(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-10-31
(54)【発明の名称】熱分解油を精製するための方法
(51)【国際特許分類】
C10G 65/02 20060101AFI20241024BHJP
C10G 45/44 20060101ALI20241024BHJP
C10G 45/02 20060101ALI20241024BHJP
C10G 45/10 20060101ALI20241024BHJP
C10G 45/06 20060101ALI20241024BHJP
C10G 25/00 20060101ALI20241024BHJP
B01J 23/44 20060101ALI20241024BHJP
B01J 23/883 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
C10G65/02
C10G45/44
C10G45/02
C10G45/10 Z
C10G45/06 Z
C10G25/00
B01J23/44 M
B01J23/883 M
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2024525492
(86)(22)【出願日】2022-10-26
(85)【翻訳文提出日】2024-04-26
(86)【国際出願番号】 EP2022080004
(87)【国際公開番号】W WO2023073059
(87)【国際公開日】2023-05-04
(32)【優先日】2021-10-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521037411
【氏名又は名称】ベーアーエスエフ・エスエー
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(72)【発明者】
【氏名】アルミン・ランゲ・デ・オリヴェイラ
(72)【発明者】
【氏名】ギーゼラ・ヒーバー
(72)【発明者】
【氏名】オリヴァー・ピラルスキー
(72)【発明者】
【氏名】リーザ・レーブニッツ
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ケプケ
(72)【発明者】
【氏名】ユリアン・マイアー-キルシュナー
(72)【発明者】
【氏名】クリスティアン・ミューラー
(72)【発明者】
【氏名】モニカ・ハーグ
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル・シュライバー
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・フェイアン
(72)【発明者】
【氏名】アルテム・ディー・ヴィチュク
(72)【発明者】
【氏名】ルカシュ・カルヴァツキ
(72)【発明者】
【氏名】ベルナルド・レーシンク
【テーマコード(参考)】
4G169
4H129
【Fターム(参考)】
4G169AA03
4G169BA01A
4G169BA01B
4G169BB02A
4G169BB02B
4G169BC59B
4G169BC68A
4G169BC68B
4G169BC72A
4G169BC72B
4G169CC02
4G169CC05
4G169DA06
4G169EA01Y
4H129AA02
4H129CA22
4H129KA05
4H129KA06
4H129KB02
4H129KC02Y
4H129KC03X
4H129KC03Y
4H129KC04X
4H129KC05X
4H129KC07X
4H129KC09X
4H129KC10X
4H129KC13X
4H129KD15Y
4H129KD22X
4H129KD24X
4H129KD24Y
4H129KD25X
4H129KD25Y
4H129KD32Y
4H129MA01
4H129MA12
4H129MB14B
4H129MB18A
4H129NA01
4H129NA14
4H129NA46
(57)【要約】
本発明は、熱分解油を含む流れS0を提供するステップであって、熱分解油が、1つ以上のハロゲン化有機化合物、および共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、ステップと、不均一系水素化触媒を含有する少なくとも1つの反応ゾーンZ1において流れS0を水素化に供して、前記共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物が、S0と比較して枯渇している流れS1を得るステップと、Z1の下流の少なくとも1つの脱ハロゲン化ゾーンZ2において流れS1を脱ハロゲン化に供して、1つ以上のハロゲン化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと、を含む熱分解油を精製するための方法に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱分解油を精製するための方法であって、
(i)熱分解油を含む流れS0を提供するステップであって、前記熱分解油が、1つ以上のハロゲン化有機化合物、および共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、ステップと、
(ii)(i)で提供された前記流れS0を、不均一系水素化触媒を含有する少なくとも1つの反応ゾーンZ1において水素化に供して、前記共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物がS0と比較して枯渇している流れS1を得るステップと、
(iii)(ii)から得られた前記流れS1を、Z1の下流の少なくとも1つの脱ハロゲン化ゾーンZ2において脱ハロゲン化に供して、前記1つ以上のハロゲン化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと
を含む、方法。
【請求項2】
(i)による前記熱分解油が、前記熱分解油の0.1から75g(I2)/100g、好ましくは0.4から60g(I2)/100g、より好ましくは1から30g(I2)/100gの範囲の総量で前記共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物が、式(I)
R
1R
2C
1=C
2R
3-C
3R
4=X (I)
(式中、=Xは、=O、=S、=NR
5、または=C
4R
6R
7、好ましくは=C
4R
6R
7であり、
好ましくはR
1、R
2、R
3、R
4、R
5は、互いに独立して、H、1から6個の炭素原子を有するアルキル、1から6個の炭素原子を有するアルケニル、または5から10個の炭素原子を有するアリールであり、より好ましくはHであり、
好ましくはR
6およびR
7は、互いに独立して、H、1から6個の炭素原子を有するアルキル、1から6個の炭素原子を有するアルケニル、もしくは5から10個の炭素原子を有するアリールであり、より好ましくはHであるか;または、好ましくは、R
4およびR
6もしくはR
4およびR
7のいずれかが一緒に連結されて、C
3=C
4と一緒に、好ましくは5または6員を有する芳香環を形成する)
による1つ以上の有機化合物を含み、
式(I)による前記共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物が、より好ましくは、ブタジエン、イソプレン、5または6個の炭素原子を有するジエン、スチレン、メチルスチレン、インデン、置換スチレン、置換インデン、および3-メチル-2-ブテナールのうちの1つ以上を含み、より好ましくは、ブタジエン、イソプレン、5または6個の炭素原子を有するジエン、スチレン、メチルスチレン、インデン、および3-メチル-2-ブテナールのうちの1つ以上を含み、
より好ましくは、式(I)による前記共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物が、スチレンを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
(ii)による前記不均一系水素化触媒が、元素周期表の第8族から第12族、好ましくは第8族から第10族、より好ましくは第9族および第10族の元素、好ましくはNi、PdおよびCoからなる群から選択される元素、より好ましくはNiおよびPdからなる群から選択される元素を含み、
(ii)による前記不均一系水素化触媒が、好ましくは元素周期表の第8族から第12族の前記元素のための担体材料をさらに含み、前記担体材料が、より好ましくは酸化物材料および炭素からなる群から選択され、前記酸化物材料が、より好ましくはアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、ゼオライト材料、シリカ-アルミナホスフェート(SAPO)材料、酸化亜鉛、酸化ナトリウム、混合シリカ-アルミナ、ゼオライトおよび酸化カルシウムのうちの1つ以上、より好ましくはアルミナである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
(ii)が、
(ii.1)ガス流G0をZ1に導入するステップであって、前記ガス流がH
2を含む、ステップと、
(ii.2)前記流れS0をZ1に導入するステップと、
(ii.3)S0をG0、およびZ1に含まれる前記不均一系水素化触媒と接触させて、前記共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物がS0と比較して枯渇している流れS1を得るステップと、
(ii.4)Z1からS1を除去するステップと
を含み、
前記ガス流G0が、好ましくは10から100バール(abs)の範囲、より好ましくは15から90バール(abs)の範囲、より好ましくは20から80バール(abs)の範囲、より好ましくは20から55バール(abs)の範囲の圧力で導入される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記ガス流G0が、100から250℃、好ましくは120から220℃、より好ましくは140から200℃の範囲の温度を有する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(ii)から得られ、(iii)で脱ハロゲン化に供される前記流れS1が、前記流れS1の0から3g(I2)/100g、好ましくは0から2g(I2)/100g、より好ましくは0から1g(I2)/100g、好ましくは0から0.25g(I2)/100g、より好ましくは0から0.1g(I2)/100gの範囲の総量で前記共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(iii)で脱ハロゲン化に供された前記流れS1が、150から450℃、好ましくは200から400℃、より好ましくは250から350℃の範囲の温度を有する、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
(iii)が、
(iii.1)ガス流G1を、好ましくは吸着ゾーンであるZ2に導入するステップであって、好ましくはガス流が、水素および窒素のうちの1つ以上、より好ましくは水素を含む、ステップと、
(iii.2)(ii)から得られた前記流れS1をZ2に導入するステップと、
(iii.3)S1をG1、およびZ2に含まれる前記1つ以上のハロゲン化有機化合物のうちの少なくとも1つに含まれるハロゲン化物を吸着するのに適した不均一系吸着材料と接触させて、前記1つ以上のハロゲン化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと、
(iii.4)Z2からS2を除去するステップと
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ガス流G1が、250から500℃の範囲、好ましくは300から400℃の範囲の温度を有し、
前記ガス流G1が、好ましくは1から100バール(abs)の範囲、より好ましくは5から80バール(abs)の範囲、より好ましくは10から50バール(abs)の範囲の圧力で導入される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(iii)による前記脱ハロゲン化ゾーンZ2が、触媒ゾーンを含み、好ましくは触媒ゾーンであり、好ましくは不均一系脱ハロゲン化触媒を含み、前記触媒が、元素周期系の第8族から第12族の触媒活性元素を1つ以上含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
(iii)から得られた前記流れS2が、0から200wppm(重量ppm)、好ましくは0から160wppm、より好ましくは0から130wppmの範囲の総塩素含有量を有する、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
(iv)(iii)から得られた前記流れS2を、Z2の下流の少なくとも1つの反応ゾーンZ3であって、不均一系水素化処理触媒を含むZ3で水素化処理に供して、流れS3を得るステップ
をさらに含み、
(iv)に供される前記流れS2が、150から400℃の範囲、好ましくは200から375℃の範囲、より好ましくは250から350℃の範囲の温度を有し、
(iv)で使用される前記不均一系水素化処理触媒が、好ましくは元素周期表の第8族から第10族、好ましくは第9族および第10族の元素、より好ましくはNiおよびCoからなる群から選択される元素を含み、前記不均一系水素化触媒が、より好ましくはNiを含み、
(iv)による前記不均一系水素化処理触媒が、より好ましくは、前記不均一系水素化触媒の重量に基づいて、NiOとして計算される、0.5から10重量%の範囲、より好ましくは1から6重量%の範囲の量のNiを含む、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
(iv)が、
(iv.1)ガス流G2をZ3に導入するステップであって、G2がH
2を含む、ステップと、
(iv.2)(iii)で得られた前記流れS2をZ3に導入するステップと、
(iv.3)S2をG2、およびZ3に含まれる不均一系水素化処理触媒と接触させて、流れS3を得るステップと、
(iv.4)Z3から(iv.3)で得られたS3を除去するステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
連続または半連続プロセス、好ましくは連続プロセスである、請求項1から14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
請求項1から15のいずれか一項に記載の熱分解油を精製するための方法を実施するための製造ユニットであって、
-少なくとも1つの反応ゾーンZ1であって、不均一系水素化触媒を含む、Z1と、
-S0をZ1に導入するための入口手段と、
-Z1からS1を取り出すための出口手段と、
-少なくとも1つの脱ハロゲン化ゾーンZ2であって、好ましくは不均一系吸着材料または不均一系脱ハロゲン化触媒を含む、Z2と、
-S1をZ2に導入するための入口手段と、
-Z2からS2を取り出すための出口手段と
を備え、
Z1が、Z2の上流に位置し、
好ましくは、ハロゲン化物を除去するための抽出ゾーンであって、好ましくはN含有有機化合物の1つ以上のハロゲン化物を含み、好ましくはZ2の下流に配置される、抽出ゾーン
をさらに備え、
前記製造ユニットが、好ましくは、
-少なくとも1つの反応ゾーンZ3であって、不均一系水素化処理触媒を含む、Z3と、
-S2をZ3に導入するための入口手段と、
-Z3からS3を取り出すための出口手段と
をさらに備え、
Z2が、Z3の上流に位置する、製造ユニット。
【請求項17】
請求項1から12および15のいずれか一項または請求項13から15のいずれか一項に記載の方法によって得ることが可能であるか、または得られる、精製熱分解油。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱ハロゲン化ステップの前に水素化ステップを含む熱分解油を精製するための方法、前記方法を実施するための製造ユニット、および前記方法によって得られるか、または得ることが可能である精製熱分解油に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、プラスチック廃棄物の大部分は、依然として、埋め立てられるか、または熱を発生させるために焼却されている。化学的リサイクルは、廃プラスチック材料を有用な化学物質に変換する魅力的な方法である。プラスチック廃棄物を化学的にリサイクルするための重要な技術は、熱分解である。熱分解は、不活性雰囲気中でのプラスチック廃棄物の熱的な劣化であり、付加価値生成物、例えば、熱分解ガス、液体熱分解油およびチャー(残渣)を生成し、熱分解油が主な生成物である。熱分解ガスおよびチャーは、熱を発生させるための、例えば、反応器の加熱目的のための燃料として使用することができる。熱分解油は、合成ガス製造の原料として使用することができ、かつ/または、例えば(スチーム)クラッカーで、化学原料、例えばエチレン、プロピレン、C4カットなどに加工することができる。
【0003】
典型的には、プラスチック廃棄物は、様々な種類のポリマーから構成される混合プラスチック廃棄物である。ポリマーは、多くの場合、リサイクル努力を複雑にすることが多い他の元素、例えば、塩素、臭素、フッ素、硫黄、酸素および窒素と組み合わせて炭素および水素から構成されている。炭素および水素以外の元素は、熱分解油のさらなる処理で使用される触媒を失活させるかまたはその作用を損なわせる可能性があるため、粗熱分解油のさらなる処理の際、有害となる可能性がある。(スチーム)クラッキング中、ハロゲン含有化合物は、ハロゲン化水素を放出するという点で、腐食によってクラッカーを損傷させるおそれがある。硫黄含有化合物はクラッカーで使用される触媒を失活させるかもしくはその作用を損なわせるおそれがあり、またはクラッカー生成物を汚染するおそれがある。窒素含有不純物は、下流の触媒の作用を損なわせる場合もある。さらに、これらは、加熱されると爆発性NOxを形成することによって安全上の問題を引き起こす可能性がある。ポリ塩化ビニル(PVC)を含有する混合プラスチックが熱的に劣化すると、炭素二重結合を有する化合物および塩化水素が形成される。PVCから遊離した塩化水素は、炭素-炭素二重結合を有する化合物を攻撃し、塩素化有機化合物の形成をもたらす。プラスチック廃棄物は、典型的には、ポリマーの性能を改善するために組み込まれたヘテロ原子含有添加剤、例えば、安定剤および可塑剤を含有する。このような添加剤はまた、窒素、ハロゲンおよび硫黄含有化合物ならびに重金属を含むことが多い。例えば、廃エンジン油、変圧器油、作動油および機械油は、重金属摩耗物を含有し得る。重金属は、有毒であることが多く、重金属不純物の存在によって熱分解油の品質は低下する。さらに、プラスチック廃棄物は、多くの場合、他の炭素および水素元素も含有し得る残渣を有する未洗浄のプラスチックであり得る。したがって、熱分解油中の窒素、硫黄、ハロゲン含有量ならびに重金属含有量の低減は、熱分解油の任意の利益生成処理にとって不可欠である。特に、炭素および水素に富み、炭素および水素以外の元素は少ない高品質の熱分解油は、下流の精製プロセスにおける触媒の失活および腐食の問題を防ぐための原料として望ましい。
【0004】
国際公開第2017/083018 A1号パンフレットは、炭化水素供給流の塩化物含有量を低減するためのプロセスを開示している。さらに、仏国特許第3 103 822号明細書は、後続の水蒸気分解のために熱分解油を処理するためのプロセスを開示しており、前記プロセスは、水素化処理ステップの前に水素化ステップを含む。しかしながら、プラスチック廃棄物から得られた熱分解油を精製するための改善されたプロセスを提供する必要が依然としてある。
【0005】
したがって、特にジエン含有量ならびに塩素、窒素および硫黄含有量を減少させることによって、好ましくはプラスチック廃棄物から得られる熱分解油を精製するための方法を提供する必要がある。実際、経済的方法を使用しながら、高価値の精製熱分解油を提供する必要がある。
【0006】
驚くべきことに、本発明の方法は、ジエン含有量ならびに塩素、窒素および硫黄含有量を低減することを可能にし、このような低減量は、後続の水蒸気分解に特に適していることが見出された。さらに、驚くべきことに、本発明の方法は、高価値の精製熱分解油を提供する経済的な方法であることが見出された。
【0007】
さらに、熱分解油の脱ハロゲン化は、安定した反応器の下流動作を維持するための不可欠なステップであることが見出された。不安定性の理由は、ハロゲン化アンモニウム、例えば、塩化アンモニウムの形成であると考えられ、これは、水素化処理ステップの流出物の温度を下げると脱塩する場合がある。窒素は、典型的には、ハロゲン、例えば、塩素よりも多量に熱分解油供給物中に存在し、水素化処理によってのみ除去することができ、次いでアンモニアとして存在するので、水素化処理ステップの上流でハロゲン含有量を低下させ、それによってハロゲン化アンモニウムの脱塩を回避し、その絶対含有量を減少させることが必須であると考えられる。
【0008】
さらに、例えば、HClが水素化処理条件下で有機塩化物から生成されるので、技術設備の腐食攻撃を低減し得ると考えられる。塩化アンモニウム自体も腐食を引き起こす場合がある。
【0009】
さらに、脱塩素および/または水素化処理としての動作では、触媒および/または吸着剤の性能は、ジエンおよび/または共役芳香族オレフィンの含有量の増加を被ることが見出された。それらのそれぞれのオリゴマー化重合は、温度の上昇および/またはラジカル形成化合物、例えば過酸化物または他の不純物、例えば、ルイス酸などの作用する酸または金属塩によって引き起こされると考えられる。そのようなオリゴマー化または重合は、触媒および/もしくは吸着剤をコークス化するか、またはそれらの細孔系を遮断して、触媒および/もしくは吸着剤への反応物の接近可能性を低下し得ることが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第2017/083018 A1号パンフレット
【特許文献2】仏国特許第3 103 822号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0011】
したがって、本発明は、熱分解油を精製するための方法であって、
(i)熱分解油を含む流れS0を提供するステップであって、熱分解油が、1つ以上のハロゲン化有機化合物、および共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、ステップと、
(ii)(i)で提供された流れS0を、不均一系水素化触媒を含有する少なくとも1つの反応ゾーンZ1において水素化に供して、共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物がS0と比較して枯渇している流れS1を得るステップと、
(iii)(ii)から得られた流れS1を、Z1の下流の少なくとも1つの脱ハロゲン化ゾーンZ2において脱ハロゲン化に供して、1つ以上のハロゲン化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと
を含む、方法に関する。
【0012】
本発明の文脈で使用される「脱ハロゲン化」という用語は、一般に、「脱塩素化」、「脱臭素化」および「脱フッ素化」を含む。本発明によれば、「脱ハロゲン化」という用語は、好ましくは「脱塩素化」を含む。例えば、本発明による方法に供される熱分解油が臭素化有機化合物およびフッ素化有機化合物を含有せず、ハロゲン化有機化合物として塩素化化合物のみを含有する場合、「脱ハロゲン化」という用語は、「脱塩素化」を対象とし、本発明の方法は、熱分解油を精製するための方法であり、本方法は、
(i)熱分解油を含む流れS0を提供するステップであって、熱分解油が、1つ以上の塩素化有機化合物、および共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、ステップと、
(ii)(i)で提供された流れS0を、不均一系水素化触媒を含有する少なくとも1つの反応ゾーンZ1において水素化に供して、共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物がS0と比較して枯渇している流れS1を得るステップと、
(iii)(ii)から得られた流れS1を、Z1の下流の少なくとも1つの脱塩素ゾーンZ2で脱塩素に供して、1つ以上の塩素化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと、を含み、
好ましいステップ(iii)は、
(iii.1)ガス流G1を、好ましくは吸着ゾーンであるZ2に導入するステップであって、より好ましくは、ガス流が水素および窒素のうちの1つ以上、より好ましくは水素を含む、ステップと、
(iii.2)(ii)から得られた流れS1をZ2に導入するステップと、
(iii.3)S1をG1およびZ2に含まれる1つ以上の塩素化有機化合物のうちの少なくとも1つに含まれる塩化物を吸着するのに適した不均一系吸着材料と接触させて、1つ以上の塩素化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと、
(iii.4)Z2からS2を除去するステップと
を含む。
【0013】
一般に、S0に含まれる熱分解油は、未処理の粗熱分解油であり得る。さらに、S0に含まれる熱分解油は、適切に前処理された粗熱分解油であり得る。そのような適切な前処理手順は、非水素化方法であり、蒸留、希釈、沈殿、濾過、および抽出が含まれるが、これらに限定されない。前記粗熱分解油は、1つの適切な前処理手順、または2つ以上の適切な前処理手順に供することができる。
【0014】
前処理が例えば蒸留である場合、熱分解油を、共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物のうちの少なくとも1つ、または1つ以上のハロゲン化有機化合物のうちの少なくとも1つ、または共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物のうちの少なくとも1つおよび1つ以上のハロゲン化有機化合物のうちの少なくとも1つに関連して富化することが可能である。前処理剤が例えば希釈剤である場合、1つ以上のアルカンを添加することが可能である。そうすることによって、希釈から得られた混合物から1つ以上のアスファルテンを沈殿させることが可能であり得、次いでこれを濾過によって除去することができる。前処理が例えば抽出であれば、水性抽出媒体、例えば、酸性の水性抽出媒体または塩基性の抽出媒体を使用することが可能である。
【0015】
一般に、S0の1から100重量%または5から100重量%または10から100重量%または20から100重量%または30から100重量%または40から100重量%または50から100重量%または60から100重量%または70から100重量%または80から100重量%または90から100重量%は、熱分解油からなり得る。
【0016】
好ましくはS0の95から100重量%、より好ましくは98から100重量%、より好ましくは99から100重量%は、熱分解油からなる。
【0017】
S0の99.5から100重量%または99.8から100重量%または99.9重量%は、熱分解油からなることが可能である。
【0018】
好ましくは、(i)による熱分解油は、参考例1に記載されているように決定された、熱分解油の0.1から75 g(I2)/100 g、より好ましくは0.4から60 g(I2)/100 g、より好ましくは1から30 g(I2)/100 gの範囲の総量で共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む。
【0019】
好ましくは、共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物は、式(I)
R1R2C1=C2R3-C3R4=X (I)
(式中、=Xは=O、=S、=NR5、または=C4R6R7であり、好ましくは=C4R6R7である)
による1つ以上の有機化合物を含む。
【0020】
好ましくは、R1、R2、R3、R4、R5は、互いに独立して、H、1から6個の炭素原子を有するアルキル、1から6個の炭素原子を有するアルケニル、または5から10個の炭素原子を有するアリールであり、より好ましくはHである。
【0021】
好ましくは、R6およびR7は、互いに独立して、H、1から6個の炭素原子を有するアルキル、1から6個の炭素原子を有するアルケニル、または5から10個の炭素原子を有するアリールであり、より好ましくはHである。
【0022】
あるいは、好ましくは、R4およびR6またはR4およびR7のいずれかが一緒に連結され、したがって、C3=C4と一緒に、より好ましくは5または6員を有する芳香環を形成する。
【0023】
好ましくは、式(I)による1つ以上の有機化合物は、ブタジエン、イソプレン、5または6個の炭素原子を有するジエン、スチレン、メチルスチレン、インデン、置換スチレン、置換インデン、および3-メチル-2-ブテナールのうちの1つ以上を含み、より好ましくはブタジエン、イソプレン、5または6個の炭素原子を有するジエン、スチレン、メチルスチレン、インデン、および3-メチル-2-ブテナールのうちの1つ以上を含む。
【0024】
式(I)による1つ以上の有機化合物に関して、それらは、スチレンを含むことが好ましい。
【0025】
好ましくは、(i)による熱分解油は、参考例8に記載されているように決定された、0.2から30面積%の範囲、より好ましくは1から20面積%の範囲のスチレン含有量を有する。
【0026】
任意のハロゲン化有機化合物は、(i)で提供されるS0に含まれる熱分解油に含まれ得る。好ましくは、1つ以上のハロゲン化有機化合物は、モノ、オリゴ、またはポリハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化アルケニルのうちの1つ以上を含む。
【0027】
本発明の文脈において、精製される熱分解油は、任意の塩素含有量を有することができる。しかしながら、熱分解油は、参考例2.1に記載されているように決定された、30から3,000 wppm(重量ppm)、より好ましくは30から500 wppm、より好ましくは30から200 wppmの範囲の総塩素含有量を有することが好ましい。
【0028】
本発明の文脈において、精製される熱分解油は、任意の塩化物含有量を有することができる。しかしながら、熱分解油は、参考例2.2に記載されているように決定された、最大100 wppm、より好ましくは0から30 wppmの範囲の塩化物含有量を有することが好ましい。
【0029】
本発明の文脈において、精製される熱分解油は、任意の窒素含有量を有することができる。しかしながら、熱分解油は、参考例3に記載されているように決定された、50から20,000 wppm(重量ppm)、より好ましくは50から5,000 wppm、より好ましくは100から4,000 wppmの範囲の窒素含有量を有することが好ましい。
【0030】
本発明の文脈において、精製される熱分解油は、任意の硫黄含有量を有することができる。しかしながら、熱分解油は、参考例4に記載されているように決定された、50から30,000重量ppm(wppm)、好ましくは50から5,000 wppm、より好ましくは100から3,000 wppmの範囲の硫黄含有量を有することが好ましい。
【0031】
本発明の文脈において、熱分解油は、好ましくはプラスチック廃棄物から得られる。
【0032】
本発明の文脈において、熱分解される「プラスチック廃棄物」は、典型的には、混合されたまたは事前に分別されたプラスチック廃棄物である。しかしながら、タイヤから生じるプラスチック廃棄物、純粋な高分子プラスチック廃棄物であるプラスチック廃棄物、または汚れ、接着材料、充填剤、残留物などを含むフィルム廃棄物を使用することも可能である。精製される熱分解油は、典型的には固相および液相を含むことができ、液相は有機相および水相を含む。例えば、熱分解油の液相中の水相と有機相との間の重量比は、0.01:1から3.2:1の範囲、好ましくは0.05:1から3:1の範囲であり得る。
【0033】
本発明の文脈において、流れS0は、好ましくは液体流である。熱分解油は、本発明の方法に供される前に適切に液化されるワックスの形態で少なくとも部分的にあることが考えられる。
【0034】
水素添加前
(ii)に関して、(ii)で水素化に供された流れS0は、好ましくは60から250℃、より好ましくは80から220℃、より好ましくは100から200℃の範囲の温度を有する。
【0035】
本発明の文脈において、任意の不均一系水素化触媒は、(ii)による水素化(予備水素化)を可能にする限り使用することができ、流れS0は、(iii)による脱ハロゲン化の前に精製される熱分解油を含む。好ましくは、(ii)による不均一系水素化触媒は、元素周期表の第8族から第12族、より好ましくは第8族から第10族、より好ましくは第9族および第10族の元素、より好ましくはNi、PdおよびCoからなる群から選択される元素、より好ましくはNiおよびPdからなる群から選択される元素を含む。
【0036】
好ましくは、(ii)による不均一系水素化触媒は、元素周期表の第8族から第12族の前記元素のための担体材料をさらに含み、担体材料は、好ましくは酸化物材料および炭素からなる群から選択され、酸化物材料は、より好ましくはアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、ゼオライト材料、シリカ-アルミナホスフェート(SAPO)材料、酸化亜鉛、酸化ナトリウム、混合シリカ-アルミナ、ゼオライトおよび酸化カルシウムのうちの1つ以上、より好ましくはアルミナである。
【0037】
(ii)による不均一系水素化触媒に関して、前記触媒は、より好ましくは、水素化触媒の総重量に基づいて、NiOとして計算される、0.5から70重量%、より好ましくは0.75から45重量%、より好ましくは1から20重量%の範囲の量のNiを含むことが好ましい。
【0038】
好ましくは、(ii)による不均一系水素化触媒は、元素周期表の第6族の元素をさらに含み、第6族の元素は、より好ましくはMoおよびWのうちの1つ以上、より好ましくはMoである。
【0039】
好ましくは、(ii)による不均一系水素化触媒は、水素化触媒の総重量に基づいて、1から40重量%、より好ましくは2から35重量%、より好ましくは3から30重量%の第6族の前記元素の酸化物、より好ましくはMo酸化物またはW酸化物を含む。
【0040】
好ましくは、(ii)による不均一系水素化触媒は、担体材料、より好ましくは上記で定義された担体材料上に担持されたNiおよびMoを含む。より好ましくは、水素化触媒は、アルミナ上に担持されたNiおよびMoを含む。
【0041】
あるいは、(ii)による不均一系水素化触媒に関して、前記触媒は、より好ましくは、触媒の総重量に基づいて、元素Pdとして計算される、0.01から5重量%、より好ましくは0.1から1重量%、より好ましくは0.15から0.8重量%の範囲の量のPdを含むことが好ましい。
【0042】
好ましくは、(ii)による不均一系水素化触媒は、促進剤をさらに含み、促進剤は、より好ましくは元素周期表の第10族および第11族の元素のうちの1つ以上、好ましくはCu、Au、AgおよびPtのうちの1つ以上、より好ましくはAgおよびPtのうちの1つ以上、より好ましくはAgである。
【0043】
好ましくは、促進剤に対する周期表の第8族から第12族の元素、より好ましくはPdの原子比は、0.1:1から10:1、より好ましくは2:1から7:1、より好ましくは2.5:1から6:1の範囲にある。
【0044】
好ましくは、(ii)による不均一系水素化触媒は、担体材料、好ましくは上記で定義される担体材料上に担持されたPdを含み、担体材料は、より好ましくはアルミナまたは炭素、より好ましくはアルミナである。
【0045】
本発明の文脈において、(ii)による不均一系水素化触媒は、好ましくは押出物、ペレット、環、球状粒子または球体、より好ましくは球状粒子または押出物の形態である。
【0046】
好ましくは、(ii)は、
(ii.1)ガス流G0をZ1に導入するステップであって、ガス流がH2を含む、ステップと、
(ii.2)流れS0をZ1に導入するステップと、
(ii.3)S0をG0、およびZ1に含まれる不均一系水素化触媒と接触させて、共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物がS0と比較して枯渇している流れS1を得るステップと、
(ii.4)Z1からS1を除去するステップと
を含む。
【0047】
好ましくは、ガス流G0は、100から250℃、より好ましくは120から220℃、より好ましくは140から200℃の範囲の温度を有する。
【0048】
好ましくは、ガス流G0は、10から100バール(abs)の範囲、より好ましくは15から90バール(abs)の範囲、より好ましくは20から80バール(abs)の範囲、より好ましくは20から55バール(abs)の範囲の圧力で導入される。
【0049】
好ましくは、ガス流G0の70から100重量%、より好ましくは80から100重量%、より好ましくは90から100重量%がH2からなる。さらに考えられる範囲は、92から100重量%または94から100重量%または96から100重量%または98から100重量%である。
【0050】
(ii.1)によれば、G0は、好ましくは連続的または半連続的に、より好ましくは連続的にZ1に導入される。
【0051】
(ii.2)によれば、S0は、好ましくは半連続的または連続的に、より好ましくは連続的にZ1に導入される。
【0052】
好ましくは、G0は、(ii.2)に従ってS0をZ1に導入する前の期間Δtの間に(ii.1)に従ってZ1に導入される。
【0053】
特に、水素化触媒がNiを含む場合、水素化触媒として用いられる前に、好ましくは乾燥後に触媒を硫化することが好ましい場合がある。乾燥は、触媒を、好ましくは窒素、例えば、工業用窒素を含有するガス雰囲気、好ましくは150から250℃、例えば、170から230℃または190から210℃の範囲の温度を有するガス雰囲気に供することによって実現され得る。乾燥が半連続的または連続的に実施される場合、ガス空間速度は、1,000から3,000 h-1、例えば、1,500から2,500 h-1または1,800から2,200 h-1の範囲であってもよい。乾燥後、好ましくは硫黄での飽和が達成されるまで、好ましくは300から400℃、例えば、325から375℃の範囲の温度でH2Sが投入される。
【0054】
あるいは、Niを含む水素化触媒は、以下の(または同様の)方法に従って予備硫化することができる:触媒は、水がもはや下流で凝縮されなくなるまで、大気圧で窒素フロー(GHSV=2000/h)下、200℃(昇温速度1 K/分)で少なくとも2時間乾燥させる。その後、触媒を135℃に冷却し、水素をGHSV=2000/hで反応器に供給し、反応器を加圧する(1バール/分)。1時間後、2重量%ジメチルジスルフィドを加えたヘキサデカンにLHSV=2/時間を1時間投与する。その後、温度を0.25 K/分で350℃まで上げ、2時間保持する。その後、ヘキサデカン溶液の投入を停止し、供給物を投入する前に、温度および圧力を調整する。
【0055】
水素化触媒がPdを含む場合、水素フロー(GHSV=1000/h)下、50から130℃(1 K/分)で、例えば6から24時間、例えば12時間、好ましくは大気条件下で活性化されることが好ましい場合がある。より大きな反応器で触媒が還元されると、水素を窒素で希釈して、過剰な温度を回避することができる。
【0056】
Δtの間、G0は、好ましくはZ1に含まれる不均一系水素化触媒と接触させられ、G0は、50から250℃、より好ましくは120から220℃、より好ましくは140から200℃の範囲の温度を有する。
【0057】
Z1では、液空間速度(LHSV)は、好ましくは0.2から10 m3/(m3h)の範囲、より好ましくは0.3から5 m3/(m3h)の範囲、より好ましくは0.5から2 m3/(m3h)の範囲であり、LHSVは、Z1(m3単位)に含まれる不均一系水素化触媒の体積当たりのS0からZ1(m3/h単位)の体積流量として定義される。
【0058】
一般に、本発明によれば、(ii)から得られ、Z1から除去されたS1、S1’の一部を、水素化に供された出発材料の一部としてZ1に戻してリサイクルさせることが可能である。この場合、流れS0が水素化されるだけでなく、追加の流れS1’も水素化される。S1’に関する限り、リサイクル比に対応する、S0のLHSVに対するZ1でのそのLHSV、LHSV(S1’):LHSV(S0)は、好ましくは1:1から20:1の範囲、例えば、1:1から5:1、または5:1から10:1、または10:1から15:1、または15:1から20:1である。
【0059】
一般に、S1’は、プロセス中のあらゆる適切な位置、好ましくはZ1の上流でS0と混合することができる。S1の一部がリサイクルされる場合、S1の残りの部分は、本明細書では、(iii)により脱ハロゲン化に供される流れS1と呼ばれる。
【0060】
一般に、本プロセスは、
(ii.5)Z1からガス流G0’を除去するステップであって、ガス流G0’がH2を含む、ステップ
をさらに含む。
【0061】
一般に、本発明によれば、(ii)から得られ、Z1から除去されたG0’、G0”の一部を出発材料の一部としてZ1に戻してリサイクルさせることが可能である。この場合、流れG0’がZ1に導入されるだけでなく、追加流れG0”も導入される。G0”に関する限り、リサイクル比に対応する、G0のGHSVに対するZ1でのその時間空間速度GHSV、LHSV(G0”):LHSV(G0)は、好ましくは1:1から20:1の範囲、例えば、1:1から5:1、または5:1から10:1、または10:1から15:1、または15:1から20:1である。
【0062】
好ましくは、反応ゾーンZ1は、連続撹拌タンク反応器(CSTR)または固定床反応器、より好ましくは固定床反応器に含まれ、固定床反応器は、より好ましくはトリクルベッド反応器である。
【0063】
(ii)によれば、好ましくは、直列および/または並列に配置された2つ以上の反応ゾーンZ1が用いられ、より好ましくは、1つの単一の反応ゾーンZ1が(ii)に従って用いられる。
【0064】
好ましくは、(ii)から得られ、(iii)で脱ハロゲン化に供された流れS1は、S0と比較して、50から100%、より好ましくは70から100%、より好ましくは75から100%の共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物の減少した量を含む。共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物の総量は、参考例1に記載のように決定される。
【0065】
好ましくは、(ii)から得られ、(iii)で脱ハロゲン化された流れS1は、参考例1に記載されているように決定された、流れS1の0から3 g(I2)/100 g、好ましくは0から2 g(I2)/100 g、より好ましくは0から1 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.25 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.1 g(I2)/100 gの範囲の総量で共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む。
【0066】
好ましくは、(ii)から得られ、(iii)で脱ハロゲン化された流れS1は、S0と比較して、50から100%、より好ましくは70から100%、より好ましくは75から100%の減少したスチレン量を含む。スチレン量は、参考例8に記載のようにして決定される。
【0067】
好ましくは、(ii)から得られ、(iii)で脱ハロゲン化された流れS1は、参考例8に記載されているように決定された、0から1.5面積%の範囲、より好ましくは0から0.1面積%の範囲のスチレン含有量を有する。
【0068】
脱ハロゲン化
好ましくは、(iii)で脱ハロゲン化に供された流れS1は、150から450℃、より好ましくは200から400℃、より好ましくは250から350℃の範囲の温度を有する。
【0069】
吸着ゾーンZ2
好ましくは、(iii)による脱ハロゲン化ゾーンZ2は、吸着ゾーンを備え、より好ましくは吸着ゾーンからなり、より好ましくは1つ以上のハロゲン化有機化合物のうちの少なくとも1つに含まれる、好ましくは1つ以上のハロゲン化有機化合物のすべてに含まれるハロゲン化物を吸着するのに適した不均一系吸着材料を含む。
【0070】
本発明の文脈において、1つ以上のハロゲン化有機化合物のうちの少なくとも1つに含まれるハロゲン化物を吸着することを可能にする限り、任意の不均一系吸着材料を(iii)に従って使用することができる。好ましくは、(iii)による不均一系吸着材料は、炭素含有吸着材料およびアルミニウム含有吸着材料のうちの1つ以上、より好ましくはアルミニウム含有吸着材料を含む。
【0071】
炭素含有吸着材料は、好ましくは炭素含有モレキュラーシーブであり、より好ましくは活性炭である。アルミニウム含有吸着材料は、好ましくは、アルミナ、アルミニウム含有モレキュラーシーブ、シリコアルミノホスフェート、シリカ-アルミナ水和物またはハイドロタルサイトである。アルミニウム含有モレキュラーシーブは、好ましくはアルミノシリケートであり、より好ましくはSiO2:Al2O3として計算されるSi:Alのモル比が2:1から10:1、より好ましくは2:1から4:1の範囲である。シリカ-アルミナ水和物は、好ましくは1:1から10:1、より好ましくは1:1から2:1の範囲のAl2O3:SiO2の重量比を有する。ハイドロタルサイトは、好ましくは、ハイドロタルサイトを含有するアルミニウムおよびマグネシウム、より好ましくはアルミニウム-マグネシウムヒドロキシカーボネートであり、好ましくは63:37から70:30の範囲のMgO:Al2O3重量比を有する。
【0072】
好ましくは、不均一系吸着材料は、上記で定義されたハイドロタルサイトを含む。
【0073】
(iii)による不均一系吸着材料は、第1族、第2族、第11族および第12族の元素を含むことも考えられる。
【0074】
好ましくは、上記のアルミノシリケートは、酸化カリウム、酸化ナトリウム、酸化マグネシウムおよび酸化カルシウムのうちの1つ以上を含有する。
【0075】
好ましくは、本発明によれば、(iii)による不均一系吸着材料の0から0.001重量%、好ましくは0から0.0001重量%、より好ましくは0から0.00001重量%は、Niからなる。
【0076】
好ましくは、(iii)による不均一系吸着材料は、1から6,500マイクロメートル、より好ましくは2から2,000マイクロメートル、より好ましくは8から500マイクロメートル、より好ましくは10から50マイクロメートルまたは3から9マイクロメートルの範囲のD50値を有する粒度分布を特徴とする粒子を含み、D50粒径は、参考例5に記載されているように決定される。
【0077】
より好ましくは、上記で定義されたハイドロタルサイトである不均一系吸着材料は、3から9マイクロメートルの範囲のD50値を有する粒径分布を特徴とする粒子を含み、D50粒径は、参考例5に記載されているように決定される。
【0078】
本発明の文脈において、(iii)による不均一系吸着材料は、好ましくは0.1から5 ml/gの範囲、より好ましくは0.15から2 ml/gの範囲の平均細孔容積を有し、平均細孔容積は、参考例6に記載されているように決定される。
【0079】
好ましくは、(iii)による不均一系吸着材料は、50から1,000 m2/gの範囲、より好ましくは100から900 m2/gの範囲、より好ましくは150から600 m2/gの範囲のBET比表面積を有し、BET比表面積は、参考例7に記載されているように決定される。
【0080】
本発明によれば、所望に応じて、吸着材料を適切に再生することができる。
【0081】
好ましくは、(iii)は、
(iii. 1)ガス流G1を、好ましくは吸着ゾーンであるZ2に導入するステップであって、より好ましくは、ガス流が、水素および窒素のうちの1つ以上、より好ましくは水素を含む、ステップと、
(iii. 2)(ii)から得られた流れS1をZ2に導入するステップと、
(iii. 3)S1をG1およびZ2に含まれる1つ以上のハロゲン化有機化合物のうちの少なくとも1つに含まれるハロゲン化物を吸着するのに適した不均一系吸着材料と接触させて、1つ以上のハロゲン化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと、
(iii. 4)Z2からS2を除去するステップと
を含む。
【0082】
好ましくは、ガス流G1は、250から500℃の範囲、より好ましくは300から400℃の範囲の温度を有する。
【0083】
好ましくは、ガス流G1は、1から100バール(abs)の範囲、より好ましくは5から80バール(abs)の範囲、より好ましくは10から50バール(abs)の範囲の圧力で導入される。
【0084】
好ましくは、Z2において、液空間速度(LHSV)は、0.2から10 m3/(m3h)の範囲、より好ましくは0.3から5 m3/(m3h)の範囲、より好ましくは0.5から2 m3/(m3h)の範囲にあり、LHSVは、Z2(m3単位)に含まれる吸着材料の体積当たりのS1からZ2(m3/h単位)の体積流量として定義される。
【0085】
好ましくは、ガス流G1の90から100重量%、より好ましくは95から100重量%、より好ましくは98から100重量%がH2からなる。あるいは、好ましくはガス流G1の90から100重量%、より好ましくは95から100重量%、より好ましくは98から100重量%が窒素からなる。
【0086】
(iii.1)によれば、G1は、好ましくは連続的または半連続的に、より好ましくは連続的にZ2に導入され、(iii.2)によれば、S1は、連続的または半連続的に、より好ましくは連続的にZ2に導入される。
【0087】
好ましくは、吸着ゾーンZ2は、連続撹拌タンク反応器(CSTR)または固定床反応器、より好ましくは固定床反応器、より好ましくはトリクルベッド反応器に含まれ、反応器は、好ましくは不均一系吸着材料を含む吸着床を備える。
【0088】
(iii)によれば、好ましくは、直列および/または並列に配置された2つ以上の反応ゾーンZ2が用いられるか、または1つの単一の反応ゾーンZ2が好ましくは(iii)に従って用いられ、より好ましくは1つの単一の反応ゾーンZ2が(iii)に従って用いられる。
【0089】
好ましくは、(iii)から得られた流れS2は、S0およびS1と比較して、50から100%、好ましくは60から100%、より好ましくは75から100%の減少した総塩素含有量を有する。
【0090】
好ましくは、(iii)から得られた流れS2は、参考例2.1に記載されているように決定された、0から200 wppm(重量ppm)、より好ましくは0から160 wppm、より好ましくは0から130 wppmの範囲の総塩素含有量を有する。
【0091】
好ましくは、(iii)から得られた流れS2は、参考例2.2に記載されているように決定された、多くとも40 wppm(重量ppm)、より好ましくは0から30 wppm、より好ましくは0から20 wppm、より好ましくは0から1 wppmの塩化物含有量を有する。
【0092】
好ましくは、(iii)から得られた流れS2は、参考例1に記載されているように決定された、流れS2の0から3 g(I2)/100 g、より好ましくは0から2 g(I2)/100 g、より好ましくは0から1 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.25 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.1 g(I2)/100 gの範囲の総量で共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む。
【0093】
好ましくは、(iii)から得られた流れS2は、参考例3に記載されているように決定された、50から20,000重量ppm、より好ましくは50から5,000 wppm、より好ましくは100から4,000 wppmの範囲の窒素含有量を有する。
【0094】
好ましくは、(iii)から得られた流れS2は、参考例4に記載されているように決定された、50から30,000重量ppm(wppm)、より好ましくは50から5,000 wppm、より好ましくは100から3,000 wppmの範囲の硫黄含有量を有する。
【0095】
好ましくは、流れS2は、塩素含有量、窒素含有量、硫黄含有量、および上記で定義された共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物の総量を有する。
【0096】
触媒ゾーンZ2
あるいは、(iii)による脱ハロゲン化ゾーンZ2は、触媒ゾーンを含み、より好ましくは触媒ゾーンであり、触媒ゾーンは、より好ましくは不均一系脱ハロゲン化触媒を含み、前記触媒は、好ましくは元素周期系の第8族から第12族の1つ以上の触媒活性元素を含む。
【0097】
この場合、(iii)は、好ましくは、
(iii.1’)ガス流G1を触媒ゾーンであるZ2に導入するステップであって、より好ましくは水素および窒素、より好ましくは水素を含むガス流を導入する、ステップと、
(iii.2’)(ii)で得られた流れS1をZ2に導入するステップと、
(iii.3’)S1をG1およびZ2に含まれる不均一系脱ハロゲン化触媒と接触させて、1つ以上のハロゲン化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと、
(iii.4’)Z2からS2を除去するステップと、
(iii.5’)より好ましくは、(iii.4’)に従って除去されたS2を冷却するステップと
を含む。
【0098】
好ましくは、(iii)から得られた流れS2は、以下に定義される(iv)による水素化処理に供される前に、抽出に供され、より好ましくは水性抽出媒体を使用して抽出に供され、脱ハロゲン化ゾーンZ2から得られたS2に含まれる1つ以上の溶存ハロゲン化物が枯渇している流れS2を得、前記ハロゲン化物は、より好ましくはN含有有機化合物の1つ以上のハロゲン化物を含む。
【0099】
水素化処理
本発明の方法は、好ましくは、(iii)の後に、
(iv)(iii)から得られた流れS2を、Z2の下流の少なくとも1つの反応ゾーンZ3であって、不均一系水素化処理触媒を含むZ3で水素化処理に供して、流れS3を得るステップ
をさらに含み、
(iv)に供される流れS2は、150から400℃の範囲、より好ましくは200から375℃の範囲、より好ましくは250から350℃の範囲の温度を有する。
【0100】
(iv)による不均一系水素化処理触媒に関して、流れS3を得ることができるものであれば、任意の不均一系水素化処理触媒を使用することができる。好ましくは、(iv)による不均一系水素化処理触媒は、元素周期表の第8族から第10族、より好ましくは第9族および第10族の元素、より好ましくはNiおよびCoからなる群から選択される元素を含み、水素化処理触媒は、より好ましくはNiを含む。
【0101】
好ましくは、(iv)による不均一系水素化処理触媒は、水素化処理触媒の重量に基づいて、NiOとして計算される、0.5から10重量%の範囲、より好ましくは1から6重量%の範囲の量のNiを含む。
【0102】
好ましくは、(iv)による不均一系水素化処理触媒は、元素周期表の第8族から第10族の元素のための担体をさらに含み、担体は、好ましくは酸化物材料である。好ましくは、酸化物材料は、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化カルシウム、混合シリカ-アルミナ、ゼオライト、Moドープアルミナおよびチタニア、より好ましくはアルミナ、ゼオライトおよびシリカ-アルミナ、より好ましくはアルミナのうちの1つ以上である。
【0103】
好ましくは、(iv)による不均一系水素化処理触媒は、元素周期表の第6族の元素をさらに含み、第6族の元素は、より好ましくはMoおよびWのうちの1つ以上である。好ましくは、水素化処理触媒は、水素化処理触媒の重量に基づいて、1から40重量%、より好ましくは3から30重量%の範囲で第6族の前記元素の酸化物、より好ましくはMo酸化物またはW酸化物を含む。
【0104】
好ましくは、(iv)による不均一系水素化処理触媒は、担体、より好ましくは上記で定義されるような担体上にNiおよびMoを含み、水素化処理触媒は、より好ましくはアルミナ上にNiおよびMoを含む。
【0105】
本発明によれば、水素化処理触媒、特にNiを含む水素化処理触媒は、P2O5として計算され、触媒の総重量に基づいて、0.1から5重量%、好ましくは0.1から4重量%、より好ましくは0.1から3重量%のリンを含み得る。
【0106】
Niを含む水素化処理触媒は、使用する前に、以下の(または同様の)方法に従って予備硫化することができる:触媒は、水がもはや下流で凝縮されなくなるまで、大気圧で窒素フロー(GHSV=2000/h)下、200℃(昇温速度1 K/分)で少なくとも2時間乾燥させる。その後、触媒を135℃に冷却し、水素をGHSV=2000/hで反応器に供給し、反応器を加圧する(1バール/分)。1時間後、2重量%ジメチルジスルフィドを加えたヘキサデカンに、LHSV=、2/時間で1時間投入する。その後、温度を0.25 K/分で350℃まで上げ、2時間保持する。その後、ヘキサデカン溶液の投入を停止し、供給物を投入する前に温度および圧力を調整する。
【0107】
好ましくは、(iv)は、
(iv. 1)ガス流G2をZ3に導入するステップであって、G2がH2を含む、ステップと、
(iv. 2)(iii)から得られた流れS2をZ3に導入するステップと、
(iv. 3)S2をG2、およびZ3に含まれる不均一系水素化処理触媒と接触させて、流れS3を得るステップと、
(iv. 4)Z3から(iv. 3)で得られたS3を除去するステップと
を含む。
【0108】
好ましくは、ガス流G2は、250から550℃の範囲、より好ましくは300から450℃の範囲、より好ましくは325から400℃の範囲の温度を有する。
【0109】
好ましくは、ガス流G2は、20から150バール(abs)の範囲、より好ましくは30から90バール(abs)の範囲、より好ましくは40から80バール(abs)の範囲、より好ましくは45から60バール(abs)の範囲の圧力で導入される。
【0110】
好ましくは、Z3において、液空間速度(LHSV)は、0.1から10 m3/(m3h)の範囲、より好ましくは0.15から5 m3/(m3h)の範囲、より好ましくは0.2から2 m3/(m3h)の範囲にあり、LHSVは、Z3(m3単位)に含まれる不均一系水素化処理触媒の体積当たりのS2からZ3(m3/h単位)の体積流量として定義される。
【0111】
本発明によれば、G2は、好ましくは、水素化処理から得られた流れからリサイクルされ得る。
【0112】
好ましくは、ガス流G2の50から100重量%、より好ましくは70から100重量%、より好ましくは90から100重量%がH2からなる。さらに考えられる範囲は、92から100重量%または94から100重量%または96から100重量%または98から100重量%である。
【0113】
(iv.1)によれば、G2は、好ましくは連続的または半連続的に、より好ましくは連続的にZ3に導入される。
【0114】
(iv.2)によれば、S2は、好ましくは連続的または半連続的に、より好ましくは連続的にZ3に導入される。
【0115】
好ましくは、反応ゾーンZ3は、反応器に含まれ、より好ましくはn個の直列に結合した触媒床B(i)、i=1...、n、n≧2を含み、触媒床B(i)は、不均一系水素化処理触媒を含み、より好ましくは2≦n≦10、より好ましくは2≦n≦5であり、B(1)は、最も上流の触媒床であり、B(n)は、最も下流の触媒床である。
【0116】
より好ましくは、(iv)は、
(iv.1’)ガス流G2をZ3に導入するステップであって、G2がH2を含む、ステップと、
(iv.2’)(iii)から得られた流れS2をZ3に導入するステップと、
(iv.3’)n個の連続するプロセス段階P(i)、i=1...n、
P(1)において、
-ガス流G2を触媒床B(1)に導入し、(iii)から得られた流れS2およびB(1)中の不均一系水素化処理触媒と接触させて、流れSP(1)を得るステップと、
各P(i)において、i=2...n-1である場合、
-H2を含むガス流F(i-1)を触媒床B(i)に導入し、SP(i-1)およびB(i)中の不均一系水素化処理触媒と接触させて、流れSP(i)を得るステップと、
-B(i)からSP(i)を除去するステップと、
P(n)において、
-ガス流F(n-1)を触媒床B(n)に導入し、SP(n-1)およびB(n)中の不均一系水素化処理触媒と接触させて、ガス流S3を得るステップと、
(iv.4’)Z3から(iv.3’)で得られたS3を除去するステップと
を含む。
【0117】
好ましくは、ガス流G2は、250から550℃の範囲、より好ましくは300から450℃の範囲、より好ましくは325から400℃の範囲の温度を有する。
【0118】
好ましくは、ガス流G2は、20から150バール(abs)の範囲、より好ましくは30から90バール(abs)の範囲、より好ましくは40から80バール(abs)の範囲、より好ましくは45から60バール(abs)の範囲の圧力で導入される。
【0119】
好ましくは、ガス流G2の50から100重量%、より好ましくは70から100重量%、より好ましくは90から100重量%がH2からなる。さらに考えられる範囲は、92から100重量%または94から100重量%または96から100重量%または98から100重量%である。
【0120】
好ましくは、Z3において、液空間速度(LHSV)は、0.1から10 h-1の範囲、好ましくは0.1から5 h-1の範囲、より好ましくは0.2から2 h-1の範囲にあり、LHSVは、Z3(m3単位)に含まれる不均一系水素化処理触媒の体積当たりのS2またはSP(i)からZ3(m3/h単位)の体積流量として定義される。
【0121】
(iv.1’)によれば、G2は、好ましくは連続的または半連続的に、より好ましくは連続的にZ3に導入される。
【0122】
(iv.2’)によれば、S2は、好ましくは連続的または半連続的に、より好ましくは連続的にZ3に導入される。
【0123】
好ましくは、ガス流F(i)の50から100重量%、より好ましくは70から100重量%、より好ましくは90から100重量%がH2からなる。さらに考えられる範囲は、92から100重量%または94から100重量%または96から100重量%または98から100重量%である。
【0124】
好ましくは、ガス流F(i)は、20から150バール(abs)の範囲、より好ましくは30から90バール(abs)の範囲、より好ましくは40から80バール(abs)の範囲、より好ましくは45から60バール(abs)の範囲の圧力で導入される。
【0125】
好ましくは、n個の直列に結合された触媒床B(i)は、固定触媒床である。
【0126】
あるいは、反応ゾーンZ3は、1つの触媒床を備える反応器に含まれ、触媒床は、不均一系水素化処理触媒を含む。
【0127】
本発明の文脈において、反応ゾーンZ3は、好ましくは連続撹拌タンク反応器(CSTR)または固定床反応器、より好ましくは固定床反応器、より好ましくはトリクルベッド反応器に含まれる。
【0128】
好ましくは、(iii)から得られた流れS3は、S0およびS1と比較して、90から100%、より好ましくは95から100%、より好ましくは99から100%、より好ましくは99.5から100%の減少した総塩素含有量を有する。
【0129】
好ましくは、(iv)から得られた流れS3は、参考例2.1に記載されているように決定された、0から50 wppm(重量ppm)、より好ましくは0から30 wppm、より好ましくは0から20 wppm、より好ましくは0から10 wppm、より好ましくは0から5 wppm、より好ましくは0から2 wppmの範囲の総塩素含有量を有する。
【0130】
好ましくは、(iv)から得られた流れS3は、参考例2.2に記載されているように決定された、最大で40 wppm(重量ppm)、好ましくは0から30 wppm、より好ましくは0から20 wppm、より好ましくは0から1 wppmの範囲の塩化物含有量を有する。
【0131】
好ましくは、(iii)から得られた流れS3は、S0、S1およびS2と比較して、80から100%、より好ましくは85から100%、より好ましくは90から100%の低減された窒素含有量を有する。
【0132】
好ましくは、(iv)から得られた、より好ましくは溶存NH3を除去した後の流れS3は、参考例3に記載されているように決定された、0から200重量ppm(wppm)の範囲、より好ましくは0から100 wppmの範囲、より好ましくは0から50 wppmの範囲、より好ましくは0から10 wppmの範囲の窒素含有量を有する。
【0133】
好ましくは、(iii)から得られた流れS3は、S0、S1およびS2と比較して、80から100%、より好ましくは85から100%、より好ましくは90から100%の低減された硫黄含有量を有する。
【0134】
好ましくは、(iv)から得られた、より好ましくは溶存H2Sを除去した後の流れS3は、参考例4に記載されているように決定された、0から200重量ppm(wppm)、より好ましくは0から100 wppm、より好ましくは0から50 wppmの範囲の硫黄含有量を有する。
【0135】
好ましくは、(iii)から得られた流れS3は、参考例1に記載されているように決定された、(iv)から得られた流れS3の0から3 g(I2)/100 g、より好ましくは0から2 g(I2)/100 g、より好ましくは0から1 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.25 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.1 g(I2)/100 gの範囲の総量で共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む。
【0136】
好ましくは、流れS3は、塩素含有量、窒素含有量、硫黄含有量、および上記で定義された共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物の総量を有する。
【0137】
好ましくは、(iv)から得られた流れS3は、好ましくは以下に定義される(v)に供される前に、S2と比較して1つ以上の窒素含有化合物および硫黄含有化合物が枯渇している。
【0138】
本発明の導入部で述べたように、プラスチック廃棄物に含まれるポリマーは、酸素を含有し得る。このような酸素は、好ましくは、上述した水素化処理ステップにおいて除去される。
【0139】
(iv)の下流のステップ
本発明の方法は、好ましくは、上記で定義された(iii)または(iv)の後に、
(v)水蒸気分解ステップ、水素化分解ステップ、蒸留、ストリッピング、および水性抽出のうちの1以上
をさらに含む。
【0140】
好ましくは、本発明の方法は、連続または半連続プロセス、より好ましくは連続プロセスである。
【0141】
好ましくは、本発明の方法は、(i)、(ii)、(iii)、より好ましくは(i)、(ii)、(iii)および(iv)、より好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v)からなる。
【0142】
本発明はさらに、本発明による熱分解油を精製するための方法を実施するための製造ユニットであって、
-少なくとも1つの反応ゾーンZ1であって、不均一系水素化触媒を含む、Z1と、
-S0をZ1に導入するための入口手段と、
-Z1からS1を除去するための出口手段と、
-少なくとも1つの脱ハロゲン化ゾーンZ2であって、好ましくは不均一系吸着材料または不均一系脱ハロゲン化触媒を含む、Z2と、
-S1をZ2に導入するための入口手段と、
-Z2からS2を除去するための出口手段と
を備え、Z1がZ2の上流に位置する、製造ユニットに関する。
【0143】
好ましくは、製造ユニットは、ハロゲン化物を除去するための、より好ましくはN含有有機化合物のうちの1つ以上のハロゲン化物を含む抽出ゾーンをさらに備え、前記抽出ゾーンは、より好ましくはZ2の下流に配置される。
【0144】
好ましくは、製造ユニットは、
-少なくとも1つの反応ゾーンZ3であって、不均一系水素化処理触媒を含む、Z3と、
-S2をZ3に導入するための入口手段と、
-Z3からS3を除去するための出口手段と
をさらに備え、Z2は、Z3の上流に位置する。
【0145】
本発明はさらに、(i)、(ii)および(iii)または(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含む本発明による方法によって得ることが可能であるか、または得られる精製熱分解油に関する。
【0146】
本発明による方法が、(i)、(ii)および(iii)を含む場合、精製熱分解油は、好ましくは塩素含有量および流れS2について上記で定義された共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物の総量、より好ましくは塩素含有量、窒素含有量、硫黄含有量および流れS2について上記で定義された共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物の総量を有する。
【0147】
本発明による方法が(i)、(ii)、(iii)および(iv)を含む場合、精製熱分解油は、好ましくは塩素含有量、窒素含有量、硫黄含有量、および流れS3について上記で定義された共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物の総量を有する。
【0148】
好ましくは、精製熱分解油は、参考例2.1に記載されているように決定された、0から50 wppm(重量ppm)、より好ましくは0から30 wppm、より好ましくは0から20 wppm、より好ましくは0から10 wppm、より好ましくは0から5 wppm、より好ましくは0から2 wppmの範囲の総塩素含有量を有する。
【0149】
好ましくは、精製熱分解油は、参考例2.2に記載されているように決定された、最大40 wppm(重量ppm)、好ましくは0から30 wppm、より好ましくは0から20 wppm、より好ましくは0から1 wppmの範囲の塩化物含有量を有する。
【0150】
好ましくは、精製熱分解油は、参考例3に記載されているように決定された、0から200重量ppm(wppm)の範囲、より好ましくは0から100 wppm、より好ましくは0から50 wppm、より好ましくは0から10 wppmの範囲の窒素含有量を有する。
【0151】
好ましくは、精製熱分解油は、参考例4に記載されているように決定された、0から200重量ppm(wppm)、より好ましくは0から100 wppm、より好ましくは0から50 wppmの範囲の硫黄含有量を有する。
【0152】
好ましくは、精製熱分解油は、参考例1に記載されているように決定された、0から3 g(I2)/100 g、より好ましくは0から2 g(I2)/100 gの範囲の総量の共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む。
【0153】
本発明は、以下の実施形態のセットおよび示されるような依存関係および後方参照から生じる実施形態の組み合わせによってさらに説明される。特に、実施形態の範囲が言及される各例において、例えば、用語の文脈、例えば「実施形態1から4のいずれか1つの方法」において、この範囲内のすべての実施形態は、当業者に明示的に開示されることを意味する、すなわち、この用語の文言は、「実施形態1、2、3、および4のいずれか1つの方法」と同義であるとして当業者によって理解されるべきであることに留意されたい。さらに、以下の実施形態のセットは、本発明の好ましい態様に向けられた一般的な説明の適切に構造化された部分を表し、したがって、適切に支持するが、本発明の特許請求の範囲を表さないことに明示的に留意されたい。
【0154】
1.熱分解油を精製するための方法であって、
(i)熱分解油を含む流れS0を提供するステップであって、熱分解油が、1つ以上のハロゲン化有機化合物、および共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、ステップと、
(ii)(i)で提供された流れS0を、不均一系水素化触媒を含有する少なくとも1つの反応ゾーンZ1において水素化に供して、共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物がS0と比較して枯渇している流れS1を得るステップと、
(iii)(ii)から得られた流れS1を、Z1の下流の少なくとも1つの脱ハロゲン化ゾーンZ2において脱ハロゲン化に供して、1つ以上のハロゲン化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと
を含む、方法。
【0155】
2.S0の95から100重量%、好ましくは98から100重量%、より好ましくは99から100重量%が熱分解油からなる、実施形態1に記載の方法。
【0156】
3.(i)による熱分解油が、参考例1に記載されているように決定された、熱分解油の0.1から75 g(I2)/100 g、好ましくは0.4から60 g(I2)/100 g、より好ましくは1から30 g(I2)/100 gの範囲の総量で共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、実施形態1または2に記載の方法。
【0157】
4.共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物が、式(I)
R1R2C1=C2R3-C3R4=X(I)
(式中、=Xは=O、=S、=NR5、または=C4R6R7であり、好ましくは=C4R6R7である)
による1つ以上の有機化合物を含む、実施形態1から3のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
5.R1、R2、R3、R4、R5が、互いに独立して、H、1から6個の炭素原子を有するアルキル、1から6個の炭素原子を有するアルケニル、または5から10個の炭素原子を有するアリール、より好ましくはHであり、
R6およびR7が、互いに独立して、H、1から6個の炭素原子を有するアルキル、1から6個の炭素原子を有するアルケニル、または5から10個の炭素原子を有するアリール、より好ましくはHであるか;または、R4およびR6もしくはR4およびR7のいずれかが一緒に連結され、したがって、C3=C4と一緒に、好ましくは5または6員を有する芳香環を形成する、実施形態4に記載の方法。
【0159】
6.式(I)による1つ以上の有機化合物が、ブタジエン、イソプレン、5または6個の炭素原子を有するジエン、スチレン、メチルスチレン、インデン、置換スチレン、置換インデン、および3-メチル-2-ブテナールのうちの1つ以上を含み、より好ましくはブタジエン、イソプレン、5または6個の炭素原子を有するジエン、スチレン、メチルスチレン、インデン、および3-メチル-2-ブテナールのうちの1つ以上を含む、実施形態5に記載の方法。
【0160】
7.式(I)による1つ以上の有機化合物が、スチレンを含む、実施形態6に記載の方法。
【0161】
8.1つ以上のハロゲン化有機化合物が、モノ、オリゴ、またはポリハロゲン化芳香族化合物、ハロゲン化アルキルおよびハロゲン化アルケニルのうちの1つ以上を含む、実施形態1から7のいずれか1つに記載の方法。
【0162】
9.(i)による熱分解油が、参考例2.1に記載されているように決定された、30から3,000 wppm(重量ppm)、好ましくは30から500 wppm、より好ましくは30から200 wppmの範囲の総塩素含有量を有し、
(i)による熱分解油が、参考例2.2に記載されているように決定された、多くとも40 wppm、より好ましくは0から30 wppmの範囲の塩化物含有量を有する、実施形態1から8のいずれか1つに記載の方法。
【0163】
10.(i)による熱分解油が、参考例3に記載されているように決定された、50から20,000 wppm(重量ppm)、好ましくは50から5,000 wppm、より好ましくは100から4,000 wppmの範囲の窒素含有量を有する、実施形態1から9のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
11.(i)による熱分解油が、参考例4に記載されているように決定された、50から30,000重量ppm(wppm)、好ましくは50から5,000 wppm、より好ましくは100から3,000 wppmの範囲の硫黄含有量を有する、実施形態1から10のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
12.熱分解油が、プラスチック廃棄物から得られる、実施形態1から11のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
13.流れS0が、液体流である、実施形態1から12のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
14.(ii)の水素化に供された流れS0が、60から250℃、好ましくは80から220℃、より好ましくは100から200℃の範囲の温度を有する、実施形態1から13のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
15.(ii)による不均一系水素化触媒が、元素周期表の第8族から第12族、好ましくは第8族から第10族、より好ましくは第9族および第10族の元素、好ましくはNi、PdおよびCoからなる群から選択される元素、より好ましくはNiおよびPdからなる群から選択される元素を含む、実施形態1から14のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
16.(ii)による不均一系水素化触媒が、元素周期表の第8族から第12族の前記元素のための担体材料をさらに含み、担体材料が、好ましくは酸化物材料および炭素からなる群から選択され、酸化物材料が、好ましくはアルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、チタニア、ゼオライト材料、シリカ-アルミナホスフェート(SAPO)材料、酸化亜鉛、酸化ナトリウム、混合シリカ-アルミナ、ゼオライトおよび酸化カルシウムのうちの1つ以上、より好ましくはアルミナである、実施形態15に記載の方法。
【0170】
17.(ii)による不均一系水素化触媒が、好ましくは、水素化触媒の総重量に基づいて、NiOとして計算される、0.5から70重量%、より好ましくは0.75から45重量%、より好ましくは1から20重量%の範囲の量のNiを含む、実施形態15または16に記載の方法。
【0171】
18.(ii)で使用される不均一系水素化触媒が、元素周期表の第6族の元素をさらに含み、第6族の元素が、好ましくはMoおよびWのうちの1つ以上、より好ましくはMoであり、
水素化触媒が、水素化触媒の総重量に基づいて、好ましくは1から40重量%、より好ましくは2から35重量%、より好ましくは3から30重量%の第6族の前記元素を含む、実施形態15から17のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
19.(ii)による不均一系水素化触媒が、担体材料、好ましくは実施形態16で定義される担体材料に担持されたNiおよびMoを含み、水素化触媒が、好ましくはアルミナに担持されたNiおよびMoを含む、実施形態17または18に記載の方法。
【0173】
20.(ii)による不均一系水素化触媒が、好ましくは、触媒の総重量に基づいて、元素Pdとして計算される、0.01から5重量%、0.1から1重量%、より好ましくは0.15から0.8重量%の範囲の量のPdを含む、実施形態15または16に記載の方法。
【0174】
21.(ii)による不均一系水素化触媒が、促進剤をさらに含み、促進剤が、好ましくは元素周期表の第10族および第11族の元素のうちの1つ以上、好ましくはCu、Au、AgおよびPtのうちの1つ以上、より好ましくはAgおよびPtのうちの1つ以上、より好ましくはAgである、実施形態20に記載の方法。
【0175】
22.促進剤に対する周期表の第8族から第12族の元素、好ましくはPdの原子比が、0.1:1から10:1、好ましくは2:1から7:1、より好ましくは2.5:1から6:1の範囲にある、実施形態21に記載の方法。
【0176】
23.(ii)による不均一系水素化触媒が、担体材料、好ましくは実施形態16で定義される担体材料に担持されたPdを含み、担体材料が、好ましくはアルミナまたは炭素、より好ましくはアルミナである、実施形態20から22のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
24.(ii)による不均一系水素化触媒が、押出物、ペレット、環、球状粒子または球体、好ましくは球状粒子または押出物の形態である、実施形態1から23のいずれか1つに記載の方法。
【0178】
25.(ii)が、
(ii.1)ガス流G0をZ1に導入するステップであって、ガス流がH2を含む、ステップと、
(ii.2)流れS0をZ1に導入するステップと、
(ii.3)S0をG0、およびZ1に含まれる不均一系水素化触媒と接触させて、共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物がS0と比較して枯渇している流れS1を得るステップと、
(ii.4)Z1からS1を除去するステップと、
(ii.5)場合により、Z1からガス流G1を除去するステップであって、G1がH2を含む、ステップと
を含む、実施形態1から24のいずれか1つに記載の方法。
【0179】
26.ガス流G0が、100から250℃、好ましくは120から220℃、より好ましくは140から200℃の範囲の温度を有する、実施形態25に記載の方法。
【0180】
27.ガス流G0が、10から100バール(abs)、好ましくは15から90バール(abs)、より好ましくは20から80バール(abs)、より好ましくは20から55バール(abs)の範囲の圧力で導入される、実施形態25または26に記載の方法。
【0181】
28.ガス流G0の70から100重量%、好ましくは80から100重量%、より好ましくは90から100重量%がH2からなる、実施形態25から27のいずれか1つに記載の方法。
【0182】
29.(ii.1)に従って、G0が、連続的または半連続的に、好ましくは連続的にZ1に導入され、(ii.2)に従って、S0が、半連続的または連続的に、好ましくは連続的にZ1に導入される、実施形態25から28のいずれか1つに記載の方法。
【0183】
30.(ii.2)に従ってS0をZ1に導入する前に、G0が、期間Δtの間、(ii.1)に従ってZ1に導入される、実施形態29に記載の方法。
【0184】
31.Δtの間、G0がZ1に含まれる不均一系水素化触媒と接触させられ、G0が、50から250℃、好ましくは120から220℃、より好ましくは140から200℃の範囲の温度を有する、実施形態30に記載の方法。
【0185】
32.Z1において、液空間速度(LHSV)が、0.2から10 m3/(m3h)の範囲、好ましくは0.3から5 m3/(m3h)の範囲、より好ましくは0.5から2 m3/(m3h)の範囲にあり、LHSVが、Z1(m3単位)に含まれる不均一系水素化触媒の体積当たりのS0からZ1(m3/h単位)の体積流量として定義される、実施形態25から31のいずれか1つに記載の方法。
【0186】
33.反応ゾーンZ1が、連続撹拌タンク反応器(CSTR)または固定床反応器、好ましくは固定床反応器に含まれ、固定床反応器が、好ましくはトリクルベッド反応器である、実施形態1から32のいずれか1つに記載の方法。
【0187】
34.(ii)に従って、直列および/または並列に配置された2つ以上の反応ゾーンZ1が、用いられるか、または(ii)に従って、1つの単一の反応ゾーンZ1が、用いられ、好ましくは(ii)に従って、1つの単一の反応ゾーンZ1が、用いられる、実施形態1から33のいずれか1つに記載の方法。
【0188】
35.(ii)から得られ、(iii)で脱ハロゲン化に供される流れS1が、参考例1に記載されているように決定された、流れS1の0から3 g(I2)/100 g、好ましくは0から2 g(I2)/100 g、より好ましくは0から1 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.25 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.1 g(I2)/100 gの範囲の総量で共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、実施形態1から35のいずれか1つ、好ましくは実施形態3に依存する限り任意の実施形態に記載の方法。
【0189】
36.(iii)で脱ハロゲン化された流れS1が、150から450℃、好ましくは200から400℃、より好ましくは250から350℃の範囲の温度を有する、実施形態1から35のいずれか1つに記載の方法。
【0190】
37.(iii)による脱ハロゲン化ゾーンZ2が、吸着ゾーンを備え、好ましくは吸着ゾーンであり、好ましくは1つ以上のハロゲン化有機化合物のうちの少なくとも1つ、好ましくは1つ以上のハロゲン化有機化合物のすべてに含まれるハロゲン化物を吸着するのに適した不均一系吸着材料を含む、実施形態1から36のいずれか1つに記載の方法。
【0191】
38.(iii)による不均一系吸着材料が、炭素含有吸着材料およびアルミニウム含有吸着材料のうちの1つ以上、好ましくはアルミニウム含有吸着材料を含み、
炭素含有吸着材料が、好ましくは、炭素含有モレキュラーシーブ、より好ましくは、活性炭であり、
アルミニウム含有吸着材料が、好ましくは、アルミナ、アルミニウム含有モレキュラーシーブ、シリコアルミノホスフェート、シリカ-アルミナ水和物またはハイドロタルサイトであり、
アルミニウム含有モレキュラーシーブが、好ましくはアルミナ、アルミノシリケートであり、好ましくはSiO2:Al2O3として計算されるSi:Alのモル比が2:1から10:1、より好ましくは2:1から4:1の範囲であり、
シリカ-アルミナ水和物が、好ましくは1:1から10:1、より好ましくは1:1から2:1の範囲のAl2O3:SiO2の重量比を有し、
ハイドロタルサイトが、好ましくは、ハイドロタルサイトを含有するアルミニウムおよびマグネシウム、より好ましくはアルミニウム-マグネシウムヒドロキシカーボネートであり、好ましくは63:37から70:30の範囲のMgO:Al2O3重量比を有し、
不均一系吸着材料が、より好ましくは、ハイドロタルサイトを含み、
(iii)による不均一系吸着材料が、好ましくは、第1族、第2族、第11族および第12族の元素を含む、実施形態37に記載の方法。
【0192】
39.(iii)による不均一系吸着材料が、1から6,500マイクロメートル、好ましくは2から2,000マイクロメートル、より好ましくは8から500マイクロメートル、より好ましくは10から50マイクロメートルまたは3から9マイクロメートルの範囲のD50値を有する粒径分布を特徴とする粒子を含み、D50粒径が、参考例5に記載されているように決定される、実施形態1から38のいずれか1つに記載の方法。
【0193】
40.(iii)による不均一系吸着材料が、0.1から5 ml/gの範囲、好ましくは0.15から2 ml/gの範囲の平均細孔容積を有し、平均細孔容積が、参考例6に記載されているように決定される、実施形態1から39のいずれか1つに記載の方法。
【0194】
41.(iii)による不均一系吸着材料が、50から1,000 m2/gの範囲、好ましくは100から900 m2/gの範囲、より好ましくは150から600 m2/gの範囲のBET比表面積を有し、BET比表面積が、参考例7に記載されているように決定される、実施形態1から40のいずれか1つに記載の方法。
【0195】
42.(iii)が、
(iii.1)ガス流G1を、好ましくは吸着ゾーンであるZ2に導入するステップであって、好ましくはガス流が、水素および窒素のうちの1つ以上、より好ましくは水素を含む、ステップと、
(iii.2)(ii)で得られた流れS1をZ2に導入するステップと、
(iii.3)S1をG1およびZ2に含まれる不均一系吸着材料と接触させて、1つ以上のハロゲン化有機化合物がS1と比較して枯渇している流れS2を得るステップと、
(iii.4)Z2からS2を除去するステップと
を含む、実施形態1から41のいずれか1つに記載の方法。
【0196】
43.ガス流G1が、250から500℃の範囲、好ましくは300から400℃の範囲の温度を有する、実施形態42に記載の方法。
【0197】
44.ガス流G1が、1から100バール(abs)の範囲、好ましくは5から80バール(abs)の範囲、より好ましくは10から50バール(abs)の範囲の圧力で導入される、実施形態42または43に記載の方法。
【0198】
45.Z2において、液空間速度(LHSV)が、0.2から10 h-1の範囲、好ましくは0.3から5 h-1の範囲、より好ましくは0.5から2 h-1の範囲にある、実施形態42から44のいずれか1つに記載の方法。
【0199】
46.ガス流G1の90から100重量%、好ましくは95から100重量%、より好ましくは98から100重量%がH2からなり、または
ガス流G1の90から100重量%、好ましくは95から100重量%、より好ましくは98から100重量%が窒素からなる、実施形態42から45のいずれか1つに記載の方法。
【0200】
47.(iii.1)に従って、G1が、連続的または半連続的に、好ましくは連続的にZ2に導入され、(iii.2)に従って、S1が、連続的または半連続的に、好ましくは連続的にZ2に導入され、
吸着ゾーンZ2が、好ましくは連続撹拌タンク反応器(CSTR)または固定床反応器、好ましくは固定床反応器、より好ましくはトリクルベッド反応器に含まれ、反応器が、好ましくは不均一系吸着材料を含む吸着床を備える、実施形態42から46のいずれか1つに記載の方法。
【0201】
48.(iii)に従って、直列および/または並列に配置された2つ以上の反応ゾーンZ2が、用いられ、好ましくは、1つの単一の反応ゾーンZ2が、(iii)に従って用いられる、実施形態1から47のいずれか1つに記載の方法。
【0202】
49.(iii)から得られた流れS2が、参考例2.1に記載されているように決定された、0から200 wppm(重量ppm)、好ましくは0から160 wppm、より好ましくは0から130 wppm、より好ましくは0から120 wppmの範囲の総塩素含有量を有し、
(iii)から得られた流れS2が、参考例2.2に記載されているように決定された、多くとも40 wppm(重量ppm)、好ましくは0から30 wppm、より好ましくは0から20 wppm、より好ましくは0から1 wppmの塩化物含有量を有する、
実施形態1から48のいずれか1つに記載の方法。
【0203】
50.(iii)から得られた流れS2が、参考例1に記載されているように決定された、流れS2の0から3 g(I2)/100 g、好ましくは0から2 g(I2)/100 g、より好ましくは0から1 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.25 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.1 g(I2)/100 gの範囲の総量で共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、実施形態1から49のいずれか1つ、好ましくは実施形態3に依存する限り任意の実施形態に記載の方法。
【0204】
51.(iii)から得られた流れS2が、参考例3に記載されているように決定された、50から20,000重量ppm、好ましくは50から5,000重量ppm、より好ましくは100から4,000重量ppmの範囲の窒素含有量を有し、
(iii)から得られた流れS2が、参考例4に記載されているように決定された、50から30,000重量ppm(wppm)、好ましくは50から5,000 wppm、より好ましくは100から3,000 wppmの範囲の硫黄含有量を有する、実施形態1から50のいずれか1つに記載の方法。
【0205】
52.(iii)による脱ハロゲン化ゾーンZ2が、触媒ゾーンを含み、好ましくは触媒ゾーンであり、好ましくは不均一系脱ハロゲン化触媒を含み、前記触媒が、元素周期系の第8族から第12族の1つ以上の触媒活性元素を含む、実施形態1から36のいずれか1つに記載の方法。
【0206】
53.(iii)から得られた流れS2が、実施形態54で定義される(iv)による水素化処理に供される前に、好ましくは水性抽出媒体を使用して抽出に供され、脱ハロゲン化ゾーンZ2から得られたS2に含まれる1つ以上の溶存ハロゲン化物が枯渇している流れS2を得、前記ハロゲン化物が、好ましくはN含有有機化合物の1つ以上のハロゲン化物を含む、実施形態1から52のいずれか1つに記載の方法。
【0207】
54.(iv)(iii)から得られた流れS2を、Z2の下流の少なくとも1つの反応ゾーンZ3であって、不均一系水素化処理触媒を含むZ3で水素化処理に供して、流れS3を得るステップ
をさらに含み、
(iv)に供される流れS2が、150から400℃の範囲、好ましくは200から375℃の範囲、より好ましくは250から350℃の範囲の温度を有する、
実施形態1から53のいずれか1つに記載の方法。
【0208】
55.(iv)で使用される不均一系水素化処理触媒が、元素周期表の第8族から第10族、好ましくは第9族および第10族の元素、好ましくはNiおよびCoからなる群から選択される元素を含み、水素化処理触媒が、より好ましくはNiを含み、
(iv)による不均一系水素化処理触媒が、より好ましくは、水素化処理触媒の重量に基づいて、NiOとして計算される、0.5から10重量%の範囲、より好ましくは1から6重量%の範囲の量のNiを含む、
実施形態54に記載の方法。
【0209】
56.(iv)による不均一系水素化処理触媒が、元素周期表の第8族から第10族の元素のための担体をさらに含み、担体が、好ましくは酸化物材料であり、
酸化物材料が、好ましくは、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化カルシウム、混合シリカ-アルミナ、ゼオライト、Moドープアルミナおよびチタニア、より好ましくはアルミナ、ゼオライトおよびシリカ-アルミナのうちの1つ以上、より好ましくはアルミナである、
実施形態55に記載の方法。
【0210】
57.(iv)による不均一系水素化処理触媒が、元素周期表の第6族の元素をさらに含み、第6族の元素が、好ましくはMoおよびWのうちの1つ以上であり、
水素化処理触媒が、前記水素化処理触媒の重量に基づいて、好ましくは1から40重量%、より好ましくは3から30重量%の範囲の第6族の前記元素の酸化物、好ましくはMo酸化物またはW酸化物を含む、
実施形態55または56に記載の方法。
【0211】
58.(iv)による不均一系水素化処理触媒が、担体、好ましくは実施形態53で定義される担体上にNiおよびMoを含み、水素化処理触媒が、好ましくはアルミナ上にNiおよびMoを含む、実施形態57に記載の方法。
【0212】
59.(iv)が、
(iv. 1)ガス流G2をZ3に導入するステップであって、G2がH2を含む、ステップと、
(iv. 2)(iii)で得られた流れS2をZ3に導入するステップと、
(iv. 3)S2をG2、およびZ3に含まれる不均一系水素化処理触媒と接触させて、流れS3を得るステップと、
(iv. 4)Z3から(iv. 3)で得られたS3を除去するステップと
を含む、実施形態53から58のいずれか1つに記載の方法。
【0213】
60.ガス流G2が、250から550℃の範囲、好ましくは300から450℃の範囲、より好ましくは325から400℃の範囲の温度を有する、実施形態59に記載の方法。
【0214】
61.ガス流G2が、20から150バール(abs)の範囲、好ましくは30から90バール(abs)の範囲、より好ましくは40から80バール(abs)の範囲、より好ましくは45から60バール(abs)の範囲の圧力で導入される、実施形態59または60に記載の方法。
【0215】
62.Z3において、液空間速度(LHSV)が、0.1から10 h-1の範囲、好ましくは0.1から5 h-1の範囲、より好ましくは0.2から2 h-1の範囲にある、実施形態59から61のいずれか1つに記載の方法。
【0216】
63.ガス流G2の50から100重量%、好ましくは70から100重量%、より好ましくは90から100重量%がH2からなる、実施形態59から62のいずれか1つに記載の方法。
【0217】
64.(iv.1)に従って、G2が、連続的または半連続的に、好ましくは連続的にZ3に導入される、実施形態59から63のいずれか1つに記載の方法。
【0218】
65.(iv.2)に従って、S2が、連続的または半連続的に、好ましくは連続的にZ3に導入される、実施形態59から64のいずれか1つに記載の方法。
【0219】
66.反応ゾーンZ3が、好ましくはn個の連続的に連結された触媒床B(i)、i=1...、n、n≧2を含む反応器に含まれ、触媒床B(i)が、不均一系水素化処理触媒を含み、好ましくは2≦n≦10、より好ましくは2≦n≦5であり、B(1)が、最も上流の触媒床であり、B(n)が、最も下流の触媒床である、実施形態1から65のいずれか1つに記載の方法。
【0220】
67.(iv)が、
(iv.1’)ガス流G2をZ3に導入するステップであって、G2がH2を含む、ステップと、
(iv.2’)(iii)で得られた流れS2をZ3に導入するステップと、
(iv.3’)n個の連続するプロセス段階P(i)、i=1...n、
P(1)において、
-ガス流G2を触媒床B(1)に導入し、(iii)から得られた流れS2およびB(1)の不均一系水素化処理触媒と接触させて、流れSP(1)を得るステップと、
各P(i)において、i=2...n-1である場合、
-H2を含むガス流F(i-1)を触媒床B(i)に導入し、SP(i-1)およびB(i)中の不均一系水素化処理触媒と接触させて、流れSP(i)を得るステップと、
-B(i)からSP(i)を除去するステップと、
P(n)において、
-ガス流F(n-1)を触媒床B(n)に導入し、SP(n-1)およびB(n)中の不均一系水素化処理触媒と接触させて、ガス流S3を得るステップと、
(iv.4’)Z3から(iv.3’)で得られたS3を除去するステップと
を含む、実施形態66に記載の方法。
【0221】
68.ガス流G2が、250から550℃の範囲、好ましくは300から450℃の範囲、より好ましくは325から400℃の範囲の温度を有する、実施形態67に記載の方法。
【0222】
69.ガス流G2が、20から150バール(abs)の範囲、好ましくは30から90バール(abs)の範囲、より好ましくは40から80バール(abs)の範囲、より好ましくは45から60バール(abs)の範囲の圧力で導入される、実施形態67または68に記載の方法。
【0223】
70.ガス流G2の50から100重量%、好ましくは70から100重量%、より好ましくは90から100重量%がH2からなる、実施形態67から69のいずれか1つに記載の方法。
【0224】
71.Z3において、液空間速度(LHSV)が、0.1から10 h-1の範囲、好ましくは0.1から5 h-1の範囲、より好ましくは0.2から2 h-1の範囲にある、実施形態67から70のいずれか1つに記載の方法。
【0225】
72.(iv. 1’)に従って、G2が、連続的または半連続的に、好ましくは連続的にZ3に導入される、実施形態67から71のいずれか1つに記載の方法。
【0226】
73.(iv. 2’)に従って、S2が、連続的または半連続的に、好ましくは連続的にZ3に導入される、実施形態67から72のいずれか1つに記載の方法。
【0227】
74.ガス流F(i)の50から100重量%、好ましくは70から100重量%、より好ましくは90から100重量%がH2からなる、実施形態67から73のいずれか1つに記載の方法。
【0228】
75.ガス流F(i)が、20から150バール(abs)の範囲、好ましくは30から90バール(abs)の範囲、より好ましくは40から80バール(abs)の範囲、より好ましくは45から60バール(abs)の範囲の圧力で導入される、実施形態74に記載の方法。
【0229】
76.n個の直列結合触媒床B(i)が、固定触媒床である、実施形態67から75のいずれか1つに記載の方法。
【0230】
77.反応ゾーンZ3が、連続撹拌タンク反応器(CSTR)または固定床反応器、好ましくは固定床反応器、より好ましくはトリクルベッド反応器に含まれる、実施形態1から76のいずれか1つに記載の方法。
【0231】
78.(iv)から得られた流れS3が、参考例2.1に記載されているように決定された、0から50 wppm(重量ppm)、好ましくは0から30 wppm、より好ましくは0から20 wppm、より好ましくは0から10 wppm、より好ましくは0から5 wppm、より好ましくは0から2 wppmの範囲の総塩素含有量を有し、
(iv)から得られた流れS3が、参考例2.2に記載されているように決定された、多くとも40 wppm(重量ppm)、好ましくは0から30 wppm、より好ましくは0から20 wppm、より好ましくは0から1 wppmの範囲の塩化物含有量を有する、
実施形態53から77のいずれか1つに記載の方法。
【0232】
79.(iv)から得られた流れS3が、好ましくは溶存NH3を除去した後、参考例3に記載されているように決定された、0から200重量ppm(wppm)の範囲、好ましくは0から100 wppm、より好ましくは0から50 wppm、より好ましくは0から10 wppmの範囲の窒素含有量を有する、実施形態53から78のいずれか1つに記載の方法。
【0233】
80.(iv)から得られた流れS3が、好ましくは溶存H2Sを除去した後、参考例4に記載されているように決定された、0から200重量ppm(wppm)、好ましくは0から100 wppm、より好ましくは0から50 wppmの範囲の硫黄含有量を有する、実施形態53から79のいずれか1つに記載の方法。
【0234】
81.(iii)から得られた流れS3が、参考例1に記載されているように決定された、(iv)から得られた流れS3の0から3 g(I2)/100 g、好ましくは0から2 g(I2)/100 g、より好ましくは0から1 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.25 g(I2)/100 g、より好ましくは0から0.1 g(I2)/100 gの範囲の総量で共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物を含む、実施形態1から80のいずれか1つ、好ましくは実施形態3に依存する限りの任意の実施形態に記載の方法。
【0235】
82.実施形態53から81のいずれか1つで定義された(iii)または(iv)の後に、
(v)水蒸気分解ステップ、水素化分解ステップ、蒸留、ストリッピング、および水性抽出のうちの1つ以上
をさらに含む、実施形態1から81のいずれか1つに記載の方法。
【0236】
83.連続または半連続プロセス、好ましくは連続プロセスである、実施形態1から82のいずれか1つに記載の方法。
【0237】
84.(i)、(ii)、(iii)、好ましくは(i)、(ii)、(iii)および(iv)、より好ましくは(i)、(ii)、(iii)、(iv)および(v)からなる、実施形態1から83のいずれか1つに記載の方法。
【0238】
85.実施形態1から84のいずれか1つに記載の熱分解油を精製するための方法を実施するための製造ユニットであって、
-少なくとも1つの反応ゾーンZ1であって、不均一系水素化触媒を含む、Z1と、
-S0をZ1に導入するための入口手段と、
-Z1からS1を除去するための出口手段と、
-少なくとも1つの脱ハロゲン化ゾーンゾーンZ2であって、好ましくは不均一系吸着材料または不均一系脱ハロゲン化触媒を含む、Z2と、
-S1をZ2に導入するための入口手段と、
-Z2からS2を除去するための出口手段と
を備え、Z1がZ2の上流に位置し、
好ましくは、ハロゲン化物を除去するための抽出ゾーンであって、好ましくはN含有有機化合物の1つ以上のハロゲン化物を含み、好ましくはZ2の下流に配置される、抽出ゾーンと、
をさらに備える、製造ユニット。
【0239】
86.
-少なくとも1つの反応ゾーンZ3であって、不均一系水素化処理触媒を含む、Z3と、
-S2をZ3に導入するための入口手段と、
-Z3からS3を除去するための出口手段と
をさらに備え、Z2が、Z3の上流に位置する、実施形態85に記載の製造ユニット。
【0240】
87.精製熱分解油であって、実施形態1から53のいずれか1つに記載の方法または実施形態54から81のいずれか1つに記載の方法によって得ることが可能であるか、または得られる、精製熱分解油。
【図面の簡単な説明】
【0241】
【
図1】管に含有した比較実施例1で得られた固体のXRDによる分析である。結晶性NH
4Clの反射にアスタリスクを付す。
【
図2a】比較実施例2(黒色粉末)の予熱ゾーンのコランダムの写真である。
【
図2b】実施例1(aよりも明るい粉末)の予熱ゾーンのコランダムの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0242】
実施例
参考例1 共役二重結合を含む1つ以上の有機化合物の総量の測定
ジエン含有量は、UOP326-17によって決定される。この手順では、ジエンを無水マレイン酸(MA)と反応させ、MAの消費量を決定する(残りのMAの滴定によって)。これは、g(I2)/100 g(サンプル)またはg(MA)/100 g(サンプル)として表すことができる。単位は、MA値(MAV)に係数2.59を乗算することによって相互変換されて、I2およびMAのモル重量に対応するg(I2)/100 g(サンプル)で表される値を得ることができる。したがって、1重量%のスチレンまたは0.52重量%のブタジエンは、0.94 g(MA)/100 gまたは2.43 g(I2)/100 gに相当する。
【0243】
参考例2.1 総塩素含有量(wppm)の測定
分析前にサンプルを0.45 μmシリンジフィルターで濾過する。塩素含有量は、それぞれのサンプルの1050℃での燃焼によって決定される。得られた燃焼ガス、すなわち塩化水素は、電量滴定が実行されるセルに導かれる。
【0244】
参考例2.2 塩化物含有量(wppm)の測定
分析前にサンプルを0.45 μmシリンジフィルターで濾過する。塩化物含量は、イオンクロマトグラフィーによって決定される。装置:イオンクロマトグラフ850プロフェッショナル(Metrohm)(プレカラム:Metrosep A Supp4/5S-Guardおよび分析カラム:Metrosep A Supp 5 250/4;流量:0.7 mL/分;カラム温度:30℃;検出器温度:40℃;注入量:25 μL;サプレッサMSM HCロータA)。溶離液として:3.2 mmol/L Na2CO3;1.0 mmol/L NaHCO3および抑制剤再生剤として:50 mmol/L硫酸を使用した。
【0245】
サンプル調製:0.2 g~0.4 gのサンプルを秤量し、10 mLのトルエンに溶解した。検体抽出のために、10 mLの脱イオン水を添加した。遠心分離後、水相を抽出し、分析した。方法の限界値未満の濃度のサンプルに、20 μg/L塩化物標準溶液(サンプル中の1 mg/kg塩化物の限界値に対応する)を加えて、回収率を確認した。
【0246】
参考例3 N含有量(wppm)の測定
窒素含有量は、それぞれのサンプルの1000℃での燃焼によって決定される。得られた燃焼ガスに含有されるNOは、オゾンと反応してNO2*が形成される。励起された窒素種の緩和は、ASTM D4629(N)に従って化学発光検出器によって検出される。較正範囲は、0.5 wppmから50 wppmである。より高濃度のサンプルは、キシレンで希釈して較正範囲にする。
【0247】
参考例4 S含有量(wppm)の測定
硫黄含有量は、それぞれのサンプルの1000℃での燃焼によって決定される。
【0248】
得られる燃焼ガスに含有される二酸化硫黄は、UV(紫外線)光により励起される。緩和中に出射された光は、ASTM D5453(S)に従って紫外線蛍光検出器によって検出される。較正範囲は、0.5 wppmから50 wppmである。より高濃度のサンプルは、キシレンで希釈して較正範囲にする。
【0249】
参考例5 粒径(D50)
D50粒径は、光学的方法によって、またはエアシーブによって、例えば様々な機器、すなわちQuantachromeから供給されるCilas Granulometer 1064、Malvern MastersizerまたはAlpineから供給されるLuftstrahlsieb(エアシーブ)によって決定した。
【0250】
参考例6 平均細孔容積の決定
細孔容積は、BET測定(ミクロ細孔およびメソ細孔について)または代替的にHg多孔度測定(マクロ細孔について)から導出することができる。The Determination of Pore Volume and Area Distributions in Porous Substances.I.Computations from Nitrogen Isotherms JACS 1951(73)373-380 E.P.Barret,L.G.Joyner,P.P.Halenda。
【0251】
参考例7 BET比表面積の決定
吸着材料のBET表面積は、Quantachrome(Novaシリーズ)またはMicromeritics(Geminiシリーズ)によって供給される機器を使用して測定される。この方法は、吸着等温線のBET領域での窒素の低温吸着を伴う。
【0252】
参考例8 スチレン含有量の決定
無極性の100%ジメチルポリシロキサン相カラムおよびFID検出器を用いたGC法。最終カラム温度および入口温度は、それぞれ330℃および320℃である。スチレンの積分面積シグナルは、すべての積分ピークの比として100%を掛けたものが面積%である。面積%は、重量%とほぼ相関する。
【0253】
参考例9 全酸価(TAN)の決定
全酸価は、ASTM D3242に従ってKOHによる滴定によって決定した。
【0254】
参考例10 反応器装填物および試験設定
実施例のすべての反応ステップは、内径10 mmの反応器内で行われ、トリクルベッドモード(下降流)で動作させた。下部25 cmが不活性コランダム(冷却ゾーン)で充填されるように、反応器(長さ80 cm)に底部からコランダム(WSK F46;市販コランダム)を装填する。これの上に、長さ30 cmの触媒または吸着剤床を25から55 cmに置き、このゾーンにおいて、反応温度を維持する。PドープNiMo触媒およびE-157 SDU触媒としての成形触媒の場合、触媒床の空隙もコランダム(WSK F46;市販コランダム)で充填される。触媒の上にそれぞれ吸着剤床コランダム(WSK F46;市販コランダム)を55から80 cm充填する。このコランダムゾーンでは、供給物は、反応温度まで予熱されるが、下部コランダム充填ゾーンでは、生成物流は、反応器温度から微量加熱温度まで冷却される。
【実施例】
【0255】
実施例1 本発明による熱分解油を精製するための方法
9.01 g(I2)/100 gのMAV、GCにより決定された6.1面積%のスチレン含有量、560 wppmの総塩素含有量、1 wppmの塩化物含有量、約3260 wppmの窒素含有量、約2630 wppmの硫黄含有量、3.69 mgの総酸価(TAN)(KOH/g(供給物)および0.8653 g/mlの密度を有する熱分解油を含む供給流S0を、H2を含む活性化Pd触媒(BASFから市販されているCatalyst E-157 SDU 1/8”:1/8”アルミナビーズ上の0.7重量%Pd)を含む反応器内で50バールおよび195℃の温度で水素化に供した。Pd触媒を、0.5 K/分の勾配で195℃に加熱しながら、周囲圧力でGHSV=1000/hで水素フロー中で活性化した。195℃で12 h後、GHSVを500/hに減少させ、圧力を1 h以内に50バールに増加させ、2時間保持後、LHSV=1/hでS0の添加を開始した。得られた供給流S1は、MAVが約80%から1.75 g(I2)/100 g減少し、スチレン含有量が1.1面積%(>80%転化率)に減少し、N含有量およびS含有量は、S0と比較して変化しなかった。また、塩素含有量は、基本的に変わらなかった(表1参照)。
【0256】
【0257】
次いで、流れS1を、H2の存在下、350℃および50バールの圧力で、Cl吸着剤(ハイドロタルサイト:MgO:Al2O3の重量比が70:30のアルミニウム-マグネシウムヒドロキシカーボネート粉末)を含む反応器内で脱塩素に供した。使用前に、吸着剤を圧縮し、次いで粉砕し、500~1000マイクロメートルの平均粒径に篩い分けした。さらに、それを空気中450℃で5時間焼成し、周囲空気中で一晩平衡化した。反応器内にS1を入れる前に、得られたCl吸着剤を、1 K/分で温度を上昇させながら、各々1時間、周囲圧力下、窒素中、ガス時空間速度(GHSV)=2000/hで、100℃および200℃で乾燥させた。200℃で、ガスをN2からH2に切り替え、圧力を1時間以内に50バールに上げた。圧力に達した後、GHSVを475/hに低下させ、反応器を1 K/分で350℃に加熱した。350℃に達したら、S1を液空間速度(LHSV)=0.95/hで反応器に導入した。得られた生成物流を表2.1に示すように分析したところ、総塩素含有量が減少していた(動作開始時に約90%減少)。
【0258】
【0259】
反応の過程内の中間生成物(S2)を合わせて、供給物S2を形成した。
【0260】
流れS2を等量の水でさらに洗浄し、分析した(表2.2を参照されたい)。N、S含有量は、S1と比較して変化しなかった。
【0261】
【0262】
さらに、(洗浄した)流れS2を、アルミナ上に担持された活性化PドープNiMo触媒(4.75重量%のNiO、19.57重量%のMoO3、2.89重量%のP2O5および72.79%の担体それぞれAl2O3;米国特許第4,409,131号に従って調製)を含む反応器内で、50バールのH2の存在下、350~395℃の範囲の温度で水素化処理に供した。PドープNiMo触媒を、周囲圧力およびGHSV=2000/hでN2と共に1 K/分で加熱して乾燥させることによって活性化し、200℃で2時間放置した。その後、触媒活性化のために、温度を135℃に下げ、雰囲気をH2に切り替えた。1時間後、圧力を1時間以内に50バールに上げた。さらに1時間後、硫化物供給物の投入をLHSV=2/hで開始し、GHSVを1000/hに調整した。硫化物供給物は、2重量%DMDS(ジメチルジスルフィド)を加えた炭化水素流体(176~209℃の沸点範囲の市販の混合物、例えば、Varsol(商標)60)からなる。2時間後、温度を0.25 K/分で350℃までさらに上昇させた。次いで、温度を1時間一定に保持し、LHSVを1/hに低下させ、GHSVを500/hに低下させた後、反応器内でS2の添加をLHSV=1/hで開始した。
【0263】
73時間のTOS後、温度を395℃に上げ、システムをさらに49時間動作させた結果、いかなる圧力降下の増加も示すことなく、両方の温度でより長い動作時間で比較実施例1と比較した。その後、LHSVおよびGHSVをさらに1日50%低下させた後、圧力を110バールに上げた。LHSV低下および圧力上昇は、NおよびS転化率をさらに増加させた。
【0264】
得られた供給流S3は、平均して2 wppm未満の総塩素含有量、1 wppm未満の塩化物含有量(表2.3を参照されたい)を有し、N含有量については3264 wppmから約31 wppmまで、S含有量については2630 wppmから約47 wppmまでNおよびS含有量も大幅に減少した(表3を参照されたい)。
【0265】
【0266】
【0267】
比較実施例1 本発明によらない熱分解油を精製するためのプロセス(仏国特許第3 107 530号明細書の代表)
実施例1のものと同様の熱分解油を含む供給流S0を、H2を含む活性化Pd触媒(BASFから市販されているCatalyst E-157 SDU 1/8”:1/8”アルミナビーズ上の0.7重量%Pd)を含む反応器内で50バールおよび195℃の温度で水素化に供した。Pd触媒を、0.5 K/分の勾配で195℃に加熱しながら、周囲圧力でGHSV=1000/hで水素フロー中で活性化した。195℃で12 h後、GHSVを500/hに減少させ、圧力を1 h以内に50バールに増加させ、2時間保持後、LHSV=1/hでS0の添加を開始した。得られた供給流S1は、MAVが約80%から1.75 g(I2)/100 g減少し、スチレン含有量が1.1面積%(>80%転化率)に減少し、N含有量、S含有量は、S0と比較して変化しなかった、すなわち、N含有量は、約3260 wppmであり、S含有量は、約2630 wppmであった。塩素および塩化物の含有量を表4に示す。
【0268】
【0269】
さらに、流れS1を、アルミナ(4.75重量%のNiO、19.57重量%のMoO3、2.89重量%のP2O5および72.79%の担体それぞれAl2O3;触媒は、米国特許第4,409,131号明細書に記載されているプロセスに従って調製した)上に担持された活性化PドープNiMo触媒を含む反応器内で、50バールおよび350~395℃の範囲の温度でH2の存在下で水素化処理に直接供した。触媒活性化を実施例1と同様に行った。触媒活性化1時間後に反応器内の温度を一定に保持し、LHSV=1/hの反応器内でS1の添加を開始する前に、LHSVを0.95/hに低下させ、GHSVを475/hに低下させた。
【0270】
48時間のTOS後、反応器の温度を395℃に上げたが、約70時間のTOS後、反応器システムの圧力降下が10バールを超えて増加したため、供給物の投入を停止し、反応器を冷却した。最初の中間的な圧力降下の増加は、55から60 hのTOSで観察された。
【0271】
そのような圧力上昇が下流の管の目詰まりに起因することを実証するために、以下に説明するように管を交換した。実際、下流区分へのアクセスを可能にするために、システムを減圧し、窒素でパージした。内径1.5 mmで40℃に加熱した長さ1 mの細い管(完全な以下の下流区分として)は、反応器(180℃、内径4 mm)からの移送ラインの後および気液分離器の前に位置した。この管を交換した。管のこの変化は、反応器システム全体の圧力降下を実質的に減少させることを可能にし、その結果、もはや目立たなくなった。
【0272】
さらに、5 mgの固体を管から取り出した。XRDにより、
図1に見られるように、NH
4Clが主な結晶相として固体中に検出された。
【0273】
この管交換後、反応器を硫化物供給物および水素で再起動し、1 K/分で350℃まで加熱した。この温度で、元の供給物を再び投入してさらに15 hの水素化処理動作を可能にした後、再び圧力降下の増加が観察されたので、供給物の投入を約100 hのTOS後に停止した。中間システムの目詰まりにもかかわらず、触媒は、>90%のN転化率で再開後も比較的良好な性能を依然として明らかにした(表5参照)。複合生成物流について、<2 wppmの総塩素含有量および<1 wppmの塩化物含有量が決定され、これは、転化されたClが溶解形態および顕著な量で液体生成物流中に存在しないか、またはCl分析のためのサンプル調製時に濾別される粒子状物質として存在することを示唆していた。
【0274】
【0275】
【0276】
反応器の圧力降下は、周囲出口圧力で100 mln(N2)/分で外部から決定される。得られた値を表6に示す。
【0277】
本発明の方法と比較して、水素化ステップと水素化処理ステップとの間に脱塩素ステップを含まない前述のプロセス(仏国特許第3 107 530号明細書の代表的なもの)は、反応過程中に高い圧降下増加率を示し、これは、重大な腐食問題を引き起こす水が下流に注入されない限り、安定した動作を可能にしない。加えて、反応後の反応器の圧力降下の増加(本発明の方法による210ミリバール対71ミリバール;表6参照)も観察された。したがって、本発明の方法は、圧力降下を増加させ、したがってTOSを増加させることに関するより安定した動作を考慮して、この既知のプロセスと比較して大きな改善を示し、安定性および持続時間に関して改善された石油生産を得ることを可能にする。
【0278】
比較実施例2 本発明による熱分解油を精製するための方法
実施例1とは対照的に、脱塩素ステップでプロセスを開始した。実施例1のものと同様の熱分解油を含む供給流S0を、H2の存在下、350℃および50バールの圧力で、Cl吸着剤(ハイドロタルサイト:MgO:Al2O3の重量比が70:30のアルミニウム-マグネシウムヒドロキシカーボネート粉末)を含む反応器内で脱塩素に供した。使用前に、吸着剤を圧縮し、次いで粉砕し、500~1000マイクロメートルの平均粒径に篩い分けした。さらに、それを空気中450℃で5時間焼成し、周囲空気中で一晩平衡化した。反応器にS0を入れる前に、得られたCl吸着剤を、1 K/分で温度を上昇させながら、各々1時間、周囲圧力下、窒素中、ガス時間空間速度(GHSV)=2000/hで、100℃および200℃で乾燥させた。200℃で、ガスをN2からH2に切り替え、圧力を1時間以内に50バールに上げた。圧力に達した後、GHSVを475/hに低下させ、反応器を1 K/分で350℃に加熱した。350℃に達したら、S0を液空間速度(LHSV)=0.95/hで反応器に導入した。
【0279】
165 hのTOS後、反応器システムの圧力降下が10バールを超えて増加したため、供給物の投入を停止しなければならず、反応器を冷却し、トルエンでパージし、窒素で乾燥させた。反応器の圧力降下は、周囲出口圧力で100 mln(N2)/分で外部から決定され、1102ミリバールをもたらすが、試験前の反応器の圧力降下は37ミリバールで決定された。得られた流れS2中の塩素および塩化物の含有量を表7に示す。
【0280】
【0281】
【0282】
反応後、反応器の装填物を取り出した。反応器装填物の異なる部分を、吸着剤ゾーンの上(予熱ゾーン)および下(冷却ゾーン)の不活性コランダム材料と吸着剤とに分離した。特に予熱ゾーン内では、色勾配が長さにわたって観察された。したがって、分析前にサンプルをホモジナイズした。
【0283】
サンプルを空気中で700℃まで加熱し、得られた質量損失を、示差走査熱量測定(Netzsch社製のデバイスSTA 449 F3 Jupiter)と組み合わせた熱重量分析によって記録した。比較実施例2から得られたすべてのサンプルについて、発熱質量損失が増加し、これはコークス形成の増加を示している。実施例1に対するコークス形成の相対的な増加は、予熱ゾーンで最も顕著であり、質量損失がほぼ100%増加する。
【0284】
図2aおよび
図2bでは、予熱ゾーンからのコランダムの着色を比較することができ、脱塩素のみのより暗い色を示している(比較実施例2~2a)。空気中で加熱した後、サンプルをk新鮮な状態と同様に白色に脱色した。
【0285】
【0286】
実施例1および比較実施例2の両方の脱塩素実験を同じ期間、条件で、かつ同じ吸着剤および不活性コランダムを用いて動作させ、その後の反応器の圧力降下および空気中の予熱ゾーンの材料を加熱する際の質量損失に大きな差を示したので、供給物が予備水素化されていない場合、脱塩素ステップにおけるコークスの蓄積が加速されることを導き出すことができる。
【0287】
したがって、この実施例に基づいて、脱塩素ステップの前に水素化ステップが必須であることが実証された。実際、脱塩素から開始すると、工業プラントの動作には許容できないコークス化による圧力損失の非常に速い増加を直接もたらす。加えて、脱塩素の前に供給物を予備水素化する場合、脱塩素効率(表2.1および7参照)が増加する。
【国際調査報告】