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特表2024-540112破壊靱性が高いイオン交換可能なガラス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】破壊靱性が高いイオン交換可能なガラス
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/085 20060101AFI20241024BHJP
   C03C 21/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C03C3/085
C03C21/00 101
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525423
(86)(22)【出願日】2022-10-25
(85)【翻訳文提出日】2024-06-25
(86)【国際出願番号】 US2022047707
(87)【国際公開番号】W WO2023076253
(87)【国際公開日】2023-05-04
(31)【優先権主張番号】63/271,813
(32)【優先日】2021-10-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100224775
【弁理士】
【氏名又は名称】南 毅
(72)【発明者】
【氏名】ビール,ジョージ ホールジー
(72)【発明者】
【氏名】フゥ,チアン
(72)【発明者】
【氏名】グオ,シアオジュー
(72)【発明者】
【氏名】レッツィ,ピーター ジョゼフ
(72)【発明者】
【氏名】リアオ,ジーハオ
(72)【発明者】
【氏名】オラム,パスカル
(72)【発明者】
【氏名】スピアー,チャリシー メアリー
(72)【発明者】
【氏名】ホイッティア,アラナ マリー
【テーマコード(参考)】
4G059
4G062
【Fターム(参考)】
4G059AA01
4G059AC16
4G059HB03
4G059HB13
4G059HB14
4G059HB15
4G059HB23
4G062AA01
4G062BB01
4G062CC10
4G062DA05
4G062DA06
4G062DB03
4G062DB04
4G062DC01
4G062DC02
4G062DD01
4G062DD02
4G062DE01
4G062DF01
4G062EA03
4G062EA04
4G062EB02
4G062EB03
4G062EC02
4G062EC03
4G062ED03
4G062ED04
4G062EE01
4G062EF01
4G062EG01
4G062FA01
4G062FB01
4G062FC02
4G062FC03
4G062FD01
4G062FE02
4G062FF01
4G062FG01
4G062FH01
4G062FJ01
4G062FK01
4G062FL01
4G062GA01
4G062GA10
4G062GB01
4G062GC01
4G062GD01
4G062GE01
4G062HH01
4G062HH03
4G062HH05
4G062HH07
4G062HH09
4G062HH11
4G062HH13
4G062HH15
4G062HH17
4G062HH20
4G062JJ01
4G062JJ03
4G062JJ05
4G062JJ07
4G062JJ10
4G062KK01
4G062KK03
4G062KK05
4G062KK07
4G062KK10
4G062MM12
4G062NN33
(57)【要約】
実施の形態において、ガラスは、45モル%から70モル%のSiO、11.5モル%から25モル%のAl、2モル%から20モル%のLiO、0モル%超から10モル%のNaO、9モル%から19モル%のMgO、0モル%超から4モル%のZrO、および0モル%から0.5モル%のTiOを含む。他の実施の形態において、ガラスは、45モル%から70モル%のSiO、4モル%から25モル%のAl、5モル%から20モル%のLiO、0.1モル%から10モル%のNaO、6モル%から25モル%のMgO、0.1モル%から4モル%のZrO、0.1モル%から5モル%のKO、および0.05モル%から0.5モル%のSnOを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラスであって、
45モル%以上から70モル%以下のSiO
4モル%以上から25モル%以下のAl
5モル%以上から20モル%以下のLiO、
0.1モル%以上から10モル%以下のNaO、
6モル%以上から25モル%以下のMgO、
0.1モル%以上から4モル%以下のZrO
0.1モル%以上から5モル%以下のKO、および
0.05モル%以上から0.5モル%以下のSnO
を含むガラス。
【請求項2】
51モル%以上から65モル%以下のSiO
を含む、請求項1記載のガラス。
【請求項3】
12.0モル%以上から19モル%以下のAl
を含む、請求項1または2記載のガラス。
【請求項4】
3モル%以上から12モル%以下のLiO、
を含む、請求項1または2記載のガラス。
【請求項5】
0.25モル%以上から6モル%以下のNaO、
を含む、請求項1または2記載のガラス。
【請求項6】
ガラス系物品であって、
前記ガラス系物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層、
中央張力領域、および
45モル%以上から70モル%以下のSiO
4モル%以上から25モル%以下のAl
5モル%以上から20モル%以下のLiO、
0.1モル%以上から10モル%以下のNaO、
6モル%以上から25モル%以下のMgO、
0.1モル%以上から4モル%以下のZrO
0.1モル%以上から5モル%以下のKO、および
0.05モル%以上から0.5モル%以下のSnO
を含む前記ガラス系物品の中心での組成、
を有するガラス系物品。
【請求項7】
前記圧縮応力層が、400MPa以上から2000MPa以下の圧縮応力を有する、請求項6記載のガラス系物品。
【請求項8】
前記中央張力領域が、30MPa以上から300MPa以下の最大中央張力を有する、請求項6または7記載のガラス系物品。
【請求項9】
前記圧縮深さが0.15t以上から0.25t以下であり、tは前記ガラス系物品の厚さである、請求項6または7記載のガラス系物品。
【請求項10】
前記圧縮応力層が、前記ガラス系物品の表面から圧縮応力スパイク深さまで延在する圧縮応力スパイクを有し、該圧縮応力スパイク深さが3μm以上から10μm以下である、請求項6または7記載のガラス系物品。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、ここに全て引用される、2021年10月26日に出願された米国仮特許出願第63/271813号の優先権の恩恵を主張するものである。
【技術分野】
【0002】
本明細書は、広く、電子機器用のカバーガラスに使用するのに適したガラス組成物に関する。より詳しくは、本明細書は、電子機器用のカバーガラスに形成できるイオン交換可能なガラスに関する。
【背景技術】
【0003】
スマートフォン、タブレット、携帯型メディアプレーヤー、パーソナルコンピュータ、およびカメラなどの携帯型機器の持ち運ばれる性質上、これらの機器は、地面などの硬質表面に偶発的に落下する状況に特になりやすい。これらの機器には、典型的に、カバーガラスが組み込まれ、このカバーガラスは硬質表面と衝突した際に損傷を受けることがある。これらの機器の多くで、カバーガラスは、ディスプレイ用カバーの機能を果たし、タッチ機能性を備えることがあり、よって、カバーガラスが損傷したときに、機器の使用が悪影響を受ける。
【0004】
関連する携帯型機器が硬質表面上に落とされたときのカバーガラスには、主要な破壊モードが2つある。これらのモードの内の一方は曲げ破壊であり、これは、機器が硬質表面との衝突による動荷重に曝されたときのガラスの曲げにより生じる。他方のモードは鋭い接触による破壊であり、これは、ガラス表面への損傷の導入により生じる。ガラスがアスファルト、花崗岩などのざらざらした硬質表面と衝突すると、ガラス表面に鋭い圧痕が生じ得る。これらの圧痕は、亀裂がそこから発生し、伝搬することのあるガラス表面の破損部位となる。
【0005】
ガラスは、ガラス表面に圧縮応力を誘発させる工程を含むイオン交換技術によって、曲げ破壊に対する耐性を向上させることができる。しかしながら、イオン交換されたガラスは、鋭い接触によるガラスの局所的な圧痕によって生じる高い応力集中のために、動的な鋭い接触に対してまだ脆弱である。
【0006】
ガラス製造業者および手持ち式機器の製造業者は、手持ち式機器の鋭い接触による破壊に対する抵抗性を改善することに継続して取り組んできた。解決策としては、カバーガラス上のコーティングから、機器が硬質表面に落下した際にカバーガラスが直接硬質表面と衝突するのを防ぐベゼルまで、様々なものがある。しかしながら、審美的要件や機能的要件の制約のために、カバーガラスが硬質表面に衝突するのを完全に防ぐことは非常に難しい。
【0007】
また、携帯型機器ができるだけ薄いことも望ましい。したがって、強度に加え、携帯型機器におけるカバーガラスとして使用すべきガラスをできるだけ薄く製造することも望ましい。それゆえ、カバーガラスの強度を増強させることに加え、ガラスが、薄いガラスシートなどの薄いガラス系物品の製造を可能にする過程によって成形できるようにする機械的特性を有することも望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、イオン交換などによって、強化することができ、薄いガラス系物品として成形できるようにする機械的性質を有するガラスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
態様(1)によれば、ガラスが提供される。このガラスは、45モル%以上から70モル%以下のSiO、11.5モル%以上から25モル%以下のAl、2モル%以上から20モル%以下のLiO、0モル%超から10モル%以下のNaO、9モル%以上から19モル%以下のMgO、0モル%超から4モル%以下のZrO、および0モル%以上から0.5モル%以下のTiOを含む。
【0010】
態様(2)によれば、ガラスが提供される。このガラスは、45モル%以上から70モル%以下のSiO、4モル%以上から25モル%以下のAl、5モル%以上から20モル%以下のLiO、0.1モル%以上から10モル%以下のNaO、6モル%以上から25モル%以下のMgO、0.1モル%以上から4モル%以下のZrO、0.1モル%以上から5モル%以下のKO、および0.05モル%以上から0.5モル%以下のSnOを含む。
【0011】
態様(3)によれば、51モル%以上から65モル%以下のSiOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0012】
態様(4)によれば、12.0モル%以上から19モル%以下のAlを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0013】
態様(5)によれば、3モル%以上から12モル%以下のLiOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0014】
態様(6)によれば、0.25モル%以上から6モル%以下のNaOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0015】
態様(7)によれば、10モル%以上から19モル%以下のMgOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0016】
態様(8)によれば、0.25モル%以上から2モル%以下のZrOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0017】
態様(9)によれば、ガラスがTiOを実質的に含まない、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0018】
態様(10)によれば、0モル%以上から10モル%以下のBを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0019】
態様(11)によれば、0モル%以上から6モル%以下のBを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0020】
態様(12)によれば、ガラスがBを実質的に含まない、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0021】
態様(13)によれば、0モル%以上から4モル%以下のPを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0022】
態様(14)によれば、0モル%以上から3モル%以下のPを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0023】
態様(15)によれば、ガラスがPを実質的に含まない、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0024】
態様(16)によれば、0モル%以上から3モル%以下のKOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0025】
態様(17)によれば、ガラスがKOを実質的に含まない、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0026】
態様(18)によれば、0モル%以上から3モル%以下のCaOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0027】
態様(19)によれば、ガラスがCaOを実質的に含まない、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0028】
態様(20)によれば、0モル%以上から3モル%以下のSrOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0029】
態様(21)によれば、ガラスがSrOを実質的に含まない、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0030】
態様(22)によれば、0モル%以上から5モル%以下のZnOを含む、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0031】
態様(23)によれば、ガラスがZnOを実質的に含まない、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0032】
態様(24)によれば、ガラスが、0.8MPa・m0.5以上から1.0MPa・M0.5以下の破壊靱性KICを有する、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0033】
態様(25)によれば、ガラスが、80GPa以上から100GPa以下のヤング率を有する、先の態様のいずれかのガラスが提供される。
【0034】
態様(26)によれば、方法が提供される。その方法は、ガラス系基板を溶融塩浴中でイオン交換して、ガラス系物品を形成する工程を含み、そのガラス系物品は、ガラス系物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層を含み、そのガラス系物品は中央張力領域を含み、そのガラス系基板は、先の態様のいずれかのガラスから作られている。
【0035】
態様(27)によれば、溶融塩浴がNaNOを含む、態様(26)の方法が提供される。
【0036】
態様(28)によれば、溶融塩浴がKNOを含む、態様(26)から直前の態様のいずれかの方法が提供される。
【0037】
態様(29)によれば、溶融塩浴が、400℃以上から550℃以下の温度である、態様(26)から直前の態様のいずれかの方法が提供される。
【0038】
態様(30)によれば、イオン交換が、0.5時間以上から48時間以下の期間に及ぶ、態様(26)から直前の態様のいずれかの方法が提供される。
【0039】
態様(31)によれば、ガラス系物品を第2の溶融塩浴中でイオン交換する工程をさらに含む、態様(26)から直前の態様のいずれかの方法が提供される。
【0040】
態様(32)によれば、第2の溶融塩浴がKNOを含む、直前の態様の方法が提供される。
【0041】
態様(33)によれば、ガラス系物品が提供される。そのガラス系物品は、ガラス系物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層;中央張力領域;および45モル%以上から70モル%以下のSiO、11.5モル%以上から25モル%以下のAl、2モル%以上から20モル%以下のLiO、0モル%超から10モル%以下のNaO、9モル%以上から19モル%以下のMgO、0モル%超から4モル%以下のZrO、および0モル%以上から0.5モル%以下のTiOを含むガラス系物品の中心での組成を有する。
【0042】
態様(34)によれば、ガラス系物品が提供される。そのガラス系物品は、ガラス系物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層;中央張力領域;および45モル%以上から70モル%以下のSiO、4モル%以上から25モル%以下のAl、5モル%以上から20モル%以下のLiO、0.1モル%以上から10モル%以下のNaO、6モル%以上から25モル%以下のMgO、0.1モル%以上から4モル%以下のZrO、0.1モル%以上から5モル%以下のKO、および0.05モル%以上から0.5モル%以下のSnOを含むガラス系物品の中心での組成を有する。
【0043】
態様(35)によれば、圧縮応力層が、400MPa以上から2000MPa以下の圧縮応力を有する、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0044】
態様(36)によれば、中央張力領域が、30MPa以上から300MPa以下の最大中央張力を有する、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0045】
態様(37)によれば、圧縮深さが0.15t以上から0.25t以下であり、tはガラス系物品の厚さである、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0046】
態様(38)によれば、圧縮応力層が、ガラス系物品の表面から圧縮応力スパイク深さまで延在する圧縮応力スパイクを有し、圧縮応力スパイク深さが3μm以上から10μm以下である、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0047】
態様(39)によれば、ガラス系物品が、0.2mm以上から2mm以下の厚さtを有する、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0048】
態様(40)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、51モル%以上から65モル%以下のSiOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0049】
態様(41)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、12.0モル%以上から19モル%以下のAlを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0050】
態様(42)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、3モル%以上から12モル%以下のLiOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0051】
態様(43)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0.25モル%以上から6モル%以下のNaOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0052】
態様(44)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、10モル%以上から19モル%以下のMgOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0053】
態様(45)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0.25モル%以上から2モル%以下のZrOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0054】
態様(46)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、TiOを実質的に含まない、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0055】
態様(47)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0モル%以上から10モル%以下のBを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0056】
態様(48)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0モル%以上から6モル%以下のBを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0057】
態様(49)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、Bを実質的に含まない、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0058】
態様(50)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0モル%以上から4モル%以下のPを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0059】
態様(51)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0モル%以上から3モル%以下のPを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0060】
態様(52)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、Pを実質的に含まない、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0061】
態様(53)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0モル%以上から3モル%以下のKOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0062】
態様(54)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、KOを実質的に含まない、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0063】
態様(55)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0モル%以上から3モル%以下のCaOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0064】
態様(56)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、CaOを実質的に含まない、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0065】
態様(57)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0モル%以上から3モル%以下のSrOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0066】
態様(58)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、SrOを実質的に含まない、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0067】
態様(59)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、0モル%以上から5モル%以下のZnOを含む、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0068】
態様(60)によれば、ガラス系物品の中心での組成が、ZnOを実質的に含まない、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0069】
態様(61)によれば、ガラス系物品の中心での組成と同じ組成および微細構造を有するガラスが、0.8MPa・m0.5以上から1.0MPa・M0.5以下の破壊靱性KICを有する、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0070】
態様(62)によれば、ガラス系物品の中心での組成と同じ組成および微細構造を有するガラスが、80GPa以上から100GPa以下のヤング率を有する、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品が提供される。
【0071】
態様(63)によれば、消費者向け電気製品が提供される。その消費者向け電気製品は、前面、背面、および側面を有する筐体;少なくとも部分的に筐体内に設けられた電気部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および筐体の前面にまたはそれに隣接して設けられたディスプレイを含む電気部品;およびディスプレイを覆って配置されたカバー基板を備える。筐体およびカバー基板の少なくとも一方の少なくとも一部は、態様(33)から直前の態様のいずれかのガラス系物品から作られている。
【0072】
追加の特徴および利点が、以下の詳細な説明に述べられており、一部には、その説明から当業者に容易に明白となるか、または以下の詳細な説明、特許請求の範囲、並びに添付図面を含む、ここに記載された実施の形態を実施することによって、認識されるであろう。
【0073】
先の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方とも、様々な実施の形態を記載しており、請求項の主題の性質および特徴を理解するための概要または骨子を提供する意図があることを理解すべきである。添付図面は、様々な実施の形態のさらなる理解を与えるために含まれ、本明細書に包含され、その一部を構成する。図面は、ここに記載された様々な実施の形態を示しており、説明と共に、請求項の主題の原理と作動を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0074】
図1】ここに記載され、開示された実施の形態による、圧縮応力領域を有するガラス系物品の断面の概略図
図2A】ここに開示されたガラス系物品のいずれかを組み込んだ例示の電子機器の平面図
図2B図2Aの例示の電子機器の斜視図
図3】例示のイオン交換済みのガラス物品および比較のイオン交換済みのガラス物品の応力プロファイルを示すグラフ
図4】例示のガラス物品および比較のガラス物品の残留強度をプロットしたグラフ
図5】例示のガラス物品および比較のガラス物品の残留強度をプロットしたグラフ
図6】衝撃物体との衝撃によりガラス物品に損傷を与える装置の概略図
図7】破壊靱性KICを決定するための二重片持ち梁(DCB)手順に利用される試料およびその断面を示す概略図
【発明を実施するための形態】
【0075】
ここで、様々な実施の形態による、リチウムアルミノケイ酸塩ガラスを詳しく参照する。リチウムアルミノケイ酸塩ガラスは良好なイオン交換可能性を有し、リチウムアルミノケイ酸塩ガラスにおいて高強度および高靭性の特性を達成するために、化学強化過程が使用されてきた。リチウムアルミノケイ酸塩ガラスは、ガラス品質の高い、高度にイオン交換なガラスである。ケイ酸塩ガラスの網状構造中にAlを置換すると、イオン交換中に一価陽イオンの相互拡散性が増す。溶融塩浴(例えば、KNOまたはNaNO)中の化学強化によって、強度が高く、靭性が高く、圧痕亀裂形成抵抗が高いガラスを得ることができる。化学強化によって得られる応力プロファイルは、ガラス系物品の落下性能、強度、靭性、および他の属性を向上させる様々な形状を有することがある。
【0076】
したがって、物理的性質、化学的耐久性、およびイオン交換可能性が良好なリチウムアルミノケイ酸塩ガラスが、カバーガラスとしての使途のために、注目されている。具体的に、より高い破壊靭性およびより高いヤング率を有するリチウム含有アルミノケイ酸塩ガラスが、ここに提供される。異なるイオン交換過程によって、より大きい中央張力(CT)、圧縮深さ(DOC)、および高い圧縮応力(CS)を達成することができる。しかしながら、アルミノケイ酸塩ガラス中にリチウムを添加すると、ガラスの融点、軟化点、または液相粘度が低下することがある。
【0077】
ここに用いられているような「残留強度」という用語は、引張応力を与えるために物品が曲げられたときの、衝撃力による損傷導入後のガラス物品の強度を称する。損傷は、ここに引用される、米国特許出願公開第2019/0072469A1号明細書に記載された方法にしたがって導入される。例えば、ガラス物品に衝撃試験を行うための装置が、図6に参照番号1100で示されている。装置1100は、旋回軸1106に取り付けられた下げ振り(bob)1104を含む振り子1102を備える。ここに用いられているような、振り子上の「下げ振り」という用語は、アームから吊り下げられ、アームで旋回軸に接続された重りである。それゆえ、図示された下げ振り1104は、アーム1108で旋回軸1106に接続されている。下げ振り1104は、ガラス物品を収容するためのベース1110を備え、そのガラス物品はこのベースに固定されている。装置1100は、平衡位置からゼロより大きい角度にある位置から下げ振り1104が解放されたときに、下げ振り1104の表面が衝撃物体1140と接触するように位置付けられた衝撃物体1140をさらに備える。この衝撃物体は、ガラス物品の外面と接触するように配置されるべき磨耗面を有する研磨シートを含む。この研磨シートは、研磨紙を含むことがあり、この研磨紙は、30グリットから400グリット、または100グリットから300グリットの範囲にある、例えば、180グリットのグリットサイズを有することがある。
【0078】
本開示の目的のために、衝撃物体は、前記装置に固定された80グリット、120グリット、または180グリットの研磨紙の直径6mmのディスクの形態にあった。約600μmの厚さを有するガラス物品を下げ振りに固定した。各衝撃毎に、新しい研磨紙ディスクを使用した。ガラス物品に対する損傷は、装置のアームの振りを約90°の角度に引き上げて、約500Nの衝撃力で与えた。各ガラス物品について、約10個の試料に衝撃を与えた。
【0079】
損傷導入から12時間以上経った後、ガラス物品を4点曲げ(4PB)で割った。損傷したガラス物品を、損傷した部位を下にして(すなわち、張力側)、荷重経路の間(荷重間隔)で、支持ロッド(支持間隔)上に置いた。本開示の目的のために、荷重間隔は18mmであり、支持間隔は36mmであった。荷重ロッドと支持ロッドの曲率半径は、3.2mmであった。荷重は、ガラスが割れるまで、ネジ式試験装置(Instron(登録商標)、米国、マサチューセッツ州、ノーウッド)を使用して、5mm/分の一定の変位速度で行った。4PB試験は、22℃±2℃の温度および50%±5%のRH(相対湿度)で行った。
【0080】
4点曲げ(4PB)において印加された破壊応力(The applied fracture stress (or the applied stress to failure))σappは、式:
【0081】
【数1】
【0082】
から計算した。式中、Pは最大破壊荷重であり、L(=36mm)は支持ロッド間の距離(支持間隔)であり、α(=18mm)は荷重ロッド間の距離(荷重間隔)であり、bはガラス板の幅であり、hはガラス板の厚さであり、νはガラス組成物のポアソン比である。式(1)の項(1/(1-ν))は、板の補強効果を考慮するものである。4点曲げにおいて、応力は、荷重間隔下で一定であり、それゆえ、損傷部位は、モードIの一軸引張応力荷重下にある。試験片の4点曲げ試験の応力速度は、毎秒15MPaから17MPaであると推測された。ガラス組成物の残留強度は、破損が生じない最高の印加破壊応力である。
【0083】
ここに用いられている「軟化点」という用語は、ガラス組成物の粘度が1×107.6ポアズである温度を称する。この軟化点は、ASTM C1351M-96(2012)の平行板粘度法を使用して決定した。
【0084】
ここに用いられている「徐冷点」という用語は、ガラス組成物の粘度が1×1013ポアズである温度を称する。
【0085】
ここに用いられている「歪み点」という用語は、ガラス組成物の粘度が1×1014.68ポアズである温度を称する。
【0086】
ここに用いられている「CTE」という用語は、特に明記のない限り、約20℃から約300℃の温度範囲に亘るガラス組成物の平均熱膨張係数を称する。
【0087】
ここに記載されたガラス組成物の実施の形態において、構成成分(例えば、SiO、Al、LiOなど)の濃度は、特に明記のない限り、酸化物基準のモルパーセント(モル%)で与えられている。実施の形態によるアルカリアルミノケイ酸塩ガラス組成物の成分は、下記に個別に述べられている。ある成分の様々に列挙された範囲のどれも、どの他の成分の様々に列挙された範囲のどれと個別に組み合わされてもよいことを理解すべきである。ここに用いられているように、数字の末尾の0は、その数字の有効数字を表すためである。例えば、「1.0」は有効数字2桁であり、「1.00」は有効数字3桁である。
【0088】
ここに用いられているように、「ガラス基板」は、イオン交換されていないガラス片を称する。同様に、「ガラス物品」は、イオン交換されており、ガラス基板にイオン交換過程を施すことによって形成されたガラス片を称する。「ガラス系基板」および「ガラス系物品」は、それに基づいて定義され、ガラス基板とガラス物品並びに表面コーティングを備えたガラス基板など、ガラスから全体がまたは部分的に作られた基板と物品を含む。ガラス基板とガラス物品は、広く、便宜のために本明細書において称されることがあるが、ガラス基板とガラス物品の説明は、ガラス系基板とガラス系物品に等しく適用されると理解すべきである。
【0089】
高い破壊靭性(KIC)および高いヤング率を示す、MgOおよびZrOを含有するリチウムアルミノケイ酸塩ガラス組成物が、ここに開示されている。実施の形態において、そのガラス組成物は、少なくとも0.8MPa・m0.5のKIC破壊靭性値によって特徴付けられる。実施の形態において、そのガラス組成物は、少なくとも80GPaのヤング率によって特徴付けられる。これらの性質は、少なくとも一部には、ガラス中にMgO、ZrO、およびAlを含ませることによって達成されている。
【0090】
引っ掻き傷性能が望ましいが、落下性能が、携帯型電子機器に組み込まれるガラス系物品にとっての主要な属性となる。破壊靱性およびある深さでの応力が、粗面への落下性能の改善にとって重要である。この理由のために、割れやすさ限界(frangibility limit)に到達する前にガラスに提供できる応力の量を最大にすると、ある深さでの応力および粗面落下性能が高まる。破壊靱性は、割れやすさ限界を制御することが公知であり、破壊靱性を増加させると、割れやすさ限界が増す。ここに開示されたガラス組成物は、高い破壊靱性を有し、非脆性のままでありながら、高い圧縮応力レベルを達成することができる。このガラス組成物のこれらの特徴のために、特定の破壊モードに対処するように設計された改善された応力プロファイルの開発が可能になる。この能力により、ここに記載されたガラス組成物から製造されたイオン交換済みのガラス系物品を、関心のある特定の破壊モードに対処するために異なる応力プロファイルでカスタマイズすることができる。
【0091】
高い破壊靱性およびヤング率を有するガラス組成物は、脆性とならずに、化学強化によって与えられた、多量の歪みエネルギーを貯蔵する能力のために、化学強化されたガラス系物品の形成に特に適している。市販のカバーガラスおよび携帯型機器の筐体の貯蔵歪みエネルギー(Σ)は、破壊の際に小粒子を放出するのを避けつつ、所望の耐破壊性を達成するために管理されている。破壊の際に形成されることのある破片のサイズ(x)は、以下の式:
【0092】
【数2】
【0093】
で示されるように、化学強化されたガラス系物品を形成するために利用されるガラスの破壊靱性(KIC)およびそのガラス系物品の最大中央張力(CT)によって主に決定される。式中、tは、ガラス系物品の厚さであり、νは、化学強化されたガラス系物品を形成するために利用されるガラスのポアソン比であり、DOCは、そのガラス系物品の圧縮深さである。上記式は、より高い破壊靱性を有するガラス組成物は、放出される小粒子のサイズが減少した、化学強化されたガラス系物品を生成することを示している。
【0094】
ガラス系物品が破壊された際に生じる破片の数は、下記の式:
【0095】
【数3】
【0096】
にしたがって、その物品の貯蔵歪みエネルギー(Σ)に比例し、式中、Eは、ガラス系物品を形成するために利用されるガラスのヤング率であり、σは、深さの関数としての応力であり、-zからzが、ガラス系物品の中央張力領域を規定するようなz=0.5t-DOCである。上記貯蔵歪みエネルギーの式で示されるように、より高いヤング率値を有するガラス組成物は、どの所定の応力プロファイルについてもより低い貯蔵歪みエネルギーを有し、そのガラス組成物から形成されたガラス系物品が破壊されたときに生じる破片の数を減少させる。破片のサイズの式と貯蔵歪みエネルギーの式を一緒に考えると、高いヤング率と併せて高い破壊靱性を有するガラス組成物は、破砕性を避けつつ、高い最大中央張力を有するガラス系物品を製造できることが明白である。
【0097】
ここに記載された組成物は、高い破壊靱性値とヤング率値を達成しつつ、所望の程度の製造可能性も維持するように選択される。その組成物は、所望の製造限界との適合性を維持しつつ、所望の破壊靱性を生じるために多量のAlおよびLiOを含む。ここに記載されたガラス組成物から形成されたイオン交換済みのガラス系物品の落下性能は、ガラス物品に与えられる圧縮応力の量を増加させることによって改善される。ここに記載されたガラス組成物は、増加した中央張力能力および増加したイオン交換速度で証拠付けられるように、改善されたイオン交換性能を提供する。
【0098】
ここに記載されたガラス組成物において、SiOは、最多成分であり、よって、SiOは、ガラス組成物から形成されるガラス網状構造の主成分である。純粋なSiOは、比較的低いCTEを有する。しかしながら、純粋なSiOの融点は高い。したがって、ガラス組成物中のSiOの濃度が高すぎると、そのガラス組成物の成形性は、より高濃度のSiOのためにガラスを溶融する難易度が増し、それは転じて、ガラスの成形性に悪影響を及ぼすので、低下するであろう。それに加え、ガラス組成物に含まれるSiOが多すぎると、イオン交換により圧縮応力を生じるガラスの能力が低下してしまう。そのガラス組成物中のSiOの濃度が低すぎると、そのガラスの化学的耐久性が低下することがあり、そのガラスは、成形後処理の最中に表面損傷を受けやすいであろう。実施の形態において、そのガラス組成物は、一般に、45モル%以上から70モル%以下、例えば、50モル%以上から65モル%以下、51モル%以上から65モル%以下、51モル%以上から64モル%以下、52モル%以上から63モル%以下、53モル%以上から62モル%以下、54モル%以上から61モル%以下、55モル%以上から60モル%以下、56モル%以上から59モル%以下、57モル%以上から58モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のSiOを含む。
【0099】
そのガラス組成物は、Alを含む。Alは、SiOと同じように、ガラス網状構造形成材の働きをすることがある。Alは、Alの量が多すぎる場合、四面体配位のために、ガラス組成物から形成されるガラス溶融物の液相粘度を増加させ、ガラス組成物の成形性を低下させることがある。しかしながら、Alの濃度が、ガラス組成物中のSiOの濃度とアルカリ酸化物の濃度に対して釣り合わされると、Alは、ガラス溶融物の液相温度を低下させ、それによって、液相粘度を向上させ、特定の成形過程とのガラス組成物の適合性を改善することができる。ガラス組成物中のアルカリ酸化物とアルカリ土類酸化物の総含有量に対するAlの含有量が増加すると、一般に、ガラスの耐久性が改善される。アルカリ酸化物(RO)の濃度がガラス組成物中のAlの量に近づくか、それより多くなると、ガラス中のほぼ全てまたは全てのアルミニウムが、四面体配位状態で存在し、アルカリイオンが電荷補償体の機能を果たす。この電荷平衡により、アルカリイオンの拡散性が高くなり、イオン交換の速度が増加する。ガラス組成物中にAlを含ませると、ここに記載されたように、破壊靱性値を高くすることができる。実施の形態において、そのガラス組成物は、11.5モル%以上から25モル%以下、例えば、12.0モル%以上から19モル%以下、12モル%以上から24.5モル%以下、12.5モル%以上から24モル%以下、13モル%以上から23.5モル%以下、13.5モル%以上から23モル%以下、14モル%以上から22.5モル%以下、14.5モル%以上から22モル%以下、15モル%以上から21.5モル%以下、15.5モル%以上から21モル%以下、16モル%以上から20.5モル%以下、16.5モル%以上から20モル%以下、17モル%以上から19.5モル%以下、17.5モル%以上から19モル%以下、18モル%以上から18.5モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の濃度でAlを含む。
【0100】
実施の形態において、前記ガラス組成物は、4モル%以上から25モル%以下、例えば、5モル%以上から24モル%以下、6モル%以上から23モル%以下、7モル%以上から22モル%以下、8モル%以上から21モル%以下、9モル%以上から20モル%以下、10モル%以上から19モル%以下、11モル%以上から18モル%以下、12モル%以上から17モル%以下、13モル%以上から16モル%以下、14モル%以上から15モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の濃度でAlを含む。
【0101】
そのガラス組成物はLiOを含む。前記ガラス組成物中にLiOを含ませることにより、イオン交換過程をよりよく制御することができ、ガラスの軟化点、液相温度、および溶融温度をさらに低下させ、それによって、ガラスの製造可能性が高まる。そのガラス組成物中にLiOが存在することにより、放物形を有する応力プロファイルを形成することもできる。そのガラス組成物中のLiOは、ここに記載された高い破壊靱性値を可能にもする。ガラス組成物に含まれるLiOが多すぎると、ガラスの熱膨張係数が増加し、化学的耐久性が低下してしまう。ガラス組成物に含まれるLiOが不十分な場合、ガラスのイオン交換される能力が望ましからず低下し、所望の応力プロファイルが達成されないことがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、2モル%以上から20モル%以下、例えば、3モル%以上から12モル%以下、4モル%以上から19モル%以下、5モル%以上から18モル%以下、6モル%以上から17モル%以下、7モル%以上から16モル%以下、8モル%以上から15モル%以下、9モル%以上から14モル%以下、10モル%以上から13モル%以下、11モル%以上から12モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のLiOを含む。
【0102】
実施の形態において、前記ガラス組成物は、5モル%以上から20モル%以下、例えば、6モル%以上から19モル%以下、7モル%以上から18モル%以下、8モル%以上から17モル%以下、9モル%以上から16モル%以下、10モル%以上から15モル%以下、11モル%以上から14モル%以下、12モル%以上から13モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のLiOを含む。
【0103】
ここに記載されたガラス組成物は、NaOを含む。NaOは、ガラス組成物のイオン交換可能性に役立ち、ガラス組成物の成形性、およびそれによって、製造可能性も改善する。しかしながら、ガラス組成物に加えられるNaOが多すぎると、CTEが低くなり過ぎることがある。それに加え、ガラス中に含まれるNaOが、LiOの量と比べて多すぎると、イオン交換された時に深い圧縮深さを達成するガラスの能力が低下することがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%超から10モル%以下、例えば、0.25モル%以上から6モル%以下、0.5モル%以上から9モル%以下、1モル%以上から8モル%以下、2モル%以上から7モル%以下、3モル%以上から6モル%以下、4モル%以上から5モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のNaOを含む。
【0104】
実施の形態において、前記ガラス組成物は、0.1モル%以上から10モル%以下、例えば、0.25モル%以上から6モル%以下、0.5モル%以上から9モル%以下、1モル%以上から8モル%以下、2モル%以上から7モル%以下、3モル%以上から6モル%以下、4モル%以上から5モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のNaOを含む。
【0105】
ここに記載されたガラス組成物は、MgOを含む。MgOはガラスの液相粘度を低下させ、溶融挙動を改善することがあり、これにより、ガラスの成形性および製造可能性が向上する。ガラス組成物にMgOを含ませると、ガラス組成物の歪み点とヤング率が改善されることもある。しかしながら、ガラス組成物に加えられるMgOが多すぎると、望ましい成形技術に適合するには、液相粘度が低くなりすぎることがある。MgOを多く添加し過ぎると、ガラス組成物の密度とCTEが望ましくないレベルまで増加し、ガラス中のアルカリイオンの移動度を低下させ、イオン交換処理の有効性を低下させることもある。ガラス組成物にMgOを含ませると、MgOの強い電界強度のために、ここに記載された高い破壊靱性値を達成するのに役立つ。実施の形態において、そのガラス組成物は、9モル%以上から19モル%以下、例えば、10モル%以上から19モル%以下、11モル%以上から18モル%以下、12モル%以上から17モル%以下、13モル%以上から16モル%以下、14モル%以上から15モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のMgOを含む。
【0106】
実施の形態において、前記ガラス組成物は、6モル%以上から25モル%以下、例えば、7モル%以上から24モル%以下、8モル%以上から23モル%以下、9モル%以上から22モル%以下、10モル%以上から21モル%以下、11モル%以上から20モル%以下、12モル%以上から19モル%以下、13モル%以上から18モル%以下、14モル%以上から17モル%以下、15モル%以上から16モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のMgOを含む。
【0107】
ここに記載されたガラス組成物は、ZrOを含む。ガラスにZrOを含ませると、破壊靱性が増し、そのガラス組成物が、高い電界強度のために、ここに記載された高い破壊靱性値を達成することができる。このガラス組成物にZrOを含ませると、ガラスの化学的耐久性が改善もされる。そのガラス組成物に含まれるZrOが多すぎると、少なくとも一部にはガラス中へのZrOの低い溶解度のために、ガラス中に望ましくないジルコニア含有物が形成されることがある。それに加え、ガラス組成物に多すぎるZrOを含ませることを望ましくなくする、費用と供給の制約がある。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%超から4モル%以下、例えば、0.25モル%以上から2モル%以下、0.25モル%以上から3.5モル%以下、0.5モル%以上から3モル%以下、1モル%以上から2.5モル%以下、1.5モル%以上から2モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のZrOを含む。
【0108】
実施の形態において、前記ガラス組成物は、0.1モル%以上から4モル%以下、例えば、0.25モル%以上から2モル%以下、0.25モル%以上から3.5モル%以下、0.5モル%以上から3モル%以下、1モル%以上から2.5モル%以下、1.5モル%以上から2モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のZrOを含む。
【0109】
ここに記載されたガラス組成物は、TiOを含むことがある。そのガラス組成物に含まれるTiOが多すぎると、ガラスが、失透しやすくなる、および/または望ましくない着色を示し、同時に液相線を望ましくなく変えることがある。ガラス組成物中にTiOがいくらか含まれると、加工後の処理中などで、強力な紫外線に曝露された際に、ガラスの望ましくない変色が防がれることがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%以上から0.5モル%以下、例えば、0.1モル%以上から0.4モル%以下、0.2モル%以上から0.3モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のTiOを含む。実施の形態において、そのガラス組成物は、TiOを実質的に含まない、または含まない。ここに用いられているように、「実質的に含まない」という用語は、たとえその成分が、0.1モル%未満など、汚染物質として非常に少量で最終的なガラス組成物中に存在するとしても、その成分は、バッチ材料の成分として意図的に添加されていないことを意味する。
【0110】
ここに記載されたガラス組成物はBを含むことがある。Bを含ませると、ガラスの破壊靱性が増し、それによって、損傷抵抗が増す。詳しくは、そのガラス組成物は三方晶の形態でホウ素を含み、これにより、ガラスのヌープ引っ掻き閾値および破壊靱性が増加する。その組成物に含まれるBが多すぎると、イオン交換過程で与えられる圧縮応力の量が減少し、製造中の自由表面での揮発性が許容できないレベルまで増すことがある。そのガラス組成物にBを含ませると、溶液粘度が減少もし、ジルコンの破壊を抑制するのに役立つ。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%以上から10モル%以下、例えば、0モル%以上から6モル%以下、0.5モル%以上から9モル%以下、1モル%以上から8モル%以下、2モル%以上から7モル%以下、3モル%以上から6モル%以下、4モル%以上から5モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のBを含む。実施の形態において、そのガラス組成物は、Bを実質的に含まない、または含まない。
【0111】
ここに記載されたガラス組成物はPを含むことがある。Pを含ませると、ガラス中のイオンの拡散性が増し、イオン交換過程の速度が増加する。組成物に含まれるPが多すぎると、イオン交換過程で与えられる圧縮応力の量が減少することがあり、製造中の自由表面での揮発性が許容できないレベルまで増すことがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%以上から4モル%以下、例えば、0モル%以上から3モル%以下、0.5モル%以上から3.5モル%以下、1モル%以上から3モル%以下、1.5モル%以上から2.5モル%以下、0.5モル%以上から2モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のPを含む。実施の形態において、そのガラス組成物は、Pを実質的に含まない、または含まない。
【0112】
ここに記載されたガラス組成物はKOを含むことがある。そのガラス組成物にKOを含ませると、ガラス中のカリウム拡散性が増し、より深い圧縮応力スパイク深さ(DOLSP)をより短いイオン交換時間で達成することができる。その組成物に含まれるKOが多すぎると、イオン交換過程中に与えられる圧縮応力の量が減少することがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%以上から3モル%以下、例えば、0.25モル%以上から2.5モル%以下、0.5モル%以上から2モル%以下、1モル%以上から1.5モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のKOを含む。実施の形態において、そのガラス組成物は、KOを実質的に含まない、または含まない。
【0113】
実施の形態において、そのガラス組成物は、0.1モル%以上から5モル%以下、例えば、0.5モル%以上から4.5モル%以下、1モル%以上から4モル%以下、1.5モル%以上から3.5モル%以下、2モル%以上から3モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のKOを含む。
【0114】
ここに記載されたガラス組成物は、CaOを含むことがある。CaOは、ガラスの液相粘度を低下させることがあり、これにより、成形性、歪み点、およびヤング率が向上することがある。しかしながら、ガラス組成物に添加されるCaOが多すぎると、ガラス組成物の密度とCTEが許容できないレベルまで増加することがあり、アルカリイオンの移動度の低下により、ガラスのイオン交換可能性が望ましくなく妨げられることがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%以上から3モル%以下、例えば、0.25モル%以上から2.5モル%以下、0.5モル%以上から2モル%以下、1モル%以上から1.5モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のCaOを含む。実施の形態において、そのガラス組成物は、CaOを実質的に含まない、または含まない。
【0115】
ここに記載されたガラス組成物は、SrOを含むことがある。SrOは、ガラスの粘度を低下させることがあり、これにより、成形性、歪み点、およびヤング率が向上することがある。しかしながら、ガラス組成物に添加されるSrOが多すぎると、ガラス組成物の密度とCTEが許容できないレベルまで増加することがあり、ガラスのイオン交換可能性が望ましくなく妨げられることがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%以上から3モル%以下、例えば、0.25モル%以上から2.5モル%以下、0.5モル%以上から2モル%以下、1モル%以上から1.5モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のSrOを含む。実施の形態において、そのガラス組成物は、SrOを実質的に含まない、または含まない。
【0116】
ここに記載されたガラス組成物は、ZnOを含むことがある。ZnOは、ガラスの液相粘度を低下させることがあり、これにより、成形性、歪み点、およびヤング率が向上することがある。しかしながら、ガラス組成物に添加されるZnOが多すぎると、ガラス組成物の密度とCTEが許容できないレベルまで増加することがある。ガラス組成物にZnOを含めることによって、UV誘起変色に対する保護も与えられる。実施の形態において、そのガラス組成物は、0モル%以上から5モル%以下、例えば、0.5モル%以上から5モル%以下、1モル%以上から4モル%以下、2モル%以上から3モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のZnOを含む。実施の形態において、そのガラス組成物は、ZnOを実質的に含まない、または含まない。
【0117】
前記ガラス組成物は、1種類以上の清澄剤を含むことがある。実施の形態において、その清澄剤の例としては、SnOが挙げられるであろう。実施の形態において、SnOは、0.2モル%以下、例えば、0モル%以上から0.2モル%以下、0モル%以上から0.1モル%以下、0.1モル%以上から0.2モル%以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲などの量でガラス組成物中に存在することがある。いくつかの実施の形態において、そのガラス組成物は、SnOを実質的に含まない、または含まないことがある。実施の形態において、前記ガラス組成物は、ヒ素およびアンチモンの一方または両方を実質的に含まないことがある。他の実施の形態において、そのガラス組成物は、ヒ素およびアンチモンの一方または両方を含まないことがある。
【0118】
実施の形態において、そのガラス組成物は、0.05モル%以上から0.5モル%以下、例えば、0.1モル%以上から0.45モル%以下、0.15モル%以上から0.40モル%以下、0.2モル%以上から0.35モル%以下、0.25モル%以上から0.3モル%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のSnOを含むことがある。
【0119】
ここに記載されたガラス組成物は、SiO、Al、LiO、NaO、MgO、およびZrOから主に形成されることがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、SiO、Al、LiO、NaO、MgO、ZrO、P、BおよびTiO以外の成分を実質的に含まない、または含まない。実施の形態において、そのガラス組成物は、SiO、Al、LiO、NaO、MgO、ZrO、P、B、TiOおよび清澄剤以外の成分を実質的に含まない、または含まない。
【0120】
実施の形態において、前記ガラス組成物は、Feを実質的に含まない、または含まないことがある。鉄は、ガラス組成物を形成するために利用される原材料中に多くの場合存在し、その結果、ガラスバッチに能動的に添加していない場合でさえ、ここに記載されたガラス組成物中に検出可能であることがある。
【0121】
実施の形態において、前記ガラス組成物は、Ta、HfO、La、およびYの少なくとも1つを実質的に含まない、または含まないことがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、Ta、HfO、La、およびYを実質的に含まない、または含まないことがある。これらの成分は、含まれた場合、ガラスの破壊靱性を増すことがあるが、これらの成分を商業目的に望ましくなくす費用と供給の制約がある。言い方を変えると、Ta、HfO、La、およびYを含ませることで、高い破壊靱性値を達成するここに記載されたガラス組成物の能力は、費用と製造可能性の利点を与える。
【0122】
先に開示されたガラス組成物の物理的性質をここに記載する。
【0123】
実施の形態によるガラス組成物は、高い破壊靱性を有する。どの特定の理論にも束縛される意図はないが、高い破壊靭性により、ガラス組成物に改善された落下性能が与えられることがある。ここに記載されたガラス組成物の高い破壊靱性により、ガラスの耐損傷性が増し、脆性とならずに、中央張力で特徴付けられるように、イオン交換によりガラスに与えられる応力を高くすることができる。ここに利用されるように、破壊靭性は、特に明記のない限り、シェブロンノッチ付き小形角棒法によって測定される、KIC値を称する。KIC値の測定に利用されるシェブロンノッチ付き小形角棒(CNSB)法は、Y が、Bubsey,R.T.等の「Closed-Form Expressions for Crack-Mouth Displacement and Stress Intensity Factors for Chevron-Notched Short Bar and Short Rod Specimens Based on Experimental Compliance Measurements」NASA Technical Memorandum 83796、1~30頁(1992年10月) の式5を用いて計算されることを除いて、Reddy,K.P.R.等の「Fracture Toughness Measurement of Glass and Ceramic Materials Using Chevron-Notched Specimens」J.Am.Ceram.Soc., 71 [6], C-310-C-313(1988年)に開示されている。それに加え、KIC値は、ガラス系物品を形成するためにガラス系基板をイオン交換する前にKIC値を測定する場合など、非強化ガラス試料について測定される。ここに述べられたKIC値は、特に明記のない限り、MPa・m0.5で報告されている。
【0124】
実施の形態において、前記ガラス組成物は、0.8MPa・m0.5以上、例えば、0.80MPa・m0.5以上、0.81MPa・m0.5以上、0.82MPa・m0.5以上、0.83MPa・m0.5以上、0.84MPa・m0.5以上、0.85MPa・m0.5以上、0.86MPa・m0.5以上、0.87MPa・m0.5以上、0.88MPa・m0.5以上、0.89MPa・m0.5以上、0.90MPa・m0.5以上、0.91MPa・m0.5以上、0.92MPa・m0.5以上、0.93MPa・m0.5以上、0.94MPa・m0.5以上、0.95MPa・m0.5以上、またはそれより大きいKIC値を示す。実施の形態において、そのガラス組成物は、0.8MPa・m0.5以上から1.0MPa・m0.5以下、例えば、0.83MPa・m0.5以上から0.95MPa・m0.5以下、0.81MPa・m0.5以上から0.99MPa・m0.5以下、0.82MPa・m0.5以上から0.98MPa・m0.5以下、0.83MPa・m0.5以上から0.97MPa・m0.5以下、0.84MPa・m0.5以上から0.96MPa・m0.5以下、0.85MPa・m0.5以上から0.95MPa・m0.5以下、0.86MPa・m0.5以上から0.94MPa・m0.5以下、0.87MPa・m0.5以上から0.93MPa・m0.5以下、0.88MPa・m0.5以上から0.92MPa・m0.5以下、0.89MPa・m0.5以上から0.91MPa・m0.5以下、0.82MPa・m0.5以上から0.90MPa・m0.5以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲のKIC値を示す。
【0125】
実施の形態によるガラス組成物は、高いヤング率を有する。高いヤング率値は、イオン交換後にガラス中に存在する貯蔵歪みエネルギーを減少させる。ここに用いられているように、ヤング率(E)は、「Standard Guide for Resonant Ultrasound Spectroscopy for Defect Detection in Both Metallic and Non-metallic Parts.」と題する、ASTM E2001-13に述べられた一般型の共鳴超音波スペクトロスコピー技術で測定された値を称する。実施の形態において、そのガラス組成物は、80GPa以上、例えば、81GPa以上、82GPa以上、83GPa以上、84GPa以上、85GPa以上、86GPa以上、87GPa以上、88GPa以上、89GPa以上、90GPa以上、91GPa以上、92GPa以上、93GPa以上、94GPa以上、95GPa以上、96GPa以上、97GPa以上、98GPa以上、またはそれより大きいヤング率を有する。実施の形態において、そのガラス組成物は、80GPa以上から100GPa以下、例えば、83GPa以上から99GPa以下、81GPa以上から99GPa以下、82GPa以上から98GPa以下、83GPa以上から97GPa以下、84GPa以上から96GPa以下、85GPa以上から95GPa以下、86GPa以上から94GPa以下、87GPa以上から93GPa以下、88GPa以上から92GPa以下、89GPa以上から91GPa以下、90GPa以上から100GPa以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲のヤング率を有する。
【0126】
ここに記載されたガラス組成物は、薄いガラスシートの成形に特に適した製造プロセスに適合する液相粘度を有する。例えば、そのガラス組成物は、フロート法、圧延法、または加圧法などの従来の成形法に適合している。ガラス系基板の実施の形態は、フュージョン成形可能(すなわち、フュージョンドロー法を使用して成形可能)であると記載されることがある。このフュージョン法では、溶融したガラス原材料を受け取るための通路を有する延伸槽が使用される。この通路は、通路の両側に通路の長さに沿って上部で開いた堰を有する。通路が溶融材料で満たされると、溶融ガラスが堰から溢れ出る。溶融ガラスは、重力のために、延伸槽の外面を2つの流れるガラスフイルムとして流れ落ちる。延伸槽のこれらの外面は、延伸槽の下の縁で接合するように、下方かつ内側に延在する。2つの流れるガラスフイルムはこの縁で合流し、融合して、1つの流れるガラス系物品を形成する。これらのガラスフイルムの融合により、ガラス系基板内に融合線が生じ、この融合線は、製造履歴の追加の知識を必要とせずに、フュージョン成形されたガラス系基板を特定することができる。このフュージョンドロー法は、通路から溢れ出た2つのガラスフイルムが互いに融合するので、結果として得られたガラス系物品の外面のいずれも、装置のどの部分とも接触しないという利点を提示する。それゆえ、フュージョンドロー法で製造されたガラス系物品の表面特性は、そのような接触の影響を受けない。
【0127】
ここに記載されたガラス組成物は、フュージョンドロー法に適合する液相粘度を有するように選択されることがある。それゆえ、ここに記載されたガラス組成物は、既存の成形法に適合しており、そのガラス組成物から成形されたガラス系物品の製造可能性が増す。ここに用いられているように、「液相粘度」という用語は、液相温度での溶融ガラスの粘度を称し、ここで、液相温度は、溶融ガラスが溶融温度から冷めるときに、結晶が最初に現れる温度、または温度を室温から上昇させるときに、一番最後の結晶が溶けてなくなる温度を称する。特に明記のない限り、本出願に開示された液相粘度値は、以下の方法によって決定される。最初に、ガラスの液相温度を、「Standard Practice for Measurement of Liquidus Temperature of Glass by the Gradient Furnace Method」と題する、ASTM C829-81(2015)にしたがって測定する。次に、その液相温度でのガラスの粘度を、「Standard Practice for Measuring Viscosity of Glass Above the Softening Point」と題する、ASTM C965-96(2012)にしたがって測定する。特に明記のない限り、ガラス組成物または物品の液相粘度および温度は、その組成物または物品にどのようなイオン交換過程も、またはどの他の強化過程も施す前に、測定される。詳しくは、ガラス組成物または物品の液相粘度および温度は、その組成物または物品がイオン交換溶液に曝露される前、例えば、イオン交換溶液に浸漬される前に、測定される。
【0128】
1つ以上の実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物は、非晶質微細構造を示し、結晶または晶子を実質的に含まないことがあるガラス系物品を形成することがある。言い換えると、ここに記載されたガラス組成物から形成されたガラス系物品では、ガラスセラミック材料が除かれることがある。
【0129】
上述したように、実施の形態において、ここに記載されたガラス組成物は、イオン交換などによって強化して、以下に限られないが、ディスプレイ用カバーなどの用途にとって損傷抵抗であるガラス系物品を製造することができる。図1を参照すると、ガラス系物品の表面から圧縮深さ(DOC)まで延在する圧縮応力下にある第1の領域(例えば、図1の第1と第2の圧縮応力層120、122)およびDOCからガラス系物品の中央または内部領域に延在する引張応力または中央張力(CT)下にある第2の領域(例えば、図1の中央領域130)を有するガラス系物品が示されている。ここに用いられているように、DOCは、ガラス系物品内の応力が圧縮から引張に変化する深さを称する。DOCでは、応力は、正の(圧縮)応力から負の(引張)応力に交差し、それゆえ、ゼロの応力値を示す。
【0130】
当該技術分野において通常用いられる慣例によれば、圧縮または圧縮応力は負の(<0)応力として表され、張力または引張応力は正の(>0)応力として表される。しかしながら、本明細書を通じて、CSは、正の値または絶対値として表される。すなわち、ここに挙げられるように、CS=|CS|。圧縮応力(CS)は、ガラス系物品の表面で、またはその近くで最大値を有し、CSは、関数にしたがって、表面からの距離dにより変動する。再び図1を参照すると、第1の区画120は第1の表面110から深さdまで延在し、第2の区画122は第2の表面112から深さdまで延在する。これらの区画は、共に、ガラス系物品100の圧縮またはCSを規定する。表面圧縮応力(CS)は、当該技術分野で公知の散乱光偏光器(SCALP)技術または屈折近視野(RNF)技術を使用して測定されることがある。ここに与えられたCS値は、特に明記のない限り、SCALP技術を使用して測定されている。ここに用いられているように、「CSk」という用語は、RNFで測定される屈曲部(すなわち、転移点)の深さでの圧縮応力を称する。
【0131】
実施の形態において、前記ガラス系物品のCSは、400MPa以上から2000MPa以下、例えば、500MPa以上から1900MPa以下、600MPa以上から1800MPa以下、700MPa以上から1700MPa以下、800MPa以上から1300MPa以下、900MPa以上から1200MPa以下、1000MPa以上から1100MPa以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲にある。
【0132】
実施の形態において、NaおよびKイオンがガラス系物品中に交換され、Naイオンは、Kイオンより深い深さまでガラス系物品中に拡散する。Kイオンの侵入深さ(「カリウムDOL」)は、イオン交換過程の結果としてのカリウム侵入深さを表すので、DOCとは区別される。カリウムDOLは、典型的に、ここに記載されたガラス物品について、DOCよりも小さい。カリウムDOLは、有限会社折原製作所(日本国)により製造されている市販のFSM-6000表面応力計などの表面応力計を使用して測定されることがある。この表面応力計は、応力光学係数(SOC)の精密測定に依存する。カリウムDOLは、圧縮応力スパイクの深さ(DOLSP)を規定することがあり、ここで、応力プロファイルは、急峻なスパイク領域からそれほど急峻ではない深い領域に移行する。この深い領域は、スパイク領域の底部から圧縮深さまで延在する。このガラス系物品のDOLSPは、3μm以上から10μm以下、例えば、4μm以上から9μm以下、5μm以上から8μm以下、6μm以上から7μm以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲にあることがある。
【0133】
両方の主面(図1における110、112)の圧縮応力は、ガラス系物品の中央領域(130)における貯蔵張力により釣り合わされる。表面圧縮応力(CS)、最大中央張力(CT)、およびDOCは、当該技術分野で公知の散乱光偏光器(SCALP)技術を使用して測定されることがある。SCALP法は、ガラス系物品の応力プロファイルを決定するために使用されることもある。
【0134】
最大CT値の測定は、強化物品に貯蔵された応力の総量の指標である。この理由のために、より高いCT値を達成する能力は、より高度の強化と性能の向上を達成する能力に相関する。実施の形態において、そのガラス系物品は、30MPa以上から300MPa以下、例えば、40MPa以上から290MPa以下、50MPa以上から280MPa以下、60MPa以上から270MPa以下、70MPa以上から260MPa以下、80MPa以上から250MPa以下、90MPa以上から240MPa以下、100MPa以上から230MPa以下、110MPa以上から220MPa以下、120MPa以上から210MPa以下、130MPa以上から200MPa以下、140MPa以上から190MPa以下、150MPa以上から180MPa以下、16MPa以上から170MPa以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の最大CTを有することがある。
【0135】
ここに記載されたガラス組成物の高い破壊靭性値は、性能の改善を可能にすることもある。ここに記載されたガラス組成物を利用して製造されるガラス系物品の脆性限界は、少なくとも一部には破壊靱性に依存する。この理由のために、ここに記載されたガラス組成物の高い破壊靭性により、それから形成されるガラス系物品に、脆性にならずに、大量の貯蔵歪みエネルギーを与えることができる。その後、ガラス系物品に含まれることのある貯蔵歪みエネルギーの量の増加により、ガラス系物品は増加した破壊抵抗を示すことができ、これは、ガラス系物品の落下性能を通じて観察されるであろう。脆性限界と破壊靱性との間の関係は、その全てがここに引用される、2020年3月12日に公開された「Glass-based Articles with Improved Fracture Resistance」と題する米国特許出願公開第2020/0079689A1号明細書に記載されている。破壊靭性と落下性能との間の関係は、その全てがここに引用される、2019年12月5日に公開された「Glass with Improved Drop Performance」と題する米国特許出願公開第2019/0369672A1号明細書に記載されている。
【0136】
上述したように、DOCは、当該技術分野で公知の散乱光偏光器(SCALP)を使用して測定される。このDOCは、いくつかの実施の形態において、ガラス系物品の厚さ(t)の一部としてここに与えられる。実施の形態において、そのガラス系物品は、0.15t以上から0.25t以下、例えば、0.16t以上から0.24t以下、0.17t以上から0.23t以下、0.18t以上から0.22t以下、0.19t以上から0.20t以下、0.15t以上から0.21t以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の圧縮深さ(DOC)を有することがある。ここに記載されたガラス組成物をイオン交換したときに生じる高いDOC値は、特に、深い傷が導入されることのある状況に関して、耐破壊性の改善を提供する。例えば、深いDOCは、粗面に落とされたときの耐破壊性を改善する。
【0137】
ガラス系物品100の厚さ(t)は、表面110と表面112の間で測定される。実施の形態において、ガラス系物品100の厚さは、0.1mm以上から4mm以下、例えば、0.2mm以上から2mm以下、0.2mm以上から3.5mm以下、0.3mm以上から3mm以下、0.4mm以上から2.5mm以下、0.5mm以上から2mm以下、0.6mm以上から1.5mm以下、0.7mm以上から1mm以下、0.2mm以上から2mm以下の範囲、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲に有ることがある。このガラス系物品を形成するのに利用されるガラス基板は、ガラス系物品に望ましい厚さと同じ厚さを有することがある。
【0138】
圧縮応力層は、ガラスをイオン交換媒体に曝露することによって、ガラス中に形成されることがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、溶融した硝酸塩を含有する浴などの溶融塩浴であることがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、KNO、NaNO、またはその組合せを含む溶融塩浴であることがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体中に、例えば、ナトリウムまたはカリウムの硝酸塩、リン酸塩、または硫酸塩などの他のナトリウム塩とカリウム塩が使用されることがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、LiNOなどのリチウム塩を含むことがある。イオン交換媒体は、それに加え、ケイ酸など、ガラスをイオン交換するときに一般に含まれる添加剤を含むことがある。イオン交換過程は、ガラス系物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層および中央張力領域を含むガラス系物品を形成するために、ガラス系基板に施される。このイオン交換過程に利用されるガラス系基板は、ここに記載されたガラス組成物のいずれを含んでもよい。
【0139】
実施の形態において、前記イオン交換媒体はNaNOを含む。このイオン交換媒体中のナトリウムはガラス中のリチウムイオンと交換して、圧縮応力を生じる。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、95質量%以下、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、またはそれより少ない量でNaNOを含むことがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、5質量%以上、例えば、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、またはそれより多い量でNaNOを含むことがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、0質量%以上から100質量%以下、例えば、10質量%以上から90質量%以下、20質量%以上から80質量%以下、30質量%以上から70質量%以下、40質量%以上から60質量%以下、50質量%以上から90質量%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のNaNOを含むことがある。実施の形態において、溶融イオン交換浴は、100質量%のNaNOを含む。
【0140】
実施の形態において、前記イオン交換媒体はKNOを含む。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、95質量%以下、例えば、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、60質量%以下、50質量%以下、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、10質量%以下、またはそれより少ない量でKNOを含むことがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、5質量%以上、例えば、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、またはそれより多い量でKNOを含むことがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、0質量%以上から100質量%以下、例えば、10質量%以上から90質量%以下、20質量%以上から80質量%以下、30質量%以上から70質量%以下、40質量%以上から60質量%以下、50質量%以上から90質量%以下、および先の値の間の全ての範囲と部分的範囲の量のKNOを含むことがある。実施の形態において、溶融イオン交換浴は、100質量%のKNOを含む。
【0141】
前記イオン交換媒体は、ナトリウムとカリウムの混合物を含むことがある。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、NaNOとKNOの両方を含む溶融塩浴など、カリウムとナトリウムの混合物である。実施の形態において、そのイオン交換媒体は、80質量%のNaNOと20質量%のKNOを含有する溶融塩浴など、上述した量でNaNOとKNOのどの組合せを含んでもよい。
【0142】
前記ガラス組成物は、そのガラス組成物から製造されたガラス基板を前記イオン交換媒体の浴中に浸漬すること、そのガラス組成物から製造されたガラス基板上に前記イオン交換媒体を吹き付けること、またはそのガラス組成物から製造されたガラス基板に前記イオン交換媒体を他のやり方で物理的に施すことによって、イオン交換媒体に曝露して、イオン交換されたガラス系物品を形成することがある。そのイオン交換媒体は、そのガラス組成物への曝露の際に、実施の形態によれば、400℃以上から550℃以下、例えば、410℃以上から540℃以下、420℃以上から530℃以下、430℃以上から520℃以下、440℃以上から510℃以下、450℃以上から500℃以下、460℃以上から490℃以下、470℃以上から480℃以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の温度であることがある。実施の形態において、そのガラス組成物は、0.5時間以上から48時間以下、例えば、1時間以上から24時間以下、2時間以上から12時間以下、1時間以上から18時間以下、2時間以上から16時間以下、7時間以上から12時間以下、および上述した値の間の全ての範囲と部分的範囲の期間に亘りそのイオン交換溶液に曝露されることがある。
【0143】
イオン交換過程は、第2のイオン交換処理を含むことがある。実施の形態において、第2のイオン交換処理は、第2の溶融塩浴中でガラス系物品をイオン交換する工程を含むことがある。第2のイオン交換処理では、ここに記載されたイオン交換媒体のいずれを利用してもよい。実施の形態において、第2のイオン交換処理では、KNOを含む第2の溶融塩浴が利用される。
【0144】
前記イオン交換過程は、例えば、ここに全て引用される、米国特許出願公開第2016/0102011号明細書に開示されたような、改善された圧縮応力プロファイルを提供する処理条件下でイオン交換媒体内で行われることがある。いくつかの実施の形態において、そのイオン交換過程は、ここに全て引用される、米国特許出願公開第2016/0102014号明細書に記載された応力プロファイルなどの放物線応力プロファイルをガラス系物品に形成するように選択されることがある。
【0145】
イオン交換過程が行われた後、イオン交換されたガラス系物品の表面での組成が、成形されたままのガラス基板(すなわち、イオン交換過程が行われる前のガラス基板)の組成と異なることを理解すべきである。これは、例えば、それぞれ、NaまたはKなどのより大きいアルカリ金属イオンにより交換された、例えば、LiまたはNaなどの、形成されたままのガラス基板中のアルカリ金属イオンの一種から生じる。しかしながら、ガラス系物品の深さの中心またはその近くでのガラス組成物は、実施の形態において、それでも、そのガラス系物品を形成するために利用される成形されたままのイオン交換されていないガラス基板の組成を有するであろう。ここに用いられているように、ガラス系物品の中心は、tがガラス系物品の厚さである、その全ての表面から少なくとも0.5tの距離である、ガラス系物品における任意の位置を称する。
【0146】
ここに開示されたガラス系物品は、ディスプレイを備えた物品(またはディスプレイ物品)(例えば、携帯電話、タブレット、コンピュータ、ナビゲーションシステムなどを含む家庭用電子機器)、建築物品、輸送物品(例えば、自動車、列車、航空機、船舶など)、電化製品、またはある程度の透明性、耐引掻性、耐磨耗性またはその組合せを必要とする任意の物品などの別の物品に組み込まれることがある。ここに開示されたガラス系物品のいずれかを組み込んだ例示の物品が、図2Aおよび2Bに示されている。詳しくは、図2Aおよび2Bは、前面204、背面206、および側面208を有する筐体202;その筐体の少なくとも部分的に内側にまたは完全に中にあり、少なくとも制御装置、メモリ、およびその筐体の前面にまたはそれに隣接したディスプレイ210を含む電気部品(図示せず);およびそのディスプレイを覆うように筐体の前面にまたはその上にあるカバー212を備えた家庭用電子機器200を示している。実施の形態において、カバー212および筐体202の少なくとも一方の少なくとも一部は、ここに記載されたガラス系物品のいずれかを含むことがある。
【実施例
【0147】
実施の形態が、以下の実施例によりさらに明白になるであろう。これらの実施例は、先に記載された実施の形態を限定するものではないことが理解されよう。
【0148】
ガラス組成物を調製し、分析した。分析したガラス組成物は、下記の表Iに列挙された成分を含み、従来のガラス形成法によって調製した。表Iにおいて、全ての成分はモル%で表され、KIC破壊靱性は、ここに記載されたシェブロンノッチ(CNSB)法で測定した。液相温度と液相粘度は、ここに記載された方法にしたがって測定した。ガラス組成物のポアソン比(ν)、ヤング率(E)、および剛性率(G)は、「Standard Guide for Resonant Ultrasound Spectroscopy for Defect Detection in Both Metallic and Non-metallic Parts」と題する、ASTM E2001-13に述べられた一般型の共鳴超音波スペクトロスコピー技術によって測定した。基板の589.3nmでの屈折率および応力光学係数(SOC)も、表Iに報告されている。屈折率は、PerkinElmer 950分光計を使用して測定した。SOCは、「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題する、ASTM標準C770-16に記載された手順C(ガラスディスク法)にしたがって測定した。ガラス組成物の密度は、ASTM C693-93(2013)の浮力法を使用して決定した。
【0149】
代わりの破壊靭性KICの測定を、二重片持ち梁(DCB)法でいくつかの試料に行い、その測定値も、表Iに報告されている。DCB試験片の形状が図7に示されており、重要なパラメータは、亀裂長さa、印加荷重P、断面寸法wと2h、および亀裂誘導溝の厚さbである。試料を、幅2h=1.25cmおよびw=0.3mmから1mmに及ぶ厚さの長方形に切断し、試料の全長は5cmから10cmと様々であるが、これは重要な寸法ではない。ダイヤモンドドリルで両端に孔を開けて、試料を試料ホルダおよび荷重に取り付ける手段を提供した。亀裂「誘導溝」は、ダイヤモンド刃を備えたウエハーダイシングソーを使用して、平らな両面に試料の長さを切り込み、刃の厚さに相当する180μmの高さで、プレートの全厚の約半分(図7の寸法b)の材料の「ウェブ」を残した。ダイシングソーの高精度の寸法公差により、試料間のばらつきを最小にすることができる。このダイシングソーを、a=15mmの初期亀裂を切るためにも使用した。この最終操作の結果として、亀裂先端の近くに非常に薄い材料の楔を形成し(刃の曲率のために)、試料内の亀裂発生をより容易にできた。試料の底部の孔にある鋼線で、金属製試料ホルダ内に試料を取り付けた。低荷重条件下で試料を水平に維持するために、試料を反対の端部で支持した。上部の孔に、ロードセル(FUTEK、LSB200)と直列のバネを引っ掛け、次いで、ロープと高精度スライドを使用して、引き伸ばして、徐々に荷重を印加した。デジタルカメラおよびコンピュータに取り付けられた5μmの解像度を有する顕微鏡を使用して、亀裂をモニタした。以下の式:
【0150】
【数4】
【0151】
を使用して、印加した応力強度Kを計算した。各試料について、ウェブの先端に亀裂を最初に発生させ、次いで、応力強度を正確に計算するために、寸法比a/hが1.5より大きくなるまで、開始亀裂を注意深く、未臨界成長させた。この時点で、5μmの解像度を有する遊動顕微鏡を使用して、亀裂の長さaを測定し、記録した。次に、トルエンを一滴、亀裂の溝に入れ、毛管力によって、溝の全長に沿って運び、破壊靭性に達するまで、動かないように亀裂をピン止めした。次に、試料が破壊されるまで、荷重を増加させ、破壊荷重および試料寸法から臨界応力強度KICを計算した。Kは、測定方法のために、KICと等しい。
【0152】
【表1-01】
【0153】
【表1-02】
【0154】
【表1-03】
【0155】
【表1-04】
【0156】
【表1-05】
【0157】
【表1-06】
【0158】
【表1-07】
【0159】
【表1-08】
【0160】
【表1-09】
【0161】
【表1-10】
【0162】
【表1-11】
【0163】
【表1-12】
【0164】
【表1-13】
【0165】
【表1-14】
【0166】
基板を表Iの組成物から形成し、続いて、イオン交換して例示の物品を形成した。イオン交換は、基板を溶融塩浴中に浸漬する工程を含んだ。この塩浴は、100質量%のNaNOを含んでいた。表IIにおいて、イオン交換の長さ、浴温度、およびイオン交換済み物品の最大中央張力(CT)が報告されている。最大中央張力(CT)は、ここに記載された方法にしたがって測定した。
【0167】
【表2】
【0168】
基板を表Iの組成物から形成し、続いて、イオン交換して例示の物品を形成した。イオン交換は、基板を溶融塩浴中に浸漬する工程を含んだ。この塩浴は、100質量%のNaNOを含み、450℃の温度であった。表IIIにおいて、イオン交換の長さ、イオン交換処理で生じた質量増加、並びにイオン交換済み物品の最大中央張力(CT)、表面圧縮応力(CS)、および圧縮深さ(DOC)が報告されている。
【0169】
【表3】
【0170】
追加の基板を表Iの組成物から形成し、続いて、イオン交換して例示の物品を形成した。イオン交換は、基板を混合溶融塩浴中に浸漬する工程を含んだ。この塩浴は、NaNO、KNO、およびLiNOの混合物を含み、470℃の温度であった。表IVにおいて、イオン交換の長さ、イオン交換処理で生じた質量増加、並びにイオン交換済み物品の最大中央張力(CT)、表面圧縮応力(CS)、およびカリウムの層の深さ(DOL)が報告されている。
【0171】
【表4-1】
【0172】
【表4-2】
【0173】
【表4-3】
【0174】
【表4-4】
【0175】
【表4-5】
【0176】
追加の基板を、例示のガラス組成物84および表Vに報告された条件下でイオン交換を経た比較のガラス組成物CAから形成した。表Vに報告されるように、例示のガラス組成物84を使用して、3つのイオン交換済みガラス物品BQ、BR、およびBSを作製し、比較のガラス組成物CAを使用して、比較のイオン交換済みガラス物品CAを作製した。比較のガラス組成物CAは、58.35モル%のSiO、17.81モル%のAl、6.07モル%のB、1.73モル%のNaO、0.20モル%のKO、10.74モル%のLiO、4.43モル%のMgO、0.57モル%のCaO、および0.08モル%のSnOを含んだ。
【0177】
【表5】
【0178】
図3は、例示の物品BQ、BR、およびBS、並びに比較の物品CAの応力プロファイルを示す。圧縮応力は、屈折近視野(RNF)技術を使用して測定した。
【0179】
図4および5は、物品の残留強度を示す。図4に示されるように、例示のBQ物品は、ガラス物品の縁に500Nの力で60グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、22.5kgf(約220N)から37.5kgf(約368N)に及ぶ破壊荷重を有し、平均破壊荷重は30kgf(約294N)であった。例示のBR物品は、ガラス物品の縁に500Nの力で60グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、25kgf(約245N)から32.5kgf(約319N)に及ぶ破壊荷重を有し、平均破壊荷重は30kgf(約294N)であった。例示のBS物品は、ガラス物品の縁に500Nの力で60グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、32.5kgf(約319N)から37.5kgf(約368N)に及ぶ破壊荷重を有し、平均破壊荷重は34kgf(約333N)であった。比較例のCA物品は、ガラス物品の縁に500Nの力で60グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、17.5kgf(約171N)から27.5kgf(約270N)に及ぶ破壊荷重を有し、平均破壊荷重は22kgf(約215N)であった。
【0180】
図5に示されるように、例示のBQ物品は、500Nの力で180グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、275MPaから325MPaに及ぶ残留強度を有し、平均残留強度は300MPaであり、500Nの力で80グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、125MPaから275MPaに及ぶ残留強度を有し、平均残留強度は227MPaであった。例示のBR物品は、500Nの力で180グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、275MPaから350MPaに及ぶ残留強度を有し、平均残留強度は322MPaであり、500Nの力で80グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、200MPaから275MPaに及ぶ残留強度を有し、平均残留強度は256MPaであった。例示のBS物品は、500Nの力で180グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、250MPaから350MPaに及ぶ残留強度を有し、平均残留強度は319MPaであり、500Nの力で80グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、200MPaから325MPaに及ぶ残留強度を有し、平均残留強度は262MPaであった。比較のCA物品は、500Nの力で180グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、250MPaから300MPaに及ぶ残留強度を有し、平均残留強度は274MPaであり、500Nの力で80グリットの研磨紙で衝撃を与えたときに、200MPaから250MPaに及ぶ残留強度を有し、平均残留強度は227MPaであった。図4および5で例示されるように、ここに記載されたガラス組成物から製造されたイオン交換ガラス物品は、比較のイオン交換済みガラス物品と比べて、同等かまたは改善された残留強度を有する。
【0181】
本明細書に記載された全ての組成の成分、関係、および比は、特に明記のない限り、モル%で与えられている。本明細書に開示された全ての範囲は、範囲が開示された前または後に明白に述べられていようとなかろうと、広く開示された範囲により包含される任意と全ての範囲および部分的範囲を含む。
【0182】
請求項の主題の精神および範囲から逸脱せずに、ここに開示された実施の形態に様々な改変および変更を行えることが、当業者に明白であろう。それゆえ、本明細書は、ここに記載された様々な実施の形態の改変および変更を、そのような改変および変更が、付随の特許請求の範囲およびその等価物の範囲内に入るという前提で、包含することが意図されている。
【0183】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0184】
実施形態1
ガラスであって、
45モル%以上から70モル%以下のSiO
11.5モル%以上から25モル%以下のAl
2モル%以上から20モル%以下のLiO、
0モル%超から10モル%以下のNaO、
9モル%以上から19モル%以下のMgO、
0モル%超から4モル%以下のZrO、および
0モル%以上から0.5モル%以下のTiO
を含むガラス。
【0185】
実施形態2
ガラスであって、
45モル%以上から70モル%以下のSiO
4モル%以上から25モル%以下のAl
5モル%以上から20モル%以下のLiO、
0.1モル%以上から10モル%以下のNaO、
6モル%以上から25モル%以下のMgO、
0.1モル%以上から4モル%以下のZrO
0.1モル%以上から5モル%以下のKO、および
0.05モル%以上から0.5モル%以下のSnO
を含むガラス。
【0186】
実施形態3
51モル%以上から65モル%以下のSiO
を含む、実施形態1または2に記載のガラス。
【0187】
実施形態4
12.0モル%以上から19モル%以下のAl
を含む、実施形態1から3のいずれかに記載のガラス。
【0188】
実施形態5
3モル%以上から12モル%以下のLiO、
を含む、実施形態1から4のいずれかに記載のガラス。
【0189】
実施形態6
0.25モル%以上から6モル%以下のNaO、
を含む、実施形態1から5のいずれかに記載のガラス。
【0190】
実施形態7
10モル%以上から19モル%以下のMgO、
を含む、実施形態1から6のいずれかに記載のガラス。
【0191】
実施形態8
0.25モル%以上から2モル%以下のZrO
を含む、実施形態1から7のいずれかに記載のガラス。
【0192】
実施形態9
前記ガラスがTiOを実質的に含まない、実施形態1から8のいずれかに記載のガラス。
【0193】
実施形態10
0モル%以上から10モル%以下のB
を含む、実施形態1から9のいずれかに記載のガラス。
【0194】
実施形態11
0モル%以上から6モル%以下のB
を含む、実施形態1から10のいずれかに記載のガラス。
【0195】
実施形態12
前記ガラスがBを実質的に含まない、実施形態1から11のいずれかに記載のガラス。
【0196】
実施形態13
0モル%以上から4モル%以下のP
を含む、実施形態1から12のいずれかに記載のガラス。
【0197】
実施形態14
0モル%以上から3モル%以下のP
を含む、実施形態1から13のいずれかに記載のガラス。
【0198】
実施形態15
前記ガラスがPを実質的に含まない、実施形態1から14のいずれかに記載のガラス。
【0199】
実施形態16
0モル%以上から3モル%以下のKO、
を含む、実施形態1または実施形態3から14のいずれかに記載のガラス。
【0200】
実施形態17
前記ガラスがKOを実質的に含まない、実施形態1または実施形態3から15のいずれかに記載のガラス。
【0201】
実施形態18
0モル%以上から3モル%以下のCaO、
を含む、実施形態1から17のいずれかに記載のガラス。
【0202】
実施形態19
前記ガラスがCaOを実質的に含まない、実施形態1から18のいずれかに記載のガラス。
【0203】
実施形態20
0モル%以上から3モル%以下のSrO、
を含む、実施形態1から19のいずれかに記載のガラス。
【0204】
実施形態21
前記ガラスがSrOを実質的に含まない、実施形態1から20のいずれかに記載のガラス。
【0205】
実施形態22
0モル%以上から5モル%以下のZnO、
を含む、実施形態1から21のいずれかに記載のガラス。
【0206】
実施形態23
前記ガラスがZnOを実質的に含まない、実施形態1から22のいずれかに記載のガラス。
【0207】
実施形態24
前記ガラスが、0.8MPa・m0.5以上から1.0MPa・M0.5以下の破壊靱性KICを有する、実施形態1から23のいずれかに記載のガラス。
【0208】
実施形態25
前記ガラスが、80GPa以上から100GPa以下のヤング率を有する、実施形態1から24のいずれかに記載のガラス。
【0209】
実施形態26
方法において、
ガラス系基板を溶融塩浴中でイオン交換して、ガラス系物品を形成する工程、
を含み、
前記ガラス系物品は、該ガラス系物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層を含み、該ガラス系物品は中央張力領域を含み、前記ガラス系基板は、実施形態1から25のいずれかに記載のガラスから作られている、方法。
【0210】
実施形態27
前記溶融塩浴がNaNOを含む、実施形態26に記載の方法。
【0211】
実施形態28
前記溶融塩浴がKNOを含む、実施形態26または27に記載の方法。
【0212】
実施形態29
前記溶融塩浴が、400℃以上から550℃以下の温度である、実施形態26から28のいずれかに記載の方法。
【0213】
実施形態30
前記イオン交換が、0.5時間以上から48時間以下の期間に及ぶ、 実施形態26から29のいずれかに記載の方法。
【0214】
実施形態31
前記ガラス系物品を第2の溶融塩浴中でイオン交換する工程をさらに含む、実施形態26から30のいずれかに記載の方法。
【0215】
実施形態32
前記第2の溶融塩浴がKNOを含む、実施形態31に記載の方法。
【0216】
実施形態31
ガラス系物品であって、
前記ガラス系物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層、
中央張力領域、および
45モル%以上から70モル%以下のSiO
11.5モル%以上から25モル%以下のAl
2モル%以上から20モル%以下のLiO、
0モル%超から10モル%以下のNaO、
9モル%以上から19モル%以下のMgO、
0モル%超から4モル%以下のZrO、および
0モル%以上から0.5モル%以下のTiO
を含む前記ガラス系物品の中心での組成、
を有するガラス系物品。
【0217】
実施形態34
ガラス系物品であって、
前記ガラス系物品の表面から圧縮深さまで延在する圧縮応力層、
中央張力領域、および
45モル%以上から70モル%以下のSiO
4モル%以上から25モル%以下のAl
5モル%以上から20モル%以下のLiO、
0.1モル%以上から10モル%以下のNaO、
6モル%以上から25モル%以下のMgO、
0.1モル%以上から4モル%以下のZrO
0.1モル%以上から5モル%以下のKO、および
0.05モル%以上から0.5モル%以下のSnO
を含む前記ガラス系物品の中心での組成、
を有するガラス系物品。
【0218】
実施形態35
前記圧縮応力層が、400MPa以上から2000MPa以下の圧縮応力を有する、実施形態33または34に記載のガラス系物品。
【0219】
実施形態36
前記中央張力領域が、30MPa以上から300MPa以下の最大中央張力を有する、実施形態33から35のいずれかに記載のガラス系物品。
【0220】
実施形態37
前記圧縮深さが0.15t以上から0.25t以下であり、tは前記ガラス系物品の厚さである、実施形態33から36のいずれかに記載のガラス系物品。
【0221】
実施形態38
前記圧縮応力層が、前記ガラス系物品の表面から圧縮応力スパイク深さまで延在する圧縮応力スパイクを有し、該圧縮応力スパイク深さが3μm以上から10μm以下である、実施形態33から37のいずれかに記載のガラス系物品。
【0222】
実施形態39
前記ガラス系物品が、0.2mm以上から2mm以下の厚さtを有する、実施形態33から38のいずれかに記載のガラス系物品。
【0223】
実施形態40
前記ガラス系物品の中心での組成が、
51モル%以上から65モル%以下のSiO
を含む、実施形態33から39のいずれかに記載のガラス系物品。
【0224】
実施形態41
前記ガラス系物品の中心での組成が、
12.0モル%以上から19モル%以下のAl
を含む、実施形態33から40のいずれかに記載のガラス系物品。
【0225】
実施形態42
前記ガラス系物品の中心での組成が、
3モル%以上から12モル%以下のLiO、
を含む、実施形態33から41のいずれかに記載のガラス系物品。
【0226】
実施形態43
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0.25モル%以上から6モル%以下のNaO、
を含む、実施形態33から42のいずれかに記載のガラス系物品。
【0227】
実施形態44
前記ガラス系物品の中心での組成が、
10モル%以上から19モル%以下のMgO、
を含む、実施形態33から43のいずれかに記載のガラス系物品。
【0228】
実施形態45
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0.25モル%以上から2モル%以下のZrO
を含む、実施形態33から44のいずれかに記載のガラス系物品。
【0229】
実施形態46
前記ガラス系物品の中心での組成が、TiOを実質的に含まない、実施形態33から45のいずれかに記載のガラス系物品。
【0230】
実施形態47
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0モル%以上から10モル%以下のB
を含む、実施形態33から46のいずれかに記載のガラス系物品。
【0231】
実施形態48
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0モル%以上から6モル%以下のB
を含む、実施形態33から47のいずれかに記載のガラス系物品。
【0232】
実施形態49
前記ガラス系物品の中心での組成が、Bを実質的に含まない、実施形態33から48のいずれかに記載のガラス系物品。
【0233】
実施形態50
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0モル%以上から4モル%以下のP
を含む、実施形態33から49のいずれかに記載のガラス系物品。
【0234】
実施形態51
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0モル%以上から3モル%以下のP
を含む、実施形態33から50のいずれかに記載のガラス系物品。
【0235】
実施形態52
前記ガラス系物品の中心での組成が、Pを実質的に含まない、実施形態33から51のいずれかに記載のガラス系物品。
【0236】
実施形態53
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0モル%以上から3モル%以下のKO、
を含む、実施形態33または実施形態35から52のいずれかに記載のガラス系物品。
【0237】
実施形態54
前記ガラス系物品の中心での組成が、KOを実質的に含まない、実施形態33または実施形態35から53のいずれかに記載のガラス系物品。
【0238】
実施形態55
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0モル%以上から3モル%以下のCaO、
を含む、実施形態33から54のいずれかに記載のガラス系物品。
【0239】
実施形態56
前記ガラス系物品の中心での組成が、CaOを実質的に含まない、実施形態33から55のいずれかに記載のガラス系物品。
【0240】
実施形態57
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0モル%以上から3モル%以下のSrO、
を含む、実施形態33から56のいずれかに記載のガラス系物品。
【0241】
実施形態58
前記ガラス系物品の中心での組成が、SrOを実質的に含まない、実施形態33から57のいずれかに記載のガラス系物品。
【0242】
実施形態59
前記ガラス系物品の中心での組成が、
0モル%以上から5モル%以下のZnO、
を含む、実施形態33から58のいずれかに記載のガラス系物品。
【0243】
実施形態60
前記ガラス系物品の中心での組成が、ZnOを実質的に含まない、実施形態33から59のいずれかに記載のガラス系物品。
【0244】
実施形態61
前記ガラス系物品の中心での組成と同じ組成および微細構造を有するガラスが、0.8MPa・m0.5以上から1.0MPa・M0.5以下の破壊靱性KICを有する、実施形態33から60のいずれかに記載のガラス系物品。
【0245】
実施形態62
前記ガラス系物品の中心での組成と同じ組成および微細構造を有するガラスが、80GPa以上から100GPa以下のヤング率を有する、実施形態33から61のいずれかに記載のガラス系物品。
【0246】
実施形態63
消費者向け電気製品において、
前面、背面、および側面を有する筐体、
少なくとも部分的に前記筐体内に設けられた電気部品であって、少なくとも制御装置、メモリ、および該筐体の前面にまたはそれに隣接して設けられたディスプレイを含む電気部品、および
前記ディスプレイを覆って配置されたカバー基板、
を備え、
前記筐体および前記カバー基板の少なくとも一方の少なくとも一部は、実施形態33から62のいずれかに記載のガラス系物品から作られている、消費者向け電気製品。
【符号の説明】
【0247】
100 ガラス系物品
110 第1の表面
112 第2の表面
120 第1の区画
122 第2の区画
130 中央領域
200 家庭用電子機器
202 筐体
204 前面
206 背面
208 側面
210 ディスプレイ
212 カバー
1100 衝撃試験を行うための装置
1102 振り子
1104 下げ振り
1106 旋回軸
1108 アーム
1110 ベース
1140 衝撃物体
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】