons,Inc.,1999-2021)に記載されている、他の標準的な分子生物学及び細胞生物学の方法、あるいはその他の方法が挙げられる。
【0322】
いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加は、疲弊に対する免疫細胞の耐性を増加させる。いくつかの態様では、疲弊に対する耐性は、参照細胞(例えば、c-Junタンパク質発現が増加するように改変されていない対応する細胞)と比べて、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0323】
いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加によって疲弊した細胞の疲弊を軽減することができる。いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加は、例えば、本明細書に記載されている1つ以上のアッセイを使用して測定された場合、参照細胞(例えば、c-Junタンパク質の発現が増加するように改変されていない対応する疲弊細胞)と比べて、疲弊を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少させ得る。
【0324】
いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加によって細胞にて疲弊の開始が遅延する。いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加は、例えば、本明細書に記載されている1つ以上のアッセイを使用して測定された場合、参照細胞(例えば、c-Junタンパク質の発現が増加するように改変されていない対応する細胞)と比べて、疲弊の発症を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%遅延させる。いくつかの態様では、c-Junタンパク質の高い発現は疲弊の開始を少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約7日、少なくとも約8日、少なくとも約9日、少なくとも約10日、少なくとも約11日、少なくとも約12日、少なくとも約13日、または少なくとも約14日以上遅延させる。
【0325】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている細胞における1つ以上の疲弊マーカー(例えば、TIGIT、PD-1、TIM-3、及び/またはLAG-3)の発現は、参照細胞(例えば、c-Junタンパク質の発現が増加するように改変されていない対応する細胞)と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%減少する。
【0326】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている細胞における1つ以上の疲弊マーカー(例えば、TIGIT、PD-1、TIM-3、及び/またはLAG-3)の発現は、参照細胞(例えば、c-Junを過剰発現するように改変されていない対応する細胞)と比べて、少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約2.5倍、少なくとも約3.0倍、少なくとも約3.5倍、少なくとも約4倍、少なくとも約4.5倍、少なくとも約5倍、少なくとも約10倍、少なくとも約15倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約55倍、少なくとも約60倍、少なくとも約65倍、少なくとも約70倍、少なくとも約75倍、少なくとも約80倍、少なくとも約85倍、少なくとも約90倍、少なくとも約95倍、または少なくとも約100倍以上減少する。
【0327】
いくつかの態様では、免疫細胞の集団(例えば、本明細書に提供されている方法を使用して改変及び培養された)の疲弊状態は、免疫細胞集団内の所与の疲弊マーカー(例えば、TIGIT、PD-1、TIM-3、及び/またはLAG-3)を発現する細胞の量(例えば、数及び/または割合)を定量することによって決定され得る。例えば、免疫細胞集団が増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されている(例えば、キメラ結合タンパク質と組み合わせて)場合、本明細書に記載されているように改変されていない対応する免疫細胞集団の量と比べて、所与の疲弊マーカーを発現する細胞の量(例えば、数及び/または割合)は、低減する。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載されている改変した免疫細胞の集団にて所与の疲弊マーカーを発現する細胞の量は、本明細書に記載されているように改変されなかった免疫細胞の対応する集団における量と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%低下する。
【0328】
いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加は、例えば、インビボで対象に投与される場合、免疫細胞の存続性/生存を増加することができる。いくつかの態様では、参照細胞(例えば、c-Junタンパク質の発現を増加するように改変されなかった対応する細胞)と比べて、細胞の存続性/生存は、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0329】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞の存続性/生存期間は、本明細書に記載されているように改変されなかった免疫細胞の対応する集団における量と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%増加する。
【0330】
したがって、いくつかの態様では、本開示の免疫細胞は、改変及び培養後、免疫細胞の存続性/生存が参照細胞と比べて増加するように、c-Junを過剰発現するように(例えば、c-Junポリペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列及び/または内在性c-Junの発現を増加させることができる転写活性化因子で)改変されており、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地で培養される。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、参照細胞は、(i)c-Junを過剰発現するように改変されていないが、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において培養されたか、(ii)c-Junを過剰発現するように改変されているが、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において培養されていないか、または(iii)(i)と(ii)との双方である、対応する免疫細胞を含む。
【0331】
いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加は、例えば、抗原刺激の際に免疫細胞の増殖(expansion)/増殖(proliferation)を増加させ得る。いくつかの態様では、細胞の増殖(expansion)/増殖(proliferation)は、参照細胞(例えば、c-Junタンパク質の発現を増加させるように改変されなかった対応する細胞)と比べて、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0332】
いくつかの態様では、免疫細胞の増殖(expansion)/増殖(proliferation)は、例えば、抗原刺激の際、本明細書に記載されているように改変されなかった免疫細胞の対応する集団における量と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%増加する。
【0333】
したがって、いくつかの態様では、本開示の免疫細胞は、改変及び培養後、免疫細胞の増殖(expansion)/増殖(proliferation)が参照細胞と比べて増加するように、c-Junを過剰発現するように(例えば、c-Junポリペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列及び/または内在性c-Junの発現を増加させることができる転写活性化因子で)改変されており、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地で培養される。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、参照細胞は、(i)c-Junを過剰発現するように改変されていないが、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において培養されたか、(ii)c-Junを過剰発現するように改変されているが、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において培養されていないか、または(iii)(i)と(ii)との双方である、対応する免疫細胞を含む。
【0334】
いくつかの態様では、c-Junタンパク質の発現の増加は、細胞のエフェクター機能、例えば、サイトカイン(例えば、IFN-γ、TNF-α及び/またはIL-2)の産生、グランザイム放出、及び/または細胞傷害性を増加させ得る。いくつかの態様では、エフェクター機能の増加は持続的抗原刺激に反応したものである。本明細書で使用されるとき「持続的抗原刺激」または「慢性抗原刺激」という用語は、免疫細胞が刺激される、または活性化されるように免疫細胞(例えば、T細胞)がその同族抗原に繰り返しさらされることを指す。いくつかの態様では、持続的抗原刺激は、同族抗原に免疫細胞(例えば、T細胞)を少なくとも約1日間、少なくとも約2日間、少なくとも約3日間、少なくとも約4日間、少なくとも約5日間、少なくとも約6日間、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1か月間、少なくとも約2か月間、少なくとも約3か月間、少なくとも約4か月間、少なくとも約5か月間、少なくとも約6か月間、少なくとも約7か月間、少なくとも約8か月間、少なくとも約9か月間、少なくとも約10か月間、少なくとも約11か月間、または少なくとも約1年間さらすことを含む。いくつかの態様では、持続的抗原刺激は継続的であることができる。いくつかの態様では、持続的抗原刺激は、複数回の抗原刺激を含むことができ、各回の抗原刺激の後に非抗原刺激期間が続く。いくつかの態様では、持続的抗原刺激は、少なくとも約2回、少なくとも約3回、少なくとも約4回、少なくとも約5回、または少なくとも約6回以上の抗原刺激回数を含む。本開示から明らかであり、当該技術分野で既知のように、免疫細胞に対するそのような持続的抗原刺激は、免疫細胞の疲弊につながることができる。
【0335】
いくつかの態様では、細胞のエフェクター機能は、参照細胞(例えば、c-Junタンパク質の発現を増加させるように改変されなかった対応する細胞)と比べて、少なくとも約0.5倍、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約12倍、少なくとも約14倍、少なくとも約16倍、少なくとも約18倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、または少なくとも約50倍増加する。
【0336】
いくつかの態様では、参照細胞と比べて、c-Junタンパク質の高い発現は細胞のエフェクター機能を少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%増加させることができる。
【0337】
したがって、いくつかの態様では、本開示の免疫細胞は、改変及び培養後、例えば、持続的抗原刺激に応答して免疫細胞のエフェクター機能が参照細胞と比べて増加するように、c-Junを過剰発現するように(例えば、c-Junポリペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列及び/または内在性c-Junの発現を増加させることができる転写活性化因子で)改変されており、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地で培養される。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、参照細胞は、(i)c-Junを過剰発現するように改変されていないが、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において培養されたか、(ii)c-Junを過剰発現するように改変されているが、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地において培養されていないか、または(iii)(i)と(ii)との双方である、対応する免疫細胞を含む。
【0338】
いくつかの態様では、(例えば、本明細書に記載されている)c-Junの発現レベルが増加するように改変された細胞は、対照細胞(例えば、c-Junを過剰発現していない細胞)と比べて、連続、常在または逐次の刺激アッセイなどの抗原刺激アッセイ(実施例3、または例えば、Zhao et al.,2015,Cancer Cell,28(4):415-428;Kunkele et al.,2015,Cancer Immunology Research,3(4):368-379に記載されているものなど、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)において少なくとも1回、少なくとも2回、少なくとも3回、またはそれ以上の追加の回の間、エフェクター機能、例えば、サイトカイン(例えば、IFN-γ、TNF-α、及び/またはIL-2)産生、グランザイム放出、及び/または細胞傷害性(例えば、関連する標的細胞を殺傷する能力)の増加を保持する。
【0339】
いくつかの態様では、参照培養培地において培養された対応する免疫細胞と比べて、本開示の代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)において培養された免疫細胞は、少なくとも2回の抗原刺激後、少なくとも3回の抗原刺激後、少なくとも4回の抗原刺激後、少なくとも5回の抗原刺激後、少なくとも6回の抗原刺激後に、より多くの量のサイトカイン(例えば、IFN-γ及び/またはIL-2)を産生することができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供されるのは、抗原刺激に応答した免疫細胞によるサイトカインの産生を増加させる方法であり、この方法は、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む培地にて免疫細胞を培養することを含む。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、免疫細胞は、参照細胞(例えば、c-Junポリペプチドの高いレベルを有するように改変されていない対応する免疫細胞)と比べて、c-Junポリペプチドのレベルを増加するように改変されている。
【0340】
いくつかの態様では、培養後、抗原刺激に応答した改変された免疫細胞によるサイトカインの産生は、参照細胞(例えば、本明細書に記載されている)と比べて、少なくとも約1倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、少なくとも約10倍、少なくとも約11倍、少なくとも約12倍、少なくとも約13倍、少なくとも約14倍、少なくとも約15倍、少なくとも約16倍、少なくとも約17倍、少なくとも約18倍、少なくとも約19倍、少なくとも約20倍、少なくとも約25倍、少なくとも約30倍、少なくとも約35倍、少なくとも約40倍、少なくとも約45倍、少なくとも約50倍、少なくとも約75倍、少なくとも約100倍、少なくとも約200倍、少なくとも約300倍、少なくとも約400倍、少なくとも約500倍、少なくとも約750倍、または少なくとも約1,000倍以上増加する。いくつかの態様では、培養後、抗原刺激に応答した改変された免疫細胞によるサイトカインの産生は、参照細胞と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、または約100%増加する。
【0341】
T細胞におけるc-Junの高い発現は、例えば、T細胞機能不全(例えば、T細胞の疲弊)を緩和または防止することによって、細胞の活性状態を持続するのに役立つことができる。したがって、本明細書で提供されている細胞におけるc-Junタンパク質発現を増加させる様々なアプローチ(例えば、c-Junポリペプチドをコードする外来性ポリヌクレオチド及び/または内在性c-Junの発現を増加させることができる転写活性化因子で細胞を改変する)を使用して、T細胞などの免疫細胞を操作することができ、したがって、これらの細胞は、所望の標的細胞(例えば、本明細書に記載されている内在性TCRの標的またはキメラ結合タンパク質の標的)に対して持続的で強力な細胞傷害性を示す。c-Junを過剰発現しないT細胞と比べて、本明細書に開示されている操作されたT細胞(c-Junタンパク質の発現を増加した)は、上記に記載されているT細胞の疲弊の徴候が少ない。
【0342】
更に、本開示から明らかなように、いくつかの態様では、本明細書で提供されている改変された免疫細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現している)のうちのいずれかを、本明細書で提供されている方法を使用して(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む代謝再プログラム化培地において)培養した場合、上記の特性のうちの1つ以上が更に増強される。例えば、いくつかの態様では、参照細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されているが、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地で培養されていない、及び/または本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地で培養されているが、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されていない)と比べて、本開示の免疫細胞(増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されており、代謝再プログラム化培地(例えば、5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含む)で培養されているは、以下のうちの1つ以上を呈することができる:(i)疲弊に対する耐性の増加(例えば、PD-1、CD39、TIM-3、及び/またはLAG-3のような疲弊マーカーの発現の低下、存続性/生存の延長、機能不全状態の発症の遅延及び/またはサイトカイン産生の増加によって示される)、(ii)増殖(expansion)/増殖(proliferation)の増加、(iii)抗原感受性の増加、(iv)エフェクター機能の増加(特に反復抗原刺激後)(例えば、抗原刺激時のサイトカイン産生、標的抗原を発現する細胞の溶解、もしくは双方)、または(v)それらの組み合わせ。
【0343】
II.C.2.追加の翻訳可能な配列
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、本明細書で提供されている方法を使用して改変及び培養される)は、1つ以上の追加の目的タンパク質を発現し得る。例えば、いくつかの態様では、本明細書に記載されている改変された免疫細胞は更に、追加の目的のタンパク質をコードする1以上の外来性ヌクレオチド配列を含む。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示される免疫細胞は、(i)c-Junポリペプチドをコードする第1の外来性ヌクレオチド配列と、目的の追加のタンパク質をコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列と、を含む。そのような追加の翻訳可能配列の非限定例を以下に示す。
【0344】
リガンド結合タンパク質/キメラ結合タンパク質
いくつかの態様では、本開示に有用な(例えば、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現するように改変された)免疫細胞は、リガンド結合タンパク質をコードするヌクレオチド配列を更に含む。本明細書で使用される場合、「リガンド結合タンパク質」という用語は、目的の分子(すなわち、リガンド)(例えば、腫瘍細胞上に発現する抗原またはペプチド/MHC複合体)と結合することができる任意のタンパク質を指す。いくつかの態様では、リガンド結合タンパク質は、キメラ結合タンパク質である。本明細書で使用される場合、「キメラ結合タンパク質」という用語は、1つ以上のリガンド(例えば、抗原(例えば、抗原結合部分を含む))に結合することができ、もともと別個のタンパク質をコードする2つ以上のポリヌクレオチド配列の接続を介して作り出されるタンパク質を指す。別途示されない限り、この用語は、本開示において同義に使用することができる。
【0345】
リガンド結合タンパク質(例えば、キメラ結合タンパク質)の非限定例としては、キメラ抗原受容体(CAR)、T細胞受容体(TCR)、キメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)、キメラシグナル伝達受容体(CSR)、T細胞受容体模倣体(TCR模倣体)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0346】
本開示の他の箇所で更に説明されているように、いくつかの態様では、リガンド結合タンパク質は、遺伝子編集ツール(例えば、CRISPR-Casシステム)と関連付けることができ、リガンド結合タンパク質の活性化は、1つ以上の遺伝子の発現及び/または活性が細胞において調節されるように、遺伝子編集ツールの活性化を誘導し得る。例えば、いくつかの態様では、本明細書に記載されている細胞(例えば、T細胞)は、プロテアーゼ及び目的の遺伝子の調節領域(例えば、プロモーター)を標的とするシングルガイドRNAと連結されたキメラ結合タンパク質(例えば、CAR)を含むように改変されている。いくつかの態様では、細胞は、例えば、リンカーを介して遺伝子編集ツールと複合体化された、T細胞活性化のためのリンカー(LAT)を更に含むよう改変される。(例えば、抗原刺激による)キメラ結合タンパク質の活性化は、核局在化及び遺伝子発現の調節のための遺伝子編集ツールの放出を可能にする。そのようなキメラ結合タンパク質の更なる態様は、本開示の別の場所で示す。Pietrobon et al.,Int J Mol Sci 22(19):10828(Oct.2021)もまた参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0347】
キメラ抗原受容体(CAR)
本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本開示に有用なキメラ結合タンパク質はCARを含む。したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供されている方法を使用して培養することができる免疫細胞は、CAR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されている。いくつかの態様では、免疫細胞はCD8+T細胞であり、CAR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD4+T細胞であり、CAR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞は、CD8+T細胞及びCD4+T細胞の双方を含み、CD8+T細胞及びCD4+T細胞の各々は、CAR及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、本明細書に開示されているCAR発現細胞は、CAR T細胞、例えば、モノCAR T細胞、ゲノム編集CAR T細胞、二重CAR T細胞、またはタンデムCAR T細胞である。そのようなCAR T細胞の例は、国際出願番号第2020/028400号において提供されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0348】
いくつかの態様では、(例えば、c-Junタンパク質と組み合わせて発現され得る)CARは、標準的CARとして設計される。「標準的CAR」では、様々な構成要素(例えば、細胞外標的化ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達/活性化ドメイン)が直線的に単一の融合タンパク質として構築される。いくつかの態様では、CARは第一世代のCARとして設計される。「第一世代」のCARは細胞外結合ドメイン、ヒンジ領域、膜貫通ドメイン、及び1以上の細胞内シグナル伝達ドメインから構成される。第一世代のCARは全て、細胞内シグナル伝達ドメインとしてCD3ζ鎖ドメインを含有する。いくつかの態様では、CARは、第二世代のCARとして設計される。「第二世代」のCARは、更に共刺激ドメイン(例えば、CD28または4-1BB)を含有する。いくつかの態様では、CARは第三世代のCARとして設計される。「第三世代」のCARは、複数の共刺激ドメイン(例えば、CD28-4-1BBまたはCD28-OX40)を含有することを除いて第二世代のCARと同様である。いくつかの態様では、CARは第四世代のCARとして設計される。「第四世代」のCAR(TRUCKまたは強化型CARとしても知られている)は、機能を更に向上させることができる追加の因子を更に含有する。例えば、いくつかの態様では、第四世代のCARは、標的腫瘍組織にてCARシグナル伝達時に放出され得るサイトカインを更に含有する。いくつかの態様では、第四世代のCARは、CARの活性を更に調節するのに役立つことができる、ホーミング遺伝子及び自殺遺伝子のような1以上の追加の要素を含む。いくつかの態様では、CARはスプリットCARとして設計される。「スプリットCAR」系では、CARの1つ以上の構成要素(例えば、細胞外標的化ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内シグナル伝達/活性化ドメイン)は、完全な機能的受容体の構築を促進する複数の入力に依存するように、2つ以上の部分に分けられる。いくつかの態様では、CARは切替可能なCARとして設計される。「切替可能なCAR」によって、CARは、刺激の存在下において(例えば、一時的に)オン(オンスイッチCAR)またはオフ(オフスイッチCAR)の切替ができる。本開示とともに使用され得るCARの追加の例は、例えば、US2020/0172879(A1)及びUS2019/0183932(A1)に記載されており、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0349】
操作されたT細胞受容体
いくつかの態様では、本開示で使用され得るキメラ結合タンパク質は、操作されたT細胞受容体(TCR)(当該技術分野では「トランスジェニック」TCRとも称される)を含む。本明細書で使用されるとき、「操作されたTCR」または「操作されたT細胞受容体」という用語は、単離されて、または所望の親和性で主要組織適合抗原複合体(MHC)/ペプチド標的抗原と特異的に結合するように操作され、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞の集団に導入されているT細胞受容体(TCR)を指す。
【0350】
したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供されている方法を使用して培養され得る免疫細胞は、トランスジェニックTCR及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されている。例えば、いくつかの態様では、免疫細胞はCD8+T細胞を含み、トランスジェニックTCR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD4+T細胞を含み、トランスジェニックTCR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD8+T細胞とCD4+T細胞の双方を含み、CD8+T細胞とCD4+T細胞の各々はトランスジェニックTCRを含み、高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。
【0351】
TCRは、T細胞の表面に見られる分子であり、主要組織適合抗原複合体(MHC)分子に結合したペプチドとして抗原の断片を認識することに関与している。TCRは2つの異なるタンパク質鎖から構成されるヘテロ二量体である。いくつかの態様では、TCRは(それぞれ、TRA及びTRBによってコードされる)アルファ(α)鎖及びベータ(β)鎖からなる。いくつかの態様では、TCRは(それぞれ、TRG及びTRDによってコードされる)ガンマ及びデルタ(γ/δ)鎖からなる。TCRは、MHC分子(ペプチド/MHC)によって提示される抗原ペプチドと結合すると、Tリンパ球がシグナル伝達を介して活性化される。
【0352】
特定の実施形態では、操作されたTCRはクラスIのMHCに拘束される。別の実施形態では、操作されたTCRは、クラスIIのMHCに拘束される。特定の実施形態では、操作されたTCRは、腫瘍抗原ペプチド:MHC複合体を認識する。一実施形態では、操作されたTCRは、新抗原ペプチド:MHC複合体を認識する。特定の実施形態では、操作されたTCRは、膜貫通ドメインと、少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子の動員を促進するTCRドメインとを含む。いくつかの実施形態では、操作されたTCRは更に、1以上のTCR由来の定常ドメイン、例えば、CH1及びCLを含む。
【0353】
T細胞受容体模倣体(TCRm)
いくつかの態様では、免疫細胞を改変するのに使用され得るキメラ結合タンパク質は、T細胞受容体模倣体(TCR模倣体)を含む。本明細書で使用される、「T細胞受容体模倣体」または「TCR模倣体」という用語は、腫瘍抗原を認識するよう操作された抗体(またはその断片)を指し、腫瘍抗原は、HLA分子と関連して提示される。当業者には明白であるように、これらの抗体はTCRの特異性を模倣することができる。TCR模倣体の非限定的な例は、例えば、US2009/0226474(A1)、US2019/0092876(A1)、及びTraneska et al.,Front.Immunol.8(1001):1-12(2017)において提供されており、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、TCR模倣体は(i)目的のペプチド:MHC複合体に特異的に結合する抗体部分と、(ii)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子を動員することが可能なT細胞受容体モジュールとを含む。いくつかの態様では、TCR模倣体は、(i)目的のペプチド:MHC複合体に特異的に結合する抗体部分と、(ii)膜貫通ドメイン、1つ以上の細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ鎖ドメイン)、及び任意選択で1つ以上の共刺激ドメイン(例えば、CD28または4-1BB)と、を含む。
【0354】
したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供されている方法を使用して培養され得る免疫細胞は、TCR模倣体及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されている(例えば、c-Junタンパク質及びTCR模倣体をコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列で形質導入されている)。いくつかの態様では、免疫細胞はCD8+T細胞を含み、TCR模倣体及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD4+T細胞を含み、TCR模倣体及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD8+T細胞とCD4+T細胞の双方を含み、CD8+T細胞とCD4+T細胞の各々はTCR模倣体及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。
【0355】
いくつかの態様では、TCR模倣体はキメラ抗体-T細胞受容体(caTCR)を含む。本明細書で使用される、「キメラ抗体-T細胞受容体」または「caTCR」は、(i)目的の抗原に特異的に結合する抗体部分及び(ii)少なくとも1つのTCR関連シグナル伝達分子をリクルートすることが可能なT細胞受容体モジュールを含む。いくつかの態様では、抗体部分とT細胞受容体モジュールは一緒に融合される。本開示に有用であるcaTCRに関する追加の開示は、例えば、US10,822,413B2、及びXu et al.,Cell Discovery,4:62(2018)に提供されており、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0356】
したがって、いくつかの態様では、本明細書で提供されている方法を使用して培養され得る免疫細胞は、caTCR及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されている(例えば、c-Junタンパク質及びcaTCRをコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列で形質導入されている)。いくつかの態様では、caTCR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された免疫細胞は更に、キメラ共刺激受容体を発現するように改変される。いくつかの態様では、本明細書で提供されている免疫細胞(例えば、T細胞)は高いレベルのc-Junタンパク質を発現し、caTCRと、i)標的リガンドと結合または相互作用することができるリガンド結合モジュール、ii)膜貫通モジュール、及びiii)免疫細胞に共刺激シグナルを提供することができる共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールを含むキメラ共刺激受容体とを含み、その際、リガンド結合モジュール及び共刺激免疫細胞シグナル伝達モジュールは同じ分子に由来するものではなく、キメラ共刺激受容体は機能的な一次免疫細胞シグナル伝達ドメインを欠いている。いくつかの態様では、キメラ共刺激受容体は、腫瘍抗原に結合するリガンド結合モジュールを含む。例示的なキメラ共刺激受容体は、例えば、米国特許第10,822,413号に記載されており、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞はCD8+T細胞を含み、caTCR及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD4+T細胞を含み、caTCR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD8+T細胞とCD4+T細胞の双方を含み、CD8+T細胞とCD4+T細胞の各々はcaTCR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。
【0357】
キメラシグナル伝達受容体(CSR)
いくつかの態様では、キメラ結合タンパク質は、キメラシグナル伝達受容体(CSR)を含む。「キメラシグナル伝達受容体」または「CSR」は、標的リガンドに特異的に結合するリガンド結合ドメイン及びCSRを発現する免疫細胞に刺激シグナルを提供することができる共刺激シグナル伝達ドメインを含む。キメラシグナル伝達受容体は、(1)細胞外結合ドメイン(例えば、天然/改変の受容体細胞外ドメイン、天然/改変のリガンド細胞外ドメイン、scFv、ナノボディ、Fab、DARPin、及びアフィボディ)と、(2)膜貫通ドメインと、(3)細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、転写因子を活性化するドメイン、またはJAK/STAT、キナーゼ、ホスファターゼ、及びユビキチン、SH3、SH2、及びPDZを動員及び/または活性化するドメイン)とを含むことができる。例えば、EP340793B1、US2021/0253665(A1)、US10,822,413(B2)、及びXu et al.,Cell Discovery,4:62(2018)を参照されたく、これらの各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0358】
いくつかの態様では、本明細書で提供されている方法を使用して培養され得る免疫細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変された)は、キメラシグナル伝達受容体を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD8+T細胞を含み、CSR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD4+T細胞を含み、CSR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞はCD8+T細胞とCD4+T細胞の双方を含み、CD8+T細胞とCD4+T細胞の各々はCSR及び高いレベルのc-Junタンパク質を発現する。
【0359】
抗原結合ドメイン
本明細書に記載されているように、本開示に有用なキメラ結合タンパク質(例えば、CAR、TCR、caTCR、CSR、またはTCR模倣体)は、抗原結合ドメイン、膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン、またはそれらの組み合わせを含む。膜貫通ドメイン、共刺激ドメイン、及び細胞内シグナル伝達ドメインに関する追加の開示は、本開示の他の箇所で提供されている。
【0360】
いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、抗原を認識し、それに特異的に結合する。いくつかの態様では、本明細書に記載されているキメラ結合タンパク質の抗原結合ドメインは、腫瘍細胞上に発現された抗原に特異的に結合する。
【0361】
いくつかの態様では、キメラ結合タンパク質の抗原結合ドメインは、
CD19、TRAC、TCRβ、BCMA、CLL-1、CS1、CD38、TSHR、CD123、CD22、CD30、CD70、CD171、CD33、EGFRvIII、GD2、GD3、Tn Ag、PSMA、ROR1、ROR2、GPC1、GPC2、FLT3、FAP、TAG72、CD44v6、CEA、EPCAM、B7H3、KIT、IL-13Ra2、メソテリン、IL-l lRa、PSCA、PRSS21、VEGFR2、LewisY、CD24、PDGFR-ベータ、SSEA-4、CD20、葉酸受容体アルファ、ERBB2(Her2/neu)、MUC1、MUC16、EGFR、NCAM、プロスターゼ、PAP、ELF2M、エフリンB2、IGF-I受容体、CAIX、LMP2、gp100、bcr-abl、チロシナーゼ、EphA2、フコシルGM1、sLe、GM3、TGS5、HMWMAA、o-アセチル-GD2、葉酸受容体ベータ、TEM1/CD248、TEM7R、CLDN6、GPRC5D、CXORF61、CD97、CD179a、ALK、ポリシアル酸、PLAC1、GloboH、NY-BR-1、UPK2、HAVCR1、ADRB3、PANX3、GPR20、LY6K、OR51E2、TARP、WTl、NY-ESO-1、LAGE-la、MAGE-Al、レグマイン、HPV E6、E7、MAGE Al、ETV6-AML、精子タンパク質17、XAGE1、Tie2、MAD-CT-1、MAD-CT-2、Fos関連抗原1、p53、p53変異体、プロステイン、サバイビング、テロメラーゼ、PCTA-1/ガレクチン8、MelanA/MARTl、Ras変異体(例えば、HRAS、KRAS、NRAS)、hTERT、肉腫転座切断点、ML-IAP、ERG(TMPRSS2 ETS融合遺伝子)、NA17、PAX3、アンドロゲン受容体、サイクリンBl、MYCN、RhoC、TRP-2、CYP1B1、BORIS、SART3、PAX5、OY-TES1、LCK、AKAP-4、SSX2、RAGE-1、ヒトテロメラーゼ逆転写酵素、RU1、RU2、腸カルボキシルエステラーゼ、mut hsp70-2、CD79a、CD79b、CD72、LAIR1、FCAR、LILRA2、CD300LF、CLEC12A、BST2、EMR2、LY75、GPC3、FCRL5、IGLL1、CD2、CD3ε、CD4、CD5、CD7、APRILタンパク質の細胞外部分、ネオアンチゲン、またはそれらの任意の組み合わせから選択される抗原に特異的に結合する。
【0362】
いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にBCMAを認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCD147を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCD19を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にROR1を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にGPC3を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にGPC2を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCD19及びCD22を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCD19及びCD28を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCD20を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCD20及びCD19を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCD22を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCD30を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にCEAを認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にDLL3を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にEGFRvIIIを認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にGD2を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にHER2を認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にIL-1RAPを認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にメソテリンを認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にNKG2Dを認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にPSMAを認識し、それに結合する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、特異的にTnMUC1を認識し、それに結合する。
【0363】
いくつかの態様では、本明細書に記載されているキメラ結合タンパク質の抗原結合ドメインは、MHCとの複合体における抗原を特異的に認識し、それに結合する。
【0364】
本開示の他の箇所で更に記載されているように、キメラ結合タンパク質(例えば、CAR、TCR、caTCR、CSR、またはTCR模倣体)の抗原結合ドメインは、1つ以上の抗原(例えば、腫瘍抗原)に結合できる任意のポリペプチドであり得る。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、Ig NAR、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab)’2フラグメント、F(ab)’3フラグメント、Fv、単鎖可変フラグメント(scFv)、ビス-scFv、(scFv)2、ミニボディ、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、イントラボディ、ジスルフィド安定化Fvタンパク質(dsFv)、ユニボディ、ナノボディ、及び対象のタンパク質、リガンド、受容体、受容体フラグメント、ペプチドアプタマー、またはそれらの組み合わせのいずれかと特異的に結合することができる抗体に由来する抗原結合領域を含むか、あるいはそれらに由来する。いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、単鎖Fv(scFv)である。
【0365】
いくつかの態様では、本明細書に記載されているキメラ結合タンパク質は、天然リガンドである抗原結合ドメインを含む。本明細書で使用されるとき、「天然リガンド」という用語は、目的の抗原に特異的に結合する天然に存在する部分を指す。例えば、いくつかの態様では、抗原結合ドメインは、NKG2Dの既知の天然リガンドであるNKG2D細胞受容体を含み得る。NKG2Dは、多くの腫瘍上で発現されることが記載されている。例えば、Sentman et.al.、Cancer J20(2):156-159(2014)を参照のこと。
【0366】
シグナル伝達(細胞内)、膜貫通、及び共刺激のドメイン
いくつかの態様では、本明細書に記載されているキメラ結合タンパク質(例えば、CAR、TCR、caTCR、CSR、またはTCR模倣体)は、細胞外ドメインへの抗原結合の際にエフェクター機能シグナルを伝達し、キメラ結合タンパク質を発現する細胞(例えば、T細胞)に特殊な機能を実行するように指図する細胞内シグナル伝達ドメインを含む。細胞内シグナル伝達ドメインの非限定例としては、CD3ゼータ、FcRガンマ、共通FcRガンマ(FCER1G)、FcガンマRIIa、FcRベータ(FcイプシロンRib)、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD22、CD79a、CD79b、CD278(「ICOS」)、FcεRI、CD66d、CD32、DAP10、DAP12に由来する細胞内シグナル伝達ドメイン領域、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、細胞内シグナル伝達ドメインは、CD3ゼータ細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、配列番号90に示されるような)を含む。
【0367】
いくつかの態様では、キメラ結合タンパク質は、本明細書で開示されるタンパク質の細胞内ドメイン全体を含む。いくつかの態様では、細胞内ドメインは、切断されている。細胞内ドメインの切断部分は、それが依然としてエフェクター機能シグナルを伝達する限り、無傷の鎖の代わりに使用され得る。したがって、細胞内ドメインという用語は、エフェクター機能シグナルを形質導入するのに十分な細胞内ドメインの任意の切断部分を含むことを意味する。
【0368】
いくつかの態様では、本開示に有用なキメラ結合タンパク質(例えば、CAR、TCR、caTCR、CSR、またはTCR模倣体)は更に、膜貫通ドメインを含む。いくつかの態様では、キメラ結合タンパク質の抗原結合ドメインは、膜貫通ドメインによって細胞内ドメインに連結される。いくつかの態様では、キメラ結合タンパク質の抗原結合ドメインは、リンカーによって膜貫通ドメインに接続される。いくつかの態様では、抗原結合ドメインと膜貫通ドメインの間にリンカーを含めることは、抗原結合ドメインの柔軟性に影響を及ぼし、それによって、キメラ結合タンパク質の1つ以上の特性を改善させることができる。
【0369】
当該技術分野で既知の任意の膜貫通ドメインを、本明細書に記載されているキメラ結合タンパク質(例えば、CAR、TCR、caTCR、CSR、またはTCR模倣体)に使用することができる。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは人工的なもの(例えば、操作された膜貫通ドメイン)である。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは天然に存在するポリペプチドに由来する。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは天然に存在するポリペプチド由来の膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインの非限定的な例には、KIRDS2、OX40、CD2、CD27、LFA-1(CD11a、CD18)、ICOS(CD278)、4-1BB(CD137)、GITR、CD40、BAFFR、HVEM(LIGHTR)、SLAMF7、NKp80(KLRF1)、NKp44、NKp30、NKp46、CD160、CD19、IL2Rベータ、IL2Rガンマ、IL7Rα、ITGA1、VLA1、CD49a、ITGA4、IA4、CD49D、ITGA6、VLA-6、CD49f、ITGAD、CD11d、ITGAE、CD103、ITGAL、CD11a、LFA-1、ITGAM、CD11b、ITGAX、CD11c、ITGB1、CD29、ITGB2、CD18、LFA-1、ITGB7、TNFR2、DNAM1(CD226)、SLAMF4(CD244、2B4)、CD84、CD96(タクチル)、CEACAM1、CRTAM、Ly9(CD229)、CD160(BY55)、PSGL1、CD100(SEMA4D)、SLAMF6(NTB-A、Ly108)、SLAM(SLAMF1、CD150、IPO-3)、BLAME(SLAMF8)、SELPLG(CD162)、LTBR、PAG/Cbp、NKG2D、NKG2C、CD19、CD8の膜貫通ドメイン領域またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、膜貫通ドメインはCD28の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号75に示されるような)を含む。
【0370】
本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本開示に有用なキメラ結合タンパク質(例えば、CAR、TCR、caTCR、CSR、またはTCR模倣体)は、1つ以上の共刺激ドメイン(例えば、第二世代及び第三世代のCAR)を含む。どんな理論にも束縛されるものではないが、これらの共刺激ドメインは更に、キメラ結合タンパク質(例えば、c-Junポリペプチドとの組み合わせで)を発現するように操作された免疫細胞の増殖、活性化、記憶、存続性、及び/またはエフェクター機能を改善することができる。いくつかの態様では、膜貫通ドメインは共刺激ドメインに融合されており、任意選択で、共刺激ドメインは第2の共刺激ドメインに融合され、共刺激ドメインはCD3ζに限定されないシグナル伝達ドメインに融合される。共刺激ドメインの非限定的な例としては、インターロイキン-2受容体(IL-2R)、インターロイキン-12受容体(IL-12R)、IL-7、IL-21、IL-23、IL-15、CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD27、CD28、CD30、CD40、4-1BB/CD137、ICOS、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、LIGHT、NKG2C、OX40、DAP10、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、共刺激ドメインは4-1BB/CD137の共刺激ドメイン(例えば、配列番号76に示されるような)を含む。
【0371】
切断型EGFR
いくつかの態様では、本明細書に開示されている免疫細胞(例えば、本明細書で提供されている方法を使用して改変され培養された)は更に、EGFRtは完全長EGFRタンパク質(例えば、配列番号19)の部分配列のみを含むように、切断型上皮成長因子受容体(EGFRt)をコードする外来性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、EGFRtは、EGFRの細胞外ドメインIII及びIVならびにEGFRの膜貫通ドメインを含むが、EGFRの細胞外ドメインI及びIIならびにEGFRの細胞内配列を欠いている。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示される免疫細胞は、(i)c-Junポリペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列、(ii)キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列、及び(iii)EGFRtをコードする外来性ヌクレオチド配列を含むように改変されている。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、転写活性化因子(例えば、CRISPRa)を使用してc-Junタンパク質の発現を内在性に増加させることができる。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞は、(i)内在性c-Junタンパク質の発現を増加させることができる転写活性化因子、(ii)キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、(iii)EGFRtをコードする外来性ヌクレオチド配列とを含むように改変されている。上記の態様の各々では、複数の外来性ヌクレオチド配列のうちの1以上は、単一のポリシストロン性ポリヌクレオチドの一部であることができる。
【0372】
EGFRは、大きな細胞外領域と、単一の膜貫通ドメインと、細胞内膜近傍領域と、チロシンキナーゼドメインと、C末端調節領域とを含む180kDaの単量体糖タンパク質である。細胞外領域は、4つのドメインを含む:ドメインI及びIIIは相同性リガンド結合ドメインであり、ドメインII及びIVはシステインが豊富なドメインである(Ferguson,Annu.Rev.Biophys.(2008)37:353-3)。別途示されない限り、EGFRは本明細書で使用されるとき、ヒトEGFRを指す。選択的スプライシングのため、ヒトEGFRの少なくとも4つの既知のアイソフォームが存在する。様々なEGFRアイソフォームについての配列を(下記)表4に示す。
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【0373】
上記のEGFRについての標準配列(すなわち、アイソフォーム1)では、様々なEGFRドメインが以下のとおりに説明される。シグナルペプチドはアミノ酸1~24に及ぶ。細胞外配列はアミノ酸25~645に及び、ドメインI、ドメインII、ドメインIII、及びドメインIVは、それぞれ、アミノ酸25~188、189~333、334~504、及び505~645に及ぶ。膜貫通ドメインは、アミノ酸646~668に及ぶ。細胞内ドメインはアミノ酸669~1,210に及び、膜近傍ドメインはアミノ酸669~703に及び、チロシンキナーゼドメインはアミノ酸704~1,210に及ぶ。
【0374】
いくつかの態様では、本開示に有用なEGFRtは、配列番号19に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。
【0375】
いくつかの態様では、本開示で使用され得るEGFRtは、配列番号21に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、EGFRtは、配列番号21(表5を参照のこと)に示されるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、本開示で使用され得るEGFRtは、配列番号24に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、EGFRtは、配列番号24(表5を参照のこと)に示されるアミノ酸配列を含む。
【表5】
【0376】
いくつかの態様では、本明細書に記載されているEGFRtは更に、膜近傍ドメインを含む。本明細書で使用されるとき、「膜近傍ドメイン」という用語は、膜貫通ドメインのすぐC末端にある細胞表面タンパク質(例えば、EGFR)の細胞内部分を指す。どんな理論にも束縛されるものではないが、いくつかの態様では、膜近傍ドメインの追加によって、本開示のポリヌクレオチドがコードするタンパク質の発現を増やすことができる。
【0377】
いくつかの態様では、膜近傍ドメインは、約1~約20(例えば、2~20、3~20、4~20、5~20、2~18、3~18、4~18、または5~18)アミノ酸長であり得る。いくつかの態様では、膜近傍ドメインは20アミノ酸よりも長くてもよい。いくつかの態様では、膜近傍ドメインの最初の1つ以上(例えば、最初の2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20個)のアミノ酸は、正味中性または正味正の電荷をもつ配列である(例えば、アルギニン及びリジン残基の数が、アスパラギン酸及びグルタミン酸残基の数以上である)。いくつかの態様では、これらの最初のアミノ酸は約30%を超える(例えば、40、50、60、70、80、または90%を超える)親水性アミノ酸を含有する。本開示に有用な膜近傍ドメインの非限定例を(下記)表6に提供する。
【表6】
【0378】
いくつかの態様では、本開示で使用され得る膜近傍ドメインは、天然の細胞表面タンパク質の膜近傍領域、例えば、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルセリン(PS)、またはホスファチジルイノシトール-4,5-二リン酸(PIP2)と相互作用するヒト受容体型チロシンキナーゼの膜近傍領域(例えば、最初の20個の膜近傍アミノ酸の全配列または部分配列)由来であってもよい(例えば、Hedger et al.,SciRep.(2015)5:9198を参照のこと)。受容体型チロシンキナーゼの非限定例は、ERBB1(EGFR)、ERBB2(HER2)、ERBB3(HER3)、ERBB4(HER4)、INSR、IGF1R、INSRR、PGFRA、PGFRB、KIT、CSF1R、FLT3、VGFR1、VGFR2、VGFR3、FGFR1、FGFR2、FGFR3、FGFR4、PTK7、NTRK1、NTRK2、NTRK3、ROR1、ROR2、MUSK、MET、RON、UFO、TYRO3、MERTK、TIE1、TIE2、EPHA1、EPHA2、EPHA3、EPHA4、EPHA5、EPHA6、EPHA7、EPHA8、EPHAA、EPHB1、EPHB2、EPHB3、EPHB4、EPHB6、RET、RYK、DDR1、DDR2、ROS1、LMTK1、LMTK2、LMTK3、LTK、ALK、及びSTYK1である。いくつかの態様では、膜近傍ドメインは、本開示のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質の意図されない任意のシグナル伝達能力を回避するためにリン酸化されることが知られている残基を除去する1つ以上の変異(例えば、置換または欠失)を含み得る。
【0379】
いくつかの態様では、膜近傍ドメインはEGFRの膜近傍領域に由来する。EGFR由来の膜近傍ドメインの非限定例は(下記)表7に提供されている配列のうちの1つを含む。いくつかの態様では、膜近傍ドメインはアミノ酸配列RRRを含む。いくつかの態様では、そのような膜近傍ドメインを含むEGFRtは配列番号24に示される配列を含む。
【表7】
【0380】
本開示から明らかなように、本明細書に記載されている免疫細胞を、EGFRtをコードする外因性ヌクレオチド配列を更に含むように改変すること(例えば、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現する及び/またはキメラ結合タンパク質をコードする外因性ヌクレオチド配列を含む)により、特定の利点が得られる。例えば、いくつかの態様では、EGFRtは、殺傷スイッチとして機能し得る。いくつかの態様では、本明細書に記載されている操作された細胞が体内で必要とされなくなったとき、セツキシマブ、パニツムマブ、ニモツズマブ、またはネシツムマブなどの医薬品等級の抗EGFR抗体を、操作された細胞を受け入れた対象に投与し、それによって、例えば、抗体依存性細胞傷害(ADCC)、補体依存性細胞傷害(CDC)、及び/または抗体依存性細胞食作用(ADCP)を介して、操作された細胞を除去することができる。
【0381】
スペーサー
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、本明細書で提供されている方法を使用して改変及び培養されるもの)はスペーサーをコードする外来性ヌクレオチド配列も含む。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞は、c-Junタンパク質の発現レベルが増加するように改変されており(例えば、c-Junタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列及び/または内在性c-Junタンパク質の発現を増加させることができる転写活性化因子を使用して)、c-Junタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、スペーサーをコードする外来性ヌクレオチド配列と、を含む。いくつかの態様では、免疫細胞は、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されており、c-Junタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、EGFRtをコードする外来性ヌクレオチド配列と、スペーサーをコードする外来性ヌクレオチド配列と、を含む。いくつかの態様では、1以上の外来性ヌクレオチド配列は、単一のポリシストロン性ポリヌクレオチドの一部である。本明細書で使用される場合、「スペーサー」という用語は、間隔のあいた2つの部分(例えば、P2Aリンカーとキメラ結合タンパク質)を一緒に共有結合することができるポリペプチド配列を指す。
【0382】
いくつかの態様では、スペーサーは、免疫グロブリンに由来する(例えば、ヒンジ領域またはループ領域に由来する)。いくつかの態様では、スペーサーは、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgE、またはIgMのヒンジ領域、それらの断片(単独で、または追加の配列、例えば、CH1もしくはCH2領域の配列によってキャップされた)、あるいはIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgE、またはIgMのヒンジ領域由来の断片の組み合わせ(本明細書では「ヒンジ領域由来のスペーサー」とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様では、スペーサーは、IgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgE、またはIgMの定常ドメインループ領域、それらの断片(単独で、または例えば、隣接するβ-鎖由来の、追加の配列によってキャップされた)、あるいはIgA1、IgA2、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgD、IgE、またはIgMのループ領域の断片の組み合わせ(本明細書では「ループ領域由来のスペーサー」とも呼ばれる)を含む。いくつかの態様では、スペーサーは、ヒンジ領域由来のスペーサー、ループ領域由来のスペーサー、または双方(例えば、2以上の連結されたヒンジ領域由来のスペーサー及びループ領域由来のスペーサー)を含む。
【0383】
したがって、いくつかの態様では、本開示に記載されているポリヌクレオチドは、(i)c-Junタンパク質、(ii)第1のリンカー(例えば、P2Aリンカー)、(iii)シグナルペプチド(例えば、hIgκ)、(iv)抗原結合ドメイン(例えば、scFv)、(v)第2のリンカー(例えば、GGGSG、配列番号40)、(vi)スペーサー(例えば、IgG2ヒンジ由来のスペーサー)、(vii)膜貫通ドメイン(例えば、CD28)、(viii)共刺激ドメイン(例えば、4-1BB)、(ix)細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)、(x)第3のリンカー(例えば、P2Aリンカー)、及び(xi)EGFRtを含むポリペプチドをコードする。
【0384】
いくつかの態様では、本開示に有用なスペーサーは、ヒトIgA1(Uniprot:P01876、IGHA1_HUMAN、免疫グロブリン重定常アルファ1、配列番号41)、ヒトIgA2(Uniprot P01877、IGHA2_HUMAN、免疫グロブリン重定常アルファ2、配列番号42)、マウスIgG2A(Uniprot P01665、GCAM_MOUSE、免疫グロブリンガンマ2A鎖C領域、配列番号43)、ヒトIgG1(Uniprot P01857、IGHG1_HUMAN、免疫グロブリン重定常ガンマ1、配列番号44)、ヒトIgG2(Uniprot P01859、IGHG2_HUMAN、免疫グロブリン重定常ガンマ2、配列番号45)、ヒトIgG3(Uniprot P01860、IGHG3_HUMAN、免疫グロブリン重定常ガンマ3、配列番号46)、ヒトIgG4(Uniprot P01861、IGHG4、免疫グロブリン重定常ガンマ4、配列番号47)、ヒトIgD(Uniprot P01880、IGHD_HUMAN、免疫グロブリン重定常デルタ、配列番号48)、ヒトIgE(Uniprot P01854、IGHE_HUMAN、免疫グロブリン重定常鎖イプシロン、配列番号49)、またはIgM(Uniprot P01871、IGHM_HUMAN、免疫グロブリン重定常ミュー、配列番号50)からなる群から選択される免疫グロブリン重鎖の部分配列を含み、部分配列は、CH1-CH2ヒンジ領域またはその一部を含む。いくつかの態様では、部分配列は、CH1及び/またはCH2定常ドメインの隣接部分を更に含む。
【0385】
いくつかの態様では、スペーサーは、ヒトIgA1(Uniprot:P01876、IGHA1_HUMAN、免疫グロブリン重定常アルファ1、配列番号41)、ヒトIgA2(Uniprot P01877、IGHA2_HUMAN、免疫グロブリン重定常アルファ2、配列番号42)、マウスIgG2A(Uniprot P01665、GCAM_MOUSE、免疫グロブリンガンマ2A鎖C領域、配列番号43)、ヒトIgG1(Uniprot P01857、IGHG1_HUMAN、免疫グロブリン重定常ガンマ1、配列番号44)、ヒトIgG2(Uniprot P01859、IGHG2_HUMAN、免疫グロブリン重定常ガンマ2、配列番号45)、ヒトIgG3(Uniprot P01860、IGHG3_HUMAN、免疫グロブリン重定常ガンマ3、配列番号46)、ヒトIgG4(Uniprot P01861、IGHG4、免疫グロブリン重定常ガンマ4、配列番号47)、ヒトIgD(Uniprot P01880、IGHD_HUMAN、免疫グロブリン重定常デルタ、配列番号48)、ヒトIgE(Uniprot P01854、IGHE_HUMAN、免疫グロブリン重定常鎖イプシロン、配列番号49)、またはIgM(Uniprot P01871、IGHM_HUMAN、免疫グロブリン重定常ミュー、配列番号50)からなる群から選択される免疫グロブリン重鎖の部分配列を含み、部分配列は、定常ドメイン由来のループ領域またはその一部を含む。いくつかの態様では、部分配列は、β鎖の隣接部分を更に含む。
【0386】
いくつかの態様では、本開示に有用なスペーサーはIgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4に由来する。いくつかの態様では、スペーサーはIgG2ヒンジに由来する。いくつかの態様では、IgG2ヒンジ由来のスペーサーは、配列番号51(KPCPPCKCP)の少なくとも5、6、または7個の連続するアミノ酸を含む。いくつかの態様では、スペーサーは、配列番号51に示される配列(KPCPPCKCP)に対して、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、少なくとも約99%、または約100%同一であるアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、スペーサーは、配列番号51に示される配列(KPCPPCKCP)を含む、それからなるか、または本質的にそれからなる。いくつかの態様では、スペーサーは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10個のアミノ酸置換を除いて、配列番号51に示される配列(KPCPPCKCP)を含む。いくつかの態様では、アミノ酸置換は保存的アミノ酸置換である。いくつかの態様では、アミノ酸置換は少なくとも1つの非保存的アミノ酸置換を含む。
【0387】
いくつかの態様では、本開示のスペーサーは、配列番号51に示される配列から構成され、スペーサー配列は更に、任意選択の柔軟なリンカー(例えば、GGGSG(配列番号40)のリンカー)を含む。したがって、いくつかの態様では、本開示のスペーサーは、スペーサー配列(例えば、配列番号51)及び任意選択のC末端またはN末端の柔軟なリンカーを含む。いくつかの態様では、本明細書で開示される任意選択の必須ではない柔軟なリンカー(例えば、gly/serが豊富なリンカー)は、スペーサーのC末端及び/またはN末端に付加されてもよい。
【0388】
シグナルペプチド
本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本明細書で提供されている免疫細胞は、シグナルペプチドを更に発現するように改変されている(例えば、シグナルペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列を含む)。シグナルペプチドは、コード化タンパク質の細胞表面発現を促進することができ、その後、続いて成熟タンパク質から切断可能である。いくつかの態様では、そのような免疫細胞は、c-Junタンパク質のレベルが増加するように改変されており(例えば、c-Junタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列及び/または内在性c-Junタンパク質の発現を増加させることができる転写活性化因子を使用して)、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列、及びシグナルペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、免疫細胞は、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されており、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、EGFRtをコードする外来性ヌクレオチド配列と、シグナルペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列と、を含む。いくつかの態様では、免疫細胞は、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変されており、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、EGFRtをコードする外来性ヌクレオチド配列と、スペーサーをコードする外来性ヌクレオチド配列と、シグナルペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列とを含む。いくつかの態様では、1以上の外来性ヌクレオチド配列は、単一のポリシストロン性ポリヌクレオチドの一部である。
【0389】
当該技術分野で既知の任意の好適なシグナルペプチドを本開示で使用することができる。シグナルペプチドの非限定的な例を表8(下記)に提供する。いくつかの態様では、シグナルペプチドはヒトIgカッパに由来する。いくつかの態様では、シグナルペプチドは、配列番号54に示されるアミノ酸配列(MVLQTQVFISLLLWISGAYG)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、シグナルペプチドは、配列番号54に示されるアミノ酸配列(MVLQTQVFISLLLWISGAYG)を含む。いくつかの態様では、シグナルペプチドはGM-CSFに由来する。いくつかの態様では、そのようなシグナルペプチドは、配列番号53に示されるアミノ酸配列(MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIP)に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、シグナルペプチドは、配列番号53に示されるアミノ酸配列(MLLLVTSLLLCELPHPAFLLIP)を含む。
【表8】
【0390】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞を改変するのに使用され得るポリヌクレオチドは、単一のシグナルペプチド(例えば、配列番号53または54)を含む。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは複数のシグナルペプチド(例えば、少なくとも2つ、3つ、4つ以上)を含む。複数のシグナルペプチドが関与する場合、いくつかの態様では、複数のシグナルペプチドの各々が異なる。いくつかの態様では、複数のシグナルペプチドのうちの2以上は同じである。
【0391】
リンカー
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書で提供されている方法を使用して培養された)は、リンカーをコードする外来性ヌクレオチド配列を更に含むように改変されている。したがって、いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞は、c-Junタンパク質のレベルが増加するように改変されており(例えば、c-Junタンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列及び/または内在性c-Junタンパク質の発現を増加させることができる転写活性化因子を使用して)、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列、及びリンカーをコードする外来性ヌクレオチド配列を含む。いくつかの態様では、免疫細胞は、c-Junタンパク質のレベルが増加するように改変されており、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、EGFRtをコードする外来性ヌクレオチド配列と、リンカーをコードする外来性ヌクレオチド配列とを含む。いくつかの態様では、免疫細胞は、c-Junタンパク質のレベルが増加するように改変されており、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、EGFRtをコードする外来性ヌクレオチド配列と、スペーサーをコードする外来性ヌクレオチド配列と、リンカーをコードする外来性ヌクレオチド配列とを含む。いくつかの態様では、免疫細胞は、c-Junタンパク質のレベルが増加しており、キメラ結合タンパク質をコードする外来性ヌクレオチド配列と、EGFRtをコードする外来性ヌクレオチド配列と、スペーサーをコードする外来性ヌクレオチド配列と、シグナルペプチドをコードする外来性ヌクレオチド配列と、リンカーをコードする外来性ヌクレオチド配列とを含む。
【0392】
複数の外来性ヌクレオチド配列が関与する場合、いくつかの態様では、1以上の外来性ヌクレオチド配列は、単一のポリシストロン性ポリヌクレオチドの一部であることができる。そのような態様については、リンカーは本明細書に記載されているポリヌクレオチドの任意の様々な構成要素の間にあることができる。例えば、いくつかの態様では、ポリヌクレオチド(例えば、ポリシストロン性)は、(i)c-Junポリペプチドをコードする第1の外来性ヌクレオチド配列と、(ii)リンカーをコードする第2の外来性ヌクレオチド配列と、(iii)キメラ結合タンパク質(例えば、CAR、TCR、caTCR、CSR、またはTCR模倣体)をコードする第3のヌクレオチド配列と、を含み、c-Junタンパク質がリンカーによってキメラ結合タンパク質に連結されるように、第2のヌクレオチド配列が第1と第3のヌクレオチド配列の間にある。いくつかの態様では、本開示のポリヌクレオチドは、リンカーをコードする複数のヌクレオチド配列(例えば、少なくとも2つの別個のヌクレオチド配列)を含み得る。いくつかの態様では、複数のリンカーは同じである。いくつかの態様では、複数のリンカーは異なる。
【0393】
いくつかの態様では、リンカーはペプチドリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは、少なくとも約1アミノ酸、少なくとも約2アミノ酸、少なくとも約3アミノ酸、少なくとも約4アミノ酸、少なくとも約5アミノ酸、少なくとも約6アミノ酸、少なくとも約7アミノ酸、少なくとも約8アミノ酸、少なくとも約9アミノ酸、少なくとも約10アミノ酸、少なくとも約11アミノ酸、少なくとも約12アミノ酸、少なくとも約13アミノ酸、少なくとも約14アミノ酸、少なくとも約15アミノ酸、少なくとも約16アミノ酸、少なくとも約17アミノ酸、少なくとも約18アミノ酸、少なくとも約19アミノ酸、少なくとも約20アミノ酸、少なくとも約25アミノ酸、または少なくとも約30アミノ酸を含む。いくつかの態様では、リンカーは、グリシンが豊富である(例えば、柔軟性のため)。いくつかの態様では、リンカーは、セリン及び/またはトレオニンを含む(例えば、溶解性のため)。いくつかの態様では、リンカーはGly/Serリンカーである。
【0394】
いくつかの態様では、Gly/Serリンカーは、式[(Gly)n-Ser]m(配列番号77)に従い、式中、nは1~100の任意の整数であり、mは1~100の任意の整数である。いくつかの態様では、グリシン/セリンリンカーは、式[(Gly)x-(Ser)y]z(配列番号78)に従い、式中、xは1~4の整数であり、yは0または1であり、zは1~50の整数である。いくつかの態様では、Gly/Serリンカーは、配列Gn(配列番号79)を含み、nは1~100の整数であり得る。いくつかの態様では、任意選択のリンカーは、配列(GlyAla)n(配列番号80)を含み得、nは1~100の整数である。
【0395】
いくつかの態様では、任意選択のリンカーの配列は、GGGG(配列番号81)である。いくつかの態様では、任意選択のリンカーの配列は、GGGSG(配列番号82)である。
【0396】
いくつかの態様では、任意選択のリンカーは、配列(GGGSG)n(配列番号64)を含む。いくつかの態様では、任意選択のリンカーは、配列(GGGGS)n(配列番号65)を含む。いくつかの態様では、任意選択のリンカーは、配列(GGGS)n(配列番号66)を含み得る。いくつかの態様では、任意選択のリンカーは、配列(GGS)n(配列番号67)を含み得る。これらの例では、nは1~100の整数であることができる。他の例では、nは、1~20の整数、すなわち、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20であり得る。いくつかの態様では、nは1~100の整数である。
【0397】
任意選択のリンカーの例としては、例えば、GSGSGS(配列番号68)、GGSGG(配列番号69)、SGGSGGS(配列番号70)、GGSGGSGGSGGSGGG(配列番号71)、GGSGGSGGGGSGGGGS(配列番号72)、GGSGGSGGSGGSGGSGGS(配列番号73)、またはGGGGSGGGGSGGGGS(配列番号74)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0398】
いくつかの態様では、任意のリンカーは配列PGGを含む。いくつかの態様では、任意のリンカーは、グリシン及びセリンに加えて追加のアミノ酸を含む。いくつかの態様では、任意のリンカーは、1、2、3、4、または5個の非gly/非serアミノ酸を含む。いくつかの態様では、Gly/Ser-リンカーは、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、または少なくとも95%のグリシンまたはセリンアミノ酸を含む。
【0399】
いくつかの特定の態様では、任意のリンカーは、長さが1~10のアミノ酸である。いくつかの態様では、任意選択のリンカーは、約5~約10、約10~約20、約20~約30、約30~約40、約40~約50、約50~約60、約60~約70、約70~約80、約80~約90、または約90~約100アミノ酸長である。
【0400】
いくつかの態様では、リンカーは、リンカー及び本明細書で提供されるポリヌクレオチドの異なる構成要素(例えば、c-Jun及びキメラ結合タンパク質)が単一のポリペプチドとして発現されるような、切断可能ではないリンカーである。いくつかの態様では、リンカーは、切断可能なリンカーである。本明細書で使用されるとき、「切断可能なリンカー」という用語は、発現されるときに選択的に切断されて2以上の生成物を生成することができるような、切断部位を含むリンカーを指す。いくつかの態様では、リンカーは、P2Aリンカー、T2Aリンカー、F2Aリンカー、E2Aリンカー、フーリン切断部位、またはそれらの任意の組み合わせから選択される(下記の表9を参照のこと)。いくつかの態様では、リンカーは更にGSGリンカー配列を含む。いくつかの態様では、本開示に有用なリンカーは、第1及び第2の遺伝子によってコードされる別個のポリペプチドが翻訳中に生成されるように、内部リボソーム進入部位(IRES)を含む。本開示で使用され得るリンカーの追加の記載は、例えば、WO2020/223625(A1)及びUS2019/0276801(A1)に提供されており、この各々は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【表9】
【0401】
いくつかの態様では、リンカーはP2Aリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号14に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号14に示されるアミノ酸配列を含む。
【0402】
いくつかの態様では、リンカーは、T2Aリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号15に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号15に示されるアミノ酸配列を含む。
【0403】
いくつかの態様では、リンカーは、F2Aリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号16に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号16に示されるアミノ酸配列を含む。
【0404】
いくつかの態様では、リンカーは、E2Aリンカーを含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号17に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号17に示されるアミノ酸配列を含む。
【0405】
いくつかの態様では、リンカーは、フーリン切断部位を含むアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号18に示されるアミノ酸配列に対して少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの態様では、リンカーは、配列番号18に示されるアミノ酸配列を含む。
【0406】
上記開示から明らかなように、いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、本明細書に提供されている方法を使用して改変及び培養された)は、(5’から3’へ):(i)c-Junポリペプチドをコードする第1のヌクレオチド配列、(ii)第1のリンカー(例えば、P2Aリンカー)をコードする第2のヌクレオチド配列、(iii)第1のシグナルペプチド(例えば、hIgκ)をコードする第3のヌクレオチド配列、(iv)キメラ結合ドメイン(例えば、scFv)をコードする第4のヌクレオチド配列、(v)第2のリンカー(例えば、GGGSG、配列番号40)をコードする第5のヌクレオチド配列、(vi)スペーサー(例えば、IgG2のヒンジ由来スペーサー)をコードする第6のヌクレオチド配列、(vii)膜貫通ドメイン(例えば、CD28)をコードする第7のヌクレオチド配列、(viii)共刺激ドメイン(例えば、4-1BB)をコードする第8のヌクレオチド配列、(ix)細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)をコードする第9のヌクレオチド配列、(x)第3のリンカー(例えば、P2Aリンカー)をコードする第10のヌクレオチド配列、(xi)第2のシグナルペプチド(例えば、GMCSFRαSP)をコードする第11のヌクレオチド配列、及び(xii)EGFRtをコードする第12のヌクレオチド配列を含む。
【0407】
送達ベクター
いくつかの態様では、本明細書で提供されるのは、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、本明細書で提供されている方法を使用して培養された)を改変するために使用され得るベクター(例えば、発現ベクター)である。いくつかの態様では、本明細書に記載されているベクターは、複数(例えば、2、3、もしくは4個以上)のポリヌクレオチドを含み、複数のポリヌクレオチドは各々、本明細書に記載されているタンパク質(例えば、c-Junタンパク質、リガンド結合タンパク質(例えば、キメラ結合タンパク質、例えば、CAR)、またはEGFRt)をコードする。したがって、いくつかの態様では、ベクターは、ポリシストロン性ベクター(例えば、バイシストロン性ベクターまたはトリシストロン性のベクター)を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されているポリヌクレオチドは同じベクター(例えば、マルチシストロン性発現ベクター)上に含まれる。いくつかの態様では、本明細書に記載されているタンパク質(例えば、c-Junタンパク質、リガンド結合タンパク質(例えば、キメラ結合タンパク質、例えば、CAR)、またはEGFRt)をコードするポリヌクレオチドが1つ以上の別個のベクター上に提供される。
【0408】
本明細書に記載されているように、そのようなベクターは、宿主細胞及び治療的介入の標的とされる細胞における組換え発現に有用である。「ベクター」という用語は、本明細書で使用されるとき、連結された別の核酸を輸送することが可能な核酸分子、または別の核酸を輸送することができるそのような核酸分子を含む存在を指すことが意図される。いくつかの態様では、ベクターは、「プラスミド」であり、これは、追加のDNAセグメントがライゲートされ得る環状二本鎖DNAループを指す。いくつかの態様では、ベクターはウイルスベクターであり、追加のDNAセグメントをウイルスゲノムにライゲートすることができる。特定のベクターまたはベクターの一部であるポリヌクレオチドは、それらが導入される宿主細胞において自己複製が可能である(例えば、細菌の複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム哺乳動物ベクター)は、宿主細胞に導入されると宿主細胞のゲノムに組み込まれることが可能であり、それによって宿主ゲノムとともに複製される。更に、ある特定のベクターは、それらが作動可能に連結された遺伝子の発現を指示することが可能である。そのようなベクターは、本明細書では、「組換え発現ベクター」(または単に「発現ベクター」)と呼ばれる。一般に、組換えDNA技法において利用される発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。本開示において、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドが最も一般的に使用されるベクターの形態であるため、文脈に応じて同義に使用できる場合もある。しかしながら、本明細書で開示されているのはまた、同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、レンチウイルス、複製欠損レトロウイルス、ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、バキュロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)などの他の形態の発現ベクターである。
【0409】
いくつかの態様では、ベクターは、本明細書に記載されているポリヌクレオチド(例えば、c-Junタンパク質及び/またはリガンド結合タンパク質をコードする)及び調節要素を含む。例えば、いくつかの態様では、ベクターは、プロモーターに操作可能に連結された、本明細書に記載されているポリヌクレオチド(例えば、c-Junタンパク質及び/またはリガンド結合タンパク質をコードする)を含む。いくつかの態様では、ベクターは、複数(例えば、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つまたはそれ以上)のプロモーターを含み得る。例えば、いくつかの態様では、c-Junタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、第1のプロモーターの制御下にあり得、ポリヌクレオチドの追加的な構成要素のうちの1つ以上(例えば、キメラ結合タンパク質)をコードするヌクレオチド配列は、第2のプロモーターの制御下にあり得る。いくつかの態様では、複数のプロモーターの各々は同じである。いくつかの態様では、複数のプロモーターのうちの1以上は異なる。
【0410】
当該技術分野で既知の任意の好適なプロモーターを本開示で使用することができる。いくつかの態様では、本開示に有用なプロモーターは、構成的または誘導的プロモーターのような哺乳類またはウイルスプロモーターを含む。いくつかの態様では、本開示のためのプロモーターは、少なくとも1つの構成的プロモーター及び少なくとも1つの誘導的プロモーター、例えば、組織特異的なプロモーターを含む。
【0411】
構成的哺乳類プロモーターには、以下の遺伝子:ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)、アデノシンデアミナーゼ、ピルビン酸キナーゼのプロモーター、ベータ-アクチンプロモーター、及びその他の構成的プロモーターが挙げられるが、これらに限定されない。真核細胞において構成的に機能する例示的なウイルスプロモーターとしては、例えば、サイトメガロウイルス(CMV)、サルウイルス(例えば、SV40)、パピローマウイルス、アデノウイルス、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ラウス肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、モロニー白血病ウイルスの末端反復配列(LTR)、及びその他のレトロウイルス由来のプロモーター、ならびに単純ヘルペスウイルスのチミジンキナーゼプロモーターが挙げられる。本明細書に記載されているように、いくつかの態様では、本開示で使用され得るプロモーターは、誘導的プロモーターである。誘導的プロモーターは、誘導剤の存在下において発現される。例えば、メタロチオネインプロモーターは、特定の金属イオンの存在下において転写及び翻訳を促進するよう誘導される。複数の誘導的プロモーターが存在する場合、同じ誘導分子または異なる誘導物質によって誘導することができる。
【0412】
いくつかの態様では、プロモーターは、骨髄増殖性肉腫ウイルスエンハンサー、負の制御領域欠失、dl587revプライマー結合部位置換(MND)プロモーター、EF1aプロモーター、または双方を含む。
【0413】
いくつかの態様では、本開示に有用なベクター(例えば、c-Junタンパク質及び/またはリガンド結合タンパク質をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含む)は、更に、1つ以上の追加の調節要素を含む。調節要素の非限定的な例には、翻訳エンハンサー要素(TEE)、翻訳開始配列、マイクロRNA結合部位もしくはそのシード、連結ヌクレオシドの3’テーリング領域、AUリッチ要素(ARE)、転写後制御モジュレーター、5’UTR、3’UTR、局在化配列(例えば、膜局在化配列、核局在化配列、核排除配列、もしくはプロテアソーム標的化配列)、翻訳後修飾配列(例えば、ユビキチン化、リン酸化、もしくは脱リン酸化)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0414】
いくつかの態様では、ベクターは更に、転位要素を含んでもよい。したがって、いくつかの態様では、ベクターは、少なくとも2つのトランスポゾン特異的な逆方向末端反復(ITR)が隣接する、本明細書に記載されているポリヌクレオチド(例えば、c-Junタンパク質及び/またはリガンド結合タンパク質をコードする)を含む。いくつかの態様では、トランスポゾン特異的ITRはDNAトランスポゾンによって認識される。いくつかの態様では、トランスポゾン特異的なITRはレトロトランスポゾンによって認識される。核酸分子を宿主細胞、例えば、免疫細胞のゲノムに導入するために、当該技術分野で既知の任意のトランスポゾンシステムを使用することができる。いくつかの態様では、トランスポゾンは、hAT様Tol2、Sleeping Beauty(SB)、Frog Prince、piggyBac(PB)、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、トランスポゾンは、Sleeping Beautyを含む。いくつかの態様では、トランスポゾンは、piggyBacを含む。例えば、Zhao et al.,Transl.Lung Cancer Res.5(1):120-25(2016)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0415】
いくつかの態様では、ベクターは移入ベクターである。「移入ベクター」という用語は、単離された核酸(例えば、本明細書に記載されているポリヌクレオチド)を含み、細胞の内部に単離された核酸を送達するのに使用され得る物質の組成物を指す。線状ポリヌクレオチド、イオン性または両親媒性の化合物と関連付けられるポリヌクレオチド、プラスミド、及びウイルスを含むが、これらに限定されない多数のベクターが当該技術分野で既知である。したがって、「移入ベクター」という用語は、自己複製のプラスミドまたはウイルスを含む。その用語はまた、細胞への核酸の移行を容易化する非プラスミド及び非ウイルス性化合物、例えば、ポリリジン化合物、リポソーム等を更に含むように解釈されるべきである。ウイルス移入ベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクターなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0416】
いくつかの態様では、ベクターは発現ベクターである。「発現ベクター」という用語は、発現させられるヌクレオチド配列に操作可能に連結された発現制御配列を含む組換えポリヌクレオチドを含むベクターを指す。発現ベクターは、発現のための十分なシス作用性要素を含み、発現のための他の要素は、宿主細胞によってまたはインビトロ発現システムにて供給され得る。発現ベクターには、組換えポリヌクレオチドを組み込むコスミド、プラスミド(例えば、むき出しまたはリポソームに含有される)及びウイルス(例えば、レンチウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)を含む、当該技術分野で既知の全てのものが含まれる。
【0417】
いくつかの態様では、ベクターはウイルスベクター、哺乳類ベクター、または細菌ベクターである。いくつかの態様では、ベクターは、アデノウイルスベクター、レンチウイルス、センダイウイルスベクター、バキュロウイルスベクター、エプスタインバーウイルスベクター、パポバウイルスベクター、ワクシニアウイルスベクター、単純ヘルペスウイルスベクター、ハイブリッドベクター、及びアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターからなる群から選択される。
【0418】
いくつかの態様では、アデノウイルスベクターは、第三世代アデノウイルスベクターである。ADEASY(商標)は、アデノウイルスベクター構築物を生成するための群を抜いて人気のある方法である。そのシステムは、2つのタイプのプラスミド:シャトル(またはトランスファー)ベクター及びアデノウイルスベクターから成る。目的の導入遺伝子をシャトルベクターにクローニングし、検証し、制限酵素PmeIで直鎖化する。次いで、この構築物を、PADEASY(商標)を含有するBJ5183 E.coli細胞であるADEASIER-1細胞に形質転換する。PADEASY(商標)は、ウイルス産生に必要なアデノウイルス遺伝子を含んだ約33Kbのアデノウイルスプラスミドである。シャトルベクターとアデノウイルスプラスミドとは、アデノウイルスプラスミド内への導入遺伝子の相同組換えを促進する一致した左右のホモロジーアームを有している。標準的なBJ5183に、スーパーコイルを形成したPADEASY(商標)とシャトルベクターを同時形質転換することもできるが、この方法は非組換えアデノウイルスプラスミドの高いバックグ回を生じる。次いで、組換えアデノウイルスプラスミドをサイズ及び適当な制限消化パターンについて検証し、導入遺伝子がアデノウイルスプラスミドに挿入され、他のパターンの組換えが生じていないことを確認する。確認されると、組換えプラスミドをPacIで線状化して、ITRに隣接する線状dsDNA構築物を作製する。293または911細胞を、線状化構築物で形質移入し、ウイルスを、約7~10日後に回収することができる。この方法以外にも、本明細書に開示されている方法を実施するために、本願が出願された時点で当該技術分野で既知のアデノウイルスベクター構築物を作製するための方法を用いることができる。
【0419】
いくつかの態様では、ウイルスベクターは、レトロウイルスベクター、例えば、レンチウイルスベクター(例えば、第三または第四世代レンチウイルスベクター)である。用語「レンチウイルス」は、レトロウイルス科の属を指す。レンチウイルスは、非分裂細胞に感染することができるという点でレトロウイルスの中でも独特であり、有意な量の遺伝子情報を宿主細胞のDNAに送達し得るので、遺伝子送達ベクターのうちで最も効率的な方法のうちの1つである。HIV、SIV、及びFIVは全て、レンチウイルスの例である。「レンチウイルスベクター」という用語は、特に、Milone et al.,Mol.Ther.17(8):1453-1464(2009)で提供される自己不活性化レンチウイルスベクターを含む、レンチウイルスゲノムの少なくとも一部に由来するベクターを指す。臨床において使用され得るレンチウイルスベクターの他の例としては、例えば、Oxford BioMedicaからのLENTIVECTOR(登録商標)遺伝子送達技術、LentigenからのLENTIMAX(商標)ベクターシステムなどが挙げられるがこれらに限定されない。非臨床タイプのレンチウイルスベクターも利用可能であり、当業者には知られているであろう。
【0420】
レンチウイルスベクターは、1つの細胞株に3つの別々のプラスミド発現システムを形質移入する一時的な形質移入システムで通常は作り出される。これらには、移入ベクタープラスミド(HIVプロウイルスの一部)、パッケージングプラスミドまたは構築物、及び異なるウイルスの異種エンベロープ遺伝子(env)を有するプラスミドが含まれる。ベクターの3つのプラスミド構成要素がパッケージング細胞に入れられ、それが、その後、HIVシェルに挿入される。ベクターのウイルス部分は挿入配列を含んでいるため、ウイルスは細胞系で複製することはできない。現在の第3世代レンチウイルスベクターは、9つのHIV-1タンパク質のうちの3つのみ(Gag、Pol、Rev)をコードしており、これらは組換えによる複製能を有するウイルスの生成を防止するために別々のプラスミドから発現させられる。第四世代レンチウイルスベクターでは、レトロウイルスゲノムは更に低減されている(例えば、TAKARA(登録商標)LENTI-X(商標)第四世代パッケージングシステムを参照のこと)。
【0421】
いくつかの態様では、非ウイルス的方法を使用して、本明細書に記載されているポリヌクレオチド(例えば、c-Junタンパク質及び/またはキメラ結合タンパク質をコードする)を免疫細胞に送達することができる。いくつかの態様では、非ウイルス的方法にはトランスポゾンの使用が挙げられる。いくつかの態様では、非ウイルス的送達方法の使用は、細胞、例えば、T細胞またはNK細胞の再プログラム化、及び対象への細胞の直接的注入を可能にする。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、CRISPR/Casシステム及びゲノム編集代替手段、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ(TALEN)、及びメガヌクレアーゼ(MN)を使用することによって標的細胞(例えば、T細胞)または宿主細胞(例えば、コードされるタンパク質の組換え発現のための細胞)のゲノムに挿入され得る。非ウイルス送達システムには、エレクトロポレーション、細胞圧搾法、脂質ナノ粒子、金ナノ粒子、ポリマーナノ粒子を含むナノ粒子も含まれる。非ウイルス送達システムの例としては、例えば、EbioMedicine,2021,May;67:103354が挙げられ、記載されている。
【0422】
いくつかの態様では、本明細書で開示されているベクター(例えば、レンチウイルスベクター)は、(i)c-Junタンパク質及び(ii)抗原結合ドメイン(例えば、scFv)をコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、ベクターは、(i)c-Junタンパク質、(ii)抗原結合ドメイン(例えば、scFv)、及び(iii)EGFRtをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、ベクターは、(i)c-Junタンパク質、(ii)抗原結合ドメイン(例えば、scFv)、(iii)膜貫通ドメイン(例えば、CD28)、(iv)共刺激ドメイン(4-1BB)、(v)細胞内シグナル伝達ドメイン(CD3ζ)、及び(vi)EGFRtをコードする1つ以上のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。いくつかの態様では、1以上のヌクレオチド配列は更に、リンカー、スペーサー、シグナルペプチド、またはそれらの組み合わせをコードする。例えば、いくつかの態様では、本明細書に記載されているベクターは、(5’から3’へ)(i)c-Junタンパク質をコードする第1のヌクレオチド配列、(ii)第1のリンカー(例えば、P2Aリンカー)をコードする第2のヌクレオチド配列、(iii)第1のシグナルペプチド(例えば、hIgκ)をコードする第3のヌクレオチド配列、(iv)抗原結合ドメイン(例えば、scFv)をコードする第4のヌクレオチド配列、(v)第2のリンカー(例えば、GGGSG、配列番号40)をコードする第5のヌクレオチド配列、(vi)スペーサー(例えば、IgG2のヒンジ由来スペーサー)をコードする第6のヌクレオチド配列、(vii)膜貫通ドメイン(例えば、CD28)をコードする第7のヌクレオチド配列、(viii)共刺激ドメイン(例えば、4-1BB)をコードする第8のヌクレオチド配列、(ix)細胞内シグナル伝達ドメイン(例えば、CD3ζ)をコードする第9のヌクレオチド配列、(x)第3のリンカー(例えば、P2Aリンカー)をコードする第10のヌクレオチド配列、(xi)第2のシグナルペプチド(例えば、GM-CSF)をコードする第11のヌクレオチド配列、及び(xii)EGFRtをコードする第12のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチドを含む。
【0423】
いくつかの態様では、本明細書に開示されているポリヌクレオチド(例えば、c-Junタンパク質及び/またはリガンド結合タンパク質をコードする)は、DNA(例えば、DNA分子もしくはその組み合わせ)、RNA(例えば、RNA分子もしくはその組み合わせ)、またはそれらの任意の組み合わせである。いくつかの態様では、ポリヌクレオチドは、ゲノムもしくはcDNA形態の一本鎖もしくは二本鎖のRNAもしくはDNA(例えば、ssDNAもしくはdsDNA)、またはDNA/RNAハイブリッドであり、その各々が化学的または生化学的に改変された、非天然の、または誘導化されたヌクレオチド塩基を含み得る。本明細書に記載されているように、そのような核酸配列は、これらに限定されるものではないが、ポリA配列、改変コザック配列、ならびにエピトープタグ、搬出シグナル、及び分泌シグナル、核局在化シグナル、及び細胞膜局在化シグナルをコードする配列を含む、コードされたポリペプチドの発現及び/または精製を促進するのに有用な追加の配列を含み得る。本明細書の教示に基づいて、どのヌクレオチド配列が本明細書に記載されている様々なポリペプチド(例えば、c-Junタンパク質、キメラ結合タンパク質、及び/またはEGFRt)をコードするかは当業者には明らかであろう。
【0424】
III.本開示の組成物
本開示の特定の態様は、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団を含む細胞組成物を対象とする。本開示の特定の態様は、参照免疫細胞(例えば、c-Junポリペプチドのレベルが増加するように改変されていない対応する細胞)と比べて、増加したレベルのc-Junポリペプチドを発現するように改変され、本明細書で開示されている方法に従って培養された免疫細胞(例えば、T細胞及び/またはNK細胞)の集団を含む細胞組成物を対象とする。本方法に従って、及び/または本明細書に開示されている代謝再プログラム化培地にて培養した細胞集団は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地にて従来の方法に従って培養した同等の細胞と比べて、低分化細胞の数が増加する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、幹様表現型に特有の1以上のマーカーの高い発現を示す。いくつかの態様では、本方法に従って、及び/または本明細書に開示される代謝再プログラム化培地中で培養した細胞集団は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地中で、従来の方法に従って培養した同等の細胞と比べて、増加した数のエフェクター様細胞を有する。いくつかの態様では、本方法に従って、及び/または本明細書に開示される代謝再プログラム化培地中で培養した細胞集団は、例えば、5mM未満のK+を含有する培地中で、従来の方法に従って培養した同等の細胞と比べて、増加した数の幹様細胞及びエフェクター様細胞の双方を有する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、従来の方法に従って培養した細胞と比べてより高い増殖能を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、形質導入効率の増加を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、対象への移植時に生体内生存能の増加を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、分化能の増加を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、細胞疲弊の減少を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、対象への移植時にインビボ存続性の増加を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、対象への移植時に生体内活性の増加を呈する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養した細胞は、対象への移植時により持続的な生体内応答を呈する。いくつかの態様では、対象はヒトである。
【0425】
いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約5%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約10%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約15%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約20%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約25%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約30%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約35%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約40%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約45%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約50%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約55%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約60%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約65%の細胞が、幹様表現型を有する。いくつかの態様では、細胞組成物における少なくとも約70%の細胞が、幹様表現型を有する。
【0426】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹様T細胞は、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹様T細胞は、培養物におけるCD8+T細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%を構成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、幹様T細胞は、培養物におけるCD4+T細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、または少なくとも約70%を構成する。
【0427】
いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法によるT細胞の培養後、前駆疲弊T細胞(すなわち、TPEに特徴的な遺伝子発現が濃縮されたT細胞)の比率が約1.5倍~約20倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が約2倍から約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が約2倍から約5倍増加する。
【0428】
いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約2倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約2.5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約3倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約3.5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約4倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約4.5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約5.5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約6倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約6.5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約7倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約7.5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約8倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約8.5倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約9倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約10倍増加する。
【0429】
いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法によるT細胞の培養後、疲弊T細胞(例えば、TTEに特徴的な遺伝子発現が濃縮されたT細胞)の比率が少なくとも約1/4減少し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法によるT細胞の培養後、疲弊T細胞の比率が少なくとも約1/3減少し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法によるT細胞の培養後、疲弊T細胞の比率が少なくとも約1/2減少し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法によるT細胞の培養後、疲弊T細胞の比率が少なくとも約3/4減少し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。
【0430】
いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、幹様T細胞の比率が少なくとも約1.5倍増加し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法によるT細胞の培養後、幹様T細胞の比率が少なくとも約2倍増加し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法によるT細胞の培養後、幹様T細胞の比率が少なくとも約2.5倍増加し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法によるT細胞の培養後、幹様T細胞の比率が少なくとも約3倍増加し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、幹様T細胞の比率が少なくとも約3.5倍増加し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、幹様T細胞の比率が少なくとも約4倍増加し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、幹様T細胞の比率が少なくとも約5倍増加し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、本明細書で開示されている方法に従ってT細胞を培養した後、幹様T細胞の比率が少なくとも約6倍増加し、前駆疲弊T細胞の比率が少なくとも約1.5倍、2倍、2.5倍、3倍、3.5倍、4倍、4.5倍、5倍、5.5倍、6倍、6.5倍、7倍、7.5倍、8倍、8.5倍、9倍、9.5倍、または少なくとも約10倍増加する。
【0431】
いくつかの態様では、細胞組成物は、1つ以上の幹様マーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに1つ以上のTPEマーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、少なくとも2つの幹様マーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに1つ以上のTPEマーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、少なくとも3つの幹様マーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに1つ以上のTPEマーカーを発現する、増加したパーセントの免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、少なくとも4つの幹様マーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに1つ以上のTPEマーカーを発現する増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、1つ以上の幹様マーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに少なくとも2つのTPEマーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、1つ以上の幹様マーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに少なくとも3つのTPEマーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、1つ以上の幹様マーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに少なくとも4つのTPEマーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、1つ以上の幹様マーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに少なくとも5つのTPEマーカーを発現する、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。
【0432】
いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、約4%~約10%の間の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、約4%~約9%の間の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、約4%~約8%の間の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、約4%~約7%の間の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、約4%~約6%の間の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。
【0433】
いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%の細胞が前駆疲弊T細胞であり、かつ少なくとも約4%の細胞が幹様T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%の細胞が、前駆疲弊T細胞であり、かつ少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、幹様T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が前駆疲弊T細胞であり、かつ少なくとも約4%の細胞が幹様T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、前駆疲弊T細胞であり、かつ少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、幹様T細胞である免疫細胞の集団を含む。
【0434】
いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、前駆疲弊T細胞であり、かつ約20%未満の細胞が、終末疲弊細胞(TTE)である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%の細胞が前駆疲弊T細胞である免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、前駆疲弊T細胞であり、かつ約20%、約19%、約18%、約17%、約16%、または約15%未満の細胞が、終末疲弊細胞(TTE)である免疫細胞の集団を含む。
【0435】
いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%の細胞が前駆疲弊T細胞であり、少なくとも約4%の細胞が幹様T細胞であり、約20%未満の細胞がTTEである免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%の細胞が、前駆疲弊T細胞であり、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、幹様T細胞であり、かつ約20%未満の細胞が、TTEである免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、前駆疲弊T細胞であり、少なくとも約4%の細胞が、幹様T細胞であり、かつ約20%未満の細胞が、TTEである免疫細胞の集団を含む。いくつかの態様では、本明細書の細胞組成物は、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、前駆疲弊T細胞であり、少なくとも約4%、約5%、約6%、約7%、約8%、約9%、または約10%の細胞が、幹様T細胞であり、かつ約20%未満の細胞が、TTEである免疫細胞の集団を含む。
【0436】
いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約1.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約2.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約2.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約3.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約3.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約4.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約4.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約5.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約5.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約6.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約6.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約7.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約7.5倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約8.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約9.0倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約10倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約15倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約20倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約30倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約40倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約50倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約75倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約100倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約500倍増加する。いくつかの態様では、細胞組成物における幹様表現型を有する細胞の数は、培養前の細胞組成物における細胞の数と比べて少なくとも約1000倍増加する。
【0437】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約70%は、CD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%は、CD39-/TCF7+T細胞である。いくつかの態様ではT細胞は、CD4+T細胞である。いくつかの態様ではT細胞は、CD8+T細胞である。
【0438】
いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD95を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD45ROを発現しない。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD45RAを発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CCR7を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD62Lを発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、TCF7を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD3を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD27を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD95及びCD45RAを発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD45RA及びCCR7を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD95、CD45RA、及びCCR7を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD95、CD45RA、CCR7、及びCD62Lを発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD45RA、CCR7、CD62L、及びTCF7を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD95、CD45RA、CCR7、CD62L、及びTCF7を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD45RA、CCR7、CD62L、TCF7、及びCD27を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD95、CD45RA、CCR7、CD62L、TCF7、及びCD27を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD45RA、CCR7、CD62L、TCF7、及びCD27を発現し、かつCD45ROを発現しないか、またはCD45RO低である。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD95、CD45RA、CCR7、CD62L、TCF7、及びCD27を発現し、かつCD45ROを発現しないか、またはCD45RO低である。
【0439】
いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD39及びCD69を発現しない。いくつかの態様では、細胞組成物は、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞のパーセントの増加を含み、これらの細胞は、CD8を発現し、かつCD39及びCD69を発現しない。いくつかの態様では、いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%~少なくとも約40%はCD39-/CD69-T細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法によるT細胞の培養後、培養物におけるT細胞の総数の少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、または少なくとも約40%は、CD39-/CD69-T細胞である。
【0440】
いくつかの態様では、細胞組成物は、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含み、これらの細胞は、(i)1つ以上の幹様マーカー及び(ii)1つ以上のエフェクター様マーカーの双方を発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含み、これらの細胞は、少なくとも2つの幹様マーカー及び1つ以上のエフェクター様マーカーを発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、増加したパーセントの免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含み、これらの細胞は、少なくとも3つの幹様マーカー及び1つ以上のエフェクター様マーカーを発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含み、これらの細胞は、少なくとも4つの幹様マーカー及び1つ以上のエフェクター様マーカーを発現する。いくつかの態様では、細胞組成物は、増加した割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含み、これらの細胞は、1つ以上の幹様マーカー及び少なくとも2つエフェクター様マーカーを発現する。
【0441】
いくつかの態様では、幹様マーカーは、CD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では幹様マーカーはCD45RA+、CD62L+、CCR7+、及びTCF7+、またはそれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの態様では、細胞はCD45RO低を発現する。いくつかの態様では、幹様マーカーは、特徴的な遺伝子発現の一部として本明細書で列挙される1つ以上の遺伝子を含む(上記を参照のこと、例えば、Gattinoni,L.,et al.,Nat.Med.17(10)1290-97(2011)またはGalletti et al.Nat Immunol 21,1552-62(2020)を参照のこと)。
【0442】
いくつかの態様では、幹様マーカーは、WNTシグナル伝達経路において発現される遺伝子を含む。いくつかの態様では、幹様マーカーは、GNG2、PSMC3、PSMB10、PSMC5、PSMB8、PSMB9、AKT1、MYC、CLTB、PSME1、DVL2、PFN1、H2AFJ、LEF1、CTBP1、MOV10、HIST1H2BD、FZD3、ITPR3、PARD6A、LRP5、HIST2H4A、HIST2H3C、HIST1H2AD、HIST2H2BE、HIST3H2BB、DACT1、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む。いくつかの態様では、幹様マーカーは、MYC、AKT1、LEF1、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む。
【0443】
いくつかの態様では、エフェクター様マーカーは、pSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、STAT3+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される。いくつかの態様では、エフェクター様マーカーはAKT1、AKT2、AKT3、BCL2L1、CBL、CBLB、CBLC、CCND1、CCND2、CCND3、CISH、CLCF1、CNTF、CNTFR、CREBBP、CRLF2、CSF2、CSF2RA、CSF2RB、CSF3、CSF3R、CSH1、CTF1、EP300、EPO、EPOR、GH1、GH2、GHR、GRB2、IFNA1、IFNA10、IFNA13、IFNA14、IFNA16、IFNA17、IFNA2、IFNA21、IFNA4、IFNA5、IFNA6、IFNA7、IFNA8、IFNAR1、IFNAR2、IFNB1、IFNE、IFNG、IFNGR1、IFNGR2、IFNK、IFNL1、IFNL2、IFNL3、IFNLR1、IFNW1、IL10、IL10RA、IL10RB、IL11、IL11RA、IL12A、IL12B、IL12RB1、IL12RB2、IL13、IL13RA1、IL13RA2、IL15、IL15RA、IL19、IL2、IL20、IL20RA、IL20RB、IL21、IL21R、IL22、IL22RA1、IL22RA2、IL23A、IL23R、IL24、IL26、IL2RA、IL2RB、IL2RG、IL3、IL3RA、IL4、IL4R、IL5、IL5RA、IL6、IL6R、IL6ST、IL7、IL7R、IL9、IL9R、IRF9、JAK1、JAK2、JAK3、LEP、LEPR、LIF、LIFR、MPL、MYC、OSM、OSMR、PIAS1、PIAS2、PIAS3、PIAS4、PIK3CA、PIK3CB、PIK3CD、PIK3CG、PIK3R1、PIK3R2、PIK3R3、PIK3R5、PIM1、PRL、PRLR、PTPN11、PTPN6、SOCS1、SOCS2、SOCS3、SOCS4、SOCS5、SOCS7、SOS1、SOS2、SPRED1、SPRED2、SPRY1、SPRY2、SPRY3、SPRY4、STAM、STAM2、STAT1、STAT2、STAT3、STAT4、STAT5A、STAT5B、STAT6、TPO、TSLP、TYK2、及びそれらの任意の組み合わせから成る群から選択されるSTAT標的を含む。
【0444】
いくつかの態様では、エフェクター様マーカーはTBCD、ARL4C、KLF6、LPGAT1、LPIN2、WDFY1、PCBP4、PIK343、FAS、LLGL2、PPP2R2B、TTC39C、GGA2、LRP8、PMAIP1、MVD、IL15RA、FHOD1、EML4、PEA15、PLEKHA5、WSB2、PAM、CD68、MSC、TLR3、S1PR5、KLRB1、CYTH3、RAB27B、SCD5、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含むエフェクターメモリー関連遺伝子である。いくつかの態様では、エフェクター様マーカーは、KLF6、FAS、KLRB1、TLR3、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1以上の遺伝子を含む。
【0445】
いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA+、STAT5+、及びSTAT3+である、増加したパーセントでの免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD62L+、STAT5+、及びSTAT3+である、増加したパーセントでの免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、TCF7+、STAT5+、及びSTAT3+である、増加したパーセントでの免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、STAT5+、及びSTAT3+である、増加したパーセントでの免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、pSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、及びSTAT3+である、増加したパーセントでの免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。いくつかの態様では、細胞組成物は、CD45RA+、CD45RO-、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、pSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、及びSTAT3+である、増加したパーセントでの免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を含む。
【0446】
いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、CD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のマーカー、ならびにpSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、STAT3+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のマーカーを含む。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、CD45RO低を発現する。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、CD45RA+、CD62L+、CCR7+、CD27+、CD28+、BACH2+、LEF1+、TCF7+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のマーカーならびに1つ以上のエフェクター様マーカーを含む。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、1つ以上の幹様マーカーならびにpSTAT5+、STAT5+、pSTAT3+、STAT3+、及びそれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上のマーカーを含む。いくつかの態様では、免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、CD45RO低を発現する。
【0447】
本開示のいくつかの態様は、免疫細胞の集団を含む細胞組成物を対象とし、免疫細胞の集団は(i)1以上の幹様マーカーを発現する免疫細胞(例えば、幹様免疫細胞)の第1の亜集団及び(ii)1以上のエフェクター様マーカーを発現する免疫細胞(例えば、エフェクター様免疫細胞)の第2の亜集団を含み、免疫細胞の集団は、従来の培地、例えば、5mM未満のカリウムイオンを有する培地を使用して培養した免疫細胞の集団と比べて、1以上の幹様マーカーを発現する、高い割合(すなわち、幹様免疫細胞の数/免疫細胞の総数)の免疫細胞の第1の亜集団を含む。いくつかの態様では、免疫細胞は、T細胞である。いくつかの態様では、細胞はNK細胞である。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、これらの細胞組成物をもたらす。
【0448】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法に従って培養された免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、発現の増加、例えば、GZMB、MHC-II、LAG3、TIGIT、及び/またはNKG7を発現する、より高い割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞、ならびに、発現の減少、例えば、IL-32を発現する、より低い割合の免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞を有する。NKG7について最も高い細胞は、より良好な殺傷体であることが示されており(Malarkannan et al.2020 Nat.Immuno.)、一方で、IL-32がより高い細胞は、活性化誘導細胞死を有することが示されている(Goda et al.,2006Int.Immunol)。いくつかの態様では、GZMB、MHC-II、LAG3、TIGIT、及び/またはNKG7の発現がより高い免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、エフェクター様マーカーを発現するCD8+T細胞である。いくつかの態様では、IL-32の発現がより低い免疫細胞、例えば、T細胞及び/またはNK細胞は、エフェクター様マーカーを発現するCD8+T細胞である。
【0449】
いくつかの態様では、本明細書に記載される任意の方法によって得られる細胞組成物(例えば、療法として使用するための最終細胞産物の収率)は、少なくとも約1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、または5×109個の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約1×103、5×103、1×104、5×104、1×105、5×105、1×106、5×106、1×107、5×107、1×108、5×108、1×109、または5×109の幹様細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約5×109、6×109、7×109、8×109、9×109、1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、9×1010、10×1010、11×1010、12×1010、13×1010、14×1010、または15×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約1×106の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約1×106の幹様細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約1×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約2×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約3×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約4×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約5×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約6×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約7×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約8×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約9×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約10×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約11×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約12×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約13×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約14×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている任意の方法によって得られる細胞組成物は、少なくとも約15×1010の細胞を含む。いくつかの態様では、細胞収率はCD3+細胞の総数を表す。
【0450】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、現在開示されている培地での培養の少なくとも約10日目までに少なくとも約1×1010、少なくとも約1.1×1010、少なくとも約1.2×1010、少なくとも約1.3×1010、少なくとも約1.4×1010、少なくとも約1.5×1010、少なくとも約1.6×1010、少なくとも約1.7×1010、少なくとも約1.8×1010、少なくとも約1.9×1010、または少なくとも約2.0×1010の細胞を含む組成物を生成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、現在開示されている培地での培養の少なくとも約10日目までに少なくとも約1.8×1010の細胞を含む組成物を生成する。
【0451】
いくつかの態様では、細胞組成物は、少なくとも約1×1010、少なくとも約1.1×1010、少なくとも約1.2×1010、少なくとも約1.3×1010、少なくとも約1.4×1010、少なくとも約1.5×1010、少なくとも約1.6×1010、少なくとも約1.7×1010、少なくとも約1.8×1010、少なくとも約1.9×1010、または少なくとも約2.0×1010の幹様細胞を含む。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、培養の少なくとも約10日目までに少なくとも約1×1010、少なくとも約1.1×1010、少なくとも約1.2×1010、少なくとも約1.3×1010、少なくとも約1.4×1010、少なくとも約1.5×1010、少なくとも約1.6×1010、少なくとも約1.7×1010、少なくとも約1.8×1010、少なくとも約1.9×1010、または少なくとも約2.0×1010個の幹様細胞を含む組成物を生成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、本開示の培地にての培養の少なくとも約10日目までに少なくとも約1.8×1010個の幹様細胞を生成する。
【0452】
いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約94%、少なくとも約95%、少なくとも約96%、少なくとも約97%、少なくとも約98%、または少なくとも約99%生存性である免疫細胞を含む組成物を生成する。いくつかの態様では、本明細書に開示されている方法は、少なくとも約94%の細胞生存率である少なくとも約1.8×1010の幹様細胞を含む組成物を生成する。
【0453】
IV.治療方法
本開示のいくつかの態様は、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書で提供されている方法を使用して培養された)を投与する方法を対象とする。本開示のいくつかの態様は、対象に本明細書に記載されている免疫細胞を対象に投与することを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法を対象とする。例えば、いくつかの態様では、本明細書で開示されているのは、キメラ結合タンパク質(例えば、CAR)を発現するように、かつc-Junタンパク質を過剰発現するよう操作された免疫細胞を対象に投与することを含む、疾患または障害の治療を必要とする対象において疾患または障害を治療する方法である。いくつかの態様では、疾患または状態は、腫瘍、すなわち、がんを含む。いくつかの態様では、方法は、対象における標的の細胞集団または組織に対するT細胞が介在する免疫応答を刺激することを含み、本明細書に記載されている免疫細胞を投与することを含む。いくつかの態様では、標的細胞集団は腫瘍を含む。いくつかの態様では、腫瘍は、固形腫瘍である。
【0454】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養された)を投与すると、参照腫瘍体積と比べて対象における腫瘍体積が減少する。いくつかの態様では、参照腫瘍体積は、投与前の対象における腫瘍体積である。いくつかの態様では、参照腫瘍体積は投与を受けなかった対応する対象における腫瘍体積である。いくつかの態様では、対象における腫瘍体積は、参照腫瘍体積と比べて投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%減少する。
【0455】
いくつかの態様では、腫瘍を治療することは、対象において腫瘍重量を低減することを含む。いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養された)を投与すると、対象に投与されたときに対象の腫瘍重量を減らすことができる。いくつかの態様では、腫瘍重量は、参照腫瘍重量と比べて、投与後に少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、または少なくとも約100%低減する。いくつかの態様では、参照腫瘍重量は投与前の対象における腫瘍重量である。いくつかの態様では、参照腫瘍重量は、投与を受けなかった対応する対象の腫瘍重量である。
【0456】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質を発現するように、かつc-Junタンパク質のレベルが増加するように改変され、本明細書に提供されている方法を用いて培養された)を、例えば、腫瘍に罹患している対象に投与することにより、対象の血液中のT細胞(例えば、CD4+またはCD8+)の数及び/または割合を増加させ得る。いくつかの態様では、T細胞は改変された免疫細胞である。いくつかの態様では、血中のT細胞(例えば、キメラ結合タンパク質を発現するように、かつc-Junタンパク質のレベルが増加するように改変され、本明細書で提供されている方法を使用して培養された)の数及び/または割合は、参照(例えば、投与を受けなかった対象または投与前の同じ対象の対応する値)と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、または少なくとも約300%以上増加する。いくつかの態様では、血中のT細胞の数及び/または割合は、参照(例えば、投与を受けていない対応する対象)と比べて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍以上増加する。
【0457】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質を発現するように、かつc-Junタンパク質のレベルが増加するように改変され、本明細書に提供されている方法を用いて培養された)を、例えば、腫瘍に罹患している対象に投与することにより、対象の腫瘍及び/または腫瘍微小環境(TME)におけるT細胞(例えば、CD4+またはCD8+)の数及び/または割合を増加させ得る。いくつかの態様では、T細胞は改変された免疫細胞である。いくつかの態様では、腫瘍及び/またはTMEにおけるT細胞(例えば、キメラ結合タンパク質を発現するように、かつc-Junタンパク質のレベルが増加するように改変された)の数及び/または割合は、参照(例えば、投与を受けなかった対象または投与前の同じ対象における対応する値)と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約65%、少なくとも約70%、少なくとも約75%、少なくとも約80%、少なくとも約85%、少なくとも約90%、少なくとも約95%、少なくとも約100%、少なくとも約110%、少なくとも約120%、少なくとも約130%、少なくとも約140%、少なくとも約150%、少なくとも約160%、少なくとも約170%、少なくとも約180%、少なくとも約190%、少なくとも約200%、少なくとも約210%、少なくとも220%、少なくとも約230%、少なくとも約240%、少なくとも約250%、少なくとも約260%、少なくとも約270%、少なくとも約280%、少なくとも約290%、もしくは少なくとも約300%以上増加する。いくつかの態様では、腫瘍及び/またはTMEにおけるT細胞の数及び/または割合は、参照(例えば、投与を受けなかった対応する対象)と比べて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍以上増加する。
【0458】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に提供されている方法を用いて培養された)を、例えば腫瘍に罹患している対象に投与すると、投与を受けなかった(例えば、対応する、しかしc-Junタンパク質の発現を欠いた細胞で治療された)対応する対象における免疫応答の持続期間に対して、対象における免疫応答の持続期間を増加させることができる。いくつかの態様では、免疫応答の期間は、参照(例えば、投与を受けなかった対応する対象)と比べて、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約300%、少なくとも約400%、少なくとも約500%、または少なくとも約1000%以上増加する。いくつかの態様では、免疫応答の期間は、参照(例えば、投与を受けなかった対応する対象)と比べて、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約4倍、少なくとも約5倍、少なくとも約6倍、少なくとも約7倍、少なくとも約8倍、少なくとも約9倍、または少なくとも約10倍以上増加する。いくつかの態様では、免疫応答の時間は、参照(例えば、投与を受けなかった対応する対象)と比べて、少なくとも約1日、少なくとも約2日、少なくとも約3日、少なくとも約4日、少なくとも約5日、少なくとも約6日、少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約3週間、少なくとも約1か月、少なくとも約2か月、少なくとも約3か月、少なくとも約4か月、少なくとも約5か月、少なくとも約6か月、少なくとも約7か月、少なくとも約8か月、少なくとも約9か月、少なくとも約10か月、少なくとも約11か月、少なくとも約1年、少なくとも約2年、少なくとも約3年、少なくとも約4年、または少なくとも約5年増加する。
【0459】
本明細書に記載されているように、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養された)は、様々ながんを治療するために使用され得る。処置することができるがんの非限定例としては、副腎皮質癌、進行癌、肛門癌、再生不良性貧血、胆管癌、膀胱癌、骨癌、骨転移、脳腫瘍、脳癌、乳癌、小児期癌、原発不明癌、キャッスルマン病、子宮頸癌、結腸/直腸癌、子宮内膜癌、食道癌、ユーイング肉腫ファミリー、眼癌、胆嚢癌、消化管カルチノイド腫瘍、消化管間質腫瘍、妊娠性絨毛性疾患、ホジキン病、カポジ肉腫、腎細胞癌、喉頭部及び下咽頭癌、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性骨髄単球性白血病、肝臓癌、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、肺カルチノイド腫瘍、皮膚のリンパ腫、悪性中皮腫、多発性骨髄腫、骨髄異形成症候群、鼻腔及び副鼻腔癌、鼻咽頭癌、神経芽腫、非ホジキンリンパ腫、口腔及び口腔咽頭癌、骨肉腫、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、下垂体腫瘍、前立腺癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、唾液腺癌、成人軟部組織における肉腫、基底及び扁平上皮細胞皮膚癌、黒色腫、小腸癌、胃癌、精巣癌、咽喉癌、胸腺癌、甲状腺癌、子宮肉腫、膣癌、外陰部癌、ヴァルデンストレームマクログロブリン血症、ウィルムス腫瘍、がん治療によって引き起こされる二次がん、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。いくつかの態様では、がんは、固形腫瘍と関連付けられる。
【0460】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養された)は、他の治療剤(例えば、抗がん剤及び/または免疫調節剤)と組み合わせて使用される。したがって、いくつかの態様では、本明細書に開示されている疾患または障害(例えば、腫瘍)を治療する方法は、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書で提供されている方法を使用して培養された)を1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することを含む。そのような薬剤としては、例えば、化学療法薬、標的抗がん療法、腫瘍溶解薬、細胞傷害性薬剤、免疫に基づく療法、サイトカイン、手術、放射線療法、共刺激分子の活性化因子、免疫チェックポイント阻害剤、ワクチン、細胞免疫療法、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0461】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養された)は、追加の治療剤の投与前または投与後に対象に投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養された)は追加の治療剤と同時に対象に投与される。いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養された)及び追加の治療剤は、薬学的に許容される担体中の単一の組成物として同時に投与され得る。いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養されたもの)及び追加の治療剤は、別の組成物として同時に投与される。
【0462】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、ROR1結合タンパク質を発現するように、かつc-Junタンパク質のレベルが増加するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養されたもの)は、ダサチニブまたはポナチニブのようなBCR-ABL/Srcキナーゼ阻害剤の投与前または投与後に対象に投与される。いくつかの態様では、ダサチニブまたはポナチニブは、CAR-T細胞療法で時々発生し得る細胞傷害性(例えば、サイトカインストーム)を軽減するために投与され得る。Srcキナーゼは生理的なT細胞の活性化に重要な役割を担うことが知られている。これと一致して、ダサチニブは、抗原特異的な生理学的T細胞の活性化、増殖、サイトカイン産生、及び脱顆粒を用量依存性に大幅に阻害することが示されており(Schade et al.,Blood,111:1366-77,2008;Weichsel et al.,Clin.Cancer Res.14:2484-91,2008)、CAR-T細胞療法における細胞傷害性を軽減することが示されている(例えば、US2021032363を参照のこと)。
【0463】
いくつかの態様では、本明細書に記載されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質及び増加したレベルのc-Junタンパク質を発現するように改変され、本明細書に記載されている方法を使用して培養された)は、標準治療(例えば、手術、放射線療法、及び化学療法)と組み合わせて使用される。本明細書に記載されている方法は、維持療法、例えば、腫瘍の発生または再発を防止することを目的とした療法としても使用され得る。
【0464】
いくつかの態様では、本明細書で提供されている免疫細胞(例えば、キメラ結合タンパク質を発現するように、かつc-Junタンパク質のレベルが増加するように改変され、本明細書で提供されている方法を使用して培養された)は、免疫経路の複数の要素を標的とすることができるような1つ以上の抗がん剤と組み合わせて使用される。そのような組み合わせの非限定例としては、腫瘍抗原提示を増強する療法(例えば、樹状細胞ワクチン、GM-CSF分泌細胞ワクチン、CpGオリゴヌクレオチド、イミキモド);例えば、CTLA-4及び/またはPD1/PD-L1/PD-L2経路の阻害、及び/またはTregもしくは他の免疫抑制細胞(例えば、骨髄系由来サプレッサー細胞)の枯渇もしくは遮断によって、負の免疫調節を阻害する療法;例えば、CD-137、OX-40、及び/またはCD40もしくはGITRの経路を刺激する、及び/またはT細胞エフェクター機能を刺激するアゴニストによる、正の免疫調節を刺激する療法;抗腫瘍T細胞の発生頻度を全身性に増やす療法;例えば、CD25のアンタゴニスト(例えば、ダクリズマブ)を使用して、または生体外抗CD25ビーズ枯渇によって腫瘍中のTregのようなTregを枯渇させる、または阻害する療法;腫瘍中のサプレッサー骨髄細胞の機能に影響を及ぼす療法;腫瘍細胞の免疫原性を増強する療法(例えば、アントラサイクリン);遺伝子操作細胞、例えば、キメラ抗原受容体を発現するように操作された細胞(CAR-T療法)を含む養子T細胞またはNK細胞移入;代謝酵素、例えば、インドールアミンジオキシゲナーゼ(IDO)、ジオキシゲナーゼ、アルギナーゼ、または一酸化窒素合成酵素などを阻害する療法;T細胞のアネルギーまたは疲弊を元に戻す/防止する療法;腫瘍部位の自然免疫活性化及び/または炎症を誘発する療法;免疫刺激性サイトカインの投与;免疫抑制サイトカインの遮断;あるいはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0465】
いくつかの態様では、抗がん剤は、免疫チェックポイント阻害剤を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路を介するシグナル伝達を遮断する)。本発明の方法に使用され得る免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例は、CTLA-4アンタゴニスト(例えば、抗CTLA-4抗体)、PD-1アンタゴニスト(例えば、抗PD-1抗体、抗PD-L1抗体)、TIM-3アンタゴニスト(例えば、抗TIM-3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。そのような免疫チェックポイント阻害剤の非限定的な例としては、以下、抗PD1抗体(例えば、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、ペムブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標)、MK-3475)、ピディリズマブ(CT-011)、PDR001、MEDI0680(AMP-514)、TSR-042、REGN2810、JS001、AMP-224(GSK-2661380)、PF-06801591、BGB-A317、BI754091、SHR-1210、及びそれらの組み合わせ)、抗PD-L1抗体(例えば、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、RG7446、MPDL3280A、RO5541267)、デュルバルマブ(MEDI4736、IMFINZI(登録商標))、BMS-936559、アベルマブ(BAVENCIO(登録商標))、LY3300054、CX-072(Proclaim-CX-072)、FAZ053、KN035、MDX-1105、及びそれらの組み合わせ)、ならびに抗CTLA-4抗体(例えば、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、トレメリムマブ(チシリムマブ、CP-675,206)、AGEN-1884、ATOR-1015、及びそれらの組み合わせ)が挙げられる。
【0466】
いくつかの態様では、抗がん剤は、免疫チェックポイント活性化因子を含む(すなわち、特定の免疫チェックポイント経路を介してシグナル伝達を促進する)。いくつかの態様では、免疫チェックポイント活性化因子は、OX40アゴニスト(例えば、抗OX40抗体)、LAG-3アゴニスト(例えば、抗LAG-3抗体)、4-1BB(CD137)アゴニスト(例えば、抗CD137抗体)、GITRアゴニスト(例えば、抗GITR抗体)、TIM3アゴニスト(例えば、抗TIM3抗体)、またはそれらの組み合わせを含む。
【0467】
本開示の実施は、別途示されない限り、当該技術分野の技術内である細胞生物学、細胞培養、分子生物学、トランスジェニック生物学、微生物学、組換えDNA、及び免疫学の従来の技法を用いるであろう。そのような技法は、文献で十分に説明されている。例えば、Sambrook et al.,ed.(1989)Molecular Cloning A Laboratory Manual(2nd ed.;Cold Spring Harbor Laboratory Press)、Sambrook et al.,ed.(1992)Molecular Cloning:A Laboratory Manual,(Cold Springs Harbor Laboratory,NY)、D.N.Glover ed.,(1985)DNA Cloning,Volumes I and II、Gait,ed.(1984)Oligonucleotide Synthesis、Mullis et al.U.S.Pat.No.4,683,195、Hames and Higgins,eds.(1984)Nucleic Acid Hybridization、Hames and Higgins,eds.(1984)Transcription And Translation、Freshney(1987)Culture Of Animal Cells(Alan R.Liss,Inc.)、Immobilized Cells And Enzymes(IRL Press)(1986)、Perbal(1984)A Practical Guide To Molecular Cloning;the treatise,Methods In Enzymology(Academic Press,Inc.,N.Y.)、Miller and Calos eds.(1987)Gene Transfer Vectors For Mammalian Cells,(Cold Spring Harbor Laboratory)、Wu et al.,eds.,Methods In Enzymology,Vols.154 and 155、Mayer and Walker,eds.(1987)Immunochemical Methods In Cell And Molecular Biology(Academic Press,London)、Weir and Blackwell,eds.,(1986)Handbook Of Experimental Immunology,Volumes I-IV;Manipulating the Mouse Embryo,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,(1986);)、Crooks,Antisense drug Technology:Principles,strategies and applications,2nd Ed.CRC Press(2007)、及びin Ausubel et al.(1989)Current Protocols in Molecular Biology(John Wiley and Sons,Baltimore,Md.)を参照のこと。
【0468】
上記で引用された全ての参考文献、ならびに本明細書で引用された全ての参考文献及びアミノ酸またはヌクレオチド配列(例えば、GenBank番号及び/またはUniprot番号)は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0469】
以下の実施例は、例示のために示すものであって、限定のためのものではない。
【実施例】
【0470】
実施例1:CAR形質導入効率の分析
CAR形質導入効率に対して代謝再プログラム化培地が有する効果を評価するために、代謝再プログラム化培地(MRM)またはT細胞馴化培地(すなわち、TCM)のいずれかにおいてヒトCD4+及びCD8+T細胞を抗ROR1 CAR構築物で形質導入した。本実施例を行う際に使用した例示的な方法を以下に提供する。
【0471】
培地調製
対照として使用されたT細胞馴化培地(TCM)をImmune Cell Serum Replacement(Thermo Fisher)、2mMのL-グルタミン(Gibco)、2mMのGlutamax(Gibco)、MEM非必須アミノ酸溶液(Gibco)、ピルビン酸ナトリウム(Gibco)、IL-2(200IU/ml)、IL-7(1200IU/ml)、IL-15(200IU/mL)で補完した。
【0472】
代謝再プログラム化培地(MRM)は、様々な濃度のナトリウム、カリウム、グルコース、及びカルシウムで補完したTCMを使用して作り出した。最終濃度は、以下の範囲であった:NaCl(40~80mM)、KCl(40~80mM)、カルシウム(0.5~2.8mM)、グルコース(10~24mM)、及び浸透圧(約250~260mOsmol)。表10を参照のこと。
【表10】
【0473】
レンチウイルスベクター(LVV)構築及びレンチウイルス産生
以下の構成要素を含む抗ROR1 CAR構築物を生成した:(i)抗ROR1 CAR(R12抗体に由来する)(本明細書では「R12 CAR」と称する)(配列番号83)、(ii)切断型EGFR(「EGFRt」)(配列番号24)、(iii)野生型c-Junタンパク質(配列番号13)(本明細書では「c-Jun-R12 CAR」と称する、配列番号86)。(下記)表12を参照のこと。細胞(例えば、T細胞)において形質導入された場合に、形質導入された細胞が、抗ROR1 CAR及びEGFRtの表面発現とともに、c-Junタンパク質の発現の増加を呈するようにc-Jun-R12 CAR構築物を設計した。対照として、c-Junの代わりに切断型CD19(「CD19t」)を含む対応する抗ROR1 CAR構築物も生成した(本明細書で「対照CD19t-R12 CAR」と呼ばれる)。Terakura,S.et al.,Blood 119(1):72-82(2012)を参照されたく、これは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0474】
レンチウイルスベクターをVSV-Gエンベロープでシュードタイプ化し、HEK293T細胞の一過性形質移入によって産生した。最終バルクを2~8℃で24時間以下保持した後、1mLのLVVアリコートを充填し、-80℃で保管した。LVVアリコートを、T細胞形質導入前に氷上で解凍した。
【0475】
T細胞の単離
CD4+及びCD8+T細胞を3名の健康ドナーから単離し、ベンダーであるBloodWorks(Seattle,WA,USA)及びAllCells(Alameda,CA,USA)を使用して凍結した。ベンダーは、ドナーから全ての適切な同意書を入手し、管理した。CD4+及びCD8+T細胞を単離するために、試料をアフェレーシスを介して収集し、そのCD4+及びCD8+細胞を、最初にCD8+T細胞の陽性選択、続いてCD8選択からのフロースルーのCD4+T細胞についての陽性選択の順序で別々に単離した。単離されたCD4+またはCD8+T細胞をバイアル当たり20E+06細胞(AllCells)または50E+06細胞(BloodWorks)のいずれかで凍結させた。
【0476】
細胞培養及び形質導入
凍結保存された健康ドナーのヒトCD4+及びCD8+T細胞(すなわち、ベンダーからのもの)を適切な培地(すなわち、TCMまたはMRM)において解凍し、1:1の比で合わせた。合わせたドナーのCD4+及びCD8+T細胞を300×gで5分間遠心分離し、IL-2、IL-7、及びIL-15が補完された適切な培地(すなわち、T細胞馴化培地またはMRM)に再懸濁した。次いでT細胞をCD3/CD28TRANSACT(商標)(Miltenyi Biotec Inc.)を使用して活性化した。TCMまたはMRMのいずれかにおける活性化の24時間後(すなわち、1日目)、T細胞を抗ROR1 CAR構築物(すなわち、「c-Jun-R12 CAR」及び「対照CD19t-R12 CAR」)を含む上述したLVVで形質導入した。非形質導入T細胞を対照として使用した。形質導入の翌日(すなわち、2日目)、新鮮な培地(すなわち、TCMまたはMRM)を添加してTRANSACT(商標)を希釈し、T細胞活性化を終了させた。形質導入されたT細胞を更に5日間(すなわち、7日目)更に増殖させ、次いで、その後分析するか、または長期保存のために液体窒素において凍結保存した。
【0477】
形質導入効率分析
異なる群からのCAR形質導入効率を比べるために(表11を参照)、以下を発現するCD4+及びCD8+T細胞の割合をフローサイトメトリーを使用して決定した:(i)配列番号24に示される配列を含むc-Jun、抗ROR1 R12 scFv、及びEGFRt、または(ii)c-Jun、抗ROR1 R12 scFv、及び切断型CD19。
【表11】
【0478】
TCM群及びMRM群の双方において及び各ドナー内で、対照CD19t-R12 CARとc-Jun-R12 CARとの間の形質導入効率は、同等であった。同様に、TCM群とMRM群との間で、形質導入されたT細胞(すなわち、EGFRt及びR12 CARの双方を発現する)の割合は同等であった。また、各ドナー内の異なる群からの形質導入されたCD4+及びCD8+T細胞の割合において有意な差異は観察されなかった。興味深いことに、MRM群からのc-Jun-R12 CARで形質導入されたT細胞は、TCM群からの対応する形質導入されたT細胞と比べて有意に高いレベルのc-Junタンパク質発現を発現した(
図1A~1Cを参照のこと)。発現の増加は、c-Junタンパク質に特異的であり、他の導入遺伝子(すなわち、R12 CAR及びEGFRt)に包括的ではなかった。
【0479】
これらの結果は、本明細書に記載されている抗ROR1 CAR構築物が双方の培養条件下で同様の程度でT細胞に形質導入できることを示唆している。結果は、代謝再プログラム化培地条件が、本明細書で提供される抗ROR1 CAR構築物のc-Junタンパク質の発現を選択的に増加させる際に有用であり得ることを更に示唆している。
【0480】
実施例2:幹様表現型発現の分析
c-Junを過剰発現する形質導入されたT細胞の幹様特性に対する代謝再プログラム化培地の影響を評価するために、実施例1に記載されている抗ROR1 CAR構築物(すなわち、c-Jun-R12 CARまたは対照CD19t-R12 CAR)でヒトCD4+及びCD8+T細胞を形質導入した。次いで、細胞を更に4~5日(すなわち、6または7日目)増殖させた後、形質導入されたT細胞の幹細胞性をフローサイトメトリーを使用して評価した。
【0481】
簡潔に述べると、T細胞をまず細胞染色緩衝液で洗浄し、抗CCR7で、15分間37℃で染色した。次いで、T細胞を再度洗浄し、次いで、いくつかの他の抗原に対する抗体のマスターミックス(以下に詳述する)を細胞に添加し、室温で、暗闇の中で25分間インキュベートした。次いで細胞を細胞染色緩衝液で洗浄し、FOXP3染色キット(ebioscience)で製造業者のプロトコールに従って透過処理した。固定後、細胞を事前希釈された正常マウス血清(Jackson ImMunoResearch-#015-000-120)及び正常ウサギ血清(Jackson ImmunoResearch-#011-000-120)で15分間暗所で室温でブロッキングした。次いで細胞をTCF7及びc-Junの2×抗体カクテルで30分間暗所で室温で染色した。細胞を完全に洗浄した後、それらをFlowJoソフトウェア(TreeStar,Ashland,OR)を使用してCytek Aurora Spectral Flow Cytometerにてフローサイトメトリーによって分析した。
【0482】
以下は、幹細胞性マーカーを評価するために使用される抗体のリストである。CD8(Thermo-#58-0088-42)、CD4(BD-#612936)、CD27(BD-#612829)、CD3(Thermo-#612896)、CD28(ΒioLegend-#302936)、CD62L(BD-#740301)、R12抗Id(Genscript-#48F6H5E1)、EGFR(ΒioLegend-#98812)、CD45RO(BioLegend-#566143)、CD39(BioLegend-#328236)、TCF7(Cell Signaling-#9066S)、c-Jun(Cell Signaling-#15683S)、CCR7(BD-#562381)、CD45RA(BD-#560673)、LAG-3(Thermo-#67-2239-42)、TIM-3(Thermo-#78-3109-42)、TIGIT(Thermo-#46-9500-42)、PD-1(Thermo-#25-2799-42)。具体的には、本明細書に記載されているように、「幹様」細胞は、CD45RO-CCR7+CD45RA+CD62L+CD27+CD28+TCF7+として定義された。
【0483】
図2A~2Cに示すように、TCM群からの細胞と比べて、MRMにおいて抗ROR1 CAR構築物で形質導入されたCD4+T細胞はそれらの表現型発現に関してより幹様であった。これは概して、CD4+T細胞がc-Jun-R12 CARで形質導入されたか、または対照CD19t-R12 CARで形質導入されたかにかかわらず、真実である(
図2A~2Cにおける最後の2つの棒を参照のこと)。同様に、MRMにおいて形質導入されたCD8+T細胞は、概して、TCMにおいて形質導入された対応する細胞と比べてより幹様であった(少なくともドナー#1及び#2に由来するCD8+T細胞の場合、
図2D及び2Eを参照のこと)。しかし、CD4+T細胞とは異なり、対照CD19t-R12 CARと比べて、CD8+T細胞がc-Jun-R12 CARで形質導入された場合、幹様細胞の一貫した増加が観察された。したがって、CD8+T細胞の中で、CD8+T細胞がMRMにおいて、c-Jun-R12 CARで形質導入された場合、最も高い割合の幹様細胞が観察された。
図2G~2Iに示すように、TCM群の細胞と比べて、MRMにおいて抗ROR1 CAR構築物で形質導入されたCD4+T細胞は、高い比率のナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞を含有した(CCR7
+及びCD45RA
+の発現によって証明される)(それぞれ最初の2つの棒を最後の2つの棒と比較)。概して、CD4+T細胞にc-Jun-抗ROR1 CARで形質導入した場合、対照抗ROR1 CARと比べて、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞の比率の増加も観察された(
図2G~2Iの2番目及び4番目の棒を1番目及び3番目の棒と比べる)。同様の結果がCD8+T細胞において観察された(
図2J~2Lを参照のこと)。したがって、CD4+T細胞及びCD8+T細胞の双方では、MRMにおいてc-Jun-抗ROR1 CARで形質導入した場合に、概して最も高い割合のナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞が観察された。
【0484】
これらの結果は、低分化(すなわち、より幹様)である形質導入されたCD4+及びCD8+T細胞を産生する際の本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地の有用性を強調する。そして、少なくともCD8+T細胞では、結果は、c-Junなどの転写因子を過剰発現することが、形質導入されたT細胞の幹様特性を更に改善し得ることを更に示唆している。
【0485】
実施例3:機能分析
抗ROR1 CAR T細胞に対するMRMが有する効果を更に評価するために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞を抗ROR1 CAR構築物で形質導入し、実施例1に記載されているように増殖させた。6日目または7日目に、形質導入されたCD4+及びCD8+T細胞を機能的に分析した(例えば、一次及び/または慢性抗原刺激後のIL-2及び/またはINF-γ産生、ならびにインビトロ殺傷)。
【0486】
細胞傷害性及びサイトカイン分泌
形質導入されたT細胞の細胞傷害活性をインビトロ殺傷アッセイを使用して測定した。簡潔には、形質導入されたT細胞(「エフェクター」)を標的腫瘍細胞(「標的)と11:4、1:16、1:64、及び1:128のエフェクター:標的比で共培養し、IncuCyteを使用して6時間ごとに4×の倍率で走査した(標的腫瘍細胞を表す赤色の核の数を追跡することによって細胞傷害活性を測定した)。共培養の24時間後、上清を異なる条件から収集し、後のサイトカイン分析のために-80℃で凍結した。次いで細胞を含有する培養プレートを継続周期スキャンのためにIncuCyteに戻した。
【0487】
サイトカイン分泌分析のため、先に凍結した上清を解凍し、ある特定のサイトカイン(例えば、IL-2及びIFN-g)のレベルをMesoScaleDiscovery(MSD)マルチプレックスプラットフォームを使用して評価し、MSD Meso Sector S 600装置で製造業者のプロトコールに従って測定した。
【0488】
連続再刺激アッセイ
このアッセイでは、形質導入されたCD4+及びCD8+T細胞をA549 NLR標的細胞で3日または4日ごとに順次再刺激した。T細胞を合計2~4回の刺激について1:1のE:T比で播種した。試験全体を通して3×105個の形質導入されたT細胞/mLの密度を維持した。各回の刺激を設定するために、T細胞を以下のマーカーで染色し、フローサイトメトリーを使用して分析して、共培養物に存在する形質導入されたT細胞集団の割合を計算した:CD45、CD3、CD4、CD8、CAR、及びEGFRt(配列番号24)。各試料のアリコートを上述したように滴定Incucyte殺傷アッセイのために保存した。
【0489】
結果
図3A~3Cに示すように、異なる試験群からの形質導入されたT細胞において、明確な機能的差異が観察された。一次抗原刺激後、MRMにおいて形質導入及び培養されたT細胞は、TCMにおいて形質導入及び培養された対応する細胞と比べて、より多量のIL-2を産生した。また、先に実施例1において観察されたように、形質導入されたT細胞における増加したc-Junタンパク質発現はまた、より多くのIL-2分泌をもたらした。例えば、TCM及びMRM群の双方において、c-Jun-R12 CARで形質導入されたT細胞は、対照CD19t-R12 CARで形質導入された対応する細胞と比べて、一次刺激後に更に高いレベルのIL-2を産生した。したがって、最も多いIL-2産生は通常、c-Junを過剰発現するように改変され、MRMにて培養されたT細胞において観察された。
【0490】
連続/慢性抗原刺激後に同様の結果を観察した。
図4A~4Cに示すように、最終回の抗原刺激後、MRMにおいて形質導入及び培養されたT細胞は、TCM中において形質導入及び培養された対応する細胞と比べて、それらのIFN-γを産生する能力を保持した。この場合もまた、MRM群からのc-Jun-R12 CARで形質導入されたT細胞は、他の群からの形質導入された細胞と比べてはるかに長くIFN-γを産生する能力を維持した。複数の抗原刺激の後の形質導入された細胞の細胞傷害性に関して、MRMにおいて形質導入及び培養されたT細胞は、TCM群からの対応する細胞と比べて、はるかに長くそれらの腫瘍細胞を殺傷する能力を維持した(
図5A~5E)。
【0491】
まとめると、MRMにおいて培養されたc-Junを過剰発現するように改変されたCART細胞(例えば、ROR1 CAR及びc-Jun過剰発現を有する)は、慢性抗原刺激後であっても機能的なままである形質導入された幹様T細胞の生成を可能とする。
【0492】
実施例4:c-Junを過剰発現する抗CD19 CAR保有免疫細胞に対する代謝再プログラム化培地の効果の分析
実施例1~3で上で観察された改善された生物学的効果が、他の腫瘍抗原を標的とする免疫細胞にも適用可能であるかどうかを決定するために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞を、c-Junを過剰発し、抗CD19キメラ結合タンパク質をコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列を含むように改変した。1つ以上の外来性ヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知であり、及び/または本明細書に記載されている任意の好適な方法(例えば、非ウイルス送達)を使用して免疫細胞に導入される。上記の実施例と同様に、免疫細胞は、代謝再プログラム化培地、または5mMよりも高い濃度のカリウムイオンを含まない対照培地(例えば、TCM)のいずれかにおいて改変され、培養される。次に、改変された免疫細胞は、形質導入効率、幹細胞性、エフェクター機能(抗原刺激の繰り返し後を含む)、または疲弊に対する耐性を含むがこれらに限定されない様々な特性について評価される。
【0493】
実施例5:c-Junを過剰発現する抗HER2 CAR保有免疫細胞に対する代謝再プログラム化培地の効果の分析
実施例1~3で上で観察された改善された生物学的効果が、他の腫瘍抗原を標的とする免疫細胞にも適用可能であるかどうかを決定するために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞を、c-Junを過剰発し、抗HER2キメラ結合タンパク質をコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列を含むように改変した。1つ以上の外来性ヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知であり、及び/または本明細書に記載されている任意の好適な方法(例えば、非ウイルス送達)を使用して免疫細胞に導入される。上記の実施例と同様に、免疫細胞は、代謝再プログラム化培地、または5mMよりも高い濃度のカリウムイオンを含まない対照培地(例えば、TCM)のいずれかにおいて改変され、培養される。次に、改変された免疫細胞は、形質導入効率、幹細胞性、エフェクター機能(抗原刺激の繰り返し後を含む)、または疲弊に対する耐性を含むがこれらに限定されない様々な特性について評価される。
【0494】
実施例6:c-Junを過剰発現する抗メソテリンCAR保有免疫細胞に対する代謝再プログラム化培地の効果の分析
実施例1~3で上で観察された改善された生物学的効果が、他の腫瘍抗原を標的とする免疫細胞にも適用可能であるかどうかを決定するために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞を、c-Junを過剰発し、抗メソテリンキメラ結合タンパク質をコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列を含むように改変した。1つ以上の外来性ヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知であり、及び/または本明細書に記載されている任意の好適な方法(例えば、非ウイルス送達)を使用して免疫細胞に導入される。上記の実施例と同様に、免疫細胞は、代謝再プログラム化培地、または5mMよりも高い濃度のカリウムイオンを含まない対照培地(例えば、TCM)のいずれかにおいて改変され、培養される。次に、改変された免疫細胞は、形質導入効率、幹細胞性、エフェクター機能(抗原刺激の繰り返し後を含む)、または枯渇に対する耐性を含むがこれらに限定されない様々な特性について評価される。
【0495】
実施例7:c-Junを過剰発現する抗PSCA CAR保有免疫細胞に対する代謝再プログラム化培地の効果の分析
実施例1~3で上で観察された改善された生物学的効果が、他の腫瘍抗原を標的とする免疫細胞にも適用可能であるかどうかを決定するために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞を、c-Junを過剰発し、抗PSCAキメラ結合タンパク質をコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列を含むように改変した。1つ以上の外来性ヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知であり、及び/または本明細書に記載されている任意の好適な方法(例えば、非ウイルス送達)を使用して免疫細胞に導入される。上記の実施例と同様に、免疫細胞は、代謝再プログラム化培地、または5mMよりも高い濃度のカリウムイオンを含まない対照培地(例えば、TCM)のいずれかにおいて改変され、培養される。次に、改変された免疫細胞は、形質導入効率、幹細胞性、エフェクター機能(抗原刺激の繰り返し後を含む)、または枯渇に対する耐性を含むがこれらに限定されない様々な特性について評価される。
【0496】
実施例8:c-Junを過剰発現する操作されたTCR保有免疫細胞に対する代謝再プログラム化培地の効果の分析
実施例1~3で上で観察した改善された生物学的効果が、操作されたTCRを発現するように改変された免疫細胞にも適用可能であるかどうかを決定するために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞を、c-Junを過剰発し、操作されたNY-ESO-1特異的TCRをコードする1つ以上の外来性ヌクレオチド配列を含むように改変した。本開示から明らかなように、1つ以上の外来性ヌクレオチド配列は、当該技術分野で既知であり、及び/または本明細書に記載されている任意の好適な方法(例えば、非ウイルス送達)を使用して免疫細胞に導入される。以下に更に記載されているように(及び先の実施例と同様に)、本実施例では、レンチウイルスベクターを使用して、外来性ヌクレオチド配列を免疫細胞に導入した。更に、免疫細胞は、代謝再プログラム化培地、または5mMよりも高い濃度でカリウムイオンを含まない対照培地のいずれかにおいて改変され、培養される。次いで、改変された免疫細胞を、形質導入効率、幹性表現型、エフェクター機能(例えば、反復刺激後を含む、c-Junを過剰発現する改変されたNY-ESO-1+T細胞がNY-ESO-1発現標的細胞を認識して殺傷する能力)、または疲弊耐性を含むがこれらに限定されない様々な特性について評価した。使用されるより具体的な例示的な方法を以下に提供する。
【0497】
培地調製
T細胞馴化培地(TCM)及び代謝再プログラム化培地(MRM)を実施例1に記載されているように調製した。
【0498】
レンチウイルスベクター(LVV)の構築
以下の構成要素を含むNY-ESO1 TCR構築物を生成した:(i)NY-ESO1 TCRアルファ鎖(配列番号98)及びベータ鎖(配列番号96)、ならびに(ii)野生型c-Junタンパク質(配列番号13)(本明細書では「c-Jun-NY-ESO1 TCR」と称される、配列番号95)。(下記)表17を参照のこと。細胞(例えば、T細胞)において形質導入された場合、形質導入された細胞が、NY-ESO1 CARの表面発現とともに、c-Junタンパク質の発現の増加を呈するように、c-Jun-NY-ESO1構築物を設計した。対照として、c-Junを欠く対応するNY-ESO1 TCR構築物も生成された(ここでは「対照NY-ESO1 TCR」と称される)。
【0499】
レンチウイルスベクターを実施例1に記載されているように作製した。
【0500】
T細胞の単離
CD4+及びCD8+T細胞を3名の健康ドナーから単離し、AllCells(Alameda、CA,USA)によって凍結した。ベンダーは、ドナーから全ての適切な同意書を入手し、管理した。CD4+及びCD8+T細胞を単離するために、試料をアフェレーシスを介して収集し、そのCD4+及びCD8+細胞を、最初にCD8+T細胞の陽性選択、続いてCD8選択からのフロースルーのCD4+T細胞についての陽性選択の順序で別々に単離した。単離されたCD4+またはCD8+T細胞をバイアル当たり20E+06個の細胞(AllCells)で凍結させた。
【0501】
細胞培養及び形質導入
凍結保存された健康ドナーのヒトCD4+及びCD8+T細胞(すなわち、ベンダーからのもの)を適切な培地(すなわち、TCMまたはMRM)において解凍し、1:1の比で合わせた。合わせたドナーのCD4+及びCD8+T細胞を300×gで5分間遠心分離し、IL-2(200IU/ml)、IL-7(1200IU/ml)、及びIL-15(200IU/ml)が補完された適切な培地(すなわち、T細胞馴化培地またはMRM)に再懸濁した。次いでT細胞をCD3/CD28 TRANSACT(商標)(Miltenyi Biotec Inc.)を使用して活性化した。TCMまたはMRMのいずれかにおける活性化の24時間後(すなわち、1日目)、T細胞をNY-ESO1 TCR構築物(すなわち、「c-Jun-NY-ESO1 TCR」及び「対照NY-ESO1 TCR」)を含む上述したLVVで形質導入した。非形質導入T細胞を対照として使用した。形質導入の翌日(すなわち、2日目)、新鮮な培地(すなわち、TCMまたはMRM)を添加してTRANSACT(商標)を希釈し、T細胞活性化を終了させた。形質導入されたT細胞を更に5日間(すなわち、7日目)更に増殖させ、次いで、その後分析するか、または長期保存のために液体窒素において凍結保存した。
【0502】
形質導入効率分析
様々な群(表12を参照のこと)からのTCR形質導入効率を比較するために、以下を発現するCD4+及びCD8+T細胞の割合をフローサイトメトリーを使用して決定した:c-Jun及び配列番号95に示される配列を含むNY-ESO1 TCR。
【表12】
【0503】
各ドナー内の異なる群からの形質導入されたCD4+及びCD8+T細胞の割合において有意な差異は観察されなかった。c-Jun-R12 CARでの先の結果と同様に、MRM群からのc-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入されたT細胞は、TCM群からの対応する形質導入されたT細胞と比べて、有意に高いレベルのc-Junタンパク質発現を発現した(
図1A~1Cを参照のこと)。発現の増加は、c-Junタンパク質に特異的であり、全般的ではなかった(すなわち、NY-ESO1 TCR発現レベルは、同等のままであった)。
【0504】
これらの結果は、本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地条件が、CD4+及びCD8+T細胞の割合を著しく変化させることなく、リガンド結合タンパク質構築物(例えば、本明細書に提供されているNY-ESO1 TCR構築物)のc-Junタンパク質の発現を選択的に増加させるのに有用であり得るという以前の知見(例えば、実施例1を参照のこと)を裏付ける。
【0505】
実施例9:代謝再プログラム化培地において形質導入及び培養された操作されたTCR保有免疫細胞の表現型発現の分析
代謝再プログラム化培地が、形質導入されたT細胞の分化状態に任意の効果を有するかどうかを更に評価するために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞を、実施例8に記載されているように抗NY-ESO1 TCR構築物(すなわち、c-Jun-NY-ESO1 TCRまたは対照NY-ESO1 TCRで形質導入した。次いで、細胞を更に5日(すなわち、7日目)増殖させた後、形質導入されたT細胞の表現型をフローサイトメトリーを使用して評価した。
【0506】
NY-ESO-1 T細胞産物の表現型を、産生の最終日にスペクトルフローサイトメトリーによって評価した。簡潔に述べると、およそ2×10
5個の細胞をFACS緩衝液で洗浄し、37℃で、暗所で10分間、マウス血清及びヒトIgGで遮断した後、37℃で、暗所で15分間、抗CCR7 Abで染色した。次いで、細胞をFACS緩衝液で洗浄し、室温で、25分間暗所で、残りの表面マーカー及びlive/deadを含有するAb混合物で染色した。表面染色後、細胞をFACS緩衝液で洗浄し、固定し、Foxp3固定/透過緩衝液で、室温(RT)で30分間暗所で透過化し、続いて、Foxp3透過化洗浄緩衝液で洗浄した。次いで、細胞を、暗所で、Foxp3透過化洗浄緩衝液中で、室温で30分間、細胞内マーカーに対するAbsで染色する前に、暗所で、室温で10~15分間、ウサギ及びマウス血清で遮断した。細胞をFoxp3透過化洗浄緩衝液で洗浄し、続いてFACS緩衝液で洗浄した。試料をFACS緩衝液中に再懸濁し、Cytek Aurora Spectral Flow Cytometerで得て、FlowJoソフトウェア(TreeStar、Ashland,OR)を使用して分析した。具体的には、この実験において記載したように、「ナイーブ及び幹細胞メモリー」細胞を以下のように定義した。CCR7
+CD45
RA+。形質導入されたT細胞の表現型を評価するために使用され得る例示的な抗体及び試薬のリストを表13~14に提供する。
【表13】
【表14】
【0507】
図7A~7Cに示すように、TCM群からの細胞と比べて、MRMにおいてNY-ESO1 TCR構築物で形質導入されたCD4+T細胞は、高い比率のナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞を含有した(CCR7
+及びCD45RA
+の発現によって証明される)(それぞれ最初の2つの棒を最後の2つの棒と比較)。CD4+T細胞にc-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入した場合、対照NY-ESO1 TCRと比べて、ナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞の比率の一貫した増加も観察された(
図7A~7Cの2番目及び4番目の棒を1番目及び3番目の棒と比べる)。同様の結果がCD8+T細胞でも観察された(
図7D~7Fを参照のこと)。したがって、CD4+T細胞及びCD8+T細胞の双方では、MRMにおいてc-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入された場合に、最も高い割合のナイーブ及び幹細胞メモリーT細胞が観察された。
【0508】
これらの結果は、低分化(すなわち、より幹様)である形質導入されたCD4+及びCD8+T細胞を産生する際の本明細書に記載されている代謝再プログラム化培地の有用性を裏付ける。この結果は、転写因子c-Junを過剰発現することが、形質導入されたT細胞のナイーブ及び幹細胞メモリー特性を更に改善し得ることを更に裏付ける。
【0509】
実施例10:代謝再プログラム化培地において形質導入及び培養された操作されたTCR保有免疫細胞の機能分析
NY-ESO1 TCR T細胞に対するMRMが有する効果を更に評価するために、ヒトCD4+及びCD8+T細胞をNY-ESO1 TCR構築物で形質導入し、実施例8に記載されているように増殖させ、機能的に分析した(例えば、一次及び/または慢性抗原刺激後のIL-2及びIFN-γ産生ならびにインビトロ殺傷)。
【0510】
細胞傷害性及びサイトカイン分泌
形質導入されたT細胞の細胞傷害活性をインビトロ殺傷アッセイを使用して測定した。簡潔には、形質導入されたT細胞(「エフェクター」)を標的腫瘍細胞(「標的)と1:1及び1:4のエフェクター:標的比で共培養し、IncuCyteを使用して6時間ごとに10×の倍率で走査した(標的腫瘍細胞を表す赤色の核の数を追跡することによって細胞傷害活性を測定した)。共培養の22時間後、上清を異なる条件から収集し、後のサイトカイン分析のために-80℃で凍結した。次いで細胞を含有する培養プレートを継続周期スキャンのためにIncuCyteに戻した。
【0511】
サイトカイン分泌分析のため、先に凍結した上清を解凍し、ある特定のサイトカイン(例えば、IL-2及びIFN-γ)のレベルをMesoScaleDiscovery(MSD)マルチプレックスプラットフォームを使用して評価し、MSD Meso Sector S 600装置で製造業者のプロトコールに従って測定した。
【0512】
連続再刺激アッセイ
このアッセイでは、形質導入されたCD4+及びCD8+T細胞をA375標的細胞またはH1703標的細胞で3日または4日ごとに慢性的に再刺激した。A375細胞及びH1703細胞は双方とも、Incucyteを使用して非溶解細胞を定量することができるように、NucLight Red(NLR、核に限定されたmKate2)を発現した。異なる試験群を、162(H1703)または234(A375)時間、1:1(H1703)または1:4(A375)のエフェクター:標的(E:T)細胞比でインキュベートした。合計2回(H1703)または3回(A375)の刺激の間、T細胞を1:1のE:T比で播種した。各回の後、共培養体積の1/4を新鮮な標的腫瘍細胞に移してリセットした。
【0513】
結果
図8A~8Fに示すように、異なる試験群からの形質導入されたT細胞間で、IL-2産生に明確な差異があった。A375細胞(高いNY-ESO1抗原密度を呈する、
図8A~8C)及びH1703細胞(低いNY-ESO1抗原密度を呈する、
図8D~8F)を使用した一次抗原刺激後、(c-Junの有無にかかわらず)NY-ESO1 TCRで形質導入され、MRMにおいて培養されたT細胞は、TCMにおいて形質導入及び培養された対応する細胞と比べて、より多くの量のIL-2を産生した。そして、概して、形質導入されたT細胞におけるc-Junタンパク質発現の増加はまた、より多くのIL-2分泌をもたらした。例えば、TCM及びMRM群の双方において、c-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入されたT細胞は、対照NY-ESO1 TCRで形質導入された対応する細胞と比べて、一次刺激後により高いレベルのIL-2を産生した。したがって、最も多いIL-2産生は通常、c-Junを過剰発現するように改変され、MRMにて培養されたT細胞において観察された。IL-2の全体的な産生は、H1703と比べて同族抗原のより高い密度を発現するA375腫瘍細胞の存在下でより高かった。
【0514】
図9A~9Fに示すように、より低レベルのNY-ESO1抗原を発現する(
図9D~9F)H1703細胞での一次抗原刺激後のIFN-γ産生において、同様の傾向(すなわち、TCMと比べて、MRMにおいて形質導入及び培養されたT細胞における産生の増加、及びNY-ESO1 TCRのみで形質導入された細胞と比べて、c-Junを過剰発現するように形質導入されたT細胞における産生の増加も)。より高いレベルのNY-ESO1抗原を発現するA375細胞では、異なる群間でIFN-γ産生に明確な差はなかった(
図9A~9C)。
【0515】
慢性感染症及びがんでは、持続抗原曝露によりT細胞が疲弊すること、ならびにT細胞のエフェクター機能、例えば、細胞溶解活性及びサイトカイン分泌の進行性消失に至ることがある。したがって、上述のNY-ESO1 TCRで形質導入されたT細胞(c-Jun過剰発現の有無にかかわらず)が疲弊する傾向に任意の差異を呈するかどうかを評価するために、異なる群からの形質導入されたT細胞を、標的腫瘍細胞(すなわち、NY-ESO1を発現するA375及びH1703細胞)への繰り返し曝露によって慢性的に刺激した。次いで、標的細胞の溶解を、10倍の倍率で6時間ごとに総NLR強度を追跡することによって評価し、次いで、刺激の各回についてのアッセイセットアップの時間0時間に対して正規化した。
【0516】
図10A~10Cに示すように、c-Jun過剰発現単独で、慢性抗原刺激後の形質導入されたT細胞のエフェクター機能を延長することができた(細胞がTCMにおいて形質導入及び培養されたか、またはMRMにおいて形質導入及び培養されたかどうかにかかわらず)。しかしながら、MRM群からのc-Jun-NY-ESO1 TCRで形質導入されたT細胞(すなわち、c-Junを過剰発現する)は、他の群のうちのいずれかからの形質導入された細胞と比べて、A375腫瘍細胞を溶解する能力をはるかに長く維持した。H1703細胞を使用して、同様の結果を観察した(
図10D~10Fを参照のこと)。
【0517】
まとめると、Mc-Junを過剰発現するように改変され、RMにおいて培養されたTCRT細胞(例えば、NY-ESO1 TCR及びc-Jun過剰発現を有する)は、慢性抗原刺激後であっても機能的のままである形質導入された低分化の形質導入されたT細胞の生成を可能とする。
【0518】
実施例11:トランスクリプトーム分析
T細胞に対するMRMの効果を遺伝子レベルで評価するために、連続抗原刺激アッセイ後のT細胞に対して単一細胞RNA-seq分析を実施した(例えば、実施例3を参照のこと)。抗原刺激前に、T細胞は、(i)CD19t-R12 CAR(すなわち、c-Junを含まないR12 CAR)で形質導入され、対照培地で培養されたか(「対照ROR1 CAR」)、または(ii)c-Jun-R12 CAR(すなわち、c-Junを含むR12 CAR)で形質導入され、MRMにおいて培養された(「c-Jun ROR1 CAR」)。連続刺激アッセイのな時点でRNAを抽出し、様々幹様遺伝子とT細胞終末疲弊(TTE)遺伝子が豊富なT細胞クラスターを評価した。幹様遺伝子については、Caushi et al.,Nature,596:126-132(2021)に記載されている遺伝子セットを使用した。TTE遺伝子については、Oliveira et al.,Nature,596:119-125(2021)に記載されている遺伝子セットを使用した。Caushi et al.及びOliveira et al.は双方とも、それら全体が参照によって本明細書に組み込まれる。幹様クラスターの同定は相対的分化度の低いCD8+T細胞の存在を示しており、TTEクラスターの同定は特に連続抗原刺激後に疲弊した/機能不全のCD8+T細胞の存在を示している。
【0519】
図11A及び11Bに示すように、対照培地において培養された対照ROR1 CAR T細胞中で、連続抗原刺激の7日目及び10日目の双方で幹様遺伝子セットが濃縮されたクラスターの比率が低いままであったが、一方で、TTE遺伝子セットが濃縮されたクラスターの比率は、更なる刺激で増加した(例えば、
図11Bの7日目と10日目とを比較)。これらの結果は、長期の抗原刺激後、対照培地において培養された対照ROR1 CAR T細胞がより高度に分化し、疲弊/機能不全であったことを示した。対照的に、MRMで培養されたc-Jun ROR1 CAR T細胞は、連続抗原刺激の7日目及び10日目の双方で、有意に高い割合の幹様濃縮クラスター(
図11Aを参照のこと)及び減少した割合のTTE濃縮クラスター(
図11Bを参照のこと)を有し、より高い幹様集団の持続的な存在を示した。
【0520】
まとめると、上記で提供された結果は、例えば、c-Junを過剰発現するように改変され(例えば、ROR1 CAR及びc-Jun過剰発現を伴う)、MRMで培養された本明細書に記載されている改変された免疫細胞の治療可能性の更なる裏付けを提供する。
【0521】
実施例12:CAR T細胞に対するMRM及びc-Jun過剰発現の効果の追加トランスクリプトームプロファイリング
上記に提供されている実施例6に加えて、次いで、H1975異種移植腫瘍を担うNSG MHC dKOマウスに養子移入した後、本明細書に記載されている形質導入されたT細胞(例えば、抗ROR1 CAR T細胞)に対して単一細胞RNA-seq分析を実施した。具体的には、動物は、MRMにおいて培養された(すなわち、形質導入及び増殖された)c-Jun ROR1 CAR T細胞(すなわち、c-Junを過剰発現する)(以下の用量のうちの1つで:1e6、2.5e6、及び5e6細胞/動物)またはMRM(2.5e6細胞/動物)において培養された対照ROR1 CAR T細胞(すなわち、c-Junを過剰発現しない)の投与を、腫瘍が約400mm3に達したときに受けた。T細胞の注射後13日目に、マウスを屠殺し、切除した腫瘍を、ヒーター付きのgentleMACS(商標)Octo Dissociator及びTumor Dissociation kit、ヒト(Miltenyi Biotec)を製造業者のプロトコールに従って使用し、酵素混合物中の酵素Rの量を20%に低減して分離した。分離した腫瘍細胞をFACS選別用に処理し、c-Jun ROR1 CAR T細胞を、2.5e6個の細胞/動物(n=5)及び5e6個の細胞/動物(n=2)で投与されて処置された動物、及び対照ROR1 CAR T細胞を2.5e6個の細胞/動物(n=5)で投与された処置された動物から選別された生細胞のmCD45-hCD45+T細胞に対して単一細胞RNA配列決定を実行した。
【0522】
配列決定によるトランスクリプトームとエピトープのCellular Indexing(CITE-Seq)アッセイを使用して、試料を単一細胞RNA配列決定用に処理した。CITE-Seq分析では、単一細胞RNA及び細胞表面タンパク質を同時に測定することができる。FACS選別用の蛍光色素結合抗体、CITE-Seq用の細胞表面タンパク質に対するDNA結合Total-SeqC抗体、及び細胞バーコード化用の固有のハッシュタグ抗体の混合物で細胞を染色した。全ての固有のバーコード付き試料から選別された生細胞のmCD45-hCD45+T細胞を一緒にプールし、Chromium Next GEM単一細胞5’v2試薬キット(10xGenomics)を使用してChromium Next GEMチップKに負荷した。単一細胞の捕捉及び溶解後、細胞表面タンパク質に結合したDNA結合抗体とともにcDNAを合成及び増幅し、最終的に製造業者のプロトコールに従って5’遺伝子発現(GEX)及び抗体由来タグ(ADT)ライブラリーを生成した(10xGenomics)。Chromium Next GEMチップKの複数のチャネルから調製されたGEXライブラリーとADTライブラリーは、NovaSeq 6000システム(Illumin)を使用して定量し、一緒にプールし、配列決定した。
【0523】
参照ゲノム及び初期設定パラメータとしてのGRCh38(及び対照R12ベクター配列と加えたc-Jun ROR1 CARベクター由来のc-Jun配列)とともに10X Cell Rangerソフトウェアバージョン6.1.2(10XGenomics)を使用して、単一細胞CITE-Seqデータを処理した。Seuratパッケージ(Hao et al.2021,Cell,184(13):3573-3587)を使用して、細胞遺伝子マトリックスを更に処理した。簡潔には、先ず細胞をフィルターにかけ(ミトコンドリアのパーセント、nCount_RNA,nFeature_RNA、二重ハッシュタグについての閾値を使用)、次にCITE-Seqによって測定したCD8及びCD4タンパク質発現に基づいてゲートをかけることによってCD8+T細胞とCD4+T細胞を分離した。対照ROR1 CAR T細胞またはc-Jun ROR1 CAR T細胞で処理した腫瘍からのCD8+T細胞を組み合わせて、単一細胞トランスクリプトーム分析を行った。フィルターにかけた細胞-遺伝子マトリックスを、可変特徴選択によって基準化し、調整した。細胞周期の不均一性の影響は、SeuratのCellCycleScoring関数を使用して細胞周期段階スコア(G2Mスコア、Sスコア)を計算し、細胞周期段階スコアを回帰することによって補正した。細胞周期の不均一性の影響を更に最小限に抑えるために、2つの細胞周期段階スコアのいずれかと相関する遺伝子(Pearson相関係数が0.3を超える)を選択された特徴から除外した。ミトコンドリア、リボソーム、TCR、及びIG複合体関連遺伝子も選択された特徴から除外した。次に、フィルターをかけた特徴を使用してRunPCA関数によって上位50のPCを計算した。その後、SeuratのRunUMAP機能によるUniform Manifold Approximation and Projection(UMAP)を使用して、各ドットが細胞を表すように細胞を2次元空間にマッピングして視覚化した。SeuratのFindClustersの機能を使用するクラスター分析に細胞を供し、クラスター識別の精度向上のためにFindSubCluster機能を使用した。CITE-Seq分析は、CD8+T細胞におけるタンパク質発現なしでRNA発現を使用して分析(UMAP、クラスター化)が行われたので、単一細胞RNA-Seq分析とも呼ばれる。
【0524】
単一細胞クラスター化分析の詳細については、前の段落及び先の実施例(例えば、実施例11を参照のこと)に記載された。幹様遺伝子、T細胞活性化(Tact)遺伝子、T細胞前駆疲弊(TPE)遺伝子、及びT細胞終末疲弊(TTE)遺伝子が豊富に含まれるクラスターを評価した。幹様遺伝子については、Caushi et al.,Nature,596:126-132(2021)に記載されている遺伝子セットを使用した。Tact遺伝子、TPE遺伝子、TTE遺伝子については、Oliveira et al.,Nature,596:119-125(2021)に記載されている遺伝子セットを使用した。Caushi et al.及びOliveira et al.は双方とも、それら全体が参照によって本明細書に組み込まれる。Tact、TPE、TTE及び幹様遺伝子の非限定的な例は本開示の他の箇所に提供されている。幹様クラスターの同定は、相対的分化度の低いCD8+T細胞の存在を示し、Tactクラスターの同定は腫瘍内に活性化されたCD8+T細胞が存在することを示す。TPEクラスターの同定は前駆疲弊CD8+T細胞の存在を示し、TTEクラスターの同定は腫瘍内に疲弊した/機能不全のCD8+T細胞が存在することを示す。
【0525】
図18A~18Eに示すように、対照のROR1 CAR T細胞で処理された腫瘍から選別されたT細胞と比べて、c-Jun ROR1 CAR T細胞で処理された腫瘍から選別されたT細胞は、TTE遺伝子セットが濃縮されたクラスターの比率が有意に減少し(
図18B)、TPE遺伝子セットが濃縮されたクラスターの比率が有意に増加した(
図18C)。TPE細胞はTTE細胞よりも疲弊しておらず、メモリー関連転写物(TCF7、CCR7、IL7R)を発現していることが知られており、活性化によって増殖し、長期存続性に関連する再活性化CD39-メモリー表現型を獲得する可能性がある。[Oliveira et al.,Nature 596:119-125(2021)]。TTEクラスターの減少とTPEクラスターの増加は、c-Junの過剰発現が対疲弊に効果的であることを示している。興味深いことに、c-Jun ROR1 CAR T細胞で処理された腫瘍から選別されたT細胞では、幹様濃縮クラスターの比率が有意に高く(
図18D)、幹様集団の存在及び持続性の増加を示している。c-Jun ROR1 CAR T細胞で処理された腫瘍から選別されたT細胞では、T細胞活性化が豊富なクラスターの比率も高かった(
図18E)。
【0526】
これらの結果は、c-Junの過剰発現が幹様集団の増加にてMRMの効果を上回る追加の利点をもたらすことを示唆しているので、MRMとc-Junの過剰発現の組み合わせの利点を示している。
【0527】
実施例13:広範な代謝再プログラム化培地において形質導入及び培養された抗ROR1 CAR保有免疫細胞の更なる表現型及び機能の分析
本明細書に記載されている改変された細胞(例えば、抗ROR1 CAR T細胞)に対するMRMが有する効果を更に評価するために、実施例1に記載されているように、様々な濃度のカリウムイオンを有するいくつかのMRMを調製した。具体的には、MRMの異なる構成要素の最終濃度は、以下の範囲である:NaCl(55~90mM)、KCl(40~80mM)、及び浸透圧(約250~260mOsmol)。次いで、ヒトCD4+及びCD8+T細胞(3名のドナーから単離された)を、c-Junを有するかまたは有しない抗ROR1 CAR構築物で形質導入し、実施例1に本質的に記載されているように異なるMRMまたはTCMを使用して増殖させた。次いで、先の実施例(例えば、実施例2及び10)に記載されているように、形質導入されたT細胞を、様々な特性、例えば、形質導入効率、c-Jun発現、幹様表現型発現、及び機能(例えば、一次及び/または慢性抗原刺激後のIL-2及びIFN-γ産生、ならびにインビトロ殺傷)について分析した。
【0528】
結果:
先の実施例(例えば、実施例1を参照のこと)と同様に、形質導入後及び分析前に、形質導入された細胞を、TCMまたは様々なカリウムイオン濃度(すなわち、40~80mM)を有する様々なMRM製剤のうちのいずれかにおいて合計7日間培養し、増殖させた。
【0529】
図12A~12Cに示すように、及び前述のデータ(例えば、
図1A~1Cを参照のこと)と一致して、試験された全てのMRMについて、c-Jun-R12 CAR構築物で形質導入され、その後MRMにおいて培養されたT細胞は、TCMにおいて形質導入され、培養された対応するT細胞と比べてより高くc-Junを発現した。c-Jun発現の最高の増加はカリウム濃度が最も高いMRMにて観察された。
【0530】
改変された細胞の幹細胞性に関しては、再び前述のデータと一致して(例えば、
図2A~2Cを参照のこと)、TCM群の細胞と比べて、全てのMRM製剤における抗ROR1 CAR構築物で形質導入したCD4+T細胞は、その表現型発現に関してより幹様であった(例えば、
図13A~13C及び以下の表15を参照のこと)。これは一般に、CD4+T細胞がc-Jun-R12 CARで形質導入されたか、対照CD19t-R12 CARで形質導入されたかにかかわらず、真実である。CD4+T細胞の幹細胞性パーセントは、幹細胞性に対するMRMのカリウム濃度の用量依存的効果を伴って(最も高いカリウム濃度で幹細胞性も最も高い)、TCM培養T細胞と比べて、MRM培養細胞で最も高かった。
【表15】
【0531】
同様に、MRMにおいて形質導入されたCD8+T細胞は、概して、TCMにおいて形質導入された対応する細胞と比べてより幹様であった(
図14A~14C及び表16を参照のこと)。CD4+T細胞とは異なり、対照CD19t-R12 CARと比べて、CD8+T細胞がc-Jun-R12 CARで形質導入された場合、幹様細胞の一貫した増加が観察された。したがって、CD8+T細胞では、CD8+T細胞がMRMにてc-Jun-R12 CARで形質導入された場合、カリウム濃度の範囲にわたって最も高い割合の幹様細胞が観察された。CD4+T細胞と同様に、幹細胞性に対するMRM濃度の用量依存的効果が観察され、カリウム濃度が最も高いMRMにおいて、最も高い幹細胞性が観察された。
【表16】
【0532】
異なるMRMにおいて形質導入及び培養されたT細胞の抗原刺激後にサイトカインを産生する能力を評価するために、非形質導入(モック、データ図示せず)、c-Junを有する(黒色の四角形)及びc-Junを有しない(黒色の円)ROR1 CARのT細胞産物(増殖の7日目後)によるIFNγ、IL-2、及びTNFαサイトカイン分泌を、A549 NLRがん細胞株とともに1:1及び1:4のE:Tで20~22時間共培養した後に評価した。
図15A~15I(1:1のエフェクター:標的比)及び16A~16I(1:4のエフェクター:標的比)に示すように、MRM群からの抗ROR1 CAR T細胞(c-Jun過剰発現の有無にかかわらず)は、TCMにおいて改変及び培養されたT細胞と比べて、より高いレベルのIL2、TNFα(全てのドナーから)及びIFNγ(3人のドナーのうちの2人から)を産生した。再び、カリウム濃度が最も高いMRMにて最も高いサイトカインの産生が観察された。
【0533】
改変された細胞の細胞溶解能力を評価するために、基本的に実施例3に記載されたインビトロ殺傷アッセイを使用した。IncuCyte殺傷アッセイを、連続再刺激アッセイの0、7、または14日目のいずれかからのT細胞、及びNucLight Red(NLR)標的細胞株A549を1:1及び1:4のE:T比で使用して、96ウェルの平底モートアッセイプレート中に設定した。腫瘍生存率の割合は、A549 NLR標的細胞株とともに1:1及び1:4のE:T比で共培養した後の連続再刺激アッセイの0、7、及び14日目(連続刺激(SS)1、3、及び5)に、TCMまたはMRM(高から低)のいずれかにおいて培養された対照R12 CAR及びc-Jun-R12 CAR T細胞産物から得られたIncuCyte殺傷曲線からの曲線下面積(AUC)(バーが低いほど、細胞毒性が高い)を使用して計算された。刺激の最後の回(168時間~300時間)のデータが示される。
【0534】
直前に記載されているサイトカインデータと一致して、様々なMRM群の抗ROR1 CAR T細胞は一般的にTCM群の細胞と比べて高い殺傷性を示した。
図17A~17Dに示すように、2回の抗原刺激後、MRMにおいて形質導入され、その後培養されたT細胞中で、対照群からの対応するT細胞と比べて大幅に改善された細胞溶解活性が観察された。c-Junを過剰発現する抗ROR1 CAR T細胞と、c-Junを過剰発現するように改変されていない抗ROR1 CAR T細胞の双方で、改善された細胞溶解活性が観察された。
【0535】
まとめると、上記の結果は更に、本明細書で提供されている培養方法の治療上の利点を裏付けるものである。より具体的には、上記の結果は更に、5mMよりも高い濃度(例えば、40~80mM)でカリウムイオンを含む培地の存在下でT細胞を(例えば、リガンド結合タンパク質を発現するように、かつc-Junタンパク質の発現レベルを増加させるように)改変することにより、細胞の幹細胞性を大幅に増加させ得、慢性的な抗原刺激の存在下でさえ細胞が強力な機能活性を呈することが可能になることを示している。
【表17-1】
【表17-2】
【表17-3】
【表17-4】
【表17-5】
【表17-6】
【表17-7】
【表17-8】
【表17-9】
【表17-10】
【表17-11】
【配列表】
【国際調査報告】